Dna mutagenesis by random fragmentation and reassembly

申请号 JP2007180396 申请日 2007-07-09 公开(公告)号 JP2007244399A 公开(公告)日 2007-09-27
申请人 Maxygen Inc; マキシジェン, インコーポレイテッド; 发明人 STEMMER WILLEM P C; CRAMERI ANDREAS;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a method for generating mutant proteins and a method for developing a readily searchable large-scale library of mutant nucleic acid sequences. SOLUTION: Disclosed are a method for DNA reassembly after random fragmentation, and its application to mutagenesis of nucleic acid sequences by in vitro or in vivo recombination. In particular, a method for generating nucleic acid fragments or polynucleotides encoding the mutant proteins is disclosed. The present invention also relates to a method of repeated cycles of mutagenesis, shuffling and selection which allow for the directed molecular evolution in vitro or in vivo of proteins. COPYRIGHT: (C)2007,JPO&INPIT
权利要求
  • 所定の抗原に特異的に結合する抗体鎖をコードするポリヌクレオチドを生成する方法であ
    って、該方法は、以下の複数のサイクル:
    (a)重鎖CDR領域および/または軽鎖CDR領域をコードする基質ポリヌクレオチ
    ドの集団のセグメントを変性する工程;
    (b)該変性されたセグメントをアニーリングする工程;
    (c)該アニーリングされたセグメントを、ポリメラーゼの存在下でインキュベートし
    、それにより該基質ポリヌクレオチドによりコードされるものとは異なる重鎖CDRおよ
    び/または軽鎖CDRの組合せを有する抗体鎖をコードするポリヌクレオチドの集団を形
    成する工程;ならびに
    (d)該ポリヌクレオチドの集団をスクリーニングまたは選択して、該所定の抗原に特
    異的に結合する抗体鎖をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを同定する工程、
    を実施する工程を包含する、方法。
  • 说明书全文

    本発明は、所望の表現型を与えるポリヌクレオチドおよび/または選択可能な有利な予め決定された特質を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドの生成のための方法に関する。 1つの局面において、本方法は変異タンパク質をコードする核酸フラグメントを生成および選択するために使用される。

    生体高分子(例えば、タンパク質、DNAなど)の活性配列の複雑さは、その情報内容(information content)(「IC」;5−9)と呼ばれている。 タンパク質の情報内容はアミノ酸配列変異に対する活性タンパク質の抵抗性として定義され、同様の機能を有する関連配列のファミリーを記載するために必要な最少数の不変アミノ酸(ビット)から算定される(9、10)。 ランダムな変異誘発に感受性であるタンパク質は、高い情報内容を有する。 1974年に、この定義が作製された際、タンパク質の多様性は、分類上の多様性としてしか存在していなかった。

    分子ライブラリーのような分子生物学の発達は、かなり多数の変異しやすい塩基の同定、およびランダムなライブラリーからの機能配列の選択さえ可能にしてきた。 大部分の残基が、典型的に全てが同時にではないにしても、変異され得、配列の前後関係(cont
    ext)の変化を補うことに依存している。 従って、100アミノ酸のタンパク質は、2
    ,000個の異なる変異しかを含まないが、20 100通りの可能な変異の組み合わせを包含する。

    情報密度は、配列の単位長当たりの情報内容である。 酵素の活性部位は高い情報密度を有する傾向がある。 対照的に、酵素における可変リンカー(flexible link
    er)は低い情報密度を有する(8)。

    実験室形式で変異タンパク質を作製するために現在広く用いられている方法は、誤りがち(error−prone)ポリメラーゼ連鎖反応(11、12、19)およびカセット変異誘発(8、20、21、22、40、41、42)であり、これらの方法では最適化しようとする特定の領域が、合成上で変異誘発されるオリゴヌクレオチドで置換される。 どちらの場合も、「変異体曇り(mutant cloud)」(4)は、元の配列における特定の部位の周囲で生成される。

    誤りがちなPCRは、長い配列にわたってランダムに低レベルの点変異を誘導するために、低適合性の重合条件を使用する。 誤りがちなPCRは、未知の配列のフラグメントの混合物を変異誘発するために使用され得る。 しかし、コンピューターによるシュミレーションは、点変異単独では、しばしばあまりにも緩やかで、連続した配列進化に必要とされるブロック変化が可能でない場合もあることを示唆した。 公表されている誤りがちなPC
    Rプロトコルは、0.5kb〜1.0kbより大きいDNAフラグメントの増幅が不可能で、それらの実際的な適用は限られている。 さらに、誤りがちなPCRの反復サイクルは、中立変異の蓄積を導き、これは例えば、タンパク質を免疫原性にし得る。

    オリゴヌクレオチド直接変異誘発では、短い配列が合成上で変異誘発されるオリゴヌクレオチドで置換される。 このアプローチは遠位変異の組み合わせを生成せず、従って組み合わせではない。 莫大な配列長に関する制限されたライブラリーサイズは、タンパク質の最適化のために多数回の選択が避けられないことを意味する。 合成オリゴヌクレオチドを用いる変異誘発には、各回の選択の後に、個々のクローンの配列決定をし、次いでファミリーに分類して、単一のファミリーを任意に選択し、そしてファミリーをコンセンサスモチーフに縮小する必要がある。 このコンセンサスモチーフは再合成され、そして単一の遺伝子中へ再挿入された後にさらなる選択を行う。 このプロセスは統計的なボトルネック(
    statistical bottleneck)を構成し、多数回の変異誘発のためにはこのプロセスは労働を必要とし、そして実際的でない。

    従って、誤りがちなPCRおよびオリゴヌクレオチド直接変異誘発は、単一サイクルの配列微調整には有用であるが、多数サイクルに適用する場合、直ちに制限されるようになる。

    誤りがちなPCRは未知の配列のフラグメントの混合物を変異誘発するために使用され得る(11、12)。 しかし、公表されている誤りがちなPCRプロトコル(11、12
    )は、ポリメラーゼの低いプロセシビティー(processivity)を受ける。 従って、このプロトコルは平均的なサイズの遺伝子のランダムな変異誘発を生じ得ない。 このように能力がないことによって、誤りがちなPCRの実際的な適用が制限される。

    誤りがちなPCRのもう1つの重大な制限は、配列の情報内容に伴って下流変異の速度が増すことである。 ある情報内容、ライブラリーのサイズ、および変異誘発速度、下流変異の上流変異に対するバランスは、統計的に、さらなる改良の選択を阻害する(統計的最高限度)。

    最後に、誤りがちなPCRの反復サイクルはまた、中立変異の蓄積を導き、例えば、免疫原性に影響し得るが、結合アフィニティーには影響しない。

    従って、誤りがちなPCRは、あまりにも緩やかで連続した配列進化に必要とされるブロック変化が可能でないことが見出された(1、2)。

    カッセット変異誘発において、単一の鋳型の配列ブロックは、代表的に、(部分的に)
    ランダム化された配列により置換される。 従って、得られる最大情報内容は、ランダムな配列の数(すなわち、ライブラリーのサイズ)により統計学的に制限される。 このことは統計的なボトルネックを構成し、現在のところ最適ではないが、より長期間のポテンシャルを有し得る他の配列ファミリーを排除する。

    さらに、合成オリゴヌクレオチドでの変異誘発は、各回の選択の後に個々のクローンの配列決定を必要とする(20)。 従って、このアプローチは時間がかかり、そして多数回の変異誘発には実際的でない。

    従って、誤りがちなPCRおよびカセット変異が最も適しており、そして比較的低い情報内容の範囲を微調整するために広く使用されてきた。 1つの明白な例外は、誤りがちなPCRによる多数回の増幅および選択を用いる、ランダムライブラリーからのRNAリガーゼリボザイムの選択である(13)。

    直鎖状の生物学的組換え配列(例えば、タンパク質、RNAおよびDNA)の設計のための手段は、天然に発達してきた手段ほど強力ではないことが、ますます明らかになっている。 より良い変異体を見出すことは、より広いライブラリー内でより多くの配列をサーチすることに依存しており、変異誘発性の増幅および選択のサイクルの数を増加することが必要である。 しかし、上記のように、広く用いられている現在の変異誘発方法には、反復サイクルのために使用される場合、明らかに制限がある。

    大部分の生物の進化は自然淘汰および有性生殖により生じる。 有性生殖は選択された個体の子孫の遺伝子を混合および結合することを確実にする。 減数分裂の間、親由来の相同染色体を互いに並べ、そしてそれらの長さに沿って交差することによって、遺伝子物質を交換する。 このようなDNAの交換(swapping)または再編成(shuffli
    ng)は、生物体がより迅速に進化することを可能にする(1、2)。 有性生殖において、挿入される配列は同種環境内で有用性が証明された配列なので、一旦配列が新しい配列中へ挿入されても、実質的な情報内容を有する傾向がある。

    Martonら(27)は、直線的な反復配列を有するプラスミドにおける組換えをモニターするための、インビトロにおけるPCRの使用について記載している。 Marto
    nらは、DNAの切断またはニッキング(nicking)の結果として、PCR中に組換えが生じることを開示している。 これにより組換え分子が生じる。 Meyerhans
    ら(23)もまた、インビトロにおけるPCR中にDNA組換えが存在することを開示している。

    用語、適用された分子進化(「AME」)は、進化上の設計アルゴリズムの特定の有用な目的に対する適用を意味する。 AMEのための多くの異なるライブラリー形式が、ポリヌクレオチド(3、11−14)、ペプチドおよびタンパク質(ファージ(15−17)
    、lacI(18)およびポリソームについて報告されてきたが、これらの形式においは、いずれも、組み合わせライブラリーを故意に作製するためのランダムな交差による組換えを使用していない。

    理論的には、100アミノ酸のタンパク質には2,000通りの異なる個々の変異体が存在する。 100個アミノ酸からなるタンパク質は、20 100通りの可能な変異の組み合わせを有するが、数が多すぎるので、従来の方法では徹底的に調査し得ない。 これらの可能な結合変異(combination mutation)の全てを生成およびスクリーニングすること可能にするようなシステムを開発することは有益である。

    Winterおよび共同研究者らは(43,44)は、ファージシステムでの発現のために、インビボ部位特異的組換えシステムを利用してL鎖抗体の遺伝子とH鎖抗体の遺伝子とを結合した。 しかし、彼らのシステムは組換えの特異的部位に依存しており、それゆえ制限される。 Hayashiら(48)は、重複伸長およびPCRによる単鎖抗体(s
    cFv)における抗体CDR領域の同時変異誘発を報告している。

    Carenら(45)はランダムなインビボ組換えを使用する大規模集団の多重変異体を生成する方法を記載している。 しかし、彼らの方法は、プラスミドの2つの異なるライブラリーの組み換えを必要としており、各ライブラリーは異なる選択マーカーを有している。 従って、方法は存在する選択マーカーの数に等しい限られた数の組換えに制限され、
    そして選択された配列(1つまたは複数)に連結するマーカー遺伝子の数を同時に直線的に増加する。

    Calogeroら(46)およびGalizziら(47)は、相同であるがプラスミド上で端を切り取った2つの昆虫トキシン遺伝子でのインビボ組換えによりハイブリッド遺伝子を生成し得ることを報告している。 Radmanら(49)は、欠損型ミスマッチ修復酵素を有する宿主細胞において、実質的にミスマッチなDNA配列のインビボ組換えによりハイブリッド分子が形成されることを報告している。

    変異タンパク質を生成する方法を開発することは有益であり、その方法は容易にサーチされる変異核酸配列の大規模ライブラリーの開発を可能にするであろう。

    本発明のさらなる利点については、添付の図面を参考にして、本発明の以下の記載から明らかになろう。

    本発明は、選択されるポリヌクレオチド配列または選択されるポリヌクレオチド配列の集団を、代表的には増幅されたポリヌクレオチドおよび/またはクローニングされたポリヌクレオチドの形態において生成する方法に関し、それによって選択されたポリヌクレオチド配列(1つまたは複数)は、選択され得る所望の表現型の特徴(例えば、ポリペプチドをコードする、連結されたポリヌクレオチドの転写を促進する、タンパク質に結合するなどの特徴)を有する。 所望の構造または機能的特性(例えば、予め決定された生体高分子(例えば、レセプター)への結合)を有するポリペプチドを同定する1つの方法は、ポリペプチドの大規模ライブラリーを、ポリペプチドのアミノ酸配列により与えられる所望の構造または機能的特性を有する個々のライブラリーメンバーについてスクリーニングすることを包含する。

    本発明は、アフィニティー相互作用スクリーニングまたは表現型スクリーニングに適切なディスプレイされたポリペプチドまたはディスプレイされた抗体のライブラリーを生成する方法を提供する。 本方法は、(1)ディスプレイされたポリペプチドまたはディスプレイされた抗体、および上記のディスプレイされたポリペプチドまたはディスプレイされた抗体をコードする関連性ポリヌクレオチドを含む第1の複数の選択されたライブラリーメンバーを得、そして上記の関連性ポリヌクレオチドまたはそのコピーを得る工程であって、ここで上記の関連性ポリヌクレオチドが実質的に同一の配列の領域を包含し、必要に応じて上記のポリヌクレオチドまたはコピーに変異を導入する工程、および(2)代表的にはランダムに上記の関連性ポリヌクレオチドまたはコピーをプールし、そしてフラグメント化してPCR増幅に適する条件下でそのフラグメントを形成し、PCR増幅および必要に応じて変異誘発を実施し、それにより上記フラグメントを相同的に組換えて、組換えポリヌクレオチドの再編成プールを形成し、それによって上記再編成プールの組換えポリヌクレオチドの実質的画分(例えば、10%を超える)が、第1の複数の選択されたライブラリーメンバー中に存在せず、上記再編成プールは、アフィニティー相互作用スクリーニングに適切であるディスプレイされたポリペプチドまたはディスプレイされた抗体のライブラリーを構成する工程を包含する。 必要に応じて、本方法は再編成プールのライブラリーメンバーをスクリーニングするさらなる工程を包含し、予め決定された高分子(例えば、タンパク質性レセプター、ペプチド、オリゴ糖、ビリオン、または他の予め決定された化合物または構造)と結合または相互作用する能力を有する個々の再編成ライブラリーメンバー(例えば、触媒性抗体)を同定する。 このようなライブラリーから同定されるディスプレイされたポリペプチド、抗体、ペプチド類似体(peptidomimetic
    )抗体、および可変領域配列は、治療、診断、研究、および関連する目的(例えば、触媒、性溶液の浸透性を増加するための溶質など)のために使用され得、および/または再編成選択および/またはアフィニティー選択の1回以上のさらなるサイクルを受け得る。
    方法は、選択の工程が、予め決定された分子に対する結合アフィニティー以外の表現型の特徴(例えば、触媒活性、安定性、酸化抵抗性、薬物耐性、または宿主細胞上で与えられる検出可能な表現型)を対象とするように改変され得る。

    1つの実施態様において、第1の複数の選択されたライブラリーのメンバーは、フラグメント化され、そしてインビトロにおいてPCRにより相同的に組換えられる。

    1つの実施態様において、第1の複数の選択されたライブラリーのメンバーは、インビトロにおいてフラグメント化され、得られるフラグメントを宿主細胞または生物体へ移し、そして相同組換えされ、インビボにおける再編成ライブラリーのメンバーを形成する。

    1つの実施態様において、第1の複数の選択されたライブラリーのメンバーは、エピソーム的に複製可能なベクター上でクローニングまたは増殖され、上記多様なベクターは細胞へ移され、そして相同組換えされ、インビボにおける再編成ライブラリーのメンバーを形成する。

    1つの実施態様において、第1の複数の選択されたライブラリーのメンバーはフラグメント化されないが、直線的な反復としてエピソーム的に複製可能なベクター上でクローニングまたは増殖され、各反復は、選択されたライブラリーのメンバー配列の異なる種を包含しており、上記ベクターは細胞内へ移され、そしてベクター内の組換えにより相同組換えされ、インビボにおける再編成ライブラリーのメンバーを形成する。

    ある実施態様において、インビトロにおける再編成およびインビボにおける再編成の組み合わせが、組み合わせの多様性を増強するために提供される。

    本発明はアフィニティー相互作用スクリーニングに適するディスプレイされた抗体のライブラリーを生成する方法を提供する。 本方法は、(1)ディスプレイされた抗体、および上記のディスプレイされた抗体をコードする関連性ポリヌクレオチドを含む第1の複数の選択されるライブラリーメンバーを得、そして上記の関連性ポリヌクレオチドまたはそのコピーを得る工程であって、ここで上記の関連性ポリヌクレオチドが実質的に同一な可変領域のフレームワーク(frame work)配列の領域を包含する工程、および(
    2)上記の関連性ポリヌクレオチドまたはコピーをプールし、そしてフラグメント化してPCRの増幅に適する条件下でそのフラグメントを形成し、それにより上記フラグメントを相同組換して、CDRの新規な組み合わせを包含する組換えポリヌクレオチドの再編成プールを形成し、それによってCDRの組み合わせを包含する上記再編成プールの組換えポリヌクレオチドの実質的画分(例えば、10%を超える)が、第1の複数の選択されるライブラリーメンバー中に存在せず、上記再編成プールは、CDRの並べ替えを含み、そしてアフィニティー相互作用スクリーニングに適切であるディスプレイされた抗体のライブラリーを構成する工程を包含する。 必要に応じて、再編成プールは予め決定されたエピトープ(抗原)に結合する再編成ライブラリーメンバーを選択するために、アフィニティースクリーニングを受け、それゆえ複数の選択される再編成ライブラリーのメンバーを選択する。 必要に応じて、複数の選択される再編成ライブラリーのメンバーは、1〜約10
    00サイクルまたは所望の結合アフィニティーを有するライブラリーメンバーが得られるまで、所望により、繰り返し再編成およびスクリーニングされ得る。

    従って、本発明の1つの局面では、1つ以上の変異を鋳型2本鎖ポリヌクレオチド中へ導入する方法が提供される(ここで鋳型2本鎖ポリヌクレオチドは所望のサイズのランダムフラグメントに切断される)。 本方法は、1つ以上の1本鎖または2本鎖オリゴヌクレオチドを、得られる2本鎖フラグメントの集団に添加する工程であって、ここで上記オリゴヌクレオチドは鋳型ポリヌクレオチドに同一な範囲および非相同な範囲含む、工程;2
    本鎖のランダムフラグメントおよびオリゴヌクレオチドの得られる混合物を1本鎖フラグメントに変性する工程;上記1本鎖フラグメント間の同一の領域で上記1本鎖フラグメントがアニールし、そして変異誘発された2本鎖ポリヌクレオチドを形成する条件下で、得られる1本鎖フラグメントの集団をポリメラーゼとともにインキュベートする工程;および所望により上記の工程を反復する工程によってなされる。

    別の局面において、本発明は、野生型タンパク質をコードする2本鎖鋳型ポリヌクレオチドを含有するサンプルを、上記鋳型ポリヌクレオチドを所望のサイズのランダムな2本鎖フラグメントに切断することを提供する条件下で処理する工程;1つ以上の1本鎖または2本鎖オリゴヌクレオチドを、得られるランダムフラグメントの集団に添加する工程であって、ここで上記オリゴヌクレオチドは鋳型ポリヌクレオチドに同一な範囲または非相同範囲を包含する、工程;2本鎖のフラグメントおよびオリゴヌクレオチドの得られる混合物を1本鎖フラグメントに変性する、工程;同一な範囲で上記1本鎖フラグメントがアニールし、そして変異誘発された2本鎖ポリヌクレオチドを形成する条件下で、得られる1本鎖フラグメントの集団をポリメラーゼとともにインキュベートする工程;所望により上記の工程を反復する工程;次いで、変異誘発された2本鎖ポリヌクレオチド配列から組換えタンパク質を発現する工程により、生物学的活性を有する組換えタンパク質を生成する方法に関する。

    本発明の第3の局面は、異なる2本鎖鋳型ポリヌクレオチドを含有するサンプルを処理する工程であって、ここで上記の異なる鋳型ポリヌクレオチドが上記鋳型ポリヌクレオチドを所望のサイズのランダムな2本鎖フラグメントに切断ことを提供する条件下で、同一な範囲および非相同な範囲を包含する、工程;処理サンプル中に含有の得られるランダムな2本鎖フラグメントを1本鎖フラグメントに変性する工程;同一な範囲で該1本鎖フラグメントがアニールし、そして鋳型ポリヌクレオチド配列を含有するキメラな2本鎖ポリヌクレオチド配列を形成する条件下で、得られる1本鎖フラグメントの集団をポリメラーゼとともにインキュベートする工程に;および所望により上記の工程を反復する工程により、キメラなポリヌクレオチドを得る方法に関する。

    本発明の第4の局面は、インビトロにおいて、1本鎖鋳型ポリヌクレオチドと、鋳型ポリヌクレオチドを切断および変性することにより得られるランダムな1本鎖小フラグメントとを結合することにより、鋳型ポリヌクレオチドを複製し、そして2本鎖鋳型ポリヌクレオチドの集団が形成されるような条件下、核酸ポリメラーゼの存在下で上記核酸フラグメントの混合物をインキュベートする方法に関する。

    本発明はまた、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドおよび/または転写調節配列を含有するポリヌクレオチドを再編成するために、インビトロおよび/またはインビボにおけるポリヌクレオチド再編成の使用を提供する。

    本発明はまた、ウイルス遺伝子(例えば、キャプシドタンパク質、スパイク糖タンパク質、ポリメラーゼ、プロテアーゼなど)またはウイルスゲノム(例えは、パラミキソウイルス(例えば、paramyxoviridae)、オルトミキソウイルス(ortho
    myxoviridae)、ヘルペスウイルス、レトロウイルス、レオウイルス、ライノウイルスなど)の集団を再編成するために、ポリヌクレオチド再編成の使用を提供する。
    ある実施態様において、本発明は免疫原ウイルスタンパク質の全てまたは一部をコードする配列を再編成して、新規の組み合わせのエピトープおよび組換えにより作製される新規のエピトープを生成する方法を提供し、このような再編成されたウイルスタンパク質は、
    ウイルス進化の結果として天然の環境において生じがちなエピトープまたはエピトープの組み合わせを包含し得る(例えば、インフルエンザウイルス株の組換えなど)。

    本発明はまた、遺伝子治療ベクター、およびヒト遺伝子治療のために使用され得る複製能欠損の遺伝子治療構築物(DNAに基づくワクチン注射のためのワクチン注射ベクター、および抗新生物遺伝子治療ならびに他の遺伝子治療形式を含むが、これらに限定されない)を生成するためのポリヌクレオチド配列の再編成に適した方法を提供する。

    本発明は、DNA配列の変異誘発のためのランダムフラグメント化およびその適用後に、核酸分子を再組立する方法に関する。 増強される生物学的活性を有する変異タンパク質をコードする核酸フラグメントを生成する方法もまた記載される。 特に、本発明はまた、
    増強された生物学的活性を有する変異タンパク質の作製を可能にする変異誘発、核酸の再編成および選択の反復サイクルの方法に関する。

    本発明はDNA、RNA、またはタンパク質変異体の非常に大規模なライブラリーを生成する方法に関する。 この方法は、所望の核酸フラグメント(1つまたは複数)が選択され得る関連のあるDNAフラグメントの生成において特定の利点を有する。 特に本発明はまた、増強された生物学的活性を有する変異タンパク質作製を可能にする変異誘発、相同組換えおよび選択の反復サイクルの方法に関する。

    しかし、本発明をさらに詳細に考察する前に、まず以下の用語について定義する。

    (定義)
    本明細書で使用される以下の用語は、以下の意味を有する:
    用語「DNA再組立」は、同一の配列の間で組換えが生じる場合に使用される。

    対照的に、用語「DNA再編成」は、実質的に相同であるが同一ではない配列の間の組換えを示すために本明細書で使用され、いくつかの実施態様において、DNA再編成は非相同な組換え(例えば、cre/loxおよび/またはflp/frtシステムなど)を介する交差を含み得る。

    用語「増幅」は、核酸フラグメントのコピー数が増加されることを意味する。

    用語「同一な」または「同一」は、2つの核酸配列が同じ配列または相補的な配列を有することを意味する。 従って、「同一の範囲」は、核酸フラグメントまたはポリヌクレオチドの領域または範囲が別のポリヌクレオチドまたは核酸フラグメントに同一または相補的であることを意味する。

    用語「対応する」は、ポリヌクレオチド配列が参照ポリヌクレオチド配列の全てまたは一部分に相同である(すなわち同一であり、厳密には進化的に関連しない)こと、またはポリペプチド配列が参照ポリペプチド配列に同一であることを意味するために本明細書において使用される。 対照的に、用語「相補する」は、相補的な配列が参照ポリヌクレオチド配列の全てまたは一部分に相同であることを意味するために本明細書で使用される。 例えば、核酸配列「TATAC」は、参照配列「TATAC」に対応し、そして参照配列「
    GTATA」に相補的である。

