Cheese and a method of manufacturing the same

申请号 JP2004519269 申请日 2003-07-04 公开(公告)号 JP4544625B2 公开(公告)日 2010-09-15
申请人 雪印乳業株式会社; 发明人 尚廉 上田; 宏晶 久保内; 利昭 木村; 靖彦 椎木; 高明 武藤; 智仁 花澤;
摘要
权利要求
  • 原料乳に酸を加え て乳を凝固することによって得られ、固形分当りのカルシウム含量が3.5mg/g以下で且つアンモニア量が0.2mg/g以下であり、pHが5.8以上である、常温で流動性および曳糸性を有する 熟成をしていないチーズ。
  • 蛋白質10〜30重量%、脂肪10〜30重量%である請求項1記載のチーズ。
  • 貯蔵弾性率と損失弾性率が5℃で10 5 dyn/cm 2以下である請求項1 または2に記載のチーズ。
  • 請求項1〜 の何れかに記載のチーズを含有する飲食品。
  • 請求項1〜 の何れかに記載のチーズを乾燥することにより得られる粉末チーズ。
  • 請求項 記載の粉末チーズを含有する飲食品。
  • 乳を原料とし、 酸を添加して pH4.8以下にして乳を凝固させ、ホエーを排除してチーズカードを得、このチーズカードにpH調整剤を添加してpH5.8以上にして得られる請求項1〜 のいずれかに記載のチーズの製造方法。
  • 说明书全文

    本発明は、乳を原料として、pH4.8以下にして乳を凝固させ、ホエーを排除してチーズカードを得、このチーズカードのpHを5.8以上にして得られる、固形分当りのカルシウム含量が3.5mg/g以下であるチーズ、そのチーズを含有する飲食品およびその製造方法に関する。 本発明のチーズは、常温で流動性および曳糸性を有し、さらに良好な乳風味を有する。

    常温で流動性および曳糸性を有しているチーズとしては、十分に熟成したカマンベールチーズのマット(表面の硬い部分)を除去した部分があげられる。 このカマンベールチーズは、チーズの熟成期間中に、カビ及び乳酸菌の酵素によって蛋白質が分解されて、アミノ酸の生成による風味の変化を生じ、同時に特有のアンモニア臭を生成する。 カマンベールチーズは、好ましい乳風味を持つが、過度に熟成するとアンモニア臭が強くなる。 カマンベールチーズのマットを除去した部分を除いては、常温で流動性および曳糸性を有しているチーズは存在しない。
    ピザにトッピングするのに良く使用されるシュレッドチーズは、加熱すると流動性および曳糸性を生ずるが、常温では流動性および曳糸性が全く無く、放置しておくと固化したり、オイルオフしてしまう。 加熱すれば、流動性および曳糸性を有するようになるその他のチーズ素材として、種々のプロセスチーズが数多く提案されている。 たとえば、原料チーズに安定剤および溶融剤を添加し、低速で攪拌しながら加熱乳化して得られる曳糸性を有するプロセスチーズ、原料チーズに溶融塩、脂肪および乳化剤を特定量添加して加熱乳化することにより得られる電子レンジ加熱により流動性を示す調理用プロセスチーズ、ナチュラルチーズにホエー蛋白質分離物を添加して加熱乳化することにより得られる曳糸性及び加熱耐性に優れたチーズ様食品が開示されている。 しかしながら、これらのチーズやチーズ様食品は、加熱調理すると曳糸性および流動性を有するようになるが、常温では曳糸性および流動性は全くない。 さらに、これらのチーズやチーズ様食品は溶融塩や乳化剤およびホエー蛋白質分離物等を原料チーズに添加するため、これらの添加物に起因する風味の低減や苦味の発生といった問題点を根本的に抱えている。 また、これらのチーズやチーズ様食品から得られる食品素材は、加熱調理すれば曳糸性および流動性が出てくるが、加熱後、常温放置や冷蔵庫保存等で冷却されると、その曳糸性および流動性が失われるといった欠点を持っている。
    加熱時の流動性および曳糸性を付与させる方法として油脂含量を増やすことが公知技術として知られているが、流動性や曳糸性を発現させるほど脂肪含量を増やしてしまうと、オイルオフが発生したり、製品自体が過度の高カロリーになってしまう等の問題点がある。
    以上のように、常温において流動性や曳糸性等の物性的な機能を持ち、好ましいフレッシュな乳風味の味覚的な機能をも併せ持つという両方の機能を保持したチーズは存在していない。

