金属鋳造用鋳型の造型方法及び鋳型 |
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申请号 | JP2013524636 | 申请日 | 2012-06-19 | 公开(公告)号 | JPWO2013011789A1 | 公开(公告)日 | 2015-02-23 |
申请人 | 新東工業株式会社; | 发明人 | 西川 和之; 和之 西川; 正則 冨岡; 正則 冨岡; | ||||
摘要 | 本発明の金属鋳造用鋳型の造型方法は、受け型をパルプモールド品により被覆する工程と、減圧手段を備えた鋳型枠をパルプモールド品の上部に設置する工程と、鋳型枠内に耐熱粒子を充填する工程と、鋳型枠内を封止するために鋳型枠の上面に封止部材を設ける工程と、鋳型枠内を減圧手段により減圧して、鋳型枠、耐熱粒子、パルプモールド品、及び、封止部材からなる鋳型を形成する工程と、パルプモールド品を受け型から分離させる工程と、を有する。また、この金属鋳造用鋳型の造型方法により造型された金属鋳造用鋳型も開示されている。 | ||||||
权利要求 | 金属鋳造用鋳型の造型方法であって、 受け型をパルプモールド品により被覆する工程と、 減圧手段を備えた鋳型枠を前記パルプモールド品の上部に設置する工程と、 前記鋳型枠内に耐熱粒子を充填する工程と、 前記鋳型枠内を封止するために前記鋳型枠の上面に封止部材を設ける工程と、 前記鋳型枠内を前記減圧手段により減圧して、前記鋳型枠、耐熱粒子、パルプモールド品、及び、封止部材を含む鋳型を形成する工程と、 前記パルプモールド品を前記受け型から分離させる工程と、 を有することを特徴とする金属鋳造用鋳型の造型方法。 金属鋳造用鋳型であって、 受け型を被覆するパルプモールド品と、 このパルプモールド品の上部に設置され、減圧手段を備えた鋳型枠と、 前記鋳型枠内に充填される耐熱粒子と、 前記鋳型枠の上面に設けられ前記鋳型枠内を封止するための封止部材と、を有し、 前記鋳型枠内が前記減圧手段により減圧されて、前記鋳型枠、耐熱粒子、パルプモールド品、及び、封止部材を含む鋳型が形成され、さらに、前記パルプモールド品が前記受け型から分離されることを特徴とする金属鋳造用鋳型。 前記パルプモールド品は、天然繊維から形成される請求項2記載の金属鋳造用鋳型。 前記パルプモールド品は、0.1mm〜2.0mmの厚みを有する請求項2又は3記載の金属鋳造用鋳型。 前記パルプモールド品は、紙抄き工法により成形される請求項2又は3記載の金属鋳造用鋳型。 前記パルプモールド品は、プレス加圧工法により成形される請求項2又は3記載の金属鋳造用鋳型。 金属鋳造用鋳型の造型方法であって、 表面に金網が設けられた紙すき型によりパルプモールド品を成形する工程と、 前記パルプモールド品の上部に減圧手段を備えた鋳型枠を設置する工程と、 前記鋳型枠内に耐熱粒子を充填する工程と、 前記鋳型枠内を封止するために前記鋳型枠の背面に封止部材を設ける工程と、 前記鋳型枠内を前記減圧手段により減圧して、前記鋳型枠、耐熱粒子、パルプモールド品、及び、封止部材を含む鋳型を形成する工程と、 前記パルプモールド品を前記紙すき型から分離させる工程と、 を有することを特徴とする金属鋳造用鋳型の造型方法。 金属鋳造用鋳型の造型方法であって、 表面に金網が設けられた紙すき型によりパルプモールド品を成形する工程と、 前記パルプモールド品を受け型に移し替える工程と、 前記パルプモールド品の上部に減圧手段を備えた鋳型枠を設置する工程と、 前記鋳型枠内に耐熱粒子を充填する工程と、 前記鋳型枠内を封止するために前記鋳型枠の背面に封止部材を設ける工程と、 前記鋳型枠内を前記減圧手段により減圧して、前記鋳型枠、耐熱粒子、パルプモールド品、及び、封止部材を含む鋳型を形成する工程と、 前記パルプモールド品を前記受け型から分離させる工程と、 を有することを特徴とする金属鋳造用鋳型の造型方法。 金属鋳造用鋳型の造型方法であって、 複数に分割された成形表面に金網が設けられた組み合わせ紙すき型により少なくとも1箇所が開口し中子形状を有するパルプモールド品を成形する工程と、 前記開口から前記パルプモールド品の内部に減圧手段を挿入すると共に耐熱粒子を充填する工程と、 前記パルプモールド品の内部の耐熱粒子が排出されないようにパルプモールド品の開口を封止する工程と、 前記パルプモールド品の内部を前記減圧手段により減圧して、前記耐熱粒子、及び、パルプモールド品を含む中子形状の鋳型を形成する工程と、 前記パルプモールド品を表面とする中子型を紙すき型から分離する工程と、 を有することを特徴とする金属鋳造用鋳型の造型方法。 