    以下の用語は、2つ以上のポリヌクレオチド間での配列の関係を記載するために使用される:「参照配列」、「比較領域(comparison window)」、「配列同一性」、「配列同一性のパーセンテージ」、および「実質的同一性」。 「参照配列」は、
    配列比較のための基本として使用される規定の配列である;参照配列は、より大きな配列のサブセット(例えば、配列表に示される全長cDNAまたは遺伝子配列のセグメント(
    例えば、図1または図2(b)のポリヌクレオチド配列))であり得、または参照配列は完全なcDNAまたは遺伝子配列を含有し得る。 一般的に、参照配列は少なくとも20ヌクレオチドの長さであり、頻繁には少なくとも25ヌクレオチドの長さであり、そしてしばしば少なくとも50ヌクレオチドの長さである。 2つのポリヌクレオチドが、それぞれ(1)2つのポリヌクレオチド間で類似の配列(すなわち、完全なポリヌクレオチド配列の一部分)を含有し得、そして(2)2つのポリヌクレオチド間で互いに一致しない配列をさらに含有し得るので、2つ(またはそれ以上)のポリヌクレオチド間の配列比較は、
    代表的には、「比較領域」にわたる2つのポリヌクレオチドの配列を比較することにより実施され、配列が類似する局所領域を同定および比較する。

    本明細書で使用される「比較領域」は、少なくとも20の隣接するヌクレオチドの位置の概念のセグメントをいい、ここでポリヌクレオチド配列が少なくとも20の隣接するヌクレオチドの参照配列と比較され得、そしてここでは比較領域におけるポリヌクレオチド配列の部分が、2つの配列の最適アラインメントのために、参照配列(付加または欠失を含まない)に比べて20%以下の付加または欠失(すなわちギャップ)を含み得る。 比較領域を並べるための、配列の最適なアラインメントは、SmithおよびWaterma
    n (1981) Adv. Appl. Math. 2:482の局所相同性アルゴリズムにより、NeedlemanおよびWunsch (1970) J. Mol. Biol
    . 48:443の相同性アラインメントアルゴリズムにより、PearsonおよびLi
    pman (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. (U.S.A.)
    85:2444の類似度方法に関するサーチにより、これらのアルゴリズム(Wisco
    nsin Genetics Software Package Release 7
    . 0, Genetics Computer Group, 575 Science
    Dr. ,Madison, WIにおけるGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA)のコンピュータ実行により、または検査により行われ得、そして種々の方法により生成される最も良いアラインメント(すなわち、比較領域にわたる最も高い相同性パーセンテージを与える)が、選択される。

    用語「配列同一性」は、2つのポリヌクレオチド配列が比較領域にわたって同一である(すなわち、1ヌクレオチドずつに基づいて)ことを意味する。 用語「配列同一性のパーセンテージ」は、最適に並べられた2つの配列を比較領域にわたって比較し、同一の核酸塩基(例えば、A、T、C、G、U、またはI)が両方の配列において生じる位置の数を測定し、一致した位置の数を得、一致した位置の数を比較の領域における位置の全体数(
    すなわち、比較サイズ)で割り、そして結果に100を掛けて、配列同一性のパーセンテージを得ることにより、算定される。 本明細書で使用される用語「実質的同一性」は、ポリヌクレオチド配列の特徴を示し、ここではポリヌクレオチドは、少なくとも20の隣接するヌクレオチド位置の比較領域にわたり、頻繁には少なくとも25〜50ヌクレオチドの領域にわたり参照配列と比較して、少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも85%の同一性、そしてしばしば90%〜95%パーセントの配列同一性、最も通常には少なくとも99%の配列同一性を有する配列を包含し、ここでは配列同一性のパーセンテージは、ポリヌクレオチド配列を参照配列と比べることにより算定され、このヌクレオチド配列は、比較領域にわたり、全体で参照配列の20%以下の欠失または付加を含み得る。

    保存的アミノ酸置換は、類似側鎖を有する残基の互換性をいう。 例えば、脂肪族側鎖を有するアミノ酸のグループは、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、およびイソロイシンであり;脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸のグループはセリンおよびスレオニンであり;アミド含有側鎖を有するアミノ酸のグループはアスパラギンおよびグルタミンであり;芳香族側鎖を有するアミノ酸のグループは、フェニルアラニン、チロシン、およびトリプトファンであり;塩基性側鎖を有するアミノ酸のグループはリジン、アルギニン、およびヒスチジンであり;そしてイオウ含有側鎖を有するアミノ酸のグループはシステインおよびメチオニンである。 好ましい保存的アミノ酸の置換グループは:バリン−ロイシン−イソロイシン、フェニルアラニン−チロシン、リジン−アルギニン、アラニン−
    バリン、およびアスパラギン−グルタミンである。

    用語「相同」または「同種(homeologous)」は、ある1本鎖核酸配列が相補的な1本鎖核酸配列にハイブリダイズし得ることを意味する。 ハイブリダイゼーションの程度は配列間の同一性の量およびハイブリダイゼーション条件(例えば、後述するような温度および塩濃度)を包含する多数の要素に依存し得る。 好ましくは同一な領域は約5
    bpより多くであり、より好ましくは同一な領域は10bpより多くである。

    用語「非相同」は、ある1本鎖核酸配列が別の1本鎖核酸配列またはその相補鎖にハイブリダイズし得ないことをいう。 従って非相同な範囲は、核酸フラグメントまたはポリヌクレオチドが、別の核酸またはポリヌクレオチドにハイブリダイズし得ない範囲または領域を配列中に有することを意味する。 このような領域または範囲は、例えば、変異の範囲である。

    本明細書で使用される用語「同族」は、種間で進化的におよび機能的に関連付けられる遺伝子配列をいう。 これに限定されないが例えば、ヒトゲノムにおいては、ヒトCD4遺伝子は、マウスCD4遺伝子の同族遺伝子である。 なぜならこれらの2つの遺伝子の配列および構造が、それらが高度に相同であることを示し、そして両方の遺伝子がMHCクラスII−制限抗原認識を介してT細胞活性化をシグナルすることに機能するタンパク質をコードしているからである。

    用語「野生型」は、核酸フラグメントがいかなる変異も含まないことを意味する。 「野生型」タンパク質は、タンパク質が天然において見られる活性のレベルで活性であり、そして天然において見られるアミノ酸配列を含有することを意味する。

    用語「関連ポリヌクレオチド」は、ポリヌクレオチドの領域または範囲が同一であり、
    かつポリヌクレオチドの領域または範囲が非相同であることを意味する。

    用語「キメラなポリヌクレオチド」は、ポリヌクレオチドが野生型である領域および変異を受けた領域を含むことを意味する。 ポリヌクレオチドが、あるポリヌクレオチドに由来する野生型領域および別の関連ポリヌクレオチドに由来する野生型領域を含むこともまた意味する。

    用語「切断」は、ポリヌクレオチドを酵素で消化することまたはポリヌクレオチドを切断することを意味する。

    本明細書で使用される用語「集団」は、ポリヌクレオチド、核酸フラグメント、またはタンパク質のような成分の集合を意味する。 「混合集団」は、核酸またはタンパク質の同じファミリーに属する(すなわち関連する)が、それらの配列が異なり(すなわち同一ではない)、それゆえそれらの生物学的活性においても異なる成分の集合を意味する。

    用語「特定核酸フラグメント」は、特定の終点を有し、そして特定核酸配列を有する核酸フラグメントを意味する。 2つの核酸フラグメント(ここでは1つの核酸フラグメントが第2の核酸フラグメントの一部分と同一の配列を有するが、異なる末端を有する)は、
    2つの異なる特定核酸フラグメントを包含する。

    用語「変異」は、野生型核酸配列の配列における変化、またはペプチドの配列における変化を意味する。 このような変異は、塩基転位または塩基転換のような点変異であり得る。 変異は欠失、挿入、または重複であり得る。

    本明細書で使用されるポリペプチド表記は、標準的な慣習および慣用に従い、左側方向がアミノ末端方向であり、右側方向がカルボキシ末端方向である。 同様に、他で特定しないかぎり、1本鎖ポリヌクレオチド配列の左側の末端は5'末端であり;2本鎖ポリヌクレオチド配列の左側方向は5'方向という。 新生RNA転写産物の5'から3'付加の方向を、転写方向といい;RNAと同じ配列を有し、およびRNA転写産物の5'末端の5
    '側にであるDNA鎖上の配列領域を「上流配列」といい;RNAと同じ配列を有し、およびコードRNAの転写産物の3'末端の3'側にあるDNA鎖上の配列領域を「下流配列」という。

    本明細書で使用される用語「天然に存在する」は、ある物体に適用されるように、ある物体が天然において見出され得る事実をいう。 例えば、供給源から天然に単離され得、研究室においてヒトにより故意に改変されていない生物(ウイルスを含む)に存在するポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列は、天然に存在する配列である。 一般的に、用語天然に存在するは、種に代表的であるような非病的(非疾患)個体に存在する物体をいう。

    本明細書で使用される用語「薬剤」は、化合物、化合物の混合物、場所的に局在する化合物の配列(例えば、VLSIPSペプチド配列、ポリヌクレオチド配列、および/または結合小分子配列)、生体高分子、バクテリオファージのペプチドディスプレイライブラリー、バクテリオファージ抗体(例えば、scFv)ディスプレイライブラリー、ポリソームペプチドディスプレイライブラリー、または細菌、植物真菌、または動物(特に哺乳動物)細胞または組織のような生体物質から作製される抽出物を示す。 薬剤は、本明細書の以下に記載されるスクリーニングアッセイに含めることにより、抗新生物剤、抗炎症剤、またはアポトーシスモジュレーターとしての潜在的活性について評価される。 薬剤は、本明細書の以下に記載されるスクリーニングアッセイに含めることにより、特定のタンパク質相互作用のインヒビター(すなわち、2つの予め決定されたポリペプチド間の結合相互作用を選択的に阻害するが、細胞の生存性を実質的に阻害しない薬剤)としての潜在的活性について評価される。

    本明細書で使用されるように、「実質的に純粋な」は、対象種が存在する優勢種であること(すなわち、モル濃度に基づき、組成において他の任意の個々の高分子種よりも豊富であること)を意味し、そして好ましくは実質的に精製された画分は、対象種が、存在する全ての高分子種の少なくとも約50%(モルに基づき)を含む組成である。 一般的には、実質的に純粋な組成物は、組成物中に存在する全高分子種の約80%〜90%より多くを含有する。 最も好ましくは、対象種は本質的に均質にまで精製され(汚染種が従来の検出方法により組成物中に検出され得ない)、ここでは組成物は本質的に単一の高分子種からなる。 溶媒種、小分子(<500ダルトン)、および元素イオン種は高分子種とは見なさない。

    本明細書で使用される用語「生理学的条件」は、温度、pH、イオン強度、粘性率、および同様の生物学的パラメーターであって、これらは生存可能な生物に適合する、および/または生存可能な酵母培養細胞または哺乳動物培養細胞において細胞内に代表的に存在する。 例えば、代表的な実験培養条件下で増殖される酵母細胞における細胞内条件は、生理学的条件である。 インビトロ転写反応混液に適切なインビトロ反応条件は、一般的に生理学的条件である。 一般に、インビトロ生理学的条件は50〜200mM NaClまたはKCl、pH6.5〜8.5、20〜45℃、および0.001〜10mM 2価イオン(例えば、Mg ++ 、Ca ++ );好ましくは約150mM NaClまたはKCl、pH
    7.2〜7.6、5mM 二価カチオンを含有し、そしてしばしば0.01〜1.0%の非特異的タンパク質(例えば、BSA)を含有する。 非イオン性界面活性剤(Tween
    、NP−40、Triton X−100)が、通常約0.001%〜2%、代表的には0.05%〜0.2%(v/v)でしばしば存在し得る。 特定の水性条件は従来の方法に従って当業者により選択され得る。 一般的な手引きのために、以下の緩衝化水性条件が適用可能であり得る:10〜250mM NaCl、5〜50mM Tris HCl、p
    H5−8、二価カチオン(1種類または複数)および/または金属キレート剤および/または非イオン性界面活性剤および/または膜画分および/または消泡剤および/または発光剤(scintillant)の最適な添加を有する。

    本明細書において、特異的ハイブリダイゼーションは、第1のポリヌクレオチドと第2
    のポリヌクレオチド(例えば、第1のポリヌクレオチドと区別されるが実質的には同一の配列を有するポリヌクレオチド)との間のハイブリッドの形成として定義され、ここでは、実質的に関連のないポリヌクレオチド配列が混合物中でハイブリッドを形成しないストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、第1のポリヌクレオチドは優先して第2のポリヌクレオチド配列にハイブリダイズする。

    本明細書で使用される用語「単鎖抗体」は、ポリペプチド結合においてV HドメインおよびV Lドメインを含むポリペプチドをいい、一般的にスペーサーペプチド(例えば、[
    Gly−Gly−Gly−Gly−Ser] X )を介して連接され、アミノ末端および/
    またはカルボキシ末端で付加的なアミノ酸配列を含み得る。 例えば、単鎖抗体はコード化ポリヌクレオチドに結合するために、つなぎ(tether)セグメントを含み得る。 一例として、scFvは、単鎖抗体である。 単鎖抗体は一般に、免疫グロブリンスーパーファミリーの遺伝子により実質的にコードされる、少なくとも10個の隣接するアミノ酸の1つ以上のポリペプチドセグメントからなるタンパク質である(例えば、The Imm
    unoglobulin Gene Superfamily, A. F. Willia
    msおよびA. N. Barclay, Immunoglobulin Genes,
    T. Honjo, F. W. Alt,およびT. H. Rabbitts編 (1989)
    Academic Press:San Diego, CA, 361−387頁(
    本明細書中に参考として援用される)を参照のこと)。 最も頻繁には単鎖抗体は、齧歯類、ヒト以外の霊長類、トリ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、またはヒトのH鎖遺伝子配列またはL鎖遺伝子配列によりコードされる。 一般に機能的な単鎖抗体は、免疫グロブリンスーパーファミリー遺伝子産物の十分な部分を含有しており、特定標的分子(代表的にはレセプターまたは抗原(エピトープ))に対する結合特性を保有する。

    本明細書で使用されるように、用語「相補性決定領域」および「CDR」は、Kaba
    tおよびChothiaにより例証される技術認識用語である。 一般に、CDRの定義は、高頻度可変領域または高頻度可変ループ(ChothiaおよびLesk (1987
    ) J. Mol. Biol. 196:901;Chothiaら (1989) Nat
    ure 342:877;E. A. Kabatら, Sequences of Pro
    teins Immunological Interest (National I
    nstitutes of
    Health, Bethesda, MD) (1987);およびTramont
    anoら (1990) J. Mol. Biol. 215:175)としてもまた知られる。 可変領域のドメインは、代表的に、天然に存在する免疫グロブリン鎖のアミノ末端の約105〜115アミノ酸(例えば、アミノ酸1〜110)を含むが、いくらか短いまたは長い可変ドメインはもまた、単鎖抗体の形成に適している。

    免疫グロブリンのL鎖可変領域またはH鎖可変領域は、CDRとも呼ばれる3つの高頻度可変領域により中断される「フレームワーク」領域からなる。 フレームワーク領域およびCDRの範囲は正確に定義されている(「Sequences of Protein
    s of Immunological interset」 E. Kabatら, 第4版, U. S. Department of Health and Human S
    ervices, Bethesda, MD (1987)を参照のこと)。 異なるL
    鎖またはH鎖のフレームワーク領域の配列は種内で比較的保存されている。 本明細書で使用される「ヒトフレームワーク領域」は、天然に存在するヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域に実質的に同一(約85%以上、通常は90%〜95%以上)であるフレームワーク領域である。 抗体のフレームワーク領域(すなわち、構成要素のL鎖およびH鎖の結合フレームワーク領域)は、CDRの配置および配列に作用する。 CDRが主に、抗原のエピトープへの結合を担う。

    本明細書で使用される用語「可変セグメント」は、ランダムな配列、偽似ランダムな配列、または規定の核配列を含む新生ペプチドの一部分をいう。 可変セグメントは、可変領域位置および不変領域位置の両方を含み得、可変領域位置での残基の変化の程度は制限され得る;両方の選択とも実施者の判断で選択される。 代表的に、可変セグメントは約5〜
    20アミノ酸残基の長さ(例えば、8〜10アミノ酸)であるが、可変セグメントはより長くあり得、そして抗体位置またはレセプター位置(例えば、抗体フラグメント、核酸結合タンパク質、レセプタータンパク質など)を含み得る。

    本明細書で使用される「ランダムペプチド配列」は、2つ以上のアミノ酸モノマーからなり、確率過程またはランダム過程により構築されるアミノ酸配列をいう。 ランダムなペプチドはフレームワークモチーフまたは骨組みモチーフを含み得、不変配列を含み得る。

    本明細書で使用される「ランダムペプチドライブラリー」は、一セットのランダムペプチドをコードするポリヌクレオチド配列のセットをいい、そしてこれらのポリヌクレオチド配列によりコードされるランダムペプチドのセット、ならびにこれらのランダムペプチドを含む融合タンパク質をいう。

    本明細書で使用される用語「疑似ランダム」は、限定された可変性を有する配列のセットをいい、これにより、例えば、ある位置の残基の可変性の程度が別の位置の残基の可変性の程度と異なる。 しかし任意の疑似ランダム位置は、ある程度の残基の変化を可能にするが、制限される。

    本明細書で使用される用語「規定の配列フレームワーク」は、一般的に実験データまたは構造データを基礎として、非ランダムに選択される規定の配列のセットをいい;例えば、規定の配列フレームワークは、βシート構造を形成すると予想されるアミノ酸配列のセットを含み得、または他の変化の間にロイシンジッパーの7個の反復モチーフ、亜鉛フィンガードメインを含み得る。 「規定の配列核」は、可変性の制限範囲を含む配列のセットである。 (1)20個の従来のアミノ酸の完全にランダムな10マーの配列は、(20)
    10個の配列のいずれでもあり得、そして(2)20個の従来のアミノ酸の疑似ランダムな10マーの配列は(20) 10個の配列のいずれでもあり得るが、特定の位置および/または全体で特定の残基に偏りが表れるのに対し、一方(3)規定の配列核は、それぞれの残基位置が可能である20個の従来のアミノ酸(および/または可能な比従来型のアミノ酸/イミノ酸)のいずれでもあることが可能とされた場合、可能な配列の最大数よりも少なくなる配列のサブセットである。 一般に、規定の配列核は、個々の選択されたライブラリーメンバー配列のセグメントまたは全長のいずれかに、可変残基位置および不変残基位置を含んだり、そして/またはアミノ酸残基の規定のサブセットから選択される残基を含み得る可変残基位置を包んだりなどする。 規定の配列核は、アミノ酸配列またはポリヌクレオチド配列のいずれかをいい得る。 これらに限定されないが例えば、配列(NNK) 10および(NNH) 10は、配列核であると定義される(ここでNはA、T、G、またはCを表し;Kは、GまたはTを表し;およびMはAまたはCを表す)。

    本明細書で使用される「エピトープ」は、抗体の可変領域結合ポケットと相互作用して結合相互作用を形成し得る抗原または他の高分子の一部分をいう。 代表的に、このような結合相互作用はCDRの1つ以上のアミノ酸残基の分子間接触として示される。

    本明細書で使用される「レセプター」は、所定のリガンドにアフィニティーを有する分子をいう。 レセプターは天然に存在する分子または合成分子であり得る。 レセプターは不変状態においてまたは他の種とともに集合体として使用され得る。 レセプターは、共有結合的または非共有結合的に、直接または特異的な結合物質を介してのいずれかで、結合メンバーに付着され得る。 レセプターの例は、抗体(特定の抗原決定基(例えば、ウイルス、細胞、または他の物質)と反応するモノクロール抗体および抗血清を包含する)、細胞膜レセプター、炭水化物および糖タンパク質の複合体、酵素、およびホルモンレセプターを包含するがこれらに限定されない。

    本明細書で使用される「リガンド」は、ランダムペプチド配列または可変セグメント配列のような、特定のレセプターで認識される分子をいう。 当業者の認識するところによれば、分子(または高分子複合体)は、レセプターおよびリガンドの両方であり得る。 一般的に、小分子量を有する結合対をリガンドといい、そして大きな分子量を有する結合対をレセプターという。

    本明細書で使用される「リンカー」または「スペーサー」は、2つの分子(例えば、D
    NA結合タンパク質およびランダムペプチド)を結合させる分子または分子のグループをいい、そして好ましい配置にその2つの分子を置くように供せられる。 これにより、例えば、ランダムペプチドは、DNA結合タンパク質から最少の立体障害でレセプターに結合し得る。

    本明細書で使用される用語「作動可能に連結される」は、機能的関係におけるポリヌクレオチド要素の連結をいう。 核酸が、別の核酸配列と機能的関係に置かれる場合、核酸は「作動可能に連結される」。 例えば、プロモーターまたはエンハンサーが、コード配列の転写に影響する場合、これはコード配列に作動可能に連結される。 作動可能に連結されるとは、代表的に、連結されるDNA配列が隣接されることを意味し、2つのタンパク質コード領域を接続することが必要である場合、隣接されかつリーディングフレーム内にある。

    (方法論)
    核酸再編成は、インビトロまたはインビボにおいて核酸フラグメントまたはポリヌクレオチドのプールを相同組換えする方法である。 関連核酸配列またはポリヌクレオチドの混合物をランダムにフラグメント化し、そして再組立して、組換え核酸分子またはポリヌクレオチドのライブラリーまたは混合集団を生じる。

    カセット変異誘発とは対照に、再編成および誤りがちなPCRのみが、(プライマー以外の配列情報を用いずに)盲目的に配列のプールを変異させる。

    反復選択について誤りがちなPCRのみよりも優れる本発明の変異性再編成の利点は、
    抗体工学からの例を用いて最も良く説明され得る。 図1に、本明細書で記載されるDNA
    再編成の概略図が示される。 開始ライブラリーは多様な起源の関連配列(すなわち、天然mRNA由来の抗体)からなり得、または単一抗体遺伝子の任意の型の変異誘発(再編成を包含する)により得られ得る。 選択される相補性決定領域(「CDR」)の集合は、一回目のアフィニティー選択後に得られる(図1)。 図において、太いCDRは、抗体分子に抗原への増加したアフィニティーを与える。 再編成は、全てのCDR1と全てのCDR
    2および全てのCDR3などとの自由な組み合わせの結合を可能にする(図1)。

    この方法は、逆鎖反応である点でPCRとは異なる。 PCRでは、ポリメラーゼの開始部位の数および分子の数は指数関数的に増加する。 しかし、ポリメラーゼ開始部位の配列および分子の配列は本質的に同じである。 反対に、ランダムフラグメントの核酸再組立または再編成では、開始部位の数およびランダムフラグメントの数(サイズではない)は、
    時間がたつと減少する。 全プラスミドに由来するフラグメントについて、理論上の終点は、単一の大きな鎖状分子である。

    相同な領域で交差が生じるので、組換えは主に同じ配列ファミリーのメンバー間で生じる。 このことは、ひどく不適合性である (例えば、同じ抗原の異なるエピトープに対する)CDRの組み合わせを防止する。 配列の多数のファミリーが同じ反応において再編成され得ることが意図される。 さらに、再編成は相対的順位を保存するので、例えば、CD
    R1は、CDR2の位置では見出されない。

    優れた再編成体は多数の最も良い(例えば、最も高いアフィニティーの)CDRを含み、そしてこれらの優れた再編成体はそれらの優れたアフィニティーに基づいて選択され得る(図1)。

    100個の異なる選択される抗体配列のプールに由来するCDRは、100 6通りまで順序変えされ得る。 この多数の順序変えはDNA配列の単一ライブラリーでは表し得ない。 従って、DNA再編成および選択の多数のサイクルは、配列の長さおよび所望の配列の多様性に依存して要求され得ることが意図される。

    反対に、誤りがちなPCRは全ての選択されるCDRを同じ関連配列中に保ち(図1)
    、よりずっと小さな変異曇りを生成する。

    本発明の方法において使用され得る鋳型ポリヌクレオチドはDNAまたはRNAであり得る。 それは、組換えまたは再組立される遺伝子またはDNAフラグメントの大きさに依存して種々の長さであり得る。 好ましくは、鋳型ポリヌクレオチドは50bp〜50kb
    である。 目的のタンパク質をコードする核酸を含有する完全なベクターが、本発明の方法において使用され得ることが意図され、そして実際に首尾良く使用されている。

    鋳型ポリヌクレオチドは、PCR反応(米国特許第4,683,202号および第4,
    683,195号)または他の増幅方法またはクローニング方法を使用する増幅により得られ得る。 しかし、フラグメント化する前にPCR産物から遊離プライマーを除去すると、より効率的な結果が提供される。 プライマーの十分な除去を損なうと、低頻度の交差クローンを導き得る。

