Chemical synthesis method and apparatus

申请号 JP2000538786 申请日 1998-12-15 公开(公告)号 JP2002508239A 公开(公告)日 2002-03-19
申请人 カリブラント リミテッド; 发明人 アデエミ パーマ,デレック; トーマス フレンチ,マーチン;
摘要 (57)【要約】 本発明は、複数の試薬投入部(2)と、固体支持体投入部(1)と、を有する化学合成装置を提供する。 各投入部(1、2)はそれぞれのスイッチ可能バルブ(3)を介して主 流体 経路に連結できる。 本装置は更に、各投入部(1、2)の下流のそれぞれのスイッチ可能バルブ(3)によって主流体経路に流体的に連結できる反応室(4)を有する。 反応室(4)は更に、固体支持体の通過は阻止するが未結合分子は通過させるように配置された障壁(5)の下流に引出口を有する。
权利要求 【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 複数の試薬投入部と、固体支持体投入部と、を有し、各投入部はそれぞれのスイッチ可能バルブを介して主流体経路に連結でき、更に前記投入部の下流のそれぞれのスイッチ可能バルブによって前記主流体経路に流体的に連結できる反応室を有し、前記反応室は更に前記固体支持体の通過は阻止するが未結合分子は通過させるように配置された障壁の下流に引出口を有することを特徴とする化学合成装置。
  • 【請求項2】 前記反応室は複数の反応室の1つであり、各反応室は前記投入部の下流のそれぞれのスイッチ可能バルブによって前記主流体経路に流体的に連結でき、各反応室は更に前記固体支持体の通過は阻止するが未結合分子は通過させるように配置された障壁の下流に引出口を有することを特徴とする請求項1
    の装置。
  • 【請求項3】 前記反応室の幾つか又はそれぞれは、前記装置から取り外し可能であることを特徴とする請求項1又は2の装置。
  • 【請求項4】 前記反応室の幾つか又はそれぞれは、前記反応室の内容物を攪拌又は振とうする手段を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の装置。
  • 【請求項5】 前記反応室の幾つか又はそれぞれは、前記反応室内の温度を制御するように配置される温度制御手段を有することを特徴とする請求項1〜4
    のいずれかの項に記載の装置。
  • 【請求項6】 前記反応室の幾つか又はそれぞれの排出は、検出手段に連結できることを特徴とする請求項1〜5のいずれかの項に記載の装置。
  • 【請求項7】 更に、前記反応室の幾つか又はそれぞれのための各スイッチングバルブに流体的に連結できるスクリーニング作用物投入部を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかの項に記載の装置。
  • 【請求項8】 前記スクリーニング作用物投入部は、前記主流体経路から分離した副流体経路を介して各スイッチングバルブに流体的に連結できることを特徴とする請求項7の装置。
  • 【請求項9】 更に、複数のスクリーニング作用物投入部を有することを特徴とする請求項7又は8の装置。
  • 【請求項10】 前記反応質の幾つか又はそれぞれの排出は、排出流体経路に選択的に流体的に連結でき、前記排出流体経路は、前記反応室の排出を選択的に(a)廃棄、又は(b)化合物の収集及び/又は分析のいずれかに向かわせるバルブ手段を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれかの項に記載の装置。
  • 【請求項11】 (a)主流体経路を介してそれぞれの投入部から反応室へと試薬を運び、ここで、少なくとも1つの試薬は固体支持体に付着され、各投入部はそれぞれのスイッチ可能バルブによって前記流体経路に個別に連結できる工程; (b)反応物を前記反応室内に維持し、前記固体支持体上で化合物を合成する工程; (c)前記化合物を前記反応室から、全ての投入部の下流の排出を介して解放する工程; を有することを特徴とする化合物の合成方法。
  • 【請求項12】 前記試薬は、選択的に前記反応室に運ばれることを特徴とする請求項11の方法。
  • 【請求項13】 前記反応室は、全て選択的に前記主流体経路に連結できる複数の反応室の1つであることを特徴とする請求項11又は12の方法。
  • 【請求項14】 異なる化合物は、異なる反応室内で異なる時間に合成されることを特徴とする請求項13の方法。
  • 【請求項15】 同じ化合物が1つ以上の反応室内で合成され、(b)工程では、前記反応物は前記1つ以上の反応室内にて予め選択された異なる反応条件下で維持されることを特徴とする請求項14の方法。
  • 【請求項16】 少なくとも1つの反応物の過剰量が前記合成に使用されることを特徴とする請求項11〜15のいずれかの項に記載の方法。
  • 【請求項17】 前記方法は、閉鎖流体系内で行うことを特徴とする請求項11〜16のいずれかの項に記載の方法。
  • 【請求項18】 (a)反応室内の固定支持体上で反応物から化合物を合成する工程; (b)前記反応室内で前記化合物をスクリーニング作用物と混合する工程; (c)前記化合物を示す検出可能部分を前記反応室の下流の検出器へと向かわせる工程; を有することを特徴とする、閉鎖流体系における化合物の合成及びスクリーニング方法。
  • 【請求項19】 (a)反応室内で反応物から化合物を合成する工程; (b)前記化合物を、前記化合物がスクリーニング作用物と混合されるスクリーニング領域に、流体流中にて運ぶ工程; (c)前記化合物を示す検出可能部分をスクリーニング領域の下流の検出器へと向かわせる工程; を有することを特徴とする、閉鎖流体系における化合物の合成及びスクリーニング方法。
  • 【請求項20】 前記化合物を合成する前記(a)工程は、請求項11〜1
    7のいずれかの項に記載の方法を含むことを特徴とする請求項18又は19の方法。
  • 【請求項21】 前記方法は、請求項1〜10のいずれかの項に記載の装置にて行われることを特徴とする請求項11〜17のいずれかの項に記載の方法。
  • 【請求項22】 前記方法は、請求項6〜10のいずれかの項に記載の装置にて行われることを特徴とする請求項18〜21のいずれかの項に記載の方法。
  • 【請求項23】 添付の図面を参照して説明される装置、及び添付の図面によって例示される装置。
  • 【請求項24】 添付の図面を参照して説明される化合物の合成方法、及び添付の図面によって例示される化合物の合成方法。
  • 【請求項25】 添付の図面を参照して説明される化合物の合成及びスクリーニング方法、及び添付の図面によって例示される化合物の合成及びスクリーニング方法。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】 本発明は、化学合成方法及び装置に関する。 特に、本発明は、潜在的薬剤候補分子の合成における、組合せ化学(コンビナトリアル・ケミストリー)のための方法及び装置に関するが、これに限定されるものではない。