更に、前記鋳型枠内に耐熱粒子を充填する工程の後に、前記紙すき型の背面から吸引する工程、又は、前記鋳型枠の背面から加圧空気を吹き込む工程、又は、前記紙すき型の背面から吸引し且つ前記鋳型枠の背面から加圧空気を吹き込む工程、を実行する請求項7記載の金属鋳造用鋳型の鋳型造型方法。 更に、前記鋳型枠内に耐熱粒子を充填する工程の後に、前記受け型の背面から吸引する工程、又は、前記鋳型枠の背面から加圧空気を吹き込む工程、又は、前記受け型の背面から吸引し且つ前記鋳型枠の背面から加圧空気を吹き込む工程、を実行する請求項8に記載の金属鋳造用鋳型の鋳型造型方法。 更に、前記パルプモールド品の内部に耐熱粒子を充填する工程の後に、前記紙すき型の背面から吸引する工程、又は、前記パルプモールド品の開口から加圧空気を吹き込む工程、又は、前記紙すき型の背面から吸引し且つ前記パルプモールド品の開口から加圧空気を吹き込む工程、を実行する請求項9に記載の金属鋳造用鋳型の鋳型造型方法。 更に、前記耐熱粒子を加熱する工程を有する請求項7乃至12の何れか1項に記載の金属鋳造用鋳型の鋳型造型方法。 前記耐熱粒子を加熱する工程における前記耐熱粒子の加熱温度は、50℃〜200℃である請求項13に記載の金属鋳造用鋳型の鋳型造型方法。 前記パルプモールド品は、0.1〜2.0mmの厚みを有する請求項7乃至12の何れか1項に記載の金属鋳造用鋳型の鋳型造型方法。 前記鋳型枠内に耐熱粒子を充填する工程は、前記耐熱粒子を振動充填する工程を有する請求項7、8、10又は11記載の金属鋳造用鋳型の鋳型造型方法。 前記パルプモールド品の内部に耐熱粒子を充填する工程は、前記耐熱粒子を振動充填する工程を有する請求項9又は12記載の金属鋳造用鋳型の鋳型造型方法。 請求項7〜12の何れか1項に記載の鋳型造型方法で造型された金属鋳造用鋳型であって、金属に接する製品鋳型面がパルプモールド品により成形された3次元面であり、前記パルプモールド品の背後は耐熱粒子でバックアップされ、減圧状態に保持されていることを特徴とする金属鋳造用鋳型。 |
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说明书全文 | 本発明は、金属鋳造用鋳型の造型方法及び金属鋳造用鋳型に関する。 従来から、特許文献1に記載されているように、原形部材の成形面に合成樹脂フィルムを密着し、この合成樹脂フィルムの外側に乾燥砂を充填し、この乾燥砂を負圧にして、合成樹脂フィルムを乾燥砂側に吸着し原形部材を離形してキャビティーを形成し、このキャビティー内に注湯する、Vプロセス鋳造法が、知られている。 このVプロセス鋳造法においては、鋳型内の減圧により鋳型を保持しているので、砂を固化するためのバインダーを用いず、そのため、鋳型砂の混練設備が不要となり、また、鋳造時の臭気もほとんど発生せず、鋳造後の製品取り出しも容易という利点がある。 しかし、上述した特許文献1のVプロセス鋳造法では、溶融金属への鋳型砂の焼付きを防止するために塗型を施す必要があり、さらに塗布した塗型剤を乾燥させる必要もある。 本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、塗型作業及び塗型乾燥作業を必要とせずに、鋳物表面への鋳型砂の焼付きのない健全な鋳物を鋳造できる金属鋳造用鋳型の造型方法及び鋳型を提供することを目的とする。 上記の目的を達成するために、本発明の第1の発明は、金属鋳造用鋳型の造型方法であって、受け型をパルプモールド品により被覆する工程と、減圧手段を備えた鋳型枠をパルプモールド品の上部に設置する工程と、鋳型枠内に耐熱粒子を充填する工程と、鋳型枠内を封止するために鋳型枠の上面に封止部材を設ける工程と、鋳型枠内を減圧手段により減圧して、鋳型枠、耐熱粒子、パルプモールド品、及び、封止部材を含む鋳型を形成する工程と、パルプモールド品を前記受け型から分離させる工程と、を有することを特徴としている。 