Multi-binding inhibitor of cyclooxygenase-2

申请号 JP2000553012 申请日 1999-06-07 公开(公告)号 JP2002517423A 公开(公告)日 2002-06-18
申请人 アドバンスド メディスン インコーポレーテッド; 发明人 ジョン エイチ. グリフィン,; ジェイ. ケビン ジュディス,; デボラ エル. ヒギンズ,;
摘要 (57)【要約】 プロスタグランジンの生合成において第一に実施される工程を触媒する酵素であるシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)を阻害する多結合化合物が開示される。 本発明の多結合化合物は、1つ以上のリンカーに共有結合した2〜10個のリガンドを含有する。 各リガンドは、COX−2に対して結合し得る部分である。 本発明の多結合化合物は、 炎症 、痛み、発熱などの処置に有用である。
权利要求 【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 以下の式Iの化合物およびその薬学的に受容可能な塩であって: (L) p (X) q I ここで、各Lは、以下の式IA、IBまたはICの化合物から独立して選択されるリガンドであり: 【化1】 ここで、 環Aは、該環Aに結合している原子と一緒になって、アリール、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリールおよび複素環式からなる群から選択される4、5または6員の炭素環式あるいは複素環式環を形成し; 環Bは、該環Bに結合している原子と一緒になって、ヘテロアリールおよび複素環式からなる群から選択される4、5または6員の複素環式環を形成し; 環Cは、該環Cに結合している原子と一緒になって、ヘテロアリールおよび複素環式からなる群から選択される4、5または6員の複素環式環を形成し; R 1は、−SO 2 CH 3 、−SO 2 NH 2 、−SO 2 NHC(O)CF 3 、−SO(
    NH)NH 2および−SO(NH)NHC(O)CF 3からなる群から選択され; 各R 2は独立して、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、
    アルコキシカルボニル、アミノ、置換アミノ、アジド、カルボキシル、シアノ、
    シクロアルキル、置換シクロアルキル、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、チオアルコキシおよび置換チオアルコキシからなる群から選択され; R 3は、該リガンドをリンカーへ連結する共有結合であり;そして aは、0〜3の整数であり; 各Xは、独立して以下の式を有するリンカーであり: −X a −Z−(Y a −Z) m −Y b −Z−X a − ここで、 mは、0〜20の整数であり; 各々別個に出現するX aは、−O−、−S−、−NR−、−C(O)−、−C
    (O)O−、−C(O)NR−、−C(S)−、−C(S)O−、−C(S)N
    R−または共有結合からなる群から選択され、ここでRは下記の定義の通りであり; 各々別個に出現するZは、アルキレン、置換アルキレン、シクロアルキレン、
    置換シクロアルキレン、アルケニレン、置換アルケニレン、アルキニレン、置換アルキニレン、シクロアルケニレン、置換シクロアルケニレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、ヘテロシクレンまたは共有結合からなる群から選択され; 各々別個に出現するY aおよびY bは、−C(O)NR'−、−NR'C(O)
    −、−NR'C(O)NR'−、−C(=NR')−NR'−、−NR'−C(
    =NR')−、−NR'−C(O)−O−、−N=C(X a )−NR'−、−P
    (O)(OR')−O−、−S(O) n CR'R''−、−S(O) n −NR'−
    、−S−S−および共有結合からなる群から選択され;ここでnは、0、1または2であり;そして各々別個に出現するR,R'およびR''は、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環式からなる群から選択され; pは2〜10の整数であり;そしてqは1〜20の整数である、化合物。
  • 【請求項2】 請求項1に記載の化合物であって、ここで、環Aが、それが結合している原子と一緒になって、シクロブト−2−エン−1−オン、チアゾール、イソチアゾール、チアジアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、5(
    H)−フラノン、ベンゼン、ピリジン、イミダゾピリジン、イミダゾチアゾールまたはチアゾロトリアゾール環を形成する、化合物。
  • 【請求項3】 請求項1に記載の化合物およびその薬学的に受容可能な塩であって、ここで、各リガンドは独立して、以下の(a)〜(c)からなる群から選択され: (a)以下の式IIAの化合物: 【化2】 ここで、 R 4は、−SO 2 CH 3 、−SO 2 NH 2 、−SO 2 NHC(O)CF 3 、−SO(
    NH)NH 2および−SO(NH)NHC(O)CF 3からなる群から選択され; 各R 5は独立して、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、
    アルコキシカルボニル、アミノ、置換アミノ、アジド、カルボキシル、シアノ、
    シクロアルキル、置換シクロアルキル、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、チオアルコキシおよび置換チオアルコキシからなる群から選択され; R 6は、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、シアノ、フルオロおよびヘテロアリールからなる群から選択され; R 7は、該リガンドをリンカーへ連結する共有結合であり;そして bは、0〜3の整数であり; (b)以下の式IIBの化合物: 【化3】 ここで、 R 8は、−SO 2 CH 3 、−SO 2 NH 2 、−SO 2 NHC(O)CF 3 、−SO(
    NH)NH 2および−SO(NH)NHC(O)CF 3からなる群から選択され; 各R 9は独立して、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、
    アルコキシカルボニル、アミノ、置換アミノ、アジド、カルボキシル、シアノ、
    シクロアルキル、置換シクロアルキル、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、チオアルコキシおよび置換チオアルコキシからなる群から選択され; R 10は、該リガンドをリンカーへ連結する共有結合であり; R 11は、水素、アルキル、置換アルキルおよびフルオロからなる群から選択され;そして cは、0〜3の整数であり;ならびに (c)以下の式IICの化合物: 【化4】 ここで、 R 12は、−SO 2 CH 3 、−SO 2 NH 2 、−SO 2 NHC(O)CF 3 、−SO(
    NH)NH 2および−SO(NH)NHC(O)CF 3からなる群から選択され; 各R 13は独立して、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、
    アルコキシカルボニル、アミノ、置換アミノ、アジド、カルボキシル、シアノ、
    シクロアルキル、置換シクロアルキル、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、チオアルコキシおよび置換チオアルコキシからなる群から選択され; R 14およびR 16は独立して、水素、アルキル、置換アルキルおよびフルオロからなる群から選択され; R 15は、該リガンドをリンカーへ連結する共有結合であり;そして dは、0〜3の整数である、化合物。
  • 【請求項4】 薬学的に受容可能なキャリアおよび請求項1、2また3に記載の化合物の有効量を含有する薬学的組成物。
  • 【請求項5】 請求項4に記載の組成物であって、ここで、該組成物が、炎症または炎症関連障害を有する患者における炎症または炎症関連障害を処置するための方法において使用される、組成物。
  • 【請求項6】 シクロオキシゲナーゼ−2に対して多結合特性を有する多量体リガンド化合物を同定するための方法であって、該方法は以下の(a)〜(d
    ): (a)各リガンドが少なくとも1つの反応性官能基を含有する、リガンドまたはリガンドの混合物を同定する工程; (b)ライブラリーにおける各リンカーが、該リガンドの少なくとも1つの該反応性官能基に対して相補的な反応性を有する少なくとも2つの官能基を含む、
    リンカーのライブラリーを同定する工程; (c)少なくとも2化学量論当量の(a)において同定された該リガンドまたはリガンドの混合物を、該相補的な官能基が反応して該リンカーと少なくとも2
    つの該リガンドとの間に共有結合を形成する条件下で、(b)において同定された該リンカーのライブラリーと組み合わせることにより、多量体リガンド化合物ライブラリーを調製する工程;および (d)上記(c)において調製された該ライブラリーで生成した該多量体リガンド化合物をアッセイして、シクロオキシゲナーゼ−2に対して多結合特性を有する多量体リガンド化合物を同定する工程、を包含する、方法。
  • 【請求項7】 シクロオキシゲナーゼ−2に対して多結合特性を有する多量体リガンド化合物を同定するための方法であって、該方法は以下の(a)〜(d
    ): (a)各リガンドが少なくとも1つの反応性官能基を含有する、リガンドのライブラリーを同定する工程; (b)各リンカーが、該リガンドの少なくとも1つの該反応性官能基に対して相補的な反応性を有する少なくとも2つの官能基を含む、リンカーまたはリンカーの混合物を同定する工程; (c)少なくとも2化学量論当量の(a)において同定されたリガンドの該ライブラリーを、該相補的な官能基が反応して該リンカーと少なくとも2つの該リガンドとの間に共有結合を形成する条件下で、(b)において同定された該リンカーまたはリンカーの混合物と組み合わせることにより、多量体リガンド化合物ライブラリーを調製する工程;および (d)上記(c)において調製された該ライブラリーで生成した該多量体リガンド化合物をアッセイして、シクロオキシゲナーゼ−2に対して多結合特性を有する多量体リガンド化合物を同定する工程、を包含する、方法。
  • 【請求項8】 シクロオキシゲナーゼ−2に対して多結合特性を有する多量体リガンド化合物を同定するための反復方法であって、該方法は以下の(a)〜
    (g): (a)多量体化合物の第一コレクションまたは第一反復を調製する工程であって、該第一コレクションまたは第一反復は、レセプターを標的とする少なくとも2化学量論当量の該リガンドまたはリガンドの混合物を、リンカーまたはリンカーの混合物と接触させることにより調製され、ここで、該リガンドまたはリガンドの混合物は少なくとも1つの反応性官能基を含有し、そして該リンカーまたはリンカーの混合物は、該リガンドの少なくとも1つの該反応性基に対して相補的な反応性を有する少なくとも2つの官能基を含有し、ここで、該接触は、該相補的な官能基が反応して該リンカーと少なくとも2つの該リガンドとの間で共有結合を形成する条件下で実施される、工程; (b)多量体化合物の該第一コレクションまたは第一反復をアッセイして、該多量体化合物のうち、シクロオキシゲナーゼ−2に対して多結合特性を有するものが存在するならば、どの多量体化合物が有するかを評価する工程; (c)少なくとも1つの多量体化合物が、シクロオキシゲナーゼ−2に対して多結合特性を有すると見出されるまで、上記(a)および(b)のプロセスを繰り返す工程; (d)どのような分子の制約が、上記(a)〜(c)に記載の該第一反復で見出された該多量体化合物(単数または複数)に、多結合特性を与えたかまたは一貫して与えるかを評価する工程; (e)該第一反復で見出された該多量体化合物(単数または複数)に多結合特性を与える該特定の分子の制約を作成する、多量体化合物の第二コレクションまたは第二反復を生成する工程; (f)どのような分子の制約が、上記(e)に記載の該第二コレクションまたは第二反復で見出された該多量体化合物(単数または複数)に、増加した多結合特性を与えたかまたは一貫して与えるかを評価する工程; (g)必要に応じて工程(e)および(f)を繰り返して、該分子の制約をさらに作成する工程、を包含する、方法。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】 (関連出願の相互参照) 本出願は、以下の利点を主張する:米国特許出願第60/088,448号(
    1998年6月8日出願);米国特許出願第60/093,072号(1998
    年7月16日出願);および米国特許出願第60/120,281号(1999
    年2月16日出願)、これらの開示は、本明細書中で、その全体が参考として援用される。

    【0002】 (発明の背景) (発明の分野) 本発明は、酵素シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)を阻害する新規な多結合化合物(薬剤)、およびこのような化合物を含有する薬学的組成物に関する。 従って、本発明の多結合化合物および薬学的組成物は、炎症、痛み、発熱などのCOX−2により媒介される種々の障害の処置および予防に有用である。

    【0003】 (参考文献) 以下の刊行物が、上付き番号として本出願に記載される: 1 W. L. Smithら、Adv. Immunol. 1996,62,167
    〜215。 2 D. Picotら、Nature 1994,367,243〜249。 3 C. Luongら、Nat. Struct. Biol. 1996,3,92
    7〜933。 4 R. G. Kurumbailら、Nature 1996,384,644
    〜688。 5 J. K. Gierseら、J. Biol. Chem. 1996,271,1
    5810〜15814。 6 E. Wongら、J. Biol. Chem. 1997,272,9280〜
    9286。 7 P. Prasitら、Annual Reports in Medici
    nal Chemistry 1997,32,211〜220。 8 J. Med. Chem. 1997,40,1619〜1633;1634〜
    1647。

    【0004】 上記刊行物の全ては、各々別個の刊行物が、詳細にかつ別個に示されて参考としてその全体が援用されるのと同程度に、参考としてそれらの全体が本明細書中で援用される。

    【0005】 (技術の状態) シクロオキシゲナーゼ(COX)は、アラキドン酸のプロスタグランジンH2
    への変換、すなわち、プロスタサイクリンおよびトロンボキサン(thromo
    xane)のようなプロスタグランジンの生合成の第一に実施される工程を触媒する1 。 酵素COXがアスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、インドメタシンなどの特定の非ステロイド性の抗炎症性薬物(NSAID)の標的であることは、ある期間公知であった。 さらに最近、COX−1およびCOX−2として表示されるCOXの2つのアイソフォームが存在することが発見された。

    【0006】 COX−1アイソザイムは、多くの組織型で恒常的に発現し、ここで、COX
    −1は器官および組織のホメオスタシスを維持するために必要な比較的少量のプロスタグランジン類を生成している。 対照的にCOX−2は、滑膜細胞、繊維芽細胞、マクロファージおよび単球を含む限られた数の細胞型で一過性に発現している。 このような細胞では、COX−2の高レベルの発現は、特定の炎症性薬剤、ホルモン、成長因子、サイトカインなどに応答して急速に誘導され、炎症、痛み、発熱などの種々の障害の原因となる。

    【0007】 あいにく、現在市販されているほとんどのNSAIDは、典型的には、COX
    の両方のアイソザイムを等しい強さで阻害する。 このような薬物は、COX−1
    およびCOX−2を阻害するので、それらは、炎症プロセスおよび他の関連障害に関連しない種々のプロスタグランジン制御プロセスを妨害する。 その結果、多くのNSAIDは、胃潰瘍および腎障害のような重篤な副作用を引き起こし、このことが、治療法としてのそれらの有効性を限定している。 従って、選択的なC
    OX−2インヒビターは、現在市販されているNSAIDに対して有意な利点を有する。

    【0008】 驚くべきそして予期されない特性を有する選択的なCOX−2インヒビターが、2〜10のリガンドを1つ以上のリンカーに連結することにより、調製され得るということがここで発見された(ここで、各リガンドは、COX−2に結合し得る部分である)。 このような多結合化合物は、それらの多結合特性のため非連結リガンドの集合体と比べて、改善された生物学的および/または治療的効果を提供する。

    【0009】 (発明の要旨) 本発明は、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)を阻害する新規な多結合化合物(薬剤)に関する。 本発明の多結合化合物は、炎症、痛み、発熱などの、
    COX−2により媒介される障害の処置および予防に有用である。

    【0010】 従って、組成物の局面の1つでは、本発明は、1つ以上のリンカーに共有結合する2〜10のリガンドを含有する多結合化合物、およびその薬学的に受容可能な塩を提供し、ここで、上記リガンドの各々は、独立して、シクロオキシゲナーゼ−2に結合し得る部分を含有する。

    【0011】 別の組成物の局面では、本発明は、以下の式Iの多結合化合物およびその薬学的に受容可能な塩を提供する: (L) p (X) q I ここで、各Lは独立して、シクロオキシゲナーゼ−2に結合し得る部分を含有するリガンドであり;各Xは独立してリンカーであり;pは2〜10の整数であり;そしてqは1〜20の整数である。

    【0012】 好ましくは、qは、本発明の多結合化合物においてpより小さい。

    【0013】 好ましくは、式Iの多結合化合物における各リガンドLは、以下の式IA、I
    BまたはICの化合物から独立して選択される:

    【0014】

    【化5】

    ここで、 環Aは、環Aに結合している原子と一緒になって、アリール、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリールおよび複素環式からなる群から選択される4、5または6員の炭素環式あるいは複素環式環を形成し; 環Bは、環Bに結合している原子と一緒になって、ヘテロアリールおよび複素環式からなる群から選択される4、5または6員の複素環式環を形成し; 環Cは、環Cに結合している原子と一緒になって、ヘテロアリールおよび複素環式からなる群から選択される4、5または6員の複素環式環を形成し; R

    1は、−SO

    2 CH

    3 、−SO

    2 NH

    2 、−SO

    2 NHC(O)CF

    3 、−SO(


    NH)NH

    2および−SO(NH)NHC(O)CF

    3からなる群から選択され; 各R

    2は独立して、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、


    アルコキシカルボニル、アミノ、置換アミノ、アジド、カルボキシル、シアノ、


    シクロアルキル、置換シクロアルキル、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、チオアルコキシおよび置換チオアルコキシからなる群から選択され; R

    3は、リガンドをリンカーへ連結する共有結合であり;そして aは、0〜3の整数である。

    【0015】 好ましくは、式IAのリガンドにおいて、環Aは、環Aに結合している原子と一緒になって、シクロブト−2−エン−1−オン、チアゾール、イソチアゾール、チアジアゾール、オキサゾール、イソキサゾール、5(H)−フラノン、ベンゼン、ピリジン、イミダゾピリジン、イミダゾチアゾールまたはチアゾロトリアゾール環を形成する。

    【0016】 好ましくは、式IBのリガンドにおいて、環Bは、環Bに結合している原子と一緒になってピラゾール環を形成する。

    【0017】 好ましくは、式ICのリガンドにおいて、環Cは、環Cに結合している原子と一緒になってイミダゾール環を形成する。

    【0018】 さらに別の組成物の局面では、本発明は以下の式IIの多結合化合物およびその薬学的に受容可能な塩を提供する: L'−X'−L' II ここで、各L'は独立して、シクロオキシゲナーゼ−2に結合し得る部分を含有するリガンドであり、そしてX'はリンカーである。

    【0019】 好ましくは、式IIの多結合化合物およびその薬学的に受容可能な塩において、各リガンドL'は独立して、以下の(a)〜(c)からなる群から選択される: (a)以下の式IIAの化合物:

    【0020】

    【化6】

    ここで、 R

    4は、−SO

    2 CH

    3 、−SO

    2 NH

    2 、−SO

    2 NHC(O)CF

    3 、−SO(


    NH)NH

    2および−SO(NH)NHC(O)CF

    3からなる群から選択され; 各R

    5は独立して、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、


    アルコキシカルボニル、アミノ、置換アミノ、アジド、カルボキシル、シアノ、


    シクロアルキル、置換シクロアルキル、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、チオアルコキシおよび置換チオアルコキシからなる群から選択され; R

    6は、素、アルキル、置換アルキル、アリール、シアノ、フルオロおよびヘテロアリールからなる群から選択され; R

    7は、リガンドをリンカーへ連結する共有結合であり;そして bは、0〜3の整数であり; (b)以下の式IIBの化合物:

    【0021】

    【化7】

    ここで、 R

    8は、−SO

    2 CH

    3 、−SO

    2 NH

    2 、−SO

    2 NHC(O)CF

    3 、−SO(


    NH)NH

    2および−SO(NH)NHC(O)CF

    3からなる群から選択され; 各R

    9は独立して、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、


    アルコキシカルボニル、アミノ、置換アミノ、アジド、カルボキシル、シアノ、


    シクロアルキル、置換シクロアルキル、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、チオアルコキシおよび置換チオアルコキシからなる群から選択され; R

    10は、リガンドをリンカーへ連結する共有結合であり; R

    11は、水素、アルキル、置換アルキルおよびフルオロからなる群から選択され;そして cは、0〜3の整数であり;そして (c)以下の式IICの化合物:

    【0022】

    【化8】

    ここで、 R

    12は、−SO

    2 CH

    3 、−SO

    2 NH

    2 、−SO

    2 NHC(O)CF

    3 、−SO(


    NH)NH

    2および−SO(NH)NHC(O)CF

    3からなる群から選択され; 各R

    13は独立して、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、


    アルコキシカルボニル、アミノ、置換アミノ、アジド、カルボキシル、シアノ、


    シクロアルキル、置換シクロアルキル、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、チオアルコキシおよび置換チオアルコキシからなる群から選択され; R

    14およびR

    16は独立して、水素、アルキル、置換アルキルおよびフルオロからなる群から選択され; R

    15は、リガンドをリンカーへ連結する共有結合であり;そして dは、0〜3の整数である。

    【0023】 好ましい実施態様では、本発明はまた、以下の式IIIの多結合化合物およびその薬学的に受容可能な塩に関する:

    【0024】

    【化9】

    ここで、 各R

    17は独立して、−SO

    2 CH

    3 、−SO

    2 NH

    2 、−SO

    2 NHC(O)CF

    3 、−SO(NH)NH

    2および−SO(NH)NHC(O)CF

    3からなる群から選択され; 各R

    18は独立して、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、


    アルコキシカルボニル、アミノ、置換アミノ、アジド、カルボキシル、シアノ、


    シクロアルキル、置換シクロアルキル、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、チオアルコキシおよび置換チオアルコキシからなる群から選択され; 各R