    【0002】 薬剤発見のプロセスとしては、歴史的に次の開発経路を採用してきた。 第1に、薬剤介入の特定の分子標的を、徹底的な分子的及び細胞的検討を通して定義する。 一度標的が定義されると、潜在的薬剤分子の生物学的又は動学的活性をモニターする検定(アッセイ)系が開発される。 次いで、化学物質の小さなライブラリーを合成し、検定により明らかな活性を有する少数を選択する。 その後、これら選択された分子の生物学的特性を、薬剤の介入の標的とされた実際の細胞において検討する。 天然細胞上で有望な生物学的特性を有すると思われるものは、
    次いで、化学的な最適化へと移され、その有効性及び選択性が改良される。 それらの改良された生物学的活性を再確認し、有望と思われる少数を、更に前臨床的動物研究へと移し、in vivo(インビボ:生体内)での生物学的活性を評価する。

    【0003】 組合せ化学は、スクリーニング用化合物の多数のコレクションを合成するための新しいアプローチ(方法)を代表する。 このアプローチは、ペプチド化学者の研究室において、ペプチドライブラリーの生成のために始まった。 ペプチドの不十分な口腔吸収及び代謝不安定性のため、非ペプチド疑似化合物(通常、分子量500より小さい。)が開発されてきた。 組合せ化学の実験では、反応物のセット又は基礎単位(ビルディングブロック)を選択し、又そのセット同士を、全ての可能な組合せで反応させることによって種々の化学的ライブラリーを生成することができ、それによって幾百、幾千といった多数の個別の小分子を生成する。
    ライブラリーは溶液中で遊離した(フリー)分子、固体粒子若しくはビーズに結合した分子、又は修飾微生物の表面に均一に整列された分子から構成され得る。
    賢明な基礎単位の選択によって、これらのライブラリーは探査的ライブラリーとしても、又は、ある構造的仮定を焦点にして的を絞ったライブラリーとしても設計することができる。

