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Immune or hematological enhancement, inhibition of tumor formation or growth, and, cancer, methods of treatment or prevention of the symptoms of cancer symptoms or cancer treatment

申请号 JP2010508327 申请日 2008-05-14 公开(公告)号 JP2010526873A 公开(公告)日 2010-08-05
申请人 フォンテラ コ−オペレイティブ グループ リミティド; 发明人 ラケシュ カンワル,ジャガート; ウェイン クリッサンセン,ジョフリー; スン,シュエイン; パトリシア パルマノ,ケイ; ケネス ヒュー マクギボン,アラステア;
摘要 The present invention relates to administration of milk fat or a milk fat analogue, optionally with at least one additional therapeutic factor, preferably lactoferrin or metal ion lactoferrin, preferably iron lactoferrin, preferably bovine lactoferrin, preferably iron bovine lactoferrin, or a metal ion functional variant or functional fragment thereof, to treat mucositis.
权利要求
  • 腫瘍形成を阻害し、腫瘍成長を阻害し、腫瘍転移を阻害し、又は対象における癌を治療又は予防する方法であって、有効量の乳脂肪又は乳脂肪類似物及び1又は2以上の治療剤を、それを必要とする対象へ個別に、同時に又は逐次的に投与することを含んでなる方法。
  • 対象の免疫系を刺激する方法であって、有効量の乳脂肪又は乳脂肪類似物を、それを必要とする対象へ投与することを含んでなる方法。
  • 前記投与が、対象の抗腫瘍免疫応答を増強する、請求項2記載の方法。
  • 対象においてアポトーシスを誘導する方法であって、有効量の乳脂肪又は乳脂肪類似物を、それを必要とする対象へ投与することを含んでなる方法。
  • 前記アポトーシスが、腫瘍細胞のアポトーシスである、請求項4記載の方法。
  • 対象において血管新生を阻害する方法であって、有効量の乳脂肪又は乳脂肪類似物を、それを必要とする対象へ投与することを含んでなる方法。
  • 前記血管新生が、腫瘍血管新生である、請求項6記載の方法。
  • 低ヘモグロビン又は赤血球レベルに起因する貧血、悪液質、粘膜炎又は白血球減少症を治療又は予防し、又は、対象の白血球数、赤血球数、及び骨髄細胞数の1又は2以上を維持又は改善する方法であって、有効量の乳脂肪又は乳脂肪類似物を、それを必要とする対象へ投与することを含んでなる方法。
  • 癌療法に対する対象の反応性を増大し、癌療法に対する対象の腫瘍の感受性を増大し、又は、癌療法を受けている対象の回復を速める方法であって、有効量の乳脂肪又は乳脂肪類似物を、それを必要とする対象へ、療法の実施と別個に、同時に又は逐次的に投与することを含んでなる方法。
  • 1又は2以上の抗腫瘍剤の対象への個別、同時又は逐次投与を更に含んでなる、請求項2〜9のいずれか1項に記載の方法。
  • 癌に罹患した対象又は癌の治療を受けている対象の治療における、乳脂肪又は乳脂肪類似物の、任意により1又は2以上の抗腫瘍剤との使用。
  • 前記使用が:
    (a)対象において腫瘍形成を阻害、又は腫瘍成長を阻害し;又は (b)対象において抗腫瘍免疫応答を増強し;又は (c)対象においてアポトーシスを誘導し;又は (d)対象における血管新生を阻害し;又は (e)低いヘモグロビン又は赤血球レベルに起因する貧血、悪液質、粘膜炎、又は白血球減少症を治療又は予防し、又は、対象の白血球数、赤血球数、及び骨髄細胞数の1又は2以上を維持又は改善し;又は (f)癌療法に対する対象の反応性を増大し、癌療法に対する対象の腫瘍の感受性を増大し、又は対象の回復を速める、
    請求項11記載の使用。
  • 前記乳脂肪又は乳脂肪類似物が、1又は2以上の抗腫瘍剤と個別に、同時に又は逐次的に投与される、請求項11又は12に記載の使用。
  • 乳脂肪又は乳脂肪類似物約2g〜約210gと、1又は2以上の抗腫瘍剤約0.1g〜約210gとを含んでなる組成物であって、前記抗腫瘍剤が、ラクトフェリン、アポラクトフェリン、ラクトフェリンポリペプチド、機能的ラクトフェリン変種、機能的ラクトフェリン断片、金属イオンラクトフェリン、天然の鉄飽和型ラクトフェリン、実質的に完全な鉄飽和型ラクトフェリン、金属イオンラクトフェリン機能変種、金属イオンラクトフェリン機能断片、又はそれらの混合物を含んでなる群から選択される、組成物。
  • (a)乳脂肪又は乳脂肪類似物約2g〜約210gと、1又は2以上の抗腫瘍剤約0.7g〜約70g;
    (b)乳脂肪又は乳脂肪類似物約35g〜約210gと、1又は2以上の抗腫瘍剤約0.35g〜約210g;
    (c)乳脂肪又は乳脂肪類似物約10g〜約200gと、1又は2以上の抗腫瘍剤約2.5g〜約70g;
    (d)乳脂肪又は乳脂肪類似物約10g〜約200gと、1又は2以上の抗腫瘍剤約0.25g〜約5g;
    (e)乳脂肪又は乳脂肪類似物約15g〜約30gと、1又は2以上の抗腫瘍剤約1g〜約6g;又は (f)乳脂肪又は乳脂肪類似物約3g〜約8gと、1又は2以上の抗腫瘍剤約0.1g〜約1g
    を含有する、請求項14記載の組成物。
  • 乳脂肪又は乳脂肪類似物と、1又は2以上の追加の抗腫瘍剤とを含んでなる、同時、個別又は逐次使用のためのの組合調製品であって、癌に罹患している対象又は癌治療を受けている対象への投与に適している製品。
  • 前記投与が:
    (a)対象における腫瘍形成を阻害、又は腫瘍成長を阻害し;又は (b)対象における抗腫瘍免疫応答を増強し;又は (c)対象においてアポトーシスを誘導し;又は (d)対象における血管新生を阻害し;又は (e)低いヘモグロビン又は赤血球レベルに起因する貧血、悪液質、粘膜炎、又は白血球減少症を治療又は予防し、又は対象の白血球数、赤血球数、及び骨髄細胞数の1又は2以上を維持又は改善し;又は (f)癌療法に対する対象の反応性を増大し、癌療法に対する対象の腫瘍の感受性を増大し、又は対象の回復を速める、
    請求項16記載の製品。
  • 1又は2以上の抗腫瘍剤が、抗腫瘍食品因子、化学療法薬、免疫療法薬、造血薬、悪液質治療薬、又は粘膜炎治療薬からなる群から選択される、請求項1〜10のいずれか1項記載の方法、請求項11〜13のいずれか1項記載の使用、請求項14又は15記載の組成物、又は請求項16又は17記載の製品。
  • 1又は2以上の抗腫瘍剤が、ラクトフェリン、アポラクトフェリン、ラクトフェリンポリペプチド、機能的ラクトフェリン変種、機能的ラクトフェリン断片、金属イオンラクトフェリン、天然の鉄飽和型ラクトフェリン、実質的に完全な鉄飽和型ラクトフェリン、金属イオンラクトフェリン機能変種、金属イオンラクトフェリン機能断片、又はそれらのいずれか2種以上の混合物である、請求項1〜10のいずれか1項記載の方法、請求項11〜13のいずれか1項記載の使用、請求項14又は15記載の組成物、又は請求項16又は17記載の製品。
  • 前記抗腫瘍食品因子が、ビタミンD(ビタミンD1[ルミステロール]、ビタミンD2[カルシフェロール又はエルゴカルシフェロール]、ビタミンD3[コレカルシフェロール]、ビタミンD4[22−ジヒドロエルゴカルシフェロール]及びビタミンD5[シトカルシフェロール]及びビタミンD5[7−デヒドロシトステロール]を含む)、ビタミンD類似物、大豆タンパク質、1又は2以上の大豆成分、大豆由来の1又は2以上のω−3脂肪酸、大豆由来の1又は2以上のイソフラボン、ゲニステイン、ダイゼイン、1又は2以上のルナシンペプチド、1又は2以上のポリフェノール、リコピン、フスマ、フラボノイド、イノシトール、レスベラトロル、プロポリス、マッシュルーム抽出物、アントシアニン、アーモンド、朝鮮人参、カゼイン加水分解物、及びそれらのいずれか2種以上の組合せから選択される、請求項18記載の方法、使用、組成物、又は製品。
  • 前記乳脂肪が、酪農脂質、酪農脂質画分、酪農脂質加水分解物、酪農脂質画分加水分解物、又は牛乳脂肪からなる群から選択される、請求項1〜10のいずれか1項記載の方法、請求項11〜13のいずれか1項記載の使用、請求項14又は15記載の組成物、又は請求項16又は17記載の製品。
  • 前記乳脂肪が、クリーム、バター、無水乳脂肪、バターミルク、バター漿液、硬質乳脂肪画分、軟質乳脂肪画分、スフィンゴ脂質画分、乳脂肪球膜画分、リン脂質画分、及び複合脂質画分、並びにそれらの組合せ、及びそれらの加水分解物、及び加水分解物の画分、並びに加水分解画分及び/又は非加水分解画分の組合せからなる群から選択される、請求項21記載の方法、使用、組成物、又は製品。
  • 前記乳脂肪が、無水乳脂肪又はクリームである、請求項22記載の方法、使用、組成物、又は製品。
  • 前記乳脂肪又は乳脂肪類似物が:
    (a)パルミチン酸約23重量%〜約32重量%;
    (b)オレイン酸約15重量%〜約22重量%;
    (c)ステアリン酸約10重量%〜約15重量%;
    (d)ミリスチン酸約9重量%〜約12重量%;
    (e)酪酸約3重量%〜約5重量%;
    (f)前記a)、b)、c)、d)、又はe)のいずれか2つ;
    (g)前記a)、b)、c)、d)、又はe)のいずれか3つ;
    (h)前記a)、b)、c)、d)、又はe)のいずれか4つ;又は (i)前記a)、b)、c)、d)、又はe)の各々:
    を含んでなる、請求項1〜23のいずれか1項記載の方法、使用、組成物、又は製品。
  • 说明书全文

    本発明は、免疫又は血液学的増強、腫瘍の形成又は成長の阻害、及び、癌、癌症状又は癌治療の症状の治療又は予防の方法であって、乳脂肪又は乳脂肪類似物を、任意に少なくとも1種の追加の治療剤、例えば抗腫瘍剤等、好ましくはラクトフェリン(鉄ラクトフェリンを含む)から選択されたものと共に投与することによる方法に関する。 本発明の方法及び医薬用途は、食料組成物(食品又は補助食品として)、栄養補助組成物又は医薬組成物によって実施することができる。 本発明の方法の実施に有用な組成物も提供される。

    乳は、新生児の急速な成長及び発達の時期に栄養分を提供する、栄養分に富んだ生物学的流体である。 それゆえに、乳は乳児の発達に必要な基質の他にも、多くの成長調節因子を含んでいる。

    癌発生リスクの観点における乳摂取の健康上の利益は、研究及び広範な議論の対象となってきた主題である。 高脂肪酪農食品(Larssonら、2005)又は低脂肪乳(Maら、2001、及びGoodmanら、2002)の摂取により、結腸直腸癌及び卵巣癌を含むある種の癌のリスクを低減し得るとの報告がある。 逆に、他の研究によれば、低脂肪乳を大量に摂取すると、ある種の癌のリスクが増大することも報告されている(Larssonら、2006)。 この文献の総説は、乳製品を卵巣癌リスクと関係づける証拠が限定されており、一貫性に欠けると述べている(Schulzら、2004)。 全乳及び低脂肪乳は何れも、乳癌リスクの低下との関連が指摘されているものの(Shinら、2002、並びにBradlow及びSepkovic、2002)、別の研究ではリスク因子として報告されている(Knektら、1996、及びGaardら、1995)。 低脂肪乳は、ラットにおいて発癌物質が誘導した乳腺腫瘍の発生を促進し(Qinら、2004)、かつ低脂肪乳は、前立腺癌のリスク上昇に関連している(Tsengら、2005、及びVeierodら、1997)。 ひとつの大規模プロスペクティブ研究は、成人の乳消費は、乳癌発生率と負の関係の傾向があることを報告した(Hjartakerら、2001)のに対し、最近の総説は、低又は高脂肪酪農製品の高度の消費による乳癌リスクの増減のパターンには一貫性はないと結論付けている(Moorman及びTerry、2004、並びにParodi、2005)。 結論として、癌リスクと乳摂取のベネフィットに関する疫学的証拠は、一貫していない。

    乳脂肪は、共役リノール酸(CLA)、スフィンゴミエリン、酪酸、バクセン酸、分枝鎖脂肪酸、エーテル型脂質、β−カロテン、並びにビタミンA及びDを含む、いくつかの成分を含有しており、これらはそれらの抗癌可能性を評価するために精査されている(Parodi、1999、及びParodi、1997において検証)。 例えば報告によると、シス9,トランス11(c9,t11)−CLA異性体、及びその前駆体バクセン酸は、腫瘍細胞株の増殖を阻害する(Millerら、2003、及びO'Sheaら、2000)。 規定食CLAは、報告によると、1,2−ジメチルヒドラジン処置したラットにおいて、アポトーシスを増大させることにより、結腸腫瘍の発生率を低下する(Kim及びPark、2003)。 他の研究は、規定食CLAは、7,12−ジメチル−ベンズ[a]アントラセン(DMBA)によるマウス皮膚の発癌を阻害すること(Haら、1987)、及びベンゾ[a]ピレンにより誘導されたマウス前胃の新生物形成を阻害すること(Chenら、2003)を報告している。 バター脂肪としてのバクセン酸及びc9,t11 CLAの給餌は、ラットにおける乳腺癌腫の発達を阻害したことが報告されている(Corlら、2003、Banniら、2001)。 CLAは血管新生を阻害し、このことは化学的予防薬としてのその有効性に貢献し得ることが報告されている(Masso-Welchら、2002)。

    対照的に、別の研究は、規定食CLAは、単独で又は大豆分離タンパク質との組合せのいずれかで、ラットにおける前立腺腫瘍細胞のインビボにおける成長及び発達を阻害すること(Cohenら、2003)、並びに雄のスプラーグ・ダルウェイラットの結腸におけるアゾキシメタンが誘導した異常な腺窩巣の発達を阻害すること(Ealeyら、2001)に失敗したことを報告している。 更にラット肝癌の重量は、CLA食を給餌されたラットにおいて有意に高いことが報告された(Yamasakiら、2001)。 疫学的研究は、CLA含有食品群の摂取は、乳癌発生率に関係していないことを報告した(Voorripsら、2002)。 ヒトにおける乳脂肪消費の疫学的研究と同様、このCLA及び抗腫瘍活性の様々な研究の結果は矛盾している。

    腫瘍は、全ての症例において化学療法に良好に反応するものではないことが、先に報告されている。 例えば、癌罹患患者について、化学療法の有効性は、癌型、治療に使用される薬物の性質及び投与量、それらの薬物が作用する機序、並びに投薬計画に応じて変動する。

    本技術分野において、癌は、化学療法に対するそれらの感度が異なることはわかっており、完全な臨床治癒が達成される通常かつ頻繁な感受性(例えば、リンパ腫、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、ホジキン病、中及び高悪性度非ホジキンリンパ腫、例えばびまん性大細胞型リンパ腫、バーキットリンパ腫、リンパ芽球性リンパ腫、絨毛癌、胎児性腫瘍、骨髄腫症、気管支の燕麦細胞癌、精巣癌、ユーイング肉腫、ウィルムス腫瘍、皮膚癌)から、非常に抵抗性(膀胱癌、食道癌、非小細胞癌、肝細胞癌、腎癌、膵癌、頭頚部癌、子宮頸癌、肝臓癌、燕麦細胞でない肺癌)までである。 直径が0.3cmよりも大きいEL−4腫瘍は、免疫療法及び抗血管新生療法に対し(Kanwarら、1999、及びSunら、2001)、並びに化学療法に対し(Kanwarら、WO 2006/054908)、完全に無反応となることが先に報告されている。

    更に、放射線療法、手術、化学療法又は他の方法のいずれかによる癌の治療は、随伴症状又は障害を頻繁に引き起こすか又はこれらを増悪することがある。 治療中の癌患者は悪液質であることが多いが、化学療法は、絨毛萎縮が進行している腺窩内に、細胞アポトーシスに関連した小腸粘膜炎を引き起こし得る(Keefeら、2000)。

    従って乳脂肪を、任意に1又は2以上の追加の治療剤と共に用い、腫瘍形成又は成長を阻害し、又は癌又は癌治療に関連した障害の症状又は重症度を軽減する改善された方法を提供すること、あるいは少なくとも有用な選択肢を公開する(the public)ことは望ましいであろう。

    従って、本発明の一態様は、腫瘍形成を阻害し、腫瘍成長を阻害し、腫瘍転移を阻害し、又は対象における癌を治療又は予防する方法であって、有効量の乳脂肪又は乳脂肪類似物と、1又は2以上の治療剤、例えば1又は2以上の抗腫瘍剤を、それを必要とする対象へ個別に、同時に又は逐次的に投与することを含んでなる方法に関する。 好ましくは、この1又は2以上の抗腫瘍剤は、抗腫瘍食品因子、化学療法薬、免疫療法薬、造血薬、悪液質治療薬、又は粘膜炎治療薬から選択され、より好ましくは、この1又は2以上の治療剤は、ラクトフェリン(Lf)である。

    別の本発明の態様は、対象の免疫系を刺激する方法であって、有効量の乳脂肪又は乳脂肪類似物を、それを必要とする対象へ投与することを含んでなる方法に関する。 一実施態様によれば、免疫系を刺激する方法は、乳脂肪及び1又は2以上の抗腫瘍剤を、対象へ個別に、同時に又は逐次的に投与することを含んでなる。 好ましくは、この1又は2以上の抗腫瘍剤は、抗腫瘍食品因子、化学療法薬、免疫療法薬、造血薬、悪液質治療薬、又は粘膜炎治療薬から選択され、より好ましくは、この1又は2以上の治療剤は、ラクトフェリンである。

    一実施態様によれば、本投与は、対象の腫瘍内でTh1及びTh2サイトカインの産生を増大させる。 一実施態様によれば、本投与は、対象の腸内でTh1及びTh2サイトカインの産生を増大させる。 一実施態様によれば、本投与は、対象の全身循環中の、Th1及びTh2サイトカインレベルをを上昇させる。 一実施態様によれば、本投与は、対象における抗腫瘍免疫応答を増強する。

    別の本発明の態様は、対象においてアポトーシスを誘導する方法であって、有効量の乳脂肪又は乳脂肪類似物のそれを必要とする対象への投与を含んでなる方法に関する。 一実施態様によれば、それを必要とする対象においてアポトーシスを誘導する方法は、乳脂肪及び少なくとも1種の抗腫瘍剤の、対象への個別、同時又は逐次投与を含み、好ましくはこの少なくとも1種の抗腫瘍剤は、抗腫瘍食品因子、化学療法薬、免疫療法薬、造血薬、悪液質治療薬、又は粘膜炎治療薬から選択され、より好ましくはこの少なくとも1種の追加の治療剤は、ラクトフェリンである。 一実施態様によれば、アポトーシスは、腫瘍細胞のものである。

    別の本発明の態様は、対象において血管新生を阻害する方法であって、有効量の乳脂肪又は乳脂肪類似物を、それを必要とする対象へ投与することを含んでなる方法に関する。 一実施態様によれば、対象において血管新生を阻害する方法は、乳脂肪及び少なくとも1種の抗腫瘍剤の、対象への個別、同時又は逐次投与を含み、好ましくはこの少なくとも1種の抗腫瘍剤は、抗腫瘍食品因子、化学療法薬、免疫療法薬、造血薬、悪液質治療薬、又は粘膜炎治療薬から選択され、より好ましくはこの少なくとも1種の追加の治療剤は、ラクトフェリンである。 一実施態様によれば、血管新生は、腫瘍血管新生である。

    別の本発明の態様は、低ヘモグロビン又は赤血球レベルに起因する貧血、悪液質、粘膜炎又は白血球減少症を治療又は予防し、又は、対象の白血球数、赤血球数、及び骨髄細胞数の1又は2以上を維持又は改善する方法であって、乳脂肪又は乳脂肪類似物の有効量を、それを必要とする対象へ投与することを含んでなる方法に関する。

    別の本発明の態様は、対象の白血球数、赤血球数、又は骨髄細胞数の1又は2以上を維持又は改善する方法であって、好ましくは少なくとも1種の抗腫瘍剤の対象への個別、同時又は逐次投与を伴う、乳脂肪又は乳脂肪類似物の対象への投与を含んでなる方法に関する。 好ましくは、この少なくとも1種の抗腫瘍剤は、抗腫瘍食品因子、化学療法薬、免疫療法薬、造血薬、悪液質治療薬、又は粘膜炎治療薬から選択され、より好ましくはこの少なくとも1種の追加の治療剤は、ラクトフェリンである。

    別の本発明の態様は、対象における貧血を治療又は予防する方法であって、乳脂肪又は乳脂肪類似物の対象への投与を含んでなるとともに、好ましくは少なくとも1種の抗腫瘍剤の対象への個別、同時又は逐次投与を伴う方法に関する。 好ましくはこの少なくとも1種の抗腫瘍剤は、抗腫瘍食品因子、化学療法薬、免疫療法薬、造血薬、悪液質治療薬、又は粘膜炎治療薬から選択され、より好ましくはこの少なくとも1種の追加の治療剤は、ラクトフェリンである。

    別の本発明の態様は、対象における悪液質を治療又は予防する方法であって、乳脂肪又は乳脂肪類似物の対象への投与を含んでなるとともに、好ましくは少なくとも1種の抗腫瘍剤の対象への個別、同時又は逐次投与を伴う方法に関する。 好ましくはこの少なくとも1種の抗腫瘍剤は、抗腫瘍食品因子、化学療法薬、免疫療法薬、造血薬、悪液質治療薬、又は粘膜炎治療薬から選択され、より好ましくはこの少なくとも1種の追加の治療剤は、ラクトフェリンである。

    別の本発明の態様は、対象における粘膜炎を治療又は予防する方法であって、乳脂肪又は乳脂肪類似物の対象への投与を含んでなるとともに、好ましくは少なくとも1種の抗腫瘍剤の対象への個別、同時又は逐次投与を伴う方法に関する。 好ましくはこの少なくとも1種の抗腫瘍剤は、抗腫瘍食品因子、化学療法薬、免疫療法薬、造血薬、悪液質治療薬、又は粘膜炎治療薬から選択され、より好ましくはこの少なくとも1種の追加の治療剤は、ラクトフェリンである。

    別の本発明の態様は、対象における腫瘍形成を阻害し、腫瘍成長を阻害し、腫瘍転移を阻害し、又は癌を治療又は予防する方法であって、リン脂質画分、硬質乳脂肪画分、軟質乳脂肪画分、スフィンゴ脂質画分、乳脂肪球膜画分、リン脂質画分、又は複合脂質画分等の乳脂肪画分、又はそれらの2種以上の組合せの対象への投与を含んでなるとともに、任意に少なくとも1種の追加の治療剤を伴う方法に関する。 好ましくはこの少なくとも1種の追加の治療剤は、抗腫瘍食品因子、免疫療法薬、造血薬、悪液質治療薬、又は粘膜炎治療薬から選択され、より好ましくはこの少なくとも1種の追加の治療剤は、ラクトフェリン(Lf)である。

    別の本発明の態様は、癌療法に対する対象の反応性を増大させる方法であって、乳脂肪又は乳脂肪類似物の対象への投与を含んでなるととも、好ましくは少なくとも1種の抗腫瘍剤の対象への個別、同時又は逐次投与を伴う方法に関する。 好ましくはこの少なくとも1種の抗腫瘍剤は、抗腫瘍食品因子、化学療法薬、免疫療法薬、造血薬、悪液質治療薬、又は粘膜炎治療薬から選択され、より好ましくはこの少なくとも1種の追加の治療剤は、ラクトフェリンである。

    別の本発明の態様は、癌療法に対する対象の腫瘍の感受性を増大させる方法であって、乳脂肪又は乳脂肪類似物の対象への投与を含んでなるとともに、好ましくは少なくとも1種の抗腫瘍剤の対象への個別、同時又は逐次投与を伴う方法に関する。 好ましくはこの少なくとも1種の抗腫瘍剤は、抗腫瘍食品因子、化学療法薬、免疫療法薬、造血薬、悪液質治療薬、又は粘膜炎治療薬から選択され、より好ましくはこの少なくとも1種の追加の治療剤は、ラクトフェリンである。

    別の本発明の態様は、癌療法を受けている対象の回復を速める方法であって、乳脂肪又は乳脂肪類似物の対象への投与を含んでなるとともに、好ましくは少なくとも1種の抗腫瘍剤の対象への個別、同時又は逐次投与を伴う方法に関し、好ましくはこの少なくとも1種の抗腫瘍剤は、抗腫瘍食品因子、化学療法薬、免疫療法薬、造血薬、悪液質治療薬、又は粘膜炎治療薬から選択され、より好ましくはこの少なくとも1種の追加の治療剤は、ラクトフェリンである。

    別の本発明の態様は、本明細書に記載された目的のための組成物の製造における乳脂肪の使用に関し、好ましくは本組成物は、少なくとも1種の追加の治療剤を含有し、又はこれと個別、同時又は逐次投与され、好ましくはこの少なくとも1種の追加の治療剤は、抗腫瘍剤であり、好ましくはこの抗腫瘍剤は、抗腫瘍食品因子、免疫療法薬、造血薬、悪液質治療薬、又は粘膜炎治療薬から選択され、より好ましくはこの少なくとも1種の追加の治療剤は、ラクトフェリンである。

    別の本発明の態様は、本明細書に記載された目的のための組成物の製造における乳脂肪の使用であって、任意により少なくとも1種の追加の治療剤との使用に関する。

    別の本発明の態様は、本明細書に説明された目的の組成物の製造における、乳脂肪及び少なくとも1種の追加の治療剤の使用に関し、ここで本組成物は、乳脂肪及び少なくとも1種の追加の治療剤の個別、同時又は逐次投与を提供するように製剤される。

    別の本発明の態様は、本明細書に説明された目的の組成物の製造における、乳脂肪及び少なくとも1種の追加の治療剤の使用に関し、ここでこの乳脂肪は、追加の治療剤と個別、同時又は逐次投与される。

    別の本発明の態様は、本明細書に説明された目的の組成物の製造における、乳脂肪及び少なくとも1種の追加の治療剤の使用に関し、ここでこの乳脂肪は、追加の治療剤と個別、同時又は逐次投与されるように製剤される。

    別の本発明の態様は、乳脂肪と、1以上、2以上又は3以上の追加の治療剤とを含んでなり、又はこれらから本質的になり、又はこれらからなる組成物に関する。

    別の本発明の態様は、本明細書に記載された目的のための同時、個別又は逐次使用のための組合調製品であって、乳脂肪と、1以上、2以上又は3以上の追加の治療剤とを含んでなり、又はこれらから本質的になり、又はこれらからなる製品に関する。

    下記実施態様は、前述の態様のいずれかに関連し得る。

    好ましい実施態様によれば、少なくとも1種の治療剤は、抗腫瘍剤である。 好ましい実施態様によれば、抗腫瘍剤は、ラクトフェリンである。

    一実施態様によれば、ラクトフェリンは、ラクトフェリンポリペプチド、機能的ラクトフェリン変種、機能的ラクトフェリン断片、金属イオンラクトフェリン、金属イオンラクトフェリン機能変種、及び金属イオンラクトフェリン機能断片、又はそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される。 一実施態様によれば、ラクトフェリンは、アポラクトフェリンである。 別の実施態様によれば、ラクトフェリンは、天然に鉄で飽和されている。 別の実施態様によれば、ラクトフェリンは、実質的に完全に鉄で飽和されている。

    本明細書に説明された目的は、腫瘍形成の阻害、腫瘍成長の阻害、腫瘍転移の阻害、又はそれを必要とする対象における癌の治療又は予防、それを必要とする対象における免疫系の刺激、それを必要とする対象の腫瘍内のTh1及びTh2サイトカイン産生の増加、それを必要とする対象の腸内のTh1及びTh2サイトカイン産生の増加、それを必要とする対象の全身循環内のTh1及びTh2サイトカインのレベルの上昇、それを必要とする対象における抗腫瘍免疫応答の増強、それを必要とする対象におけるアポトーシスの誘導、それを必要とする対象における腫瘍細胞のアポトーシスの誘導、それを必要とする対象における血管新生の阻害、それを必要とする対象における腫瘍血管新生の阻害、それを必要とする対象における白血球数、赤血球数、又は骨髄細胞数の1又は2以上の維持又は改善、それを必要とする対象における貧血の治療又は予防、それを必要とする対象における悪液質の治療又は予防、それを必要とする対象における粘膜炎の治療又は予防、癌療法に対する対象の反応性の増大、癌療法に対する対象の腫瘍感受性の増大、並びに癌療法を受けている対象の回復の迅速化からなる群から選択される。

    一実施態様によれば、少なくとも1種の治療剤又は抗腫瘍剤は、抗腫瘍食品因子、免疫療法薬、造血薬、悪液質治療薬、又は粘膜炎治療薬からなる群から選択される。

    一実施態様によれば、抗腫瘍食品因子は、ビタミンD及びビタミンD類似物(以下に言及されるものを含むが、これらに限定されるものではない)、大豆タンパク質、1又は2以上の大豆成分(以下に言及されるものを含む)、ポリフェノール、リコピン、フスマ、フラボノイド、イノシトール、レスベラトロル、プロポリス、マッシュルーム抽出物、アントシアニン、アーモンド、朝鮮人参、カゼイン加分解物、及びそれらの組合せから選択される。

    一実施態様によれば、抗腫瘍食品因子は、抗腫瘍食品及び抗腫瘍食品成分からなる群から選択される。 好ましくは、1又は2以上、2種以上又は3種以上の抗腫瘍食品因子が投与される。

    一実施態様によれば、抗腫瘍食品は、本明細書に説明されたものを含む、抗癌特性を有する機能性食品又はそれらの誘導体であることができる。

    一実施態様によれば、抗腫瘍食品成分は、本明細書に説明されたものから選択することができる。

    一実施態様によれば、本発明の方法は、乳脂肪及び少なくとも1種の追加の治療剤から本質的になるか、又はからなる組成物の投与を含み、好ましくはこの少なくとも1種の追加の治療剤は、ラクトフェリン、機能的ラクトフェリン変種、機能的ラクトフェリン断片、金属イオンラクトフェリン、金属イオンラクトフェリン機能変種、金属イオンラクトフェリン機能断片、又はそれらの混合物から選択される。 好ましくは本組成物は、1又は2以上、2種以上又は3種以上の抗腫瘍食品因子から本質的になるか、又はからなる。

    本発明の使用の一実施態様によれば、組成物は、対象における腫瘍形成の阻害、対象における腫瘍成長の阻害、対象における腫瘍転移の阻害、対象における癌の治療又は予防、対象における免疫系の刺激、対象における腫瘍内のTh1及びTh2サイトカインの産生の増加、対象の腸内のTh1及びTh2サイトカインの産生の増加、対象の全身循環内のTh1及びTh2サイトカインのレベルの上昇、対象における抗腫瘍免疫応答の増強、対象におけるアポトーシスの誘導、対象における腫瘍細胞のアポトーシスの誘導、対象における血管新生の阻害、対象における腫瘍血管新生の阻害、対象の白血球数、赤血球数、又は骨髄細胞数の1又は2以上の維持又は改善、それを必要とする対象における貧血の治療又は予防、それを必要とする対象における悪液質の治療又は予防、それを必要とする対象における粘膜炎の治療又は予防、それを必要とする対象における白血球減少症の治療又は予防、癌療法に対する対象の反応性の増大、癌療法に対する対象の腫瘍の反応性の増大、又は癌療法を受けている対象の回復の迅速化のために製造される。

    一実施態様によれば、投与は、経口、局所的又は非経口的投与である。

    一実施態様によれば、対象は、癌に罹患しているか又は易罹患性であり;治療を受けたが再発したか又は再発し易く;化学療法薬、放射線療法薬、抗血管新生薬又は免疫療法薬による療法に対して難治性の腫瘍を有し;又は、以前に手術を受け、手術に失敗し、又は化学療法薬、放射線療法薬、抗血管新生薬又は免疫療法薬による療法に失敗した対象である。

