Production method of sterilization type fresh cheese |
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申请号 | JP2013555998 | 申请日 | 2011-03-03 | 公开(公告)号 | JP2014509848A | 公开(公告)日 | 2014-04-24 |
申请人 | 高梨乳業株式会社; イズニー サントメールIsigny Sainte−Mere; | 发明人 | 憲史 中島; 昌伸 高橋; 正孝 細田; 優 平松; 信芳 高梨; ダニエル・ドライエ; ルーク・ルセニカル; | ||||
摘要 | 【課題】組織が滑らかで風味が大変よく、離 水 が起こりにくく、pHや酸度の低下も起こりにくい、長期保存可能な殺菌タイプフレッシュチーズの製造方法を提供する。 【解決手段】 次の工程(a)〜(e) (a)乳原料を凝乳させてカードを得る工程(b)カードからホエーを分離してチーズカードを得る工程(c)分離したホエーに安定剤を添加する工程(d)安定剤を添加したホエーをチーズカードと混合する工程(e)チーズカードを加熱して殺菌する工程を含むことを特徴とする殺菌タイプフレッシュチーズの製造方法。 【選択図】なし |
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权利要求 | 次の工程(a)〜(e) (a)乳原料を凝乳させてカードを得る工程(b)カードからホエーを分離してチーズカードを得る工程(c)分離したホエーに安定剤を添加する工程(d)安定剤を添加したホエーをチーズカードと混合する工程(e)チーズカードを加熱して殺菌する工程を含むことを特徴とする殺菌タイプフレッシュチーズの製造方法。 工程(a)において乳原料の凝乳を少なくとも乳酸菌を用いて行うものである請求項1記載の殺菌タイプフレッシュチーズの製造方法。 工程(b)においてカードからのホエーの分離を限外ろ過膜または精密ろ過膜で行うものである請求項1記載の殺菌タイプフレッシュチーズの製造方法。 工程(c)において安定剤がハイメトキシルペクチンである請求項1記載の殺菌タイプフレッシュチーズの製造方法。 工程(d)において安定剤を添加したホエーを、チーズカード中の安定剤が0.1〜0.7%となる量で混合するものである請求項1記載の殺菌タイプフレッシュチーズの製造方法。 工程(e)においてチーズカードの殺菌を63℃で30分間(LTLT殺菌)またはこれと同等の殺菌条件以上で行うものである請求項1記載の殺菌タイプフレッシュチーズの製造方法。 更に、工程(f) (f)チーズカードを容器に充填する工程を含む請求項1記載の殺菌タイプフレッシュチーズの製造方法。 工程(f)におけるチーズカードの容器への充填を55〜85℃で行うものである請求項7記載の殺菌タイプフレッシュチーズの製造方法。 請求項1ないし8の何れかに記載の殺菌タイプフレッシュチーズの製造方法で製造される殺菌タイプフレッシュチーズ。 フロマージュブランおよびクワルクである請求項9記載の殺菌タイプフレッシュチーズ。 温度が20℃、湿度が50%の環境下においてJIS K7126準拠(MOCON法)で測定された酸素透過性が1000ml/(m 2・day・MPa)以下の素材で形成された容器に充填されたものである請求項9または10記載の殺菌タイプフレッシュチーズ。 |
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说明书全文 | 本発明は、長期保存可能な殺菌タイプフレッシュチーズの製造方法に関する。 フレッシュチーズは、乳原料を乳酸菌、レンネット、酸等により凝乳させて得られるカードからホエーを分離して得られ、熟成を行わないタイプのチーズである。 このようなフレッシュチーズとしてはフロマージュブラン、クワルク、カッテージチーズ、マスカルポーネ、リコッタ、モッツァレラ等が知られている。 このようなフレッシュチーズの中でもフロマージュブランは乳酸菌または乳酸菌とレンネットを併用して乳原料を凝乳させたものであり、低脂肪で、ヨーグルトと比較してチーズのまろやかな風味があり組織もなめらかである。 