伝達装置の制御装置

申请号 JP2015157742 申请日 2015-08-07 公开(公告)号 JP6332196B2 公开(公告)日 2018-05-30
申请人 トヨタ自動車株式会社; 发明人 中村 和明;
摘要
权利要求

駆動源の動力を駆動輪へ伝達する、第1動力伝達経路と第2動力伝達経路とが選択的に形成される自動変速機を備えた動力伝達装置において、車両状態が車両振動が発生する所定の車両状態であるか否かを判定する振動発生判定部と、前記第1動力伝達経路が形成された走行中に前記所定の車両状態であるときには、前記第1動力伝達経路を形成したまま、前記第2動力伝達経路を形成する為の係合装置を半係合する半係合制御部とを含む、動力伝達装置の制御装置であって、 前記第1動力伝達経路が形成された走行中に前記所定の車両状態であるときには、前記第2動力伝達経路の変速比を、前記第1動力伝達経路に対して低車速側となる変速比とするか、又は前記第1動力伝達経路に対して高車速側となる変速比とするかを、走行状態に応じて択一的に設定する他経路状態設定部と、 駆動状態となる走行状態であるか、又は被駆動状態となる走行状態であるかを判定する走行状態判定部とを更に含み、 前記他経路状態設定部は、前記駆動状態となる走行状態である場合には、前記第2動力伝達経路の変速比を前記第1動力伝達経路に対して低車速側となる変速比とする一方で、前記被駆動状態となる走行状態である場合には、前記第2動力伝達経路の変速比を前記第1動力伝達経路に対して高車速側となる変速比とすることを特徴とする動力伝達装置の制御装置。前記自動変速機は、所定の係合装置が係合されることで複数の変速段が選択的に形成される有段変速機であり、 前記他経路状態設定部は、前記第2動力伝達経路を形成する変速段を現在形成されている変速段に対して低車速側の変速段又は高車速側の変速段とすることで、前記第2動力伝達経路の変速比を前記第1動力伝達経路に対して低車速側又は高車速側となる変速比とすることを特徴とする請求項1に記載の動力伝達装置の制御装置。駆動力源の動力を駆動輪へ伝達する、第1動力伝達経路と第2動力伝達経路とが選択的に形成される自動変速機を備えた動力伝達装置において、車両状態が車両振動が発生する所定の車両状態であるか否かを判定する振動発生判定部と、前記第1動力伝達経路が形成された走行中に前記所定の車両状態であるときには、前記第1動力伝達経路を形成したまま、前記第2動力伝達経路を形成する為の係合装置を半係合する半係合制御部とを含む、動力伝達装置の制御装置であって、 前記自動変速機は、前記駆動力源の動力が伝達される入力回転部材と前記駆動輪へ前記動力を出力する出力回転部材との間の動力伝達経路に並列に設けられた、ギヤ段が形成される伝動機構及び無段変速機構と、前記伝動機構を介した前記第1動力伝達経路を形成する為の第1係合装置と、前記無段変速機構を介した前記第2動力伝達経路を形成する為の第2係合装置とを備えるものであり、 前記第1動力伝達経路が形成された走行中に前記所定の車両状態であるときには、前記第2動力伝達経路の変速比を、前記第1動力伝達経路に対して低車速側となる変速比とするか、又は前記第1動力伝達経路に対して高車速側となる変速比とするかを、走行状態に応じて択一的に設定する他経路状態設定部を更に含み、 前記他経路状態設定部は、前記第1動力伝達経路にて形成されている変速比に対して前記無段変速機構の変速比を低車速側又は高車速側とすることで、前記第2動力伝達経路の変速比を前記第1動力伝達経路に対して低車速側又は高車速側となる変速比とすることを特徴とする動力伝達装置の制御装置。駆動力源の動力を駆動輪へ伝達する、第1動力伝達経路と第2動力伝達経路とが選択的に形成される自動変速機を備えた動力伝達装置において、車両状態が車両振動が発生する所定の車両状態であるか否かを判定する振動発生判定部と、前記第1動力伝達経路が形成された走行中に前記所定の車両状態であるときには、前記第1動力伝達経路を形成したまま、前記第2動力伝達経路を形成する為の係合装置を半係合する半係合制御部とを含む、動力伝達装置の制御装置であって、 前記第1動力伝達経路が形成された走行中に前記所定の車両状態であるときには、前記第2動力伝達経路の変速比を、前記第1動力伝達経路に対して低車速側となる変速比とするか、又は前記第1動力伝達経路に対して高車速側となる変速比とするかを、走行状態に応じて択一的に設定する他経路状態設定部を更に含み、 前記振動発生判定部は、補機負荷に基づいて前記車両状態を変更することを特徴とする動力伝達装置の制御装置。

说明书全文

本発明は、駆動源の動力を駆動輪へ伝達する、異なる動力伝達経路が形成可能な自動変速機を備えた動力伝達装置の制御装置に関するものである。

駆動力源の動力を駆動輪へ伝達する、第1動力伝達経路と第2動力伝達経路とが選択的に形成される自動変速機を備えた動力伝達装置において、車両振動が発生する所定の車両状態であるときに、第1動力伝達経路を形成したまま、第2動力伝達経路を形成する為の係合装置を半係合することで、車両振動又は車両振動に伴う異音を低減する動力伝達装置の制御装置が良く知られている。例えば、特許文献1に記載された車両の振動低減装置がそれである。この特許文献1には、ロックアップクラッチが係合された状態での動力伝達系の捩り共振による車両振動を低減する為に、現在の変速段を形成する為に必要な係合装置以外の、係合すればインターロックとなる係合装置を、所定のトルク容量で半係合して準インターロック状態を形成する技術が開示されている。

特開2008−14457号公報

ところで、特許文献1に記載の技術では、自動変速機の変速段が第1速又は第2速のときに、高車速側の変速段となる第3速又は第4速を形成する為のクラッチを半係合することで準インターロック状態を形成している。この場合、自動変速機の入力軸回転速度を減速する方向に負荷が働く(すなわちトルクが内部循環する)為、ドライバビリティを悪化させるおそれがある。つまり、車両振動又は異音を低減する為に一律に準インターロック状態を形成すると、ドライバビリティを悪化させるおそれがある。

本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、車両振動又は異音を低減する際に、ドライバビリティの悪化を抑制することができる動力伝達装置の制御装置を提供することにある。

第1の発明の要旨とするところは、(a) 駆動力源の動力を駆動輪へ伝達する、第1動力伝達経路と第2動力伝達経路とが選択的に形成される自動変速機を備えた動力伝達装置において、車両状態が車両振動が発生する所定の車両状態であるか否かを判定する振動発生判定部と、前記第1動力伝達経路が形成された走行中に前記所定の車両状態であるときには、前記第1動力伝達経路を形成したまま、前記第2動力伝達経路を形成する為の係合装置を半係合する半係合制御部とを含む、動力伝達装置の制御装置であって、(b) 前記第1動力伝達経路が形成された走行中に前記所定の車両状態であるときには、前記第2動力伝達経路の変速比を、前記第1動力伝達経路に対して低車速側となる変速比とするか、又は前記第1動力伝達経路に対して高車速側となる変速比とするかを、走行状態に応じて択一的に設定する他経路状態設定部と、(c) 駆動状態となる走行状態であるか、又は被駆動状態となる走行状態であるかを判定する走行状態判定部とを更に含み、(d) 前記他経路状態設定部は、前記駆動状態となる走行状態である場合には、前記第2動力伝達経路の変速比を前記第1動力伝達経路に対して低車速側となる変速比とする一方で、前記被駆動状態となる走行状態である場合には、前記第2動力伝達経路の変速比を前記第1動力伝達経路に対して高車速側となる変速比とすることにある。

また、第2の発明は、前記第1の発明に記載の動力伝達装置の制御装置において、前記自動変速機は、所定の係合装置が係合されることで複数の変速段が選択的に形成される有段変速機であり、前記他経路状態設定部は、前記第2動力伝達経路を形成する変速段を現在形成されている変速段に対して低車速側の変速段又は高車速側の変速段とすることで、前記第2動力伝達経路の変速比を前記第1動力伝達経路に対して低車速側又は高車速側となる変速比とすることにある。

また、第3の発明の要旨とするところは、(a) 駆動力源の動力を駆動輪へ伝達する、第1動力伝達経路と第2動力伝達経路とが選択的に形成される自動変速機を備えた動力伝達装置において、車両状態が車両振動が発生する所定の車両状態であるか否かを判定する振動発生判定部と、前記第1動力伝達経路が形成された走行中に前記所定の車両状態であるときには、前記第1動力伝達経路を形成したまま、前記第2動力伝達経路を形成する為の係合装置を半係合する半係合制御部とを含む、動力伝達装置の制御装置であって、(b) 前記自動変速機は、前記駆動力源の動力が伝達される入力回転部材と前記駆動輪へ前記動力を出力する出力回転部材との間の動力伝達経路に並列に設けられた、ギヤ段が形成される伝動機構及び無段変速機構と、前記伝動機構を介した前記第1動力伝達経路を形成する為の第1係合装置と、前記無段変速機構を介した前記第2動力伝達経路を形成する為の第2係合装置とを備えるものであり(c) 前記第1動力伝達経路が形成された走行中に前記所定の車両状態であるときには、前記第2動力伝達経路の変速比を、前記第1動力伝達経路に対して低車速側となる変速比とするか、又は前記第1動力伝達経路に対して高車速側となる変速比とするかを、走行状態に応じて択一的に設定する他経路状態設定部を更に含み、(d) 前記他経路状態設定部は、前記第1動力伝達経路にて形成されている変速比に対して前記無段変速機構の変速比を低車速側又は高車速側とすることで、前記第2動力伝達経路の変速比を前記第1動力伝達経路に対して低車速側又は高車速側となる変速比とすることにある。

