ダイカスト鋳造方法における粗材変形の解析方法

申请号 JP2017013217 申请日 2017-01-27 公开(公告)号 JP2018118300A 公开(公告)日 2018-08-02
申请人 トヨタ自動車株式会社; 发明人 土屋 詔一; 生田 浩之;
摘要 【課題】粗材の変形の解析 精度 を改善することのできるダイカスト鋳造方法における粗材変形の解析方法の提供。 【解決手段】ダイカスト鋳造方法における粗材変形の解析方法は、型開き工程において固定型(1)から粗材(P1)に与える固定型摩擦応 力 を求め、固定型摩擦応力を用いて、型開き工程における粗材(P1)の変形を計算するステップ(ST61)を含む。鋳造条件及び潤滑条件に基づいて、複数の摩擦係数関数から所定の摩擦係数関数を選択する。粗材(P1)と固定型(1)との 接触 面 温度 (Temp)と接触荷重(N)とを、選択した所定の摩擦係数関数に入力することによって、粗材(P1)の各部位における摩擦係数を出力する。粗材(P1)が固定型(1)に与える接触面圧(N)と、摩擦係数とを積算することによって、粗材(P1)の各部位における固定型摩擦応力を求める。 【選択図】図4
权利要求

可動型を固定型に押し当てることによって型閉めを行ない、溶湯を前記可動型と前記固定型とのキャビティに射出し凝固させて、前記キャビティ内において粗材を形成する工程と、 前記粗材を前記可動型に保持させたまま前記可動型を前記固定型から離間させることによって型開きを行う型開き工程と、を備えるダイカスト鋳造方法における粗材変形の解析方法であって、 前記型開き工程において前記固定型から前記粗材に与える固定型摩擦応を求め、前記固定型摩擦応力を用いて、前記型開き工程における前記粗材の変形を計算するステップを含み、 鋳造条件及び潤滑条件に基づいて、異なる複数の摩擦係数関数から所定の摩擦係数関数を選択し、 前記粗材と前記固定型との接触温度と接触荷重とを、前記選択した所定の摩擦係数関数に入力することによって、前記粗材の各部位における摩擦係数を出力し、 前記粗材が前記固定型に与える接触面圧と、前記摩擦係数とを積算することによって、前記粗材の各部位における前記固定型摩擦応力を求める、 ダイカスト鋳造方法における粗材変形の解析方法。前記型開き工程において、前記型開きを開始した時点T0から前記可動型が前記固定型から離間した時点T1の直前まで、前記摩擦係数は、静摩擦係数であり、 前記可動型と前記固定型とが離間した時点T1以降、前記粗材が前記可動型から離間した時点T2まで、前記摩擦係数は、動摩擦係数である、 ことを特徴とする請求項1に記載のダイカスト鋳造方法における粗材変形の解析方法。前記型開き工程において、前記型開きを開始した時点T0から前記粗材が前記可動型から離間する時点T2までに、前記粗材が移動する移動量は、前記固定型の抜き勾配、前記固定型及び前記粗材の弾性変形量に基づいて、求められ、 前記固定型及び前記粗材の弾性変形量は、前記固定型の温度、及び前記粗材の温度に基づいて変化する弾性係数を用いて、求められる、 ことを特徴とする請求項1又は2に記載のダイカスト鋳造方法における粗材変形の解析方法。前記ダイカスト鋳造方法は、前記型開き工程の後、前記粗材を前記可動型から離型させる離型工程をさらに備え、 前記離型工程において、押出ピンを前記可動型のキャビティから突き出すことによって、前記可動型から前記粗材に与える可動型摩擦応力を求め、前記可動型摩擦応力を用いて、前記離型工程における前記粗材の変形を計算するステップをさらに備える、 ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のダイカスト鋳造方法における粗材変形の解析方法。

说明书全文

本発明は、ダイカスト鋳造方法における粗材変形の解析方法に関する。

特許文献1には、射出成形プロセスにおける充填解析、保圧流動解析、冷却解析を順次行って、射出成形プロセス中の成形材料の温度変化等を計算する等して、最終製品の形状変形量等を算出する射出成形プロセスシミュレーション方法が開示されている。冷却解析では、成形品のある面と金型面との接触状態に応じて、温度境界条件を変更している。このような射出成形プロセスシミュレーション方法を用いて、製品部にかかる応分布を求め、この応力分布と、製品が金型に接触している部分の面積と、製品と金型の間の摩擦係数から、型開き時までの離型抵抗を予測することができる。

