ナノリアクターの形成および制御において使用するマイクロ流体デバイスおよび方法

申请号 JP2018081170 申请日 2018-04-20 公开(公告)号 JP2018134096A 公开(公告)日 2018-08-30
申请人 レインダンス テクノロジーズ, インコーポレイテッド; 发明人 ダレン アール. リンク; ローレント ボイタード; ジェフリー ブランチフォート; イブ チャールズ; ギルバート フィーク; ジョン キュー. ルー; デイビッド マラン; アーマダリ タバタバイ; マイケル ウェイナー; ウォルフガング ヒンツ; ジョナサン エム. ロスバーグ;
摘要 【課題】 水 性小滴中のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)産物を検出するための方法を提供すること。 【解決手段】上記方法は:マイクロ 流体 チップ中で均一な容量を有する複数の水性小滴を形成する工程;複数の該水性小滴をオフ−チップ貯蔵庫へ移動させる工程であって、該水性小滴のうちの少なくとも1つは、核酸およびPCR反応のための試薬を含む、工程;該水性小滴が該オフ−チップ貯蔵庫内にある間にPCR反応を実行する工程;複数の該水性小滴を、該オフ−チップ貯蔵庫からチャネルへと移動させる工程;該水性小滴の間に非混和性担体流体を添加し、それによって該チャネル内の該水性小滴の間の間隔を増大させる工程;ならびに該チャネル内の該水性小滴のうちの1つまたはそれより多くにおいて該PCR反応の産物を検出する工程を包含する。 【選択図】なし
权利要求

明細書および図面に記載の方法およびキット。

说明书全文

(発明の分野) 本発明は、一般に、流体種の形成および/または制御のためのシステムおよび方法、そのようなシステムおよび方法によって生産された製品に関する。さらに詳しくは、本発明は、正確な流体取扱のための高スループットマイクロ流体デバイスの開発、および種々の生物学的、化学的、または診断アッセイにおけるそのようなシステムの使用に関する。

(背景) 高スループット分子スクリーニング(HTS)は、生物学的メカニズムまたは病気の細胞モデルにおける、または生化学または薬理学アッセイにおける、数千の区別される小さな分子またはプローブの自動迅速テストである。HTSを介して同定された活性な化合物は、化学的遺伝子アプローチを通じて生物学的プロセスを解明するための強なリサーチツールを提供することができ、あるいは治療剤またはイメージング剤開発プログラムの基礎を形成できる。HTSは、分子生物学およびコンビナトリアル化学、および近代の情報管理システムの取込以来、技術の革新的変化を経験してきた。現在のHTSインストルメンテーションは、10年前に可能であったよりも桁違いに速い速度で、1日における数十万の化合物のスクリーニングを可能とする。しかしながら、(a)化合物収集維持、追跡、および分配、および(b)アッセイインストルメンテーションの迅速性、正確性および内容のような、HTS能力を現在制限する障害が依然として存在する。

所望の配置の流体の流れ、不連続な流体の流れ、小滴、粒子、分散液等を、流体送達、製品の製造、分析等を目的として形成する流体の操作は比較的よく研究された技術である。例えば、直径が100ミクロン未満の高単分散気泡は、毛細管流動フォーカシングといわれる技術を用いて生産されてきた。この技術においては、ガスを液体の浴に毛細管から入れ、ここで、管は小さなオリフィスの上方に位置し、このオリフィスを通っての外部液体の収縮流はガスを薄いジェットとし、これは、引き続いて、毛細管の不安定性を介して同等なサイズの気泡に破壊される。同様な配置を用いて、空気中に小滴を生じさせることができる。

マイクロ流体システムは、種々との関係で、特に、小型化実験室(例えば、臨床的)分析との関係で記載されてきた。他の使用についても記載されてきた。例えば、特許文献1は、表面に生物学的物質および細胞のような物質のパターンを供するのに用いることができる多−レベルのマイクロ流体システムを記載する。他の刊行物は、バルブ、スイッチおよび他の構成要素を含むマイクロ流体システムを記載する。

マイクロ流体デバイスでの流体の流れの正確な操作は、多くの流体−ベースの技術を革新しつつある。小さなチャネルのネットワークは、少量の流体の正確な操作のためのフレキシブルなプラットフォームである。そのようなマイクロ流体のデバイスの用途は、臨界的に、マイクロ流体ペリスターポンプ、エレクトロキネティックポンピング、誘電泳動ポンプ、または電子湿潤化駆動流動のような実施可能化技術に依存する。そのようなモジュールの完全なシステムへの組み立ては、マイクロ流体デバイスを構築するための便宜かつ頑強な方法を供する。しかしながら、実質的に全てのマイクロ流動デバイスは流体の流れの流動に基づき;これは、拡散および表面吸着の汚染効果のため、効果的に用いることができる最小容量の試薬に対して制限を設ける。少容量の寸法が縮むにつれて、拡散は反応体の分散へ導く混合のための支配的なメカニズムとなり;さらに、反応体の表面吸着は、小さくても、濃度が低く、かつ容量が小さい場合にはかなり有害であり得る。その結果、現在のマイクロ流体技術は、微量な試薬を含む適用で信頼性良く用いることができず;例えば、単一細胞または単一ビーズを含むライブラリーのサーチについてのバイオアッセイは容易に行われない。これらの制限を克服する代替アプローチは、非混和性で担体流体における滴の使用であり;これらは、拡散または表面相互作用による交差汚染または濃度の変化を排除するよく規定されたカプセル化マイクロ環境を提供する。小滴は、さらなる操作および実験のために反応性物質、細胞、または小さな粒子を単離することができる理想的なマイクロカプセルを提供する。しかしながら、そのようにして開発されたマイクロ流体システムについての実質的に全ての実施可能化技術は、単一相の流体の流動にかなり前から焦点を当てており、小滴を取り扱う技術の開発を必要とする小滴を操作する同等な能動的手段はあまりない。かなりの進歩がマクロ−またはマイクロ流体スケールで力学においてなされてきたが、改良された技術およびこれらの技術の結果が依然として必要とされる。例えば、これらの反応のスケールが小さくなるにつれ、表面吸着および拡散による汚染効果は、用いることができる最少量を制限する。試薬を非混和性担体流体中の小滴へ封じ込めることは、これらの制限を克服するが、新しい流体取扱技術を必要とする、

さらに、電場の流体に対する影響の基礎となる物理学はよく知られている。正または負の電荷に対して電場によって生じた引力および斥力は、荷電流体エレメントに対する力、非極性分子の分極、およびそれらを場に沿って整列させる極性分子に対するトルクを生じさせる。不均一場、分布の正に荷電した部分に対する力は負に荷電した部分に対する力とは異なるゆえに、極性分子はより高い強度の場の領域に向かう正味の力も経験するであろう。連続的制限において、結果は流体における動重力である。高い小滴表面張力の制限においては、あたかもそれが剛性球であるように小滴に対する正味の動重力を記載するのは有用である:

(式中、第一項は小滴に対する電気泳動力であり(qは正味の小滴の電荷であって、Eは電場である)および第二項は誘電泳動力である(rは球の半径であり、

はクラウシウス−モソッティ因子: K=(ε*p−ε*m)/(ε*p+2ε*m) の実数部分であって、ε*pおよびε*mは小滴および担体流体の複素誘電率である)。

小滴の電気泳動制御の利用性は大きいが、それはかなりの制限を有する。まず、小滴の荷電はノズルにおいて有効に達成されるにすぎない。第二に、スクリーニング効果を排除するのに必要な排出経路は小滴も排出する。第三に、担体流体の有限の導電率は、小さいが、最終的に小滴を排出させるであろう。従って、一旦小滴が形成されたならば、(それらの相互のクーロン引力を介する逆帯電した小滴の凝集、または小滴の電気泳動によるソーティングのような)小滴の電荷密度に依拠するいずれの動重力機能も行う実質的に唯一の機会があり、その機能は、十分な電荷が小滴から漏洩していない限り実行できるに過ぎない。

国際公開第01/89788号

かくして、アッセイを行うためのコストおよび時間が劇的に低下されるであろう、種々の化学的、生物学的、およびスクリーニングアッセイを用いるための、必要なタイミングおよび計量精度でもって封じ込めにおいて開始すべき、分析およびソーティングを含めた、多−工程化学的プロセッシングを可能とする、区画化および電気操作を組み合わせる電気的にアドレス可能な乳化系を開発するのが望ましいであろう。また、(電荷密度に依拠しない)誘導泳動力を用いるデバイスを開発して、1を超える電気動重力機能を、小滴形成からかなり長時間遅延した後に行うことができるように小滴を操作するのも望ましいであろう。

(発明の開示) 本発明は、細胞、核酸、酵素、コードされたマイクロビーズ、および他の生体物質とのまれな相互作用について分子ライブラリーを通じてサーチするのに必須である、単離された化合物の多−工程処理を行うように、流体処理システムに組み合わせることができる個々の流体取扱モジュールを有するデバイスを提供する。直径が20〜100ミクロンの荷電した、および中性の小滴の静電および誘電泳動操作に基づく原理を用い、本明細書中に記載されるマイクロ流体デバイスは試薬を安価にカプセル化し、それを組み合せ、分析し、および日当たり1×109小滴の範囲で分類できる。本発明は、微細加工基材を含むマイクロ流体デバイスを提供する。該基材は、流体連絡するように相互に対して一体的に配置された複数の電気的にアドレス可能なチャネル担持マイクロ流体モジュールを含むことができる。微細加工基材は、例えば、(i)分散した相流体を運ぶのに適合させた少なくとも1つの入口チャネルを有する1以上の入口モジュール、(ii)連続的相流体を運ぶのに適合させた少なくとも1つの主要チャネル、ここで、該入口チャネルは、該分散した相流体が連続相流体と非混和性であって、連続相流体中で複数の小滴を形成するように、主要チャネルと流体連絡しており、および(iii)主要チャネルを介して入口モジュールから下流の、かつ該モジュールと流体連絡した凝集モジュール、ここで、そこを通る2以上の小滴は凝集してナノリアクターを形成する。本発明のマイクロ流体デバイスは、さらに、ソーティングモジュール、混合モジュール、遅延モジュール、UV−放出モジュール、検出モジュール、収集モジュール、廃棄モジュール、および/または音響アクチュエーター、および/またはその組合せをいずれかの順序で含むことができる。これらのモジュールは主要チャネルと流体連絡している。分散相および連続相の流動は、例えば、圧力で駆動することができる。

また、本発明は、ナノリアクターを作り出す方法も提供する。該方法は、例えば、a)相互に流体連絡するように基材上に一体的に配置された複数の電気的にアドレス可能なチャネル担持マイクロ流体モジュールを有する微細加工基材を供し、それにより、少なくとも1つの連続相流体を運ぶのに適合させた少なくとも1つの主要チャネルを形成し;b)1以上の小滴がその中を流動する連続相流体中に形成されるように、第一の入口チャネルを通って第一の分散相流体を主要チャネルに流動させ;c)1以上の小滴がその中を流動する連続相流体中に形成されるように、第二の入口チャネルを通って第二の分散相流体を主要チャネルに流動させ;次いで、d)小滴が微細加工基材の凝集モジュールを通るにつれて、工程(b)で形成された少なくとも1つの小滴を工程(c)で形成された少なくとも1つの小滴を凝集させ、それにより、ナノリアクターを生じさせることを含む。該凝集工程は電場によって、または受動的に達成され得る。第一および第二の分散相流体は生物学的物質または化学的物質を含むことができ、これは、例えば、組織、細胞、粒子、タンパク質、抗体、アミノ酸、ヌクレオチド、小分子、および医薬を含むことができる。ナノリアクターは、さらに、遅延モジュール内でインキュベートし、次いで、検出モジュール内で所定の特徴について問い合わすことができる。

また、本発明は、2以上の反応性サブ構造から化合物を合成する方法も含む。特別な態様において、該方法はa)反応性サブ構造を、該サブ構造に対してユニークな標識で標識し、b)マイクロ流体デバイス上で標識された反応性サブ構造の水溶液を乳化して、小滴を形成し;次いで、c)マイクロ流体デバイス上で小滴をランダムに組合せて、化合物を形成することを含む。1つの実施形態において、該方法は、さらに、d)該化合物によって呈された望ましい化学的特性または生物学的特性に基づいて工程c)で形成された化合物をスクリーニングし、次いで、e)該標識を解読することによって化合物の構造を同定することを含む。もう1つの実施形態において工程(a)および(b)は、別法として、予め形成された標識エマルジョンを導入することによって行われる。

もう1つの態様において、本発明は、マイクロ流体デバイス上のライブラリーから単一の化合物を同定する方法を提供する。該方法は、a)化合物の水溶液およびユニークな液体標識の水溶液を乳化することによって化合物のライブラリーを標識し、それにより、各化合物はユニークな液体標識で標識され;b)工程(a)から得られた標識されたエマルジョンをプールし;c)特定の細胞または酵素を含有するエマルジョンで標識されたエマルジョンを凝集させ、それにより、ナノリアクターを形成し;d)ナノリアクターの内容物の間の望ましい反応についてナノリアクターをスクリーニングし;次いで、e)液体標識を解読し、それにより、化合物のライブラリーから単一化合物を同定することを含むことができる。該方法の種々の実施形態において、ナノリアクターの内容物はスクリーニングに先立ってインキュベートすることができる。スクリーニング工程は、例えば、蛍光偏光によって行うことができる。液体標識は量子ドット(q−ドット)または染料であり得る。

なおもう1つの態様において、本発明は乳化された化合物のライブラリーの質を制御する方法を含む。該方法は、例えば、a)乳化化合物のライブラリーを供し;b)不活性なフルオロカーボン媒体中にq−ドット符号化緩衝液水溶液を乳化させ、それにより、小滴を形成させ;c)q−ドット符号化小滴を乳化化合物のライブラリーと共にインキュベートし;d)ライブラリーからq−ドット符号化小滴を分類し;e)ライブラリー中に乳化された化合物のいずれかの存在についてq−ドット符号化小滴を分析し;次いで、f)乳化化合物のライブラリーから工程(e)で同定された化合物を削除ことができ、ここで、工程(a)〜(f)の1以上はマイクロ流体デバイス上で行われる。1つの実施形態において分析工程は質量分光分析によって行われる。

なおさらなる態様において、本発明は細胞を分類する方法を提供する。該方法は、a)アフィニティ−試薬を酵素に融合させ;b)工程(a)の融合産物を細胞集団と混合し;c)融合産物に付着した細胞を単離し;d)不活性なフルオロカーボン媒体中に工程(c)の細胞を乳化させ;e)工程(d)の細胞エマルジョンを、工程(a)の酵素に対応した基質を含むエマルジョンと凝集させ、それにより、ナノリアクターを形成し;次いで、f)ナノリアクターの内容物の間の望ましい反応についてナノリアクターをスクリーニングすることを含むことができ、ここで、(a)〜(f)の1以上の工程はマイクロ流体デバイス上で行われる。1つの実施形態において、アフィニティ−試薬は、細胞表面ガンマーカーに対して特異的である抗体であり得る。酵素はalk/phos、β−ガラクトシダーゼ、またはホースラディッシュペルオキシダーゼを含むことができる。アフィニティ−試薬を多数の酵素と融合させることができ、多数の基質を乳化し、細胞エマルジョンと凝集させることができる。

本発明のもう1つの態様は、個々の染色体からの個々のエクソンを配列決定する方法を提供する。該方法は、例えば、a)エクソンに対する特異的プライマー−対を該プライマー−対に結合することができるビーズで乳化し;b)工程(a)のエマルジョンをプールして、ライブラリーエマルジョンを作り出し、c)別々の染色体DNAエマルジョンを供し;d)工程(b)のライブラリーエマルジョンを工程(c)の染色体エマルジョンと凝集させ、それにより、ナノリアクターを形成し;e)DNAをナノリアクター中で増幅し;f)ビーズを単離し;g)DNAを含有するビーズについてスクリーニングし;次いで、h)DNAを含有するビーズを配列決定することを含むことができ、ここで、(a)〜(h)の1以上の工程をマイクロ流体デバイス上で行う。

本発明の非限定的な実施形態を、模式的であって、スケール通りに描かれることを意図しない添付の図面を参照して例として記載する。図面中、説明される各同一またはほとんど同一の構成要素は、典型的には、単一の数字によって表される。明瞭性の目的で、構成要素の全てをあらゆる図面において記号で表わしてはおらず、また、当業者が本発明を理解するのに説明を必要としない場合には、示された本発明の各実施形態のあらゆる構成要素を示さない。

図1は、本発明のマイクロ流体デバイスの相互作用モジュールを示す模式図である。

図2は、ヒトおよび細菌細胞についてのフローサイトメトリー−細胞−ベースのアッセイを示す写真およびそれに伴うグラフである。

図3は、同時の2色蛍光検出を示す模式図およびグラフである。

図4は、本発明のナノリアクターを用いる化学ライブラリースクリーニングを示す模式図である。

図5は、蛍光偏光アッセイの物理的基礎を説明する模式図である。

図6は、q−ドットおよび有機染料の吸収および発光スペクトルを示すいくつかのグラフである。

図7は、q−ドット読出と同時に偏光蛍光測定を行うのに必要な蛍光テストステーションに対する延長を示す模式図である。

図8は、蛍光偏光ベースのキナーゼアッセイを示す模式図およびそれに伴うグラフである。

図9は、Gleevecのレトロ合成分析を説明する模式図である。

図10は、同一前駆体からの蛍光および非蛍光産物の合成を説明する模式図である。

図11は、化学反応の化学コード付けおよび解読タギングのための核酸の使用を示す模式図である。

図12は、タックマンアッセイおよび分子ビーコンプローブを説明する模式図である。

図13は、偏光した蛍光シグナルを示すグラフである。

図14は、分析された小滴から計算された蛍光偏光の時間追跡およびヒストグラムを示すグラフである。

図15(A)は、小滴BがAに接触し、凝集するのを可能とする、小滴Aの誘電泳動停止を説明する模式図である。誘電泳動力は、組み合わせたA+Bを停止させるのに十分強くなく、それらは流れに移動される。これは顕微鏡写真、図15(B)に示される。

図16は、ライブラリー小滴(B)と鉗合される、チップ上で作製された小滴(A)を示す模式図(a)および写真(b、e)である。該小滴は異なるサイズのものであって、より小さな小滴Bは、追い付くまで小滴Aよりも高い速度で移動し、その後それらは一緒に移動する。電場は小滴を凝集させる、図16(c)。小滴AおよびBは共にライブラリーから来ることができ(オフ−チップで作製)、図16(d)あるいはオン−チップで作製することができる。

図17(A〜D)は、異なるタイプの小滴の鉗合を達成するための代替方法を示す。

図17(A〜D)は、異なるタイプの小滴の鉗合を達成するための代替方法を示す。

図18A〜Dは、カップリングされた対の観察された受動的凝集を強調する−(A)Tee 0.25mM FC−1%E5−5%PVP 70−FF 1%E5−5%PVP−0.1mM FC−PBS 70−11172005−ノズル−3.cin;(B)Tee 0.25mM FC−1%E5−5%PVP 90−FF 1%E5−5%PVP−0.1mM FC−PBS 70−11172005−ノズル−5.cin;(C)Tee 0.25mM FC−1%E5−5%PVP 90−FF 1%E5−5%PVP−0.1mM FC−PBS 70−11172005−ノズル−凝集前−8.cin;(D)1%E5−5%PVP−0.25mM FC−50−1%E5−5%PVP−0.1mM FC−PBS 50−11172005−概観−1.cin。

図19は、個々の染色体のエクソンを配列決定するのに用いられるモジュールの組み立ての模式的ダイアグラムを示す。(A)プライマー−結合ビーズと共に異なるエクソンに対する個々の特異的プライマー−対は、各々、別々に乳化され、次いで、プールして、ライブラリーエマルジョンを作り出し(96エクソンプライマー対の組を説明目的で示す);(B)個々のモジュールを小滴操作の配列において一緒に並べる。染色体DNA溶液を、30ミクロンの小滴が、平均して、DNAの半−ゲノム濃度よりもわずかに低いものを含有するように希釈される。エクソン−特異的プライマーのプールされたエマルジョンライブラリーからの小滴を、染色体DNAの希釈された溶液を含有する小滴と組み合せ、ビーズ−ベースのDNA増幅反応(すなわち、PCR)で用いられ;(C)DNA−含有ビーズは、ピコタイタープレートにランダムに入れられ、454 Corp.’s Life Sciences DNA配列決定機器を用いて配列決定される。

図20は、454機器での試料の調製およびDNA配列決定を記載する。A)ゲノムDNAを単離し、断片化し、アダプターに連結し、一本鎖に分離する(頂部左側)。ビーズ当たり1断片に好都合な条件下で断片をビーズに結合させ、ビーズを、油中PCR−反応−混合物型エマルジョンの小滴中に捕獲し、PCR増幅は各小滴内で起こり、その結果、ユニークなDNA鋳型の1000万コピーを各々が運ぶビーズが得られる(頂部、左側から2番目)。エマルジョンが破壊され、DNAストランドが変性され、一本鎖DNAクローンを運ぶビーズはファイバー−オプティックスライドのウェルに沈積される(底部左側)。ピロホスフェート配列決定に必要な固定化された酵素を運ぶより小さなビーズが各ウェルに沈積される(底部、左側から2番目);B)ビーズを含有する小滴および空の小滴を示すエマルジョンの顕微鏡写真。薄い矢印は28−mmビーズを示し;厚い矢印はほぼ100−mm小滴を示し;C)ビーズ沈積前のファイバー−オプティック−クラッドおよびウェルを示す、ファイバー−オプティック−スライドの一部の走査型電子顕微鏡写真;D)配列決定機器は以下の主なサブシステムよりなる群から選択される:流体アセンブリ;E)ウェル−含有ファイバー−オプティックスライドを含む流動チャンバー;F)CCDカメラ−ベースのイメージングアセンブリ;G)および必要なユーザーインターフェイスおよび機器制御を供するコンピュータ。

図21は、本明細書中に記載されたマイクロ流体デバイス上での蛍光偏光(FP)を用いるDNAハイブダリゼーションの測定を示す。(A)FPを用いて、マイクロ流体デバイス上の2DNA分子の結合を測定することができる。(B)オリゴヌクレオチド102は101および103双方に対して相補的である。標識された102へのいずれかのオリゴヌクレオチドの付加は、mP値をシフトさせ、結合を示す。非相補的オリゴへの102の付加はそのmPを変化させない(データは示さず)。オリゴヌクレオチド;

(詳細な説明) 本明細書中に記載されたマイクロ流体デバイスおよび使用方法は、不活性フルオロカーボン油ストリームによって完全にカプセル化された水性相小滴の作成および電気的操作に基づく。この組合せは、電気的にアドレス可能な小滴の創製、高度に有効な小滴の凝集、正確な小滴破壊および再荷電、および制御可能な単一小滴ソーティングを可能とする。さらなる受動的モジュールは多−ストリーム小滴処方、混合モジュール、および精度破壊モジュールを含む。これらのモジュールの一体化は、小滴ベースの高スループットマイクロ流体リアクターシステムのための必須の実施化技術である。本発明のマイクロ流体デバイスは、流動−フォーカシング幾何学を用いて、小滴を形成することができる。例えば、水ストリームは狭い収縮を通じて1つのチャネルから注入することができ;反対増殖油ストリーム(好ましくは、フッ素化油)は水力学的に水ストリームに焦点を当て、それが収縮を通るに連れてミクロンサイズ小滴への破壊を安定化させる。小滴を形成するために、油によって水ストリームに適用された粘性力は水の表面張力に打ち勝たなければならない。生成速度、水小滴のスペーシングおよびサイズは、油および水ストリームの相対的流速、およびノズルの幾何学によって制御される。この乳化技術は極端に頑強であるが、小滴のサイズおよび速度は流体流動速度およびチャネル寸法に密接にカップリングされる。さらに、小滴生産のタイミングおよび相は制御することができない。これらの制限を克服するために、本発明のマイクロ流体デバイスは一体化された電場を取り込むことができ、それにより、電気的にアドレス可能な乳化系を作り出すことができる。1つの実施形態態様において、これは、高い電圧を水性ストリームに適用することによって達成することができ、油水界面を荷電することができる。水ストリームは導体として挙動し、他方、油は絶縁体であり;電気化学的反応はキャパシターのように流体界面を荷電する。スナップ−オフにおいて、界面の電荷は小滴に残る。小滴のサイズは場の強さを増大させるにつれて減少する。低い印加電圧において、電場は無視できる効果を有し、小滴形成は、前記したように、表面張力および粘性流油の間の競合によって専ら駆動される。本発明のマイクロ流体小滴−ベースの反応−封じ込め系は、さらに、2以上の試薬を組合せて、化学反応を開始させるミキサーを含むことができる。多−成分小滴は、小滴が作製される地点において材料のストリームを一緒に運ぶことによって容易に生成させることができる。しかしながら、最も単純な反応を除いた全ては、新しい試薬が各工程の間に加えられる多数の工程を必要とする。小滴−ベースのマイクロ流体デバイスにおいては、これは、各々が個々の反応体を含有する異なる小滴を合わせる(すなわち、凝集させる)ことによって最良に達成することができる。しかしながら、これはマイクロ流体デバイスにおいて達成するのが特に困難である。なぜならば、表面張力、界面活性剤安定化、および排出力は全てが小滴凝集を妨げるからであり;さらに、小滴は、その各流動を規定するストリームラインを横切らなくてはならず、かつ凝集のための正確な地点に到達するには完全に同調されなければならない。本発明のマイクロ流体デバイスは、静電化を用い、反対の符号の電荷を各小滴上に置き、次いで、電場を印加して、それらを凝集させることによってこれらの困難を克服する。非限定的例として、本発明によるデバイスは、異なる組成および反対電荷を持つ小滴を生じさせる2つの別々のノズルを含むことができる。小滴は2つのストリームの密集において一緒にされる。形成に際して小滴を荷電させるのに用いる電極もまた電場を供して、小滴を蒸気ラインを横切らせ、凝集に導く。電場の不存在下では、2つの蒸気中の小滴は、一般には、正確に同時に密集の地点に到達しない。それらが同調して到達する場合には、小滴を分離する油層は、凝集を容易とするのに十分に早く排出できず、その結果、小滴は凝集しない。対照的に、電場の印加に際して、小滴形成は正確に同調されるようになり、小滴は各々同時に密集の地点に到達することが確実とされる(すなわち、対合小滴)。

さらに、小滴は反対に荷電されるので、それらは相互に引き付けられ、この力はそれらを流体ストリームラインを移動させ、相互に接触させ、それにより、それらを凝集させる。小滴形成の顕著な同調は、電場によって媒介される小滴の対の各々の破壊のカップリングに由来する。反対に荷電した小滴、および試薬を合わせ、混合するための電場の使用は極端に頑強であって、小滴の100%は反対のストリームからのそれらのパートナーと共に凝集する。

本発明のマイクロ流体デバイスの他の実施形態は、小滴ソーターを含むことができる。個々の小滴の内容物はプローブされなければならず、選択された小滴は区別されるストリームに分類される。1つの実施形態において、マイクロ流体デバイスにおけるそのようなソーティングは、機械的弁の使用を介して達成することができる。本発明のもう1つの実施形態において、小滴の静電荷電の使用は、正確に制御でき、高い周波数においてスイッチングでき、かつ移動部分を必要としない代替手段を供する。小滴上の静電電荷は、外部電場への電荷の線形カップリングに基づいて小滴毎のソーティングを可能とする。その例として、担体流体の流動を分裂させるT−接合分岐は、等しく、小滴集団を2つのストリームへ同等にランダムに分裂させるであろう。しかしながら、分岐で印加された小さな電場は、いずれのチャネルが小滴に入るかを正確に指令する。

場の方向の変化は、分類された小滴の方向を変化させる。小滴に付与することができる大きな力、および場をスイッチングするのに必要な短い時間は、これを、動く部品のない速いかつ頑強なソーティングエンジンとし;かくして、処理速度は小滴生成の速度および電場のスイッチング時間のみによって制限され、容易に秒当たり20,000を超えることができる。

従って、1つの実施形態において、本発明は、少なくとも1つの分散された相流体を運ぶのに適合させた少なくとも1つの入口チャネル、および連続相流体を運ぶのに適合させた少なくとも1つの主要チャネルを含む微細加工基材、ここで、入口チャネルは、分散された相流体が連続相流体と非混和性であって、連続相流体中に複数の小滴を形成するように、1以上の入口モジュールにおいて主要チャネルと流体連絡しており;凝集モジュール、ここで、電場が印加されて、2以上の小滴を凝集させ;およびc)凝集モジュールで生じた凝集した小滴の内容物および/または特徴を評価するための検出装置を含む検出モジュールを含むマイクロ流体デバイスを提供する。該微細加工基材は、さらに、1以上のソーティングモジュール、収集モジュール、廃棄モジュール、分岐チャネル、遅延モジュール、混合モジュールおよび/またはUV放出モジュール、またはそのいずれかの組合せをいずれかの順序で含むことができる。図1。

また本発明は、ナノリアクターを作り出す方法も提供する。該方法は、a)少なくとも1つの分散した相流体を運ぶのに適合させた少なくとも1つの入口チャネル、および連続相流体を運ぶのに適合させた少なくとも1つの主要チャネルを含む微細加工基材を供し、ここで、該入口チャネルは1以上の入口モジュールにおいて主要チャネルと流体連絡しており、およびここで、該分散した相流体は連続相流体と非混和性であり;b)第一の分散した相流体が連続相流体中で1以上の小滴を形成するように、第一の入口チャネルを通って第一の分散した相流体を流動させ;c)第二の分散した相流体が連続相流体中で1以上の小滴を形成するように、少なくとも第二の入口チャネルを通って少なくとも第二の分散した相流体を流動させ;次いで、d)電場の影響下で、工程(b)で形成された少なくとも1つの小滴を、工程(c)で形成された少なくとも1つの小滴と凝集させ、それによりナノリアクターを生じさせることを含む。

また、本発明は、ナノリアクターを操作する方法も提供する。該方法は、本明細書中に記載されたナノリアクターを供し;流体連絡するように微細加工された基材上に相互に対して一体的に配置されたマイクロ流体モジュールを担持する複数の電気的にアドレス可能なチャネルを供し、およびナノリアクターを操作するための制御システムを供することを含む。

また、本発明は、生物学的/化学的物質を操作する方法も提供する。該方法は、a)少なくとも1つの分散した相流体を運ぶのに適合した少なくとも1つの入口チャネル、および連続相流体を運ぶのに適合した少なくとも1つの主要チャネルを含む微細加工された基材を供し、ここで、該入口チャネルは1以上の入口モジュールにおいて主要チャネルと流体連絡しており、およびここで、該分散された相流体は連続相流体と非混和性であり;b)第一の分散した相流体が連続相流体中で1以上の小滴として存在するように、第一の生物学的/化学的物質を含む第一の分散した相流体を第一の入口チャネルを通って流動させ;c)第二の分散した相流体が連続相流体中で1以上の小滴として存在するように、第二の生物学的/化学的物質を含む第二の分散した相流体を第二の入口チャネルを通って流動させ;d)誘電泳動力を小滴に作用させることによって、工程(b)で形成された少なくとも1つの小滴を遅らせ、または停止させ;e)工程(c)で形成された少なくとも1つの小滴を、凝集モジュール内の電場の影響下で、工程(d)で遅らせた、または停止させた小滴で凝集させ、それにより、ナノリアクターを生じさせ、f)該ナノリアクターを遅延モジュール内でインキュベートし;次いで、g)検出モジュール内で所定の特徴について該ナノリアクターを問い合わせすることを含む。工程(b)からの小滴の遅延または停止は、工程(c)からの小滴が、それらが電場によって、あるいはチャネルを狭くすることを介して通過させることによって受動的に、凝集するように駆動される位置(e)までそれらが移動する前に、それらの対合を可能とする。

