Porous coating having a ligand array

申请号 JP2000585663 申请日 1999-11-23 公开(公告)号 JP2002531829A 公开(公告)日 2002-09-24
申请人 シントリックス バイオチップ, インコーポレイテッド; 发明人 ジョン エー. ゼバラ,;
摘要 (57)【要約】 実質的に均一な多孔性コーティング(これはフォトパターン化され得る)を含む物品が提供される。 このような多孔性コーティングの使用は、例えば、局部的に選択性の固相化学合成のような方法によって調製されるリガンドアレイ内の接続された化合物の表面 密度 を増加する。 特定の局面において、このコーティングは粒子のゲル状ネットワークを含み、多孔性コーティングはそこに結合した2つ以上の異なる化合物を有する。 多孔性コーティングを使用して調製されるアレイは、種々の診断的アッセイおよび薬物発見アッセイで使用され得る。
权利要求 【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 コーティングされた物品であって、該物品は、実質的に均一な厚さの連続した多孔性コーティングを有する基材を含み、ここで、該コーティングが、粒子のゲル状ネットワークを含み、そしてここで、該多孔性コーティングが、そこに接続される2つ以上の異なる化合物を有する、物品。
  • 【請求項2】 請求項1に記載のコーティングされた物品であって、ここで、各粒子が、炭素、活性炭素、フッ化炭素、スチレンジビニルベンゼンコポリマー、ポリスチレン、ゼオライト、アンチモンの酸化物、および周期律表のIII
    族およびIV族に存在する金属の酸化物からなる群から独立して選択される1つ以上の物質を含む、物品。
  • 【請求項3】 請求項2に記載のコーティングされた物品であって、ここで、各粒子が、アルミナ、シリカ、シリカライト、ヒュームドシリカ、スズの酸化物およびチタニアからなる群から独立して選択される1つ以上の物質を含む、物品。
  • 【請求項4】 請求項1に記載のコーティングされた物品であって、ここで、前記粒子が、実質的に球形のシリカの粒子である、物品。
  • 【請求項5】 請求項1に記載のコーティングされた物品であって、ここで、前記粒子が1000Å未満の一次粒子サイズを有する、物品。
  • 【請求項6】 請求項1に記載のコーティングされた物品であって、ここで、前記粒子が500Å未満の一次粒子サイズを有する、物品。
  • 【請求項7】 請求項1に記載のコーティングされた物品であって、ここで、前記粒子が100Å未満の一次粒子サイズを有する、物品。
  • 【請求項8】 請求項1に記載のコーティングされた物品であって、ここで、前記粒子が5Å未満の一次粒子サイズを有する、物品。
  • 【請求項9】 請求項1に記載のコーティングされた物品であって、ここで前記多孔性コーティングが、0.05〜25ミクロンの範囲の厚さを有する、物品。
  • 【請求項10】 請求項1に記載のコーティングされた物品であって、ここで、前記多孔性コーティングが、50m 2 /gより大きい表面積を有する、物品。
  • 【請求項11】 請求項1に記載のコーティングされた物品であって、ここで、前記多孔性コーティングが、多孔性コーティングの1立方ミクロン当たり少なくとも100平方ミクロンの表面積を有する、物品。
  • 【請求項12】 請求項1に記載のコーティングされた物品であって、ここで、前記粒子のゲル状ネットワークがさらに、加水分解された金属アルコキシドのポリマーを含む、物品。
  • 【請求項13】 請求項12に記載のコーティングされた物品であって、ここで、前記加水分解された金属アルコキシドが、式: M(OR) xを有し、ここで、Mが、Si、Ti、Al、B、Zr、Er、Cr、Ga、Ge
    、Hf、Fe、Ca、Cr、La、Mg、Nb、K、Pr、Sm、Na、Ta、
    Te、Tl、Sn、W、V、Y、およびZnからなる群から選択され;Rが水素、アルキル基またはアリール基であり、そしてxが3または4である、物品。
  • 【請求項14】 請求項13に記載のコーティングされた物品であって、ここで、前記加水分解された金属アルコキシドが、加水分解されたテトラエトキシシランである、物品。
  • 【請求項15】 請求項1に記載のコーティングされた物品であって、ここで、前記基材がガラスである、物品。
  • 【請求項16】 請求項1に記載のコーティングされた物品であって、ここで、前記基材が前記多孔性コーティングと接触する接着層を含む、物品。
  • 【請求項17】 請求項16に記載のコーティングされた物品であって、ここで、前記接着層が、式: R' n M(OR) xの加水分解された有機金属アルコキシドの1つ以上のポリマーを含み、ここで、
    Mが、Si、Ti、Al、B、Zr、Er、Cr、Ga、Ge、Hf、Fe、C
    a、Cr、La、Mg、Nb、K、Pr、Sm、Na、Ta、Te、Tl、Sn
    、W、V、Y、およびZnからなる群から選択され;R'が、1個と12個の間の炭素原子を含む1価の有機基であり;Rが水素、アルキル基またはアリール基であり、そしてnおよびxが、0、1、2、3および4からなる群から独立して選択される整数である、物品。
  • 【請求項18】 請求項17に記載のコーティングされた物品であって、ここで、前記接着層が、加水分解されたテトラエトキシシランのポリマーを含む、
    物品。
  • 【請求項19】 請求項1に記載のコーティングされた物品であって、ここで、前記化合物が、前記多孔性コーティングに共有結合される、物品。
  • 【請求項20】 請求項1に記載のコーティングされた物品であって、ここで、前記化合物が、前記多孔性コーティングに吸着される、物品。
  • 【請求項21】 請求項1に記載のコーティングされた物品であって、ここで、少なくとも1つの化合物がリンカーによって前記多孔性コーティングに接続される、物品。
  • 【請求項22】 請求項21に記載のコーティングされた物品であって、ここで、前記リンカーが、光切断可能部分または酵素切断可能部分を含む、物品。
  • 【請求項23】 請求項21に記載のコーティングされた物品であって、ここで、前記リンカーが、酸不安定な部分または塩基不安定な部分を含む、物品。
  • 【請求項24】 請求項23に記載のコーティングされた物品であって、ここで、前記リンカーが、式: 【化1】 を含む、物品。
  • 【請求項25】 請求項21に記載のコーティングされた物品であって、ここで、前記リンカーが、シロキサン結合を介して前記多孔性コーティングに接続される有機アルコキシシラン分子である、物品。
  • 【請求項26】 請求項25に記載のコーティングされた物品であって、ここで、前記リンカーが、3−アミノ−プロピルトリエトキシシランまたはビス(
    2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシランである、物品。
  • 【請求項27】 請求項21に記載のコーティングされた物品であって、ここで、前記リンカーが、式: 【化2】 を含む、物品。
  • 【請求項28】 請求項1に記載のコーティングされた物品であって、ここで、前記化合物の少なくとも90%が、同じ構造を有する、物品。
  • 【請求項29】 請求項1に記載のコーティングされた物品であって、ここで、前記化合物の少なくとも10%が、同じ構造を有する、物品。
  • 【請求項30】 請求項1に記載のコーティングされた物品であって、ここで、少なくとも10 3個の異なる化合物が、既知の別個の完全厚容量において前記多孔性コーティングに接続される、物品。
  • 【請求項31】 請求項1に記載のコーティングされた物品であって、ここで、少なくとも10 5個の異なる化合物が、既知の別個の完全厚容量において前記多孔性コーティングに接続される、物品。
  • 【請求項32】 請求項1に記載のコーティングされた物品であって、ここで、少なくとも10 6個の異なる化合物が、既知の別個の完全厚容量において前記多孔性コーティングに接続される、物品。
  • 【請求項33】 請求項1に記載のコーティングされた物品であって、ここで、前記化合物が、ヌクレオ塩基のポリマーおよびペプチドからなる群から独立して選択される、物品。
  • 【請求項34】 請求項1に記載のコーティングされた物品であって、該物品は、式: 【化3】 のエナラプリラート類似物を含み、ここで、Sが前記多孔性コーティングであり、Aがアミノプロピルトリエトキシシランであり、Lが2価のリンカーであり、
    1が1価の有機基または水素であり、そしてX 2が1価の有機基または水素である、物品。
  • 【請求項35】 請求項34に記載のコーティングされた物品であって、ここで、X 1が、1つ以上の酸不安定な保護基を含む1価の有機基である、物品。
  • 【請求項36】 請求項34に記載のコーティングされた物品であって、ここで、X 2が、1つ以上の酸不安定な保護基を含む1価の有機基である、物品。
  • 【請求項37】 請求項1に記載のコーティングされた物品であって、ここで、前記化合物が、既知の別個の完全厚容量において接続され、それぞれが、前記基材上に1,000,000μm 2未満の面積を占める、物品。
  • 【請求項38】 請求項1に記載のコーティングされた物品であって、ここで、前記化合物が、既知の別個の完全厚容量において接続され、それぞれが、前記基材上に1,000μm 2未満の面積を占める、物品。
  • 【請求項39】 請求項1に記載のコーティングされた物品であって、ここで、前記化合物が、既知の別個の完全厚容量において接続され、それぞれが、前記基材上に10μm 2未満の面積を占める、物品。
  • 【請求項40】 請求項1に記載のコーティングされた物品であって、ここで、前記多孔性コーティングの平均孔サイズが、前記1次サイズに実質的に近い、物品。
  • 【請求項41】 請求項1に記載のコーティングされた物品であって、ここで、平均孔サイズが、1〜1000nmの範囲である、物品。
  • 【請求項42】 2つ以上の化合物が接続するコーティングされた物品を作製するための方法であって、該方法は、以下: (a)揮発性の液体中に分散される金属酸化物粒子を含む溶液の実質的に均一な層を基材に適用する工程; (b)該揮発性の液体を該層からエバポレートし、該基材上の金属酸化物粒子のゲル状ネットワークを形成する工程であって、ここで、該ゲル状ネットワークが、0.05〜25ミクロンの厚さの範囲の多孔性コーティングを形成する工程;および (c)2つ以上の化合物を該多孔性コーティングの別個の既知の領域に接続し、そして、そこから2つ以上の化合物が接続する多孔性コーティングを有する基材を含むコーティングされた物品を生成する工程、 を包含する、方法。
  • 【請求項43】 請求項42に記載の方法であって、ここで、2つ以上の化合物を接続する工程の前に、前記多孔性コーティングが、該多孔性コーティングの強度を増加するのに十分な温度および時間で硬化される、方法。
  • 【請求項44】 請求項42に記載の方法であって、ここで、各金属酸化物粒子が、アンチモンの酸化物ならびに周期律表のIII族またはIV族に存在する金属の酸化物からなる群から独立して選択される1つ以上の物質を含む、方法。
  • 【請求項45】 請求項44に記載の方法であって、ここで、各金属酸化物粒子が、スズ酸化物、チタニア、アンチモン酸化物、シリカ、アルミナ、シリカライトおよびヒュームドシリカからなる群から独立して選択される1つ以上の物質を含む、方法。
  • 【請求項46】 請求項42に記載の方法であって、ここで、前記溶液が、
    0.2〜25重量%の、1000Å未満の一次粒子サイズを有する金属酸化物粒子を含む、方法。
  • 【請求項47】 請求項42に記載の方法であって、ここで、前記溶液が、
    さらに、前記金属酸化物粒子に連結された実質的に加水分解された金属アルコキシドの伸張ポリマーを含み、ここで、該実質的に加水分解された金属アルコキシドに対する金属酸化物粒子の重量比が、1〜1000の範囲である、方法。
  • 【請求項48】 請求項47に記載の方法であって、ここで、前記溶液が、
    金属酸化物粒子1g当たり20μモル〜2000μモルの金属アルコキシドを含む、方法。
  • 【請求項49】 請求項47に記載の方法であって、ここで、前記溶液が、
    金属酸化物粒子1g当たり60μモル〜240μモルの金属アルコキシドを含む、方法。
  • 【請求項50】 請求項47に記載の方法であって、ここで、前記実質的に加水分解された金属アルコキシドが、実質的に加水分解されたテトラエトキシシランである、方法。
  • 【請求項51】 請求項47に記載の方法であって、ここで、前記溶液が、
    4〜5の範囲のpHを有する、方法。
  • 【請求項52】 請求項47に記載の方法であって、ここで、前記揮発性液体が、70〜90体積%のエタノールであり、残りが水である、方法。
  • 【請求項53】 請求項47に記載の方法であって、ここで、前記溶液が、
    前記基材に適用される前に、4℃で1日より長くエージングされる、方法。
  • 【請求項54】 請求項42に記載の方法であって、ここで、前記層が、少なくとも120℃で15分間硬化される、方法。
  • 【請求項55】 請求項42に記載の方法であって、ここで、少なくとも1
    つの化合物が、リンカーによって前記基材に接続される、方法。
  • 【請求項56】 請求項55に記載の方法であって、ここで、前記リンカーが、シロキサン結合を介して前記多孔性コーティングに接続される有機アルコキシシラン分子である、方法。
  • 【請求項57】 請求項56に記載の方法であって、ここで、前記リンカーが、3−アミノ−プロピルトリエトキシシランまたはビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシランである、方法。
  • 【請求項58】 請求項55に記載の方法であって、ここで、前記リンカーが、光切断可能部分、酵素切断可能部分、酸不安定な部分または塩基不安定な部分を含む、方法。
  • 【請求項59】 請求項54に記載の方法であって、ここで、前記リンカーが、式: 【化4】 を含む、方法。
  • 【請求項60】 請求項43に記載の方法であって、ここで、前記揮発性液体のエバポレーションの後で、前記硬化工程の前に、該方法が、以下: (i)揮発性溶媒中の加水分解されたテトラエトキシシランのエージングされたゾルを含む増強溶液を、前記層に適用する工程;および(ii)前記揮発性溶媒をエバポレートして、増強層を生成する工程であって、ここで、該加水分解されたテトラエトキシシランに対する金属酸化物粒子の重量比が、1〜1000の範囲である工程、 を包含する、方法。
  • 【請求項61】 請求項60に記載の方法であって、ここで、前記増強溶液が、0.5体積%のテトラエトキシシラン、0.15体積%の水および0.1m
    Mの硝酸を含み、残りがエタノールであるエージングしたゾルである、方法。
  • 【請求項62】 請求項42に記載の方法であって、ここで、前記基材が接着層を含む、方法。
  • 【請求項63】 請求項62に記載の方法であって、ここで、前記接着層が加水分解されたテトラエトキシシランのポリマーを含む、方法。
  • 【請求項64】 請求項63に記載の方法であって、ここで、前記接着層が、以下: (i)揮発性溶媒中に加水分解されたテトラエトキシシランのエージングしたゾルを含む接着溶液の実質的に均一な層を前記基材上に適用する工程;および (ii)該層から該揮発性溶媒をエバポレートし、そして加水分解されたテトラエトキシシランのポリマーの、0.002〜2ミクロンの厚さの接着層を堆積するために該層を硬化する工程、 によって生成される、方法。
  • 【請求項65】 請求項64に記載の方法であって、ここで、前記接着溶液が、1.5体積%のテトラエトキシシラン、0.45体積%の水、および0.3
    mMの硝酸を含み、残りがエタノールであるエージングしたゾルである、方法。
  • 【請求項66】 請求項64に記載の方法であって、ここで、前記揮発性溶媒が、室温でエバポレートされる、方法。
  • 【請求項67】 請求項64に記載の方法であって、ここで、前記接着層が、少なくとも120℃で少なくとも15分間硬化される、方法。
  • 【請求項68】 請求項42に記載の方法であって、ここで、少なくとも1
    4個の異なる化合物が、前記多孔性コーティングの既知の別個の完全厚容量において該多孔性コーティングに接続される、方法。
  • 【請求項69】 請求項42に記載の方法であって、ここで、前記既知の別個の完全厚容量のそれぞれが、前記基材上に約10,000μm 2未満の面積を占める、方法。
  • 【請求項70】 請求項42に記載の方法であって、ここで、前記化合物が、以下: (i)第1の分子を前記多孔性コーティングに接続する工程; (ii)該第1の分子をフォトレジストの層でカバーする工程; (iii)該フォトレジストが、第2の領域の第1の分子からではなく、第1
    の領域の第1の分子から除去されるように、該フォトレジストを照射する工程; (iv)フォトレジストが除去された第1の分子と、第1の試薬とを接触させ、該多孔性コーティングに接続された第2の分子を形成する工程;および (v)残りのフォトレジストを除去する工程、 を包含するプロセスによって別個の既知の領域に接続される、方法。
  • 【請求項71】 請求項70に記載の方法であって、ここで、前記フォトレジストが、ポリアミドを含むポジ型フォトレジストである、方法。
  • 【請求項72】 連続した多孔性コーティングを有する少なくとも2つの別個の既知の領域を有する基材を含むコーティングされた物品であって、ここで、
    各コーティングが、実質的に均一な厚さを有し、そして粒子のゲル状ネットワークを含み、そしてここで、各多孔性コーティングが、そこに接続される少なくとも1つの化合物を有する、物品。
  • 【請求項73】 請求項72に記載のコーティングされた物品であって、ここで、各粒子が、炭素、活性炭素、フッ化炭素、スチレンジビニルベンゼンコポリマー、ポリスチレン、ゼオライト、アンチモンの酸化物、および周期律表のI
    II族およびIV族に存在する金属の酸化物からなる群から独立して選択される1つ以上の物質を含む、物品。
  • 【請求項74】 請求項73に記載のコーティングされた物品であって、ここで、各粒子が、アルミナ、シリカ、シリカライト、ヒュームドシリカ、スズの酸化物およびチタニアからなる群から独立して選択される1つ以上の物質を含む、物品。
  • 【請求項75】 請求項73に記載のコーティングされた物品であって、ここで、前記粒子が、実質的に球形のシリカの粒子である、物品。
  • 【請求項76】 請求項72に記載のコーティングされた物品であって、ここで、前記粒子が1000Å未満の一次粒子サイズを有する、物品
  • 【請求項77】 請求項72に記載のコーティングされた物品であって、ここで、前記粒子の連続したゲル状ネットワークがさらに、実質的に加水分解された金属アルコキシドのポリマーを含む、物品。
  • 【請求項78】 請求項77に記載のコーティングされた物品であって、ここで、前記実質的に加水分解された金属アルコキシドが、実質的に加水分解されたテトラエトキシシランである、物品。
  • 【請求項79】 請求項72に記載のコーティングされた物品であって、ここで、前記基材が接着層を含む、物品。
  • 【請求項80】 請求項79に記載のコーティングされた物品であって、ここで、前記接着層が加水分解されたテトラエトキシシランのポリマーを含む、物品。
  • 【請求項81】 請求項72に記載のコーティングされた物品であって、ここで、前記基材が、接続化合物を有する、10 4個より多い別々の多孔性コーティングを有する、物品。
  • 【請求項82】 請求項72に記載のコーティングされた物品であって、ここで、前記別々の多孔性コーティングのそれぞれが、前記基材上に約10,00
    0μm 2未満の面積を占める、物品。
  • 【請求項83】 請求項72に記載のコーティングされた物品であって、ここで、前記多孔性コーティングが、50m 2 /gより広く測定される表面積を有する、物品。
  • 【請求項84】 請求項72に記載のコーティングされた物品であって、ここで、少なくとも1つの化合物が、リンカーによって前記多孔性コーティングに接続される、物品。
  • 【請求項85】 請求項84に記載のコーティングされた物品であって、ここで、前記リンカーが、シロキサン結合を介して前記多孔性コーティングに接続される有機アルコキシシラン分子である、物品。
  • 【請求項86】 請求項84に記載のコーティングされた物品であって、ここで、前記リンカーが、光切断可能部分または酵素切断可能部分を含む、物品。
  • 【請求項87】 請求項84に記載のコーティングされた物品であって、ここで、前記リンカーが、酸不安定な部分または塩基不安定な部分を含む、物品。
  • 【請求項88】 請求項72に記載のコーティングされた物品であって、ここで、異なる化合物が、前記多孔性コーティングのそれぞれに接続される、物品。
  • 【請求項89】 請求項72に記載のコーティングされた物品であって、ここで、前記接続された化合物が、ヌクレオ塩基のポリマー、ペプチドおよびエナラプリラート類似物からなる群から選択される、物品。
  • 【請求項90】 請求項72に記載のコーティングされた物品であって、ここで、前記多孔性コーティングのそれぞれが、さらに、加水分解されたテトラエトキシシランのポリマーの増強層を含む、物品。
  • 【請求項91】 請求項72に記載のコーティングされた物品であって、ここで、前記別々の多孔性コーティングのそれぞれの平均孔サイズが、実質的に粒子サイズに近い、物品。
  • 【請求項92】 基材および少なくとも2つの別々の多孔性コーティングを含むコーティングされた物品を作製する方法であって、該方法は、以下: (a)揮発性液体中に分散される金属酸化物粒子を含む溶液の実質的に均一な層を基材に適用する工程; (b)該揮発性液体を該層からエバポレートし、該基材上の金属酸化物粒子のゲル状ネットワークを形成する工程であって、ここで、該ゲル状ネットワークが、0.05〜25ミクロンの厚さの範囲の多孔性コーティングを形成する、工程; (c)該多孔性コーティングを塩基溶解性成分を含むフォトレジストの層でカバーする工程; (d)フォトレジストの第1領域が、水性アルカリ現像剤を用いて実質的に除去可能となり、そして第2の領域がそのようには除去されないように、該フォトレジストを照射する工程; (e)少なくとも該第1の領域と水性アルカリ現像剤とを接触させ、フォトレジストの該第2の領域または該第2の領域に横たわる多孔性コーティングを実質的に除去することなく、少なくともフォトレジストの該第1の領域および該第1
    の領域に横たわる多孔性コーティングを除去する工程; (f)残りのフォトレジストを有機溶媒を用いて除去し、該基材の別個の領域に別々の多孔性コーティングを生じる工程;および (g)1つ以上の化合物を該別々の多孔性コーティングのそれぞれに接続し、
    そしてそこから少なくとも2つの別々の多孔性コーティングを有する基材を生成する工程であって、ここで、各コーティングが、実質的に均一な厚さを有し、そして金属酸化物の連続的なゲル状ネットワークおよび加水分解された金属アルコキシドのポリマーを含み、そしてここで、各多孔性コーティングが、そこに接続される少なくとも1つの化合物を有する、工程、 を包含する、方法。
  • 【請求項93】 請求項92に記載の方法であって、ここで、各粒子が、アンチモンの酸化物、および周期律表のIII族またはIV族に存在する金属の酸化物からなる群から独立して選択される1つ以上の物質を含む、方法。
  • 【請求項94】 請求項93に記載の方法であって、ここで、各金属酸化物粒子が、スズの酸化物、チタニア、アンチモンの酸化物、シリカ、アルミナ、シリカライトおよびヒュームドシリカからなる群から独立して選択される1つ以上の物質を含む、方法。
  • 【請求項95】 請求項92に記載の方法であって、ここで、前記金属酸化物粒子が、実質的に球形のシリカの粒子である、方法。
  • 【請求項96】 請求項92に記載の方法であって、ここで、少なくとも1
    つの化合物が、リンカーによって接続される、方法。
  • 【請求項97】 請求項92に記載の方法であって、ここで、前記溶液が、
    500Å未満の一次粒子サイズを有する0.2〜25重量%の金属酸化物粒子を含む、方法。
  • 【請求項98】 請求項92に記載の方法であって、ここで、前記溶液が、
    1gの金属酸化物粒子当たり20μモル〜2000μモルの金属アルコキシドを含む、方法。
  • 【請求項99】 請求項92に記載の方法であって、ここで、前記溶液が、
    1gの金属酸化物粒子当たり60μモル〜240μモルの金属アルコキシドを含む、方法。
  • 【請求項100】 請求項92に記載の方法であって、ここで、前記実質的に加水分解された金属アルコキシドが、実質的に加水分解されたテトラエトキシシランである、方法。
  • 【請求項101】 請求項92に記載の方法であって、ここで、前記溶液が、4〜5の範囲のpHを有する、方法。
  • 【請求項102】 請求項92に記載の方法であって、ここで、前記揮発性液体が、70〜90体積%のエタノールであり、残りが水である、方法。
  • 【請求項103】 請求項92に記載の方法であって、ここで、前記溶液が、4℃で1日より長くエージングされる、方法。
  • 【請求項104】 請求項92に記載の方法であって、ここで、前記揮発性液体が、室温でエバポレートされる、方法。
  • 【請求項105】 請求項92に記載の方法であって、ここで、前記フォトレジストがジアゾキノンを含む、方法。
  • 【請求項106】 請求項92に記載の方法であって、ここで、前記照射が、コヒーレントの、非コヒーレントの、X線光、深(deep)紫外光、中程度紫外光、近紫外光、可視光および赤外光からなる群から選択される、方法。
  • 【請求項107】 請求項92に記載の方法であって、ここで、前記照射工程が、以下: (i)光源と前記フォトレジストの層の間にマスクを配置する工程であって、
    ここで、該マスクが、少なくとも1つの選択された波長の光を透過する第1の領域、および該選択された波長の光を実質的に透過しない第2の領域を含む、工程、 (ii)光が該フォトレジストの層の少なくとも第1の領域を透過し、そして該フォトレジストの層の少なくとも該第2の領域を実質的に透過しないように、
    該選択された波長を発する光源を用いて該マスクを照射する工程、 を包含する、方法。
  • 【請求項108】 請求項92に記載の方法であって、ここで、前記塩基可溶性成分が、式: 【化5】 を有するフェノールポリマーであって、ここで、Rが、水素またはアルキル基であり、nが平均して0〜13の範囲である、方法。
  • 【請求項109】 請求項92に記載の方法であって、ここで、前記水性アルカリ現像剤が、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、および水酸化テトラメチルアンモニウムからなる群から選択される塩基を含む、方法。
  • 【請求項110】 請求項92に記載の方法であって、ここで、前記有機溶媒がアセトンである、方法。
  • 【請求項111】 請求項92に記載の方法であって、ここで、各別々の多孔性コーティングが、25ミクロン未満の厚さである、方法。
  • 【請求項112】 請求項92に記載の方法であって、ここで、少なくとも1つの化合物がリンカーによって接続される、方法。
  • 【請求項113】 請求項92に記載の方法であって、ここで、1つ以上の化合物を接続する工程の前に、前記別々の多孔性コーティングを、該多孔性コーティングの強度を増加するのに十分な温度および時間で硬化する、方法。
  • 【請求項114】 請求項92に記載の方法であって、ここで、残りのフォトレジストの除去の後で、1つ以上の化合物を接続する工程の前に、該方法が、
    以下: (i)揮発性溶媒中の加水分解されたテトラエトキシシランのエージングされたゾルを含む増強溶液を、前記エージングした溶液の層に適用する工程;および(
    ii)該揮発性溶媒をエバポレートして、増強層を生成する工程であって、ここで、加水分解されたテトラエトキシシランに対する金属酸化物粒子の重量比が、
    1〜1000の範囲である、工程、 を包含する、方法。
  • 【請求項115】 請求項114に記載の方法であって、ここで、前記増強溶液が、0.5体積%のテトラエトキシシラン、0.15体積%の水、および0
    . 1mMの硝酸を含み、残りがエタノールであるエージングしたゾルである、方法。
  • 【請求項116】 請求項92に記載の方法であって、ここで、前記基材が加水分解されたテトラエトキシシランのポリマーの接着層を含む、方法。
  • 【請求項117】 請求項116に記載の方法であって、ここで、前記接着層が、以下: (i)揮発性溶媒中に加水分解されたテトラエトキシシランのエージングしたゾルを含む接着溶液の実質的に均一な層を前記基材上に適用する工程;および (ii)該層から該揮発性溶媒をエバポレートし、そして加水分解されたテトラエトキシシランのポリマーの、0.002〜2ミクロンの厚さの接着層を堆積するために該層を硬化する工程、 によって生成される、方法。
  • 【請求項118】 請求項117に記載の方法であって、ここで、前記接着溶液が、1.5体積%のテトラエトキシシラン、0.45体積%の水、および0
    . 3mMの硝酸を含み、残りがエタノールであるエージングしたゾルである、方法。
  • 【請求項119】 請求項117に記載の方法であって、ここで、前記揮発性の溶媒が、室温でエバポレートされる、方法。
  • 【請求項120】 請求項117に記載の方法であって、ここで、前記接着層が、少なくとも120℃で少なくとも15分間硬化される、方法。
  • 【請求項121】 請求項92に記載の方法であって、ここで、前記基材が、既知の領域に10 4個より多い別々の多孔性コーティングを有し、該多孔性コーティングのそれぞれが異なる接続化合物を有する、方法。
  • 【請求項122】 請求項92に記載の方法であって、ここで、前記別々の多孔性コーティングのそれぞれが、前記基材上に約10,000μm 2未満の面積を占める、方法。
  • 【請求項123】 請求項92に記載の方法であって、ここで、前記フォトレジストが、ポジ型フォトレジストである、方法。
  • 【請求項124】 請求項92に記載の方法であって、ここで、前記フォトレジストが、ネガ型フォトレジストである、方法。
  • 【請求項125】 請求項92に記載の方法であって、ここで、前記化合物が、以下: (i)第1の分子を前記別々の多孔性コーティングに接続する工程; (ii)該第1の分子を第2のフォトレジストの層によってカバーする工程; (iii)第2のフォトレジストが、第1の領域の該第1の分子から除去されるように、該第2のフォトレジストの少なくとも一部を照射する工程; (iv)フォトレジストが除去された第1の分子と第1の試薬とを接触させ、
    該分離された多孔性コーティングに接続された第2の分子を形成する工程;および (v)残りの第2のフォトレジストを除去する工程、 を包含するプロセスによって別個の既知の領域に接続される、方法。
  • 【請求項126】 請求項125に記載の方法であって、ここで、前記第2
    のフォトレジストが、ポリアミドを含む、方法。
  • 【請求項127】 請求項125に記載の方法であって、ここで、前記第2
    のフォトレジストが、ポジ型フォトレジストである、方法。
  • 【請求項128】 請求項125に記載の方法であって、ここで、前記第2
    のフォトレジストが、ネガ型フォトレジストである、方法。
  • 【請求項129】 レセプターを特異的に結合する少なくとも1つの化合物を同定する方法であって、該方法は、以下の連続的工程: (a)請求項1または請求項72に記載されるコーティングされた物品とレセプターとを接触させる工程;および (b)前記多孔性コーティングに接続される1つ以上の該化合物が、該レセプターに特異的に結合するかどうかを決定する工程、 を包含する、方法。
  • 【請求項130】 請求項129に記載の方法であって、ここで、前記多孔性コーティングに接続される各化合物が、ヌクレオ塩基ポリマーおよびペプチドからなる群から独立して選択される、方法。
  • 【請求項131】 請求項130に記載の方法であって、ここで、前記化合物が、アンチセンス核酸分子である、方法。
  • 【請求項132】 請求項129に記載の方法であって、ここで、前記レセプターが、ヌクレオ塩基ポリマー、酵素、細胞レセプターまたは抗体である、方法。
  • 【請求項133】 請求項129に記載の方法であって、ここで、前記レセプターが、さらに、検出可能なマーカーを含み、そしてここで、工程(b)が、
    前記多孔性コーティング上の該マーカーの位置を検出する工程を包含する、方法。
  • 【請求項134】 請求項133に記載の方法であって、ここで、前記マーカーが、照射性マーカーまたは蛍光マーカーである、方法。
  • 【請求項135】 レセプターを特異的に結合する少なくとも1つの化合物を同定するための方法であって、該方法は、以下: (a)同時にまたはいずれかの順序の、 (i)請求項1または請求項72に記載されるコーティングされた物品から1つ以上の化合物を取り外す工程;および (ii)該取り外された化合物(単数または複数)とレセプターとを接触させる工程;ならびに (b)該化合物(単数または複数)が該レセプターに特異的に結合するかどうかを決定する工程、 を包含する、方法。
  • 【請求項136】 請求項135に記載の方法であって、ここで、前記化合物が、リンカーによって前記基材に接続されている、方法。
  • 【請求項137】 請求項136に記載の方法であって、ここで、前記リンカーが光切断可能な部分を含み、そしてここで、前記化合物(単数または複数)
    が光を用いる照射によって前記基材から取り外される、方法。
  • 【請求項138】 請求項137に記載の方法であって、ここで、前記光が、紫外光、可視光および赤外光からなる群から選択される、方法。
  • 【請求項139】 請求項136に記載の方法であって、ここで、前記リンカーが、酵素によって切断される認識部位を含み、そしてここで、前記化合物(
    単数または複数)が、酵素と接触することによって前記基材から取り外される、
    方法。
  • 【請求項140】 請求項136に記載の方法であって、ここで、前記リンカーが、酸不安定な部分または塩基不安定な部分を含み、そしてここで、前記化合物(単数または複数)が、酸性または塩基性の化学物質との接触によって前記基材から取り外される、方法。
  • 【請求項141】 請求項140に記載の方法であって、ここで、前記化学物質が、液体トリフルオロ酢酸、ガス状トリフルオロ酢酸、液体アンモニア、およびガス状アンモニアからなる群から選択される、方法。
  • 【請求項142】 請求項135に記載の方法であって、ここで、前記レセプターが酵素である、方法。
  • 【請求項143】 請求項142に記載の方法であって、ここで、前記酵素が、アンギオテンシン変換酵素である、方法。
  • 【請求項144】 請求項135に記載の方法であって、ここで、工程(c
    )が、さらに以下: (i)化合物に結合されるレセプターの存在下で、該レセプターと検出可能な性質を有するインジケーター化合物とを接触させる工程;および (ii)該検出可能な性質の存在または非存在を決定する工程、 を包含する、方法。
  • 【請求項145】 請求項144に記載の方法であって、ここで、前記検出可能な性質が、色、光吸光度、光透過、蛍光、蛍光共鳴エネルギー移動、蛍光偏光、リン光、触媒活性、分子量、電荷、密度、融点、クロマトグラフィー移動度、濁度、電気泳動移動度、質量スペクトル、紫外スペクトル、赤外スペクトル、
    核磁気共鳴スペクトル、元素組成、およびX線回折からなる群から選択される、
    方法。
  • 【請求項146】 請求項145に記載の方法であって、ここで、前記インジケーター化合物が、フリルアクリロイルフェニルアラニルグリシルグリシンであり、そしてここで、前記レセプターがアンギオテンシン変換酵素である、方法。
  • 【請求項147】 請求項135に記載の方法であって、ここで、前記コーティングされた物品が、式: 【化6】 のエナラプリラート類似物を含み、ここで、Sが前記多孔性コーティングであり、Aがアミノプロピルトリエトキシシランであり、Lが2価のリンカー分子であり、X 1が、1価の有機基または水素であり、そしてX 2が1価の有機基または水素である、方法。
  • 【請求項148】 標的レセプターを単離するための方法であって、該方法は、以下: (a)請求項1または請求項72に記載のコーティングされた物品と標的レセプターを含む組成物とを接触させる工程であって、ここで、少なくとも1つの接続された化合物が、該標的レセプターに結合する、工程; (b)該組成物の未結合成分をアレイから除去する工程;および (c)該標的レセプターを、該コーティングされた物品から分離し、そしてそこから該標的レセプターを単離する工程、 を包含する、方法。
  • 【請求項149】 請求項1または72に記載のコーティングされた物品であって、ここで、前記接続された化合物の少なくとも5%が、結合標的レセプターを標識するか、結合標的レセプターを再適合させるか、結合標的レセプターを切断するか、結合標的レセプターと共有結合するか、または結合標的レセプターにインターカレートする標的レセプター改変基を含む、物品。
  • 【請求項150】 レセプターを改変するための方法であって、該方法が、
    請求項150に記載のコーティングされた物品と、標的レセプターを含む組成物とを接触させる工程を包含する、方法。
  • 【請求項151】 アンチセンス分子を標的核酸分子にハイブリダイズするための方法であって、該方法が、以下: (a)請求項1または請求項72に記載のコーティングされた物品と、標的核酸分子を含む組成物とを接触させる工程であって、ここで、前記接続された化合物がアンチセンス分子である、工程;および (b)アレイから1つ以上の化合物を取り外し、そしてそれによってアンチセンス分子を該標的核酸分子にハイブリダイズする工程、 を包含する、方法。
  • 【請求項152】 アンチセンス分子を標的核酸分子にハイブリダイズするための方法であって、該方法が、以下: (a)請求項1または請求項72に記載のコーティングされた物品から1つ以上の化合物を取り外す工程であって、ここで、前記接続された化合物が、アンチセンス分子である、工程;および (b)該化合物(単数または複数)と標的核酸分子を含む組成物とを接触させ、そしてそれによってアンチセンス分子を該標的核酸分子にハイブリダイズする工程、 を包含する、方法。
  • 【請求項153】 請求項1または72に記載のコーティングされた物品であって、ここで、前記接続された化合物がヌクレオ塩基ポリマーであり、ここで、該ヌクレオ塩基ポリマーが、同じ長さの2〜10個の異なるプローブの少なくとも1セットを含み、ここで: (a)1つのプローブが、参照配列に対して正確に相補性である参照配列第1
    セットの4〜40個のヌクレオチド部分に対して完全に相補性であり、そして該参照配列に完全に及ぶヌクレオ塩基ポリマーを含み、そして該参照配列に関して、互いに重なり合い;そして (b)該セットの残りのプローブ(単数または複数)のそれぞれが完全に相補的なプローブに関して1つのヌクレオ塩基置換を含むことを除いて、該セットの残りのプローブ(単数または複数)が、それぞれ該完全に相補的なプローブと同じであり、ここで、各置換が該参照配列に関して同じ位置である、物品。
  • 【請求項154】 コーティングされた物品であって、該物品は、実質的に均一な厚さの連続的な多孔性コーティングを上に有する基材を含み、ここで、該多孔性コーティングが、金属酸化物粒子の連続的ゲル状ネットワークおよび加水分解された金属アルコキシドのポリマーを含み、ここで、該コーティングの多孔度が、0.15〜0.99の範囲である、物品。
  • 【請求項155】 請求項154に記載のコーティングされた物品であって、ここで、前記金属アルコキシドが、テトラエトキシシランである、物品。
  • 【請求項156】 コーティングされた物品であって、該物品が、1平方センチメートル当たり少なくとも5個の別々の別個の多孔性コーティングを有する基材を含み、ここで、各コーティングが連続的であり、そして実質的に均一な厚さを有し、そして粒子の連続的なゲル状ネットワークを含む、物品。
  • 【請求項157】 請求項156に記載のコーティングされた物品であって、ここで、前記基材が、1平方センチメートル当たり少なくとも100個の別々の別個の多孔性コーティングを有する、物品。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】 (技術分野) 本発明は、一般に、多孔性コーティングを含む物品、およびこのような物品を調製し使用するための方法に関する。 本発明は、より詳細には、パターン付けされた多孔性コーティングを有する物品を作製するための方法に関し、この方法は、例えば、診断目的または薬物発見目的のための多数の個々の化合物をスクリーニングするために使用され得る。

    【0002】 (発明の背景) レセプター−リガンド相互作用は、多くの基本的生物学的プロセスの重要な構成要素である。 このような相互作用は、特定のリガンド分子に対する高分子レセプター(例えば、酵素、細胞表面タンパク質、抗体またはオリゴヌクレオチド)
    の特異的結合を包含する。 レセプター−リガンド結合は、シグナル伝達、遺伝子発現、免疫応答または細胞接着のような生物体における種々の細胞間および細胞内プロセスのいずれかに影響し得る。 レセプター−リガンド相互作用の改善された理解は、生命科学の多くの分野の研究、ならびに治療学的用途および他の用途のためのこのような相互作用を調節する因子の開発のために必要とされる。

    【0003】 実質的に平面の支持体上でミクロファブリケーション(microfabri
    cation)および固相化学合成を使用して形成される小型リガンド−アレイは、レセプター−リガンド相互作用の研究を容易にするために使用されている(
    代表的な例として、Fodorら、Science(1991)251:767
    ;Peaseら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:50
    22,1994;Pirrungら、米国特許第5,405,783号;Fod
    orら、米国特許第5,445,934号;Pirrungら、米国特許第5,
    143,854号;Fodorら、米国特許5,424,186号およびFod
    orら、米国特許第5,510,270号;Cheeら、Science(19
    96)274:610およびBrennan、米国特許第5,474,796号を参照のこと)。 リガンドアレイを標識されたレセプターと接触させることによって、多くのリガンドがレセプター結合のために同時にスクリーンされ得る。 アレイ上の結合レセプターの位置は、フォトンまたは放射能を検出することによって決定される。 しかし、リガンドの表面密度は、しばしば低く、その結果コスト高の画像化装置および長い画像獲得時間を必要とする。 薬物発見の試みは低いリガンド表面密度によってさらに妨害されてきた。 なぜなら、多機能アッセイは薬物リードを同定するためにより高いリガンド濃度を必要とするからである。

