Low-lactose and lactose-free dairy products and a method of manufacturing the same

申请号 JP2011524420 申请日 2009-08-28 公开(公告)号 JP2012500646A 公开(公告)日 2012-01-12
申请人 ヴァリオ・リミテッドValio Ltd.; 发明人 ハリ・カリオイネン; レータ・ティカンメキ;
摘要 The invention relates to a low-lactose and a lactose-free milk product and to a process for the production thereof. The lactose in the milk raw material is hy- drolyzed, proteins, minerals and sugars are separated into different fractions by the membrane technique, and a low-lactose or a lactose-free milk product is composed from the fractions. The invention provides a milk product the water therein originating from the original milk raw material. In addition, useful by-products are produced in the process.
权利要求
  • a)乳原料中の乳糖を加水分解し、乳原料を膜ろ過に付し、
    b)工程a)で得られた1以上のフラクションの少なくとも一部を膜技術によってさらに処理し、
    c)所望により、工程a)および/またはb)で得られた1以上のフラクションの少なくとも一部を蒸発および/またはクロマトグラフィー分離に付して、タンパク質、糖類およびミネラルを異なるフラクションに分離し、
    d)工程a)で得られた1以上のフラクションおよび/または工程b)で得られた1以上のフラクション、およびおそらく工程c)で得られた1以上のフラクション、および他の成分から、実質的に水を加えることなしに、所望の組成および甘味を有する乳製品を構成し、ここに、該構成された乳製品中のいずれの残留乳糖を加水分解するためにラクターゼ酵素を該製品に加えることはなく、
    e)所望により、工程d)で得られた製品を濃縮物または粉末に濃縮することを含む、無乳糖または低乳糖乳製品の製造方法。
  • 乳原料中の乳糖が部分的に加水分解されている、請求項1記載の方法。
  • 部分加水分解乳原料の乳糖加水分解が持続すると同時に、部分加水分解乳原料が膜技術により、タンパク質、糖類およびミネラルを含有するフラクションに分離される、請求項2記載の方法。
  • 工程a)の膜ろ過が限外ろ過である、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
  • 限外ろ過において得られたUF通過物をさらにナノろ過によって処理して、NF保持物およびNF通過物を得る、請求項4記載の方法。
  • NF通過物が工程a)および/またはb)において、ダイアフィルトレーションのダイアウォーターとして使用される、請求項5記載の方法。
  • 限外ろ過で得られたUF保持物およびNF通過物を工程a)で処理すべき乳原料にリサイクルする、請求項5記載の方法。
  • 実質的に水を添加することなしに工程d)において製品を構成する、請求項1〜7のいずれか1項記載の方法。
  • 加水分解された乳原料の膜ろ過工程において得られたRO通過物またはNF通過物、または加水分解された乳原料の蒸発において得られた凝縮水が乳製品の構成における液体として用いられる、請求項8記載の方法。
  • 加水分解された乳原料の限外ろ過通過物のナノろ過から生じるNF通過物を液体として用いる、請求項9記載の方法。
  • 加水分解された乳原料の1以上の膜ろ過から得られる加水分解乳原料の1以上のフラクションを含有する無乳糖または低乳糖乳製品。
  • UF保持、UF通過、NF保持、NF通過、DF保持、DF通過、RO保持およびRO通過フラクションの少なくとも1つを含む、請求項11記載の乳製品。
  • DF保持物を含む、請求項12記載の乳製品。
  • a)乳原料中の乳糖を加水分解し、乳原料を膜ろ過に付し、
    b)工程a)で得られた1以上のフラクションの少なくとも一部をさらに膜技術によって処理し、
    c)所望により、工程a)および/またはb)で得られた1以上のフラクションの少なくとも一部を蒸発および/またはクロマトグラフィー分離に付して、タンパク質、糖類およびミネラルを異なるフラクションに分離し、
    d)工程a)で得られた1以上のフラクションおよび/または工程b)で得られた1以上のフラクション、およびおそらく工程c)で得られた1以上のフラクション、および他の成分から、実質的に水を加えることなしに、所望の組成および甘味を有する乳製品を構成し、ここに、該構成された乳製品中のいずれの残留乳糖を加水分解するためにラクターゼ酵素を該製品に加えることはなく、
    e)所望により、工程d)で得られた製品を濃縮物または粉末に濃縮する工程を含む方法によって得られた無乳糖または低乳糖乳製品。
  • 说明书全文

    本発明は、低乳糖および無乳糖乳製品およびその製造方法に関する。 乳原料中の乳糖は、完全または部分的に加分解され、タンパク質、ミネラルおよび糖類が異なるフラクションに分離される。 本発明は、特に、タンパク質、ミネラルおよび糖類の分離における膜ろ過技術の使用に関する。

