Antibacterial compound

申请号 JP2000507651 申请日 1998-08-28 公开(公告)号 JP2001514168A 公开(公告)日 2001-09-11
申请人 ザ・ジョーンズ・ホプキンス・ユニバーシティ; 发明人 クハジダ,フランシス・ピー; タウンゼンド,クレイグ・エイ; ディック,ジェームズ・ディー; パーリッシュ,ニコール・エム; パスターナック,ガリー・アール;
摘要 (57)【要約】 本発明は、以下の式:R-SO
n -Z-CO-Y、〔式中、Rは、6-20個の炭素を有するアルキル基であり;Zは、-CH
2 -、-O-、-NH-、互いに連結した、これらの基のうちの2つ、および-CH
2 =CH
2 -からなる群から選択される基であり;Yは、-NH
2 -、O-CH
2 -C
6 H
5 、-CO-CO-O-CH
3 、またはO-CH
3 から選択され;そしてnは、1または2である〕を有する化合物を含む薬剤組成物を動物個体に投与することにより、マイコバクテリアの感染を治療する方法を提供する。 これらの化合物が、α-置換されたβ-ヒドロキシ 脂肪酸 、とりわけコリネミコール酸、ノカルジン酸、およびミコール酸を合成する 微 生物 細胞の成育を阻止するということを発見した。 これらの化合物を用いて、Mycobacterium tuberculosis、薬剤耐性M. tuberculosis、M. avium intracellulare、およびM. lepraeなどのマイコバクテリア細胞の成育を阻止し得る。
权利要求 【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 以下の式: R-SO n -Z-CO-Y 〔式中、 Rは、6-20個の炭素を有するアルキル基であり; Zは、-CH 2 -、-O-、-NH-、互いに連結した、これらの基のうちの2つ、および-C
    H 2 =CH 2 -からなる群から選択される基であり; Yは、-NH 2 、-O-CH 2 -C 6 H 5 、-CO-CO-O-CH 3 、および-O-CH 3から選択され;そして
    nは、1または2である〕 を有する化合物。
  • 【請求項2】 Rが分枝鎖アルキル基である、請求項1の化合物。
  • 【請求項3】 Rが、芳香環によって中断された直鎖アルキル基である、請 求項1の化合物。
  • 【請求項4】 微生物細胞が、α-置換されたβ-ヒドロキシ脂肪酸を合成する細胞である、微生物細胞を請求項1の化合物にて処理することを含む、その細胞の成育を阻止する方法。
  • 【請求項5】 α-置換されたβ-ヒドロキシ脂肪酸が、コリネミコール酸、
    ノカルジン酸、およびミコール酸からなる群から選択される、請求項4の方法。
  • 【請求項6】 微生物細胞が、コリネバクテリウム、ノカルジア、ロドコッカス、およびマイコバクテリアからなる群から選択される、請求項4の方法。
  • 【請求項7】 マイコバクテリア類の細胞が、Mycobacterium tuberculosis
    、薬剤耐性M. tuberculosis、M. avium intracellulare、M. leprae、あるいはM
    . paratuberculosisである、請求項6の方法。
  • 【請求項8】 請求項1の化合物を含む薬剤組成物を動物個体に投与することにより、マイコバクテリア類の感染を治療する方法。
  • 【請求項9】 各構成要素が、以下の式: R-SO n -CR 1 =CR 2 -CO-Y 〔式中、 Rは、6-20個の炭素を有するアルキル基であり; R 1およびR 2はそれぞれ独立に、水素;アルキル、アシル、アリール、アルアルキル、ハロゲン;置換されたあるいは置換されていないチオール;置換されていないあるいは置換されたアミノ;ヒドロキシ、およびOR'(式中、R'は、水素、
    アルキル、アシル、アリール、アルアルキル、置換されていないあるいは置換されたアミノ;置換されたあるいは置換されていないチオール;およびハロゲン;
    からなる群から選択される);および、場合により1つあるいはそれ以上のヘテ ロ原子で中断され、そして場合により1つあるいはそれ以上の=O、または=Sで置 換された、直鎖状あるいは環状の炭素鎖;からなる群から選択されるか、あるいはR 1およびR 2は一緒に、場合により1つあるいはそれ以上のヘテロ原子で中断さ れ、そして場合により1つあるいはそれ以上の=O、または=Sで置換された環状炭 素鎖を形成し; Yは、-NH 2 、-O-CH 2 -C 6 H 5 、-CO-CO-O-CH 3 、および-O-CH 3から選択され; nは、1または2である〕 を有する化合物からなる群から選択される、多数の異なる構成要素を含むコンビナトリアルライブラリー。
  • 【請求項10】 ある生物過程を、請求項9のライブラリーから選択される多数の化合物の存在下で行うこと、およびその過程の結果を、前記化合物の非存在下でその過程を行った場合の結果と比較することを含む、その生物過程のエフェクターを同定する方法。
  • 【請求項11】 ある微生物を、請求項9のライブラリーから選択される多数の構成化合物のそれぞれの存在下および非存在下で培養すること、およびその存在下でその微生物の成育が最小であるような構成化合物を同定すること含む、
    あらかじめ決めた微生物の成育に対して効果的な成育阻止物質を同定する方法。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】 発明の背景 発明の属する分野 本発明は、Mycobacterium種、とりわけ薬剤耐性Mycobacterium株、を含むミコール酸を合成する生物に対する抗菌活性を有する化合物の、合成およびin viv
    oでの適用に関連し、感受性のあるあらゆる病原性微生物または寄生生物を治療 するためにこれらの化合物を用いることに関連する。

