Spotter with spot pattern encrypting function and detection apparatus for supporting spot pattern encryption

申请号 JP2003176548 申请日 2003-06-20 公开(公告)号 JP2005010081A 公开(公告)日 2005-01-13
申请人 Canon Inc; キヤノン株式会社; 发明人 ISHIBASHI TORU;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a means for preventing a third party from easily identifying a spot alignment of a plurality of probes spotted on a probe fixing board. SOLUTION: A spotter can encrypts a type of the probe disposed at each spot address by changing spot locations (a spot pattern) of the probes on each manufactured probe fixing board when a plurality of the probes are spotted on the probe fixing board. The invention includes a dispensing apparatus suitable for the spotter, the probe fixing board manufactured by utilizing the spotter and a detection apparatus having the function of decrypting the spot location (the spot pattern) of each encrypted probe on the probe fixing board. COPYRIGHT: (C)2005,JPO&NCIPI
权利要求
  • 標的物質に対して特異的に結合可能なプローブ複数を、固相基材上のスポット箇所複数に固定してなる、プローブ固定基材の製造工程に利用される、スポット箇所にプローブをスポットする装置において、
    前記複数のプローブに関して、該プローブ固定基材において、
    各プローブがスポットされる、前記複数のスポット箇所中のいずれかのスポット箇所を表記する、一群のスポット・アドレスからなる、スポット位置(パターン)に従って、各プローブをスポットする手段と、
    該プローブ固定基材におけるスポット位置(パターン)を、各プローブ固定基材毎に、所定の情報に応じて変更することを可能とするスポット位置(パターン)変更手段とを、少なくとも具えることを特徴とするスポッター。
  • 前記スポット位置(パターン)変更手段は、
    前記プローブ固定基材に適用可能な、複数種のスポット位置(パターン)を予め記憶し、各プローブ固定基材毎に、所定の情報に応じて前記複数種のスポット位置(パターン)中の一つを選択する機構を具え、
    該選択されるスポット位置(パターン)は、各プローブ固定基材毎に変更される機能を有することを特徴とする請求項1に記載のスポッター。
  • 前記スポット位置(パターン)変更手段は、
    各プローブ固定基材毎に、所定の情報をキーとし、
    各プローブのスポット・アドレスを規定するスポット位置(パターン)を暗号化し、新たなスポット位置(パターン)を創出する機構を具え、
    該創出されるスポット位置(パターン)は、各プローブ固定基材毎に変更される機能を有することを特徴とする請求項1に記載のスポッター。
  • 前記所定の情報は、各プローブ固定基材毎に設定される個別的な情報であり、
    少なくとも、各プローブ固定基材の区別に利用される、
    製造ロット番号、製造番号(製造シリアル番号)、製造日時、製造装置番号、製造者(メーカー)、工場識別番号、製造地域番号、使用地域番号、製品リビジョン番号、任意の情報、あるいは、これらの情報の組み合わせ、
    もしくは、これら情報に基づき、類推又は計算によって、一義的に導き出される情報が、前記所定の情報に含まれることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のスポッター。
  • 前記スポット箇所にプローブをスポットする装置は、
    さらに、前記固相基材上に、もしくは、前記固相基材に付設されるハウジングに対して、前記選択されるスポット位置(パターン)に予め付されているパターン番号を表記する手段を具えることを特徴とする請求項2に記載のスポッター。
  • 前記スポット箇所にプローブをスポットする装置は、
    さらに、前記固相基材上に、もしくは、前記固相基材に付設されるハウジングに対して、前記暗号化の処理に対して、その暗号化を解除するキーを表記する手段を具えることを特徴とする請求項3に記載のスポッター。
  • 前記スポット箇所にプローブをスポットする装置は、
    前記固相基材上へ各プローブをスポットする手段において、
    インクジェット技術を用いてプローブを付与する方式を採用していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のスポッター。
  • 標的物質に対して特異的に結合可能なプローブ複数を、固相基材上のスポット箇所複数に固定してなる、プローブ固定基材であって、
    前記プローブ複数の固相基材上へのスポットは、
    請求項1乃至7のいずれか一項に記載のスポッターを用いてなされていることを特徴とするプローブ固定基材。
  • 前記プローブ固定基材は、
    前記固相基材上に固定される複数のプローブは、DNA断片である、DNAマイクロアレイの形状を有することを特徴とする請求項8に記載のプローブ固定基材。
  • 標的物質に対して特異的に結合可能なプローブ複数を、固相基材上のスポット箇所複数に固定してなる、プローブ固定基材において、
    前記複数のプローブに関して、
    各プローブが、前記複数のスポット箇所中のいずれかのスポット箇所にスポットされているかを検出する装置であって、
    前記プローブ固定基材は、請求項8または9に記載のプローブ固定基材である際、
    各プローブ固定基材毎に、所定の情報に応じて変更することで、暗号化が施されている、該プローブ固定基材におけるスポット位置(パターン)を解読する機能を具えていることを特徴とする検出装置。
  • 前記プローブ固定基材において、前記プローブ複数の固相基材上へのスポットは、請求項5に記載のスポッターを用いてなされている際、該プローブ固定基材の固相基材上に、もしくは、前記固相基材に付設されるハウジングに対して表記される、前記パターン番号を読み取る手段と、
    前記一群のスポット位置(パターン)のそれぞれに予め付されているパターン番号と、対応する一群のスポット位置(パターン)とを記憶し、読み取られるパターン番号に基づき、
    該プローブ固定基材に対して選択されているスポット位置(パターン)を特定する手段を具えることを特徴とする請求項10に記載の検出装置。
  • 前記プローブ固定基材において、前記プローブ複数の固相基材上へのスポットは、請求項6に記載のスポッターを用いてなされている際、該プローブ固定基材の固相基材上に、もしくは、前記固相基材に付設されるハウジングに対して表記される、前記暗号化の処理に対して、その暗号化を解除するキーを読み取る手段と、
    前記読み取られる暗号化を解除するキーに基づき、
    スポット位置(パターン)を創出する過程において、各プローブのスポット・アドレスを規定するスポット位置(パターン)に対して施されている暗号化を解読し、
    該プローブ固定基材に対して創出されているスポット位置(パターン)を特定する手段を具えることを特徴とする請求項10に記載の検出装置。
  • 標的物質に対して特異的に結合可能なプローブ複数を、固相基材上のスポット箇所複数に固定してなる、プローブ固定基材の製造工程に利用される、スポッター用のマルチウエルプレートに前記プローブ複数を分注する分注装置において、
    前記複数のプローブに関して、
    該プローブ固定基材において、各プローブがスポットされる、前記複数のスポット箇所中のいずれかのスポット箇所を表記する、一群のスポット・アドレスからなる、スポット位置(パターン)に従って、前記マルチウエルプレート上の対応するウェルに各プローブを分注する手段と、
    該プローブ固定基材におけるスポット位置(パターン)を、各プローブ固定基材毎に、所定の情報に応じて変更することを可能とするスポット位置(パターン)変更手段と、
    各プローブ固定基材毎に変更される、前記スポット位置(パターン)に対応させて、前記マルチウエルプレート上に対応するウェルを割り当てる手段とを、少なくとも具えることを特徴とする分注装置。
  • 前記スポッターは、ピン・スポット法による、スポット装置であることを特徴とする請求項13に記載の分注装置。
  • 前記スポット位置(パターン)変更手段は、
    前記プローブ固定基材に適用可能な、複数種のスポット位置(パターン)を予め記憶し、各プローブ固定基材毎に、所定の情報に応じて前記複数種のスポット位置(パターン)中の一つを選択する機構を具え、
    該選択されるスポット位置(パターン)は、各プローブ固定基材毎に変更される機能を有することを特徴とする請求項13または14に記載の分注装置。
  • 前記スポット位置(パターン)変更手段は、
    各プローブ固定基材毎に、所定の情報をキーとし、
    各プローブのスポット・アドレスを規定するスポット位置(パターン)を暗号化し、新たなスポット位置(パターン)を創出する機構を具え、
    該創出されるスポット位置(パターン)は、各プローブ固定基材毎に変更される機能を有することを特徴とする請求項13または14に記載の分注装置。
  • 前記所定の情報は、各プローブ固定基材毎に設定される個別的な情報であり、
    少なくとも、各プローブ固定基材の区別に利用される、
    製造ロット番号、製造番号(製造シリアル番号)、製造日時、製造装置番号、製造者(メーカー)、工場識別番号、製造地域番号、使用地域番号、製品リビジョン番号、任意の情報、あるいは、これらの情報の組み合わせ、
    もしくは、これら情報に基づき、類推又は計算によって、一義的に導き出される情報が、前記所定の情報に含まれることを特徴とする、請求項13乃至16のいずれか一項に記載の分注装置。
  • 標的物質に対して特異的に結合可能なプローブ複数を、固相基材上のスポット箇所複数にスポットする際に利用される、
    前記複数のプローブに関して、該プローブ固定基材において、
    各プローブがスポットされる、前記複数のスポット箇所中のいずれかのスポット箇所を表記する、一群のスポット・アドレスの情報を、スポット位置(パターン)と定義し、少なくとも、
    コンピュータによる実行可能な表現形式で記述可能であって、所定の情報に応じて、対応するスポット位置(パターン)を特定する機能を実現させるためのプログラムであり、
    該プログラムは、少なくとも、
    前記所定の情報を入力する操作と、
    入力された所定の情報に基づき、各異なる所定の情報毎に、異なるスポット位置(パターン)を、対応するスポット位置(パターン)として選択する操作と、
    選択された対応するスポット位置(パターン)を出力する操作とを、実現させるためのプログラムであることを特徴とするプログラム。
  • 前記プログラムにおいて規定される、
