植物性フェノール、及び好酸球性食道炎の治療若しくは予防におけるその使用

申请号 JP2015532433 申请日 2013-09-23 公开(公告)号 JP2015535822A 公开(公告)日 2015-12-17
申请人 ネステク ソシエテ アノニム; ネステク ソシエテ アノニム; 发明人 キャリン ブランシャール,; キャリン ブランシャール,; セバスティアン ホルヴォエ,; セバスティアン ホルヴォエ,;
摘要 本発明は、好酸球性食道炎の治療又は予防における、 植物 性フェノール、特に植物性フェノール酸(例えば、ロスマリン酸、エラグ酸、クロロゲン酸)の使用に関する。【選択図】図1
权利要求

好酸球性食道炎の予防又は治療における使用のための組成物であって、植物性フェノールを含む組成物。フェノールは、ロスマリン酸、エラグ酸、クロロゲン酸、又はそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。植物性フェノールはポリフェノールである、請求項1に記載の組成物。植物性フェノールは植物抽出物に含まれる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。植物抽出物は、タイム、ザクロ、グリーンコーヒー、又はそれらの混合物からの抽出物からなる群から選択される植物抽出物である、請求項4に記載の組成物。経口的に投与される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。局所経口的に投与される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。スプレーの形態で投与される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。ヒト又は愛玩動物、特にネコ若しくはイヌに投与される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。ヒトは、生後1か月〜6歳の低年齢の小児、6〜18歳の年長の小児、又は成人である、請求項10に記載の組成物。栄養組成物、経口栄養補助食品、又は医薬品である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物。栄養組成物は、乳幼児用栄養補給組成物、アミノ酸ベースの飲料若しくは調製乳、フォローアップフォーミュラ、グローイングアップミルク、乳幼児用シリアル、又は乳児用栄養組成物からなる群から選択される、請求項11に記載の組成物。栄養組成物は、飲料製品、ヨーグルト製品、発酵乳、フルーツジュース、小袋入りの乾燥粉末、又はシリアルバーからなる群から選択される、請求項11に記載の組成物。栄養組成物は、経口栄養補給のためのヘルスケア栄養組成物、経腸栄養補給のための栄養製品、又は非経口栄養補給製品などの、特定の医療目的のための食品である、請求項11に記載の組成物。

说明书全文

発明の分野

本発明は、好酸球性食道炎の治療又は予防における植物性フェノールの使用に関する。

背景

好酸球性食道炎は、抗原によって又は抗原によらずに引き起こされ得る食道の炎症状態である。症状は、機能性腹痛、嘔吐、発育障害、嚥下障害、食物の食道嵌頓、及び胸やけを含む。該疾患は当初、小児において記述されたが、成人においても同様に生じる。好酸球は通常、正常な食道粘膜では検出されない。しかしながら、好酸球性食道炎においては、好酸球が食道の上皮に浸潤し、しばしば上皮の表面近くに塊状で検出され得る。好酸球の浸潤は、上皮における炎症性活動に対する反応としての基底層の肥厚と関連していることが多い。

内科的療法、機械的拡張、及び食事の変更を含めて、好酸球性食道炎の治療に利用できる異なる戦略が存在する。

内科的療法では、コルチコステロイド及びプロトンポンプ阻害薬が症状を緩和することが見出された。抗ヒスタミン薬の投与によりアレルギー反応が軽減され得ることも確認された。上皮の腫脹が食道を遮断するおそれのある重度の症例では食道の機械的拡張が検討され得る。

先行の栄養学的治療法は、主として、潜在的な食物アレルゲンを食事から除外することによる食事の変更を目的とする。したがって、アレルギー評価を行い、これにより、該疾患を誘発する可能性があるアレルゲンが特定される。その後、特定されたアレルゲンを除外するように食事が変更される。他のアプローチは、潜在的なアレルゲンを含まない完全栄養の提供を目的とする。例えば、米国特許出願公開第2008/0031814号には、アレルゲン性成分を含まず、それゆえ、アレルギー性炎症状態の発症を予防する栄養組成物が記載されている。したがって、いくつかの栄養成分の選択により疾患を治療する代わりに、先行技術の食事は、食事におけるアレルゲン性成分を回避することを目的とする。