    【0002】 関連する技術の概説 Mycobacterium tuberculosisの多剤耐性(MDR)株および免疫無防備状態の患 者(例えば、AIDS患者)に感染する非典型的なマイコバクテリアの出現により、
    引き続き抗生物質を開発する必要が強調されている。

    【0003】 Mycobacterium種はこの属に独特な多数の複合脂質および糖脂質を合成し、そ のためにこれらの生合成経路が薬物療法の魅的なターゲットとなっている(Bl
    och, K., "Control mechanisms for fatty acid synthesis in Mycobacterium s
    megmatis," Adv. Enzymol. 45:1-84, 1977; Brennan, PJ, and Nikaido, H.,
    "The envelope of mycobacteria," Ann. Rev. Biochem. 64:29-63, 1995)。 粒 状 II型脂肪酸合成酵素のうちのβ-ケトアシル合成酵素(KS)、あるいは多機能性I型脂肪酸合成酵素の対応するドメインは、伸長中の脂肪酸鎖の集積の間の決 定的な2炭素ホモロゲーションを触媒する。 この過程により、一般的には長さC 16からC 18の酸が得られる。 例えばマイコバクテリアによって行われる、通常の脂 肪酸の鎖伸長の際には、これらの酸のCoAおよび/またはアシルキャリアータン パク質(ACP)チオエステルが、さらにマロニルCoAと反応してその長さを60-90 炭素まで著しく伸ばす。 これら高分子量の酸は、ひとまとめにしてミコール酸として知られている。

    【0004】 ミコール酸は、マイコバクテリアの成育および生存に極めて重大な、複合長鎖分枝鎖脂肪酸群である。 ミコール酸には、マイコバクテリア細胞エンベロープの唯一にして最大の構成成分が含まれる。 関与する生合成酵素の性質についてはほとんど知られていないが、通常の脂肪酸合成酵素といくらかの類似性を示唆する証拠がある(Bloch, 1977; Brennan, et al., 1995)。 これらの非常に長い脂質分子は、限られた透過性を持つ蝋状の被膜を形成する。

    【0005】 複合したよく整った構造を有する、修飾を受けた特定の脂肪酸がマイコバクテリアの中に存在することは、薬剤設計の潜在的に魅力的なターゲットを提示している(Young, DB, and Duncan, K., "Prospects for new interventions in t
    he treatment and prevention of mycobacterial disease," Ann Rev. Microbio
    l. 49:641-673, 1995)。 イソニアジドがその作用のあり得るメカニズムとして 、ミコール酸合成を阻害するということが示唆されてきた(Takayama, K., Wang
    , L., and David, HL, "Effect of isoniazid on the in vivo mycolic acid
    synthesis, cell growth, and viability of Mycobacterium tuberculosis," An
    timicrob. Agents Chemother., 2:29-35, 1972; Takayama, K., Schnoes, HK,
    Armstrong, EI, and Booyle, RW, "Site of inhibitory action of isonia
    zid in the synthesis of mycolic acids in Mycobacterium tuberculosis," J.
    Lipid Res., 16:308-317, 1975; Quemard A., Dessen A., Sugantino M., Jaco
    bs WR, Sacchettini JC, Blanchard JS "Binding of catalase peroxide-
    activated isoniazid to wild-type and mutant Mycobacterium tuberculosis e
    noyl-ACP reductases," J. Am. Chem. Soc., 118:1561-1562, 1996; Baldock C.
    , Rafferty JB, Sedenikova SE, Baker PJ, Stuitje AR, Slabas AR,
    Hawkes TR, Rice DW "A mechanism of drug action revealed by structur
    al studies of enoyl reductase," Science, 274:2107-2110, 1996; Quemard A.
    , Sacchettini JC, Dessen A., Vilcheze C., Bittman R., Jacobs WR, Bla
    nchard JS, "Enzymatic characterization of the target for isoniazid in
    Mycobacterium tuberculosis, Biochemistry, 34:8235-8241, 1993; Msluli, K.
    , DR Sherman, MJ Hickey, BN Kreiswirth, S. Morris, CK Stover, an
    d CE Barry, III, "Biochemical and genetic data suggest that InhA is no
    t the primary target for activated isoniazid in Mycobacterium tuberculos
    is," J. Infect. Dis., 174:1085-1090, 1996; Dessen A., A. Quemard, JS B
    lanchard, WR Jacobs, and JC Saccettini, "Crystal structure and funct
    ion of the isoniazid target of Mycobacterium tuberculosis," Science, 267
    :1638-1641, 1995; Banerjee, A., E. Dubnau, A. Quemard, V. Balasubramania
    n, KS Um, T. Wilson, D. Collins, G. deLisle, WR Jacobs, Jr., "InhA,
    a gene encoding a target for isoniazid and ethionamide in Mycobacterium
    tuberculosis." Science, 263:227-230, 1994)。この知見は、マイコバクテリ アの脂質合成経路に作用する新規化合物の探索を抗生物質開発の新たなアプローチとして刺激すると期待されただろう。しかし、驚くべきことに、脂質生合成はこれらの生物における薬剤開発に活用されてこなかった。マイコバクテリアの脂質合成を特異的に阻害する薬剤は、イソニアジドの他は1つも開発されておらず 、多剤耐性マイコバクテリアという増大しつつある問題を治療するための新規薬剤の必要性が依然としてある。