    前記入力された所定の情報に基づき、各異なる所定の情報毎に、異なるスポット位置(パターン)を、対応するスポット位置(パターン)として選択する操作は、
    予め記憶されている、前記プローブ固定基材に適用可能な、複数種のスポット位置(パターン)の群より、各異なる所定の情報毎に、異なるスポット位置(パターン)を、前記対応するスポット位置(パターン)として選択する手順を具えることを特徴とする請求項18に記載のプログラム。
  • 前記プログラムにおいて規定される、
    前記入力された所定の情報に基づき、各異なる所定の情報毎に、異なるスポット位置(パターン)を、対応するスポット位置(パターン)として選択する操作は、
    前記所定の情報をキーとし、各プローブのスポット・アドレスを規定するスポット位置(パターン)を暗号化し、各異なる所定の情報毎に、異なるスポット位置(パターン)を新たに創出する手順と、
    新たに創出されるスポット位置(パターン)を、前記対応するスポット位置(パターン)として選択する手順とを具えることを特徴とする請求項18に記載のプログラム。
  • 標的物質に対して特異的に結合可能なプローブ複数を、固相基材上のスポット箇所複数にスポットする際に利用される、
    前記複数のプローブに関して、該プローブ固定基材において、
    各プローブがスポットされる、前記複数のスポット箇所中のいずれかのスポット箇所を表記する、一群のスポット・アドレスの情報を、スポット位置(パターン)と定義し、さらに、
    スポット箇所にプローブをスポットする際に利用する、スポット装置用のマルチウエルプレートにおいて、前記スポット位置(パターン)に対応させて、前記マルチウエルプレート上に割り当てられる、各プローブの分注がなされる一群のウェルの位置情報を、分注位置(パターン)と定義し、
    少なくとも、
    コンピュータによる実行可能な表現形式で記述可能であって、所定の情報に応じて、対応する分注位置(パターン)を特定する機能を実現させるためのプログラムであり、
    該プログラムは、少なくとも、
    前記所定の情報を入力する操作と、
    入力された所定の情報に基づき、各異なる所定の情報毎に、異なるスポット位置(パターン)を、対応するスポット位置(パターン)として選択する操作と、選択された対応するスポット位置(パターン)に対応させて、割り当てられる分注位置(パターン)への変換を行う操作と、
    変換により得られる分注位置(パターン)を、前記対応する分注位置(パターン)として選択する操作と、
    選択された対応する分注位置(パターン)を出力する操作とを、実現させるためのプログラムであることを特徴とするプログラム。
  • 前記スポット装置は、ピン・スポット法によるスポット装置であることを特徴とする、請求項21記載のプログラム。
  • 前記プログラムにおいて規定される、
    前記入力された所定の情報に基づき、各異なる所定の情報毎に、異なるスポット位置(パターン)を、対応するスポット位置(パターン)として選択する操作は、
    予め記憶されている、前記プローブ固定基材に適用可能な、複数種のスポット位置(パターン)の群より、各異なる所定の情報毎に、異なるスポット位置(パターン)を、前記対応するスポット位置(パターン)として選択する手順を具えることを特徴とする請求項21または22に記載のプログラム。
  • 前記プログラムにおいて規定される、
    前記入力された所定の情報に基づき、各異なる所定の情報毎に、異なるスポット位置(パターン)を、対応するスポット位置(パターン)として選択する操作は、
    前記所定の情報をキーとし、各プローブのスポット・アドレスを規定するスポット位置(パターン)を暗号化し、各異なる所定の情報毎に、異なるスポット位置(パターン)を新たに創出する手順と、
    新たに創出されるスポット位置(パターン)を、前記対応するスポット位置(パターン)として選択する手順とを具えることを特徴とする請求項21または22に記載のプログラム。
  • 前記所定の情報は、各プローブ固定基材毎に設定される個別的な情報であり、
    少なくとも、各プローブ固定基材の区別に利用される、
    製造ロット番号、製造番号(製造シリアル番号)、製造日時、製造装置番号、製造者(メーカー)、工場識別番号、製造地域番号、使用地域番号、製品リビジョン番号、任意の情報、あるいは、これらの情報の組み合わせ、
    もしくは、これら情報に基づき、類推又は計算によって、一義的に導き出される情報が、前記所定の情報に含まれることを特徴とする、請求項18乃至24のいずれか一項に記載のプログラム。
  • 標的物質に対して特異的に結合可能なプローブ複数を、固相基材上のスポット箇所複数に固定してなる、プローブ固定基材において、
    前記複数のプローブに関して、
    各プローブが、前記複数のスポット箇所中のいずれかのスポット箇所にスポットされているかを表記する、一群のスポット・アドレスの情報を、スポット位置(パターン)と定義し、
    少なくとも、
    コンピュータによる実行可能な表現形式で記述可能であって、
    前記プローブ固定基材は、請求項8または9に記載のプローブ固定基材である際、各プローブ固定基材毎に、所定の情報に応じて変更することで、暗号化が施されている、該プローブ固定基材におけるスポット位置(パターン)を、該プローブ固定基材を検出することによって得られる検出情報に基づき、解読する機能を実現するためのプログラムであり、
    該プログラムは、少なくとも、
    前記プローブ固定基材を検出することによって得られる検出情報を入力する操作と、
    入力された検出情報より、前記プローブ固定基材におけるスポット位置(パターン)の解読を可能とする部分情報を採取する操作と、
    採取された前記部分情報に基づき、該プローブ固定基材におけるスポット位置(パターン)を特定し、解読されたスポット位置(パターン)とする操作と、
    前記解読されたスポット位置(パターン)を出力する操作とを、実現させるためのプログラムであることを特徴とするプログラム。
  • 前記プローブ固定基材において、前記プローブ複数の固相基材上へのスポットは、請求項5に記載のスポッターを用いてなされている際、前記プローブ固定基材におけるスポット位置(パターン)の解読を可能とする部分情報は、該プローブ固定基材の固相基材上に、もしくは、前記固相基材に付設されるハウジングに対して表記される、前記パターン番号であり、
    採取された前記部分情報に基づき、該プローブ固定基材におけるスポット位置(パターン)を特定し、解読されたスポット位置(パターン)とする操作は、
    予め記憶されている、前記一群のスポット位置(パターン)のそれぞれに予め付されているパターン番号と、対応する一群のスポット位置(パターン)との記憶情報群から、前記パターン番号に基づき、該パターン番号が付されているスポット位置(パターン)を選択する手順と、
    選択された該スポット位置(パターン)を、解読されたスポット位置(パターン)とする手順とを具えることを特徴とする請求項26に記載のプログラム。
  • 前記プローブ固定基材において、前記プローブ複数の固相基材上へのスポットは、請求項6に記載のスポッターを用いてなされている際、前記プローブ固定基材におけるスポット位置(パターン)の解読を可能とする部分情報は、該プローブ固定基材の固相基材上に、もしくは、前記固相基材に付設されるハウジングに対して表記される、前記暗号化の処理に対して、その暗号化を解除するキーであり、
    採取された前記部分情報に基づき、該プローブ固定基材におけるスポット位置(パターン)を特定し、解読されたスポット位置(パターン)とする操作は、
    前記暗号化を解除するキーに基づき、スポット位置(パターン)を創出する過程において、各プローブのスポット・アドレスを規定するスポット位置(パターン)に対して施されている暗号化を解除する手順と、
    暗号化処理の解除に伴い、該プローブ固定基材に対して創出されているスポット位置(パターン)を特定する手順と、
    特定された該スポット位置(パターン)を、解読されたスポット位置(パターン)とする手順とを具えることを特徴とする請求項26に記載のプログラム。
  • コンピュータ可読記録媒体上に、コンピュータによる実行可能な表現形式で記述される、少なくとも一つ以上のプログラムを記憶してなる記録媒体であって、
    前記プログラムの少なくとも一つ以上は、請求項18乃至28のいずれか一項に記載のプログラムであることを特徴とするコンピュータ可読記録媒体。
  • 標的物質に対して特異的に結合可能なプローブ複数を、固相基材上のスポット箇所複数に固定してなる、プローブ固定基材を利用して、検体中に含まれる標的物質を、前記プローブ固定基材上の該標的物質に対して特異的に結合可能なプローブに結合した上で、結合された標的物質の検出を行う方式の遺伝子診断システムであって、
    利用される前記プローブ固定基材は、請求項8または9に記載されるプローブ固定基材であり、
    前記結合された標的物質の検出には、請求項10乃至12のいずれか一項に記載の検出装置を使用するシステム構成を有することを特徴とする、遺伝子診断システム。
  • 請求項1に記載のスポッターのための、複数種のスポット位置(パターン)を記録した記録媒体であって、
    前記スポッターにおける、スポット位置(パターン)変更手段は、
    前記プローブ固定基材に適用可能な、複数種のスポット位置(パターン)から、各プローブ固定基材毎に、所定の情報に応じて前記複数種のスポット位置(パターン)中の一つを選択する機構を具え、該選択されるスポット位置(パターン)は、各プローブ固定基材毎に変更される機能を有する際、
    前記複数種のスポット位置(パターン)を記録していることを特徴とする記録媒体。
  • 請求項13または14に記載する分注装置のための、複数種のスポット位置(パターン)を記録した記録媒体であって、
    前記分注装置における、スポット位置(パターン)変更手段は、前記プローブ固定基材に適用可能な、複数種のスポット位置(パターン)から、各プローブ固定基材毎に、所定の情報に応じて前記複数種のスポット位置(パターン)中の一つを選択する機構を具え、該選択されるスポット位置(パターン)は、各プローブ固定基材毎に変更される機能を有する際、
    前記複数種のスポット位置(パターン)を記録していることを特徴とする記録媒体。
  • 請求項10に記載の検出装置のための、複数種のスポット位置(パターン)を記録した記録媒体であって、
    前記検出装置は、
    対象とする前記プローブ固定基材において、前記プローブ複数の固相基材上へのスポットは、請求項5に記載のスポッターを用いてなされている際、
    該プローブ固定基材の固相基材上に、もしくは、前記固相基材に付設されるハウジングに対して表記される、前記パターン番号を読み取る手段と、
    前記一群のスポット位置(パターン)のそれぞれに予め付されているパターン番号と、対応する一群のスポット位置(パターン)から、読み取られるパターン番号に基づき、
    該プローブ固定基材に対して選択されているスポット位置(パターン)を特定する手段を具える際、
    前記複数種のスポット位置(パターン)を記録していることを特徴とする記録媒体。
  • 说明书全文

    【0001】
    【発明の属する技術分野】
    本発明は、マイクロアレイ、DNAチップ等、標的物質に対して特異的に結合可能なプローブ複数を有する基材、固相担体において、プローブ複数の固定作業に利用されるスポッター、ならびに、複数種プローブが固定されている固定基材用の検出装置、さらには、スポッターによって使用されるプローブ複数を分注する分注装置に関する。
