Method for producing a fat mixture

申请号 JP2000533026 申请日 1999-02-15 公开(公告)号 JP3574812B2 公开(公告)日 2004-10-06
申请人 テリアカ オサケ ユキテュア; 发明人 イリルッシ,ヨウコ; クリスチャンセン,レーナ; ヒルツネン,ライモ;
摘要
权利要求
  • 血清総コレステロールレベルおよびLDL−コレステロールレベルを低減するβ−シトステロールの脂肪混合物またはβ−シトステロールおよびβ−シトスタノールの脂肪混合物を製造する方法であって、β−シトステロールまたはβ−シトステロールおよびβ−シトスタノール含有開始物質が溶解されるまで80〜140℃の温度で加熱することによって、0.5〜80重量%のβ−シトステロールまたはβ−シトステロールおよびβ−シトステロール含有開始物質が5〜90重量%の油、脂肪、または油および脂肪の混合物中に溶解され、それから前記混合物は40〜80℃に冷却され、冷却中は前記混合物の温度と本質的に同様の温度の5〜30重量%の水が前記混合物に添加され、そして前記混合物は攪拌され、これにより均質で安定な混合物が得られる方法において、前記β−シトステロールまたはβ−シトステロールおよびβ−シトステロール含有開始物質は、部分的に溶解された形態および/または微結晶形態であることを特徴とする方法。
  • 前記油または脂肪は、植物または動物由来の食品級の油性物質またはそれらの混合物であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  • 前記油は、ヒマワリ油、ナタネ油、カブラ油、大豆油、オリーブ油、またはコーン油であることを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の方法。
  • 前記方法において、前記混合物に、界面活性剤、乳化剤、多収着質、植物または動物由来のレシチン、またはそれらの混合物が添加されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  • 前記混合物に、食品添加物、塩化ナトリウム、ミネラル塩、保存または香辛料またはビタミンAおよびEのようなビタミン、またはそれらの混合物が添加されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  • 血清総コレステロールレベルおよびLDL−コレステロールレベルを低減するβ−シトステロール含有、またはβ−シトステロールおよびβ−シトスタノール含有脂肪組成物であって、0.5〜80重量%のβ−シトステロールまたはβ−シトステロールおよびβ−シトスタノール含有開始物質と、油または脂肪またはそれらの混合物と、5〜30重量%の水とを備え、前記β−シトステロールまたはβ−シトステロールおよびβ−シトスタノール含有開始物質は、部分的に溶解された形態および/または微結晶形態であり、また前記組成物は、物理的および感覚評価に基づいて、室温および冷蔵庫温度において安定で均質であることを特徴とする組成物。
  • 前記油または脂肪は、植物または動物由来の食品級の油性物質またはそれらの混合物であることを特徴とする請求項6に記載の組成物。
  • 前記油は、ヒマワリ油、ナタネ油、カブラ油、大豆油、オリーブ油、またはコーン油であることを特徴とする請求項6または7のいずれか1項に記載の組成物。
  • 前記組成物は、界面活性剤、乳化剤、多収着質、植物または動物由来のレシチン、またはそれらの混合物を含むことを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の組成物。
  • 前記組成物は、食品添加物、塩化ナトリウム、ミネラル塩、保存または香辛料またはビタミンAおよびEのような種々のビタミン、またはそれらの混合物を含むことを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載の組成物。
  • 食品中に、バターのような食品級の油および脂肪中に、バター含有脂肪混合物中に、軽脂肪スプレッド中に、野菜マーガリン中に、およびこれらの種々の混合物中に、料理およびベーキング用脂肪と同様に使用される、請求項6〜10のいずれか1項に記載の組成物の 使用方法
  • 食品中に、加工肉および魚製品のような動物または植物由来の脂肪またはそれらの混合物を有する食品中に、天然脂肪酸含有食品中に、乳製品中に、食用脂肪またはそれらの混合物含有食品中に、例えばソースおよびドレッシング、マヨネーズ、スパイスおよびスパイス混合物、穀物製品、アイスクリーム、キャンデー、チョコレート、ケーキおよび練り粉菓子中に使用される、請求項6〜10のいずれか1項に記載の組成物の 使用方法
  • 血清総コレステロールレベルおよびLDL−コレステロールレベルを低減するβ−シトステロールの脂肪混合物、またはβ−シトステロールおよびβ−シトスタノールの脂肪混合物を食品中に添加する方法であって、β−シトステロールまたはβ−シトステロールおよびβ−シトスタノール含有開始物質が溶解されるまで80〜140℃の温度で加熱することによって、0.5〜80重量%のβ−シトステロールまたはβ−シトステロールおよびβ−シトスタノール含有開始物質が5〜90重量%の油、脂肪、または油および脂肪の混合物中に溶解され、それから前記混合物は40〜80℃に冷却され、冷却中は前記混合物の温度と本質的に同様の温度の5〜30重量%の水が前記混合物に添加され、そして前記混合物は攪拌され、これにより均質で安定な混合物が得られる方法において、前記β−シトステロールまたはβ−シトステロールおよびβ−シトスタノール含有開始物質は、部分的に溶解された形態および/または微結晶形態であり、そして得られた混合物は、食品製造過程中に食品材料中に混合されることを特徴とする方法。
  • 说明书全文