    【0004】 組合せライブラリーは、研究室においては、2つの方法、即ち、スプリット(
    分割)合成又はパラレル(並列)合成のいずれかによって作製される。

    【0005】 スプリット合成では、化合物は微粒子又はビーズの表面上に集合される。 いずれの工程においても、前工程からのビーズは幾つかのグループに分割され、新しい基礎単位が添加される。 その後、異なるグループのビーズが再び組み合わされ、もう一度分離されて新しいグループを形成する。 次の基礎単位が添加され、この工程は、分子の任意の選択性を含む所望の組合せライブラリーが収集されるまで続けられる。 スプリット合成によって得られたライブラリーは、所謂、“1ビーズ、1化合物”として特徴付けられる。 ライブラリー中の各ビーズは、単一のライブラリー要素の多数の複製を保持する。

    【0006】 組合せライブラリーは、パラレル合成によっても作製することができる。 該パラレル合成では、異なる化合物は、個別の容器内で(再混合なし)、多くは自動化された様式にて合成される。 固体支持体を必須とするスプリット合成とは異なり、パラレル合成は、固体支持体上又は溶液中のいずれにおいても行うことができる。

    【0007】 研究室における組合せ実験の計画及び実施は、煩雑且つ時間を浪費するプロセスであり、自動化が望まれる。 スピード組合せ化学実験を支援する機器システムが、多くのバイオテクノロジー及び医薬関係会社において開発中であると思われる。

    【0008】 国際出願公開番号WO94/05394は、デプロテクション、分解及び洗浄などの全ての合成反応を行うことができる、再使用可能な、空間的に指定できる(アドレサブル)固相プレートの採用を示唆している。 米国特許第5,324,
    483号、米国特許第5,593,642号、米国特許第5,565,173号、米国特許第5,582,801号、米国特許第5,567,391号及び国際出願公開番号WO94/08711は、多重同時合成のための複数のウェルを有する貯槽ブロックを使用することを開示している。 国際出願公開番号WO93/
    12427は、固相ポリペプチド用の分解、デプロテクト及び精製工程の自動化を開示している。 上述の各工程の殆どは、試薬の搬送、反応/収集容器の切り替え、反応混合物のインキュベーション及び振とう、合成化合物の固体支持体からの分離を含む、例えば、圧力下又は真空中など、ある範囲の環境における合成反応中、必要となる種々の工程を行うロボットアタッチメントにて半自動化されてきた。

    【0009】 米国特許第5,503,805号及び国際出願公開番号WO95/12608
    は、閉鎖系における固相スプリット及び混合化学合成のための装置の開発について開示している。 その合成は、親及び娘反応容器間で行われる。 試薬は、例えばその親及び娘容器間を後向き及び前向きに、フロー管及びバルブ(弁)によってシステム中を運ばれる。

    【0010】 有機化合物の合成は、有機合成に必要な広範囲の操作に適用する装置を開発することを含む、機器の自動化における多くの問題を有している。 有機化合物の合成は、加熱、冷却、振とう、不活性雰囲気など、様々な条件を必要とすることが多い。 又、このような合成は、合成装置内で使用される材料と、溶媒及び反応物との間の化学的適合性を必要とする。 従って、その機器は有機合成の条件及び手順に対して耐性を有する材料で構成しなければならない。

    【0011】 本発明は効率的な方法で化学物質を調製する装置を提供しようとするものである。

    【0012】 本発明の第1の態様によると、複数の試薬投入部、固体支持体の投入部及び溶媒の投入部を有し、各投入部はそれぞれのスイッチ可能バルブを介して主流体経路に連結でき、更にそれぞれのスイッチ可能バルブによって前記主流体経路に流体的に連結できる反応室を前記投入部の下流に有し、前記反応室は更に前記固体支持体の通過は阻止するが未結合分子は通過させるように配置された障壁の下流に引出口を有することを特徴とする化学合成装置が提供される。 これにより、本発明は、流体経路中で行われる全ての操作時において、例えばトレーをスイッチング(交換)するためのロボットアームなどを必要としない、化学物質の自動生産に供し得る装置を提供する。 反応室を介した流れにとって、1方向であることは特に好都合であり、反応室内で起こる反応のより良い制御を可能とする。 全ての投入部が反応室に連結できることによって、融通性が維持される。