    本発明は、常温において流動性および曳糸性を有し、加熱時の流動性の変化がなく、また製造工程が複雑でなく製造時間を短縮でき製造コストが低い、乳風味が良好でアンモニア臭のないチーズを提供する。
    本発明者らは、上記課題を達成するために種々検討を行い本発明を完成した。 生乳、または脂肪を調整した乳を原料として、この乳をレンネット処理し、又はレンネット処理しないで、次に、乳酸等の酸を添加してpHを4.8以下に下げて乳を凝固させ、ついでホエーを排除し、さらに必要に応じカルシウムを除くためにで洗浄した後、脱水してチーズカードを得る。 得られたチーズカードに炭酸水素ナトリウム等のアルカリ剤を添加してpHを5.8以上に調整して本発明のチーズを得ることができる。 本発明は、常温において流動性および曳糸性を有し、さらに加熱時の物性の変化がなく、乳風味が良好でアンモニア臭のないチーズ、および、このチーズを含有する飲食品を提供することができる。
    すなわち、本発明は、特許請求の範囲に記載した下記の構成からなる発明である。
    (1) 酸凝固によって得られ、常温で流動性および曳糸性を有するチーズ。
    (2) 乳を原料とし、pH4.8以下にして酸凝固させ、ホエーを排除してチーズカードを得、このチーズカードのpHを5.8以上にして得られる、固形分当りのカルシウム含量が3.5mg/g以下である(1)記載のチーズ。
    (3) 蛋白質10〜30重量%、脂肪10〜30重量%、固形分当りのカルシウム含量が3.5mg/g以下で且つアンモニア量が0.2mg/g以下、pHが5.8以上である(1)または(2)記載のチーズ。
    (4) 貯蔵弾性率と損失弾性率が5℃で10 dyn/cm 以下である(1)〜(3)記載のチーズ。
    (5) (1)〜(4)のいずれかに記載のチーズを含有する飲食品。
    (6) (1)〜(4)のいずれかに記載のチーズを乾燥することにより得られる粉末チーズ。
    (7) (6)に記載の粉末チーズを含有する飲食品。
    (8) 乳を原料とし、pH4.8以下にして乳を凝固させ、ホエーを排除してチーズカードを得、このチーズカードのpHを5.8以上にして得られる(1)〜(4)のいずれかに記載のチーズの製造方法。

    図1は、実施例1と同じ方法で得られたチーズカードに、炭酸水素ナトリウムを添加してpHを6.83、7.43、7.6、7.76と変えた実験例1〜4のチーズと、実施例4と同じ方法で得られたチーズカードに炭酸水素ナトリウムを添加してpHを6.83にした実験例5のチーズの各温度における貯蔵弾性率を測定した図である。 比較としてクリームチーズ及びプロセスチーズを同様に測定した。 縦軸の1. E+05は、1.0×10 を意味する。
    図2は、図1と同じチーズの各温度における損失弾性率を測定した図である。
    図1及び図2の符号の説明は次の通りである。
    ◆:クリームチーズ■:プロセスチーズ▲:実験例1(#2−1)のチーズ×:実験例2(#2−2)のチーズ*:実験例3(#2−3)のチーズ●:実験例4(#2−4)のチーズ+:実験例5(#3−1)のチーズ 図3は、実施例7及び8で得られた乾燥チーズ粉末に、蒸留水を加え、こねて均一にして、水分を60%に調整して得たチーズの曳糸性を、試験例2と同様の方法で評価した図である。 比較として、乾燥処理前の含水率60%の本発明チーズの曳糸性の測定もあわせて行った。
    図4は、実施例7及び8で得られた乾燥チーズ粉末に、蒸留水を加え、こねて均一にして、水分を60%に調整して得たチーズの貯蔵弾性率(G')を、試験例3と同様の方法で評価した図である。 比較として、乾燥処理前の含水率60%の本発明チーズの貯蔵弾性率(G')の測定もあわせて行った。
    図5は、実施例7及び8で得られた乾燥チーズ粉末に、蒸留水を加え、こねて均一にして、水分を60%に調整して得たチーズの損失弾性率(G'')を、試験例3と同様の方法で評価した図である。 比較として、乾燥処理前の含水率60%の本発明チーズの損失弾性率(G'')の測定もあわせて行った。
    図4及び図5の符号の説明は次の通りである。
    ◆:実施例7の乾燥処理前のチーズ◇:実施例7のチーズ粉末に、水を加えて水分を60%に調整して得たチーズ▲:実施例8の乾燥処理前のチーズ△:実施例8のチーズ粉末に、水を加えて水分を60%に調整して得たチーズ