したがって、主要なアレルゲンを含まないだけではなく、好酸球性食道炎を積極的に予防又は治療することが可能な天然化合物を含む組成物が求められている。

概要

本発明は、好酸球性食道炎の予防又は治療の問題に対する新規で代替的な解決手段を提供することを目的とする。驚くべきことに、植物性フェノールが好酸球性食道炎の予防又は治療に有用であることが見出された。好酸球性食道炎の予防又は治療に有用である成分の評価は、好酸球性食道炎の確立されたマウスモデルを用いて行われる(Akei et al., “Epicutaneous antigen exposure primes for experimental eosinophilic esophagitis in mice”, Gastroenterology, 2005 Sep;129(3):985−94)。本モデルは、好酸球性食道炎に対する効果の指標としての食道中の好酸球の数を含めて種々のパラメータを使用する。したがって、本モデルは、好酸球性食道炎の予防又は治療のための候補となる化合物の試験にとって理想的に適している。

したがって、本発明は、好酸球性食道炎の予防又は治療における使用のための組成物であって、植物性フェノールを含む組成物に関する。該フェノールは、ロスマリン酸、エラグ酸、プニカラジン、クロロゲン酸、又はそれらの混合物からなる群から選択され得る。植物性フェノールはポリフェノール又はタンニンであり得る。植物性フェノールは植物抽出物の中に含まれ得、該組成物は前記植物性フェノールを含み得る。したがって、本発明は、タイム(thyme)、ザクロ(pomegranate)、グリーンコーヒー(green coffee)、又はそれらの混合物からの抽出物からなる群から選択される植物抽出物を含む組成物にも関する。

組成物は、経口的に、又は任意選択で経管栄養により又は局所経口的に投与され得る。組成物は、ヒト又は愛玩動物、特にネコ若しくはイヌに投与され得る。ヒトは、生後1か月〜6歳の低年齢の小児、6〜18歳の年長の小児、又は成人であり得る。したがって、栄養組成物は、乳幼児用栄養補給組成物、フォローアップフォーミュラ(follow−up formula)、グローイングアップミルク(growing−up milk)、乳幼児用シリアル、又は乳児用栄養組成物からなる群から選択され得る。組成物はまた、栄養組成物、ペット用栄養組成物、経口栄養補助食品、又は医薬品であり得る。特に、栄養組成物は、飲料製品、ヨーグルト製品、発酵乳、フルーツジュース、又はシリアルバーからなる群から選択され得る。栄養組成物は、経口栄養補給のためのヘルスケア栄養組成物、経腸栄養補給のための栄養製品、又は非経口栄養補給製品などの、特定の医療目的のための食品であり得る。

図1(Fig.1): 実験プロトコール。

図2(Fig.2): 食道における好酸球の数。食道を採取し、組織試験を行った。好酸球を、1強拡大視野(hpf)につきヘマトキシリンエオシン(H&E)染色スライド上で同定・計数した。食道全体における1hpf視野で検出された好酸球の最大数をAに示す。食道上皮に存在する好酸球の最大数をBに示す。

定義

「好酸球性食道炎」は食道の炎症状態である。症状は、機能性腹痛、嘔吐、発育障害、嚥下障害、食物の食道嵌頓、及び胸やけを含む。好酸球性食道炎は、食道の上皮に浸潤する好酸球の存在によって特徴付けられる。好酸球の浸潤は基底層の肥厚と関連し得る。好酸球性食道炎は、ICD−9(国際疾病分類第9版)の下で530.13として指定されている。食道の粘膜生検材料中に1「強拡大視野」(以下で定義)につき15個を上回る好酸球が検出される場合、疾患である好酸球性食道炎と診断されるものとみなされ得る。

「植物性フェノール」は天然有機化合物の1種である。それらは1つ又は複数のフェノール基を含む。ここでは、植物中に存在するフェノール及び植物中に存在する天然のフェノールと同一の人工的に合成されたフェノールのみを考慮に入れる。

「フェノール基」は、ヒドロキシル基に結合したフェニル基を含む基である。フェノール基の環炭素の素はさらなる残基(例えば、ヒドロキシル−、アルカン−、アルケン残基、カルボキシル等として形成された環炭素)で置換され得る。特に好ましい置換はさらなるヒドロキシル基である。

本発明の意味での「植物性ポリフェノール」は、2つ以上のフェノール基を含むフェノールである。

本発明において、「強拡大視野」(“high power field (hpf)”)は、使用される顕微鏡の対物レンズの最大倍率での可視域をいう。これは400倍の倍率に相当し得る。

本発明において、「局所経口的」(“topical−oral”)は、食道粘膜による組成物の直接吸収のために、組成物を食道粘膜に局所的に適用する投与の一形態である。本形態の投与は、食道を起点とする消化管を介した組成物の吸収を回避することが意図されている。局所経口的投与の典型的な形態は、口腔を介して噴霧され、後に食道へと嚥下する、スプレーの形態での投与である。