    【0013】 好ましくは、前記反応室は複数の反応室の1つであり、各反応室は前記投入部の下流のそれぞれのスイッチ可能バルブによって前記主流体経路に流体的に連結でき、各反応室は更に、前記個体支持体の通過は阻止するが未結合分子は通過させるように配置された障壁の下流に引出口を有する。 この方法において、1つ以上の反応を一度に行うことができる。

    【0014】 前記反応室の幾つか又はそれぞれが、前記装置から取り外し可能であると好都合である。 これによって、物理的に異なる反応室、例えば、異なる容量又は内部コーティングの反応室を、所望の反応に応じて本装置にて使用することができる。

    【0015】 前記反応装置の幾つか又はそれぞれが、前記反応室の内容物を攪拌又は振とうする手段を有すること、及び/又は前記反応室内の温度を制御するように配置される温度制御手段を有することもまた好都合である。

    【0016】 本発明の好ましい実施態様において、前記反応室の幾つか又はそれぞれの排出は、検出手段に連結できる。 本発明は、合成とスクリーニングとの複合を可能とする。 上述した既知方法は全て、合成を行うためだけに使用することができる。
    米国特許第5,565,173号による装置は、固体基体を使用して合成を行う。 スクリーニング又は分析工程は、合成された化合物のアリコット(一部)を反応ウェルから取り出した後に行われる。 米国特許第5,324,633号に開示される研究では、ポリマーアレイ(配列)もまた基体上で合成される。 スクリーニング工程のために、その後このポリマーアレイは蛍光的に標識されたレセプター(受容体)に曝される。 標識されたレセプターの蛍光強度は個別の機器、例えば共焦顕微鏡を使用して光子計数によって測定される。 合成されたポリマーに対するレセプターの結合親和性が、蛍光強度とレセプターの溶液濃度との間の相関の分析を通して決定される。 同様の手順が米国特許第5,639,603号、国際出願公開番号WO95/12608及び米国特許第5,5038,805号に記載されており、フローサイトメトリーが含まれている。 この合成及びスクリーニング手順は、非常に多くの工程及び個別の装置を含んでいる。 これら記載された装置及び市販の機器の全ては、1つの装置における合成/スクリーニング複合能力を備えていない。 本発明の機器はこのようなニーズに適う。 このような、合成段階に続くスクリーニング工程のための1つの装置を有することは、コスト及び時間の点で非常に有利である。

    【0017】 この合成及びスクリーニング複合装置において、前記反応室の幾つか又はそれぞれのための各スイッチングバルブに流体的に連結できるスクリーニング作用物投入部を設けることができる。 これにより、検定を、洗浄サイクル、当然のことながら適当な洗浄サイクルの後に、反応室内で行うことができる。 この場合、好ましくは前記スクリーニング作用物投入部は、前記主流体経路から分離した副流体経路を介して各スイッチングバルブに流体的に連結される。 これは、通常合成反応(反応群)は有機性流体環境中で行われ、一方、スクリーニングは通常性環境中で行われるであろうからである。

    【0018】 異なる検定を容易とするために、複数のスクリーニング作用物投入部が通常設けられよう。

    【0019】 前記反応室の幾つか又はそれぞれの排出は、排出流体経路に選択的に流体的に連結され、前記排出流体経路は前記反応室の排出を選択的に(a)廃棄、又は(
    b)化合物の収集及び/又は分析のいずれかに向かわせることが好都合である。
    これにより、通常所望されよう洗浄工程を単純化する。

    【0020】 本発明の第2の態様によると、 (a)主流体経路を介してそれぞれの投入部から反応室へと試薬を運び、ここで、少なくとも1つの試薬は固体支持体に付着され、各投入部はそれぞれのスイッチ可能バルブによって前記流体経路に連結できる工程; (b)反応物を前記反応室に維持し、前記固体支持体上で化合物を合成する工程; (c)前記化合物を前記反応室から、全ての投入部の下流の排出を介して解放する工程; を有することを特徴とする化合物の合成方法が提供される。 これにより、制御された合成が、効率良く、又簡便に提供される。

