【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は中空パイプ状のラック軸素材の側面にラック歯を転造するラック軸の製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】一般に、自動車のステアリング機構等で用いられるラック軸は、丸棒の周面の一部を平坦にして、ここにラック歯を形成したものである。 このとき、 ラック軸素材を中空パイプとすることは、軽量化の要求から実施されている。 【0003】ラック軸素材に塑性加工によってラック歯を成形する方法として、特公昭58-31257号に、素材のラック歯形成部分を、ラック歯形を設けた上型で、該素材の軸線に対し垂直方向に加圧する方法が示されている。 【0004】また、特公平3-5892号公報には、歯列形成部を平面部とした中空パイプからなるラック軸素材の該平面部に、ラック歯に対応する凹凸面を形成した成形型を当てがい、該中空パイプ内にポンチを圧入することにより、前記平面部の肉を前記成形型の凹凸面内に喰込ませて歯列を形成させる方法が示されている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】然しながら、このような従来技術はいずれも中空パイプの側面のラック歯形成部分に予め平面部を成形する工程が必要であり生産性が低い。 また大きな加工力(加圧力)を必要とし、このため形成されるラック歯の周囲にバリができ易い。 【0006】本発明は、ラック歯の成形工程を簡易とするとともに、比較的小さな力でラック歯を成形でき、バリの発生も少ないラック軸を製造することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】請求項1に記載の本発明は、側面にラック歯を有するラック軸を製造するラック軸製造装置において、中空パイプ状のラック軸素材をその中空部に心金を挿入した状態で保持する素材保持手段と、周面にラック歯形を形成した転造ロールと、上記素材保持手段と上記転造ロールとを該転造ロールの接線方向に相対的に摺動させる摺動手段と、上記素材保持手段に保持されたラック軸素材と上記転造ロールの軸間距離を調整する送り手段とを有してなるものである。 【0008】請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の本発明において更に、前記素材保持手段が、前記転造ロールに対するラック軸素材保持角度を変える角度調整手段を備えてなるものである。 【0009】請求項3に記載の本発明は、請求項1又は2に記載の本発明において更に、前記素材保持手段が、 前記転造ロールの径方向の両側にラック軸素材を対向して保持し、前記摺動手段が各ラック軸素材の摺動方向を互いに逆方向としてなるものである。 【0010】 【作用】請求項1に記載の本発明によれば下記〜の作用がある。 ラック軸素材と転造ロールとを摺動手段により該転造ロールの接線方向に相対的に摺動させることにより、ラック軸素材にラック歯を転造できる。 このとき、転造ロールはラック軸素材に圧接するが、ラック軸素材は転造ロールに相対的に接線方向に摺動するので、転造ロールはラック軸素材に喰込みながら、接線力により回転し、 ラック軸素材にラック歯を転造する。 【0011】このとき、ラック軸素材のラック歯形成部分に予め平面部を形成する工程は不要であり、円形パイプのまま直ちにラック歯を転造できる。 従って、工程簡易で生産性を向上できる。 【0012】そして、転造ロールはラック軸素材に対する上述の相対的摺動の所定行程毎(例えば1行程毎) に、送り手段によりラック軸素材との軸間距離を狭めることができる。 これにより、転造ロールは前記相対的摺動の所定行程毎に少しずつ素材に喰込んでいくので、一度に大きな力を必要とせず、比較的小さな力でラック歯を成形することができる。 また成形されたラック歯にバリを生ずることが少なく、かつ転造により強度に優れたラック歯を成形することができる。 【0013】請求項2に記載の本発明によれば下記の作用がある。 素材保持手段が、転造ロールに対するラック軸素材保持角度を変える角度調整手段を備えていることにより、 ラック軸は、ラック軸素材の軸線方向に対し直角をなすラック歯を付与されるばかりでなく、ラック軸素材の軸線方向に対し傾斜したラック歯を簡易に付与される。 