    【0001】
    この発明は、β−シトステロールの脂肪混合物の製造方法に関するもので、この混合物は、健康に有益で、均質且つ安定していて、血清総コレステロール及びLDL−コレステロール(低密度リポ蛋白コレステロール)のレベルを下げ、部分的に溶解した形態及び/又は微晶質形態の前記β−シトステロールを含むものである。
    【0002】
    血清総コレステロールの高いレベル、高血圧症および喫煙は、心臓病に関連する主要な危険要因である(1)。 植物由来のステロールには、側鎖置換基及び飽和の程度によってのみコレステロールと区別されるものがいくつかある。 殆どの高級植物は、24α−置換ステロール(24−メチル−及び24−エチルステロール類)を作る。 シトステロール類は、β−シトステロール(スチグマスタ−5−エン−3β−オレ)と、95%以上のステロール含むβ−シトスタノールのようなある種の飽和ステロール類と、85%以上の不飽和ステロールとの混合物である。 シトステロール類は、小麦及びライ麦胚芽油、トウモロコシ油におけるように、植物に広く存在し、一般的には、種子油(シードオイル)に存在している。 シトステロール類は、腸における、そして、血管の内壁を介してのコレステロールの吸収を抑制する抗高コレステロール剤(アンチハイパーコレステロール剤)である(2)。 シトステロール類は、1日3回、2〜3mgの服用量で投与するとき、アテローム性動脈硬化症の治療に役立つ。 欧風の食物においては、食品からのβ−シトステロール、スチグマステロール及びカンペステロールの一日の摂取量は、約200〜400mg(3)であり、これは、我々が食物から摂取するコレステロールの量とほぼ同じオーダーである。
    【0003】
    1950年代初頭においては、コレステロールが与えられた鶏と兎の飼料にβ−シトステロールを添加すると、テストした両者の動物におけるコレステロールレベルが低下し、さらに、このβ−シトステロールの添加が兎のアテローム発生を防ぐことが認識されていた(4)。 シトステロールと大豆ステロールを使用してコレステロールレベルを低下させる研究は、1950年代と1960年代に熱心に研究されており(5)、実際に、これらの調製物がコレステロールを約10%低下させた(6)。 ついで、β−シトステロールの機能は、コレステロール吸収抑制に基づくものであり、植物由来のステロール類は、そられ自体吸収され難いものであることが発見されている(7)。 コレステロール吸収を抑制するメカニズムは、コレステロールとβ−シトステロールとの結晶化及び共沈に基づくものと考えられていた。 Mattson他(8)は、1グラムのβ−シトステロールは、コレステロールを500mg含む食物からのコレステロールの吸収を42%だけ減らすことを示している。 血漿コレステロールの減少は、LDL受容体の活性度が増えることによるものである。
    【0004】
    β−シトステロールは、脂肪親和性化合物である。 腸管壁の脂質膜に接触すると、β−シトステロールは、溶性に劣るため、吸収されないか、または、経口服用したとき、5%に満たない僅かの部分しか溶解しないものである(9)。 β−シトステロールの活性は、腸内におけるコレステロール吸収の拮抗的阻害に基づく(10)。 β−シトステロールは、小腸におけるコレステロールの再吸収及び再再吸収を妨げる(11)。 これは、コレステロールとβ−シトステロールとの化学構造が類似していることの結果であると考えられている(12)。 条件を変えて行われたいくつかの研究により、血清植物ステロールは、LDL(低密度リポ蛋白質)コレステロールのレベルを下げることが示されている。 さらに植物ステロールは、HDL(高密度リポ蛋白質)レベルと相関関係があることが認められている。 