    鋳型ポリヌクレオチドはしばしば、2本鎖であるべきである。 2本鎖核酸分子は、得られる1本鎖核酸フラグメントの領域が互いに相補的で、従って、ハイブリダイズして2本鎖分子を形成し得ることを確実にすることが要求される。

    鋳型ポリヌクレオチドに同一な領域および鋳型ポリヌクレオチドに非相同な領域を有する1本鎖または2本鎖核酸フラグメントが、この工程で、鋳型ポリヌクレオチドに添加され得ることが意図される。 2つの異なるが関連したポリヌクレオチド鋳型がこの工程で混合され得ることもまた意図される。

    2本鎖ポリヌクレオチド鋳型および任意の添加される2本鎖フラグメントまたは1本鎖フラグメントは、約5bp〜5kb以上のフラグメントにランダムに消化される。 好ましくは、ランダムフラグメントの大きさは10bp〜1000bpであり、より好ましくはDNAフラグメントの大きさは約20bp〜500bpである。

    あるいは、多数のニックを有する2本鎖核酸は、本発明の方法において使用され得る。
    ニックは2本鎖核酸の1本鎖における切れ目である。 このようなニック間の距離は好ましくは5bp〜5kbであり、より好ましくは10bp〜1000bpの間である。

    核酸フラグメントは多数の異なる方法により消化され得る。 核酸フラグメントはヌクレアーゼ(例えば、DNAseIまたはRNAse)を用いて消化され得る。 核酸は、超音波処理方法によりまたは小穴を有するチューブの通過によりランダムに剪断され得る。

    核酸が1つ以上の制限酵素を用いて部分的に消化され得、これにより特定の交差点が統計的に保持され得ることもまた意図される。

    任意の1つの特定核酸フラグメントの濃度は、全核酸の1重量%より大きいことはなく、より好ましくは、任意の1つの特定核酸フラグメントの濃度は、全核酸の0.1重量%
    より大きいことはない。

    混合物における異なる特定核酸フラグメントの数は少なくとも約100個であり、好ましくは少なくとも500個であり、そしてより好ましくは少なくとも約1000個である。

    この工程で、1本鎖核酸フラグメントまたは2本鎖核酸フラグメントは、合成または天然のいずれかで、核酸フラグメントの混合物の不均一性を増加するために、ランダムな2
    本鎖核酸フラグメントに添加され得る。

    2本鎖のランダムに切断された核酸フラグメントの集団が、この工程で混合され得、または組み合わされ得ることもまた意図される。

    鋳型ポリヌクレオチドへの変異の挿入が所望される場合、鋳型ポリヌクレオチドに同一な領域および鋳型ポリヌクレオチドに非相同な領域を有する1本鎖核酸フラグメントまたは2本鎖核酸ラグメントは、全核酸に比べて20重量倍過剰に、より好ましくは1本鎖核酸フラグメントが全核酸に比べて10重量倍過剰に添加され得る。

    異なるが関連した鋳型ポリヌクレオチドの混合物が所望される場合、鋳型のそれぞれに由来する核酸フラグメントの集団が約1:100より少ない比率で組み合わされ得、より好ましくは、比率は約1:40より小さい。 例えば、野生型ポリヌクレオチドと変異ポリヌクレオチドの集団との戻し交雑が、中立変異(例えば、選択される表現型の特性において実質のない変化を生じる変異)を除去するために所望され得る。 このような例では、ランダム消化変異ポリヌクレオチドフラグメントに添加され得るランダム消化野生型ポリヌクレオチドフラグメントの比率は約1:1から約100:1であり、そしてより好ましくは1:1から40:1である。

    ランダム核酸フラグメントの混合集団は、変性されて1本鎖核酸フラグメントを形成し、次いで再びアニールされる。 他の1本鎖核酸フラグメントに相同な領域を有するこれらの1本鎖核酸フラグメントのみが、再びアニールされる。

    ランダム核酸フラグメントは熱を加えることにより変性される。 当業者は完全に2本鎖核酸を変性するために必要な条件を決定し得る。 好ましくは、温度は80℃〜100℃であり、より好ましくは温度は90℃〜96℃である。 核酸フラグメントを変性するために使用され得る他の方法は、圧力(36)およびpHを包含する。

    核酸フラグメントは冷却することにより再びアニールされ得る。 好ましくは、温度は2
    0℃〜75℃であり、より好ましくは温度は40℃〜65℃である。 高頻度の交差が、平均して単に4つの連続した相同な塩基に基づいて必要される場合、組換えは低いアニール温度を使用することにより増強され得るが、プロセスはより困難になる。 生じる再生の程度は、1本鎖核酸フラグメントの集団間の相同性の程度に依存する。

    再生はポリエチレングリコール(「PEG」)または塩の添加により加速され得る。 塩濃度は好ましくは0mM〜200mMであり、より好ましくは塩濃度は10mM〜100
    mMである。 塩はKClまたはNaClであり得る。 PEGの濃度は好ましくは0%〜2
    0%であり得、より好ましくは5%〜10%であり得る。

    次に、アニールされた核酸フラグメントは、核酸ポリメラーゼおよびdNTP(すなわち、dATP、dCTP、dGTP、およびdTTP)の存在下でインキュベートされる。 核酸ポリメラーゼは、Klenowフラグメント、Taqポリメラーゼ、または当該分野において知られる任意の他のDNAポリメラーゼであり得る。

    再組立に使用されるアプローチは、それでもなお交差が生じるような最少の程度の相同性に依存する。 同一である範囲が広い場合、Taqポリメラーゼが45℃〜65℃の間のアニール温度を用いて使用され得る。 同一である範囲が小さな場合、Klenowポリメラーゼが、20℃〜30℃の間のアニール温度を用いて使用され得る。 当業者は達成される交差の数を増加するためにアニールの温度を変化させ得る。

    ポリメラーゼはアニーリングの前、アニーリングと同時に、またはアニーリングの後にランダム核酸フラグメントに添加され得る。

    ポリメラーゼの存在下での変性、再生、およびインキュベーションのサイクルは、本明細書では、核酸の再編成または再組立という。 このサイクルは所望の回数反復される。 好ましくは、サイクルは2回〜50回反復され、より好ましくは10回〜40回反復される。

    得られる核酸は、約50bp〜約100kbのより大きな2本鎖ポリヌクレオチドであり、好ましくはより大きなポリヌクレオチドは500bp〜50kbである。

    このより大きなポリヌクレオチドフラグメントは、鋳型ポリヌクレオチドと同じ大きさを有する核酸フラグメントの多くのコピーを直列して含有し得る。 次いで、この鎖状フラグメントは鋳型ポリヌクレオチドの単一コピーに消化される。 結果は鋳型ポリヌクレオチドとほぼ同じ大きさの核酸フラグメントの集団である。 同一な範囲および非相同な範囲を有する1本鎖核酸フラグメントまたは2本鎖核酸フラグメントが、再編成の前に鋳型ポリヌクレオチドに添加される場合、集団は混合集団である。

    次いで、これらのフラグメントは適切なベクターにクローン化され、そして細菌を形質転換するためにライゲーション混合液が使用される。

    単一の核酸フラグメントは、鎖状フラグメントを消化するのではなく、種々の方法(P
    CR(米国特許第4,683,195号および4,683,202号)を包含する)によりクローン化される前に単一の核酸フラグメントを増幅することにより、より大きな鎖状核酸フラグメントから得られ得ることが意図される。

    クローン化に使用されるベクターは、ベクターが所望の大きさのDNAフラグメントを受容するのであれば決定的なものではない。 DNAフラグメントの発現が所望される場合、クローン化媒体は、宿主細胞におけるDNAフラグメントの発現を可能にするように、
    DNAフラグメントの挿入部位の隣に転写シグナルおよび翻訳シグナルをさらに含有する。 好ましいベクターは、プラスミドのpUC系列およびpBR系列を包含する。

    得られる細菌集団は、ランダムな変異を有する多くの組換えDNAフラグメントを含む。 この混合集団は、所望の組換え核酸フラグメントを同定するために試験され得る。 選択の方法は所望のDNAフラグメントに依存する。

    例えば、リガンドへの結合効率が増加されたタンパク質をコードするDNAフラグメントが所望される場合、集団またはライブラリーにおいてそれぞれのDNAフラグメントにより発現されるタンパク質は、当該分野において公知の方法(すなわち、パンニング、アフィニティークロマトグラフィー)により、リガンドに結合するそれらの能力について試験され得る。 増加した薬物耐性を有するタンパク質をコードするDNAフラグメントが所望される場合、集団またはライブラリーにおいてそれぞれのDNAフラグメントにより発現されるタンパク質は、宿主生物に薬物耐性を与えるそれらの能力について試験され得る。 所望されるタンパク質の知識を与えられた当業者であれば、タンパク質に所望の特性を与えるDNAフラグメントを同定するために、集団を容易に試験し得る。

    当業者が、タンパク質のフラグメントがファージ表面上で融合タンパク質として発現されるようなファージディスプレイシステム(Pharmacia, Milwaukee
    WI)を使用し得ることが意図される。 組換えDNA分子は、融合タンパク質(その一部分は組換えDNA分子によりコードされる)の転写を生じるような部位で、ファージD
    NAへクローン化される。 組換え核酸分子を含有するファージは、細胞内で複製および転写を行う。 融合タンパク質のリーダー配列は、融合タンパク質の輸送をファージ粒子の先端部へと導く。 従って、組換えDNA分子により部分的にコードされる融合タンパク質は、上記の方法による検出および選択のために、ファージ粒子上にディスプレイされる。

    核酸再編成の多くのサイクルが、第1の集団のサブ集団からの核酸フラグメントを用いて実施され得ることがさらに意図され、サブ集団は所望の組換えタンパク質をコードするDNAを含む。 このようにして、さらに高い結合アフィニティーまたは酵素活性を有するタンパク質が達成され得る。

    核酸再編成の多くのサイクルが、サブ集団から任意のサイレント変異を取り除くために、野生型核酸フラグメントおよび一回目のまたはそれに続く核酸再編成に由来する核酸のサブ集団の混合物を用いて実施され得る。

    核酸の任意の供給源が、精製された形態で出発核酸として利用される。 従って、プロセスはDNAまたはRNA(メッセンジャーRNAを含む)を使用し得、DNAまたはRN
    Aは、1本鎖または2本鎖であり得る。 さらに、それぞれの片鎖を含むDNA−RNAのハイブリッドが使用され得る。 核酸配列は、変異される核酸配列の大きさに依存して種々の長さであり得る。 好ましくは、特定核酸配列は50〜50000塩基対である。 目的のタンパク質をコードする核酸を含有する完全なベクターが本発明の方法において使用され得ることが意図される。

    核酸は任意の供給源から得られ得、例えば、pBR322のようなプラスミドから、クローン化されたDNAまたはRNAから、または任意の供給源(細菌、酵母、ウイルスおよび植物または動物のような高等生物を含む)に由来する天然のDNAまたはRNAから得られ得る。 DNAまたはRNAは、血液または組織物質から抽出され得る。 鋳型ポリヌクレオチドはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(米国特許第4,683,202号および4,683,195号)を使用する増幅により得られ得る。 あるいは、ポリヌクレオチドは細胞に存在するベクターに存在し得、そして十分な核酸が、細胞を培養し、そして細胞から当該分野で公知の方法により核酸を抽出することにより得られ得る。

    任意の特定核酸配列が、本プロセスにより変異の集団を生成するために使用され得る。
    特定核酸配列の変異配列の小さな集団が存在することまたは本プロセスの前に作製されることのみが必要とされる。

    変異を有する特定核酸配列の初めの小さな集団が、多くの異なる方法により作製され得る。 変異は誤りがちなPCRにより作製され得る。 誤りがちなPCRは、長い配列にわたり、ランダムに低レベルで点変異を誘導するために、低忠実度の重合条件を使用する。 あるいは、オリゴヌクレオチドに特異的に変異を誘発することにより、変異は鋳型ポリヌクレオチドに導入され得る。 オリゴヌクレオチドに特異的に変異を誘発するにおいて、ポリヌクレオチドの短い配列が、制限酵素消化を使用してポリヌクレオチドから除去され、そして種々の塩基が元の配列から変化された合成オリゴヌクレオチドで置き換えられる。 ポリヌクレオチド配列はまた、化学変異誘発により変化させられ得る。 化学変異誘発物質は、例えば、重亜硫酸ナトリウム、亜硝酸、ヒドロキシルアミン、ヒドラジン、またはギ酸を包含する。 ヌクレオチド前駆体のアナログである他の薬剤は、ニトロソグアニジン、5
    −ブロモウラシル、2−アミノプリン、またはアクリジンを包含する。 一般的に、これらの薬剤はヌクレオチド前駆体の代わりにPCR反応に添加され、それゆえ配列を変異させる。 プロフラビン、アクリフラビン、キナクリンなどのような挿入剤もまた使用され得る。 ポリヌクレオチド配列のランダム変異誘発は、X線または紫外線光を用いる照射によっても達成され得る。 一般に、そのように変異が誘発されたプラスミドDNAフラグメントまたはDNAフラグメントは、E. coliへ導入され、そして変異のプラスミドのプールまたはライブラリーとして増殖される。

    あるいは、特定核酸の小さな混合集団は、天然において見出され得うる。 なぜならそれらが同じ遺伝子の異なる対立遺伝子、または異なる関連種に由来する同じ遺伝子(すなわち、同族遺伝子)からなり得るからである。 あるいは、特定核酸配列の小さな混合集団は、1つの種(例えば、免疫グロブリン遺伝子)内に見出される関連DNA配列であり得る。

    一旦、特定核酸配列の混合集団が生成されたら、ポリヌクレオチドは、当業者に周知の技術を使用して直接使用され得るか、または適切なクローニングベクターに挿入され得る。

    ベクターの選択はポリヌクレオチド配列の大きさ、および本発明の方法において使用される宿主細胞に依存する。 本発明の鋳型はプラスミド、ファージ、コスミド、ファージミド、ウイルス(例えば、レトロウイルス、パラインフルエンザウイルス、ヘルペスウイルス、レオウイルス、パラミキソウイルスなど)、またはその選択部分(例えば、コートタンパク質、スパイク糖タンパク質、キャプシドタンパク質)であり得る。 例えば、変異特定核酸配列がより大きい場合、コスミドおよびファージミドが好ましい。 なぜならこれらのベクターは大きな核酸フラグメントを安定に増殖し得るからである。

    特定核酸配列の混合集団がベクターにクローン化される場合、それぞれのベクターを宿主細胞に挿入し、そして宿主細胞にベクターを増殖させることにより、特定核酸配列の混合集団はクローン的に(clonally)増幅され得る。 このことはクローン増幅(c
    lonal amplification)と呼ばれる。 なぜなら核酸配列の絶対数は増加されるが、変異体の数は増加しないからである。

    (有用性)
    本発明のDNA再編成方法は、未知の配列のプール上で盲目的に実施され得る。 再組立の混合オリゴヌクレオチド(再組立される配列に相同である末端を有する)を添加することにより、任意の配列混合物が任意の特定位置で別の配列混合物中に取り込まれ得る。 従って、合成オリゴヌクレオチド、PCRフラグメント、または全遺伝子の混合物が、規定の位置で別の配列ライブラリーへ混合され得る。 1つの配列(混合物)の挿入は、鋳型の別の部分における配列の挿入から独立する。 従って、組換えの程度、要求される相同性の程度、およびライブラリーの多様性の程度は、再組立されるDNAの長さに従って独立してまたは同時に変化され得る。

    2つの遺伝子を混合するこのアプローチは、マウスハイブリドーマ由来の抗体をヒト化するために有用であり得る。 2つの遺伝子を混合するアプローチまたは変異配列を遺伝子へ挿入するアプローチは、任意の治療学的に使用されるタンパク質(例えば、インターロイキンI、抗体、tPA、成長ホルモンなど)のために有用であり得る。 このアプローチは、任意の核酸(例えば、プロモーター、またはイントロン、または遺伝子の3'非翻訳領域または5'非翻訳領域)において、発現を増加するためにまたはタンパク質の発現特異性を変えるためにもまた有用であり得る。 このアプローチはまた、リボザイムまたはアプタマー(aptamer)を変異するためにもまた使用され得る。

    再編成は、多様な領域を分離する相同な領域の存在を要求する。 スカホールド様タンパク質構造は、特に再編成に適し得る。 保存されるスカホールドは、自己会合により全体の折り畳みを決定するが、特異的結合を媒介する相対的に制限されないループをディスプレイする。 このようなスカホールドの例は、免疫グロブリンβバレル、および4へリックス束である(24)。 この再編成は、結合について変異配列の種々の組み合わせを有するスカホールド様タンパク質を作製するために、使用され得る。

    (インビトロにおける再編成)
    同等のいくつかの標準的な遺伝子交配もまた、インビトロにおける再編成により実施され得る。 例えば、「分子戻し交雑」は、目的の変異について選択しながら、変異体の核酸と野生型核酸との混合を反復することにより実施され得る。 従来の育種におけるように、
    このアプローチは異なる供給源に由来する表現型を選択されたバックグランドに組み合わせるために使用され得る。 これは、例えば、選択されない特徴(すなわち、免疫原性)に影響する中立変異を除去するために有用である。 従って、このアプローチは、タンパク質におけるどの変異が増強される生物学的活性に関連するか関連しないかを決定するために有用であり得、誤りがちな変異誘発方法またはカセット変異誘発方法により達成され得ない利点を決定するために有用であり得る。

    大きな機能的遺伝子は、小さなランダムフラグメントの混合物から正確に組立され得る。 この反応は、化石の高度にフラグメント化されたDNAから遺伝子を再組立するために有用であり得る(25)。 さらに、化石に由来するランダムな核酸フラグメントは、関連種に由来する類似遺伝子からの核酸フラグメントとともに組み合わせられ得る。

    本発明の方法は、種々の研究および診断的適用に必要とされるように、単一の細胞から全ゲノムを、インビトロにおいて増幅するために使用され得る。 PCRによるDNA増幅は、実際、約40kbの長さに制限される。 PCRによりE. coli(5,000kb
    )のような全ゲノムを増幅することは、125個の40kbのフラグメントを生じる約2
    50のプライマーを必要とする。 このアプローチは、十分な配列データが利用できないために実用的ではない。 反対に、DNAseIを用いるゲノムのランダムな消化、それに続く小フラグメントのゲル精製は、多数の可能なプライマーを提供する。 PCR反応においてこのランダム小フラグメントの混合物をプライマーとして単独でまたは鋳型としての全ゲノムと共に使用すると、理論上、ゲノムの多くのコピーを含む単一の鎖状体を終点とする逆鎖反応が生じる。

    ランダムフラグメントのみが使用される場合、コピー数において100倍の増幅および50kbより大きい平均フラグメントサイズが得られ得る(実施例2を参照のこと)。 より大きな鎖状体が、多くの小フラグメントの重複により生成されると考えられる。 合成プライマーを使用して得られる特定PCR産物の質は、増幅されないDNAから得られる産物と区別されない。 このアプローチはゲノムのマッピングに有用であると期待される。

    再編成されるポリヌクレオチドは、実施者の判断で、ランダムにまたは非ランダムにフラグメント化され得る。

    (インビボにおける再編成)
    インビボにおける再編成の1つの実施態様において、特定核酸配列の混合集団は、各宿主細胞において、少なくとも2つの異なる核酸配列が存在する条件下で、細菌細胞または真核細胞へ導入される。 フラグメントは種々の異なる方法により、宿主細胞へ導入され得る。 宿主細胞は、当業者に公知の方法(例えば、塩化カルシウムを用いる処理)を使用してフラグメントで形質転換され得る。 フラグメントがファージゲノムに挿入される場合、
    宿主細胞は特定核酸配列を有する組換えファージゲノムを用いてトランスフェクトされ得る。 あるいは、核酸配列は、エレクトロポレーション、トランスフェクション、リポフェクション、バイオリスティック(biolistic)、接合などを用いて宿主細胞へ導入され得る。

    一般的に、この実施態様において、特定核酸配列は、宿主細胞において配列を安定に複製し得るベクター中に存在する。 さらに、ベクターを有する宿主細胞が選択され得るように、ベクターがマーカー遺伝子をコードすることが意図される。 このことは、変異特定核酸配列が、宿主細胞へ導入された後に回収され得ることを確実にする。 しかし、特定核酸配列の完全な混合集団がベクター配列上に存在する必要がないことが意図される。 むしろ、宿主細胞にフラグメントを導入した後に、各宿主細胞が、少なくとも1つのそこに存在する特定核酸配列を有する1つのベクターを含有することを確実にするために、十分な数だけの配列がベクターにクローン化される必要がある。 特定核酸配列の集団のサブセットをベクターへクローン化させるよりも、このサブセットは宿主細胞に、すでに安定に組み込まれ得ることもまた、意図される。

    同一の領域を有する2つのフラグメントが、宿主細胞へ挿入される場合、2つのフラグメント間に相同組換えが生じることが見出された。 2つの変異特定核酸配列間のこのような組換えで、いくつかの状況において二重変異体または三重変異体を生じる。

    いくつかの変異特定核酸配列が、直鎖上の核酸分子上に存在する場合、組換えの頻度が増加されることもまた見出された。 従って、好ましい実施態様では、いくつかの特定核酸配列が直鎖状核酸フラグメント上に存在する。

    形質転換の後に、宿主細胞形質転換体は、所望の特質を有する変異特定核酸配列を含有するこれらの宿主細胞形質転換体を同定するために選択下におかれる。 例えば、特定の薬物に対して増加される耐性が所望される場合、形質転換された宿主細胞は、特定の増加した薬物濃度を受け得、そして増加する薬物耐性を与え得る変異タンパク質を産生する形質転換体が、選択され得る。 特定タンパク質がレセプターに結合する能力の増強が所望される場合、タンパク質の発現は形質転換体から誘導され得、そして得られるタンパク質は当業者に公知の方法によるリガンド結合アッセイにおいてアッセイされ、リガンドに対して増強される結合を示す変異集団のサブセットを同定する。 あるいは、タンパク質は、適切なプロセシングを確実にするように、別のシステムにおいて発現され得る。

    一旦、所望される特徴を有する第1の組換え特定核酸配列(娘配列)のサブセットが同定されると、次いで、それらは2回目の組換えを受ける。

    組換えの2回目のサイクルにおいて、組換え特定核酸配列は、元の変異特定核酸配列(
    親配列)とともに混合され得、そして上記のようにサイクルが反復され得る。 この方法では、増強される特性を有するかまたは増強される特性を有するタンパク質をコードする第2の組換え特定核酸配列のセットが同定され得る。 このサイクルは所望される多数回反復され得る。

    第2のまたはそれに続く組換えサイクルにおいて、戻し交雑が実施され得ることもまた意図される。 分子の戻し交雑は、所望の特定核酸配列を多数の野生型配列と混合することにより実施され得、それにより少なくとも1つの野生型核酸配列および変異核酸配列が、
    形質転換後に、同じ宿主細胞中に存在する。 野生型特定核酸配列を用いる組換えは、免疫原性のような選択されない特徴に影響し得るが、選択される特徴には影響し得ないそれらの中立変異を除去する。

    本発明の別の実施態様において、一回目の間、宿主細胞へ導入する前に、特定核酸配列のサブセットがフラグメント化され得ることが意図される。 フラグメントの大きさは、他の配列と相同組換えできるように、他の配列に同一ないくつかの領域を含むのに十分な大きさでなくてはならない。 フラグメントの大きさは0.03kb〜100kbの範囲であり、より好ましくは0.2kb〜10kbの範囲である。 それに続くラウンドにおいて、
    以前のラウンドから選択される配列以外の全ての特定核酸配列は、宿主細胞へ導入する前に切断されてフラグメント化され得る。

    配列のフラグメント化は、当該分野において公知の種々の方法により達成され得る。 配列は、核酸配列中、ランダムにフラグメント化され得るか、または特定部位でフラグメント化され得る。 ランダムフラグメントは核酸の切断により、または核酸を過酷な物理的処理(例えば、剪断または放射線照射)または過酷な化学剤(例えば、遊離ラジカル;金属イオン;脱プリン;および切断するための酸処理による)に核酸を曝露することにより得られ得る。 DNAの場合、DNAseまたは同様のヌクレアーゼを使用することによってもまた、ランダムフラグメントが得られ得る。 配列は、制限酵素の使用により、特定部位で切断され得る。 フラグメント化配列は、1本鎖または2本鎖であり得る。 配列が、本来1本鎖である場合、宿主細胞に挿入する前に、それらは熱、化学物質、または酵素で変性され得る。 核酸の鎖を分離するために適切な反応条件は、当該分野において周知である。

    このプロセスの工程は、限界なく反復され得、達成され得る可能な変異体の数によってのみ、制限される。 一定の数のサイクル後、全ての可能な変異体が達成され、そしてさらなるサイクルは余分になる。