    【0002】
    【従来の技術】
    標的物質に対して特異的に結合可能なプローブ複数を、固相の担体や基材の表面に固定化してなる、プローブ固定基材の一例として、DNAチップが挙げられる。 DNAチップとは、ハイブリダイゼーション反応用プローブとして、異なる塩基配列を有する、多数のDNA断片やオリゴヌクレオチドを固相表面に整列させて、高密度に固定化したDNAプローブ・アレイである。 例えば、DNAチップ上に固定されるDNAプローブは、遺伝子の発現、変異、多型などを同時解析する上で非常に有効な塩基配列の組み合わせが選択される。
    【0003】
    アレイ状に核酸分子を固相表面に固定化する手法として、例えば、米国特許第5,688,642号明細書には、固相合成により、フォトリソグラフィーを用いて、オリゴヌクレオチドを所望の塩基配列に作製してなる固相オリゴヌクレオチドアレイが開示され、一方、国際公開第95/ 25116号パンフレット、米国特許第5,688,642号明細書には、インクジェット法を用いて、予め作製したDNA分子を固相表面にスポットする、固相DNAプローブ・アレイの作製方法が開示されている。
    【0004】
    また、プローブ・ハイブリダイゼーション反応に基づく標的物質の検出処理工程では、一般に、蛍光物質などで標識化した標的物質を固相プローブ・アレイのプローブと接触させ、両者間で特異的な複合体を形成させる、所謂、ハイブリダイゼーション反応が行なわれる。 このハイブリダイゼーション反応は、通常、標的物質を溶解させた溶液に、固相DNAプローブ・アレイを接触または浸漬させ、熱を加えつつ、プローブに対して、標的物質が特異的な複合体を形成する反応であり、その際、濃度や温度などの反応条件は、プローブと標的物質の組み合わせによって異なる。 さらに、プローブと標的物質が結合した、複合体(ハイブリッド体)の有無、その生成量などを、予め標的物質の標識化に用いた蛍光物質に由来する蛍光等を蛍光検出機などの検出装置を用いて観察する。
    【0005】
    このDNAチップは、特開2002−101878号公報に提案されているように、遺伝子診断にも利用されている。
    【0006】
    【特許文献1】
    米国特許第5,688,642号明細書【特許文献2】
    国際公開第95/ 25116号パンフレット【特許文献3】
    特開2002−101878号公報【0007】
    【発明が解決しようとする課題】
    実際に、診断に使用された遺伝子診断用DNAチップは、各患者に固有の遺伝子情報に対応する複合体(ハイブリッド体)の有無、その生成量など結果(情報)を含み、例えば、蛍光標識を利用するものでは、放射元素標識のように標識能の経時的な減損がなく、従って、反復して、その結果(情報)を読み取ることができる利点を有する。 一方、反復して、その結果(情報)を読み取ることができるため、診断に使用された診断用DNAチップとその患者の氏名が漏洩すると、第三者であっても、その患者の診断結果を知ることが可能である。
    【0008】
    勿論、病院などの医療機関では、カルテなどに記載される、個々の患者に関する情報が、第三者に漏洩することのないように、最慎の注意を払って、秘密保持の措置が施されている。 一方、病院などでは、診断に使った器具や、試験キットは、医療廃棄物として、適正な処理施設を有する外部業者に、その廃棄処理を委託する場合が多い。
    【0009】
    なお、この外部業者に委託される廃棄処理の段階では、各医療廃棄物毎に規定される基準を満足する、付着している可能性のある「病原性物質」等の外部への漏洩、散逸を回避する物理的な管理体勢は、当然に完備している。 但し、この廃棄処理の過程では、「物理的な漏洩」に対する管理は十分に達成されているものの、例えば、診断に利用されるDNAチップ上に残留している「情報」に対する管理に関して、時として、やや注意が散漫となる傾向がある。 例えば、「物理的な漏洩」に対する管理区分内で、第三者が診断に利用されるDNAチップ上に残留している「情報」を再度読み取ることができると、DNAチップ自体は外部に持ち出されなくとも、「情報」は、外部に漏れる可能性がある。 そこで、仮にDNAチップ上に残留している「情報」が外部に漏れても、その「情報」が、患者の診断結果に簡単には結びつかないようにする技術が、より高い秘密の保持管理を行う上で、要望されている。
    【0010】
    例えば、DNAチップを構成する各DNAプローブの塩基配列は、1枚程度に存在するDNA量では、その解析は困難であるが、仮に、未使用のDNAチップ複数枚から、各DNAプローブを単離回収し、相当量のDNA量となれば、その塩基配列を解析することも可能となる。 すなわち、DNAチップを構成する各DNAプローブの塩基配列が解読されると、診断に利用されたDNAチップ上に残留している「情報」が、どのような診断結果に相当するかも判読される。 仮に、診断に利用された該DNAチップは、どの患者の診断に利用されたかも判明すると、結果的に、その患者の診断結果が外部へ漏洩することも起こり得る。
    【0011】
    従って、未使用のDNAチップ複数枚を用意できたとしても、各DNAチップに関して、その上にアレイ状に配置されている各DNAプローブの塩基配列を容易に解析することを防止できる技術が、より高い秘密の保持管理を行う上で、要望されている。
    【0012】
    通常、医療分野において利用される、診断用DNAチップは、それを構成しているDNAプローブは、どのような遺伝子情報の検出を可能とするか、使用者には情報開示されているが、場合によっては、そのDNAプローブの塩基配列の提供源に対する社会的な配慮から、その塩基配列自体は、その開示される情報から除外されている場合もある。 また、利用されている、DNAプローブの塩基配列が解読されると、かかる使用許可を受けていない第三者による模倣がなされるなど、秘密情報の維持上の問題も生じる。 これらの観点からも、第三者には、DNAチップを構成しているDNAプローブの塩基配列が簡単には解読できないように、解読防止に利する技術が要望されている。
    【0013】
    本発明は前記の課題を解決するものであって、本発明の目的は、標的物質に対して特異的に結合可能なプローブ複数種を、固相基材表面に設ける所定のアレイ状スポット位置にスポットして、プローブ・アレイを製造する際、各プローブ・アレイ毎に、個々のアレイ状スポット位置にスポットされるプローブ分子の種類のパターン間に、容易には認識できない無作為的な変更を行う技術、かかる変更処理を施されたスポット・パターンに基づき、プローブ複数種のスポット・アドレスの変更可能とするスポット装置、さらに、対応して、かかる変更処理されたスポット・パターンに基づきスポットされているプローブ複数種に関して、プローブ・アレイ上で検出される情報に基づき、各プローブについて、その変更処理を施されたスポット位置の解読を行った上で、目的とするプローブ複数種を検出する手法、それに用いる検出装置を提供することにある。
    【0014】
    【課題を解決するための手段】
    本発明者は、上記の課題を解決するため、固定基材に複数のプローブを固定する基材を製造するに際して、得られるプローブ固定基材に固定される複数のプローブ種は同じである場合でも、個々のプローブ固定基材自体では、例えば、その製造ロット毎、製造基材毎、製造日毎、製造月毎、製造装置毎、製造工場毎、製造者(メーカー)毎、使用地域毎、製品リビジョン毎、あるいは任意の時点で、各プローブが固定されるスポット位置を変更することで、各スポット・アドレスにスポットされているプローブ種類に関して、暗号化を図ることが可能であることを見出した。 かかる知見に加えて、本発明者は、固定基材に複数のプローブを固定する基材を製造する際に利用されるスポッターを、基材上に、標的物質に対して特異的に結合可能なプローブを複数スポットする際、個々のプローブ固定基材に関して、その所定の情報に応じて、プローブをスポットする位置(パターン)を変更可能とするスポッターとすることが可能であることを検証し、本発明を完成するに至った。
    【0015】
    すなわち、本発明にかかるスポッターは、
    標的物質に対して特異的に結合可能なプローブ複数を、固相基材上のスポット箇所複数に固定してなる、プローブ固定基材の製造工程に利用される、スポット箇所にプローブをスポットする装置において、
    前記複数のプローブに関して、該プローブ固定基材において、
    各プローブがスポットされる、前記複数のスポット箇所中のいずれかのスポット箇所を表記する、一群のスポット・アドレスからなる、スポット位置(パターン)に従って、各プローブをスポットする手段と、
    該プローブ固定基材におけるスポット位置(パターン)を、各プローブ固定基材毎に、所定の情報に応じて変更することを可能とするスポット位置(パターン)変更手段とを、少なくとも具えることを特徴とするスポッターである。
    【0016】
    その際、前記スポット位置(パターン)変更手段は、
    前記プローブ固定基材に適用可能な、複数種のスポット位置(パターン)を予め記憶し、各プローブ固定基材毎に、所定の情報に応じて前記複数種のスポット位置(パターン)中の一つを選択する機構を具え、
    該選択されるスポット位置(パターン)は、各プローブ固定基材毎に変更される機能を有するものを用いることができる。 あるいは、前記スポット位置(パターン)変更手段は、
    各プローブ固定基材毎に、所定の情報をキーとし、
    各プローブのスポット・アドレスを規定するスポット位置(パターン)を暗号化し、新たなスポット位置(パターン)を創出する機構を具え、
    該創出されるスポット位置(パターン)は、各プローブ固定基材毎に変更される機能を有するものを用いることもできる。
    【0017】
    なお、本発明にかかるスポッターにおいて、
    前記所定の情報は、各プローブ固定基材毎に設定される個別的な情報であり、
    少なくとも、各プローブ固定基材の区別に利用される、
    製造ロット番号、製造番号(製造シリアル番号)、製造日時、製造装置番号、製造者(メーカー)、工場識別番号、製造地域番号、使用地域番号、製品リビジョン番号、任意の情報、あるいは、これらの情報の組み合わせ、
    もしくは、これら情報に基づき、類推又は計算によって、一義的に導き出される情報が、前記所定の情報に含まれることができる。
    【0018】
    一方、本発明にかかるスポッターでは、上述するスポット位置(パターン)変更手段に対応して、
    前記スポット箇所にプローブをスポットする装置は、
    さらに、前記固相基材上に、もしくは、前記固相基材に付設されるハウジングに対して、前記選択されるスポット位置(パターン)に予め付されているパターン番号を表記する手段を具えることが好ましい。 あるいは、前記スポット箇所にプローブをスポットする装置は、
    さらに、前記固相基材上に、もしくは、前記固相基材に付設されるハウジングに対して、前記暗号化の処理に対して、その暗号化を解除するキーを表記する手段を具えることが好ましい。
    【0019】
    加えて、前記スポット箇所にプローブをスポットする装置は、
    前記固相基材上へ各プローブをスポットする手段において、
    インクジェット技術を用いてプローブを付与する方式を採用することができる。
    【0020】
    また、本発明は、上述の本発明にかかるスポッターを用いて作製されるプローブ固定基材の発明をも提供し、すなわち、本発明にかかるプローブ固定基材は、標的物質に対して特異的に結合可能なプローブ複数を、固相基材上のスポット箇所複数に固定してなる、プローブ固定基材であって、
    前記プローブ複数の固相基材上へのスポットは、
