転写活性化因子様エフェクターの組立て方法

申请号 JP2014520317 申请日 2012-07-12 公开(公告)号 JP6214530B2 公开(公告)日 2017-10-18
申请人 ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイション; 发明人 ジュン,ジェイ.,キース; サンダー,ジェフリー,ディー.;
摘要
权利要求

(a)配列番号58〜62からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む第1の核酸を用意するステップと; (b)第1の核酸を第1の酵素と接触させ、第1の酵素が第1のライゲーション可能な末端を形成するステップと; (c)βユニット、γユニット、δユニットおよびεユニットを含む第2の核酸を用意するステップであって、ここで、βユニットは、配列番号63〜67からなる群より選択されるヌクレオチド配列を有し、γユニットは、配列番号68〜72からなる群より選択されるヌクレオチド配列を有し、δユニットは、配列番号73〜77からなる群より選択されるヌクレオチド配列を有し、εユニットは、配列番号78〜82からなる群より選択されるヌクレオチド配列を有する、ステップと; (d)第2の核酸を第2の酵素と接触させ、第2の酵素が第2のライゲーション可能な末端を形成し、第1および第2のライゲーション可能な末端が対合可能であるステップと; (e)第1および第2のライゲーション可能な末端を介して第1の核酸と第2の核酸とをライゲーションして第1のライゲーションされた核酸を作製し、第1のライゲーションされた核酸が固体支持体に連結される、ステップと、 を含む方法。第1および第2の酵素が第1および第2の制限エンドヌクレアーゼであり、第1の制限エンドヌクレアーゼが第1の核酸中の部位で切断して第1の切断末端を形成し、第2の制限エンドヌクレアーゼが第2の核酸中の部位で切断して第2の切断末端を形成し、第1および第2のライゲーション可能な末端が第1および第2の切断末端である、請求項1に記載の方法。第1のライゲーションされた核酸が、第1の制限エンドヌクレアーゼに認識される制限部位を含まない、請求項2に記載の方法。(f)第1のライゲーションされた核酸を第3の酵素と接触させ、第3の酵素が第3のライゲーション可能な末端を形成するステップと; (g)βユニット、γユニット、δユニットおよびεユニットを含む第3の核酸を用意するステップであって、ここで、βユニットは、配列番号63〜67からなる群より選択されるヌクレオチド配列を有し、γユニットは、配列番号68〜72からなる群より選択されるヌクレオチド配列を有し、δユニットは、配列番号73〜77からなる群より選択されるヌクレオチド配列を有し、εユニットは、配列番号78〜82からなる群より選択されるヌクレオチド配列を有する、ステップと; (h)第3の核酸を第4の酵素と接触させ、第4の酵素が第4のライゲーション可能な末端を形成し、第3および第4のライゲーション可能な末端が対合可能であるステップと; (i)第3および第4のライゲーション可能な末端を介して第1のライゲーションされた核酸と第3の核酸とをライゲーションして、固体支持体に連結された第2のライゲーションされた核酸を作製するステップと (j)任意選択で、ステップ(f)〜(i)を繰り返すステップであって、ステップ(i)において作製される第2のライゲーションされた核酸は、繰り返す方法の間、ステップ(f)において第1の核酸として処理される、ステップと、 をさらに含む、請求項1または2に記載の方法。第3および第4の酵素が、第3および第4の制限エンドヌクレアーゼであり、第3の制限エンドヌクレアーゼが第1のライゲーションされた核酸中の部位で切断して第3の切断末端を形成し、第4の制限エンドヌクレアーゼが第3の核酸中の部位で切断して第4の切断末端を形成し、第3および第4のライゲーション可能な末端が第3および第4の切断末端である、請求項4に記載の方法。ライゲーションされた核酸が、第1のエンドヌクレアーゼに認識される制限部位を含まず、第1および第3の制限エンドヌクレアーゼが同一である、請求項5に記載の方法。第2および第4の制限エンドヌクレアーゼが同一である、請求項5または6に記載の方法。(k)第2のライゲーションされた核酸を第5の酵素と接触させ、第5の酵素が第5の ライゲーション可能な末端を形成するステップと; (l)第4の核酸を用意するステップであって、第4の核酸は、以下の核酸: i.βユニットを含む核酸、 ii.βユニットおよびγ’ユニットを含む核酸、または iii.βユニット、γユニットおよびδユニットを含む核酸 のうちの1つから選択され、ここで、βユニットは、配列番号63〜67からなる群より選択されるヌクレオチド配列を有し、γユニットは、配列番号68〜72からなる群より選択されるヌクレオチド配列を有し、γ’ユニットは、配列番号83〜87からなる群より選択されるヌクレオチド配列を有し、δユニットは、配列番号73〜77からなる群より選択されるヌクレオチド配列を有する、ステップと; (m)第4の核酸を第6の酵素と接触させ、第6の酵素が第6のライゲーション可能な末端を形成し、第5および第6のライゲーション可能な末端が対合可能であるステップと; (n)第5および第6のライゲーション可能な末端を介して第2のライゲーションされた核酸と第4の核酸とをライゲーションして、固体支持体に連結された第3のライゲーションされた核酸を作製するステップと をさらに含む、請求項4または5に記載の方法。第5および第6の酵素が第5および第6の制限エンドヌクレアーゼであり、第5の制限エンドヌクレアーゼが第2のライゲーションされた核酸中の部位で切断して第5の切断末端を形成し、第6の制限エンドヌクレアーゼが第4の核酸中の部位で切断して第6の切断末端を形成し、第5および第6のライゲーション可能な末端が第5および第6の切断末端である、請求項8に記載の方法。第2のライゲーションされた核酸が、第1のエンドヌクレアーゼに認識される制限部位を含まず、第1、第3および第5の制限エンドヌクレアーゼが同一である、請求項9に記載の方法。第2、第4および第6の制限エンドヌクレアーゼが同一である、請求項9または10に記載の方法。第1および第2のライゲーション可能な末端がそれぞれ、1〜10ヌクレオチドの突出を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。第1の酵素がIIS型制限エンドヌクレアーゼである、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。第1のライゲーションされた核酸を前記固体支持体から分離し、第1のライゲーションされた核酸をベクターに挿入することをさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。第2のライゲーションされた核酸を固体支持体から分離し、第2のライゲーションされた核酸をベクターに挿入することをさらに含む、請求項4から7のいずれか一項に記載の方法。第3のライゲーションされた核酸を固体支持体から分離し、第3のライゲーションされた核酸をベクターに挿入することをさらに含む、請求項8から11のいずれか一項に記載の方法。ベクターが発現ベクターである、請求項14から16のいずれか一項に記載の方法。発現ベクターが、エフェクタードメインをコードしている配列を含み、ベクターがポリペプチドとエフェクタードメインとの融合タンパク質をコードしている配列を含むように第1、第2または第3のライゲーションした核酸がベクターに挿入される、請求項17に記載の方法。エフェクタードメインがヌクレアーゼドメインである、請求項18に記載の方法。細胞に発現ベクターを挿入することをさらに含む、請求項17から19のいずれか一項に記載の方法。ポリペプチドまたは融合タンパク質を発現させることをさらに含む、請求項20に記載の方法。ポリペプチドまたは融合タンパク質を精製することをさらに含む、請求項21に記載の方法。(k)第2のライゲーションされた核酸を第5の酵素と接触させ、第5の酵素が第5のライゲーション可能な末端を形成するステップと; (l)βユニットおよびγユニットを含む第4の核酸を用意するステップであって、ここで、βユニットは、配列番号63〜67からなる群より選択されるヌクレオチド配列を有し、γユニットは、配列番号68〜72からなる群より選択されるヌクレオチド配列を有する、ステップと; (m)第4の核酸を第6の酵素と接触させ、第6の酵素が第6のライゲーション可能な末端を形成し、第5および第6のライゲーション可能な末端が対合可能であるステップと; (n)第5および第6のライゲーション可能な末端を介して第2のライゲーションされた核酸と第4の核酸とをライゲーションして、固体支持体に連結された第3のライゲーションされた核酸を作製するステップと をさらに含む、請求項4または5に記載の方法。(o)第3のライゲーションされた核酸を第7の酵素と接触させ、第7の酵素が第7のライゲーション可能な末端を形成するステップと; (p)δユニットおよびε’ユニットを含む第5の核酸を用意するステップであって、ここで、δユニットは、配列番号73〜77からなる群より選択されるヌクレオチド配列を有し、ε’ユニットは、配列番号88〜92からなる群より選択されるヌクレオチド配列を有する、ステップと; (q)第5の核酸を第8の酵素と接触させ、第8の酵素が第8のライゲーション可能な末端を形成し、第7および第8のライゲーション可能な末端が対合可能であるステップと; (r)第7および第8のライゲーション可能な末端を介して第3のライゲーションされた核酸と第5の核酸とをライゲーションして、固体支持体に連結された第4のライゲーションされた核酸を作製するステップと をさらに含む、請求項23に記載の方法。第4のライゲーションされた核酸を前記固体支持体から分離し、第4のライゲーションされた核酸をベクターに挿入することをさらに含む、請求項24に記載の方法。ベクターが発現ベクターである、請求項25に記載の方法。

说明书全文

優先権主張 本出願は2011年7月15日に出願された米国特許仮出願第61/508,366号、および2012年2月21日に出願された第61/601,409号、および2012年3月13日に出願された第61/610,212号の利益を主張し、上述した各出願の全内容を参照により本明細書に組み込む。

連邦政府による資金提供を受けた研究についての記載 この発明は、米国国立衛生研究所によって裁定された補助金番号DP1 OD006862のもとに政府援助で行われた。政府は、本発明に特定の権利を有する。

配列表 本出願は、EFS−Webを通してASCII形式で提出された配列表を含み、その全体を参照により本明細書に組み込む。2012年7月11日に作成された前記ASCIIコピーは、2953936W.txtと命名され、サイズは459,673バイトである。

この発明は、ペプチドをコードする核酸および複数の転写様活性化因子エフェクター(TALE)リピートドメインをコードするポリペプチドを作製する方法ならびにそのタンパク質自体に関する。

キサントモナス属の植物病原性細菌のTALEタンパク質は、宿主DNAに結合し、エフェクター特異的宿主遺伝子を活性化することによって、病害において重要な役割を果たす、または防御を誘発する(例えば、Guら、2005、Nature 435:1122;Yangら、2006 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 103:10503;Kayら、2007、Science 318:648;Sugioら、2007、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 104:10720;およびRomerら、2007、Science 318:645を参照のこと)。核酸配列に対する特異性は、エフェクター(様々な数の不完全な、通常約33〜35アミノ酸のリピート)に依存する(Schornackら、2006、J. Plant Physiol. 163:256)。各リピートは標的配列中の1個のヌクレオチドに結合し、そのヌクレオチドに対する各リピートの特異性は前後配列に殆ど左右されないので、専用の配列特異的TALEタンパク質の開発が可能となる(Moscouら、2009、Science 326:1501;Bochら、2009、Science 326:1509-1512)。

本出願は、少なくとも一部において、専用TALEリピートアレイタンパク質をコードする核酸を組み立てるための迅速、簡単かつ容易に自動化可能な方法の開発に基づいている。

したがって、この開示は、(a)1個もしくは複数(例えば、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、1〜6個、2〜6個、3〜6個、4〜6個、5個または6個、1、2〜5個、3〜5個、4個または5個、1〜4個、2〜4個、3個または4個、1〜3個、2個または3個、1個または2個、1、2、3、4、5個または6個)の転写活性化因子様エフェクター(TALE)リピートドメインおよび/または1個もしくは複数のTALEリピートドメインのうち1個もしくは複数の部分を含む第1の組をコードしている配列を有する第1の核酸を用意するステップと;(b)第1の核酸を第1の酵素と接触させ、第1の酵素が第1のライゲーション可能な末端を形成するステップと;(c)1個もしくは複数(例えば、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、1〜6個、2〜6個、3〜6個、4〜6個、5個または6個、1、2〜5個、3〜5個、4個または5個、1〜4個、2〜4個、3個または4個、1〜3個、2個または3個、1個または2個、1、2、3、4、5個または6個)のTALEリピートドメインおよび/または1個もしくは複数のTALEリピートドメインのうち1個もしくは複数の部分を含む第2の組をコードしている配列を有する第2の核酸を用意するステップと;(d)第2の核酸を第2の酵素と接触させ、第2の酵素が第2のライゲーション可能な末端を形成し、第1および第2のライゲーション可能な末端が対合可能であるステップと;(e)第1および第2のライゲーション可能な末端を介して第1の核酸と第2の核酸とをライゲーションして第1のライゲーションされた核酸を作製し、第1のライゲーションされた核酸が固体支持体に連結され、第1のライゲーションされた核酸が前記第1および第2の組を含むポリペプチドをコードするステップとを含む方法を特徴とする。

いくつかの実施形態において、本方法は、(b)第1の核酸を第1の酵素と接触させる前にまたは(e)第1および第2の核酸をライゲーションする前に、固体支持体に第1の核酸を連結させることを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、固体支持体に第1のライゲーションされた核酸を連結することを含む。

いくつかの実施形態において、第1の組は、ポリペプチド中で第2の組に対してN末端側にある。いくつかの実施形態において、第2の組は、ポリペプチド中で第1の組に対してN末端側にある。

いくつかの実施形態において、第1および第2の酵素は第1および第2の制限エンドヌクレアーゼであり、第1の制限エンドヌクレアーゼは第1の核酸中の部位で切断して第1の切断末端を形成し、第2の制限エンドヌクレアーゼは第2の核酸中の部位で切断して第2の切断末端を形成し、第1および第2のライゲーション可能な末端は第1および第2の切断末端である。制限エンドヌクレアーゼを使用するとき、第1のライゲーションされた核酸は、第1の制限エンドヌクレアーゼに認識される制限部位を含むことができない。

本方法は、(f)第1のライゲーションされた核酸を第3の酵素と接触させ、第3の酵素が第3のライゲーション可能な末端を形成するステップと;(g)1個もしくは複数(例えば、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、1〜6個、2〜6個、3〜6個、4〜6個、5個または6個、1、2〜5個、3〜5個、4個または5個、1〜4個、2〜4個、3個または4個、1〜3個、2個または3個、1個または2個、1、2、3、4、5個または6個)のTALEリピートドメインおよび/または1個もしくは複数のTALEリピートドメインのうち1個もしくは複数の部分を含む第3の組をコードしている配列を含む第3の核酸を用意するステップと;(h)第3の核酸を第4の酵素と接触させ、第4の酵素が第4のライゲーション可能な末端を形成し、第3および第4のライゲーション可能な末端が対合可能であるステップと;(i)第3および第4のライゲーション可能な末端を介して第1のライゲーションされた核酸と第3の核酸とをライゲーションして、固体支持体に連結された第2のライゲーションされた核酸を作製し、第2のライゲーションされた核酸が前記第1、第2および第3の組を含むポリペプチドをコードするステップとをさらに含むことができる。

いくつかの実施形態において、第3および第4の酵素は、第3および第4の制限エンドヌクレアーゼであり、第3の制限エンドヌクレアーゼは第1のライゲーションされた核酸中の部位で切断して第3の切断末端を形成し、第4の制限エンドヌクレアーゼは第3の核酸中の部位で切断して第4の切断末端を形成し、第3および第4のライゲーション可能な末端は第3および第4の切断末端である。

いくつかの実施形態において、ライゲーションされた核酸は、第1のエンドヌクレアーゼに認識される制限部位を含まず、第1および第3の制限エンドヌクレアーゼは同一である。いくつかの実施形態において、第2および第4の制限エンドヌクレアーゼは同一である。

本方法は、(j)第2のライゲーションされた核酸を第5の酵素と接触させ、第5の酵素が第5のライゲーション可能な末端を形成するステップと;(k)1個もしくは複数(例えば、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、1〜6個、2〜6個、3〜6個、4〜6個、5個または6個、1、2〜5個、3〜5個、4個または5個、1〜4個、2〜4個、3個または4個、1〜3個、2個または3個、1個または2個、1、2、3、4、5個または6個)のTALEリピートドメインおよび/または1個もしくは複数のTALEリピートドメインのうち1個もしくは複数の部分を含む第4の組をコードしている配列を有する第4の核酸を用意するステップと;(l)第4の核酸を第6の酵素と接触させ、第6の酵素が第6のライゲーション可能な末端を形成し、第5および第6のライゲーション可能な末端が対合可能であるステップと;(m)第5および第6のライゲーション可能な末端を介して第2のライゲーションされた核酸と第4の核酸とをライゲーションして、固体支持体に連結された第3のライゲーションされた核酸を作製し、第3のライゲーションされた核酸が前記第1、第2、第3および第4の組を含むポリペプチドをコードするステップとをさらに含むことができる。当業者は、同様の付加のステップを用いて、本方法を繰り返すことができることを認識できよう。そのような方法は、この開示に含まれる。

いくつかの実施形態において、第5および第6の酵素は第5および第6の制限エンドヌクレアーゼであり、第5の制限エンドヌクレアーゼは第2のライゲーションされた核酸中の部位で切断して第5の切断末端を形成し、第6の制限エンドヌクレアーゼは第4の核酸中の部位で切断して第6の切断末端を形成し、第5および第6のライゲーション可能な末端は第5および第6の切断末端である。

いくつかの実施形態において、第2のライゲーションされた核酸は、第1のエンドヌクレアーゼに認識される制限部位を含まず、第1、第3および第5の制限エンドヌクレアーゼは同一である。

いくつかの実施形態において、第2、第4および第6の制限エンドヌクレアーゼは同一である。

いくつかの実施形態において、固体支持体および連結されている核酸は、例えば、上記のステップ(a)〜(m)のいずれかの後に単離される。

いくつかの実施形態において、第2、第3または第4の組は、1〜4個のTALEリピートドメインを含む。

いくつかの実施形態において、ライゲーション可能な末端は、1〜10ヌクレオチドの突出を含む。いくつかの実施形態において、ライゲーション可能な末端は、平滑末端である。いくつかの実施形態において、突出は、1つまたは複数のヌクレオチドの存在下でエキソヌクレアーゼおよびポリメラーゼを使用して生成できる。

いくつかの実施形態において、上記の方法において使用される酵素または制限エンドヌクレアーゼは、IIS型制限エンドヌクレアーゼである。

本方法は、ライゲーションされた核酸を固体支持体から分離し、ライゲーションされた核酸(またはTALEリピートアレイコード配列を含めたその処理された誘導体)をベクター、例えば、発現ベクターに挿入することをさらに含むことができる。発現ベクターは、ポリペプチドとエフェクタードメインとの融合タンパク質をコードしている配列を形成するように構成されているエフェクタードメイン(例えば、ヌクレアーゼドメイン)をコードしている配列を含むことができる。細胞に発現ベクターを挿入して、細胞に直接に影響を及ぼすか、またはポリペプチドもしくは融合タンパク質を発現させることができる。ポリペプチドまたは融合タンパク質を発現させる場合、本方法は、ポリペプチドまたは融合タンパク質を発現させ、精製することをさらに含むことができる。

別の態様において、この開示は、本明細書に開示されている標的ヌクレオチド配列(例えば、表6または表7)(例えば、「半部位(half site)」)に結合するTALEタンパク質、TALEタンパク質を含むTALEヌクレアーゼ、本明細書に開示されている標的部位(例えば、表6または表7)に結合するTALEタンパク質対(例えば、TALENs)および上記のいずれかをコードする核酸を特徴とする。いくつかの実施形態において、TALEタンパク質、TALEヌクレアーゼおよびTALEタンパク質対(例えば、TALENs)は、実施例7に開示されているものである。TALEタンパク質、TALEヌクレアーゼおよびTALEタンパク質対(例えば、TALENs)をコードする核酸は、実施例7に開示されているものまたは実施例7に開示したタンパク質をコードする他の配列でもよい。本開示は、本明細書に開示されているTALEタンパク質、TALEヌクレアーゼまたはTALEタンパク質対(例えば、TALENs)をコードする核酸を含むベクターおよび細胞、ならびにTALEタンパク質、TALEヌクレアーゼまたはTALEタンパク質対(例えば、TALENs)を発現させる、細胞培養を含めた方法も含む。TALEタンパク質、TALEヌクレアーゼまたはTALEタンパク質対(例えば、TALENs)を発現させる本方法は、細胞培養からTALEタンパク質、TALEヌクレアーゼまたはTALEタンパク質対(例えば、TALENs)を単離することも含み得る。

別の態様において、本発明は、1個または複数のTALEドメインをコードしている配列を含む核酸(例えば、プラスミド)の組、アーカイブまたはライブラリを特徴とする。いくつかの実施形態において、組、アーカイブまたはライブラリは、1、2、3および/または4個の(または、4個より多い(例えば、5個、6個またはそれより多い))TALEリピートドメインをコードしている配列を含む。いくつかの実施形態において、核酸の組、ライブラリまたはアーカイブは、1、2、3、4個の(または、4個より多い(例えば、5個、6個またはそれより多い))ヌクレオチドを有するヌクレオチド配列に結合するTALEリピートドメインをコードしている配列を含む。いくつかの実施形態において、組、ライブラリまたはアーカイブは、TALEリピートドメインをコードする配列を囲んで制限部位(例えば、IIS型制限エンドヌクレアーゼの部位)を含む。

本明細書に記載の方法は、TALEリピートの多量のPCR増幅を回避し、それによってPCRエラーによる変異の導入を回避することを含めた、いくつかの利点をも提供する。さらに、任意の望ましい長さのTALEリピートアレイを構築することができ、その方法は容易に多重化および/または自動化できる。

別段の規定がない限り、本明細書において使用される全ての技術用語および科学用語は、この発明が属する分野の当業者であれば一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書に記載の方法および材料に類似したまたは同等のそれは、本発明の実施または試験に使用することができるが、適切な方法および材料については後述される。本明細書に記載の全ての刊行物、特許出願、特許および他の参考文献は、その全体を参照により組み込む。不一致がある場合、用語の定義を含めて、本願明細書が優先されることになる。加えて、材料、方法および例は単なる例示であり、制限することを意図するものではない。