しかし、フロマージュブランは乳酸菌が生存しているため保存中にpH、酸度、風味の変化が発生するため賞味期限は一般的に短い。 そのため、フロマージュブランはフランス等から航空便で日本に輸入するしかなく、賞味期限の短さと、価格が高い点などから、日本での流通量は少ない。 また、フロマージュブランを入手することができたとしても、このものは乳酸菌が生存しているため、日本国内では百貨店等の菌的制約のある場所で販売される洋菓子等に利用することも難しい。 そこで、上記菌的制約をなくすために、フロマージュブランに殺菌処理を行うことが考えられるが、酸性のチーズカードに通常の殺菌処理である加熱殺菌を行うとβラクトグロブリンなどのホエータンパク質が熱変性し、カゼインミセル表面に結合しカゼインミセルの構造が、加熱前と変化してしまうことで、特徴とする滑らかな食感が失われて商品価値が激しく低下する。 このためフロマージュブランに加熱殺菌を行うことが難しかった。 ところで、クワルク等のフレッシュチーズに殺菌処理を施す方法として、ハイメトキシルペクチンをチーズカードに添加する方法が報告されている(特許文献1)。 しかしながら、この方法では水分量の少ないチーズカードにハイメトキシルペクチンを添加しなければならないため攪拌には強い力を必要とするため作業性が悪く、また、得られるチーズカードもペースト状となるため食感が大きく異なり、離水の抑制以外の効果は全く認められない。 また、この方法を発展させ、安定剤の分散性をよくするために、クワルク等のフレッシュチーズを加熱変性が起きないように加温し、攪拌して液状化し、粘度を40℃で50ポアズ以下にする工程、この工程の前または後にハイメトキシルペクチンを加える工程、pHを3.5〜4.6に調整後、均質化し、次いで加熱殺菌処理を行う工程からなる殺菌フレッシュチーズの製造法が報告されている(特許文献2)。 この方法では、力をかけないように温度をかけ、チーズカードを柔らかくした後安定剤を添加することにより、特許文献1に記載の方法よりも弱い力で分散、殺菌を行うこととしている。 しかしながら、この方法においては、ハイメトキシルペクチンは粉末状で添加されているため、酸性のチーズカードに散布するとすぐに凝固してしまい、タンパク変性の抑制効果は得られず、また、均質機が詰まるため作業性も悪い。 更に、この方法においては、安定剤として、予め水に溶解したものを用いて分散性を高めることが示唆されているが、安定剤を溶解した水によりチーズカードが薄まり、保存中の組織の劣化、離水の抑制に対してある一定の効果が認められるものの、水分量が増える事により安定剤を添加しないものと物性、風味が大きく異なってしまう問題があった。 更に、非熟成軟質チーズの製造に用いられる乳酸菌としてブルガリカス菌、サーモフィラス菌等の高温菌を利用して、pH4.0以下まで下げてから殺菌することにより、安定剤を使用しないで、組織が良好な物性な非熟成軟質チーズが得られることも報告されている(特許文献3)。 しかしながら、ブルガリカス菌、サーモフィラス菌等の高温菌を使用したものは、非熟成軟質チーズの風味が異なり、長時間の熱による熱変性抑制効果が弱く、ホットパック充填することもできないという問題があった。 従って、本発明の課題は、組織が滑らかで風味が大変よく、離水が起こりにくく、pHや酸度の低下も起こりにくい、長期保存可能な殺菌タイプフレッシュチーズの製造方法を提供することである。 本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究した結果、フレッシュチーズの製造において、チーズカードを得る際に分離・廃棄されていたホエーを利用して安定剤の溶液を調製し、これを再びチーズカードと混合した後殺菌することにより、上記課題を解決した長期保存が可能なフレッシュチーズが得られることを見出し、本発明を完成させた。 すなわち、本発明は次の工程(a)〜(e) また、本発明は上記殺菌タイプフレッシュチーズの製造方法で製造される殺菌タイプフレッシュチーズである。 本発明の殺菌タイプフレッシュチーズの製造方法によれば、ホエーを利用して安定剤の溶液を調製し、これを再びチーズカードと混合することにより、ミネラルバランスが崩れないまま、チーズカード中に均一に安定剤を混合することができる上、従来廃棄されていたホエーも利用できるため環境によい。 