生物医学用途用の低分子ペプチドコンジュゲートを開発する方法

申请号 JP2017555865 申请日 2016-01-20 公开(公告)号 JP2018503838A 公开(公告)日 2018-02-08
申请人 アマン・イクバル; 发明人 アマン・イクバル;
摘要 本出願は、タンパク質-タンパク質相互作用複合体の基質ペプチドがアミド化学を用いて様々な低分子断片でタグ付けされているプラットフォーム設計を提供する。リード作製のためのヒットの発見、その後のアミドによって媒介される迅速な多様化を伴う方法は、タンパク質-タンパク質相互作用の阻害用の標的特異的な低分子リードの発見及び開発に要する時間及び費用を削減する。
权利要求

低分子リード化合物を開発する方法であって、ペプチドへの低分子断片のインシリコのハイスループットスクリーニング又はハイスループットカップリングによって、低分子-ペプチドコンジュゲート(SMPC)のライブラリーを作製する工程を含む、方法。前記低分子断片が、アミド結合を介して前記ペプチドへ結合する、請求項1に記載の方法。SMPCのライブラリーを作製する方法であって、アミド結合を介したペプチドへの低分子断片のインシリコハイスループットカップリングの工程を含む、方法。前記SMPCが、固体表面上で合成される、請求項1又は3に記載の方法。前記固体表面が、任意の固体膜である、請求項4に記載の方法。前記固体表面が、セルロース、金及びガラススライドからなる群から選択される、請求項4に記載の方法。前記SMPCが、ハイスループットペプチドマイクロアレイを用いて合成される、請求項1又は3に記載の方法。低分子-ペプチドコンジュゲートマイクロアレイを作製する方法であって、前記マイクロアレイが、最小で2種、最大で10億種の範囲の低分子ペプチドコンジュゲートである、方法。低分子リード化合物を開発する方法であって、 a)タンパク質-ペプチド又はタンパク質-タンパク質の標的に対する低分子断片のインシリコハイスループットスクリーニングの工程、 b)アミド結合を介して前記ペプチドへ前記低分子断片を結合させることによってSMPCのライブラリーを作製する工程、 c)SMPCヒットを選択及び合成する工程、 d)前記低分子断片ヒットを特定するために、対象とする標的に対して前記SMPCをスクリーニングする工程、並びに e)対応する標的のための低分子リード化合物へ前記低分子断片を変換する工程 を含む、方法。SMPCのハイスループットライブラリーを作製する方法であって、前記ペプチドへ低分子構成単位をカップリングさせることによって、固体表面上でハイスループットペプチドマイクロアレイを合成する工程を含む、方法。前記ペプチド上への低分子構成単位のカップリングが、アミドカップリングを介するものである、請求項10に記載の方法。前記ペプチドへの低分子のカップリングが、固体表面上に固定化しながら行われる、請求項10に記載の方法。前記固体表面への低分子のカップリングが、ビオチン、PEG、及び任意の固体低分子リンカーからなる群から選択されるリンカーを使用することによる、請求項10に記載の方法。生化学的及び生物物理学的アッセイのために、SMPCペプチドマイクロアレイを使用する方法。請求項1に記載の方法により合成されるSMPCを含む組成物。表面プラズモン共鳴において、金表面へ結合したSMPCを使用する方法。ペプチド系ワクチンの作製においてSMPCを使用する方法であって、アミドカップリングを使用して標的ペプチドへ低分子を結合させる工程を含む、方法。診断ツールとしてSMPCを使用する方法。

