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4気筒エンジン用鍛造クランク軸の仕上打ち用素材の成形装置、及びこれを用いた4気筒エンジン用鍛造クランク軸の製造方法

申请号 JP2016505042 申请日 2015-02-18 公开(公告)号 JPWO2015129201A1 公开(公告)日 2017-03-30
申请人 新日鐵住金株式会社; 发明人 潤一 大久保; 潤一 大久保; 憲司 田村; 憲司 田村; 邦裕 吉田; 邦裕 吉田;
摘要 成形装置は、粗素材(4)の粗ジャーナル部(Ja)を固定ジャーナル型(10U、10B)及び可動ジャーナル型(11U、11B)で挟み込んで保持し、粗ピン部(Pa)にピン型(12)を宛がった状態から、可動ジャーナル型(11U、11B)を固定ジャーナル型(10U、10B)に向けて軸方向に移動させるとともに、ピン型(12)をそれと同じ軸方向と偏芯方向に移動させる。これにより、ウエイト付き粗アーム部(Aa)を軸方向に挟圧してその厚みを鍛造クランク軸のウエイト付きアーム部の厚みまで減少させるとともに、粗ピン部(Pa)を偏芯方向に押圧してその偏芯量を鍛造クランク軸のピン部の偏芯量まで増加させる。
权利要求

4気筒エンジン用の鍛造クランク軸を製造する過程で、鍛造クランク軸の最終形状を造形する仕上打ちに供する仕上打ち用素材を、粗素材から成形する装置であって、 前記鍛造クランク軸は、 中央の第3ジャーナル部につながる第4及び第5クランクアーム部に、バランスウエイトを有し、 前端の第1ピン部につながる第1及び第2クランクアーム部のうちのいずれか1つのクランクアーム部、並びに、後端の第4ピン部につながる第7及び第8クランクアーム部のうちのいずれか1つのクランクアーム部に、バランスウエイトを有し、 残りのクランクアーム部に、バランスウエイトを有しない、 前記粗素材は、 前記鍛造クランク軸の各ジャーナル部と軸方向の長さが同じ粗ジャーナル部と、 前記鍛造クランク軸の各ピン部と軸方向の長さが同じで軸方向と直な偏芯方向の偏芯量が前記ピン部よりも小さい粗ピン部と、 前記鍛造クランク軸の前記クランクアーム部のうち、前記バランスウエイトを有しないウエイト無しクランクアーム部に対応して当該クランクアーム部と軸方向の厚みが同じウエイト無し粗クランクアーム部、及び前記バランスウエイトを有するウエイト付きクランクアーム部に対応して当該クランクアーム部よりも軸方向の厚みが厚いウエイト付き粗クランクアーム部と、を有し、 前記成形装置は、 前記第3粗ジャーナル部の位置に配置され、当該粗ジャーナル部を軸方向と直角な偏芯方向に沿って挟み込んで保持するとともに、当該粗ジャーナル部につながる前記粗クランクアーム部の側面に接触しつつ、軸方向の移動を拘束された固定ジャーナル型と、 前記固定ジャーナル型で挟み込まれる前記粗ジャーナル部以外の前記粗ジャーナル部それぞれの位置に配置され、当該粗ジャーナル部を個々に軸方向と直角な偏芯方向に沿って挟み込んで保持するとともに、各々が当該粗ジャーナル部につながる前記粗クランクアーム部の側面に接触しつつ、前記固定ジャーナル型に向けて軸方向に移動する可動ジャーナル型と、 前記粗ピン部それぞれの位置に配置され、当該粗ピン部それぞれの偏芯中心側に宛がわれるとともに、各々が当該粗ピン部につながる前記粗クランクアーム部の側面に接触しつつ、前記固定ジャーナル型に向けた軸方向及び軸方向と直角な偏芯方向に移動するピン型と、を備え、 前記粗ジャーナル部を前記固定ジャーナル型及び前記可動ジャーナル型で挟み込んで保持し、前記粗ピン部に前記ピン型を宛がった状態から、前記可動ジャーナル型を軸方向に移動させるとともに、前記ピン型を軸方向に移動させつつ偏芯方向に移動させることにより、前記ウエイト付き粗クランクアーム部を軸方向に挟圧してその厚みを前記鍛造クランク軸の前記ウエイト付きクランクアーム部の厚みまで減少させるとともに、前記粗ピン部を偏芯方向に押圧してその偏芯量を前記鍛造クランク軸の前記ピン部の偏芯量まで増加させる、4気筒エンジン用鍛造クランク軸の仕上打ち用素材の成形装置。請求項1に記載の成形装置において、 前記ピン型は、前記粗ピン部それぞれの偏芯中心側とは反対の外側に、軸方向に移動する補助ピン型を含んでおり、 前記可動ジャーナル型、並びに前記ピン型及び前記補助ピン型の軸方向への移動に伴って、前記固定ジャーナル型及び前記可動ジャーナル型と、前記ピン型及び前記補助ピン型との隙間が閉ざされた後に、偏芯変形する前記粗ピン部が前記補助ピン型に到達するように、前記ピン型の偏芯方向への移動が制御される、4気筒エンジン用鍛造クランク軸の仕上打ち用素材の成形装置。請求項2に記載の成形装置において、 前記ピン型の偏芯方向への総移動距離を100%としたとき、当該ピン型に隣接する前記可動ジャーナル型の軸方向への移動が完了した時点で、前記ピン型の偏芯方向への移動距離が総移動距離の90%以下であり、この後に前記ピン型の偏芯方向への移動が完了する、4気筒エンジン用鍛造クランク軸の仕上打ち用素材の成形装置。請求項1〜3のいずれか1項に記載の成形装置において、 前記固定ジャーナル型、前記可動ジャーナル型及び前記ピン型は、偏芯方向に沿った方向に圧下が可能なプレス機に取り付けられており、 プレス機の圧下に伴って、前記固定ジャーナル型及び前記可動ジャーナル型が前記粗ジャーナル部を挟み込んで保持するとともに、前記ピン型が前記粗ピン部に宛がわれ、そのままプレス機の圧下を継続するのに伴って、前記可動ジャーナル型が個々に楔機構により軸方向に移動すると同時に、この可動ジャーナル型の移動に伴って、前記ピン型が個々に軸方向に移動する、4気筒エンジン用鍛造クランク軸の仕上打ち用素材の成形装置。請求項4に記載の成形装置において、 前記楔機構の楔角度が前記可動ジャーナル型のそれぞれで互いに異なる、4気筒エンジン用鍛造クランク軸の仕上打ち用素材の成形装置。請求項4又は5に記載の成形装置において、 前記ピン型が油圧シリンダに連結されており、この油圧シリンダの駆動により偏芯方向に移動する、4気筒エンジン用鍛造クランク軸の仕上打ち用素材の成形装置。請求項1〜6のいずれか1項に記載の成形装置において、 前記鍛造クランク軸は、第1、第4、第5及び第8クランクアーム部にバランスウエイトを有し、残りの第2、第3、第6及び第7クランクアーム部にバランスウエイトを有しない、4気筒エンジン用鍛造クランク軸の仕上打ち用素材の成形装置。請求項1〜6のいずれか1項に記載の成形装置において、 前記鍛造クランク軸は、第2、第4、第5及び第7クランクアーム部にバランスウエイトを有し、残りの第1、第3、第6及び第8クランクアーム部にバランスウエイトを有しない、4気筒エンジン用鍛造クランク軸の仕上打ち用素材の成形装置。4気筒エンジン用の鍛造クランク軸であって、中央の第3ジャーナル部につながる第4及び第5クランクアーム部に、バランスウエイトを有し、前端の第1ピン部につながる第1及び第2クランクアーム部のうちのいずれか1つのクランクアーム部、並びに、後端の第4ピン部につながる第7及び第8クランクアーム部のうちのいずれか1つのクランクアーム部に、バランスウエイトを有し、残りのクランクアーム部に、バランスウエイトを有しない鍛造クランク軸を製造する方法であって、 前記製造方法は、下記の第1予備成形工程、第2予備成形工程、及び仕上打ち工程、の一連の工程を含む: 請求項1〜8のいずれか1項に記載の成形装置に供する前記粗素材を造形する第1予備成形工程; 請求項1〜8のいずれか1項に記載の成形装置を用い、前記鍛造クランク軸の最終形状が造形された仕上打ち用素材を成形する第2予備成形工程;及び 前記仕上打ち用素材を仕上打ちし、前記鍛造クランク軸の最終形状が造形された仕上材を成形する仕上打ち工程。