特開平07−009522号公報

発明者等は、特許文献1に開示される方法を応用して、ダイカスト鋳造方法における湯流れ、型温度分布、及び粗材凝固を解析することによって、粗材を離型させた後の粗材の変形を計算することを想起した。このような離型後の粗材変形の解析精度には、改善の余地が有った。

本発明に係るダイカスト鋳造方法における粗材変形の解析方法は、粗材変形の解析精度を改善するものとする。

本発明に係るダイカスト鋳造方法における粗材変形の解析方法は、 可動型を固定型に押し当てることによって型閉めを行ない、溶湯を前記可動型と前記固定型とのキャビティに射出し凝固させて、前記キャビティ内において粗材を形成する工程と、 前記粗材を前記可動型に保持させたまま前記可動型を前記固定型から離間させることによって型開きを行う型開き工程と、を備えるダイカスト鋳造方法における粗材変形の解析方法であって、 前記型開き工程において前記固定型から前記粗材に与える固定型摩擦応力を求め、前記固定型摩擦応力を用いて、前記型開き工程における前記粗材の変形を計算するステップを含み、 鋳造条件及び潤滑条件に基づいて、異なる複数の摩擦係数関数から所定の摩擦係数関数を選択し、 前記粗材と前記固定型との接触面温度と接触荷重とを、前記選択した所定の摩擦係数関数に入力することによって、前記粗材の各部位における摩擦係数を出力し、 前記粗材が前記固定型に与える接触面圧と、前記摩擦係数とを積算することによって、前記粗材の各部位における前記固定型摩擦応力を求める。 このような構成によれば、型開きしたときの固定型により粗材に与える固定型摩擦応力を考慮して、粗材の変形を解析することができる。固定型摩擦応力の値は、鋳造条件、潤滑条件、粗材と固定型との接触面温度及び接触荷重に応じて変化し、ダイカスト鋳造方法における粗材変形の実試験における実際の摩擦応力に適合するため、粗材変形の解析精度を改善することができる。

また、前記型開き工程において、前記型開きを開始した時点T0から前記可動型が前記固定型から離間した時点T1の直前まで、前記摩擦係数は、静摩擦係数であり、 前記可動型と前記固定型とが離間した時点T1以降、前記粗材が前記可動型から離間した時点T2まで、前記摩擦係数は、動摩擦係数であることを特徴としてもよい。 このような構成によれば、型開き工程において、時点に応じて静摩擦係数μ0と動摩擦係数μ1とのいずれかを摩擦係数として用いて、固定型摩擦応力を求めることができる。これによって、固定型摩擦応力の値がダイカスト鋳造方法における粗材変形の実試験における実際の摩擦応力に適合するため、粗材変形の解析精度をさらに改善することができる。

また、前記型開き工程において、前記型開きを開始した時点T0から前記粗材が前記可動型から離間する時点T2までに前記粗材が移動する移動量は、前記固定型の抜き勾配、前記固定型及び前記粗材の弾性変形量に基づいて、求められ、 前記固定型及び前記粗材の弾性変形量は、前記固定型の温度、及び前記粗材の温度に基づいて変化する弾性係数を用いて、求められることを特徴としてもよい。 このような構成によれば、固定型の温度、及び粗材の温度に応じた弾性係数を用いて、固定型及び粗材の弾性変形量を求め、さらに、型開き工程における型開きを開始した時点T0から粗材が可動型から離間する時点T2までに粗材が移動する移動量を求めることができる。これによって、固定型摩擦応力の値がダイカスト鋳造方法における粗材変形の実試験における実際の摩擦応力に適合するため、粗材変形の解析精度をさらに改善することができる。