    ある実施態様において、同じ変異鋳型核酸が繰り返し組換えされて、そして得られる組換え体が所望の特徴について選択される。

    それゆえ、変異鋳型核酸の初めのプールまたは集団は、E. coliのような細菌において複製可能なベクターへクローン化される。 E. coliにおいて自律複製し得るかぎり、特定のベクターは必須ではない。 好ましい実施態様において、ベクターは、ベクターに連結される変異特定核酸によりコードされる任意のタンパク質の発現および生成を可能にするように設計される。 ベクターが選択可能なマーカーをコードする遺伝子を含有することもまた、好ましい。

    変異核酸配列のプールを含有するベクターの集団は、E. coli宿主細胞へ導入される。 ベクターの核酸配列は形質転換、トランスフェクションまたはファージの場合は感染により導入され得る。 細菌に形質転換するために使用されるベクターの濃度は、多くのベクターが各細胞へ導入され得る程度である。 一旦、細胞中に存在すると、相同組換えの効率は、相同組換えが種々のベクター間で生じる程度である。 このことにより、元の親変異配列と異なる変異の組み合わせを有する変異体(娘)を生成する。

    次いで、宿主細胞はクローン的に複製され、ベクター上に存在するマーカー遺伝子について選択される。 プラスミドを有するこれらの細胞のみが、選択下で増殖する。

    次いで、ベクターを含む宿主細胞は、好ましい変異の存在について試験される。 このような試験は、例えば、選択される遺伝子が改良される薬物耐性遺伝子である場合、細胞を選択圧下におくことからなり得る。 ベクターが変異核酸配列によりコードされるタンパク質の発現を可能にする場合、このような選択はコードされるタンパク質の発現を可能にし、タンパク質を単離し、そして、例えば、増加された効率で目的のリガンドに結合するかどうかを決定するためにタンパク質を試験することを包含し得る。

    一旦、所望の特徴を与える特定の娘変異核酸配列が同定されると、核酸は、すでにベクターに連結されているかまたはベクターから分離されているかのいずれかで単離される。
    次いで、この核酸は核酸の第一集団または親集団と混合され、そしてサイクルが反復される。

    本方法により増強された所望の特性を有する核酸配列が選択され得ることが示される。

    別の実施態様において、変異体の第一世代は細胞内に保持され、親変異配列が再び細胞に添加される。 従って、実施態様Iの第一サイクルは上記のように実施される。 しかし、
    娘核酸配列が同定された後、これらの配列を含む宿主細胞が保持される。

    親の変異特定核酸集団は、フラグメントとしてまたは同じベクターへクローン化されるかのいずれかで、既に娘核酸を含む宿主細胞へ導入される。 組換えを細胞において生じさせ、次世代の組換え体、または子孫が上記の方法により選択される。

    このサイクルは、所望の特徴を有する核酸またはペプチドが得られるまで、多数回反復され得る。 続くサイクルにおいて、好ましい変異体に添加される変異配列の集団が、親変異体または任意の次の世代から生じ得る。

    別の実施態様において、本発明は、任意の中立変異を除去するために、得られる組換え特定核酸の「分子」戻し交雑を実施する方法を提供する。 中立変異は、核酸またはペプチドに所望の特性を与えない変異である。 しかし、このような変異は核酸またはペプチドに所望でない特徴を与え得る。 従って、このような中立変異を除去することが望ましい。 本発明の方法は、そのように行う手段を提供する。

    この実施態様において、所望の特徴を有する変異体核酸が実施態様の方法により得られた後、核酸、核酸を有するベクター、またはベクターおよび核酸を含有する宿主細胞が単離される。

    次いで、核酸またはベクターはかなり過剰な野生型核酸とともに宿主細胞へ導入される。 変異体の核酸および野生型配列の核酸を、組換えに供する。 得られる組換え体は、変異体核酸と同じ選択下に置かれる。 所望の特徴を有するこれらの組換え体のみが選択される。 所望の特徴を与えない任意のサイレント変異は野生型DNAとの組換えを介して失われる。 このサイクルは、全てのサイレント変異が除去されるまで、多数回反復され得る。

    従って、本発明の方法は、分子戻し交雑において、不必要な変異またはサイレント変異を除去するために使用され得る。

    (有用性)
    本発明のインビボにおける組換え方法は、未知の変異体のプールまたは特定核酸フラグメントまたは配列の対立遺伝子上で盲目的に実施され得る。 しかし、特定核酸フラグメントの実際のDNAまたはRNA配列を知る必要はない。

    遺伝子の混合集団内で組換えを使用するアプローチは、任意の有用なタンパク質(例えば、インターロイキンI、抗体、tPA、成長ホルモンなど)を生成するために有用であり得る。 本アプローチは、変化された特異性または活性を有するタンパク質を生成するために使用され得る。 本アプローチは変異体核酸配列(例えば、プロモーター領域、イントロン、エキソン、エンハンサー配列、遺伝子の3'非翻訳領域または5'非翻訳領域)を生成するために有用であり得る。 従って、本アプローチは増加された発現率を有する遺伝子を生成するために使用され得る。 本アプローチは、反復性DNA配列の研究においてもまた有用であり得る。 最後に本アプローチは、リボザイムまたはアプタマーを変異させるのに有用であり得る。

    タンパク質における多様性の領域を分離するスカホールド様領域は、本発明の方法に特に適切であり得る。 保存されたスカホールドは、自己結合により全体の折り畳みを決定するが、特異的結合を媒介する比較的制限されていないループをディスプレイする。 このようなスカホールドの例は、免疫グロブリンβバレル、および4へリックス束である。 本発明の方法は、結合について変異配列の種々の組み合わせを有するスカホールド様タンパク質を作製するために使用され得る。

    いくつかの標準的な遺伝交配の等価物がまた、本発明の方法により実施され得る。 例えば、「分子」戻し交雑は、目的の変異を選択しながら、変異体の核酸を野生型の核酸と繰り返し混合することにより実施され得る。 従来の育種におけるように、本アプローチは異なる供給源に由来する表現型を選択されるバックグランドへ組み合わせるために使用され得る。 本アプローチでは、例えば、選択されない特徴(例えば、免疫原性)に影響する中立変異を除去するために有用である。 従って、本アプローチは、タンパク質のどの変異が増強された生物学的活性に関連するか、そしてどの変異が関連しないかを決定するために有用であり得る。

    (ペプチドディスプレイ法)
    本方法は、開示された方法のいずれかによるインビトロおよび/またはインビボにおける組換えにより、および任意の組み合わせで、ペプチドディスプレイ法により選択されるポリヌクレオチド配列を再編成するために使用され得、ここでは会合されたポリヌクレオチドは、表現型(例えば、予め決定されたレセプター(リガンド)に対するアフィニティーについて)についてスクリーニングされるディスプレイされたペプチドをコードする。

    生物薬剤の開発および分子生物学の増々重要な局面は、生体高分子と相互作用するペプチドまたはペプチド疑似体のペプチド構造(アミノ酸一次配列を包含する)の同定である。 所望の構造または所望の機能的特性(例えば、予め決定された生体高分子(例えば、レセプター)に対する結合)を有するペプチドを同定する1つの方法は、ペプチドのアミノ酸配列により与えられる所望の構造または所望の機能的特性を有する個々のライブラリーメンバーについて、大規模なライブラリーまたはペプチドをスクリーニングすることを包含する。

    ペプチドライブラリーを生成する直接化学合成方法に加えて、いくつかのDNA組換え方法もまた報告されている。 1つの型は、バクテリオファージ粒子または細胞表面上のペプチド配列、抗体、または他のタンパク質のディスプレイを包含する。 一般に、これらの方法において、それぞれのバクテリオファージ粒子または細胞は、天然のバクテリオファージまたは細胞のタンパク質配列に加えて、ディスプレイされたペプチドの単一種をディスプレイする個々のライブラリーメンバーとして供せられる。 各バクテリオファージまたは細胞は、特定のディスプレイされたペプチドの配列をコードする核酸配列情報を含有し;従って、ディスプレイされたペプチド配列は、単離されたライブラリーメンバーのヌクレオチド配列決定により確かめられ得る。

    周知のペプチドディスプレイ方法は、繊維状バクテリオファージの表面上のペプチド配列(代表的には、バクテリオファージコートタンパク質との融合物として)の提示を包含する。 バクテリオファージライブラリーは固定化した予め決定された高分子または小分子(例えば、レセプター)とともにインキュベートされ得、それにより固定化高分子に結合するペプチド配列を提示するバクテリオファージ粒子が、予め決定された高分子に結合するペプチド配列を提示しないバクテリオファージ粒子と差別的に区分され得る。 次いで、
    固定化高分子に結合するバクテリオファージ粒子(すなわち、ライブラリーメンバー)は回収され、そして次のアフィニティー増強およびファージ複製ラウンドのため、複製されて、選択されるバクテリオファージサブ集団を増幅する。 数ラウンドのアフィニティー増強およびファージ複製の後、このように選択されたバクテリオファージライブラリーメンバーは単離され、そしてディスプレイされたペプチド配列をコードするヌクレオチド配列が決定され、これにより予め決定された高分子(例えば、レセプター)に結合するペプチドの配列(1つまたは複数)を同定する。 このような方法はPCT特許公開第91/17
    271号、同91/18980号、および同91/19818号ならびに93/0827
    8号においてさらに記載されている。

    後者のPCT公開は、ペプチドリガンドのディスプレイのための組換えDNA方法が、
    第1のポリペプチド部分(代表的には可変配列を含み、予め決定された高分子への潜在的な結合に利用可能である)、および第2のポリペプチド部分(個々の融合タンパク質をコードするDNAベクターのようなDNAに結合する)で構成される融合タンパク質をそれぞれ有する融合タンパク質のライブラリーの生成を包含することを記載している。 形質転換された宿主細胞が融合タンパク質の発現を可能にする条件下で培養される場合、融合タンパク質はそれをコードするDNAベクターに結合する。 宿主細胞の溶解の際に、融合タンパク質/ベクターDNA複合体は、バクテリオファージ粒子がファージに基づくディスプレイシステムにおいてスクリーニングされるのとほぼ同様にして、予め決定された高分子に対してスクリーニングされ得、選択された融合タンパク質/ベクターDNA複合体におけるDNAベクターの複製および配列決定が、選択されるライブラリーペプチド配列(
    1つまたは複数)の同定のための基礎として供せられる。

    ペプチドおよび同様のポリマーのライブラリーを生成する他のシステムは、組換え方法およびインビトロにおける化学合成方法の両方の局面を有する。 これらのハイブリッド方法において、無細胞酵素機構がライブラリーメンバー(すなわち、ペプチドまたはポリヌクレオチド)のインビトロにおける合成を達成するために使用される。 1つの型の方法において、予め決定されたタンパク質または予め決定された色素分子を結合する能力を有するRNA分子が、選択およびPCR増幅を交互に行うことにより選択された(Tuerk
    およびGold (1990) Science 249:505;Ellington
    およびSzostak (1990) Nature 346:818)。 同様の技術が、予め決定されたヒト転写因子を結合するDNA配列を同定するために使用された(Th
    iesenおよびBach (1990) Nucleic Acids Res. 18
    :3203;BeaudryおよびJoyce (1992) Science 257
    ;635;PCT特許公開第92/05258号および第92/14843号)。 同様の様式において、インビトロにおける翻訳の技術が目的のタンパク質を合成するために使用され、そしてペプチドの大規模なライブラリーを生成する方法として提案されてきた。 一般に安定化されたポリソーム複合体を含有するインビトロにおける翻訳に依存するこれらの方法は、PCT特許出願第88/08453号、第90/05785号、第90/07
    003号、第91/02076号、91/05058号、および92/02536号にさらに記載されている。 出願人らは、ライブラリーメンバーが、DNA結合活性を有する第1のポリペプチド部分、およびライブラリーメンバーの独特のペプチド配列を有する第2
    のポリペプチド部分を有する融合タンパク質を含む方法を記載し;このような方法は、無細胞インビトロ選択形式における使用に、特に適切である。

    ディスプレイされたペプチド配列は、代表的には3〜5000アミノ酸以上、頻繁には5〜100アミノ酸、そしてしばしば約8〜15アミノ酸の種々の長さであり得る。 ライブラリーは、ディスプレイされたペプチド配列の種々の長さを有するライブラリーメンバーを含有し得るか、またはディスプレイされたペプチド配列の固定した長さを有するライブラリーメンバーを含有し得る。 ディスプレイされたペプチド配列(1つまたは複数)の1部分または全ては、ランダムな配列、疑似ランダムな配列、規定の核セットの配列、固定した配列などであり得る。 本ディスプレイ方法は、ポリソーム上の新生scFvまたはファージ上に表示されたscFvのような単鎖抗体のインビトロおよびインビボにおけるディスプレイの方法を包含し、広い多様性の可変領域配列および結合特異性を有するsc
    Fvライブラリーを、大規模なスケールでスクリーニングし得る。

    本発明はまた、ランダムな配列、疑似ランダムな配列、および規定の配列のフレームワークペプチドライブラリーを提供し、および目的のレセプター分子またはエピトープ、またはペプチドを改変する遺伝子産物、またはRNAに所望の様式で結合する有用な化合物(例えば、ペプチド、単鎖抗体を含む)を同定するために、それらのライブラリーを生成し、スクリーニングする方法を提供する。 ランダムな配列、疑似ランダムな配列、および規定の配列のフレームワークペプチドは、ディスプレイされたペプチド、またはディスプレイされたペプチドが合成されたポリヌクレオチドの鋳型に付着するディスプレイされた単鎖抗体を含むペプチドライブラリーメンバーのライブラリーから生成される。 付着の様式は、選択された本発明の特定の実施態様に従って変化し得、そしてファージ粒子におけるキャプシドの包みこみ、または細胞における取り込みを包含し得る。

    アフィニティー増強方法は、ペプチドおよび単鎖抗体のかなり大規模なライブラリーがスクリーニングされ、そして所望のペプチド(1つまたは複数)または単鎖抗体をコードするポリヌクレオチド配列が選択されることを可能にする。 次いで、ポリヌクレオチドは単離および再編成され得、選択されるペプチド(1つまたは複数)の(またはその予め決定された部分)または単鎖抗体(または、ちょうどそのV H 、V L 、またはCDR部分)のアミノ酸配列を組み合わせて組換えする。 これらの方法を使用して、ペプチドまたは単鎖抗体を分子について所望の結合アフィニティーを有するとして同定し得、そして所望の高アフィニティーペプチドまたはscFvに迅速に集めるために再編成のプロセスを活用し得る。 次いで、ペプチドまたは抗体は、任意の適切な使用(例えば、治療剤または診断剤として)のために、従来の手段により大量に合成され得る。

    本発明の著しい利点は、予想されるリガンド構造に関する以前の情報が目的のペプチドリガンドまたは抗体を単離するために全く要求されないことである。 同定されたペプチドは、生物学的活性を有し得、このことは選択されるレセプター分子に対する特異的な結合アフィニティーを少なくとも含むことが意味され、そして、いくつかの例において、他の化合物の結合をブロックし、代謝経路を刺激または阻害し、シグナルまたはメッセンジャーとして作用し、細胞活性を刺激または阻害するなどの能力をさらに包含する。

    本発明はまた、予め決定されたレセプター(例えば、哺乳動物タンパク質性レセプター(例えば、ペプチド性ホルモンレセプター、細胞表面レセプター、他のタンパク質(1つまたは複数)に結合してヘテロダイマーのような細胞内タンパク質複合体を形成する細胞内タンパク質など)、またはエピトープ(例えば、固定化タンパク質、糖タンパク質、オリゴ糖など)に結合するライブラリーメンバーについて、新生ペプチド(単鎖抗体を包含する)をディスプレイするポリソームのライブラリーをアフィニティースクリーニングすることにより選択されるポリヌクレオチド配列のプールを再編成する方法もまた提供する。

    これらの方法のいずれかにより、第1の選択ラウンド(代表的には、レセプター(例えば、リガンド)に対する結合についてのアフィニティー選択による)において選択されるポリヌクレオチド配列は、プールされ、そしてプール(単数または複数)はインビトロおよび/またはインビボにおける組換えにより再編成され、組換えられた選択ポリヌクレオチド配列の集団を含む再編成プールを生成する。 組換えられた選択ポリヌクレオチド配列は、少なくとも1回の続く選択ラウンドにかけられる。 続く選択ラウンド(1回または複数回)において選択されたポリヌクレオチド配列は、直接用いられ得、配列決定され得、
    そして/または、1回以上のさらなるラウンドの再編成およびそれに続く選択にかけられ得る。 選択された配列は、中立配列(すなわち、結合において非実質的な機能的効果を有する)をコードするポリヌクレオチド配列と戻し交雑され(例えば、選択される配列に実質的に同一な野生型または天然に存在する配列と戻し交雑することによる)、免疫原性の低い天然様の機能的ペプチドを生成し得る。 一般に、戻し交配の間、続く選択は、予め決定されたレセプター(リガンド)への結合の特性を保有するように適用される。

    選択配列の再編成の前または同時に、配列が変異誘発され得る。 1つの実施態様において、選択されるライブラリーメンバーは、原核生物ベクター(例えば、プラスミド、ファージミド、またはバクテリオファージ)中にクローン化され、ここでは、別個のライブラリーメンバーを提示する個々のコロニー(またはプラーク)の集合が生成される。 次いで、選択される個々のライブラリーメンバーは操作され(例えば、部位特異的変異誘発、カセット変異誘発、化学変異誘発、PCR変異誘発など)、選択されるライブラリーメンバーの配列に基づいて配列の多様性のカーネル(kernal)を提示するライブラリーメンバーの集合を生成し得る。 選択される個々のライブラリーメンバーまたはプールの配列は操作され、ランダム変異、疑似ランダムな変異、規定のカーネル変異(すなわち、可変残基位置および不変残基位置を含み、そして/またはアミノ酸残基の規定のサブセットから選択される残基を含み得る可変残基位置を含む)、コドンに基づく変異などを、選択される個々のライブラリーメンバー配列にセグメント的にまたは全長にわたってのいずれかで、組み込み得る。 変異誘発された選択ライブラリーメンバーは、次いで、本明細書で記載されるインビトロおよび/またはインビボにおける組換え再編成により、再編成される。

    本発明はまた、本発明の複数の個々のライブラリーメンバーを含むペプチドライブラリーを提供し、ここでは(1)上記複数のうち各個々のライブラリーメンバーが、選択される配列のプールの再編成により生成される配列を含有し、そして(2)各個々のライブラリーメンバーは、可変ペプチドセグメント配列または単鎖抗体セグメント配列(これは、
    上記複数における他の個々のライブラリーメンバーの可変ペプチドセグメント配列または単鎖抗体配列から区別される)を含有する(しかし、いくつかのライブラリーメンバーは、不均一な増幅、推計学的確率などのために、ライブラリー当たり1コピー以上で存在し得る)。

    本発明はまた、その方法によって作られるもの(product−by−proses
    s)を提供する。 ここでは、予め決定された結合特異性を有する(または予め決定された結合特異性を有するペプチドをコードする)選択されたポリヌクレオチド配列が、以下の工程により形成される:(1)ディスプレイペプチドまたはディスプレイ単鎖抗体のライブラリーを予め決定されたレセプター(例えば、リガンド)またはエピトープ(例えば、
    抗原高分子)に対してスクリーニングし、そして予め決定されたレセプターまたはエピトープに結合するライブラリーメンバーを同定および/または濃縮し、選択されたライブラリーメンバーのプールを生成する工程、(2)予め決定されたエピトープを結合して、そしてそれによりライブラリーから単離および/または濃縮されて再編成ライブラリーを生成する選択されたライブラリーメンバー(または増幅またはクローン化されたそのコピー)を、組換えにより再編成する工程、および(3)再編成ライブラリーを予め決定されたレセプター(例えば、リガンド)またはエピトープ(例えば、抗原高分子)に対してスクリーニングし、そして予め決定されたレセプターまたはエピトープに結合する再編成ライブラリーメンバーを同定および/または濃縮し、選択された再編成ライブラリーメンバーのプールを生成する工程。

    (抗体ディスプレイおよびスクリーニング法)
    本発明の方法は、開示された方法のいずれかによるインビトロおよび/またはインビボ組換えおよび任意の組み合わせにより、抗体ディスプレイ法により選択されたポリヌクレオチド配列を再編成するために用いられ得る。 ここで会合されたポリヌクレオチドは、表現型(例えば、予め決定された抗原(リガンド)への結合についてのアフィニティー)についてスクリーニングされたディスプレイされた抗体をコードする。

    種々の分子遺伝学的アプローチが、免疫グロブリン鎖中に存在し得る非常に多数の異なる可変領域により表される広大な免疫学的レパートリーを捕獲するために考案されている。 天然に存在する生殖系列免疫グロブリンH鎖座位は、多様性(D)セグメント遺伝子の直列の配列の上流に位置する可変性(V)セグメント遺伝子の分離した直列の配列からなる。 このDセグメント自身は、結合(J)領域遺伝子の直列の配列の上流に位置し、J領域は、定常(C H )領域遺伝子の上流に位置する。 Bリンパ球の発達の間、V−D−J再配列が生じ、ここでH鎖可変領域遺伝子(V H )は、融合したD−Jセグメントを形成するための再配列、それに続くV−D−J結合産物遺伝子を形成するためのVセグメントとの再配列により形成され、生産的に再配列される場合、このV−D−J結合産物遺伝子は、機能的なH鎖の可変領域(V H )をコードする。 同様に、L鎖座位は、いくつかのJセグメントの1つといくつかのVセグメントの1つを再配列し、L鎖の可変領域(V L )をコードする遺伝子を形成する。

    免疫グロブリン中にあり得る可変領域の広範なレパートリーは、B細胞発達における再配列の間のVセグメントとJセグメント(とDセグメント(H鎖座位である場合))との結合の多数の組み合わせの可能性に部分的に由来する。 H鎖可変領域における付加的な配列多様性は、V−D−J結合の間のDセグメントの不均一な再配列、およびN領域付加から生じる。 さらに、特定のB細胞クローンの抗原選択は、H鎖とL鎖の可変領域のいずれか1つまたは両方に非生殖系列変異を有する変異体をより高いアフィニティーに関して選択する;この現象は、「アフィニティー成熟」または「アフィニティー鋭敏化(shar
    pening)」と呼ばれる。 代表的には、これらの「アフィニティー鋭敏化」変異は、
    可変領域の特定の範囲に、最も一般的には相補性決定領域(CDR)中にクラスター形成する。

    抗原刺激化B細胞の発達(すなわち、免疫化)を通して高アフィニティー免疫グロブリンを産生および同定することにおける多くの制限を克服するために、特異的な抗原に対する高アフィニティー抗体についてスクリーニングされ得る組み合わせの抗体ライブラリーを作製するように操作され得る種々の原核生物の発現システムが開発されている。 Esc
    herichia coliおよびバクテリオファージシステムにおける抗体の発現における最近の利点(以下の「別のペプチドディスプレイ法」を参照のこと)は、実際に任意の特異性が、特徴づけられたハイブリドーマから抗体遺伝子をクローニングするか、または抗体遺伝子ライブラリー(例えば、Ig cDNAから)を用いる新規選択のいずれかにより得られ得るという可能性を増加している。

    抗体の組み合わせのライブラリーは、バクテリオファージプラークまたは溶原菌のコロニーとしてスクリーニングされ得るバクテリオファージλ発現システムにおいて生成されている(Huseら、(1989) Science 246: 1275; Cato
    nおよびKoprowski (1990) Proc. Natl. Acad. Sci.
    (U.S.A.) 87: 6450; Mullinaxら、(1990) Proc
    . Natl. Acad. Sci. (U.S.A.) 87: 8095; Persso
    nら、(1991) Proc. Natl. Acad. Sci. (U.S.A.) 88
    :2432)。 バクテリオファージ抗体ディスプレイライブラリーおよびλファージ発現ライブラリーの種々の実施様態が、記載されている(Kangら、(1991) Pro
    c. Natl. Acad. Sci. (U.S.A.) 88: 4363;Clacks
    onら、(1991) Nature 352: 624;McCaffertyら、(
    1990) Nature 348: 552;Burtonら、(1991) Pro
    c. Natl. Acad. Sci. (U.S.A.)
    88: 10134;Hoogenboomら、(1991) Nucleic Ac
    ids Res. 19: 4133;Changら、(1991) J. Immunol
    . 147: 3610;Breitlingら、(1991)
    Gene 104: 147;Marksら、(1991) J. Mol. Biol.
    222: 581;Barbasら、(1992) Proc. Natl. Acad. S
    ci. (U.S.A.) 89: 4457;HawkinsおよびWinter (1
    992) J. Immunol. 22: 867; Marksら、(1992) Bi
    otechnology 10: 779;Marksら、(1992) J. Biol
    . Chem. 267: 16007; Lowmanら、(1991) Biochem
    istry 30: 10832;Lernerら、(1992) Science 2
    58: 1313は、参考として本明細書中に援用される)。 代表的には、バクテリオファージ抗体ディスプレイライブラリーは、固定化(例えば、アフィニティークロマトグラフィーにより反応性ファージについて富化するためのクロマトグラフィー樹脂への共有結合による)および/または標識(例えば、プラークまたはコロニーリフトをスクリーニングするために)されているレセプター(例えば、ポリペプチド、炭水化物、糖タンパク質、核酸)でスクリーニングされる。