    【0006】 発明の概要 本発明は、抗菌活性、とりわけ多剤耐性マイコバクテリアに対する抗菌効果を有する新規化合物を目的とする。

    【0007】 本発明は、薬剤耐性株によるマイコバクテリア感染を、独立な治療ターゲットを用いることにより治療する方法をも目的としている。

    【0008】 本発明のこれらおよび他の目的は、以下の態様のうちの1つあるいはそれ以上 により達成される。 一態様において、本発明は以下の式:R-SO n -Z-CO-Y、〔式中、Rは、好ましくは6-20個の炭素を有するアルキル基であり;Zは、好ましくは、
    -CH 2 -、-O-、-NH-、互いに連結した、これらの基のうちの2つ、あるいは-CH 2 =CH 2 -から選択される基であり;Yは、好ましくは、-NH 2 、-O-CH 2 -C 6 H 5 、-CO-CO-OC
    H 3 、または-O-CH 3であり;nは、1または2である〕;を有する化合物を提供する 。 特に好ましい態様においては、Rは分枝鎖アルキル基であるか、あるいはRは芳香環によって中断された直鎖アルキル基である。

    【0009】 別の態様において、本発明は、α-置換されたβ-ヒドロキシ脂肪酸を合成する微生物細胞の成育を阻止する方法を提供する。 この方法には、上に記載したとおりの式:R-SO n -Z-CO-Yを有する化合物にてその細胞を処理することが含まれる。
    特に、本発明の化合物によって阻止される細胞は、コリネミコール酸、ノカルジン酸、およびミコール酸からなる群から選択されるα-置換されたβ-ヒドロキシ脂肪酸を合成する細胞である。 好ましくは、この方法は、コリネバクテリウム、
    ノカルジア、ロドコッカス、およびマイコバクテリアからなる群から選択される微生物細胞の成育を阻止するために用いる。 より好ましくは、この方法は、Myco
    bacterium tuberculosis、薬剤耐性M. tuberculosis、M. avium intracellulare
    、M. leprae、あるいはM. paratuberculosisといったマイコバクテリア細胞の成育を阻止するのに用いる。

    【0010】 さらに別の態様において、本発明は、上に記載したとおりの式:R-SO n -Z-CO-Y
    を有する化合物を含む薬剤組成物を動物個体に投与することによりマイコバクテリア感染を治療する方法を提供する。

    【0011】 本発明者は、脂肪酸合成のうちのβ-ケトアシル合成酵素反応の反応中間体に 基づいた構造を有する、多数のスルホン類およびスルホキシド類を合成し、試した。 これらの化合物の多数は、毒性のM. tuberculosisに対してin vitro活性を 明らかに示した(表1参照)。 試した化合物の間に見出された望ましい特性には 以下のものが含まれていた。 すなわち、有効性、in vivo活性、MICデータの再現性、合成の容易さ、および化学的安定性である。 多剤耐性結核に対する薬物療法に本発明の化合物を使用することは、活動性の疾患に現在苦しんでいる患者および、免疫抑制あるいは他の全身性疾患の結果として活動性になり得るような静止期の疾患を保有する、何百万人もの潜在的な患者の両方を治療するための手段を提供するだろう。

    【0012】 態様の詳細な説明 本発明にしたがって合成した化合物は、脂肪酸合成酵素(EC 2.3.1.85)の うちのβ-ケトアシル合成酵素反応の理論的な遷移状態中間体に基づいている。 β-ケトアシル合成酵素反応は、Mycobacteriaを含め、原核細胞および真核細胞 における脂肪酸合成に共通である。 表1に示す化合物のファミリーは、薬剤耐性 株を含め、種々のマイコバクテリア類に対して細胞毒性があることが見出された。 しかし、化合物HIII-50(III-50)は、マイコバクテリアにおいてI型/II型脂 肪酸合成を阻害せずに、特にMycobacteria種において見出される特殊化した脂肪酸であるミコール酸の合成を阻害する。 ミコール酸合成における鍵となる過程の一つは脂肪酸伸長であり、それはde novoの脂肪酸合成におけるβ-ケトアシル合成酵素反応に類似の炭素-炭素縮合を用いている。 これらの化合物は、ミコール 酸合成に決定的なこの脂肪酸伸長過程に作用すると考えられている。

    【0013】 2炭素伸長反応の全てに関する遷移状態が、既存の生化学的証拠および機械論 的立場に基づいて、チオエステルに結合したアシル鎖と反応して四面体中間体を生じる(図1、過程B)ための求核物質を提供する(図1、過程A)マロニル-CoA/A
    CPの脱炭酸によるアシル陰イオン形成に極めて類似しており(図1参照)、かつ それを含むと推定されている。 この遷移中間体は、開裂して(図1、過程C)伸長中のアシル単位(RCO-)を2炭素分伸ばすと予想される。 それから、さらなる過 程によりこのACP/CoA誘導体のβ-ケト基が還元され、最終的には過程Aに戻され て再び鎖伸長サイクルが開始される。

    【0014】 この四面体中間体(過程B参照)を模倣する可能性のある低分子量有機化合物 はこの生化学過程の阻害物質であると期待され、そのような化合物を式I: R-SO n -Z-CO-Y、式I 〔式中、Rは、アルキル基などの炭化素であり; nは、1または2であり; Zはヘテロ原子を含み得る、炭化水素に結合した部分構造であり;そして Yは、1つまたはそれ以上のヘテロ原子を含み得る、炭化水素末端基部分構造である〕 により表す。

    【0015】 式Iにしたがった好ましい化合物において、Rは、6-20個の炭素、好ましくは8 、10、または12個の炭素を有するn-アルキル基であってもよく、飽和であっても不飽和であっても、分枝していても分枝していなくてもよく、あるいはこのアルキル鎖は、芳香環によって中断されてオルト-、メタ-、またはパラ-二置換とな っていてもよい。 Zは、好ましくは-CH 2 -、-CH 2 -CH 2 -、シスまたはトランスの-CH
    =CH-、-NH-CH 2 -、-CH 2 -NH-、-O-CH 2 -、または-CH 2 -O-であり、Yは、好ましくは-
    NH 2 、-O-CH 2 -C 6 H 5 、-CO-O-CH 3 、-CO-CO-O-CH 3または-O-CH 3である。 RとZの間に 、スルホキシドまたはスルホンの形で硫黄原子がある。 スルホンIII-50および、
    より短いおよびより長い飽和および不飽和アルキル側鎖を持った近い構造的な類似体は、過程Bの四面体中間体に代わる模倣物質と同様に例示されてはいるが、 表1に示す構造によって限定的に示されるのではない。

