Selection system

申请号 JP2009294773 申请日 2009-12-25 公开(公告)号 JP2010148507A 公开(公告)日 2010-07-08
申请人 Domantis Ltd; ドマンティス リミテッド; 发明人 RIECHMANN LUTZ; KRISTENSEN PETER; JESTIN JEAN-LUC; WINTER GREGORY PAUL;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a method for using peptide cleavage to exclude undesired virus for the purpose of enabling polypeptides displayed in a phage display system to be selected. SOLUTION: The method for selecting a virus includes: the steps of: (a) providing a virus encoding and displaying a fusion polypeptide comprising a heterologous polypeptide inserted into the sequence of a viral coat protein polypeptide, wherein the virus contains a cleavable site located within a displayed polypeptide; (b) exposing the virus to a cleaving agent; and (c) proliferating the virus comprising intact fusion protein. COPYRIGHT: (C)2010,JPO&INPIT
权利要求
  • ファージミドのヘルパーファージレスキューによって作製される、ファージミド由来のウイルス外被タンパク質を提示する子孫ファージを選別する方法であって、該ヘルパーファージはプロテアーゼ感受性切断部位を含むウイルス外被タンパク質をコードしており、該方法は、
    a) 子孫ファージを、プロテアーゼ感受性切断部位を切断できるプロテアーゼにさらして、ファージミド由来のウイルス外被タンパク質を提示する子孫ファージを選別すること、ここで、ファージミド由来のウイルス外被タンパク質は切断に耐性であるが、ヘルパーファージ由来のウイルス外被タンパク質は切断に感受性であり、その結果、ヘルパーファージ由来のウイルス外被タンパク質を提示する子孫ファージは切断により非感染性となる、および
    d) 感染によってファージミド由来のウイルス外被タンパク質を提示する子孫ファージを増殖させること、
    を含んでなる方法。
  • プロテアーゼ感受性切断部位が糸状バクテリオファージM13、fdまたは関連種のp3内に含まれる、請求項1記載の方法。
  • 说明书全文

    本発明は、ファージ展示系中に展示されたポリペプチドの選択を可能とする選択系に関する。

    ウイルスは、ペプチドおよびタンパク質の展示のために使用されてきた[21, 26, 44]。 特に、糸状バクテリオファージは、タンパク質およびペプチドの展示のために、タンパク質またはペプチドをコードする遺伝子とファージの外被タンパク質をコードする遺伝子とを融合させることにより使用されてきた。 融合遺伝子は、融合タンパク質を展示するファージ内で包膜されているので、このことが表現型と遺伝子型との関連をもたらしている。 タンパク質のレパートリーは、ファージの集団によってコードされ、所定の結合活性を有するタンパク質を含む稀なファージが固相への結合によって単離される。 このようにして、所定の抗原結合特異性を有する合成ヒト抗体が、異なる構造エレメントから構成された抗体フラグメントのレパートリーから選択されてきた[10]。 抗体は、抗原と結合するためには折りたたまれる必要があるので、結合の選択はまた、折りたたみの選択でもある。 またこの原理は、結合が不連続エピトープによって媒介される場合に、折りたたまれたペプチドの選択のためにも使用されてきた[8, 11〜13]。

    ファージ展示系における問題点とは、所望のポリペプチドを展示しないファージの存在によって引き起こされる高レベルのバックグラウンドの存在である。 例えば、抗体レパートリーは通常、p3タンパク質との融合タンパク質としてファージミドベクター上でコードされ、ヘルパーファージの使用によって包膜される。 ヘルパーファージ外被タンパク質は、抗体と外被タンパク質との融合体(ファージミド上にコードされている)と競合し、折りたたまれた抗体フラグメントの多価性(multivalent)展示よりはむしろ「一価性(monovalent)」展示を有するファージをもたらす。 このことは、ファージ上で展示される抗体の親和と結合力(多価性展示の場合)とを区別するのに有用である。 しかしながら、ファージの大多数は、ヘルパーファージ外被タンパク質のみを展示する。 この外被タンパク質は、抗原への「バックグラウンド」結合の一因となる。 この場合には、折りたたまれた抗体を展示するファージを選択し、展示しないファージを排除することが望ましい。

    さらに、現在使用されている前記系の全ては、所望の特性を有するポリペプチドをコードしないファージから、所望の展示ファージを単離するために、選択すべきポリペプチドの結合活性に依存している。 このことは、公知の結合活性を有する折りたたまれたポリペプチドを選択するために利用し得る展示系に対して制限を加えるものである。 展示されたタンパク質またはポリペプチドを、それらの結合活性とは無関係に選択するための手段を有することが好ましい。

    例えば、折りたたまれたタンパク質をde novoで構築することには、かなりの関心がある。 タンパク質を、二次構造の所定のエレメントの組立て(assembly)により、またランダムな配列からde novoで設計するための試みがなされてきた(総覧は[5])。 いくつかの場合には、設計されたタンパク質は二次構造のエレメントを保持してはいたが、天然のタンパク質の折りたたみに特徴的な、安定した三次相互作用を有しないことが示されており、このことはモルテングロビュール(molten globule)の存在を示唆している([6]およびその中の文献を参照されたい)。 既存の主鎖に基づく天然様タンパク質の作成は、より大きな成功を収めた[7, 8]。 これらの場合においては、de novo設計されたタンパク質の結合活性は不明となるであろう。 この場合には、折りたたまれたタンパク質を展示するファージを選択して、展示しないファージを取り除くことが望ましい。

    折りたたまれたタンパク質を、細菌中の分解酵素を残存させるそれらの能力に関してスクリーニングする試みがなされてきたが[16〜18]、そのような方法では、細菌の増殖や生存が、折りたたまれたタンパク質の機能によらない場合には選択できない。 このように、これらの系は、折りたたまれる能力によって選択することが望まれるポリペプチドのごく少数にのみ適応できるにすぎない。

    マイナーなファージ外被タンパク質p3に融合された、タンパク質加分解に対して安定であるタグと、p3タンパク質自体との間にペプチド配列を挿入し、続いてタンパク質加水分解することにより、タンパク質加水分解に対して感受性であるペプチド配列を担持するファージを選択する手段が得られることが以前に示されている[19, 米国特許第5,780,279号]。 これらの実験において、ファージを、ファージ上のタンパク質加水分解に安定であるN-末端タグと結合するアフィニティー樹脂に結合させる。 結合したファージをタンパク質加水分解と溶出に付すと、切断される配列を有するファージのみが溶出される。 この方法は、ファージ上に展示されたレパートリーの中で、プロテアーゼの基質として好適であるアミノ酸配列を同定するために使用される。 導入された配列は短く、個別には折りたたまれる能力を有しないであろう。 さらに、この系は、結合されたファージよりはむしろ溶出されたファージを特異的に選択する。 換言すると、切断されていないファージよりもむしろ、切断されたファージを単離するために特異的に構成されている。

    本発明は、所望でないウイルスを排除するために、ペプチド切断を用いる方法に関するものである。

    故に、第一の態様に従っては、本発明はウイルスを選択するための、以下のステップ:
    (a) ウイルスの外被タンパク質ポリペプチドの配列中に挿入された異種ポリペプチドからなる融合ポリペプチドをコードしかつ展示するウイルスを提供すること、ただしそのウイルスは展示されるポリペプチドの内部に配置された切断部位を含むものであること、
    (b) そのウイルスを切断剤にさらすこと、
    (c) 無傷の融合タンパク質を含むウイルスを増殖させること、
    を含んでなる方法を提供する。

    本発明によれば、ウイルスは、切断剤を用いる非抵抗性ウイルス粒子の切断によって選択され得る。 本明細書で用いられる「ウイルス」とは、ウイルス粒子の感染性接種物を指し、該ウイルス粒子は切断部位を、場合によってはウイルスゲノムにコードされた異種ポリペプチドの一部として取り込み得る。 このように、「ウイルス」は、ポリペプチドのレパートリーをコードし得る複数のウイルス粒子を意味し得る。 または必要に応じて、単一のウイルス粒子を示すために使われ得る。 用語「ウイルス」は、天然で、または遺伝子操作により、切断部位を取り込み得るあらゆる適当なウイルスを含む。 本発明で使用するのに好ましいウイルスは、バクテリオファージ、好ましくは糸状バクテリオファージである。

    用語「ポリペプチド」は、一般的にペプチド結合などにより共有結合で互いに結合した複数のアミノ酸で構築された分子を意味する。 「融合」ポリペプチドとは本質的に、ウイルス外被タンパク質中に組み込まれたポリペプチドであり、融合はウイルス外被タンパク質と対象のポリペプチドとの間で生じる。 融合により対象のポリペプチドはウイルス外被タンパク質中に、有利にはそのドメイン間に組み込まれるか、または該ポリペプチドがウイルス外被タンパク質の一端に配置され末端融合体を形成する。 ポリペプチドは「異種」ポリペプチドと称され、そのポリペプチドが挿入されるウイルス外被タンパク質に対して異種であることを意味する。 しかしながら、異種ポリペプチドを、そのウイルスの別のポリペプチドから誘導することも可能である。

    1つの意味においては、本明細書では、ポリペプチドは、構造またはサイズの違いを意味することなしに「タンパク質」と交換可能に使用される。 実質的には、構造ポリペプチド、酵素活性を有するポリペプチドおよび結合活性を有するポリペプチド(抗体や抗体フラグメントを含む)を含めて、いかなるポリペプチドも本発明の方法によって選択され得る。 切断部位はポリペプチド中に存在することができ、天然に存在するものでも、またポリペプチド中もしくはポリペプチドに結合されたリンカーペプチド中に遺伝子操作で導入されてもよい。 「ポリペプチド」はまた、本質的に折りたたまれていないポリペプチドであって、かつ切断部位をコードしこの部位をウイルスの外被タンパク質中に挿入するように機能する挿入ポリペプチドも意味する。 挿入ポリペプチドは、N-末端またはC-末端融合体の形を取ってもよく、または外被タンパク質自体の一部を形成してもよい。

    「切断部位」とは、切断剤にさらされた際に切断され得る部位である。 本発明においては、プロテアーゼ切断部位(プロテアーゼで切断可能な部位)の使用が好ましい。 プロテアーゼ切断部位は、本発明のポリペプチドの一部となってもよく、またはその内部に組み込まれていてもよい。 他には、切断部位はウイルスの外被タンパク質中に独立して組み込まれていてもよい。 切断部位の特徴は、本発明に従う特異的挿入の部位以外にはウイルス中に切断部位が存在しないこと、または切断のために接近不能であること、または感染を媒介するためのウイルス粒子の集合(assembly)の後に必要とされないウイルスタンパク質中にのみ存在すること、のいずれかである。

    本発明によれば、切断部位は、ウイルスの任意の好適な位置に挿入または存在させることができる。 しかしながら、有利には、切断部位は外被タンパク質自体の中または融合タンパク質の一部を形成する異種ポリペプチドの中に挿入するかまたは存在する。