    一実施態様によれば、乳脂肪は、酪農脂質(dairy lipid)、酪農脂質画分、酪農脂質加水分解物、及び酪農脂質画分加水分解物から選択される。 好ましい乳脂肪は、酪農品脂肪、特に乳脂肪である。

    その他の実施態様によれば、乳脂肪は、任意の哺乳類の乳脂肪である。 例としては、これらに限定されるものではないが、ヒツジ、ヤギ、ブタ、マウス、水牛、ラクダ、ヤク、ウマ、ロバ、ラマ、ウシ又はヒトの乳脂肪が挙げられる。

    一実施態様によれば、ラクトフェリンは、任意の哺乳類のラクトフェリンである。 例としては、これらに限定されるものではないが、ヒツジ、ヤギ、ブタ、マウス、水牛、ラクダ、ヤク、ウマ、ロバ、ラマ又はヒトのラクトフェリンを挙げられる。 好ましくは、ラクトフェリンは、ウシラクトフェリンである。

    一実施態様によれば、ラクトフェリンは、アポラクトフェリンである。 一実施態様によれば、ラクトフェリン、機能的ラクトフェリン変種又は機能的ラクトフェリン断片は、金属イオンを含まない。 一実施態様によれば、ラクトフェリン又はそれらの機能変種又は機能断片は、化学量論を基に少なくとも約5、10、又は20%金属イオンで飽和されている。

    一実施態様によれば、前記金属イオンは、アルミニウム、ビスマス、銅、クロム、コバルト、金、鉄、マンガン、オスミウム、白金、ルテニウム、及び亜鉛のイオン、又はそれらの2種以上の任意の組合せ、又はラクトフェリン金属イオン結合ポケットに特異的に配位するその他のイオンからなる群から選択される。 好ましくは、金属イオンは鉄イオンである。

    一実施態様によれば、ラクトフェリン、機能的ラクトフェリン変種又は機能的ラクトフェリン断片は、非特異的イオン結合に関与している。 好ましくは、ラクトフェリン、機能的ラクトフェリン変種又は機能的ラクトフェリン断片に非特異的に結合することができるイオンは、アルミニウム、カルシウム、ビスマス、銅、クロム、コバルト、金、鉄、マンガン、オスミウム、白金、ルテニウム、セレン、及び亜鉛のイオン、又はそれらの2種以上の任意の組合せから選択される。 このイオンは、ラクトフェリン、機能的ラクトフェリン変種又は機能的ラクトフェリン断片に非特異的に結合する任意のイオン又はイオンの混合物であってよく、好ましくはカルシウムイオン及びセレンイオンである。

    一実施態様によれば、金属イオンラクトフェリン又はそれらの金属イオン機能変種又は機能断片は、化学量論を基に少なくとも約25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、99.5又は100%金属イオンで飽和されている。

    一実施態様によれば、金属イオンラクトフェリン又はそれらの金属イオン機能変種又は機能断片は、化学量論を基に少なくとも約105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195又は200%金属イオンで飽和されている。

    一実施態様によれば、本明細書において有用な組成物は、乳脂肪又は乳脂肪類似物を約2g〜約210g及び1又は2以上の抗腫瘍剤を約0.1g〜約210g含有している。 一実施態様によれば、本組成物は、乳脂肪又は乳脂肪類似物を約2、4、6、8、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205又は210g含有し、かつ有用な範囲は、これらの値のいずれかの間で選択することができる。 一実施態様によれば、本組成物は、1又は2以上の抗腫瘍剤を約2、4、6、8、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205又は210g含有し、かつ有用な範囲は、これらの値のいずれかの間で選択することができる。 好ましくは、1又は2以上の抗腫瘍剤は、ラクトフェリン、アポラクトフェリン、ラクトフェリンポリペプチド、機能的ラクトフェリン変種、機能的ラクトフェリン断片、金属イオンラクトフェリン、天然の鉄飽和型ラクトフェリン、実質的に完全な鉄飽和型ラクトフェリン、金属イオンラクトフェリン機能変種、金属イオンラクトフェリン機能断片、又はそれらの混合物を含んでなる群から選択される。 様々な実施態様によれば、本組成物は、以下を含有する:
    (a)乳脂肪又は乳脂肪類似物約2g〜約210g及び1又は2以上の抗腫瘍剤約0.7g〜約70g;
    (b)乳脂肪又は乳脂肪類似物約35g〜約210g及び1又は2以上の抗腫瘍剤約0.35g〜約210g;
    (c)乳脂肪又は乳脂肪類似物約10g〜約200g及び1又は2以上の抗腫瘍剤約2.5g〜約70g;
    (d)乳脂肪又は乳脂肪類似物約10g〜約200g及び1又は2以上の抗腫瘍剤約0.25g〜約5g;
    (e)乳脂肪又は乳脂肪類似物約15g〜約30g及び1又は2以上の抗腫瘍剤約1g〜約6g;又は (f)乳脂肪又は乳脂肪類似物約3g〜約8g及び1又は2以上の抗腫瘍剤約0.1g〜約1g。

    一実施態様によれば、本方法は、乳脂肪の、金属イオンラクトフェリン及び少なくとも1種のそれらの金属イオン機能変種又は機能断片との混合物の投与を含む。

    一実施態様によれば、乳脂肪及び追加の治療剤、好ましくはラクトフェリンは、いずれか単独の作用よりも大きいか、又はいずれか単独の相加作用よりも大きい、相乗的治療作用を提供する。 例えば、腫瘍形成又は成長の阻害、腫瘍退縮、細胞溶解作用、免疫増強、Th1及びTh2サイトカイン産生、白血球数、赤血球数、又は骨髄細胞数の維持又は改善、貧血、悪液質、粘膜炎の治療又は予防、又は本治療法に対する対象又は腫瘍の反応性に対し、より大きい作用がある。 一実施態様によれば、ラクトフェリン及び抗腫瘍食品因子は、適宜、同時投与又は逐次投与される癌療法の実施が、投与量又は投与期間を減少又は増大されることを可能にする。

    一実施態様によれば、本発明の方法は、少なくとも1種の癌療法の個別、同時又は逐次投与を更に含む。

    一実施態様によれば、癌療法は、抗腫瘍剤又は抗腫瘍療法である。

    一実施態様によれば、乳脂肪は、任意に少なくとも1種の追加の治療剤、及び少なくとも1種の抗腫瘍剤又は抗腫瘍療法と共に、個別、同時又は逐次投与される。

    一実施態様によれば、本抗腫瘍療法は、非限定的に、手術、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、生物学的療法/免疫療法、細胞療法、抗血管新生療法、細胞毒性療法、ワクチン、核酸ベースのワクチン(例えば、p185ワクチンを含むDNAワクチンなどの、癌抗原を発現している核酸)、ウイルスベースの療法(例えば、アデノ随伴ウイルス、レンチウイルス)、遺伝子療法、小型分子阻害剤療法、ヌクレオチドベースの療法(例えば、RNAi、アンチセンス、リボザイムなど)、抗体ベースの療法、酸素及びオゾン治療、塞栓形成、及び/又は化学塞栓形成療法などの療法から選択される。 一実施態様によれば、抗腫瘍剤は、1又は2以上の血管新生阻害剤を含む。

    一実施態様によれば、抗腫瘍剤は、化学療法薬又は免疫療法薬である。 一実施態様によれば、抗腫瘍剤の少なくとも1種は、化学療法薬である。 好ましくは化学療法薬は、チューブリン破壊因子、DNAインターカレート剤、及びそれらの混合物から選択される。 一実施態様によれば、チューブリン破壊因子は、参照により本明細書に組入れられている、公開された国際特許出願WO 2006/054908に列記されたものを含むが、これらに限定されるものではない。 一実施態様によれば、DNAインターカレート剤は、参照により本明細書に組入れられている、公開された国際特許出願WO 2006/054908に列記されたものを含むが、これらに限定されるものではない。 一実施態様によれば、化学療法薬は、パクリタキセル、ドキソルビシン、エピルビシン、フルオロウラシル、シクロホスファミド又はメトトレキセートである。

    一実施態様によれば、抗腫瘍剤は、免疫療法薬である。 好ましくは、免疫療法薬は、T細胞共刺激因子B7−1、T細胞共刺激因子、又は機能的関連分子、例えば可溶性B7−Igキメラをコードしている発現プラスミドである。 一実施態様によれば、抗腫瘍剤は、免疫細胞療法を含む。 好ましくは本療法は、樹状細胞療法である。

    一実施態様によれば、化学療法薬は、パクリタキセル、ドキソルビシン、エピルビシン、フルオロウラシル、シクロホスファミド又はメトトレキセートである。

    一実施態様によれば、抗腫瘍剤は、免疫療法薬である。 好ましくは、免疫療法薬は、T細胞共刺激因子B7−1、T細胞共刺激因子、又は機能的関連分子、例えば可溶性B7−Igキメラをコードしている発現プラスミドである。

    一実施態様によれば、抗腫瘍剤は、免疫細胞療法を含む。 好ましくは本療法は、樹状細胞療法である。

    一実施態様によれば、抗腫瘍剤は、1又は2以上の血管新生阻害剤を含む。

    一実施態様によれば、少なくとも1種の抗腫瘍剤は、経口又は非経口的に、好ましくは静脈内、腹腔内又は腫瘍内注射により投与される。

    一実施態様によれば、乳脂肪は、任意に少なくとも1種の追加の治療剤と共に、抗腫瘍剤又は抗腫瘍療法の実施前に、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10週間毎日投与される。

    一実施態様によれば、乳脂肪は、任意に少なくとも1種の追加の治療剤と共に、抗腫瘍剤又は抗腫瘍療法の実施前に、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又は21日間、又は少なくとも約1、2、3、4、5、6、7又は8週間、又は少なくとも約1、2、3、4、5又は6ヶ月間投与される。

    一実施態様によれば、乳脂肪は、任意に少なくとも1種の追加の治療剤と共に、抗腫瘍剤又は抗腫瘍療法の実施前に、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又は21日間、又は少なくとも約1、2、3、4、5、6、7又は8週間、又は少なくとも約1、2、3、4、5又は6ヶ月間投与される。

    一実施態様によれば、乳脂肪は、任意に少なくとも1種の追加の治療剤と共に、癌療法を伴うか又は伴わずに、1日にわたり連続して経口的に又は非経口点滴により又は投与経路の組合せを含み、少なくとも1日1回投与される。

    一実施態様によれば、腫瘍又は癌は、固形腫瘍、白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫、リンパ系の造血器腫瘍、骨髄細胞系の造血器腫瘍、結腸癌、乳癌、メラノーマ、皮膚癌又は肺癌である。

    一実施態様によれば、腫瘍又は癌は、急性白血病、急性リンパ球性白血病、急性顆粒球性白血病、例えば骨髄芽球性、前骨髄球性、骨髄単球性、単球性白血病、赤白血病などの急性骨髄性白血病、及び骨髄異形成症候群、例えば非限定的に、慢性骨髄性白血病、慢性顆粒球性白血病、慢性リンパ球性白血病などの慢性白血病、及びヘアリーセル白血病などの白血病であるが、これらに限定されるものではない。

    一実施態様によれば、腫瘍又は癌は、非限定的に、ホジキン病及び非ホジキン病などのリンパ腫である。

    一実施態様によれば、腫瘍又は癌は、非限定的に、急性及び慢性骨髄性白血病、くすぶり型多発性骨髄腫、非分泌性骨髄腫及び骨硬化性骨髄腫などの、骨髄細胞系の造血器腫瘍を含む。

    一実施態様によれば、腫瘍又は癌は、白血病、急性及び慢性リンパ球性白血病、急性及び慢性リンパ芽球性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫を含む、リンパ系の造血器腫瘍を含む。

    一実施態様によれば、腫瘍又は癌は、Bリンパ球系列の造血器腫瘍を含む。

    一実施態様によれば、腫瘍又は癌は、Tリンパ球系列の造血器腫瘍を含む。

    一実施態様によれば、腫瘍は、大型腫瘍である。 一実施態様によれば、腫瘍又は癌は、以下を含む:
    (a)直径が少なくとも約0.3、0.4又は0.5cmである腫瘍、又は (b)少なくとも1種の免疫療法薬、抗血管新生薬又は化学療法薬による療法に対し難治性である腫瘍。

    一実施態様によれば、対象の白血球数、赤血球数、又は骨髄細胞数の1又は2以上が、維持されるか又は改善される。

    一実施態様によれば、腫瘍は、サイズが縮小されるか、又は実質的に根絶される。

    一実施態様によれば、ラクトフェリンは、投与される場合には、可消化タンパク質、好ましくはカゼイン又は他のタンパク質、例えば他の可食性タンパク質を含有する剤形において投与される。

    一実施態様によれば、本組成物は、食品、飲料品、食品添加物、飲料品添加物、ダイエタリーサプリメント、栄養製品、医療食、栄養補助食品、薬剤又は医薬品である。 好ましくは、本組成物は、経口又は局所投与のために製剤される。 好ましくは、本組成物は、経口又は非経口投与のために製剤される。 一実施態様によれば、本組成物は、乳脂肪及び乳タンパク質画分を含有する。

    一実施態様によれば、本組成物は、新鮮又は還元全乳、還元又は新鮮脱脂乳、再構成された全乳粉又は脱脂乳粉、脱脂乳濃縮物、脱脂粉乳、脱脂乳残留物(retentate)、濃縮乳、バターミルク、限外濾過乳残留物、乳タンパク質濃縮物(MPC)、乳分離タンパク質(MPI)、カルシウム枯渇した乳タンパク質濃縮物(MPC)、低脂肪乳、低脂肪乳タンパク質濃縮物(MPC)、初乳、初乳画分、初乳タンパク質濃縮物(CPC)、初乳ホエー、初乳由来の免疫グロブリン画分、ホエー、ホエー分離タンパク質(WPI)、ホエータンパク質濃縮物(WPC)、スイートホエー、乳酸ホエー、鉱酸ホエー、又は再構成された(reconstituted)ホエー粉末から選択された乳組成物を含む。

    一実施態様によれば、乳脂肪は、少なくとも1種の追加の治療剤との同時投与のために製剤される。 一実施態様によれば、乳脂肪は、少なくとも1種の追加因子との逐次投与のために製剤される。

    一実施態様によれば、本発明の組成物又は本発明の方法において使用される組成物がラクトフェリンを含有する場合、この組成物は、その集団の利用可能な金属イオン結合ポケットの少なくとも約25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、99.5又は100%は、金属イオン、好ましくは鉄イオンに結合されている、ラクトフェリンポリペプチド又はそれらの機能変種又は断片の集団を提供する。

    一実施態様によれば、本発明の組成物又は本発明の方法において使用される組成物がラクトフェリンを含有する場合、この組成物は、その集団内の利用可能な金属イオン結合ポケットの約100%は、金属イオン、好ましくは鉄イオンに結合されている、ラクトフェリンポリペプチド又はそれらの機能変種又は断片の集団を提供し、並びに追加の金属イオンが、非特異的結合部位でラクトフェリン分子に結合されており、その結果このラクトフェリンは、化学量論を基に少なくとも約105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195又は200%金属イオンで飽和されている。

    一実施態様によれば、乳脂肪又は乳脂肪類似物は、以下を含有している:
    (a)パルミチン酸約23重量%〜約32重量%;
    (b)オレイン酸約15重量%〜約22重量%;
    (c)ステアリン酸約10重量%〜約15重量%;
    (d)ミリスチン酸約9重量%〜約12重量%;
    (e)酪酸約3重量%〜約5重量%;
    (f)前記a)、b)、c)、d)、又はe)のいずれか2つ;
    (g)前記a)、b)、c)、d)、又はe)のいずれか3つ;
    (h)前記a)、b)、c)、d)、又はe)のいずれか4つ;又は (i)前記a)、b)、c)、d)、又はe)の各々。

    本明細書に開示された数値範囲(例えば1〜10)の記載は、その範囲内の全ての有理数(例えば1、1.1、2、3、3.9、4、5、6、6.5、7、8、9及び10等)の記載、また、その範囲内の有理数の任意の範囲(例えば2〜8、1.5〜5.5及び3.1〜4.7等)の記載をも包含する意図である。 従って、本明細書に明示された全ての範囲に含まれる全ての部分範囲も明示されている。 これらは具体的に意図されるものの単なる例示であり、列記された最低値と最高値との間の数値の全ての可能な組合せが、同様に本出願に明示されていると解すべきである。

    本明細書において特許明細書や他の外部文書、又は他の情報源に言及する場合、これは通常、本発明の特徴について議論するための背景を提供することを目的とする。 特に断らない限り、かかる外部文書等に言及したからと言って、かかる文書又は情報源が、いかなる管轄下でも、当該技術分野の先行技術であるか、又は技術常識を形成することを承認するものと解釈すべきではない。

    概略的に言えば、本発明は、本明細書において開示又は示唆される部分、要素及び特徴の各々、或いはそれらのうち任意の2種以上又は全ての組合からなると解することもできる。 本明細書で言及する具体的な完全体が、本発明の属する技術分野において既知の同等物を有する場合、かかる既知の同等物は、個々に言及したのと同様に本明細書に組込れていると解すべきである。

    図1は、乳脂肪がリンパ腫の成長を阻害し、かつ腫瘍発生を阻害することを示すグラフである。 マウスには、AIN93G対照食又はある割合の脂肪を乳脂肪又は強化乳脂肪のいずれかで置換した同一食を給餌した。 これらの食餌で2週間経過後、EL−4細胞2×10

    5個を、マウス側腹部へ注射した。 直交するふたつの直径(cm)により測定した腫瘍サイズを、91日目まで、又は腫瘍が直径1cmに達するまでモニタリングした。 各ポイントは、6匹のマウス又は示されたマウス数のいずれかに関する、平均腫瘍サイズと95%信頼区間を表している。

    図2は、乳脂肪が、腫瘍を根絶するためのB7−1免疫遺伝子治療を増強することを示すグラフである。 マウスには、AIN93G対照食、又はある割合の脂肪を乳脂肪又は強化乳脂肪のいずれかで置換した同一食を給餌した。 これらの食餌で2週間経過後、EL−4細胞2×10

    5個を、マウス側腹部へ注射した。 直交するふたつの直径(cm)により測定した腫瘍サイズを、モニタリングした。 腫瘍が直径〜0.4cmに到達した時点で、これらの腫瘍に、B7−1発現プラスミド60μgを含有するDNA−リポソーム複合体を注射した。 本プラスミドの投与のタイミングは、矢印で示している。 直交するふたつの直径(cm)により測定した腫瘍サイズを、91日目まで、又は腫瘍が直径1cmに達するまでモニタリングした。 各ポイントは、6匹のマウス又は示されたマウス数のいずれかに関する、平均腫瘍サイズと95%信頼区間を表している。

    図3は、乳脂肪が、腫瘍発生を完全に防止するよう、鉄飽和型ラクトフェリン(Lf+)と相乗作用することを示す4つのグラフである。 (A)腫瘍発生に対する作用。 マウスには、AIN93G対照食又はある割合の脂肪及びタンパク質をLf+、乳脂肪、又はLf+と乳脂肪の組合せのいずれかで置換した同一食を給餌した。 0日目は、マウスをそれらの食餌に配置した日をいう。 これらの食餌で2週間経過後、EL−4細胞2×10

    5個を、マウス側腹部へ注射した。 直交するふたつの直径(cm)により測定した腫瘍サイズを、56日目までモニタリングした。 各ポイントは、6匹のマウス又は示されたマウス数のいずれかに関する、平均腫瘍サイズと95%信頼区間を表している。

    (B)抗腫瘍細胞溶解活性に対する作用。 脾細胞を、(A)のマウスから56日目に採取し、EL−4標的細胞に対するそれらの細胞溶解活性について試験した。 細胞傷害率(%)を、様々なエフェクター−対−標的細胞比(E:T比)に対してプロットした。 各ポイントは、6匹のマウス又は示されたマウス数から得られた平均細胞傷害率(%)を表している。 エラーバーは、95%信頼区間を表す。 (C)腫瘍細胞アポトーシスに対する作用。 切片を、(A)の腫瘍から56日目に調製し、かつ末端デオキシヌクレオチジル転移酵素仲介性デオキシウリジン三リン酸−ジゴキシゲニンニック末端標識(TUNEL)法により、及び同じくアネキシン−V−フルオレセイン(fluos)法により染色した。 腫瘍切片のTUNEL又はアネキシン−V−フルオレセイン染色により検出されたアポトーシス細胞の数を、×40倍の観察で10の無作為に選択された視野について決定した。 アポトーシス指数(A/I)は、アポトーシス(TUNEL又はアネキシン−V−フルオレセイン陽性)細胞の数×(100/細胞総数)である。 バーは、95%信頼区間を示す。 (D)腫瘍血管新生に対する作用。 切片は、(A)のマウスから56日目に調製し、抗CD31 mAb MEC13.3又は抗CD105 mAbのいずれかで染色し、血管を可視化するか、あるいは、血流を可視化するために、組織採取の1分前に、DiO7を尾静脈に注射した。 染色した血管は、6つの盲検的に選択したランダム視野において、6匹のマウスからカウントした。

    図4は、α脂質粉末(Phospholac 600(商標))及びスフィンゴミエリンは、腫瘍の成長を阻害することを示す、6つのグラフである。 マウスには、AIN93G対照食(A)、又はある割合の脂肪又はタンパク質を、Lf+(B)、Phospholac 600(商標)(C)、スフィンゴミエリン(D)のいずれかで置換した同一食を給餌した。 直交するふたつの直径(cm)により測定した腫瘍サイズを、各個別のマウスについて、時間に対してプロットしている。 x−軸上の時間スケールは、線形ではない。

    図4は、α脂質粉末(Phospholac 600(商標))及びスフィンゴミエリンは、腫瘍の成長を阻害することを示す、6つのグラフである。 マウスには、ある割合の脂肪又はタンパク質を、Lf+とPhospholac 600(商標)の組合せ(E)、又はLf+とスフィンゴミエリンの組合せ(F)のいずれかで置換した同一食を給餌した。 直交するふたつの直径(cm)により測定した腫瘍サイズを、各個別のマウスについて、時間に対してプロットしている。 x−軸上の時間スケールは、線形ではない。

    図5は、乳脂肪は、原発性乳癌腫瘍の成長を抑制することを示すグラフである。 Balb/cマウスを、乳脂肪食又は対応する対照食に配置した。 2週間後、4T1腫瘍細胞2×10

    4個のマウスの右側腹部への皮下注射により、腫瘍が確立された。 腫瘍が直径0.5cmに達した時点で、パクリタキセルを腹腔内投与した。 マウスは、腫瘍成長についてモニタリングし、腫瘍サイズを3日毎に測定した。 *対照食を給餌したマウスに対する有意差(P<0.05)。 #対照食を給餌しパクリタキセルで処置したマウスに対する有意差(P<0.05)。

    図6は、乳脂肪は、肺に転移する乳癌腫瘍の成長を抑制し、パクリタキセルの作用を増強することを示すグラフである。 図5のマウスを、35日目に安楽死させ、それらの肺を摘出した。 対照食、対照食とパクリタキセル処置、乳脂肪食、又は乳脂肪食とパクリタキセル処置のいずれかを給餌したマウスからの肺の表面上の転移性腫瘍の数をカウントし、かつ平均数±SEMとして表した。 *対照食を給餌したマウスに対する有意差(P<0.05)。 #対照食を給餌しパクリタキセルで処置したマウスに対する有意差(P<0.05)。

    図7は、乳脂肪は、肝臓に転移する乳癌腫瘍の成長を抑制し、パクリタキセルの作用を増強することを示すグラフである。 図5のマウスを、35日目に安楽死させ、それらの肝臓を摘出し、切片とし、ヘマトキシリン/エオシンで染色した。 対照食、対照食とパクリタキセル処置、乳脂肪食、又は乳脂肪食とパクリタキセル処置のいずれかを給餌したマウスからの肝臓内側の転移性腫瘍の数を、カウントし、かつ平均数±SEMとして表した。 *対照食を給餌したマウスに対する有意差(P<0.05)。 #対照食を給餌しパクリタキセルで処置したマウスに対する有意差(P<0.05)。

    図8は、乳脂肪は、腫瘍血管新生を阻害することを示す2つのグラフである。 図5のマウスから4T1腫瘍を摘出し、切片とし、抗CD31 mAbにより染色し、血管内皮細胞を同定した。 抗CD31 mAb染色血管を、盲検的に選択したランダム視野でカウントし、平均血管密度(A)、又はアレイポイントから最も近いCD31 mAb標識血管の距離の中央値(B)を記録した。 エラーバーは、±SEMを表す。 *対照食を給餌したマウスに対する有意差(P<0.05)。 #対照食を給餌しパクリタキセルで処置したマウスに対する有意差(P<0.05)。

    図9は、乳脂肪は、化学療法が誘導した腸管損傷に対し保護することを示す2つのグラフである。 図5のマウスを、35日目に安楽死させ、それらの空腸を摘出し、切片とし、ヘマトキシリン/エオシンで染色した。 (A)空腸絨毛の長さの平均(±SEM)。 (B)γ−GGT活性の平均(±SEM)。 *対照食を給餌したマウスに対する有意差(P<0.05)。 #対照食を給餌しパクリタキセルで処置したマウスに対する有意差(P<0.05)。

    図10は、乳脂肪は、腸管細胞の化学療法が誘導したアポトーシスを防止することを示すグラフである。 図9のように空腸を、TUNEL法により染色した。 アポトーシス体を、10のランダムに選択した腺窩からカウントし、1腺窩あたりのアポトーシス体(平均±SEM)として表した。 *対照食を給餌したマウスに対する有意差(P<0.05)。 #対照食を給餌しパクリタキセルで処置したマウスに対する有意差(P<0.05)。

    図11は、実施例14に説明されたように、乳脂肪は、化学療法に起因した体重減少を阻害することを示す3つのグラフである。 (A)食餌中の乳脂肪は、健常マウスにおいて体重を有意に増加しない。 マウスは、AIN93G対照食、又はある割合の脂肪を70%、25%、又は5%乳脂肪のいずれかで置換した同一食を、化学療法前に4週間給餌した。 この4週間の最後に、マウスの平均体重を記録した(実際の数字は、バーの上に示した)。 (B、C)食餌中の乳脂肪は、化学療法に起因した体重減少を防止し、体重増加を加速する。 前記食餌で4週間経過後、(A)のマウスに、シクロホスファミド300mg/kgを注射した。 体重の変化率(%)を、4日後(B)及び12日後(C)に記録し、最初の体重と比較した。 対照食と比較し、***P<0.001及び**P<0.01。

    図12は、実施例15に説明されたように、高投与量の乳脂肪は、化学療法に起因した末梢WBCの喪失を阻害することを示すグラフである。 末梢WBCカウントは、図11のマウスについて、シクロホスファミドの注射日、並びに4、8及び12日後に、記録した。

    図13は、実施例15に説明されたように、乳脂肪は、化学療法に起因した脾細胞充実性の喪失を阻害し、かつ脾細胞充実性の再生を加速させることを示すふたつのグラフである。 (A)乳脂肪は、脾細胞充実性の喪失を防止する。 乳脂肪は、化学療法前に4週間マウスに給餌した場合、脾細胞充実性に対し作用を有さなかった。 対照食と比べ、脾細胞充実性喪失の有意な阻害は、3種全ての乳脂肪食により化学療法後4日目に、70%及び25%乳脂肪食により8日目に、並びに70%乳脂肪食により12日目に達成された。 (B)乳脂肪は、脾臓コロニー形成単位の形成を刺激する。 対照食と比べ、脾臓コロニー形成単位の形成の有意な刺激は、3種全ての乳脂肪食により化学療法後8日目に達成されたのに対し、12日目までに、乳脂肪食により形成された前駆細胞は最早必要でないので、この状況は逆転した。 *対照食を給餌したマウスに対する有意差(P<0.05)。

    図14は、実施例16に説明されたように、乳脂肪食は、貧血の局面を軽減することを示す3つのグラフである。 心臓試料中のRBCカウント、HCTレベル、及びヘモグロビンレベルを、図11のマウスについて、シクロホスファミドの注射日、並びに4、8及び12日後に記録した。 (A)乳脂肪食は、RBCカウントを増加したが、この結果は有意ではない。 (B)乳脂肪食は、HCTレベル(RBC量)を増加した。 ふたつの乳脂肪最高投与量は、HCTレベルを8及び12日目に有意に増加した。 (C)乳脂肪食は、ヘモグロビンレベルを増加した。 ふたつの乳脂肪最高投与量は、ヘモグロビンレベルを12日目に有意に増加し、25%乳脂肪食も、ヘモグロビンレベルを8日目に増加した。

    図15は、実施例17に説明されたように、乳脂肪食は、小腸への損傷を防ぐことを示すグラフである。 空腸の絨毛の長さを、図11のマウスについて、シクロホスファミドの注射日、並びに4、8及び12日後に記録した。

    図16は、小腸に対するシクロホスファミドが媒介した損傷に続く、小腸絨毛の回復を示すグラフである。 マウスには、4種の食餌(対照食、並びに0.025%Lf+、乳脂肪、及び0.025%Lf+と乳脂肪の組合せで置換した食餌)のひとつを給餌し、空腸絨毛の長さを、シクロホスファミドの注射日、並びに4、8及び12日後に記録した。 8日目に、乳脂肪と0.025%Lf+の組合せに関する平均絨毛長は、乳脂肪単独又は0.025%Lf+単独のものよりも有意に大きく、相乗作用の証拠を提供している。

    図17は、WBCカウントは、乳脂肪、0.025%Lf+、又はそれらの組合せを含有する食餌を給餌したマウスの方が、対照食を給餌したマウスよりも、シクロホスファミド化学療法後により迅速に回復したことを示すグラフである。 WBCカウントは、図16のマウスからの心臓血液試料について、シクロホスファミドの注射日、並びに4、8及び12日後に記録した。 乳脂肪と0.025%Lf+の組合せに関する4日目から8日目の間のWBCカウントの増加は、乳脂肪単独又は0.025%Lf+単独よりも有意に大きく、相乗作用の証拠を提供している。

    図18は、RBCカウントは、乳脂肪、0.25%Lf+、又はそれらの組合せを含有する食餌を給餌したマウスの方が、対照食を給餌したマウスよりも、シクロホスファミド化学療法後により迅速に回復したことを示すグラフである。 RBCカウントは、図16のマウスからの心臓血液試料について、シクロホスファミドの注射日、並びに4、8及び12日後に記録した。 12日目に、乳脂肪と0.25%Lf+の組合せに関するRBCカウントは、乳脂肪単独又は0.25%Lf+単独よりも有意に大きく、相乗作用の証拠を提供している。

    図19は、HCTは、乳脂肪、0.25%Lf+、又はそれらの組合せを含有する食餌を給餌したマウスの方が、対照食を給餌したマウスよりも、シクロホスファミド化学療法後により迅速に回復したことを示すグラフである。 HCT(RBC量)は、図16のマウスからの心臓血液試料について、シクロホスファミドの注射日、並びに4、8及び12日後に記録した。 12日目に、乳脂肪と0.25%Lf+の組合せに関するHCTは、乳脂肪単独又は0.25%Lf+単独よりも有意に大きく、相乗作用の証拠を提供している。

    図20は、ヘモグロビンは、乳脂肪、0.25%Lf+、又はそれらの組合せを含有する食餌を給餌したマウスの方が、対照食を給餌したマウスよりも、シクロホスファミド化学療法後により迅速に回復したことを示すグラフである。 ヘモグロビンは、図16のマウスからの心臓血液試料について、シクロホスファミドの注射日、並びに4、8及び12日後に記録した。 12日目に、乳脂肪と0.25%Lf+の組合せに関するヘモグロビンは、乳脂肪単独又は0.25%Lf+単独よりも大きい。 0.25%Lf単独との比較は、有意であった。

    図21は、乳脂肪は、Lf+を伴う又は伴わない乳脂肪を含有する食餌を給餌したマウスについて、シクロホスファミド化学療法後に、体重が増加することを示すグラフである。 体重は、図16のマウスにおいて、シクロホスファミドの注射日、並びに4、8及び12日後に記録した。 全ての日の記録が集められた時点で、乳脂肪を補給した任意のマウスの体重は、乳脂肪を補給しなかった群よりも有意に大きかった。

