【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、酸化コレステロール吸着剤及びその製造法並びに酸化コレステロールを吸着する方法、及びコレステロール又は酸化コレステロールを含有する食品の製造法に関する。 【0002】 【従来の技術】酸化コレステロールは脂肪酸過酸化物と同様に生体の諸機能に影響を及ぼし、種々の病態の発症あるいは老化の引き金となる可能性が指摘されている。 このような生体に有害な影響を及ぼす酸化コレステロールが動物性食品を加工する際に無視出来ない量で生成されており、また小腸から約30% 程度が吸収されてコレステロールおよび脂肪酸代謝を攪乱する事が報告されている。 【0003】これらの背景から、酸化コレステロールの生体への吸収並びにその生理作用を抑制する対策を講じることは動物性加工食品の摂取が増大している現状からも早急に解明が待たれる研究課題であり、そのような生理機能を有する食品成分の存在を明らかにする事は、国民健康に直結する極めて重要な課題である。 【0004】これまでに、食餌由来の酸化コレステロールの吸収抑制、あるいはその生理作用を制御する食品成分として、特開平3-30667 号公報あるいは特開平8-2535 02号公報等に記載されているような酸性多糖類を主成分とする酸化コレステロールの吸着剤が報告されている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平 3-30667 号公報に記載されている方法では酵母の特殊な変異株からのみ産生される多糖類を使用しており、安全性に不安があるうえに収率が低いという問題がある。 また、特開平8-253502号公報記載の方法では化学的な手法により硫酸化多糖類を合成しており未反応物が残留する等の安全面で問題があった。 【0006】上述の様に、生体に悪影響を及ぼす酸化コレステロールの吸着剤として、安全、且つ、安価に使用できる食品素材およびその製造法に関しては、現状では必ずしも全てが満足されている訳ではなかった。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、如上の点に鑑み鋭意研究した結果、大豆から抽出される水溶性多糖類に極めて強い酸化コレステロールの吸着能があり、 該多糖類が130 ℃以下の熱水により容易に大豆より抽出される事を見出した。 本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものである。 【0008】即ち、本発明は、植物由来の水溶性多糖類を有効成分とする酸化コレステロール吸着剤、及び植物からの多糖類の抽出を80℃以上、130 ℃以下で行う事を特徴とする酸化コレステロール吸着剤の製造法、植物由来の水溶性多糖類を使用して酸化コレステロールを吸着する方法、並びにコレステロール又は酸化コレステロールを含有する食品に植物由来の水溶性多糖類を添加することを特徴とする食品の製造法、である。 【0009】本発明における水溶性多糖類は豆類由来、 特に大豆、なかでも子葉由来のものが好ましい。 【0010】水溶性多糖類は、その分子量がどの様な値のものでも使用可能であるが、好ましくは平均分子量が数万〜数百万、具体的には5 万〜100 万であるのが好ましい。 なお、この水溶性多糖類の平均分子量は標準プルラン(昭和電工(株))を標準物質として0.1 モルの N aNO 3溶液中の粘度を測定する極限粘度法で求めた値である。 また、ウロン酸の測定は Blumenkrantz 法により、 中性糖の測定はアルジトールアセテート化した後にGLC 法により行った。 【0011】水溶性多糖類は、多糖類を含む原料から水抽出や場合によっては、酸、アルカリ条件下で加熱溶出させるか、酵素により分解溶出させることができる。 水溶性多糖類の製造法の一例を示すと以下のようである。 【0012】油糧種子、例えば大豆、パーム、ヤシ、トウモロコシ、綿実、ナタネ、サフラワーなど通常油脂や蛋白質を除いた殻、あるいは穀類、例えば米、小麦など通常澱粉等を除いた粕あるいは砂糖黍、ビート等の搾り粕等の植物を原料とすることができる。 原料が大豆であれば、豆腐や豆乳、分離大豆蛋白を製造するときに副生するオカラを利用することができる。 