ウィッティヒ反応によるγ,δ−不飽和アミノ酸の汎用的な立体特異的合成

申请号 JP2014527630 申请日 2012-08-28 公开(公告)号 JP6021918B2 公开(公告)日 2016-11-09
申请人 センター ナショナル デ ラ リシェルシェ サイエンティフィック(シーエヌアールエス); ユニバーシティ デ ブルゴーニュ; 发明人 ジュジュ,シルヴァン; バヤードン,ジェロウム; レーモンド,エマニュエル; オンデル−アイミン,マリエ−ジョエル;
摘要
权利要求

式(I)の化合物: の製造方法であって、式(II)の化合物: (式中、 R1は、原子またはR5(式中、R5は、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルケニルから選択される置換または非置換の基である)を表し、 R2およびR3は、同じであっても異なっていてもよく、それぞれ、水素原子、またはアルキル、シクロアルキル、アリール、アルケニル、−COR(式中、Rは、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルケニル、アルキルオキシ、シクロアルキルオキシ、アリールオキシから選択される置換または非置換の基である)から選択される置換または非置換の基を表し、 R4は、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルケニルから選択される置換または非置換の基を表す)と、 式(IV)の化合物(ここでは、式(IV)の化合物は、式RaCORbのケトンもしくはアルデヒド、式RaRbC=NRcのイミン、[Ra,Rb]−三置換トリオキサンおよびRaRbC(OH)(SO3Na)からなる群から選択され、式中、RaおよびRbは、同じであっても異なっていてもよく、それぞれ、水素原子、またはアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、メタロセニルおよび−COR(式中、Rは、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルケニル、アルキルオキシ、シクロアルキルオキシおよびアリールオキシから選択される置換または非置換の基である)から選択される置換または非置換の基を表し、Rcは、水素原子、またはアルキル、シクロアルキル、アリール、エステル基、トシル基、ホスホニル基から選択される置換または非置換の基を表す)とを、 Cs2CO3、Li3PO4、NaH、K3PO4およびK2CO3を含む群から選択される弱塩基および相転移条件に適した溶媒の存在下で反応させることによりウィッティヒ反応を行い、それによって式(I)の化合物を得ることを含み、前記相転移条件に適した溶媒は、クロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロベンゼン、ジクロロエタン、ジオキサンを含む群から選択される、方法。式(II’)の化合物を反応させて式(I’)の化合物を得ることを含み: (式中、Ra、Rb、R2、R3、R4およびR5は、請求項1に定義したとおりである)、 ホスフィンP(R4)3(式中、R4は、請求項1に定義したとおりである)を、式(III)の化合物: (式中、R2、R3およびR5は、請求項1に定義したとおりである)により四級化し、それによって式(II’)の化合物を得ることを含む予備工程をさらに含む、 請求項1に記載の方法。式(II”)の化合物を反応させて式(I”)の化合物を得ることを含み、 (式中、Ra、Rb、R2、R3およびR4は、請求項1に定義したとおりである)、 2つの予備工程: a)ホスフィンP(R4)3(式中、R4は、請求項1に定義したとおりである)を、式(III)の化合物: (式中、R2、R3およびR5は、請求項1に定義したとおりである)で四級化して、式(II’)の化合物: (式中、R2、R3、R4およびR5は、請求項1に定義したとおりである)を得る工程と、 b)式(II’)の化合物のカルボン酸官能基を脱保護し、それによって対応する式(II”)の化合物を得る工程と、 をさらに含む、 請求項1に記載の方法。R2は水素原子であり、R3はBoc基であり、R4はフェニルであり、R5はアリルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。前記弱塩基は、K3PO4、Cs2CO3またはK2CO3である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。相転移条件に適した前記溶媒は、クロロベンゼンまたはジオキサンである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。R1は、水素原子、アリル基およびベンジル基からなる群から選択される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。R2は水素原子またはBocであり、R3はBocである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。前記ホスフィンP(R4)3は、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリフリルホスフィン、トリ(4−メトキシフェニル)ホスフィン、トリ(4−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィン、トリ(4−フルオロフェニルホスフィン)およびトリ(4−クロロフェニル)ホスフィンを含む群から選択される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。RaCORbは、ベンズアルデヒド、4−トリフルオロメチルベンズアルデヒド、4−ニトロベンズアルデヒド、4−シアノベンズアルデヒド、4−メトキシベンズアルデヒド、3,4−ジメトキシベンズアルデヒド、2−フルアルデヒド、3−フェニルプロパナール、パラホルムアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンズアルデヒド、カリックス−[4]−アレーンから誘導されたアルデヒド、フェロセンカルボキシアルデヒド、m−フタルジアルデヒド、トランス−シンナムアルデヒド、(E)−4−アジドフェニルプロパ−2−エナール、4−オキソ−2−ブテノアート、3−メチルブテナール、4−ニトロ−トランス−シンナムアルデヒド、チオフェンプロペナール、フリルプロペナール、トリフルオロメチルアセトフェノンを含む群から選択される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。R5はアリル基であり、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンおよびHNEt2の存在下で式(II’)の化合物のカルボン酸官能基の前記脱保護を行う、請求項3に記載の方法。式(III)の化合物が式(III’): の化合物であり、式中、R2は水素であり、R3はBoc基であり、R5は請求項1に定義したとおりであり、 式(III’)の化合物が、 メタノールによるエステル化によってモノエステルに変換することにより、L−アスパラギン酸の側鎖の酸官能基を保護する工程と、 アミノ官能基をBoc基で保護する工程と、 臭化物誘導体R5−Brの存在下でのエステル化により、残っているカルボン酸官能基を保護して、対応するジエステルを生成する工程と、 前記アミノ官能基を第2のBoc基でさらに保護する工程と、 水素化ジイソブチルアルミニウムを用いてL−アスパラギン酸の側鎖に由来する末端エステルをアルデヒドに還元する工程と、 前記アルデヒド基をNaBH4でさらに還元して、N,O保護ホモセリン誘導体を生成する工程と、 トリフェニルホスフィンおよびイミダゾールの存在下でヨウ素と反応させて、N−二保護アミノエステルを生成する工程と、 CeCl3の存在下でNaIと反応させ、さらに加水分解して、式(III’)の化合物を得る工程と、 を含む方法によって製造される、 請求項2または3に記載の方法。式(I)の化合物: であって、式中、 RaおよびRbは、同じであっても異なっていてもよく、それぞれ、水素原子、またはアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、メタロセニルおよび−COR(式中、Rは、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルケニル、アルキルオキシ、シクロアルキルオキシおよびアリールオキシから選択される置換または非置換の基である)から選択される置換または非置換の基を表し、 R1は、水素原子を表し、 R2およびR3はそれぞれ、Boc基を表すが、 ただし、Raがアリール基、またはアリール置換基を含む基である場合、Rbは、アリール基、またはアリール置換基を含む基ではなく、 Raが、ホスフィノ、ホスホニルまたはホスホノ基で置換された1〜3個の炭素原子を有する非置換もしくはアルキル置換のα,ω−アルキレンである場合、Rbは、水素、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アリールアルキル、アルケニルまたはアリールからなる群から選択されない、 化合物。式(II)の化合物: であって、式中、 R1は、水素原子またはR5(式中、R5は、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルケニルから選択される置換または非置換の基である)を表し、 R2およびR3は、同じであっても異なっていてもよく、それぞれ、水素原子、またはアルキル、シクロアルキル、アリール、アルケニル、−COR(式中、Rは、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルケニル、アルキルオキシ、シクロアルキルオキシ、アリールオキシから選択される置換または非置換の基である)から選択される置換または非置換の基を表し、 R4は、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルケニルから選択される.置換または非置換の基を表す、 化合物。2種以上の請求項13に記載の式(I)の化合物からなるライブラリー。

说明书全文

本発明は、一般式(I)のγ,δ−不飽和α−アミノ酸に関する。本発明は、ウィッティヒ反応を必要とする式(I)の前記化合物の立体特異的合成のための汎用的な方法も提供する。また、本発明は、化合物(I)の合成に関わる以下に示す一般式(II)および(III)の中間生成物にも関する。

(式中、 R1は、原子またはR5(式中、R5は、アルキル、シクロアルキル、アリールおよびアルケニルから選択される置換または非置換の基である)を表し、 R2およびR3は、同じであっても異なっていてもよく、それぞれ、水素原子、またはアルキル、シクロアルキル、アリール、アルケニルおよび−COR(式中、Rは、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルケニル、アルキルオキシ、シクロアルキルオキシおよびアリールオキシから選択される置換または非置換の基である)から選択される置換または非置換の基を表し、 R4は、アルキル、シクロアルキル、アリールおよびアルケニルから選択される置換または非置換の基を表し、 RaおよびRbは、同じであっても異なっていてもよく、それぞれ、水素原子、またはアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、メタロセニルおよび−COR(式中、Rは、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルケニル、アルキルオキシ、シクロアルキルオキシおよびアリールオキシから選択される置換または非置換の基である)から選択される置換または非置換の基を表す)。

一般式(I)の化合物は、治療剤として、あるいはファインケミストリーのための試薬または中間体として有用であり得る。

α−アミノ酸は、ペプチドおよびタンパク質を構成するものであるため、重要な生物学的関心を与える。それらは生物において重要な役割を担っているため、化学者は、新しい生物学的特性または修飾されたペプチドを得るために、構造類似体を合成しようと努している。非天然アミノ酸の使用により、例えば、代謝および酵素サイクルの研究を行うことができる。非天然アミノ酸は、新薬の開発にも必要とされる。

天然アミノ酸の類似体を開発するための様々な戦略の中には、側鎖に不飽和を導入できるものがある。不飽和は、α炭素から多少離れていてもよい。本発明では、本出願人は、γ,δ−不飽和α−アミノ酸に関心の焦点を当てている。

アミノ酸に不飽和を導入するとは、新しい生物学的特性を誘発することができる構造的変更を意味する。特に、不飽和アミノ酸を含むペプチド鎖は、βターン構成を有する強固な二次構造を示す。そのような構造は、新薬の開発または生物活性分子の固定化の改善にとって興味深い。従って、不飽和アミノ酸は、修飾されたペプチドの合成にとって重要であり、生物学または医薬品化学において有用である。また、不飽和アミノ酸を医用画像または診断において有用な新しいマーカーの開発のために使用してもよい。

例えば、トランス−3,4−デヒドロアルギニンまたはリゾビトキシンなどのβ,γ−不飽和α−アミノ酸は、酵素阻害剤であることが分かっている。

不飽和アミノ酸は、2つの断片によって構成されたヘキサペプチドであるホモプシン(A)などの抗生物質の調製のためにも使用されている。断片Aは、β,γ−不飽和L−バリンである非古典的アミノ酸によってのみ構成されたシクロデジヒドロトリペプチドであり、断片Bは、環外骨格を有する直鎖状ジデヒドロトリペプチドである。

また、不飽和アミノ酸は、甘味料として、ポリアミド材料またはナノ材料において、界面活性剤として、あるいは植物衛生製品として有用なペプチド誘導体の調製のための用途も有し得る。

側鎖に不飽和を有するアミノ酸は、有機合成、特に、ディールス・アルダー反応、付加環化反応または触媒反応(ヒドロホルミル化、メタセシス、ヘックカップリング、鈴木・宮浦カップリング)にも使用される。特に、不飽和アミノ酸に対するメタセシス反応を使用して、より不飽和度の高い同族体を得てもよい。

また、抗ウイルス薬として有用な化合物であるノタポジチンBの合成の場合または脂肪酸の1種であるα−アミノ−アラキドン酸の合成の場合のように、不飽和アミノ酸を生物学的関心の高い製品の全合成で使用してもよい。

さらに、不飽和アミノ酸を遷移金属によって官能化してもよく、得られた錯体を、医用画像のための造影剤として、治療薬として、合成中間体またはキラル触媒として使用してもよい。

アミノ酸の側鎖上に二重結合が存在することにより、アリール、アルキル、カリックスアレーニル(calixarenyl)、アジドまたはボロナト(boronato)基などの多種多様な化学基で分子をさらに官能化させることができ、従って、ハイスループット合成で有用な数多くの化合物を得ることができる。

文献に記載されている不飽和アミノ酸の合成のうち、パラジウム錯体によって触媒するか相間移動条件下でCα−Cβ炭素結合を形成することによるシッフ塩基のアリル化は、そのような化合物を得るために最も使用される方法のうちの1つである(スキーム1)。この戦略により、スキーム1に描かれているアンモニウム塩などの有機分子触媒の存在下で、アリルグリシン誘導体の高度に立体選択的な合成が可能となる。但し、この方法は、一部のアリル基にのみ適用され、用いられるのは、主にt−ブチルエステルを含むシッフ塩基である。従って、この方法は汎用的ではない。さらに、この方法で使用される反応物および触媒は、高価であったり調製が難しいものであったりする。

ヒドロキシ酸誘導体を用いる光延反応、β脱離反応、セリンの銅亜鉛(cuprozincic)誘導体の使用またはストレッカー反応などの不飽和アミノ酸の合成の他の経路が利用可能である。但し、上記合成は、収率が不確実であり、かつ立体選択性が保証されていない多くの工程を必要とする。特に、これらの方法は、試薬の損失を伴うことが多く、単一の化合物の合成を特に目的としている。従って、これらの方法は、一連の化合物の合成には適していない。セリンの銅亜鉛誘導体の場合、銅亜鉛製品の使用は難しく、基質に依存し、そのような試薬の取り扱いには専門知識が必要である。

γ,δ−不飽和アミノ酸の合成は、ウィッティヒ反応によっても想定される。しかし、今まで、アミノ酸部分に関わるウィッティヒ反応の例の記載はほとんどなかった。実際に、反応の塩基性条件は、ラセミ化を引き起こし、保護されていたとしてもアミノ酸の多官能性には適合しない。

ウィッティヒ反応による不飽和アミノ酸の合成の一例は、アスパラギン酸またはグルタミン酸から誘導されたアルデヒドを必要とする(Kokotos G., Padron J.M., Martin T., Gibbons W.A. and Martin V.S., J. Org. Chem., 1998, 63, 3741-3744)。

スキーム2に示すこの合成では、ホスホニウムイリドとグルタミン酸から誘導されたアルデヒドとのウィッティヒ反応により、酸およびアミン官能基の脱保護後に、鏡像異性的に純粋なα−アミノ−アラキドン酸が88%の収率で得られる。

グルタミン酸の代わりにアスパラギン酸で開始すると、この方法により、γ,δ−不飽和アミノ酸を得ることができる。しかし、この戦略は、汎用的でないという不都合を示す。実際に、アミノ酸の側鎖上の二重結合の後ろに異なる部分を導入するには、それぞれ対応するホスホニウム塩の合成が必要となる。従って、この方法は、ハイスループット合成のために多種多様な不飽和アミノ酸を合成するのには適していない。

スキーム3に描かれているItayaの先駆的な研究では、ウィッティヒ反応を必要とする他の方法が提案された(Itaya T. and Mizutani A., Tetrahedron Lett., 1985, 26(3), 347-350)。この例では、L−セリンで開始する7つの工程でホスホニウムクロリドを調製した。次いで、立体選択的な方法で、ホスホニウムクロリドをアルデヒドと反応させ、対応するβ,γ−不飽和アミノ酸を5%の収率で得た。

ワイブチンの合成に必要とされるこの特定の不飽和アミノ酸の合成に対するさらなる研究では、Itayaは、条件の多少の最適化により、ウィッティヒ反応の収率を適度な収率(<30%)まで高めた(Itaya T, Mizutani A. and Iida T., Chem. Pharm. Bull., 1991, 39(6), 1407-1414)。

従って、Itayaによって開発された方法では、ハイスループット合成において要求される満足な収率を得ることができない。さらに、Itayaによって使用される条件は強烈であり、その反応は、突然変異誘発物質であると疑われている溶媒のHMPTの存在下で行われる。

アミノ酸のホスホニウム塩誘導体で開始する不飽和アミノ酸の合成でウィッティヒ反応を使用するためのItayaの方法に代わる方法が、SibiおよびBaldwinによって提案された。

Sibiによって開発された方法は、ウィッティヒ反応の塩基性条件でのエステルの脱プロトン化を回避するために、アルコール中での還元によりアミノ酸のカルボン酸官能基を保護することにある(スキーム4)(Sibi M.P. and Renhowe P.A., Tetahedron Lett., 1990, 31(51), 7407-7410; Sibi M.P., Rutherford D., Renhowe P.A. and Li B., J. Am. Chem. Soc., 1999, 121, 7509-7516)。最初に、L−セリンをホスゲンによりオキサゾリジノン誘導体の中に保護する。次いで、その中間体を還元した後、ヨード誘導体に変換し、最終的にスキーム4に表すホスホニウム塩にする。ホスホニウム塩の脱プロトン化後に、このイリドをアルデヒドと反応させて不飽和の誘導体を得、次いで、これを加水分解してアミノアルコールにする。最終的に、重クロム酸ピリジニウム(PDC)による酸化後に、β,γ−不飽和アミノ酸が得られる。

Sibiによって開発された方法の不都合な点は、ホスゲンおよびクロム酸化剤を使用するということにある。他方で、この反応により、逆の絶対配置Dを有する不飽和アミノ酸が生じる。従って、不飽和L−アミノ酸の合成は、非常に高価なD−セリンを用いる必要がある。

ウィッティヒ反応によりγ,δ−不飽和アミノ酸を合成するためのBaldwinの方法は、L−セリンから誘導されたアジリジンを、安定化されたイリドおよびアルデヒドと連続的に反応させることにある(スキーム5)(Baldwin J.E., Adlington R.M. and Robinson N.G., JCS Chem. Com., 1987, 153-155; Baldwin J.E., Spivey A.C., Schofield C.J. and Sweeney J.B., Tetrahedron, 1993, 43, 6309-6330)。

Baldwinによって開発された合成の不都合な点の1つは、適切に保護されたアジリジンを最初に合成しなければならないということにある。アジリジンは非常に不安定であるため、この予備工程はなおさら容易ではない。さらに、エステル官能基による安定化されたイリドを必要とする反応は、あまり一般的でなく、適度な収率となる。この方法の別の欠点は、全ての生成物のγ位にエステル基が存在することである。

分子内ウィッティヒ反応では、オキサゾロン化合物で開始すると置換ピロリン誘導体が生じるとも言われている(スキーム6)(Clerici, F.; Gelmi, M. L.; Pocar, D.; Rondene, R. Tetrahedron 1995, 51, 9985)。この方法では、最初にオキサゾロン誘導体をトリフェニルビニルホスホニウムブロミドと反応させて、マイケル付加により、中間体のホスホニウム官能化オキサゾロン誘導体を得る。その反応物をメタノールおよび触媒としてのp−トルエンスルホン酸で失活させると、対応するアシルアミノメチルエステルが得られる。第2の工程では、この後者のホスホニウム塩を分子内ウィッティヒ反応に供して、期待のピロリン誘導体を得る。

Clericiらによって使用されたホスホニウムブロミドは、α炭素が第4級であるアミノ酸の誘導体であり、これは、ソープ・インゴールド(Thorpe Ingold)効果により環化を促進する。ウィッティヒ反応のために使用される条件は、強塩基および還流条件を使用するため厳しい。これらの条件はラセミ化条件であることが知られており、反応の立体選択性に関する本明細書には存在しない。

上に示すように、不飽和アミノ酸を得るための先行技術で知られている合成は、化合物のライブラリーの合成には適していない。すなわち、それらは、化合物に特異的であるか、複数の工程を必要とするか、立体選択的でないか、あるいは満足な収率が得られず、より一般には汎用性が欠如している。

従って、不飽和α−アミノ酸、特にγ,δ−不飽和アミノ酸のライブラリーの新しい合成方法の開発がなお必要とされている。そのような方法は、合成用途ならびにそれらの生物活性について試験することができる非天然アミノ酸の幅広いライブラリーが容易に得られる程十分に汎用的なものでなければならない。

本出願人によって開発されたリン化学に続いて、側鎖上に有機リン基または金属リン基を有するアミノ酸の合成に対して集中的な研究が行われた。これらの合成を契機に、本出願人は、ウィッティヒ反応またはウィッティヒ・ホーナー反応によるC=C二重結合の形成による不飽和アミノ酸の調製にそれらを適用する研究を開始した。

その結果、本出願人は、アスパラギン酸から誘導された一般式(II)のホスホニウム塩と各種化合物(IV)(前記化合物(IV)は、一般式RaCORbのケトンもしくはアルデヒド、または[Ra,Rb]−三置換トリオキサンなどのケトン誘導体、一般式RaRbC=NRcのイミンあるいは一般式RaRbC(OH)(SO3Na)の重亜硫酸塩の組み合わせである)とのウィッティヒ反応を必要とする、一般式(I)のγ,δ−不飽和アミノ酸の最適化された合成方法を見い出した(スキーム7)。

スキーム8に描かれているように、R1が水素原子とは異なる場合、化合物(I)は、一般式(I’)(式中、R5は水素原子ではない)に対応し、化合物(III)から生成された化合物(II’)から得られる。R1が水素原子である場合、化合物(I)は、一般式(I”)に対応し、化合物(II’)から生成された化合物(II”)から得られる。