    上述する構成のいずれかを有する本発明のスポッターを用いてなされていることを特徴とするプローブ固定基材である。 例えば、前記プローブ固定基材は、
    前記固相基材上に固定される複数のプローブは、DNA断片である、DNAマイクロアレイの形状を有することができる。
    【0021】
    また、本発明は、上記の本発明にかかるプローブ固定基材における、暗号化されたスポット・パターンを解読する機能を備え、プローブ固定基材上の複数プローブによる標的物質の検出を可能とする検出装置にも関する。
    【0022】
    すなわち、本発明にかかる検出装置は、
    標的物質に対して特異的に結合可能なプローブ複数を、固相基材上のスポット箇所複数に固定してなる、プローブ固定基材において、
    前記複数のプローブに関して、
    各プローブが、前記複数のスポット箇所中のいずれかのスポット箇所にスポットされているかを検出する装置であって、
    前記プローブ固定基材は、上述の構成のいずれかを有する本発明にかかるプローブ固定基材である際、
    各プローブ固定基材毎に、所定の情報に応じて変更することで、暗号化が施されている、該プローブ固定基材におけるスポット位置(パターン)を解読する機能を具えていることを特徴とする検出装置である。 その際、前記プローブ固定基材において、前記プローブ複数の固相基材上へのスポットは、
    前記固相基材上、もしくは、前記固相基材に付設されるハウジングに対して、前記選択されるスポット位置(パターン)に予め付されているパターン番号を表記する手段を具える、上述する本発明にかかるスポッターを用いてなされている際、
    該プローブ固定基材の固相基材上に、もしくは、前記固相基材に付設されるハウジングに対して表記される、前記パターン番号を読み取る手段と、
    前記一群のスポット位置(パターン)のそれぞれに予め付されているパターン番号と、対応する一群のスポット位置(パターン)とを記憶し、読み取られるパターン番号に基づき、
    該プローブ固定基材に対して選択されているスポット位置(パターン)を特定する手段を具えることを特徴とする検出装置とすることができる。 あるいは、前記プローブ固定基材において、前記プローブ複数の固相基材上へのスポットは、
    前記固相基材上、もしくは、前記固相基材に付設されるハウジングに対して、前記暗号化の処理に対して、その暗号化を解除するキーを表記する手段を具えるスポッターを用いてなされている際、
    該プローブ固定基材の固相基材上に、もしくは、前記固相基材に付設されるハウジングに対して表記される、前記暗号化の処理に対して、その暗号化を解除するキーを読み取る手段と、
    前記読み取られる暗号化を解除するキーに基づき、
    スポット位置(パターン)を創出する過程において、各プローブのスポット・アドレスを規定するスポット位置(パターン)に対して施されている暗号化を解読し、
    該プローブ固定基材に対して創出されているスポット位置(パターン)を特定する手段を具えることを特徴とする検出装置とすることができる。
    【0023】
    加えて、本発明においては、スポッター用のマルチウエルプレートにプローブ複数を予め分注する工程に利用される分注装置の発明、例えば、各プローブのスポットに、ピン・スポット法を適用する際、スポット・パターンに対応する配置で、ピン・スポット装置用のマルチウエルプレートにプローブ複数を予め分注する工程に利用される分注装置の発明、つまり、本発明は、複数のプローブを分注する分注装置であり、その際、所定の情報に応じてプローブを分注する位置(パターン)の変更が可能な機構を具える分注装置の発明をも提供しており、
    すなわち、本発明にかかる分注装置は、
    標的物質に対して特異的に結合可能なプローブ複数を、固相基材上のスポット箇所複数に固定してなる、プローブ固定基材の製造工程に利用される、スポッター用のマルチウエルプレートに前記プローブ複数を分注する分注装置において、
    前記複数のプローブに関して、
    該プローブ固定基材において、各プローブがスポットされる、前記複数のスポット箇所中のいずれかのスポット箇所を表記する、一群のスポット・アドレスからなる、スポット位置(パターン)に従って、前記マルチウエルプレート上の対応するウェルに各プローブを分注する手段と、
    該プローブ固定基材におけるスポット位置(パターン)を、各プローブ固定基材毎に、所定の情報に応じて変更することを可能とするスポット位置(パターン)変更手段と、
    各プローブ固定基材毎に変更される、前記スポット位置(パターン)に対応させて、前記マルチウエルプレート上に対応するウェルを割り当てる手段とを、少なくとも具えることを特徴とする分注装置である。 なお、該分注装置は、スポッターとして、ピン・スポット法によって、スポット箇所にプローブをスポットするピン・スポット装置を利用する際に好適に利用される。 その際、前記スポット位置(パターン)変更手段は、
    前記プローブ固定基材に適用可能な、複数種のスポット位置(パターン)を予め記憶し、各プローブ固定基材毎に、所定の情報に応じて前記複数種のスポット位置(パターン)中の一つを選択する機構を具え、
    該選択されるスポット位置(パターン)は、各プローブ固定基材毎に変更される機能を有するものとすることができる。 あるいは、前記スポット位置(パターン)変更手段は、
    各プローブ固定基材毎に、所定の情報をキーとし、
    各プローブのスポット・アドレスを規定するスポット位置(パターン)を暗号化し、新たなスポット位置(パターン)を創出する機構を具え、
    該創出されるスポット位置(パターン)は、各プローブ固定基材毎に変更される機能を有するものとすることもできる。
    【0024】
    なお、前記所定の情報は、各プローブ固定基材毎に設定される個別的な情報であり、
    少なくとも、各プローブ固定基材の区別に利用される、
    製造ロット番号、製造番号(製造シリアル番号)、製造日時、製造装置番号、製造者(メーカー)、工場識別番号、製造地域番号、使用地域番号、製品リビジョン番号、任意の情報、あるいは、これらの情報の組み合わせ、
    もしくは、これら情報に基づき、類推又は計算によって、一義的に導き出される情報が、前記所定の情報に含ませることができる。
    【0025】
    同時に、本発明は、上記の本発明にかかるスポッター、または分注位置において、所定の情報に応じてプローブをスポットもしくは分注する位置(パターン)を変更する操作において利用されるプログラムの発明も提供し、
    すなわち、本発明にかかるスポット位置(パターン)変更の動作を規定するプログラムは、
    標的物質に対して特異的に結合可能なプローブ複数を、固相基材上のスポット箇所複数にスポットする際に利用される、
    前記複数のプローブに関して、該プローブ固定基材において、
    各プローブがスポットされる、前記複数のスポット箇所中のいずれかのスポット箇所を表記する、一群のスポット・アドレスの情報を、スポット位置(パターン)と定義し、少なくとも、
    コンピュータによる実行可能な表現形式で記述可能であって、所定の情報に応じて、対応するスポット位置(パターン)を特定する機能を実現させるためのプログラムであり、
    該プログラムは、少なくとも、
    前記所定の情報を入する操作と、
    入力された所定の情報に基づき、各異なる所定の情報毎に、異なるスポット位置(パターン)を、対応するスポット位置(パターン)として選択する操作と、
    選択された対応するスポット位置(パターン)を出力する操作とを、実現させるためのプログラムであることを特徴とするプログラムである。 その際、前記プログラムにおいて規定される、
    前記入力された所定の情報に基づき、各異なる所定の情報毎に、異なるスポット位置(パターン)を、対応するスポット位置(パターン)として選択する操作は、
    予め記憶されている、前記プローブ固定基材に適用可能な、複数種のスポット位置(パターン)の群より、各異なる所定の情報毎に、異なるスポット位置(パターン)を、前記対応するスポット位置(パターン)として選択する手順を具えることができる。 あるいは、前記プログラムにおいて規定される、
    前記入力された所定の情報に基づき、各異なる所定の情報毎に、異なるスポット位置(パターン)を、対応するスポット位置(パターン)として選択する操作は、
    前記所定の情報をキーとし、各プローブのスポット・アドレスを規定するスポット位置(パターン)を暗号化し、各異なる所定の情報毎に、異なるスポット位置(パターン)を新たに創出する手順と、
    新たに創出されるスポット位置(パターン)を、前記対応するスポット位置(パターン)として選択する手順とを具えることもできる。
    【0026】
    また、本発明にかかる分注位置(パターン)変更の動作を規定するプログラムは、
    標的物質に対して特異的に結合可能なプローブ複数を、固相基材上のスポット箇所複数にスポットする際に利用される、
    前記複数のプローブに関して、該プローブ固定基材において、
    各プローブがスポットされる、前記複数のスポット箇所中のいずれかのスポット箇所を表記する、一群のスポット・アドレスの情報を、スポット位置(パターン)と定義し、さらに、
    スポット箇所にプローブをスポットする際に利用される、スポット装置用のマルチウエルプレートにおいて、前記スポット位置(パターン)に対応させて、前記マルチウエルプレート上に割り当てられる、各プローブの分注がなされる一群のウェルの位置情報を、分注位置(パターン)と定義し、
    少なくとも、
    コンピュータによる実行可能な表現形式で記述可能であって、所定の情報に応じて、対応する分注位置(パターン)を特定する機能を実現させるためのプログラムであり、
    該プログラムは、少なくとも、
    前記所定の情報を入力する操作と、
    入力された所定の情報に基づき、各異なる所定の情報毎に、異なるスポット位置(パターン)を、対応するスポット位置(パターン)として選択する操作と、選択された対応するスポット位置(パターン)に対応させて、割り当てられる分注位置(パターン)への変換を行う操作と、
    変換により得られる分注位置(パターン)を、前記対応する分注位置(パターン)として選択する操作と、
    選択された対応する分注位置(パターン)を出力する操作とを、実現させるためのプログラムであることを特徴とするプログラムである。 なお、該スポット装置は、ピン・スポット法によるスポット装置であることができる。 その際、前記プログラムにおいて規定される、
    前記入力された所定の情報に基づき、各異なる所定の情報毎に、異なるスポット位置(パターン)を、対応するスポット位置(パターン)として選択する操作は、
    予め記憶されている、前記プローブ固定基材に適用可能な、複数種のスポット位置(パターン)の群より、各異なる所定の情報毎に、異なるスポット位置(パターン)を、前記対応するスポット位置(パターン)として選択する手順を具えることができる。 あるいは、前記プログラムにおいて規定される、
    前記入力された所定の情報に基づき、各異なる所定の情報毎に、異なるスポット位置(パターン)を、対応するスポット位置(パターン)として選択する操作は、
    前記所定の情報をキーとし、各プローブのスポット・アドレスを規定するスポット位置(パターン)を暗号化し、各異なる所定の情報毎に、異なるスポット位置(パターン)を新たに創出する手順と、
    新たに創出されるスポット位置(パターン)を、前記対応するスポット位置(パターン)として選択する手順とを具えることもできる。
    【0027】