    【0016】 式Iの化合物は、メルカプトエステルをアルキル化してチオエーテルを生成し た後(例えばRL Smithら、J. Med. Chem., 1977, 20:540-547などを参照)、 酸化してスルホキシドまたはスルホンを与え、アンモニアまたは置換アミンにてこのエステルをアミドに変換することを含む、種々の経路によって合成し得る。
    適した合成スキームをスキーム1に示し、さらに実施例1に例示する。

    【0017】

    【化1】

    【0018】 あるいは、例えばナトリウム塩などのスルホン酸塩をハロエステルと反応させてチオエーテルを得てもよく(すなわち、R-SO 2 -Na + + X-(CH 2 ) n -COOR' ---> R
    -SO 2 -(CH 2 ) n -COOR'; 例えば、E. Gipstein, CG Willson and HS Sachdev,
    J. Org. Chem., 1980, 45:1486-1489などを参照)、それを酸化し、上記のように対応するアミドにまでアンモノリシスを起こすことができる。 概して、X = Cl
    、BrまたはIである。 代わりとなる第二のものは、ハロアミド(X-(CH 2 ) n -CONH 2 )を上記のようなスルホン酸塩あるいはチオール陰イオン(thiolate anion)のいずれかと反応させた後、酸化してスルホニルアミドあるいはスルホキシドアミドを同様に生成させることであろう(例えば、S. Huenig and O. Boes, Liebigs
    Annalen der Chemie, 1953, 579:23-26などを参照)。 ハロ炭化水素をメルカプトアミドあるいは、スルフェニルアミド(sulfenylamide)またはスルフェニル エステル(sulfenylester)の塩と反応させて同じ生成物が得られるように、こ れらの反応の方向を反対にすることができるということは、当業者には明らかだろう。 代わりとなる第三のものは、チオール(R-SH)をプロピオール酸のエステル(propiolate ester)またはアミドと反応させてスルファニルアクリル酸の(
    sulfanylacrylic)エステルまたはアミドを形成させた後、スルホキシドまたは スルホンにまで酸化することであろう。 最終的には、ハロ-またはメルカプトニ トリルを上記のスキームによって反応させてチオエーテルまたはスルホニルニトリルを得ることができ、それをアミドにまで加水分解することができる。 式Iの 化合物を生成するための他の代わりとなる合成経路を当業者が考えついた場合、
    そのような合成の生成物もまた、本発明が意図するものの範囲内である。

    【0019】 式Iにしたがった化合物は、コリネミコール酸(例えばC30など)、ノカルジン酸(例えばC50など)、およびミコール酸(例えばC90など)のようなα-置換さ れたβ-ヒドロキシ脂肪酸をその細胞壁中に有する微生物細胞に対する抗生物質 として使用し得る。 他に示していない限り、本明細書中におけるミコール酸という用語の使用は、これらのα-置換されたβ-ヒドロキシ長鎖脂肪酸ならばどんなものにも適用される。 特に、式Iにしたがった化合物は、コリネバクテリア、ノ カルジア、ロドコッカスおよびマイコバクテリアに対して抗微生物活性を示す。
    さらに詳しくは、これらの化合物は、Mycobacterium tuberculosis、薬剤耐性M.
    tuberculosis、M. avium intracelluylare、M. leprae、あるいはM. paratuber
    culosisに対して有効である。

    【0020】 式Iにしたがった好ましい化合物は、感受性のある生物に対して十分な抗微生 物活性を有するだろう(例えば、表1などを参照)。 式Iにしたがった化合物の抗微生物効果は、以下に示すように、あるいは本明細書中に参考文献として援用されているアメリカ合衆国特許番号5,614,551に記載のアッセイを用いることによ り決定し得る。 特に、アメリカ合衆国特許5,614,551では、ある化合物に関して 、正常線維芽細胞の増殖を阻害する濃度と最小阻害濃度との比較に基づいたin v
    itro治療指標を記載しており、好ましい化合物は少なくとも2、より好ましくは 少なくとも5、最も好ましくは少なくとも10というin vitro治療指標を有するだ ろう。

    【0021】 多剤耐性結核に対して有効な本発明の化合物を用いた、新規の薬物療法は、活動性の疾患に現在苦しんでいる患者および、免疫抑制あるいは他の全身性疾患の結果として活動性になり得るような静止期の疾患を保有する、何百万人もの潜在的な患者の両方の治療の助けとなるだろう。 これらの薬剤は、一般的なAIDS病原体であるM. avium-intracellulare、および一般的に薬剤耐性である他の種とい った、“非典型的なマイコバクテリア”に対しても有用であろう。 M. tubervulo
    sisとM. lepraeの間の生化学的な類似性を考慮すると、これらの薬剤はレプラ(
    ハンセン氏病)の治療に有用であると期待され得る。 家畜あるいは他の獣医学的適用におけるあり得る使用には、反芻動物(例えば、畜や緬羊など)に常に致命的な慢性腸炎を起こす生物である、ヨーネ桿菌としても知られているMycobact
    erium paratuberculosisによる感染、およびミコール酸を産生し、ウマおよび免疫無防備状態の患者に致命的となる可能性のある呼吸器感染も引き起こす、別の生物であるRhodococcusによる感染の治療が含まれる。 M. paratuberculosisが感染したヒトの患者の治療も、本発明が意図するものの範囲内である。

