4輪駆動車両の制御装置

申请号 JP2015255520 申请日 2015-12-26 公开(公告)号 JP2017114460A 公开(公告)日 2017-06-29
申请人 トヨタ自動車株式会社; Toyota Motor Corp; 发明人 HORIE RYOTA; YOSHIMURA TAKAHIRO; YUASA RYOHEI; FUKADA TOSHIRO;
摘要 【課題】噛合クラッチが係合する時の出 力 回転部材と入力回転部材との回転速度の同期崩れを従来に比較して低減させる4輪駆動車両の制御装置を提供する。【解決手段】ディスコネクト状態の解除時に、シンクロ機構84を作動させて、入力軸34と第1リングギヤ38との回転速度が同期したと判断したら、第2噛合クラッチ32を係合させ、その後、第1噛合クラッチ24を係合させる。このため、第1噛合クラッチ24において、第2噛合クラッチ32が係合することによって、第1リングギヤ38の回転速度の低下が抑制されるので、第1噛合クラッチ24の係合時の第1リングギヤ38と入力軸34との回転速度の同期崩れが抑制される。【選択図】図1
权利要求
  • 主駆動輪および副駆動輪と、
    駆動源から前記主駆動輪へ伝達される動力の一部が入力される第1入力回転部材と、
    前記副駆動輪に動力伝達部材を介して連結され、前記第1入力回転部材と同じ第1軸線まわりに回転する第1出力回転部材と、
    前記第1入力回転部材および前記第1出力回転部材の一方にスプライン嵌合し前記第1軸線方向に移動して選択的に前記第1入力回転部材および前記第1出力回転部材の他方と噛み合う第1スリーブを含む、第1噛合クラッチと、
    前記動力伝達部材と前記副駆動輪との間の動力伝達経路上に設けられ、前記副駆動輪と連結された第2入力回転部材と、
    前記動力伝達部材と前記副駆動輪との間の動力伝達経路上に設けられ、前記第2入力回転部材と同じ第2軸線まわりに回転する第2出力回転部材と、
    前記第2入力回転部材および前記第2出力回転部材の一方にスプライン嵌合し前記第2軸線方向に移動して選択的に前記第2入力回転部材および前記第2出力回転部材の他方と噛み合う第2スリーブを含む、第2噛合クラッチと、
    前記第1噛合クラッチおよび前記第2噛合クラッチのいずれか一方に備えられ、前記第1スリーブと前記第1軸線方向に直列に配置され前記第1スリーブが前記第1軸線方向に移動させられることによって前記第1入力回転部材と前記第1出力回転部材との回転速度を同期させる、或いは前記第2スリーブと前記第2軸線方向に直列に配置され前記第2スリーブが前記第2軸線方向に移動させられることによって前記第2入力回転部材と前記第2出力回転部材との回転速度を同期させるシンクロ機構と、
    を備えるディスコネクト機能付の4輪駆動車両、の制御装置であって、
    前記動力伝達部材が前記駆動源および前記副駆動輪からの動力伝達を遮断されるディスコネクト状態の解除時に、前記シンクロ機構を作動させて、前記第1入力回転部材と前記第1出力回転部材との回転速度が同期、或いは前記第2入力回転部材と前記第2出力回転部材との回転速度が同期したと判断したら、前記第1噛合クラッチおよび前記第2噛合クラッチの前記シンクロ機構を備えない側の噛合クラッチを係合させ、その後、前記第1噛合クラッチおよび前記第2噛合クラッチの前記シンクロ機構を備える側の噛合クラッチを係合させることを特徴とする4輪駆動車両の制御装置。
  • 前記主駆動輪は前輪であり、
    前記副駆動輪は後輪であり、
    前記第1スリーブは、前記第1入力回転部材にスプライン嵌合し前記第1軸線方向に移動して選択的に前記第1出力回転部材と噛み合い、
    前記第2スリーブは、前記第2入力回転部材にスプライン嵌合し前記第2軸線方向に移動して選択的に前記第2出力回転部材と噛み合い、
    前記シンクロ機構は、前記第1噛合クラッチに備えられ、前記第1スリーブが前記第1軸線方向に移動させられることによって前記第1入力回転部材と前記第1出力回転部材との回転速度を同期させるものであって、
    前記ディスコネクト状態の解除時に、前記シンクロ機構を作動させて、前記第1入力回転部材と前記第1出力回転部材との回転速度を同期させた後前記第2噛合クラッチを係合させ、その後、前記第1噛合クラッチを係合させる請求項1の4輪駆動車両の制御装置。
  • 前記シンクロ機構は、前記第1スリーブが前記第1出力回転部材と噛み合わない非噛合方向に移動させられることによって前記第1入力回転部材と前記第1出力回転部材との回転速度を同期させることを特徴とする請求項2の4輪駆動車両の制御装置。
  • 前記動力伝達部材と前記第2出力回転部材との間の動力伝達経路には、カップリングが設けられている請求項1の4輪駆動車両の制御装置。
  • 前記ディスコネクト状態の解除時に、前記カップリングが係合させられる請求項4の4輪駆動車両の制御装置。
  • 前記第1噛合クラッチには、前記第1スリーブを前記第1軸線方向に移動させて、前記第1スリーブを、前記第1噛合クラッチが係合する第1コネクト位置と前記第1噛合クラッチが解放する第1ディスコネクト位置とに移動させる第1移動機構が備えられており、
    前記第1移動機構には、前記制御装置から第1電磁コイルに供給される第1電磁コイル電流によって前記第1電磁コイルが可動片を吸着することにより所定の移動ストロークで前記第1軸線方向に往復移動させられる第1ピストンと、前記第1ピストンにより第1スプリングの付勢力に抗して前記第1軸線方向に移動させられる第2ピストンと、掛止歯を有して前記掛止歯で前記第1ピストンにより移動させられた前記第2ピストンを掛け止めるホルダーと、を有する第1掛止機構が備えられており、
    前記第1掛止機構では、前記第1ピストンが前記第1軸線方向に往復移動させられることで、前記第2ピストンによって前記第1スリーブが前記第1ディスコネクト位置へ前記第1スプリングの付勢力に抗して移動させられ、さらに、前記第1ピストンが前記第1軸線方向に往復移動させられると、前記第2ピストンが前記ホルダーの掛止歯から掛け外されて前記第1スプリングの付勢力に従って前記第1スリーブが前記第1コネクト位置へ移動させられる請求項1の4輪駆動車両の制御装置。
  • 前記第2噛合クラッチには、前記第2スリーブを前記第2軸線方向に移動させて、前記第2スリーブを、前記第2噛合クラッチが係合する第2コネクト位置と前記第2噛合クラッチが解放する第2ディスコネクト位置とに移動させる第2移動機構が備えられており、
    前記第2移動機構には、前記制御装置から第2電磁コイルに供給される第2電磁コイル電流によって前記第2電磁コイルが可動片を吸着することにより所定の移動ストロークで前記第2軸線方向に往復移動させられる第1ピストンと、前記第1ピストンにより第2スプリングの付勢力に抗して前記第2軸線方向に移動させられる第2ピストンと、掛止歯を有して前記掛止歯で前記第1ピストンにより移動させられた前記第2ピストンを掛け止めるホルダーと、を有する第2掛止機構が備えられており、
    前記第2掛止機構では、前記第1ピストンが前記第2軸線方向に往復移動させられることで、前記第2ピストンによって前記第2スリーブが前記第2ディスコネクト位置へ前記第2スプリングの付勢力に抗して移動させられ、さらに、前記第1ピストンが前記第2軸線方向に往復移動させられると、前記第2ピストンが前記ホルダーの掛止歯から掛け外されて前記第2スプリングの付勢力に従って前記第2スリーブが前記第2コネクト位置へ移動させられる請求項1の4輪駆動車両の制御装置。
  • 说明书全文

    本発明は、シンクロ機構によって入回転部材と出力回転部材との回転速度を同期させた後、入力回転部材にスプライン嵌合されたスリーブを出力回転部材と噛み合わせて出力回転部材と入力回転部材とを接続させる噛合クラッチを備える、4輪駆動車両において、スリーブを出力回転部材に噛み合わせる時における入力回転部材の回転速度と出力回転部材の回転速度との同期崩れを従来に比較して低減させる技術に関するものである。

    (a)主駆動輪および副駆動輪と、(b)駆動源から前記主駆動輪へ伝達される動力の一部が入力される第1入力回転部材と、(c)前記副駆動輪に動力伝達部材を介して連結され、前記第1入力回転部材と同じ第1軸線まわりに回転する第1出力回転部材と、(d)前記第1入力回転部材にスプライン嵌合し前記第1軸線方向に移動して選択的に前記第1出力回転部材と噛み合う第1スリーブを含む、第1噛合クラッチと、(e)前記動力伝達部材と前記副駆動輪との間の動力伝達経路上に設けられ、前記副駆動輪と連結された第2入力回転部材と、(f)前記動力伝達部材と前記副駆動輪との間の動力伝達経路上に設けられ、前記第2入力回転部材と同じ第2軸線まわりに回転する第2出力回転部材と、(g)前記第2入力回転部材にス� ��ライン嵌合し前記第2軸線方向に移動して選択的に前記第2出力回転部材と噛み合う第2スリーブを含む、第2噛合クラッチと、(h)前記第1噛合クラッチに備えられ、前記第1スリーブと前記第1軸線方向に直列に配置され前記第1スリーブが前記第1軸線方向に移動させられることによって前記第1入力回転部材と前記第1出力回転部材との回転速度を同期させるシンクロ機構と、を備えるディスコネクト機能付の4輪駆動車両が知られている。 例えば、特許文献1に記載されたディスコネクト機能付の4輪駆動車両がそれである。 なお、上記特許文献1の4輪駆動車両では、前記第1噛合クラッチに前記シンクロ機構が設けられ、前記第2噛合クラッチに前記シンクロ機構が設けられていない。

    上記特許文献1の4輪駆動車両では、前記第1噛合クラッチおよび前記第2噛合クラッチが共に解放されることにより前記動力伝達部材が前記駆動源および前記副駆動輪からの動力伝達が遮断されるディスコネクト状態が、前記第1噛合クラッチおよび前記第2噛合クラッチが共に係合されることによって解除されるようになっている。 なお、前記ディスコネクト状態の解除時において、前記第1噛合クラッチでは、前記第1スリーブを前記第1軸線方向に移動させて前記シンクロ機構を作動させることによって前記第1入力回転部材と前記第1出力回転部材との回転速度を同期させた後、前記スリーブが前記第1出力回転部材に噛み合うようになっている。

    特開2015−193368号公報

    ところで、上記のような4輪駆動車両では、前記ディスコネクト状態を解除させる際前記第1噛合クラッチにおいて、前記シンクロ機構を作動させて前記第1入力回転部材と前記第1出力回転部材との回転速度を同期させた後、前記第1スリーブを前記第1出力回転部材に噛み合うまでの時間が比較的長くかかると、例えば前記動力伝達部材等の回転抵抗等により前記第1出力回転部材の回転速度が低下して前記第1入力回転部材と前記第1出力回転部材との回転速度の同期崩れが比較的大きくなり、前記第1噛合クラッチが係合する時に歯打ち音が大きくなるという問題があった。

    本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、噛合クラッチが係合する時の出力回転部材と入力回転部材との回転速度の同期崩れを従来に比較して低減させる4輪駆動車両の制御装置を提供することにある。