また、第4の発明の要旨とするところは、(a) 駆動力源の動力を駆動輪へ伝達する、第1動力伝達経路と第2動力伝達経路とが選択的に形成される自動変速機を備えた動力伝達装置において、車両状態が車両振動が発生する所定の車両状態であるか否かを判定する振動発生判定部と、前記第1動力伝達経路が形成された走行中に前記所定の車両状態であるときには、前記第1動力伝達経路を形成したまま、前記第2動力伝達経路を形成する為の係合装置を半係合する半係合制御部とを含む、動力伝達装置の制御装置であって、(b) 前記第1動力伝達経路が形成された走行中に前記所定の車両状態であるときには、前記第2動力伝達経路の変速比を、前記第1動力伝達経路に対して低車速側となる変速比とするか、又は前記第1動力伝達経路に対して高車速側となる変速比とするかを、走行状態に応じて択一的に設定する他経路状態設定部を更に含み、(c) 前記振動発生判定部は、補機負荷に基づいて前記車両状態を変更することにある。

前記第1の発明によれば、車両振動が発生する所定の車両状態であるときに、自動変速機において第1動力伝達経路を形成したまま、第2動力伝達経路を形成する為の係合装置を半係合することで、弱い循環トルクを発生させて自動変速機内部や動力伝達経路のガタを詰めることにより、車両振動又は車両振動に伴う異音を低減することができる。この際、第1動力伝達経路に対して低車速側となる第2動力伝達経路の変速比とするか、又は第1動力伝達経路に対して高車速側となる第2動力伝達経路の変速比とするかが、走行状態に応じて択一的に設定されるので、加速走行、減速走行、登降坂走行などの走行状態に合わせて、自動変速機の入力軸回転速度を増速する方向又は減速する方向に弱い循環トルクを発生させること(すなわちガタを詰めること)ができる。よって、車両振動又は異音を低減する際に、ドライバビリティの悪化を抑制することができる。加えて、駆動状態となる走行状態である場合には、第2動力伝達経路の変速比が第1動力伝達経路に対して低車速側となる変速比とされるので、自動変速機の入力軸回転速度を増速する方向に弱い循環トルクを発生させること(すなわちガタを詰めること)ができる。一方で、被駆動状態となる走行状態である場合には、第2動力伝達経路の変速比が第1動力伝達経路に対して高車速側となる変速比とされるので、自動変速機の入力軸回転速度を減速する方向に弱い循環トルクを発生させること(すなわちガタを詰めること)ができる。

また、前記第2の発明によれば、前記第2動力伝達経路を形成する変速段を現在形成されている変速段に対して低車速側の変速段又は高車速側の変速段とすることで、前記第2動力伝達経路の変速比を、前記第1動力伝達経路に対して低車速側となる変速比とするか、又は前記第1動力伝達経路に対して高車速側となる変速比とするかを、走行状態に応じて択一的に設定することが容易にできる。

また、前記第3の発明によれば、車両振動が発生する所定の車両状態であるときに、自動変速機において第1動力伝達経路を形成したまま、第2動力伝達経路を形成する為の係合装置を半係合することで、弱い循環トルクを発生させて自動変速機内部や動力伝達経路のガタを詰めることにより、車両振動又は車両振動に伴う異音を低減することができる。この際、第1動力伝達経路に対して低車速側となる第2動力伝達経路の変速比とするか、又は第1動力伝達経路に対して高車速側となる第2動力伝達経路の変速比とするかが、走行状態に応じて択一的に設定されるので、加速走行、減速走行、登降坂走行などの走行状態に合わせて、自動変速機の入力軸回転速度を増速する方向又は減速する方向に弱い循環トルクを発生させること(すなわちガタを詰めること)ができる。よって、車両振動又は異音を低減する際に、ドライバビリティの悪化を抑制することができる。加えて、無段変速機構の変速比を低車速側又は高車速側とすることで、前記第2動力伝達経路の変速比を、前記第1動力伝達経路に対して低車速側となる変速比とするか、又は前記第1動力伝達経路に対して高車速側となる変速比とするかを、走行状態に応じて択一的に設定することが容易にできる。この際、前記第2動力伝達経路の変速比を無段階に調整できる為、車両状態に適したイナーシャをかけることができる(すなわち走行状態に応じた弱い循環トルクを発生させることができる)。つまり、第2動力伝達経路を形成する為の係合装置を半係合するときの係合力を複雑に調整することなく、弱タイアップ状態を発生させることができる。

また、前記第4の発明によれば、車両振動が発生する所定の車両状態であるときに、自動変速機において第1動力伝達経路を形成したまま、第2動力伝達経路を形成する為の係合装置を半係合することで、弱い循環トルクを発生させて自動変速機内部や動力伝達経路のガタを詰めることにより、車両振動又は車両振動に伴う異音を低減することができる。この際、第1動力伝達経路に対して低車速側となる第2動力伝達経路の変速比とするか、又は第1動力伝達経路に対して高車速側となる第2動力伝達経路の変速比とするかが、走行状態に応じて択一的に設定されるので、加速走行、減速走行、登降坂走行などの走行状態に合わせて、自動変速機の入力軸回転速度を増速する方向又は減速する方向に弱い循環トルクを発生させること(すなわちガタを詰めること)ができる。よって、車両振動又は異音を低減する際に、ドライバビリティの悪化を抑制することができる。加えて、第1動力伝達経路に伝達される駆動力源の実際の動力の大きさに影響を及ぼす補機負荷に基づいて車両状態が変更されるので、車両振動又は車両振動に伴う異音が発生する車両状態が適切に判定される。

本発明が適用される車両の概略構成を説明する図である。

動力伝達装置の走行モードの切り替わりを説明する為の図である。

車両における各種制御の為の制御機能及び制御系統の要部を説明する図である。

入力軸回転速度の回転変動又は回転変動加速度と、無段変速機の変速比とギヤ経路の変速比との比との予め定められた関係を示す図である。

入力軸回転速度の回転変動又は回転変動角加速度と、弱タイアップさせるときに係合する係合装置の係合力との予め定められた関係を示す図である。

電子制御装置の制御作動の要部すなわち車両振動又は異音を低減する際にドライバビリティの悪化を抑制する為の制御作動を説明するフローチャートである。

本発明が適用される車両の概略構成を説明する図であって、図1の車両とは別の実施例を示す図である。

自動変速機の変速作動とそれに用いられる係合装置の作動の組み合わせとの関係を説明する作動図表である。

以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明する。

図1は、本発明が適用される車両10の概略構成を説明する図である。図1において、車両10は、走行用の駆動力源として機能するガソリンエンジンやディーゼルエンジン等のエンジン12と、駆動輪14と、エンジン12と駆動輪14との間の動力伝達経路に設けられた動力伝達装置16とを備えている。動力伝達装置16は、非回転部材としてのハウジング18内において、エンジン12に連結された流体式伝動装置としての公知のトルクコンバータ20、トルクコンバータ20に連結された入力軸22、入力軸22に連結された自動変速機24、自動変速機24の出力側に連結された出力軸26、カウンタ軸28、出力軸26及びカウンタ軸28に各々相対回転不能に設けられて噛み合う一対のギヤから成る減速歯車装置30、カウンタ軸28に相対回転不能に設けられたギヤ32に連結されたデフギヤ34、デフギヤ34に連結された1対の車軸36等を備えている。このように構成された動力伝達装置16において、エンジン12の動力(特に区別しない場合にはトルクや力も同義)は、トルクコンバータ20、自動変速機24、減速歯車装置30、デフギヤ34、及び車軸36等を順次介して1対の駆動輪14へ伝達される。

トルクコンバータ20は、エンジン12と入力軸22との間の動力伝達経路に介在させられて、入力軸22回りにその入力軸22に対して同軸心に設けられている。トルクコンバータ20は、エンジン12に連結されたポンプ翼車20p、及び入力軸22に連結されたタービン翼車20tを備え、エンジン12の動力を入力軸22へ伝達する。トルクコンバータ20は、ポンプ翼車20pとタービン翼車20tとの間すなわちトルクコンバータ20の入出力回転部材間を直結可能な公知のロックアップクラッチ38を備えている。動力伝達装置16は、ポンプ翼車20pに連結された機械式のオイルポンプ40を備えている。オイルポンプ40は、エンジン12により回転駆動されることにより、自動変速機24を変速制御したり、動力伝達装置16の各部に潤滑油を供給したりする為の油圧を発生する(吐出する)。

自動変速機24は、入力軸22に連結された無段変速機構としての公知のベルト式の無段変速機(CVT)50、同じく入力軸22に連結された前後進切替装置52、前後進切替装置52を介して入力軸22に連結されて無段変速機50と並列に設けられた伝動機構としてのギヤ伝動機構54を備えている。すなわち、自動変速機24は、エンジン12(ここではエンジン12の動力が伝達される入力回転部材である入力軸22も同意)と駆動輪14(ここでは駆動輪14へエンジン12の動力を出力する出力回転部材である出力軸26も同意)との間の動力伝達経路PTに並列に設けられた、ギヤ伝動機構54及び無段変速機50を備えている。

よって、動力伝達装置16は、エンジン12の動力を入力軸22からギヤ伝動機構54を介して駆動輪14側(すなわち出力軸26)へ伝達する第1動力伝達経路PT1と、エンジン12の動力を入力軸22から無段変速機50を介して駆動輪14側(すなわち出力軸26)へ伝達する第2動力伝達経路PT2との複数の動力伝達経路を、入力軸22と出力軸26との間に並列に備えている。動力伝達装置16は、車両10の走行状態に応じてその第1動力伝達経路PT1とその第2動力伝達経路PT2とが切り替えられる。