    【0004】 リガンドの表面密度を増加させるための1つのアプローチは、ミクロファブリケーション技術を使用してポリアクリルアミドパッドのアレイ上にリガンドを固定する工程を包含する(Guschinら、Anal.Biochem.250
    :203,1997およびYershovら、Proc. Natl. Acad.
    Sci. USA93:4913,1996を参照のこと)。 このようなアプローチはリガンドの表面密度を増加するが、多くのレセプターが超えるポリマー中への拡散に対するサイズ制限をする。 さらに、このようなポリマー性支持体は固相化学合成と適合し得ず、これは試薬の効率的な物質輸送を達成するためにポリマーマトリックスの適切な膨潤および溶媒和を必要とする。 さらに、このポリマーは光パターン化され得る(すなわち、複数の個々のパッドは照射に対する露光を含むプロセスによって発生され得る)が、光感度は厳密に制限され、30分間の照射を必要とする。 このような低いスループットは物質製造に対して不適切である。

    【0005】 固体支持体上のリガンド密度を増加させるための現存する技術は、不十分な表面積増大を提供する。 このような技術は、レセプターによってリガンドの特異的結合を検出するための基板としての、酸エッチングした多孔性シリコンおよび電気化学的に製造された金属酸化物膜の使用を含む(Beattieら、Clin
    . Chem. 41:700,1995およびVan Damme and Kr
    euwel、WO99/02266を参照のこと)。 この多孔性シリコンは、基板表面に対して平行に整列されかつ垂直に配向された3〜5ミクロン直径の細孔を有し、マクロ多孔性(macroporous)である。 ナノ多孔性材料に対して、マクロ多孔性構造は、リガンド表面密度を有意に増加するには不適切な表面積を有する。 電気化学的に製造された金属酸化物膜は0.2ミクロン程度に小さい細孔を有するが、ほとんど表面積増加を提供せず、1ミクロン当たりの膜厚に対して10倍の表面積の増加しか有さない。 さらに、これらの基材の平行な細孔配向は技術的に厄介である。 なぜなら、それはレセプターがリガンドを結合するためのフロー−スルー装置を必要とするからである。 さらに、多段階合成反応のための固体支持体としてこのような基材が機能し得るかどうか不明確である。
    この電気化学的に製造された金属酸化物膜はまた、ミクロファブリケーション法と不適合性である。

    【0006】 溶媒中における膨潤を必要とせず、リガンドまたはレセプターの結合と適合性である強固な多孔性支持体は、リガンド結合のための高い表面積を提供することによってリガンド表面密度を増加させるための潜在性を提供する。 例えば、多孔性本体は、高い表面積を有するバインダーおよび粒子からなるスラリーから作製された(Messing、米国特許第3,910,851号およびMessin
    g、Methods in Enzymology、vol. XLIV、149
    頁、Klaus Mosbach編(1976)、Academic Pres
    s N. Y. を参照のこと)。 しかし、今日まで、多孔性の支持体およびコーティングはリガンドアレイのミクロファブリケーションにうまく適用されていなかった。

    【0007】 制御された多孔度を有する多孔性コーティングは、ゾル−ゲルおよび粒子法によって得られてきた(Fryeら、米国特許第5,224,972号;Frye
    ら、米国特許第5,589,396号;Suppiah、米国特許第5,120
    ,600号およびFryeら、Better Ceramics Throug
    h Chemistry IV、180巻,Mat. Res. Soc. Symp
    . Proc. ,Brinkerら編(1990)、583頁を参照のこと)。 このような方法は、非特異的な分子相互作用(例えば、キレート化およびイオン交換)を介して、センサー表面に対する立体的および化学的選択性を提供する目的のために、化学的に修飾された表面を有する制御された多孔性コーティングを作製する。 このようなコーティングは、高分子レセプターの特異的結合特性を検出するための支持体として、または複合リガンドのアレイを作製するために、使用されていない。 さらにこのようなコーティングは、複数のコートを有さず1ミクロン厚を超えて作製され得ず、ミクロファブリケーション法によってうまくパターン化されていなかった。

    【0008】 他の多孔性コーティングは、固相リガンド合成と不適合性である。 画像化の分野から、ポジ画像およびネガ画像が光増感されたコロイド状粒子のコーティングに形成され得る(Puら、J.Imaging Sci.33:177,198
    9を参照のこと)。 このようなコーティングは、フェノール樹脂(0%〜15%
    )、ビス−アジド(任意)、ならびに有機ポリマー、二酸クロリド、および光活性アジド基によってカプセル化されたコロイド状粒子からなる。 これらのコーティングはミクロファブリケーション技術を使用してパターン化され得るが、それらは、リガンド表面密度を増加すること、リガンド−レセプター結合を検出すること、または固相化学合成によってリガンドアレイを調製することには使用されていない。 実際に、有機溶媒は現存するコーティングを膨潤し変形することが予想され、固相合成に対して不適合性にする。

    【0009】 なおさらに多孔性無機コーティングは、反射率をさげるために設計されてきた。 例えば、エージングした(aged)およびエージングしていないコロイド状分散液の両方が、均一の厚みの連続多孔性コーティングを形成するために使用されたきた(Cathroら、Solar Energy 32:573、198
    4およびLangeら、米国特許第4,816,333号を参照のこと)。 得られる乾燥されたコーティングは、約0.02μm〜0.50μm厚である。 多孔性コーティングの表面積はその厚みを増加することによって増加され得るが、約1.5μm厚を超える均一なコロイド状コーティングは、特定の添加剤を使用することなしには得られ得ない(Danielsら、Better Cerami
    cs Through Chemistry VII、435巻、Mat. Re
    s. Soc. Symp. Proc. 、Coltrainら編(1996)215
    頁を参照のこと)。 添加剤を有する場合でさえ、このようなコーティングはなおもクラックを形成する。 実際に、コロイド状コーティングは、典型的に不均一であり不連続である(Moulton,米国特許第2,601,123号を参照のこと)。 さらに、コロイド状コーティングは、ミクロファブリケーション技術を使用してパターン化されず、あるいはリガンド表面密度を増加すること、リガンド−レセプター結合を検出すること、または固相化学合成によってリガンドアレイを調製することには使用されていない。

    【0010】 従って、ミクロファブリケーションと完全に適合する方法で表面上のリガンド密度を増加するための方法が当該分野において要求される。 特に、高分子レセプター結合の検出における使用のための改良された物品、および固相合成方法によるリガンドアレイの製造が要求される。 本発明は、これらの要求を満たし、さらに他の関連された利点を提供する。

    【0011】 (発明の要旨) 簡単に述べると、本発明は多孔性コーティングおよび結合したリガンドを含む物品、およびこのような物品を調製し使用するための方法を提供する。 特定の局面において、本発明は実質的に均一な厚みの連続多孔性コーティングを有する基材を含むコーティングされた物品を提供し、ここでこのコーティングは粒子のゲル状ネットワークを含み、ここで多孔性コーティングはそこに結合した2つ以上の異なる化合物を有する。 適切な粒子は、炭素、活性炭素、フッ化炭素、スチレンジビニルベンゼンコポリマー、ポリスチレン、ゼオライト、アンチモンの酸化物および周期表のIII族およびIV族に存在する金属の酸化物の1つ以上を含み得る。 一次粒子サイズは、好ましくは1000Å未満である。 特定の実施形態において、粒子のゲル状ネットワークはさらに、部分的にまたは実質的に加分解された金属アルコキシドのポリマーをさらに含む。 基材としてガラスが挙げられるが、接着層を含み得るが含まなくても良い。 多孔性コーティングに対する化合物の結合は、リンカーの使用の有無を問わず、共有結合であっても吸着によるものであってもよい。 好ましい化合物として、ヌクレオ塩基ポリマー、ペプチドおよびエナラプリラート(enalaprilat)類似物が挙げられる。

    【0012】 さらなる局面において、コーティングされた物品に結合された2つ以上の化合物を有するコーティングされた物品を作製するための方法が提供され、この方法は、以下の工程を包含する:(a)基材に、揮発性液体中に分散された金属酸化物粒子を含有する溶液の実質的に均一な層を適用する工程;(b)この層から揮発性液体を蒸発させて基材上に金属酸化物粒子のゲル状ネットワークを形成する工程であって、ここでゲル状ネットワークが0.05〜25μm厚の範囲の多孔性コーティングを形成する工程;および(c)2つ以上の化合物を多孔性コーティングの別個の既知の領域に接続する工程。 この溶液は、金属酸化物粒子に連結された実質的に加水分解された金属アルコキシドの伸張(extended)ポリマーをさらに含み得、ここで実質的に加水分解された金属アルコキシドに対する金属酸化物粒子の重量比は、1〜1000の範囲である。 必要に応じて、2つ以上の化合物を接続する工程の前に、多孔性コーティングは多孔性コーティング強度を増加するために十分な温度および時間で硬化される。

    【0013】 さらなる局面において、本発明は多孔性コーティングを有する少なくとも2つの別個の既知の領域を有する基材を含み、ここで各コーティングは実質的に均一な厚みを有し、連続的であり、粒子のゲル状ネットワークを含み、ここで各多孔性コーティングはそこに接続した少なくとも1つの化合物を有する。 適切な粒子は、炭素、活性炭素、フッ化炭素、スチレンジビニルベンゼンコポリマー、ポリスチレン、ゼオライト、アンチモンの酸化物および周期表のIII族およびIV
    族に存在する金属の酸化物の1つ以上を含み得る。 一次粒子サイズは、好ましくは1000Å未満である。 特定の実施形態において、粒子のゲル状ネットワークは、部分的にまたは実質的に加水分解された金属アルコキシドのポリマーをさらに含む。 基材としてガラスが挙げられ、接着層を含んでもよいが含まなくても良い。 化合物の多孔性コーティングへの接続は、共有結合であっても吸着によるものであってもよく、リンカーを使用してもしなくてもよい。 好ましい化合物として、ヌクレオ塩基ポリマー、ペプチドおよびエナラプリラート類似物が挙げられる。

    【0014】 本発明は、基材および少なくとも2つの別々の多孔性コーティングを含むコーティングされた物品を作製するための方法をさらに提供し、この方法は以下を包含する:(a)基材に、揮発性液体中に分散された金属酸化物粒子を含む溶液の実質的に均一な層を適用する工程;(b)この層から揮発性液体を蒸発させて、
    基材上に金属酸化物粒子のゲル状ネットワークを形成する工程であって、ゲル状ネットワークは0.05〜25ミクロン厚の範囲の多孔性コーティングを形成する、工程;(c)塩基可溶成分を含む1層のフォトレジストで多孔性コーティングを被覆する工程;(d)このフォトレジストを照射して、その結果フォトレジストの第1領域が水性アルカリ現像剤で実質的に除去可能にされ、その結果、第2領域がそのようには除去可能ではない、工程;(e)少なくとも第1領域を水性アルカリ現像剤と接触させ、フォトレジストの第2領域またはこの第2領域に横たわる多孔性コーティングを実質的に除去することなく、少なくともフォトレジストの第1領域および第1領域に横たわる多孔性コーティングを除去する工程;(f)有機溶媒で残存するフォトレジストを除去し、基材の別々の領域上に別々の多孔性コーティングを得る工程;および(g)1つ以上の化合物を別々の多孔性コーティングの各々に接続する工程。 この溶液は、金属酸化物粒子に連結された実質的に加水分解された金属アルコキシドの伸張ポリマーをさらに含み得、
    ここで実質的に加水分解された金属アルコキシドに対する金属酸化物粒子の重量比は、1〜1000の範囲である。 必要に応じて、2つ以上の化合物を接続させる工程の前に、多孔性コーティングを多孔性コーティング強度を増加させるのに十分な温度および時間で硬化する。

    【0015】 さらなる局面において、本発明はレセプターと特異的に結合する少なくとも1
    つの化合物を同定するための方法を提供し、この方法は以下の連続的工程を包含する:(a)上記のようなコーティングされた物品をレセプターと接触する工程;および(b)多孔性コーティングに接続された1つ以上の化合物がレセプターに特異的に結合するかどうかを決定する工程。

    【0016】 本発明は、レセプターと特異的に結合する少なくとも1つ以上の化合物を同定するための方法をさらに提供し、この方法は以下の工程を包含する:(a)同時にまたはいずれかの順番に(i)上記のようにコーティングされた物品から1つ以上の化合物を取り外す工程;および(ii)この取り外された化合物(単数または複数)をレセプターと接触させる工程;ならびに(b)この化合物(単数または複数)が特異的にレセプターと結合するかどうかを決定する工程。

    【0017】 他の局面において、標的レセプターを単離するための方法が提供され、この方法は、以下の工程を包含する:(a)上記のようなコーティングされた物品を標的レセプターを含む組成物と接触させる工程であって、ここで少なくとも1つの接続された化合物が標的レセプターと結合する工程;(b)このアレイから組成物の非結合成分を除去する工程;および(c)コーティングされた物品から標的レセプターを分離する工程。

    【0018】 レセプターを改変するための方法がさらに提供され、この方法は上記のようなコーティングされた物品を、標的レセプターを含む組成物と接触させる工程を包含し、ここで少なくとも5%の接続された化合物が、結合された標的レセプターを標識するか、再適合(reconform)するか、切断するか、結合された標的レセプターに共有結合するかまたはインターカレートする標的レセプター改変基を含む。

    【0019】 他の局面において、本発明は、標的核酸分子にアンチセンス分子をハイブリダイズするための方法を提供し、この方法は、以下の工程を包含する:(a)上記のようなコーティングされた物品を標的核酸分子を含む組成物と接触させる工程であって、ここでこの接続された化合物が、アンチセンス分子である、工程;および(b)アレイから1つ以上の化合物を取り外す工程。

    【0020】 他の局面において、アンチセンス分子を標的核酸分子にハイブリダイズするための方法が提供され、この方法は以下の工程を包含する:(a)上記のようなコーティングされた物品から1つ以上の化合物を取り外す工程であって、この接続された化合物はアンチセンス分子である、工程;および(b)この化合物(単数または複数)を標的核酸分子を含有する組成物と接触させる工程。

    【0021】 本発明は、実質的に均一な厚みの、上に連続的な多孔性コーティングを有する基材を含むコーティングされた物品をさらに提供し、ここで多孔性コーティングは、金属酸化物粒子の連続的ゲル状ネットワークおよび加水分解された金属アルコキシドのポリマーを含み、ここでこのコーティングの多孔度は0.15〜0.
    99の範囲を変化する。

    【0022】 他の局面において、本発明は、1平方センチメートルあたり少なくとも5つの別々の異なる多孔性コーティングを有する基材を含み、ここで各コーティングが連続的であり、実質的に均一な厚みを有し、粒子の連続的ゲル状ネットワークを含む。

    【0023】 本発明のこれらのおよび他の局面は、以下の詳細な説明と添付された図面を参照して明らかとなる。 本明細書中に開示される全ての参考文献は、あたかも各々が個々に組み込まれたようにその全体において参考として援用される。 (発明の詳細な説明) 上記のように、本発明は一般に、多孔性コーティングを含む物品に関する。 本発明は、部分的に、25mm厚までの均一なクラックフリーの多孔性コーティングが生成され得、そこでは、孔サイズが表面積および質量移入特性を最適化するように改変され得るという発見に基づく。 このようなコーティングは、低い自己蛍光性を有するリガンド表面密度を増大させ、そして微小製造技術を用いて高感度で適用およびパターン化され得る。 本明細書において提供される多孔性コーティングは、固相合成によるリガンドアレイの生成に適合性であり、リガンド−レセプター結合または固相化学合成の間に実質的に膨脹も(すなわち破壊も)せず、フロースルー装置を必要としない。 これは、リガンドアレイの経済的かつ迅速な画像化をもたらす。 本明細書において記載されるコーティングによって提供された増強されたリガンド表面密度は、個々のアレイエレメントからリガンドを用いて機能的アッセイを行うに充分であり、そして低〜中程度の結合親和性を有する。

    【0024】 本明細書において提供される多孔性コーティングを使用して、例えば、リガンドのアレイ(例えば、ヌクレオ塩基ポリマー)を調製し得る。 本明細書において記載されるリガンドアレイは、固体支持体に多数の異なる化合物を必要とする分析において使用され得る(例えば、診断のため、または薬物探索目的のために、
    リガンド−レセプター結合を検出するためのスクリーニングにおいて)。 (用語) 本発明を詳細に示す前に、本明細書以下に使用される特定の用語の定義を示すことは、本発明の理解のために有用であり得る。

    【0025】 「酸不安定部分」は、特定の酸性化学物質またはpHへ曝露されると切断される分子の一部である。 同様に、「塩基不安定部分」は、特定の塩基性化学物質またはpHに曝露されると切断される分子の一部である。

    【0026】 「接着層」は、その基材に対する多孔性コーティングの接着を容易にするための基材の表面に安定に接着されるコーティングである。 安定な接着は、ASTM
    Test Method D3330の改変によって評価され得る。 ここで、
    1.9cmの広さの切片のScotch Brand Magic透明テープ(
    3M companyから入手可能)を、そのテープを横切って2kgのローラーを前後させてローリングすることによってその試験層に接着させる。 次いで、
    このテープをその試験サンプルから2cm/分の速度で180°はがす。 安定な接着は、約25g/cmを超える、そしてより好ましくは150g/cmを超える180°の引き剥がし値として規定される。 接着層が多孔性コーティング接着を容易にする能は、上記の改変されたASTM Test Method D
    3330によって容易に評価され得る。 接着層は、その180°の引き剥がし値が15g/cmを超える場合、または多孔性コーティングにおける分裂が存在してその接着層に残留多孔性コーティングを残す場合に、多孔性コーティング接着を容易にするといわれる。 特定の好ましい実施形態において、その接着層は、部分的に、実質的に、または完全に加水分解された、酸化金属または有機金属アルコキシドの、モノマー、オリゴマー、および/または伸張されたポリマーを含む。 そのようなポリマー内において、結合は、「オキサン」結合(すなわち、「−
    M−O−M−」);−M−OH+OH−M−→−M−O−M−+H 2 Oの縮合産物(ここで、Mは金属である))を通じて達成される。 別の好ましい実施形態において、接着層は、実質的に加水分解されたテトラチオキシシランを含む。 いくつかの実施形態において、その接着層の厚さは、0.001μm未満、0.01
    μm未満、0.1μm未満、1.0μm未満、または10.0μm未満である。
    好ましくは、その厚さは、0.1μmと1.0μmとの間である。

    【0027】 組成物の「エージング」とは、ゾル−ゲル方法に従って、伸張されたポリマーを形成するプロセスをいう。 このようなポリマーは、直鎖状または架橋されたポリマーであり得る。 エージングは、液体(すなわち「ゾル」)、ゲルおよび/または固体状態において進行し得、そして一般に、縮合された化学結合の数が増大する期間をいう。 結合縮合は、液体、ゲルまたは固体の状態で平衡に達し得る。
    結合縮合または「エージング」は、以下に記載される技術を用いてモニタリングされ得る(「伸張されたポリマー」を参照のこと)。 ゾルは、結合縮合が伸張されたポリマーを得るにまで進展した場合に、「エージングした(aged)」といわれる。 本明細書において記載されるエージングした溶液は、好ましくは、液体状態で結合縮合が平衡に達するまでに、エージングされる。 平衡は、以下に記載される技術を用いて検出され得る(「伸張されたポリマー」を参照のこと)。

    【0028】 「増幅」とは、特定の核酸フラグメントまたは他の生物学的分子のコピー数における検出可能な増加をいい、これは、通常、酵素反応(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR))から生じる。

    【0029】 「アンチセンス分子」とは、ヌクレオ塩基ポリマーであって、目的の核酸分子少なくとも部分的に相補的である配列を有し、そして、水素結合相互作用を介して核酸の発現および/または活性を検出可能に調節するものである。 そのような調節活性を有することについての候補であるヌクレオ塩基ポリマーもまた包含される(例えば、アンチセンス分子のアレイは、アンチセンス特性についてスクリーニングされるべき複数のヌクレオ塩基ポリマーを含み得る)。 アンチセンス調節による核酸活性の調節能力は、当該分野において周知である(Uhlmann
    およびPeyman、Chem. Rev. 90(v):544、1990 an
    d Schreier. Pharm. Acta Helv. 68(3)1994
    において概説されている)。 遺伝子発現の制御に関して、アンチセンス分子は、
    発現を阻害するのみに使用され得るのではなく、インビトロまたはインビボでそれを活性化するためにもまた使用され得る。 遺伝子発現の間接的な活性化は、例えば、Inoueによってアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドについて記載される(Inoue、Gene 72:25、1988を参照のこと)ように、天然のリプレッサーの生合成を抑制することによって達成され得る。 遺伝子発現の直接活性化は、例えば、Winklerらによってアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドについて記載される(Winklerら、Proc.Natl
    . Acad. Sci. USA 79:2181、1982を参照のこと)ように、転写の終結を減少させることによって、達成され得る。 慣用される、当該分野において公知のインビトロおよびインビボの方法がいくつか存在する(Croo
    ke、Anticancer Drug Des. 6:Hanveyら、Sci
    ence 258:1481、1992;Lisziewiczら、Proc.
    Natl. Acad. Sci. USA 89:11209、1992;Wool
    fら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89 :7305、1
    992;Nielsenら、Anticancer Drug Des. 8:5
    3、1993、およびZeiphatiら、Antisense Res. De
    v. 3:323、1993を参照のこと)。 リガンドアレイにおけるアンチセンス分子の効力は、これらの試験系を用いて容易に試験および比較され得る。

    【0030】 化合物は、その化合物が、フォトレジスト適用および除去の間に表面上に実質的に残る場合に、基材表面に、「接着されている」といわれる(すなわち、少なくとも60%の接着された化合物は、そのようなプロセスが本明細書に記載されるように実施される場合には除去されない)。 特定の条件下で除去される化合物の割合は、標識された分子を用いること、およびフォトレジスト適用および除去の間の標識の喪失をモニタリングすることによって容易に決定され得る。 接着は、共有結合的であっても非共有結合的であってもよい。 使用され得る非共有結合的相互作用としては、例えば、以下が挙げられる:静電相互作用、水素結合、金属配位、ファンデルワールス相互作用および磁気。 いくつかの実施形態において、共有結合相互作用および非共有結合相互作用の混合が使用され得る。 磁場における使用のための適切な磁性化因子としては、常磁性ランタニドイオン(例えば、エルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、ツリウムおよびガドリニウム)が挙げられる(Zborowskiら、J.Gen.Microbiology
    138:63、1992;Russellら、Analytical Bioc
    hem. 164:181、1987;ならびにEvansおよびTew、Sci
    ence 213:653、1983を参照のこと)。 あるいは、フェリチン、
    デキストラン 磁鉄鉱、および磁性多孔性ガラスのような、微小スケールおよびより小さな磁性親和性粒子もまた、使用され得る(Hirschbeinら、C
    hemtech pg. 172. March、1982;Viroonchat
    apan ら. Pharm. Res. 12:1176、1995;and CP
    G Inc. 、Lincoln Park. New Jerseyを参照のこと)。

    【0031】 「バリア層」は、特定の反応のために必要な時間にわたった、その層の一方の側の試薬と他方の側の分子との検出可能な接触を妨害するフォトレジスト層である。 換言すれば、分子と、その2つが溶液中で合わされたときに検出可能な様式で反応する試薬は、バリア層によってその分子から分離される場合に、検出可能に反応すべきではない。 いくつかの実施形態において、そのバリア層は、絶対であり、時間に非依存的に検出可能な接触を妨害する。 絶対的なバリア層は、好ましくは、0.1〜20μmの厚さであり、そしてより好ましくは、1〜3μmの厚さである。 他の実施形態において、そのバリア層は、特定の時間間隔にわたって、かつ、特定のバリア厚にわたって検出可能な接触を妨害する相対的拡散バリアを提供する。 相対的拡散バリアの場合において、適切なバリア厚は、その反応の必要時間を考慮して経験的に決定される。 一般的に、バリア厚および時間間隔は、互いに正比例している。 すなわち、より長い時間間隔が必要な反応は、より厚いバリア層を必要とする。

    【0032】 2つの分子は、それらが複合体を形成するように非共有結合に会合する場合に、「結合」するといわれる。 結合の能力は、例えば、その複合体の形成について結合定数を決定するために評価され得る。 その結合定数は、その複合体の濃度をその成分濃度の積で除する場合に得られる値である。 一般に、2つの成分は、複合体形成についての結合定数が10 3 L/molを超える場合に本発明の状況において、「結合」するといわれる。 結合定数は、当該分野で周知の方法を用いて決定され得る。 第一の分子はその第一の分子の結合定数の、第二の無関係の分子の結合定数に対する比が2を超える、好ましくは5を超える場合に、第二の分子に比較して、「特異的に結合」するといわれる。

    【0033】 用語「相補的」とは、リガンド分子の相互作用表面とそのレセプターとの間の電子トポロジー適合性または互いの適合をいい、これは、適切なアッセイ技術を用いて検出可能な結合を生じる。 従って、レセプターおよびそのリガンドは、相補的であると記載され得る。 これは、レセプターおよびそのリガンドの特徴的な接触表面も同様に記載され得る。 その結合定数によって示されるような、特定のレセプターの2つのリガンドの相補性の程度に依存して、1つのリガンドは、他ものに対してより特異的に結合するといわれ得る(上記の「結合」を参照のこと)。 2つのヌクレオ塩基ポリマーは、そのポリマーが(ワトソンクリック塩基対合におけるように)目的の所定の核酸分子における対応する塩基と対合し得る場合に「相補的」であるといわれる。 用語「正確に相補的」とは、特定の配列におけるヌクレオ塩基の100%が、目的の核酸分子の対応する塩基と塩基対合するにおいて嵌合し得ることをいう。 用語「実質的に相補的」とは、特定の配列における少なくとも約80%のヌクレオ塩基が目的の核酸分子の対応する塩基との塩基対合において嵌合し得ることをいう。 用語「部分的に相補的」とは、特定の配列において少なくとも約60%の塩基が、目的の核酸分子の対応する塩基との塩基対合において嵌合し得ることをいう。

    【0034】 「化合物」とは、リガンド、レセプター、ヌクレオ塩基ポリマーおよびペプチドを含むがそれらに限定されない任意の分子である。

    【0035】 フォトレジスト層は、実質的に直線の透過可能な不連続またはギャップが、そのコーティングにおいて検出可能ではない場合に、「連続」である。 換言すれば、そのような不連続またはギャップは、例えば、標準的な顕微鏡、位相顕微鏡および蛍光顕微鏡を用いて検出されるときに、その層の30%未満を構成すべきである。 層は、そのようなコーティングが、多孔性コーティングの調製または使用について必要である領域にわたってのみ連続であることが必要であることが理解される。 多数の不連続およびギャップが、他の領域において存在し得る。

    【0036】 フォトレジストの層は、その層が少なくとも0.1μmの厚さである連続コーティングを形成する場合に、表面に接着される分子を「カバー」するといわれる。

    【0037】 「硬化」とは、コーティング溶液のエバポレーションの後に生じるゲル化および濃密化のプロセスをいう(以下の「ゾル−ゲル」を参照のこと)。 硬化の間、
    オキサン結合の数が増加し、次いで、これは、互いとその基材との間に酸化金属粒子が有する強度を増大させる。 硬化は、短期間の間高温で、または長期間低温で加熱することによって達成され得る。 高温は、個々の粒子が融解し、そしてコーティングの多孔性がゼロに減少する焼結温度未満の温度に限定される。 硬化プロセスの任意の点の間のオキサン結合の程度は、示差的熱分析、熱重量分析、および密度測定を用いて試験およびモニタリングされ得る(VillegasおよびNavarro、J.Material Sci.23:2142、1988
    を参照のこと)。 一般に、多孔性コーティングの硬化は、その多孔性コーティングの強度(すなわち、安定な接着)を検出可能に増加させるに充分な温度および時間で、上記の方法を用いて実施される。 そして、好ましくは、コーティング強度は、後続のプロセスの工程に所望されるレベルにまで増加される。

    【0038】 フォトレジストの「現像剤(developer)」への曝露とは、ポジ型フォトレジストの照射部分またはネガ型フォトレジストの非照射部分を溶像する任意の処理をいい、これは、溶像された領域の選択的な除去を可能にする。 現像剤は、液体または気体の組成物であり得る。 特定の好ましい現像剤は、種々の比率のケトン、アミノ、ヒドロキシルおよびアミドの部分を含む溶媒の非水性混合物を含有する。 あるいは、現像剤は、照射であり得る。 フォトレジストは、現像剤組成物が、フォトレジストと接触されるか、または照射がそのフォトレジストに標的化され、その結果、そのフォトレジストが実質的に特定の領域において除去される場合に、現像剤に曝露されるといわれる。

    【0039】 「別個の(discrete)既知領域」とは、実質的に純粋な群の化合物が、接触される、接触された、または接触が意図される、表面の局所化された領域である。 そのような領域は重複しない。 別個の既知領域は、任意の便利な形状(
    環状、長方形状、楕円状などを含む)を有し得、そして0.25〜10 6平方μ
    mのような、任意の大きさであり得る。

    【0040】 「酵素切断部分」とは、特定の酵素に曝露されることによって切断される、分子の部分である。

    【0041】 もとの溶媒の5%未満がその液体状態のままである場合を、溶媒が「エバポレート」されたという。

    【0042】 「伸張(された)ポリマー」とは、ゾル−ゲル(以下の「ゾル−ゲル」を参照のこと)による、ポリマーの形成をいう。 重合化の進行は、例えば、準弾性光散乱による流体力学半径、ゾル−ゲルコーティングされた表面音響波(SAW)センサへの気体吸着脱着、NMR分光光学測定(例えば、 29 Si)の間の時間依存変化を測定すること、およびIR分光光度測定を用いた反応系のH 2 O含量をモニタリングすることによって、モニタリングされ得る(Brinkerら、Th
    in Solid Films(1991)201:97;Danielsら、
    Mat. Res. Soc. Symp. Proc. (1996)435:215
    and Schmidtら、J. Non−Cryst. Solids(1982
    )48:65を参照のこと)。 重合化の進行をモニタリングするための他の方法は、当業者に明らかである。 本発明に従う伸張されたポリマーは、平均流体力学半径が2nmより長く、より好ましくは、8nmより長く、そして最も好ましくは16nmより長い。

    【0043】 「増強溶液(fortifying solution)」とは、多孔性コーティングの表面上に「増強層」を得るための調製の間の多孔性コーティングへ適用され得るポリマー結合剤の溶液である(以下の「ゲル化ネットワーク」におけるポリマー性結合剤の記載を参照のこと)。 増強層は、代表的には、多孔性コーティングの硬化前に適用され、そして、その基材への多孔性コーティングの固定の強化を提供する。 固定の強化は、「接着層」について上記したように、AST
    M Test Method D3330の改変を用いて、180°の引き剥がし値における増加によって評価され得る。 好ましい実施形態において、増強層は、実質的に加水分解されたテトラエトキシシラン(tetraethoxysi
    lane)を含む。 酸化金属粒子の、その増強層および他のポリマー性結合剤に対する重量比は、1〜1000の範囲に及ぶ。

    【0044】 「完全厚容量」とは、表面、基底面(すなわち、基材表面または接着層表面と接触するコーティングの面)、およびその領域の境界によって規定されるところのコーティング領域の容量である。 例えば、厚さtのコーティングに対する、寸法lおよびwの長方形領域は、l×w×tの完全厚容量を有する。 半径rの環状領域は、同じコーティングにおいてr 2 tの完全厚容量を有する。

    【0045】 「ゲル化ネットワーク」とは、ともに連結して多孔性の三次元ネットワークを形成する、粒子の集合をいう。 粒子は、ポリマー性結合剤の使用を通じて、共有結合または非共有結合的に結合され得る。 あるいは、粒子は、結合剤の使用をせず、その粒子の表面上の化学基の相互作用を通じて、共有結合または非共有結合的に結合され得る。 ポリマー性結合剤または表面基との間の共有結合は、例えば、以下の形成を含む:−オキサン結合(例えば、−O−Si−O−、−O−Ti
    −O−、−O−Al−O−、−O−B−O−、−O−Zr−O−、−O−Er−
    O−、−O−Cr−O−、−O−Ga−O−、−O−Ge−O−、−O−Hf−
    O−、−O−Fe−O−、−O−Ca−O−、−O−Cr−O−、−O−La−
    O−、−O−Mg−O−、−O−Nb−O−、−O−K−O−、−O−Pr−O
    −、−O−Sm−O−、−O−Na−O−、−O−Ta−O−、−O−Te−O
    −、−O−Tl−O−、−O−Sn−O−、−O−W−O−、−O−V−O−、
    −O−Y−O−、および−O−Zn−O−)、エポキシド(例えば、グリコシドオキシプロピルトリメトキシシラン)とポリアミン(例えば、トリエチレンテトラアミン)との間の結合、および例えばビス−ジアジドを使用する光誘導された結合。 ポリマー性結合剤または表面基において使用され得る非共有結合的な相互作用は、例えば、以下を含む:静電相互作用、水素結合、金属配位、およびファンデルワールス相互作用。 いくつかの実施形態において、粒子は、共有結合的相互作用および非共有結合的相互作用の混合によって連結される。 「ゲル化ネットワーク」を構成するために充分な連結の程度は、20%未満、そしてより好ましくは5%未満の、ネットワークが、任意の処理因子(例えば、照射、フォトレジスト、現像剤、剥離剤および試薬)と接触した後に喪失するようなものである。
    従って、必要とされる連結の程度は、処理因子の正確な性質に依存する。 例えば、より高程度の膨脹を示すフォトレジストは、膨脹力を平衡化し、そしてゲル化ネットワークの物理的な破壊を妨害するために、より高程度の連結を伴ったゲル化ネットワークを必要とする。 処理因子との接触後のこのネットワークの喪失割合は、窒素吸収等温線およびBrunauer−Emmett−Teller(
    BET)法を用いて容易に評価され得る。 BET法は、ゲル化ネットワークの表面積を正確に測定することを可能にし、そして処理因子との接触後の表面積における変化割合は、ゲル化ネットワークの喪失割合と等価である。 処理因子との接触後のゲル化ネットワークの喪失割合を評価するための他の方法は、当業者に明白である。

    【0046】 「ハイブリダイゼーション」とは、相補領域を介して、あるヌクレオ塩基ポリマーと別のヌクレオ塩基ポリマーの塩基対合または凝集をいう。 このポリマーは、例えば、DNA、PNA、モルホリノベースのヌクレオ塩基ポリマーおよび/
    または他のヌクレオ塩基ポリマーであり得る。 そのような塩基対合または凝集は、標準的なアッセイ(例えば、1つのヌクレオ塩基に連結されたマーカーの検出)を用いて、検出可能であるべきである。 特定のヌクレオ塩基ポリマーが標的ヌクレオ塩基ポリマーと、塩基対合されたままであるか、または凝集されたままであるか否かは、相補性の程度、凝集エレメントの長さおよび結合条件のストリンジェンシーに依存する。 より高いストリンジェンシーでは、ハイブリダイゼーションは、より高程度の相補性または長さを必要とする。

    【0047】 「加水分解(された)」とは、水が化学結合を分裂して溶解することをいう。
    例えば、酸化金属は、部分的に加水分解され得る(すなわち、10%〜50%の加水分解可能な結合が加水分解されている)か、または実質的に加水分解されてい得る(すなわち、50%を超える加水分解可能な結合が加水分解されている)
    。 例えば、1当量の水は、テトラエトキシシランにおいて2当量の加水分解可能な結合を加水分解し、部分的に加水分解された金属アルコキシドを生じる。 これは、1当量の水が、1当量の加水分解可能な結合を加水分解して、1当量の遊離のシラノールを生成する結果である。 次いで、1当量の遊離のシラノールは、水を縮合および遊離し、これは、続いて、加水分解された合計2当量の加水分解可能な結合について、残りの1当量の加水分解可能な結合を加水分解する。

    【0048】 「照射」とは、標的に対する放射線の適用をいう。 照射量は、照射の所望の結果に依存する。 一般に、照射は、照射される分子に対する所望の化学的改変を達成するに充分である。 例えば、ポジ型フォトレジスト層の照射は、照射された領域から、フォトレジストの実質的な除去を可能にするに十分である。

    【0049】 「標識」または「マーカー」は、化合物(例えば、リガンドまたはレセプター)の改変である。 これにより、使用者は、標識されていない化合物の存在において標識された化合物を特異的に検出することが可能になる。 例えば、その化合物中の1つ以上の原子を、放射性同位体に置き換え得る。 あるいは、標識は、抗原性決定基、ハイブリダイゼーションについて利用可能な核酸、改変された蛍光局在化または改変された光散乱を提供し得る。 なおさらなるマーカーとしては、発色原性、蛍光、化学発光または電気化学的に検出可能であるものが挙げられる。
    リガンドまたはレセプターを標識するに利用可能な他の方法は、当業者に容易に明白である。

    【0050】 本明細書において使用される「リガンド」は、特定のレセプターによる特異的結合についての候補である任意の分子である。 多くのリガンドは、その意図されたレセプターに特異的に結合しないことが理解される。 例えば、薬物アナログアレイにおけるリガンドの大部分が、その標的レセプターに特異的には結合しないと予測される。 さらに、用語「リガンド」は、任意の特定の生物学的機能を有する分子には限定されない。 リガンドは、「化合物」と称される、より大きな包括的群のメンバーであると考慮され得る。 化合物はまた、レセプターによる特異的な認識について候補ではない分子をも含む。 リガンドは、天然に存在するか、または人工の分子であり得、そしてそれらは、その改変されていない状態で、または他の種との凝集体として使用され得る。 リガンドは、表面に対して、直接またはリンカーおよび/もしくはスペーサー−のような他の分子を介して、(共有結合的または非共有結合的に)接続され得る。 リガンドは、そのレセプターを結合した後に、所定のレセプターを共有結合的または非共有結合的に改変し得る。 そのような改変としては、標識、コンフォメーションの改変、切断、共有結合形成、およびインターカレーションが挙げられる。 そのような様式で標的レセプターを改変し得るリガンドは、「標的レセプター改変基」を含むといわれる。 リガンドの例としては、以下が挙げられるが、それらに限定されない:細胞膜レセプターについてのアゴニストおよびアンタゴニスト、毒素および毒液、ウイルスエピトープ、ホルモン、抗体、細胞膜レセプター、モノクローナル抗体、特定の抗原決定基について特異的な抗血清、酵素、薬物、薬物アナログ、ポリヌクレオチド、核酸、触媒性核酸、ペプチド、触媒性ペプチド、ペプチド核酸、モルホリノベースのヌクレオ塩基ポリマー、他のヌクレオ塩基ポリマー、補因子、レクチン、
    糖、多糖、細胞、細胞膜および細胞オルガネラ。

    【0051】 「リガンドアレイ」とは、表面に接着したリガンドの2次元マトリクスである。

    【0052】 「リガンド−レセプター結合」とは、分子認識を通じた、リガンドとレセプターとの間の特異的な、検出可能な結合をいう。

    【0053】 「リガンド−レセプター対」とは、分子認識を通じてリガンドおよびレセプターが結合する場合に形成される複合体である。

    【0054】 「マスク」とは、そのマスクの一面が照らされた場合に、光がブロックされることが所望される、正確なパターンにおける実質的に不透明な領域を有する実質的に透明な支持体材料をいう。 いくつかの実施形態において、その実質的に不透明な領域は、光プロット(photoplot)デバイスを用いた写真処理を通じて得られる(例えば、印刷回路ボード製造において一般に使用されるマスクにおけるように)。 他の実施形態において、そのマスクは、正確に規定された透明領域(例えば、ガラスマスク上の色素)を生成する狭く焦点が充てられたレーザによって光剥奪される、実質的に不透明な材料によってコーティングされた、実質的に透明な支持体材料から得られる。 実質的に透明な領域によって透過される光の強度と実質的に不透明な領域によって透過される光の強度との間の差違は、
    実質的に透明な領域によって透過される光の強度の%として、75%を超えるべきであり、より好ましくは、90%を超えるべきであり、そして最も好ましくは99%を超えるべきである。

    【0055】 「核酸分子」(または「核酸」)とは、ヌクレオチド(すなわち、リン酸(H 3 PO 4 )、糖およびプリンまたはピリミジンの塩基から形成される化合物)のポリマーである。 そのようなポリマーは、任意の長さであり得、そしてDNA分子およびRNA分子を含む。 比較的短い核酸分子(すなわち、約200ヌクレオチド未満を含む)は、「オリゴヌクレオチド」と称され得る。 核酸分子は、代表的に、ヌクレアーゼによる分解に感受性である。

    【0056】 「ヌクレオ塩基」とは、核酸(例えば、プリオン塩基のアデニンおよびグアニン、またはピリミジン塩基のシトシン、チミンおよびウラシル)に代表的に見出される窒素複素環式基、あるいはそのような基のアナログである。 例えば、アナログとしては、その環置換基がアデニンまたはグアニンにおいて見出されるもの以外のプリン塩基、あるいはその環置換基がウラシル、チミンおよびシトシンにおいて見出されるもの以外であるピリミジン塩基が挙げられる。 多数のヌクレオ塩基のアナログが当該分野において周知である。 その多くは、化学療法剤として試験されている。 これらのいくつかは、本明細書に記載される。 例えばまた、B
    eilstein's Handbuch der Organischen
    Chemie(Springer Verlag、Berlin)、and C
    hemical Abstractsを参照のこと。 これらは、そのような化合物の特性および調製を記載する刊行物に対する参照を提供する。