    第1発明の要旨とするところは、(a)主駆動輪および副駆動輪と、(b)駆動源から前記主駆動輪へ伝達される動力の一部が入力される第1入力回転部材と、(c)前記副駆動輪に動力伝達部材を介して連結され、前記第1入力回転部材と同じ第1軸線まわりに回転する第1出力回転部材と、(d)前記第1入力回転部材および前記第1出力回転部材の一方にスプライン嵌合し前記第1軸線方向に移動して選択的に前記第1入力回転部材および前記第1出力回転部材の他方と噛み合う第1スリーブを含む、第1噛合クラッチと、(e)前記動力伝達部材と前記副駆動輪との間の動力伝達経路上に設けられ、前記副駆動輪と連結された第2入力回転部材と、(f)前記動力伝達部材と前記副駆動輪との間の動力伝達経路上に設けられ、前記第� ��入力回転部材と同じ第2軸線まわりに回転する第2出力回転部材と、(g)前記第2入力回転部材および前記第2出力回転部材の一方にスプライン嵌合し前記第2軸線方向に移動して選択的に前記第2入力回転部材および前記第2出力回転部材の他方と噛み合う第2スリーブを含む、第2噛合クラッチと、(h)前記第1噛合クラッチおよび前記第2噛合クラッチのいずれか一方に備えられ、前記第1スリーブと前記第1軸線方向に直列に配置され前記第1スリーブが前記第1軸線方向に移動させられることによって前記第1入力回転部材と前記第1出力回転部材との回転速度を同期させる、或いは前記第2スリーブと前記第2軸線方向に直列に配置され前記第2スリーブが前記第2軸線方向に移動させられることによって前記第2入力回� �部材と前記第2出力回転部材との回転速度を同期させるシンクロ機構と、を備えるディスコネクト機能付の4輪駆動車両、の制御装置であって、(i)前記動力伝達部材が前記駆動源および前記副駆動輪からの動力伝達を遮断されるディスコネクト状態の解除時に、前記シンクロ機構を作動させて、前記第1入力回転部材と前記第1出力回転部材との回転速度が同期、或いは前記第2入力回転部材と前記第2出力回転部材との回転速度が同期したと判断したら、前記第1噛合クラッチおよび前記第2噛合クラッチの前記シンクロ機構を備えない側の噛合クラッチを係合させ、その後、前記第1噛合クラッチおよび前記第2噛合クラッチの前記シンクロ機構を備える側の噛合クラッチを係合させることにある。

    第1発明によれば、前記動力伝達部材が前記駆動源および前記副駆動輪からの動力伝達を遮断されるディスコネクト状態の解除時に、前記シンクロ機構を作動させて、前記第1入力回転部材と前記第1出力回転部材との回転速度が同期、或いは前記第2入力回転部材と前記第2出力回転部材との回転速度が同期したと判断したら、前記第1噛合クラッチおよび前記第2噛合クラッチの前記シンクロ機構を備えない側の噛合クラッチを係合させ、その後、前記第1噛合クラッチおよび前記第2噛合クラッチの前記シンクロ機構を備える側の噛合クラッチを係合させる。 このため、前記シンクロ機構が作動して前記第1噛合クラッチおよび前記第2噛合クラッチの前記シンクロ機構を備える側の噛合クラッチを介して前記第1噛合クラッチおよび前記第2噛合クラッチの前記シンクロ機構を備えない側の噛合クラッチの前記出力回転部材の回転速度が引き上げられるので、その噛合クラッチの係合時の前記出力回転部材と前記入力回転部材との回転速度の同期が円滑に行われる。 また、前記第1噛合クラッチおよび前記第2噛合クラッチの前記シンクロ機構を備えない側の噛合クラッチが係合することによって、前記第1噛合クラッチおよび前記第2噛合クラッチの前記シンクロ機構を備える側の噛合クラッチの前記出力回転部材の回転速度の低下が抑制されるので、その噛合クラッチの係合時の前記出力回転部材と前記入力回転部材との回転速度の同期崩れが抑制される。

    ここで、好適には、(a)前記主駆動輪は前輪であり、(b)前記副駆動輪は後輪であり、(c)前記第1スリーブは、前記第1入力回転部材にスプライン嵌合し前記第1軸線方向に移動して選択的に前記第1出力回転部材と噛み合い、(d)前記第2スリーブは、前記第2入力回転部材にスプライン嵌合し前記第2軸線方向に移動して選択的に前記第2出力回転部材と噛み合い、(e)前記シンクロ機構は、前記第1噛合クラッチに備えられ、前記第1スリーブが前記第1軸線方向に移動させられることによって前記第1入力回転部材と前記第1出力回転部材との回転速度を同期させるものであって、(f)前記ディスコネクト状態の解除時に、前記シンクロ機構を作動させて、前記第1入力回転部材と前記第1出力回転部材との回転速度� ��同期させた後前記第2噛合クラッチを係合させ、その後、前記第1噛合クラッチを係合させる。 このため、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)ベースの4輪駆動車両の前記ディスコネクト状態の解除時において、前記第1噛合クラッチの係合時の前記第1出力回転部材と前記第1入力回転部材との回転速度の同期崩れが好適に抑制される。

    また、好適には、前記シンクロ機構は、前記第1スリーブが前記第1出力回転部材と噛み合わない非噛合方向に移動させられることによって前記第1入力回転部材と前記第1出力回転部材との回転速度を同期させるので、前記第1スリーブが前記第1出力回転部材と噛み合う噛合方向に移動させられる時の前記第1出力回転部材と前記第1入力回転部材との回転速度の同期崩れが好適に抑制される。

    また、好適には、前記動力伝達部材と前記第2出力回転部材との間の動力伝達経路には、カップリングが設けられている。 このため、前記第2噛合クラッチに前記シンクロ機構を設けなくても好適な噛み合いを行うことができる。

    また、好適には、前記ディスコネクト状態の解除時に、前記カップリングが係合させられる。 このため、前記シンクロ機構が作動することによって前記第2噛合クラッチの前記第2出力回転部材の回転速度が前記第2入力回転部材の回転速度まで好適に引き上げられる。

    また、好適には、(a)前記第1噛合クラッチには、前記第1スリーブを前記第1軸線方向に移動させて、前記第1スリーブを、前記第1噛合クラッチが係合する第1コネクト位置と前記第1噛合クラッチが解放する第1ディスコネクト位置とに移動させる第1移動機構が備えられており、(b)前記第1移動機構には、前記制御装置から第1電磁コイルに供給される第1電磁コイル電流によって前記第1電磁コイルが可動片を吸着することにより所定の移動ストロークで前記第1軸線方向に往復移動させられる第1ピストンと、前記第1ピストンにより第1スプリングの付勢力に抗して前記第1軸線方向に移動させられる第2ピストンと、掛止歯を有して前記掛止歯で前記第1ピストンにより移動させられた前記第2ピストンを掛け止める� ��ルダーと、を有する第1掛止機構が備えられており、(c)前記第1掛止機構では、前記第1ピストンが前記第1軸線方向に往復移動させられることで、前記第2ピストンによって前記第1スリーブが前記第1ディスコネクト位置へ前記第1スプリングの付勢力に抗して移動させられ、さらに、前記第1ピストンが前記第1軸線方向に往復移動させられると、前記第2ピストンが前記ホルダーの掛止歯から掛け外されて前記第1スプリングの付勢力に従って前記第1スリーブが前記第1コネクト位置へ移動させられる。 このため、前記第1電磁コイル電流が前記第1電磁コイルに供給されない状態でも前記第1スリーブが前記第2ピストンを介して前記ホルダーの掛止歯によって前記第1ディスコネクト位置で掛け止められるので、前記第1噛合クラッチでの電力消費が好適に抑制させられる。

    また、好適には、(a)前記第2噛合クラッチには、前記第2スリーブを前記第2軸線方向に移動させて、前記第2スリーブを、前記第2噛合クラッチが係合する第2コネクト位置と前記第2噛合クラッチが解放する第2ディスコネクト位置とに移動させる第2移動機構が備えられており、(b)前記第2移動機構には、前記制御装置から第2電磁コイルに供給される第2電磁コイル電流によって前記第2電磁コイルが可動片を吸着することにより所定の移動ストロークで前記第2軸線方向に往復移動させられる第1ピストンと、前記第1ピストンにより第2スプリングの付勢力に抗して前記第2軸線方向に移動させられる第2ピストンと、掛止歯を有して前記掛止歯で前記第1ピストンにより移動させられた前記第2ピストンを掛け止める� ��ルダーと、を有する第2掛止機構が備えられており、(c)前記第2掛止機構では、前記第1ピストンが前記第2軸線方向に往復移動させられることで、前記第2ピストンによって前記第2スリーブが前記第2ディスコネクト位置へ前記第2スプリングの付勢力に抗して移動させられ、さらに、前記第1ピストンが前記第2軸線方向に往復移動させられると、前記第2ピストンが前記ホルダーの掛止歯から掛け外されて前記第2スプリングの付勢力に従って前記第2スリーブが前記第2コネクト位置へ移動させられる。 このため、前記第2電磁コイル電流が前記第2電磁コイルに供給されない状態でも前記第2スリーブが前記第2ピストンを介して前記ホルダーの掛止歯によって前記第2ディスコネクト位置で掛け止められるので、前記第2噛合クラッチでの電力消費が好適に抑制させられる。

    本発明が好適に適用された4輪駆動車両の構成を概略的に説明する骨子図である。

    図1の4輪駆動車両に設けられたトランスファの構成を説明する断面図であり、トランスファに設けられた第1可動スリーブが第1ディスコネクト位置にある状態を示す図である。

    図2のトランスファおよび図4の後輪用駆動力配分ユニットに設けられたラチェット機構の作動原理を説明する模式図である。

    図1の4輪駆動車両に設けられた後輪用駆動力配分ユニットの構成を説明する断面図であり、後輪用駆動力配分ユニットに設けられた第2可動スリーブが第2ディスコネクト位置にある状態を示す図である。

    図1の4輪駆動車両の電子制御装置に備えられた制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。

    図1の電子制御装置において、ディスコネクト状態を解除するディスコネクト解除時に、第1噛合クラッチおよび第2噛合クラッチをそれぞれ係合させる係合制御の制御作動の一例を説明するフローチャートである。

    図6のフローチャートに示す制御作動を実行した場合のタイムチャートである。

    本発明の他の実施例の4輪駆動車両の構成を概略的に説明する骨子図である。

    以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。 なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。

    図1は、本発明が好適に適用された4輪駆動車両10の構成を概略的に説明する骨子図である。 図1において、4輪駆動車両10は、エンジン12を駆動源とし、エンジン12の動力を主駆動輪に対応する左右の前輪14L、14R(特に区別しない場合には、前輪14という)に伝達する第1の動力伝達経路と、エンジン12の動力を副駆動輪に対応する左右の後輪16L、16R(特に区別しない場合には、後輪16という)に伝達する第2の動力伝達経路とを備えているFFベースの4輪駆動装置を備えている。 この4輪駆動車両10の2輪駆動状態では、エンジン12から自動変速機18を介して伝達された駆動力を前輪用駆動力配分ユニット20および左右の車軸22L、22Rを通して左右の前輪14L、14Rへ伝達される。 この2輪駆動状態では、少なくともトランスファ26に設けられた第1噛合クラッチ(噛合クラッチ)24が解放され、プロペラシャフト(動力伝達部材)28、および、後輪用駆動力配分ユニット30および後輪16へは動力が伝達されない。 しかし、4輪駆動状態では、上記2輪駆動状態に加えて、第1噛合クラッチ24および第2噛合クラッチ(噛合クラッチ)32が共に係合されて、プロペラシャフト28、および、後輪用駆動力配分ユニット30および後輪16へエンジン12からの駆動力が伝達される。 なお、図1では図示されていないが、エンジン12と自動変速機18との間には、流体伝動装置であるトルクコンバータ或いはクラッチが設けられている。

    前輪用駆動力配分ユニット20は、第1回転軸線(第1軸線)C1まわりに回転可能に設けられ、自動変速機18の出力歯車18aと噛み合うリングギヤ20rと、リングギヤ20rに固定されたデフケース(ディファレンシャルケース)20cと、デフケース20c内に収容された差動歯車機構20dとを有しており、前輪14の左右の車軸22L、22Rにそれらの差回転を許容しつつ駆動力を伝達する。 なお、デフケース20cには、トランスファ26に設けられた入力軸(第1入力回転部材)34の軸端部に形成された第1外周スプライン歯34aと嵌合する内周噛合歯20aが形成されている。 これにより、エンジン12からデフケース20cを介して左右の前輪14L、14Rへ伝達する駆動力の一部が、入力軸34を介してトランスファ26に入力されるようになっている。