    1. 定義
    用語「無水乳脂肪」及び「AMF」は、本明細書において互換的に使用され、クリームの転相によるか、又は溶融バターから作成された乳脂肪画分をいう。 乳脂肪は、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、マウス、水牛、ラクダ、ヤク、ウマ、ロバ、ラマ又はヒト乳脂肪を含むが、これらに限定されるものではない、任意の哺乳類の乳脂肪であることができ、牛乳脂肪が好ましい給源である。 AMFの調製に使用される一般的方法は、Bylundの文献(編集, 1995)において明らかにされており、その全体は本明細書に組入れられている。 好ましいAMFは、典型的には脂肪が約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約95%より多い、約96%、約97%、約98%、約99%、約99.5%、又は100%であり、脂肪約99%、脂肪99.5%以上であるAMFが、より好ましい。 AMFは、「硬質」(H)画分及び「軟質」(S)画分に更に分画されることが多く、「軟質」画分は更に、「軟硬質」(SH)画分及び「軟軟質」(SS)画分に分画され、「軟軟質」画分は、「軟軟硬質」(SSH)画分及び「軟軟軟質」(SSS)画分に更に分画することができる。 理解されるように、各画分は、脂肪酸組成が異なる。 AMF及び誘導画分の脂肪酸組成の非限定的例は、下記表1から5に示されている。

    用語「抗腫瘍食品因子」、「抗腫瘍食品」及び「抗腫瘍食品成分」は、腫瘍形成又は成長を阻害することが可能であり、かつ好ましくは腫瘍形成又は成長を阻害する乳脂肪及び/又はラクトフェリンの能を増強することが可能である、食品及び食品成分をいう。

    用語「抗腫瘍因子」は、少なくともアポトーシス誘導因子をいい、かつ抗腫瘍細胞溶解抗体及び殺腫瘍性サイトカイン、例えばTNF−αを含むことができる。

    用語「抗腫瘍免疫応答」は、乳脂肪又はラクトフェリンの、抗原−特異的細胞溶解活性(免疫細胞、特に細胞傷害性Tリンパ球の活性)及び/又はNK細胞活性の生成を刺激し、抗原に対する細胞性免疫応答改善し(少なくとも細胞傷害性Tリンパ球の活性を通じて)、免疫防御を改善し(少なくとも細胞傷害性Tリンパ球及び/又はNK細胞の活性の回復、並びにサイトカイン産生の増強により)、免疫防御を回復し(少なくとも細胞傷害性Tリンパ球の活性及び/又はNK細胞活性の回復又は刺激、並びにサイトカイン産生の増強により)、前炎症メディエーター及び免疫調節メディエーター(Th1及びTh2サイトカイン)の産生、並びに/又は抗腫瘍細胞溶解抗体及び殺腫瘍サイトカイン、例えばTNF−αの産生の能力をいう。

    用語「悪液質治療薬」及びその文法上の変形の悪液質治療薬は、悪液質を逆行、遅延又は停止し、又は対象における進行性の体重減少(脂肪分解に起因した体重減少及び筋変性に起因した体重減少を含む)、貧血、浮腫、及び食欲不振を含む、悪液質の症状の1又は2以上を軽減する活性を有することが可能である物質を意味する。 悪液質治療薬は、シクロオキシゲナーゼ阻害剤(例えばインドメタシン)、例えばプレドニソロン、メチルプレドニゾロン、及びデキサメタゾンなどのコルチコステロイド及び糖質コルチコイド、例えば酢酸メゲストロール、酢酸メドロキシプロゲステロンなどの黄体ホルモン薬、例えばテトラヒドロカンナビノール及びドロナビノールなどのカンナビノイド、例えばシプロヘプタジンなどのセロトニンアンタゴニスト、例えばメトクロプラミド及びシサプリドなどの運動促進薬、例えばデカン酸ナンドロロン及びフルオキシメステロンなどのアナボリックステロイド、例えば硫酸ヒドラジンなどのホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼの阻害薬、例えばペントキシフィリン及びリソフィリンなどのメチルキサンチン類似物、サリドマイド、例えば抗IL−6抗体、IL−12などのサイトカイン及び抗サイトカイン、分枝鎖アミノ酸、例えばエイコサペンタン酸などの脂質代謝改善薬、例えばインドメタシン及びイブプロフェンなどのプロスタグランジン合成の阻害薬、例えばメラトニンなどのホルモン、例えばクレンブテロール、メトクロプラミドなどのβ2−アドレナリン受容体遮断薬、成長ホルモン、IGF−1、並びに悪液質誘導因子であるTNF−α、LIF、IL−6、及びオンコスタチンMに対する抗体を含む。

    用語「粘膜炎治療薬」は、裂創(alcelation)のような腸の損傷を改善し、又は粘膜炎を逆行、遅延又は停止し、又は粘膜炎の症状を緩和する活性を有することが可能である作用物質を意味する。

    本明細書において使用される用語「含んでなる」は、「少なくとも一部がなる」ことを意味する。 この用語を含む本明細書における陳述を解釈する場合、各陳述においてこの用語により始められた特徴は、全て存在することが必要であるが、他の特徴も存在することができる。 「含む」及び「含まれる」などの関連する用語も、同じように解釈されるべきである。

    「有効量」は、治療効果をもたらすのに必要な量である。 動物及びヒトに関する用量相関(体表1m 2あたりのmg数を基にした)は、Freireichらの論文(1966)により説明されている。 体表面積は、対象の身長及び体重からおおよそ決定することができる。 例えば、「Scientific Tables, Geigy Pharmaceuticals」、Ardley、ニューヨーク、1970, 537を参照のこと。 有効量は、当業者により認められるように、投与経路、使用される賦形剤などによっても変動する。

    用語「免疫系を増強する」及び「免疫系を刺激する」(及びこれらの用語の様々な時制)は、乳脂肪の、抗原特異的細胞溶解活性(免疫細胞、特に細胞傷害性Tリンパ球の活性)及び/又はNK細胞活性の発生を刺激するか、抗原に対する細胞性免疫応答を改善するか(少なくとも細胞傷害性Tリンパ球の活性を通じて)、免疫防御を改善するか(少なくとも細胞傷害性Tリンパ球及び/又はNK細胞の活性の回復、並びにサイトカイン産生の増強により)、免疫防御を回復するか(少なくとも細胞傷害性Tリンパ球の活性及び/又はNK細胞活性の回復又は刺激、並びにサイトカイン産生の増強により)、又は前炎症メディエーター及び免疫調節メディエーター(Th1及びTh2サイトカイン)を生成する、能力をいう。

    用語「機能的ラクトフェリン断片」は、下記実施例に従いアッセイされた場合に活性を有し、かつ金属イオン機能断片を含む、ラクトフェリンポリペプチドの天然又は非天然の一部分を意味することが意図されている。 有用なラクトフェリン断片は、切断型ラクトフェリンポリペプチド、ラクトフェリンの金属イオン結合している加水分解物、Nローブ金属イオン結合ポケットを含む断片、Cローブ金属イオン結合ポケットを含む断片、及び(人工又は天然のプロセスにより)作製されかつ以下に考察されるような公知の技術により同定された金属イオン結合断片を含む。 公開された国際特許出願WO 2006/054908及びWO 2007/043900は、ラクトフェリン断片の調製及び使用を開示しており、これらは参照により本明細書に組入れられている。

    用語「機能的ラクトフェリン変種」は、下記実施例に従いアッセイされた場合に活性を有し、かつ金属イオン機能変種を含む、ラクトフェリンポリペプチドの変種を意味することが意図されている。

    用語「グリコシル化された」は、ラクトフェリンポリペプチド、機能変種又は機能断片に関連して使用される場合、ラクトフェリンは、天然又は非天然のヒト又はウシのグリコシル基により完全に又は部分的にグリコシル化されていることを意味することが意図されている。 ラクトフェリンのグリコシル化型及び無グリコシル(aglycosyl)型が公知である(Pierceら、(1991);Metz-Boutigueら、(1984);van Veenら、(2004)を参照のこと)。

    用語「造血薬」は、血液生成及び/又はリンパ球生成を調節すること、好ましくは刺激することが可能である作用物質を意味し、かつ赤血球、リンパ球又は骨髄細胞などの血液細胞の数を増加することによるか、又はヘモグロビンのレベルを増加することによるかのいずれかにより、血液の質を改善する作用物質を含む。 好ましい造血薬は、貧血の治療において有用である。 造血薬の例は、造血因子、リンパ球形成因子、及び骨髄増殖因子並びに組換え同等物、例えばエポエチンαを含むエリスロポエチン、トロンボポエチン、IL−1−12、IL−20サルグラモスチム(LEUKINE)を含む顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、単球/マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF又はCSF−1)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、フィルグラスチム(NEUPOGEN)を含む顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、幹細胞因子(SCF)、FTL−3リガンド(FL)、鉄及び鉄塩、例えば硫酸鉄、フマル酸第一鉄、グルコン酸第一鉄、エデト酸第二鉄、鉄デキストラン、ナトリウムグルコン酸第二鉄錯体(FERRLECIT)など、ピリドキシン、リボフラビン、B12、及び葉酸を含むビタミンを含む。 同じく「Goodman & Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics」第10版、Harman JG及びLimbird LE編集、McGraw-Hill、ニューヨーク、第54章「Hematopoietic Agents: Growth Factors, Minerals, and Vitamins」pp1487-1517も参照のこと。

    用語「対象の反応性を増大させる」は、対象が、腫瘍成長の速度、腫瘍サイズ、又は疾患の臨床症状において、本発明の方法が施されない対象よりも、より大きい低下を示すことを意味することが意図されている。 一実施態様によれば、治療された対象は、回復されたビタミン状態、短縮された化学療法の時間、減量された化学療法の実施量、増大された免疫体力、増加された栄養上の健康、軽減された悪液質、軽減された粘膜炎、軽減された貧血、軽減された血液学的抑制、又は増大された造血の1又は2以上からの恩恵もある。

    用語「腫瘍の感受性の増大」は、本発明の方法が施されていない腫瘍は作用を示さないのに対し、腫瘍が、腫瘍成長の速度、腫瘍サイズにおけるより大きい低下を示すか、又は根絶されていることを意味することが意図されている。

    用語「免疫療法薬」は、抗腫瘍免疫学的活性を刺激する作用物質を意味することが意図されており、同じく本願明細書において、抗腫瘍免疫及び抗腫瘍免疫応答(類)とも称す。 抗腫瘍免疫学的活性を刺激する作用物質は、好ましくはT細胞及び/又はNK細胞を腫瘍細胞を殺傷するように直接的又は間接的に刺激するものである。 選択された作用物質が抗腫瘍免疫学的活性を刺激するかどうかを評価するインビトロアッセイの例は、以下に説明されるCTLアッセイである。

    用語「腫瘍形成を阻害する」は、腫瘍は形成されないこと、又は腫瘍は形成されるが確立又は成長しないこと、又は腫瘍は形成されるが依然小さく、良性であり、癌とならないか又は転移しないこと、又は腫瘍がより緩徐に成長することを意味することが意図されている。 腫瘍形成は、CTスキャン及び入手可能な場合は腫瘍マーカーによりモニタリングされてよい。

    用語「腫瘍成長の阻害」は、腫瘍が本発明に従い治療された対象において形成されないこと、又は本発明に従い治療された対象において存在し得る1又は2以上の腫瘍が、サイズが成長しないか又は癌とならないか又は転移しないこと、又は本発明に従い治療された対象において存在する1又は2以上の腫瘍のサイズが縮小する(好ましくは少なくとも約20、30、40、50、60、70、80、90又は100容量%まで)こと、又は本発明に従い治療された対象において存在する1又は2以上の腫瘍が根絶されることを意味することが意図されている。 腫瘍サイズは、CTスキャン及び入手可能な場合は腫瘍マーカーによりモニタリングされてよい。

    本明細書において使用される用語「鉄ラクトフェリン」及び「鉄飽和型ラクトフェリン」は、その集団に存在する金属イオン結合ポケットの少なくとも約25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、99.5、99.9又は100%が結合した鉄イオンを有している鉄−結合ポケットの集団を提供する、ラクトフェリンポリペプチドの集団をいうことが意図されている。

    用語「ラクトフェリンポリペプチド」は、グリコシル化されない又はグリコシル化された野生型ラクトフェリンアミノ酸配列、又は以下に説明されるもののような他の種由来の相同のラクトフェリン配列をいう。 ラクトフェリンポリペプチドは、ふたつの金属イオンが結合しているポケットを有し、そのため1ラクトフェリン分子につき2金属イオンの化学量論的な比で金属イオンに結合することができる。 一方の金属イオン結合ポケットは、ラクトフェリンのN末端ローブ(Nローブ)に存在し、他方のポケットは、C末端ローブ(Cローブ)に存在する(Mooreら、1997)。 ウシ及びヒトのラクトトランスフェリン(ラクトフェリン前駆体)、ラクトフェリン及びそれらのペプチドの証明された配列は、Swiss-Prot (http://au.expasy.org/cgi-bin/sprot-search-ful)において認めることができる。 指標となるラクトフェリンポリペプチドは、寄託番号P24627のウシラクトトランスフェリン前駆体、ウシラクトフェリン、寄託番号P02788のヒトラクトトランスフェリン前駆体、及びヒトラクトフェリンである。 公開された国際特許出願WO 2006/054908及びWO 2007/043900は、ラクトフェリンポリペプチドの調製及び使用並びにそれらのアミノ酸配列を開示しており、各出願は参照により本明細書に組入れられている。 ラクトフェリンポリペプチドは、「自然」レベルで金属イオン、典型的には鉄イオンに結合することができる。 例えばウシラクトフェリンは、天然に約10%〜20%(好ましくは15%)鉄飽和されている。 少なくとも1%金属イオン飽和のアポラクトフェリン及びラクトフェリンが、本明細書において有用である。

    用語「大型腫瘍」は、少なくとも1種の免疫療法薬、抗血管新生薬又は化学療法薬のひとつによる療法に対し難治性であるか、好ましくは少なくとも1種の免疫療法薬又は化学療法薬の少なくとも1種による療法に対し難治性である腫瘍を意味することが意図されている。 一実施態様によれば、大型腫瘍は、直径が少なくとも約0.3、0.4、0.5、0.6、0.7又は0.8cmである腫瘍である。 一実施態様によれば、大型腫瘍は、直径が約0.3〜約0.8、約0.4〜約0.8、約0.5〜約0.8、約0.6〜約0.8、又は約0.7〜約0.8cmである腫瘍である。 一実施態様によれば、大型腫瘍は、免疫療法又は抗血管新生療法又は化学療法による療法に対し難治性である腫瘍である。

    用語「金属イオン結合している」は、ラクトフェリンポリペプチドの鉄結合ポケット中の、又は依然鉄結合ポケットを形成することができるラクトフェリンポリペプチドの断片の鉄結合ポケット中の、金属イオンの結合をいうことが意図されている。

    用語「金属イオンラクトフェリン」及び「金属イオン飽和型ラクトフェリン」は、その集団に存在する金属イオン結合ポケットの少なくとも約25%が結合された金属イオンを有するような金属イオン結合ポケットの集団を提供するラクトフェリンポリペプチドの集団をいうことが意図されている。 この集団は、例えば、一部の分子はイオンに結合せず、かつ他のものは各々1個又は2個のイオンに結合している、異なる種類のポリペプチドを含むことができることは理解されなければならない。 異なる金属イオンが使用される場合、一部の分子は、例えば、アルミニウム、ビスマス、銅、クロム、コバルト、金、鉄、マンガン、オスミウム、白金、ルテニウム、亜鉛イオン、又はラクトフェリン金属イオン結合ポケット中に特異的に配位する他のイオンを含んでなる群から選択された金属イオンに結合することができ、その他の分子は、異なるイオンに結合することができる。 場合によっては、この集団は、非特異的イオン結合に関与しているポリペプチドを含むことができ、ここで1又は2以上のイオン、好ましくは金属イオンは、非特異的に結合され、すなわち金属イオン結合ポケットにおいて、このポリペプチドには結合されていない。 ラクトフェリンポリペプチドに非特異的に結合されることができるイオンの非限定的例は、カルシウム及びセレンである。

    同様に、用語「金属イオンラクトフェリン断片」及び「金属イオン飽和型ラクトフェリン断片」は、その集団に存在する金属イオン結合ポケットの少なくとも約25%が結合された金属イオンを有するような金属イオン結合ポケットの集団を提供するラクトフェリンポリペプチド断片の集団をいうことが意図されている。

    本発明は、ラクトフェリンポリペプチド及びラクトフェリン断片の混合物を利用することができる。 そのような実施態様によれば、金属イオン結合ポケットの集団は、ラクトフェリンポリペプチド毎に2個のポケット、及びラクトフェリン断片毎に断片の性質に応じて1又は2個のポケットで作製される。

    飽和度は、分光光度分析により決定することができる(Brock及びArzabe、1976;Batesら、1967;Batesら、1973)。 ラクトフェリンポリペプチド間で金属イオン交換が存在し得ることは理解されなければならない。 一実施態様において鉄飽和型ラクトフェリンは、Lawらの論文(1977)の方法により調製することができる。 別の実施態様によれば、鉄飽和型ラクトフェリンは、Kawakamiらの論文(1993)の方法により調製することができる。 金属イオン飽和型ラクトフェリンは、Fe結合ポケットのような金属イオン結合ポケットを含むラクトフェリン中の金属イオン結合部位、及びラクトフェリン分子又はラクトフェリン断片上の他の非特異的結合部位への、金属イオンの結合により調製することができる。

    一実施態様によれば、ラクトフェリン分子の集団中に存在する金属イオン結合ポケットの少なくとも約25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、99.5、99.9又は100%は、結合された金属イオンを有し、かつ有用な範囲は、前述の値のいずれかの間から選択されてよい(例えば、約25〜約100%、約30〜約100%、約35〜約100%、約40〜約100%、約45〜約100%、約50〜約100%、約55〜約100%、約60〜約100%、約65〜約100%、約70〜約100%、約75〜約100%、約80〜約100%、約85〜約100%、約90〜約100%、約95〜約100%、及び約99〜約100%)。 一実施態様によれば、金属イオンラクトフェリンは、過飽和されたラクトフェリンである。

    用語「金属イオンラクトフェリン機能断片」は、1又は2個の金属イオン結合ポケットを有し、かつ下記実施例に従いアッセイされた場合に活性を有する、ラクトフェリンポリペプチドの天然又は非天然の部分を意味することが意図されている。 有用なラクトフェリン断片は、切断型ラクトフェリンポリペプチド、ラクトフェリンの金属イオン結合している加水分解物、Nローブ金属イオン結合ポケットを含む断片、Cローブ金属イオン結合ポケットを含む断片、及び(人工の又は天然のプロセスにより)作製されかつ以下に考察されるような公知の技術により同定された金属イオン結合断片を含む。

    用語「乳脂肪」は、哺乳類の脂質及び脂質画分、脂質加水分解物、及び脂質画分加水分解物を含む。 好ましい乳脂肪は、酪農品脂肪、特に牛乳脂肪である。 好ましい乳脂肪は、最も豊富に存在する脂肪酸(類)として、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、又はミリスチン酸の1又は2以上を有し、好ましくはパルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸及びミリスチン酸が最も豊富に存在する脂肪酸である。 特に好ましい実施態様によれば、乳脂肪は、a)通常の牛乳脂肪と実質的に同じ重量%のパルミチン酸(約23重量%〜約32重量%、典型的には約28重量%−表1.2、PF Fox及びPLH McSweeney編集の著書参照、「Advanced Dairy Chemistry Volume 2-Lipids」第3版、Springer NY, NY (2006) ISBN-10:0-387-26364-0);b)通常の牛乳脂肪と実質的に同じ重量%のオレイン酸(約15重量%〜約22重量%、典型的には約17重量%−Fox及びMcSweenyの前掲書参照);c)通常の牛乳脂肪と実質的に同じ重量%のステアリン酸(約10重量%〜約15重量%、典型的には約12重量%−Fox及びMcSweenyの前掲書参照);d)通常の牛乳脂肪と実質的に同じ重量%のミリスチン酸(約9重量%〜約12重量%、典型的には約11重量%−Fox及びMcSweenyの前掲書参照);e)通常の牛乳脂肪と実質的に同じ重量%の酪酸(約3重量%〜約5重量%、典型的には約4重量%−Fox及びMcSweenyの前掲書参照);f)前記a)、b)、c)、d)、又はe)のいずれか2つ;g)前記a)、b)、c)、d)、又はe)のいずれか3つ;h)前記a)、b)、c)、d)、又はe)のいずれか4つ;i)前記a)、b)、c)、d)、又はe)の各々を有する。 無水乳脂肪(AMF)が好ましく、特に通常の牛乳脂肪と実質的に同じ重量%のパルミチン酸、オレイン酸及びステアリン酸組成を有するAMFが好ましく、普通の牛乳脂肪と実質的に同じ脂肪酸組成であるものがより好ましい(Fox及びMcSweenyの前掲書参照)。

    用語「乳脂肪類似物」は、最も豊富に存在する脂肪酸(類)としてパルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、又はミリスチン酸の1又は2以上を提供するように配合されている、植物油、動物油又は海洋生物油の任意の組合せを含み、好ましくはパルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸及びミリスチン酸が最も豊富に存在する脂肪酸であり、その結果この乳脂肪類似物は、a)通常の牛乳脂肪と実質的に同じ重量%のパルミチン酸(約23重量%〜約32重量%、典型的には約28重量%−Fox及びMcSweenyの前掲書参照);b)通常の牛乳脂肪と実質的に同じ重量%のオレイン酸(約15重量%〜約22重量%、典型的には約17重量%−Fox及びMcSweenyの前掲書参照);c)通常の牛乳脂肪と実質的に同じ重量%のステアリン酸(約10重量%〜約15重量%、典型的には約12重量%−Fox及びMcSweenyの前掲書参照);d)通常の牛乳脂肪と実質的に同じ重量%のミリスチン酸(約9重量%〜約12重量%、典型的には約11重量%−Fox及びMcSweenyの前掲書参照);e)通常の牛乳脂肪と実質的に同じ重量%の酪酸(約3重量%〜約5重量%、典型的には約4重量%−Fox及びMcSweenyの前掲書参照);f)前記a)、b)、c)、d)、又はe)のいずれか2つ;g)前記a)、b)、c)、d)、又はe)のいずれか3つ;h)前記a)、b)、c)、d)、又はe)のいずれか4つ;i)前記a)、b)、c)、d)、又はe)の各々を有する有する。 好適な油分は、食用油又は料理用油を含むことができ、これはパーム油、オリーブ油、大豆油、キャノーラ油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、ベニバナ油、ピーナツ油、グレープシード油、ゴマ油、堅果油、アーモンド油、カシューナッツ油、ヘーゼルナッツ油、マカダミアナッツ油、ピーカン油、ピスタチオ油、及びクルミ油、その他の食用油で、アサイー油、アマランス油、アプリコット油、アルガン油、アーティチョーク油、アボカド油、ババス油、ベン油、カシス種子油、ルリジサ種子油、ボルネオタローナッツ(borneo tallow nut)油、ヒョウタン油、バッファローゴーアド油、イナゴマメ(アルガローバ)油、コフネヤシ油、コリアンダー種子油、月見草油、アマナズナ油、ヘンプ油、カポック種子油、ラレマンティア油、メドウフォームシード油、マスタード油、オクラ種子(ハイビスカス種子)油、エゴマ種子油、ペキ油、松の実油、ケシ種子油、プルーンカーネル油、カボチャ種子油、キヌア油、ニガー種子油、米糠油、茶(ツバキ)油、アザミ油、スイカ種子油、及びコムギ胚芽油を含むもの、海洋生物油で、甲殻類、魚類、アンチョビー、バイカル(baikal)、ブローター、クジラ(cacha)、コイ、ウナギ、ユーラカン、ニシン、ホキ、ヒルサ、ギンガメアジ、カトラ、キッパー(kipper)、サバ、オレンジラッフィー、パンガス、ピルチャード、ギンダラ、サケ、イワシ、サメ、スプラット、マス、マグロ、シラス、及びメカジキの油を含むもの、並びにそれらのいずれか2種以上の組合せを含む。

    用語「経口投与」は、経口、口腔内、腸内及び胃内の投与を含む。

    用語「経口的投与」は、局所(真皮、表皮又は粘膜表面のいずれかへの投与を含む)、皮下、静脈内、腹腔内、筋肉内及び腫瘍内(腫瘍への直接投与を含む)投与を含むが、これらに限定されるものではない。

    用語「医薬として許容し得る担体」は、本発明の組成物の成分として対象に投与することができる賦形剤、希釈剤又は助剤を含むが、これらに限定されるものではない担体をいうことが意図されている。 好ましい担体は、本組成物の活性を低下することなく、かつ乳脂肪、乳脂肪誘導体又は例えばシス−9,トランス−11 CLA及びTVAを含むそれらの成分の有効量を送達するのに十分な投与量で投与される場合に、又はラクトフェリンポリペプチド又はそれらの機能変種又は機能断片を投与する場合に、無毒である。 これらの製剤は、経口、経鼻又は非経口投与することができる。

    用語「対象」は、動物、好ましくは哺乳類、より好ましくは哺乳類の伴侶動物又はヒトをいうことが意図されている。 好ましい伴侶動物は、ネコ、イヌ及びウマを含む。

    用語「過飽和されたラクトフェリン」は、結合ポケットの100%を満たすのに十分な金属イオンが利用可能である金属イオン結合ポケットの集団を提供し、並びに追加の金属イオンが存在しかつラクトフェリンポリペプチド又はラクトフェリン断片上の非特異的結合部位により結合されている、ラクトフェリンポリペプチド又は機能断片の集団をいう。 別の表現をすると、化学量論的に過剰な金属イオンが提供される。 好ましくは過飽和されたラクトフェリンを含有している本発明の組成物中に遊離の金属イオンは存在しないが、結合ポケット間、非特異的結合部位間、及び結合ポケットと非特異的結合部位の間の金属イオンの交換は起こり得る。 好ましくは過飽和されたラクトフェリンは、不溶性の凝集体を形成しない。 一実施態様によれば、過飽和されたラクトフェリンは、少なくとも約105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195又は200%金属イオン飽和され、好ましくは鉄飽和されている。 有用な飽和範囲は、約25〜約200%、約30〜約200%、約35〜約200%、約40〜約200%、約45〜約200%、約50〜約200%、約55〜約200%、約60〜約200%、約65〜約200%、約70〜約200%、約75〜約200%、約80〜約200%、約85〜約200%、約90〜約200%、約95〜約200%、及び約100〜約200%金属イオン飽和である。

    用語「治療する」及びその派生語は、それらの最も広範な可能な文脈で解釈されるべきである。 この用語は、対象は総体的に回復するまで治療されることを暗示すると解釈されてはならない。 従って「治療する」は広範に、対象の疾患進行又は症状を実質的に静的レベルで維持すること、対象の回復速度を速めること、症状の発生又は特定の状態の重症度の改善及び/又は予防すること、又は患者の生活の質を拡大することを含む。 用語「治療する」は広範に、感受性のある個人について良好な健康状態を維持すること及び疾患を予防する体力を構築することも含む。

    用語「変種」は、1個以上のアミノ酸の付加、欠失又は置換により、所与の種のラクトフェリンポリペプチド(以下に列記されたようなもの)又はそれらの断片の支配的な野生型アミノ酸配列から変動する、天然の(例えばアレル変種)又は非天然の(例えば、人工的に作出された変異体)ラクトフェリンポリペプチド又はラクトフェリン断片をいう。

    一般に、ポリペプチド配列変種は、下記実施例に従いアッセイした場合に、共通の定性的生物活性を有する。 更にこれらのポリペプチド配列変種は、少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を共有することができる。 用語「変種」の意味には、ラクトフェリンポリペプチドの相同体も含まれる。 相同体は典型的には、異なる種に由来するが、本明細書に開示された対応するポリペプチドと同じ生物学的機能又は活性を実質的に共有しているポリペプチドである。

    好ましい変種ポリペプチドは、参照により本明細書に組入れられている公開された国際特許出願WO 2006/054908及びWO 2007/043900に開示されたそれらの配列を含む、本明細書に説明されたラクトフェリン配列と、好ましくは少なくとも約70、75、80、85、90、95又は99%の同一性を有し、好ましくは少なくとも約90、95又は99%の同一性を有する。 変種断片は、公開された国際特許出願WO 2006/054908及びWO 2007/043900に開示されたそれらの配列を含む、本明細書に説明された断片と、好ましくは少なくとも約70、75、80、85、90、95又は99%の同一性を有し、好ましくは少なくとも約90、95又は99%の同一性を有する。 同一性は、NCBIから公に入手可能(ftp://ftp.ncbi.nih.gov/blast/)であるBLAST suiteプログラム(バージョン2.2.12;2005年8月28日)を使用し、候補アミノ酸配列を、ラクトフェリンポリペプチド又はそれらの断片のような、本明細書に説明された配列と比較することにより決定することができる。

    その生物活性に著しい変更を伴わないラクトフェリンポリペプチド配列の1個又は数個のアミノ酸の保存的置換も有用である。 当業者は、フェノタイピング的にサイレントのアミノ酸置換を作製する方法を知っているであろう(例えば、Bowieら、(1990)参照)。

    用語「ビタミンD」は、ビタミンD1[ルミステロール]、ビタミンD2[カルシフェロール又はエルゴカルシフェロール]、ビタミンD3[コレカルシフェロール]、ビタミンD4[22−ジヒドロエルゴカルシフェロール]及びビタミンD5[シトカルシフェロール]、並びにそれらのいずれか2種以上の混合物を含んでなる群から選択される1又は2以上のビタミンD化合物をいう。 用語「ビタミンD類似物」は、ビタミンD受容体(VDR)と結合しかつ活性化する任意の化合物をいう。 VDRは、転写因子として作用するリガンドで活性化された細胞内受容体であり、かつこれは、細胞周期のG0/G1期における停止を引き起こすことにより腫瘍細胞に対する抗増殖作用を発揮する遺伝子、IGF−1のような成長促進因子をダウンレギュレーションする遺伝子、トランスフォーミング増殖因子βのような負の成長レギュレーターをアップレギュレーションする遺伝子、腫瘍アポトーシスを引き起こす遺伝子、腫瘍血管新生を阻害する遺伝子及び転移を阻害する遺伝子を含むが、これらに限定されるものではない遺伝子のプロモーター領域/エンハンサー領域においてビタミンD反応エレメント(VDRE)に結合する。 VDR結合を評価するためのアッセイは公知であり;例えば、ビタミンDにより調節された遺伝子の発現を測定する免疫学的検定である。 従って候補ビタミンD類似物は、本発明に従う使用に関して、過度の実験を伴うことなく、容易に評価することができる。

    2. 酪農脂質及び脂質画分
    酪農脂質は、Fox及びMcSweeneyの論文(2006)により包括的に考察されており、これは参照により本明細書に組入れられている。 酪農脂質の画分は、「Dairy Processing Handbook」(1995)、及びIllingworthの論文(2002)、及びRombautらの論文(2006)において考察されており、これらは全て参照により本明細書に組入れられている。

    本発明に有用な酪農脂質画分の例は、クリーム、バター、無水乳脂肪(AMF)(典型的にはクリーム又はバターの転相により作製される)、バターミルク、バター漿液、硬質乳脂肪画分、軟質乳脂肪画分、スフィンゴミエリン画分、乳脂肪球膜画分、リン脂質画分、及び複合脂質画分、並びにそれらの組合せ、及びそれらの加水分解物を含む。

    乳脂肪の多段階分画は、分別結晶により実行することができる。 乳脂肪画分は、設定温度に加熱され、結晶化又は固形画分(「ステアリン」)及び液体画分(「オレイン」)は分離される。 多段階分画は、先行する分画工程の生成物の引き続きの工程における再分画をいう。

    他の分画方法は、転相、エステル交換、グリセロール分解、溶媒分画、超臨界分画、亜臨界分画、蒸留、遠心分離分画、懸濁液結晶化、乾燥結晶化、修飾剤(例えばセッケン又は乳化剤)による分画、及びこれらの方法の組合せを含む。

    本発明の組成物中に存在する脂質は、天然に、化学的に、酵素的に、又は例えばグリコシル化、シアル化、エステル化、リン酸化又は加水分解を含む、当該技術分野において公知の他の方法によるかのいずれかにより、完全に又は部分的に修飾され得る。

    脂質加水分解物は、非限定的に、酸加水分解、塩基加水分解、例えばFox及びMcSweeneyの論文((2006), 第15章、HC Deeth and CH Fitz-Gerald)に説明されたようなリパーゼを使用する酵素的加水分解、及び微生物発酵を含む、公知の技術を用い、調製することができる。 塩基加水分解のひとつの方法は、1%KOH(エタノール中)を添加し、10分間加熱することを含む。 加水分解された材料は、酢酸又は塩酸により中和することができる。