低分子リード化合物を開発する方法であって、ペプチドへの低分子断片のインシリコのハイスループットスクリーニング又はハイスループットカップリングによって、低分子-ペプチドコンジュゲート(SMPC)のライブラリーを作製する工程を含む、方法。前記低分子断片が、アミド結合を介して前記ペプチドへ結合する、請求項1に記載の方法。SMPCのライブラリーを作製する方法であって、アミド結合を介したペプチドへの低分子断片のインシリコハイスループットカップリングの工程を含む、方法。前記SMPCが、固体表面上で合成される、請求項1又は3に記載の方法。前記固体表面が、任意の固体膜である、請求項4に記載の方法。前記固体表面が、セルロース、金及びガラススライドからなる群から選択される、請求項4に記載の方法。前記SMPCが、ハイスループットペプチドマイクロアレイを用いて合成される、請求項1又は3に記載の方法。低分子-ペプチドコンジュゲートマイクロアレイを作製する方法であって、前記マイクロアレイが、最小で2種、最大で10億種の範囲の低分子ペプチドコンジュゲートである、方法。低分子リード化合物を開発する方法であって、 a)タンパク質-ペプチド又はタンパク質-タンパク質の標的に対する低分子断片のインシリコハイスループットスクリーニングの工程、 b)アミド結合を介して前記ペプチドへ前記低分子断片を結合させることによってSMPCのライブラリーを作製する工程、 c)SMPCヒットを選択及び合成する工程、 d)前記低分子断片ヒットを特定するために、対象とする標的に対して前記SMPCをスクリーニングする工程、並びに e)対応する標的のための低分子リード化合物へ前記低分子断片を変換する工程 を含む、方法。SMPCのハイスループットライブラリーを作製する方法であって、前記ペプチドへ低分子構成単位をカップリングさせることによって、固体表面上でハイスループットペプチドマイクロアレイを合成する工程を含む、方法。前記ペプチド上への低分子構成単位のカップリングが、アミドカップリングを介するものである、請求項10に記載の方法。前記ペプチドへの低分子のカップリングが、固体表面上に固定化しながら行われる、請求項10に記載の方法。前記固体表面への前記SMPCのカップリングが、ビオチン、PEG、及び任意の固体低分子リンカーからなる群から選択されるリンカーを使用することによる、請求項10に記載の方法。生化学的及び生物物理学的アッセイのために、SMPCペプチドマイクロアレイを使用する方法。請求項1に記載の方法により合成されるSMPCを含む組成物。表面プラズモン共鳴において、金表面へ結合したSMPCを使用する方法。ペプチド系ワクチンの作製においてSMPCを使用する方法であって、アミドカップリングを使用して標的ペプチドへ低分子を結合させる工程を含む、方法。診断ツールとしてSMPCを使用する方法。低分子リード化合物を開発する方法であって、 a)アミド結合を介して、タンパク質-ペプチド又はタンパク質-タンパク質の標的の基質ペプチドへ前記低分子断片を結合させることによって、SMPCのライブラリーを作製する工程、 b)SMPCヒットを選択及び合成する工程、 c)低分子断片ヒットを特定するために、対象とする標的に対して前記SMPCをスクリーニングする工程、並びに d)対応する標的のための低分子リード化合物へ前記低分子断片を変換する工程 を含む、方法。前記SMPCが固体表面上で合成される、請求項9又は19に記載の方法。前記固体表面が固体膜である、請求項20に記載の方法。前記固体表面が、セルロース、金、又はガラススライドである、請求項21に記載の方法。前記SMPCが、ハイスループットペプチドマイクロアレイを用いて合成される、請求項9、又は19から22のいずれか一項に記載の方法。前記基質ペプチドへ前記低分子断片を結合させる工程が、前記基質ペプチドからの少なくとも1個のN末端アミノ酸を、前記低分子断片と置換する工程を含む、請求項9、又は19から23のいずれか一項に記載の方法。前記スクリーニングが、蛍光アッセイ又は機能アッセイを含む、請求項9又は19、又は24のいずれか一項に記載の方法。

说明书全文

関連出願 本出願は、2015年1月20日に出願され、その全体が本明細書に組み込まれる米国特許仮出願第62/105585号に関し、その優先権をとるものである。

本出願は、アミドカップリングを使用した低分子リード化合物の特定をもたらすタンパク質-タンパク質/ペプチドの薬物標的に対する低分子断片の発見を含む新規プラットフォーム技術に関する。