その為、自動変速機24は、エンジン12の動力を駆動輪14側へ伝達する動力伝達経路を、第1動力伝達経路PT1と第2動力伝達経路PT2とで選択的に切り替える複数の係合装置を備えている。この係合装置は、第1動力伝達経路PT1を断接する第1係合装置(換言すれば係合されることでギヤ伝動機構54を介した第1動力伝達経路PT1を形成する為の係合装置である第1係合装置)としての第1クラッチC1及び第1ブレーキB1と、第2動力伝達経路PT2を断接する第2係合装置(換言すれば、係合されることで無段変速機50を介した第2動力伝達経路PT2を形成する為の係合装置である第2係合装置)としての第2クラッチC2とを含んでいる。第1クラッチC1、第1ブレーキB1、及び第2クラッチC2は、断接装置に相当するものであり、何れも油圧アクチュエータによって摩擦係合させられる公知の油圧式の湿式の摩擦係合装置(摩擦クラッチ)である。又、第1クラッチC1及び第1ブレーキB1は、各々、後述するように、前後進切替装置52を構成する要素の1つである。

前後進切替装置52は、第1動力伝達経路PT1において入力軸22回りにその入力軸22に対して同軸心に設けられており、ダブルピニオン型の遊星歯車装置52p、第1クラッチC1、及び第1ブレーキB1を備えている。遊星歯車装置52pは、入力要素としてのキャリヤ52cと、出力要素としてのサンギヤ52sと、反力要素としてのリングギヤ52rとの3つの回転要素を有する差動機構である。キャリヤ52cは入力軸22に一体的に連結され、リングギヤ52rは第1ブレーキB1を介してハウジング18に選択的に連結され、サンギヤ52sは入力軸22回りにその入力軸22に対して同軸心に相対回転可能に設けられた小径ギヤ56に連結されている。又、キャリヤ52cとサンギヤ52sとは、第1クラッチC1を介して選択的に連結される。よって、第1クラッチC1は、前記3つの回転要素のうちの2つの回転要素を選択的に連結する係合装置であり、第1ブレーキB1は、前記反力要素をハウジング18に選択的に連結する係合装置である。

ギヤ伝動機構54は、小径ギヤ56と、ギヤ機構カウンタ軸58と、ギヤ機構カウンタ軸58回りにそのギヤ機構カウンタ軸58に対して同軸心に相対回転不能に設けられてその小径ギヤ56と噛み合う大径ギヤ60とを備えている。又、ギヤ伝動機構54は、ギヤ機構カウンタ軸58回りにそのギヤ機構カウンタ軸58に対して同軸心に相対回転可能に設けられたアイドラギヤ62と、出力軸26回りにその出力軸26に対して同軸心に相対回転不能に設けられてそのアイドラギヤ62と噛み合う出力ギヤ64とを備えている。出力ギヤ64は、アイドラギヤ62よりも大径である。従って、ギヤ伝動機構54は、入力軸22と出力軸26との間の動力伝達経路PTにおいて、所定の変速比(変速段、ギヤ段)としての1つの変速比(変速段、ギヤ段)が形成される伝動機構である。ギヤ伝動機構54は、更に、ギヤ機構カウンタ軸58回りに、大径ギヤ60とアイドラギヤ62との間に設けられて、これらの間を選択的に断接する噛合式クラッチD1を備えている。噛合式クラッチD1は、前後進切替装置52(ここでは第1クラッチC1も同意)と出力軸26との間の動力伝達経路に配設された(換言すれば第1クラッチC1よりも出力軸26側に設けられた)、第1動力伝達経路PT1を断接する第3係合装置(換言すれば第1クラッチC1と共に係合されることで第1動力伝達経路PT1を形成する為の係合装置である第3係合装置)として機能するものであり、前記複数の係合装置に含まれる。又、噛合式クラッチD1は、油圧アクチュエータによって係合させられる際に回転を同期させる、同期機構としての公知のシンクロメッシュ機構S1を備えている。

第1動力伝達経路PT1は、噛合式クラッチD1と噛合式クラッチD1よりも入力軸22側に設けられた第1クラッチC1(又は第1ブレーキB1)とが共に係合されることで形成される。第1クラッチC1の係合により前進用動力伝達経路が形成され、第1ブレーキB1の係合により後進用動力伝達経路が形成される。動力伝達装置16では、第1動力伝達経路PT1が形成されると、エンジン12の動力を入力軸22からギヤ伝動機構54を経由して出力軸26へ伝達することができる動力伝達可能状態とされる。一方で、第1動力伝達経路PT1は、少なくとも第1クラッチC1及び第1ブレーキB1が共に解放されるか、或いは少なくとも噛合式クラッチD1が解放されると、動力伝達を遮断するニュートラル状態(動力伝達遮断状態)とされる。

無段変速機50は、入力軸22に設けられた有効径が可変のプライマリプーリ66と、出力軸26と同軸心の回転軸68に設けられた有効径が可変のセカンダリプーリ70と、それら各プーリ66,70の間に巻き掛けられた伝動ベルト72とを備え、各プーリ66,70と伝動ベルト72との間の摩擦力(ベルト挟圧力)を介して動力伝達が行われるベルト式の無段変速機構である。プライマリプーリ66では、プライマリプーリ66へ供給する油圧(すなわちプライマリ側油圧シリンダ66cへ供給されるプライマリ圧Pin)が電子制御装置80(図3参照)により駆動される油圧制御回路74(図3参照)によって調圧制御されることにより、各シーブ66a,66b間のV溝幅を変更するプライマリ推力Win(=プライマリ圧Pin×受圧面積)が付与される。又、セカンダリプーリ70では、セカンダリプーリ70へ供給する油圧(すなわちセカンダリ側油圧シリンダ70cへ供給されるセカンダリ圧Pout)が油圧制御回路74によって調圧制御されることにより、各シーブ70a,70b間のV溝幅を変更するセカンダリ推力Wout(=セカンダリ圧Pout×受圧面積)が付与される。無段変速機50では、プライマリ推力Win(プライマリ圧Pin)及びセカンダリ推力Wout(セカンダリ圧Pout)が各々制御されることで、各プーリ66,70のV溝幅が変化して伝動ベルト72の掛かり径(有効径)が変更され、変速比γcvt(=プライマリプーリ回転速度Npri/セカンダリプーリ回転速度Nsec)が変化させられると共に、伝動ベルト72が滑りを生じないように各プーリ66,70と伝動ベルト72との間の摩擦力が制御される。

出力軸26は、回転軸68回りにその回転軸68に対して同軸心に相対回転可能に配置されている。第2クラッチC2は、無段変速機50よりも駆動輪14(ここでは出力軸26も同意)側に設けられており(すなわちセカンダリプーリ70と出力軸26との間に設けられており)、セカンダリプーリ70(回転軸68)と出力軸26との間の動力伝達経路を選択的に断接する。第2動力伝達経路PT2は、第2クラッチC2が係合されることで形成される。動力伝達装置16では、第2動力伝達経路PT2が形成されると、エンジン12の動力を入力軸22から無段変速機50を経由して出力軸26へ伝達することができる動力伝達可能状態とされる。一方で、第2動力伝達経路PT2は、第2クラッチC2が解放されると、ニュートラル状態とされる。

動力伝達装置16の作動について、以下に説明する。図2は、電子制御装置80により切り替えられる動力伝達装置16の各走行パターン(走行モード)毎の係合装置の係合表を用いて、その走行モードの切り替わりを説明する為の図である。図2において、C1は第1クラッチC1の作動状態に対応し、C2は第2クラッチC2の作動状態に対応し、B1は第1ブレーキB1の作動状態に対応し、D1は噛合式クラッチD1の作動状態に対応し、「○」は係合(接続)を示し、「×」は解放(遮断)を示している。

図2において、ギヤ伝動機構54を介して(すなわち第1動力伝達経路PT1を介して)エンジン12の動力が出力軸26に伝達される走行モード(すなわちギヤ伝動機構54を介した第1動力伝達経路PT1を用いて走行する走行モード)であるギヤ走行モードでは、第1クラッチC1及び噛合式クラッチD1が係合され且つ第2クラッチC2及び第1ブレーキB1が解放される。このギヤ走行モードでは前進走行が可能となる。尚、第1ブレーキB1及び噛合式クラッチD1が係合され且つ第2クラッチC2及び第1クラッチC1が解放される、ギヤ走行モードでは、後進走行が可能となる。

又、無段変速機50を介して(すなわち第2動力伝達経路PT2を介して)エンジン12の動力が出力軸26に伝達される走行モード(すなわち無段変速機50を介した第2動力伝達経路PT2を用いて走行する走行モード)であるCVT走行モード(ベルト走行モードともいう)では、第2クラッチC2が係合され且つ第1クラッチC1及び第1ブレーキB1が解放される。このCVT走行モードでは前進走行が可能となる。このCVT走行モードのうちでCVT走行(中車速)モードでは噛合式クラッチD1が係合される一方で、CVT走行(高車速)モードでは噛合式クラッチD1が解放される。このCVT走行(高車速)モードにて噛合式クラッチD1が解放されるのは、例えばCVT走行モードでの走行中のギヤ伝動機構54等の引き摺りをなくすと共に、高車速においてギヤ伝動機構54や遊星歯車装置52pの構成部材(例えばピニオンギヤ)等が高回転化するのを防止する為である。噛合式クラッチD1は、駆動輪14側からの入力を遮断する被駆動入力遮断クラッチとして機能する。