    本発明の好ましい態様においては、2以上の切断部位を使用してもよい。 例えば1つの部位が、ウイルス中に挿入されているかまたは存在することが知られていて、もう1つの部位が、知られていないかまたは異種ポリペプチド配列のランダム化に依存していてもよい。 特に好ましい実施形態においては、切断部位はプロテアーゼ切断部位および1以上のアミノ酸の側鎖を介して形成された結合(ジスルフィド結合など)を含み得る。 ジスルフィド結合は、DTTまたはβ-メルカプトエタノール等の還元剤によって切断される。

    ウイルスがジスルフィド結合を含む場合には、2つのシステイン残基(それらの側鎖を介してジスルフィド結合を形成する)の間に配置されたプロテアーゼ切断部位の切断は、ウイルス感染性の喪失にはつながらないであろう。 なぜなら、ジスルフィド結合はウイルスポリペプチドの共有結合を保持し得るからである。

    このように、本発明はさらに、ポリペプチド中のジスルフィド結合の存在を同定する方法を提供する。

    逆に、ジスルフィド含有ポリペプチドの選択が望まれていない場合には、ウイルスを、タンパク質加水分解の前または後に還元剤で処理して、プロテアーゼで切断されてはいるがジスルフィド結合によってまだ保持されているウイルスに起因するバックグラウンドを取り除くことが有利である。

    融合ポリペプチドは、1以上の異種ポリペプチドを含み得る。 末端融合体の場合には、1つのそのような異種ポリペプチドは、タンパク質タグとして機能し、融合タンパク質を発現するファージの同定を可能にし得るものである。 かかる場合には、切断部位を、タグの内部または近傍に配置し、切断部位の切断によりタグが遊離するようにしてもよい。

    タグは、本発明の方法によってウイルスを単離するために使用できるリガンドに対する結合能を有する、どのような適当な化学種であってもよい。 従ってタグは、本発明の方法で使用される切断剤に対して抵抗性である。 タグ/リガンド対の例としては、バルナーゼ(barnase)/バルスター(barstar)、アビジン/ビオチン、抗体または抗体フラグメントとリガンド、キレート基とキレート(例えば金属)等が挙げられる。

    以下により詳細に記述される本発明の全ての実施形態において、切断されていないポリペプチドが選択の対象となり、切断されたものは選択ステップにおいて廃棄される。

    好ましくは、本発明のウイルスは、異種ポリペプチドのレパートリーをコードする。 レパートリーとは、ランダムな様式で、または部分的にランダム化された様式で互いに僅かに異なるメンバー(好ましくはポリペプチド)の集合体である。 好ましくは、ポリペプチドのレパートリーは、ランダム変異または部分的にランダム化された変異を好ましくは組み込んだ変異体ポリペプチドの集合体である。 本明細書においては、レパートリーは好ましくは10 4以上のメンバーから成る。 レパートリーは、膨大な数のメンバー(典型的には10 8 〜10 11の間、そして可能性としては10 14またはそれ以上)を含むことが有利である。

    異種ポリペプチドまたはそのようなポリペプチドのレパートリーは、外被タンパク質中に組み込まれることによりそれをコードするウイルスの表面に、またはそのウイルスを感染させた細胞の表面に、有利に展示される。 ウイルスがバクテリオファージである場合には、タンパク質はまた、そのバクテリオファージを感染させた細菌の表面上に展示され得る。

    切断部位は、有利には、異種ポリペプチド中またはそれに隣接して配置され、その結果、切断部位はその異種ポリペプチドの折りたたみにより保護され、そして、正しく折りたたまれ得る異種ポリペプチドを選択できるようになっている。 しかしながら、他にも、切断部位は、異種ポリペプチドから離れて配置され得る。 そのような実施形態においては、切断部位は、ファージ展示技術におけるバックグラウンドを減少させるように機能し得る。 例えば、ポリペプチドのレパートリーをコードするファージミドとともに使用されるヘルパーファージに切断部位を導入すると、宿主細胞への感染の前に切断することによりヘルパーファージを除去することが可能となる。 したがって、「空の」ファージに起因するバックグラウンドが劇的に減少する。 故に、有利には、切断部位はウイルス外被タンパク質中に組み込まれている。

    本明細書において言及するとき、ファージミドとは、ウイルス複製配列を含んでいるが少なくとも1つのウイルス機能を欠失しているプラスミドクローニングベクターである。 これは、ファージミドは従来の核酸導入技術によって宿主細胞中に挿入されて、宿主細胞中でエピソーム状態で存在するであろうが、それらはウイルス粒子へと集合してウイルスの感染サイクルを完結することはできない、ということを意味する。 ヘルパーファージは、欠損ウイルス機能を供給し、ファージミドがウイルス粒子へとパッケージングされることを可能にするために使用される。 本発明によれば、ファージミドは、切断部位を組み込んだ異種ポリペプチドを有する外被タンパク質融合体をコードし得る。

    ヘルパーファージは、ファージミドのウイルス粒子へのパッケージングを可能とするために、ファージミド中で欠失しているウイルス機能を提供する。 本発明によれば、ヘルパーファージが切断剤(プロテアーゼ等)により切断され得るものとするために、ヘルパーファージを改変し得る。 本発明の一態様においては、ヘルパーファージには、「レスキューされた」子孫ファージにおいて切断されたとき、ヘルパーファージ由来の外被タンパク質が感染を媒介できないようにする切断部位を有する外被タンパク質を組み込んでもよい。

    前述のことから明らかなように、本発明の方法においては、切断に抵抗性であるウイルスが選択される。 有利には、抵抗性のウイルス粒子は、感受性宿主細胞(細菌宿主細胞等)の感染によって選択されるであろう。 切断されたウイルス粒子は感染性を失っている。 他には、リガンドに対するウイルス粒子の結合(例えばタグを介するもの)が、ウイルス中の切断部位の保護に依存し、その結果切断されたウイルスはリガンド/タグ結合によって単離されない。

    プロテアーゼ部位を有するファージの切断。 ファージをKM13(pHEN1, A + B)またはVCSM13 (pKl, C + D)によりレスキューして調製した。 切断されなかったもの(A + C)またはトリプシンで切断されたもの(B + D)を示す。 5μl、2.5μlおよび1μlのファージを図示したようにロードした。 分子量マーカーをkDで示す。

    ファージミドベクターpK1およびpK2。 これらのベクターは、ファージp3タンパク質のD2とD3の間にプロテアーゼ切断可能な配列を含有する。 pKlではD2 + D3がフレーム内にあり、pK2ではD3がフレームの外にある。

    バルスターへのファージ−バルナーゼの結合。 種々の融合タンパク質を展示するファージを、ビオチン化バルスターと共にインキュベートし、ストレプトアビジンで被覆したプレート上に捕捉し、そしてELISAで検出する。 a)バルナーゼ突然変異体A、b)バルナーゼ突然変異体B、c)ビリン、d)ファージなし。

    ファージ融合タンパク質の温度変性。 ファージミドを、KM13によりレスキューし、所定の温度においてインキュベーションおよびトリプシンによる切断を行なった後の感染力(TU/ml)を示す。 ビリンサブドメイン(三)、バルナーゼ突然変異体A(ひし形)、バルナーゼ突然変異体B(四角)、pHEN1−クロラムフェニコール耐性体(丸)との融合。

    fdベクターであるfd-3。 適切なオリゴヌクレオチドを用いるPCR増幅の後に、制限部位ApaLI(バルナーゼの5'末端にある)およびNotIを使用して、バルナーゼのH102A突然変異体の遺伝子をfd-DOG [43]中にサブクローニングして導入し、fd-3を構築する。

    ファージ表面上におけるStoffel断片の展示に使用されたファージミドベクターのマップ。 星印は、ライブラリーIおよびIIにおいて少なくとも部分的にランダム化されている配列を示す。

    詳細な説明
    本発明は、基本的な方法論を応用することが望まれている、意図された手法に従って、いくつかの方法で構成され得る。 ファージ展示技術におけるバックグラウンドを減少させるために、ビリオンの選択的切断を用いる。 異種ポリペプチドを含まないか、または正確な折りたたみが可能でない異種ポリペプチドを発現するファージを切断して除去することにより、ファージ展示法の感度を実質的に増加させ得る。 下記の実験の部で示されるように、本発明の方法論を用いると、ファージ展示は、従来法による展示技術では選択しにくいポリペプチドを選択するために使用される。

    第一の構成においては、ビリオン外被タンパク質中の切断部位の切断を利用して、異種ポリペプチドを展示しないファージ、または正しく折りたたまれない異種ポリペプチドを展示するファージに起因するバックグラウンドを減少させ得る。 展示されたポリペプチドの切断は、本発明によれば、ウイルスの宿主細胞への感染を損なう結果となる。 このように、切断剤にさらしたウイルスを増殖させることにより、切断に抵抗性する展示されたポリペプチドを含むビリオンについて該ウイルスを富化できる。 本明細書では、「損なう」とは、減少することを意味し、それ故に、影響を受けたウイルスによる宿主細胞への感染を、一部分だけまたは完全に妨げることを含む。

    外被タンパク質は、ウイルスを保持する宿主細胞中で、またはウイルス自体の表面で切断剤に利用され得るという理由に基づいて切断部位として選択される。 かくして、好ましい実施形態においては、切断可能な外被タンパク質を有するビリオンを宿主細胞への感染を媒介できなくするために、ウイルス調製物を切断剤で処理することができる。 あるいは、ウイルスを感染させた細胞は、その細胞内で働いている切断剤で処理してもよく、それにより、切断可能な外被タンパク質を有するウイルスのパッケージングが阻止されるであろう。

    本発明によれば、選択への言及は、スクリーニングへの言及であると解釈され得るが、それは、当業者には明らかであるように、同じ方法をファージのスクリーニングに使用し得るからである。

    切断部位は、もともと外被タンパク質の一部であってもよいが、好ましくはそれらは外被タンパク質内に遺伝子操作により導入される。 好ましい切断部位にはプロテアーゼ切断部位が含まれ、それらはポリペプチド中に見出されるか、またはその配列の必要不可欠な部分として遺伝子操作により導入される。 典型的には、プロテアーゼ切断部位は、プロテアーゼによる切断を受けやすいアミノ酸配列によって規定され得る。 例えば、本発明は、プロテアーゼであるトリプシン(Lys, Argで切断)、キモトリプシン(Phe, Trp, Tyr, Leu)、サーモリシン(小さい脂肪族残基)、ズブチリシン(小さい脂肪族残基)、Glu-C(Glu)、第Xa因子(Ile/Leu-Glu-Gly-Arg)、Arg-C(Arg)およびトロンビン、の1種以上によって切断され得るプロテアーゼ切断部位の使用を含む。