タンパク質-タンパク質相互作用(PPI)の薬物標的は、その広い、比較的特徴のない結合部位により、標的化するのが悪名高いほどに難しい。それらは、創薬の「高所の果物(high hanging fruits)」又は「創薬が困難な」標的と呼ばれる場合が多い。低所の果物又は狙い易い薬物標的に向けた多大な努は飽和点に達している。PPI阻害剤の開発のための高品質で多様な化学出発点の迅速な特定を可能にする新しい技術への関心が現れている。ハイスループットスクリーニング(HTS)のような従来の低分子スクリーニング技法は、特にPPI薬物標的の場合に望ましくない物理化学的特性を有する巨大で複雑な分子を特定する場合が多い。これらのヒットは、通常、非特異的な弱い結合剤であり、その効力及び薬物様特性を改善するために、医薬品化学においてかなりの努力を必要とする。ヒットの発見における従来の断片に基づく薬物設計(FBDD)は、キナーゼ及び加分解酵素のようなより容易な薬物標的に対して成功してきた。しかしながら、広いPPI結合部位に弱く/中程度に結合する低分子断片の特定は困難であるので、PPI創薬におけるFBDD手法は、極めて難題であった。

Smithら(Organic Letters 2002、4: 4041-4044)は、低分子-ペプチドコンジュゲートの設計を提供する。しかしながら、この研究は、このようなコンジュゲートのライブラリーを設計せず、それをペプチド模倣手法にさせる薬物/低分子としてコンジュゲート全体を使用しない。

US20110118126は、標的に結合する化合物をスクリーニングする方法であって、予め選択された餌部分を有する餌断片が、複数の(多数の)断片と反応して、低分子リガンドを形成する方法を提供する。ここでは、スルフィド結合によって標的タンパク質に化学分子を結合させた後に、多数の化学分子を速やかにスクリーニングすることによって、最適なヒット分子を特定する方法が記載されている。

US20110118126

Smithら、Organic Letters 2002、4: 4041-4044

Heら、Bioroganic & Medicinal Chemistry、21: 7539-7548、2013

Emdadら、Neuro Incology、17:419-429、2015

Maら、Oncotarget、6: 17404-17416、2015

Zagryazhskayaら、Oncotarget、6: 12156-121573、2015

Senisterraら、The Biochemical Journal、449: 151-159、2013

本発明は、「Smip」プラットフォームと本明細書で称する新規プラットフォーム技術であるが、この技術は、アミド結合を介して低分子断片を相互作用ペプチドへ結合させながら、対象とするタンパク質-ペプチド/タンパク質-タンパク質標的に対する低分子断片のインシリコハイスループットスクリーニングを使用する。これは、低分子ペプチドコンジュゲート(SMPC)のライブラリーの作製をもたらす。ドッキングされた上位のSMPCヒットを選択し、合成する。その後、SMPCヒットを、従来の生化学的アッセイを使用して対象とする標的に対してスクリーニングする。SMPCヒットの特定後に、最良のSMPCヒットへ結合した低分子断片を、更に、対象とする標的に対する低分子リード/阻害剤へと進化させる。

ハイスループットスクリーニングフォーマットは、従来の断片ベースのスクリーニング技術と比較すると、スクリーニングの時間及び費用を大幅に削減しつつ、広い化学空間の探索を確実にする。また、アミン末端断片とペプチドの置換による初期の低分子ヒットの容易な多様化は、リードの作製のための医薬品化学の負担を軽減する。

本発明は、アミド結合を介して相互作用ペプチドへ結合させながら、対象とするタンパク質-ペプチド/タンパク質-タンパク質標的に対する低分子断片のインシリコハイスループットスクリーニングを使用する新規「Smip」プラットフォームを提供する。

一態様において、本発明は、低分子リード化合物を開発する方法であって、ペプチドへの低分子断片のインシリコハイスループットスクリーニング又はハイスループットカップリングによって低分子-ペプチドコンジュゲート(SMPC)のライブラリーを作製する工程を含む方法である。

別の態様において、低分子断片は、アミド結合を介してペプチドへ結合させる。

更に別の態様において、本発明は、SMPCのライブラリーを作製する方法であって、アミド結合を介したペプチドへの低分子断片のインシリコハイスループットカップリングの工程を含む方法を提供する。