    乳脂肪球膜材料は、Kanno及びDong-Hyunの論文(1990)の酸性化法に従い単離され、Kannoらの論文(1975)により説明されたように、更にメタノールの添加により、複合脂質画分とリポタンパク画分に分画される。 リン脂質画分は、Purthiら(1970)の手順に従い、脂質混合物のアセトンによる抽出により単離することができる。 脂質残渣は、単純脂質のペンタンによる選択的抽出により、複合脂質中で更に濃厚化され得る。

    一実施態様によれば、乳脂肪は、任意にヒドロキシル、メチル、エチル及びプロピル基から選択された1又は2以上基により置換された、酪酸(C4:0)、カプロン酸(C6:0)、カプリル酸(C8:0)、カプリン酸(C10:0)、ラウリン酸(C12:0)、ミリスチン酸(C14:0)、パルミチン酸(C16:0)、パルミトレイン酸(C16:1)、ステアリン酸(C18:0)、オレイン酸(C18:1シス−9;シス−9−オクタデセン酸)、エライジン酸(C18:1トランス−9;トランス−9−オクタデセン酸)、バクセン酸(C18:1トランス−11;トランス−11−オクタデセン酸)、シス−バクセン酸(C18:1シス−11;シス−11−オクタデセン酸)、アラキジン酸(C20:0)、及びベヘン酸(C22:0)、及びそれらの塩、エステル及びアミド、及びそれらの組合せから選択された脂肪酸を1又は2以上含有する。 任意の置換基(類)は、炭素鎖に沿ったいずれかの位置に存在してよい。 好ましい乳脂肪は、脂肪酸類である酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、及びエライジン酸、及びそれらの塩、エステル及びアミド、及びそれらの組合せを含む。 これらの脂肪酸は、牛乳脂肪の主成分である。

    一実施態様によれば、本組成物は、新鮮な、還元又は粉末化された全乳又は乳誘導体、好ましくは乳脂肪を少なくとも約0.1、0.2、0.5、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、99、99.5、99.8又は99.9重量%を含んでなるか、本質的になるか、又はこれらからなり、かつ有用な範囲は、これら前記値のいずれかの間で選択することができる(例えば、約0.1〜約50%、約0.2〜約50%、約0.5〜約50%、約1〜約50%、約5〜約50%、約10〜約50%、約15〜約50%、約20〜約50%、約25〜約50%、約30〜約50%、約35〜約50%、約40〜約50%、約45〜約50%、約0.1〜約60%、約0.2〜約60%、約0.5〜約60%、約1〜約60%、約5〜約60%、約10〜約60%、約15〜約60%、約20〜約60%、約25〜約60%、約30〜約60%、約35〜約60%、約40〜約60%、約45〜約60%、約0.1〜約70%、約0.2〜約70%、約0.5〜約70%、約1〜約70%、約5〜約70%、約10〜約70%、約15〜約70%、約20〜約70%、約25〜約70%、約30〜約70%、約35〜約70%、約40〜約70%、約45〜約70%、約0.1〜約80%、約0.2〜約80%、約0.5〜約80%、約1〜約80%、約5〜約80%、約10〜約80%、約15〜約80%、約20〜約80%、約25〜約80%、約30〜約80%、約35〜約80%、約40〜約80%、約45〜約80%、約0.1〜約90%、約0.2〜約90%、約0.5〜約90%、約1〜約90%、約5〜約90%、約10〜約90%、約15〜約90%、約20〜約90%、約25〜約90%、約30〜約90%、約35〜約90%、約40〜約90%、約45〜約90%、約0.1〜約99%、約0.2〜約99%、約0.5〜約99%、約1〜約99%、約5〜約99%、約10〜約99%、約15〜約99%、約20〜約99%、約25〜約99%、約30〜約99%、約35〜約99%、約40〜約99%、及び約45〜約99%)。

    一実施態様によれば、本組成物は、式(I)又は(II)の新鮮な、還元又は粉末化された全乳又は乳誘導体、好ましくは乳脂肪を少なくとも約0.001、0.01、0.05、0.1、0.15、0.2、0.3、0.4、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18又は19g含有し、かつ有用な範囲は、これら前記値のいずれかの間で選択することができる(例えば、約0.01〜約1g、約0.01〜約10g、約0.01〜約19g、約0.1〜約1g、約0.1〜約10g、約0.1〜約19g、約1〜約5g、約1〜約10g、約1〜約19g、約5〜約10g、及び約5〜約19g)。

    一実施態様によれば、本組成物は、ラクトフェリンポリペプチド、機能的ラクトフェリン変種、機能的ラクトフェリン断片、金属イオンラクトフェリン、金属イオンラクトフェリン機能変種、又は金属イオンラクトフェリン機能断片、又はそれらのいずれか2種以上の混合物を約0.1、0.2、0.5、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、99、99.5、99.8又は99.9重量%を含んでなるか、本質的になるか、又はこれらからなり、かつ有用な範囲は、これら前記値のいずれかの間で選択することができる(例えば、約0.1〜約50%、約0.2〜約50%、約0.5〜約50%、約1〜約50%、約5〜約50%、約10〜約50%、約15〜約50%、約20〜約50%、約25〜約50%、約30〜約50%、約35〜約50%、約40〜約50%、約45〜約50%、約0.1〜約60%、約0.2〜約60%、約0.5〜約60%、約1〜約60%、約5〜約60%、約10〜約60%、約15〜約60%、約20〜約60%、約25〜約60%、約30〜約60%、約35〜約60%、約40〜約60%、約45〜約60%、約0.1〜約70%、約0.2〜約70%、約0.5〜約70%、約1〜約70%、約5〜約70%、約10〜約70%、約15〜約70%、約20〜約70%、約25〜約70%、約30〜約70%、約35〜約70%、約40〜約70%、約45〜約70%、約0.1〜約80%、約0.2〜約80%、約0.5〜約80%、約1〜約80%、約5〜約80%、約10〜約80%、約15〜約80%、約20〜約80%、約25〜約80%、約30〜約80%、約35〜約80%、約40〜約80%、約45〜約80%、約0.1〜約90%、約0.2〜約90%、約0.5〜約90%、約1〜約90%、約5〜約90%、約10〜約90%、約15〜約90%、約20〜約90%、約25〜約90%、約30〜約90%、約35〜約90%、約40〜約90%、約45〜約90%、約0.1〜約99%、約0.2〜約99%、約0.5〜約99%、約1〜約99%、約5〜約99%、約10〜約99%、約15〜約99%、約20〜約99%、約25〜約99%、約30〜約99%、約35〜約99%、約40〜約99%、及び約45〜約99%)。

    3. 本発明に有用な組成物
    本明細書において有用な組成物は、食品、飲料品、食品添加物、飲料品添加物、ダイエタリーサプリメント、栄養製品、医療食、栄養補助食品、薬剤又は医薬品として製剤することができる。 好適な製剤は、当業者の技術及び本明細書の内容に関して、当業者により調製されることができる。

    一実施態様によれば、本発明は、食品、飲料品、食品添加物、飲料品添加物、ダイエタリーサプリメント、栄養製品、医療食、栄養補助食品、薬剤又は医薬品の製造において、乳脂肪又は乳脂肪類似物の、任意に少なくとも1種の抗腫瘍剤、好ましくはラクトフェリンと一緒の使用に関する。 好ましくは本組成物は、経口又は局所投与のために製剤される。 好ましくは本組成物は、経口又は非経口的投与のために製剤される。 好ましくは本組成物は、先に説明されたように、腫瘍成長の阻害、腫瘍転移の阻害、アポトーシスの誘導、腫瘍細胞のアポトーシスの誘導、癌の治療又は予防、療法に対する対象の反応性又は腫瘍の感受性の増大、対象の白血球数、赤血球数、又は骨髄細胞数の1又は2以上の維持又は改善、対象の腸又は腫瘍内のTh1及びTh2サイトカイン産生の増加、それを必要とする対象における貧血、悪液質、粘膜炎の治療又は予防、又は他の使用のためである。 好ましくは、本乳脂肪又は乳脂肪類似物及び少なくとも1種の追加の治療剤、例えばラクトフェリンのような1又は2以上の抗腫瘍剤などは、本明細書に説明されている。 好ましくは、抗腫瘍因子は、本明細書に説明されたものである。

    一実施態様によれば、本組成物は、錠剤、カプレット剤、丸剤、硬又は軟カプセル剤、又は舐剤の形である。

    一実施態様によれば、本組成物は、カシェ剤、分散性散剤、顆粒剤、懸濁剤、エリキシル剤、液剤、飲料品の形、又は例えば水又は果実ジュースを含む食品又は飲料品に添加することができる任意の他の形である。 一実施態様によれば、本組成物は、経腸製品、固形経腸製品又は液体経腸製品である。

    一実施態様によれば、本組成物は更に、貯蔵又は投与後の本組成物の分解を防止又は低下する構成要素(抗酸化剤など)を1又は2以上含有する。

    一実施態様によれば、本明細書において有用な組成物は、脂肪、脂肪酸又は脂質を運搬することができる任意の可食性消費製品を含む。 本組成物が、少なくとも1種の追加の治療剤として、ラクトフェリンのようなタンパク質因子を含有する場合、可食性消費製品は、タンパク質を運搬することができるものである。 好適な可食性消費製品の例は、焼成品、粉末、液体、菓子製品、再構成果実製品(reconstituted fruit product)、スナックバー、フードバー(food bard)、ミューズリーバー、スプレッド、ソース、ディップ、アイスクリーム、ヨーグルト及びチーズを含む酪農製品、酪農品及び非酪農品ベースの飲料品を含む飲料品(例えばミルクシェーキを含むミルク飲料品、ヨーグルト飲料品)、粉ミルク、酪農品及び非酪農品ベースのスポーツ栄養補助食品を含むスポーツ栄養補助食品、タンパク質製スプリンクルなどの食品添加物、及びデイリーサプリメント錠を含むダイエタリーサプリメント製品である。 この実施態様によれば、本明細書において有用な組成物は、粉末又は液体の形状の乳児用調合乳であってもよい。 好適な本明細書において有用な栄養組成物は、同様の形状で提供され得る。

    本明細書において有用な組成物は、更に他の因子、例えばカルシウム、亜鉛、マグネシウム、セレン、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK2、複合糖質、食用油又は料理用油を含むことができ、油はパーム油、オリーブ油、大豆油、キャノーラ油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、ベニバナ油、ピーナツ油、グレープシード油、ゴマ油、堅果油、アーモンド油、カシューナッツ油、ヘーゼルナッツ油、マカダミアナッツ油、ピーカン油、ピスタチオ油、及びクルミ油などを含み、並びにその他の食用油は、アサイー油、アマランス油、アプリコット油、アルガン油、アーティチョーク油、アボカド油、ババス油、ベン油、カシス種子油、ルリジサ種子油、ボルネオタローナッツ油、ヒョウタン油、バッファローゴーアド油、イナゴマメ(アルガローバ)油、コフネヤシ油、コリアンダー種子油、月見草油、アマナズナ油、ヘンプ油、カポック種子油、ラレマンティア油、メドウフォームシード油、マスタード油、オクラ種子(ハイビスカス種子)油、エゴマ種子油、ペキ油、松の実油、ケシ種子油、プルーンカーネル油、カボチャ種子油、キヌア油、ニガー種子油、米糠油、茶(ツバキ)油、アザミ油、スイカ種子油、及びコムギ胚芽油、又はそれらの組合せを含む。

    本明細書において有用な組成物は、経口又は非経口(局所、皮下、筋肉内及び静脈内を含む)投与を含むが、これらに限定されるものではない選択された任意の経路により、対象へ投与することができるように製剤されてもよい。

    一般に、経口投与のための、本明細書において有用な規定食(例えば、食品、食品添加物又は補助食品)、栄養組成物又は医薬組成物は、公知の製剤技術に従い、熟練技術者により製剤されてよい。

    従って、本発明に有用な医薬組成物は、意図された投与経路及び標準の医薬実践に関して選択された好適な医薬として許容し得る担体(賦形剤、希釈剤、補助剤及びそれらの組合せを含む)と共に製剤されてよい。 例えば、「Remington's Pharmaceutical Sciences」第16版、Osol, A.編集、Mack Publishing Co.、1980年を参照のこと。

    好ましい投与経路は経口であるが、異なる作用物質に関する異なる経路を含む、複数の経路による投与を含む、任意の投与様式が、任意の本発明の組成物に適し得ることは理解されなければならない。 従って、本発明の任意の組成物の吸入(鼻腔内又は口腔内吸入)並びに経膣及び経直腸投与も企図される。 本発明の任意の組成物の髄内、硬膜外、及び関節内投与も企図される。 第二の投与経路による他の作用物質の個別、同時又は逐次の投与を伴った、第一の投与経路による乳脂肪又は乳脂肪類似物の、任意に少なくとも1種の追加因子と一緒の投与も企図され;例えば、少なくとも1種の追加の治療剤の外用投与を伴う乳脂肪の経口投与である。

    本明細書において有用な剤形は、散剤、液剤、錠剤又はカプセル剤として経口投与されてよい。 好適な剤形は、乳化剤、抗酸化剤、矯味矯臭剤又は着色剤を含む追加の作用物質を必要に応じて含有し、又は腸溶性コーティングを有してよい。 好適な腸溶性コーティングは公知である。 腸溶性コーティングは、活性成分を取り囲み、胃内での活性成分の放出は防止するが、その剤形が胃を出た後の放出を可能にする。 本明細書において有用な剤形は、活性成分の即時放出、遅延放出、修飾された放出、持続放出、パルス型放出又は制御放出に適合されてよい。 好適な製剤は、乳化剤、抗酸化剤、矯味矯臭剤又は着色剤を含む追加の作用物質を必要に応じて含有してよい。

    カプセル剤は、ゼラチン又はセルロースのような、任意の標準の医薬として許容し得る材料を含有することができる。 錠剤は、活性成分の固形担体及び滑沢剤との混合物を圧縮することにより、通常の手順に従い製剤することができる。 固形担体の例は、デンプン及び糖、ベントナイトを含む。 活性成分は、結合剤、例えば乳糖又はマンニトール、通常の充填剤、及び打錠用物質(tabletting agent)を含有する、硬シェル錠又はカプセルの形状で投与することもできる。 医薬組成物は、非経口経路を介して投与することもできる。 非経口剤形の例は、活性物質の水溶液、等張食塩水又は5%グルコース液、又は他の周知の医薬として許容し得る賦形剤を含む。 シクロデキストリン、又は当業者に周知の他の可溶性物質は、治療剤の送達のための医薬賦形剤として利用することができる。

    注射剤形は、液体の溶液又は懸濁液として製剤されてよい。 注射前に液体中で溶液又は懸濁液とするのに適した固形形状も調製されてよい。 この剤形は、乳化されてもよい。 乳脂肪又は乳脂肪類似物、並びに存在する場合には少なくとも1種の追加因子は、例えば水、食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなど及びそれらの組合せなどの担体と混合されてよい。

    持続放出型調製品は、乳脂肪を、任意に少なくとも1種の追加因子と共に混入し調製することができる。 持続放出型調製品の好適な例は、乳脂肪、及び存在する場合には少なくとも1種の追加の治療剤、例えばラクトフェリン又はそれらの機能変種又は機能断片を含有する、固形の疎水性ポリマーの半透性マトリクスを含む。 このマトリクスは、例えばフィルムのような成形品、又はマイクロカプセルの形状であってよい。 持続放出型マトリクスの例は、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)、又はポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(US 3,773,919参照)、L−グルタミン酸とL−グルタミン酸エチルのコポリマー、非分解性エチレン−酢酸ビニル、及び分解性乳酸−グリコール酸コポリマー、例えばLUPRON DEPOT(商標)(乳酸−グリコール酸コポリマー及び酢酸ロイプロリドで構成された注射用ミクロスフェア)を含む。

    乳脂肪又は乳脂肪類似物、及び存在する場合には少なくとも1種の追加の治療剤を含有する局所用製剤は、ローション剤、クリーム剤、軟膏剤、泥膏剤又はサルバ剤として、そのような塗布のための公知の担体を使用し、調製されてよい。

    本発明は、乳脂肪を、任意に少なくとも1種の追加の治療剤、及び少なくとも1種の抗腫瘍剤と共に含有する、非経口単位剤形にも関する。 好ましくは少なくとも1種の抗腫瘍剤は、パクリタキセル、ドキソルビシン、エピルビシン、フルオロウラシル、シクロホスファミド、メトトレキセート、T細胞共−刺激因子B7−1をコードしている発現プラスミド及び樹状細胞療法から選択される。 あるいはこの作用物質は、本明細書に説明されたもののいずれかから選択される。 好ましくは乳脂肪又は乳脂肪類似物は先に説明されている。

    本発明において有用な組成物の有効性は、インビトロ及びインビボの両方において評価することができる。 例えば下記例を参照のこと。 簡単に述べると、一実施態様によれば、本組成物は、例えば、インビトロにおいて腫瘍形成又は腫瘍成長を阻害するその能力について試験することができる。 インビボ試験について、本組成物は、動物(例えばマウス)へ給餌されるか又は注射されてよく、その後腫瘍サイズ又は形態に対するその作用が評価される。 これらの結果を基に、適量範囲及び好適な投与経路を決定することができる。

    本明細書において有用な組成物は、単独で、又は1又は2以上の他の治療剤と組合せて使用することができる。 この治療剤は、食品、飲料品、食品添加物、飲料品添加物、食品成分、飲料品成分、ダイエタリーサプリメント、栄養製品、医療食、栄養補助食品、薬剤又は医薬品であってよい。 この治療剤は、癌に関連した状態、又は貧血(大赤血球性及び小赤血球性貧血を含む)、血液学的抑制、粘膜炎、又は悪液質に関連した又はこれらを引き起こす状態に関連した1又は2以上の症状を軽減するために有効であることが好ましい。 好ましい治療剤は、抗腫瘍食品因子、免疫療法薬、造血薬、悪液質治療薬、及び粘膜炎治療薬であり、ラクトフェリンが特に好ましい治療剤である。

    一実施態様によれば、乳脂肪又は乳脂肪類似物は、任意に少なくとも1種の追加の治療剤と共に、本明細書に説明された抗腫瘍剤又は抗腫瘍療法の少なくとも1種との、個別、同時又は逐次投与のために製剤される。

    一実施態様によれば、乳脂肪又は乳脂肪類似物は、任意に少なくとも1種の追加の治療剤と共に、本明細書に説明された抗腫瘍剤又は抗腫瘍療法の少なくとも1種との、同時投与のために製剤される。

    一実施態様によれば、乳脂肪又は乳脂肪類似物は、任意に少なくとも1種の追加の治療剤と共に、本明細書に説明された抗腫瘍剤又は抗腫瘍療法の少なくとも1種との、逐次投与のために製剤される。

    一実施態様によれば、乳脂肪又は乳脂肪類似物は、乳脂肪又は乳脂肪類似物が、抗腫瘍剤又は抗腫瘍療法の作用を増強又は強化する抗腫瘍剤又は抗腫瘍療法のためのアジュバントとして、含まれるか、又は送達される。 少なくとも1種の追加の治療剤は、個別に送達されてよい。

    別の治療剤と組合せて使用される場合、本明細書において有用な組成物及び他の治療剤の投与は、同時又は逐次であってよい。 同時投与は、全ての成分を含有する単位剤形の投与、又は実質的に同一時点での個別の剤形の投与を含む。 逐次投与は、好ましくは本明細書において有用な組成物及び他の治療剤が提供される期間が重複しているような、異なるスケジュールに従う投与を含む。

    本発明の組成物との同時投与に適している作用物質は、化学療法薬、免疫療法薬、悪液質治療薬、粘膜炎治療薬、造血薬、及び他の当該技術分野において公知の好適な作用物質を含む。 そのような作用物質は、経口、吸入、経膣及び経直腸投与に加え、好ましくは静脈内、皮下、筋肉内、腹腔内、髄内、硬膜外、皮内、経真皮(局所)、経粘膜的、関節内、及び胸膜内により非経口的に投与されることが好ましい。

    加えて、本発明の組成物は、特定の状況の対象に恩恵があり得る追加の活性成分と共に製剤されてよいことが企図されている。 例えば、疾患過程の同じ又は異なる局面を標的とする治療剤が使用されてよい。

    本明細書において有用な組成物と同時投与することができる好適な作用物質は、αvβ3インテグリン受容体アンタゴニスト、抗エストロゲン薬又はSERM(選択的エストロゲン受容体モジュレーター)(非限定的に、タモキシフェン、ラロキシフェン、ラソフォキシフェン、トレミフェン、アゾルキシフェン、クロミフェン、ドロロキシフェン、イドキシフェン、レボルメロキシフェン、ズクロミフェン、エンクロミフェン、ナフォキシデン、及びそれらの塩を含む)、再吸収阻害薬、ビスホスホネート(非限定的に、アレンドロネート、クロドロネート、エチドロネート、イバンドロネート、インカドロネート、ミノドロネート、ネリドロネート、オルパドロネート、パミドロネート、ピリドロネート、リセドロネート、チルドロナート、ゾレドロネート、及びそれらの医薬として許容し得る塩を含む)、カルシウム受容体アンタゴニスト、カルシウム補充剤、カテプシンK阻害剤、二重効果骨作用薬(Dual Action Bond Agents(DABA))(非限定的に、ラネリック酸ストロンチウムを含む)、エストロゲン及びエストロゲン誘導体(非限定的に、17β−エストラジオール、エストロン、結合型エストロゲン、ウマエストロゲン、及び17β−エチニルエストラジオールを含む)、フラボノイド、葉酸、骨同化物質、オステオプロテジェリン、プロゲスチン及びプロゲスチン誘導体(非限定的に、ノルエチンドロン及び酢酸メドロキシ−プロゲステロンを含む)、液胞型ATPアーゼ阻害剤、VEGFアンタゴニスト、チアゾリジンジオン、カルシトニン、プロテインキナーゼ阻害剤、副甲状腺ホルモン(PTH)、PTH類似物、組換え副甲状腺ホルモン、成長ホルモン分泌促進因子、成長ホルモン放出ホルモン、インスリン−様増殖因子、骨形態形成タンパク質(BMP)、BMP拮抗作用の阻害剤、プロスタグランジン誘導体、線維芽細胞増殖因子、ビタミンB6、ビタミンD、ビタミンD誘導体(非限定的に、1,25−ジヒドロキシコレカルシフェロールを含む)、ビタミンK、ビタミンK誘導体、大豆イソフラボン、カルシウム塩、フッ化塩、スタチン(非限定的に、ロバスタチン、シムバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、セリバスタチン、ロスバスタチン、及びピタバスタチンを含む)、及びそれらの組合せ、並びに当該技術分野において公知の他の好適な作用物質を含む。

    一実施態様によれば、本明細書において有用な組成物は、ホエータンパク質、ホエータンパク質画分(酸性又は塩基性ホエータンパク質画分又はそれらの組合せ)、グリコマクロペプチド、ラクトフェリン、ビタミンD又はカルシウム、又はそれらの組合せなどの他の乳成分を含有し、又はこれと同時に又は逐次投与される。 有用な乳成分−含有組成物は、食品、飲料品、食品添加物、飲料品添加物、ダイエタリーサプリメント、栄養製品、医療食又は栄養補助食品などの組成物を含む。 これらの成分に関して強化された乳画分も、利用することができる。

    先に列記された追加の治療剤(食品ベースの物質及び薬剤の両方)も、それらが本明細書において有用な組成物と個別に、同時に又は逐次投与される場合、本発明の方法において利用することができることは理解されなければならない。

    理解されるように、投与される組成物の投与量、投与期間、及び全般的投薬計画は、対象の症状の重症度、治療される障害の種類、選択された投与様式、並びに対象の年齢、性別及び/又は全身の健康などの変数に応じて、対象間で異なることができる。 しかし一般的例として、本発明者らは、1日につき本明細書において有用な組成物約1mg〜約1000mg/kg体重、好ましくは約50〜約500mg/kg/日の投与を企図している。 一実施態様によれば、本発明者らは、本明細書において有用な医薬組成物の約0.05mg〜約250mg/kg体重の投与を企図している。

    投与は、1日1回投与量、又は好適であるならば複数の個別の分割量の投与を含んでよいことは理解されなければならない。 当業者は、その技術及び本開示に関連し、過度の実験をすることなく、所定の状態に関して有効な投薬計画(1日投与量及び投与時期を含む)を決定することができることは理解されるべきである。

    本発明は、ラクトフェリン、カゼイン、又は他の保護タンパク質と組合せて、乳脂肪又は乳脂肪類似物を含んでなる、本質的になる、又はからなる、食餌組成物、栄養組成物又は経口医薬組成物にも関連している。 好ましくは、本組成物は、約0.1〜99重量%の乳脂肪又は乳脂肪類似物、及び約0.1〜99重量%のラクトフェリン、カゼイン又は他の保護的タンパク質から本質的になる。 より好ましくは、本組成物は、約0.5〜10重量%の乳脂肪及び約10〜99重量%のラクトフェリン、カゼイン、又は他の保護的タンパク質から本質的になる。 最も好ましくは、本組成物は、約1重量%の乳脂肪及び約20重量%のラクトフェリン、カゼイン、又は他の保護的タンパク質から本質的になる。 好ましくはこの乳脂肪又は乳脂肪類似物は、先に説明されている。

    一実施態様によれば、本発明の組成物は、乳画分、好ましくは乳脂肪画分である。 一実施態様によれば、この乳画分は、少なくとも約1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95又は99重量%の乳脂肪を含有し、有用な範囲は、これらの値のいずれかから選択され得る(例えば、約1〜約99重量%、約5〜約99重量%、約10〜約99重量%、約15〜約99重量%、約20〜約99重量%、約25〜約99重量%、約30〜約99重量%、約35〜約99重量%、約40〜約99重量%、約45〜約99重量%、約50〜約99重量%、約55〜約99重量%、約60〜約99重量%、約65〜約99重量%、約70〜約99重量%、約75〜約99重量%、約80〜約99重量%、約85〜約99重量%、約90〜約99重量%、又は約95〜約99重量%)。 好ましくは、本組成物が少なくとも1種の追加の治療剤を含有する場合、この組成物は追加的に乳タンパク質画分を含んでよい。

    一実施態様によれば、本乳脂肪は、乳脂肪画分として投与される。 好ましい乳脂肪画分は、クリーム、バター、無水乳脂肪(AMF)(典型的にはクリーム又はバターの転相により製造)、バターミルク、バター漿液、硬質乳脂肪画分、軟質乳脂肪画分、スフィンゴ脂質画分、乳脂肪球膜画分、リン脂質画分、及び複合脂質画分、及びそれらの組合せ、並びにそれらの加水分解物、加水分解物の画分、並びに加水分解画分及び/又は非加水分解画分の組合せを含む。

    好ましいリン脂質画分は、無水乳脂肪(Fonterra Co-operative Group Limited(ニュージーランド)から入手可能なものなど)から、薄層クロマトグラフィー及び/又は液体クロマトグラフィーによる分離により、調製することができる。 所望のリン脂質画分は、そのような分離技術を用い調製することができる。 例えば、3種のスフィンゴミエリンピーク全てを含有する画分、ホスファチジルコリンとホスファチジルイノシトールを類似量で、少量のホスファチジルセリン、及び3種のスフィンゴミエリンピークの一番目を含有する画分、又は大量のホスファチジルエタノールアミンとセラミドとリゾリン脂質を含有する画分は、慣習的に液体クロマトグラフィーにより調製される。 これらの画分の加水分解された形状は、例えば1%KOH(エタノール中)の添加、並びにpH9.5〜10.0での攪拌及び10分間の加熱により、調製することができる。 一般に加水分解された試料は好ましくは、更なる使用前に、例えば酢酸又は塩酸によりpH7.0に中和され、加熱されたマントル内で窒素下でフラッシュ乾燥される。

    市販のリン脂質画分も、本発明における使用に適している。 リン脂質濃縮物PC600(商標)リン脂質画分及びガングリオシドG600(商標)画分(両方ともFonterra Co-operative Group Limited(ニュージーランド)から入手可能)が、非加水分解型又は加水分解型のいずれに関わらず、好ましい。 再度これらの画分も、前述のように加水分解することができる。

    一実施態様によれば、本組成物は、約0.1、0.5、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45又は50重量%の新鮮な、還元又は粉末状の全乳又は乳誘導体、好ましくは乳脂肪を含んでなるか、本質的になるか、又はからなり、有用な範囲は、これら前述の値のいずれかの間で選択されてよい(例えば、約0.1〜約50%、約0.2〜約50%、約0.5〜約50%、約1〜約50%、約5〜約50%、約10〜約50%、約15〜約50%、約20〜約50%、約25〜約50%、約30〜約50%、約35〜約50%、約40〜約50%、及び約45〜約50%)。 乳誘導体は好ましくは、還元された、粉末状又は新鮮な乳、再構成された全乳粉、乳濃縮物、乳残留物、濃縮乳、限外濾過乳残留物、乳タンパク質濃縮物(MPC)、乳分離タンパク質(MPI)、カルシウム枯渇した乳タンパク質濃縮物(MPC)、カゼイン、カゼイネート、乳脂肪、クリーム、バター、無水乳脂肪(AMF)、バターミルク、バター漿液、硬質乳脂肪画分、軟質乳脂肪画分、スフィンゴ脂質画分、乳脂肪球膜画分、リン脂質画分、複合脂質画分、初乳、初乳画分、初乳タンパク質濃縮物(CPC)、初乳ホエー、初乳由来の免疫グロブリン画分、ホエー、ホエー分離タンパク質(WPI)、ホエータンパク質濃縮物(WPC)、スイートホエー、乳酸ホエー、鉱酸ホエー、又は再構成されたホエー粉末、任意の乳又は初乳処理流れに由来する組成物、任意の乳又は初乳処理流れに由来する限外濾過又はマイクロ濾過により得られた残留物又は透過物に由来する組成物、又は任意の乳又は初乳処理流れのクロマトグラフィー(非限定的に、イオン及びゲル透過クロマトグラフィーを含む)分離により得られた漏出又は吸着画分に由来する組成物、及びそれらの組合せ、並びにそれらの加水分解物、及び加水分解物の画分、及び加水分解画分及び/又は非加水分解画分の組合せから選択される。

    一実施態様によれば、本発明の方法は、以下に説明されるように、乳脂肪又は乳脂肪類似物及びラクトフェリン又はラクトフェリンの機能変種又は機能断片の少なくとも1種の混合物の投与を含む。 従って一実施態様によれば、組成物は、乳脂肪又は乳脂肪類似物及びラクトフェリン又はラクトフェリンの機能変種又は機能断片の少なくとも1種の混合物を含有する。 別の実施態様によれば、組成物は、乳脂肪又は乳脂肪類似物及びラクトフェリンの少なくとも1種の機能断片の混合物を含有する。

    ラクトフェリン又はそれらの機能変種又は機能断片の少なくとも1種を含有する本発明の組成物は、皮下、静脈内、腹腔内、筋肉内及び腫瘍内投与を含むが、これらに限定されるものではない、非経口経路により投与されてもよい。 好ましくは、ラクトフェリンは、注射により非経口的に投与される。 本乳脂肪又は乳脂肪類似物は、個別の経路により投与されてよく、好ましくは経口的に投与される。 当業者は、過度の実験を行うことなく、非経口的投与に適した製剤を調製することができるであろう。

    一実施態様によれば、この1日量範囲(任意の経路により)は、1日につき乳脂肪約0.001〜250g、好ましくは70kgの成人について1日につき0.001〜100g、0.1〜30g、0.1〜40g、0.1〜50g、0.1〜60g、0.1〜70g、0.1〜80g、0.1〜100g、0.1〜110g、0.1〜120g、0.1〜130g、0.1〜140g、0.1〜150g、0.1〜160g、0.1〜170g、0.1〜180g、0.1〜190g、0.1〜200g、0.1〜210g、0.1〜220g、0.1〜230g、0.1〜240g、又は0.1〜250gであり、好ましくは10mg〜1.5g/kg/日、好ましくは50mg〜500mg/kg/日である。 より高い投与量が、短期の治療及び予防について好ましく、かつより低い投与量が、長期の治療及び予防について好ましい。