    トランスファ26は、図1および図2に示すように、プロペラシャフト28を駆動するためにプロペラシャフト28の一端部に連結されたドリブンピニオン36と動力伝達のために噛み合う円筒状の第1リングギヤ(第1出力回転部材)38と、エンジン12からデフケース20cを介して前輪14Lおよび14Rへ伝達される動力の一部が入力される円筒状の入力軸34と、エンジン12からプロペラシャフト28への動力伝達経路において、エンジン12に動力伝達可能に連結されたデフケース20cとプロペラシャフト28との間すなわちデフケース20cに連結された入力軸34とプロペラシャフト28に連結された第1リングギヤ38との間を断接する第1噛合クラッチ24とを備えており、第1噛合クラッチ24が係合して入力� ��34と第1リングギヤ38との間の動力伝達経路が接続されると、エンジン12から左右の前輪14Lおよび14Rに伝達される駆動力の一部が、プロペラシャフト28を介して左右の後輪16Lおよび16Rへ出力されるようになっている。

    円筒状の第1リングギヤ38は、図2に示すように、例えば斜歯又はハイポイドギヤが形成された傘歯車であり、その第1リングギヤ38の内周部から前輪14R側に略円筒状に突出する軸部38aが形成されている。 また、円筒状の第1リングギヤ38は、第1ユニットケース40内に設けられた軸受42により軸部38aが支持されることによって第1回転軸線C1まわりに回転可能に片持状に支持されている。 また、第1リングギヤ38は、図1に示すように、後輪16L、16Rに第2噛合クラッチ32、プロペラシャフト28、ドリブンピニオン36等を介して、入力軸34と同じ第1回転軸線C1まわりに回転する。

    円筒状の入力軸34は、図2に示すように、円筒状の第1リングギヤ38の内側を貫通して、入力軸34の一部が第1リングギヤ38の内側に配置されている。 また、円筒状の入力軸34は、第1ユニットケース40内に設けられた一対の軸受44、46に両端部が支持されることによって、入力軸34が第1回転軸線C1まわりに回動可能にすなわち第1リングギヤ38と同心に回転可能に支持されている。 また、円筒状の入力軸34には、入力軸34の前輪14L側の端部の外周面に形成された第1外周スプライン歯34aと、入力軸34の中央部の外周面に形成された第2外周スプライン歯34bと、入力軸34の前輪14R側の端部の外周面に形成された第3外周スプライン歯34cとが一体に備えられている。

    第1噛合クラッチ24は、トランスファ26においてエンジン12とプロペラシャフト28との間の動力伝達経路すなわちエンジン12に動力伝達可能に連結される入力軸34とプロペラシャフト28に動力伝達可能に連結される第1リングギヤ38との間の動力伝達経路を断接するための断接機構(ドグクラッチ)である。 第1噛合クラッチ24には、入力軸34にスプライン嵌合し第1回転軸線C1方向に移動して選択的に第1リングギヤ38と噛み合う第1可動スリーブ(第1スリーブ)48と、第1可動スリーブ48を第1回転軸線C1方向に移動させて、第1可動スリーブ48を、第1噛合クラッチ24が係合する第1コネクト位置と第1噛合クラッチ24が解放する第1ディスコネクト位置とに移動させる第1移動機構50とが備えられている。 第1可動スリーブ48には、入力軸34の第2外周スプライン歯34bが嵌合するように第1可動スリーブ48の内周面に形成されたスプライン溝48aと、第1可動スリーブ48の外周面に形成された外周噛合歯48bとが形成されており、第1可動スリーブ48のスプライン溝48aに入力軸34の第2外周スプライン歯34bが嵌合すなわち第1可動スリーブ48が入力軸34にスプライン嵌合すると、第1可動スリーブ48が入力軸34に対して相対回転不能且つ第1回転軸線C1方向の移動可能に入力軸34に支持される。 第1リングギヤ38には、第1リングギヤ38の軸部38aの前輪14L側の側面38cに形成された噛合歯38bが形成されている。 なお、上記第1コネクト位置とは、第1可動スリーブ48が第1回転軸線C1方向に移動し第1可動スリーブ48の外周噛合歯48bが第1リングギヤ38の噛合歯38bと噛み合う位置であり、上記第1コネクト位置では、第1リングギヤ38と入力軸34との相対回転が不能となる。 また、上記第1ディスコネクト位置とは、第1可動スリーブ48が第1回転軸線C1方向に移動し第1可動スリーブ48の外周噛合歯48bが第1リングギヤ38の噛合歯38bと噛み合わない位置であり、上記第1ディスコネクト位置では、第1リングギヤ38と入力軸34との相対回転が可能になる。

    第1移動機構50には、第1ボールカム52と、第1アクチュエータ54と、第1スプリング56と、第1ラチェット機構(第1掛止機構)58とが備えられている。 第1アクチュエータ54は、第1補助クラッチ60と第1補助クラッチ60に回転制動トルクを発生させる第1電磁コイル62とを備え、第1ユニットケース40に一体的に固定されている。 第1ボールカム52は、第1アクチュエータ54により第1補助クラッチ60を介して後述する環状の第2環状部材66に回転制動トルクが発生させられると、入力軸34の回転力を第1回転軸線C1方向の推力に変換する装置である。 第1ラチェット機構58は、第1ボールカム52により変換された推力によって第1可動スリーブ48を移動させ且つ第1可動スリーブ48の移動位置を保持する。 第1スプリング56は、一対の軸受44、46の前輪14L側の軸受44と第1可動スリーブ48との間に介在されており、第1可動スリーブ48を前記第1ディスコネクト位置から前記第1コネクト位置に向かって付勢すなわち第1可動スリーブ48を第1回転軸線C1方向において第1リングギヤ38と噛み合う噛合方向F1に向かって付勢する。 これによって、第1移動機構50は、第1アクチュエータ54において第1電磁コイル62と第1補助クラッチ60とにより第2環状部材66に回転制動トルクを付与して第1ボールカム52に第1回転軸線C1方向の推力を発生させ、後述する第1環状部材64で第1ラチェット機構58を介して第1可動スリーブ48を第1スプリング56の付勢力に抗して第1回転軸線C1方向に移動させる。

    第1ラチェット機構58は、第1アクチュエータ54において第1電磁コイル62が円板状の可動片68を吸着することにより第1ボールカム52を介して所定の移動ストロークST(図3参照)で第1回転軸線C1方向に往復移動させられる環状の第1ピストン64aと、入力軸34に対して相対回転可能に設けられ、第1ピストン64aにより第1スプリング56の付勢力に抗して第1回転軸線C1方向に移動させられる環状の第2ピストン70と、掛止歯72a(図3参照)を有して入力軸34に対して相対回転不能且つ第1回転軸線C1方向の移動不能に設けられ、掛止歯72aで第1ピストン64aにより移動させられた第2ピストン70を掛け止める環状のホルダー72とを備えている。 第1ラチェット機構58では、第1ピストン64aが第1回転軸線C1方向に往復移動させられることで、第2ピストン70によって第1可動スリーブ48が前記第1ディスコネクト位置へ第1スプリング56の付勢力に抗して移動させられ、第2ピストン70がホルダー72の掛止歯72aに掛け止められる。 そして、さらに、第1ピストン64aが第1回転軸線C1方向に往復移動させられると、第2ピストン70がホルダー72の掛止歯72aから掛け外されて第1スプリング56の付勢力に従って第1可動スリーブ48が前記第1コネクト位置へ移動させられる。 なお、第1ボールカム52の第1環状部材64には、図2に示すように、第1ラチェット機構58の第1ピストン64aが一体に設けられており、第1ラチェット機構58は、第1ボールカム52の第2環状部材66と第1可動スリーブ48との間に配設されている。

    第1ボールカム52は、第1ラチェット機構58の第2ピストン70と軸受46との間に、第1回転軸線C1方向において重なるように介挿された環状の一対の第1環状部材64および第2環状部材66と、それら第1環状部材64と第2環状部材66とにおいて周方向の複数箇所(たとえば3箇所)に形成された、周方向で深さが変化する互いに対向する凹溝状の一対のカム面64b、66aで挟まれた複数個(たとえば3個)の球状転動体74とを有し、それら第1環状部材64と第2環状部材66とが相対回動させられると、第1環状部材64と第2環状部材66とが第1回転軸線C1方向に離隔させられる。 これによって、第1ボールカム52により第1ピストン64aが第1回転軸線C1方向において前輪14L側、前輪14R側へ1回往復移動させられると、図2に示すように、第1可動スリーブ48が第1ラチェット機構58を介して前記第1ディスコネクト位置へ第1スプリング56の付勢力に抗して移動させられる。 そして、第1可動スリーブ48の外周噛合歯48bと第1リングギヤ38の噛合歯38bとの噛み合いが解かれて第1噛合クラッチ24が解放する。 また、第1ボールカム52によって第1ピストン64aが2回往復移動すなわち第1可動スリーブ48が前記第1ディスコネクト位置に配置された状態でさらに第1ピストン64aが1回往復移動させられると、図示しないが、第2ピストン70がホルダー72の掛止歯72aから掛け外され第1可動スリーブ48が第1スプリング56の付勢力によって前記第1コネクト位置へ移動させられる。 そして、第1可動スリーブ48の外周噛合歯48bと第1リングギヤ38の噛合歯38bとが噛み合わされ第1噛合クラッチ24が係合する。 なお、環状の第1環状部材64と環状の第2環状部材66との間の周方向の複数箇所に形成された凹溝状のカム面64b、66aは、その周方向に向かうに連れてそれらカム面64b、66aの間の第1回転軸線C1方向における距離が短くなるように傾斜している。 また、第1環状部材64の内周面には、入力軸34の第3外周スプライン歯38cと相対回転不能且つ第1回転軸線C1方向の移動可能に噛み合う内周噛合歯64cが形成されている。

    第1補助クラッチ60は、図2に示すように、第1アクチュエータ54において第1電磁コイル62と可動片68との間に配設されている。 また、第1補助クラッチ60には、第1ユニットケース40に形成された内周スプライン歯40aと第1回転軸線C1回りの回転が不能且つ第1回転軸線C1方向の移動が可能に係合された円板状の一対の第1摩擦板76、78と、一対の第1摩擦板76、78との間に配設され、第2環状部材66に形成された外周スプライン歯66bと第1回転軸線C1回りの回転が不能且つ第1回転軸線C1方向の移動が可能に係合された円板状の第2摩擦板79とが備えられている。

    上記のように構成された第1アクチュエータ54と第1ボールカム54とでは、例えば、車両走行中で入力軸34が回転している状態において、電子制御装置(制御装置)80から第1電磁コイル62に第1電磁コイル電流I が供給され第1電磁コイル62によって可動片68が吸着されると、第1補助クラッチ60の第1摩擦板76、78および第2摩擦板79が可動片68と第1電磁コイル62との間で挟圧されて第2摩擦板79に回転制動トルクが伝達される。 つまり、第1電磁コイル62によって可動片68が吸着されると第2摩擦板79を介して第2環状部材66に回転制動トルクが伝達される。 このため、上記回転制動トルクが第2環状部材66に伝達されることによってそれら第1環状部材64と第2環状部材66とが相対回動し、第1環状部材64に一体に形成された第1ピストン64aは、球状転動体74を介して第2環状部材66に対して第1回転軸線C1方向において第1スプリング56の付勢力に抗して前輪14L側へ移動し、入力軸34の回転力が第1回転軸線C1方向の推力に変換される。 また、電子制御装置80から第1電磁コイル62に第1電磁コイル電流I の供給が停止され第1電磁コイル62に可動片68が吸着されない時には、第1ピストン64aすなわち第1環状部材64が第1ラチェット機構58に設けられたスプリング82の付勢力によって第1回転軸線C1方向において前輪14R側へ移動し、第1環状部材64が球状転動体74を介して第2環状部材66と連れまわって第1環状部材64と第2環状部材66とが一体的に回転する。

