Compositions for the detection of antigens on cells and biological mixtures, methods and kits

申请号 JP2004537912 申请日 2003-09-18 公开(公告)号 JP2006516088A 公开(公告)日 2006-06-22
申请人 ザ・トラステイーズ・オブ・ザ・ユニバーシテイ・オブ・ペンシルベニア; 发明人 シーゲル,ドナルド・エル;
摘要 本発明は、既知の結合対の一方のメンバー(「受容体」と命名される)がバクテリオファージにより発現され、その後そのファージを使用して該対の他方のメンバー(「リガンド」若しくは「標的」と命名される)の存在を検出する、細胞を包含するサンプル中の既知の結合対の一メンバーの新規検出方法に関する。 抗体 に基づく技術を使用してファージの結合を検出するよりはむしろ、本発明はファージと会合する核酸を検出することに関する。 一局面において、本発明は、抗体を表示するバクテリオファージを使用して細胞、例えば赤血球上に存在する目的の 抗原 をもつ部分(例えば赤血球抗原)を同定すること、ならびに抗グロブリン試薬を表示するバクテリオファージを使用しかつ該ファージと会合する核酸を検出してサンプル中の抗赤血球自己若しくは同種抗体および/または補体を検出することに関する。
权利要求
  • a)抗原をもつ部分と特異的に結合することが既知の抗体を発現するバクテリオファージと細胞を接触させること(前記バクテリオファージは核酸を含んでなりかつ前記核酸の配列は少なくとも部分的に既知である);
    b)前記細胞と特異的に結合する前記バクテリオファージを変性させて前記核酸を放出させること;およびc)前記核酸を検出すること(前記核酸の検出は、前記細胞上の前記抗原をもつ部分の存在を検出する)
    を含んでなり、
    それにより細胞上の抗原をもつ部分の存在を検出する方法。
  • 段階(c)の前に前記核酸を増幅することをさらに含んでなる、請求項1に記載の方法。
  • 前記方法が、段階(a)と段階(b)との間で前記細胞を洗浄することをさらに含んでなる、請求項1に記載の方法。
  • 前記細胞が赤血球でありかつ前記抗原をもつ部分が赤血球抗原である、請求項1に記載の方法。
  • 前記赤血球抗原が、A、B、Rh(D)、Rh(C)、Rh(c)、Rh(E)、Rh(e)、K、Fy 、Fy 、M、N、S、s、Jk およびJk よりなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
  • 前記細胞が白血球でありかつ前記抗原をもつ部分が白血球抗原、単球抗原および顆粒球抗原よりなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  • 前記細胞が血小板でありかつさらに前記抗原をもつ部分が血小板抗原である、請求項1に記載の方法。
  • 前記血小板抗原が、HPA−1a、HPA−1b、HPA−2a、HPA−2b、HPA−3a、HPA−3b、HPA−4a、HPA−4b、HPA−5a、HPA−5b、HPA−6b、HPA−7b、HPA−8b、HPA−9b、HPA−10b、Gov およびGov よりなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
  • 前記核酸が分子ビーコンプローブに相補的な配列を含んでなる、請求項1に記載の方法。
  • 前記配列が、配列番号3の配列および配列番号4の配列よりなる群から選択される配列に相補的である、請求項9に記載の方法。
  • 前記分子ビーコンプローブの配列が、配列番号7の配列、配列番号8の配列、配列番号9の配列および配列番号10の配列よりなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
  • 前記分子ビーコンプローブがフルオロフォアを含んでなる、請求項9に記載の方法。
  • 前記核酸がポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して増幅される、請求項2に記載の方法。
  • 前記PCRが、配列番号1の配列および配列番号2の配列よりなる群から選択されるプライマーを使用することを含んでなる、請求項13に記載の方法。
  • 前記核酸が、T7 RNAにより増幅される免疫検出(IDAT)を使用する転写により増幅される、請求項2に記載の方法。
  • a)第一の抗原をもつ部分と特異的に結合することが既知の抗体を発現する第一のバクテリオファージと細胞を接触させること(前記第一のバクテリオファージは第一の核酸を含んでなりかつ前記第一の核酸の配列は少なくとも部分的に既知である);
    b)第二の抗原をもつ部分と特異的に結合することが既知の抗体を発現する第二のバクテリオファージと前記細胞を接触させること(前記第二のバクテリオファージは第二の核酸を含んでなりかつ第二の前記核酸の配列は少なくとも部分的に既知でありかつ前記第一の核酸の配列は前記第二の核酸の配列と検出可能に異なる);
    c)前記第一の核酸の存在を検出することにより前記抗原をもつ部分との前記第一のバクテリオファージの結合を検出すること(前記第一の核酸の検出は前記細胞上の前記第一の抗原をもつ部分の存在を検出する);
    d)前記第二の核酸の存在を検出することにより前記抗原をもつ部分との前記第二のバクテリオファージの結合を検出すること(前記第二の核酸の検出は前記細胞上の前記第二の抗原をもつ部分の存在を検出する)
    を含んでなり、
    それにより細胞上の最低二種の異なる抗原をもつ部分の存在を検出する方法。
  • a)ヒト赤血球の表面上に最低1種のヒト赤血球抗原を発現するヒト赤血球をヒト血清と接触させること;
    b)前記細胞を洗浄して、前記細胞と非特異的に結合した抗体を除去すること;
    c)抗ヒトグロブリン試薬を発現するバクテリオファージと前記細胞を接触させること(前記バクテリオファージは核酸を含んでなりかつ前記核酸の配列は少なくとも部分的に既知である);
    d)前記細胞と特異的に結合した前記バクテリオファージを変性させて前記核酸を放出させること;およびe)前記核酸を検出すること(前記核酸の検出は前記血清中の抗赤血球抗体の存在を検出する)
    を含んでなる、ヒト血清中の抗赤血球抗体の存在の検出方法。
  • 前記抗ヒトグロブリン試薬が、抗ヒトIgG、抗ヒトIgM、抗ヒトκ/λ L鎖抗体、ブドウ球菌プロテインA、ブドウ球菌プロテインGおよびペプトストレプトコッカスのプロテインLよりなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
  • 段階(e)の前に前記核酸を増幅することをさらに含んでなる、請求項17に記載の方法。
  • 前記抗体が自己抗体および同種抗体よりなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
  • a)ヒトから赤血球を得ること;
    b)前記細胞を洗浄して、前記細胞と非特異的に結合した抗体を除去すること;
    c)抗ヒトグロブリン試薬を発現するバクテリオファージと前記細胞を接触させること(前記バクテリオファージは核酸を含んでなりかつ前記核酸の配列は少なくとも部分的に既知である);
    d)前記細胞と特異的に結合した前記バクテリオファージを変性させて前記核酸を放出させること;およびe)前記核酸を検出すること(前記核酸の検出は前記ヒトにおける抗赤血球自己抗体の存在を検出する)
    を含んでなる、ヒトにおける抗赤血球自己抗体の存在の検出方法。
  • 段階(e)の前に前記核酸を増幅することをさらに含んでなる、請求項21に記載の方法。
  • a)リガンドと特異的に結合することが既知の受容体を発現するバクテリオファージと細胞を接触させること(前記バクテリオファージは核酸を含んでなりかつ前記核酸の配列は少なくとも部分的に既知である);
    b)前記細胞と特異的に結合する前記バクテリオファージを変性させて前記核酸を放出させること;およびc)前記核酸を検出すること(前記核酸の検出はサンプル中の前記リガンドの存在を検出する)
    を含んでなる、サンプル中のリガンドの存在の検出方法。
  • 前記リガンドが細胞上に存在する、請求項23に記載の方法。
  • 前記サンプルがヒトから得られた生物学的サンプルである、請求項23に記載の方法。
  • 前記生物学的サンプルが細胞サンプルである、請求項25に記載の方法。
  • 前記細胞サンプルが赤血球を含んでなりかつ前記リガンドが赤血球抗原でありかつさらに前記受容体が抗体である、請求項26に記載の方法。
  • 段階(c)の検出の前に前記核酸を増幅することをさらに含んでなる、請求項23に記載の方法。
  • 抗原をもつ部分と特異的に結合することが既知の抗体を発現するバクテリオファージを含んでなり、前記バクテリオファージは核酸を含んでなりかつ前記核酸の配列は少なくとも部分的に既知であり、アプリケーター、およびその使用のための説明資料をさらに含んでなる、細胞上の抗原をもつ部分の存在を検出するためのキット。
  • 前記抗原をもつ部分が、A、B、Rh(D)、Rh(C)、Rh(c)、Rh(E)、Rh(e)、K、Fy 、Fy 、M、N、S、s、Jk およびJk よりなる群から選択される赤血球抗原である、請求項29に記載のキット。
  • 分子ビーコンプローブをさらに含んでなり、前記プローブの核酸配列が配列番号3の配列および配列番号4の配列よりなる群から選択される配列に相補的な配列から選択される、請求項30に記載のキット。
  • 前記分子ビーコンプローブの配列が、配列番号7の配列、配列番号8の配列、配列番号9の配列および配列番号10の配列よりなる群から選択される、請求項31に記載のキット。
  • PCRプライマーをさらに含んでなる、請求項30に記載のキット。
  • 前記プライマーの配列が配列番号1の配列および配列番号2の配列よりなる群から選択される、請求項33に記載のキット。
  • 说明书全文