    なお、上述する本発明にかかるプログラムにおいては、
    前記所定の情報は、各プローブ固定基材毎に設定される個別的な情報であり、少なくとも、各プローブ固定基材の区別に利用される、
    製造ロット番号、製造番号(製造シリアル番号)、製造日時、製造装置番号、製造者(メーカー)、工場識別番号、製造地域番号、使用地域番号、製品リビジョン番号、任意の情報、あるいは、これらの情報の組み合わせ、
    もしくは、これら情報に基づき、類推又は計算によって、一義的に導き出される情報が、前記所定の情報に含まれることができる。
    【0028】
    対応させて、本発明は、上述する本発明にかかる検出装置において、プローブ固定基材上にスポットされている各プローブについて、その暗号化されたスポット・パターンを解読する操作を規定するプログラムの発明をも提供し、すなわち、本発明にかかる暗号化されたスポット・パターンの解読動作を規定するプログラムは、
    標的物質に対して特異的に結合可能なプローブ複数を、固相基材上のスポット箇所複数に固定してなる、プローブ固定基材において、
    前記複数のプローブに関して、
    各プローブが、前記複数のスポット箇所中のいずれかのスポット箇所にスポットされているかを表記する、一群のスポット・アドレスの情報を、スポット位置(パターン)と定義し、
    少なくとも、
    コンピュータによる実行可能な表現形式で記述可能であって、
    前記プローブ固定基材は、上記する構成のいずれかを有する本発明にかかるプローブ固定基材である際、各プローブ固定基材毎に、所定の情報に応じて変更することで、暗号化が施されている、該プローブ固定基材におけるスポット位置(パターン)を、該プローブ固定基材を検出することによって得られる検出情報に基づき、解読する機能を実現するためのプログラムであり、
    該プログラムは、少なくとも、
    前記プローブ固定基材を検出することによって得られる検出情報を入力する操作と、
    入力された検出情報より、前記プローブ固定基材におけるスポット位置(パターン)の解読を可能とする部分情報を採取する操作と、
    採取された前記部分情報に基づき、該プローブ固定基材におけるスポット位置(パターン)を特定し、解読されたスポット位置(パターン)とする操作と、
    前記解読されたスポット位置(パターン)を出力する操作とを、実現させるためのプログラムであることを特徴とするプログラムである。 この解読用のプログラムにおいて、
    前記プローブ固定基材において、前記プローブ複数の固相基材上へのスポットは、前記固相基材上に、もしくは、前記固相基材に付設されるハウジングに対して、前記選択されるスポット位置(パターン)に予め付されているパターン番号を表記する手段を具えている、本発明にかかるスポッターを用いてなされている際、
    前記プローブ固定基材におけるスポット位置(パターン)の解読を可能とする部分情報は、該プローブ固定基材の固相基材上に、もしくは、前記固相基材に付設されるハウジングに対して表記される、前記パターン番号であり、
    採取された前記部分情報に基づき、該プローブ固定基材におけるスポット位置(パターン)を特定し、解読されたスポット位置(パターン)とする操作は、
    予め記憶されている、前記一群のスポット位置(パターン)のそれぞれに予め付されているパターン番号と、対応する一群のスポット位置(パターン)との記憶情報群から、前記パターン番号に基づき、該パターン番号が付されているスポット位置(パターン)を選択する手順と、
    選択された該スポット位置(パターン)を、解読されたスポット位置(パターン)とする手順とを具えることを特徴とするプログラムとできる。 また、本発明にかかる解読用のプログラムにおいて、
    前記プローブ固定基材において、前記プローブ複数の固相基材上へのスポットは、前記固相基材上に、もしくは、前記固相基材に付設されるハウジングに対して、前記暗号化の処理に対して、その暗号化を解除するキーを表記する手段を具えている、本発明にかかるスポッターを用いてなされている際、
    前記プローブ固定基材におけるスポット位置(パターン)の解読を可能とする部分情報は、該プローブ固定基材の固相基材上に、もしくは、前記固相基材に付設されるハウジングに対して表記される、前記暗号化の処理に対して、その暗号化を解除するキーであり、
    採取された前記部分情報に基づき、該プローブ固定基材におけるスポット位置(パターン)を特定し、解読されたスポット位置(パターン)とする操作は、
    前記暗号化を解除するキーに基づき、スポット位置(パターン)を創出する過程において、各プローブのスポット・アドレスを規定するスポット位置(パターン)に対して施されている暗号化を解除する手順と、
    暗号化処理の解除に伴い、該プローブ固定基材に対して創出されているスポット位置(パターン)を特定する手順と、
    特定された該スポット位置(パターン)を、解読されたスポット位置(パターン)とする手順とを具えることを特徴とするプログラムとすることができる。
    【0029】
    さらには、本発明は、上述する本発明にかかるプログラムについて、該プログラムがコンピュータによる実行可能な表現形式で記述されているコンピュータ可読記録媒体の形態で提供し、すなわち、本発明にかかるプログラムを記憶したコンピュータ可読記録媒体は、
    コンピュータ可読記録媒体上に、コンピュータによる実行可能な表現形式で記述される、少なくとも一つ以上のプログラムを記憶してなる記録媒体であって、前記プログラムの少なくとも一つ以上は、上記する構成のいずれかを有する本発明にかかるプログラムであることを特徴とするコンピュータ可読記録媒体である。
    【0030】
    最終的に、本発明は、上述する本発明にかかるプローブ固定基材と、検出装置とを組み合わせてなる遺伝子診断システムの発明を提供し、すなわち、本発明にかかる遺伝子診断システムは、
    標的物質に対して特異的に結合可能なプローブ複数を、固相基材上のスポット箇所複数に固定してなる、プローブ固定基材を利用して、検体中に含まれる標的物質を、前記プローブ固定基材上の該標的物質に対して特異的に結合可能なプローブに結合した上で、結合された標的物質の検出を行う方式の遺伝子診断システムであって、
    利用される前記プローブ固定基材は、上記の構成のいずれかを有する本発明にかかるプローブ固定基材であり、
    前記結合された標的物質の検出には、上記の構成のいずれかを有する本発明にかかる検出装置を使用するシステム構成を有することを特徴とする、遺伝子診断システムである。
    【0031】
    加えて、上記の本発明において利用する目的で、予め作製した複数種のスポット位置(パターン)を記録媒体上に記録したものをも、本発明は提供し、
    すなわち、本発明にかかる記録媒体の一つは、上述の本発明にかかるスポッターのための、複数種のスポット位置(パターン)を記録した記録媒体であって、
    前記スポッターにおける、スポット位置(パターン)変更手段は、
    前記プローブ固定基材に適用可能な、複数種のスポット位置(パターン)から、各プローブ固定基材毎に、所定の情報に応じて前記複数種のスポット位置(パターン)中の一つを選択する機構を具え、該選択されるスポット位置(パターン)は、各プローブ固定基材毎に変更される機能を有する際、
    前記複数種のスポット位置(パターン)を記録していることを特徴とする記録媒体である。
    【0032】
    また、本発明にかかる記録媒体の一つは、上述する本発明にかかる分注装置のための、複数種のスポット位置(パターン)を記録した記録媒体であって、
    前記分注装置における、スポット位置(パターン)変更手段は、前記プローブ固定基材に適用可能な、複数種のスポット位置(パターン)から、各プローブ固定基材毎に、所定の情報に応じて前記複数種のスポット位置(パターン)中の一つを選択する機構を具え、該選択されるスポット位置(パターン)は、各プローブ固定基材毎に変更される機能を有する際、
    前記複数種のスポット位置(パターン)を記録していることを特徴とする記録媒体である。
    【0033】
    また、本発明にかかる記録媒体の一つは、上述する本発明にかかる検出装置のための、複数種のスポット位置(パターン)を記録した記録媒体であって、
    前記検出装置は、
    対象とする前記プローブ固定基材において、前記プローブ複数の固相基材上へのスポットは、請求項5に記載のスポッターを用いてなされている際、
    該プローブ固定基材の固相基材上に、もしくは、前記固相基材に付設されるハウジングに対して表記される、前記パターン番号を読み取る手段と、
    前記一群のスポット位置(パターン)のそれぞれに予め付されているパターン番号と、対応する一群のスポット位置(パターン)から、読み取られるパターン番号に基づき、
    該プローブ固定基材に対して選択されているスポット位置(パターン)を特定する手段を具える際、
    前記複数種のスポット位置(パターン)を記録していることを特徴とする記録媒体である。
    【0034】
    【発明の実施の形態】
    以下に、本発明をより詳しく説明する。
    【0035】
    本発明にかかるスポッターは、固定基材に複数のプローブを固定する基材を製造するに際して、得られるプローブ固定基材に固定される複数のプローブ種は同じである場合でも、個々のプローブ固定基材自体では、その製造ロット毎、製造基材毎、製造日毎、製造月毎、製造装置毎、製造工場毎、製造者(メーカー)毎、使用地域毎、製品リビジョン毎、あるいは任意の時点で、各プローブが固定されるスポット位置を変更することで、各スポット・アドレスにスポットされているプローブ種類に関して、暗号化を図ることを可能とする。
    【0036】
    本発明が対象とするプローブ固定基材において、プローブ複数をスポットし、固定する固相基材は、作製されるプローブ固定基材の使用用途に応じて、適宜選択されるものであって、固相基材自体は、特に限定されるものではない。 例えば、プローブ固定基材が、プローブ複数がアレイ状にスポットされ、固定化されるマイクロアレイ型である場合には、かかるマイクロアレイ上のプローブを利用した、標的物質検出における使い勝手、さらには、高い汎用性を考慮すると、平板な表面を示す固相基材である、ガラス基板やプラスティック基板が好適に利用できる。 ガラス基板のなかでも、基板材質自体に、アルカリ成分などが含まれない、無アルカリガラス基板や石英基板は、さらに好ましい基材の一例である。 また、これらの固相基材に関しては、その表面に各種のプローブをスポットし、固定化を行う工程において利用可能な固定化手法は、既に、種々報告されている。
    【0037】
    基材上にプローブを固定する手法としては、既に種々の方法がプローブの種類毎に提案され、その目的に応じて利用されている。 例えば、DNAプローブに対しては、固相合成法を適用して、基材上において、目的の塩基配列を有するDNA分子の合成を行うことにより、基材上に固定化されたDNAプローブを調製する方法と、別途調製したDNAを基材上に付与した上で、基材にDNAを結合させて固定化する方法とが知られている。 なお、この別途調製したDNAを基材上に付与するスポット操作では、ピン法もしくはスタンプ法、あるいはインクジェット法などの手法が利用されている。
    【0038】
    基材上に、アレイ状に配置されるDNAプローブの合成を行う方法としては、例えば、米国特許第51438545号明細書に記載されているように、固相合成基体上の選択された領域から、アクチベーターによって5'末端の保護基を除去し、除去可能な保護基を有するモノマーを前記選択領域に作用させ、5'末端に結合させる操作を繰返すことにより、基体上に、それぞれ目的とする塩基配列を有するポリマー(DNA分子)を合成する方法が知られている。