说明书全文

本発明は、熱間鍛造により4気筒エンジン用のクランク軸(以下、「鍛造クランク軸」ともいう)を製造する技術に関する。特に、その鍛造クランク軸の製造過程において、鍛造クランク軸の最終形状を造形する仕上打ちに供する仕上打ち用素材を成形するための成形装置、及びその成形装置を用いた予備成形工程を含む4気筒エンジン用鍛造クランク軸の製造方法に関する。

クランク軸は、レシプロエンジンの基幹部品であり、ピストンの往復運動を回転運動に変換して動を取り出す。そのクランク軸は、鍛造によって製造されるものと、鋳造によって製造されるものとに大別される。乗用車、貨物車、特殊作業車等の自動車の4気筒エンジンにおいては、クランク軸に高い強度と剛性が要求され、その要求に対して優位な鍛造クランク軸が多用される。また、自動二輪車、農業機械、船舶等の4気筒エンジンでも鍛造クランク軸が用いられる。

一般に、4気筒エンジン用の鍛造クランク軸は、ビレットを原材料とし、予備成形、型鍛造、バリ抜き及び整形の各工程を順に経て製造される。ビレットは、断面が丸形又は形で全長にわたって断面積が一定である。予備成形工程は、ロール成形と曲げ打ちの各工程を含み、型鍛造工程は、荒打ちと仕上打ちの各工程を含む。

図1は、従来の一般的な4気筒エンジン用鍛造クランク軸の製造工程を説明するための模式図である。図1に例示するクランク軸1は、4気筒エンジンに搭載されるものであり、5つのジャーナル部J1〜J5、4つのピン部P1〜P4、フロント部Fr、フランジ部Fl、及びジャーナル部J1〜J5とピン部P1〜P4をそれぞれつなぐ8枚のクランクアーム部(以下、単に「アーム部」ともいう)A1〜A8から構成される。このクランク軸1は、4気筒−4枚カウンターウエイトのクランク軸である。8枚のアーム部A1〜A8のうち、両端の第1及び第8アーム部A1、A8、並びに中央の第3ジャーナル部につながる第4及び第5クランクアーム部A4、A5が、バランスウエイトを有する。第2、第3、第6及び第7アーム部A2、A3、A6、A7は、バランスウエイトを有しないことから、小判形の形状である。以下、ジャーナル部J1〜J5、ピン部P1〜P4、及びアーム部A1〜A8それぞれを総称するとき、その符号は、ジャーナル部で「J」、ピン部で「P」、アーム部で「A」と記す。また、バランスウエイトを有するアーム部は、バランスウエイトを有しないアーム部と区別する場合、ウエイト付きアーム部ともいう。一方、バランスウエイトを有しないアーム部は、ウエイト無しアーム部、又は小判形アーム部ともいう。

図1に示す製造方法では、以下のようにして鍛造クランク軸1が製造される。先ず、予め所定の長さに切断した図1(a)に示すビレット2を加熱炉によって加熱した後、ロール成形を行う。ロール成形工程では、例えば孔型ロールによりビレット2を圧延して絞りつつその体積を長手方向に配分し、中間素材となるロール荒地103を成形する(図1(b)参照)。次に、曲げ打ち工程では、ロール成形によって得られたロール荒地103を長手方向と直角な方向から部分的にプレス圧下してその体積を配分し、更なる中間素材となる曲げ荒地104を成形する(図1(c)参照)。

続いて、荒打ち工程では、曲げ打ちによって得られた曲げ荒地104を上下に一対の金型を用いてプレス鍛造し、クランク軸(最終鍛造製品)のおおよその形状が造形された鍛造材105を成形する(図1(d)参照)。更に、仕上打ち工程では、荒打ちによって得られた荒鍛造材105が供され、荒鍛造材105を上下に一対の金型を用いてプレス鍛造し、クランク軸と合致する形状が造形された鍛造材106を成形する(図1(e)参照)。これら荒打ち及び仕上打ちのとき、互いに対向する金型の型割面の間から、余材がバリとして流出する。このため、荒鍛造材105及び仕上鍛造材106は、造形されたクランク軸の周囲にそれぞれバリ105a、106aが大きく付いている。

バリ抜き工程では、仕上打ちによって得られたバリ106a付きの仕上鍛造材106を上下から金型で保持しつつ、刃物型によってバリ106aを打ち抜き除去する。これにより、図1(f)に示すように、鍛造クランク軸1が得られる。整形工程では、バリを除去した鍛造クランク軸1の要所(例えば、ジャーナル部J、ピン部P、フロント部Fr、フランジ部Fl等といった軸部、場合によってはアーム部A)を上下から金型で僅かにプレスし、所望の寸法形状に矯正する。こうして、鍛造クランク軸1が製造される。

図1に示す製造工程は、例示する4気筒−4枚カウンターウエイトのクランク軸に限らず、他の4気筒−4枚カウンターウエイトのクランク軸であっても、同様である。他の4気筒−4枚カウンターウエイトのクランク軸は、8枚のアーム部Aのうち、前端の第1ピンP1につながる先頭の第1アーム部A1に代えて、同じ第1ピンP1につながる第2アーム部A2にバランスウエイトを有する。このクランク軸は、後端の第4ピンP4につながる最後尾の第8アーム部A8に代えて、同じ第4ピンP4につながる第7アーム部A7にバランスウエイトを有する。

ところで、このような製造方法では、製品とはならない不要なバリが大量に発生することから、歩留りの低下は否めない。このため、鍛造クランク軸を製造する上では、従来から、バリの発生を極力抑え、歩留りの向上を実現することが至上の課題となっている。この課題に対応する従来の技術としては下記のものがある。

例えば、特開2008−155275号公報(特許文献1)及び特開2011−161496号公報(特許文献2)は、ジャーナル部及びピン部が造形され、アーム部もそれなりに造形されたクランク軸を製造する技術を開示する。特許文献1の技術では、クランク軸のジャーナル部とピン部に相当する部分が個々にくびれた段付きの丸棒を素材とする。そして、ピン部相当部分を間に挟む一対のジャーナル部相当部分をそれぞれダイスで把持する。この状態から、両ダイスを軸方向に接近させて丸棒素材に圧縮変形を与える。この変形付与とともに、ピン部相当部分に軸方向と直角な方向にポンチを押し付けてピン部相当部分を偏芯させる。この動作をすべてのクランクスローにわたって順次繰り返す。

特許文献2の技術では、単なる丸棒を素材とする。そして、その丸棒素材の両端部のうちの一方を固定型で、その他方を可動型でそれぞれ保持するとともに、丸棒素材のジャーナル部相当部分をジャーナル型で、ピン部相当部分をピン型でそれぞれ保持する。この状態から、可動型、ジャーナル型及びピン型を固定型に向けて軸方向に移動させて丸棒素材に圧縮変形を与える。この変形付与と同時に、ピン型を軸方向と直角な偏芯方向に移動させてピン部相当部分を偏芯させる。

特許文献1及び2のいずれの技術でも、バリが発生しないことから、歩留りの著しい向上が期待できる。

特開2008−155275号公報

特開2011−161496号公報

上述のとおり、前記特許文献1及び2に開示される技術は、丸棒の素材をいきなりクランク軸形状に成形するものである。しかし、鍛造クランク軸は高強度と高剛性が要求されるので、その素材は変形し難い。このため、実際に製造できるクランク軸は、アーム部の厚みが厚くて、ピン部の偏芯量も小さくならざるを得ず、比較的緩やかなクランク軸形状に限定される。しかも、アーム部は、全てにバランスウエイトがない単純な形状のもの、すなわち小判形アーム部に限られる。

また、前記特許文献1及び2に開示される技術では、アーム部は、丸棒素材の軸方向の圧縮変形に伴う軸方向と直角な方向への自由膨張と、丸棒素材のピン部相当部分の偏芯移動に伴う引張変形によって造形される。このため、アーム部の輪郭形状は不定形になりがちであり、寸法精度を確保できない。

本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、4気筒エンジン用の鍛造クランク軸を歩留り良く、しかも、その形状を問わずに高い寸法精度で製造するために、鍛造クランク軸の製造過程において、その最終形状を造形する仕上打ちを行うことを前提とし、その仕上打ちに供する仕上打ち用素材の成形に用いる成形装置を提供することを目的とする。また、本発明の他の目的は、4気筒エンジン用鍛造クランク軸を歩留り良く、しかも、その形状を問わずに高い寸法精度で製造することができる製造方法を提供することにある。