また、本発明の殺菌タイプフレッシュチーズの製造方法によれば、通常のフレッシュチーズの製造設備に均質機と殺菌器を追加するのみで設備投資が安価で済む簡便な工程で、組織が滑らかで風味がよく、離水が起こりにくく、pHや酸度の低下も起こりにくい、賞味期限が長い長期保存可能なフレッシュチーズが得られる。 更に、本発明の殺菌タイプフレッシュチーズの製造方法で得られるフレッシュチーズはチーズ中の乳酸菌が殺菌されていて賞味期限も長いため、菌的制約のある百貨店で販売される洋菓子に用いたり、一般的なスーパーで取り扱うことができるようになる。 また更に、本発明のフレッシュチーズは耐熱性があるため、従来のフレッシュチーズでは加熱によるたんぱく質の熱変性により使用することができなかった、加熱をともなう調理方法でも使用することが可能である。 そのため、本発明の殺菌タイプフレッシュチーズを利用することによりフレッシュチーズを利用した新しいデザートや料理を開発することも可能であり、市場が拡大することも期待できる。 本明細書においてフレッシュチーズとは、乳原料を乳酸菌、レンネット、酸またはこれらの組み合わせにより凝乳させて得られるカードからホエーを分離して得られる熟成を行わないタイプのチーズである。 このようなフレッシュチーズとしてはフロマージュブラン、クワルク、カッテージチーズ、マスカルポーネ、リコッタ、モッツァレラ等が挙げられる。 これらフレッシュチーズは、概ね全固形分が5〜30質量%(以下、単に「%」という)程度、全固形分中の脂肪分が0〜40%程度のものである。 また、本明細書において殺菌タイプとは、製造直後のフレッシュチーズ中の一般生菌数が、長期間保存しても、劣化しないレベル、例えば、1000個/g以下、好ましくは300個/g以下にまで殺菌されているものをいう。 なお、この一般生菌数は、例えば、標準寒天培地を利用して測定することができる。 また、国によっては殺菌タイプのフレッシュチーズは、フレッシュチーズと呼べない場合がある。 その場合には、この殺菌タイプのフレッシュチーズはフレッシュチーズ様食品として取り扱う。 本発明の殺菌タイプフレッシュチーズの製造方法(以下、単に「本発明製法」という)の工程(a)は乳原料を凝乳させてカードを得る工程である。 この工程(a)で用いられる乳原料や凝乳の方法は、目的とするフレッシュチーズの種類にあわせて公知の乳原料や凝乳方法(ナチュラルチーズ製造技術マニュアル:社団法人中央酪農会議、財団法人蔵王酪農センター)を採用して行えばよい。 本発明製法の工程(b)は工程(a)で得たカードからホエーを分離してチーズカードを得る工程である。 この工程(b)でホエーの分離は公知の分離手段、例えば、布袋等やモールド等にカードを入れて行う脱水、遠心分離機による遠心分離、限外ろ過(UF)膜、精密ろ過(MF)膜等の濾過膜による分子分画等で行うことができる。 これらの分離手段の中でも、得られるフレッシュチーズの食感等に優れること、チーズカードの収率が高いこと等から、濾過膜による分子分画が好ましく、特に、分画分子量が10,000〜150,000、好ましくは50,000〜150,000の限外ろ過膜または細孔径が0.1〜0.5μm、好ましくは0.1〜0.2μmの精密ろ過膜による分子分画が好ましい。 これらのろ過膜を用いる分子分画の装置は適宜選択することができ、好ましくはクロスフローろ過装置である。 また、これらの分離手段によるホエーの分離の程度は目的とするフレッシュチーズの種類によっても異なるが、後記する安定剤を添加したホエーの添加によりチーズカードが希釈される分を考慮して、多少固めとすることが好ましい。 具体的にホエーの分離の程度は、チーズカードの全固形分がろ過前の1.1〜3.0倍、好ましくは1.5〜2.2倍となるまで行う。 更に、このホエーの分離は10〜70℃、好ましくは10〜50℃で行う。 本発明製法の工程(c)は工程(b)で分離したホエーに安定剤を添加する工程である。 