発明の詳細な説明

本セクションの見出しは、主題を明確にするためのものであり、主題を限定するものとして解釈されるべきではない。数値の範囲が開示される場合、各数値、特に各整数は該範囲に包含されているものと見なされる。特に断らない限り、%で表示される値は重量パーセント値(w/w)に関する。驚くべきことに、いくつかの植物性フェノールは、好酸球の量を減少させるのに有用であることが見出された。この知見は好酸球性食道炎のマウスモデルにおいて得られた。したがって、植物性フェノールは、ある組織における好酸球数の増加によって特徴付けられる疾患である好酸球性食道炎の治療又は予防において使用可能であると結論付けられる。

組成物: 本発明の組成物は、以下でさらに詳細に説明されるいくつかの成分(主な有効成分は植物性フェノールである。)を含み得る。

植物性フェノール: 組成物は少なくとも1種の植物性フェノールを含む。植物性フェノールは、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ又は6つのフェノール残基を含む。1つ又は2つのフェノール残基を含む植物性フェノールが特に好ましい。好ましくは、植物性フェノールは水素、炭素及び酸素のみからなる。好ましくは、植物性フェノールは、シクロヘキサン残基、フェノール残基、H−残基、OH−残基、C=残基、CO2H−残基、エチル残基、及び−O−残基からなる群から選択される残基を含むか又はそれからなる。

組成物は、少なくとも1種、少なくとも2種、少なくとも3種、又は少なくとも4種の異なる植物性フェノールを含み得る。植物性フェノールの組み合わせは好酸球性食道炎に対する相乗効果を示すことが予想される。フェノールは、天然の植物源に存在するフェノールである。天然の供給源は、タイム、ザクロ、グリーンコーヒー、又はそれらの混合物であり得る。フェノールは、任意の既知の抽出法(例えば、水又は有機溶媒(例えば、エタノール又はエーテル)を用いる抽出)によってそれらの天然の供給源から抽出され得る。

組成物は、植物性フェノールを含む植物抽出物を含み得る。組成物は、タイム、ザクロ、グリーンコーヒー、又はそれらの任意の可能な組み合わせ若しくは混合物からなる群から選択される植物抽出物を含み得る。特に、組成物は、タイム、ザクロ、及びグリーンコーヒーの抽出物を含み得る。

植物抽出物はタイム抽出物であり得、ロスマリン酸を含み得る。 植物抽出物はザクロ抽出物であり得、エラグ酸を含み得る。 植物抽出物はグリーンコーヒーであり得、クロロゲン酸を含み得る。

植物性フェノールはフェノール酸であり得る。特に、植物性フェノールは、ロスマリン酸、ロスマリン酸メチル、クマル酸、フェルラ酸、エラグ酸、エラジタンニン、プニカラジン、没食子酸、ガロタンニン、桂皮酸(例えば、コーヒー酸、フェルラ酸、p−クマル酸)、及び(−)−キナ酸と桂皮酸とのエステルであり得、好ましい桂皮酸エステルはクロロゲン酸であり、その3−O−グルコシド、3−O−ガラクトシド及び3−O−アラビノシドのようなクロロゲン酸の誘導体も考えられる。フェノールはまた、フラボノイド又はカテキンであり得る。適切と考えられる場合、上記植物性フェノールのうちの任意のものが組成物から除外され得る。特定の実施形態では、エピカテキンが組成物から除外される。それらの植物性フェノールの混合物もまた考えられる。特に、該混合物は、上記フェノールのうちの少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、又は12個を含み得る。組成物は、該組成物中の上記フェノールの任意の組み合わせを含み得る。

フェノールの各々若しくはそれらのフェノールの組み合わせの総体(又は抽出物の形態のフェノール)は、0.1%〜1%、0.15%〜0.8%、0.15%〜0.7%、0.15%〜0.6%、0.15%〜0.5%、又は0.2%〜0.4%の濃度で、該組成物中に又は粉末若しくは濃縮形態から再構成された組成物中に存在し得、又は0.3%の濃度で存在し得る。

