カード由来の塗り広げ可能なチーズ

申请号 JP2017555200 申请日 2016-01-13 公开(公告)号 JP2018500946A 公开(公告)日 2018-01-18
申请人 コオペラティ・アヴェベ・ユー・エイ; 发明人 ブワルダ ピエター ライクル; ファン デン アッカー‐ブルーミンク ベルナルダ; ムルダー フレデリク;
摘要 本発明は、チーズ製造の分野、詳細にはソフトチーズまたは塗り広げ可能なチーズの生産に関する。(a) レンネットまたは他の適切な 凝固 剤の作用により、乳製品のタンパク質を全体的にまたは部分的に凝固させる段階;(b) 凝固によって生じたホエーを部分的に排出して、チーズカードを得る段階;(c) チーズカード、 水 、アミロマルトース処理デンプン (ATS)、およびアルファ化デンプン (PS) の混合物を調製する段階;(d) 70〜80℃の 温度 で該混合物を加熱および剪断する段階;その後の (e) 該混合物を撹拌下で冷却して、塗り広げ可能なチーズ製品を得る段階を含む、塗り広げ可能なチーズ製品を調製するための方法が提供される。本方法によって得ることができる、塗り広げ可能なチーズもまた提供される。
权利要求

(a) レンネットまたは他の適切な凝固剤の作用により、乳製品のタンパク質を全体的にまたは部分的に凝固させる段階; (b) 凝固によって生じたホエーを部分的に排出して、チーズカードを得る段階; (c) チーズカード、、アミロマルトース処理デンプン (ATS)、およびアルファ化デンプン (PS) の混合物を調製する段階; (d) 70〜80℃の温度で該混合物を加熱および剪断する段階;その後の (e) 該混合物を撹拌下で冷却して、塗り広げ可能なチーズ製品を得る段階 を含む、塗り広げ可能なチーズ製品を調製するための方法。乳製品が、脱脂乳、部分脱脂乳、クリーム、ホエークリーム、もしくはバターミルク、またはこれらの材料の任意の組み合わせである、請求項1記載の方法。乳製品が、、水牛、山羊、または羊から、好ましくは牛から得られる、請求項1または2記載の方法。段階 (a) が、カゼイン凝固を可能にする条件下で、乳製品をレンネットおよび食品等級の酸味料と共にインキュベートすることを含む、前記請求項のいずれか一項記載の方法。ATSおよび/またはPSが、トウモロコシ、小麦、大麦、米、ライコムギ、米、キビ、タピオカ、クズウコン、バナナ、ジャガイモ、サツマイモデンプン、しわエンドウ豆 (wrinkled pea) デンプン、緑豆デンプン、サゴデンプン、および黄色エンドウ豆 (yellow pea) デンプンに由来する、前記請求項のいずれか一項記載の方法。ATSが、アミロース含有デンプンと、もちトウモロコシ、もち大麦、もち小麦、もち米、アミロペクチンジャガイモ、アミロペクチンタピオカ、アミロペクチンサツマイモ、またはアミロペクチンバナナデンプンのような、アミロペクチンに富んだデンプンとの配合物に由来する、前記請求項のいずれか一項記載の方法。PSが、天然デンプン、または架橋、エステル化、および/もしくはエーテル化により得られたデンプン誘導体である、前記請求項のいずれか一項記載の方法。PSがもち性の塊根デンプン (root starch) または塊茎デンプン (tuber starch) である、前記請求項のいずれか一項記載の方法。PSがもち性ジャガイモデンプンまたはもち性タピオカデンプンである、請求項8記載の方法。PSが、架橋および安定化された高アミロペクチンデンプンである、前記請求項のいずれか一項記載の方法。PSが、非架橋非安定化高アミロペクチンデンプンである、請求項1〜8のいずれか一項記載の方法。前記混合物が、該混合物の2.0〜4.5重量%、好ましくは2.5〜3重量%の量のATSを含む、前記請求項のいずれか一項記載の方法。前記混合物が、該混合物の1.0〜5.0重量%、好ましくは1.5〜3.0重量%の量のPSを含む、前記請求項のいずれか一項記載の方法。ATSとPSが10:1〜1:10という相対重量比で用いられる、前記請求項のいずれか一項記載の方法。ATSとPSが1 : 0.5〜1 : 2.0、好ましくは1 : 0.75〜1 : 1.5という相対重量比で用いられる、請求項14記載の方法。前記混合物が、1種類もしくは複数種類の塩、好ましくは塩化ナトリウム、および/または1種類もしくは複数種類の食品等級の酸、好ましくはアスコルビン酸もしくは乳酸をさらに含む、前記請求項のいずれか一項記載の方法。前記混合物がいかなる付加的な溶融塩も含有しない、請求項1〜15のいずれか一項記載の方法。段階 (d) が、71〜75℃の温度で加熱および剪断することを含む、前記請求項のいずれか一項記載の方法。段階 (d) が、蒸気の利用を含む、前記請求項のいずれか一項記載の方法。請求項1〜19のいずれか一項記載の方法によって得ることができる、塗り広げ可能なチーズ製品。(i) ハードタイプチーズを製造する工程において得られたチーズカード、(ii) アミロマルトース処理デンプン (ATS)、および (iii) アルファ化デンプン (PS) を含む組成物。塗り広げ可能なチーズ製品の製造における、請求項21記載の組成物の使用。