また、前記ダイカスト鋳造方法は、前記型開き工程の後、前記粗材を前記可動型から離型させる離型工程をさらに備え、 前記離型工程において、押出ピンを前記可動型のキャビティから突き出すことによって、前記可動型から前記粗材に与える可動型摩擦応力を求め、前記可動型摩擦応力を用いて、前記離型工程における前記粗材の変形を計算するステップをさらに備えることを特徴としてもよい。 このような構成によれば、可動型から粗材に与える可動型摩擦応力を考慮して、離型工程における粗材の変形を求めることができる。求めた離型工程における粗材の変形と、型開き工程における粗材変形とを考慮することによって、粗材変形の解析精度をさらに改善することができる。

本発明に係るダイカスト鋳造方法における粗材変形の解析方法は、粗材変形の解析精度を改善することができる。

実施の形態1に係るダイカスト鋳造方法における粗材変形の解析方法を示すフローチャートである。

実施の形態1に係るダイカスト鋳造方法における粗材変形の解析方法を示すフローチャートと、各計算項目を示すブロック図である。

実施の形態1に係るダイカスト鋳造方法における粗材変形の解析方法において用いた解析モデルを示す模式図である。

実施の形態1に係るダイカスト鋳造方法における粗材変形の解析方法において用いた鋳造条件及び潤滑条件を示す表の要部である。

接触面温度と、接触荷重とに対する摩擦係数μを示すグラフである。

型開き工程における粗材と金型との境界面を示す模式図である。

型開き工程における粗材と金型との境界面を示す模式図である。

型開き工程における粗材と金型との境界面を示す模式図である。

粗材の移動量に対する応力及び摩擦係数の一具体例を示すグラフである。

(実施の形態1) 図1〜図9を参照して実施の形態1に係るダイカスト鋳造方法における粗材変形の解析方法について説明する。図1は、実施の形態1に係るダイカスト鋳造方法における粗材変形の解析方法を示すフローチャートである。図2は、実施の形態1に係るダイカスト鋳造方法における粗材変形の解析方法を示すフローチャートと、各計算項目を示すブロック図である。図3は、実施の形態1に係るダイカスト鋳造方法における粗材変形の解析方法において用いた解析モデルを示す模式図である。図4は、実施の形態1に係るダイカスト鋳造方法における粗材変形の解析方法において用いた鋳造条件及び潤滑条件を示す表の要部である。図5は、接触面温度と、接触荷重とに対する摩擦係数μを示すグラフである。図6〜図8は、型開き工程における粗材と金型との境界面を示す模式図である。図9は、粗材の移動量に対する応力及び摩擦係数の一具体例を示すグラフである。

実施の形態1に係るダイカスト鋳造方法における粗材変形の解析方法は、CAE(Computer Aided Engineering)を用いて、図3に示すダイカスト鋳造方法をモデルとして用いて計算する。解析方法は、多種多様な数値解析手法を用いることができ、例えば、湯流れ解析では、有限体積法、有限差分法、有限要素法、粒子法など様々な方法を用いることができる。これらの複数種類の数値解析手法を、必要に応じて、組み合わせて用いてもよい。当該モデルは、溶湯(不図示)、粗材P1、固定型1、可動型2、スリーブ3、及びプランジャ4を含む。 図3に示すダイカスト鋳造方法では、固定型1と可動型2とスリーブ3とプランジャ4を用いて、溶湯(不図示)を凝固させて、粗材P1を形成する。溶湯及び粗材P1は、例えば、ダイカスト用アルミニウム合金を利用することができる。固定型1と可動型2とは、鋳造機(不図示)に搭載されて、それぞれの動作を制御される。スリーブ3とプランジャ4とは、この鋳造機の一構成要素であり、スリーブ3は、所定の位置に保持され、プランジャ4は、スリーブ3の内側をその軸方向に往復可能に保持されている。