ギヤ走行モードは、例えば車両停止中を含む低車速領域において選択される。又、CVT走行モードは、例えば中車速領域や高車速領域において選択される。その為、動力伝達装置16では、第1動力伝達経路PT1にて形成される変速比(すなわちギヤ経路の変速比)γgearは、車両発進に適した値に設定されている。又、動力伝達装置16では、第2動力伝達経路PT2にて形成される変速比(すなわち無段変速機50の変速比であるCVT経路の変速比)γcvtは、ギヤ経路の変速比γgearよりも小さな値(すなわち高車速側となるハイ側の変速比)となる中高車速走行に適した値を少なくとも含むように設定されている。尚、後述するように、無段変速機50の変速比γcvtは、ギヤ経路の変速比γgearよりも少し大きな値(すなわち低車速側となるロー側の変速比)が、無段変速機50により形成できる最低車速側の変速比である最ロー変速比γmaxに設定されている。このギヤ経路の変速比γgearよりもロー側の変速比γcvtは、CVT走行モードの走行では用いられない。CVT走行モードの走行では、ギヤ経路の変速比γgearよりもハイ側の変速比γcvtが用いられる。

変速比γgearは、動力伝達装置16における第1速変速段の変速比γである第1速変速比γ1に相当し、CVT走行モードの走行にて用いられる変速比γcvtの範囲の中で最も低車速側の変速比は、動力伝達装置16における第2速変速段の変速比γである第2速変速比γ2に相当する。その為、ギヤ走行モードとCVT走行モードとは、例えば公知の有段変速機の変速マップにおける第1速変速段と第2速変速段とを切り替える為の変速線に従って切り替えられる。又、CVT走行モードにおいては、例えば公知の手法を用いて、アクセル開度θaccや車速Vなどの走行状態に基づいて変速比γcvtが変化させられる変速が実行される。

ギヤ走行モードからCVT走行(高車速)モード、或いはCVT走行(高車速)モードからギヤ走行モードへの切替えでは、図2に示すように、CVT走行(中車速)モードを経由する。例えばギヤ走行モードからCVT走行(高車速)モードへの切替えでは、第1クラッチC1を解放して第2クラッチC2を係合するようにクラッチを掛け替える変速(例えばクラッチツゥクラッチ変速(以下、CtoC変速という))にてアップシフトが実行されてCVT走行(中車速)モードへ切り替えられ、その後、被駆動入力遮断の為に噛合式クラッチD1が解放される。又、例えばCVT走行(高車速)モードからギヤ走行モードへの切替えでは、ギヤ走行モードへの切替準備(すなわちダウンシフト準備)として噛合式クラッチD1が係合されてCVT走行(中車速)モードへ切り替えられ、その後、第2クラッチC2を解放して第1クラッチC1を係合するようにクラッチを掛け替える変速(例えばCtoC変速)にてダウンシフトが実行される。

図3は、車両10における各種制御の為の制御機能及び制御系統の要部を説明する図である。図3において、車両10は、例えば動力伝達装置16の制御装置を含む電子制御装置80を備えている。よって、図3は、電子制御装置80の入出力系統を示す図であり、又、電子制御装置80による制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。電子制御装置80は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより車両10の各種制御を実行する。例えば、電子制御装置80は、エンジン12の出力制御、無段変速機50の変速制御、動力伝達装置16の走行モードの切替制御等を実行する。電子制御装置80は、必要に応じてエンジン制御用、油圧制御用等に分けて構成される。又、車両10は、更に、エンジン12の動力によって作動する補機を備えている。上記補機は、例えばベルト等を介してエンジン12に連結されたオルタネータ76、ベルトや電磁クラッチ(不図示)等を介してエンジン12に連結されたエアコン用コンプレッサ78等であり、それぞれエンジン12により駆動される。オルタネータ76が発電している間、エンジン12にはオルタネータ76の作動に伴う負荷が発生する。上記電磁クラッチが係合状態である間、エンジン12にはエアコン用コンプレッサ78の作動に伴う負荷が発生する。

電子制御装置80には、車両10が備える各種センサ(例えば各種回転速度センサ90,91,92,93、アクセル開度センサ94、スロットル開度センサ95、電流センサ96、エアコンを駆動する為のエアコンスイッチ97、内気センサ98など)による検出信号に基づく各種実際値(例えばエンジン回転速度Ne、プライマリプーリ回転速度Npriである入力軸回転速度Nin、セカンダリプーリ回転速度Nsecである回転軸回転速度Nrot、車速Vに対応する出力軸回転速度Nout、アクセル開度θacc、スロットル弁開度θth、オルタネータ76の発電電流Igen、エアコン用コンプレッサ78が稼働していることを表すエアコンオン信号A/Con、車室内の気温を表す室温THrなど)が、それぞれ供給される。

又、電子制御装置80からは、車両10に設けられた各装置(例えばエンジン12、油圧制御回路74、オルタネータ76、エアコン用コンプレッサ78、電磁クラッチなど)に各種出力信号(例えばエンジン12の出力制御の為のエンジン出力制御指令信号Se、無段変速機50の変速に関する油圧制御の為の油圧制御指令信号Scvt、動力伝達装置16の走行モードの切替えに関連する第1クラッチC1、第1ブレーキB1、第2クラッチC2、及び噛合式クラッチD1を制御する為の油圧制御指令信号Sswt、オルタネータ76の発電状態を制御する為の発電電圧指令信号Sgen、電磁クラッチを係合状態としてエアコン用コンプレッサ78を駆動したり、室温THr等に基づくエアコン用コンプレッサ78の容量を制御する為のエアコン制御指令信号Sacなど)が供給される。

電子制御装置80は、エンジン出力制御手段すなわちエンジン出力制御部82、変速制御手段すなわち変速制御部84を備えている。

エンジン出力制御部82は、例えば予め実験的に或いは設計的に求められて記憶された(すなわち予め定められた)関係(例えば駆動力マップ)にアクセル開度θacc及び車速Vを適用することで要求駆動力Fdemを算出し、その要求駆動力Fdemが得られる目標エンジントルクTetgtを設定し、その目標エンジントルクTetgtが得られるようにエンジン12を出力制御するエンジン出力制御指令信号Seをそれぞれスロットルアクチュエータや燃料噴射装置や点火装置などへ出力する。

変速制御部84は、車両停止中には、ギヤ走行モードに備えて、噛合式クラッチD1の係合作動を行う指令を油圧制御回路74へ出力する。その後、変速制御部84は、シフトレバーが前進走行操作位置D(或いは後進走行操作位置R)に切り替えられた場合、第1クラッチC1(或いは第1ブレーキB1)を係合する指令を油圧制御回路74へ出力する。

又、変速制御部84は、ギヤ走行モードとCVT走行モードとを切り替える切替制御を実行する。具体的には、変速制御部84は、例えばギヤ走行モードにおけるギヤ経路の変速比γgear(すなわち動力伝達装置16における第1速変速段)とCVT走行モードの走行にて用いられる最も低車速側の変速比(すなわち動力伝達装置16における第2速変速段)とを切り替える為の変速線(所定のヒステリシスを有したアップシフト線及びダウンシフト線)に車速V及びアクセル開度θaccを適用することで変速比γの切替えを判断し、その判断結果に基づいて走行モードを切り替える。

変速制御部84は、ギヤ走行モードでの走行中にアップシフトを判断してギヤ走行モードからCVT走行(中車速)モードへ切り替える場合、第1クラッチC1を解放して第2クラッチC2を係合するCtoC変速を行う指令を油圧制御回路74へ出力する。これにより、動力伝達装置16における動力伝達経路PTは、第1動力伝達経路PT1から第2動力伝達経路PT2へ切り替えられる。変速制御部84は、CVT走行(中車速)モードからCVT走行(高車速)モードへ切り替える場合、噛合式クラッチD1の解放作動を行う指令を油圧制御回路74へ出力する。又、変速制御部84は、CVT走行(高車速)モードからCVT走行(中車速)モードへ切り替える場合、噛合式クラッチD1の係合作動を行う指令を油圧制御回路74へ出力する。変速制御部84は、CVT走行(中車速)モードでの走行中にダウンシフトを判断してギヤ走行モードへ切り替える場合、第2クラッチC2を解放して第1クラッチC1を係合するCtoC変速を行う指令を油圧制御回路74へ出力する。これにより、動力伝達装置16における動力伝達経路PTは、第2動力伝達経路PT2から第1動力伝達経路PT1へ切り替えられる。ギヤ走行モードとCVT走行モードとを切り替える切替制御では、CVT走行(中車速)モードの状態を経由することで、CtoC変速によるトルクの受け渡しを行うだけで第1動力伝達経路PT1と第2動力伝達経路PT2とが切り替えられるので、切替えショックが抑制される。

変速制御部84は、CVT走行モードにおいて、例えば予め定められた関係(例えばCVT変速マップ)にアクセル開度θacc及び車速Vを適用することで、目標入力軸回転速度Nintgtを算出する。変速制御部84は、この目標入力軸回転速度Nintgtに基づいて、無段変速機50の目標変速比γcvttgt(=Nintgt/Nsec)を算出する。変速制御部84は、この目標変速比γcvttgtに基づいて無段変速機50の変速比γcvtを制御する(すなわち無段変速機50を変速制御する)。具体的には、変速制御部84は、目標変速比γcvttgtを達成する為のプライマリ圧Pin及びセカンダリ圧Poutの各油圧指令(油圧制御指令信号Scvt)を決定し、それら各油圧指令を油圧制御回路74へ出力して、CVT変速を実行する。上記CVT変速マップは、例えば所定の最適ライン(例えばエンジン最適燃費線)上にてエンジン12が作動させられる為の無段変速機50の目標変速比γcvttgtが算出されるように予め定められている。