特に好ましいフェノールは、ロスマリン酸、エラグ酸、クロロゲン酸、又はそれらの任意の可能な組み合わせ若しくは混合物である。

処方物: 上記組成物は液体又は固体形態で処方され得る。液体形態は、噴霧に好適な形態になるように、すなわちスプレーの形態で処方され得る。これは、組成物を含むコンパートメントをスプレーノズルに接続することによって達成され得る。スプレーノズルを通って給送される場合、液体は霧化されて、得られた小滴が表面に均等に散布されることが可能となる。スプレーノズルを通じて液体を給送する種々の方法が当業者に知られている。例えば、組成物を含む容器を周囲の大気圧に比べて加圧下に置くことができる。あるいは、ポンプ機構がノズルを通じて噴霧を給送し得る。スプレーの使用は、例えば、口腔を介して食道内に組成物を噴霧すること、及びそれにより、組成物を食道粘膜と直接接触させることを可能にする。その後、組成物が粘膜によって吸収され、次いで、身体内の全身的な分布が達成され得る。

組成物は、本開示に接することで当業者が特定可能な少なくとも1種の追加的な活性物質、担体、ビヒクル、賦形剤、又は補助剤をさらに含み得る。

組成物は、経口栄養補助食品、栄養組成物、又は医薬品の形態であり得る。栄養組成物、経口栄養補助食品、又は医薬品は本発明の組成物又はキットを含み得る。

栄養組成物: 本明細書において、用語「栄養組成物」は、完全栄養組成物、部分的若しくは不完全栄養組成物、及び疾患若しくは状態特異的栄養組成物を含むが、これらに限定されない。完全栄養組成物(すなわち、すべての必須主要及び微量栄養素を含有するもの)は、患者にとっての唯一の栄養源として使用され得る。患者は、患者本人が必要とする栄養の100%をそのような完全栄養組成物から摂取することができる。部分的又は不完全栄養組成物は、すべての必須主要及び微量栄養素を含有しているわけではなく、患者にとっての唯一の栄養源として使用することはできない。部分的又は不完全栄養組成物は栄養補助食品として使用され得る。経口補助栄養組成物は、主として又は専ら、特許請求される組成物(植物性フェノール)の必須有効成分を含有し、患者の通常の栄養に加えて摂取され得る。

疾患又は状態特異的栄養組成物は、栄養素又は医薬を提供する組成物であり、完全又は部分的栄養組成物であり得る。

栄養組成物は、以下の栄養素及び微量栄養素、すなわち、タンパク質源、脂質源、炭水化物源、ビタミン及びミネラルを追加的に含み得る。組成物はまた、抗酸化物質、安定剤(固体形態で与えられる場合)、又は乳化剤(液体形態で与えられる場合)を含み得る。好適な実施形態において、組成物はアミノ酸ベースの調製乳であり、つまり、アミノ酸の唯一の供給源は遊離アミノ酸である。したがって、別の実施形態において、栄養組成物は1種又は複数種のアミノ酸をさらに含む。アミノ酸の非限定例は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、シトルリン、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、ヒドロキシプロリン、ヒドロキシセリン、ヒドロキシチロシン、ヒドロキシリジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、タウリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、HICA(α−ヒドロキシイソカプロン酸)、HIVA(α−ヒドロキシイソ吉草酸)、HIMVA(α−ヒドロキシメチル吉草酸)、又はそれらの組み合わせを含む。好適な実施形態において、アミノ酸の非限定例は、プロリン、ヒドロキシプロリン、ヒドロキシチロシン、ヒドロキシリジン、ヒドロキシセリン、及びそれらの任意の組み合わせを含む。

さらなる実施形態において、栄養組成物は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、リン、マグネシウム、塩化物、鉄、亜鉛、銅、マンガン、フッ化物、クロム、モリブデン、セレン、ヨウ素などのミネラル、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。

さらなる実施形態において、栄養組成物は、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC、ビタミンB1、ビタミンB2、パントテン酸、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、葉酸、ビオチン、及びコリン等のビタミン、又はそれらの任意の組み合わせをさらに含む。

一実施形態において、栄養組成物は、乳幼児用栄養補給組成物、フォローアップフォーミュラ、グローイングアップミルク、乳幼児用シリアル、又は乳児用栄養組成物からなる群から選択される。これらの製品は、乳児及び低年齢の小児における好酸球性食道炎の症状の予防又は緩和の問題に対処及び解決するのに特に好適である。しかし、飲料及び粉末(小袋入りのもの)などの他の製品も、以下で説明するように、年長の小児及び成人を対象に選択され得る。