    膜技術の使用によって低乳糖および無乳糖乳製品を製造するためのいくつかの方法が知られている。 乳糖を分離させるための従来の酵素的方法もまた、一般に、当該分野で知られており、該方法は、乳糖が単糖類、すなわち、グルコースおよびガラクトースに80%以上分離するように、真菌またが酵母由来のラクターゼをミルクに加える工程を含む。

    乳原料から乳糖を除去するために、いくつかの膜ろ過法による解決方法が提示されている。 4つの基本的な膜ろ過方法、すなわち、逆浸透(RO)、ナノろ過(NF)、限外ろ過(UF)およびミクロろ過(MF)が一般に使用されている。 これらのうちUFが主に、ミルクから乳糖を分離するのに適当である。 逆浸透は、一般に、濃縮、分別のための限外ろ過およびミクロろ過、および濃縮と分別の両方のためのナノろ過に応用される。 膜技術に基づく乳糖除去方法は、WO00/45643に記載されており、例えば、乳糖は、限外ろ過およびダイアフィルトレーション(diafiltration)によって除去される。 ろ過方法が用いられる場合、しばしば起こる問題は、通過物(permeate)または乳糖フラクションのような副産物の生成である。 米国出願公報第2007/0166447号は、副産物として生じた乳糖含有NF保持(retentate)フラクションを、例えば、ヨーグルトの生産における発酵原料として使用することを開示する。

    近年の研究は、実際に、ミルクの膜ろ過、ならびにチーズ、アイスクリームおよびヨーグルトなどの乳製品の生産におけるかかるろ過された低炭水化物ミルクの使用に集中している。 いくつかの異なるプロセスを含む多段膜ろ過方法が一般に知られており、該方法は、乳成分を希釈するために、および炭水化物(特に、乳糖)をわずかしか含まない乳製品中に適当な甘味を得るために、乳原料に由来しない水を別途加えることを含む。 特に、当該分野においては、元の乳原料に完全に由来しない液体を含有する生産物を「ミルク」と呼べないことが問題である。 また、膜ろ過した乳原料から残留乳糖を除去しない方法も一般に知られている。

    当該分野において、一般に膜技術を用いると、限外ろ過の間に、ミルクから乳糖だけでなく、ミルクやその乳製品の味に重要なミネラルのいくつかも除去されるという問題が知られている。 ミネラル含量の調節は、特に当該分野において問題であり、既知の方法では大量に喪失するので、これらのミネラルをしばしば戻したり、別途加えたりしなければならない。

    しばしば膜プロセスは、例えば、糖分含有およびミネラル含有二次フローも生じ、それは、効率良く利用することができず、また、廃水量も増加させるので、さらなるプロセスを必要とし、またコストも上がる。

    WO2005/074693は、無乳糖ミルクの生産における膜技術の使用を開示する。 該方法の特徴は、限外ろ過保持物を水で希釈し、その結果、乳糖含量を約3.0%にすることである。 残留乳糖は酵素的に加水分解される。

    WO03/094623A1は、乳製品を限外ろ過、ナノろ過、および逆浸透によって濃縮し、その後、限外ろ過の間に除去されたミネラルをUF保持物に戻す方法を開示する。 かくして得られた低乳糖乳製品の残留乳糖は、ラクターゼ酵素を用いて、単糖類に加水分解され、それにより、基本的に乳糖を含まない乳製品が得られる。 該方法を用いると、乳糖は、調製されている乳製品の官能特性に影響を及ぼすことなく、ミルクから除去される。 乳製品を生産するための該方法において、該方法のいずれの工程からも由来しない水が加えられる。 また、該方法は、ミネラル含有二次フローを生じ、それは、該方法において利用することができず、後処理を必要とする。

    特許公報KR20040103818は、ラクターゼで加水分解したミルクをナノろ過して、部分的にガラクトースおよびグルコースを除去し、該ナノろ過保持物に水を加えて適当な甘味を達成することを含む低乳糖ミルクの生産方法を記載する。 Choiら(Asian−Aust. J. Anim. Sci 20 (6) (2007) 989 − 993)は、乳糖加水分解ミルクの生産方法を記載し、ここに、原料ミルクはβ−ガラクトシダーゼ(5 000ラクターゼ活性単位/g, Validase, Valley Research)で部分的に(0.03%;4℃、24時間)または完全に(0.1%;40時間)加水分解され、熱処理して該酵素を不活性化し(72℃、5分)、45〜50℃に冷却し、約9〜10バールの圧下でナノろ過する(130〜140psi;濃縮ファクター1.6)。 NF保持物には水が加えられ、熱処理は、65℃で30分間行われた。 加水分解工程、酵素の熱処理、ナノろ過、および水の添加を含む該公報に開示された方法は、それ自体、水を別途添加することのない乳製品の生産に適当ではない。 該方法は、また、酵素を不活性化するために、およびろ過工程における生物学的問題(すなわち、温かい環境におけるNFろ過)を排除するために別途熱処理を含む。 ミルク加工における高い衛生要求は、また、工業的プロセスに制限を加える。 乳原料の工業的加工および膜プロセスにおいて、微生物学的問題を排除するためには、例えば、約10℃という温度が一般に望ましい。