    【0057】 「ヌクレオ塩基ポリマー」とは、骨格に連結したヌクレオ塩基のポリマーである。 この骨格は、天然に存在し得(核酸分子中のように)、または天然に存在しないかもしれない。 天然に存在しない骨格を有するヌクレオ塩基ポリマーは、好ましくは、分解酵素に対して抵抗性である。 代表的な例としては、以下が挙げられる:ペプチド核酸(Buchardtら、PCT WO 92/20702
    およびBuchardtら、米国特許第5、719、262号を参照のこと)、
    モルホリノベースのヌクレオ塩基ポリマー(Summerton and We
    ller、米国特許第5、698、685;Summertonら、米国特許第5、378、841号ならびにSummertonおよびWeller、米国特許第5、185、444号を参照のこと)、ペプチドベースの核酸模倣物すなわちPENAM(Shahら、米国特許第5、698、685号を参照のこと)、
    ならびにカルバメートを含む結合を有するポリヌクレオチド(Stirchak
    およびSummerton、J. Org. Chem. 52:4202、1987
    を参照のこと)、アミド(Lebretonら、Synlett.Februa
    ry 1994:137を参照のこと)、メチルヒドロキシアミン(Vasse
    urら、J. Am. Chem. Soc. 114:4006、1992を参照のこと)、3'チオホルムアセタール(Jonesら、J.Org.Chem.58
    : 2983、1993を参照のこと)、スルファメート(HuieおよびTr
    ainor、米国特許第5、470、967号を参照のこと)ならびに他のもの(Swaminathanら、米国特許第5、817、781号ならびにFre
    ierおよびAltmann、Nucl. Acids Res. 25:4429
    、1997、ならびにそこに引用される文献を参照のこと)。

    【0058】 「粒子」とは、一緒に充填された収率が0.15〜0.99の範囲の多孔性を得る別個の物体であり、ここで、多孔性は、空隙空間である充填物体の容量の割合として規定される。 粒子は、任意の形状を有し得、そして例えば、球形、立方体形、または不規則な形状の物体であり得る。 このましくは、その物体は、実質的に球形(すなわち、その表面点が、その物体の質量中心からr±0.2rの距離にある物体)であり。 その一次粒子サイズは、1〜1000Åの範囲である。
    粒子の組成の選択は、使用される任意の因子との接触後に、その多孔性が、20
    %未満、より好ましくは5%未満、減少するようなものであり、その因子には、
    照射、フォトレジスト、現像剤、剥離剤、および試薬が含まれる。 そのような因子との接触後の多孔性における減少割合は、窒素吸着等高線およびBrunau
    er−Emmett−Teller(BET)法を用いて容易に評価され得る。
    処理因子との接触後の多孔性における喪失割合を評価するための他の方法は、当業者に明らかである。

    【0059】 「ペプチド核酸(PNA)」とは、アミド結合によって結合されるN−(2−
    アミノエチル)−グリシンの反復単位を含む分子である(Buchardtら、
    PCT WO 92/20702を参照のこと)。 天然のDNA骨格とは異なり、デオキシリボースもリン酸基も存在しない。 その塩基は、メチレンカルボニル結合によって骨格に結合している。

    【0060】

    【化7】

    本明細書において、PNA配列は、DNA配列が記載されるように接続する塩基の一文字表記を用いて記載される。 PNA配列は、DNA配列の5'末端では「NH

    2 」基によってDNA配列から識別される。 例えば、本明細書において、


    AGGTC−5'がDNA配列であり、他方、AGGTC−NH

    2がPNA配列である。 特定の好ましいペプチド核酸ポリマーは、以下の式の反復単位を含む:

    【0061】

    【化8】

    ここで、各Bは、独立してヌクレオ塩基からなる群より選択され;各R

    7は、


    独立して、水素、C

    1 −C

    8アルキルアミン、およびスペーサーからなる群より選択され、そして各nは、1〜100の範囲の整数から独立して選択される。

    【0062】 「ペプチド核酸模倣物」(PENAM)とは、以下の式の反復単位を含むヌクレオ塩基ポリマーである:

    【0063】

    【化9】

    ここで、各Eは、炭素および窒素からなる群より独立して選択され;各Wは、水素およびスペーサーからなる群より独立して選択され;Eが炭素である反復ユニットにおいて各Yは、水素およびスペーサーからなる群より選択され;Eが窒素である反復ユニットにおいて各Yは、非共有電子対であり;各S1は任意であり、そして存在する場合は、第一のスペーサーから独立して選択され;各S2は任意であり、そして存在する場合は、第二のスペーサーから独立して選択され;各S3は任意であり、そして存在する場合は、第三のスペーサーから独立して選択され;各Xは、酸素および窒素からなる群より独立して選択され;各Bは、ヌクレオ塩基からなる群より独立して選択され;Nは窒素であり;そして各nは、1


    〜100までの範囲の整数から独立して選択される。

    【0064】 「光切断可能部分」とは、特定の波長および強度の光への曝露に際して切断される、分子の部分である。

    【0065】 「フォトレジスト」とは、照射の際に、照射領域と非照射領域とが互いに分離することを可能にする化学反応を支持する材料である。 その分離は、照射工程(
    例えば、レーザ剥離において)と同時であり得るが、それは、さらなる処理工程(例えば、現像剤への曝露)をしばしば必要とする。 その化学反応は、分子内または分子間の様式のいずれかで、生じるそのような結合の変化を伴う、化学結合の形成または破壊を包含し得る。 ほとんどの適用において、フォトレジストは、
    比較的薄い液層として平坦な表面に適用され、そしてエバポレートされる。 「ネガ型フォトレジスト」とは、照射された領域における表面上にフォトレジストが残るフォトレジストをいう。 他方、「ポジ型フォトレジスト」とは、照射されていない領域の表面上にフォトレジストが残るフォトレジストをいう。 特定のポジ型フォトレジストは、フェノール性ヒドロキシル基を有する塩基可溶性成分を包含する。 そのようなフォトレジストにおいて、「塩基可溶性」とは、約10を超える、より好ましくは約11を超えるpHを有する水溶液によって可溶化される約10のpKaを有する基を有する成分をいう。

    【0066】 「平坦化」とは、基材表面上の不規則な位相にもかかわらず、その液層の遊離表面が実質的に平坦であるように、液層中の平準化工程が基材表面に適用されることをいう。

    【0067】 「ポリマー」とは、共有結合によってそれぞれ結合される個々の分子ユニットの分子である。 加水分解された金属アルコキシドのポリマーは、オキサン結合を通じて互いに共有結合した、複数の加水分解された金属アルコキシド分子を含む。

    【0068】 「ポリメラーゼ」とは、リボヌクレオチドをRNAに、またはデオキシリボヌクレオチドをDNAへのアセンブリー形成を触媒する酵素である。

    【0069】 「ポリメラーゼ連鎖反応」(PCR)とは、対向する鎖にハイブリダイズし、
    そして標的DNAにおける目的の領域に隣接する、2つのオリゴヌクレオチドプライマーを用いて特定のDNAフラグメントの指数関数的増加のためのプロセスをいう(Mullis、米国特許第4、683,202号およびMullisら、米国特許第4、683、195号を参照のこと)。 このプロセスは、テンプレート変性、プライマーアニーリング、およびTaq DNAポリメラーゼまたは他の熱安定性ポリメラーゼによるアニールしたプライマーの伸長を含む一連のそれぞれのサイクルからなる。

    【0070】 コーティングは、それが、1〜1500nmの直径の空隙領域を含み、0.1
    5〜0.99の範囲の多孔性を生じる場合に、「多孔性」であるといわれる。 ここでは、多孔性は、孔を有するコーティング容量の割合として規定される。 例えば、無機酸化金属粒子の多孔性コーティングは、酸化金属粒子の充填によって生成した無機酸化金属粒子の間の空隙領域を含む。 そのような多孔性コーティングは、好ましくは、「実質的に均一の厚さ」を有する(すなわち、そのコーティングの厚さは、コーティング面積の全体に対して30%を超えない程度で変動する)。 その平均孔サイズは好ましくは、10〜1000nmの範囲であり、そして当該分野において周知の窒素吸着熱等高線およびBrunauer−Emmet
    t−Teller(BET)法を用いて容易に決定され得る。 特定の実施形態において、多孔性コーティングの平均孔サイズは、実質的に、粒子サイズに近似する(すなわち、平均孔サイズは、p±0.9pであり、ここでpは、平均粒子サイズである)。

    【0071】 「一次粒子サイズ」とは、無機酸化金属の凝集していない単一の粒子の平均サイズをいう。

    【0072】 「プライマー」とは、ポリメラーゼについてのリガンドとして機能するような選択されたストリンジェントな条件下で結合するために、変性された(長さとの比較で)核酸における標的配列に充分に相補的であるように設計された核酸または他のヌクレオ塩基ポリマーである。 プライマーは、PCRアッセイにおいて標的配列の検出を可能にするに十分に結合すべきである。

    【0073】 「プローブ」とは、選択されたストリンジェント条件下で、検出可能に結合されるために、(その長さに比較して)標的配列に充分に相補的であるように設計された核酸または他のヌクレオ塩基ポリマーである。 プローブは、代表的には、
    蛍光部分のようなマーカーを用いて標識される。

    【0074】 「放射線(照射)」とは、10 -14 mと10 4 mとの間の波長を有するエネルギーを含む、選択的に適用され得るエネルギーをいう。 放射線は、電子、X線、および放射性同位体崩壊からの粒子、ならびに光(例えば、可視光、紫外光または赤外光)を含む。

    【0075】 「試薬」とは、アレイの表面に接続される分子を用いて化学反応を行う任意の化合物である。 例えば、試薬は、接続された分子と共有結合を形成し得、これは、公知の試薬を用いた一連の反応を用いての、接続された有機化合物の合成を可能にする。

    【0076】 「試薬ヒストリー」とは、固体支持体の所定の領域と接触された試薬の所定の配列をいう。 殆どの場合、所定の領域における試薬ヒストリーおよび実際の優性な化合物組成によって推測される化合物の組成は、同じである。 しかし、推定された組成物は、いくつかの実施形態においてその領域の実際の組成を正確には反映しない。 例えば、試薬の配列が、その特徴が充分に規定されていない化学反応を包含するとき、所定の領域の優勢な組成は推測可能ではないかもしれない。 対照的に、その試薬ヒストリーによってこの所定の領域を記載することは、その組成を特有に規定し、これは、試薬ヒストリーによって再現され得る。 各アレイエレメントの優勢な組成を知ることは、常に多くの適用において必要であるとは限らない。 例えば、低分子アレイは、その試薬ヒストリーによってのみ正確に規定される活性薬物候補を含み得る。 この情報を用いて、その候補は、大規模で再合成され得、そしてそれが少数の割合である場合にさえ、その活性成分の組成が同定され得る。

    【0077】 「レセプター」とは、所定のリガンドに特異的に結合する分子である。 レセプターは、天然に存在する分子であっても、人工の分子であってもよく、そしてその変更されていない状態または他の種との凝集体として使用され得る。 レセプターは、所定のリガンドとの結合後、そのリガンドを共有結合的または非共有結合的に改変し得る。 そのような改変としては、標識、コンフォメーションの改変、
    切断、共有結合形成およびインターカレーションが挙げられる。 そのような様式で標的リガンドを改変し得るレセプターは、「標的リガンド改変基」を含むといわれる。 レセプターの例としては、以下が挙げられるが、それらに限定されない:抗体、細胞膜レセプター、モノクローナル抗体、特定の抗原決定基に対して反応性の特異的な抗血清、酵素、薬物、ポリヌクレオチド、核酸、触媒性核酸、ペプチド、触媒性ペプチド、ペプチド核酸、モルホリノベースのヌクレオ塩基ポリマー、他のヌクレオ塩基ポリマー、補因子、レクチン、糖、多糖、細胞、細胞膜および細胞オルガネラ。

    【0078】 化合物は、50%未満のその化合物が、分解酵素のK mと等価の濃度で、かつ、その酵素活性が最適であることが知られる条件下で(例えば、最適温度および最適塩濃度、および最適補因子、置換基、および補酵素の存在下で)、その分解酵素と10分間の接触の後に、分解する場合に、「分解酵素による分解に対して耐性」である。 特定の分解酵素についての最適条件は、当業者に容易に明らかである。 この定義において使用される用語「分解(された)」とは、化合物の分子量を減少する分解酵素による、1つ以上の化学的改変をいう。 分解酵素は、本発明の状況において、天然に存在するヌクレアーゼおよびプロテアーゼである。 代表的な分解酵素は、例えば、特異的および非特異的な、リボヌクレアーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、エキソヌクレアーゼ、およびエンドヌクレアーゼ、ならびに特異的および非特異的な、エンドプロテアーゼおよびエキソプロテアーゼを包含する。 上記の分解酵素による分解に対して化合物が抵抗性であるか否かを試験するための多数の方法が、当業者に利用可能である。 例えば、化合物は、分解酵素を接触され得、そしてその混合物は、続いて、その化合物の50%を超える分子量が減少したか否かを決定するために、次に分析手順に供され得る。 そのような分析手順は、多数存在し、そして、特定の化合物に依存する。 それらは、高圧液体クロマトグラフィー(すなわち、HPLC)、ゲル電気泳動、NMR分光光度測定、およびIR分光光度測定を含むがそれらに限定されない。 他の分析手順は、当業者に容易に明らかである。 例えば、HPLCを使用して、もとのヌクレオ塩基ポリマーのピーク以外のすべてのクロマトグラフィーのピークのUV吸収の積分を、すべてのクロマトグラフィーピークのUV吸収の積分によって除することによって、非特異的な一本鎖デオキシリボヌクレアーゼによって分解されたヌクレオ塩基ポリマーの割合を検出し得る。 そのような分析方法を用いて、5
    0%をはるかに超えるのオリゴデオキシリボヌクレオチドが、その酵素のK mと等濃度で、非特異的な一本鎖デオキシリボヌクレアーゼとの、10分間のインキュベーション後に分解する。 対照的に、非天然の骨格を有するヌクレオ塩基ポリマーは、同一の条件下で50%よりはるかに少なく分解する。 実際には、ある化合物の化学構造を単に調査すること、およびその構造が、その分解酵素の天然の基質とは認識可能に異なるか否かを決定することによって、特定のクラスの分解酵素に対してその化合物が抵抗性であると同定することが通常可能である。 特に、ヌクレオ塩基ポリマーは、その骨格が核酸のネイティブのホスホジエステル結合以外の結合を含む場合、ヌクレアーゼとして知られる分解酵素の一般的なクラスに対しては抵抗性である。 同様に、ヌクレオ塩基ポリマーは、その骨格がタンパク質またはペプチドに見いだされれないスペーサーまたは側鎖を含むペプチド結合を含む場合、プロテアーゼとして知られる分解酵素の一般的なクラスに対して抵抗性である。

    【0079】 「ゾル」とは、「ゾル−ゲル」プロセスにおける中間体をいう。 ゾルは、化学物質前駆体から形成されるコロイド様のオリゴマーによって特徴付けられる。

    【0080】 「ゾル−ゲル」とは、ガラスまたはセラミックスへと脱水される前に、溶液(
    ゾル)状態およびゲル状態を連続的に通過する、化学物質前駆体または化学物質前駆体の混合物を加水分解することによって、特定の酸化金属ガラスおよびセラミクスを調製するための方法をいう。 ゾル−ゲル経路による酸化金属ガラスの調製は、4つの基本的な工程を通じて進行する:(1)反応性モノマーを形成するための前駆体の部分的加水分解;(2)コロイド様オリゴマーを形成(ゾル形成)するためのこれらのモノマーの重縮合;(3)三次元マトリクス(ゲル形成)
    への重合および架橋を促進するためのさらなる加水分解;ならびに(4)乾燥および他の脱水方法による、さらなる濃密化および架橋。 工程(1)〜(3)が連続的に提示されるが、工程(1)の後に、これらの反応は、種々の程度で同時に起こる。 化学物質前駆体は、代表的には、金属アルコキシドであるが、これはまた、有機金属アルコキシドであり得る。 非常に一般的な前駆体は、テトラエトキシシランであり、これは、以下に示す工程に従って、ゾル−ゲルプロセスを経て進行する:

    【0081】

    【化10】

    本明細書に記載される特定の実施形態において、実質的に安定なゾルを含むコーティング溶液が形成される。 ゲル化および濃密化(densificatio


    n)の残りの工程は、そのゾルの適用された液層からの溶媒のエバポレーションの際に急速に生じる。 250℃未満の硬化は、「部分的濃密化」を生じ、これは、ネットワークは、遊離のシラノールに対して比較的オープンのままであり、そしていくつかの有機部分がなおも存在する。 本発明において必要な工程ではないが、非常に高い温度が二酸化ケイ素の最大密度を達成する。

    【0082】 「溶媒耐性」とは、特定の溶媒と接触している間の、ポリマーフィルムが統合性および不透過性を維持する能力をいう。 フィルムは、特定の溶媒との接触が、
    化合物のアレイを配置することが所望される領域において、検出可能なクラッキングまたは開裂(dehiscence)、あるいは有意なフィルム溶解を生じない場合、「溶媒耐性」である。 検出可能なクラッキングまたは開裂とは、視覚的に、または光学顕微鏡もしくは位相顕微鏡によって、検出されるクラッキングまたは開裂を意味する。 有意なフィルム溶解は、特定の時間のあいだ特定の溶媒とそのフィルムを接触させた後のフィルム厚の喪失が50%を超えることと規定され、そしてこれは、プロファイル測定またはインターフェロメトリーを用いて試験され得る。 開裂、クラッキングまたは50%を超えるフィルム厚の喪失は、
    化合物のアレイを配置することが所望されない領域にわたって寛容であり得ることは明白である。 いくつかの実施形態において、特定のポリマー組成物の溶媒耐性は、フィルム厚の関数である。 例えば、特定の重要な厚さを超えるフィルムは、しばしば、特定の溶媒においてクラッキングし、おそらく、これは、そのフィルムとその支持体との間の接着を超えるフィルムにおいて溶媒誘導されるストレスに由来する。

    【0083】 「溶液」とは、液体媒体における限界顕微鏡のサイズの、緻密に分割された粒子の分散物および懸濁物、ならびに従来の定義の用語「溶液」をいう。

    【0084】 「スペーサーー」は、基材から、接着された化合物の間隔を開ける分子である。 スペーサーは、比較的小さく、1〜10個の原子の骨格を含む(水素原子を数えない)、好ましくは、この原子は、炭素、窒素、酸素および硫黄からなる群より選択される。 代表的に、そのようなスペーサーは、置換されたまたは置換されていない、アルキル基、アルケニル基、アルキニル(alkenyl)基を含む。 しかし、スペーサーはまた、例えば、以下を含み得る:カルボニル(C=O)
    、チオカルボニル(C=S)、アミン(NH)、置換されたアミン(NR)、アミド(C(=O)NH)、置換されたアミド(C(=O)NR)、カルバメート(NHC(=O)O)、尿素(NHC(=O)NH)、チオアミド(C(=S)
    NH)、置換されたチオアミド(C(=S)NR)、ヒドラジン(NH−NH)
    . 置換されたヒドラジン(N(R)−N(R))、エーテル(C−O−C)、チオエーテル(C−S−C)、ジスルフィド(S−S)、スルホン(S(=O))
    および/またはスルホキシド(SO 2 )の基。 スペーサーはまた、1つ以上の低分子基(たとえば、単鎖アルカン、単鎖アルケン、単鎖アルキン、ヒドロキシル、アルコキシル、ケトン、アルデヒド、チオール、アミノおよび/またはハロゲンの基)で置換されてい得る。 アレイにおける特定の化合物は、複数のスペーサーを有し得るが、それは有さなくてもよく、互いに同一であり得る。 スペーサーはまた(または代替的に)、1つ以上のリンカーに接着され得る。

    【0085】 「ストリンジェンシー」とは、凝集されたヌクレオ塩基ポリマーの複合体(例えば、DNA:DNA、PNA:DNAまたはPNA:PNA)が個々の成分モノマーに分離する条件の組合せをいう。 ストリンジェンシーに影響を与えるために使用される一般的な条件としては、pH、温度および塩濃度が挙げられる。 以下の「T m 」を参照のこと。

    【0086】 「ストリッピング」とは、剥離剤によるフォトレジストの実質的な除去をいう。 剥離剤は、処理が完了した後にフォトレジストを除去するために使用される液体の化学媒体である。 正確な組成は、そのフォトレジストの組成に依存する。

    【0087】 下敷分子(underlying molecules)または多孔性のコーティングからのフォトレジストの「実質的な除去」とは、フォトレジストが下敷分子または多孔性コーティングと試薬との間の所望の反応を可能にするために十分に除去される。 そのような反応は、フォトレジストでそれまでコーティングされていなかった類似の分子について観察された収率の、少なくとも50%、そしてより好ましくは少なくとも90%の収率である収率を有すべきである。 反応収率は、目的の反応について、適切な標準的な技術を用いてフォトレジストを用いるかまたは用いないで容易に決定され得る。 そのような技術は、当該分野で周知であり、そして例えば、以下を含む:固相DNA合成の間に遊離されるトリチル基の分析におけるような、合成の間の遊離される保護基の分析、またはニンヒドリン反応を用いたペプチド合成の間の遊離アミノ基の分析におけるような、合成の間に生成される遊離の求核基の分析。 他の方法としては、例えば、表面音響波センサーを用いて基材表面に対してなおも接着したままの最終産物の定量すること、または、蛍光標識されたレセプター(例えば、ヌクレオ塩基ポリマーまたは抗体)と結合させることおよびその蛍光シグナルを定量することが挙げられる。
    なお別の方法としては、基材表面からの最終産物の遊離および高圧液体クロマトグラフィーを用いてそれを定量すること、放射性同位体で標識すること、および当業者に周知慣用される他の方法が挙げられる。

    【0088】 化合物は、離散された既知の領域内で、そのリガンドがそのリガンドの識別製の特徴の検出を可能にするに充分である濃度で存在する場合、「実質的に純粋」
    である。 そのような検出は、例えば、生物学的活性または機能に基づき得、これは、選択されたリガンドまたはレセプターとの結合によって測定され得る。 測定され得る他の特徴としては、以下が挙げられ:呈色、光吸収、光透過、蛍光、燐光、分子量、電荷、密度、融点、クロマトグラフィー移動度、溶液の濁度(すなわち、比濁測定)、電気泳動移動度、質量スペクトル、紫外線スペクトル、赤外線スペクトル、核磁気共鳴スペクトル、元素組成、およびX線回折。 好ましくは、実質的に純粋なリガンドは、その領域を伴う化合物の合計の5%、10%、5
    0%、70%または90%を超えるレベルの領域に存在する。

    【0089】 「表面密度」とは、2次元空間に投影された3次元容量に含まれる分子の数をいう。 例えば、x=10μm、y=10μmおよびz=1μmの寸法を有する容量中の1000分子は、100μm 2あたり1000分子のx−y空間すなわち10分子/μm 2の表面密度を有する。 x−z空間における表面密度は、10μ
    2あたり1000分子のすなわち100分子/μm 2である。 z=3μmの場合、x−y空間における表面密度は、300分子/μm 2である。 リガンド−アレイを議論する場合、この分子はリガンドであり、そしてその投影される空間は、
    この基材の最大平面構成成分に等しくなる。

    【0090】 「実質的に均一の層」とは、目的の領域にわたって30%以下までの厚さで変動する層である。

    【0091】 「T m 」とは、2つの相補的なポリマーが、個々のヌクレオ塩基成分に解離する温度をいう。 DNA二重鎖についてのT mの摂氏での適切な値は、以下の式: T m =16.6log[M]+0.41[P gc ]+81.5−P m −B/L によって与えられ、ここでMは、最大0.5までのNa+のモル濃度であり、P gcは、30%と70%との間のオリゴヌクレオチドにおけるGまたはC塩基の百分率であり、P mは、ミスマッチの百分率であり、Bは、100塩基未満のオリゴヌクレオチドについて675であり、そしてLは、塩基におけるプローブ長である。 100mM NaCl中のPNA:DNAヘテロ二重鎖について、T mは、1塩基対あたり、相当するDNA二重鎖よりも約1℃高い。

    【0092】 (コーティングされた物品) 本発明は、1つ以上の化合物が接続され得る連続多孔性コーティングを含む物品を提供する。 一般的には、このような多孔性コーティングは、実質的に均一の厚さを有し、そして粒子のゲル状ネットワークを含む。 この多孔性コーティングはまた、パターン付けされた多孔性コーティングの寸法特徴を超える例示的な再現性および制御を可能にする様式で、フォトレジストおよびフォトリソグラフィー方法を用いてパターン化され得る。

    【0093】 本発明は、種々の用途を有し、この用途としては、例えば、各々診断的または薬理学的スクリーニングに十分な品質で、固体支持体上の既知の位置で多数の既知の化合物の合成を必要とする適用が挙げらる。 このような適用は、アレイ製造の分野に存在し、ここでは、微小製造および固相合成方法は、現在、低いリガンド表面密度しか生じ得ない。 本発明は、低リガンド表面密度に対するリガンド−
    レセプター結合の画像化と関連する制限を、リガンド接続について増加した表面積を有する支持体を提供することによって解消する。 本明細書中に提供される多孔性コーティングを使用すると、画像化は、迅速かつ低コストの設備で達成され得る。 本発明はまた、他の装備(例えば、試薬またはレセプターを並べられたリガンドと接触させるためのフロースルー(flow−through)装置)の必要性を排除する。

    【0094】 多孔性アレイ上の薬物候補の増加した表面密度は、本明細書中に記載されるように、単一のアレイ要素を使用する機能的アッセイの実行を可能にする。 さらに、弱い〜中程度の結合のみを有する薬物候補は、スクリーニングの間に同定され得る。 なぜなら、増加した表面密度は、最終的に、この候補のより高いアッセイ濃度を提供するからである。 同様に、本発明の多孔性支持体上に結合した低分子のアレイを使用して、他の活性(農薬または除草剤活性を含む)をスクリーニングし得る。

    【0095】 簡潔には、本明細書中に提供されるような多孔性コーティングを含む物品は、
    以下によって調製され得る:(a)基材を、揮発性液体中に分散された粒子を含む溶液の実質的に均一な層に適用する工程;(b)この揮発性液体を、この層からエバポレートして基材上に粒子のゲル状ネットワークを形成する工程;および(c)2つ以上の化合物を接続して、この多孔性コーティングの既知の領域を分ける工程。 種々の改変がこの方法に対してなされ得、この改変としては、ポリマー粒子複合体を使用してゲル状ネットワークを形成すること、多孔性コーティングをフォトパターン化すること、および増強層および/または硬化工程の使用によって多孔性コーティングの強度を増強することが挙げられる。 これらの工程の各々は、以下により詳細に記載される。

    【0096】 (A.基材の選択および調製) ほぼ考えられる任意の基材が使用され得、この基材としては、生物学的基材、
    非生物学的基材、有機基材、無機基材または任意のこれらの組み合わせが挙げられる。 基質は、任意の従来の形状(例えば、円盤、四、球状または任意の他の適切な形状)を有し得、そして、例えば、粒子、鎖、沈殿物、ゲル、シート、管、球状物、容器、毛細管、パッド、切片、フィルム、プレートまたはスライドとして形成され得る。 基材は、本明細書中に記載される多孔性コーティングを支持するための剛性支持体を形成するべきであり、そして好ましくは、平坦であるが、種々の代替的表面配置(盛り上がった領域および/または盛り下がった領域を含む)を有し得る。 基材は、本質的に任意の材料から調製され得る。 例えば、基材は、機能化ガラス、Si、Ge、GaAs、GaP、SiO 2 、SIN 4 、改変シリコン、フォトレジスト、二重層、シラン層、または広範な種々のポリマー(
    例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンジフルオリド、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、またはこれらの組み合わせ)のいずれか1つを含み得る。
    他の基材材料は、当業者に容易に明らかである。 好ましい実施形態において、この基材は、平坦ガラスまたは単一結晶シリコンである。

    【0097】 基材の表面は、基材と同じ材料から構成され得るが、構成されなくとも良い。
    表面材料としては、ポリマー、プラスチック、樹脂、ポリサッカリド、アルミナ、シリカまたはシリカベースの材料、炭素、金属、無機ガラス、膜または任意の上記の基材材料が挙げられるがこれらに限定されない。 好ましくは、表面は、カルボキシル基、アミノ基および/またはヒドロキシル基のような反応性基を含む。 最も好ましくは、表面は、光学的に透明であり、そしてシリカ表面上に見出されるような表面Si−OH官能基を有する。 表面はまた、好ましくは剛性である。

    【0098】 必要に応じて、基質の表面は、接着層を有し得、これは、基材に安定に接続され、そして基材への多孔性コーティングの接着を促進する。 任意の種々の接着層が使用され得ることは明らかである。 好ましい実施形態において、接着層は、部分的または実質的に加水分解したモノマー、オリゴマー、および/または「オキサン結合」(すなわち、「−M−O−M−」、以下の縮合産物:−M−OH +
    OH−M− → −M−O−M− + H 2 O、ここでMは金属である)を通じて互いにカップリングされた金属アルコキシドまたはオルガノ−金属アルコキシドの伸張されたポリマーを含む。 例えば、接着層は、式R' n M(OR) xの加水分解したオルガノ−金属アルコキシドの1以上のポリマーを含み得、ここでM
    は、Si、Ti、Al、B、Zr、Er、Cr、Ga、Ge、Hf、Fe、Ca
    、Cr、La、Mg、Nb、K、Pr、Sm、Na、Ta、Te、Tl、Sn、
    W、V、YおよびZnからなる群より選択され;R'は、好ましくは、水素、アミン、ヒドロキシル、カルボキシル、アミド、チオール、スルホン酸またはエポキシドからなる群より選択される1以上の基を有する、1と12との間の炭素原子を含有する単価有機基であり;Rは、水素、アルキル基またはアリール基であり、そしてnおよびxは、0、1、2、3および4からなる群より独立して選択される整数である。 ゾルは、以下の記載のように、酸性pHにて金属アルコキシドを加水分解およびエージングすることによってこのような金属アルコキシドから調製され得る。 好ましい実施形態において、接着層は、加水分解したテトラエトキシシランのポリマーを含む(例えば、この層は、部分的または実質的に加水分解したテトラエトキシシラン(tetraehyoxysilane)の部分的に緻密化した層であり得る)。 接着層は、多孔性コーティングと基材との間の安定な接続を提供するに十分な厚さである。 いくつかの実施形態において、接着層の厚さは、0.001μm未満、0.01μm未満、0.1μm未満、1.0
    μm未満、または10.0μ未満である。 好ましくは、この厚さは、0.002
    μmと2μmとの間、より好ましくは、0.1μmと1.0μmとの間である。

    【0099】 接着層は、接着溶液(金属酸化物またはオルガノ−金属アルコキシドポリマーおよび揮発性溶媒を含む)の実質的に均一な層を基材の表面に適用し、そしてこの揮発性溶媒をエバポレートすることによって、基材上に形成され得る。 この溶液は、種々の溶媒または溶媒の混合物を含み得、この溶液中では、オルガノ−金属アルコキシドの部分的または実質的に加水分解されたモノマーおよび縮合産物が可溶化されている。 例えば、適切な溶媒としては、所望のエバポレーション特徴を与えるような割合での、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチルアルコール、メチルアルコール、ブチルアルコール、水およびこれらの混合物が挙げられる。 好ましい接着溶液は、揮発性溶媒中の加水分解テトラエトキシシランのエージングゾルを含む。 1つの好ましいゾルは、0.45容量%水、3mM硝酸中、1.5容量%テトラエトキシシランを、平衡化エタノールとともに含む。
    濃縮ゾルは、6.3ml H 2 Oおよび0.7ml 1N硝酸中のテトラエトキシシランの21.7mlを加水分解し、続いて4℃にて数日間エージングすることによって調製され得る。 この濃縮ゾルは、透明かつ4℃にて数週間安定である。 接着溶液は、任意の適切な技術によって表面に適用され得、この技術としては、ジップコーティング、スピンコーティング、または微小分配(microdi
    spensing)が挙げられる。 1実施形態において、上記の濃縮ゾルは、エタノールで50倍に希釈され、そしてピペットを使用して傾斜にて表面に適用される。

    【0100】 接着溶液が、液体層として適用された後、溶媒がエバポレートされ、接着層が得られる、エバポレーションは、10℃と150℃との間の任意の適切な温度で、そして最も好ましくは室温で行われ得る。 エバポレーションの後、接着層は硬化されて、接着を増強し得る。 硬化は、例えば、20℃〜250℃の範囲の温度で、オキサン結合の広範なネットワークを確立するに十分な時間、行われ得る。
    一般には、120℃で15分が十分である。 接着層の最終厚は、ゾル中の固体の百分率、固体の分子量、粘度、傾斜角度、ジップコーティングの場合には脱離速度、またはスピンコーティングの場合にはスピン速度を変更することによって制御され得る。

    【0101】 (B.粒子のゲル状ネットワークの形成) 上記のように、本明細書中に記載の多孔性コーティングは、粒子のゲル状ネットワークを含む。 このようなゲル状ネットワークは、一般的に、揮発性液体に分散された適切な粒子(および、必要に応じて、ポリマー成分)を含む溶液の実質的に均一な層を基材に適用することによって調製され得る。 適用後、揮発性液体はエバポレートされ、粒子のゲル状ネットワークを含む多孔性コーティングを形成する。

    【0102】 多孔性コーティングを形成するために使用され得る種々の粒子が存在する。 このような粒子は、例えば以下の1つ以上を含み得る:炭素、活性化炭素、フッ化炭素、スチレンジビニルベンゼンコポリマー、ポリスチレン、ゼオライト、アンチモンの酸化物、ならびに周期表のグループIIIおよびグループIV内に存在する金属の酸化物。 粒子組成物の選択は、所望の特性の最終的なバランス、およびゲル状ネットワークの形成が粒子の間の相互作用に依存するか否か(または、
    以下に記載のように、ポリマー成分の使用によって促進されるか否か)に依存する。 粒子は、任意の種々のサイズおよび形状を有し得る。 好ましくは、粒子は、
    2000Å未満、およびより好ましくは1000Å未満、およびさらにより好ましくは500Å未満の一次粒子サイズを有する。 いくつかの実施形態においては、粒子は、100Å未満、50Å未満、10Å未満または5Å未満の一次粒子サイズを有する。 ほとんどの実施形態において、多孔性コーティングは、狭いサイズ分布を有する酸化金属粒子を用いて調製されるが、いくつかの実施形態において、広いサイズ分布を有する粒子を(例えば、異なる一次粒子サイズの粒子を混合することによって)使用することが所望され得る。 粒子は好ましくは球状であるが、他の形状も可能であり、立方体および不規則な形状を含む。

    【0103】 特定の好ましい実施形態において、粒子は、金属酸化物粒子である。 多孔性コーティングを調製する際の使用に特に適切な金属酸化物粒子は、金属酸化物粒子が負に荷電しているものである。 このような粒子としては、以下を含む粒子が挙げられるがこれらに限定されない:スズ酸化物(SnO 2 )、チタン、酸化アンチモン(Sb 25 )、シリカ、シリカライト(silicalite)、ヒュームドシリカ(fumed silica)、アルミナおよびアルミナコーティングシリカ、ならびに周期表のグループIIIおよびIVの他の金属酸化物およびそれらの混合物。 特に好ましい粒子としては、シリカおよびアルミナコーティングシリカ粒子が挙げられる。 1実施形態において、金属酸化物粒子は、500Å
    の一次粒子サイズを有する球状ヒュームドシリカ(SiO 2 )粒子である。

    【0104】 特定の粒子は、ポリマー成分の非存在下で多孔性コーティングを調製するために特に適切である。 例えば、多孔性コーティングは、オキサン結合を通じて互いに結合するゾル−ゲル法によって形成される強度に分枝した粒子から形成され得る(Brinkerら、 Thin Solid Films 201: 97
    ,1991およびBrinkerら、Ultrastructure Proc
    essifg of Advanced Materials, Wiley−
    Interscience, John Wiley and Sons,Uh
    lmannおよびUlrich編,(1992),211頁を参照のこと)。 あるいは、多孔性コーティングは、エージングしたコロイド状シリカ溶液およびエージングしていないコロイド状シリカ溶液の両方から直接形成される(Frye
    ら、Better Ceramics Through Chemistry
    IV,第180巻、Mat. Res. Soc. Symp. Proc. ,Brin
    kerら編(1990),583頁;Fryeら、米国特許番号第5,224,
    972号;Fryeら、米国特許番号第5,589,396号;Cathroら、Solar Energy 32:573,1984およびLangeら、米国特許番号第4,816,333号を参照のこと)。

    【0105】 特定の実施形態において、ゲル状ネットワークはさらに、ポリマー−粒子複合体を形成するために適切なポリマーを含む。 加水分解した金属アルコキシドのポリマーが好ましい。 このようなポリマーは、式M(OR)xの加水分解した金属アルコキシドの種々の縮合産物(金属アルコキシドの小さな割合(例えば、20
    重量%未満)がモノマーとして存在し得る)であり得、ここでxは、3または4
    であり得、そしてRは、水素、アルキル基またはアリール基(例えば、メチル、
    エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、第三ブチル基、またはこれらの混合物)である。 金属Mは、Si、Ti、Al、B、Zr、E
    r、Cr、Ga、Ge、Hf、Fe、Ca、Cr、La、Mg、Nb、K、Pr
    、Sm、Na、Ta、Te、Tl、Sn、W、V、Y、またはZnであり得る。
    1実施形態において、金属アルコキシドポリマーは、加水分解されたテトラエトキシシランの部分的に緻密化された層を含む。 金属アルコキシドポリマーに対する金属酸化物の比は、粒子とともに接着表面に適切に結合し、かつ実質的に均一なコーティングを提供するが、孔容量を実質的に充填する金属アルコキシドポリマーを生じない範囲であるべきである。 シリカ粒子が使用される好ましい実施形態において、加水分解金属アルコキシドに対するシリカ粒子の重量比は、1〜1
    000:1、好ましくは3〜1000:1、およびより好ましくは40〜350
    :1の範囲である。

    【0106】 他のポリマー−粒子複合体が可能であることが理解される。 例えば、いくつかの実施形態において、多孔性コーティングは、セルロースポリマーによって連結された金属酸化物−水酸化物粒子のポリマー−粒子複合体であり得る(Faro
    oqら、米国特許番号第5,686,602号およびDesuら、PCT WO
    94/14088を参照のこと)。 適切なセルロースポリマーとしては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロースが挙げられる。 セルロースポリマーは、金属イオンによって架橋されるポリマーとして多孔性コーティング中に存在するか、または燒結によって除去されるかのいずれかである。 燒結され得る別の適切なポリマーは、ポリイミドである(Desuら、PCT WO
    94/14088)。 他の実施形態において、ポリマー粒子複合体は、感光性ポリエチレンアミンによって共有結合されるアルミナ粒子、またはエポキシド(
    例えば、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)およびポリアミン(例えば、トリエチレンテトラアミン)によって架橋されるコロイド状シリカ粒子を含む(Puら、J.Imaging Sci.33:177,1989およびChu
    ら、Mat. Res. Soc. Smp. Proc. 435:221,1989およびChuら、Mat. Res. Soc. Symp. Proc. 435
    221、1996を参照のこと)。 なお他の実施形態において、このポリマー−
    粒子複合体は、ポリテトラフルオロエチレンによって非共有結合された粒子を含み、ここでこの粒子は、細分炭素(finely divided carbo
    n)、活性化炭素、フッ化炭素、アルミナ、シリカ、シリカライト(Grose
    ら、米国特許第4,061,724号によって記載される)、ヒュームドシリカ、スチレンジビニルベンゼンコポリマー、ポリスチレン、ゼオライト、および種々の金属酸化物粒子から構成され得る(Suppiah、米国特許第5,120
    ,600号を参照のこと)。

    【0107】 APESおよびHAPESのようなオルガノ−金属アルコキシドは、この粒子がヒュームドシリカである場合、金属アルコキシドについての置換体としては機能しないことに留意されるべきである。 APESおよびHAPESの加水分解は、オルガノシル三二オキサン(organosilsesquioxane)の形成を生じ、これは、アミノ部分との内部水素結合によるシラノールの安定化に一部起因して、金属アルコキシドよりも、かなり少ない伸張ポリマーを形成する。 低い程度のAPESおよびHAPES重合化は、それらの無効性を説明し得る。