さらなる実施形態において、栄養組成物は、飲料製品、アミノ酸ベースの飲料、ヨーグルト製品、発酵乳、フルーツジュース、小袋入りの乾燥粉末、又はシリアルバーからなる群から選択される。これらの栄養組成物は、年長の小児及び成人に対して植物性フェノールを投与するのに好適である。栄養組成物は、植物性フェノールでよく強化され得、消費者に対して健康指向型の機能性栄養組成物を提供するための信頼できるイメージを有し得る。

好酸球性食道炎の症状を軽減するための製品に対する特定の需要が、病院、診療所又は年配者のホームなどの臨床環境に存在し得る。したがって、さらなる実施形態において、栄養組成物は、経口栄養補給、及び/又は経腸若しくは非経口栄養補給用栄養製品など、特定の医療用途向けの食品である。後者の場合、栄養組成物は、非経口栄養補給に適した成分のみを含む。非経口栄養補給に適した成分は当業者に知られている。特に、非経口栄養補給組成物は、純粋な又は実質的に純粋な形態で植物性フェノールを含有する(すなわち、通常、植物性フェノールのみが強化された植物抽出物の形態で提供されない)が、組成物は、非経口栄養に適したものとして知られている他の成分も含み得る。本発明のさらなる利点は、植物性フェノールを、比較的高い局所濃度かつ低い容量の医療用栄養組成物として提供でき、それ故、そのような必要性を有する患者に対して有効に投与できることである。

キット: 上記組成物はまた、キットとして提供され得る。それらのキットでは、上記組成物の成分のすべて又は一部は別々の(すなわち混合されない)形態で提供される。本発明のキットは、植物性フェノールとそれ以外のすべての成分とを別々の形態で含み得る。本発明のキットは、別個の形態で提供される少なくとも2種又は3種の植物性フェノールを含み得る。代替的な実施形態において、キットは、上記組成物の成分の各々を別個の形態で含み得る。

治療的な使用及び方法: 本発明の組成物又はキットは、好酸球性食道炎の治療若しくは予防、又は好酸球数の低減、特に上皮、特に食道上皮の好酸球数の低減において使用され得る。本発明の組成物又はキットは、好酸球性食道炎の治療若しくは予防、又は好酸球数の低減、特に上皮、特に食道上皮の好酸球数の低減のための方法において使用され得る。

好酸球数の低減は、好酸球性食道炎に罹患しているヒトにおいて、食道の粘膜生検材料中に顕微鏡の強拡大視野で検出される好酸球の、10〜20の値を下回る数、特に15を下回る数への低減として定義される。したがって、本発明の意味での低減は、動物モデルにおける陽性対照と比較した場合の有意な低減である。本発明の意味での低減は、ヒト食道の粘膜生検材料中で顕微鏡の強拡大視野で19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2若しくは1未満の値まで又は0までの低減であり得る。あるいは、低減は、本発明の組成物を使用する予防的手段が取られない場合は、好酸球性食道炎に罹患している対象が有する又は有すると予想される好酸球の数を基準として定義され得る。したがって、低減は、好酸球性食道炎に罹患している動物又はヒトの食道の粘膜生検材料中で顕微鏡の強拡大視野で検出される好酸球数を基準とする(少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、又は100%の)低減率であり得る。あるいは、本発明の意味での低減は、好酸球性食道炎に罹患しているヒトの食道の粘膜生検材料中で顕微鏡の強拡大視野で検出される好酸球数を基準として、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20若しくはそれ以上の絶対数の低減であり得る。基準値は、10〜20の範囲内、又は15であり得る。低減は、治療5日後、10日後、15日後、20日後、25日後、30日後、60日後、120日後に観察され得る。

組成物及びキットは、経口又は局所投与に適した形態で提供され得、それに応じて投与され得る。投与は、対象に好酸球性食道炎の症状が発現する前に、症状が発現するのと同時に、又は症状が確認された後に開始し得る。投与は、1日、20日、30日、60日、120日、360日、又はそれ以上の期間にわたって実施され得る。対象がヒトである場合、組成物を投与される対象は生後4か月〜6歳、6歳〜18歳、又は成人であり得る。

一実施形態において、組成物は、動物、好ましくはネコ又はイヌによる摂取が意図される。ヒトの場合と同様に、好酸球性食道炎は、動物、特に家畜化された動物及びペットとして飼われている動物において観察され得る。有利なことに、本発明は、伴侶動物に対してその飼い主により提供することが可能な液体を提供する。