    以下、本発明を詳細に説明する。
    本発明で得られるチーズの原料としては、生乳、または脂肪分を調整した乳を原料として用いる。 脂肪分の調整は遠心分離等を用いて行い、脂肪分が1〜5重量%、好ましくは3.5〜4.5重量%になるように添加して調整した乳を使用する。 これらの生乳は低温殺菌することが好ましいが、未殺菌乳または殺菌乳のいずれも使用できる。 また、乳酸溶液を添加してレンネット処理するのに最適なpH6.4前後に調整することもできる。
    次に、殺菌冷却した乳にレンネットを常法どおりに添加し、35℃で30分間程度静置し乳を凝固させる。 この凝固した乳をカードナイフで約10mm四方にカッティングする。 次に、この凝乳を攪拌しながら、乳酸やクエン酸等の酸を少量ずつ添加してpHを4.8以下に低下させる。 通常のチーズ製造時にはカッティング時のpHはおよそ6.5前後であるのに比較して、このpH4.8以下というpHは相当低い値である。
    本発明ではレンネット処理しないで製造することも可能である。 レンネットを使用しない場合は、原料とする乳に乳酸やクエン酸等の酸を少量ずつ添加してpHを4.8以下に低下させることにより、レンネットを使用した場合ほど大きくはなく、微細なカードを生成させることができる。 このカードは微細なためカッティングをする必要はない。 また、従来と同様に乳酸菌を接種することによって乳酸発酵させて産生される乳酸によってカードを形成させても良い。
    レンネット処理をしたものとレンネット処理をしないもののいずれも、酸添加以降は同様の工程となる。 すなわち、乳酸やクエン酸等の酸を少量ずつ添加してpHを4.8以下に低下させた凝乳を、35℃に維持しながら10分間攪拌する。 次いで、ホエーを排除する。 カルシウムの75〜85%はホエー中に移行し、ホエー排除と同時に排出される。 カードを水で洗浄してさらにカルシウムを除く。 この洗浄に用いる水は無機塩のない蒸留水を用いるのが望ましい。 また、この水洗浄はカルシウム含量が固形分当たり既に3.5mg/g以下になっていれば必要が無い。 次に、カードを圧搾脱水等の手段で脱水し、チーズカードを得る。 得られたチーズカードを混練しながら、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ剤を添加し、このチーズカードのpHを5.8以上に上昇させることで本発明のチーズが得られる。 通常のチーズ製造時にはカッティング後のチーズカードのpHはおよそ5.2から5.5前後であるのに比較して、この5.8以上というpHは相当高い値である。
    本発明のチーズは、固形分当りのカルシウム含量を3.5mg/g以下およびpHを5.8以上にすることが重要である。 このためには、乳中のカルシウムとホエーを除去し、圧搾脱水する工程およびpHを5.8以上に調整する工程が必須であり特に重要である。 通常、カルシウムを除去するのに、キレート剤や電気透析膜等を用いる方法があり、本発明においてのカルシウム除去方法は特に限定しないが、最も効率的でコスト的に有利な方法として、レンネットで乳中のカゼインを凝固させた後、酸添加によってpHを4.8以下にすること、あるいはレンネットを用いずに、酸添加だけによってpHを4.8以下にすることで、ミセル中のコロイド状リン酸カルシウムを遊離させ、圧搾脱水もしくは透析膜を用いて、水分が40〜60重量%になるようにホエーを分離しカルシウムを除去するのが適している。
    pHを4.8以下にする際に使用する酸は特に限定しないが、クエン酸もしくは乳酸を使用するのがより好ましい。 また、特に脂肪分が少ない乳を使用する場合、上記の圧搾脱水もしくは透析膜を用いてホエーを分離除去する方法だけではカルシウムの除去効率が悪いため、pHを下げる際に温度を低温にしたり、ホエーを分離する際、蒸留水等の無機塩を含まない水で洗浄することがカルシウム除去に有効な手法である。 また、ホエー蛋白質および乳糖がチーズに多く残存していると、殺菌および加熱の際、色や物性の変化として影響が出るため、ホエー蛋白質および乳糖はできるだけ除去した方が好ましく、圧搾脱水もしくは透析膜を用いてホエーを分離除去する上記の方法は、カルシウムと同時にホエー蛋白質および乳糖も除去することができるので別々に分離するより製造工程上効率的である。
    チーズカード中のカルシウムを除去した後にpHを上げるために用いる添加物は、アルカリ性の食品添加物であれば特に限定しないが、炭酸水素ナトリウムがより好ましい。
    本発明のチーズは、蛋白質10〜30重量%、脂肪10〜30重量%、固形分当りのカルシウム含量が3.5mg/g以下、pHが5.8以上であって、常温において流動性および曳糸性を有し、さらに加熱時の物性の変化がなく、乳風味が良好でアンモニア臭のないものである。 このチーズは、短い製造時間で、しかも簡単な工程により、常温において、従来の熟成されたカマンベールチーズのマットを除いた部分の組織に近い流動性および曳糸性を持つチーズが得られる。 また、従来のカマンベールチーズは、熟成中にカゼインが酵素分解されてアミノ酸が増加し、熟成が進むとアミノ酸がさらに分解されてアンモニアが生成し、pHの上昇によりアンモニア臭が強くなる。 本発明のチーズは、カゼインが酵素分解されることがないのでアンモニア量は0.2mg/gを超えない。 従って、アンモニア臭がなく、フレッシュで良好な乳風味を有するものである。
    本発明のチーズでは、蛋白質の量が10重量%未満の場合は曳糸性は出るが流動性は得られなくなり、30重量%を超えると曳糸性は全く出ないので、蛋白質の量は10〜30重量%が好ましい。 また、脂肪の量は、10重量%未満の場合には曳糸性は出なくなり、30重量%を超えるとオイルオフが発生し使用できなくなるので、脂肪の量は10〜30重量%が好ましい。 また、カルシウム含量が3.5mg/gを超えると曳糸性は出てこないため、3.5mg/g以下が好ましい。 通常の硬質チーズの場合には カルシウム含量は6.5から15mg/gであり、この3.5mg/g以下という値は相当低いものである。
    本発明のチーズは、常温で流動性および曳糸性を持つ物性の程度をさまざまにコントロールすることができる。 物性をコントロールする方法として、カルシウム濃度、水分、脂肪分、pHを変化させる方法がある。 例えば、レンネット処理を施すことにより、カルシウム濃度が下がり、幅広いpH域で曳糸性を付与することができる。 また、乳風味を長期に保持するためには、脱水工程を行なう、または、pHを5.8以上に調整した後に加熱殺菌処理を行なうことが好ましい。
    チーズのpHを5.8より低くすると本発明の目的とする物性が満足されなくなり、またpHが8.0以上では苦味が増して好ましくなくなる。 その際にはpH調整剤を用い、好ましい範囲であるpH5.8以上とするが、pHが8.0を超えないように配合して調整することが好ましい。 pH調整剤としては、通常のpH調整剤、例えば乳酸、塩酸、リンゴ酸、コハク酸、酢酸ならびに重曹、炭酸カリウム、苛性ソーダ、水酸化カリウム等を用いるか、または2種類以上のpH調整剤を組み合わせて用いてもよい。
    よって、乳を原料とし、pH4.8以下にして乳を凝固させ、ホエーを排除してチーズカードを得、このチーズカードのpHを5.8以上にすることによって、本発明のチーズを得ることができる。
    本発明のチーズは、粉砕し、凍結乾燥や噴霧乾燥等の通常の乾燥手段によって、粉末状のチーズを調製することができる。
    本発明のチーズは、飲食品の製造工程中にて原材料として添加可能である。 また、本発明のチーズは乳化安定性があり、それ自体でも、あるいは他の乳化剤と併用して離水防止、脂肪の浮上を抑制する効果も認められる。 しかも、良好な乳風味を持つので、本発明のチーズは、乳風味の豊かな素材として、乳酸菌飲料、乳飲料、清涼飲料等の飲料や、乳製品、デザート類、ドレッシング類、健康食品類、コロッケ、ピザ、麺類等の飲食品に添加することができる。
    次に実施例及び試験例を示し、本発明を詳細に説明する。 なお、以下に記載する実施例は本発明の具体例を説明するものであり、以下の実施例の記述に限定するものではない。

