Sesamin / episesamin composition

申请号 JP2006520567 申请日 2005-12-28 公开(公告)号 JP4995567B2 公开(公告)日 2012-08-08
申请人 サントリーホールディングス株式会社; 发明人 菜美乃 冨森; 佳子 小野; 佐紀 徳田; 智裕 櫓木;
摘要
权利要求
  • セサミンとエピセサミンを 40:605:95 (重量比)で含有 し、前記セサミンとエピセサミンの総量が組成物の51重量%以上であることを特徴とするセサミン/エピセサミン組成物。
  • セサミンとエピセサミンを30:70〜5:95(重量比)で含有することを特徴とするセサミン/エピセサミン組成物。
  • セサミン及びエピセサミンの総量が、組成物の51重量%以上であることを特徴とする請求項 に記載のセサミン/エピセサミン組成物。
  • 請求項1〜3 のいずれか1項に記載のセサミン/エピセサミン組成物を含有する飲食物。
  • 請求項1〜3 のいずれか1項に記載のセサミン/エピセサミン組成物を含有する医薬組成物。
  • 請求項1〜3 のいずれか1項に記載のセサミン/エピセサミン組成物を含有する動物飼料又はペットフード。
  • セサミンとエピセサミンを30:70〜5:95(重量比)で含有する飲食品。
  • セサミンとエピセサミンを30:70〜5:95(重量比)で含有する医薬組成物。
  • セサミンとエピセサミンを30:70〜5:95(重量比)で含有する動物飼料又はペットフード。
  • 说明书全文

    本発明は、セサミンとそのエピマー(異性体)であるエピセサミンとを所定の割合で含有させることにより、セサミン類の持つ生理活性を高めたセサミン及びエピセサミン含有組成物(セサミン/エピセサミン組成物)に関する。

    本発明はさらに、当該セサミン/エピセサミン組成物を添加しまたは含有する、飲食物、液体飲料、医薬組成物及び動物飼料又はペットフードに関する。

    本発明において、セサミン類とはセサミンとエピセサミンの総称をいう。 また、本発明において、セサミンとエピセサミンの混合物をセサミン/エピセサミン組成物と表記する。
    エピセサミンおよびセサミンは立体異性体の関係にある。 すなわち、セサミン(sesamin)は、式I:

    で示される構造を有する光学活性化合物であり、そして、その異性体であるエピセサミン(episesamin)は、式II:

    で示される構造を有する光学活性化合物である。 上記式に示されるように、セサミンが平面上で対称構造を有するのに対して、エピセサミンは非対称構造を有する。

    セサミンはゴマの主要なリグナン化合物の一つであり、ゴマ種子中に0.1〜0.5%含まれている。 これに対して、エピセサミンは本来ゴマ種子には存在しておらず、ゴマ油からサラダ油などの精製処理(脱色、脱臭)工程において、セサミンがエピマー化を受け副次的に生成してくるものであり(非特許文献1)、このゴマ油から精製されるセサミン類は、セサミンとエピセサミンとをほぼ1:1(重量比)の割合で含有することが知られている(非特許文献2 )。
    先行技術文献には、セサミン類について以下の生理活性が開示されている。 例えば、精製されたセサミンを用いた実験から、腸内でのコレステロール又は胆汁酸の代謝阻害作用(特許文献1)、アルコール中毒や禁断症状の緩和作用(特許文献2)、肝機能改善作用(特許文献3)、高度不飽和脂肪酸の生体内安定化作用(特許文献4)、Δ5−不飽和化酵素阻害作用(非特許文献3〜4、特許文献5)、片頭痛の抑制作用(特許文献6)、ヒト白血病細胞に対するアポトーシス誘導作用(特許文献7)、メラトニンの酸化分解抑制作用(特許文献8)等が明らかとなっている。 そして、上記特許文献5のΔ5−不飽和化酵素阻害作用、上記特許文献7のヒト白血病細胞に対するアポトーシス誘導作用は、精製されたセサミンだけでなく、エピセサミンについても確認されている。
    また、セサミンを含有するゴマ油を用いた実験からは、炎症性疾患(筋萎縮性側索硬化症)の改善作用(特許文献9)、抗炎症及び感染防護作用(特許文献10)、α−リノレン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸のうち少なくとも1種類を含有する油脂との併用によるアレルギー予防又は改善作用(特許文献11)等が明らかとなっている。
    さらに、セサミン/エピセサミン組成物については、以下の報告がある。 例えば、リグナン類化合物を主成分とするゴマ油抽出物(セサミン19.6%、エピセサミン30.6%、セサミノール及びエピセサミノール10.2%;リグナン類化合物含量60.4%)を用いた実験からは、血中コレステロール低下作用および血中中性脂質低下作用(特許文献12)、肝機能改善作用(特許文献3)等が明らかになっている。 また、精製されたセサミン/エピセサミン組成物を用いた実験、例えばセサミン:エピセサミン=約6:4を用いた実験からは、肝機能改善作用(セサミン:61.5%、エピセサミン:38.0%)(特許文献3)、活性酸素消去作用(セサミン:エピセサミン=約6:4)(特許文献13)、悪酔防止作用(セサミン:55.2%、エピセサミン:44.4%、純度99.6%)(特許文献14)、アレルギー症状の予防又は改善作用(セサミン:55.2%、エピセサミン:44.4%、純度99.6%)(特許文献15)等が、セサミン:エピセサミン=約1:1を用いた実験からは、オメガ6系・オメガ3系不飽和脂肪酸のバランス調節作用(セサミン:51.3%、エピセサミン:47.8%)(特許文献16)、過酸化脂質生成抑制(セサミン:51.3%、エピセサミン:47.8%)(特許文献17)、乳癌抑制作用(セサミン:51.3%、エピセサミン:47.8%)(特許文献18)、抗高血圧作用(セサミン:51.5%、エピセサミン:47.8%、その他のジオキサビシクロ〔3,3,0〕オクタン誘導体1.1%)(特許文献19)、体脂肪低減作用(セサミン:エピセサミン=約1:1、純度99.5%)(特許文献20)、ノコギリヤシ油との併用による前立腺肥大抑制効果(セサミン:エピセサミン=約1:1)(特許文献21)等が明らかとなっている。