说明书全文

本発明は、チーズ製造の分野、詳細にはソフトチーズまたは塗り広げ可能なチーズの生産に関する。

従来のセミハード/ハードチーズ加工は、乳からチーズカードを形成することを含む。習慣的に、低温殺菌した乳に、選択された生物のチーズスターター培養物を植え付け、任意に乳を予め酸性化し、レンネットまたは別の適切な凝固剤を乳に添加してカードを形成させる。その後、凝固した乳をカッティングおよび切りに供して、過剰なホエーをカードから除去する。

例えば、チェダーチーズ、ゴーダチーズ、またはエダムチーズを得るための、セミハード/ハードチーズ製造におけるカード加工は、チーズカードが、製造しているチーズの適切な基準を満たす水分含量を有する均一な塊になるまで、これを加熱する、撹拌する、および洗浄することにより残存ホエーを除去することを含む。水切りしたカードを圧搾し、塩水につける。チーズの製造における正確な工程は、異なるチーズの種類によって異なる。ソフトチーズに関しては、カードを控えめにカットし、自然に水切りする。ハードチーズに関しては、カードを典型的には加熱し、より多くのホエーを排出除去する。最も重要な共通の特徴は、いずれもカットされたカードを通じて加工されることである。

特定のチーズの需要は変動し得るが、チーズ産業におけるチーズ生産レベル、およびしたがってカード生産は、乳の供給のバランスを取るために、絶えず高く保たれる。これは典型的にスクラップチーズをもたらし、このチーズは、低価値のプロセスチーズおよびチーズ類似品における再加工を必要とする。

不必要なチーズが無駄になるのを防ぐため、本発明者らは、ハードチーズの製造に当初意図されたまたは適しているカードを、望ましいチーズ製品をもたらす工程に向け直すことに努めた。これにより、生産者に、チーズ類の生産量を市場の需要に適応させながら、生産および乳の需要を維持する機会が提供される。結果として、生じる廃棄物が減少し、再加工の必要性が減少する。

驚いたことに、ハードチーズへの変換に意図されたまたは適しているカードを、デンプンの特別な組み合わせの助けで、塗り広げ可能なチーズに加工できることが見出された。より詳細には、少なくともアミロマルターゼ処理デンプンおよびアルファ化デンプンの取り込みが、良好な粘稠度、良好な展延性、および魅的なクリーミー性を有する、安定した製品をもたらす。

したがって、1つの態様において、本発明は、(a) レンネットまたは他の適切な凝固剤の作用により、乳製品のタンパク質を全体的にまたは部分的に凝固させる段階;(b) 凝固によって生じたホエーを部分的に排出して、チーズカードを得る段階;(c) チーズカード、水、アミロマルターゼ処理デンプン (ATS)、およびアルファ化デンプン (PS) の混合物を調製する段階;(d) 70〜80℃の温度で該混合物を加熱および剪断する段階、その後の (e) 該混合物を撹拌下で冷却して、塗り広げ可能なチーズ製品を得る段階を含む、塗り広げ可能なチーズ製品を調製するための方法を提供する。