    【0021】 試薬は、選択的に反応室に運ばれることが好都合である。 この方法では、異なる反応物は、必要な時に単に導入される。

    【0022】 能力を増すために、反応室は、全て選択的に前記主流体経路に連結できる複数の反応室の1つである。 通常異なる化合物は異なる反応室で異なる時間に合成される。 別法として、同じ化合物が1つ以上の反応室内で合成され、(b)工程では、前記反応物は前記1つ以上の反応室内にて予め選択された異なる反応条件下で維持される。 これによって、特定の反応に対する反応条件の最適化方法が可能となる。

    【0023】 殆どの反応において、少なくとも1つの反応物の過剰量が前記合成に使用される。 この方法は、閉鎖流体系内で行うことが好都合であり、これは反応物、溶媒、洗浄段階などの制御を極めて単純化する。

    【0024】 本発明の第3の態様によると、 (a)反応室内の固定支持体上で反応物から化合物を合成する工程; (b)前記反応室内で前記化合物をスクリーニング作用物と混合する工程、 (c)前記化合物を示す検出可能部分を前記反応室の下流の検出器へと向かわせる工程; を有することを特徴とする閉鎖流体系における化合物の合成及びスクリーニング方法が提供される。

    【0025】 本発明の第4の態様によると、 (a)反応室内で反応物から化合物を合成する工程; (b)前記化合物を、前記化合物がスクリーニング作用物と結合されるスクリーニング領域に、流体流中にて運ぶ工程; (c)前記化合物を示す検出可能部分をスクリーニング領域の下流の検出器へと向かわせる工程; を有することを特徴とする閉鎖流体系における化合物の合成及びスクリーニング方法が提供される。

    【0026】 本発明の第3及び第4の態様の双方は、特に新規化合物の効率的な合成及びスクリーニングを可能とする。

    【0027】 以下、本発明の好ましい実施態様を、添付の図面を参照して説明する。

    【0028】 本発明の例示される特に好ましい実施態様は、フロー分析/組合せ化学/高速スクリーニング(ハイスループットスクリーニング:HTS)複合装置として供し得るシステムを提供する。 個々の反応は、密封された反応容器中の固相支持体上で行われる。 通常、混合を促進するために、容器の振とう又は容器内の攪拌のための手段が容器内に設けられる。 異なる容器内の反応条件/環境(例えば、温度、圧力など)を変化させて、異なる反応に適合させたり、或いは同じ反応物に対する異なる条件を試験することができる。

    【0029】 従って、同じ機器を用いて、組合せ論的に合成された化合物を複数の標的に対して直接スクリーニングすることが可能であり、これによって、化合物の潜在的な有用性に関する情報を得ることができる。

    【0030】 好ましい実施態様によれば、装置は合成及びスクリーニング装置とされるので、合成された化合物類の、標的及びレセプター(受容体)を用いたスクリーニング工程の前に、微量の有機溶媒をも全て除去する必要がある(即ち、水性相に移す)。

    【0031】 装置は、 (1)流体搬送系、 (2)反応室又はカートリッジ、 (3)試薬コンパートメント、 (4)固有の蛍光検出系、 の4つの主要な構成要素を備えて作製される。

    【0032】 流体搬送系(システム)加圧流体搬送系は、試薬をシステム中に運ぶ手段である。 この流体搬送系は、
    (a)PTFE又はPEEK又は同様の任意の耐有機溶媒材料によって作製されたフロー分析管、 (b)耐有機溶媒材料によって作製された流体接触表面を有するスイッチング(
    転換)バルブ3(このバルブは、溶媒、試薬の流れの進路を、適当な反応容器又は入れ物へと変える)、 (c)系内の流速をモニターするフローセンサ、 (d)系内の圧力をモニターする圧力センサ、 を含む個々の構成要素を有する。

    【0033】 流体搬送系は、反応物、溶媒などを選択的に投入することができる流体経路を備えている。 投入されたものは、その後選択された1つ以上の反応室へと搬送される。