本発明の実施形態による成形装置は、4気筒エンジン用の鍛造クランク軸を製造する過程で、鍛造クランク軸の最終形状を造形する仕上打ちに供する仕上打ち用素材を粗素材から成形する装置である。 鍛造クランク軸は、 中央の第3ジャーナル部につながる第4及び第5クランクアーム部にバランスウエイトを有し、 前端の第1ピン部につながる第1及び第2クランクアーム部のうちのいずれか1つのクランクアーム部、並びに、後端の第4ピン部につながる第7及び第8クランクアーム部のうちのいずれか1つのクランクアーム部にバランスウエイトを有し、 残りのクランクアーム部にバランスウエイトを有しない。 粗素材は、 鍛造クランク軸の各ジャーナル部と軸方向の長さが同じ粗ジャーナル部と、 鍛造クランク軸の各ピン部と軸方向の長さが同じで軸方向と直角な偏芯方向の偏芯量が前記ピン部よりも小さい粗ピン部と、 鍛造クランク軸のクランクアーム部のうち、バランスウエイトを有しないウエイト無しクランクアーム部に対応して当該クランクアーム部と軸方向の厚みが同じウエイト無し粗クランクアーム部、及びバランスウエイトを有するウエイト付きクランクアーム部に対応して当該クランクアーム部よりも軸方向の厚みが厚いウエイト付き粗クランクアーム部と、を有する。

本実施形態による成形装置は、下記の固定ジャーナル型と、可動ジャーナル型と、ピン型と、を備える。 固定ジャーナル型は、第3粗ジャーナル部の位置に配置され、当該粗ジャーナル部を軸方向と直角な偏芯方向に沿って挟み込んで保持するとともに、当該粗ジャーナル部につながる粗クランクアーム部の側面に接触しつつ、軸方向の移動を拘束される。 可動ジャーナル型は、固定ジャーナル型で挟み込まれる粗ジャーナル部以外の粗ジャーナル部それぞれの位置に配置され、当該粗ジャーナル部を個々に軸方向と直角な偏芯方向に沿って挟み込んで保持するとともに、各々が当該粗ジャーナル部につながる粗クランクアーム部の側面に接触しつつ、固定ジャーナル型に向けて軸方向に移動する。 ピン型は、粗ピン部それぞれの位置に配置され、当該粗ピン部それぞれの偏芯中心側に宛がわれるとともに、各々が当該粗ピン部につながる粗クランクアーム部の側面に接触しつつ、固定ジャーナル型に向けた軸方向及び軸方向と直角な偏芯方向に移動する。 当該成形装置は、 粗ジャーナル部を固定ジャーナル型及び可動ジャーナル型で挟み込んで保持し、粗ピン部にピン型を宛がった状態から、可動ジャーナル型を軸方向に移動させるとともに、ピン型を軸方向に移動させつつ偏芯方向に移動させる。これにより、ウエイト付き粗クランクアーム部を軸方向に挟圧してその厚みを鍛造クランク軸のウエイト付きクランクアーム部の厚みまで減少させるとともに、粗ピン部を偏芯方向に押圧してその偏芯量を鍛造クランク軸のピン部の偏芯量まで増加させる。

上記の成形装置において、前記ピン型は、前記粗ピン部それぞれの偏芯中心側とは反対の外側に、軸方向に移動する補助ピン型を含んでおり、前記可動ジャーナル型、並びに前記ピン型及び前記補助ピン型の軸方向への移動に伴って、前記固定ジャーナル型及び前記可動ジャーナル型と、前記ピン型及び前記補助ピン型との隙間が閉ざされた後に、偏芯変形する前記粗ピン部が前記補助ピン型に到達するように、前記ピン型の偏芯方向への移動が制御される構成とすることが好ましい。

この成形装置の場合、前記ピン型の偏芯方向への総移動距離を100%としたとき、当該ピン型に隣接する前記可動ジャーナル型の軸方向への移動が完了した時点で、前記ピン型の偏芯方向への移動距離が総移動距離の90%以下であり、この後に前記ピン型の偏芯方向への移動が完了する構成とすることが好ましい。

また、上記の成形装置において、前記固定ジャーナル型、前記可動ジャーナル型及び前記ピン型は、偏芯方向に沿った方向に圧下が可能なプレス機に取り付けられており、プレス機の圧下に伴って、前記固定ジャーナル型及び前記可動ジャーナル型が前記粗ジャーナル部を挟み込んで保持するとともに、前記ピン型が前記粗ピン部に宛がわれ、そのままプレス機の圧下を継続するのに伴って、前記可動ジャーナル型が個々に楔機構により軸方向に移動すると同時に、この可動ジャーナル型の移動に伴って、前記ピン型が個々に軸方向に移動する構成とすることができる。

この成形装置の場合、前記楔機構の楔角度が前記可動ジャーナル型のそれぞれで互いに異なることが好ましい。更に、前記ピン型が油圧シリンダに連結されており、この油圧シリンダの駆動により偏芯方向に移動する構成とすることが好ましい。

また、上記の成形装置は、第1、第4、第5及び第8クランクアーム部にバランスウエイトを有し、残りの第2、第3、第6及び第7クランクアーム部にバランスウエイトを有しない鍛造クランク軸の製造に適用することができる。第2、第4、第5及び第7クランクアーム部にバランスウエイトを有し、残りの第1、第3、第6及び第8クランクアーム部にバランスウエイトを有しない鍛造クランク軸の製造に適用することもできる。

本発明の実施形態による製造方法は、上記の鍛造クランク軸を製造する方法であり、第1予備成形工程、第2予備成形工程、及び仕上打ち工程、の一連の工程を含む。 第1予備成形工程は、上記の成形装置に供する粗素材を造形する。 第2予備成形工程は、上記の成形装置を用い、鍛造クランク軸の最終形状が造形された仕上打ち用素材を成形する。 仕上打ち工程は、仕上打ち用素材を仕上打ちし、鍛造クランク軸の最終形状が造形された仕上材を成形する。

本実施形態の成形装置、及びこれを用いた予備成形工程を含む製造方法によれば、バリのない粗素材から、ウエイト付きアーム部であってもアーム部の厚みが薄い4気筒エンジン用鍛造クランク軸の形状と概ね一致した形状で、バリのない仕上打ち用素材を成形することができる。このようなバリなしの仕上打ち用素材を仕上打ちすれば、多少のバリは発生するが、アーム部の輪郭形状を含めて鍛造クランク軸の最終形状を造形することができる。したがって、4気筒エンジン用の鍛造クランク軸を歩留り良く、しかも、その形状を問わずに高い寸法精度で製造することが可能になる。

図1は、従来の一般的な4気筒エンジン用鍛造クランク軸の製造工程を説明するための模式図である。

図2は、第1実施形態の製造方法において、成形装置で被成形対象とする粗素材、及び成形された仕上打ち用素材の各形状を模式的に示す平面図である。

図3は、第1実施形態における鍛造クランク軸の製造工程を示す模式図である。

図4は、第1実施形態における成形装置の構成を示す縦断面図である。

図5Aは、図4に示す第1実施形態の成形装置による仕上打ち用素材の成形方法を説明するための縦断面図であり、成形初期の状態を示す。

図5Bは、図4に示す第1実施形態の成形装置による仕上打ち用素材の成形方法を説明するための縦断面図であり、成形完了時の状態を示す。

図6は、成形装置による仕上打ち用素材の成形で噛み出しが発生する状況を説明するための図である。

図7は、成形装置による仕上打ち用素材の成形で噛み出しの対応策を施した場合の状況を説明するための図である。

図8は、第2実施形態の製造方法において、成形装置で被成形対象とする粗素材、及び成形された仕上打ち用素材の各形状を模式的に示す平面図である。

図9は、第2実施形態における成形装置の構成を示す縦断面図である。

図10Aは、図9に示す第2実施形態の成形装置による仕上打ち用素材の成形方法を説明するための縦断面図であり、成形初期の状態を示す。

図10Bは、図9に示す第2実施形態の成形装置による仕上打ち用素材の成形方法を説明するための縦断面図であり、成形完了時の状態を示す。

本発明では、4気筒エンジン用の鍛造クランク軸を製造するに際し、その製造過程で仕上打ちを行うことを前提とする。本発明の成形装置は、仕上打ちの前工程で、その仕上打ちに供する仕上打ち用素材を粗素材から成形するために用いられる。以下に、本発明の4気筒エンジン用鍛造クランク軸の仕上打ち用素材の成形装置について、その実施形態を詳述する。