    【0039】
    本発明にかかるスポッターは、通常、別途調製したプローブを基材表面にスポットし、固定化する方式を採用するが、上述する固相合成法を適用して、基材上において、目的のプローブを合成して、当該スポット・アドレス(部位)に固定されたプローブとする方式を採用して、等価なスポット状態を達成する装置も、包含する。
    【0040】
    また、予め用意されたプローブを、基材上にスポットした後、基材の表面に固定する方法としては、例えば、特開平8−23975号公報に記載されているように、基材自体を、カルボジイミド基を有する高分子化合物で作製する、あるいは基材上にカルボジイミド基を有する高分子化合物よりなる固定用の材料層を担した上で、基材の表面に存在するカルボジイミド基を有する高分子化合物に、該カルボジイミド基との反応性を有する生物学的に活性な物質を接触させることにより、該カルボジイミド基との反応によって、共有結合性の固定を行う方法が知られている。 また、特開平8−334509号公報に記載されているように、生物学的に活性な物質の検出において、カルボジイミドを有する化合物上に、該カルボジイミド基を介する共有結合の形成を行うことで固定化することを用いて検出する方法が知られている。
    【0041】
    更に、特開2001−178442号公報には、チオール修飾剤を利用して導入可能な、末端部にスルファニル基(−SH)を有するDNA断片と、該スルファニル基(−SH)と反応して共有結合を形成し得る反応性置換基を有する鎖状分子を、前記反応性置換基が位置する鎖端と異なる、他の末端で表面に固定してある固相担体とを、液相にて接触させることにより、スルファニル基(−SH)と該反応性置換基との反応によって、DNA断片と鎖状分子との間で共有結合を形成させ、DNA断片を固相担体表面へ固定する方法が記載されている。 また、スルファニル基(−SH)と反応して、共有結合を形成し得る反応性置換基の一例として、マレイミジル基、α、β−不飽和カルボニル基(>C=C=O)、α−ハロカルボニル基(−COX)、ハロゲン化アルキル基(−(C 2n )−X)、アジリジン−2−イル基およびジスルフィド基(−S−S−)からなる群より選ばれる反応性官能基を含む置換基が利用可能であると記載されている。
    【0042】
    基材上にスポットした、各種プローブを固定化する方法に関しては、上述のように、DNA断片に対する固定化方法だけでも、多くの手法が知られている。 なお、本発明においては、スポットされるプローブ種類やその固定化の手法、メカニズムに関しては、特に限定されるものではない。
    【0043】
    また、プローブを基材上にスポットする方法としては、プローブを性媒体に溶解あるいは分散した水性液を基材表面に付与する手法、例えば、特開平11−187900号公報に公開されているようなインクジェット法、あるいは、ピン法またはピン&リング法などにより、塩基性基を有する基材表面にスポットする手法を例示できる。
    【0044】
    プローブの水性液を利用するスポッティング方法に関し、上述した各種のスポッティング方法の中でも、特に、インクジェット法は、高密度で、かつ、正確な位置にスポッティングが可能であることから、本発明に対して、好適に利用されるスポッティング方法である。 さらに、スポットされる基材表面が、電極などである場合、ピンによる接触を利用するピン法と比較して、非接触でスポットがなされるインクジェット法を利用すると、電極などの表面に機械的接触に起因する傷が付くことも無いという利点もある。 インクジェット法に拠るスポッティングでは、ごく細いノズルの中にプローブを含む液を入れ、このノズルの先端近くを瞬間的に加圧ないし加熱し、ノズルの先端から、極微容量のプローブを含む液滴を飛び出させ、空間を飛翔させて、基材面に付着させる手順が用いられる。 その際、ノズルから吐出される液滴量は、極微量であるが、その量は高い再現性を示すという利点がある。 吐出される液滴量を正確に極微量に制御するインクジェット法によるスポッティング方法において、プローブを含む液を構成する媒体成分は、液滴をインクジェットヘッドから吐出させる際、媒質のプローブに対して実質的に影響を与えないものであって、且つインクジェットヘッドを用いて正常に吐出可能である媒体組成を満たすものであれば、特に限定されるものではない。
    例えば、利用するインクジェットヘッドが、媒体に熱エネルギーを付与して吐出させる機構を備えるバブルジェットヘッドである場合、グリセリン、チオジグリコール、イソプロピルアルコール、アセチレンアルコールを含む水性媒体は、プローブを含む液に含まれる媒体成分として好ましいものである。 例えば、プローブがDNA断片である際には、グリセリン5〜10質量%、チオジグリコール5〜10質量%、アセチレンアルコール0.5〜1質量%を含む水性媒体が好適に用いられる。 また、利用されるインクジェットヘッドが、圧電素子を用いて液を吐出させるピエゾジェットヘッドである場合、エチレングリコール、イソプロピルアルコールを含む水性媒体は、プローブを含む液に含まれる媒体成分として好ましいものである。 例えば、プローブがDNA断片である際には、エチレングリコール5〜10質量%、イソプロピルアルコール0.5〜2質量%を含む水性媒体が好適に用いられる。
    【0045】
    前記の媒体組成を有する水性媒体を用いて調製される、プローブを含む液をインクジェットヘッドより吐出させ、基材上に付着させた時、液滴スポットの形状は、円形となり、また、付着された液滴のスポット範囲が、水性媒体の滲みに伴って広がることもない。 高密度に、プローブを含む液滴をスポッティングした場合にも、隣接するスポット間で互いに水性媒体が滲み出し、スポットが連結される現象を有効に抑制することができる。 さらに、インクジェット法を利用すると、どのプローブをどの位置にスポットするかといった、スポット・アドレスの制御は、プログラムで容易に変更可能であるので、各プローブのスポット・アドレスを変更することが必要である本発明においては、好適なスポット法である。 なお、本発明において、スポットに供するプローブを含む液の調製に利用する、水性媒体の組成は、上に例示する組成に限定されるものではない。
    【0046】
    プローブ固定基材は、基材上に固定されている複数のプローブを利用して、同時に、試料中に含まれる複数の標的物質の検出、あるいは、定量を実施することができる。 この利点から、例えば、DNAチップは、複数種の遺伝子発現や一塩基多型の解析などに適しており、これらの遺伝子解析を利用する研究分野での用途と、遺伝子診断を行う医療分野における用途と、少なくとも、二つの大きな利用分野がある。 その際、遺伝子診断の用途にDNAチップを使用する場合、各患者の診断に利用したDNAチップは、その遺伝子診断結果を示しており、DNAチップ上に固定されるプローブの存在部位と、このDNAチップを使用した患者の氏名が判明すると、当該患者の個人情報である診断結果を、第三者でも判読することが可能である。 その際、固定されている複数種のプローブが同じDNAチップであっても、各プローブのスポット位置(パターン)が変更され、第三者には、容易にDNAチップ上に固定されるプローブの存在部位が特定できない処理を行うことで、仮に、患者の氏名と、使用済みDNAチップを第三者が入手しても、各患者の診断結果を無断で解析される危険性が大幅に減少する。
    【0047】
    本発明にかかるスポッター装置において利用される、各プローブのスポット位置(パターン)を変更する手法の一例は、各プローブ固定基材について、例えば、図1に例示するプロセスに従って、その製品情報(プローブ情報)201に応じて、予め作成されている複数種のスポット・パターン203を用意し、製造番号(シリアル番号)202に基づき、予め作成されている複数種のスポット・パターン(スポット・パターン集)203から、一種類のスポット・パターンの選択204を実施する手法がある。 各プローブ固定基材は、それぞれ選択された一種類のスポット・パターン204に従って、スポッターによる各スポット・アドレス上にスポットされるプローブの配置を制御する、スポッター制御コマンド205をその都度作成し、スポッターの動作206を変更する。 例えば、該プローブ固定基材は、16種類のプローブを、マトリックス状に配置される16のスポット・アドレスにスポットするものである場合、図2に例示するように、この製品情報(プローブ情報)に応じて、予め多数のスポット・パターンを作成したうち、例えば、10種類のスポット・パターンの集合を、スポット・パターン集203として選別しておく。 各プローブ固定基材に関して、その製造番号(シリアル番号)202を自然数に数値化した上で、その下一桁の数字が1の場合、パターン番号1のパターンを、下一桁の数字が2の場合、パターン番号2のパターンを、というようにスポット・パターンを、製造番号(シリアル番号)に従って変更する。
    【0048】
    なお、図2に示す各スポット・パターンにおいて、各スポット・アドレスに示す数字は、16種のプローブの種類を示す番号(以下、プローブ番号と称する)である。 いずれのスポット・パターンにおいても、各プローブ番号で示すプローブは、同じプローブ種を表し、その際、これら一群のプローブ固定基材に共通している、各プローブ番号が、どのようなプローブ種に相当するかといった情報は、製品情報(プローブ情報)に相当する。 また、16のスポット・アドレスに、16種のプローブを配置するやり方(スポット・パターン)の総数は、16! 通り存在するが、その内より、パターン番号1〜10として、10のスポット・パターンを順序を付けて選択するやり方の総数は、(16!)・(16!−1)・・・(16!−9)・(16!−10)通りと、膨大な数に上る。 換言するならば、図2に例示する、パターン番号1〜10のスポット・パターン集の選択自体が既に、同じ選択を行える蓋然性が極めて低い、暗号化がなされた状態となっている。 従って、各プローブ固定基材に関して、その製造番号(シリアル番号)202の下一桁の数字と同じ、パターン番号を選択する簡便な選択基準を採用しても、高度に暗号化がなされた状態となっている。
    【0049】
    加えて、その製造番号(シリアル番号)に基づき、スポット・パターン集の中より、一つのパターン番号を選択する操作において、より複雑化した選択操作とすると、より高度に暗号化された状態となる。 例えば、スポット・パターン集を構成するパターン種をn個に変更し、前記10進法における自然数表記した製造番号(シリアル番号)を、n進法における表記に変換した上で、その下一桁の数字と同じ、パターン番号を選択する選択基準を採用することで、10進法からn進法への変換操作が含まれることが、第三者に推測できないので、より高度に暗号化された状態となる。 あるいは、10進法における自然数表記した製造番号(シリアル番号)の数値に何らかの演算処理を施す、例えば、各桁の数字を加えて、得られる値に関して、n進法で表記し、その下一桁の数字と同じ、パターン番号を選択する選択基準を採用すると、複数段の数値処理操作が含まれることが、第三者に推測できないので、更に高度に暗号化された状態となる。
    【0050】