本発明の1つまたは複数の実施形態の詳細については、添付の図面および下記の説明に記載されている。本発明の他の特徴、目的および利点については、説明および図面、ならびに特許請求の範囲から明らかになる。

TALEタンパク質をコードする核酸を組み立てる典型的な方法を示す模式図である。

単一(1マー)、2マー、3マーおよび4マーのTALEリピートドメインをコードする核酸の典型的なアーカイブを示す模式図である。

pUC57−ΔBsaIプラスミドの配列である。このプラスミドは、BsaI制限部位を破壊する単一塩基の変異(太字、下線を引いた、小文字)を除いてプラスミドpUC57と同一である。

α/ε、β、γおよびδ型の典型的なTALEリピートのポリペプチド配列である。各型に特有の多形残基が、太字およびイタリックで表される。Aに結合するための超可変のトリプレットSNIが下線で表される。

図4Aの典型的なTALEリピートのポリヌクレオチド配列である。

発現プラスミドpJDS70、pJDS71、pJDS74、pJDS76およびpJDS78の共通配列である。可変配列の領域は、XXXXXXXXX(下線を引いた太字)として図示される。

発現プラスミドpJDS70、pJDS71、pJDS74、pJDS76およびpJDS78の共通配列である。可変配列の領域は、XXXXXXXXX(下線を引いた太字)として図示される。

増強緑色蛍光タンパク質(eGFP)遺伝子および本明細書に記載の合成TALEタンパク質に対する結合部位の位置の概念図である。

eGFPレポーター遺伝子に結合し、切断するように設計されたTALEヌクレアーゼをコードするプラスミドでトランスフェクションした2日後および5日後の、TALEヌクレアーゼ修飾eGFP陰性細胞の%を表す棒グラフである。

TALEヌクレアーゼによって誘導されるeGFPの挿入−欠失変異体の配列である。欠失した塩基を破線で表し、挿入された塩基を二重下線で表す;TALEN標的半部位に一本線の下線を引く。挿入または欠失した塩基の正味の数が、右に示される。

17マーTALEアレイ調製物をコードしている組み立てられたDNA断片の電気泳動ゲルを示す図である。

16マーTALEアレイ調製物の電気泳動ゲルを示す図である。

改変DR−TALE−0003のヌクレオチド配列である。

改変DR−TALE−0003のポリペプチド配列である。

改変DR−TALE−0006のヌクレオチド配列である。

改変DR−TALE−0006のポリペプチド配列である。

改変DR−TALE−0005のヌクレオチド配列である。

改変DR−TALE−0005のポリペプチド配列である。

改変DR−TALE−0010のヌクレオチド配列である。

改変DR−TALE−0010のポリペプチド配列である。

改変DR−TALE−0023のヌクレオチド配列である。

改変DR−TALE−0023のポリペプチド配列である。

改変DR−TALE−0025のヌクレオチド配列である。

改変DR−TALE−0025のポリペプチド配列である。

改変DR−TALE−0020のヌクレオチド配列である。

改変DR−TALE−0020のポリペプチド配列である。

改変DR−TALE−0022のヌクレオチド配列である。

改変DR−TALE−0022のポリペプチド配列である。

EGFP遺伝子破壊アッセイにおける48個のTALEN対および4個のZFN対の活性を表す棒グラフである。染色体に組み込まれたEGFPレポーター遺伝子を持つU2OS細胞を、ヌクレアーゼをコードしているプラスミドを用いてトランスフェクションした2日後および5日後に測定したEGFP陰性細胞のパーセンテージが示される。3つの独立したトランスフェクションのEGFP破壊の平均パーセントおよび平均値の標準誤差が示される。

TALENsの長さによってグループ化した、図19Aの平均EGFP破壊活性を表す棒グラフである。

2日後〜5日後の平均パーセントEGFP破壊値の比を表すグラフである。図19Bのデータを使用して、各TALEN長のグループについて比が算出された。1より大きい値は、2日後と比較して、5日後のEGFP破壊細胞の平均の減少を表す。

TALENsの様々な長さによってグループ化した2日後〜5日後の平均tdTomato陽性細胞の比を表すグラフである。0日目に、tdTomatoをコードする対照プラスミドを、ヌクレアーゼをコードするプラスミドと一緒にトランスフェクトした。

内在性ヒト遺伝子で、組み立てられたTALENに誘導される変異のDNA配列および頻度を表す図である。各内在性遺伝子標的について、TALEN標的半部位に下線を引き、遺伝子の翻訳開始コドン(ATG)を箱で囲んで、野生型(WT)配列を一番上の行に表す。欠失は破線で、挿入は小文字と二重下線で表される。挿入(+)または欠失(Δ)のサイズが、各変異部位の右に表される。各変異体が単離された回数が、括弧内に示される。変異頻度は、分析した配列の合計数で除した同定された変異体の数として算出される。いくつかの遺伝子について、TALEN標的部位の配列を超えて広がるより大きな欠失も同定したことに留意されたい。

内在性ヒト遺伝子で、組み立てられたTALENに誘導される変異のDNA配列および頻度を表す図である。各内在性遺伝子標的について、TALEN標的半部位に下線を引き、遺伝子の翻訳開始コドン(ATG)を箱で囲んで、野生型(WT)配列を一番上の行に表す。欠失は破線で、挿入は小文字と二重下線で表される。挿入(+)または欠失(Δ)のサイズが、各変異部位の右に表される。各変異体が単離された回数が、括弧内に示される。変異頻度は、分析した配列の合計数で除した同定された変異体の数として算出される。いくつかの遺伝子について、TALEN標的部位の配列を超えて広がるより大きな欠失も同定したことに留意されたい。

内在性ヒト遺伝子で、組み立てられたTALENに誘導される変異のDNA配列および頻度を表す図である。各内在性遺伝子標的について、TALEN標的半部位に下線を引き、遺伝子の翻訳開始コドン(ATG)を箱で囲んで、野生型(WT)配列を一番上の行に表す。欠失は破線で、挿入は小文字と二重下線で表される。挿入(+)または欠失(Δ)のサイズが、各変異部位の右に表される。各変異体が単離された回数が、括弧内に示される。変異頻度は、分析した配列の合計数で除した同定された変異体の数として算出される。いくつかの遺伝子について、TALEN標的部位の配列を超えて広がるより大きな欠失も同定したことに留意されたい。

内在性ヒト遺伝子で、組み立てられたTALENに誘導される変異のDNA配列および頻度を表す図である。各内在性遺伝子標的について、TALEN標的半部位に下線を引き、遺伝子の翻訳開始コドン(ATG)を箱で囲んで、野生型(WT)配列を一番上の行に表す。欠失は破線で、挿入は小文字と二重下線で表される。挿入(+)または欠失(Δ)のサイズが、各変異部位の右に表される。各変異体が単離された回数が、括弧内に示される。変異頻度は、分析した配列の合計数で除した同定された変異体の数として算出される。いくつかの遺伝子について、TALEN標的部位の配列を超えて広がるより大きな欠失も同定したことに留意されたい。

内在性ヒト遺伝子で、組み立てられたTALENに誘導される変異のDNA配列および頻度を表す図である。各内在性遺伝子標的について、TALEN標的半部位に下線を引き、遺伝子の翻訳開始コドン(ATG)を箱で囲んで、野生型(WT)配列を一番上の行に表す。欠失は破線で、挿入は小文字と二重下線で表される。挿入(+)または欠失(Δ)のサイズが、各変異部位の右に表される。各変異体が単離された回数が、括弧内に示される。変異頻度は、分析した配列の合計数で除した同定された変異体の数として算出される。いくつかの遺伝子について、TALEN標的部位の配列を超えて広がるより大きな欠失も同定したことに留意されたい。

TALEリピートドメインまたはTALEリピートドメインの一部を含有する、TALEタンパク質をコードする核酸を組み立てる典型的な方法の模式図である。

本明細書に記載の方法を使用して、対象の特異的配列に結合するためのTALEリピートドメインを含有する改変タンパク質を組み立てることができる。リピートは、高度に保存されている約33〜35アミノ酸の共通配列内では少数のアミノ酸しか異ならないので、TALEリピートドメインリピートの長いアレイ(例えば、12個以上)を組み立てることが難しい場合がある。PCR組立てをすると、不要な変異が導入されることがある。これら構築物の高度な反復性により構築物が不安定化し、組換えが起こりやすくなる可能性があるので、およびこれらの中間構築物を継代する必要性によりこれらの手法を自動化することが困難になるので、大腸菌(E. coli)における中間プラスミド構築物の継代を1回または複数回含む階層的な組立て方法も問題を含む可能性がある。

TALエフェクター キサントモナス属の植物病原性細菌のTALエフェクターは、宿主DNAに結合し、エフェクター特異的宿主遺伝子を活性化することによって、病害において重要な役割を果たす、または防御を誘発する。特異性は、エフェクター(様々な数の不完全な、通常約33〜35アミノ酸のリピート)に依存する。主にリピートの12位および13位に多形が存在し、本明細書において「リピート可変二残基(diresidue)」(RVD)と称する。TALエフェクターのRVDは、直接的に、線型様式で、1つのヌクレオチドに対して1つのRVDで、多少の縮重を伴い、明らかな前後配列の依存性無しにその標的部位中のヌクレオチドに対応する。いくつかの実施形態において、ヌクレオチド特異性を付与する多形領域は、三残基(triresidue)またはトリプレットとして発現されてよく、例えば、残基11、12および13を包含する。

各DNA結合リピートは、標的DNA配列中の塩基対の認識を決定するRVDを含むことができ、各DNA結合リピートは標的DNA配列中の1つの塩基対の認識に関与し、RVDは:C認識用のHA;C認識用のND;C認識用のHI;G認識用のHN;G認識用のNA;GもしくはA認識用のSN;T認識用のYG;およびG認識用のNK、のうちの1つまたは複数、ならびにC認識用のHD;T認識用のNG;A認識用のNI;GもしくはA認識用のNN;AもしくはCもしくはGもしくはT認識用のNS;CもしくはT認識用のN*(*はRVDの第2位におけるギャップを表す);T認識用のHG;T認識用のH*(*はRVDの第2位におけるギャップを表す);およびT認識用のIG、のうちの1つまたは複数を含むが、これに限定されるものではない。

TALEタンパク質は、(例えば、植物において生物燃料またはバイオ再生可能なエネルギーに有用な形質を付加するまたは強化するための)ゲノム工学において、相同組換えを促進可能な標的したキメラヌクレアーゼとして研究および生物工学に役立つ。これらのタンパク質は、例えば、転写因子として、特に、非限定例としては、病原体(例えば、ウイルス)に対する治療法など非常に高いレベルの特異性を必要とする治療適用にも有用である。

組立て方法 TALEリピートドメインアレイを組み立てる本明細書に記載の方法の例は、図1に示されており、(1)固体支持体への付着に適したリンカーを有する、単一のN末端TALEリピートドメイン(1マー)をコードしている単一のビオチン化PCR産物を用意するステップと(ここで示す例では、ストレプトアビジンコーティング磁気ビーズを使用するが、他の固体支持体およびその固体支持体に最初のDNA断片を係留する他の方法も利用可能である);(2)(例えば、IIS型制限酵素を使用して)1マーDNAの3’末端に突出を作成するステップと;(3)4個のTALEリピートドメイン(すなわち、予め組み立てられた4マー)を含有する第2の断片をライゲーションして、5マーを形成するステップと;(4)固体支持体へ5マーを付着させるステップと;(5)追加的な予め組み立てられたTALEリピートドメイン(例えば、望ましい最終的なアレイ長に応じて1、2、3または4個のTALEリピートドメインをコードしているDNAの断片(複数可))をライゲーションして、長いアレイを形成するステップと、(6)(例えば、最初のビオチン化DNA産物の5’末端に部位が組み込まれているIIS型制限酵素を使用することにより)TALEリピートをコードしている伸長したDNAを固体支持体から遊離させるステップとを含む。次いで、最終的な断片は、適切な発現プラスミドにライゲーションするように調製できる。

別法として、本方法は、(1)固体支持体に単一のN末端TALEリピートドメインをコードする単一のビオチン化PCR産物を付着させるステップと(ここで示す例では、ストレプトアビジンコーティング磁気ビーズを使用するが、マルチウェルプレートのストレプトアビジンコーティングしたウェルなど他の固体支持体およびその固体支持体に最初のDNA断片を係留する他の方法も利用可能である)、(2)(例えば、IIS型制限酵素を使用して)固定されているDNAの3’末端に突出を作成するステップと、(3)4個のTALEリピートドメインを含有する第2の断片をライゲーションするステップと、(4)ステップ(2)および(3)のサイクルを追加して長いアレイを形成するステップと、(5)最終サイクルにおいて、望ましい最終的なアレイ長に応じて1、2、3または4個のTALEリピートドメインをコードするDNAの断片のライゲーションを実施するステップと、(6)(例えば、最初のビオチン化DNA産物の5’末端に部位が組み込まれているIIS型制限酵素を使用することにより)TALEリピートをコードしている伸長したDNAを固体支持体から遊離させるステップの通り進められる。

本明細書に記載の方法に基づいてTALEリピートドメインアレイを組み立てる方法の別の例は、図22に示されており、(1)固体支持体への付着に適したリンカーを有する単一のN末端TALEリピートドメインの一部(部分的1マー)をコードする単一のビオチン化PCR産物を用意するステップと(ここで示す例では、ストレプトアビジンコーティング磁気ビーズを使用するが、他の固体支持体およびその固体支持体に最初のDNA断片を係留する他の方法も利用可能である);(2)(例えば、IIS型制限酵素を使用して)部分的な1マーDNAの3’末端に突出を作成するステップと;(3)2個の部分的および3個の完全なTALEリピートからなるを含有する第2の断片をライゲーションするステップと;(4)固体支持体へ第2の断片を付着させるステップと;(5)追加的な予め組み立てられたTALEリピートドメインまたはTALEリピートドメインの一部(例えば、望ましい最終的なアレイ長に応じて1、2、3または4個のTALEリピートドメイン(またはTALEリピートドメインの一部)をコードするDNAの断片(複数可))をライゲーションして、長いアレイを形成するステップと、(6)(例えば、最初のビオチン化DNA産物の5’末端に部位が組み込まれているIIS型制限酵素を使用することにより)TALEリピートをコードしている伸長したDNAを固体支持体から遊離させるステップとを含む。次いで、最終的な断片は、適切な発現プラスミドにライゲーションするように調製できる。

1個または複数のTALEリピートドメイン(または一部)をコードしている最初の核酸は、固体支持体に連結される。最初の核酸は、任意の手段(例えば、化学合成、PCRまたはプラスミドからの切断)によって調製できる。加えて、核酸は、任意の手段、例えば、共有結合または非共有結合によって固体支持体に連結できる。

いくつかの実施形態において、結合対の一方のメンバーで修飾された核酸を使用し、結合対の他方のメンバーを固体支持体に組み込むことにより、核酸は非共有結合的に連結される。結合対の一メンバーは、第1および第2部分のうちの一方になり、前記第1および前記第2部分は互いに対して特異的な結合親和性を有する。本発明において使用する適切な結合対には、それだけには限らないが、抗原/抗体(例えば、ジゴキシゲニン/抗ジゴキシゲニン、ジニトロフェニル(DNP)/抗DNP、ダンシル−X/抗ダンシル、フルオレセイン/抗フルオレセイン、ルシファーイエロー/抗ルシファーイエロー、ペプチド/抗ペプチド、リガンド/受容体およびローダミン/抗ローダミン)、ビオチン/アビジン(または、ビオチン/ストレプトアビジン)およびカルモジュリン結合タンパク質(CBP)/カルモジュリンがある。他の適切な結合対には、FLAG−ペプチドなどのポリペプチド(Hoppら、1988、BioTechnology、6:1204 10);KT3エピトープペプチド(Martinら、Science 255:192 194(1992));チューブリンエピトープペプチド(Skinnerら、J. Biol. Chem. 266:15163-66(1991));およびT7遺伝子10タンパク質ペプチドタグ(Lutz-Freyerinuthら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、87:6393 97(1990))と、それらに対する各抗体がある。

いくつかの実施形態において、1個または複数のTALEリピートドメインをコードしている個々の核酸は、プラスミドのアーカイブまたはライブラリ中に存在する(図2を参照のこと)。1〜4個のTALEリピートドメインをコードしている核酸を示すが、プラスミドのライブラリは、4個より多い(例えば、5個、6個またはそれより多い)TALEリピートドメインをコードしている核酸を含有できる。別法として、図22に示される通り、1個または複数のTALEリピートドメインの部分または一部をコードしている核酸を結合させて、TALEリピートドメインの望ましい全長アレイをコードする最終的なDNA断片を形成することもできる。特定のヌクレオチドまたはヌクレオチドの組に対して結合特異性を持つ多くのTALEリピートドメイン配列が、当技術分野において公知であり、当業者は、これら公知の配列および本明細書の開示に基づいてプラスミドライブラリを設計し、調製することができる。

本明細書では、固体支持体とは、核酸を連結可能な任意の固体もしくは半固体または不溶性支持体のことを指す。そのような材料には、それだけに限らないが、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ナイロン、ガラス、デキストラン、キチン、砂、軽石、アガロース、多糖、デンドリマー、バッキーボール、ポリアクリルアミド、シリコン、ゴムならびに固相合成、親和性分離および精製、ハイブリダイゼーション反応、免疫測定法および他のそのような用途の支持体として使用される他の材料など、生物化学的分子の合成および分析のための支持体として使用される任意の材料がある。固体支持体は、微粒子であることができ、あるいはマイクロタイターディッシュもしくはウェル、スライドガラス、シリコンチップ、ニトロセルロースシート、ナイロンメッシュまたは他のそのような材料など連続平面状であることができる。微粒子の場合、通常、粒子は、5〜10mmの範囲またはより小さい少なくとも1つの大きさを有する。本明細書において、そのような粒子は、「ビーズ」と総称され、多くの場合球状であるが必ずしもそうではない。しかし、そのような言及は基材の幾何学的形状を限定するものではなく、ランダム形状、針状、繊維状および細長い形状を含めた任意の形状であることができる。また、おおよそ球状の「ビーズ」、特に液相で使用可能な微小球体も意図される。追加的な成分が本明細書に記載の方法に干渉しない限り、「ビーズ」は、磁石を使用して分離するための磁性または常磁性粒子(例えば、Dynabeads(Dynal、Oslo、Norway)を参照のこと)などの追加的な成分を含むことができる。

制限エンドヌクレアーゼ(例えば、II型もしくはIIS型制限エンドヌクレアーゼ)で切断することによって、または1つまたは複数のヌクレオチドの存在下でエキソヌクレアーゼ活性およびポリメラーゼ活性を持つ酵素(複数可)を使用して末端を「削り込む(chewing back)」ことによって、ライゲーション可能な末端を作製できる(Aslanidisら、1990、Nucl. Acids Res.、18:6069-74を参照のこと)。適切な酵素は、当業者に公知である。制限エンドヌクレアーゼを使用する場合、核酸は、適切な位置に酵素のための制限部位を含むように設計できる。

ライゲーション反応の後に、5’または3’突出を持つライゲーションされていない任意の末端は、ポリメラーゼ(例えば、3’→5’エキソヌクレアーゼ活性と5’→3’ポリメラーゼ活性の両方を持つDNAポリメラーゼ)の使用により「平滑化」できる。この平滑化ステップにより、望ましくないまたは部分的な組立て産物の出現を減らすことができる。別法として、これらの末端は、対合可能な突出を持つ「ヘアピン」オリゴ(Briggsら、2012、Nucleic Acids Res、PMID: 22740649)を使用してまたは1方の末端に対合可能な突出を持ち、他方の末端に平滑末端を持つ短い二本鎖DNAによってキャップすることができる。

さらに下流で処理するためのライゲーションした核酸を調製するために、期待されるサイズの核酸を選抜し、不完全なライゲーションによって形成される少量の産物の存在量を減らすことが有益な場合がある。サイズによって核酸を選抜する方法は、当技術分野において公知であり、ゲル電気泳動(例えば、スラブゲル電気泳動またはキャピラリーゲル電気泳動(例えば、Carusoら、2003、Electrophoresis、24:1-2:78-85を参照のこと))、液体クロマトグラフィー(例えば、サイズ除外クロマトグラフィーまたは逆相クロマトグラフィー(例えば、Huberら、1995、Anal. Chem.、67:578-585を参照のこと))、およびラボオンチップシステム(例えば、LabChip(登録商標)XTシステム、Caliper Life Sciences、Hopkinton、MA)がある。いくつかの実施形態において、サイズ除外ステップは、自動化システム、例えば、自動化ゲル電気泳動システム(例えば、Pippin Prep(商標)自動化DNAサイズ選抜システム、Sage Science、Beverly、MA)を使用して実施できる。

自動化 本明細書に開示されている本方法は、手作業で実施することができ、または本明細書に記載の新規な方法にしたがってプログラムされている適合するソフトウェアパッケージ(例えば、Maestro(商標)液体処理ソフトウェア)もしくは本明細書に記載の特定の方法ステップを実施するために設計され実行される新規なソフトウェアパッケージによって制御される実験室自動化ハードウェア(例えば、SciClone G3 Liquid Handling Workstation、Caliper Life Sciences、Hopkinton、MA)により実行することができる。実験室自動化ハードウェアによって実施されるとき、本方法は、本明細書に記載の方法ステップにしたがった標準的なプログラミング技法を使用するコンピュータプログラムによって実行できる。

自動化実験室システムロボットの例には、Sciclone(商標)G3液体処理ワークステーション(Caliper Life Sciences、Hopkinton、MA)、Biomek(登録商標)FX液体処理システム(Beckman−Coulter、Fullerton、California)、TekBench(商標)自動化液体処理プラットフォーム(TekCel、Hopkinton、Massachusetts)、およびFreedom EVO(登録商標)自動化プラットフォーム(Tecan Trading AG、Switzerland)がある。