SMPCが、固体表面上で合成されることも提供する。固体表面は、任意の固体膜である。固体表面はまた、セルロース、金及びガラススライドからなる群から選択される。

別の態様において、SMPCは、ハイスループットペプチドマイクロアレイを用いて合成される。

本発明はまた、低分子-ペプチドコンジュゲートのマイクロアレイを作製する方法であって、マイクロアレイが、最小で2種、最大で10億種の範囲の低分子ペプチドコンジュゲートである方法を提供する。

本出願に開示される低分子リード化合物を開発する方法は、 a)タンパク質-ペプチド又はタンパク質-タンパク質の標的に対する低分子断片のインシリコハイスループットスクリーニングを行う工程; b)アミド結合を介してペプチドへ低分子断片を結合させることによってSMPCのライブラリーを作製する工程; c)SMPCヒットを選択及び合成する工程; d)低分子断片ヒットを特定するために、対象とする標的に対してSMPCをスクリーニングする工程;並びに e)対応する標的のための低分子リード化合物へ低分子断片を変換する工程 を含む。

本発明はまた、SMPCのハイスループットライブラリーを作製する方法であって、ペプチドへ低分子構成単位をカップリングさせることによって、固体表面上でハイスループットペプチドマイクロアレイを合成する工程を含む方法を提供する。ペプチド上への低分子構成単位のカップリングは、アミドカップリングを介するものである。更に、固体表面上に固定化しながら、ペプチドへの低分子のカップリングが行われる。

固体表面へのSMPCのカップリングは、ビオチン、PEG、及び任意の固体低分子リンカーからなる群から選択されるリンカーを使用することによる。

本発明は、更に、本出願で開示される方法によって合成されたSMPCを含む組成物を提供する。

本発明のSMPCペプチドマイクロアレイは、生化学的及び生物物理学的アッセイのために使用できることが想定される。

本発明のSMPCは、表面プラズモン共鳴において、金表面へ結合させる。

本発明のSMPCは、アミドカップリングを使用して標的ペプチドへ低分子を結合させることによって、ペプチド系ワクチンを作製するのに使用される。

本発明のSMPCは、多種多様な疾患における診断ツールとして使用される。

合成し、SND1に対してスクリーニングしたSMPCについての蛍光偏光スクリーニングデータを示すグラフである。

SND1に対するSMPCヒットの用量反応曲線を示すグラフである。

断片46の熱シフト及びITCを示すグラフである。

断片48の熱シフト及び等温熱量測定(ITC)を示すグラフである。

合成し、WDR5-MLL1複合体に対してスクリーニングしたSMPCについての蛍光偏光スクリーニングデータを示すグラフである。

SMPCヒット(PRX-0065)及び低分子リード化合物(PRX-0345)についての用量反応蛍光偏光(FP)データを示すグラフである。

基質ペプチド、PRX-0345及びSMPCヒット(PRX-0065)を比較する用量反応MLL複合体活性アッセイを示すグラフである。

2つの異なる濃度(5及び10μM)でのPRX-0345、対照化合物(OICR-9429、及びWDR5-103)の存在下でのWDR5-MLL:MLL-AF9形質転換白血病細胞の細胞ベース反応を示すグラフである。

市場で現在日常的に使用されている、PPI標的のための全ての低分子スクリーニング技法及び技術に関連する制限の解決策を見つけるために、出願人らは、PPIのための革新的な、次世代の低分子リード作製技術を開発した。この技術設計は、2つの簡単な工程を使用する。

本発明の概念は、同じペプチド配列を有するが、アミド結合を介してN末端のペプチド上にカップリングさせた多様なセットの低分子断片を有するSMPCのライブラリーを作製する工程、及びその後に、治療目的の任意のPPI標的用の新規で、特許性のある薬物様非ペプチド低分子阻害剤へSMPCヒットを6カ月未満で効率的に変換する工程からなる。