ダイカスト鋳造方法について具体的に説明する。 まず、可動型2を固定型1に押し当て密着させることによって、型閉めを行う。可動型2のキャビティC1と固定型1のキャビティC2が突き合わされており、粗材P1と同じ又は殆ど同じ形状のキャビティC1、C2が形成される。溶湯をスリーブ3の給湯口3cに注ぎ、プランジャ4を可動型2側へ押し込むことによって、溶湯をキャビティC1、C2へ射出し、充填する。充填後、所定の圧力を溶湯にかけて、そのまま溶湯を凝固させる。溶湯が凝固して、粗材P1が形成されると、粗材P1は、凝固収縮及び熱収縮によって、溶湯の体積よりも小さくなる。また、この凝固収縮及びこの熱収縮によって、エアーギャップ(隙間)が、粗材P1と固定型1のキャビティC1との界面、及び粗材P1と可動型2のキャビティC2との界面に発生する。粗材P1を可動型2に保持させたまま、可動型2を固定型1から離間させることによって、型を開く。可動型2のキャビティC2から可動型2の外方、言い換えると、固定型1側へ突き出ることのできる押出ピン21を用いて、粗材P1をキャビティC2から押出して、可動型2から離型させる。以上より、粗材P1が形成される。

まず、湯流れ解析を行う(湯流れ計算ステップST1)。具体的には、まず、可動型2を固定型1に押し当てて型閉めを行う。型を閉めた状態のまま、溶湯をスリーブ3の給湯口3cに注いだ後、プランジャ4を可動型2側へ押し込むことによって、溶湯をキャビティC1、C2へ射出し充填させるまでの、溶湯の流れを計算する。

続いて、固定型1及び可動型2の温度分布を計算する(型温分布計算ステップST2)。具体的には、溶湯をスリーブ3の給湯口3cに注いだ時点から、溶湯をキャビティC1、C2へ射出し充填し圧力をかけたまま凝固させた時点までの、固定型1と、可動型2との温度分布を計算する。

続いて、溶湯の凝固収縮を計算する(凝固収縮計算ステップST3)。具体的には、溶湯が固定型1と可動型2とのキャビティにおいて凝固し、粗材P1が形成したときの、凝固収縮を計算する。

続いて、エアーギャップを計算する(エアーギャップ計算ステップST4)。 上記したように、溶湯が固定型1と可動型2とのキャビティC1、C2において凝固したとき、溶湯及び粗材P1が熱収縮する、及び凝固収縮するため、エアーギャップ(隙間)が、粗材P1と固定型1のキャビティC1との界面、及び、粗材P1と可動型2のキャビティC2との界面に発生する。このエアーギャップの位置、大きさ、範囲や発生する時点などを計算する。 具体的には、溶湯又は粗材P1と固定型1との界面の伝熱形態、及び溶湯又は粗材P1と可動型2との界面の伝熱形態が、熱伝導から熱伝達に変化する。この伝熱形態の変化する時点(図2参照)を計算する。

続いて、上記したエアーギャップ計算結果に基づいて、製品冷却条件の変化、製品温度分布の変化、製品強度分布の変化を、この順に計算し、固定型1及び可動型2内での粗材P1の変形(図2参照)、例えば、各時点、各部位の変形量を計算する。続いて、伝熱形態の変化する時点に基づいて、固定型1及び可動型2の温度分布の変化である型温分布変化を計算する。この計算した型温分布変化と、上記した製品冷却条件の変化とを用いて、製品残留応力の変化を計算する。これによって残留応力開放による変形量(図2参照)を求めることができる。

続いて、この残留応力開放による変形量に基づいて、接触面圧Nを計算する(接触面圧計算ステップST5)。接触面圧Nは、粗材P1の各部位が、固定型1のキャビティC1、及び可動型2のキャビティC2における接する各部位に押圧する圧力である。

なお、以下の式1に参照されるように、接触面圧Nは、移動量Lmoveと、接触面温度Tempとの関数f2で表されてもよい。 N=f2(Lmove,Temp) …(式1)

最後に、型開き後の粗材変形を計算する(型開き後の粗材変形計算ステップST6)。

まず、型開き工程において、固定型摩擦応力F、粗材P1の温度分布、及び粗材P1の製品強度分布を用いて、型開きが開始した時点T0から粗材P1が固定型1から離間した時点T2までの粗材P1の変形を求める(型開き工程による粗材変形計算ステップST61)。