    (チーズの製造1)
    低温殺菌乳(脂肪4.0重量%、無脂乳固形分8.9重量%)500mlに5重量%の乳酸溶液を添加してpH6.4に調整し、この殺菌乳を35℃に加温してからレンネット(CHR.HANSEN社製)を0.3重量%加えた水溶液を殺菌乳に対して1重量%添加して、35℃に保持しつつ30分間静置した。 レンネット処理後、生成したカードを10mm四方角に細断し、攪拌を行ないながら5重量%の乳酸溶液を少量ずつ添加してpHを4.6に下げ、10分間攪拌した。 これを0.5mm格子のガーゼ袋に移し、300mlの蒸留水にて洗浄して、5mm径の複数個の穴があいたステンレス製円筒容器に入れ、3kgのステンレス製の錘をのせて30分間圧搾脱水を行ない、水分50重量%のチーズカードを得た。 得られたチーズカードに炭酸水素ナトリウムを添加して、pHを6.4に上昇させて本発明のチーズを得た。

    (チーズの製造2)
    pHを4.6に下げるのに用いる酸に1N塩酸溶液を使用した他は、実施例1と同様の方法で本発明のチーズを得た。

    (チーズの製造3)
    レンネット溶液を添加した後に下げるpH値を4.8にした他は、実施例1と同様の方法で本発明のチーズを得た。

    (チーズの製造4)
    低温殺菌乳(脂肪4.0重量%、無脂乳固形分8.9重量%)500mlに5重量%の乳酸溶液を攪拌しつつ添加してpHを4.6に調整し、35℃にて10分間攪拌後微細なカードを生成させた。 この殺菌乳を、0.5mm格子のガーゼ袋に移し300mlの蒸留水にて洗浄し、5mm径の複数個の穴があいたステンレス製円筒容器に入れ、3kgのステンレス製の錘をのせて圧搾脱水を30分間行なって水分50重量%のチーズカードを得た。 得られたチーズカードに炭酸水素ナトリウムを添加して、pHを6.4に上昇させて本発明のチーズを得た。

