Stereoselective preparation and their use of the Grignard compound

申请号 JP2000559157 申请日 1999-07-02 公开(公告)号 JP2002520339A 公开(公告)日 2002-07-09
申请人 ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト; 发明人 カイエス,ジェラルド; ノッチェル,ポール; ボイモンド,ローレ; ロットランデール,マリオ;
摘要 (57)【要約】 本発明は、式(I)のグリニャール化合物の立体選択的製造方法、式(Ia)のポリマー結合化合物、物質のライブラリーを作製するための該方法の使用、ならびに立体選択的化学合成における式(I)および(Ia)の化合物の使用に関する。
权利要求 【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 式I: の化合物を製造する方法であって、式II: の化合物を、式III:R 3 MgXの化合物と、+30℃以下の温度で立体選択的に反応させて、式Iの化合物を得ることを含んでなる方法。 〔上記式I、IIおよびIII中の置換基および可変記号は次の意味を有する: Xは、Clのようなハロゲン、またはR 3であり、 R 1は、置換されたまたは置換されていない、分枝状または非分枝状のC 1 -C 10 -
    アルキル、C 3 -C 10 -シクロアルキル、C 1 -C 4 -アルキルアリール、C 1 -C 4 -アルキルヘテロアリール、アリール、またはヘテロアリールであり、 R 2は、水素またはCH 2 -R 4であり、 R 3は、分枝状または非分枝状のC 1 -C 10 -アルキル、またはC 3 -C 10 -シクロアルキルであり、 R 4は、水素、置換されたまたは置換されていない、分枝状または非分枝状の-O
    C 1 -C 10 -アルキル、-OC 3 -C 10 -シクロアルキル、-OC 1 -C 4 -アルキルアリール、-OC 1 -C 4 -アルキルヘテロアリール、-OCNR 1 R 5 、またはR 6であり、 R 5は、R 1と同じであるが、それとは独立しており、 R 6は、固相支持体である。 〕
  • 【請求項2】 不活性の非プロトン性溶媒中で実施する、請求項1記載の方法。
  • 【請求項3】 -100℃から+30℃までの温度で実施する、請求項1または2
    記載の方法。
  • 【請求項4】 請求項1記載の式Iの化合物を形成する反応が18時間以内に完了する、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
  • 【請求項5】 固相支持体(=R 6 )上で実施する、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
  • 【請求項6】 式Iaの化合物。 〔式中、可変記号および置換基は請求項1で特定した意味を有し、R 2は-CH 2 -R 4
    であり、R 4はR 6であり、R 6は固相支持体である。 〕
  • 【請求項7】 物質基準ライブラリーを作製するための請求項1〜5のいずれか1項記載の方法の使用。
  • 【請求項8】 化学合成のための請求項1記載の式Iの化合物または請求項6記載の式Iaの化合物の使用。
  • 【請求項9】 カロチノイド、ビタミンまたは活性化合物を合成するための請求項8記載の使用。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】 本発明は、式Iのグリニャール化合物の立体選択的製造方法に関する。 本発明はまた、式Iaのポリマーに固定した化合物に関する。 本発明はさらに、物質基準ライブラリーを作製するための前記方法の使用、ならびに立体選択的化学合成における式Iおよび式Iaの化合物の使用に関する。

    【0002】 グリニャール化合物は有機合成において価値のある中間体であって、有機合成化学で最も重要な種類の化合物のうちの1つである。 グリニャール化合物と求電子物質との反応により様々な化合物を製造することができる。 グリニャール化合物を用いた多くの合成が文献から公知である(Handbook of Grignard Reagents,
    GS Silverman, PE Rakita編, Marcel Dekker, Inc., 1996を参照のこと)
    。 グリニャール化合物は満足のゆく化学的選択性でもって良好な反応性を示す(
    Posner GH Org. React., Vol. 22, 1975: 253; Lipshutzら, Org. React., V
    ol. 41, 1992: 135; Luh T.-Y. Chem. Res., Vol. 24, 1991: 257;またはTamao
    ら, J. Am. Chem. Soc., Vol. 94, 1972: 4374を参照のこと)。