    プロテアーゼ切断部位は、切断部位を含む付加的なポリペプチドと外被タンパク質との融合体を構築することにより、ウイルスの外被タンパク質中に組み込み得る。 付加的なポリペプチドは、ウイルス外被タンパク質中のある位置に挿入して、機能性のウイルスキャプシドの集合とその後の感染を可能とするが、切断された場合には感染能力が損なわれるようにすべきである。

    従って、外被タンパク質中に組み込まれたプロテアーゼ切断部位が切断されないまま残った場合には、ウイルスは機能性ビリオンへと集合することができ、宿主細胞へ感染する能力を保持している。 しかしながら、プロテアーゼ切断部位が切断されると、ウイルス外被タンパク質の構造は壊され、ウイルスは、宿主細胞に感染する能力の少なくとも一部を失うであろう。

    好ましい実施形態においては、本発明で使用するウイルスは、バクテリオファージ、好ましくは糸状バクテリオファージである。 糸状バクテリオファージは、ファージ展示技術において、ポリペプチドの大規模なレパートリーをコードするファージライブラリーからポリペプチドを選択するために幅広く使用されている。 通常は、ポリペプチドのレパートリーは、糸状バクテリオファージのp3タンパク質中に挿入されるが、他の好適ないずれの部位も本発明の範囲内で用いられ得る。

    糸状バクテリオファージのp3タンパク質の場合には、該タンパク質は3つのドメインから成る。 N-末端のD1は、tolA受容体への結合に関与し、D2はF-繊毛への結合(および感染の媒介)に、D3は該タンパク質のファージ粒子への固着(anchoring)に関与する。 ペプチドおよびタンパク質は、感染性を破壊すること無くドメイン境界に挿入できるが[21, 22]、全てのドメインの存在がファージ感染性に関して必須である[23]。 バクテリオファージはタンパク質加水分解に対して抵抗性である(「基質」ファージとしてのその使用を可能にする[19])が、プロテアーゼ切断部位を含むポリペプチドのp3(例えば、ドメイン間接合部への導入は、タンパク質加水分解の際のファージの感染性の低下へと至らせる。

    プロテアーゼ切断部位を、異種ポリペプチド中に組み込んでもよい。 上記の通り、異種ポリペプチドは、ファージライブラリー中のレパートリーの形態でコードされ得る。 折りたたまれたポリペプチドまたはタンパク質は、しばしばタンパク質加水分解に対して抵抗性であり、そしてほぐされたタンパク質は感受性であるので、切断のためには、ポリペプチド鎖がプロテアーゼ活性部位の特定の立体構造に結合し、適応する必要があり、それ故に、フレキシブルかつ接近可能であり、部分的なほぐれ(unfolding)が可能である必要がある[14, 15]。 p3のドメイン接合部にプロテアーゼ切断部位を含むポリペプチドをクローニングし、続いてタンパク質加水分解を行うことが、タンパク質加水分解に抵抗性で折りたたまれたタンパク質を担持するファージの選択手段を提供する。

    ファージミドベクター上にコードされたファージ展示ライブラリー(選択すべきポリペプチドはp3のN-末端にクローン化されている)の場合には、ドメイン境界にプロテアーゼ切断部位を含むポリペプチドを含有するヘルパーファージを使用し、続いてタンパク質加水分解を行うことが、「ヘルプ」の提供された後でヘルパーファージを除去することによる、融合タンパク質を展示するファージの選択手段を提供する。

    プロテアーゼ切断可能なヘルパーを使用し、続いてプロテアーゼ切断を行うことにより、融合タンパク質を担持するファージ(および良好な展示)が選択される。 レパートリー中の多くのファージは融合タンパク質を展示せず[26]、またこれらはファージの非特異的結合の一因であるので、これはまた、選択効率を改善するはずである。 従来技術を用いた場合には、ファージライブラリー中の全ファージ粒子の僅か0.1〜1%のみが、ファージミドに由来する遺伝子3タンパク質を含むにすぎない。 従って、選択に用いた固相支持体に非特異的に結合したファージ粒子の大多数(99〜99.9%)は、ヘルパーファージ由来のp3を含有しており(ファージミドDNAである可能性が大きいファージ粒子に担持されたゲノムに関係ない)、これらの粒子はタンパク質加水分解切断により非感染性とされる。

    第三の実施形態によれば、この選択法は、相互作用性のタンパク質エレメントの同定のために使用し得る。 プロテアーゼ切断部位を有するポリペプチドによって結合された2つの該エレメントが、ファージ上の展示のためにD2ドメインとD3ドメインとの間にクローン化されると、タンパク質加水分解後に感染性であるファージは、相互作用性タンパク質エレメント間の非共有結合性相互作用により、D2ドメインとD3ドメインが一緒に保持されているファージのみである。 従って本発明は、選択されたポリペプチドまたは第二のポリペプチドのレパートリーとの相互作用能力に関して、ポリペプチドのレパートリーを選択することを可能とする。 2-ハイブリッド系とは異なり、本発明は、非相互作用性エレメントの解離を当てにしており、選択ステップにおける相互作用性エレメントの会合とははっきりと区別される。 さらに、本発明は、選択の度合いを著しく増加させるためにファージ展示の力を利用することを可能とする。

    本発明は、場合により、切断部位を切断するにあたって、切断剤の存在下で切断部位の不安定さをモジュレートする条件や薬剤を使用することを含む。 このアプローチは、例えば切断剤による接近から切断部位を厳重に保護するような様式で折りたたまれているポリペプチドのみを選択する目的で、切断を強化するために、または、例えば切断条件下で通常は比較的不安定であるポリペプチドのレパートリーから安定な変異体を選択する目的で、切断を弱めるために使用し得る。

    例えば、切断部位の不安定さのモジュレーションは、かかる不安定さを増加または減少させる薬剤の使用によって実現される。 こうして、タンパク質変性剤を、好適な濃度で、ポリペプチドを脱安定化しかつより不安定なものとするために加えてもよい。 あるいは、ポリペプチドに対するリガンドを加えてもよい。 リガンドは、折りたたまれたポリペプチドの構造を安定化させ、切断に対する感受性を減少させ得る。 あるいは、リガンドは、例えば別の立体配置をとることを支持することにより、ポリペプチドの折りたたまれた構造を脱安定化し得る。 これにより、ポリペプチドを切断剤に対してより接近しやすいように、それ故により不安定にすることができる。

    更なる実施形態においては、切断工程の条件をいろいろに変えることができ、例えば、同様の効果をもたらすために、切断を行うpHまたは温度を操作する。 こうして、切断部位を含むポリペプチドの至適pH値からpHを逸脱させると、切断部位が切断剤に対してより接近しやすくなる。 同様に、ポリペプチドの切断を行う条件の温度を上げる(または下げる)と、ポリペプチドが切断をより受けやすくまたはより受けにくくなる。

    いくつかの場合においては、切断部位の切断が成功した後であっても、非共有結合的相互作用が原因で、ペプチドがその構造を保持し、外被タンパク質が依然として生存している。 変性剤の使用、温度の変化および他の脱安定化させる可能性のある技術もまた、切断されたポリペプチドがその構造を保持する可能性を減少させるために使用し得る。

    タンパク質の折りたたみについての、タンパク質加水分解による選択は、数多くの領域で応用され得る。 それは、従来のスクリーニング法よりも遥かに膨大な数のタンパク質を処理できるからである。 例えば、安定性が向上した変異体タンパク質[1]を、例えばいくつかの部位の残基を同時に変化させた変異体のコンビナトリアルライブラリー[39, 40]から、またはランダム変異体から、または組換え[3, 4]により単離することが可能となる。 また、新規タンパク質および構造を、多数の配列のレパートリー[16〜18, 41]から単離することが可能であり、そして、抗体の親和性の成熟化に酷似した、突然変異および次第に高いストリンジェンシーの選択を数ラウンド行って、折りたたみの安定性を向上させることも可能となる。

    本発明の第二の構成は、正確に折りたたまれた異種ポリペプチドの単離を可能とするためのタグの使用に関する。 これは、正確に折りたたまれたポリペプチドの、結合したタグ上またはその近傍にある切断部位を保護する能力を利用するものである。

    ウイルス外被タンパク質のN-末端に融合された安定なタグと、外被タンパク質自体との間にポリペプチドを挿入し、続いて切断することは、タンパク質加水分解に抵抗性する折りたたまれたタンパク質を担持するウイルスの選択手段を提供する。 こうして、挿入ポリペプチドが分解されていないビリオンのみが、その外被の一部としてタグ融合体を保持し、そしてそれ故に、これらのビリオンのみが、該タグを用いたアフィニティー精製により捕捉される。 リガンドからアフィニティー捕捉された相を溶出させた後、これらのファージを増殖させ、同じ選択手順の更なるラウンドに付すことができる。

    あるいはまた、ビリオンを切断の前に、タグに対するリガンドを含むアフィニティーマトリックスに結合させることができる。 続いて切断剤を添加すると、抵抗性ファージのみがマトリックス上に残存する。 その後、これらを必要に応じて溶出させる。

    好適なマトリックスには、タグに対するリガンドを結合させたカラム、ビーズ、および他の表面が含まれる。

    本発明によれば、選択への言及は、スクリーニングへの言及として解釈し得る。 なぜなら、当業者には明らかであるように、同じ工程をファージのスクリーニングのために使用し得るからである。

    切断部位は実質的に、本発明の前の構成において記述した通りであり、プロテアーゼ切断可能な部位であることが有利である。

    切断のためには、ポリペプチド鎖が、プロテアーゼ活性部位の特定の立体構造に結合し適応することが必要であり、それ故に、フレキシブルで接近可能であり、部分的なほぐれが可能である必要がある[14, 15]。 折りたたまれたポリペプチドまたはタンパク質は、その構造が相対的にフレキシブルではないためタンパク質加水分解に対して抵抗性であることが多いが、その一方でほぐされたタンパク質は感受性のままである。

    上述の通り、改変または突然変異を介して本発明で使用する特定のプロテアーゼのいずれの認識配列も含まないポリペプチドを、レパートリーから選択することが起こり得るが、これは2つの方法で回避し得る。 例えば、全く異なる認識配列を有するプロテアーゼのカクテルの使用により、折りたたみの状態により保護されていない場合は、全てのポリペプチドが確実に切断されるであろう。 あるいは、選択されるべきポリペプチドのファージレパートリーは、挿入ポリペプチドがほぐれるがファージとN-末端タグは無傷のままであるように、部分的に変性することができるだろう。 タンパク質加水分解と、その後のアフィニティー精製により、ポリペプチド中のプロテアーゼ認識配列の欠如によりタンパク質加水分解から逃れた、全てのファージがレパートリーから除去されるであろう。 樹脂に結合しなかったファージには、展示されたポリペプチド中にプロテアーゼ認識配列を含み、かつ非変性条件下ではタンパク質加水分解を回避するかまたは回避しないファージのみが含まれる。 こうして、これらを、展示されたポリペプチドの折りたたみの状態による保護に基づいた、タンパク質加水分解選択に付すことができる。