    (チーズの製造5)
    未殺菌の脱脂乳と乳を脂肪2.0重量%、無脂乳固形分8.9重量%になるように混合し調整した乳を原料とした他は、実施例1と同様の方法で本発明のチーズを得た。
    [比較例1]
    (酸添加のないチーズの製造)
    低温殺菌乳(脂肪4.0重量%、無脂乳固形分8.9重量%)500mlに5重量%の乳酸溶液を添加してpH6.4に調整し、このpH調整した殺菌乳を35℃に加温してからレンネット(CHR.HANSEN社製)を0.3重量%加えた水溶液を殺菌乳に対して1重量%添加して35℃に保持しつつ30分間静置した。 レンネット処理後、生成したカードを10mm四方角に細断し、0.5mm格子のガーゼ袋に移し300mlの蒸留水にて洗浄し、5mm径の複数個の穴があいたステンレス製円筒容器に入れ、3kgのステンレス製の錘をのせて圧搾脱水を30分間行なって水分50重量%のチーズカードを得た。 得られたチーズカードは、いくらかpH6.4より下がっているので炭酸水素ナトリウムを添加して、pHを6.4に上昇させてチーズを得た。
    [比較例2]
    (レンネット処理後pHの高いチーズの製造1)
    低温殺菌乳(脂肪4.0重量%、無脂乳固形分8.9重量%)500mlに5重量%の乳酸溶液を添加してpH6.4に調整し、このpH調整した殺菌乳を35℃に加温してからレンネット(CHR.HANSEN社製)を0.3重量%加えた水溶液を殺菌乳に対して1重量%添加して35℃に保持しつつ30分間静置した。 レンネット処理後、生成したカードを、10mm四方角に細断し、攪拌を行ないながら5重量%の乳酸溶液を少量ずつ添加し、pHを5.1に下げて、35℃で10分間攪拌した。 攪拌後、0.5mm格子のガーゼ袋に移し、5mm径の複数個の穴があいたステンレス製円筒容器に入れ、3kgのステンレス製の錘をのせて圧搾脱水を30分間行なって水分50重量%のチーズカードを得た。 得られたチーズカードに炭酸水素ナトリウムを添加して、pHを6.4に上昇させてチーズを得た。
    [比較例3]
    (レンネット処理後pHの高いチーズの製造2)
    レンネット溶液を添加した後に下げるpHを4.9にした他は、比較例2と同様の方法でチーズを得た。
    [比較例4]
    (脱脂乳を原料とした酸添加のないチーズの製造)
    脱脂乳(脂肪0.1重量%、無脂乳固形分8.9重量%)を原料とした他は、比較例1と同様の方法でチーズを得た。
    [試験例1]
    (各成分含量の測定)
    本発明のチーズおよび比較例で得られたチーズの蛋白質、脂肪および固形分当りのカルシウム含量を測定した。
    1)試料の調製 実施例1〜5および比較例1〜4で得られた水分50重量%のチーズカードに蒸留水を加えてこねて均一にして水分を60重量%に調整し、次に炭酸水素ナトリウム粉末を添加してpHを調整したチーズを試料とした。
    2)水分の測定方法 試料を約0.4g計量し、マイクロ波乾燥水分測定装置(アンリツ計器(株)製)にて、マイクロ波の出3、180秒の条件にて3回水分を測定し、その平均値を水分値とした。
    3)脂肪および蛋白質の分析方法 脂肪はレーゼゴットリーブ法、蛋白質はケルダール法に準じてそれぞれ測定を行なった。
    4)カルシウムの測定方法 試料を100ml三角フラスコに約3g計量し、1N塩酸溶液を3ml加え、3分間スターラーにて攪拌し、8N水酸化カリウム溶液を10mlおよびcomposite preparation of 2−hydroxy−1−3−naphthoic acid and potassium試薬(DOTITENN希釈粉末:和光純薬工業(株)製)を0.1g加え3分間さらに攪拌を行なった。 十分に攪拌した試料を赤紫色の赤みが完全に消えるまで1M EDTA溶液にて滴定し、滴定量を測定した。 滴定量より次式にて固形分当りのカルシウム含量を算出した。 ここでEDTA溶液はあらかじめ1.000mg/lのカルシウムイオン標準液(東興化学研究所製)を用いて、EDTA溶液1.000mlにて滴定量を検出できるように濃度の調整を行なった。
    固形分当りのカルシウム含量(mg/g)=1M EDTA滴定量(ml)/試料重量(g)/[{100−水分(%)}/100]
    5)試験結果 実施例1〜5および比較例1〜4の水分を60重量%に調整したチーズの蛋白質含量、脂肪含量、および固形分当りのカルシウム含量を表1に示す。
    この結果から、比較例1はレンネット処理後、酸添加をしていないので、コロイド状リン酸カルシウムが遊離せずカルシウムを除去できなかったことから、カルシウム含量が高いことがわかる。 また、比較例2および3はレンネット処理後、酸添加はしているが、pHがそれぞれ5.1と4.9でpH4.8より高くコロイド状リン酸カルシウムが十分に遊離せずカルシウムを除去できなかったことから、カルシウム量が高いことがわかる。 また、比較例4はレンネット処理後、酸添加をしていないので、コロイド状リン酸カルシウムが遊離せずカルシウムを除去できなかったこと、さらに脱脂乳のみを原料としているので脂肪含量が少なく、蛋白質含量が多いことがわかる。

    [試験例2]


    (曳糸性の評価)


    実施例1〜5の本発明のチーズと比較例1〜4のチーズの曳糸性を評価した。


    1)試料の調製 実施例1〜5、比較例1〜4で得たチーズカードに蒸留水を加え、こねて均一にし、水分が60重量%になるように調整し、試薬特級の炭酸水素ナトリウム(和光純薬工業(株)製)を添加し混合させながら、pHを上昇させてpHを5.8〜8.0の範囲内でpHの値が0.1毎に試料を調製した。


    2)曳糸性の評価方法 pH5.8〜8.0までpHの値が0.1毎に35×10mmのプラスチック製シャーレに試料を充填し、Texture Analyzer TAXT2I(Stable Micro Systems社製)を用いて、円柱状のプローブ(Cylinder probe p/20:Stable Micro Systems社製)を、試料に5mm貫入させ、5(mm/s)の速度でプローブを真上に引き上げた。 試料の観察とプローブにかかる負荷量の変化から、プローブに付着した試料がシャーレ内の試料から切断された時の距離を測定し、曳糸性の評価を行なった。


    なお、プローブに試料が付着しない場合は0mmとし、試料とプローブの距離が40mm以上の場合は全て40mmとした。


    3)試験結果 実施例1〜5および比較例1〜4での水分を60重量%に調整したチーズの曳糸性の評価結果を表2に示す。


    実施例1〜5において、pH5.8以上の範囲において曳糸性のあるpH域が存在したのに対し、比較例1〜4では検討した全てのpH域において曳糸性を確認することができなかった。


    [試験例3]


    (動的粘弾性の測定)


    本発明で得られたチーズの流動性を確認するために、動的粘弾性測定装置を用いて流動性を測定した。


    1)試料の調製 実施例1と同じ方法で得られたチーズカード(カルシウム含量は1.12mg/g)に、蒸留水を加え、こねて均一にして、水分を60%に調整してから、重曹を添加してpHを6.83、7.43、7.6、7.76と変えた実験例1(#2−1)、2(#2−2)、3(#2−3)、4(#2−4)のチーズと、実施例4と同じ方法で得られたチーズカード(カルシウム含量は0.82mg/g)に炭酸水素ナトリウムを添加してpHを6.83にした実験例5(#3−1)のチーズを調製して試料とし、貯蔵弾性率および損失弾性率を測定した。 各試料のカルシウム含量及びpHを表3に示す。


    比較のために、業務用クリームチーズ(印乳業(株)製)および業務用プロセスチーズ(ホットメルトタイプ:雪印乳業(株)製)の貯蔵弾性率および損失弾性率を測定した。


    2)動的粘弾性の測定方法 動的粘弾性測定装置は、試料に周期的な変位を与えて、弾性要素である貯蔵弾性率(G')、及び粘性要素である損失弾性率(G'')の値を測定するものであり、これらの測定値から試料の力学的性質を評価することができる。


