ナチュラルチーズの製造方法 |
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申请号 | JP2013524727 | 申请日 | 2012-07-18 | 公开(公告)号 | JPWO2013011993A1 | 公开(公告)日 | 2015-02-23 |
申请人 | 株式会社明治; | 发明人 | 素晴 小森; 素晴 小森; 兼一 城ノ下; 兼一 城ノ下; 内田 英明; 英明 内田; | ||||
摘要 | 風味豊かなナチュラルチーズを製造する方法と、これによって製造した風味豊かなナチュラルチーズ。ナチュラルチーズを製造する工程において行われるカードの熟成工程をエタノール雰囲気下で行うナチュラルチーズの製造方法と、これによって製造したナチュラルチーズ。 | ||||||
权利要求 | ナチュラルチーズを製造する工程において行われるカードの熟成工程をエタノール雰囲気下で行う ことを特徴とするナチュラルチーズの製造方法。 エタノール雰囲気下で行われるカードの熟成工程は、カードを熟成させている途中、あるいは、カードを一部熟成した後に行われる ことを特徴とする請求項1記載のナチュラルチーズの製造方法。 エタノール雰囲気下で行われるカードの熟成工程は、密閉容器内に前記カードと、エタノール蒸散剤とを封入して行われる ことを特徴とする請求項1又は2記載のナチュラルチーズの製造方法。 エタノール雰囲気下で行われるカードの熟成工程は、密閉容器内に封入されるカードの表面にエタノール蒸散剤を添着して行われる ことを特徴とする請求項1又は2記載のナチュラルチーズの製造方法。 前記密閉容器内の雰囲気中のアルコール濃度(体積%)を調整することにより、製造されるナチュラルチーズ中のエステル濃度を調整する ことを特徴とする請求項3又は4記載のナチュラルチーズの製造方法。 請求項1〜請求項5のいずれか一項記載の製造方法により製造したナチュラルチーズ。 |
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说明书全文 | この発明はナチュラルチーズの製造方法に関し、特に、香り豊かなナチュラルチーズの製造に適したナチュラルチーズの製造方法に関する。 食品衛生法に基づく厚生労働省の省令である乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(乳等省令)では、ナチュラルチーズとは、乳・クリーム・バターミルク又はこれらを混合したものを凝固させた後、乳清を除去して得られる生鮮のもの又は熟成したものである、といわれている。 通常、次のようにしてナチュラルチーズを製造している。 一定量のナチュラルチーズ原料ミックスをチーズバット等の容器に満たし、適正量の乳酸菌スターターを添加する。 乳酸菌スターター添加と前後して必要に応じて凝乳酵素レンネットを添加してまたは添加することなく発酵させ、発酵期間中にカード生成が始まると適切な条件でホエイを排除し、目標とするカードが生成されたところで低温にて熟成をし、最終的に冷却して製品化する。 従来からナチュラルチーズの風味を豊かにする種々の提案がされている。 例えば、特許文献1には、チーズ製造中にカードに対してエタノールを添加し、プレス後得られたカードを熟成すると、エステルが生成されることが報告されている。 一般に、アルコールは、エステル化合物の前駆体として利用されることが知られており、特許文献1に記載されているように、熟成中にエステル化合物に変換される。 エステル化合物は、果実などに多く含まれる物質であり、チーズ中に含まれることでフルーティな風味を付与することが期待される。 ナチュラルチーズの製造における熟成工程で、エタノールをカードに直接添加した特許文献1記載のチーズでは、若干の苦味とせっけん風の風味を確認できるとされている。 