    毎年、米国単独で、何億もの赤血球(RBC)抗原型分類が、供与された血液単位およびそれらを受領することになる患者で実施される。 加えて、同等な数の患者の抗血清が、すでに存在している抗RBC抗体(適合性血液の選択前にその特異性が同定されなければならない)の存在についてスクリーニングされる。 これらの検査を行うために血液銀行で使用される技術は、100年以上も前にLandsteinerにより示されたもの(すなわち適切な抗血清によるRBCの凝集反応)と本質的に同一である。 この型のアッセイ系は労働集約型であり、そして典型的には拡大鏡の上で試験管を人的に振とうしかつ凝集パターンを眼により評価する高度に訓練された医療技術者のチームを必要とする。 結果、血液銀行は、いかなる他の型の臨床検査室よりも検査あたりに有意により多くの実験室技術者を必要とし、それは他の領域の臨床検査医学についての費用よりも輸血検査室についての検査あたり10ないし100倍より大きな費用に反映されるとおりである。 加えて、全国の献血施設、血液銀行および病院の輸血業務は、資格がありかつ興味をもった候補の欠如によりこうした検査を実施するための熟練した人員の増大する不足に直面しつつある。 これは、正確な輸血前検査および適時にしばしば緊急に患者に血液成分を提供する能の並はずれた重要性を考えれば、とりわけやっかいである。

    臨床化学、凝固および血液学における検査のような他の形態の臨床検査と対照的に、血液銀行の検査は迅速なハイスループットの自動化の開発を寄せ付けなかった。 現在利用可能である血液銀行の自動化方法は、本質的に赤血球の凝集反応を検出する機械の使用を必要とするが、しかし凝集反応(若しくはその何らかの変形)が今なおほぼ100年前と同じく指標となっている。 真に自動化された血液型分類系の開発における困難の理由は複数であるが、しかし、大部分は、細胞表面上の特定の多形分子の存在を検出するために無傷の細胞を用いて作業する必要があることにある。 これは、細胞の数を単純に計数するまたは可溶性血漿タンパク質若しくは電解質の濃度を測定する他の臨床検査とは対照的である。

    フローサイトメトリー検査もまた細胞表面の表現型を検出することは真実である一方、こうした検査の適応対象は、一般に、しばしば時間および正確さが不可欠である外傷若しくは想定外の外科手術のような救急時の不適合血液の輸血を予防することが最終目標である輸血医学において必要とされる結果のような迅速なリアルタイムの結果を必要としていない。 さらに、血液銀行の検査の性質の本質的な差異が、ブドウ糖若しくは電解質測定または心筋梗塞の迅速な「現場の」診断に現在利用可能な装置のような「治療地点(point−of−care)」検査装置の開発を妨げている。 新規の血液銀行検査方法の開発は、慣習的アプローチを使用して可能でない「治療地点」(例えば戦場)検査を助長し得る輸血前検査のための小型の携帯式装置の開発につながり得る。

    血液銀行の検査の別の重大な問題は、型分類のための高品質の免疫学的試薬の完全な一団の増大する利用不可能性である。 慣習的供給源の供給は、試薬ドナーの故意の超免疫化に関する増大する人種的問題により品質管理が困難でありかつ供給が先細りしつつある供与されるヒトポリクローナル抗血清に由来する。 多くの血液型抗原に対する免疫応答はヒト(特定の抗原を欠く)にのみ装備されかつ動物(例えば、抗血清が向けられる必要のあるわずかなヒト多形を免疫系が一般に検出し得ないマウス)でされないため、単一クローン性の型分類試薬を製造するための試みはヒトB細胞を形質転換する能力を必要としているが、それは非常に非効率的かつ高価な努力である。 従って、内分泌学若しくは感染性疾患のためのアッセイのような他の免疫学に基づくアッセイの自動化を革新したものに類似の十分に特徴づけられた単一クローン性RBC抗体の無限の供給の利用可能性が、輸血医学の分野で問題となっている。

    年間2千万単位以上の血液が米国で収集され、全世界の収集は4千万単位を超える。 血液収集施設(例えば米国赤十字、病院を本拠とするドナー施設)、病院、ならびに他の血液銀行および輸血施設は全部、ハイスループットの様式で血液型を迅速かつ正確に型分類する進行中の必要性を有する。 小型の自動化血液型分類機器もまた、Rh(D)免疫グロブリンを適正に投与するために患者のRh型が決定されることを必要とする産科医の診察室ような医師の診察室で「治療地点」の応用を有するとみられる。 収集される血液の各単位は少なくとも3種(すなわちA、B、Rh(D))の抗原について型分類され、かつ、しばしば血液はより多くの抗原(例えばRh(C)、Rh(c)、Rh(E)、Rh(e)、K、Fy 、Fy 、M、N、S、s、Jk 、Jk など)の検出について検査される。

    血液銀行による単位の受領に際して、基準は、各単位をAおよびBについて再検査して適正なラベル付けを確実にすることを要求している。 各収集された血液単位は、異なる必要性をもつ3例の異なる患者を処置するために赤血球、血小板および血漿に分離される。 実際に血液を受領する患者よりもおよそ2倍より多い患者がA、BおよびRh(D)(ならびにしばしば他の抗原)について型分類される(すなわち、交差適合/輸血比はおよそ2である)。 加えて、交差適合の目的上利用可能な新鮮な血液を有するために入院患者で血液サンプルが72時間ごとに収集され、その結果多くの患者は彼らの入院の間に何回も型分類および再型分類される。 従って、毎年全世界で実施される血液型分類の数は何億回もの検査になる。

    前に示されたとおり、本質的に全部のRBC型分類方法は人的であろうと自動化されていようと指標として凝集反応を使用する。 人的方法の欠点は人件費、低スループットおよび人為的誤りを包含する。 現在の自動化方法の欠点は、多重検査反応の不可能性および他の臨床検査と比較した場合の比較的低いスループットを包含する。 加えて、現在の人的および自動化双方の方法の重大な欠点は抗血清の慣習的供給源へのそれらの依存を包含する。 こうした供給源は供給が先細りしつつあり、かつ、ヒト疾患、または製造することが困難かつ高価である数種のヒト若しくはマウスハイブリドーマ産生抗体を潜在的に伝播し得る。 本発明は、本明細書に開示されるところの自動化「試薬の遺伝子型分類による表現型分類(phenotyping−by−reagent genotyping)」技術で使用し得るのみならずしかしまた凝集(すなわち「クームス」)剤として抗M−13抗体を使用する慣習的な人的および自動化凝集反応法(例えば特許文献1)ともまた適合性である、安価なファージに表示される抗RBC試薬の無限の供給を提供する。

    要約すれば、従って、こうした検査の自動化を可能にしてそれにより費用を低減し、効率および正確さを向上させかつ現在得るのが困難な試薬に対する要求性を取り除くことを可能にすることができる、改良された血液型分類の方法および試薬に対する長い間の切実なかつ深刻な必要性が存在する。 本発明はこれらの必要性を満たす。

    Siegelへの米国特許第5,985,543号明細書

    [発明の要約]
    本発明は、細胞上の抗原をもつ部分の存在の検出方法を包含する。 該方法は、a)抗原をもつ部分と特異的に結合することが既知の抗体を発現するバクテリオファージと細胞を接触させること(バクテリオファージは核酸を含んでなりかつ核酸の配列は少なくとも部分的に既知である);b)細胞と特異的に結合するバクテリオファージを変性させて核酸を放出させること;およびc)核酸を検出し(核酸の検出は細胞上の抗原をもつ部分の存在を検出する)それにより細胞上の抗原をもつ部分の存在を検出することを含んでなる。