ここで、燃費を向上させる為に、ロックアップクラッチ38を係合又はスリップ状態とする領域を、エンジン回転速度Neの低回転領域や車速Vの低車速領域まで広げることが提案されている。ロックアップクラッチ38の係合などによってエンジン12と自動変速機24とが直結状態(又は直結に近い状態)であるときに低車速、低エンジン回転速度、低負荷で走行する場合、エンジン12の大きな回転変動が自動変速機24へ入力し、動力伝達経路PTのギヤの噛合い部やスプライン嵌合部や係合装置の摩擦プレートとクラッチハブとの間のあそび部などの噛み合わせ部分に設けたガタ(隙間)に伝達されると、その噛み合わせ部分では歯面同士が相互に衝突と離間を繰り返す状態となって車両振動が発生し易い。これに伴い、動力伝達経路PTの噛み合わせ部分ではガタ打ち音(歯打ち音)が発生し、搭乗者に不快感を与える可能性がある。

そこで、電子制御装置80は、第1動力伝達経路PT1及び第2動力伝達経路PT2のうちの一方の動力伝達経路が形成された走行中に車両振動が発生する所定の走行状態であるときには、その一方の動力伝達経路を形成したまま、他方の動力伝達経路を形成する為の係合装置を半係合する。これにより、他方の動力伝達経路から一方の動力伝達経路へトルク循環させて、自動変速機24内部や一方の動力伝達経路のガタを詰めることができる。よって、車両振動又は車両振動に伴う異音を低減することができる。

ところで、他方の動力伝達経路の変速比が一方の動力伝達経路の変速比よりもハイ側であると入力軸22を減速する方向にトルク循環する一方で、他方の動力伝達経路の変速比が一方の動力伝達経路の変速比よりもロー側であると入力軸22を増速する方向にトルク循環する。そうすると、トルク循環による入力軸22の変化方向と、加速走行中や減速走行中や登降坂走行中などの走行状態とが整合していないと、ドライバビリティを悪化させるおそれがある。その為、他方の動力伝達経路の変速比を、一方の動力伝達経路の変速比よりもハイ側にもロー側にもできる場合には、他方の動力伝達経路の変速比を現在の走行状態に応じた変速比とした状態で、他方の動力伝達経路を形成する為の係合装置を半係合することが望ましい。このようなことを勘案して、自動変速機24では、無段変速機50の変速比γcvtは、ギヤ経路の変速比γgearよりも少しロー側の変速比が最ロー変速比γmaxに設定されている。

より具体的には、電子制御装置80は、走行状態判定手段すなわち走行状態判定部85、振動発生判定手段すなわち振動発生判定部86、他経路状態設定手段すなわち他経路状態設定部87、及び半係合制御手段すなわち半係合制御部88を更に備えている。

走行状態判定部85は、ロックアップクラッチ38が係合又はスリップ制御中であるか否かを、例えばロックアップクラッチ38を作動させる為の油圧指令値に基づいて判定する。又、走行状態判定部85は、第1クラッチC1を係合したギヤ走行モードでの走行中(すなわち第1動力伝達経路PT1が形成された走行中)であるか否かを、例えば動力伝達装置16の走行モードの切替えに関連する油圧制御指令信号Sswtに基づいて判定する。又、走行状態判定部85は、第2クラッチC2を係合したCVT走行モードでの走行中(すなわち第2動力伝達経路PT2が形成された走行中)であるか否かを、例えば動力伝達装置16の走行モードの切替えに関連する油圧制御指令信号Sswtに基づいて判定する。

又、走行状態判定部85は、車両10が駆動状態となる走行状態であるか、又は被駆動状態となる走行状態であるかを、例えばスロットル弁開度θthや車速Vの変化などに基づいて判定する。ここで、本実施例でいう駆動状態となる走行状態は、例えば平坦路走行中において、エンジン12の動力に基づく駆動力と走行抵抗とが略釣り合って車速Vが略一定の状態ではあるが、スロットル弁開度θthが増大傾向にあるような走行状態が想定される。又、駆動状態となる走行状態は、例えば登坂路走行中において、車速Vが低下傾向にある状態ではあるが、スロットル弁開度θthが略一定又は増大傾向にあるような走行状態が想定される。又、被駆動状態となる走行状態は、例えば平坦路走行中において、車速Vが略一定の状態ではあるが、スロットル弁開度θthが減少傾向にあるような走行状態が想定される。又、被駆動状態となる走行状態は、例えば降坂路走行中において、車速Vが上昇傾向にある状態ではあるが、スロットル弁開度θthが減少傾向又は略零にあるような走行状態が想定される。

振動発生判定部86は、車両状態が車両振動が発生する所定の車両状態であるか否かを判定する。前記車両状態は、入力軸回転速度Ninの回転変動ΔNin又は回転変動角加速度Nin'である。又、前記所定の車両状態は、入力軸回転速度Ninの回転変動ΔNin又は回転変動角加速度Nin'が、車両振動(特には駆動系のガタ打ち音)を発生させる下限値として予め定められた所定閾値以上となっている状態である。

振動発生判定部86は、入力軸回転速度Ninの回転変動ΔNin又は回転変動角加速度Nin'を算出する為の予め定められた関係(マップ)に、エンジン回転速度Ne、車速V、推定入力トルクTineを適用することで、入力軸回転速度Ninの回転変動ΔNin又は回転変動角加速度Nin'を算出する。振動発生判定部86は、算出した入力軸回転速度Ninの回転変動ΔNin又は回転変動角加速度Nin'が所定閾値以上であるか否かを判定することで、車両状態が車両振動が発生する所定の車両状態であるか否かを判定する。尚、ギヤ走行モードであるか、CVT走行モードであるかの違いによって、上記所定閾値は異なる値が用いられても良い。又、CVT走行モードである場合には、更に、無段変速機50の変速比γcvtを加味して入力軸回転速度Ninの回転変動ΔNin又は回転変動角加速度Nin'が算出される。

振動発生判定部86は、予め定められた公知のエンジントルクマップにエンジン回転速度Ne及びスロットル弁開度θthを適用することで、推定エンジントルクTeeを算出する。振動発生判定部86は、推定エンジントルクTeeにトルクコンバータ20のトルク比t(=タービントルクTt/ポンプトルクTp)を掛けることで推定入力トルクTineを算出する。尚、ロックアップクラッチ38が係合制御中である場合には、振動発生判定部86は、推定エンジントルクTeeを推定入力トルクTineとする。

振動発生判定部86は、補機負荷に基づいて前記車両状態(すなわち入力軸回転速度Ninの回転変動ΔNin又は回転変動角加速度Nin')を変更(補正)する。この補機負荷は、前記補機(オルタネータ76、エアコン用コンプレッサ78等)による負荷トルク(補機負荷トルク)Tauxである。補機負荷トルクTauxが大きい程、入力軸回転速度Ninの回転変動ΔNinが大きくなる傾向がある。その為、振動発生判定部86は、予め定められた関係に基づいて、補機負荷トルクTauxが大きい程、入力軸回転速度Ninの回転変動ΔNin又は回転変動角加速度Nin'が大きくなるように補正する。

振動発生判定部86は、予め定められた関係に発電電圧指令信号Sgen及びオルタネータ76の発電電流Igen等を適用することでオルタネータ76による負荷トルクTaltを算出する。振動発生判定部86は、予め定められた関係にエアコン制御指令信号Sacを適用することでエアコン用コンプレッサ78の稼働容量を算出し、予め定められた関係にそのエアコン用コンプレッサ78の稼働容量等を適用することでエアコン用コンプレッサ78による負荷トルクTacを算出する。振動発生判定部86は、オルタネータ76による負荷トルクTaltやエアコン用コンプレッサ78による負荷トルクTacなどを合算して補機負荷トルクTauxを算出する。

他経路状態設定部87は、走行状態判定部85によりロックアップクラッチ38が係合又はスリップ制御中であると判定され、走行状態判定部85により第1動力伝達経路PT1が形成された走行中であると判定され、振動発生判定部86により車両状態が前記所定の車両状態であると判定されたときには、第2動力伝達経路PT2の変速比γcvtを、第1動力伝達経路PT1に対して低車速側となる変速比とするか、又は第1動力伝達経路PT1に対して高車速側となる変速比とするかを、走行状態に応じて択一的に設定する。

具体的には、他経路状態設定部87は、走行状態判定部85により車両10が駆動状態となる走行状態であると判定された場合には、第2動力伝達経路PT2の変速比γcvtを第1動力伝達経路PT1に対して低車速側となる変速比とする。他経路状態設定部87は、車両10が駆動状態となる走行状態であると判定された場合には、図4に示すような予め定められた関係(マップ)に、振動発生判定部86により算出された入力軸回転速度Ninの回転変動ΔNin又は回転変動角加速度Nin'を適用することで、無段変速機50の変速比γcvtとギヤ経路の変速比γgearとの比Ratio(=γcvt/γgear)を算出する。他経路状態設定部87は、算出した比Ratioに基づいて無段変速機50の変速比γcvtを設定する。すなわち、他経路状態設定部87は、無段変速機50の変速比γcvtをギヤ経路の変速比γgear+αとなる値に設定する。無段変速機50の変速比γcvtは第2動力伝達経路PT2の変速比γcvtであるので、他経路状態設定部87は、第1動力伝達経路PT1にて形成されている変速比γgearに対して無段変速機50の変速比γcvtを低車速側とすることで、第2動力伝達経路PT2の変速比γcvtを第1動力伝達経路PT1に対して低車速側となる変速比とする。