固定型摩擦応力F、摩擦係数μ、及び接触面圧Nとの関係は、以下の式2を満たす。 F=μ×N …(式2) また、図9に示すように、移動量Lmoveが0(零)における、固定型摩擦応力F0、摩擦係数μ0、接触面圧N0との関係は、以下の式2Aを満たす。 F0=μ0×N0 …(式2A) また、移動量Lmoveが0(零)を超えて、Lmove以下であるときにおける、固定型摩擦応力F、摩擦係数μ1、接触面圧Nとの関係は、以下の式2Bを満たす。 F=μ1×N …(式2B)

(摩擦係数μ) ここで、摩擦係数μを求める。 具体的には、まず、鋳造条件及び潤滑条件を決定することによって、摩擦係数関数を選択する。異なる複数種類の摩擦係数関数を、予め、所定の鋳造条件及び所定の潤滑条件について鋳造実験を行うことによって、求めておく。摩擦係数関数は、同一の鋳造条件、及び同一の潤滑条件について、静摩擦係数についての摩擦係数関数f0と、動摩擦係数についての摩擦係数関数f1とを備える。摩擦係数関数の入力変数は、接触面温度Tempと、接触面圧Nであり、出力変数は、摩擦係数μである。すなわち、接触面温度Tempと、接触面圧Nとを摩擦係数関数に入力すると、当該摩擦係数関数は、摩擦係数μを出力する。 より具体的には、図4に示すように、鋳造条件及び潤滑条件等の各種製造条件を選択する。鋳造条件及び潤滑条件は、予め対象製品に応じて決められている。例えば、図4に示す鋳造条件は、(1)M/T(マニュアルトランスミッション)ケースと、(2)A/T(オートマチックトランスミッション)ケースと、(3)O/P(オイルパン)とを含む。この(1)〜(3)が決定すると、図4に示す鋳造条件は、具体的には、金型の材質、金型の表面材質、金型の面粗度、粗材を構成する合金の材質、粗材の表面状態、真空度、雰囲気等であり、さらに具体的には、金型、及び粗材を構成する合金の弾性係数や塑性流動応力、鋳造による金型表面から粗材へ転写した形状等である。ここでの弾性係数は、金型、合金の温度に応じて変化してもよい。

また、図4に示す潤滑条件は、(1)BASE潤滑Aと、(2)M/T(マニュアルトランスミッション)ケース 潤滑A改と、(3)A/T(オートマチックトランスミッション)ケース 潤滑CCとを含む。図4に示す潤滑条件は、例えば、離型剤の種類、離型剤希釈率、離型剤塗布量、乾燥状態等の条件である。乾燥状態は、金型表面における残りの有無である。

例えば、条件(1)(1)に決定すると、摩擦係数関数f0、f1を選択することになる。すると、図5に示すように、摩擦係数関数f0、f1は、接触面温度Tempと、接触面圧Nとを入力変数として、摩擦係数μを出力変数とした関数である。図5に示す曲線CL1〜CL3は、接触面温度Tempがそれぞれ所定の値であり、接触面圧Nが所定の範囲にある場合の摩擦係数μの推移を示すものであり、摩擦係数関数f1の出力変数の摩擦係数μの値を示す曲面の一部でもある。

図6に示すように、型開きが開始する時点T0、又はその直前の時点T0では、粗材P1の各部位が接触面圧Nで固定型1の各部位に押圧し、固定型1の各部位は、粗材P1の接触面圧Nの反力Nrを粗材P1の各部位に与えている。粗材P1と固定型1とは、互いに押し合っており、いずれも移動しない。この型開きが開始した時点T0から、開始直後の時点T1、すなわち、可動型2(図3参照)が固定型1との密着を解いて固定型1から離間した時点T1の直前までは、粗材P1と固定型1との摩擦係数として静摩擦係数μ0を用いる。各部位における接触面温度Tempと接触面圧Nとを、静摩擦係数についての摩擦係数関数f0に入力し、対応する各部位における静摩擦係数μ0をそれぞれ出力する。