    一局面において、該方法は段階(c)の前に核酸を増幅することをさらに含んでなる。

    別の局面において、該方法は、段階(a)と段階(b)との間で細胞を洗浄することをさらに含んでなる。

    なお別の局面において、該細胞は赤血球でありかつ抗原をもつ部分は赤血球抗原である。

    さらなる一局面において、赤血球抗原は、A、B、Rh(D)、Rh(C)、Rh(c)、Rh(E)、Rh(e)、K、Fy 、Fy 、M、N、S、s、Jk およびJk よりなる群から選択される。

    一局面において、細胞は白血球でありかつ抗原をもつ部分は白血球抗原、単球抗原および顆粒球抗原よりなる群から選択される。

    なお別の局面において、細胞は血小板でありかつ抗原をもつ部分は血小板抗原である。

    さらなる一局面において、血小板抗原は、HPA−1a、HPA−1b、HPA−2a、HPA−2b、HPA−3a、HPA−3b、HPA−4a、HPA−4b、HPA−5a、HPA−5b、HPA−6b、HPA−7b、HPA−8b、HPA−9b、HPA−10b、Gov およびGov よりなる群から選択される。

    別の局面において、核酸は分子ビーコン(beacon)プローブに相補的な配列を含んでなる。

    さらなる一局面において、配列は配列番号3の配列および配列番号4の配列よりなる群から選択される配列に相補的である。

    なおさらなる一局面において、分子ビーコンプローブの配列は、配列番号7の配列、配列番号8の配列、配列番号9の配列および配列番号10の配列よりなる群から選択される。

    別の局面において、分子ビーコンプローブはフルオロフォアを含んでなる。

    一局面において、核酸はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して増幅される。

    別の局面において、PCRは配列番号1の配列および配列番号2の配列よりなる群から選択されるプライマーを使用することを含んでなる。

    なお別の局面において、核酸はT7 RNAにより増幅される免疫検出(IDAT)を使用する転写により増幅される。

    本発明は、細胞上の最低二種の異なる抗原をもつ部分の存在の検出方法を包含する。 該方法は:a)第一の抗原をもつ部分と特異的に結合することが既知の抗体を発現する第一のバクテリオファージと細胞を接触させること(第一のバクテリオファージは第一の核酸を含んでなりかつ第一の核酸の配列は少なくとも部分的に既知である);b)第二の抗原をもつ部分と特異的に結合することが既知の抗体を発現する第二のバクテリオファージと細胞を接触させること(第二のバクテリオファージは第二の核酸を含んでなりかつ第二の核酸の配列は少なくとも部分的に既知でありかつ第一の核酸の配列は第二の核酸の配列と検出可能に異なる);c)第一の核酸の存在を検出することにより抗原をもつ部分との第一のバクテリオファージの結合を検出すること(第一の核酸の検出は細胞上の第一の抗原をもつ部分の存在を検出する);d)第二の核酸の存在を検出することにより抗原をもつ部分との第二のバクテリオファージの結合を検出し(第二の核酸の検出は細胞上の第二の抗原をもつ部分の存在を検出する);それにより細胞上の最低2種の異なる抗原をもつ部分の存在を検出することを含んでなる。

    本発明はまた、ヒト血清中の抗赤血球抗体の存在の検出方法も包含する。 該方法は:a)赤血球の表面上に最低1種のヒト赤血球抗原を発現するヒト赤血球を血清と接触させること;b)細胞を洗浄して、細胞と非特異的に結合した抗体を除去すること;c)抗ヒトグロブリン試薬を発現するバクテリオファージと細胞を接触させること(バクテリオファージは核酸を含んでなりかつ核酸の配列は少なくとも部分的に既知である);d)細胞と特異的に結合したバクテリオファージを変性させて核酸を放出させること;およびe)核酸を検出すること(核酸を検出することが血清中の抗赤血球抗体の存在を検出する)を含んでなる。

    一局面において、抗ヒトグロブリン試薬は、抗ヒトIgG、抗ヒトIgM、抗ヒトκ/λ L鎖抗体、ブドウ球菌プロテインA、ブドウ球菌プロテインGおよびペプトストレプトコッカスのプロテインLよりなる群から選択される。

    別の局面において、該方法は段階(e)の前に核酸を増幅することをさらに含んでなる。

    なお別の局面において、抗体は自己抗体および同種抗体よりなる群から選択される。

    本発明は、ヒトにおける抗赤血球自己抗体の存在の検出方法を包含する。 該方法は:a)ヒトから赤血球を得ること;b)細胞を洗浄して、細胞と非特異的に結合した抗体を除去すること;c)抗ヒトグロブリン試薬を発現するバクテリオファージと細胞を接触させること(バクテリオファージは核酸を含んでなりかつ核酸の配列は少なくとも部分的に既知である);d)細胞と特異的に結合したバクテリオファージを変性させて核酸を放出させること;およびe)核酸を検出すること(核酸の検出はヒトにおける抗赤血球自己抗体の存在を検出する)を含んでなる。

    一局面において、該方法は段階(e)の前に核酸を増幅することをさらに含んでなる。

    本発明はサンプル中のリガンドの存在の検出方法を包含する。 該方法は:a)リガンドと特異的に結合することが既知の受容体を発現するバクテリオファージと細胞を接触させること(バクテリオファージは核酸を含んでなりかつ核酸の配列は少なくとも部分的に既知である);b)細胞と特異的に結合するバクテリオファージを変性させて核酸を放出させること;およびc)核酸の検出(核酸の検出はサンプル中のリガンドの存在を検出する)を含んでなる。

    一局面において、リガンドは細胞上に存在する。

    別の局面において、サンプルはヒトから得られた生物学的サンプルである。

    なお別の局面において、生物学的サンプルは細胞サンプルである。

    さらなる一局面において、細胞サンプルは赤血球を含んでなりかつリガンドは赤血球抗原でありかつさらに受容体は抗体である。

    別の局面において、該方法は段階(c)の検出の前に核酸を増幅することをさらに含んでなる。

    本発明は細胞上の抗原をもつ部分の存在を検出するためのキットを包含する。 該キットは、抗原をもつ部分と特異的に結合することが既知の抗体を発現するバクテリオファージを含んでなり、バクテリオファージは核酸を含んでなりかつ核酸の配列は少なくとも部分的に既知である。 該キットは、アプリケーター、およびキットの使用のための説明資料をさらに含んでなる。

    一局面において、抗原をもつ部分は、A、B、Rh(D)、Rh(C)、Rh(c)、Rh(E)、Rh(e)、K、Fy 、Fy 、M、N、S、s、Jk およびJk よりなる群から選択される赤血球抗原である。

    別の局面において、該キットは分子ビーコンプローブをさらに含んでなり、プローブの核酸配列は配列番号3の配列および配列番号4の配列よりなる群から選択される配列に相補的な配列から選択される。

    なお別の局面において、分子ビーコンプローブの配列は、配列番号7の配列、配列番号8の配列、配列番号9の配列および配列番号10の配列よりなる群から選択される。

    さらなる一局面において、該キットはPCRプライマーをさらに含んでなる。

    なおさらなる一局面において、プライマーの配列は配列番号1の配列および配列番号2の配列よりなる群から選択される。 ;
    [発明の詳細な記述]
    定義 本明細書で使用されるところの以下の用語のそれぞれは本節においてそれと関連する目的の範囲を有する。

    冠詞「a」および「an」は該冠詞の文法上の目的語の1つ若しくは1つ以上(すなわち最低1つ)を指すのに本明細書で使用する。 例として、「an element(要素)」は1個の要素若しくは1個以上の要素を意味している。

    本明細書で使用されるところの「抗原をもつ部分」という用語により、抗体が結合する分子を意味している。 抗原をもつ部分は、抗原および受容体よりなる群から選択される膜結合型タンパク質であってよい。 別の局面において、膜結合型タンパク質はRh抗原のような赤血球抗原のような抗原である。 抗原をもつ部分が炭化物である場合、それは糖脂質上で発現される炭水化物、例えばP血液型抗原若しくは他の抗原であってよい。

    本明細書で使用されるところのアミノ酸は、以下の表に示されるとおり、それらの完全な名称、それらに対応する三文字記号若しくはそれらに対応する一文字記号により表す:

    本明細書で使用されるところの疾患を「軽減する」ことは、疾患の1種若しくはそれ以上の症状の重症度を低下させることを意味している。

    「アンチセンス」は、とりわけ、あるタンパク質をコードする二本鎖DNA分子の非コーディング鎖の核酸配列、若しくは該非コーディング鎖に実質的に相同である配列を指す。 本明細書で定義されるところのアンチセンス配列はあるタンパク質をコードする二本鎖DNA分子の配列に相補的である。 アンチセンス配列がDNA分子のコーディング鎖のコーディング部分にのみ相補的であることは必要でない。 アンチセンス配列は、コーディング配列の発現を制御する、あるタンパク質をコードするDNA分子のコーディング鎖上で指定される調節配列に相補的であってよい。

    「バクテリオファージ」および「ファージ」という用語は本明細書で互換性に使用され、そして細菌を感染させるウイルスを指す。 本明細書で使用されるところの「バクテリオファージライブラリー」若しくは「ファージライブラリー」という用語の使用により、異種DNA、すなわち該細菌ウイルスにより天然にコードされないDNAを含んでなる細菌ウイルスの一集団を意味している。

    該用語が本明細書で使用されるところの「アプリケーター」という用語により、本発明の受容体(例えば抗グロブリン試薬、抗体、抗抗体など)を発現するバクテリオファージ、細胞、サンプル、プライマー、分子ビーコンプローブ、dNTP、T7 RNAポリメラーゼなどを細胞、サンプルなどに投与するための、限定されるものでないが皮下シリンジ、ピペットなどを挙げることができるいかなる装置も意味している。

    その用語が本明細書で使用されるところの「生物学的サンプル」若しくは単に「サンプル」は、動物から得られるがしかしその必要はないもののようなサンプルを意味しており、サンプルは、生物学的生物体若しくはその成分の存在について評価されるべきであり、その結果、サンプルを使用して、本発明の方法に従って目的の抗原若しくはリガンドの存在、非存在および/若しくはレベルを評価し得る。 こうしたサンプルは、限定されるものでないが、いかなる生物学的液体(例えば血液、リンパ、精液、痰、唾液、粘液質、涙液など)、糞便物質、毛髪サンプル、爪サンプル、脳サンプル、腎サンプル、腸組織サンプル、舌組織サンプル、心組織サンプル、乳腺組織サンプル、組織サンプル、脂肪組織サンプル、筋組織サンプル、および抗原の存在若しくは非存在についてアッセイし得る動物から得られるいかなるサンプルも挙げることができる。 さらに、サンプルは、生物学的生物体(例えばクリプトスポリジウム(Cryptosporidium)生物体)の存在が評価されるいずれかの処理前若しくは後の飲用水サンプルのような生物体若しくはその成分の存在について評価されるためにしかしながら得られる水性サンプル(例えば水サンプル)を含み得る。

    本明細書で使用されるところの、核酸に適用されるところの「フラグメント」という用語は、通常長さが最低約20ヌクレオチド、好ましくは最低約30ヌクレオチド、より典型的には約40から約50ヌクレオチドまで、好ましくは最低約50ないし約80ヌクレオチド、なおより好ましくは最低約80ヌクレオチドないし約90ヌクレオチド、なおまだより好ましくは最低約90ないし約100、なおより好ましくは最低約100ヌクレオチドないし約150ヌクレオチド、なおまだより好ましくは最低約150ないし約200、なおより好ましくは最低約200ヌクレオチドないし約250ヌクレオチド、なおまだより好ましくは最低約250ないし約300、より好ましくは約300から約350ヌクレオチドまで、好ましくは最低約350ないし約360ヌクレオチドであってよく、そして最も好ましくは、核酸フラグメントは長さが約365ヌクレオチドより大きいことができる。

    本明細書で使用されるところの、ポリペプチドに適用されるところの「フラグメント」という用語は、通常長さが最低約20アミノ酸、好ましくは最低約30アミノ酸、より典型的には約40から約50アミノ酸まで、好ましくは最低約50ないし約80アミノ酸、なおより好ましくは最低約80アミノ酸ないし約90アミノ酸、なおまだより好ましくは最低約90ないし約100、なおより好ましくは最低約100アミノ酸ないし約120アミノ酸であってよく、そして最も好ましくは、アミノ酸フラグメントは長さが約123アミノ酸より大きいことができる。

    本明細書で使用されるところの「Fab/ファージ」という用語により、抗体のFab部分を発現するファージ粒子を意味している。

    本明細書で使用されるところの「scFv/ファージ」という用語により、一本鎖としての抗体のFv部分を発現するファージ粒子を意味している。

    これらの用語が本明細書で使用されるところの「ファージ」若しくは「ファージ粒子」はとりわけ抗体をコードするファージ核酸を含有するものを包含する。 これは、当業者により認識されるであろうとおり、ペプチドファージディスプレイ(ペプチドDNA挿入物が小さくかつそれがファージDNA中に実際にクローン化される)と異なり、より大きなscFv若しくはFab DNA挿入物は実際にとりわけプラスミド中にクローン化されるからである。 従って、抗体をコードする核酸、例えば限定されるものでないがpComb3のようなプラスミドは、プラスミドの複製起点のみならずしかしまたファージ(例えばM13)の複製起点配列およびM13パッケージング配列も含んでなり、その結果、該核酸が産生される場合に、ヘルパーファージを使用して必要とされるファージ(例えばM13)タンパク質をtransに提供して「ファージ様」粒子を作成し得る。 すなわち、これらの粒子は外側でファージに似ているがしかし内側ではそれらはプラスミド(「ファージミド」ともまた称される)DNAを含有する。 言い換えれば、ファージミドDNAは、抗体若しくはペプチドのDNAに融合されたM13遺伝子IIIの一片を除きいかなるM13ファージタンパク質をコードする必要もない。 従って、「ファージ」、「ファージ粒子」、「ファージ様粒子」および「ファージミド」という用語は本明細書で互換性に使用されることが理解されるべきである。

    「疾患」は、動物が恒常性を維持し得ず、かつ、該疾患が緩和されない場合には該動物の健康状態が悪化し続ける動物の健康状態である。

    対照的に、動物における「障害」は、動物が恒常性を維持することが可能であるが、しかし動物の健康状態が障害の非存在下でそれがあろうより少なく好都合である健康状態である。 未治療のまま残されても障害は必ずしも該動物の健康状態のさらなる低下を引き起こさない。

    本明細書で使用されるところの「相同な」は、2種のポリマー分子間、例えば2種の核酸分子、例えば2種のDNA分子若しくは2種のRNA分子間、または2種のポリペプチド分子間のサブユニット配列の類似性を指す。 2種の分子の双方中の1サブユニット位置が同一の単量体サブユニットにより占有される場合、例えば2種のDNA分子のそれぞれ中のある位置がアデニンにより占有される場合には、それらはその位置で相同である。 2種の配列間の相同性は一致する若しくは相同な位置の数の直接の関数であり、例えば、2種の化合物の配列中の位置の半分(例えば長さ10サブユニットのポリマー中の5位置)が相同である場合には該2配列は50%相同であり、位置の90%、例えば10個中9個が一致する若しくは相同な場合は、該2配列は90%の相同性を共有する。 例として、DNA配列5'ATTGCC3'および5'TATGGC3'は50%の相同性を共有する。

    その用語が本明細書で使用されるところの「説明資料」は、目的の細胞上の抗原をもつ部分の存在を検出するため、および/若しくは血清中の自己抗体を検出するためのキット中の本発明の核酸、ペプチドおよび/若しくは化合物の有用性を伝えるのに使用し得る出版物、録音・録画、図若しくはいかなる他の表現媒体も包含する。 キットの説明資料は、例えば、本発明の核酸、ペプチドおよび/若しくは化合物を含有する容器に添付されてよいか、または核酸、ペプチドおよび/若しくは化合物を含有する容器と一緒に発送してよい。 あるいは、説明資料は、受領者が説明資料および化合物を共同して使用するという意図を伴い容器と別個に発送してよい。