    4. ラクトフェリンポリペプチド
    ウシラクトフェリン(bLf)は、牛乳中に存在する、78kDaの単鎖鉄結合糖タンパク質である。 これは、乳、初乳、涙液、鼻汁、唾液、胆汁、膵液、小腸粘膜、及び性器分泌液を含む、正常な細菌叢(flora)に通常に曝露されたほとんどの分泌物中に存在する天然の防御タンパク質である。 これは、好中球により分泌され、かつ細菌感染部位に高レベルで存在する。 これは、腸内の鉄吸収を調節し、腸の細胞成長を促進し、微生物感染に対し保護し、骨髄造血を調節し、全身の免疫応答を調節し、かつ癌の発達を防止することができる多機能的タンパク質である(Wardら、2002;Brock, JH、2002;Weinburg, ED、2001;Conneely, OM、2001;Tomitaら、2002、及びTsudaら、2002において検証)。

    先に列記された有用なラクトフェリンポリペプチド及び断片に加え、既報の本発明の方法において有用であるラクトフェリンアミノ酸配列及びmRNA配列の例は、以下を含むが、これらに限定されるものではない:ヒトラクトフェリンのアミノ酸配列(寄託番号NP 002334)及びmRNA配列(寄託番号NM 002343);ウシラクトフェリンのアミノ酸配列(寄託番号NP 851341及びCAA38572)及びmRNA配列(寄託番号X54801及びNM 180998);ヤギラクトフェリンのアミノ酸配列(寄託番号JC2323、CAA55517及びAAA97958)及びmRNA配列(寄託番号U53857);ウマラクトフェリンのアミノ酸配列(寄託番号CAA09407)及びmRNA配列(寄託番号AJ010930);ブタラクトフェリンのアミノ酸配列(寄託番号NP 999527、AAL40161及びAAP70487)及びmRNA配列(寄託番号NM 214362);マウスラクトフェリンのアミノ酸配列(寄託番号NP 032548)及びmRNA配列(寄託番号NM 008522);水牛ラクトフェリンのアミノ酸配列(寄託番号CAA06441)及びmRNA配列(寄託番号AJ005203);並びに、ラクダラクトフェリンのアミノ酸配列(寄託番号CAB53387)及びmRNA配列(寄託番号AJ131674)。 これらの配列は、野生型又は変種型で本発明に従い使用することができる。 これらの配列によりコードされたポリペプチドは、公知の技術を用い、天然の給源から単離されるか、組換えタンパク質として作製されるか、又は有機合成により作製されてよい。

    有用なポリペプチド及び変種を作製する方法は、当該技術分野において公知でありかつ以下に考察されている。 有用な組換えラクトフェリンポリペプチド及び断片並びにそれらを作製する方法は、米国特許明細書US 5,571,691、US 5,571,697、US 5,571,896、US 5,766,939、US 5,849,881、US 5,849,885、US 5,861,491、US 5,919,913、US 5,955,316、US 6,066,469、US 6,080,599、US 6,100,054、US 6,111,081、US 6,228,614、US 6,277,817、US 6,333,311、US 6,455,687、US 6,569,831、US 6,635,447、US 2005-0064546及びUS 2005-0114911に開示されている。

    有用な変種は、ウシラクトフェリン変種bLf−a及びbLf−bも含む(Tsujiら、(1989);Yoshidaら、(1991))。 更なる有用な変種は、グリコシル化されたラクトフェリン及びラクトフェリン無グリコシル型(Pierceら、(1991);Metz-Boutigueら、(1984);van Veenら、(2004))、並びにグリコシル化変異体(グリコシル化の変異点又は変種グリコシル側鎖を有する)を含む。

    有用な断片は、Nローブ断片及びCローブ断片(Bakerら、2002)及びラクトフェリン結合ポケットを保持するいずれか他のラクトフェリンポリペプチド、例えば切断型ラクトフェリンポリペプチドなどを含む。 他のラクトフェリン断片は、公開された国際特許出願WO2007/043900に開示されており、これは参照により本明細書に組入れられている。

    有用な切断型ラクトフェリンポリペプチドは、約1〜約300個のアミノ酸、好ましくは約1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295又は300個又はそれよりも多いアミノ酸により切断されたポリペプチドを含み、但し切断型ポリペプチドが、Nローブ又はCローブ金属イオン結合ポケットの少なくとも1つを保持していることを条件として、N末端で、C末端で、又はN末端及びC末端の両方で切断されたポリペプチドを含む。 ウシラクトフェリン(シグナル配列を含まず)の残基Asp60、Tyr92、Tyr192、及びHis253は、Nローブにおけるアミノ酸金属イオンリガンドであることが報告されている。 ウシラクトフェリン(シグナル配列を含まず)の残基Asp395、Tyr433、Tyr526、及びHis595は、Cローブにおけるアミノ酸金属イオンリガンドであることが報告されている(Karthikeyanら、1999)。

    本発明での使用のためのラクトフェリンの変種又は断片の候補は、以下を含むが、これらに限定されるものではない技術により作製することができる:野生型タンパク質を変異する技術(Sambrookら、(1989)及びそのような技術の別所での考察を参照のこと)であり、例えば非限定的に、野生型ラクトフェリンの部位特異的変異誘発、及び得られるポリヌクレオチドの発現など;発現可能なポリヌクレオチド断片を作製する技術、例えば、ランダムプライマー又は選択されたプライマーのプールを使用するPCRなど;野生型又は変種ラクトフェリンポリペプチドの完全又は部分的タンパク質分解又は加水分解の技術;並びに、ポリペプチドの化学合成の技術。 ラクトフェリンの変種又は断片は、ラクトフェリンDNA又はRNA、又はそれらの変種又は断片からの、組換え分子としての発現により調製することができる。 ラクトフェリンの変種又は断片をコードしている核酸配列は、非限定的にアスペルギルス属(Aspergillus)などの真核細胞又は非限定的に大腸菌(E. coli)などの細菌細胞を含む細胞における発現に適したベクターに挿入することができる。 ラクトフェリン変種又は断片は、非限定的にエラープローンPCR及びDNAシャッフリングを含む公知のPCR技術を用いて調製することができる。 エラープローンPCRは、DNAポリメラーゼのコピーの忠実性が低い条件下で、PCRを実行し、その結果PCR産物の全長にわたり高い割合で点変異が得られる方法である(Leungら、(1989);Cadwellら、(1992))。 DNAシャッフリングは、配列相同性を基にしたDNA分子のランダム断片化、それに続くPCR反応におけるプライマー伸長による交差の固定に起因する、インビトロにおける異なるが高度に関連したDNA配列のDNA分子間の強制された相同組換えをいう(Stemmer、(1994))。 そのような方法における使用に適したラクトフェリン核酸配列は、先に列記されたものを含むか、又は例えば組織RNA単離体の逆転写−PCR(RT−PCR)などを含む公知の方法により作製されたものを含む。 RT−PCRに適したプライマーは、先に列記されたmRNA配列を参照し、デザインすることができる。 RT−PCRの市販のキットが利用可能である(例えば、Cells-to-cDNA(商標)キット、Ambion、USA)。

    ラクトフェリンの変種又は断片は、公知の合成方法により作製することもできる(例えばKimmerlinら、2005を参照のこと)。

    金属イオン結合しているラクトフェリンの変種又は断片は、例えば、非限定的に金属親和性クロマトグラフィーを含む、金属結合しているポリペプチドを単離するための公知の技術により得ることができる。 候補ラクトフェリン変種又は断片は、Fe 3+のような遊離の又は固定された金属イオンに接触され、好適な様式で精製されてよい。 例えば候補変種又は断片は、イミノ二酢酸又はトリス(カルボキシメチル)エチレンジアミンリガンドを含むクロマトグラフィーマトリクスにキレートすることにより固定された金属イオンと、中性pHで接触されてよい。 結合された変種又は断片は、使用された緩衝液のpH及びイオン強度を低下することにより、支持マトリクスから溶出され、かつ収集されてよい。 金属結合した変種又は断片は、先に及び以下に説明された方法並びに下記実施例に説明された方法により調製されてよい。

    ラクトフェリンの機能変種、断片及び加水分解物は、以下に説明された実施例において示された方法論を使用することによる、ラクトフェリンの変種、断片及び加水分解物の選択、並びに本発明の方法におけるそれらの有効性の評価により、得ることができる。

    一実施態様によれば、本ラクトフェリンは、ヒツジ、ヤギ、ブタ、マウス、水牛、ラクダ、ヤク、ウマ、ロバ、ラマ、ウシ又はヒトラクトフェリンを含むが、これらに限定されるものではない、任意の哺乳類ラクトフェリンであってよい。 好ましくは、本ラクトフェリンは、ウシラクトフェリンである。

    別の実施態様によれば、本ラクトフェリンは、組換えヒツジ、ヤギ、ブタ、マウス、水牛、ラクダ、ヤク、ウマ、ロバ、ラマ、ウシ又はヒトラクトフェリンを含むが、これらに限定されるものではない、任意の組換え哺乳類のラクトフェリンである。 好ましくは本ラクトフェリンは、組換えウシラクトフェリンである。 組換えラクトフェリンは、無細胞発現系において、又はトランスジェニック動物、植物、真菌又は細菌、又は他の有用な種における発現により作出することができる。

    更に別の実施態様によれば、本ラクトフェリンは、乳、好ましくはヒツジ、ヤギ、ブタ、マウス、水牛、ラクダ、ヤク、ウマ、ロバ、ラマ、ウシ又はヒトの乳から単離される。 好ましくは本ラクトフェリンは、陽イオン交換クロマトグラフィー、それに続く限外濾過及びダイアフィルトレーションにより、乳から単離される。

    5. 乳からのラクトフェリンの単離
    以下は、牛乳からのラクトフェリン単離の例証的手順である。 新鮮な脱脂乳(7L、pH6.5)は、ミリQ水中で平衡化されたSセファロースファストフロー300mlカラムを、流量5ml/分及び4℃で通過される。 未結合のタンパク質は、2.5床量の水により通り抜け洗浄され、かつ結合したタンパク質は、各々およそ2.5床量の0.1M、0.35M、及び1.0M塩化ナトリウムにより、段階的に溶出される。 1M塩化ナトリウム中に淡いピンク色のバンドとして溶出するラクトフェリンは、単独の画分として収集され、ミリQ水に対し透析され、その後凍結乾燥される。 凍結乾燥された粉末は、25mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)中に溶解され、Sセファロースファストフロー上で、前記緩衝液中1Mまでの塩化ナトリウム勾配により、流量3ml/分で再クロマトグラフィーが施される。 ゲル電気泳動及び逆相HPLCにより決定された十分な純度のラクトフェリンを含有する画分は、一緒にされ、透析され、かつ凍結乾燥される。 ラクトフェリンの最終精製は、0.15M塩化カリウムを含有する80mMリン酸二カリウム(pH8.6)中の、セファクリル300上のゲル濾過により実現される。 選択された画分は一緒にされ、ミリQ水に対し透析され、凍結乾燥される。 この調製品の純度は、HPLC分析により同定されたように95%よりも大きく、及びラクトフェリンの鉄飽和型に関するスペクトル比の値(280nm/465nm)で19以下である。

    ラクトフェリンを含む有用な乳画分の単離のその他の例証的方法は、Katoらの米国特許第5,932,259号、及びTakadaらの米国特許第5,976,597号に開示されている。

    6. ラクトフェリンの金属イオン飽和又は枯渇
    鉄飽和は、2:1モル過剰量の5mM鉄(II)ニトリロ三酢酸(Foley及びBates、(1987))の、10mM炭酸水素ナトリウムを含有する50mMトリス(pH7.8)中の精製ラクトフェリンの1%溶液への添加により実現される。 過剰な鉄(II)ニトリロ三酢酸は、ミリQ水100容量(2回交換)に対する、4℃で合計20時間の透析により除去される。 その後鉄負荷された(ホロ−)ラクトフェリンが、凍結乾燥され得る。 下記実施例において説明されるように、少ない金属イオンドナーを提供することにより、変動する程度の鉄飽和が得られる。 金属イオンラクトフェリンを調製する別法は、公開された国際特許出願WO 2006/132553に開示されており、これは参照により本明細書に組入れられている。 金属イオンラクトフェリン組成物の品質保持を維持又は改善する方法は、国際特許出願WO 2006/096073に開示されており、これは参照により本明細書に組入れられている。

    鉄枯渇された(アポ−)ラクトフェリンは、水中高度に精製されたラクトフェリン試料の1%溶液の、EDTA二ナトリウム500mg/L含有する0.1Mクエン酸(pH2.3)30容量に対する、4℃で30時間の透析により調製される(Masson及びHeremans、(1966))。 その後クエン酸及びEDTAは、30容量のミリQ水(1回交換)に対する透析により除去され、得られる無色の溶液は、凍結乾燥される。

    ラクトフェリンポリペプチドは、鉄イオン(天然のラクトフェリンポリペプチド中として)又は非−鉄金属イオン(例えば、銅イオン、クロムイオン、コバルトイオン、マンガンイオン、又は亜鉛イオン)を含むことができる。 例えば牛乳から単離されたラクトフェリンは、鉄を枯渇し、その後別の種類の金属イオンを負荷することができる。 例えば、銅負荷は、先に説明された鉄負荷と同じ方法に従い実現することができる。 ラクトフェリンの他の金属イオンの負荷に関しては、Ainscoughらの論文(1979)の方法を使用することができる。

    一実施態様によれば、この金属イオンは、アルミニウム、ビスマス、銅、クロム、コバルト、金、鉄、マンガン、オスミウム、白金、ルテニウム、亜鉛、又はラクトフェリン金属イオン結合ポケット内に特異的に配位する他のイオン類からなる群から選択されるイオンである。 この金属イオンは、鉄イオンが好ましい。

    本発明において使用するための組成物の調製において、ラクトフェリンポリペプチド又は金属イオン-結合しているラクトフェリン断片は、単独の種類の、又は異なる種類のものであることができる。 例えばこのポリペプチド又は断片は、各々、異なる数の金属イオン又は異なる種類の金属イオンを含むことができるか;又は、このポリペプチドの長さは、変動することができ、例えば一部は完全長ポリペプチドであり、かつ一部は断片であり、並びにこれらの断片は各々、完全長ポリペプチドの特定の部分を表すことができる。 このような調製品は、天然の給源から、又は異なるラクトフェリンポリペプチド種の混合により得ることができる。 例えば、異なる長さのラクトフェリンポリペプチドの混合物は、完全長ラクトフェリンポリペプチドのプロテイナーゼ消化(完全な又は部分的)により調製することができる。 消化の程度は、当該技術分野において周知の方法に従い、例えば以下に説明されているような、プロテイナーゼの量及びインキュベーション時間を操作することにより制御することができる。 完全な消化は、完全長ラクトフェリンポリペプチドの様々な断片の混合物を生じ;部分消化は、完全長ラクトフェリンポリペプチドと様々な断片の混合物を生じる。

    7. ラクトフェリン断片又はラクトフェリン加水分解物の調製
    有用なラクトフェリン断片は、公開された国際特許出願WO 2006/054908及びWO 2007/043900に開示されており、各々その全体が参照により本明細書に組入れられている。 候補の機能断片を含む加水分解物は、トリプシン又はキモトリプシンのような、公知の切断特異性のある好適な酵素の選択、並びにインキュベーションのpH、温度、時間及び酵素対基質比によるタンパク質分解の制御/制限により、調製することができる。 このような単離されたペプチドの純化は、特異的エンドペプチダーゼの使用により行うことができる。 例として、ウシラクトフェリンは、ウシラクトフェリンのペプシンによる、37℃、pH2.0で45分間の切断(Facon及びSkura、1996)によるか、又は3%(基質の重量%)酵素を使用する、37℃、pH2.5で、4時間の切断(Tomitaら、1994)により作製することができる。 その後このペプチドは、逆相HPLC(Tomitaら、1994)、又は疎水性相互作用クロマトグラフィー(Tomitaら、2002)により単離される。

    あるいは、ラクトフェリンペプチドは、Viejo-Diazらの論文(2003)において説明された、ヒトカリオシン-1(NH2-FFSASCVPGADKGQFPNLCRLCAGTGENKCA-COOH)及びラクトフェリン由来のペプチド(NH2-TKCFQWQRNMRKVRGPPVSCIKR-COOH);並びに、Nguyenらの論文(2005)において説明された、ウシラクトフェリンペプチド(NH2-RRWQWRMKKLG-COOH);並びに、van der Kraanらの論文(2004)において説明された、ラクトフェランピン(NH2-WKLLSKAQEKFGKNKSR-COOH)及びより短い断片:について、よく確立された合成Fmoc化学により作製することができる。

    概して、SDS−PAGEを使用し、加水分解物を分子量標準と比較することにより、加水分解の程度を推定することができる。 サイズ排除クロマトグラフィーを使用し、加水分解物内の様々な種を分離し、かつ分子量分布プロファイルを推定することができる。

    好ましい加水分解法において、ウシラクトフェリンは、50mMトリス(pH8.0)、5mM CaCl 2中に20mg/mLとなるよう溶解された。 トリプシン(Sigma T8642、TPCK処理、ウシ膵臓由来のXII型、11700U/mgタンパク質)は、酵素基質重量比1:50で添加され、この混合物は、25℃で3時間インキュベーションされた。 この反応は、PMSFの最終濃度1mMの添加により停止され、消化の程度は、SDS−PAGEによりモニタリングされた。 このトリプシン消化物(4mL)を、50mMトリス、0.15M NaCl、pH8.0中で、セファクリルS300(Amersham GE)(90cm×2.6cmカラム)上のゲル濾過に適用した。 次にウシラクトフェリンの大きい断片(Legrandら、1984)を含有する好適な画分は、Sセファロースファストフロー(Amersham GE)(15cm×1.6cmカラム)上で、リン酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)及び1M NaClまでの塩勾配を使用する、陽イオン交換クロマトグラフィーに供された。 CローブとN+Cローブの最終分離は、前述のセファクリルS300上の、しかし溶離液として10容量%酢酸を使用する、更なるゲル濾過により実現された(Mataら、1994)。 透析され(ミリQ水に対し)かつ凍結乾燥された断片の同一性は、SDS−PAGE及びEdman N末端配列決定により確認された。

    別法において、前述のようなトリプシン消化物は、Supertiらの論文(2001)のように、Vydac C18カラム上のRP−HPLCにより分離され、Cローブ及びNローブ断片に相当する高質量断片が記録された。 同一性は、MALDI MSにより確認された。

    一実施態様によれば、本明細書において有用な加水分解物は、1又は2以上の機能断片を含む。

    8. 抗腫瘍食品因子
    抗腫瘍食品成分は、Parkらの論文(2002)及びKris-Ethertonの論文(2002)において検証されている。

    一実施態様によれば、抗腫瘍食品因子は、ビタミンD(ビタミンD1[ルミステロール]、ビタミンD2[カルシフェロール又はエルゴカルシフェロール]、ビタミンD3[コレカルシフェロール]、ビタミンD4[22−ジヒドロエルゴカルシフェロール]及びビタミンD5[シトカルシフェロール]及びビタミンD5[7−デヒドロシトステロール]を含む)、ビタミンD類似物(非限定的に、以下に言及されるものを含む)、大豆タンパク質、1又は2以上の大豆成分(非限定的に、大豆由来のω−3脂肪酸、大豆由来のイソフラボン(例えばゲニステイン及び/又はダイゼイン)、及びルナシンペプチド(米国特許US 6,107,287及びUS 6,544,956に開示されたものなどで、これらの特許は参照により本明細書に組み入れられており、これらは寄託番号AAE49016、AAE49017、AAP62458及びAAP62459を有する)を含んでなる群から選択されるものを含む)、ポリフェノール(例えば、緑茶又は紅茶由来)、リコピン(又は、例えばトマトジュース)、フスマ、フラボノイド(又は、例えばリンゴジュース)、イノシトール、レスベラトロル(又は、例えばブドウジュース)、プロポリス、マッシュルーム抽出物、アントシアニン(又は、例えばベリージュース)、アーモンド、朝鮮人参、カゼイン加水分解物、及びそれらの組合せから選択される。

    本明細書において有用なビタミンD化合物の例は、カルシトリオール(1−α,25−ジヒドロキシ[1,25(OH)2D3];1,25−ジヒドロキシコレカルシフェロール)、1,25−ジヒドロキシエルゴカルシフェロール、カルシフェジオール(25−ヒドロキシコレカルシフェロール)、25−ヒドロキシエルゴカルシフェロール、エルゴカルシフェロール(及びその前駆体エルゴステロール)、コレカルシフェロール(及びその前駆体7−デヒドロコレステロール)、ドキセルカルシフェロール、ジヒドロタキステロール、パラカルシトール、セオカルシトール[EB 1089;1(S),3(R)−ジヒドロキシ−20(R)−(5'−エチル−5'−ヒドロキシヘプタ−1'(E),3'(E)−−ジエン−1'−イル)−9,10−セコプレグナ−5(Z),7(E),10(19)−トリエン)]に加え、それらの誘導体、類似物、ホモログ、前駆体及び代謝産物を含むが、これらに限定されるものではない。

    一実施態様によれば、抗腫瘍食品因子は、抗腫瘍食品及び抗腫瘍食品成分からなる群から選択される。

    一実施態様によれば、抗腫瘍食品は、果実、野菜、マメ(legume)、堅果、種子、穀物、香辛料、香草、キノコ(fungi)、プロバイオティックス、リンゴ、アプリコット、豆(例えば、緑豆、黒豆)、ヒヨコ豆、ベリー類(例えばブルーベリー、ラズベリー)、アブラナ科野菜(例えば、ブロッコリー、芽キャベツ、キャベツ、カリフラワー、コラード、ケール、コールラビ、チンゲン菜、ダイコン、カラシ菜、及びカブ)、ニンジン、チーズ、トウモロコシ製品、クランベリー、ナス、亜麻仁、アリウム属野菜[例えば、ニンニク、タマネギ、ネギ(スカリオン)、チャイブ、リーキ、シャロット]、ショウガ(ショウガ成分ジンゲロール、パラドール、及びβ-エレメネ)、朝鮮人参、ブドウ果実、ブドウ、ブドウジュース、緑茶又は紅茶、ホースラディッシュ、キウイフルーツ、クマラ、リーキ、レモン、ライム、ノニ果実、タマネギ、オレンジ、ピーナツ、コショウ、ライムギ製品、サケ、豆乳製品、ソイナッツ、大豆、スカッシュ、タンジェリン、トマト、フスマ製品、米、パパイヤ、ポポー、モモ、柿、イチゴ、タロイモ葉、グリーンバナナ、マンゴー、クレソン、ヤムイモ、アーモンド、及びそれらの組合せを含む、抗癌特性を有する機能食品又はそれらの誘導体であってよい。

    一実施態様によれば、抗腫瘍食品成分は、大豆タンパク質、1又は2以上の大豆成分(非限定的に、大豆由来のω−3脂肪酸、大豆由来のイソフラボン(例えばゲニステイン及び/又はダイゼイン)、及びルナシンペプチド(米国特許US 6,107,287及びUS 6,544,956に開示されたものなどで、これらの特許は参照により本明細書に組み入れられており、これらは寄託番号AAE49016、AAE49017、AAP62458及びAAP62459を有する)を含んでなる群から選択されるものを含む)、サメ軟骨、ニンニク抽出物、セレン補給、茶抽出物(例えば、緑茶又は紅茶のポリフェノール/カテキン/エピガロカテキン没食子酸エステル)、クルクミノイド、カフェイン、カルノシン酸、カプサイシン、セスキテルペンラクトン(例えばパルテノライド、コスツノライド、ヨモギン)、コチレニンA、フムロン、アルギニン、グルタミン、緑黄色野菜由来のレチノイド、カカオ粉末、リコピン、アブラナ科野菜由来のグルコシノレート、有機硫黄化合物(アリシン、ジアリルスルフィド、ジアリルジスルフィド、アリルメルカプタン)、N−アセチルシステイン、アリウム化合物、カロテノイド(非限定的にβ−カロテンを含む)、クマリン、食物繊維、ジチオールチオン、フラボノイド(例えばミリセチン、ケルセチン、ルチン)、インドール、イノシトール、ヘキサリン酸イノシトール、イソフラボン(ゲニステイン、ダイゼイン)、イソチオシアネート、モノテルペン(例えば、リモネン、ペリリル酸、メトール、カルベオール)、フスマ、ジテルペンエステル、ポリフェノール、リボフラビン5'−リン酸、シンナムアルデヒド、バニリン、ウンベリフェロン、フェノール(例えばケイヒ酸)、ポリフェノール、植物ステロール(例えばシトスタノール、スチグマステロール、カンペステロール)、アシルグリコシルステロール、植物ステロイド、プロテアーゼ阻害剤、サポニン、イソプレノイド、テルペノイド、トコトリエノール、レチノイド、エラグ酸、ポリアミン、レスベラトロル、ヒドロキシケイヒ酸[例えば、(E)−フェルラ酸及び(E)−p−クマリン酸]、クロロフィリン、プロポリス及びその成分の一部(例えば、カフェー酸、フェニルエステル、アルテリピンC)、赤ワイン、タンニン酸、マッシュルーム抽出物、アントシアニン(例えばシアニジン)、マッシュルームβ−グルカン(例えばレンチナン)、ホウレンソウ葉抽出物、ホウレンソウ葉由来の天然の抗酸化物の混合物、ノニジュース、ビタミンA、B6、C及びE、タガヤサン抽出物、サトウダイコン抽出物、レモングラス及びササ抽出物、カルノシン酸、カプサイシン、セスキテルペンラクトン(例えば、パルテノライド、コスツノライド、ヨモギン)、コチレニンA、フムロン、及びω−3脂肪酸(エイコサペンタエン酸(EPA)及びドコサヘキサエン酸(DHA)を含む)、並びにそれらの組合せからなる群から選択することができる。

    一実施態様によれば、抗腫瘍食品成分は、ビタミンD、ビタミンB6、タウリン、アルギニン、グルタミン、α−ラクトアルブミン、初乳ホエー、完全又は部分カゼイン加水分解物、免疫刺激因子であることがわかっているカゼインペプチド(類)(例えば、イムノカソキニン、カゼイノホスホペプチド、カソモルフィン、カソキニン)、コロストリニンペプチド、初乳、リン酸カルシウム及びリン酸カルシウム、葉酸エステル、システイン強化乳タンパク質、ラクトペルオキシダーゼ、HAMLET(α−ラクトアルブミン−オレイン酸複合体)、プラスミノーゲンの断片、プロサポシン、サポシン、カタラーゼ、ラクトペルオキシダーゼ、脂肪酸結合型タンパク質、リボヌクレアーゼ、β−グルクロニダーゼ阻害剤、BRCA1、BRCA2、CD36、インターフェロン、腫瘍壊死因子、インターロイキン2(IL−2)、キニノーゲン及び断片、キニノスタチン、シスタチン、フェツイン、好中球ディフェンシン、インターロイキン12(IL−12)、キチナーゼ−様タンパク質、ジストログリカン、プロスタシン、SPARC−様タンパク質、及びトロンボスポンジン、又はそれらの組合せからなる群から選択される。

    大豆タンパク質
    大豆は、心臓の健康及び健康な骨を助け、癌を予防し、かつ閉経後症状を緩和する作用物質として普及されている(Kerwin、2004)。 大豆の抗癌作用は、含硫アミノ酸含量が動物タンパク質よりも低い大豆タンパク質それ自身に起因し、かつ動物における発癌物質が誘導した腫瘍の発達を阻害することが示されている。 抗癌活性を伴う他の大豆成分は、プロテアーゼ阻害剤、例えば抗癌作用又はプロ-癌作用を有することができるゲニステインのようなイソフラボン、及びサポニンを含む。

    ビタミンD及びビタミンD受容体リガンド
    ビタミンDは、抗癌特性を有することが広く報告されている(Harrisら、2004)。 加えてビタミンDは、I型糖尿病、多発性硬化症、心血管疾患、及び骨粗鬆症を含む、癌とは別の多くの一般的かつ重篤な疾患の発生のリスクを低減すると考えられている(Holick、2004)。 酪農製品は、乳及び他の酪農製品がビタミンDにより強化されているニュージーランドのような国々における、ビタミンDの主な食事による供給源である。 ビタミンD3は、肝臓において25−ヒドロキシル化され、かつ腎臓及び末梢器官において活性ホルモン型1−α,25−ジヒドロキシ[1,25(OH)2D3](カルシトリオール)へ転換され、これは細胞の成長及び発達に関連した複数のプロセスに影響を及ぼす。 これは、細胞周期のG0/G1期での停止を引き起こし、このことはIGF−1のような成長促進因子のダウンレギュレーション、及びトランスフォーミング増殖因子βのような負の成長レギュレーターのアップレギュレーションにつながることにより、腫瘍細胞に対し抗増殖作用を示す。 これは、腫瘍アポトーシスを引き起こし、かつ腫瘍血管新生及び転移の阻害剤である(Nakagawaら、2005)。 活性1,25(OH)2D3代謝産物の腫瘍成長を阻害するために必要な投与量での投与には、高カルシウム血症毒性が随伴している。 高カルシウム血症を誘導しない1,25(OH)2D3の合成構造類似物は、動物モデルにおいて腫瘍成長を阻害し、かつ腫瘍の退縮を誘導することが報告されている(Colstonら、2003;Nolanら、1998;van Weeldenら、1998)。 ビタミンD受容体(VDR)リガンドの抗癌活性は、膀胱、乳房、結腸、子宮内膜、腎臓、肺、膵臓、前立腺の癌腫、軟組織及び骨の肉腫、神経芽細胞腫、神経膠腫、メラノーマ、扁平上皮癌(SCC)、及びその他のモデルにおいて明らかにされている(Beerら、2004)。

    第I相試験は、間欠的な弱い投薬は、実質的用量漸増を可能にし、かつカルシトリオール濃度の潜在的治療ピークを生じたことを明らかにした(Beerら、2001)。 第II相試験は、アンドロゲン依存型前立腺癌の患者において週1回のスケジュールで投与された高用量1α,25−ジヒドロキシビタミンD及びドセタキセルの併用は、抗腫瘍活性のレベルを増強することを報告した(Beerら、2003)。

    多くの研究が、ヒトにおける1日摂取量10,000IU(太陽光の非存在下)は安全であることを示している。 ビタミンD毒性のほとんどの症例は、数年間にわたる1日に50,000IU以上の摂取後に生じることが報告されている。 ビタミンDは、特に毒性はないことについては一部異論がある(Saul、2003)。

    ビタミンD受容体(VDR)リガンドとして作用しかつ本明細書において有用である化合物は、概して以下の3群に分けられる:(1)セコステロイド足場を有する、「デルタノイド」、(2)ビタミンDのA環は有するが、C環又はD環の一方は破壊されている、「シュード−セコステロイド」、及び、(3)セコステロイドとは構造的に異なる、「非−セコステロイド」。 有用なビタミンD類似物の総説については、Guytonら、2003;Guytonら、2001;Pelegら、2003;及び、Yeeら、2005を参照のこと。

    有用なビタミンD類似物は、その全体が引用により本明細書中に組み込まれている国際出願PCT/NZ2007/000389(及びこの出願に列記された参考文献)に開示されている。

    本発明の方法におけるこれらの類似物の評価は、下記実施例に説明されたプロトコールに従い実行されてよい。

    9. 免疫増強
    本発明者らは、乳脂肪は、任意に少なくとも1種の追加の治療剤と共に、免疫系を刺激しかつ増強することができることを認めた。 特に下記実施例において示されるように、乳脂肪は、任意に少なくとも1種の追加因子と共に、抗原特異性細胞溶解活性(免疫細胞、特に細胞傷害性Tリンパ球の活性)及び/又はNK細胞活性の発生を刺激し、抗原に対する細胞性免疫応答を改善し(少なくとも細胞傷害性Tリンパ球の活性を通じて)、免疫防御を改善し(少なくとも細胞傷害性Tリンパ球及び/又はNK細胞の活性を回復し、かつサイトカイン産生を増強することにより)、免疫防御を回復し(少なくとも細胞傷害性Tリンパ球の活性及び/又はNK細胞活性を回復又は刺激し、かつサイトカイン産生を増強することにより)、並びにプロ炎症性及び免疫刺激性メディエーター(Th1及びTh2サイトカイン)を作製することができる。 乳脂肪画分などを含む、乳脂肪の任意の機能変種は、少なくとも1種の追加の治療剤と組合せるかどうかに関わらず、乳脂肪と同様の活性を示すであろうと考えられている。 同様に、ラクトフェリンが投与される場合には、ラクトフェリンの機能変種又は機能断片は、ラクトフェリンと類似した活性を示すであろうと考えられている。

    下記実施例に示されるように、乳脂肪は、抗原特異性細胞溶解活性及び/又はNK細胞活性の発生を改善し、抗原に対する細胞性免疫応答を改善し、免疫防御を改善し、並びに免疫防御を回復することにおいて有効である。