β−シトステロールは、HMG−CoA還元酵素の遺伝子発現への影響により、肝臓におけるコレステロールの合成を少なくする(13)。 Richter W. 他(14)は、β−シトステロールが腸におけるコレステロールの吸収を抑制することにより、全血清コレステロールレベルを10〜15%低下させ、LDL−コレステロールレベルを19%低下させたことを示している。 ある研究においては、9人の成人患者に5日間にわたりコレステロール500mgならびに1グラムのβ−シトステロール又は2グラムのβ−シトステロールオレイン酸塩を服用させた。 コレステロールの吸収は、β−シトステロール服用時に42%減少し、β−シトテリルオレイン酸塩服用時に33%減少した(15)。 Uchita他(16)は、雌のラットにおいては、シトステロールが、コレステロールの吸収を抑制し、血漿と肝臓とにおけるコレステロールバランスを低下させたことを認識している。 Vahouny他(17)は、シトステロールがラットにおいてコレステロールの吸収を54%抑制したことを発見している。
    【0005】
    フィンランド特許出願第964951号は、血清中のコレステロールレベルを下げる薬剤と、その使用とについて開示している。 この出願は、食物における脂肪成分として又は脂肪置換基としての、脂肪酸をもつβ−シトステロールのエステル又は脂肪酸をもつβ−シトステロールのエステルの混合物の使用と、食事を補助するものとしてのその使用と、化合物それ自体とに関するものである。
    【0006】
    フィンランド特許公報第98730号は、高い血清コレステロールレベルを低下させる物質を作る方法を開示している。 この方法においては、触媒として炭素でパラジウムを担持させたものの存在のもと有機溶媒中で水素添加することによりβ−シトステロールから得られたβ−シトスタノールと、植物油とを用いて、脂肪酸をもつβ−シトスタノールのエステル、又はこれらエステルの混合物を作るようになっており、これには、ナトリウム・エチラート触媒の存在のもとに行われるエステル交換反応技術が使用されている。
    【0007】
    上記したこれら特許刊行物両者は、β−シトステロールを変性して脂肪に可溶のβ−シトステロール誘導体を得て、この誘導体から可溶性β−シトスタノール脂肪酸エステルを作る方法と、血清コレステロールレベルを低下させる薬剤として得られる化合物の使用とを開示している。
    【0008】
    天然のβ−シトステロールは、結晶性化合物である。 既知のように、β−シトステロールのような遊離のステロール類は、油と脂肪には、ほんの僅かしか溶解しないもので、したがって、β−シトステロールの誘導体、例えば脂肪類にはるかに溶解しやすくなっているエステル類が実用上の理由で作られているが、いくつかの研究(15)によれば、これとても前記遊離のβ−シトステロールのように有効にコレステロール吸収を抑制するものではない。 脂肪類に可溶のこれら誘導体は、粗い不溶性固体のβ−シトステロール粉末よりもはるかに容易に栄養摂取製品に混合でき、均質な混合物を形成する。 しかしながら、β−シトステロール誘導体を得る処理は、製品に余分なコストを負担させてしまう。 さらに、β−シトスタノールに対するβ−シトステロールの水素添加は、有機溶媒を用いて行う必要がある。 この結果、エステル化された最終生成物に前記溶媒の痕跡ならびに使用された金属の触媒の痕跡が残る。 さらにまた、エステル化された生成物は、最早、天然の物質とは言えず、人造加工化合物となってしまう。
    【0009】
