Method of manufacturing a flavor enhancing ester

申请号 JP2003568985 申请日 2003-02-20 公开(公告)号 JP2005517417A 公开(公告)日 2005-06-16
申请人 フォンテラ コ−オペレイティブ グループ リミティド; 发明人 レスリー クロウ,ボーガン; ホランド,ロス; クアン リウ,シャオ;
摘要 本発明は、乳製品に由来するモノグリセリド、ジグリセリド、又はトリグリセリドから風味増強エステルを製造する方法である。 当該方法は、モノグリセリド、ジグリセリド、又はトリグリセリドとアルコールとの間の、高いエステル交換活性のために選択されたエステラーゼの存在下でのエステル交換反応である。 そのエステルは、様々な食品、特に乳製品、例えばチーズにおける風味付けに使用されうる。
权利要求
  • 風味増強エステルを製造するための方法であって:
    乳製品源由来のモノグリセリド、ジグリセリド又はトリグリセリドとアルコールとのエステル交換反応を、水性媒体中で、前記モノグリセリド、ジグリセリド又はトリグリセリドを用いて少なくとも25:1のエステル交換活性:エステル化活性比を示すエステラーゼの存在下で実施し、前記風味増強エステルを形成すること、を含んで成る方法。
  • 風味増強エステルを製造する方法であって:
    乳製品源由来のモノグリセリド、又はジグリセリドとアルコールとのエステル交換反応を、水性媒体中で、前記モノグリセリド又はジグリセリドを用いて少なくとも25:1のエステル交換活性:エステル化活性比を示す乳酸菌由来酵素の存在下で実施し、前記風味増強エステルを形成すること、を含んで成る方法。
  • 風味増強エステルを製造する方法であって:
    乳製品源由来のモノグリセリド、ジグリセリド又はトリグリセリドとアルコールとのエステル交換反応を、水性媒体中で、リパーゼと乳酸菌由来酵素の混合物又はエステラーゼと1若しくは複数の乳酸菌由来酵素の混合物であって、前記モノグリセリド、ジグリセリド又はトリグリセリドを用いて少なくとも25:1のエステル交換活性:エステル化活性比を示す混合物の存在下で実施し、前記風味増強エステルを形成すること、を含んで成る方法。
  • 前記エステラーゼがリパーゼである、請求項1又は3に記載の方法。
  • 前記酵素が、前記水性媒体中で前記グリセリド及びアルコールに対して添加される、請求項2又は3に記載の方法。
  • 前記酵素が由来する乳酸菌が、前記水性媒体中で前記グリセリド及びアルコールに対して添加されて、その中で前記酵素を産生する、請求項2又は3に記載の方法。
  • 乳製品源由来の前記グリセリドが、全乳、クリーム、乳脂肪、チーズ、酵素改良チーズ(EMC)、バターミルク、ホエー、ホエークリーム、発酵乳又は他の乳製品に由来する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  • 前記アルコールがエタノールである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  • 前記アルコールが2−フェニルエタノールである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  • 前記アルコールを産生するための発酵段階を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  • アルコール産生微生物が当該発酵段階を媒介するために存在する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  • 前記アルコール産生微生物が、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)である、請求項11に記載の方法。
  • 前記モノグリセリド、ジグリセリド又はトリグリセリドがそれぞれ最大10個の炭素原子を有するアシル基を持ち、且つ前記アルコールがエタノールである、請求項1〜8及び10〜12のいずれか1項に記載の方法。
  • 前記グリセリドが、最大6個の炭素原子を有するアシル基を持つジグリセリドであり、且つ前記アルコールが2−フェニルエタノールである、請求項1〜7及び9〜12のいずれか1項に記載の方法。
  • 前記グリセリドが、最大8個の炭素原子を有するアシル基を持つモノグリセリドであり、且つ前記アルコールが2−フェニルエタノールである、請求項1〜7及び9〜12のいずれか1項に記載の方法。
  • 前記リパーゼがリゾムコール・ミエーイ(Rhizomucor miehei)由来の1,3−特異的リパーゼである、請求項3〜15のいずれか1項に記載の方法。
  • 前記酵素が、以下の:
    ストレプトコッカス(Streptococcus)、
    ラクトコッカス(Lactococcus)、
    ラクトバチルス(Lactobacillus)、
    ロイコノストック(Leuconostoc)、
    ペディオコッカス(Pediococcus)、
    エンテロコッカス(Enterococcus)
    プロピオニバクテリウム(Propionibacterium)、及びシュードモナス(Pseudomonas)
    を含む属の1又は複数の菌株の細菌培養物に由来する、請求項2〜15のいずれか1項に記載の方法。
  • 前記酵素が菌株ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)ST1に由来する、請求項17に記載の方法。
  • 前記酵素が、菌株ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)NCIMB700821;ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)B4017;ラクトコッカス・ラクチス(Lactococcus lactis)亜種クレモリス(cremoris)E8及びラクトコッカス・ラクチス(Lactococcus lactis)亜種ラクチス(lactis)ML3のうちのいずれか1つに由来する、請求項17に記載の方法。
  • 前記の調製された風味増強エステルが、一成分として食品に添加される、請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法。
  • 前記食品が乳製品である、請求項20に記載の方法。
  • 前記乳製品がチーズ又はチーズベースの製品である。 請求項21に記載の方法。
  • 請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法によって調製される風味増強エステル。
  • 請求項20に記載の方法によって調製される食品。
  • 請求項21に記載の方法によって調製される乳製品。
  • 請求項22に記載の方法によって調製されるチーズ又はチーズベースの製品。
  • 说明书全文