また、エタノールは危険物第4類試薬に指定されており、ナチュラルチーズの製造工程で、工業的にカードへ添加する為には、設備を防爆仕様にする必要などが考えられる。 そこで、本発明は、果実などに多く含まれ、チーズ中に含有された場合、フルーティな風味を付与することが期待されるエステル化合物の前駆体として利用されることが知られているアルコールを用い、製造設備などに大きな改造を必要とすることなしに、簡単に、風味豊かなナチュラルチーズを製造することのできる方法と、これによって製造した風味豊かなナチュラルチーズを提供することを目的にしている。 請求項1記載の発明は、 請求項2記載の発明は、 請求項3記載の発明は、 請求項4記載の発明は、 請求項5記載の発明は、 請求項6記載の発明は、 本発明によれば、果実などに多く含まれ、チーズ中に含有された場合、フルーティな風味を付与することが期待されるエステル化合物の前駆体として利用されることが知られているアルコールを用い、製造設備などに大きな改造を必要とすることなしに、簡単に、風味豊かなナチュラルチーズを製造することのできる方法と、これによって製造した風味豊かなナチュラルチーズを提供することができる。 本願の発明者等は、チーズ中に含有された場合、フルーティな風味を付与することが期待されるエステル化合物の前駆体として利用されることが知られているアルコールを、ナチュラルチーズ製造工程で添加することにより、製造されたナチュラルチーズの風味を高める方法について検討を加えた。 そして、通常のナチュラルチーズの製造工程で行われるカードの熟成工程をエタノール雰囲気下で行うことにより熟成後のナチュラルチーズ中のエステル濃度が上昇し、香り豊かなナチュラルチーズを製造できることを見出して本願発明を完成させたものである。 すなわち、本願発明が提案するナチュラルチーズの製造方法は、ナチュラルチーズを製造する工程において行われるカードの熟成工程をエタノール雰囲気下で行うことを特徴とするものである。 発明者等の実験によれば、熟成中に蒸散されたエタノールがエステル化合物に変換され、香り豊かなナチュラルチーズを製造することができた。 前記のエタノール雰囲気下で行われるカードの熟成工程は、カードを熟成させている途中、あるいは、カードを一部熟成した後に行うことができる。 例えば、カードを熟成させた後、これをブロック状にしてエタノール雰囲気下で更に熟成を行うことができる。 また、カードを熟成させた後、ダイス状にカット加工したものをエタノール雰囲気下で更に熟成させたり、カードを熟成させた後、シュレッダーなどを用いる、等して細長い短冊状であるシュレッド形状にしたものをエタノール雰囲気下で更に熟成させたり、カードを熟成させた後、手でほぐしたり、機械で圧力をかける、等して、鱗のような形状、すなわち、扁平な円形・楕円形、等の形状にしたクラッシュ形状にしたものをエタノール雰囲気下で更に熟成させることなどができる。 前記のエタノール雰囲気下で行われるカードの熟成工程は、密閉容器内に前記カードと、エタノール蒸散剤とを封入して行ったり、密閉容器内に封入されるカードの表面にエタノール蒸散剤を添着して行うことができる。 従来から、密封包装されている食品にカビが発生することを防止する包装方法の一つとして、食品が封入される包装容器内に、食品と共にエチルアルコール蒸散剤(アルコール鮮度保持剤、徐放性粉末アルコール製剤、アルコール揮散剤、等とも呼ばれることがある)を封入する方法が知られている。 エチルアルコール(エタノール)には微生物の増殖抑制や殺菌作用があるので、これを利用するものである。 エチルアルコールを吸着させた担体を密封されている包装容器内に食品と共に封入し、アルコール蒸気を密封されている包装容器内に拡散させて、カビを殺菌あるいは抑制するものである。 担体からアルコールが徐々に透過発散して、必要な期間、包装容器内のアルコール濃度を一定に保つことができるとされている。 本願の発明者等は、カードの熟成を密閉されている空間内においてエタノール雰囲気下で行うものとして、従来から食品分野で採用されていたエタノール蒸散剤の適用を試みた。 