    「単離された核酸」は、天然に存在する状態でそれに隣接する配列と分離された核酸セグメント若しくはフラグメント、例えば該フラグメントに通常隣接する配列、例えば該フラグメントが天然に存在するゲノム中でそれに隣接する配列から取り出されたDNAフラグメントを指す。 該用語はまた、核酸に天然に付随する他の成分、例えば細胞中でそれに天然に付随するDNA若しくはRNAまたはタンパク質から実質的に精製された核酸にも当てはまる。 該用語は従って、例えば、ベクター、自律性に複製するプラスミド若しくはウイルス、または原核生物若しくは真核生物のゲノムDNAに組込まれる、あるいは他の配列と独立に個別の分子として(例えばcDNA、またはPCR若しくは制限酵素消化により製造したゲノム若しくはcDNAフラグメントとして)存在する組換えDNAを包含する。 それはまた、付加的なポリペプチド配列をコードするハイブリッド遺伝子の一部である組換えDNAも包含する。

    「組換えポリヌクレオチド」は天然に一緒に結合されない配列を有するポリヌクレオチドを指す。 増幅若しくは集成された組換えポリヌクレオチドは適するベクターに包含されていてもよく、そして該ベクターを使用して適する宿主細胞を形質転換し得る。

    組換えポリヌクレオチドは非コーディング機能(例えばプロモーター、複製起点、リボソーム結合部位など)を同様に供しうる。

    組換えポリヌクレオチドを含んでなる宿主細胞は「組換え宿主細胞」と称される。 遺伝子が組換えポリヌクレオチドを含んでなる組換え宿主細胞中で発現される遺伝子は「組換えポリペプチド」を産生する。

    「組換えポリペプチド」は組換えポリヌクレオチドの発現に際して産生されるものである。

    「ベクター」は、単離された核酸を含んでなりかつ細胞の内部に該単離された核酸を送達するのに使用し得る組成物である。 限定されるものでないが直鎖状ポリヌクレオチド、イオン性若しくは両親媒性化合物と会合したポリヌクレオチド、プラスミドおよびウイルスを挙げることができる多数のベクターが当該技術分野で既知である。 従って、「ベクター」という用語は自律性に複製するプラスミド若しくはウイルスを包含する。 該用語はまた、例えばポリリシン化合物、リポソームなどのような細胞中への核酸の移入を助長する非プラスミドおよび非ウイルス化合物を包含するとも解釈されるべきである。 ウイルスベクターの例は、限定されるものでないがアデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクターなどを挙げることができる。

    「発現ベクター」は、発現されるべきヌクレオチド配列に効果的に連結された発現制御配列を含んでなる組換えポリヌクレオチドを含んでなるベクターを指す。 発現ベクターは発現のための十分なcisに作用する要素を含んでなり;発現のための他の要素は宿主細胞により若しくはin vitro発現系にて供給し得る。 発現ベクターは、コスミド、プラスミド(例えば裸の若しくはリポソーム中に含有される)、および組換えポリヌクレオチドを組込むウイスルのような当該技術分野で既知の全部のものを包含する。

    2種のポリヌクレオチドを「作動可能に連結される」と記述することにより、2種のポリヌクレオチドの少なくとも一方が他者に対してそれが特徴付けられる生理学的効果を発揮することが可能であるような様式で核酸部分内に配置された2種のポリヌクレオチドを一本鎖若しくは二本鎖核酸部分が含んでなることを意味している。 例として、ある遺伝子のコーディング領域に作動可能に連結されたプロモーターは該コーディング領域の転写を促進することが可能である。

    好ましくは、所望のタンパク質をコードする核酸がプロモーター/制御配列をさらに含んでなる場合、該プロモーター/制御配列は、それが細胞中での所望のタンパク質の発現を駆動するように所望のタンパク質コーディング配列の5'端に配置される。 一緒に、所望のタンパク質をコードする核酸およびそのプロモーター/制御配列は「トランスジーン(transgene)」を含んでなる。

    本明細書で使用されるところの「プロモーター/制御配列」という用語は、該プロモーター/制御配列に作動可能に連結された遺伝子産物の発現に必要とされる核酸配列を意味している。 いくつかの例において、この配列はコアのプロモーター配列であってよく、また、他の場合には、この配列はエンハンサー配列、および該遺伝子産物の発現に必要とされる他の制御配列もまた包含してよい。 プロモーター/制御配列は、例えば組織特異的様式で遺伝子産物を発現するものであってよい。

    「構成的」プロモーターは、遺伝子産物をコード若しくは指定するポリヌクレオチドと作動可能に連結される場合に、細胞のほとんどの若しくは全部の生理学的条件下の生存ヒト細胞中で該遺伝子産物を産生させるヌクレオチド配列である。

    「誘導可能な」プロモーターは、遺伝子産物をコード若しくは指定するポリヌクレオチドと作動可能に連結される場合に、実質的に、該プロモーターに対応する誘導物質が該細胞中に存在する場合にのみ、生存ヒト細胞中で該遺伝子産物を産生させるヌクレオチド配列である。

    「組織特異的」プロモーターは、遺伝子産物をコード若しくは指定するポリヌクレオチドと作動可能に連結される場合に、実質的に、該細胞が該プロモーターに対応する組織型の細胞である場合にのみ、生存ヒト細胞中で該遺伝子産物を産生させるヌクレオチド配列である。

    「ポリアデニル化配列」は、転写されたメッセンジャーRNA配列へのポリA尾の付加を指令するポリヌクレオチド配列である。

    「ポリヌクレオチド」は核酸の一本鎖若しくは平行および反平行鎖を意味している。 従ってポリヌクレオチドは一本鎖若しくは二本鎖核酸のいずれであってもよい。

    「核酸」という用語は大型のポリヌクレオチドを典型的に指す。

    「オリゴヌクレオチド」という用語は一般に約50ヌクレオチドを超えない短いポリヌクレオチドを典型的に指す。 ヌクレオチド配列がDNA配列(すなわちA、T、G、C)により表される場合はこれが「U」が「T」を置き換えるRNA配列(すなわちA、U、G、C)もまた包含することが理解されよう。

    本発明の情況において、普遍的に存在する核酸塩基の以下の略称を使用する。 「A」はアデノシンを指し、「C」はシチジンを指し、「G」はグアノシンを指し、「T」はチミジンを指し、そして「U」はウリジンを指す。

    ポリヌクレオチド配列を記述するのに慣習的表記法を本明細書で使用する。 すなわち、一本鎖ポリヌクレオチド配列の左側が5'端であり;二本鎖ポリヌクレオチド配列の左方向を5'の方向と称する。

    新生RNA転写物へのヌクレオチドの5'ないし3'付加の方向を転写方向と称する。 mRNAと同一の配列を有するDNA鎖は「コーディング鎖」と称し;DNA上の参照点に対し5'に配置されるDNA鎖上の配列を「上流配列」と称し;DNA上の参照点に対し3'であるDNA鎖上の配列を「下流配列」と称する。

    ポリヌクレオチドの「部分」は、該ポリヌクレオチドの少なくとも最低約20の連続するヌクレオチド残基を意味している。 ポリヌクレオチドの一部分は該ポリヌクレオチドのすべてのヌクレオチド残基を包含してよいことが理解される。

    「プライマー」は、指定されたポリヌクレオチド鋳型に特異的にハイブリダイズしかつ相補ポリヌクレオチドの合成の開始点を提供することが可能であるポリヌクレオチドを指す。 こうした合成は、合成が誘導される条件下、すなわちヌクレオチド、相補ポリヌクレオチド鋳型およびDNAポリメラーゼのような重合のための剤の存在下にポリヌクレオチドプライマーが置かれる場合に起こる。 プライマーは典型的には一本鎖であるが、しかし二本鎖であってもよい。 プライマーは典型的にはデオキシリボ核酸であるが、しかし多様な合成および天然に存在するプライマーが多くの応用に有用である。 プライマーは、それがハイブリダイズして合成の開始の部位としてはたらくように設計されている鋳型に相補的であるが、しかし鋳型の正確な配列を反映する必要はない。 こうした場合、鋳型へのプライマーの特異的ハイブリダイゼーションはハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシーに依存する。 プライマーを例えば色素産生性、放射活性若しくは蛍光部分で標識しかつ検出可能な部分として使用し得る。

    「プローブ」は別のポリヌクレオチドの指定された配列に特異的にハイブリダイズすることが可能であるポリヌクレオチドを指す。 プローブは標的の相補ポリヌクレオチドに特異的にハイブリダイズするが、しかし鋳型の正確な相補配列を反映する必要はない。 こうした場合、標的へのプローブの特異的ハイブリダイゼーションはハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシーに依存する。 プローブを例えば色素産生性、放射活性若しくは蛍光部分で標識しかつ検出可能な部分として使用し得る。