本発明の方法の段階 (a) および (b) は、当技術分野で公知の方法による、乳製品からのカードの製造を含む。開始材料として、任意の種類の乳製品を使用することができる。1つの態様において、乳製品は、脱脂乳、部分脱脂乳、クリーム、ホエークリーム、もしくはバターミルク、またはこれらの材料の組み合わせである。典型的に、乳製品は、、水牛、山羊、または羊から得られる。好ましい局面において、生牛乳が用いられる。例えば、72℃で15秒間加熱することにより生牛乳を低温殺菌して、潜在的に有害な細菌を破壊する。次いで、乳をおよそ30℃まで冷却する。

本発明の工程が、発酵させた乳製品配合物を、遠心分離または限外濾過を用いて(半固形)カード画分と液体ホエーに分離することを含む、乳およびクリームからクリームチーズのような塗り広げ可能なチーズを調製する古典的な方法とは明らかに異なるということに注目すべきである。異なる工程の概要は、US2013/273202 A1に記載されている。予想外に、本発明者らは、デンプンの特定の組み合わせが加えられるという条件で塗り広げ可能なチーズが得られるといった方法で、カットされたカードが通常のクリームチーズ工程のものとは異なる経路を介して再構成可能であることを観察した。

WO2012/080150は、0.5〜8重量%のアミロマルターゼ処理デンプン、0.5〜8重量%のもち性 (waxy) デンプン、水、および任意に果実、野菜、または大豆などの基本成分を含む、塗り広げ可能なゲルを開示している。WO2012/080150は主に、ジャム(ゼリー)、および電子レンジなどで加熱した場合に液体となり、食事を調製するための液体ソースとして使用され得るゲル様ソースに関係している。本発明のデンプン配合物を用いる、塗り広げ可能なチーズの製造については、何も言及されていない。

段階 (a) では、乳製品のタンパク質を、当技術分野で公知の方法に従って、レンネットまたは任意の他の適切な凝固剤の作用により、全体的にまたは部分的に凝固させる。凝固の段階は、「レンネット」、すなわち適切な凝乳酵素、または動物および/もしくは微生物起源の酵素の混合物、または他の適切な凝乳剤の作用により達成される。レンネットは、凝固を誘導するのに十分な量で添加して、5〜30分間おく。異なるレンネットの強度は異なり得るが、通常の強度は50〜2500 IMCU(国際凝乳単位)の間で異なる。分散を促進するために、レンネットを純水で希釈してもよい。レンネットを添加した後、残余分を完全に撹拌し、静止状態の凝固が起こるようにする。例えば、段階 (a) は、カゼイン凝固を可能にする条件下で、乳製品をレンネットおよび食品等級の酸味料と共にインキュベートすることを含む。

酸性化を助けるために、乳酸菌のスターター培養物を添加してもよい。乳酸菌はラクトースを乳酸に変換し、凝固工程に役立つ。チーズ製造における細菌による乳の酸性化は、熟成と称される。特定のチーズ種を製造するために、種々の細菌培養物が利用可能である。これらの細菌は、一般にスターター培養物と称され、低温細菌後の特定の温度の乳に加えられる。細菌は、チーズの種類に応じて特定の時間働かせる。この期間中に、細菌は、乳糖であるラクトースを消費する。細菌は食するにつれて乳酸を産生し、乳酸は次に乳タンパク質をカードへと変化させる。この熟成段階の他の副産物は、出来上がったチーズの特徴を強化する風味化合物をもたらす。

凝乳化成分を添加した後、乳を適切な条件下で凝乳させる。例えば、乳をおよそ35℃で約30分間インキュベートする。所望の硬さが得られた時点で、カードを小さな断片にカットし、その後撹拌し休ませることができる。本発明の方法の段階 (b) では、凝固によって生じたホエーを部分的に排出して、チーズカードを得る。

カードの形成後、水、アミロマルトース処理デンプン (ATS)、およびアルファ化デンプン (PS) をチーズカードに添加することにより混合物を調製し、任意に塩、アスコルビン酸、および/または乳酸を添加することができる。前述したように、ハードチーズの通常の工程では、カードを練るかまたは圧搾し、任意に熟成させ、最終製品を得る。対照的に、本発明では、カード混合物を高剪断クッカーに入れ、任意に蒸気を加えながら剪断し72℃まで加熱する。塊が均一になるまで、加熱を続ける。次いで、結果として得られた混合物を容器に充填し、通常冷蔵庫内で貯蔵する。