    したがって、プロセスにおける二次フローを調節するための方法および現行の方法により効率良くそれらを回収し、新たな種類の応用も可能にする方法を提供することも望まれる。 かくして、該方法は、まだより効果的にされる。 しかしながら、完璧な味および構造を有し、感覚刺激的に許容される乳製品に対する消費者の期待に応え、別途水を加えることなく経済的かつ簡単に製造される製品を達成することは、非常に困難である。

    今回、意外にも、余計なコストがかからず官能特性において完璧な低乳糖および無乳糖乳製品を生産するための方法が発明された。 本発明の方法は、従来の方法と比べて、特別な余計なコストもかからず、かつ、最小限のロスで、より効率良くかつより単純な乳成分の調節を可能にする。 該乳製品生産において、水を別途添加する必要はない。 さらに、本発明の方法は、後処理を必要とする二次フローを生じないので、より効率的である。

    発明の簡単な記載 本発明は、乳原料中の乳糖を加水分解し、膜技術により、得られた加水分解乳原料からタンパク質、糖類およびミネラルを異なるフラクション中に分離する方法によって、低乳糖、無乳糖および低炭水化物乳製品の生産、およびタンパク質に富む乳製品および修飾されたタンパク質組成を有する製品の生産において生じる、水を別途添加するという問題のある要求、およびかかる乳製品の官能特性、特に味に関連する問題を回避するための新規な解決法を提供する。 該望ましい乳製品は、別途水を添加することなく、分離されたフラクションから調製することができる。

    本発明は、低乳糖および無乳糖乳製品の生産のための方法を提供し、該方法は、独立請求項に記載される特徴を有する。 本発明は、また、本発明の方法によって得られた異なるフラクションから生産される低乳糖および無乳糖乳製品を提供する。 本発明の方法は、単純かつ強化された方法で、低乳糖および無乳糖乳製品の生産を可能にし、その結果、水、塩および/またはタンパク質を別途補足/添加する必要がなく、副産物は特に、同じ生産プラントにおける種々の応用における使用に適当である。

    本発明の方法の結果として得られた全ての副産物は、一般的な乳製品であり、該方法において生産された二次フローはさらに本発明の方法において利用することができる。 該方法は、特別な方法で処理または分離すべき生産物または二次フローをもたらさず、このことは、廃水量を最小限にすることを意味する。

    さらに、特に、無乳糖および低乳糖乳製品のタンパク質およびミネラル喪失という特徴が回避され、特に、該方法において生じる希釈水性溶液の回収が増加する。

    本発明は、さらに、単純で、経済的で、かつ、大規模な工業的応用が可能な方法を提供し、付加的なコストを生じない。

    意外にも、膜ろ過技術による乳原料中の乳糖の完全または部分的加水分解がプロセス水およびミネラル:タンパク質比の効率の良い調節をもたらした。 したがって、本発明は、プロセスにおいて生じるフロー、特に、希釈水性溶液の効率的な利用を可能にする方法で、プロセスにおいて別途水を添加する必要もなく、加水分解されたスキムミルクの乳原料の成分を処理する方法を提供する。

    本発明の方法によって生産された乳製品は、所望の官能特性を有し、少量の炭水化物を含有し、かつ、少なくとも通常のミルクに相当する量で栄養成分を含有する。

    発明の詳細な記載 態様として、本発明は、低乳糖および無乳糖乳製品を生産する方法に関し、該方法は、
    a)乳原料中の乳糖を加水分解し、乳原料を膜ろ過に付し、
    b)工程a)で得られた1以上のフラクションの少なくとも一部を膜技術によってさらに処理し、
    c)所望により、工程a)および/またはb)で得られた1以上のフラクションの少なくとも一部を蒸発および/またはクロマトグラフィー分離に付して、タンパク質、糖類およびミネラルを異なるフラクションに分離し、
    d)工程a)で得られた1以上のフラクションおよび/または工程b)で得られた1以上のフラクション、およびおそらく工程c)で得られた1以上のフラクション、および他の成分から、実質的に水を加えることなしに、所望の組成および甘味を有する乳製品を構成し、ここに、該構成された乳製品のいずれの残留乳糖を加水分解するためにラクターゼ酵素を該製品に加えることはなく、
    e)所望により、工程d)で得られた製品を濃縮物または粉末に濃縮することを含む。