    選択工程はまた、相互作用性タンパク質エレメントの同定にも使用し得る。 従って、プロテアーゼ切断部位を有するポリペプチドによって結合した2つのエレメントが、タンパク質加水分解に対して安定な、ファージ上の展示のためのN-末端タグと外被タンパク質との間にクローン化された場合には、タンパク質加水分解の後でタグへのアフィニティー結合を介して捕捉され得るファージは、相互作用性タンパク質エレメント間の非共有結合性相互作用によってタグとp3タンパク質が一緒に保持されているファージのみである。

    本発明を以下の実施例においてさらに説明するが、実施例は例示にすぎない。

    実施例1
    糸状ファージのタンパク質加水分解に対する抵抗性
    実施例1〜6についての「材料および方法」を、実施例6の最後に添付する。

    ファージを一連の変性条件下、in vitroでインキュベートし、続いて細菌感染の直前に非変性条件に戻した。 10 M尿素中、または極値的なpH(pH 2程度に低いか、pH 12程度に高い)および極値的な温度(60℃の高さ)でのファージのインキュベーションは、感染力の重大な低下につながらなかった(表1)。 これは、ファージが変性条件に抵抗すること、またはほぐれてもすぐに再び折りたたまれうることのいずれかを示す。 しかし、GndHClを用いると、ファージの感染力が、5 M以上で1/5に低下し、8 Mではさらに1/5に低下するのが観察される(表 1)。

    続いてファージを、非変性条件下、異なる特異性を有する数種のプロテアーゼ(トリプシン、第Xa因子、IgAプロテアーゼ、Asp-N、キモトリプシン、Arg-C、Glu-C、トロンビン、サーモリシン、ズブチリシン)とともにインキュベートする。 p3タンパク質を切断することが報告されているズブチリシン[24]の場合を除いて、感染力の低下は見られなった。 トリンプシンなどのプロテアーゼの存在下、尿素3.5 M(または47℃以上)の変性条件下でファージをインキュベートすると、感染力が低下する。 これは、変性条件下においては、ファージ外被タンパク質が、タンパク質加水分解されうる部位を作るのに十分なまでにほぐされたことを示す。

    実施例2
    プロテアーゼ切断部位を有するファージの構築
    いくつかのタンパク質加水分解部位を含む配列(PAGLSEGSTIEGRGAHE)を、ファージp3のD2とD3ドメイン間のグリシンに富んだフレキシブルな領域に挿入する。 ファージ(fd-K108)を非変性条件下において、トリプシン、サーモリシンまたはズブチリシンとともにインキュベートすると、今回は感染力がほぼ完全に喪失し(10 7 TU/mlから10 TU/ml未満になる)、Glu-Cおよびキモトリプシンとともにインキュベートすると、感染力の重大な低下がもたらされる(10 7 TU/mlから10 4 TU/mlになる)。 このことは、これらのプロテアーゼが新たなリンカーを切断することを示す。 しかし、第Xa因子、Arg-Cまたはトロンビンとともにインキュベートしても、これらの酵素に対する切断部位となりうる部位が存在するにもかかわらず、感染力の低下にはつながらなかった。 おそらく、本発明のポリペプチドの場合、D2およびD3ドメインの存在がこれらの酵素の接近または切断をブロックするのだろう。

    実施例3
    プロテアーゼで切断可能なヘルパーファージおよびファージミドの構築
    タンパク質のp3への融合は、該タンパク質のファージ上への多価性の展示をもたらすはずである。 しかし、タンパク質をファージミド(pHEN1など[25])によってコードされるp3に融合し、ファージミドを担う細菌をヘルパーファージ(VCSM13など)でレスキューする場合、該融合タンパク質はファージへの取り込みについてヘルパーp3と競合しなければならない。 このことにより、各ファージ粒子に結合した融合タンパク質のコピー数が通常1つ未満である、いわゆる「単量体性(monomeric)」ファージがもたらされる[26]。
    「単量体性」ファージの使用は、高親和性相互作用の選択に対して有利であると期待できるかもしれない。 さらに、「単量体性」ファージ内の融合タンパク質は、融合タンパク質の多量体間の相互作用が避けられるので、タンパク質加水分解を受けやすいはずである。 しかし、不利な点は、感染性ファージの大部分がタンパク質を展示しないことである。 固相に非特異的に結合するこのようなファージは、各ラウンドごとのファージ増殖の間に増幅される。

    従って、D2ドメインとD3ドメインの間にプロテアーゼ切断可能な配列を導入してヘルパーファージKM13を作成することにより、プロテアーゼで切断可能なヘルパーファージを構築する。

    表 1 種々の条件下における野生型fd-DOGの安定性感染力(TU/ml x 10 10 )が測定され(「材料と方法」を参照)、それは約±6%の推定誤差を有する。

    KM13は、ファージミドpHEN1をレスキューすることが示されている。 さらに、ウェスタンブロットおよび抗D3mAbでの検出によって示されるように(図1)、トリプシンはレスキューされたファージのp3の主部分(約50%)を切断することが示されている。 しかし、ファージの感染力は切断によってはほとんど変化せず、このことから、細菌感染を媒介するためには、p3の一部のみが完全な形であればよいと思われる。

    KM13はまた、1本鎖抗体フラグメントをコードするpHEN1ファージミドをもレスキューすることが示されている[27]。 ここで、トリプシンによる切断はファージの感染力を1/50に低下させ(データは示さない)、これはヘルパーファージでレスキューする場合には該ファージのほんの一部が融合タンパク質を発現するにすぎないという指摘[26,28]と一致する。

    また、プロテアーゼで切断可能なファージミドを構築する。 該ファージミドはKM13またはVCSM13でレスキューできる。 予想されたように、KM13(VCSM13ではない)でレスキューされたこのファージミドの感染力は、トリプシンで破壊される。 このファージミドベクターは、D2-D3リンカーにおいて欠失を起こしやすい。 リンカー領域におけるコドン使用頻度をプロテアーゼ切断部位の両側で変化させ、かつこれらのリンカー領域の長さを短縮することによって、より安定なベクターを構築する(pKl; 図 2)。 第2のベクター(pK2; 図 2)においては、D3をフレームの外に置くようにポリリンカーの配列を配置して、ポリリンカー内に再ライゲートされたものを非感染性にする。

    実施例4
    プロテアーゼで切断可能なヘルパーファージを用いたファージ抗体ライブラリーの構築
    細菌を、p3のN末端に融合したscFVフラグメントのレパートリーをコードするファージミドDNAとともにエレクトロポレーションにかけ、液体培地(2xTY、ファージミドを含有する細菌を選択するための抗生物質、および遺伝子3の発現を抑制するためのグルコースを含む)中で増殖させる。 細菌増殖の中間対数増殖期(OD600 = 0.5)で、ヘルパーファージKM13を、ヘルパーファージと細菌の比が20:1になるように細菌に添加した。 細菌を振とうさせることなく45分間、37℃にてインキュベートし、次の45分間は振とうさせてインキュベートした。 細菌を遠心によって回収し、ファージミドDNAの存在について選択するために、50μg/mlのカナマイシンおよび抗生物質を含有するがグルコースは含有しない新鮮な培地に再懸濁する。 この培養物を振とうしながら30℃で一夜増殖させる。

    遠心によりファージを含有する上清から細菌を取り除く。 1/5容の20% PEG/2.5M NaClを添加することにより、上清からファージを沈殿させる。 4℃にて1〜2時間経過後、沈殿したファージを遠心により回収する。 該ファージをPBS中に再懸濁して(2回目のPEG沈殿は任意である)選択に使用することができる。

    ファージのライブラリーを抗原に結合できるようにする(該抗原はイムノチューブなどの固相支持体上に固定化されるか、または溶液中にあって、ファージ抗体のアフィニティー結合後に固定化され得るタグを付した(すなわちビオチン化した)抗原に結合する)。 未結合のファージは、徹底的に洗浄することによって取り除く(洗浄のストリンジェンシーは時間および添加する界面活性剤によって変更できる)。

    該抗体と遺伝子3の間に挿入された、c-mycタグなどの切断可能なタグを含むファージライブラリーは、0.1〜1 mg/mlの濃度で溶解したトリプシンを添加することによって溶出することができる。 (抗体と遺伝子3の間に切断可能な配列をもたないファージライブラリーは100mMのトリエチルアミンを添加することによって溶出することができる。この場合、該溶液を1M Tris-HCl pH 7.4を添加して中和し、10分後にトリプシンを最終濃度が0.1〜1 mg/mlになるように添加する。)トリプシンはまた、ヘルパーファージ由来の遺伝子3のコピーも切断するが、一方、ファージミド由来の遺伝子3は無傷のまま残る。 従って、抗体融合体を担持していたファージ、または抗体融合体をなお担持しているファージのみが感染性となる。

    ファージを用いて中間対数増殖期(OD600 = 0.5)の細菌に感染させ、該細菌をファージミドDNAを選択する抗生物質を含有する寒天プレートで培養する。 個々のクローンを取り、上記のようにファージを調製した。 得られたファージをELISA中で用いて、目的の抗原に特異的に結合するファージ抗体を同定する。

    実施例5
    モデルとしてバルナーゼ(barnase)を用いた折りたたみの選択
    バルナーゼは110個のアミノ酸残基からなる小さなRNaseであり、その折りたたみについて詳細に研究されている(検討のためには[2])。 バルナーぜは複数のトリプシン切断部位を有するが、その折りたたまれたタンパク質は切断に抵抗する(データ示さず)。 従って、D2とD3の間にバルナーゼをクローン化したファージは、プロテアーゼ切断に抵抗し、選択可能である。

    バルナーゼは大腸菌にとって有毒なので、触媒として不活性であるが安定な[29,30]突然変異体A(Hisl02→Ala)をファージミドpK2中にクローン化する。 安定性のより低い突然変異体B(His102→Ala, Leul4→Ala)もまたクローン化する。 Leul4は疎水性コア中に埋もれており、その突然変異はコア中に大きな空洞を作り出して様々な構造要素のパッキングに影響を及ぼす[31]。 ファージ(KM13でレスキューされたもの)は、ELISAによって阻害剤バルスター(barstar)に結合し (図 3)、そのため、突然変異体バルナーゼを折りたたまれた形態で展示する。

    次に、該ファージを一連の温度で、トリプシンとともにインキュベートする(図4)。 10℃でインキュベートした後、突然変異体の双方においてファージ感染力が1/5〜1/10に低減し、これは(上記のscFVフラグメントの展示と同様に)ほんの一部のファージが融合タンパク質を展示するにすぎないことを示唆している。 30℃(突然変異体Bに関して)または37℃(突然変異体Aに関して)までの切断ではさらなる感染力の低下はなかった。 双方の場合において、主な移行(トランジション)は、突然変異体の可逆的な熱によるほぐれ(unfolding)について期待されるものより、少なくとも10℃低い温度でおこる。