本発明の第2の発明は、金属鋳造用鋳型であって、受け型を被覆するパルプモールド品と、このパルプモールド品の上部に設置され、減圧手段を備えた鋳型枠と、鋳型枠内に充填される耐熱粒子と、鋳型枠の上面に設けられ鋳型枠内を封止するための封止部材と、を有し、鋳型枠内が減圧手段により減圧されて、前記鋳型枠、耐熱粒子、パルプモールド品、及び、封止部材を含む鋳型が形成され、さらに、パルプモールド品が受け型から分離されることを特徴としている。 本発明の第2の発明において、好ましくは、パルプモールド品は、天然繊維から形成される。 本発明の第2の発明において、好ましくは、パルプモールド品は、0.1mm〜2.0mmの厚みを有する。 本発明の第2の発明において、好ましくは、パルプモールド品は、紙抄き工法により成形される。 本発明の第2の発明において、好ましくは、パルプモールド品は、プレス加圧工法により成形される。 本発明の第3の発明は、金属鋳造用鋳型の造型方法であって、表面に金網が設けられた紙すき型によりパルプモールド品を成形する工程と、パルプモールド品の上部に減圧手段を備えた鋳型枠を設置する工程と、鋳型枠内に耐熱粒子を充填する工程と、鋳型枠内を封止するために鋳型枠の背面に封止部材を設ける工程と、鋳型枠内を減圧手段により減圧して、鋳型枠、耐熱粒子、パルプモールド品、及び、封止部材を含む鋳型を形成する工程と、パルプモールド品を紙すき型から分離させる工程と、を有することを特徴としている。 本発明の第4の発明は、金属鋳造用鋳型の造型方法であって、表面に金網が設けられた紙すき型によりパルプモールド品を成形する工程と、パルプモールド品を受け型に移し替える工程と、パルプモールド品の上部に減圧手段を備えた鋳型枠を設置する工程と、鋳型枠内に耐熱粒子を充填する工程と、鋳型枠内を封止するために鋳型枠の背面に封止部材を設ける工程と、鋳型枠内を減圧手段により減圧して、鋳型枠、耐熱粒子、パルプモールド品、及び、封止部材を含む鋳型を形成する工程と、パルプモールド品を前記受け型から分離させる工程と、を有することを特徴としている。 本発明の第5の発明は、金属鋳造用鋳型の造型方法であって、複数に分割された成形表面に金網が設けられた組み合わせ紙すき型により少なくとも1箇所が開口し中子形状を有するパルプモールド品を成形する工程と、開口からパルプモールド品の内部に減圧手段を挿入すると共に耐熱粒子を充填する工程と、パルプモールド品の内部の耐熱粒子が排出されないようにパルプモールド品の開口を封止する工程と、パルプモールド品の内部を減圧手段により減圧して、耐熱粒子、及び、パルプモールド品を含む中子形状の鋳型を形成する工程と、パルプモールド品を表面とする中子型を紙すき型から分離する工程と、を有することを特徴としている。 本発明の第3及び第4の発明は、好ましくは、更に、鋳型枠内に耐熱粒子を充填する工程の後に、紙すき型の背面又は受け型の背面から吸引する工程、若しくは、鋳型枠の背面から加圧空気を吹き込む工程、若しくは、紙すき型の背面又は受け型の背面からから吸引し且つ鋳型枠の背面から加圧空気を吹き込む工程、を実行する。 本発明の第5の発明は、好ましくは、更に、パルプモールド品の内部に耐熱粒子を充填する工程の後に、紙すき型の背面から吸引する工程、又は、パルプモールド品の開口から加圧空気を吹き込む工程、又は、紙すき型の背面から吸引し且つパルプモールド品の開口から加圧空気を吹き込む工程、を実行する。 本発明の第3乃至第5の発明は、好ましくは、更に、耐熱粒子を加熱する工程を有する。 本発明の第3乃至第5の発明において、好ましくは、耐熱粒子を加熱する工程における耐熱粒子の加熱温度は、50℃〜200℃である。 本発明の第3乃至第5の発明において、好ましくは、パルプモールド品は、0.1〜2.0mmの厚みを有する。 本発明の第3乃至第5の発明において、好ましくは、鋳型枠内又は中子形状を有するパルプモールド品の内部に耐熱粒子を充填する工程は、耐熱粒子を振動充填する工程を有する。 本発明の第6の発明は、本発明の第3乃至第5の発明による鋳型造型方法で造型された金属鋳造用鋳型であって、金属に接する製品鋳型面がパルプモールド品により成形された3次元面であり、前記パルプモールド品の背後は耐熱粒子でバックアップされ、減圧状態に保持されていることを特徴としている。 本発明の金属鋳造用鋳型の造型方法及び鋳型によれば、塗型作業及び塗型乾燥作業を必要とせずに、鋳物表面への鋳型砂の焼付きのない健全な鋳物を鋳造できる。 