一実施形態において、工程1及び2として本明細書に記載の「釣竿餌モデル」及び「低分子リード変換」が、本発明の技術を提供する。

工程1:「釣竿-餌」モデル:ペプチドの残りの部分を一定に維持しながら、ペプチド結合剤のN末端アミノ酸を多様なセットの低分子断片と置換することにより、低分子ペプチドコンジュゲート(SMPC)(模式図1a)を作製する。ペプチド上への低分子断片の結合は、結合に付加的効果を与え、推定結合部位へ低分子断片を導き、固定するのに役立つ。SMPCヒットが、元の同族ペプチドと比較してより良好な又は類似の効力を示す場合、このことは、低分子断片の結合への寄与が置換されるアミノ酸よりも良好であるか、又は同等であることを示す(模式図1b)。

本発明は、上記の工程の全スケジュールが2カ月であるので、特に費用がかかり、かつ高価なスクリーニング方法に伴う費用及び時間を大幅に削減する方法を提供する。

タンパク質-ペプチドの結晶構造が利用可能であるPPI標的のために、本発明は、仮想SMPCライブラリーを生成するためにペプチド上に低分子断片をカップリングさせ、その後、全体的なSMPCの立体構造、及び結合ポケットにおける断片の相互作用に基づく最良の結合剤を視覚化するために、SMPCライブラリーをドッキングする工程を伴うインシリコ方法を提供する。しかしながら、タンパク質/ペプチド複合体構造を持たない任意のPPI標的のために、本発明者らは、ハイスループット(1000を超える)SMPCのライブラリー作製を提案する。

工程2:低分子リード変換:SMPCヒットが特定されると、その後、SMPCヒットのペプチド部分は、単純なコンビナトリアルアミドカップリングを介して、低分子構成単位と置換されて、非ペプチド性低分子化合物をもたらすことができる(模式図1c)。次いで、非ペプチド化合物を、標的に対してスクリーニングし、強力な阻害剤の開発及び最適化に最高のシリーズを特定することができる。後者は、更に、代替手段と既存のアミド結合を置換する工程を伴い得る。

この工程の全スケジュールは3カ月であると想定される。

プラットフォーム設計:本発明のプラットフォーム設計は、「釣竿-餌」モデルに似ている。モデルは、単純なアミド化学を用いて多様なセットの低分子断片でタグ付けしたPPI複合体の基質ペプチドからなる。アミド化学を用いて、「ホットスポット」アミノ酸を断片構成単位と置換し、低分子-ペプチドコンジュゲート(SMPC)ライブラリーを作製する。

出願人らは、ハイスループットマイクロアレイベースの手法でそれらを合成する工程に加えて、これらの標的特異的SMPCを作製するためのインシリコ方法も開発した。これらSMPCは、ペプチドマイクロアレイを用いて、セルロース、ガラス及び金のような固体表面上でも容易に合成することができる。

別の態様において、本発明の低分子ペプチドコンジュゲート(SMPC)を表面プラズモン共鳴(SPR)チップ上の金表面へ結合させることができ、次いで、対象とするタンパク質に対してスクリーニングし、結合剤を特定することができる。SPR金チップ上へのSMPCヒットの固定化は、特定の標的に対するSMPCヒットの特定において同じ目的を果たすことができる。この場合も、SMPCヒットは、低分子リード化合物に変換することができる。

次いで、このように作製したSMPCを、蛍光偏光(FP)アッセイで対応する各標的に対してスクリーニングする。SMPCヒットの結合親和性を天然ペプチドの結合親和性と比較することにより、低分子断片の結合親和性を推定する。次いで、ペプチドの残りの部分を低分子の官能基と置換することによって、最良の断片結合剤をコンビナトリアルライブラリーへのコア足場として使用する。本発明のコンビナトリアルライブラリー作製手法は、すぐに強力な阻害剤に開発することができるリード様分子に断片サイズ分子を成長させるのに役立つ。

上記の概念を以下の模式図1に示す。

スクリーニング及びヒットの特定:特定のPPI標的に対するSMPCライブラリーをスクリーニングするために、SMPCによってフルオロフォアで標識した相互作用ペプチドの置換を観察し、適切に定量化することができる蛍光偏光(FP)アッセイを設定する。SMPC結合剤のいずれかとペプチド対照を比較すると、標的への低分子断片の結合の寄与が推定される。FPスクリーニングで特定した全てのSMPCヒットを、更に、等温熱量測定(ITC)のような生物物理学的スクリーニング技法を使用して検証する。