1.第1実施形態 1−1.粗素材、及び仕上打ち用素材 図2は、第1実施形態の製造方法において、成形装置で被成形対象とする粗素材、及び成形された仕上打ち用素材の各形状を模式的に示す平面図である。図2には、4気筒−4枚カウンターウエイトのクランク軸であって、第1、第4、第5及び第8アーム部にバランスウエイトを有するクランク軸を製造する場合の状況を示す。

図2に示すように、第1実施形態の粗素材4は、図1(f)に示す鍛造クランク軸1の形状に依拠しつつも全体として粗いクランク軸形状である。その粗素材4は、5つの粗ジャーナル部J1a〜J5a、4つの粗ピン部P1a〜P4a、粗フロント部Fra、粗フランジ部Fla、及び粗ジャーナル部J1a〜J5aと粗ピン部P1a〜P4aをそれぞれつなぐ8枚の粗クランクアーム部(以下、単に「粗アーム部」ともいう)A1a〜A8aから構成される。第2、第3、第6及び第7粗アーム部A2a、A3a、A6a、A7aは、バランスウエイトを有しないことから、小判形の形状である。粗素材4にはバリはついていない。以下、粗素材4の粗ジャーナル部J1a〜J5a、粗ピン部P1a〜P4a、及び粗アーム部A1a〜A8aそれぞれを総称するとき、その符号は、粗ジャーナル部で「Ja」、粗ピン部で「Pa」、粗アーム部で「Aa」と記す。また、バランスウエイトを有する第1、第4、第5及び第8粗アーム部A1a、A4a、A5a、A8aは、ウエイト付き粗アーム部Aaともいう。一方、バランスウエイトを有しない第2、第3、第6及び第7粗アーム部A2a、A3a、A6a、A7aは、ウエイト無し粗アーム部Aa、又は小判形粗アーム部Aaともいう。

第1実施形態の仕上打ち用素材5は、上記の粗素材4から、詳細は後述する成形装置によって成形されるものである。仕上打ち用素材5は、5つの粗ジャーナル部J1b〜J5b、4つの粗ピン部P1b〜P4b、粗フロント部Frb、粗フランジ部Flb、及び粗ジャーナル部J1b〜J5bと粗ピン部P1b〜P4bをそれぞれつなぐ8枚の粗クランクアーム部(以下、単に「粗アーム部」ともいう)A1b〜A8bから構成される。第2、第3、第6及び第7粗アーム部A2b、A3b、A6b、A7bは、バランスウエイトを有しないことから、小判形の形状である。仕上打ち用素材5にはバリはついていない。以下、仕上打ち用素材5の粗ジャーナル部J1b〜J5b、粗ピン部P1b〜P4b、及び粗アーム部A1b〜A8bそれぞれを総称するとき、その符号は、粗ジャーナル部で「Jb」、粗ピン部で「Pb」、粗アーム部で「Ab」と記す。また、バランスウエイトを有する第1、第4、第5及び第8粗アーム部A1b、A4b、A5b、A8bは、ウエイト付き粗アーム部Abともいう。一方、バランスウエイトを有しない第2、第3、第6及び第7粗アーム部A2b、A3b、A6b、A7bは、ウエイト無し粗アーム部Ab、又は小判形粗アーム部Abともいう。

仕上打ち用素材5の形状は、クランク軸(最終鍛造製品)の形状と概ね一致し、丁度、図1(d)に示す荒鍛造材105のバリ105aを除いた部分に相当する。すなわち、仕上打ち用素材5の粗ジャーナル部Jbは、最終形状の鍛造クランク軸のジャーナル部Jと軸方向の長さが同じである。仕上打ち用素材5の粗ピン部Pbは、最終形状の鍛造クランク軸のピン部Pと軸方向の長さが同じで、軸方向と直角な偏芯方向の偏芯量も同じである。仕上打ち用素材5の粗アーム部Abは、最終形状の鍛造クランク軸のアーム部Aと軸方向の厚みが同じである。

これに対し、粗素材4の粗ジャーナル部Jaは、仕上打ち用素材5の粗ジャーナル部Jb、すなわち鍛造クランク軸のジャーナル部Jと軸方向の長さが同じである。粗素材4の粗ピン部Paは、仕上打ち用素材5の粗ピン部Pb、すなわち鍛造クランク軸のピン部Pと軸方向の長さが同じであるが、偏芯量が仕上打ち用素材5の粗ピン部Pbよりも小さい。

粗素材4の粗アーム部Aaのうち、ウエイト付き粗アーム部Aa(第1、第4、第5及び第8粗アーム部A1a、A4a、A5a、A8a)は、各々に対応する仕上打ち用素材5のウエイト付き粗アーム部Ab、すなわち鍛造クランク軸のウエイト付きアーム部Aよりも軸方向の厚みが厚い。一方、粗素材4の小判形粗アーム部Aa(第2、第3、第6、第7粗アーム部A2a、A3a、A6a及びA7a)は、各々に対応する仕上打ち用素材5の小判形粗アーム部Ab、すなわち鍛造クランク軸の小判形アーム部Aと軸方向の厚みが同じである。要するに、粗素材4は、仕上打ち用素材5(最終形状の鍛造クランク軸)と比較して、ウエイト付き粗アーム部Aaの厚みが厚い分だけ全長が長くて、粗ピン部Paの偏芯量が小さい。このように粗素材4は、比較的緩やかなクランク軸形状となっている。

ただし、厳密に言えば、仕上打ち用素材5は、最終形状の鍛造クランク軸に対し、粗アーム部Abの厚みが僅かに薄く、その分だけ粗ジャーナル部Jb及び粗ピン部Pbの軸方向長さが僅かに大きい。仕上打ちの際に仕上打ち用素材5を金型内に収容し易くし、かじり疵の発生を防止するためである。これに応じて、粗素材4も、最終形状の鍛造クランク軸に対し、粗ジャーナル部Ja及び粗ピン部Paの軸方向長さが僅かに大きい。

1−2.鍛造クランク軸の製造工程 図3は、第1実施形態における4気筒エンジン用鍛造クランク軸の製造工程を示す模式図である。図3に示すように、第1実施形態の鍛造クランク軸の製造方法は、第1予備成形、第2予備成形、仕上打ちの各工程を含み、必要に応じて、バリ抜き、整形の各工程を含む。

第1予備成形工程は、上記の粗素材4を造形する工程である。第1予備成形工程では、断面が丸形の丸ビレットを原材料とし、この丸ビレットを加熱炉(例えば誘導加熱炉、ガス雰囲気加熱炉等)によって加熱した後に予備成形加工を施す。例えば、孔型ロールにより丸ビレットを絞り圧延してその体積を長手方向に配分するロール成形を行い、これによって得られたロール荒地を長手方向と直角な方向から部分的にプレス圧下してその体積を配分する曲げ打ちを繰り返し行う。これにより、粗素材4を造形することが可能である。そのほかに、前記特許文献1及び2に開示される技術を用いても、粗素材4の造形は可能である。また、クロスロール、閉塞鍛造等を採用してもよい。

第2予備成形工程は、上記の仕上げ打ち用素材5を成形する工程である。第2予備成形工程では、下記の図4に示す成形装置を用いて加工を行う。これにより、上記の粗素材4から、鍛造クランク軸の最終形状が造形された仕上げ打ち用素材5を成形することができる。

仕上打ち工程は、クランク軸と合致する形状の仕上材を得る工程である。仕上打ち工程では、上記の仕上打ち用素材5が供され、上下に一対の金型を用いてプレス鍛造する。これにより、鍛造クランク軸の最終形状が造形された仕上げ材を得ることができる。

1−3.仕上打ち用素材の成形装置 図4は、第1実施形態における成形装置の構成を示す縦断面図である。図4には、第1、第4、第5及び第8アーム部にバランスウエイトを有する4気筒−4枚カウンターウエイトのクランク軸を製造する場合の成形装置を例示する。すなわち前記図2に示す粗素材4から仕上打ち用素材5を成形する。