    さらにまた、近年、セサミンとエピセサミンの生理活性の違いが明らかになっている。 例えば、セサミンとエピセサミンの混合物(およそ1:1)をラットに経口投与した後の体内分布から、エピセサミンの臓器への移行量がセサミンの2倍以上高いことが報告されている(非特許文献5)。 また、セサミンとエピセサミンを各々ラットに経口投与した実験から、エピセサミンがセサミンに比べて肝臓のβ酸化系酵素の遺伝子発現ならびに酵素活性を顕著に上昇させること、脂肪酸合成酵素の阻害活性についてはセサミンとエピセサミンで差がないことが報告されている(非特許文献6)。

    特許第3183664号

    米国特許第4427694号

    特許第3075358号

    特開平11−269456号公報

    特許第3070611号

    特開2003−183172号公報

    特開2001−151676号公報

    特開2000−143546号公報

    特表2005−533042号公報

    特表平10−500937号公報

    特開平5−58902号公報

    特許第3001589号

    特開平6−227977号公報

    特許第3124062号

    特許第3512196号

    特許第3512196号

    特開平5−051388号公報

    特開平5−43458号公報

    特開平8−268887号公報

    特許第3205315号

    特開2000−256204号公報

    並木ら、「ゴマその科学と機能性」、丸善プラネット株式会社(1998) Fukuda, Y., et al., J. Am. Oil. Chem. Soc., 63, 1027-1031 (1986) S. Shimizu, et al, J. Am. Oil Chem. Soc., 66, 237-241 (1989) S. Shimizu, et al., Lipid, 26, 512 (1991) Sawada R., et al., Lipids, 34, 633 (1999) Kushiro M., et al. J. Nutr. Biochem., 13, 289-295 (2002)

    上記のとおり、セサミン類は様々な生理活性を有するものの、天然のゴマ種子中に0.1〜0.5%程度しか含まれていない貴重な化合物である。 そこで、本出願人は、セサミン類の持つ生理活性を効率良く発揮させるために、セサミン類の作用を増強させる方法を検討し、α−トコフェロールがセサミン類等のジオキサビシクロ〔3,3,0〕オクタン誘導体の作用を増強しうることを見出している(特許第3283274号)。 しかし、セサミン類自体の生理活性を増強させる方法は全く知られていなかった。