SMPCヒットのリード分子への変換:断片ヒットが特定されると、断片をリード分子に変換する複数の方法がある:A)従来の断片の成長/混合技法に従う工程、B)ハイスループットアミド化学を利用して、コンビナトリアルライブラリー作製を経て隣接ホットスポット/ポケットに成長させる工程。後者の手法は、前者の技法と比較してスループットがより高く、時間がかからないので、リード作製に使用されることが想定される。本開示は、上記に限定されず、代替のリード作製戦略を含む。

一態様において、SMPCは、アミド化学を用いて作製される。本明細書に記載のSmipプラットフォームは、タンパク質-ペプチド複合体の可用性があり、ペプチドが宿主タンパク質へ直鎖状又はループの立体構造で結合する任意のタンパク質-タンパク質/ペプチド複合体に適用されることが想定される。

本明細書に記載のプラットフォーム技術は、様々な状態、疾患又は障害のための薬物に更に開発される、治療関連の低分子リード化合物を提供する。

加えて、本技術はまた、ペプチド診断ツールを開発するのに有用である。ペプチドはまた、診断に日常的に使用されている。ファージディスプレイ技術を用いて、発明者らは、対象とする抗原に対する新規かつ強力なペプチド結合剤を特定することができる。次いで、これらのペプチドを、発明者らの手法を使用してSMPCに変換することができる。特定の標的に対するSMPCライブラリーは、ペプチドへ結合する多種多様な低分子断片を有する。この多様性は、抗原の特異的特定を可能にすることができる。これと共に、SMPCヒットは、ファージディスプレイペプチドよりも強力で特異的なこともあり、したがって、より高感度かつ特異的な診断ツールとして機能することができる。

更に別の態様において、本明細書に開示する革新的なSMPC手法は、新たなペプチド系ワクチンを開発するか、又は既存のものを改善するのに有用である。低分子部分の付加は、ペプチド系ワクチンに対して以下の利点を有し得る: a)改善された物理化学的特性 b)より良好な細胞透過性 c)より強力かつ特異的な相互作用。

本発明は、既存の薬物スクリーニング技術よりも有利である。

一実施形態において、本発明は、構造の知識及びPPIホットスポットの利用を可能にする。

別の実施形態において、SMPCライブラリーは、標的特異的で、オーダーメードであり、他の既存の日常的な技法、例えば、多くの偽陽性及び陰性のヒットを生じるSPR、NMR等の古典的な断片ベースのスクリーニング技法を用いるハイスループットスクリーニングと比較して、偽陽性及び偽陰性が少ない。

この技術はまた、本明細書に記載のアミドカップリングを使用して標的ペプチドへ低分子を結合させることによって、ペプチド系ワクチンを作製するためのプラットフォームを提供する。

更に別の実施形態において、本技術は、FBDD技法において特に必要である断片の共結晶構造の必要性を回避する。

最も好ましい実施形態において、前記プラットフォーム技術は、FBDD等の既存のスクリーニング技法よりも高速かつ安価である。

本発明の更なる利点としては、 - 非ペプチド模倣の特徴を維持しながら、従来の断片ベースのスクリーニング技法と比較して、断片からリード作製までの時間枠(ひいては、労力)を削減すること; - 本発明は、最小で2種、最大で10億種の低分子-ペプチドコンジュゲートと定義される低分子-ペプチドマイクロアレイの作製を提供すること - この技術は、難題のPPI標的に対してヒットを見つけることを保証すること;及び - フォローアップ化学が単純であること を挙げることができる。