工程(d)において、(b)および(c)からの小滴の対合は、3つの方法:(i)電場勾配によって生じた誘電泳動力の使用;(ii)より小さな小滴がより大きな小滴に追いつくように、1つの小滴がチャネル幅と匹敵し、および1つの小滴がチャネル幅よりも小さい場合に最良に働く、2つの異なるサイズの小滴の使用;および(iii)工程(b)および(c)における小滴が異なる粘度を有し、かくして、異なる速度で移動すること;のうちの1つで達成することができる。好ましくは、小滴は異なるサイズのものであって、より好ましくは、より大きな小滴が、もしそれが球形であれば、チャネル幅よりも大きな直径を有するのに十分な容量を有する。

生物学的/化学的物質をソーティングする方法は、頻繁に望まれるのであるが、デバイスを用い、あるいは本発明の方法を実施するためには必要ない。特に、本発明のデバイスおよび方法は、生物学的/化学的物質が分析され、および/または同定されるが、ソーティングされない実施形態も含む。2つの小滴の凝集を通じてのナノリアクターの生成が、頻繁に望まれるが、デバイスを用い、または本発明の方法を実施するには必要ない。特に、本発明のデバイスおよび方法は、生物学的/化学的物質を凝集事象なくしてソートされる実施形態も含む。

基材 また、本発明は、マイクロ流体デバイスを製造する方法も提供する。マイクロ流体デバイスを製造する方法はいずれかの組合せにて以下の工程の1以上を含む:1)ハードリソグラフィー、2)ソフトリソグラフィー、3)抽出および/またはパンチスルー、4)ボンディング、5)チャネルコーティング、6)相互結合アセンブリ、7)電極注入、および8)導波管注入およびファイバー取付。前記工程を本明細書中にてより詳細に記載する。

「分析ユニット」は、少なくとも1つの入口チャネル、少なくとも1つの主要チャネル、少なくとも1つの凝集モジュール、および少なくとも1つの検出モジュールを有する微細加工された基材、例えば、微細加工されたチップである。分析ユニットは、さらに、1以上のソーティングモジュールを含有することができる。ソーティングモジュールは、1以上の出口モジュール(収集モジュールまたは廃棄モジュール)と連絡した分岐チャネルを流体連絡することができる。ソーティングでは、少なくとも1つの検出モジュールが少なくとも1つのソーティングモジュールと協働して、デタクター−由来シグナルを介して流動をそらす。「モジュール」および「チャネル」は相互に対して流体連絡しており、従って、重複し得る;すなわち、モジュールまたはチャネルが開始し、終わる明らかな境界はないであろうことは認識されるべきである。本発明によるデバイスは複数の分析ユニットを含むことができる。

試料流動および混合のための種々のチャネルを単一チップ上に微細加工することができ、例えば、動的実験用に、検出またはソーティングモジュールとしてチップ上のいずれかの位置に位置させることができる。本発明の複数の分析ユニットは1つのデバイス中に組み合わせることができる。本発明に従って適用される微細加工は、慣用的なゲル電気泳動またはフローサイトメトリーの動的実験で起こるデッドタイムを排除し、良好な時間−分解能を達成する。さらに、単一チップ上のチャネルの線形アレイ、すなわち、多重システムは、異なるチャネルの平行分析のために光電子増倍管(PMT)のアレイを用いることによって同時に試料を検出し、分類することができる。この配置はスループットを改良するために、あるいは順次の試料豊富化用に用いることができ、慣用的なフローソーターによって許容される能力を超えるマイクロ流体デバイスに対して非常に高いスループットを供するのに適合させることができる。循環システムは、本発明のこれらおよび他の特徴と協調して用いることができる。正の変位圧駆動流動が、流体流動を制御する好ましい方法であり、電場および電場勾配はその流動内で小滴を操作する好ましい方法である。

微細加工は、PCR、光学ピンセット/細胞捕獲を用いる細胞の移動、エレクトロポレーションによる細胞の形質転換、μTAS、およびDNAハイブリダイゼーションのような、他の技術を単一チップ上のフローサイトメトリーと一体化させ、または組み合わせることを可能とする。レポーターの細胞特徴を検出するのに用いられる検出器および/または光フィルターもまた、チップ上で直接的に製造することができる。好ましくは、検出器はオフ−チップ自由空間オプティックスまたはオン−チップリードを備えたオフ−チップエレクトロニクスである。

本発明のデバイスは、典型的には、入口チャネルと流体連絡した、入口モジュールにおいて、試料溶液貯蔵庫またはウェル、または試料をデバイスに導入するための他の装置を備えるように微細加工することができる。貯蔵庫は、分子または細胞のデバイスへの、および各分析ユニットの試料入口チャネルへの導入を容易とすることができる。入口モジュールは、試料をデバイスへ入れるのを可能とするために、微細加工されたチップのフロアにおけるような開口を有することができる。入口モジュールは、それを通って試料を供給することができる、液体クロマトグラフィーまたはHPLCチュービングのような、チュービングの適当なピースを受け取るのに適合させたコネクターも含有することができる。そのような配置は、陽圧下で試料溶液を導入して、入口モジュールにおいて所望の注入速度を達成するのを容易とする。

本発明の微細加工デバイスは、好ましくは、シリコンマイクロチップまたはシリコンエラストマーから製造する。チップの寸法は、一辺当たり約0.5cm〜約7.5cm、および厚みが約1ミクロン〜約1cmの間の範囲である典型的なマイクロチップのそれである。微細加工されたデバイスは透明とすることができ、グラスカバースリップのような透明な特性を有する材料で被覆して、例えば、光学顕微鏡のような光学デバイスによるレポーターの検出を可能とすることができる。

本発明のデバイスは、入口および出口インターコネクトを含むことができる。チューブを含めた相互結合は極めて清潔としなければならず、かつデバイスの適切な操作を可能とするためにPDMS表面でのボンディングを優れたものとしなければならない。マイクロ流体デバイスへの流体結合を行うにおける困難性は、主として、デッドボリュームを最小化しつつ巨視的流体ラインからデバイスへ移すにおける困難性によるものである。商業的マイクロ流体プラットフォームの開発は、オペレーターおよびエラーの漏出の危険性を低下させるために単純な信頼性がおける流体相互結合を必要とする。シリコンウエハー上に既に置かれたチューブを備えたPDMSスラブの硬化および製造はこれらの目標を達成する。

鋳型プロセスは、限定されるものではないが、以下の特徴を含むことができる。汚染および漏出を最小化するためには、より大きな再現性および信頼性を可能とするプロセス操作が改良される。PDMSスラブのためのチューブおよびインターコネクトは所定の場所で硬化させることができる。チューブおよびインターコネクトは、UV−硬化接着剤を適用して、チューブをシリコンウエハー上の所定の場所に保持するのを可能とすることによって所定の場所へ設置することができる。一旦チューブが所定の場所に入れられたならば、PDMSをウエハーに注ぎ、硬化させることができる。硬化したPDMSは、所定の場所のチューブと共に、シリコンウエハーから容易に剥離することができる。このプロセスは流体チャネルならびに他の連結チャネルに適用することができる。一旦接着剤がウエハーに適用されたならば、プロセスは、チャネルの位置および清潔性の正確な再現性でもってのPDMSスラブの迅速な鋳型形成を可能とするであろう。いずれのサイズのチューブもこの目的で実施することができる。このプロセスは、デバイス中の相互結合ジョイントおよびより小さな相互結合フットプリントに対するより低い応力を可能とする。

1つの実施形態において、チュービングおよびデバイスの間の面シールを生じさせることに基づく小さなインターコネクトを用いる。グロメットを、テーパーを付した穴、または垂直な壁を備えた穴のいずれかに入れることができる。1つの実施形態において、2つの側の間の隆起した接触表面がデバイス側の代わりにチュービング側に形成される。もう1つの実施形態において、シーリング特徴をデバイスに成型することができる。なおもう1つの実施形態において、可能なインターコネクトを成型し、PDMSから直接的にガラス基材に結合することができる。この実施形態において、PDMSの薄いフィルムを同時に形成し、スライドグラスの頂部に結合させることができ、離されたパターン化電極、および流体チャネル直下の加熱エレメントの使用を可能とする。もし必要でなければ、シールは頂部スキンなくして作成することができよう。隆起した接触表面もまたチュービング側に形成することもできよう。連結のチュービング側のシーリング表面はチュービングの面に直接的に形成することができるが、チュービングアセンブリー/保持ナットに固定された別々のピースを用いることもできる。

インターコネクトのチューニング側が、チュービングの正確なレジストレーションを供する保持ブロックに設置することができ、他方、マイクロ流体デバイスは、保持ブロックが整列し、それにクランプする担体中に正確に位置させることができる。これらの設計に関連する合計デッドボリュームは、どのようにして正確に2つの接合表面を相互に対して位置させることができるかに臨界的に依存するであろう。シールを維持するのに必要な最大力は、シーリング材料の正確な形状および組成、ならびにデバイス自体の剛性および強度によって制限されるであろう。接合表面の形状は最小漏出可能性、必要なシーリング力および誤−整列の可能性となるように仕立てることができる。非限定的例としては、流体相互結合で用いる単一のリングは、適切な断面形状の一連のリングで置き換えることができる。

本発明のデバイスは、流体的、電気的および/または光学的相互結合のような、機能的相互結合のために穴が空けられ、かつインターコネクトのデバイスへの接合が漏出防止されるようにデバイスの裏界面にシールされた、スライドグラスのような相を含むことができる。そのようなデバイスは、漏出することなく高い圧力を流体チャネルに適用することを可能とする。

微細加工された流動チャネルおよび他の構成要素を含有するシリコン基材は、好ましくは、被覆され、シールされ、最も好ましくは、透明なカバー、例えば、薄いガラスまたは水晶で好ましくは被覆されシールされるが、他の透明なまたは半透明なカバー材料を用いることもできる。外部放射線源または検出器を使用する場合、検出モジュールは透明なカバー材料で被覆して、細胞への光学的アクセスを可能とする。例えば、「PYREX(登録商標)」カバースリップへの陽極ボンディングは、双方の構成要素を水性H2SO4/H2O2浴中で洗浄し、水中ですすぎ、次いで、例えば、450Vの電圧を印加しつつ約350℃まで加熱することによって達成することができる。

本発明は非適合性媒体へPDMSを結合する改良された方法を提供する。伝統的な結合プラクティス(接着剤、エポキシ等)を用いるPDMS、シリコーン、テフロン(登録商標)、およびPEEKのような材料へ直接的に種々の材料(プラスチック、金属等)を結合させる通常の方法は、PDMSのような材料への結合剤の貧弱な接着のため良く働かない。市販の表面アクチベータによる通常の表面調製は、マイクロ流体デバイス製造において良く働かなかった。この問題は、結合すべきPDMS表面を、高強度酸素または空気プラズマで処理することによって排除される。該プロセスは、PDMSの頂部相を、標準的な接着剤と極めてよく結合するガラスに変換する。UV−硬化接着剤(Loctite 352,363その他)を用いて外部流体ラインをPDMSに結合するこの方法を用いるテストの結果、PDMS基材よりも強い結合をもたらし、その結果、結合の失敗に先立ってPDMSの破壊がもたらされる。本方法は、高放射フラックス、波長の選択、および硬化露出時間を組合せて、接着剤の結合強度を有意に高める。

チャネル 本発明は、流体に対する境界を形成するチャネルを有するマイクロ流体デバイスを提供する。デバイスのチャネルは、油−水混合物のような非適合性または非混和性流体の混合物を運ぶ。生物学的/化学的物質を含有する水溶液の小滴は、油または他の非適合性溶媒内に分散される。この多−相混合物の各小滴は1以上の分子、粒子または細胞をカプセル化することができる。小滴は捕獲され、それらの境界はチャネルの壁によって規定され、従って、それらは拡散および/または混合されない。個々の粒子または分子は、個々の小滴内部に別々に区画化することができる。これらの小滴を分析し、(例えば、小滴内容物を反応させるための)他の小滴と組み合わせ、分析し、次いで、ソートすることができる。かくして、本発明は、生物学的/化学的物質を分析し、組合せ、検出しおよび/または分類する方法も提供する。

デバイスに存在するチャネルはミクロン寸法で作成することができ、検出モジュールの容量は正確に制御される。デバイスの平面幾何学は多数の開口オプティックスの使用を可能とし、それにより、システムの感度を増大させる。システムは全体的に自己−含有されるので、エアロゾル形成はなく、バイオハザード物質のかなりより安全なソーティングを可能とする。デバイスにソートされた物質は、第二の非適合性または非混和性溶液の流れ中を移動する水性溶液の個々の小滴内に区画化される。かくして、極めて小さな粒子、分子または試薬をソートし、または分析する場合でさえ、材料拡散または交換位置に関して問題はない。好ましい実施形態において、水小滴は油の流れ中に押し出されるが、いずれの流体相も小滴相として用いることができ、いずれの他の非適合性または非混和性流体または相もバリア相として用いることもできる。

「チャネル」は、本明細書中で用いる場合、流体の流れを少なくとも部分的に指令するデバイス(例えば、基材)上の、または中の特徴を意味する。いくつかの場合において、チャンネルは、少なくとも部分的には、単一の構成要素、例えば、エッチングされた基材または成型されたユニットによって形成することができる。チャネルはいずれかの断面形状、例えば、円形、卵型、三形、不規則、四角または矩形(いずれかのアスペクト比を有する)等を有することができ、被覆でき、または被覆しなくても良い(すなわち、チャネルの周りの外部環境に関して開いている)。チャネルが完全に被覆された実施形態において、チャネルの少なくとも1つの部分は完全に包まれた断面を有することができ、および/または全チャネルはその入口および出口を除いてその全長さに沿って完全に包むことができる。

チャネルは少なくとも2:1、より典型的には少なくとも3:1、5:1、または10:1のアスペクト比(平均断面寸法に対する長さ)を有することができる。本明細書中で用いる場合、流体またはマイクロ流体チャネルに関連する「断面寸法」は、一般には、チャネル内での流体の流動に垂直な方向で測定される。開いたチャネルは、一般には、流体輸送に対する制御を容易とする特徴、例えば、構造的特徴(細長い窪み)および/または物理的または化学的特徴(疎水性−vs−親水性)、および/または流体に対して力(例えば、含有力)を発揮することができる他の特徴を含むであろう。チャネル内の流体はチャネルを部分的にまたは完全に満たすことができる。いくつかの場合において、流体は、例えば、(例えば、流体が凹または凸メニスカスのようなメニスカス内のチャネル内に保持されるように)表面張力を用いてある様式にてチャネルまたはチャネルの一部内に保持し、または封じ込めることができる。製品または基材において、チャネルのいくつか(または全て)は、例えば、約5mm未満、約2mm未満、約1mm未満、約500ミクロン未満、約200ミクロン未満、約100ミクロン未満、約60ミクロン未満、約50ミクロン未満、約40ミクロン未満、約30ミクロン未満、約25ミクロン未満、約10ミクロン未満、約3ミクロン未満、約1ミクロン未満、約300nm未満、約100mm未満、約30nm未満、または約10nm未満、またはある場合にはそれ未満の流体に対して垂直方向の最大寸法を有する特定のサイズまたはそれ未満のものであってよい。ある実施形態において、チャンネルは毛細管である。勿論、いくつかの場合には、より大きなチャネル、チューブなどを用いて、流体をまとめて貯蔵し、および/または流体をチャネルに送達することができる。

いくつかの実施形態において、チャネルの寸法は、例えば、もし流体が細胞を含有するならば、流体がチャネルを通って自由に流動できるように選択することができる。チャネルの寸法は、例えば、チャネルにおける流体のある容量または線流速を可能とするように選択することもできる。勿論、チャネルの数およびチャネルの形状は当業者に知られたいずれかの方法によって変化させることができる。いくつかの場合において、1を超えるチャネルまたは毛細管を用いることができる。例えば、2以上のチャネルを、それらが相互に対して内側に存在する場合、相互に対して隣接に位置させて用いること等ができる。

「主要チャネル」は、1以上の小滴を凝集させるための凝集モジュール、検出(同定)または測定のための検出モジュール、またはもし存在すれば、検出モジュールにおける検出に基づいて小滴をソートするための小滴およびソーティングモジュールを通過した分子、細胞、小分子または粒子の流動を可能とする本発明のデバイスのチャネルである。凝集、検出および/またはソーティングモジュールは、主要チャネルに入れるか、またはそこに製造することができる。主要チャネルは、典型的には、入口チャネルまたは入口モジュールと流体連絡している。「入口チャネル」は、分子、細胞、小分子または粒子の主要チャネルへの流動を可能とする。1以上の入口チャネルは、試料を本発明のデバイスに導入するための1以上の手段と連絡している。入口チャネルは入口モジュールにおいて主要チャネルと連絡している。主要チャネルは、典型的には、出口モジュールと、および所望により分岐チャネルと流体連絡しており、その各々は収集モジュールまたは廃棄モジュールを有することができる。これらのチャネルは主要チャネルからの細胞の流動を可能とする。

本発明のデバイスのチャネルは、Polymer Technology Group (Berkeley, Calif.)から入手可能なもの、例えば、PurSil(登録商標)およびCarboSil(登録商標)のようなシリコン−ウレタン複合体からの、シリコンエラストマー(例えば、RTV)、ウレタン組成物から形成することができる。チャネルは界面活性剤、TEFLON(登録商標)、あるいはその各々がフルオロ界面活性剤を含有するように修飾することができる、オクタデカフルオロオクタン(98%,Aldrich)、またはFluorinert(FC−3283;3M)、またはフルオロノナンのようなフッ素化油のような添加剤または剤で被覆することもできる。フッ素化油は、マイクロ流体適用において望ましい、化学的不活性性、高いガス浸透性、および生体適合性を含めた好都合な特性を有する。TEFLON(登録商標)は、疎水性であって、有利には水を吸収しないシリコンエラストマー(RPV)チャネルに特に適しているが、それらは油相に暴露した場合に膨潤する傾向があり得る。膨潤はチャネルの寸法および形状を変化させることができ、チャネルを閉じることさえでき、あるいは例えば、エラストマーおよびカバースリップの間のシールに応力を与えることによってチップの一体性に影響することができる。ウレタン基材は油中で膨潤する傾向はないが、親水性であり、それらは望ましくなく水を吸収でき、より高い操作圧力を用いる傾向がある。疎水性コーティングを用いて、水吸収を低下させ、または排除することができる。吸収または膨潤の論点もまた、圧力または小滴頻度を改変または最適化する(例えば、周期性を増加させて吸収を低下させる)ことによって取り組むこともできる。RTV−ウレタンハイブリッドを用いて、ウレタンの親水性特性とシリコンの疎水性特性とを組み合わせることができる。

本発明のチャネルは、例えば、慣用的なフォトリソグラフィー技術を用い、またはWhitesides and Xia, Angewandte Chemie International Edition 37, 550(1998)によって記載された「ソフトリソグラフィー」と呼ばれるマイクロマシーニング技術を用いてシリコンチップをエッチングすることによって微細加工される。これらおよび他の微細加工方法を用いて、安価な小型化デバイスを提供することができ、ソフトリソグラフィーの場合には、改良されたフレキシビリティ、安定性、および機械的強度のような有益な特性を有する頑強なデバイスを供することができる。光学検出をしようする場合、本発明は、分子、細胞、小分子または粒子懸濁液およびチャンバー材料からの最小光散乱も提供する。本発明によるデバイスは比較的安価であって、設定するのが容易である。それらは使い捨てとすることもでき、これは(分子についての)ゲル電気泳動、および粒子の慣用的なFACSマシンの流動チャンバーおよびチャネルへの滅菌および永久的吸着の懸念の多くを軽減する。

本発明のデバイスのチャネルは前記したいずれの幾何学のものとすることもできる。しかしながら、デバイスのチャネルは、チャネルの内容物が操作され、例えば、ソートされ、混合され、閉塞が妨げられる、等々するように、特定の幾何学を含むことができる。

主要チャネルの流れ内で小滴である(すなわち、入口モジュールによって沈積した)粒子(例えば、細胞)または分子については、デバイスのチャネルは好ましくは丸められており、直径は、交差−流動領域または小滴押し出し領域において約2および100ミクロンの間、好ましくは約60ミクロン、およびより好ましくは約30ミクロンである。この幾何学は、チャネルにおける小滴の秩序立った流動を容易とする。同様に、分析デバイスにおける検出モジュールの容量は、典型的には、約10フェムトリットル(fl)および5000flの間、好ましくは約40または50fl〜約1000または2000flの間の範囲、最も好ましくは約200fl程度である。好ましい実施形態において、デバイスのチャネル、特に、小滴押出領域に連結する入口のチャネルは約2および50ミクロンの間、最も好ましくは約30ミクロンである。

マイクロ流動デバイスは、ソーティングの間に小滴に対する流体剪断力を最小とするように設計された分岐幾何学を含むことができる。公知のデバイスは、有意な剪断力がソーティングの間に小滴に影響する分岐幾何学を記載する。具体的には、分岐に遭遇するに先立って入力チャネルの幅を横切ってソーティング力の影響下で移動する場合に、小滴は剪断力を経験することができ、小滴は、小滴を細長く離し、または小滴を裂いたりさえするように適用される分岐点において剪断力を経験することができる。

分岐幾何学を有するチャネルを含むマイクロ流体デバイスは、(i)分岐の上流にある入力チャネルのネックダウンされたセグメントを含めることによって、ここで、小滴はソーティング決定をなすように診断され、および/または(ii)分岐に直ちに先立って入力チャネルのフレアード−アウト(flaired−out)セグメントを含めることによって、および/または(iii)分岐の遠い壁にフォークを含めることによってこれらの剪断を最小化することができる。剪断力は構成要素(i)によって最小化される。なぜならば、ソーティング場は、小滴がネックダウンされたセグメントにある場合に適用されるからである。従って、小滴がネックダウンされたセグメントを出た場合、小滴は流体ストリームラインに置かれ、これはそれを分岐の所望のブランチから運び出す。さらに、小滴は、分岐の望まないブランチに従う流体ストリームラインに有意には遭遇しない。剪断力は構成要素(ii)によって最小化される。なぜならば、小滴は、それが分岐の望まないブランチに従う流体ストリームラインを経験するであろう地点において分岐の遠い壁に有意にはインパクトを与えないからである。剪断力は構成要素(iii)によって最小化される。なぜならば、フォークは、力は流体ストリームラインの2つの組(すなわち、分岐の1つのブランチに従う1つの組、分岐の他のブランチに従う他の組)を相互から離して集中させるように働くからである。

マイクロ流体デバイスは、小滴中へのカプセル化に先立って、生物学的/化学的物質の凝集を妨げ、および生物学的/化学的物質を相互から離して保つように設計された特別な幾何学を含むことができる。チャネルの寸法の幾何学は、凝集を乱し、限定されるものではないが、(その寸法が単一細胞の寸法よりも小さいか、または匹敵する狭い領域(または一連の)狭い領域を通るように細胞に力をかける)幾何学的ピンチング、あるいは(一連のバリケードを移動する細胞の途中において、細胞の移動を乱し、細胞の凝集を破壊する)バリケードを含むことができる、種々の方法によってそれらを破壊して離すように変化させることができる。

チャネルの設計は、例えば、チャネルの入口において2つの希釈チャネルを用いて流動フォーカスを通る中心ストリームラインに沿って移動する生物学的/化学的物質に力をかけて、チャネル表面への付着を妨げることができる。これは、細胞による表面付着を妨げるのにも用いることができる。

これらの寸法の小滴は、それらの各容量を維持しつつ、チャネルのサイズおよび形状に適合する傾向がある。かくして、小滴がより広いチャネルからより狭いチャネルに移動するにつれ、それらはより長くかつより薄くなり、またその逆も成立する。それらが広い限り、小滴は少なくとも約4倍であり得る。ロゼンジ形状として考えることができるこの小滴の立体配置はチャネルを通ってスムーズにかつ十分に流動する。より狭いチャネルで生じたより長い小滴はより高い剪断を供し、これは、すなわち、より小さな力を用いて小滴をより容易に剪断し、または流れから取り除くことができることを意味する。また、小滴はチャネル表面に接着する傾向があり、これは流れを遅くし、またはブロックすることができ、あるいは乱れを生じさせることができる。小滴がチャネルのサイズとの関係で自由に破壊するのに十分に大きい場合に、小滴の接着は克服される。かくして、変化するサイズの小滴は、もし存在すれば、合わされて、スムーズなまたは層流小滴流動をもたらすいわゆる臨界的質量または容量を有する均一な小滴を形成することができる。それらの幅よりも長い、好ましくは、それらの幅よりも約4倍長い小滴は、一般には、チャネル接着を克服し、かつマイクロ流体デバイスを通って自由に移動する能力を有する。かくして、60ミクロンチャネルでの例示的な実施形態において、典型的な自由流動小滴は約60ミクロンの幅であり240ミクロンの長さである。小滴の寸法および流動の特徴は、所望により、部分的には、チャネルの寸法、例えば、チャネルの幅を変化させることによって影響され得る。

本発明の微細加工デバイスは、最も好ましくは、丸い単分散小滴を生じさせる。該小滴はマイクロチャネルの直径よりも小さな直径を有することができる;すなわち、細胞を用いる場合には好ましくは40〜100μm、あるいは試薬を用いる場合には5〜40μmである。単分散小滴は、例えば、高スループットデバイス、および高い周波数において、かつ高い均一性の小滴を生じさせるのが望ましい他の実施形態において特に好ましいであろう。

物質(例えば、細胞および他の粒子または分子)がチャネルの側面に接着するのを妨げるためには、チャネル(および、もし用いれば、カバースリップ)は、接着を最小化させるコーティングを有することができる。そのようなコーティングは、それからデバイスが製造される材料に固有なものであり得、あるいはそれは、チャネルの構造的態様が微細加工された後に適用することができる。「TEFLON(登録商標)」は、適当な表面特性を有するコーティングの例である。

マイクロ流体デバイスのチャネルの表面は、分散した相のためにいずれかの抗−湿潤またはブロッキング剤で被覆することができる。チャネルはいずれかのタンパク質で被覆して、生物学的/化学的試料の接着を妨げることができる。例えば、1つの実施形態において、チャネルはBSA、PEG−シランおよび/またはフルオロシランで被覆される。例えば、5mg/mlのBSAは、付着を妨げ、および閉鎖を妨げるのに十分である。もう1つの実施形態において、チャネルは、商標CytopでAsahi Glass Co.によって販売されるタイプのようなペルフルオロ(アルケニルビニルエーテル)の共重合によって得られた環化透明光学ポリマーで被覆することができる。そのような実施形態において、コーティングは、CT−Solv 180中のCytop CTL−809Mの0.1〜0.5wt%溶液から適用される。この溶液は、プラスチックシリンジを介してマイクロ流体デバイスのチャネルに注射することができる。次いで、デバイスを2時間で約90℃まで加熱し、続いて、200℃においてさらに2時間加熱することができる。もう1つの実施形態において、商標AquapelでPPG Industries, Inc.によって販売され、かつここに引用して援用する米国特許第5,523,162号に開示されたタイプの疎水性コーティング(例えば、シリカプライマー層の使用と組み合わせたプラスチックおよび被覆されたプラスチック基材表面のペルフルオロアルキルアルキルシラン表面処理)で被覆することができる。チャネルの表面をフッ素化することによって、連続相はチャネルを優先的に湿らせ、デバイスを通っての小滴の安定な生成および移動を可能とする。チャネル壁の低い表面張力は、それにより、チャネル閉塞粒状物の蓄積を最小化する。

マイクロ流体デバイスにおけるチャネルの表面は、望ましくない湿潤挙動を妨げるためにフッ素化することもできる。例えば、マイクロ流体デバイスは、(トリデカフロオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリクロロシランの開いた瓶を備えたポリカルボネートデシケーターに入れることができる。デシケーターは5分間真空に引き、次いで、20〜40分間シールされる。次いで、デシケーターは空気で逆充填され、取り出される。このアプローチは、フルオロシランでのマイクロ流体デバイスのチャネルの容易な浸透を可能とする単純な拡散メカニズムを用い、同時デバイスフッ素化のために容易にスケールアップすることができる。

マイクロ流動デバイスは、適当なPEG−シランの蒸気または溶液で処理して、表面PEG機能性化を行うシリンジ(または他のガラス容器)を含むことができる。ガラス容器(例えばシリンジ)の壁をPEG機能性で処理する目的は、生物学的/化学的物質の本発明のマイクロ流体デバイスへの適切な導入を台無しにする、容器の内側壁への生物学的接着を妨げることにある。

本発明のデバイスは、小滴の間の間隔を変化させる目的で小滴流中の小滴の間に流体を注入し、または除去するための1以上の流体チャネルを含むことができる。

本発明は、チャネル幾何学によって細胞を操作する方法を提供する。ほとんどの細胞、特に哺乳動物細胞は懸濁液中で相互に接着する傾向がある。チャネル幾何学を変化させる目的は、細胞を凝集体から脱着させ、それらが小滴中にカプセル化される前にそれらを相互から離していることにある。チャネル寸法の幾何学は、凝集体を乱し、例えば、幾何学的ピンチングおよび/またはバリケードを含むことができる種々の方法によってそれらを破壊して離すように変化させることができる。幾何学的ピンチングでは、細胞は、その寸法が単一の細胞の寸法よりも小さな、または匹敵する1以上の狭い領域を通させる。バリケードでは、一連の障害物/妨害物(バリケード)を移動する細胞の道をふさいで位置させ、細胞の移動を乱し、および細胞の凝集体を破壊する。

本発明は、流体ピンチングおよび表面コーティングの方法を含めたチャネル閉塞を妨げる方法を提供する。いくつかの細胞およびポリスチレンビーズはPDMS/ガラス表面に付着する傾向がある。これは望ましくない結果である。というのは、蓄積されたビーズはチャネル、特に狭い領域(すなわち、ノズル)を閉塞しかねないからである。チャネルの設計およびブロッキング剤をいくつかの実施形態で用いて、ビーズがチャネル表面に、および相互に付着するのを妨げることができる。非限定的例はコーティング試薬およびチャネルの設計を含む。BSA(またはいずれかの他のタンパク質)のようなコーティング試薬をビーズ緩衝液に加えて、チャネルの表面ならびにビーズの表面を被覆する。5mg/ml BSAは、ビーズの付着を妨げるのに十分であることが示されている。30um幅および25um深さのノズルデバイスにおける10um直径のビーズでの実験においては、閉塞は観察されない。チャネル設計に関しては、ビーズのチャネル表面への付着を妨げるためにビーズのチャネルの進入において2つの希釈チャネルを用い、細胞/ビーズを流動フォーカスを通る中心ストリームラインに沿って動かす。これは、細胞による表面付着を妨げるのにも用いることができる。

本発明の典型的な分析ユニットは、主要入口から下流に位置した入口モジュールにおいて主要チャネルと連絡した1以上の試料入口チャネルと共に、主要チャネルの一部であり、かつ主要チャネルに供給し、またはそれと直接的に連絡される主要入口チャネルを含む。1つの実施形態において、各異なる試料入口チャネルは、好ましくは、異なる入口モジュールにおいて主要チャネルと連絡する。もう1つの実施形態において、異なる試料入口チャネルは同一入口モジュールにおいて主要チャネルと連絡することができる。入口チャネルは、さらに、試料を該デバイスに導入するための手段に連結される。該手段はウェルまたは貯蔵庫であり得る。該ウェルまたは貯蔵庫は、さらに、音響アクチュエーターを含む。該手段は温度制御できる。主要チャネルは、さらに、該デバイスから試料を収集するための手段に連結される。該手段はウェルまたは貯蔵庫であり得る。該手段は温度制御できる。

入口モジュールは、一般には、試料の溶液(すなわち、分子、細胞、小さな分子(有機または無機)または粒子のような試料を含有する流体)が主要チャネルに導入され、複数の小滴を形成するように、試料入口チャネルおよび主要チャネルの間に接合を含む。試料溶液は圧縮することができる。試料入口チャネルは、試料溶液が、主要チャネルを通過する流体の流れに対して垂直な角度にて主要チャネルに導入されるように、主要チャネルと交差することができる。例えば、試料入口チャネルおよび主要チャネルはT−形状の接合において交差し;すなわち、従って、試料入口チャネルは主要チャネルに対して垂直(90度)である。しかしながら、試料入口チャネルはいずれの角度で主要チャネルと交差することもでき、試料溶液を、その流れに垂直である角度にて主要チャネルに導入する必要はない。交差するチャネルの間の角度は、約60〜約120度の範囲である。特別な例示的角度は45、60、90、および120度である。