    上述の説明では、説明を簡単とする目的で、プローブ種数とスポット数(スポット・アドレス数)が同一の事例を利用した。 しかしながら、実際には、暗号化のために用意したスポット・パターンのプローブ種数と実際の製品に必要なプローブ数が一致する必要はなく、また、実際の製品に必要なプローブ数に合わせて、対応するスポット・パターンを用意するのは手間がかかり、スポット・パターンの管理も複雑になる場合もある。 例えば、プローブ種数がスポット数(スポット・アドレス数)より少ない場合には、実際にスポットするプローブ種を、各スポット・パターンにおいて、そのプローブ番号が割り当てられるスポット・アドレスにスポットし、余剰のスポット・アドレスを空き状態としても良い。 例えば、図2に示す例では、16種類のプローブ用のスポット・パターンであるが、実際に使用されるプローブ種が10種類である場合、プローブ番号1〜10用のスポット・アドレスにスポットし、プローブ番号11〜16用のスポット・アドレスには何もスポットしないなどの方法がある。 その際、実際に使用されるプローブ種に、どのプローブ番号を割り当てるかに関しても、更に暗号化、あるいは別のパターンから選択することも可能である。
    【0051】
    何もスポットしない、空き状態のアドレスを設ける代わりに、ダミーのプローブや同じプローブを複数スポットする場合も考えられる。 先の例を利用して、具体的に説明するならば、何もスポットしなかった、プローブ番号11〜16用のスポット・アドレスに、ダミーのプローブとして、製品の検出対象とは直接関与しないようなプローブや、プローブ番号1,2など、別の位置(アドレス)に既にスポットされているプローブを、重複させてスポットする手法などである。 この場合には、単純に暗号化した場合よりも、第三者の解読はさらに困難となる。
    【0052】
    加えて、図2の例では、各プローブをスポットする、スポット・アドレスは、正方形上に配置したマトリックス形状であるが、このマトリックス形状に限定されることはなく、縦のスポット数と横のスポット数が異なる長方形状や、多形状、さらには、スポットの密度を高める目的で細密充填格子状(ハニカム状)にスポットを配置しても良く、マトリックス形状は特に限定される物ではない。
    【0053】
    また、プローブ種数nが、スポット・アドレス数mよりも多い場合、一つのスポット・アドレス当たり、2種のプローブを混合して、スポットしても良い。
    【0054】
    一方、上述するように、各プローブ固定基材に特徴的な所定の情報に基づき、スポット・パターンを選択する際、利用される所定の情報は、製造番号(シリアル番号)の他に、例えば、製造日時をシリアルな数値に変換して、各プローブ固定基材間で変更される所定の情報として利用する手法であってもよい。 勿論、各プローブ固定基材毎に付与されるランダムな値でも良いし、製造ロット番号、製造装置番号、製造地域番号、使用地域番号、製品リビジョン番号などを含んでなる数値でも良い。 なお、本発明では、各プローブ固定基材に特徴的な所定の情報に基づき、スポット・パターンを選択する操作は、上述する例示に限定されるものではない。
    【0055】
    また、スポット・パターン集は、常時スポッターに内蔵しておく必要はなく、例えば、スポッターには、スポット・パターン集を入力できる装置を備え、スポット・パターン集を適時入力しても良い。 具体的には、スポッターに、フロッピー・ディスク読み取り装置を備え、フロッピー・ディスクに予め記録したスポット・パターン集を、上記読み取り装置からスポッターに入力する方法でも良い。
    【0056】
    一方、本発明にかかるスポッターを利用してスポット形成がなされた各プローブ固定基材を利用して、各プローブに特異的に結合した標的物質の有無を評価する際には、利用する当事者自体は、利用しているプローブ固定基材では、各スポット・アドレス上に、どのプローブ番号のプローブが配置されているかを、検出の際に簡便に認識可能であることが望ましい。 その点を考慮すると、個々のプローブ固定基材において、そのマイクロアレイ内のプローブ固定部位以外の領域や、プローブ固定基材用のハウジングなどに、どのスポット・パターンを使用したかという情報を記述しておくことが望ましい。 この使用したスポット・パターンに関する情報等を記述する手法は、二次元コード、バーコード、カルラコードなどが考えられるが、これらのコード表記法に限定するものではない。 例えば、各プローブ固定基材における結果の検出に際して、蛍光スキャナで観測する手段を利用する場合には、蛍光物質を用いて、二次元コードをマイクロアレイ内のプローブが固定されていない領域に描画し、この二次元コードによる蛍光を、蛍光スキャナで検出する方式とすれば、新たな検出デバイスを必要としないことから、この方法が望ましい。
    【0057】
    なお、ここでいうハウジングとは、狭義のハウジング、例えば、プローブ固定基材を汚染物質や物理的衝撃などから保護するための保護材や構造支持体のみならず、製品としてのパッケージや梱包材、取扱説明書などのドキュメント類、その他の情報記録媒体など、プローブ固定基材と一体に提供可能な付属物を意味する広義のハウジングをも含む。
    【0058】
    また、前記の各プローブ固定基材に特徴的な所定の情報に基づき、スポット・パターンを選択する際、予め決められたスポット・パターンからなるスポット・パターン集から選択する手法に代えて、その都度、所定の情報に基づき、スポット・パターンを作り出す方式を採用しても良い。 例えば、16箇所のスポット・アドレスに、16種類のプローブをスポットする場合、図3で示す配列パターン生成のアルゴリズムに従って、所定の情報、例えば、製造番号(シリアル番号)に基づき、プローブ番号を並べ替えた乱数列;A(1),A(2),・・・A(16)を作り、図4に示すように、16箇所のスポット・アドレスのマトリックス配列に、この乱数列に従って、プローブ番号を当てはめ、一つのスポット・パターンを作成することもできる。 すなわち、図3で示すアルゴリズムにおいては、擬似乱数列の生成ステップにおいて、所定の情報、例えば、製造番号(シリアル番号)に基づき、一義的に選択されるシード(種)の値を採用し、一連の擬似乱数列が生成されている。 各プローブ固定基材毎に、その所定の情報、例えば、製造番号(シリアル番号)に基づき、一義的に選択されるシード(種)の値は、例えば、前記10進法における自然数表記した製造番号(シリアル番号)の下一桁の数字と同じ値を選択すると、それぞれ異なる10種のスポット・パターンが生成される。
    【0059】
    本発明において、乱数列とは、数列x ,x ,x ,・・・の並びが、外見的には不規則であり、任意のx が、x <Cとなる可能性はCのみに依存し、x k−1には、依存しないような数列を意味する。 特に、数列x ,x ,x ,・・・が、自然数で構成されるものを、本発明では、通常利用する。
    【0060】
    乱数には、偏りのない、所謂、サイコロの出目のように、ある範囲の自然数値が等確率で現れる一様分布の乱数と、その出現確率は等確率ではなく、カイ二乗分布、ガンマ分布、三角分布、正規分布、累乗分布、ロジスティック分布、ポアソン分布など、種々の確率分布を持った乱数とがある。 本発明において、利用される乱数の種類は限定されるものではないが、通常、一様分布の乱数を利用することが好ましい。
    【0061】
    コンピュータ等で乱数列を利用する際には、一般に、所定のアルゴリズムに基づき生成される疑似乱数が利用される。 また、コンピュータ等で利用可能な、一様分布の疑似乱数生成のアルゴリズムには、線形合同法(103)、Knuthの乱数発生法、M系列乱数、Wichmann−Hillの乱数発生法など、数多くの方法が知られている。 なお、本発明において、一様分布の疑似乱数を利用する際、適用される一様分布の疑似乱数生成のアルゴリズムは、特に限定されるものではない。
    【0062】
    従来から知られている、疑似乱数生成アルゴリズムの多くでは、シード(種)と呼ばれる疑似乱数列を生成するための、基となる数字を与えると、そのシード(種)に応じて、異なる疑似乱数列が生成される。 なお、各シード(種)の値に対して、それぞれ一つの疑似乱数列が生成されるアルゴリズムであるので、用いた各シード(種)の値が判明しておれば、再度、同じ疑似乱数列を生成することが可能である。 この特性を利用して、当初のスポット工程におけるスポット・パターンの生成時に利用した、疑似乱数生成アルゴリズムの種類と、そのシード(種)の値とを、検出時に特定できるようにしておくと、そのプローブ固定基材において、選択されているスポット・パターンを、再度生成することができる。 すなわち、検出時に、そのプローブ固定基材における各プローブは、どのようなスポット・パターンでスポットされたものかを判別することができる。
    【0063】
    当初のスポット工程におけるスポット・パターンの生成時に利用する、疑似乱数生成アルゴリズムの種類は予め選択しておき、一方、シード(種)の値は、例えば、当該プローブ固定基材の製造番号や製造日時を、シリアルな自然数の値に変換し、この値を利用する方式や、あるいは、製造番号や製造日時に代えて、製造ロット番号、製造装置番号などを利用しても良いし、さらには、当該プローブ固定基材に固有な値であれは、ランダムに設定される値でも良い。 なお、検出する際、当該プローブ固定基材が利用したシード(種)の値を利用して、そのスポット・パターンの判別を行うことも考慮すると、例えば、当該プローブ固定基材がマイクロアレイである場合、そのマイクロアレイ内のプローブ固定位置以外の領域や、プローブ固定基材に付設されるハウジングなどに、暗号解読キーとして、利用したシード(種)の値を記述しておくことが望ましい。 例えば、プローブ固定基材を用いたプローブ結果について、蛍光スキャナで観測する検出方式を採用している場合は、蛍光物質を用いて、例えば、シード(種)の値を含む情報を、二次元コードに変換して、マイクロアレイ内のプローブが固定されていない位置に描画し、この蛍光を蛍光スキャナで検出することで、プローブ結果に加えて、二次元コードの情報をも読み取る形態とすることもできる。 このシード(種)の値を含む情報を、蛍光物質を用いて表記する形態は、新たな検出デバイスを必要としないことから、好ましい方法の一つである。
    【0064】
    本発明にかかるスポッターにおいて利用される、スポット・パターンを生成するアルゴリズムや、疑似乱数生成のアルゴリズムは、上述する例示に限定されるものではなく、また、暗号解読キーの記述方法としては、二次元コード、バーコード、カルラコードなどを例示しているが、これらの手法に限定されるものではない。
    【0065】
    さらに、このスポット・パターンを変更する機能は、プローブを複数有する基材の製造装置に内蔵する必要はなく、例えば、予めコンピュータ上でいくつかのスポット・パターンを生成し、製造装置の動作記述データに変換し、これをある時点で取り替え、実質的にスポット・パターンを変更する方法も考えられる。
    【0066】
    上述したように、本発明にかかるスポッターでは、プローブ固定基材上のスポットする位置を変更する際、その位置の変更が容易に行える利点を有するインクジェット方式を採用すると好適である。 また、スポッティングにピン法を利用する場合、一般的には、各プローブを含む液をウェルプレートに分注しておき、この各ウェルに分注した液を、各ピンの先端に採取し、対応する位置にスポットする。 インクジェット方式に比べ、このピン法の場合、スポットできる位置や順番は、利用するピンの配置によって制限されてしまう。 そのため、ウェルプレートに分注する際に、各ウェルに分注するプローブの種類、すなわち、分注パターンを変更することで、各スポット・アドレスにスポットされるプローブの種類を変更することで、実質的にスポット・パターンを変更する方式を採用しても良い。
    【0067】
    また、ウェルプレートの利用は、ピン法に限らず、インクジェット法においても、例えば、プローブを含む媒体を同時に複数スポッティング可能なインクジェット用ヘッドに、これら複数種のプローブを含む媒体を注入する際には、これらのプローブを含む媒体を予めウェルプレートに分注しておき、このウェルプレートからインクジェット用ヘッドに供給する手順を採用することが考えられる。 その際、インクジェットヘッドを駆動させる装置及びプログラムは一定にしておき、このウェルプレートへの分注の際に、その分注パターンを変更することで、スポット・パターンを変更する方法もある。