    【0003】 アルケニルグリニャール化合物を製造するには、通常、対応するハロゲン化アルケニルを金属マグネシウムまたは他のマグネシウム源と反応させる。 別の方法はアセチレンから出発するもので、アセチレンを適当な促進剤の存在下にグリニャール化合物で炭素金属化(carbometallate)する。 この方法は当業者に公知であり、例えば、Houben-Weyl, Vol. XIII/2aとそこに引用された文献、Handbook of
    Grignard Reagents, GS Silverman, PE Rakita編, Marcel Dekker, Inc.,
    1996、J. Organomet. Chem. 1976, 113: 107、またはJ. Fluorine Chem. 1982,
    20, 699に記載されている。

    【0004】 しかしながら、こうした方法によるビニル系グリニャール化合物の製造においては、しばしば副反応(例えば、脱離反応)が起こるため、すべてのハロゲン化ビニルに応用できるわけではない。 例えば、末端がビニルのハロゲン化物は、目的のグリニャール化合物を生成するのに、通常は極めて不十分にしか反応しない。 使用した反応条件のもとでは、スキームIに示すように、しばしば異性化が観察される。 スキームI: グリニャール化合物の異性化

    【0005】 シス-ハロゲン化物(ハロゲンとR 1 'に基づく)からはグリニャール化合物のトランス/シス異性体の混合物が得られ、次いで、求電子物質(=E1)との更なる反応により目的生成物のトランス/シス混合物が得られる。 スキームIでは、基
    R 1 '、R 2 'およびR 3 'を単に図式的に示してある。

    【0006】 これまでに利用可能な方法のさらなる欠点は、求電子物質と反応しうるエステル、ニトリル、アミドなどの別の官能基をもつグリニャール化合物を製造できないことである。 なぜなら、このような基はグリニャール化合物の製造の際に求電子物質と反応してしまうからである。

    【0007】 本発明の目的は、もとのトランス/シス配置を保持しながら、ビニル系グリニャール化合物の立体選択的経路を提供する、これらの化合物の合成方法を利用可能にすることである。 もう一つの目的は、これらの化合物と求電子物質との更なる立体選択的反応を可能にすることである。 別の目的は、興味のある化合物を合成的かつ薬学的に製造することを可能にするために、該分子において多くの追加の官能基を許容する方法を提供することである。

    【0008】 この目的は、式I:

    【0009】 の化合物を製造する方法により達成される。 前記方法は、式II:

    【0010】 の化合物を、式III:R 3 MgXの化合物と、+30℃以下の温度で立体選択的に反応させて、式Iの化合物を得ることを含んでなる。 ここで、上記式I、IIおよびIII
    中の置換基および可変記号は次の意味を有する: Xは、Clのようなハロゲン、またはR 3であり、 R 1は、置換されたまたは置換されていない、分枝状または非分枝状のC 1 -C 10 -
    アルキル、C 3 -C 10 -シクロアルキル、C 1 -C 4 -アルキルアリール、C 1 -C 4 -アルキルヘテロアリール、アリール、またはヘテロアリールであり、 R 2は、素またはCH 2 -R 4であり、 R 3は、分枝状または非分枝状のC 1 -C 10 -アルキル、またはC 3 -C 10 -シクロアルキルであり、 R 4は、水素、置換されたまたは置換されていない、分枝状または非分枝状の-O
    C 1 -C 10 -アルキル、-OC 3 -C 10 -シクロアルキル、-OC 1 -C 4 -アルキルアリール、-OC 1 -C 4 -アルキルヘテロアリール、-OCNR 1 R 5 、またはR 6であり、 R 5は、R 1と同じであるが、それとは独立しており、 R 6は、固相支持体である。

    【0011】 式IおよびIIの化合物において、R 1は、置換されたまたは置換されていない、
    分枝状または非分枝状のC 1 -C 10 -アルキル、C 3 -C 10 -シクロアルキル、C 1 -C 4 -アルキルアリール、C 1 -C 4 -アルキルヘテロアリール、アリール、ヘテロアリールまたはR 5である。