    【0022】 本発明にしたがった治療には、式Iの化合物を治療の対象に投与することが含 まれる。 本発明の化合物のいずれかを含む薬剤組成物は、薬剤、薬剤キャリアー、および疾患の選択に必要とされるように、非経口的(皮下、筋肉内、静脈内、
    腹腔内、胸膜腔内、小胞内あるいは硬膜下腔内)、局所的、経口的、直腸、あるいは鼻腔内または吸入の経路により投与し得る。

    【0023】 本発明にしたがった治療用化合物は、好ましくはその化合物と薬学的に許容可能なキャリアーを含む薬剤組成物中に製剤される。 薬学的に許容可能なキャリアー中の活性物質の濃度は、溶解度に依存するだろう。 特定の製剤あるいは適用に用いられる用量は、個々の種類の疾患が必要とするもの、およびキャリアー物質の特性および受容力により課せられる制約によって決まるだろう。 他の化合物が、本発明にしたがった化合物の有効性を治療が無効になるほど減少させない限りは、薬剤組成物にその他の化合物が含まれていてもよい。 薬学的に許容可能なキャリアーは十分に知られており、製薬技術における当業者は、投与の個々の経路に適したキャリアーを容易に選択できる(例えば、Remington's Pharmaceutical
    Sciences, Mack Publishing Co., Easton, PA, 1985などを参照)。

    【0024】 用量および治療の継続期間は、その薬剤の治療指標、疾患の種類、患者の年齢、患者の体重、および毒性の許容度を含む種々の要因に依存するだろう。 用量は一般的には、約1 ngから約100 μg/ml、典型的には0.1μg/mlから10μg/mlまで の血清中濃度を達成するように選択されるだろう。 好ましくは、初期投与レベルは、in vitroのモデルおよびin vivoのモデルおよび臨床試験において有効であ ると示された環境濃度を達成する能力に基づいて、最大耐用レベルに至るまで選択されるだろう。 個々の患者に関する個々の薬剤の用量および治療の継続期間は、上記の要因を考慮し標準的な薬学的アプローチを用いて、熟練した臨床医により決定され得る。 治療に対する反応は、本発明にしたがった化合物の血液あるいは体液レベルの解析、関連する組織における化合物の活性またはそのレベルの測定あるいは患者の疾患状態のモニタリングにより、モニターし得る。 熟練した臨床医は、これらの測定により明らかになる治療に対する反応に基づいて、用量および治療の継続期間を調整するだろう。

    【0025】 典型的には、上に記載した組成物は、結核を治療する際に現在用いられている他の薬剤など、一つまたはそれ以上の他の治療用基質と組み合わせられる、あるいは一緒にまたは協調して用いられるだろう。 式Iの化合物、あるいは阻害物質 の相乗作用的な組み合わせは、当然、治療している動物個体を死なせるであろうレベルより下のレベル(用量および治療の持続時間に基づく)で投与されるだろう。 好ましくは、投与は、生命維持に必要な臓器を不可逆的に障害しないであろうレベルにあるか、あるいは肝機能、腎機能、心機能、胃腸機能、尿生殖器機能、外皮機能、筋骨格機能、あるいは神経機能の永久的な減弱に至らせないだろう。 これに反して、実質的に再生されるであろういくつかの細胞(子宮内膜細胞など)を死なせるレベルでの阻害物質の投与は、必ずしも排除されないわけではない。

    【0026】

    【実施例】

    本発明のより完全な理解を容易にするために、多数の実施例を以下に提供する。 しかし、本発明の範囲は、単に説明する目的のためであるこれらの実施例に開示される特定の態様に限定されない。

    【0027】 実施例1 置換スルホニルアミドの合成 スキーム1に示す合成方法を説明するために、III-50の25 g合成を行った。

    【0028】 メチルn-オクチルチオ酢酸:臭化オクチル(50.21 g、0.26モル)、メチルチ オグリコール酸(22.35 ml、26.53 g、0.25モル)および炭酸カリウム(34.5 g 、0.25モル)を1 Lの丸底フラスコ中に詰めた。 この混合物に350 mlのアセトン を加え、懸濁液を48時間、還流した。 室温まで冷却した後、アセトンの補助により反応混合物を濾過した。 減圧下、濾液を蒸発させ、それから得られた残渣を、
    減圧蒸留により精製した。 118-121℃/3.8 mm Hgで蒸留される画分を集めた。 収 量:48 g;88%。

    【0029】

    【数1】

    【0030】 メチルn-オクタンスルホニル酢酸:3 Lの三頸丸底フラスコ(メカニカルスタ ーラーに合わせた)に、ヘプタモリブデン酸アンモニウム四水和物(56 g、0.04
    5モル)、メチルn-オクチルチオ酢酸(40 g、0.183モル)および1.5 Lの無水ア ルコールを順に詰めた(Schultz, HS, Freyermuth, HB., and Buc, SR., J. Org
    . Chem. 28:1140-1142, 1963)。 勢いよく攪拌した溶液を0℃まで冷却し、この 冷却した溶液に104 mlの30%過酸化水素溶液(0.732モル)を1時間以上に渡って加えた。 反応混合物を2時間以上に渡って室温まで暖まるようにさせておき、そ れからさらに24時間攪拌したところ、その時シリカ上の薄層クロマトグラフィーが出発物質の完全な消失を示した。 反応混合物を濾過し、濾液を減圧下、蒸発させた。 それから得られた残渣を、酢酸エチル(1 L)中に溶解させ、水(100 ml ×2)、ブライン(100 ml)にて洗った。 有機層を無水MgSO 4上で乾燥させ、溶媒の濾過後、減圧下蒸発させて蝋状の固体としてスルホンを得た、36 g、78%。 生成物は、NMRにより純粋である(>95%)とみられ、さらに精製することなく次の反応に供した。