    本発明は、風味増強エステルの製造方法に関する。 更に具体的には、好ましい態様で、それは乳製品源由来のモノグリセリド、ジグリセリド、又はトリグリセリドを所望の風味増強エステルへと変換するエステル交換反応の触媒における、リパーゼ又は乳酸菌由来の酵素の使用に関する。

    様々な風味増強エステルがチーズ内に存在する。 脂肪酸(C2〜C10)のエチルエステルが最も豊富である。 ブタン酸エチル及びヘキサン酸エチルは、主として生乳及びチーズ中にフルーティーな風味を生じさせるのに重要である(Bills et al, 1965; McGugan et al, 1975; Horwood et al, 1987; Engels et al, 1997; Friedrich and Acree, 1998)。 フルーティーな風味は通常、チェダーチーズにおいては短所と見なされるが、消費者によっては評価される(Urbach, 1995; 1997)。 フルーティーさは、いくつかのイタリア風チーズの種類、例えばパルメザン及びパルミジアノレジアノの特徴であり、この中には、C2〜C10の脂肪酸のエチルエステルがかなりのレベルで存在する(Dumont et al, 1974; Meinhart and Schreier, 1986 ; Barbieri et al, 1994)。

    エステラーゼの作用による遊離脂肪酸とアルコールとのエステル化は、概してチーズ内のエステル形成の機構として認識されており、ここでは、エタノールが重要なアルコールである(Bills et al, 1965; Morgan, 1976; Fox et al., 2000)。 乳製品の乳酸菌(LAB)及びシュードモナス(pseudomonads)由来のエステラーゼは、エタノールと脂肪酸をエステル化してエステル、例えばブタン酸エチル及びヘキサン酸エチルを形成しうるが(Hosono and Elliott, 1974; Hosono et al, 1974; Liu et al, 1998)、エステル化活性は、性媒体中では弱い。

    このように、添加したアルコールに由来するアルコキシ基でチーズ内に天然に存在するグリセリルエステルのアルコキシ基を置換することによって、チーズ風味の少なくとも1つの側面を制御することが可能であることが知られている。 この反応は、2つの段階で起こると考えられた(Bills et al, 1965; Morgan, 1976; Fox et al, 2000)。 最初に、天然に存在するグリセリルエステルが加水分解して、グリセリルアルコール、そして更にカルボン酸が形成される。 続いて、第二に、生じたカルボン酸が、所望のアルコキシ基を有するアルコール(例えば、エタノール)によってエステル化される。 このアルコキシ基の置換を一回の反応で制御することは、加水分解、続くその後のエステル化(エステル化反応)から成る2つの反応工程を介するよりは有利であろう。

    明確にするために、当該二段階反応を以下の式1及び2において例示する。 エステル交換反応は、式3に例示する。

    本発明の目的は、一段階工程に特に必要とされるものを達成するのにいくらか助けとなること、又は少なくとも公衆に有用な選択肢を提供することである。

    本発明の開示 したがって、本発明は広く、風味増強エステルを製造するための方法であって、
    乳製品源由来のモノグリセリド、ジグリセリド又はトリグリセリドとアルコールとのエステル交換反応を、水性媒体中で、前記モノグリセリド、ジグリセリド又はトリグリセリドを用いて少なくとも25:1のエステル交換活性:エステル化活性比を示すエステラーゼの存在下で実施し、前記風味増強エステルを形成すること、を含んで成る方法から成ると言うことが出来る。

    別の態様において、本発明は広く、風味増強エステルを製造する方法であって、
    乳製品源由来のモノグリセリド、又はジグリセリドとアルコールとのエステル交換反応を、水性媒体中で、前記モノグリセリド又はジグリセリドを用いて少なくとも25:1のエステル交換活性:エステル化活性比を示す乳酸菌由来酵素の存在下で実施し、前記風味増強エステルを形成すること、を含んで成る方法にあると言うことが出来る。

    更なる態様において、本発明は広く、風味増強エステルを製造する方法であって、
    乳製品源由来のモノグリセリド、ジグリセリド又はトリグリセリドとアルコールとのエステル交換反応を、水性媒体中で、リパーゼと乳酸菌由来酵素の混合物又はエステラーゼと1若しくは複数の乳酸菌由来酵素の混合物であって、前記モノグリセリド、ジグリセリド又はトリグリセリドを用いて少なくとも25:1のエステル交換活性:エステル化活性比を示す混合物の存在下で実施し、前記風味増強エステルを形成すること、を含んで成る方法にあると言うことが出来る。

    1つの態様において、前記エステラーゼはリパーゼである。

    1つの態様において、前記酵素は、前記水性媒体中で前記グリセリド及びアルコールに対して添加される。

    別の態様において、前記酵素が由来する乳酸菌は、前記水性媒体中で前記グリセリド及びアルコールに対して添加されて、その中で前記酵素を産生する。

    好ましくは、乳製品源由来のグリセリドは、全乳、クリーム、乳脂肪、チーズ、酵素改良チーズ(EMC)、バターミルク、ホエー、ホエークリーム、発酵乳又は他の乳製品に由来する。

    アルコールは、所望の風味特性を有するエステル(又は複数のエステル)が産生されるように選択される。 1つの選択肢として、前記アルコールはエタノールである。 別の選択肢として、前記アルコールは2−フェニルエタノールである。 しかしながら、本発明は、これらのアルコールに限定されず、そして(限定しないが)天然のチーズ内で発生し得るものを含んだ一連の直鎖、分枝鎖及び芳香族アルコールを含むこともある。