図4に示すように、成形装置は、プレス機を利用したものである。成形装置は、基礎となる固定の下側ハードプレート20と、プレス機のラムの駆動に伴って下降する上側ハードプレート21を有する。下側ハードプレート20の真上には、弾性部材24を介して下側金型支持台22が弾性的に支持される。この下側金型支持台22は、上下方向に移動が許容される。弾性部材24としては、皿ばね、コイルばね、空気ばね等を適用することができ、そのほかにも油圧ばねシステムを適用することができる。上側ハードプレート21の真下には、支柱25を介して上側金型支持台23が固定される。この上側金型支持台23は、プレス機(ラム)の駆動により上側ハードプレート21と一体で下降する。

図4に示す成形装置では、粗素材4を金型内に収容し、仕上打ち用素材に成形する。その際、金型内に収容された粗素材4の姿勢は、粗ピン部Paの偏芯方向を鉛直方向に合わせ、第1及び第4粗ピン部P1a、P4aを上に配置し、言い換えれば第2及び第3粗ピン部P2a、P3aを下に配置する。このため、下側金型支持台22と上側金型支持台23には、固定ジャーナル型10U、10B、可動ジャーナル型11U、11B、並びにピン型12及び補助ピン型13がそれぞれ取り付けられる。これらの固定ジャーナル型10U、10B、可動ジャーナル型11U、11B、並びにピン型12及び補助ピン型13は、粗素材4の軸方向に沿って分割され、それぞれ上下で対を成す。

固定ジャーナル型10U、10Bは、粗素材4における粗ジャーナル部Jaのうちの基準となる中央の第3粗ジャーナル部J3aの位置に配置される。固定ジャーナル型10U、10Bは、上下のそれぞれが上側金型支持台23、下側金型支持台22に取り付けられる。特に、固定ジャーナル型10U、10Bは、上下のいずれも、上側金型支持台23、下側金型支持台22に対し完全に固定される。

固定ジャーナル型10U、10Bには、それぞれ、半円筒状の第1彫り込み部10Ua、10Baと、第2彫り込み部10Ub、10Bbが形成される。第2彫り込み部10Ub、10Bbは、第1彫り込み部10Ua、10Baの前後(図4では左右)に隣接する。第1彫り込み部10Ua、10Baの長さは、仕上打ち用素材5における第3粗ジャーナル部J3bの軸方向の長さと同じである。第2彫り込み部10Ub、10Bbの長さは、仕上打ち用素材5におけるその粗ジャーナル部J3bにつながるウエイト付き粗アーム部Ab(第4及び第5粗アーム部A4b、A5b)の軸方向の厚みと同じである。

固定ジャーナル型10U、10Bは、プレス機の駆動に伴う上側金型支持台23の下降、すなわちプレス機の圧下により、第1彫り込み部10Ua、10Baで第3粗ジャーナル部J3aを上下から挟み込んで保持する。これと同時に、固定ジャーナル型10U、10Bは、第2彫り込み部10Ub、10Bbの第1彫り込み部10Ua、10Ba側の面が、第3粗ジャーナル部J3aにつながるウエイト付き粗アーム部Aa(第4及び第5粗アーム部A4a、A5a)における第3粗ジャーナル部J3a側の側面に接触する。

可動ジャーナル型11U、11Bは、固定ジャーナル型10U、10Bで挟み込まれる粗素材4における粗ジャーナル部Ja以外の粗ジャーナル部Ja(第1、第2、第4、第5粗ジャーナル部J1a、J2a、J4a、J5a)位置に配置される。可動ジャーナル型11U、11Bは、上下のそれぞれが上側金型支持台23、下側金型支持台22に取り付けられる。特に、可動ジャーナル型11U、11Bは、上下のいずれも、上側金型支持台23、下側金型支持台22に対し、固定ジャーナル型10U、10Bに向けての軸方向に移動が許容される。

可動ジャーナル型11U、11Bには、それぞれ、半円筒状の第1彫り込み部11Ua、11Ba、第2彫り込み部11Ub、11Bb及び第3彫り込み部11Uc、11Bcが形成される。第2彫り込み部11Ub、11Bb及び第3彫り込み部11Uc、11Bcは、第1彫り込み部11Ua、11Baの前後(図4では左右)に隣接する。第1彫り込み部11Ua、11Baの長さは、仕上打ち用素材5における粗ジャーナル部Jb(第1、第2、第4及び第5粗ジャーナル部J1b、J2b、J4b、J5b)の軸方向の長さと同じである。第2彫り込み部11Ub、11Bbは、粗素材4におけるウエイト付き粗アーム部Aaを収容する。第2彫り込み部11Ub、11Bbの長さは、仕上打ち用素材5におけるそれらの粗ジャーナル部Jbにつながるウエイト付き粗アーム部Abの軸方向の厚みと同じである。第3彫り込み部11Uc、11Bcは、粗素材4における小判形粗アーム部Aaを収容する。第3彫り込み部11Uc、11Bcの長さは、仕上打ち用素材5におけるそれらの粗ジャーナル部Jbにつながる小判形粗アーム部Abの軸方向の厚みと同じである。

第1実施形態では、両端の第1及び第5粗ジャーナル部J1a、J5aにつながる粗アーム部Aaは、いずれもウエイト付き粗アーム部である。このため、第1及び第5粗ジャーナル部J1a、J5aの位置に配置された可動ジャーナル型11U、11Bは、第2彫り込み部11Ub、11Bb及び第3彫り込み部11Uc、11Bcのうちで第2彫り込み部11Ub、11Bbを備える。一方、中央寄りの第2及び第4粗ジャーナル部J2a、J4aにつながる粗アーム部Aaは、いずれも小判形粗アーム部である。このため、第2及び第4粗ジャーナル部J2a、J4aの位置に配置された可動ジャーナル型11U、11Bは、第2彫り込み部11Ub、11Bb及び第3彫り込み部11Uc、11Bcのうちで第3彫り込み部11Uc、11Bcを備える。

可動ジャーナル型11U、11Bは、プレス機の圧下により、第1彫り込み部11Ua、11Baで各々に対応する各粗ジャーナル部Jaを個々に上下から挟み込んで保持する。これと同時に、可動ジャーナル型11U、11Bは、第2彫り込み部11Ub、11Bb及び第3彫り込み部11Uc、11Bcの第1彫り込み部11Ua、11Ba側の面が、各々に対応する各粗ジャーナル部Jaにつながるウエイト付き粗アーム部Aa及び小判形粗アーム部Aaにおける各粗ジャーナル部Ja側の側面に接触する。

ここで、両端の第1及び第5粗ジャーナル部J1a、J5aの位置に配置された可動ジャーナル型11U、11Bの端面は、傾斜面14U、14Bとなっている。これに対し、下側ハードプレート20上には、それらの第1及び第5粗ジャーナル部J1a、J5aの可動ジャーナル型11U、11Bの傾斜面14U、14Bの位置に対応して、個々に、第1楔26が立設される。各第1楔26は、下側金型支持台22を貫通して上方に突き出る。第1、第5粗ジャーナル部J1a、J5aの可動ジャーナル型11U、11Bのうち、下側の可動ジャーナル型11Bの傾斜面14Bは、初期状態で第1楔26の斜面に接触する。一方、上側の可動ジャーナル型11Uの傾斜面14Uは、プレス機の圧下により、第1楔26の斜面に接触する。

また、中央寄りの第2、第4粗ジャーナル部J2a、J4aの位置に配置された可動ジャーナル型11U、11Bには、図示しないブロックが固定される。ブロックは、第1彫り込み部11Ua、11Ba及び第2彫り込み部11Ub、11Bbから外れた側部(図4では紙面の手前と奥)に、傾斜面15U、15Bを有する。これに対し、下側ハードプレート20上には、それらの第2、第4粗ジャーナル部J2a、J4aの可動ジャーナル型11U、11Bの傾斜面15U、15Bの位置に対応して、個々に、第2楔27が立設される。各第2楔27は、下側金型支持台22を貫通して上方に突き出る。第2、第4粗ジャーナル部J2a、J4aの可動ジャーナル型11U、11Bのうち、下側の可動ジャーナル型11Bの傾斜面15Bは、初期状態で第2楔27の斜面に接触する。一方、上側の可動ジャーナル型11Uの傾斜面15Uは、プレス機の圧下により、第2楔27の斜面に接触した状態にされる。