以下、添付図面を参照して、本発明の金属鋳造用鋳型の造型方法及び鋳型について説明する。 図1(A)に示すように、受け台1、パルプモールド品(遮蔽部材)2,鋳型枠4を準備し、次に、パルプモールド品2により、受け型1の凹凸面を被覆する。 パルプモールド品2は、鋳型枠4の型合わせ面(下面4b)側の開口を遮蔽する部材である。 このパルプモールド品2は、型合わせ面及びキャビティー面を形成し、少なくとも受け型1の凹凸面を被覆する部分に形成されている。 なお、キャビティー14とは、上鋳型12aと下鋳型12bを型合わせして形成される鋳型12内の空間であり、この空間に溶湯が注湯されることにより鋳物が鋳造される(図2参照)。 次に、図1(B)に示すように、パルプモールド品2の上部に鋳型枠4を設置する。 続いて、図1(C)に示すように、パルプモールド品2及び鋳型枠4によって画成された空間である鋳型枠4内に耐熱粒子8を充填する。 なお、鋳型枠4内に耐熱粒子8を充填する際は、鋳型枠4を振動させて鋳型枠4内の耐熱粒子8の充填密度を向上させることが好ましい。 耐熱粒子8の充填が完了したら、鋳型枠4の上面に、封止部材10を設け、この封止部材10により、鋳型枠4内を封止する。 その後、減圧機構6により、鋳型枠4内を減圧する。 鋳型枠4内を減圧することによりパルプモールド品2が耐熱粒子8側に吸着され、鋳型枠4、耐熱粒子8、パルプモールド品2、及び、封止部材10が一体化された鋳型を形成する。 続いて、図1(D)に示すように、鋳型枠4内を減圧したまま、パルプモールド品2を受け台1から分離する。 鋳型枠4内は、減圧機構6により、引き続き減圧されている。 図2は、図1に示す工程により造型した上鋳型12aと下鋳型12bを型合わせした鋳型12を示している。 ここで、パルプモールド品2は、紙抄き工法あるいはプレス加工工法により予め成形されたものである。 この紙抄き工法は、水で溶かして液状にした原料を、金型に貼り付けた金網で抄き上げ、乾燥させ、所望の形状のパルプモールド品を得る工法をいう。 また、プレス加工工法は、平面状の紙をプレスして所望の形状のパルプモールド品を得る工法をいう。 紙抄き工法では複雑な形状のパルプモールド品が得られるという利点がある。 一方、プレス加圧工法では、得られる形状は単純なものとなるが、安価に製造できるという利点がある。 パルプモールド品2に用いる原料としては、紙パルプに代表される木材パルプであり、これ以外に、綿パルプ、リンターパルプ、竹、わらその他非木材パルプなどの天然繊維パルプを用いることができる。 これらパルプモールド品の原料は、バージンパルプであってもよいし、リサイクル古紙パルプあるいはこれらの混合パルプであってもよい。 環境及び製造費用の面から古紙パルプが好ましい。 また、環境及び資源の面で好ましいとはいえないが、非天然繊維として、合成樹脂繊維等を用いることもできる。 また、パルプモールド品2は、0.1mm〜2.0mmの厚みで成形されている。 厚みを0.1mmより薄くすると、パルプモールド品の強度が低下して、受け型1へ設置するとき、破れやシワ等が発生するという問題が生ずる。 一方、2.0mmより厚いと、鋳物生産で大きな問題はないが、鋳造時、溶融金属の熱でパルプモールド品が炭化、減容、薄膜化するので、鋳物の寸法が、パルプモールド品の厚み分大きくなるなどの不合理が発生する。 さらに、パルプモールド品2のパルプ繊維の平均長さは、0.3mm〜4.0mmのものが使用されている。 0.3mmより短いとパルプモールド品の強度が低下し、4.0mmより長いと抄造ムラが発生しやすくなる。 本実施形態による鋳型に用いられるパルプモールド品としては、パルプ繊維の平均長さ2mm程度で、厚みは1mmのものが、扱い易さ、通気性、鋳物の砂離れの良さ等から好ましい。 以上説明したように、本発明の第1実施形態による、金属鋳造用鋳型の造型方法及び鋳型によると、キャビティー面にパルプモールド品を用いているので、鋳造時にパルプモールド品が溶湯の熱により炭化して塗型の役割を果たし、それにより、鋳物表面への鋳型砂の焼付きを防止できる。 この結果、塗型を施す必要がなくなるので、塗型工程及び塗型の乾燥工程や、それらに伴う設備も不要となる。 