型開きが開始した直後の時点T1では、固定型1が固定型摩擦応力F1で粗材P1を引っ張ろうとするものの、可動型2が、固定型摩擦応力F1よりも大きい力F2で粗材P1を引っ張る。そのため、粗材P1が可動型2に保持されて、固定型1から離脱する方向に引っ張られて、移動する。粗材P1は、固定型1に対して相対的に移動しているものの、粗材P1及び固定型1は、いずれも弾性変形しており、互いに接触しつつ押し合っている。可動型2(図3参照)が固定型1との密着を解いて固定型1から離間した時点T1以降から、粗材P1が固定型1との密着を解いて固定型1から離間した時点T2までは、粗材P1と固定型1との摩擦係数として動摩擦係数μ1を用いる。各部位における接触面温度Tempと接触面圧Nとを、動摩擦係数についての摩擦係数関数f1に入力し、対応する各部位における動摩擦係数μ1をそれぞれ出力する。

よって、静摩擦係数μ0、動摩擦係数μ1は、それぞれ、以下の式3、式4で表される。 μ0=f0(N,Temp) …(式3) μ1=f1(N,Temp) …(式4)

次に、粗材P1の弾性変形量L1と固定型1の弾性変形量L2とに基づいて、型開きが開始する時点T0から、粗材P1が固定型1との密着を解いて固定型1から離間した時点T2までの時間の長さと、時点T0から時点T2までの粗材P1の移動量Lmove1を求める方法について説明する。 ところで、図7に示すように、粗材P1の弾性変形量L1と、粗材P1の弾性係数E1(T)と、接触面圧Nと、接触面積Sとの関係は、以下の式5を満たす。弾性係数E1は、粗材P1の温度Tを入力変数とする関数である。 L1=E1(T)×N/S …(式5) また、固定型1の弾性変形量L2と、固定型1の弾性係数E2(T)と、接触面圧Nと、接触面積Sとの関係は、以下の式6を満たす。弾性係数E2は、固定型1の温度Tを入力変数とする関数である。 L2=E2(T)×N/S …(式6) 上記した式5、及び式6を用いて、粗材P1の弾性変形量L1と固定型1の弾性変形量L2とを求める。

図8に示すように、型開きが開始する時点T0から、粗材P1が固定型1から離脱する方向に引っ張り、粗材P1の移動量Lmoveを増大させる。移動量Lmoveが、所定の移動量Lmove1に達する。ここで、粗材P1の弾性変形量L1と固定型1の弾性変形量L2とがいずれも減じて、実質的に0(ゼロ)になる。粗材P1と固定型1とは、互いに押し合うことなく、単に接触している、又は、僅かに離間している。移動量Lmove1(図9参照)と、粗材P1の弾性変形量L1と、固定型1の弾性変形量L2と、固定型1の抜き勾配θ(図7参照)との関係は、以下の式7を満たす。式7を用いて移動量Lmove1を求めることができる。 Lmove1=(L1+L2)/tanθ …(式7) 移動量Lmove1と、可動型2の速度V2と、上記した時点T0〜T2までの時間の長さT02との関係は、以下の式8を満たす。式8を用いて、この時間の長さT02を求めることができる。 T02=Lmove1/V2 …(式8)

型開きによって、固定型1が粗材P1の所定の部位に与える摩擦応力Fは、所定の部位における摩擦係数μ0、μ1、及び接触面圧Nを積算することによって、求めることができる。摩擦抵応力Fは、固定型1の接触面圧による型開き抵抗(図2参照)である。接触面圧Nは、移動量Lmoveが減少する傾向にある。接触面圧Nの一具体例は、移動量Lmoveを変数とし負の傾きを有する一次関数である。例えば、移動量Lmoveが0(零)であるとき、接触面圧NがN0ならば、接触面圧Nの一具体例は、以下の式9で表される。 N=N0−(N0/Lmove1)×Lmove …(式9) ここで、粗材P1の所定の部位における、移動量Lmoveに対する摩擦係数μ、固定型摩擦応力F、及び、接触面圧Nの一具体例を図9に示す。