そして、従来は、殺菌目的や除菌目的で使用されていたエタノール蒸散剤がチーズ熟成のエステル風味創出に有用であり、熟成中に蒸散されたエタノールがエステル化合物に変換され、香り豊かなナチュラルチーズを製造できることを見出したものである。 なお、この際、密閉容器内の雰囲気中のアルコール濃度(体積%)を調整することにより、製造されるナチュラルチーズ中のエステル濃度を調整することが可能である。 すなわち、製造するナチュラルチーズの風味づくりに合わせて、密閉容器内の雰囲気中のアルコール濃度(体積%)を調整することができる。 前述のように、本発明が提案するナチュラルチーズの製造方法は、通常のナチュラルチーズを製造する工程において行われるカードの熟成工程をエタノール雰囲気下で行うものであり、これによって製造した本発明のナチュラルチーズは風味が強化された香り豊かなナチュラルチーズとなる。 また、雰囲気中のアルコール濃度やチーズの熟成度合いや熟成期間をコントロールすることで、その強化された風味の強さを調節することができることは言うまでもない。 本発明に適用されるナチュラルチーズは、ゴーダ、チェダー、グラナ、パルメザン等の熟成することが特徴である硬質ナチュラルチーズ、特別硬質ナチュラルチーズに分類されるものだけでなく、それ以外のチーズにおいても例えば代表的にはモッツァレラチーズ対しても応用することが可能である。 また、本発明で得られた知見に基づき、エステラーゼによりエステルを産生する可能性のあるチーズであれば、上記チーズ類に拘ることなく使用できることは言うまでもない。 また、チーズに使用している原料乳の由来は特に制限されることなく、一般的に使用されている獣乳(牛乳、羊乳、山羊乳、水牛乳などの哺乳類由来の乳)などが例示される。 さらに、ここでいう原料乳は生乳や殺菌乳のみを指すわけではなく、還元乳原料(バター、クリーム、脱脂乳、濃縮乳、脱脂濃縮乳、脱脂粉乳、全脂粉乳、練乳など)やその他の食品や食品添加物も必要に応じて添加することができる。 本発明で得られたチーズは製造後に、プロセスチーズやチーズフードの原料となり、チーズの熟成風味の強いプロセスチーズやチーズフードを製造することもできる。 以下、本発明の好ましい実施例を説明するが、本発明は、前述した実施の形態や以下の実施例に限定されることなく、特許請求の範囲の記載から把握される技術的範囲において種々に変更可能である。 代表的なナチュラルチーズであるチェダーチーズを通常の製造方法により調製することとした。 すなわち、チーズ中の固形分中脂肪率が52%となるように調整した原料乳を63℃で30分間の加熱殺菌を行った後、33℃まで冷却し、0.01%塩化カルシウムを添加した。 次に、前記のように調製した原料乳に市販の乳酸菌スターター(中温菌スターター:クリスチャン・ハンセン社製)0.6%及び力価15,000ユニットのカーフレンネット(クリスチャン・ハンセン社製)0.003%を添加して乳を凝固させた後、カッテングしてホエイpHが6.2〜6.1となるまで攪拌し、ホエイを排出し、カード粒を得た。 次に、このカード粒をチェダリングし、pHが5.30になった時点で加塩して型詰めして圧搾した。 この圧縮したものを熟成させて最終製品のナチュラルチーズ(チェダーチーズ)とすべく、密閉容器に詰め、エタノール蒸散剤(フロイント産業株式会社製、商品名「アンチモールドマイルド」)を同封して密封した後、12℃で3ヶ月熟成し本発明のチェダーチーズを得た(実施例1)。 比較例として、エタノール蒸散剤を同封せずに、それ以外は同一条件として前記密閉容器内にて嫌気性状態にて12℃で3ヶ月熟成させたサンプルをコントロールとした(比較例1)。 その後、両者をそれぞれ密封容器から取り出してエステル濃度の測定と官能評価を実施した。 エステル濃度の測定は、以下の方法で実施した。 