    【0012】 アルキル基の例は、置換されたまたは置換されていない、分枝状または非分枝状のC 1 -C 10 -アルキル鎖、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、1-メチルエチル、n-ブチル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、1,1-ジメチルエチル、n-
    ペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、n-ヘキシル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,
    2-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、1-エチルブチル、2-エチルブチル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,2,2-トリメチルプロピル、1-
    エチル-1-メチルプロピル、1-エチル-2-メチルプロピル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、またはn-デシルである。

    【0013】 上記式中のシクロアルキル基の例は、環または環系中に3〜7個の炭素原子を有する、置換されたまたは置換されていない、分枝状または非分枝状のC 3 -C 10 -
    シクロアルキル鎖、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、
    シクロヘキシル、シクロヘプチル、1-メチルシクロプロピル、1-エチルシクロプロピル、1-プロピルシクロプロピル、1-ブチルシクロプロピル、1-ペンチルシクロプロピル、1-メチル-1-ブチルシクロプロピル、1,2-ジメチルシクロプロピル、1-メチル-2-エチルシクロプロピル、シクロオクチル、シクロノニル、またはシクロデシルである。 また、シクロアルキル基は環中にS、N、Oなどのヘテロ原子を含んでいてもよい。 シクロアルキル基は分枝状または非分枝状のアルキル基をもつことができる。

    【0014】 C 1 -C 4 -アルキルアリールの例は、置換されたまたは置換されていない、分枝状または非分枝状の、C 1 -C 4 -アルキルフェニル基またはC 1 -C 4 -アルキルナフチル基であり、例えば、メチルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、1-メチルエチルフェニル、ブチルフェニル、1-メチルプロピルフェニル、2-メチルプロピルフェニル、1,1-ジメチルエチルフェニル、メチルナフチル、エチルナフチル、プロピルナフチル、1-メチルエチルナフチル、ブチルナフチル、1-メチルプロピルナフチル、2-メチルプロピルナフチル、または1,1-ジメチルエチルナフチルである。

    【0015】 アルキルヘテロアリール基の例は、環または環系中に1個以上の窒素、硫黄および/または酸素原子を有する、置換されたまたは置換されていない、分枝状または非分枝状のC 1 -C 4 -アルキルヘテロアリール基である。

    【0016】 アリール基の例は、置換されたまたは置換されていないアリール基、例えば、
    フェニル、ナフチル、または環系中に6〜18個の炭素原子を有する芳香族環または環系であって、さらに環中に3〜8個の炭素原子を有する別の非芳香族環もしくは環系を形成することができる24個までの追加の炭素原子を有するものである。 置換されたまたは置換されていないフェニルまたはナフチルが好ましいものである。

    【0017】 ヘテロアリール基の例は、N、O、Sなどのヘテロ原子を1個以上含むヘテロ芳香族3〜7員環を有する単環または縮合環の芳香族環系である。

    【0018】 基R 1に存在しうる置換基は、原則として、ケトンとアルデヒドを除いた全ての考えられる置換基であり、例えば、ハロゲン(例:フッ素、塩素、臭素)、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルコキシ、ベンジルオキシ、フェニル、ベンジルのような1個以上の置換基である。

    【0019】 式IおよびII中のR 2は、水素または-CH 2 -R 4である。

    【0020】 式R 3 MgX(III)において、R 3は分枝状または非分枝状のC 1 -C 10 -アルキルまたはC 3 -C 10 -シクロアルキルである。

    【0021】 アルキル基の例は、置換されたまたは置換されていない、分枝状または非分枝状のC 1 -C 10 -アルキル鎖、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、1-メチルエチル、n-ブチル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、1,1-ジメチルエチル、n-
    ペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、n-ヘキシル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,
    2-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、1-エチルブチル、2-エチルブチル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,2,2-トリメチルプロピル、1-
    エチル-1-メチルプロピル、1-エチル-2-メチルプロピル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、またはn-デシルである。