化合物(I’)または(I”)をそれぞれ(II’)および(II”)から生成するために本出願人によって開発された方法は、R1基の性質に応じて特定の予備工程を必要とする。化合物(II’)は、ヨード誘導体(III)によるホスフィンP(R4)3の四級化により得られる。化合物(II”)は、化合物(II’)の酸官能基の脱保護により得られる。

有機合成における中間体としてのγ,δ−不飽和アミノ酸(I)の用途を探求した。特に、鈴木・宮浦カップリング、ディールス・アルダー反応、マイケル付加またはクリック化学における反応物として化合物(I)を使用することができる。化合物(I)は、医用画像、特にIRMまたはPETでの造影剤としての用途も有し得、かつ興味深い生理活性も示し得る。

本発明は、式(I)の化合物:

を製造するための方法であって、一般式(II)のホスホニウム塩:

(式中、 R1は、水素原子またはR5(式中、R5は、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルケニルから選択される置換または非置換の基である)を表し、 R2およびR3は、同じであっても異なっていてもよく、それぞれ、水素原子、またはアルキル、シクロアルキル、アリール、アルケニル、−COR(式中、Rは、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルケニル、アルキルオキシ、シクロアルキルオキシ、アリールオキシから選択される置換または非置換の基である)から選択される置換または非置換の基を表し、 R4は、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルケニルから選択される置換または非置換の基を表す)と、 化合物(IV)(ここでは、化合物(IV)は、式RaCORbのケトンもしくはアルデヒド、式RaRbC=NRcのイミン、[Ra,Rb]−三置換トリオキサンおよびRaRbC(OH)(SO3Na)からなる群から選択され、式中、RaおよびRbは、同じであっても異なっていてもよく、それぞれ、水素原子、またはアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、メタロセニルおよび−COR(式中、Rは、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルケニル、アルキルオキシ、シクロアルキルオキシおよびアリールオキシから選択される置換または非置換の基である)から選択される置換または非置換の基を表し、かつRcは、水素原子、アルキル、シクロアルキル、アリールまたは電子吸引基から選択される置換または非置換の基を表す)とを、 Cs2CO3、Li3PO4、NaH、K3PO4およびK2CO3を含む群から選択される弱塩基および相転移条件に適した溶媒の存在下で反応させることによりウィッティヒ反応を行い、それによって化合物(I)を得ることを含む方法に関する。

一実施形態によれば、本発明の方法は、ホスホニウム塩(II’)を反応させて化合物(I’)を得ることを含み、

(式中、Ra、Rb、R2、R3、R4およびR5は、上に定義したとおりである) 一般式(III)のヨード誘導体:

(式中、R2、R3およびR5は、上に定義したとおりである) により、ホスフィンP(R4)3(式中、R4は上に定義したとおりである)を四級化し、それによって式(II’)のホスホニウム塩を得ることを含む予備工程をさらに含む。

別の実施形態によれば、本発明の方法は、ホスホニウム塩(II”)を反応させて化合物(I”)を得ることを含み、

(式中、Ra、Rb、R2、R3およびR4は、上に定義したとおりである) 以下の2つの予備工程: a)一般式(III)のヨード誘導体:

(式中、R2、R3およびR5は、上に定義したとおりである) によるホスフィンP(R4)3の四級化(式中、R4は、上に定義したとおりである)により、式(II’)のホスホニウム塩:

(式中、R2、R3、R4およびR5は、上に定義したとおりである) を得る工程と、 b)ホスホニウム塩(II’)のカルボン酸官能基を脱保護し、式(II”)の対応するホスホニウム塩を得る工程と、 をさらに含む。

一実施形態によれば、R2は水素原子であり、R3はBoc基であり、R4はフェニルであり、R5はアリルである。

好ましい一実施形態によれば、弱塩基は、K3PO4、Cs2CO3またはK2CO3であり、より好ましくは、弱塩基はK3PO4である。

一実施形態によれば、相転移条件に適した溶媒は、クロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロベンゼン、ジクロロエタン、ジオキサンを含む群から選択され、好ましくはクロロベンゼンまたはジオキサンである。

一実施形態によれば、R1は、水素原子、アリル基およびベンジル基からなる群から選択される。

一実施形態によれば、R2は、水素原子またはBocであり、R3はBocである。

一実施形態によれば、ホスフィンP(R4)3は、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリフリルホスフィン、トリ(4−メトキシフェニル)ホスフィン、トリ(4−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィン、トリ(4−フルオロフェニルホスフィン)およびトリ(4−クロロフェニル)ホスフィンを含む群から選択され、好ましくはホスフィンP(R4)3は、トリフェニルホスフィンである。

一実施形態によれば、RaCORbは、ベンズアルデヒド、4−トリフルオロメチルベンズアルデヒド、4−ニトロベンズアルデヒド、4−シアノベンズアルデヒド、4−メトキシベンズアルデヒド、3,4−ジメトキシベンズアルデヒド、2−フルアルデヒド、3−フェニルプロパナール、パラホルムアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンズアルデヒド、カリックス−[4]−アレーンから誘導されたアルデヒド、フェロセンカルボキシアルデヒド、m−フタルジアルデヒド、トランス−シンナムアルデヒド、(E)−4−アジドフェニルプロパ−2−エナール、4−オキソ−2−ブテノアート、3−メチルブテナール、4−ニトロ−トランス−シンナムアルデヒド、チオフェンプロペナール、フリルプロペナール、およびトリフルオロメチルアセトフェノンを含む群から選択される。

一実施形態によれば、R5はアリル基であり、ここでは、化合物(II’)のカルボン酸官能基の脱保護をPd2(dba)3、dppeおよびHNEt2の存在下で行う。

本発明は、R2が水素であり、R3が一般式(III’):

(式中、R5は、上に定義したとおりである)のBoc基であるヨード誘導体(III)の製造方法であって、 − メタノールによるエステル化によりモノエステルに変換することにより、L−アスパラギン酸の側鎖の酸官能基を保護する工程と、 − アミノ官能基をBoc基で保護する工程と、 − 臭化物誘導体R5−Brの存在下でエステル化を行うことにより、残っている酸官能基を保護して、対応するジエステルを生成する工程と、 − アミノ官能基を第2のBoc基でさらに保護する工程と、 − DIBALを用いてアルデヒド内の末端エステルを還元する工程と、 − アルデヒド基をNaBH4でさらに還元して、N,O保護ホモセリン誘導体を生成する工程と、 − トリフェニルホスフィンおよびイミダゾールの存在下でヨウ素と反応させて、N−二保護アミノエステルを生成する工程と、 − CeCl3の存在下でNaIと反応させ、さらに加水分解して、N一保護化合物(III’)を得る工程と、 を含む方法にも関する。

本発明は、一般式(I)の化合物:

にも関し、式中、 RaおよびRbは、同じであっても異なっていてもよく、それぞれ、水素原子、またはアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、メタロセニルおよび−COR(式中、Rは、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルケニル、アルキルオキシ、シクロアルキルオキシおよびアリールオキシから選択される置換または非置換の基である)から選択される置換または非置換の基を表し、 R1は、水素原子またはR5(式中、R5はアルキル、シクロアルキル、アリール、アルケニルから選択される置換または非置換の基である)を表し、 R2およびR3は、同じであっても異なっていてもよくそれぞれ、水素原子、またはアルキル、シクロアルキル、アリール、アルケニル、−COR(式中、Rは、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルケニル、アルキルオキシ、シクロアルキルオキシ、アリールオキシから選択される置換または非置換の基である)から選択される置換または非置換の基を表すが、 R1がt−ブチルであり、かつ{R2、R3}が{H、PhF}または{PhF、H}である場合、{Ra、Rb}は、{H、−COOMe}、{−COOMe、H}、{H、−CO(CH2)nCH(NHPhF)(CO2tBu)(nは、1、2または3である)}または{−CO(CH2)nCH(NHPhF)(CO2tBu)(nは1、2または3である)、H}ではなく、 Raがアリール基、またはアリール置換基を含む基である場合、Rbは、アリール基、またはアリール置換基を含む基ではなく、 Raがホスフィノ、ホスホニルまたはホスホノ基によって置換された0〜3個の炭素原子を有する非置換もしくはアルキル置換のα,ω−アルキレンである場合、Rbは、水素、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アリールアルキル、アルケニルまたはアリールからなる群から選択されず、 R1が水素原子であり、かつ{R2、R3}が{H、H}である場合、{Ra、Rb}は{H、H}ではなく、 R1が水素原子であり、かつ{R2、R3}が{Troc、H}または{H、Troc}である場合、{Ra、Rb}は、{H、−CH=CH−CH(Me)2}または{−CH=CH−CH(Me)2、H}ではなく、 R1がメチル基であり、かつ{R2、R3}が{Boc、H}または{H、Boc}である場合、{Ra、Rb}は{H、H}ではなく、 R1がメチル基であり、かつ{R2,R3}が{H、H}である場合、{Ra、Rb}は、{H、−CH=CH−CH(Me)2}または{−CH=CH−CH(Me)2、H}ではない。

本発明は、一般式(II)の化合物:

にも関し、式中、 R1は、水素原子またはR5(式中、R5は、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルケニルから選択される置換または非置換の基である)を表し、 R2およびR3は、同じであっても異なっていてもよく、それぞれ、水素原子、またはアルキル、シクロアルキル、アリール、アルケニル、−COR(式中、Rは、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルケニル、アルキルオキシ、シクロアルキルオキシ、アリールオキシから選択される置換または非置換の基である)から選択される置換または非置換の基を表し、 R4は、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルケニルから選択される置換または非置換の基を表す。

本発明は、一般式(III)の化合物:

にも関し、式中、 R2およびR3は、同じであっても異なっていてもよく、それぞれ、水素原子、またはアルキル、シクロアルキル、アリール、アルケニル、−COR(式中、Rは、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルケニル、アルキルオキシ、シクロアルキルオキシ、アリールオキシから選択される置換または非置換の基である)から選択される置換または非置換の基を表し、 R5は、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルケニルから選択される置換または非置換の基を表すが、 R5がメチルである場合、R2およびR3はどちらもBoc基ではなく、 R5がベンジルである場合、{R2、R3}は、{H、Boc}または{Boc、H}ではなく、 R5がエチルである場合、{R2、R3}は、{H、C(=O)−O−CH2−Ph}または{C(=O)−O−CH2−Ph、H}ではない。

本発明は、2種以上の上記式(I)の化合物のライブラリーにも関する。

定義 本発明では、以下の用語は、以下の意味を有する。

「アルキル」とは、1〜12個の炭素原子、好ましくは1〜6個の炭素原子、を有するあらゆる飽和の直鎖状もしくは分岐鎖状炭化水素鎖、より好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチルおよびtert−ブチルを指す。アルキル基は、置換もしくは非置換のアリール基で置換されていてもよい。

「シクロアルキル」とは、シクロプロピル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルなどの置換もしくは非置換の環式アルキル置換基を指す。

「アリール」とは、1つ以上の芳香族環を有する(2つの環が存在する場合は、ビアリールと呼ぶ)、炭素原子数5〜20、好ましくは6〜12の単環系または多環系を指し、そのうち、フェニル基、ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、テトラヒドロナフチル基、インダニル基およびビナフチル基を挙げることができる。アリールという用語は、酸素、窒素または硫黄原子から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含むあらゆる芳香族環も意味する。アリール基は、ヒドロキシル基、1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を含む置換もしくは非置換の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキル基、特にメチル、エチル、プロピル、ブチル、シクロアルキル基、アルカノイル、アリールアルキル、アラルキルオキシ、アルコキシ基、ハロゲン原子、特に臭素、塩素およびヨウ素、ニトロ基、シアノ基、アジド基、アルデヒド基、ボロナト基、フェニル、トリフルオロメチル(CF3)、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、SO2NRR’、NRR’、COOR(式中、RおよびR’はそれぞれ独立して、Hおよびアルキルからなる群から選択される)、上記のように置換されていてもよい第2のアリール基の中から互いに独立して選択された1〜3個の置換基によって置換されていてもよい。

「アルキルオキシ」とは、あらゆるO−アルキル基を指す。

「シクロアルキルオキシ」とは、あらゆるO−シクロアルキル基を指す。

「アリールオキシ」とは、あらゆるO−アリール基を指す。

「アルケニル」とは、炭素原子数2〜12、好ましくは炭素原子数2〜6の少なくとも1つの二重結合を有するあらゆる直鎖状もしくは分岐鎖状炭化水素鎖を指す。アルケニル基は、置換もしくは非置換のアリール基で置換されていてもよい。

「メタロセニル」とは、2個のシクロペンタジエニル基で挟まれた金属を含む基を指す。

「Boc」とは、ペプチド合成においてα−アミノ基を保護するために通常使用されるtert−ブチルオキシカルボニルを指す。

「電子吸引基」とは、限定されるものではないが、エステル基、トシル基またはホスホニル基などの電子を引きつける能力を有する官能基を指す。

数字の前の「約」は、前記数字の値の±10%を意味する。

上に述べた反応のいずれにおいても、基質分子内のあらゆる反応基を従来の化学実務に従って保護し得ることが分かる。上に述べた任意の反応における好適な保護基は、当該技術分野で従来から使用されているものである。そのような保護基の形成および除去方法は、保護されている分子に適当なそれらの従来の方法である。

ウィッティヒ反応によるγ,δ−不飽和アミノ酸(I)の合成

本発明では、一般式(I)のγ,δ−不飽和α−アミノ酸は、一般式(II)のホスホニウム塩と化合物(IV)とのウィッティヒ反応によって得られ、前記化合物(IV)は、一般式RaCORbのケトンもしくはアルデヒドまたは[Ra,Rb]−三置換トリオキサンなどのケトン誘導体、一般式RaRbC=NRcのイミンあるいは一般式RaRbC(OH)(SO3Na)の重亜硫酸塩の組み合わせ(bisulfitic combination)である。

ウィッティヒ反応のための古典的な条件では、ホスホニウム塩、アルデヒドまたはケトンおよび強塩基を必要とする。従って、本出願人は、強塩基としてt−BuLi、LDAまたはLiHMDSを用いて古典的な条件で化合物(I)の合成を最初に行った。驚くべきことに、化合物(I)が10〜30%の収率で得られ、場合によっては、部分ラセミ化が生じた。化合物(I)のライブラリーの合成方法の開発の観点から、これらの結果の最適化が必要であるとみなされた。

集中的な研究の結果、本出願人は、弱塩基の使用と組み合わせた相間移動条件により、50%を超える(多くの場合70%を超える)収率で、たとえ生じたとしても非常に僅かなラセミ化が生じるという興味深い結果が得られることを見い出した。ウィッティヒ反応中に化合物(II)から形成されるホスホニウムイリドは不安定であり、また、弱塩基を必要とするウィッティヒ反応は、安定化されたイリドでのみ可能であると通常認められているため、これらの結果はなおさら驚きである。

従って、本発明は、式(I)の化合物の製造方法であって、一般式(II)のホスホニウム塩:

(式中、 R1は、水素原子またはR5(式中、R5は、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルケニルから選択される置換または非置換の基である)を表し、 R2およびR3は、同じであっても異なっていてもよく、それぞれ、水素原子、またはアルキル、シクロアルキル、アリール、アルケニル、−COR(式中、Rは、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルケニル、アルキルオキシ、シクロアルキルオキシ、アリールオキシから選択される置換または非置換の基である)から選択される置換または非置換の基を表し、 R4は、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルケニルから選択される置換または非置換の基を表す)と、 式RaCORbのケトンもしくはアルデヒド、式RaRbC=NRcのイミン、[Ra,Rb]−三置換トリオキサンおよびRaRbC(OH)(SO3Na)からなる群から選択される化合物(IV)(式中、RaおよびRbは、同じであっても異なっていてもよく、それぞれ、水素原子、またはアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、メタロセニルおよび−COR(式中、Rは、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルケニル、アルキルオキシ、シクロアルキルオキシおよびアリールオキシから選択される置換または非置換の基である)から選択される置換または非置換の基を表し、かつRcは、水素原子、アルキル、シクロアルキル、アリールまたは電子吸引基から選択される置換または非置換の基を表す)とを、 弱塩基および相転移条件に適した溶媒の存在下で反応させることによりウィッティヒ反応を行い、それによって化合物(I)を得ることを含む方法に関する。

一実施形態によれば、1〜10当量、好ましくは1〜5当量の化合物(IV)の存在下で化合物(I)の合成を行う。一実施形態によれば、1.5当量の化合物(IV)の存在下で化合物(I)の合成を行う。別の実施形態によれば、1.2当量の化合物(IV)の存在下で化合物(I)の合成を行う。別の実施形態によれば、2当量の化合物(IV)の存在下で化合物(I)の合成を行う。

好ましい実施形態によれば、化合物(IV)はアルデヒドである。好ましい実施形態によれば、化合物(IV)は、ベンズアルデヒド、4−トリフルオロメチルベンズアルデヒド、4−ニトロベンズアルデヒド、4−シアノベンズアルデヒド、4−メトキシベンズアルデヒド、3,4−ジメトキシベンズアルデヒド、2−フルアルデヒド、3−フェニルプロパナール、パラホルムアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンズアルデヒド、カリックス−[4]−アレーンから誘導されたアルデヒド、フェロセンカルボキシアルデヒド、m−フタルジアルデヒド、トランス−シンナムアルデヒド、(E)−4−アジドフェニルプロパ−2−エナール、4−オキソ−2−ブテノアート、3−メチルブテナール、4−ニトロ−トランス−シンナムアルデヒド、チオフェンプロペナール、フリルプロペナールを含む群から選択される。

別の実施形態によれば、化合物(IV)はケトンである。好ましい実施形態によれば、化合物(IV)は、トリフルオロメチルアセトフェノンである。

一実施形態によれば、塩基の存在下で化合物(I)の合成を行う。一実施形態によれば、塩基は、n−BuLi、t−BuLi、リチウムジイソプロピルアミン(LDA)、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(LiHMDS)、KHMDS、NaHMDS、sec−BuLi、PhLiを含む群から選択される強塩基である。別の実施形態によれば、塩基は、Cs2CO3、Li3PO4、NaH、K3PO4、K2CO3を含む群から選択される弱無機塩基である。好ましい実施形態によれば、塩基はK3PO4である。特定の実施形態によれば、上記弱塩基はNEt3ではない。

一実施形態によれば、1〜10当量の塩基の存在下で化合物(I)の合成を行う。一実施形態では、2〜6、好ましくは6当量の塩基の存在下で化合物(I)の合成を行う。別の実施形態では、1〜2当量の塩基、好ましくは1.2当量の塩基の存在下で上記合成を行う。

一実施形態によれば、化合物(I)の合成に使用される塩基は、固体または液体の形態である。好ましい実施形態によれば、上記塩基は固体の形態である。

一実施形態によれば、無水条件で化合物(I)の合成を行う。別の実施形態によれば、1当量未満の水、好ましくは約0.8当量の水の存在下で化合物(I)の合成を行う。

一実施形態によれば、テトラヒドロフラン、エタノール、ジメチルホルムアミド、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、ジオキサン、ジメチルエーテル(DME)、エチレングリコールエーテル、プロピレングリコールエーテル、ダイグライムを含む群から選択される溶媒中で化合物(I)の合成を行う。一実施形態によれば、通常、相間移動条件に適した溶媒中で化合物(I)の合成を行う。好ましい実施形態によれば、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、ジオキサンを含む群から選択される溶媒中で化合物(I)の合成を行う。好ましい実施形態によれば、使用される溶媒はクロロベンゼンである。別の好ましい実施形態によれば、使用される溶媒はジオキサンである。

一実施形態によれば、25〜140℃、好ましくは50〜120℃、より好ましくは90℃の温度で化合物(I)の合成を行う。

一実施形態によれば、化合物(I)の合成を1〜48時間、好ましくは12〜24時間、より好ましくは12時間行う。

好ましい実施形態によれば、6当量のK3PO4および1.5当量のアルデヒドを用い、反応系を90℃で一晩加熱することにより、無水条件で溶媒としてのクロロベンゼン中で化合物(I)の合成を行う。

別の好ましい実施形態によれば、6当量のK3PO4および1.2当量のアルデヒドを用い、反応系を90℃で一晩加熱することにより、無水条件で溶媒としてのジオキサン中で化合物(I)の合成を行う。

一実施形態によれば、化合物(I)の合成の収率は、10〜100%、好ましくは50〜100%である。

一実施形態によれば、化合物(I)の合成は立体選択的である。

一実施形態によれば、クロマトグラフ法または再結晶化を用いて、化合物(I)を精製する。

水素原子とは異なるR1を有する化合物(I):(I’)

本発明の特定の実施形態では、置換基R1は、水素原子とは異なる。この具体的な事例では、化合物(I)は、R5が上に定義したとおりである具体的な一般式(I’)を有する。化合物(I’)は、上記のように、特定の式(II’)のホスホニウム塩からウィッティヒ反応によって得られる。

一実施形態では、ホスホニウム塩(II’)は、ホスフィンP(R4)3(式中、R4は、上に定義したとおりである)を一般式(III)(式中、R2、R3およびR5は、上に定義したとおりである)のヨード誘導体で四級化することにより得られる。