    1つの特に有利なアプローチは、いわゆる単鎖フラグメント可変(scFv)ライブラリーの使用である(Marksら、(1992) Biotechnology 10:
    779; Winter GおよびMilstein C (1991) Natur
    e 349: 293;Clacksonら、(1991) 前出;Marksら、(1
    991) J. Mol. Biol. 222:
    581;Chaudharyら、(1990) Proc. Natl. Acad. Sc
    i. (USA) 87: 1066;Chiswellら、(1992) TIBTEC
    H 10: 80;McCaffertyら、(1990) 前出;およびHuston
    ら、(1988) Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) 85: 58
    79)。 バクテリオファージコートタンパク質においてディスプレイされるscFvライブラリーの種々の実施様態が記載されている。

    1988年のはじめ、Fvフラグメントの単鎖アナログおよびそれらの融合タンパク質が、抗体工学法により確実に生成されている。 第1の工程は、一般に、所望の結合特性を有するV HおよびV Lドメインをコードする遺伝子を得ることを包含する;これらのV遺伝子は、特定のハイブリドーマ細胞株から単離され得るか、組み合わせのV遺伝子ライブラリーから選択され得るか、またはV遺伝子合成により作製され得る。 単鎖Fvは、成分V
    遺伝子と適切に設計されたリンカーペプチド(例えば、(Gly−Gly−Gly−Gl
    y−Ser) 3または等価のリンカーペプチド(1つまたは複数))をコードするオリゴヌクレオチドとを結合することにより形成される。 リンカーは、V H −リンカー−V LまたはV L −リンカー−V Hのいずれかの順序で第1のV領域のC−末端、および第2のV領域のN−末端に橋を架ける。 原則として、scFv結合部位は、その親の抗体結合部位のアフィニティーおよび特異性の両方を正確に複製し得る。

    従って、scFvフラグメントは、柔軟なリンカーペプチドにより単一のポリペプチド鎖に連結されたV HおよびV Lドメインからなる。 scFv遺伝子が組立てられた後、それらは、ファージミド中にクローン化され、そしてバクテリオファージpIII(遺伝子3
    )コートタンパク質との融合タンパク質としてM13ファージ(または類似の繊維状バクテリオファージ)の先端部で発現される。 目的の抗体を発現するファージの富化は、予め決定されたエピトープ(例えば、標的抗原、レセプター)への結合についてscFv集団をディスプレイする組換えファージをパンニングすることにより達成される。

    ライブラリーメンバーの連結ポリヌクレオチドは、スクリーニング手順または選択手順後のライブラリーメンバーの複製に関する基礎を提供し、そしてヌクレオチド配列決定による、ディスプレイされたペプチド配列またはV HおよびV Lアミノ酸配列の正体の決定のための基礎をも提供する。 ディスプレイされたペプチド(1つまたは複数)または単鎖抗体(例えば、scFv)および/またはそのV HおよびV LドメインあるいはそれらのCD
    Rは、適切な発現システムにクローン化され得、そして発現され得る。 しばしば、単離されたV HおよびV Lドメインをコードするポリヌクレオチドは、定常領域(C HおよびC L
    をコードするポリヌクレオチドに連結され、完全な抗体(例えば、キメラ、または完全なヒトの抗体)、抗体フラグメントなどをコードするポリヌクレオチドを形成する。 しばしば、単離されたCDRをコードするポリヌクレオチドは、適切な可変領域フレームワーク(および随意に定常領域)をコードするポリヌクレオチドに融合され、完全な抗体(例えば、ヒト化または完全なヒト抗体)、抗体フラグメントなどをコードするポリヌクレオチドを形成する。 抗体は、免疫アフィニティークロマトグラフィーにより、調製量の抗原を単離するために用いられ得る。 このような抗体の種々の他の使用は、疾患(例えば、腫瘍形成)を診断/または段階づけすること、および治療応用のために、疾患(例えば:腫瘍形成、自己免疫疾患、AIDS、心血管性疾患、感染症など)を処置することである。

    種々の方法が、scFvライブラリーの組み合わせの多様性の増加が、結合種のレパートリー(イディオタイプスペクトル)を広げることについて報告されている。 PCRの使用は、可変領域を、特定のハイブリドーマ供給源からか、または非免疫化細胞から遺伝子ライブラリーとして、迅速にクローン化することを可能にし、これは組み合わされ得るV
    HおよびV Lカセットの分類における組み合わせの多様性を供給する。 さらに、V HおよびV Lカセットは、例えば、ランダムな変異誘発、疑似ランダムな変異誘発、または定方向変異誘発(directed
    mutagenesis)により、それ自身多様化させられ得る。 代表的には、V HおよびV Lカセットは、相補性決定領域(CDR)(しばしば第3のCDR、CDR3)内またはその近くにおいて多様化される。 酵素的インバースPCR変異誘発は、誤りがちなPCRおよび化学的変異誘発がそうであるように(Dengら、(1994) J.Bi
    ol. Chem. 269:9533)、scFv部位特異的変異体の比較的大きなライブラリーを構築することに関して単純かつ信頼し得る方法であることが示されている(St
    emmerら、(1993)
    Biotechniques 14: 256)。 Riechmannら、(1993
    ) Biochemistry 32: 8848は、縮重オリゴヌクレオチドPCRおよび引き続いて結果として生じるscFv変異体のファージディスプレイによる部位特異的ランダム化を用いる抗体scFvフラグメントの半合理的な設計を示した。 Barba
    sら、(1992) 前出は、ヒト破傷風トキソイド結合Fabの合成CDR領域における配列をランダム化することにより、偏った可変領域配列を用いることに起因する制限されたレパートリーサイズの問題を回避することを試みた。

    CDRランダム化は、H鎖CDR3のみについて約1×10 20 CDR、そしておおよそ類似した数のH鎖CDR1およびCDR2の変異体、ならびにL鎖CDR1−3変異体を作製する潜在力を有する。 個々にまたは一緒に考慮すると、H鎖および/またはL鎖のCDRランダム化の組み合わせは、全ての可能な組み合わせを提示するクローンライブラリーを作製するために、膨大な数のバクテリオファージクローン(それらのほとんどは、
    非結合性である)の生成を必要とする。 このような多数の初期形質転換体の生成は、現在の形質転換技術およびバクテリオファージディスプレイシステムでは、容易ではない。 例えば、Barbasら、(1992) 前出は、5×10 7の形質転換体のみを生成し、
    これは、完全にランダム化されたCDRのライブラリーのごく小さな割合の潜在的多様性のみを提示する。

    これらの実質的な制限にも関わらず、scFvのバクテリオファージディスプレイはすでに、種々の有用な抗体および抗体融合タンパク質を産生している。 二特異性の単鎖抗体は、効率的な腫瘍細胞溶解を仲介することが示されている(Gruberら、(1994
    ) J. Immunol. 152: 5368)。 抗Rev scFvの細胞内発現は、
    インビトロでのHIV−1ウイルス複製を阻害することが示されており(Duanら、(
    1994) Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) 91: 5075)
    、そして抗p21 ras scFvの細胞内発現は、Xenopus卵母細胞の減数分裂の成熟を阻害することが示されている(Bioccaら、(1993) Biochem.
    Biophys. Res. Commun. 197:422)。 HIV感染を診断するために用いら得る組換えscFvもまた、報告されており、scFvの診断上の利用性が示されている(Lilleyら、(1994) J.Immunol.Meth.171:2
    11)。 scFvが第2のポリペプチド(例えば、毒素または線維素溶解性活性化タンパク質)に連結している融合タンパク質もまた報告されている(Holvostら、(19
    92) Eur. J. Biochem. 210: 945; Nichollsら、(1
    993) J. Biol. Chem. 268: 5302)。

    広範な抗体多様性を有し、そして潜在的な配列組み合わせの非常に小さい割合のみをカバーし得る多くの従来のCDR変異誘発およびランダム化法の制限の多くを克服するsc
    Fvライブラリーを生成し得るならば、scFv抗体の数および質を治療上および診断上の使用に適切に大幅に改善してもよい。 これに取り組むために、本発明のインビトロおよびインビボ再編成法が、選択されたディスプレイされた抗体から得られた核酸から(代表的にPCR増幅またはクローン化により)得られたCDRを組み換えるために用いられる。 このようなディスプレイされた抗体は、細胞、バクテリオファージ粒子、ポリソーム、
    または任意の適切な抗体ディスプレイシステムにおいて、ディスプレイされ得る。 ここで抗体が、それをコードする核酸(1つまたは複数)と会合されている。 ある改変例においては、CDRは最初に、抗体産生細胞(例えば、第WO92/03918号、第WO93
    /12227号、および第WO94/25585号に記載のように、免疫化した野生型マウス、ヒト、またはヒト抗体を作製し得るトランスジェニックマウス由来の形質細胞/脾細胞)(これはそれに由来するハイブリドーマを包含する)由来のmRNA(またはcD
    NA)から得られる。

    これらの方法のいずれかにより第1の選択ラウンドにおいて選択された(代表的には、
    ディスプレイされた抗体が抗原(例えば、リガンド)に結合することに関するアフィニティー選択による)ポリヌクレオチド配列は、プールされ、そしてこのプール(1つまたは複数)は、インビトロおよび/またはインビボ組換え、特にCDRの再編成により再編成され(代表的には、H鎖CDRが他のH鎖CDRで再編成され、そしてL鎖CDRが他のL鎖CDRで再編成される)、組み換えられた選択ポリヌクレオチド配列の集団を含有する再編成されたプールを作製する。 組み換えられた選択ポリヌクレオチド配列は、ディスプレイされた抗体のような選択様式において発現され、そして少なくとも1回の引き続く選択ラウンドにかけられる。 引き続く選択ラウンド(1回または複数回)において選択されたポリヌクレオチド配列は、直接使用され得、配列決定され得、そして/または所望の結合アフィニティーを有する抗体が得られるまで1回またはそれ以上の更なる再編成および引き続く選択のラウンドにかけられ得る。 選択された配列はまた、中立の抗体フレームワーク配列をコードするポリヌクレオチド配列(すなわち、抗原結合において非実質的な機能的効果を有する)と戻し交雑され(例えば、ヒト可変領域フレームワークとの戻し交雑による)、ヒト様配列抗体を作製し得る。 一般に、戻し交雑の間、引き続く選択は、予め決定された抗原への結合の特性を保有するように適用される。

    あるいは、または公知の改変例との組み合わせにおいて、標的エピトープの結合価は、
    選択されたscFvライブラリーメンバーの平均結合アフィニティーを調節するように、
    改変され得る。 標的エピトープは、例えば、競合エピトープを含有すること、希釈、または当業者に公知の他の方法により、種々の密度で表面または基質に結合され得る。 予め決定されたエピトープの高密度(結合価)は、比較的低いアフィニティーを有するscFv
    ライブラリーメンバーについて富化するために用いられ得る。 一方、低密度(結合価)は、より高いアフィニティーについてscFvライブラリーメンバーを優先的に富化し得る。

    多種多様な可変セグメントを生成するために、ペプチド配列のランダム、疑似ランダム、または規定の配列のカーネルセットをコードする合成オリゴヌクレオチドの集合は、予め決定された部位(例えば、CDR)への連結により挿入され得る。 同様に、単鎖抗体カセット(1つまたは複数)の1つまたはそれ以上のCDRの配列多様性は、部位特異的変異誘発、CDR置換などを用いてCDR(1つまたは複数)を変異させることにより拡大され得る。 生じるDNA分子は、再編成の前のクローン化および増幅のために宿主において増殖され得るか、または直接使用され得(すなわち、宿主細胞における増殖の際に生じ得る多様性の損失を回避し得る)、そして選択されたライブラリーメンバーは、引き続いて再編成される。

    目的の可変セグメントペプチド配列または目的の単鎖抗体をコードするディスプレイされたペプチド/ポリヌクレオチド複合体(ライブラリーメンバー)は、アフィニティー富化技術により、ライブラリーから選択される。 これは、目的のペプチド配列に特異的な固定化された高分子またはエピトープ(例えば、レセプター、他の高分子、または他のエピトープ種)により達成される。 アフィニティー選択手順を繰り返すことにより、所望の配列をコードするライブラリーメンバーの富化物が提供され、次いでこの富化物は、プールおよび再編成、配列決定、および/または更なる増殖およびアフィニティー富化のために単離され得る。

    所望の特異性を有しないライブラリーメンバーは、洗浄により除去される。 要求される洗浄の度合およびストリンジェンシーは、目的のそれぞれのペプチド配列または単鎖抗体、および固定化された予め決定された高分子またはエピトープに関して決定される。 調節の所定の度合は、結合のインキュベーションおよび引き続く洗浄の条件を調整することにより、回収された新生のペプチド/DNA複合体の結合特性に影響を及ぼし得る。 温度、
    pH、イオン強度、二価陽イオン濃度、および洗浄の容量および持続時間は、固定化高分子に対するアフィニティーの特別な範囲内で、新生のペプチド/DNA複合体について選択される。 通常、高アフィニティーの指標となる緩徐な解離速度に基づく選択は、しばしば最も実践的な経路である。 これは、飽和量の遊離した予め決定された高分子の存在下における継続的なインキュベーション、または洗浄の容量、回数、および長さを増加させることのいずれかにより実施され得る。 それぞれの場合において、解離した新生ペプチド/
    DNAまたはペプチド/RNA複合体の再結合は防止され、そして時間の増加とともに、
    徐々にアフィニティーが高くなる新生のペプチド/DNAまたはペプチド/RNA複合体が回収される。

    結合および洗浄の手順のさらなる改変は、特別な特徴を有するペプチドを見い出すために適用され得る。 いくつかのペプチドのアフィニティーは、イオン強度または陽イオン濃度に依存する。 これは、ペプチドからこのタンパク質を除去するのに穏やかな条件が要求される場合の種々のタンパク質のアフィニティー精製において用いられるペプチドについて有用な特徴である。

    1つの改変例は、scFvライブラリーが、異なる結合特異性を有するscFvの多重性について同時にスクリーニングされ得るような、多重結合標的(多重エピトープ種、多重レセプター種)の使用を包含する。 scFvライブラリーのサイズが、しばしば潜在的なscFv配列の多様性を制限すると仮定すると、一般に、可能な限りの大きなサイズのscFvライブラリーが本発明者らにとって望ましい。 多数の非常に大きなポリソームs
    cFv−ディスプレイライブラリーを生成することの時間性および経済性の考慮は、障害になり得る。 この実質的な問題を回避するために、多重性を有する予め決められたエピトープ種(レセプター種)が、単一のライブラリーにおいて同時にスクリーニングされ得るか、または多数のエピトープ種に対する逐次スクリーニングが用いられ得る。 1つの改変例において、それぞれ別個のビーズ(またはビーズのサブセット)にコードされる多重標的エピトープ種は、適切な結合条件下でポリソームディスプレイscFvライブラリーと混合およびインキュベートされ得る。 次いで多重エピトープ種を含有するビーズの集合は、アフィニティー選択により、scFvライブラリーメンバーを単離するために用いられ得る。 一般に、引き続くアフィニティースクリーニングラウンドは、ビーズの同一の混合物、それのサブセット、または1つのみまたは2つの個々のエピトープ種を含有するビーズを包含し得る。 このアプローチは、効率的なスクリーニングを提供し、そして研究自動化法、バッチプロセシング法、および高処理能力スクリーニング法と適合する。

    種々の技術は、予め決定された高分子またはエピトープに対する十分な結合活性を有するように、ペプチドライブラリーまたは単鎖抗体ライブラリーを多様化するために、あるいは再編成の前または同時に、周囲の可変セグメントペプチドまたはV H 、V L 、あるいはパンニングの初期のラウンドにおいて見い出されるCDRを多様化するために本発明において用いられ得る。 1つのアプローチにおいて、ポジティブに選択されたペプチド/ポリヌクレオチド複合体(アフィニティー富化の初期のラウンドにおいて同定される複合体)
    は、活性ペプチドの正体を決定するために配列決定される。 次いでオリゴヌクレオチドは、これらの活性ペプチド配列に基づいて合成され、これはそれぞれの工程で取り込まれる全ての塩基を低レベルで使用し、一次オリゴヌクレオチド配列の僅かな改変例を生じる。
    次いでこの(僅かに)縮重したオリゴヌクレオチドの混合物は、適切な位置で可変セグメント配列中にクローン化される。 この方法は、開始ペプチド配列の規則正しい調節された改変例を生じ、次いでこれらは再編成され得る。 しかしこの方法は、個々のポジティブ新生ペプチド/ポリヌクレオチド複合体が、変異誘発の前に配列決定されることを要求し、
    従って少数の回収された複合体の多様性を拡大し、そしてより高い結合アフィニティーおよび/またはより高い結合特異性を有する変異体を選択するために有用である。 変種の、
    ポジティブに選択された(特に可変領域配列の)ペプチド/ポリヌクレオチド複合体の変異性PCR増幅において、その増幅産物は、インビトロおよび/またはインビボで再編成され、そして1回以上のさらなるスクリーニングのラウンドが、配列決定の前に実施される。 同一の一般的なアプローチは、多様性を拡大し、そして結合アフィニティー/特異性を増強するために、代表的には、再編成の前または同時にCDRまたは隣接のフレームワーク領域を多様化することにより、単鎖抗体とともに用いられ得る。 所望であれば、再編成反応は、選択されたライブラリーメンバーとインビトロ組換えし得る変異原性オリゴヌクレオチドでスパイクされ得る。 従って、合成オリゴヌクレオチドおよびPCRフラグメント(誤りがちな方法または高度に忠実な方法により合成された)の混合物がインビトロ再編成混合物に添加され、そして結果として生じる再編成されたライブラリーメンバー(
    再編成体)中に取り込まれ得る。

    本発明の再編成は、CDR変異体単鎖抗体の広大なライブラリーの生成を可能にする。
    このような抗体を生成する1つの方法は、再編成の前または再編成と同時に、単鎖抗体および/またはCDRのランダム化中に合成CDRを挿入することである。 合成CDRカセットの配列は、ヒトCDRの公知の配列データを参照することにより選択され、そして以下のガイドラインに従って実施者の判断により選択される:合成CDRは、公知のCDR
    配列に対して少なくとも40%の位置的な配列同一性を有し、そして好ましくは、公知のCDR配列に対して少なくとも50〜70パーセントの位置的な配列同一性を有する。 例えば、合成CDR配列の集合は、Kabatら、(1991) 前出に列挙された天然に存在するヒトCDR配列に基づいてオリゴヌクレオチド配列の集合を合成することにより生成され得る;合成CDR配列のプール(1つまたは複数)は、少なくとも一つの公知の天然に存在するヒトCDR配列に対して少なくとも40%の配列同一性を有するCDRペプチド配列をコードするように計算される。 あるいは、天然に存在するCDR配列の集合が比較され得、ある残基位置に頻繁に(すなわち、公知のCDR配列の少なくとも5%において)用いられるアミノ酸が、相当する位置(1つまたは複数)で合成CDR中に取り込まれるように、コンセンサス配列を生成し得る。 代表的には、いくつか(例えば、3〜
    約50)の公知のCDR配列が比較され、そして公知のCDRの間の観測された天然配列の改変例が一覧表にされ、そして観測された天然配列の改変例の全てまたはほとんどの順列を包含するCDRペプチド配列をコードするオリゴヌクレオチドの集合が合成される。
    限定されないが、例えば、ヒトV H CDR配列の集合が、Tyr、Val、Phe、またはAspのいずれかであるカルボキシ末端アミノ酸を有する場合、合成CDRオリゴヌクレオチド配列のプール(1つまたは複数)は、カルボキシ末端のCDR残基がこれらのアミノ酸のいずれかであるように設計される。 いくつかの実施様態では、CDR配列の集合においてある残基位置に天然に存在する残基以外の残基が取り込まれる:保存的なアミノ酸置換は、頻繁に取り込まれ、そして公知の天然に存在するCDR配列と比較して5残基位置までが、非保存的なアミノ酸置換が取り込まれるように変動し得る。 このようなC
    DR配列は、(第1ラウンドのスクリーニングの前の)最初のライブラリーメンバーにおいて用いられ、そして/または選択されたライブラリーメンバー配列のインビトロの再編成反応をスパイクするために用いられ得る。 規定の配列および/または縮重配列のこのようなプールの構築は、当業者により容易に達成される。

    合成CDR配列の集合は、天然に存在するCDR配列であるとして知られていない、少なくとも1つのメンバーを含む。 H鎖CDRにおけるN領域付加に相当するランダムまたは疑似ランダムな配列の一部を含有するかまたは含有しないかは、実施者の判断内にある;N領域配列は、V−DおよびD−J結合部に存在する1ヌクレオチド〜約4ヌクレオチドの範囲である。 合成H鎖CDR配列の集合は、少なくとも約100のユニークなCDR
    配列を含み、代表的には少なくとも約1,000のユニークCDR配列を含み、好ましくは、少なくとも約10,000のユニークなCDR配列を含み、しばしば50,000より多いユニークなCDR配列を含む;しかし、特に、保存的なアミノ酸置換が、保存的なアミノ酸置換基が天然に存在するヒトCDRにおけるその位置に存在しないか、またはまれに存在する(すなわち、0.1%未満)位置において許容される場合、ときには1×1
    7 〜1×10 8のユニークなCDR配列が存在することもあるが、通常、せいぜい約1×
    10 6のユニークなCDR配列が集合中に含まれる。 一般に、ライブラリーに含まれるユニークなCDR配列の数は、ライブラリー中の最初の形質転換体の予測される数を10倍(a factor of 10)を超えて超過するべきでない。 このような単鎖抗体は、一般に、少なくとも約1×10 7
    -1のアフィニティーで、好ましくは少なくとも約5×10 7-1のアフィニティーで、より好ましくは少なくとも1×10 8-1 〜1×10 9-1またはそれ以上のアフィニティーで、ときには1×10 10-1またはそれ以上のアフィニティーで、予め決定された抗原(例えば、免疫原)に結合する。 頻繁には、予め決定された抗原は、例えばヒト細胞表面抗原(例えば、CD4、CD8、IL−2レセプター、EGFレセプター、P
    DGFレセプター)のようなヒトタンパク質、他のヒト生体高分子(例えば、トロンボモジュリン、プロテインC、糖質抗原、シアリルLewis抗原、L−セレクチン)、または非ヒト疾患関連高分子(例えば、細菌LPS、ビリオンカプシドタンパク質、またはエンベロープ糖タンパク質)などである。

    所望の特異性を有する高アフィニティー単鎖抗体は、種々のシステムにおいて改変および発現される。 例えば、scFvは、植物中で産生されており(Firekら、(199
    3) Plant Mol. Biol. 23: 861)、そして原核生物系において容易に生成され得る(Owens RJおよびYoung RJ (1994) J.Im
    munol. Meth. 168: 149;
    Johnson SおよびBird RE (1991) Methods Enzy
    mol. 203: 88)。 さらに、単鎖抗体は、抗体全体またはその種々のフラグメントを構築する基礎として用いられ得る(Kettleboroughら、(1994)
    Eur. J. Immunol. 24: 952)。 可変領域をコードする配列は、単離され得(例えば、PCR増幅またはサブクローン化により)、そして免疫原性が好適に最小化されるヒトの治療的使用により適切なヒト配列抗体をコードするように、所望のヒト定常領域をコードする配列にスプライシングされ得る。 結果として生じる完全なヒトコード配列(1つまたは複数)を有するポリヌクレオチド(1つまたは複数)は、宿主細胞において発現され(例えば、哺乳動物細胞において発現ベクターから)、そして製薬製造のために精製され得る。

    DNA発現構築物は、代表的には、コード配列に作動可能に連結された発現調節DNA
    配列を含有し、この配列は、天然に会合したプロモーター領域、または異種のプロモーター領域を含む。 好ましくは、発現調節配列は、真核生物宿主細胞を形質転換またはトランスフェクトし得るベクターの真核生物プロモーターシステムである。 一旦ベクターが適切な宿主中に取り込まれると、宿主は、ヌクレオチド配列の高レベルの発現、ならびに変異「改変」抗体の収集および精製に適切な条件下で維持される。