    「組換えポリヌクレオチド」は、天然に一緒に結合されない配列を有するポリヌクレオチドを指す。 増幅若しくは集成された組換えポリヌクレオチドは適するベクター中に包含されてよく、そして該ベクターを使用して適する宿主細胞を形質転換し得る。

    組換えポリヌクレオチドは非コーディング機能(例えばプロモーター、複製起点、リボソーム結合部位など)を同様に供しうる。

    「組換えポリペプチド」は組換えポリヌクレオチドの発現に際して産生されるものである。

    「ポリペプチド」は、アミノ酸残基から構成されるポリマー、関連する天然に存在する構造バリアント、およびペプチド結合を介して連結されたそれらの合成の天然に存在しない類似体、関連する天然に存在する構造バリアント、ならびにそれらの合成の天然に存在しない類似体を指す。 合成ポリペプチドは例えば自動ポリペプチド合成機を使用して合成し得る。

    「タンパク質」という用語は大型のポリペプチドを典型的に指す。

    「ペプチド」という用語は短いポリペプチドを典型的に指す。

    ポリペプチド配列の輪郭を描くのに慣習的な表記法を本明細書で使用する。 すなわち、ポリペプチド配列の左側がアミノ末端であり;ポリペプチド配列の右側はカルボキシル末端である。

    本明細書で使用されるところの「レポーター遺伝子」という用語は、既知の方法を使用してその発現を検出し得る遺伝子を意味している。 例として、大腸菌( Escherichia colilacZ遺伝子の発現は色素産生性の基質、例えばo−ニトロフェニル−β−D−ガラクトピラノシドを培地に添加することにより既知の方法を使用して検出し得るため、該lacZ遺伝子を培地中でレポーター遺伝子として使用しうる(Gerhardtら編、1994、Methods for General and Molecular Bacteriology、アメリカ微生物学会(American Society for Microbiology)、ワシントンDC、p.574)。

    「受容体」はリガンドと特異的に結合する化合物である。 この用語は、ファージにより発現されかつそのコグネイトのリガンドと接触される場合にそれと特異的に結合する抗体、抗グロブリン試薬などのようなタンパク質を包含する。

    本明細書で使用されるところの「リガンド」という用語は、受容体結合ドメインと相互作用し得、従ってこうしたドメインに対する「結合親和性」を有するいかなるタンパク質(1種若しくは複数)も指す。 リガンドは可溶性若しくは膜結合型であり得、また、それらは天然に存在するタンパク質であり得るかまたは合成で若しくは組換え的に製造し得る。 「リガンド」はまた、それが受容体結合ドメインと相互作用する場合にリガンドとして作用する非タンパク質分子でもあり得る。 リガンドと受容体結合ドメインとの間の相互作用は、限定されるものでないがいかなる共有若しくは非共有相互作用も挙げることができる。 受容体結合ドメインは、リガンドと直接若しくは間接的に相互作用する受容体分子のいかなる領域でもある。

    本明細書で使用されるところの「特異的に結合する」という用語により、特定の分子を認識かつ結合するがしかしサンプル中の他の分子を実質的に認識若しくは結合しない分子、例えばタンパク質、核酸、抗体、化合物などを意味している。 例えば、サンプル中のコグネイトのリガンド(すなわち細胞上に存在する抗原をもつ部分)を認識かつ結合するがしかしサンプル中の他の分子を実質的に認識若しくは結合しない抗体。

    該用語が本明細書で使用されるところの疾患を「治療する」ことは、疾患若しくは障害の1種若しくはそれ以上の症状の1症状が動物により経験される頻度を低下させて疾患若しくは障害の頻度を低下させることを意味している。
    記述 本発明は細胞上若しくは生物学的サンプル中の目的の分子の存在の検出方法に関する。 典型的には、RBC表面上で発現される赤血球抗原が検出されるが、しかし、本発明は、限定されるものでないが赤血球および白血球、ならびに血小板、ならびに移植治療に使用される細胞を挙げることができる多数の細胞上の目的の多数の抗原の存在を検出すること、ならびにとりわけ法廷の目的上の細胞(例えば毛髪、皮膚、爪、精子、唾液および他の細胞)上の抗原の同定を包含する。

    本発明はまた生物学的サンプル中の目的の抗原の検出にも関する。 こうしたサンプルは、該サンプル中のいかなる生物体若しくはその成分の存在も検出するための水性サンプルを包含する。

    本発明は、細胞上若しくは生物学的サンプル中の抗原の存在を検出するためのファージ(例えばM13、T7、λ、真核生物など)により表示された既知の抗原に特異的な抗体を使用することに関する。 より具体的には、細胞と特異的に結合させたファージを該ファージ粒子中に含有される核酸についてアッセイすることにより検出する。 すなわち、ファージミド中に含有される核酸の核酸配列が少なくとも部分的に既知であり、その結果核酸を検出するための技術を使用して該配列の存在を評価してそれにより本明細書で「試薬の遺伝子型分類による表現型分類(phenotyping−by−reagent−genotyping)」と称される新規方法で抗原を検出し得る。

    本質的には、バクテリオファージ核酸は該ファージによりコードされる抗体により認識される抗原を検出するための標識のように作用する。 こうして、核酸検出方法の高感受性およびハイスループットスクリーニングの特性を抗原の免疫学的検出に適用してそれにより双方の技術の利点を組合せ得る。 このアプローチの決定的に重要な特徴は、バクテリオファージにより表示される抗体の特異性およびファージ内に含有されるDNAの核酸配列若しくはその一部分の双方が既知であることである。 本明細書に提供される開示に基づき、該抗体により認識される抗原の正確な性質が、それがタンパク質、炭水化物、脂質若しくはいかなる他の化合物であっても既知である必要はなく、その抗原に対する該抗体の特異性が既知であることのみが理解されよう。 例えば、ある抗体が癌細胞(若しくは疾患と関連するいずれかの細胞)と結合しかつそれを同定するがしかし癌性(若しくは疾患と関連する)でないそれ以外は同一の細胞と結合しないことが既知である場合、本発明の方法を使用して癌(若しくは疾患状態)を検出するのに該抗体を使用し得る。 すなわち、試験細胞若しくは生物学的サンプルと結合する抗体は、癌(若しくは疾患に関連する)細胞上に存在する抗原の正確な性質を知ることを必要とせずに、該抗体部分をコードするファージ粒子中に存在する核酸を検出してそれにより癌細胞を検出することにより検出し得る。

    本発明はさらに、単一チューブアッセイにおける細胞上の目的の複数の抗原の検出に関する。 すなわち、最低2種の異なる抗原に特異的な抗体をコードするバクテリオファージを使用して、細胞上のそれらの抗原を検出し得る。 より具体的には、各ファージは既知の抗原と特異的に結合する抗体をコードし、また、各ファージは1種の異なる抗原若しくは抗原部分を認識する抗体をコードする。 さらに、各ファージは既知である配列を含んでなるDNA分子を含有し、ここで該配列はファージ間で異なる。 このアプローチを使用して、それぞれ抗原の1種に特異的な抗体を表示するファージの一団を単に使用することにより目的の複数の抗原の存在を容易にアッセイし得、ここで各ファージの核酸分子は一団中のいずれの他のファージのものとも識別可能である既知の配列を含んでなる。 こうして、単一の反応段階を使用して複数の抗原をアッセイし得る。 この「多重化(multiplexing)」方法は、1細胞への抗原特異的抗体の結合を同定する慣習的方法を使用して可能でない。 抗原特異的抗体を検出するのに使用される二次抗抗体抗体は典型的に全部の抗原結合抗体と交差反応するか、若しくはそれは二次抗体がどの抗原特異的抗体と結合するかを決定し得ないからである。 抗体が適切な細胞型を直接凝集させる(すなわち二次抗体は必要ない)赤血球の慣習的表現型分類方法の場合、一緒に混合した場合に、どの抗原特異的抗体が該凝集反応の原因であったかを決定することは同様に可能でないとみられる。 この多重アプローチは、ただ単一サンプルのみを使用して複数の抗原の迅速な同時検出を可能にする。

    さらに、本発明は血清中の抗赤血球抗体の同定に関する。 すなわち、それらの表面上に多様な既知の抗原を発現する一団のRBCを血清サンプルと接触させ得る。 特徴づけられた抗原を発現する試薬RBCは商業的に入手可能である(例えばJohnson & Johnson、Raritan、ニュージャージー州)。 細胞をその後洗浄して、該細胞に非特異的に付着するいかなる抗体も除去し、そして、該細胞をその後、抗グロブリン試薬を表示するバクテリオファージと接触させる。