    図3は、第1ラチェット機構58の一例の作動原理を説明する模式図であり、環状の第1ピストン64a、環状の第2ピストン70、および環状のホルダー72をそれぞれ展開した状態を示している。 第1ラチェット機構58は、第2ピストン70をホルダー72に掛け止める掛止機構と第2ピストン70をホルダー72から掛け外す掛外機構として機能するものである。 ホルダー72には、第2ピストン70からホルダー72側に突設された突起70aを掛け止めるための複数段の鋸歯が円周方向に連なる掛止歯72a、72bが周期的に形成されており、ホルダー72は入力軸34に位置固定に設けられている。 第1ピストン64aには、ホルダー72の掛止歯72a、72bと同様の鋸歯形状であるが周方向に半位相ずれた形状で周方向に連なり、第2ピストン70の突起70aを受け止める受止歯64d、64eが周期的に形成されており、第1ピストン64aは入力軸34すなわちホルダー72に対して相対回転不能且つ第1回転軸線C1方向の相対移動可能に設けられている。 なお、ホルダー72の高さの異なる2つの掛止歯72a、72bは、第1アクチュエータ54および第1ボールカム52による第1ピストン64aの移動ストロークST分以下の寸法で第2ピストン70側に接近するように形成されていると共に、第1ピストン64aの高さの異なる2つの受止歯64d、64eは、上記掛止歯72a、72bと同様の形状で形成され、掛止歯72a、72bに対して周方向に半波長ずらされて位置させられている。 また、図3では、第1ピストン64aおよびホルダー72は、理解を容易とするために意図的に第1回転軸線C1方向にずらして示されているが、初期には、受止歯64eの斜面と掛止歯72bの斜面とが略一致させられている。 また、第1ピストン64aの移動ストロークSTは、位置固定のホルダー72の掛止歯72bの斜面の下端であるベース位置B1から示されている。

    図3に示すように、第1可動スリーブ48が前記第1コネクト位置にある時に第2ピストン70の突起70aがホルダー72の掛止歯72bに掛け止められた位置Aに位置している初期状態において、第1ピストン64aが第1アクチュエータ54および第1ボールカム52によって1回目の往復移動が行われると、第2ピストン70の突起70aは第1ピストン64aの受止歯64eに持ち上げられることにより第1スプリング56の付勢力に抗して掛止歯72aの先端を超えてその掛止歯72aの斜面の最下端まで滑り、位置Bに掛け止められる。 次いで、第1ピストン64aが第1アクチュエータ54および第1ボールカム52によって2回目の往復移動が行われると、第2ピストン70の突起70aは第1ピストン70aの受止歯64dに持ち上げられることにより第1スプリング56の付勢力に抗してホルダー72の掛止歯72bの先端を超えてその掛止歯72bの斜面の最下端まで滑り、掛止歯72bに掛け止められて位置Aと同じ初期状態に戻される。 すなわち、第1アクチュエータ54および第1ボールカム52によって第1ピストン64aが所定回数である2回目の往復移動が行われると、第1可動スリーブ48が前記第1コネクト位置へ戻されることで、第1可動スリーブ48の外周噛合歯48bと第1リングギヤ38の噛合歯38bとが噛み合わされて第1噛合クラッチ24が係合する。

    これにより、第1ラチェット機構58では、第1アクチュエータ54および第1ボールカム52による第1ピストン64aの往復移動で第2ピストン70が周方向へ送ることによって、第1可動スリーブ48が前記第1ディスコネクト位置へ移動させられて第2ピストン70がホルダー72の掛止歯72aに掛け止められる。 そして、さらに第1ピストン64aが往復移動させられると、第2ピストン70がホルダー72の掛止歯72aから掛け外されて第1スプリング56の付勢力により第1可動スリーブ48が前記第1コネクト位置へ移動する。

    また、図2に示すように、第1噛合クラッチ24には、第1可動スリーブ48と第1回転軸線C1方向に直列に配置されたシンクロ機構84が備えられている。 シンクロ機構84は、第1アクチュエータ54および第1ボールカム52により第1ラチェット機構58を介して第1可動スリーブ48を前記第1ディスコネクト位置から前記第1コネクト位置へ移動させる時において、第1可動スリーブ48を第1リングギヤ38と噛み合わない非噛合方向F2に移動させることによって、第1リングギヤ38とアウターリング86の間、およびアウターリング86とミドルリング88とインナーリング90の間で摺接し、入力軸34と第1リングギヤ38との回転速度を同期させるものである。

    環状のミドルリング88には、図2に示すように、アウターリング86の内周面に形成され第1回転軸線C1に対して傾斜した円錐状内周摩擦面86aに摺接可能な円錐状外周摩擦面88aと、インナーリング90の外周面に形成され第1回転軸線C1に対して傾斜した円錐状外周摩擦面90aに摺接可能な円錐状内周摩擦面88bと、ミドルリング88の第1可動スリーブ48側とは反対側の端部の外周面に形成された外周スプライン歯88cとが備えられている。 第1リングギヤ38の軸部38aの内周面に形成されたスプライン溝38dにミドルリング88の外周スプライン歯88cが嵌合することによって、ミドルリング88は、第1リングギヤ38に対して相対回転不能且つ第1回転軸線C1方向に移動可能に第1リングギヤ38に設けられている。

    環状のアウターリング86には、図2に示すように、円錐状内周摩擦面86aと、第1リングギヤ38の内周面に形成され第1回転軸線C1に対して僅かに傾斜した円錐状内周摩擦面38eに摺接可能な円錐状外周摩擦面86bと、アウターリング86の第1可動スリーブ48側の端部の内周面に形成された内周スプライン歯86cとが備えられている。 第1可動スリーブ48の外周面に形成されたスプライン溝48cにアウターリング86の内周スプライン歯86cが嵌合することによって、アウターリング84は、入力軸34に対して相対回転不能且つ回転軸線C1方向に移動可能に第1可動スリーブ48を介して入力軸34に設けられている。

    環状のインナーリング90には、図2に示すように、円錐状外周摩擦面90aと、インナーリング90の内周面に形成されたスプライン溝90bとが備えられている。 インナーリング90のスプライン溝90bに入力軸34の第2外周スプライン歯34bが嵌合することによって、インナーリング90は、入力軸34に対して相対回転不能且つ第1回転軸線C1方向に移動可能に入力軸34に設けられている。 なお、インナーリング90の第1可動スリーブ48側とは反対側の端部はスラストベアリング92を介して第2ピストン70に当接させられ、インナーリング90の第1可動スリーブ48側の端部は第1可動スリーブ48に当接させられている。

    このため、シンクロ機構84において、第1可動スリーブ48が、第1アクチュエータ54および第1ボールカム52によって第1ラチェット機構58を介して前記第1ディスコネクト位置から前記第1コネクト位置に移動させられる際には、第2ピストン70に当接するインナーリング90によって第1可動スリーブ48が非噛合方向F2に移動させられることにより、第1リングギヤ38の円錐状内周摩擦面38eにアウターリング86の円錐状外周摩擦面86bが押し付けられる。 これによって、第1リングギヤ38の円錐状内周摩擦面38eとアウターリング86の円錐状外周摩擦面86bの間、アウターリング86の円錐状内周摩擦面86aとミドルリング88の円錐状外周摩擦面88aの間、ミドルリング88の円錐状内周摩擦面88bとインナーリング90の円錐状外周摩擦面90aの間で摺接するので、第1リングギヤ38と入力軸34との回転速度が同期する。

    図1および図4に示すように、後輪用駆動力配分ユニット30には、プロペラシャフト28と後輪16L、16Rとの間の動力伝達経路上に設けられ、プロペラシャフト28の一端部にカップリング94を介して連結されたドライブピニオン96と相対回転不能に係合する円筒状の第2リングギヤ(第2出力回転部材)98と、プロペラシャフト28と後輪16L、16Rとの間の動力伝達経路上に設けられ、後輪16L、16Rと車軸100L、100Rを介して連結された差動歯車装置102のデフケース104(第2入力回転部材)と、プロペラシャフト28と左右の後輪16L、16Rとの間すなわちドライブピニオン96に相対回転不能に噛み合う第2リングギヤ98とデフケース(ディファレンシャルケース)104との間を断接� �るための噛合式のドグクラッチ(断接装置)である第2噛合クラッチ32とが備えられている。 なお、カップリング94は、プロペラシャフト28と第2リングギヤ98との間の動力伝達経路に設けられている。

    第2リングギヤ98は、図1および図4に示すように、例えばハイポイドギヤが形成された傘歯車であり、第2リングギヤ98の内周部から後輪16L側に略円筒状に突出する軸部98aが形成されている。 また、円筒状の第2リングギヤ98は、第2ユニットケース106内に設けられた軸受108によりその軸部98aが支持されることによってデフケース104と同じ第2回転軸線(第2軸線)C2まわりに回転可能に片持状に支持されている。 上記デフケース104は、図1および図4に示すように、デフケース104から後輪16L側すなわち円筒状の第2リングギヤ98の内側に向かって略円筒状に突設する円筒部104aが形成されており、円筒部104aの先端部が円筒状の第2リングギヤ98の内側に配置されている。 また、デフケース104は、第2ユニットケース106内に設けられた図示しない一対の軸受に支持されることによって、円筒部104aすなわちデフケース104が第2回転軸線C2まわりに回動可能にすなわち第2リングギヤ98と同心に回転可能に支持されている。

    第2噛合クラッチ32は、後輪用駆動力配分ユニット30においてプロペラシャフト28と左右の後輪16L、16Rとの間すなわちプロペラシャフト28に動力伝達可能に連結された第2リングギヤ98と後輪16L、16Rに動力伝達可能に連結された差動歯車装置102のデフケース104との間の動力伝達経路を断接するための断接機構(ドグクラッチ)である。 第2噛合クラッチ32には、デフケース104の円筒部104aにスプライン嵌合し第2回転軸線C2方向に移動して選択的に第2リングギヤ98と噛み合う第2可動スリーブ(第2スリーブ)110と、第2可動スリーブ110を第2回転軸線C2方向に移動させて、第2可動スリーブ110を、第2噛合クラッチ32が係合する第2コネクト位置と第2噛合クラッチ32が解放する第2ディスコネクト位置とに移動させる第2移動機構112とが備えられている。 上記第2可動スリーブ110には、デフケース104の円筒部104aの先端部に形成された外周スプライン歯104bが嵌合するように第2可動スリーブ110の内周面に形成されたスプライン溝110aと、第2可動スリーブ110の外周に形成された外周噛合歯110bとが形成されており、第2可動スリーブ110のスプライン溝110aにデフケース104の円筒部104aの外周スプライン歯104bが嵌合すなわち第2可動スリーブ110がデフケース104の円筒部104aにスプライン嵌合すると、第2可動スリーブ110がデフケース104に対して相対回転不能且つ第2回転軸線C2方向の移動可能にデフケース104の円筒部104aに支持される。 上記第2リングギヤ98には、第2リングギヤ98の後輪16R側の端部の内周面に形成された内周噛合歯98bと、その内周噛合歯98bに噛み合う外周噛合歯114aを有する環状の環状部材114と、その環状部材114の内周面に形成された第2可動スリーブ110の外周噛合歯110bと噛み合い可能な内周噛合歯114bとが備えられている。 なお、上記第2コネクト位置とは、第2可動スリーブ110が第2回転軸線C2方向に移動し第2可動スリーブ110の外周噛合歯110bが環状部材114を介して第2リングギヤ98の内周噛合歯98bと噛み合う位置であり、上記第2コネクト位置では、第2リングギヤ98とデフケース104との相対回転が不能となる。 また、上記第2ディスコネクト位置とは、第2可動スリーブ110が第2回転軸線C2方向に移動し第2可動スリーブ110の外周噛合歯110bが環状部材114を介して第2リングギヤ98の内周噛合歯98bと噛み合わない位置であり、上記第2ディスコネクト位置では、第2リングギヤ98とデフケース104との相対回転が可能となる。 なお、第2噛合クラッチ32では、第1噛合クラッチ24が解放されている2輪駆動状態において、図1に示すように、第2移動機構112によって第2可動スリーブ110が前記第2ディスコネクト位置に移動させられて、プロペラシャフト28と後輪16Lおよび16Rとの間すなわち第2リングギヤ98とデフケース104との間が解放されると、左右の後輪16Lおよび16Rからプロペラシャフト28が切り離されて、プロペラシャフト28等の回転抵抗による車両の走行抵抗が低減される。 本実施例の4輪駆動車両10は、2輪駆動状態では4輪駆動状態において専ら後輪16へ駆動力を伝達するためのプロペラシャフト28をエンジン12および後輪16から切り離すディスコネクト機能付の4輪駆動車両である。