    この発明の目的は、β−シトステロールの脂肪混合物を製造する方法を提供することであり、この混合物は、健康に有益で、均質かつ安定し、全血清コレステロールレベル及びLDL−コレステロールレベルを下げるものであって、前記β−シトステロールを一部溶解した状態及び/又は微晶質状態で含有している。 この発明の他の目的は、β−シトステロールを、血清中のコレステロールレベルを低下させる薬剤として、脂肪調製品又は食物中に一部溶解した状態及び/又は微晶質状態で含有した、均質で安定したβ−シトステロールの脂肪混合物を使用すること、並びにこの混合物を食事を補助するものとして使用することである。
    【0010】
    この発明による方法と使用の主たる特徴は、添付の請求の範囲に開示されている。
    【0011】
    我々は、以下の方法によって、β−シトステロールが部分的に可溶性および/または微結晶になることを見出した。 従来技術の説明に関連した問題点と欠点は、本発明の解決法によって回避することができる。 本発明の方法によれば、β−シトステロールは、食品級の油と混合され、そしてこの混合物は、全ての固体が油中に溶解されるまで加熱される。 冷却後に、その混合物にその温度で水が添加され、これにより混合物を分散させる。 結果として得られるものは、成分量に依存して、バター、または他の油性混合物のそれに酷似した軟度の均質で安定した脂肪様のほぼ白色の塊となる。 この均質で安定したペーストは、例えば、食品に混入されるために特に適している。
    【0012】
    この方法における開始物質は、80〜100%のβ−シトステロールおよびβ−シトスタノールと、不純物として、0〜20%の他のステロールおよびスタノールを有するβ−シトステロールである。 このβ−シトステロール含有開始物質、またはβ−シトステロールは、0.5〜80%、好ましくは10〜30%の量の食品級の油と混合される。 得られたペースト製品は、バターのそれに酷似した外観と粘性を有し、扱いが容易である。 混合物中のβ−シトステロールのパーセントが高いほど、塊は硬くなる。 一方、混合物中に存在するβ−シトステロールの量が、油の量から計算して10%未満である場合は、塊の粘性は減少し、その軟度は、明らかに、油のそれにより近くなる。 如何なる料理油でも、如何なる食品級の油または脂肪でも、または動物由来の油または油性化合物であって人間による消費用に適したもの、例えば、タラの肝臓油、または動物由来の如何なる食用油性物質、またはそれらの混合物でも、食品級の油として使用できる。 好ましい油は、ナタネ油、カブラ油、ヒマワリ油、大豆油、コーン油およびオリーブ油である。 油の量は、混合物の塊の重量で5〜90%、好ましくは60〜85%である。 使用される水は、如何なる食品級の水でも良く、そのパーセントは、混合物の塊の重量で5〜30%、好ましくは10〜20%である。
    【0013】
    この方法では、β−シトステロール含有開始物質と油の混合物は、固形のβ−シトステロール含有開始物質が油中に溶解されるまで、80〜140℃、好ましくは100〜120℃の温度で加熱される。 この混合物を既知の手法で40〜80℃、好ましくは50〜70℃の温度まで冷却した後、本質的に混合物の温度で水が添加される。 乳化剤として知られた、テクスチャーを安定化する界面活性剤、例えば多収着質(Tween80、Polysorbat80)、卵のレシチン、または大豆のレシチンがオプションで、0.05〜8.0重量%の量で混合物に添加される。 必要であれば、従来周知の安定剤、酸化防止剤、または他の食品添加物、例えば、塩化ナトリウム、ミネラル塩、保存料および香辛料、および/または種々のビタミン、例えば、ビタミンAおよびE、食品着色料およびフィトフェノールを添加してもよい。 このようにして調製された混合物は、食品を貯蔵するための通常の条件下では、均質で安定している。 この混合物では、β−シトステロールは、部分的に溶解された形態、および/または微結晶形態にある。 必要であれば、β−シトステロールはまた、上述したように油中に溶解させることもでき、そしてこのβ−シトステロール/油の混合物は、それ自体で食品製造に使用できる。