【0013】これらの原料を酸性乃至アルカリ性の条件下、好ましくは各々の蛋白質の等電点付近のpHで、好ましくは80℃以上130 ℃以下、より好ましくは100 ℃以上 130℃以下にて加熱分解し、水溶性画分を分画した後、 そのまま乾燥するか、例えば活性炭処理或いは樹脂吸着処理或いはエタノール沈澱処理して疎水性物質あるいは低分子物質を除去し乾燥することによって、水溶性多糖類を得ることができる。 【0014】本発明において、水溶性多糖類は単独で酸化コレステロールの吸着剤として使用することができるが、既存のコレステロールおよび酸化コレステロールの吸収抑制剤、吸着剤等と併用することにより、それらの欠点を補うこともできる。 【0015】既存のコレステロール及び酸化コレステロールの吸収抑制剤、吸着剤としては、前述の特開平3-30 667 号公報等に記載の酸性多糖類の他に、キチン、キトサン等のアミノ多糖類、コレスチミン、コレスチポール等のイオン交換樹脂などが挙げられる。 【0016】本発明によれば、コレステロール又は酸化コレステロールを含有する食品に植物由来の水溶性多糖類を加えておくことによって、かかる食品を煮る、焼く、蒸す、揚げる、炒める等、加熱調理したときに生ずる酸化コレステロールを、該水溶性多糖類が吸着し体外に排泄する。 従って、予めコレステロール又は酸化コレステロールを含有する食品に植物由来の水溶性多糖類を添加しておくことによって、結果的には吸収されるコレステロール含量の低い食品を製造することができる。 このようなコレステロール又は酸化コレステロールを含有する食品としては、例えば油でフライ等の揚げ物や炒め物を造るときに使用するラードのような動物性油脂、牛肉、豚肉、鶏肉、魚肉、貝類等の各種畜肉魚介類、及びこれらを利用した各種食品、バター、マーガリン、ショートニング、クリーム、マヨネーズ、カレールー等が例示できる。 【0017】これらの食品に対する植物由来の水溶性多糖類の添加量は、食品の種類により、すなわち食品中のコレステロール含量の多少により、また加熱程度の変化の差異により異なるので、一概に規定できないが、多くの場合食品中の予測されるコレステロール含量の約5 倍量〜50倍量の水溶性多糖類を添加しておくのが好ましい。 【0018】 【実施例】以下、実施例により本発明の実施態様を説明するが、これは例示であって本願発明の精神がこれらの例示によって制限されるものではない。 なお、例中、部および% は何れも重量基準を意味する。 【0019】実施例1〜3 ○水溶性大豆多糖類(イ)の調製(実施例1) 分離大豆蛋白製造工程において得られた生オカラに2 倍量の水を加え、塩酸にてpHを4.5 に調整し、120 ℃で1. 5 時間加熱抽出した。 冷却後、遠心分離(10000G×30 分) を行ない上澄と沈澱部に分離した。 こうして分離した沈澱部に等重量の水を加えて再度、遠心分離を行ない、上澄を先の上澄と混合して活性炭カラムを通液し、 精製処理を行った後に乾燥して水溶性大豆多糖類(イ) を得た。 【0020】○水溶性大豆多糖類(ロ)の調製(実施例2) 水溶性大豆多糖類(イ)を0.5%食塩水に溶解し、エタノール濃度が50% となるように再沈澱を3 回繰り返し、イオン交換樹脂(オルガノ(株)製「アンバーライトIR-1 20B 」)を用いて脱塩し、水溶性大豆多糖類(ロ)を得た。 【0021】○水溶性大豆多糖類(ハ)の調製(実施例3) 水溶性大豆多糖類(イ)の調製と同様の方法において水溶性大豆多糖類を抽出した後、活性炭カラムによる精製処理を行わなわず水溶性ヘミセルロース(ハ)を得た。 【0022】以上の得られた水溶性大豆多糖類の分析結果をまとめると以下のとおり。 組成割合(%) ─────────────────────────────────── 実施例1 実施例2 実施例3成 分 (イ) (ロ) (ハ) ───────────────────────────────── 水 分 5.71 7.75 5.10 粗蛋白 5.43 1.03 7.21 粗灰分 5.29 0.22 5.30 糖質 83.57 91.00 82.39 ───────────────────────────────── 平均分子量 178,000 207,000 114,000 ─────────────────────────────────── 【0023】次に、(イ)、(ロ)及び(ハ)の水溶性大豆多糖類の糖組成を前記の方法で分析した。 