    別の選択肢として、上文に規定する方法は、アルコールを産生するための発酵段階を含む。

    好ましくは、アルコール産生生物が当該発酵段階を媒介する。

    1つの態様において、アルコール産生微生物は、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)である。

    多くの他のアルコール産生菌を使用することができ(ヘテロ発酵型のラクトバチルス属(Lactobacilli)及びロイコノストック属(Leuconostocs)を含む)、そして酵素も使用されうる。

    1つの選択肢として、前記モノグリセリド、ジグリセリド又はトリグリセリドのアシル基はそれぞれ最大10個の炭素原子を有し、且つ前記アルコールはエタノールである。

    あるいは、前記グリセリドがジグリセリドである場合、そのアシル基は最大6個の炭素原子を有し、且つ前記アルコールは2−フェニルエタノールである。

    追加の選択肢として、前記グリセリドがモノグリセリドである場合、そのアシル基は最大8個の炭素原子を有し、且つ前記アルコールは2−フェニルエタノールである。

    好ましくは、前記リパーゼは、リゾムコール・ミエーイ(Rhizomucor miehei)由来の1,3−特異的リパーゼである。

    あるいは、前記酵素は、以下の属:
    (限定しないが):
    ストレプトコッカス(Streptococcus)
    ラクトコッカス(Lactococcus)
    ラクトバチルス(Lactobacillus)
    ロイコノストック(Leuconostoc)
    ペディオコッカス(Pediococcus)
    エンテロコッカス(Enterococcus)
    プロピオニバクテリウム(Propionibacterium)、及びシュードモナス(Pseudomonas)
    を含む属の細菌培養物のうちの1又は複数の種に由来する。

    1つの態様において、前記酵素は、菌株ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)ST1に由来する

    あるいは、前記酵素は、菌株ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)NCIMB700821(NCDO821として得られ、そして以降821と称する);ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)B4017;ラクトコッカス・ラクチス(Lactococcus lactis)亜種クレモリス(cremoris)E8及びラクトコッカス・ラクチス(Lactococcus lactis)亜種ラクチス(lactis)ML3のうちのいずれか1つに由来する。

    別の態様において、そのようにして調製された風味増強エステルは、一成分として食品に添加される。

    好ましくは、前記食品は乳製品である。

    好ましくは、前記乳製品はチーズ又はチーズベースの製品である。

    本発明はまた、広く、上文に規定した方法によって調製される風味増強エステルにあると言うことが出来る。

    本発明はまた、前記風味増強エステルを含む食品にあると言うことが出来る。

    好ましくは、前記食品は乳製品である。

    好ましくは、前記乳製品はチーズ又はチーズベースの製品である。

    本発明はまた、広く、本願明細書において言及され又は示される個々又は集合の部分、因子及び特徴、並びに前記部分、因子又は特徴のうちの任意の2又はそれ以上のあらゆる又は全ての組み合わせにあると言うことができ、そして、具体的な整数は、本発明と関連する分野において知られている既知の等価物を含むものとして本明細書で言及され、そのような既知の等価物は、個々に記載されているかのように本明細書に組み入れられるとみなされる。 本発明は前述のものに存し、そして更に以下に示す実施例の構築を予見する。

    本発明の実施形態 本発明は、以下の詳細な実施例を参照することによって、より完全に理解されるであろう。

    本明細書で使用する場合、用語「風味」は、文脈において必要に応じて風味及び/又は芳香を意味することが意図される。

    本明細書で使用する場合、用語「乳製品由来のグリセリド」は、乳脂肪中に存在する又はそれから生じた1又は複数のトリグリセリド、ジグリセリド及びモノグリセリドを含んで成る組成物を意味することが意図される。 これは、好ましくはウシ起源の乳脂肪であるが、ヒツジ(シープ)又はヤギ(ゴート)起源の乳脂肪も含む。 トリグリセリドは、乳脂肪において支配的な脂質のクラスであり、全乳脂肪のうち97〜98%を占める(Christie, 1995)。 少量のジグリセリドとモノグリセリドも存在し、これらの成分のレベルは、リパーゼの加水分解作用によって上昇し得る。 乳脂肪のグリセリドは、それらの組成物が非常に多様である。 グリセリド分子内でエステル化される広範の異なる脂肪酸が、この多様性を付与する。 鎖長が4個の炭素原子から18個の炭素原子に及ぶ10個の主要な脂肪酸が存在している。 しかしながら、合計400超の異なる脂肪酸が、ウシの乳脂肪中で同定されている(Jensen and Clark, 1988)。

    「エステル交換活性」の計算において、エステル交換活性の単位は、トリブチリン及びエタノールからの、1分当たり1nmolのブタン酸エチルの合成を触媒する酵素量を意味する。 エステル交換活性を決定するための標準的なアッセイを、実施例1に記載する。

    「エステル化活性」の計算において、エステル化活性の単位は、ブタン酸及びエタノールからの、24時間当たり1nmolのブタン酸エチルの合成を触媒する酵素量を意味する。 エステル化活性を決定するための標準的なアッセイは、実施例2に記載する。

    実施例1:ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)によるエステルの合成微生物及び生育条件 ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)ST1は、Fonterra Research Centre, Palmerston North, New Zealandの培養コレクション由来のものである。 培養物は、M17−グルコースブロス(Difco, France)中で37℃で生育した。 培養物に、1%(v/v)の前培養物を植菌し、これを静的に最大36時間インキュベートした。