プログラムは、少なくとも1台のプロセッサ、少なくとも1つのデータ記憶システム(揮発性および不揮発性メモリならびに/または記憶素子、例えば、RAMおよびROMを含む)、コンピュータキーボード、電話、またはワイヤレスの携帯デバイス(PDAなど)などのデバイスに対してアクセス可能になる少なくとも1つの通信ポート、および場合によってはモニタ、プリンタまたはウェブサイトなど少なくとも1つの出デバイスを含む、プログラム可能なコンピュータで実行するように設計できる。中央コンピュータは、研究室自動化ハードウェアの制御を可能にするクロックおよび通信ポートも含む。これらは全て、公知の技術、ソフトウェアおよびデバイスを使用して実行される。システムは、データ(例えば、本明細書に記載の1つまたは複数の方法ステップの手順を記載しているデータ)を含むデータベースも含む。

プログラムコードは、利用者によるデータ入力(例えば、処理しようとするサンプルの位置、操作のタイミングおよび頻度、分注または吸引される液体の量、システム中のある位置から別の位置へのサンプルの移動)およびデータベース中のデータに適用されて、本明細書に記載の機能が実施される。システムは、質問を生成することも、利用者にメッセージを提供することもできる。本明細書に記載の通り、出力情報は、反応物を含有する容器を操作、加熱、撹拌などする機器(例えば、ロボット)に適用される。加えて、そのシステムは、電話、プリンタもしくはモニタなど1つもしくは複数の出力デバイス、または合成および/もしくはその進捗に関する情報を利用者に提供するためのウェブサイトにアクセス可能な、コンピュータモニタ上のウェブページを含むことができる。

好ましくは、新規な方法を実現する各プログラムは、高いレベルの手続き的またはオブジェクト指向のプログラミング言語により実行されて、コンピュータシステムと通信する。しかし、プログラムは、必要に応じてアセンブリ言語または機械語で実行することもできる。どんな場合でも、言語は、コンパイラ型またはインタプリタ型言語であることができる。

記憶媒体またはデバイスをコンピュータによって読み込み、本明細書に記載の手順を実施する場合、好ましくは、一般的なまたは特殊用途のプログラム可能なコンピュータによって読取り可能な記憶媒体もしくはデバイス(例えば、RAM、ROM、光学的、磁気的)にそのような各コンピュータプログラムを記憶させて、コンピュータを設定し、動作させる。システムはまた、プログラムで設定されている、コンピュータ読取り可能なまたは機械読取り可能な記憶媒体(電子装置で読取り可能な媒体)として実行できると考えられ、それにより、こうして設定された記憶媒体は、コンピュータまたは機械を特定のおよび所定の方法で動作させて、本明細書に記載の機能を実施する。

新規な方法は、データ記憶の様々な手段を使用して実行できる。ファイルは、記録可能な媒体で物理的に、または専用のイントラネットもしくはインターネットで電子的に(例えば電子メールによって)転送することができる。ファイルは、RSA Security(Bedford、Massachusetts)およびBaltimore(登録商標)のような会社の標準的な暗号化ソフトウェアを使用して暗号化することができる。ファイルは、様々な形式、例えば、スプレッドシートまたはデータベースで記憶することができる。

本明細書では、「電子装置」という用語は、任意の適切なコンピューティングもしくは処理装置、またはデータもしくは情報を記憶するために設定または適合されている他のデバイスを含むことを意図する。本発明とともに使用するのに適した電子装置の例には、独立型コンピューティング装置;ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、インターネット、イントラネットおよびエクストラネットを含めた通信ネットワーク;例えばパーソナル携帯情報機器(PDA)、携帯電話、「スマートフォン」、ポケットベルなどの電子機器;ならびに局所型および分散型処理システムがある。

本明細書では、「記憶される」とは、電子装置で読取り可能な媒体に情報をコードするための方法のことを指す。当業者は、公知の媒体に情報を記録するための現在公知の方法のいずれかを容易に採用して、配列情報を含む製品を生成することができる。

様々なソフトウェアプログラムおよび形式を使用して、電子装置で読取り可能な媒体に方法データを記憶することができる。例えば、データおよび機械命令は、自動化システムに備わっているソフトウェアのシステムに組み込みことができ、WordPerfect(登録商標)およびMicrosoft(登録商標)Word(登録商標)など市販のソフトウェアで書式化される文書処理テキストファイルで表示でき、または例えばMicrosoft Access(登録商標)、Microsoft SQL Server(登録商標)、Sybase(登録商標)、Oracle(登録商標)などのデータベースアプリケーションに記憶されるASCIIファイルの形態で、ならびに他の形態で表示できる。任意の数のデータ処理装置構築形式(例えば、テキストファイルまたはデータベース)を利用して、適切なデータおよび機械命令を記録した媒体を得るかまたは形成し、それによって本明細書に記載の方法を実行することができる。

電子装置で読取り可能な形態で情報を提供することにより、プログラム可能なコンピュータは、研究室自動化ハードウェアと通信し、制御して、本明細書に記載の方法を実施することができる。当業者は、電子装置で読取り可能な形態(または電子装置で読取り可能な形態に変換される形態)でデータを入力して、研究室自動化ハードウェアによる様々な方法ステップの完了について記述することができる。

ポリペプチド発現系 本発明の改変タンパク質を使用するには、通常、改変タンパク質をコードする核酸からそれを発現させる必要がある。これは、様々な方法で実施できる。例えば、通常、改変TALEリピートタンパク質をコードしている核酸を原核生物もしくは真核生物細胞への形質転換用中間ベクターにクローニングして、複製および/または発現させる。改変TALEタンパク質をコードしている核酸を格納もしくは操作するまたはタンパク質を産生させるための中間ベクターは、通常、原核生物ベクター、例えばプラスミドもしくはシャトルベクターまたは昆虫ベクターである。改変TALEリピートタンパク質をコードしている核酸も、通常、発現ベクターにクローニングされて、植物細胞、動物細胞、好ましくは哺乳動物細胞もしくはヒト細胞、真菌細胞、細菌細胞または原生動物細胞に施与される。

クローニングした遺伝子または核酸を発現させるために、通常、改変TALEリピートタンパク質は転写を指令するためのプロモーターを含有する発現ベクターにサブクローニングされる。適切な細菌および真核生物プロモーターは、当技術分野で周知であり、例えば、Sambrookら、Molecular Cloning, A Laboratory Manual(第3版 2001);Kriegler、Gene Transfer and Expression: A Laboratory Manual(1990);およびCurrent Protocols in Molecular Biology(Ausubelら編、2010)に記載されている。改変TALEリピートタンパク質を発現させるための細菌発現系は、例えば、大腸菌(E. coli)、バチルス属種、およびサルモネラ属において利用可能である(Palvaら、1983、Gene 22:229-235)。そのような発現系用のキットは、市販されている。哺乳動物細胞、酵母および昆虫細胞用の真核生物発現系は、当技術分野で周知であり、市販もされている。

改変TALEリピートタンパク質核酸の発現を指令するために使用されるプロモーターは、具体的な用途によって決まる。例えば、通常、強い構成的プロモーターを使用して、改変TALEリピートタンパク質を発現させ精製する。それに対し、改変TALEリピートタンパク質をin vivoで施与して、遺伝子調節する場合、改変TALEリピートタンパク質の具体的な用途に応じて構成的なまたは誘導可能なプロモーターのいずれかを使用することができる。加えて、改変TALEリピートタンパク質を施与するのに好ましいプロモーターは、HSV TKなどの弱いプロモーターまたは類似の活性を有するプロモーターであり得る。通常、プロモーターは、トランス活性化に応答する要素、例えば、低酸素応答要素、Gal4応答要素、lacリプレッサー応答要素ならびにtet調節系およびRU−486系などの小分子制御系を含むこともできる(例えば、Gossen & Bujard、1992、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、89:5547;Oliginoら、1998、Gene Ther.、5:491-496;Wangら、1997、Gene Ther.、4:432-441;Neeringら、1996、Blood、88:1147-55;およびRendahlら、1998、Nat. Biotechnol.、16:757-761を参照のこと)。

通常、プロモーターに加えて、発現ベクターは、宿主細胞(原核生物または真核生物のいずれか)における核酸の発現に必要な全ての追加の要素を含有する転写ユニットまたは発現カセットを含有する。したがって、通常の発現カセットは、例えば転写産物の効率的なポリアデニル化、転写終結、リボゾーム結合部位または翻訳終結に必要な、例えばTALEリピートタンパク質シグナルをコードしている核酸配列に動作可能に連結されたプロモーターを含有する。カセットの追加の要素には、例えば、エンハンサーおよび異種スプライシングされるイントロンシグナル(heterologous spliced intronic signals)があり得る。

細胞に遺伝情報を運搬するのに使用される具体的な発現ベクターは、改変TALEリピートタンパク質の使用目的(例えば、植物、動物、細菌、真菌、原生動物、などにおける発現)に応じて選択される。標準的な細菌発現ベクターには、pBR322をベースとしたプラスミド、pSKF、pET23DならびにGSTおよびLacZなど市販の融合発現系などのプラスミドがある。好ましい融合タンパク質は、マルトース結合タンパク質、「MBP」である。そのような融合タンパク質を使用して、改変TALEリピートタンパク質を精製できる。便利な単離方法を可能にし、発現をモニターし、細胞および細胞内の局在をモニターするために、組換えタンパク質にエピトープタグ(例えば、c−mycまたはFLAG)を付加することもできる。

真核生物ウイルス由来の調節要素を含有する発現ベクターは、真核生物発現ベクター(例えば、SV40ベクター、乳頭腫ウイルスベクターおよびエプスタインバーウイルスから得られるベクター)にしばしば使用される。他の典型的な真核生物ベクターには、pMSG、pAV009/A+、pMTO10/A+、pMAMneo−5、バキュロウイルスpDSVE、およびSV40初期プロモーター、SV40後期プロモーター、メタロチオネインプロモーター、マウス乳癌ウイルスプロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、ポリヘドリンプロモーターまたは真核生物細胞における発現に対して有効であることが示されている他のプロモーターの指示の下でタンパク質の発現を可能にする他の任意のベクターがある。

いくつかの発現系は、安定にトランスフェクトされた細胞系の選択用マーカー(チミジンキナーゼ、ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼおよびジヒドロ葉酸還元酵素など)を有する。昆虫細胞において、ポリヘドリンプロモーターまたは他の強力なバキュロウイルスプロモーターの指示の下に、改変TALEリピートタンパク質をコードしている配列を含むバキュロウイルスベクターを使用するなど、高収率な発現系も適している。

通常発現ベクターに含まれる要素には、大腸菌(E. coli)において機能するレプリコン、組換えプラスミドを保有する細菌の選抜を可能にする抗生物質耐性をコードしている遺伝子、およびプラスミドの非必須領域への組換え配列の挿入を可能にする固有の制限部位もある。

標準的なトランスフェクション法を使用して、大量のタンパク質を発現する細菌、哺乳動物、酵母または昆虫細胞系を作製し、次いで標準的な技術を使用してそのタンパク質を精製する(例えば、Colleyら、1989、J. Biol. Chem.、264:17619-22;Guide to Protein Purification、Methods in Enzymology、182巻(Deutscher編、1990)を参照のこと)。真核生物および原核生物細胞の形質転換は、標準的な技術にしたがって実施される(例えば、Morrison、1977、J. Bacteriol. 132:349-351;Clark-Curtiss & Curtiss、Methods in Enzymology 101:347-362(Wuら編、1983)を参照のこと)。

宿主細胞に外来のヌクレオチド配列を導入するためのどんな周知の手順も使用できる。これらは、リン酸カルシウムトランスフェクション、ポリブレン、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、リポソーム、マイクロインジェクション、ネイキッドDNA、プラスミドベクター、ウイルスベクター、エピソーム性および組み込み型の両方、ならびにクローニングされたゲノムDNA、cDNA、合成DNAまたは他の外来の遺伝物質を宿主細胞に導入するための任意の他の周知の方法の使用を含む(例えば、Sambrookら、上記を参照のこと)。使用される特定の遺伝子工学手順は、最良のタンパク質を発現可能な宿主細胞に、少なくとも1つの遺伝子を成功裏に導入できればよい。

TALEタンパク質の特徴づけ 本発明の方法を使用して設計した改変TALEリピートアレイタンパク質をさらに特徴づけて、選択した用途にとって望ましい特徴を有することを確認できる。例えば、TALEリピートアレイタンパク質は、細菌2ハイブリッド、細菌プロモーター抑制、ファージディスプレイもしくはリボゾームディスプレイシステムを使用してまたは電気泳動移動度シフトアッセイもしくは「EMSA」を使用してアッセイすることができる(Buratowski & Chodosh、Current Protocols in Molecular Biology 12.2.1-12.2.7ページ)。同様に、当技術分野において公知の他の任意のDNA結合アッセイを使用して、選択したタンパク質のDNA結合特性を検証することができる。

一実施形態において、細菌「2ハイブリッド」システムを使用して、本発明のTALEリピートタンパク質を発現させ、試験する。細菌2ハイブリッドシステムには、タンパク質発現とDNA結合「アッセイ」が同じ細胞の中で起こるというさらなる利点が有り、したがって、別々のDNA結合アッセイを組み立てない。

細菌2ハイブリッドシステムを使用してDNA結合タンパク質を発現させ、アッセイする方法については、Joungら、2000、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、97:7382;Wrightら、2006、Nat. Protoc、1:1637-52;Maederら、2008、Mol. Cell、31:294-301;Maederら、2009、Nat. Protoc.、4:1471-1501;および米国特許出願番号第2002/0119498号に記載されており、参照によりその内容を本明細書に組み込む。概略説明すると、細菌2ハイブリッドシステムにおいて、DNA結合タンパク質は、レポーター遺伝子(例えば、ヒスチジン3(HIS3)、ベータラクタマーゼ抗生物質耐性遺伝子、またはベータ−ガラクトシダーゼ(lacZ)遺伝子)の発現を制御する弱いプロモーターの上流に対象の配列を持つ細菌株中で発現される。細胞によって発現されるDNA結合タンパク質が標的部位配列に結合する細胞において、レポーター遺伝子の発現が起こる。したがって、レポーター遺伝子に関連した活性(例えば、選択培地上での成長、ベータ−ガラクトシダーゼの発現)を検出することによって、標的部位に結合するDNA結合タンパク質を発現している細菌細胞が同定される。

いくつかの実施形態において、結合親和性および特異性の算出も行われる。これは、様々な方法で行うことができる。選択されたTALEリピートアレイタンパク質が対象の配列に結合する親和性を測定し、そのKDを単位として定量化できる。TALEリピートアレイタンパク質の実際のKDを正確に測定する限り、任意のアッセイ系を使用することができる。一実施形態において、TALEリピートアレイタンパク質がその標的に結合するKDは、EMSAを使用して測定される。

一実施形態において、EMSAを使用して、選択されたTALEリピートアレイタンパク質が対象の配列(すなわち、特異的なKD)および非特異的DNA(すなわち、非特異的KD)の両方に結合するKDを決定する。当技術分野において公知の、任意の適切な非特異的または「競合」二本鎖DNAを使用できる。いくつかの実施形態において、仔ウシ胸腺DNAまたはヒト胎盤DNAが使用される。特異的なKDに対する非特異的KDの比が、特異性比である。高い特異性で結合するTALEリピートアレイタンパク質の特異性比は高い。選択したTALEのグループのどれを所与の目的に使用すべきか決める際に、この測定は非常に有用である。例えば、in vivoでTALEリピートアレイタンパク質を使用するには、高い親和性結合だけでなく高い特異性結合も必要である。

キメラTALEタンパク質の構築 多くの場合、専用設計のTALEリピートアレイDNA結合ドメインを作製する目的は、ある機能を実施するのに使用可能なTALEリピートアレイタンパク質を得ることにある。TALEリピートアレイDNA結合ドメインを単独で使用して、例えば遺伝子上の特異的部位に結合させて、それにより他のDNA結合ドメインの結合を遮断することができる。しかし、いくつかの実施形態において、TALEリピートアレイタンパク質は、TALEリピートアレイDNA結合ドメインおよびいくつかの望ましい特異的機能(例えば、遺伝子活性化)または酵素活性を有する追加的なドメイン、すなわち、「機能的ドメイン」を含有するキメラTALEタンパク質の構築に使用される。

本明細書に記載の方法を使用して設計され、作製されるキメラTALEリピートアレイタンパク質を使用して任意の機能を実施することができ、例えば、特定のDNA配列に対するいくつかの特定の酵素活性、および他の型の合成または改変DNA結合分子に関して既に記載されている任意の機能を標的することが望ましい。改変TALEリピートアレイDNA結合ドメインは、疾病の治療(例えば、米国特許出願第2002/0160940号および米国特許第6,511,808号、第6,013,453号および第6,007,988号ならびに国際特許出願公開第WO02/057308号を参照のこと)に、またはさもなければ所与の遺伝子の構造または機能をin vivoで変更するのに有用な、キメラタンパク質の構築に使用できる。本発明の改変TALEリピートアレイタンパク質は、研究ツールとして、例えば、in vivoまたはin vitroいずれにおける機能的ゲノム学研究の実施にも有用である(例えば、米国特許第6,503,717号および米国特許出願第2002/0164575号を参照のこと)。

機能的な組換えタンパク質を生成するために、通常、改変TALEリピートアレイDNA結合ドメインは、少なくとも1つの「機能的」ドメインに融合されることになる。合成のTALEリピートアレイタンパク質に機能的なドメインを融合して機能的転写因子を形成することは、当業者によって一般的に実践されている日常の分子生物学技術しか含まない、例えば、米国特許第6,511,808号、第6,013,453号、第6,007,988号、第6,503,717号および米国特許出願第2002/0160940号を参照のこと)。

機能的なドメインは、TALEタンパク質のC末端またはN末端を含めた任意の好適な位置で改変TALEリピートアレイドメインと結合することができる。本発明の方法を使用して作製される改変タンパク質に付加するのに適切な「機能的」ドメインについては、米国特許第6,511,808号、第6,013,453号、第6,007,988号および第6,503,717号ならびに米国特許出願第2002/0160940号に記載されている。

一実施形態において、機能的ドメインは、核に移行されるタンパク質を規定する核局在化ドメインである。いくつかの核局在化配列(NLS)は公知であり、任意の適切なNLSを使用できる。例えば、多くのNLSは、二連塩基性(bipartite basic)リピートと呼ばれる複数の塩基性アミノ酸を有する(Garcia-Bustosら、1991、Biochim. Biophys. Acta、1071:83-101に概説されている)。二連塩基性リピートを含有するNLSは、キメラタンパク質の任意の部分に配置することができ、核の内側に局在化するキメラタンパク質を得られる。通常、本発明のキメラタンパク質の最終的な機能が、核に局在化するタンパク質を必要とするように、核局在化ドメインは常に最終的なキメラタンパク質に組み込まれることが好ましい。しかし、改変TALEリピートアレイドメイン自体または最終的なキメラタンパク質中の別の機能的ドメインが固有の核移行機能を有する場合、別の核局在化ドメインを付加する必要がない場合がある。

別の実施形態において、機能的ドメインは、キメラタンパク質を使用して対象とする遺伝子の転写を活性化できるような転写活性化ドメインである。当技術分野において公知の任意の転写活性化ドメイン、例えば、VP16ドメインは単純ヘルペスウイルスを形成し(Sadowskiら、1988、Nature、335:563-564)または細胞性転写因子NF−kappaBのp65ドメイン(Rubenら、1991、Science、251:1490-93)などを使用することができる。

さらに別の実施形態において、機能的ドメインは、キメラタンパク質を使用して対象とする遺伝子の転写を抑制できるような転写抑制ドメインである。当技術分野において公知の任意の転写抑制ドメイン、例えば、多くの天然に存在するKRABタンパク質中に見られるKRAB(クルッペル関連ボックス(Kruppel-associated box))ドメイン(Thiesenら、1991、Nucleic Acids Res.、19:3996)などを使用することができる。

さらなる実施形態において、機能的ドメインは、メチル基転移酵素(または、メチラーゼ)ドメイン、脱メチル化ドメイン、デアミナーゼドメイン、ヒドロキシラーゼドメイン、アセチル化ドメイン、または脱アセチル化ドメインなどのDNA修飾ドメインである。そのようなドメインの多くは当技術分野において公知であり、得られるキメラタンパク質の望ましい機能に応じて、任意のそのようなドメインを使用できる。例えば、DNAメチル化ドメインを、TALEリピートアレイDNA結合タンパク質に融合させることができ、このドメインを使用して、特定のDNA配列を標的にしてメチル化できることが示された(Xuら、1997、Nat. Genet.、17:376-378)。遺伝子のメチル化の状態は、その発現および調節に影響を及ぼし、さらに、DNAメチル化の欠陥に関連付けられたいくつかの疾病がある。

なお、さらなる実施形態において、機能的ドメインは、ヒストンアセチラーゼまたはヒストンデアセチラーゼ(またはHDAC)ドメインなどのクロマチン修飾ドメインである。そのようなドメインの多くは当技術分野において公知であり、得られるキメラタンパク質の望ましい機能に応じて、任意のそのようなドメインを使用できる。ヒストンデアセチラーゼ(HDAC1およびHDAC2など)は、遺伝子抑制に関与している。したがって、改変TALEタンパク質を使用して対象とする特定の遺伝子にHDAC活性を標的することにより、対象とする遺伝子の発現を抑制することができる。