好ましい実施形態によれば、R5は、アリルまたはベンジルであり、より好ましくはアリルである。別の好ましい実施形態によれば、R2およびR3はそれぞれBoc基である。別の好ましい実施形態によれば、R2は水素原子であり、R3はBoc基である。

好ましい実施形態によれば、ホスフィンP(R4)3は、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリフリルホスフィン、トリ(4−メトキシフェニル)ホスフィン、トリ(4−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィン、トリ(4−フルオロフェニルホスフィン)、トリ(4−クロロフェニル)ホスフィンを含む群から選択される。非常に好ましい実施形態によれば、ホスフィンP(R4)3はトリフェニルホスフィンである。

一実施形態によれば、2〜5当量、好ましくは2〜3当量、より好ましくは2当量のホスフィンP(R4)3の存在下で化合物(II’)の合成を行う。

一実施形態によれば、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、クロロホルム、アセトンまたはそれらの混合物を含む群から選択される溶媒中で化合物(II’)の合成を行う。別の実施形態によれば、溶媒なしで化合物(II’)の合成を行う。

一実施形態によれば、70〜120℃、好ましくは70〜90℃、より好ましくは80℃の温度で化合物(II’)の合成を行う。

一実施形態によれば、化合物(II’)の合成を1〜24時間、好ましくは1〜4時間、より好ましくは2時間行う。

一実施形態によれば、クロマトグラフ法または再結晶化を用いて、化合物(II’)を精製する。

好ましい実施形態によれば、R4はフェニルである。

好ましい実施形態によれば、R4がフェニルである場合、2.5当量のPPh3を用い、80℃で2時間加熱することにより、溶媒なしで、対応する化合物(II’)の合成を行う。

一実施形態によれば、化合物(II’)の合成は立体選択的である。

一実施形態によれば、化合物(II’)の合成の収率は、30〜80%、好ましくは40〜70%である。

R1が水素原子である化合物(I):(I”)

本発明の特定の実施形態では、置換基R1は水素原子である。この具体的な事例では、化合物(I)は一般式(I”)を有し、上記のように、特定の式(II”)のホスホニウム塩からウィッティヒ反応により得られる。

一実施形態では、ホスホニウム塩(II’)のカルボン酸官能基を脱保護することにより、ホスホニウム塩(II”)が得られる。上記のように、保護されたホスホニウム塩(II’)を得てもよい。

好ましい実施形態によれば、R2およびR3はそれぞれBoc基である。別の好ましい実施形態によれば、R2は水素原子であり、R3はBoc基である。

特定の実施形態では、化合物(II’)の置換基R5はアリル基である。本実施形態では、ジエチルアミンでの脱アリル化により、化合物(II’)のカルボン酸官能基の脱保護を行う。好ましい実施形態によれば、脱アリル化をジエチルアミンで行い、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(dppe)の存在下でトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd2(dba)3)で触媒する。一実施形態によれば、上記触媒は、2.5モル%のPd2(dba)3の存在下で得られる。好ましい実施形態によれば、Guibe, F. Tetrahedron, 1998, 54, 2967-3042に記載されている条件で、脱アリル化を行う。

一実施形態によれば、THF、ジオキサン、ベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、DMF、トルエンを含む群から選択される溶媒中で脱アリル化を行う。

一実施形態によれば、0〜50℃、好ましくは25℃の温度で脱アリル化を行う。

一実施形態によれば、脱アリル化を4〜48時間、好ましくは12〜24時間行う。

一実施形態によれば、脱アリル化の収率は、30〜90%、好ましくは50〜90%である。

別の実施形態によれば、フェニルシランによる脱アリル化反応により、化合物(II’)のカルボン酸官能基の脱保護を行う。好ましい実施形態によれば、脱アリル化をフェニルシランで行い、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)(Pd(PPh3)4)で触媒する。一実施形態によれば、上記触媒は、3.5モル%のPd(PPh3)4の存在下で得られる。好ましい実施形態によれば、Vazquez M.E., Blanco J.B. and Imperiali B., J. Am. Chem. Soc. 2005, 127, 1300-1306に記載されている手順に従って、脱アリル化を行う。

一実施形態によれば、化合物(II”)の鏡像異性体純度は、Hebbe V., Londez A., Goujon-Gonglinger C., Meyer F., Uziel J., Juge S. and Lacour J., Tetrahedron Lett., 2003, 44, 2467-2471に記載されている条件で、市販の錯化剤(M,R)−BINPHATの存在下で、ラセミ試料と比較して、31P NMRで決定する。

一実施形態によれば、化合物(II”)の合成は立体選択的である。

一実施形態によれば、クロマトグラフ法または再結晶化を用いて、化合物(II”)を精製する。

N保護γ−ヨードアミノエステル(III)の合成 本発明の特定の実施形態では、R2は水素原子であり、R3はBoc基であり、化合物(III)は一般式(III’)の化合物である。この場合、対応するヨード誘導体(III’)をスキーム12に従って合成してもよい。

本発明の好ましい実施形態によれば、スキーム12に係るL−アスパラギン酸から開始して、20〜40%の全収率で、ヨード誘導体(III)を調製する。

本実施形態によれば、第1の工程は、メタノールによるエステル化によりモノエステルに変換することにより、L−アスパラギン酸の側鎖の酸官能基を保護することにある(Brown F.K., Brown P.J., Bickett D.B., Chambers C.L., Davies H.G., Deaton D.N., Drewry D., Foley M., McElroy A.B., Gregson M., McGeehan G.M., Myers P.L., Norton D., Salovich J.M., Schoenen F.J., Ward P., J. Med. Chem., 1994, 37, 674-688)。

第2の工程は、t−ブチルオキシカルボニル基によるアミノ基の保護にある(Ramalingam K. and Woodard R.W., J. Org. Chem., 1988, 53, 1900-1903)。

第3の工程は、臭化物誘導体R5−Brの存在下でのエステル化により、残っている酸官能基を保護して、対応するジエステルを生成することにある(Stein K.A. and Toogood P.L., J. Org. Chem., 1995, 60, 8110-8112)。

N保護γ−ヨードアミノエステル(III’)は、文献(Adamczyk M., Johnson D. and Reddy R.E., Tetrahedron: Asymmetry, 2000, 11, 3063-3068)に記載されている戦略に従った4つの追加の工程後に得られる。最初に、アミノ基をBoc2Oでさらに保護する。次いで、DIBALを用いて、末端エステルをアルデヒドに還元する。NaBH4でさらに還元することにより、N,O保護ホモセリン誘導体が得られる。最終的に、トリフェニルホスフィンおよびイミダゾールの存在下でヨウ素と反応させることにより、ヨードアミノエステルが得られる。

最終工程は、CeCl3・7H2Oの存在下でのNaIの反応およびさらなる加水分解により、N,N−二保護γ−ヨードアミノエステルを、対応するN一保護γ−ヨードアミノエステル(III’)に変換することにある(Yadav J.S., Dubba Reddy B.V. and Reddy K.S., Synlett, 2002, 3, 468-470)。

一実施形態によれば、キラルカラムを用いたHPLCにより、N保護γ−ヨードアミノエステルおよびN一保護γ−ヨードアミノエステル(III’)を分析して、全てのこれらの合成工程中にラセミ化が生じていないことを確認する。

化合物(I)の用途 有機合成における中間体としてのγ,δ−不飽和アミノ酸(I)の用途を探求した。特に、化合物(I)は、鈴木・宮浦カップリング、ディールス・アルダー反応、マイケル付加またはクリック化学における反応物として使用することができる。化合物(I)は、医用画像、特にIRMまたはPETでの造影剤としての用途も有し得、興味深い生理活性も示し得る。

以下の実施例によって本発明をさらに例示するが、これらは、例示としてのみ提供されており、本発明の範囲を限定するものと見なされるべきではない。

A.概略 材料および方法 移動相としてヘキサン/プロパン−2−オール混合物を用い(流速1mL/分、UV検出λ=254nm)、キラルカラム(Chiralcel OD-H、Chiralcel AD、Chiralcel OJ、Lux 5μm cellulose-2)を用いて、SHIMADZU10シリーズ装置でキラルHPLC分析を行った。0.25mmのE.Merck社製プレコートシリカゲルプレート上で薄層クロマトグラフィー(TLC)を行い、UV、過マンガン酸カリウム、ニンヒドリンまたはヨウ素処理によって呈色させた。シリカゲル60A(35〜70μm、Acros社)または標準化酸化アルミニウム90(Merck社)を用い、指示されている溶媒を用いて、フラッシュクロマトグラフィーを行った。周囲温度で、BRUKER AVANCE300、500および600分光計を用いて、全てのNMRスペクトルデータを記録した。データは、s=一重線、d=二重線、t=三重線、q=四重線、m=多重線、brs=幅広い一重線、brd=幅広い二重線、dhept=七重線(heptuplet)の二重線、結合定数(単位:ヘルツ(Hz))で報告する。Kofler bench融点測定装置で融点を測定し、補正しなかった。10cmの石英容器を用い、Perkin-Elmer 341旋光計を用いて、旋光度を20℃で記録した。Bruker Vector 22装置を用いて赤外線スペクトルを記録した。ブルゴーニュ大学(Universite de Bourgogne)(ディジョン)において、Mass, Bruker ESI micro TOF-Q装置を用いて、質量およびHRMSスペクトルを記録した。ブルゴーニュ大学の微量分析研究所(Microanalysis Laboratories)(Analyseur CHNS/O Thermo Electron Flash EA 1112 Serie)で、0.3%を超える精度で元素分析値を測定した。

B. N保護γ−ヨードアミノエステル(III)の合成 B.1. (S)−2−(t−ブチルオキシカルボニルアミノ)−4−ヨードブタン酸アリル(III’)の合成 B.1.1. (S)−アスパラギン酸メチルモノエステル塩酸塩(chlorhydrate)の合成

26mLの乾燥メタノールに入れた3.8mL(41.2mmol)のSOCl2に、5gのL−アスパラギン酸(37.6mmol)を−10℃で添加した。混合物を2時間室温で撹拌し、75mLのジエチルエーテルを添加した。白色の固体を濾過し、2×50mLのジエチルエーテルで洗浄して、(S)−アスパラギン酸メチルモノエステル塩酸塩を85%の収率で得た。白色の固体。1H NMR (300 MHz, DMSO): δ (ppm) = 3.05 (dd, J = 3.4, 4.7 Hz, 2H, CH2), 3.78 (s, 3H, OCH3), 4.31-4.35 (m, 1H, CHN).

B.1.2. 2−(S)−(t−ブチルオキシカルボニルアミノ)−(メトキシカルボニル)ブタン酸の合成

3.74g(20.5mmol)の(S)−アスパラギン酸メチルモノエステル塩酸塩の85mLのジオキサン/H2O(2:1)混合物溶液に、2.21g(20.8mmol)のNa2CO3を0℃で添加した。30分後、2.21g(20.8mmol)のNa2CO3および5g(25.7mmol)のBoc2Oを混合物に添加し、これを室温で一晩撹拌した。溶媒を減圧濃縮し、残留物を混合物の氷水溶液(60mL)の中に入れた。水層を2×25mLのジエチルエーテルで洗浄し、pHが3になるまで100mLのNaHSO4(1M)で酸性化した。水層をジエチルエーテル(3×75mL)で抽出し、有機層をMgSO4で乾燥した。濾過および濃縮後に、残留物を、溶離液として酢酸エチルを用いるクロマトグラフィーで精製して、2−(S)−(t−ブチルオキシカルボニルアミノ)−(メトキシカルボニル)ブタン酸を75%の収率で得た。白色の固体、Rf:0.50(酢酸エチル)、[α]D=+28.6(c=0.3、CHCl3)。IR (cm-1): 3429 (N-H), 2979 (C-H), 1714 (C=O), 1509, 1438, 1394, 1367, 1156, 1057, 1026, 843, 780, 734。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 1.42 (s, 9H, CH3), 2.82 (dd, J = 4.8, 17.2 Hz, 1H, CH2), 3.02 (dd, J = 17.2, 4.1 Hz, 1H, CH2), 3.69 (s, 3H, OCH3), 4.59-4.62 (m, 1H, CHN), 5.57 (d, J = 8.5 Hz, 1H, NHBoc), 10.8 (sl, 1H, COOH)。13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 28.2 (CH3), 36.4 (CH2), 49.7 (CHN), 52.1 (OCH3), 80.5 (C(CH3)3), 155.6 (COO), 171.6 (COO), 175.8 (COO)。C10H17NO6 (337.15)についての分析計算値:C 48.58, H 6.93, N 5.67; 実測値:C 48.64, H 7.04, N 5.68.

B.1.3. (S)−2−(t−ブチルオキシカルボニルアミノ)−4−(メトキシカルボニル)ブタン酸アリルの合成

5.62g(22.7mmol)の2−(S)−(t−ブチルオキシカルボニルアミノ)−(メトキシカルボニル)ブタン酸の70mLのDMF溶液に、7.53g(54.5mmol)のK2CO3および3.9mL(45.4mmol)の臭化アリルをアルゴン下で導入した。一晩撹拌した後、70mLの水を添加し、水層を3×75mLの酢酸エチルで抽出した。有機層をMgSO4で乾燥し、溶媒を蒸発させて残留物を得、これを、石油エーテル/酢酸エチル(4:1)の混合物を溶離液として用いるクロマトグラフィーで精製した。化合物(S)−2−(t−ブチルオキシカルボニルアミノ)−4−(メトキシカルボニル)ブタン酸アリルを79%の収率で単離した。無色の油、Rf:0.29(酢酸エチル/石油エーテル=2:8)、[α]D=+17.7(c=0.7、CHCl3)。IR (cm-1): 3370 (N-H), 2980 (C-H), 1716 (C=O), 1502, 1439, 1367, 1339, 1286, 1246, 1209, 1161, 1049, 1026, 992。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 1.41 (s, 9H, CH3), 2.79 (dd, J = 17.0, 4.7 Hz, 1H, CH2), 2.98 (dd, J = 17.1, 4.6 Hz, 1H, CH2), 3.65 (s, 3H, OCH3), 4.53-4.57 (m, 1H, CHN), 4.60 (dt, J = 1.3, 5.7 Hz, 2H, OCH2), 5.20 (dq, J = 1.2, 10.4 Hz, 1H, CH2=), 5.28 (dq, J = 1.4, 17.2 Hz, 1H, CH2=), 5.79-5.92 (m, 1H, CH=)。13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 28.3 (CH3), 36.6 (CH2), 50.0 (CHN), 52.0 (OCH3), 66.2 (OCH2), 80.1 (C(CH3)3), 118.6 (CH2=), 131.5 (CH=), 155.4 (COO), 170.7 (COO), 171.4 (COO)。C13H21NO6(227.14)についての分析計算値: C 54.35, H 7.37, N 4.88; 実測値: C 54.50, H 7.38, N 4.93.

B.1.4. (S)−2−[ビス(t−ブチルオキシカルボニル)アミノ]−4−(メトキシカルボニル)ブタン酸アリルの合成

4.86g(16.9mmol)のジエステルである(S)−2−(t−ブチルオキシカルボニルアミノ)−4−(メトキシカルボニル)ブタン酸アリルの80mLのアセトニトリル溶液に、アルゴン下で643mg(5.2mmol)のDMAPおよび9.3g(42.6mmol)のBoc2Oを連続的に添加した。室温で一晩撹拌した後、溶媒を真空除去し、残留物を、酢酸エチル/石油エーテル(1:4)混合物を用いるクロマトグラフィーで精製して、ジエステルであるN,N−二保護(S)−2−[ビス(t−ブチルオキシカルボニル)アミノ]−4−(メトキシカルボニル)ブタン酸アリルを88%の収率で得た。無色の油、Rf:0.32(酢酸エチル/石油エーテル=1:4)、[α]D=−54.1(c=0.7、CHCl3)。IR (cm-1): 2982-2954 (C-H), 1742 (C=O), 1702 (C=O), 1458, 1439, 1368, 1314, 1269, 1243, 1168, 1142, 1116, 993, 934。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 1.47 (s, 18H, CH3), 2.71 (dd, J = 16.4, 8.5 Hz, 1H, CH2), 3.23 (dd, J = 7.1, 16.4 Hz, 1H, CH2), 3.67 (s, 3H, OCH3), 4.59 (dt, J = 1.3, 5.6 Hz, 2H, OCH2), 5.19 (dq, J = 1.3, 10.5 Hz, 1H, CH2=), 5.28 (dq, J = 1.5, 17.2 Hz, 1H, CH2=), 5.42-5.47 (m, 1H, CHN), 5.79-5.90 (m, 1H, CH=)。13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 27.9 (CH3), 35.6 (CH2), 51.9 (CHN), 55.0 (OCH3), 66.1 (OCH2), 83.5 (C(CH3)3), 118.3 (CH2=), 131.5 (CH=), 151.6 (COO), 169.5 (COO), 171.0 (COO)。C18H28NO8(387.19)についての分析計算値: C 55.80, H 7.54, N 3.62; 実測値: C 56.16, H 7.75, N 3.53.

B.1.5. (S)−2−[ビス(t−ブチルオキシカルボニル)アミノ]−4−オキソブタン酸アリルの合成

2g(5.2mmol)のジエステルである(S)−2−[ビス(t−ブチルオキシカルボニル)アミノ]−4−(メトキシカルボニル)ブタン酸アリルの60mLの蒸留したジエチルエーテル溶液に、8.2mL(8.2mmol)のDIBALをアルゴン下−78℃で導入した。混合物を−78℃で1時間撹拌し、10mLの蒸留水で0℃で加水分解した。5分後、混合物をセライトで濾過し、3×25mLのジエチルエーテルで洗浄した。溶媒を除去した後、粗製生成物を真空下で乾燥して、アルデヒドである(S)−2−[ビス(t−ブチルオキシカルボニル)アミノ]−4−オキソブタン酸アリルおよび微量の対応するアルコールを得た。この粗製の混合物を、NaBH4による第2の還元のために直接使用した。無色の油、Rf:0.45(酢酸エチル/石油エーテル=2:8)。

B.1.6. (S)−2−[ビス(t−ブチルオキシカルボニル)アミノ]−4−ヒドロキシブタン酸アリルの合成

1.83g(5.1mmol)のアルデヒドである(S)−2−[ビス(t−ブチルオキシカルボニル)アミノ]−4−オキソブタン酸アリルの50mLのTHF/H2O(4:1)混合物溶液に、225mg(5.9mmol)のNaBH4をアルゴン下で添加した。混合物を0℃で30分間撹拌し、水層を3×75mLの酢酸エチルで抽出した。有機層をMgSO4で乾燥し、濾過および濃縮した。粗製生成物を、溶離液として酢酸エチル/石油エーテル(2:8、次いで3:7、次いで5:5)を用いるクロマトグラフィーで精製して、ホモセリン誘導体である(S)−2−[ビス(t−ブチルオキシカルボニル)アミノ]−4−ヒドロキシブタン酸アリルを71%の収率で得た。無色の油、Rf:0.31(酢酸エチル/石油エステル=1:2)、[α]D=−27.9(c=0.7、CHCl3)。IR (cm-1): 3524 (OH), 2980-2934 (C-H), 1740 (C=O), 1700 (C=O), 1457, 1368, 1272, 1254, 1144, 1119, 1049, 989, 930, 855。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 1.47 (s, 18H, CH3), 1.97-2.07 (m, 1H, CH2), 2.36-2.44 (m, 1H, CH2), 3.54-3.61 (m, 1H, CH2OH), 3.68-3.73 (m, 1H, CH2OH), 4.59 (dt, J = 1.4, 5.5 Hz, 2H, OCH2), 4.99 (dd, J = 4.7, 9.8 Hz, 1H, CHN), 5.20 (dq, J = 1.3, 10.4 Hz, 1H, CH2=), 5.30 (dq, J = 1.5, 17.2 Hz, 1H, CH2=), 5.81-5.92 (m, 1H, CH=)。13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 27.9 (CH3), 32.8 (CH2), 55.6 (CHN), 59.0 (CH2OH), 65.8 (OCH2), 83.6 (C(CH3)3), 118.2 (CH2=), 131.7 (CH=), 152.5 (COO), 170.5 (COO)。C17H29NO4(359.19)についての分析計算値: C 56.81, H 8.13, N 3.90; 実測値: C 56.52, H 8.32, N 3.93.