    第2移動機構112には、第2ボールカム116と、第2アクチュエータ118と、第2スプリング120と、第2ラチェット機構(第2掛止機構)122とが備えられている。 第2アクチュエータ118は、第2補助クラッチ124と、第2補助クラッチ124に回転制動トルクを発生させる第2電磁コイル126とを備え、第2ユニットケース106に一体的に固定されている。 第2ボールカム116は、第2アクチュエータ118により第2補助クラッチ124を介して後述する環状の第2環状部材130に回転制動トルクが発生させられると、後述する環状の第1環状部材128に伝えられる第2リングギヤ98の回転力を第2回転軸線C2方向の推力に変換する装置である。 第2ラチェット機構122は、第2ボールカム116により変換された推力によって第2スプリング120の付勢力に抗して第2可動スリーブ110を移動させ且つ第2可動スリーブ110の移動位置を保持する。 第2スプリング120は、デフケース104と第2可動スリーブ110との間に介在されており、第2可動スリーブ110を前記第2ディスコネクト位置から前記第2コネクト位置に向かって付勢すなわち第2可動スリーブ110を第2回転軸線C2方向において後輪16L側に付勢する。 これによって、第2移動機構112は、第2アクチュエータ118において第2電磁コイル126と第2補助クラッチ124とにより第2環状部材130に回転制動トルクを付与して第2ボールカム116に第2回転軸線C2方向の推力を発生させ、第1環状部材128で第2ラチェット機構122を介して第2可動スリーブ110を第2スプリング120の付勢力に抗して第2回転軸線C2方向に移動させる。

    第2ラチェット機構122は、第2アクチュエータ118において第2電磁コイル126が円板状の可動片132を吸着することにより第2ボールカム116を介して所定の移動ストロークST(図3参照)で第2回転軸線C2方向に往復移動させられる環状の第1ピストン128aと、第2リングギヤ98に対して相対回転可能に設けられ、第1ピストン128aにより第2スプリング120の付勢力に抗して第2回転軸線C2方向に移動させられる環状の第2ピストン134と、掛止歯136a(図3参照)を有して第2リングギヤ98に対して相対回転不能且つ第2回転軸線C2方向の移動不能に設けられ、掛止歯136aで第1ピストン128aにより移動させられた第2ピストン134を掛け止める環状のホルダー136とを備え� ��いる。 第2ラチェット機構122では、第1ピストン128aが第2回転軸線C2方向に往復移動させられることで、第2ピストン134によって第2可動スリーブ110が前記第2ディスコネクト位置へ第2スプリング120の付勢力に抗して移動させられ、第2ピストン134がホルダー136の掛止歯136aに掛け止められる。 そして、さらに、第1ピストン128aが第2回転軸線C2方向に往復移動させられると、第2ピストン134がホルダー136の掛止歯136aから掛け外されて第2スプリング120の付勢力に従って第2可動スリーブ110が前記第2コネクト位置へ移動させられる。 なお、第2ボールカム116の第1環状部材128には、図4に示すように、第2ラチェット機構122の第1ピストン128aが一体に設けられており、第2ラチェット機構122は、第2ボールカム116の第2環状部材130と第2可動スリーブ110との間に配設されている。

    第2ボールカム116は、第2ラチェット機構122の第2ピストン134と軸受138との間に、第2回転軸線C2方向において重なるように介挿された環状の一対の第1環状部材128および第2環状部材130と、それら第1環状部材128と第2環状部材130とにおいて周方向の複数箇所(たとえば3箇所)に形成された、周方向で深さが変化する互いに対向する凹溝状の一対のカム面128b、130aで挟まれた複数個(たとえば3個)の球状転動体140とを有し、それら第1環状部材128と第2環状部材130とが相対回動させられると、第1環状部材128と第2環状部材130とが第2回転軸線C2方向に離隔させられる。 これによって、第2ボールカム116により第1ピストン128aが第2回転軸線C2方向において後輪16R側、後輪16L側へ1回往復移動させられると、図4に示すように、第2可動スリーブ110が第2ラチェット機構122を介して前記第2ディスコネクト位置へ第2スプリング120の付勢力に抗して移動させられる。 そして、第2可動スリーブ110の外周噛合歯110bと環状部材114の内周噛合歯114bとの噛み合いが解かれて第2噛合クラッチ32が解放する。 また、第2ボールカム116によって第1ピストン128aが2回往復移動すなわち第2可動スリーブ110が前記第2ディスコネクト位置に配置された状態でさらに第1ピストン128aが1回往復移動させられると、図示しないが、第2ピストン134がホルダー136の掛止歯136aから掛け外され第2可動スリーブ110が第2スプリング120の付勢力によって前記第2コネクト位置へ移動させられる。 そして、第2可動スリーブ110の外周噛合歯110bと環状部材114の内周噛合歯114bとが噛み合わされ第2噛合クラッチ32が係合する。 なお、環状の第1環状部材128と環状の第2環状部材130との間の周方向の複数箇所に形成された凹溝状のカム面128b、130aは、その周方向に向かうに連れてそれらカム面128b、130aの間の第2回転軸線C2方向における距離が短くなるように傾斜している。 また、第1環状部材128の外周面には、第2リングギヤ98の軸部98aの第2可動スリーブ110側とは反対側の端部の内周面に形成されたスプライン歯98cと相対回転不能且つ第2回転軸線C2方向の移動可能に噛み合う外周噛合歯128cが形成されている。

    第2補助クラッチ124は、図4に示すように、第2アクチュエータ118において第2電磁コイル126と可動片132との間に配設されている。 また、第2補助クラッチ124には、第2ユニットケース106に形成された内周スプライン歯106aと第2回転軸線C2回りの回転が不能且つ第2回転軸線C2方向の移動が可能に係合された円板状の一対の第1摩擦板142、144と、一対の第1摩擦板142、144との間に配設され、第2環状部材130に形成された外周スプライン歯130bと第2回転軸線C2回りの回転が不能且つ第2回転軸線C2方向の移動が可能に係合された円板状の第2摩擦板146とが備えられている。

    上記のように構成された第2アクチュエータ118と第2ボールカム116とでは、例えば、車両走行中で第2リングギヤ98が回転している状態において、電子制御装置(制御装置)80から第2電磁コイル126に第2電磁コイル電流I が供給され第2電磁コイル126によって可動片132が吸着されると、第2補助クラッチ124の第1摩擦板142、144および第2摩擦板146が可動片132と第2電磁コイル126との間で挟圧されて第2摩擦板146に回転制動トルクが伝達される。 つまり、第2電磁コイル126によって可動片132が吸着されると第2摩擦板146を介して第2環状部材130に回転制動トルクが伝達される。 このため、上記回転制動トルクが第2環状部材130に伝達されることによってそれら第1環状部材128と第2環状部材130とが相対回動し、第1環状部材128に一体に形成された第1ピストン128aは、球状転動体140を介して第2環状部材130に対して第2回転軸線C2方向において第2スプリング120の付勢力に抗して後輪16R側へ移動し、第2リングギヤ98の回転力が第2回転軸線C2方向の推力に変換される。 また、電子制御装置80から第2電磁コイル126への第2電磁コイル電流I の供給が停止され第2電磁コイル126に可動片132が吸着されない時には、第1ピストン128aすなわち第1環状部材128が第2ラチェット機構122に設けられたスプリング148の付勢力によって第2回転軸線C2方向において後輪16L側へ移動し、第1環状部材128が球状転動体140を介して第2環状部材130と連れまわって第1環状部材128と第2環状部材130とが一体的に回転する。

    第2ラチェット機構122は、前述したように、環状の第1ピストン128aと環状の第2ピストン134と環状のホルダー136とを備え、第2ピストン134をホルダー136に掛け止める掛止機構と第2ピストン134をホルダー136から掛け外す掛外機構として機能するもの、すなわち前述した第1ラチェット機構58と同様の機能を有するものである。 このため、本実施例では、第2ラチェット機構122の作動原理を、前述した第1ラチェット機構58の作動原理を説明した図3を用いて説明する。 図3に示すように、ホルダー136には、第2ピストン134からホルダー136側に突設された突起134aを掛け止めるための複数段の鋸歯が円周方向に連なる掛止歯136a、136bが周期的に形成されており、ホルダー136は第2リングギヤ98に位置固定に設けられている。 第1ピストン128aには、ホルダー136の掛止歯136a、136bと同様の鋸歯形状であるが周方向に半位相ずれた形状で周方向に連なり、第2ピストン134の突起134aを受け止める受止歯128d、128eが周期的に形成されており、第1ピストン128aは第2リングギヤ98すなわちホルダー136に対して相対回転不能且つ第2回転軸線C2方向の相対移動可能に設けられている。 なお、ホルダー136の高さの異なる2つの掛止歯136a、136bは、第2アクチュエータ118および第2ボールカム116による第1ピストン128aの移動ストロークST分以下の寸法で第2ピストン134側に接近するように形成されていると共に、第1ピストン128aの高さの異なる2つの受止歯128d、128eは、上記掛止歯136a、136bと同様の形状で形成され、掛止歯136a、136bに対して周方向に半波長ずらされて位置させられている。 また、図3では、第1ピストン128aおよびホルダー136は、理解を容易とするために意図的に第2回転軸線C2方向にずらして示されているが、初期には、受止歯128eの斜面と掛止歯136bの斜面とが略一致させられている。 また、第1ピストン128aの移動ストロークSTは、位置固定のホルダー136の掛止歯136bの斜面の下端であるベース位置B1から示されている。

    図3に示すように、第2可動スリーブ110が前記第2コネクト位置にある時に第2ピストン134の突起134aがホルダー136の掛止歯136bに掛け止められた位置Aに位置している初期状態において、第1ピストン128aが第2アクチュエータ118および第2ボールカム116によって1回目の往復移動が行われると、第2ピストン134の突起134aは第1ピストン128aの受止歯128eに持ち上げられることにより第2スプリング120の付勢力に抗して掛止歯136aの先端を超えてその掛止歯136aの斜面の最下端まで滑り、位置Bに掛け止められる。 次いで、第1ピストン128aが第2アクチュエータ118および第2ボールカム116によって2回目の往復移動が行われると、第2ピストン134の突起134aは第1ピストン128aの受止歯128dに持ち上げられることにより第2スプリング120の付勢力に抗してホルダー136の掛止歯136bの先端を超えてその掛止歯136bの斜面の最下端まで滑り、掛止歯136bに掛け止められて位置Aと同じ初期状態に戻される。 すなわち、第2アクチュエータ118および第2ボールカム116によって第1ピストン128aが所定回数である2回目の往復移動が行われると、第2可動スリーブ110が前記第2コネクト位置へ戻されることで、第2可動スリーブ110の外周噛合歯110bと環状部材114の内周噛合歯114bとが噛み合わされて第2噛合クラッチ32が係合する。

    これにより、第2ラチェット機構122では、第2アクチュエータ118および第2ボールカム116による第1ピストン128aの往復移動で第2ピストン134が周方向へ送ることによって、第2可動スリーブ110が前記第2ディスコネクト位置へ移動させられて第2ピストン134がホルダー136の掛止歯136aに掛け止められる。 そして、さらに第1ピストン128aが往復移動させられると、第2ピストン134がホルダー136の掛止歯136aから掛け外されて第2スプリング120の付勢力により第2可動スリーブ110が前記第2コネクト位置へ移動する。

    以上のように構成された4輪駆動車両10では、例えば、第1噛合クラッチ24および第2噛合クラッチ32が共に係合されている4輪駆動状態において、電子制御装置80で2輪駆動走行モードが選択されると、トランスファ26において第1移動機構50によって第1可動スリーブ48が前記第1コネクト位置から前記第1ディスコネクト位置に移動して第1噛合クラッチ24が解放され、且つ後輪用駆動力配分ユニット30において第2移動機構112によって第2可動スリーブ110が前記第2コネクト位置から前記第2ディスコネクト位置に移動して第2噛合クラッチ32が解放されて、プロペラシャフト28が駆動源であるエンジン12および副駆動輪である後輪16からの動力伝達を遮断するディスコネクト状態となる。 また、前記ディスコネクト状態から、電子制御装置80で4輪駆動走行モードが選択されると、トランスファ26において第1移動機構50によって第1可動スリーブ48が前記第1ディスコネクト位置から前記第1コネクト位置に移動して第1噛合クラッチ24が係合され、且つ後輪用駆動力配分ユニット30において第2移動機構112によって第2可動スリーブ110が前記第2ディスコネクト位置から前記第2コネクト位置に移動して第2噛合クラッチ32が係合されて、前記ディスコネクト状態が解除される。