    本発明との関連において、乳原料とはミルク、ホエー、およびミルクとホエーの組み合わせそれ自体または濃縮物をいう。 該乳原料は、乳製品の調製において一般的に使用される成分、例えば、脂肪、タンパク質または糖フラクションなどを補足してもよい。 したがって、該乳原料は、例えば、全脂乳、クリーム、低脂肪乳またはスキムミルク、限外ろ過ミルク、ダイアフィルトレーションしたミルク、ミクロろ過したミルク、プロテアーゼ処理したミルク、粉乳から再生したミルク、有機乳、またはこれらの組み合わせ、またはこれらのいずれかの希釈物であってもよい。 好ましくは、該乳原料は、スキムミルクである。

    本発明の方法の工程a)において、当該分野でよく知られているように、乳原料中の乳糖は、単糖類に加水分解される。 本発明の具体例において、乳糖加水分解工程および乳成分を分離するための膜ろ過工程は、互いに同時に開始される。 本発明の別の具体例において、乳糖加水分解は、ろ過工程の前に開始される。 本発明のさらなる具体例において、加水分解は、膜ろ過工程の前に完全に行われる(完全加水分解)。 本発明の方法の別の具体例において、加水分解は、膜ろ過工程の前に部分的に行われ、次いで、部分的に加水分解された乳原料中の乳糖加水分解は、部分的に加水分解された乳原料のろ過と同時に、すなわち、乳成分の分離と同時に続けられる。 乳糖加水分解は、例えば後の段階で構成される乳製品または本発明において得られる種々のフラクションの熱処理によって、ラクターゼ酵素が不活性化しないかぎり、持続することができる。 本発明の具体例によると、工程a)の膜ろ過は、限外ろ過(UF)である。

    完全加水分解は、加水分解された乳原料が乳糖を含まず、乳糖含量が0.5%以下であることを意味する。 部分加水分解は、加水分解された乳原料中の乳糖含量が>0.5%であることを意味する。

    本発明の方法の工程b)において、工程a)由来のラクターゼを含有する乳原料は、さらに、タンパク質、糖類およびミネラルを異なるフラクションに分離するための膜ろ過に付される。 工程b)は、いくつかの連続的な膜ろ過工程を含むことができる。 本発明の具体例において、工程b)は、膜ろ過技術、プロセス条件および/または異なる型の膜を変えることによって行われる。 変えるべき条件は、例えば、ろ過温度、ろ過圧、ダイアフィルトレーション工程の付加、および/またはろ過の濃縮係数であってもよい。 1以上の変数の条件を変えてもよい。 さらなる処理に適当な膜技術は、例えば、ナノろ過(NF)および逆浸透(RO)、特にナノろ過である。 所望により、次の膜ろ過工程のために、膜ろ過から得られた2以上の保持および通過フラクションを合わせることができる。

    本発明の方法の工程c)にしたがって、所望により、工程a)および/または工程b)で得られた1以上の保持および通過フラクションの少なくとも一部をさらに、蒸発および/またはクロマトグラフィーによって処理して、タンパク質、糖類およびミネラルの分離をさらに強化する。 本発明には、さらなる処理が水を添加することなしに行われうることが極めて重要である。

    また、1以上の工程において所望の方法で、異なる分離プロセスを合わせてもよい。

    本発明の具体例において、加水分解された乳原料のナノろ過において得られたNF通過物を、本発明の方法において、ダイアフィルトレーション(DF)におけるダイアウォーター(diawater)として利用する。 本発明にしたがって得られたNF通過物は、本発明の方法において利用できるだけでなく、他の膜ろ過プロセスにおいても利用できる。 本発明の特定の具体例において、NF通過物は、加水分解された乳原料のUF通過物のナノろ過から生じる。

    本発明の方法の具体例において、工程a)で得られた限外ろ過保持物および限外ろ過通過物のナノろ過から生じたナノろ過通過物は、工程a)で処理されるべき乳原料に再利用される。

    加水分解された乳原料中のタンパク質、糖類およびミネラルは、保持物中の糖類の保持力が低い条件下での第一工程において、膜技術によって、好ましくは限外ろ過によって分離される。