そして、プレス機の圧下の継続に伴って、上側の可動ジャーナル型11Uが下側の可動ジャーナル型11Bと一体で押し下げられる。これにより、第1、第5粗ジャーナル部J1a、J5aの可動ジャーナル型11U、11Bは、上下のいずれも、その傾斜面14U、14Bが第1楔26の斜面に沿って摺動する。これに伴い、基準となる第3粗ジャーナル部J3aの固定ジャーナル型10U、10Bに向けて軸方向に移動する。これと同時に、第2、第4粗ジャーナル部J2a、J4aの可動ジャーナル型11U、11Bは、上下のいずれも、その傾斜面15U、15Bが第2楔27の斜面に沿って摺動する。これに伴い、基準となる第3粗ジャーナル部J3aの固定ジャーナル型10U、10Bに向けて軸方向に移動する。要するに、可動ジャーナル型11U、11Bは、個々に楔機構により軸方向に移動できる。

上下で対を成すピン型12と補助ピン型13は、粗素材4における粗ピン部Paそれぞれの位置に配置される。ピン型12と補助ピン型13は、上下のそれぞれが上側金型支持台23、下側金型支持台22に取り付けられる。ピン型12は、粗ピン部Paそれぞれの偏芯中心側に配置される。他方の補助ピン型13は、粗ピン部Paそれぞれの偏芯中心側とは反対の外側に配置される。例えば、第1粗ピン部P1aの位置では、第1粗ピン部P1aの配置が上側である。このため、ピン型12が下側金型支持台22に取り付けられるとともに、補助ピン型13が上側金型支持台23に取り付けられる。

特に、ピン型12と補助ピン型13は、上下のいずれも、上側金型支持台23及び下側金型支持台22に対し、固定ジャーナル型10U、10Bに向けての軸方向に移動が許容される。ピン型12に限っては、粗ピン部Paに向けての偏芯方向にも移動が許容される。

ピン型12及び補助ピン型13には、それぞれ、半円筒状の彫り込み部12a、13aが形成される。彫り込み部12a、13aの長さは、仕上打ち用素材5における粗ピン部Pbの軸方向の長さと同じである。

ピン型12は、プレス機の圧下により、彫り込み部12aが各粗ピン部Paの偏芯中心側に宛がわれる。また、ピン型12の両側面が、各粗ピン部Paにつながる粗アーム部Aaにおける各粗ピン部Pa側の側面に接触する。

そして、ピン型12と補助ピン型13は、プレス機の圧下の継続に伴って一体で押し下げられる。これにより、ピン型12と補助ピン型13は、上記したように可動ジャーナル型11U、11Bが軸方向に移動するのに連れて、基準となる第3粗ジャーナル部J3aの固定ジャーナル型10U、10Bに向けて軸方向に移動する。また、ピン型12の偏芯方向への移動は、各ピン型12に連結された油圧シリンダ16の駆動により行われる。

なお、ピン型12と補助ピン型13の軸方向への移動は、可動ジャーナル型11U、11Bと同様の楔機構を用いたり、油圧シリンダ、サーボモータ等の別途の機構を用いて、強制的に行ってもよい。補助ピン型13は、隣接する一対の可動ジャーナル型11U、11Bのうちの一方と一体化されても構わない。

図4に示す初期状態では、個々に軸方向に連なる固定ジャーナル型10U、10B及び可動ジャーナル型11U、11Bと、ピン型12及び補助ピン型13との間に、隙間が確保される。これは、可動ジャーナル型11U、11B、並びにピン型12及び補助ピン型13の軸方向への移動を許容するためである。これらの各隙間の寸法は、仕上打ち用素材5におけるウエイト付き粗アーム部Abの厚みと粗素材4におけるウエイト付き粗アーム部Aaの厚みの差である。

次に、このような構成の成形装置による仕上打ち用素材の成形方法について説明する。 図5A及び図5Bは、図4に示す第1実施形態の成形装置による仕上打ち用素材の成形方法を説明するための縦断面図である。これらの図のうち、図5Aは成形初期の状態を示し、図5Bは成形完了時の状態を示す。

前記図4に示す下側の固定ジャーナル型10B、可動ジャーナル型11B、並びにピン型12及び補助ピン型13に粗素材4を収容し、プレス機の圧下を開始する。すると、先ず、図5Aに示すように、上側の固定ジャーナル型10U及び可動ジャーナル型11Uが、それぞれ、下側の固定ジャーナル型10B及び可動ジャーナル型11Bに当接する。

これにより、粗素材4は、各粗ジャーナル部Jaが固定ジャーナル型10U、10B及び可動ジャーナル型11U、11Bによって上下から保持され、各粗ピン部Paの偏芯中心側にピン型12が宛がわれた状態になる。この状態のとき、粗素材4の各粗アーム部Aaにおける粗ジャーナル部Ja側の側面には、固定ジャーナル型10U、10B及び可動ジャーナル型11U、11Bが接触し、各粗アーム部Aaにおける粗ピン部Pa側の側面には、ピン型12が接触する。また、第1及び第5粗ジャーナル部J1a、J5aの可動ジャーナル型11U、11Bの傾斜面14U、14Bが第1楔26の斜面に接触する。さらに、第2及び第4粗ジャーナル部J2a、J4aの可動ジャーナル型11U、11Bの傾斜面15U、15Bが第2楔27の斜面に接触する。

この状態から、そのままプレス機の圧下を継続する。すると、第1及び第5粗ジャーナル部J1a、J5aの可動ジャーナル型11U、11Bは、各々の傾斜面14U、14Bが第1楔26の斜面に沿って摺動する。この楔機構により、その可動ジャーナル型11U、11Bは、第3粗ジャーナル部J3aの固定ジャーナル型10U、10Bに向けて軸方向に移動する。これと同時に、第2及び第4粗ジャーナル部J2a、J4aの可動ジャーナル型11U、11Bは、各々の傾斜面15U、15Bが第2楔27の斜面に沿って摺動する。この楔機構により、その可動ジャーナル型11U、11Bは、第3粗ジャーナル部J3aの固定ジャーナル型10U、10Bに向けて軸方向に移動する。このように可動ジャーナル型11U、11Bが個々に楔機構により軸方向に移動するのに伴って、ピン型12と補助ピン型13も、第3粗ジャーナル部J3aの固定ジャーナル型10U、10Bに向けて軸方向に移動する。

その際、小判形粗アーム部Abにつながる粗ジャーナル部Ja及び粗ピン部Paにおいて、それぞれの可動ジャーナル型11U、11B、ピン型12及び補助ピン型13は、一体で軸方向に移動する。例えば、第2粗アーム部A2bは小判形粗アーム部であるので、この第2粗アーム部A2bにつながる第2粗ジャーナル部J2a及び第1粗ピン部P1aそれぞれの可動ジャーナル型11U、11B、ピン型12及び補助ピン型13は、一体で軸方向に移動する。更に、その第2粗ジャーナル部J2aにつながる第3粗アーム部A3bも小判形粗アーム部であるので、この第3粗アーム部A3bにつながる第2粗ピン部P2aのピン型12及び補助ピン型13も含めて、一体で軸方向に移動する。

これにより、固定ジャーナル型10U、10B及び可動ジャーナル型11U、11Bと、ピン型12及び補助ピン型13との隙間が次第に狭まり、終にはそれらの各隙間がなくなる。その際、粗素材4は、ウエイト付き粗アーム部Aaが軸方向に挟圧され、ウエイト付き粗アーム部Aaの厚みが仕上打ち用素材5の粗アーム部Abの厚みまで減少する(図5B参照)。その際、粗ジャーナル部Ja及び粗ピン部Paの軸方向の長さは、維持される。

また、可動ジャーナル型11U、11B、並びにピン型12及び補助ピン型13の軸方向への移動に応じ、各ピン型12の油圧シリンダ16を駆動する。すると、各ピン型12は、個々に、粗素材4の粗ピン部Paを偏芯方向に押圧する。これにより、粗素材4の粗ピン部Paは偏芯方向にずれ、その偏芯量が仕上打ち用素材5の粗ピン部Pbの偏芯量まで増加する(図5B参照)。

このようにして、バリのない粗素材4から、バリのない仕上打ち用素材5を成形することができる。その仕上打ち用素材5は、ウエイト付きアーム部Aであってもアーム部Aの厚みが薄く、4気筒エンジン用鍛造クランク軸(最終鍛造製品)の形状と概ね一致した形状となる。そして、このようなバリなしの仕上打ち用素材5を仕上打ちに供して仕上打ちを行えば、多少のバリは発生するが、アーム部の輪郭形状を含めて4気筒エンジン用鍛造クランク軸の最終形状を造形することができる。したがって、4気筒エンジン用の鍛造クランク軸を歩留り良く、しかも、その形状を問わずに高い寸法精度で製造することが可能になる。