    19は、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、シアノ、フルオロおよびヘテロアリールからなる群から選択され; eは、0〜3の整数であり;そして X''はリンカーである。

    【0025】 別の好ましい実施態様では、本発明は、以下の式IVの多結合化合物およびその薬学的に受容可能な塩に関する:

    【0026】

    【化10】

    ここで、 各R

    20は独立して、−SO

    2 CH

    3 、−SO

    2 NH

    2 、−SO

    2 NHC(O)CF

    3 、−SO(NH)NH

    2および−SO(NH)NHC(O)CF

    3からなる群から選択され; 各R

    21は独立して、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、


    アルコキシカルボニル、アミノ、置換アミノ、アジド、カルボキシル、シアノ、


    シクロアルキル、置換シクロアルキル、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、チオアルコキシおよび置換チオアルコキシからなる群から選択され; fは、0〜3の整数であり;そして X''はリンカーである。

    【0027】 さらに別の好ましい実施態様では、本発明は以下の式Vの多結合化合物およびその薬学的に受容可能な塩に関する:

    【0028】

    【化11】

    ここで、 各R

    22は独立して、−SO

    2 CH

    3 、−SO

    2 NH

    2 、−SO

    2 NHC(O)CF

    3 、−SO(NH)NH

    2および−SO(NH)NHC(O)CF

    3からなる群から選択され; 各R

    23は独立して、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、


    アルコキシカルボニル、アミノ、置換アミノ、アジド、カルボキシル、シアノ、


    シクロアルキル、置換シクロアルキル、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、チオアルコキシおよび置換チオアルコキシからなる群から選択され; 各R

    24は、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、シアノ、フルオロおよびヘテロアリールからなる群から選択され; gは、0〜3の整数であり;そして X''はリンカーである。

    【0029】 好ましくは、上記の実施態様において、各リンカー(すなわち、X、X'またはX'')は独立して、以下の式を有する: −X a −Z−(Y a −Z) m −Y b −Z−X a − ここで、 mは、0〜20の整数であり; 各々別個に出現するX aは、−O−、−S−、−NR−、−C(O)−、−C
    (O)O−、−C(O)NR−、−C(S)−、−C(S)O−、−C(S)N
    R−または共有結合からなる群から選択され、ここでRは下記に定義される通りである; 各々別個に出現するZは、アルキレン、置換アルキレン、シクロアルキレン、
    置換シクロアルキレン、アルケニレン、置換アルケニレン、アルキニレン、置換アルキニレン、シクロアルケニレン、置換シクロアルケニレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、ヘテロシクレンまたは共有結合からなる群から選択され; 各々別個に出現するY aおよびY bは、−C(O)NR'−、−NR'C(O)
    −、−NR'C(O)NR'−、−C(=NR')−NR'−、−NR'−C(
    =NR')−、−NR'−C(O)−O−、−N=C(X a )−NR'−、−P
    (O)(OR')−O−、−S(O) n CR'R''−、−S(O) n −NR'−
    、−S−S−および共有結合からなる群から選択され;ここでnは、0、1または2であり;そして各々別個に出現するR,R'およびR''は、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環式からなる群から選択される。

    【0030】 さらに別の組成物の局面では、本発明は、薬学的に受容可能なキャリア、および1つ以上のリンカーに共有結合した2〜10のリガンドを含む多結合化合物またはその薬学的に受容可能な塩の有効量を含有する薬学的組成物を提供し、ここで、上記リガンドの各々は、独立して、シクロオキシゲナーゼ−2に結合し得る部分を含有する。

    【0031】 本発明はまた、薬学的に受容可能なキャリア、および式I、II、III、I
    VまたはVの多結合化合物の有効量を含有する薬学的組成物に関する。

    【0032】 本発明の多結合化合物は、炎症と関連したプロスタグランジンの生合成に関与する酵素である酵素シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)の効果的なインヒビターである。 従って、その1つの方法の局面では、本発明は、患者における炎症または炎症関連障害を処置するための方法を提供し、この方法は、炎症または炎症関連障害を有する患者に、薬学的に受容可能なキャリア、および1つ以上のリンカーに共有結合した2〜10のリガンドを含む多結合化合物またはその薬学的に受容可能な塩の治療的有効量を含有する薬学的組成物を投与する工程を包含し、ここで、上記リガンドの各々は、独立して、シクロオキシゲナーゼ−2に結合し得る部分を含有する。

    【0033】 本発明はまた、多量体化合物がシクロオキシゲナーゼ−2に対して多結合特性を有するための候補である、多様な多量体化合物の大きなライブラリーを生成するための一般的合成法に関する。 本発明により提供される多様な多量体化合物ライブラリーは、リンカーのライブラリーと、各々共有結合を可能とする相補的な官能基を有するリガンドのライブラリーとを組み合わせることにより合成される。 リンカーのライブラリーは好ましくは、価数、リンカーの長さ、リンカーのジオメトリおよび堅さ、親水性または疎水性、両親媒性、酸性、塩基性、および分極のような多様な特性を有するよう選択される。 リガンドのライブラリーは好ましくは、同一のリガンド上に多様な結合位置、さもなければ同一のリガンドの同一部位で異なる官能基などを有するよう選択される。

    【0034】 さらに本発明は、多量体化合物がシクロオキシゲナーゼ−2に対して多結合特性を有するための候補である、多様な多量体化合物のライブラリーに関する。 これらのライブラリーは、上記の方法を介して調製され、そしてどのような分子の制約が、シクロオキシゲナーゼ−2に対するリガンドまたはリガンドのクラスに、多結合特性を与えるかの迅速で効率的な評価を可能とする。

    【0035】 従って、本発明の方法の1つの局面では、本発明は、シクロオキシゲナーゼ−
    2に対して多結合特性を有する多量体リガンド化合物を同定するための方法に関し、この方法は、以下の(a)〜(d)を包含する: (a)各リガンドが少なくとも1つの反応性官能基を含有する、リガンドまたはリガンド混合物を同定する工程; (b)前記ライブラリーにおける各リンカーが、リガンドの少なくとも1つの反応性官能基に対して相補的な反応性を有する少なくとも2つの官能基を含む、
    リンカーのライブラリーを同定する工程; (c)少なくとも2化学量論当量の(a)において同定されたリガンドまたはリガンドの混合物を、相補的な官能基が反応して前記リンカーと少なくとも2つの前記リガンドとの間に共有結合を形成する条件下で、(b)において同定されたリンカーのライブラリーと組み合わせることにより、多量体リガンド化合物ライブラリーを調製する工程;および (d)上記(c)において調製されたライブラリーにおける生成した多量体リガンド化合物をアッセイして、シクロオキシゲナーゼ−2に対して多結合特性を有する多量体リガンド化合物を同定する工程。

    【0036】 本発明の方法の別の局面では、本発明は、シクロオキシゲナーゼ−2に対して多結合特性を有する多量体リガンド化合物を同定するための方法に関し、この方法は以下の(a)〜(d)を包含する: (a)各リガンドが少なくとも1つの反応性官能基を含有する、リガンドのライブラリーを同定する工程; (b)各リンカーが、リガンドの少なくとも1つの反応性官能基に対して相補的な反応性を有する少なくとも2つの官能基を含む、リンカーまたはリンカーの混合物を同定する工程; (c)少なくとも2化学量論当量の(a)において同定されたリガンドのライブラリーを、相補的な官能基が反応して前記リンカーと少なくとも2つの前記リガンドとの間に共有結合を形成する条件下で、(b)において同定されたリンカーまたはリンカーの混合物と組み合わせることにより、多量体リガンド化合物ライブラリーを調製する工程;および (d)上記(c)において調製されたライブラリーにおける生成した多量体リガンド化合物をアッセイして、シクロオキシゲナーゼ−2に対して多結合特性を有する多量体リガンド化合物を同定する工程。

    【0037】 好ましくは、これらの方法において、多量体リガンド化合物ライブラリーの調製は、2化学量論当量以上の(a)において同定されたリガンドと(b)において同定されたリンカーとの逐次的または同時組み合わせのいずれかにより達成される。

    【0038】 さらに、多量体リガンド化合物ライブラリーを構成する多量体リガンド化合物は好ましくは、二量体である。 1つの実施態様では、二量体リガンド化合物ライブラリーを構成する二量体リガンド化合物は、ヘテロ二量体である。 このヘテロ二量体リガンド化合物ライブラリーは好ましくは、第一および第二のリガンドの逐次添加により調製される。

    【0039】 上記方法の好ましい実施態様では、手順(d)の前に、多量体リガンド化合物ライブラリーの各メンバーが、そのライブラリーから単離される。 さらに好ましくは、このライブラリーの各メンバーは、分取用液体クロマトグラフィー質量分析法(LCMS)により単離される。

    【0040】 上記の方法において、使用されるリンカー(単数または複数)は好ましくは、
    以下からなる群から選択される:可撓性リンカー、堅いリンカー、疎水性リンカー、親水性リンカー、異なるジオメトリのリンカー、酸性リンカー、塩基性リンカー、異なる分極および/または分極率のリンカー、ならびに両親媒性リンカー。 さらに好ましくは、リンカーは、異なる鎖長および/または異なる相補的反応性基を有するリンカーを含む。 なおさらに好ましくは、これらのリンカーは、約2〜100Åの範囲の異なるリンカーの長さを有するように選択される。

    【0041】 上記の方法において使用されるリガンドまたはリガンドの混合物は好ましくは、リガンド上の異なる部位で反応性官能基を有するように選択される。 さらに好ましくは、この反応性官能基は、カルボン酸、カルボン酸ハライド、カルボキシルエステル、アミン、ハロゲン化物、擬ハロゲン化物、イソシアネート、ビニル不飽和、ケトン、アルデヒド、チオール、アルコール、無水物、ボロネートおよびそれらの前駆体からなる群から選択され、ここで、リガンド上の反応性官能基は、共有結合がリンカーとリガンドとの間で形成され得るように、リンカー上の少なくとも1つの反応性基に対して相補的であるように選択される。

    【0042】 上記方法の1つの好ましい実施態様では、多量体リガンド化合物ライブラリーは、ホモマーリガンド化合物を含有する。 別の好ましい実施態様では、多量体リガンド化合物ライブラリーは、ヘテロマーリガンド化合物を含有する。

    【0043】 本発明の組成物の1つの局面では、本発明は、シクロオキシゲナーゼ−2に対して多価特性を有し得る多量体リガンド化合物のライブラリーに関し、このライブラリーは、以下の(a)〜(c)を包含する方法により調製される: (a)各リガンドが少なくとも1つの反応性官能基を含有する、リガンドまたはリガンドの混合物を同定する工程; (b)前記ライブラリーにおける各リンカーが、リガンドの少なくとも1つの反応性官能基に対して相補的反応性を有する少なくとも2つの官能基を含む、リンカーのライブラリーを同定する工程;および (c)少なくとも2化学量論当量の(a)において同定されたリガンドまたはリガンドの混合物を、相補的な官能基が反応して前記リンカーと少なくとも2つの前記リガンドとの間に共有結合を形成する条件下で、(b)において同定されたリンカーのライブラリーと組み合わせることにより、多量体リガンド化合物ライブラリーを調製する工程。

    【0044】 本発明の組成物の別の局面では、本発明は、シクロオキシゲナーゼ−2に対して多価特性を有し得る多量体リガンド化合物のライブラリーに関し、このライブラリーは、以下の(a)〜(c)を包含する方法により調製される: (a)各リガンドが少なくとも1つの反応性官能基を含有する、リガンドのライブラリーを同定する工程; (b)各リンカーが、リガンドの少なくとも1つの反応性官能基に対して相補的反応性を有する少なくとも2つの官能基を含む、リンカーまたはリンカーの混合物を同定する工程;および (c)少なくとも2化学量論当量の(a)において同定されたリガンドのライブラリーを、相補的な官能基が反応して前記リンカーと少なくとも2つの前記リガンドとの間に共有結合を形成する条件下で、(b)において同定されたリンカーまたはリンカーの混合物と組み合わせることにより、多量体リガンド化合物ライブラリーを調製する工程。

    【0045】 好ましい実施態様では、使用されるリンカー(単数または複数)は好ましくは、以下からなる群から選択される:可撓性リンカー、堅いリンカー、疎水性リンカー、親水性リンカー、異なるジオメトリのリンカー、酸性リンカー、塩基性リンカー、異なる分極および/または分極率のリンカー、ならびに両親媒性リンカー。 さらに好ましくは、これらのリンカーは、異なる鎖長および/または異なる相補的反応性基を有するリンカーを含有する。 なおさらに好ましくは、これらのリンカーは、約2〜100Åの範囲の異なるリンカーの長さを有するように選択される。

    【0046】 上記ライブラリーにおいて、リガンドまたはリガンドの混合物は好ましくは、
    リガンド上の異なる部位で反応性官能基を有するように選択される。 好ましくは、この反応性官能基は、カルボン酸、カルボン酸ハライド、カルボキシルエステル、アミン、ハロゲン化物、擬ハロゲン化物、イソシアネート、ビニル不飽和、
    ケトン、アルデヒド、チオール、アルコール、無水物、ボロネートおよびそれらの前駆体からなる群から選択され、ここで、リガンド上の反応性官能基は、共有結合がリンカーとリガンドとの間で形成され得るように、リンカー上の少なくとも1つの反応性基に対して相補的であるように選択される。

    【0047】 1つの実施態様では、多量体リガンド化合物ライブラリーは、ホモマーリガンド化合物(すなわち、リガンドの各々は同一であるが、異なる位置で結合され得る)を含有する。 別の実施態様では、多量体リガンド化合物ライブラリーは、ヘテロマーリガンド化合物(すなわち、リガンドの少なくとも1つは、他のリガンドと異なる)を含有する。

    【0048】 本発明の方法の別の局面では、本発明は、シクロオキシゲナーゼ−2に対して多結合特性を有する多量体リガンド化合物を同定するための反復方法に関し、この方法は、以下の(a)〜(g)を包含する: (a)多量体化合物の第一コレクションまたは第一反復を調製する工程であって、この第一コレクションまたは第一反復は、レセプターを標的とする少なくとも2化学量論当量のリガンドまたはリガンドの混合物を、リンカーまたはリンカーの混合物と接触させることにより調製され、ここで、前記リガンドまたはリガンドの混合物は少なくとも1つの反応性官能基を含有し、そして前記リンカーまたはリンカーの混合物は、リガンドの少なくとも1つの反応性官能基に対して相補的な反応性を有する少なくとも2つの官能基を含有し、ここで、前記接触は、
    相補的な官能基が反応してリンカーと少なくとも2つのリガンドとの間で共有結合を形成する条件下で実施される、工程; (b)多量体化合物の前記第一コレクションまたは第一反復をアッセイして、
    前記多量体化合物のうち、シクロオキシゲナーゼ−2に対して多結合特性を有するものが存在するならば、どの多量体化合物が有するかを評価する工程; (c)少なくとも1つの多量体化合物が、シクロオキシゲナーゼ−2に対して多結合特性を有すると見出されるまで、上記(a)および(b)のプロセスを繰り返す工程; (d)どのような分子の制約が、上記(a)〜(c)に記載の第一反復で見出された多量体化合物(単数または複数)に、多結合特性を与えたかまたは一貫して与えるかを評価する工程; (e)前記第一反復で見出された多量体化合物(単数または複数)に多結合特性を与える特定の分子の制約を作成する、多量体化合物の第二コレクションまたは第二反復を生成する工程; (f)どのような分子の制約が、上記(e)に記載の第二コレクションまたは第二反復で見出された多量体化合物(単数または複数)に、増加した多結合特性を与えたかまたは一貫して与えるかを評価する工程; (g)必要に応じて工程(e)および(f)を繰り返して、前記分子の制約をさらに作成する工程。

    【0049】 好ましくは、工程(e)および(f)は、2〜50回繰り返される。 さらに好ましくは、工程(e)および(f)は、5〜50回繰り返される。

    【0050】 好ましくは、上記方法およびライブラリー組成において使用されるリガンドは、式IA〜ICのリガンドから、さらに好ましくは式IIA〜IICのリガンドから選択される。

    【0051】 (発明の詳細な説明) 本発明は、酵素シクロオキシゲナーゼ−2を阻害する多結合化合物、このような化合物を含有する薬学的組成物、および炎症または炎症関連障害を処置するための方法に関する。 このような化合物、組成物または方法を議論する場合、以下の用語は、他に指示しない限り、以下の意味を有する。 任意の定義されない用語は、それらの分野で認められた意味を有する。

    【0052】 用語「アルキル」とは、好ましくは1〜40個の炭素原子、さらに好ましくは1〜10個の炭素原子、なおさらに好ましくは1〜6個の炭素原子を有する、分枝または非分枝の飽和炭化水素鎖のモノラジカルのことをいう。 この用語は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、n−ヘキシル、n−デシル、テトラデシルなどの基により例示される。

    【0053】 用語「置換アルキル」とは、1〜5個の置換基、好ましくは1〜3個の置換基を有する、上記に定義したアルキル基のことをいい、これらの置換基は、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、
    シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環式、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−S
    O−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO 2 −アルキル、−SO 2 −置換アルキル、−SO 2 −アリールおよび−SO 2 −ヘテロアリールからなる群から選択される。

    【0054】 用語「アルキレン」とは、好ましくは1〜40個の炭素原子、さらに好ましくは1〜10個の炭素原子、なおさらに好ましくは1〜6個の炭素原子を有する、
    分枝または非分枝の飽和炭化水素鎖のジラジカルのことをいう。 この用語は、メチレン(−CH 2 −)、エチレン(−CH 2 CH 2 −)、プロピレン異性体(例えば、−CH 2 CH 2 CH 2 −および−CH(CH 3 )CH 2 −)などのような基により例示される。

    【0055】 用語「置換アルキレン」とは、1〜5個の置換基、好ましくは1〜3個の置換基を有する、上記に定義したアルキレン基のことをいい、これらの置換基は、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環式、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、
    −SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO 2
    −アルキル、−SO 2 −置換アルキル、−SO 2 −アリールおよび−SO 2 −ヘテロアリールからなる群から選択される。 さらに、このような置換アルキレン基には、アルキレン基上の2個の置換基が縮合して、アルキレン基に縮合した1個以上のシクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、複素環式またはヘテロアリール基を形成する基が挙げられる。 好ましくは、このような縮合基は、1〜3個の縮合環構造を含む。

    【0056】 用語「アルカリール」とは、アルキレン−アリールおよび置換アルキレン−アリール基のことをいい、ここでアルキレン、置換アルキレンおよびアリールは、
    本明細書中で定義した通りである。 このようなアルカリール基は、ベンジル、フェネチルなどにより例示される。

    【0057】 用語「アルコキシ」は、以下の基を示す:アルキル−O−、アルケニル−O−
    、シクロアルキル−O−、シクロアルケニル−O−、およびアルキニル−O−(
    ここで、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、およびアルキニルは本明細書で定義されるとおりである)。 好ましいアルコキシ基は、アルキル−O−であり、例として以下のものが挙げられる:メトキシ、エトキシ、
    n−プロポキシ、イソ−プロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシ、se
    c−ブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキソキシ、1,2−ジメチルブトキシなど。

    【0058】 用語「置換アルコキシ」は、以下の基を示す:置換アルキル−O−、置換アルケニル−O−、置換シクロアルキル−O−、置換シクロアルケニル−O−、および置換アルキニル−O−(ここで、置換アルキル、置換アルケニル、置換シクロアルキル、置換シクロアルケニルおよび置換アルキニルは本明細書で定義されるとおりである)。

    【0059】 用語「アルキルアルコキシ」は、以下の基を示す:アルキレン−O−アルキル、アルキレン−O−置換アルキル、置換アルキレン−O−アルキル、および置換アルキレン−O−置換アルキル(ここで、アルキル、置換アルキル、アルキレンおよび置換アルキレンは本明細書で定義されるとおりである)。 好ましいアルキルアルコキシ基は、アルキレン−O−アルキルであって、例として以下が挙げられる:メチレンメトキシ(−CH 2 OCH 3 )、エチレンメトキシ(−CH 2 CH 2 OCH 3 )、n−プロピレン−イソ−プロポキシ(−CH 2 CH 2 CH 2 OCH(C
    32 )、メチレン−t−ブトキシ(−CH 2 OC(CH 33 )など。