    適当な限外ろ過膜は、例えば、HFK−131(Koch membrane systems, Inc., USA)を包含する。 適当な限外ろ過膜は、例えば、Desal 5 DL(GE Osmonics, USA)、Desal 5 DK(GE Osmonics, USA)、TFC (登録商標)SR3(Koch membrane systems, Inc., USA)、FILMTEC TM (登録商標)NF(Dow, USA)を包含する。 適当な逆浸透膜は、例えば、TFC (Koch membrane systems, Inc., USA)およびFILMTEC FT30(Dow, USA)を包含する。

    濃縮係数(K)は、ろ過に投入されるべき液体と保持物との間の重量比をいい、下記の方法:
    K=投入量(kg)/保持物(kg)
    によって決定される。

    本発明の方法において、限外ろ過は、好ましくは、濃縮係数K=1〜10、より好ましくは2〜6で行われ、ナノろ過は、好ましくは、濃縮係数K=1〜10、より好ましくはK=2〜6で行われる。 ダイアフィルトレーションを用いる場合、濃縮係数は、相当大きくてもよい。

    本発明の方法の工程d)にしたがって、所望の組成および甘味を有する無乳糖または低乳糖乳製品が、加水分解された乳原料の膜ろ過から得られた1以上のフラクション、および所望により、蒸発および/またはクロマトグラフィー分離によるさらなる処理から得られた1以上のフラクションから構成される。 該フラクションは、また、低炭水化物であってタンパク質に富む乳製品および修飾されたタンパク質組成を有する乳製品中に配合させてもよい。 他の成分もまた、該製品に添加してもよい。 乳製品は、実質的に、水を加えることなく構成され、この場合、本発明の方法から得られた加水分解された乳原料のフラクションが、該製品を構成するのに必要とされる液体として使用される。 かかる添加されるべき液体として、特に、RO通過物、NF通過物または加水分解された乳原料の濃縮または蒸発時に生じた凝縮水を挙げてもよい。 本発明の具体例において、NF通過物は、加水分解された乳原料のUF通過物のナノろ過から生じる。

    該液体として、水道水を部分的に使用してもよい。 本発明との関連において、「実質的に水を加えることなく」なる語は、水道水の少なくとも50%を本発明の方法で得られたフラクションに置き換えることを意味する。

    所望により、本発明の方法で製造された低乳糖または無乳糖乳製品をミルク濃縮物またはミルク粉末に濃縮してもよい。

    本発明による乳製品は、低乳糖または無乳糖である。 本発明において、「低乳糖」なる語は、乳製品の乳糖含量が1%以下であることを意味する。 「無乳糖」なる語は、乳製品の乳糖含量が1回の供給(serving)につき0.5gである(例えば、液体ミルク0.5g/244gの場合、乳糖含量は多とも0.21%である)が、0.5%を超えないことを意味する。 本発明にしたがって、ほとんど炭水化物を含有せず、かつ、完璧な官能特性を有するミルク飲料もまた製造されうる。 さらに、乳原料中に含有されるタンパク質の喪失は、最小限になり、別途ミネラルおよび/またはタンパク質を補足/添加する必要はない。

    本発明の方法は、単純で、かつ、大規模製造に適当である。

    本発明の方法は、バッチ生産および連続生産の両方に適用されうる。 好ましくは、本発明の方法は、バッチプロセスとして実行される。

    第2の態様において、本発明は、加水分解された乳原料の1以上の膜ろ過から得られた加水分解された乳原料の1以上のフラクションを含有する無乳糖および低乳糖乳製品を提供する。 本発明の具体例において、無乳糖乳または低乳糖乳製品は、UF保持、UF通過、NF保持、NF通過、DF保持、DF通過、RO保持およびRO通過フラクションの少なくとも1つを含む。 本発明の特定の具体例において、本発明の乳製品は、DF保持物の形態でタンパク質に富む形態で得られる。

    一の態様として、本発明は、また、
    a)乳原料中の乳糖を加水分解し、乳原料を膜ろ過に付し、
    b)工程a)で得られた1以上のフラクションの少なくとも一部を膜技術によってさらに処理し、
    c)所望により、工程a)および/またはb)で得られた1以上のフラクションの少なくとも一部を蒸発および/またはクロマトグラフィー分離に付して、タンパク質、糖類およびミネラルを異なるフラクションに分離し、
    d)工程a)で得られた1以上のフラクションおよび/または工程b)で得られた1以上のフラクション、およびおそらく工程c)で得られた1以上のフラクション、および他の成分から、実質的に水を加えることなしに、所望の組成および甘味を有する乳製品を構成し、ここに、該構成された乳製品中のいずれの残留乳糖を加水分解するためにラクターゼ酵素を該製品に加えることはなく、
    e)所望により、工程d)で得られた製品を濃縮物または粉末に濃縮する工程を含む方法で製造された無乳糖または低乳糖乳製品に関する。