    上述のように、DNA配列は、配列が発現調節配列に作動可能に連結された(すなわち、構造遺伝子の転写および翻訳を確実にするように位置された)後に、宿主中で発現される。 これらの発現ベクターは、代表的には、エピソームまたは宿主の染色体DNAの必須部分として、この宿主生物において複製可能である。 一般に、発現ベクターは、所望のD
    NA配列で形質転換されたこれらの細胞の検出を可能にするために、選択マーカー(例えば、テトラサイクリンまたはネオマイシン)を含有する(例えば、米国特許第4,704
    ,362号を参照のこと。 これは、参考として本明細書中に援用される)。

    真核の微生物(例えば、酵母)に加えて、哺乳動物の組織細胞培養物もまた、本発明のポリペプチドを生成するために用いられ得る(Winnacker、「From Gen
    es to Clones,」 VCH Publishers, N. Y. , N. Y
    . (1987)を参照のこと。 これは参考として本明細書中に援用される)。 真核細胞は、実際に好ましい。 なぜなら、無傷の免疫グロブリンを分泌し得る多数の適切な宿主細胞株が当該分野で開発されており、そしてこれは、CHO細胞株、種々のCOS細胞株、H
    eLa細胞、ミエローマ細胞株などを含むが、形質転換されたB細胞またはハイブリドーマが好ましい。 これらの細胞のための発現ベクターは、発現調節配列(例えば、複製起点、プロモーター、エンハンサー)(Queenら、(1986) Immunol.Re
    v. 89: 49)、および必要とされるプロセシング情報部位(例えば、リボソーム結合部位、RNAスプライシング部位、ポリアデニル化部位、および転写終結配列)を含有する。 好ましい発現調節配列は、免疫グロブリン遺伝子、サイトメガロウイルス、SV4
    0、アデノウイルス、ウシパピローマウイルスなどに由来するプロモーターである。

    真核生物のDNA転写は、ベクター中にエンハンサー配列を挿入することにより増加され得る。 エンハンサーは、プロモーターによる転写を増加する10bpと300bpとの間のシス作用性配列である。 エンハンサーは、転写単位に対して5'または3'のいずれかにある場合、転写を効率的に増加し得る。 それらはまた、イントロン内、またはコード配列自身の内部に位置される場合にも効果的である。 代表的には、ウイルスのエンハンサーが使用され、これは、SV40エンハンサー、サイトメガロウイルスエンハンサー、ポリオーマエンハンサーおよびアデノウイルスエンハンサーが含まれる。 マウス免疫グロブリンH鎖エンハンサーのような、哺乳動物系由来のエンハンサー配列もまた、一般に使用される。

    哺乳動物の発現ベクターシステムはまた、代表的に選択マーカー遺伝子を含有する。 適切なマーカーの例は、ジヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子(DHFR)、チミジンキナーゼ遺伝子(TK)、または薬物耐性を与える原核生物遺伝子を包含する。 最初の2つのマーカー遺伝子は、生育培地へのチミジンの添加をともなわずに生育する能力を欠如する変異体細胞株の使用を好む。 次いで、形質転換された細胞は、非補充培地における生育能により同定され得る。 マーカーとして有用な原核生物の薬物耐性遺伝子の例は、G418、ミコフェノール酸、およびヒグロマイシンへの耐性を与える遺伝子を包含する。

    目的のDNAセグメントを含有するベクターは、細胞の宿主タイプに依存して周知の方法により宿主細胞中に導入され得る。 例えば、塩化カルシウムトランスフェクションが、
    原核細胞に一般に利用されるが、リン酸カルシウム処理、リポフェクション、またはエレクトロポレーションは、他の細胞の宿主に用いられ得る。 哺乳動物を形質転換するために用いられる他の方法は、ポリブレン、プロトプラスト融合、リポソーム、エレクトロポレーション、およびマイクロインジェクションの使用を含む(一般に、Sambrookら、前出を参照のこと)。

    一旦発現されると、抗体、個々の変異免疫グロブリン鎖、変異抗体フラグメント、および本発明の他の免疫グロブリンポリペプチドは、当該分野の標準的な手順に従って精製され得る。 この手順は、硫酸アンモニウム沈澱、フラクションカラムクロマトグラフィー、
    ゲル電気泳動などを包含する(一般に、Scopes, R., Protein Pu
    rification, Springer−Verlag, N. Y. (1982)を参照のこと)。 一旦部分的にまたは所望の均一性まで精製されると、次いでポリペプチドは、治療的に、またはアッセイ手順、免疫蛍光染色などの開発および実施において用いられ得る(一般に、Immunological Methods、IおよびII巻、Le
    fkovitsおよびPernis編、Academic Press, New Yo
    rk, N. Y. (1979および1981)を参照のこと)。

    本発明の方法により生成される抗体は、診断および治療に用いられ得る。 限定のためではなく、説明のために、それらは、ガン、自己免疫疾患、またはウイルス感染症を処置するために用いられ得る。 ガンの処置について、抗体は、代表的に癌細胞において優先的に発現される抗原(例えば、erbB−2、CEA、CD33、および当業者に周知の多数の他の抗原および結合メンバー)に結合する。

    (酵母ツーハイブリッドスクリーニングアッセイ)
    再編成はまたは、予め決定されたポリペプチド配列に結合するライブラリーメンバーを同定するためのツーハイブリッドスクリーニングシステムをスクリーニングすることにより得られた選択されたライブラリーメンバーのプールを組換え的に多様化するために用いられ得る。 選択されたライブラリーメンバーは、プールされ、そしてインビトロおよび/
    またはインビボ組換えにより再編成される。 次いで再編成されたプールは、前記の予め決定されたポリペプチド配列(例えば、SH2ドメイン)に結合するライブラリーメンバー、または別の予め決定されたポリペプチド配列(例えば、他のタンパク質の種由来のSH
    2ドメイン)を選択するために、酵母ツーハイブリッドシステムにおいてスクリーニングされ得る。

    予め決定されたポリペプチド配列に結合するポリペプチド配列を同定するための1つのアプローチは、予め決定されたポリペプチド配列が融合タンパク質中に存在するいわゆる「ツーハイブリッド」システムを用いている(Chienら、(1991) Proc.
    Natl. Acad. Sci. (USA) 88:9578)。 このアプローチは、転写のアクティベーター(Fields SおよびSong O (1989) Natur
    e 340:245)、酵母Ga14転写タンパク質の再構成を通して、インビボでのタンパク質−タンパク質の相互作用を同定する。 代表的には、この方法は、酵母Gal4タンパク質の特性に基づく。 このタンパク質は、DNA結合および転写の活性化に機能する分離可能なドメインからなる。 2つのハイブリッドタンパク質(一方は、公知のタンパク質のポリペプチド配列に融合された酵母Gal4 DNA結合ドメインからなり、他方は、第2のタンパク質のポリペプチド配列に融合されたGal4活性化ドメインからなる)
    をコードするポリヌクレオチドが構築され、酵母宿主細胞に導入される。 2つの融合タンパク質間の分子間の結合は、Gal4 DNA結合ドメインとGal4活性化ドメインとを再構成し、これはGal4結合部位に作動可能に連結されたレポーター遺伝子(例えば、lacZ、HIS3)の転写の活性化を導く。 代表的に、ツーハイブリッド法は、公知のタンパク質に相互作用する新規のポリペプチド配列を同定するために用いられる(Si
    lver SCおよびHunt SW (1993) Mol. Biol. Rep. 17
    : 155; Durfeeら、(1993) Genes Devel. 7; 555
    ; Yangら、(1992) Science 257: 680; Lubanら、
    (1993) Cell 73:1067; Hardyら、(1992) Genes
    Devel. 6; 801; Bartelら、(1993) Biotechniq
    ues 14: 920; およびVojtekら、(1993) Cell 74:
    205)。 しかし、ツーハイブリッド法の変法が、第2の公知のタンパク質への結合に影響する公知のタンパク質の変異を同定するために用いられている(Li BおよびFie
    lds S (1993)
    FASEB J. 7: 957; Laloら、(1993) Proc. Natl.
    Acad. Sci. (USA) 90: 5524; Jacksonら、(1993)
    Mol. Cell. Biol. 13; 2899;およびMaduraら、(1993
    ) J. Biol. Chem. 268: 12046)。 ツーハイブリッドシステムはまた、2つの公知のタンパク質の相互作用する構造ドメインを同定するため(Bardwe
    llら、(1993) Med. Microbiol. 8: 1177; Chakra
    bortyら、(1992) J. Biol. Chem. 267: 17498; St
    audingerら、(1993) J. Biol. Chem. 268: 4608;
    およびMilne GTおよびWeaver DT (1993) Genes Dev
    el. 7; 1755)、または単一のタンパク質のオリゴマー形成に機能するドメインを同定するためにも用いられている(Iwabuchiら、(1993) Oncoge
    ne 8; 1693; Bogerdら、(1993) J. Virol. 67: 5
    030)。 ツーハイブリッドシステムの変法は、タンパク質分解酵素のインビボでの活性を研究するために用いられている(Dasmahapatraら、(1992) Pro
    c. Natl. Acad. Sci. (USA) 89: 4159)。 あるいは、E. c
    oli/BCCP 相互作用的スクリーニングシステム(Germinoら、(1993
    ) Proc. Natl. Acad. Sci. (U.S.A.) 90: 933; G
    uarente L (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. (U.S
    . A. ) 90: 1639)は、相互作用するタンパク質配列(すなわち、ヘテロ二量体化するか、またはより高次のヘテロ多量体を形成するタンパク質配列)を同定するために用いられ得る。 ツーハイブリッドシステムにより選択された配列は、プールおよび再編成され、そして予め決定された結合配列を含有するハイブリッドに結合するポリペプチド配列を同定するためのスクリーニングの1つ以上の引き続くラウンドのために、ツーハイブリッドシステムに導入され得る。 このようにして同定された配列は、コンセンサス配列およびコンセンサス配列カーネルを同定するために比較され得る。

    上述の開示から理解され得るように、本発明は、広範な応用を有する。 従って、以下の実施例は、説明のために提供され、制限のためではない。

    以下の実施例において、以下の略語は以下の意味を有する。 以下に定義されない場合、
    その略語は当該分野で理解される意味を有する。

    ml = ミリリットル μl = マイクロリットル μM = マイクロモル濃度 nM = ナノモル濃度 PBS = リン酸緩衝生理食塩水 ng = ナノグラム μg = マイクログラム IPTG = イソプロピルチオ−β−D−ガラクトシド bp = 塩基対 kb = キロ塩基対 dNTP = デオキシヌクレオシド3リン酸 PCR = ポリメラーゼ連鎖反応 X−gal = 5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド DNAseI= デオキシリボヌクレアーゼ PBS = リン酸緩衝生理食塩水 CDR = 相補性決定領域 MIC = 最小阻止濃度 scFv = 抗体の単鎖Fvフラグメント 一般に、組換えDNA工学の標準的な技術は、種々の出版物(例えば、Sambroo
    kら、1989, Molecular Cloning: A Laboratory
    Manual, Cold Spring Harbor Laboratory;
    Ausubelら、1987, Current Protocols in Mole
    cular Biology、1巻および2巻ならびに増補、ならびにBergerおよびKimmel、Methods in Enzymology, Volume 15
    2, Guide to Molecular Cloning Techniques
    (1987),
    Academic Press, Inc. , San Diego, CA、それぞれ参考として全体が本明細書中に援用される)に記載されている。 制限酵素およびポリヌクレオチド修飾酵素を、製造業者の推奨に従って用いた。 オリゴヌクレオチドをAppl
    ied Biosystems Inc. Model
    394 DNA合成機で、ABIの化学製品を用いて合成した。 所望であれば、予め決定されたDNA配列を増幅するためのPCRアンプリマー(amplimer)は、従事者の判断で選択され得る。

    (実施例1.LacZα遺伝子の再組立)
    (1)基質の調製)
    再組立反応のための基質は、pUC18由来の野生型LacZα遺伝子のdsDNAポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)産物であった(図2)(28; Gene Bank
    第XO2514号)。 プライマー配列は、5'AAAGCGTCGATTTTTGTGA
    T3'(配列番号1)および5'ATGGGGTTCCGCGCACATTT3'(配列番号2)であった。 遊離したプライマーを、製造業者の指示に従い、Wizard PC
    R prep(Promega, Madison WI)によりPCR産物から除去した。 遊離したプライマーの除去は、重要であることが見い出された。

    (2)DNAseI消化)
    約5μgのDNA基質を、10〜20分間室温にて、100μlの[50mM
    Tris−HCl pH 7.4, 1mM MgCl 2 ]中で、0.15単位のDN
    AseI(Sigma, St.Louis MO)で消化した。 消化されたDNAを、
    2%低融点アガロースゲルで泳動した。 10〜70塩基対(bp)のフラグメントを、D
    E81イオン交換紙(Whatman, Hillsborough OR)上への電気泳動により2%低融点アガロースゲルから精製した。 DNAフラグメントを、1M Na
    Clを用いてこの紙から溶出してエタノール沈澱した。

    (3)DNA再組立)
    精製されたフラグメントを、PCR Mix(0.2mM 各dNTP、2.2mM
    MgCl 2 、50mM KCl、10mM Tris−HCl pH 9.0、0.1%
    Triton X−100、0.3μl Taq DNAポリメラーゼ、50μlの総容量)中に10〜30ng/μlの濃度で再懸濁させた。 この時点では、プライマーを添加しなかった。 94℃60秒間、[94℃30秒間、50〜55℃30秒間、72℃30
    秒間]の30〜45サイクル、および72℃5分間の再組立プログラムを、MJ Res
    earch(Watertown MA)PTC−150サーマルサイクラーにおいて用いた。 より大きな配列への小さなフラグメントのPCR再組立に続いて、再組立の25、
    30、35、40、および45サイクル後の反応のサンプルを採取した(図2)。

    100〜200bpのフラグメントの再組立は、正確なサイズの単一のPCR産物を産生し得るが、10〜50塩基のフラグメントは、代表的に正確なサイズのいくらかの産物および不均一な分子量の産物を産生する。 制限酵素消化後、正確なサイズの単一のバンドが得られるので、このサイズ不均一性のほとんどは、産物の末端での1本鎖配列に起因すると思われる。

    (4)プライマーを用いたPCR)
    それぞれ0.8μMの上記のプライマー(配列番号1および2)を有するPCR Mi
    xへの再組立産物の希釈、および約15サイクルのPCR(それぞれのサイクルは、[9
    4℃30秒間、50℃30秒間、および72℃30秒間]からなる)の後、正確なサイズの単一の産物が得られた(図2)。

    (5)クローニングおよび分析)
    上記の工程4由来のPCR産物を、末端の制限酵素BamHIおよびEco0109で消化し、そして上記の工程2に記載のようにゲル精製した。 再組立されたフラグメントを、BamHIおよびEco0109で消化したpUC18に連結した。 E. coliを、
    製造業者(Stratagene, San Diego CA)により推奨されるような標準的な条件下で、この連結混合物を用いて形質転換し、そして100μg/mlアンピシリン、0.004% X−galおよび2mM IPTGを有するアガープレートに播いた。 ++組換え体と判定されるHinDIII−NheIフラグメントを有する得られたコロニーを、それが青く見えることにより同定した。

    この実施例は、LacZα遺伝子を保有する1.0kbの配列が、10〜70bpのフラグメントに消化され得ること、およびこれらのゲル精製された10〜70bpのフラグメントが、正確なサイズの単一の産物に再組立され得ることを説明する。 ここで、得られたコロニーの84%(N=377)がLacZ +である(再編成なしの場合の94%に対して;図2)。

    得られたLacZ -コロニー由来のLacZ遺伝子をコードするDNAを、製造業者の指示に従い、配列決定キット(United States Biochemical
    Co. , Cleveland OH)で配列決定し、そしてこの遺伝子が、再組立プロセスに起因する点変異を有することを見い出した(表1)。 11/12の型の置換が見い出され、そしてフレームシフトは見い出されなかった。

    再編成されたlacZ DNAの全体の4,437塩基を配列決定した。

    10〜70bpの切片からのDNA再組立の間の点変異誘発率は、DNA配列決定から0.7%(N=4,473)であると決定された。 これは誤りがちなPCRと類似している。 いかなる理論にも制限されることなく、より大きなフラグメントが再組立に用いられる場合、または校正ポリメラーゼが添加される場合、点変異誘発率は、より低くあり得ると考えられている。

    14のこれらの点変異されたLacZ -コロニーのプラスミドDNAを、組合わせ、そして再び上述の方法により再組立/再編成した場合、得られたコロニーの34%(N=2
    91)がLacZ +であり、そしてこれらのコロニーは、おそらく異なるコロニー由来のDNAの組換えにより生じたのであろう。

    誤りがちなPCRによる単一の点変異の予測される回復率は、変異誘発率が0.7%(
    10)であると仮定すると、<1%であると予想される。

    このようにして、大きなDNA配列は、驚くほど効率的および単純な反応により、小さなフラグメントのランダムな混合物から再組立され得る。 この技術の1つの応用は、相同性に基づいた関連した配列の組換えまたは再編成である。

    (実施例2.LacZ遺伝子およびプラスミドDNA全体の再編成)
    (1)LacZ遺伝子再編成)
    2つのLacZ遺伝子構築物を用いて、75塩基離れた2つのマーカー間のクロスオーバーを計測した。 終止コドンを、LacZα遺伝子の2つの離れた範囲に挿入し、ネガティブマーカーとして用いた。 それぞれのマーカーは、4つの終止コドンを有する25bp
    の非相同配列であり、終止コドンのうち2つは、LacZ遺伝子のリーディングフレーム内にある。 25bpの非相同配列を、大きな四により図3に示す。 終止コドンは、四角で囲むか、または下線を付すかした。 +−および−+型のLacZα遺伝子(図3)を含有する2つの1.0kbのLacZテンプレートの1:1混合物を、DNAseIで消化し、そして100〜200bpのフラグメントを実施例1に記載のように精製した。 再編成プログラムを、0.5μlのポリメラーゼを添加し、そして全容量が100μlであった以外は、実施例1における再組立について記載された条件と同様の条件下で実施した。

    クローニング後、得られた青色のコロニーの数は、24%;(N=386)であった。
    これは青色のコロニーの理論的な最大数(すなわち25%)に近接しており、2つのマーカー間の組換えが完全であったことを示した。 10の青色のコロニーの全ては、予測されるHindIII−NheI制限フラグメントを含有した。

    (2)プラスミドDNA全体の再編成)
    2.7kbプラスミド全体(pUC18−+およびpUC18+−)もまた、試験した。 +−および−+型のLacZα遺伝子(図3)を含有する2つの2.9kbのプラスミドの1:1混合物を、DNAseIで消化し、そして100〜200bpのフラグメントを実施例1に記載のように精製した。 プログラムが[94℃30秒間、55℃30秒間、
    72℃30秒間]の60サイクルであった以外は、上記の工程(1)における再組立について記載された条件と同様の条件下で再編成プログラムを実施した。 ゲル分析は,再編成プログラム後、産物のほとんどが20kbよりも大きいことを示した。 このようにして、
    2.7kbのプラスミド全体(pUC18−+およびpUC18+−)を、プライマーの添加なしにランダムな100〜200bpのフラグメントから効率的に再組立した。

    プラスミド上に唯一の部位を有する制限酵素(EcoO109)での消化後、産物のほとんどは、予測されるサイズの単一のバンドからなっていた。 このバンドをゲル精製し、
    再連結し、そしてこのDNAをE. coliの形質転換に用いた。 実施例1に記載のように、形質転換体を0.004% X−galプレート上に播いた。 得られたプラスミドの11%(N=328)は、青色すなわち++組換え体であった。

    (3)スパイクしたDNA再編成)
    再編成混合物中に混合されるオリゴヌクレオチドは、テンプレートDNAに対するオリゴヌクレオチドのフランキング配列の相同性に基づき最終産物中に取り込まれ得る(図4
    )。 上述のLacZ -終止コドン変異体(pUC18−+)をDNAseI消化テンプレートとして用いた。 両末端に野生型LacZ遺伝子に対する18塩基の相同性を含有する66マーのオリゴヌクレオチドを、4倍モル濃度過剰量で反応物中に添加し、本来の遺伝子中に存在する終止コドン変異を補正した。 再編成反応を、上記の工程2における条件と同様の条件下で実施した。 得られた産物を消化し、連結し、そして上述のようにE. co
    liに挿入した。

    ssDNAは、dsDNAよりも効率的であるようであり、おそらくこれは競合的なハイブリダイゼーションに起因すると思われる。 取り込みの度合は、モル濃度過剰量、アニーリング温度、または相同性の長さを調整することにより、広範な範囲に亘って変化し得る。

    (実施例3.プライマーの完全な非存在下におけるDNA再組立)
    プラスミドpUC18を制限酵素EcoRI、Eco0109、XmnI、およびAl
    wNIで消化し、約370、460、770、および1080bpのフラグメントを産生した。 これらのフラグメントを電気泳動し、そして2%低融点アガロースゲルから別々に精製した(370塩基対のバンドと460塩基対のバンドは、分離され得なかった)。 これにより、3つの別個のチューブに、大きなフラグメント、中程度のフラグメント、および2つの小さなフラグメントの混合物を得た。

    それぞれのフラグメントを実施例1に記載のようにDNAseIで消化し、そして50
    〜130bpのフラグメントを、それぞれの本来のフラグメントについて2%低融点アガロースゲルから精製した。

    PCR混合物(上述の実施例1に記載のような)を精製した消化フラグメントに添加して、フラグメントの最終濃度を10ng/μlとした。 プライマーを添加しなかった。 再組立反応を、3つの消化したDNAフラグメント混合物それぞれについて別々に[94℃
    30秒間、60℃30秒間]を75サイクル実施し、そして産物をアガロースゲル電気泳動により分析した。

    この結果は、1080bp、770bp、ならびに370bpおよび460bpのバンドが、精製されたフラグメントから効率的に再形成されたことを明確に示した。 これは、
    再編成がいかなるプライマーの使用をも全く必要としないことを示す。

    (実施例4.IL−1β遺伝子再編成)
    この実施例は、15塩基よりも少ない相同性に基づいてクロスオーバーが得られ得ることを説明する。 例として、ヒトおよびマウスのIL−1β遺伝子を再編成した。

    マウスのIL−1β遺伝子(BBG49)およびE. coliのコドン使用頻度を有するヒトIL−1β遺伝子(BBG2; R&D Systems Inc., Minn
    eapolis MN)を再編成反応のテンプレートとして用いた。 ヒトIL−1β配列とマウスIL−1β配列との間の完全に相同な範囲は、平均してわずか4.1塩基の長さである(図5、非相同の領域を四角で囲った)。

    それぞれの遺伝子のdsDNA PCR産物の調製、プライマーの除去、10〜50b
    pフラグメントのDNAseI消化および精製は、実施例1において上述されたものと同様であった。 PCR反応に用いられるプライマーの配列は、5'TTAGGCACCCC
    AGGCTTT3'(配列番号3)および5'ATGTGCTGCAAGGCGATT3
    '(配列番号4)であった。

    再編成反応の最初の15のサイクルは、DNAポリメラーゼIのKlenowフラグメントを用いて、それぞれのサイクル毎に1単位の新たな酵素を添加しながら、実施した。
    DNAをポリメラーゼを含まない実施例1のPCR混合物に添加した。 手動のプログラムは、94℃1分間、および次いで[95℃1分間、ドライアイス/エタノール上に10秒間(凍結するまで)、25℃にて約20秒間インキュベート、1UのKlenowフラグメントの添加、および25℃にて2分間インキュベート]の15サイクルであった。 変性工程後のそれぞれのサイクルにおいて、チューブをドライアイス/エタノール中で迅速に冷却し、そしてアニール温度まで再加熱した。 次いで、熱不安定性ポリメラーゼを添加した。 この酵素は、全てのサイクルごとの添加を必要とする。 このアプローチを用いることにより、わずか数塩基の連続した相同性に基づいて、高レベルのクロスオーバーが得られた(図5、クロスオーバーの位置を「 _| ̄ 」で示す)。

    これらの15回の手動のサイクルの後、Taqポリメラーゼを添加し、そしてさらなる22サイクルの再編成反応[94℃30秒間、35℃30秒間]をプライマーなしで実施した。

    次いで反応物を20倍に希釈した。 以下のプライマーを、0.8μMの最終濃度で添加した:5'AACGCCGCATGCAAGCTTGGATCCTTATT3'(配列番号5)および5'AAAGCCCTCTAGATGATTACGAATTCATAT3'
    (配列番号6)。 そしてPCR反応を実施例1における上述のように実施した。 第2のプライマーペアは、制限部位の変化が必要であると考えられるためだけで第1のペアと異なった。

    XbaIおよびSphIでのPCR産物の消化の後、このフラグメントをXbaI−S
    phI消化pUC18に連結した。 いくつかのコロニー由来の挿入物の配列を、製造業者の指示に従い、ジデオキシDNA配列決定キット(United States Bio
    chemical Co. , Cleveland OH)により決定した。