    細胞懸濁液の調製 特に断らない限り、300mLの細胞(24時間の培養物)は、7000g、10分間、4℃の遠心によって回収した。 細胞は、100mL(2x)の0.1Mリン酸カリウム(pH7.0)中で洗浄し、続いて遠心した。 洗浄した細胞のペレットは、60mLの同一の緩衝液中で再懸濁し、そしてユニバーサルボトル内に10mlのアリコートを分配し、そして使用するまで−20℃で保存した。

    エステル交換反応によるエステル合成 エステル交換活性を決定するための標準的なアッセイは、80mMのリン酸カリウム、pH7.0、2.0mLの細胞懸濁液、500mMのエタノール及び10〜35mMのグリセリドから構成された。 トリブチリン基質は、Holland & Coolbear (1996)に記載のように調製し、そして他のグリセリド基質は適宜に調製した。 当該反応は、0.5mLの5Mエタノールを30℃で5分間予めインキュベートした上記反応混合物に添加することによって開始した。 1.0mLの試料を直ちに取り出し、そしてジエチルエーテルを含む試験管に添加し、そして抽出した。 残りの反応物を30℃で最大60分インキュベートし、そして試料を一定間隔で採り、そして後述のエステル解析のために抽出した。 実験によっては、基質濃度は、指定されるような特定の実験に従い変化した。 基質を欠き、又は細胞を欠いたコントロールも含めた。 酵素活性(エステル交換)の単位は、トリブチリンとエタノールからの、1分当たり1nmolのブタン酸エチルの合成を触媒する酵素量として定義し、そして比活性は、タンパク質又は細胞乾燥重量(cdw)1mg当たりの単位として定義した。

    ガスクロマトグラフィー(GC)によるエステルの定量 反応混合物又は培養液から採取した1mLの試料は、2mLのジエチルエーテル及び1mLの内部標準(180mg/Lの酢酸エチル/水)を含む16mLのKimaxスクリューキャップ型試験管に添加した。 抽出は、約2.5分間激しく振とうし、続いて遠心機(Heraeus Megafuge 1.0)内で、1260gで5分間遠心することによって行った。 上側の溶媒層を、オーブンで乾燥させた少量の無水硫酸ナトリウムを含むバイアルに移し、そして後述のようにガスクロマトグラフィー(GC)によってエステルについて解析した。

    試料の抽出後、エステルをGCで解析した。 解析は、フューズドシリカキャピラリーカラム(液相、DB−1;長さ30m;内径0.25mm;フィルムの厚さ1.0μm)(J&W Scientific, CA, USA)を備えた島津GC−15Aガスクロマトグラフィーを用いて実施した。 オーブンは、45℃で5分間の温度にプログラムし、その後1分当たり5℃ずつ50℃にまで、続いて1分当たり20℃ずつ270℃にまで上昇させ、そして270℃で8分間維持した。 分割注入は5:1の比率で行い、そして3μLの試料を注入した。 インジェクター及びFID(水素炎イオン化検出器)検出器の温度は、それぞれ250℃及び275℃とした。 他の条件は、キャリヤーガス(He)は0.9mL/分;H 2及びエアはそれぞれ0.6kg/cm 2 ;メーキャップガス(N 2 )2kg/cm 2 、とした。 FIDアウトプットシグナルを記録し、そして適切なソフトウェア(島津CLASS−VP(商標)クロマトグラフィーデータシステム、バージョン4.2、島津(MD,USA))を用いて処理した。 試料中のエステルを同定し、そして既知の量の純粋なスタンダードとの比較によって定量した。

    図1は、ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)ST1の非増殖細胞によるエタノール及びトリブチリンからのブタン酸エチルの経時的な形成を示す。 合成の初速度は最初の30分間は線形であった。 合成速度及び収率は、細胞の生物量が二倍になるにつれそれに比例して増大した。 ブタン酸エチルは、コントロール(細胞のみ及び基質のみ)において検出されなかった。 ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)ST1は、示した条件下でブタン酸及びエタノールからブタン酸エチルを合成しなかった。

    ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)ST1は、エタノール及びC6〜C14のトリグリセリド、C10及びC14のジグリセリド並びにC14のモノグリセリドからエステルを合成することができなかった(データは示さない)。 トリブチリンは、菌株ST1が活性な唯一のトリグリセリドであった。 菌株ST1はまた、エタノールとC6ジグリセリド(ジヘキサノイン(dihexanoin))及びC8モノグリセリド(モノオクタノイン)及びC10モノグリセリド(モノデカノイン)からエチルエステルを合成した(図2a、b、c)。 エステルの合成速度及びエステルの収率は、脂肪酸放出のものよりはるかに高かった(図2a、b、c)。 尚、菌株ST1は、2−フェニルエタノールとそれぞれジヘキサノイン、モノオクタノインから2−フェニルエチルヘキサノエート、2−フェニルオクタノエートの合成を触媒したが(図3)、アシルのアクセプターとして2−フェニルエタノールを用いたときトリブチリン及びモノデカノインに対して活性ではなかった(データは示さない)。

    実施例2:培養液中で生育した乳酸菌によるエステル合成培養及び生育 培養物は、Fonterra Research Centre, Palmerston North, New Zealandの培養コレクション由来のものを用い、そしてM17−グルコースブロス(Difco, France)中で30℃で生育した。 ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)B4017をMRSブロス(Merk, Germany)中で30℃で生育した。 培養物は、50mMのエタノール及び3.3mのトリブチリン(終濃度)を添加した200mLの適切なブロス中で生育した。 コントロールは、培地を添加していないものあるいはエタノール又はトリブチリンを添加していないものを含めた。 培養物は、上述のように、最大36時間インキュベートした。 試料は、中間の対数期(mid-log)と後期の定常期との間の間隔で採取し、そして解析前に−20℃で保存した。 試料は、細胞の乾燥重量、ブタン酸エチル及び他のエステルの決定に使用した。