B.1.7. (S)−2−[ビス(t−ブチルオキシカルボニル)アミノ]−4−ヨードブタン酸アリル(IIIa)の合成

1.33g(3.7mmol)のホモセリン誘導体である(S)−2−[ビス(t−ブチルオキシカルボニル)アミノ]−4−ヒドロキシブタン酸アリルの20mLの乾燥THF溶液を入れたフラスコに、600mg(8.8mmol)のイミダゾールを添加した。1.52g(5.8mmol)のPPh3の15mLの乾燥THFを入れた第2のフラスコに、1.55g(6.1mmol)のヨウ素を添加した。次いで、先の溶液を添加し、得られた混合物を室温で2時間撹拌した。次いで、反応混合物を100mLの20%NaCl水溶液で加水分解した。水層を3×50mLの酢酸エチルで抽出した。MgSO4で乾燥した後、濾過および濃縮し、粗製生成物を、酢酸エチル/石油エーテル(1:9、次いで8:2)混合物を用いるクロマトグラフィーで精製して、ヨードアミノエステルである(S)−2−[ビス(t−ブチルオキシカルボニル)アミノ]−4−ヨードブタン酸アリル(IIIa)を91%の収率で得た。淡黄色の油、Rf:0.75(酢酸エチル/石油エーテル=1:9)、[α]D=−44.6(c=0.7、CHCl3)。IR (cm-1): 2981-2936 (C-H), 1747 (C=O), 1704 (C=O), 1479, 1457, 1368, 1236, 1171, 1131, 988, 930, 853。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 1.52 (s, 18H, CH3), 2.36-2.48 (m, 1H, CH2), 2.66-2.78 (m, 1H, CH2), 3.16-3.25 (m, 2H, CH2I), 4.63 (dt, J = 1.4, 5.5 Hz, 2H, OCH2), 5.03 (dd, J = 5.5, 8.5 Hz, 1H, CHN), 5.24 (dq, J = 1.3, 10.5 Hz, 1H, CH2=), 5.33 (dq, J = 1.5, 17.2 Hz, 1H, CH2=), 5.84-5.97 (m, 1H, CH=)。13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 0.0 (CH2I), 26.2 (CH3), 32.6 (CH2), 52.8 (CHN), 64.1 (OCH2), 87.7 (C(CH3)3), 116.5 (CH2=), 129.8 (CH=), 150.2 (COO), 167.9 (COO)。C17H29NO6I(469.10)についての分析計算値: C 43.51, H 6.01, N 2.98; 実測値: C 43.31, H 6.24, N 2.92.

B.1.8. (S)−2−(t−ブチルオキシカルボニルアミノ)−4−ヨードブタン酸アリル(III’)の合成

1.6g(3.4mmol)の(S)−2−[ビス(t−ブチルオキシカルボニル)アミノ]−4−ヨードブタン酸アリル(IIIa)の20mLのアセトニトリル溶液に、1.3g(3.4mmol)のCeCl3・7H2Oおよび513mg(3.4mmol)のNaIを添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌し、20mLの水で加水分解した。水層を3×20mLの酢酸エチルで抽出し、有機層をMgSO4で乾燥した。濃縮後、粗製生成物を、酢酸エチル/石油エーテル(2:8)を溶離液として用いるクロマトグラフィーで精製して、N一保護ヨードアミノエステルである(S)−2−(t−ブチルオキシカルボニルアミノ)−4−ヨードブタン酸アリル(III’)を86%の収率で得た。淡黄色の油、Rf:0.31(酢酸エチル/石油エーテル=1:4)、[α]D=+11.7(c=0.5、CHCl3)。IR (cm-1): 2981-2936 (C-H), 1747 (C=O), 1704 (C=O), 1479, 1457, 1368, 1236, 1171, 1131, 988, 930, 853。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 1.42 (s, 9H, CH3), 2.10-2.23 (m, 1H, CH2), 2.37-2.43 (m, 1H, CH2), 3.13-3.18 (m, 2H, CH2I), 4.32-4.34 (m, 1H, CHN), 4.62 (d, J = 5.8 Hz, 2H, OCH2), 5.05 (d, J = 6.2 Hz, 1H, NH), 5.24 (dd, J = 1.1, 10.4 Hz, 1H, CH2=), 5.31 (dd, J = 1.4, 17.2 Hz, 1H, CH2=), 5.82-5.95 (m, 1H, CH=)。13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 0.0 (CH2I), 28.9 (CH3), 37.8 (CH2), 55.0 (CHN), 66.9 (OCH2), 80.9 (C(CH3)3), 119.8 (CH2=), 132.0 (CH=), 155.9 (COO), 171.9 (COO)。C12H20NO4I(369.09)についての分析計算値: C 39.04, H 5.46, N 3.79; 実測値: C 39.14, H 5.59, N 3.84.

B.2. (S)−2−(t−ブチルオキシカルボニルアミノ)−4−ヨードブタン酸ベンジル(III”)の合成 B.2.1. 2−(S)−(t−ブチルオキシカルボニルアミノ)−4−(メトキシカルボニル)ブタン酸ベンジルジエステルの合成

1.42g(5.7mmol)のジエステルである2−(S)−(t−ブチルオキシカルボニルアミノ)−(メトキシカルボニル)ブタン酸の50mLのDMFの溶液に、1.15g(8.3mmol)のK2CO3および1.48mL(12.4mmol)の臭化ベンジルをアルゴン下で添加した。一晩室温で撹拌した後、60mLのH2Oを添加し、水層を3×75mLの酢酸エチルで抽出した。有機層をMgSO4で乾燥し、溶媒を真空下で除去して残留物を得、これを石油エーテル/酢酸エチル(4:1)混合物を溶離液として用いるクロマトグラフィーで精製した。2−(S)−(t−ブチルオキシカルボニルアミノ)−4−(メトキシカルボニル)ブタン酸ベンジルジエステルを85%の収率で単離した。白色の固体、Rf:0.56(酢酸エチル/石油エーテル=1:4)、鏡像体過剰率>99%*、[α]D=+4.4(c=0.5、CHCl3)。IR (cm-1): 3429 (N-H), 2997-2850 (C-H), 1732 (C=O), 1693 (C=O), 1457, 1388, 1320, 1265, 1240, 1220, 1146, 1130, 1098, 1084, 998, 980, 923, 869, 840, 817, 762, 739。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 1.36 (s, 9H, CH3), 2.75 (dd, J = 17.0, 4.7 Hz, 1H, CH2), 2.94 (dd, J = 17.1, 4.6 Hz, 1H, CH2), 3.55 (s, 3H, OCH3), 4.51-4.57 (m, 1H, CHN), 5.05-5.16 (m, 2H, OCH2Ph), 5.45 (d, J = 8.4 Hz, 1H, NHBoc), 7.24-7.30 (m, 5H, Harom)。13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 28.3 (CH3)3, 36.7 (CH2), 48.1 (CHN), 50.1 (OCH3), 67.4 (OCH2Ph), 80.2 (C(CH3)3), 128.3 (Carom), 128.4 (Carom), 128.6 (Carom), 135.3 (Carom), 170.9 (COO), 171.3 (COO)。C17H24NO6[M+H]+についての計算精密質量: 338.1598, 実測値: 338.1618。C17H23NO6(337.15)についての分析計算値: C 60.52, H 6.87, N 4.15; 実測値: C 60.42, H 6.95, N 4.15。鏡像体過剰率は、HPLC(Chiralpack AD、ヘキサン:iPrOH=98:2、1mL/分、λ=210nm、24℃、tR(R)=45.8分、tR(S)=55.6分)で測定した。

B.2.2. 2−(S)−[ビス(t−ブチルオキシカルボニル)アミノ]−4−(メトキシカルボニル)ブタン酸ベンジルジエステルの合成

1.60g(4.7mmol)の2−(S)−(t−ブチルオキシカルボニルアミノ)−4−(メトキシカルボニル)ブタン酸ベンジルジエステルの50mLのアセトニトリル溶液に、185mg(1.5mmol)のDMAPおよび2.5g(11.6mmol)のBoc2Oをアルゴン下で連続的に添加した。室温で一晩撹拌した後、溶媒を真空除去し、残留物を、酢酸エチル/石油エーテル(1:4)の溶媒混合物を用いるクロマトグラフィーで精製して、ジエステルである2−(S)−[ビス(t−ブチルオキシカルボニル)アミノ]−4−(メトキシカルボニル)ブタン酸ベンジルジエステルを98%の収率で得た。白色の固体、Rf:0.60(酢酸エチル/石油エーテル=1:4)、鏡像体過剰率>99%*、[α]D=−40.4(c=0.2、CHCl3)。IR (cm-1): 2982 (C-H), 1732 (C=O), 1693 (C=O), 1457, 1388, 1366, 1320, 1265, 1240, 1220, 1146, 1128, 1098, 1014, 998, 980, 923, 869, 840, 817, 762, 739。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 1.47 (s, 18H, CH3), 2.76 (dd, 1H, J = 16.5, 6.5 Hz, CH2), 3.30 (dd, 1H, J = 16.5, 7.2 Hz, CH2), 3.69 (s, 3H, OCH3), 5.13-5.23 (m, 2H, OCH2Ph), 5.50-5.54 (t, J = 6.8 Hz, 1H, CHN), 7,34-7,35 (m, 5H, Harom)。13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 27.9 (CH3), 35.5 (CH2), 51.9 (OCH3), 55.0 (CHN), 67.2 (OCH2Ph), 83.5 (C(CH3)3), 128.1 (Carom), 128.2 (Carom), 128.5 (Carom), 135.3 (Carom), 151.7 (COO), 169.7 (COO), 171 (COO)。C22H31NO8Na[M+Na]+についての計算精密質量: 460.1942, 実測値: 460.1963。C22H31NO8(437.20)についての分析計算値: C 60.40, H 7.14, N 3.20; 実測値: C 60.55, H 7.26, N 3.23。*鏡像体過剰率は、HPLC(Chiralcel OD、ヘキサン:iPrOH=95:5、0.5mL/分、λ=210nm、24℃、tR(R)=76.7分、tR(S)=83.1分)で測定した。

B.2.3. (S)−2−[ビス(t−ブチルオキシカルボニル)アミノ]−4−オキソブタン酸ベンジルエステルの合成

5.57g(10.8mmol)の2−(S)−[ビス(t−ブチルオキシカルボニル)アミノ]−4−(メトキシカルボニル)ブタン酸ベンジルジエステルの100mLの蒸留したジエチルエーテル溶液に、17.3mL(17.6mmol)のDIBALをアルゴン下−78℃で導入した。混合物を−78℃で1時間撹拌し、17mLの蒸留水で0℃で加水分解した。5分後、混合物をセライトで濾過し、3×25mLのジエチルエーテルで洗浄した。溶媒を除去した後、粗製生成物を、酢酸エチル/石油エーテル(1:9、次いで1.5:8.5)の混合物を用いるクロマトグラフィーで精製した。アルデヒドである(S)−2−[ビス(t−ブチルオキシカルボニル)アミノ]−4−オキソブタン酸ベンジルエステルを96%の収率で単離した。無色の油、Rf:0.45(酢酸エチル/石油エーテル=2:8)、[α]D=−32.0(c=0.1、CHCl3)。IR (cm-1): 2982-2936 (C-H), 1741 (C=O), 1703 (C=O), 1457, 1370, 1253, 1146, 1126, 1047, 853, 783, 738, 700。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 1.41 (s, 18H, CH3), 2.80 (ddd, 1H, J = 17.4, 6.0, 1.1 Hz, CH2), 3.26 (ddd, 1H, J = 17.9, 6.8, 1.1 Hz, CH2), 5.11 (m, 2H, OCH2Ph), 5.55 (t, J = 6.4 Hz, 1H, CHN), 7.25- 7.29 (m, 5H, Harom), 9.71 (t, 1H, J = 1.1 Hz, CHO)。13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 27.9 (CH3), 44.7 (CH2), 53.0 (CHN), 67.4 (OCH2Ph), 83.7 (C(CH3)3), 127.0-129.8 (m, Carom), 135.3 (Carom), 151.7 (COO), 169.7 (COO), 198.5 (CHO)。C21H29NO7(407.46)についての分析計算値: C 61.90, H 7.17, N 3.44; 実測値: C 62.07, H 7.46, N 3.05.

B.2.4. (S)−2−[ビス(t−ブチルオキシカルボニル)アミノ]−4−ヒドロキシブタン酸ベンジルエステルの合成

3.62g(8.9mmol)のアルデヒドである(S)−2−[ビス(t−ブチルオキシカルボニル)アミノ]−4−オキソブタン酸ベンジルエステルの100mLのTHF/H2O(4:1)混合物溶液に、1.30g(18.5mmol)のNaBH4をアルゴン下で添加した。混合物を0℃で30分間撹拌し、水層を3×75mLの酢酸エチルで抽出した。有機層をMgSO4で乾燥し、濾過および濃縮した。粗製生成物を、酢酸エチル/石油エーテル(2:8、次いで3:7、次いで5:5)混合物を用いるクロマトグラフィーで精製して、ホモセリン誘導体である(S)−2−[ビス(t−ブチルオキシカルボニル)アミノ]−4−ヒドロキシブタン酸ベンジルエステルを83%の収率で得た。無色の油、Rf:0.30(酢酸エチル/石油エーテル=3:7)、鏡像体過剰率>99%*、[α]D=−19.8(c=0.6、CHCl3)。IR (cm-1): 3528 (OH), 2980-2885 (C-H), 1744 (C=O), 1702 (C=O), 1500, 1479, 1457, 1369, 1315, 1274, 1145, 1122, 1047, 904, 853, 783, 750, 698。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 1.46 (s, 18H, CH3), 1.99-2.08 (m, 1H, CH2), 2.40-2.53 (m, 1H, CH2), 3.58-3.63 (m, 1H, CH2OH), 3.72-3.76 (m, 1H, CH2OH), 5.03 (dd, 1H, J = 9.7, 4.7 Hz, CHN), 5.14-5.19 (m, 2H, OCH2Ph), 7.26-7.36 (m, 5H, Harom)。13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 27.9 (CH3)3, 32.6 (CH2), 55.7 (CHN), 59.0 (CH2OH), 66.9 (OCH2Ph), 83.6 (C(CH3)3), 127.0-129.8 (m, Carom), 135.6 (Carom), 152.6 (COO), 170.7 (COO)。C21H31NO7Na[M+Na]+についての計算精密質量: 432.1998, 実測値: 432.2007。C21H31NO7(409.48)についての分析計算値: C 61.60, H 7.63, N 3.42; 実測値: C 61.75, H 7.85, N 3.35。*鏡像体過剰率は、HPLC(Chiralcel OD、ヘキサン:iPrOH=90:10、0.5mL/分、λ=210nm、20℃、tR(R)=16.2分、tR(S)=18.4分)で測定した。

B.2.5. (S)−2−[ビス(t−ブチルオキシカルボニル)アミノ]−4−ヨードブタン酸ベンジルエステル(IIIb)の合成

2.71g(6.6mmol)のホモセリン誘導体である(S)−2−[ビス(t−ブチルオキシカルボニル)アミノ]−4−ヒドロキシブタン酸ベンジルエステルの20mLの乾燥THF溶液を入れたフラスコに、1.08g(15.8mmol)のイミダゾールを添加した。3.12g(11.9mmol)のPPh3の14mLの乾燥THFを入れた第2のフラスコに、3.16g(12.5mmol)のヨウ素を添加した。次いで、先の溶液を添加し、得られた混合物を室温で2時間撹拌した。次いで、反応混合物を100mLの20%NaCl水溶液で加水分解した。水層に3×50mLの酢酸エチルを添加した。MgSO4で乾燥し、濾過し、溶媒を蒸発させた後、粗製生成物を、酢酸エチル/石油エーテル(1:9、次いで8:2)の混合物を用いるクロマトグラフィーで精製して、ヨウ素誘導体である(S)−2−[ビス(t−ブチルオキシカルボニル)アミノ]−4−ヨードブタン酸ベンジルエステル(IIIb)を91%の収率で得た。淡黄色の油、Rf:0.75(酢酸エチル/石油エーテル=1:9)、鏡像体過剰率>99%*、[α]D=−41.9(c=0.6、CHCl3)。IR (cm-1): 2984-2937 (C-H), 1736 (C=O), 1690 (C=O), 1381, 1366, 1351, 1317, 1264, 1226, 1167, 1150, 1130, 1113, 1056, 976, 955, 896, 866, 851, 831, 789, 763, 752, 722, 700。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 1.46 (s, 18H, CH3), 2.42 (m, 1H, CH2), 2.71 (m, 1H, CH2), 3.16-3.21 (m, 1H, CH2I), 3.27-3.31 (m, 1H, CH2I), 5.04 (dd, 1H, J = 8.6, 5.5 Hz), 5.13-5.18 (m, 2H, CH2Ph), 7.37-7.33 (m, 5H, Harom)。13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 0.2 (CH2I), 26.2 (CH3), 32.4 (CH2), 56.8 (CHN), 65.2 (OCH2Ph), 81.7 (C(CH3)3), 126.2-126.9 (m, Carom), 133.6 (Carom), 150.2 (COO), 168.1 (COO)。C21H31NO6NI[M+H]+についての計算精密質量: 520.1196, 実測値: 520.1202。C21H30NO6I(519.38)についての分析計算値: C 48.56, H 5.82, N 2.70; 実測値: C 48.61, H 5.89, N 2.89。*鏡像体過剰率は、HPLC(Chiralpack AD、ヘキサン:iPrOH=98:2、0.5mL/分、λ=210nm,10℃、tR(S)=21.7分、tR(R)=29.2分)で測定した。

B.2.6. (S)−2−(t−ブチルオキシカルボニルアミノ)−4−ヨードブタン酸ベンジル(III”)の合成

0.80g(1.9mmol)の(S)−2−[ビス(t−ブチルオキシカルボニル)アミノ]−4−ヨードブタン酸ベンジルエステル(IIIb)の20mLのアセトニトリル溶液に、0.70g(1.9mmol)のCeCl3・7H2Oおよび0.28g(1.9mmol)のNaIを添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌し、10mLの水で加水分解した。水層を3×20mLの酢酸エチルで抽出し、有機層をMgSO4で乾燥した。溶媒の蒸発後、粗製生成物を、酢酸エチル/石油エーテル(2:8)混合物を溶離液として用いるクロマトグラフィーで精製して、N一保護ヨード誘導体である(S)−2−(t−ブチルオキシカルボニルアミノ)−4−ヨードブタン酸ベンジル(III”)を86%の収率で得た。淡黄色の油、Rf:0.60(酢酸エチル/石油エーテル=2:8)、鏡像体過剰率>99%*、[α]D=+4.8(c=0.4、CHCl3)。IR (cm-1): 3366 (N-H), 2985 (C-H), 1755 (C=O), 1682 (C=O), 1515, 1453, 1425, 1367, 1349, 1288, 1254, 1225, 1155, 1080, 1047, 1025, 954, 862, 791, 748, 694。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 1.37 (s, 9H, CH3), 2.05-2.18 (m, 1H, CH2), 2.32-2.38 (m, 1H, CH2), 3.04-3.09 (m, 2H, CH2I), 4.30-4.32 (m, 1H, CHN), 5.00-5.16 (m, 3H, OCH2Ph / NH); 7.26-7.31 (m, 5H, Harom)。13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 0.0 (CH2I), 27.0 (CH3), 32.4 (CH2I), 55.1 (CHN), 68.2 (OCH2Ph), 81.0 (C(CH3)3), 129.1 (Carom), 129.3 (Carom), 129.4 (Carom), 135.8 (Carom), 156.0 (COO), 172.1 (COO)。C21H31NO6NI[M+Na]+についての計算精密質量: 442.0486, 実測値: 442.0507。C16H22NO4I(419.06)についての分析計算値: C 45.84, H 5.29, N 3.34; 実測値: C 45.72, H 5.42, N 3.47。*鏡像体過剰率は、HPLC(Chiralpack AD、ヘキサン:iPrOH=98:2、0.5mL/分、λ=210nm、10℃、tR(R)=22.5分、tR(S)=28.7分)で測定した。

C. 化合物(II’)の合成 C.1. 2−[(t−ブチルオキシカルボニル)アミノ]−4−(トリフェニルホスホニウムヨージド)−ブタン酸アリル(II’a)の合成

1.1g(3.1mmol)のヨードアミノエステルである(S)−2−(t−ブチルオキシカルボニルアミノ)−4−ヨードブタン酸アリル(III’)と1.9g(7.1mmol)のトリフェニルホスフィンとの混合物を、アルゴン下80℃で2時間撹拌した。次いで、室温まで冷却した後、5mLのトルエン、その後に30mLのジエチルエーテルを混合物に添加した。白色の沈殿物を2×25mLのジエチルエーテルで洗浄し、アセトン/石油エーテル(7:3)の混合物を溶離液として用いるクロマトグラフィーで精製した。ホスホニウム塩(II’a)である2−(t−ブチルオキシカルボニル)アミノ]−4−トリフェニルホスホニウムヨージドブタン酸アリルを72%の収率で単離した。淡黄色の固体、Rf:0.57(アセトン/石油エーテル=7:3)、融点:84〜86℃、鏡像体過剰率=97%、[α]D=−17.5(c=0.4、CHCl3)。IR (cm-1): 3249 (NH), 3053-2870 (C-H), 1699 (C=O), 1648 (C=O), 1587, 1508, 1486, 1437, 1391, 1366, 1340, 1309, 1251, 1229, 1158, 1111, 1052, 995, 931, 857, 785, 739, 723, 688, 606。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 1.39 (s, 9H, CH3), 2.26-2.30 (m, 2H, CH2), 3.58-3.73 (m, 1H, CH2P), 3.79-3.95 (m, 1H, CH2P), 4.53-4.60 (m, 3H, OCH2 + CHN), 5.15-5.29 (m, 2H, CH2=), 5.78-5.89 (m, 1H, CH=), 6.32 (d, J = 7.5 Hz, 1H, NH), 7.65-7.83 (m, 15H, Harom)。13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 20.3 (d, J = 53.6 Hz, CH2P), 23.8 (CH2), 28.3 (CH3), 53.2 (d, J = 17.3 Hz, CHN), 66.2 (OCH2), 80.0 (C(CH3)3), 117.8 (d, J = 86 Hz, Carom), 118.6 (CH2=), 130.6 (d, J = 12.8 Hz, Carom), 131.7 (CH=), 133.6 (d, J = 9.8 Hz, Carom), 135.2 (d, J = 3 Hz, Carom), 135.7 (COO), 170.7 (COO)。31P NMR (121 MHz, CDCl3): δ (ppm) = +25.2 (s)。C30H35N1O4P1[M-I]+についての計算精密質量: 504.2298; 実測値: 504.2278.