    セサミン類自体の生理活性を増強させることができれば、セサミン類の持つ有用な生理活性をより効率的かつ有効に発揮することができるとの考えに基づき、本発明者らは、セサミン類自体の生理活性を増強させる方法について鋭意検討を行った。
    まず、エピセサミンがセサミンに比べて肝臓のβ酸化系酵素の遺伝子発現ならびに酵素活性を顕著に上昇させること(非特許文献6)から、少なくとも肝機能改善作用についてはエピセサミンがセサミンと同等以上の活性を有していると考え、エピセサミンを効率よく体内に吸収させることによって、セサミン類の持つ生理活性を増強させる方法を検討した。 具体的には、セサミンとエピセサミンを様々な重量比で含有するように調製したセサミン/エピセサミン組成物(油溶試料)において、経口投与によるエピセサミンの経口吸収・血中移行性を検討した。 上記の非特許文献5および6の教えによれば、エピセサミン単独投与の条件がもっとも血中移行性が高いことが予想されたが、驚くべきことに、この予想に反して、セサミンを一定量共存させたセサミン/エピセサミン組成物を用いると、エピセサミン単独投与による場合よりもエピセサミンの経口吸収性および/または血中移行性が高いことを見出した。 そして、セサミン類の持つ生理活性である抗高血圧作用、肝臓のβ酸化系酵素の遺伝子発現を検討したところ、驚くべきことに、セサミンとエピセサミンを所定の割合(50:50〜1:99)で配合したセサミン/エピセサミン組成物において、セサミン単独投与およびエピセサミン単独投与よりも高い活性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。

    図1は、種々のセサミン:エピセサミン組成比(4:6、5:5、3:7、2:8、1:9、0:10)の混合物を経口投与したときのエピセサミンの経口吸収率を示す棒グラフである。

    図2は、種々のセサミン:エピセサミン組成比(1:9、0.5:9.5、0:10)の混合物を経口投与したときのエピセサミンの経口吸収率を示す棒グラフである。

    図3は種々のセサミン:エピセサミン組成比(10:0、5:5、0:10)の混合物を単回投与したときのDOCA-salt高血圧ラットの24時間の血圧変化を示す図である。

    図4は種々のセサミン:エピセサミン組成比(10:0、5:5、0:10)の混合物投与後、8時間目のDOCA-salt高血圧ラットの血圧変化を示す図である。

    図5は種々のセサミン:エピセサミン組成比(5:5、3:7、1:9)の混合物投与後、8時間目のDOCA-salt高血圧ラットの血圧変化を示す図である。

    図6は種々のセサミン:エピセサミン組成比(10:0、5:5、3:7、1:9、0:10)の混合物を投与したときのβ酸化系遺伝子発現に及ぼす影響を示す図である。

    発明を実施するための態様

    本発明は、セサミン類の生理活性を効率的にかつ有効に発揮させることができるセサミン/エピセサミン組成物、及びこの組成物を使用することによるセサミン類の生理活性を増強する方法に関する。 具体的には、
    1. セサミンとエピセサミンを50:50〜1:99(重量比)で含有することを特徴とするセサミン/エピセサミン組成物。
    2. セサミンとエピセサミンを39:61〜1:99(重量比)で含有することを特徴とする上記1に記載のセサミン/エピセサミン組成物。
    3. セサミンとエピセサミンを30:70〜5:95(重量比)で含有することを特徴とする上記1に記載のセサミン/エピセサミン組成物。
    4. セサミン及びエピセサミンの総量が、組成物の51重量%以上であることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載のセサミン/エピセサミン組成物。
    5. 上記1〜4に記載のセサミン/エピセサミン組成物を含有する飲食物。
    6. 上記1〜4に記載のセサミン/エピセサミン組成物を含有する医薬組成物。
    7. 上記1〜4に記載のセサミン/エピセサミン組成物を含有する動物飼料又はペットフード。
    8. 上記1〜4に記載のセサミン/エピセサミン組成物により、セサミン類の生理活性を増強させる方法。
    9. 前記セサミン類の生理活性が、血中コレステロール低下作用、中性脂質低下作用、抗高血圧作用、不飽和脂肪酸抗酸化作用、肝機能改善作用、活性酸素消去作用、Δ5不飽和化酵素阻害作用、又は高度不飽和脂肪酸の生体内安定化作用である、上記8に記載の方法。

    本発明のセサミン/エピセサミン組成物は、セサミンとエピセサミンとを所定の割合で含有することを特徴とするものである。 セサミンとエピセサミンとの好ましい割合は、50:50〜1:99(重量比)、より好ましくは39:61〜1:99、さらに好ましくは30:70〜5:95である。 上記所定の割合でセサミンとエピセサミンとを含有した本発明のセサミン/エピセサミン組成物は、エピセサミン単独投与と比較して、エピセサミンの経口吸収性および/または血中移行性が高いという性質を有する。 また、上記所定の割合でセサミンとエピセサミンとを含有した本発明のセサミン/エピセサミン組成物は、セサミン単独投与およびエピセサミンの単独投与と比較して、セサミン類の持つ生理活性、具体的には、抗高血圧作用や肝機能改善作用、脂質代謝改善作用が増強されるという特徴を有するので、セサミン類の有する生理活性を効率良くかつ有効に発揮することができる。