    上記のように、加水分解された乳原料のナノろ過で得られたNF通過物は、膜ろ過プロセスにおけるダイアウォーターとして利用できる。 該NF通過物は、特に、本発明の方法のダイアフィルトレーションにおいて使用できる。 本発明の一の具体例において、NF通過物は、加水分解された乳原料のUF通過物のナノろ過から生じる。

    加水分解された乳原料の膜ろ過において得られたグルコースおよびがラクトースを含有する糖フラクションは、例えば、甘味料として、またはサワーミルク製品の製造における発酵プロセスにおいて利用できる。 該糖フラクションは、加水分解された乳原料の限外ろ過において得られるUF通過物として、またはナノろ過において得られるNF保持物として得ることができる。 該糖フラクションは、特に、加水分解された乳原料の限外ろ過通過物のナノろ過から得られるNF保持物として得ることができる。 乳糖含有フラクションと比べて、加水分解の結果として得られる該グルコースおよびガラクトース含有フラクションは、例えば、サワーミルク製品の製造におけるスターターとしてより安易かつ直接的に使用可能な形態である。 したがって、本発明の方法によって得られるグルコースおよびガラクトース含有フラクションは、発酵プロセスにおける発酵糖として使用できる。

    下記の実施例は、本発明を説明するが、本発明は示される具体例のみに限定されない。

    実施例1 冷条件における加水分解されたスキムミルクの限外ろ過(K=1.9)
    スキムミルク(40L)をGodo YNL2ラクターゼ(Godo Shusei Company, Japan)(用量0.15%)を用いて加水分解した(6℃、18時間)。 完全に加水分解されたスキムミルクを9〜19℃および4.5〜5.0バール圧にて、HFK−131膜(Koch Membrane Systems Inc., USA)を用いて限外ろ過した。 通過フローは、3.8〜6.5 l/m hであった。 限外ろ過は、濃縮係数1.9(すなわち、UF保持物の体積が21Lで、UF通過物の体積が19Lのとき)まで持続した。

    投入物(加水分解されたスキムミルク)、UF保持物およびUF通過物から試料を採取し、そのタンパク質、乾物、グルコース、ガラクトースおよび灰分を測定した(表1)。

    UF保持物は、ミルク飲料を構成するために用いられた(実施例9、表10および11)。

    実施例2 温条件における加水分解されたスキムミルクの限外ろ過(K=4)
    スキムミルク(40L)をGodo YNL2ラクターゼ(Godo Shusei Company, Japan)(用量0.15%)を用いて加水分解した(6℃、22時間)。 完全に加水分解されたスキムミルクを45〜50℃および1〜3.5バール圧下にて、HFK−131膜(Koch Membrane Systems Inc., USA)を用いて限外ろ過した。 通過フローは、7.8〜10.3 l/m hであった。 限外ろ過は、濃縮係数4(すなわち、UF保持物の体積が10Lであって、UF通過物の体積が30Lであるとき)まで持続した。

    投入物(加水分解されたスキムミルク)、UF保持物およびUF通過物から試料を採取し、そのタンパク質、乾物、グルコース、ガラクトースおよび灰分を測定した(表2)。

    UF保持物は、ミルク飲料(実施例9、表12)、フレーバーミルク飲料(実施例10、表13)およびホエータンパク質含有ミルク飲料(実施例11、表15)を構成するために用いられた。

    UF通過物はさらにナノろ過によって処理した(実施例3)。

    実施例3 加水分解されたスキムミルクの限外ろ過通過物のナノろ過(K=2)
    実施例2の実験をFilmtec NF膜(Dow, USA)を用い、ろ過温度10〜16℃にて、限外ろ過通過物のナノろ過によって、濃縮係数2まで続けた。 通過フローは、10 l/m hであり、圧力は11〜17バールであった。 投入物は、29.5Lであり、NF保持物は14.5Lであり、NF通過物は15Lであった。

    投入物、NF保持物およびNF通過物の乾物、グルコース、ガラクトースおよび灰分を測定した。 結果を表3に示す。

    NF通過物は、実施例5においてダイアフィルトレーション工程に用いられた。

    NF通過物はまた、ミルク飲料を構成するために用いられた(実施例9、表10および12)。

    実施例4 加水分解されたミルクの限外ろ過通過物の2工程ナノろ過(K=4,K=4)
    加水分解されたミルクの限外ろ過通過物を、Desal 5 DL膜を用いて、濃縮係数4までナノろ過した。 ろ過温度は44〜47℃であり、通過フローは10 l/m hであり、圧力は3〜6バールであった。 投入物は40Lであり、NF保持物Iは10Lであり、NF通過物Iは30Lであった。