【0014】請求項3に記載の本発明によれば下記〜 の作用がある。 ラック軸素材を転造ロールの径方向の両側に対向させ、各ラック軸素材をそれぞれ反対方向に摺動させることにより、両ラック軸素材が転造ロールに及ぼす圧接力はそのロール軸心を通る点対称上にあって互いに相殺される。 このため、転造ロールのロール軸の曲げ剛性を確保するために転造ロール径を大きくする如くが不要となり、装置を小型にできる。 【0015】上記により、転造ロール径を小さくしても、転造ロールのロール軸が曲がりにくく、結果として、転造ラック歯の加工精度を落とさず、転造圧力を大きくできる。 【0016】上記により、転造ロール径を小さくできるから、転造ロールと被加工面との接触面積が減少することとなり、単位面積あたりの圧接力が増加し、結果として転造ロールの1摺動行程あたりの被加工部の盛り上がりを増加し、加工時間を短縮できる。 【0017】同時に2本のラック軸を成形できるので、加工能力は2倍になる。 【0018】 【実施例】図1は本発明の一実施例を示す正面図、図2 は図1の平面図、図3は図2のIII-III 線に沿う矢視図、図4は素材保持手段を示す模式図、図5は図4の要部を示す模式図、図6は図5のVI-VI 線に沿う断面図、 図7は心金を示す模式図、図8は転造ロールに対するラック軸素材の加工位置関係を示す模式図、図9はラック軸を示す斜視図である。 【0019】ラック軸10は、図9に示す如く、中空の丸パイプからなるラック軸素材11の周面の一部に、その軸方向に交差する多数のラック歯12を有するものである。 【0020】ラック軸製造装置20は、架台21と、素材クランプ装置(素材保持手段)22と、心金設定装置23と、素材移動装置(摺動手段)24と、転造深さ調整装置(送り手段)25とを有し、ラック軸素材11に心金26を挿入した状態で、ラック軸素材1と転造ロール27とを該転造ロール27の接線方向に相対的に摺動させてラック軸素材11にラック歯12を転造するものである。 転造ロール27はその周面にラック歯形を形成されている。 【0021】尚、素材クランプ装置22は、転造ロール27に対するラック軸素材11の保持角度(加工角度) を変える角度調整装置(角度調整手段)28を備えている。 【0022】以下、架台21と、素材クランプ装置22 と、心金設定装置23と、素材移動装置24と、転造深さ調整装置25と、角度調整装置28について説明する。 (A) 架台21(図1〜図3) 架台21は、左右の側板21A、21B、上下板21 C、21Dを有している。 そして、架台21は、前後一対の支持柱21E、21Fを上下板21C、21Dの間に架け渡し、両支持柱21E、21Fに、転造ロール2 7のロール軸両端部を不図示の軸受けを介して回転自在に支持している。 【0023】(B) 素材クランプ装置22(図1〜図6) 素材クランプ装置22は、図1、図2に示す如く、転造ロール27の径方向の両側に、転造ロール27のロール軸心を通る点対称上に配置される左右のクランプハウジング31、32を有する。 左右のクランプハウジング3 1、32のそれぞれには、図1、図2、図4に示す如く、後述する角度調整装置28の固定ボルト28Bにより左右のクランプホルダ33、34が固定されている。 【0024】左右のクランプホルダ33、34はそれぞれ、図5、図6に示す如く、凹所35を有し、凹所35 に、上下に2分割されたクランプ部材36A、36Bを配置し、クランプ部材36A、36Bの間にラック軸素材11を保持する。 クランプホルダ33、34の凹所3 5内で、上下のクランプ部材36A、36Bが上下方向移動自在に配置され、クランプ部材36A、36Bの間には拡開用ばね37が介装され、クランプ部材36A、 36Bの外側には一対のクランプ用カム38A、38B が装備されている。 そして、クランプホルダ33、34 はクランプ用カム38A、38Bに螺合一体化されたプランジャ39A、39Bのための油圧作動室41A、4 1Bを備えている。 油圧作動室41A、41Bはそれぞれプランジャ39A、39Bの両側に第1室42、第2 室43を形成して構成され、それらの第1室42、第2 室43に油路44、45を連通している。 