    エステル交換アッセイ 生育している細菌の培養物のエステル交換活性は、実施例1に記載のものと類似のアッセイ系においてブタン酸エチルの蓄積を測定することによって解析した。

    エステル化活性 400mLの適切なブロス中で培養した細菌細胞は、7000g、10分間、4℃での遠心によって回収した。 細胞は、細胞のペレットを30mL(2x)のリン酸カリウム緩衝液(100mM、pH5.8)中で再懸濁し、続いて7000g、10分間、4℃で遠心することによって洗浄した。 洗浄した細胞は、続いて10mLの同一の緩衝液中で再懸濁し続いてそれぞれ5mLの8mMのエタノール水溶液及び8mMのブタン酸水溶液を、エタノール及びブタン酸がそれぞれ2mMの終濃度を示し、そして約20mLの合計量の細胞懸濁液中でリン酸カリウムが50mMの終濃度を示すように添加した。 細胞、エタノール及びブタン酸を含む最終的な懸濁液は、22℃で24時間静的にインキュベートし、そして次に、その後のガス液体クロマトグラフィー(GLC)によるブタン酸エチルの解析のために−20℃で保存した。 エステル化活性の計算において、エステル化活性の単位は、24時間当たり1nmolのブタン酸エチルの形成を触媒する量とした。 比活性は、細胞の乾燥重量(dwc)100mg当たりの単位として定量した。

    エステルの定量 エステルは、実施例1に記載のようにガスクロマトグラフィーで定量した。

    GC−MSによるエステルの解析 培養液中のエステルは、固相マイクロ抽出(SPME)及びガスクロマトグラフィー質量分析(GC−MS)によって解析した。 SPMEは、Liu et al (1998)に記載のように実施した。 ガスクロマトグラフ(島津GC−17A)は、30mx0.25mmの内径のフューズドシリカキャピラリーCarbowaxカラム(フィルムの厚さ0.25μm;Altech, IL, USA)を備え、そしてインジェクターの温度は220℃とした。 キャリヤーガスはヘリウムとした(カラム圧54kPa)。 オーブンの温度は、50℃で2分、80℃まで1分当たり3℃、120℃まで1分当たり5℃、220℃まで1分当たり20℃、そして220℃で6分となるようにプログラムした。 GCカラムは、島津QP−5000質量分析計(インターフェース温度230℃)のイオン源に直接連結した。 MSは、1秒当たり2スキャンの40〜350M/Zのスキャニングモードで作動した。 構造は、スペクトルの解釈及び当該スペクトルと書誌データとの比較によって与えられた。

    多数の乳酸菌が、トリブチリン及びエタノールからブタン酸エチルを合成するそれらの能について、当該2つの基質を添加したブロス中での生育によって試験された。 得られたエステル交換活性は、続いて、エステル化活性(遊離酸とアルコールとの反応によるエステルの合成)と比較された。 これらの活性を表1に記す。 エステル化活性及びエステル交換活性の両方ともに、ややおおきな種及び菌株の差異が存在した。 エステル交換活性の多様性がエステル化活性の多様性と一致している一方で、前者の活性は後者のものより34〜7500倍高い。 ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)の菌株は、試験した他の乳酸菌と比較して、最高のエステル交換活性を生み出した(最大228倍)。 このことは、それらの比較的高いエステラーゼ活性と一致している。 特に、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)のエステル交換活性は、ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)のものに比適する。 2つのラクトコッカス属菌株のエステル交換活性は、試験したラクトバチルス(Lactobacillus)、ロイコノストック(Leuconostoc)、及びペディオコッカス(Pediococcus)の菌株の活性より、最大18倍高かった。

    実施例3:リゾムコール・ミエーイ(Rhizomucor miehei)由来リパーゼによるブタン酸エチルの合成緩衝液中でのブタン酸エチルの合成 ブタン酸エチルは、特に断らない限り、80mMのリン酸カリウム、pH7.0、50mMのエタノール及び33mMのトリブチリンを含んで成る5.0mLの反応混合物中で合成した。 トリブチリン基質は、いずれかに記載されているように調製した(Holland & Coolbear, 1996)。 当該反応は、0.1mLの適切に希釈した酵素調製物(最大1000倍希釈)を、30℃で5分間予めインキュベートした上記反応混合物に対し添加することによって開始した。 1.0mLの試料が直ちに取り出され、そしてジエチルエーテルを含む試験管に添加され、そして抽出された(下文を参照のこと)。 残りの反応物は、30℃で最大40分インキュベートし、そして試料を一定間隔で採り、そして後述するブタン酸エチル解析のために抽出された。

    チーズベース媒体におけるエステルの合成 ブタン酸エチルはまた、リゾムコール・ミエーイ(Rhizomucor miehei)由来の1,3−特異的リパーゼ(Novo Nordisk, Denmarkにより、「Palatese 20000L」として販売されている)を用いて、チーズベースの媒体中で合成された。 これは、4gのヤングチェダーチーズスラリー及び10mMのエタノールから成る9mLの反応混合物中で実施された。 スラリーは、タンパク質分解酵素、乳化塩(クエン酸三ナトリウム及び二ナトリウム)及び水を用いて調製した。 当該反応は、40μLのリパーゼの添加によって開始し、そしてその混合物を30℃で4時間インキュベートした。 エタノールを添加していないものを含むコントロールも含めた。