入力軸回転速度Ninの回転変動ΔNin又は回転変動角加速度Nin'が大きい程、ギヤ経路のガタ打ち音は大きくなる。又、大きな振幅を抑え込むにはより大きな変速比の差(すなわち比Ratioが1.0に対してより大きくなる(駆動状態の場合)か又はより小さくなる(被駆動状態の場合)こと)が必要と考えられる。従って、図4に示すマップ(実線参照)は、入力軸回転速度Ninの回転変動ΔNin又は回転変動角加速度Nin'が大きい程、比Ratioが1.0に対してより大きくなるように予め定められている。図4において、比Ratioが1.0となる領域は、入力軸回転速度Ninの回転変動ΔNin又は回転変動角加速度Nin'が所定閾値未満である為に、第2動力伝達経路PT2から第1動力伝達経路PT1へトルク循環させる(すなわち弱い循環トルクを発生させる)必要がない領域である。

一方で、他経路状態設定部87は、走行状態判定部85により車両10が被駆動状態となる走行状態であると判定された場合には、第2動力伝達経路PT2の変速比γcvtを第1動力伝達経路PT1に対して高車速側となる変速比とする。他経路状態設定部87は、車両10が被駆動状態となる走行状態であると判定された場合には、予め定められた関係(マップ;図4の実線を比Ratioが1.0の細破線に対して線対称とした図(不図示)参照)に、振動発生判定部86により算出された入力軸回転速度Ninの回転変動ΔNin又は回転変動角加速度Nin'を適用することで、無段変速機50の変速比γcvtとギヤ経路の変速比γgearとの比Ratio(=γcvt/γgear)を算出する。他経路状態設定部87は、算出した比Ratioに基づいて無段変速機50の変速比γcvtを設定する。すなわち、他経路状態設定部87は、無段変速機50の変速比γcvtをギヤ経路の変速比γgear−αとなる値に設定する。無段変速機50の変速比γcvtは第2動力伝達経路PT2の変速比γcvtであるので、他経路状態設定部87は、第1動力伝達経路PT1にて形成されている変速比γgearに対して無段変速機50の変速比γcvtを高車速側とすることで、第2動力伝達経路PT2の変速比γcvtを第1動力伝達経路PT1に対して高車速側となる変速比とする。

第1クラッチC1の完全係合により第1動力伝達経路PT1を介して動力が伝達されるギヤ走行モードでの走行時に(図1の実線矢印A参照)、第2動力伝達経路PT2における第2クラッチを半係合することで、第2動力伝達経路PT2を介した動力が駆動輪14側へ伝達されることに加え(図1の破線矢印B参照)、第2動力伝達経路PT2を介した動力が第1動力伝達経路PT1へトルク循環させられ(図1の破線矢印C参照)、第1動力伝達経路PT1がガタ詰めされてガタ打ち音が抑制される。第2動力伝達経路PT2においては無段変速機50の変速比γcvtを無段階に変化させられるので、半係合する第2クラッチC2のトルク容量を複雑に制御しなくても、入力軸回転速度Ninの回転変動ΔNin又は回転変動角加速度Nin'に応じて、弱い循環トルクを発生させるように第1動力伝達経路PT1への循環トルクの大きさを自在に制御することができる(すなわち弱タイアップ状態を適切に発生させることができる)(図4参照)。その為、他経路状態設定部87は、第2動力伝達経路PT2から第1動力伝達経路PT1へトルク循環させる際の第2クラッチC2の係合圧(すなわち油圧指令値)を、第2クラッチC2を半係合して弱タイアップ状態を発生させる為の予め定められた所定係合圧に設定する。

変速制御部84は、第1動力伝達経路PT1が形成された走行中に車両状態が前記所定の車両状態であるときには、他経路状態設定部87により設定された無段変速機50の変速比γcvtとなるように無段変速機50を変速制御する油圧制御指令信号Scvtを油圧制御回路74へ出力する。

半係合制御部88は、第1動力伝達経路PT1が形成された走行中に車両状態が前記所定の車両状態であるときには、第1動力伝達経路PT1を形成したまま(すなわち第1クラッチC1の完全係合を維持したまま)、他経路状態設定部87により設定された第2クラッチC2の所定係合圧にて第2クラッチC2を半係合する油圧制御指令信号を油圧制御回路74へ出力する。

他経路状態設定部87は、走行状態判定部85によりロックアップクラッチ38が係合又はスリップ制御中であると判定され、走行状態判定部85により第2動力伝達経路PT2が形成された走行中であると判定され、振動発生判定部86により車両状態が前記所定の車両状態であると判定されたときには、第1動力伝達経路PT1から第2動力伝達経路PT2へトルク循環させる際の(すなわち弱タイアップ状態を発生させる際の)第1クラッチC1の係合圧(すなわち油圧指令値)を設定する。

第1動力伝達経路PT1から第2動力伝達経路PT2へトルク循環させる場合、第1動力伝達経路PT1においては固定された変速比γgearが形成されるだけである為、変速比を無段階に変化させることによる循環トルクの大きさの調整を行うことができない。従って、第1クラッチC1の係合圧を緻密に制御することで、入力軸回転速度Ninの回転変動ΔNin又は回転変動角加速度Nin'に応じて、弱い循環トルクを発生させる。その為、他経路状態設定部87は、図5に示すような予め定められた関係(マップ)に、振動発生判定部86により算出された入力軸回転速度Ninの回転変動ΔNin又は回転変動角加速度Nin'を適用することで、第1クラッチC1の係合力を算出し、その係合力が得られる為の第1クラッチC1の係合圧を設定する。尚、第1動力伝達経路PT1の変速比γgearは、CVT走行モードでの走行中の第2動力伝達経路PT2の変速比γcvtよりも低車速側の変速比である。その為、第1クラッチC1の半係合によって入力軸22を増速する方向にトルク循環する。そうすると、トルク循環による入力軸22の変化方向が、被駆動状態となる走行状態とは整合しない。従って、被駆動状態となる走行状態のときには、駆動状態となる走行状態のときと比べて、設定する第1クラッチC1の係合圧の値を小さくして、循環トルクを小さくしても良い。このように、他経路状態設定部87は、駆動状態か被駆動状態かの走行状態の違いを加味して、第1クラッチC1の係合圧を設定しても良い。

入力軸回転速度Ninの回転変動ΔNin又は回転変動角加速度Nin'が大きい程、CVT経路のガタ打ち音は大きくなる。又、大きな振幅を抑え込むにはより大きな循環トルクが必要と考えられる。従って、図5に示すマップ(実線参照)は、入力軸回転速度Ninの回転変動ΔNin又は回転変動角加速度Nin'が大きい程、弱タイアップさせるときに係合する係合装置の係合力が大きくなるように予め定められている。図5において、係合力が零となる領域は、入力軸回転速度Ninの回転変動ΔNin又は回転変動角加速度Nin'が所定閾値未満である為に、弱い循環トルクを発生させる必要がない(すなわち弱タイアップさせる必要がない)領域である。

半係合制御部88は、第2動力伝達経路PT2が形成された走行中に車両状態が前記所定の車両状態であるときには、第2動力伝達経路PT2を形成したまま(すなわち第2クラッチC2の完全係合を維持したまま)、他経路状態設定部87により設定された第1クラッチC1の係合圧にて第1クラッチC1を半係合する油圧制御指令信号を油圧制御回路74へ出力する。

図6は、電子制御装置80の制御作動の要部すなわち車両振動又は異音を低減する際にドライバビリティの悪化を抑制する為の制御作動を説明するフローチャートであり、繰り返し実行される。

図6において、先ず、走行状態判定部85の機能に対応するステップ(以下、ステップを省略する)S10において、ロックアップクラッチ38が係合(又はスリップ)制御中であるか否かが判定される。このS10の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられる。このS10の判断が肯定される場合は走行状態判定部85の機能に対応するS20において、第1クラッチC1を係合したギヤ走行モードでの走行中であるか否かが判定される。このS20の判断が肯定される場合は振動発生判定部86の機能に対応するS30において、エンジン回転速度Ne、車速V、推定入力トルクTine、及び補機負荷などに基づいて入力軸回転速度Ninの回転変動ΔNin又は回転変動角加速度Nin'が算出される。次いで、振動発生判定部86の機能に対応するS40において、上記S30の算出値が駆動系(例えば第1動力伝達経路PT1)ガタ打ち音発生の所定閾値を満たすか否かが判定される。すなわち、上記S30にて算出された入力軸回転速度Ninの回転変動ΔNin又は回転変動角加速度Nin'が所定閾値以上となっているか否かが判定される。このS40の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられる。このS40の判断が肯定される場合は走行状態判定部85の機能に対応するS50において、車両10が駆動状態となる走行状態であるか、又は被駆動状態となる走行状態であるかが判定される。このS50にて車両10が駆動状態となる走行状態であると判定された場合は他経路状態設定部87の機能に対応するS60において、上記S30にて算出された入力軸回転速度Ninの回転変動ΔNin又は回転変動角加速度Nin'と、駆動状態判断とに応じ、無段変速機50の変速比γcvtがギヤ経路の変速比γgear+αとなる値に設定されると共に、第2クラッチC2の係合圧が予め定められた所定係合圧に設定される。一方で、上記S50にて車両10が被駆動状態となる走行状態であると判定された場合は他経路状態設定部87の機能に対応するS70において、上記S30にて算出された入力軸回転速度Ninの回転変動ΔNin又は回転変動角加速度Nin'と、被駆動状態判断とに応じ、無段変速機50の変速比γcvtがギヤ経路の変速比γgear−αとなる値に設定されると共に、第2クラッチC2の係合圧が予め定められた所定係合圧に設定される。上記S60又はS70に次いで、変速制御部84の機能に対応するS80において、上記S60又はS70にて設定された無段変速機50の変速比γcvtとなるように無段変速機50が変速制御される。次いで、半係合制御部88の機能に対応するS90において、上記S60又はS70にて設定された第2クラッチC2の所定係合圧にてCVT経路の第2クラッチC2が半係合される。他方で、上記S20の判断が否定される場合は走行状態判定部85の機能に対応するS100において、第2クラッチC2を係合したCVT走行モードでの走行中であるか否かが判定される。このS100の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられる。このS100の判断が肯定される場合は振動発生判定部86の機能に対応するS110において、エンジン回転速度Ne、車速V、推定入力トルクTine、無段変速機50の変速比γcvt、及び補機負荷などに基づいて入力軸回転速度Ninの回転変動ΔNin又は回転変動角加速度Nin'が算出される。次いで、振動発生判定部86の機能に対応するS120において、上記S110の算出値が駆動系(例えば第2動力伝達経路PT2)ガタ打ち音発生の所定閾値を満たすか否かが判定される。すなわち、上記S110にて算出された入力軸回転速度Ninの回転変動ΔNin又は回転変動角加速度Nin'が所定閾値以上となっているか否かが判定される。このS120の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられる。このS120の判断が肯定される場合は他経路状態設定部87の機能に対応するS130において、上記S110にて算出された入力軸回転速度Ninの回転変動ΔNin又は回転変動角加速度Nin'と、駆動状態か被駆動状態かの走行状態の違いとに応じ、第1クラッチC1の係合圧が設定される。次いで、半係合制御部88の機能に対応するS140において、上記S130にて設定された第1クラッチC1の係合圧にてギヤ経路の第1クラッチC1が半係合される。