    【0108】 多孔性コーティングの調製のために、粒子(および、所望ならば、ポリマー成分)は、溶液を形成するために適切な溶媒と合わせられる。 このような溶液は、
    細分粒子の分散物または懸濁物であり得ることが明らかである。 コーティング溶液は、種々の溶媒またはその混合物を含み得、この溶液中で、種々のポリマー成分が可溶化され、そしてこの粒子が、効果的に分散され得るかまたは懸濁され得る。 適切な溶媒は、当業者に明らかである。 例えば、所望のエバポレーション特徴を与えるような割合で、エチレングリコール、モノメチルエーテル、3−ペンタン、エチルアルコール、メチルアルコール、ブチルアルコール、水、またはそれらの混合物のような溶媒が使用され得る。 コーティング溶液が金属酸化物粒子および金属アルコキシドポリマーの濃縮産物を含む好ましい実施形態において、
    このコーティング溶液は、例えば、約93%エタノールおよび7%H 2 Oを含み得る。 このようなコーティング溶液は、好ましくは、約0.2〜25重量%、より好ましくは約2〜10重量%の金属酸化物粒子を含む。

    【0109】 標準的な技術を使用して、金属アルコキシドポリマーの濃縮産物を入手し得る。 簡潔には、このポリマーは、適切な量の水に曝露することによって、部分的に加水分解され得る(すなわち、10%〜50%の加水分解された加水分解可能な結合)か、または実質的に加水分解され得る(すなわち、50%を超える加水分解された加水分解可能な結合)。 次いで、加水分解されたポリマーは、濃縮産物を形成し、これは、オキサン結合の形成を通じて伸張ポリマー(用語集を参照のこと)を生じる。 このようなポリマーは、金属酸化物粒子の添加の前または後に形成され得る。 伸張ポリマーを形成するプロセスは、本明細書中でエージングという。 種々の条件がこのプロセスのために使用され得るが、酸性pHでの少なくとも1日間のエージングが通常は十分であることが見出されている。 コーティング溶液の酸性度は、好ましくは2.0と5.0との間のpH単位、および最も好ましくは4.0と5.0との間のpH単位である。 約7.0のpH単位を超えて酸性度を増加させると、ポリマー凝集に起因して、溶液不安定性を生じる。 対照的に、酸性pHで形成されたコーティング溶液は、4℃にて少なくとも6ヶ月間安定である。

    【0110】 好ましい実施形態において、多孔性コーティングは、金属アルコキシドおよびヒュームドシリカ粒子を用いて生成され得る。 金属アルコキシドの濃度は、50
    0Åのシリカ粒子1グラムあたり、好ましくは20μモル〜2000μモル、およびより好ましくは60μモル〜240μモルである。 コーティング溶液は、9
    5%エタノール/5%H 2 O、0.435mlの6mM HNO 3および0.10
    0mlのテトラエトキシシラン(180μモル/グラムのシリカ粒子)中に分散された、50.0mlの5重量%シリカ粒子(500Å一次粒子サイズ)を混合することによって作製され得る。 このように形成されたコーティング溶液は、室温にて、24時間より多く、および好ましくは48時間より多くの時間、プラスチック容器中で混合され得る。 必要に応じて、このコーティング溶液は、使用前に超音波処理され得る。

    【0111】 このコーティング溶液は、任意の標準的な技術を使用して適用され得、この技術としては、ジップコーティング、スピンコーティングまたは微小分配が挙げられる。 1実施形態に従って、このコーティング溶液は、ピペットを使用して傾斜にて基材に適用される。 上記のように、この多孔性コーティングが調製される基材は、この多孔性コーティングの接着を増強するために接着層を含み得るが、含まなくても良い。

    【0112】 このコーティング溶液が適用された後、この溶媒は、実質的に均一な厚さの連続多孔性コーティングを残してエバポレートされ、そして実質的に球状の金属酸化物粒子のゲル状ネットワークおよびオキサン結合を介して互いにカップリングされる加水分解金属アルコキシドのポリマーを含む。 好ましい実施形態において、この溶媒のエバポレーションは、10℃と150℃との間の温度で行われ得る。 溶媒は、最も好ましくは、室温でエバポレートされる。

    【0113】 得られた多孔性コーティングは、連続する剛性の実質的に均一な厚さであり、
    そして粒子のゲル状ネットワークを含む。 この金属酸化物粒子(および、使用される場合、金属アルコキシドポリマー)は、互いに結合され、そしてオキサン結合を介して基材に結合する。 粒子はさらに、非共有結合によって互いに連結さ得れる。

    【0114】 この多孔性コーティングの最終厚は、固体の百分率、粘度、傾斜角度、ジップコーティングの場合には脱離速度、またはスピンコーティングの場合はスピン速度を変更することによって制御され得る。 この多孔性コーティングの厚さは、広範な範囲にわたって変動し得る(例えば、0.05〜25ミクロン)。 このようなコーティングは、好ましくは、少なくとも50m 2 /g、すなわち1平方ミクロンの多孔性コーティングあたり少なくとも100平方ミクロンの表面積を有する。

    【0115】 本明細書中に記載される多孔性コーティングは、リガンド接続のための大きな表面積を提供し、従ってリガンド密度を増加させる。 この表面積は、平均孔サイズに反比例する。 順に、この平均孔サイズは、一次粒子サイズに密接に接近する。 従って、このこのコーティングの表面積および平均孔サイズは、一次粒子サイズの選択によってあつらえられ得る(すなわち、このコーティングは、制御された多孔性を有する)。 例えば、500Åの一次粒子サイズを有する金属酸化物は、50m 2 /gの表面積を有し、そしてこのような粒子のミクロン厚コーティングは、リガンド密度を100倍に増加させる。 同様に、200Åの一次粒子サイズを有する金属酸化物は、200m 2 /gの表面積を有し、そしてミクロン厚コーティングは、リガンド密度を400倍に増加させる。 対照的に、1000Åより大きな一次粒子サイズは、小さすぎて本発明には有用ではない表面積を有する多孔性コーティングを生じる。 好ましい実施形態において、表面積は、本発明の所定の適用に必要なサイズ以下の一次粒子サイズを選択することによって、至適化される。 例えば、固相合成またはリガンド−レセプター結合の検出が必要な適用において、表面積は、多孔性ネットワークを通じて分子の立体的に無制限の分散に必要なサイズ以下の一次粒子サイズを選択することによって至適化される。
    特に、約10Å、50Å、100Å、200Å、500Å、および1000Å未満の分子測定は、このコーティングが、それぞれ、約10Å、50Å、100Å
    、200Å、500Å、および1000Åより大きな粒子測定から構成される場合、この多孔性コーティングの内部への接近を獲得する。

    【0116】 多孔性コーティングの表面積はさらに、このコーティングの厚さを増加させることによって、増大され得る。 本発明において、25μm厚までの亀裂を含まないコーティングは、上記の分散の単回適用とともに可能であることが発見されている。 いくつかの実施形態において、この多孔性コーティングは、1.0μm未満、2.0μm未満、5.0μm未満、10.0μm未満または25.0μm未満の厚さである。 しかし、一般的には、適切な表面積の増強は、その厚さが、2
    . 0μmと5.0μmとの間である場合に、得られる。

    【0117】 (D.光パターン形成) 物品は、単一の多孔性コーティング、または複数の別個の多孔性コーティングを備え得る。 複数のコーティングを含む物品がフォトリソグラフ法を使用する光パターン形成によって調製され得る。 簡潔には、多孔性コーティングは、上記のような基材に適用され得る。 次いで、フォトレジスト(これは、ポジ型またはネガ型であり得る)の層が、多孔性コーティング上に確立され得、この層は実質的に多孔性コーティングをカバーし、そしてその孔容量を満たすのに十分である。
    マスクまたは他の適切な照射標的化デバイスを使用して、フォトレジストは、1
    つ以上の別個の領域で照射される。 その結果、フォトレジストと現像剤とのその後の接触は、1つ以上の別個の領域で、フォトレジストおよび横たわる多孔性コーティングの溶解を生じる。 ポジ型フォトレジストが使用される場合、現像剤との接触により、フォトレジストの照射領域、および横たわる多孔性コーティングが除去される。 ネガ型フォトレジストが使用される場合、現像剤との接触により、照射されなかった領域が除去される。 有機溶媒を用いた残りのフォトレジストのストリッピングにより、基材上に別々の多孔性コーティングが生じる。 得られる物品は、好ましくは、10 3 、10 4 、10 5または10 6個より多い多孔性のコーティングを備え、そして各コーティングは好ましくは、1cm 2と10 -12 cm 2との間の面積を有する。 いくつかの実施形態において、占有される面積は極端に小さくあり得、個々の金属酸化物粒子のサイズによって制限される。 例えば、
    多孔性コーティングは約10 -1 cm 2 、10 -2 cm 2 、10 -3 cm 2 、10 -4 cm 2 、10 -5 cm 2 、10 -6 cm 2 、または10 -8 cm 2 、または10 -12 cm 2未満の面積を占有し得る。 好ましい実施形態において、各多孔性コーティングによって占有される面積は、好ましくは、約1μm 2と1mm 2との間であり、より好ましくは約10,000μm 2未満であり、なおさらに好ましくは100μm 2未満である。 本明細書中に提供される方法は、模範的な再現性およびマイクロスケールの特徴を有するパターン形成された多孔性コーティングの大量生産と調和する寸法制御を提供する。

    【0118】 別々の多孔性コーティングの各々、およびそれらの集団配置は、本質的に任意のサイズおよび任意の形状をとる。 例えば、不規則な幾何形状に加えて、正方形、楕円、長方形、三角形、円、またはそれらの部分が利用され得る。 重複配置(
    例えば、100より大きい)はまた、重複性の目的のために単一の基材に適用され得る。 好ましい実施形態において、別々の多孔性コーティングがアレイとして配置される。 以下でより詳細に記載されるように、このようなアレイは、リガンドアレイとして使用され得、各多孔性コーティングは実質的に、公知でありかつ固有の化学組成を有する純粋なリガンドを含む。

    【0119】 (1.フォトレジストの適用) フォトレジスト層は、好ましくは、塩基可溶性(照射の前または後のいずれかで)である成分を含む。 多くのイメージング化学が当該分野で公知であり、この化学は、ポリマーの塩基溶解性における放射線誘起変化を利用する(Desk
    Reference of Functional Polymers:Syn
    thesis and Applications,Reza Arshady
    編(1997). American Chemical Society,Wa
    shington. DC. ,295頁、301頁、320〜326頁および34
    1〜366頁を参照のこと)。 このようなイメージング化学は、ポジ型およびネガ型の両方のフォトレジストを生成するために使用されてきた。

    【0120】 特定の好ましいフォトレジストは、結合されたフェノール基を有する成分を含み、例えば、以下の一般形態の、フェノールとホルムアルデヒドとの段階重合によって得られるフェノールポリマーである:

    【0121】

    【化11】

    ここで、n=0〜13であり、そしてR=Hまたはアルキルである。 フェノールポリマーは、フェノレートイオンの形成を介して、塩基性水溶液に可溶性である。 例えば、いくつかの実施形態において、フェノールポリマーと溶解抑制剤(例えば、ジアゾキノン、オニウム塩、α−ジアゾアセトアセテート、またはo−ニトロベンジルコレート)を合わせたポジ型フォトレジストが使用され得る。 あるいは、フェノールポリマーと架橋剤(例えば、ジアゾキノン、ビスアジド、または光酸発生体(photoacid generator)と組合わされた酸活性化剤)を合わせたネガ型フォトレジストが使用され得る。 フェノールポリマーの塩基溶解性OH官能基の、例えば、1,3−ダイオキシン−4−オン、ジフェニルテトラゾール、またはポリハライドを用いる光化学エステル化によるマスキングを介して生成されるネガ型フォトレジストもまた使用され得る。 なお他の実施形態において、フォトレジストは、光酸発生体(例えば、オニウム塩、ニトロベンジルエステル、またはイミノスルホネート)とフェノール成分を組合せることによって生成される化学増幅フォトレジストであり得る。 このようなフェノール成分は、酸不安定な溶解抑制剤、酸触媒解重合が可能なフェノールポリマー、


    あるいは酸不安定基(例えば、tert−ブトキシカルボニル(t−Boc)、


    ベンズヒドリルオキシカルボニル(Bhoc)、トリメチルシリル、t−ブチル、フェノキシエチル、またはテトラヒドロピラニル)のOH官能基において誘導されるフェノールポリマーとブレンドされたフェノールポリマーから形成され得る。 フェノールポリマーを含む他のポジ型およびネガ型のフォトレジストは、当業者に明らかである。

    【0122】 好ましい実施形態に従って、フォトレジスト層は、フェノールポリマーおよびジアゾキノン溶解抑制剤を含む市販のポジ型フォトレジストの大きな種類からのものである(米国特許第3,402,044号(Steinhoffら);同第2,797,213号(Moore);同第3,148,983号(Ender
    mannら);同第3,046,118号(Schmidt);同第3,201
    ,239号(Neugebauerら);同第3,046,120号(Sus)
    ;同第3,184,310号(Fritzら);同第3,567,453号(B
    orden);および同第4,550,069号(Pampaione)を参照のこと)。 このようなポジ型フォトレジストは、典型的に、10〜40重量%のフェノールポリマー、10〜40重量%のジアゾキノン、ならびに2−エトキシエチルアセテートまたは1−メトキシ−2−プロピルアセテートのような有機溶媒を含む液体形態で調製される。 他の添加物(例えば、界面活性剤)が、少しの割合で存在して、フォトレジストの平坦化を促進し得る。 好ましい実施形態において、フォトレジスト層は、薄い液体層として多孔性コーティングに適用されるようなポジ型ジアゾキノンフォトレジストから誘導される。 もっとも好ましくは、液体フォトレジストは、AZ(登録商標)1500シリーズのポジ型フォトレジストであり、これらはHoechst Celanese TM ,Somervi
    lle,NJによって製造される。

    【0123】 フェノールフォトレジストの光分解応答は、感光性ジアゾキノンの光化学を反映する。 このジアゾキノンはしばしば、ジアゾケトン、ジアゾオキサイド、ジアゾアンハイドライド、またはキノンジアジドともいわれ、以下の一般形態の化学物質である:

    【0124】

    【化12】

    ここで、この一般形態の最も一般的に使用されるバージョンは、4位または5位が−SO

    2 R基で置換されており、ここで、Rは、モノマー性およびポリマー性の両方のヒドロキシ、フェノキシ、および特許文献に十分に記載されかつ当業者になじみのアミノ化合物(DeForestのPhotoresist Mat


    erials and Processes,McGraw−Hill(197


    5)に広範に記載される)のスルホン酸のエステルおよびアミドを含む非常に広範な種々の官能基からなる。 ジアゾキノンの主要な光化学挙動は、Rの組成に関わらず、実質的に同じである。 約220nm〜450nmの波長の放射線への曝露により、塩基不溶性ジアゾキノン(I)の、水性塩基に可溶性の酸種(II)


    への光分解変換が生じる。

    【0125】

    【化13】

    この変換は、照射されたフォトレジストと照射されていないフォトレジストとの間で溶解度差を導き、照射領域は水性塩基に可溶性であり、そして非照射領域は実質的に不溶性である。 水性塩基は、本明細書中で、以下により詳細に記載されるように、塩基可溶性フォトレジストについて、現像剤として使用される。 光分解変換は、高い感光性で起こる。 例えば、AZ(登録商標)1512ポジ型フォトレジストの照射光量(photospeed)は、58mJ/cm

    2である。

    【0126】 フォトレジストは、任意の標準的な方法を使用して適用され得る。 例えば、液体フォトレジストは、薄い液体層として、ピペットで適用され得る。 過剰のフォトレジストは、多孔性コーティングを傾けて配置することによって排出することが可能となり得る。 浸漬コーティング、スピンコーティング、およびミクロ分配(microdispensing)を含む液体フォトレジストの適用の代替の実施形態が、当業者に明らかである。 フォトレジストを適用し、照射し、そして現像するプロセスにおけるすベての操作は、フォトレジストと反応する光の範囲の外側にある波長の光によって主にまたは全体的に照らされた部屋で行なわれるべきべある。 このことは、505nm未満の光をブロックする金の保護シールドまたはスリーブ(標準的な冷白色蛍光灯(Imtec Products In
    c. ,Sunnyvale,CA)の上に配置される)を用いて達成され得る。

    【0127】 フォトレジスト溶液が多孔性コーティング上に積層された後、このフォトレジスト層が、溶媒のエバポレーションによって生成され得る。 このエバポレーション工程の間、約100℃よりも高い温度への長期間の曝露が回避される。 例えば、コーティング溶液からの溶媒のエバポレーションが、90℃未満(例えば、8
    5℃〜90℃)、50℃未満、30℃未満、または10℃未満の温度で実施される。 最も好ましくは、溶媒は室温でエバポレートされる。

    【0128】 適用に続いて、フォトレジストは連続的であるべきであり、そして任意の横たわる多孔性コーティングをカバーするべきである。 より具体的に、この多孔性コーティングは、厚さ0.1〜20ミクロン、好ましくは厚さ0.2μm〜4.0
    μm、より好ましくは厚さ1〜3ミクロンのフォトレジスト層の下に位置すべきである。 しかし、より厚いフォトレジスト(例えば、25ミクロンより厚い)が使用され得ることに、注意すべきである。 フォトレジスト層の最終的な厚さは、
    液体フォトレジスト中の固体のパーセント、固体の分子量、粘度、傾斜角度、浸漬コーティングの場合には引出し速度、スピンコーティングの場合には回転速度を変化させることによって制御され得る。 フォトレジストの厚さに依存して、フォトレジストの表面は平坦であるか、あるいは多孔性コーティング、ならびに隆起および/または凹状領域または要素の表面輪郭に従う。 一般に、フォトレジストの表面輪郭は、多孔性コーティング(単数または複数)の表面輪郭よりも、少なくとも0.1ミクロン高い。

    【0129】 (2.照射) 特定の波長の光でのフォトレジスト層の照射は、照射(ポジ型フォトレジスト)領域または非照射(ネガ型フォトレジスト)領域からの、フォトレジストの選択的で実質的な除去を可能にする。 この性質は、照射されていないフォトレジストと比較した、照射されたフォトレジストの溶解度差から生じる。 この溶解度差の程度は、選択的に照射されたフォトレジスト層を現像剤に曝し、そしてフォトレジストが照射領域および非照射領域から除去された程度を(例えば、プロフィルメトリーを使用して)評価することによって、評価され得る。 一般に、少なくとも20倍の溶解度差で十分である。 例えば、ポジ型フォトレジストへの照射および照射領域における少なくとも2ミクロンのフォトレジストの除去を生じる現像剤への曝露は、プロフィロメトリーによって決定されるように、非照射領域における0.1ミクロン以下の除去を生じるに違いない。

    【0130】 フォトレジストは、好ましくは、光活性種に依存して、電磁スペクトルの可視部分、近UV部分、中UV部分、または深UV部分である放射線に対して反応性であり、このフォトレジストはまた、赤外線、電子ビーム、X線、または任意の他の放射線に反応性であり得る。 いくつかの実施形態において、例えば、両方の領域を同時に照射することによって、異なる領域に位置する2つのフォトレジストのうちの1つを選択的に光パターン形成するように、異なる波長の光に感応性であるフォトレジストを利用することが所望され得る。

    【0131】 フォトレジスト層は、選択的に照射される(すなわち、フォトレジストの一部分が、照射領域の溶解度を変化させる波長で照射される)。 このような選択的な照射は、半導体産業で公知のタイプの1つ以上のマスクおよびフォトリソグラフ技術を使用して達成され得る(Sze.VLSI Technology,Mc
    Graw−Hill(1983)、およびMeadら,Introductio
    n to VLSI Systems,Addison−Wesley(198
    0)を参照のこと)。 光は、好ましくは、フォトレジストが積層された表面に向けられるが、フォトレジストと反応させるために必要な光の波長に対して透明である限り、基材の背面にも向けられ得る。 フォトレジストは、溶液と接触しているかまたは接触していないかのいずれかで照射され得、そして好ましくは、溶液と接触していない状態で照射される。 本明細書中に開示されるフォトリソグラフ法を使用して、非常に小さくかつ正確に既知の位置への光をマスクすることが可能であり、従って、多孔性コーティングの生成と調和する模範的な再現性および寸法制御の方法、ならびにミクロンスケールの特徴を保有するリガンドアレイを有する多孔性コーティングを達成する。

    【0132】 選択的な照射のために使用されるマスクは、一般に、フォトレジストの選択された領域への光の自由な通過を可能にする透明領域を有する不透明な支持体である。 不透明領域は、光を吸収するかまたは反射することによって光をブロックし得る。 好ましい実施形態において、順序付けられた順序のマスクが使用される。
    いくつかの実施形態において、領域の各々に関してマスクを移動させ、そして/
    または回転することによって異なる領域を照射するために、同じマスクを利用することによってマスクの数を最小にすることが可能である。 マスクは、例えば、
    エッチングされたクロムをその上に有するガラスシートであり得るか、またはレーザーフォトプロッティングによって得られた不透明な領域を有する銀ハロゲン化物フィルムであり得る。 このようなマスクは、例えば、Precision
    Image Corporation,Redmond,WAによって製造されている。

    【0133】 マスクの透明領域は、フォトレジスト層を照射する光のパターンと実質的に同一なパターンであり、そして照射領域に対応するパターンにおける光の通過を可能にする。 この透明領域は、任意のサイズまたは形状であり得る。 例えば、不規則な幾何形状に加えて、正方形、楕円、長方形、三角形、円、またはそれらの部分が利用され得る。 好ましい実施形態において、各透明領域の面積は、約1cm 2と10 -12 cm 2との間、好ましくは0.3cm 2未満、そして最も好ましくは約1μm 2と1mm 2との間であるように極端に小さい。 例えば、透明領域は、約1
    -1 cm 2 、10 -2 cm 2 、10 -3 cm 2 、10 -4 cm 2 、10 -5 cm 2 、10 -6
    2 、10 -7 cm 2 、または10 -8 cm 2未満の面積を有し得る。 好ましい実施形態において、マスクは、複数の透明領域を含む。 いくつかの実施形態において、
    マスクは、10 2 、10 3 、10 4 、10 5 、10 6 、10 8 、または10 9より多い別々の透明領域を含む。 好ましい実施形態において、マスクは、別々の正方形状または円状の透明領域のアレイの100より大きい重複を含み、各アレイは、1
    3 、10 4 、10 5または10 6より多い透明領域を含む。 フォトレジスト層の照射領域は、マスクの透明領域と実質的に同一であるサイズ、形状、および数を有することが、もちろん理解される。

    【0134】 照射の間、マスクはフォトレジスト表面に極めて接近させられるか、その上に映されるか、または好ましくはフォトレジスト表面と直接接触させられる。 代替の実施形態において、このマスクは、引伸ばしとして公知である技術において行なわれるように、フォトレジスト表面からある距離離れて存在し得る。 整列は、
    整列マークを使用して、連続したマスクを正確に重ねる従来の整列技術を使用して実施され得るか、またはより洗練された技術が使用され得る。 例えば、干渉法的な技術が使用され得る(Flanders,App.Phys.Lett.3
    1:426,1977を参照のこと)。 いくつかの実施形態において、パターン形成された多孔性コーティング自体が、整列マークとして役立ち得る。

    【0135】 マスクがフォトレジスト上に適切に配置された状態で、このマスクは光で照射される。 この光は、従来の白熱源、UV源、レーザー、レーザーダイオード、エキシマーレーザー、X線源、プログラム可能マスク、光ファイバーなどからであり得る。 いくつかの実施形態において、ポジ型フォトレジスト層は、8mW/c
    2のエネルギー密度で、照射されたフォトレジストの現像剤による実質的除去を可能にするのに十分な時間の間、UVP Inc(Upland,CA)によって製造されたUV透過型投光機(transilluminator)からの365nmの光で照射され得る。 好ましい実施形態において、フォトレジストは1分間と2分間との間、照射される。

    【0136】 フォトレジストに適用される光のコントラストを増強するために、コントラスト増強物質がマスクとフォトレジストとの間に提供され得る。 コントラスト増強層は、光によって分解されるかまたは光によって一過的に漂白される分子を含み得る。 物質の一過的な漂白は、光が適用される場合に、より大きい透過を可能にし、それによってコントラストを増強する。 定常波および反射性ノッチング(r
    eflective notching)に起因する乏しいコントラストは、抗反射コーティング(例えば、Brewer Science Inc.,Rol
    la,MOによって製造されたARC(登録商標)コーティング)を適用することによって減少され得る。 あるいは、コントラスト増強が、被覆された光ファイバー束によって提供され得る。 コントラスト増強物質の使用は、当該分野で周知である。

    【0137】 マスクの使用に対する代替法として、他の方法が、フォトレジストの選択された部分を照射するために使用され得る。 例えば、基材が、変調されたレーザーまたはダイオード光源下で移動され得る(例えば、Feyrerら,米国特許第4
    ,719,615号を参照のこと)。 代替の実施形態において、レーザー検流測定スキャナーが利用され得る。 他の実施形態において、フォトレジストの照射は、光ファイバー光源、または液晶の上、またはそれらと接触して起こり得る。 液晶を適切に調節することによって、光が、フォトレジストの選択された領域と接触することを可能にするために、光が選択的に制御され得る。 このような液晶は、「プログラム可能なマスク」、または集積回路空間光モジュレータ(ICSL
    M)(Displaytech(Boulder,CO)によって製造される)
    とも言われる。 あるいは、照射は、光が選択的に適用される一連の光ファイバーの端部で起こり得る。 いくつかの実施形態において、光は、回折によって光の波長に直接比例するサイズまで制限される、極めて小さな領域に向けられる。 。 光の波長よりも小さな領域への照射をマスクするために、より精密な技術が利用され得る。 例えば、光は、例えば、マイクロピペットのチップ上の分子微結晶によって、フォトレジストに向けられ得る(Liebermanら、Science
    247:59、1990を参照のこと)。 光の曝露の位置を制御する他の手段は、当業者に明らかである。

    【0138】 照射工程が完了した後、フォトレジストを、現像剤と接触させる。 このことは、フォトレジスト、および横たわる多孔性コーティングの、照射(ポジ型フォトレジスト)または非照射(ネガ型フォトレジスト)領域からの選択的な、実質的な除去を生じ、別個の領域におけるフォトレジストおよび多孔性コーティングのみを残す(ポジ型フォトレジストについてのプロセスを示す、図1Cを参照のこと)。 現像剤は、フォトレジストのタイプに基づいて選択される。 塩基可溶性(
    例えば、フェノールポリマー)成分を含むフォトレジストに対して、現像剤は、
    好ましくは、アルカリ性のpH、より好ましくは、9〜12pH単位、そして最も好ましくは約11pH単位を有する。 現像剤はまた、種々の緩衝液および界面活性剤を含み得る。 例えば、現像剤は、AZ(登録商標)351 Develo
    per(Hoechst Celanese TM ,Somerville,NJによって製造される)の水での6倍希釈物であり得る。 現像剤との接触は、浸漬を含む任意の適切な方法によってであり得るが、例えば、噴霧、パッドリングおよび流動を含む、現像剤を適用する他の方法が存在する。 フォトレジストの溶解速度は、pHを増加させるか、または温度を増加させることによって増加され得、
    残りのフォトレジストの溶解度を考慮して主に制限される。 好ましい実施形態において、照射されたフォトレジストは、20℃〜30℃の温度で、pそして最も好ましくは23℃〜27℃の温度で、照射されたフォトレジストおよび横たわる多孔性コーティングの所望の領域の実質的な除去をもたらすのに十分な時間、現像剤と接触させられる。 典型的に、この両方は、約60〜120秒後に完全に除去される。

    【0139】 フォトレジストが存在しない場合、本明細書で記載されるようなアルカリ性現像剤の使用は、多孔性コーティングの検出可能な溶解を生じない。 本発明の状況において、照射されたフォトレジストの溶解により、横たわる多孔性コーティングの溶解が生じることが期せずして見出された。 実際の機構は不明であるが、この現象は、高温硬化に通常関連する温度に多孔性コーティングを供することによって、和らげられ、そしてさらに消滅することが公知である。 おそらく、高温硬化の間のオキサン結合の形成は、光パターン形成プロセスの間に発達する推定の力に対して多孔性コーティングを強化する。 従って、多孔性コーティングがパターン形成された後まで、約100℃より高い温度への長時間の曝露を回避することが必要である。

    【0140】 フェノールポリマーを含まないフォトレジストに対して、他の現像剤(例えば、エッチャント)が、本明細書中に開示されるパターン形成された多孔性コーティングに達するように使用され得る(適切なフォトレジストは、Desk Re
    ference of Functional Polymers:Synth
    sis and Applications,Reza Arshady編,(
    1997),American Chemical Society,Wash
    ington,DC. (これは、全ての目的のために本明細書中で参考として援用される)に広範にレビューされている)。 代替のフォトレジストと組合せて使用するための適切なエッチャントは、当業者によく知られており、そして例えば、反応性イオンエッチャント、強酸、強塩基、過酸化物溶液、およびそれらの混合物を含む。

    【0141】 現像剤での処理の後、残るフォトレジストがストリッピング溶液との接触によって除去される。 このストリッピング溶液は、一般に、フォトレジストを選択的に溶解させ、パターン形成された多孔性コーティングのみを残す有機溶媒である。 フェノールポリマーを使用する実施形態において、ストリッピング溶液は例えば、ケトン、アルコール、アミド、メタノール、エタノール、イソプロパノール、2−エトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、または当該分野で周知の非常に多数の有機溶媒のいずれかであり得る。 好ましい実施形態において、ストリッピング溶液はアセトンである。

    【0142】 (E.増強溶液の適用) 光パターン形成されていても、されていなくても、多孔性コーティングは、実質的に孔容量を満たすことなく、多孔性コーティングの要素をさらに固着するためのポリマー性結合剤を含む増強溶液で処理され得るが、処理されなくても良い。 このような結合剤の1つはテトラエトキシシランである。 他の増強溶液が可能であり、そして例えば、上記のポリマー−粒子複合材を形成するために使用されるポリマー性結合剤を含む。 いくつかの実施形態において、増強溶液は、6.3
    ml H 2 Oおよび0.7ml 1N硝酸中に21.7mlのテトラエトキシシランを含むエージングした溶液のエタノールでの150倍希釈物である。 このような溶液は、上記のような多孔性コーティングに適用され得る。 溶媒のエバポレーション(例えば、室温で)に続いて、増強層が、多孔性コーティング上に残される。 エバポレーション後、物品が、好ましくは、以下に記載されるように、より高い温度で硬化される。

    【0143】 (F.硬化) 多孔性コーティングは、オキサン(oxane)結合の数を増加させるために高温硬化を受け得るが、受けなくてもよい。 充分な硬化のために必要な最適のオキサン結合の程度は、所望される適用、一次粒子サイズ、および最終のフィルム厚を含む多数の因子に依存する。 特に、小さな粒子は、小さな粒子がコーティングに与える増加した強度に起因して(すなわち、単位体積当たりのより多くの数の粒子−粒子接触に付随して)、大きな粒子よりも少ないオキサン結合しか必要としない。 多孔性コーティングを基材として使用して、化合物のアレイを接続する場合、さらなる硬化が、オキサン結合の程度が比較的高い範囲で、このコーティングに増加した強度を与えるように実施され得る。

    【0144】 上記の方法または経験的観察のいずれかを使用して、特定の適用のための十分な硬化に必要な最適のオキサン結合の程度および条件の設定は、当業者に容易に同定され得る。 硬化は、代表的に、オキサン結合の広範なネットワークを構築するために十分な時間、約90℃〜250℃の温度まで加熱することによって達成される。 例えば、多孔性コーティングは、15分間、110〜120℃で硬化され得る。

    【0145】 (G.化合物の接続) 上記のように、多孔性コーティングは、好ましくは、そこに接続される少なくとも1個の化合物を有する。 このような化合物は、任意であり得る。 特定のコーティングされた物品は、その上に実質的に均一厚の連続多孔性コーティングを有する基材を含み得、ここで、この多孔性コーティングは、金属酸化物粒子と加水分解された金属アルコキシドのポリマーとのゲル状ネットワークを含み、ここで、このコーティングの多孔度は、0.15〜0.99の範囲である。 他のコーティングされた物品は、1cm 2当たり少なくとも5個の別個の異なる多孔性コーティングを有する基材を含み得、ここで、各コーティングは、連続しており、そして実質的に均一厚を有し、そして粒子の連続ゲル状ネットワークを含む。 しかし、一般に、接続された化合物を有するコーティングされた物品が、好ましい。
    1つの多孔性コーティングのみを含む物品に対して、好ましくは、少なくとも2
    つの化合物が接続される。 複数の多孔性コーティング(すなわち、パターン付けされた多孔性コーティング)を含む物品に対して、1つ以上の化合物が、各多孔性コーティングに接続され得る。

    【0146】 化合物の接続を容易にするために、リンカーが使用され得る。 リンカーは、接続した化合物を表面から間隔を置いて配置すること、接続したリガンドのレセプター認識を容易にすること、またはリガンドが表面から剥離されるのを可能にする不安定な連結を供給することを含む、種々の機能を果たし得る。 スペーサは、
    合成された化合物を表面から分離するために作用する小分子である。 スペーサは、単独で、またはリンカーに組み込まれて使用され得る。 リンカーへの組み込みのための好ましいスペーサには、以下が挙げられる:

    【0147】

    【化14】

    リンカーは、好ましくは、接続した化合物が任意の所望の試薬と相互作用するのを可能にするために十分な長さである。 好ましくは、少なくとも5原子長で少なくとも1リンカーが使用され、リガンドとレセプターとの間の自由な相互作用を可能にし、そして所望であれば、複数のスペーサ分子を使用して、リンカーの長さを増大し得る。 リンカーには、例えば、アリール含有分子、2〜10個のモノマー単位を含有するエチレングリコールオリゴマー、ジアミン二酸、アミノ酸、シラン層、または任意の広範な種々のポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンジフルオライド、ポリスチレン、ポリカーボネート、


    ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、またはこれらの組み合わせ)が、挙げられ得る。 他のリンカー材料は、当業者に容易に明らかである。

    【0148】 好ましい実施形態において、リンカーは、1つ以上の反応基を含むオルガノアルコキシシランである。 反応基には、例えば、アミノ(例えば、APES)、ヒドロキシ(例えば、HAPES)、エポキシ、カルボキシル、スルフヒドリルまたはハロゲン基が挙げられる。 反応基は、好ましくは、表面の反対側でリンカー分子の遠位端または末端上に存在する。 好ましい実施形態において、このオルガノアルコキシシランは、アミノ基を有する3−アミノプロピルトリエトキシシラン(すなわち、APES)、および/または2つのヒドロキシル基を有するビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン(すなわち、HAPES)である。

    【0149】 他の実施形態において、リンカーに、親水性または疎水性のものを選択し、特定のレセプターへのリガンドの提示を改善する。 例えば、親水性レセプターの場合において、レセプターが合成したリガンドにより近くに接近するのを可能にするような親水性リンカーが好ましい。

    【0150】 あるいは、またはさらに、リンカーを選択して、接続した化合物の除去を可能にし得る。 このようなリンカーは、例えば、光分解性、酸不安定性、塩基不安定性、または酵素分解性であり得る。 光分解性リンカーの使用により、他のプロセス工程(例えば、多孔性コーティングおよびリガンド−アレイ合成のフォトパターン化工程を含む)を実施するために使用される波長とは異なるように選択され得る波長の光の照射によって、リガンドの除去が可能となる。 光分解性リンカーの中で、分解性部分は、好ましくは、リンカーの遠位端と基材に接続した端部との間の中間位置に配置される。 より好ましくは、分解性部分は、光分解により、
    リンカーの残余部を剥離された化合物上に残さないように遠位端に配置される。
    酸または塩基不安定なリンカーは、酸または塩基を曝すことによるリガンドの除去を可能にする不安定な部分を含む。 酸または塩基は、例えば、それぞれ気相のトリフルオロ酢酸(TFA)またはNH 3であり得る。 酸、塩基および光不安定なリンカー分子は、当該分野で公知であり、市販されている(The Comb
    inatorial Chemistry Catalog、Nova Bio
    chem,Inc. ,1998を参照のこと)。 1つの適切な酸不安定なリンカーは、以下の式を有する:

    【0151】

    【化15】

    リガンド−アレイの光分解および気相分解の両方は、分離されたリガンドを、


    接続部位および/または合成部位で共存されたままにすることを可能にする。 支持体からのリガンドの分離は、多くのリガンド−レセプター対の形成にとって必須である。 共存は、インサイチュアッセイを使用して、リガンド−レセプター結合を決定する場合に、特に有用である。 このようなアッセイにおいて、結合の位置を決定することによりまた、結合リガンドの正体または試薬ヒストリー(re


    agent history)を決定する。 インサイチュアッセイを使用して、


    薬物候補物のアレイをスクリーニングすることが、特に好ましい。

    【0152】 リンカーはまた、あるいはその代わりに、好ましくは中間位置に、酵素による分解のための認識配列を含み得る。 このような配列は、酵素との接触によるリガンドの除去を可能にする。 酵素−分解基は、細胞によって分泌されるプロテアーゼ、非特異性ヌクレアーゼ、特異性ヌクレアーゼ、または酵素で実質的に分解されるように選択され得る。 好ましくは、酵素−分解部分は、生細胞との接触によりリガンドの除去が可能となるように、リンカーをリガンドと結合する。 最も好ましくは、細胞は、アレイからリガンドを剥離する酵素を分泌し、これは引き続いて細胞中で拡散し、そしていくつかの内部の生物学的プロセスに影響を与える。 例えば、プロテアーゼ感受性連結で接続されたヌクレオ塩基ポリマーのアレイを使用して、アレイの表面と直接的に接触して増殖する細胞上に、アンチセンス実験のアレイを導き得る。 支持体からのリガンドの分離は、細胞膜を通したリガンドの移行のために必須である。 ヌクレオ塩基ポリマーの細胞誘導分解によりまた、分離されたリガンドを、ポリマーの接続部位および/または合成部位と共存したままにする。 共存は、表現型細胞アッセイを使用して、ヌクレオ塩基ポリマーによる遺伝子の発現の調節を決定する場合、特に有用である。 このようなアッセイにおいて、表現型の変化の位置を決定することにより、変化に影響を与えるヌクレオ塩基ポリマーの配列、およびその細胞内の標的の塩基配列を決定する。

    【0153】 リンカーは、当該分野で周知の方法(Methods in Enzymol
    ogy、第XLIV巻、Klaus Mosbach編(1976)、Acad
    emic Press N. Y. )に従って、表面に(C−C、C−N、C−O
    、C−S、Si−または他の化学結合を介して)共有結合し得るか、または吸着し得る。 例えば、ヒドロキシ基を有するリンカーは、2%のHAPES溶液(9
    5:5のエタノール:H 2 O)で10分間で表面に接続され得、続いてエタノールでリンスし、そして15分間120℃で硬化する。 アミノ基を有するリンカーは、APESがHAPESに置換されることを除いて同じように接続される。 オルガノアルコキシシランは、一般に、シロキサン結合を介して表面に接続され得る。

    【0154】 あるいは、リンカーは、共重合によって多孔性コーティングのゲル状ネットワークに取り込まれ得、その結果、このリンカーは、多孔性コーティング厚の全体にわたって存在する。 例えば、1実施形態において、アミノ−修飾コーティング溶液は、50.0mlの95%エタノール/5%H 2 O中に分散された5重量%
    のシリカ粒子(500Åの一次粒子サイズ)、0.435mlの6mM HNO 3 、0.100mlのテトラエトキシシラン(180μmole/gのシリカ粒子)、および0.035mlのAPES(60μmole/gのシリカ粒子)を混合することによって作製され得る。 このコーティング溶液を、2日間、室温で混合し得、そしてアミノ反応剤に直接結合する多孔性コーティングを得る。 しかし、多孔性コーティングを形成した後に、リンカー分子を接続させることが、好ましい。

    【0155】 化合物は、周知の技術を使用して、リンカーを有するかまたは有さない、別個の完全厚容積(full−thickness volume)内で多孔性コーティングに接続され得る。 接続した化合物は、約10 1 g/mole、10 2 g/
    mole、10 3 g/mole、10 4 g/mole、10 5 g/mole、10 6 g/mole、または10 7 g/mole未満のモル重量を有し得る。 個のような化合物は、例えば、ヌクレオ塩基ポリマー(用語集を参照のこと)、薬物性剤、薬物アナログ、核酸の線状ポリマーおよび環状ポリマー、ポリサッカライド、
    リン脂質、およびα−、β−、またはω−アミノ酸、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレア、ポリアミド、ポリエチレンイミン、ポリシロキサン、ポリイミド、ポリアセテートあるいは他のリガンドのいずれかを有するペプチドを含む任意の型であり得る。

    【0156】 好ましい実施形態において、コーティングされた物品は、別個の完全厚容積内で多孔性コーティングに接続されたリガンド基のアレイを含む。 リガンドのアレイは、多孔性3次元物体(three dimensional object
    )上での化合物の合成に適合した任意の配置方法(例えば、インクジェット技術(Brennan、米国特許第5,474,796号を参照のこと)を含む)を使用して多孔性コーティングに接続され得る。 しかし、最も好ましくは、リガンドアレイは、「Methods and Compositions For
    Performing an Array of Chemical Reac
    tions on a Support Surface」および「Solve
    nt−Resistant Photosensitive Composit
    ions」と表題を付けられた同時係属中の出願でより完全に記載される方法および組成物を使用して、多孔性支持体上で形成される。 光除去可能(photo
    removable)な基を利用する合成方法は、不完全な光脱保護の結果として、一般に本明細書中に記載される多孔性コーティングに適合せず、このような技術は、一般に避けるべきである。