    貯蔵弾性率は弾性的特性、損失弾性率は粘性的特性を示し、貯蔵弾性率と損失弾性率とは次の関係があることから、流動性を示す指標に用いた。


    ▲1▼貯蔵弾性率が高くかつ損失弾性率が高い:固くて流れない。


    ▲2▼貯蔵弾性率が高くかつ損失弾性率が低い:固くて流れないが▲1▼より、より弾性的である。


    ▲3▼貯蔵弾性率が低くかつ損失弾性率が高い:柔らかいが流れない。 ▲4▼より、より粘度が高い。


    ▲4▼貯蔵弾性率が低くかつ損失弾性率が低い:柔らかくて流れやすい。


    また、貯蔵弾性率及び損失弾性率の数値と流動性の関係であるが、対象とする物質により多少異なるが、大体の目安は次の通りである。 貯蔵弾性率と損失弾性率とも、10

    〜10

    dyn/cm

    では、少し固いが流れる、10

    〜10

    dyn/cm

    では、柔らかくて流れる、10

    dyn/cm

    以下では、さらさらと流れる、という傾向を示す。


    測定は、動的粘弾性測定装置(RFSII;レオメトリック・サイエンティフィック社製)に直径25mmの円盤平行プレートに試料を入れて取り付け、プレートの間隙を1mmに設定して、角速度1rad/sec、歪み0.1%で測定を行った。 5℃から測定を開始し、毎分1℃ずつ昇温させながら35℃まで測定を行った。


    3)試験結果 貯蔵弾性率を示す結果を図1に、損失弾性率を示す結果を図2に示す。


    図1の貯蔵弾性率(G')と図2の損失弾性率(G'')の値が5℃で実験例1〜5のチーズは、10

    dyn/cm

    以下で流動性が認められる。 5〜35℃までは、10

    dyn/cm

    以下で少しずつ下がっているので流動性が認められた。


    比較のために用いたクリームチーズとプロセスチーズは、貯蔵弾性率と損失弾性率が常温では共に10

    dyn/cm

    を超えているので流動性がない。


    [試験例4]


    (カマンベールチーズの流動性のある部分との比較)


    本発明のチーズと市販カマンベールチーズのマットを除去した流動性のある部分の一般組成分析およびアンモニアの分析を行い成分の比較を行った。 また、曳糸性および風味の評価を官能評価にて行った。


    1)試料の調製 実施例1で得たチーズカードを蒸留水を加えてこねて均一にして、水分65重量%に調整し、さらに炭酸水素ナトリウムにてpHを6.4に調整して新規チーズを調製し試料とした。 比較として、市販されている熟成したカマンベールチーズ(雪印乳業(株)製)のマットを除去し、流動性のある部分50gを取り出して試料とした。


    2)アンモニア測定方法 試料4gに蒸留水25mlを添加し、Ultra−TURRAX T25(Janke & Kunkel Gmbh & Co.KG製)8,000rpmにて3分間均質処理を行い、16重量%5−スルホサリチル酸二水和物水溶液(和光純薬工業(株)製)を5ml、および蒸留水を10ml添加し、ULTRASONIC DISRUPTOR(トミー工業(株)製)を用い出力3にて超音波処理を行なった。 超音波処理した試料を0.45μmメンブランフィルターで濾過し、濾液を3倍希釈して分析検液を調製した。 分析検液をAmino Acid Analyzer L−8500((株)日立製作所製)、高分離生体分析用カラム(充填剤2622SC)およびアンモニアカラム(2650L)を使用して一般成分、可溶性窒素(アンモニア)濃度を検出した。


    3)試験結果 一般組成分析およびアンモニア分析と曳糸性および風味の官能評価結果を表4に示す。


    本発明品、市販カマンベールチーズとも常温において曳糸性を確認することができた。 風味について、本発明品は乳のフレッシュな風味が豊かで良好な味であり、遊離アミノ酸は検出されなかった。 市販カマンベールチーズは本発明品と比較して乳風味は良好であるが、アンモニア臭が強かった。


    (冷凍ピザでの評価)
    市販の直径18cmピザクラストに市販のピザソース40gを塗布し、チーズカードに蒸留水を加え混練して、水分を60重量%に調整し、さらに炭酸水素ナトリウムにてpHを6.4に調整して得た実施例1のチーズ40gをピザソースの上に塗布し、市販のシュレッドチーズ30gを載せて−20℃にて凍結して冷凍ピザを得た。 比較のため、市販の直径18cmピザクラストに市販のピザソース40gを塗布し、市販のシュレッドチーズ70gを載せて−20℃にて凍結して冷凍ピザを得た。
    本発明のチーズを載せた冷凍ピザおよび市販のシュレッドチーズのみを載せた冷凍ピザを500Wの電子レンジにて4分間加熱調理した後、室温にて1時間放置し品温を常温に戻した。 放置後、ピザを分割し、ピザ断面のチーズを観察した。
    観察の結果を表5に示す。 本発明のチーズは常温に戻してもオイルオフがなく曳糸性を有していた。

    (乾燥チーズ粉末の製造1)
    実施例1で得たチーズ(固形分当りのカルシウム含量は1.10mg/g)に蒸留水を加え、こねて均一にして水分を60%に調整した。 次に炭酸水素ナトリウムを加えてpHを6.6に調整し、常温で流動性を呈する本発明のチーズを得た。 この調製したチーズにさらに水を加えて水分70%として40℃に加熱した後、噴霧乾燥機(EYELA SD−1000;東京理化器械(株))を用いて噴霧温度140℃にて噴霧乾燥を行い、乾燥チーズ粉末を得た。