    本発明のセサミン/エピセサミン組成物の製造方法は特に限定されるものではなく、例えば、本発明の組成物は、セサミンおよびエピセサミンの精製品を所望の比率で配合して製造することが可能である。 その際、セサミンおよびエピセサミンの精製品は、例えば非特許文献2に記載の方法で得ることが可能であり、その詳細は後記実施例1にも記載されている。 しかしながら、精製品は他の適当な方法で得てもよい。

    本発明の別の態様は、セサミンおよびエピセサミンを含む原料混合物の両成分の重量比を求め、該混合物に、本発明の所定のセサミン−エピセサミン組成比になるまでセサミンまたはエピセサミンの精製品、(もしくはセサミンまたはエピセサミンの一方を他方より多く含む混合物)を添加することからなる。

    本発明のさらに別の態様は、セサミンとエピセサミンの混合物(例えば、組成比1:1)からセサミンを除去することからなる。 セサミンの除去は、再結晶、クロマトグラフィー、蒸留等の方法を単独または適宜組み合わせて行うことができる。

    さらに、別の態様では、本発明はセサミン、セサミン−エピセサミン混合物、又はエピセサミンにエピ化反応を施すことによってセサミン−エピセサミン組成比を調節することにより行ってもよい。

    更に、本発明者等がセサミン−エピセサミン混合物中のエピセサミン濃度を高めるために近年開発した、次の方法を使用することもできる。 すなわち、
    アルコール又はアルコール溶液にセサミン−エピセサミン混合物を溶解し、次いで、 再結晶法を用いてエピセサミンを選択的に晶析させて、エピセサミン濃度を高めたセサミン/エピセサミン混合物を得る方法がある。

    また、別法としては、セサミン−エピセサミン混合物を特定の油脂に加熱溶解し、次いで、再結晶法を用いてエピセサミンを選択的に晶析させることにより、エピセサミン濃度を高めたセサミン/エピセサミン混合物を得ることができる。

    さらに、セサミン−エピセサミン混合物を水、水溶性溶媒又はこれらの混合物に溶解し、必要に応じて、アルカリを添加した後、セサミン類を析出させて、エピセサミン濃度を高めたセサミン/エピセサミン混合物を得る方法も利用できる。

    なお、本発明の実施に際して、原料混合物および本発明の組成物中のセサミン−エピセサミン組成は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等の公知の分析方法で求めることができる。

    上記のセサミンおよびエピセサミンを含む原料混合物として、例えば、ゴマ種子、ゴマ粕およびゴマ油中から精製したゴマリグナン組成物を挙げることができる。 ゴマリグナン組成物は、市販品(例えば、竹本油脂製)を購入することができるが、ゴマ油から取得することもでき、その方法は、上記の非特許文献2や、ゴマ油を水蒸気蒸留して留出物を得て、アルカリ存在下で留出物からセサミン類を析出させて分離する方法(特開平10−7676号参照)等、数多く知られている。 なお、セサミンおよびエピセサミンを含む原料混合物としては、上記のゴマ種子、ゴマ粕およびゴマ油中から精製したゴマリグナン組成物に限定されるものではなく、これらの成分を実質的に含有するもの、例えば、五加皮、桐木、白果樹皮等を使用することもできる。

    本発明のセサミン/エピセサミン組成物は、エピセサミンの経口吸収性および/または血中移行性が高いという性質を有する。 エピセサミンの経口吸収性および血中移行性は、例えば、後記実施例2に記載されている方法(LC−MS/MSによる定量)により確認することが可能であるが、他の適当な方法で行ってもよい。

    本発明のセサミン/エピセサミン組成物は、エピセサミンの経口吸収性および/または血中移行性が高いという性質を有するため、エピセサミンの持つ様々な作用を効率的かつ有効に発揮させることができる。 エピセサミンの作用としては、セサミン類の臓器移行の向上や肝機能改善作用等が挙げられる。

    また、本発明のセサミン/エピセサミン組成物は、セサミン単独投与およびエピセサミンの単独投与と比較して、そのメカニズムの詳細は不明であるが、セサミン類の持つ生理活性が高いという性質を有するため、セサミン類の持つ様々な生理活性を効率的かつ有効に発揮させることができる。 セサミン類の生理活性としては、血中コレステロールおよび/または中性脂質低下作用、抗高血圧作用、不飽和脂肪酸抗酸化作用、肝機能改善作用、活性酸素消去作用、Δ5不飽和化酵素阻害作用、高度不飽和脂肪酸の生体内安定化作用等が挙げられる。