この工程(c)で用いられる安定剤は、酸性条件下でタンパク質の凝集を防ぐ作用を有するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、ハイメトキシルペクチン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、大豆多糖類等が挙げられる。 これらの安定剤の中でもハイメトキシルペクチンが好ましい。 これら安定剤はホエーに、0.5〜6.0%、好ましくは1.5〜4.0%となるように添加する。 この安定剤を添加したホエーは、安定剤を完全に溶解させるために攪拌しながら、60℃〜90℃、好ましくは70℃〜85℃まで加熱する。 加熱後は5℃〜30℃好ましくは10℃〜25℃まで冷却する。 本発明製法の工程(d)は工程(b)で得たチーズカードに工程(c)で調製した安定剤を添加したホエー(以下、「安定剤溶液」という)を混合する工程である。 安定剤溶液のチーズカードへの混合量は、目的とするフレッシュチーズの種類や安定剤溶液中の安定剤の濃度によっても異なるが、チーズカード中の安定剤が0.1〜0.7%、好ましくは0.3〜0.5%となる量である。 安定剤溶液とチーズカードとの混合方法は、特に限定されないが、例えば、10℃〜25℃に冷却された安定剤溶液を10℃〜25℃のチーズカードに添加後、攪拌装置、スタティックミキサー等を用いて分散し、よく混合する方法等が挙げられる。 混合した後は、後記する工程(e)の加熱殺菌にあわせた温度に予備加熱をした後、更に均質化しておいてもよい。 本発明製法の工程(e)は工程(d)で得たチーズカードを加熱して殺菌する工程である。 この工程(e)において加熱殺菌は、乳酸菌等が殺菌される条件、例えば、63℃で30分間(LTLT殺菌)またはこれと同等の殺菌条件以上、好ましくは72℃で15秒間(HTST殺菌)またはこれと同等の殺菌条件以上で行われる。 なお、この工程(e)後は、目的とするフレッシュチーズの種類によってはクリーム等の脂肪分や、フルーツ、製菓等のソースや具材などの添加を行うこともできる。 上記で得られたチーズカードは、更に容器に充填する工程(工程(f))を行っても良い。 この工程(f)で用いられる容器としては、特に制限されないが、ポリプロピレン、エチレン−ビニルアルコール共重合体等の素材の単独または複数で形成されたカップ容器やピロー包装等が挙げられる。 また、特に長期間保存による風味の劣化を抑制するためには、前記容器を形成するための素材として、ガスバリア性の高い素材、例えば、温度20℃、湿度50%の環境下においてJIS K7126準拠(MOCON法)で測定された酸素透過性が1000ml/(m 2・day・MPa)以下、好ましくは100ml/(m 2・day・MPa)以下である素材を用いればよい。 また、これら容器へのチーズカードの充填方法は特に制限されないが、ホット充填、冷却充填等が挙げられ、特に、充填時の飛込み菌やカビや容器等が殺菌され汚染リスクの低減、副原料とチーズカードの混合時にも同様に衛生的な環境が得られる、製品の賞味期限を長くできる等の理由からホット充填が好ましい。 このホット充填を行う際の温度としては、55〜85℃、好ましくは70〜80℃である。 上記チーズカードを充填後の容器はアルミ等の素材のフィルムでシールをし、10℃以下で冷蔵すればよい。 なお、本発明製法は全ての工程を、自動装置化し無菌的に行うことが好ましい。 こうすることにより、容器内でのカビなどの微生物汚染が少なく保存時の劣化のリスクが低下することとなる。 以上説明した、本発明製法はフレッシュチーズが得られることは勿論のこと、乳酸菌の殺菌を、組織の変化や風味等を損なうことなく行うことができる、そのためフロマージュブラン、クワルク等のように、少なくとも乳酸菌を凝乳に用い、その乳酸菌が生存し、組織が軟質なフレッシュチーズの製造に好適である。 具体的に本発明製法でフレッシュチーズとしてフロマージュブランおよびクワルクを製造する態様を以下に挙げる。 まず、生乳または、脱脂乳や脱脂濃縮乳等とクリームなどの脂肪分を組み合わせて、無脂乳固形分が8.0〜16.0%および脂肪分が0〜10.0%となるように標準化した乳原料を均質化、殺菌を行う。 このときの殺菌は、乳酸菌単独の場合には72℃で15秒間(HTST殺菌)から120℃〜135℃で1〜3秒間(UHT殺菌)の条件、乳酸菌とレンネットを併用する場合には72〜78℃で15秒間(HTST殺菌)の条件で行う。 