    (乾燥チーズ粉末の製造2)
    実施例4で得たチーズ(固形分当りのカルシウム含量は0.82mg/g)に蒸留水を加えてこねて均一にして水分を60%に調整した。 さらに炭酸水素ナトリウムを加えてpHを6.6に調整し、常温流動性を呈する本発明チーズを得た。 この調製したチーズにさらに水を加え、水分70%として40℃に加熱した後、噴霧乾燥機(EYELA SD−1000;東京理化器械(株))を用いて噴霧温度140℃で噴霧乾燥を行い、乾燥チーズ粉末を得た。
    [試験例7]
    (再調整チーズの物性)
    実施例7及び8で得られた乾燥チーズ粉末に、蒸留水を加え、こねて均一にして、水分を60%に調整した。 このように水分を再調整して得た本発明チーズの曳糸性及び流動性を、試験例2及び3と同様の方法で評価した。 なお、比較として、乾燥処理前の含水率60%の本発明チーズの動的粘弾性の測定もあわせて行った。 曳糸性の試験結果を図3、流動性の試験結果を図4、5に示す。 以上の結果から、本発明のチーズは、噴霧乾燥して乾燥チーズ粉末とした後もその特性が失われることなく、再び加水して水分を調整することにより、乾燥処理前と同様の特性を持つ本発明のチーズが得られることが確認された。

    (乾燥チーズ粉末の製造3)
    実施例5で得たチーズ(固形分当りのカルシウム含量3.40mg/g)に蒸留水を加えてこねて均一にして水分を60%に調整した。 さらに炭酸水素ナトリウムを加えてpHを6.6に調整し、常温流動性を呈する本発明チーズを得た。 この調製したチーズにさらに水を加え、水分70%として40℃に加熱した後、噴霧乾燥機(EYELA SD−1000;東京理化器械(株))を用いて噴霧温度140℃で噴霧乾燥を行い、乾燥チーズ粉末を得た。

    (高蛋白飲料の製造1)
    実施例5で得たチーズ133gおよび市販の無塩バター27gと蒸留水840gを使用し、蛋白質量10g/200ml、脂肪量8g/200mlになるように混合した。 混合した試料を60℃に加温し、Ultra−TURRAX T25(Janke & Kunkel Gmbh & Co.KG製)8,000rpmにて1分間均質処理を行い、90℃10分間加熱殺菌し、5℃に冷却して高蛋白飲料を得た。 比較のため、カゼインナトリウム50gおよび無塩バター46gと蒸留水904gを使用し、蛋白質量10g/200ml、脂肪量8g/200mlになるように混合した。 この混合した試料を用いた他は、同様な方法にて、高蛋白飲料比較品を得た。 なお、本発明チーズは乳風味を持ち、乳化力を持った乳素材として利用することができるため、同じ作用を持つ乳素材としてカゼインナトリウムを対照として用いた。 以下の実施例も同様に対照としてカゼインナトリウムを対照として用いた。
    得られた高蛋白飲料を官能パネルにて評価を行った。 表6に評価結果を示す。 実施例5で得た本発明チーズを用いた高蛋白飲料は乳風味が豊かで飲みやすいのに対し、比較のために製造したカゼインナトリウム由来の高蛋白飲料はえぐ味やカゼイン臭が強いため風味の損なわれた飲料になった。

    (高蛋白飲料の製造2)
    実施例9で得た乾燥チーズ粉末に蒸留水を添加し水分50%に調整したもの133gおよび市販の無塩バター27gと蒸留水840gを使用し、蛋白質量10g/200ml、脂肪量8g/200mlになるように混合した。 混合した試料を60℃に加温し、Ultra−TURRAX T25(Janke & Kunkel Gmbh & Co.KG製)8,000rpmにて1分間均質処理を行い、90℃10分間加熱殺菌し、5℃に冷却して高蛋白飲料を得た。 比較のため、カゼインナトリウム50gおよび無塩バター46gと蒸留水904gを使用し、蛋白質量10g/200ml、脂肪量8g/200mlになるように混合した。 この混合した試料を用いた他は、同様な方法にて、高蛋白飲料比較品を得た。
    得られた高蛋白飲料を官能パネルにて評価を行った。 表7に評価結果を示す。
    実施例11で得た本発明チーズを用いた高蛋白飲料は乳風味が豊かで飲みやすいのに対し、比較のために製造したカゼインナトリウム由来の高蛋白飲料はえぐ味やカゼイン臭が強いため風味の損なわれた飲料になった。

    (ホイップ用クリームの製造1)
    実施例1で得たチーズを水分60%に調整し、表8に示した配合によりホイップ用クリームを調製した。 すなわち、75℃に加温した油相と65℃に加温した水相を混合し、ホモミキサーによる高速剪断により予備乳化を行った。 予備乳化後直ちに均質機を用いて均質圧120kg/cm にて均質処理を行った。 均質後、クリームを5℃まで急速冷却し、5℃の冷蔵庫に1日保持した。 冷蔵状態のクリームをボウルに移し、ハンドホイッパーにて起泡した。
    起泡したホイップクリームの風味を官能パネルにより評価を行った。 評価結果を表9に示す。 なお、対照として、本発明品のチーズの代わりに、カゼインナトリウムをタンパク質含量が同等になるよう添加したものを調製し、同じ評価を行った。
    本発明品のチーズを使用したホイップ用クリームは、乳風味が良好であり、ホイップ用クリームとして適していた。 一方、カゼインナトリウムを使用した対照品は、カゼイン臭が強く、えぐ味を感じた。