    本発明のセサミン/エピセサミン組成物は、飲食物または医薬品組成物の形態で好適に使用できる。 飲食物または医薬品組成物に添加する本発明のセサミン/エピセサミン組成物の割合は、その機能を有する限り特に制限されないが、通常0.01〜100重量%の範囲から適宜選択することができる。 なお、該飲食物または医薬品組成物に含有するエピセサミンの含有量としては、一回の経口摂取当たり、0.5〜100mg、好ましくは1〜60mg、より好ましくは3〜60mgである。

    かかる本発明のセサミン/エピセサミン組成物含有飲食物または医薬品組成物の製造は、本発明のセサミン/エピセサミン組成物を飲食物に添加することによって行ってもよいし、セサミンとエピセサミンを本発明の重量比で含有するように、セサミン、エピセサミン、および/またはセサミン−エピセサミン混合物を同時に、または別々に添加することにより、行ってもよい。 両化合物の重量比の調節は、セサミン/エピセサミン組成物の製造に関連して記載された方法を適宜用いればよい。

    本発明のセサミン/エピセサミン組成物含有飲食物または医薬品組成物は、その形態を特に制限するものではなく、例えば粉末状、顆粒状、錠剤状などの固体状、液状、乳液状等の溶液状またはこれら溶液状の組成物を充填したカプセル剤、またはペースト状等の半固体状などの、任意の形態に調製することができる。

    この場合、本発明のセサミン/エピセサミン組成物に、さらに希釈剤、担体または添加剤等の成分を配合して任意の製剤化処理を行い、製剤として調製することができる。 ここで希釈剤または担体としては、セサミン類の生理活性を妨げないものであれば特に制限されず、例えばシュクロース、グルコース、果糖、マルトース、トレハロース、乳糖、オリゴ糖、デキストリン、デキストラン、サイクロデキストリン、澱粉、水飴、異性化液糖などの糖類、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン等のアルコール類、ソルビトール、マンニトール、エリスリトール、ラクチトール、キシリトール、マルチトール、還元パラチノース、還元澱粉分解物等の糖アルコール類、トリアセチン等の溶剤、アラビアガム、カラギナン、キサンタンガム、グァーガム、ジェランガム、ペクチン等の多糖類、または水を挙げることができる。 また添加剤としては、キレート剤等の助剤、香料、香辛料抽出物、防腐剤などを挙げることができる。

    使用上の利便等から、これらの希釈剤、担体または添加剤を用いて上記製剤を調製する場合は、セサミン/エピセサミン組成物が、製剤100重量%中に、0.01〜100重量%、好ましくは0.1〜50重量%の割合で含まれるように調製することが望ましい。 この場合、原料となるセサミン/エピセサミン組成物として、例えばセサミンとエピセサミンの総量が組成物中51%未満である組成物を用いた場合、セサミン類含有量が低いため、好ましい量のセサミン類を配合しようとすると、得られるセサミン/エピセサミン組成物含有製剤の体積が大きくなり過ぎるため、摂取に不都合を生じることがある。 特に、本発明のセサミン/エピセサミン組成物を油脂に溶解してソフトカプセル等の経口投与用に製剤化した場合は、製剤を大きくするか、または一回に大量に粒数の製剤を摂取する必要があり、摂取に支障が生じるばかりか、溶剤となる油脂を必要以上に大量摂取してしまうという問題も生じる。 したがって、摂取量が少なくてよいという観点からもセサミンとエピセサミンの総量が組成物中51%以上となるように調製したセサミン/エピセサミン組成物を用いることが好ましく、さらに純度が90%以上であるセサミン/エピセサミン組成物を用いることが好ましい。

    セサミン/エピセサミン組成物含有飲食物としては、例えばサプリメントのように上記本発明のセサミン/エピセサミン組成物そのものを有効成分とする飲食物、ならびに一般の飲食物に上記本発明のセサミン/エピセサミン組成物を1成分として配合して、その飲食物にセサミン類の生理活性を付与してなる機能性食品(特定保健用食品や条件付き特定保健用食品が含まれる)を挙げることができる。 なお、これらの飲食物には、血中コレステロールおよび/または中性脂質低下作用を始めとする生理作用を有することを容器や説明書に表示した、本発明の所定の重量比でセサミンおよびエピセサミンを含有または添加したことを特徴とする飲食物も含まれる。 表示され得る飲食物の他の生理作用には、抗高血圧作用、不飽和脂肪酸抗酸化作用、肝機能改善作用、活性酸素消去作用、Δ5不飽和化酵素阻害作用、高度不飽和脂肪酸の生体内安定化作用等が含まれる。