主要チャネルは、今度は、もし存在すれば、例えば、T−形状またはY−形状を形成するソーティングモジュールまたは「ブランチ点」において2以上のブランチチャネルと連絡することができる。他の形状およびチャネル幾何学は所望により用いることができる。

本発明のデバイスは、小滴形成に先立って試料をクロマトグラフィーによりソートするための1以上の手段を含むことができる。該手段は入口チャネルおよび/または入口モジュールと流体連絡することができる。好ましくは、該手段はチャネルである。該試料はサイズ、電荷、疎水性、原子質量などによってソートすることができる。該分離はイソクラティックに、または(例えば、塩または疎水性を用いて)化学的に勾配を生じさせることによって、電気的に、圧力により、等のようにして行うことができる。サイズ排除では、チャネルにセファロースを予め負荷することができる。次いで、試料を一端に負荷し、小滴は反対の端部で形成される。試料は小滴内に取り込まれるようになる前にサイズによって分離される。

流体 用語「流動」は、デバイスを通っての、または本発明の方法における液体または固体のいずれの移動も意味し、制限なくしていずれの流体のストリームも、および物質がストリームによって運ばれるか否かを問わず、ストリームと共に、ストリームの中で、またはストリームに対して移動するいずれの物質も含む。例えば、デバイスを通っての、または本発明の方法における、例えば、本発明のマイクロ流体チップのチャネルを通っての分子、ビーズ、細胞またはビリオンの移動は流動を含む。これは、本発明によると、分子、ビーズ、細胞またはビリオンが流動をやはり含む流体のストリームによって運ばれるか否かを問わず、あるいは分子、細胞またはビリオンがいくつかの他の直接的または間接的力またはモチベーションによって移動されるか否かを問わず、およびいずれの原動力の性質が知られているかまたは理解されているか否かに関わらず、そうである。いずれの力の適用を用いても、限定されるものではないが、分子、細部またはビリオンが本発明による検出、測定またはソーティングのために向けられる限り、いずれかの特定の理論または作用メカニズムに関することもなく、圧力、毛管作用、電気−浸透圧、電気詠動、誘電泳動、光学ピンセット、およびその組合せを含めた流動を供することができる。

主要チャネルにおける流動流は、典型的には、必ずしも必要ないが、連続的であって、停止させ、出発させ、逆行させ、または速度を変化させることができる。ソーティングに先立って、試料分子、細胞または粒子を含有しない液体を、試料入口ウェルまたはチャネルに導入し、例えば、毛管作用によって入口モジュールを通じて向けて、使用するために水和し、およびデバイスを調製することができる。同様に、緩衝液または油は、主要チャネルと直接的に連絡する主要入口領域に導入して、デバイス(例えば、または「デッド」空気)をパージし、用いるためにそれを調製することもできる。所望により、例えば、緩衝液または油を出口モジュールに加えることによって、圧力を調整し、または等しくすることができる。

入口モジュールにおける圧力は、例えば、入口チャネルにそれらを供給する圧縮シリンジで主要および試料入口チャネルの圧力を調整することによって調節することもできる。入口モジュールにおける油および水源の間の圧力差を制御することによって、生じた小滴のサイズおよび周期性を調節することができる。別法として、バルブを、それに連結された入口モジュールまたは試料モジュールチャネルのいずれかに、またはいずれかと同時において、溶液の入口モジュールへの流動を制御し、それにより、小滴のサイズおよび周期性を制御することができる。周期性および小滴の用量は、チャネルの直径、流体の粘度、および剪断圧力にも依存し得る。

本明細書中で用いる場合、用語「流体流」または「流動性流」とは、典型的には、一般に、特定の方向の流体の流動をいう。流動性ストリームは連続的および/または不連続的であってよい。「連続」流動性流は、単一存在として生じる流動性流であり、例えば、もし連続流動性ストリームがチャネルから生じたならば、流動性ストリームは、生じた後にチャネル出口に連続しているようである。連続流動性ストリームは連続相流体または担体流体とも言われる。連続流動性ストリームは、層流、またはいくつかの場合には乱流であってよい。連続流動性ストリームは、例えば、(すなわち、例えば、中空チューブにおけるような内部に第二の流体を含有する)固体または中空であってよい。「チューブ」が本明細書中で用いられる場合は常に、該構造は中空、固体または満たされた(すなわち、中空でない)ストリーム、中心コアおよび周囲の層または複数層を含むストリームとすることができ、そのいずれかは他のいずれのものと選択的に反応することができ、あるいは固化することができる、などであることは理解されるべきである。ある場合には、中心コアは中空であり、および/または流体を硬化した周囲の流体から取り出して、中空チューブを得ることができる。連続相流体は非極性溶媒とすることができる。連続相流体はフルオロカーボン油とすることができる。

同様に、「不連続」流動性ストリームは、単一の存在として生じない流動性ストリームである。不連続流動性ストリームは分散した相流体または試料流体とも言われる。不連続流動性ストリームは、所望により、第二の流体によって囲まれていてもよい個々の小滴の外観を有することができる。「小滴」は、本明細書中で用いる場合、第二の流体によって完全に囲まれた第一の流体の離れた部分である。いくつかの場合においては、小滴は球形または実質的に球形であってよく;しかしながら、他の場合には、小滴は非球形であってよく、例えば、小滴は、例えば、外部環境に依存して、「小球」の外観、または他の不規則な形状を有してもよい。本明細書中で用いる場合、第一の存在は、もし閉ループが第二の存在のみを通じて第一の存在の周りに描き、または理想化することができるならば、第二の存在によって「囲まれている」。分散した相流体は生物学的/化学的物質を含むことができる。生物学的/化学的物質は組織、細胞、粒子、タンパク質、抗体、アミノ酸、ヌクレオチド、小分子、および医薬であり得る。生物学的/化学的物質は1以上の標識を含むことができる。標識はDNAタグ、染料または量子ドット、またはその組合せとすることができる。

用語「エマルジョン」とは、第二の流体の本体中の(本明細書中においては滴、小滴またはナノリアクターともいう)小さな球に分布した1つの液体の調製物をいう。第一および第二の流体は相互に非混和性である。例えば、不連続相は水性溶液とすることができ、連続相は油のような疎水性流体とすることができる。これは油中水型エマルジョンといわれる。あるいは、エマルジョンは水中油型エマルジョンであってもよい。その例において、小球に分散した第一の液体は不連続相という。他方、第二の液体は連続相または分散媒体という。連続相は水性溶液とすることができ、不連続相は油(例えば、デカン、テトラデカン、またはヘキサデカン)のような疎水性流体である。水中油型エマルジョンにおける油の小滴または小球は本明細書中においては「ミセル」とも言われ、他方、油中水型エマルジョンにおける水の小球は「逆ミセル」ということができる。

本明細書中で用いる場合、用語「ナノリアクター」およびその複数形は本明細書中で定義される用語「小滴」、「マイクロ滴」または「マイクロ小滴」、ならびに本明細書中において詳細に記載される、操作および小滴のプロービングのための一体化された系を含む。本明細書中に記載されるナノリアクターは0〜100μm(例えば、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100)とすることができる。

小滴形成性液体は、典型的には、超純水(例えば、カラムクロマトグラフィーによって得られる18メガ−オーム抵抗率)、10mM Tris HClおよび1mM EDTA(TE)緩衝液、リン酸緩衝セライン(PBS)または酢酸塩緩衝液のような水性緩衝液溶液である。分析し、および/またはソートすべき分子、細胞または粒子の集団に生理学的に適合するいずれの液体または緩衝液も用いることができる。主要チャネルを通過する、およびその中で小滴が形成される流体は、小滴形成性流体と非混和性であるものである。主要チャネルを通過する流体は非極性溶媒、最も好ましくはデカン(例えば、テトラデカンまたはヘキサデカン)、フルオロカーボン油またはもう1つの油(例えば、鉱油)とすることができる。

分散相流体はデバイス中での組合せ、分析および/またはソーティングのための生物学的/化学的物質(例えば、分子、細胞または他の粒子)を含有することもできる。分散相流体の小滴は1を超える粒子を含有することができ、または1以下の粒子を含有することができる。例えば、生物学的物質が細胞を含む場合、各小滴は、好ましくは、平均して、1以下の細胞を含有する。小滴はその内容物に従って検出し、および/またはソートすることができる。

本発明で用いる流体は、表面張力を低下させる剤(界面活性剤)のような1以上の添加剤を含有することができる。界面活性剤はTween、Span、フルオロ界面活性剤、および水に対して油に可溶性である他の剤を含むことができる。界面活性剤は、例えば、小滴を交差チャネルに押し出し、または注入するのに必要とされる剪断力を低下させることによって、小滴のサイズ、流動および均一性を制御し、または最適化するのを助けることができる。これは小滴の用量および周期性、または小滴が破壊されて交差チャネルに入る速度または頻度に影響し得る。さらに、界面活性剤はフッ素化油中の水性エマルジョンを凝集から安定化させるように働くことができる。

小滴は界面活性剤で被覆してもよい。連続相流体に加えても良い好ましい界面活性剤は、限定されるものではないが、ソルビタンモノラウレート(Span 20)、ソルビタンモノパルミテート(Span 40)、ソルビタンモノステアレート(Span 60)およびソルビタンモノオレエート(Span 80)、および過フッ素化ポリエーテル(例えば、DuPont Krytox 157 FSL、FSM、および/またはFSH)を含めた、ソルビタン−ベースのカルボン酸エステル(例えば、「Span」界面活性剤、Fluka Chemika)のような界面活性剤を含む。用いても良い非イオン性界面活性剤の他の非限定的原因はポリオキシエチレン化アルキルフェノール(例えば、ノニル−、p−ドデシル−、およびジノニルフェノール)、ポリオキシエチレン化直鎖アルコール、ポリオキシエチレン化ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレン化メルカプタン、長鎖、カルボン酸エステル(例えば、天然脂肪酸のグリセリルおよびポリグリセリルエステル、プロピレングリコール、ソルビトール、ポリオキシエチレン化ソルビトールエステル、ポリオキシエチレングリコールエステルなど)およびアルカノールアミン(例えば、ジエタノールアミン−脂肪酸縮合物およびイソプロパノールアミン−脂肪酸縮合物)を含む。加えて、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)のようなイオン性界面活性剤を用いても良い。しかしながら、そのような界面活性剤は、一般には、本発明の多くの実施形態についてあまり好ましくない。例えば、水性小滴を化学反応(生化学反応を含む)のためのナノリアクターとして用いる、または生体物質を分析し、および/またはソートするのに用いる実施形態において、SDSのような水溶性界面活性剤は小滴の内容物を変性または不活化しかねない。

担体流体は添加剤として(好ましくは、約0.2および5容量%の間、より好ましくは約2%)界面活性剤(例えば、Span界面活性剤のような非イオン性界面活性剤)を含有する油(例えば、デカン、テトラデカンまたはヘキサデカン)またはフルオロカーボン油であり得る。ユーザーは、好ましくは、担体流体中の界面活性剤がチャネル壁を被覆するように、担体流体をマイクロ流体デバイスのチャネルを通って流す。

1つの実施形態において、フルオロ界面活性剤は、過フッ素化ポリエーテルDuPont Krytox 157 FSL、FSM、またはFSHを揮発性フッ素化溶媒中の水性水酸化アンモニウムと反応させることによって調製することができる。溶媒および残存する水およびアンモニアはロータリーエバポレーターで除去することができる。次いで、界面活性剤を、次いで、エマルジョンの連続相として働かせるフッ素化油(例えば、Flourinert(3M))に溶解させることができる(例えば、2.5wt%)。

本発明は、例えば、バルブおよびポンプを利用して圧力駆動流動制御を用いて、1以上の方向の、および/またはマイクロ流体デバイスの1以上のチャネルへの細胞、粒子、分子、酵素または試薬の流動を操作することができる。しかしながら、他の方法を、単独で、あるいは電気−浸透圧流動制御、電気詠動および誘電泳動のような、ポンプおよびバルブと組合せて用いることもできる。(Fulwyer,Science 156, 910(1974);Li and Harrison,Analytical Chemistry 69, 1564(1997);Fiedlerら Analytical Chemistry 70, 1909−1915(1998);米国特許第5,656,155号)。本発明によるこれらの技術の適用は、例えば、ソーティングは、検出モジュールにおいて、またはその直後において置くことができるソーティングモジュールにおいて、またはその中で起こるゆえに、分析またはソーティングのためのより迅速かつ正確なデバイスおよび方法を提供する。これは、分子または細胞が移動するより短い距離を提供し、それらはより迅速かつより少ない乱れでもって移動することができ、単一のファイルにて、すなわち、一度に1つにてより容易に移動し、調べ、ソートすることができる。

いずれかの理論に拘束されずして、電気−浸透圧は、2以上の電極の間に電圧差または電荷勾配の適用によって、イオンを含有する流れ、例えば、緩衝液のような液体中で運動を生じさせると考えられる。中性(非荷電)分子または細胞はストリームによって運ぶことができる。電気−浸透圧は、流動のコース、方向または速度を迅速に変化させるのに特に適している。電気泳動は、反対電荷の1以上の電極に向けての、および同様な電荷の1以上の電極から離れての流体における荷電物体の移動を生じさせると考えられる。水性相を油相と組み合わせる場合、水性小滴は油によってカプセル化され、または相互から離される。典型的には、油相は導電体ではなく、電気−浸透圧場から小滴を絶縁することができる。この例において、電気−浸透圧を用いて、もし油が電場まで運ばれ、またはそれに反応するように修飾されていれば、あるいはもし油が、水中に非混和性であるが、電場から水相を絶縁しないもう1つの相に代えて置き換えているならば、小滴の流動を駆動することができる。

誘電泳動は、正味の電荷を有さないが、相互に対して正または負に荷電した領域を有する誘電性物体の移動を生じさせると考えられる。小滴および/または細胞または分子のような粒子の存在下における交流の不均一電場は小滴および/または粒子を電気的に分極させ、かくして、誘電泳動力を経験させる。粒子および懸濁性媒体の誘電分極性に依存して、誘電性粒子は高い場の強さまたは低い場の強さのいずれかの領域に向けて移動するであろう。例えば、生きた細胞の分極性はそれらの組成、形態および表現型に依存し、印加された電場の周波数にかなり依存する。かくして、異なるタイプの、異なる生理学的状態における細胞は、一般には、例えば、微分誘電泳動力によって、細胞分離についての基礎を提供できる区別可能に異なる誘電特性を保有する。同様に、小滴の分極性は、そのサイズ、形状および組成にも依存する。例えば、塩を含有する小滴は分極することができる。Fiedlerら Analytical Chemistry 70,1909−1915(1998)に供された式によると、単一小滴の個々の操作は小滴に近い寸法を持つ場の差(不均一性)を必要とする。

操作は、懸濁性媒体と共に小滴/粒子の誘電率(誘電特性)にやはり依存する。かくして、ポリマー粒子、生きた細胞は、水中で高−場周波数において負の誘電泳動を示す。例えば、水中の0.5MV/mの場(20ミクロンの電極ギャップに対して10V)においてラテックス球によって経験される誘電泳動力は、15ミクロンのラテックス球についての15pNに対する3.4ミクロンラテックス球について約0.2ピコニュートン(pN)であると予測される(Fiedlerら Analytical Chemistry 70, 1909−1915(1998))。これらの値は、ストリーム中の球によって経験される水力学力よりもかなり大きい(3.4ミクロン球について約0.3pN、および15ミクロン球について1.5pN)。従って、個々の細胞または粒子の操作は誘電泳動を用い、細胞ソーターデバイスにおけるようにストリーミング流体で達成することができる。慣用的な半導体技術を用い、電極を基材上に微細加工して、本発明の微細加工ソーティングデバイスにおける力の場を制御することができる。誘電泳動は、導電体である動く物体に特に適している。AC電流の使用は、イオンの永久的整列を妨げるのに好ましい。メガヘルツの周波数は、比較的長い距離に渡っての正味の整列、引力、および移動を供するのに適している。米国特許第5,454,472号参照。

放射圧もまた本発明で用いて、物体、例えば、そのなかに含有される小滴および粒子(分子、細胞、粒子など)を、レーザーのような光の集中されたビームで偏向させ、移動させることもできる。流動は、デバイスの1以上のチャネルの間の、あるいは本発明の方法における圧力差または勾配を供することによって得て、制御することもできる。

分子、細胞または粒子(あるいは分子、細胞または粒子を含有する小滴)は、直接的機械的スイッチングによって、例えば、オン−オフバルブで、あるいはチャネルを圧搾することによって移動させることができる。例えば、出力ウェルを上昇または下降させて、チップ上のチャネル内部の圧力を変化させることによって、圧力制御を用いることもできる。例えば、米国特許第6,540,895号に記載されたデバイスおよび方法参照。これらの方法およびデバイスは、係属中の米国特許出願公開番号20010029983および20050226742に記載された方法およびデバイスと組合せてさらに用いることができる。「ポンプおよびバルブ」駆動システムは特に好ましい。それらは迅速で、有効で、経済的で、かつ製造し制御するのが比較的容易である。加えて、それらは、制御するのがより困難であって、ある場合には、小滴内容物に潜在的に影響し得る電場または電荷に依拠しない。異なるスイッチングおよび流動制御メカニズムを1つのチップ上で、または1つのデバイス中で組み合わせることができ、所望により独立して、あるいは一緒に働かすことができる。

デバイスは、液滴が、第一の非混和性流体中にある場合、第一の非混和性流体と非混和性である小滴内の成分が第二の非混和性流体に可溶性であるような、第二の非混和性流体に暴露されるように、流体流動の使用を介して小滴内の成分を交換することができる。1つの例において、化学反応を含む水性小滴は、脂質溶媒に可溶性である副産物を生じる。化学反応は、シリコン−ベースの溶媒中の水−環境において行われる。化学反応が起こった後、小滴は有機−油ベースの溶媒に暴露され、そこで、化学副産物が小滴の外へ拡散される。次いで、小滴を生きた細胞と合わせることによって、得られた小滴を細胞−殺傷活性についてアッセイする。別法として、非水性流体流動の変化を用いて、小滴が100%の第一の非混和性流体流動に戻る前に、第二の非混和性流体からの特定の成分を加えて、水性滴に拡散させる。

小滴中の分子、細胞または粒子の濃度(すなわち、数)はソーティングに有効に影響でき、従って、好ましくは最適化される。特に、試料濃度は、小滴のほとんどが1以下の分子、細胞または粒子を、ごくわずかな統計学的可能性でもって、小滴が2以上の分子、細胞または粒子を、含有するのに十分に希薄であるべきである。これは、測定の大部分について、それが検出モジュールを通過するにつれて各小滴中で測定されたレポーターのレベルは、単一の分子、細胞または粒子に対応し、2以上の分子、細胞または粒子に対応しないことを確実にする。

この関係を支配するパラメータは小滴の容量、および試料溶液中の分子、細胞または粒子の濃度である。小滴が2以上の分子、細胞または粒子を含有する確率(P≦2)は、 P≦2=1−{1+[細胞]×V}×e−[細胞]×V として表すことができ、ここで、「[細胞]」は立法ミクロン(μm3)当たりの分子、細胞または粒子の数のユニットにおける分子、細胞または粒子の濃度であり、Vはμm3のユニットにおける小適の容量である。

P≦2は、試料溶液中の分子、細胞または粒子の濃度を減少させることによって最小化することができるのが認識されるであろう。しかしながら、試料溶液中の分子、細胞または粒子の濃度の減少の結果、デバイスを通って処理された溶液の増大した容量がもたらされ、かつより長い実行時間がもたらされ得る。従って、小滴中の多数の分子、細胞または粒子の存在を最小化し、(それにより、ソーティングの精度を増加させる)、試料の容量を低下させ、それにより、許容される濃度の分子、細胞または粒子を含有する合理的容量における合理的時間でのソートされた試料を可能とするのが望ましい。

許容される最大P≦2は、ソートされた試料の望まれる「純度」に依存する。この場合における「純度」とは、望まれる特徴を保有する(例えば、特定の抗原を提示する、特定のサイズ範囲にある、あるいは特定のタイプの分子、細胞または粒子である)ソートされた分子、細胞または粒子の一部分をいう。ソートされた試料の純度はP≦2に逆比例する。例えば、高い純度が必要とされたり、望まれない適用においては、比較的高いP≦2(例えば、P≦2=0.2)が許容できる。ほとんどの適用では、約0.1における、またはそれ未満での、好ましくは約0.01における、またはそれ未満でのP≦2の維持は満足できる結果を供する。

(前記した液体または緩衝液のような)適当な流体中に分子、細胞または粒子の混合物または集団を含有する試料溶液は試料入口チャネルに供給され、試料溶液の小滴は、入口モジュールにおいて、主要チャネルを通過する流動に導入される。流動の力および方向は、流動を制御するためのいずれかの所望の方法によって、例えば、圧力差によって、バルブ作用によって、あるいは(例えば、入口および/または出口モジュールにおける、1以上の電極、またはパターン化された導電性層によって生じた)電気−浸透圧流動によって制御することができる。これは、細胞の、1以上の望まれるブランチチャネルまたは出口モジュールへの移動を可能とする。

小滴を含む流体、および小適を運ぶ流体(すなわち、水性かつ非極性流体)は共に、好ましくは、比較的低いレイノルズ数、例えば、10−2を有する。レイノルズ数は、流体の密度および速度、および与えられた長さのチャネルにおけるその粘度の間の逆関係を表す。より短い距離にわたってのより粘性で、より密度が低い、よりゆっくりと移動する流体はより小さなレイノルズ数を有し、乱れなくして転換し、停止し、開始し、または逆行させるのがより容易である。小さなサイズおよびゆっくりとした速度のため、微細加工された流体系は、しばしば、低いレイノルズ数が支配している(Re<<1)。この支配においては、乱流および二次的な流動を引き起こす慣性効果は無視でき;粘性硬化が力学を支配する。これらの条件はソーティングで有利であり、本発明の微細加工されたデバイスによって供される。従って、本発明の微細加工されたデバイスは、もし低いまたは非常に低いレイノルズ数で専ら操作されるのでなければ好ましい。

本発明のデバイスを用いて、その組成が様々な理由(化学反応、試料調製等)のため1つの小滴と次の小滴との間で変化し得る小滴を生じさせることができる。同一デバイス内では、小滴が、種々の手段(光学的または電気的)を用いて内容物を問い合わせできる測定容量を通ることができる。測定の結果を用いて、小滴がいずれの流路を採るべきかを決定することができる。流路を変化させる手段は、本明細書中に記載されたように、または当該分野で良く知られているように、機械的、電気的、光学的または他の技術を通じて達成することができる。

本発明は、マイクロ流体デバイスでの光学的測定の必要性なくして小滴のサイズおよび速度の情報を決定する方法を提供する。多数の事象の間のタイミングを制御する必要性は、小滴が与えられた点を通過する正確な時間の決定を必要とする。また、いずれのチャネルに小滴が入るかを知るのも必須である。この方法はそのような測定のコストおよび複雑性を有意に低下させることができる。

マイクロ流体デバイスにおいて小滴を生じさせるのに用いる流体は、典型的には、油および水のような非混和性液体である。これらの2つの物質は、一般には、それらに関連する非常に異なる誘電定数を有する。これらの差を調べて、マイクロ流体デバイスの小さなセクションを通過する各滴についての小滴速度およびサイズを決定することができる。誘電定数のこの変動を直接的にモニターする1つの方法は、密接に間隔が設けられた電極の対の間の経時的キャパシタンスの変化を測定する。キャパシタンスのこの変化は、これらの電極で測定された電流の変化によって検出することができる:

式中、iは電流であり、Vは電極を横切って印加される電圧であって、dC/dtは経時的なキャパシタンスの変化である。別法として、もし時間変化する電圧を同一電極に印加するならば、キャパシタンスは直接的に測定することができる:i=CdV/dt。ここで、Cは測定されたキャパシタンスであり、およびdV/dtは経時的電圧の変化である。

第一の近似として、電極対は平行プレートキャパシターとして決定することができる。

ここで、ε0は自由空間の誘電率であり、kは有効誘電定数であり(これは小滴が通過するごとに変化する)、Aはキャパシターの面積であって、dは電極分離である。次いで、デバイスで測定された電流を時間の関数としてプロットする。

入口モジュール 「入口モジュール」は、凝集、検出および/またはソーティングのために分子、細胞、小分子または粒子を受け取る微細加工されたデバイスの領域である。入口モジュールは1以上の入口チャネル、ウェルまたは貯蔵庫、開口、および分子、細胞、小分子または粒子のデバイスへの進入を容易とする他の特徴を含有することができる。チップは、所望であれば、1を超える入口モジュールを含有することができる。入口モジュールは主要チャネルと流体連絡している。入口モジュールは、本発明のデバイスの入口チャネルおよび主要チャネルの間の接合を含むことができる。該接合は、圧縮された流体の主要チャネルへの導入を可能とすることができる。入口チャネルは、主要チャネルにおける流体の流動に対して垂直な角度とすることができる。入口モジュールを通って主要チャネルに導入される流体は、入口モジュールを通って導入される流体の小滴が主要チャネルにおける連続流体の流れ中に形成されるように、主要チャネルにおける流体と「非適合性」(すなわち、非混和性)である。

試料の小滴を主要チャネルに導入する2以上の入口モジュールがある本発明の実施形態も提供される。例えば、第一の入口モジュールは、主要チャネルにおける流体(例えば、油)の流れへ第一の試料の小滴を導入することができ、第二の入口モジュールは主要チャネルにおける流体の流動へ第二の試料の小滴を導入することができる、等である。第二の入口モジュールは、好ましくは、第一の入口モジュールから下流にある(例えば、約30μm)。2以上の異なる入口モジュールに導入された流体は、同一の流体または同一タイプの流体(例えば、異なる水性溶液)を含むことができる。例えば、酵素を含有する水性溶液の小滴は第一の入口モジュールにおいて主要チャネルに導入され、酵素に対する基質を含有する水性溶液の小滴は第二の入口モジュールにおいて主要チャネルに導入される。別法として、異なる入口モジュールにおいて導入された小滴は、適合性、または非適合性であり得る異なる流体の小滴であり得る。例えば、異なる小滴は異なる水性溶液であってよく、または第一の入口モジュールにおいて導入された小滴は1つの流体(例えば、水性溶液)の小滴であり得、他方、第二の入口モジュールにおいて導入された小滴はもう1つの流体(例えば、アルコールまたは油)であり得る。

特異的生物学的/化学的物質(例えば、細胞)の単一エレメントを含む1つの小滴を得るためには、生物学的/化学的物質の分離、およびマイクロ流体チャネルにおける生物学的/化学的物質の数密度の均一性が望ましい。従って、マイクロ流体デバイスは音響アクチュエーターを含むことができる。負荷された試料(生物学的/化学的物質)は、カプセル化のためにノズル領域へ送られる前に音響波によってよく混合し、小さなチャンバー中に分離することができる。音響波の周波数は、いずれかの損傷を細胞に対して引き起こさないように微妙にチューニングすべきである。音響混合の生物学的効果は(例えば、インク−ジェット産業において)よく研究されており、多くの公表された文献は、圧電マイクロ流体デバイスは生きた微生物およびDNAのような無傷の生物学的ペイロードを送達することができることを示す。

音響共鳴体の設計は、PDMSスラブ中のカーブド共鳴体の片側に位置した圧電バイモルフ平坦プレートを用いることができる。共鳴体入口は細胞流動入力チャネルに連結することができ、出口は細胞流動ピンチングチャネルに連結することができる。圧電駆動波形を注意深く最適化して、流体中の細胞を分離することができる臨界的周波数を選択することができる。周波数パラメータを超えて最適化するための5つのパラメータがあり、Labエレクトロニクスを用いて、圧電駆動波形を最適化することができる。その後、低コストの回路は、好ましいマイクロ流体デバイスにおいて最適化された波形のみを生じるように設計することができる。

凝集モジュール 本発明のデバイスは1以上の凝集モジュールも含む。「凝集モジュール」は、小滴内に含まれる分子、細胞、小分子または粒子が、分子、細胞、小分子または粒子を含む他の小滴と近接される場合に、および近接する小滴が凝集し、またはそれらの内容物を合わせる場合に、入口モジュールにおいて、またはその下流の主要チャネルの少なくとも一部内にあり、またはそれと一致する。凝集モジュールは装置、好ましくは、誘電泳動力を生じさせるための1以上の電極、またはパターン化された導電性層を含むこともできる。1以上の電極またはパターン化された導電性層によって生じた誘電泳動力は、主要チャネル内の小滴を遅らせ、または停止させることができ、それにより、それらの近接、および結果としての凝集または合体を容易とする。

1以上の小滴ストリーム中の2以上の前駆体小滴は、電圧を印加して電場を生じさせることによって、より大きな小滴へと凝集することができる。電圧は交流とすることができる。電場はAC電場またはDC電場とすることができる。

凝集の影響は、小滴を運ぶストリームの速度に対して第一の前駆体小滴を遅くし、または停止させる誘電泳動力を生じさせることができる。第一の前駆体小滴は、第二の(またはより多くの)前駆体小滴が到達し、小滴中の場誘導二極の間の相互作用のため第一の前駆体小滴と凝集するまで依然としてゆっくりとし、または停止したままである。次いで、増大した容量の新しい小滴は、誘電場によって保持されるのには余りにも大きく、連続的相流体の流れの影響下で移動して去ってゆく。図15〜17参照。印加された電圧の変化は必要とされず、電場は依然として一定である。前駆体小滴の捕獲(遅延または停止)および凝集された小滴の放出は共に受動的であり得る。一旦増大した容量の新しい小滴が移動して去ってゆけば、次いで、次の前駆体小滴が場に捕獲され、プロセスが反復される。1を超える小滴が捕獲された小滴と凝集するように、電圧をチューニングすることができる。1を超える小滴をもう1つの小滴と凝集させる利点は、それが対様式の合体を可能とすることである。別法として、この幾何学での変動は、小滴を流動中の低い速度のストリームラインに一時的にシフトさせることによって小滴相の正確な制御を可能とするであろう。

前駆体小滴は、同一流体ストリームにおいて異なる時間に来ることができ、引き続いて、凝集することができる。別法として、小滴が誘電泳動力の影響下に入り、次いで、小滴中の場誘導二極の間の相互作用のため引き続いて凝集する場合に、小滴が相互に対して実質的に隣接した位置にあるように、前駆体小滴は異なる(例えば、2以上の)流体ストリームに一緒に到達することができる。異なる流体ストリームは実質的に平行とすることができる。

電場勾配は、第二の(またはより多くの)平行流体ストリームにおける前駆体小滴よりも第一の平行な流体ストリームにおいて前駆体小滴に対してより強くすることができる。従って、他のストリーム中の前駆体小滴の周波数が第一のストリーム中の前駆体小滴の周波数よりも大きい場合、捕獲され、それにより相互の間の他の流体ストリーム中での前駆体小滴の凝集を妨げるのは、第一のストリームからの前駆体小滴のみである。このように、電場を変化させて、前駆体小滴の正しい対のみの凝集を引き起こすことができる。かくして、いくつかの実施形態において、(すなわち、電場がオンまたはオフであるかに基づいて)、小滴の捕獲および放出は非受動的であり得る。

デバイスは、流体制御で用いられるチャネル、および一体化された金属合金成分(すなわち、電極)を注型するための金属合金を満たした他のチャネルを含むことができる。別法として、電極は、他の技術を用いて製造することができる(例えば、酸化スズインジウム、または白金のような金属から作られたリソグラフィーによりパターン化された電極)。マイクロ流体デバイスは、限定されるものではないが、小滴の凝集、小滴の荷電、小滴のソーティング、小滴の検出および小滴の振盪を含めた、流体に対する電気的機能を行って、凝集した小滴の内容物を混合するのに有用な金属合金成分を含むことができる。デバイスは、1を超える前記した機能のための1を超える前記した構成要素を含有することができる。