    ファージAおよびBを異なる割合で混合し、トリプシンとともに、突然変異体の双方が切断に対して安定である20℃にて、またはAのみが安定であるような37℃にてインキュベートする。 「タンパク質加水分解による選択」のあと、該ファージをプレートし、PCRで分析する。 その後、突然変異体を識別するために制限消化を行う。 表2に示すように、突然変異体Aは、37℃でのタンパク質加水分解選択の1ラウンドの後に1.6 x 10 4倍に濃縮され、2ラウンドの後に、1.3 x 10 6倍に濃縮される。 20℃では、濃縮は全く認められない。

    実施例6
    モデルとしてビリン(villin)を用いた折りたたみの選択
    f-アクチン-束形成タンパク質であるビリン[32]のヘッドピース(headpiece)ドメインの35アミノ酸からなるサブドメインは、バルナーゼよりもずっと小さい。 それにもかかわらず、該サブドメインは室温で安定な折りたたみを形成し、タンパク質加水分解に抵抗する。 さらに、その安定性はジスルフィド結合または結合リガンドに起因するものではない[33]。 該ビリンサブドメイン(潜在的トリプシン切断部位をいくつか含む)をファージのD2とD3ドメインの間にクローン化し、種々の温度でトリプシンとともにインキュベートする。 感染力低下の様相はバルナーゼの場合ほどシャープではなく、主な移行(トランジション)は35℃以下であり、ビリンの熱によるほぐれ(70℃)よりもかなり低い[32,33]。 ビリンを展示するファージを、ファージミドpK1およびヘルパーファージKM13を用いて作製したファージと混合し、トリプシンとともにインキュベートする。 1ラウンドのタンパク質加水分解選択の後、ビリン融合タンパク質は8.7 x 10 3倍に濃縮される(表 3)。

    まとめると、実施例1および2から得られる結果は、ファージの感染力は温度、pH、尿素およびGndHCl、ならびにいくつかのプロテアーゼに対して比較的抵抗性があるが、プロテアーゼ切断部位を有するフレキシブルなリンカーをファージ外被タンパク質p3のドメインD2とD3の間に挿入すると、該ファージは切断されやすくなることを示す。 対照的に、実施例5および6に示すように、プロテアーゼ切断部位がバルナーゼまたはビリンのような折りたたまれたタンパク質ドメインを含有する場合、ファージは切断に抵抗する。 これにより、タンパク質折りたたみについてのタンパク質加水分解による選択が、1ラウンドの選択につき10 4倍以上の濃縮率で可能になる。 選択は、バルナーゼ(110アミノ酸からなる平均的サイズ[34]のドメイン)およびビリン(35アミノ酸からなる小さなドメイン)の双方に対して明白である。

    異なる安定性を有する構造間の識別は、タンパク質加水分解選択のストリンジェンシーを高めることによって達成できる。 従って、温度を上昇させると、バルナーゼおよびビリンの双方が切断を受けやすくなり、これはタンパク質がほぐれたことを反映している。 しかし、プロテアーゼ切断の主要な影響は、円偏光二色性(CD)によって測定するときに、ほぐれた状態への移行(トランジション)よりも低い温度で生じる[38]。 これは、ほぐれた状態への移行が完全に可逆的なプロセスである一方で、プロテアーゼによる(ほぐれた構造の)切断が速度論的かつ不可逆的な過程であり、折りたたまれた構造からほぐれた(そして切断される)構造への平衡が片側に寄るという事実を反映しているのかもしれない。 これは、CDによって見られるビリンのほぐれた状態への移行 [33]と一致し、35℃程度(ビリンがプロテアーゼの攻撃を受けやすくなり始めるのと同じ温度)の低い温度でほぐされた形跡がある。

    表2 バルナーゼ突然変異体の選択
    1:1〜1:10 8の比のバルナーゼ突然変異体(A+B)の混合物を37℃でのタンパク質加水分解によって選択した。 24個(または2ラウンドでは36個)のファージクローンを分析し、各突然変異体の数を上に記した。 a突然変異体の双方が安定であると思われる20℃での選択、 b選択前。

    表3 ビリンの選択
    ビリンファージとKM13でレスキューしたpK1を1:1〜1:10 6の比で混合したものを10℃でのタンパク質加水分解によって選択した。 24個のファージクローンを分析し、それぞれの数を上に記した。 a選択前。

    表4 プライマー配列

    材料および方法(実施例1〜6)
    材料
    全ての制限酵素、T4リガーゼは、New England Biolabsから取得したものである。 Taq DNAポリメラーゼは、HT Biotechnologyから取得したものである。 Pfu DNAポリメラーゼは、Stratageneから取得したものである。 Ultrapure dNTPは、Pharmaciaから取得したものである。 プロテアーゼおよびプロテアーゼ阻害剤Pefablocは、Boehringer Mannheimから取得したものである(ただし、TPCK処理したトリプシンおよびキモトリプシンはSigmaから入手した)。 他の全ての化学薬品は、同様にSigmaから取得したものである。

    ファージの調製
    ファージのクローニングおよび増殖には、大腸菌TG1[42]を用いる。 fd-DOG[43]またはその誘導体を有するTG1を、15μg/mlのテトラサイクリンを含有する2xTY中で一晩増殖させる。 [27]に記載の如く、KM13またはVCSM13を用いてファージミドをレスキューする。 2回のPEG沈降[44]により、ファージ粒子を調製する。

    ベクターの構築
    ファージベクターfd-DOG[43]を、プロテアーゼ切断可能なfd-K108の構築のための親ベクターとして用いる。 ユニークな制限部位(SfiI、KpnI)を、Sculptor in vitro 突然変異誘発システム(Amersham)およびオリゴヌクレオチドpkリンカーを用いて、D2とD3との間のグリシンに富むスペーサー領域中に導入する(表4)。 さらに、制限部位(ApaI、SalI)およびプロテアーゼ切断部位をコードする配列を、オリゴヌクレオチドpolyXaforおよびpolyXabackを用いてSfiIとKpnI部位との間にクローニングし、ベクターfd-K108を作製する。

    ヘルパーファージVCSM13中に、PCRならびにプライマーfdPCRBackおよびLIBSEQforにより作製したBamHI-ClaI断片を移植することにより、fd-K108からプロテアーゼ切断可能なヘルパーファージKM13を調製する。

    pCANTAB 3 (Pharmacia)を用いる以外は上記と同様に、fd-K108からプロテアーゼ切断可能なファージミドベクターを誘導する。 PCRならびにプライマーFlagprimerおよびLSPAbackにより作製したNotI-SfiI断片のクローニングにより、D1のN末端にFLAG-タグを導入する。 D2-D3リンカー中の反復配列に起因する欠失を防ぐため、ポリリンカー領域のコドンの出現頻度を2ステップで変える。 すなわち、(a)PCRならびにプライマーRECGLYforおよびLIBSEQforにより作製したBam-SfiI断片を用いて、PCRならびにプライマーLSPAforおよびLSPAbackにより組換え体をスクリーニングする、(b)PCRならびにプライマーRECGLYbackおよびLIBSEQbackにより作製したKpnI-ClaI断片を用いて、LSPAforおよびLSPAbackにより組換え体をスクリーニングする。 得られるベクターは、pK1である。 蛍光ジデオキシチェーンターミネーター(Applied Biosystems)[45]を用いるPCRサイクル配列決定法を用いて、p3遺伝子全体の配列を決定する。 オリゴdelCKpnおよびSculptor Amersham kitを用いる部位特異的突然変異誘発により、pK1から「フレーム外」ベクターpK2を誘導する。 pK1およびpK2の正確な配列は、Kristensenら、(1998) Folding & Design 3: 321-328に記載されている。

    バルナーゼ(barnase)およびビリン(villin)のクローニング
    プライマーBarnaseforおよびBarnaseH102AbackならびにPfuポリメラーゼを用いるPCR増幅のための鋳型として、単一バルナーゼ変異体、His102→AlaおよびLeu14→Ala[29, 46]をコードするベクターを用いる。 得られるPCR産物(単一変異体、His102→Alaをコードするものと2重変異体、His102→Ala、Leu14→Alaをコードするもの)を、制限酵素SfiIおよびKpnIを用いて消化し、ベクターpK2に連結し、それぞれファージミドpK2BAおよびpK2BBを得る。 得られるバルナーゼ遺伝子の配列を、PCRサイクル配列決定法により決定する。

    f-アクチン結合タンパク質ビリン[33]の頭部の35アミノ酸の熱安定性断片を、PCRプライマーvillinforおよびvillinbackならびにPfuポリメラーゼを用いて、ニワトリ滑液嚢cDNAから増幅する。 得られるPCR産物を上記の如くクローニングし、ファージミドpK2Vを得る。

    変性剤、pHおよびプロテアーゼに対するファージの抵抗性
    変性剤に対する抵抗性については、PBS(25 mM NaH 2 PO 4 、125 mM NaCl pH 7.0)中の10 M尿素、または8 M GndHCl(塩酸グアニジン)および50 mM Tris-HCl pH 7.4、1 mM CaCl 2 (バッファーA)を、10μlのファージ保存液(10 8 〜10 10 TU)に加え、容量を1 mlとする。 その条件は表1に明記してある。 ファージを1〜2時間インキュベートし、次いで100μlのアリコートを1 mlのTG1(OD600 約0.5)に加え、連続希釈物を、15μg/mlのテトラサイクリンを含有するTYEプレートで培養する。 極端なpH(2〜12)に対するファージの抵抗性については、TrisグリシンまたはTris HClバッファー(それぞれ0.1 M グリシンまたは0.1 M Tris)を、10μlのファージ保存液に加える。 各100μlのアリコートを中和するために、感染前に50μlの1 M Tris-HCl pH 7.4を加えた。 温度に対する抵抗性については、バッファーAを10μlのファージ保存液に加え、容量を1 mlとし、所与の温度(20〜60℃)で1時間インキュベートする。 100μlのアリコートをTG1に加え、上記の如く培養する。 プロテアーゼに対する抵抗性については、100 mM NaCl、50 mM Tris-HCl、1 mM CaCl 2 pH 7.4 (100 ng/mlのXa因子もしくはトリプシン、キモトリプシン、トロンビン、サーモリシンおよびズブチリシン、全て100μg/ml)または50 mM Tris-HCl、1 mM EDTA pH 7.4 (IgAプロテアーゼ 10 ng/ml)または50 mM NH 4 CO 3 pH 8.0 (Arg-C 100μg/ml、Glu-C 100μg/ml)または25 mM NaH 2 PO 4 、125 mM NaCl pH 7.0 (AspN 40 ng/ml)を、10μlのファージ保存液(fd-DOGおよびfd-K108)に加え、容量を100μlとし、プロテアーゼの最終濃度を示したとおりにする。 消化物を室温にて15分間インキュベートし、次いでサンプル(100μl)を上記の如くTG1に感染させる。