    図5は、電子制御装置80に備えられた制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。 図5に示すように、電子制御装置80には、4輪駆動車両10に設けられた各センサにより検出される各種入力信号が供給されるようになっている。 例えば、回転速度センサ150により検出されるプロペラシャフト28の回転速度(プロペラシャフト回転数)N(rpm)を表す信号、車輪速センサ152により検出される前輪14L、14R、および後輪16L、16Rのそれぞれの回転速度Wfl、Wfr、Wrl、Wrr(rpm)を表す信号、第1ポジションセンサ154により検出される第1噛合クラッチ24が係合しているか否かを表すON、OFF信号、すなわち第1可動スリーブ48が前記第1コネクト位置にいるか否かを表すON、OFF信号、第2ポジションセンサ156により検出される第2噛合クラッチ32が係合しているか否かを表すON、OFF信号、すなわち第2可動スリーブ110が前記第2コネクト位置にいるか否かを表すON、OFF信号、が電子� ��御装置80に入力される。 なお、上記第1ポジションセンサ154および第2ポジションセンサ156は、例えば第1可動スリーブ48、第2可動スリーブ110の近接を非接触で磁気的に検知する磁気センサである。

    また、電子制御装置80から、4輪駆動車両10に設けられた各装置に各種出力信号が供給されるようになっている。 例えば、第1噛合クラッチ24を係合させるために第1アクチュエータ54の第1電磁コイル62に供給される第1電磁コイル電流I 、第2噛合クラッチ32を係合させるために第2アクチュエータ118の第2電磁コイル126に供給される第2電磁コイル電流I が、電子制御装置80から各部へ供給される。

    図5に示す走行モード切替判定部158は、エンジン12から左右の前輪14Lおよび14Rへ駆動力を伝達する2輪駆動状態が実行される2輪駆動走行モードから、エンジン12から左右の後輪16Lおよび16Rへも駆動力を伝達する4輪駆動状態が実行される4輪駆動走行モードに切り替えられるべきか否かを判定する。 例えば、走行モード切替判定部158では、4輪駆動車両10の運転走行状態が、車両の発進走行、車輪のスリップ、アンダーステア、旋回走行、加速走行、高負荷走行、減速走行などのいずれかの4輪駆動開始条件を満たすことによって、2輪駆動走行モードから4輪駆動走行モードに切り替えられるべきか否かを判定する。 なお、上記の2輪駆動状態とは、第1噛合クラッチ24および第2噛合クラッチ32がそれぞれ解放されることによって、エンジン12とプロペラシャフト28との間の動力伝達経路および後輪16とプロペラシャフト28との間がそれぞれ切り離されたディスコネクト状態であり、そのディスコネクト状態では、第1可動スリーブ48が前記第1ディスコネクト位置に配置され、第2可動スリーブ110が前記第2ディスコネクト位置に配置される。

    第1噛合クラッチ制御部160は、走行モード切替判定部158で2輪駆動走行モードから4輪駆動走行モードに切り替えるべきと判定されると、第1噛合クラッチ24を係合させるために、第1アクチュエータ54の第1電磁コイル62に第1電磁コイル電流I を供給する。 なお、第1電磁コイル62に第1電磁コイル電流I が供給されることによって、第1電磁コイル62に可動片68が吸着されて第1ボールカム52の第2環状部材66に回転制動トルクが伝達される。 これによって、第1環状部材64と第2環状部材66とが相対回動し、第1環状部材64に一体に形成された第1ピストン64aが、第2ピストン70を介して第1可動スリーブ48を第1スプリング56の付勢力に抗して非噛合方向F2へ移動させられる。 また、第1可動スリーブ48が非噛合方向F2へ移動させられることによって、シンクロ機構84が作動して第1リングギヤ38の回転速度が上昇し入力軸34と第1リングギヤ38との回転速度が同期させられる。 また、第1噛合クラッチ制御部160では、走行モード切替判定部158で2輪駆動走行モードから4輪駆動走行モードに切り替えるべきと判定されると、カップリング94を係合させるようになっている。

    同期判定部160aは、走行モード切替判定部158で2輪駆動走行モードから4輪駆動走行モードに切り替えるべきと判定されると、第1噛合クラッチ24において第1リングギヤ38の回転速度と入力軸34の回転速度とが同期したか否か、すなわち第1リングギヤ38に連結されたプロペラシャフト28の回転速度N(rpm)が入力軸34に連結されたデフケース20cの回転速度N (rpm)以上(N≧N )になったか否かを判定する。 なお、プロペラシャフト28の回転速度N(rpm)は、回転速度センサ156によって検出される。 また、デフケース20cの回転速度N (rpm)は、車輪速センサ152から検出された前輪14L、14Rの回転速度Wfl、Wfr(rpm)の平均値((Wfl+Wfr)÷2)である。

    第1係合判定部162bは、走行モード切替判定部158で2輪駆動走行モードから4輪駆動走行モードに切り替えるべきと判定されると、第1噛合クラッチ24が係合したか否か、すなわち第1噛合クラッチ24の第1可動スリーブ48が前記第1コネクト位置にいるか否かを第1ポジションセンサ154により検出されるON、OFF信号によって判定する。 例えば、第1ポジションセンサ154においては、第1可動スリーブ48が前記第1コネクト位置にいる時に、第1ポジションセンサ154からON信号が検出され、第1可動スリーブ48が前記第1コネクト位置以外の位置(前記第1ディスコネクト位置を含む)にいる時に、第1ポジションセンサ154からOFF信号が検出される。

    第2噛合クラッチ制御部162は、走行モード切替判定部158で2輪駆動走行モードから4輪駆動走行モードに切り替えるべきと判定されると、第2噛合クラッチ32を係合させるために、第2アクチュエータ118の第2電磁コイル126に第2電磁コイル電流I を供給する。 なお、第2電磁コイル126に第2電磁コイル電流I が供給されることによって、第2電磁コイル126に可動片132が吸着されて第2ボールカム116の第2環状部材130に回転制動トルクが伝達される。 これにより、たとえば、第1噛合クラッチ24においてシンクロ機構84が作動し第1リングギヤ38の回転速度が上昇すると共にプロペラシャフト28を介して第2リングギヤ98の回転速度が上昇することによって、第1環状部材128と第2環状部材130とが相対回動し、第1環状部材128に一体に形成された第1ピストン128aが、第2ピストン134を介して第2可動スリーブ110を第2スプリング120の付勢力に抗して第2スプリング120側へ移動させられる。

    第2係合判定部162aは、走行モード切替判定部158で2輪駆動走行モードから4輪駆動走行モードに切り替えるべきと判定されると、第2噛合クラッチ32が係合したか否か、すなわち第2噛合クラッチ32の第2可動スリーブ110が前記第2コネクト位置にいるか否かを第2ポジションセンサ156により検出されるON、OFF信号によって判定する。 例えば、第2ポジションセンサ156においては、第2可動スリーブ110が前記第2コネクト位置にいる時に、第2ポジションセンサ156からON信号が検出され、第2可動スリーブ110が前記第2コネクト位置以外の位置(前記第2ディスコネクト位置を含む)にいる時に、第2ポジションセンサ156からOFF信号が検出される。

    また、第2噛合クラッチ制御部162は、同期判定部160aで第1噛合クラッチ24において第1リングギヤ38の回転速度と入力軸34の回転速度とが同期したと判定されると、第2電磁コイル126への第2電磁コイル電流I の供給を停止する。 なお、第2電磁コイル126に第2電磁コイル電流I 2が供給されていた状態から、その第2電磁コイル電流I 2の供給が停止されると、第2電磁コイル126に可動片132が吸着されなくなり、第2ボールカム116の第1環状部材128に一体に形成された第1ピストン128aから、第2可動スリーブ110を第2スプリング120の付勢力に抗して第2スプリング120側へ移動させる第2回転軸線C2方向の推力がなくなる。 これによって、第2スプリング120の付勢力によって第2可動スリーブ110が前記第2コネクト位置に移動させられ、第2噛合クラッチ32が係合する。

    また、第1噛合クラッチ制御部160は、第2係合判定部162aで第2噛合クラッチ32が係合したと判定されると、第1電磁コイル62への第1電磁コイル電流I 1の供給を停止する。 なお、第1電磁コイル62に第1電磁コイル電流I が供給されていた状態から、その第1電磁コイル電流I の供給が停止されると、第1電磁コイル62に可動片68が吸着されなくなり、第1ボールカム52の第1環状部材64に一体に形成された第1ピストン64aから、第1可動スリーブ48を第1スプリング56の付勢力に抗して第1スプリング56側へ移動させる第1回転軸線C1方向の推力がなくなる。 これによって、第1スプリング56の付勢力によって第1可動スリーブ48が前記第1コネクト位置に移動させられ、第1噛合クラッチ24が係合する。

    図6は、電子制御装置80において、第1噛合クラッチ24および第2噛合クラッチ32がそれぞれ解放されてプロペラシャフト28がエンジン12および後輪16L、16Rからの動力伝達を遮断されるディスコネクト状態から、そのディスコネクト状態を解除するディスコネクト解除時に、第1噛合クラッチ24および第2噛合クラッチ32をそれぞれ係合させる係合制御の制御作動の一例を説明するフローチャートである。 なお、図6のフローチャートは、図5に示す走行モード切替判定部158で2輪駆動走行モードから4輪駆動走行モードに切り替える条件が成立したと判定された後の流れを示すフローチャートである。 また、図7は、図6のフローチャートに示す制御作動を実行した場合のタイムチャートである。 なお、図7のt1時点は、上記図5の走行モード切替判定部158で2輪駆動走行モードから4輪駆動走行モードに切り替えるべきと判定された時である。

    先ず、第1噛合クラッチ制御部160および第2噛合クラッチ制御部162の機能に対応するステップ(以下、ステップを省略する)S1において、第1電磁コイル62に第1電磁コイル電流I が供給されて第1アクチュエータ54がON状態(図7のt2時点)となり、第2電磁コイル126に第2電磁コイル電流I が供給されて第2アクチュエータ118がON状態(図7のt2時点)となる。

    次に、同期判定部160aの機能に対応するS2において、第1噛合クラッチ24において第1リングギヤ38の回転速度と入力軸34の回転速度とが同期(N≧N )したか否かが判定される。 このS2の判定が否定される場合には、第1噛合クラッチ制御部160および第2噛合クラッチ制御部162の機能に対応するS3が実行されるが、そのS2の判定が肯定される場合(図7のt3時点)には、第2噛合クラッチ制御部162の機能に対応するS4が実行される。 上記S3では、第1電磁コイル62に第1電磁コイル電流I が継続して供給されて第1アクチュエータ54のON状態が継続され、第2電磁コイル126に第2電磁コイル電流I が継続して供給されて第2アクチュエータ118のON状態が継続される。 上記S4では、第2電磁コイル126への第2電磁コイル電流I の供給が停止され、第2アクチュエータ118がOFF状態(図7のt3)となる。

    次に、第2係合判定部162aの機能に対応するS5において、第2噛合クラッチ32が係合したか否かが判定される。 このS5の判定が否定される場合には、再度上記S5が実行させられるがすなわち第2噛合クラッチ32が係合するまで待っている待ち状態であるが、そのS5の判定が肯定される場合(図7のt4時点)には、第1噛合クラッチ制御部160の機能に対応するS6が実行される。 上記S6では、第1電磁コイル62への第1電磁コイル電流I の供給が停止され、第1アクチュエータ54がOFF状態(図7のt5)となる。

    次に、第1係合判定部160bの機能に対応するS7において、第1噛合クラッチ24が係合したか否かが判定される。 このS7の判定が否定される場合には、再度上記S7が実行させられるがすなわち第1噛合クラッチ24が係合するまで待っている待ち状態であるが、そのS7の判定が肯定される場合(図7のt6時点)には、ディスコネクト状態が解除されたと判断され制御が終了する。