C.2. 2−[(t−ブチルオキシカルボニル)アミノ]−4−[トリ−(4−トリフルオロメチルフェニル)−(ホスホニウムヨージド)]−ブタン酸アリル(II’b)の合成

0.23g(0.6mmol)のヨードアミノエステルである(S)−2−(t−ブチルオキシカルボニルアミノ)−4−ヨードブタン酸アリル(III’)と0.56g(1.2mmol)の[トリ−(4−トリフルオロメチルフェニル)]ホスフィンとの混合物を、アルゴン下80℃で3時間撹拌した。次いで、室温まで冷却した後、3mLのトルエン、その後に30mLのジエチルエーテルを混合物に添加した。白色の沈殿物を2×25mLのジエチルエーテルで洗浄し、アセトン/石油エーテル(2:7)混合物を溶離液として用いるクロマトグラフィーで精製した。ホスホニウム塩(II’b)を39%の収率で単離した。31P NMR (121 MHz, CDCl3): δ(ppm) = +27 (s).

C.3. 2−[(t−ブチルオキシカルボニル)アミノ]−4−[トリ−(4−メトキシフェニル)−(ホスホニウムヨージド)]−ブタン酸アリル(II’c)の合成

0.23g(0.6mmol)のヨードアミノエステルである(S)−2−(t−ブチルオキシカルボニルアミノ)−4−ヨードブタン酸アリル(III’)と0.42g(1.2mmol)の[トリ−(4−メトキシフェニル)]ホスフィンとの混合物を0.5mLの乾燥THF中、アルゴン下80℃で撹拌した。3時間後、3mLのトルエン、その後に30mLのジエチルエーテルを室温で混合物に添加した。白色の沈殿物を2×25mLのジエチルエーテルで洗浄し、アセトン/石油エーテル(3:7)混合物を溶離液として用いるクロマトグラフィーで精製した。ホスホニウム塩(II’c)を70%の収率で単離した。淡黄色の固体。31P NMR (121 MHz, CDCl3): δ(ppm) = +21 (s).

C.4. 2−[(t−ブチルオキシカルボニル)アミノ]−4−[トリ−(4−フルオロフェニル)−ホスホニウムヨージド]−ブタン酸アリル(II’d)の合成

0.28g(0.76mmol)のヨードアミノエステルである(S)−2−(t−ブチルオキシカルボニルアミノ)−4−ヨードブタン酸アリル(III’)および0.48g(1.5mmol)の[トリ−(4−フルオロフェニル)]ホスフィンの混合物をTHF中、アルゴン下80℃で24時間撹拌した。次いで、3mLのトルエン、その後に30mLのジエチルエーテルを室温で混合物に添加した。白色の沈殿物を濾別し、2×25mLのジエチルエーテルで洗浄し、アセトン/石油エーテル(2:7)混合物を溶離液として用いるクロマトグラフィーで精製した。ホスホニウム塩(II’d)を63%の収率で単離した。淡黄色の固体。31P NMR (121 MHz, CDCl3): δ(ppm) = +26 (s).

C.5. 2−[ビス(t−ブチルオキシカルボニル)アミノ]−4−(トリシクロヘキシルホスホニウムヨージド)−ブタン酸アリル(II’e)の合成

0.20g(0.43mmol)のヨードアミノエステル(IIIa)および0.24g(0.85mmol)のトリシクロヘキシルホスフィンの混合物を、アセトニトリル/THF(1:2)混合物中、アルゴン下で撹拌した。5日間の撹拌後、5mLのトルエン、その後に30mLのジエチルエーテルを添加した。白色の沈殿物を濾別し、2×25mLのジエチルエーテルで洗浄して、ホスホニウム塩(II’e)を79%の収率で得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 1.22-2.2 (m, 50H, CH2, cHex, Boc), 2.4-2.6 (m, 2H, P+CH2), 2.7-2.9 (m, 3H, P+CH), 4.65 (d, J = 6 Hz, 2H, OCH2), 4.94 (t, J = 7Hz, 1H, CHN), 5.27 (d, J = 11Hz, 1H, CH(H)=), 5.34 (d, J = 17Hz, 1H, C(H)H=), 5.92 (m, 1H, -CH=)。31P NMR (121 MHz, CDCl3): δ(ppm) = +32.5 (s).

C.6. 2−[ビス(t−ブチルオキシカルボニル)アミノ]−4−(トリフェニルホスホニウムヨージド)−ブタン酸アリル(II’f)の合成

0.12g(0.26mmol)のヨードアミノエステル(IIIa)および0.17g(0.65mmol)のトリフェニルホスフィンの混合物を、アルゴン下55℃で撹拌した。この温度で16時間撹拌した後、残留物を、酢酸エチル/石油エーテル(7:3)混合物を溶離液として用いるクロマトグラフィーで精製した。次いで、ホスホニウム塩(II’f)を66%の収率で得た。淡黄色の固体、Rf:0.50(酢酸エチル/石油エーテル=7:3)、鏡像体過剰率>99%。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 1.48 (s, 18H, CH3), 2.18 (m, 1H, CH(H)), 2.6 (m, 1H, C(H)H), 3.5-3.75 (m, 1H, CH2P), 3.8-3.95 (m, 1H, CH2P), 4.62 (d, 2H, CH2O), 5.15 (t, J = 6Hz, 1H, CHN), 5.21-5.34 (2d, 2H, CH2=), 5.83-5.93 (m, 1H, -CH=).7.71-7.88 (m, 15H, Harom)。31P NMR (121 MHz, CDCl3): δ(ppm) = +24.1 (s)。C35H43NO6PI[M-I]についての計算精密質量: 604.2855, 実測値: 604.2813.

C.7. 2−(t−ブチルオキシカルボニル)アミノ]−4−(トリフェニルホスホニウムヨージド)−ブタン酸ベンジル(II’g)の合成

0.60g(1.4mmol)のヨードアミノエステル(III”)および1.0g(4mmol)のトリフェニルホスフィンの混合物を、アルゴン下80℃で2時間撹拌した。次いで、室温まで冷却した後、5mLのトルエン、その後に30mLのジエチルエーテルを混合物に添加した。白色の沈殿物を2×25mLのジエチルエーテルで洗浄し、アセトン/石油エーテル(7:3)混合物を溶離液として用いるクロマトグラフィーで精製した。次いで、ホスホニウム塩(II’g)を70%の収率で得た。鏡像体過剰率=97%、[α]D=−15.8(c=0.3、CHCl3)。IR (cm-1): 3243 (NH), 3057 (C=CH), 2977-2931 (CH2, CH3), 1737 (COO), 1699 (COO), 1500, 1437, 1365, 1158, 1111, 996, 738, 723, 688。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 1.30 (s, 9H, CH3), 2.16-2.28 (m, 2H, CH2), 3.54-3.75 (m, 1H, CH2P), 3.81-3.89 (m, 1H, CH2P), 4.53-4.55 (m, 1H, CHN), 5.09 (sl, 2H, OCH2Ph), 6.28 (d, J = 6.5 Hz, 1H, NH), 7.20-7.26 (m, 5H, Harom), 7.59-7.73 (m, 15H, Harom)。13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 20.4 (d, J = 53.1 Hz, CH2P), 24.0 (CH2), 28.0 (CH3), 53.3 (d, J = 16.8 Hz, CHN), 67.4 (OCH2Ph), 80.0 (C(CH3)3), 117.8 (d, J = 86.6 Hz, Carom), 128.2 (Carom), 128.5 (Carom), 130.6 (d, J = 12.6 Hz, Carom), 133.6 (d, J = 10.0 Hz, Carom), 135.2 (d, J = 2.9 Hz, Carom), 135.4 (Carom), 155.7 (COO); 170.9 (COO)。31P NMR (121 MHz, CDCl3): δ(ppm) = +24.7 (s)。C34H37NO4PI[M-I]についての計算精密質量: 554.2455, 実測値: 554.2461。C34H37NO4I(681.67)についての分析計算値: C 59.92, H 5.47, N 2.06, 実測値: C 59.20, H 5.68, N 2.05.

D. 化合物(II”)の合成 D.1. 2−[(t−ブチルオキシカルボニル)アミノ]−4−(トリフェニルホスホニウムヨージド)−ブタン酸(II”a)の合成

1.28g(2mmol)のホスホニウム塩(II’a)の20mLの乾燥THF溶液に、アルゴン下、室温で46mg(0.05mmol)のPd2dba3および40mg(0.1mmol)のdppeを連続的に添加した。5分間の撹拌後、0.42mL(4.2mmol)のHNEt2を導入し、混合物を室温で一晩撹拌した。加水分解およびジクロロメタンでの抽出後、1つにまとめた有機層をMgSO4で乾燥し、真空濃縮し、アセトン/メタノール(1:1)混合物を溶離液として用いるクロマトグラフィーで精製して、ホスホニウム塩(II”a)を80%の収率で得た。白色の固体、Rf:0.50(アセトン/MeOH=1:1)、融点=152℃、鏡像体過剰率=97%、[α]D=+48.5(c=0.4、CHCl3)。IR (cm-1): 3387 (NH), 3060-2932 (C-H), 1695 (C=O), 1605 (C=O), 1483, 1438, 1386, 1365, 1251, 1161, 1112, 1053, 1025, 997, 859, 830, 781, 739, 723, 689, 609。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 1.33 (s, 9H, CH3), 2.13-2.32 (m, 2H, CH2), 3.13-3.30 (m, 2H, CH2P), 4.08 (t, J = 3.6 Hz, 1H, CHN), 6.27 (dl, J = 2.7 Hz, 1H, NH), 7.52-7.64 (m, 12H, Harom), 7.70-7.77 (m, 3H, Harom)。13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 18.4 (d, J = 9.8 Hz, CH2P), 25.7 (CH2), 28.4 (CH3)3, 54.9 (d, J = 17.3 Hz, CHN), 78.6 (C(CH3)3), 118.3 (d, J = 86 Hz, Carom), 130.5 (d, J = 12.8 Hz, Carom), 133.3 (d, J = 9.8 Hz, Carom), 135.1 (d, J = 3 Hz, Carom), 156 (COO), 172.6 (COO)。31P NMR (121 MHz, CDCl3): δ(ppm) = +24.3 (s)。C27H31N1O4P1[M-I]+についての計算精密質量: 464.1985, 実測値: 464.1963.

D.2. 2−[(t−ブチルオキシカルボニル)アミノ]−4−[トリ−(4−メトキシフェニル)−ホスホニウムヨージド]−ブタン酸(II”c)の合成

0.2g(0.3mmol)のホスホニウム塩(II’c)の2mLの乾燥THF溶液に、アルゴン下、室温で、6mg(0.006mmol)のPd2dba3および5mg(0.013mmol)のdppeを連続的に導入した。5分間の撹拌後、0.13mL(1.2mmol)のHNEt2を添加し、溶液を室温で16時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、残留物を、アセトン、次いでアセトン/メタノール(1:1)混合物を溶離液として用いるクロマトグラフィーカラムで精製して、ホスホニウム塩(II”c)を50%の収率で得た。31P NMR (121 MHz, CDCl3): δ(ppm) =+21 (s).

D.3. 2−[(t−ブチルオキシカルボニル)アミノ]−4−[トリ−(4−フルオロフェニル)−ホスホニウムヨージド]−ブタン酸(II”d)の合成

0.33g(0.47mmol)のホスホニウム塩(II’d)の4mLの乾燥THF溶液に、アルゴン下、室温で、10mg(0.011mmol)のPd2dba3および9mg(0.022mmol)のdppeを連続的に導入した。2時間の撹拌後、0.17mL(1.6mmol)のHNEt2を添加し、この溶液を室温で16時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、残留物を、アセトン、次いでアセトン/メタノール(1:1)混合物を溶離液として用いるクロマトグラフィーカラムで精製して、ホスホニウム塩(II”d)を50%の収率で得た。31P NMR (121 MHz, CDCl3): δ(ppm) =+26 (s).

D.4. 2−[ビス(t−ブチルオキシカルボニル)アミノ]−4−(トリシクロヘキシルホスホニウムヨージド)−ブタン酸(II”e)の合成

0.11g(0.15mmol)のホスホニウム塩(II’e)の3mLの乾燥THF溶液に、アルゴン下、室温で、3.4mg(0.004mmol)のPd2dba3および3mg(0.007mmol)のdppeを連続的に添加した。5分間の撹拌後、0.031mL(0.3mmol)のHNEt2を導入し、室温で16時間撹拌し続けた。加水分解およびジクロロメタンでの抽出後、1つにまとめた有機層をMgSO4で乾燥し、真空濃縮し、アセトン/メタノール(1:1)混合物を溶離液として用いるクロマトグラフィーで精製して、ホスホニウム塩(II”e)を50%の収率で得た。31P NMR (121 MHz, CDCl3): δ(ppm) = +32 (s).

D.5. 2−[ビス(t−ブチルオキシカルボニル)アミノ]−4−(トリフェニルホスホニウムヨージド)−ブタン酸(II”f)の合成

0.65mg(0.9mmol)のホスホニウム塩(II’f)の2mLの乾燥THF溶液に、アルゴン下、室温で、4.6mg(0.0025mmol)のPd2dba3および1.9mg(0.005mmol)のdppeを連続的に添加した。5分間の撹拌後、0.022mL(0.21mmol)のHNEt2を導入し、室温で16時間撹拌し続けた。加水分解およびジクロロメタンでの抽出後、1つにまとめた有機層をMgSO4で乾燥し、真空濃縮し、アセトン/メタノール(1:1)混合物を溶離液として用いるクロマトグラフィーで精製して、ホスホニウム塩(II”f)を80%の収率で得た。31P NMR (121 MHz, CDCl3): δ(ppm) = +24 (s).

E. 化合物(I’)の合成 E.1 (S)−2−(t−ブチルオキシカルボニルアミノ)−5−フェニルペンタ−4−エン酸アリル(I’a)の合成

140mg(0.2mmol)のホスホニウム(II’a)のクロロベンゼン(1.5mL)溶液に、31mgのベンズアルデヒド(0.3mmol、1.5当量)およびCs2CO3(370mg、1.2mmol、6当量)を連続的に添加した。反応混合物を50℃で16時間撹拌し、蒸留水(5mL)で加水分解し、酢酸エチル(3×5mL)で抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を真空下で蒸発させた。次いで、粗製生成物を、酢酸エチル/石油エーテル(1:9、次いで1:4)混合物を溶離液として用いるシリカクロマトグラフィーで精製して、対応するアミノエステル(I’a)を83%の収率および88:12のシス/トランス比で得た。無色の油。鏡像体過剰率=83%*1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 1.45-1.48 (2s, 18H, CH3), 2.87-3.20 (m, 2H, CH2), 5.12-5.18 (m, 1H, CHN), 5.63-5.72 (m, 0.12H, CH= シス), 6.13-6.24 (m, 0.88H, CH= トランス), 6.45 (d, J = 15.8 Hz, 0.88H, CH= トランス), 6.58 (d, J = 11.6 Hz, 0.12H, CH= シス), 7.18-7.37 (m, 5H, Harom), 10.7 (sl, 1H, COOH)。*鏡像異性体純度は、HPLC(Lux 5u cellulose-2、ヘキサン:iPrOH=98:2、0.7mL/分、λ=254nm、20℃)で測定した。

F. 化合物(I”)の合成 F.1. Cs2CO3の弱塩基としての使用 F.1.1. (S)−2−[ビス(t−ブチルオキシカルボニル)アミノ]−5−フェニルペンタ−4−エン酸

300mg(0.43mmol)のホスホニウム(II”f)のクロロベンゼン(2.5mL)溶液に、68mgのベンズアルデヒド(0.65mmol、1.5当量)およびCs2CO3(706mg、2.2mmol)を連続的に添加した。反応混合物を50℃で16時間撹拌し、蒸留水(5mL)で加水分解し、酢酸エチル(3×5mL)で抽出した。水層を、pHが3になるまでKHSO4溶液(1M)で酸性化し、酢酸エチル(3×5mL)で抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を真空下で蒸発させた。次いで、粗製生成物を、酢酸エチル/石油エーテル(1:1)混合物+1%酢酸を溶離液として用いるシリカクロマトグラフィーで精製して、対応するアミノ酸を87%の収率で得た。無色の油。鏡像体過剰率>99%。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 1.53 (s, 9H, CH3), 2.64-2.95 (m, 2H, CH2), 4.42-4.49 (m, 1H, CHN), 4.60-4.62 (m, 2H, OCH2), 5.10-5.12 (m, 1H, NH), 5.22-5.37 (m, 2H, CH2=), 5.47-5.56 (m, 0.85H, CH=CH= シス), 5.80-5.99 (m, 1.15H, CH= + CH=CH= トランス), 6.41 (d, J = 15.8 Hz, 0.15H, CH=CH= トランス), 6.53 (d, J = 11.6 Hz, 0.85H, CH=CH= シス), 7.18-7.32 (m, 5H, Harom).

F.2. K3PO4の弱塩基としての使用 一般的な手順: 120mg(0.2mmol)のホスホニウム(II”a)のクロロベンゼン(1.5mL)溶液に、アルデヒド(0.4mmol、2当量)およびK3PO4(254mg、1.2mmol、6当量)を連続的に添加した。反応混合物を90℃で16時間撹拌し、蒸留水(5mL)で加水分解し、ジエチルエーテル(3×5mL)で抽出した。水層をpHが3になるまでKHSO4(1M)溶液で酸性化し、酢酸エチル(3×5mL)で抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を真空下で蒸発させた。次いで、粗製生成物を、酢酸エチル/石油エーテル(3:7)混合物+1%酢酸を溶離液として用いるシリカクロマトグラフィーで精製して、対応するアミノ酸(I”)を得た。

F.2.1. (S)−2−(t−ブチルオキシカルボニルアミノ)−5−フェニルペンタ−4−エン酸(I”a)

120mgのホスホニウム塩(II”a)および42.4mgのベンズアルデヒドを使用して、不飽和アミノ酸(I”a)を72%の収率および30:70のシス/トランス比で得た。淡黄色の油、Rf:0.52(酢酸エチル/石油エーテル=3:7+1%酢酸)、鏡像体過剰率>98%*、[α]D=+21.5(c=0.6、CHCl3)。IR (cm-1): 3422 (N-H), 3026-2930 (CH2, CH3), 1711 (C=O), 1496, 1450, 1395, 1368, 1249, 1163, 1053, 1026, 966, 910, 853, 774, 735, 694, 648, 609。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 1.45 (s, 9H, CH3), 2.65-2.81 (m, 1.4H, CH2 トランス), 2.92-2.98 (m, 0.6H, CH2 シス), 4.28-4.38 (m, 0.3H, CHN シス), 4.49-4.51 (m, 0.7H, CHN トランス), 5.05 (d, J = 8.1 Hz, 0.3H, NH シス), 5.12 (d, J = 7.8 Hz, 0.7H, NH トランス), 5.60-5.69 (m, 0.3H, Hb’), 6.08-6.23 (m, 0.7H, Hb), 6.5 (d, J = 15.9 Hz, 0.7H, Ha), 6.63 (d, J = 11.7 Hz, 0.3H, Ha’), 7.22-7.38 (m, 5H, Harom)。13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 28.3 (CH3), 31.1 (CH2 シス), 35.8 (CH2 トランス), 53.1 (CHN), 80.2 (C(CH3)3 トランス), 80.4 (C(CH3)3 シス), 123.5 (CH=), 125.6 (CH=), 126.3 (Carom), 126.4 (Carom), 127.1 (Carom), 127.6 (Carom), 128.3 (Carom), 128.4 (Carom), 128.5 (Carom), 128.6 (Carom), 128.7 (Carom), 129.7 (Carom), 130.2 (Carom), 132.8 (CH=), 134.2 (CH=), 136.8 (Carom), 155.6 (COO), 176.5 (COO)。C16H21N1Na1O4[M+Na]+についての計算精密質量: 314.1363, 実測値: 314.1343。*鏡像異性体純度は、TMSCHN2によるエステル化後にHPLC(Lux 5μm cellulose-2、ヘキサン:iPrOH=98:2、1.3mL/分、λ=210nm、20℃、tR(シス(S))=13.1分、tR(トランス(S))=16.5分、tR(シス(R))=23.3分、tR(トランス(R)=32.2分)で測定した。

F.2.2. (S)−2−(t−ブチルオキシカルボニルアミノ)−5−[4−トリフルオロメチル)フェニル]ペンタ−4−エン酸(I”b)