    従って本発明は、乳脂肪又は乳脂肪類似物を、任意に1又は2以上の抗腫瘍剤のような、少なくとも1種の追加の治療剤と共に、対象へ投与することを含む、対象の免疫系を刺激する方法に関する。 本発明は、対象の腫瘍内でTh1及びTh2サイトカインの産生を増大させる方法、対象の腸内でTh1及びTh2サイトカインの産生を増大させる方法、対象の全身循環内のTh1及びTh2サイトカインのレベルをを上昇させる方法、並びに対象の抗腫瘍免疫応答を増強する方法にも関する。

    本発明のこれらの方法の一実施態様によれば、本対象は、先に説明されたような癌療法を受けているか、又は受ける予定である。

    一実施態様によれば、本対象は、療法を受けているが、再発しているか又は再発し易い。 一実施態様によれば、本対象は、化学療法薬、抗血管新生薬又は免疫療法薬による療法に対し難治性である腫瘍を有する。 一実施態様によれば、本対象は、化学療法薬、抗血管新生薬又は免疫療法薬による過去の療法では成功していない。

    一実施態様によれば、Th1サイトカインは、IL−18、TNF−α及びIFN−γから選択される。 一実施態様によれば、Th2サイトカインは、IL−4、IL−5、IL−6及びIL−10から選択される。 一実施態様によれば、Th1又はTh2サイトカイン又はサイトカイン類のレベルは、少なくとも約5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750又は800%増大する。

    好適であるならば、これらの方法は、任意の1又は2以上の抗腫瘍剤(化学療法薬又は免疫療法薬を含む)使用する治療又は以下に説明された抗腫瘍療法と組合せられてよい。

    10. 癌予防
    本発明者らは、乳脂肪は、単独で又は少なくとも1種の追加の治療剤との組合せのいずれかで、腫瘍形成を阻害し、かつ腫瘍成長を阻害し、かつ腫瘍転移を阻害することができることを認めた。 乳脂肪は、単独で又はラクトフェリン及び特に金属イオンラクトフェリンと組合せて、T細胞及び/又はNK(ナチュラルキラー)細胞のような抗腫瘍因子並びにアポトーシス−誘導因子を、全身循環に放出するか又は放出を刺激し、抗腫瘍免疫学的活性を刺激し、かつ免疫増強活性、抗血管新生活性及び直接の腫瘍細胞傷害性を示し、かつ下記実施例において示されるように腫瘍細胞のアポトーシスを誘導することができる。 任意の乳脂肪の機能変種、又は乳脂肪画分、又は乳脂肪類似物は、乳脂肪と同様の活性を示すと考えられている。

    本発明は、癌を予防すること、特にしばしば続発性腫瘍の成長及び増殖から生じる術後の再発(腫瘍成長)を予防すること、診断後に播種した腫瘍を防止すること、及び対象に抗腫瘍剤又は抗腫瘍療法の実施の準備をすることにおいて有用である。

    固形腫瘍は、あるサイズを超えて成長することができるようになる前に、これらは新たに血管を形成しなければならない。 従って血管新生、特に腫瘍血管新生(腫瘍に供給するための血管の形成)の阻害は、明らかに癌治療の適用である(Dass、2004)。 下記実施例に示されたように、経口投与された乳脂肪は、単独又はラクトフェリン及び特に金属イオンラクトフェリンとの組合せに関わらず、腫瘍中の血管の数を有意に減少し、かつ血流を有意に減少することができる。

    血管新生の阻害は、心血管疾患(例えばアテローム性動脈硬化症及び再狭窄)、慢性炎症(例えば関節リウマチ、変形性関節症、及びクローン病)、糖尿病(糖尿病性網膜症)、乾癬、子宮内膜症、黄斑変性及び脂肪症を含むが、これらに限定されるものではない、他の障害における適用も含む。 従って乳脂肪又は乳脂肪類似物は、好ましくは少なくとも1種の追加の治療剤と、より好ましくはラクトフェリン又はそれらの機能変種又は機能断片と、特に金属イオンラクトフェリンと組合せて、癌の治療及び予防以外の適用を有する。

    同様に、経口投与された乳脂肪又は乳脂肪類似物は、単独で又は少なくとも1種の追加の治療剤、例えばラクトフェリン、特に金属イオンラクトフェリンとの組合せのいずれかで、下記実施例に示されたように、腫瘍細胞のアポトーシスを誘導することができる。 本実施例は、アポトーシス因子は、金属イオンラクトフェリンを給餌したマウスの血清中に存在することも示している。

    従って本発明は、ラクトフェリン又はそれらの金属イオン機能変種又は機能断片を対象へ投与することを含む、対象において腫瘍形成を阻害する方法、対象においてアポトーシスを誘導する方法、対象の腫瘍細胞においてアポトーシスを誘導する方法、対象において血管新生を阻害する方法、及び対象において腫瘍血管新生を阻害する方法にも関する。

    本発明は、全身循環中の抗腫瘍因子を維持又は増加する方法にも関する。

    一実施態様によれば、本対象は、癌に罹患し易い。 一実施態様によれば、本対象は、化学療法薬、抗血管新生薬又は免疫療法薬による療法に対し難治性の腫瘍を有する。 一実施態様によれば、本対象は、化学療法薬、抗血管新生薬又は免疫療法薬による過去の療法では成功していない。

    好適であるならば、これらの方法は、1又は2以上の抗腫瘍剤(化学療法薬又は免疫療法薬を含む)のいずれかを利用する治療又は以下に説明される抗腫瘍療法と組合せることができる。

    11. 併用療法による癌の治療及び予防
    本発明者らは、乳脂肪は、腫瘍成長を阻害し、かつ腫瘍転移を阻害することができることを認めた。 乳脂肪は、免疫療法(B7−1の腫瘍内遺伝子導入により媒介されたものを含む)、化学療法(パクリタキセル、ドキソルビシン、エピルビシン又はフルオロウラシルを含む)、又は腫瘍を実質的に根絶するための樹状細胞療法と相乗作用する。 乳脂肪は、腫瘍成長及び腫瘍転移を阻害するために、化学療法(パクリタキセル、ドキソルビシン、エピルビシン、フルオロウラシル、シクロホスファミド又はメトトレキセートを含む)と相乗作用することができる。 乳脂肪画分などを含む、乳脂肪の任意の機能変種、又は乳脂肪類似物は、少なくとも1種の追加の治療剤と組合せるかどうかに関わらず、乳脂肪と同様の活性を示すであろうと考えられている。 同様に、ラクトフェリンが投与される場合には、任意のラクトフェリンの機能変種又は機能断片は、ラクトフェリンと類似した活性を示すであろうと考えられている。 乳脂肪単独又は他の療法との組合せは、肺及び肝臓へ播種する4T1乳癌腫瘍の外側への成長(outgrowth)を抑制することができ、そのため腫瘍転移を阻害することができる。

    先に説明されたように、乳脂肪は、T細胞及び/又はNK(ナチュラルキラー)細胞などの抗腫瘍因子並びにアポトーシス誘導因子を、全身循環へ又は循環内に放出するか又は刺激し、免疫増強活性、抗血管新生活性及び直接の腫瘍細胞傷害性を示し、並びに下記実施例に示されたように腫瘍細胞のアポトーシスを誘導する能力を示すことがわかっている。

    一実施態様によれば、化学療法薬は、パクリタキセル、ドキソルビシン、エピルビシン、フルオロウラシル、シクロホスファミド又はメトトレキセートである。

    先に説明された方法に加え、本発明は:
    (a)乳脂肪の、任意に少なくとも1種の追加の治療剤を伴う投与、及び(b)少なくとも1種の抗腫瘍剤又は抗腫瘍療法の個別、同時又は逐次投与:
    を含む、対象において腫瘍成長を阻害又は腫瘍転移を阻害する方法、及び対象における癌を治療又は予防する方法に関する。

    一実施態様によれば、本対象は、癌に罹患しているか、又は癌に罹患し易い。 一実施態様によれば、本対象は、化学療法薬、抗血管新生薬又は免疫療法薬による療法に対し難治性の腫瘍を有する。 一実施態様によれば、本対象は、化学療法薬、抗血管新生薬又は免疫療法薬による過去の療法では成功していない。

    一実施態様によれば、少なくとも1種の抗腫瘍剤は、経口又は非経口的に投与されるが、好ましい経路は、選択された抗腫瘍剤によって決まる。 好ましくは、少なくとも1種の抗腫瘍剤は、経口又は静脈内、腹腔内又は腫瘍内注射により投与される。 好ましくはパクリタキセル、ドキソルビシン、エピルビシン、フルオロウラシル、シクロホスファミド及びメトトレキセートは、静脈内又は腹腔内注射により投与される。 好ましくはB7−1をコードしている発現プラスミドは、腫瘍内注射により投与される。 あるいは、腫瘍細胞は、患者から収集され、エクスビボでB7−1発現プラスミドによりトランスフェクションされ、かつトランスフェクションされた細胞が患者へ注射される。 あるいは、可溶性B7−Ig融合タンパク質は、非経口的に送達することができる。 好ましくは樹状細胞療法は、静脈内、腹腔内又は腫瘍内注射により投与される。

    一実施態様によれば、乳脂肪又は乳脂肪類似物は、経口又は非経口的に投与される。

    一実施態様によれば、乳脂肪又は乳脂肪類似物は、任意に少なくとも1種の追加の治療剤と共に、抗腫瘍剤又は抗腫瘍療法の実施前に、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10週間毎日投与される。

    一実施態様によれば、乳脂肪又は乳脂肪類似物は、任意に少なくとも1種の追加の治療剤と共に、抗腫瘍剤又は抗腫瘍療法の実施前に、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又は21日間、又は少なくとも約1、2、3、4、5、6、7又は8週間、又は少なくとも約1、2、3、4、5又は6ヶ月間投与される。

    一実施態様によれば、乳脂肪又は乳脂肪類似物は、任意に少なくとも1種の追加の治療剤と共に、抗腫瘍剤又は抗腫瘍療法の実施の開始後、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又は21日間、又は少なくとも約1、2、3、4、5、6、7又は8週間、又は少なくとも約1、2、3、4、5又は6ヶ月間投与される。

    好ましくは乳脂肪又は乳脂肪類似物は、任意に少なくとも1種の追加の治療剤と共に、連続して1日にわたる経口、非経口点滴による又は投与経路の組合せによる(例えば経口及び非経口)を含み、少なくとも1日1回投与される。

    本発明の方法の一実施態様によれば、腫瘍は、先に説明されたように大型腫瘍である。

    本発明の方法の一実施態様によれば、対象の白血球数、赤血球数、又は骨髄細胞数の1又は2以上が、維持されるか又は改善される。

    一実施態様によれば、乳脂肪又は乳脂肪類似物、及び投与される場合少なくとも1種の追加の治療剤は、可消化脂肪、より好ましくは可消化脂肪及び可消化タンパク質、好ましくはラクトフェリン、カゼイン又は他の可食性タンパク質のような他のタンパク質を含有する剤形において投与される。

    一実施態様によれば、乳脂肪又は乳脂肪類似物及び少なくとも1種の追加の治療剤は、いずれか単独の作用よりも優れた、好ましくはいずれか単独の相加作用よりも優れた、相乗的治療効果を提供する。 例えば好ましくは、腫瘍形成又は成長の阻害、腫瘍退縮、細胞溶解作用、免疫増強、Th1及びTh2サイトカインの産生、白血球数、赤血球数又は骨髄細胞数の維持又は改善、貧血、悪液質、粘膜炎の治療又は予防、又は対象又は腫瘍の治療法に対する反応性に対するより良い作用が存在する。

    これらの方法は、以下に説明された抗腫瘍剤(化学療法薬、免疫療法薬、悪液質治療薬、粘膜炎治療薬、又は造血薬を含む)又は抗腫瘍療法のいずれか1又は2以上を利用する治療と組合せることができる。

    一実施態様によれば、本抗腫瘍療法は、非限定的に、手術、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、生物学的療法/免疫療法、抗血管新生療法、細胞毒性療法、ワクチン、核酸ベースのワクチン(例えば、癌抗原を発現している核酸、例としてp185ワクチンを含むDNAワクチン)、ウイルスベースの療法(例えば、アデノ随伴ウイルス、レンチウイルス)、遺伝子療法、小型分子阻害剤療法、ヌクレオチドベースの療法(例えば、RNAi、アンチセンス、リボザイムなど)、抗体ベースの療法、酸素及びオゾン治療、塞栓形成、及び/又は化学塞栓形成療法などの療法から選択される。

    一実施態様によれば、抗腫瘍療法又は抗腫瘍剤は、非限定的に、公開された国際特許出願WO 2006/054908に列記されたものを含む、化学療法薬から選択され、この出願はその全体が参照により本明細書に組入れられている。

    ひとつの好ましい実施態様によれば、化学療法薬は、パクリタキセル、ドキソルビシン、エピルビシン、フルオロウラシル、シクロホスファミド及びメトトレキセートから選択される。

    一実施態様によれば、本抗腫瘍剤は、免疫療法薬である。 好ましくは本免疫療法薬は、T細胞共刺激因子B7−1、T細胞共刺激因子、又は機能的に関連した分子、例えばB7−Igキメラをコードしている発現プラスミドである。

    一実施態様によれば、本抗腫瘍剤又は療法は、樹状細胞療法を含む。

    一実施態様によれば、本放射線治療は、外部ビーム放射線治療(γ線及びx線療法を含む)、及び放射性同位元素を使用する内部放射線治療を含む。 放射性同位元素は、本発明に従い抗腫瘍剤としても使用することができる。

    12. 療法に対する腫瘍反応性の増大法
    本発明者らは、下記実施例において、経口投与された乳脂肪は、単独で又はラクトフェリン及び特に金属イオンラクトフェリンなどの少なくとも1種の追加の治療剤との組合せに関わらず、対象の反応性を増大し、かつ腫瘍の抗腫瘍剤に対する感度を増大させることができることを示している。 ラクトフェリンが乳脂肪と組合せて投与される場合、任意のラクトフェリンの機能変種、機能断片、金属イオン機能変種又は金属イオン機能断片は、乳脂肪と組合せた金属イオンラクトフェリンと同様の活性を示すと考えられる。

    従って本発明は、乳脂肪又は乳脂肪類似物を、任意に少なくとも1種の追加の治療剤、好ましくはラクトフェリンと共に、それを必要とする対象へ、この療法と個別に、同時に又は逐次投与することを含む、手術、化学療法、放射線療法、ホルモン療法(例えば、タモキシフェン、アロマターゼ阻害剤)、生物学的療法/免疫療法、抗血管新生療法、細胞毒性療法、ワクチン、核酸ベースのワクチン(例えば、癌抗原を発現している核酸、例えばp185ワクチンを含む、DNAワクチンなど)、ウイルスベースの療法(例えば、アデノ随伴ウイルス、レンチウイルス)、遺伝子療法、小型分子阻害剤療法、ヌクレオチドベースの療法(例えば、RNAi、アンチセンス、リボザイムなど)、抗体ベースの療法、酸素及びオゾン治療、塞栓形成、及び/又は化学塞栓形成療法、並びにそれらの組合せを含んでなる群から選択される抗癌療法などの療法に対する、対象の反応性を増大させる方法にも関する。

    本発明は、乳脂肪又は乳脂肪類似物を、任意に少なくとも1種の追加の治療剤、好ましくはラクトフェリンと共に、それを必要とする対象へ、この療法の実施と個別に、同時に又は逐次に経口又は非経口的投与することを含む、癌療法に対する対象の腫瘍の感度を増大させる方法にも関する。 好ましくは、乳脂肪又は乳脂肪類似物は、先に説明されたものである。 好ましくは、少なくとも1種の追加の治療剤は、先に説明されたものである。 好ましくは、ラクトフェリンは、先に説明されたものである。 好ましくは、本療法は、先に説明されたものである。

    同様に本発明は、乳脂肪又は乳脂肪類似物を、任意に少なくとも1種の追加の治療剤、好ましくはラクトフェリンと共に、それを必要とする対象へ、この療法の実施と個別に、同時に又は逐次的に投与することを含む、癌療法を受けている対象の回復を速める方法にも関する。 この本発明の実施態様によれば、この対象は、癌又は癌療法の作用から、本発明に従い治療されない対象よりもより迅速に回復する。 好ましくは、この対象は、癌療法を受ける投与量又は費やす時間を減少することができる。

    これらの方法は、先に説明された抗腫瘍剤(化学療法薬又は免疫療法薬)又は抗腫瘍療法のいずれか1又は2以上を使用する治療と組合せることができる。

    一実施態様によれば、乳脂肪又は乳脂肪類似物は、任意に少なくとも1種の追加の治療剤と共に、抗腫瘍剤又は抗腫瘍療法の実施前に少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10週間、毎日投与される。 一実施態様によれば、乳脂肪又は乳脂肪類似物は、任意に少なくとも1種の追加の治療剤と共に、抗腫瘍剤又は抗腫瘍療法の実施前に少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又は21日間、又は少なくとも約1、2、3、4、5、6、7又は8週間、又は少なくとも約1、2、3、4、5又は6ヶ月間投与される。 一実施態様によれば、乳脂肪又は乳脂肪類似物は、任意に少なくとも1種の追加の治療剤と共に、抗腫瘍剤又は抗腫瘍療法の実施開始後、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又は21日間、又は少なくとも約1、2、3、4、5、6、7又は8週間、又は少なくとも約1、2、3、4、5又は6ヶ月間投与される。

    13. 腫瘍の種類
    一実施態様によれば、前述の腫瘍、腫瘍細胞、又は癌は、白血病、結腸癌、乳癌、メラノーマ、皮膚又は肺癌である。 本発明が関連する腫瘍の種類は、公開された国際特許出願WO 2006/054908において列記されており、この出願は参照により本明細書に組入れられている。

    一実施態様によれば、前述の腫瘍、腫瘍細胞、又は癌は、急性白血病、急性リンパ球性白血病、急性顆粒球性白血病、急性骨髄性白血病、例えば骨髄芽球性、前骨髄球性、骨髄単核球性、単球性、赤白血病などの白血病、並びに骨髄異形成症候群、慢性白血病、例えば非限定的に、慢性骨髄性白血病、慢性顆粒球性白血病、慢性リンパ球性白血病、及びヘアリーセル白血病などであるが、これらに限定されるものではない白血病である。

    一実施態様によれば、前述の腫瘍、腫瘍細胞、又は癌は、非限定的に、ホジキン病及び非ホジキン病などのリンパ腫である。 一実施態様によれば、前述の腫瘍、腫瘍細胞は、骨髄細胞系の造血器腫瘍、例えば非限定的に、急性及び慢性骨髄性白血病、くすぶり型多発性骨髄腫、非分泌性骨髄腫及び骨硬化性骨髄腫などに由来し、又は前述の癌はこれらを含む。 一実施態様によれば、前述の腫瘍、腫瘍細胞は、白血病、急性及び慢性リンパ球性白血病、急性及び慢性リンパ芽球性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫を含むリンパ系列の造血器腫瘍に由来し、又は前述の癌はこれらを含む。 一実施態様によれば、前述の腫瘍、腫瘍細胞は、Bリンパ系列の造血器腫瘍に由来し、又は前述の癌はこれらを含む。 一実施態様によれば、前述の腫瘍、腫瘍細胞は、Tリンパ系列の造血器腫瘍に由来し、又は前述の癌はこれらを含む。

    本発明の方法及び組成物により治療又は予防され得る追加の癌及び関連障害は、以下を含むが、これらに限定されるものではない:白血病;リンパ腫;多発性骨髄腫;ヴァルデンストロームマクログロブリン血症;深刻さが不明のモノクローナルガンマグロブリン異常症;良性単クローン性高ガンマグロブリン血症;重鎖病;骨肉腫及び結合組織肉腫;脳腫瘍;乳癌;副腎癌;甲状腺癌;膵臓癌;下垂体癌;眼癌;膣癌;外陰癌;子宮頸癌;子宮癌;卵巣癌;食道癌;胃癌;結腸癌;直腸癌;肝臓癌;胆嚢癌;胆管癌;肺癌;睾丸癌;前立腺癌;陰茎癌;口腔癌;基底細胞癌(basal 癌);唾液腺癌;咽頭癌;皮膚癌;腎臓癌;ウィルムス腫瘍;及び、膀胱癌。 そのような障害の総説に関しては、Fishmanらの著書(1985、Medicine、第2版、JB Lippincott Co.、フィラデルフィア)、及びMurphyらの著書(1997、「Informed Decisions: The Complete Book of Cancer Diagnosis, Treatment, and Recovery」, Viking Penguin, Penguin Books USA,Inc., 米国)を参照のこと。

    本発明に従い治療又は予防され得る追加の癌又は他の異常な増殖性疾患は、以下を含むが、これらに限定されるものではない:肝臓、脾臓、心臓、肺、小腸、大腸、直腸、腎臓、脳、膀胱、乳房、結腸、腎臓、肝臓、肺、卵巣、膵臓、胃、頸部、甲状腺及び皮膚の癌腫を含む、癌腫;扁平上皮癌;白血病、急性リンパ球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫を含む、リンパ系列の造血器腫瘍;急性及び慢性骨髄性白血病並びに前骨髄性白血病を含む、骨髄細胞系の造血器腫瘍;線維肉腫及び横紋筋肉腫を含む、間葉起源の腫瘍;メラノーマ、精上皮腫、奇形癌、神経芽細胞腫及び神経膠腫を含む、他の腫瘍;星状細胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫、及び神経鞘腫を含む、中枢及び末梢神経系の腫瘍;線維肉腫、横紋筋肉腫、及び骨肉腫を含む、間葉起源の腫瘍;並びに、メラノーマ、色素性乾皮症、化棘細胞腫、精上皮腫、甲状腺濾胞癌及び奇形癌を含む、他の腫瘍。

    具体的実施態様によれば、卵巣、膀胱、乳房、結腸、肝臓、肺、皮膚、膵臓、又は子宮の悪性腫瘍又は異常増殖性の変化(例えば化生及び異形成症)、又は過増殖性疾患は、治療又は予防される。 他の具体的実施態様によれば、肉腫、メラノーマ、又は白血病は、治療又は予防される。

    14. 皮膚癌の治療又は予防
    本発明の更なる実施態様は、乳脂肪又は乳脂肪類似物を、任意に少なくとも1種の追加の治療剤、好ましくはラクトフェリンと共に、皮膚内又は皮膚上に、及び/又は腫瘍近傍内に塗布する工程を含む、皮膚癌を治療又は予防する方法である。

    好ましい実施態様によれば、皮膚は、太陽光曝露に起因し、皮膚癌になる素因がある。

    好ましい実施態様によれば、癌は、基底細胞癌、扁平上皮癌、又はメラノーマである。

    好ましくは、乳脂肪又は乳脂肪類似物は、単独で又は標準の抗癌投薬計画と組合せて、局所投与される。 腫瘍近傍内の投与は、腫瘍の周縁の近傍又は隣接部へ、又は腫瘍の周縁領域内に直接の投与を含む。 乳脂肪は、発癌を阻害し、局部組織内の抗腫瘍免疫を刺激し、腫瘍血管新生を阻害し、及び/又は直接殺腫瘍する(腫瘍成長を阻害することができる)ことが想起されている。 簡単に述べると、乳脂肪は、任意に少なくとも1種の追加の治療剤と共に、好適な担体内、強度0.1%、1%、5%、又は10%で、リスクのある皮膚又は癌性皮膚病巣に1日2回塗布される。 腫瘍サイズの進展は、CTスキャン及び利用可能である場合は腫瘍マーカーでモニタリングされる。

    投与量及び治療投薬計画は、好適な皮膚癌動物モデルにおける前臨床試験に着手することにより、情報を得ることができる。 マウスの皮膚領域は、剃毛され、発癌物質(例えば、7,12−ジメチルベンズ(a)−アントラセン(DMBA))の外用塗布、それに続くUV−Bの照射により処置される(Bestakら、1996)。 ラクトフェリンは、発癌物質処置又は一旦癌性病巣が形成された後2日間、好ましくは皮膚透過性を増大させることができる皮膚浸透増強剤(例えば70%ラウレス硫酸エステル及び30%フェニルピペラジン)の存在下で、塗布されてよい。 ラクトフェリンは、1日2回、又はそうでなければ必要に応じて、皮膚又は癌性病巣へ塗布され、かつ腫瘍成長は、数週間から数ヶ月にわたりモニタリングされる。

    適当である場合は、これらの方法は、任意の先に説明された抗腫瘍剤(化学療法薬又は免疫療法薬を含む)又は抗腫瘍療法の1又は2以上を利用する治療と組合せられてよい。

    15. 貧血
    下記実施例に示されるように、乳脂肪の経口投与は、対象の血液学的抑制の低下、及び対象の貧血の治療又は予防に有効である。

    貧血(時には貧血症)は、赤血球(RBC)及び/又はヘモグロビンの欠乏症をいう。 これは、酸素を組織へ運搬する血液の能力の低下を生じ、低酸素症を引き起こす。 従って変動する貧血の程度は、広範な臨床の転帰を有し得る。

    形態学的アプローチを使用し、貧血は、赤血球のサイズにより分類することができる。 このサイズは、典型的にはフェムトリットル(fl)で測定される、平均赤血球容積(MCV)により反映される。 これらの細胞が、普通よりも小さい(80fl以下)場合、貧血は小球性と称され;これらが普通サイズである(80〜100fl)場合、正球性と;及び、これらが普通よりも大きい(100fl以上)場合、貧血は大球性と分類される。

    小球性貧血は主に、ヘモグロビン合成の不全又は不充分さの結果であり、ヘム合成の欠損、鉄欠乏症、慢性障害の貧血、グロビン合成の欠損、α−及びβ−サラセミア、HbE症候群、HbC症候群、及び他の不安定なヘモグロビン疾患、遺伝性の鉄芽球性貧血、鉛毒性を含む後天性鉄芽球性貧血、及び可逆性鉄芽球性貧血を含む、鉄芽球性欠損を含む、いくつかの病因により引き起こされ得る。 鉄欠乏性貧血は、貧血全体の最も一般的型であり、これは多くの原因がある。 RBCは、顕微鏡で観察した場合に、低色素性(通常よりも淡色)及び小球性(通常よりも小さい)ように見えることが多い。 鉄欠乏性貧血は概して、不充分な食事による摂取又は鉄吸収により引き起こされる。 鉄欠乏性貧血は、胃腸管の病巣の出血によっても引き起こされ得る。 鎌状赤血球症及びサラセミアのような異常血色素症は通常、小球性貧血として分類される。

    正球性貧血症は、全体のHbレベルが低下しているが、赤血球サイズ(MCV)は正常を維持する場合である。 原因は、急激な失血、慢性疾患の貧血、再生不良性貧血(骨髄不全)、及び溶血性貧血を含む。 溶血性貧血は、多くの潜在的原因を伴う症状(黄疸及び上昇したLDHレベルも特徴とする)の個別の集まりを引き起こす。 これは、自己免疫、免疫、遺伝性又は機械的(例えば心臓手術)であることができる。 これは頻繁には正球性であるが、小球性貧血における細胞断片化が原因で、又は骨髄からの未熟な赤血球の早期放出が原因で、大球性貧血を生じ得る。

    大球性貧血は、「巨赤芽球性貧血」又は「非巨赤芽球性大球性貧血」に更に分けることができる。 巨赤芽球性貧血の原因は主に、前駆細胞の制限された細胞分裂を生じる、保存されたRNA合成によるDNA合成の失敗である。 巨赤芽球性貧血は、好中球過分葉(6〜10ローブ)と共に存在することが多い。 巨赤芽球性貧血は、大球性貧血の最も一般的な原因である。 巨赤芽球性貧血は、一般にビタミンB12又は葉酸のいずれか(又は両方)の欠乏症に起因し、次に通常不適切な摂取又は不充分な吸収のいずれかに起因している。 葉酸欠乏症は通常、神経学的症状を生じないのに対し、B12欠乏症は生じる。 悪性貧血は、胃の壁細胞に対して示された自己免疫状態である。 壁細胞は、食品からのビタミンB12の吸収に必要な、固有の因子を産生する。 従って壁細胞の破壊は、固有の因子の欠損を引き起こし、これはビタミンB12の吸収不良につながる。 巨赤芽球性貧血は、メトトレキセート、ジドブジン、及びDNA複製を阻害する他の薬物への曝露からも生じることがある。 非−巨赤芽球性大球性貧血は、例えばアルコール依存症を生じるような、様々な病因(すなわち、DNA合成は損なわれていない)を有する。

    2〜6週齢で未熟児において生じ、かつヘマトクリットレベルの漸減に対する減少したエリスロポエチンの結果である未熟児貧血;再生不良性貧血及び様々な他の異常を特徴とする遺伝性の障害又は欠損である、ファンコニー貧血;赤血球(RBC)膜の欠損を生じる遺伝性の欠損であり、赤血球の脾臓による封鎖及び破壊を引き起こす、遺伝性の球状赤血球症:を含む、様々な特異的貧血が存在する。 これは、循環RBCの数の減少につながり、結果的に貧血;変異ヘモグロビンS遺伝子の存在に起因する遺伝性の障害である、鎌状赤血球貧血;主にIgGによる、赤血球に対する自己免疫攻撃に起因する貧血である、温式自己免疫性溶血性貧血;並びに、主にIgMにより媒介される、寒冷凝集素溶血性貧血につながる。

    従って本発明は、乳脂肪又は乳脂肪類似物を、任意に少なくとも1種の追加の治療剤と共に、対象へ投与することを含む、対象における貧血を治療又は予防する方法に関する。 本発明は、対象における血液学的抑制を低下又は阻害する方法にも関する。

    血液学的抑制を低下又は阻害することは、単に癌療法を受けている対象又は癌療法を受けた対象の治療のみではなく、非限定的に先に説明された貧血を含む他の障害においても、適応を有する。 従って乳脂肪又は乳脂肪類似物は、好ましくは少なくとも1種の追加の治療剤、より好ましくはラクトフェリン又はそれらの機能変種又は機能断片、特に金属イオンラクトフェリンと共に、癌治療及び予防以外の適用を有する。

    16. 悪液質
    下記実施例に示されたように、乳脂肪の経口投与は、対象の悪液質状態の改善、及び対象の悪液質の治療又は予防において有効である。

    悪液質は、積極的に減量を試みていないヒトにおける、体重減少、筋萎縮、疲労、虚弱及び食欲不振(著しい食欲喪失)の1又は2以上である。 これは、通常癌、ある種の感染症(例えば結核、AIDS)及び一部の自己免疫疾患などの、基礎障害に関連している。 悪液質は、食欲不振、無力症、及び貧血から始まる不動状態へ、患者を生理的に衰弱させ、かつ標準治療に対する反応は、通常不良である。

    悪液質を伴う癌患者は、低下した生理活性、随伴する感染症、又は化学療法及び放射線治療からの消化管への毒性に起因するかどうかに関わらず、概して、栄養状態及び生活の質の維持に関して症候性に管理される。 このような管理は、胃炎のための含嗽剤の使用、少量頻回の摂食、制吐薬、抗生物質、成分輸血、並びに経口及び非経口栄養分補給を含む。 補助食品は、追加のカロリー、タンパク質、脂肪、ビタミン、及びミネラルを提供する点で有効であることができる。 膵臓癌に続発する吸収不良症候群のような特定の症例において、脂肪及びタンパク質の吸収を改善するために、外来性膵臓抽出物が使用される(Perez MMら、「Assessment of weight loss, food intake, fat metabolism, malabsorption, and treatment of pancreatic insufficiency in pancreatic 癌」、Cancer 1983;52:346-52)。

    癌患者における悪液質の進行を逆転、遅延又は停止する試みで、様々な薬理学的作用物質が投与されている。 これらは、プレドニソロン、メチルプレドニゾロン、及びデキサメタゾンなどのコルチコステロイド、酢酸メゲストロール、酢酸メドロキシプロゲステロンなどの黄体ホルモン薬、ドロナビノールなどのカンナビノイド、シプロヘプタジンなどのセロトニンアンタゴニスト、メトクロプラミド及びシサプリドなどの運動促進薬、デカン酸ナンドロロン及びフルオキシメステロンなどのアナボリックステロイド、硫酸ヒドラジンなどのホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼの阻害剤、ペントキシフィリン及びリソフィリンなどのメチルキサンチン類似物、サリドマイド、サイトカイン及び抗−IL−6 抗体などの抗サイトカイン、IL−12、分枝鎖アミノ酸、エイコサペンタエン酸、インドメタシン及びイブプロフェンなどのプロスタグランジン合成の阻害剤、メラトニンなどのホルモン、並びにクレンブテロールなどのβ2−アドレナリン受容体アゴニストを含む。