    【0031】

    【数2】

    【0032】 n-オクタンスルホニルアセトアミド:メチルn-オクタンスルホニル酢酸(35 g
    、0.143モル)の350 ml無水メタノール溶液を、磁石により室温で攪拌した。 こ の溶液に、24 mlの水酸化アンモニア水溶液(27%、6.48 g、0.185モル)を30分以上に渡り一滴ずつ加えた。 溶液を24時間攪拌し、形成された白色の沈殿を濾過した。 この固体を熱酢酸エチルから再結晶し、必要なアセトアミドIII-50を結晶固体として得た、mp. 140-142℃、33 g、97.6%。

    【0033】

    【数3】

    【0034】 C 10 H 25 N 2 O 3 S (M+NH 4 - ) 253.1586に関して算出したHRMSは、253.1587と求まった。

    【0035】 実施例2 置換スルホニルアミドの合成 スキーム2に示す合成方法を例証するために、以下の化合物I-31およびI-89の 合成を行った。

    【0036】

    【化2】

    【0037】 (E/Z)-3-デシルスルファニル-アクリル酸メチルエステル(1):トリエチルアミン(0.5 mL、3.6 mmol)を、デカンチオール(2.5 mL、12.1 mmol)およびプロ ピオール酸メチル(4.3 mL、48.3 mmol)のジクロロメタン(20 mL)溶液に1滴 ずつ加えた。 溶液を室温でアルゴン下、20分間攪拌し、その後、水(60 mL)で 希釈し、ジクロロメタン(3×60 mL)で抽出した。 有機層を水(2×60 mL)、ブライン(60 mL)で洗い、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空中で濃縮し た。 フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル:ヘキサン1:49)
    による精製により、透明油状物(3.06 g、98%)が異性体の混合物(E:Z 6:1) として得られ、それを次の段階に進めた。

    【0038】

    【数4】

    【0039】 (E)-3-デシルスルファニル-アクリル酸メチルエステル(2):化合物1(0.50 g 、1.93 mmol)をメタノール(8.0 mL)に溶解させ、0℃まで冷却し、0℃のオキ ソン(oxone)(1.84 g、6.0 mmol)の水溶液(8.0 mL、49.5%)に加え、室温 で4時間攪拌した。 それから、反応物を水(60 mL)で希釈し、クロロホルム(3
    x 60 mL)で抽出した。 有機抽出物を水(2×60 mL)、ブライン(60 mL)で洗い、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。 フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル:ヘキサン1:1)による精製により、白色 結晶(0.53 g、93%)が異性体の混合物(E:Z、6:1)として得られた。 分離用TL
    C(酢酸エチル:ヘキサン1:1)により、白色結晶として化合物2が得られた。

    【0040】

    【数5】

    【0041】 プロピオールアミド(3):プロピオール酸メチル(2.0 mL、22.5 mmol)を-78 ℃の液体アンモニアに加え、2時間攪拌した。 室温で蒸発させることにより、白 色結晶として化合物3を得た(1.46 g、94%)。

    【0042】

    【数6】

    【0043】 (E/Z)-3-デシルスルファニル-プロピオンアミド(4):トリエチルアミン(0.5
    mL、3.6 mmol)をデカンチオール(1.36 mL、6.56 mmol)およびプロピオールアミド(1.80 g、26.1 mmol)のジクロロメタン(20 mL)溶液に1滴ずつ加えた。 溶液を室温で20分間、アルゴン下で攪拌し、その後、水(60 mL)で希釈し、ジ クロロメタン(3×60 mL)で抽出した。 有機層を水(2×60 mL)、ブライン(60
    mL)で洗い、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。 フラッ シュクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル:ヘキサン3:1)による精製 により、白色結晶(1.45 g、91%)として、異性体の混合物(E:Z、1:10)とし て化合物4を得て、それを次の段階に進めた。

    【0044】

    【数7】

    【0045】 (E)-3-デシルスルホニル-プロピオンアミド(5):化合物4(0.50 g、2.05 mmol
    )をメタノール(8.0 mL)に溶解させ、0℃まで冷却し、0℃のオキソン(oxone )(1.84 g、6.0 mmol)の水溶液(8.0 mL、49.5%)に加え、室温で4時間攪拌 した。 それから、溶液を水(60 mL)で希釈し、クロロホルム(3×60 mL)で抽 出した。 有機抽出物を水(2×60 mL)、ブライン(60 mL)で洗い、硫酸マグネ シウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。 フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル:ヘキサン17:3)による精製により、白色結晶(0.52 g、92
    %)として、異性体の混合物(E:Z、6:1)として化合物5を得た。 分離用TLC(酢酸エチル:ヘキサン3:1)により白色結晶として化合物5を得た。

    【0046】

    【数8】

    【0047】 実施例3 スルホン類およびスルホキシド類のマイコバクテリア類に対するin
    vitro活性 様々な化合物を、アメリカ合衆国特許番号5,614,551に記載のとおりに試し、 薬剤耐性MTB(M. tuberculosis株H37Rv)、M. avium-intracellular、およびM.
    bovis BCGに対するその化合物の最小阻害濃度(MIC)を決定した。 結果を表1に 示す。 III-50と名付けた化合物に関する用量作用曲線により、M. tuberculosis の毒性株であるH37Rvに対して6.5 μg/ml、M. bovis BCGに関しては6.25μg/ml というMICが明らかになった。 SI-73と名付けた化合物に関する用量作用曲線に より、MTBに対して3.12μg/ml、M. avium-intracellularに対して12.50μg/mlというMICが明らかになった。 R = C 8 H 17 、Z = NHおよびY = -CO-O-CH 3を有する式I
    にしたがった化合物をM. tuberculosis、H37Rvに対して用いる分析により、12.5
    μg/mlというMICが明らかになった。