    ブタン酸エチルの抽出及び解析 反応混合物から採取した1mLの試料は、直ちに2mLのジエチルエーテル及び1mLの内部標準(180mg/Lの酢酸エチル/水)を含む16mLのKimaxスクリューキャップ型試験管に添加した。 抽出は、約2.5分間激しく振とうし、続いて遠心機(Heraeus Megafuge 1.0)内で、1260gで5分間遠心することによって行った。 上側の溶媒層を、オーブンで乾燥させた少量の無水硫酸ナトリウムを含むGLCバイアルに移し、そして後述のようにガス液体クロマトグラフィー(GLC)によってブタン酸エチルについて解析した。

    図4は、リゾムコール・ミエーイ(Rhizomucor miehei)由来リパーゼがエタノール及びトリブチリンからブタン酸エチルの合成を触媒し、これが最初の10分間線形であったことを示したが、エタノール及びブタン酸からは同一の条件下で触媒されなかった。 また、リパーゼを添加していないコントロール中ではブタン酸エチルは形成しなかった。

    図5は、チーズベース媒体中でのリゾムコール・ミエーイ(Rhizomucor miehei)由来リパーゼによるブタン酸エチルの産生を示す。 エタノールが当該媒体に添加された場合、このエステルが一貫して形成された。 反対に、エタノール又はリゾムコール・ミエーイ(Rhizomucor miehei)由来リパーゼのいずれかを当該媒体に添加しなかった場合には、エステルは検出されなかった。 ブタン酸エチルに加えて、他のエステル、例えばヘキサン酸エチルが検出されたが、エタノールを添加した媒体中では定量できなかった。

    実施例4:チーズ内の風味化合物 新鮮なミルクを分離し、そして再び組み合わせて、タンパク質:脂肪の比率が1:0.82となった。 再び組み合わせた混合物は、当該ミルクを72℃で15秒間維持した連続系において低温殺菌した。 当該ミルクは32℃に冷却され、そして3つの温度制御型チーズ製造バット(バット3A、3B及び4)のそれぞれに375L据えた。

    中等温度好性スターター菌株、1.8%のバット体積、100mLのプロピオニバクテリウムのスターター添加物(チーズ風味を産生するためのもの)及び10mLのラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)HN001(WO99/10476に記載のとおり)を含む付属の培養物の培養混合物が各バットに添加され、但し、バット4においては、中等温度好性スターター培養物は、ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)菌株で置換された。 更に1875mLのラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)培養物(LF2)がバット4に添加され、in situでエタノールを産生した。 3gのHansen Kid lambリパーゼ粉末(80LFU)を各バット内で混合し、続いてレンネットをミルク100L当たり10mLの割合で添加した。 当該混合物を続いて40分間維持し、そしてカードは、12mmの間隔が空いたブレードを有するカードナイフで切断した。

    温度を38℃に上昇させ、そして130分の全処理時間の後にホエーをドレイン排出した。 この時点でpHは6.2であった。 30%のバット体積が除かれたとき、ホエーは20%のバット体積の水で置換された。 カードがpH5.2に達したとき、それは完全にドレイン排出され、60分間放置され、続いてミル粉砕された。 塩(NaCl)を17g/kgの割合で添加した。 チーズの2つの20kgのブロック、A及びBが各バットから作られた。 バット3のブロックBのためのカードに対し、118mLのエタノールと118mLの水とを混合したものを添加した。

    カードはプレスされ、続いてブロックが多孔性のバッグ内に据えられ、CO 2が逃がされた。 ブロックは20℃で一ヶ月、続いて試験される前に更に一ヶ月5℃で保存され、そして化学解析のために試料が採取された。

    化学解析の結果を以下の表に示す。

    これらの結果は、エタノールが添加された場合、エステル交換反応がエステル、特にブタン酸エチルの産生をもたらすことを証明している。 in situで産生したエタノールも、エステル、特にブタン酸エチルの産生をもたらす。

    チーズにおけるフルーティーな風味の試験 上述のように製造されたチーズは、専門の感覚評価委員会によって風味の特性について評価された。 委員は、チーズを味わい、そしてフルーティーさ及び苦味の特徴並びに存在する他の風味の特徴の記述子を記録することを求められた。 以下の表において示す結果は、エタノールの添加が、フルーティーな風味の様子を増大させ、且つ苦味の風味をマスキングするのに有効であったことを示した。 達成された果実の風味は、知覚された高レベルのブタン酸エチルとよく相関している。

    実施例5:クリームの発酵に由来する風味の濃縮物 エタノールが、実施例3に記載のリゾムコール・ミエーイ(Rhizomucor miehei)由来リパーゼでインキュベートされたクリームに添加された。

    使用した材料は、フルクリーム(40%脂肪)、リゾムコール・ミエーイ(Rhizomucor miehei)由来リパーゼ、及びエタノール(10M溶液)であった。 これらの成分は、スクリューキャップ型のボトル内で混合された。 各ボトルは、50mLのクリーム、40mLの水及び10mLのエタノールを含んだ。 1つのボトルはコントロールとして保持された。 リゾムコール・ミエーイ(Rhizomucor miehei)由来リパーゼ(0.15mLの酵素溶液)が第二のボトルに添加され、これを試験試料とした。 これらの混合物を含むボトルは、30℃の水槽内で維持された。 試料(5mL)は、試験ボトルへの酵素の添加後、1,3,5及び24時間の間隔で取り出され、そして冷凍庫で保存された。 当該試料は、後で、ガス液体クロマトグラフィーによるエチルエステル含量の解析のための標準的な方法(実施例1に記載の通り)を用いて抽出された。