他の実施形態において、機能的ドメインは、制限エンドヌクレアーゼ(または制限酵素)ドメインなどのヌクレアーゼドメインである。適切な改変TALEリピートアレイDNA結合ドメインにヌクレアーゼ酵素を融合させることによって、そのDNA切断活性は、特定の標的配列を標的にすることができる。この方法で、配列特異的キメラ制限酵素を作製できる。いくつかのヌクレアーゼドメインが当技術分野において公知であり、任意の適切なヌクレアーゼドメインを使用できる。例えば、Kimら、1996、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、6:1156-60によって教示されるように、IIS型制限エンドヌクレアーゼ(例えば、FokI)のエンドヌクレアーゼドメインを使用できる。いくつかの実施形態において、エンドヌクレアーゼは、US2008/0131962に記載の通り、改変FokIバリアントである。組換えDNA分子を構築する実験室手順において、または相同組換えを促進するためのゲノムDNAにおける二本鎖DNA切断の作製においてなど、特定のDNA配列の切断が要求されるどんな状況においても、そのようなキメラエンドヌクレアーゼを使用することができる(Kimら、1996、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、6:1156-60;Bibikovaら、2001、Mol. Cell. Biol.、21:289-297;Porteus & Baltimore、2003、Science、300:763;Millerら、2011、Nat. Biotechnol.、29:143-148;Cermakら、2011、Nucl. Acids Res.、39:e82)。間違いを起こしやすい非相同末端結合によるTALEヌクレアーゼ誘導二本鎖切断(DSB)を修復することにより、DSB部位に挿入または欠失変異を効率的に導入できる(Millerら、2011、Nat. Biotechnol.、29:143-148;Cermakら、2011、Nucl. Acids Res.、39:e82)。別法として、外生的に導入した「ドナーテンプレート(donor template)」を用いる相同組換え修復によるDSBの修復により、切断部位における正確な塩基変更または挿入を高効率で導入できる(Bibikovaら、2003、Science、300:764;Urnovら、2005、Nature、435:646-651;Porteusら、2003、Science、300:763;Millerら、2011、Nat. Biotechnol.、29:143-148)。

いくつかの実施形態において、機能的ドメインは、キメラタンパク質を使用して、例えばヒトゲノムの特定の位置に外生的なDNAを挿入できるようなインテグラーゼドメインである。

他の適切な機能的なドメインには、サイレンサードメイン、核ホルモン受容体、レゾルバーゼドメイン癌遺伝子転写因子(例えば、myc、jun、fos、myb、max、mad、rel、ets、bcl、myb、mosファミリーメンバーなど)、キナーゼ、ホスファターゼ、ならびにDNAの構造および/または遺伝子の発現を修飾するその他のタンパク質がある。転写調節に関与するキナーゼに由来する適切なキナーゼドメインについては、Davis、1995、Mol. Reprod. Dev.、42:459-67に概説されている。適切なホスファターゼドメインについては、例えばSchonthal & Semin、1995、Cancer Biol. 6:239-48に概説されている。

機能的ドメインへのTALEリピートアレイの融合は、当業者に周知の標準的な組換えDNA技術によって実施でき、例えば、Sambrookら、Molecular Cloning; A Laboratory Manual 第3版(2001)などの基礎的な実験教科書、ならびに米国特許第6,511,808号、第6,013,453号、第6,007,988号および第6,503,717号ならびに米国特許出願第2002/0160940号に記載されている。

いくつかの実施形態において、2個以上の改変TALEリピートアレイタンパク質を連結して、最終的なDNA結合ドメインを作製する。2個以上の改変タンパク質の連結は、共有結合または非共有結合手段によって実施できる。共有結合の場合、改変タンパク質は、アミノ酸リンカーを使用して共有結合できる(例えば、米国特許出願第2002/0160940号ならびに国際出願WO02/099084およびWO01/53480を参照のこと)。このリンカーは、所望のアミノ酸の任意の列であることができる。一実施形態において、リンカーは、標準的なTGEKPリンカーである。どのようなリンカーを使用しても、標準的な組換えDNA技術(例えば、Sambrookら、Molecular Cloning; A Laboratory Manual 第3版(2001)に記載のものなど)を使用して、そのような連結タンパク質を作製することができる。

改変タンパク質がキメラエンドヌクレアーゼの生成に使用される実施形態において、キメラタンパク質は二量体化ドメインを保有することができ、したがってエンドヌクレアーゼはダイマーとして機能すると考えられる。任意の適切な二量体化ドメインを使用できる。一実施形態において、エンドヌクレアーゼドメイン自体が、二量体化活性を保有する。例えば、固有の二量体化活性を有するFokIのヌクレアーゼドメインを使用できる(Kimら、1996、Proc. Natl. Acad. Sci.、93:1156-60)。

改変タンパク質による遺伝子発現調節を決定するためのアッセイ 様々なアッセイを使用して、改変TALEリピートタンパク質による遺伝子発現調節のレベルを決定できる、例えば米国特許第6,453,242号を参照のこと。個々の改変TALEリピートタンパク質の活性は、様々なin vitroおよびin vivoアッセイを使用して、例えば、免疫測定法(例えば、抗体を用いるELISAおよび免疫組織化学的アッセイ)、ハイブリダイゼーションアッセイ(例えば、RNaseプロテクション、ノーザン、in situハイブリダイゼーション、オリゴヌクレオチドアレイ実験)、比色アッセイ、増幅アッセイ、酵素活性アッセイ、腫瘍成長アッセイ、表現型アッセイ、などを使用して、例えば、タンパク質もしくはmRNAレベル、産物レベル、酵素活性、腫瘍成長;レポーター遺伝子の転写活性化もしくは抑制;二次メッセンジャーレベル(例えば、cGMP、cAMP、IP3、DAG、Ca2+);サイトカインおよびホルモン産生レベル;ならびに血管新生を測定することにより、評価できる。

TALEタンパク質は、例えば、293細胞、CHO細胞、VERO細胞、BHK細胞、HeLa細胞、COS細胞などの培養細胞を使用してin vitroで最初に活性を試験することができる。いくつかの実施形態において、ヒト細胞が使用される。多くの場合、改変TALEリピートアレイタンパク質は、レポーター遺伝子を用いる一過性の発現系を使用して最初に試験され、次いで標的内在性遺伝子の調節が細胞および動物において、in vivoとex vivoの両方で試験される。改変TALEリピートアレイタンパク質を細胞において組換えにより発現させる、動物に移植した細胞において組換えにより発現させる、またはトランスジェニック動物において組換えにより発現させることができ、および後述する送達媒体を使用してタンパク質として動物または細胞に投与することもできる。細胞は、固定化することも、溶液中に存在させることも、動物に注射することも、またはトランスジェニックもしくは非トランスジェニック動物中に天然に存在することもできる。

本明細書に記載のin vitroまたはin vivoアッセイの1つを使用して、遺伝子発現の変調が試験される。サンプルまたはアッセイを、改変TALEリピートアレイタンパク質で処理し、未処理の対照サンプルと比較して、変調の程度を調べる。内在性遺伝子の発現を調節するためには、TALEリピートアレイタンパク質のKDは、理想的には200nM以下、より好ましくは100nM以下、より好ましくは50nM、最も好ましくは25nM以下である。改変TALEリピートアレイタンパク質の効果は、上述のパラメータのいずれかを調べることによって測定できる。任意の適切な遺伝子発現、表現型または生理的変化を使用して、改変TALEリピートアレイタンパク質の影響を評価できる。無傷の細胞または動物を使用して機能的結果を決定する場合、腫瘍成長、血管新生、ホルモン放出、既知のおよび特徴づけられていない両方の遺伝子マーカーに対する転写変化(例えば、ノーザンブロットまたはオリゴヌクレオチドアレイ実験)、細胞成長またはpH変化などの細胞代謝における変化、ならびにcGMPなど細胞内二次メッセンジャーの変化など様々な効果も測定できる。

内在性遺伝子発現を調節するための好ましいアッセイは、in vitroで実施できる。1つのin vitroアッセイ形式において、ELISAアッセイを使用してタンパク質の産生を調べることにより、培養細胞において内在性遺伝子発現の改変TALEリピートアレイタンパク質調節が測定される。試験サンプルは、空のベクターまたは別の遺伝子を標的にしている無関係なTALEリピートアレイタンパク質で処理した対照細胞と比較される。

別の実施形態において、標的遺伝子mRNAの発現レベルを測定することにより、内在性遺伝子発現の調節をin vitroで決定する。遺伝子発現のレベルは、増幅(例えば、RT−PCR、LCRを使用して)、またはハイブリダイゼーションアッセイ(例えば、ノーザンハイブリダイゼーション、RNaseプロテクション、ドットブロット)を使用して測定される。一実施形態において、RNaseプロテクションが使用される。タンパク質またはmRNAのレベルは、本明細書に記載の通り、直接的または間接的に標識した検出薬剤(例えば、蛍光または放射性標識された核酸、放射性または酵素標識された抗体、など)を使用して検出される。

別法として、レポーター遺伝子(ルシフェラーゼ、緑色蛍光タンパク質、CATまたはベータ−ガラクトシダーゼなど)に動作可能に連結された標的遺伝子プロモーターを使用して、レポーター遺伝子系を考案できる。通常、レポーター構築物は、培養細胞に共トランスフェクトされる。TALEリピートアレイタンパク質で処理した後、レポーター遺伝子の転写、翻訳または活性の量が、当業者に公知の標準的な技術にしたがって測定される。

内在性遺伝子発現の調節をモニターするのに有用なアッセイ形式の別の例は、in vivoで実施される。このアッセイは、腫瘍促進遺伝子、血管新生など腫瘍支持に関与する遺伝子(例えば、VEGF)の発現を阻害する、またはp53など癌抑制遺伝子を活性化する、TALEリピートアレイタンパク質を調べるのに特に有用である。このアッセイにおいて、改変TALEタンパク質を発現している培養腫瘍細胞を、免疫不全マウス(無胸腺マウス、放射線照射マウスまたはSCIDマウスなど)に皮下注射する。適切な期間の後、好ましくは4〜8週間後に、例えば、体積によってまたは2つの最大寸法(two largest dimensions)によって腫瘍成長を測定し、対照と比較する。(例えば、Studentのt検定を使用して)統計的に有意に縮小した腫瘍は、成長が阻害されたと考えられる。別法として、腫瘍血管新生の程度も測定できる。内皮細胞特異的抗体を使用する免疫測定法を使用して、腫瘍の血管新生および腫瘍内の血管の数を染色する。(例えばStudentのt検定を使用して)統計的に有意に血管の数が減少した腫瘍は、血管新生が阻害されたと考えられる。

トランスジェニックおよび非トランスジェニック動物を使用して、in vivoで内在性遺伝子発現の調節を調べることもできる。トランスジェニック動物は、改変TALEリピートアレイタンパク質を発現できる。別法として、改変TALEリピートアレイタンパク質を一過性に発現する動物、または送達媒体の形で改変TALEリピートアレイタンパク質が投与された動物を使用することができる。内在性遺伝子発現の調節は、本明細書に記載のアッセイのうちいずれか1つを使用して試験される。

遺伝子治療における改変TALEリピート含有タンパク質の使用 同様に、遺伝子治療適用において、本発明の改変タンパク質を使用して、遺伝子発現を調節するまたは遺伝子配列を変更することができる。類似の方法が、合成ジンクフィンガータンパク質について記載されている、例えば米国特許第6,511,808号、米国特許第6,013,453号、米国特許第6,007,988号、米国特許第6,503,717号、米国特許出願第2002/0164575号および米国特許出願第2002/0160940号を参照のこと。

従来通りのウイルスおよび非ウイルスに基づく遺伝子導入方法を使用して、哺乳動物細胞または標的組織に、改変TALEリピートアレイタンパク質をコードしている核酸を導入できる。そのような方法を使用して、改変TALEリピートアレイタンパク質をコードしている核酸を、in vitroで細胞に投与できる。好ましくは、改変TALEリピートアレイタンパク質をコードしている核酸が、in vivoまたはex vivoでの遺伝子治療適用のために投与される。非ウイルスベクター送達系には、DNAプラスミド、ネイキッド核酸、およびリポソームなどの送達媒体と複合化した核酸がある。ウイルスベクター送達系にはDNAおよびRNAウイルスがあり、それらは細胞への送達後に、エピソームゲノムまたは組み込みゲノムのいずれかを有する。遺伝子治療の手順の総説については、Anderson、1992、Science、256:808-813;Nabel & Felgner、1993、TIBTECH、11:211-217;Mitani & Caskey、1993、TIBTECH、11:162-166;Dillon、1993、TIBTECH、11:167-175;Miller、1992、Nature、357:455-460;Van Brunt、1988、Biotechnology、6:1149-54;Vigne、1995、Restorat. Neurol. Neurosci.、8:35-36;Kremer & Perricaudet、1995、Br. Med. Bull.、51:31-44;Haddadaら、Current Topics in Microbiology and Immunology DoerflerおよびBohm(編)(1995);およびYuら、1994、Gene Ther.、1:13-26を参照のこと。

改変TALEリピートアレイタンパク質をコードしている核酸の非ウイルス送達の方法には、リポフェクション、マイクロインジェクション、微粒子銃、ビロソーム、リポソーム、免疫リポソーム、ポリカチオンもしくは脂質:核酸コンジュゲート、ネイキッドDNAもしくはRNA、人工ビリオン、およびDNAもしくはRNAの薬剤で強化された取込みがある。リポフェクションについては、例えば、米国特許第5,049,386号、第4,946,787号および第4,897,355号に記載されており、リポフェクション試薬は、商業的に販売されている(例えば、Transfectam(商標)およびLipofectin(商標))。ポリヌクレオチドの効率的な受容体認識リポフェクションに適している陽イオン性および中性脂質には、Felgnerのそれ、WO91/17424、WO91/16024がある。細胞に(ex vivo投与)または標的組織に(in vivo投与)送達できる。

免疫脂質複合体など標的となるリポソームを含めた、脂質:核酸複合体の調製については当業者に周知である(例えば、Crystal、1995、Science、270:404-410;Blaeseら、1995、Cancer Gene Ther.、2:291-297;Behrら、1994、Bioconjugate Chem. 5:382-389;Remyら、1994、Bioconjugate Chem.、5:647-654;Gaoら、Gene Ther.、2:710-722;Ahmadら、1992、Cancer Res.、52:4817-20;米国特許第4,186,183号、第4,217,344号、第4,235,871号、第4,261,975号、第4,485,054号、第4,501,728号、第4,774,085号、第4,837,028号および第4,946,787号を参照のこと)。

改変TALEリピートアレイタンパク質をコードしている核酸を送達するためのRNAまたはDNAウイルスに基づく系の使用は、体内の特定の細胞にウイルスを標的し、核にウイルスペイロード(viral payload)を輸送するための高度に進化した方法を利用する。ウイルスベクターは患者に直接投与すること(in vivo)も、またはそのベクターを使用してin vitroで細胞を処理し、その修飾された細胞を患者に投与すること(ex vivo)もできる。TALEリピートアレイタンパク質を送達するための従来通りのウイルスに基づく系には、遺伝子導入用の、レトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴、センダイ、および単純ヘルペスウイルスベクターがあり得る。現在、ウイルスベクターは、標的細胞および組織における遺伝子導入に最も効率的で汎用性が高い方法である。宿主ゲノムへの組み込みはレトロウイルス、レンチウイルスおよびアデノ随伴ウイルス遺伝子導入法を用いて可能になり、多くの場合、挿入した導入遺伝子の長期にわたる発現が得られる。加えて、多くの異なる細胞型および標的組織において、高い形質導入効率が観察された。

外来のエンベロープタンパク質を組み込むことによってレトロウイルスの指向性を変更し、標的細胞の潜在的標的集団を広げることができる。レンチウイルスベクターとは、非分裂細胞を形質導入するまたはそれを感染させ、通常、高いウイルス力価を産生することができるレトロウイルスベクターである。したがって、レトロウイルス遺伝子導入系の選択は、標的組織によって決まる。レトロウイルスベクターは、6〜10kbまでの外来配列に対するパッケージング能を有するシス作用性の長い末端リピートから構成される。最小のシス作用性LTRはベクターの複製およびパッケージングに十分であり、次いでこのベクターを使用して標的細胞に治療的な遺伝子を組み込み、それによって導入遺伝子の永続的な発現を得る。広く使用されているレトロウイルスベクターには、マウス白血病ウイルス(Murine leukemia virus)(MuLV)、テナガザル白血病ウイルス(Gibbon ape leukemia virus)(GaLV)、サル免疫不全ウイルス(Simian immunodeficiency virus)(SIV)、ヒト免疫不全ウイルス(Human immunodeficiency virus)(HIV)およびその組合せに基づくものがある(例えば、Buchscherら、1992、J. Virol.、66:2731-39;Johannら、1992、J. Virol.、66:1635-40;Sommerfeltら、1990、Virololgy、176:58-59;Wilsonら、1989、J. Virol.、63:2374-78;Millerら、1991、J. Virol.、65:2220-24;WO94/26877を参照のこと)。

改変TALEリピートアレイタンパク質の一過性の発現が好ましい適用においては、アデノウイルスに基づく系が使用できる。アデノウイルスに基づくベクターは、多くの細胞型において非常に高い形質導入効率の能力があり、細胞分裂を必要としない。そのようなベクターでは、高い力価と発現レベルが得られた。このベクターは、比較的単純な系において大量に作製できる。例えば、核酸およびペプチドのin vitro産生において、ならびにin vivoおよびex vivoでの遺伝子治療手順のために、アデノ随伴ウイルス(「AAV」)ベクターも使用して、標的核酸で細胞を形質導入する(例えば、Westら、1987、Virology 160:38-47;米国特許第4,797,368号;WO93/24641;Kotin、1994、Hum. Gene Ther.、5:793-801;Muzyczka、1994、J. Clin. Invest.、94:1351を参照のこと)。組換えAAVベクターの構築については、米国特許第5,173,414号;Tratschinら、1985、Mol. Cell. Biol. 5:3251-60;Tratschinら、1984、Mol. Cell. Biol.、4:2072-81;Hermonat & Muzyczka、1984、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、81:6466-70;およびSamulskiら、1989、J. Virol.、63:3822-28を含めた多数の刊行物に記載されている。

具体的には、臨床試験における遺伝子導入用として最も頻繁に使用されている系であるレトロウイルスベクターを用いて、現在のところ少なくとも6つのウイルスベクター手法が利用可能である。これらのウイルスベクターは全て、ヘルパー細胞系に挿入された遺伝子による欠損ベクターの補完を含む手法を利用して、形質導入作用物質を生成する。

pLASNおよびMFG−Sは、臨床試験において使用されたレトロウイルスベクターの例である(Dunbarら、1995、Blood、85:3048;Kohnら,1995、Nat. Med.、1:1017;Malechら、1997、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、94:12133-38)。PA317/pLASNは、遺伝子治療の臨床試験において使用された最初の治療ベクターであった(Blaeseら、1995、Science、270:475-480)。MFG−Sパッケージ化ベクターに関しては、50%以上の形質導入効率が観察された(Ellemら、1997、Immunol Immunother.、44:10-20;Dranoffら、1997、Hum. Gene Ther.、1:111-112)。

組換えアデノ随伴ウイルスベクター(rAAV)は、欠損非病原性のパルボウイルスアデノ随伴2型ウイルスに基づく遺伝子送達システムの有望な代替手段である。通常、ベクターは、導入遺伝子発現カセットに隣接しているAAVの145bp逆方向末端反復しか保持しないプラスミドから得られる。形質導入細胞ゲノムに組み込むことによる、効率的な遺伝子導入および導入遺伝子の安定した送達は、このベクター系にとって重要な特徴である(Wagnerら、1998、Lancet、351:1702-1703;Kearnsら、1996、Gene Ther.、9:748-55)。

複製欠損性組換えアデノウイルスベクター(Ad)は、高力価で産生することができ、多数の異なる細胞型を容易に感染させるので、大腸ガンの遺伝子療法に主に使用される。大部分のアデノウイルスベクターは、導入遺伝子がAd E1a、E1bおよびE3遺伝子を置きかえ;その後、複製欠損ベクターは、欠失している遺伝子機能をトランスに補填するヒト293細胞中で増殖するように改変される。Adベクターは、肝臓、腎臓および筋肉系組織などに見られる分裂しない分化した細胞を含めた複数の型の組織をin vivoに形質導入することができる。従来通りのAdベクターは、高い輸送力を有する。臨床試験におけるAdベクターの使用の例には、筋肉注射を用いて抗腫瘍免疫化するためのポリヌクレオチド療法が含まれる(Stermanら、1998、Hum. Gene Ther. 7:1083-89)。臨床試験における遺伝子導入用アデノウイルスベクターの使用のさらなる例には、Roseneckerら、1996、Infection、24:15-10;Stermanら、1998、Hum. Gene Ther.、9:7 1083-89;Welshら、1995、Hum. Gene Ther.、2:205-218;Alvarezら、1997、Hum. Gene Ther. 5:597-613;Topfら、1998、Gene Ther.、5:507-513;Stermanら、1998、Hum. Gene Ther.、7:1083-89がある。

パッケージング細胞を使用して、宿主細胞を感染させる能力があるウイルス粒子を形成する。そのような細胞には、アデノウイルスをパッケージングする293細胞、およびレトロウイルスをパッケージングするΨ2細胞またはPA317細胞がある。遺伝子治療に使用されるウイルスベクターは、通常、ウイルス粒子に核酸ベクターをパッケージングするプロデューサー細胞系によって生成される。通常、ベクターは、パッケージングおよびその後の宿主への組み込みに必要とされる最小限のウイルス配列を含有しており、他のウイルス配列は、発現させようとするタンパク質のための発現カセットと置きかえられている。失ったウイルス機能は、パッケージング細胞系によってトランスに補填される。例えば、遺伝子治療に使用されるAAVベクターは、通常、パッケージングおよび宿主ゲノムへの組み込みに必要とされるAAVゲノム由来のITR配列しか保有しない。ウイルスDNAは細胞系にパッケージングされ、その細胞系は他のAAV遺伝子、すなわち、repおよびcapをコードしているがITR配列を欠いているヘルパープラスミドを含有する。細胞系は、ヘルパーとしてのアデノウイルスにも感染する。ヘルパーウイルスは、AAVベクターの複製およびヘルパープラスミド由来AAV遺伝子の発現を促進する。ヘルパープラスミドはITR配列を欠くため、大量にパッケージングされない。アデノウイルスによる汚染は、例えば、アデノウイルスがAAVより感受性である熱処理によって低減できる。