供試液をバイアル瓶に採取し、純水を加え密栓した後、60℃で40分間保持し、ヘッドスペースに揮発したエステルを固相マイクロファイバ(SUPELCO,Stable Flex(DVB/Carboxen/PDMS;50/30μm))に抽出した。 ファイバをGC/MSに導入し、経時的測定に供した。 得られたクロマトグラムよりButanoic acid,ethyl ester(酪酸エチルエステル)およびHexanoic acid,ethyl ester(ヘキサン酸エチルエステル)のピーク面積から濃度を算出した(表1)。 エタノール蒸散剤を入れずに熟成した比較例1に比べ、エタノール蒸散剤を入れて熟成した実施例1は、Butanoic acid,ethyl ester含量で75倍以上、Hexanoic acid,ethyl ester含量で48倍以上増えており、チェダーチーズ中のエステル濃度が有意に上昇していた(表1)。 また、実施例1と比較例1に対し、チーズの香り(フルーティな香りの有無)について熟練パネラー10名による官能評価を実施した。 官能評価は、評価1は「フルーティな香りが全くしない」、評価2は「フルーティな香りが弱く感じる」、評価3は「フルーティな香りがやや弱く感じる」、評価4は「フルーティな香りがやや強く感じる」、「フルーティな香りが強く感じる」の指標のもと、評価1〜評価5の5段階評価で実施し、10名の評価の加重平均により評点とした(表1)。 実施例1と同様に代表的なナチュラルチーズであるチェダーチーズを通常の製造方法により調製することとした。 すなわち、チーズ中の固形分中脂肪率が52%となるように調整した原料乳を63℃で30分間の加熱殺菌を行った後、33℃まで冷却し、0.01%塩化カルシウムを添加した。 次に、前記のように調製した原料乳に市販の乳酸菌スターター(中温菌スターター:クリスチャン・ハンセン社製)0.6%及び力価15,000ユニットのカーフレンネット(クリスチャン・ハンセン社製)0.003%を添加して乳を凝固させた後、カッテングしてホエイpHが6.2〜6.1となるまで攪拌し、ホエイを排出し、カード粒を得た。 次に、このカード粒をチェダリングし、pHが5.30になった時点で加塩して型詰めして圧搾した。 この圧縮したものを熟成させて最終製品のナチュラルチーズ(チェダーチーズ)とすべく、真空包装し、12℃で3ヶ月熟成した。 熟成後のチェダーチーズを、30mm×30mm×30mmのダイス状にカット加工したものを、密閉容器に詰め、エタノール蒸散剤(フロイント産業株式会社製、商品名「アンチモールドマイルド」)を同封して密封した後、12℃で1ヶ月熟成して本発明のダイス形状のチェダーチーズを得た(実施例2)。 比較例として、エタノール蒸散剤を同封せずに、それ以外は同一条件として前記密閉容器にダイス状にカット加工したものを詰め、嫌気性状態にて12℃で1ヶ月熟成させたサンプルをコントロールとした(比較例2)。 その後、両者をそれぞれ密封容器から取り出し実施例1及び比較例1と同様にエステル含量の測定と熟練パネラー10名による官能評価を実施した(表2)。 エタノール蒸散剤を入れずに熟成した比較例2に比べ、エタノール蒸散剤を入れて熟成した実施例2は、Butanoic acid,ethyl ester(酪酸エチルエステル)含量で13倍以上、Hexanoic acid,ethyl ester(ヘキサン酸エチルエステル)含量で9倍以上増えており、チェダーチーズ中のエステル濃度が有意に上昇していた(表2)。 また、実施例2と比較例2に対し、チーズの香り(フルーティな香りの有無)について熟練パネラー10名による官能評価を実施した。 官能評価は、評価1は「フルーティな香りが全くしない」、評価2は「フルーティな香りが弱く感じる」、評価3は「フルーティな香りがやや弱く感じる」、評価4は「フルーティな香りがやや強く感じる」、「フルーティな香りが強く感じる」の指標のもと、評価1〜評価5の5段階評価で実施し、10名の評価の加重平均により評点とした(表2)。 |