    【0022】 式III中のシクロアルキル基の例は、環または環系中に3〜7個の炭素原子を有する、置換されたまたは置換されていない、分枝状または非分枝状のC 3 -C 10 -
    シクロアルキル鎖、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、
    シクロヘキシル、シクロヘプチル、1-メチルシクロプロピル、1-エチルシクロプロピル、1-プロピルシクロプロピル、1-ブチルシクロプロピル、1-ペンチルシクロプロピル、1-メチル-1-ブチルシクロプロピル、1,2-ジメチルシクロプロピル、1-メチル-2-エチルシクロプロピル、シクロオクチル、シクロノニル、またはシクロデシルである。

    【0023】 R 3として上述した基は置換基をもつことができるが、それらの化合物は製造するのが複雑で、しかも基R 3はグリニャール化合物から合成された生成物中に含まれないので、商業的に入手できるかまたは簡単に合成できる非置換化合物を使用することが経済的見地から有利である。

    【0024】 R 4は、水素、置換されたまたは置換されていない、分枝状または非分枝状の-O
    C 1 -C 10 -アルキル、-OC 3 -C 10 -シクロアルキル、-OC 1 -C 4 -アルキルアリール、-OC 1 -C 4 -アルキルヘテロアリール、-OCNR 1 R 5 、またはR 6 =4-ヒドロキシベンジルポリスチレンである。

    【0025】 -O-アルキル基の例は、置換されたまたは置換されていない、分枝状または非分枝状の-OC 1 -C 10 -アルキル鎖である。 これらの-O-アルキル基において、C 1 -C 1 0 -アルキル鎖は、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、1-メチルエチル、n-ブチル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、1,1-ジメチルエチル、n-ペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2,2-ジメチルプロピル、
    1-エチルプロピル、n-ヘキシル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、1-エチルブチル、2-エチルブチル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,2,2-トリメチルプロピル、1-エチル-1
    -メチルプロピル、1-エチル-2-メチルプロピル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、またはn-デシルである。

    【0026】 基R 4中の-O-シクロアルキル基の例は、環または環系中に3〜7個の炭素原子を有する、置換されたまたは置換されていない、分枝状または非分枝状の-OC 3 -C 10 -シクロアルキル鎖であり、これらの-OC 3 -C 10 -シクロアルキル鎖中のC 3 -C 10 -
    シクロアルキル鎖は、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、1-メチルシクロプロピル、1-エチルシクロプロピル、1-プロピルシクロプロピル、1-ブチルシクロプロピル、1-ペンチルシクロプロピル、1-メチル-1-ブチルシクロプロピル、1,2-ジメチルシクロプロピル、1-メチル-2-エチルシクロプロピル、シクロオクチル、シクロノニル、またはシクロデシルである。 シクロアルキル基は環中にS、N、Oなどのヘテロ原子をもつことができ、また、分枝状または非分枝状のアルキル基をもっていてもよい。

    【0027】 -OC 1 -C 4 -アルキルアリールの例は、置換されたまたは置換されていない、分枝状または非分枝状の-OC 1 -C 4 -アルキルアリール基であり、ここでC 1 -C 4 -アルキルアリール鎖は、例えば、C 1 -C 4 -アルキルフェニル基またはC 1 -C 4 -アルキルナフチル基、例えば、メチルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、1-メチルエチルフェニル、ブチルフェニル、1-メチルプロピルフェニル、2-メチルプロピルフェニル、1,1-ジメチルエチルフェニル、メチルナフチル、エチルナフチル、
    プロピルナフチル、1-メチルエチルナフチル、ブチルナフチル、1-メチルプロピルナフチル、2-メチルプロピルナフチル、または1,1-ジメチルエチルナフチルである。

    【0028】 -O-アルキルヘテロアリール基の例は、環または環系中に1個以上の窒素、硫黄および/または酸素原子を有する、置換されたまたは置換されていない、分枝状または非分枝状の-OC 1 -C 4 -アルキルヘテロアリール基である。 ヘテロ芳香族部分は、1個以上のヘテロ芳香族3〜7員環と共に単環または縮合環の芳香族環または環系を含むことができる。