多くの遺伝子治療適用において、遺伝子治療ベクターは、高い特異性を保持して特定の組織型に送達されることが望ましい。通常、ウイルスベクターを修飾して、ウイルス外表面にあるウイルスコートタンパク質との融合タンパク質としてリガンドを発現させることにより、所与の細胞型に対する特異性を持たせる。対象の細胞型に存在する既知の受容体に対して親和性を有するように、リガンドは選ばれる。例えば、モロニーマウス白血病ウイルス(Moloney murine leukemia virus)を修飾して、gp70と融合したヒトヘレグリンを発現させることができ、組換えウイルスが、ヒト上皮細胞増殖因子受容体を発現している特定のヒト乳癌細胞に感染することを、Hanら、1995、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、92:9747-51は報告した。この原理は、リガンド融合タンパク質を発現しているウイルスと受容体を発現している標的細胞といった他の対にも拡張できる。例えば、線状ファージを改変して、実質的に任意の選ばれた細胞受容体に対して特異的結合親和性を有する抗体断片(例えば、FabまたはFv)を提示することができる。前記説明は、主にウイルスベクターに適用されるが、同じ原理を非ウイルスベクターに適用することもできる。特定の標的細胞による取り込みに有利に働くと考えられる特定の取り込み配列を含むように、そのようなベクターを改変することができる。

後述するように、遺伝子治療ベクターは、通常、全身性投与(例えば、静脈内、腹膜内、筋肉内、皮下もしくは頭蓋内点滴)または局所適用によって個々の患者に投与することにより、in vivoで送達できる。別法として、個々の患者から外植された細胞(例えば、リンパ球、骨髄穿刺液、組織生検)または幹細胞(例えば、万能ドナー造血幹細胞、胚性幹細胞(ES)、部分的に分化した幹細胞、非多能性幹細胞、多能性幹細胞、人工多能性幹細胞(iPS細胞)(例えば、Sipioneら、Diabetologia、47:499-508、2004を参照のこと))などの細胞に、ベクターをex vivoで送達することができ、その後、通常、ベクターを組み込んだ細胞を選抜した後に、患者にその細胞を再移植する。

診断、研究または遺伝子治療のためのex vivo細胞トランスフェクション(例えば、宿主生物にトランスフェクトした細胞を再注入することによる)は、当業者に周知である。好ましい実施形態において、細胞は、対象生物から単離され、改変TALEリピートアレイタンパク質をコードしている核酸(遺伝子またはcDNA)でトランスフェクトされ、対象生物(例えば、患者)に再注入して戻される。ex vivoトランスフェクションに適している様々な細胞型は、当業者に周知である(例えば、Freshneyら、Culture of Animal Cells、A Manual of Basic Technique(第5版 2005)および患者から細胞を単離し培養する方法の考察についてその中で引用している参考文献を参照のこと)。

一実施形態において、幹細胞(例えば万能ドナー造血幹細胞、胚性幹細胞(ES)、部分的に分化した幹細胞、非多能性幹細胞、多能性幹細胞、人工多能性幹細胞(iPS細胞)(例えば、Sipioneら、Diabetologia、47:499-508、2004)を参照のこと)が、細胞のトランスフェクションおよび遺伝子治療の、ex vivo手順に使用される。幹細胞を使用する利点は、それらをin vitroで他の細胞型に分化させられること、または骨髄移植する哺乳動物(細胞のドナーなど)に導入できることである。GM−CSF、IFNガンマおよびTNF−アルファなどのサイトカインを使用して、in vitroでCD34+細胞を臨床的に重要な免疫細胞型へと分化させる方法は、公知である(Inabaら、1992、J. Exp. Med.、176:1693-1702を参照のこと)。

幹細胞は、既知の方法を使用して、形質導入および分化のために単離できる。例えば、CD4+およびCD8+(T細胞)、CD45+(panB細胞)、GR−1(顆粒球)、ならびに1ad(分化抗原提示細胞)など不要な細胞に結合する抗体を用いて骨髄細胞をパニングすることによって、骨髄細胞から幹細胞を単離することができる(Inabaら、1992、J. Exp. Med.、176:1693-1702を参照のこと)。

生物に改変TALEリピートアレイタンパク質をコードしている核酸を含有するベクター(例えば、レトロウイルス、アデノウイルス、リポソーム、など)を直接投与して、in vivoで細胞に形質導入することもできる。別法として、ネイキッドDNAを投与することができる。投与は、分子を血液または組織細胞と最終的に接触させるために通常使用している経路のうちいずれかによる。そのような核酸を投与するのに適した方法が利用可能であり、当業者に周知である、また、2つ以上の経路を使用して特定の組成物を投与できるが、特定の経路は多くの場合別の経路よりも迅速であり、より有効な反応をもたらすことができる。別法として、改変TALEリピートアレイタンパク質の安定な処方を投与することもできる。

医薬として許容される担体は、投与される特定の組成物によって、およびその組成物を投与するのに使用される特定の方法によって、ある程度決定される。したがって、後述するように、幅広い種類の適切な処方の医薬組成物が利用可能である(例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、第21版、2005を参照のこと)。

送達媒体 本発明の改変TALEリピートアレイタンパク質などのポリペプチド化合物を投与するのに重要な因子は、ポリペプチドが、細胞の原形質膜または核などの細胞内区画の膜を横断できるということを確認することである。細胞膜は脂質−タンパク質二重層から構成され、小さい、非イオン性親油性化合物を自由に透過させるが、極性化合物、高分子および治療的または診断用薬剤を本質的に透過しない。しかし、改変TALEリピートアレイタンパク質などのポリペプチドを、細胞膜を通って移行させる能力を有する、タンパク質およびリポソームなど他の化合物が記載されている。

例えば、「膜移行ポリペプチド」のアミノ酸の部分配列は、膜移行担体として機能する能力を持つ両親媒性または疎性である。一実施形態において、ホメオドメインタンパク質は、細胞膜を通って移行する能力を有する。ホメオドメインタンパク質(アンテナペディア)の最も短い内在化可能なペプチドは、アミノ酸43〜58位からなるタンパク質の第3へリックスであることが判明した(例えば、Prochiantz、1996、Curr. Opin. Neurobiol.、6:629-634を参照のこと)。別の部分配列、シグナルペプチドのh(疎水性)ドメインが、類似の細胞膜移行特性を有することが判明した(例えば、Linら、1995、J. Biol. Chem.、270:14255-58を参照のこと)。

タンパク質の細胞への取り込みを促進するのに、タンパク質に連結可能なペプチド配列の例には、それだけには限らないが:HIVのtatタンパク質のペプチド断片(Endohら、2010、Methods Mol. Biol.、623:271-281;Schmidtら、2010、FEBS Lett.、584:1806-13;Futaki、2006、Biopolymers、84:241-249);p16タンパク質のアミノ酸84〜103位に対応する20残基のペプチド配列(Fahraeusら、1996、Curr. Biol.、6:84を参照のこと);アンテナペディアの60アミノ酸長のホメオドメインの第3へリックス(Derossiら、1994、J. Biol. Chem.、269:10444);カポジ線維芽細胞成長因子(K−FGF)h領域などのシグナルペプチドのh領域(上記Linら);または、HSV由来VP22移行ドメイン(Elliot & O'Hare、1997、Cell、88:223-233)がある。また、例えば、Caronら、2001、Mol Ther.、3:310-318;Langel、Cell-Penetrating Peptides: Processes and Applications(CRC Press、Boca Raton FL 2002);El-Andaloussiら、2005、Curr. Pharm. Des.、11:3597-3611;およびDeshayesら、2005、Cell. Mol. Life Sci.、62:1839-49を参照のこと。細胞の取り込みを向上させる他の適切な化学的部分を、本明細書に記載のTALEリピートアレイタンパク質に化学的に連結することもできる。

毒素分子も、細胞膜を通ってポリペプチドを輸送する能力を有する。多くの場合、そのような分子は、少なくとも2つの要素(「二成分毒素」と呼ばれる):移行もしくは結合ドメインまたはポリペプチド、および別の毒素ドメインまたはポリペプチドから構成される。通常、移行ドメインまたはポリペプチドは細胞受容体に結合し、次いで、毒素が細胞内に輸送される。細胞質ゾルにペプチドを送達する試みにおいて、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)イオタ毒素、ジフテリア毒素(DT)、シュードモナス外毒素A(PE)、百日咳毒素(PT)、炭疽菌(Bacillus anthracis)毒素および百日咳アデニル酸シクラーゼ(CYA)を含めたいくつかの細菌毒素が、内部またはアミノ末端との融合物として使用された(Aroraら、1993、J. Biol. Chem.、268:3334-41;Perelleら、1993、Infect. Immun.、61:5147-56;Stenmarkら、1991、J. Cell Biol.、113:1025-32;Donnellyら、1993、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、90:3530-34;Carbonettiら、1995、Abstr. Annu. Meet. Am. Soc. Microbiol. 95:295;Seboら、1995、Infect. Immun.、63:3851-57;Klimpelら、1992、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、89:10277-81;およびNovakら、1992、J. Biol. Chem.、267:17186-93)。

そのような部分配列を使用して、改変TALEリピートアレイタンパク質を、細胞膜を通って移行させることができる。改変TALEリピートアレイタンパク質は、そのような配列に都合よく融合することができまたはそれを用いて誘導体化することができる。通常、移行配列は、融合タンパク質の一部として提供される。任意選択で、リンカーを使用して、改変TALEリピートアレイタンパク質と移行配列とを連結できる。任意の適切なリンカー、例えば、ペプチドリンカーを使用できる。

改変TALEリピートアレイタンパク質を、リポソーム、および免疫リポソームなどのリポソーム誘導体を介して動物細胞、好ましくは哺乳動物細胞に導入することもできる。「リポソーム」という用語は、水相を封入している1つまたは複数の同心円状に秩序立った脂質二重層から構成される小胞のことを指す。通常、水相は、細胞に送達される化合物(すなわち、改変TALEリピートアレイタンパク質)を含有する。

リポソームは原形質膜と融合し、それによって、細胞質ゾル中に化合物を放出する。別法として、リポソームは、細胞によって輸送小胞に貪食されるまたは取り込まれる。一旦エンドソームまたはファゴソームに入ると、リポソームは、分解されるかまたは輸送小胞の膜と融合し、その内容物を放出する。

現行のリポソームによる薬物送達方法において、リポソームは最終的に透過性になり、封入されている化合物(例えば、改変TALEリピートアレイタンパク質または同じものをコードしている核酸)を標的組織または細胞で放出する。全身的または組織特異的送達のためには、例えば、体内の様々な作用物質の作用によってリポソーム二重層が経時的に分解する受動的な方法でこれは達成され得る。別法として、活性化合物の放出は、薬剤を使用してリポソーム小胞の透過性変化を誘導することを含む。環境がリポソーム膜の近くで酸性になるときにそれらが不安定化するように、リポソーム膜を構築することができる(例えば、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、84:7851(1987);Biochemistry、28:908(1989)を参照のこと)。標的細胞によってリポソームが飲食運動されるとき、例えば、そのリポソームは不安定化され、内容物を放出する。この不安定化は、フソジェネシス(fusogenesis)と称される。ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)は、多くの「膜融合」系の主成分である。

通常、そのようなリポソームは、改変TALEリピートアレイタンパク質および脂質成分(例えば、中性および/またはカチオン性脂質)を含み、場合によっては、予め定められた細胞表面受容体またはリガンド(例えば、抗原)に結合する抗体などの受容体認識分子を含む。例えば、Szokaら、1980、Annu. Rev. Biophys. Bioeng.、9:467、米国特許第4,186,183号、第4,217,344号、第4,235,871号、第4,261,975号、第4,485,054号、第4,501,728号、第4,774,085号、第4,837,028号、第4,235,871号、第4,261,975号、第4,485,054号、第4,501,728号、第4,774,085号、第4,837,028号、第4,946,787号、PCT公開番号WO91/17424、Deamer & Bangham、1976、Biochim. Biophys. Acta、443:629-634;Fraleyら、1979、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、76:3348-52;Hopeら、1985、Biochim. Biophys. Acta、812:55-65;Mayerら、1986、Biochim. Biophys. Acta、858:161-168;Williamsら、1988、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、85:242-246;Liposomes(Ostro(編、1983(第1章));Hopeら、1986、Chem. Phys. Lip.、40:89;Gregoriadis、Liposome Technology (1984)およびLasic、Liposomes: from Physics to Applications(1993))に記載のとおり、様々な方法がリポソームの調製に利用可能である。適当な方法には、例えば、超音波処理、押出加工、高圧/均質化、微小流動化、界面活性剤透析、小さいリポソーム小胞のカルシウム誘導性融合およびエーテル−融合方法があり、その全てが当技術分野で周知である。

特定の実施形態において、特定の細胞型、組織などに特異的な標的化部分を使用して、リポソームを標的することが望ましい。様々な標的化部分(例えば、リガンド、受容体およびモノクローナル抗体)を使用するリポソームの標的化については、以前に記載されている(例えば、米国特許第4,957,773号および第4,603,044号を参照のこと)。

標的化部分の例には、新生物(前立腺癌特異的抗原およびMAGEなど)と関連する抗原に特異的なモノクローナル抗体がある。癌遺伝子(rasまたはc−erbB2など)の活性化または過剰発現の結果生じる遺伝子産物を検出することによって、腫瘍を診断することもできる。加えて、多くの腫瘍は、アルファフェトプロテイン(AFP)および癌胚抗原(CEA)など、通常は胎児の組織によって発現される抗原を発現する。B型肝炎コアおよび表面抗原(HBVc、HBV)、C型肝炎抗原、エプスタインバーウイルス抗原、ヒト免疫不全1型ウイルス(Human immunodeficiency type-1 virus)(HIV1)ならびに乳頭腫ウイルス抗原などの様々なウイルス抗原を使用して、ウイルス感染の部位を診断できる。例えばインテグリン(例えば、VCAM−1)、セレクチン受容体(例えば、ELAM−1)など、炎症部位で発現する表面分子によって特異的に認識される分子を使用して、炎症を検出することができる。

リポソームに標的化薬剤を結合させるための標準的な方法を使用できる。一般に、これらの方法は、リポソーム脂質成分(例えば、ホスファチジルエタノールアミン)への組み込みを含み、その脂質成分を、標的化薬剤を付着させるために活性化する、または脂質誘導体化ブレオマイシンなどの親油性化合物を誘導体化できる。例えば、プロテインAを組み込んだリポソームを使用して、抗体を標的したリポソームを構築できる(Renneisenら、1990、J. Biol. Chem.、265:16337-42およびLeonettiら、1990、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、87:2448-51を参照のこと)。

用量 治療適用の場合、ジンクフィンガータンパク質について記載されたのと類似の方法で、患者に投与すべき改変TALEリピートアレイタンパク質の用量が算出される、例えば米国特許第6,511,808号、米国特許第6,492,117号、米国特許第6,453,242号、米国特許出願第2002/0164575号および米国特許出願第2002/0160940号を参照のこと。本開示において、用量は、患者において経時的に有益な治療応答をもたらすのに十分であるべきである。加えて、特定の用量計画は、実験設定における(例えば、機能的ゲノム学研究、および細胞または動物モデルにおける)表現型変化を決定するのに有用な場合がある。用量は、利用される特定の改変TALEリピートアレイタンパク質の有効性、特異性およびKD、標的細胞の核容積および患者の状態、ならびに治療される患者の体重または表面積によって決定されることになる。特定の患者への特定の化合物またはベクターの投与に付随する任意の有害副作用の存在、性質および程度によっても、用量サイズは決定されることになる。

医薬組成物および投与 本発明の改変TALEリピートアレイタンパク質を投与するのに適切な医薬組成物は、ジンクフィンガータンパク質について記載されたように決定できる、例えば米国特許第6,511,808号、米国特許第6,492,117号、米国特許第6,453,242号、米国特許出願第2002/0164575号および米国特許出願第2002/0160940号を参照のこと。遺伝子発現の変調のためおよび治療または予防適用(例えば、癌、虚血、糖尿病性網膜症、黄斑変性、慢性関節リウマチ、乾癬、HIV感染、鎌状赤血球性貧血、アルツハイマー病、筋ジストロフィー、神経変性疾患、血管系疾患、嚢胞性線維症、脳卒中など)のために、改変TALEリピートアレイタンパク質、および改変TALEリピートアレイタンパク質をコードしている発現ベクターを患者に直接投与することができる。TALEリピートアレイタンパク質に媒介される遺伝子治療によって阻害できる微生物の例には、病原性細菌、例えば、クラミジア、リケッチア細菌、マイコバクテリア、ブドウ球菌、連鎖球菌、炎球菌、髄膜炎菌およびコノコッキ(conococci)、クレブシエラ、プロテウス、セラチア、シュードモナス、レジオネラ、ジフテリア、サルモネラ、桿菌、コレラ、破傷風、ボツリヌス菌中毒、炭疽菌、ペスト、レプトスピラ症およびライム病細菌;感染性真菌、例えば、アスペルギルス属、カンジダ属;胞子虫(例えば、マラリア原虫)、根足虫(例えば、エントアメーバ属)および鞭毛虫(トリパノソーマ属、リーシュマニア属、トリコモナス属、ジアルジア属など)などの原生動物;ウイルス性疾患、例えば、肝炎(A、BまたはC)、ヘルペスウイルス(例えば、VZV、HSV−1、HSV−6、HSV−II、CMVおよびEBV)、HIV、エボラ、アデノウイルス、インフルエンザウイルス、フラビウイルス、エコーウイルス、ライノウイルス、コクサッキーウイルス、コモウイルス、RSウイルス、流行性下腺炎ウイルス、ロータウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、パルボウイルス、痘ウイルス、HTLVウイルス、デング熱ウイルス、乳頭腫ウイルス、ポリオウイルス、狂犬病ウイルスおよびアルボウイルス脳炎ウイルスなどがある。

治療上有効な量の投与は、TALEリピートアレイタンパク質を治療しようとする組織と最終的に接触させるために通常使用している経路のうちいずれかによる。TALEリピートアレイタンパク質は、任意の適切な方法で、好ましくは、医薬として許容される担体と共に投与される。そのような変調物質を投与するのに適した方法が利用可能であり、当業者に周知である、また、2つ以上の経路を使用して特定の組成物を投与できるが、特定の経路は多くの場合別の経路よりも迅速であり、より有効な反応をもたらすことができる。

医薬として許容される担体は、投与される特定の組成物によって、およびその組成物を投与するのに使用される特定の方法によって、ある程度決定される。したがって、後述するように、幅広い種類の適切な処方の医薬組成物が利用可能である(例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy、第21版、2005を参照のこと)。

改変TALEリピートアレイタンパク質は、単独でまたは他の適切な成分と組合せて、吸入によって投与される噴霧処方にできる(すなわち、「霧状」にできる)。エアロゾル処方は、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素など加圧された許容し得る噴霧剤に入れることができる。

例えば、静脈内、筋肉内、皮内および皮下経路などによる非経口投与用として好適な処方には、水性および非水性の等張無菌注射溶液(酸化防止剤、緩衝液、静菌剤、および処方を対象とするレシピエントの血液と等張にする溶質を含有することができる)、ならびに水性および非水性の無菌懸濁液(懸濁化剤、可溶化剤、増粘剤、安定剤および防腐剤を含むことができる)がある。開示されている組成物は、例えば、静脈内注入、経口的、局所的、腹膜内、膀胱内でまたはクモ膜下腔内によって投与できる。化合物の処方は、アンプルおよびバイアルなど、単位用量または複数用量の密封容器中に存在できる。注入用液および懸濁液を、前述の種類の無菌の粉末、顆粒および錠剤から調製できる。

TALEヌクレアーゼの使用 例えば、2つの部位で切断しその間の配列を欠失させることによって、単一部位での切断とそれに続く非相同な末端の結合によって、および/またはある部位で切断して1もしくは2または数ヌクレオチドを取り除くまたは置きかえることによって、本明細書に記載の方法を使用して改変されたTALEヌクレアーゼを使用してゲノム配列に変異を誘導できる。いくつかの実施形態において、TALEヌクレアーゼを使用して、動物、植物、菌類または細菌ゲノムに変異を誘導する。標的した切断を使用して、(例えば、機能的ゲノム学または標的検証のために)遺伝子ノックアウトを形成することも、(例えば、細胞工学またはタンパク質過剰発現のために)標的化したゲノムへの配列挿入(すなわち、遺伝子ノックイン)を促進することもできる。挿入は、相同組換えによる染色体配列の置きかえによって、または標的した組み込みによって可能であり、染色体中の対象領域と相同な配列に隣接している新規な配列(すなわち、対象領域に存在しない配列)を使用して、相同組換えにより予め定められた目的部位に新規な配列を挿入する。外生的なDNAも、隣接する相同性配列を必要とせずにTALEヌクレアーゼ誘導二本鎖切断部に挿入できる(Orlandoら、2010、Nucl. Acids Res.、1-15、doi:10.1093/nar/gkq512参照のこと)。

下記の実施例3において実証されているように、本明細書に記載の方法によって作製されるTALEヌクレアーゼは、哺乳動物細胞において部位特異的突然変異生成を誘導することができた。本明細書に記載の方法によって作製されるTALEヌクレアーゼが、他の細胞型および生物においても機能して、効率的な部位特異的突然変異生成を誘導し得ることは、熟練した専門家には容易に認識されよう(例えば、Cadeら、2012、Nucleic Acids Res.、PMID: 22684503およびMooreら、2012、PLoS One、PMID: 22655075を参照のこと)。