120mgのホスホニウム塩(II”a)および69.6mgの4−トリフルオロメチルベンズアルデヒドを使用して、不飽和アミノ酸(I”b)を98%の収率および10:90のシス/トランス比で得た。白色の固体、Rf:0.33(酢酸エチル/石油エーテル=3:7+1%酢酸)、鏡像体過剰率>98%*、[α]D=+40.9(c=0.6、CHCl3)。IR (cm-1): 3352 (N-H), 2973-2925 (C-H), 1710 (C=O), 1681 (C=O), 1615, 1521, 1433, 1415, 1392, 1367, 1326 (CF3), 1287, 1267, 1252, 1159, 1108, 1084, 1069, 1046, 1025, 1016, 973, 951, 853, 834, 812, 779, 752, 693。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 1.44 (s, 9H, CH3), 2.68-2.70 (m, 1H, CH2), 2.76-2.80 (m, 1H, CH2), 4.21-4.23 (m, 0.1H, CHN シス), 4.30-4.52 (m, 0.89 H CHN トランス), 5.17 (d, J = 7.8 Hz, 0.9H, NH トランス), 5.71-5.88 (m, 0.1H, Hb’), 6.22-6.27 (m, 0.9H, Hb), 6.52 (d, J = 15.6 Hz, 0.9H, Ha), 6.62 (d, J = 11.4 Hz, 0.1H, Ha’), 7.35 (d, J = 7.8 Hz, 0.2H, NH シス), 7.43 (d, J = 8.1 Hz, 2H, Harom), 7.53-7.58 (m, 2H, Harom)。13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 27.2 (CH2 シスまたはトランス), 28.2 (CH3),34.3 (CH2 シスまたはトランス), 53.0 (CHN シスまたはトランス), 54.4 (CHN シスまたはトランス), 80.6 (C(CH3)3 シスまたはトランス), 82.1 (C(CH3)3 シスまたはトランス), 125.3 (q, J = 271.7 Hz, CF3), 125.3 (q, J = 6.8 Hz, Carom), 126.4 (Carom), 126.6 (Carom), 127.7 (CH= シスまたはトランス), 128.2 (Carom), 128.6 (CH=), 128.8 (q, J = 31.7 Hz, Carom), 129.5 (CH= シスまたはトランス), 129.6 (CH= シスまたはトランス), 132.8 (Carom)。C17H19F3N2Na1O4[M+H]+についての計算精密質量: 358.1272, 実測値: 358.1256。鏡像異性体純度は、TMSCHN2によるエステル化後にキラルカラムを用いたHPLC(Lux 5μm cellulose-2、ヘキサン:iPrOH=95:5、1mL/分、λ=210nm、20℃、tR(シス(S))=6.9分、tR(トランス(S))=8.2分、tR(シス(R))=10.6分、tR(トランス(R))=17.2分)で測定した。

F.2.3. (S)−2−(t−ブチルオキシカルボニルアミノ)−5−(4−ニトロフェニル)ペンタ−4−エン酸(I”c)

120mgのホスホニウム(II”a)および60.4mgの4−ニトロベンズアルデヒドを使用して、不飽和アミノ酸(I”c)を75%の収率および15:85のシス/トランス比で得た。橙黄色の油、Rf:0.33(酢酸エチル/石油エーテル=3:7+1%酢酸)、鏡像体過剰率>98%*、[α]D=+33.8(c=0.6、CHCl3)。IR (cm-1): 3487 (N-H), 3059-2817 (C-H), 1703 (C=O), 1484, 1453, 1436, 1413, 1386, (N-O), 1366 (N-O), 1311, 1220, 1167, 1107, 1064, 1024, 1002, 954, 883, 823, 742, 698。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 1.43 (s, 9H, CH3), 2.65-2.78 (m, 1H, CH2), 2.83-2.89 (m, 1H, CH2), 4.54-4.56 (m, 1H, CHN), 5.2 (m, d, J = 7.8 Hz, 0.85H, NH トランス), 5.78-5.82 (m, 0.15H, Hb’), 6.30-6.54 (m, 0.85H, Hb), 6.56 (d, J = 15.6 Hz, 0.85H, Ha), 6.68 (d, J = 11.4 Hz, 0.15H, Ha’), 7.16 (d, J = 7.8 Hz, 0.15H, NH シス), 7.46 (d, J = 8.8 Hz, 2H, Harom), 8.14 (d, J = 8.4 Hz, 2H, Harom)。13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 27.2 (CH3), 28.7 (CH2 シス), 35.1 (CH2 トランス), 51.9 (CHN トランス), 53.2 (CHN シス), 79.6 (C(CH3)3 トランス), 81.3 (C(CH3)3 シス), 122.6 (Carom シス), 122.9 (Carom トランス), 125.8 (Carom トランス), 128 (CH= トランス), 129.8 (CH= シス), 130.2 (Carom シス), 131.1 (CH= トランス), 133.8 (CH= シス), 142.2 (Carom トランス), 145.6 (Carom シス), 145.9 (Carom トランス), 149.9 (Carom シス), 154.4 (COO), 155.8 (COO), 174.9 (COO), 175.3 (COO)。C16H20N2NaO6[M+Na]+についての計算精密質量: 359.1214; 実測値: 359.1228。鏡像異性体純度は、TMSCHN2によるエステル化後にHPLC(Lux 5μm cellulose-2、ヘキサン:iPrOH=90:10、1mL/分、λ=210nm、20℃、tR(シス(S))=16.2分、tR(トランス(S))=20.4分、tR(シス(R))=22.1分、tR(トランス(R))=34.2分)で測定した。

F.2.4. (S)−2−(t−ブチルオキシカルボニルアミノ)−5−(4−シアノフェニル)ペンタ−4−エン酸(I”d)

120mgのホスホニウム塩(II”a)および52mgの4−シアノベンズアルデヒドを使用して、不飽和アミノ酸(I”d)を96%の収率および20:80のシス/トランス比で得た。白色の固体、Rf:0.31(酢酸エチル/石油エーテル=3:7+1%酢酸)、鏡像体過剰率>98%*、[α]D=−21.5(c=0.3、CHCl3)。IR (cm-1): 3416 (N-H), 3135-2865 (C-H), 2221 (CN), 1737 (C=O), 1662 (C=O), 1604, 1522, 1457, 1442, 1412, 1396, 1371, 1334, 1305, 1252, 1210, 1157, 1442, 1412, 1396, 1371, 1334, 1305, 1252, 1210, 1086, 1027, 974, 969, 951, 900, 850, 836, 805, 780, 745, 714, 642。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 1.43 (s, 9H, CH3), 2.62-2.72 (m, 1H, CH2), 2.78-2.88 (m, 1H, CH2), 4.30-4.32 (m, 0.2H, CHN シス), 4.48-4.52 (m, 0.8H, CHN トランス), 5.21 (d, J = 8.1 Hz, 0.8H, NH トランス), 5.73-5.86 (m, 0.2H, Hb’), 6.24-6.34 (m, 0.8H, Hb), 6.50 (d, J = 15.6 Hz, 0.8H, Ha), 6.59 (d, J = 11.4 Hz, 0.2H, Ha’), 6.72 (d, J = 6.3 Hz, 0.2H, NH シス), 7.17-7.20 (m, 2H, Ph), 7.24-7.27 (m, 2H, Ph)。13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 27.2 (CH3), 29.0 (CH2 シスまたはトランス), 35.0 (CH2 シスまたはトランス), 51.9 (CHN シスまたはトランス), 53.1 (CHN シスまたはトランス), 79.6 (C(CH3)3 シスまたはトランス), 81.0 (C(CH3)3 シス), 109.6 (Carom シス), 109.7 (Carom トランス), 117.8 (CN シスまたはトランス), 117.9 (CN シスまたはトランス), 125.8 (Carom), 126.5 (CH= シスまたはトランス), 127.1 (CH= シスまたはトランス), 127.8 (Carom), 128.3 (Carom), 128.5 (Carom), 130.1 (Carom), 131.1 (Carom), 131.4 (Carom), 131.5 (CH= シスまたはトランス), 132.3 (CH= シスまたはトランス), 140.2 (Carom), 155.4 (COO), 174.9 (COO)。C17H20N2NaO4[M+Na]+についての計算精密質量: 339.1315, 実測値: 339.1299。鏡像異性体純度は、TMSCHN2によるエステル化後にHPLC(Lux 5μm cellulose-2、ヘキサン:iPrOH=85:15、1mL/分、λ=210nm、20℃、tR(シス(S))=16.3分、tR(トランス(S))=19.2分、tR(シス(R))=23.8分、tR(トランス(R))=32.1分)で測定した。

F.2.5. (S)−2−(t−ブチルオキシカルボニルアミノ)−5−(4−メトキシフェニル)ペンタ−4−エン酸(I”e)

120mgのホスホニウム塩(II”a)および136mg(1mmol、5当量)の4−メトキシ−ベンズアルデヒドを使用して、アミノ酸(I”e)を67%の収率および24:76のシス/トランス比で得た。淡黄色の油、Rf:0.42(酢酸エチル/石油エーテル=3:7+1%酢酸)、鏡像体過剰率>98%*、[α]D=+12.3(c=0.5、CHCl3)。IR (cm-1): 3288 (N-H), 2978-2838 (C-H), 1713 (C=O), 1578 (C=O), 1512, 1456, 1441, 1394, 1368, 1289, 1248, 1174 (O-CH3), 1111, 1043, 968, 911, 839, 734, 633。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 1.44 (s, 9H, CH3), 2.56-2.79 (m, 1.5H, CH2 トランス), 2.94-2.99 (m, 0.5H, CH2 シス), 3.81 (s, 3H, OCH3), 4.33-4.43 (m, 1H, CHN シス+トランス), 5.03-5.13 (m, 1H, NH シス+トランス), 5.52-5.58 (m, 0.24H, Hb’), 5.93-6.02 (m, 0.76H, Hb), 6.43 (d, J = 15.6 Hz, 0.76H, Ha), 6.54 (d, J = 11.4 Hz, 0.24H, Ha’), 6.83-6.89 (m, 2H, Harom), 7.17-7.22 (m, 1H, Harom), 7.29-7.32 (m, 1H, Harom)。13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 28.3 (CH3), 31.1 (CH2 シス), 35.7 (CH2 トランス), 53.1 (CHN), 55.3 (OCH3), 80.5 (C(CH3)3 トランス), 80.6 (C(CH3)3 シス), 113.8 (Carom), 114.0 (Carom), 121.1 (CH=), 123.9 (CH=), 125.3 (Carom), 127.5 (Carom), 128.3 (Carom), 129.0 (Carom), 129.7 (Carom), 130.0 (Carom), 132.2 (CH=), 133.7 (CH=), 137.9 (Carom), 155.8 (COO), 158.6 (Carom-OCH3 シス), 159.2 (Carom-OCH3 トランス), 176.8 (COO)。C17H23N1Na1O5[M+Na]+についての計算精密質量: 344.1468, 実測値: 344.1448。*鏡像異性体純度は、TMSCHN2によるエステル化後にキラルカラムを用いたHPLC(Lux 5μm cellulose-2、ヘキサン:iPrOH=95:5、1.5mL/分、λ=254nm、20℃、tR(シス(R))=8.3分、tR(トランス(R))=10.4分、tR(シス(S))=13.1分、tR(トランス(S))=16.7分)で測定した。

F.2.6. (S)−2−(t−ブチルオキシカルボニルアミノ)−5−(3,4−ジメトキシフェニル)ペンタ−4−エン酸(I”f)

120mgのホスホニウム塩(II”a)および200mg(1.2mmol、6当量)の3,4−ジメトキシベンズアルデヒドを使用して、不飽和アミノ酸(I”f)を76%の収率および20:80のシス/トランス比で調製した。淡黄色の油、Rf:0.44(酢酸エチル/石油エーテル=1:1+1%酢酸)、鏡像体過剰率>98%*、[α]D=+52.6(c=0.5、CHCl3)。IR (cm-1): 3293 (N-H), 2975-2824 (C-H), 1743 (C=O), 1704 (C=O), 1604, 1515, 1463, 1393, 1265 (OCH3), 1088, 1024, 964, 855, 783, 738, 656。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 1.43 (s, 9H, CH3), 2.59-2.81 (m, 1.6H, CH2 トランス), 2.85-2.99 (m, 0.4H, CH2 シス), 3.88 (s, 3H, OCH3), 3.90 (s, 3H, OCH3), 4.24-4.27 (m, 0.24H, CHN シス), 4.47 (m, 0.74H, CHN トランス), 5.07 (d, J = 7.8 Hz, 0.7H, NH トランス), 5.52-5.60 (m, 0.2H, Hb’), 5.94-6.04 (m, 0.8H, Hb), 6.2 (sl, 0.2H, NH シス), 6.44 (d, J = 15.6 Hz, 0.8H, Ha), 6.55 (d, J = 11.4 Hz, 0.2H, Ha’), 6.79-6.92 (m, 3H, Harom)。13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 28.3 (CH3)3, 31.1 (CH2 シス), 35.7 (CH2 トランス), 53.1 (CHN), 55.8 (OCH3), 55.9 (OCH3), 80.4 (C(CH3)3 トランス), 81.7 (C(CH3)3 シス), 108.8 (Carom), 111.1 (Carom), 121.3 (CH= シス), 121.4 (CH= トランス), 125.3 (Carom), 128.2 (Carom), 129 (Carom), 129.6 (Carom), 129.9 (Carom), 132.5 (CH= シス), 133.9 (CH= トランス), 148.1 (Carom-OCH3 シス), 148.6 (Carom-OCH3 トランス),148.8 (Carom-OCH3 シス), 149.0 (Carom-OCH3 トランス), 155.6 (COO), 176.7 (COO)。C18H24NNa2O6[M+2Na]+についての計算精密質量: 396.1393, 実測値: 396.1403。*鏡像異性体純度は、TMSCHN2によるエステル化後にHPLC(Lux 5μm cellulose-2、ヘキサン:iPrOH=95:5、1.5mL/分、λ=254nm、20℃、tR(シス(R))=8.3分、tR(トランス(R))=10.4分、tR(シス(S))=13.1分、tR(トランス(S))=16.7分)で測定した。

F.2.7. (S)−2−(t−ブチルオキシカルボニルアミノ)−5−フリルペンタ−4−エン酸(I”g)

120mgのホスホニウム塩(II”a)および38.4mgの2−フルアルデヒドを使用して、不飽和アミノ酸(I”g)を80%の収率で合成した。淡黄色の油、Rf:0.40(酢酸エチル/石油エーテル=3:7+1%酢酸)、鏡像体過剰率>98%*、[α]D=+43.3(c=0.4、CHCl3)。IR (cm-1): 3338 (N-H), 2978-2931 (C-H), 1780, 1694 (C=O), 1511, 1455, 1393, 1367, 1254, 1157 (C-O), 1349, 1017, 925, 863, 811, 735, 702, 653。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 1.45 (s, 9H, CH3), 2.58-2.78 (m, 1H, CH2), 2.90-3.16 (m, 1H, CH2), 4.20-4.27 (m, 0.4H, CHN シスまたはトランス), 4.34-4.48 (m, 0.6H, CHN シスまたはトランス), 5.12-5.14 (m, 0.6H, NH シスまたはトランス), 5.45-5.54 (m, 0.4H, HbまたはHb’), 6.00-6.10 (m, 0.6H, HbまたはHb’), 6.21 (d, J = 3.3 Hz, 1H, Hfuryl), 6.35-6.41 (m, 3H, Ha, Ha’, Hfuryl), 7.17-7.20 (m, 0.4H, NH シスまたはトランス) 7.36 (dd, J = 21.9, 1.2 Hz, 1H, Hfuryl)。13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 28.3 (CH3)3, 31.8 (CH2 シスまたはトランス), 35.5 (CH2 シスまたはトランス), 53.1 (CHN シスまたはトランス), 54.5 (CHN シスまたはトランス), 80.4 (C(CH3)3 シスまたはトランス), 81.7 (C(CH3)3 シスまたはトランス), 107.5 (Cfuryl シスまたはトランス), 110.2 (Cfuryl シスまたはトランス), 111.1 (Cfuryl シスまたはトランス), 111.2 (Cfuryl シスまたはトランス), 120.5 (CH= シスまたはトランス), 122.2 (CH= シスまたはトランス), 122.6 (CH= シスまたはトランス), 123.1 (CH= シスまたはトランス), 141.8 (Cfuryl シスまたはトランス), 142.0 (Cfuryl シスまたはトランス), 152.3 (Cfuryl シスまたはトランス), 152.6 (Cfuryl シスまたはトランス), 155.5 (COO), 155.7 (COO), 176.3 (COO), 176.8 (COO)。C14H18N1O5[M+H]+についての計算精密質量: 280.1190; 実測値: 280.1188。*鏡像異性体純度は、TMSCHN2によるエステル化後にHPLC(Lux 5μm cellulose-2、ヘキサン:iPrOH=95:5、1mL/分、λ=254nm、20℃、tR(シス+トランス(S))=10.2分、tR(シスまたはトランス(R))=14.5分、tR(シスまたはトランス(R))=16分)で測定した。

F.2.8. (S)−2−(t−ブチルオキシカルボニルアミノ)−7−フェニルヘプタ−4−エン酸(I”h)

120mgのホスホニウム塩(II”a)および120mg(0.88mmol、4.4当量)の3−フェニルプロパナールを使用して、不飽和アミノ酸(I”h)を57%の収率で得た。橙黄色の固体、Rf:0.48(酢酸エチル/石油エーテル=3:7+1%酢酸)、鏡像体過剰率>98%*、[α]D=+54.0(c=0.2、CHCl3)。IR (cm-1): 3235 (N-H), 3077-2808 (C-H), 2326, 1652 (C=O), 1497, 1454, 1394, 1368, 1055, 983, 817, 736, 698, 649。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 1.46 (s, 9H, CH3), 2.34-2.49 (m, 3H, CH2), 2.57-2.72 (m, 3H, CH2), 4.35-4.38 (m, 1H, CHN), 4.95 (d, J = 7.2 Hz, 1H, NH), 5.32-5.40 (m, 1H, CH=), 5.62-5.68 (m, 1H, CH=), 7.11-7.23 (m, 3H, Harom), 7.27-7.34 (m, 2H, Harom)。13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 28.3 (CH3), 29.2 (CH2 シスまたはトランス), 29.7 (CH2 シスまたはトランス), 30.9 (CH2 シスまたはトランス), 32.0 (CH2 シスまたはトランス), 34.3 (CH2 シスまたはトランス), 35.7 (CH2 シスまたはトランス), 53.0 (CHN), 79.2 (C(CH3)3), 123.3 (CH= シスまたはトランス), 125.9 (CH= シスまたはトランス), 128.3 (Carom), 128.5 (Carom), 128.7 (Carom), 133.4 (CH= シスまたはトランス), 134.8 (CH= シスまたはトランス), 141.6 (Carom), 155.8 (COO), 176.9 (COO)。C18H25NNaO4[M+Na]+についての計算精密質量: 342.1676; 実測値: 342.1647。*鏡像異性体純度は、TMSCHN2によるエステル化後にHPLC(Lux 5μm cellulose-2、ヘキサン:iPrOH=95:5、1mL/分、λ=254nm、20℃、tR(シスまたはトランス(S))=6.9分、tR(シスまたはトランス(S))=7.8分、tR(シスまたはトランス(R))=10.2分、tR(シスまたはトランス(R))=12.7分)で測定した。

F.2.9. (S)−2−(t−ブチルオキシカルボニルアミノ)−4−ペンタエン酸(I”i)

120mgのホスホニウム塩(II”a)および12mgのパラホルムアルデヒドを使用して、アリルグリシン(I”i)を55%の収率で得た。無色の油、Rf:0.39(酢酸エチル/石油エーテル=3:7+1%酢酸)、鏡像体過剰率>98%*、[α]D=+13.5(c=0.2、CHCl3)。IR (cm-1): 3313 (N-H), 3082-2932 (C-H), 1703 (C=O), 1662 (C=O), 1509, 1439, 1394, 1368, 1250, 1157, 1050, 1024, 993, 920, 855, 778, 754, 739, 655。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 1.46 (s, 9H, CH3), 2.57-2.67 (m, 2H, CH2), 4.10-4.42 (m, 1H, CHN), 5.04 (d, J = 7.5 Hz, 0.7H, NH), 5.16-5.36 (m, 2H, CH2=), 5.69-5.87 (m, 1H, CH=), 6.12 (d, J = 7.5 Hz, 0.3H, NH)。13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 27.4 (CH3), 35.3 (CH2), 51.8 (CHN), 79.3 (C(CH3)3), 118.4 (CH2=), 131.1 (CH=), 155.5 (COO), 175.7 (COO)。C10H17NNaO4[M+Na]+についての計算精密質量: 238.1050, 実測値: 238.1039。*鏡像異性体純度は、TMSCHN2によるエステル化後にHPLC(Lux 5μm cellulose-2、ヘキサン:iPrOH=98:2、1mL/分、λ=210nm、20℃、tR(S)=12.2分、tR(R)=20.2分)で測定した。

F.2.10. (S)−2−(t−ブチルオキシカルボニルアミノ)−6−フェニルヘキサ−4−エン酸(I”j)