    対象とする飲食物としては、制限はされないが、果汁飲料、清涼飲料、スポーツ飲料、アルコール飲料、茶等の飲料、パン、めん類、ごはん、菓子類(ビスケット、ケーキ、キャンデー、チョコレート、和菓子)、豆腐およびその加工品などの農産食品、清酒、薬用酒、みりん、食酢、醤油、味噌などの発酵食品、ドレッシング、マヨネーズ、バター、マーガリン、ショートニング、食用油脂などの油脂食品、ヨーグルト、ハム、ベーコン、ソーセージなどの蓄農食品、かまぼこ、揚げ天、はんぺんなどの水産食品等を挙げることができる他、動物試料又はペットフードとしても利用可能である。

    以下実施例により、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
    実施例1. セサミンおよびエピセサミンの精製
    セサミンおよびエピセサミン混合物(セサミンおよびエピセサミンを含む原料混合物)として、竹本油脂製の混合物(セサミン類としての純度:99.5%、セサミン:エピセサミン配合比が51.8:48.0(重量%))を購入して用いた。

    セサミンおよびエピセサミンの高純度精製品は、以下の条件の逆相系HPLCを用いた方法により調製した。 すなわち、DMSOに溶解させた100mgの上記混合物をDevelosil ODS-UG-5 (20Φ×250mm、野村化学社製)カラムにインジェクトし、20%→80%アセトニトリルの直線勾配(溶出時間:100分、流速:5ml/分)により溶出させ、280nmの吸光度をモニターし分画することにより、セサミン(保持時間:89分)を38.9mg、エピセサミン(保持時間:94分)を35.0mg分取した。 この操作を10回繰り返して得られたそれぞれの精製標品(いずれも純度は99%以上)を実施例2の試験に供した。
    実施例2. セサミン−エピセサミンの組成比と経口吸収・血中移行性-1
    SD(IGS)系雄性ラット(6週齢)を日本チャールスリバー社より購入し、1週間試験環境で馴化させた後、順調な発育を示した動物を試験に供した。 一晩絶食させたラットを各群5匹からなる6群に分け、実施例1で得られた高純度セサミンとエピセサミンを様々な組成比で配合したセサミン/エピセサミン混合物(セサミン:エピセサミン(重量比)=6:4、5:5、4:6、3:7、1:9、0:10)を10mg/kgの用量でオリブ油に溶解し、ゾンデを用いて経口投与した。 投与前、投与後1、2、4、6、8、24時間後に尾静脈よりヘパリン採血管に血液を採取し、遠心分離操作(8,000rpm、10min)により血漿サンプルを得た。 内部標準を添加してOasis HLBで固相抽出し、抽出液を減圧濃縮後、メタノールで懸濁し、フィルターろ過してLC−MS/MSに付してセサミンおよびエピセサミンの定量を行った。 セサミンまたはエピセサミンの量は、セサミンおよびエピセサミンそれぞれのピーク面積と、内部標準として用いたユーデスミン(フナコシ株式会社)のピーク面積との比により決定した。 LC−MS/MS分析条件を以下に示す。

    (HPLC)
    カラム:Develosil C30-UG-5(5μm、2.0 Φ × 50 mm、野村化学社製)
    移動相:A;蒸留水、B;メタノール、D;100 mM 酢酸アンモニウム水溶液 流速 :0.25 mL/min
    グラジエント:B液が55%、D液が10%で2分間、その後、3分間でB液が55%から60%、D液が10%、2分間で:B液が60%から85%、D液が10%となるリニアグラジエント (MS/MS)
    測定モード:選択反応モニタリング 検出 :エピセサミン(保持時間:約5.6分);前駆イオンm/z=372([M+NH4]+)、生成イオンm/z=233
    :ユーデスミン(保持時間:約2.8分);前駆イオンm/z=404([M+NH4]+)、生成イオンm/z=249
    イオン化法:ESI法 エピセサミンの血中濃度は投与後約6時間まで上昇した後にそこをピークとして徐々に減少し、24時間後には血中にほとんど検出されなかった。 吸収量の指標として、0-24時間の血中濃度曲線から曲線下面積(Area under the curve ;AUC)を求めた。 各投与群のエピセサミンの投与量が異なるため、各AUCをエピセサミン投与量比で割ることにより補正して算出した吸収率をもって比較するのが適当である。 その結果を図1に示す。 エピセサミン単独で投与した場合の吸収率が72.5であるのに対し、セサミン:エピセサミンを50:50の配合比で投与した場合は76.7とより高い吸収率を与えることが分かった。 さらに、エピセサミンの配合重量比を増加させることにともない吸収率は上がり、30:70の配合比で最も高い値となり、10:90の配合比においても高い値を示した。 つまり、セサミンとエピセサミンを50:50〜10:90の組成比で配合した場合、エピセサミン単独(0:100重量比)で投与するよりもエピセサミンの吸収率が高いことが明らかとなった。