同じ方法を使用して、野生型配列を変異体配列と置きかえる、または1つの対立遺伝子を異なる対立遺伝子に変換することもできる。

感染しているまたは組み込まれたウイルスゲノムを標的にした切断は、宿主におけるウイルス感染症の治療に使用することができる。加えて、ウイルス受容体をコードしている遺伝子の標的した切断を使用して、そのような受容体の発現を遮断し、それによって、宿主生物におけるウイルスの感染および/またはウイルス拡散を予防することができる。ウイルス受容体(例えば、HIVに対するCCR5およびCXCR4受容体)をコードしている遺伝子を標的にした突然変異生成を使用して、受容体をウイルスと結合できなくし、それによって、新たな感染を予防し、既存の感染の拡散を遮断することができる。標的にできるウイルスまたはウイルス受容体の非限定的な例には、HSV−1およびHSV−2などの単純ヘルペスウイルス(HSV)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、エプスタインバーウイルス(EBV)ならびにサイトメガロウイルス(CMV)、HHV6およびHHV7がある。ウイルスの肝炎科には、A型肝炎ウイルス(HAV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、Δ肝炎ウイルス(HDV)、E型肝炎ウイルス(HEV)および肝炎Gウイルス(HGV)がある。標的され得る他のウイルスまたはそれらの受容体には、ピコルナウイルス科(例えば、ポリオウイルスなど);カリチウイルス科;トガウイルス(例えば、風疹ウイルス、デング熱ウイルスなど);フラビウイルス科;コロナウイルス科;レオウイルス科;ビルナウイルス科;ラボドウイルス科(例えば、狂犬病ウイルスなど);フィロウイルス科;パラミクソウイルス科(例えば、流行性耳下腺炎ウイルス、麻疹ウイルス、RSウイルスなど);オルソミクソウイルス科(例えば、インフルエンザウイルスA型、B型およびC型など);ブニヤウイルス科;アレナウイルス科;レトロビラ科;レンチウイルス(例えば、HTLV−I;HTLV−II;HIV−1(別名HTLV−III、LAV、ARV、hTLRなど)HIV−II);サル免疫不全ウイルス(SIV)、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)、インフルエンザウイルスおよびダニ媒介性脳炎ウイルスがあるが、それだけには限らない。これらのおよび他のウイルスの説明については、例えば、Virology, 3rd Edition (W. K. Joklik編、1988);Fundamental Virology, 4th Edition(KnipeおよびHowley編、2001)を参照のこと。HIVに対する受容体には、例えば、CCR−5およびCXCR−4がある。

類似の様式で、標的したDNAの切断とそれに続く非相同な末端の結合によって、感染している細菌のゲノムに突然変異を起こして、細菌の感染を遮断するまたは改善することができる。

開示されている、標的した組換えについての方法を使用して、任意のゲノム配列を相同だが同一でない配列と置きかえることができる。例えば、変異体ゲノム配列をその野生型の対応配列と置きかえることができ、それによって、例えば、遺伝的疾患、遺伝病、癌および自己免疫疾患の治療方法を提供できる。同様の様式において、本明細書に開示されている、標的した組換え方法を使用して、ある遺伝子の1つの対立遺伝子を、異なる対立遺伝子と置きかえることができる。

典型的な遺伝的疾患には、それだけには限らないが、軟骨形成不全、色盲、酸性マルターゼ欠損症、アデノシンデアミナーゼ欠損症(OMIM番号102700)、副腎白質ジストロフィー、アイカルディ症候群、アルファ−1抗トリプシン欠乏症、アルファ−サラセミア、アンドロゲン不応症候群、アペール症候群、不整脈源性右室、異形成、毛細血管拡張性運動失調症、バース症候群、ベータサラセミア、青色ゴムまり様母斑症候群、カナバン病、慢性肉芽腫症(CGD)、ネコ猫鳴き症候群、嚢胞性線維症、有痛脂肪症、外胚葉性形成異常、ファンコニ貧血、進行性骨化性線維異形成症、脆弱エックス症候群、ガラクトース血症、ゴーシェ病、全身性ガングリオシドーシス(例えば、GM1)、血色素沈着症、ベータ−グロビンの第6コドンにおけるヘモグロビンC変異(HbC)、血友病、ハンチントン舞踏病、フルラー症候群、低ホスファターゼ症、クラインフェルター症候群、クラッベ病、ランガー−ギーディオン症候群、白血球接着不全症(LAD、OMIM番号116920)、白質萎縮症、QT延長症候群、マルファン症候群、メビウス症候群、ムコ多糖症(MPS)、爪膝蓋骨症候群、腎性尿崩症、神経線維腫症、ニーマンピック病、骨形成不全症、ポルフィリン症、プラダーウィリ症候群、早老症、プロテウス症候群、網膜芽腫、レット症候群、ルビンシュタインテイビ症候群、サンフィリポ症候群、重症複合型免疫不全症(SCID)、シュバッハマン症候群、鎌状赤血球疾病(鎌状赤血球性貧血)、スミスマグニス症候群、スティックラー症候群、テイサックス病、血小板減少性橈骨欠損(TAR)症候群、トレチャーコリンズ症候群、トリソミー、結節硬化症、ターナー症候群、尿素サイクル異常症、フォンヒッペルリンドウ病、ワーデンブルグ症候群、ウィリアムズ症候群、ウィルソン病、ウィスコット−アルドリッチ症候群、X連鎖リンパ球増殖性症候群(XLP、OMIM番号308240)がある。

標的されたDNA切断および/または相同組換えによって治療できるさらなる典型的な疾病には、後天性免疫不全症、リソソーム蓄積症(例えば、ゴーシェ病、GM1、ファブリー病およびテイサックス病)、ムコ多糖症(例えば、ハンター病、ハーラー病)、異常血色素症(例えば、鎌状赤血球症、HbC、アルファ−サラセミア、ベータ−サラセミア)および血友病がある。

特定の場合には、多能性細胞(例えば、造血幹細胞)におけるゲノム配列の変更が望まれる。造血幹細胞の可動化、濃縮および培養の方法は、当技術分野において公知である。例えば、米国特許第5,061,620号;第5,681,559号;第6,335,195号;第6,645,489号および第6,667,064号を参照のこと。SCIDおよび鎌状赤血球貧血症を含むがこれに限らない様々な疾患を治療するために、治療した幹細胞を患者に戻すことができる。

多くの場合、対象の領域は変異を含み、ドナーポリヌクレオチドは対応する野生型配列を含む。同様に、望む場合には、野生型ゲノム配列を変異体配列によって置きかえることができる。例えば、遺伝子を変異させるか、または制御配列をより低く非病的な発現レベルを支持する配列と置きかえるかいずれかによって、癌遺伝子の過剰発現を反転させることができる。別の例として、ApoAI遺伝子の野生型対立遺伝子をApoAI Milano対立遺伝子によって置きかえて、アテローム性動脈硬化症を治療することができる。実際、特定のゲノム配列に依存するどんな病理も、本明細書に開示されている方法および組成物を使用して、任意の様式で修正または軽減することができる。

標的した切断および標的した組換えを使用して、非コード配列(例えば、マイクロRNAおよび長鎖非コードRNAをコードしている配列、ならびにプロモーター、エンハンサー、イニシエーター、ターミネーター、スプライス部位などの調節配列)を変更し、それによって遺伝子産物の発現のレベルを変更することもできる。そのような方法は、例えば、治療目的、機能的ゲノム学および/または標的検証研究用として使用できる。

本明細書に記載の組成物および方法は、同種異系移植に対する宿主の免疫反応を解決するための新規な手法および系も可能にする。特に、同種異系幹細胞(または、任意の型の同種異系細胞)が宿主レシピエントに移植されるときに直面する主要な問題は、主に移植した細胞の表面にある主要組織適合複合体(MHC)の認識によって媒介される宿主免疫系による拒絶反応の高い危険性である。MHCは、共通のベータサブユニットおよび可変のアルファサブユニットから構成されるヘテロ二量体として機能するHLAクラスIタンパク質(複数可)を含む。HLAがない幹細胞から得られる組織移植片は、宿主の免疫応答を逃れることが実証された。例えば、Coffmanら、1993、J. Immunol.、151:425-35;Markmannら、1992、Transplantation、54:1085-89;Kollerら、1990、Science、248:1227-30を参照のこと。本明細書に記載の組成物および方法を使用して、組織不適合性に関与するHLAタンパク質をコードしている遺伝子を、そのコード配列もしくは調節配列のいずれかにおいて、組換えによって切断、突然変異または変更することができ、それによってその遺伝子の発現を遮断するまたは機能しない産物を発現させる。例えば、本明細書に記載の通りTALEヌクレアーゼ融合タンパク質を使用して共通のベータサブユニット遺伝子(ベータ2ミクログロブリン)をコードしている遺伝子を不活性化することにより、HLAクラスIを細胞から取り除いて、任意のドナーからHLAクラスIヌル幹細胞を迅速かつ確実に生成することができ、それによって、幹細胞移植中にドナー/レシピエントMHCハプロタイプを厳密に適合させる必要性が低下する。

任意の遺伝子(例えば、ベータ2ミクログロブリン遺伝子)の不活化は、例えば、単一の切断事象によって、切断とそれに続く非相同な末端の結合によって、2つの部位での切断とそれに続く結合により2つの切断部位の間の配列を欠失させることによって、ミスセンスまたはナンセンスコドンの組換えをコード領域に標的することによって、または無関係な配列(すなわち、「スタッファー」配列("stuffer" sequence))の組換えを遺伝子もしくはその調節領域に標的して、その遺伝子もしくはその調節領域を破壊することによって、達成できる。

WO01/83793にて開示されているように、標的したクロマチン構造の修飾を使用して、細胞のクロマチンへの融合タンパク質の結合を促進できる。

さらなる実施形態において、TALE結合ドメインとリコンビナーゼ(または、その機能的な断片)との1つまたは複数の融合物を使用して、本明細書に開示されているTALE−切断ドメイン融合物に加えてまたはそれの代わりに、標的した組換えを促進できる。例えば、共有されている米国特許第6,534,261号およびAkopianら (2003) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 100:8688-8691を参照のこと。

さらなる実施形態において、開示されている方法および組成物を使用して、活性に二量体化(ホモ二量体化またはヘテロ二量体化のいずれか)を必要とする転写活性化または抑制ドメインを含むTALEリピートDNA結合ドメインの融合物を提供する。これらの場合、融合ポリペプチドは、TALEリピートDNA結合ドメインと機能的ドメインモノマー(例えば、二量体転写活性化または抑制ドメインからのモノマー)を含む。適切な状態にある標的部位にそのような2つの融合ポリペプチドが結合することによって二量体化が可能になり、それによって機能的な転写活性化または抑制ドメインが再構成される。

植物における遺伝子発現の調節 改変TALEリピートアレイタンパク質を使用して、例えば耐病性の増大、構造的多糖、貯蔵多糖、風味、タンパク質ならびに脂肪酸の修飾、果実の成熟、収量、色、栄養学的特徴、保存能力の改善などの形質について植物を加工できる。特に、油の産生の強化(例えば、脂肪種子において産生される脂肪酸の修飾)に対する作物種の加工は対象のものである。

種子油は主にトリアシルグリセロール(TAG)で構成され、それは脂肪酸のグリセリンエステルである。これらの植物油の商業生産は、主に、6種の主要な油料植物(大豆、アブラヤシ、菜種、ヒマワリ、綿実およびピーナッツ)で占められている。植物油は大部分(90%)が、マーガリン、ショートニング、サラダ油および揚げ油としてヒト食用に使用されている。残りの10%は、潤滑剤、油脂化学品、生物燃料、界面活性剤および他の産業用途などの非食品用途に使用されている。

これら用途のそれぞれにおいて使用される油の望ましい特徴は、特に、鎖長およびTAGを構成する脂肪酸中に存在する二重結合の数の点で大きく異なる。これらの特性は、膜流動性および温度感受性を制御するために、植物によって操作されている。TALEリピートアレイタンパク質を使用して同じ特性を制御し、それによって食用および工業用として改善された特徴を持つ油を産生することができる。

脂肪種子作物のTAG中にある主要な脂肪酸は、長さが16〜18個の炭素であり、0〜3個の二重結合を含有する。パルミチン酸(16:0[16個の炭素:0個の二重結合])、オレイン酸(18:1)、リノール酸(18:2)およびリノレン酸(18:3)が主要である。二重結合の数または飽和度は、得られる油の溶融温度、反応性、料理の仕上がりおよび健康性状を決定する。

オレイン酸(18:1)からリノール酸(18:2)への転換(その後18:3の形成の前駆体になる)に関与する酵素は、デルタ−12−オレイン酸デサチュラーゼ(オメガ−6デサチュラーゼとも呼ばれる)である。脂肪酸不飽和化経路におけるこのステップを遮断することにより、ポリ不飽和脂肪酸の代わりにオレイン酸が蓄積するはずである。

一実施形態において、改変TALEリピートアレイタンパク質を使用して、大豆のFAD2−1遺伝子の発現を調節する。ミクロソームのデルタ−6デサチュラーゼをコードしている2つの遺伝子が、最近、大豆からクローニングされ、FAD2−1およびFAD2−2と呼ばれる(Heppardら、1996、Plant Physiol. 110:311-319)。FAD2−1(デルタ−12デサチュラーゼ)は、大豆種子におけるオレイン酸不飽和化の大部分を制御していると思われる。したがって、改変TALEリピートアレイタンパク質を使用して、植物におけるFAD2−1の遺伝子発現を変調することができる。具体的には、改変TALEリピートアレイタンパク質を使用して、大豆のFAD2−1遺伝子の発現を阻害し、それによって油種子におけるオレイン酸(18:1)の蓄積を増強することができる。さらに、改変TALEタンパク質を使用して、デルタ−9デサチュラーゼ、他の植物由来のデルタ−12デサチュラーゼ、デルタ−15デサチュラーゼ、アセチルCoAカルボキシラーゼ、アシル−ACP−チオエステラーゼ、ADP−グルコースピロホスホリラーゼ、スターチ合成酵素、セルロース合成酵素、スクロース合成酵素、老化関連遺伝子、重金属キレート剤、脂肪酸ヒドロペルオキシドリアーゼ、ポリガラクツロナーゼ、EPSP合成酵素、植物ウイルス遺伝子、植物真菌病原体遺伝子および植物細菌病原体遺伝子など、その他の植物遺伝子の発現を変調できる。

また、植物細胞の形質転換に適切な組換えDNAベクターを使用して、植物細胞にタンパク質(例えば、改変TALEリピートアレイタンパク質)をコードしている核酸を送達する。様々な高等植物種を形質転換する技術は周知であり、技術的な科学文献に記載されている(例えば、Weisingら、1988、Ann. Rev. Genet.、22:421-477を参照のこと)。所望のTALEリピートアレイタンパク質をコードするDNA配列は、形質転換植物の意図する組織においてTALEタンパク質の転写を指令する転写および翻訳開始調節配列と結合される。

例えば、再生した植物の全組織における改変TALEリピートアレイタンパク質の発現を指令する植物プロモーター断片を利用できる。そのようなプロモーターは、本明細書において「構成的」プロモーターと称され、発生または細胞分化の最も環境的な条件および状態下で活性がある。構成的プロモーターの例には、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)35S転写開始領域、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)のT−DNAから得られる1’−または2’−プロモーターおよび当業者に公知の様々な植物遺伝子由来の他の転写開始領域がある。

別法として、植物プロモーターは、特定の組織における改変TALEリピートアレイタンパク質の発現を指令することができ、さもなければ、より的確な環境もしくは発生制御下で指令できる。ここではそのようなプロモーターは、「誘導性」プロモーターを指す。誘導性プロモーターによる転写に影響を及ぼし得る環境条件の例には、嫌気性条件または光の存在がある。

発生制御下のプロモーターの例には、特定の組織(果実、種子または花など)においてのみ転写を開始するプロモーターがある。例えば、ポリガラクツロナーゼプロモーターの使用は、果実におけるTALEリピートアレイタンパク質の発現を指令することができ、CHS−A(ペチュニア由来カルコン合成酵素A)プロモーターは、植物の花におけるTALEリピートアレイタンパク質の発現を指令することができる。

TALEリピートアレイタンパク質配列を含むベクターは、通常、植物細胞に選択可能な表現型を付与するマーカー遺伝子を含むことになる。例えば、マーカーは、殺生物剤耐性、特に、カナマイシン、G418、ブレオマイシン、ハイグロマイシンに対する耐性などの抗生物質耐性、またはクロルスルフロンまたはバスタに対する耐性などの除草剤耐性をコードできる。

そのようなDNA構築物は、様々な従来技術によって所望の植物宿主ゲノムに導入できる。例えば、DNA構築物は、植物細胞プロトプラストのエレクトロポレーションおよびマイクロインジェクションなどの技術を使用して植物細胞のゲノムDNAに直接導入でき、またはDNA構築物は、微粒子銃法(DNA粒子衝突など)を使用して植物組織に直接導入できる。別法として、DNA構築物を適切なT−DNA隣接領域と結合し、従来通りのアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)宿主ベクターに導入することもできる。細胞が細菌に感染したとき、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)宿主の毒性機能が、植物細胞DNAへの構築物および隣接するマーカーの挿入を指令することになる。

マイクロインジェクション技術は、当技術分野において公知であり、科学文献および特許文献によく記載されている。ポリエチレングリコール沈殿を使用するDNA構築物の導入については、Paszkowskiら、1984、EMBO J.、3:2717-22に記載されている。エレクトロポレーション技術については、Frommら 1985、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、82:5824に記載されている。微粒子銃形質転換技術については、Kleinら、1987、Nature、327:70-73に記載されている。

アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)媒介形質転換技術については、科学文献によく記載されている(例えば、Horschら、1984、Science、233:496-498;およびFraleyら、1983、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、80:4803を参照のこと)。

上記の形質転換技術のいずれかにより得られた形質転換植物細胞を培養して、形質転換した遺伝子型、したがって所望のTALEリピートアレイタンパク質に制御される表現型を保有する完全体植物を再生できる。そのような再生技術には、組織培養増殖培地における特定の植物ホルモンの操作を利用し、通常、TALEリピートアレイタンパク質ヌクレオチド配列と一緒に導入した殺生物剤および/または除草剤マーカーを利用する。培養されたプロトプラストからの植物再生についてはEvansら、Protoplasts Isolation and Culture、Handbook of Plant Cell Culture、124-176(1983);およびBinding、Regeneration of Plants、Plant Protoplasts、21-73(1985)に記載されている。再生は、植物カルス、外植片、器官またはそれらの一部分から得ることもできる。そのような再生技術については、Kleeら、1987、Ann. Rev. Plant Phys.、38:467-486に一般に記載されている。

機能的ゲノム学アッセイ 改変TALEリピートアレイタンパク質には、表現型の結果および遺伝子発現の機能を決定するためのアッセイ用途もある。集中的な大量配列決定の取り組みと一体化した最近の分析技術の進歩により、これまで利用可能であった分子標的よりはるかに多くの標的を同定し、特徴づける機会が形成された。遺伝子およびその機能に関するこの新たな情報は、基本的な生物学的理解を向上させ、治療的介入用として多くの新規標的を提示することになる。いくつかの場合において、分析ツールが新たなデータの生成に対応できていない。一例は、包括的な差次的遺伝子発現の測定における最近の進歩によって提供される。遺伝子発現マイクロアレイ、差次的cDNAクローニング頻度、サブトラクティブハイブリダイゼーションおよびディファレンシャルディスプレイ法に代表されるこれらの方法は、異なる組織においてまたは特定の刺激に応答して上方もしくは下方制御される遺伝子を非常に迅速に同定することができる。そのような方法は、例えば、形質転換、腫瘍進行、炎症反応、神経障害などの生物学的プロセスを調査するためにますます使用されている。差次的に発現している遺伝子の多くは、所与の生理現象と相関するが、差次的に発現している個々の遺伝子と現象との間の原因となる関係を実証することは、労働集約的である。今日まで、差次的に発現している遺伝子に対して機能を決定する簡易な方法は、差動的な遺伝子発現を観察する能力に対応できていない。

本明細書に記載の改変TALEリピートアレイタンパク質を使用して、差次的に発現している遺伝子の機能を迅速に分析することができる。改変TALEタンパク質を使用して、容易に任意の内在性標的遺伝子を上方もしくは下方制御するまたはノックアウトする、あるいは内在性もしくは内在性遺伝子をノックインすることができる。遺伝子特異的DNA結合ドメインを形成するには、非常に少量の配列情報しか必要としない。これにより、改変TALEリピートアレイ技術は、十分に特徴づけられていない差次的に発現する遺伝子の長いリストの分析にとって理想的になる。モデル系において、簡単に、候補遺伝子ごとにTALEリピートアレイタンパク質に基づくDNA結合ドメインを築くこと、上方または下方制御するキメラ人工転写因子を形成すること、および候補遺伝子のスイッチを一つずつ入り切りすることによって検討中の表現型(例えば、形質転換またはサイトカインに対する応答)に対する上方または下方制御の結果を試験することができる。

加えて、より多量の実験的制御が、従来の方法によって実現されるよりも改変TALEリピートアレイタンパク質によって得られる。改変TALEリピートアレイタンパク質の産生および/または機能を、小分子制御下に置くことができるからである。この手法の例は、Tet−On系、エクジソン調節系および変異体プロゲステロン受容体を含むキメラ因子を組み込んでいる系によって提供される。これらの系は全て、改変TALEリピートアレイタンパク質の機能および/または発現を小分子制御下に置くことによって、対象とする任意の内在性遺伝子もしくは任意の導入遺伝子の小分子制御を間接的に可能にする。

トランスジェニック動物 改変TALEリピートアレイタンパク質のさらなる用途は、動物モデルにおいて遺伝子発現を操作することである。細胞系と同様に、トランスジェニックマウスまたはゼブラフィッシュなどのトランスジェニック動物への異種遺伝子の導入またはそれらにおける内在性遺伝子のノックアウトは、かなり直接的な方法である。したがって、動物における改変TALEリピートアレイタンパク質のトランスジェニックなまたは一過性の発現は、容易に実施できる。

活性化ドメインに融合されている、適切な改変TALEリピートアレイタンパク質をトランスジェニックにまたは一過性に発現させることによって、対象とする標的遺伝子を過剰発現させることができる。同様に、リプレッサーまたはサイレンサードメインに融合されている、適切な改変TALEリピートアレイタンパク質をトランスジェニックにまたは一過性に発現させることによって、対象とする標的遺伝子の発現を下方制御できる、またはさらにスイッチを切って「機能的ノックアウト」を形成することができる。対象とする標的遺伝子の挿入または欠失によるノックインまたはノックアウト変異は、TALEヌクレアーゼを使用して調製することができる。

2つの共通した課題が、多くの場合、標準的なトランスジェニックおよびノックアウト技術の良好な適用を防げる;胚性致死性および発生の補償である。遺伝子が発生において重要な役割を果たすときに、胚性致死性は起こる。発生の補償とは、ノックアウトされている遺伝子産物を関連する遺伝子産物で代用することであり、その遺伝子の機能の除去が別の生理的変化を引き起こす場合、ノックアウトマウスにおいて表現型の欠如が頻繁に生じる。