上述のように、本実施例によれば、車両振動が発生する所定の車両状態であるときに、自動変速機24において第1動力伝達経路PT1を形成したまま、第2動力伝達経路PT2を形成する為の第2クラッチC2を半係合することで、弱い循環トルクを発生させて自動変速機24内部や動力伝達経路のガタを詰めることにより、車両振動又は車両振動に伴う異音を低減することができる。この際、第1動力伝達経路PT1に対して低車速側となる第2動力伝達経路PT2の変速比とするか、又は第1動力伝達経路PT1に対して高車速側となる第2動力伝達経路PT2の変速比とするかが、走行状態に応じて択一的に設定されるので、加速走行、減速走行、登降坂走行などの走行状態に合わせて、自動変速機24の入力軸回転速度Ninを増速する方向又は減速する方向に弱い循環トルクを発生させること(すなわちガタを詰めること)ができる。よって、車両振動又は異音を低減する際に、ドライバビリティの悪化を抑制することができる。

また、本実施例によれば、駆動状態となる走行状態である場合には、第2動力伝達経路PT2の変速比γcvtが第1動力伝達経路PT1に対して低車速側となる変速比とされるので、自動変速機24の入力軸回転速度Ninを増速する方向に弱い循環トルクを発生させること(すなわちガタを詰めること)ができる。一方で、被駆動状態となる走行状態である場合には、第2動力伝達経路PT2の変速比γcvtが第1動力伝達経路PT1に対して高車速側となる変速比とされるので、自動変速機24の入力軸回転速度Ninを減速する方向に弱い循環トルクを発生させること(すなわちガタを詰めること)ができる。

また、本実施例によれば、無段変速機50の変速比γcvtを低車速側又は高車速側とすることで、第2動力伝達経路PT2の変速比γcvtを、第1動力伝達経路PT1に対して低車速側となる変速比とするか、又は第1動力伝達経路PT1に対して高車速側となる変速比とするかを、走行状態に応じて択一的に設定することが容易にできる。この際、第2動力伝達経路PT2の変速比γcvtを無段階に調整できる為、車両状態に適したイナーシャをかけることができる(すなわち走行状態に応じた弱い循環トルクを発生させることができる)。つまり、第2動力伝達経路PT2を形成する為の第2クラッチC2を半係合するときの係合圧を複雑に調整することなく、弱タイアップ状態を発生させることができる。

また、本実施例によれば、第1動力伝達経路PT1に伝達されるエンジン12の実際の動力の大きさに影響を及ぼす補機負荷に基づいて車両状態が変更されるので、車両振動又は車両振動に伴う異音が発生する車両状態が適切に判定される。

次に、本発明の他の実施例を説明する。尚、以下の説明において実施例相互に共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。

図7は、前述の実施例1の車両10とは別の、本発明が適用される車両100の概略構成を説明する図である。図7において、車両100は、エンジン12と駆動輪(図7では不図示)との間の動力伝達経路に設けられた動力伝達装置102を備えている。動力伝達装置102は、非回転部材としてのハウジング104内の軸心RC上において、エンジン12に連結されたトルクコンバータ106、トルクコンバータ106に連結された自動変速機108等を備えている。動力伝達装置102において、エンジン12の動力は、トルクコンバータ106から自動変速機108の入力回転部材である入力軸110へ伝達され、自動変速機108の出力回転部材である出力歯車112から駆動輪へ出力される。尚、トルクコンバータ106や自動変速機108等は中心線(軸心RC)に対して略対称的に構成されており、図7ではその中心線の下半分が省略されている。

トルクコンバータ106は、ポンプ翼車106pとタービン翼車106tとの間すなわちトルクコンバータ106の入出力回転部材間を直結可能なロックアップクラッチ114を備えている。動力伝達装置102は、ポンプ翼車106pに連結された機械式のオイルポンプ116を備えている。オイルポンプ116は、エンジン12により回転駆動されることにより、自動変速機108を変速制御したり、動力伝達装置102の各部に潤滑油を供給したりする為の油圧を発生する(吐出する)。

自動変速機108は、複数の係合装置のうちの所定の係合装置が係合されることで複数のギヤ段(変速段)が選択的に形成される有段変速機である。自動変速機108は、公知の車両によく用いられる所謂クラッチツゥクラッチ変速を行う遊星歯車式多段変速機である。

具体的には、自動変速機108は、シングルピニオン型の第1遊星歯車装置118と、ラビニヨ型に構成されているダブルピニオン型の第2遊星歯車装置120及びシングルピニオン型の第3遊星歯車装置122とを同軸線上(軸心RC上)に有し、入力軸110の回転を変速して出力歯車112から出力する。自動変速機108は、第1遊星歯車装置118、第2遊星歯車装置120、及び第3遊星歯車装置122の各回転要素(サンギヤS1−S3、キャリアCA1−CA3、リングギヤR1−R3)が、直接的に或いは係合装置(クラッチC1,C2、及びブレーキB1,B2,B3)やワンウェイクラッチF1を介して間接的(或いは選択的)に、一部が互いに連結されたり、入力軸110、ハウジング104、或いは出力歯車112に連結されている。

自動変速機108は、クラッチC1,C2、及びブレーキB1,B2,B3のそれぞれの係合解放制御により、運転者のアクセル操作や車速V等に応じて、図8の係合作動表に示すように前進6段、後進1段の各変速段が成立させられる。図8の「1st」−「6th」は前進変速段としての第1速変速段−第6速変速段、「R」は後進変速段、「N」は何れの変速段も成立させられないニュートラル状態を意味している。図8の係合作動表は、上記各変速段とクラッチC1,C2、及びブレーキB1,B2,B3の作動状態との関係をまとめたものであり、「○」は係合、「◎」はエンジンブレーキ時のみ係合、空欄は解放をそれぞれ表している。尚、第1速変速段「1st」を成立させるブレーキB2には並列に一方向クラッチF1が設けられている為、発進時(加速時)には必ずしもブレーキB2を係合させる必要は無い。クラッチC1,C2、及びブレーキB1,B2,B3(以下、特に区別しない場合は単にクラッチC、ブレーキB、或いは係合装置という)は、何れも油圧アクチュエータによって摩擦係合させられる公知の油圧式の湿式の摩擦係合装置(摩擦クラッチ)である。

このような車両100において、前述の実施例1の車両10と同様に、燃費を向上させる為に、ロックアップクラッチ114を係合又はスリップ状態とする領域を、エンジン回転速度Neの低回転領域や車速Vの低車速領域まで広げることが提案されている。その為、ロックアップクラッチ114の係合などによってエンジン12と自動変速機108とが直結状態(又は直結に近い状態)であるときに低車速、低エンジン回転速度、低負荷で走行する場合、車両振動が発生し易く、動力伝達装置102における動力伝達経路の噛み合わせ部分ではガタ打ち音が発生し、搭乗者に不快感を与える可能性がある。

そこで、電子制御装置80は、前述の実施例1と同様に、第1動力伝達経路PT1及び第2動力伝達経路PT2のうちの一方の動力伝達経路が形成された走行中に車両振動が発生する所定の走行状態であるときには、その一方の動力伝達経路を形成したまま、他方の動力伝達経路を形成する為の係合装置を半係合する。これにより、他方の動力伝達経路から一方の動力伝達経路へトルク循環させて、自動変速機108内部や一方の動力伝達経路のガタを詰めることができる。よって、車両振動又は車両振動に伴う異音を低減することができる。ここで、第1動力伝達経路PT1は、前進変速段のうちの何れかの変速段が形成されたときに動力伝達可能となる動力伝達経路であり、第2動力伝達経路PT2は、それとは別の、前進変速段のうちの何れかの変速段が形成されたときに動力伝達可能となる動力伝達経路である。ところで、車両100においても、前述の実施例1の車両10と同様に、トルク循環による入力軸110の変化方向と、加速走行中や減速走行中や登降坂走行中などの走行状態とが整合していないと、ドライバビリティを悪化させるおそれがある。