    【0014】
    本発明の方法は、簡単且つ経済的な手法で、β−シトステロールの混合物を製造可能にする。 この混合物は、健康に有益で、均質且つ安定しており、腸でのコレステロールの吸収を低減して、血清総コレステロールレベルおよびLDL−コレステロールレベルを低下させる。 この混合物は、β−シトステロールを部分的に溶解した形態および/または微結晶形態で含有している。 この方法は、自然に発生するβ−シトステロールと、食品級の油または脂肪とを、有機溶媒または煩雑な加工工程なしに使用する。 得られた均質で安定な自然発生β−シトステロール含有脂肪混合物は、使用量が多くても日常的な食品中で安全に消費され得るものであり、そして脂肪を部分的または総合的に置換するための食品製造および料理に使用される。 β−シトステロールは、食品から感覚的には感知されない。 このように調製された食品によって、腸内でのコレステロールの吸収は阻止され、また血清総コレステロールレベルおよびLDL−コレステロールレベルは有意に低下させられる。 加えて、脂肪を置換したβ−シトステロールは実質的に吸収されないので、吸収される脂肪の比率は低減され、かくして取り込まれるエネルギは低減される。
    【0015】
    β−シトステロール含有脂肪混合物は、動物または植物由来の脂肪、またはそれらの混合物を含んだ食品中に添加することができる。 適切な食品は、ソーセージおよびコールドカットのような種々の加工肉製品、加工魚製品、天然脂肪酸を含有した食品、チーズのような乳製品、および食用脂肪またはそれらの混合物を含有するいくつかの他の食品、例えば、即席ソースおよびドレッシング、マヨネーズ、スパイスおよびスパイス混合物、穀類、ヌードルおよびパスタ製品、アイスクリーム、キャンディー、チョコレート、ケーキ、練り粉菓子等であり、更には調理およびベーキング用の食用脂肪、およびそれらの混合物である。
    【0016】
    本発明は、以下の実施例で説明されるいくつかの好ましい実施の形態によって示されるが、それらだけに発明を限定することを意図してはいない。
    【0017】
    [実施例]
    [β−シトステロールと油の混合物、即ちいわゆる基礎混合物を製造する方法] 実施例の開始物質は、β−シトステロールおよびβ−シトスタノールを合計で89.2%、α−シトスタノールを0.1%、カンペステロールおよびカンペスタノールを合計で8.9%、およびアーセノール類を合計で0.9%含有する混合物である。 この開始物質は、98.8%の固形物含量、137〜138℃の溶融範囲、および0.49kg/cm の密度を有する。 便宜上、この開始物質は、その主要成分に従って、以下では、β−シトステロール含有基礎混合物と呼ばれる。
    【0018】
    実施例1:β−シトステロール含有基礎混合物20重量%のβ−シトステロールと80重量%のナタネ油を含有する混合物が調製された。 この混合物は、β−シトステロール含有開始物質が油中に溶解されるまで、ガラス製のジャー内で攪拌されながら加熱された。 その時の温度は約110℃であり、テストは通常の大気圧で行われた。
    【0019】
    この混合物を約60℃まで冷却した後、混合物と同じ温度(60℃)の水道水が、混合物の重量で約15%だけ混合物に添加され、臼で粉末化された。
    【0020】
    この混合物は、視認したときに、最初は透明で油性の黄色であった。 水の添加がほぼ完了すると、突然、この混合物は不透明の僅かに灰色がかった白色になった。 この混合物は、混合しながら室温(22℃)まで冷却された。 この混合物の最終組成が表1に示されている。
    【0021】
    【表1】