120mgのホスホニウム塩(II”a)および48mgのフェニルアセトアルデヒドを使用して、不飽和アミノ酸(I”j)を10%の収率で得た。無色の油、鏡像体過剰率>98%*、[α]D=+49(c=0.2、CHCl3)。IR (cm-1): 3446, 3054, 2824, 1714, 1496, 1395, 1368, 1163, 1053, 741, 698, 602。C17H23NNaO4[M+Na]+についての計算精密質量: 328.1519, 実測値: 328.1502。*鏡像異性体純度は、TMSCHN2によるエステル化後にHPLC(Lux 5μm cellulose-2、ヘキサン:iPrOH=97:3、1mL/分、λ=210nm、20℃、tR(シスまたはトランス(S))=12.1分、tR(シスまたはトランス(S))=14.7分、tR(シスまたはトランス(R))=21.5分、tR(シスまたはトランス(R))=28.1分)で測定した。

F.2.11. (S)−2−(t−ブチルオキシカルボニルアミノ)−5−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)]−ペンタ−4−エン酸(I”k)

120mgのホスホニウム塩(II”a)と、ピナコールおよび4−ホルミルベンゼンボロン酸の反応により調製した93mgの4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンズアルデヒドとを使用して、不飽和アミノ酸(I”k)を57%の収率および25:75のシス/トランス比で得た。無色の油、Rf:0.40(酢酸エチル/石油エーテル=3:7+1%酢酸)、鏡像体過剰率>98%*、[α]D=+12.8(c=0.6、CHCl3)。IR (cm-1): 3346 (N-H), 2979-2931 (C-H), 1714 (C=O), 1608, 1515, 1496, 1455, 1397, 1358, 1321, 1270, 1214, 1143 (C-O), 1089, 1052, 1019, 963, 859, 787, 696, 656, 607, 546, 540, 535, 524, 517。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 1.36 (s, 12H, (CH3)2), 1.44 (s, 9H, CH3), 2.67-2.80 (m, 2H, CH2), 4.48-5.13 (m, 1H, CHN), 5.16-6.18 (m, 1H, NH), 5.61-5.73 (m, 0.25H, Hb’), 6.10-6.25 (m, 0.75H, Hb), 6.51 (d, J = 15.6 Hz, 0.75H, Ha), 6.63 (d, J = 12.3 Hz, 0.25H, Ha’), 7.15-7.41 (m, 4H, Harom)。13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 24.8 ((CH3)2), 28.3 (CH3), 31.2 (CH2 シス), 35.9 (CH2 トランス), 53.1 (CHN トランス), 54.4 (CHN シス), 80.4 (C(CH3)3 トランス), 81.7 (C(CH3)3 シス), 83.8 (C(CH3)2), 116.0 (Carom), 124.8 (Carom), 125.3 (CH= シス), 125.6 (CH= トランス), 126.4 (Carom), 128.0 (Carom), 128.2 (Carom), 129.0 (Carom), 129.4 (Carom), 131.6 (Carom), 132.5 (Carom), 134.2 (Carom), 134.8 (CH= シスまたはトランス), 135.1 (CH= シスまたはトランス), 137.9 (Carom), 139.5 (Carom), 155.6 (COO), 176.1 (COO)。C22H32BNNaO6[M+Na]+についての計算精密質量: 440.2219, 実測値: 440.2215。*鏡像異性体純度は、TMSCHN2によるエステル化後にHPLC(Lux 5μm cellulose-2、ヘキサン:iPrOH=90:10、1mL/分、λ=210nm、20℃、tR(トランス(S))=6.9分、tR(シス(S))=7.8分、tR(トランス(R))=10.2分、tR(シス(R))=12.7分)で測定した。

F.2.12. (S)−2−(t−ブチルオキシカルボニルアミノ)−5−(25,26,27,28−テトラプロポキシカリックス−4−アレーニル(arenyl))−4−エン酸(I”l)

120mgのホスホニウム塩(II”a)と、カリックス−[4]アレーンから誘導された248mgのアルデヒドとを使用して、不飽和アミノ酸(I”l)を25%の収率で調製した。無色の油、Rf:0.47(酢酸エチル/石油エーテル=3:7+1%酢酸)、鏡像体過剰率>98%*、[α]D=+7.5(c=0.4、CHCl3)。IR (cm-1): 3066 (N-H), 2957-2875 (C-H), 1716 (C=O), 1625, 1499, 1465, 1396, 1393, 1367, 1303, 1275, 1242, 1217, 1167, 1127 (OPr), 1086, 1039, 1005, 966, 917, 891, 831, 760, 726, 691, 665。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 0.98-1.03 (m, 12H, CH3, OPr), 1.47 (s, 9H, CH3), 1.94 (m, 8H, CH2, OPr), 2.57-2.72 (m, 2H, CH2), 3.16 (m, 4H, Ar-CH2-Ar), 3.80 (m, 4H, CH2O, OPr), 3.90 (m, 4H, CH2O, OPr), 4.35 (d, J = 3.3 Hz, 1H, CHN シスまたはトランス), 4.45 (m, 4H, Ar-CH2-Ar), 4.90 (d, J = 7.8 Hz, 1H, NH), 5.03 (d, J = 7.2 Hz, 1H, CHN シスまたはトランス), 5.34 (m, 1H, CH=), 5.80 (m, 1H, CH=), 6.20-6.90 (m, 11H, Harom)。13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 10.1 (CH3, OPr シスまたはトランス), 10.2 (CH3, OPr シスまたはトランス), 10.4 (CH3, OPr シスまたはトランス), 10.5 (CH3, OPr シスまたはトランス), 23.1 (CH2, OPr シスまたはトランス), 23.2 (CH2, OPr シスまたはトランス), 23.3 (CH2, OPr シスまたはトランス), 23.4 (CH2, OPr シスまたはトランス), 28.3 (CH3), 29.6 (CH2 シスまたはトランス), 29.7 (CH2 シスまたはトランス), 31.0 (Ar-CH2-Ar), 53.1 (CHN シスまたはトランス), 53.1 (CHN シスまたはトランス), 76.7 (OCH2, OPr), 76.8 (OCH2, OPr), 80.4 (C(CH3)3), 115.3 (Carom シスまたはトランス), 121.8 (Carom シスまたはトランス), 121.9 (Carom シスまたはトランス), 126.3 (Carom シスまたはトランス), 126.5 (Carom シスまたはトランス), 127.8-128.7 (m, Carom), 129.6 (Carom シスまたはトランス), 130.1 (Carom シスまたはトランス), 130.4 (Carom シスまたはトランス), 132.8 (Carom シスまたはトランス), 134.4 (Carom シスまたはトランス), 134.5 (Carom シスまたはトランス), 134.7 (Carom シスまたはトランス), 135.5 (Carom シスまたはトランス), 135.7 (Carom シスまたはトランス), 156.3 (COO), 176.7 (COO)。C10H17N1Na1O4[M+Na]+についての計算精密質量: 828.4446, 実測値: 828.4420。*鏡像異性体純度は、TMSCHN2によるエステル化後にHPLC(Lux 5μm cellulose-2、ヘキサン:iPrOH=98:2、0.8mL/分、λ=254nm、20℃、tR(シスまたはトランス(S))=14.6分、tR(シスまたはトランス(S))=21.4分、tR(シスまたはトランス(R))=30.8分、tR(シスまたはトランス(R))=39.2分)で測定した。

F.2.13. (S)−2−(t−ブチルオキシカルボニルアミノ)−5−フェロセニルペンタ−4−エン酸メチル(I”m)

120mgのホスホニウム塩(II”a)および214mg(1mmol、5当量)のフェロセンカルボキシアルデヒドを、254mg(1.2mmol、6当量)のK3PO4と共に90℃で16時間撹拌した。反応混合物を蒸留水(5mL)で加水分解し、ジエチルエーテル(3×5mL)で抽出した。水層をpHが3になるまでKHSO4(1M)で酸性化し、酢酸エチル(3×5mL)で抽出した。1つにまとめた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を蒸発させた。粗製生成物を2mLのトルエン/メタノール(3:2)混合物に溶解し、0.13mL(0.25mmol)のTMSCHN2を添加した。反応混合物を室温で30分撹拌し、溶媒を蒸発させた。残留物を、酢酸エチル/石油エーテル(3:7)を溶離液として用いるクロマトグラフィーで精製した。フェロセニルアミノエステル(I”m)を51%の収率および50:50のシス/トランス比で得た。橙黄色の油、Rf:0.42(酢酸エチル/石油エーテル=1:4)、[α]D=+133(c=0.1、CHCl3)。IR (cm-1): 3390 (N-H), 2927-2854 (C-H), 1779 (C=O), 1695 (C=O), 1509, 1455, 1392, 1366, 1251, 1158, 1106, 1048, 1023, 1001, 821, 734, 662。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 1.46-1.47 (2s, 9H, CH3 シスおよびトランス), 2.47-2.87 (2m, 2H, CH2), 3.76-3.79 (2s, 3H, OCH3 シスおよびトランス), 4.12-4.14 (2s, 5H, Fc, シスおよびトランス), 4.20-4.24 (2m, 2H, Fc, シスおよびトランス), 4.30-4.35 (2m, 2H, Fc, シスおよびトランス), 4.38-4.47 (m, 1H, CHN), 5.06-5.12 (m, 1H, NH), 5.33-5.39 (m, 1H, CH=), 5.58-5.68 (m, 1H, CH=), 6.22 (d, J = 15.6 Hz, 0.52H, CH= トランス), 6.26 (d, J = 11.8 Hz, CH= シス)。13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 28.3 (CH3), 31.7 (CH2), 35.8 (CH2 シスまたはトランス), 52.3 (OCH3 シスまたはトランス), 52.4 (OCH3 シスまたはトランス), 53.0 (CHN, シスまたはトランス), 53.1 (CHN, シスまたはトランス), 66.6 (CH, Fc, シスまたはトランス), 66.7 (CH, Fc, シスまたはトランス), 68.6 (CH, Fc シスまたはトランス), 68.7 (CH, Fc, シスまたはトランス), 68.8 (CH, Fc シスまたはトランス), 68.9 (CH, Fc シスまたはトランス), 69.0 (CH, Fc シスまたはトランス), 69.3 (CH, Fc シスまたはトランス), 81.0 (C(CH3)3), 82.7 (C(CH3)3), 120.4 (CH= シスまたはトランス), 121.7 (CH= シスまたはトランス), 130.1 (CH= シスまたはトランス), 131.8 (CH= シスまたはトランス), 155.2 (COO, シスまたはトランス), 155.3 (COO, シスまたはトランス), 172.6 (COO, シスまたはトランス), 173 (COO, シスまたはトランス)。C21H27FeNNaO4[M+Na]+についての計算精密質量: 436.1182, 実測値: 436.1193。 *鏡像異性体純度は、HPLC(Lux 5μm cellulose-2、ヘキサン:iPrOH=97:3、0.8mL/分、λ=254nm、20℃、tR(シス(S))=27.4分、tR(トランス(S))=30.7分、tR(シス+トランス(R))=43.1分)で測定した。

F.2.14. ビス−[(S)−2−(t−ブチルオキシカルボニルアミノ)ペンタ−4−エン−5−イル−オイック酸]−1,3−ベンゼン(I”n)

120mgのホスホニウム塩(II”a)および13.4mg(0.1mmol、0.5当量)のm−フタルジアルデヒドを使用して、不飽和アミノ酸(I”n)を85%の収率で調製した。白色の固体、Rf:0.23(酢酸エチル/石油エーテル=3:7+1%酢酸)、鏡像体過剰率>98%*、[α]D=+82.6(c=0.5、CHCl3)。IR (cm-1): 3555 (N-H), 3407 (N-H), 3056-3407 (C-H), 2326, 2244, 2030, 1949, 1583 (C=O), 1573 (C=O), 1493, 1471, 1462, 1431, 1296, 1273, 1241, 1180, 1129, 1108, 1070, 1022, 909, 851, 824, 795, 731, 698。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 1.44 (s, 18H, CH3), 2.59-2.89 (m, 4H, CH2), 4.14-4.70 (m, 2H, CHN シス+トランス), 5.26-5.32 (m, 1H, NH), 5.63-5.71 (m, 1H, CH=), 6.01-6.06 (m, 1H, CH=), 6.35-6.54 (m, 2H, CH=), 7.01-7.07 (m, 1H, NH), 7.08-7.11 (m, 2H, Harom), 7.14-7.18 (m, 2H, Harom)。13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 28.3 (CH3), 31.3 (CH2), 35.7 (CH2), 53.1 (CHN シスまたはトランス), 54.5 (CHN シスまたはトランス), 80.4 (C(CH3)3), 125.3 (Carom), 126.0 (CH= シスまたはトランス), 126.1 (CH= シスまたはトランス), 127.5 (CH= シスまたはトランス), 127.9 (Carom), 128.3 (CH= シスまたはトランス), 128.5 (CH= シスまたはトランス), 129.0 (Carom), 132.4 (CH= シスまたはトランス), 134.1 (CH= シスまたはトランス), 137.0 (Carom), 137.1 (Carom), 137.9 (Carom), 155.6 (COO), 156.8 (COO), 175.9 (COO)。C26H36N2NaO8[M+Na]+についての計算精密質量: 527.2364; 実測値: 527.2372。*鏡像異性体純度は、TMSCHN2によるエステル化および水素化後にHPLC(Lux 5μm cellulose-2、ヘキサン:iPrOH=90:10、1mL/分、λ=210nm、20℃、tR(SS)=14.3分、tR(RS+SR)=21.7分、tR(RR)=32.2分)で測定した。

F.2.15. (S)−2−(t−ブチルオキシカルボニルアミノ)−7−フェニルヘプタ−4,6−ジエン酸(I”o)

120mgのホスホニウム塩(II”a)および53mgのトランス−シンナムアルデヒドを使用して、不飽和アミノ酸(I”o)を77%の収率で合成した。白色の固体、Rf:0.53(酢酸エチル/石油エーテル=3:7+1%酢酸)、鏡像体過剰率>98%*、[α]D=+33.6(c=0.8、CHCl3)。IR (cm-1): 3319 (N-H), 3083-3853 (C-H), 1710 (C=O), 1496, 1450, 1393, 1368, 1251, 1159, 1056, 1027, 989, 948, 920, 857, 807, 778, 752, 731, 694。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 1.44-1.47 (2s, 9H, CH3 シスまたはトランス), 2.47-2.94 (m, 1H, CH2), 4.14-4.33 (m, 0.3H, CHN シスまたはトランス), 4.45-4.53 (m, 0.7H, CHN シスまたはトランス), 5.04-5.20 (m, 1H, CH=(シスまたはトランス)またはNH), 6.27-6.38 (m, 0.7H, CH=(シスまたはトランス)またはNH), 6.49-6.62 (m, 1H, CH(シスまたはトランス)またはNH), 6.76 (dd, J = 10.2, 15.6 Hz, 0.7H, CH= シスまたはトランス), 7.03 (dd, J = 11.4, 15.6 Hz, 0.3H, CH= シスまたはトランス), 7.18-7.36 (m, 5H, Harom)。13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 27.3 (CH3), 31.9 (CH2 シスまたはトランス), 35.6 (CH2 シスまたはトランス), 53.1 (CHN シスまたはトランス), 54.6 (CHN シスまたはトランス), 79.4 (C(CH3)3 シスまたはトランス), 80.8 (C(CH3)3 シスまたはトランス), 122.5 (Carom), 123.8 (CH= シスまたはトランス), 124.0 (CH= シスまたはトランス), 124.3 (Carom), 125.3 (Carom), 125.5 (Carom), 126.5 (Carom), 126.7 (Carom), 127.2 (Carom), 127.4 (Carom), 127.6 (Carom), 128 (Carom), 130.9 (CH= シスまたはトランス), 131.4 (CH= シスまたはトランス), 131.9 (CH= シスまたはトランス), 133 (CH= シスまたはトランス), 133.5 (CH= シスまたはトランス), 133.6 (CH= シスまたはトランス), 136.1 (Carom), 136.8 (Carom), 154.5 (COO), 155.7 (COO シスまたはトランス), 175.2 (COO シスまたはトランス), 175.5 (COO シスまたはトランス)。C17H19F3N2NaO4[M-H]-についての計算精密質量: 316.1554, 実測値: 316.1560。*鏡像異性体純度は、TMSCHN2によるエステル化後にHPLC(Lux 5μm cellulose-2、ヘキサン:iPrOH=95:5、1mL/分、λ=210nm、20℃、tR(シスまたはトランス(S))=20.1分、tR(シスまたはトランス(S))=29分、tR(シスまたはトランス(R))=32.2分、tR(シスまたはトランス(R))=61.2分)で測定した。

F.2.16. (S)−2−(t−ブチルオキシカルボニルアミノ)−7−(4−アジドフェニル)ヘプタ−4,6−ジエン酸(I”p)

120mgのホスホニウム塩(II”a)および69.2mgの(E)−4−アジドフェニルプロパ−2−エナールを使用して、不飽和アミノ酸(I”p)を56%の収率で得た。赤色の固体、Rf:0.43(酢酸エチル/石油エーテル=3:7+1%酢酸)、鏡像体過剰率>98%*、[α]D=+81.6(c=0.4、CHCl3)。IR (cm-1): 3346 (N-H), 2925-2854 (C-H), 2114 (N3), 1706 (C=O), 1598, 1504, 1454, 1393, 1367, 1284, 1259, 1157, 1127, 1053, 1025, 986, 948, 825, 789, 754, 699。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 1.43-1.46 (2s, 9H, CH3 シスおよびトランス), 2.62-2.90 (m, 2H, CH2), 4.26-4.33 (m, 0.25H, CHN シスまたはトランス), 4.44-4.46 (m, 0.75H, CHN(シスまたはトランス)またはNH), 5.42-5.50 (m, 0.55H, CH=(シスまたはトランス)またはNH), 5.67-5.77 (m, 0.5H, CH=(シスまたはトランス)またはNH), 6.24-6.38 (m, 1H, CH= シスまたはトランス), 6.42-6.56 (m, 1H, CH= シスまたはトランス), 6.65-6.70 (m, 0.53H, CH= シスまたはトランス), 6.97 (dd, J = 8.4, 3.0 Hz, 2H, Harom), 7.38 (dd, J = 8.4, 13.2 Hz, 2H, Harom)。13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 27.3 (CH3), 28.7 (CH2 シスまたはトランス), 29.5 (CH2 シスまたはトランス), 52.1 (CHN), 79.4 (C(CH3)3), 118.2 (Carom), 122.2 (Carom), 124.0 (CH= シスまたはトランス), 124.3 (CH= シスまたはトランス), 126.5 (Carom), 126.9 (Carom), 127.2 (CH= シスまたはトランス),128.1 (CH= シスまたはトランス), 130.0 (Carom), 131.6 (Carom), 131.7 (Carom), 132.3 (Carom), 133.1 (Carom), 133.5 (Carom), 137.9 (Carom), 138.1 (Carom), 154.5 (COO), 175.3 (COO)。C18H21N4Na2O4[M-H+2Na]+についての計算精密質量: 403.1358, 実測値: 403.1303。*鏡像異性体純度は、TMSCHN2によるエステル化後にHPLC(Lux 5u cellulose-2、ヘキサン:iPrOH=95:5、1mL/分、λ=254nm,20℃、tR(シスまたはトランス(S))=12.2分、tR(シスまたはトランス(S)+tR(シスまたはトランス(R))=16.2分、tR(シスまたはトランス(R))=30.4分)で測定した。

F.2.17. (S)−2−(t−ブチルオキシカルボニルアミノ)−7−エトキシカルボニル−4,6−ジエン酸(I”q)

120mgのホスホニウム塩II”aおよび26mgの4−オキソ−2−ブテン酸エチルを使用して、不飽和アミノ酸I”qを淡黄色の油として58%の収率で得た。Rf:0.36(酢酸エチル/石油エーテル=3:7+1%酢酸)。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 1.22 (t, 3H, J = 36.6 Hz, CH3), 1.45 (s, 9H, (CH3)3), 2.40-2.79 (m, 2H, CH2), 4.12 (q, J = 7.54 Hz, CH2), 4.32-4.39 (m, 1H, CHN), 4.93-4.99 (m, 1H, NH), 5.77 (d, 0.8H, J = 13.9 Hz, CH= シスまたはトランス), 5.87 (d, J = 13.4 Hz, 0.2H, CH= シスまたはトランス), 5.91-6.03 (m, 1H, CH=), 6.15-6.24 (m, 1H, CH=), 6.16-6.24 (m, 1H, CH=)。13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 14.2 (CH3), 29.3 ((CH3)3), 39.9 (CH2),52.8 (CHN), 60.5 (CH2O), 80.5 (C(CH3)3), 121.1 (CH= シスまたはトランス), 122.9 (CH= シスまたはトランス), 128.8 (CH= シスまたはトランス), 130.9 (CH= シスまたはトランス), 132.1 (CH= シスまたはトランス), 136.6 (CH= シスまたはトランス), 138.5 (CH= シスまたはトランス), 143.8 (CH= シスまたはトランス), 155.5 (COO), 167.1 (COO).