    加えて、患者中に存在する自己抗体は、患者からRBCを得ること、それらを洗浄して該細胞と非特異的に結合するいかなる抗体および/若しくは補体も除去することにより検出し得、そして細胞をその後、抗ヒトグロブリン試薬を発現するファージと接触させ得る。 従って、ファージにより含有される核酸配列を検出することにより、患者細胞上の自己抗体の存在、ならびに自己抗体により細胞上に堆積された補体の存在を、本明細書で開示される新規「試薬の遺伝子型分類による表現型分類」法に従って容易に検出し得る。

    慣習的には、既知の抗原を表示する試薬赤血球を使用する血清抗体のスクリーニングおよび同定は「抗グロブリン検査」と当該技術分野で称され、1つのこうした試験がクームス反応である。 これらのアッセイは目的の細胞上の抗体若しくはそれにより堆積される補体の存在を検出する。 補体(一方で抗体でない)が「グロブリン」とみなされるため、抗体および/若しくは補体を検出するのに使用される試薬は「抗グロブリン」試薬と当該技術分野で称される。

    患者赤血球上の抗体および/若しくは補体フラグメント(例えばC3d)を検出して抗赤血球自己抗体若しくはそれらが堆積させる補体を検出しかつまた患者の同種抗体若しくはそれらが堆積させる補体を検出するこれらのアッセイを使用して、溶血性の輸血反応で自己細胞若しくは輸血された細胞を破壊しつつあり得る自己抗体、同種抗体若しくは双方を同定し得る。

    本明細書で使用されるところの「抗グロブリン試薬」は抗体、補体若しくは双方を検出し得る試薬である。 従って、本発明は、本明細書に提供される教示を備えた当業者により理解されるであろうとおり、とりわけ例えば抗抗体抗体、抗補体抗体、プロテインA、プロテインG若しくはプロテインLを含んでなる抗グロブリン試薬を包含する。 すなわち、本発明は、抗体、補体などのようなグロブリンと特異的に結合することが当業者により理解されるであろう多数の試薬のファージによる発現を包含する。 すなわち、本発明は、限定されるものでないが「抗抗体抗体」、抗補体、およびグロブリンを結合することが既知のいずれかの試薬(例えば抗体、補体など)を挙げることができるファージにより発現される抗グロブリン試薬を使用することを包含する。 加えて、プロテインA若しくはその免疫グロブリン結合ドメインを発現するファージは以前に記述されている(例えばDjojonegoroら、1994、Bio/Technol.12:169−172)。 こうした抗グロブリン試薬を発現するファージは、本明細書に提供される教示を備えた当業者により理解されるであろうとおり、本明細書に開示される方法で使用し得る。

    本発明は、双方とも限定されるものでないが自己免疫性溶血性貧血を挙げることができる疾患の特徴である、患者から得られた血清サンプル中の自己抗体またはin vivoで患者細胞上に前堆積された自己抗体若しくは補体フラグメントを同定することに関する。 すなわち、患者から得た血清を、商業的に入手可能であるもののような試薬RBCのアリコートと接触させる。 RBC自己抗体は、ただ患者のものだけでなく本質的に全部の赤血球上に存在する共通の抗原に結合する。 従って、患者血清中に存在する自己抗体がドナーのRBCともまた反応するため、患者に別のヒトからの血液を輸血し得ない。 患者のRBCは既に自己抗体で被覆されているため、in vivoで結合されていたからの既に細胞上の自己抗体は、ファージ上に発現される抗ヒトグロブリン試薬を使用して直接細胞をアッセイすることにより本発明の方法に従って検出し得る。 あるいは、自己抗体を検出することは、試薬赤血球と患者血清を接触させることによる同種抗体の検出であると同一方法を実施される。 同種抗体の場合、ある種の試薬RBCのみが抗体を結合することができ、そしてそれらの細胞の正確な表現型を知ることが抗原特異性を同定する。 自己抗体の場合は、自己抗体が全細胞上に存在するため、典型的に全部の試薬赤血球が抗体を結合することができる。 その後、本明細書の別の場所により完全に開示されるとおり、抗グロブリン試薬を発現するファージと細胞を接触させることおよびファージにより含有される核酸を検出することにより、すなわち本発明の方法に従って「試薬の遺伝子型分類による表現型分類」を実施することにより細胞とのファージの結合を検出することによるような本発明の方法に従って、RBCと特異的に結合した抗体を検出する。 こうして、ヒト血清中に存在する自己抗体は慣習的な「間接的抗グロブリン検査」に類似の本明細書に開示される方法を使用して容易に検出し得る。 さらに、抗グロブリンを発現するファージ粒子と患者RBCを接触させること、およびファージにより含有される核酸を検出することにより細胞とファージの結合を検出することにより、患者RBC上のin vivoで堆積した自己抗体および/若しくは補体フラグメントの存在を検出し得る。 このアッセイは慣習的な「直接抗グロブリン検査」に類似である。

    さらに、本発明は、患者血清と、患者に輸血されるべき前向きの血液単位から引き出された赤血球との間の適合性検査(すなわち患者/ドナー「交差適合試験」)を実施することに関する。 すなわち、前向きのドナー血液単位からのRBCのアリコートを潜在的輸レシピエントからの血清サンプルと接触させ得る。 細胞をその後洗浄して該細胞に非特異的に付着する抗体を除去し、そしてその後、抗グロブリン試薬を表示するバクテリオファージと該細胞を接触させる。 従って、本発明は、輸血されるべきである患者における同種抗体を検出してそれにより不適合性の輸血を予防するための適正な患者/ドナー交差適合試験を可能にする方法を提供する。
    I. 方法A. 抗原の検出方法 本発明は細胞上の抗原をもつ部分の存在の検出方法を包含する。 該方法は、抗原をもつ部分が細胞上に存在する場合にそれと特異的に結合することが既知である抗体を発現するバクテリオファージと細胞を接触させることを含んでなる。 こうしたファージに表示された抗体ならびにそれらの製造方法は当該技術分野で公知であり、そしてとりわけ全部Siegelへの米国特許第5,876,925号、同第5,985,543号および同第6,255,455号明細書に記述される。 これらの抗体を表示するバクテリオファージは抗Rh(D)および抗B特異的抗体を表示するファージにより本明細書に例示される。 しかしながら、当業者は、本明細書に提供される開示に基づき、本発明がこれらの若しくは本明細書に開示される特定のバクテリオファージ上に表示されるいずれかの他の特定の抗体に制限されないことを理解するであろう。 むしろ、該ファージにより表示される抗体はいずれの細胞成分にも特異的であり得、そして、目的の抗原に対するファージが表示する抗体の製造技術は当該技術分野で公知でありかつ本発明に包含される。

    異種DNAを含んでなるバクテリオファージライブラリーの作成手順は当該技術分野で公知でありかつ本明細書ならびに例えばSambrookら、上記に記述される。 所望の抗体をコードするバクテリオファージは、抗体タンパク質がその対応する結合タンパク質、例えば抗体が向けられる抗原に結合するためにそれが利用可能であるような様式でその表面上に表示されるように工作し得る。 従って、特定の抗体を発現するバクテリオファージを、対応する抗原を発現する細胞の存在下でインキュベートする場合、該バクテリオファージは該細胞に結合することができる。 該抗体を発現しないバクテリオファージは該細胞に結合しないことができる。 こうしたパニング技術は当該技術分野で公知でありかつ例えばWrightら(上記)に記述される。

    上述されたもののような方法はM13バクテリオファージディスプレイを使用するヒト抗体の産生のため開発された(Burtonら、1994、Adv.Immunol.57:191−280)。 こうしたディスプレイライブラリーの製造およびそれらのスクリーニングに関する方法はSiegelへの米国特許第6,255,455号明細書(そっくりそのまま本明細書に示されるかのように引用することにより組み込まれる)に示される。 本質的には、抗体産生細胞の一集団から得たmRNAからcDNAライブラリーを生成させる。 該mRNAは再配列された免疫グロブリンをコードし、そして従って該cDNAはそれをコードする。 増幅したcDNAをM13発現ベクター(若しくはM13パッケージングシグナルをもつファージミド)にクローン化して、それらの表面上にヒトFab(若しくはscFv)フラグメントを発現するファージのライブラリーを創製する。 目的の抗体を表示するファージを抗原結合により選択し、そして細菌中で増殖させて可溶性ヒトFab(若しくはscFv)免疫グロブリンを産生させる。 従って、慣習的なモノクローナル抗体合成と対照的に、本手順は、ヒト免疫グロブリンを発現する細胞よりはむしろヒト免疫グロブリンをコードするDNAを不死化する。