【0025】これにより、左右のクランプホルダ33、 34のそれぞれにおいて、油圧作動室41A、41Bの第1室42に作動油が供給されクランプ用カム38A、 38Bが下動(図6)すると、クランプ部材36A、3 6Bが縮閉してラック軸素材11を保持する。 これにより、左右のクランプホルダ33、34の上に保持される左右のラック軸素材11、11は、互いに、転造ロール27のロール軸心を通る径方向の両側の点対称上に対向して保持され、それらの転造加工を開始可能とされる。 それらラック軸素材11、11の転造加工が終了すると、左右のクランプホルダ33、34のそれぞれにおいて、油圧作動室41A、41Bの第2室43に作動油が供給されクランプ用カム38A、38Bが上動(図6) する結果、クランプ部材36A、36Bがばね37のばね力によって拡開してラック軸素材11の保持を解除する。 【0026】尚、クランプ部材36A、36Bは、図6 に示す如く、素材下面クランプ部46を有する。 素材下面クランプ部46は、クランプ部材36A、36Bの前後方向の全域に渡って設けられ、ラック軸素材11の下半面〜赤道面11Aの上部を締付けできるようにラック軸素材11のパイプ外周面と略同形をなす。 【0027】(C) 心金設定装置23(図2、図4) 心金設定装置23は、左右のクランプホルダ33、34 それぞれの後面に心金用シリンダ62を備え、この心金用シリンダ62のロッドに心金取付ブラケット63が固定され、この心金取付ブラケット63に前述の心金26 が取付けられるようになっている。 【0028】これにより、心金用シリンダ62が心金取付ブラケット63を前進させると、心金26がクランプ部材36A、36B間の素材挿入位置に設定され、ラック軸素材11のパイプ内部に心金26を挿入してラック軸素材11の転造加工を開始可能とする。 ラック軸素材11の転造加工が終了すると、心金用シリンダ62が心金取付ブラケット63を後退させる結果、心金26がラック軸素材11のパイプ内部から抜去される。 【0029】本実施例は心金を加工毎に所定の位置に移動設定するものであるが、予め所定位置に固定しておいても支障ない。 【0030】(D) 素材移動装置24(図1、図2、図4) 素材移動装置24は、架台21の上板21Cに固定した取付台70に左右の素材往復動シリンダ71、72を設け、左素材往復動シリンダ71のロッドに左連結軸71 Aを介して左クランプハウジング31を連結し、右素材往復動シリンダ72のロッドに右連結軸72Aを介して右クランプハウジング32を連結してある。 そして、左右の連結軸71A、72Aのそれぞれに設けたラック7 1B、72Bの間には、ピニオン73が介装され、左連結軸71Aと右連結軸72Aとを互いに同期させ、逆方向に移動せしめるようになっている。 ピニオン73は、 取付台70に支持されている。 【0031】これにより、素材移動装置24は、左素材往復動シリンダ71による左連結軸71Aの下動(もしくは上動)と、右素材往復動シリンダ72による右連結軸72Aの上動(もしくは下動)とを同期させると、左右のクランプハウジング31、32上のクランプホルダ33、34のそれぞれに保持されている左右のラック軸素材11、11は転造ロール27の径方向の両面に圧接しながら逆方向に移動し、各ラック軸素材11が転造ロール27の接線方向に相対的に摺動するものとなる。 このとき、転造ロール27は反時計方向(もしくは時計方向)に回転する。 尚、左右のラック軸素材11、11の摺動方向は、上述のように互いに逆方向となる(左連結軸71Aが上動すれば右連結軸72Aが下動し、転造ロール27は時計方向に回転する)。 【0032】(E) 転造深さ調整装置25(図1、図2) 転造深さ調整装置25は、架台21の左右の側板21 A、21Bに左右のねじ軸81、82を回転自在に支持し、これらのねじ軸81、82をモータ83、84により駆動可能としている。 また、架台21は、左右のスライドベース85A、86Aに左右の横移動台85、86 をスライド可能に支持し、左右の横移動台85、86に左右のねじ軸81、82が螺合されるナット85B、8 6Bを備えている。 左横移動台85は左クランプハウジング31を左右方向(転造深さ方向)には一体に保持し、上下方向(左連結軸71Aの軸方向)には相対移動可能に支持している。 右横移動台86は右クランプハウジング32を左右方向(転造深さ方向)には一体に保持し、上下方向(右連結軸72Aの軸方向)には相対移動可能に支持している。 