    【0068】
    上述する本発明にかかるスポッターを利用することで作製されるプローブ固定基材における、標的物質に対する検出結果は、例えば、DNAチップにおいては、予め標識化を施した標的物質とのハイブリダイゼーション反応後、施されている標識を利用して、検出を行うことができる。 その場合、標的物質がどのように標識化されているかによって、利用される検出手段が異なる。 例えば、標識が、ローダミンなどの蛍光物質を利用する蛍光標識である場合には、該蛍光標識の観測可能な蛍光スキャナや蛍光顕微鏡などがある。 なお、標的物質への標識化方法や、対応する検出方法は、例示する蛍光標識に限定されるものではない。
    【0069】
    一方、検出においては、何らかの標的物質との特異的な結合が達成されているスポット・アドレスが判明するが、そのスポット・アドレスに配置されているプローブの種類が認識できないと、どのプローブと標的物質との結合反応が生じているか、検出結果の解釈ができないことになる。 従って、検出と同時に、用いたプローブ固定基材において、各スポット・アドレスに配置されているプローブ種類、すなわち、スポット・パターンを特定して、どのプローブが標的物質と反応したかを解釈する必要になる。
    【0070】
    例えば、プローブ固定基材上に、スポット・パターン番号、あるいは、スポット・パターンの生成に用いた疑似乱数のシード、解読キーなどの情報が付記されている場合、これらの情報を同時に検出して、対応するスポット・パターンを解読することが可能である。 一方、プローブ固定基材上でなく、プローブ固定基材に付設されるハウジング、あるいは、ここでハウジングの概念に含まれるプローブ固定基材を収納しているパッケージなどに、スポット・パターン番号や、解読キーなどの情報が付記されており、同時に検出できない場合には、別途、読み採り、解読装置にこれらの情報を入力する必要がある。
    【0071】
    別途、スポット・パターン番号や、解読キーなどの情報を入力方法としては、解読装置に付属されるキーボード入力を利用する他、バーコードや二次元コード、カルラコードなどコード・リーダーを別に設けて、読み取り入力する方法が考えられるが、これらの例示手段に限定されるものではない。 なお、解読処理は、検出操作を終えた後に、独立して実施することが可能であり、従って、解読装置は検出装置とは分離して設けることも、装置に内蔵して設けることも、いずれの形態を選択しても良い。
    【0072】
    上述した、スポット・パターン番号、疑似乱数のシード、解読キーなどの情報を、プローブ固定基材上に記述し、プローブに結合された標的物質の検出と同時に、同じ検出手段を利用して、読み取りがなされる場合には、それを読み取り、解読する機構を検出装置に内蔵することで、検出操作を同時に、解読をも行うことができる。
    【0073】
    標的物質に対する標識化に蛍光物質を利用し、蛍光を検出する場合は、上述したスポット・パターン番号、疑似乱数のシード、解読キーなどの情報を、プローブが固定されていない領域に、蛍光物質を用いて付記すると、新たな検出デバイスを必要としないため、この方法が好ましい。
    【0074】
    本発明にかかる検出装置における、装置構成の一例として、標的物質に対する標識化に蛍光物質を利用し、また、スポット・パターン番号の情報も、蛍光物質を利用して、プローブ固定基材上に記述している、プローブ固定基材に適用できる装置構成の例を、図5に示すことができる。 プローブ固定基材が、DNAチップの形態である際には、試料に対して、ハイブリダイゼーション反応を行った後、予め標的物質に蛍光物質を標識として付しておき、ハイブリダイゼーション反応によりプローブと特異的なハイブリッド体を形成した標的物質の有無、量を、蛍光観測用の検出デバイス302で観測する。 このハイブリダイゼーション結果の検出操作301と併せて、プローブ固定基材上に蛍光物質で付記されているスポット・パターン番号の記述部位をも、検出デバイス302により観測する。 その結果、ハイブリダイゼーション結果の検出操作301においては、どのスポット・アドレスにおいて、蛍光標識の存在が観測され、あるいは、その量の測定結果が、ハイブリダイゼーション結果307として、一旦得られる。 プローブ固定基材上に蛍光物質で付記されているスポット・パターン番号の記述部位の観測により、コード化されている情報として、スポット・パターン番号の検出303が読み取られ、スポット・パターン番号304として、入力される。
    【0075】
    予め、スポット操作において利用された、各スポット・パターン番号に対応する、スポット・アドレスにおけるプローブの配置を示す、スポット・パターン集から、読み取り入力されたスポット・パターン番号304に割り付けられているスポット・パターンを選別し、そのスポット・アドレスを特定する、解析操作306を行う。 解析された、各プローブ番号のプローブがスポットされている、スポット・アドレス308と、各スポット・アドレスで検出されたハイブリダイゼーション結果307と、さらに、各プローブ番号のプローブは、如何なる標的物質と特異的な結合をするかを示す製品情報(プローブ情報)311から、測定に供した試料中に、どの標的物質が含まれていたか、あるいは、その含有量に関する情報を抽出する、診断の操作309がなされる。 この抽出される診断情報は、そのまま、出力することもでき、また、この診断情報に対応する解釈を加えて、診断結果310として、出力することもできる。
    【0076】
    なお、スポット・パターン集305は、予め検出装置に内蔵しておく必要はなく、例えば、検出装置に、スポット・パターン集を入力できる装置を備え、スポット・パターン集を適時入力しても良い。 具体的には、検出装置にフロッピー・ディスク読み取り装置を備え、フロッピー・ディスクに予め記録したスポット・パターン集を、上記読み取り装置からスポッターに入力する方法でも良い。
    【0077】
    また、前記のスポット・パターン集から選択する手法ではなく、その都度、所定の情報に基づき、スポット・パターンを作り出す方式を採用した場合、解読装置で使用される疑似乱数生成アルゴリズムの種類やそのシード(種)の値とを入力あるいは自動で検出し、上述したスポット・パターン作製方法に従い、同様のスポット・パターンを作製する。 上述したように、疑似乱数生成アルゴリズムとシード(種)の値が決定すれば、スポッターで作製したスポット・パターンと同じパターンが作製可能であるので、これを利用し、検出装置で検出したハイブリダイゼーション結果と、各プローブ番号のプローブは、如何なる標的物質と特異的な結合をするかを示す製品情報(プローブ情報)から、測定に供した試料中に、どの標的物質が含まれていたか、あるいは、その含有量に関する情報を抽出する、診断の操作がなされる。 この抽出される診断情報は、そのまま、出力することもでき、また、この診断情報に対応する解釈を加えて、診断結果として、出力することもできる。 なお、この解読装置は、検出装置等に含まれていても良い。
    【0078】
    【発明の効果】
    以上に説明してきたように、本発明によれば、プローブ固定基材上において、固定されている複数のプローブに関して、そのスポット・アドレスの変更を行う、スポット・パターンの暗号化が容易になされるので、例えば、遺伝子診断用DNAチップのように、使用後のDNAチップ上に残留している標的物質の結合結果自体、各患者の個人情報に相当しており、第三者が、かかる使用後のDNAチップを観察しても、そのプローブ固定順序が暗号化されている結果、その使用済みDNAチップからその診断結果を第三者に簡単に解読されるという危険性を減らすことが可能となった。
    【0079】
    さらには、医療分野で利用されているプローブ固定基材の作製に利用されている複数のプローブ自体、例えば、DNAチップ上の各DNAプローブに関して、その検出対象の標的物質に関する情報は開示されているが、各DNAプローブの塩基配列自体は、場合によっては、そのDNAプローブの塩基配列の提供源に対する社会的な配慮から、その開示される情報から除外されている場合もある。 また、利用されている、DNAプローブの塩基配列が解読されると、かかる使用許可を受けていない第三者による模倣がなされるなど、秘密情報の維持上の問題も生じる。 これらの観点からも、本発明を利用することで、第三者には、DNAチップを構成しているDNAプローブの塩基配列が簡単には解読できないようになり、模倣を目的とする解読を防止する上で大いに貢献する。
    【図面の簡単な説明】
    【図1】本発明にかかるスポッターにおける、プローブ固定基材における各プローブのスポット・アドレスを割り付ける際、スポット位置(パターン)の変更操作における、スポット位置(パターン)の選択方式の一例と、その選択操作に相当するデーター・フロー・ダイアグラムを模式的に示す図である。
    【図2】16種のプローブをマイクロアレイ状にスポットする際の、スポット・パターンの一例を説明する図である。
    【図3】疑似乱数生成のアルゴリズムを利用して、16種のプローブをマイクロアレイ状にスポットする際の、スポット・パターンを作成するアルゴリズムの一例を表記する図である。
    【図4】作成されるスポット・パターンにおける、マイクロアレイ状の各スポット・アドレスに割り付けられる、プローブ種類(プローブ番号)を示す配列図である。
    【図5】本発明にかかる検出装置における、プローブ固定基材に対する検出結果、スポット・パターン番号の情報に基づき、プローブ固定基材における各プローブのスポット・アドレスの判別、ならびに、各プローブに対する検出結果の対応付け操作の一例と、その操作に相当するデーター・フロー・ダイアグラムを模式的に示す図である。
    【符号の説明】
    101 スポットされた各プローブ102 暗号化された、スポット上のプローブ番号103 線形合同法に基づく、擬似乱数列生成201 プローブ固定基材上のプローブ種類などのプローブ情報(製品情報)
    202 各プローブ固定基材に固有の情報(シリアル番号など)
    203 予め作成されているスポット・パターンの集合(スポット・パターン集)
    204 製品情報と、シリアル番号等に対応させた、スポット・パターンの集合よりのスポット・パターン選択機構205 選択されるスポット・パターンに基づく、スポッターの制御コマンド設定機構206 スポッター動作機構207 スポッター301 DNAチップ上のハイブリダイゼーション結果の検出操作302 検出デバイス303 DNAチップ上の、スポット・パターン番号等の記載情報の検出操作304 記載情報中より特定されるスポット・パターン番号305 スポット・パターンの集合(スポット・パターン集)
    306 スポット・パターン集に基づく、各スポット・パターン番号に相当するスポット・パターンにおける暗号化されているスポット・アドレス割り当ての解析操作307 DNAチップの各スポットで検出されたハイブリダイゼーション結果308 DNAチップの各プローブに割り付けられているスポット・アドレス309 各スポット・アドレスに配置される各プローブに対するハイブリダイゼーション結果に基づく、診断情報の抽出操作310 抽出される診断情報を利用した診断結果311 DNAチップ上の各プローブ種類などのプローブ情報(製品情報)

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