    変性剤の存在下におけるプロテアーゼに対する抵抗性については、尿素および温度変性に関して上記したようにサンプルを調製する。 90μlのアリコートに10μlのトリプシン(1 mg/ml)を加え、室温にて5分後、4μlのPefabloc(100 mM)を加えてサンプルを上記の如くTG1中に感染させる。

    ウェスタンブロット
    ファージ(KM13を用いてレスキューしたpHEN1およびVCSM13を用いてレスキューしたpK1)を、トリプシン(50 ng/ml)による切断の前後にSDS-PAGE[47]にかける。 PVDFメンブランに半乾燥移行した後のフィルターは、本質的に[27]に記載の如く処理する。 1次抗体、モノクローナル抗gIII(MoBiTec)を、1:5000の希釈率で加え、次いで抗マウスHRP結合抗体(Sigma)を1:50000の希釈率で加える。 最後に、ルミノールに基づくChemiluminescence Western Blottingキット(Boehringer Mannheim)を用いて、フィルターを現像する。

    ELISA
    RNase阻害剤バースター(barstar)への結合について、[44]に記載の如くファージ展示バルナーゼ変異体を分析する。 10 pmolのビオチン化バースターを、バルナーゼ変異体Aもしくはバルナーゼ変異体Bまたはビリンを展示する約10 10個のファージあるいはバッファーAと混合する。 バースターに結合するファージを、ストレプトアビジン被覆プレート(Boehringer Mannheim)上に捕捉し、HRP結合抗M13抗体(Pharmacia)および2,2'-アジノ‐ビス(3‐エチルベンズチアゾリン‐6‐スルホン酸)(Sigma)を用いて発色させる。 吸光度の読み取りは405 nmで行う。

    温度変性
    各温度で、バルナーゼ変異体またはビリンを展示する約10 10個のファージ(アンピシリン抵抗性)を、切断可能な対照fd-K108(テトラサイクリン抵抗性)および切断不可能な対照ファージミドであるKM13によりレスキューしたpHEN1のクロラムフェニコール抵抗性誘導体と、総容量90μlのバッファーA中で混合した。 示した温度にて20〜30分間平衡化させた後、10μlのトリプシン(5μg/ml)を加え、インキュベーションをさらに2分間続ける。 4μlの100 mM Pefablocを加えてトリプシンを中和する。 TG-1において、上記の如く感染および連続希釈を実施し、アリコートを、100μg/mlのアンピシリン+1%グルコース、30μg/mlのクロラムフェニコール+1%グルコース、または15μg/mlのテトラサイクリンを含有するTYEプレートで培養する。

    選択実験
    バルナーゼ変異ファージAの10μlの連続希釈液を、70μlのバッファーA中で10μlの非希釈バルナーゼ変異ファージBと混合する。 20℃または30℃で30分間インキュベートした後、10μlのトリプシン(5μg/ml)を加える。 2分の消化後、4μlのPefabloc(100 mM)を加える。 上記の如く、ファージをTG1に感染させる。 3 mlの2xTY中で細菌を擦り取って選択の第2ラウンドを実施し、その50μlを50 mlの2xTY/Amp/Glu中に接種して、上記の如くファージミドをレスキューし、ファージを調製する。 プライマーLSPAforおよびLSPAbackを用いるPCRによりクローンを分析し、次いでDdeIを用いて制限消化する。

    pK2VとpK1ファージ粒子との間の選択を、上記の如く実施する(ただし、選択を10℃で実施する)。 プライマーLSPAforおよびLSPAbackを用いるPCRによりクローンを分析する。

    実施例7
    シグナル配列の選択のためのプロテアーゼ切断可能ヘルパーファージの使用
    タンパク質の転位は、シグナルペプチドにより指令される[48]。 これらは、正に荷電したアミノ末端領域、疎水性配列、およびシグナルペプチダーゼ切断部位を含むカルボキシ末端領域などの共通の特徴を有することが知られている。 シグナルペプチドは、「タンパク質間相互作用およびタンパク質‐脂質相互作用のアレイ」に関与する[49]。 さらに、シグナルペプチドは、タンパク質の折りたたみ経路を妨げる可能性がある。 また、それらは、主として下流のボックスを介して翻訳の調節に関与している。

    DNAポリメラーゼなどの酵素は、ファージ粒子上にほとんど展示されず、そのことが酵素の選択をほとんど不可能にしている。 従って、ポリメラーゼを選択するためのファージの展示能力を改良するために、改良シグナル配列を設計し、ヘルパーファージの消化によって「空の」ファージバックグラウンドを排除するファージ展示技術を使用して選択する。

    ファージ上でポリメラーゼを最適に展示するためのシグナル配列の設計を達成するのは容易ではない。 そこで、選択の戦略を工夫して、選択した部位に突然変異が導入されているライブラリーからシグナル配列を単離する。 該シグナル配列はファージ上には存在しないが、ファージ粒子内にあるファージミドの配列を決定することによってその配列を獲得することは容易である。

    PCR増幅のために以下のオリゴヌクレオチドプライマーを使用して、pelBおよびg3リーダー配列から2つのライブラリーを作製する。

    制限部位HindIIIおよびNcoIを斜体で示してある。

    pelBリーダーから誘導されるライブラリーIおよびg3リーダーから誘導されるライブラリーIIは、それぞれプライマー1および2で増幅した4(pelB)のPCR増幅ならびにプライマー3および2で増幅した5(g3)のPCR増幅によって調製する。 各PCR産物をHindIIIおよびNcoIで消化し、ゲル抽出キット(Qiaquick、Qiagen)を用いて精製する。 0.2μgの得られるインサートをそれぞれ、ライゲーションのために、予めHindIIIおよびNcoIで消化し、アルカリホスファターゼ(Boehringer Mannheim)で脱リン酸化した約2μgのpHEN1-Stoffelベクター(図6)と混合する。 ライゲーション混合物を、フェノール‐クロロホルム抽出法およびエタノール沈降法により精製した後、新しく調製した大腸菌TG1中にエレクトロポレーションする。

    (i)シャイン‐ダルガルノ(Shine-Delgarno)配列のすぐ上流のイプシロン配列の近傍および内部、(ii)下流ボックス[50]の近傍および内部のシャイン‐ダルガルノ配列の下流、(iii)正に荷電したアミノ酸残基を含有するN末端領域、疎水性領域[51]、および高度に保存されたペプチダーゼの切断部位[52]に近いC末端領域のリーダーペプチドの内部で、pelBおよびg3リーダーのそれぞれ32および20塩基のランダム化を行う。

    ファージは以前に記載された[25]とおりに製造するが、VCSM13の代わりにヘルパーファージKM13(実施例3)を使用し、30℃で一晩培養するときに0.1 mMのIPTGを加える。 11μgの抗Taq抗体(Taqstart、Clontech)をイムノチューブ(Nunc)上に一晩被覆するという以外は以前に記載されたとおりに、トリプシンに対する抵抗性および結合[44]の選択を行う。 以前に記載されたプロトコルに従い、鋳型としてファージミドを含有する1個の大腸菌TG1コロニーを用いて、プライマー6および7によりPCRスクリーニングを行い、次いで2%アガロースゲル上でゲル電気泳動する。 増幅断片のサイズを基準として用いて、ポリメラーゼ遺伝子内に欠失が起こったか否かを確認する。

    合成オリゴヌクレオチドの縮重から算定したライブラリーの推定される多様性は、pelBおよびg3リーダーについて、それぞれ約3.7x10 13 =4 9 x3 7 x2 16および1.7x10 7 =4 4 x2 16である。 ファージミドライブラリーを用いて大腸菌を形質転換した後、アンピシリン抵抗性コロニー数として測定されるライブラリーのサイズは、pelBおよびg3リーダーについて、それぞれ約1.3x10 7および9.6x10 6であることがわかる。

    p3‐ポリメラーゼ融合タンパク質を全く発現していない全ファージ粒子を非感染性とするために、プロテアーゼであるトリプシンでヘルパーファージp3のコピーを特異的に切断することにより、ポリメラーゼの展示の選択を行う。

    双方のライブラリーを混合し、培地中に0.1 mM IPTGを含有させるか、または含有させないという2つの条件で選択ラウンドを実施する。 IPTGを含有させる場合、ポリメラーゼ遺伝子またはその一部の欠失が、PCRスクリーニング(上記参照)で示されるようにラウンドIII(28クローン中4個)後に見出される。 ラウンドIV後には、これらのクローンは、集団の大部分に相当する(30クローン中28個)。 IPTGを含有させない場合、これらのクローンは、ラウンドVI後に選択されるクローンの有意な部分に相当する(12クローン中3個)。 従って、プロテアーゼ抵抗性の選択に加えて、抗Taq抗体への結合の選択を導入することにより、ラウンドV以後から選択を変更する。 選択ラウンドVIIおよびVIIIの後、それぞれ(13個中3個)および(19個中0個)のクローンは、欠失したp3‐ポリメラーゼ融合タンパク質に対応する。

    リーダーの特徴付けのために、個々の大腸菌コロニーのPCR増幅後にHindIII-NcoI断片をサブクローニングする。 得られるファージミドを、pHEN1-1x/Stoffel(x=7、9、10および12でサブクローニングする)と称する。 373A DNA配列決定装置(Applied Biosystems)を用いて、該Stoffel断片に対応するHindIII-NcoIおよびNcoI-NotI断片の配列を両鎖で決定する。

    ELISAのために、抗Taq抗体(Taqstart、Clontech)を用いてELISAプレートを被覆し、抗M13‐西洋ワサビペルオキシダーゼ融合タンパク質(Pharmacia Biotech)を用いて標準的プロトコル[44]により検出する。

    1 mMの代わりに0.1 mMのIPTG濃度を用いることを除いて、大腸菌HB2151を選択したファージミド[25, 27]に感染させることによって上清中にポリメラーゼを発現させる。 約10μlの上清をポリアクリルアミドゲルに載せて電気泳動(Novex)し、ゲルをニトロセルロース(Protran, Schleicher and Schuell)上にブロッティングし、抗Taqポリメラーゼ抗体(Taqstart、Clontech)およびヤギ抗マウスIgG‐西洋ワサビペルオキシダーゼ(Sigma)を加え、化学発光(ECL試薬、Amersham)によるオートラジオグラフィーフィルム上で検出する。