前記図4〜図5Bに示す成形装置では、第1粗ジャーナル部J1aの可動ジャーナル型11U、11Bの傾斜面14U、14B及びこれと接触する第1楔26の斜面と、第5粗ジャーナル部J5aの可動ジャーナル型11U、11Bの傾斜面14U、14B及びこれと接触する第1楔26の斜面とは、傾斜角度が鉛直面を基準に正反対とされる。また、第2粗ジャーナル部J2aの可動ジャーナル型11U、11Bの傾斜面15U、15B及びこれと接触する第2楔27の斜面と、第4粗ジャーナル部J4aの可動ジャーナル型11U、11Bの傾斜面15U、15B及びこれと接触する第2楔27の斜面とは、傾斜角度が鉛直面を基準に正反対とされる。更に、第1楔26の斜面の角度(第1、第5粗ジャーナル部J1a、J5aの可動ジャーナル型11U、11Bの傾斜面14U、14Bの角度)は、第2楔27の斜面の角度(第2、第4粗ジャーナル部J2a、J4aの可動ジャーナル型11U、11Bの傾斜面15U、15Bの角度)よりも大きくされる。このように、各可動ジャーナル型11U、11Bを軸方向に移動させる楔機構の楔角度を可動ジャーナル型11U、11Bごとに異ならせる理由は、ウエイト付き粗アーム部Aaを軸方向に挟圧して厚みを減少させる変形速度をすべてのウエイト付き粗アーム部Aaで一定にするためである。

前記図4〜図5Bに示す成形装置で用いる粗素材4は、粗ジャーナル部Jaの断面積が、仕上打ち用素材5の粗ジャーナル部Jb、すなわち鍛造クランク軸のジャーナル部Jの断面積と同じであるか、それよりも大きい。同様に、粗素材4の粗ピン部Paの断面積は、仕上打ち用素材5の粗ピン部Pb、すなわち鍛造クランク軸のピン部Pの断面積と同じであるか、それよりも大きい。粗素材4の粗ジャーナル部Jaの断面積が仕上打ち用素材5の粗ジャーナル部Jbの断面積よりも大きい場合であっても、粗ジャーナル部Jaの断面積を仕上打ち用素材5の粗ジャーナル部Jbの断面積まで減少させることができる。これは、固定ジャーナル型10U、10B及び可動ジャーナル型11U、11Bによる粗ジャーナル部Jaの挟み込み保持、及びこれに続く可動ジャーナル型11U、11Bの軸方向への移動による。また、粗素材4の粗ピン部Paの断面積が仕上打ち用素材5の粗ピン部Pbの断面積よりも大きい場合であっても、粗ピン部Paの断面積を仕上打ち用素材5の粗ピン部Pbの断面積まで減少させることができる。これは、ピン型12の軸方向への移動及び偏芯方向への移動による。

以上説明した仕上打ち用素材の成形で留意すべき点として、ウエイト付き粗アーム部Aaに対して局部的な噛み出しの発生がある。以下に、噛み出しの発生原理とその対応策について説明する。

図6は、成形装置による仕上打ち用素材の成形で噛み出しが発生する状況を説明するための図であり、図7は、その対応策を施した場合の状況を説明するための図である。図6及び図7中、(a)は成形初期の状態を、(b)は成形途中の状態を、(c)は成形完了時の状態を、(d)は成形完了後に成形装置から取り出した仕上打ち用素材をそれぞれ示す。

図6(a)に示すように、成形が開始されると、可動ジャーナル型11U、11Bが軸方向へ移動するとともに、ピン型12及び補助ピン型13が軸方向と偏芯方向へ移動する。その後、図6(b)に示すように、ウエイト付き粗アーム部Aaにおいて、可動ジャーナル型11U、11B、並びにピン型12及び補助ピン型13の軸方向への移動が完了する前に、すなわち、固定ジャーナル型10U、10B及び可動ジャーナル型11U、11Bと、ピン型12及び補助ピン型13との隙間が閉ざされる前に、偏芯変形する粗ピン部Paが補助ピン型13に到達すると、以下に示す事態が生じる。補助ピン型13と、固定ジャーナル型10U、10B及び可動ジャーナル型11U、11Bとの隙間に、粗ピン部Paの肉が流入する。この流入した肉は、成形の進行に伴って薄く延ばされていくものの、図6(c)に示すように、成形完了時にも残存する。こうして、図6(d)に示すように、仕上打ち用素材5の粗ピン部Pbの外側には、隣接するウエイト付き粗アーム部Aaとの境界に局所的な噛み出し部5aが現れる。

噛み出し部5aは、次工程の仕上打ちで製品に打ち込まれてかぶり疵となる。したがって、製品品質を確保する観点から、噛み出しの発生を防止する必要がある。

噛み出しの発生を防止する対応策としては、ウエイト付き粗アーム部Aaにおいて、固定ジャーナル型10U、10B及び可動ジャーナル型11U、11Bと、ピン型12及び補助ピン型13との隙間が閉ざされた後に、偏芯変形する粗ピン部Paが補助ピン型13に到達するように、ピン型12の偏芯方向への移動を制御すればよい。具体的には、可動ジャーナル型11U、11B、並びにピン型12及び補助ピン型13の軸方向への移動が完了した後に、ピン型12の偏芯方向への移動を完了させればよい。例えば、ピン型12の偏芯方向への総移動距離を100%としたとき、そのピン型12に隣接する可動ジャーナル型11U、11Bの軸方向への移動が完了した時点で、ピン型12の偏芯方向への移動距離が総移動距離の90%以下(より好適には83%以下、更に好適には60%以下)であることが好ましい。その可動ジャーナル型11U、11Bの移動が完了した後にピン型12の偏芯方向への移動が完了させればよい。

例えば、図7(a)に示すように、成形を開始する。その後、図7(b)に示すように、ウエイト付き粗アーム部Aaにおいて、ピン型12の偏芯方向への移動距離が総移動距離の90%に達するまでに、可動ジャーナル型11U、11B、並びにピン型12及び補助ピン型13の軸方向への移動を完了させる。そうすると、この時点では、固定ジャーナル型10U、10B及び可動ジャーナル型11U、11Bと、ピン型12及び補助ピン型13との隙間が閉ざされているものの、偏芯変形する粗ピン部Paが補助ピン型13に到達していない。そして、ピン型12の偏芯方向への移動に伴って粗ピン部Paが補助ピン型13に到達し、その移動が完了すると、図7(c)に示すように、成形が完了する。このため、補助ピン型13と、固定ジャーナル型10U、10B及び可動ジャーナル型11U、11Bとの隙間に、粗ピン部Paの肉が流入する事態は起こらない。こうして、図7(d)に示すように、噛み出しのない高品位の仕上打ち用素材5を得ることができる。

可動ジャーナル型の軸方向への移動が完了するまでのピン型の偏芯方向への移動過程は、任意に変更することが可能である。例えば、ピン型の偏芯方向への移動は、可動ジャーナル型の軸方向への移動開始と同時に開始してもよいし、それよりも前に開始してもよく、又は可動ジャーナル型の軸方向への移動がある程度進行してから開始してもよい。また、ピン型の偏芯方向への移動は、開始後、一定量移動した位置で一旦停止させ、可動ジャーナル型の軸方向への移動が完了した後に再開してもよい。

2.第2実施形態 第2実施形態は、上記の第1実施形態の構成を基本とし、製造対象である4気筒−4枚カウンターウエイトのクランク軸の態様を変形し、これに関連する構成を変更したものである。なお、以下では図面を参照して第2実施形態の構成を説明するが、第1実施形態と共通する部分には同一の符号を付し、重複する事項の説明は適宜省略する。

2−1.粗素材、及び仕上打ち用素材 図8は、第2実施形態の製造方法において、成形装置で被成形対象とする粗素材、及び成形された仕上打ち用素材の各形状を模式的に示す平面図である。第2実施形態の製造対象は、4気筒−4枚カウンターウエイトのクランク軸であり、そのクランク軸は、第2、第4、第5及び第7アーム部にバランスウエイトを有する。