左横移動台85と左クランプハウジング31、右横移動台86と右クランプハウジング3 2はそれぞれ係合溝と突起との係合を介して、上述の位置方向にのみ移動自在に結合されている。 【0033】転造深さ調整装置25は、前記素材往復動シリンダ71、72の運動周期をモータ83、84の制御に取り込み、素材移動装置24による左右のラック軸素材11、11の往復動の一行程毎に、左右のねじ軸8 1、82を所定角度回転し、左右の横移動台85、86 を転造ロール27の側へと一定量ずつ前進させる。 左右の横移動台85、86の前進動は、転造ロール27に対する左右のクランプハウジング31、32の上下動に同期し、転造ロール27に対する左右のラック軸素材11 の各摺動行程毎に、左右のラック軸素材11と転造ロール27との軸間距離を狭めるものとなり、左右のラック軸素材11に加工されるラック歯12の歯の深さを徐々に深くするものとなる。 【0034】(F) 角度調整装置28(図4、図5) 角度調整装置28は、素材クランプ装置22の左右のクランプハウジング31、32上で、クランプホルダ3 3、34を旋回可能に支持することとしている。 クランプホルダ33、34のそれぞれは、円形状の外径をなしてクランプハウジング31、32のそれぞれに設けてある旋回ガイド孔31A、32A(図2)に嵌合されるとともに、クランプ部材36A、36B、クランプ用カム38A、38Bが設けられる凹所35の両側に円弧状の長孔28A、28Bを有しており、旋回ガイド孔31 A、32A内で旋回せしめられた所定位置にて、固定ボルト28Bによりクランプハウジング31、32のそれぞれに固定される。 これにより、素材クランプ装置22 が保持するラック軸素材11は、図8に示す如く、転造ロール27の軸線方向に対し任意の角度方向に傾けられ、ラック軸10は、ラック軸素材11の軸線方向に対し傾斜したラック歯12を付与可能とされる。 【0035】尚、ラック軸製造装置20にあっては、心金26として、図7に示す如く、その横断面形状が、ラック軸素材11のラック歯形成予定部に対し、空隙を介して離隔する加工支持面90を備え、かつこの加工支持面90が中高状をなすものを用いることとしている。 このとき、加工支持面90は、中央の平坦面91と、両側のテーパ面92、92とによって中高状をなすものが好ましい。 【0036】以下、ラック軸製造装置20によるラック軸10の製造手順について説明する。 (1) 心金設定装置23により、心金26を左右のクランプホルダ33、34それぞれのクランプ部材36A、3 6B間の素材挿入位置に設定する。 【0037】(2) 左右のラック軸素材11、11を左右のクランプホルダ33、34それぞれのクランプ部材3 6A、36B間の素材挿入位置に位置付け、上記(1) の心金26をラック軸素材11に挿入する。 このとき、ラック軸素材11の端面をクランプホルダ33、34に設けた素材ストッパに突き当て、ラック軸素材11の長手方向の保持位置を位置決めする。 【0038】(3) 素材クランプ装置22により、上記 (2) の左右のラック軸素材11、11を左右のクランプホルダ33、34それぞれのクランプ部材36A、36 B間に締付け保持する。 左右のラック軸素材11、11 は、転造ロール27のロール軸心を通る径方向の両側の点対称上に対向して保持されるものとなる。 【0039】(4) 転造深さ調整装置25により、左右の横移動台85、86を転造ロール27に対する適宜の前進位置に設定し、ついで、素材移動装置24により、左右のクランプホルダ33、34を上下動させる。 これにより、左右のクランプホルダ33、34の上に締付け保持されている左右のラック軸素材11、11は、心金2 6の加工支持面90により背面支持される状態で、転造ロール27の外周部に食い込んで摺動し、浅いラック歯12が冷間加工により転造される。 このとき、左右のラック軸素材11、11は、転造ロール27のロール軸心を通る点対称位置関係を保ちながら、転造ロール27の外周上を互いに反対方向に摺動する。 【0040】(5) 以後、転造ロール27に対する左右のラック軸素材11、11の上記(4)の摺動行程毎に、転造深さ調整装置25により左右の横移動台85、86を一定量ずつ前進させてラック軸素材11、11と転造ロール27との軸間距離を狭め、ラック歯12の歯の深さを徐々に増していき、最終的に所定深さのラック歯12 を形成する。 