    【0157】 特定の実施形態において、化合物は、例えば、ひとまとめにして「固相合成」
    として当該分野で公知の方法を使用する化学的前駆体の連続結合によって、多孔性コーティングの表面上で合成され得る。 本発明の重要な局面は、多孔性コーティングが、種々のプロトコールおよび試薬を使用して、リガンドの固相化学合成を実施し、そして標識化高分子レセプターとの結合リガンドを検出するための優れた支持体を提供するという発見である。 試薬の効率的な物質輸送のために膨張および溶媒和を必要とする支持体に対して、本発明の強固な多孔性ネットワークは、持続的に開口し、そして基材の表面上に存在する。 よって、表面上の反応基は、実質的に支持体と直接的に接触することにより、任意の試薬によってアクセス可能である。 従って、先行技術の酸エッチング多孔性シリコンおよび電気化学的に製造された金属酸化膜の、平行でかつ非常に伸長したサブ表面細孔に、試薬を適用するために必要とされるフロースルー(flow−through)装置を、必要としない(Beattieら、Clin.Chem.41:700,1
    995およびVan Damme and Kreuwel,WO99/022
    66を参照のこと)。 リガンドが、以下の当業者によく知られたかなり多数の固相合成法により表面上に合成的に確立され得る:固相核酸合成(例えば、ホスホロアミダイトまたはH−ホスホネート法)、固相ペプチド合成(例えば、「Me
    rrifield Method」、Merrifield,J. Am. Che
    m. Soc. 85:2149,1963およびそれに引き続く改良を参照のこと)、固相ペプチド核酸合成(Egholmら、J.Am.Chem.Soc.1
    14:1895,1992を参照のこと)、固相ヌクレオ塩基ポリマー合成(S
    ummerton and Weller、米国特許第5,185,444号;
    Shahら、米国特許第5,698,685号;Stirchak and S
    ummerton、J. Org. Chem. 52:4202,1987;Leb
    retonら、Synlett. 137,1994;Vasseurら、J. A
    m. Chem. Soc. 114:4006,1992;Jonesら、J. Or
    g. Chem. 58:2983,1993;Huie and Trainor
    、米国特許第5,470,967号およびSwaminathanら、米国特許第5,817,781号を参照のこと)、ならびに固相小分子合成(The C
    ombinatorial Chemistry Catalog,Nova
    Biochem,Inc. ,1998を参照のこと)。

    【0158】 簡単には、固相合成は、以下の(1)〜(4)の一連の4工程による1回以上のサイクルによって達成され得る:(1)フォトレジストの適用;(2)フォトレジストの照射およびフォトレジストの一部分の除去;(3)露出した分子と試薬との接触;ならびに(4)残ったフォトレジストの除去(またはストリッピング)。 これらの工程の各々は、以下により詳細に記載され、そしてこの連続工程を、目的の接続した化合物を生成するために必要とされるのと同じ回数で実施し得る。

    【0159】 一般に、表面上で実施される化学反応は、使用される試薬によって特徴づけられ得る。 例えば、試薬R 1の添加によって規定される反応は、記号[R 1 ]によって表わされ、角括弧は、支持体を試薬と接触させるプロセスを示す。 領域と接触した試薬の順番を、その試薬ヒストリー(history)と定義する。 従って、1回目のサイクルの後、表面の露出した領域は、試薬ヒストリーを有するリガンドを含む: S−L−[R 1 ] ここで、Sは、表面を示し、そしてLは、リンカーを示し、一方で表面の残りの領域は、以下のゼロの試薬ヒストリーを有するリガンドを含む。

    【0160】

    【化16】

    2回目のサイクル(フォトレジストの適用、照射、現像剤への曝露および第2


    試薬R

    2 (R

    1と同じであっても同じでなくてもよい)との接触)後、この支持体の異なる領域は、1個以上の以下の試薬ヒストリーを有するリガンドを含み得る;

    【0161】

    【化17】

    上記のプロセスを、各々不連続の既知の領域でおよび各々既知の試薬ヒストリーで、複数のリガンドが基材に接続されるまで、繰り返す。 好ましい実施形態において、この試薬ヒストリーは、予め規定された領域で主なリガンド組成を決定する。 従って、フォトレジストによってマスクされた支持体の領域、および各領域の試薬ヒストリーを制御することによって、各リガンドの位置および組成が分かる。

    【0162】 (a.フォトレジストの適用) 接続した化合物の合成を開始するために、多孔性コーティング(および、リンカー)を、フォトレジストの層によって被覆する。 任意の適切なフォトレジストをこの目的のために以下の条件で使用し得る:(1)フォトレジストは、バリア層を提供し(2)フォトレジストの照射により、非照射領域に比べて、照射領域においてフォトレジストの異なる溶解性が得られ;(3)このような照射は、表面接続分子の実質的な光分解を生じない光の波長で実施され得;(4)フォトレジストによって起こされる光化学反応は、フォトレジストと接触した表面接続分子に関して、実質的に不活性であり;(5)もし必要であれば、適切な現像剤は、表面および接続分子と実質的非反応性であり、そして(6)フォトレジストは、下敷(underlying)分子および基材に関して、実質的に不活性である剥離溶液によって、実質的に除去可能である。

    【0163】 フォトレジストによって提供されるバリア層は、試薬と下敷分子との検出可能な反応を、フォトレジストによって被覆されないこのような分子とのこのような検出可能な反応を許容する条件下で、防止するために十分であるべきである。 このバリア層は、少なくとも0.1ミクロン厚であるべきであり、そして連続コーティングを形成するべきである。 好ましくは、このバリア層は、合成反応に使用される有機溶媒に対して実質的に不浸透性である。 この特質は、層を生成させること、この層の一方の面を目的の有機溶媒と接触させること、そしてこの溶媒がこのアッセイで使用される条件下で、この層を通過するか否かを測定することにより、評価され得る。 この層中での溶媒の拡散を、層の膨張の形跡を試験することによって検出し得る。 一般に、バリア層は、この厚が平衡状態で50%未満で増加(すなわち、膨張)する(インターフェロメトリーまたはプロフィルメトリーによって測定される)場合、溶媒に対して実質的に不浸透性である。 このような溶媒の不浸透性が所望されるが、絶対的な必要条件ではない。

    【0164】 上記のような、フォトパターン化の状況において、特定の光の波長でのフォトレジストバリア層の照射は、照射(ポジ型フォトレジスト)領域または非照射(
    ネガ型フォトレジスト)領域からの、選択的なフォトレジストの実質的な除去を可能にする。 一般に、ポジ型フォトレジストのために、少なくとも20倍の微分溶解度(differential solubility)で、有用なフォトレジストシステムを形成するのに十分である。 例えば、照射、および照射領域でのフォトレジストの少なくとも2ミクロンの除去を生じる現像剤への曝露により、非照射領域での0.1ミクロン以下の除去を生じるべきである(プロフィルメトリーにより測定)。

    【0165】 本明細書で提供される方法において、このような照射により、下敷分子の検出可能な変化を生じさせるべきではない。 従って、適切なフォトレジストは、下敷分子の検出可能な分解を生じさせない波長の光に対して、反応性であるべきである。 ほとんどの適用のために、この光は、直接的な分子の光分解を生じる波長よりも長い波長(すなわち、>260nm、好ましくは、>300nm)を有すべきである。 当業者は、所望の化合物の合成での使用に適切である特定の波長を、
    容易に決定することが可能である。 さらに、フォトレジスト層内で照射により生じる化学的作用は、下敷分子に関して実質的に不活性であるべきである。 フォトレジストの照射により、合成されるべき化合物と反応し得る反応性化合物を生じるべきではない。 同様に、使用される任意の現像剤およびフォトレジストの除去のための剥離剤は、下敷分子を改変すべきではない。 言い換えれば、現像剤および剥離溶液により、この表面および接続された分子を分解せずに、フォトレジストの実質的な除去を生じるべきである。 一般に、照射、フォトレジストでの光化学反応、現像剤および剥離剤(stripper)を含むプロセス剤は、これらが使用される各時間に、50%未満、そしてより好ましくは10%未満の化合物の分解を生じるべきである。 分解は、上記のプロセス剤の存在および非存在下で反応収量を評価することによって測定され得る(Glossary phras
    e「substantial removal」を参照のこと)。

    【0166】 固相合成での使用のための適切なフォトレジストは、別個にフォトレジストの光不活性成分および光活性成分の特性を考慮することにより同定され得る。 フォトレジストの光不活性成分は、溶媒耐性(すなわち、特定の溶媒での不溶性)を含むフォトレジストの大部分のバルク特性を決定し、そして代表的には、ポリマーである。 光不活性成分のための適切な候補物は、一般に、溶媒耐性のポリマーが、特定の合成反応に使用されるべき試薬溶媒を含む、ポリマーから選択され得る。 ポリマーの巨大なアレイおよび種々の溶媒中でのそれらの溶解プロフィールは、当該分野で記載されている(Fuchs:Polymer Handboo
    k、第2版、Wiley Interscience、New York、Br
    andrup and Immergut編(1975)、379頁によって概説される)。 フォトレジストの所望の溶解安定性に依存して、光不活性成分の候補物は、以下から選択され得る:ポリ(ジエン)、ポリ(アセチレン)、ポリ(
    アルケン)、ポリ(アクリレート)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(二置換エステル)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(メタクリルアミド)、ポリ(ビニルエステル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(アセタール)、ポリ(ビニルケトン)、ポリ(ビニルハライド)、ポリ(ビニルニトリル)
    、ポリ(ビニルエステル)、ポリ(スチレン)、ポリ(フェニレン)、ポリ(オキシド)、ポリ(カーボネート)、ポリ(エステル)、ポリ(無水物)、ポリ(
    ウレタン)、ポリ(スルホネート)、ポリ(シロキサン)、ポリ(スルフィド)
    、ポリ(スルホン)、ポリ(アミド)、ポリ(ヒドラジド)、ポリ(ウレア)、
    ポリ(カルボジイミド)、ポリ(ホスファゼン(phosphazene))、
    ポリ(シラン)、ポリ(シラザン)、ポリ(ベンゾオキサゾール)、ポリ(オキサジアゾール)、ポリ(オキサジアゾリジン)、ポリ(ジチアゾール)、ポリ(
    ベンゾチアゾール)、ポリ(ピロメリチミド(pyromellitimide
    ))、ポリ(キノキサン)、ポリ(ベンズイミダゾール)、ポリ(ピペラジン)
    、ポリ(無水物)、ポリ(ホルムアルデヒド)、ポリ(ホスホネート)、ポリ(
    ホスフェート)およびポリ(チオホスホネート)。 好ましいポリマーは、低溶解プロフィールを有するポリマーであって、例えば、以下が挙げられる:ポリエチレン(低密度)、ポリプロピレン、ポリ(ジ−n−ブチルイタコネート)、ポリアクリルアミド、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(アリルアルコール)、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)、ポリ(2,5−ジメトキシ−1,4−フェニレンエチレン)、ポリ(オキシ−1,4−フェニレンオキシイソフタロイル)、
    ポリ(1−ブテン−co−サルファージオキシド)、ポリ(イミノ(1−オキソトリメチレン))、ポリ(1,3,4−オキサジアゾール)、ポリ(ジベンゾオキサゾール)、ポリ(ジチアゾール)、ポリ(ピロメリチミド)、ポリ(ベンズイミダゾール)、ポリ(ジベンズイミダゾール)、ポリ(オキシプロピリデン)
    、ポリアミック酸(polyamic acid)およびポリイミド。 特に好ましいのは、主にn−アルキルアミド溶媒に可溶性である、非常に狭い溶解度範囲を有する芳香族ポリアミドまたは「アラミド(aramid)」である(Pre
    ston:Kirk−Othmer Encyclopedia of Che
    mical Technology、第3巻、第3版、GraysonおよびE
    ckroth編(1978)、Wiley−Interscience、New
    York、213頁に記載される)。 いくつかの実施形態において、光不活性成分は、ポリマーブレンドであり得、ここでこのブレンドは、例えば、Clag
    ettらの米国特許第5,346,967号に報告される特定のアモルファスポリアミドとポリエステルとのブレンド中でのように、強化された溶媒耐性を与える。

    【0167】 光活性成分は、照射後にフォトレジストのバルク特性の変化を生じ、その結果、照射または非照射のいずれかの部分が選択的に除去される。 代表的に、光活性成分は、特定の液体現像剤のフォトレジストの溶解度を変化させる。 この光活性成分は、「光反応性システム」において、単分子を含んでも、または2以上の分子を含んでもよい。 光活性成分は、共有結合による光不活性ポリマーの完全部分であっても、光不活性ポリマーとの混和性ブレンドとして存在してもよい。

    【0168】 適切な光活性候補物は、光不活性ポリマーの溶解プロフィールの変化に影響を与えるこれらの光反応性分子から選択され得るが、逆に、アレイ表面に接続した分子には影響を与えない。 これらの特性を有する光活性成分は、分子内光反応、
    またはアレイ表面に接続していない分子のクラスに対して非常に特異的である光反応を実質的に受ける、これらの光反応性分子を同定することによって選択され得る。 光活性成分は、さらに、実質的な光反応に影響を与えるために必要な光の波長に基づいて選択される。 好ましくは、光活性成分は、電磁スペクトルの紫外(UV)部分、または可視部分の照射に対して反応する。 より詳細には、この光活性成分は、約250nm、300nm、350nmまたは400nmよりも長い波長の光に対して反応性を有するスペクトルの近UV部分または可視部分での照射に対して反応する。 これらの基準を満たす多数の光活性成分が、記載されており、そして当該者によく知られている。

    【0169】 好ましいクラスの光活性化合物は、ポリマーを含む混和性ブレンドへのポリマー成分の溶解性を阻害する分子を含む(Desk Reference of
    Functional Polymers:Synthesis and Ap
    plications,Reza Arshady編(1997),Ameri
    can Chemical Society,Washington,DC,第2.1、2.2および2.3章を参照のこと)。 このような溶解阻害剤は、ポジ型およびネガ型フォトレジストの両方を製造するために使用されてきた。 好ましい溶解阻害剤は、実質的な分子内光反応を受ける光活性分子である。 これらには、例えば、ジアゾキノン:

    【0170】

    【化18】

    が挙げられる。 非常に多種多様なジアゾキノン誘導体が、特許文献に記載され、


    そして当業者に知られている(DeForest,Photoresist M


    aterials and Processes,McGraw−Hill(1


    975)を参照のこと)。 例えば、ジアゾキノンは、ポリイミドベースのフォトレジストにおいて、混和性光活性成分として首尾よく使用されてきた(Yuka


    waおよびKohtoh、米国特許第5,288,588号、およびObaら、


    米国特許第5,348,835号を参照のこと)。 分子内光反応を受ける他の好ましい溶解阻害剤には、o−ニトロベンジルコラートが挙げられる(Reich


    manisら、J. Vac. Sci. Technol. 19:1338,198


    0を参照のこと):

    【0171】

    【化19】

    あるいは、ネガ型フォトレジストは、ポリマーを、架橋剤である光活性成分と合わせることによって処方され得る。 好ましい架橋剤は、アレイ表面に連結された分子と反応しない架橋剤(例えば、スチルバゾリウム(SBQ)置換ポリマーから誘導される架橋剤)である(米国特許第5,445,916号および同第4


    ,891,300号を参照のこと):

    【0172】

    【化20】

    SBQ置換ポリマーの独特の性質は、SBQの非共有結合性ダイマーが固体状態で形成することである。 なぜなら、SBQ単位は照射の前に、非共有結合的に対にされるからである。 光活性種は対になり、そしてアレイ表面上に存在する物質に関与しない。

    【0173】 フォトレジストはまた、ポリマー上に可溶化官能基を作ることによって作製され得る。 例えば、フォトレジストは、光酸発生剤(photoacid gen
    erator)を、ポリマー成分(酸不安定な基(例えば、tert−ブトキシカルボニル(t−Boc)、ベンズヒドリルオキシカルボニル(Bhoc)、トリメチルシリル、t−ブチル、フェノキシエチルまたはテトラヒドロピラニル)
    で、可溶化官能基において誘導体化される)と合わせることによって生成された化学的に増幅したフォトレジストであり得る。 好ましい光酸発生剤は、アレイ表面に連結した分子と反応しない発生剤である。 例えば、好ましいクラスの適切な光酸発生剤は、例えば、以下のようなスルホン酸のo−ニトロベンジルエステルのような実質的に分子内反応を受ける発生剤である:

    【0174】

    【化21】

    他の実施形態において、光酸発生剤は、ポリマー成分の酸触媒脱重合を開始し、湿潤現像剤処理の必要性を排除する揮発性成分の生成を生じる。 ポリフタルアルデヒドに好ましい酸触媒脱重合反応は、Willsonら、J. Electr


    ochem. Soc. :Solid−State Science and T


    echnology 133(1):181、1986に記載される。

    【0175】 他の実施形態において、湿潤現像剤を必要としないフォトレジストが使用され得る。 このようなフォトレジストには、色素入り(dye−in)ポリマー複合材が挙げられ、ここで、この色素は、特定の波長の放射レーザーエネルギーを吸収するのに役立ち、集中したレーザー照射によるフォトレジストの光消失を生じる(Law.J.Appl.Phys.54(9):4799,1983およびLawおよびVincett,Appl.Phys.Lett.39(9):7
    18,1981を参照のこと)。 この波長は、典型的に、連結した有機分子が入射レーザー照射による影響を受けないまま、有機分子によって吸収されない波長である。 好ましい色素には、例えば、オイルナイルブルー(λ max =644nm
    )が挙げられる:

    【0176】

    【化22】

    他の実施形態において、光活性成分は、ポリマー成分上の可溶化官能基をマスクするために単独で使用され得る。 可溶化官能基をマスクするのに好ましい光活性成分には、o−ニトロベンジルおよびN−アルキル−o−ニトロアニリド基が挙げられる(Pillaiによる総説、Synthesis、1980(198


    0)、1頁を参照のこと)。 いくつかのフォトレジストは、o−ニトロ化学物質に基づくマスキング基を組み込むことが記載された(Kubotaら、J.Ap


    pl. Polymer Sci. :Polymer Chem. 第33版:17


    63,1987を参照のこと)。 このような化合物は、優勢に分子間光反応を受けることが知られている。 特に好ましいo−ニトロベースのマスキング基は、F


    odorらによる、米国特許第5,424,186号に記載される基である。

    【0177】 さらに他の実施形態において、光活性成分は、ポリマー成分に連結され、そして光誘導転位を受けて、可溶化官能基を生成する。 好ましい転位基にはジアゾキノンが挙げられ、これはポリイミドベースのフォトレジストにおいて、光活性付加体として首尾よく使用された(Khanna、米国特許第5,037,720
    号を参照のこと)。 他の好ましい転位基には、フェニルエステル、フェニルカルボネートまたはフェニルエーテルを含有する基が挙げられる。 このような基は、
    以下に示される反応のように、分子間光フリース転位を受けて、可溶化ヒドロキシル基を生成する:

    【0178】

    【化23】

    他のフォトレジストは、光不安的な結合をポリマー成分内に提供することによって作製され得、その結果、そのポリマーの分子量が減少し、そして付随物が溶解性を増す。 好ましい光不安定な結合には、ポリシランおよびポリスルホン中に見出される結合が挙げられる(Desk Reference of Func


    tional Polymers;Synthesis and Applic


    ations,Reza Arshady編(1997),American


    Chemical Society,Washington,DC,297〜3


    00頁を参照のこと)。 ジシランおよびスルホン結合は、同様に他の光活性ポリマーに組み込まれ得る。 より好ましい光不安定な結合には、o−ニトロベンジルおよびN−アルキル−o−ニトロアニリド化学物質に基づく結合が挙げられる(


    Petropoulos,J. Appl. Polymer Sci. :Poly


    mer Chem. 第15版:1637,1977;Iizawaら、J. Po


    lymer Sci. :Part A:Polymer Chem. 29:18


    75,1991;およびMacDonaldおよびWillson,Polym


    eric Materials for Electronic Applic


    ations,ACS Symp. Ser. 184,American Che


    mical Society,Washington,DC,MacDonal


    dら編(1982)、73頁を参照のこと)。

    【0179】 本明細書中に提供される方法で使用するのに適切な、多くの異なるフォトレジスト組成物があることが明らかである。 本願の教示に基づいて、当業者は、慣用的な分析のみを使用して、特定の適用のためにフォトレジストシステムを容易に最適化し得る。

    【0180】 好ましい実施形態において、フォトレジストは、「Solvent−Resi
    stant Photosensitive Compositions」と表題をつけた同時係属出願のに記載される。 このようなフォトレジストは一般に、
    以下の(1)と(2)との縮合によって形成されるポリアミド誘導体を含む:(
    1)N−アルキル−2−ニトロジアミン、および少なくとも1種の1,4−フェニレンジアミンまたは1,3−フェニレンジアミンを含むジアミン混合物、ならびに(2)イソフタロイルクロリドを含む二酸クロリド混合物。 好ましいN−アルキル−2−ニトロジアミンには、N 1 −メチル−2−ニトロ−p−フェニレンジアミン、および3,3'−ジニトロ−4,4'−ジ−N−メチルアミノジフェニルエーテルが挙げられる。 ジアミノ混合物に対する二酸混合物の好ましいモル比は、0.980〜1.020の範囲である。

    【0181】 1つのこのようなフォトレジストは、以下の一般式によって表される繰返し単位を有するポリアミド誘導体を含む:

    【0182】

    【化24】

    ここで、Zは、20〜50モル%で、より好ましくは、20〜35モル%の、以下を含む構造であり:

    【0183】

    【化25】

    残りは

    【0184】

    【化26】

    を含み;そしてYは、10〜100モル%の以下を含む構造であり:

    【0185】

    【化27】

    残りは、

    【0186】

    【化28】

    を含み;そしてRは、特定の制限なしに2価の有機基である。 いくつかの実施形態において、Rは、以下からなる群から選択され得:

    【0187】

    【化29】

    ここで、Xは、HまたはCH

    3であり;Lは、直接結合、O、CH

    2 、N(CH

    3


    )、C(CH

    3

    2 、C(CF

    3

    2 、SO

    2 、CO、CONH、O(C

    6

    4

    2 、S


    、C(C

    6

    5

    2またはC(CF

    3 )(C

    6

    5 )であり;そしてUは、H、NO

    2


    またはCH

    3である。 好ましい実施形態において、Rは、NHである。

    【0188】 第2の実施形態において、フォトレジストは、以下の一般式によって表される繰返し単位を有するポリアミド誘導体を含む:

    【0189】

    【化30】

    ここで、Xは、10〜100モル%のCH

    3であり、残りはHであり;そしてY


    は、0〜50モル%の以下を含む構造であり:

    【0190】

    【化31】

    であり、残りは、

    【0191】

    【化32】

    を含む。

    【0192】 第3の実施形態において、フォトレジストは、以下の一般式によって表される繰返し単位を有するポリアミド誘導体を含む:

    【0193】

    【化33】

    ここで、Xは、10〜50モル%のCH

    3であり、より好ましくは、10〜20


    モル%のCH

    3であり、残りはHであり;そしてYは、20〜100モル%の以下を含む構造であり:

    【0194】

    【化34】

    残りは、

    【0195】

    【化35】

    を含む。

    【0196】 特定の好ましいポリアミドフォトレジストは、以下の式によって表され得る:

    【0197】

    【化36】

    好ましい実施形態において、ポリアミドは、N

    1 −メチル−2−ニトロ−p−フェニレンジアミン、1,4−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、イソフタロイルクロリドおよびテレフタロイルクロリドを、それぞれ、17.


    67、0.0、32.82、24.75、および24.75モル%使用して、縮合することによって形成される。 重合後、ポリマー末端は、そのポリマーとベンゾイルクロリドをさらに縮合することによってキャップされ得る。 フォトレジストの照射領域は,N−メチル化アミド結合で切断を受け、遊離カルボキシル基を形成し、そしてそのポリマーの分子量が減少する。 この照射領域は、エタノールアミンおよびシクロヘキサノンの混合物を含む現像剤によって可溶化され得る。


    好ましい実施形態において、現像剤は、シクロヘキサン中10〜15%のエタノールアミンである。 照射されていないフォトレジストは、アミドベースの剥離剤(例えば、1−メチル−2−ピロリドンおよびジメチルホルムアミドが挙げられる)により除去され得る。

    【0198】 上記のポリアミド組成物は、多くの溶媒に対して耐性の乾燥フィルムを提供する。 これらのフィルムを365nmの光で照射すると、以下のような分子内光酸化が起こる:

    【0199】

    【化37】

    この反応は、実質的に分子内であることが知られている(総説については、Pi


    llai,Synthesis 1980(1980)1頁を参照のこと)。 このように、照射は、フィルムと接触したスルフェート結合基との副反応を起こさない。 照射領域は、非水性現像剤によって選択的に可溶化され得る。 いずれの特定の理論に束縛されることを望まないが、光パターン化機構は、ポリマー鎖の切断および酸性カルボキシル基の出現の両方の結果であると考えられる。

    【0200】 フォトレジストは、上記のような標準的な技術を使用して適用され得、これにはピペットを用いる傾斜への塗布、浸漬コーティング、スピンコーティングおよびマイクロ調合(microdispensing)が挙げられる。 液体フォトレジストの最適な拡散は、基材の表面張力が、フォトレジスト溶媒による湿潤に適合性であることを必要とする。 例えば、基材の臨界表面張力未満の表面張力を有する溶媒は、基材表面を湿潤する(すなわち、0の接触角を示す)。 特定のp
    Hにおける、特定の基材と溶液との接触は、その表面上の静電気の密度および/
    または組成を変えることによって適切な表面張力を作ることが必要であり得ることが当業者に明らかである。 一実施形態において、基材は、フォトレジストの塗布の前に、塩基性水溶液(例えば、AZ(登録商標)351現像剤)と簡単に接触される。 水性フォトレジストによる湿潤を提供するために表面張力を変えるための他の方法は、当業者に良く知られている。 塗布プロセスにおける全ての操作、照射およびフォトレジストの現像は、フォトレジストと反応する光範囲の外側の波長の光によって、主にまたは全体的に明るくした室内で実施されなければならない。

    【0201】 フォトレジスト溶液が塗布された後、加熱によってフォトレジスト層が生成され得る。 例えば、基材は、実質的に全ての溶媒が蒸発するまで、約85℃〜90
    ℃で数分間焼かれ得る。 好ましい実施形態において、フォトレジストコーティングは、0.2μm〜4.0μm厚である。 この弱い焼きに続いて、基材はさらに、110℃〜135℃で数分間焼かれ、完全な溶媒除去を保証し得る。 不完全な溶媒除去は、種々の溶媒と接触した際、完全性を損なうコーテイングの原因となり得る。

    【0202】 塗布に続いて、フォトレジストは連続的であり、そして任意の下敷分子を被覆しなければならない。 より詳細には、これらの下敷分子は、0.1〜20ミクロン厚、より好ましくは、1〜3ミクロン厚で、フォトレジスト層の下に存在する。 凸部要素(例えば、複数の多孔性コーティング)に連結された分子を用いる実施形態において、フォトレジストはまた同様に、これらの要素を被覆しなければならない。 フォトレジストの厚さに依存して、フォトレジストの表面は、平らであるか、または基材、ならびに凸部領域おもび/もしくは凹部領域または要素の表面輪郭に従う。 一般的に、フォトレジストの表面輪郭は、連結した下敷分子の表面輪郭より少なくとも0.1ミクロン高い。

    【0203】 (b.照射) フォトレジスト層は、次いで、選択的に照射される(すなわち、フォトレジストの一部分は、照射領域の溶解性を変える波長で照射される)。 このような選択的な照射は、上記のような1つ以上のマスクおよび写真平版技術を使用して達成され得る。 特定の実施形態において、フォトレジストを照射すると、単独で、照射したフォトレジストの実質的な除去が生じる。 他の実施形態において、照射したフォトレジスト層は、フォトレジストの除去を促進するために、現像剤に暴露されなければならない。 現像剤は、照射または非照射領域を選択的に可溶化し、
    そして除去する溶液であり得る。 非架橋機構によって進行した光反応を使用するフォトレジストの実施形態において、現像剤は、ポリマー成分の溶解度スペクトルの外側にある溶媒および溶媒混合物を試験することによって同定され得る。 しばしば、このようなフォトレジスト中の光活性成分は、塩基性ヒドロキシルまたはカルボキシル部分の生成を生じ、そして照射部分の選択的な可溶化は、水性または有機塩基を溶媒または溶媒混合物に添加することによって達成され得る。 好ましい有機塩基には、例えば、トリエチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、ピペリジンおよびジイソプロピルエチルアミンが挙げられる。 これらのガイドラインを使用して、選択された溶媒および塩基混合物は、試験マスクパターンによって並行して照射されたいくつかのコーティング基材を使用して、パネル形式で現像活性について迅速に試験され得る。 光架橋に基づくフォトレジストに対して、好ましい現像溶液は、ポリマー成分の溶解度プロフィール内であることが知られている試験溶液によって最も容易に同定される。

    【0204】 適切な現像剤は、ケトン、アミノ、ヒドロキシルおよび/またはアミド部分を含む溶媒(例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミドまたはジメチルホルムアミド)の非水性混合物を含む。 式(1)、(2)および(3)によって表される実施形態の各々を現像するために使用され得る代表的な混合物を、表Iに示す。 代替の現像剤は、ガス状組成物または照射であり得る。

    【0205】

    【表1】

    一般的に、フォトレジストは、フォトレジストコーティングが、ポジ型フォトレジストの照射領域(またはネガ型フォトレジストの非照射領域)から実質的に除去されるまで、現像溶液と接触したままにされなければならない。 好ましい実施形態において、これは5〜10分間の浸漬を必要とする。 現像剤の性質に関係なく、ポジ型フォトレジストについては、フォトレジストを現像剤に暴露すると、照射領域に内在する分子(または表面)を暴露する1つ以上の開口を有するフォトレジスト層が生じる。

    【0206】 現像剤への暴露が完了した後、このフォトレジスト層は適切な揮発性溶媒でリンスされて、残留した現像剤および/または除去されたフォトレジストが除去され得る。 1つの適切な溶媒はアセトニトリルである。 後リンス(post−ri
    nse)熱処理または焼きが、フィルムの耐溶媒性をさらに増加するために用いられ得る。 いくつかの実施形態において、フィルムは、約1分間、約90℃〜1
    35℃の温度で加熱される。

    【0207】 (c.試薬(単数または複数)との接触) フォトレジストが除去される領域は、次いで、少なくとも1つの試薬と接触される。 好ましくは、全フォトレジスト層が試薬と接触され、この試薬は、暴露領域中の第1の分子とのみ反応する。 液体試薬は、いくつかの技術を使用して支持表面に塗布され得、この技術には噴霧、浸漬、マイクロ調合またはそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。 好ましくは、これらの試薬は、溶液相法を使用して、表面に塗布され、蒸気相法もまた可能であることが当業者に明らかである。

    【0208】 好ましい実施形態において、液体試薬は、図1Eに記載される反応物系を使用して送達され得る。 このような反応体系の要素は、クランプと一緒に保持され得る。 反応体キャビティは、任意の適切な容量(例えば、300μl、これは1.
    25×1.25cmの多孔性コーティングを含むのに十分である)を有し得る。
    好ましい実施形態において、反応体の塩基およびガスケットは、ポリテトラフルオロエチレンであり、基材はガラスである。 反応体系は、入口および出口ポートを、それぞれ、シリンジまたは試薬送達器のいずれかに接続することによって、
    手動でまたは自動的のいずれかで、化学試薬を多孔性コーティング上に送達し得る。

    【0209】 ヒストリーを作るために使用され得るタイプの試薬は制限がない。 好ましい実施形態において、これらの試薬は、生体高分子または薬理学的アナログを生成する固相合成の成分である。 試薬は、好ましくは、有機ポリマー(例えば、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、ペプチド核酸、モルホリノベースのヌクレオ塩基ポリマー、ペプチドベースの核酸模倣物(PENAM)およびヌクレアーゼ耐性ポリヌクレオシド)の前駆体である。

    【0210】 生体高分子リガンドは、固相核酸合成(例えば、ホスホラミダイトまたはH−
    ホスホネート法)、固相ペプチド合成(例えば、「メリフィールド法」、Mer
    rifield,J. Am. Chem. Soc. 85:2149,1963を参照のこと)、または固相ペプチド核酸合成(Egholmら、J.Am.Che
    m. Soc. 114:1895,1992を参照のこと)によって、表面上に合成的に構築され得る。 固相合成によって入手可能な、既知のまたは潜在的な薬学的活性を有する試薬には、例えば、ベンゾジアゼピン、スルホンアミド、ヒダントイン、ミコナゾール、ジヒドロピリドン、ピラゾロン、ピリミジン、キナゾリン、キナゾリノン、オリゴカルバメート、ペプトイド、ペプチジルホスホネート、およびカルボキシアルキルジペプチドのアナログが挙げられる(Gordon
    ら、J. Medicinal Chem. 37:1385,1994およびTh
    e Combinatorial Chemistry Catalog,No
    va Biochem. Inc. ,1998を参照のこと)。 他の低分子合成は、固相上で起こることが公知の有機反応を使用して可能である。 このような反応の代表的な例を表IIに示す。

    【0211】

    【表2】

    試薬はまた、酵素合成法(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応、RNAポリメラーゼを使用するインビトロRNA合成、およびインビトロタンパク質翻訳系(例えば、網状赤血球溶解系)を使用するタンパク質合成)を使用する固相合成ストラテジーの成分であり得る。 あるいは、試薬は、インタクトなリガンドを表面に結合する方法の成分であり得る(Methods in Enzymology、


    第XLIV巻、Klaus Mosbach編(1976)、Academic


    Press N. Y. を参照のこと)。 リガンドを基材に連結するのに利用可能な他の試薬および固相合成法は、当業者に明らかである。

    【0212】 試薬ヒストリーに依存して、規定の領域が、化学反応(結合のカップリング、
    結合の開裂、結合の転位、またはそれらの任意の組合せ)の順序を維持し得る。
    このような結合の変化は、典型的に、試薬および連結した分子内の両方で生じるが、いくつかの場合において、一方または他方のみで生じ得る。 化学反応は、その後に続く化学反応において反応性の連結分子上に基を作製し得るか、またはその後の化学反応により、基を不活性化もしくはブロックし得る。 多くの実施形態において、試薬ヒストリーにおける最後の試薬は、1つ以上の連結分子から保護基を除去する。 いくつかの実施形態において、この試薬ヒストリーは、連結ポリマー(例えば、ペプチド、DNAまたはRNA)を有する領域を導く。

    【0213】 いくつかの実施形態において、複数の試薬が、連続して、所定のパターン付けされたフォトレジスト層と接触される。 他の実施形態において、試薬ヒストリーは、フォトレジスト層なしで添加された試薬で分散される。 このような試薬は、
    共通のサブヒストリーを有する試薬ヒストリーを有する複数のリガンドに寄与する。 例えば、第1領域にS−[R 1 ]−[R 2 ]−[R 3 ]の試薬ヒストリーを有するリガンド、および第2領域にS−[R 4 ]−[R 2 ]−[R 3 ]の試薬ヒストリーを有するリガンドを合成することが所望であり得る。 このプロセスは、フォトレジスト層を確立し、そしてそれを第1領域に照射することによって開始する。 次いで、このフォトレジストを、現像剤と接触させ、試薬R 1と接触させ、そしてストリップする。 第2フォトレジスト層を確立し、そして第2領域に照射する。 このフォトレジストを現像剤と接触させ、試薬R 4と接触させ、そしてストリップする。 第1および第2の領域を、次いで、同時に、フォトレジスト層なしで試薬R 2続いて試薬R 3と接触させ、共通のサブヒストリーである[R 2 ]−[
    3 ]を両方の領域に残す。 共通のサブヒストリーにおける試薬の数は、広範に種々の値を網羅し得るが、好ましい実施形態において、2〜100、2〜20、
    および最も好ましくは2〜3の範囲である。

    【0214】 いくつかの実施形態において、フォトレジスト層なしで添加された試薬は、フォトレジスト層を使用して以前に添加された試薬の効果に依存して、異なる領域で、異なる反応をし得る。 例示として、第1領域でS−X−[R 1 ]−[R 2 ]のヒストリーを有するリガンド、および第2領域でS−X−[R 4 ]−[R 2 ]のヒストリーを有するリガンドを合成することが所望であると仮定する。 ここで、X
    は、支持表面上に結合された分子である。 フォトレジスト層の非存在下において、R 2試薬は、R 1およびR 4によって開始される反応の生成物に依存して、第1
    および第2の領域において、異なる反応をし得る。 例えば、R 4はX上の反応基のみから保護基を除去し、そしてXはR 1に対して不活性であると仮定する。 R 2は反応基へカップリングし得るとさらに仮定する。 この場合、R 2試薬は、パターン付けされたバリア層の非存在下においてでさえ、第2領域におけるXへ選択的にカップリングする。 逆に、前回の試薬は、特定の領域を、さらなる試薬に対して完全に非反応性にし得る。 例えば、R 1はX上の単一反応基へ保護基を付加し、そしてR 4はこのような保護基を付加しないと仮定する。 再び、R 2の適用は、パターン付けされたバリア層の有りまたは無しで、第2領域における選択的カップリングへと導く。 これらの例は、同一のサブヒストリーは非常に異なる合成結果へと導き得ることを例示する。

    【0215】 (d.フォトレジストの除去) 光不活性ポリマーの溶媒プロフィールは、適切な剥離剤が当業者によって容易に同定されることを可能にする。 非架橋機構によって進行されるフォトレジストの場合、最終的なフォトレジストは、典型的には、このポリマー成分を可溶化する溶媒を使用してストリップされる。 このような溶媒は、典型的には、非反応性であり、そしてアレイ表面に結合される有機分子の有害な変化を引き起こさない。 好ましい実施形態において、適切なストリッピング溶液は、ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピロリドン(NMP)、またはジメチルアセトアミド(DMAC)からなる群から選択される。 以下の好ましいポリマーに基づくフォトレジストは、典型的に、示される溶媒によってストリップされる。

    【0216】

    【表3】

    光架橋に基づくフォトレジストについて、架橋された高分子ネットワークを切断するが、アレイ表面に結合されるいずれの有機分子にも悪影響を与えないストリッピング溶液が、必要とされる。 このようなストリッピング溶液は、この高分子ネットワークにおける結合を特異的に切断する試薬を必要とする。 例えば、架橋されたポリビニルアルコールに基づくフォトレジストは、アレイに結合する有機分子が、隣接する炭素原子へ接続される2以上の−OH基または=O基を含む結合を欠く限り、過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を使用して選択的にストリップされ得る。 ポリマーにおける他の選択可能な結合は、当業者に容易に明らかである。

    【0217】 ストリッピングプロセスは、フォトレジスト層全体を実質的に除去するべきである。 換言すると、上記のように、このフォトレジストは、下にある分子と試薬との間の所望の反応を可能にするために十分に除去されるべきである。 このような反応は、フォトレジストで予めコーティングされていない同様の分子について観察される収率の、少なくとも50%、そしてより好ましくは少なくとも90%
    の収率で進行するべきである。 反応収率は、問題の反応について適切な標準的技術を使用して、フォトレジスト有りまたは無しで、容易に決定され得る(用語集における句「実質的な除去」を参照のこと)。

    【0218】 上記のプロセス(フォトレジストでのコーティング、フォトレジストの選択的照射、照射される領域からのフォトレジストの実質的な除去、照射された領域内で曝露される分子の反応、および残りのフォトレジストの除去)は、所望の回数だけ繰り返され、個々の既知の領域における異なる分子の合成を達成し得る。 各連続工程内で、照射が、前の工程におけるのと同一である領域へ、個々の位置にある領域へ、または前の領域と重複する領域へ異なる割合で標的化され得ることが明らかである。

    【0219】 固相合成(または他の結合方法)が、使用され、上述のように、実質的に任意の形状の多孔性コーティング上にリガンドの配置(例えば、アレイ)を生じ得る。 好ましい実施形態において、リガンド基が、多孔性コーティング上のアレイとして配置され、各基は、既知かつ独特の化学組成を有する実質的に純粋なリガンドを含む。 いくつかの実施形態において、各基は、既知かつ独特の試薬ヒストリーを有する実質的に純粋なリガンドを含む(用語集における「試薬ヒストリー」
    を参照のこと)。 いくつかの実施形態に従って、いくつかのリガンドが、生物学的活性についての最初のスクリーニングのために材料を提供するために、同一の予め規定された体積内で意図的に提供され、その後、有意な結合を示す予め規定された体積内のこの材料は、さらに評価される。

    【0220】 従って、本明細書中で提供される方法は、個別の既知の領域中のほとんど全ての所望の有機化合物のアレイを作製するために使用され得る。 好ましい実施形態において、アレイは、10、100、1,000、10,000、10 5または10 6を超える、個別の既知の領域の表面に結合された独特のリガンドを含む。
    このようなアレイは、1cm 2未満の総面積を占め得る。 各領域は、好ましくは、約10 6 μm 2 、より好ましくは、10,000μmまたは100μm 2未満の面積を占有し、そしていくつかの実施形態においては、単一のリガンド分子を含み得る。