また、鋳型枠の上面及び下面のそれぞれの開口部をパルプモールド品(遮蔽部材)と封止部材により密閉し、耐熱粒子が充填された鋳型枠内を減圧するようにしたので、鋳型の強度が大となり、そのため、天然繊維で成形したパルプモールド品で鋳型を造型することができる。 また、Vプロセス鋳造法のように遮蔽部材に合成樹脂フィルムを用いていないので、合成樹脂フィルムの燃焼によるガスの発生が無く、このガスの発生による鋳物表面に及ぼす欠陥を防止できる。 さらに、本実施形態による天然繊維を用いたパルプモールド品は、合成樹脂フィルムのように石油を原料としていないため環境負荷の低減にも寄与することができる。 更に、鋳型枠内に充填される耐熱粒子として、バインダーを含まない砂等を使用するため、臭気とか有害ガスを発生することはなく、排ガス処理装置等の付帯設備も不要となる。 そして、砂等の耐熱粒子は、バインダーを添加しないので、混練機等により処理することもなく、工程の削減、装置の削減、管理の削減等大きな効果を発揮する。 また、鋳型をばらす際、鋳型枠内の減圧を解除し、常圧にすることにより、解枠できるので、解枠のための振動、打撃等が不必要で、発じんも少ないことから、集じん装置等の付帯設備も低減することができる。 次に、図3により、本発明の第2実施形態による金属鋳造用鋳型の造型方法及び鋳型を説明する。 その後、必要に応じて金属注湯用湯口、溶湯のあがり等を設置した後、図3(C)に示すように、パルプモールド品22と鋳型枠28とに囲まれた空間に、耐熱粒子24を充填する。 次に、図3(D)に示すように、鋳型枠28内が減圧できるように鋳型枠28の背面(上面)を合成樹脂フィルム等の封止部材30により、大気から封止(シールド)する。 その後、減圧機構26を介して鋳型枠28内を減圧し、鋳型枠28、耐熱粒子24、パルプモールド品22、及び、封止部材30が一体化された鋳型を形成する。 そして、図3(E)に示すように、鋳型枠28内を減圧したまま、パルプモールド品22を鋳型枠28側に吸い付けながら、紙すき型20から離型する。 なお、離型の際に、紙すき型20の背面(下面)からエアを吹き込むことにより、離型を容易に行うことができる。 また、本実施形態では封止部材として合成樹脂フィルムを用いたが、これに限定されるものではなく、例えば、鉄板やゴムシート等を用いることもできる。 そして、耐熱粒子24としては、けい砂等の鋳物砂を用いることができる。 上述した第2実施形態による工程において、パルプモールド品22が吸湿しているときには、鋳造時好ましい状況にならない場合があるので、パルプモールド品22は乾燥させる必要がある。 そこで、パルプモールド品22を成形した後、充填する耐熱粒子24の温度を50℃以上、200℃以下に加熱したものとし、この熱によりパルプモールド品22を乾燥させることが好ましい。 このようにすれば、従来の乾燥方法に比較し、パルプモールド品22の乾燥時間が短縮されると同時に変形防止、加熱ムラによる水分残りなどの問題が解消される。 なお、耐熱粒子24の加熱温度を50〜200℃としたのは、50℃より低温ではパルプモールド品22の乾燥効果が不十分であり、200℃より高温では耐熱粒子24がパルプモールド品22に接触すると同時に水分が一気に蒸発して耐熱粒子24が飛散するおそれがあるためである。 また、鋳型枠28内に耐熱粒子24を充填する工程の後に、紙すき型20の背面(下面)から吸引する工程、又は、鋳型枠28の背面(上面)から加圧空気を吹き込む工程、又は、図4に示すように、鋳型枠28の背面(上面)から加圧空気を吹き込み且つ紙すき型20の背面(下面)から吸引する工程を実行するようにしてもよい。 図4に示す例では、鋳型枠28の背面(上面)に加圧空気供給ボックス32を設けて加圧空気を吹き込むと共に、紙すき型20の背面(下面)から吸引を行っている。 このようにして空気を流通させれば、パルプモールド品22の乾燥をさらに促進することができる。 次に、図5により、本発明の第3実施形態による金属鋳造用鋳型の造型方法を説明する。 次に、図5(B)に示すように、紙すき型20からこの受け型34にパルプモールド品22を受け渡した後、図5(C)に示すように、受け型34の上面のパルプモールド品22に鋳型枠28を設け、以下、図3に示す第2実施形態による方法と同様に、耐熱粒子24を充填し(図5(D)参照)、封止部材30により鋳型枠28背面(上面)を封止し(図5(E)参照)、鋳型枠28内を減圧して鋳型枠28、耐熱粒子24、パルプモールド品22、及び、封止部材30が一体化された鋳型を形成し、次に、減圧したまま、パルプモールド品22の離型を行い(図5(F)参照)、鋳型製作を行う。 