    【0060】 用語「アルキルチオアルコキシ」は、以下の基を示す:アルキレン−S−アルキル、アルキレン−S−置換アルキル、置換アルキレン−S−アルキル、および置換アルキレン−S−置換アルキル(ここで、アルキル、置換アルキル、アルキレンおよび置換アルキレンは本明細書で定義されるとおりである)。 好ましいアルキルチオアルコキシ基は、アルキレン−S−アルキルであって、例として以下が挙げられる:メチレンチオメトキシ(−CH 2 SCH 3 )、エチレンチオメトキシ(−CH 2 CH 2 SCH 3 )、n−プロピレン−イソ−チオプロポキシ(−CH 2 CH 2 CH 2 SCH(CH 32 )、メチレン−t−チオブトキシ(−CH 2 SC(
    CH 33 )など。

    【0061】 用語「アルケニル」は、分枝または非分枝の不飽和炭化水素基のモノラジカルを示し、好ましくは、2〜40個の炭素原子、より好ましくは2〜10個の炭素原子、そしてさらにより好ましくは2〜6個の炭素原子を有し、かつ、少なくとも1個、好ましくは1〜6個のビニル不飽和の部位を有する。 好ましいアルケニル基には、エテニル(−CH=CH 2 )、n−プロぺニル(−CH 2 CH=CH 2
    )、イソ−プロぺニル(−C(CH 3 )=CH 2 )などが挙げられる。

    【0062】 用語「置換アルケニル」は、上記で定義したアルケニル基であって、以下からなる群から選択される、1〜5個の置換基、好ましくは1〜3個の置換基を有する基を表す:アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環式、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−S
    O−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO 2 −アルキル、−SO 2 −置換アルキル、−SO 2 −アリールおよび−SO 2 −ヘテロアリール。

    【0063】 用語「アルケニレン」とは、好ましくは2〜40個の炭素原子、さらに好ましくは2〜10個の炭素原子、なおさらに好ましくは2〜6個の炭素原子を有し、
    そして少なくとも1個、好ましくは1〜6個のビニル不飽和の部位を有する、分枝または非分枝の不飽和炭化水素基のジラジカルのことをいう。 この用語は、エテニレン(−CH=CH−)、プロペニレン異性体(例えば、−CH 2 CH=C
    H−および−C(CH 3 )=CH−)などのような基により例示される。

    【0064】 用語「置換アルケニレン」とは、1〜5個の置換基、好ましくは1〜3個の置換基を有する、上記に定義したアルケニレン基のことをいい、これらの置換基は、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、
    アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環式、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−S
    2 −アルキル、−SO 2 −置換アルキル、−SO 2 −アリールおよび−SO 2 −ヘテロアリールからなる群から選択される。 さらに、このような置換アルケニレン基には、アルケニレン基上の2個の置換基が縮合して、アルケニレン基に縮合した1個以上のシクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、複素環式またはヘテロアリール基を形成する基が挙げられる。

    【0065】 用語「アルキニル」とは、好ましくは2〜40個の炭素原子、さらに好ましくは2〜20個の炭素原子、なおさらに好ましくは2〜6個の炭素原子を有し、そして少なくとも1個、好ましくは1〜6個のアセチレン(三重結合)不飽和の部位を有する、不飽和炭化水素のモノラジカルのことをいう。 好ましいアルキニル基には、エチニル(−C≡CH)、プロパルギル(−CH 2 C≡CH)などが挙げられる。

    【0066】 用語「置換アルキニル」とは、1〜5個の置換基、好ましくは1〜3個の置換基を有する、上記に定義したアルキニル基のことをいい、これらの置換基は、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環式、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、
    −SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO 2
    −アルキル、−SO 2 −置換アルキル、−SO 2 −アリールおよび−SO 2 −ヘテロアリールからなる群から選択される。

    【0067】 用語「アルキニレン」とは、好ましくは2〜40個の炭素原子、さらに好ましくは2〜10個の炭素原子、なおさらに好ましくは2〜6個の炭素原子を有し、
    そして少なくとも1個、好ましくは1〜6個のアセチレン(三重結合)不飽和の部位を有する、不飽和炭化水素のジラジカルのことをいう。 好ましいアルキニレン基には、エチニレン(−C≡C−)、プロパルギレン(−CH 2 C≡C−)などが挙げられる。

    【0068】 用語「置換アルキニレン」とは、1〜5個の置換基、好ましくは1〜3個の置換基を有する、上記に定義したアルキニレン基のことをいい、これらの置換基は、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、
    アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環式、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−S
    2 −アルキル、−SO 2 −置換アルキル、−SO 2 −アリールおよび−SO 2 −ヘテロアリールからなる群から選択される。

    【0069】 用語「アシル」は、以下の基を示す:HC(O)−、アルキル−C(O)−、
    置換アルキル−C(O)−、シクロアルキル−C(O)−、置換シクロアルキル−C(O)−、シクロアルケニル−C(O)−、置換シクロアルケニル−C(O
    )−、アリール−C(O)−、ヘテロアリール−C(O)−および複素環式−C
    (O)−(ここで、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、
    および複素環式は、本明細書中で定義されるとおりである)。

    【0070】 用語「アシルアミノ」または「アミノカルボニル」は、基−C(O)NRRを表し、ここで、各Rは、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、
    ヘテロアリール、複素環式であるか、または、両方のR基が結合し、複素環式基(例えば、モルホリノ)を形成する(ここで、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリール、および複素環式は、本明細書中で定義されるとおりである)。

    【0071】 用語「アミノアシル」は、基−NRC(O)Rを示し、ここで、各Rは、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリール、または複素環式である(ここで、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリール、および複素環式は、本明細書中で定義されるとおりである)。

    【0072】 用語「アミノアシルオキシ」または「アルコキシカルボニルアミノ」は、基−
    NRC(O)ORを示し、ここで、各Rは、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリール、または複素環式である(ここで、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリール、および複素環式は、本明細書中で定義されるとおりである)。

    【0073】 用語「アシルオキシ」は、以下の基を示す:アルキル−C(O)O−、置換アルキル−C(O)O−、シクロアルキル−C(O)O−、置換シクロアルキル−
    C(O)O−、アリール−C(O)O−、ヘテロアリール−C(O)O−、および複素環式−C(O)O−(ここで、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、および複素環式は、本明細書中で定義されるとおりである)。

    【0074】 用語「アリール」は、6〜20個の炭素原子の不飽和芳香族炭素環式基を示し、単環(例えば、フェニル)または多縮合環(例えば、ナフチルまたはアントリル)を有する。 好ましいアリールには、フェニル、ナフチルなどが挙げられる。

    【0075】 アリール置換基に関する定義によって他に制約されなければ、このようなアリール基は、必要に応じて、1〜5個の置換基、好ましくは、1〜3個の置換基で置換され得、これらの置換基は以下からなる群から選択される:アシルオキシ、
    ヒドロキシ、チオール、アシル、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、置換アルキル、置換アルコキシ、置換アルケニル、置換アルキニル、置換シクロアルキル、置換シクロアルケニル、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アシルアミノ、アルカリール、アリール、アリールオキシ、アジド、カルボキシル、カルボキシルアルキル、シアノ、ハロ、
    ニトロ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環式、ヘテロシクロオキシ、アミノアシルオキシ、オキシアシルアミノ、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、−SO−アルキル、
    −SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO 2
    −アルキル、−SO 2 −置換アルキル、−SO 2 −アリール、−SO 2 −ヘテロアリールおよびトリハロメチル。 好ましいアリール置換基には、アルキル、アルコキシ、ハロ、シアノ、ニトロ、トリハロメチル、およびチオアルコキシが挙げられる。

    【0076】 用語「アリールオキシ」は、基アリール−O−を示し、ここで、アリール基は上記で定義されたとおりであって、必要に応じて置換アリール基(これらも、上記で定義されたとおり)を含む。

    【0077】 用語「アリーレン」は、上記で定義したようなアリール(置換アリールを含む)から誘導したジラジカルを示し、そして、1,2−フェニレン、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン、1,2−ナフチレンなどによって例示される。

    【0078】 用語「アミノ」は、基−NH 2を示す。

    【0079】 用語「置換アミノ」は、基−NRRを示し、ここで、各Rは、独立して以下からなる群から選択される:水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、ヘテロアリール、および複素環式であり、ただし、両方のRが水素であることはない。

    【0080】 用語「カルボキシアルキル」または「アルコキシカルボニル」は、以下の基を示す:「−C(O)O−アルキル」、「−C(O)O−置換アルキル」、「−C
    (O)O−シクロアルキル」、「−C(O)O−置換シクロアルキル」、「−C
    (O)O−アルケニル」、「−C(O)O−置換アルケニル」、「−C(O)O
    −アルキニル」および「−C(O)O−置換アルキニル」(ここで、アルキル、
    置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニルおよび置換アルキニルは、本明細書中で定義されたとおりである)。

    【0081】 用語「シクロアルキル」は、3〜20個の炭素原子の環状アルキル基を示し、
    単環式環または多縮合環を有する。 このようなシクロアルキル基には、例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロオクチルなどのような単環状構造、またはアダマンタニルのような多環状構造などが挙げられる。

    【0082】 用語「置換シクロアルキル」は、1〜5個の置換基、好ましくは、1〜3個の置換基を有するシクロアルキル基を示し、これらの置換基は以下からなる群から選択される:アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環式、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−S
    O−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO 2 −アルキル、−SO 2 −置換アルキル、−SO 2 −アリールおよび−SO 2 −ヘテロアリール。

    【0083】 用語「シクロアルケニル」は、4〜20個の炭素原子を有する環状アルケニル基を示し、単環式環および少なくとも1個の内部不飽和を有する。 適切なシクロアルケニル基の例は、例えば、シクロブト−2−エニル、シクロペント−3−エニル、シクロオクト−3−エニルなどが挙げられる。

    【0084】 用語「置換シクロアルケニル」は、1〜5個の置換基、好ましくは、1〜3個の置換基を有するシクロアルケニル基を示し、これらの置換基は以下からなる群から選択される:アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環式、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、
    −SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO 2 −アルキル、−SO 2 −置換アルキル、−SO 2 −アリールおよび−SO 2 −ヘテロアリール。

    【0085】 用語「ハロ」または「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素を示す。

    【0086】 用語「ヘテロアリール」は、少なくとも1個の環内に(1個より多くの環が存在する場合)1〜15個の炭素原子、および酸素、窒素、および硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を有する芳香族基を示す。

    【0087】 ヘテロアリール置換基に関する定義によって他に制約されなければ、このようなヘテロアリール基は、必要に応じて、1〜5個の置換基、好ましくは、1〜3
    個の置換基で置換され得、これらの置換基は以下からなる群から選択される:アシルオキシ、ヒドロキシ、チオール、アシル、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、置換アルキル、置換アルコキシ、置換アルケニル、置換アルキニル、置換シクロアルキル、置換シクロアルケニル、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アシルアミノ、アルカリール、
    アリール、アリールオキシ、アジド、カルボキシル、カルボキシルアルキル、シアノ、ハロ、ニトロ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環式、ヘテロシクロオキシ、アミノアシルオキシ、オキシアシルアミノ、チオアルコキシ、
    置換チオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、−SO
    −アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO 2 −アルキル、−SO 2 −置換アルキル、−SO 2 −アリール、−SO 2 −ヘテロアリールおよびトリハロメチル。 好ましいアリール置換基には、アルキル、アルコキシ、ハロ、シアノ、ニトロ、トリハロメチル、およびチオアルコキシが挙げられる。 このようなヘテロアリール基には、単環(例えば、ピリジルまたはフリル)あるいは多縮合環(例えば、インドリジニルまたはベンゾチエニル)を有し得る。 好ましいヘテロアリールには、ピリジル、ピロリルおよびフリルが挙げられる。

    【0088】 用語「ヘテロアリールオキシ」は、基ヘテロアリール−O−を示す。

    【0089】 用語「ヘテロアリーレン」は、上記で定義したようなヘテロアリール(置換ヘテロアリールを含む)から誘導したジラジカル基を示し、そして、基2,6−ピリジレン、2,4−ピリジレン、1,2−キノリニレン、1,8−キノリニレン、1,4−ベンゾフラニレン、2,5−ピリドニレン(pyridnylene
    )、2,5−インドレニルなどによって例示される。

    【0090】 用語「複素環」または「複素環式」は、単環または多縮合環を有するモノラジカルの飽和または不飽和基を示し、環内に1〜40個の炭素原子、ならびに窒素、硫黄、リン、および/または酸素から選択される1〜10個のヘテロ原子、好ましくは1〜4個のヘテロ原子を有する。

    【0091】 複素環式置換基に関する定義に他に制約されなければ、このような複素環式基は、必要に応じて、1〜5個の置換基、好ましくは、1〜3個の置換基で置換され得、これらの置換基は以下からなる群から選択される:アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環式、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO 2 −アルキル、−SO 2 −置換アルキル、−SO 2 −アリールおよび−SO 2 −ヘテロアリール。 このような複素環式基は、単環または多縮合環を有し得る。 好ましい複素環式には、モルホリノ、ピペリジニルなどが挙げられる。

    【0092】 窒素複素環およびヘテロアリールの例には、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチルピリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、フェナントロリン、イソチアゾール、フェナジン、イソオキサゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、イミダゾリジン、イミダゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドリン、モルホリノ、ピペリジニル、テトラヒドロフラニルなど、ならびにN−アルコキシ−窒素含有複素環が挙げられるが、これらに限定されない。

    【0093】 用語「ヘテロシクロオキシ」は、基複素環式−O−を示す。

    【0094】 用語「チオヘテロシクロオキシ」は、基複素環式−S−を示す。

    【0095】 用語「ヘテロシクレン」は、本明細書中で定義したような複素環から形成したジラジカル基を表し、そして、基2,6−モルホリノ、2,5−モルホリノなどによって例示される。

    【0096】 用語「オキシアシルアミノ」または「アミノカルボニルオキシ」は、基−OC
    (O)NRRを表し、ここで、各Rは独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリール、または複素環式であり、ここで、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリール、および複素環式は本明細書で定義したとおりである。

    【0097】 用語「スピロ−結合シクロアルキル基」は、両方の環に共通の炭素原子1個を介し、別の環と結合したシクロアルキル基を示す。

    【0098】 用語「チオール」は、基−SHを表す。

    【0099】 用語「チオアルコキシ」は、基−S−アルキルを示す。

    【0100】 用語「置換チオアルコキシ」は、基−S−置換アルキルを示す。

    【0101】 用語「チオアリールオキシ」は、基アリール−S−を示し、ここで、アリール基は上記で定義した通りであり、必要に応じて、置換アリール基(これも上記で定義した)を含む。

    【0102】 用語「チオヘテロアリールオキシ」は、基ヘテロアリール−S−を示し、ここで、ヘテロアリール基は上記で定義した通りであり、必要に応じて、置換アリール基(これも上記で定義した)を含む。

    【0103】 1個以上の置換基を含む任意の上記の基に関して、このような基は、立体的に実施不可能および/または合成的に可能性のない、置換または置換パターンはいずれも含まないことが当然理解される。 さらに、本発明の化合物は、これらの化合物の置換から生じる、立体化学的な異性体を全て含む。

    【0104】 用語「薬学的に受容可能な塩」は、本発明の多結合化合物の生物学的な効果および特性を保持する塩、および生物学的にまたは他の理由で所望されなくはない塩を示す。 多くの場合、本発明の多結合化合物は、アミノ基および/またはカルボキシル基あるいはそれらと同様な基の存在によって、酸および/または塩基の塩を形成し得る。

    【0105】 薬学的に受容可能な、塩基付加塩は、無機および有機塩基から調製され得る。
    無機塩基から誘導した塩には、以下のものが挙げられるが、これらは例にすぎない:ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウムおよびマグネシウム塩。 有機塩基から誘導した塩には、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:一級、二級および三級アミン(例えば、アルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、置換アルキルアミン、ジ(置換アルキル)アミン、トリ(置換アルキル)アミン、アルケニルアミン、ジアルケニルアミン、
    トリアルケニルアミン、置換アルケニルアミン、ジ(置換アルケニル)アミン、
    トリ(置換アルケニル)アミン、シクロアルキルアミン、ジ(シクロアルキル)
    アミン、トリ(シクロアルキル)アミン、置換シクロアルキルアミン、ジ置換シクロアルキルアミン、トリ置換シクロアルキルアミン、シクロアルケニルアミン、ジ(シクロアルケニル)アミン、トリ(シクロアルケニル)アミン、置換シクロアルケニルアミン、ジ置換シクロアルケニルアミン、トリ置換シクロアルケニルアミン、アリールアミン、ジアリールアミン、トリアリールアミン、ヘテロアリールアミン、ジヘテロアリールアミン、トリヘテロアリールアミン、複素環式アミン、ジ複素環式アミン、トリ複素環式アミン、混合ジ−およびトリ−アミン)の塩、ここで、アミン上の少なくとも2つの置換基は異なり、そして置換基は、以下からなる群から選択される:アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、複素環式など。 2個または3個の置換基が、アミノ窒素と共に、ヘテロ環式またはヘテロアリール基を形成するアミンがまた含まれる。

    【0106】 適切なアミンの例には、以下のものが挙げられるが、これらは例に過ぎない:
    イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリ(イソ−プロピル)アミン、トリ(n−プロピル)アミン、エタノールアミン、2−ジメチルアミノエタノール、トロメタミン(tromethamine)、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン(hydrabam
    ine)、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、N−アルキルグルコサミン、テオブロミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、モルホリン、
    N−エチルピペリジンなど。 また、他のカルボン酸誘導体(例えば、カルボキサミド、低級アルキルカルボキサミド、ジアルキルカルボキサミドなどを含む、カルボン酸アミド)は、本発明の実施に有用であることも理解されるべきである。

    【0107】 薬学的に受容可能な酸付加塩は、無機および有機酸から調製され得る。 無機酸から誘導される塩としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸硝酸、リン酸などが挙げられる。 有機酸から誘導される塩としては、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエン−スルホン酸、サリチル酸などが挙げられる。

    【0108】 用語「薬学的に受容可能なカチオン」は、薬学的に受容可能な塩のカチオンをいう。

    【0109】 用語「保護基」または「ブロック基」は、この化合物(それらの中間体を含む)の1つ以上のヒドロキシル、チオール、アミノまたはカルボキシル基に結合される場合、これらの基で反応が起こるのを防止し、そしてこの保護基が、従来の化学的または酵素的工程によって除去され、ヒドロキシル、チオール、アミノまたはカルボキシル基を再構築し得る任意の基をいう。 使用される特定の除去可能なブロック基は、重要ではなく、そして好ましい除去可能なヒドロキシルブロック基は、従来の置換基、例えば、アリル、ベンジル、アセチル、クロロアセチル、チオベンジル、ベンジリジン、フェナシル、t−ブチル−ジフェニルシリル、
    およびヒドロキシル官能基に化学的に導入されそしてその後で生成物の性質と適合性の穏やかな条件で化学的または酵素的方法のいずれかによって選択的に除去され得る任意の他の基を含む。

    【0110】 好ましい除去可能なチオールブロック基は、ジスルフィド基、アシル基、ベンジル基などを含む。

    【0111】 好ましい除去可能なアミノブロック基は、従来の置換基(例えば、t−ブトキシカルボニル(t−BOC)、ベンジルオキシカルボニル(CBZ)、フルオレニルメトキシカルボニル(FMOC)、アリルオキシカルボニル(ALOC)など)を含み、これらは生成物の性質と適合性の従来の条件によって除去され得る。 好ましいカルボキシル保護基は、エステル(例えば、メチル、エチル、プロピル、t−ブチルなど)を含み、これらは生成物の性質と適合性の穏やかな条件によって除去され得る。

    【0112】 用語「任意の」または「必要に応じて」は、引き続いて記載される事象、現象、または置換が起こっても起こらなくてもよく、そしてこの記載は、上記の事象または現象が起こる場合、および起こらない場合を含むことを意味する。

    【0113】 本明細書中で使用される用語「リガンド」とは、酵素シクロオキシゲナーゼ−
    2に結合し得る部分または化合物を示す。 酵素に認識されるリガンドの特定の領域(単数または複数)は、「リガンドドメイン」として表示される。 リガンドは、それ自体により酵素に結合するか、または結合のための1つ以上の非リガンド成分の存在(例えば、Ca +2 、Mg +2または水分子が、リガンドの、種々のリガンド結合部位への結合のため必要である)を必要とするかのいずれかであり得る。

    【0114】 本発明において有用であるリガンドの例は本明細書中で記載される。 当業者は、特定の分子認識および結合活性のため必須でないリガンド構造の部分は、実質的に変化され得、非関連構造(例えば、下記に定義されるような補助基)で交換または置換され得、そしていくつかの場合には、結合相互作用に影響を与えることなく完全に省略され得ることを理解する。 リガンドのための第一の要件は、リガンドが上記に定義したリガンドドメインを有することである。 用語リガンドは、シクロオキシゲナーゼ−2への結合に有用である公知な化合物(例えば、公知の薬物)に限定することを意図しないと理解されるべきである。 当業者は、用語リガンドが、酵素結合特性に通常関連しない分子に等しく適用し得ることを理解する。 さらに、単量体としてわずかな活性しか示さないかまたは有用な活性を欠くリガンドが、多価による恩恵のため、多価化合物として高活性であり得ることを留意すべきである。