    本実施例の電子制御装置80では、図6のフローチャートに示すように、前記ディスコネクト状態の解除時に、シンクロ機構84を作動させて入力軸34と第1リングギヤ38との回転速度が同期させられた後に、第2噛合クラッチ32を係合させるので、入力軸34と第1リングギヤ38との回転速度が同期させられることによって第1噛合クラッチ24およびプロペラシャフト28を介して第2リングギヤ98の回転速度がデフケース104の回転速度まで引き上げられ、第2噛合クラッチ32の係合時の第2リングギヤ98とデフケース104との回転速度の同期が円滑に行われる。 また、第2噛合クラッチ32が係合したと判定された後に、第1噛合クラッチ24を係合させるので、第2噛合クラッチ32が係合することによって、後輪16L、16Rの動力が第2噛合クラッチ32およびプロペラシャフト28を介して第1リングギヤ38に伝達され第1リングギヤ38の回転速度の低下が抑制されるので、第1噛合クラッチ24の係合時の第1リングギヤ38と入力軸34との回転速度の同期崩れが抑制される。

    上述のように、本実施例の4輪駆動車両10の電子制御装置80によれば、プロペラシャフト28がエンジン12および後輪16L、16Rからの動力伝達を遮断されるディスコネクト状態の解除時に、シンクロ機構84を作動させて、入力軸34と第1リングギヤ38との回転速度が同期したと判断したら、第2噛合クラッチ32を係合させ、その後、第1噛合クラッチ24を係合させる。 このため、シンクロ機構84が作動して第1噛合クラッチ24を介して第2噛合クラッチ32の第2リングギヤ98の回転速度が引き上げられるので、その第2噛合クラッチ32の係合時の第2リングギヤ98とデフケース104との回転速度の同期が円滑に行われる。 また、第1噛合クラッチ24において、第2噛合クラッチ32が係合することによって、第1リングギヤ38の回転速度の低下が抑制されるので、その第1噛合クラッチ24の係合時の第1リングギヤ38と入力軸34との回転速度の同期崩れが抑制される。

    また、本実施例の4輪駆動車両10の電子制御装置80によれば、シンクロ機構84は、第1可動スリーブ48が第1リングギヤ38と噛み合わない非噛合方向F2に移動させられることによって入力軸34と第1リングギヤ38との回転速度を同期させるので、第1可動スリーブ48が第1リングギヤ38と噛み合う噛合方向F1に移動させられる時の第1リングギヤ38と入力軸34との回転速度の同期崩れが好適に抑制される。

    また、本実施例の4輪駆動車両10の電子制御装置80によれば、プロペラシャフト28と第2リングギヤ98との間の動力伝達経路には、カップリング94が設けられている。 このため、第2噛合クラッチ32にシンクロ機構を設けなくても好適な噛み合いを行うことができる。

    また、本実施例の4輪駆動車両10の電子制御装置80によれば、ディスコネクト状態の解除時に、カップリング94が係合させられる。 このため、シンクロ機構84が作動することによって第2噛合クラッチ32の第2リングギヤ98の回転速度がデフケース104の回転速度まで好適に引き上げられる。

    また、本実施例の4輪駆動車両10の電子制御装置80によれば、第1噛合クラッチ24には、第1可動スリーブ48を第1回転軸線C1方向に移動させて、第1可動スリーブ48を、第1噛合クラッチ24が係合する第1コネクト位置と第1噛合クラッチ24が解放する第1ディスコネクト位置とに移動させる第1移動機構50が備えられており、第1移動機構50には、電子制御装置80から第1電磁コイル62に供給される第1電磁コイル電流I によって第1電磁コイル62が可動片68を吸着することにより所定の移動ストロークSTで第1回転軸線C1方向に往復移動させられる第1ピストン64aと、第1ピストン64aにより第1スプリング56の付勢力に抗して第1回転軸線C1方向に移動させられる第2ピストン70と 、掛止歯72aを有して掛止歯72aで第1ピストン64aにより移動させられた第2ピストン70を掛け止めるホルダー72と、を有する第1ラチェット機構58が備えられており、第1ラチェット機構58では、第1ピストン64aが第1回転軸線C1方向に往復移動させられることで、第2ピストン70によって第1可動スリーブ48が前記第1ディスコネクト位置へ第1スプリング56の付勢力に抗して移動させられ、さらに、第1ピストン64aが第1回転軸線C1方向に往復移動させられると、第2ピストン70がホルダー72の掛止歯72aから掛け外されて第1スプリング56の付勢力に従って第1可動スリーブ48が前記第1コネクト位置へ移動させられる。 このため、第1電磁コイル電流I が第1電磁コイル62に供給されない状態でも第1可動スリーブ48が第2ピストン70を介してホルダー72の掛止歯72aによって前記第1ディスコネクト位置で掛け止められるので、第1噛合クラッチ24での電力消費が好適に抑制させられる。

    また、本実施例の4輪駆動車両10の電子制御装置80によれば、第2噛合クラッチ32には、第2可動スリーブ110を第2回転軸線C2方向に移動させて、第2可動スリーブ110を、第2噛合クラッチ32が係合する第2コネクト位置と第2噛合クラッチ32が解放する第2ディスコネクト位置とに移動させる第2移動機構112が備えられており、第2移動機構112には、電子制御装置80から第2電磁コイル126に供給される第2電磁コイル電流I によって第2電磁コイル126が可動片132を吸着することにより所定の移動ストロークSTで第2回転軸線C2方向に往復移動させられる第1ピストン128aと、第1ピストン128aにより第2スプリング120の付勢力に抗して第2回転軸線C2方向に移動させられ る第2ピストン134と、掛止歯136aを有して掛止歯136aで第1ピストン128aにより移動させられた第2ピストン134を掛け止めるホルダー136と、を有する第2ラチェット機構122が備えられており、第2ラチェット機構122では、第1ピストン128aが第2回転軸線C2方向に往復移動させられることで、第2ピストン134によって第2可動スリーブ110が前記第2ディスコネクト位置へ第2スプリング120の付勢力に抗して移動させられ、さらに、第1ピストン128aが第2回転軸線C2方向に往復移動させられると、第2ピストン134がホルダー136の掛止歯136aから掛け外されて第2スプリング120の付勢力に従って第2可動スリーブ110が前記第2コネクト位置へ移動させられる。 このため、第2電磁コイル電流I が第2電磁コイル126に供給されない状態でも第2可動スリーブ110が第2ピストン134を介してホルダー136の掛止歯136aによって前記第2ディスコネクト位置で掛け止められるので、第2噛合クラッチ32での電力消費が好適に抑制させられる。

    次に、本発明の他の実施例を説明する。 なお、前述の実施例1と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。

    図8は、本発明の他の実施例の4輪駆動車両200を説明する図である。 本実施例の4輪駆動車両200は、実施例1の4輪駆動車両10に比較して、第1噛合クラッチ(噛合クラッチ)202において第1可動スリーブ(第1スリーブ)204を一方向に移動させることによって第1噛合クラッチ202を係合させる点と、第2噛合クラッチ(噛合クラッチ)206において第2可動スリーブ(第2スリーブ)208を一方向に移動させることによって第2噛合クラッチ206を係合させる点とで相違しており、その他は実施例1の4輪駆動車両10と略同じである。

    4輪駆動車両200では、2輪駆動状態において、エンジン12から自動変速機18を介して伝達された駆動力を前輪用駆動力配分ユニット210および左右の車軸22L、22Rを通して左右の前輪14L、14Rへ伝達される。 この2輪駆動状態では、少なくとも第1噛合クラッチ202が解放され、プロペラシャフト28、および、後輪用駆動力配分ユニット212および後輪16へは動力が伝達されない。 しかし、4輪駆動状態では、上記2輪駆動状態に加えて、第1噛合クラッチ202および第2噛合クラッチ206が共に係合されて、プロペラシャフト28、および、後輪用駆動力配分ユニット212および後輪16へエンジン12からの駆動力が伝達される。

    前輪用駆動力配分ユニット210は、プロペラシャフト28を駆動するためにプロペラシャフト28に動力伝達可能に連結された円筒状の第1リングギヤ(第1出力回転部材)214と、エンジン12からデフケース20cを介して前輪14Lおよび14Rへ伝達される動力の一部が入力される円筒状の入力軸(第1入力回転部材)216と、第1リングギヤ214にスプライン嵌合し第3回転軸線(第1軸線)C3方向に移動して選択的に入力軸216に噛み合う第1可動スリーブ204を含む、第1噛合クラッチ202等とが備えられている。

    円筒状の第1リングギヤ214は、例えば斜歯又はハイポイドギヤが形成された傘歯車であり、第1リングギヤ214の内周部から前輪14L側に略円筒状に突出する軸部214aが形成されている。 なお、第1リングギヤ214は、図8に示すように、後輪16L、16Rに第2噛合クラッチ206およびプロペラシャフト28等を介して動力伝達可能に連結されている。 円筒状の入力軸216は、前輪用駆動力配分ユニット210を覆うケース内に設けられた図示しない軸受によって、入力軸216が第3回転軸線C3まわりに回動可能にすなわち第1リングギヤ214と同心に回転可能に支持されている。 また、入力軸216には、入力軸216の前輪14R側の端部の外周面に形成された外周スプライン歯216aが備えられている。

    第1噛合クラッチ202は、エンジン12とプロペラシャフト28との間の動力伝達経路すなわちエンジン12に動力伝達可能に連結される入力軸216とプロペラシャフト28に動力伝達可能に連結される第1リングギヤ214との間の動力伝達経路を断接するための断接機構(ドグクラッチ)である。 第1噛合クラッチ202には、第1可動スリーブ204を第3回転軸線C3方向に移動させて、第1可動スリーブ204を、第1噛合クラッチ202が係合する第3コネクト位置と第1噛合クラッチ202が解放する第3ディスコネクト位置とに移動させる第3アクチュエータ218が備えられている。 上記第1可動スリーブ204には、第1リングギヤ214の軸部214aの前輪14L側の外周面に形成された外周噛合歯214bが嵌合するように第1可動スリーブ204の内周面に形成された内周噛合歯204aが形成されており、第1可動スリーブ204の内周噛合歯204aに第1リングギヤ214の外周噛合歯214bが嵌合すなわち第1可動スリーブ204が第1リングギヤ214にスプライン嵌合すると、第1可動スリーブ204が第1リングギヤ214に対して相対回転不能且つ第3回転軸線C3方向の移動可能に第1リングギヤ214に支持される。 なお、上記第3コネクト位置とは、第1可動スリーブ204が第3回転軸線C3方向に移動し第1可動スリーブ204の内周噛合歯204aが入力軸216の外周スプライン歯216aと噛み合う位置であり、上記第3コネクト位置では、第1リングギヤ214と入力軸216との相対回転が不能となる。 また、上記第3ディスコネクト位置とは、第1可動スリーブ204が第3回転軸線C3方向に移動し第1可動スリーブ204の内周噛合歯204aが入力軸216の外周スプライン歯216aと噛み合わない位置であり、上記第3ディスコネクト位置では、第1リングギヤ214と入力軸216との相対回転が可能となる。 なお、第3アクチュエータ218は、電子制御装置(制御装置)220から出力される指令信号によって第1可動スリーブ204を第3回転軸線C3方向に移動させる。

    第1噛合クラッチ202には、第1可動スリーブ204と第3回転軸線C3方向に直列に配置されたシンクロ機構222が備えられている。 シンクロ機構222には、図8に示すように、入力軸216の前輪14R側の端部の外周面に形成された円錐状外周摩擦面216bと、入力軸216の外周スプライン歯216aと第1リングギヤ214の外周噛合歯214bとの間に配設された環状のシンクロナイザーリング224と、シンクロナイザーリング224に形成された円錐状内周摩擦面224aと入力軸216の円錐状外周摩擦面216bとの間に配設された環状の摩擦リング226とが備えられている。 なお、シンクロナイザーリング224の外周面には、第1可動スリーブ204の内周噛合歯204aに相対回転不能且つ第3回転軸線C3方向の移動可能に噛み合い可能な外周スプライン歯224bが形成されている。

    シンクロ機構84では、第3アクチュエータ218によって第1可動スリーブ204が前記第3ディスコネクト位置から前記第3コネクト位置へ移動する時において、第1可動スリーブ204がシンクロナイザーリング224の外周スプライン歯224bに当接することによって、シンクロナイザーリング224の円錐状内周摩擦面224aと摩擦リング226の間、およびその摩擦リング226と入力軸216の円錐状外周摩擦面216bの間で摺接して、第1可動スリーブ204すなわち第1リングギヤ214の回転速度が入力軸216の回転速度に向って引き上げられる。 そして、入力軸216の回転速度と第1リングギヤ214の回転速度とが同期すると、第1可動スリーブ204の内周噛合歯204aがシンクロナイザーリング224の外周スプライン歯224bを通ってその第1可動スリーブ204の内周噛合歯204aが入力軸216の外周スプライン歯216aに噛み合う。