【0041】以下、本実施例の作用について説明する。 ラック軸素材11と転造ロール27とを素材移動装置24により該転造ロール27の接線方向に相対的に摺動させることにより、ラック軸素材11にラック歯12を転造できる。 このとき、転造ロール27はラック軸素材11に圧接するが、ラック軸素材11は転造ロール27 に相対的に接線方向に摺動するので、転造ロール27はラック軸素材11に喰込みながら、接線力により回転し、ラック軸素材11にラック歯12を転造する。 【0042】このとき、ラック軸素材11のラック歯12の形成部分に予め平面部を形成する工程は不要であり、円形パイプのまま直ちにラック歯12を転造できる。 従って、工程簡易で生産性を向上できる。 【0043】そして、転造ロール27はラック軸素材11に対する上述の相対的摺動の所定行程毎(例えば1 行程毎)に、転造深さ調整装置25によりラック軸素材11との軸間距離を狭めることができる。 これにより、 転造ロール27は前記相対的摺動の所定行程毎に少しずつ素材に喰込んでいくので、一度に大きな力を必要とせず、比較的小さな力でラック歯12を成形することができる。 また成形されたラック歯12にバリを生ずることが少なく、かつ転造により強度に優れたラック歯12を成形することができる。 【0044】素材クランプ装置22が、転造ロール2 7に対するラック軸素材11の保持角度を変える角度調整装置28を備えていることにより、ラック軸は、ラック軸素材11の軸線方向に対し直角をなすラック歯12 を付与されるばかりでなく、ラック軸素材11の軸線方向に対し傾斜したラック歯12を簡易に付与される。 【0045】ラック軸素材11を転造ロール27の径方向の両側に対向させ、各ラック軸素材11、11をそれぞれ反対方向に摺動させることにより、両ラック軸素材11、11が転造ロール27に及ぼす圧接力はそのロール軸心を通る点対称上にあって互いに相殺される。 このため、転造ロール27のロール軸の曲げ剛性を確保するために転造ロール径を大きくする如くが不要となり、 装置を小型にできる。 【0046】上記により、転造ロール径を小さくしても、転造ロール27のロール軸が曲がりにくく、結果として、転造ラック歯の加工精度を落とさず、転造圧力を大きくできる。 【0047】上記により、転造ロール径を小さくできるから、転造ロール27と被加工面との接触面積が減少することとなり、単位面積あたりの圧接力が増加し、 結果として転造ロール27の1摺動行程あたりの被加工部の盛り上がりを増加し、加工時間を短縮できる。 【0048】同時に2本のラック軸を成形できるので、加工能力は2倍になる。 以上、本発明の実施例を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。 例えば、転造深さ調整装置は、ラック軸素材の往復動の半行程毎、或いは複行程毎(所定摺動行程毎)に、転造ロールとラック軸素材の軸間距離を狭めるものであっても良い。 【0049】また、摺動手段は、素材移動装置24によるものでなく、転造ロール移動装置により転造ロールの側を移動させても良い。 【0050】 【発明の効果】以上のように本発明によれば、ラック歯の成形工程を簡易とするとともに、比較的小さな力でラック歯を成形でき、バリの発生も少ないラック軸を製造することができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】図1は本発明の一実施例を示す正面図である。 【図2】図2は図1の平面図である。 【図3】図3は図2のIII-III 線に沿う矢視図である。 【図4】図4は素材保持手段を示す模式図である。 【図5】図5は図4の要部を示す模式図である。 【図6】図6は図5のVI-VI 線に沿う断面図である。 【図7】図7は心金を示す模式図である。 【図8】図8は転造ロールに対するラック軸素材の加工位置関係を示す模式図である。 【図9】図9はラック軸を示す斜視図である。 【符号の説明】 10 ラック軸 11 ラック軸素材 12 ラック歯 20 ラック軸製造装置 21 架台 22 素材クランプ装置(素材保持手段) 23 心金設定装置 24 素材移動装置(摺動手段) 25 転造深さ調整装置(送り手段) 26 心金 27 転造ロール 28 角度調整装置(角度調整手段) |