F.2.18. (S)−2−(t−ブチルオキシカルボニルアミノ)−7−ジメチルヘプタ−4,6−ジエン酸(I”r)

120mgのホスホニウム塩II”aおよび84mgの3−メチル−2−ブテナールを使用して、不飽和アミノ酸I”rを無色の油として70%の収率で得た。Rf:0.51(酢酸エチル/石油エーテル=3:7+1%酢酸)、[α]D=+70.7(c=0.75、CHCl3)。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 1.36 (s, 9H, (CH3)3), 1.68 (d, J = 5.82 Hz, 6H, CH3), 2.51-2.66 (m, 2H, CH2), 4.19-4.33 (m, 2H, CHN) 4.89-5.01 (m, 1H, NH), 5.31-5.49 (m, 1H, CH=), 5.72 (d, 0.8H, J = 11.16 Hz, CH= シスまたはトランス), 5.95 (d, J = 12.1 Hz, CH= シスまたはトランス), 6.21-6.32 (m, 1H, CH=); 13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 25.9 (CH3), 26.3 (CH3), 28.3 ((CH3)3), 29.7 (CH2 シスまたはトランス), 30.0 (CH2 シスまたはトランス), 53.7 (CHN), 80.1 (C(CH3)3), 119.8 (CH= シスまたはトランス), 121.8 (CH= シスまたはトランス), 124.4 (CH= シスまたはトランス), 124.6 (CH= シスまたはトランス), 128.0 (CH= シスまたはトランス), 128.5 (CH= シスまたはトランス), 130.8 (CH= シスまたはトランス), 134.8 (C=シスまたはトランス), 137.0 (C=シスまたはトランス), 155.8 (COO), 176.7 (COO); C14H22NO4[M-H]+についての計算精密質量: 268.1543, 実測値: 268.1550.

F.2.19. (S)−2−(t−ブチルオキシカルボニルアミノ)−7−(4−ニトロフェニル)ヘプタ−4,6−ジエン酸(I”s)

120mgのホスホニウム塩II”aおよび53mgの4−ニトロ−トランス−シンナムアルデヒドを使用して、不飽和アミノ酸I”sを黄色の固体として70%の収率で合成した。Rf:0.46(酢酸エチル/石油エーテル=3:7+1%酢酸)、鏡像体過剰率>98%*、[α]D=+61.6(c=0.25、CHCl3)。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 1.34-1.7 (2s, 9H, CH3 シスまたはトランス), 2.47-2.94 (m, 1H, CH2), 4.25-4.39 (m, 1H, CHN), 4.99-4.01 (m, 1H, NH), 5.51-5.60 (m, 0.2 H, CH=), 5.75-5.85 (m, 0.8H, CH= シスまたはトランス), 6.21-6.31 (m, 1H, CH= シスまたはトランス), 6.45 (d, 0.8H, J = 15.9 Hz, CH= シスまたはトランス), 6.52 (d, 0.2 H, J = 15.6 Hz, CH= シスまたはトランス), 6.76-6.85 (m, 1H, CH= シスまたはトランス), 7.41 (d, J = 8.7 Hz, 1.6H, Harom シスまたはトランス), 7.45 (d, J = 8.74 Hz, 0.4H, Harom), 8.08-8.10 (2d, 2H, J = 8.7, 9.0 Hz, Harom); 13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 28.3 (CH3), 35.7 (CH2), 53.0 (CHN), 80.6 (C(CH3)3, 123.6 (CH= シスまたはトランス), 124.1 (CH= シスまたはトランス), 125.3 (CH= シスまたはトランス), 126.6 (CH= シスまたはトランス), 126.9 (CH= シスまたはトランス), 127.8 (CH= シスまたはトランス), 128.2 (CH= シスまたはトランス), 129.0 (CH= シスまたはトランス), 129.6 (CH= シスまたはトランス), 131.3 (CH= シスまたはトランス), 131.5 (CH= シスまたはトランス), 132.8 (Carom), 133.9 (CH= シスまたはトランス), 143.6 (Carom), 143.7 (Carom), 146.7 (Carom), 146.8 (Carom), 155.5 (COO), 176.1 (COO); C18H21N2O6[M-H]-についての計算精密質量: 361.1391, 実測値: 361.1394。*鏡像異性体純度は、TMSCHN2によるエステル化後にHPLC(Lux 5μm cellulose-2、ヘキサン:iPrOH=85:15、0.8mL/分、λ=254nm、20℃、tR(シスまたはトランス(S))=16.8分、tR(シスまたはトランス(S))=22.2分、tR(シスまたはトランス(R))=30.9分、tR(シスまたはトランス(R))=35.8分)で測定した。

F.2.20. (S)−2−(t−ブチルオキシカルボニルアミノ)−7−(2−チオフェニル)ヘプタ−4,6−ジエン酸(I”t)

120mgのホスホニウム塩II”aおよび55mgのチオフェンプロペナールを使用して、不飽和アミノ酸I”tを淡黄色の固体として80%の収率で合成した。Rf:0.40(酢酸エチル/石油エーテル=3:7+1%酢酸)、鏡像体過剰率>98%*、[α]D=+61.6(c=0.25、CHCl3); 1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 1.37 (s, 9H, CH3), 2.49-2.66 (m, 2H, CH2), 4.34-4.36 (m, 1H, CHN), 4.98-5.01 (m, 1H, NH), 5.54-5.56 (m, 0.17 H, CH=), 5.62-5.65 (m, 0.83H, CH= シスまたはトランス), 6.11-6.19 (m, 1H, CH= シスまたはトランス), 6.42-6.52 (m, 1H, CH= シスまたはトランス), 6.87-6.90 (m, 2H, CH= シスまたはトランス), 7.06-7.08 (m, 1H, CH= シスまたはトランス), 7.10-7.11 (m, 1H, CH= シスまたはトランス)。13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 28.3 (CH3), 29.7 (CH2), 53.1 (CHN), 80.5 (C(CH3)3 123.2 (CH= シスまたはトランス), 124.3 (CH= シスまたはトランス), 124.7 (CH= シスまたはトランス), 124.9 (CH= シスまたはトランス), 125.3 (CH= シスまたはトランス), 125.8 (CH= シスまたはトランス), 126.2 (CH= シスまたはトランス), 126.9 (CH= シスまたはトランス), 127.5 (CH= シスまたはトランス), 128.1 (CH= シスまたはトランス), 128.2 (CH= シスまたはトランス), 128.9 (CH= シスまたはトランス), 129 (CH= シスまたはトランス), 132.1 (CH= シスまたはトランス), 134.1 (CH= シスまたはトランス), 134.2 (CH= シスまたはトランス), 155.6 (COO), 176.5 (COO); C16H20NO4S[M-H]-についての計算精密質量: 322.1108, 実測値: 322.1111。*鏡像異性体純度は、TMSCHN2によるエステル化後にHPLC(Lux 5u cellulose-2、ヘキサン:iPrOH=90:10、0.8mL/分、λ=254nm、20℃、tR(シスまたはトランス(S))=9.6分、tR(シスまたはトランス(S))=11.4分、tR(シスまたはトランス(R))=13.1分、tR(シスまたはトランス(R))=19.2分)で測定した。

F.2.21. (S)−2−(t−ブチルオキシカルボニルアミノ)−7−(2−フリル)ヘプタ−4,6−ジエン酸(I”u)

120mgのホスホニウム塩II”aおよび50mgのフリルプロペナールを使用して、不飽和アミノ酸I”uを黄色の固体として73%の収率で合成した。Rf:0.50(酢酸エチル/石油エーテル=3:7+1%酢酸)、鏡像体過剰率>98%*、[α]D=+236(c=0.12、CHCl3)。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 1.37 (s, 9H, CH3), 2.52-2.68 (m, 2H, CH2), 4.31-4.33 (m, 1H, CHN), 4.99-5.05 (m, 1H, NH), 5.34-5.37 (m, 0.17 H, CH=), 5.57-5.67 (m, 0.83H, CH= シスまたはトランス), 6.10-6.18 (m, 1H, CH= シスまたはトランス), 6.42-6.52 (m, 1H, CH= シスまたはトランス), 6.87-6.90 (m, 2H, CH= シスまたはトランス), 7.06-7.08 (m, 1H, CH= シスまたはトランス), 7.10-7.11 (m, 1H, CH= シスまたはトランス); 13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 28.3 (CH3), 29.7 (CH2), 53.1 (CHN), 80.3 (C(CH3)3) 108.3 (CH= シスまたはトランス), 108.9 (CH= シスまたはトランス), 111.5 (CH= シスまたはトランス), 111.6 (CH= シスまたはトランス), 119.3 (CH= シスまたはトランス), 119.6 (CH= シスまたはトランス), 121.4 (CH= シスまたはトランス), 122.1 (CH= シスまたはトランス), 125.2 (CH= シスまたはトランス) 127.0 (CH= シスまたはトランス), 127.9 (CH= シスまたはトランス), 128.2 (CH= シスまたはトランス), 129.0 (CH= シスまたはトランス), 132.2 (CH= シスまたはトランス), 134.2 (CH= シスまたはトランス), 142.1.2 (CH= シスまたはトランス), 142.3 (CH= シスまたはトランス), 153.0 (COO), 176.2 (COO); C16H20NO[M-H]-についての計算精密質量: 306.1336, 実測値: 306.1338。*鏡像異性体純度は、TMSCHN2によるエステル化後にHPLC(Lux 5μm cellulose-2、ヘキサン:iPrOH=95:5、0.8mL/分、λ=254nm、20℃、tR(シスまたはトランス(S))=14.3分、tR(シスまたはトランス(S))=16.9分、tR(シスまたはトランス(R))=21.3分、tR(シスまたはトランス(R))=29.4分)で測定した。

F.3. ケトンを用いたウィッティヒ反応 2−((t−ブチルオキシカルボニルアミノ)−6,6,6−トリフルオロ−5−フェニルヘキサ−4−エン酸(II”v)の合成

120mgのホスホニウム塩(II”a)および35mgのトリフルオロメチルアセトフェノンを使用して、不飽和アミノ酸I”vを黄色の固体として81%の収率および37:63のシス/トランス比(81%の収率)で得た。融点=38〜40℃、Rf:0.62(酢酸エチル/石油エーテル=3:7+1%酢酸)、[α]D=+40.9(c=0.6、CHCl3)。1H NMR (300 MHz, CDCl3): 1.18 (s, 9H, CH3), 2.35-2.38 (m, 0.44H, CH2), 2.0.56 (m, 0.38H, CH2), 2.74-2.84 (m, 0.66H, CH2), 2.84-2.99 (m, 0.63H, CH2), 4.17-4.36 (m, 1H, CHN), 5.07 (d, 0.6H, J = 6.3 Hz, NH), 5.90 (t, 0.64H, J =7.5 Hz, CH=), 6.28 (t, 0.31H, J =7.5 Hz, CH=),7.08-7.31 (m, 5H, Harom); 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ 22.7, 28.2, 29.3, 29.7, 31.5, 32, 52.7, 53.0, 80.6, 82.3, 108.7, 125.3 (q, J = 276.2 Hz), 125.5 (q, J = 10.8 Hz), 128.2, 128.3, 128.4, 128.6, 129, 129.1, 129.6, 131.6, 134.7, 135.1, 135.9, 155.5, 156.6, 174.8, 175.7; FTIR cm-1 (neat): 3348, 2965-2918, 1731, 1678, 1587, 1518, 1501, 1432, 1376, 1334, 1319, 1272, 1261, 1244, 1154, 1110, 1080, 1066, 1041, 1018。HRMS (ESI-Orbitrap) C17H19F3NO4[M-H]-についての計算値: 358.1264, 実測値: 358.1261。

G. ホスホニウム塩(II’)の合成の最適化 ホスホニウム塩誘導体(II’)の合成を、以下の化合物を用いて最適化した:

このようにして、トリシクロヘキシルホスフィンを、ヨードアミノエステル(IIIa)のTHF/CH3CN混合物溶液により室温で四級化して、鏡像異性的に純粋なホスホニウム塩(II’e)を79%の収率で得た(表2、入力番号1)。トリフェニルホスフィンを、ヨードアミノエステル(IIIa)を用いて適切な条件下50℃で2時間四級化した場合、ホスホニウム塩(II’f)が66%の収率で得られた(入力番号2)。この四級化を80℃で行った場合、N一保護ホスホニウム塩(II’f)およびN,N−二保護ホスホニウム塩1の混合物が85:15の比で得られた(入力番号3)。

N一保護ヨードアミノエステル(III’)を使用して、トリフェニルホスフィンを四級化した場合、溶媒なしで80℃で2時間加熱した後に、対応するホスホニウム塩(II’a)が72%の収率で単離された(入力番号4)。ヨードアミノエステル(III”)がトリフェニルホスフィンと反応した場合、対応するホスホニウム塩(II’g)が70%の収率で得られた(入力番号5)。トリ−(4−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィンまたはトリ−(4−メトキシフェニル)ホスフィンをヨードアミノエステル(III’)で四級化した場合、対応するホスホニウム塩(II’b)(またはII’c)がそれぞれ39%および70%の収率で得られた(入力番号6および7)。最後に、80℃で24時間加熱すると、ヨード誘導体(III’)がトリ−(4−フルオロフェニル)ホスフィンと反応して、対応するホスホニウム塩(II’d)が63%の収率で得られた(入力番号8)。

H. 化合物(I’)および(I”)の合成の最適化 H.1. 強塩基の使用 化合物(I)を生成するウィッティヒ反応条件について、強塩基およびアルデヒド反応物としてのベンズアルデヒド(PhCHO)の存在下で調査した:

ホスホニウム塩(II’f)(N(Boc)2)を過剰なt−BuLiにより−78℃次いで室温で脱プロトン化した後、ベンズアルデヒドを−78℃で添加し、室温で反応させることにより、対応する不飽和アミノエステルが15%の収率および80:20のシス/トランス比で得られる(表3、入力番号1)。ホスホニウム塩(II’a)(NHBoc)の場合、同様の条件でt−BuLi、LiHMDSまたはLDAで脱プロトン化し、次いでベンズアルデヒドと反応させることにより、対応するアミノエステルが最大30%の収率で得られる(入力番号3〜5)。同じ条件で、アミノ酸ホスホニウム塩(II”f)および(II”a)により、対応するγ−δ不飽和アミノ酸がそれぞれ26%および10%の収率で得られる(入力番号2および6)。

H.1. 弱塩基の使用 ホスホニウム塩は、弱無機塩基を用いるウィッティヒ反応を活性化させることができる相間移動剤として機能することができるため、これらの条件でベンズアルデヒドを用いた反応を調査した。ホスホニウム塩、塩基または相間移動条件に応じて得られた結果を以下に示す:

アミノ酸ホスホニウム塩(II”a)を、ベンズアルデヒド(1.5当量)を含むエチルアルコール(またはTHF)中、6当量のCs2CO3の存在下で一晩加熱した場合、γ−δ不飽和アミノ酸は低い収率で得られる(<8%、入力番号1および2)。DMFまたはクロロベンゼン中にCs2CO3を用いて90℃で反応を行う場合、γ−δ不飽和アミノ酸はそれぞれ、33%および65%の収率で得られる(入力番号3および4)。クロロベンゼン中にLi3PO4、NaHまたはトリエチルアミン(弱有機塩基)を90℃で使用した場合、生成物の形成は生じなかった(入力番号5〜7)。アミノ酸ホスホニウム塩(II”a)を、ベンズアルデヒドを含むクロロベンゼン中、6当量のK3PO4の存在下で一晩加熱した場合、より良好な結果が達成された(入力番号8)。次いで、γ−δ不飽和アミノ酸が、70%の収率および70:30のトランス/シス比で単離された。対応するメチルエステル誘導体のキラルカラムによるHPLC分析から、これらの条件で鏡像異性的に純粋なγ−δ不飽和アミノ酸が得られることが分かる(入力番号8)。同様に、ジオキサン中にK3PO4を用いて90℃で反応を行う場合、期待の化合物は、72%の収率(70:30のトランス:シス比)および>99%の異性体過剰率で単離される(入力番号12)。

微量の水の存在下でK2CO3を塩基として用い、メタノールを溶媒として用いた場合、低い収率が得られる(7%、入力番号9)。但し、溶媒としてのジオキサン中に微量の水の存在下でK2CO3を塩基として用いると、58%の収率が得られる(入力番号10)。ジオキサン中にK2CO3の代わりにK3PO4を用いた場合、同等の収率が得られた(48%、入力番号11)。

アミノ酸ホスホニウム塩(II”f)(N,N(Boc)2)の場合、クロロベンゼン中、5当量のCs2CO3の存在下でベンズアルデヒド(1当量)と共に50℃で一晩加熱すると、60%の収率で鏡像異性的に純粋なγ−δ不飽和アミノ酸が得られる(入力番号13)。溶媒および温度の点で同じ条件であるが、それぞれ1.5および2当量のベンズアルデヒドおよびCs2CO3の存在下でこの反応を行った場合、アミノ酸は87%の収率で得られる(入力番号14)。

相間移動条件では、アミノエステルのホスホニウム塩(II’a)は、ベンズアルデヒドとも反応して、対応するγ−δ不飽和アミノエステルが得られる(入力番号15〜17)。クロロベンゼン中、6当量のCs2CO3の存在下で50℃で一晩加熱した後、86%の収率で、88:12比のトランス/シス混合物として、生成物が得られる(入力番号15)。キラルカラムを用いたHPLC分析により、これらの条件では、γ−δ不飽和アミノエステルは83%の異性体過剰率で得られることが分かる(入力番号15)。反応を40℃で行った場合、当該生成物に対して得られる収率は39%まで低下するが、鏡像体過剰率は88%まで上昇する(入力番号16)。

アミノエステルのホスホニウム塩(II’a)が、クロロベンゼン中、1当量の水の存在下でベンズアルデヒドと反応した場合、γ−δ不飽和アミノエステルは、3時間30分後に90%の収率および83%の鏡像体過剰率で得られる(入力番号17)。アミノエステルのホスホニウム塩を使用した場合に観察される部分ラセミ化(83〜88%の異性体過剰率)は、ここでも、塩基性条件下でのエステル(試薬または生成物)のα位における脱プロトン化によって説明することができる。

I. 化合物(I)の用途 I.1. 錯体化:(S)−2−(t−ブチルオキシカルボニルアミノ)−7−フェニルヘプタ−4,6−ジエン酸メチルカルボニル鉄(ferricarbonyl) 新しいアミノ酸ペンタカルボニル鉄錯体の調製のために、ジエン誘導体(I”o)を使用した:

62mgのアミノエステル(I”o)(0.19mmol)の2mLの乾燥ジ−n−ブチルエーテル溶液に、0.11mLのFe(CO)5(0.85mol、4.5当量)を導入した。反応混合物をアルゴン下130℃で16時間加熱し、真空濃縮した。粗製生成物を、酢酸エチル/石油エーテル(1:4)を溶離液として用いる中性アルミナクロマトグラフィーで精製して、(S)−2−(t−ブチルオキシカルボニルアミノ)−7−フェニルヘプタ−4,6−ジエン酸メチルカルボニル鉄を42%の収率で得た。橙黄色の油、Rf:0.39(酢酸エチル/石油エーテル=1:4)、[α]D=+23(c=0.3、CHCl3)。IR (cm-1): 3499 (N-H), 3028-2927 (C-H), 2363, 2143 (C≡O), 2041 (C≡O), 1749 (C=O), 1715 (C=O), 1689, 1625, 1599, 1577, 1528, 1493, 1448, 1437, 1348, 1312, 1252, 1212, 1168, 1155, 1119, 1071, 1040, 1012, 989, 947, 912, 861, 794, 757, 732, 694, 622, 609, 559, 540。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 1.44-1.49 (4s, 9H, CH3), 2.08-2.12 (2m, 1H, CH2), 2.60-2.90 (4m, 1H, CH2), 3.75-3.83 (4s, 3H, OCH3), 4.40-4.56 (2m, 1H, CHN), 5.08-5.22 (2m, 1H, NH), 5.44 (dd, 1H, J = 4.2, 5.1 Hz, CH=), 5.67-5.79 (2m, 1H, CH=), 6.28-6.37 (m, 1H, CH=), 6.55 (2d, 1H, J = 8.1Hz, J = 7.8 Hz, CH=), 6.80 (2dd, J = 2.7, 5.1 Hz, J = 1.8, 5.7 Hz, CH=), 7.18-7.48 (m, 5H, Harom)。13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ(ppm) = 28.3 (CH3), 30.1 (CH2), 30.9 (CH2), 52.4 (CHN), 52.5 (CHN), 123.5 (CH=またはCarom), 123.9 (CH=またはCarom), 125.0 (CH=またはCarom), 126.1 (Carom), 126.3 (Carom), 126.5 (Carom), 127.5 (Carom), 127.8 (Carom), 128.6 (Carom), 132.7 (Carom), 134.5 (CH=またはCarom), 137.2 (Carom)。C22H25Fe1N1Na1O7[M+Na]+についての計算精密質量: 494.0873, 実測値: 494.0843。

I.2. 鈴木・宮浦カップリングにおける(I”k)の使用 鈴木・宮浦カップリングにおける反応物としてボロナトアミノ酸(I”k)を使用してもよい:

I.3. トリフルオロホウ酸塩誘導体を合成するための(I”k)の使用 ボロナトアミノ酸(I”k)をフッ化物イオンと反応させて、IRMまたはPET医用画像で使用することができるトリフルオロホウ酸塩誘導体を得てもよい:

I.4. クリック化学における(I”p)の使用 クリック化学による官能化アルキンの創出のために、アジドアミノ酸(I”p)を使用してもよい:

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