模式図2は、Smipプラットフォームと従来の断片ベースのスクリーニング技法を比較し、低分子リードを取得するのに必要な時間の違いを強調している。

以下のTable 1(表1)は、Smipプラットフォーム技術の利点及び経済性を強調する。

更に、従来のHTS及びFBDDの他に、PPIヒット発見の分野における他の競合技術のいくつかは、大環状分子、ステープルペプチド、及びペプチド模倣薬である。

大環状分子技術(例えば、Encycle Therapeutics社及びBicycle Therapeutics社)は、これらの環状ペプチドの設計に利用することができる方法で、基質ペプチドがループ/湾曲した立体構造をとるPPI複合体を唯一標的とする。ステープルペプチド/ヘリックス技術(例えば、Aileron Therapeutics社)は、螺旋の立体構造を有する基質ペプチドにのみ適用することができる。上記の両法と比較して、発明者らの技術は、任意の基質ペプチドの立体構造(例えば、ループ、螺旋、シート、ランダム)に適用することができ、発明者らの手法を競合他社のものよりも強力にさせる。ペプチド模倣手法は、ペプチド薬の迅速な開発を可能にするが、これらの分子は、診療所での失敗をもたらす可能性がある不良の物理化学的特性を有する細胞において不浸透性であることが示されている。低分子ペプチドハイブリッドの設計を詳細に説明しているいくつかの先行技術の出版物がある(Heら、Bioroganic & Medicinal Chemistry、21: 7539-7548、2013)。これらの著者は、様々な化学的方法を使用して、これらのハイブリッドの作製を説明している。しかしながら、それらのどれもこれらのコンジュゲートを作製するためにアミド結合を使用せず、それらのどれもがハイスループットライブラリーの作製フォーマットを使用することを報告していない。開発した本発明の技術及び専門知識により、出願人らは、時間と費用の両方に関して、標的選択、化学的多様性、ヒットの特定、及びリードの開発の観点から利用可能な技術を追い越すことが可能になる。

本発明の技術は、発明者らが以下のことをするのを可能にするので、既存のスクリーニング技術と比較して、独特で、革新的かつ有利である: a)関連する結合ポケットを露出するためにPPI標的を結合すること b)任意のペプチド立体構造(線形、二次、又は三次)を利用すること c)より広い化学空間を探索すること d)効率的な医薬品化学を用いて、より安く、より速く低分子リード化合物を発見すること e)薬物設計に特異的なPPI標的を選択すること f)低分子と生物学的製剤を置換すること。

本明細書で提供される実施例は、例示の目的にすぎず、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。

古典的なハイスループットスクリーニング(HTS)を使用して以前にスクリーニングに失敗した治療目的の2つの新興エピジェネティックPPI標的を選んで、新規の手法を試験し、新規SMPCヒットを特定し、そのヒットをこれら2つの標的の効果的な非ペプチド低分子阻害剤に変換した。

(実施例1) ブドウ球菌ヌクレアーゼ様ドメイン(SND1)SND1は、転写調節、RNAスプライシング及びRNA代謝に関与する遍在的に発現している多機能タンパク質である。最近、多数の刊行物が、良性前立腺癌、肝細胞癌及び結腸癌におけるその役割を強調した(Emdadら、Neuro Incology、17:419-429、2015;Maら、Oncotarget、6: 17404-17416、2015;Zagryazhskayaら、Oncotarget、6: 12156-121573、2015)。世界中の研究室での日常的なHTSスクリーニングでは、薬物の設計及び開発のための検証された低分子ヒットが全く生じなかった。

作業手順1:SMPCの設計、合成及びスクリーニング SND1とその結合パートナーのRIWIタンパク質のヘプタペプチド断片との共結晶構造を使用した。設計は、遊離カルボン酸を有する市販の断片構成単位の集合とN末端アルギニン-アラニンペプチド断片の置換を伴った。ヘキサペプチド配列の残り部分への断片のインシリコカップリングを行い、次いで、これらのSMPCをSND1ペプチド結合ポケットにドッキングした。インシリコデータから、SND1に対する30種のSMPCのライブラリーを選択し、合成した。SMPC合成は、標準的な固相手動ペプチド合成を用いて行った。

作業手順2:低分子リード変換 20種のSMPCのライブラリーをSND1(TUDOR)に対して合成した。図1は、SMPC-46(図中のFP-29)及びSMPC-48(図中のFP-30)が、ペプチド基質と比較して良好な蛍光偏光反応を誘発したことを示す。図2及びTable 2(表2)は、SMPC-46がペプチド基質よりも良好に結合することを示す用量反応を示す。