    12個のクローンの中からプロテアーゼ抵抗性についてスクリーニングされた、ラウンドVIIからの4個のクローン(7、9、10および12)を、さらに特徴付けする。 シグナル配列内の突然変異のみが考えられ、種々のラウンドでの増幅中に起こった可能性のあるファージミド内のどこか他の位置での突然変異は考えられないということを確実にするため、シグナル配列を元のベクター中にサブクローニングする。 表5に示した結果は、選択したクローン10の最適なポリメラーゼ展示が元の配列よりも約50倍高いことを示している。 この結果は、抗Taq抗体および抗M13-HRPを用いるELISAによって、実験誤差内で独立に確認される。 すなわち、pelBリーダーファージミドpHEN1-Stoffelの10 9個のファージ粒子(シグナル対ノイズ比:1.46)は、クローン10の10 7個のファージ粒子(シグナル対ノイズ比:1.47)と同一のシグナルを与える。

    また、大腸菌HB2151におけるStoffel断片の発現を、種々のリーダー(表6参照)について試験する。 既知のポリメラーゼ量についてスポットの強度を比較することにより、培養上清中のStoffel断片の濃度を評価すると、pelBリーダーについては約0.1 mg/lであることがわかる。 リーダー17および110については発現が3倍増加するのが観察されるが、リーダー19については約3分の1に減少することがわかる。

    表5 温度およびIPTG濃度の関数としてのリーダーpelBを有するファージ粒子当たりのファージポリメラーゼ数
    感染性ファージ粒子数としてファージ力価を測定し、トリプシンで処理した後の感染性ファージ粒子数としてファージポリメラーゼ力価を測定する。 ファージ粒子当たりのファージポリメラーゼ数は力価の比である。 ヘルパーファージを用いてファージ粒子をレスキューしたので、ファージは、p3‐ポリメラーゼ融合タンパク質およびトリプシン切断部位を含有するp3の数コピーか、またはこれらのp3コピーのみのどちらかを展示する。

    温度 25℃ 30℃ 37℃
    0 mM IPTG 1.7x10 -3 9.1x10 -4 1.2x10 -3
    0.1 mM IPTG 9.1x10 -3* 8.3x10 -3 2.4x10 -3*
    1 mM IPTG 1.5x10 -2* 5.5x10 -3* 1.2x10 -3*
    *これらの条件では、ファージ力価が10 10 /ml(培地)以下に低下する。

    表6 最適なポリメラーゼ展示のためのラウンドVIIからの選択したリーダーまたはリーダーpelBについてのファージの特徴付け (表5と同じ説明。IPTGなしでT=30℃で2xTY中で培養)
    リーダー 力価 ファージ粒子当たりの
    x10 11ファージポリメラーゼ数
    pelB 1.2 9.1x10 -4
    17 2.0 2.5x10 -2
    19 0.5 8.3x10 -3
    110 0.7 4.3x10 -2
    112 1.6 1.4x10 -2

    表7 ランダム化および選択した配列
    ランダム化DNA配列を5'から3'方向に示す。 その上下に、シグナル配列pelB、17、19、110および112中で所与の配列と異なる塩基を示す。 シャイン-ダルガルノ配列、開始コドンおよびシグナル配列の最後のコドンGCCには下線を付してある。 HindIII制限部位およびNcoI制限部位を斜体で示す。 対応するアミノ酸配列を下に示す。 まずpelBリーダーからライブラリーIを、g3リーダーからライブラリーIIを設計する。

    III-A.ライブラリーIから

    III-B.ライブラリーIIから


    実施例8
    プロテアーゼ切断可能なヘルパーファージを用いた触媒活性の選択
    ファージ展示による触媒の選択のための戦略は、触媒反応の反応生成物の選択および触媒を選択するための近接効果の使用に基づいている。 この戦略では、タグを付した基質が、展示された酵素の近くでファージに架橋されると、該ファージは固相に結合し、展示された酵素[53]によって触媒された分子内切断反応により遊離する。

    同様の手法を適用して活性型DNAポリメラーゼ変異体を選択した。 この手法は、生成物をもたらす触媒反応(この場合、ビオチンタグを組み入れることにより識別される)と基質(および生成物)をファージに結合させる化学的架橋反応との2つの化学的に独立した反応を含む。 従って、ストレプトアビジンビーズによるファージの選択により、タグを付した生成物に化学的に結合するファージが選択される。 近接効果によりトランスでの反応よりもシスでの反応の方が優先するので、これらの反応は同一のファージ上に結合する可能性が大きい。

    化学的架橋反応にはマレイミドを用いる。 マレイミドは、チオールと反応し、またアルカリ溶液中ではアミノ基と反応することが知られており、従って、ファージおよび展示された酵素上の様々な部位と反応し得る。 主要外被タンパク質(p8)とN-ビオチノイル-N'-(6-マレイミドヘキサノイル)ヒドラジドの間の共有結合産物を、SELDI質量スペクトルにより検出する。 2つのアミノ基(N末端のAla-1および残基Lys-8)が関係していると考えられる。

    分子進化におけるDNAポリメラーゼの中心的な役割を考慮して、DNAポリメラーゼを用いてこの戦略を試験する。 DNAプライマーの5'末端にマレイミジル基を導入する。 ポリメラーゼの触媒作用によりビオチン化dUTPをプライマーの3'末端に付加することにより、該生成物をタグ付けする。 それぞれ大腸菌およびテルムス・アクアティカス(Thermus aquaticus)のDNAポリメラーゼIのクレノウ(Klenow)断片およびStoffel断片を、糸状バクテリオファージのpIII外被タンパク質に従来法により融合させることによって、展示のためにクローニングする。 双方の断片は、5'→3'エキソヌクレアーゼドメインを欠いている。 また、Stoffel断片は3'→5'エキソヌクレアーゼ活性をも欠いている。

    該融合タンパク質をファージミド(pHEN1)[25]上にクローニングし、ヘルパーファージによりレスキューする。 このファージを抗ポリメラーゼ抗体で被覆したウェルに結合させてELISAで検出すると、該ポリメラーゼ断片は(ヘルパーファージによるレスキューの後に)ファージ上に展示されることがわかる(データは示していない)。 また、抗p3抗体または抗ポリメラーゼ抗体を用いるウェスタンブロットにより該ファージを分析する。 これにより、融合タンパク質の存在が確認されるが、遊離のポリメラーゼによる汚染も示される。 恐らく、これはアンバー終止コドンの不完全な抑制によって細菌宿主から分泌されたか、またはファージ表面から切断されて生じたものであろう。 超遠心のさらなる工程またはサイズ排除クロマトグラフィーによって、遊離のポリメラーゼを除去する。 精製したファージを、放射標識した32 P-dCTPを用いるプライマー/鋳型伸長アッセイにおいて、DNAポリメラーゼ活性についてアッセイすると、活性を有することがわかる。

    しかし、ウェスタンブロットにより示されるとおり、ポリメラーゼ‐p3融合タンパク質は、p3タンパク質と比較して十分にはファージ中に組み込まれない。 これは、ヘルパーファージ(KM13)のp3タンパク質(融合タンパク質のそれではない)が、感染を媒介できなくするようにトリプシンで切断され得る、ヘルパーファージの選択的な使用によって示されたように(実施例3および4)、ヘルパーファージからのp3の組込みに起因するようである。 従って、タンパク質溶解後は、融合タンパク質を組み込んだファージのみが感染性を有することになる。 タンパク質溶解後の力価の低下から、本発明者らは、1000個のファージ粒子のうちのたった1個のみが融合タンパク質を組み込んだと評価する。 シスでのポリメラーゼによるタグ付けを当てにすると、この選択プロセスは、ポリメラーゼを欠損する大過剰のファージによって弱められるであろうが、トランスでタグ付けするためには利用可能であろう。 従って、選択したファージをトリプシンで処理して、展示されるポリメラーゼを欠損するファージの感染性を破壊することができる。

    Stoffel断片を展示するファージを、5'マレイミジル基および3'ビオチン化ヌクレオチドを含むプライマー13[TTT CGC AAG ATG TGG CGT]と共にインキュベートする。 インキュベーション後、ファージをストレプトアビジン被覆ビーズ上に捕捉し、約1〜5%の感染性ファージを得る。 これは、N-ビオチノイル‐N'‐(6‐マレイミドヘキサノイル)ヒドラジドに関して示されたように、恐らくp8タンパク質を介して、プライマーがファージに化学的に架橋できることを示している。 次いで、このファージを、ビオチン‐dUTP 2および鋳型3[AAA TAC AAC AAT AAA ACG CCA CAT CTT GCG]の存在下で、5'マレイミジル基を含むプライマー1b[GCGAAGATGTGG]と共にインキュベートする。 ファージの捕捉は、1b、2および3の存在に依存する(表8)が、ヘルパーファージを切断して非特異的なファージの単離を減少させるトリプシンの添加にも依存する。

    表8 触媒作用活性のあるファージ−Stoffel粒子の選択

    φiおよびφfは、選択の前[a]および後[b]の形質転換ユニット数(tu)を意味する。 収率=φf/φi


    [c]:+プライマー1b、+ビオチン化 dUTP 2、+鋳型 3、および+トリプシン。

    実施例9
    ジスルフィド含有ポリペプチドの選択
    DNA断片をコードする(ポリ)−ペプチドのクローニング、および選択のためバルナーゼとp3との間にそれらを展示するために、ファージ fd-3を構築する(図5)。 ファージ fd-3には、ファージ fd-TETのp3遺伝子にN末端が融合したバルナーゼのH102A突然変異体が含まれる。 バルナーゼの最後の残基のコドンと、p3の最初の残基のコドンの間には、ヌクレオチド配列CTG CAG GCG GTG CGG CCG CAがある。 この配列には、PstI 制限部位により挟まれるDNA断片を挿入するためのPstI DNA制限部位(下線付き)が含まれる。 更に該配列にはバルナーゼとp3との間にフレームシフトが導入され、これはfd-3における正確なp3リーディングフレームの発現を妨げる。 従ってファージ fd-3のファージ粒子は、感染タンパク質p3を展示せず、非感染性である。

    ゆえにファージ fd-3は、ライゲーション後PstI DNAインサートをもたず、選択の間に増殖することがないベクターなので、クローニングベクターとして好適である。 統計学的に、PstI 制限部位における3つのランダムDNAインサートのうち1つは、(インサート中の終止コドンの存在を除いて)バルナーゼ、インサート自体およびp3にまたがるオープンリーディングフレームを作り出し、ファージ外被中にp3を含有する感染性ファージ粒子となる。 これらの組換えクローンにおいては、バルナーゼの後にインサートが続き、その後にアミノ酸残基AGGAAAが続き、その後でp3タンパク質が開始する。 このAGGAAAペプチドは、p3の感染性機能およびプロテアーゼのp3N末端付加物への接近が可能となるように、融合タンパク質に十分なフレキシビリティを与えるはずである。