その為、他経路状態設定部87は、前述の実施例1と同様に、走行状態判定部85によりロックアップクラッチ114が係合又はスリップ制御中であると判定され、走行状態判定部85により第1動力伝達経路PT1が形成された走行中であると判定され、振動発生判定部86により車両状態が前記所定の車両状態であると判定されたときには、第2動力伝達経路PT2の変速比γpt2を、第1動力伝達経路PT1に対して低車速側となる変速比とするか、又は第1動力伝達経路PT1に対して高車速側となる変速比とするかを、走行状態に応じて択一的に設定する。具体的には、他経路状態設定部87は、走行状態判定部85により車両100が駆動状態となる走行状態であると判定された場合には、第2動力伝達経路PT2の変速比γpt2を第1動力伝達経路PT1に対して低車速側となる変速比とする。一方で、他経路状態設定部87は、走行状態判定部85により車両100が被駆動状態となる走行状態であると判定された場合には、第2動力伝達経路PT2の変速比γpt2を第1動力伝達経路PT1に対して高車速側となる変速比とする。第1動力伝達経路PT1は、現在形成されている変速段にて動力伝達可能となる動力伝達経路であり、第2動力伝達経路PT2は、現在形成されている変速段とは異なる低車速側の変速段又は高車速側の変速段にて動力伝達可能となる動力伝達経路である。従って、他経路状態設定部87は、第2動力伝達経路PT2を形成する変速段を現在形成されている変速段に対して低車速側の変速段又は高車速側の変速段とすることで、第2動力伝達経路PT2の変速比γpt2を第1動力伝達経路PT1に対して低車速側又は高車速側となる変速比とする。

ある変速段(例えば第5速変速段)にて減速走行中のロックアップクラッチ114のスリップ制御を低エンジン回転速度、低車速まで行う際、回転変動により駆動系(動力伝達経路)のガタ打ち音が発生する可能性がある(図7の実線矢印A、図8の実線囲み部A参照)。その際、他の変速段(例えば第6速変速段)の係合装置(例えばブレーキB1)を半係合することで、他の変速段側へ駆動力が掛けられて循環トルクが発生させられ(図7の破線矢印B、図8の破線囲み部B参照)、ガタが強制的に詰められてガタ打ち音が抑制される。又、走行状態によっては、別の変速段(例えば第4速変速段)の係合装置(例えばクラッチC1)を半係合することで、別の変速段側へ駆動力が掛けられて循環トルクが発生させられ(図7の破線矢印C、図8の破線囲み部C参照)、ガタが強制的に詰められてガタ打ち音が抑制される。

自動変速機108のような有段変速機の場合、現在の走行に用いている第1動力伝達経路PT1以外の弱タイアップさせる為に用いる第2動力伝達経路PT2においては変速比γpt2は固定されている為、変速比を無段階に変化させることによる循環トルクの大きさの調整を行うことができない。従って、弱タイアップさせる為に用いる第2動力伝達経路PT2(変速段)を形成する係合装置の係合圧を緻密に制御することで、入力軸回転速度Ninの回転変動ΔNin又は回転変動角加速度Nin'に応じて、弱い循環トルクを発生させる。その為、他経路状態設定部87は、前記図5に示すような予め定められた関係(マップ)に、振動発生判定部86により算出された入力軸回転速度Ninの回転変動ΔNin又は回転変動角加速度Nin'を適用することで、弱タイアップさせる為に用いる係合装置の係合力を算出し、その係合力が得られる為のその係合装置の係合圧を設定する。

上述のように、本実施例によれば、第2動力伝達経路PT2を形成する変速段を現在形成されている変速段に対して低車速側の変速段又は高車速側の変速段とすることで、第2動力伝達経路PT2の変速比γpt2を、第1動力伝達経路PT1に対して低車速側となる変速比とするか、又は第1動力伝達経路PT1に対して高車速側となる変速比とするかを、走行状態に応じて択一的に設定することが容易にできる。

以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。

例えば、前述の実施例では、他方の動力伝達経路から一方の動力伝達経路へトルク循環させる場合、他方の動力伝達経路における変速比を変化させるか、又は他方の動力伝達経路を形成する為の係合装置の係合圧を制御することで、循環トルクの大きさを調整したが、この態様に限らない。例えば、ガタ打ち音が発生する条件が低車速、低負荷の狭い範囲である場合、入力軸回転速度Ninの回転変動ΔNin又は回転変動角加速度Nin'が所定範囲にあるときに、最適な所定変速比、又は最適な所定係合圧にてトルク循環を実行するようにしても良い(図4、図5の各太破線参照)。尚、係合装置が、油圧式でなく、電磁式やモータ制御にて作動させられる場合、係合圧でなく係合力が制御される。この場合、トルク循環を実行する際の係合装置の設定値として、図5に示すようなマップから算出された係合力がそのまま用いられる。

また、前述の実施例では、走行状態判定部85は、車両10が駆動状態となる走行状態であるか、又は被駆動状態となる走行状態であるかを判定した。車両10の走行状態としては、駆動状態でもなく被駆動状態でもない、動力が伝達されていない中立状態も考えられる。中立状態の場合、トルク循環によって車両10に加速方向の力が加えられると違和感が生じる可能性がある為、中立状態は被駆動状態に含めても良い。

また、前述の実施例では、振動発生判定部86は、エンジン回転速度Ne、車速V、推定入力トルクTineなどに基づいて算出した、入力軸回転速度Ninの回転変動ΔNin又は回転変動角加速度Nin'が所定閾値以上であるか否かを判定することで、車両状態が車両振動が発生する所定の車両状態であるか否かを判定したが、この態様に限らない。例えば、振動発生判定部86は、エンジン回転速度Ne、車速V、推定入力トルクTineなどの何れかが各々予め定められた所定閾値以上であるか否かを判定することで、車両状態が車両振動が発生する所定の車両状態であるか否かを判定しても良い。この場合、図4、図5の横軸には、エンジン回転速度Ne、車速V、推定入力トルクTineなどの何れかが用いられる。

また、前述の実施例では、本発明が適用される車両として、ギヤ伝動機構54を介した第1動力伝達経路PT1及び無段変速機50を介した第2動力伝達経路PT2を有する自動変速機24を備えた車両10、又は、有段変速機である自動変速機108を備えた車両100を例示したが、この態様に限らない。例えば、本発明が適用される車両は、入力軸を2系統備えて各系統の入力軸に係合装置がそれぞれ繋がり更にそれぞれ偶数段と奇数段へと繋がっている型式の同期噛合型平行2軸式自動変速機である所謂DCT(Dual Clutch Transmission)を備えた車両であっても良い。要は、駆動力源の動力を駆動輪へ伝達する、第1動力伝達経路と第2動力伝達経路とが選択的に形成される自動変速機を備えた車両であれば本発明を適用することができる。

また、前述の実施例では、走行状態判定部85は、油圧指令値に基づいてロックアップクラッチ38が係合又はスリップ制御中であるか否かを判定したが、この態様に限らない。例えば、走行状態判定部85は、ポンプ翼車20pとタービン翼車20tとの差回転速度が所定回転差未満であるか否かに基づいてロックアップクラッチ38が係合又はスリップ制御中であるか否かを判定しても良い。

また、前述の実施例では、ギヤ伝動機構54は、無段変速機50の最ロー変速比γmaxよりもロー側の変速比となる1つのギヤ段が形成される伝動機構であったが、これに限らない。例えば、ギヤ伝動機構54は、変速比が異なる複数のギヤ段が形成される伝動機構であっても良い。つまり、ギヤ伝動機構54は2段以上に変速される有段変速機であっても良い。又、ギヤ伝動機構54は、無段変速機50の最ハイ変速比γminよりもハイ側の変速比、及び最ロー変速比γmaxよりもロー側の変速比を形成する伝動機構であっても良い。

また、前述の実施例では、動力伝達装置16の走行モードを、所定の変速マップを用いて切り替えたが、これに限らない。例えば、車速Vとアクセル開度θaccに基づいて運転者の駆動要求量(例えば要求トルク)を算出し、その要求トルクを満たすことができる変速比を設定することで、動力伝達装置16の走行モードを切り替えても良い。

また、前述の実施例では、駆動力源としてエンジン12を例示したが、これに限らない。例えば、前記駆動力源は、電動機等の他の原動機を単独で或いはエンジン12と組み合わせて採用することもできる。又、エンジン12の動力は、トルクコンバータ20を介して入力軸22へ伝達されたが、これに限らない。例えば、トルクコンバータ20に替えて、トルク増幅作用のない流体継手(フルードカップリング)などの他の流体式伝動装置が用いられても良い。或いは、この流体式伝動装置は必ずしも設けられなくても良い。又、噛合式クラッチD1は、シンクロメッシュ機構S1を備えていたが、このシンクロメッシュ機構S1は必ずしも備えられなくても良い。又、無段変速機50は、各プーリ66,70の間に巻き掛けられた伝動ベルト72を備えていたが、この態様に限らない。伝動ベルト72に替えて、伝動チェーンが用いられても良い。この場合、無段変速機50はチェーン式の無段変速機構となるが、広義には、ベルト式の無段変速機構の概念にチェーン式の無段変速機構を含んでも良い。又、無段変速機50は、ベルト式の無段変速機構に替えて、トロイダル式の無段変速機構であっても良い。

尚、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。

12:エンジン(駆動力源) 14:駆動輪 16:動力伝達装置 22:入力軸(入力回転部材) 24:自動変速機 B1:第1ブレーキ(第1係合装置) C1:第1クラッチ(第1係合装置) C2:第2クラッチ(係合装置、第2係合装置) 26:出力軸(出力回転部材) 50:無段変速機(無段変速機構) 54:ギヤ伝動機構(伝動機構) 76:オルタネータ(補機) 78:エアコン用コンプレッサ(補機) 80:電子制御装置(制御装置) 85:走行状態判定部 86:振動発生判定部 87:他経路状態設定部 88:半係合制御部 102:動力伝達装置 108:自動変速機(有段変速機) B1,B2,B3:ブレーキ(係合装置) C1,C2:クラッチ(係合装置) PT:動力伝達経路 PT1:第1動力伝達経路 PT2:第2動力伝達経路

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