    【0048】 実施例4 III-50はイソニアジドとは異なるターゲットを介してミコール酸合 成を阻害する 一連の代謝標識実験において、多数の脂質代謝経路の活性を、III-50の存在下および非存在下、二次元薄層クロマトグラフィーおよびリンイメージ定量を用いて研究した。 TLCプレートにマイコバクテリアの酸メタノール可溶化物をスポッ トし、一次元目を石油エーテル(bp 60-80℃):アセトン(95:5、v/v。3回)で展開し、二次元目をトルエン:アセトン(97:3、v/v、1回)で展開した。 図2中 の略語は、Ori = 原点;A = α-ミコール酸;B = ケトミコール酸;およびC = ω-ミコール酸である。 左手のパネルは、M. avium-intracellulare対照培養由来の酸メタノール可溶化物を示す。 右手のパネルは、12.5 μg/mlのn-オクタンス ルホニルアセトアミド(III-50)で処理したM. avium-intracellulare培養由来 の酸メタノール可溶化物を示す。

    【0049】 様々な脂質種の質的および量的な重要でない変化が同定された一方で、最も絶大な効果がミコール酸合成に対して示された。 リンイメージ(図2)の再現によ り、III-50の存在下でミコール酸は、M. avium-intracellulareでは検出されず 、M. bovis BCGでは有意に減少しているということが明らかにされる。 より重要なのは、ミコール酸合成の阻害がイソニアジドの作用メカニズム(Takayamaら、
    1972 & 1975;Quemardら、1993 & 1996;およびBaldockら)であると考えられるが、III-50は、日常的にはイソニアジド耐性(>2.5 μg/ml)であるM. avium-in
    tracellulareおよび、イソニアジド(INH)耐性M. tuberculosis(>0.4 μg/ml )の両方の成育を阻止する。 したがって、イソニアジドおよびIII-50は両者ともミコール酸合成を阻害するにも関わらず、ミコール酸合成経路内のIII-50の酵素ターゲットは、イソニアジドのものとは異なるとみられる。

    【0050】 ミコール酸合成の阻害により、マイコバクテリアの細胞壁の崩壊が引き起こされる。 図3は、III-50の存在下(パネルA)および非存在下(パネルB)におけるM
    . bovis BCGの細胞分裂を描く電子顕微鏡写真を示す。 対照における、細菌が分 裂する際の十分に発達した細胞壁と中隔に注目せよ。 対照的に、III-50の存在下では、ミコール酸合成の阻害の結果としてであるとみられる細胞壁の崩壊がある。

    【0051】 スルホンアミド化合物のコンビナトリアルライブラリーの調製 本発明は、以下の式II: R-SO n -CH=CH-CO-Y、式II 〔式中、ビニル水素の一方あるいは両方が、スキーム3における求電子物質の 選択に依存して、アルキル、アシル、アリール、アルアルキル、ハロゲン;置換されたあるいは置換されていないチオール;置換されていないあるいは置換されたアミノ;ヒドロキシ、およびOR'(式中、R'は、水素、アルキル、アシル、ア リール、アルアルキル、置換されていないあるいは置換されたアミノ;置換されたあるいは置換されていないチオール;およびハロゲン;からなる群から選択される);および、場合により1つあるいはそれ以上のヘテロ原子で中断され、そ して場合により1つあるいはそれ以上の=O、または=Sで置換された、直鎖状ある いは環状の炭素鎖;からなる群により独立に置き換えられ得るか、あるいは両方のビニル水素が直鎖状炭素鎖により置き換えられて、場合により一つあるいはそれ以上のヘテロ原子によって中断されており場合により一つあるいはそれ以上の
    =O、あるいは=Sによって置換されている環状炭素部分構造を形成しているということ以外は、種々の記号は式I中と同じ意味を持つ〕 の化合物を含むコンビナトリアルライブラリーを意図する。 一般的には、ビニル位で置換された群は、総計1から20個の炭素を有し、ヘテロ原子は概してB、N、O
    、PおよびS、より日常的にはN、O、およびSから選択されるだろう。 本発明のコ ンビナトリアルライブラリーには、アシル基と硫黄原子の間の二重結合での求電子付加または遊離ラジカル付加により生成される式IIの誘導体も含まれ得る。

    【0052】 ビニルスルホン2および5の合成方法を用い、コンビナトリアル方法によりスクリーニング可能な化合物の収集物を調製することができる。 これをスキーム3に 図解する。

    【0053】

    【化3】

    【0054】 メチルプロピオール酸あるいはプロピアミド(propiamide)3中のアセチレン 水素の酸性度のため、塩基および、求電子物質R 1 -X(ハライド、アルデヒド、ケトン、エステルなど)との反応により容易に除去されて6を得ることができる。 チオールR-SHを穏和な塩基(すなわち、炭酸カリウムまたはナトリウム、トリエチルアミンなど)の存在下で6に加えて、様々に置換されたスルファニルアシル エステルまたはアミドのトランス-あるいはトランス/シス-混合物を得ることが できる。 スルホキシド類8またはスルホン類9に対して選択的な酸化を行うことができる。 シス-およびトランス-異性体は、結晶化あるいはクロマトグラフィーにより分離することができる。 R 1 -XおよびR-SH、あるいはエステルまたはアミドの同一性を変化させることにより、コンビナトリアルライブラリーを調製することができる。