    投入物、NF保持物IおよびNF通過物Iの乾物、グルコース、ガラクトースおよび灰分を測定した。 結果を表4に示す。

    第一のナノろ過の通過物(NF通過物I)を第2工程において、Filmtec NF膜を用いて濃縮係数4までナノろ過した。 ろ過温度は10〜24℃であり、通過フローは11〜3.2 l/m hであり、圧力は11〜24バールであった。 投入物は28.5Lであり、NF保持物IIは6Lであり、NF通過物IIは22.5Lであった。

    投入物、NF保持物IIおよびNF通過物IIの乾物、グルコース、ガラクトースおよび灰分を測定した。 結果を表5に示す。

    2工程ナノろ過は、純粋な糖濃縮物を、低灰分含量を有するNF保持物IIとしてもたらした。 特に二価のミネラル、カルシウムおよびマグネシウムから、80%がNF保持物Iに残存した。

    NF保持物IIは、フレーバーミルク飲料における甘味料として用いられた(実施例10、表13および14)。

    NF通過物IIをさらに逆浸透によって濃縮し、得られたRO通過物をココアミルク飲料を構成するために用いた(実施例10、表14)。

    実施例5 ダイフィルトレーションと組み合わせた、加水分解されたスキムミルクの限外ろ過(K=2.2)
    スキムミルク(40L)をGodo YNL2ラクターゼ(Godo Shusei Company, Japan)(用量0.15%)を用いて加水分解した(6℃、18時間)。 完全に加水分解されたスキムミルクを8〜13℃および3.5〜4.0バール圧にて、HFK−131膜(Koch Membrane Systems Inc., USA)を用いて限外ろ過した。 通過フローは5.3〜7.5 l/m hであった。 スキムミルクを係数2.2(すなわち、UF保持物の体積が18Lであり、UF通過物の体積が22Lであるとき)まで濃縮した。 次いで、14Lの実施例3のNF通過物を徐々にUF保持物に加えた。 ダイアフィルトレーション工程後、DF保持物の体積は24Lであり、ダイアフィルトレーションおよび限外ろ過から得られた通過物の合わせた体積は30Lであった。 該実施例において以下、合わせたUFおよびDF通過物を「通過物」と称する。

    投入物(加水分解されたスキムミルク)、DF保持物および通過物から試料を採取し、そのタンパク質、乾物、グルコース、ガラクトースおよび灰分を測定した(表6)。

    タンパク質に富む無乳糖ミルク飲料は、実施例3由来の限外ろ過通過物のナノろ過通過物を限外ろ過保持物に戻して循環させることによって、DF保持物として得られる。 DF保持物は、官能性評価され、良好かつ十分な味を有することが見出された。

    実施例6 部分的に加水分解されたスキムミルクの限外ろ過およびろ過の間の加水分解(K=2.2)
    スキムミルク(40L)をLactoles L3ラクターゼ(Biocon Ltd., Japan)(用量0.18%)を用いて加水分解した(50℃、1時間)。 部分的に加水分解されたスキムミルクを43〜45℃および1.0〜3.5バール圧にて、HFK−131膜(Koch Membrane Systems Inc., USA)を用いて限外ろ過した。 通過フローは10 l/m hであった。 スキムミルクを係数2.2(すなわち、UF保持物の体積が18Lであり、UF通過物の体積が22Lであるとき)まで濃縮した。 次いで、UF通過物をUF保持物に戻して循環させた。 加水分解の進行は、該濃縮および循環の間に観察された。 ろ過を2時間続けた。 ろ過の始めに、該ミルクの乳糖含量は0.57%であり、ろ過の最後には、0.01%以下であった。

    投入物(加水分解されたスキムミルク)、ろ過後のUF保持物およびUF通過物から試料を採取し、そのタンパク質、乾物、グルコース、ガラクトースおよび灰分を測定した(表7)。

    結果は、乳糖の加水分解がろ過の間に持続できることを示す。

    実施例7 同時の加水分解およびろ過による無乳糖ミルク飲料の製造 0.2%のGodo YNL2ラクターゼ(Godo Shusei Company, Japan)をスキムキルク(100L)に加えた。 酵素の添加直後に、ミルクのろ過を開始した。 限外ろ過およびナノろ過を同時に行って、UF保持物およびNF通過物を限外ろ過投入物に戻して循環させた。 限外ろ過を6℃および3.5〜4.0バール圧にて、HFK−131膜(Koch Membrane Systems Inc., USA)を用いて行った。 通過フローは5 l/m hであった。 ナノろ過において、Filmtec NF膜(Dow, USA)およびろ過温度6℃を用いた。 通過フローは7.5 l/m hであり、圧力は18〜22バールであった。 限外ろ過濃縮係数は、1.9であり、ナノろ過の濃縮係数は4であった。 ろ過は、ろ過器の投入タンクにおいて形成された最終産物から所望の量の炭水化物が除去されるまで続けた。 ろ過の最後に、ミルクの乳糖濃度は0.09%であった。 100Lのスキムミルクは、88Lの生産物をもたらし、理論上、そのうち52.5LがUF保持物であり、35.5LがNF通過物であった。 形成されたNF保持物の量は、12Lであった。