    解析結果を図6及び7に示す。 図6は、短鎖脂肪酸(C4〜C8)のエチルエステルが反応の過程で蓄積することを示す。 図7は、5時間後に蓄積した短鎖脂肪酸(C4〜C8)のエステル及び中鎖エステル(C10〜C12)の濃度を示す。

    実施例6:酵素改良チーズに対する果実風味の特徴の添加 40Lの水をタンク内で43℃で維持した。 リン酸二ナトリウム(1.2kgを5Lの熱水中で溶解した)及び30kgの粉のヤングチェダーチーズカードを添加した。 20分攪拌した後、43℃の5Lの水に溶解した120gのプロテアーゼを添加した。 混合物は、追加の20kgの粉のカードが10分かけて添加されてから更に5分間攪拌された。 攪拌した反応混合物の温度は43℃で維持され、そして混合物は100mLのアリコート中に添加された4MのNaOHの添加によってpH5.6に調節された。 続いて酵素が混合物を93℃に加熱し、そして15分間その温度を維持することによって不活化された。 冷却後、混合物を32℃で且つpH5.4〜5.6に維持した。 続いて、混合物は、4Lのエンテロコッカス・ファエカリス(Enterococcus faecalis)、菌株EF3の培養物及び2LのLbプランタラム(Lb plantarum)で植菌して、平衡のとれた成熟チーズ風味をもたらした。

    混合物は、32℃で、且つ5.4〜5.6の範囲に調節されたpHで45時間維持された。 試料は、化学解析のために混合物(試料4)から採取した。 次に、440mLの100%エタノール及び75mLのリゾムコール・ミエーイ(Rhizomucor miehei)由来リパーゼを当該混合物に添加した。 5時間後、更に試料を採取した(T5)。 次の日、20時間の反応後、試料16を採取した。 フルーティーで且つチーズ風の香りが混合物中で明らかであった。 続いて、混合物は、商業的な基準に合致するよう更に処理された。

    表4に示した化学解析の結果は、リパーゼ及びエタノールの添加後の反応混合物中での揮発性のエステルの形成を確認する。

    実施例7:ヒツジのミルクからのエステル合成 90mLのヒツジのミルクと10mLの10Mエタノールの溶液を37℃に加熱した。 パラターゼ20000L(0.03%)を添加し、そして混合物を5時間インキュベートした。 試料(10ml)を1mLの2.5MH 2 SO 4で酸性化し、そしてエステルについて解析する前に−20℃で保存した。 エステルは、実施例1に記載の方法を改変してガスクロマトグラフィー(GC)によって決定した。 1mlの解凍され、酸性化された試料を、5mLのジエチルエーテルを含む16mLのKimaxスクリューキャップ型試験管に添加した。 抽出は、約2.5分間激しく振とうし、続いて遠心機(Heraeus Megafuge 1.0)内で、1260gで5分間遠心することによって行った。 1mLの溶媒層を続いて1mLの内部標準(180mg/Lの酢酸エチル/水)を含む16mLのKimaxスクリューキャップ型試験管に移した。 内部標準を含む全ての溶媒抽出物を、500mgのアミノプロピル固相抽出(SPE)カートリッジに流し、トリグリセリドを除去した。 続いて、素通りするエステル化合物を、オーブンで乾燥させた少量の無水硫酸ナトリウムを含むGCバイアル中で回収した。 この試料は、後述のようにGCによってエステルについて解析した。

    試料の抽出後、エステルをGCで解析した。 解析は、フューズドシリカキャピラリーカラム(液相、DB−1;長さ30m;内径0.25mm;フィルムの厚さ1.0μm)(J&W Scientific, CA, USA)を備えた島津GC−15Aガスクロマトグラフィーを用いて実施した。 オーブンは、45℃で5分間の温度にプログラムし、その後1分当たり5℃ずつ50℃、続いて1分当たり20℃ずつ270℃にまで上昇させ、そして270℃で8分間維持した。 分割注入は5:1の比率で行い、そして3μLの試料を注入した。 インジェクター及びFID(水素炎イオン化検出器)の温度は、それぞれ250℃及び275℃とした。 他の条件は、キャリヤーガス(He)は0.9mL/分;H 2及びエアはそれぞれ0.6kg/cm 2 ;メーキャップガス(N 2 )2kg/cm 2 。 FIDアウトプットシグナルを記録し、そして適切なソフトウェア(島津CLASS−VP(商標)クロマトグラフィーデータシステム、バージョン4.2、島津(MD,USA))を用いて処理した。 試料中のエステルを同定し、そして既知の量の純粋なスタンダードとの比較によって定量した。

    この反応で形成したエチルエステルの量を以下の表5に記載する。

    実施例8:ヤギのミルクからのエステル合成 90mLのヤギのミルクと10mLの10Mエタノールの溶液を37℃に加熱した。 パラターゼ20000L(0.03%)を添加し、そして混合物を7時間インキュベートした。 試料(10ml)を1mLの0.5MH 2 SO 4で酸性化し、そしてエステルについて解析する前に−20℃で保存した。 エステルは、実施例7に記載のようにガスクロマトグラフィー(GC)によって決定した。

    この反応で形成したエチルエステルの量を表6に記載する。

    実施例9:クリームからのエステル合成 25kgのクリーム(40%脂肪)を、0.075kgのパラターゼ20000L、2.31kgのエタノール(ホエー発酵由来の99.8%の食品用)及び22.63kgの水と循環ポンプを備えた攪拌タンク内で攪拌しながら混合した。 酵素を添加した後、混合物を攪拌し、そして37℃で48時間ポンプを使用した。 3時間終了時のpHは5.5であった。 48時間終了時のpHは4.6であった。 当該反応は、安定な風味成分を作るためにこの段階で処理されうる。 しかしながら、この実施例においては、50kgの粉チェダーチーズがエステル風味成分に添加され、そしてこの混合物は85℃で15分間加熱された。 エステル/クリーム/チーズの大半を20Lのプラスチックバケツ中に注いだ。 エステル及びクリームとチーズとの配合は、相分離を停止させた。 加熱段階は、パラターゼを不活化し、そして生成物を無菌化した。