    【0022】


    感覚検査に基づくと、表1の混合物は、白色の脂肪の塊で、バターの軟度に酷似する軟度を有し、またβ−シトステロールを部分的に溶解された形態および/または微結晶形態で含有していた。 この混合物は、実用上無味であった。


    【0023】


    感覚検査に基づくと、表1の基礎混合物は、冷蔵庫に貯蔵されても変化しないままであった。 現在まで約6ヶ月間、この混合物は貯蔵されている。


    【0024】


    実施例2:油と水を含有する混合物中のβ−シトステロール含有開始物質の濃度変化実施例1の方法により、混合物が調製された。 この場合のβ−シトステロール含有開始物質の比率は、ナタネ油の2.5〜60%であった。 基礎混合物の軟度は、β−シトステロール含有開始物質の濃度が10%と20%の間にあるときに、最も好ましいものであることが観察された。 この混合物は、バターに匹敵する外観と粘性を有し、また扱いやすいものである。


    【0025】


    混合物中のβ−シトステロール含有開始物質の比率が高くなると、その軟度は硬くなる。 この混合物の硬さにも関わらず、β−シトステロール含有開始物質は、高い比率でも、実施例11(パスタ製品に対するβ−シトステロール含有開始物質の添加)で説明するように使用できる。


    【0026】


    実施例3:種々の食品油を使用した混合物の調製実施例1の方法によって、ナタネ油を、ヒマワリ油、コーン油およびオリーブ油に置換した混合物が調製された。 これらの油のそれぞれを有する混合物が、3通りの異なるパーセント(5%、10%および20%)のβ−シトステロールを使用して調製された。


    【0027】


    感覚および顕微鏡検査に基づくと、混合物は、ナタネ油を使用して調製されたものと同様であった。 例外は、オリーブ油を含有する混合物が緑がかった色を有していた点である。 このことは、食品級の油が、本発明の方法で使用することに非常に適していることを示唆している。


    【0028】


    実施例4:実施例1の基礎混合物に対する界面活性剤の添加界面活性剤が分散系、特に乳剤の調製と安定化にとって必要であることは一般に知られている。 分散の軟度を安定化できる界面活性剤を、特に長期貯蔵用に、例えば乳剤成分の分離またはその結晶化を防止するために、使用することがしばしば重要となる。


    【0029】


    本質的に、実施例1の混合物は、水相の比率から計算された2重量%の一般に界面活性剤として知られる乳化剤、例えば多収着質(Tween80、Polysorbat80)、卵のレシチンまたは大豆のレシチンを含んで調製された。 得られた組成は、本質的に表1に示されるものであったが、それぞれは、約0.3重量%の界面活性剤を含有している。


    【0030】


    [食品に対するβ−シトステロール含有脂肪混合物の添加]


    【0031】


    実施例5:伝統的に市販されているバターに対する実施例1で説明された混合物の添加50重量%の実施例1による基礎混合物と50重量%のバター(Meijerivoi、Valio社製、低塩分)が、室温(約22℃)において通常の鋼製臼内で混合された。 この混合は、困難なく容易に行うことができた。


    【0032】


    感覚評価に基づくと、結果として得られたものは、全てに関して通常のバターのように感じられるバターの色をした均一な淡黄色の塊であった。 この混合物の味は良好で、多分、低塩分含量である点を除けば、本物のバターのそれと区別できないものであった。