【0024】結果は以下のとおり。 糖組成(%) ─────────────────────────────────── 実施例1 実施例2 実施例3糖の種類 (イ) (ロ) (ハ) ───────────────────────────────── ウロン酸 20.4 16.9 19.4 ラムノース 1.6 2.7 2.1 フコース 2.7 5.2 3.9 アラビノース 19.9 20.1 23.1 キシロース 6.4 8.4 5.8 ガラクトース 47.3 45.8 43.4 グルコース 1.7 0.9 2.3 ─────────────────────────────────── 【0025】○動物実験 水溶性大豆多糖類あるいはセルロースを5%と酸化コレステロール0.3%をそれぞれ含みサフラワー油を5%含む AIN 76 タイプの純化食を用いて、4 週齢の SD 系雄ラットを1 群7 匹として3 週間自由摂取により飼育した。 尚、 飼料に配合した酸化コレステロールの組成を以下に示す。 【0026】 酸化コレステロール混合物の組成 (%) ─────────────────────────────────── 7 α- ヒドロキシコレステロール 9.9 コレステロール 6.8 7 β- ヒドロキシコレステロール+5 β- エポキシコレステロール 13.3 5 α- エポキシコレステロール 4.4 コレスタネトリオール 3.7 7-ケトコレステロール 10.2 25- ヒドロキシコレステロール 1.3 未確認酸化ステロイド 50.4 ─────────────────────────────────── 【0027】3 週間の飼育期間終了時に、腹部大動脈より採血して屠殺し、肝臓と血液を採取した。 血液は過酸化脂質濃度をTBA 法で測定し、次いで血清を調製して肝臓と共に脂質の諸パラメーターを測定した。 さらに、血清と肝臓の各脂質クラスをTLC で分画後、脂肪酸組成を GCにより測定した。 肝臓の酸化コレステロール濃度と飼育期間中(10〜11日目)に回収した糞中の中性ステロイドについて、それぞれGC-MS 法で定量し、さらに、肝臓のリノール酸不飽和化律速酵素であるΔ6-desaturase活性をトレーサー法により測定した。 【0028】以下に示す様に、飼育終了時のラットの体重を測定したところ、摂食量は変わらなかったにも関わらず水溶性大豆多糖類を摂取した3 群全てで体重の増加が対照郡と比較して有意に高くなった。 この結果より、 水溶性大豆多糖類は酸化コレステロールが引き起こす成長阻害を緩和する機能を有するということが分かった。 【0029】 体重増加と飼料摂取量(平均値±標準誤差)(g) ─────────────────────────────────── 初体重 終体重 飼料摂取量 ─────────────────────────────────── 水溶性大豆多糖類 (イ) (実施例1) 110 ±3 138 ±2 * 15±0 水溶性大豆多糖類(ロ) (実施例2) 110 ±3 140 ±3 * 15±0 水溶性大豆多糖類(ハ) (実施例3) 110 ±3 132 ±2 * 15±0 セルロース (対照) 110 ±3 116 ±5 15±0 ─────────────────────────────────── * :セルロース群と有意差あり (p<0.05) 【0030】血液中の過酸化脂質濃度(TBARS)の測定結果は、以下に示した様に、水溶性大豆多糖類を摂取した全群において対照となるセルロース摂取群と比較して有意に低い値を示した。 この事から、水溶性大豆多糖類は酸化コレステロールが誘発する血中の脂質過酸化を抑制する事が明らかとなった。 【0031】 TBARS 値 (nmol MDA/ml)(平均値±標準誤差) ─────────────────────────────────── 水溶性大豆多糖類(イ) (実施例1) 4.1±0.1 * 水溶性大豆多糖類(ロ) (実施例2) 3.9±0.3 * 水溶性大豆多糖類(ハ) (実施例3) 4.3±0.1 * セルロース (対照) 5.8±0.2 ─────────────────────────────────── * :セルロース群と有意差あり (p<0.05) 【0032】また、以下に示した様に、血清脂質濃度では、水溶性大豆多糖類を摂取した群で、善玉コレステロールと呼ばれるHDL-コレステロールが有意に高くなる事が観察された。 