    該生産物のタンパク質、乾物、グルコース、ガラクトースおよび灰分を測定した(表8)。

    実施例8 加水分解されたホエーのナノろ過(K=7)
    脱脂し、遠心分離したホエー(40L)をGodo YNL2ラクターゼ(Godo Shusei Company, Japan)(用量0.1%)を用いて加水分解した(9℃、20時間)。 完全に加水分解されたホエーをDesal 5 DL膜(GE Osmonics, USA)、温度46〜51℃および圧力3〜6.5バールでナノろ過した。 通過フローは、10.0〜13.5 l/m hであった。 ナノろ過は、濃縮係数7(すなわち、NF保持物の体積が5.5Lであり、NF通過物の体積が34.5Lであるとき)まで持続した。

    投入物(加水分解されたホエー)、NF保持物およびNF通過物から試料を採取し、そのタンパク質、乾物、グルコース、ガラクトースおよび灰分を測定した(表9)。

    加水分解されたホエーから分離されたNF通過物の組成は、対応する条件下におけるミルクの限外ろ過通過物から分離されたNF通過物I(実施例4、表4)に実によく一致した。 所望により、該ホエーのナノろ過は、実施例4に記載されたのと同じように、第2工程において持続させてもよい。

    NF保持物は、ホエータンパク質含有ミルク飲料を構成するために使用された(実施例11、表15)。

    実施例9 加水分解されたスキムミルクの限外ろ過保持物および限外ろ過通過物のナノろ過通過物からのミルク飲料の構成 無乳糖ミルク飲料1は、実施例1の加水分解スキムミルクの限外ろ過保持物および実施例3の限外ろ過通過物のナノろ過通過物から構成された。 無乳糖ミルク飲料2において、限外ろ過通過物のナノろ過通過物を水で置き換えた。 無乳糖ミルク飲料3は、加水分解されたスキムミルクの限外ろ過保持物および実施例3の限外ろ過通過物のナノろ過通過物およびスキムミルクから構成された。 さらに、EP公開第EP1061811B1号にしたがうミルクミネラル粉末を該組成において使用した。

    該フラクションの組成および混合物中のその割合、および無乳糖ミルク飲料の組成を表10〜12に示す。 無乳糖スキムミルク飲料の組成は、炭水化物を除き、通常のミルクに一致する。 該飲料に必要とされる全ての水分および添加されるミルクミネラル粉末の必要性の一部は、限外ろ過通過物のナノろ過通過物に置き換えることができる。

    実施例10 ココアミルク飲料中の甘味料としての限外ろ過通過物のナノろ過保持物の使用 無乳糖ココアミルク飲料は、無乳糖ミルク(脂肪含量1%)、実施例4のナノろ過保持物II、実施例2の加水分解されたスキムミルクの限外ろ過保持物、サッカロース、低乳糖クリームおよびココア粉末から構成された。 低乳糖ココアミルク飲料は、実施例4のRO通過物、実施例4のナノろ過保持物II、低乳糖スキムミルク粉末、サッカロース、無乳糖クリームおよびココア粉末から構成された。 該フラクションの組成および該飲料におけるその割合、およびココアミルク飲料の組成を表13および14に示す。

    両方のココアミルク飲料の官能特性は良好かつ十分であった。 無乳糖ココアミルク飲料において、必要なサッカロースの30%を実施例4のナノろ過保持物IIで置き換えることができ、低乳糖飲料中25%であった。

    実施例11 加水分解されたホエーおよびスキムミルクの膜ろ過フラクションからの無乳糖ホエー含有ミルク飲料の構成 無乳糖ホエータンパク質含有ミルク飲料は、実施例8の加水分解されたホエーのNF保持物、加水分解されたスキムミルク、水および実施例2の加水分解されたスキムミルクのUF保持物から構成された。 該フラクションの組成および混合物におけるその割合、および無乳糖ホエータンパク質含有ミルク飲料の組成を表15に示す。 該無乳糖ホエータンパク質含有ミルク飲料は、通常のミルクより少ない量の炭水化物および多い量のホエータンパク質を含有し、該飲料のタンパク質のその割合は50%であった。

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