本発明は、生物学的/化学的物質を操作する方法も提供する。1つの実施形態において、誘電泳動力を、電場勾配によって生じた小滴に働かせることによって、第一の生物学的/化学的物質を含む少なくとも1つの小滴を遅くし、または停止させることによって、凝集に先立って、第一および第二の小滴を近接させることができる。もう1つの実施形態において、第一および第二の小滴が異なるサイズのものである場合、凝集に先立って、第一および第二の小滴を近接させることができる。いくつかの実施形態において、第一および第二の小滴の一方は、チャネル幅のサイズとすることができ、他の小滴はチャネル幅よりも小さくすることができる。他の実施形態において、より大きな小滴は、それが、もし球形であるならばチャネル幅よりも大きな直径を有するように、十分な容量を有する。さらなる実施形態において、第一および第二の小滴が異なる粘度のものであって、かくして、異なる速度で移動する場合に、凝集に先立って、第一および第二の小滴を近接させることができる。小滴の粘度は、小滴の内容物を変化させることによって変化させることができる。例えば、グリセロールを小滴に加えて、それに増大した粘度を与えることができる。

1つの実施形態において、生物学的および化学的物質を操作する方法は、さらに、凝集モジュール内で生じた電場勾配からの誘電泳動力の影響下で遅くされ、または停止された小滴とで少なくとも1つの小滴を凝集させ、それにより、ナノリアクターを生じさせることを含む。

連続相流体における第一の分散相流体を流動させることから形成された小滴が、連続相流体において第二の分散相流体を流動させることから形成された小滴に対して異なる速度で移動し、従って、小滴が、電場がそれらを凝集するように誘導する領域に対で到達し、それにより、ナノリアクターを生じさせるように、小滴サイズを制御することができる。いくつかの実施形態において、50%を超える小滴は対となっている。他の実施形態において、75%を超える小滴は対となっている。

連続相流体において第一の分散相流体を流動させることから形成された小滴が、連続相流体において第二の分散相流体を流動させることから形成された小滴に対して異なる速度で移動し、従って、小滴が、電場がそれらを凝集するように誘導する領域に対で到達し、それにより、ナノリアクターを生じさせるように、小滴の粘度を制御することができる。いくつかの実施形態において、50%を超える小滴は対である。他の実施形態において、75%を超える小滴は対である。

金属合金成分を含む電極は、流体チャネルにおいて終わることができ、または流体チャネルから離すことができる。電極は、適当なチャネルを金属合金で満たすことによって構築することができる。1つの方法では、これを達成して、シリンジでのように、融解した状態の金属合金のチャネルへの陽圧注入を用い、次いで、金属合金を固体形態まで冷却することができる。もう1つの例が、陰圧を用いて、融解した状態の金属合金をチャネルに吸引し、次いで、金属合金を固体形態まで冷却することである。これは、例えば、毛管力の使用によって達成することができる。構築のもう1つの方法は前記した実施形態のいずれかを用いることができ、次いで、融解した状態の金属合金をもう1つの液体でフラッシュして、金属合金成分の幾何学を規定することができる。もう1つの例は、前記した実施形態のいずれかを用い、次いで、局所化された冷プローブを用いて、金属合金についての固体終了点を規定し、次いで、残りの金属合金を固体状態まで冷却することである。さらなる例は、微視的ハンダ球またはUV硬化性伝導性インクのようなもう1つの物質を用いて、流体および金属合金チャネルとの間にバリアを形成し、金属合金成分の幾何学を規定することである。

デバイスは、一体化された金属合金成分およびパターン化された導電性層の双方の組合せを含むことができる。パターン化された導電性層は、それらの境界が漏出防止シール内となるようにパターン化された特徴を有することができる。デバイスは、2つの荷電電極の1つとしてパターン化された導電性特徴、および2つの荷電電極の他方としての1つの一体化された金属合金成分を有する。別法として、デバイスはボウタイ型アンテナの2等分としての金属合金成分、および誘電性小滴検出のためのピックアップ型アンテナの2等分としてのパターン化された導電性特徴を有することができる。

デバイスは、デバイスに存在する流体から絶縁された複数の電極、誘電性シグナルおよび適当な流体の適当な適用を含めた操作の方法を含むことができる。公知のデバイスにおいて、電極は、典型的には、流体と接触させて、印加された誘電場をそうでなければスクリーニングする種の排出を可能とする。他方、電極が流体から絶縁された場合のデバイスにおいて、このスクリーニング効果は、典型的には、余りにも速く起こるので、デバイスはいずれかの有意に延長された時間の間有用ではない。流体−vs−絶縁電極と接触した電極の欠点は、(a)漏出に対する質が低下した信頼性(というのは、デバイスの電極および他の構成要素の間の界面は、漏出防止シールに影響することがより困難であり得るからである)、および(b)電極腐蝕に対する質が低下した信頼性(その失敗の態様の影響は誘電場の適用の失敗、および流体チャネルの汚染を含む)である。

デバイスに存在する流体から絶縁された複数の電極を含む本発明のデバイスは、スクリーニング上昇時間を延長し、デバイスに印加された異なる電場の全てについての極性スイッチを含めることによって、このスクリーニング効果に反対に作用する。スクリーニング上昇時間は、誘電特性を持つ流体を用いることによって延長される。デバイスにおいて印加された異なる誘電場の全てについての極性スイッチは、誘電場の極性を、デバイスの適切な誘電機能を維持するのに十分高い周波数において切り替える誘電制御についてのアルゴリズムを用いることによって達成される。この誘電制御アルゴリズムもまた、カスケーディングにおいて誘電場についての極性を切り替えることができ、流体起点で出発し、下流に進む時間制御方式であり、従って、与えられた流体成分はそれらのコースに沿って各点において1つの極性を経験する。本発明のデバイスが、金属合金電極にて、または金属合金電極およびパターン化された伝導性フィルム電極の組合せを用いて用いることができる。

1つの実施形態において、本発明は、注入された電極を用いるマイクロ流体デバイスを提供する。微視的電極(典型的には、25μm厚み)および巨視的インターコネクトの間の界面は、もし2つの間の接合が屈曲すれば容易に崩壊しかねない。接合の屈曲は、接合(すなわち、グロメット)を固定し、支持し、および再度シール用に働く固い材料を界面に固定することによって排除することができる。屈曲を妨げるには、デバイスの接合面は、ガラスまたはプラスチックのような硬い材料から製造することができる。外部系との電気的連結は、デバイスが、グロメットからオフセットされ(それにより、ハンダ領域に適用された力を最小化し)、または(接触がハンダに触れない限り)グロメットを中心としている、バネ負荷接触に連結されるように、デバイスを固定することによってなすことができる。

金属合金成分もまた、限定されるものではないが、鏡を含むことができる幾何学の小滴の光学的検出を含めた、流体に対する光学的機能を行うのに有用である。

マイクロ流体チャネル内に置かれた電極からの流体の漏出を妨げるために、マイクロ流体デバイスは流体制御のためのチャネルでパターン化された相、およびパターン化された導電性特徴を備えたもう1つの層を含むことができ、ここで、それらの境界が漏出防止シール内となるように、特徴はパターン化されている。漏出防止シールは、流体制御層のパターン化されていない領域および導電層のパターン化されていない領域の間の界面において達成することができる。漏出防止シールは、流体制御層、および導電層のパターン化されていない領域の間の第三の界面層によって達成することもできる。第三の界面層は、特異的位置において穴を開けて、流体および導電層の間の接触を可能とすることができ、または可能とすることができない。電気的アクセスポートもまた流体制御層においてパターン化することができる。

前記した電極およびパターン化された導電層はデバイスのいずれかのモジュール(入口モジュール、凝集モジュール、混合モジュール、遅延モジュール、検出モジュールおよびソーティングモジュール)と会合させて、誘電場または電場を生じさせて、小滴およびそれらの内容物を操作し、制御することができる。

マイクロ流体デバイスは、誘電場または電場を小滴分裂と組合せて、小滴破壊の間にイオン種を分離することができる。

本発明は、漏れ磁場を用いて小滴を制御する方法を提供する。マイクロ流体デバイス内の荷電されていない小滴の有効な制御は、極めて強い誘電場勾配の生成を必要とし得る。平行プレートキャパシターのエッジからの漏れ磁場は、これらの勾配を形成するための優れたトポロジーを提供することができる。本発明によるマイクロ流体デバイスは、流動性チャネルを2つの平行電極の間に置くことを含むことができ、その結果、電極対の端部におけるエッジ効果による電極への進入において、急峻な電場勾配をもたらすことができる。電極のこれらの対を対称チャネル分裂に置くと、デバイス内の小滴の正確な二方向制御を可能とすることができる。非対称分裂のみに関する同一原理を用いることが、同様にして小滴方向の単一端部制御を可能とすることができる。別法として、この幾何学に対する変動は、シフティングによる小滴相の正確な制御を可能とするであろう。

本発明のデバイスは、2つの非混和性流体の間の接合における電場の印加で用いることができる。電場は荷電小滴および乳化で必要な大きな力を生じ、他方、接合は、テーラーコーンが存在する場合に、高い場においてさえ小滴の生産を安定化させた。この技術の適応は、限定されるものではないが、サブミクロンサイズまで下降する半径の狭い分布を持つ荷電小滴の生成、および反対に荷電した小滴による制御された小滴凝集を含む。

この実施形態のデバイスは、酸化スズインジウム(「ITO」)から形成された電極を有するガラス基材上にPDMSパターン化することによって作成することができる。電圧の差を電極に適応して、印加された誘電場を作り出すことができる。デバイスは2−流体注入系を含むことができ、ここで、伝導性流体を電場の存在下で非伝導性流体に注入して、非伝導性流体に分散した伝導性流体の小滴を作り出すことができる。小滴は、約1ミクロン未満〜約100ミクロンの直径を有するように作り出すことができる。これらの小滴は、流動の方向に関する誘電場の符号に依存した符号の電荷で荷電されたままとすることができる。

電場の不存在下においては、大きな小滴を作り出すことができ、他方、電場(E=2V/ミクロン)の存在下においては、テーラーコーンは先端から発せられる均一なサブミクロン小滴で安定化することができる。小滴はまた、さらに下流に位置する接地電極に排出することもできる。そのようなデバイスは、例えば、よく制御されたナノエマルジョンを生じさせるにおいて多くの応用を有することができる。

反対向きのデバイスを用いて、反対の電荷の符号を有する小滴を生じさせることもできる。この電荷を用い、小滴は正確なまたは一般に所定の位置に凝集することができる。もし電場が印加されなければ、小滴は凝集することができない。静電引力は滴凝集させることができる。ある場合においては、電場を用いて、小滴が生じる場合に相を制御して、例えば、自動フィードバックメカニズムを通じて、またはACディザを用いて、中央の位置および引き続いての凝集への同時到達を確認することができる。小滴の表面を変形することができ、静電力は表面張力を克服して、流体のブリッジを生じさせて、小滴を凝集させ、および/または中和することができる。

小滴の鉗合および凝集 本明細書中に記載されたマイクロ流体デバイスの特別な設計の実施形態は、特定の液体の小滴のものより再現性があり、かつ制御可能な鉗合、続いての、これらの小滴の対−様式凝集を可能とする。小滴対は異なる組成および/または容量の液体を含有することができ、これは、次いで、組み合わされて、特定の反応が調べられることを可能とする。小滴の対は以下の:(i)2つの連続水性ストリームおよび油ストリーム;(ii)連続水性ストリーム、エマルジョンストリーム、および油ストリーム、または(iii)2つのエマルジョンストリームおよび油ストリームのいずれかから由来することができる。図17A〜D。

ノズルの設計は小滴の鉗合を増強し、さらに、鉗合の良好な制御、および小滴の対の間のより短い距離により小滴の凝集を改良する。鉗合に対するより大きな制御は、小滴のいずれかの周波数に対する完全な制御を可能とする。凝集は、前記したように、局所化された電場印加によって達成することができる。凝集は、(すなわち、適当なミックスについてのいずれかの外部効果の適用なくして)小滴の受動的凝集によって達成することもできる。受動的凝集は、同一手法が与えられたプロセスにおいて多数回反復されるので臨界的であるデバイスの操作および制御を有意に単純化する。最適な操作を得るためには、小滴および小滴のカップリングの間の間隔は、いずれかのストリームの流動、ストリームの粘度、ノズルの設計(オリフィス直径、チャネル角度、ノズルのオリフィス後ネックを含む)を調整することによって調整することができる。

1つの実施形態において、対合した小滴の受動的凝集は、狭められたチャネル(またはネック−ダウンまたはピンチ)を介して小滴を通過させることによって達成することができる。図18A〜D。そのような実施形態において、ピンチを通過する小滴は、それらがチャネルを通過するにつれて細長くなりつつ、タッチされる。細長くなること、および細長くなった端部における表面活性の再分布により、小滴対は自然にかつ受動的に凝集する。

検出モジュール 「検出モジュール」は、典型的には、少なくとも1つの所定の特徴に基づいて分子、細胞、小分子または粒子がそこで検出され、同定され、測定され、または問い合わせされるべき主要チャネル内であるデバイス内の位置である。分子、細胞、小分子または粒子は一度に調べることができ、特徴は、例えば、所望により、レポーターの存在または量についてテストすることによって光学的に検出され、または測定される。例えば、検出モジュールは1以上の検出装置と連絡している。検出装置は光学または電気的検出器またはその組合せとすることができる。適当な検出装置の例は光学導波管、顕微鏡、ダイオード、光刺激デバイス(例えば、レーザー)、光電子増倍管、およびプロセッサー(例えば、コンピュータおよびソフトウェア)、およびその組合せを含み、それらは、協働して、特徴、マーカー、またはレポーターに代表的なシグナルを検出し、および測定、またはソーティングモジュールにおけるソーティング作用を決定し、および指令する。

検出モジュールは、入口モジュールにおける、またはその下流のおよび、ソーティング実施形態においては、ソーティングモジュールまたは分岐点における、その近くの、またはその上流の主要チャネルの一部内にあり、それと連絡しており、またはそれと合致する。検出モジュールについての正確な境界は要求されないが、好ましい。ソーティングモジュールは検出モジュールの直ぐ下流に位置してもよく、またはそれは、分子のサイズ、チャネルの寸法、および検出系と合致した適当な距離だけ離れていてもよい。チャネルはいずれの適当な形状または断面(例えば、管状または溝付き)も有してもよく、流動が入口から出口、および1つのチャネルからもう1つのチャネルへ向かうことができる限り、いずれの適当な様式で配置することもできることが認識されるであろう。

検出モジュールは、限定されるものではないが、一体化された金属合金成分および/または導電性層においてパターン化された特徴を含めた、小滴を検出するための特徴、小滴の周りに信号を送信し、および小滴近傍の電気的シグナルを拾うための特徴を有することができる。

各小滴は検出モジュールへ通過するにつれ、それは(すなわち、検出器を用いて)所定の特徴について調べられ、対応するシグナルが生じ、例えば、特徴が存在する「是」またはそれが存在しない「否」を示す。シグナルは、特徴に定性的にまたは定量的に対応することができる。すなわち、シグナルの量を測定することができ、特徴が存在する程度に対応することができる。例えば、シグナルの強度は分子のサイズ、または細胞によって発現される酵素の能力または量、または1つの分子のもう1つの分子への結合またはハイブリダイゼーションのような陽性または陰性反応、または酵素によって触媒される基質の化学的反応を示すことができる。シグナルに応答して、データを収集することができ、および/またはソーティングモジュール中の制御システムは、もし存在すれば、活性化して、収集モジュールまたは廃棄モジュールへの送達のために小滴を1つのブランチチャネルまたはもう1つのブランチチャネルへ転ずることができる。かくして、ソーティング実施形態において、ソーティングモジュールにおける小滴内の分子または細胞は、検出モジュールにおける対応する調査によって生じたシグナルに従って適当なブランチチャネルにソートすることができる。検出は、例えば、直接的に、あるいはソーティングについて選択された特徴に関連するレポーターの使用によって、分子、細胞または他の特徴の光学的検出とすることができる。しかしながら、他の検出技術も使用することもできる。

デバイスを用いて、その組成が、様々な理由(化学反応、試料の調製など)により1つの小滴から対の小滴へ異なり得る小滴を生じさせることができる。同一デバイス内では、小滴は、種々の手段(光学的または電気的)を用いて内容をそこで問い合わせる測定容量を通過する。測定の結果を用いて、いずれの流路を小滴が取るべきかを決定する。流路を変化させる手段は、本明細書中に記載されたような機械的、電気的、光学的またはいくつかの他の技術を介して達成することができる。

デバイスは、マイクロ流体デバイス内に含有された流体チャネルに対して光学的導波管およびそれらの関連する光学的エレメント(レンズ、プリズム、鏡、インターコネクトなど)を正確に整列させる精密手段を提供することができる。そのような導波管を用いて、流体チャネルへのよく規定された光学的アクセスを供して、光学的散乱、吸収、蛍光またはいずれかの他の光学的測定技術を可能とすることができる。

デバイス内のチャネルは、典型的には、半導体リソグラフィープロセスを用いて作製される。導波管を作るためには、別々のシリーズのチャネルおよび有用な形状(レンズ、鏡など)を同時に(すなわち、同一処理工程において)、または順次の工程のいずれかで作ることができる。ついで、このようにして作られた再使用可能なマスターを用いて、引き続いての工程における特殊な固定または注意深い整列に対する必要性なくして、導波管構成要素および流体チャネルを製造することができる。次いで、過剰なチャネルまたは形状に、チャネルまたはボイドへの注入を介して高屈折率液体(導波管用)または反射性物質(鏡用)を満たすことができる。液体は流体として残ることができ、または固化することができる。遠隔通信産業によって用いられるUV硬化エポキシは、導波管材料での優れた選択である。可能な導波管幾何学は、集束レンズおよび逆−反射鏡を含むことができる。

本発明のデバイスは、ビーズの使用、およびビーズを分析し、およびソートするための方法を含むこともできる(すなわち、ビーズリーダーデバイス)。該デバイスは、2以上のビーズの組の1以上を含有する小滴を読むことができ、かつそれをソートまたは、ソートしなくてもよい。各ビーズは組内の各他のビーズから区別することができる。ビーズは、限定されるものではないが、量子染料、蛍光染料、蛍光染料の比率、放射能、ラジオ−タグなどを含めたいくつかのタグによって分離することができる。例えば、2つの染料の異なる比率を有するこの組における他のビーズから1つの区別される比率を有するビーズを検出し、差別化するための装置での区別される量の2つの染料の比率を含むビーズの組。マイクロ流体デバイスは常磁性ビーズを含むことができる。常磁性ビーズは、小滴凝集および破壊の事象を用いて小滴から化学成分を導入し、除去することができる。常磁性ビーズは小滴をソートするのにも用いることができる。

本発明は、限定された−希釈−負荷を通じるビーズ上の分子ライブラリー、次いで、小滴の内側の化学的または光学的放出をスクリーニングする方法を提供する。ビーズ上での化学的合成のための、および小滴内の放出手段(化学的、UV光、熱等)を用いてビーズに付着した該化学物質を放出させ、次いで、更なる操作のために第二の小滴を第一の小滴に組み合わせる方法が提供される。例えば、(例えば、マススペクトルタグを用いて)該ビーズを同定するための手段と同時のビーズ上の化学物質のティー−バッグ合成。流体流動内の小滴中の得られた混合−化学ビーズを用い、ビーズをUV光に暴露して、ビーズから合成された化学物質を小滴環境に放出させる。放出された化学物質を含有する小滴を、細胞を含有する小滴と合わせ、細胞−ベースのアッセイを行う。所望の特徴(例えば、レポーター遺伝子のスイッチを入れること)を有する小滴をソートし、次いで、質量分析を用いてソートされたビーズを分析する。

本発明のデバイスは、ビーズソーティングに先立ってカラム分離を含むことができる。小滴形成に先立って試料をクロマトグラフィーによりソートするための分離手段を備えたチャネルを含有するデバイス。そのような分離手段はサイズ、電荷、疎水性、原子質量等を含むことができる。分離はイソクラティックに行うことができ、あるいは(例えば、塩または疎水性を用いて)化学的に、電気的に、圧力により勾配を生じさせる手段を用いることによってなすことができる。例えば、チャネルにセファロースサイズの排除媒体を予め負荷する。試料は1つの端部で負荷し、小滴は反対側の端部で形成される。試料は、小滴内に取り込まれるようになるに先立ってサイズにより分離される。

検出器は、それが検出モジュールを通過するにつれて、分子、細胞または粒子について問い合わせるためのいずれのデバイスまたは方法とすることもできる。典型的には、分子、細胞、または粒子(または分子、細胞または粒子を含有する小滴)は、直接的または間接的に検出可能な所定の特徴に従って分析し、またはソートされるべきであり、検出器は、その特徴を検出するように選択され、または適合される。好ましい検出器は、コンピュータおよび/または他のイメージ処理または増強デバイスとカップリングさせて、公知の技術を用いて顕微鏡によって生じたイメージまたは情報を処理することができる顕微鏡のような光学的検出器である。例えば、分子はサイズまたは分子量によって分析し、および/またはソートすることができる。酵素は、それらが基質の化学反応を触媒する程度によって分析し、および/またはソートすることができる(逆に、基質は酵素によって触媒される化学反応性のレベルによって分析し、および/またはソートすることができる)。細胞は、光学的検出器を用いることによって、それらが特定のタンパク質を含有するか、または生産するかに従ってソートして、そのタンパク質の存在または量の光学的表示について各細胞を調べることができる。タンパク質は、例えば、特徴的な蛍光によってそれ自体検出可能であるか、あるいは所望のタンパク質が存在するか、または少なくとも閾値量で存在する場合、検出可能なシグナルを生じるレポーターで標識し、またはそれと会合させることができる。限定されるものではないが、細胞の表面特徴および細胞内特徴を含む、本発明の技術を用いて同定し、または測定することができる特徴の種類または数に制限はなく、但し、ソーティングのための注目する特徴または複数の特徴は、所望の特徴を有する細胞を、それを有さない細胞から区別するのに十分に同定でき、かつ検出または測定できることのみを条件とする。例えば、本明細書中に記載されたいずれの標識またはレポーターも、分子または細胞を分析し、および/またはソートすることができ、すなわち、収集すべき分子または細胞を検出するための基礎として用いることができる。

分子または細胞または粒子(またはそれらを含有する小滴)は、それらがデバイス中の検出モジュールを通るにつれ、それらに結合した、またはそれらに会合した光学的に検出可能なレポーターからのシグナルの強度に基づいて分析し、および/または分離される。選択された閾値における、または選択された範囲内にあるレポーターの量またはレベルを有する分子または細胞または粒子は、デバイスの所定の出口またはブランチチャネルに向けられる。レポーターシグナルは顕微鏡によって集め、光電子増倍管(PMT)によって測定することができる。コンピュータはPMTシグナルをデジタル化し、バルブ作用または電気−浸透圧ポテンシャルを介して流動を制御する。別法として、例えば、評価を目的として、かつ必ずしも進行させて分子または細胞をソートすることなく、シグナルはレポーターの尺度、および/またはその対応する特徴またはマーカーとして記録し、または定量することができる。

チップは倒立光学顕微鏡に設置することができる。レポーターによって生じる蛍光は、検出領域を通る分子(例えば、DMA、タンパク質、酵素または基質)または細胞に焦点を当てたレーザービームを用いて励起される。蛍光レポーターは、限定されるものではないが、ローダミン、フルオレセイン、テキサスレッド、Cy3、Cy5、フィコビリタンパク質(例えば、フィコエリスリン)、緑色蛍光タンパク質(GFP)、YOYO−1およびPicoGreenを含むことができる。分子フィンガープリンティング適用においては、レポーター標識はフルオレセイン−dNTP、ローダミン−dNTP、Cy3−dNTP等のような蛍光標識単一ヌクレオチドとすることができ;ここで、dNTPはdATP、dTTP、dUTPまたはdCTPを表す。レポーターはビオチン−dNTPのような化学的に修飾された単一ヌクレオチドとすることもできる。レポーターは(細胞またはウイルスによって発現され、または提示された場合、特定の抗原、またはその断片に結合する)蛍光的にまたは化学的に標識されたアミノ酸または抗体とすることができる。

デバイスは、蛍光−活性化細胞ソーティング(SACS)マシンを用いて現在使用されるものと同様に、それに結合された検出可能なレポーターを有する細胞表面マーカーのような選択された細胞マーカーの発現のレベルに基づいて細胞を分析し、および/またはソートすることができる。細胞内の、かつ必ずしも細胞表面に出現しないタンパク質または他の特徴を同定することもでき、ソーティングのための基礎として用いることもできる。デバイスは、検出モジュールを通過する(酵素および他のタンパク質を含めた)ポリヌクレオチドまたはポリペプチドのような分子、またはその断片のサイズまたは分子量を決定することもできる。別法として、デバイスは、レポーターによって示されるいくつかの他の特徴の存在または程度を決定することができる。所望であれば、細胞、粒子または分子はこの分析に基づいてソートすることができる。ソートされた細胞、粒子または分子は収集モジュール中の出口チャネルから収集することができ(または廃棄モジュール中に捨てることができ)、および必要に応じて用いることができる。収集された細胞、粒子または分子はデバイスから取り出し、またはさらなる凝集、分析およびソーティングのためにデバイスに再度導入することができる。

レポーターを検出し、または分子、細胞または粒子が所望の特徴を有するか否かを決定するために、検出モジュールは、レポーターをその特徴について刺激して、測定可能な光エネルギーを発するための装置、例えば、レーザー、レーザーダイオード、発光ダイオード(LED)高−密度ランプ(例えば、水銀ランプ)等のような光源を含むことができる。ランプを用いる場合、チャネルは、検出モジュールを除いて、全ての領域において好ましくは光から遮蔽される。レーザーを用いる場合、レーザーは異なる分析ユニットからの検出モジュールの組を横切って走査するように設定することができる。加えて、レーザーダイオードまたはLEDは、分析ユニットを含有する同一チップに微細加工することができる。別法として、レーザーダイオードまたはLEDは、ダイオードからのレーザー光が検出モジュールで輝くように、微細加工された分析またはソーターチップに隣接して設置される第二のチップ(例えば、レーザーダイオードチップ)に取り込むことができる。

集積半導体レーザーおよび/または集積光ダイオード検出器を、検出モジュール近傍のシリコンウエハー上に含めることができる。この設計は、励起し、および/または放射線を発し、かくして、歪みおよび損失を最小化するためのコンパクト性およびより短い光路の利点を提供する。

本発明は、電気シグナル送信を用いる小滴検出の方法を提供する。本発明のデバイスは、小滴の周りにシグナルを送信し、小滴に近接する電気シグナルをピックアップすることによって小滴を検出するための、一体化された金属合金成分および/または導電性層中にパターン化された特徴のような特徴を含むことができる。

本発明は、小滴の検出および制御のための自己−整列光学導波管および光学エレメントを提供する。本発明のデバイスは、光学導波管およびそれらの関連する光学的エレメント(レンズ、プリズム、鏡、インターコネクト等)をデバイス内に含まれる流体チャネルに対して正確に整列させる精密手段を含むことができる。そのような導波管を用いて、流体チャネルに対する規定された光学的アクセスを供して、光学散乱、吸収、蛍光、またはいずれかの他の光学的測定技術を可能とすることができる。

マイクロ流体デバイス内の流体チャネルは、典型的には、半導体リソグラフィープロセスを用いて作成される。導波管を作るためには、別々のシリーズのチャネルおよび有用な形状(レンズ、鏡等)を同時に(すなわち、同一処理工程において)、または順次の工程で作り出すことができる。次いで、このようにして作った再使用可能なマスターを用いて、引き続いての工程における特殊な固定または注意深い整列に対する必要性なくして、導波管構成要素および流体チャネルを製造することができる。次いで、過剰なチャネルまたは形状に、チャネルまたはボイドへの注入を介して、(導波管用の)高い屈折率の液体、または(鏡用の)反射性物質を満たすことができる。液体は流体として留まるか、または固化され得る。遠隔通信産業によって用いられるUV硬化エポキシは、導波管材料についての優れた選択である。可能な導波管幾何学は、集束レンズおよび逆−反射鏡を含むことができる。

検出モジュールの寸法は研究中である試料の性質によって、特に、研究中である(ビリオンを含めた)小滴、ビーズ、粒子、分子または細胞のサイズによって影響される。例えば、いくつかの哺乳動物細胞(例えば、脂肪細胞)は120ミクロンよりも大きい可能性があるが、哺乳動物細胞は約1〜50ミクロン、より典型的には10〜30ミクロンの直径を有することができる。植物細胞は、一般に、10〜100ミクロンである。しかしながら、他の分子または粒子は約20nm〜約500nmの直径を持ち、より小さい可能性がある。

分子および細胞を検出するのに用いられる検出モジュールは、所望の分子、細胞、ビーズ、または粒子が、それを運ぶ流動に対して実質的に遅れることなく通過させるのに十分大きい断面積を有する。

もう1つの実施形態において、小滴内容物の検出は、単一−分子の限界程度に高い感度での分光蛍光イメージングを用いる多数の小滴の内容物の同時検出によって達成することができる。この実施形態において、フルオロフォア生物学的マーカーおよび/または量子ドットのような蛍光体を含有する小滴を、顕微鏡視野中の二次元シートに空間的に分布させることができる。次いで、これらの小滴の視野は、蛍光励起源によって照明することができ、得られた蛍光を分光学的にイメージすることができる。従って、与えられた蛍光検出感度については、単一−滴蛍光検出方法と比較された蛍光検出のスループットは、与えられた感度につきa/b要因だけ増加させることができ、ここで、aは与えられた視野内でイメージすることができる小滴の数であり、およびbは、多数の滴蛍光検出器のそれと比較した単一−滴蛍光検出器の蛍光感度の比率である。さらに、検出容量における滞留時間、よって、シグナル積分時間および感度が制限されるように、滴が検出容量を通って流動する先行技術の単一−滴蛍光検出方法とは異なり、視野中の小滴の滞留時間は限定を解除することができ、それにより、感度を単一−分子限界と同程度高くすることができる。

ソーティングモジュール 本発明のデバイスは、さらに、1以上のソーティングモジュールを含むことができる。「ソーティングモジュール」は、検出モジュールにおける調査と関連して受け取られたシグナルに依存し、分子、細胞、小分子または粒子の流れが1以上の他のチャネル、例えば、出口モジュール(すなわち、収集または廃棄モジュール)への送達用のブランチチャネルに入る方向を変化させることができるチャンネルの接合である。典型的には、ソーティングモジュールをモニターし、および/または検出モジュールの制御下では、従って、ソーティングモジュールはそのような検出モジュールに「対応」するであろう。ソーティング領域は1以上のソーティング装置と連絡し、影響される。ソーティング装置は技術または制御システム、例えば、誘電、電気、電気−浸透圧、(マイクロ−)バルブ等を含む。制御システムは種々のソーティング技術を使用して、分子、細胞、小分子または粒子の所定のブランチチャネルへの流動を変化させ、または向けることができる。「ブランチチャネル」は、ソーティング領域および主要チャネルと連絡しているチャネルである。典型的には、ブランチチャネルは、検出モジュールによって検出され、およびソーティングモジュールにおいてソートされる注目する分子、細胞、小分子または粒子の特徴に依存して、分子、細胞、小分子または粒子を受ける。ブランチチャネルは出口モジュールを有することができ、および/またはウェルまたは貯蔵庫で終わって、分子、細胞、小分子または粒子の収集または廃棄(各々、収集モジュールまたは廃棄モジュール)を可能とすることができる。別法として、ブランチチャネルは他のチャネルと連絡して、さらなるソーティングを可能とすることができる。

本発明のデバイスは、さらに、1以上の出口モジュールを含むことができる。「出口モジュール」は、凝集、検出および/またはソーティング後に、分子、細胞、小分子または粒子を収集し、または分配する微細加工デバイスの領域である。出口モジュールは収集モジュールおよび/または廃棄モジュールを含むことができる。収集モジュールを、試料をソートするための手段と連結させることができる。収集モジュールは、検出モジュールにおいて特定の所定の特徴を有すると検出された小滴を集め、および含有するウェルまたは貯蔵庫であり得る。収集モジュールは温度制御できる。廃棄モジュールは試料を捨てるための手段に連結することができる。廃棄モジュールは、検出モジュールにおいて特定の所定の特徴を有さないと検出された小滴を収集し、それを含有するためのウェルまたは貯蔵庫であり得る。出口モジュールは、もし存在すれば、ソーティングモジュールから下流にあり、またはもしソーティングモジュールが存在しなければ、検出モジュールから下流にある。出口モジュールは、収集モジュールまたは廃棄モジュールへの連結のためのブランチチャネルまたは出口チャネルを含有することができる。デバイスは1を超える出口モジュールを含有することができる。