殺菌後、利用する乳酸菌の最適な発酵温度まで冷却する。 ここで用いられる乳酸菌としては、例えば、ラクトコッカス ラクチス サブスピーシーズ クレモリス(Lactococcus lactis subsp. cremoris)、ラクトコッカス ラクチス サブスピーシーズ ラクチス(Lactococcus lactis subsp. lactis)、ロイコノストック メセンテロイデス サブスピーシーズ クレモリス(Leuconstoc mesenteroides subsp. このカードを10℃以下まで攪拌しながら冷却し、乳酸菌の発酵を停止させる。 次いでカードからチーズカードを分離する方法は、公知の分離手段、例えば、布袋等やモールド等にカードを入れて行う脱水、遠心分離機による遠心分離、限外ろ過(UF)膜や精密ろ過(MF)膜等の濾過膜による分子分画等で行うことができる。 好ましくは、精密ろ過膜を用いる場合蛋白質が変性しない温度50℃程度まで加温し、細孔径0.1μmの精密ろ過(MF)膜を有するクロスフローろ過装置を用いたクロスフローろ過でホエーを分離し、カードの全固形分が濾過前の1.5〜2.2倍となるまで濃縮を行い、チーズカードを得る。 上記で分離したホエーの一部を回収し、このホエーにハイメトキシルペクチンを添加し、よく攪拌しながら85℃まで昇温させ、ハイメトキシルペクチンを完全に溶解したのち冷却し、1.5〜4.0%ハイメトキシルペクチン溶液を作製する。 上記で分離したチーズカード中にハイメトキシルペクチンが0.1〜0.7%好ましくは0.3%〜0.5%となるように、上記で調製したハイメトキシルペクチン溶液を添加し、十分に混合させてハイメトキシルペクチンをカード中によく分散させる。 分散がされていないとうまく凝集を抑制することができない。 その後、チーズカードを50〜70℃に予備加熱し、ホモゲナイザーで均質化を行う。 上記で均質化と予備加熱をしたチーズカードを加熱し72℃〜78℃で15秒間以上保持しHTST殺菌を行う。 上記で殺菌したチーズカードを65〜75℃の温度を保持したまま容器に充填してフロマージュブランを得る。 容器充填後、容器をアルミ素材等のフィルムでシールし、容器ごとフロマージュブランを10℃以下まで冷却する。 本発明製法で製造される殺菌タイプのフレッシュチーズは、製造直後は勿論のこと、90日間保存後であっても、組織が滑らかで風味がよく、離水が起こりにくく、pHや酸度の低下も起こりにくい。 その結果、このフレッシュチーズは通常の非殺菌タイプのフレッシュチーズと比べて賞味期限が60日以上長くなる。 以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。 実 施 例 1 冷却したカードを再び乳蛋白質が変性しない温度である45℃程度まで上昇させ、それを保持したまま細孔径が0.1μmの精密ろ過膜を有する濃縮装置を用いたクロスフローろ過を行い、カードの全固形分が濾過前の2.2倍となるまで濃縮を行い、チーズカードを得た。 このチーズカードは使用するまで10℃で冷蔵した。 また、カードから分離したホエーの一部にハイメトキシルペクチン粉末を添加し、攪拌しながら85℃まで加温し完全に溶解させ、3.01%のハイメトキシルぺクチン溶液を調製した。 このホエーに溶解したハイメトキシルペクチン溶液はチーズカードと同様に10℃で冷蔵した。 上記で得たチーズカードの質量8.34に対して1.66の割合で3.01%ハイメトキシペクチン溶液を添加して、チーズカード中のハイメトキシルペクチンが0.5%となるようにした。 これを十分に混合させてハイメトキシルペクチンをよく膨潤させた。 その後、チーズカードを60℃に予備加熱し、ホモゲナイザーで圧力100kg/cm 2にて均質化し、均質化後プレートで75℃まで加熱し、それを15秒間保持してプレート殺菌を行った。 プレート殺菌後、70℃〜75℃の温度を保持したままガスバリア性の高いポリプロピレンシート/エチレン−ビニルアルコール共重合体シート/ポリプロピレンシート(温度が20℃、湿度が50%の環境下における酸素透過性が15ml/(m 2・day・MPa))で形成されたカップ容器(厚木プラスチック社製)に充填してフロマージュブランを得た。 