    【0115】 用語「多結合化合物または多結合剤」とは、以下に定義されるように、多価で有り得、そして同一または異なってもよい1つ以上のリンカーに共有結合される2〜10個のリガンドを有する化合物のことをいう。 多結合化合物は、結合のために利用可能であるそれに等価な非連結リガンドの集合体よりも大きな生物学的および/または治療的効果を提供する。 すなわち、多結合化合物に結合したリガンドの生物学的および/または治療的効果は、リガンド結合部位(レセプター)
    への結合のために利用可能な同量の非連結リガンドによって達成される効果よりも大きい。 用語「増加した生物学的または治療的効果」には、例えば:増加した親和性、標的に対する増加した選択性、標的に対する増加した特異性、増加した効、増加した有効性、減少した毒性、向上した活性または作用の持続時間、減少した副作用、増加した治療指数、向上したバイオアベイラビリティー、向上した薬物動態、向上した活性スペクトルなどが挙げられる。 本発明の多結合化合物は、これらの上記の影響の少なくとも1つ、好ましくは1つ以上を示す。

    【0116】 用語「多量体化合物」とは、化合物が多結合特性を有してもよくまたは有さなくともよい少なくとも1つのリンカーによって共有結合した2〜10個のリガンドを含有する化合物のことをいう。

    【0117】 用語「効力」とは、リガンドが所望の生物学的または治療的効果を達成し得る最小濃度のことをいう。 リガンドの効力は典型的には、そのリガンド結合部位に対するその親和性に比例する。 いくつかの場合では、効力はその親和性と非線型に相関し得る。 2つの薬物(例えば、多結合剤およびその非連結リガンドの集合体)の効力を比較する際、各々の用量−応答曲線は、同一試験条件下(例えば、
    適切な動物モデルで、インビトロまたはインビボのアッセイで)で測定される。
    多結合剤が、非連結リガンドの集合体よりも低い濃度で等価な生物学的または治療的効果を生じるという知見は、増大した効力を示す。

    【0118】 本明細書中で使用される用語「一価」は、本明細書中で定義されるような1つのリガンド結合部位を有する、本明細書中に定義されるような1つのリガンド間の単結合相互作用をいう。 リガンド(単数または複数)の複数のコピーを有する化合物は、1つのみのリガンドがリガンド結合部位と相互作用する場合、一価を示すことに留意すべきである。 一価相互作用の例は、以下に示される。

    【0119】

    【化12】

    本明細書中で使用される用語「多価」は、2〜10個の連結されるリガンド(


    これらは同じでも異なってもよい)、および1つ以上の酵素(これらは同じでも異なってもよい)上の2個以上の対応するレセプター(リガンド結合部位)の同時発生の結合をいう。

    【0120】 例えば、2つのリガンド結合部位に同時に結合するリンカーによって連結される2つのリガンドは、二価としてみなされ;従って、連結される3つのリガンドは、三価の例である。 3つのリガンドを有する多結合化合物を例示する三価の結合対一価の結合の相互作用の例は、以下に示される:

    【0121】

    【化13】

    リンカー(単数または複数)に連結されるリガンドの複数のコピーを含むすべての化合物は、多価の現象(すなわち、多結合剤の生物学的および/または治療的効果が、リガンド結合部位(レセプター)に結合するために利用可能な連結していないリガンドの集合体の合計よりも大きい)を必ずしも示さないことが理解されるべきである。 多価が起こるためには、リンカー(単数または複数)によって結合されるリガンドは、所望のリガンド配向結果をもたらし、従って、多結合事象を生成するために、特定の様式で、リンカー(単数または複数)によってそれらのリガンド結合部位に示されなければならない。

    【0122】 用語「選択性」または「特異性」は、異なるリガンド結合部位(レセプター)
    に対するリガンドの結合優先度の程度である。 リガンドの、別のリガンド結合部位に関するその標的リガンド結合部位についての選択性は、K d (すなわち、各リガンド−レセプター複合体についての解離定数)のそれぞれの値の比、または生物学的効果がK d未満で観察される場合、それぞれのEC 50 (すなわち、2つの別個のリガンド結合部位(レセプター)と相互作用するリガンドに対する最大応答の50%を生成する濃度)の比によって与えられる。

    【0123】 用語「リガンド結合部位」は、リガンドドメインを認識しそしてそのリガンドのために結合パートナーを提供するシクロオキシゲナーゼ−2酵素上の部位を示す。 このリガンド結合部位は、単量体または多量体構造によって規定され得る。
    この相互作用は、独特の生物学的効果(例えば、アゴニズム、アンタゴニズム、
    調節効果)を生じることが可能であり得、進行中の生物学的事象などを維持し得る。

    【0124】 用語「アゴニズム」および「アンタゴニズム」は、当該分野において周知である。 用語「調節効果」とは、リガンドの、リガンド結合部位への結合によってアゴニストまたはアンタゴニストの活性を変化させる能力のことをいう。

    【0125】 生物学的多価結合相互作用に関与する酵素のリガンド結合部位は、それらの分子内および分子間会合によって種々の程度に制約され(例えば、このような高分子構造は、単一構造に共有結合され、多量体構造において非共有結合的に会合され、膜またはポリマーマトリクスなどに組み込まれ得る)、それゆえ、同じ構造が溶液中のモノマーとして存在する場合よりも、小さな並進および回転自由度を有することが認識されるべきである。

    【0126】 用語「不活性有機溶媒」または「不活性溶媒」は、単なる例として以下を含むものと組み合わせて記載される反応の条件下で不活性である溶媒を意味する:ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、クロロホルム、塩化メチレン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、アセトン、
    メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、t−ブタノール、ジオキサン、ピリジンなど。 他に反対の記載がなければ、
    本明細書中に記載される反応において使用される溶媒は、不活性溶媒である。

    【0127】 用語「処置」は、哺乳動物(特に、ヒト)における病理的状態の任意の処置をいい、そして以下の(i)〜(iv)を含む: (i)被験体において病理的状態が生じるのを防止することであって、この被験体は、この状態にかかりやすくあり得るが、この状態はまだ診断されておらず、従って、この処置は疾患状態のための予防的処置を構成する; (ii)病理的状態を阻害すること(すなわち、その発達を阻止すること); (iii)病理的状態を軽減すること(すなわち、病理的状態の後退を起こすこと);あるいは (iv)病理的状態により媒介される状態を軽減すること。

    【0128】 用語「リガンドでの処置により調節される病理的状態」とは、一般に酵素シクロオキシゲナーゼ−2に対するリガンドで有益に処置されることが当該分野で一般に認められる全ての疾患状態(すなわち、病理的状態)、および本発明の特定の多結合化合物により有益に処置されることが見出された疾患状態を包含する。
    このような疾患状態には、単なる例として、炎症、痛み、発熱などに苦しめられる哺乳動物の処置が挙げられる。

    【0129】 「治療的有効量」とは、上記に定義されるように、処置を必要とする哺乳動物に投与される場合、そのような処置をもたらすに十分である多結合化合物の量のことをいう。 この治療的有効量は、処置される被験体および疾患状態、被験体の体重および年齢、疾患状態の重篤度、投与の方法などに依存して変化し、これは、当業者によって容易に決定され得る。

    【0130】 記号X、X'またはX''により適宜、確認される用語「リンカー」とは、多価を可能とする化合物を提供する様式で、2〜10個のリガンド(上記のように確認される)を共有結合する基(単数または複数)のことをいう。 各々のリンカーは、キラルまたはアキラルであり得る。 他の特徴の中でも、リンカーは、そこへリガンド(同一または異なってもよい)の複数のコピーの結合を可能とするリガンド配向性の要素である。 いくつかの場合、リンカーは、それ自身、生物学的に活性であり得る。 しかしながら、用語「リンカー」は、ビーズ、ガラス粒子、
    繊維などの固体不活性支持体を包含することまで及ばない。 しかし、本発明の多結合化合物は、所望であれば、固体支持体に結合され得ることが理解される。 例えば、固体支持体へのこのような結合は、分離および精製プロセスならびに同様の適用における使用のため作られ得る。

    【0131】 多価結合が実現される程度は、リガンドと結合するリンカー(単数または複数)が、これらのリガンドを利用可能なリガンド結合部位の配列に提供する効率に依存する。 リガンド結合部位との多価相互作用のためにこれらのリガンドを提供す以上に、このリンカー(単数または複数)は、これらの相互作用がリンカー(
    単数または複数)によって規定されるディメンジョン内で起こるように、空間的に制約する。 従って、リンカーの構造的特徴(価数、ジオメトリ、配向、サイズ、可撓性、化学組成など)は、それらの活性を決定する際に重要な役割を果たす、多結合剤の特徴である。

    【0132】 本発明に使用されるリンカーは、リガンドの、シクロオキシゲナーゼ−2のリガンド結合部位への多価結合を可能にするように選択される。 このような部位は、酵素構造の内側、酵素構造の内側および表面の両方、またはそれらの任意の中間位置に位置される。 インヒビターに結合したCOX−1およびCOX−2の結晶構造は公知である234 。 図1Aは、膜に挿入されたCOX−2二量体を図示する。 理論によって限定することを意図しないが、両方のアイソザイムは、ER
    膜の内腔側に局在した膜結合ホモ二量体であると考えられる。 各々において、単量体サブユニットは、3つの構造、すなわちEGF様ドメイン、触媒ドメインおよび膜結合ドメインから構成される。 この膜結合ドメインは、活性部位の開口部周辺の箱様構造に並んだ4つ両親媒性ヘリックスから構成される。 活性部位それ自体は、膜の面(膜結合ドメインにおける4つのヘリックスの疎水性表面により規定される)から垂直に伸びる、長くて、深い、およそ8×25Åの大きさの腔である。 各々の単量体には、生化学的に単一でそして構造的に別個の活性部位が存在し、これらは、膜に対して垂直な平行チャネルを表し、そしておよそ40Å
    離れて位置する。 従って、本発明において、最も近い隣接リガンドドメイン間の距離は、好ましくは、約10Åより大きく、より好ましくは約40Å〜約100
    Åの範囲である。

    【0133】 COX−1とCOX−2の活性部位の間には、微妙であるが重要な差異が存在することがまた公知である。 溶媒が接近可能な表面積の計算により、COX−1
    活性部位は比較的に一直線でそして円筒状の形状を有するが、COX−2の活性部位は主要な円筒から伸びるサイドポケットを有することが解明された。 3このポケットは、IleのValへの変異により生じ、これは膜に対して平行なチャネルを開き、そして活性部位の総体積の正味25%の増加の原因となる。 COX
    −1におけるこの残基の変異は、1つのクラスのNSAIDのためのCOX−2
    選択性を与え、この構造的観察の重要性の生化学的な確認を提供する。

    【0134】 COX−2結晶構造における別の重要な観察は、NSAIDインヒビターの結合様式に関する。 フルルビプロフェンで阻害したCOX−1の構造において、このインヒビターは、その全表面積の4%未満を大量の溶媒(bulk solv
    ent)に曝し、全体的にタンパク質内に取り囲まれていることが観察されている2 。 選択的インヒビターを有するCOX−2の構造において、そのインヒビターの部分は、明らかに、膜によって占有された領域に向けて活性部位の開口部から突き出ている。 異なるNSAIDを有するCOX−2の構造は、COX−1/
    フルルビプロフェン構造に匹敵する、閉じた活性部位開口部を示す。 共に、これらの構造は、COX−2活性部位の開口部における相当な可撓性を示し、そして少なくとも1つのクラスのインヒビターは、膜に突き出ている分子の部分と結合し得ることを示す3

    【0135】 リガンドは、リガンドのリンカー(単数または複数)への共有結合を提供する従来の化学技術を使用して、リンカー(単数または複数)へ共有結合される。 このような連結を起こす化学反応は当該分野で周知であり、これには、リンカーおよびリガンド上の相補的官能基の使用を含む。 好ましくは、リンカー上の相補的官能基は、結合のためリガンド上に利用可能であるかまたは結合のためリガンド上に導入され得る官能基に関連して選択される。 このような相補的官能基はまた、当該分野において周知である。 例えば、適切な周知の活性化試薬の存在下での、リンカーまたはリガンドのいずれかのカルボン酸とリガンドまたはリンカーの一級あるいは二級アミンとの間の反応は、リガンドをリンカーへ共有結合するアミド結合の形成を生じ;リンカーまたはリガンドのいずれかのアミン基とリガンドまたはリンカーのスルホニルハライドとの間の反応は、リガンドをリンカーへ共有結合するスルホンアミド結合の形成を生じ;そしてリンカーまたはリガンドのいずれかのアルコールあるいはフェノールとリガンドまたはリンカーのアルキルあるいはアリールハライドとの間の反応は、リガンドをリンカーへ共有結合するエーテル結合の形成を生じる。

    【0136】 以下の表1は、多数の相補的な反応性基、およびその結果、それらの間の反応により形成される結合を示す。

    【0137】 表1 (代表的な相補的結合の化学) 第一反応性基 第二反応性基 結合 ヒドロキシル イソシアナート ウレタン アミン エポキシド β−ヒドロキシアミン スルホニルハライド アミン スルホンアミド カルボキシル アミン アミド ヒドロキシル アルキル/アリールハライド エーテル リンカーは、リガンドドメイン−リガンド結合部位相互作用を維持し、そして詳細には、リガンドのリガンドドメインを、リガンド結合部位に結合するようにそれ自身を配向させるのを可能とする位置で、リガンドに結合される。 結合のためのこのような位置および合成プロトコルは、当該分野において周知である。 用語リンカーは、リガンドの一部であると考えられない全てのものを含む。

    【0138】 リガンドドメインが表示される相対的な配向は、リガンドの、リンカーに対する、そしてその骨格ジオメトリ上での特定の結合点(単数または複数)に由来する。 受容可能な置換がリガンド上のどこでなされ得るかの決定は、典型的には、
    リガンドおよび/または同属体の構造活性相関(SAR)ならびに/あるいはリガンド−レセプタ−複合体に関する構造的情報(例えば、X線結晶学、NMRなど)の従来の知識に基づく。 共有結合のためのこのような位置および合成方法は、当該分野において周知である。 選択されたリンカーへの結合(または、リンカーのかなりの部分(例えば、リンカーの2〜10個の原子)への結合)に続いて、その一価のリンカー−リガンド結合体は、関連するアッセイにおいて、活性の保持について試験され得る。

    【0139】 適切なリンカーは、以下にさらに十分に議論される。

    【0140】 現在、多結合剤は、二価の化合物(例えば、リンカーXに対して共有結合される2つのリガンド)であることが好ましい。

    【0141】 用語「ライブラリー」とは、少なくとも3個、好ましくは10 2 〜10 9個、より好ましくは10 2 〜10 4個の多量体化合物のことをいう。 好ましくは、これらの化合物は、単一の溶液、またはその容易な合成を可能とする反応混合物中で多様な化合物として調製される。 1つの実施態様では、この多量体化合物のライブラリーは、多結合特性について直接アッセイされ得る。 別の実施態様では、多量体化合物のライブラリーの各メンバーは、まず単離され、そして必要に応じて特徴付けられる。 このメンバーは次いで、多結合特性についてアッセイされる。

    【0142】 用語「コレクション」とは、順次または同時(例えば、コンビナトリアル的に)のいずれかで調製される1つのセットの多量体化合物のことをいう。 このコレクションは、少なくとも2個のメンバー;好ましくは2〜10 9個のメンバー、
    なおさらに好ましくは10〜10 4個のメンバーを含む。

    【0143】 用語「擬ハロゲン化物」とは、ハロゲンと類似の様式で置換反応において反応する(例えば、置換反応において脱離基として機能する)官能基のことをいう。
    このような官能基には、例えば、メシル、トシル、アジド、シアノなどが挙げられる。

    【0144】 (方法論) リンカーは、リガンドの複数のコピーに共有結合される場合、生体適合性で実質的に非免疫原性の多結合化合物を提供する。 多結合化合物の生物学的活性は、
    リンカーの価数、ジオメトリ、組成、大きさ、可撓性または硬さなどに対して、
    そして次に、多結合化合物の全体の構造、ならびにリンカー上のアニオンまたはカチオン電荷の存在あるいは非存在、リンカーの相対的な疎水性/親水性などに関して、非常に敏感である。 従って、リンカーは好ましくは、多結合化合物の生物活性を最大にするように選択される。 リンカーは、分子の生物活性を増強するように選択され得る。 一般に、リンカーは、2つ以上のリガンドをそれらのリガンド結合部位に向けて多価を可能とする任意の有機分子構成物から選択され得る。 この点で、リンカーは、所望のリガンド配向結果を引き起こし、従って多結合化合物を生成するために、リガンドが配置される「骨格」として考えられ得る。

    【0145】 例えば、異なる配向は、単環式または多環式基(これには、アリールおよび/
    またはヘテロアリール基、あるいは1つ以上の炭素−炭素多重結合(アルケニル、アルケニレン、アルキニルまたはアルキニレン基)を組み込む構造が挙げられる)を含有する骨格基の中に含むことにより、達成され得る。 他の基にはまた、
    分枝鎖または直鎖の種であるオリゴマーおよびポリマーが挙げられ得る。 好ましい実施態様において、堅さは、環状の基(例えば、アリール、ヘテロアリール、
    シクロアルキル、複素環式など)の存在により付与される。 他の好ましい実施態様において、この環は、6または10員環である。 なおさらに好ましい実施態様において、この環は、例えば、フェニルまたはナフチルのような芳香族の環である。

    【0146】 リンカーの異なる疎水性/親水性特性および荷電した部分の存在または非存在は、当業者により容易に制御され得る。 例えば、ヘキサメチレンジアミン(H 2
    N(CH 26 NH 2 )または関連ポリアミンから誘導されるリンカーの疎水的な性質は、そのアルキレン基を、市販の「Jeffamine」中に見出されるようなポリ(オキシアルキレン)基で置換することにより、実質的にさらに親水性であるように調整され得る。

    【0147】 骨格(リンカー)およびリガンド基の交差、および実際に骨格(リンカー)それ自身は、多くの異なる結合パターンを有し得る。 3隣接原子配列の許容可能なパターンの例は、以下の図表に示される:

    【0148】

    【化14】

    当業者は、多価化合物を生成する結合パターンを同定し得る。 これらの結合配列を生成する方法は、March「Advanced Organic Che


    mistry」第4版、Wiley−Interscience、New Yo


    rk、New York(1992)に記載される。 これらの配列は、上記スキームに示される点のグリッドとして記載される。 5つの最も好ましい原子についての全ての可能な配列が示される。 各原子は、種々の許容可能な酸化状態を有する。 下線を引いた結合配列は、許容可能ではほとんどなく、そして好ましくない。

    【0149】 上記結合パターンがリンカーの成分として使用され得る分子構造の例が下記に示される。

    【0150】

    【化15】

    リガンドドメイン提示のための適切な骨格ジオメトリおよび大きさの同定は、


    増加した活性を有する多結合化合物の構築に重要な工程である。 系統的な空間調査の戦略が、反復プロセスによる好ましい骨格の同定の支援に使用され得る。 図2は、リガンドドメインのための最適な骨格表示配向を決定するのに有用な戦略を示す。 種々の他の戦略が分子設計の当業者に公知であり、そして本発明の化合物を調製するために使用され得る。

    【0151】 図2に示したように、フェニル構造およびシクロヘキサン構造のような類似の中心コア構造の回りの表示ベクトルは、コア構造からのリガンドドメインの間隔(すなわち、結合部分の長さ)と同様に、変化され得る。 ここに示した以外のコア構造が、リガンドの最適骨格表示配向を決定するために使用され得ることに留意すべきである。 このプロセスは、同一の中心コア構造の複数のコピー、または異なる種類の表示コアの組み合わせの使用を必要とし得る。

    【0152】 上記のプロセスは、3量体(図3)およびより高い価数の化合物(図4および図5)に拡大し得る。

    【0153】 上記のように生成したコレクションの個々の化合物の各々のアッセイは、所望の増加した活性(例えば、効力、選択性など)を有する化合物のサブセットに導く。 Ensemble Molecular Dynamicsのような技術を使用するこのサブセットの分析は、所望の特性を支持する骨格の配向を提供する。 幅広く多様なリンカーが市販されている(例えば、Available Ch
    emical Directory(ACD)を参照のこと)。 本発明の使用に適切であるリンカーの多くが、この範疇に入る。 他は、当該分野で周知の方法により容易に合成され得、そして/または以下に記載される。