    【0034】 反応室(チャンバー)/カートリッジ反応室は、合成及びスクリーニングが行われる入れ物である。 この反応室は、
    例えばテフロン、ポリプロピレン、ガラスなどの化学的に不活性な材料で作製できる。 通常、反応室は、試薬の攪拌のための磁気攪拌子(マグネティックフリー(magnetic flea))を備えている。 又、反応室は、加熱及び冷却効果を及ぼす 、例えば所望により−40℃〜+150℃などとする、加熱及び/又は冷却要素を備え得るスリーブ中に収容することができる。 取り外し式チャンバー形態とされる反応室4の好ましい実施態様を図2に示す。

    【0035】 反応室は、引入口を介して主流体経路から選択的に反応物、溶媒などを受容し得る。 反応室の引出口(アウトレットポート)は引入口から分離されている。 又、その上に組合せ論的に合成された化合物が合成時に付着された固相ビーズの流れを阻止する障壁(バリア)を備えている(例えば、膜フィルター)。 障壁は化学的に不活性な材料によって形成し得る。

    【0036】 反応室内で行うことのできる反応は、炭素−炭素及び炭素−異原子結合形成反応、例えば、アミン類及びアルコール類のアシル化、アルドール及びクライゼン縮合、環付加、エポキシ化、求核置換などを含む。 官能基転換は、ミツノブ反応、ヒドロホウ素化、幾つかの酸化反応、イミン及びオキシムの調製、及びリン酸塩及びカルボン酸塩のエステル化/アミド化を含む。

    【0037】 試薬コンパートメント(区画)試薬コンパートメント(1、2)は、リンカーを介して付着された出発基礎単位化合物を有する固相支持体(例えば、ビーズ)を収容し得る。 スクリーニング工程にて使用されるその他の基礎単位成分及びレセプター/標的分子もまた、通常、試薬コンパートメントの個別の領域に含まれ得る。 ハウジング内の各個別の領域(1、2)は、貯蔵された成分を流体搬送系内へと個別に投入することができる。

    【0038】 固相支持体、及び他の基礎単位は、適当な密度及び表面張力の溶媒中に懸濁又は溶解され得る。 このシステムにて使用し得る固相支持体は、制御された多孔性ガラス、シリカ、ラテックス、ポリスチレン又は同様のポリマーコロイド金属粒子類を含む。

    【0039】 好ましい例示の実施態様は、組合せ/高速スクリーニング複合システムを提供する。 この複合システムは、自動化パラレル組合せ化学合成装置として使用することができ、最終生成物は、貯蔵やその他の目的のためにビーズから解放することができる。 このシステムは、より的を絞った合成、及び生成物の即時スクリーニングの点を強調した化合物生成を導く、新規なアプローチを提供する。 このアプローチは、貯蔵安定性を越える結果事象を伴う、スクリーニングするのに莫大な時間がかかり及び/又はスクリーニングするまで待機するスペースをとる大量のライブラリーを生成する必要がない。 本発明は、構造活性相関を導くことのできるスクリーニング結果の迅速な折り返し(ターンアラウンド)を、殆どリアルタイムに調査することを可能とし、そしてその後の合成段階が前のスクリーニング結果によって導かれることを可能とする。 ベンチトップ上で作動する程十分に小さい1つの装置で、合成と複数の標的に対するスクリーニングとの両方を完全に自動化する能力は、このアプローチが個人的な(パーソナル)薬剤発見の基盤を提供することを意味する。

    【0040】 以下、典型的な合成について説明する。

    【0041】 初めに、有機溶媒を搬送するための流れ(フローライン)が貯槽2から導入され、その後一定量の反応ビーズが投入部1から適当なスイッチングバルブ3を通して流れ(フローライン)に導入され、第1の反応カートリッジ4へと運ばれる。 ビーズは、カートリッジ4への引入口における第1の引入口スイッチングバルブ3によって、反応カートリッジ4内へと進路が変えられ、引出口における障壁装置5へと向けられる。 過剰量の溶媒は障壁を通過し、スイッチングバルブ3及び排出流体経路6を介して廃棄へと進路を変えられる。 第1の引入口スイッチングバルブ3はその後、伝達管(トランスミッションチューブ)に沿って流れの進路を変える。 この工程は、必要に応じて、各反応カートリッジに添加される反応ビーズを伴って、それぞれの引入口スイッチングバルブ3を介して繰り返される。