    【0033】


    実施例6:通常市販されているナタネ油マーガリンに対する実施例1で説明された混合物の添加50重量%の実施例1による基礎混合物と50重量%のナタネ油マーガリン(Kultarypsi margariini 60、Van der Bergh社製、スエーデン)が、室温(約22℃)において通常の鋼製臼内で混合された。 この混合物は僅かに軟らかいものであったが、そうでなければ上記実施例3のそれと同様の軟度を有していた。 この混合は、困難なく容易に行うことができた。


    【0034】


    感覚評価に基づくと、結果として得られたものは、全てに関して通常のナタネ油マーガリンのように感じられる本来のナタネ油マーガリンの色をした均一な淡黄色の塊であった。 この混合物の味は良好で、多分、低塩分含量である点を除けば、本来のマーガリンのそれと区別できないものであった。


    【0035】


    実施例7:通常市販されているライトスプレッドに対する実施例1で説明された混合物の添加50重量%の実施例1による基礎混合物と50重量%のライトスプレッド(Kevyt Voilevi 40%、Valio社製、低塩分)が、通常の鋼製臼内で混合された。 この混合は、困難なく容易に行うことができた。


    【0036】


    感覚評価に基づくと、結果として得られたものは、淡黄色であり、使用された本来のライトスプレッドのそれと全般的に同様な感覚を有する均一な塊であった。 この混合物の味は良好で、実用上、多分、低塩分含量である点を除けば、本来のライトスプレッドのそれと区別できないものであった。


    【0037】


    実施例8:実施例1および2で説明されたように調製された混合物に対する塩(塩化ナトリウム)の添加実施例1および2で説明されたように混合物が調製され、それに対し、塊の最終重量の0.9%の塩化ナトリウムが、一般に知られた方法を使用して添加された。 感覚評価に基づくと、塩の添加は、如何なる形態においても、これらの基礎混合物の特性を損なわせることはなかった。


    【0038】


    実施例9:上述した塊のフライ特性の評価バターまたは野菜マーガリンを含有する実施例5および6で説明された混合物の挙動が、それらをビーカー内でフライすることにより、シミュレートされたフライ条件下で研究された。 比較のために、純粋なバターおよびマーガリンのフライもまた研究された。 ライトスプレッド含有混合物は、フライされなかった。 何故ならば、開始物質として使用されたライトスプレッド含有混合物は、フライすることを意図されていないからである。


    【0039】


    9.1:バター自体で初めに、純粋なバターが加熱されたとき、それは気泡の少ない明黄色の油を形成した。 加熱が継続されると、褐色の沈殿層が現れた。 これは、如何にしてバターが通常は褐色に転換するものであるかを示している。


    【0040】


    9.2:バターとβ−シトステロールを含有する混合物実施例5の混合物をフライすると、それは同様に加熱されたバターよりも僅かにゆっくりと解け、そしてより多く焼けた。 バターのように、それは明黄色の油を形成した。 加熱を継続すると、バターの点と同じ色ではあるが、サイズの小さい褐色の点が現れた。 このことは、実施例5の混合物が、市販されるバターと同様にフライに適していることを示唆している。


    【0041】


    9.3:マーガリン自体で純粋なマーガリンもまた、解けたときに明黄色の油を形成した。 それは、加熱されたときに、バターよりも多く焼けた。 加熱すると、実施例5のバター含有混合物および実施例1の基礎混合物でのように、褐色の点がその上に現れた。


    【0042】


    9.4:マーガリンとβ−シトステロールを含有する混合物実施例6の混合物をフライすると、それがフライテストにおいて、純粋なマーガリンと同様の、並びに実施例5の混合物と実質的に同様の挙動を示したことが観察された。 このことは、この混合物が、市販されているマーガリンと同様に加熱に適していることを示唆している。


    【0043】


    9.5:実施例9のテストの結論このフライテストでは、脂肪の褐色化に生ずる違いは、使用された脂肪のタイプ(バターまたはナタネ油マーガリン)によるもので、β−シトステロール含有基礎混合物の存在によるものではない、というように見える。