    【0221】 上述の方法は、代表的な物品の手動の構築を例示する。 当然ながら、自動化方法または半自動化方法が使用され得ることが理解される。 結合されたリガンドを保有する多孔性コーティングを含む物品は、金属酸化物分散の自動化適用、ならびに自動化リアクターシステムにこの多孔性コーティングを搭載することによる試薬の自動化添加および除去によって作製され得る。 連続的なフォトレジスト層およびマスクは、手動でまたは自動的に適用され得る。

    【0222】 (リガンドアレイ) 本発明の重要な局面は、本明細書中に開示されるように、クラック無し(cr
    ack−free)多孔性コーティングを少なくとも25ミクロン厚にすることが可能であるという発見であり、これは、連続的かつ厚みにおいて実質的に均一である。 このような特徴は、リガンドアレイ適用において必須であり、これは、
    表面における大きいが均一なリガンド密度を要求する。

    【0223】 本明細書において提供されるような多孔性コーティング上に確立されるアレイは、リガンド−レセプター結合についてのスクリーニングに関して特定の利益を有する。 例えば、多孔性アレイは、レセプターによって結合されるリガンドの位置を迅速に同定するための容易に認識されるランドマークを提供する。 いくつかの実施形態において、多孔性アレイ要素は、例えばロボティクスおよび機械ビジョン(machine vision)を使用しての、接着性表面からのそれら自体の自動化除去のためのランドマークとして役立つ。 除去は、リガンドが、個々の反応容器へ分離され、多孔性支持体から脱着され、そしてリガンド−レセプター結合についてスクリーニングされることを可能にする。 特定の実施形態において、多孔性要素間の表面は、差動的な表面張力を提供し、その結果、適用されるレセプターは、個々のナノ粒子(nanodroplet)に分離する。 各ナノ粒子は、個々の多孔性要素へ接着する。 ナノ粒子の空間的分離は、他の多孔性要素からのリガンドの混合を阻止し、その結果、インサイチュでリガンド−レセプター結合が、各個々のリガンドについてアッセイされ得る。

    【0224】 パターン付けされた多孔性コーティングの他の利点は、固相合成の間に連続的なマスクを整列させるために容易に認識されるランドマークを含む。 また、パターン付けされた多孔性コーティングは、基材表面上に他の微小製造(micro
    fabricated)システムを収容し、これは、いくつかの実施形態において、例えば多機能バイオチップのパーツとして多孔性要素と接続し得る。 このような多孔性コーティングと接続し得る微小製造システムは、例えば、増幅、分離、検出、試薬送達および半導体のシステムを含む。 好ましくは、このようなシステムは、比較的小さく、ミクロ作製方法を使用して、上記のように製造される。
    多孔性コーティングへ接続され得る他の微小製造システムは、電気回路、キャピラリー電気泳動(Woolleyら、Proc.Natl.Acad.Sci.
    USA 91:11348,1994を参照のこと)、PCR(Wilding
    ら、Clin. Chem. 40:1815,1994を参照のこと)、シグナル検出(Lamtureら、Nucl.Acids Res.22:2121,1
    994を参照のこと)およびミクロ流体(microfluidic)操作(B
    urnsら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:5556
    ,1996を参照のこと)を含む。 いくつかの実施形態において、多孔性アレイの高リガンド表面密度は、酵素的反応のアレイにおける試薬として機能するに十分な材料を提供し得、アレイは、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応すなわちPCR
    (Mullis、米国特許第4,683,202号およびMullisら、米国特許第4,683,195号を参照のこと)のような増幅反応のアレイを含む。
    結合されたリガンドおよび他の化合物を保有する、個々のパターン付けされた多孔性コーティングに接続され得る他の微小製造要素は、当業者に明らかである。

    【0225】 本明細書中で提供される多孔性コーティングへ接続され得るリガンドのタイプは、限定されないことが明らかである。 好ましい実施形態において、リガンドは、例えば、強力な薬理学的な、農薬または除草剤、除草剤候補物、薬物アナログ、あるいは重要な生物学的ポリマー(DNA、PNA、PENAMおよび他の核酸ポリマーを含む)を含み得る。 しかし、このようなポリマーリガンドは、本明細書中で提供される方法を使用して、可能なリガンドのサブセットのみを示すことが理解される。 試薬ヒストリーにおける試薬の数は、広範な範囲にわたって変化し得、そして好ましくは、2〜100まで変化し得る。

    【0226】 結合される化合物は、任意のサイズであり得、そして例えば、約10 1グラム/mol、10 3グラム/mol、10 4グラム/mol、10 5グラム/mol
    、10 6グラム/molまたは10 7グラム/mol未満の分子量を有し得る。 結合される化合物の各々は、好ましくは、実質的に純粋であり、そして既知の化学組成または試薬ヒストリーである。 特定の実施形態において、各個々の領域は、
    あらゆる他の個々の領域における化合物の構造と異なる構造を有する化合物を含む。 他の実施形態において、同一の構造が、複数の個々の領域において現れ得る。 例えば、リガンドは、冗長性(redundancy)の目的のために2つ以上の領域において存在し得る。 構造を共有する化合物の割合は、非常に低くあっても良く、または10%、50%、70%または90%を超えても良い。

    【0227】 リガンド基の得られる配置、および各基によって占有される領域の形状は、本質的に、任意のサイズおよび任意の形状であり得る。 例えば、四角形、楕円体、
    長方形、三角形、円形、またはそれらの一部が、不規則な幾何学的形状と共に、
    利用され得る。 二次元アレイが、一般的に好ましい。

    【0228】 特定の好ましいリガンドは、ヌクレオ塩基ポリマーである。 ヌクレオ塩基ポリマーは、骨格へ連結されるヌクレオ塩基のポリマーである。 骨格は、天然に存在しても、または天然に存在しなくとも良い。 このような骨格に連結されたヌクレオ塩基は、天然に存在しても、または天然に存在しなくても良い。 このようなヌクレオ塩基ポリマーは、特定の核酸配列(例えば、アンチセンス分子)へ特異的にハイブリダイズし得る。 分解(degradative)酵素に対する耐性に加えて、ヌクレオ塩基ポリマーのいくつかのアレイは、さらなる利益を提供する。 例えば、PNAアレイは、より迅速なハイブリダイゼーション、より高い特異性、より簡便なハイブリダイゼーション条件(すなわち、高温でのショートプローブのハイブリダイゼーション)およびDNA鎖置換および三重鎖形成を介して直接的に二重鎖DNAへハイブリダイズする能力を提供する。

    【0229】 多くのヌクレオ塩基ポリマーのさらなる利点は、生存細胞の膜へ浸透する能力である。 細胞膜へ浸透し得るヌクレオ塩基ポリマーを使用する実施形態において、本明細書中で記載されるアレイは、アンチセンス様式で遺伝子発現を調節するために使用され得る。 このような実施形態において、このアレイの各ヌクレオ塩基ポリマーは、好ましくは本明細書中で記載される酵素不安定性リンカーを使用して1以上の生存細胞と接触しながら、基材から脱着される。

    【0230】 ヌクレオ塩基ポリマー中へ組み込まれ得るヌクレオ塩基としては、例えば、プリン塩基およびピリミジン塩基が挙げられるが、これは、天然に存在しても良く、または天然に存在する塩基のアナログでも良い。 特定のアレイ適用において有益であり得る特性を示す広範な種々のアナログが、記載される。 例えば、いくつかの場合において、特定の位置で非特異的に結合するヌクレオ塩基を組み込むことが所望され得る。 イノシンにおいて存在するヌクレオ塩基は、このような非特異的なアナログの例である。 これは、例えば、ヌクレオ塩基配列の1または数個の位置以外は相同である標的核酸の密接に関連するファミリーを標的化する際に、特に有用であり得る特定の位置で、ヌクレオ塩基ポリマーへ縮重を組み込むために使用され得る。 イノシンは、4つの天然のヌクレオ塩基の全てと対を成し得るが、結合の強度は変化する:dC>dA>dG/T。 あるいは、ユニバーサルヌクレオ塩基3−ニトロピロール−2'デオキシヌクレオシドが、縮重を導入するために使用され得る。 このストラテジーにおいて、アナログは、他の4つの天然のヌクレオ塩基へ有意にハイブリダイズせず、そして挿入試薬として作用することによっていくつかの二重鎖不安定化(duplex destabiliz
    ation)を形成する。

    【0231】 特に興味深くあり得る調節されたヌクレオ塩基の他の型は、結合親和性を増強するものである。 例えば、ジアミノプリンは、チミンと3個の水素結合を形成し得、一方、アデニンおよびチミンは2個のみの水素結合を形成する。 同様に、ピリドピリミジンヌクレオ塩基は、シトシンの代わりに、グアニジンとのより強力な対を提供するために使用され得る。

    【0232】 ヌクレオ塩基はまた、任意の種々の「標的レセプター調節基」を含み得る。 例示のために、ヌクレオ塩基は、架橋部分として機能し得る。 例えば、6−ブロモ−5,5−ジメトキシヘキサノヒドラジドが、シチジンのC 4位に導入されて、
    アルキル化され、そしてそれによってグアノシンを架橋し得る(Summert
    onおよびBartlett. J. Mol. Biol. 122:145,197
    8を参照のこと)。 N 4 ,N 4 −エタノ−5−メチル−シトシンが、同様な効果に対して使用され得る(WebbおよびMatteucci,J.Am.Chem
    . Soc. 108:2764,1986およびCowartら、Biochem
    istry 28:1975,1989を参照のこと)。

    【0233】 種々の特性を示す広範なプリンアナログおよびピリミジンアナログが、当該分野において公知である(Conholly,Methods Enzymol.
    211:36,1992;LinおよびBrown,Methods Mol.
    Biol. 26:187,1994およびMeyer,Methods Mol
    . Biol. 26:73,1994において概説される)。 このようなアナログには、例えば、ブロモチミン、アザアデニンおよびアザグアニンが挙げられる。
    このようなアナログの例示的だが包括的でないリストは、以下を含む:1−メチルアデニン、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、1−メチルプソイドウラシル、2−メチルチオ−N 6 −イソペンテニルアデニン、2−チオシトシン、
    2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、2−チオウラシル、2,2−ジメチルグアニン、2,6−ジアミノプリン−3−メチルシトシン、3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシプロピル)−ウラシル−4−アセチルシトシン、4−
    チオウラシル、5−フルオロウラシル、5−ヨードウラシル、5−ブロモウラシル、5−メチルウラシル、5−メチル−2−チオウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、5−クロロウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウラシル、5−メチルアミノメチルウラシル、5−カルボキシヒドロキシメチルウラシル、5−メチルアミノメチルウラシル、5−カルボキシヒドロキシメチルウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、5−
    メトキシウラシル、5−メチルシトシン、7−メチルグアニン、7−デアザグアニン、7−デアザアデニン、β−D−マンノセイルキューオシン(β−D−ma
    nnoseylqueosine)、β−D−ガラクトシルキューオシン(β−
    D−galactosylqueosine)、ジヒドロウラシル、ヒポキサンチン、イノシン、N−ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、N 6 −メチルアデニン、N 6 −イソペンテニルアデニン、プソイドウラシル、キューオシン(
    queosine)、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5
    −オキシ酢酸およびキサンチン。

    【0234】 適切なヌクレオ塩基ポリマーの代表的な例には、ペプチド核酸(Buchar
    dtらのPCT WO92/20702、およびBuchardtらの米国特許第5,719,262号)が挙げられ、これらは、塩濃度と独立したより強い結合(すなわち、対応するDNAプローブよりも高いT m )、相互作用のより高い特異性、減少したハイブリダイゼーション回数および環境ヌクレアーゼに対する耐性を含む、DNAに対する多数の利点を提供する。 低い塩条件下で、PNA結合は、非常にエネルギー的に好ましいので、それが、この二重鎖の1本の鎖を置換することによって直接的に二重鎖DNAに結合する。 他の適切なヌクレオ塩基ポリマーは、モルホリノベースのヌクレオ塩基ポリマー(SummertonおよびWeller、米国特許第5,698,685号;Summertonら、
    米国特許第5,378,841号、ならびにSummertonおよびWell
    er、米国特許第5,185,444号を参照のこと)、ペプチドベースの核酸模倣物またはPENAM(Shahら、米国特許第5,698,685号を参照のこと)、ならびにカルバメートを含む結合を有するポリヌクレオシド(Str
    ichakおよびSummerton、J. Org. Chem. 52:4202
    ,1987を参照のこと)、アミドを含む結合を有するポリヌクレオシド(Le
    bretonら、Synlett. 第137頁、Feburaryを参照のこと)、メチレン(メチルイミノ)を含む結合を有するポリヌクレオシド(Vass
    eurら、J. Am. Chem. Soc. 114:4006,1992を参照のこと)、3'−チオホルムアセタール を含む結合を有するポリヌクレオシド(
    Jonesら、J. Org. Chem. 58:2983、1993を参照のこと)、スルファメートを含む結合を有するポリヌクレオシド(HuieおよびTr
    ainor、米国特許第5,470,967号)ならびに他を含む結合を有するポリヌクレオシド(Swaminathanら、米国特許第5,817,781
    号、ならびにFreierおよびAltmann、Nucl. Acids Re
    s. 25:4429,1997およびそこに記載される参考文献を参照のこと)
    を含む。 特に好ましいヌクレオ塩基ポリマーは、以下に示されるような繰り返しユニットを含み、ここで、Bは、天然に存在するヌクレオ塩基または天然に存在しないヌクレオ塩基である:

    【0235】

    【化38】

    他の適切なヌクレオ塩基ポリマーは、当業者に容易に明らかである。

    【0236】 さらなる代表的なヌクレオ塩基ポリマーは、以下の形態のモルホリノサブユニットを含むものが挙げられ:

    【0237】

    【化39】

    ここで(i)これらのサブユニットは、非荷電リンを含有するキラル結合(1〜


    3原子長)によってともに結合され、1サブユニットのモルホリノ窒素は、隣接するサブユニットの5'環外炭素へ結合しており、そして(ii)Bはヌクレオ塩基である。 他のヌクレオ塩基ポリマーは、以下の形態の繰り返しユニットを含み得る:

    【0238】

    【化40】

    ここで、各Wは、独立して、−CH

    2 −、−O−、−S−、−CH=、−CO−


    および−NR

    1 −からなる群から選択され、ここでR

    1は水素またはスペーサーであり;各Xは、独立して、−CH

    2 −、−O−、−S−、−CH=、=CH−、


    =N−、−CO−、−NR

    2 −からなる群から選択され、

    【0239】

    【化41】

    (ここで、R

    2は、水素またはスペーサーであり、R

    3はアルキルまたはスペーサーであり、R

    4はアルキル、シアノエチルまたはスペーサー基であり、R

    5は、水素またはスペーサーであり、R

    6は水素またはスペーサー基であり、そしてR

    7は水素またはスペーサーであり);各Yは、独立して、−CH

    2 −、−O−、−S


    −、−CH≡、−CH=、=CH−、=N−、−CO−および−NR

    8 −からなる群から選択され、ここで、R

    8は、水素またはスペーサーであり;各Zは、独立して、−CH

    2 −、−O−、−S−、=CH−、−CO−および−NR

    9 −からなる群から選択され、ここで、R

    9は、水素またはスペーサーであり;各Bは、


    独立して、ヌクレオ塩基からなる群から選択され;そして各nは、独立して、1


    〜100の範囲の整数から選択される。 他の代表的なリガンドには、核酸、ポリサッカリド、リン脂質、およびα−、β−、またはω−アミノ酸のいずれかを有するペプチド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレア、ポリアミド、ポリエチレンイミン、ポリシロキサン、ポリイミドおよびポリアセテートの線形および環式のポリマーが挙げられる。

    【0240】 好ましい実施形態において、アレイは、分解(degradative)酵素に対して耐性である接続したリガンドを含む。 換言すると、リガンドの少なくとも50%が、任意の分解酵素(すなわち、ヌクレアーゼまたはプロテアーゼ)の存在下で1以上の有用なアッセイを実施するに十分な時間の間にわたって未分解のままであるべきである。 このようなアレイは、有意な利点を提供する。 なぜならば、これらは、粗細胞抽出物とともにまたは分解酵素の作用に対してリガンド−アレイを曝露し得る任意の環境において、繰り返し、厳しい環境において使用され得るからである。 アレイが核酸の結合をスクリーニングするために使用されることを要求する適用において、耐性リガンドは、好ましくは、天然に存在しない骨格を有するヌクレオ塩基ポリマーである。

    【0241】 ヌクレオ塩基ポリマーリガンド−アレイの1実施形態において、ヌクレオ塩基ポリマーのいくつかは、参照配列の特定の位置で、標的ヌクレオ塩基の同定を問い合わせる(interrogate)ために有用な2〜10個の異なるプローブの少なくとも1セットを含み得る。 1セットにおける1プローブは、参照配列および標的ヌクレオ塩基にわたる4〜40個のヌクレオ塩基部分に対して完全に相補的である。 他のプローブは、各々が標的ヌクレオ塩基のこの位置での異なるヌクレオ塩基置換(すなわち、ポリマー骨格の構造を変化させずに、ヌクレオ塩基アナログを含む異なるヌクレオ塩基を有する特定のヌクレオ塩基の置換)を含むことを除いて、第1プローブと同一である。 好ましくは、このヌクレオ塩基置換は、プローブの長さに対して中央に配置されるが、これは、絶対的要件ではない。 参照配列とのアレイの接触は、参照配列と完全に相補的であるプローブでの最も多い量のハイブリダイゼーションを生じること、および完全な相補性未満であるセットのプローブでのより少ない量のハイブリダイゼーションを生じることによって標的ヌクレオ塩基の同一性を決定する。 例えば、参照配列が、蛍光標識で標識化される場合、セットにおけるどのプローブが最も強力な蛍光シグナルを有するかを決定することによって、このセットにおけるどのプローブが最も多い量のハイブリダイゼーションを有するかを決定し得る。 特に、非セット含有(n
    on−set−containing)アレイは、単離において検出された特定の標的ヌクレオ塩基について不明瞭なポジティブシグナルまたはネガティブシグナルへ導かれ得、セット含有アレイは、各可能な標的ヌクレオ塩基について並んでいるシグナル比較を提供することによって標的ヌクレオ塩基の正確な認識を容易にする。 このようなアレイについての好ましい参照配列としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ヒト免疫欠損ウイルス、ヒp53遺伝子、ヒトCFTR遺伝子、ヒト第V因子遺伝子、ヒトBRCA1遺伝子、ヒトBRCA
    2遺伝子、ヒト白血球抗原およびヒト単一ヌクレオチド多型。

    【0242】 正確なシグナルと不正確なシグナルとの間のシグナルの差異は、PNAヌクレオ塩基ポリマーを含むリガンド−アレイの使用を通してさらに増加され得る。 上述のように、PNAは、より大きな相互作用を提供し、これは、特異性に、DN
    A/DNA二重鎖における対応する不一致よりもより不安定であるPNA/DN
    Aヘテロ二重鎖における単一ヌクレオ塩基不一致を伴う。 例えば、15長のPN
    A/DNAヘテロ二重鎖における単一不一致は、平均15℃だけT mを低下させ、一方、対応するDNA/DNA二重鎖のT mは、平均11℃だけ低下させる。

    【0243】 十分なシグナル分化(differentiation)は、4つのプローブ(ここで、各プローブはアデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、またはチミン(T)のいずれかを、標的位置に有する)を含むセットを用いることで、通常、可能であるが、いくつかの実施形態において、ヌクレオ塩基アナログを標的位置に含む追加のプローブを(すなわち、総計10まで)用いることが好ましくあり得る。 特定のプローブのハイブリダイゼーションを安定化するか、または不安定化するヌクレオ塩基アナログが用いられ得、結果として、そのアナログが用いられなければ不明瞭であるシグナルを、天然に存在するヌクレオ塩基のみを含むプローブから明確化し得る。 例えば、標的位置にAおよびGを含むプローブが、ほぼ等しいハイブリダイゼーションを与えたと仮定する。 このような結果は、標的ヌクレオ塩基の同定のための2つの可能性を示唆する。 第1の可能性は、標的ヌクレオ塩基がTであり、そしてその他のハイブリダイゼーションシグナルが、T/Gミスマッチからのハイブリダイゼーションを表すということである。 第2の可能性は、標的ヌクレオ塩基がCであり、そしてその他のハイブリダイゼーションシグナルがC/Aミスマッチからのハイブリダイゼーションを表すということである。 正しい可能性は、アナログ2,6−ジアミノプリンを標的位置に含む追加のプローブを、セット中に含むことにより決定され得る。 標的ヌクレオ塩基がTである場合、2,6−ジアミノプリンを含むプローブは、AおよびGを含むプローブからのハイブリダイゼーションと比較して増加したハイブリダイゼーションを生じる。 あるいは、標的ヌクレオ塩基がCである場合、ハイブリダイゼーションは、AおよびGを含むプローブからのハイブリダイゼーションと比較して、不変であるか、または減少する。 セットへの包含に適した可能な標的ヌクレオ塩基の間の結合エネルギーの差異を増加させるための他のヌクレオ塩基アナログは、当業者に明らかである。

    【0244】 アレイが含み得るこのようなセットの数については、アレイ上のプローブの総数で与えられる場合を除き、制限はない。 最大には、アレイ上のセットの総数は、プローブの数の1/2であり、そして好ましくは100,000セット未満である。 参照配列と比較して、セットのプローブは任意の数のヌクレオ塩基が互いに重複し得るか、または全く重複し得ない。 調べられ得る標的ヌクレオ塩基の数もまた、特別な制限はなく、参照配列中の標的ヌクレオ塩基の総数により制限される。 このようなセット含有アレイは、例えば、単一ヌクレオチドの多形性(すなわち、SNP)、移植抗原の改変体(例えば、HLA)および遺伝子疾患において生じるような単一ヌクレオ塩基の突然変異(例えば、嚢胞性繊維症、第V因子欠失)、薬物耐性病原体(例えば、HIVおよび細菌)ならびに新形成(例えば、p53遺伝子、BRCA1遺伝子、およびBRCA2遺伝子)を従来通りスクリーニングするために用いられ得る。

    【0245】 好ましい実施形態に従って、2〜4つのプローブのn個のセット、より好ましくは4つのプローブのセット(それぞれの長さはl)は、n個の標的ヌクレオ塩基を調べるために用いられ得る(ここで、参照配列はnヌクレオ塩基長である)
    。 従って、参照配列中の全てのヌクレオ塩基は、参照配列に集合的に広がるセットを用いて調べられ得る。 配列中の全てのヌクレオ塩基の同一性を調べるセット含有アレイは、例えば、核酸分子を速やかに配列決定するために用いられ得る。
    その核酸分子は、公知の参照配列または、公知の参照配列の改変体のいずれかを含み、ここで、その改変体は、1以上のヌクレオチド置換を、任意の(1+2)
    ヌクレオチド長につき2を超えない頻度で含む。 4〜40の範囲のlの値のためには、従って、その改変体は、1つ以上の置換を、任意の6〜42のヌクレオチド長につき2を超えない頻度で含む。 置換の頻度がこの限界より高い長さでは、
    全てのプローブは、必然的に1を超えるヌクレオチド置換に広がる。 このことは、異なるセットにわたる非常に可変的なT m値を生じ、最適化することが困難である厳重な状態を導く。

    【0246】 最も好ましくは、セット含有アレイは、分解酵素に耐性であるヌクレオ塩基ポリマーを含むセットを含む。 このような物品は、分解酵素を含む広範な種々の厳しい環境において、標的ヌクレオ塩基を調べ、核酸分子を配列決定することに適した有意な利点を有する。 このような調査および配列決定を行うことは望ましいが、分解酵素が予想される環境は、ヒトおよび動物の両方からの血液、組織、痰、尿、および糞便のような身体のサンプル中に見出される環境を含む。 他の望ましい厳しい環境は、食品試験場、土壌試験場、および、下水および汚水処理場を含む。 他のこのような望ましい厳しい環境は、このような環境におけるこのような耐性物品の価値および有用性と同様に、当業者に容易に明らかである。

    【0247】 他の実施形態において、アレイは、接続した標的レセプター修飾基(リガンドとその標的レセプターとの間の相互作用に影響を及ぼし得、そして/または標的レセプター自身に影響を及ぼし得る)を有するリガンドを含み得る。 このような修飾基の例としては、標識基、インターカレート基、切断基、およびレセプターと再適合するまたはレセプターに結合する、あるいはレセプターを修飾する他の基が挙げられる。 リガンドに導入され得る修飾基の1つの型は、核酸インターカレート基である。 多数のこのようなインターカレート基は当該分野において公知であり、それらの多くは、アクリジン誘導体である(HeleneおよびThu
    ong,Genome 31(1):413,1989;AsselineおよびThuong,Nucleosides and Nucleotides
    10(1〜3):359,1991;Helene,Anticancer D
    rug Des. 6(6):569,1991ならびにWilsonら,Bio
    chemistry 32(40):10614,1993を参照のこと)。

    【0248】 別の型の修飾基は、架橋基である。 架橋はリガンドとその標的との間の相互作用を安定化するために用いられ得、三重螺旋形成を達成し、安定化する際に特に有用であり得る。 三重螺旋形成の安定化への様々なアプローチは、光化学架橋(
    例えば、Le Doan,Nucleic Acids Res. 15:774
    9,1987およびPraseuthら,Proc. Natl. Acad. Sc
    i. USA 85:1349,1988により記載されるような)および標的二重鎖における特異的グアニンのN7のアルキル化(Vlassov,Gene
    72:313,1988およびFedorovaら. FEBS Lett. 22
    8:273,1988により記載されるような)を含む。

    【0249】 架橋はまた、リガンドに接続した新しい分子構造を、標的レセプター中の特定の位置に共有結合的に結合するために用いられ得る。 従って、例えば、リガンドに接続した標識は、そのリガンドにより、標的されたレセプター中の特定の位置に結合され得る。 このような標識は、ソラレン、クマリン、エリプチシン(el
    lipticine)およびそれらの誘導体のような光誘導性架橋薬剤であり得る(Perrouaultら,Nature 344:358,1990;Le
    Doanら,Antisense Res. Dev. 1(1):43,199
    1;Miller,Methods Enzymol. 211:54,1992
    ;Havreら,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90(16
    ):7879,1993;およびRajagopalanら,J. Biol. C
    hem. 268(19):14230,1993を参照のこと)。

    【0250】 架橋基を含まない他の標識が、用いられ得る。 多数のこのような標識基は、当該分野において公知である(Haralambidisら,Nucleic A
    cids Res. 18(3):501,1990;Strobelら,Bio
    conjug Chem. 2(2):89,1991;ならびにDurrant
    およびChadwick,Methods Mol. Biol. 28(141)
    :141,1994を参照のこと)。 このような基は、例えば、核酸における特定の配列を標識するために用いられ得、このことは、種々のゲノムの地図を作製し、そして配列決定する作業において有用である。

    【0251】 リガンドアレイに導入され得る他の修飾基は、核酸アルキル化剤である。 多数のこのようなアルキル化基は、当該分野において公知である。 例えば、このような基は、反応性アルキル化化合物としてのN−マスタード(Leeら,J.Me
    d. Chem. 37(8):1208,1994を参照のこと)、ポルフィリン(Boutorineら,Bioconjug.Chem.1(5):350,
    1990およびBrossalinaら,Antisense Res. Dev
    . 1(3):229,1991を参照のこと)、光化学的な活性化剤としてのソラレン(BhanおよびMiller,Bioconjug Chem.1(1
    ):82,1990ならびにMiller,Methods Enzymol.
    211:54,1992を参照のこと)、および誘導可能なアルキル化剤としてのキノン(ChatterjeeおよびRokita,J.Am.Chem.S
    oc. 112:9387,1990を参照のこと)を含む。

    【0252】 リガンドに導入され得るまたさらなる修飾基は、核酸切断基である。 アレイ中のリガンドが人工の配列特異的ヌクレアーゼとして作用することを許容するために用いられ得る多数の切断基が存在し、それらは、当該分野において記載されている(StrobelおよびDervan,Methods Enzymol.
    21:309,1992;SigmanおよびChen,Annu. Rev. B
    iochem. 59:207,1990;JayasenaおよびJhonst
    on,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:3526,19
    92;Podhajskaら,Methods Enzymol,216:30
    3,1992;Huber,Faseb J. 7(14):1367,1993
    ;KappenおよびGoldberg,Science 261:1319,
    1993;Sigmanら,Nature 363:474,1993;ならびにShimzuら,Biochemistry 33(2):606,1994
    を参照のこと)。 以下の代表的なアプローチは、切断基の例示的な列挙であり、
    完璧な列挙を意図するものではない。 1つのアプローチにおいて、鉄(III)
    EDTAは、MoserおよびDervan,Science 238:645
    ,1987により記載されるように、適切な酸化還元条件下でフリーラジカルを生じる切断基として用いられる。 他の酸化還元−活性な遷移金属切断基は、o−
    フェナントロリン−銅(I)(Francoisら,Proc.Natl.Ac
    ad. Sci. USA 86;9702,1989により提案された)、およびポルフィリン−鉄(II)(Le Doan,Nucleic Acids R
    es. 15:8643,1987を参照のこと)の錯体を含む。 これらの系は、
    酸化還元活性化がより容易に制御される場合に、インビトロでより有用であり得る。 他の代用は、Perrouaultら,Nature 344:358,1
    990により記載されるような光化学的切断である。 さらに別のアプローチは、
    DNaseIまたはブドウ球菌ヌクレアーゼのような比較的非特異的なヌクレアーゼを、切断基として結合させ、そしてそれを、アレイ中のリガンドへの連結により、特異的なエンドヌクレアーゼへと効果的に変換することである(Core
    yおよびSchultz,Science 238:1401,1987ならびにPeiら,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87(24):
    9858,1990を参照のこと)。 この実施形態において、本発明におけるヌクレオ塩基ポリマーのヌクレアーゼ耐性は、主要な利点である。 切断標的核酸へのさらに別の可能なアプローチは、リボザイムをリガンドアレイに結合させることである(HaseloffおよびGerlach,Nature 334:5
    85,1988;ならびにVanおよびHecht,Adv. Inorg. Bi
    ochem. 9:1,1994を参照のこと)。

    【0253】 修飾基は、リガンド内のどこにでも結合させられ得る。 しかしながら、特定の基および場所の選択を誘導すべきであるという多数の一般的な考察がある。 最も重要な考察は、基は、リガンドと標的レセプターとの間の十分なハイブリダイゼーションを妨げそうな位置に導入されるべきではないということである。 従って、小さな修飾基は、ハイブリダイゼーションの領域内で順応し得、大きな基は、
    ハイブリダイゼーションの領域の外で、より順応し得る。 ヌクレアーゼ酵素のようなさらに大きい修飾基は、ヌクレオ塩基ポリマーの末端領域に接続され得る。
    いくつかの場合において、修飾基間の相互作用の性質は、リガンド内での好ましい位置を必要とする。 さらに、このような基の結合のための好ましい位置を予測するために、分子モデリングが用いられ得る。

    【0254】 特定の実施形態において、アレイは、薬剤候補(好ましくは、500より多い薬剤候補)であるリガンドを含み得る。 各薬剤候補は、機能的アッセイを用いて、スクリーニングのために十分な量で、その表面に好ましく接続される。 特定のこのような試薬は、式:

    【0255】

    【化42】

    を有するエナプリラート(enaprilat)アナログのアレイを生じる。 ここで、Sは表面、Aはアミノプロピルトリエトキシシラン、Lは二価のリンカー分子、X

    1は一価の有機基または水素、およびX

    2は一価の有機基または水素である。 X

    1およびX

    2は、特定の実施形態において、tert−ブトキシカルボニル(t−Boc)基、ベンズヒドリルオキシカルボニル(Bhoc)基、トリメチルシリル基、t−ブチル基、フェノキシエチル基、またはテトラヒドロピラニル基のような酸に不安定な保護基(すなわち、酸により、通常はTFAすなわちトリフルオロ酢酸により除去される)をさらに含む。

    【0256】 いくつかの実施形態に従って、最初のレセプター結合スクリーンに材料を供給するために、同じ公知の不連続な領域内に多数のリガンドが意図的に提供され、
    その後、事前に定められた領域内で有意な結合を示す材料がさらに評価される。
    代替の実施形態において、公知な不連続領域の各々は、例えばウェルにおいて表面下に設けられる。 各々のウェルは、好ましくは、その内部の領域と実質的に同様な大きさを有する。 他の実施形態において、アレイ要素の間の面は、異なる表面張力を提供し、その結果、適用された液体が各々の公知な不連続領域にわたって個々の小滴へと分離する。 いくつかの実施形態において、その液体は、インサイチュでレセプターの結合の検出が可能なアッセイ混合物を含む。 小滴の空間的な分離は、個々のアレイ要素から切り離されたリガンドの混合を妨げる。 異なる表面張力は、表面に特定のパターンで接続した1つ以上の有機シランにより提供され得る。

    【0257】 領域を、継続的に添加される試薬に対してより反応性を高くまたは低くするためにパターン化されたフォトレジスト層を用いることは、通常はパターン化されたフォトレジスト層と非相溶性の試薬に局部的な選択性を与えるための方法として、有利に用いられ得る。 例えば、PNAの合成は、モノマーカップリング反応において、好ましい溶媒(1−メチル−2−ピロリジノンおよびジメチルホルムアミド)を使用する。 ポリアミドフォトレジストは多数の溶媒に耐性であるが、
    アミド溶媒による分解には特に感受性である。 この限界は、パターン化されたフォトレジスト層および適合性の脱保護剤を用いて、選択された領域中で接続したPNA分子の延びた末端から保護基を除去することにより克服される。 次いで、
    それらの領域中のPNA分子はモノマーカップリングに対して反応的になり、一方、残りの保護されたPNA分子は不活性である。 次いで、フォトレジストは剥離され、そしてカップリング溶液が多孔性表面に塗布された。 モノマーは、パターン化されたバリア層が不在であっても、保護基が除かれたそれらの領域に選択的に結合する。

    【0258】 いくつかの実施形態において、アレイ要素は、例えば多機能バイオチップの一部として、基材表面上で他の微細加工された系と結合し得る。 アレイ要素と結合し得る微細加工された系としては、例えば、増幅系、分離系、検出系、試薬送達系、および半導体系が挙げられる。 好ましくは、このような系は、比較的小さく、微細加工法を用いて製造される。 例えば、個々のアレイ要素に結合され得る微細加工された系としては、電子回路、毛管電気泳動(Woolleyら,Pro
    c. Natl. Acad. Sci. USA 91:11348,1994)、P
    CR(Wildingら,Clin.Chem.40:1815,1994を参照のこと)、シグナル検出(Lamtureら,Nucl.Acids Res
    . 22:2121,1994を参照のこと)、および微細流体工学操作(Bur
    nsら,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:5556,1
    996を参照のこと)が挙げられる。 このような系は、特定のリガンドを有するアレイ要素との直接結合において機能し得る。

    【0259】 (分解酵素に対して耐性なヌクレオ塩基ポリマーを有するアレイ) 上述のように、特定の好ましいアレイは、ヌクレアーゼおよびプロテアーゼによる分解に対して耐性である核酸ポリマーリガンドを含む。 このようなアレイは、上に提供された方法を用いて調製される;以下の説明は、例示の目的のみのために提供される。 他のヌクレオ塩基ポリマーを有するアレイを有する支持体を含む物品が、詳細に記載されたヌクレオ塩基ポリマーに関して本質的に同一の化学物質を用いて、容易に作製され得ることは、当業者に明らかである。 以下の説明は、手によるアレイ構築について記載するが、自動化された方法または、半自動化された方法が用いられ得ることもまた明らかである。 特に、フォトレジスト、
    パターン化された照射、ならびに試薬の添加および除去は、当業者により容易に自動化され得る。

    【0260】 (代表的なPNAアレイ) ペプチド核酸(PNA)アレイは、アミド結合により結合されたN−(2−アミノエチル)−グリシンの繰り返し単位のバックボーンを含み、メチレンカルボニル結合により、塩基がバックボーンに接続している。 N 1およびN 2に対して4
    つのモノマー(A、C、G、およびTと表される)を用いて、PNA二量体N 1
    2のための16の全ての可能な試薬ヒストリーを合成することが、所望される場合、支持体表面の四角の領域は、概念的に16のボックスを有する4×4アレイに分割され得る。 PNA合成は、先行分野の技術(Egholmら,J.Am
    . Chem. Soc. 114:1895,1992;Coulら,PCT WO
    96/40685;Buchardtら,PCT WO 92/20702およびBuchardtら,米国特許第5,719,262号を参照のこと)において提供されるように、活性化剤、洗浄剤、キャッピング剤、および脱ブロック化剤のような他の試薬を必要とすることは理解されるが、例証する目的のためには、モノマー単位が、所望のPNA分子を形成するために必要とされる唯一の試薬であることが想定される。 N 1試薬は、ポジ型フォトレジストを用いて、概念的なアレイの縦の4列に適用される。 第1のフォトレジストバリアは、ボックスの左端の列を露光し、ここでAが適用される。 第2のフォトレジストバリアは、
    その次の列を露光し、ここでGが適用される;続いて、第3のフォトレジストバリアは、Cの列のためであり;そして、最後のフォトレジストバリアは右端の列を露光し、これはTのためである。 第1、第2、第3、および第4のフォトレジストバリアは、異なる列位置に移される1つのマスク、または、以下のパターン:

    【0261】

    【化43】

    により表される4つの個々のマスクを用いて照射され得る。 ここで、アラビア数字はアレイ要素に対応し、そして「1」は透明なマスク領域を表し、そして「0


    」は不透明なマスク領域を表す。 N

    2試薬について、このプロセスは水平方向に繰り返される。 このとき、A、G、C、およびTモノマーは、概念的アレイの4


    つの水平列を露光するフォトレジストバリアを用いて、連続的に適用される。 第5、第6、第7、および第8のフォトレジストバリアは、異なる列位置に移される1つのマスク、または、以下のパターン:

    【0262】

    【化44】

    により表される4つの個々のマスクを用いて照射され得る。 得られる基材は、表IIIに示されるように、16の全ての可能な試薬ヒストリーを含む。

    【0263】

    【表4】

    この説明において、N

    1試薬は支持体「S」に結合し、そしてN

    2試薬は、既に接続したN

    1試薬に結合する。 このように、試薬ヒストリーは、各アレイ要素でのポリマー形成、および各ポリマーの配列組成を予測する。

    【0264】 PNAアレイの調製は、フォトレジスト材料を分解する試薬を用いる固相合成反応のために、パターン化されたフォトレジストの使用の例をさらに提供する。
    本明細書中に記載されるポリアミドフォトレジストは、多数の溶媒に対して耐性であり、このようなフォトレジストは、PNA合成において一般に用いられる1
    −メチル−2−ピロリジノンおよびジメチルホルムアルデヒドのようなN−アルキルアミド溶媒による分解に対して感受性であり得る。 この制限は、接続したP
    NA分子の延びた末端上の保護基の使用により克服され得る。 このような保護基は、選択された領域において、パターン化されたフォトレジスト層および適合性の脱保護剤を用いて除去され得る。 次いで、それらの領域中のPNA分子は、モノマーカップリングに対して反応的になり、一方、残りの保護されたPNA分子は不活性である。 保護基の除去の後、フォトレジストは剥離され、そしてカップリング溶液がその表面に適用される。 モノマーは、パターン化されたバリア層が不在であっても、保護基が除かれたそれらの領域に選択的に結合する。

    【0265】 さらなる説明として、Fmoc保護基を用いて、16の全ての可能なPNA二量体を合成することが所望されると仮定する(Fmoc:フルオレニルメチルカルボキシル(fluorenylmethyloxycarbonyl)、非加水分解条件下で除去される塩基不安定性なアミノ保護基)。 以前と同様に、支持体表面は概念的に4×4のアレイに分割され、そして4つのモノマー単位は、F
    moc−A−OH、Fmoc−G−OH、Fmoc−C−OH、およびFmoc
    −T−OHと表される。 再び、例証する目的のために、所望のPNAは、試薬としてモノマー単位および脱保護剤のみを用いて形成され得ると想定される。 ポリアミドフォトレジストと適合する代表的な脱保護剤は、例えば、トルエン中の2
    0%ピペリジンを含む。 支持体表面は、Fmocで保護されたリンカー分子(P
    −L−Fmocと表される)を有する。 Fmoc基は、概念的アレイの縦の4列から選択的に除去される。 第一のフォトレジストバリアは、左端の列を露光する。 脱保護剤との接触により、リンカー分子の左端の列からFmocを除去する。
    フォとレジストは剥離され、そして、Aモノマーが、表IVに示される代表的なカップリング溶液を用いて、30〜40分間、アレイ表面全体に適用される。