    【0042】 その後、各反応カートリッジにおいて、基礎単位を伴った合成、或いは試薬貯槽2から適当な時に加えられる洗浄工程が独立して進行する。 ここで、必要に応じて、攪拌手段7による攪拌、又温度制御手段8による温度制御を伴う。 例示される実施態様において、各個別の反応カートリッジ4は、個別の温度制御手段を備えている。 従って、このシステムは、実験の最適化の間にも使用することができ、各カートリッジを溶媒、温度、時間などを変化させて使用することができる。

    【0043】 合成に続いて、ビーズは洗浄され、その後、所望により、任意の標準的方法によって生成物を分離することができ、又生成物は、反応カートリッジをそれぞれの引出口スイッチングバルブ3、引出口流体経路6を介して洗浄することによって収集することができる。 合成された生成物は、収集のために廃棄点へと向かわせることができるるが、通常、引出口流体経路6からの個別の引出口が設けられ、引出口スイッチングバルブ3は合成された生成物を指定された排出(アウトプット)へと向かわせる。

    【0044】 別法として、生成物を、オンボード(備え付け)自動化スクリーニング工程のためにカートリッジ内のビーズ上に残すことができ、スクリーニング後に、検出可能化合物を排出流体経路6を介して検出器10へと出す。

    【0045】 以下、典型的なスクリーニング工程について説明する。

    【0046】 初めに、水性及び生物学的試薬の搬送のための流れ(フローライン)が水性貯槽9から導入される。 ここで、必要な箇所では反応カートリッジを流し洗い(フラッシュアウト)することを含む。 スクリーニング検定のための試薬を適当なカートリッジに運び、合成された生成物を検定試薬と共にインキュベートする。 生成物はビーズ上で使用しても、或いは固定化試薬が使用され、標的がビーズのような固体支持体に結合されている場合には、生成物はインキュベーションの前に分離させてもよい。

    【0047】 アプローチに拘わらず、スクリーニング検定は、検定の最後にカートリッジを通して解放され、排出流体経路6を介してレーザ/CCD検出器システム10へと向かわせられるレポーター分子(例えば、蛍光団(フルオロフォア))を含んでいる。 検定は、多くは蛍光検定であろう。 又測定された蛍光量は、生成物がその検定にて有する阻害又は干渉の程度に関係するだろう。

    【0048】 検出器及び検定システムの詳細は、同時係属出願、即ち、国際出願公開番号W
    O97/29376、国際出願番号PCT/GB98/02394、及び国際出願番号PCT/GB98/02396に見出し得る。 その開示を参照により本明細書に援用する。 本発明の反応カートリッジ4は、引出口における障壁5でインキュベーションループを代替し、本出願人に係る以前の出願のそれに置き換え得ることに留意されたい。 或いは別法として、合成された化合物を反応カートリッジ4中でビーズから離し、引出口流体経路6を介して検出器へと運び、そこで検定することができる。

    【0049】 本出願人の多分析物検出器システムを使用することは、同じ生成物に対して、
    幾つかのスクリーニングを同じカートリッジ4内で同時に実施できることを意味する。

    【0050】 個別の蛍光レポーターを各スクリーニングのために使用することで、単一の合成された生成物を多くの異なる標的に対して同時に試験することができ、各標的に対する特異的阻害/干渉を同時にモニターすることができる。

    【図面の簡単な説明】

    【図1】 図1は、本発明に係る装置の概略図を示す。

    【図2】 図2は、図1の装置にて使用される反応室を示す。

    ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM ,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE, KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,L T,LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX ,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE, SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,U A,UG,US,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 フレンチ,マーチン トーマス 英国 ケント ティーエヌ15 9ディーエ イチ セブンオークス イクスハム スプ リング レーン オールドベリー ビラズ 1 Fターム(参考) 4G075 AA01 AA62 AA63 AA65 BA05 BA06 BD15 CA02 CA03 DA01 DA12 ED01 4H006 AA04 BD80 BD84 4H045 AA40 EA50

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