    従って、本実施例の結果は、一定の重量比でセサミンとエピセサミンを配合させることによりエピセサミンの吸収率が向上することを示すものである。
    実施例3. セサミン−エピセサミンの組成比と経口吸収・血中移行性-2
    有効なセサミンの配合比を規定する目的で、セサミンの配合比をさらに下げた条件下での作用について実施例2の方法に準じ評価を行った。 つまり、実施例1で得られた高純度セサミンとエピセサミンを様々な組成比で配合したセサミン/エピセサミン混合物(セサミン:エピセサミン(重量比)=1:9、0.5:9.5、0:10)を10mg/kgの用量でオリブ油に溶解し、ゾンデを用いて経口投与し、吸収率を算出した。 その結果を図2に示す。 エピセサミン単独で投与した場合の吸収率が59.7であるのに対し、セサミン:エピセサミンを5:95の配合比で投与した場合は64.7、10:90の配合比で投与した場合は72.4とより高い吸収率を与えることが分かった。 つまり、セサミンとエピセサミンを5:95の組成比で配合した場合においても、エピセサミン単独(0:100重量比)で投与するよりもエピセサミンの吸収率が高いことが明らかとなった。
    実施例4. Deoxycorticosterone acetate-salt (DOCA-salt)高血圧モデルラットに対する血圧低下作用
    SD系雄性ラット(6週齢)(日本エスエルシー(株))に、ネンブタール麻酔下で右腎の摘出手術を施した。 1週間回復させた後、DOCA-saltを週に2回、15mg/kgの用量で皮下投与し、さらに1%の食塩水を飲料水として与えた。 Systolic blood pressure(SBP)は非観血式自動血圧測定装置(BP-98A、Softron、東京)を用いテールカフ法により測定した。 DOCA-salt処置開始後5週間目に血圧測定を行い、十分な血圧上昇が確認された動物を実験に使用した。 8時間絶食させたラットに、対照群としてオリブ油を、また試験群としては実施例1で得られた高純度セサミンとエピセサミンを様々な組成比で配合したセサミン/エピセサミン混合物(セサミン:エピセサミン(重量比)=10:0、5:5、0:10)を100mg/kgの用量でオリブ油に懸濁し、ゾンデを用いて単回経口投与した。 投与前、投与後2、4、6、8、10、12、24時間後にSBPを測定した。 餌は12時間目の血圧測定後より与えた。 試験は1週間の間隔を設けて実施し、同一個体での測定は最大3回までとした。

    単回投与後24時間の血圧変化(n=5〜7)を図3に示す。 セサミン単独、エピセサミン単独、オリブ油投与群では、血圧の大きな変化は見られなかったのに対し、セサミン/エピセサミン混合物(5:5)投与群では投与8時間後をピークとした顕著な血圧低下作用が認められた。 投与8時間後の血圧変化を各群で比べてみると、セサミン/エピセサミン混合物(5:5)投与群の8時間後の血圧値は-32mmHgであり、セサミン単独群(-13mmHg)、エピセサミン単独(-6mmHg)と比べ明らかに低下していた(図4)。
    実施例5. DOCA-salt高血圧モデルラットに対する血圧低下作用―混合比の影響
    次に最も効果の強かったセサミン/エピセサミン混合物(5:5)を基準とし、配合比の違いによる効果の差について、実施例4の方法に準じて比較試験を行った。 なお、投与量は100mg/kgで非常に強い効果が見られたため、差を見やすくする目的で、1/2に下げて行った。

    セサミン・エピセサミンを様々な組成比で配合したセサミン/エピセサミン混合物(セサミン:エピセサミン(重量比)=5:5、3:7、1:9)を50mg/kgの用量でオリブ油に溶解し、ゾンデを用いて単回経口投与し、血圧値を測定した。

    投与8時間後の血圧変化(n=3)を図5に示す。 セサミン/エピセサミン混合物(5:5)は50mg/kgの用量では、血圧低下作用は認められなかった。 これに対し、セサミン/エピセサミン混合物(3:7)および(1:9)混合物では血圧低下作用が認められ、特に3:7で効果が高いことが明らかとなった。