本明細書において上記したように、本発明はとりわけ、カットされたチーズカードにアミロマルターゼ処理デンプンおよびアルファ化デンプンを添加することを特徴とする。

アミロマルターゼ処理デンプンの生成は、当技術分野において記載されており、例えばEP 0932444 B1を参照されたい。1つの態様においては、アミロース含有デンプンをα-1-4,α-1-4グルカノトランスフェラーゼ(アミロマルターゼ)によって、鎖の伸長したアミロペクチンに変換する。アミロマルターゼの典型的でかつ関連性のある活性は、それらが2つのグルコース単位間のα-1,4結合を破壊し、続いて新規なα1,4結合を作製できることである。最終的に、アミロースがアミロペクチンに再付着し、所望の産物が生じる。この産物は、水中で低濃度の熱可逆性のゲルを形成する。

1つの局面において、アミロマルターゼ処理デンプンは、ジャガイモデンプンの水中懸濁液(19〜20 % w/w)から調製することができる。デンプンを溶解するために、この懸濁液を150〜160℃でジェット調理する。産物を真空中で70℃に冷却する。フラッシュ冷却が好ましい選択肢である。例えば6N H2SO4を用いて、pHを6.2に調整する。次いで、アミロマルターゼ(2 ATU/gデンプン)を添加し、溶液を70℃で2〜20時間撹拌する。次いで、溶液を130℃で例えば1〜20秒の短時間ジェット調理し、例えばモデルCompact噴霧乾燥機 (Anhydro, Denmark) を用いて噴霧乾燥する。

適切なデンプンは、例えば、トウモロコシ、小麦、大麦、米、ライコムギ、米、キビ、タピオカ、クズウコン、バナナ、ジャガイモ、サツマイモデンプン、サゴデンプンより、またはアミロトウモロコシ、しわエンドウ豆 (wrinkled pea) デンプン、緑豆デンプン、および黄色エンドウ豆 (yellow pea) デンプンのような高アミロースデンプンより選択される。高アミロースデンプンは、高アミロースのコーン、もしくはエンドウ豆、豆などのような穀物デンプンからの天然突然変異株に由来してよく、またはアミロースを優先的に産生するように改変されたジャガイモなどの遺伝子改変植物変種に由来してもよい。あるいは、アミロマルターゼ処理デンプンは、アミロース含有デンプンと、もちトウモロコシ、もち大麦、もち小麦、もち米、アミロペクチンジャガイモ、アミロペクチンタピオカ、アミロペクチンサツマイモ、またはアミロペクチンバナナデンプンのような、アミロペクチンに富んだデンプンとの配合物に由来し得る。アミロペクチンデンプンは、もち性穀物もしくはアミロース不含ジャガイモ突然変異株などの、アミロペクチンを選択的に産生する植物、ならびに/またはアミロペクチンを選択的に産生するように改変されたジャガイモおよびタピオカなどの遺伝子改変植物変種に由来してもよい。

本明細書で用いられる場合、「アルファ化デンプン」という用語は、冷膨潤性または冷可溶性デンプンを指すことが意図される。アルファ化デンプン (PS) は、当業者に周知の方法に従って調製することができる。その非排他的な例は、噴霧乾燥、スプレー調理、ドラム乾燥、押出、含水有機溶媒である。これらの技法は、時にバッチまたはジェット調理などの調理技法と併せて使用することができる。実質的にすべてのデンプンをアルファ化することができる。例えば、デンプンは、トウモロコシ、小麦、大麦、米、ライコムギ、米、キビ、タピオカ、クズウコン、バナナ、ジャガイモ、サツマイモデンプンより、またはアミロトウモロコシ、しわエンドウ豆デンプン、緑豆デンプンのような高アミロースデンプンより選択され得る。高アミロースデンプンは、高アミロースのコーン、もしくはエンドウ豆、豆などのような穀物デンプンからの天然突然変異株に由来してよく、またはアミロースを優先的に産生するように改変されたジャガイモなどの遺伝子改変植物変種に由来してもよい。