    【0154】 好ましい骨格ジオメトリを選択する場合、リンカーの物理的特性は、それらの化学的組成を変化させることにより、最適化され得る。 リンカーの組成は、多数の方法で変化され、多結合化合物について所望の物理的特性を達成し得る。

    【0155】 それゆえ、リンカーの組成について多数の可能性が存在すると理解され得る。
    リンカーの例には、脂肪族部分、芳香族部分、ステロイド部分、ペプチドなどが挙げられる。 特定の例は、ペプチドまたはポリアミド、炭化水素、芳香族基、エーテル、脂質、カチオン性またはアニオン性基、あるいはそれらの組み合わせである。

    【0156】 例が下記に示されるが、種々の変化がされ得、そして等価なものが本発明の真の精神および範囲を逸脱することなく置換され得ることが理解されるべきである。 例えば、リンカーの特性は、補助基をリンカーの中にまたはリンカー上に付加または挿入することにより調節され、例えば、多結合化合物の溶解度(水、脂肪、脂質、生物学的流体中、など)、疎水性、親水性、リンカーの可撓性、抗原性、安定性などを変化し得る。 例えば、リンカー上へまたはリンカー中への1つ以上のポリ(エチレングリコール)(PEG)基の導入は、非PEG化リンカーの性質に依存して、多結合化合物の親水性および水溶解度を高め、分子量および分子の大きさの両方を増加し、そしてインビボでの保持時間を増加し得る。 さらに、PEGは抗原性を減少し、そして潜在的にリンカーの全体の堅さを高める。

    【0157】 リンカーの水溶解度/親水性を高める補助基、および従ってその結果として得られた多結合化合物は、本発明の実施に有用である。 従って、例えば、エチレングリコール、アルコール、ポリオールの小さな繰り返し単位(例えば、グリセリン、グリセロールプロポキシレート、単糖およびオリゴ糖を含む糖類など)、カルボキシレート(例えば、グルタミン酸、アクリル酸などの小さな繰り返し単位)、アミン(例えば、テトラエチレンペンタミン)など)のような補助基を使用して、本発明の多結合化合物の水溶解度および/または親水性を高めることは本発明の範囲内である。 好ましい実施態様において、水溶解度/親水性を改善するために使用される補助基はポリエーテルである。

    【0158】 本明細書中に記載される多結合性の親油性および/または疎水性を高めるためにリンカーの構造内に親油性補助基を組み込むことはまた、本発明の範囲内である。 本発明のリンカーに有用な親油性基には、単なる例証として、上記のような、非置換であるかまたは他の基で置換されるかのいずれかであり得るアリールおよびヘテロアリール基が挙げられるが、リンカーへのそれらの共有結合を可能とする基で少なくとも置換される。 本発明のリンカーに有用な他の親油性基には、
    より高い濃度に達するまで水性媒体中で二分子層を形成しない脂肪酸誘導体が挙げられる。

    【0159】 ベシクルあるいは他の膜構造(例えば、リポソームまたはミセル)に取り込まれるかまたは固定される多結合化合物を生じる補助基の使用はまた、本発明の範囲内である。 用語「脂質」とは、二分子層またはミセルを形成し得る任意の脂肪酸誘導体のことを言い、その結果、脂質物質の疎水性部分はこの二分子層の方へ向き、一方、親水性部分は水相の方へ向く。 親水性の特性は、リン酸基、カルボン酸基、硫酸(sulfato)基、アミノ基、スルフヒドリル基、ニトロ基および当該分野で周知の他の類似の基の存在から誘導される。 疎水性は、20個までの炭素原子の長鎖の飽和および不飽和脂肪族炭化水素基、および1個以上のアリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよび/または複素環式基(単数または複数)により置換されるそのような基を含む基を含有することによって与えられ得るが、これらに限定されない。 好ましい脂質はホスホグリセリドおよびスフィンゴ脂質であり、その代表的な例には、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸、パルミトイルエオイル(palmitoyleoyl)ホスファチジルコリン、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジル−エタノールアミン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリン、ジステアロイル−ホスファチジルコリンまたはジリノレオイルホスファチジルコリンが使用され得る。 リンを含まない他の化合物(例えば、スフィンゴ脂質およびグリコスフィンゴ脂質ファミリー)はまた、脂質として示される基の範囲内である。 さらに、上記に記載される両親媒性脂質は、トリグリセリドおよびステロールを含む他の脂質と混合され得る。

    【0160】 リンカーの可撓性は、嵩高くそして/または堅い補助基を含むことによって操作され得る。 嵩高いかまたは堅い基の存在は、リンカー内の結合、またはリンカーと補助基(単数または複数)との間の結合、またはリンカーと官能基との間の結合の回りの自由な回転を妨げ得る。 堅い基には、例えば、立体配座の不安定性が、その基(例えば、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニルおよび複素環式基)の中の環および/または多重結合の存在によって制限される基が挙げられ得る。 堅さを付与し得る他の基には、オリゴ−またはポリプロリン鎖のようなポリペプチド基が挙げられる。

    【0161】 堅さはまた、分子内水素結合により、または疎水性の減弱により付与され得る。

    【0162】 嵩高い基には、例えば、大きな原子、イオン(例えば、ヨウ素、硫黄、金属イオンなど)または大きな原子を含む基、多環式基が挙げられ得、この多環式基は芳香族基、非芳香族基および1個以上の炭素−炭素多重結合(すなわち、アルケンおよびアルキン)を組み込む構造を含む。 嵩高い基にはまた、分枝または直鎖の種であるオリゴマーおよびポリマーが挙げられ得る。 分枝している種は、直鎖の種よりも単位分子量当たりの構造の堅さを増加すると期待される。

    【0163】 好ましい実施態様では、堅さは、環状の基(例えば、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、複素環式など)の存在により付与される。 他の好ましい実施態様では、リンカーは1個以上の6員環を含む。 なおさらに好ましい実施態様では、その環は、例えば、フェニルまたはナフチルのようなアリール基である。

    【0164】 堅さはまた、静電的に付与され得る。 従って、補助基が正また負のいずれかに帯電している場合、同様に帯電した補助基は、存在するリンカーを、同じ電荷の各々の間で最大の距離を与える配置に強いる。 同じ電荷の基をお互いに接近させるエネルギー的コストは、そのリンカーを、同じ電荷の補助基の間の分離を維持する配置に保持する傾向にある。 さらに逆の電荷を帯びる補助基は、それらの逆の電荷の片割れに引き付けられる傾向にあり、そして潜在的に分子間および分子内の両方のイオン結合をし得る。 この非共有結合的メカニズムは、リンカーを、
    逆電荷の基の間の結合を可能にする立体配座に保持する傾向にある。 帯電しているか、あるいはリンカーへの付加に続いて脱保護した場合に潜在的な電荷を帯びる補助基の付加には、pHの変化、酸化、還元、または保護基の除去となる当業者に公知の他のメカニズムによるカルボキシル、ヒドロキシル、チオールまたはアミノ基の脱保護が挙げられ、これは、本発明の範囲内である。

    【0165】 上記の観点では、適切な配向、制限された/制限されない回転、所望の程度の疎水性/親水性などを提供するリンカー基の適切な選択は、十分当該分野の範囲内であることは明らかである。 本明細書中に記載される多結合化合物の抗原性の除去または減少はまた、本発明の範囲内である。 特定の場合では、多結合化合物の抗原性は、例えば、ポリ(エチレングリコール)のような基の使用により除去または減少され得る。

    【0166】 上記に説明されるように、本明細書中で記載される多結合化合物は、リンカーに結合される2〜10個のリガンドを含み、このリンカーは、それらが、そこで(thereon/therein)リガンド結合部位との多価相互作用のために酵素に提示されるような様式で、リガンドと結合する。 このリンカーは、これらの相互作用を、このリンカーにより規定されるディメンション内で起こるように、空間的に束縛する。 このおよび他の因子は、単結合形態で利用可能な同数のリガンドと比較して多結合化合物の生物学的活性を増加させる。

    【0167】 本発明の化合物は好ましくは、示性式(L) p (X) q (ここで、L、X、pおよびqは上記定義の通りである)により表される。 これは、これらのリガンドが、多価の目的を達成するため一緒に結合され得る幾つかの様式を含むと意図され、そしてより詳細な説明が以下に記載される。

    【0168】 上記に記載したように、このリンカーは、リガンドが結合される骨格としてみなされ得る。 従って、これらのリガンドは、この骨格の任意の適切な位置(例えば、直鎖の末端、または任意の中間の位置)で結合され得ると認識されるべきである。

    【0169】 最も単純でかつ最も好ましい多結合化合物は、L−X−Lとして表され得る二価化合物であり、ここで、各Lは独立して、同一または異なっても良いリガンドであり、そして各Xは独立してそのリンカーである。 このような二価化合物の例は、図2(ここで、陰影付きの丸の各々がリガンドを表す)で提供される。 三価の化合物はまた、直線状の様式(すなわち、繰り返し単位L−X−L−X−Lの配列のような)で表され得、ここで、Lはリガンドであり、そしてそれぞれの出現で同一または異なっても良く、Xも同様であり得る。 しかしながら、三量体はまた、中心コアに結合した3個のリガンドを含有するラジカル多結合化合物であり得、それゆえ(L) 3 Xとして表される(ここで、リンカーXには、例えば、
    アリールまたはシクロアルキル基が挙げられ得る)。 本発明の三価および四価化合物の例示は、それぞれ図3および4に見出され、ここでまた陰影付きの丸がリガンドを表す。 四価化合物は、例えば、以下の直線状の配列で L−X−L−X−L−X−L 例えば、以下の分枝した配列で

    【0170】

    【化16】

    (ブタンの異性体と類似の分枝構成−n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチル)または例えば、以下の四面体の配列で

    【0171】

    【化17】

    (ここで、XおよびLは、本明細書中で定義される通りである)で表され得る。


    あるいは、それは、コアリンカーに4個のリガンドが結合した上記のようなアルキル、アリールまたはシクロアルキル誘導体として表され得る。

    【0172】 同様の配慮が、図5に例示されるような5〜10個のリガンドを含む本発明のより高次の多結合化合物に適用される(ここで、前と同様、陰影を付けた丸がリガンドを表す)。 しかしながら、アリールまたはシクロアルキルのような中心リンカーに結合される多結合剤に関して、存在するリガンドの数を収容するのに十分なリンカー上の結合部位がなければならないという自明の制約があり;例えば、ベンゼン環は、6個より多くのリガンドを直接収容できず、一方、多環リンカー(例えば、ビフェニル)はより多数のリガンドを収容し得る。

    【0173】 あるいは、上記に記載した化合物のいくつかは、以下の環状の鎖の形態およびその変形として表され得る:

    【0174】

    【化18】

    上記変形の全ては、式(L)

    p (X)

    qにより定義した本発明の範囲内にあると意図される。

    【0175】 上記を考慮すると、好ましいリンカーは、次式 −X a −Z−(Y a −Z) m −Y b −Z−X a − により表され得: ここで、 mは0〜20の整数であり; 各々別個に出現するX aは、−O−、−S−、−NR−、−C(O)−、−C
    (O)O−、−C(O)NR−、−C(S)−、−C(S)O−、−C(S)N
    R−または共有結合からなる群から選択され(ここで、Rは下記に定義した通りである); 各々別個に出現するZは、アルキレン、置換アルキレン、シクロアルキレン、
    置換シクロアルキレン、アルケニレン、置換アルケニレン、アルキニレン、置換アルキニレン、シクロアルケニレン、置換シクロアルケニレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、ヘテロシクレンまたは共有結合からなる群から選択され; 各々別個に出現するY aおよびY bは、以下からなる群;

    【0176】

    【化19】

    −S−S−および共有結合からなる群から選択され; ここで: nは0、1または2であり;そして 各々別個に出現するR、R'およびR''は、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、


    ヘテロアリールおよび複素環式からなる群から選択される。

    【0177】 さらに、リンカー部分はその任意の原子で、1個以上のアルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環式基により、必要に応じて置換され得る。

    【0178】 本発明の1つの実施態様では、リンカー(すなわち、X、X'またはX'')
    は表2に示したものから選択される:

    【0179】

    【表1】

    本発明の別の実施態様において、リンカー(すなわち、X、X'またはX''


    )は以下の式を有する:

    【0180】

    【化20】

    ここで、 各R

    aは独立して、共有結合、アルキレン、置換アルキレンおよびアリーレンからなる群から選択され; 各R

    bは独立して、水素、アルキルおよび置換アルキルからなる群から選択され;そして n'は、1〜約20の範囲の整数である。

    【0181】 なお別の実施態様において、リンカー(すなわち、XまたはX')は式−(C
    2n' −を有する(ここで、n'は、1〜約20、好ましくは、2〜6の範囲の整数である)。

    【0182】 リンカーの上記の記載を考慮すると、用語「リンカー」は、用語「多結合化合物」と組み合わせて使用される場合、共有結合的に隣接する単一のリンカー(例えば、L−X−L)および複数の共有結合的に隣接しないリンカー(L−X−L
    −X−L)の両方を多結合化合物内に含むと理解される。

    【0183】 (多結合化合物の調製) 本発明の多結合化合物は、以下の一般的な方法および手順を使用して容易に入手可能な出発物質から調製され得る。 典型的なまたは好ましいプロセス条件(すなわち、反応温度、時間、反応物のモル比、溶媒、圧力など)が与えられる場合、他に指示しない限り、他のプロセス条件がまた使用され得ると理解される。 最適の反応条件は、使用される特定の反応物または溶媒と共に変化し得るが、このような条件は、通常の最適化手順によって当業者により決定され得る。

    【0184】 さらに当業者には明らかなように、従来の保護基が、特定の官能基に所望されない反応が起こるのを防ぐため必要となり得る。 特定の官能基のための適切な保護基の選択ならびに保護および脱保護のための適切な条件は、当該分野で周知である。 例えば、多数の保護基ならびにそれらの導入および除去は、T. W. Gr
    eeneおよびG. M. Wuts、Protecting Groups in
    Organic Synthesis、第2版、Wiley、New Yor
    k、1991、ならびにそこに引用された参考文献中に記載される。

    【0185】 シクロオキシゲナーゼ−2に結合するか、またはシクロオキシゲナーゼ−2を阻害する任意の化合物は、本発明においてリガンドとして使用され得る。 以下にさらに詳しく議論されるように、多数のこのようなシクロオキシゲナーゼ−2インヒビターが、当該分野で公知であり7 、そして任意のこれらの公知化合物またはそれらの誘導体が、本発明においてリガンドとして使用され得る。 典型的には、リガンドとして使用のため選択される化合物は、少なくとも1つの官能基(例えば、アミノ、ヒドロキシル、チオールまたはカルボキシル基など)を有し、この官能基は、化合物がリンカーへ容易に結合するのを可能にする。 このような官能基を有する化合物は、当該分野で公知であるかまたは従来の試薬および手順を使用して公知化合物の通常の修飾により調製され得る。 下に示した特許および刊行物は、適切に官能基化されたシクロオキシゲナーゼ−2インヒビターおよびそれらの中間体の多数の例を提供し、これらは本発明においてリガンドとして使用され得る。

    【0186】 リガンドは、リガンド上の任意の利用可能な位置を通してリンカーに共有結合され得、但し、リガンドがリンカーへ結合する場合、リガンドはシクロオキシゲナーゼ−2へ結合するか阻害するその能力を保持する。 リガンドに対するリンカーの特定の結合部位は、公知の構造活性相関を根拠とすることが好ましい78
    好ましくは、リンカーは、幅広い種々の置換基が酵素結合活性の損失なしに許容されると構造活性研究が示すリガンド上の部位に結合される。 例えば、多くの公知シクロオキシゲナーゼ−2インヒビターは、他の構造的な特徴の中でも、典型的には4位がスルホンまたは関連するタイプの置換基で置換されたフェニル環を含有する。 このスルホン置換のフェニル環は典型的には、4、5または6員環(
    すなわち、式IA、IBおよびICにおける環A、BおよびC)に結合される。
    構造活性研究は、スルホン置換のフェニル環については非常に小さな修飾しか許容されないことを示す8 。 従って、リガンドは好ましくは、このフェニル環を通してリンカーへ結合されない。 他方では、構造活性研究は、大きな基は、その置換基に関連した側方の立体的嵩高さがないならば、4、5または6員環上で典型的に許容されることを示す。 従って、リガンドは好ましくは、式IA、IBおよびICにおける環A、BまたはCを介してリンカーに結合される。

    【0187】 本発明に使用される好ましいリガンドの第一の群は、以下の式IA、IBおよびICを有するリガンドである:

    【0188】

    【化21】

    ここで、環A、環B、環C、R

    1 、R

    2 、R

    3およびaは、本明細書中で定義した通りである。

    【0189】 式IA、IBおよびICのリガンド(およびその前駆体)は、当該分野で周知であり、そして当該分野で認識された出発物質、試薬および反応条件を使用して容易に調製され得る。 例として、以下の特許および刊行物は、本発明で使用するために適切な式IA、IB、ICまたは関連化合物のリガンドの調製に有用な化合物、中間体および手順を開示する:Khannaらの米国特許第5,616,
    601号(1997年4月1日発行);Talleyらの米国特許第5,643
    ,933号(1997年7月1日発行);Blackらの米国特許第5,691
    ,374号(1997年11月25日発行);およびP. Praitら、Ann
    ual Reports in Medicinal Chemistry 1
    997、32、211〜220。 これらの特許および刊行物の各々は、各々別個の特許または刊行物が参考としてその全体が援用されると特別にそして独立して指示されるのと同程度に、その全体が参考として本明細書中に援用される。

    【0190】 リガンドの代表的な合成は、図6に図示される。 以下の方法が本発明の他の多結合化合物を調製するために使用され得ることは、当業者により理解される。 図6は、ヒドロキシル結合部位を有するリガンド前駆体の合成を図示する。 図6に示したように、4−(メチルスルホニル)ベンズアルデヒド1が第一に、トリエチルアミンおよび触媒量の3−エチル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウムブロミドの存在下で、メチルビニルケトン2(ここで、Rはメチルである)と反応され、ジケトン3を形成する。 この反応は典型的には、還流エタノール中で約5時間実施される。 次いで、ジケトン3は、触媒量のp−トルエンスルホン酸の存在下で4−フルオロアニリン4と反応され、ピロール5を生成する。 この反応は典型的には、約20時間、還流トルエン中で実施される。

    【0191】 ピロール5は次いで、初めに5をN,N−ジメチルホルムアミドおよびオキシ塩化リン(POCl 3 )と反応させ、次いで得られたアルデヒドを還元剤(例えば、シアノ水素化ホウ素ナトリウム)で還元することによりヒドロキシメチル化され、ヒドロキシメチルピロール6を与える。 4−(ベンジルオキシ)フェノール7は次いで、Mitsunobu反応を使用して6に容易にカップリングされ、中間体8を生成する。 この反応は、ジエチルアゾジカルボキシレート(DEA
    D)およびトリフェニルホスフィンを使用して周囲温度で約48時間、6と7を反応させることにより実施される。 従来の手順、すなわち、適切な触媒(炭素保持パラジウム)の存在下の水素化分解を使用して、中間体8からベンジル保護基を除去するとリガンド前駆体9が得られる。

    【0192】 リガンド前駆体9は次いで、従来の試薬および条件を使用してリンカーへ共有結合され得る。 例えば、図7に図示したように、2当量のリガンド前駆体9がリンカー前駆体に容易にカップリングされ、二量体を形成し得る。 図7に示したように、リガンド前駆体9は、塩基の存在下で少なくとも2つの脱離基を有するリンカー前駆体と反応され(すなわち、図7に示したように「LG」が脱離基でありそして「リンカー」がリンカー前駆体の非反応性部分である)、二量体10を形成する。 この反応に使用される脱離基は、任意の従来の脱離基であり得、これには例として、クロロ、ブロモまたはヨードのようなハロゲン、あるいはトシル、メシルなどのようなスルホネート基が挙げられる。 フェノール性ヒドロキシル基を効果的に脱プロトン化する任意の塩基が本反応において使用され得、これには、例として炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムエトキシド、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなどが挙げられる。 この反応は典型的には、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトン、2−ブタノン、1−メチル−2−ピロリジノン、水などのような不活性希釈液中で実施される。 反応が完了した後、二量体10は典型的には、
    抽出、濾過、クロマトグラフィーなどのような従来の手順を使用して単離される。