    全部で17のクロスオーバーが、9つのコロニーのDNA配列決定により見い出された。 いくつかのクロスオーバーは、わずか1〜2塩基の連続した相同性に基づいていた。

    短い相同性に基づく効率的なクロスオーバーを強いるために、非常に低い効率的なアニーリング温度が要求されることが見い出された。 任意の熱安定性ポリメラーゼを用いて、
    PCR機械の冷却時間(1〜2℃/秒の94℃から25℃への)は、効果的なアニーリング温度を設定されたアニール温度よりも高くする。 従って、Taqポリメラーゼに基づくプロトコルのいずれもが、IL−1β遺伝子の一方の10倍過剰量を用いてもクロスオーバーを産生しなかった。 対照的に、熱不安定性ポリメラーゼ(例えば、DNAポリメラーゼIのKlenowフラグメント)は、低いアニーリング温度を正確に得るために用いられ得る。

    (実施例5.TEM−1βラクタマーゼ遺伝子のDNA再編成)
    直接分子進化のための変異誘発DNA再編成の利用性を、βラクタマーゼモデルシステムにおいて試験した。 TEM−1βラクタマーゼは、非常に効率的な酵素であり、主に拡散によりその反応速度は限定される。 この実施例は、その反応特異性を変化すること、および通常加水分解しない薬物セフォタキシムに対して耐性を得ることが可能であるかを決定する。

    プラスミドを含まない細菌性細胞におけるセフォタキシムの最小阻止濃度(MIC)を、E. coli XL1−blue細胞(Stratagene, San Diego
    CA)の一夜細菌培養物の10 -2希釈の10μl(約1000cfu)を、異なるレベルのセフォタキシム(Sigma, St.Louis MO)を有するプレートに播き、続いて37℃で24時間インキュベートすることにより決定した。

    セフォタキシム上での生育は、細胞の密度に対して敏感であり、それ故類似の数の細胞がそれぞれのプレートに播かれる必要がある(添加物非含有LBプレートに播くことにより得られる)。 1000個の細胞のプレートが一貫して行われた。

    (1)最初のプラスミド構築)
    細菌のTEM−1βラクタマーゼ遺伝子を保有するpUC18誘導体を用いた(28)
    。 TEM−1βラクタマーゼ遺伝子は、細菌に約0.02μg/mlのセフォタキシムに対する耐性を与える。 2つのプライマー:
    プライマーA(配列番号7):

    および、プライマーB(配列番号8):

    を用いるベクター配列のPCRおよび2つの他のプライマー:


    プライマーC(配列番号9):

    および、プライマーD(配列番号10):

    を用いるβラクタマーゼ配列のPCRにより、プロモーターの5'および遺伝子の末端の3'にSfi1制限部位を付加した。

    2つの反応産物をSfiIで消化し、混合し、連結し、そして細菌を形質転換するために用いた。

    得られたプラスミドは、pUC182Sfiであった。 このプラスミドは、TEM−1
    遺伝子およびP−3プロモーターを保有するSfi1フラグメントを含有する。

    このプラスミドを保有するE. coli XL1−blue(Stratagene,
    San Diego CA)に関するセフォタキシムの最小阻止濃度は、37℃で24
    時間後で0.02μg/mlであった。

    再編成なしに、セフォタキシムに対するβラクタマーゼ遺伝子の耐性を改変する能力は、2倍に増加した薬物レベルへの細胞(約10 7 cfu)の希釈したプールの段階的な再プレートにより決定した。 1.28μg/mlまでへの耐性が再編成なしに得られ得た。
    これは、耐性の64倍の増加を表す。

    (2)DNAseI消化)
    第1の再編成反応のための基質は、プライマーCおよびD(両方ともSfiI部位を含有する)を用いるpUC182SfiのPCRにより得られた0.9kbのdsDNAであった。

    各サイクルごとにPCR産物から遊離プライマーをWizard PCR prep(
    Promega, Madison WI)により除去した。

    約5μgのDNA基質を、10分間室温で、100μlの50mM Tris−HCl
    pH 7.4、1mM MgCl 2中で0.15単位のDNAseI(Sigma,
    St. Louis MO)で消化した。 100〜300bpのフラグメントを、DE81
    イオン交換紙(Whatman, Hillsborough OR)への電気泳動、1
    M NaClでの溶出、およびエタノール沈澱により、実施例1に記載の方法によって2
    %低融点アガロースゲルから精製した。

    (3)遺伝子再編成)
    精製したフラグメントを、10〜30ng/μlの濃度でPCR混合物(0.2mM
    各dNTP、2.2mM MgCl 2 、50mM KCl、10mM Tris−HCl
    pH 9.0、0.1% Triton X−100)に再懸濁した。 この時点でプライマーを添加しなかった。 94℃60秒間、次いで[94℃30秒間、50〜55℃30
    秒間、72℃30秒間]の40サイクル、そして次いで72℃5分間の再組立プログラムを、MJ Research(Watertown MA)PTC−150サーマルサイクラーにおいて使用した。

    (4)プライマーを用いる再組立産物の増幅)
    0.8μMのそれぞれのプライマー(CおよびD)を有するPCR混合物への再組立産物の希釈、および20のPCRサイクル[94℃30秒間、50℃30秒間、72℃30
    秒間]の後、900bpのサイズの単一の産物を得た。

    (5)クローニングおよび分析)
    末端の制限酵素SfiIでの900bp産物の消化、およびアガロースゲル精製の後、
    900bp産物を、T4 DNAリガーゼ(BRL, Gaithersburg MD
    )を用いて唯一のSfiI部位でベクターpUC182Sfiに連結した。 混合物を、E
    . coli XL1−blue細胞にエレクトロポレートし、そして0.32〜0.64
    μg/mlのセフォタキシム(Sigma,
    St. Louis MO)を有するLBプレートに播いた。 細胞を、37℃で24時間まで増殖させ、得られたコロニーをプールとしてプレートから掻き取り、そして次のラウンドの再編成のためのPCRテンプレートとして用いた。

    (6)引き続く再組立ラウンド)
    3ラウンドの再編成のそれぞれの後に得られた形質転換体を、漸増するレベルのセフォタキシムに播いた。 最も高いレベルのセフォタキシムを有するプレート由来のコロニー(
    >100、多様性を維持するために)をプールし、次のラウンドのPCR反応のためのテンプレートとして用いた。

    上記の工程(5)において0.32〜0.64μg/mlで得られたセフォタキシム耐性コロニーの混合物を次のラウンドの再編成のためのテンプレートして用いた。 LBブロス中の10μlの細胞を、上述のように、99℃10分間、次いで[94℃30秒間、5
    2℃30秒間、72℃30秒間]の35サイクル、および次いで72℃5分の再組立プログラムにおいてテンプレートとして用いた。

    再組立産物を消化し、そして上記の工程(5)に記載のようにpUC182Sfiに連結した。 混合物をE. coli XL1−blue細胞にエレクトロポレートし、そして5〜10μg/mlのセフォタキシムを有するLBプレートに播いた。

    5〜10μg/mlで得られたコロニーを、細胞を80〜160μg/mlのセフォタキシムを含有するLBプレートに播いた以外は第1および第2のラウンドと同様である第3のラウンドに用いた。 第3のラウンドの後、コロニーを、80〜160μg/mlで得、そして漸増する濃度のセフォタキシムに再プレートした後、コロニーは、37℃で24
    時間後、320μg/mlまでで得られた(MIC=320μg/ml)。

    セフォタキシムにおける増殖は、細胞密度に依存し、全てのMICが規格化されることを要求する(本発明者らの場合、プレートあたり約1,000細胞まで)。 より高い細胞密度で、1280μg/mlまででの増殖が得られた。 1,280μg/mlで増殖された5つの最も大きいコロニーを、単一コロニーのために2回プレートし、そしてSfi1
    挿入物を、コロニーPCR産物の制限マッピングにより分析した。

    セフォタキシムに対する耐性が16,000倍に増加した(MIC=0.02μg/m
    lからMIC=320μg/ml)1つの変異体が得られた。

    選択後、選択されたクローンのプラスミドを野生型E. coli XL1−blue細胞(Stratagene, San Diego CA)に戻し、測定された薬剤耐性の全てが、染色体の変異に起因しないことを確認した。

    再編成および選択の3つのサイクルは、TEM−1βラクタマーゼに関する伸展した幅広いスペクトラムの抗生物質であるセフォタキシムの最小阻止濃度における1.6×10
    4倍の増加を生じた。 対照的に、再編成なしの繰り返しのプレーティングは、耐性のわずか16倍の増加のみを生じた(誤りがちなPCRまたはカセット変異誘発)。

    (7)配列分析)
    1,280μg/mlで生育した5つの最も大きいコロニーの全ては、野生型TEM−
    1酵素と同一な制限地図を有した。 これらのコロニーの内の1つから得られたプラスミドのSfiI挿入物を、製造業者の指示に従い、ジデオキシDNA配列決定法(Unite
    d States Biochemical Co. , Cleveland OH)により配列決定した。 全ての塩基番号は、改訂されたpBR322配列(29)に対応し、
    そしてアミノ酸番号は、ABL標準番号付けスキーム(30)に対応する。 アミノ酸は3
    文字表記で示され、そしてヌクレオチドは1文字表記で示される。 用語G4205Aは、
    ヌクレトチド4205が、グアニジンからアデニンに変化したことを意味する。

    9つの1塩基置換が見い出された。 G4205Aは、βラクタマーゼP3プロモーター(31)の−35と−10部位との間に位置される。 ChenおよびClowes(31
    )により観察されたプロモーター上方変異体(up−mutant)は、本発明で用いられたSfi1フラグメントの外側に位置され、従って検出され得なかった。 4つの変異は、サイレント変異であり(A3689G、G3713A、G3934A、およびT395
    9A)、そして4つがアミノ酸変化を生じた(Gly238Serを生じるC3448T
    、Met182Thrを生じるA3615G、Glu104Lysを生じるC3850T
    、およびAla18Valを生じるG4107A)。

    (8)分子戻し交雑)
    次いで非必須変異を除去するために、過剰量の野生型DNAを用いた分子戻し交雑を用いた。

    分子戻し交雑は、DNAseI消化および再編成反応を40倍の過剰量の野生型TEM
    −1遺伝子フラグメントの存在下で実施した以外は、上述したような通常の再編成と同一な方法によりDNA再編成の第3のラウンドから選択されたプラスミドに対して実施した。 戻し交雑をより効率的にするために、非常に小さなDNAフラグメント(30〜100
    bp)を再編成反応に用いた。 戻し交雑変異体を、80〜160μg/mlのセフォタキシム(Sigma, St.Louis MO)を有するLBプレートで再び選択した。

    この戻し交雑再編成を、40倍の過剰量の野生型TEM−1 DNAの存在下での第1
    の戻し交雑ラウンドからのコロニー由来のDNAを用いて繰り返した。 戻し交雑の効率を増加させるために、小さなDNAフラグメント(30〜100bp)を用いた。 第2のラウンドの戻し交雑変異体を、80〜160μg/mlのセフォタキシムを有するLBプレートで再び選択した。

    得られた形質転換体を160μg/mlのセフォタキシムに播き、そしてコロニーのプールを、1,280μg/mlまでの漸増するレベルのセフォタキシムに再プレートした。 1,280μg/mlで得られた最も大きなコロニーを、単一コロニーのために再プレートした。

    この戻し交雑変異体は、野生型よりも32,000倍高い耐性を示した(MIC=64
    0μg/ml)。 変異体株は、以前に報告された臨床的TEM−1由来株または加工されたTEM−1由来株よりもセフォタキシムに対して64倍高い耐性である。 従って、DN
    A再編成は、少なくともいくつかのサイクルの定方向性分子進化のための迅速で強力な手段であるようである。

    戻し交雑された変異体のSfiI挿入物のDNA配列を、製造業者の指示に従いジデオキシDNA配列決定キット(United States Biochemical C
    o. , Cleveland OH)を用いて決定した(表3)。 変異体は、9つの1塩基対変異を有した。 予測されるように、以前に同定した4つのサイレント変異の全てが消失し、野生型遺伝子の配列に戻っていた。 プロモーター変異(G4205A)および4つのアミノ酸変異の内の3つ(Glu104Lys、Met182Thr、およびGly2
    38Ser)は、戻し交雑されたクローンに残っていた。 このことは、それらが高レベルのセフォタキシム耐性のために必須であることを示唆する。 しかし、2つの新規のサイレント変異(T3842CおよびA3767G)ならびにアミノ酸変化を生じる3つの新規の変異(Arg241Hisを生じるC3441T、Gly92Serを生じるC388
    6T、およびAla42Glyを生じるG4035C)が見い出された。 これらの2つのサイレント変異は、タンパク質の1次配列に影響しないが、タンパク質の発現レベル(例えばmRNAの構造により)、およびおそらくタンパク質の折り畳みにさえに影響し得る(コドン使用頻度を変化すること、およびそれゆえタンパク質の折り畳みに関係する休止部位を変化することによる)。

    戻し交雑変異体および非戻し交雑変異体は両方とも1つのプロモーター変異(これは、


    単独または組み合わせにより発現レベルにおいて2〜3倍の増加を生じる)および3つの共通したアミノ酸変化(Glu104Lys、Met182Thr、およびGly238


    Ser)を有する。 Glu104LysおよびGly238Serは、いくつかのセフォタキシム耐性TEM−1誘導体または他のTEM−1誘導体(表4)において存在する変異である。

    (9)発現レベル比較)
    野生型プラスミド、非戻し交雑変異体、および戻し交雑変異体におけるβラクタマーゼ遺伝子の発現レベルを、Witholt, B. (32)の方法に従い浸透圧ショックにより調製された周辺質の抽出物のSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(4〜20%
    ;Novex, San Diego CA)により比較した。

    精製されたTEM−1βラクタマーゼ(Sigma, St.Louis MO)を、
    分子量基準として用い、そしてプラスミドを含まないE. coli XL1−blue細胞をネガティブコントロールとして用いた。

    変異体および戻し交雑された変異体は、野生型遺伝子と比較して2〜3倍高いレベルのβラクタマーゼタンパク質を産生するようであった。 プロモーター変異は、βラクタマーゼの2〜3倍の増加を生じるようであった。

    (実施例6.TEM−1βラクタマーゼ遺伝子の変異体組み合わせ体の構築)
    変異の異なる組み合わせの耐性を決定するため、そして発表された変異体と新規の変異体とを比較するために、いくつかの変異体を、同一のプラスミドバックグラウンド中に構築した。 2つの変異(Glu104LysおよびGly238Ser)は、セフォタキシム変異体として知られている。 構築した全ての変異体の組み合わせは、プロモーター変異を有しており、これは選択された変異体の比較を可能にした。 結果を図4に示す。

    変異の特定の組み合わせは、1変異当たり2つのオリゴヌクレオチドを用いて、PCR
    により野生型pUC182Sfi中に導入された。

    以下の変異を得るためのオリゴヌクレオチドは以下のようであった:

    これらの個々のPCRフラグメントを、合成オリゴヌクレオチドからゲル精製した。 1


    0ngのそれぞれのフラグメントを組み合わせ、そして再組立反応を、94℃1分間、および次いで25サイクル;[94℃30秒間、50℃30秒間、および72℃45秒間]


    で実施した。 PCRを、SfiI含有外側プライマー(実施例5のプライマーCおよびプライマーD)の存在下で25サイクルにわたって再組立産物に対して実施した。 DNAをSfiIで消化し、そして野生型pUC182Sfiベクターに挿入した。 以下の変異体組み合わせが得られた(表4)。

    ★ これらの変異体の全ては、G4205Aプロモーター変異を付加的に含有する。

    保存された変異が、MICにおける15の倍加(doubling)の内の9つの原因であると結論づけられた。

    Glu104Lys単独は、0.08μg/mlへのMICの倍加のみを生じることが示され、そしてGly238Ser(いくつかの状況において1つのさらなるアミノ酸変化を有する)は、0.16μg/mlのMICのみを生じた(26)。 2重変異体Glu
    104Lys/Gly238Serは、10μg/mlのMICを有する。 この変異体は、TEM−15に相当する。

    これらの同一のGlu104Lys変異およびGly238Ser変異は、Gln39
    Lys(TEM−3)またはThr263Met(TEM−4)と組み合わせて、高レベルの耐性(TEM−3について2〜32μg/mlおよびTEM−4について8〜32μ
    g/ml(34、35))を生じる。

    戻し交雑後に保存された3つのアミノ酸変化(Glu104Lys/Met182Th
    r/Gly238Ser)を含有する変異体もまた、10μg/mlのMICを有した。
    これは、新規の選択された変異体のそれぞれが、3つの公知の変異に加えてさらに有する変異が、セフォタキシムに対する遺伝子の耐性のさらなる32〜64倍の増加の原因であることを意味した。

    天然に存在する、臨床的TEM−1由来酵素(TEM−1〜19)のそれぞれは、5〜
    7つのみの同一の変異の異なる組み合わせを含有する(総説)。 これらの変異は、遺伝子において十分に分離した位置に存在するので、高度なセフォタキシム耐性を有する変異体は、単一の範囲のカセット変異誘発によっては得られ得ない。 これは、標準的なカセット変異誘発アプローチにより得られる最大MICが、わずか0.64μg/mlである理由を説明し得る(26)。 例えば、Glu104Lys変異およびGly238Ser変異は両方とも0.16μg/ml未満のMICを有することが本研究において個々に見い出された。 DNA再編成の使用は、組み合わせを可能にし、それ故10μg/mlのMIC
    を有するGlu104Lys/Gly238Serの組み合わせが見い出された。

    この実施例の重要な制限は、開始点としての単一の遺伝子の使用である。 多数の関連した天然に存在する遺伝子が再編成される場合、より良好な組み合わせが見い出され得ることが意図される。 このような混合物に存在する多様性は、変異誘発再編成により産生されるランダムな変異よりも有意義である。 例えば、単一の種由来の関連した遺伝子のレパートリー(例えば、免疫系の既存の多様性)、または多くの異なる種から得られる関連した遺伝子を使用し得ることが意図される。

    (実施例7.6つの変異体CDR全てのライブラリーのDNA再編成による抗体A10
    Bの改善)
    A10B scFv抗体、マウス抗ウサギIgGは、Pharmacia(Milwa
    ukee WI)から寄贈された。 pCANTAB5ファージディスプレイベクターを使用する市販のPharmaciaファージディスプレイシステムを使用した。

    本来のA10B抗体は、低いアビディティのみを再現性よく有した。 というのは、(ファージELISA (Pharmaciaアッセイキット)またはファージタイターにより測定したところ)固定化抗原(ウサギIgG)に弱く結合するクローンのみが得られたからである。 競合アッセイにおいてA10B抗体結合の50%阻害を生じたウサギIgG
    の濃度は、13ピコモル濃度であった。 観察された低いアビディティはまた、A10Bクローンの不安定さに起因し得る。

    A10B scFv DNAを製造業者の指示に従い配列決定した(United S
    tates Biochemical Co. , Cleveland
    OH)。 Kabat(33)との比較に基づくと、この配列は、既存の抗体と同様であった。

    (1)ファージDNAの調製)
    A10B野生型抗体遺伝子を有するファージDNA(10μl)を、99℃にて10分間インキュベートし、次いで72℃にて2分間インキュベートした。 PCR混合物(50
    mM KCl、10mM Tris−HCl pH 9.0、0.1% Triton
    X−100、200μM 各dNTP、1.9mM MgCl)、0.6μmのそれぞれのプライマー、および0.5μl Taq DNAポリメラーゼ(Promega, M
    adison WI)をファージDNAに添加した。 PCRプログラムを[94℃30秒間、45℃30秒間、72℃45秒間]の35サイクルにわたって実施した。 用いたプライマーは:
    5' ATGATTACGCCAAGCTTT 3'(配列番号26)および5' TTGTCGTCTTTCCAGACGTT 3'(配列番号27)
    であった。

    次いで850bpのPCR産物を電気泳動し、そして2%低融点アガロースゲルから精製した。

    (2)フラグメント化)
    300ngのゲル精製した850bpのバンドを、20分間室温にて、50mM Tr
    is−HCl pH 7.5、10mM MgCl中で0.18単位のDNAse I(
    Sigma, St. Louis MO)で消化した。 消化したDNAを、2%低融点アガロースゲルにおいて分離し、そして50〜200bp間のバンドをゲルから精製した。

    (3)試験ライブラリーの構築)
    本実験の目的は、CDRの挿入が効果的であるか否かを試験することである。

    内部に制限酵素部位を有する以下のCDR配列を合成した。 「CDR H」は、抗体のH鎖におけるCDRを意味し、「CDR L」は、抗体のL鎖におけるCDRを意味する。

    制限部位を有するCDRオリゴ:

    上記工程(2)からの50〜200bpの精製A10B抗体DNAフラグメントにCD


    Rオリゴを過剰な10倍のモル量で添加した。 PCR混合物(50mM


    KCl、10mM Tris−HCl pH9.0、0.1% Triton


    X−100、1.9mM MgCl、200μmの各dNTP、0.3μl Taq


    DNAポリメラーゼ(Promega、Madison WI)、総容積50μl)を添加し、そして94℃で1分間、72℃で1分間、次いで35サイクル:94℃で30秒間、55℃で30秒間、72℃で30秒間の再編成プログラムを行った。

    1μlの再編成混合液を100μlのPCR混合物(50mM KCl、10mM T
    ris−HCl pH9.0、0.1% Triton X−100、200μmの各d
    NTP、1.9mM MgCl、それぞれ0.6μMの2つの外側プライマー(配列番号26および27、下記参照のこと)、0.5μl Taq DNAポリメラーゼ)に添加し、そしてPCRプログラムを30サイクル[94℃で30秒間、45℃で30秒間、7
    2℃で45秒間]行った。 得られる850塩基対サイズのDNAフラグメントの混合液をフェノール/クロロホルム抽出し、そしてエタノール沈殿させた。

    外側プライマーは:
    外側プライマー1:配列番号27
    5' TTGTCGTCTTTCCAGACGTT 3'
    外側プライマー2:配列番号26
    5' ATGATTACGCCAAGCTTT 3'
    850bpのPCR生成物を制限酵素SfiIおよびNotIで消化し、低融点アガロースゲルから精製し、そしてPharmacia、Milwaukee
    WIから得たpCANTAB5発現ベクターに連結した。 Invitrogen (S
    an Diego CA)により記載される方法に従って、 連結したベクターをTG1
    細胞(Pharmacia、Milwaukee WI)にエレクトロポレートし、そして単一のコロニーについてプレートした。

    得られるコロニー由来のDNAを100μlのPCR混合物(50mM KCl、10
    mM Tris−HCl pH9.0、0.1% Triton X−100、200μ
    mの各dNTP、1.9mM MgCl、0.6μMの外側プライマー1(配列番号27
    、下記参照のこと)および6つの内側プライマー(配列番号40〜45;下記参照のこと)、および0.5μlのTaq DNAポリメラーゼ)に添加し、そして35サイクル[
    94℃で30秒間、45℃で30秒間、72℃で45秒間]でPCRプログラムを行った。 PCR生成物のサイズを、アガロースゲル電気泳動により測定し、そして制限部位を有するどのCDRが挿入されたのかを決定するために用いた。

    CDR内側プライマー:

    6つの合成CDRは、野生型A10B抗体DNAの予想された位置に挿入された(図7


    )。 これらの研究は、特定のクローン中の6つのCDRはそれぞれ制限部位を有するCD


    Rになるわずかな可能性を有するが、ほとんどのクローンは少なくとも1つの制限部位を有するCDRを保有し、そして制限部位を有するCDRの可能な任意の組み合わせが生成されたことを示した。

    (4)変異相補性決定領域(「CDR」)の構築)
    本発明者らの配列データに基づき、6つのCDRに対応する6オリゴヌクレオチドを作製した。 CDR(Kabat定義)を70(個の存在塩基):10:10:10の比率で合成的に変異を誘発し、そして約20塩基のフランキング配列により5'末端および3'
    末端側に側面を接しさせた。 このフランキング配列は、変異を誘発しない抗体遺伝子フラグメントの混合物に過剰なモル量で混合する場合、CDRの取り込みに対して相同性を提供する。 得られる変異配列を以下に示す。

    CDRライブラリーのオリゴ

    太字体かつ下線を付した配列は、70:10:10:10のヌクレオチド(ここで70%


    は野生型ヌクレオチド)の混合物を用いて合成した変異配列であった。

    過剰な10倍のモル量のCDR変異オリゴを、上記工程(2)からの長さ50〜200
    bpの精製A10B抗体DNAフラグメントに添加した。 PCR混合物(50mM KC
    l、10mM Tris−HCl pH9.0、0.1% Triton X−100、
    1.9mM MgCl、200μmの各dNTP、0.3μlのTaq DNAポリメラーゼ(Promega、Madison WI)、総容積50μl)を添加し、そして9
    4℃で1分間、72℃で1分間、次いで35サイクル:[94℃で30秒、55℃で30
    秒、72℃で30秒]の再編成プログラムを行った。