    【0029】 上述した基はすべて、酸素を介して結合した置換基R 4を有する。

    【0030】 R 4はポリマー(=固相支持体)R 6 (該支持体の定義については下記参照)であってもよい。 用いられるポリマーは有利には4-ヒドロキシベンジルポリスチレンである。

    【0031】 OCNR 1 R 5は、R 1とR 5が互いに独立して上記定義通りであるカルバメートである。

    【0032】 特定した基R 4に存在しうる置換基は、原則として、ケトンとアルデヒドを除いた全ての考えられる置換基であり、例えば、ハロゲン(例:フッ素、塩素、臭素)、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルコキシ、ベンジルオキシ、フェニル、ベンジルのような1個以上の置換基である。

    【0033】 本発明の方法による反応は、有利には、式IIの化合物と式R 3 MgX(III)の化合物とを、好ましくは不活性の非プロトン性溶媒、例えばテトラヒドロフラン(THF)
    、ジエチルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタンまたはメチルt-ブチルエーテル(MTB)などのエーテル類の中で、30℃以下、好ましくは-100℃から+30℃まで、より好ましくは-90℃から+30℃まで、特に好ましくは-80℃から+25℃までの温度で反応させて、式Iの化合物を得ることにより実施される。 基R 4が酸素原子を介して結合されている化合物の場合には、-20℃より低い反応温度、好ましくは-
    100℃から-20℃まで、より好ましくは-80℃から-40℃までの温度を選択することが有利である。 基R 4が炭素原子を介して結合されている化合物の場合には、+30
    ℃より低い反応温度、好ましくは-40℃から+30℃まで、より好ましくは-20℃から+30℃まで、特に好ましくは0℃から+30℃までの温度を選択することが有利である。 原則として、当業者に公知の式R 3 MgXの化合物はどれもグリニャール化合物を製造するために使用することができるが、ジイソプロピルマグネシウムまたは塩化イソプロピルマグネシウムを用いることがより好ましい。

    【0034】 こうした穏やかな条件の下では、形成される式Iのグリニャール化合物(上記参照)が分子中に存在する別の官能基と反応することなく、ハロゲン−マグネシウム交換が起こる。 これらの化合物は所望の様式でのみ、すなわち求電子物質と立体選択的に反応する(表Iの例を参照のこと)。 85:15より大きいトランス/
    シス比、好ましくは90:10、より好ましくは98:2のトランス/シス比が達成される。

    【0035】 反応時間は用いるハロゲン化ビニルに応じて1〜18時間の範囲である。

    【0036】 この方法の利点は、ポリマーに結合したアルコール(=R 4 =R 6 =ポリマー、固相支持体)も所望の様式でハロゲン−マグネシウム交換を受けることである。 遊離のアルコールと同様に、これらのアルコールは式IIの化合物を合成するための出発化合物として機能する。 ポリマー結合アルコールの使用により、下記の式Ia

    【0037】 〔式中、R 2は-CH 2 -R 4であり、R 4はR 6であり、R 6は固相支持体である〕の化合物を製造することができる。

    【0038】 式Iaの化合物は有利には、固相ペプチド合成から知られているような、固相支持体(=R 6 )に結合される。 可能な支持体は様々な材料から構成されていてよいが、それらは用いる合成化学と適合しうるものでなければならない。 固相支持体のサイズ、サイズ分布および形状は、材料に応じて広い範囲内で変化しうる。 球状の粒子、特に均一なサイズ分布を有する球状粒子が好適である。

    【0039】 好ましい固相支持体の例としては、官能化された架橋ポリスチレン、例えば4-
    ヒドロキシベンジルポリスチレンがある。

    【0040】 化合物を支持体またはポリマー支持体に結合させるには、当業者に公知の反応、例えば、Balkenhohlらによる論文(Angew. Chem., Vol. 108, 1996: 2436)およびそこに引用された文献に見いだせるような反応を用いることができる。 Wang樹脂の場合には、例えばエステルを介して化合物を結合させることができる。 合成が完了した後に、例えばトリフルオロ酢酸を用いて生成物を樹脂から切り離す。