なお、離型の際に、受け型34の下面からエアを吹き込みことにより、離型を容易に行うことができる。 なお、第3実施形態においても、第2実施形態と同様に、耐熱粒子24の加熱温度を50℃以上、200℃以下とし、この熱によりパルプモールド品22を乾燥させることが好ましい。 また、図4に示すように、鋳型枠28内に耐熱粒子24を充填する工程の後、受け型34の背面(下面)から吸引する工程、又は、鋳型枠28の背面(上面)から加圧空気を吹き込む工程、又は、図4に示すように、鋳型枠28の背面(上面)から加圧空気を吹き込み、且つ、受け型34の背面(下面)から吸引する工程を実行するようにしてもよい。 次に、図6により、本発明の第4実施形態による金属鋳造用鋳型の造型方法を説明する。 この第4実施形態は、金属鋳造用の中子型の製法に関するものである。 次に、図6(B)に示すように、開口から袋状パルプモールド品42の内部を減圧する減圧機構44を挿入するとともに、耐熱粒子46を充填する。 その後、図6(C)に示すように、袋状パルプモールド品42内の耐熱粒子46が排出されないように、開口付近の耐熱粒子46にワックス等のバインダー48を含浸させ固化し、封止する。 その後、減圧機構44を介して袋状パルプモールド品42の内部を減圧し、耐熱粒子46、及び、パルプモールド品42が一体化された鋳型を形成する。 次に、図6(D)に示すように、袋状パルプモールド品42の内部を減圧したまま、袋状パルプモールド品42を表面とする中子型50を組み合わせ紙すき型40から離型する。 ここで、図6(D)に示すように、離型の際に、紙すき型40の背面(外側面)からエアを吹き込む(噴出させる)ことにより、離型を容易に行うことができる。 また、パルプモールド品の内部に充填された耐熱粒子が排出されないように開口を封止する方法としては、合成樹脂フィルム等の大気を封止できる封止部材を用いて塞ぐこともできる。 第4実施形態においても、袋状パルプモールド品42の乾燥には、充填する耐熱粒子46の加熱温度を50℃以上、200℃以下とすることが好ましい。 また耐熱粒子46を充填する工程の後に、紙すき型40の背面から吸引する工程、又は、袋状パルプモールド品42の開口から加圧空気を吹き込む工程、又は、図7に示すように、袋状パルプモールド品42の開口から加圧空気を吹き込み、紙すき型40の背面から吸引する工程を実行するようにしてもよい。 図7に示すように、加圧空気の吹き込み方法としては、減圧手段44を用い、吸引装置(図示せず)との連結部44cから加圧空気を吹き込むようにしている。 しかしながら、これに限定されず、例えば、パルプモールド品42の開口を覆う加圧空気供給ボックス(図4参照)を用いて加圧空気を吹き吹き込むこともできるし、パルプモールド品42の開口に、直接、ノズル等で加圧空気を吹き付けるようにしてもよい。 上述した第2乃至第4実施形態において、パルプモールド品22,42は、その厚みが乾燥時において、0.1〜2.0mmの範囲であることが好ましい。 0.1mmより薄くすると、安定したパルプモールド品が得られず、部分的に破れが出たりする。 一方、2.0mmより厚ければ、パルプモールド品の乾燥時間が長くなるとか、鋳物生産で大きな問題はないが、鋳造時、溶融金属の熱でパルプモールド品が炭化、減容、薄膜化することで、鋳物の寸法がパルプモールド品厚みの減容した分大きくなることになるなどの不合理が発生するからである。 また、使用するパルプモールド品繊維の平均長さは、0.3〜4.0mmが適当である。 0.3mmより短いとパルプモールド品の強度が低下し、4.0mmより長いと抄造ムラが発生しやすくなる。 パルプモールド品としては、繊維長さ0.8〜3.5mm程度で、厚みが0.5〜1.5mmのものが、紙抄きの扱い易さ、通気性、鋳物の砂離れの良さ等から好ましい。 なお第2乃至第4実施形態において、耐熱粒子24、46は、粒子の詰まりを向上するために、振動を鋳型枠に加えながら充填することが好ましい。 