    大腸菌TG1株からのゲノムDNAを、伸長可能な3'末端に6つの縮重位置を含み、ランダムプライミングを確実にするオリゴヌクレオチドSN6MIX(5'−GAG CCT GCA GAG CTC AGG NNN NNN−3')を使用して、アニーリング温度48℃でポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を30サイクル行なって増幅する。 アニーリング温度52℃でのPCRを30サイクル行なう第2ステップでは、最初のPCR産物を、オリゴヌクレオチドXTND(5'−CGT GCG AGC CTG CAG AGC TCA GG−3')で再増幅することにより伸長させる。 この反応から得た約150bpの長さを有する産物をアガロースゲルより精製し、オリゴヌクレオチドXTNDを使用してアニーリング温度52℃でPCRを30サイクル行なって再増幅する。 これらの再増幅された150bpの断片を部分的にSacIで消化し(オリゴヌクレオチド中太字で示した部位)、二量体化するためライゲートする。 ライゲートした産物を、オリゴヌクレオチドXTNDを使用して、更にアニーリング温度44℃でPCRを10サイクル、次にアニーリング温度55℃でPCRを30サイクル行なって再増幅する。 アニーリング温度は、二量体化断片の中央でのオリゴヌクレオチドのプライミングから識別されるように選択される。 前記反応産物をアガロースゲル上でサイズに従って2回精製して、単量体およびオリゴマー(二量体以外)を除去する。

    最終二量体画分を、アニーリング温度55℃で、オリゴヌクレオチドXTNDを使用して、大規模にPCRで増幅し、PstI(オリゴヌクレオチド中イタリック体で示した部位)で消化し、そしてPstI消化しかつホスファターゼで処理したベクターfd-3中にライゲートする。 大腸菌中へのエレクトロポレーション後、3.6×10 7個の組換え体のレパートリーを得る。 ランダムに取り上げたクローンの配列解析から、主に二量体のDNAインサート(14個中11個)と、いくつかの単量体のDNAインサート(14個中2個)の存在が明らかになる。

    ランダムに取り上げた20個のクローンの配列解析によれば、最初の形質転換細胞集団から産生されたファージによる大腸菌の再感染によって、バルナーゼ−(フレーム内の、非終止二量体インサート)−p3融合体をほとんど独占的に含有する感染性ファージのライブラリーが得られる。 インサートのないベクターおよびフレーム外にインサートを持つもしくは終止コドン含有インサートを持つベクターから生じる非感染性ファージは、感染ステップにおいて増殖しない。 従ってベクターfd-3は、大腸菌ゲノム由来のDNA断片の二量体化によりランダムに生成されるポリペプチドのレパートリーを作製するのに好適である。

    ファージ fd上のバルナーゼとp3との間に挿入された融合体として展示されるこのポリペプチドのレパートリーを、TBS-Caバッファー(25mM Tris、137mM NaCl、1mM CaCl 2 、pH7.4)中で、トリプシンおよびサーモリシンを単独で用いて、または両方の混合物(それぞれ1ng/μl)を用いてタンパク質加水分解性消化に付す。 タンパク質加水分解後ファージを、ストレプトアビジン被覆マイクロタイターウエルプレートに結合したビオチン化バルスターで捕捉し、そしてpH2.0で溶出する。 ファージをpH7に中性化し、大腸菌の再感染によって増殖させ、前述のように第2のラウンドのために選択する。 全てのステップは、ジチオトレイトール(DTT)またはβ−メルカプトエタノールなどの還元剤の不在下で行なう。 こうした還元剤は、選択されたポリペプチド中のシステイン側鎖間に形成されるいかなる潜在的なジスルフィド結合をも還元によって切断する。

    ランダムに取り上げたファージを、タンパク質加水分解選択の第1および第2ラウンドの後で溶出し、トリプシンおよびサーモリシンの混合物と共に選択条件下でインキュベートした後にバルスターへの結合について分析する(表9)。 これらの配列を決定する(表9)。 選択の際にトリプシンおよびサーモリシンの混合物で処理して分析した18個のクローンのうち17個が、トリプシンおよびサーモリシンとのインキュベーション後にビオチン化バルスターに結合することが分かる。 選択の際にトリプシンで処理して分析した8個のクローンのうち5個が、トリプシンおよびサーモリシンとのインキュベーション後にビオチン化バルスターに結合し、そしてサーモリシンで処理して分析した14個のクローンのうち9個が結合することが分かる。 選択の際にプロテアーゼで処理しなかったランダムに取り上げたクローンは、トリプシンおよびサーモリシンとのインキュベーション後にビオチン化バルスターに全く結合しない。 ビオチン化バルスターへの結合から、ファージ上のバルナーゼとp3の間に挿入されたポリペプチドが、その全ての共有結合の完全性を保持し、それゆえ共有結合で連結しているN末端タグ(バルナーゼ)と感染性タンパク質 p3(そのため全体としてのファージ粒子)を保持していることが示される。

    しかしながら、前記インサートはまた、システインのSH 2基などの側鎖基の間の結合を介して共有結合で連結された状態で存在しうるので、ペプチド主鎖のタンパク質加水分解性消化の可能性を排除することができない。 選択したクローンの配列解析により、25個の抵抗性クローンのうち19個(76%)が2つ以上のシステイン残基を含有していることが明らかになる。

    ポリペプチドインサート中に存在しうるジスルフィド結合の役割を分析するために、選択したファージのうちの13個を、結合したファージの検出の前にトリプシンおよびサーモリシンで処理し、続いて20mM DTTで洗浄した後で、ビオチン化バルスターへの結合について分析し、それにより該インサートを介したバルナーゼとp3との共有結合性連結について分析する。 DTT洗浄を行わないでプロテアーゼ処理後にバルスターに結合し、システインを含有しない2個のファージクローンは、DTT処理によって影響を受けない。 DTTなしでプロテアーゼ処理後にバルスターに結合し、2つ以上のシステインを含有する他の2個のファージクローンもまた、プロテアーゼおよびDTT処理後にバルスターに結合することが観察される。 このことは、プロテアーゼの主基質部位の存在にもかかわらず、それらのインサートがペプチド主鎖のタンパク質加水分解から保護されることを示唆している。

    従って前記インサートは、それらのペプチド主鎖のコンホメーションの拘束のためにタンパク質加水分解性攻撃から保護される。 しかしながら、DTT洗浄を行わないでプロテアーゼ処理後にバルスターに結合し、2つ以上のシステインを含有する9個のファージクローンは、プロテアーゼおよびDTT処理後にバルスターに結合しないことが観察される。 このことは、それらのインサートがペプチド主鎖においてタンパク質加水分解的に切断されるが、還元剤DTTの不在下ではシステイン側鎖間のジスルフィド結合によって互いに保持されていることを示唆している。 従ってこれらのインサートは、それらのペプチド主鎖のコンホメーションの拘束のためにタンパク質加水分解性攻撃から保護されない。

    従って、本発明の方法は、システイン含有ポリペプチドがプロテアーゼ攻撃を受けやすい場合でさえ、該ポリペプチドを選択するように構成することができる。 システイン含有ポリペプチドは選択ステップにおいてジスルフィド結合により互いに保持される能力があるからである。

    表9 非還元条件下でタンパク質加水分解性処理後に選択されたバルナーゼ−p3融合インサートを展示するファージのバルスター結合、およびそれらのベクター fd-3中のPstIインサートのアミノ酸配列
    20mM DTT洗浄を行なわない、トリプシンおよびサーモリシン(それぞれ2ng/μl)によるファージのタンパク質加水分解後のバルスター結合(−DTT)は、プロテアーゼ処理を行なわない場合のファージのバルスター結合のシグナルの少なくとも60%であるシグナルの測定により決定する。 20mMDTT洗浄後のバルスター結合(+DTT)は、20mM DTT洗浄を行なわない場合のバルスター結合(−DTT)のシグナルの少なくとも60%であるシグナルの測定により決定する。 ファージを、トリプシン(Tr)またはサーモリシン(Th)によるタンパク質加水分解を1ラウンド(1×)または2ラウンド(2×)行なった後にランダムに取り上げる。 ファージをプロテアーゼで処理し、マイクロタイターウエルプレート中のビオチン化バルスターで捕捉して、そして適用可能な場合には20mM DTTで洗浄する。 結合したファージは、西洋ワサビペルオキシダーゼに結合した抗M13ファージ抗体(Pharmacia Biotech)で検出する。

    実施例10
    ジスルフィド関連バックグラウンドを取り除くための還元剤の使用
    実施例9に記載のポリペプチドのレパートリーを、上述のようにトリプシンおよびサーモリシンの両方で消化する(実施例9)が、本実施例では、タンパク質分解的に処理したファージの、ストレプトアビジン−ビオチン化バルスターで被覆したマイクロタイターウエルプレートへの結合の後で50mM DTTによる追加の洗浄ステップを行なう。 この洗浄ステップは、N末端バルナーゼタグを展示するファージを洗い流すために行ない、該タグはもはや無傷のポリペプチド主鎖を介してp3に結合しているのではなく、バルナーゼタグとp3の間のポリペプチドインサート中のシステイン側鎖間のジスルフィド結合を介して結合しているにすぎない。

    タンパク質加水分解の第2ラウンド後に溶出された12個のランダムに取り上げたファージを、選択の条件下でのトリプシンおよびサーモリシンの混合物に対する安定性について分析し、それらの配列を決定する(表10)。 選択の際にトリプシンおよびサーモリシンの混合物で処理した10個のクローンが、トリプシンおよびサーモリシンと共にインキュベートし、次いで50mM DTTで洗浄した後に、ビオチン化バルスターに結合する。 その後で捕捉されたファージを検出する。 これらのクローンのうち1個のみが2つ以上のシステインを含有する。

    従って、ファージライブラリーのタンパク質加水分解性処理を行ない、続いてDTTで洗浄することにより、タンパク質加水分解から保護され、かつジスルフィド結合によって互いに保持されていないペプチドインサートの選択が可能となる。

    表10 タンパク質加水分解性処理、続いて50mM DTTによる処理の後に選択されたバルナーゼ−p3融合インサートを展示するファージのバルスター結合、およびfd-3中のそれらのPstIインサートのアミノ酸配列
    トリプシンおよびサーモリシン(それぞれ2ng/μl)によるファージのタンパク質加水分解とそれに続く50mMDTT洗浄の後のバルスター結合(+DTT)を、バルスター結合(+DTT)のシグナル(それはプロテアーゼ処理を行なわない場合のファージのバルスター結合のシグナルの少なくとも60%である)を測定することによって決定する。 ファージは、トリプシン(Tr)および/またはサーモリシン(Th)によるタンパク質加水分解性の2ラウンド(2×)の後にランダムに取り上げる。 ファージを、プロテアーゼで処理し、マイクロタイターウエルプレート中のビオチン化バルスターで捕捉し、そして適用可能な場合には50mM DTTで洗浄する。 結合したファージを西洋ワサビペルオキシダーゼに結合させた抗M13ファージ抗体を用いて検出する。

    参照文献
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