    【0266】

    【表5】

    第2のフォトレジストバリアは、その次の列を露光し、そこでFmocは除去される。 フォトレジストは剥離され、そしてGモノマーが適用される。 このサイクルは、第3のフォトレジストバリアのために繰り返され、Fmocの除去およびCの第3列へのカップリングを生じる。 最後のフォトレジストバリアは右端の列を露光し、そしてFmocは除去され、剥離およびTカップリングが後に続く。


    このプロセスは、水平列の露光および既に接続したモノマーへのモノマーのカップリングを可能にするフォトレジストを用いて、水平方向において繰り返される。 フォトレジストバリアは、上記のような8つの個々のマスクを用いて、パターンm

    1 〜m

    8により照射される。

    【0267】 この方法は、表IIIに示されるものと同じリガンドを産生するが、その試薬ヒストリーは表Vに示すように非常に異なる。 表IIIと対照的に、表Vのそれぞれの試薬ヒストリーは、添加された全てのモノマー試薬を含む。 なぜなら、全ての表面要素が全てのモノマー試薬により接触されたからである。 要素への特異的結合は、脱保護がモノマーの添加に先行される際に生じる。 従って、試薬ヒストリーにおいて脱保護剤に続くモノマーは、それが4つのモノマーの第1セット由来ならば、接続したリンカーに結合し、それが4つのモノマーの第2セット由来ならば、接続したモノマーに結合する。

    【0268】

    【表6】

    (エナプリラートアナログの代表的なアレイ) 薬剤候補アレイを有する支持体を産生するための方法の例として、625のエナラプリラートアナログがアレイ中で合成され得る。 エナラプリラートは、アンギオテンシン変換酵素(ACE)を結合し、そしてそのジペプチダーゼ活性を妨げる抗高血圧薬剤の部類の1つである。 ACEは、C−末端ジペプチドを、前駆体デカペプチドアンギオテンシンIから除去することにより、強力な血管収縮薬物質アンギオテンシンIIを生じる。 エナラプリラートは以下の式:

    【0269】

    【化45】

    を有するジペプチドアナログである。

    【0270】 エナラプリラートは、CHCO 2 H基およびNH基を有するカルボキシアルキルジペプチド遷移状態インヒビターであり、アンギオテンシンIの切断し易いペプチド結合で達成される遷移状態様ジオメトリーを模倣している(Patche
    ttら、Science 288:280、1980を参照のこと)。 エナラプリラートアナログのスクリーニングは、改善された効力、バイオアベイラビリティー、半減期、または副作用のプロフィールを有するACEインヒビターを同定するために使用され得る。

    【0271】 625種類のエナラプリラートアナログは、以下の一般式:

    【0272】

    【化46】

    を有し、ここで、Sは基材であり、Lはリンカーであり、そしてG

    1 、G

    2 、G

    3


    、およびG

    4は一価の有機基または水素である。 いくつかの実施形態では、G

    1基は、窒素または炭素のいずれかに結合されるが両方には結合しない。 各アナログは、支持体上で4つの連続的な試薬のカップリングにより直接合成され、各々の連続したカップリングはG

    1 、G

    2 、G

    3およびG

    4を付加する。 この例では、各々のG

    n基は、G

    na 、G

    nb 、G

    nc 、G

    nd 、およびG

    ne (ここでn=1〜5)で表される5つの異なる組成のうちの1つを想定し得る。 各々の試薬組成を支持体の予め規定された領域に組合せ的に配向さために、一連のパターン付けされたフォトレジスト層を使用することにより、総数20のカップリングを使用して、総数5

    4すなわち625の異なるアナログが可能である。 所定のアナログXIIIを合成するために使用される4つのカップリング反応の各々は、以下に示される:

    【0273】

    【化47】

    これら625種類のアナログを支持体上に固相合成およびポリアミドフォトレジストを使用して配置するために、この表面を625個の枠の25×25のアレイに分割することが便利である。 表VIに示されるように、このアレイ合成は、2


    0のパターン付けされたフォトレジスト層および上記のカップリング反応の各々の5回の適用を含む、20回の反応サイクルを使用して完了される。 アレイにおける各G

    nについて、5つのパターン付けされたフォトレジスト層は、試薬を直接阻害すること、または領域を試薬に対してより反応性にすることのいずれかにより、G

    na 、G

    nb 、G

    nc 、G

    nd 、およびG

    ne指定される組成の適用を、方向付ける。 各々のフォトレジスト層は、25×25のアレイにおける行または列に対応する透明な行または列のパターンを含む、個々のマスクでパターン付けされる。 各パターンは、表VIにおける要約した表記により示される。 この表記は、列または行の断面により全てのマスクパターンを表す。 例えば、サイクル15のパターン表記は、25×25のアレイにおける全ての5番目の列に対応する透明な列を有するマスクを示す。 サイクル20では、パターン表記は同じであるが、マスク型は、このパターン表記が全ての5番目の行が透明であるマスクのことをいうことを指す。 大部分の実施形態において、アナログアレイの合成に続いて、1


    つ以上のG

    n基から保護基が除去される。

    【0274】

    【表7】

    いくつかの実施形態において、各G

    n基は、10種類の異なる組成のうちの1つから選択される。 全てのG

    nの組合せを形成することにより、10

    4すなわち10


    ,000種類のアナログが全40サイクルで合成される。 公知または潜在的な薬理学的活性を有し、コンビナトリアル固相合成により入手可能な他の薬剤としては、例えばベンゾジアゼピン、スルホンアミド、ヒダントイン、ミコナゾール、


    ジヒドロピリドン、ピラゾロン、ピリミジン、キナゾリン、キナゾリノン、オリゴカルバメート、ペプトイド、およびペプチジルホスホネート、のアナログが挙げられる。 従って、上記の方法は、本明細書中に開示されるバリア層およびフォトリソグラフ技術を使用する、数千または数百万種類の薬剤候補および他の化合物を有する支持体の、平行生産のために使用され得る、ということが当業者により認識される。

    【0275】 (リガンド−レセプター結合アッセイのためのアレイの使用) 本発明書中に記載される1つ以上の多孔性コーティングを含む物品は、リガンド−レセプター結合についてスクリーニングするために使用され得る。 例えば、
    このようなアレイは、タンパク質または核酸に結合するペプチドおよびヌクレオ塩基配列を決定するため、抗体により認識されるエピトープを同定するため、臨床上および治療上の適用のための種々の薬剤および代謝物を評価するため、ならびに新規薬剤、農薬、または除草剤、および上記のものの組合せのための、低分子ライブラリーをスクリーニングするために、使用され得る。 リガンドおよびレセプターが両方ともポリマーであるいくつかの実施形態では、レセプター結合が検出される位置のこのポリマーの配列は、レセプターに相補的な配列の全てまたは一部を決定するために使用され得る。 もちろん、リガンド−レセプター結合について、本明細書中に提供される方法を使用して、リガンドアレイではなく、レセプターアレイを使用してスクリーニングすることも可能である。

    【0276】 リガンドアレイを使用して特異なレセプターに結合するリガンドを同定するために、このアレイは、レセプター−リガンド相互作用を可能にするために十分な条件下で、十分な時間、問題のレセプターにまず接触される。 このような接触の後、任意の種々の方法が、アレイに結合したリガンドがレセプターに特異的に結合するか否かを決定するために使用され得る。

    【0277】 上記のように、このようなアッセイでレセプターとして使用され得る種々の分子があり、このような分子としては、核酸分子、ポリぺプチド、ペプチド、PN
    A、酵素、酵素補因子、レクチン、糖、ポリサッカライド、抗体、細胞レセプター、リン脂質小泡、または種々の他のレセプターのいずれか1つが挙げられる。
    あるいは、レセプターは、細胞、細胞膜、または細胞小器官のような生物学的構造であり得る。 レセプターは、アレイ上の0個、1個、またはそれを超えるのリガンドと結合し得る。 いくつかの実施形態では、レセプターは、健康な被験体または病気の被験体のいずれかから得られた血液に由来し得、そしてレセプターによる結合のためのアレイのスクリーニングは、治療的適用を有し得る。

    【0278】 レセプターは、レセプター溶液のアリコートを直接アレイ上に配置することにより、アレイと接触され得る。 次いで、必要に応じて顕微鏡のカバーグラスは、
    このレセプター溶液上に置かれる。 他の実施形態では、レセプター溶液は、図3
    に示されるように、アレイが反応器システムに取付けられる間、このレセプター溶液を入口ポートおよび出口ポートを通って循環させることにより、接触させられ得る。 あるいは、アレイ全体は、レセプター溶液に浸漬され得る。 レセプターに加え、レセプター溶液は、1つ以上の緩衝液、塩、タンパク質、核酸、界面活性剤、補因子、高分子電解質および/または特定のレセプターがリガンドに結合するために必要な他のこのような物質を含み得る。 このような結合アジュバントは、当該分野で周知である。 リガンド−レセプター結合のための支持体をスクリーニングするために利用され得る代表的なDNAレセプターおよび抗体レセプターの溶液が表VIIに示される。

    【0279】

    【表8】

    接触の間、アレイの特異的な温度を維持することが重要であり得る。 例えば、


    温度は、DNA、PNA、および他のヌクレオ塩基ポリマーの相互作用のストリンジェンシーに影響し得、その結果、特定のアレイ要素への特異的な結合が、狭い温度範囲でのみ観測される。 他の場合、特定の温度は、レセプターが必要なコンホメーションに適合するため、または温度変性を避けるためのいずれかに必要とされ得る。 アッセイを行うために最適な温度は、当業者により容易に決定され得る。

    【0280】 特異的な結合のための温度範囲が全てのアレイ要素について重複するならば、
    リガンド−レセプター結合について全てのアレイ要素で同時にスクリーニングするために適している1つの独立した温度が、同定され得る。 あるいは、特異的結合のための温度範囲が、いくつかのアレイ要素について重複しないならば、リガンド−レセプター結合についてのスクリーニングは、多数の独立した温度で行なわれるべきであり得る。 いくつかの実施形態では、リガンド−レセプター結合は、二つの独立した温度の間の全ての温度をサンプリングする温度勾配にわたって行なわれるべきであり得る。 温度勾配内の複数の温度でのリガンド−レセプター結合についてのスクリーニングは、要素がT mおよびストリンジェンシーに関して広く変化するアレイのために、特に有用である。

    【0281】 リガンド誘導化支持体を特定の温度に維持するための方法は、例えば、加熱台、熱電(thermo−electric)(Peltier)装置、温水浴、
    対流式オーブン、冷蔵庫、冷凍庫、または温度制御された反応器システムと接触させて、支持体を配置する工程を包含する。 いくつかの実施形態では、基材は、
    特定の温度に冷却されたその内部に水性ゲルを含む、顕微鏡ステージ上に取付けられる。 レセプターとの接触の間、リガンド誘導化支持体の温度を制御するための他の方法は、当業者に明らかである。

    【0282】 結合を検出するための方法は、アレイ上の結合レセプターの位置の決定を可能にするマーカーの検出を包含する。 適切なマーカーは当該分野で周知であり、そして放射性核種および蛍光性分子を含む。 マーカーは、リガンド−レセプター対の存在を、たとえば、特異な色、電磁放射の吸収、光干渉、伝導性、放射性崩壊、蛍光、化学発光、燐光、または走査型トンネル顕微鏡(STM)もしくは原子間力顕微鏡(AFM)により検出可能な分子の形状を作製することにより、またそれ自身または他の共有結合および非共有結合の分子、標識、核同位体、抗体、
    もしくは酵素により、示し得る。 いくつかの実施形態では、リガンド−レセプター対は、表現型変化(例えば、細胞増殖の停止、細胞増殖の開始、アポトーシスまたは細胞分化を含む)産生し得る。 リガンド−レセプター対を位置付け、そして視覚化する他の方法は、当業者に明らかである。

    【0283】 リガンド−アレイは、標識化レセプターにのみ曝露され得る。 あるいは、アレイは、最初に問題の非標識化レセプターに曝露され得、そしてその後、標識化レセプター特異的認識要素(例えば、抗体)に暴露され得る。 このようなプロセスは、検出の間、シグナルのさらなる増幅を提供する。 さらに別の実施形態では、
    多重標識化スキームが使用され得、それによりリガンド誘導化支持体はいくつかの異なるレセプターに曝露され、これらレセプターの各々は、異なる標識にまたは標識の組み合わせにカップリングされている。 各々が特定の標識の表面密度を表す一連の画像は、当該分野で周知のスペクトルデコンボルーション(deco
    nvolution)法を使用して生成され得る。 このような多重標識化ストラテジーは、種々の有用性を有している。 例えば、サンプルの微環境は、スペクトル特性が問題の物理的性質のいくつかに対して敏感である特殊な標識を使用して調べられ得る。 この様式では、pH、誘電率、物理的配向(orientati
    on)、ならびに並進および/または回転の移動度が決定され得る。

    【0284】 多孔性のアレイを使用する好ましい実施形態では、アレイ上の結合レセプターの位置は、従来の電荷結合素子、従来のフィルムを基にしたカメラを用いる蛍光の検出、または蛍光顕微鏡を使用する視覚的観察により決定される。 多孔性支持体の1つの利点は、増大されたリガンド表面密度であり、その結果、結合したレセプターの画像化は、標準的な装置を使用して、迅速かつ経済的である。

    【0285】 他の実施形態では、間接的にリガンド−レセプター結合を検出するインジケーター化合物が、添加される。 インジケーター化合物とは、レセプターがリガンドにより結合されるときは異なる、レセプターの存在下で検出可能な特性を有する化合物をいう。 このような検出可能な特性としては、色、光吸収、光透過性、蛍光、蛍光共鳴エネルギー移動、蛍光偏光、燐光、触媒活性、分子量、電荷、密度、融点、クロマトグラフィー移動性、濁り度、電気泳動移動性、質量スペクトル、紫外スペクトル、赤外スペクトル、核磁気共鳴スペクトル、元素組成およびX
    線回折、が挙げられる。 1つの実施形態では、インジケーター化合物のフリルアクリロイルフェニルアラニルグリシルグリシン(furylacryloylp
    henyalanylglycylglycine)(FAPGG)は、エナラプリラートアナログのアレイによりアンギオテンシン変換酵素(ACE)の結合を検出するために使用される。 ACEによるFAPGGの加水分解は、328n
    mにおける吸収の減少を生じる。 吸光度における減少は、ACEがエナラプリラートアナログにより結合されるならば、減衰する。 他のインジケーター化合物は、当業者に容易に明らかである。

    【0286】 本明細書中に提供されるアッセイの、ノイズに対するシグナルの比は、十分に高く、レセプターの種々の支持体結合リガンドに対する相対的な結合親和性が、
    決定され得る。 レセプターはアレイにおいていくつかのリガンドに結合し得るが、いくつかのリガンドには、他のリガンドより遥かにより強く結合し得る。 強い結合親和性は、多くのレセプター分子が強く結合するリガンドの領域に結合するので、強い蛍光シグナルにより本明細書中で証明される。 逆に、弱い結合親和性は、レセプターへの弱い結合親和性を有するリガンドを有する支持体の特定の領域において結合する、比較的少ない数のレセプター分子に起因して、弱い蛍光シグナルにより証明される。 結果として、本明細書中のリガンドの相対的な結合親和力を、そのリガンドを含む領域における蛍光シグナル強度によって決定することが可能である。 好ましい実施形態では、上記のような多孔性支持体を使用し、
    これは経済的に行なわれ得、そして標準的な装置を用いて行なわれ得る。 親和性における半定量的なデータは、公知の結合定数を有する1つ以上のリガンドを含めることにより得られ得る。

    【0287】 適用に依存して、リガンド−レセプター結合アッセイは、結合したリガンドまたは取り外されたリガンドに対して行なわれ得る。 リガンドがDNAまたはPN
    Aのような生物学的ポリマーである好ましい実施形態では、リガンドは、基材表面に結合している間にレセプター結合についてスクリーニングされる。 潜在的な薬理学的活性を有するリガンドがスクリーニングされている、好ましい実施形態では、リガンドは基材表面から取り外された後でスクリーニングされる。 このようなアッセイは、リガンドの支持体への結合により立体的に制限され得るリガンド−レセプター結合の検出を可能にする。 このようなスクリーニングにおいて、
    取り外されたリガンドが、少なくとも10μMの局所的な濃度を有し、それによって低い結合親和性から中程度の結合親和性を有するリガンドの同定が可能になることが好ましい。 例えばこれは、本明細書中に記載される多孔性のコーティングを使用して達成され得、ここで、多孔性コーティングにおけるリガンドの濃度は、典型的には10μMを越え、いくつかの実施形態では2mM、10mM、5
    0mM、または200mMより大きい。 好ましい実施形態では、リガンドは、その位置情報を失うことなく取り外される。 なぜならばアレイの位置が、試薬ヒストリー(history)および好ましくは各々の分離されたリガンドの組成を決定するためである。 位置情報が無ければ、スクリーニングは明白さを欠き、相互に作用する合成を介したプールされたリガンドのデコンヴォルーション、または直行して合成されたコードされたタグの分析を必要とする(Gordonら、
    J. Med. Chem. 37:1385、1994によって概説される)。 リガンドの全てまたは一部は、その表面から同時に取り外され得る。 好ましくは、少なくとも5%のリガンドが、取り外されたリガンドを使用して行なわれる結合アッセイにおいて取り外される。

    【0288】 多孔性のアレイに結合されるリガンドについての位置情報を維持するための1
    つの方法は、既知の多孔性層を表面から取り外す工程、およびそれらの各々を既知の反応容器に隔離する工程を包含する。 各々の多孔性層が適切に隔離されると、リガンドは各多孔性層から取り外され、リガンド−レセプター結合について個々にスクリーニングされる。 好ましくは、分離プロセスおよび隔離プロセスは、
    例えばロボット工学および機械視覚を使用して、自動的に行なわれる。 いくつかの実施形態では、接着面からの多孔性層の分離は、例えば、光、熱、超音波照射、溶媒、磁気、減圧、摩砕、接着、摩擦、高圧液体流、レーザー照射、または切削の局所的かつ選択的な適用に応じ得る。 他の実施形態では、分離プロセスは、
    各々の多孔性層と接着面との間に挟まれた放出層を含み得る。 この放出層は、局所的かつ選択的な任意の上記の条件の適用に応じて、接着面からの多孔性層の分離に影響し得る。 1つの実施形態では、多孔性層は、この層の破砕を防ぐために、ポリマー接着剤の適用の後、表面から切り取られる。

    【0289】 位置情報を維持するための別の方法は、固体支持体にリガンドを、光切断可能なリンカー(例えば、特定の紫外、可視または赤外波長への露光で切断されるリンカー)、塩基不安定なリンカー、酸不安定なリンカーまたは酵素により切断される認識配列を含むリンカーを介して連結する工程を包含する。 このような切断可能なリンカーを、気相の酸または塩基(例えばトリフルオロ酢酸またはアンモニアの蒸気)に、光に、またはリンカーを切断する細胞表面酵素を有する細胞に曝露する工程は、分離されたリガンドをアレイ上のそれらの結合および/または合成の部位とともに共局在化(co−localized)したままにすることを可能にする(Quillanら、Proc.Natl.Acad.Sci.U
    SA 92:2894、1995;およびBrayら、Tetrahedron
    Lett. 32:6163、1991を参照のこと)。 次いでリガンド−レセプター結合についてのスクリーニングは、個々の取り外されたリガンド基を支持体から除去すること(例えば手で、またはロボット工学により)により、またはより好ましくは、リガンド−レセプター結合についてのインサイチュアッセイを行うことのいずれかにより、行なわれ得る(Youら、Chemistry&B
    iology 4:969、1997;およびSchullekら、Analy
    tical Biochemistry 246:20、1997を参照のこと)。

    【0290】 インサイチュアッセイは、リガンド−レセプター結合と共局在化する可視的な活性を産生し、結合および結合リガンドの試薬ヒストリーの両方を同時に明らかにする。 いくつかの実施形態では、インサイチュアッセイは、支持体上に被せられた1つ以上のポリマーフィルムにおいて起こる。 このポリマーフィルムは、1
    つ以上のレセプターおよび/またはインジケーター化合物をポリマーマトリックス中に含み、このマトリックスは、例えば、アガロース、ポリアクリルアミド、
    ポリビニルアルコール、スチルバゾリウム基で修飾されたポリビニルアルコール、または特定のリガンドとレセプターの結合の検出に適合性であるような任意の他のポリマーを含む。 いくつかの実施形態では、このフィルムは光パターン付け可能であり、そして典型的に水和される場合は膨張し、ポリマーゲルを生成する。 支持体からの化学的または光による放出のいずれかの後に、リガンドは周囲のゲルマトリックス内に拡散する。 リガンドの特定の基がゲル中のレセプターに特異的に結合する場合、活性の区域がその基の周りで目に見える。 要素の位置を決定する工程は、試薬のヒストリーを明らかにし、またより好ましくは、直接の様式でリガンドの組成を明らかにする。 多孔性のアレイの場合には、この位置は、
    個々のリガンド基が別々の多孔性層に対応するアレイの、ランドマーク特徴により容易に決定される。

    【0291】 他の実施形態では、アレイ要素の間の表面は、この表面と個々のアレイ要素との間に異なる表面張力を提供する有機シランを用いて修飾され得る(Youら、
    Chemistry&Biology、4:969、1997を参照のこと)。
    この表面張力は、適用されたレセプター溶液を個々の小滴に隔離させ、各々の小滴が別々のアレイ要素に付着する。 光または化学薬品のいずれかへの曝露は、リガンドを小滴へと放出し、好ましい実施形態では、この小滴はナノ小滴(nan
    odroplet)(すなわち、10 -9リットルのオーダー)である。 小滴の空間的隔離は、他のアレイ要素から取り外されたリガンドの混合を防ぐ。 結果として、各々のアレイ要素は、液相におけるリガンド−レセプター結合について、インサイチュアッセイ混合物を使用してアッセイされる。 取り外されたリガンドを直接溶液中でスクリーニングすることの1つの利点は、ポリマーフィルムの潜在的な複雑さを避けることである。 このように、これは、潜在的により一般的に適用可能な方法である。

    【0292】 別の実施形態では、リガンド−レセプター結合についてのスクリーニングは、
    インビボで、生きた細胞を使用して、アレイ表面と直接接触して行われ得る。 この実施形態に従って、リンカーは、光不安定な基かまたは酵素で切断可能な基を備え、これにより、生きた細胞と適合性である要素と接触させることによるリガンドの除去が可能になる。 酵素で切断可能な基は、好ましくは生きた細胞によって分泌される酵素で実質的に切断可能であるように選ばれる。 もっとも好ましくは、この細胞は、アレイからリガンドを取り外す酵素を分泌し、リガンドを実質的に細胞内へ拡散させ、そして内部の生物学的プロセスに影響を与えさせる(すなわちリガンド−レセプター結合がインビボで生じる)。 例えば、プロテアーゼ感受性結合を介して結合されるヌクレオ塩基ポリマーのアレイは、アレイの表面に直接接触して増殖する細胞においてアンチセンス実験を行うために使用され得る。 支持体からのリガンドの分離は、細胞膜を通るリガンドの移住(trans
    migration)のために重要である。 リガンドの細胞誘導切断もまた、分離されたリガンドがそれらの結合部位、およびその部位に接触している細胞と共に共局在化したままでいることを可能にする。 共局在化は、表現型細胞アッセイがヌクレオ塩基ポリマーによる遺伝子発現の調節を決定するために使用される場合に、特に有利である。 このようなアッセイでは、表現型変化の位置を決定する工程は、この変化に影響を与えているヌクレオ塩基ポリマーの配列、およびその推定の細胞内標的の塩基配列を決定する。 多くの数千もの特有のヌクレオ塩基ポリマーを含む物品を使用することにより、このようなアプローチは、単一の実験が、特定の表現型においてゲノム全体中の全ての単一の遺伝子の効果を潜在的に決定し得るという点で、非常に効果的である。

    【0293】 上記のように、本明細書中に記載の方法で合成された特定のリガンドは、検出可能に結合レセプターを改変する標的レセプター改変基を含み得る。 このような改変基を含むリガンドは、標的レセプターを改変するための方法において使用され得る。 このような方法は、このような基を含むリガンドを含むアレイを、標的レセプターと接触させる工程を包含し、このレセプターは、単離され得るかまたは混合物中に存在し得る。 このような接触が、所望の改変を可能にするために十分な条件下および十分な時間の間、行われるべきであることは明らかである。

    【0294】 あるいは、リガンドは、上記の分析の被験体であるのみではなく、化学反応または酵素反応における試薬として使用され得る。 いくつかの実施形態では、多孔性アレイの増大したリガンド表面密度は、有意な酵素反応のアレイを実施するために十分な材料を提供する。 例えば、単一ヌクレオチド差異は、多孔性支持体上に配置されたオリゴヌクレオチドのポリメラーゼ伸張により検出され得る(Ni
    kiforovら、Nucleic Acids Res. 22:4167,1
    994;Shumakerら、Human Mutation 7:346、1
    996;Pastinenら、Genome Research 7:606、
    1997およびLockleyら、Nucleic Acids Res. 25
    :1313、1997を参照のこと)。 あるいは、プライマー対のアレイは、例えばPCRを使用する増幅反応のアレイを行うために使用され得る。 いくつかの実施形態では、このような酵素反応は、多孔性コーティング上に被せられた1つ以上のポリマーフィルムにおいてインサイチュで起こり得る。 あるいは、酵素反応は、アレイ要素を個々の反応容器へ除去することにより別々に行なわれ得る。

    【0295】 本発明のなおさらなる適用は、情報の記憶、分子−電子デバイスの製作、ミクロ構成分離デバイスにおける定置相の作製、写真術、ならびに標識化細胞および非標識化細胞、タンパク質、抗体、レクチン、核酸、核酸プローブ、多糖などの表面上のパターンにおける固定を含む。

    【0296】 さらに別の実施形態では、本明細書中に提供されるアレイは、調製の適用において使用され得、ここで基材に結合されるリガンドアレイは、相補的標的レセプターをレセプターの混合物から、レセプター結合についてのスクリーニングのための上記の方法に類似の方法を使用して、単離するために使用される。 このような方法では、アレイに結合する少なくとも1つのヌクレオ塩基が、標的レセプターに結合するという条件で、標的レセプターを含む組成物は、本明細書中に提供されるリガンドアレイと接触される。 次いでこの組成物の非結合成分は、アレイから除去される。 次いでこの標識レセプターは、リガンド−レセプター結合が減少するように条件を変更することにより、アレイから分離され得る。

    【0297】 他の実施形態では、リガンドまたは結合レセプターは、「Light−Med
    iated Method and Apparatus For the R
    egional Analysis of Biologic Materia
    l」と題する同時係属出願に記載されるような、フォトレジスト層を使用してアレイから選択的に単離され得る。 簡単にいうと、アレイのリガンドおよび/または結合レセプターを覆ってフォトレジスト層を設置することにより、フォトレジストの領域を正確に照射して特定のリガンドおよび/またはレセプターを露光することが可能である。 次いで露光されたリガンドまたはレセプターは、上記の方法に従ってそれらを取り外すことにより、選択的に単離され得る。 一旦単離されると、この取り外された物質は、種々の分析方法の任意のものを使用して、さらに分析され得る。

    【0298】 診断アッセイを含む種々のアッセイがあり、これらは、単離されるかまたは化合物の混合物中に存在する、標的核酸分子へのアンチセンス分子のハイブリダイゼーションを含む。 本明細書中に提供されるようなアレイは、このようなハイブリダイゼーション工程で使用され得る。 このようなアレイは、結合されるアンチセンス分子(すなわち相補的配列の核酸分子に、穏やかなストリンジェント条件下で、特異的かつ検出可能に結合するヌクレオ塩基ポリマー)を含むべきである。 リガンドは、必要ではないが、ハイブリダイゼーションの前および後のいずれかで表面から取り外され得る。 一般に、このようなハイブリダイゼーション反応は、特異的なハイブリダイゼーションに有利な条件下で行なわれるべきである。
    適切な条件は、当業者により選択され得る。

    【0299】 以下の実施例は例示として提供されるのであり、限定としてではない。 これらの実施例において、全ての操作は、反対が示されていないかぎり約周囲温度および約周囲圧力で行なわれた。

    【0300】 (実施例) (実施例1:接着層の接続) この実施例は、多孔性コーティングの塗布の前の、ガラス基材への接着層の接続を記載する。

    【0301】 接着層を、市販のガラス顕微鏡スライド(Curtin−Matheson
    Scientific,Inc. ,Houston,TX)上に調製した。 この接着層を、テトラエトキシシラン(Aldrich Chemical Com
    pany,Inc. ,Milwaukee,WI)を加水分解し、そしてエージングすることにより得た透明なゾルから調製した。 このゾルを調製するために、
    6.3mlの水および0.7mlの1N硝酸中で室温にて21.7mlのテトラエトキシシランを約1時間加水分解し、続いて、数日間4℃にてエージングすることにより、濃縮したゾルを初めに調製した。 この濃縮したゾルをエタノールで50倍に希釈し、そしてピペットを用いて傾斜したスライドの一表面に適用した。 この溶媒を室温で蒸発させ、1μm未満の厚みの接着層および遊離型接着層を残した。 この層を、スライドを15分間110℃〜120℃にて加熱ブロック上に置くことにより、硬化した。

    【0302】 (実施例2−8:代表的な多孔性コーティングの調製) これらの実施例は、代表的な多孔性コーティングの調製を記載する。

    【0303】 この多孔性コーティングを、液体コーティング溶液から得た。 このコーティング溶液を以下のように調製した:一次粒子サイズが500Åの5グラムのヒュームドシリカ(SiO2)(Degussa,Inc.,Ridgefield
    Park,NJ)を、100mlの95%エタノール(5%水)に分散した。 この分散液に、表VIIIに記載する量のテトラエトキシシラン(TEOS)のモノマーまたはポリマーを加えた。 TEOSポリマーを、実施例1に記載するように得た。 2.0〜4.2pH単位の酸性度を提供するために、十分な硝酸を添加した。 リンカー分子を組み込んだコーティング溶液は、表VIIIに記載したような量の3−アミノプロピルトリエトキシシラン(すなわち、Aldrich
    Chemical Company,Inc. ,Milwaukee,WIからの「APES」)またはビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン(すなわち、Gelest,Inc.,Tullytown,
    PAからの「HAPES」)をさらに含んだ。 このように形成したコーティング溶液を、24時間を超えて室温にてプラスチック容器中で攪拌した。 エージングに続いて、このコーティング溶液を、実施例1に記載するように調製したガラススライドの接着表面に適用した。 このコーティング溶液を、パスツールピペットを使用して傾斜で適用し、実質的に均一な液層を生成した。 この液層を室温で蒸発させ、1μm〜4μmの厚みの、一連の連続した多孔性コーティングを残した。 次いで、15分間120℃にて加熱することによって、この層を硬化した。 表VIIIにまとめられるように、この一連の多孔性コーティングを、フィルムの質について評価した。

    【0304】

    【表9】

    表VIIIは、加水分解した金属アルコキシド(実施例4および実施例5)または別々に形成した金属アルコキシドポリマー(実施例2および実施例3)のいずれかと、シリカ粒子を接触させることによって、調製したコーティング溶液から、均一な多孔性コーティングが得られたことを例示する。 それぞれ3−ペンタノンおよびエタノールを用いて、実施例3および実施例4が実証するように、異なる溶媒を含むコーティング溶液から、25μmを超える厚みの均一多孔性コーティングを形成した。 表VIIIはまた、実施例6、実施例7および実施例8のように、コーティング溶液にリンカー分子を直接組み込むことにより、連結されたリンカー分子を有する、均一な多孔性コーティングを得ることが可能であることを例示する。 このようなコーティング溶液は、どのようにTEOSおよびリンカー共重合体が形成されるかによって、影響される。 実施例7および実施例8に例示するように、APESをTEOSポリマーに加えることにより得られる、このコーティング溶液は、TEOSモノマーにAPESを添加することにより得られるコーティング溶液よりも均質のフィルム形成のために最適なより低いpHを有する。

    【0305】 (実施例9−18:比較コーティング) これらの実施例は、表IXにおいて概要されるような変更を用いる、実施例2
    〜実施例8と同様の様式のコーティングの調製を例示する。 コーティング溶液を実施例1のように調製したガラススライドの接着表面に適用し、実質的に均一な液層を生成した。 この液層を室温にて蒸発させ、続いて15分間120℃にて硬化させた。 この一連のコーティングを表IXで報告するようにフィルムの質について評価した。

    【0306】

    【表10】

    表IXの全ての実施例は、表VIIIの実施例と比較して劣ったフィルムの質のコーティングを生じた。 実施例9〜実施例11は、巨視的レベルまたは微視的レベルでひびの入ったまたは分離したコーティングを生成し、TEOSのようなポリマー成分がヒュームドシリカ粒子を含む均一な多孔性コーティングを形成するために必要であることを実証した。 実施例12、13および18は、このコーティング溶液の不十分なエージングが、(実施例2、3,4および8と比較して)凝結および分離した多孔性コーティングを誘導することを実証した。 不十分なエージングは、拡張されたポリマー形成(実施例12および18)および/または拡張されたポリマーのシリカ粒子への連結(実施例13)を恐らく妨げる。 実施例14は、十分にエージングしても、約7.0pH単位より上にpHを増加すると、(実施例5と比較して)粒子の凝集に起因する溶液の不安定性が生じることを例証する。 APESのようなアミノ部分を含む有機アルコキシシランは、実施例15に示されるように、TEOSの代わりとしては機能しない。 APESがTEOSよりも拡張していないポリマーを形成することが認められ、このことは恐らくその無効性を説明する。 示されるように、TEOSおよびリンカー分子のランダムな共重合により作製されるコーティング溶液は、(実施例8および7と比較して)重合の順序、(実施例6および16を比較して)TEOSおよびリンカー分子の相対化学量論、および(実施例7および17を比較して)混合物のp


    Hに感応性である。

    【0307】 (実施例19:フォトパターニングされ、そして強化された多孔性コーティングの調製) この実施例は、多孔性コーティングのパターニング、およびパターニングされた多孔性コーティングへの強化層の適用を例示する。

    【0308】 コーティング溶液を、上記の実施例5に記載される手順に従って調製した。 このコーティング溶液を実施例1のように調製したガラススライドの接着表面に適用し、実質的に均一な液層を生成した。 この液層を室温にて蒸発させ、均一な多孔性コーティングを残した。 フォトパターニングの後まで、硬化を延長した。

    【0309】 Gold Shields TM (Imtec Products Inc.,S
    unnyvale,CA)を用いてシールドされた白青蛍光で照射される層流フード中で作業しながら、26重量パーセントの固体含量を有するAZ(登録商標)1512ポジ型フォトレジスト(Hoechst Celanese TM ,So
    merville,NJ)をプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(
    PGMEA)を用いて3倍に希釈し、パスツールピペットを使用して、多孔性コーティングに適用した。 この過剰量をこのスライドを垂直に置くことにより、紙タオル上へドレインした。 次いで、このスライドを約10分間室温にて平らな表面に置き、その溶媒を実質的に蒸発させ、続いて、10〜15秒間90℃〜10
    0℃の温度で金属加熱ブロック上で弱く焼いた。 この蒸発させたフォトレジスト層は、多孔性コーティングを実質的にカバーした。

    【0310】 このフォトレジスト表面を、透明なバックグラウンド(Precision
    Image Corporation,Remond,WA)上の600μm×
    600μmの不透明な四角形の16×16アレイを有するマスクと接触させた。
    この不透明な四角形を、200μmだけ互いに間隔をあけた。 このマスクをUV
    トランスイルミネーター(UVP Inc.,Upland,CA)を使用して、90秒間、8mW/cm 2のエネルギー密度で365nmの光に暴露した。

    【0311】 適切に照射したフォトレジストを用いて、蒸留水(Hoechst Cela
    nese TM ,Somerville,NJ)を用いて6倍に希釈したAZ(登録商標)351現像剤に、その全基材を液浸した。 照射された領域のフォトレジストおよびその中の多孔性コーティングは、両方とも、現像剤中で約60〜120
    秒後、基材表面から完全に除去された。 溶解の経時的な経過を、この現像プロセスの間、照射領域からの赤色染色剤の形成により視覚的にモニターした。 現像後、この全体の基材を蒸留水でリンスし、空気乾燥した。 非照射フォトレジストをアセトンへの液浸によりストリップし、続いて、アセトンでリンスし、蒸発させた。 非照射フォトレジストのストリッピングは、多孔性四角形の16×16アレイを含むパターン化した多孔性コーティングを残した。

    【0312】 図2は、1,100倍の倍率でのパターン化した多孔性コーティングの走査電子顕微鏡写真であり、1つの多孔性四角形の角を示している。 示されるように、
    この多孔性四角形は、均質な2μmの厚みの連続する多孔性コーティングを有する(すなわち、このコーティングは、実質的に切れ目またはギャップを有しない基材の表面をカバーする)。 図3は、95,000倍の倍率での図2の多孔性コーティングの走査電子顕微鏡写真である。 非常に高い倍率では、この多孔性コーティングが、広範な表面積を有するシリカ粒子の強固で連続したネットワークからなることが示され、ここで平均の孔のサイズは、およそ一次粒子サイズである。

    【0313】 増強溶液を、多孔性コーティングの要素をさらに固定するために、実質的に孔の体積を充填することなしで、フォトパターニング後に分離コーティングとして適用した。 この増強溶液は、実施例1において調製した濃縮ゾルの150倍エタノール希釈液であった。 この増強溶液をピペットを使用して、傾斜してパターン化した多孔性コーティングに適用した。 この溶媒を室温で蒸発させ、続いて15
    分間110℃〜120℃にて硬化した。

    【0314】 この実施例は、本発明の多孔性コーティングが(1)適切な一次粒子サイズを選択することにより、特定の平均孔サイズを有するように作成され得る、(2)
    高感度(AZ(登録商標)1512 ポジ型フォトレジストは、58mJ/cm 2の感光度(photo speed)を有する)でフォトパターニングされ得、そして(3)微小製造(microfablication)技術を使用してフォトパターン化され得ることを実証する。

    【0315】 (実施例20:リンカー分子の連結) この実施例は、実施例19において記載されるように調製したパターン化した多孔性コーティングへのリンカーの連結を例示する。

    【0316】 このコーティングを、15分間、蒸留水で6倍に希釈したAZ(登録商標)3
    51現像剤に液浸し、そして蒸留水でリンスした。 リンカー分子を、エタノール−水(95:5)中の有機アルコキシシランの2%溶液中に10分間このコーティングを液浸し、続いてエタノールでリンスし、15分間120℃にて硬化することにより、このコーティング表面に結合した。 このコーティングを、15秒間AZ(登録商標)351現像剤中に再び液浸し、蒸留水でリンスし、そして乾燥した。 この塩基性水性現像剤は、表面のシラノールおよびアミノ基を脱プロトン化し、引き続く処理の工程を容易にする。 連結されたアミノリンカー分子(すなわち、アミノ反応基)およびヒドロキシルリンカー分子(すなわち、ヒドロキシル反応基)を有するパターン化した多孔性コーティングを、有機アルコキシシランとして、それぞれAPESおよびHAPESを使用して得た。

    【0317】 (実施例21:リガンド表面密度:比較実施例) この実施例は、比較目的で、多孔性コーティングを欠く基材上の密度と比較して、多孔性コーティングを有する基材上のリガンド表面密度を例証する。

    【0318】 多孔性コーティングを欠く基材を、実施例20に記載する方法を使用してアミノリンカー分子と結合させた。 この表面に適用した、適切にパターン化したフォトレジスト層を使用して、アミノリンカー分子を、600μm×600μm四角形の16×16アレイを含む特定のパターン中で、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)と反応させた。 このFITC標識化したスライドを、先行技術(代表的な参考文献については、Fodorら、Science 251:7
    67,1991を参照のこと)により提供されるリガンド表面密度を実証するのに役立った。

    【0319】 500nmより長い光の下で作業しながら、PVA−SBQフォトレジストを、薄い液層としてリンカー修飾したスライド表面に適用した。 この液層を15秒間90℃〜100℃の温度にて金属加熱ブロック上でベーキングし、1〜2μm
    の厚みのフォトレジストフィルムを残した。 PVA−SBQフォトレジストは、
    以前に記載された、スチルバゾリウム(SBQ)置換ポリビニルアルコール(P
    VA)から誘導されるネガ型フォトレジストである(Ichimuraら、米国特許第4,891,300号を参照のこと)。 このフォトレジストの照射領域 は、SBQ基の光誘導性架橋を受け、それらの領域を水性現像剤中で不溶性にする。 PVA−SBQフォトレジストをフォトパターニング可能なバリア層として選択した。 なぜならば、SBQ基の光誘導性架橋は、内在するアミノリンカー分子に関しては、化学的に不活性であるからである。 リンカー修飾スライドをコートするために使用されたPVA−SBQ組成物は、0.8%のPVA−SBQならびに70%エタノールおよび30%水中の0.025%TritonX−10
    0を含んだ。