特に、ほぼ球形の人工鋳物砂では大きな充填不良はないが、けい砂のような形状が不均一な鋳物砂においては、振動を加えながら充填することは、極めて有効である。 なお、耐熱粒子24、46としては、鋳物砂以外にも、例えば、一般的な砂や砂利、ガラスビーズ、セラミックスビーズや金属粒子等を用いることもできる。 次に、図8乃至図10により、上述した第2実施形態乃至第4実施形態により造型された金属鋳造用鋳型について説明する。 図8は本発明の第2乃至第4実施形態による金属鋳造用鋳型の造型方法により造型された鋳型を示す平面図であり、図9は図8のA−A線に沿って見た断面図であり、図10は図8のB−B線に沿って見た断面図である。 図8乃至図10に示すように、金属鋳造用鋳型は、第2実施形態乃至第3実施形態の何れかにより造型された鋳型である主型52と、第4実施形態により造型された鋳型である中子型50とを備えている。 これらのいずれの鋳型50、52も、金属に接する製品鋳型面が、パルプモールド品22、42により成形された3次元面であり、パルプモールド品22、42の背面は耐熱粒子24、46によりバックアップされ、減圧状態に保持されている。 このような金属鋳造用鋳型50、52は、溶融した高温の金属と接する面は、パルプモールド品22、42である。 鋳造によりパルプモールド品22、42は炭化するが、天然繊維を用いることにより、有害なガスとか臭気を発生することはほとんどない。 また、鋳型内部の耐熱粒子24、46はバインダーを含まないため、これにより臭気とか有害ガスを発生することはなく、排ガス処理装置等の付帯設備が不要である。 また、バインダーを添加しないので、耐熱粒子24、46を混練機等により処理することもなく、工程の削減、装置の削減、管理の削減等大きな効果を発揮する。 さらに、鋳型のばらしにおいては、鋳型内の減圧を解除し、常圧にすることで解枠でき、鋳物にはパルプモールド品の炭化層がゆるく付着していることが観察されるが、容易に耐熱粒子との分離が可能であり、解枠のための振動、打撃等が不必要で、発じんも少ないので、集じん装置等の付帯設備もほとんど考慮する必要がない利点がある。 以下、上述した本発明の第1実施形態の実施例1〜5を説明する。 (実施例1) パルプモールド品を成形するために、パルプスラリーを撹拌しながら、抄造用アルミ型をパルプスラリーに浸漬して真空吸引を行い、パルプを抄造用アルミ型の表面に積層吸着させ、パルプスラリーから取り出した。 なお、パルプモールド品の形状としては、製品が形成されるキャビティー面だけではなく、鋳造するための湯口、湯道、堰等の湯口系の表面も同時に成形した。 しかし、湯口系は同時に成形しなくてもよい。 湯口系をパルプモールド品と同時に成形しない場合は、鋳型枠内に耐熱粒子を充填する前に、紙パイプや発泡スチロールで製作した鋳型部品をパルプモールド品と連結する。 次に、鋳型の造型を行った。 樹脂ブロックで製作された受け型にパルプモールド品を隙間がないようにかぶせた。 受け型とパルプモールド品とに隙間があるようであれば、水分をパルプモールド品に吹きかけて、受け型に押し圧し、なじませることで多少の寸法の調整ができる。 また、本実施例においては、鋳型枠内に充填する耐熱粒子の充填密度を向上させるため受け型が振動テーブル上に載置されている。 その後、鋳型枠の上面に0.05mm程度の合成樹脂フィルムをかぶせて、大気と仕切った後、鋳型枠内を真空ポンプにて減圧し、受け型から離型した。 なお、鋳型枠内は250〜300mmHgに減圧されている。 もし、パルプモールド品(遮蔽部材)に通気性があるため離型し難いようであれば、受け型から空気を噴出すような構造を持たせると容易に離型することができる。 同様にして、鋳型の合わせ型になる他方の鋳型を造型し、型合わせすることで金属鋳造用鋳型を完成した。 上述のように造型された鋳型に、概ね1400℃の鋳鉄を鋳込んだ。 結果、鋳造時は、ほとんど発じんもなく臭気も感じられなかった。 冷却後、鋳型の減圧を解き、鋳物の取り出しを行ったところ、発じんも臭気もなく鋳型ばらしを行うことができた。 また、鋳物の表面にはパルプモールド品の炭化した薄膜がゆるく付着しているのみで、砂の付着は認められなかった。 また、鋳物には、吹かれ、鋳巣、砂の焼き付き等のない健全な鋳物を鋳造することができた。 (実施例2) (実施例3) (実施例4) (実施例5) 次に、上述した本発明の第2実施形態乃至第4実施形態の実施例6〜9を説明する。 (実施例6) パルプモールド品の成形にあたっては、パルプスラリーを撹拌しながら、紙すき型をパルプスラリーに浸漬して真空吸引を行い、パルプを紙すき型の表面に積層吸着させ、パルプスラリーから取り出した。 ついで、枠内を減圧することができる鋳型枠をパルプモールド品の上部にかぶせ、パルプモールド品と鋳型枠に囲まれた空間に耐熱粒子として、約60℃に加熱した人工鋳物砂(伊藤忠セラテック製ナイガイセラビーズ650)を充填し、振動テーブルを稼動させて人工鋳物砂の充填密度を向上させた。 その後紙すき型背面より、吸引して鋳型枠内を流気させた。 流気時間はほぼ60秒であった。 ついで、鋳型枠の背面に0.05mm程度の合成樹脂フィルムをかぶせて、大気と仕切った後、鋳型内を真空ポンプにて減圧し、紙すき型から離型した。 離型にあたり、パルプモールド品に通気性があるため、離型を容易に行うために、紙すき型の背面からエアを噴出させることで容易に離型することができた。 このときのパルプモールド品の厚みは概ね0.5mmであった。 なお、パルプモールド品の形状としては、鋳物形状だけではなく、鋳造するための、湯口、湯道、堰等も同時に成形した。 同じようにして、鋳型の合わせ型になる他のパルプモールド品を鋳型表面に持つ鋳型を製作し、重ね合わせることで鋳造用鋳型を完成した。 これに概ね1400℃の鋳鉄を鋳込んだ。 その結果、鋳造時はほとんど発じんもなく臭気も感じられなかった。 冷却後、鋳型の減圧を解き、鋳物の取り出しを行ったところ、発じんも臭気もなく鋳型ばらしを行うことができた。 また、鋳物表面にはパルプモールド品の炭化した薄膜が鋳物表面にゆるく付着しているのみで、鋳物砂の付着は認められなかった。 また、鋳物はブローホール(吹かれ)、ピンホール(鋳巣)、鋳物砂の焼付き等のない健全な鋳物を作製することができた。 (実施例7) 鋳型製作は、実施例6と同様に行ったが、パルプモールド品の厚みは概ね1mmとし、耐熱粒子の温度は概ね100℃とした。 また、パルプモールド品を乾燥させるための鋳型内流気時間はほぼ90秒で行った。 鋳造については、実施例6と同様に行った。 その結果、鋳造時、鋳型ばらし時等の工程において、粉じん、臭気の発生がほとんどなく、作業環境等汚染することはなかった。 また、製作した鋳物も健全な品質が確保できた。 (実施例8) その結果、鋳造時、鋳型ばらし時等の工程において、粉じん、臭気の発生がほとんどなかったが、実施例6の人工鋳物砂に比較して、わずかに発じんが観察された。 製作した鋳物は、実施例6、7と同様、健全な鋳物が得られた。 (実施例9) 中子型の製作にあたり、図6に示すような中子形状を2分割の紙すき型にて製作した。 紙抄き面には100メッシュの金網がかぶせられている。 中子型の巾木部は開放されており、この開口から上記パルプモールド品成形用スラリーが出入りできる。 パルプモールド品の成形にあたり、2分割の紙すき型が合わされ、スラリー液に浸された。 巾木開口部からスラリーが入り、紙すき型の背面から吸引されることによりパルプモールド品が成形された。 ついで、スラリー液から紙すき型を取り出し、100℃に加熱した耐熱粒子を開口部から充填した。 同時に鋳型内が減圧できるようにパイプ形状の減圧機構を挿入した。 その後、開口部から加圧空気を鋳型内に吹き込み、また、紙すき型背面から吸引することで、パルプモールド品の乾燥を行った。 加圧、吸引時間はおよそ60秒とした。 ついで、開口部を0.05mm程度の合成樹脂フィルムをかぶせて鋳型内が減圧できるようにシールドし、減圧機構を通して鋳型内を減圧、一方紙すき型背面から空気を噴出しつつパルプモールド品と紙すき型とを分離し、中子型を製作した。 パルプモールド品の厚みは概ね1mmとした。 これとは別に、実施例7と同様に製作した上下の主型を準備し、その下型に上記中子型を設置し、上型をかぶせることで、図8に示すような鋳造用鋳型を完成した。 鋳造については、実施例6と同様に行った。 その結果、鋳造時、鋳型ばらし時等の工程において、粉じん、臭気の発生がほとんどなく、作業環境等汚染することはなかった。 また、製作した鋳物も健全な品質が確保できた。 1,34 受け型 2,22,42 パルプモールド品 4,28 鋳型枠 6,26,44 減圧機構(減圧手段) |