    【0055】 多様な化学化合物のコンビナトリアルライブラリーを薬剤発見に用いることは、十分に知られている(Moosら、(1993), Ann. Rep. Med Chem., vol. 28, chap
    . 33, pp. 315-324, Academic Press; Gordonら、(1994), J. Med. Chem., 37:1
    385-1401)。 そのようなライブラリーをスクリーニングする方法は、例えばGord
    onらおよびその中で引用されている参考文献などに記載されている。 スキーム3 に記載のとおりに調製されたビニルスルホンまたはスルホキシドを含め、本発明にしたがった化合物を含むコンビナトリアルライブラリーは、適したスクリーニング手順であればどれによっても、生物学的活性に関してスクリーニングし得る。

    【0056】 典型的なスクリーニング手順では、ライブラリーの構成体は、本明細書中に参考文献として援用されているアメリカ合衆国特許5,614,551に記載の分析システ ムを用いてToxoplasma gondiiの成育を阻止する能力に関して分析することがで きた。 例えば、毒性、線維芽細胞の可溶化およびT. gondiiの成育などを、ヒト 包皮線維芽細胞を含む24穴組織培養プレート中でモニターできる。 ライブラリーの3つの構成体の7回階段希釈物を、各24穴プレートの3つの対照のウェルと比較 できる。 多数のプレートを用い、そのライブラリー由来の多数の化合物を、T. g
    ondiiに対する効果に関してスクリーニングすることができる。 あるいは、より 少ない希釈物を用い、より多くの化合物を各プレート中で分析してもよい。 アメリカ合衆国特許5,614,551に記載の分析システムにおいてMycobacterium種を用いて同様のスクリーニングを行い、コンビナトリアルライブラリーの中にマイコバクテリア類に影響するような化合物を同定し得る。 本発明にしたがったコンビナトリアルライブラリー中の化合物を、他の病原体および/または腫瘍細胞に対する効果に関してスクリーニングするのに適した他の分析システムは、本明細書中で教えることを考慮して、当業者には容易に入手可能である。

    【0057】 あるいは、脂肪酸合成酵素(FAS)などの酵素に対する阻害効果に関してライ ブラリーをスクリーニングしてもよい。 適したアッセイ手順は、本明細書中に参考文献として援用されているアメリカ合衆国特許番号5,759,837に記載されてお り、多穴プレートを用いて、ライブラリーの膨大な構成体の存在下および非存在下で同時FASアッセイを行い、多数の構成体化合物の阻害効果を比較し得る。 別 の選択肢としては、特定の受容体に対する構成体化合物の結合親和性を比較してもよい。 生物学的過程の進行を測定するような適切なアッセイを用い、当業者は、本発明のコンビナトリアルライブラリーを生物学的効果に関してスクリーニングするための適したスクリーニング手順を容易に設計することができる。

    【0058】 他の観点、利点および修飾は本発明に関係する当業者には明白であろうが、理解を明快にする目的で、例解および実施例という方法で特定の態様と組み合わせて、前記発明を幾分詳細に記載した。 前記説明および実施例は、本発明の範囲を制限するのではなく例解することを意図している。 医学、免疫学、感染症、薬学、および/または関連する分野の当業者には明らかな、本発明を行うための上記の方法の修飾は、本発明の範囲内であると解釈され、添付の請求項によってのみ制限される。

    【0059】 本明細書中で言及した全ての出版物および特許出願は、本発明が関係する分野の当業者の水準を示す。 全ての出版物および特許出願は、個々の出版物、特許、
    あるいは特許出願が明確かつ個別に参考文献として援用されていると意図されたのと同程度に、本明細書中で参考文献として援用されている。

    【0060】

    【表1】

    【0061】

    【表2】

    【図面の簡単な説明】

    【図1】 図1は、β-ケトアシル合成酵素反応をスキームで表したものを示す。

    【図2】 図2は、M. avium-intracellulareから抽出したミコール酸(左パネル)およびn-オクタンスルホニルアセトアミドにて処理した後の同じ抽出物(
    右パネル)の二次元薄層クロマトグラフィーを示す。

    【図3】 図3Aおよび3Bは、n-オクタンスルホニルアセトアミド前処理した(B)あるいはしていない(A)M. bovis BGCの顕微鏡写真を示す。

    【手続補正書】

    【提出日】平成12年11月27日(2000.11.27)

    【手続補正1】

    【補正対象書類名】図面

    【補正対象項目名】全図

    【補正方法】変更

    【補正内容】

    【図1】

    【図2】

    【図3】

    ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl. 7識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07C 311/06 C07C 311/06 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GE,GH,GM,HU ,ID,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR, KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,M D,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL ,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK, SL,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US,U Z,VN,YU,ZW (72)発明者 ディック,ジェームズ・ディー アメリカ合衆国メリーランド州21155,ア ッパーコ,ドーバー・ロード 15744 (72)発明者 パスターナック,ガリー・アール アメリカ合衆国メリーランド州21212,ボ ルティモア,エッジベイル・ロード 311 (72)発明者 クハジダ,フランシス・ピー アメリカ合衆国メリーランド州21209,ル ーサービル,ブロードウェイ・ロード 1211 (72)発明者 パーリッシュ,ニコール・エム アメリカ合衆国メリーランド州21042,エ リコット・シティー,パイン・オーチャー ド・レイン 3185,アパートメント 201 Fターム(参考) 4C206 AA01 AA02 AA03 GA01 JA19 MA01 MA04 NA14 ZB35 4H006 AA01 AA03 AB29 TA03 TB54 TB55

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