    【0193】 さらなる例として、図8は、リガンド前駆体9およびポリ(オキシエチレン)
    ジブロミド11(ここで、nは典型的には1〜約20の整数である)を使用する二量体の形成を示す。 この反応では、2モル当量の9が、過剰の炭酸カリウムの存在下で1モル当量のポリ(オキシエチレン)ジブロミド11と反応され、二量体12を与える。 この反応は典型的には、約25℃〜約100℃の範囲の温度で約6〜約48時間、N,N−ジメチルホルムアミド中で実施される。

    【0194】 あるいは、リガンドを結合するリンカーは、図9に図示したように幾つかの工程で調製され得る。 詳細には、リガンド前駆体(例えば、9)は、第一に「アダプター」(すなわち、一方の端に脱離基を有し、そして他方の端にアダプターの中間体リンカー基へのカップリングを可能とする別の官能基を有する二官能性基)へカップリングされ得る。 いくつかの場合、中間体リンカーへカップリングするために使用される官能基は、一時的に保護基(「PG」)でマスクされる。 アダプターの代表的な例には、例としてブロモ酢酸tert−ブチル、1−Fmo
    c−2−ブロモエチルアミン、1−トリチル−2−ブロモエタンチオール、4−
    ヨードベンジルブロミド、プロパルギルブロミドなどが挙げられる。 図9にさらに図示したように、リガンド前駆体9がアダプターにカップリングされ、そして保護基がアダプターの官能基(保護基が存在するとき)から除去されて中間体1
    3を形成した後、二モル当量の中間体13が次いで、中間体リンカーとカップリングされ、二量体14を形成する。

    【0195】 さらなる例として、図10および11は、代表的なアダプターを含むリガンド前駆体の合成を示す。 図10において、リガンド前駆体9は、アダプター15とカップリングされ(ここで、「LG」は脱離基であり、「PG」は保護基でありそしてnは典型的には1〜約20の整数である)、保護された中間体16を与える。 この反応に使用される脱離基は、任意の従来の脱離基であり得、例として、
    ハロゲン(例えば、クロロ、ブロモまたはヨード)、あるいはスルホネート基(
    例えば、トシル、メシルなど)が挙げられる。 同様に、任意の従来の保護基が使用され得、例として、エステル(例えば、メチル、tert−ブチル、ベンジル(「Bn」)および9−フルオレニルメチル(「Fm」)エステル)が挙げられる。 典型的には、この反応は、フェノール性ヒドロキシル基を効果的に脱プロトン化する塩基(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムエトキシド、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなど)を使用して、不活性希釈液(
    例えば、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトン、2−ブタノン、1−メチル−2−ピロリジノン、水など)中で実施され、保護された中間体16を生成する。

    【0196】 保護された中間体16は次いで、従来の手順および試薬を使用して脱保護化され、カルボン酸17を与える。 例えば、tert−ブチルエステルは、ジクロロメタン中、95%トリフルオロ酢酸を用いて容易に加水分解され;メチルエステルは、テトラヒドロフラン/水中、水酸化リチウムを用いて加水分解され得;ベンジルエステルは、炭素保持パラジウムのような触媒の存在下で水素化分解により除去され得;そして9−フルオレニルメチルエステルは、DMF中、20%ピペリジンを使用して容易に切断される。 所望であれば、他の周知の保護基および脱保護手順がこれらの反応で使用され、カルボン酸中間体17および関連化合物を形成し得る。

    【0197】 同様に、図11は、アミン官能基を持つアダプターを有するリガンド前駆体の合成を図示する。 図11において、リガンド前駆体9は、アダプター18とカップリングされ(ここで、「LG」は脱離基であり、「PG」は保護基であり、そしてnは典型的には1〜約20の整数である)、保護された中間体19を与える。 図10におけるように、この反応に使用される脱離基は、任意の従来の脱離基であり得る。 同様に、任意の従来のアミン保護基が使用され得、これには例として、トリチル、tert−ブトキシカルボニル(「Boc」)、ベンジルオキシカルボニル(「CBZ」)および9−フルオレニルメトキシカルボニル(「Fm
    oc」)が挙げられる。 アダプター18をリガンド前駆体9へカップリングした後、得られた保護中間体19は、従来の手順および試薬を使用して脱保護されてリガンド前駆体20を与える。 例えば、トリチル基は、アセトン中、塩化水素を使用して容易に除去され;Boc基は、ジクロロメタン中、95%トリフルオロ酢酸を使用して除去され;CBZ基は、炭素保持パラジウムのような触媒の存在下での水素化分解により除去され得;そして9−フルオレニルメトキシカルボニル基は、DMF中、20%ピペリジンを使用して容易に切断され、脱ブロック化アミンを与える。 他の周知アミン保護基および脱保護手順がこれらの反応で使用され、アミン中間体20および関連化合物を形成する。

    【0198】 図12および13に図示したように、カルボン酸中間体17およびアミン中間体20のようなアダプターを有するリガンド前駆体は、相補的な官能基を有する中間体リンカーへ容易にカップリングされ、本発明の多結合化合物を形成し得る。 例えば、図12において、アミン中間体20は二カルボン酸21とカップリングされ、二量体22を生成する。 この反応は典型的には、従来のペプチドカップリング試薬を使用し、そして従来のカップリング反応条件下(典型的にはトリアルキルアミン(例えば、エチルジイソプロピルアミン)の存在下)で実施される。 この反応に使用される適切なカップリング試薬には、例として、カルボジイミド(例えば、エチル−3−(3−ジメチルアミノ)プロピルカルボジイミド(E
    DC)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイイミド(DIC)など)、および他の周知カップリング試薬(例えば、N,N
    '−カルボニルジイミダゾール、2−エトキシ−2−エトキシカルボニル−1,
    2−ジヒドロキノリン(EEDQ)、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)、
    O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)など)が挙げられる。 必要に応じて、周知のカップリング促進剤(例えば、N−ヒドロキシスクシンイミド、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)、1−ヒドロキシ−7
    −アザベンゾトリアゾール(HOAT)、N,N−ジメチルアミノピリジン(D
    MAP)など)が、この反応において使用され得る。 典型的には、このカップリング反応は、約0℃〜約60℃の範囲の温度で、約1〜約72時間、不活性希釈液(例えば、THF)中で実施され、二量体22を与える。

    【0199】 同様な様式で図13に示したように、リガンド前駆体17は、ビス−アミン2
    3とカップリングされ、二量体24を与え得る。 この反応は典型的には、二量体22の調製のため上に記載した試薬および手順を使用して実施される。

    【0200】 本発明の多結合化合物は、幅広い種々の他の合成反応および試薬を使用して調製され得る。 例えば、図14は、ヨウ化アリール、カルボン酸、アミンおよびホウ酸官能基を有するリガンド前駆体の合成を図示する。 図14に示したように、
    ヒドロキシメチルピロール6(本明細書中で記載したように調製される)は、M
    itsunobu反応条件下で、種々のフェノールへ容易にカップリングされ、
    脱保護の後、官能基化された中間体25〜28を生成する。 このMitsuno
    bu反応は典型的には、ジエチルアゾジカルボキシレート(DEAD)およびトリフェニルホスフィンを使用して周囲温度で約48時間、6と適切なフェノールを反応させることにより実施される。 必要ならば従来の手順および試薬を使用して、次いで脱保護すると官能基化された中間体25〜28を与える。

    【0201】 図14に示したように調製される官能基化された中間体は、本発明の多結合化合物の合成に使用され得る。 例えば、図15は、二量体30を生成するヨウ化アリール中間体25とビスホウ酸リンカー29とのカップリングを図示する。 典型的には、この反応は、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パリジウム(0)
    、炭酸ナトリウムおよび水の存在下で、還流トルエン中、2モル当量の25および1モル当量の29を接触させることにより実施される。 同様な反応条件を使用して、図16に示したように、ホウ酸中間体28がビス−ヨウ化アリールとカップリングされ、二量体32を生成し得る。

    【0202】 ヨウ化アリール中間体25はまた、図17および図18に示したように、アクリレート中間体33またはアルキン中間体35とカップリングされ、二量体34
    および36を与え得る。 これらの反応は典型的には、N,N−ジメチルホルムアミド中、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ヨウ化第一銅およびジイソプロピルエチルアミンの存在下で、2モル当量のヨウ化アリール中間体25と1モル当量の33または34のいずれかを接触させることにより実施され、それぞれ34および36を与える。

    【0203】 当業者には容易に明らかであるように、本明細書中で記載された合成手順または当該分野で公知の合成手順は容易に改変され、本発明の範囲内の幅広い種々の化合物を生成し得る。

    【0204】 (コンビナトリアルライブラリー) 本明細書中に記載された方法は、多結合特性を有する多量体化合物を同定するためのコンビナトリアルアプローチに役立つ。

    【0205】 詳細には、標的(単数または複数)上の結合部位に関連する配列に関して、多結合化合物の個々のリガンドの適切な並置(juxtaposition)のような因子は、多結合化合物とその標的(単数または複数)との相互作用を最適化する際に、そして多価により生物学的利点を最大にするために重要である。 1つのアプローチは、特定の標的に関連する多結合パラメータにわたる特性を有する候補多結合化合物のライブラリーを同定することである。 これらのパラメータには以下が含まれる:(1)リガンド(単数または複数)の同定、(2)リガンドの配向、(3)その構成物の価数、(4)リンカーの長さ、(5)リンカーのジオメトリ、(6)リンカーの物理的性質、および(7)リンカーの化学的官能基。

    【0206】 潜在的に多結合特性を有し(すなわち、候補多結合化合物)、そして多数のそのような可変を含む多量体化合物のライブラリーが調製され、次いでこれらのライブラリーは、選択されたリガンドおよび所望の多結合パラメータに対応する従来のアッセイによって評価される。 これらの可変の各々に関連する考察は、以下に記載される。

    【0207】 (リガンド(単数または複数)の選択) 単一のリガンドまたはセットのリガンドは、特定の生物学的標的(単数または複数)(すなわち、COX−2の阻害)に関連する、候補多結合化合物のライブラリーに組み込むため選択される。 選択されるリガンドの唯一の要件は、それらが選択された標的(単数または複数)と相互作用し得ることである。 従って、リガンドは、公知の薬物、公知薬物の改変された形態、公知薬物の下部構造または公知薬物の改変された形態の基質(標的と相互作用するのに適する)、あるいは他の化合物であり得る。 リガンドは好ましくは、多結合形態に持ち込まれるかまたは多結合形態において増幅され得るよう工夫され得る公知の好ましい特性に基づいて選択される。 好ましい特性には、ヒト患者において立証された安全性および有効性、適切なPK/ADMEプロフィール、合成の容易さ(accessi
    bility)、および溶解度、logPなどのような望ましい物理的性質が挙げられる。 しかしながら、以前のリストの中から望ましくない特性を示すリガンドが、多結合化合物形成のプロセスによってより好ましい特性を獲得し得ることに留意することが重要である;すなわち、リガンドはこのような基準で必ずしも除外すべきではない。 例えば、ヒト患者において有効であるために特定の標的で十分な効力のないリガンドは、多結合形態で示される場合、高い効力および有効性となり得る。 効力がありそして有効であるが、メカニズムと関連しない毒性の副作用のため役に立たないリガンドは、多結合化合物として治療指数(毒性に対する増加した効力)を増加し得る。 短いインビボ半減期を示す化合物は、多結合化合物として伸ばされた半減期を有し得る。 それらの有用性を限定するリガンドの物理的性質(例えば、低い溶解度、疎水性、親水性に起因する乏しいバイオアベイラビリティー)は、多結合形態において合理的に調節され得、所望の有用性と一致する物理的特性を有する化合物を提供する。

    【0208】 (配向:リガンド結合位置の選択および結合化学) リガンドをリンカーに結合する幾つかの位置が、各リガンドについて選択される。 結合するためのリガンド/リンカー上の選択される位置は、相補的な反応性官能基を含むよう官能基化される。 このことは、リガンドを、多数の相対的配向でそれらの標的結合部位(単数または複数)に提示する効果である、重要な多結合設計パラメータを精査するのを可能とする。 結合位置を選択する唯一の要件は、少なくとも1つのこれらの位置に結合することにより、そのリガンドの活性を抑制しないことである。 結合のためのこのような位置は、利用可能な場合、構造的情報により同定され得る。 例えば、標的に結合したリガンドの共結晶構造の検査は、リンカーの結合がそのリガンド/標的相互作用を妨げない1つ以上の部位を同定するのを可能とする。 あるいは、核磁気共鳴によるリガンド/標的結合の評価は、リガンド/標的結合のために重要でない部位の同定を可能とする。 例えば、Fesikら、米国特許第5,891,643号を参照のこと(この開示は、本明細書中で参考としてその全体が援用される)。 このような構造的情報が利用可能でない場合、リガンドに関する構造−活性相関(SAR)の利用が、実質的構造変化が許容される位置および許容されない位置を示唆する。 構造およびS
    ARの情報の両方がない場合、ライブラリーは単に、多数の別個の配向におけるリガンドの提示を可能とする多数の結合位置で選択される。 このライブラリーの引き続く評価は、どの位置が結合のために適切であるかを示す。

    【0209】 単量体リガンドの活性を抑制する結合位置はまた、ライブラリーの候補多結合化合物に有利に含まれ得る(但し、そのような化合物は、固有の活性を抑制しないような様式で、結合される少なくとも1つのリガンドを保有する)ということを強調することが重要である。 この選択は、例えば、単一標的分子に関連するヘテロ二量体相互作用から誘導される。 例えば、標的に結合したリガンドを考慮し、次いで、このリガンドに同一リガンドの第二のコピーをリンカー(このリンカーは、第二のリガンドが、その第一の結合部位に対して近位の部位で同一の標的と相互作用するのを可能とする)を用いて結合することによりこのリガンドを改変することを考える。 この第一の結合部位は、正式のリガンド結合部位の部分でない標的の要素、および/または膜のようなその正式な結合部位を取り巻くマトリクスの要素を含む。 ここで、第二のリガンド分子の相互作用のための最も好ましい配向は、第一の結合部位でのリガンドの活性を抑制する位置で、それをそのリンカーに結合することにより達成され得る。 このことを考える別の方法は、多結合構造に関連する個々のリガンドのSARがしばしば、単量体形態における同一リガンドのSARと異なることである。

    【0210】 上述の議論は、異なる結合位置(その1つは、単量体リガンドの結合/活性を抑制し得る)によって単一のリンカーに結合された同一リガンドの2つのコピーを保有する二量体化合物の二価の相互作用に焦点を合わせた。 二価の利点はまた、共通または異なる標的に結合する2つの異なるリガンドを保有するヘテロ二量体構成物で達成され得ることがまた理解さるべきである。

    【0211】 一旦、リガンド結合位置が選択されると、これらの位置で可能である化学的結合の型が同定される。 最も好ましい型の化学的結合は、典型的な化学的および生理的条件下で容易にそして一般的に形成される安定かつ本質的に無害のそのリガンドの全体の構造(またはそのリガンドの保護された形態)と適合でき、そして多数の利用可能なリンカーと適合できるものである。 アミド結合、エーテル、アミン、カルバメート、ウレア、およびスルホンアミドは、好ましい結合のほんの数例にしかすぎない。

    【0212】 (リンカーの選択) 候補多結合化合物のライブラリーを生成するのに使用されるリンカーのライブラリーにおいて、このリンカーのライブラリーにおいて使用されるリンカーの選択は以下の因子を考慮する。

    【0213】 (価数) ほとんどの例において、リンカーのライブラリーは二価のリンカーで開始される。 リガンドの選択、および2つのリガンドの結合部位に関するそれらの適切な並置により、このような分子が、生物学的利点を付与するのに非常に十分な標的結合親和性および特異性を示すことが可能になる。 さらに、二価のリンカーまたは構築物はまた、それらが低分子の所望される生体分布特性を保持するような典型的な中程度のサイズである。

    【0214】 (リンカーの長さ) リンカーは、所定の二価の相互作用に好ましい距離を含む一定の範囲のリガンド間の距離の広がりを可能にする、一定の範囲の長さで選択される。 いくつかの例において、好ましい距離は標的の高分解能構造情報からかなり正確に評価され得る。 他の例において、高分解能構造情報が利用可能では無い場合、単純なモデルを使用することにより、隣接するレセプター上か、または同一のレセプター上の異なる位置のいずれかでの結合部位間での最大距離を見積もり得る。 同一の標的(または多サブユニット標的に対する標的サブユニット)上に2つの結合部位が存在する場合、好ましいリンカー距離は2〜20Åであり、より好ましいリンカー距離は3〜12Åである。 2つの結合部位が別個の標的部位上にある場合、
    好ましいリンカー距離は20〜100Åであり、より好ましい距離は30〜70
    Åである。

    【0215】 (リンカーのジオメトリおよび堅さ) リガンド結合部位、リンカーの長さ、リンカーのジオメトリおよびリンカーの堅さの組み合わせにより、多結合化合物候補のリガンドが3次元で示され、そしてそれによって結合部位に提示され得る、可能な様式が決定される。 リンカーのジオメトリおよび堅さは、名目上、化学組成および結合パターンにより決定され、これらは、制御され得、そして多結合アレイにおける別のスパニング機能として系統的に変化される。 例えば、リンカーのジオメトリは、2つのリガンドをベンゼン環のオルト位、メタ位およびパラ位に結合することにより、またはシクロヘキサン核の1,1−対1,2−対1,3−対1,4−位でのシス−もしくはトランス−配置で結合することにより、またはエチレン不飽和点でのシス−またはトランス−配置で結合することにより、変化される。 リンカーの堅さは、リンカーにとって可能な異なる立体配座状態の数および相対的エネルギーを制御することにより変化される。 例えば、1,8−オクチルリンカーにより連結される2つのリガンドを有する二価の化合物は、2つのリガンドがビフェニルリンカーの4
    ,4'位に結合される化合物よりもかなり多い自由度を有し、それゆえ堅さが低い。

    【0216】 (リンカーの物理的性質) リンカーの物理的性質は、名目上、リンカーの化学的構造および結合パターンによって決定され、そしてリンカーの物理的性質はリンカーが含まれる多結合化合物候補の全体の物理的性質に影響を与える。 リンカーの組成の範囲は、典型的には、多結合化合物候補における物理的性質(疎水性、親水性、両親媒性、極性、酸性、および塩基性)の範囲を与えるように選択される。 リンカーの物理的性質の特定の選択は、それらが結合するリガンドの物理的性質の範囲内で行われる。 そして、好ましくは、目標は好ましいPK/ADME特性を有する分子を産生することである。 例えば、リンカーは、あまりにも親水性でありすぎるか、あるいはあまりにも疎水性でありすぎるので、インビボで容易に吸収されそして/または分布することができないものを避けるように選択され得る。

    【0217】 (リンカーの化学的官能基) リンカーの化学的官能基は、リンカーをリガンドに結合させるために選択される化学に適合性であり、そしてこのパラメータの初期的試験にまたがるのに十分な範囲の物理的性質を付与するように選択される。

    【0218】 (コンビナトリアル合成) 上記で概略を述べたプロセスによって、n個のリガンド(nは選択されたリガンドそれぞれの異なる結合位置の数の合計によって決定される)およびm個のリンカーの1セットを選択して、(n!)m個の二価多結合化合物候補のライブラリーを調製する。 それは特定の標的に対する関連する多結合設計パラメータにまたがる。 例えば、全ての可能な組み合せで結合した2つのリガンド(1つは、2
    つの結合位置(A1、A2)を有し、そして1つは、3つの結合位置(B1、B
    2、B3)を有する)から産生されたアレイは、多結合化合物の以下の少なくとも15の可能な組み合せを提供する: A1−A1 A1−A2 A1−B1 A1−B2 A1−B3 A2−A2
    A2−B1 A2−B2 A2−B3 B1−B1 B1−B2 B1−B3
    B2−B2 B2−B3 B3−B3。

    【0219】 これらの組み合せのそれぞれが10の異なるリンカーによって結合される場合、150の多価結合化合物候補のライブラリーが生じる。

    【0220】 ライブラリーのコンビナトリアルな性質を考慮すると、好ましくは共通の化学が、リガンド上の反応性の官能基を、リンカー上の相補的な反応性の官能基と結合するのに使用される。 従って、ライブラリーは効率的なパラレル合成法に役立つ。 コンビナトリアルライブラリーは、リガンドおよび/またはリンカーが固体支持体に結合される、当該分野で周知の固相化学を使用し得る。 あるいは、好ましくは、コンビナトリアルライブラリーは溶液相で調製される。 合成の後、多結合化合物候補は、必要に応じて、例えばクロマトグラフィー法(例えばHPLC
    )により、活性についてのアッセイの前に精製される。