    従って本発明は、乳脂肪又は乳脂肪類似物を、任意に少なくとも1種の追加の治療剤と共に、対象へ投与することを含む、対象において悪液質を治療又は予防する方法に関する。 本発明は、対象の悪液質状態を改善する方法にも関する。

    悪液質の治療又は予防は、単に癌療法を受けている対象又は癌療法を受けた対象の治療のみではなく、非限定的に先に説明された障害を含む体重減少又は疲労に関連した他の障害においても、適応を有する。 従って乳脂肪又は乳脂肪類似物は、好ましくは少なくとも1種の追加の治療剤、より好ましくはラクトフェリン又はそれらの機能変種又は機能断片、特に金属イオンラクトフェリンと共に、癌の治療及び予防以外の適用を有する。

    17. 粘膜炎
    下記実施例に示されたように、乳脂肪の経口投与は、潰瘍などの腸管の損傷の改善、及び粘膜炎の治療又は予防において有効である。

    粘膜炎は、口腔−咽頭腔及び胃腸(GI)管の上皮の損傷、その結果のこれらの粘膜の炎症及び潰瘍を特徴とする状態である。 口腔及び食道において、粘膜炎は、有痛性の潰瘍を特徴とする。 更に消化管を下ると、粘膜炎は下痢を引き起こし、これは重症で衰弱することが多い。 粘膜炎は通常、放射線療法及び/又は化学療法の結果であり、癌化学療法を受ける患者の約40%においてある程度生じる。 上皮細胞は、他の臓器の細胞と比べ、それらの比較的高い代謝回転率のために、放射線療法及び化学療法の細胞毒性作用をより受け易い。 ほとんどの場合において、粘膜の上皮細胞は、治療される癌よりもより迅速な代謝回転を有し、かつ細胞毒性物質及び放射線による損傷に対し脆弱である。 粘膜炎の診断及び経過観察は、患者への問診(疼痛質問票など)、口腔試験及び内視鏡検査により実現される。 ショ糖呼気検査、シトルリンアッセイ及びトランスグルタミナーゼアッセイを含むいくつかのアッセイも、診断のための決定要因であることが示唆されている。

    粘膜炎の治療は、主に対症療法である。 口腔衛生が現在治療の中心であり、典型的には頻繁な洗口により達成される。 水溶性ゼリーを使用し、口を滑らかにすることができる。 様々な外用緩和剤が、粘膜炎に関連した疼痛及び感受性を管理するために存在している。 塩含嗽剤は、疼痛を和らげかつ感染を避けるために食物粒子を清潔に保つことができる。 薬用物質は、グルコン酸クロルヘキシジン、リドカイン(キシロカイン)、塩酸ジクロニン(Dyclone)、及びオラベース(Orabase)中のベンゾカインを含む。 加えて外用麻酔活性を有する塩酸ジフェンヒドラミン(Benadryl)を、同等量のKaopectate又はマグネシウム乳剤のいずれかのとの懸濁液として混合することができる。 塩酸ベンジダミン(HCl)は、抗炎症特性、鎮痛特性、及び麻酔特性を伴う非ステロイド系リンス液である。 放射線療法及び化学療法が誘導した粘膜炎の治療におけるリンス液としての、胃潰瘍の治療で広範に投与されるスクラルファートの使用は、多数の研究者により報告されている。

    グルコン酸クロルヘキシジン、ポリミキシンE、トブラマイシン、及びアンホテリシンなどの殺微生物薬は、ある程度の臨床的価値があることが報告されている。 ベタメタゾン及びインドメタシンなどの抗炎症薬は、放射線が誘導した粘膜炎の予防又は重症度の軽減に潜在的価値があることが報告されている。 ヒトケラチノサイト成長因子(KGF)であるパリフェルミン(KEPIVANCE)は、上皮細胞の増殖、分化、及び遊走を増強することが報告されている。 他の報告された療法は、サイトカイン及び他の炎症修飾因子(IL−1、IL−11、TGF−β3など)、アミノ酸補給(例えばグルタミンによる)、ビタミン、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)などのコロニー刺激因子、凍結療法、及びレーザー療法に頼っている。

    従って本発明は、乳脂肪又は乳脂肪類似物を、任意に少なくとも1種の追加の治療剤と共に、対象へ投与することを含む、対象において悪液質を治療又は予防する方法に関する。 本発明は同じく、対象の悪液質状態を改善する方法にも関する。

    粘膜炎の治療又は予防及び腸管の損傷の軽減又は改善は、単に癌療法を受けている対象又は癌療法を受けた対象の治療のみではなく、非限定的に先に説明された障害を含む腸管上皮の損傷に関連した他の障害においても、適応を有する。 従って乳脂肪又は乳脂肪類似物は、好ましくは少なくとも1種の追加の治療剤、より好ましくはラクトフェリン又はそれらの機能変種又は機能断片、特に金属イオンラクトフェリンと共に、癌の治療及び予防以外の適用を有する。

    18. 白血球減少症
    下記実施例に示されたように、乳脂肪の経口投与は、対象における血液学的抑制の低下、並びに対象における白血球減少症の治療及び予防において有効である。

    白血球減少症(leukocytopenia)(白血球減少(leukopenia)としても公知、時にはリンパ球減少又はリンパ球減少症と称される状態を含む)は、個体における白血球(WBC)の減少をいう。 これは、体が感染症と闘う能力の低下を生じ、体を非常に衰弱した状態とする。 従って白血球減少症の程度の変動は、広範な臨床の結果と等しい。

    成人の平均WBCカウントは、4500〜10000個細胞/mm 3である(男女及び個人間で異なる)。 白血球減少は一般に、4000個細胞/mm 3未満のWBCカウントとみなされる(同じく男女及び個人間で異なる)。 ふたつの主要な白血球減少症の型は、好中球減少症及び顆粒球減少症である。

    好中球減少症は、白血球減少症の主要な型であり、好中球減少を特徴とする。 癌以外の、多くの症候群は、好中球減少症に関連し、その大半は、事実上遺伝性である。 コストマン好中球減少症、シュバックマン症候群、無ガンマグロブリン血症、ガンマグロブリン異常症、先天性造血障害、軟骨毛髪形成不全症候群、及び先天性角化異常症は、好中球減少症に関連した障害のほんの数例である。 好中球減少症は、ビタミンB12の欠乏、葉酸又は銅欠乏症のような、栄養欠乏症にも関連している。

    顆粒球減少症は、時には好中球減少症と互換的に使用されるが、より正確には、これは好中球に加え、好酸球及び好塩基球の抑制である。

    白血球減少症は、個体が化学療法又は放射線治療を受けた場合にも、引き起こされ得る。 これは、非常に一般的な副作用であり、患者は通常療法が継続される前に、WBCを回復しかつより多く産生するために時間がかけられる。 一般に、白血球減少症は通常、より多くのWBCを産生するように骨髄を刺激するために、ステロイド又はビタミンにより治療される。

    従って本発明は、乳脂肪又は乳脂肪類似物を、任意に少なくとも1種の追加の治療剤と共に、対象へ投与することを含む、対象の白血球減少症を治療又は予防する方法に関する。 本発明は、対象における血液学的抑制を低下又は阻害する方法にも関する。

    血液学的抑制の低下又は阻害は、単に癌療法を受けている対象又は癌療法を受けた対象の治療のみではなく、非限定的に先に説明された白血球減少症を含む他の障害においても、適応を有する。 従って乳脂肪又は乳脂肪類似物は、好ましくは少なくとも1種の追加の治療剤、より好ましくはラクトフェリン又はそれらの機能変種又は機能断片、特に金属イオンラクトフェリンと共に、癌の治療及び予防以外の適用を有する。

    ここで本発明の様々な態様は、下記実施例を参照し、非限定的様式で例示される。

    マウス及び試薬
    6〜9週齢の雌のC57BL/6及びBalb/cマウス(オークランド大学、ニュージーランド)を使用し、別に指定しない限りは、各食餌群は5又は6匹のマウスを含んだ。 マウスは、空調の効いた室内で、管理された湿度、温度、及び12時間の明暗周期で飼育した。 C57BL/6起源の胸腺リンパ腫マウスEL−4 T細胞、及びBALB/c(H−2b)起源の4T1乳癌細胞株は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)(ロックビル, MD, 米国)から購入した。 EL−4細胞は、DMEM培地(Gibco BRL, グランドアイランド, NY, 米国)において37℃で培養したのに対し、4T1細胞は、RPMI 1640培地(Gibco BRL, グランドアイランド, NY, 米国)中で37℃で単層培養物として維持した。 これらの培地には、10%ウシ胎仔血清、50U/mlペニシリン/ストレプトマイシン、2mM L−グルタミン、及び1mMピルビン酸エステルを補充した。 パクリタキセルは、Bristol-Meyers Squibb(WA, 米国)から入手した。 全ての実験は、オークランド大学の動物倫理委員会(Animal Ethics Committee)により承認されたプロトコールに従い実行した。

    乳脂肪調製
    共役リノール酸及びバクセン酸で強化された乳脂肪は、Harfootらの方法(58に従い、遊離脂肪酸補充した牧草餌を給餌したウシにより調製した。通常の無水乳脂肪は、Fonterra Co-operative Group Limited, NZから入手した。処置食において使用した乳脂肪及び強化乳脂肪の組成は、表6a及び6bにまとめている。表6a及び6bのデータは、当該技術分野において公知の脂肪酸メチルエステル(FAMES)、延長FAMES、CLA及び乳脂肪分析を用いて得た。

    FAME分析により決定された脂肪酸。 増加倍率は、強化乳脂肪、対、乳脂肪中の脂質レベルの増加をいう。 c18:1 n−7は、c18:1トランス脂肪酸含量の推定値を提供する。

    ラクトフェリン調製
    ウシラクトフェリンは、脱脂乳(Fonterra Co-Operative Group Limited, ニュージーランド)から、Norrisらの方法(Norris, GEら、1989)を使用し調製した。 SP Big Beadsイオン交換装置に、脱脂乳を装加し、水で洗浄した。 カラムを、0〜0.5M NaCl溶液で溶出し、溶出液を廃棄した。 次にカラムを、0.5〜1.0M NaClで溶出し、溶出液を回収した。 塩類及び低分子量成分を減少するために、回収された溶出液に、30kDaメンブレンを用い、UF/DFを施した。 残留物が90〜93%ウシラクトフェリンとなるまで、濾過を継続した。 得られたラクトフェリン抽出物は、天然の鉄飽和レベル約15%を有し、下記実施例においてはbLfと称す。 鉄飽和型ウシラクトフェリン抽出物(100%飽和)は、天然bLfから、Lawらの方法(Law及びReiter, 1977)により調製し、下記実施例においてはLf+と称す。

    食餌
    被験食は、粉末化されたAIN93G配合物を主材料として使用し、Crop & Food Research(パルマーストンノース, ニュージーランド)により調製した。 AIN93G食において、カゼインは、タンパク質給源として、及びダイズ油は脂質給源として使用し、ラクトフェリンは含まなかった。 被験食において、カゼインは、先に説明されたように調製された天然bLf又はLf+と置換し、その結果食餌の総タンパク質含量は不変であった。 本食餌は、餌2.4kgにつき、鉄飽和型bLf 28g又は天然bLf抽出物28gを含有した。 被験食において、ダイズ油は、前述のように調製した強化乳脂肪又は普通の無水乳脂肪のいずれかと置換し、その結果餌の総脂肪含量は不変であった。 新鮮な餌を週2回提供し、マウスは学習により食物及び水は自在摂取した。 リン脂質濃縮物Phospholac 600(商標)(PC600(商標))リン脂質画分は、Fonterra Co-operative Group Limited(ニュージーランド)から供給された。

    実験用腫瘍モデル及び療法
    腫瘍は、2×10 5個EL−4細胞又は2×10 4個4T1細胞のマウスの左側腹部への皮下注射により確立し、ふたつの直交する直径を測定することにより腫瘍成長を決定した。 腫瘍が直径1.0cm以上に達した時点で、動物倫理委員会の承認(オークランド大学)に従い、動物を安楽死させた。 別に指定しない限りは、全ての実験は、1処置群につき5又は6匹のマウスを含んだ。 パクリタキセル(Cremophor(登録商標)EL及び無水アルコール5ml中に溶解した30mg)を、0.9%NaClに希釈し、30mg/kgで腹腔内投与した。 乳癌の4T1転移モデルの場合、実験の最後にマウスを安楽死させた後、肺、肝臓及び脾臓を含む臓器を摘出し、秤量した。 肺表面の転移の数をカウントした。 肝臓は、4%パラホルムアルデヒドで固定し、横10μm切片を、肝臓全体を対象とするように、5つの異なるレベルで作製した。 これらの切片を、ヘマトキシリン・エオシンで染色した。 6個よりも多い癌細胞を含む転移性小結節をカウントし、その平均は、転移の数を表すとみなした。 血液を、剖検時の心穿刺により採取し、血液細胞を、血球計でカウントした。

    抗腫瘍細胞傷害性Tリンパ球(CTL)産生の測定
    脾細胞を、腫瘍細胞注射後、指定された日に採取した。 これらは、96−ウェル丸底プレートにおいて等級化されたE:T比で、EL−4標的細胞と共に、37℃でインキュベーションした。 4時間インキュベーションした後、上清50μlを収集し、Cyto Tox 96アッセイキット(Promega, マジソン, WI, 米国)を用い、溶解を測定した。 非特異的標的細胞及びエフェクター細胞の溶解に関するバックグラウンド対照が含まれた。 バックグラウンドを減算した後、細胞溶解の割合を、下記式を用いて算出した:100×(実験用自発エフェクター−自発標的/最大標的−自発標的)。

    アポトーシスの測定
    腫瘍を摘出し、直ちにドライアイス中で凍結し、後の腫瘍中のアポトーシス細胞のインサイチュ検出のために、−70℃で貯蔵した。 厚さ6μmの凍結連続切片を、パラホルムアルデヒド溶液(PBS中4%、pH7.4)中で固定し、0.1%Triton X-100及び0.1%クエン酸ナトリウムを含有する溶液で透過性とした。 これらを、TUNEL試薬20μl(Boehringer Mannheim(独国)のインサイチュアポトーシス検出キット)と共に、37℃で60分間インキュベーションし、蛍光顕微鏡により検査した。 隣接切片を、ヘマトキシリンにより対抗染色し、10の無作為に選択した視野(倍率×40)の細胞総数、又はアポトーシス細胞の数をカウントした。 アポトーシス指数(AI)は、アポトーシス細胞の数×100/有核細胞総数として算出した。 インビトロにおけるアポトーシス細胞の検出のために、アポトーシス細胞及び壊死腫瘍細胞の数を、アネキシン−V−フルオレセイン、TUNEL、及びトリパンブルーでの染色により測定した。 腸管アポトーシスの測定のために、空腸切片を、DeadEnd(商標)蛍光測定TUNELシステム(Promega, マジソン, WI, 米国)を用い、TUNEL法により染色した。 10の無作為に選択した腺窩中のアポトーシス細胞をカウントし、データは1腺窩あたりのアポトーシス体として表した。

    血管分布の評価
    腫瘍血管分布を決定するために、10μmの凍結腫瘍切片を、アセトンで固定し、PBSですすぎ、2%BSAで2時間ブロックし、抗CD31抗体MEC13.3、又は抗CD105mAbと共に一晩インキュベーションした。 これらは引き続き、VECTASTAIN Universal Quickキット(Vector Laboratories, バーリンゲーム, CA, 米国)を用い、二次抗体と共に30分間インキュベーションし;かつ、Sigma FAST DAB(3,3'-ジアミノベンジジン四塩酸塩)及びCoCl2エンハンサー錠(Sigma)により発色し、ヘマトキシリンにより対抗染色した。 染色された血管を、5又は6の盲検的に選択したランダム視野(0.155mm 2 )中で倍率×40でカウントし、最も高い3つのカウント数の平均を算出した。 流れに開放されている血管を可視化するために、先に説明されたように(Dingら、2001)、DiO7(Molecular Probes, ユージーン, OR)を、濃度1.0mg/kgで、尾静脈に注射し、1分後に組織を収集した。 血管分布を評価するために、同心円法も使用した。

    悪液質の分析
    マウスを、実験開始時及び終了時に秤量した。 これらのマウスを安楽死させた後、腫瘍を摘出し、秤量した。 脂肪組織及び筋肉消耗の程度を決定するために、副睾丸脂肪組織及び左腓腹筋を解離し、秤量した。 カーカス重量を、全身重量と腫瘍重量の間の差異として計算した。

    腸管損傷の測定
    マウスから得た空腸を、4%パラホルムアルデヒド中に固定し、パラフィンに包埋し、4μmの切片とし、切片をヘマトキシリン・エオシンにより染色した。 各標本において、20種のよく保存された絨毛を無作為に選択し、それらの長さを対物ミクロメーターを用い顕微鏡により測定した。

    空腸γ−グルタミルトランスペプチダーゼ(γ−GGT)の活性は、先にZiotnikら(2005)に説明されたように、腸管損傷の個別の測定として記録した。 空腸断片(約5cm)を、摘出し、PBS 10mlをフラッシュし、ふたつの2cm 2断片に切断し、これを1.0% Triton X−100、0.15M NaCl、100mMトリス(pH8.0)(トリス緩衝液)1.0ml中に配置した。 100mMグリシル−グリシン(pH8.0)0.3ml、トリス緩衝液0.08ml、5mMγ−グルタミル−p−ニトロアニリド0.5mlを含有する溶液20μlを添加し、最終容積0.9mlとした。 これらの腸管のスライスを、37℃の水浴中で振盪しながら、10分間インキュベーションし、γ−GGT活性を405nmで測定した。 結果は、γ−GGT活性単位/cm空腸として表し、ここで1単位は、1時間にp−ニトロアニリン1.0モルを放出するγ−GGT活性として規定した。

    統計解析
    結果は、平均値±SEM又は±95%信頼区間として表し、統計学的有意性は、スチューデントのt検定(実施例1から17)、又は分散分析又は共分散分析、それに続くテューキーの多重比較検定又は片側ダネット検定(実施例18から21)を用い評価した。 P値<0.05は、統計学的有意性を意味するのに対し、P<0.001は、高度に有意性がある結果を意味する。

    実施例1
    純度90%以上のウシラクトフェリンは、Fonterra Co-operative Groupから供給された。 アポ−Lfの調製のために、ミリQ水中の約80mg/mLのLf溶液(pH〜5.7)を、6M HClの慎重な添加により、pH2.08に調節した。 この溶液を室温で1時間攪拌し、その後名目カットオフ分子量3.5kDaのSpectraPorチューブ(Spectrum Companies, ランコドミンゲス, CA, 米国)を用い、10倍量の0.1Mクエン酸に対し4℃で一晩透析した。 透析液は、24時間かけて2回交換し、このLf溶液は凍結乾燥し、白色の半結晶性粉末とした。 50%Fe−飽和型ラクトフェリンの調製のために、0.1M炭酸水素ナトリウム中のラクトフェリン8%溶液を、6M NaOHの慎重な添加により、pH8.2に調節した。 適量の50mM鉄ニトリロ三酢酸(Fe−NTA)(Batesら、1967;Brock及びArzabe、1976)を添加し、ラクトフェリンの〜50%飽和を得た(Lfの純度及びその未変性のFe飽和〜12%をもたらした)。 室温で1時間攪拌した後、この溶液(pH8.01)を、前記SpectraPorチューブを使用し、10倍量のミリQ水に対し4℃で一晩透析した。 透析液は、24時間かけて2回交換し、このLf溶液は凍結乾燥し、サーモンレッド色の半結晶性粉末とした。 〜100%Fe飽和型ラクトフェリンは、Fe−NTA量を状況に応じて調節し、引き続きFe−NTAを添加し、そのpHを6M NaOHの慎重な添加により、pH8.0に再度調節したこと以外は、本質的に50%Fe−飽和型材料のように調製した。 最終生成物は、深いサーモンレッド色の半結晶性粉末であった。 最終生成物のFe飽和レベルは、分光光度的滴定により証明された(Batesら、1967;Brock及びArzabe、1976)。 アポラクトフェリンは、約5%Fe飽和されていた。

    実施例2
    本実施例は、乳脂肪は、EL−4腫瘍の成長を抑制するのに対し、共役リノール酸及びバクセン酸強化乳脂肪は、無効であることを示す。

    6匹のC57BL/6マウスの群には、基本のAIN−93食、又はこの食餌の脂肪成分の〜71%を表している、食餌2.4kg当たり乳脂肪又は強化乳脂肪のいずれか120gで置換された同一食を給餌した。 マウスは、それらの食餌に配置して2週間後に、2×10 5個EL−4腫瘍細胞により皮下チャレンジした。 直交するふたつの直径(cm)により測定した腫瘍サイズを、91日目まで、又は腫瘍が直径1cmに達するまでモニタリングした。 各ポイントは、6匹のマウス、又は示されたマウス数のいずれかに関する、平均腫瘍サイズと95%信頼区間を表している。

    強化乳脂肪は、対照食と比べ、49日目に25%だけ腫瘍成長が遅くなったが、この作用は有意ではなかった(図1)。 際だった対照において、乳脂肪は、6匹中2匹のマウスにおいて腫瘍の発達を完全に妨げた。 乳脂肪食を給餌した他の4匹のマウスにおける腫瘍の成長は、強化乳脂肪を給餌したマウスに関する成長と類似していた。

    実施例3
    本実施例は、乳脂肪は、免疫療法と相乗作用し、EL−4腫瘍を根絶することを示す。

    腫瘍は、先の実施例2に説明したような、強化乳脂肪、乳脂肪、又は対照食のいずれかを給餌した5匹のマウス群において確立した。 直交するふたつの直径(cm)により測定した腫瘍サイズを、モニタリングした。 腫瘍が直径〜0.4cmに到達した時点で、これらの腫瘍に、B7−1発現プラスミド60μgを含有するDNA−リポソーム複合体を注射した。 本プラスミドの投与のタイミングは、矢印で示している。 直交するふたつの直径(cm)により測定した腫瘍サイズを、91日目まで、又は腫瘍が直径1cmに達するまでモニタリングした。 4匹のマウスの対照腫瘍は、1週間ゆっくり退縮するが、その後再度成長するという事実により証明されるように、この特定サイズの腫瘍は、B7−1免疫遺伝子治療に部分的に影響されやすい状態である。 しかし1匹のマウスの腫瘍は退縮し、B7−1プラスミドの注射後4週間かけて完全に消失した(図2)。

    乳脂肪を給餌したマウスの腫瘍は、対照のものよりもより迅速に退縮し、B7−1プラスミドの注射後消失するまでにわずか2週間を要した。 対照的に、強化乳脂肪を給餌したマウスの腫瘍は、B7−1免疫遺伝子治療に抵抗し、対照食を給餌したマウスの腫瘍と類似した速度で成長した。 従って乳脂肪は癌の免疫療法を増強するのに対し、強化乳脂肪は効果がより少ない。

    実施例4
    本実施例は、乳脂肪は、鉄飽和型ラクトフェリンと相乗作用し、腫瘍発生を完全に阻害することを示す。

    本出願人らの先行する研究は、鉄飽和型Lf(Lf+)は、腫瘍成長を阻害することができることを示した(WO/2006/054908)。 この実験は、乳脂肪とLf+の同時投与の作用を調べる。 本発明者らは、乳脂肪は、リンパ腫との戦いにおいてLf+と相乗作用するかどうかを決定しようとした。

    6匹のマウスの群には、AIN93G対照食、食餌2.4kgにつきLf+ 28g又は乳脂肪(AMF)120gのいずれかを含有する食餌、又はLf及び乳脂肪の両方の組合せを含有する食餌を給餌した。 0日目は、マウスをそれらの食餌に配置した日をいう。 これらの食餌で2週間経過後、EL−4細胞2×10 5個を、マウス側腹部へ注射した。 直交するふたつの直径(cm)により測定した腫瘍サイズを、56日目までモニタリングした。 各ポイントは、6匹のマウス、又は示されたマウス数のいずれかに関する、平均腫瘍サイズと95%信頼区間を表している。

    腫瘍の消失は、Lf+を給餌したマウス6匹中5匹で、及び乳脂肪食を給餌したマウス6匹全てで、1週間だけ遅延した(図3A)。 Lf+を給餌したマウス6匹中1匹は、腫瘍チャレンジを完全に拒絶した。 対照的に、Lf+及び乳脂肪の組合せを給餌したマウス6匹は全て、腫瘍チャレンジを完全に拒絶し、このことは乳脂肪はLf+と相乗作用し、リンパ腫を根絶することを示している。

    実施例5
    本実施例は、乳脂肪は、Lf+の抗腫瘍白血球細胞傷害性及び腫瘍アポトーシスを増強する能力を増大させることを示す。

    脾細胞を、実施例4のマウスから56日目に採取し、EL−4標的細胞に対するそれらの細胞溶解活性について試験した。 Lf+又は乳脂肪のいずれかを給餌したマウスから得られた脾細胞の抗腫瘍細胞溶解活性は、対照食を給餌したマウスのそれと比べ、各々、66%(P<0.001)及び61%(P<0.01)有意に増加した(図3B)。 抗腫瘍細胞溶解活性は更に、Lf+と乳脂肪の組合せを給餌したマウスについて、対照と比べ、86%(P<0.001)増大した。

    切片を、実施例4に説明されたマウスの腫瘍から56日目に調製し、かつ末端デオキシヌクレオチジル転移酵素仲介性デオキシウリジン三リン酸−ジゴキシゲニンニック末端標識(TUNEL)法により、及び同じくアネキシン−V−フルオレセイン法により染色した。 腫瘍切片のTUNEL又はアネキシン−V−フルオレセイン染色により検出されたアポトーシス細胞の数を、×40倍の観察で10の無作為に選択された視野について決定した。 アポトーシス指数(A/I)は、アポトーシス(TUNEL又はアネキシン−V−フルオレセイン陽性)細胞の数×(100/細胞総数)である。 乳脂肪及びLf+は、対照食と比べ腫瘍アポトーシスを、各々、73%及び68%増大した(図3C)。 その増大した抗腫瘍細胞溶解活性に従い、乳脂肪とLf+の組合せは、腫瘍アポトーシスを84%増大した。

    実施例6
    本実施例は、乳脂肪は、腫瘍血管新生を阻害することを示す。

    Lf+及び乳脂肪の腫瘍血流及び血管分布に対する作用を、抗CD31及び抗CD105 mAbによる実施例5に説明したように調製した腫瘍切片の染色により、及びDiO7の潅流により、各々、分析した。 腫瘍切片は、実施例4に説明したように処置したマウスから56日目に調製し、抗CD31 mAb MEC13.3又は抗CD105 mAbのいずれかで染色し、血管を可視化するか、あるいは、血流を可視化するために、組織採取の1分前に、DiO7を尾静脈に注射した。 染色した血管は、6つの盲検的に選択したランダム視野において、6匹のマウスから、カウントした。

    図3Dに示したように、対照食で維持したマウスのものと比べ、Lf+、乳脂肪、又は乳脂肪とLf+の組合せを給餌したマウスの腫瘍のCD31+血管の数は、各々、84%(P<0.001)、72%(P<0.001)、及び84%(P<0.01)だけ有意に低下し、かつ血流は、各々、84%(P<0.001)、68%(P<0.001)、及び84%(P<0.001)だけ低下した。 同様の結果が、他の腫瘍血管分布のマーカーとしての、CD105+血管の染色及びDiO7の潅流から得られた。 これらの結果は、乳脂肪は、血管新生を阻害することを示している。

    実施例7
    本実施例は、α脂質粉末(Phospholac 600(商標))、スフィンゴミエリン、及び9,11 CLA異性体は、腫瘍の成長を阻害するが、Lf+とは腫瘍を根絶するように効果的に相乗作用しないことを示す。

    C57BL/6マウス5匹の群には、基本AIN−93食(図4A)、又は食餌2.4kgにつき、Lf+ 28g(図4B)、Phospholac 600(商標)120g(図4C)、又はスフィンゴミエリン1.2g(図4D)で置換された同一食を給餌した(各々、食餌の脂肪成分の〜71及び0.71%を表す)。 マウスは、食餌に配置した2週間後に、EL−4腫瘍細胞で皮下チャレンジした。 腫瘍サイズは再度、直交するふたつの直径(cm)により測定した。

    Lf+は、腫瘍成長を遅延し、ふたつの腫瘍の成長は、2週間遅延され、かつひとつは少なくとも1週間遅延された。 Phospholac 600(商標)は、対照食を給餌したマウスと比べ、1匹のマウスにおける腫瘍発生を完全に阻害し、かつ別のマウスにおいて24日間腫瘍発生を遅延したのに対し、残りの3匹のマウスにおいて腫瘍の成長に対する影響は明らかではなかった。 スフィンゴミエリンは、2匹のマウスにおいて〜1週まで、及び2匹の別のマウスにおいて〜2週まで腫瘍成長を遅延した点においてLf+と同等に有効であったが、これは残りのマウスの腫瘍成長に対しては明らかな影響を有さなかった。 5匹のマウスの追加群は、Lf+(28g/2.4kg食餌)とPhospholac 600(商標)(120g/2.4kg食餌)(図4E)又はスフィンゴミエリン(1.2g/2.4kg食餌)(図4F)のいずれかの組合せを給餌した。 Phospholac 600(商標)と組合せたLf+は、完全な腫瘍根絶(ここでLf+と乳脂肪の組合せにより認められたような)には繋がらなかった。 むしろ全般的作用は、Phospholac 600(商標)単剤療法で認められるものに類似していた。

    Lf+とスフィンゴミエリンの組合せは、各々の単剤療法よりも作用が少なく、その結果腫瘍成長は対照マウスに類似しており、このことはこれらふたつの生体活性は互いに拮抗することを示唆している(図4F)。

    マウス食餌中のc−9、t−11 CLA異性体の食餌2.4kgにつき5gの含有は、食餌の脂肪成分3%を表し、これは4T1腫瘍の成長を弱く阻害したのみであり、Lf+との相乗作用を示さなかった。

    実施例8
    本実施例は、乳脂肪は、単独で、又は化学療法との組合せのいずれかで、4T1乳癌腫瘍の成長を遅延することを示している。

    Balb/cマウス6匹の群には、基本AIN−93食、又は食餌の脂肪成分の〜71%を表している、5%乳脂肪で置換した同一食を給餌した。 マウスは、食餌に配置した2週間後に、2×10 4個の4T1腫瘍細胞で皮下チャレンジした。 マウスは腫瘍成長についてモニタリングし、腫瘍サイズは、3日毎に測定した。

    腫瘍は、3日後に、乳脂肪食を給餌したマウスにおいて、対照食を給餌したマウスと比べ触知可能であり、かつチャレンジ後35日目にマウスを安楽死させた場合、形成された腫瘍は、平均21%より小さかった(P<0.05)(図5)。 一旦腫瘍が直径〜0.5cmに達した時点で、化学療法薬パクリタキセルを、腹腔内投与し(30mg/kg体重)、対照食を給餌した腫瘍サイズにおいて31%(P<0.05)の減少を生じた(35日目)。 35日目に、パクリタキセル処置は、乳脂肪を給餌したマウスの腫瘍のサイズを、対照食を給餌したパクリタキセル処置マウス及び対照食を給餌した未処置マウスのものと比べ、各々、35%(P<0.05)及び49%(P<0.01)減少した。

    実施例9
    本実施例は、乳脂肪は、肺及び肝臓に播種する4T1乳癌腫瘍の外側への成長を抑制することを示す。

    肺転移の抑制 :4T1乳癌細胞株は、高度に転移性であり、かつ肺及び肝臓へ播種する。 実施例8(35日目)のマウスの肺を、腫瘍及び微小転移について調べた。 対照食を給餌した未処置のマウス、対照食を給餌したパクリタキセル処置マウス、乳脂肪を給餌した未処置のマウス、及び乳脂肪を給餌したパクリタキセル処置マウスの肺表面上の腫瘍の平均数は、各々、32、18、22、及び10であった(図6)。

    パクリタキセル療法及び高投与量の乳脂肪の給餌は、対照食を給餌した未処置マウスと比べ、肺表面上の腫瘍の数を、各々、44%及び31%有意に(P<0.01)低下した。

    パクリタキセル療法と組合せた乳脂肪食は、対照食を給餌した未処置のマウス、及び対照食を給餌したパクリタキセル処置したマウスと比べ、各々、腫瘍数の63%(P<0.001)及び44%(P<0.05)の更により大きい低下を生じた。 従って対照食を給餌したパクリタキセル処置マウス、乳脂肪を給餌した未処置のマウス、及び乳脂肪を給餌したパクリタキセル処置マウスの肺重量は、対照食を給餌した未処置のマウスと比べ、30、22、及び40%だけ有意に低下した(表7)。