    【0044】


    実施例10:乳製品に対する実施例1で説明された混合物の添加50重量%の実施例1による基礎混合物と50重量%のマヨネーズ(Heinzマヨネーズ、H.J. Heinz B.V.社製、オランダ)が、室温(約22℃)において通常の鋼製臼内で混合された。 この混合は、サワークリーム製品(Smetana、Valio社製)およびクリームチーズ製品と(Hoviクリームチーズ、Valio社製)と同様の手法により混合された。 これらの食品との混合は、困難なく容易に行うことができた。


    【0045】


    実施例11:パスタ製品に対するβ−シトステロール含有開始物質の添加β−シトステロールは、パスタ調製に必要な量の油によって、β−シトステロールが油中に溶解されるか、または乳白光の均一に流れる液体が形成されるまで、加熱された。 この液体は、それを粉砕しながら冷却された。 冷却された混合物に対して、水、または玉子混合物と水、または玉子混合物のいずれかが添加され、同時に粉砕しながら乳剤を形成した。 その後、適量のデューラム小麦粉と塩が、生地を錬成することによって添加された。 錬成中に必要な水が添加された。 結果として得られたものは、β−シトステロールが視覚的にも味覚的にも検出できない均一なパスタであった。 パスタ中のβ−シトステロールの量は、2g/生パスタ100gであった。 これを越える量は、パスタ部分(生パスタ125g/部分)の重量という観点から、並びにβ−シトステロールの、その活性に対する適当な濃度を考慮すると、必要ではない。 表2は、パスタ生地組成の例を示している。


    【0046】


    このパスタ生地から、通常の手法でパスタシートが調製された。 このパスタは、生パスタにも、また長期貯蔵用の乾燥パスタにもなる。 生および乾燥パスタの両方とも、十分な水で10分間調理された。 パスタ中のβ−シトステロールは、調理水または調理済みパスタの洗浄水のいずれにも放出されることがなかった。


    【0047】


    このパスタの特性は、β−シトステロールなしで調製された通常のパスタの特性と完全に対応していた。


    【0048】


    【表2】


    【0049】


    実施例12:ピザに対するβ−シトステロール含有基礎混合物の添加【0050】


    【表3】


    【0051】


    ピザは、225℃で25〜30分間ベークされた。 β−シトステロールを含有するピザの特性は、β−シトステロールなしで調製されたピザの特性に完全に対応するものであった。


    【0052】


    実施例13:ミートボールに対するβ−シトステロール含有基礎混合物の添加【0053】


    【表4】


    【0054】


    【表5】


    【0055】


    ミートボールは、225℃で20分間ベークされた。 このミート混合物は、手に着かず、しかもβ−シトステロールを含有するミートボールの特性は、β−シトステロールなしの通常のミートボールの特性に匹敵するものであった。


    【0056】


    実施例14:パンロールに対するβ−シトステロール含有基礎混合物の添加【0057】


    【表6】


    【0058】


    【表7】


    【0059】


    β−シトステロール含有基礎混合物は、生地に対して非常に良く混入され、しかも生地は粘らないので、扱いおよび錬成が容易であった。 β−シトステロールを含有するパンロールの特性は、β−シトステロールなしで調製されたロールの特性に総合的に対応していた。


    【0060】


    実施例15:ミルク入りソースに対するβ−シトステロール含有基礎混合物の添加【0061】


    【表8】


    【0062】


    【表9】


    【0063】


    ソースパンで脂肪が溶かされ、それに対して小麦粉が加えられた。 この混合物は、沸騰させられ、そして冷たいミルクが2カ所に加えられた。 この脂肪は、ソースに良好且つ一様に混入された。 脂肪がβ−シトステロール含有基礎混合物に置換されたミルクソースの特性は、通常の脂肪を使用して調製されたソースの特性に完全に対応していた。


    【0064】


    [参考文献]


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