    1μlの再編成した混合物を100μlのPCR混合物(50mM KCl、10mM
    Tris−HCl pH9.0、0.1% Triton X−100、200μmの各dNTP、1.9mM MgCl、それぞれ0.6μMの2つの外側プライマー(配列番号26および27、下記参照のこと)、0.5μlのTaq DNAポリメラーゼ)に添加し、そして30サイクル[94℃で30秒間、45℃で30秒間、72℃で45秒間]でPCRプログラムを行った。 得られる850塩基対サイズのDNAフラグメントの混合物をフェノール/クロロホルム抽出し、そしてエタノール沈殿させた。

    外側プライマーは:

    (5) scFV抗体DNAのpCANTAB5へのクローニング)


    850bpのPCR生成物を制限酵素SfiIおよびNotIで消化し、低融点アガロースゲルから精製し、そしてPharmacia、Milwaukee


    WIから得たpCANTAB5発現ベクターに連結した。 Invitrogen (S


    an Diego CA)により記載される方法に従って連結したベクターをTG1細胞(Pharmacia Milwaukee WI)にエレクトロポレートし、そして製造業者により推薦されるガイドラインに従ってヘルパーファージを用いてファージライブラリーを増殖させた。

    この様式で生成したライブラリーを、6サイクルの選択を使用して、改善された抗体の存在についてスクリーニングした。

    (6) 高親和性クローンの選択)
    96ウェルのマイクロタイタープレートの15ウェルを、ウサギIgG(Jackso
    n Immunoresearch、Bar Harbor ME)で10μg/ウェル、37℃で1時間コートし、次いでPBS中の2%のノンファットドライミルクで37℃
    で1時間ブロックした。

    100μlのファージライブラリー(1×10 10 cfu)を100μlの2%のミルクで室温で30分間ブロックし、次いで15ウェルのそれぞれに添加し、37℃で1時間インキュベートした。

    次いで、0.5%のTween−20を含有するPBSを用い、37℃で1回の洗浄あたり10分間でウェルを3回洗浄した。 結合したファージを100μlの溶出緩衝液(G
    lycine−HCl、pH2.2)で溶出し、続いて2MのTris pH7.4で迅速に中和し、そしてファージ生産のためにトランスフェクションした。 この選択サイクルを6回反復した。

    6サイクルの後、個々のファージクローンを拾い、そしてファージELISAにより相対的な親和性を比較し、そしてウサギIgGに対する特異性をPharmacia(Mi
    lwaukee WI)製のキットを用いて製造業者により推薦される方法に従ってアッセイした。

    ウエスタンアッセイにより試験した場合、最良のクローンは、野生型A10Bと比較して約100倍の改善された発現レベルを有した。 最良のクローンを用いる競合アッセイにおいて50%の阻害を生じたウサギIgGの濃度は1ピコモル濃度であった。 最良のクローンはウサギ抗原に対する特異性に再現性が認められた。 ファージによりディスプレイされる抗体のコピー数は増加するようである。

    (実施例8.部分的遺伝子のダイレクトリピートによるインビボでの組換え)
    プラスミドを2つの部分で構築した。 この2つの部分は、これらの2つのダイレクトリピートの共通範囲間の組換えが完全長の活性組換え遺伝子をもたらすことを示す同一遺伝子(β−ラクタマーゼ)の不活性コピーである。

    細菌TEM−1βラクタマーゼ遺伝子を保有するpUC18誘導体を使用した(Yan
    ish−Perronら、1985、Gene 33:103−119)。 TEM−1β
    ラクタマーゼ遺伝子(「Bla」)は、約0.02μg/mlのセフォタキシムに対する耐性を細菌に与える。 2つのプライマーを用いるベクター配列のPCRにより、Sfi1
    制限部を、5'側のプロモーターとβラクタマーゼ遺伝子の3'末端とに加えた。
    2つのプライマーの配列:

    2つの反応生成物をSfilで消化し、混合し、連結し、そしてこれを用いて以下に記載される手順によりコンピテントなE. coli菌を形質転換した。 得られたプラスミドをpUC182Sfi−Bla−Sfiとした。 このプラスミドはBLA遺伝子およびP


    −3プロモーターを保有するSfilフラグメントを含む。

    pUC182Sfi−Bla−Sfiを保有するE. coli XL1−blue(S
    tratagen、San Diego CA)に対するセフォタキシムの最小阻害濃度は、37℃、24時間後で0.02μg/mlであった。

    pBR322のテトラサイクリン遺伝子を相同性範囲を用いてpUC18Sfi−Bl
    a−Sfiにクローニングし、pBR322TetSfi−Bla−Sfiを得た。 次いでSspIおよびFspIを用いるpBR322TetSfi−Bla−Sfiの制限消化および平滑末端連結によりTEM−1遺伝子を欠失させ、pUC322TetSfi−
    Sfiを得た。

    TEM−1遺伝子の重複領域を標準的なPCR技術および以下のプライマーを用いて増幅した:

    2つの得られるDNAフラグメントをSfi1およびBstX1で消化し、pBR32


    2TetSfi−SfiのSfi部位に連結した。 得られるプラスミドをpBR322S


    fi−BL−LA−Sfiとした。 プラスミドの地図ならびに機能的β−ラクタマーゼのプラスミド内組換えおよび再形成のスキームを図9に示す。

    このプラスミドをTG−1細胞またはJC8679 E. coli細胞のいずれかにエレクトロポレートした。 E. coli JC8679はRecBC sbcA (Oli
    nerら、1993、NAR 21:5192)である。 この細胞をテトラサイクリンを含有する固体寒天プレート上にプレートした。 次いで、増殖したこれらのコロニーを10
    0μg/mlのアンピリシンを含有する個体寒天プレート上にプレートし、そして生存するコロニーの数をカウントした。 アンピリシン耐性を示したこれらの形質転換体中のβ−
    ラクタマーゼ遺伝子挿入物を、

    とを用いて標準的なPCR技術により増幅し、そして挿入物の長さを測定した。 1kbの挿入物の存在は、図9および表5に示されるように遺伝子がうまく組換えられたことを示す。

    (実施例9.完全長遺伝子のダイレクトリピートによるインビボ組換え)


    β−ラクタマーゼ遺伝子の異なる対立遺伝子の2つの完全長コピーを有するプラスミドを構築した。 2つの遺伝子の相同組換えによりこの遺伝子の1つの組換え完全長コピーを得た。

    pBR322TetSfi−SfiおよびpBR322TetSfi−Bla−Sfi
    の構築については上で述べた。

    β−ラクタマーゼ遺伝子の2つの対立遺伝子を以下のように構築した。 2つのPCR反応をpUC18Sfi−Bla−Sfiをテンプレートとして用いて行った。 1つの反応は以下のプライマーを用いて行った。

    これにより2つのBla遺伝子(一方のBla遺伝子は5'末端Sfi1部位および3


    '末端BstX1部位を有し、他方のBla遺伝子は5'末端BstX1部位および3'


    末端Sfi1部位を有する)を得た。

    これらの2つの遺伝子をBstX1およびSfi1で消化し、そしてSfi1消化プラスミドpBR322TetSfi−Sfiに連結した後、Bla遺伝子のタンデムリピートを有するプラスミド(pBR322−Sfi−2BLA−Sfi)を得た。 (図10を参照のこと)
    このプラスミドをE. coli細胞内にエレクトロポレートした。 この細胞を15μg
    /mlのテトラサイクリンを含有する固体寒天プレート上にプレートした。 次いで増殖したこれらのコロニーを100μg/mlのアンピシリンを含有する固体寒天プレート上にプレートし、そして生存するコロニーの数をカウントした。 アンピシンリン耐性を示すこれらの形質転換体中のBla挿入物を、実施例8に記載される方法およびプライマーを使用する標準的なPCR技術により増幅した。 1kbの挿入物の存在は、表6に示されるように重複遺伝子(duplicate gene)が組換えられたことを示す。

    (実施例10.多数サイクルのプラスミド内のダイレクトリピート組換え)


    さらに迅速に耐性細胞を生産するために多数サイクルの組換えを用い得るか否かを決定するために、実施例9に記載される多数サイクルの方法を行った。

    マイナスの組換えコントロールは、β−ラクタマーゼ遺伝子の1つのコピーからなり、
    一方プラスの組換え実験は、ダイレクトリピートとしてのβ−ラクタマーゼの2つのコピーを挿入する工程からなった。 テトラサイクリンマーカーを用いて、各ラウンドにおいてセフォタキシム耐性について選択されたコロニーの数を等しくして連結効率に対して補正をした。

    第1ラウンドにおいて、pBR322TetSfi−Bla−SfiをEcrIで消化し、誤りがちなPCRのための正常なPCR混合物とCadwell PCR混合物(C
    adwellおよびJoyce(1992) PCR Methods and App
    lications 2:28−33)との1:1の混合物(1ml)を用いてPCRにかけた。 PCRプログラムは、最初に70℃で2分間、次いで94℃で30秒間、52℃
    で30秒間、および72℃で3分間+6秒/1サイクルの30サイクルであり、続いて7
    2℃で10分間であった。

    1つのBla遺伝子コントロールプラスミドを作製するためのPCR反応で使用されるプライマーは、プライマー2650(配列番号50)およびプライマー2719(配列番号55)5' TTAAGGGATTTTGGTCATGAGATT 3'であった。 これはフラグメント#59としてひとまとめに消化され、増幅されたDNAフラグメントの混合された集団を生じた。 これらのフラグメントは多くの異なる変異を有した。

    2つのBla遺伝子プラスミドを作製するために2つの異なるPCR反応で使用されるプライマーは、第1の遺伝子についてはプライマー2650(配列番号50)およびプライマー2649(配列番号51)であり、そして第2の遺伝子についてはプライマー26
    48(配列番号54)およびプライマー2719(配列番号55)であった。 これは、2
    つの増幅したDNAフラグメント:フラグメント#89(プライマー2648および27
    19で増幅した)およびフラグメント#90(プライマー2650および2649で増幅した)それぞれの混合された集団を生じた。 それぞれの場合、多くの異なる変異体がそれぞれのフラグメントの混合された集団に導入された。

    誤りがちなPCRの後、増幅されたDNAフラグメント#59の集団をSfi1で消化し、次いでpBR322TetSfi−Sfi内にクローニングしてプラスミドpBR3
    22Sfi−Bla−Sfi 1の混合された集団を作製した。

    誤りがちなPCRの後、増幅されたDNAフラグメント#90および#89の集団をS
    fiIおよびBstXIで50℃で消化し、そしてpBR322TetSfi−Sfiに連結してプラスミドpBR322TetSfi−2Bla−Sfi 1の混合された集団を作製した(図10)。

    プラスミドpBR322Sfi−Bla−Sfi 1およびpBR322Sfi−2Bl
    a−Sfi 1をE. coli JC8679内にエレクトロポレートし、そして異なる濃度のセフォタキシムを有する寒天プレートに置いて耐性株について選択し、そしてテトラサイクリンプレートに置いて力価を測定した。

    等しい数のコロニーを(テトラサイクリン上で増殖するコロニーの数に基づいて)拾い、LB−tet中で増殖させ、そしてコロニーからDNAを抽出した。 これは組換えの1
    ラウンドである。 このDNAをEcrIで消化し、そして上記のように第2ラウンドの誤りがちなPCRに用いた。

    5ラウンド後、1つのフラグメントプラスミドに対するセフォタキシムのMIC(最小阻害濃度)は0.32であったが、2つのフラグメントプラスミドについてのMICは1
    . 28であった。 結果は、5サイクル後の組換えにより得られる耐性は、インビボ組換えの存在下では4倍高かったことを示す。

    (実施例11.フラグメントのエレクトロポレーションによるインビボ組換え)
    pUC18Sfi−Bla−Sfiを含む適切なE. coli細胞を記載のように調製した。 プラスミドpUC18Sfi−Bla−Sfiは、前出に記載のような標準的なT
    EM−1 β−ラクタマーゼ遺伝子を含有する。

    pUC18Sfi−cef−Sfi(クローンST2)(Stemmer WPC (
    1994) Nature 370:389−91、本明細書中で参考として援用される)由来のTEM−1由来セフォタキシム耐性遺伝子を得た。 このプラスミドは、このプラスミドを有するE. coliにセフォタキシムについての640μg/mlのMICを与える。 1つの実験において、完全なプラスミドpUC18Sfi−cef−Sfi DN
    Aを、プラスミドpUC18Sfi−Bla−Sfiを有するE. coli細胞内にエレクトロポレートした。

    別の実験において、pUC18Sfi−cef−Sfi由来のセフォタキシム遺伝子を有するDNAフラグメントを、プライマー2650(配列番号50)および2719(配列番号55)を用いるPCRにより増幅した。 得られる1kbのPCR生成物をDNAs
    eにより100bp未満のDNAフラグメントに消化し、そしてこれらのフラグメントをすでにpUC18Sfi−Bla−Sfiを有するコンピテントなE. coli細胞内にエレクトロポレートした。

    次いで、両方の実験からの形質転換された細胞を、セフォタキシムの種々の濃度を有する寒天プレート上に形質転換された細胞をプレートすることによりそのセフォタキシムに対する耐性についてアッセイした。 結果を表7に示す。

    結果から、エレクトロポレーション後、ST−2 Cef遺伝子全体が細菌ゲノムまたはプラスミドのいずれかに挿入されたように思われる。 たいていの挿入物は相同的であるため、この遺伝子がプラスミドに挿入され、野生型遺伝子を置換したことが予想される。


    ST−2由来のCef遺伝子のフラグメントはまた、効率的にプラスミド中の野生型遺伝子内に挿入された。 野生型遺伝子(全体またはフラグメントで)の導入を伴い、そして非DNAの導入を伴う場合は、セフォタキシム耐性の急激な増加は観察されなかった。 それゆえ、ST−2フラグメントが野生型フラグメントよりも極めて高いセフォタキシム耐性を生じることが示された。 耐性を増加させる遺伝子プールから調製されたフラグメントの反復された挿入物が、耐性の増加をもたらすことが意図される。

    従って、ST−2遺伝子フラグメントによりセフォタキシム耐性の増加を生じるこれらのコロニーを単離し、そしてプラスミドDNAを抽出した。 このDNAを上記の方法によるPCRを用いて増幅した。 増幅したDNAをDNAseで消化してフラグメント(<1
    00bp)にし、そして2〜4μgのフラグメントを上記のようにすでにpUC322S
    fi−Bla−Sfiを含有するコンピテントなE. coli細胞内にエレクトロポレートした。 形質転換された細胞を種々の濃度のセフォタキシムを含有する寒天上にプレートした。

    コントロールとしてpUC18Sfi−Kan−Sfiを有するコンピテントなE. c
    oliも使用した。 pUC18Sfi−cef−SfiのPCR生成物の消化物からのD
    NAフラグメントをこれらの細胞内にエレクトロポレートした。 カナマイシン遺伝子とβ
    −ラクタマーゼ遺伝子との間には相同性は存在せず、従って組換えは起こらない。

    この実験を2ラウンド反復した。 結果を表8に示す。

    (実施例12.組換え形式の決定)


    本実験は、どの組換え形式が1サイクルあたり最大の組換え体を生成するかを決定するために設計された。

    第1のアプローチにおいて、ベクターpUC185Sfi−Bla−SfiをPCRプライマーで増幅して、大フラグメントおよび小フラグメントを生成した。 大フラグメントはプラスミドおよびBla遺伝子部分を有する末端を有し、そして小フラグメントはBl
    a遺伝子の中間部分をコードした。 完全なBla遺伝子を有する第3のフラグメントを実施例8の方法によりPCRを使用して作製した。 より大きなプラスミドフラグメントおよび完全なBla遺伝子を有するフラグメントを上記の方法により同時にE. coli J
    C8679細胞内にエレクトロポレートし、そして形質転換体を異なる濃度のセフォタキシム上にプレートした。

    第2のアプローチにおいて、ベクターpUC18Sfi−Bla−Sfiを増幅して、
    上記第1のアプローチにおけるように単離された大プラスミドフラグメントを生成した。
    2つのフラグメントはそれぞれ完全なBla遺伝子の一部を有し、その結果2つのフラグメントが共になって完全なBla遺伝子にまたがる2つのフラグメントもまたPCRにより得た。 大プラスミドフラグメントおよび2つのBla遺伝子フラグメントをすべてコンピテントなE. coli JC8679細胞内にエレクトロポレートし、そして形質転換体を種々の濃度のセフォタキシム上にプレートした。

    第3のアプローチにおいて、ベクターとプラスミドとの両方をE. coli JC86
    79細胞内にエレクトロポレートし、そして形質転換体を種々の濃度のセフォタキシム上にプレートした。

    第4のアプローチにおいて、完全なBla遺伝子を、すでにベクターpUCSfi−S
    fiを含むE. Coli JC8679細胞内にエレクトロポレートし、そして形質転換体を種々の濃度のセフォタキシム上にプレートした。 コントロールとしてE. coli
    JC8679細胞を完全なBla遺伝子またはベクター単独のいずれかでエレクトロポレートした。

    結果を図11に表す。 ベクターへの2つのフラグメントの挿入の効率は、完全なBla
    遺伝子を有する1つのフラグメントが使用される場合より100倍低い。 第3のアプローチは、挿入の効率は遊離DNA末端の存在に依存することを示した。 なぜなら、このアプローチでは組換え体が得られなかったからである。 しかし、第3のアプローチの結果もまた、ベクターのエレクトロポレーションの低効率によるものであった。 発現ベクターがすでにコンピテントな細胞内にある場合、ベクターのエレクトロポレーションの効率はもはや要因ではなく、効率的な相同組換えは非切断のベクターを用いてさえ達成され得る。

    (実施例12.ベクターの性能を最適化するカセット再編成のためのキット)
    最適化された表現型(例えば、クローン化遺伝子のようなベクターがコードされる配列の最大の発現)を与え得るベクターを提供するために、再編成され得る種々のカセットを含むキットが提供され、そして最適化された再編成体が選択され得る。 図12は、それぞれの遺伝子座が複数のカセットを有する1つの実施態様を概略的に示す。 例えば、細菌の発現システムにおいて、図13はそれぞれの遺伝子座で使用される例示のカセットを示す。 与えられた遺伝子座のそれぞれのカセット(例えば、本実施例のすべてのプロモーター)は、隣接する遺伝子座のカセットのフランキング配列に重複し得、そしてまた、好ましくは相同組換えまたは非相同性組換えに関与し得る(例えば、lox/creまたはfl
    p/frt系)実質的に同一な配列と隣接し、遺伝子座内であるが実質的に遺伝子座間ではないカセットの再編成を提供するようにする。

    カセットはPCRフラグメントとしてキットに供給されるが、それぞれのタイプのカセットまたは個々のカセットの種は個別のチューブにパッケージされる。 ベクターライブラリーは、それぞれの遺伝子座のカセットの重複フランキング配列と隣接する遺伝子座のカセットとのハイブリダイゼーションによって、プラスミド全体またはその実質的な部分を組立てるチューブの内容物を組み合わせることにより作製される。 組立てられたベクターは目的の未定の遺伝子へ連結されてベクターライブラリーを形成する。 ここで、それぞれのライブラリーのメンバーは目的の未決定の遺伝子およびカセットの結合により決定されるカセットの組み合わせを含む。 ベクターは適切な宿主細胞内に移され、そしてこの細胞は発現に適切な条件下で培養され、そして所望の表現型が選択される。

    本発明は、好適な実施例と考えられるものに関して記載されているが、本発明が開示された実施例に制限されないことが理解されるべきである。 反対に、本発明は添付された請求の範囲の趣旨および範囲内に包含される種々の改変および同等の組立てを包含することが意図されている。

    (参考文献)
    以下の文献は、本出願の関連する部分で本出願において引用される。

    すべての刊行物、特許、および特許出願は、それぞれ個々の刊行物、特許、または特許出願が特別にかつ個々にその全体が参考として援用されると示される場合と同じ程度に、


    本明細書中においてそれらの全体が参考として援用される。

    本明細書に記載の発明は、点変異誘発、核酸再編成および選択の反復サイクルを使用することに関し、タンパク質のような高度に複雑な直線配列のインビトロにおける直接的な分子進化を、ランダム組換えによって可能にする。

    従って、変異DNA、RNAまたはタンパク質の大規模ライブラリーの生成を可能にする方法および所望の目的のために特定の変異体を選択することを可能にする方法を開発することは有益である。 本明細書中に記載の発明は、DNA、RNAまたはタンパク質のような高度に複雑な直線配列のインビボにおける直接分子進化を、組換えによって可能にする変異誘発、インビボ組換えおよび選択の反復サイクルの使用に関する。

    図1は、変異誘発性の再編成と誤りがちなPCRとを比較する概略図である;(a)初発ライブラリー;(b)1回目のアフィニティー選択において選択された配列のプール;(d)選択された配列のインビトロにおける組換え(「再編成」);(f)再編成後の2回目のアフィニティー選択において選択された配列のプール;(c)誤りがちなPCR;(e)誤りがちなPCR後の2回目のアフィニティー選択において選択された配列のプール。

    図2は、10bp〜50bpのランダムフラグメントからの1.0kb LacZα遺伝子フラグメントの再組立(reassembly)を示す。 (a)LacZα遺伝子を有するPCR増幅したゲルDNAフラグメントの写真。 (b)DNAseI消化後のDNAフラグメントのゲルの写真。 (c)消化されたLacZα遺伝子DNAフラグメントから精製した10bp〜50bpのDNAフラグメントのゲルの写真;(d)指示された数のサイクルのDNA再組立後の10bp〜50bpのDNAフラグメントのゲルの写真;(e)プライマーを用いたPCRによる増幅後の組換え混合物のゲルの写真。

    図3は、LacZα遺伝子の終止コドン変異体およびそれらのDNA配列の概略図である。 四角枠の領域は非相同範囲であり、マーカーとして働く。 終止コドンは小さな四角枠内に位置するかまたは下線を付している。 「+」は、野生型遺伝子を示し、そして「−」は遺伝子における変異範囲を示す。

    図3は、LacZα遺伝子の終止コドン変異体およびそれらのDNA配列の概略図である。 四角枠の領域は非相同範囲であり、マーカーとして働く。 終止コドンは小さな四角枠内に位置するかまたは下線を付している。 「+」は、野生型遺伝子を示し、そして「−」は遺伝子における変異範囲を示す。

    図4は、合成オリゴヌクレオチドをLacZα遺伝子の再組立プロセスへの導入またはスパイク(spiking)の概略図である。

    図5は、 E. coliの使用コドン(codon usage)を用いて、マウスIL1−B遺伝子(M)とヒトIL1−B遺伝子(H)との間の相同な領域を示す。 非相同領域には四角枠を付す。 「_| ̄」は、2つの遺伝子の再編成時に得られた交差を示す。

    図5は、 E. coliの使用コドン(codon usage)を用いて、マウスIL1−B遺伝子(M)とヒトIL1−B遺伝子(H)との間の相同な領域を示す。 非相同領域には四角枠を付す。 「_| ̄」は、2つの遺伝子の再編成時に得られた交差を示す。

    図6は、抗ウサギIgG抗体(A10B)のscFvを使用した抗体CDR再編成モデルシステムの概略図である。

    図7は、抗ウサギIgG抗体(A10B)のscFvの再編成DNAにおいて、観察されたCDRの特定の組み合わせが生じる頻度を示す。

    図8は、DNA再編成および各サイクルの選択後のscFv抗ウサギIgG抗体の改良された結合活性を示す。

    図9は、pBR322−Sfi−BL−LA−Sfiおよびダイレクトリピートを介するインビボにおけるプラスミド内の組換え、および機能的なβラクタマーゼ遺伝子を再構築するプラスミド内の組換えによるアンピシリン耐性コロニーの発生率を概略する。

    図10は、pBR322−Sfi−2Bla−Sfiおよびダイレクトリピートを介するインビボにおけるプラスミド内の組換え、および機能的なβラクタマーゼ遺伝子を再構築するインビボにおけるプラスミド内の組換えによるアンピシリン耐性コロニーの発生率を概略する。

    図11は、組換えタンパク質を生成するために、ポリヌクレオチドフラグメントを細胞に導入した後、多数回の相同組換えの効率を試験する方法を示す。

    図12は、以下の座位でのカセットを再編成することによるベクターのライブラリーの生成を概略する:プロモーター、リーダーペプチド、ターミネーター、選択薬物耐性遺伝子、および複製開始点。 各遺伝子座での複数の平行な線はそのカセットについてのカセットの多様性を表す。

    図13は、再編成により真核生物のベクターライブラリーを構築するために、種々の遺伝子座における適切なカセットのいくつかの例を概略的に示す。

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