混合モジュール 1以上の凝集モジュール中での1以上の小滴の凝集は(例えば、小滴内に存在する回転渦を通って)凝集した小滴の内容物を混合するのに十分であり得るが、本発明のデバイスは、さらに、1以上の混合モジュールを含むことができる。「混合モジュール」は、その内容物を混合するように小滴を振盪し、またはそうでなければ操作するための特徴を含むことができる。混合モジュールは、好ましくは、凝集モジュールは下流にあり、かつ検出モジュールから上流にある。混合モジュールは限定されるものではないが、小滴の内容物を混合し、およびマイクロ流体デバイス中の単一小滴に合体された流体についての混合回数を低下させるための、金属合金成分電極または導電性パターン化電極の使用を含むことができる。

本発明のデバイスは、小滴を振盪して、単一小滴に合体された流体についての混合回数を低下させるための、音響アクチュエーター、金属合金構成要素電極または導電性パターン化電極のような特徴を含むことができる。

音響操作では、音響波の周波数は、細胞に対していずれの損傷も引き起こさないように微妙にチューニングすべきである。音響混合の生物学的効果は(例えば、インク−ジェット産業において)よく研究されており、多くの公開された文献もまた、圧電マイクロ流体デバイスは、生きた微生物およびDNAのような無傷生物学的ペイロードを送達することができることを示した。例示的な実施形態において、音響共鳴体の設計は、PDMSスラブにおけるカーブド共鳴体の側に位置する圧電バイモルフ平坦プレートを用いる。圧電駆動波形は、細胞を流体中に分離することができる臨界的周波数を選択するように注意深く最適化される。周波数パラメータを超えて最適化するための5つのパラメータがある。Labエレクトロニクスを用いて、圧電駆動波形を最適化する。その後、低コスト回路を設計して、好ましいマイクロ流動デバイスにおいて最適化された波形のみを生じさせることができる。

遅延モジュール 本発明のデバイスは、さらに、1以上の遅延モジュールを含むことができる。「遅延モジュール」は遅延ラインであり得る。小滴内の反応が取るに足らない長さの時間の間起こるマイクロ流体デバイスの操作は、デバイス内の滞留時間を増加させるために遅延ラインを必要とする。かなりの滞留時間を要求する反応では、より長い、より大きな遅延ラインが要求される。従って、本発明は、マイクロ流体デバイス内での滞留時間を増加させる方法を提供する。

遅延モジュールは主要チャネルと流体連絡している。遅延モジュールは凝集モジュールの下流であって、検出モジュールの上流に位置させることができる。遅延モジュールはセルペンチンチャネルまたは浮遊アワーグラスであり得る。遅延モジュールは、さらに、過熱および冷却領域を含むことができる。加熱および冷却領域は、本明細書中に記載されたデバイスでオン−チップのフロー−スルーPCRを行うのに用いることができる。

チャネルの寸法および立体配置は、デバイスを横切っての最小圧滴にて必要な滞留時間を収容するように設計することができる。例えば、マイクロ流体デバイス内に非常に長い遅延ラインを収容するためには、デバイスは、いくつかのパターン化されたPDMSスラブから構成される多層PDMSスラブを含むことができる。

チャネルの寸法は、必要な流動、滞留時間および圧力降下を可能とするように設計することもできる。いくつかのチャネルは、幅および高さが非常に大きいことが要求されるであろう。チャネルの崩壊を回避するためには、デバイスはチャネルの設計内に支持体柱を含む。柱の後ろのデッドボリュームを低下させ、さらに小滴の安定性を改良するために、支持体柱はチャネル内でのストリームライン化流動を最適化するように設計される。これらの設計は鋭いエッジとは反対の曲面特徴を含むことができる。

より長いデバイス操作の時間を可能とするために、遅延ラインをチップの外側まで延長することもできる。オフ−チップ遅延ラインは、ミクロンサイズの内径内のチューブであり得る。

利用可能な空間のより有効な使用および速い操作を可能とするためには、小滴が荷電される方法において、荷電の後に、油および滴の非対称分裂は、小滴が荷電した後にチャネルから油をサイフォンで除去することによって収容することができる。遅延ラインは、浮遊力が制御された小滴の輸送を助けるのを可能とするようなタワーの形態(すなわち、周囲重力場に対して垂直な構造)とすることができる。公知の遅延ラインは、それらをチャネルおよび/またはチューブ中を流れる担体流体中に乳化することによる小滴の輸送を含む。チャネルおよび/またはチューブの断面を通っての担体流体の速度プロフィールは均一でないゆえに、小滴の速度分布は狭くなく、これは小滴の遅延時間分布を狭くないものとする(すなわち、いくつかの小滴は他のものよりも多少遅れるであろう)。

本発明のデバイスは、浮遊−援助マイクロ流体遅延ラインを含むこともできる。浮遊−援助マイクロ流体遅延ラインにおいては、浮遊力は、1以上のタワー中の流体に乳化された小滴に作用する。これは、所望の遅延時間の間にタワーを満たし、次いで、小滴を放出させることを含む。タワーは、必要に応じて、継続的に満たし、小滴を放出でき、またはできない。この例において、ピラミッド状の炉セクションによってキャップされる円筒状タワーセクションを有することが望まれるであろう。タワーはアワーグラスとして効果的に機能することができる。その担体流体よりも低い密度を有する小滴はタワーのベースまで供給され、浮遊により、実質的に均一な速度分布でもってタワーの頂部まで上昇し、炉処理して、(y−ブランチのような)マイクロ流体デバイスの機能的成分とされる。担体流体は同一速度でタワーのベースにおいて消費される。というのは、遅延ラインを通っての担体流体の正味の流動はゼロであるように、それは先端に導入されるからである。タワーおよび炉セクションは円形、楕円形、多角形のようないずれかの断面形状を有することができる。マイクロ流体デバイスは調整可能な長さを持つタワーを含むことができる。

該デバイスは、5%(なぜならば1/20=0.05)の遅延時間分散を保証するために20のタワーのスイッチングネットワークを含むこともできる。各タワーの能力は0.05*Tであり、ここで、Tは遅延時間である。該概念は、例えば:(a)デバイスの開始に際して、0.05*Tについて最初のタワーを満たすが、その消費を停止させ、閉じた他の19のタワーも有し;(b)0.05*Tの後、第一のタワーを閉じ、第二のタワーを0.05*Tおよび0.10*Tの間を満たし;(c)残りの18のタワーについては工程(b)を繰り返し;(d)時刻Tにおいて第一のタワーを消費し;(e)時刻1.05*Tにおいて、第一のタワーの消費を停止させ、第二のタワーを消費し、第一のタワーを満たし;(f)時刻1.10*Tにおいては、第二のタワーの消費を停止させ、第三のタワーを消費させ、第一のタワーを閉じ、および第二のタワーを満たし、および(g)工程(f)を繰り返す;を含む。20を超えるタワーは遅延時間分散の幅にわたってより密に制御され提供されることができる。このスキームはバルブネットワークを必要とするであろう。タワーのこのネットワークはマイクロ流体デバイスの外側とすることができる。

UV−放出モジュール 本発明のデバイスは、さらに、1以上のUV−放出モジュールを含むことができる。「UV−放出モジュール」は主要チャネルと流体連絡している。UV−放出モジュールは入口モジュールの下流であって、凝集モジュールの上流に位置する。UV−モジュールはビーズアッセイで用いることができる。カプセル化ビーズからの化合物は、UV光を用いてUV−放出モジュールにおいて切断することができる。光不安定リンカーは、単一ビーズがカプセル化された後に要求に応じて破壊することができ、かくして、単一化合物の多数のコピーが溶液に放出される。本明細書中に開示された細胞ベースのアッセイにおいて、アッセイされた化学化合物は、溶液中にあって、細胞膜に浸透することが望まれる。さらに、単一化合物の細胞での区画化を確保するために、固体支持体からの化合物の切断は、ビーズがカプセル化された後においてのみなすことができる。光切断性リンカーを利用して、UV−放出モジュールを通じて滴を通過させることによって滴形成後にビーズの化合物を切断することができる。(すなわち、適当な波長のレーザー)。

本発明は、ビーズ上で化学合成し、小滴内の放出手段(化学物質、UV光、熱など)を用いてビーズに付着された該化学物質を放出し、次いで、さらなる操作のために第二の小滴を第一の小滴に合わせる方法も提供する。好ましくは、放出手段はUV−モジュールである。例えば、(例えば、マススペクトルタグを用いて)該ビーズを同定するための手段と同時のビーズ上の化学物質のティー−バッグ合成。流体流動内の小滴中の得られた混合化学ビーズを用い、ビーズをUV光に暴露して、ビーズから合成された化学物質を小滴環境に放出する。細胞を含有する小滴と共に放出された化学物質を含有する小滴を合わせ、細胞−ベースのアッセイを行う。所望の特徴(例えば、レポーター遺伝子のスイッチング)を有する小滴をソートし、次いで、質量分析を用いてソートされたビーズを分析する。

キット 便宜のために、本明細書中に記載され、かつ本発明で使用される試薬、化合物ライブラリーおよび/またはエマルジョンの所定量は、所望により、本明細書中に記載された種々のアッセイおよび方法の適用を容易とするためにパッケージされた組合せでのキットで提供することができる。そのようなキットが、典型的には、主題のアッセイを行うための使用説明書を含み、所望により、その中で反応を行うべき流体容器、例えば、キュベット、マルチウェルプレート、マイクロ流体デバイスなどを含む。

典型的には、キット内に含まれる試薬は、組織、細胞、粒子、タンパク質、抗体、アミノ酸、ヌクレオチド、小分子、基質および/または医薬を含有するユニークに標識されたエマルジョンである。これらの試薬は、直ぐに使用できる単一のボックス、パウチ等に共パッケージされた予め測定された容器(例えば、バイアルまたはアンプル)中で提供することができる。試薬を保持する容器は、その中で反応が行われるべきデバイスの流体容器に容易に付着されるように構成することができる(例えば、本明細書中に記載されたマイクロ流体デバイスの入口モジュール)。1つの実施形態において、キットは、RNAiキットを含むことができる。もう1つの実施形態において、キットは化学合成キットを含むことができる。これらの実施形態は単に説明的であり、他のキットも本発明の範囲内に含まれることは当業者によって認識されるであろう。

定義 本明細書中で用いられる用語は、一般には、本発明の文脈内で、かつ各用語が用いられる特定の関係において、当該分野におけるその通常の意味を有する。ある用語は後に、あるいは明細書中の他の箇所で議論して、本発明のデバイスおよび方法、およびそれらをどのようにして製造し使用するかを記載するにおいて実行者に対してさらなるガイドを供する。同一のことが典型的には1を超える方法で記載することができることは認識されるであろう。その結果、代替言語および同義語を本明細書中で議論される用語のいずれかの1以上で用いることができる。ある用語の同義語を供する。しかしながら、1以上の同義語の引用は他の同義語の使用を排除せず、また、用語が本明細書中において工夫されているか、議論されているか否かについていずれの特別な重要性もない。本明細書中で言及される全ての刊行物、特許出願、特許および他の文献は、ここに引用して援用される。コンフリクトする場合には、定義を含めて本明細書が優先される。くわえて、材料、方法および実施例は説明的なものに過ぎず、限定的なことを意図しない。

本発明は特別な実施例によっても記載される。しかしながら、本明細書中で議論されるいずれの用語の例も含め、本明細書中のいずれかの箇所でのそのような例の使用は説明的なものに過ぎず、断じて、本発明の、またはいずれかの例示された用語の範囲および意味を限定しない。同様に、本発明は、本明細書中に記載されたいずれかの特定の好ましい実施形態に限定されない。事実、本発明の多くの修飾および変形は、本明細書を読むと、当業者に明らかであり、その精神および範囲を逸脱することなくなすことができる。本発明は、したがって、請求項が権利を有する均等物の全範囲と共に添付の請求の範囲の用語によってのみ限定される。

本明細書中で用いる場合、「約」と「ほぼ」は一般には、与えられた値または範囲の20%内、好ましくは10%内、より好ましくは5%内を意味する。

用語「分子」は、1以上の原子を含むいずれかの区別されるまたは区別可能な構造単位を意味し、例えば、ポリペプチドおよびポリヌクレオチドを含む。

用語「ポリマー」は、相互に反復して連結された2以上の形成ブロック(「量体」)から構成されるいずれの物質または化合物も意味する。例えば、「二量体」は、2つの形成ブロックが一緒に連結された化合物である。

用語「ポリヌクレオチド」とは、本明細書で用いる場合、典型的なポリヌクレオチドに水素結合することができる塩基を支持する骨格を有するポリマー分子をいい、ここで、ポリマー骨格は、ポリマー分子および典型的なポリヌクレオチド(例えば、一本鎖DNA)の間の配列特異的なそのような水素結合を可能とするような塩基を表す。そのような塩基は、典型的には、イノシン、アデノシン、グアノシン、シトシン、ウラシルおよびチミジンである。ポリマー分子は、二本鎖および一本鎖RNAおよびDNAおよびその骨格修飾、例えば、メチルホスホネート結合を含む。

かくして、「ポリヌクレオチド」または「ヌクレオチド配列」は、一般には、DNAおよびRNAにおける一連の(「ヌクレオチド」ともいわれる)ヌクレオチド塩基であり、2以上のヌクレオチドのいずれの鎖も意味する。ヌクレオチド配列は、典型的には、タンパク質おおよび酵素を作るために細胞マシーナリーによって用いられる情報を含めた遺伝的情報を運ぶ。これらの用語は二本鎖または一本鎖ゲノムおよびcDNA、RNA、および合成および遺伝的に操作されたポリヌクレオチド、(センスストランドのみが本明細書中においてあらわされるが)センスおよびアンチセンス双方のポリヌクレオチドを含む。これは一本鎖および二本鎖分子、すなわち、DNA−DNA、DNA−RNAおよびRNA−RNAハイブリッド、ならびに、塩基をアミノ酸骨格にコンジュゲートさせることによって形成された「タンパク質核酸」(PNA)を含む。これは、修飾された塩基、例えば、チオ−ウラシル、チオ−グアニン、およびフルオロ−ウラシルを含有する核酸を含む。

ポリヌクレオチドは、本明細書では、天然調節配列が近接でき、あるいはプロモーター、エンハンサ、応答エレメント、シグナル配列、ポリアデニル化配列、イントロン、5’−および3’−非コーディング領域などを含めた異種配列と会合してもよい。核酸は、当該分野で公知の多くの手段によって修飾することもできる。そのような修飾の非限定的例はメチル化「キャップ」、1以上の天然に生じるヌクレオチドのアナログでの置換、および、例えば、非荷電結合(例えば、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホロアミデート、カルバメート等)との、および荷電した結合(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオレート等)とのもののようなヌクレオチド間修飾を含む。ポリヌクレオチドは、例えば、タンパク質(例えば、ヌクレアーゼ、トキシン、抗体、シグナルペプチド、ポリ−L−リシン等)、インターカレーター(例えば、アクリジン、プソラレン等)キレーター(例えば、金属、放射性金属、鉄、酸化的金属等)、およびアルキレーターのような1以上のさらなる共有結合部位を含有することができる。ポリヌクレオチドはメチルまたはエチルホスホトリエステルあるいはアルキルホスホルアミデート結合の形成によって誘導体化することができる。さらに、ポリヌクレオチドは、ここに、検出可能なシグナルを直接的にまたは間接的に供することができる標識で修飾することができる。電子的な標識は放射線同位体、蛍光分子、ビオチンなどを含む。

用語「鉗合」は、本明細書中で用いる場合、結果として生じる凝集のために、別々の水性ストリームからの、あるいは2つの別々の入口ノズルからの小滴の対合を意味する。

用語「誘電泳動力勾配」は、誘電泳動力が電場中で物体に働くことを意味し、但し、物体は周囲の媒体とは異なる誘電定数を有するものとする。この力は物体をより大きな場の領域へ押し込み、またはそれをより大きな場の領域から押し出すことができる。該力は、各々、物体または周囲の媒体がより大きな誘電定数を有するか否かに依存して引力または斥力である。

「DNA」(デオキシリボ核酸)は、一緒にデオキシリボース糖と骨格に連結される、ヌクレオチド塩基と呼ばれる化学的形成ブロックアデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)およびチミン(T)のいずれの鎖または配列も意味する。DNAはヌクレオチド塩基の1つのストランド、あるいは二重ラセン構造を形成することができる2つの相補的ストランドを有することができる。「RNA」(リボ核酸)は、一緒にリボース糖骨格に連結されたヌクレオチド塩基と呼ばれる化学的形成ブロックアデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)およびウラシル(U)のいずれの鎖または配列も意味する。RNAは、典型的にはヌクレオチド塩基の1つのストランドを有する。

「ポリペプチド」(1以上のペプチド)は、ペプチド結合と呼ばれる化学結合によって一緒に連結されるアミノ酸と呼ばれる化学的形成ブロックの鎖である。「タンパク質」は、生きた生物によって生じるポリペプチドである。タンパク質またはポリペプチドは「天然」または「野生型」であってよく、これは、それが天然に起こることを意味し;あるいはそれは「突然変異体」、「変種」または「修飾された」であってよく、それは作成され、改変され、誘導され、あるいは異なるいくつかの方法で存在し、あるいは天然タンパク質から、あるいはもう1つの突然変異体から変化していることを意味している。

「酵素」は、他の物質の化学反応を触媒する、ポリペプチド分子、通常、生きた生物によって生産されるタンパク質である。酵素は反応の完了に際してそれ自体は変化されず、または破壊されず、従って、反応を触媒するのに反復して用いることができる。「基質」とは酵素が作用するいずれの物質もいう。

本明細書中で用いる場合、「粒子」は、本発明による分析、反応、ソーティングまたはいずれかの操作のために小滴内にカプセル化することができるいずれの物質も意味する。粒子は微視的ビーズ(例えば、クロマトグラフィーまたは蛍光ビーズ)、ラテックス、ガラス、シリカ、または常磁性ビーズのような物体であるのみならず、リポソーム、小胞および他のエマルジョンのような他のカプセル化多孔性および/または生体物質も含む。サイズが0.1ミクロン〜1mmの範囲のビーズを本発明のデバイスおよび方法で用いることができ、従って、本明細書中で用いる、用語「粒子」に含まれる。用語粒子は生物学的細胞、ならびに同様なサイズ(例えば、約0.1〜120ミクロン、典型的には、約1〜50ミクロン)またはそれよりも小さい(約0.1〜150nm)ビーズおよび他の微視的物体も含む。本発明のデバイスおよび方法は、ポリヌクレオチド、ポリペプチドおよびタンパク質(酵素を含む)およびそれらの基質および小分子(有機または無機)を含めたいずれの種類の分子のソーティングおよび/または分析にも向けられる。かくして、用語粒子は、さらに、これらの物質を含む。

粒子(例えば、細胞および分子を含む)は、粒子を個々の小滴(例えば、油中水性溶液の小滴)へカプセル化することによってソートされ、次いで、これらの小滴は、微細加工デバイス中でソートされ、合わされ、および/または分析される。従って、用語「小滴」は、一般には、小滴内にある、または含有され得るいずれのものをも含む。

「小分子」は、本明細書中で用いるように、約5kD未満、最も好ましくは約4kD未満の分子量を有する組成物をいうことを意味する。小分子は、例えば、核酸、ペプチド、ポリペプチド、ペプチドミメティックス、炭水化物、脂質または他の有機もしくは無機分子であり得る。真菌、細菌または藻類抽出物のような化学的および/または生物学的混合物のライブラリーは当該分野で知られている。

本明細書中で用いる場合、「細胞」はいずれの細胞または複数細胞、ならびに微視的サイズ、例えば、生物学的細胞と同様な、またはそれよりも小さなサイズを有するウイルスまたはいずれかの他の粒子を意味し、いずれの原核生物または真核生物細胞、例えば、細菌、真菌、植物および動物細胞も含む。細胞は、典型的には、球形であるが、細長い、平坦な、変形可能な、および非対称、すなわち、非球形とすることもできる。細胞のサイズまたは直径は、典型的には、約0.1〜120ミクロンの範囲、典型的には約1〜50ミクロンである、細胞は生きたまたは死んだものであってよい。本発明の微細加工デバイスは、生物学的細胞と同様な(例えば、約0.1〜120ミクロン)またはそれよりも小さな(例えば、約0.1〜150nm)サイズを有する物質のソーティングに向けられるので、生物学的細胞と同様な、またはそれよりも小さなサイズを有するいずれの物質も、本発明の微細加工デバイスを用いて特徴付け、ソートすることができる。かくして、用語細胞は、さらに、(クロマトグラフィーおよび蛍光ビーズのような)微視的ビーズ、リポソーム、エマルジョン、またはいずれかの他のカプセル化生体物質および多孔性物質も含む。非限定的例はラテックス、ガラス、または常磁性ビーズ;およびエマルジョンおよびリポソームのような小胞、およびシリカビーズのような他の多孔性物質を含む。サイズが0.1ミクロン〜1mmの範囲であるビーズも、例えば、コンビナトリアル化学によって製造された化合物のライブラリーをソートするのに用いることができる。本明細書中で用いる場合、細胞は荷電されていても荷電されていなくてもよい。例えば、荷電されたビーズを用いて、流動または検出を容易とすることができ、あるいは、レポーターとして用いることもできる。生きたまたは死滅した生物学的細胞は、例えば、SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)のような界面活性剤を用いることによって荷電することができる。用語細胞は、さらに、ビリオンが明示的に言及されているか否かにかかわらず、「ビリオン」を含む。

「ビリオン」、「ウイルス粒子」はウイルスの完全な粒子である。ウイルスは、典型的には、(DNAまたはRNAを含む)核酸コア、あるウイルスにおいては、タンパク質コート、または「キャプシド」を含む。あるウイルスは「エンベロープ」と呼ばれる外側タンパク質被覆を有することができる。ビリオンは生きた(すなわち、「活力がある」)または死滅した(すなわち、「活力がない」)いずれであってもよい。生きたまたは「活力がある」ウイルスは生きた細胞に感染することができるものである。ウイルスは、一般には、生物学的細胞よりも小さく、典型的には、約20〜25nm直径以下(パルボウイルス、ピコルノウイルス)からほぼ200〜450nm(ポックスウイルス)のサイズの範囲である。しかしながら、いくつかのフィラメント上ウイルスは2000nmの長さ(クラスターウイルス)に到達することができ、従って、いくつかの細菌細胞よりも大きい。本発明の微細加工デバイスはウイルスと同様なサイズ(すなわち、約0.1〜150nm)を有する物質をソートするのに特に適しており、ビリオンと同様なサイズを有するいずれの物質も本発明の微細加工デバイスを用いて特徴付け、ソートすることができる。非限定的例はラテックス、ガラスまたは常磁性ビーズ;エマルジョンおよびリポソームのような小胞;およびシリカビーズのような他の多孔性物質を含む。サイズが0.1〜150nmの範囲のビーズもまた、例えば、コンビナトリアル化学によって製造された化合物のライブラリーをソートするのに用いることもできる。本明細書中で用いる場合、ビリオンは荷電していても、荷電していなくてもよい。例えば、荷電したビーズを用いて、流動または検出を容易とすることができ、あるいはレポーターとして用いることもできる。生物学的ウイルスが、活力があるまたは活力がないかを問わず、例えば、SDSのような界面活性剤を用いることによって荷電させることができる。

「レポーター」、例えば、光学的検出によって検出でき、または測定できるいずれかの分子、またはその部位である。加えて、レポーターは分子、細胞またはビリオンと、あるいは分子、細胞またはビリオンの特別なマーカーまたは特徴と関連し、あるいはそれ自体が、分子、細胞またはビリオンの同定、あるいは分子、細胞またはビリオンの特徴の存在または不存在の同定を可能とするように検出可能である。ポリヌクレオチドのような分子の場合には、そのような特徴は(特別なヌクレオチド配列または制限部位のような)特別な成分または部位のサイズ、分子量、存在または不存在を含む。細胞の場合には、レポーターによってマークされ得る特徴は抗体、タンパク質および糖部位、受容体、ポリヌクレオチドおよびその断片を含む。用語「標識」は、「レポーター」と相互交換可能に用いることができる。レポーターは、典型的には、染料、蛍光、紫外線、またはケミルミネセント剤、クロモフォア、または放射性標識であり、そのいずれもいくつかの種類の刺激事象にて、またはそれなくして検出することができ、例えば、試薬にて、またはそれなくして蛍光を発することができる。1つの実施形態において、レポーターは、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)のようなレポーターを刺激するためのデバイス、例えば、レーザーなくして光学的に検出できるタンパク質である。タンパク質レポーターは検出すべき細胞中で発現でき、そのような発現はタンパク質の存在を示すことができ、あるいはそれはレポーターと共に発現でき、または発現できないもう1つのタンパク質の存在を示すことができる。レポーターは、例えば、検出可能な生成物を生じる反応についての出発物質、反応体または触媒として作用することによって検出可能な反応を引き起こす細胞上のまたは中のいずれの物質も含むことができる。細胞は、例えば、物質の存在に、あるいはレポーター物質が供された場合に検出可能な生成物を生じさせる細胞の能力に基づいてソートすることができる。「マーカー」は、検出可能な、またはレポーターによって検出可能とされ、あるいはレポーターと共に発現され得る分子、細胞またはビリオンの特徴である。分子については、マーカーはポリヌクレオチドの場合における制限部位または特別な核酸配列のような特別な成分または部位であり得る。細胞およびビリオンについては、特徴は酵素、受容体およびリガンドタンパク質を含めたタンパク質、糖、ポリヌクレオチド、およびその組合せ、あるいは細胞またはビリオンに関連するいずれかの生物学的物質を含むことができる。酵素反応の生成物はマーカーとして用いることもできる。マーカーはレポーターと直接的にまたは間接的に会合することができ、あるいはそれ自体がレポーターであり得る。かくして、マーカーは一般には分子、細胞またはビリオンの区別される特徴であり、レポーターは一般にはマーカーを直接的または間接的に同定し、あるいはマーカーの測定を可能とする剤である。しかしながら、これらの用語は相互交換可能に用いることができる。

本発明は、以下の実施例によって以下でさらに記載する。実施例はチャネル構造、バルブ、スイッチングおよび流動制御デバイス、および本発明のデバイスおよび方法の一部として実施することができる方法を含めた、本発明のデバイスおよび方法の特別な例示的実施形態の記載を含む。実施例は説明目的のためだけであり、断じて前記した発明を限定するものではない。例えば、これらの特別な実施形態の多くは、デバイスの主要チャネルを通じて流動する流体に直接的に懸濁した細胞を検出し、ソートする点において主として記載し、議論する。それにも拘わらず、これらの好ましい実施形態は説明に過ぎず、および本発明は同一の発明的概念を同時に有する種々の実施形態で実施することができることは当業者によって認識されるであろう。特に、(チャネル構造、バルブ、スイッチングおよび流動制御デバイスおよび方法を含めた)本実施例に記載されたデバイスおよび方法は、例えば、分子、細胞またはビリオンを含有する小滴がユーザーによって望まれるように分析し、および/またはソートすることができるように、多相化デバイスに容易に適合させることができる。

実施例1 本発明のデバイスは生きた/死滅した細胞ベースのアッセイで用いることができる。1つの例において、アッセイは2つのフルオロフォアを用い;1つは細胞膜を横切って透過でき、第二の染料はDNAに結合し、もし膜が危うくなった場合のみ細胞に進入することができる。同様な生きた/死滅アッセイが細菌および酵母について存在する。タグされた化学ライブラリーおよび光切断可能リンカーをそのようなアッセイで用いることができる。分裂−ビーズ合成を通じて得られたコンビナトリアル1−ビーズ−1−化合物ライブラリーは、化合物を信頼性良く同定するためにそれらの合成履歴を記載するタグを必要とする。ビーズ、ロッドおよびクラウンのようなマイクロ担体についてのいくつかのコーディング技術が過去10年間にわたって開発され、この要求に取り組んできた。単純かつ効果的な方法は、注目する利用される直交化学の化学的存在と並行して生じる分光学的化学タグに依拠する。代替物はDNAのような核酸の使用、続いての、コードされたビーズを解読するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の使用を含む。

本明細書中で開示された細胞ベースのアッセイにおいて、アッセイされた化合物は、細胞膜に浸透するために溶液中にあることが望まれる。さらに、単一化合物の細胞での区画を保証するために、固体支持体からの化合物の切断は、ビーズがカプセル化された後にのみ行うことができる。光切断可能リンカーを使用して、滴をUV−放出モジュール(すなわち、適当な波長のレーザー)を通すことによって滴形成後にビーズの化合物を切断することができる。

分子ライブラリーに含有された個々の成分の効果を評価するために、[Invitrogen(Carlsbad, CA)またはCell Technologyから入手可能な]標準細胞毒性アッセイのための2色蛍光検出を用いることができる。いずれの細胞を用いることもできるが、説明目的で、動物細胞についてのInvitrogen LIVE/DEAD生存性/細胞傷害性キット#L3224をここでは用いる。このキットは、細胞生存性の2つの認められたパラメータ:細胞内エステラーゼ活性および原形質膜一体性を測定する2つのプローブを含有する。生きた細胞は、ほとんど非蛍光の細胞−浸透カルセインAMの、極めて蛍光性のカルセインへの酵素変換によって検出される、細胞内エステラーゼ活性の存在によって同定される。カルセインは生きた細胞内に保持され、強い均一な緑色蛍光を生じる。EthD−1は損傷した膜を持つ細胞に進入し、核酸への結合に際して蛍光の40倍増強を受け、それにより、死滅した細胞において明るい赤色蛍光を生じる。EthD−1は生きた細胞の無傷原形質膜によって排除される。細胞生存性の決定は、細胞のこれらの物理的および生化学的特性に依存する。バックグラウンド蛍光レベルはこのアッセイ技術では固有に低い。なぜならば、染料は細胞との相互作用の前には実質的には非蛍光性だからである。

カルセインおよびEthD−1双方についてのスペクトル吸収および発光特徴は図3に示され、他方、図2は、生きたおよび死滅した細胞の50/50ミックスがフローサイトメーターを通す場合に、分子プローブによって示される結果をプロットする。双方の染料の吸収特徴は、存在する488nm励起源を用いて蛍光を励起するのを可能とする。図2の左側パネルは、Molecular Probes Live/Dead細胞生存性/細胞傷害性アッセイキット(L3224)における試薬で染色された、生きたおよびエタノールで殺傷したウシ動脈上皮細胞の混合物を示す。生きた細胞は明るい緑色の蛍光を発し、他方、危うくされた膜を持つ死滅した細胞は赤色からオレンジ色の蛍光を発する(Molecular Probes)。中央のパネルはフローサイトメーターにてMolecular ProbesのLive/Dead生存性/細胞傷害性キットを用いる生存性アッセイを示す。生きたおよびエタノールで固定したヒトB細胞の1:1混合物をカルセインAMおよびエチジウムホモダイマー−1で染色し、フローサイトメトリー分析を488nmにおける励起で行った。右側パネルは、www.molecular probes.comから入手可能なLive/Dead BacLight細菌生存性および計数キットを用いる細菌培養の分析を示す。図3の左側パネルに示したように、本発明は、さらに、同時に高速ビデオ顕微鏡を介する視覚でのモニタリングを可能としつつ、マイクロ流体チャネル内の緑色フルオロフォアを測定することができる蛍光検出スタンドを含む蛍光検出系を提供する。このシステムの光学的成分は市販されている。この系のモジュールレイアウトは、励起および検出波長の直接的な修飾を行う。この様式は系を多−波長励起、多−波長検出および直交偏光状態の検出に対して品質を上げることを可能とする。現在、マルチラインアルゴン−イオンレーザーの488nm転移をフルオレセインについての励起源として用いる(FITC)。レーザーは3および20ミリワットの間の出力を供し、直径がほぼ17ミクロン(全幅半最大、FWHM)のスポットに焦点を合わせる。スタンドが光電子増倍管を用いるように構成されている場合、それは10kHZ小滴率において10,000FITC分子を検出することができる。この系の感度は、マイクロ流体デバイス自体によって生じた蛍光干渉によって制限される。図3の右側パネルは、カルセインAMおよびEthD−1染料についての励起および発光スペクトルを示す。正常なサイトメトリープロトコルは488nmにおいて双方を励起する。図3は、単一のフルオロフォアステーションを2色蛍光ステーションに変換するのに必要な変化を示す。カルセイン蛍光はフルオレセイン検出のために設計されたフィルターを用いて収集することができ、他方、EthD−1はヨウ化プロピジウムまたはテキサスレッドについて設計されたフィルターを用いてモニターすることができる。