組成物中の植物性フェノールの総量は、好ましくは3mg/kg体重/日〜100mg/kg体重/日、好ましくは10〜50mg/kg体重/日の量でヒトに投与される。好ましくは、組成物は、1日約25mg〜10g、1日50mg〜10g、好ましくは1日100mg〜5g、さらに好ましくは1日300mg〜1gを提供する。これらの好ましい用量は、一方で、期待される健康上の利点を与えるために対象患者に対して1日当たりの十分な植物性フェノールを提供することを可能にし、他方で、該患者に対する潜在的な望ましくない又は毒性の効果を防止するために植物性フェノールを過剰投与しないことを可能にする。

製造の方法: 上記組成物を製造するための方法が提供される。この方法は、上記植物性フェノールのうちの少なくとも1種を提供すること、任意選択で少なくとも1種のさらなる成分、例えば、1種若しくは複数種のアミノ酸、脂肪、又は炭水化物からなる群から選択される成分を追加すること、任意選択で少なくとも1種の栄養素又は微量栄養素を追加すること、及び担体又は/及び水を追加することを含む。

当業者は、本明細書で開示された本発明のすべての特徴を自由に組み合わせることができることを理解するであろう。特に、本発明の異なる実施形態について説明された各特徴は組み合わせることができる。本発明のさらなる利点及び特徴は図面及び実施例から明らかである。

実施例1(好酸球数に対する植物性フェノールの効果): 5〜8週齢の雌Balb/cマウスを、200μgのアレルギー性抽出物の皮膚上(epicutaneous)適用によって感作させた。マウスの背部の一部を剃毛した。アレルゲン付きの滅菌ガーゼ(1×1cm)のパッチを、バイオ密封透明包帯(bio−occlusive transparent dressing)2461(Johnson and Johnson)及びバンドエイドを用いて皮膚に固定した。パッチは、反応が見られるまで連続4〜7日の感作期間中皮膚に貼り付けたままとし、8日目に除去した。感作最終日(21〜28日目)から数日後、30日目にマウスを麻酔下で鼻腔内チャレンジ(100μg)に曝露し、32日目に採取した。

アスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus)抗原抽出物及びイエダニ抽出物をGreer Laboratories, Lenoir, NCから得、生理食塩水で100μg/μLに希釈した。

Monteloeder(Spain)からの6%(w/w)タイム(5%ロスマリン酸)、1%(w/w)ザクロ(30%エラグ酸)及び1%(w/w)グリーンコーヒー(30%クロロゲン酸)の食品中の植物性フェノール抽出物を使用して、植物性フェノールの効果を試験した。

食道を採取し、ヘマトキシリンエオシンで染色し、好酸球を計数した(最大数/強拡大視野)(図2参照)。

食道においてタイム及びコーヒーポリフェノールを使用した場合並びに食道上皮においてすべての植物抽出物を使用した場合に、陽性対照に比べて食道中の好酸球の有意な低減が確認された。これは、アレルゲンにより誘発された好酸球負荷の低減における、植物由来のフェノールのより広い効果を示唆している。

実施例2(臨床試験): 食道胃十二指腸鏡検査中に得られた粘膜生検材料で1強拡大視野につき15を上回る好酸球の存在によって示される好酸球性食道炎に罹患している18〜60歳の患者20〜30名の7つのコホートに対して、下記表に示す抽出物をさらに含有するアミノ酸ベースの組成物VIVONEX(登録商標)PEDIATRICを投与した。

標準的な希釈では、VIVONEX(登録商標)PEDIATRICは0.8kcal/mlの調製乳であり、kcalの%で12%のタンパク質(遊離アミノ酸)、63%の炭水化物、及び25%の脂肪を有する。70:30のMCT:LCT比;7.7:1のn6:n3比;360の重量オスモル濃度(mOsm/kg水);89%の自由水。VIVONEX(登録商標)PEDIATRICは、タンパク質並びに25の主要なビタミン及びミネラルについて100%のDRIを満たすか又は上回る。添加グルタミン:3.0g/L;添加L−アルギニン:2.0g/L。

タイム抽出物は5%の植物性フェノールロスマリン酸を含有し、ザクロ抽出物は30%の植物性フェノールエラグ酸を含有し、1%グリーンコーヒーは30%の植物性フェノールクロロゲン酸を含有する(Monteloeder, Spain)。

対象は、各植物性フェノールが1日500mgの量で投与されるような量の抽出物を投与される。好酸球の数は、試験開始後15日目及び30日目に食道胃十二指腸鏡検査中に得られた粘膜生検材料の強拡大視野中に見える好酸球の数とする。既知の関連症状(例えば、嚥下障害、食物の食道嵌頓、胸やけ)についても本試験で観察される。

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