1つの好ましい態様において、デンプンは、もちトウモロコシ、もち大麦、もち小麦、もち米、アミロペクチンジャガイモ、アミロペクチンタピオカ、アミロペクチンサツマイモ、またはアミロペクチンバナナデンプンのような、アミロペクチンに富んだデンプンより選択される。より好ましくは、PSはもち性の塊根デンプン (root starch) または塊茎デンプン (tuber starch) であり、最も好ましくはもち性ジャガイモデンプンまたはもち性タピオカデンプンである。

アミロペクチンデンプンは、もち性穀物もしくはアミロース不含のジャガイモおよびタピオカ突然変異株などの、アミロペクチンを選択的に産生する植物、ならびに/またはアミロペクチンを選択的に産生するように改変されたジャガイモおよびタピオカなどの遺伝子改変植物変種に由来してもよい。あるいは、アルファ化デンプンは、アルファ化技法と組み合わせた、特許出願DE928100に記載されているような分離工程に由来し得る。

本発明の方法において使用するためのPSは、天然デンプン、または架橋、エステル化、および/もしくはエーテル化により得られたデンプン誘導体であってよい。1つの態様において、PSは、AVEBE、Veendam, The Netherlands製の市販の天然アルファ化アミロペクチンジャガイモデンプンなどの、高アミロペクチンデンプンである。別の態様において、PSは、AVEBE、Veendam, The Netherlands製の市販のアルファ化架橋安定化アミロペクチンジャガイモデンプンなどの、架橋および安定化された高アミロペクチンデンプンである。天然PSと誘導体化PSの組み合わせを使用することもできる。

カードに添加するべきATSおよびPSの絶対量および相対量は、変動し得る。典型的に、混合物は、最終産物の乾燥重量に基づいて2〜4.5重量%、好ましくは2.5〜3重量%の量のATSを含む。PSの典型的な量は、最終産物の乾燥重量に基づいて1〜5重量%、好ましくは1.5〜3重量%である。好ましくは、添加するデンプン (ATS + PS) の総量は、最終産物の乾燥重量に基づいて3〜6重量%、より好ましくは3.5〜5重量%の範囲である。例えば、37〜38%の非水性分を含むカットされたカード800グラムに対して、約26グラムのATSおよび約35グラムのPSを添加する。

本発明のデンプン配合物中のATSとPSとの相対的比率は、許容可能な結果を達成するのに重要ではない。例えば、ATSとPSは、95:5〜5:95という相対重量比、好ましくは10:1〜1:10という相対重量比で使用することができる。1つの局面において、ATSはPSよりも過剰に用いられる。好ましくは、PSはATSの量と等しいかまたはそれよりも多い量で用いられ、例えば、ATSとPSは、1 : 0.5〜1 : 2.0、好ましくは1 : 0.75〜1 : 1.5という相対重量比で使用することができる。

公知の塗り広げ可能でかつポンピング可能なチーズ製品は、典型的に、自然熟成したチーズに乳化剤を添加し、適切な温度で加熱することによって調製する。そのような乳化剤が用いられる場合、これは主にいわゆる溶融塩の形態で行われる。溶融塩は乳化剤ではないが、乳タンパク質の乳化能を非常に効率的に回復させることが明記されなければならない。(http://www.magma.ca/~scimat/Cheese.htm)。乳化剤は、微生物学的により安定している製品が得られることを確実にする。低温殺菌段階は、製品が微生物学的に安定しており、それ以上熟成しないことを確実にする。溶融塩はチーズが変化するのを防ぎ、変化とはチーズが脂肪画分と水画分に分離することを意味する。用いられている多くの溶融塩は、リン酸塩およびクエン酸塩である。溶融塩を使用することの短所は、それらが典型的に結晶を生じ、塗り広げ可能なチーズのpHに影響を及ぼすことである。その上、これはまた、食品加工業がクリーンラベルまたはノーラベルを目指しているという理由で望ましくないラベルを必要とする。

驚いたことに、本発明の方法が、許容可能な構造および粘稠度を有し、かつ少なくとも1ヵ月間安定したままである塗り広げ可能なチーズ製品を得るために、伝統的な溶融塩の添加を必要としないことが見出された。明らかに、溶融塩は、ATSおよびPSを含む本発明のデンプン配合物に実質的にまたはさらには完全に置き換えることができる。