酸化コレステロールを摂取するとHDL-コレステロール濃度が低下する事が報告されているが、水溶性大豆多糖類の摂取により緩和される事が観察され、 リポタンパク質代謝を正常化させていることが窺い知れた。 【0033】 血清脂質値 (mg/dl)(平均値±標準誤差) ─────────────────────────────────── HDL-コレステロール コレステロール ─────────────────────────────────── 水溶性大豆多糖類(イ)(実施例1) 69.8±5.7 * 74.6±6.1 水溶性大豆多糖類(ロ)(実施例2) 68.5±4.3 * 72.1±5.2 水溶性大豆多糖類(ハ)(実施例3) 62.7±1.3 * 69.8±6.6 セルロース (対照) 40.3±2.7 66.3±5.5 ─────────────────────────────────── * :セルロース群と有意差あり (p<0.05) 【0034】肝臓のリン脂質と血清のコレステリルエステルの脂肪酸組成を調べたところ、以下に示したようにリノール酸不飽和化指標〔(18:3+20:3)/18:2〕は対照群と比較して有意に低くなった。 【0035】 リノール酸不飽和化指標 (平均値±標準誤差) (18:3+20:3)/18:2 ─────────────────────────────────── 肝臓フォスファチジルコリン 水溶性大豆多糖類(イ)(実施例1) 3.4 ±0.1 * 水溶性大豆多糖類(ロ)(実施例2) 3.2 ±0.2 * 水溶性大豆多糖類(ハ)(実施例3) 4.1 ±0.5 セルロース (対照) 4.1 ±0.4 肝臓フォスファチジルエタノールアミン 水溶性大豆多糖類(イ)(実施例1) 10.8 ±0.3 * 水溶性大豆多糖類(ロ)(実施例2) 10.7 ±0.2 * 水溶性大豆多糖類(ハ)(実施例3) 11.8 ±0.5 セルロース (対照) 13.0 ±0.6 血清コレステリルエステル 水溶性大豆多糖類(イ)(実施例1) 5.0 ±0.1 * 水溶性大豆多糖類(ロ)(実施例2) 5.1 ±0.3 * 水溶性大豆多糖類(ハ)(実施例3) 6.2 ±0.4 * セルロース (対照) 7.6 ±0.2 ─────────────────────────────────── * :セルロース群と有意差あり (p<0.05) 【0036】また、肝臓ミクロソームのΔ 6-desaturas e 活性を測定したところ、以下に示すように対照群と比較して有意に活性が低下する事が観察された。 このように、肝臓ミクロソームの desaturase 活性が肝臓リン脂質と血清コレステリルエステルのリノール酸不飽和化指標に反映している事が明らかとなった。 【0037】 Δ 6-desaturase 活性 (pmol/min/mg protein)(平均値±標準誤差) ─────────────────────────────────── 水溶性大豆多糖類(イ)(実施例1) 365 ±20 * 水溶性大豆多糖類(ロ)(実施例2) 351 ±18 * 水溶性大豆多糖類(ハ)(実施例3) 395 ±52 セルロース (対照) 510 ±80 ─────────────────────────────────── * :セルロース群と有意差あり (p<0.05) 【0038】以上の結果から、酸化コレステロール摂取に伴うリノール酸不飽和化亢進によって導かれるエイコサノイド産生の制御も水溶性大豆多糖類の摂取で可能となり、水溶性大豆多糖類がアレルギーや炎症を防止する効果を有することが分かった。 【0039】また、肝臓および糞中の酸化コレステロール濃度を測定したところ、以下に示すように肝臓中の主要な酸化コレステロール濃度は、水溶性大豆多糖類の摂取により対照群と比較して有意に低い値を示した。 一方、糞中に排泄された酸化コレステロール濃度は、水溶性大豆多糖類の摂取により対照群と比較して有意に高いかあるいは高くなる傾向を示した。 これらの結果から、 水溶性大豆多糖類は食餌性の酸化コレステロールの吸収を抑制して糞中に排泄させる事で、酸化コレステロールが引き起こす生理作用を制御していることが窺い知れた。 