トランスジェニック改変TALEリピートアレイタンパク質の発現は、例えば、前の部分で説明したように、小分子調節系を使用して一時的に制御できる。したがって、発生における所望の段階で改変TALEリピートアレイタンパク質の発現スイッチを入れることによって、成体(または、発生の遅い段階)において遺伝子を過剰発現させるまたは「機能的にノックアウトする」ことができ、このようにして、胚性致死性および発生の補償の問題を避けることができる。 [実施例]

ストレプトアビジンコーティングした磁気ビーズを使用するTALEリピートアレイの組立て 1、2、3または4個のTALEリピートドメインをコードしているDNAプラスミドのアーカイブ(約850個の異なるプラスミド)を形成して、任意の望ましい長さの複数のTALEアレイをコードする核酸を組み立てた。1、2、3または4個のTALEリピートドメインを含む合成アレイをpUC57−ΔBsaI主鎖にクローニングすることによって、プラスミドを形成した(図3)。TALEリピートは、α、βγδε、βγδ、βγ’、βγ、δε’およびβの配置のものであり、表1に示したヌクレオチドに結合するための超可変トリプレット残基を各位置に含んだ。TALEリピート型のポリペプチドおよびヌクレオチド配列は、それぞれ図4Aおよび図4Bに示される。長い正確なリピート配列による組換え媒介変異の可能性を減らすために、ポリペプチドおよびポリヌクレオチド配列を4つの型の中で少し変化させた。

標的配列GCAGTGCTTCAGCCGC(配列番号41)に結合するように設計された16個のTALEリピートをin vitroで組み立てることによって、eGFP遺伝子に標的した16マーのTALEリピートアレイを形成した。最初のステップにおいて、NNNトリプレット(G)を含むα−型TALEリピートを保有するプラスミドを、ビオチン化フォワードプライマー ビオチン−TCTAGAGAAGACAAGAACCTGACC(配列番号42)とリバースプライマーGGATCCGGTCTCTTAAGGCCGTGG(配列番号43)とを使用するPCRによって増幅した。QIA Quick PCR精製キット(QIAGEN)を使用して増幅した断片(50μl)を精製し、0.1×溶出緩衝液(QIA Quick PCR精製キットに提供される)40μlに溶出し、NEB Buffer4中でBsaI HF(New England Biolabs(NEB))を用いて、50℃で15分間消化した(溶出液40μl、NEBuffer4 5μl、BsaI HF 5μl)。QIA Quick PCR精製キットを使用して消化した断片を精製し、0.1×溶出緩衝液(50μl)に溶出した。

各々が以下の可変アミノ酸SHD、SNI、NNNおよびSNG(配列5’−CAGT−3’に結合するように設計されている)のうちの1つを保有するリピートをコードする4個のTALEリピートドメインサブアレイユニット(βγδε)を含有するプラスミドを、100μl([約200ng/μl]プラスミド50μl、NEBuffer2 10μl、BbsI 10μl、水30μl)中で、NEBuffer2中でBbsI(NEB)を用いて、37℃で2時間消化した。消化物100μlにNEBuffer4 25μl、100×BSA(NEB)2.5μl、水107.5μlおよびXbaI(NEB)5μlを添加し、その消化物を37℃で5分間インキュベートした。次いで、その混合物にBamHI HF 5μlを添加し、37℃で5分間消化し、その後、SalI HF(NEB)5μlを添加し、さらに37℃で5分間消化した。QIA Quick PCR精製キット(QIAGEN)を使用して、得られた断片を精製し、0.1×溶出緩衝液180μlに溶出した。

最初のライゲーションのために、アルファユニット消化物2μlを、T4DNAリガーゼ(400U/μl;NEB)2.5μlおよびQuick Ligase Buffer(QLB)(NEB)27μlと混合した。この混合物31.5μlに、最初に消化したサブアレイ22.5μlを添加し、混合物を、室温で15分間ライゲーションした。1×B&W緩衝液(5.0mMトリス−HCl[pH7.5]、0.5mM EDTA、1.0M NaCl、0.005% Tween20)50μlを用いてDynabeads MyOne Streptavidin C1(Invitrogen)5μlを3回洗浄し、B&W緩衝液54μlに再懸濁することにより、磁気ビーズを調製した。ライゲーションした混合物を、洗浄したビーズに添加し、(5分間毎に混合しながら)室温で15分間インキュベートした。次いで、混合物を、SPRIplate96ウェルRing magnet上に3分間静置した。次いで、上清を吸引し、1×B&W緩衝液100μlを添加して、DynaMag−96 Side magnet(Invitrogen)を使用して、チューブ内でビーズを左右に31回動かすことによって混合しながら洗浄した。次いで、B&W緩衝液を吸引し、1×BSA 100μlを混合しながら添加し、次いで吸引した。ライゲーションされ、ビーズに結合している核酸(αβγδε)を、BsaI HF混合物50μl(NEBuffer4 5μl、BsaI HF 2μl、水43μl)に再懸濁した。

消化物を50℃で10分間インキュベートし、1×B&W緩衝液50μlを添加した。消化物を磁石上に3分間静置し、上清を吸引した。上述の通り、1×B&W緩衝液100μlおよび1×BSA 100μlでビーズを洗浄した。洗浄したビーズに、各々が以下の可変アミノ酸NNN、SHD、SNGおよびSNG(DNA配列5’−GCTT−3’に結合するように設計されている)のうちの1つを保有するリピートをコードする4個のTALEリピートドメインサブアレイユニット(βγδε)を含有する消化したプラスミド(22.5μl)およびリガーゼ混合物(Quick Ligase Buffer 25μl、DNAリガーゼ2μl)27.5μlを添加した。上下にピペットしてビーズを再懸濁し、混合物を、5分間毎に混合しながら室温で15分間インキュベートした。ライゲーション液に、1×B&W緩衝液50μlを添加し、混合物を磁石上に3分間静置した。上述の通り、上清を吸引し、1×B&W緩衝液100μlおよび1×BSA 100μlでビーズを洗浄した。ライゲーションされ、ビーズに結合している核酸(αβγδεβγδε)を、BsaI HF混合物50μl(NEBuffer4 5μl、BsaI HF 2μl、水43μl)に再懸濁した。上述の通り、さらに2つのTALEリピートサブアレイユニットを順次ライゲーションした、1つ目は、各々が以下の可変アミノ酸SHD、SNI、NNNおよびSHD(DNA配列5’−CAGC−3’に結合するように設計されている)のうちの1つを保有するリピートをコードする4個のTALEリピートサブアレイユニット(βγδε)を、2つ目は、各々が以下の可変アミノ酸SHD、NNNおよびSHD(DNA配列5’−CGC−3’に結合するように設計されている)のうちの1つを保有するリピートをコードする3個のTALEリピートサブアレイユニット(βγδ)である。最終的なTALEリピートアレイは、標的DNA配列5’−GCAGTGCTTCAGCCGC−3’(配列番号44)に結合するように設計されている個々のTALEリピートを含むαβγδεβγδεβγδεβγδ形式のサブユニットを含有した。

最終的なライゲーションステップの後に、構築物をBsaI HFで消化して、最後に発現ベクターにクローニングし、1×B&W緩衝液および1×BSAでビーズを洗浄した。洗浄したビーズを、BbsI混合物(NEBuffer2 5μl、BbsI 5μl、水40μl)50μlに再懸濁し、1500rpmで撹拌しながら37℃で2時間インキュベートして、ビオチン化5’末端を切断し、組み立てられたTALEリピートアレイを磁気ビーズから遊離させた。消化した混合物を、MinEluteカラム精製(QIAGEN)によって精製し、BsmBIで消化したTALE発現ベクターにライゲーションした。ライゲーションした混合物を、化学的にコンピテントなXL1 Blue細胞に形質転換し、LB/Carb100プレート上で終夜プレート培養した。

発現ベクターは、以下の要素:T7プロモーター、核局在化シグナル、FLAGタグ、TALE13タンパク質由来のアミノ酸153〜288(Millerら、2011、Nat. Biotechnol.、29:143-148によって定義された番号付け)、TALEリピートアレイをコードしているDNA断片をクローニングできる2つの隣接するBsmBI制限部位、0.5TALEリピート、TALE13タンパク質のC末端由来のアミノ酸715〜777(Millerら、2011、Nat. Biotechnol.、29:143-148によって定義された番号付け)および野生型FokI切断ドメインを各々保有する。

プラスミドは、C末端0.5TALEリピートの同一性の点で異なる。プラスミドpJDS70は、(Aヌクレオチドを認識するための)SNI RVDを含む0.5TALEリピートをコードし、プラスミドpJDS71は、(Cヌクレオチドを認識するための)SHD RVDを含む0.5TALEリピートをコードし、プラスミドpJDS74は、(Gヌクレオチドを認識するための)NNN RVDを含む0.5TALEリピートをコードし、プラスミドpJDS76は、(Gヌクレオチドを認識するための)SNK RVDを含む0.5TALEリピートをコードし、およびプラスミドpJDS78は、(Tヌクレオチドを認識するための)NG RVDを含む0.5TALEリピートをコードする。全てのプラスミドは、図5A〜5Bに示される共通配列を共有し、XXXXXXXXX(下線を引き太字)として印をつけた9個のヌクレオチド位置でだけ異なっている。これらの9bpの配列とプラスミド名も以下の表2に示される。

この実施例は、予め組み立てられたTALEリピートサブアレイユニットを使用する、固定化された基質上でのTALEリピートアレイの構築を実証している。上記の方法は、クローニングステップまでを、1日で実施できる。

ストレプトアビジンコーティングプレートを使用するTALEリピートアレイの組立て 実施例1で説明した通り、TALEリピートは、DNAプラスミド(約850個の異なるプラスミド)のアーカイブを使用して組み立てられる。標的配列に結合するように設計された16個のTALEリピートをin vitroで組み立てることによって、16マーTALEリピートアレイを形成した。最初のステップにおいて、NNNトリプレット(G)を含むα−型TALEリピートを保有するプラスミドを、ビオチン化フォワードプライマー ビオチン−TCTAGAGAAGACAAGAACCTGACC(配列番号42)とリバースプライマーGGATCCGGTCTCTTAAGGCCGTGG(配列番号43)とを使用するPCRによって増幅した。QIA Quick PCR精製キット(QIAGEN)を使用して増幅した断片(50μl)を精製し、0.1×溶出緩衝液(QIA Quick PCR精製キットに提供される)40μlに溶出し、NEB Buffer4中でBsaI HF(New England Biolabs(NEB))を用いて、50℃で15分間消化した(溶出液40μl、NEBuffer4 5μl、BsaI HF 5μl)。QIA Quick PCR精製キットを使用して消化した断片を精製し、0.1×溶出緩衝液(50μl)に溶出した。

各々が以下の可変アミノ酸SHD、SNI、NNNおよびSNG(配列5’−CAGT−3’に結合するように設計されている)のうちの1つを保有するリピートをコードする4個のTALEリピートドメインサブアレイユニット(βγδε)を含有するプラスミドを、100μl([約200ng/μl]プラスミド50μl、NEBuffer2 10μl、BbsI 10μl、水30μl)中で、NEBuffer2中でBbsI(NEB)を用いて、37℃で2時間消化した。消化物100μlにNEBuffer4 25μl、100×BSA(NEB)2.5μl、水107.5μlおよびXbaI(NEB)5μlを添加し、その消化物を37℃で5分間インキュベートした。次いで、その混合物にBamHI HF 5μlを添加し、37℃で5分間消化し、その後、SalI HF(NEB)5μlを添加し、さらに37℃で5分間消化した。QIA Quick PCR精製キット(QIAGEN)を使用して、得られた断片を精製し、0.1×溶出緩衝液180μlに溶出した。

最初のライゲーションのために、アルファユニット消化物2μlを、T4DNAリガーゼ(400U/μl;NEB)2.5μlおよびQuick Ligase Buffer(QLB)(NEB)27μlと混合した。この混合物31.5μlに、最初の消化したサブアレイ22.5μlを添加し、混合物を、室温で15分間ライゲーションした。次いで、ライゲーション混合物を、2×B&@緩衝液(Invitrogen)と混合し、ストレプトアビジンでコーティングした96ウェルプレート(Thermo Scientific)のウェルに添加し、室温で15分間インキュベートした。上清を、吸引した。上下に10回ピペットすることによって、1×ウシ血清アルブミン(BSA)200ulで96ウェルプレートの各ウェルを洗浄した後に、1×BSAを廃棄した。1×BSAでこれを合計2回繰り返して洗浄した。次いで、BsaI HF混合物(NEBuffer4 5μl、BsaI HF 2μl、水43μl)50μlを、ストレプトアビジンコーティングしたウェルに結合しているライゲーションした核酸(αβγδε)に添加した。

消化物を50℃で10分間インキュベートし、次いで、上清を吸引した。次いで、上下に10回ピペットすることによって、1×B&W緩衝液200μlおよび1×BSA 200μlでウェルを2回洗浄した後に、各上清を除去した。各々が以下の可変アミノ酸NNN、SHD、SNGおよびSNIのうちの1つを保有するリピートをコードする4個のTALEリピートドメインサブアレイユニット(βγδε)をコードしている消化したプラスミド22.5μlおよびリガーゼ混合物(Quick Ligase Buffer 25μl、DNAリガーゼ2μl)27.5μlをウェルに添加した。上清を、上下にピペットすることによって混合し、混合物を室温で15分間インキュベートした。上述の通り、上清を取り除き、1×B&Wおよび1×BSAでウェルを洗浄した。次いで、BsaI HF混合物(NEBuffer4 5μl、BsaI HF 2μl、水43μl)50μlをウェルに結合しているライゲーションした核酸(αβγδεβγδε)に添加した。上述の通り、さらに2つのTALEリピートサブアレイユニットを順次ライゲーションした。1つ目は、各々が以下の可変アミノ酸SHD、SNI、NNNおよびSNGのうちの1つを保有するリピートをコードする4個のTALEリピートサブアレイユニット(βγδε)を、2つ目は、各々が以下の可変アミノ酸SHD、SNI、NNNおよびSHDのうちの1つを保有するリピートをコードする3個のTALEリピートサブアレイユニット(βγδ)である。最終的なTALEリピートアレイは、標的DNA配列に結合するように設計されている個々のTALEリピートを含むαβγδεβγδεβγδεβγδ形式のサブユニットを含有した。

最終的なライゲーションステップの後に、ウェル中の断片をBsaI HFで消化して、最後に発現ベクターにクローニングした。次いで、ウェルを1×B&W緩衝液で洗浄し、1×BSAで2回洗浄した。次いで、BbsI混合物(NEBuffer2 5μl、BbsI 5μl、水40μl)50μlをウェルに添加し、37℃で2時間インキュベートして、ビオチン化5’末端を切断し、それによって、組み立てられたTALEリピートアレイをウェルから遊離させた。実施例1で説明するように、消化した混合物を精製し、ライゲーションし、形質転換した。

TALEヌクレアーゼを使用する部位特異的突然変異生成 本明細書に記載の方法によって形成されるTALEリピートドメインの有効性を実証するために、(実施例1で説明した通り)TALEリピートアレイを構築し、TALEヌクレアーゼ発現ベクターにクローニングして、図6および表3に示されるeGFPコード配列に標的にされたTALEヌクレアーゼモノマーをコードしているプラスミドを産生した。TALEヌクレアーゼモノマーの核酸およびポリペプチド配列は、図11A〜18Bに示される。

Nucleofector(商標)非ウイルス性トランスフェクション(Lonza、Walkersville、MD)を使用し、プログラムDN−100を用いて、4E5 U2OS−eGFP細胞に、溶液SE中のプラスミドDNA400ngをヌクレオフェクトした。2日目および5日目に、細胞をフローサイトメトリーによって分析した(図7)。TALEヌクレアーゼ誘導二本鎖切断の、非相同な末端の結合(NHEJ)に媒介される突然変異性修復により、eGFP発現が破壊された(eGFP陰性細胞)。試験した8個全てのTALEヌクレアーゼ対は、高いパーセンテージでeGFP陰性(eGFP−)細胞を誘導した(y軸)。eGFP−細胞のパーセンテージが2日目と5日目の間に少ししか減少していないことから、変更が安定して誘導されたことが示唆される。

変異したeGFP遺伝子のサブセットを細胞から増幅し、配列決定した。得られた変異が図8に示される。ヒトUSOS−eGFP細胞中の発現プラスミドSQT70/SQT56にコードされる、TALEヌクレアーゼによって標的にされる配列に、図8の一番上の段に示される野生型(WT)配列中で下線を引いている。TALEヌクレアーゼ対によって誘導される挿入および欠失変異が、欠失した塩基を破線で表し、挿入された塩基を二重下線で表して、以下に示される。挿入または欠失した塩基の正味の数が、右に示される。括弧で特に明記しない限り、全ての変異は一回単離された。全体の突然変異生成頻度(46%)も表される。

TALEリピートアレイの自動組立て 実施例1に記載の組立て方法が自動化されて、Sciclone(商標)G3液体処理ワークステーション(Caliper Life Sciences、Hopkinton、MA)を96ウェルプレートで使用して実施された。ライゲーションおよびビーズに連結する前の核酸の消化ならびに組み立てられたTALEリピートアレイを磁気ビーズから遊離させた後のステップを除いて、全てのステップが自動化された。再懸濁および混合動作の回数を僅かに変形して手作業で行う場合、自動化されたステップを基本的に実施した。2つの17マーの組立ての結果が、図9に示される。予想されるサイズ(17マーに相当する)の主要な産物が見られる。不完全にライゲーションした産物の持ち越しによって産生したと思われる、少量の余分な13マー、9マーおよび5マー産物も見られる。類似の結果が図10に見られ、N末端1マーサブアレイからの16マー(1)、3つの4マーサブアレイ(4A、4B、4C)、およびC末端3マーサブアレイ(3D)の組立ての結果を示している。

本明細書に記載の方法を自動化して、TALEリピートアレイをコードしている核酸を迅速かつ再現性よく合成できることが、この実施例から実証される。

組立て方法 アミノ酸およびDNA配列が少し異なる4つの別個のTALEリピート主鎖が反復様式で存在する構造を使用して、TALEリピートアレイを形成した。アレイ中の最初のアミノ末端TALEリピートを、αユニットと指定した。これの後に、β、γおよびδユニットが続き、次いで5’末端のIIS型制限部位(クローニングに必要な、αユニット上の固有の突出を作成可能にするために必要である)の位置が異なることを除いてαユニットと基本的に同一であるεユニットが続いた。次いで、εユニットの後に、さらにまたβ、γ、δおよびεユニットのリピートが続いた。クローニングに必要な3’末端の作成に関連する制約により、少し修飾したDNA配列が、カルボキシ末端γまたはεユニットで終わるTALEリピートアレイに必要とされた。これらのバリアントユニットを、γ*およびε*と指定した。

TALEリピートユニット(すなわち−α、β、γ、δ、ε、γ*、およびε*)の各型に対して、4つのプラスミド系列を商業的に合成し(Genscript)、各々が、4種類のDNA塩基のうち1種類を指定する5つのリピート可変二残基(RVD)(NI=A;HD=C;NN=G;NG=T、NK=G)のうちの1つを保有した。これらのプラスミドの完全長DNA配列が、表4および図3に提供される。これらのプラスミドの35個全てについて、TALEリピートドメインをコードしている配列は、5’末端において固有のXbaIおよびBbsI制限部位と、ならびに3’末端において固有のBsaIおよびBamHI制限部位と隣接している。加えて、互いに隣接するように設計されたユニット(例えば−βとγ、またはδとε)をコードしている任意のプラスミドのBsaIおよびBbsI消化によって生成される突出は、相補的である。これらの35個の異なるプラスミドならびにBsaIおよびBbsI制限部位を介する連続ライゲーションを使用して、βγ、βγδε、βγδ、βγ*およびδε*リピートの全ての可能な組合せのアーカイブを組み立てた。合計で、このアーカイブは、5個のα、5個のβ、25個のβγ組合せ、625個のβγδε組合せ、125個のβγδ組合せ、25個のβγ*組合せおよび25個のδε*組合せをコードしている825個の異なるプラスミドからなった(表5)。これら825個のプラスミドおよび単一のTALEリピートをコードしている当初35個のプラスミドのうちの10個(5個のαおよび5個のβプラスミド)が、本方法の実践に必要とされる。表5に掲げた835個のプラスミドのこのアーカイブを用いて、本方法を使用して任意の望ましい長さおよび組成のTALEリピートアレイを構築することができる。

組立てに使用するαユニットをコードしているDNA断片を調製するために、鋳型として各αユニットプラスミドを用い、プライマーoJS2581(5’−ビオチン−TCTAGAGAAGACAAGAACCTGACC−3’(配列番号237))およびoJS2582(5’−GGATCCGGTCTCTTAAGGCCGTGG−3’(配列番号238))を使用してPCRを20ラウンド実施した。得られたPCR産物は、5’末端においてビオチン化された。次いで、各αPCR産物を40単位のBsaI−HF制限酵素で消化して4bpの突出を生成し、QIAquick PCR精製キット(QIAGEN)を使用して、最終生成物を0.1×EB 50μlに溶出したことを除き製造業者の説明書にしたがって精製した。

β、βγδε、βγδ、βγ、βγ*、およびδε*リピートをコードしているDNA断片を調製するために、これらのプラスミド各10μgを、NEBuffer2中で、50単位のBbsI制限酵素を用いて、37℃で2時間消化し、続いて5分間隔で添加されるXbaI、BamHI−HFおよびSalI−HF酵素を各々100単位使用して、NEBuffer4中で、37℃で連続制限消化を実施した。後者の組の制限消化は、このより大きなDNA断片が、組立て方法の間に実施されるその後のライゲーションに干渉しないことを確実にするするために、プラスミド主鎖を切断するように設計された。次いで、これらの制限消化反応物を、QIAquick PCR精製キット(QIAGEN)を使用して、最終生成物を0.1×EB 180μlに溶出したことを除き製造業者の説明書にしたがって精製した。