    (ホイップ用クリームの製造2)
    実施例7で得た乾燥チーズ粉末に蒸留水を添加し水分60%に調整したものを使用し、表10に示した配合によりホイップ用クリームを調製した。 すなわち、75℃に加温した油相と65℃に加温した水相を混合し、ホモミキサーによる高速剪断により予備乳化を行った。 予備乳化後直ちに均質機を用いて均質圧120kg/cm にて均質処理を行った。 均質後、クリームを5℃まで急速冷却し、5℃の冷蔵庫に1日以上保持した。 冷蔵状態のクリームをボウルに移し、ハンドホイッパーにて起泡した。
    起泡したホイップクリームの風味を官能パネルにより評価を行った。 評価結果を表11に示す。 本発明品であるチーズを使用したホイップ用クリームは、乳風味が良好であり、ホイップ用クリームとして適していた。 一方、カゼインナトリウムを使用した対照品は、カゼイン臭が強く、えぐ味を感じた。

    (ポーションクリームの製造1)
    実施例1で得たチーズを水分60%に調整し、表12に示した配合によりポーションクリームを調製した。 すなわち、75℃に加温した油相と65℃に加温した水相とを混合し、ホモミキサーによる高速剪断により予備乳化を行った。 予備乳化後直ちに均質機を用いて均質圧300kg/cm にて均質処理を行った。 均質後、クリームを5℃まで急速冷却し、5℃の冷蔵庫に1日以上保持した。
    この調製したポーションクリームの風味を官能パネルにより評価した。 評価結果を表13に示す。 なお、対照として、本発明品であるチーズの代わりに、カゼインナトリウムをタンパク質含量が同等になるよう添加したものを調製し、同じ評価を行った。
    本発明品であるチーズを使用したポーションクリームは、乳風味が良好であり、ポーションクリームとして適していた。 一方、カゼインナトリウムを使用した対照品は、カゼイン臭が強く、えぐ味を感じた。

    (ポーションクリームの製造2)
    実施例7で得た乾燥チーズ粉末に蒸留水を添加し水分60%に調整したものを使用し、表14に示した配合によりポーションクリームを調製した。 すなわち、75℃に加温した油相と65℃に加温した水相とを混合し、ホモミキサーによる高速剪断により予備乳化を行った。 予備乳化後直ちに均質機を用いて均質圧300kg/cm にて均質処理を行った。 均質後、クリームを5℃まで急速冷却し、5℃の冷蔵庫に1日以上保持した。
    この調製したポーションクリームの風味を官能パネルにより評価した。 評価結果を表15に示す。 なお、対照として、本発明品であるチーズの代わりに、カゼインナトリウムをタンパク質含量が同等になるよう添加したものを調製し、同じ評価を行った。
    本発明品であるチーズを使用したポーションクリームは、乳風味が良好であり、ポーションクリームとして適していた。 一方、カゼインナトリウムを使用した対照品は、カゼイン臭が強く、えぐ味を感じた。

    (チーズ風味飲料の製造1)
    実施例1で得たチーズを水分60%に調整し、表16に示した配合によりチーズ風味飲料を調製した。 水に原材料を添加後、ホモミキサーによる高速剪断により予備乳化を行った。 予備乳化後直ちに均質機を用いて均質圧100kg/cm にて均質処理を行った。
    この調製したチーズ風味飲料の風味を官能パネルにより評価した。 評価結果を表17に示す。 なお、対照として、本発明品であるチーズの代わりに、カゼインナトリウムをタンパク質含量が同等になるよう添加したものを調製し、同じ評価を行った。
    本発明品であるチーズを使用したチーズ風味飲料は、乳風味が良好であり、飲料として適していた。 一方、カゼインナトリウムを使用した対照品は、カゼイン臭が強く、飲料として不適であった。

    (チーズ風味飲料の製造2)
    実施例7で得た乾燥チーズ粉末に蒸留水を添加し水分60%に調整したものを使用し、表18に示した配合によりチーズ風味飲料を調製した。 水に原材料を添加後、ホモミキサーによる高速剪断により予備乳化を行った。 予備乳化後直ちに均質機を用いて均質圧100kg/cm にて均質処理を行った。
    この調製したチーズ風味飲料の風味を官能パネルにより評価した。 評価結果を表19に示す。 なお、対照として、本発明品であるチーズの代わりに、カゼインナトリウムをタンパク質含量が同等になるよう添加したものを調製し、同じ評価を行った。
    本発明品であるチーズを使用したチーズ風味飲料は、乳風味が良好であり、飲料として適していた。 一方、カゼインナトリウムを使用した対照品は、カゼイン臭が強く、飲料として不適であった。

    以上の結果より、本発明によってはじめて、乳風味豊かで、かつ、常温で流動性および曳糸性を持つチーズを得ることができた。 また、このチーズから種々の食品を調製することができた。

    本発明のチーズは、溶融塩や乳化剤等の安定剤を添加せず、又はスターターを添加せずに、カルシウム濃度、水分、脂肪分およびpHをコントロールすることによって、常温で流動性および曳糸性を付与しているため、カマンベールチーズにみられる加熱時の物性の変化やアミノ酸の生成による風味の変化およびアンモニア臭の生成等がなく、乳本来の持つ風味を失うことがない。 このため、本発明のチーズは、幅広い食品素材として応用が可能である。

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