【0040】 肝臓中ならびに糞中の酸化コレステロール含量 (平均値±標準誤差) ─────────────────────────────────── 肝臓中(μg/g ) 糞中(mg/g) ─────────────────────────────────── 7 α- ヒドロキシコレステロール 水溶性大豆多糖類(イ)(実施例1) 28 ±15 * 0.34 ±0.05 * 水溶性大豆多糖類(ロ)(実施例2) 25 ±10 * 0.32 ±0.02 * 水溶性大豆多糖類(ハ)(実施例3) 48 ±12 * 0.29 ±0.06 * セルロース (対照) 110±20 * 0.20 ±0.01 * 7 β- ヒドロキシコレステロール+5 β- エポキシコレステロール 水溶性大豆多糖類(イ)(実施例1) 60 ±40 * 3.50 ±0.55 * 水溶性大豆多糖類(ロ)(実施例2) 62 ±32 * 3.21 ±0.20 * 水溶性大豆多糖類(ハ)(実施例3) 150 ±15 * 2.17 ±0.43 セルロース (対照) 355 ±43 1.30 ±0.60 5 α- エポキシコレステロール 水溶性大豆多糖類(イ)(実施例1) 20 ±8 * 1.30 ±0.46 水溶性大豆多糖類(ロ)(実施例2) 12 ±10 * 1.40 ±0.68 水溶性大豆多糖類(ハ)(実施例3) 43 ±28 * 0.70 ±0.32 セルロース (対照) 148 ±15 0.60 ±0.22 コレスタネトリオール 水溶性大豆多糖類(イ)(実施例1) 17 ±4 * 0.09 ±0.02 * 水溶性大豆多糖類(ロ)(実施例2) 18 ±3 * 0.08 ±0.02 * 水溶性大豆多糖類(ハ)(実施例3) 23 ±8 0.07 ±0.01 * セルロース (対照) 32 ±8 0.04 ±0.00 7-ケトコレステロール 水溶性大豆多糖類(イ)(実施例1) 32 ±5 * 0.54 ±0.12 * 水溶性大豆多糖類(ロ)(実施例2) 22 ±1 * 0.68 ±0.15 * 水溶性大豆多糖類(ハ)(実施例3) 68 ±8 * 0.51 ±0.13 セルロース (対照) 366 ±43 0.33 ±0.08 25- ヒドロキシコレステロール 水溶性大豆多糖類(イ)(実施例1) 13 ±4 * 0.39 ±0.05 * 水溶性大豆多糖類(ロ)(実施例2) 8 ±4 * 0.41 ±0.06 * 水溶性大豆多糖類(ハ)(実施例3) 25 ±5 * 0.28 ±0.04 * セルロース (対照) 38 ±6 0.19 ±0.07 ─────────────────────────────────── * :セルロース群と有意差あり (p<0.05) 【0041】○ in vitro における酸化コレステロール吸着作用の確認。 酸化コレステロールを含むミセルに水溶性大豆多糖類(イ)あるいはセルロースを加え、添加した多糖類の濃度とミセルに可溶化している酸化コレステロールの量を測定した。 その結果を図1 〜図6 に示すが、水溶性大豆多糖類(イ)を添加すると濃度依存的に主要な酸化コレステロールのミセル可溶化が抑えられる事が明らかとなった。 【0042】 【発明の効果】水溶性大豆多糖類は生体に有害な酸化コレステロールを吸着あるいは胆汁酸を吸着する事により酸化コレステロールのミセル可溶化を阻害して小腸からの吸収を制御し、食餌性過酸化脂質が誘導する生体恒常性の低下に対する予防食品成分となる事が可能である。 【図面の簡単な説明】 【図1】7 α- ヒドロキシコレステロールのミセル可溶化率を示したグラフ。 【図2】7 β- ヒドロキシコレステロール+5 β- エポキシコレステロールのミセル可溶化率を示したグラフ。 【図3】5 α- エポキシコレステロールのミセル可溶化率を示したグラフ。 【図4】コレスタネトリオールのミセル可溶化率を示したグラフ。 【図5】7-ケトコレステロールのミセル可溶化率を示したグラフ。 【図6】25- ヒドロキシコレステロールのミセル可溶化率を示したグラフ。 ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 青山 敏明 大阪府泉佐野市住吉町1番地 不二製油株 式会社阪南工場内 (72)発明者 長田 恭一 青森県弘前市学園町1丁目1番地 公宿32 −1−36 (72)発明者 中村 信吾 青森県弘前市桔梗野2丁目20の1 桔梗野 住宅2の303 |