    【0221】 (ライブラリーの分析) どの化合物が多結合特性を有するかを決定するために、種々の方法がライブラリーの多結合化合物候補の性質および活性を特徴付けるために使用される。 種々の溶媒条件下での溶解性およびlogD/clogDの値のような物理的定数が測定される。 NMR分光法およびコンピューターを使用する方法の組み合せが、
    流体媒体中の多結合化合物候補の、低エネルギーの立体配座を決定するために使用される。 ライブラリーのメンバーの、所望される標的および他の標的に結合する能力は、種々の標準的な方法で決定され、これらの方法には、レセプターおよびイオンチャネルの標的に関しては放射性リガンド置換アッセイ、ならびに多くの酵素標的に関しては速度論的阻害分析が挙げられる。 レセプターアゴニストおよびアンタゴニスト、イオンチャネル遮断薬、および抗菌活性に関するような、
    インビトロの有効性もまた決定される。 経口吸収、反転腸浸透(everted
    gut penetration)、他の薬物動態学的パラメータおよび有効性のデータを含む薬理学的データが適切なモデルで決定される。 この方法では、
    重要な構造−活性相関が、次いで将来の研究を方向付けるために使用される多結合設計パラメータのために得られる。

    【0222】 本明細書中で定義されたような多結合性質を示すライブラリーのメンバーは、
    従来の方法によって容易に決定され得る。 まず、多結合性質を示すメンバーが、
    上記で記載されたように、従来のアッセイ(インビトロおよびインビボの両方)
    を含む従来の方法によって同定される。

    【0223】 第2に、多結合性質を示す化合物の構造の確認は、当該分野で認められた手順で実施され得る。 例えば、ライブラリーの各メンバーは、後に関連するメンバーの構造の決定を可能にする適切な情報でコード化されるか、またはタグ化され得る。 例えば、Dowerら、国際特許出願公開第WO93/06121号、Br
    ennerら、Proc. Natl. Acad. Sci. ,USA、89:51
    81(1992)、Gallopら、米国特許第5,846,839号を参照のこと。 これらはそれぞれ本明細書中で全体として参考として援用される。 あるいは、関連する多価化合物の構造はまた、多価化合物候補の可溶性のおよびタグ化されていないライブラリーから、Hindsgaulら、1998年7月11日に公開されたカナダ特許出願第2,240,325号に記載されるような当該分野で公知の方法によって決定され得る。 そのような方法は、構造および多結合化合物候補のレセプターに対する相対的な結合親和性を両方決定するために、質量分析とフロンタルアフィニティークロマトグラフィーとを組み合せる。

    【0224】 二量体の多結合化合物候補に関して上記で述べたプロセスは、もちろん三量体の化合物候補およびそのより高次のアナログに拡大され得る。

    【0225】 (さらなるライブラリーのフォローアップ合成および分析) 最初のライブラリーの分析によって得られた情報に基づいて、プロセスの任意の要素は、特定の相対的なリガンドの配向、リンカーの長さ、リンカーのジオメトリなどで規定される、1つ以上の有望な多結合「リード」化合物を突き止めることである。 次いで、構造−活性相関に関してさらに情報を提供するために、さらなるライブラリーがこれらのリードの付近で生成され得る。 これらのアレイは典型的には、標的親和性および/または標的での活性(アンタゴニズム、部分的アゴニズムなど)をさらに最適化し、そして/または物理的性質をさらに変化させる目的で、リンカー構造におけるより集中的なバリエーションを有する。 伝統的なメディシナルケミストリー、生化学、および薬理学のアプローチと共に新規の多結合設計原理を用いる反復再設計/分析によって、その標的に対して、および治療剤として生物学的な利点を示す、最適な多結合化合物を調製しそして同定し得る。

    【0226】 この手順についてさらにみがきをかけるために、適切な二価のリンカーは、単なる例証として、ジカルボン酸、ジスルホニルハライド、ジアルデヒド、ジケトン、ジハロゲン化物、ジイソシアネート、ジアミン、ジオール、ならびにカルボン酸、スルホニルハライド、アルデヒド、ケトン、ハロゲン化物、イソシアネート、アミン、およびジオールの混合物から誘導されるものを含む。 それぞれの場合で、カルボン酸、スルホニルハライド、アルデヒド、ケトン、ハロゲン化物、
    イソシアネート、アミンおよびジオール官能基は、リガンド上の相補的な官能基と反応して共有結合を形成する。 このような相補的な官能基は、以下の表に例示されるように当該分野で周知である。

    【0227】 (代表的な相補的結合化学) (第一反応性基) (第二反応性基) (結合) ヒドロキシル イソシアネート ウレタン アミン エポキシド β−ヒドロキシアミン スルホニルハライド アミン スルホンアミド カルボン酸 アミン アミド ヒドロキシル アルキル/アリールハライド エーテル アルデヒド アミン(+還元剤) アミン ケトン アミン(+還元剤) アミン アミン イソシアネート カルバメート 例示的なリンカーには、下記に示したようなX−1〜X−418として特定される以下のリンカーが挙げられる:

    【0228】

    【化22】

    本発明において使用される代表的なリガンドには、例として、本明細書中で定義したような式IA〜ICおよびIIA〜IICのリガンドが挙げられる。

    【0229】 本発明のリガンド(L)とリンカー(X)の組み合わせには、単なる例示として、第一リガンドが上記の式IA〜ICより選択され、そして第二リガンドおよびリンカーが以下より選択されるホモ−およびヘテロ−二量体が挙げられる:

    【0230】

    【化23】

    (薬学的処方物) 医薬品として用いられる場合、本発明の化合物は通常、薬学的組成物の形態で投与される。 これらの化合物は経口、直腸、経皮、皮下、静脈内、筋肉内、および鼻腔内を含む様々な経路によって投与され得る。 これらの化合物は注射および経口の組成物としてどちらも有効である。 このような組成物は当該薬学分野において周知の様式で調製され、少なくとも1つの活性化合物を含む。

    【0231】 本発明はまた、薬学的組成物を包含し、この薬学的組成物は、活性成分として、薬学的に受容可能なキャリアと会合した、本明細書中で記載される1つ以上の化合物を含有する。 本発明の組成物の作製時に、活性成分は通常、賦形剤と混合され、賦形剤で希釈され、あるいはカプセル、袋、紙または他の容器の形態であり得るキャリア中に封入される。 賦形剤が希釈剤として働く場合、それは固体、
    半固体、または液体物質であり得、それは活性成分のビヒクル、キャリアまたは媒体として作用する。 従って、これらの組成物は錠剤、丸剤、散剤、トローチ剤、サシェ剤(sachet)、カシェ剤、エリキシル剤、懸濁剤、エマルジョン、溶液、シロップ剤、エアロゾル剤(固体としてまたは液体の媒体中で)、例えば10重量%までの活性化合物を含む軟膏、軟および硬ゼラチンカプセル剤、坐剤、滅菌注射溶液、および滅菌包装散剤の形態であり得る。

    【0232】 処方物の調製において、他の成分と組み合せる前に、適切な粒径を提供するために活性化合物を粉砕する必要があり得る。 活性化合物が実質的に不溶性である場合、それは通常200メッシュより小さい粒径まで粉砕される。 活性化合物が実質的に水溶性である場合、処方物中で実質的に均一な分布を提供するために、
    この粒径は、通常、粉砕することによって、例えば約40メッシュに調節される。

    【0233】 適切な賦形剤のいくつかの例は、ラクトース、デキストロース、スクロース、
    ソルビトール、マンニトール、デンプン、アラビアゴム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、トラガカント、ゼラチン、珪酸カルシウム、微結晶性セルロース、
    ポリビニルピロリドン、セルロース、滅菌水、シロップ、およびメチルセルロースを含む。 処方はさらに以下を含み得る:タルク、ステアリン酸マグネシウム、
    および鉱油のような潤滑剤;湿潤剤;乳化および懸濁剤;メチル−およびプロピルヒドロキシ−安息香酸のような保存剤;甘味料;および嬌味矯臭剤。 本発明の組成物は、当該分野で公知の手順を用いることによって、患者に投与した後に活性成分の迅速な放出、持続性の放出または遅延した放出を提供するために処方され得る。

    【0234】 上記の組成物は好ましくは単位投与量形態で処方され、それぞれの投与量は約0.001から約1g、より通常には約1から約30mgの活性成分を含む。 「
    単位投与量形態」という用語は、ヒト被験体および他の哺乳動物の単位投与量として適切な、物理的に分離した単位を指し、それぞれの単位は、適切な薬学的賦形剤と組み合せて、望ましい治療的効果を生じるように計算された、所定量の活性物質を含む。 好ましくは、上記の式Iの化合物は、薬学的組成物の約20重量%を超えずに、より好ましくは、約15重量%を超えずに用いられ、残りは、薬学的に不活性なキャリアである。

    【0235】 活性化合物は広い投与量範囲にわたって有効であり、一般的には薬学的に有効な量で投与される。 しかし、実際に投与される化合物の量は、処置される状態、
    選択される投与経路、投与される実際の化合物、およびその相対的な活性、個々の患者の年齢、体重、および応答、患者の症状の重篤度などを含む、関連する状況を考慮して、医師によって決定されることが理解される。

    【0236】 錠剤のような固体の組成物を調製するために、主な活性成分は、薬学的賦形剤と混合されて、本発明の化合物の均一な混合物を含む固体の予備処方組成物を形成する。 これらの予備処方組成物が均一であると言う場合、活性成分が組成物全体に均等に分散していて、その結果、組成物が、等しく有効な単位投与量形態(
    例えば、錠剤、丸剤、およびカプセル剤)に、容易に細分割され得ることを意味する。 この固体の予備処方物は次いで、例えば0.1〜約500mgの本発明の活性成分を含む、上記で記載された種類の単位投与量形態に細分割される。

    【0237】 本発明の錠剤または丸剤は、延長した作用の利点を与える投与量形態を提供するために、コーティングまたは別な方法で調合され得る。 例えば、錠剤または丸剤は内部投与構成成分および外部投与構成成分を含み得、後者は前者を覆う被膜の形態である。 2つの構成成分は、腸溶性層によって分離され得、この腸溶性層は、胃での分解に抵抗し、内部構成成分を完全なままで十二指腸へ通過させるように働くか、または放出を遅らせるように働く。 様々な物質が、そのような腸溶性層またはコーティングのために使用され得、そのような物質には、多くのポリマー性酸、およびポリマー性酸と、セラック、セチルアルコール、および酢酸セルロースのような物質との混合物が挙げられる。

    【0238】 経口または注射による投与のために本発明の新規組成物が組み込まれ得る液体の形態は、水溶液、適切に味をつけたシロップ、水性または油性の懸濁液、およびコーン油、綿実油、ゴマ油、ココナッツオイル、またはピーナッツ油のような食用油を含む味つけしたエマルジョン、ならびにエリキシル剤および同様の薬学的ビヒクルを含む。

    【0239】 吸入またはガス注入のための組成物は、薬学的に受容可能な水性または有機溶媒中の溶液および懸濁液、あるいはその混合物ならびに粉末を含む。 液体または固体組成物は、前出で記載されたように、適切な薬学的に受容可能な賦形剤を含み得る。 好ましくは、組成物は、局所または全身効果のために、経口または鼻呼吸経路によって投与される。 好ましくは薬学的に受容可能な溶媒中の組成物は、
    不活性ガスの使用によって噴霧され得る。 噴霧溶液は、噴霧デバイスから直接吸入され得るか、またはこの噴霧デバイスは、フェイスマスクテント、または間欠的陽圧呼吸器に接続され得る。 溶液、懸濁液、または粉末組成物は、好ましくは経口または経鼻的に、適切な様式で処方物を送達するデバイスから投与され得る。

    【0240】 以下の処方実施例は、本発明の代表的な薬学的組成物を表す。

    【0241】 (処方実施例1) 以下の成分を含有する硬ゼラチンカプセル剤を調製する: 成分 量(mg/カプセル) 活性成分 30.0 デンプン 305.0 ステアリン酸マグネシウム 5.0。

    【0242】 上記の成分を混合し、そして硬ゼラチンカプセルに340mg分量で充填する。

    【0243】 (処方実施例2) 錠剤処方を以下の成分を使用して調製する: 成分 量(mg/錠剤) 活性成分 25.0 セルロース、微結晶 200.0 コロイド状二酸化ケイ素 10.0 ステアリン酸 5.0。

    【0244】 この成分をブレンドし、そして圧縮して錠剤を形成し、各々は240mgの重量である。

    【0245】 (処方実施例3) 乾燥粉末吸入器処方を調製し、これは以下の成分を含有する: 成分 重量% 活性成分 5 ラクトース 95。

    【0246】 活性成分をラクトースと混合し、そしてこの混合物を乾燥粉末吸入器具へ添加する。

    【0247】 (処方実施例4) 錠剤(各々は30mgの活性成分を含有する)を以下のように調製する: 成分 量(mg/錠剤) 活性成分 30.0mg デンプン 45.0mg 微結晶セルロース 35.0mg ポリビニルピロリドン (滅菌水中の10%溶液として) 4.0mg カルボキシメチルデンプンナトリウム 4.5mg ステアリン酸マグネシウム 0.5mg タルク 1.0mg 合計 120mg。

    【0248】 活性成分、デンプンおよびセルロースをNo. 20メッシュU. S. シーブを通過させ、そして徹底的に混合する。 ポリビニルピロリドンの溶液を得られる粉末と混合し、次いでこれを16メッシュU. S. シーブを通過させる。 そのように作製した顆粒を50℃〜60℃で乾燥し、そして16メッシュU. S. シーブを通過させる。 カルボキシメチルデンプンナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、およびタルク(予めNo.30メッシュU.S.シーブを通過させる)を次いでこの顆粒に添加し、混合後、これを錠剤機で圧縮して、各々が120mgである錠剤を得る。

    【0249】 (処方実施例5) カプセル剤(各々は40mgの医薬を含有する)を以下のように作製する: 成分 量(mg/カプセル) 活性成分 40.0mg デンプン 109.0mg ステアリン酸マグネシウム 1.0mg 合計 150.0mg。

    【0250】 活性成分、デンプン、およびステアリン酸マグネシウムをブレンドし、No.
    20メッシュU. S. シーブを通過させ、そして150mg分量で硬ゼラチンカプセルに充填する。

    【0251】 (処方実施例6) 座薬(各々は25mgの活性成分を含有する)を以下のように作製する: 成分 量 活性成分 25mg 飽和脂肪酸グリセリド 2000mgまで。

    【0252】 活性成分をNo. 60メッシュU. S. シーブを通過させ、そして必要な最小の熱を使用して予め融解させた飽和脂肪酸グリセリド中に懸濁させる。 次いで、
    この混合物を名目上2.0g容量の座薬鋳型に注ぎ、そして冷却させる。

    【0253】 (処方実施例7) 懸濁剤(各々は5.0mL用量当たり50mgの医薬を含有する)を以下のように作製する: 成分 量 活性成分 50.0mg キサンタンガム 4.0mg カルボキシメチルセルロースナトリウム(11%) 微結晶セルロース(89%) 50.0mg ショ糖 1.75g 安息香酸ナトリウム 10.0mg 嬌味嬌臭剤および着色剤 適量 精製水 5.0mLまで。

    【0254】 活性成分、ショ糖およびキサンタンガムをブレンドし、No. 10メッシュU
    . S. シーブを通過させ、次いで、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび微結晶性セルロースの予め作製した水溶液と混合する。 安息香酸ナトリウム、
    嬌味嬌臭剤、および着色剤をいくらかの水で希釈し、そして攪拌しながら添加する。 次いで十分な水を添加し、必要とされる容量にする。

    【0255】 (処方実施例8) 処方物を以下のように調製し得る: 成分 量(mg/カプセル) 活性成分 15.0mg デンプン 407.0mg ステアリン酸マグネシウム 3.0mg 合計 425.0mg。

    【0256】 活性成分、デンプン、およびステアリン酸マグネシウムをブレンドし、No.
    20メッシュU. S. シーブを通過させ、そして425.0mgの分量で硬ゼラチンカプセルに充填する。

    【0257】 (処方実施例9) 処方物を以下のように調製し得る: 成分 量 活性成分 5.0mg コーン油 1.0mL。

    【0258】 (処方実施例10) 局所的な処方物を以下のように調製し得る: 成分 量 活性成分 1〜10g 乳化ワックス 30g 流動パラフィン 20g 白色軟質パラフィン 100gまで。

    【0259】 白色軟質パラフィンを融解するまで加熱する。 液体パラフィンおよび乳化ワックスを組み込み、そして溶解するまで攪拌する。 活性成分を添加し、そして分散するまで攪拌を続ける。 次いでこの混合物を固化するまで冷却する。

    【0260】 本発明の方法において使用される別の好ましい処方物は、経皮送達デバイス(
    「パッチ」)を利用する。 このような経皮パッチは、本発明の化合物の連続的または非連続的注入を制御した量で提供するために使用され得る。 薬剤の送達のための経皮パッチの構造および使用は、当該分野において周知である。 例えば、1
    991年6月11日発行の米国特許第5,023,252号(これはその全体が本明細書中で参考として援用される)を参照のこと。 このようなパッチは、連続の、断続的な(pulsatile)、または要求に応じての薬剤の送達のために構成され得る。

    【0261】 本発明において使用される他の適切な処方には、Remington's P
    harmaceutical Sciences、Mace Publishi
    ng Company、Philadelphia、PA、17版(1985)
    に見出され得る。

    【0262】 (有用性) 本発明の多結合化合物は、プロスタグランジンの生合成において第一に託される工程を触媒するシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)酵素を阻害する。 従って、本発明の多結合化合物および薬学的組成物は、COX−2により媒介される種々の障害(例えば、炎症、痛み、発熱など)の処置および予防に有用である。

    【0263】 このような状態を処置または改善する際に使用される場合、本発明の化合物は典型的には、そのような処置を必要とする患者に、薬学的に受容可能な希釈剤および本発明の少なくとも1つの化合物の有効量を含有する薬学的組成物により送達される。 患者に投与される化合物の量は、どのような化合物および/または組成物が投与されるか、投与の目的(例えば、予防または治療)、患者の状態、投与の方法などに依存して変化する。 治療的な適用では、患者に投与される組成物は、例えば、炎症に既に罹患している患者に、少なくとも部分的にその炎症を減少するのに十分な量で投与される。 この使用のために有効な量は、患者における炎症の程度または重篤度、患者の年齢、体重および一般状態などに依存して担当する医師の判断に依存する。 本発明の薬学的組成物は、本発明の1つ以上の化合物を含有し得る。

    【0264】 上記のように、患者に投与される化合物は、経口、直腸、経皮、皮下、静脈内、筋肉内などを含む種々の経路により投与され得る上記の薬学的組成物の形態で存在する。 これらの化合物は、注射用および経口送達用の両方の薬学的組成物として有効である。 このような組成物は、当該薬学的分野において周知の方法で調製され、そして少なくとも1つの活性化合物を含有する。

    【0265】 本発明の多結合化合物はまた、プロドラッグの形態で、すなわち、インビボで生物学的に活性な化合物に変換される誘導体として投与され得る。 このようなプロドラッグには典型的には、例えば、カルボン酸基、ヒドロキシル基またはチオール基が生物学的に不安定な(liable)基(例えば、インビボで加水分解して対応する基に戻るエステル、ラクトンまたはチオエステル基)に変換される化合物が挙げられる。

    【0266】 以下の合成および生物学的実施例は、本発明を例示するために提供され、本発明の範囲を限定する如何なる方法において解釈するべきではない。 他に指示しない限り、全ての温度は℃である。

    【0267】 (実施例) 下記実施例において、以下の略語は次の意味を有する。 略語が規定されない場合、それは、一般に認められた意味を有する。

    【0268】 Å = オングストローム cm = センチメーター DCC = ジシクロヘキシルカルボジイミド DMF = N,N−ジメチルホルムアミド DMSO = ジメチルスルホキシド EDTA = エチレンジアミン四酢酸 g = グラム HPLC = 高速液体クロマトグラフィー MEM = 最小必須培地 mg = ミリグラム MIC = 最小阻止濃度 min = 分 mL = ミリリットル mm = ミリメーター mmol = ミリモル N = 規定 THF = テトラヒドロフラン μL = マイクロリットル μm = ミクロン (実施例A) 1−(4−フルオロフェニル)−3−(1−ヒドロキシル)メチル−2−メチル−5−(4−メチルスルホニルフェニル)ピロール(6)の合成 乾燥DMF(10mL)中の1−(4−フルオロフェニル)−2−メチル−5
    −(4−メチルスルホニルフェニル)ピロール(図6中の5)(J.Med.C
    hem. 、1997、40、1619に記載されるように調製した)(1mmo
    l)の溶液に、0℃でオキシ塩化リン(1mmol)を添加する。 この反応をt
    lcによりモニターし、反応が終了後、混合物を氷中に注ぎ、そして水酸化ナトリウム水溶液で塩基性とする。 生成物をCH 2 Cl 2で抽出して単離する。 この抽出液を乾燥し、そしてエバポートして残渣を得る。 EtOH(10mL)に溶解した残渣に、水素化ホウ素ナトリウム(100mg)を添加する。 1時間後、この溶液を水に加え、そして酢酸エチルで抽出する。 この抽出液を希HClで洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。 表題化合物6を、HPLCにより精製し、そして単離する。