単独で試験した場合に、断片は、熱シフト及びITC(図3a及び図3b)によってSND1への結合を示した。Table 3(表3)は、ペプチド基質と比較して、断片46と断片48の両方についての熱シフト及びITCの結果を示す。

これらの結果は、本発明のSMPC(Smip)プラットフォーム技術が、他の組織内化合物ライブラリーのスクリーニングでは不成功であった手恐い標的であるSND1へのヒットを特定することができることを示す。

(実施例2) WDリピート含有タンパク質5(WDR5)WDR5は、急性骨髄性白血病(AML)における治療関連の薬物標的であるエピジェネティックなヒストンリーダータンパク質である。WDR5は、5つのタンパク質で構成されるPRC2複合体の不可欠な部分である(Senisterraら、The Biochemical Journal、449: 151-159、2013)。PRC複合体の完全性は、AMLにおける重要なタンパク質であるMLL1のメチルトランスフェラーゼ活性に不可欠である。ごく最近、WDR5は、MLL1タンパク質と直接相互作用することが示され、この複合体の破壊がAML細胞においてアポトーシスをもたらすという治療仮説につながった。出願人は、本明細書に開示する手法を使用して、資源効率良くインビトロ及びインビボでWDR5-MLL複合体を破壊するための新規低分子阻害剤を特定することが可能であることを示してきた。

作業手順1:SMPCの設計、合成及びスクリーニング この研究は、その結合パートナーのMLL1タンパク質のペンタペプチド断片を有する20種のみのSMPCの設計及び合成を伴った。発明者らの設計は、遊離カルボン酸を有する市販の断片構成単位の集合とWINペプチドのN末端アルギニンの置換を伴った。テトラペプチド配列の残りの部分への断片のインシリコカップリングを行い、SMPCをWDR5ペプチド結合ポケットにドッキングした。

FPアッセイでスクリーニングした場合に、SMPCは、Table 4(表4)に示すように、1.3のKdを有する基質ペプチドと比較して0.85μMのKdを有する(5%のヒット率)1個の確証されたヒット(PRX-0065)をもたらした。

作業手順2:低分子リード変換 低分子リード変換用WDR5に対するSMPCヒット(PRX-0065)を選択した。市販の構成単位のライブラリーとSMPCのトリペプチド部分を置換することで、発明者らは7000種の低分子の仮想ライブラリーを設計することができた。低分子のセットのドッキングを、WDR5に対して独自のアルゴリズムを使用して行い、上位100ヒットを合成のために選択した。84種の低分子を、化学合成の容易さによりわずか6週間で合成した。

生化学的アッセイ(蛍光偏光及び活性)でスクリーニングした場合に、類似の構造を有する2種の低分子リード(PRX-0345及びPRX-0365)は、それぞれ0.45μM及び2μMの効力を示した(図4)。PRX-0345は、薬物様の特徴を有する5の法則に準拠した(complaint)低分子であり、5及び10μMの2つの異なる化合物濃度でそれぞれ有効毒性を示した(図5)。

図6は、基質ペプチドPRX-0345及びSMPCヒットPRX-0065を比較する用量反応MLL複合体活性を示す。

(実施例3) 細胞ベースの反応 患者由来の白血病細胞株を、MLL-AF9融合ベクターで形質転換した。PRX-0345並びに対照化合物のOICR-9429、及びMM-102を、5及び10μMで細胞にトランスフェクトした。これらの結果は、5μMの最も低い化合物濃度でスクリーニングした場合に、PRX-0345がOICR-9429よりも効率的にMLL-AF9白血病細胞を殺すことができることを示した(図7)。

全体として本明細書に記載の研究は、難題の2種のPPI標的に対するSMPCヒットの特定、及び低分子について更に開発することができる細胞活性低分子リードへの1個のSMPCヒットの効率的な変換を明らかに実証し、記載される本発明の有用性及び操作性を示す。

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