全ての組立てステップは、Sciclone G3液体処理ワークステーション(Caliper)を96ウェルプレートで使用してならびにSPRIplate 96−ring magnet(Beckman Coulter Genomics)およびDynaMag−96 Side magnet(Life Technologies)を使用して実施した。最初の組立てステップにおいて、ビオチン化αユニット断片を最初のβγδε断片にライゲーションし、次いで、得られたαβγδε断片を、2×B&W緩衝液(Life Technologies)中でDynabeads MyOne C1ストレプトアビジンコーティング磁気ビーズ(Life Technologies)に結合させる。次いで、プレートを磁石上に静置することによってビーズをウェルの側面に引き寄せ、次いで、0.005%Tween20(Sigma)を含むB&W緩衝液100μlで洗浄し、さらにまた0.1mg/mlウシ血清アルブミン(BSA)(New England Biolabs)100μlで洗浄した。磁石からプレートを取り外し、各ウェル中で溶液にビーズを再懸濁し、BsaI−HF制限酵素を用いてビーズに結合している断片を消化し、プレートを磁石上に静置し、B&W/Tween20 100μlで続いて0.1mg/ml BSA 100μlで洗浄し、その後、次の断片をライゲーションすることによって、新たなβγδε断片をライゲーションした。この方法を追加的なβγδεユニットと一緒に複数回繰り返して、ビーズ結合断片を延長した。発現ベクターに全長断片をクローニング可能になるように、ライゲーションされる最後の断片は、常にβ、βγ*、βγδ、またはδε*ユニットであった(δε*ユニットで終わる断片の前は、常に、βγユニットがライゲーションされる点に注目されたい)。

ビーズに結合している最終的な全長断片をBsaI−HF制限酵素40単位で、続いてBbsI制限酵素(New England Biolabs)25単位で消化した。BbsIでの消化により、断片がビーズから遊離され、断片をクローニングするための固有の5’突出が生成された。BsaI−HFでの消化により、クローニングするための固有の3’突出が作成された。

組み立てられたTALEリピートアレイをコードしているDNA断片を、4つのTALEN発現ベクターのうちの1つにサブクローニングした。これらの各ベクターは、CMVプロモーター、哺乳動物細胞発現用に最適化された翻訳開始コドン、3重のFLAGエピトープタグ、核局在化シグナル、TALE13タンパク質のアミノ酸153〜288(Millerら、2011、Nat. Biotechnol.、29:143-148)、2つの固有かつ接近して位置するIIS型BsmBI制限部位、考え得る4つのRVD(それぞれA、C、GまたはTヌクレオチドを認識する、NI、HD、NNまたはNG)のうちの1つをコードしている0.5TALEリピートドメイン、TALE13タンパク質のアミノ酸715〜777、ならびに野生型FokI切断ドメインを含んだ。全てのDNA断片は、BsmBIで消化された4つのTALEN発現ベクターのいずれかへの定方向クローニングを可能にする突出を保有した。

サブクローニング用のTALEN発現ベクターを調製するために、プラスミドDNA 5μgを、NEBuffer3中で、BsmBI制限酵素(New England Biolabs)50単位で、55℃で8時間消化した。製造業者の説明書にしたがってAmpure XPビーズ(Agencourt)90μlを使用して、消化したDNAを精製し、5ng/μlの最終濃度になるように1mMトリスHClに希釈した。T4 DNAリガーゼ(New England Biolabs)400Uを使用して、TALEN発現ベクターに組み立てられたTALEリピートアレイをライゲーションした。ライゲーション産物を、化学的にコンピテントなXL−1 Blue細胞に形質転換した。各ライゲーションについて6個のコロニーを採集し、アルカリ溶菌ミニプレップ手順によってプラスミドDNAを単離した。同時に、プライマーoSQT34(5’−GACGGTGGCTGTCAAATACCAAGATATG−3’(配列番号239))、とoSQT35(5’−TCTCCTCCAGTTCACTTTTGACTAGTTGGG−3’(配列番号240))とを使用するPCRによって、同じ6個のコロニーをスクリーニングした。PCR産物を、QIAxcelキャピラリー電気泳動システム(Qiagen)で分析した。正しいサイズのPCR産物を含有しているクローンからのミニプレップDNAを、プライマーoSQT1(5’−AGTAACAGCGGTAGAGGCAG−3’(配列番号241))、oSQT3(5’−ATTGGGCTACGATGGACTCC−3’(配列番号242))、およびoJS2980(5−TTAATTCAATATATTCATGAGGCAC−3’(配列番号243))を用いるDNA配列確認に送った。

ライゲーションした最終的な断片は1、2または3個のTALEリピートをコードできるので、本明細書に開示されている方法を使用して、任意の望ましい数のTALEリピートからなるアレイを組み立てることができる。最終的な全長TALEリピートアレイをコードしている組み立てられたDNA断片は、制限酵素消化によってビーズから遊離され、最良の、所望の発現ベクターに直接クローニングすることができる。

本方法は、ロボット化液体処理ワークステーションを使用して96ウェル形式で効率的に実践できる。自動化すれば、様々な長さからなる96種類の異なるTALEリピートアレイをコードしているDNA断片を、1日未満で組み立てることができる。断片の、中程度のスループット組立ては、マルチチャネルピペットと96ウェルプレートを使用して1日〜2日で実施できる。次いで、いずれかの手法を使用して組み立てられた断片を発現ベクター(例えば、TALENとしての発現用)にクローニングして、1週間未満で配列を検証したプラスミドを生成することができる。自動化組立て手法を使用して、配列を検証したTALEリピートアレイ発現プラスミドを速やかにかつ安価に作製できる。

ヒト細胞に基づくレポーターアッセイを使用する、組み立てられたTALENsの大規模試験 ヒト細胞において、ゲノム編集に対するTALENsの強力さを大規模試験するために、実施例5に記載の方法を使用して、EGFPレポーター遺伝子の全体に点在する異なる部位に標的にされた48個のTALEN対をコードしている一連のプラスミドを構築した。TALEN対の各モノマーは、同数のリピート(8.5〜19.5個の範囲)を含有し、これらの対は、各TALENモノマーによって結合される「半部位」の間に固定長の「スペーサー」配列(16bp)を保有する部位に標的にされた(表6)。

ヒト細胞において、染色体的に組み込まれたEGFPレポーター遺伝子のコード配列を破壊する能力について、48個の各TALEN対を試験した。このアッセイにおいて、EGFPコード配列内のTALEN誘導切断のNHEJ媒介修復は、EGFPの発現を消失させた。トランスフェクションの2日後および5日後に、この消失を、フローサイトメトリーを使用して定量的に評価した。(活性がある各TALEN対の活性を検出できることを確認するために、その遺伝子のヌクレオチド位置503をまたはその上流に位置する部位だけを標的にした。この位置は、Znフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)を用いて変異させたとき、EGFP機能を破壊すると以前に示していた位置である(Maederら、2008、Mol. Cell 31:294-301)。)顕著に、このアッセイにおいて、48個全てのTALEN対が著しいEGFP遺伝子破壊活性を示した(図19A)。トランスフェクション2日後において、TALENsに誘導されたEGFP破壊細胞の正味のパーセンテージは9.4%〜68.0%の範囲であり、OPEN(Oligomerized Pool Engineering)法によって最初に作製された4個のEGFP標的ZFN対を用いて観察したパーセンテージ破壊と同等のレベルであった(図19A)。これらの結果は、わずか8.5個のTALEリピートを含有するTALENsが、著しいヌクレアーゼ活性を保有しており、ヒト細胞において、TALENsの強力さの大規模な証明になることを実証している。

興味深いことに、トランスフェクション5日後のEGFP陰性細胞のパーセンテージの再定量から、より短い長さのTALENs(8.5〜10.5リピートから構成されるものなど)を発現している細胞はEGFP破壊細胞のパーセンテージにおいて著しい減少を示し、一方でより長いTALENsを発現している細胞は示さないことが明らかになった(図19A〜Bおよび図20A)。この効果の1つの潜在的説明は、より短い長さのTALENsの発現に関連する細胞毒性である。この仮説に整合して、より短い長さのTALENsをコードしているプラスミドをトランスフェクトした細胞において、トランスフェクション2日後〜5日後にtdTomato陽性細胞のパーセンテージにおいてより大きな減少が観察された(図20D)(tdTomatoをコードしているプラスミドは、0日目に、TALEN発現プラスミドと一緒に共トランスフェクトした)。総合すれば、この結果から、より短い長さのTALENsはより長い長さのTALENsと同程度に活性があるが、前者はヒト細胞において、より大きな細胞毒性を引き起こし得ることが示唆される。

EGFP実験により、5つの計算的に得られた設計ガイドライン(Cermakら、2011、Nucleic Acids Res.、39:e82)のうちの4つを評価する機会も得られた。Cermakによって提唱されるガイドラインは、以下の通りである: 1.半部位の最初のヌクレオチドのちょうど5’のヌクレオチドは、チミンであるべきである。 2.半部位の最初のヌクレオチドは、チミンであるべきでない。 3.半部位の2番目のヌクレオチドは、アデノシンであるべきでない。 4.標的半部位の最も3’のヌクレオチドは、チミンであるべきである。 5.標的半部位内の各ヌクレオチドの組成は、天然に存在する結合部位で観察されるパーセンテージ組成と、標準偏差の2倍を超えて異なるべきでない。天然に存在する全てのTALE結合部位のパーセンテージ組成は:A=31±16%、C=37±13%、G=9±8%、T=22±10%である。したがって、潜在的TALE結合部位のヌクレオチド組成は:A=0%〜63%、C=11%〜63%、G=0%〜25%およびT=2%〜42%であるべきである。

これらのガイドラインは、潜在的TALEN標的部位を同定する際に利用者を支援するために、TALE−NTウェブサーバ(boglabx.plp.iastate.edu/TALENT/TALENT/)により実行された。EGFPに標的した配列の全48個が、これらのガイドラインの1つまたは複数を満たさなかった(しかし、その部位の全てが5’Tの要件を満たした点に注目されたい)。これら48部位について観察された約100%の成功率は、これらのガイドラインに従わない標的配列に対してTALENsを容易に得られることを実証している。加えて、4つの設計ガイドライン各々について、トランスフェクション2日後または5日後のいずれにおいても、ガイドライン違反とTALEN誘導突然変異生成のレベルとの間に、どんな統計的に有意な相関も見出せなかった。ガイドライン違反の総数と突然変異誘発性TALEN活性レベルとの間に有意な相関も見出せなかった。したがって、この結果は、潜在的なTALEN標的部位を同定する場合に、前述の5つの設計ガイドラインのうちの4つを満たさないことは、成功率またはヌクレアーゼ効率に悪影響を与えないと思われることを示している。

組み立てられたTALENsを使用する内在性ヒト遺伝子の高スループット変更 染色体的に組み込まれたレポーター遺伝子を用いてTALENプラットフォームの強さを確立し、次に、この高い成功率がヒト細胞中の内在性遺伝子でも観察できるかどうかを決定した。これを試験するために、実施例5に記載の組立て法を使用して、96個の異なるヒト遺伝子へと標的にされるTALEN対を改変した:78個の遺伝子はヒト癌に関係し(VogelsteinおよびKinzler、2004、Nat. Med.、10:789-799)、18個の遺伝子は遺伝子発現のエピジェネティックな調節に関与する(表7)。各遺伝子について、タンパク質コード配列のアミノ末端近くで切断するようにTALEN対を設計した。但しいくつかの場合、反復の配列の存在により、隣接する下流のエキソンまたはイントロン中の別の部位が標的された(表7)。EGFP TALENsを用いた結果から、16、17、18、19または21bpのスペーサー配列を持つ部位を切断する、14.5、15.5または16.5個のリピートからなるTALENsを構築した。標的部位の全ては、各半部位の5’末端にTを有した。

96個のTALEN対が、意図した内在性遺伝子標的にNHEJに媒介される挿入または欠失(indel)変異を導入する能力を、以前に記載されているT7エンドヌクレアーゼI(T7EI)アッセイ(Mussolinoら、2011、Nucleic Acids Res.、39:9283-93;Kimら、2009、Genome Res.、19:1279-88)を少し修正した方法を使用して、培養ヒト細胞で試験した。このT7EIアッセイで、96個のTALEN対のうちの83個は、意図した内在性遺伝子標的部位におけるNHEJに媒介された突然変異生成の証拠を示した(全体成功率約86%)(表7)。観察されたTALEN誘導突然変異生成の効率は、2.5%〜55.8%の範囲であり、平均22.5%であった。T7EIアッセイによって同定した変異の分子的に確認するために、様々な効率で突然変異生成を誘導した11個の異なるTALEN対について標的座を配列決定した(図21A〜D)。予想通り、この配列決定から、T7EIアッセイによって決定したものと同様の頻度で、期待した標的遺伝子部位におけるindelが明らかになった。

表7の内在性ヒト遺伝子に標的にされた96対のTALENsのうち14対のヌクレオチドおよびアミノ酸配列を、以下に提示する。各TALENモノマーを、以下の通りに提示する: (1)書式で提示される情報を含むヘッダ:遺伝子標的_左または右モノマー_5’→3’に示される標的DNA部位_TALEリピートモノマー、および表4に示されるコードで使用される0.5リピートプラスミド。 (2)NheI部位からBamHI部位の間にある、活性に必要なTALEのN末端部分、TALEリピートアレイ、C末端0.5TALEリピートドメイン、および活性に必要なC末端の63個のアミノ酸、をコードしているDNA配列。この配列は、以下に示すプラスミド「ベクター配列」中に存在し、NheIおよびBamHI部位に隣接する下線を引いたXに取って代わる、 (3)翻訳開始点(NheI部位の少しだけ3’側に位置し、N末端FLAGエピトープタグを含む)から、(TALEリピートアレイからFokI切断ドメインまでのリンカーとして機能する)Gly−Ser配列(BamHI部位によってコードされる)までの間に示される、活性に必要なTALEのN末端部分、TALEリピートアレイ、C末端0.5TALEリピートドメイン、および活性に必要なC末端の63個のアミノ酸のアミノ酸配列。

ベクター配列

他の実施形態 本発明のいくつかの実施形態について記載してきた。しかし、本発明の精神と範囲から逸脱することなく様々な修正を作製できることは理解されよう。したがって、他の実施形態は、以下の請求項の範囲にある。 本発明は、以下の態様を包含し得る。 [1] (a)1個もしくは複数の転写活性化因子様エフェクター(TALE)リピートドメインおよび/または1個もしくは複数のTALEリピートドメインのうち1個もしくは複数の部分を含む第1の組をコードしている配列を含む第1の核酸を用意するステップと; (b)第1の核酸を第1の酵素と接触させ、第1の酵素が第1のライゲーション可能な末端を形成するステップと; (c)1個もしくは複数のTALEリピートドメインおよび/または1個もしくは複数のTALEリピートドメインのうち1個もしくは複数の部分を含む第2の組をコードしている配列を含む第2の核酸を用意するステップと; (d)第2の核酸を第2の酵素と接触させ、第2の酵素が第2のライゲーション可能な末端を形成し、第1および第2のライゲーション可能な末端が対合可能であるステップと; (e)第1および第2のライゲーション可能な末端を介して第1の核酸と第2の核酸とをライゲーションして第1のライゲーションされた核酸を作製し、第1のライゲーションされた核酸が固体支持体に連結され、第1のライゲーションされた核酸が前記第1および第2の組を含むポリペプチドをコードするステップとを含む方法。 [2] 第1の組が、ポリペプチド中で第2の組に対してN末端側にある、上記[1]に記載の方法。 [3] 第2の組が、ポリペプチド中で第1の組に対してN末端側にある、上記[1]に記載の方法。 [4] 第1および第2の酵素が第1および第2の制限エンドヌクレアーゼであり、第1の制限エンドヌクレアーゼが第1の核酸中の部位で切断して第1の切断末端を形成し、第2の制限エンドヌクレアーゼが第2の核酸中の部位で切断して第2の切断末端を形成し、第1および第2のライゲーション可能な末端が第1および第2の切断末端である、上記[1]に記載の方法。 [5] 第1のライゲーションされた核酸が、第1の制限エンドヌクレアーゼに認識される制限部位を含まない、上記[4]に記載の方法。 [6] (f)第1のライゲーションされた核酸を第3の酵素と接触させ、第3の酵素が第3のライゲーション可能な末端を形成するステップと; (g)1個もしくは複数のTALEリピートドメインおよび/または1個もしくは複数のTALEリピートドメインのうち1個もしくは複数の部分を含む第3の組をコードしている配列を含む第3の核酸を用意するステップと; (h)第3の核酸を第4の酵素と接触させ、第4の酵素が第4のライゲーション可能な末端を形成し、第3および第4のライゲーション可能な末端が対合可能であるステップと; (i)第3および第4のライゲーション可能な末端を介して第1のライゲーションされた核酸と第3の核酸とをライゲーションして、固体支持体に連結された第2のライゲーションされた核酸を作製し、第2のライゲーションされた核酸が前記第1、第2および第3の組を含むポリペプチドをコードするステップと をさらに含む、上記[1]または[4]に記載の方法。 [7] 第3および第4の酵素が、第3および第4の制限エンドヌクレアーゼであり、第3の制限エンドヌクレアーゼが第1のライゲーションされた核酸中の部位で切断して第3の切断末端を形成し、第4の制限エンドヌクレアーゼが第3の核酸中の部位で切断して第4の切断末端を形成し、第3および第4のライゲーション可能な末端が第3および第4の切断末端である、上記[6]に記載の方法。 [8] ライゲーションされた核酸が、第1のエンドヌクレアーゼに認識される制限部位を含まず、第1および第3の制限エンドヌクレアーゼが同一である、上記[7]に記載の方法。 [9] 第2および第4の制限エンドヌクレアーゼが同一である、上記[7]または[8]に記載の方法。 [10] (j)第2のライゲーションされた核酸を第5の酵素と接触させ、第5の酵素が第5のライゲーション可能な末端を形成するステップと; (k)1個もしくは複数のTALEリピートドメインおよび/または1個もしくは複数のTALEリピートドメインのうち1個もしくは複数の部分を含む第4の組をコードしている配列を含む第4の核酸を用意するステップと; (l)第4の核酸を第6の酵素と接触させ、第6の酵素が第6のライゲーション可能な末端を形成し、第5および第6のライゲーション可能な末端が対合可能であるステップと; (m)第5および第6のライゲーション可能な末端を介して第2のライゲーションされた核酸と第4の核酸とをライゲーションして、固体支持体に連結された第3のライゲーションされた核酸を作製し、第3のライゲーションされた核酸が前記第1、第2、第3および第4の組を含むポリペプチドをコードするステップと をさらに含む、上記[6]または[7]に記載の方法。 [11] 第5および第6の酵素が第5および第6の制限エンドヌクレアーゼであり、第5の制限エンドヌクレアーゼが第2のライゲーションされた核酸中の部位で切断して第5の切断末端を形成し、第6の制限エンドヌクレアーゼが第4の核酸中の部位で切断して第6の切断末端を形成し、第5および第6のライゲーション可能な末端が第5および第6の切断末端である、上記[10]に記載の方法。 [12] 第2のライゲーションされた核酸が、第1のエンドヌクレアーゼに認識される制限部位を含まず、第1、第3および第5の制限エンドヌクレアーゼが同一である、上記[11]に記載の方法。 [13] 第2、第4および第6の制限エンドヌクレアーゼが同一である、上記[11]または[12]に記載の方法。 [14] 第2の組が、1〜4個のTALEリピートドメインを含む、上記[1]に記載の方法。 [15] 第1および第2のライゲーション可能な末端がそれぞれ、1〜10ヌクレオチドの突出を含む、上記[1]から[14]のいずれか一項に記載の方法。 [16] 第1の酵素がIIS型制限エンドヌクレアーゼである、上記[1]から[14]のいずれかに記載の方法。 [17] 第1のライゲーションされた核酸を前記固体支持体から分離し、第1のライゲーションされた核酸をベクターに挿入することをさらに含む、上記[1]から[5]のいずれか一項に記載の方法。 [18] 第2のライゲーションされた核酸を固体支持体から分離し、第2のライゲーションされた核酸をベクターに挿入することをさらに含む、上記[6]から[9]のいずれか一項に記載の方法。 [19] 第3のライゲーションされた核酸を固体支持体から分離し、第3のライゲーションされた核酸をベクターに挿入することをさらに含む、上記[10]から[13]のいずれか一項に記載の方法。 [20] ベクターが発現ベクターである、上記[17]から[19]のいずれか一項に記載の方法。 [21] 発現ベクターが、エフェクタードメインをコードしている配列を含み、ベクターがポリペプチドとエフェクタードメインとの融合タンパク質をコードしている配列を含むように第1、第2または第3のライゲーションした核酸がベクターに挿入される、上記[20]に記載の方法。 [22] エフェクタードメインがヌクレアーゼドメインである、上記[21]に記載の方法。 [23] 細胞に発現ベクターを挿入することをさらに含む、上記[20]から[22]のいずれか一項に記載の方法。 [24] ポリペプチドまたは融合タンパク質を発現させることをさらに含む、上記[23]に記載の方法。 [25] ポリペプチドまたは融合タンパク質を精製することをさらに含む、上記[24]に記載の方法。 [26] 表7に開示されている標的ヌクレオチド配列に結合する転写活性化因子様エフェクター(TALE)ドメインを含むポリペプチド。 [27] 標的ヌクレオチド配列が半部位である、上記[26]に記載のポリペプチド。 [28] ヌクレアーゼドメインを含む、上記[26]に記載のポリペプチド。 [29] 実施例7に開示されているアミノ酸配列を含むポリペプチド。 [30] 上記[26]から[29]のいずれかに記載のポリペプチドをコードする核酸。 [31] 上記[30]に記載の核酸を含むベクター。 [32] 上記[30]に記載の核酸または上記[31]に記載のベクターを含む細胞。 [33] 1、2、3および4個のTALEリピートドメインまたはその部分をコードしている配列を含む核酸のライブラリ。

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