    第二のバッチの風味成分を、上文で概説したようにクリームから調製したが、これは70kgのクリーム、パラターゼ20000L、エタノール(ホエー発酵由来の99.8%の食品用)と水を、最初に調製したバッチについて上述したのと同一の比率で添加した最初の混合物から作成した。 60kgの生じた生成物を60kgのチェダーチーズと混合し、そして85℃に15分間加熱し、そしてパラターゼを不活化して生成物を無菌化した。

    第二のバッチから生じた生成物のエステル解析を以下の表7に記す。

    実施例10:風味の評価a)ホワイトソース 実施例9の第二のバッチに従い調製されたエステル風味成分の試料は、ホワイトソース調製物中で1%で混合された。 当該ホワイトソースは、125gのソース粉末(5gの塩、120gの標準的な白小麦粉及び500gのクリーム粉末)を混合、加熱し、そして450gの水を配合することにより作られた。

    生じた味は、専門の感覚評価委員会によって(実施例4を参照のこと)、せっけん風の特徴を伴う、フルーティーさ、甘味(パイナップルの塊)の風味であることが決定された。

    b)チェダーチーズ チェダー調製物は、以下の通りに調製した。 実施例9の第二バッチに従い調製した0.5%のエステル風味成分を、58.8%のチェダーチーズ、1.75%のクエン酸三ナトリウム及び39.4%の水と混合した。 パーセンテージは、重量/重量をベースとしている。

    生じた生成物は、平衡のとれたフルーティーな風味を有しており、これは後になって生じた。

    c)パルメザン−スタイルチーズ パルメザンスタイルチーズ混合物は、以下のように調製した。 実施例9の第二バッチに従い調製した0.5%のエステル風味成分を、56.2%のパルメザンチーズ、1.75%のクエン酸三ナトリウム及び42%の水と混合した。

    これは、専門家委員会によって、好ましい甘味の、フルーティーな風味を有することが記載され、これはパルメザンスタイルチーズの良い風味の特徴に対し良好なバランスをもたらした。

    d)ゴーダチーズ ゴーダチーズ調製物は、実施例9に記載の第二バッチについて記載したように調製した0.5%のエステル風味成分と、63.7%のゴーダチーズ、1.75%のクエン酸三ナトリウム及び34.5%の水とを混合することによって作られた。

    これは、味見の後化学物質臭のないフルーティーな風味を有すると専門家委員によって記載された。

    e)フォンデュチーズ フォンデュレシピは、14%のチェダーチーズ、23%のクリーム、47%のミルク、9%のバター、4%の小麦粉、1%の他の風味及び実施例6に記載の方法に従い調製した、2%のエステル風味成分を用いて調製した。

    専門家委員会は、生じたフォンデュ調製物が向上した味の良さ/フルーティーさ及びチーズ風の味を有していたと述べた。

    図1は、ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)ST1の非増殖細胞による、100mMのエタノール及び33mMのトリブチリンを含むリン酸緩衝液中でのブタン酸エチルの合成の、時間に対するプロットである。 黒丸、細胞のみ(42mg cdw);白丸、基質のみ;黒三、24mgの細胞(cdw);白三角、48mgの細胞(cdw)[(cdw)細胞乾燥重量]。

    図2a、2b及び2cは、ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)ST1の非増殖細胞による、リン酸緩衝液中でのエチルエステルの合成の、時間に対するプロットである。 (a)100mMエタノール由来のヘキサン酸エチル;(b)500mMエタノール及び10mMデカノイン由来のデカン酸エチル;並びに(c)500mMエタノール及び10mMモノデカノイン由来のデカノン酸エチル。 黒丸、エステル;白丸、脂肪酸。

    図3は、ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)ST1の非増殖細胞による、リン酸緩衝液中での2−フェニルエチルエステルの合成の、時間に対するプロットである。 黒丸、17mM2−フェニルエタノール及び17mMジヘキサノイン由来の2−フェニルエチルヘキサノエート;白丸、17mM2−フェニルエタノール及び23mMモノオクタノイン由来2−フェニルエチルオクタノエート。

    図4は、リゾムコール・ミエーイ(Rhizomucor miehei)由来1,3−特異的リパーゼによる、50mMエタノール及び66mMトリブチリンを含む(白丸)又は50mMのエタノール及びブタン酸を含む(黒丸)リン酸緩衝液中でのブタン酸エチルの合成のプロットである。

    図5は、リゾムコール・ミエーイ(Rhizomucor miehei)由来1,3−特異的リパーゼによる、過剰のエタノールを含むチーズベースの媒体中でのブタン酸エチルの合成のプロットである。 コントロール(黒丸)は、エタノールが添加されなかった。

    図6は、クリーム中でリゾムコール・ミエーイ(Rhizomucor miehei)(0.15%)を用いる、時間に対する脂肪酸のエチルエステルの産生のプロットである。 黒三角、脂肪酸C4〜C8のエチルエステル;黒丸、脂肪酸C10〜C18のエチルエステル。

    図7は、実施例6に記載の、5時間発酵後の炭素鎖長の増大の遊離脂肪酸のエチルエステル濃度を例示する。

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