図8に示すように、第2実施形態の粗素材4は、前記図2に示す第1実施形態の粗素材4と比較し、次の点が異なる。第2実施形態の粗素材4では、前端の第1粗ピンP1aにつながる第1及び第2粗アーム部A1a、A2aのうち、第1粗アーム部A1aが小判形粗アーム部Aaであり、第2粗アーム部A2aがウエイト付き粗アーム部Aaである。また、後端の第4粗ピンP4aにつながる第7及び第8粗アーム部A7a、A8aのうち、第8粗アーム部A8aが小判形粗アーム部Aaであり、第7粗アーム部A7aがウエイト付き粗アーム部Aaである。

これに対応し、第2実施形態の仕上打ち用素材5では、第1粗アーム部A1bが小判形粗アーム部Abであり、第2粗アーム部A2bがウエイト付き粗アーム部Abである。また、第8粗アーム部A8bが小判形粗アーム部Abであり、第7粗アーム部A7bがウエイト付き粗アーム部Abである。

2−2.鍛造クランク軸の製造工程 前記図3に示す第1実施形態の製造工程と同じである。

2−3.仕上打ち用素材の成形装置 図9は、第2実施形態における成形装置の構成を示す縦断面図である。図10A及び図10Bは、図9に示す第2実施形態の成形装置による仕上打ち用素材の成形方法を説明するための縦断面図である。これらの図のうち、図10Aは成形初期の状態を示し、図10Bは成形完了時の状態を示す。

図9に示すように、第2実施形態では、両端の第1及び第5粗ジャーナル部J1a、J5aにつながる粗アーム部Aaは、いずれも小判形粗アーム部である。このため、第1及び第5粗ジャーナル部J1a、J5aの位置に配置された可動ジャーナル型11U、11Bは、第2彫り込み部11Ub、11Bb及び第3彫り込み部11Uc、11Bcのうちで第3彫り込み部11Uc、11Bcを備える。一方、中央寄りの第2及び第4粗ジャーナル部J2a、J4aにつながる粗アーム部Aaは、ウエイト付き粗アーム部と小判形粗アーム部である。このため、第2及び第4粗ジャーナル部J2a、J4aの位置に配置された可動ジャーナル型11U、11Bは、第2彫り込み部11Ub、11Bb及び第3彫り込み部11Uc、11Bcを備える。

図10A及び図10Bに示すように、プレス機の圧下により、可動ジャーナル型11U、11Bは、第3粗ジャーナル部J3aの固定ジャーナル型10U、10Bに向けて軸方向に移動する。これに伴って、ピン型12と補助ピン型13も、第3粗ジャーナル部J3aの固定ジャーナル型10U、10Bに向けて軸方向に移動する。

その際、小判形粗アーム部Abにつながる粗ジャーナル部Ja及び粗ピン部Paにおいて、それぞれの可動ジャーナル型11U、11B、ピン型12及び補助ピン型13は、一体で軸方向に移動する。例えば、第3粗アーム部A3bは小判形粗アーム部である。このため、第3粗アーム部A3bにつながる第3粗ジャーナル部J3a及び第2粗ピン部P2aそれぞれの可動ジャーナル型11U、11B、ピン型12及び補助ピン型13は、一体で軸方向に移動する。一方、上記の第1実施形態とは異なり、その第2粗ジャーナル部J2aにつながる第2粗アーム部A2bはウエイト付き粗アーム部である。このため、第2粗アーム部A2bにつながる第1粗ピン部P1aのピン型12及び補助ピン型13は、第3粗ジャーナル部J3aの可動ジャーナル型11U、11Bと一体では移動しない。その代わりに、第1粗ピン部P1aのピン型12及び補助ピン型13は、第1粗ジャーナル部J1aの可動ジャーナル型11U、11Bと一体で移動する。これは、第1粗ジャーナル部J1aと第1粗ピン部P1aをつなぐ第1粗アーム部A1aが小判形粗アーム部であるからである。

これにより、固定ジャーナル型10U、10B及び可動ジャーナル型11U、11Bと、ピン型12及び補助ピン型13との隙間が次第に狭まり、終にはそれらの各隙間がなくなる。その際、粗素材4は、固定ジャーナル型10U、10B、可動ジャーナル型11U、11B及びピン型12により、ウエイト付き粗アーム部Aaが軸方向に挟圧され、ウエイト付き粗アーム部Aaの厚みが仕上打ち用素材5の粗アーム部Abの厚みまで減少する(図5B参照)。また、その際、粗ジャーナル部Ja及び粗ピン部Paの軸方向の長さは、維持される。

可動ジャーナル型11U、11B、並びにピン型12及び補助ピン型13の軸方向への移動に応じ、各ピン型12の油圧シリンダ16を駆動し、各ピン型12により、粗素材4の粗ピン部Paを偏芯方向に押圧する。これにより、粗素材4の粗ピン部Paは偏芯方向にずれ、その偏芯量が仕上打ち用素材5の粗ピン部Pbの偏芯量まで増加する(図5B参照)。

このようにして、第2実施形態でも、バリのない粗素材4から、バリのない仕上打ち用素材5を成形することができる。その仕上打ち用素材5は、ウエイト付きアーム部Aであってもアーム部Aの厚みが薄く、4気筒エンジン用鍛造クランク軸(最終鍛造製品)の形状と概ね一致した形状となる。したがって、上記した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。

その他本発明は上記の実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。例えば、可動ジャーナル型を軸方向へ移動させる機構としては、上記の実施形態ではプレス機を利用した楔機構を採用しているが、これに限らず、リンク機構を採用してもよいし、プレス機の利用に代えて油圧シリンダ、サーボモータ等を利用しても構わない。また、ピン型を偏芯方向へ移動させる機構としては、油圧シリンダに限らず、サーボモータであってもよい。

また、上記の実施形態では、上側金型支持台を上側ハードプレートに固定するとともに、下側金型支持台を下側ハードプレートで弾性的に支持し、当該下側ハードプレートに楔を設置して、この楔で上下の可動ジャーナル型を移動させるようにした構成であるが、これとは上下を反転させた構成でも構わない。上下の各金型支持台をそれぞれのハードプレートで弾性的に支持し、ハードプレートにそれぞれ楔を設置して、各楔で上下の各可動ジャーナル型を移動させるように構成することもできる。

また、上記の実施形態では、補助ピン型は、軸方向にのみ移動が許容されるが、これに加えて偏芯方向とは逆方向にも移動が許容される構成としても構わない。この場合、ピン型と補助ピン型が各粗ピン部Paを個々に上下から挟み込んで保持しながら、互いに連動して偏芯方向に移動する。

本発明は、4気筒エンジン用の鍛造クランク軸を製造する際に有用である。

1:鍛造クランク軸、 J、J1〜J5:ジャーナル部、 P、P1〜P4:ピン部、 Fr:フロント部、 Fl:フランジ部、 A、A1〜A8:クランクアーム部、 2:ビレット、 4:粗素材、 Ja、J1a〜J5a:粗素材の粗ジャーナル部、 Pa、P1a〜P4a:粗素材の粗ピン部、 Fra:粗素材の粗フロント部、 Fla:粗素材の粗フランジ部、 Aa、A1a〜A8a:粗素材の粗クランクアーム部、 5:仕上打ち用素材、 Jb、J1b〜J5b:仕上打ち用素材の粗ジャーナル部、 Pb、P1b〜P4b:仕上打ち用素材の粗ピン部、 Frb:仕上打ち用素材の粗フロント部、 Flb:仕上打ち用素材の粗フランジ部、 Ab、A1b〜A8b:仕上打ち用素材の粗クランクアーム部、 5a:噛み出し部、 10U、10B:固定ジャーナル型、 10Ua、10Ba:固定ジャーナル型の第1彫り込み部、 10Ub、10Bb:固定ジャーナル型の第2彫り込み部、 11U、11B:可動ジャーナル型、 11Ua、11Ba:可動ジャーナル型の第1彫り込み部、 11Ub、11Bb:可動ジャーナル型の第2彫り込み部、 11Uc、11Bc:可動ジャーナル型の第3彫り込み部、 12:ピン型、 12a:彫り込み部、 13:補助ピン型、 13a:彫り込み部、 14U、14B:第1、第5粗ジャーナル部の可動ジャーナル型の傾斜面、 15U、15B:第2、第4粗ジャーナル部の可動ジャーナル型の傾斜面、 16:油圧シリンダ、 20:下側ハードプレート、 21:上側ハードプレート、 22:下側金型支持台、 23:上側金型支持台、 24:弾性部材、 25:支柱、 26:第1楔、 27:第2楔

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