1×10−3M〜1×10−8Mの濃度の範囲にわたってフルオレセインおよびヨウ化プロピジウムでドープされた水小滴を用い、双方の染料はカルセインおよびEthD−1と同様な吸収および蛍光を有する。17ミクロンの小滴において、これは測定容量内の1.5×109〜1.5×104分子の範囲に対応する。一旦ベースライン性能が確認されたならば、生きた細胞、死滅した細胞、および2つの混合物を含有する小滴についてテストを開始することができる。これは細胞の2つの型についての感度および検出限界を確立する。

選択された染料はフローサイトメトリーにおいて広く用いられており、ほとんどの細胞−ベースのアッセイで共通して用いられている。それらは相互に対して有意に重複しないように設計され、独立してかつ一緒に双方を見積もって、クロス−トークを評価することができる。(潜在的に)1つの滴内の多くの細胞の状態はかくして決定することができる。我々の機器での安価なオプティックスの使用は、ナノリアクターにおける染料分子の理論的増加による補償を超えるであろう。より高い効率のオプティックスを用いることができる。

カプセル化されたビーズからの化合物を、UV光を用いてUV−放出モジュールにおいて切断することができる。光不安定性リンカーは、単一のビーズがカプセル化された後に要求に応じて分解することができ、かくして、単一化合物の多数のコピーが溶液に放出される。

合成化学は、結合の分解および形成プロセスを制御するために化学基の異なる活性に依拠する。光不安定性保護基は、他のタイプの保護基を切断することができる反応条件を生き残らせる機能の第四番目の直交型を形成する。これらの光不安定性保護基のいくつかは、有機分子を固体支持体に連結するのに用いられてきており、リンカーとしてのそれらの使用はレビューされている。これは、適当な波長での照射による最終産物の放出を任意として固体支持分子の合成を可能とする。光切断可能保護基がそれに対して工夫されている化学基のレパートリーは広く存在し、これは多様なコンビナトリアルのライブラリーの合成を可能とする。

高い試料率の代わりに、355 nm 3w Nd−YAGレーザーでの照射によって切断されるトリアジン−系光不安定性リンカーを用いることができる。このリンカーは、固体支持分裂−ビーズ合成に適している強酸は例外として、広い範囲の反応条件下で安定である。

もしUVレーザー内部のビーズの滞留時間が、基質ビーズから全ての化合物を切断するのに不十分であれば、滞留時間は、チャネルを広くすることによりビーズを含有する滴の流動を遅くすることによって増加させることができる。別法として、レーザービームの強度を増加させ、完全な切断を確保することができる。

先に議論したように、長いインキュベーション時間が細胞傷害性実験において望ましいが、公知のマイクロ流体チャネルレイアウトで容易に達成することができない。従って、本明細書中に開示された、生きた/死滅した細胞−ベースのアッセイで用いられるデバイスの1つの実施形態は、ソーティングモジュールの直前に位置する遅延ラインモジュールにおいて1時間を超える均一な小滴滞留時間を達成するのに受動的手段を用いる。小滴生成を停止することなく、小滴生成および検出の間に1時間の遅延時間を達成することが可能である。

1つの例において、「浮遊アワーグラス」遅延ラインを用いることができ、ここで、重力に依存するアワーグラス中の砂と同様に、小滴は、担体油とのその密度ミスマッチのため大きな貯蔵庫から廃棄ポートへ生起する。遅延モジュール前で利用されるマイクロ流体モジュール(例えば、入口モジュール、UV−放出モジュール、凝集モジュール、および混合モジュール)はスタックの底でパターン化することができ、遅延モジュール(例えば検出モジュールおよびソーティングモジュール)後に利用されるマイクロ流体モジュールはスタックの頂部においてパターン化できる。立ち上げに際して、アワーグラスは停止されて、所望の遅延時間に到達するまで小滴を満たし、次いで、小滴はそれが進入するのと同一速度でデバイスから除去され、それにより、全ての小滴についての同一滞留時間を実質的に確保する。アワーグラスにおける自然小滴凝集は、1以上界面活性剤を用いて小滴を安定化させることによって妨げることができる。

コンピューターモデリングの使用を介しての電場勾配の形状およびタイミングは、電極および流体チャネルの幾何学、および小滴に印加された電圧の同調を仕立てることによって最適化することができる。

FEMLAB(COMSOL, Inc.)部分的差分方程式解法ソフトウェアを用いて、流体力学および静電学の組合せをモデル化することができる。該モデルは分岐を通っての小滴の軌跡の「スティル−フレーム捕獲」を含むことができ、電極の幾何学、流体チャネルの幾何学、および小滴軌跡増分の関数としての印加電圧の分布を最適化することができる。さらに、高速デジタルカメラおよび駆動エレクトロニクスを用いて、現実の小滴軌跡の「スティル−フレーム捕獲」を獲得し、それらの捕獲を該モデルによって作成されたものと比較することができる。該モデルおよび電極および流体チャネル幾何学は、安価な迅速プロトタイピング能力を用いて反復して最適化することができる(テスト結果に対する設計から24時間)。最後に、電場勾配は、小滴を破壊することなく、かつ与えられた印加についての許容できる低い誤差率でもって、1000小滴/秒以上の率にて二方向ソーティングを行った場合に満足して最適化することができる。もし電気機械的リレーネットワークが最適化されたタイミングパラメータと協働するのに十分速くなければ、(例えば、Behlke電子リレーを用いる)固相状態リレーネットワークを用いて、駆動エレクトロニクスのスピードを増加させることができる。

ビーズを含有する小滴は、1000小滴/s以上の率で蛍光プローブに基づく誘導泳動および電歪力を用いてソートすることができる。蛍光検出系および電気的制御系を用いて、最適「パルス」(すなわち、時間の関数としての印加された電圧の分布)をトリガーして、蛍光プローブに基づいて中性小滴をソートすることができる。蛍光染料を含有する小滴の誘電泳動/電歪ソーティングを行うことができ、ここで、ソーティングは小滴数によってトリガーされる(例えば、各n番目小滴は1つの方向にソートされ、または各n番目またはm番目小滴は1つの方向にソートされる、等)。蛍光染料を用いて小滴の誘電泳動ソーティングを行うことができる。なぜならば、それは便宜かつ安価だからであり;誘電泳動/電歪ソーティングのためのトリガーシグナルは、電気泳動ソーティングで用いられたものと正確に同一とすることができる。このプロセスは、電場勾配を最適化する直接的理論的結果である。

加えて、蛍光ビーズを含有する小滴の誘電泳動/電歪ソーティングを行うことができる。この工程は蛍光染料を含有する小滴および化学ライブラリーが負荷された細胞およびビーズを含有する小滴の間の中間である。最後に、蛍光細胞を含有する小滴の誘電泳動/電歪ソーティングを行うことができる。この工程は、蛍光染料を含有する小滴、および化学ライブラリーを負荷した細胞およびビーズを含有する小滴の間の中間にある。

ビーズまたは細胞を含有する溶液が誘電特性を有し、従って、誘電場勾配が最適でない蛍光染料を含有する溶液とは異なる場合、誘電場勾配は各溶液について別々に最適化することができる。蛍光染料溶液を修飾して、ビーズまたは細胞溶液と非常に似させ、ソーティングパラメータの開発のために蛍光色素の便利さを継続的に利用することができる。

特定の表現型(例えば、死滅した細胞)に基づいてソートされた小滴は、(解読スキームを用いることによって)解読して、その小滴に加えられた化合物を同定する。

いくつかの実施形態において、アッセイは、核酸ベースのコードされたビーズ系に基づくことができる。例えば、2つのタイプのビーズを用いることができ−1つは細胞傷害性化合物およびオリゴヌクレオチドタグを含有し、第二のビーズは異なるオリゴヌクレオチドタグのみを含有する。2つのタイプのビーズは(所望により)、ビーズを、ソーティング効率を決定するためのソーティング後に蛍光顕微鏡下で調べることができるように、異なる蛍光タグによってコードすることもできる(すなわち、細胞−ベースのアッセイで用いられているもの以外、例えば、2つの異なるQ−ドット)。

ついで、ナノリアクターを含有する死滅した細胞からソートされたビーズを採取することができ、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用い、ビーズ上のタグを、PCRプライマーを用いて増幅することができる。これらのタグは、それをプラスミドベクターにクローン化し、それをE.coliに形質転換することによって「ハード−コピー」することができ、100の異なるE.coli形質転換体のタグ配列はDNA配列決定によって決定される。

加えて、ビーズ上のT−バッグ合成を用いるより複雑なライブラリーを構築することができ、ここで、オリゴヌクレオチドタグはモノマーについての各ラウンドの合成に特異的である。2つの異なるラウンドで用いる同一モノマーは2つの別々のタグを有することができる。非限定的例として、もしビーズ−ベースのT−バッグ合成における30モノマーを5ラウンドで用いれば、5×30または150の異なるタグが必要とされる。5ラウンド後の30のモノマーのライブラリーの複雑性は305であり、またはほぼ2500万の化合物である。モノマー合成の各ラウンド後における特異的T−バッグにおけるビーズは、T4 DNAリガーゼを用いて、ビーズに連結された特異的オリゴヌクレオチドタグを有することができる。ソートされたビーズからのこれらのタグを増幅し、クローン化し、配列決定することができる。いずれのタグがいずれのラウンドの合成で用いられたかを知ることによって、その小滴において陽性であったビーズの確証の内部チェックが達成される。配列決定反応は、150タグを含有するハイブリダイゼーションチップを用いることによって排除されることができる。

実施例2 本発明は、記載された本発明のナノリアクターにおいてポリメラーゼ連鎖反応を行うための方法を提供する。PCRは、本発明によるマイクロ流体デバイスにおいて滴×滴ベースで行うことができる。モノリシックチップを設けることができ、ここで、加熱および冷却ラインがチップに形成され、ソーティング手段が提供される。そのようなチップ上の小滴においてPCRを行う利点は、チップが使い捨て可能であって、反応の間にデバイスを清浄化することなく反復できることである。さらに、チップは、正しい濃度において小滴にてPCRを行うための全ての成分を得る便宜な方法を提供する。加えて、PCRはより有効である。なぜならば、熱移動は小さな容量のためより有効である。これはより短いインキュベーション−滞留時間を提供する。核酸、すべてのPCRプライマーおよび、もし存在すれば、ビーズを含有する小滴は秒当たり100および20,000小滴の間の率にて一度に1つ生成される。次いで、小滴を、加熱および冷却ラインの間のセルペンチン経路を通って送って、小滴内部の遺伝物質を増幅することができる。デバイスから出るに際して、小滴をさらなるオン−チップまたはオフ−チップ処理のために送り、もう1つのチップに向けることができ、あるいはエマルジョンを分解して、PCR産物を放出させることができる。もし存在すれば、ビーズは、濾過デバイス、沈積、または遠心にエマルジョンを通すことによって収穫することができる。

チャネルの幅および深さは、秒未満、および数分の間のどこかに制御することができる各温度にて滞留時間を設定するのに調整することができる。秒当たり1000滴の典型的な速度にて、DNAの100万ストランドを1つのデバイスでほぼ20分以内に増幅することができる。250μL/時間の典型的な流動速度は、各秒に生ずる直径が50ミクロンの1000滴に対応する。流動速度および小滴サイズは、ノズル幾何学を制御することによって必要に応じて調整することができる。

例としてのビーズベースの適用において、目的は単一のマイクロ−ビーズ(直径が1〜100ミクロン)を含有する小滴中の多くても1つのDNA断片を増幅し、次いで、DNAで被覆されたビーズのみを分離し、収集することである。これは、適当なPCRプライマーを含有する溶液中のDNA断片およびビーズの希釈混合物で出発することによって達成される。次いで、小滴は、小滴のほとんどが空である限定された希釈レジメにて作成されるが、いくつかの小滴はそれらにおいてDNAストランドを有し、いくつかの小滴はその中にビーズを有する。標的小滴は単一のDNA断片および単一のビーズを共に有する。ビーズの表面のDNAのPCR増幅の後に、蛍光活性化ソーティングモジュール(NanoFACS)をデバイスの末端に加えて、小滴を、1つは増幅されたDNAを含有し、1つは増幅されたDNAがない2つの集団へ分離することができる。次いで、小滴は、小滴が全てDNAを含有して、ビーズの収集を達成するエマルジョンから取り出し、ここで、実質的に全てのビーズは唯1つのタイプのDNA断片で被覆される。

各断片が唯1つのビーズの存在下で増幅されるビーズの収集の質は、各小滴が多くても1つのビーズを含有することを確保することによって高めることができる。1を超えるビーズを含有する小滴は、蛍光−ベースのソーティング工程を用いて取り出すことができる。

PCRに伴い、適当な酵素反応、2以上の検出基、または他の増幅手段、例えば、ローリングサークル増幅、リガーゼ鎖反応、およびNASBAで飾られたオリゴヌクレオチドを用いるチラミドアッセイのような核酸ベースのシグナル方法を用いて、小滴内でのシグナルを増加させることができる。

実施例3 本発明のデバイスを用いて、樹立された細胞系に対する少なくとも106分子からなる化学ライブラリーをスクリーニングすることができる。このようにして、陽性および陰性ナノリアクターを追跡し、核酸ベースの、または多色ビーズ−ベースのコーディングスキームいずれかを用いてソートすることができる。例えば、公知のヒットを持つ対照ライブラリーはヒト癌細胞系に対してスクリーニングすることができる。

1つの実施形態において、本明細書中において詳細に記載したように、ナノリアクターを用いて化学ライブリーをスクリーニングすることができる。本発明のパワーは、分析およびソーティングを含めた多工程化学処理が、便利なタイミングおよび計量精度での封じ込めにおいて開始されるのを可能とする区画化および電気的操作の組合せに由来する。単離された成分のこの多工程処理は、細胞、核酸、酵素、コードされたマイクロビーズ、および他の生体物質との稀な相互作用について分子ライブラリーを介してサーチするのに必須である。例えば、コーディング核酸(すなわち、DNAタグ)の組を、DNAタグおよび化学物質が一緒に乳化されるように、ユニークな化合物の溶液に組み合わせることができる。1つの実施形態において、DNAタグは同族アイデンティファイヤーとして作用して、本明細書中に記載されたナノリアクターによってソートされた小滴中の会合した化合物を追跡する。ソーティングの後、エマルジョンを破壊することができ、核酸は解読することができる(図4)。図4(左側パネル)において示すように、(A)化合物のライブラリーからの個々の化合物は、各々、(B)Q−ドットのユニークな識別可能な組と組み合わせる。組み合わせた混合物は、各々(C)、流動−フォーカシングマイクロ流体乳化剤を用いて別々にオフ−ラインで乳化して、特異的化合物およびQ−ドットのユニークな組の双方を含有する個々の小滴を合成する。図4(右側パネル)において示されるように、個々に乳化されたコードされた化合物の組は(D)細胞または酵素いずれかと共に、一緒にプールされ、RDT機器に注入され、(E)2つの小滴は合わされて、個々のナノリアクターを形成する。モニターしている反応に依存して、これらのナノリアクターとアッセイ成分を含有する小滴との別々の組合せ(図示せず)が必要であろう。加えて、遅延ループをこれらの組合せおよび検出器(F)の間において、十分な時間が小滴中で生じて、いずれかの潜在的化学的/細胞/酵素反応が起こるのを可能とすることができる。次に、ナノリアクターを、検出器を通して送って、反応をモニターし、かつその中に含まれたQ−ドットを解読する。もし必要であれば、ナノリアクターをさらにソートすることができる(G)。機器上に置くべきデバイスを設計するにおいて、個々のモジュールは小滴操作の配列において一緒に束ねる。操作を用いて、細胞または酵素をカプセル化し、標識された予め形成された化合物ライブラリーのエマルジョンを注入し、小滴の対を凝集させ、小滴の内容物を混合し、経時的に反応をインキュベートし、蛍光を検出し、液体標識を解読し(もし必要であれば)検出されたシグナルに基づいてソートし、次いで、小滴を収集および廃棄流に輸送する。個々のモジュールは、独立して、電気回路中のレジスターおよびキャパシターとかなり同様に、操作されて、複雑な流体処理操作を集合的に行う。いくつかの方法は記載された本発明の種々の化学ライブラリースクリーニング実施形態を含む。1つの例において、キナーゼ酵素アッセイをコースモデルとして用い、3つの異なる量子ドット(Q−ドット)を液体標識のために用い、および96の異なる化合物(ここで、1〜2が好ましいキナーゼ基質であろう)の組をライブラリーとして用いる。蛍光偏光が好ましい。というのは、それは多くの異なるタイプのアッセイに適合させることができるという議論を成すことができるからである。1つの例において、620nm、650nmおよび680nmにおいて発光する水溶性Q−ドットが用いられる。これらの発光バンドは、標的酵素アッセイが発光する(580nm未満)スペクトル領域の十分に外側にあり、従ってこれらのQ−ドットは優れた選択である。もう1つの例において、近赤外q−ドットを用いて、標的アッセイの重複しないスペクトル領域を広げる目的でそれらの水溶解度を高める。q−ドットの読み出しをこの「使用されていない」波長バンドに移動させると、注目する実質的にいずれの蛍光アッセイも、修飾なくして本発明のナノリアクターに適合させることができ、直ちに利用できる空間をかなり拡大する。

核酸は線状分子とすることができ、ここで、末端はPCRのための基点部位として用いることができ、中央の配列は各化合物に対してユニークであり;コーディングとして用いられるのはこの中央の配列である。核酸および化合物は、核酸および化学物質を一緒に予め乳化し、次いで、それらを本明細書中に記載されたマイクロ流体デバイスに予め作製された化合物小滴として加えることによって、1つの小滴に一緒に合わされる。化合物の小滴は機器にてもう1つの小滴と合わせることができる。この他の小滴は、化合物小滴と合わせた場合に「アッセイ」小滴を形成する(例えば、限定されるものではないが、細胞または酵素を含めた)調査中のアイテムを含有することができる。次いで、所望の検出された特性(例えば、化合物マイクロ滴に加えられた蛍光基質の使用を介する酵素活性の阻害)を有するアッセイ小滴をソートすることができる。ソートされたアッセイ小滴を収集することができ、エマルジョンが破壊され、核酸配列を解読することができる。解読は、(米国出願公開番号2005−0227264に記載された)エマルジョンPCR、および配列決定機器での配列決定によって行うことができる。別法として、解読は、PCR産物を適当な宿主(例えば、E.coli)にクローニングし、得られたクローンをDNA配列決定に付すことによって行うことができる。

核酸はユニーク性の領域を有する線状分子であり得、解読は、クローニング、および引き続いて、ソートされたアッセイ小滴から得られたDNAを適当な宿主(例えば、E.coli)に形質転換することによって行うことができる。次いで、得られたクローンを、ユニークなアイデンティファイヤーを含有するPCR産物を、固体支持体(例えば、チップ、ウェハー、またはビーズ)に固定された核酸の相補的ストランドにハイブリダイズすることによる解読に付すことができる。

核酸はユニーク性の領域を持つプラスミドであり得、解読は、ソートされたアッセイ小滴から得られたDNAを適当な宿主(例えば、E.coli)に形質転換することによって行うことができる。次いで、得られたクローンをDNA配列決定に付して、コードされた配列を同定することができる。

核酸はユニーク性の領域を有するプラスミドであり得、解読は、ソートされたアッセイ小滴から得られたDNAを適当な宿主(例えば、E.coli)に形質転換することによって行うことができる。次いで、得られたクローンを、ユニークなアイデンティファイヤーを含有する標識−PCR産物を、固体支持体(例えば、チップ、ウェハーまたはビーズ)に固定された核酸の相補的ストランドにハイブリダイズさせることによる解読に付すことができる。

核酸はユニーク性の領域を有するプラスミドまたは線状断片いずれかであり得、解読は、ソートされたアッセイ小滴から得られたDNAを適当な宿主(例えば、E.coli)に形質転換することによって行うことができる。次いで、得られたクローンを、ユニークなアイデンティファイヤーを含有する標識−PCR産物を、固体支持体(例えば、チップ、ウェハー、またはビーズ)に固定された核酸の相補的ストランドにハイブリダイズすることによる解読に付すことができる。好ましくは、ビーズは染料またはQdotでコードすることができ、解読は、本発明によるマイクロ流体デバイスで、あるいはQdotまたはLuminex機器で行うことができる。

ユニークな核酸の組をユニークな化学的存在の組に加えることができ、ここで、各合わされた組は別々に乳化される。別々に乳化された合わされた組をさらに合わせて、小滴の乳化された混合溶液を得ることができ、ここで、各小滴は核酸およびユニークな化学的存在を共に含有することができる。この合わされた混合用液は、当業者によって考えられる種々のアッセイで用いられる本発明によるマイクロ流体デバイスに注入することができる。

ユニークなアイデンティファイヤーを含有する核酸は、各々が、相互に共通する5’ヌクレオチド配列を含有する順方向および逆方向PCRプライマー、各々、順方向および下流プライマー、コモン配列に対して3’側にあるユニークな配列、および抗生物質または他の選択可能な遺伝子の領域の組を用いる抗生物質耐性または他の選択可能な遺伝子のPCRによって生じさせることができる。該プライマーをPCR反応で用いて、今度は、順方向または逆方向コンセンサス配列のいずれかを添えることができるユニークなアイデンティファイヤーによって添えられた抗生物質耐性または選択可能な遺伝子を生じさせることができる。次いで、PCR産物を、第二の抗生物質耐性または他の選択可能な遺伝子を有するベクターにクローン化し、ベクターを適当な宿主(例えば、E.coli)にクローン化することができ、それにより、抗生物質耐性およびもう1つの選択可能な遺伝子について同時に選択する。

標識は、有機染料(例えば、cy3、cy5、フルオレセイン)、または量子ドットのような無機標識のような染料を含有する溶液でもあり得る。ドットは、疎水性残基によってさらに覆われし、またはカプセル化することができる。1を超える染料を乳化に先立って溶液に加えることができ、1以上の染料の比率を用いて、小滴を解読することができる。

加えて、多くのビーズでコードされたアッセイは、本明細書中で開示されたデバイスおよび系に直接的に移植すべきマイクロスフィアのために既に開発されている。そのようなアッセイは、例えば;アレルギーテスト、病気マーカー(自己免疫、癌および心臓を含む)、サイトカイン、ゲノタイピング、遺伝子発現、感染症、キナーゼ/リン酸化タンパク質、代謝マーカー、組織タイピング、転写因子/核受容体その他を含む。

本発明は、コンビナトリアル化学/生物学用の滴−ウォッシャーを用いる方法も提供する。本発明のデバイスは、第一の非混和性流体中に非混和性である小滴内の構成要素が第二の非混和性流体に可溶性であるように、第一の非混和性流体中にある場合に、第二の非混和性流体にマイクロ滴が暴露されるように、流体流動の使用を介して滴内の構成要素を交換することができる。

例えば、化学反応を含む水性小滴は、脂質溶媒に可溶性である副産物を生じる。化学反応は、シリコン−ベースの溶媒中の水−環境で行われる。化学反応が起こった後に、小滴を有機−油ベースの溶媒に暴露し、そこでは、化学副産物は小滴から拡散して出る。次いで、小滴を生きた細胞と合わせることによって得られた小滴を細胞−殺傷活性についてアッセイする。

これまでの例と同様であるが、非水性流体流動の変化を用いて、第二の非混和性流体からの特定の構成要素を加えて、小滴が100%第一非混和性流体流動に戻される前に水性滴に拡散させる。

実施例4 本発明は、蛍光偏光(FP)を用いてナノリアクター中で生物学的アッセイを行う方法も提供する。蛍光偏光技術は何十年の間、基本的な研究および商業的診断アッセイで用いられてきたが、薬物発見に広く用いられ始めたのは、過去6年の間だけである。元来、薬物発見のためのFPアッセイは単一−チューブ分析機器のために開発されたが、同等な感度を持つ商業的プレートリーダーが利用可能となると、高スループットスクリーニングアッセイに迅速に変換された。これらのアッセイはキナーゼ、ホスファターゼ、プロテアーゼ、G−プロテイン結合受容体、および核受容体のようなよく知られた医薬標的を含む。

核受容体;FPは核受容体−リガンド変位のために高スループットスクリーニング(HTS)アッセイを開発するのに用いられてきた(Parker GJら,Development of high throughput screening assays using fluorescence polarization: nuclear receptor−ligand−binding and kinase/phosphatase assays)。FP−ベースのエストロゲン受容体(ER)アッセイは、ERへの結合についてのフルオレセイン−標識エストラジオールおよびエストロゲン−様化合物の競合に基づく。転写活性化スクリーニングからの50のリード化合物のスクリーニングにおいて、21の化合物は10マイクロM未満のIC50値を有し、1つはERalphaよりもERbetaに対する大まか100倍高い親和性を呈する。FP−ベースの競合結合アッセイを用いて、ERに対する広い範囲の結合親和性を持つ多様な化合物をスクリーニングすることができる。

ホスファターゼおよびキナーゼ;非放射性の単純な感受性蛍光偏光アッセイが、タンパク質チロシンキナーゼの活性をアッセイするのに開発されている(Seethala R.;Menzel R.A Homogeneous,Fluorescence Polarization Assay for Src−Family Tyrosine Kinases.Analytical Biochemistry,November 1997,vol.253,no.2,pp.210−218(9))。このアッセイは、蛍光化ペプチド基質とキナーゼ、ATP、および抗−ホスホチロシン抗体とのインキュベーションを含む。リン酸化ペプチド産物は抗−ホスホチロシン抗体で免疫複合体化され、その結果、蛍光偏光アナライザーで測定して偏光シグナルが増加する。これらの結果は、蛍光偏光アッセイが阻害剤を検出でき、32PO4で導入アッセイと匹敵することを示す。蛍光偏光方法は32PO4導入アッセイあるいはELISAまたはDELFIAと比較して有利である。なぜならば、それはいくつかの洗浄、液体導入、および試料調製工程を含まない1−工程アッセイだからである。それは非同位体基質を用いる追加の利点を有する。かくして、蛍光偏光アッセイは環境に安全であり、取り扱いの問題を最小化する。

G−プロテイン結合受容体;高スループット蛍光偏光(FP)アッセイは、細胞表面受容体(Gプロテイン−結合受容体およびリガンド−ゲーテッドイオンチャネル)についての放射性リガンド結合アッセイの代わりの非放射性の均一かつ低コストの代替物を供する(Allen M,Reeves J,Mellor G.High throughput fluorescence polarization:a homogeneous alternative to radioligand binding for cell surface receptors.J Biomol Screen.2000 Apr;5(2):63−9)。FPアッセイは、ペプチド(バソプレッシンV1aおよびデルタ−オピオイド)および非ペプチド(ベータ1−アドレノセプター、5−ヒドロキシトリプタミン3)受容体双方の一定範囲を横切って働くことが示された。アッセイは、96−ウェルプレートアッセイと比較してシグナルウィンドウまたは感度がほとんど喪失することなく384−ウェルプレートで行うことができた。FP測定における新しい進歩は、従って、FPが、細胞表面受容体についての放射性リガンド結合に対する高スループット代替物を供することを可能とした。

GTPase;フィルター結合[FB(33P)]およびFP検出系を用いて30,000のメンバーの化合物ライブラリーをスクリーニングし、いずれかのアッセイにおいて活性であった化合物を5−点曲線確認アッセイで再度テストした(C.L.Hubertら Data Concordance from a Comparison between Filter Binding and Fluorescence Polarization Assay Formats for Identification of ROCK−II Inhibitors)。これらのデータの分析は、双方のアッセイフォーマットで活性と同定された化合物のほぼ95%一致を示した。また、FBおよびFPからの化合物能力決定は高度な相関を有し、同等と考えられた。これらのデータは、アッセイ方法がスクリーニングの質および再現性に対してほとんどインパクトを有しないことを示唆し、但しアッセイは動的条件を標準化するために開発されたものとする。

抗体を用いる診断薬;ウマのウマ感染性貧血ウイルス(EIAV)感染の制御は、過去20年間に渡り、主として、専ら、集中参照研究所における標準化された寒天ゲル免疫拡散(AGID)アッセイによる血清陽性ウマの同定および排除に基づいてきた。EIAVコアおよびエンベロープタンパク質の抗原性領域に由来するペプチドを、まず、最良のペプチド抗原候補を選択するFPアッセイにおけるプローブとしてのそれらの利用性についてスクリーニングした(S.B. Tenczaら Development of a Fluorescence Polarization−Based Diagnostic Assay for Equine Infectious Anemia Virus.Journal of Clinical Microbiology,May 2000,P.1854−1859,Vol.38,No.5)。FPアッセイを最適化して、フルオレセイン−標識免疫反応性ペプチド診断抗原のFPの変換によってEIAV−特異的抗体の存在を検出した。最も感受性かつ特異的なペプチドプローブは、EIAV膜貫通タンパク質gp45の免疫優勢領域に対応するペプチドであった。このプローブを、151のAGID−陽性ウマ血清および106のAGID−陰性血清試料での最適化されたFPアッセイにおけるその反応性についてテストした。これらの研究の結果は、FPアッセイ反応性が、106の陰性血清試料のうち106(100%特異性)、および151の陽性血清試料のうち135(89.4%感度)における報告されたAGID結果と相関したことを示す。FPアッセイは、非常に低いバックグラウンド反応性を有し、感染において早く(<3週間後感染)生じた抗体を容易に検出することも判明した。

FPは非常に迅速な反応での均一系技術であり;平衡に達するのに数秒〜数分で十分である。試薬は安定しているので、大きなかなり再現性があるバッチを調製することができる。それらの特性のため、FPは、高度に自動化可能であり、しばしば、単一の予め混合されたトレーサー−受容体試薬との一回のインキュベーションで行われることが判明した。洗浄工程がないという事実は、不均一系技術よりも精度およびスピードを増加させ、廃棄物を劇的に低下させる。

蛍光強度に基づく他の均一系技術が開発されている。これらはエネルギー移動、消光および増強アッセイを含む。FPはこれらよりも優れたいくつかの利点を供する。該アッセイは構築するのが通常より容易である。というのは、トレーサーは強度変化による結合に応答する必要がないからである。加えて、唯1つのトレーサーが必要とされ、粗製受容体調製物を利用することができる。さらに、FPは強度から独立しているので、それは着色溶液および濁った懸濁液に対して比較的免疫性である。FPは機器測定の領域においていくつかの利点を供する。FPは分子の基本的な特性であり、かつ試薬は安定であるゆえに、ほとんどまたは全く標準化は必要とされない。FPは、検出器利得設定およびレーザーパワーにおけるドリフトに対して比較的非感受性である。

分子の運動および回転の概念は蛍光偏光の基礎である。蛍光染料を用いて小さな分子を標識することによって、同等またはより大きなサイズのもう1つの分子へのその結合は、その回転のスピードを介してモニターすることができる。図5に示すように、(垂直ページ軸に沿った)直線偏光の電気ベクトルに対して平行に整列したその吸収転移ベクトル(矢印)を持つ染料分子は選択的に励起される。小さな迅速に回転する分子に付着した染料については、最初に光選択された向きの分布は発光に先立ってランダム化されるようになり、その結果、低い蛍光偏光がもたらされる。逆に、低分子量のトレーサーの大きなゆっくりと回転する分子への結合の結果、高い蛍光偏光がもたらされる。蛍光偏光は、従って、トレーサーのタンパク質、核酸および他の生体ポリマーへの結合の程度の直接的な読み出しを供する。