したがって、1つの態様において、混合物はいかなる付加的な(溶融)塩も含有しない。

しかしながら、本発明の方法は、溶融塩を回避または排除することに決して限定されず、混合物は、1種類または複数種類の塩、好ましくは塩化ナトリウムをさらに含み得る。他の有用な成分には、製品のpHを、例えばおよそ4〜5、好ましくは約4.5という値まで下げるための1種類または複数種類の酸、好ましくはアスコルビン酸または乳酸が含まれる。

カットされたカードに様々な成分を添加する順序は、変動し得る。1つの態様においては、カードと乾燥成分(デンプン、任意に塩)を組み合わせ、混合しながら約55〜65℃の温度まで加熱する。次いで、乳酸またはアスコルビン酸などの酸を、最終pHが4〜5の範囲になるような量で添加する。次いで、混合物を71〜75℃の温度まで、典型的に約1〜2分間さらに加熱する。好ましくは、段階 (d) は、71〜75℃の温度で加熱および剪断することを含む。加熱段階は、蒸気の利用を含み得る。加熱段階の後、混合物を撹拌下で冷却して、塗り広げ可能なチーズ製品を得ることを含む段階 (e) が行われる。次いで、結果として得られた製品を適切な容器に移し、冷蔵貯蔵することができる。

したがって、本発明はまた、本発明による方法によって得ることができる、塗り広げ可能なチーズ製品を提供する。

さらなる局面は、(i) ハードタイプチーズを製造する工程において得られた、またはそのような工程に意図されたチーズカード、(ii) アミロマルトース処理デンプン (ATS)、および (iii) アルファ化デンプン (PS) を含む組成物に関する。典型的に、レンネット凝固カードは、5.5〜6.5のpHを有する。そのようなカードは、カッティングおよび圧搾工程によって得られる。

本明細書において上記されたデンプンの種類、デンプンの量、デンプンの比率、および添加物に対する選好はすべて、本発明の組成物に適用可能である。特定の態様において、本発明は、カード、アミロマルターゼ処理ジャガイモデンプン、および(天然または化学修飾された)アルファ化アミロペクチンジャガイモデンプンを含み、任意に塩および酸をさらに含む組成物を提供する。

本発明の組成物は、塗り広げ可能なチーズ製品の製造において有利に用いられる。

実験セクション 実施例1:有用なデンプンの選択 本実施例は、レンネット凝固チーズカードから塗り広げ可能なチーズを製造する際に使用するための多くの異なるデンプンの評価を記載する。

材料 ● 生牛乳は、Bos農場 (Zuidbroek, the Netherlands) またはSchouten農場 (Kantens, the Netherlands) から入手した。 ● チーズ培養物、タイプG600.7およびレンネット(Kalase、150 IMCU)は、CSK Food Enrichment (Leeuwarden, the Netherlands) から入手した。 ● 乳酸 約90% ● 塩化ナトリウム ● 塩化カルシウム ● 使用したデンプン ○ ATPS:AVEBEによるアミロマルターゼ処理ジャガイモデンプン ○ PAPS:AVEBEによるアルファ化アミロペクチンジャガイモデンプン ○ MAPS:AVEBEによる非アルファ化架橋ヒドロキシプロピル化アミロペクチンジャガイモデンプン ○ IMAPS:AVEBEによるアルファ化架橋アセチル化アミロペクチンジャガイモデンプン ○ MACS:Ingredionによる非アルファ化架橋ヒドロキシプロピル化アミロペクチンコーンデンプン(もちトウモロコシ) ○ MTS:Ingredionによる非アルファ化架橋ヒドロキシプロピル化タピオカデンプン

カードの調製 ● 72℃の温度に達するまで、生牛乳を二重ジャケット容器内で低温殺菌する。続いて、乳を35℃まで冷却する。 ● チーズ培養物(乳1 kg x 1.25 = 培養物のグラム)およびレンネット(乳1 kg x 0.25 = レンネットのグラム)および塩化カルシウムを、低温殺菌した乳に添加する。 ● 乳を35℃でおよそ30分間凝乳させる。カードに小さな切れ目を入れ、切れ目の下部を持ち上げることにより、カードの硬さを判定する。「陶器様の割れ目」(鋭い縁のあるきれいな切れ目)が見えるべきである。 ● 所望の硬さに達した時点で、カードを小さな正方形(< 1 x 1 cm)にカットする。カードを3分間撹拌し、30分間休ませておく。 ● 容器の排水管を開ける(ホエーを外に出す)ことにより、カードを水切りする。 ● 温水(およそ35℃、乳の元の量の体積の約半分)をカードに添加する。これを15〜20分間休ませておく。篩にかけることにより、カードを再度水切りする。 ● カードを35℃の水浴中の容器に入れ、5.7のpHに達するまで培養する。カードを4℃で貯蔵する。