この容器入りフロマージュブランを10℃以下まで冷却して冷蔵保存した。 保存前のフロマージュブランを標準寒天培地およびBCP加プレートカウント寒天培地で培養し、一般生菌数および乳酸菌数を計測した。 また、フロマージュブランのpHおよび酸度を公知の方法により測定した。 更に、フロマージュブランの組織・風味の評価を自由評価した。 また更に、冷蔵保存後30日、60日、90日および120日のフロマージュブランについても、一般生菌数、乳酸菌数、pHおよび酸度を測定し、更に、冷蔵保存後のフロマージュブランの組織・風味の評価を自由評価した。 標準寒天培地による試験の結果、保存前のフロマージュブランの一般生菌数は250個/gであった。 また、BCP加プレートカウント寒天培地による試験の結果、保存前のフロマージュブランの乳酸菌数は10個/g以下であった。 このフロマージュブランの保存前のpHは4.31であり、酸度は1.18であった。 また、このフロマージュブランの組織はなめらかで、硬さも良好であった。 30日保存後のフロマージュブランの一般生菌数は260個/gであり、乳酸菌数は10個/g以下であった。 また、このフロマージュブランのpHは4.31であり、酸度は1.18であったことから、乳酸菌の増殖によるpHおよび酸度の変化は認められなかった。 更に、このフロマージュブランの組織はなめらかで、硬さも良好であった。 60日保存後のフロマージュブランの一般生菌数は250個/gであり、乳酸菌数は10個/g以下であった。 また、このフロマージュブランのpHは4.32であり、酸度は1.19であったことから、乳酸菌の増殖によるpHおよび酸度の変化は認められなかった。 更に、このフロマージュブランの組織はなめらかで、硬さも良好であった。 90日保存後のフロマージュブランの一般生菌数は240個/gであり、乳酸菌数は10個/g以下であった。 また、このフロマージュブランのpHは4.34であり、酸度は1.18であったことから乳酸菌の増殖によるpHおよび酸度の変化は認められなかった。 更に、このフロマージュブランの組織はなめらかで、硬さも良好であった。 120日保存後のフロマージュブランの一般生菌数は250個/gであり、乳酸菌数は10個/g以下であった。 また、このフロマージュブランのpHは4.35であり、酸度は1.17であったことから乳酸菌の増殖によるpHおよび酸度の変化は認められなかった。 更に、このフロマージュブランの組織はなめらかで、硬さも良好であった。 実施例1で得られたフロマージュブランは、120日間保存しても安定剤を添加しないナチュラルなフロマージュブランに限りなく近く風味も良好であった。 また、このフロマージュブランは保存中も離水もなく、組織もなめらかで、硬さも良好であった。 比 較 例 1 このフロマージュブランは実施例1で得られたものとほぼ同様の性質であったが、ペクチンの糊感を強く感じ風味が劣った。 また、フロマージュブラン中のミネラルバランスが崩れたために風味が、安定剤を添加しないものと差が生じた。 また実施例1と比較し60日間保存中に離水が多く発生した。 比 較 例 2 このフロマージュブランは、実施例1で得られたものと比較して、ハイメトキシルペクチンが全体に分散していないため、タンパク質の凝集抑制効果が劣り、組織にざらつき、粉っぽさを感じ、ハイメトキシルペクチンのタンパク質変性抑制効果が不十分であった。 実 施 例 2 10℃で90日間保存後のフロマージュブランは、汎用的なカップ容器に充填すると風味の劣化(フレッシュ感の低下)があるが、ガスバリア性の高いカップ容器に充填すると風味の劣化(フレッシュ感の低下)が抑制されており、保存開始直後と比較しても良好な結果であった。 本発明の殺菌タイプフレッシュチーズの製造方法によれば、組織が滑らかで風味がよりナチュラルなフロマージュブランと同様であり、離水が起こりにくく、pHや酸度の低下が起こりにくく、賞味期限が長い殺菌タイプのフレッシュチーズが得られる。 従って、このフレッシュチーズは百貨店で販売される洋菓子や、賞味期限の関係で取り扱いが少なかった一般的なスーパーで取り扱うことができるようになる。 |