    以上の結果は、セサミンとエピセサミンを一定の配合比で混合することにより、相乗的に血圧を低下させる効果があることを示すものである。 そして、その効果は配合比3:7がもっとも強いことが明らかとなった。
    実施例6. β酸化系遺伝子発現に及ぼす影響
    Wistar系雄性ラット(6週齢)を日本クレアより購入し、1週間試験環境で馴化させた後、順調な発育を示した動物を試験に供した。 動物を1群5匹で6群に分け、対照群には溶媒であるオリブ油を、また、試験群には実施例1で得られた高純度セサミンとエピセサミンを様々な組成比で配合したセサミン/エピセサミン混合物(セサミン:エピセサミン(重量比)=10:0、5:5、3:7、1:9、0:10)を200mg/kgの用量でオリブ油に懸濁し、24時間間隔で3回経口投与した。 最終投与4時間後にネンブタール麻酔下で肝臓を摘出し、RNAを抽出後、TaqManケミストリを使用した定量RT−PCR法(Heid CA, Stevens J, Livak KJ, Williams PM. Real time quantitative PCR. Genome Res. 1996 6(10):986-94.)によりβ酸化系遺伝子(10種類)発現に及ぼす影響を検討した。

    評価した遺伝子を下記の表1に示し、遺伝子発現量を図6(図6A、B)に示す。 本条件下においてセサミン単独投与群ではβ酸化系遺伝子発現の上昇はほとんど認められなかったが、エピセサミン単独投与群では多くの遺伝子で上昇が認められた。 これに対し、セサミン/エピセサミン混合物投与群ではいずれの群においてもエピセサミン単独群よりも顕著な遺伝子発現の上昇が認められた。 配合比による違いについては、遺伝子により若干違いが見られたが、各群で大きな差は見られなかった。

    以上の結果は、エピセサミンとセサミンを混合することにより相乗的にβ酸化系遺伝子の発現を増強させる効果があることを示すものである。
    [製剤例]
    以下に製剤例を示す。 「混合物」と記載したものは、セサミン:エピセサミン組成比が本発明の範囲に該当する(セサミン:エピセサミン=30:70、純度99.5%)セサミン/エピセサミン組成物を示している。

    (製剤例1)バター 「混合物」 1.2g
    バター脂肪 100g
    酢酸トコフェロール 1.2g
    バター製造工程の攪拌操作(チャーニング)でバターミルクが除かれたバター脂肪100gに「混合物」を1.2g、さらに1.2gの酢酸トコフェロールを加えて練圧操作(ワーキング)を行い均等な組織の本発明組成物含有バターを得た。

    (製剤例2)顆粒剤 「混合物」 0.25g
    酢酸トコフェロール 0.25g
    無水ケイ酸 20.5g
    トウモロコシデンプン 79g
    以上の粉体を均一に混合した後に10%ハイドロキシプロピルセルロース・エタノール溶液100mlを加え、常法通り練和し、押し出し、乾燥して顆粒剤を得た。

    (製剤例3)錠剤 「混合物」 3.5g
    酢酸トコフェロール 0.5g
    無水ケイ酸 20g
    微結晶セルロース 10g
    ステアリン酸マグネシウム 3g
    乳糖 60g
    これらを混合し、単発式打錠機にて打錠して経7mm、重量100mgの錠剤を製造した。

    (製剤例4)カプセル剤 ゼラチン 70.0%
    グリセリン 22.9%
    パラオキシ安息香酸メチル 0.15%
    パラオキシ安息香酸プロピル 0.51%
    水 適量 計 100%
    上記成分からなるソフトカプセル剤皮の中に、以下に示す組成物を常法により充填し、1粒200mgのソフトカプセルを得た。

    「混合物」 10.8mg
    小麦ビーズワックス 30mg
    α−トコフェロール 20mg
    パーム油 10mg
    小麦胚芽油 適宜 計 100%
    (製剤例5)ドリンク剤 呈味:DL−酒石酸ナトリウム 0.1g
    コハク酸 0.009g
    甘味:液糖 800g
    酸味:クエン酸 12g
    ビタミン:ビタミンC 10g
    「混合物」 1g
    ビタミンE 30g
    シクロデキストリン 5g
    香料 15ml
    塩化カリウム 1g
    硫酸マグネシウム 0.5g
    上記成分を配合し、水を加えて10リットルとした。 このドリンク剤は、1回あたり約100mlを飲用する。
    [発明の効果]
    本発明のセサミン/エピセサミン組成物を摂取することにより、セサミン類の持つ様々な生理活性を効率よく発揮させることが可能である。 特に、本発明のセサミン/エピセサミン組成物は、エピセサミンの経口吸収性および血中移行性に優れるので、エピセサミンが持つ様々な生理活性を効率よく発揮させることが可能である。 また、エピセサミンにセサミンを一定の配合比で配合することにより、セサミン類の持つ血圧低下作用やβ酸化系遺伝子の発現を相乗的に増強することができる。 加えて、セサミンおよびエピセサミンは、植物由来であるため穏やかな作用を有し、極めて安全性が高い。 従って、本発明組成物は非常に有用であり、その応用範囲は健康食品のみならず、医薬品にも適用可能である。

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