測定/計算 ● カードからのホエーの分離は貯蔵中にも続くため、カード粒子(白色の粘着性の塊)とホエー(透明な黄色がかった液体)との比率を決定して、毎回必ず正確な量を使用する。 ● カード/ホエー混合物に水を添加して、ある特定の設備(例えば、Stephan UM130)で起こる蒸気噴射を模倣する。 ● クリームをレシピに添加して、最終製品の脂肪含量を増大させることができる。付加的なクリームがない場合、脂肪含量はおよそ13%である。 ● カード粒子の水分含量を、140℃で水分計を用いることにより決定する。最終製品の乾燥物質は35%〜45%である。 ● 乳酸を用いて、塗り広げ可能なチーズのpHをおよそ4.5まで下げる。 ● 塩(塩化ナトリウム)を添加する。

塗り広げ可能なチーズの調製 ● (正確な比率の)カードおよびホエーをStephanクッカー(タイプUM5)のボウルに入れ、2000 rpmで5分間混合する。 ● デンプン添加物を乾燥形態で添加し、2000 rpmでさらに5分間混合する。 ● 湯浴を用いて、Stephanクッカーの二重ジャケットボウルを加熱する。製品を2000 RPMで混合する。 ● 混合物が60℃に達した時点で、乳酸を、製品の最終pHがおよそ4.7になるような量で添加する。製品が72℃に達するまで、混合物をさらに過熱する。 ● 製品を小さな試料容器に移し、冷蔵貯蔵する。

表1に示される結果を考慮すると、塗り広げ可能なチーズ製品の製造において、アミロマルトース処理デンプンとアルファ化デンプンの組み合わせが有利に用いられると結論づけることができる。対照的に、単独のアミロマルトース処理デンプンもしくは単独のアルファ化デンプン、または乳製品用途において安定した構造を作出するために典型的に用いられる非アルファ化、いわゆる「クックアップ (cook-up)」デンプンは、適していない。

実施例2:塗り広げ可能なチーズの製造方法 本実施例は、ハードチーズの製造に意図されたチーズカードを塗り広げ可能なチーズに加工するのを助けるためにデンプンの特定の組み合わせを用いて本発明を実行する1つの方法を記載する。

材料および方法 カード(ハードチーズの工程に由来)は、Rolde, The NetherlandsにあるCheese Farm Karwijから入手した。

カード(非水性分37.7 %)800 g、ATPS 25.9 g、PAPS 34.5 g、NaCl 3.45 g、水320 g、およびアスコルビン酸7.05 gを高速ミキサー (Thermomix) に入れた。pHは5.15であった。ミキサーを600 rpm(スピード9)で起動した。ミキサーを72.5℃まで加熱し、それを1分間維持した。撹拌しながらミキサーを冷却し、40℃まで冷却した。次いで、混合物を容器に充填し、冷蔵した。一晩後、試料を試験し、クリーミー性で判断した。結果として得られた製品は、良好な粘稠度および展延性を有して、塗り広げ可能なチーズであると判断された。

35%乾燥物質のカード (860 g) にATPS 25.9 g、IMAPS 34.5 g、NaCl 3.5 g、アスコルビン酸7.05 g、および水300 gを添加して、上記の実験を本質的に繰り返した。IMAPSは、アルファ化架橋/安定化アミロペクチンジャガイモデンプンである。

結果は、本明細書において上記されたATPSおよびPAPSを用いて得られたクリームチーズと同様であり、天然または誘導体化アルファ化デンプンと組み合わせたアミロマルトース処理デンプンの構造化効果が実証される。対照的に、ATPSのみを用いた実験は、一貫性のあるチーズ実体がなく、質感は粒状でもろいという理由で、失敗した。

実施例3:塗り広げ可能なチーズ 例示的な塗り広げ可能なチーズ製品は、以下の組成を有する。

塗り広げ可能なチーズは、およそ40%の固形物および13%の脂肪を有する。

実施例4:ATSとPSの異なる組み合わせ

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