Perrinによって1926年に最初に記載された蛍光偏光は長い歴史を有する。FPの理論および測定のための最初の機器はWeberによって開発された。この研究はDandlikerによって抗原−抗体反応およびホルモン−受容体相互作用のような生物学的系まで拡大された。体液中の薬物をモニターすることを目的とした最初の商業的システムはJolleyおよび共同研究者から来るものである。

蛍光偏光は以下の方程式:P=(V−H)/(V+H)によって定義され、ここで、Pは偏光単位であり、Vは発せられた光の垂直成分の強度であり、Hは垂直面偏光された光によって励起されたフルオロフォアの発せられた光の水平成分の強度である。「偏光単位」Pは無次元の存在であって、発せられた光の強度、またはフルオロフォアの濃度に依存しない。これはFPの基本的パワーである。用語「mP」は、今日一般に用いられており、ここで、1mPはPの1/1000と等しい。

励起二極は、分子が光を吸収するのを優先する方向である。発光二極は、分子が光を発するのを優先する方向である。これは(簡素化のため)、これらの方向は平行であると仮定している。1つの実験において、もし全ての励起二極が垂直面内で整列するように蛍光分子が固定され、発光二極に沿った偏光を持つ蛍光のみがあると仮定すれば、1000 mPの最大偏光単位が観察される。しかしながら、もし励起二極がランダムな向きであれば、この最大偏光単位は500mPまで低下する。もう1つの実験において、もし二極が固定されるという要件がはずされ、かつそれらが励起される時間およびそれらが蛍光を発する時間の間に再度配向されれば、偏光単位は500mP未満に入る。

もう1つの実験において、ランダムな向きの転移モーメントの収集は自由に回転できる。この場合、偏光単位は0および500mPの間であって、励起状態の蛍光の寿命の間にどれくらい大いに分子が回転したかに依存する。分子がより小さければ、それはより速く回転し、従って、FPはより低くなる。

分子の回転速度はストークスの方程式:ρ=(3ηV)/(RT)によって記載され、ここで、ρは回転緩和時間であり(そのコサインが1/eである角度、またはほぼ68.5°を通って回転するのに必要な時間)、ηは媒体の粘度であり、Vは分子の分子用量であり、Rは気体定数であって、Tはケルビン度で表した温度である。先の方程式から、我々は、分子の分子量がより高いと、回転緩和時間がより高くなることを見出すことができ;V=vMであり、ここで、M(Perrin方程式)はダルトンで表した分子の分子量であって、vはその部分的比容量(cm3g−1)である。Perrin方程式は1926年に最初に記載され、観察されたFP、制限的偏光、フルオロフォアの蛍光寿命(τ)、および回転緩和時間の間の関係を記載する。((1/P)−(1/3))=((1/P0)−(1/3))×((1+(3τ/P))。

蛍光寿命が短ければFPはより高いであろう。逆に、回転緩和時間が短ければ、FPはより小さいであろう。ストークスの方程式およびPerrin方程式を組合せ、かつVに代えてMで置換し、再編集すれば、分子の分子量およびそのFPの間の関係が得られる(1/Pは1/Mに比例する);(1/P)=(1/P0)+((1/P0)−(1/3))×(RT/vM)×(τ/η)。この方程式より、Pは高い分子量、高い粘度および短い寿命の制限的場合においてはP0と等しいことが分かる。事実、種々の粘度においてFPを測定し、Pを1/ηに対してプロットし、次いで、座標上の切片を決定することによってP0を決定することができる。

有機フルオロフォアは狭い励起バンドおよび広い赤色−テイリング発光バンドのような特徴を有する。図6(左側中央パネル)は、各々、q−ドット535ナノ結晶およびフルオレセインの吸収および発光スペクトルを示す。図6(右側パネル)は、いくつかのサイズのCdSe−ZnS量子ドットの発光スペクトルを示し、全ての場合においてnmで表して、290nmにおけるZnSe、および365nmにおける全てのその他の励起が伴う。これらのバンドはそれらの有効性をしばしば制限する。これは、スペクトル重複により問題となる多数の光−発光プローブを同時に解像する。また、多くの有機染料は光分解に対して低い抵抗性を呈する。

量子ドットまたはq−ドット(QD)と呼ばれるルミネセントコロイド状半導体ナノ結晶は、有機染料が遭遇する機能的制限のいくつかを回避する能力を有する無機フルオロフォアである。特に、CdSe−ZnSコア−シェルQDは、可視スペクトルおよび広い吸収バンドに渡る狭い発光バンド幅(FWHM約30〜45nm)と共にサイズ−依存性チューニング可能光ルミネセンス(PL)を呈する。これらは、共通の波長におけるいくつかの粒子サイズ(色)の同時励起を可能とする。これは、今度は、標準機器測定を用いるいくつかの色の同時解像を可能とする(図6、右側パネル)。CdSe−ZnS QDもまた高い量子収率を有し、光分解に対して抵抗性であって、有機染料に匹敵する濃度において光学的に検出することができる。

量子ドットは、典型的には、結晶性セレン化カドミウムのような物質よりなるナノ−スケールの半導体である。用語「q−ドット」はこれらの物質の量子封じ込め効果を強調し、典型的には、量子封じ込めサイズの範囲において蛍光ナノ結晶をいう。量子封じ込めとは、半導体を電気的に、あるいはその上で光を輝かせることによって励起して、再結合した場合に光を発する電子−ホール対を生じることに由来するLEDのようなバルク(巨視的)半導体からの光発光をいう。エネルギーおよび、従って、発せられた光の波長は半導体材料の組成によって支配される。しかしながら、半導体の物理的サイズが、電子−ホール対の天然の半径(ボーア半径)よりもかなり小さくなるまでかなり低下した場合、ナノ分光半導体構造内にこの励起を「封じ込める」のに必要なさらなるエネルギーが必要とされ、より短い波長への発光のシフトに導かれる。

蛍光偏光アッセイはマイクロ流体デバイスで用いて、キナーゼ酵素、ホスファターゼ、プロテアーゼ、リガンド−リガンド結合、およびその他の活性をモニターすることができる。蛍光偏光測定を行うための現行の蛍光検出システムの拡大は、直線偏光レーザーおよび偏光オプティックスの設計への取り組みを必要とする。図7に示したように、直線偏光レーザーおよび偏光オプティックスが設計に取り込まれている。488nmで操作される直線偏光周波数二重ダイオードレーザーは、1/2ウェーブプレートおよび線形ポラライザーを通過する(Meadowlark Optics,>2000:1コントラスト比。これは、FPで必要とされる励起レーザー偏光を方向付け、それをロックするのを可能とする。レーザーは反射され、二色ビームスプリッターおよび反射防止被覆レンズを用いて試料に焦点が結ばれる。試料からの蛍光はレンズおよび二色ビームスプリッターを通じて元に伝播され、発光フィルターを用いて単離される。次いで、この蛍光シグナルを偏光ビームスプリッターを用いて直交偏光に分裂させる(Meadowlark Optics、偏光キューブ型ビームスプリッター、コントラスト比>500:1伝播、>20:1反射)。コントラストは線形ポラライザーでさらに高められる(Meadowlark Optics,>2000:1コントラスト比)。最後に、各偏光シグナルは、光電子増倍管の対を用いて測定され(Hamamastsu H5789)、デジタル化され、コンピュータによって解析される。Picarroからの488nmにおいて操作される直線偏光(>200:1)周波数ニ重ダイオードレーザーがこの目的で用いられる。図面で分かるように、レーザーは1/2ウェルプレートおよび線形ポラライザーを通過する(Meadowlark Optics,>2000:1コントラスト比)。これは、FPで要求とされる励起レーザー偏光を方向付け、それをロックすることを可能とする。標準ステーションに関しては、レーザーは反射され、二色ビームスプリッターおよび抗−反射被覆レンズを用いて試料に焦点が結ばれる。試料からの蛍光はレンズおよび二色ビームスプリッターを通って逆に伝播され、発光フィルターを用いて単離される。次いで、偏光ビームスプリッター(Meadowlark Opticsで偏光キューブ型ビームスプリッター,コントラスト比率<500:1伝播,<20:1反射)を用いてこの蛍光シグナルを直交偏光に分裂させ、コントラストは線形ポラライザーでさらに高められる(Meadowlark Optics,>2000:1コントラスト比)。最後に、各変更シグナルは光電子増倍管の対を用いて測定され(Hamamastsu H5789)デジタル化され、コンピュータで解析される。これらのオプティックスはmP感度よりも良好とすると期待される。

これらの蛍光偏光システムは、モデル酵素系;Src−ファミリーチロシンキナーゼを用いてテストした。非放射性の単純な感受性蛍光偏光アッセイは、タンパク質チロシンキナーゼ活性をアッセイするために開発されている(Seethala R.;Menzel R.A Homogeneous,Fluorescence Polarization Assay for Src−Family Tyrosine Kinases.Analytical Biochemistry,November 1997,vol.253,no.2,pp.210−218(9))。このアッセイは、フルオレセニル化ペプチド基質のキナーゼ、ATP、および抗−ホスホチロシン抗体とのインキュベーションを含む。図8に示すように、リン酸化ペプチド産物は抗−ホスホチロシン抗体で免疫複合体化され、その結果、蛍光偏光アナライザーで測定して偏光シグナルの増加をもたらす。図8左側パネルは操作のIMAP原理を示す。蛍光基質がキナーゼによってリン酸化された場合、それは、その分子量が基質に対して大きなIMAP結合試薬に結合することができる。これは、蛍光の偏光の大きな増加を与える。図8中央パネルはMAPKAP−K2、セリン/スレオニンキナーゼのIMAPアッセイを示す。UpstateからのMAPKAP−K2は、示された量の酵素を用いて20μLの容量でアッセイした。ATPおよび基質の濃度は、各々、5.0および0.5μMであった。インキュベーションは室温における60分であり、続いて、60μLのIMAP結合試薬を加えた。FPは30分後にAnalystシステムで読んだ。図8の右側パネルはキナーゼ阻害のIMAP定量を示す。MAPKAP−K2(0.25単位/mL)は15分間示された酵素の量を用いてインキュベートした。次いで、酵素の活性を前記したように評価した。これらの結果は、蛍光偏光アッセイが阻害剤を検出でき、32PO4移動アッセイと匹敵することを示す。蛍光偏光方法は32PO4移動アッセイあるいはELISAまたはDELFIAと比較して有利である。なぜならば、それはいくつかの洗浄、液体移動、および試料調製工程を含まない1−工程アッセイだからである。それは非同位体基質を用いるさらなる利点を有する。かくして、蛍光偏光アッセイは環境的に安全であり、取り扱いの問題を最小化する。

選択される染料はフローサイトメトリーにおいて広く用いられており、我々の機器においては、1つの滴内の(潜在的に)多くの染料の状態を決定するであろう。我々の機器での安価なオプティックスの使用は、ナノリアクターにおける染料分子の理論的増加によって補償されるものを超えるであろう。

FPアッセイは、感度またはシグナルウィンドウの喪失なくして5% DMSOまで許容されることが示された。1,280の化合物のランダムな組から、Allenらは、1.9%がFP測定に有意に干渉することを見出した(J Biomol Screen.2000 Apr;5(2):63−9.High throughput fluorescence polarization:a homogeneous alternative to radioligand binding for cell surface receptors.Allen M,Reeves J,Mellor G.Receptor & Enzyme Screening Technologies, Glaxo Wellcome Medicines Research Centre,Stevenage,Herts,UK)。もし蛍光または消光化合物が排除されたならば(全ての化合物の3%)、0.4%未満の化合物はFP測定に干渉することが見出された。化合物は先験的にアッセイされ、これらの望ましくない特徴を有するものは排除される。

いくつかの酵素アッセイにおいて遅延モジュール(すなわち、遅延ライン)が利用されるであろう。これは、小さな容量の酵素反応メカニズムについてはあまり真実ではない。そして、多くの細胞ベースのアッセイでさえ5分以内に測定することができる。より長いアッセイ時間は、小滴を集め、それらを適当な時間の間インキュベートし、次いで、それらをデバイスに再度注入することによって達成することができる。

いくつかの濃度における3つの異なるq−ドットは、各々、マイクロ小滴内に入れることができ、次いで、本発明のデバイスで用いて、滴内にあるものを解読することができる。1つの実験において、最初の標識スキームは620 nm(CdSe/ZnS)、650 nm(InGaP/ZnS)、および680 nm(InGaP/ZnS)の発光波長を有するq−ドットの3色を用いた(488nmにおける励起は全てについて適切である)。1つの特別な例において、1つのq−ドットは一定の濃度に維持され、第二および第三のq−ドットは少なくとも10の異なる濃度で変化させ、100の異なるコーディングを与える(1×10×10)。解読は、第一のq−ドットに対する第二および第三のq−ドットの強度を参照することによって計算されるであろう。他の標識スキームはこれらの実験の過程において用いることができる。

蛍光ステーションへのQ−ドットリードアウト拡大は本明細書中に記載されており、開発されたモジュールレイアウトのため容易に設計に取り込まれる。見られるように、一連の二色ビームスプリッター、発光フィルター、および検出器はシステムに積まれ、必要な5つの発光チャネル(2つの蛍光偏光シグナルおよび3つのq−ドットバンド)の測定を可能とする。q−ドット波長バンドを相互から分離することができる二色ビームスプリッターおよび発光フィルターは容易に入手でき、従って、それはステーションを適切に構成するための直接的プロセスである。

滞留時間は、チャネルを広くすることにより滴の流動を遅らせることによって増加させることができる。別法として、レーザービームの強度を増加させて、小滴内のq−ドットの濃度を補償し、または増加させることができる。

本明細書中に記載したように、FPのために選択された染料はほとんどの細胞−および酵素−ベースのアッセイで共通して用いられており、q−ドットと有意に重複しないように設計される。染料は独立してかつq−ドットと一緒に評価され(最初は、機器なし)、クロス−トークを評価する。好ましくは、液体q−ドット標識は、現在FACS分析およびソーティングで用いられるスペクトル波長バンドの外側で読まれる(すなわち、染料フルオレセイン、Cy3、Cy5など)。これは(これらの染料に依存した)現在利用可能なアッセイの使用を可能とする。特異的なq−ドットを用い、クロストークを最小化する。いくつかの民間企業は、設計すべきオプティックスによって読むことができるq−ドットを販売している。現在使用されるq−ドットの3色は、620 nm(CdSe/ZnS)、650 nm(InGaP/ZnS)、および680 nm(InGaP/ZnS)の発光波長を有する非機能化T2 EviTagsである(488nmにおける励起は全てについて適当である)。

96のタイプの小滴を生成するのは可能であり、1つの小滴はq−ドット標識のユニークな組および化合物を共に含有し、小滴が本発明のデバイスを通って流動するにつれ、キナーゼ酵素活性はFPを用いて分析することができ、q−ドット標識は解読することができる。この方法はより複雑かつ興味深いライブラリーに対するスケーリングを可能とする。

FPアッセイは、感度またはシグナルウィンドウにおける喪失なくして5% DMSOまで許容されることが示された。1,280化合物のランダムな組から、Allenらは1.9%がFP測定に有意に干渉することを見出した(J Biomol Screen.2000 Apr;5(2):63−9.High−throughput fluorescence polarization:a homogeneous alternative to radioligand binding for cell surface receptors. Allen Mら Receptor & Enzyme Screening Technologies,Glaxo Wellcome Medicines Research Centre Stevenage,Herts,UK)。もし蛍光または消光化合物が排除されるならば(全ての化合物の3%)、0.4%未満の化合物がFP測定に干渉することが見出される。化合物は先験的にアッセイされ、FPを消光するものは排除される。

我々が用いるq−ドットの3色は、620nm、650nm、および680nmの発光波長を有する非機能化T2 EviTagsであり;488nmにおける励起は全てについて適切である。>620nm液体標識発光バンドが、488および620nmの間に見出されるFPアッセイバンドと干渉しないように選択された。これらのq−ドットは市販されており、いくつかの緩衝液中で安定であって、水性溶液に懸濁したままである。

2つのタイプの小滴の混合液、緩衝液−のみ、およびフルオレセイン含有は、有機染料の緩衝液−のみ小滴へのいずれの検出可能な拡散もなくして、少なくとも最初の1ヵ月の間安定である。他の界面活性剤は異なる種類の化合物に代えて置換可能である。他の化合物のテストについては、i)化合物−含有および緩衝液−のみ小滴の同様な混合物を作製することができ、ii)それらはそれらのq−ドット標識に基づいてソートすることができ、およびiii)質量分析を緩衝液−のみ小滴で用いて、他の化合物の存在を定量的に検出することができる。

いくつかの実施形態において、遅延モジュール(すなわち遅延ライン)を利用することができる。これは、小容量の酵素反応メカニズムについて当てはまるであろう。しかしながら、多くの細胞−ベースのアッセイでさえ5分以内に測定することができる。小滴はオフ−ラインで採ることもでき、小滴の明らかな変化なくして、本発明のデバイスへの再度の注入前の少なくとも1ヵ月間貯蔵することができる。より長い遅延時間は、混合された小滴をオフ−ラインで採ることによって達成することができ、次いで、それを再度注入することができる。

実施例5 本発明は、前記した本発明のナノリアクター中で縮合化学を行って、高度に収束した方法で薬物−様分子のライブラリーを合成する方法を提供する。

全ての生命現象を水性媒体中で起こる化学反応に減らすことができる。よって、水は普遍的な究極の溶媒であると考えられ、不可避的に生物学的な実験は水性媒体中で行われる。さらに、全てのタイプの有機溶媒は生化学的反応に対して有害であり、それらの使用をジメチルスルホキシドおよびエチレングリコールのような水混和性溶媒の小さなパーセンテージに限定する。我々の系における1チップ合成は従って、全ての化学反応を生物学的に適合する水性媒体中で行うことを必要とする。対照的に、従来の有機化学の合成は、結合形成プロセスを行うに高度に活性化された基質および高度に反応性の試薬に依拠する。典型的には、これらの基質および/または試薬は、それらを無益なものとする水の存在下、または水との反応において不安定である。コストを低下させるための絶え間ない努力は安全性を高め、環境の関心事に取り組むために、w.r.t.溶媒の選択は、水を主用な、または多くの場合には、唯一の溶媒(Li)として利用する合成方法の開発を促進した。水が唯一の溶媒でない場合には、水混和性有機溶媒を用いて、基質の溶解を助ける。

物質はそれを制御された方法で分解することによってナノリアクターから除去できるが、そのようにしなければならないことを回避するのは好ましい。小滴から物質を除去する要件を排除するために、我々は5つの反応のタイプをつきとめ、これは、水性媒体中で行うことができ、これを用いて、サブ−構造成分のかなり多様なライブラリーから一緒に薬物−様分子を「スティッチ」することができる。これらの反応は薬物−様分子における通常に生じる官能基を作り出し、i)N−アシル化、ii)N−スルホニル化、iii)シクロ付加、iv)アミンの還元的アルキル化、およびv)SNAr反応(Morgan)を含む。サブ−構造のランダムな組合せは、全ての可能な組合せのライブラリーを生じるであろう。反応は多工程反応を行うのに十分に直交的である。さらに、単純な保護および脱保護スキームを用いて、縮合の数を増加させることができる。十分な過剰な数の構成要素ナノリアクターは生化学アッセイにおけるテストのための各組み合わせの多数のコピーとの全ての可能な組合せのライブラリーを生じるであろう。この冗長性は、偽陽性ソーティング事象のインパクトを低下させるのに必要である。

この技術は、多様なサブ−構造構成要素からの2以上の工程の収束合成による薬物−様化学的存在の組み立てに基づく。2工程プロセスは、4つのサブ構造から最終的な化学的種を組立てる。そのような合成の例は、比較的単純な形成ブロックからのキナーゼ阻害剤Gleevecの構築である。Gleevecは、キメラチロシンキナーゼbcr−ablを標的とするキナーゼ阻害剤のクラスの最初のものである。bcr−ablは、構成的に活性であり、慢性骨髄性白血病(CML)と呼ばれる癌の稀な生命を脅かす形態を引き起こす。Gleevecは、2001年の5月に3ヶ月を中断する記録においてFDA認可を受けた。球に類似して、三次元構造は適当な切断によって半球および1/4球に破壊することができる。図9は、1/4球AおよびBが還元的アルキル化を利用して組み合わされることを示す。1/4球CおよびDは1,3二極シクロ付加を利用して合わされる。半球ABおよびCDはN−アシル化を利用して合わされる。

化学的多様性は、サブ−構造単位(1/4球)を変化させ、ランダムに組合せて、全ての可能な組合せを達成することによって達成される。表1は各1/4球の数に対する理論的多様性を示す(例えば、4つの異なる1/4球A、4つの異なる1/4球B、4つの異なる1/4球および4つの異なる1/4球Dは、前記した2つの工程の後に256のユニークな産物を生じる)。

水性媒体中の十分に多様な縮合化学は、高度に収束した方法で薬物−様分子の多様なライブラリーを合成するために存在する。

複雑な薬物−様分子の合成でルーチン的に用いる合成反応の大部分は、水の存在下で加水分解に対して感受性であって、よって、反応容器からの水の厳格な排除を必要とする試薬および基質に依拠する。さらに、縮合反応は、しばしば、同等な脱水が進行することを必要とし、縮合基質の一方または双方は水による分解に対して感受性である。水のような良性で環境にフレンドリーな溶媒を用いる「より緑色の」化学の追求の結果、水の存在下で起こるいくつかの縮合反応の開発をもたらした。水性有機化学は主な文献および書籍においてかなりレビューされている。

本発明のカプセル化技術は、反応仕上げ処理(すなわち、生成物の生成)のオプションなくしてナノリアクターへの試薬および/または基質の付加に依拠する。これは、引き続いての工程または最終産物で行うことを意図した生物学的アッセイに、潜在的に干渉し得る副産物を有する反応の使用を排除する。さらに、マルチ工程反応においては、2つの工程はこのカップリング化学に関して直交しなければならず、すなわち、連続反応のための官能基は相互に干渉できないであろう。5つの反応タイプが同定されており、これは、水性媒体中で行うことができ、次の合成工程または生物学的アッセイにおけるテストに先立って生成物の精製を必要としない。これらの反応はi)N−アシル化、ii)N−スルホニル化、iii)シクロ付加、iv)アミンの還元的アルキル化、およびv)SNAr反応を含む。

本発明は、高度に収束された「ワンポット」合成においてこれらの縮合反応を行って、少なくとも2〜16のサブ構造からの複雑な薬物−様分子を一緒に縫い合わせる方法を提供する。

水性媒体中への有機化合物の溶解度は、その構造に強く依存する。水性媒体中へのライブラリー化合物の溶解度を高めるためには、DMSOにライブラリー化合物を溶解させ、引き続いて、DMSO溶液を水で希釈するのは生体分子スクリーニング分野において共通している。DMSOは本明細書中に記載されたナノリアクターに適合する。

2つの適当な断片の縮合に由来する蛍光産物は、反応しなくて蛍光生成物を形成せず、かくして、光学的読み出しが2つの場合の間を区別するのを可能とし、それに従って小滴をソートする、成分を有する小滴から区別できる。成分は、蛍光生成物を形成することができる成分からの異なるタグを含有するであろう蛍光生成物を形成することができる。よって、この系を用いて、最終生成物の組成を同定するように選択されたタギング戦略をテストすることができる。

伝統的なコンビナトリアル化学は、一旦いずれかの特定の生体分子アッセイにおいて活性であると決定されれば、最終生成物の構造的同一性を決定するのに複雑なデコンボリューション方法に依拠する。平行な合成アプローチは、コーディング技術を用いて、典型的にはその特定の化合物の反応履歴を同定するそれに会合したタグからのいずれかの特定の生成物の構造を推定する。1つの例において、試薬小滴は、反応体の組成および、よって、構造を推定できる最終生成物についてのユニークなPCRシグニチュアを提供する、核酸タグでコードする。

1つの特定の成分の、共通の反応パートナーとの生成物である蛍光分子の合成を用いて、タギング技術をテストする。図10は、A、BおよびCと命名される3つのタグが、以下のユニークな成分の各々の1つを標識することを示す:Aは、もしCと組み合わせれば、蛍光分子を生じる断片である。Bは、もしCと組み合わせれば非蛍光分子を生じる断片である。蛍光検出器は、A、B、Cまたは混合物BCを含有する滴の間を、および(もし反応が起こり、蛍光生成物が形成されたならば)混合物ACを含有する滴の間を区別することができる。蛍光ベースのソーティングは、Bを完全に欠如するACタグの集団を生じる。滴の第二の(廃棄)集団は、タグAを含有するあらゆる滴がCを含有する滴に融合したのでなければ、B、CおよびAタグを含有することができる。

薬物−様化合物の多工程収束合成は、小滴の選択的融合によってナノリアクター中で行うことができる。次いで、これらの化合物を、チップ上で合成した直後に生体分子スクリーニングでテストすることができる。

bcr−ablキナーゼ阻害剤Gleevecの合成は本明細書中に記載されている。4つのサブ−構造単位からのこの阻害剤の合成、続いての、蛍光偏光ベースのアッセイにおいてbcr−ablキナーゼを阻害するその能力を決定するアッセイは、この技術に対する原理の証拠として働くであろう。

2つの異なるサブ−構造は、その1つがGleevecである少なくとも16の可能な生成物が形成できるように各1/4球で用いられるであろう。他の生成物のいくつかはGleevecのサブ−構造エレメントを有するが、「別の」1/4球はかなり異なっていて、完全に非活性な生成物が可能な組合せの中にあることを確実とするであろう。各ユニークな1/4球は適当な核酸オリゴマーをタグとして付されるであろう。

Gleevecがbcr−ablの活性を強く阻害することを除いて、生成物を蛍光偏光ベースのキナーゼアッセイでテストする。アッセイ読出に基づき、Gleevecを含有する滴をソートし、別々に収集する。それらの滴の核酸タグの分析は、ヒット化合物の組成を明らかとすることができる。

本発明は、化学反応の化学的コーディングおよび解読タギングのために核酸を用いる方法も提供する。現在の技術は、いずれかの特定のビーズの合成履歴を「記録」し、それにより、活性な小分子の構造のデコンボリューションを可能とする化学的タグでのビーズのタギングのために存在する。ライブラリーメンバーを組立てるのに用いられている試薬のカプセル化は、いずれかの特定の第四級反応の組合せの構造を決定するための、均一核酸ベースのタグの使用を可能とする。生体分子スクリーニングからの陽性ヒットをE.coliにクローン化し、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて解読して、生体−活性分子を組立てるのに用いられる1/4球の組成を決定する。図11(左側パネル)はDNAタグの4つの群を示す。16の二本鎖オリゴデオキシヌクレオチドの「同族」タグのうちの1つを化学合成で用いられる16の異なる化学物質の4つの「群」の各々に加える(詳細については明細書参照)。タグの各群は、群の各メンバーについて同一であるが、隣接する基の間で相補的であるユニークな重複する5’および3’端部を有するであろう。群内のタグは、それらが隣接する基のメンバーと一旦連結できるように、非対称5’突出を持つように設計される。第1および第4の群は、加えて、全ての4つの基を含有する最終産物までPCRに対する起点部位として用いることができる(各々)5’および3’配列を含有するであろう。群2、3および4における頂部−ストランドはDNA連結で必要な5’ホスフェートを含有するであろう。図11(右側パネル)は、各反応におけるタグが酵素アッセイに基づいてソートされることを示す。示された例において、化学合成が起こり(詳細については明細書参照)、タグ2、7、11および14を含有する(本実施例における)小滴は、その中に、酵素/細胞−ベースのアッセイにおいて正に反応する合成された化合物を有する。次いで、群1および4の端部に相補的なプライマーを用い、陽性小滴をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に付す。得られたPCR産物は、次に、適当なDNAベクターにクローン化されるであろう。最後に、連鎖結合したタグを含有する形質転換E.coliのコロニーをDNA−配列決定して、陽性にソートされた小滴に会合した化合物の合成履歴を解読する。

別法として、可溶性量子「ドット染料」を用いて、ソーティングの必要性を排除する多色量子ドットの相対的蛍光シグナルを測定することによって、陽性ヒットの化学的組成を同定することができる入力エマルジョンをコードすることができる。アッセイは蛍光マーカーからの適切なシグナルで示す(本明細書中で提案されるキナーゼアッセイの場合には、我々は蛍光偏光の変化を測定するであろう)。このシグナルの原因となる分子の合成履歴は、染料の相対的レベルを決定することによって読み出されるであろう。このタギング技術は、適当な信頼性でもって認識できるユニークな組合せの数によって制限され、よって、初期リードを囲う化学的空間のサブ−セットを探求するのに典型的に用いられる、より小さなより集中されたライブラリーに適用されるであろう。

実施例6 本発明は、自己−抗原を単離する方法を提供する。次いで、各々、第一の小滴組内に別々にまたは多数で含有される単細胞を作り出すように処理された、多細胞生物から得られた腫瘍よりなる該第一の試料小滴組を、生物から単離された1以上のt−細胞よりなる小滴の第二の組と組合せ、得られた組み合わされた小滴を、検出手段を用いて組み合わされた小滴内に含有された腫瘍細胞のt−細胞殺傷について分析する。検出手段は、細胞の溶解に際して小滴環境に放出されるであろう細胞質酵素についての分析を含むことができる。小滴はソートすることができるか、またはソートすることができず、次いで、さらに、t−細胞によって認識される腫瘍細胞エピトープの同定のために分析される。

実施例7 本発明は、相化的アプローチまたはその誘導体を用いるマトリックススクリーニングの方法を提供する。試料ウェル内に各々別々に含有された多数の試料から構成されるデバイスは、各試料が流体−流動内の小滴内にカプセル化でき、かつ別々の、順次の小滴の組合せの相を変化させることによって、他の試料の各々と順次にかつ別々に組み合わせることができるように操作できるように、1以上の入口チャネルに結合した。

例えば、滴の組合せの相を変化させることによって、例えば、5つの別々の試料各々を他の試料と、本実施例においては対として、組合せて、化合物1+2、2+3、3+4、4+5、5+1、...1+4の全ての可能な対の混合物を含有する滴を生じさせることが可能である。相化は、チャネルの長さ、バルブ、圧力などを含めたいくつかの手段のうちの1つによることができる。

もう1つの実施例において、100の化合物のマトリックスを100の別々のウェルに負荷し、各々を、別々の対にて組合せて、1002の異なる対様式組合せを得る。これらの103の組合せは、各々、細胞−ベースのアッセイで別々に用いて、細胞生存に対するそれらの組み合わされた効果を決定する。

本明細書中に開示されたデバイスおよびシステムは、試料を分析するための現行のデバイスおよび方法よりも優れたいくつかの区別される利点を有する。これらの利点は、例えば、アッセイの信頼性および再現性、フレキシビリティ(「交換」する能力)、かなり低下したコスト、スピードおよび取扱、分析を行うのに必要な技量−レベルの低下、1〜多くのナノリアクターからのアッセイのスケーラビリティ、現行の液体−取扱ロボットでの自動化、多数分類能力、およびナノリアクター封じ込めおよび操作によって可能とされた従前には達成できなかったアッセイ構造を含む。

静電荷がマイクロ流体デバイス中の小滴に運ぶ増大した機能は、マイクロ流体適用の広範なリストを可能とする潜在能力を有する。本明細書中に記載された小滴を操作するための技術のこのツールキットは、少数の分子を輸送し、反応させるための系のモジュール一体化を可能とすることができる。高スループットスクリーニング、コンビナトリアル化学、および生体分子のライブラリーにおける稀な生物学的機能についてのサーチは、全て、マイクロチャネル中の小滴の静電操作から利益を受ける。小滴−ベースのマイクロ流体技術を用いて、小滴形成およびソーティング工程の間に多数試薬−ベースのアッセイを含めるために、蛍光を超える増強された活性化機能を持つチップ−スケール蛍光活性化細胞ソーター(FACS)を開発することもできる。さらに、直径が数ミクロンであるフェムトリットル小滴を用いることによって、単一の生体分子さえ、有効な化学的反応性および単一−分子アッセイに十分な≫1nMの濃度を表す。