    1データは、平均±SEMとして表している。 統計学的有意性は、スチューデントt検定により決定した。 2 P<0.05は、対照食を給餌した腫瘍を有さないマウスの体重と比較した。 3,4 P<0.05は、対照食を給餌した腫瘍を有するマウスの体重と比較した。 5 P<0.05は、対照食を給餌し、パクリタキセルで処置した腫瘍を有するマウスの体重と比較した。

    肝臓転移の抑制 :同様に、先のマウスの肝臓を、腫瘍及び微小転移について調べた。 肝臓は、摘出し、切片化し、ヘマトキシリン/エオシンで染色し、肝臓の内側の転移性小結節の数をカウントした。 対照食を給餌した未処置のマウス、対照食を給餌したパクリタキセル処置マウス、乳脂肪を給餌した未処置のマウス、及び乳脂肪を給餌したパクリタキセル処置マウスに関する転移の数は、各々、108、59、74、及び36であった(図7)。 同じく、パクリタキセル療法及び高投与量の乳脂肪の給餌は、対照食を給餌したマウスと比べ、肝臓の腫瘍の数を、各々、45%及び32%有意に(P<0.01)低下した。

    パクリタキセル療法と組合せた乳脂肪食は、対照食を給餌した未処置のマウス、及び対照食を給餌したパクリタキセル処置したマウスと比べ、各々、腫瘍数の67%(P<0.001)及び39%(P<0.05)の更により大きい低下を生じた。

    実施例10
    本実施例は、乳脂肪は、腫瘍血管新生を阻害することを示す。

    腫瘍血管新生を測定するために、対照食を給餌した未処置のマウス、対照食を給餌したパクリタキセル処置マウス、乳脂肪を給餌した未処置のマウス、及び乳脂肪を給餌したパクリタキセル処置マウスの前記4T1原発性腫瘍(実施例8;35日目)を摘出し、切片とし、抗CD31抗体により染色し、血管内皮細胞を同定した。 抗CD31 mAb染色血管を、盲検的に選択したランダム視野でカウントし、平均血管密度(8A)、又はアレイポイントから最も近いCD31 mAb標識血管の距離の中央値(8B)を記録した。

    パクリタキセル療法及び高投与量の乳脂肪の給餌は、対照食を給餌した未処置のマウスと比べ、微細血管密度(CD31+血管)を、各々、37%及び31%だけ有意に(P<0.05)低下した(図8A)。 同じくこれらは、最も近いCD31+血管への距離の中央値を、各々、71及び59%だけ有意に(P<0.05)増加した(図8B)。

    パクリタキセル療法と組合せた乳脂肪食は、対照食を給餌した未処置のマウス、対照食を給餌したパクリタキセル処置マウスと比べ、微細血管密度の、各々、52%(P<0.001)及び22%(P<0.05)の更により大きい低下を生じた。 同じく、パクリタキセル療法と組合せた乳脂肪食は、対照食を給餌した未処置のマウス、対照食を給餌したパクリタキセル処置マウスと比べ、最も近いCD31+血管への距離の中央値の、各々、125%(P<0.001)及び31%(P<0.05)の更により大きい増加を生じた。

    実施例11
    悪液質は、患者を生理的に衰弱させ、かつ患者の治療に対する反応を低下するので、これは癌患者にとって重大な問題である。 改善された栄養分は、悪液質を根治するひとつの手法である。 本実験は、乳脂肪の給餌は、乳癌の本出願人のモデルマウスにおける悪液質状態を改善するかどうか、及び高コレステロール血症の飽和脂肪酸(例えばステアリン酸エステル)を含む高投与量乳脂肪の長期給餌は、肝臓及び脾臓のようなある種の臓器に対し有害であるかどうかを調べた。 本実施例は、高投与量乳脂肪食は、明らかな臓器毒性を示さず、進行した癌に起因する悪液質を弱毒化することを示す。

    臓器毒性の欠如 。 高投与量乳脂肪を給餌したマウスの脾臓及び肝臓は、対照食を給餌したマウスのものと比べ、明らかな毒性兆候を示さず、有意な変化は存在しなかった(P>0.05)(表7)。

    悪液質の低下 。 転移性乳癌の4T1モデルは、癌悪液質の理想的モデルである。 腫瘍の確立は、同じ対照食を給餌した腫瘍を有さないマウスと比べ、腓腹筋及び副睾丸脂肪組織の、各々、40%(P<0.05)及び83%(P<0.01)の重量喪失を反映している、カーカス重量の12%の有意な(P<0.05)低下を生じた(表7)。 乳脂肪を給餌した未処置マウス、及び乳脂肪を給餌したパクリタキセル処置マウスにおける、各々、対照食を給餌した未処置マウス、及び対照食を給餌したパクリタキセル処置マウスと比較して、カーカス重量(9.2及び17.6%)、及び腓腹筋重量(33.4及び27.6%)、及び副睾丸脂肪組織(107及び141%)の有意な(P<0.05)増加により証明されたように、悪液質の軽減が、乳脂肪食を給餌したマウスにおいて認められた。 腓腹筋及び副睾丸脂肪組織の重量の増加は、腫瘍を有するマウスに制限されず、健常な腫瘍を有さないマウスへの乳脂肪の給餌は、対照食を給餌した健常な腫瘍を有さないマウスのものと比べ、これらの組織の各重量を8.2及び12%だけ増加した(P<0.05)。

    実施例12
    癌及び化学療法などの癌治療の最も重篤な副作用のひとつは、血液学的抑制であり、これは免疫不適当に繋がり、次に重度の感染症を、更には死亡を引き起こし得る。 本実施例は、乳脂肪食は、癌及び化学療法に起因する血液学的抑制を軽減することを示す。

    先の実施例11の悪液質マウスにおいて、赤血球(RBC)及び白血球(WBC)のカウントは、同じ対照食を給餌した健常な腫瘍を有さないマウスのものと比べ、各々、23及び29%だけ有意に(P<0.05)低下した(表7)ので、造血異常が認められた。 パクリタキセル化学療法は、対照食を給餌した腫瘍を有するマウスと比べ、RBC及びWBCカウントの更なる49及び44%の低下、並びに脾臓重量の相当する8.5%の低下を引き起こした。

    対照的に、乳脂肪を給餌したパクリタキセル処置マウスのRBC及びWBCカウントは、対照食を給餌した健常な腫瘍を有さないマウスのものと比べ、各々、わずかに11%及び7%だけ、並びに脾臓重量は3%だけ低下した(表7)。 乳脂肪を給餌した未処置の腫瘍を有するマウスのWBCカウントは、わずかに5%だけ低下したのに対し、RBCカウントは、9%だけ(P<0.05)わずかに増加し、かつ脾臓重量は完全に回復した。 乳脂肪を給餌したパクリタキセル処置マウスのRBC及びWBCカウントは、対照食を給餌したパクリタキセル処置マウスのそれと比べ、各々、56及び57%だけ(P<0.01)、かつ脾臓重量は11%だけ(P<0.05)有意に増加した(表7)。 乳脂肪を給餌した未処置の腫瘍を有するマウスのRBC及びWBCカウントは、対照食を給餌した未処置の腫瘍を有するマウスのそれと比べ、34及び27%だけ(P<0.05)増加した。

    従って乳脂肪食は、癌により及び化学療法により損なわれた赤血球数及び白血球数を増加又は回復することにより、血液学的抑制を軽減する。

    実施例13
    細胞毒性薬は、小腸絨毛を損傷し、それらを扁平化させ始め、これにより腸管の吸収特性を変更する(Melicharら、2005)。 本実施例は、乳脂肪食は、化学療法が誘導した腸管損傷を改善することを示している。

    乳脂肪は、パクリタキセルが誘導した損傷に対し腸管を保護するかどうかを決定するために、Balb/cマウス6匹の群を、基本AIN−93食、又は食餌の脂肪性分の〜71%を表す、5%乳脂肪で置換された同一食を給餌した。 2週間後、各マウスは、パクリタキセル(30mg/kg体重)の腹腔内注射を受け取った。 1週間後、これらを屠殺し、空腸を摘出した。 対照食、乳脂肪食、対照食とパクリタキセル、及び乳脂肪食とパクリタキセルで処置したマウスの空腸のパラフィン包埋切片を、ヘマトキシリン・エオシンにより染色した。

    対照食及び乳脂肪食を給餌した未処置の健常マウスは、予想されたように無傷の小腸絨毛を有した。 対照的に、パクリタキセルで処置されたマウスの切片は、これらのマウスの空腸は、破壊され扁平化された絨毛を含むことを明らかにした。 乳脂肪を給餌したパクリタキセル処置したマウスの絨毛は、ほとんど無傷であり、このことは乳脂肪食は、腸の内層に対し保護的作用を働くことを示唆している。

    腸管損傷の程度を定量化するために、絨毛の平均長を測定した。 パクリタキセルは、対照マウスのそれと比べ、絨毛の平均長を61%だけ有意に低下した(P<0.01)(図9A)。 乳脂肪食を給餌したパクリタキセル処置したマウスの絨毛の平均長は、対照マウスと比べ29%だけ低下した(P<0.05)ので、乳脂肪食は、パクリタキセルに起因する小腸損傷を保護した。 乳脂肪食を給餌したパクリタキセル処置したマウスの絨毛は、対照食を給餌したパクリタキセル処置したマウスのそれよりも、有意に長かった(40%、P<0.05)。

    小腸の刷子縁上皮のマーカーである空腸γ−グルタミルトランスペプチダーゼ(γ−GGT)の活性(Tate及びMeister、1981、並びにFerrarisら、1992)は、腸管損傷の個別の測定として記録した。 パクリタキセル処置は、未処置の対照マウスと比べ、空腸の粘膜内のγ−GGTのレベルを56%だけ(P<0.01)顕著に低下した(図9B)のに対し、乳脂肪食を給餌したパクリタキセル処置したマウスのγ−GGT活性は、わずかに29%だけ低下した(P<0.05)。 空腸のγ−GGT活性は、乳脂肪食を給餌したパクリタキセル処置したマウスにおいて、対照食を給餌したパクリタキセル処置したマウスのそれと比べ、有意に増加した(78%、p<0.05)。

    化学療法に起因する小腸の粘膜炎は、絨毛萎縮へと進行する、腺窩中の細胞アポトーシスに関連している(Keefeら、2000)。 対照食及び乳脂肪食を給餌した未処置のマウスの腺窩には、ごくわずかなアポトーシス細胞が存在した。 対照的に、対照食を給餌しかつパクリタキセルで処置したマウスの小腸切片は、多数のアポトーシス細胞を含んだ。 乳脂肪食は、アポトーシス体の数を顕著に低下した。 10のランダムに選択した腺窩中のアポトーシス細胞をカウントし、1腺窩あたりのアポトーシス体として表した(図10)。 パクリタキセル処置は、アポトーシス体カウントを、未処置マウスと比べ、6倍まで有意に増加した。 乳脂肪食は、パクリタキセル処置したマウスのアポトーシス体カウントを、対照食と比較して、39%だけ有意に(P<0.05)低下した。

    実施例1−13の考察
    前記実験は、普通の無水乳脂肪は、経口投与された場合に、抗腫瘍活性を有することを示している。 乳脂肪の投与は、確立されたリンパ腫の免疫療法を増強し、かつ確立された乳癌腫瘍の化学療法的処置を増強した。

    Lf+と組合せた乳脂肪は、リンパ腫でチャレンジした全ての対象における腫瘍発生を完全に阻害し、増加した抗腫瘍細胞溶解活性、腫瘍アポトーシス、及び低下した腫瘍血管分布を引き起こした。

    化学療法的処置と組合せた乳脂肪の投与は、乳癌腫瘍の成長を遅延したのに対し、乳脂肪は、単独で又は化学療法的処置との組合せのいずれかで、乳癌腫瘍の肺及び肝臓への転移並びにこれらの臓器における外側への成長を有意に抑制した。

    抗腫瘍活性は、乳脂肪画分の投与でも認められた。 ここでPhospholac 600(商標)及びスフィンゴミエリンの両方が、腫瘍発生の遅延を引き起こした。

    更に、乳脂肪の投与は、乳癌腫瘍及び/又は化学療法から生じる、血液学的抑制、悪液質及び腸管損傷を軽減した。

    実施例14
    本実施例は、乳脂肪は、化学療法に起因した体重減少を有意に阻害し、かつ体重増加を促進することができることを示している。

    食餌
    被験食は、粉末化されたAIN93G配合物を主材料として使用し、Crop & Food Research(パルマーストンノース, ニュージーランド)により調製した。 AIN93G食において、カゼインは、タンパク質給源として、及びダイズ油は脂質給源として使用した。 被験食において、ダイズ油は、無水乳脂肪(AMF)と置換し、その結果食餌の総脂肪含量は不変であった。 この食餌は、食餌2kgにつきAMFの100、35.7、又は7.1gのいずれかを含有し、これはその食餌の総脂質含量(140g脂質/2kg)の70、25、及び5%を表している。 新鮮な食餌を週2回提供し、マウスは学習により食物及び水は自在摂取した。

    化学療法の副作用を分析するための実験モデル
    シクロホスファミドは、動物倫理委員会の承認(オークランド大学)に従い投与した。 全ての実験は、別に記さない限りは、1処置群当たりマウス6匹を含んだ。 PBS中に希釈したシクロホスファミドは、300mg/kgで腹腔内投与した。 血液を、剖検時に心穿刺により収集した。

    C57BL/6マウス6匹の群には、AIN93G食、又は5%、25%又は70%乳脂肪のいずれかで置換した同一食を給餌し、4週間飼養した後、シクロホスファミド(300mg/kg体重)を0日目に腹腔内注射した。 マウスは、4、8、及び12日後に屠殺し、以下に説明されたように、組織を、薬物処置の副作用について分析した。

    図11Aに示されたように、0日目(すなわち、化学療法前の4種の異なる食餌で4週間飼養後)には、マウスの体重に有意差は存在しなかった。 対照的に、化学療法後丁度4日目に、対照食を給餌したマウスは、それらの体重が7%減少した(図11B)。 ふたつの最高投与量の乳脂肪は、4日目の体重減少の程度が、対照食と比較して、各々、54%(P<0.001)及び39%(P=0.0017)だけ有意に低下した。 最低投与量の乳脂肪は、体重減少を、対照と比較して19%(P=0.068)と有意には低下しなかった。 対照食のマウスは、化学療法後12日目に体重増加の改善をほとんど見せないのに対し、対照的に最低投与量の乳脂肪を給餌したマウスの体重は、ほぼ正常に回復し(P<0.001)、ふたつの最高投与量の乳脂肪のマウスは、実際に体重が増加した(図11C)。

    実施例15
    本実施例は、乳脂肪は、化学療法後の循環及び脾臓の白血球(WBC)の回復を促進し、脾臓のコロニー形成単位の発達を刺激し、かつ脾臓の再構成を推進することを示す。

    異なる乳脂肪食の4週間の給餌は、化学療法前に末梢WBCカウントに対し有意な作用を有さなかった。 シクロホスファミドは、実施例14のマウスにおいて4日目の末梢WBCカウントを、給餌された食餌に関わらず90%より多く重度に低下した(図12)。 WBCカウントは、4群のマウス全てにおいて8日目までに回復し始めた。 12日目までのWBCカウントの回復は、最高投与量の乳脂肪を給餌したマウス群において、有意に(P=0.0028)増加した。 これらのマウスに関して、WBCカウントは、正常にまで回復した。 対照的に、より低い投与量の乳脂肪は、WBCカウントの回復を有意に促進しなかった。

    異なる乳脂肪食の4週間の給餌は、化学療法前の脾細胞充実性に対し有意な作用を有さなかった(図13A)。 シクロホスファミドは、対照食を給餌したマウスにおいて、4日目に脾細胞を重度に低下した。 70%、25%、及び5%の乳脂肪食は、対照食と比べ、4日目の脾細胞の喪失を、各々、52%、41%、及び25%まで軽減した。 70%及び25%の乳脂肪食は、8日目に、脾細胞の喪失を、各々、32%及び27%まで減弱したのに対し、70%乳脂肪食のみが、12日目の脾細胞に影響を及ぼした(図13A)。

    脾臓内の細胞の補充は、脾臓コロニー形成単位の発達により、化学療法後4日目に始まった。 70%、25%、及び5%の乳脂肪食は、脾臓コロニー形成単位の形成を、8日目に、各々、207%、130%、及び85%まで各々有意に刺激した(図13B)。 12日目までに、70%及び25%乳脂肪食を給餌したマウスにおいて、脾細胞はほとんど正常にまで回復し、従ってコロニー形成単位の数は、乳脂肪食において有意に低下したことは驚くべきことではないのに対し、対照食を給餌したマウスの脾臓では依然修復を受けている(図13B)。

    実施例16
    本実施例は、乳脂肪は、化学療法後の赤血球(RBC)のサイズ及びヘモグロビン含量を増加することを示している。

    シクロホスファミドは、給餌した食餌とは関わりなく、実施例14のマウスにおいて8日目に末梢RBCカウントを低下した(図14A)。 RBCの喪失は、4日目に17%〜22%であり、これは実施例15のWBCの喪失の程度よりも少なかった。 RBC数は、8日目まで減少し続け、12日目に完全には回復していなかった。 乳脂肪食は、RBCカウントのシクロホスファミドが誘導した低下に有意に影響を及ぼさなかった。 より高い投与量の乳脂肪は、RBC数の回復を増強するように見えたのに対し、これらの結果は有意ではなかった。

    驚くべきことに、ふたつの最高投与量の乳脂肪は、ヘマトクリット(HCT)レベルの喪失を防止するか及び/又はこれの回復を促進した(図14B)。 ヘマトクリットは、赤血球によって構成された全血の割合であり、RBCの数及びそれらのサイズの両方の測定値である。 乳脂肪食がRBC数に有意に影響を及ぼさないならば、HCTレベルの増加は、RBCの平均血球容積の増加の結果であると推定することができる。 70%乳脂肪食は、8日目のHCTレベルの低下を、有意に(P=0.023)軽減し(対照食に関する31%の低下と比べ、18%の低下)、かつHCTレベルを12日目までにほぼ正常レベルまで増加した(P<0.001)。 25%乳脂肪食は、8日目の18%の減少が、対照食に関する31%減少と比べ認められ、並びに12日目の9%の減少が、対照食に関する24%減少と比べ認められ、これは8日目(P=0.017)及び12日目(P=0.006)にHCTレベルの回復を有意に促進した。 この最低投与量の乳脂肪の作用は、有意性に達していなかった。

    重要な問題点は、HCTレベルの増加も、ヘモグロビンの全体レベルの増加を反映しているかどうかであった。 70%乳脂肪食は、対照食に関する31%減少と比べ22%減少が認められ、これは8日目のヘモグロビンの低下を軽減したが、この変化は、有意性には達していなかった(図14C)。 しかしこれは、対照食を給餌したマウスのそれと比べ、ヘモグロビンレベルを12日目に18%だけ有意に増加した(P=0.0048)。 25%乳脂肪食は、対照食に関する31%減少と比べ8日目に20%減少が、並びに対照食に関する26%減少と比べ12日目に12%減少が認められ、これは8日目(P=0.030)及び12日目(P=0.015)のヘモグロビンレベルの回復を有意に促進した。 この最低投与量の乳脂肪の作用は、有意性に達していなかった。

    まとめると、これらの結果は、乳脂肪の摂取は、RBC数には有意に影響しないが、これはRBCサイズ及びヘモグロビン量を増大し、かつこれにより貧血に対し有益な作用を有する可能性があることを指摘している。 これらの結果は、異常な小型RBCにより特徴付けられる小球性貧血の例である、鉄欠乏性貧血の治療に関する重要な暗示である。

    実施例17
    先に説明されたように、粘膜炎は、癌化学療法が、胃腸管の内層である迅速に分裂する上皮細胞を破壊する場合に生じ、粘膜組織を潰瘍及び感染症へと開く。 本実施例は、乳脂肪が、化学療法に起因した腸管損傷を軽減することを示している。

    乳脂肪は、シクロホスファミドが誘導した損傷に対し腸管を保護したかどうかを決定するために、実施例14のマウスの空腸を、切片とし、パラフィン包埋し、かつヘマトキシリン・エオシンで染色した。

    4週間の異なる乳脂肪食の給餌は、化学療法前に、空腸絨毛に対し識別できる作用は有さなかった(図15)。 シクロホスファミド単回注射により処置したマウスの切片は、これらのマウスの空腸は、破壊され扁平化された絨毛を含むことを明らかにした。 平均絨毛長を、化学療法が誘導した損傷の測定に使用した。 シクロホスファミドは、健常対照マウスのものと比べ、平均絨毛長を65%だけ有意に減少した(P<0.001)(図15)。 70%、25%、及び5%乳脂肪食を給餌したシクロホスファミドで処置したマウスの平均絨毛長は、対照食を給餌したマウスと比べ、4日目に、各々、36%(P<0.01)、41%(P<0.01)、及び52%(P<0.001)低下し、8日目に、各々、21%(P<0.05)、24%(P<0.01)、及び31%(P<0.01)低下したので、これらの乳脂肪食は、シクロホスファミドにより引き起こされる小腸損傷を保護した。 70%及び25%乳脂肪食を給餌したシクロホスファミドで処置したマウスの絨毛は、対照食を給餌したシクロホスファミドで処置したマウスのそれよりも、化学療法後4日間(各々、71%及び58%、両方ともP<0.01)、及び8日間(各々、44%及び36%、両方ともP<0.05)有意に長かった。 12日目までに、対照食を給餌したマウスの腸は、回復し始め、最高投与量の乳脂肪のみ、有意な作用を維持することが認められた。

    これらの結果は、乳脂肪食は、特に化学療法後の治療の作用が最も重症である最初の数日間に、腸の内層に対する保護作用を発揮することを示唆している。 いずれかの理論と結びつけられることを欲するものではないが、乳脂肪食による腸の保護は、少なくとも一部は、化学療法に起因した低下した体重減少及びこれらの食餌を給餌したマウスにおいて観察された増大した体重増加が原因であると考えられる。 乳脂肪食は、食欲の維持、及び腸管の吸収特性を補助するように見える。 これらの食餌は、エネルギー量の釣り合いがとれており、かつ乳脂肪−給餌したマウスは、化学療法前の4週間の給餌期間は太らなかったので、増大した体重増加は、単に乳脂肪のカロリー値がより高いことが原因ではない。

    実施例14−17の考察
    先の実施例1-13は、腫瘍を有するマウスにおける乳脂肪の化学療法の副作用に対する作用を試験した。 実施例14-17においては、そうではない正常な健常マウスにおけるシクロホスファミドが媒介した化学療法の副作用に対する乳脂肪の直接作用を試験した。 シクロホスファミドは、細胞の代謝及び再生を強力に阻害し、その結果副作用として、これは免疫系及び血液系の細胞の成長及び増殖を阻害し、骨髄抑制及び貧血を引き起こす薬物である。 研究は、軽度から中等度の貧血を含む、化学療法が誘導した貧血は、癌患者の生活の質に悪い影響があることを報告している(Groopman JE、Itri LM、「Chemotherapy-induced anemia in adults: incidence and treatment」、J Natl Cancer Inst. 1999 Oct 6;91 (19):1616-34)。 化学療法は、食欲減退、粘膜炎、悪心、腸管損傷、及び脱水症状の結果として、体重減少を引き起こすことによっても、癌患者の生活の質を低下し得る。

    本明細書において得られたこれらの結果は、乳脂肪は、化学療法の副作用を防止又は軽減する点で有効であることを指摘している。

    実施例18
    本実施例は、乳脂肪は、血液学的抑制、貧血、及び腸管の損傷を含む、対象における複数の化学療法の副作用を軽減するよう、Lf+と相乗作用することを示している。

    食餌
    被験食は、粉末化されたAIN93G配合物を主材料として使用し、Crop & Food Research(パルマーストンノース, ニュージーランド)により調製した。 AIN93G食において、カゼインは、タンパク質給源として、及びダイズ油は脂質給源として使用した。 被験食において、ダイズ油は、無水乳脂肪(AMF)と置換し、その結果食餌の総脂質含量は不変であった。 被験食において、カゼインは、Lf+と置換し、その結果食餌の総タンパク質含量は不変であった。 AMFと置換した食餌は、食餌2kgにつきAMF 35gを含有し、これは食餌の総脂質含量(140g脂質/2kg)の25%を表す。 Lf+と置換した食餌は、食餌2kgにつきLf+ 0.1、1、又は10gのいずれかを含有し、これは食餌の総タンパク含量(400gタンパク質/2kg)の0.025、0.25、及び2.5%を表す。 一部の食餌は、食餌2kgにつきAMF 35g及び前述の量のひとつのLf+の組合せを含有した。 新鮮な食餌を週2回提供し、マウスは学習により食物及び水は自在摂取した。

    化学療法の副作用を分析するための実験モデル
    シクロホスファミドは、動物倫理委員会の承認(オークランド大学)に従い投与した。 全ての実験は、1処置群当たりマウス24匹を含んだ。 PBS中に希釈したシクロホスファミドは、300mg/kgで腹腔内投与した。 血液収集に関して、マウスに深麻酔をかけ、心穿刺により放血した。

    C57BL/6マウス24匹の群には、AIN93G食、又は乳脂肪、Lf+、又は乳脂肪とLf+の組合せのいずれかで置換した同一食を給餌し、4週間飼養した後、シクロホスファミド(300mg/kg体重)を0日目に腹腔内注射した。 マウスは、0日目、並びに4、8、及び12日後に6匹の群で屠殺し、以下に説明されたように、血液及び腸管組織を、薬物処置の副作用について分析した。

    8日目の平均絨毛長を、乳脂肪補充(0対25%)、Lf+補充(0対0.025%)の作用及びそれらの相互作用に関して、二元配置分散分析(ANOVA)を用いて解析した。 個別の群は、テューキーの多重比較検定を用いて比較した。

    乳脂肪は、Lf+と相乗作用し、化学療法が誘導した腸管損傷を阻害する。 4週間にわたる異なる乳脂肪食の給餌は、化学療法前に、空腸絨毛長に対し識別できる作用は有さなかった(図16)。 平均絨毛長を、化学療法が誘導した損傷の測定に使用した。 シクロホスファミドは、4日目までに、全ての群において(al ll groups)平均絨毛長を有意に減少した(図16)。 25%乳脂肪は、シクロホスファミドに起因する腸損傷からの回復を促進した。 8日目に、乳脂肪群の平均絨毛長は、対照群よりも有意に大きかった(P<0.001)。

    乳脂肪とLf+の組合せは、乳脂肪単独及びLf+単独と比べ、有意に大きい絨毛長を生じた(P<0.01)。

    実施例19
    本実施例は、乳脂肪は、化学療法後の循環白血球(WBC)の回復を促進するよう、Lf+と相乗作用することを示している。

    4日目と8日目の間のWBCカウントの差異を、乳脂肪補充(0対25%)、Lf+補充(0対0.025%)の作用及びそれらの相互作用に関して、二元配置共分散分析(ANCOVA)を用いて解析した。 化学療法時の体重は、共変量として含んだ。 乳脂肪とLf+の組合せを、乳脂肪単独及びLf+単独と、片側ダネット検定を用い比較した。

    心穿刺試料中のWBCカウントは、実施例18に説明したように、化学療法日、並びに4、8、及び12日後に記録した。 4週間の乳脂肪食及び0.025%Lf+食の給餌は、化学療法前の末梢WBCカウントに対し有意な作用を有さなかった(図17)。 シクロホスファミドは、実施例19の全てのマウスにおいて、4日目に末梢WBCカウントを重度に低下した。 WBCカウントは、8日目までに、全てのマウス群において回復し始めた。 従って、底値(4日目)、対、WBC数が統計学的に回復している場合の8日目のWBC数の比較を行った。 WBCカウントの増加は、0.025%Lf+と乳脂肪の組合せを給餌したマウスにおいて、0.025%Lf+食(P=0.049)、及び乳脂肪食(P=0.012)と比べ、有意に大きかった。

    実施例20
    本実施例は、乳脂肪は、化学療法後の赤血球(RBC)の数及びサイズを増加するよう、Lf+と相乗作用し、ヘモグロビン含量を増加する傾向があることを示している。

    RBCカウント、HCT、及びヘモグロビンレベルを、乳脂肪補充(0対25%)、Lf+補充(0対0.025%)の作用及びそれらの相互作用に関して、二元配置ANCOVAを用いて解析した。 化学療法時の体重は、共変量として含んだ。 乳脂肪とLf+の組合せを、乳脂肪単独及びLf+単独と、片側ダネット検定を用い比較した。

    心穿刺試料中のRBCカウント、HCT、及びヘモグロビンは、実施例18に説明したように、化学療法日、並びに4、8、及び12日後に記録した。

    シクロホスファミドは、給餌した食餌とは無関係に、実施例20のマウスにおいて、4及び8日目に、RBCカウントを減少した(図18)。 RBC数は、8日目まで減り続け、その後回復し始めたが、12日目に完全な回復には到達しなかった。 乳脂肪は、4及び8日目の底値を低下し、かつ12日目のRBC数の回復を促進するように0.25%Lfと相乗作用するように見える。 12日目のRBCカウントは、0.25%Lf+と乳脂肪の組合せを給餌したマウスでは、0.25%Lf+食(P=0.018)、及び乳脂肪食(P=0.024)と比べ、有意に大きかった。

    シクロホスファミドは、給餌した食餌とは無関係に、実施例20のマウスにおいて、4及び8日目に、HCTを減少した(図19)。 HCTは、8日目まで減り続け、その後回復し始めたが、12日目に完全な回復には到達しなかった。 乳脂肪は、4及び8日目の底値を低下し、かつ12日目のHCTレベルの回復を促進するように0.25%Lfと相乗作用するように見える。 12日目のHCTは、0.25%Lf+と乳脂肪の組合せを給餌したマウスでは、0.25%Lf+食(P=0.046)、及び乳脂肪食(P=0.047)と比べ、有意に大きかった。

    シクロホスファミドは、給餌した食餌とは無関係に、実施例20のマウスにおいて、4及び8日目に、ヘモグロビンレベルを減少した(図20)。 ヘモグロビンは、8日目まで減り続け、その後回復し始めたが、12日目に完全な回復には到達しなかった。 乳脂肪は、4及び8日目の底値を低下し、かつ12日目のヘモグロビンの回復を促進するように0.25%Lfと相乗作用するように見える。 12日目のヘモグロビンは、0.25%Lf+と乳脂肪の組合せを給餌したマウスでは、0.25%Lf+食と比べ有意に大きかった(P=0.038)。 これは、乳脂肪食と比べ、より高かったが、有意ではなかった(P=0.094)。

    まとめると、これらの結果は、0.25%Lf+と組合せた乳脂肪の摂取は、RBC数、及びRBCサイズを増加し、かつ全般的ヘモグロビン含量を増加する傾向が存在することを指摘している。 これらの結果は、化学療法が誘導した貧血を含む、貧血の治療に関して重要な意味を有する。

    実施例21
    本実施例は、乳脂肪は、化学療法が誘導した食欲不振/悪液質を有意に軽減することを示す。 乳脂肪及びLf+の組合せを含有する食餌も同じく、化学療法が誘導した食欲不振/悪液質を軽減する。

    体重は、実施例18に説明したように、化学療法日、並びにその後4、8、及び12日目に記録した。 乳脂肪は、性別、Lf+補充、及び日数とは無関係に、マウスの体重を有意に(P=0.004)増加し−すなわち、いかなる有意な相互作用も存在しないために、両性の動物、全ての日、及び全てのLf群で、解析不良であった(図21)。 乳脂肪食も他の食餌も、化学療法前のマウスの体重に対してはいかなる有意な作用も有さないので、この乳脂肪の作用は化学療法に特異的であった。

    本発明の方法、医薬用途及び組成物は、腫瘍成長の阻害、白血球数、赤血球数、又は骨髄細胞数の1又は2以上の維持又は改善、免疫系の刺激、又は、癌の治療又は予防に有用である。 かかる方法及び医薬用途は、食料組成物(食品又は補助食品として)、栄養補助組成物又は医薬組成物を用いて実施することができる。

    当業者には理解されるように、前記説明は単なる例示目的で供されるものであり、本発明はそれらに限定されるものではない。

    参考文献

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