ところで、ダイカスト鋳造方法は、型開き工程の後、可動型2に保持されている状態の粗材P1を可動型2から離型させる離型工程をさらに備えてもよい。このような離型工程では、可動型2のキャビティC2から突き出ることのできる押出ピン21(図3参照)を用いて、粗材P1を押出して、可動型2から離型させる。必要に応じて、離型工程において、可動型摩擦応力、粗材P1の温度分布、及び粗材P1の製品強度分布を用いて、粗材P1が固定型1から離間した時点T2から、粗材P1が可動型2から離型した時点までの粗材P1の変形を求めてもよい(離型工程による粗材変形計算ステップST62)。本ステップでは、例えば、型開き工程による粗材変形計算ステップST61の固定型摩擦応力F1と同様に、この押出ピン21によって、粗材P1が可動型2から受ける可動型摩擦応力を計算することができる。この計算した可動型摩擦応力に合わせて、上記したエアーギャップ計算ステップST4及び接触面圧計算ステップST5において求めた、固定型摩擦応力F等による粗材P1の変形、型内での粗材P1の変形(図2参照)、及び残留応力開放による変形量(図2参照)に基づいて、離型工程による粗材変形を求めることができる。型開き工程による粗材変形と離型工程による粗材変形とに基づいて、型開き後の粗材変形を求めてもよい。

以上より、型開き後の粗材P1の変形を計算することができる。上記した実施の形態1に係るダイカスト鋳造方法における粗材変形の解析方法では、鋳造条件及び潤滑条件に基づく摩擦係数関数を用いて、当該摩擦係数関数は、接触面圧と、接触面温度とを入力変数としている。これによって、鋳造条件、潤滑条件、接触面圧、及び接触面温度に応じた摩擦係数の値を用いて、固定型1から粗材P1の所定の部位に与える固定型摩擦応力F、すなわち、固定型1の接触面圧による型開き抵抗を解析することができる。従って、粗材変形の解析結果がダイカスト鋳造方法における押出離型後の粗材変形の試験結果とよく適合するため、粗材変形の解析精度を改善することができる。

また、上記した実施の形態1に係るダイカスト鋳造方法における粗材変形の解析方法では、粗材P1と固定型1との摩擦係数として、型開き開始時点T0において静摩擦係数μ0を用いて、型開き開始後、可動型2が固定型1から離間した時点T1以降、粗材P1が固定型1から離間した時点T2までにおいて動摩擦係数μ1を用いる。これによって、型開きの各時点に応じた摩擦係数を用いて、固定型1の接触面圧による型開き抵抗を解析することができる。従って、粗材変形の解析精度をさらに改善することができる。

また、上記した実施の形態1に係るダイカスト鋳造方法における粗材変形の解析方法では、移動時の可動型2、固定型1、及び粗材P1の温度に基づいて、材料特性、主に弾性係数を変化させて、可動型2の移動途中の固定型摩擦応力Fが粗材P1にかかる時間と大きさを求めてもよい。固定型1、及び粗材P1の温度に応じた弾性係数E1、E2を用いて、固定型1の接触面圧による型開き抵抗を解析することができる。上記したように、弾性係数E1、E2は、弾性変形量L1、L2の大きさに影響を与える。弾性変形量L1、L2が大きいと、固定型摩擦応力Fが大きく、固定型摩擦応力Fが粗材P1にかかる時間が長い傾向にある。固定型1、及び粗材P1の温度に応じた弾性係数E1、E2は、さらに現象に近い値と考えられる。従って、粗材変形の解析精度をさらに改善することができる。

また、上記した実施の形態1に係るダイカスト鋳造方法における粗材変形の解析方法では、固定型摩擦応力Fによる粗材P1の変形、型内での粗材P1の変形(図2参照)、及び残留応力開放による変形量(図2参照)に基づいて、型開き後の押出ピン21による離型抵抗による粗材変形を求めることができる。従って、粗材変形の解析精度をさらに改善することができる。

なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。

1 固定型 2 可動型 C1、C2 キャビティ E1、E2 弾性係数 F 固定型摩擦応力 L1、L2 弾性変形量 Lmove、Lmove1 移動量 N 接触面圧 P1 粗材 S 接触面積 ST6 粗材変形計算ステップ ST61 型開き工程による粗材変形計算ステップ ST62 離型工程による粗材変形計算ステップ Temp 接触面温度 θ 抜き勾配 μ 摩擦係数 μ0 静摩擦係数 μ1 動摩擦係数

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