    【0320】 このフォトレジストフィルムの表面を、透明なバックグラウンド上の600μ
    m×600μmの不透明な四角形の16×16アレイを有するマスクと接触させた。 この不透明な四角形を、互いに200μmだけ間隔をあけた。 このマスクをUVトランスイルミネーター(UVP Inc.,Upland,CA)を使用して、7秒間、8mW/cm 2のエネルギーにて365nmの光に暴露した。

    【0321】 適切に照射されたフォトレジスト用いて、全体の基材を、PVA−SBQフォトレジストの非照射領域を溶解した蒸留水中に浸漬し、内在基材表面および連結したアミノリンカー分子に16×16アレイの四角い開孔を有する架橋フォトレジスト層を残した。 この残存した表面は、架橋フォトレジスト層を含むバリア層によりブロックされた。

    【0322】 FITC結合反応を、5分間室温にて、アセトニトリル中の0.1mMのFI
    TCにこのスライドを浸漬し、続いてアセトニトリルおよびアセトンで洗浄することにより行った。 このスライド表面上のパターン化したバリア層のために、F
    ITCは、16×16アレイの四角い開孔に相当するパターンの表面にのみ、結合した。 FITC結合後、この架橋フォトレジスト層を、過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO 4 )の0.75%水溶液中に、このスライドを30秒間浸漬する(すなわち、PVA中の1,2−ジオールユニットを切断することにより、このフィルムを可溶化する)ことによりストリップした。 次いで、このスライドを、水で洗浄し、乾燥した。

    【0323】 FITC標識化スライドの蛍光画像を、Standard Epifluor
    escence Microscope(Carl Zeiss,Thornw
    ood,NY)に連結した35mmカメラを使用して、3つの異なる倍率で撮影した。 15秒間の露光時間では、四角いアレイの蛍光画像は、10倍および20
    倍の対物倍率ではぼんやりとしており、そして2倍の対物倍率ではかろうじて見えた(図4A、4Cおよび4Eを参照のこと)。

    【0324】 パターン化した多孔性コーティングを、実施例19に記載されるように調製し、そして実施例20に記載されるような方法を使用してアミノリンカー分子と結合させた。 この多孔性コーティングのアミノリンカー分子を、このリンカー分子のアミノ基と共有結合を形成するフルオレセインイソチオシアネート(FITC
    )と反応させた。 このFITC標識化多孔性コーティングを、本発明により提供されるリガンド表面密度の増加を実証するために利用した。

    【0325】 このFITC結合反応を、5分間室温にてアセトニトリル中の0.1mMのF
    ITCにこのリンカー修飾多孔性コーティングを浸漬させ、続いてアセトニトリルおよびアセトン洗浄することにより行った。 このFITC標識化多孔性コーティングの蛍光画像を、Standard Epifluorescence M
    icroscopeに連結した35mmカメラを使用して3つの異なる倍率で撮影した。 15秒間の露光時間では、パターン化した多孔性コーティングの蛍光画像は、2倍、10倍および20倍の対物倍率を使用して、容易に見ることができた(図4B、4Dおよび4Fを参照のこと)。

    【0326】 この実施例は、以下を実証する:(1)先行技術の画像強度と比較して、本発明は、リガンド表面密度の顕著な増加を提供する、(2)パターン化した多孔性コーティング上のリガンドの画像化は、標準装置を使用して迅速で経済的である、(3)パターン化した多孔性コーティングは固相合成の方法と適合性である、
    および(4)この多孔性コーティングは、固相合成の間、膨潤も湾曲もしない。

    【0327】 (実施例22:DNA−レセプターによるDNA−リガンドの特異的結合) DNA−リガンドを、DNA−レセプターが相補的な表面結合DNA−リガンドに特異的に結合することを実証するために、固相合成を使用して、パターン化した多孔性コーティングの表面上に合成した。 パターン化した多孔性コーティングを、実施例19に記載するように調製し、そして実施例20に記載する方法を使用して、ヒドロキシル−リンカー分子と結合させた。

    【0328】 反応系を、そのスライドを、介在性PTFEガスケットを有するポリテトラフルオロエチレン(すなわち、PTFE、TEFLON(登録商標)として市販される)リアクターベースに合わせることにより形成した。 図1Eに示すように、
    スライド、ガスケットおよびベースを共にサンドイッチして、リアクターベースに、吸気口および排気口を除いて密閉されたリアクターキャビティーを形成した。 このリアクターキャビティーは、300μlの容量を有し、パターン化した多孔性コーティングを、キャビティーに十分に入れた。 この反応系は、吸気口および排気口を、シリンジまたは試薬送達機のいずれかに接続することにより、化学試薬をパターン化した多孔性コーティングの上に、それぞれ手動または自動のいずれかで送達する。 この実施例において、この吸気口および排気口を、PCR−
    Mate(登録商標)自動化DNA合成機(Applied Biosyste
    ms Inc. ,Foster City,CA)に接続した。

    【0329】 自動的に試薬を送達するためのDNA合成機を使用して、配列5'−GCCT
    ACGC−3'を有するDNA−リガンドを、3'末端に始まる曝露されたヒドロキシル基上に8のホスホラミダイト結合を介して合成した。 合成後、この反応系をDNA合成機から分離し、そして二時間室温にてリアクターキャビティーにメタノール中の0.05Mの炭酸カリウムを手動で塗布することにより、リン酸および環外アミン保護基を除去した。 リンカー分子を基材表面に連結するシロキサン結合の切断の可能性のために、固相合成後にDNAを脱保護するために通常使用する強塩基条件(すなわち、濃水酸化アンモニウム)を、避けた。 代わりに、脱保護を、フェノキシアセチル(Pac)保護したdA、4−イソプロピルフェノキシアセチル(iPr−Pac)保護したdG、およびアセチル保護したd
    C(Glen Research,Inc.,Sterling,VA)を使用することによって、上記の穏やかな塩基条件を使用して達成した。

    【0330】 脱保護後、このスライドをリアクターベースから分離し、標識レセプターの適用なしで蛍光顕微鏡を使用して視覚化した。 この画像を、Standard E
    pifluorescence Microscope(Carl Zeiss
    ,Thornwood,NY)に連結した35mmカメラを使用して、撮影した。 図5に示したように、蛍光画像および対応する多孔性コーティングの表面プロットは、検出可能なバックグラウンドの蛍光を示さない。

    【0331】 相補的DNA−レセプターとのハイブリダイセーションについて、表面結合D
    NAの有効性を実証するために、6倍SSPEに懸濁した20μlの10μMの5'−GCGTAGGC−フルオレセイン(配列番号_;図5Cおよび5Dにおける「FTA」)をこの多孔性表面に適用し、1時間4℃の温度にてインキュベートした。 この6倍SSPE溶液は、1MのNaCl、66mMのNaH 2 PO 4 /Na 2 HPO 4 、6mMのEDTAおよび0.05%のTriton X−10
    TMを含む、7.4のpHである高塩緩衝液である。 このスライドを15℃の温度にて6倍SSPE中で続いて洗浄し、Standard Epifluore
    scence Microscopeに連結した、改変顕微鏡ステージに載せた。 このステージは、その内部に、画像の撮影の前に約4℃で冷蔵した水性ゲルを含む。 多孔性コーティングにハイブリダイズしたFTAの蛍光画像は、この顕微鏡に連結した35mmカメラを使用して撮影した。 15秒間の露光時間では、このハイブリダイズしたDNA−レセプターの蛍光画像は、10倍の対物倍率を使用して、容易に見ることができた(図5Cおよび5Dならびに対応する表面プロットを参照のこと)。 この結合DNA−レセプターを、45℃の水中にこのスライドを浸漬することによりリガンド−DNAから解離し、そしてハイブリダイゼーションを繰り返した。 この熱的解離およびハイブリダイゼーションのサイクルを、結合FTAからの蛍光強度の減少を伴うことなく少なくとも20回繰り返し、DNA−リガンド連結の安定性を実証した。

    【0332】 DNAハイブリダイゼーションの配列特異性を実証するために、FTAを多孔性表面から熱的に解離し、6倍SSPEに懸濁した20μlの10μMの

    【0333】

    【化48】

    をこの多孔性表面に適用し、1時間4℃の温度にてインキュベートした。 ハイブリダイゼーション後、このスライドを15℃の温度にて6倍SSPE中で洗浄し、上記のように改変ステージに載せた。 FAAハイブリダイゼーションの蛍光画像は、連結した35mmカメラを備えるStandard Epifluore


    scence Microscopeの10倍対物で撮影した。 FAAハイブリダイゼーション反応の蛍光画像および対応する表面プロットを図5Eおよび5F


    に示す(15秒の露光時間)。 FTAおよびFAAは1つの塩基のみにより異なるが、ハイブリダイゼーションは、レセプターなしの画像に相当するFAAハイブリダイゼーションの画像に非常に特異的である。

    【0334】 この実施例は、以下を実証する:(1)この多孔性コーティングは、固相合成を行うための成功した基材を提供する、(2)この多孔性コーティングは、低自己蛍光を有する、(3)この多孔性コーティングは、増加したDNA−リガンド表面密度を提供する、(4)表面結合DNA−リガンドは、DNA−レセプター結合に利用可能である、(5)パターン化した多孔性コーティング上の標識レセプターの画像化は、標準装置を使用して迅速で経済的である、および(6)この多孔性コーティングは、巨大分子レセプターの特異的な結合特性を検出し得る基材を提供する。

    【0335】 (実施例23:DNA−レセプターによるPNA−アレイの特異的結合) この実施例は、パターン化した多孔性コーティングの表面上の16の異なるP
    NA配列を含むPNA−アレイの相補的メンバーへの、DNA−レセプターの特異的結合を例示する。

    【0336】 16の異なるPNA配列を含むPNAアレイを、上記のように、パターン化した多孔性コーティングの表面上に合成した。 このPNAアレイを、固相合成および参考として本明細書中に援用される「Method and Composi
    tions for Performing an Array of Che
    mical Reactions on a Support Surface
    」および「Solvent−Resistant Photosensitiv
    e Compositions」と題された同時係属中の出願に、より十分に記載される方法を使用して合成した。 全てのPNA試薬は、PerSeptive
    Biosystems,Inc. (Framingham,MA)からである。 環外アミン上に保護基を有するPNA配列は、塩基の意味として、A、G、C
    およびTを使用する脱保護した配列とこれらを区別するために、塩基の意味の

    【0337】

    【化49】

    により示される。

    【0338】 600μm×600μmの多孔性の四角形の4×4アレイを含む、パターン化した多孔性コーティングを実施例19に記載するように調製し、そして実施例2
    0に記載する方法を使用して、アミノ−リンカー分子と結合した。 次いで、このPNA−アレイを、1つの600μm×600μmの多孔性のを占めるそれぞれのアレイ要素を用いて、パターン化した多孔性コーティングの表面上で合成した。 それぞれのアレイの要素は、配列の16の可能な組み合わせの1つ、リンカー−スペーサー−CGN 12 TCCG−NH 2 (ここでN 1およびN 2は、独立してA、G、CまたはTであり得る)を含んだ。 N 12配列により参照されるような、アレイにおけるそれぞれの要素の位置を、図6Aおよび図6Bのアレイの概略図に示す。 それぞれの概略図中の遮光した格子は、上のそれぞれの概略するレセプター配列に相補的であるアレイ要素を示す。 対応するN 12配列に相補的なD
    NA−レセプターの部分に下線を引く。

    【0339】 実施例22に記載したリアクターシステムを用いて試薬を手動で供給することにより、この配列

    【0340】

    【数1】

    を、全ての多孔性正方形にまず接続することにより、PNAアレイを合成した。


    (Fmoc:フルオレニルメチルオキシカルボニル、非加水分解条件下で除去される、塩基不安定なアミノ保護基)。 このスペーサー分子はFmoc−AEEA


    −OHであり、以下の式:

    【0341】

    【化50】

    を有する分子である。

    【0342】 このスペーサーを、33%NMPおよび66%DMF中に、72mM Fmo
    c−AEEA−OH、60mM HATU、100mM 2,6−ルチジン、および66mM DIPEAを含む溶液120μlを2回適用することにより、リンカー分子の遊離のアミノ基と結合させた。 このリンカー分子を、このスペーサー溶液と30〜40分間インキュベートし、続いてDMFでリンスした。 次いで、反応していないリンカー分子を、テトラヒドロフラン中に10%無水酢酸および10%2,6−ルチジンを含む溶液を5分間適用することによる、さらなる反応によりキャッピングした。 リアクターキャビティにDMF溶液を流し、そして反応を完結させるために、Fmoc保護基を、10分間かけて連続的にリアクターキャビティを通して流した、DMF中の20%ピペリジン(1ml)を用いて除去した。 次いで、

    【0343】

    【数2】

    を、上記の結合条件を用いてスペーサーの遊離のアミノ基に結合した。 キャッピングおよびFmocの除去により、配列

    【0344】

    【数3】

    に導いた。 この配列を

    【0345】

    【数4】

    と結合し、そしてキャッピングしたが、脱保護はしなかった。 これにより、配列

    【0346】

    【数5】

    を提供した。

    【0347】 次に、

    【0348】

    【数6】

    を、「Solvent Resistant Photosensitive


    Compositions」と題された同時係属中の出願に記載されるポジ型フォトレジストからなる、一連のフォトパターン化されたバリア層を用いて加えた。 ポジ型フォトレジストの2つの主要な特性は、固相合成の間にバリア層として、それを特に有用にする。 第一に、それは、有機反応において使用される多くの有機溶媒に対して耐性がある。 第二に、このフォトレジストの照射される領域は、その下にある表面に接続される化学種に関しては不活性である光化学反応を起こす。 この表面に適用された一連の8つのパターン化されたフォトレジスト層を用い、PNAモノマーの2つの層を、各々の多孔性正方形における、16の可能性のある配列

    【0349】

    【数7】

    の組み合わせのうちの1つを作製する、パターン化された多孔性コーティングに選択的に適用した。

    【0350】 詳細には、フォトレジスト層を、全ての多孔性正方形でこの配列

    【0351】

    【数8】

    を有する多孔性支持体上に固定した。 フォトレジストフイルムの表面を、4つの多孔性正方形の第一のカラムで占められた矩形領域を含む、透明な矩形を有する不透明なマスクと接触させた。 このマスクに、UV透照器を用いて、8mW/c


    2のエネルギー密度で10分間、365nmの光を露光した。 フォトレジストが適切に照射された状態で、基材全体を、照射された領域を溶解する現像液に浸漬し、多孔性正方形の第一のカラムに長方形の開口部を有するフォトレジスト層を残した。 このスライドを、反応台に取り付け、そして全ての多孔性正方形を包含する領域を、上記のようにトルエン中の20%ピペリジンに曝した。 スライドの表面上のパターン化されたバリア層のためであるが、ピペリジンは、多孔性正方形の第一のカラムからのみ、Fmocを除去した。 このスライドを、反応台から取り外し、そしてフォトレジスト層を有機溶媒を用いて剥がした。 このスライドを再び取り付け、そして多孔性正方形のアレイ全体を、上記の条件を用いて

    【0352】

    【数9】

    と接触させた。 この

    【0353】

    【数10】

    は、Fmocが選択的に除去された多孔性正方形の第一のカラムとのみ結合した。 結合に続き、別のフォトレジスト層を固定し、そして多孔性正方形の第2のカラムを含む領域を照射した。 この多孔性正方形の第二のカラムを選択的に脱保護し、そして上記のように

    【0354】

    【数11】

    と結合させた。 このプロセスを、

    【0355】

    【数12】

    をそれぞれ用いて、第三および第四のカラムについて繰り返した。

    【0356】 これらの4つのパターン化されたバリア層の適用後、

    【0357】

    【数13】

    を、各々のカラムにおける4つの配列

    【0358】

    【数14】

    のうちの1つの作製を完了した。

    【0359】

    【数15】

    を、4つのマスクの各々の透明な矩形が、4つの多孔性正方形の列により占められた領域含むこと以外は同様に、完了した。

    【0360】

    【数16】

    が完了した状態で、全てのFmoc基を除去し、そして残りの配列と、

    【0361】

    【数17】

    を全ての多孔性正方形に連続的に結合することにより合成した。 この実施例における環外アミノ基にBhoc(ベンズヒドリルオキシカルボニル)保護を使用し、これは短い脱保護時間を可能にする。 従って、この環外アミン保護基を、TF


    A中の25%m−クレゾールと10分間インキュベートすることにより除去した。 脱保護は、単一要素の配列(リンカー−スペーサー−CGN

    1

    2 TCCG−N


    2 )を含む各々の多孔性正方形を有する、16要素のPNAアレイを与える。


    試薬歴という点で発現されたPNAアレイ要素の例として、「CT」および「C


    A」要素は、以下のように図式で記載され得る:

    【0362】

    【化51】

    ここで、「cap」は、キャッピング試薬であり、「pip」はFmoc除去試薬であり、そして

    【0363】

    【数18】

    はFmocおよびBhoc保護されたモノマー結合試薬である。

    【0364】 PNAアレイへのDNAハイブリダイゼーションの特異性を示すために、6x
    SSPE中の10μM FAAを多孔性の表面に適用し、そして10分間室温でインキュベートし、続いて、ほぼ室温で、6x SSPE中で洗浄した。 多孔性コーティングの蛍光イメージを、Standard Epifluoresce
    nce Microscopeを取り付けた35mmカメラを用いて、室温でキャプチャした。 予想されたアレイ要素に結合したFFAの蛍光イメージは、10
    xの対物レンズ拡大率および15秒の露光時間を用いて、容易に検出および可視化される(図6および対応する面プロットを参照のこと)。 6つのアレイ要素はただ1つの塩基により「CT」要素と異なるが、FAAは、他のアレイ要素からの僅かなシグナルで、またはシグナルなしで、その相補的なPNA配列と特異的にハイブリダイズする。

    【0365】 結合FAAを、スライドを90℃の水中に浸漬することによりPNAアレイから解離させ、そしてFAAについての上記のような条件を用いて、FTAに関してハイブリダイゼーションを繰り返した。 FTAハイブリダイゼーションの蛍光イメージを、35mmカメラに取り付けたStandard Epifluor
    escence Microscopeの10x対物レンズを用いてキャプチャした。 この蛍光イメージおよび対応する面プロットを図6に示す(15秒の露光時間)。 FAAのように、FTAは、他のアレイ要素からの僅かなシグナルで、
    またはシグナルなしで、その相補的なPNA配列と特異的にハイブリダイズする。

    【0366】 この実施例は、以下を示す:(1)この多孔性コーティングは、リガンドアレイの固相合成を行うための、成功した基材を提供すること、(2)この多孔性コーティングは、増加したPNAリガンド表面密度を提供すること、(3)表面結合したPNAリガンドは、DNAレセプター結合のために利用可能であること、
    (4)パターン化された多孔性アレイ上の標識レセプターのイメージングは、標準の装置を用いて迅速かつ経済的であること、および(5)この多孔性コーティングは、巨大分子レセプターに特有の特異的な結合を検出し得る基材を提供すること。 この実施例は、さらに、より迅速なハイブリダイゼーション(DNAでの60分に対し、10分)、より大きな特異性、およびより簡便なハイブリダイゼーション条件(すなわち、室温での短いプローブのハイブリダイゼーション)を含む、PNAアレイのDNAアレイに対する長所を示す。

    【0367】 この実施例はまた、予め合成されたPNA分子のアレイを支持体に適用することとは対照的に、スクリーニングのために使用する支持体上に直接PNAアレイを合成することの長所を示す。 PNA分子は固相で容易に合成されるが、支持体から切断された後に多くの配列が凝集する。 PNAアレイを多孔性支持体上に直接合成することによって、凝集および溶解性の問題が避けられる。 結果として、
    この開示されるPNAアレイは、PNAのDNAとの液相ハイブリダイゼーションと典型的に直面する配列または長さの制限を有さない。

    【0368】 (実施例24) (弱阻害薬アナログのアレイ:合成およびスクリーニング) この実施例は、薬物、除草剤、および殺虫剤に特有な、低分子量化合物を有するアレイを合成およびスクリーニングする方法の有効性を示すために、エナラプリラートの9つのアナログを含むアレイの調製を例示する。 エナラプリラートは、アンギオテンシン変換酵素(ACE)に結合し、そしてそのジペプチダーゼ活性を阻害する降圧剤の分類の1つである。 ACEは、前駆体デカペプチドアンギオテンシンIからC末端ジペプチドを取り去ることにより、強力な血管収縮物質アンギオテンシンIIを生成する。 エナラプリラートは、以下の式:

    【0369】

    【化52】

    を有するジペプチドアナログである。

    【0370】 エナラプリラートは、アンギオテンシンIの切れやすいペプチド結合で達成される遷移状態様ジオメトリーを模倣する、CHCO 2 H基およびNH基を有する遷移状態阻害剤であると考えられる(Patchettら、Science 2
    88:280,1980を参照のこと)。 このエナラプリラートアレイを、固相合成および一連のパターン化されたバリア層を用いて合成した。 試薬は、Ald
    rich Chemical Company,Inc. (Milwaukee
    ,WI)からのα−ケト酸以外は、PerSeptive Biosystem
    s. Inc. (Framingham,MA)からの試薬であった。 全てのアミノ酸は、L−アミノ酸であった。

    【0371】 1600μm×1600μm多孔性正方形の3×3アレイを含む、パターン化された多孔性コーティングを、実施例19に記載されるように調製し、そして実施例20に記載される方法を用いてアミノリンカー分子と結合させた。 次いで、
    エナラプリラートアレイを、1つの1600μm×1600μmの多孔性正方形を占める各々のアレイ要素を有する、パターン化された多孔性コーティングの表面上に合成した。 アレイの各エレメントは、以下の式:

    【0372】

    【化53】

    (ここで、X

    1は、X

    1a 、X

    1b 、またはX

    1cであり得、そしてX

    2は、X

    2a 、X

    2b 、またはX

    2cであり得る(表Xを参照のこと))を有する化合物の、9つの組み合わせのうちの1つを含む。

    【0373】

    【表11】

    各要素において、Sは、多孔性の表面であり、Aは、アミノプロピルトリエトキシシランであり、そしてLは、以下の式:

    【0374】

    【化54】

    を有する酸不安定なリンカーであり、ここで、3級酸素は、エナラプリラートアナログとともにエステルを形成し、そしてカルボニルは、アミノプロピルトリエトキシシランとともにアミドを形成する。 C末端ジペプチドは、ジケトピペラジン(DKP)形成を介するFmocベースの固相合成の間に失われ得る(Gis


    inおよびMerrifield,J. Amer. Chem. Soc. 94:3


    102,1972を参照のこと)。 DKPを導く分子内アミノ分解は、C末端残基が、エナラプリラートアナログの合成において生じるようなプロリンである場合に、特に促進される。 分子内アミノ分解およびDKP形成を、プロリンを、上記のような3級アルコールのエステルを介して支持体に接続することにより、立体的に抑制した。 この3級アルコールは、4−(1',1'−ジメチル−1'−


    ヒドロキシプロピル)フェノキシアセチル(DHPP;Akajiら、J.Ch


    em. Soc. ,Chem. Commun. 584,1990ならびにKoch


    anskyおよびWagner,Tetrahedron Lett. 33:8


    007,1992により記載されるようなJan Kochansky,USD


    A(Beltsville,MD)からの親切な寄贈品)であった。

    【0375】 アナログアレイを、まず配列(S−A−L−Pro−Fmoc)を、実施例5
    に記載されるリアクターシステムを用いて手動で試薬を適用することにより、全ての多孔性正方形に付加することにより、合成した。 DHPPを、Aの遊離のアミノ基に、DMF中に104mM DHPP、93mM HOAt(1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール)、および105mM DIPCDI(N,
    N−ジイソプロピルカルボジイミド)を含む溶液を適用することにより結合させた。 結合は、上記の溶液の3つの100μlアリコートを、180分間にわたりリアクターキャビティーに適用することにより行った。 次いで、リアクターキャビティに、DMFを流し、そしてDHPPの3級アルコール基を、ピリジン−ジクロロエタン(1:4)中の100mM FMOC−Pro−Clを用いて、2
    0時間かけてエステル化した。 FMOC−Pro−Clは、先に公開された方法(Carpinoら、J.Org.Chem.51:3732,1986を参照のこと)に従って、塩化チオニルより調製したFMOC−Proの酸塩化物である。 3級アルコール基の低い反応性は、Fmoc−ProのDHPPとの効率的な結合のために酸塩化物を必要とする。

    【0376】 次に、X 1基およびX 2基を、「Solvent−Resistant Pho
    tosensitive Compositions」と題された同時係属中の出願に記載されるポジ型フォトレジストを含む、一連の光パターン化されたバリア層を用いて加えた。 このポジ型フォトレジストは、多くの有機溶媒に対して耐性があり、そしてそのフォトレジストの照射された領域は、下にある表面に付加された化学種に関しては不活性である光化学反応を受けるので、固相合成の間のバリア層として特に有用である。 表面に適用された一連の6パターンのフォトレジスト層を用いて、2層の化学試薬をこのパターン化された多孔性コーティングに選択的に適用し、各々の多孔性正方形に上記のエナラプリラートアナログのうちの1つを生成した。

    【0377】 詳細には、フォトレジスト層を、全ての多孔性正方形に配列(S−A−L−P
    ro−Fmoc)を有する多孔性支持体上に固定した。 このフォトレジストフイルムの表面を、3つの多孔性正方形の第一のカラムにより占められた矩形領域を含む、透明な矩形を有する不透明なマスクと接触させた。 このマスクに、UV透照器を用いて、8mW/cm 2のエネルギー密度で10分間、365nmの光を露光した。 フォトレジストが適切に照射された状態で、基質全体を、照射された領域を溶解する現像液に浸漬し、多孔性正方形の第一のカラムに矩形の開口部を有するフォトレジスト層を残した。 スライドを反応台に取り付け、そして全ての多孔性正方形を包含する領域を、上記のようにトルエン中の20%ピペリジンに曝した。 スライドの表面上のパターン化されたバリア層のためであるが、ピペリジンは、多孔性正方形の第一のカラムからのみFmocを除去した。 このスライドを反応台から取り外し、そしてフォトレジスト層を有機溶媒を用いて剥がした。

    【0378】 このスライドを再び取り付け、そして多孔性正方形のアレイ全体を、DMF中に233mM Fmoc−アラニン−OH、233mM HATU、および45
    8mM DIPEAを含む溶液と接触させた。 この溶液を、多孔性の表面と60
    分間インキュベートし、次いでリアクターキャビティにDMFを2回流した。 このFmoc−アラニン−OHモノマーは、Fmocが選択的に除去された多孔性正方形の第一のカラムとのみ結合した。 結合に続き、別のフォトレジスト層を固定し、そして多孔性正方形の第二のカラムを含む領域を照射した。 多孔性正方形の第2のカラムを、選択的に脱保護し、そして上記のようなFmoc−アスパラギン(トリチル)−OH(すなわち、トリチルで保護されたモノマー)と結合させた。 このプロセスを、Fmoc−セリン(tert−ブチル)−OH(すなわち、tert−ブチルで保護されたモノマー)を用いて、第三のカラムに対して繰り返した。

    【0379】 これらのパターン化されたバリア層の適用後、X 1層に、各々のカラムにおいて、以下の式:

    【0380】

    【化55】

    を有する3つの化合物のうち1つを生成することを完了した。

    【0381】 X 2層を、各々の次の3つのマスクの透明な矩形が、カラムではなく3つの多孔性正方形の列により占められる領域を含むこと以外は、同様のバリア層を用いて付加した。 このX 2層を、フェニルピルビン酸、2−ニトロフェニルピルビン酸、および2−ケトグルタル酸からなる群から選択されたα−ケト酸を用いる、
    脱保護されたアミノ基の還元的アルキル化により形成した。 各X 2結合を、多孔性正方形のアレイ全体を、酢酸−DMF(1:99)中の250mM α−ケト酸および400mM NaBH 3 CNの溶液と24時間接触させることにより構成した。

    【0382】 X 2層が完成した状態で、高分子バインダーを、エタノール−H 2 O(1:3)
    中の1%ポリビニルアルコールの薄い液体の層を適用し、そしてエバポレートすることにより、多孔性アレイに加えた。 次いで、各々の多孔性正方形を、カミソリの刃を用いて基材から除去し、そして別々の試験管に入れた。 高分子バインダーは、除去の間の多孔性ネットワークの断片化を防いだ。 各々の試験管に、20
    0μlのH 2 Oを加え、続いて遠心分離した。 上澄みは、可溶化した高分子バインダーを含み、そしてそれを廃棄した。 多孔性物質の各々のペレットに、20μ
    lのTFA−H 2 O(95:5)を加え、アナログを支持体から切断し、そしてtert−ブチル保護基およびトリチル保護基を除去した。 2時間のインキュベーション後、TFA−H 2 Oを減圧下で除去し、各試験管内に、以下の一般式:

    【0383】

    【化56】

    (ここで、R

    1およびR

    2は、表XIにおいて定義される基である)を有する、9


    つのエナラプリラートアナログのうちの1つを含む残渣を残した。 次いで、各アナログを、300mM NaClを含む50μlの50mMトリス緩衝液(pH


    8.3)に溶解した。 試薬歴について表現されるアナログの例として、このアレイからの「R

    1a +R

    2a 」アナログは、以下: R

    1a +R

    2a :S−[APES]−[DHPP]−[FMOC−Pro−Cl]−


    [pip]−[Fmoc−アラニン−OH]−[Fmoc−アスパラギン(トリチル)−OH]−[Fmoc−セリン(tert−ブチル)−OH]−[pip


    ]−[フェニルピルビン酸+NaBH

    3 CN]−[2−ニトロフェニルピルビン酸+NaBH

    3 CN]−[2−ケトグルタル酸+NaBH

    3 CN]−[PVA]−


    [H

    2 O]−[TFA−H

    2 O] のように記載され得る。

    【0384】

    【表12】

    各エナラプリラートアナログを、フリルアクリロイルフェニルアラニルグリシルグリシン(すなわち、FAPGG、Sigma Chemical Co.,


    St. Louis,MO)基質を用いる機能アッセイで、ACE阻害活性についてスクリーニングした。 FAPGGのACEによる加水分解の結果、エナラプリラートアナログの存在下または非存在下における、初期酵素速度を計算するために使用され得る328nmの吸収が、減少する。 各アッセイ混合物は、50μl


    の全反応容積中に、10nM ACE、50μM FAPGG、50mM トリス(pH8.3)、300mM NaCl、および20〜40μlの各々の上記のアナログの溶液を含有した。 アナログのない上記の混合物は、阻害活性について陰性コントロールとして作用した。 陽性コントロールを、250nMの強力なインヒビター(リシノプリル(IC

    50 =1.2nM))を加えることにより作製した。 各反応を、100μlキュベット中で、45μlの残りのアッセイ成分に、5μlの500μM FAPGGを加えることにより開始させた。 各反応の時間進行を、15秒ごとに328nmの吸収を測定することによりモニターした。


    陰性コントロールは、1220min

    -1の平均初期速度を有し、これを、FAP


    GGについて先に報告されたK

    m値およびK

    cat値と有利に比較する(Holmq


    uistら、Analytical Biochem 95:540,1979


    を参照のこと)。 陽性コントロールは、0初期速度を有した。

    【0385】 アレイにおける各アナログの位置に従った各アナログのACE阻害率を、図7
    Bの面プロットに示す。 ACE阻害率は、陰性コントロールの初期速度に比例する初期速度の減少率として表現する。 面プロットにおける各エナラプリラートアナログの組成は、図7Aのアレイ模式図を用いて決定され得る。 組成は、表XI
    において定義されるようなR 1基およびR 2基により参照される。 影を付けたグリッドは、最も高いACE阻害率を有するアレイ要素を示す。 R 1a +R 2a化合物は、Patchettら、Science 288:280,1980により報告されるようなエナラプリラート(IC 50 =4.5nM)と比べて、ほんの中程度の結合親和性(IC 50 =39nM)を有する。 その中程度の結合親和性にもかかわらず、本発明の多孔性コーティングは、この化合物によるACEの阻害を検出するのに十分なリガンド表面密度を提供する。

    【0386】 このリガンド表面密度を、既知のIC 50および図7Bにおいて示される阻害率を用いて、R 1a +R 2a化合物について計算した。 1μm厚の多孔性コートによる35%阻害に基づき、R 1a +R 2a化合物の表面密度を、1.0×10 -17モル/
    μm 2と計算した。 この計算は、効果のない結合、脱保護、または切断による損失を考慮していないので、これは最小値である。 たとえこの警告があっても、この値は、報告されたHAPES表面密度およびAPES表面密度(Cheeら、
    Science 274:610,1996およびFodorら、米国特許第5
    ,510,210号を参照のこと)から予想された、0.2×10 -17モル/μ
    2 〜4.6×10 -17モル/μm 2の予期した範囲と一致する。 これは、多孔性コーティングにおけるリガンド濃度である、0.002M〜0.040Mと等価である。 これを、高分子支持体(例えば、Tenta gel TM 、RAPPポリマー、GmbH)におけるリガンド濃度である、0.01M〜0.13Mと比較する。

    【0387】 他のアナログによるACEの阻害のアッセイはいずれも、既知の構造−機能の関係を実証し、そして新しい関係を同定した。 例えば、疎水性置換基および塩基性置換基をR 1およびR 2に組込んだ結果、高阻害性の化合物となることは公知である(Patchettら、Science 288:280,1980を参照のこと)。 図7Aおよび7Bに示されるように、R 1の非疎水性の基(すなわち、R 1bまたはR 1c )は、たとえR 2に疎水性の基(すなわち、R 2a )が存在しても、阻害活性に対して悪影響を有し得る。 R 2の負に帯電した基(すなわち、R 2 c )は、酵素上の推定カルボキシル基との強力な不利な相互作用を提供することにより、阻害活性を消滅させる(R 1a +R 2aおよびR 1a +R 2cを比較のこと)。
    このようなカルボキシル基は、酵素ポケットにおいて、R 2位に塩基性の置換基を有するインヒビターと有利に相互作用することを期待される。 化合物R 1a +R 2aおよび化合物R 1a +R 2bの阻害活性の比較は、2−ニトロ基が、以前は認識されていなかった活性部位の、よりかすかな構造−機能関係を明らかにする、中程度に不利な修飾であることを示す。 2−ニトロ基のこの中間の効果は、おそらく、2−フェニル置換基上の立体制限を反映する。 これらのアナログの低い結合親和性にもかかわらず、本発明の多孔性コーティングは、上記の構造−機能関係を同定するのに十分な量の、各々の化合物を提供する。

    【0388】 この実施例は、以下のことを示す:(1)この多孔性コーティングは、固相合成を使用する低分子の候補薬物のアレイを作製するための、成功した基材を提供すること、(2)このリガンド表面密度は、個々のアレイ要素からのリガンドを用いる機能的アッセイを行うのに十分であること、(3)このリガンド表面密度は、低〜中程度の結合親和性を有するリガンドを用いる機能的アッセイを行うのに十分であること、および(5)低分子の多孔性アレイは、薬物の構造と薬物の結合との間の関係を同定するための、成功したシステムを提供すること。

    【0389】 上記より、本発明の特定の実施形態は、本明細書中に例示の目的で記載されているが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく種々の変更がなされ得ることは、明らかである。 従って、本発明は、添付の特許請求の範囲により限定される以外は限定されない。

    【図面の簡単な説明】

    【図1A】 図1Aは、接続したリガンド31およびリンカー30を有する多孔性コーティング25を含む代表的な物品の断面を例示する図である。 基材20の表面22は、接着表面24を有する接着層23が設けられる。 多孔性コーティング25は、
    実質的に厚みが均一であり、実質的に球形の金属酸化物粒子26の連続ゲル状ネットワークおよび金属アルコキシドポリマー28を含む。 この表面積は、多孔性コーティング表面29によって形成される。

    【図1B】 図1Bは、フォトレジスト層32の適用した後の、照射の間の図1Aに示されるような代表的物品の断面を例示する図である。 マスク34の不透明領域36は、フォトレジスト層32の第1領域に対する光放射を遮断するために使用される。 マスクの透明領域38および40は、それぞれ、光がフォトレジストの第2および第3の領域を照射することを可能にする。 フォトレジスト層32の厚みは、
    多孔性コーティング25を実質的に被覆し、その孔容量を満たすのに十分である。

    【図1C】 図1Cは、照射されたフォトレジストおよび横たわる多孔性コーティングを現像剤によって除去した後の、図1Bに示されたような代表的物品の断面を例示する図である。 残存するフォトレジスト32は、実質的に球形の金属酸化物粒子2
    6および金属アルコキシドポリマー28の残存するゲル状ネットワークを実質的にカバーする。

    【図1D】 図1Dは、フォトレジストを剥離し、リガンド31をリンカー30を介して結合した後の、図1Cに示されるような代表的物品の断面を例示する図である。

    【図1E】 図1Eは、多孔性コーティングの表面に液体試薬を適用するためのリアクターシステム100の断面を例示する図である。 リアクターシステム100は、介入ガスケット103で基材20をリアクター基部102に嵌合することによって形成される。 一緒にサンドウィッチされた基材、ガスケット、およびリアクター基部は、入口ポート108および出口ポート110を除いて密閉されたリアクターキャビティ104を形成する。 リアクターキャビティは、多孔性コーティング2
    5またはパターン付けされた多孔性コーティング35と接触する。

    【図2】 図2は、本発明に従うパターン付けされた多孔性コーティングの一部を示す倍率1,100倍での走査型電子顕微鏡写真である。

    【図3】 図3は、倍率95,000倍の図2の多孔性コーティングの走査型電子顕微鏡写真である。 金属酸化物粒子の表面上の細かい粒状は、走査型電子顕微鏡を用いて観察するための調製プロセスの一部として試料上に堆積されスパッタリングされた金属に起因する。 写真の底部のスケールバーは、100nm長である。

    【図4】 図4A〜4Fは、既存の方法に従って(すなわち、コーティングなし;図4A
    、4Cおよび4E)、および本明細書中に提供されるように代表的な多孔性コーティングを使用して(図4B、4Dおよび4F)、リガンド表面密度を示す、対物レンズの倍率2倍(図4Aおよび4B)、10倍(図4Cおよび4D)、および20倍(図4Eおよび4F)におけるエピ蛍光(epifluoresenc
    e)顕微鏡写真である。 このリガンドは、その表面に結合されたアミノプロピルトリエトキシシランの遊離アミノ基に結合されたFITCである。

    【図5】 図5A〜5Fは、代表的なパターン付けされた多孔性コーティング上の蛍光標識化したレセプターによるリガンドの特異的結合を証明するエピ蛍光顕微鏡の写真(図5A、5Cおよび5E)および表面プロット(図5B、5Dおよび5F)
    であり、ここでリガンドおよびレセプターの両方ともDNAである。 このリガンドは、固相合成法によってパターン付けされた多孔性コーティング上に合成された。 使用されたレセプターは、レセプターなし(図5Aおよび5B)、FTA(
    図5Cおよび5D)またはFAA(図5Eおよび5F)であった。

    【図6】 図6A〜6Fは、本発明に従ってパターン付けされた多孔性コーティング上の2つの異なる蛍光標識されたレセプター(示されるように、FAAまたはFTA
    )によってリガンドアレイの特異的結合を例示する、概略図(図6Aおよび6B
    )、エピ蛍光顕微鏡写真(図6Cおよび6D)および表面プロット(図6Eおよび6F)であり、ここで両方のレセプターはDNAであり、リガンドアレイはペプチド核酸(PNA)アレイである。 記号「F」は、フルオレセインを示す。 リガンドアレイ概略図上の影付けされたグリッドは、レセプター結合の予測される位置を示す。 このリガンドアレイは、フォトリソグラフィーおよび固相合成法によりパターン付けされた多孔性コーティング上に合成された。

    【図7】 図7Aおよび7Bは、代表的なパターン付けされた多孔性コーティング上に合成された弱い阻害性リガンドのアレイの概略図(図7A)および酵素阻害のプロット(図7B)であり、ここで、酵素はアンギオテンシン変換酵素(ACE)であり、このリガンドはエナラピリラート類似物、すなわち血圧降下薬剤(エナラプリル(enalapril))の活性代謝産物である。 このリガンドアレイは、フォトリソグラフィーおよび固相合成法によって、パターン化多孔性コーティング上に合成された。 この表面プロットは、アレイ位置の関数として%ACE阻害を示す。

    ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl. 7識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12Q 1/68 G01N 33/15 Z G01N 33/15 33/50 Z 33/50 33/552 33/552 G03F 7/004 511 G03F 7/004 511 C12N 15/00 F (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA ,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ, PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,S K,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG ,US,UZ,VN,YU,ZA,ZW Fターム(参考) 2G045 AA25 AA40 CA25 CA26 FB02 FB03 FB07 2H025 AA00 AB20 AC01 AD03 BE00 BE10 BG00 CB23 FA39 4B024 AA11 AA19 CA01 CA09 CA11 HA13 HA14 4B029 AA07 AA21 BB15 BB20 CC03 CC08 FA12 FA15 4B063 QA01 QA05 QA13 QQ41 QQ79 QQ95 QR01 QR16 QR31 QR48 QR56 QR84 QS32 QS33 QS34 QX02 QX10

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