    【0041】 この方法は固相合成の長所(すなわち、自動的に反応を実施して、反応混合物を単に洗浄および濾過して後処理できること)を利用することを可能にする。 かくして、本発明の方法を用いて、物質基準ライブラリーを容易に作製することが可能である。

    【0042】 この反応は、したがって、コンビナトリアルケミストリーまたはHSA (Angew.
    Chem., Vol. 108, 1996: 2436)の原理により物質基準ライブラリーを作製するのに非常に適しており、そこでは最初にポリマーに結合させた出発物質上でハロゲン−マグネシウム交換が起こり、次に生成物が(混合物を製造するための1個の容器内で)多くの求電子物質と反応する。

    【0043】 洗浄と濾過を行なった後、目的生成物をリンキング結合の開裂に適した条件下でポリマーから切り離す。

    【0044】 式Iまたは式Ia(=R 4 =R 6 =固相支持体、好ましくはポリマー支持体)の新規化合物は、有利には、様々な後続の反応において使用しうる出発物質または中間体として化学合成に使用することができる。 そうした例としては、カロチノイド、ビタミンまたは活性化合物、例えば医薬品や農作物防御製品のための活性化合物の合成がある。

    【0045】 以下の実施例は、本発明の方法を制限することなしに、本発明を例示するものである。

    【0046】 実施例 A. トランス-3-(4-カルボエトキシベンジルオキシ)-2-フェニル-1-ヨードプロ
    ペンの製造 THF 4ml中に溶解したトランス-3-(4-カルボエトキシベンジルオキシ)-2-フェニル-1-ヨードプロペン 700mg (1.66mmol)の溶液を-85℃に冷却し、THF中に溶解したジイソプロピルマグネシウムの溶液(0.85M) 3.9ml (3.32mmol)を加えた。 -7
    0℃で16時間後、ベンズアルデヒド 0.48ml (4.65mmol)を加えた。 3時間後、反応混合物を加水分解し、有機相を蒸発させた。 粗生成物をクロマトグラフィーにかけ、塩化メチレン/エーテル 95:5 4/1で溶出してアルコール 528mg (79%)を得た。

    【0047】 表Iは、種々の求電子物質との類似の反応の結果を示す。

    【0048】 出発化合物(グリニャール化合物)は、ヨウ素−マグネシウム交換により7〜
    28時間かけて製造した。 反応溶液の温度は-78℃から+25℃までの範囲とした。 これらの温度では良好な変換反応が達成された。

    【0049】 表Iに示した収率は、化学的に純粋な最終生成物に基づくものである。 表I: グリニャール化合物の製造および求電子物質との反応

    【0050】 表Iに示した生成物は、それぞれの場合に98:2より大きいトランス/シスまたはシス/トランス比で得られた。

    【0051】 B. ポリマー支持体上のグリニャール化合物の製造および求電子物質との反応シス-ヨードアリルエーテルで官能化したWang樹脂 150mgをTHF 2mlと混合して、-40℃に冷却した。 THFに溶解した臭化イソプロピルマグネシウムの0.72M溶液
    1.25ml (0.9mmol)を滴下し、4時間後、ベンズアルデヒド 0.2ml (1.88mmol)を加えた。 1時間温置した後、混合物を濾過し、残留物をTHFとMeOHで洗い、95%濃度のトリフルオロ酢酸 4mlを用いてポリマーから生成物を切り離した。

    【0052】 濾過および蒸発により、対応する生成物が得られた。

    【0053】 表IIに示した物質を同様に製造した。 遊離の生成物の収率は一般的に90%またはそれ以上であった(表IIの第5欄参照)。 表II: グリニャール化合物の製造および固相支持体上での求電子物質との反応

    【0054】 * ポリマーから酸で切断した後にジヒドロフランへの自然環化が起こる。

    【0055】 表IおよびIIに示した求電子物質の略号は次の意味を有する:PhCHO=ベンズアルデヒド、TsCN=シアン化トシル、PhsSPH=ジフェニルジスルフィド。

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