    後輪用駆動力配分ユニット212には、プロペラシャフト28と後輪16L、16Rとの間の動力伝達経路上に設けられ、プロペラシャフト28に動力伝達可能に連結された円筒状の第2リングギヤ(第2出力回転部材)228と、プロペラシャフト28と後輪16L、16Rとの間の動力伝達経路上に設けられ、後輪16L、16Rと動力伝達可能に連結された差動歯車装置230のデフケース232(第2出力回転部材)と、プロペラシャフト28と左右の後輪16L、16Rとの間すなわち第2リングギヤ228とデフケース232との間を断接するための噛合式のドグクラッチ(断接装置)である第2噛合クラッチ206とが備えられている。

    第2リングギヤ228は、例えばハイポイドギヤが形成された傘歯車であり、第2リングギヤ228の内周部から後輪16L側に略円筒状に突出する軸部228aが形成されている。 デフケース232は、後輪用駆動力配分ユニット212を覆うケース内に設けられた図示しない軸受に支持されることによって、デフケース232が第4回転軸線(第2軸線)C4まわりに回動可能にすなわち第2リングギヤ228と同心に回転可能に支持されている。

    第2噛合クラッチ206は、プロペラシャフト28と左右の後輪16L、16Rとの間すなわちプロペラシャフト28に動力伝達可能に連結された第2リングギヤ228と後輪16L、16Rに動力伝達可能に連結された差動歯車装置230のデフケース232との間の動力伝達経路を断接するための断接機構(ドグクラッチ)である。 第2噛合クラッチ206には、第2可動スリーブ208を第4回転軸線C4方向に移動させて、第2可動スリーブ208を、第2噛合クラッチ206が係合する第4コネクト位置と第2噛合クラッチ206が解放する第4ディスコネクト位置とに移動させる第4アクチュエータ234が備えられている。 上記第2可動スリーブ208には、デフケース232の第2可動スリーブ208側の端部の外周面に形成された外周スプライン歯232aと嵌合するように第2可動スリーブ208の内周面に形成された内周噛合歯208aが形成されており、第2可動スリーブ208の内周噛合歯208aにデフケース232に形成された外周スプライン歯232aが嵌合すなわち第2可動スリーブ208がデフケース232にスプライン嵌合すると、第2可動スリーブ208がデフケース232に対して相対回転不能且つ第4回転軸線C4方向の移動可能にデフケース232に支持される。 上記第2リングギヤ228には、第2リングギヤ228の軸部228aの前輪16L側の外周面に形成された外周噛合歯228bが形成されている。 なお、上記第4コネクト位置とは、第2可動スリーブ208が第4回転軸線C4方向に移動し第2可動スリーブ208の内周噛合歯208aが第2リングギヤ228の外周噛合歯228bと噛み合う位置であり、上記第4コネクト位置では、第2リングギヤ228とデフケース232との相対回転が不能となる。 また、上記第4ディスコネクト位置とは、第2可動スリーブ208が第4回転軸線C4方向に移動し第2可動スリーブ208の内周噛合歯208aが第2リングギヤ228の外周噛合歯228bと噛み合わない位置であり、上記第4ディスコネクト位置では、第2リングギヤ228とデフケース232との相対回転が可能となる。 なお、第4アクチュエータ234は、電子制御装置220から出力される指令信号によって第2可動スリーブ208を第4回転軸線C4方向に移動させる。

    以上のように構成された4輪駆動車両200では、例えば、第1噛合クラッチ202および第2噛合クラッチ206が共に係合されている4輪駆動状態において、電子制御装置220で2輪駆動走行モードが選択されると、第3アクチュエータ218によって第1可動スリーブ204が前記第3コネクト位置から前記第3ディスコネクト位置に移動して第1噛合クラッチ202が解放され、且つ第4アクチュエータ234によって第2可動スリーブ208が前記第4コネクト位置から前記第4ディスコネクト位置に移動して第2噛合クラッチ206が解放されて、プロペラシャフト28が駆動源であるエンジン12および副駆動輪である後輪16からの動力伝達を遮断するディスコネクト状態となる。 また、前記ディスコネクト状態から、電子制御装置220で4輪駆動走行モードが選択されると、電子制御装置220から第3アクチュエータ218に出力される指令信号によって第1可動スリーブ204が前記第3コネクト位置側に移動させられる。 これによって、シンクロ機構222が作動して入力軸216と第1リングギヤ214との回転速度が同期させられる。 また、電子制御装置220では、4輪駆動車両200に設けられた各センサにより検出される入力信号によって、入力軸216と第1リングギヤ214との回転速度が同期したと判定すると、電子制御装置220から第4アクチュエータ234に出力される指令信号によって第2可動スリーブ208を前記第4ディスコネクト位置から前記第4コネクト位置へ移動させて第2噛合クラッチ206を係合する。 また、電子制御装置220では、4輪駆動車両200に設けられた各センサにより検出される入力信号によって、第2噛合クラッチ206が係合したと判定すると、電子制御装置220から第3アクチュエータ218に出力される指令信号によって第1可動スリーブ204をさらに前記第4コネクト位置側に移動させて第1噛合クラッチ202を係合させる。 これによって、第1噛合クラッチ202および第2噛合クラッチ206が係合されて、前記ディスコネクト状態が解除される。

    以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。

    例えば、前述の実施例の4輪駆動車両10、200は、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)ベースの車両であったが、本発明はFR(フロントエンジン・リアドライブ)ベース、RR(リアエンジン・リアドライブ)ベースなど適宜組み合わせて実施することができる。

    また、前述の実施例の4輪駆動車両10は、第1噛合クラッチ24にシンクロ機構84が設けられ、第2噛合クラッチ32にシンクロ機構が設けられていなかったが、例えば、第2噛合クラッチ32にシンクロ機構が設けられ、第1噛合クラッチ24にシンクロ機構が設けられていないような構成にしても良い。 このような構成の場合には、シンクロ機構を作動させてデフケース104と第2リングギヤ98との回転速度が同期したと判断したら、第1噛合クラッチ24を係合させて、その係合後、第2噛合クラッチ32を係合させるように電子制御装置80によって制御させる。

    また、前述の実施例の4輪駆動車両200は、第1噛合クラッチ202にシンクロ機構222が設けられ、第2噛合クラッチ206にシンクロ機構が設けられていなかったが、例えば、第2噛合クラッチ206にシンクロ機構が設けられ、第1噛合クラッチ202にシンクロ機構が設けられていないような構成にしても良い。 このような構成の場合には、シンクロ機構を作動させてデフケース232と第2リングギヤ228との回転速度が同期したと判断したら、第1噛合クラッチ202を係合させて、その係合後、第2噛合クラッチ206を係合させるように電子制御装置220によって制御させる。

    また、前述の実施例の第2噛合クラッチ32において、第2可動スリーブ110は、デフケース104にスプライン嵌合し第2回転軸線C2方向に移動して選択的に第2リングギヤ98と噛み合っていたが、例えば第2リングギヤ98にスプライン嵌合し第2回転軸線C2方向に移動して選択的にデフケース104と噛み合うように、第2噛合クラッチ32の構成を変更しても良い。 また、前述の実施例の第2噛合クラッチ206において、第2可動スリーブ208は、デフケース232にスプライン嵌合し第4回転軸線C4方向に移動して選択的に第2リングギヤ228と噛み合っていたが、例えば第2リングギヤ228にスプライン嵌合し第4回転軸線C4方向に移動して選択的にデフケース232と噛み合うように、第2噛合クラッチ206の構成を変更しても良い。

    また、前述の実施例の電子制御装置80では、第1噛合クラッチ制御部160で第1電磁コイル62へ第1電磁コイル電流I を供給させ、且つ第2噛合クラッチ制御部162で第2電磁コイル126へ第2電磁コイル電流I を供給させて、同期判定部160aで入力軸34と第1リングギヤ38との回転速度が同期したと判定したら、第2噛合クラッチ制御部162で第2電磁コイル126への第2電磁コイル電流I の供給を停止させて、第2噛合クラッチ32を係合させていたが、例えば、第1噛合クラッチ制御部160で第1電磁コイル62へ第1電磁コイル電流I を供給させ、且つ第2噛合クラッチ制御部162で第2電磁コイル126へ第2電磁コイル電流I を供給させて、予め設定された所定の時間が経過したら、� �2噛合クラッチ制御部162で第2電磁コイル126への第2電磁コイル電流I の供給を停止させて、第2噛合クラッチ32を係合させても良い。

    また、前述の実施例の電子制御装置80において、第1噛合クラッチ制御部160では、走行モード切替判定部158で2輪駆動走行モードから4輪駆動走行モードに切り替えるべきと判定されると、カップリング94を係合させていたが、必ずしもカップリング94を係合させる必要はない。 なお、ディスコネクト状態において、シンクロ機構84が作動してプロペラシャフト28が回転すると、カップリング94が解放されていてもカップリング94の引きずりによって第2リングギヤ98が回転するようになっている。 また、前述の実施例の4輪駆動車両10、200には、カップリング94が設けられていたが、必ずしもカップリング94が設けられる必要はない。

    また、前述の実施例の4輪駆動車両10において、第1移動機構50は、第1ボールカム52、第1アクチュエータ54、第1スプリング56、第1ラチェット機構58を用いて第1可動スリーブ48を第1回転軸線C1方向に往復移動させていた。 しかしながら、上記第1移動機構50は、第1可動スリーブ48を第1回転軸線C1方向に往復移動させるものであれば、どのような構成であっても良い。 また、前述の実施例の4輪駆動車両10において、第2移動機構112は、第2ボールカム116、第2アクチュエータ118、第2スプリング120、第2ラチェット機構122を用いて第2可動スリーブ110を第2回転軸線C2方向に往復移動させていた。 しかしながら、上記第2移動機構112は、第2可動スリーブ110を第2回転軸線C2方向に往復移動させるものであれば、どのような構成であっても良い。

    また、前述の実施例の第1ラチェット機構58において、第1ピストン64aの受止歯64d、64e、およびホルダー72の掛止歯72a、72bの段数は2段であったが、例えば3段以上であっても良い。 また、前述の実施例の第2ラチェット機構122において、第1ピストン128aの受止歯128d、128e、およびホルダー136の掛止歯136a、136bの段数は2段であったが、例えば3段以上であっても良い。

    なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。

    10、200:4輪駆動車両12:エンジン(駆動源)
    14L、14R:前輪(主駆動輪)
    16L、16R:後輪(副駆動輪)
    24、202:第1噛合クラッチ(噛合クラッチ)
    28:プロペラシャフト(動力伝達部材)
    32、206:第2噛合クラッチ(噛合クラッチ)
    34、216:入力軸(第1入力回転部材)
    38、214:第1リングギヤ(第1出力回転部材)
    48、204:第1可動スリーブ(第1スリーブ)
    50:第1移動機構56:第1スプリング58:第1ラチェット機構(第1掛止機構)
    62:第1電磁コイル64a、128a:第1ピストン68、132:可動片70、134:第2ピストン72、136:ホルダー72a、136a:掛止歯80、220:電子制御装置(制御装置)
    84、222:シンクロ機構94:カップリング98、228:第2リングギヤ(第2出力回転部材)
    104、232:デフケース(第2入力回転部材)
    110、208:第2可動スリーブ(第2スリーブ)
    112:第2移動機構120:第2スプリング122:第2ラチェット機構(第2掛止機構)
    126:第2電磁コイル158:走行モード切替判定部160:第1噛合クラッチ制御部160a:同期判定部162:第2噛合クラッチ制御部162a:第2係合判定部C1:第1回転軸線(第1軸線)
    C2:第2回転軸線(第2軸線)
    C3:第3回転軸線(第1軸線)
    C4:第4回転軸線(第2軸線)
    F2:非噛合方向I :第1電磁コイル電流I :第2電磁コイル電流ST:移動ストローク

    QQ群二维码
    意见反馈