小滴−ベースのマイクロ流体デバイスの潜在的使用の多くは、分子、細胞または粒子の種々の集団またはライブラリーをマイクロリアクターにカプセル化し、恐らくは、試薬の添加を通じて内容物についてのアッセイを行い、次いで、最後に、稀な事象についてのサーチにおける収集から特異的マイクロリアクターを選択的に除去するという要求によって駆動される。これは、合理的な時間内に最小のライブラリーを通じてソートするのに秒当たり103の処理速度を必要とし、他方、秒当たり約105の速度がより大きなライブラリーについて望ましい。これらの速度は荷電小滴パラダイムを用いて使用可能である。さらに、マイクロ流体デバイスは打ち抜かれるので、平行した流動ストリームを製造することができ、さらに、合計スループットを高める。合わせた、小滴の利点および高スループット操作は、適用の広い普及のための重要な機会を提供する。本明細書中において示され、かつ記載された発明は、小滴−ベースのマイクロ流体技術の適用を容易とするであろう。

実施例8 本発明は、本発明によるマイクロ流体デバイスでの使用のための公知のアッセイの適合も提供する。例えば、蛍光偏光、分子ビーコン、およびタックマン(taqman)アッセイをSNP、DGE、および核酸同定での使用のために適合させることができる。高スループット様式において、個々の小滴を有機または無機染料のいずれか、または着色ビーズで標識することができる。区別される利点は、ビーズは必要とされず、全アッセイは溶液中で実行できることである。いくつかの例示的アッセイを記載する。

本発明を用いて、予め規定されたCDRライブラリーにおいてCDRを同定することができる。1つの例において、scFvにおける6つのCDRの各々について100の予め規定されたCDRがあり得る(すなわち、VHにおいて3、およびVLにおいて3)。600の分子ビーコンを作り出すことができ、各ビーコンは異なる(例えば、q−ドット)液体標識(LiquidLabel)で乳化される。600の別々のエマルジョンをプールして、1つのエマルジョンライブラリー混合物(600の異なるタイプの小滴から構成され、述べたごとく、各小滴は特異的なCDRに特異的な分子ビーコン、およびその分子ビーコンを含有する小滴に特異的な液体標識を共に含有する)を作り出すことができる。ファージディスプレイまたは酵母2−ハイブリッドいずれかによって単離された抗原−相互作用抗体からのscFv Ab遺伝子は、5’および3’フランキングプライマーを用いるPCRによって増幅することができる。Ab遺伝子のPCR産物は、ライブラリー混合物との組合せに先立ってRDT機器で乳化することができ、あるいは別の例においては、それ自身のユニークな液体標識とオフ−ラインで合わせ、いくつかの(他の)増幅されたAb断片と混合し、それにより、数個のPCR断片が同時に分析されることを可能とすることができる。次いで、増幅された断片をライブラリー混合物と合わせ、検出器を通って流す。検出器は、液体標識を用いて小滴内の分子ビーコンを同定し、さらに、ハイブリダイゼーションが起こったか否かを、プローブ−含有クエンチャーに対するフルオロフォアの状態を調べることによって検出する。

オリゴヌクレオチドアッセイを用いて、蛍光偏光(FP)有機−染料タイプのタグ、分子ビーコンまたはタックマンオリゴヌクレオチドを前記したアッセイでそれに対して用いることができる産物を生じさせることができる。他のアッセイも可能である。

本発明は異なる遺伝子発現で利用することもできる。タックマンまたは分子ビーコンを本明細書中に記載された方法の修飾で用いることができる。

TaqManシステムは、TaqDNAポリメラーゼのような5’→3’ヌクレアーゼ活性を持つポリメラーゼ、およびレポーター染料、およびプライマーの1つから下流の標的にアニールするクエンチャー染料で標識された短いオリゴヌクレオチドプローブの使用を必要とする(図12左側パネル参照)。もしプローブが標的にハイブリダイズすれば、ポリメラーゼはハイブリダイズしたプローブを切断し、レポーターをクエンチャーから分離し、その結果、より高い蛍光シグナルがもたらされる。蛍光シグナルは、増幅の対数線形相の間に生じたアンプリコンの数に比例して増加する。プローブはプライマーの前にハイブリダイズし、従って、プライマーが伸長するにつれ、ポリメラーゼはプローブを切断し、レポーター染料を放出できることは重要である。そうでなければ、増幅は起こるが、モニターされず、なぜならばプローブは切断されないからである。

分子ビーコンプローブは、5’および3’末端に結合したフルオロフォアおよび非蛍光クエンチャー染料を有するヘアピン−形状のオリゴヌクレオチド分子である(図12、右側パネル参照)。一般に、DABCYLは非蛍光ユニバーサルクエンチャーであって、他の染料はFAM、TET、TAMRAまたはROXのようなレポーターフルオロフォアである。分子ビーコンは、それが標的部位にハイブリダイズしない場合には、ヘアピン立体配置である。それは、非常に安定なハイブリッドまたはステムを形成する相補的な配列を持つ2つの「アーム」を有するように設計される。クエンチャーおよびレポーターの密接な近接は、ビーコンがヘアピン立体配置にある場合、レポーターの蛍光を抑制する。アニーリング工程の間にビーコンが標的にハイブリダイズすれば、レポーター染料はクエンチャーから分離され、これはレポーターが蛍光を発するのを可能とする。ビーコンが標的配列にアニールするためには、それは、ヘアピンよりも安定でさえあるハイブリッドを形成して、ハイブリダイズした立体配置のままでいなければならない。従って、もしミスマッチした塩基対があれば、プローブは標的とハイブリッドを形成しにくいようである。

分子ビーコンおよびタックマンに加えて、本発明のデバイスを用いて、本明細書中に記載されたように蛍光偏光を行うことができる。ほとんどのSNPアッセイは、ミニ−配列決定および遺伝子発現分析双方に適合させることができる。一連の蛍光偏光測定は、フルオレセイン、ビオチンに結合したフルオレセイン、およびビオチン+ストレプトアビジンに結合したフルオレセインを含有する小滴を見つつ、本発明によるマイクロ流体デバイス内部で行われてきた。蛍光シグナルを2つの直交偏光に分裂させ:1つのレーザーの励起偏光に対して平行であり、1つは偏光に対して垂直である。これらのシグナルを収集し、分析して、これらの結合状態の各々についての蛍光の偏光の変化を決定した。

偏光は:

から計算され、ここで、V=レーザー励起偏光に対して平行に偏光した蛍光シグナルであり、H=垂直に偏光した蛍光シグナルである。mP(「ミリ−P」)は1000*Pである。蛍光が完全に偏光解消されると、偏光はゼロに等しく、蛍光分子が「凍結」すると(すなわち、励起および発光の間を回転しない大きな分子に結合すると)、500mPの最大を有する。

蛍光ステーションを修飾して、レーザーのためのクリーンアップポラライザー、および収集のためのクリーンアップポラライザーを備えた偏光ビームスプリッターを含ませた。2つの得られた蛍光チャネルは直交偏光を持つ光を収集する(「垂直」はレーザー偏光に対して平行であり、「水平」はレーザー偏光に対して垂直である)。交互小滴を生成させるのに用いるデバイスはRDT Master #257から形成される(50um深チャネル)。表2はこれらのテストで用いる流体をリストする。

これらの実験の間、流体流動の速度はFC、BTFC、およびBTFC+SAについては200ul/hrであり、油(FC3283+10%「アボカド」)については600ul/hrであった。小滴は、いずれの水溶液を用いたかに応じて、直径が65〜75umの範囲であった。小滴の間の時間は、同様に、いずれの流体を用いるかに応じて、1300us〜2200usで変化した。蛍光偏光測定は、1つのノズルにBDTFCを注入し、他のノズルにBTFC+SAを注入することによって行った。一旦これらの測定が完了すれば、BTFC+SAをFCで置き換え、第二のシリーズのデータを収集した。図13は、これらの実行双方から収集した典型的な蛍光データ、ならびに示された小滴の各々についての計算された偏光をプロットする。図13(頂部パネル)は、BTFCおよびBTFC+SA、次いで、BTFCおよびFCを測定した場合の、テストステーションで収集された生の偏光蛍光シグナルを示す(データは正規化し、従って、P(フルオレセイン)=0.0である)。図13(底部パネル)は、頂部プロットにおける各小滴から計算された偏光を示す。t=1.5秒における転移は数学的人工物であり、ここで、2つの条件で収集されたデータはソフトウェアにおいて連結させた(t=1.5後のデータは、t=1.5前に収集されたデータからほぼ30分後に収集した)。このデータにおいて、Vertical(垂直)はレーザー偏光に対して平行な蛍光であり、Horizontal(水平)は垂直な偏光である。このデータにおいて、「水平」偏光は、偏光がフルオレセインに対してゼロと等しくなるように正規化されている。偏光は、各偏光について小滴を横切る蛍光シグナルを積分し、次いで、方程式1に結果を当てはめることによって計算した。図14は、このデータから作られたヒストグラムと共に、より多数の小滴について測定された偏光をプロットする。図14(頂部パネル)は、図3におけるよりも長い時間の間の各小滴から計算された偏光を示す。図14(底部パネル)は、頂部図におけるデータから作成されたヒストグラムを示す。t=1.5後のデータは、t=1.5前に収集されたデータからほぼ30分後に収集した。

偏光のヒストグラムに見られるように、偏光は3つの異なる平均値のすぐ回りに集中する。ゼロ−中心平均(σ=1.7)はフルオレセインに対応し、他方、18.4mP(σ=1.6)グルーピングはビオチナール化フルオレセインに対応し、96mP(σ=3.46)グルーピングは、ステプトアビジンに結合したビオチナール化フルオレセインに対応する。

実施例9 フルオロ界面活性剤は、揮発性フッ素化溶媒中にてKrytox 157 FSL、FSM、またはFSHを水酸化アンモニウム水溶液と反応させることによって合成される。溶媒および残存する水およびアンモニアはロータリーエバポレーターで除去する。次いで、界面活性剤をフッ素化油(例えば、3MからのFC−3283)に溶解させることができ、これは、次いで、エマルジョンの連続相として用いることができる。典型的な濃度は油に溶解させた界面活性剤の2.5wt%である。

マイクロ流体デバイスのチャネルもまたフッ素化表面生成物で被覆される。例えば、コーティングはCT−Solv180中のCytop CTL−809Mの0.1〜0.5 wt%溶液から適用される。この溶液を、プラスチックシリンジを介して、マイクロ流体デバイスのチャネルに注入する。次いで、デバイスを2時間で90℃まで加熱し、続いて、さらに2時間で200℃まで加熱する。フッ素化油中のこれらの界面活性剤は水性小滴を自然発生凝集から安定化させる。チャネル表面をフッ素化することによって、油相はチャネルを優先的に湿らせ、安定な生成およびデバイスを通っての小滴の移動を可能とする。チャネル壁の低い表面張力はチャネル閉塞粒状物の蓄積を最小化する。

実施例10 乳化された化合物のライブラリーの質を制御して、小滴間を交差する化合物をライブラリーから排除することもできる。q−ドットでコードされた緩衝液−のみの小滴を乳化し、それを1〜1000の別々に乳化された化合物と共にインキュベートすることによって、ライブラリーの質制御を達成することができる。インキュベーションの後、ユニークにコードされたq−ドット小滴は化合物−含有小滴からソートされ、小滴の他の1〜1000タイプに乳化された化合物のいずれかの存在について(例えば、質量分析によって)分析される。小滴の間を交差する化合物を同定し、ライブラリーから排除する。

実施例11 本発明により、ユーザーは、シグナル増幅用の手段に付着されたアフィニティ−試薬の結合に基づいて細胞をソートすることを可能とする。非限定的例として、酵素(例えば、alk/phos、β−gal、ホースラディッシュペルオキシダーゼ等)に融合した抗体を細胞のミックスに加え、インキュベートする。抗体は、例えば、癌マーカーのような特定の細胞表面マーカーに対するものとすることができる。細胞懸濁液を洗浄することができ、または洗浄しなくても良い(もし抗体が低濃度であれば、すなわち、小滴当たり1抗体未満であれば、抗体は良好な結合特性を有する)。

それらの付着した抗体を有する細胞を、次いで、小滴に乳化し、適当な酵素−基質を加える。発蛍光性基質産物の存在は、基質を回転させる酵素によって1コピー〜多数のコピーへ増幅される。多数の酵素および多数の基質を用いて、多数のフルオロフォアでの多数の試料の同時または順次の分析を可能とすることができる。アフィニティ−試薬はタンパク質、核酸、または酵素(一緒になって活性となる場合のその部分)が結合することができる他の分子を共有結合により、または合理的に強い相互作用を通じて付着させることができる。

実施例12 本発明のデバイスを用いて、個々の染色体または腫瘍細胞から個々のエクソンを配列決定することもできる。この方法を実行するための模式的ダイアグラムを図19に掲げる。プライマー−結合ビーズ(例えば、Dynalストレプアビジンビーズ)と共に異なるエクソンに対する個々の特異的プライマー−対(例えば、表皮成長因子受容体(EGFR)エクソン−特異的プライマー対)を、各々、乳化し、次いで、プールして、ライブラリーエマルジョンを作成する(図19においては、96エクソンプライマー対の組を説明目的で示す)。別途、染色体DNA溶液を、本明細書中に記載されたマイクロ流体デバイスでの乳化に際して、30〜50ミクロン小滴が、平均して、DNAのわずかに半分未満のゲノム濃度を含有するように水性緩衝液に希釈する。エクソン−特異的プライマーのプールされたエマルジョンライブラリーからの小滴を、本明細書中に記載されたマイクロ流体デバイスにて染色体DNAの希釈された溶液を含有する小滴と凝集させ、ビーズ−ベースのDNA増幅反応(例えば、PCR)で用いる。本明細書中に記載されたマイクロ流体デバイスは24時間以内に1×109のこれらの小滴を収集し、その結果、小滴のエマルジョンが得られ、そのいくつかは増幅されたエクソン−DNAが付着されたビーズを含有する。PCRの後、エマルジョンを遠心によって破壊し、ビーズを単離し、洗浄し、次いで、本明細書中に記載されたマイクロ流体デバイスにてDNA−含有ビーズを豊富化する。エクソン−および染色体−特異的DNA−含有ビーズをランダムにピコタイタープレート(454 Corp.)に入れ、(454 Corp.によって供され、およびその各々をここに引用してその全体を援用する、2001年3月21日に出願された米国出願第09/814,338号;2002年3月21日に出願された米国出願第10/104,280号;2004年1月28日に出願された米国出願第10/767,899号;2005年1月28日に出願された米国出願第11/045,678号;または2005年8月1日に出願された米国出願第11/195,254号のいずれかに記載された)Life Sciences DNA配列決定機器を用いて配列決定される。このプロセスのまとめは図20によって供される。エマルジョンPCR増幅反応は、鋳型としての対照染色体DNA、およびエクソン−特異的プライマーの単一組を用いてオフ−チップにて、あるいはオン−チップにて(すなわち、本明細書中に記載された本発明のマイクロ流体デバイスにて)行うことができる。

より具体的な例において、本発明のマイクロ流体デバイスおよび方法は、鋳型としての染色体DNA、およびエクソン−特異的プライマーの単一組を用いるオフ−ラインエマルジョンPCRでの個々のエクソン−、染色体−特異的配列決定方法を開発するのに用いられてきた。

2つの小滴を一緒に合わせる(すなわち、凝集させる)能力を用いて、個々の染色体からのエクソンを増幅することができる。

a.小滴内でのDNAのPCR増幅。454 Life Sciencesは、従前に示した、本発明によるマイクロ流体デバイスについて予測されるサイズ範囲の小滴におけるエマルジョン固相PCRを示している。本発明のマイクロ流体デバイスで小滴を作り出し、それを操作するのに用いられるペルフルオロカーボン油および界面活性剤でのPCRのエマルジョンを用いる成功したDNA増幅も示されている。いくつかのポリメラーゼ(注目すべきは、古細菌からのもの、例えば、Thermal Ace DNA Pol;Pfu Turbo Pol;Advantage 2−CG Taq Pol;およびAdvantage Taq Pol)は、本明細書中に記載されたデバイスで用いる緩衝液および油でよく働く。

b.エクソン−特異的PCR反応の設定。実験の最初の組において、小滴−ベースのエクソン増幅のための頑強なバルク条件を開発する。EGFR遺伝子におけるエクソン内のプライマーを用いることができる。非小細胞肺癌(NSCLC)に罹った患者のほぼ10%は、標的化チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)化学療法養生法に対する応答性を示す。患者における応答は、EGFR遺伝子のATP裂け目における体細胞へテロ接合性突然変異に強く関連付けられている。

このATP裂け目をコードするEGFRエクソンにおいて18塩基対(BP)欠失を含有する野生型および突然変異体染色体DNAを用いる。初期実験は、本明細書中に記載されたようにペルフルオロカーボン油および界面活性剤を用いてバルク(すなわち、オフ−機器)溶液中で行うことができる。一旦条件が限定される染色体DNAで確立されたならば、オン−機器にて処方された単分散小滴でのこれらの増幅実験を反復する。これらの小滴を集め、内に含有されたDNAを増幅する。増幅された小滴を含有するエマルジョンを破壊し、ゲル電気泳動によって水性相を分析する。

c.固相増幅の測定。一旦エクソンPCR反応が機器で形成された小滴からの溶液中で働いているならば、これらの実験を、プライマーおよびビーズを共に含有する小滴で反復する。ビーズをエプソンプライマー対で乳化する。プライマーの1つを、標準オリゴヌクレオチドカップリング化学を用いてビーズに結合させる。双方のプライマーもまた溶液中にある(当業者であれば、固相増幅の目標は、そのいくつかがビーズに付着したオリゴヌクレオチドプライマーに駆動されるように、溶液中で十分な増幅された産物を生成することであることを認識するであろう)。

様々なトライアルにおける染色体DNAの連続希釈を、次にプライマー−ビーズ溶液に加える。小滴当たり1ビーズの濃度で、小滴を調製する。DNA/プライマー/ビーズ溶液を穏やかに振とうして、本明細書のマイクロ流体デバイスで小滴が形成されるように、ビーズを懸濁液に保持する。小滴を機器から収集し、その中のDNAをPCRオフーラインで増幅する。

d.単一−染色体PCR測定。2つの別々に標識されたcy3−およびcy5−含有オリゴヌクレオチドプローブのオン−ビーズハイブリダイゼーションを用いて、増幅された−DNA付着の有効性を測定する。cy3−標識プローブは18bp欠失領域内の配列に相補的に合成され、および第二のcy5−標識オリゴヌクレオチドプローブは(5’および3’両側に対する相補性を持つ)この欠失にわたるように合成される。プローブは、30℃において、それが交差ハイブリダイズしないように設計される。ビーズ上のcy3:cy5染料の定量および比率は、ビーズに存在するDNAの各特異的対立遺伝子の量の尺度である。

対照として、ビーズに付着したオリゴヌクレオチドに相補的なフルオレセイン−標識オリゴヌクレオチドを用いる。この対照オリゴヌクレオチドを用いて、ビーズに付着することができるcy3−またはcy5−標識プローブの最大量を見積もる。ハイブリダイズしたビーズを洗浄して、未−ハイブリダイズプローブを除去し、個々のビーズに依然として付着しているフルオレセインの量をフルオレセイン−標準濃度と比較する。(蛍光偏光のような)付着したDNAを見積もるための他の方法および対照を、本発明によるマイクロ流体デバイスと組合せて用いることができる。図21。染色体DNAを希釈し、バルクエマルジョンで確立された条件下で、本発明のマイクロ流体デバイス上のエクソン−プライマー含有小滴に加える。PCR増幅後に、ビーズを単離し、洗浄し、溶液中でcy3−、cy5−標識プローブにハイブリダイズさせる。ハイブリダイズしたビーズを洗浄して、未−ハイブリダイズドおよび非特異的に結合した標識ヌクレオチドを除去し、個々のビーズに依然として付着した染料の量を、蛍光顕微鏡を用いて決定する。%合成は、合成され得ると見積もられた最大から見積もる。454機器は、正確な読みのためにはビーズ当たりDNAの1×107コピーを必要とする。本明細書中に記載された方法を用い、ビーズ当たり1x107DNAを超える分子を付着させることができる。PCRは3つの異なる温度(融解、アニーリングおよび伸長温度)の周期的な反復よりなる典型的な温度−制御および酵素触媒生化学反応である。別法として、アニーリングおよび伸長温度を合わせ、かくして、さらに、温度サイクリングプロフィールの複雑性を低下させ、次いで、PCR反応のスピードおよび有効性を増大させることによって、2つの温度を適用することができる。PCRシステムの温度−感受性のため、些細な温度の差は、特に、エマルジョンPCRマイクロ流体システムにおいてDNA増幅の有効性に有意に影響し得る。

従って、エマルジョンPCRマイクロ流体における酵素キネティックス、加熱および温度−測定方法に対する温度の効果は、マイクロ流体におけるPCRキネティックスの良好な理解を獲得するのに臨界的である。

マイクロ流体デバイスで用いる油でよく働くいくつかの熱安定性ポリメラーゼが本明細書中で同定されている。適当なセンサーおよび加熱エレメント(後に記載)を備えた本発明のマイクロ流体デバイスに付着されたシリンジポンプを用いて、PCR産物をオフ−機器にて生じさせるポリメラーゼの能力をモデル化することができる。

PCRマイクロ流体についての加熱方法の選択は、より早い温度ランピング速度を達成するのに重要である。1つの実施形態において、接触−加熱方法(例えば、熱い空気の使用)を用いることができる。接触−加熱方法は電気熱変換を利用して、PCR溶液を加熱し、そこでは、加熱エレメントを埋め込んだ熱構成要素をPCR増幅の成分と直接的に接触させる。今日までに、薄層ヒーターと共に、金属加熱ブロックおよびペルチエ効果ベースの熱−電気セラミック加熱ブロックがPCRの温度制御で広く適用されている。

1つの実施形態において、Mincoからの2 Kaptan Thermofoilヒーターおよび2−工程PCRサイクリング方法を用いることができる。Thermofoilヒーターは、フレキシブルな絶縁層の間にラミネートされた、エッチングされたホイル抵抗性エレメントよりなる薄いフレキシブルな加熱エレメントである。Thermofoilヒーターは、加熱すべき部分の表面に適用される。それらの薄いプロフィールはヒーターおよびヒートシンクの間に密接な加熱カップリングを与える。Thermofoilヒーターの平坦なホイルエレメントは、丸いワイヤよりも効果的にかつ長い表面領域にわたって熱を移動させる。従って、Thermofoilヒーターは、抵抗性エレメントおよびヒートシンクの間により小さな熱勾配を生じさせる。

PCRマイクロ流体のための温度測定の方法。エマルジョンPCRマイクロ流体においては、温度測定のための方法を選択して、PCRサイクリングの間に温度を正確に制御するのが臨界的である。温度測定方法は、通常、2つのカテゴリー、接触および非接触温度測定に分けられる。前者は薄層タイプの温度検知および非薄層タイプ温度検知を含む。

1つの実施形態において、温度測定は、Minco Non−Invasive Sensors Design Kit(非侵入性センサーデザインキット)を用いることによって行うことができる。このキットは、我々がチップにドリルで穴を開け、またはタップをたてる必要性なくして正確に温度を検知するのを可能とする熱−リボン、熱−タブ、およびボルト−オン抵抗温度検出器を備えている。検出器は+/−0.25℃の精度である。もう1つの実施形態において、温度依存性蛍光染料(例えば、ローダミンBまたはローダミン3Bのような薄いフルオロフォア)を用いる温度測定は、マイクロ流体構造において温度を測定するための第二の技術を構成することができる。

先に議論した方法は、96の異なるエクソンよりなる第二のプライマー組で反復することができる。プライマーを設計し、MJ Research PCR機器にて先見的にテストして、オン−チップで用いるべき2−工程PCR条件に対する適当性を確立することができる。

増幅すべき全てのエクソンは、まず、伝統的なサンガー方法によって配列決定して、塩基−ライン読みを確立する。可能であれば、配列決定すべきDNA内の既知の多形を持つエクソン(すなわち、個体はエクソン内の部位において多形であろう)を選択する。我々は各多形について50:50を予測し、この分析により我々は、オン−チップ増幅反応の間における配列決定での偏りについての情報を集めることが可能となるであろう。付着のための対照は前記したのと同一である。

プライマー組のプールを希釈されたゲノムDNA溶液でテストし、それにより、ゲノムDNAはいくつかの濃度におけるものである。

一旦ビーズに付着されたDNAの理想的な量および質が達成されたならば、454機器を用いて、ビーズを配列決定する。DNA染色剤(例えば、Syberグリーン)を用い、あるいは蛍光オリゴヌクレオチドプローブへのハイブリダイゼーションによって、DNA−含有ビーズを本発明によるマイクロ流体デバイスについて豊富化する。適当な対照を用いて、ビーズ当たりのエクソンのコピーの数を見積もる。 例えば、本発明は、以下の項目を提供する: (項目1) ナノリアクターの作成方法であって、 a)相互に流体連絡するように基材上に一体的に配置されたマイクロ流体モジュールを担持する複数の電気的にアドレス可能なチャネルを含む微細加工基材を供し、それにより、少なくとも1つの連続相流体を運ぶように適合された少なくとも1つの主要チャネルを形成し; b)該主要チャネル内を流動する該連続相流体中に1以上の小滴が形成されるように、第一の分散相流体を第一の入口チャネルを通って該主要チャネルに流動させ; c)該主要チャネル内を流動する該連続相流体中に1以上の小滴が形成されるように、第二の分散相流体を第二の入口チャネルを通って該主要チャネルに流動させ;次いで、 d)該小滴が該微細加工基材の凝集モジュールを通過するときに、工程(b)で形成された少なくとも1つの小滴を、工程(c)で形成された少なくとも1つの小滴と凝集させ、それにより、ナノリアクターを得る; ことを含む、方法。 (項目2) 上記凝集工程が電場によって達成される、項目1に記載の方法。 (項目3) 上記凝集工程が受動的である、項目1に記載の方法。 (項目4) 上記第一および第二の分散相流体が生物学的物質または化学的物質を含む、項目1に記載の方法。 (項目5) 上記生物学的物質または化学的物質が、組織、細胞、粒子、タンパク質、抗体、アミノ酸、ヌクレオチド、小分子、および医薬よりなる群から選択されるメンバーである、項目4に記載の方法。 (項目6) さらに、e)遅延モジュール内でナノリアクターをインキュベートし、次いで、f)検出モジュール内で所定の特徴について上記ナノリアクターに問い合わせることを含む、項目4に記載の方法。 (項目7) 上記生物学的物質または化学的物質が標識される、項目4に記載の方法。 (項目8) 上記標識がタンパク質、DNAタグ、染料、または量子ドットである、項目7に記載の方法。 (項目9) 上記第一および第二の分散相流体が2つの水性ストリーム、1つの水性ストリームと1つのエマルジョンストリーム、および2つのエマルジョンストリームよりなる群から選択されるメンバーである、項目1に記載の方法。 (項目10) 2以上の反応性サブ構造から化合物を合成する方法であって、 a)反応性サブ構造を、該サブ構造に対してユニークな標識で標識し; b)マイクロ流体デバイス上で該標識された反応性サブ構造の水性溶液を乳化して、小滴を形成し;次いで、 c)該マイクロ流体デバイス上で該小滴をランダムに合わせて、化合物を形成する; ことを含む、方法。 (項目11) 工程(a)および(b)が、予め形成された標識エマルジョンを導入することによって交互に行われる、項目10に記載の方法。 (項目12) さらに: d)該化合物によって呈される望ましい化学的特性または生物学的特性に基づいて工程(c)で形成された化合物をスクリーニングし;次いで、 e)標識を解読することによって該化合物の構造を同定する; ことを含む、項目10に記載の方法。 (項目13) マイクロ流体デバイス上でライブラリーからの単一化合物を同定する方法であって、 a)化合物の水性溶液およびユニークな液体標識の水性溶液を乳化することによって化合物のライブラリーを標識し、それにより、各化合物はユニークな液体標識で標識され; b)工程(a)から得られた標識されたエマルジョンをプールし; c)特定の細胞または酵素を含有するエマルジョンと、該標識されたエマルジョンを凝集させ、それにより、ナノリアクターを形成し; d)該ナノリアクターの内容物の間の望ましい反応について該ナノリアクターをスクリーニングし;次いで、 e)該液体標識を解読し、それにより、化合物のライブラリーから単一の化合物を同定する; ことを含む、方法。 (項目14) さらに、上記スクリーニング工程を行うに先立って、上記ナノリアクターの内容物をインキュベートすることを含む、項目13に記載の方法。 (項目15) 上記液体標識が量子ドットまたは染料である、項目13に記載の方法。 (項目16) 上記液体標識が有機物または無機物である、項目13に記載の方法。 (項目17) 上記ライブラリーが組織、細胞、粒子、タンパク質、抗体、アミノ酸、ヌクレオチド、小分子、および医薬よりなる群のメンバーから選択された生物学的物質または化学的物質を含む、項目13に記載の方法。 (項目18) 工程(d)が蛍光偏光によって行われる、項目13に記載の方法。 (項目19) 乳化された化合物のライブラリーの質を制御する方法であって、 a)乳化された化合物のライブラリーを供し; b)不活性なフルオロカーボン媒体中にq−ドットでコードされた水性緩衝液を乳化させ、それにより小滴を形成し; c)該乳化された化合物のライブラリーと共に該q−ドットでコードされた小滴をインキュベートし; d)該ライブラリーから該q−ドットでコードされた小滴をソートし; e)該ライブラリーで乳化された化合物のいずれかの存在について該q−ドットでコードされた小滴を分析し;次いで、 f)該乳化された化合物のライブラリーから工程(e)で同定された化合物を排除することを含み、 ここで、工程(a)〜(f)の1以上がマイクロ流体デバイス上で行われる、方法。 (項目20) 上記分析工程が質量分析によって行われる、項目19に記載の方法。 (項目21) 細胞をソートする方法であって、 a)アフィニティ−試薬を酵素に融合させ; b)工程(a)の融合産物を細胞集団と混合し; c)該融合産物に付着した細胞を単離し; d)工程(c)の細胞を不活性なフルオロカーボン媒体中に乳化し; e)工程(a)の酵素に対応する基質を含むエマルジョンと工程(d)の細胞エマルジョンを凝集させ、それにより、ナノリアクターを形成し;次いで、 f)該ナノリアクターの内容物の間で望ましい反応につき該ナノリアクターをスクリーニングすることを含み、 ここで、(a)〜(f)の1以上の工程がマイクロ流体デバイス上で行われる、方法。 (項目22) 上記アフィニティ−試薬はタンパク質、核酸、抗体、または酵素が結合することができる他の分子である、項目21に記載の方法。 (項目23) 上記抗体が細胞表面のマーカーへの結合に対して特異的である、項目22に記載の方法。 (項目24) 上記細胞表面マーカーが癌マーカーである、項目23に記載の方法。 (項目25) 上記酵素がalk/phos、β−ガラクトシダーゼ、またはホースラディッシュペルオキシダーゼである、項目21に記載の方法。 (項目26) 上記抗体が多数の酵素に融合される、項目21に記載の方法。 (項目27) 複数の基質が乳化され、工程(d)で形成された細胞エマルジョンと凝集される、項目21に記載の方法。 (項目28) 個々の染色体から個々のエクソンを配列決定する方法であって、 a)エクソンに対する特異的プライマー−対を、該プライマー−対に結合することができるビーズで乳化させ; b)工程(a)のエマルジョンをプールして、ライブラリーエマルジョンを作成し; c)別の染色体DNAエマルジョンを供し; d)工程(b)のライブラリーエマルジョンを、工程(c)の染色体エマルジョンと凝集させ、それにより、ナノリアクターを形成し; e)該ナノリアクター中でDNAを増幅し; f)該ビーズを単離し; g)DNAを含有するビーズについてスクリーニングし;次いで、 h)DNAを含有するビーズを配列決定することを含み、 ここで、(a)〜(h)の1以上の工程がマイクロ流体デバイス上で行われる、方法。 (項目29) 項目28に記載の方法を行うためのキットであって、 a)エクソンに対して特異的なプライマー−対、および該プライマー−対に結合することができるビーズのエマルジョンライブラリー;ならびに b)染色体DNAエマルジョン; を含む、キット。

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