    【0269】 (実施例B) 1−(4−フルオロフェニル)−3−(4−ベンジルオキシフェノキシ)メチル−2−メチル−5−(4−メチルスルホニルフェニル)ピロール(8)の合成 化合物6(実施例Aから)(1mmol)を、乾燥THF(10mL)中のジエチルアゾジカルボキシレート(1mmol)およびトリフェニルホスフィン(
    1mmol)の溶液に加える。 次いで4−ベンジルオキシフェノール(7)(1
    mmol)を添加し、そして反応の進行をtlcによりモニターする。 反応が終了後、水を加え、そして生成物を酢酸エチルで抽出する。 この抽出液を乾燥し、
    そしてエバポレートし、次いで表題化合物8をHPLCにより精製する。

    【0270】 (実施例C) 1−(4−フルオロフェニル)−3−(4−ヒドロキシフェノキシ)メチル−
    2−メチル−5−(4−メチルスルホニルフェニル)ピロール(9)の合成 化合物8(実施例Bから)(1mmol)をEtOH(25mL)に溶解し、
    そして10%Pd/C(25mg)を加える。 この反応混合物をH 2の雰囲気下で攪拌し、そしてtlcによりモニターする。 反応が終了後、溶液を濾過し、そしてエバポレートし残渣を得る。 この残渣を、HPLCにより精製して、表題化合物9を得る。

    【0271】 (実施例D) ジブロミド11の合成(ここで、nは3である。図8を参照のこと) ペンタエチレングリコール(2mmol)を乾燥CH 2 Cl 2 (25mL)に溶解し、そしてトリフェニルホスフィン(4mmol)および四臭化炭素(4mm
    ol)を加える。 この反応をtlcによりモニターし、反応終了後、混合物を乾固するまでエバポレートする。 次いで生成物の化合物11(n=3)をHPLC
    により精製する。 同様な手順を使用して、本明細書中に記載した他のジヒドロキシ化合物を対応するジブロミドに変換し得る。

    【0272】 (実施例E) 中間体17の合成(ここで、nは4である。図10を参照のこと) 工程A−中間体16の調製(ここで、nは4である) DMF(20mL)中の6−ブロモへキサン酸メチル15(LG=Br、PG
    =CH 3 、n=4)(1mmol)の溶液に、K 2 CO 3 (1g)、次いで9(実施例Cから)(1mmol)のDMF(5mL)溶液を加える。 この混合物を室温で撹拌し、反応が終了するまでtlcによりモニターする。 次いで、この混合物を水に加える。 この水溶液を酢酸エチルで抽出し、抽出液を乾燥し、そしてエバポレートし、次いで生成物16(n=4およびPG=CH 3 )をHPLCにより精製する。 同様の方法で、保護基(PG)およびnを本明細書中に記載したように変化させ、式15の異なる化合物を使用することにより、式16のさらなる化合物を調製し得る。

    【0273】 工程B−中間体17の調製(ここで、nは4である) 化合物16(0.5mmol)をTHF(10mL)に溶解し、そしてLiO
    H−H 2 O(0.55mmol)の水溶液(3mL)を加える。 この反応をtl
    cによりモニターし、反応が終了後、溶液をNaH 2 PO 4水溶液の添加により中和する。 次いで、この混合物をCH 2 Cl 2で抽出し、そして抽出液を乾燥し、エパポレートする。 粗生成物をHPLCにより精製し、カルボン酸17(n=4)
    を得る。

    【0274】 (実施例F) 中間体20の合成(ここで、nは4である。図11を参照のこと) 工程A−中間体18の調製(ここで、nは2である) 1−ヒドロキシ−4−トリフェニルメチルアミノブタン(5mmol)をピリジン(10mL)に溶解し、そしてp−トルエンスルホニルクロリド(5mmo
    l)を加える。 この反応をtlcにより追跡する。 反応が終了後、溶液を水に加え、そしてCH 2 Cl 2で抽出する。 この溶液を希HClで洗浄し、次いで乾燥し、そしてエバポレートし、化合物18(n=2、PG=CPh 3およびLG=p
    −トルエンスルホニル)を得る。

    【0275】 工程B−中間体19の調製(ここで、nは2である) 化合物9(実施例Cから)(1mmol)を、K 2 CO 3 (250mg)を含有する乾燥DMF(10mL)に溶解し、そして中間体化合物18(1mmol)
    を加える。 この反応をtlcにより追跡する。 反応が終了後、溶液を水中に注ぎ、そしてCH 2 Cl 2で抽出する。 この抽出液を乾燥し、そしてエバポレートし、
    生成物をHPLCにより精製し、化合物19(n=2、PG=CPh 3 )を得る。

    【0276】 工程C−中間体20の調製(ここで、nは2である) トリフェニルメチル保護した化合物19(0.5mmol)を0℃でCH 2
    2 (10mL)に溶解し、そしてトリフルオロ酢酸(3mL)を加える。 反応の進行をtlcにより追跡する。 反応が終了後、溶液を氷中に注ぎ、そしてCH 2 Cl 2で抽出する。 この抽出液を希NaHCO 3で洗浄し、次いで乾燥し、そしてエバポレートする。 次いでHPLCにより精製し、化合物20(n=2)を得る。

    【0277】 (実施例G) 1−(4−フルオロフェニル)−3−(4−ヨードフェノキシ)メチル−2−
    メチル−5−(4−メチルスルホニルフェニル)ピロール(25)の合成 化合物6(実施例Aから)(1mmol)を、乾燥THF(25mL)中のジエチルアゾジカルボキシレート(1mmol)、トリフェニルホスフィン(1m
    mol)および4−ヨードフェノール(1mmol)の溶液に加える。 反応の進行をtlcにより追跡する。 反応が終了後、水を加え、そして粗生成物を酢酸エチルにより抽出する。 この抽出液を乾燥し、そしてエバポレートし、表題化合物25をHPLCにより精製する。

    【0278】 (実施例H) 1−(4−フルオロフェニル)−3−(4−カルボキシフェノキシ)メチル−
    2−メチル−5−(4−メチルスルホニルフェニル)ピロール(26)の合成 化合物6(実施例Aから)(1mmol)を、乾燥THF(25mL)中のジエチルアゾジカルボキシレート(1mmol)、トリフェニルホスフィン(1m
    mol)および4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル(1mmol)の溶液に加える。 反応の進行をtlcにより追跡する。 反応が終了後、水を加え、そして粗生成物を酢酸エチルにより抽出する。 この抽出液を乾燥し、そしてエバポレートし、
    生成物、すなわち化合物26のベンジルエステルをHPLCにより精製する。

    【0279】 化合物26のベンジルエステル26(0.5mmol)を水素化装置中でトルエン(20mL)に溶解し、そして10%Pd/C(50mg)を加える。 反応の進行をtlcにより追跡する。 反応が終了後、この溶液を濾過し、そしてエバポレートする。 残渣をHPLCにより精製し、化合物26を得る。

    【0280】 (実施例I) 1−(4−フルオロフェニル)−3−(4−アミノフェノキシ)メチル−2−
    メチル−5−(4−メチルスルホニルフェニル)ピロール(27)の合成 化合物6(実施例Aから)(1mmol)を、乾燥THF(25mL)中のジエチルアゾジカルボキシレート(1mmol)、トリフェニルホスフィン(1m
    mol)および4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)フェノール(1m
    mol)の溶液に加える。 反応の進行をtlcにより追跡する。 反応が終了後、
    水を加え、そして粗生成物を酢酸エチルにより抽出する。 この抽出液を乾燥し、
    そしてエバポレートし、生成物、すなわち化合物27のBOC−保護誘導体をH
    PLCにより精製する。

    【0281】 化合物27のBOC−保護誘導体(0.5mmol)を0℃でCH 2 Cl 2 (1
    0mL)に溶解し、そしてトリフルオロ酢酸(2mL)を加える。 反応の進行をtlcにより追跡する。 反応が終了後、この溶液を希NaHCO 3で洗浄する。
    次いで、この溶液を乾燥し、そしてエバポレートする。 残渣をHPLCにより精製し、化合物27を得る。

    【0282】 (実施例J) 1−(4−フルオロフェニル)−3−(4−ボロノフェノキシ)メチル−2−
    メチル−5−(4−メチルスルホニルフェニル)ピロール(28)の合成 化合物25(実施例Gから)(1mmol)、テトラメチルビスボロネート(
    CH 3 O) 2 B−B(OCH 32 (1mmol)、KOAc(3mmol)およびPdCl 2 1,1'−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(0.03mm
    ol)をDMSO(25mL)中で80℃に加熱する。 反応の進行をtlcにより追跡する。 反応が終了後、混合物を冷却し、そして水に加える。 この水溶液をNaOH水溶液の添加により塩基性とする。 3時間後、この混合物を希HClの添加によりpH1とし、次いでCH 2 Cl 2で抽出する。 この抽出液を乾燥し、そしてエバポレートし、化合物28をクロマトグラフィーにより精製する。

    【0283】 (実施例K) ビス(ヨードフェノキシ)中間体31の合成(図16を参照のこと) ヘキサエチレングリコール(5mmol)をピリジン(30mL)に溶解し、
    そしてp−トルエンスルホニルクロリド(10mmol)を加える。 反応の進行をtlcにより追跡し、終了後、溶液を希HClに加え、そして生成物をエーテルで抽出する。 この抽出液を乾燥し、そしてエバポレートし、ヘキサエチレングリコールのビス(p−トルエンスルホニル)誘導体を得る。

    【0284】 ヘキサエチレングリコールのビス(p−トルエンスルホニル)誘導体(1mm
    ol)を乾燥DMF(10mL)に溶解し、そしてK 2 CO 3 (1g)および4−
    ヨードフェノール(2mmol)を加える。 反応の進行をtlcにより追跡する。 反応が終了後、溶液を水に加え、生成物を酢酸エチルで抽出する。 この抽出液を乾燥し、そしてエバポレートし、生成物をHPLCにより精製し、化合物31
    (リンカー=−O(CH 2 CH 2 O) 6 −)を得る。

    【0285】 (実施例l) 化合物12の合成(図8を参照のこと) この実施例では、化合物12(nは3である)を図8に示したように調製する。 乾燥DMF中のK 2 CO 3 (1g)および9(実施例Cから)(2mmol)の混合物に、50℃でジブロミド11(n=3)(1mmol)のDMF(5mL
    )溶液を加える。 この反応を、反応が終了するまでtlcによりモニターし、次いで混合物を水に加える。 生成物を酢酸エチルで抽出し、そしてこの抽出液を乾燥し、エバポレートする。 次いで残渣をHPLCにより精製し、12を得る。 同様の方法により、nを変化させた他の化合物を調製し得る。

    【0286】 (実施例2) 化合物22の合成(図12を参照のこと) この実施例では、化合物22(ここで、n=2およびリンカー=−(CH 21 0 −)を図12に示したように調製する。 ジシクロヘキシルカルボジイミド(1
    mmol)を乾燥CH 2 Cl 2 (25mL)に溶解し、そしてドデカンジカルボン酸(21、リンカー=−(CH 210 −)(1mmol)、続いて中間体20(
    n=2)(実施例Fから)(0.5mmol)を加える。 この反応をtlcによりモニターし、そして反応が終了後、溶液を水に加え、CH 2 Cl 2で抽出する。
    この抽出液を希NaHCO 3水溶液で洗浄し、次いで乾燥し、そしてエバポレートする。 残渣をHPLCにより精製し、化合物22(n=2およびリンカー=−
    (CH 210 −)を得る。

    【0287】 (実施例3) 化合物24の合成(図13を参照のこと) この実施例では、化合物24(ここで、n=2およびリンカー=−(CH 21 0 −)を図13に示したように調製する。 化合物17(実施例E)(1mmol
    )を乾燥CH 2 Cl 2 (25mL)に溶解し、そしてジシクロヘキシルカルボジイミド(1mmol)、続いて1,10−ジアミノデカン(0.5mmol)を加える。 反応の進行をtlcによりモニターする。 反応が終了後、この溶液を希H
    Cl、希NaHCO 3水溶液で洗浄し、次いで乾燥し、そしてエバポレートする。 次いで化合物24(n=4およびリンカー=−(CH 210 −)をHPLCにより精製する。

    【0288】 (実施例4) 化合物32の合成(図16を参照のこと) この実施例では、化合物32(ここで、リンカー=−O(CH 2 CH 2 O) 6
    )を図16に示したように調製する。 化合物28(0.5mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)Pd(0)(25mg)、およびビス(ヨードフェニル)化合物31(リンカーは−O(CH 2 CH 2 O) 6 −である)(0.25
    mmol)およびNaHCO 3 (50mg)を、トルエン(10mL)、エタノール(1mL)および水(1mL)の混合物中、不活性雰囲気下で還流する。 反応の進行をtlcによりモニターする。 反応が終了後、この溶液を濾過し、そして溶媒を真空下で除去する。 残渣をHPLCにより精製し、連結化合物32(リンカー=−O(CH 2 CH 2 O) 6 −)を得る。

    【0289】 (バイオアッセイ実施例1) (ラットカラゲニン足パッド浮腫試験) カラゲニン足浮腫試験が、Winterら(Proc.Soc.Exp.Bi
    ol. Med. 、111、544(1962))により本質的に記載される材料、試薬および手順を用いて実施され得る。 雄性Sprague−Dawleyラットを、平均体重ができるだけ接近するように各群を選ぶ。 ラットを、試験前に16時間に亘って、自由飲水下に絶食させる。 これらのラットに、0.5%メチルセルロースおよび0.025%界面活性剤を含むビヒクル中に懸濁した試験化合物、またはビヒクル単独を経口的に(1mL)投与する。 1時間後、0.1m
    Lのカラゲニン/滅菌0.9%生理食塩水の1%溶液の足底下(subplan
    tar)注射剤を投与し、そして注射した足の体積をデジタル表示器を有する圧力変換器に接続した置換体積測定計を用いて測定する。 カラゲニンの注射3時間後に、足の体積を再度、測定する。 薬物処置動物群における平均足腫脹を、プラセボ処置動物群の平均足腫脹と比較し、そして浮腫の%阻害を決定する(Non
    −steroidal Anti−Inflammatory Drugs、J
    . Lombardino編、1985内のOtterhessおよびBlive
    n、Laboratory Models for Testing NSAI
    Ds)。

    【0290】 (バイオアッセイ実施例2) (インビトロでのCOX−1およびCOX−2活性の評価) 本発明の化合物のCOX−2阻害活性は、以下の方法を使用して測定され得る。

    【0291】 (A.組換えCOXバキュロウイルスの調製) 組換えCOX−1およびCOX−2をGierseら[J. Blochem.
    、305、479〜84(1995)]により記載されたように調製した。 ヒトまたはマウスCOX−1あるいはヒトまたはマウスCOX−2のいずれかのコード領域を含む2.0kbのフラグメントを、D. R. O'Reillyら(Ba
    culovirus Expression Vectors:A Labor
    atory Manual(1992))の方法と同様の様式で、バキュロウイルストランスファーベクターpVL1393(Invitrogen)のBam
    H1部位にクローン化し、COX−1およびCOX−2のためのバキュロウイルス移入ベクターを生成する。 組換えバキュロウイルスを、リン酸カルシウム法により、200ngの直線状(linearized)バキュロウイルスプラスミッドDNAと共にSF9昆虫細胞(2×10 8 )中へ4μgのバキュロウイルス移入ベクターDNAをトランスフェクトすることにより、単離する。 M. D. S
    ummersおよびG. E. Smith、A Manual of Metho
    ds for Baculovirus Vectors and Insec
    t Cell Culture Procedures、Texas Agri
    c. Exp. Station Bull. 1555(1987)を参照のこと。 組換えウイルスを3ラウンドのプラーク精製により精製し、そしてウイルスの高力価(10 7 〜10 8 pfu/mL)の株を調製する。 大量生産用には、SF9
    昆虫細胞を、10リットルの発酵槽(0.5×10 6 /mL)中で、感染多重度が0.1であるように組換えバキュロウイルス株を用いて感染させる。 72時間後、細胞を遠心分離し、そして細胞ペレットを1%3−[(3−コラミドプロピル)−ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホネート(CHAPS)を含むトリス/ショ糖(50mM:25%、pH8.0)中でホモジネートした。 このホモジネートを10,000×Gで30分間、遠心分離し、そして得られる上清を、COX活性について評価するまで、−80℃で保存する。

    【0292】 (B.COX−1およびCOX−2活性のアッセイ) COX活性を、ELISAを使用して形成されたPGE 2 /μgタンパク質/
    時間としてアッセイし、放出されたプロスタグランジンを検出する。 適切なCO
    X酵素を含むCHAPS−可溶化昆虫細胞膜を、アラキドン酸(10μM)の添加に加えてエピネフリン、フェノールおよびヘムを含むリン酸カリウム緩衝液(
    50mM、pH8.0)中でインキュベートする。 アラキドン酸添加前に、化合物を酵素とともに10〜20分間、プレインキュベートする。 アラキドン酸と酵素との間の反応を、37℃/室温で10分間の後、40μLの反応混合物を16
    0μLのELISA緩衝液および25μMインドメタシン中に移すことにより停止する。 形成されたPGE 2を標準的なELISA技術(Cayman Che
    mical)によって測定する。

    【図面の簡単な説明】

    【図1A】 図1Aは、膜に挿入されたCOX−2二量体を示す。

    【図1B】 図1Bは、二量体膜固定COX−2の選択的インヒビターを示す。

    【図2】 図2は、異なるフォーマットでリンカーに結合した2個のリガンドを含む多結合化合物の例を示す。

    【図3】 図3は、異なるフォーマットでリンカーに結合した3個のリガンドを含む多結合化合物の例を示す。

    【図4】 図4は、異なるフォーマットでリンカーに結合した4個のリガンドを含む多結合化合物の例を示す。

    【図5】 図5は、異なるフォーマットでリンカーに結合した4個より多いリガンドを含む多結合化合物の例を示す。

    【図6】 図6は、リガンド前駆体の代表的な合成を示す。

    【図7】 図7は、ビス−親電子剤を用いるヒドロキシル含有中間体のアルキル化による二量体形成を示す。

    【図8】 図8は、ビス−親電子剤を用いるヒドロキシル含有中間体のアルキル化による二量体形成を示す。

    【図9】 図9は、アダプターを使用する二量体形成を示す。

    【図10】 図10は、アダプターを含有するリガンド前駆体の代表的な合成を示す。

    【図11】 図11は、アダプターを含有するリガンド前駆体の代表的な合成を示す。

    【図12】 図12は、アダプターを含有するリガンド前駆体のカップリングによる二量体形成を示す。

    【図13】 図13は、アダプターを含有するリガンド前駆体のカップリングによる二量体形成を示す。

    【図14】 図14は、アリールヨージド、カルボン酸、アミンまたはホウ酸官能基を有するリガンド前駆体の合成を示す。

    【図15】 図15は、炭素−炭素結合形成を介する二量体形成を示す。

    【図16】 図16は、炭素−炭素結合形成を介する二量体形成を示す。

    【図17】 図17は、炭素−炭素結合形成を介する二量体形成を示す。

    【図18】 図18は、炭素−炭素結合形成を介する二量体形成を示す。

    ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl. 7識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 43/00 111 A61P 43/00 111 C07D 207/333 C07D 207/333 231/12 231/12 C (31)優先権主張番号 60/120,281 (32)優先日 平成11年2月16日(1999.2.16) (33)優先権主張国 米国(US) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ,BA ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU, CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD,G E,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS ,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK, LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,M N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU ,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM, TR,TT,UA,UG,US,UZ,VN,YU,Z A,ZW (72)発明者 ヒギンズ, デボラ エル. アメリカ合衆国 カリフォルニア 94070, サン カルロス, クリストビュー コ ート 115 (72)発明者 グリフィン, ジョン エイチ. アメリカ合衆国 カリフォルニア 94027, アザートン, ウォルナット アベニュ ー 56 Fターム(参考) 4C037 JA04 4C069 AC06 BA01 BB02 BB08 BB12 BB16 BB28 4C086 AA01 AA02 AA03 BA03 BC05 BC36 BC67 BC69 BC79 BC82 CB05 CB27 MA01 MA04 NA14 ZA07 ZA08 ZB11 ZC20

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