    本明細書の目的の抗体を表示するバクテリオファージはM13ファージにより例示されるとは言え、本発明はこれら若しくは抗体を表示するいずれかの他のベクターに制限されない。 代わりに、当業者は、本明細書に提供される教示を備えれば、配列が少なくとも部分的に既知である核酸を含んでなる、抗体を表示し得るベクターを本明細書に開示される方法で使用し得ることを認識するであろう。 従って、本明細書に開示される抗体を表示するバクテリオファージはM13により例示される一方、λファージ若しくはT7ファージのような他のバクテリオファージもまた本発明の方法で有用であり得る。 T7ファージディスプレイライブラリーが生成されたように(Hansenら、2001、Int.J.Oncol.19:1303−1309)それらの表面上に異種DNAによりコードされるペプチドを表示するλファージディスプレイライブラリーが生成された(Sternbergら、1995、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:1609−1613)。

    さらに、本発明の方法を真核生物ウイルスのようなバクテリオファージ以外のウイルスを包含するように拡大してよいことを企図している。 事実、哺乳動物への送達に適する遺伝子をコードする、また、遺伝子が送達されるはずである特定の細胞型若しくは組織を標的とすることが可能な抗体をコードかつ表示する真核生物ウイルスを生成し得る。 例えば、機能的抗体フラグメントを表示するレトロウイルスベクターが生成された(Russellら、1993、Nucl.Acids Res.21:1081−1085)。 これらのおよび抗体を発現するいかなる他のベクターも本発明の方法で使用し得かつそれにより包含され得る。

    さらに、本明細書に例示されるところの本発明の方法は抗体分子のFab部分若しくはscFv部分をコードするファージを使用することを記述する一方、該方法はFab若しくはscFv抗体をコードするファージの使用にのみ制限されると解釈されるべきでない。 Fab分子はIg L鎖全体を含んでなる。 すなわち、それらはL鎖の可変および定常領域双方を含んでなるが、しかしH鎖の可変領域および第一の定常領域ドメイン(CH1)のみを包含する。 一本鎖抗体分子はIg Fvフラグメントを含んでなるタンパク質の一本鎖を含んでなる。 Ig Fvフラグメントは抗体のHおよびL鎖の可変領域のみを包含し、その中に含有される定常領域を有しない。 scFv DNAを含んでなるファージライブラリーは、Marksら、1991、J. Mol. Biol. 222:581−597に記述される手順に従って生成しうる。 所望の抗体の単離のためそのように生成されたファージのパニングは、Fab DNAを含んでなるファージライブラリーについて本明細書に記述されるとおり実施する。

    本発明は、HおよびL鎖可変領域がほぼ全部の可能な特異性を包含するようにそれらを合成しうる合成ファージディスプレイライブラリーを包含するともまた解釈されるべきである。 従って、抗体を表示するライブラリーは「天然」若しくは「合成」であり得る(Barbas、1995、Nature Medicine 1:837−839;de Kruifら、1995、J.Mol.Biol.248:97−105)。 「天然の」抗体を含んでなる抗体を表示するライブラリーは例えばSiegelへの米国特許第5,876,925号明細書に記述されるとおり生成する。 「合成」抗体を含んでなる抗体を表示するライブラリーは、Barbas(1995、上記)およびその中に引用される参考文献に記述される手順に従って生成する。

    当業者は、本明細書に提供される開示に基づき、当該技術分野で既知の方法を使用してそれに対する抗体を生成し得かつその後本発明の方法で使用し得る赤血球抗体が、限定されるものでないがRh(D)、Rh(C)、RH(c)、RH(E)、Rh(e)を包含するRh抗原、ならびにKell、Duffy、LutheranおよびKidd血液型の赤血球抗原を包含する他の非Rh抗原を挙げることができることを認識するであろう。

    従って、本発明の方法は、いかなるRBC抗原若しくは限定されるものでないが腫瘍特異的抗原、細菌抗原などを挙げることができる他の細胞抗原の検出にも使用し得る。 本発明の方法はまた、多数の臨床上重要な血小板抗原、とりわけHPA−1a/1b、HPA−2a/2b、HPA−3a/3bなどに特異的なファージ抗体を生成させることにより血小板を型分類するのにも有用である。

    本発明はさらに、充実性(例えば腎、心、肝、肺)および非充実性(例えば骨髄)器官若しくは組織移植の双方の場合の潜在的移植適合のためにドナーおよびレシピエントを適合させる目的上HLA抗原に対しドナー白血球を型分類するのに有用である。

    加えて、本発明の方法は、サンプル中の目的のいずれかの抗原を検出するための法廷の目的上使用し得、ここで該サンプルは限定されるものでないが骨、毛髪、皮膚、精液、唾液、または生物体若しくは生物学的サンプルから得ることができるいずれかの他のサンプルを挙げることができる。 必要とされる唯一の特徴は、該サンプルが、バクテリオファージ若しくは他の抗体を表示するベクターにより発現される抗体により特異的に認識され得る抗原を含有することである。 従って、本発明はいずれかの特定の抗原の検出にいかなる方法でも制限されず;代わりに、本発明は、本明細書に開示される新規「試薬の遺伝子型分類による表現型分類」検出方法を使用して多数の目的の抗原を検出することを包含する。

    従って、本発明は、抗赤血球抗体を発現するファージの結合を検出することによる、本明細書で「表現型分類」と称される赤血球上の目的の抗原を検出することを包含し、ここで該ファージは該ファージ粒子により含有される核酸中に存在する既知配列を検出することにより検出され、これは本明細書で「試薬の遺伝子型分類による表現型分類」と称される。 さらに、本発明は、抗ヒトIgG(または抗IgM若しくはいずれのIgアイソタイプも拾い上げるであろう抗κ/λ L鎖抗体)を表示するファージ粒子を使用する抗赤血球抗体についての患者血清のスクリーニングを包含する。 再度、RBCと結合したファージは、該ファージにより含有される核酸中に存在する核酸配列を検出することにより検出される。

    加えて、本発明は、検出されている抗原が細胞上にあるにせよないにせよ(例えば、限定されるものでないが、サイトカインから妊娠検査のためのHCGまでの研究若しくは臨床目的上測定されるいずれかを挙げることができる抗原)免疫アッセイにおいて試薬の遺伝子型分類による表現型分類方法を使用することを包含する。 すなわち、本発明は、所定の物質に免疫グロブリンにより賦与される特異性(その特異性はいかなる転写後修飾(例えばリン酸化、グリコシル化など)も考慮する)を、核酸検出方法により賦与される感受性ならびに多重アッセイを実施する能力と結合する。 すなわち、その成分がELISAのためのプレートのウェルを被覆すること、ニトロセルロースフィルター、ビーズ若しくはいずれかの他の固体支持体のような固体支持体に固定されかつコグネイトのリガンドと特異的に結合するタンパク質を発現するファージが該固体支持体に固定された成分と結合することを可能にされ得るように、アッセイされているサンプルを適用することができる。 コグネイトのリガンドに特異的に結合するいかなるファージも、該ファージ内に含有される核酸により指定される既知の核酸配列を検出することにより検出し得る。 従って、目的のいずれかのリガンドの存在は、アッセイされているサンプルが細胞を含まない場合であっても、本明細書に開示される「試薬の遺伝子型分類による表現型分類」方法を使用して検出し得る。

    さらに、当業者は、本明細書に提供される開示に基づき、本発明が他の血液細胞(例えば血小板、白血球など)の表現型分類および血液中のそれらの細胞に対する抗体(例えば抗血小板自己若しくは同種抗体、抗HLA抗体など)の検出を包含し、その結果本発明が赤血球に制限されないことを認識するであろう。 事実、本発明は血液細胞に全く制限されないが、しかしいかなる種類の細胞上にも存在する目的のいかなる分子も検出するのに使用し得る。 従って、当業者は、本明細書に提供される開示に基づき、本発明が、限定されるものでないが、現在利用可能な多数の抗体(例えばヘルパー/サプレッサーT細胞についての抗CD4若しくはCD8のような数百の抗CD抗体、B細胞についての抗CD20など)をファージ上に発現させ得、そして本明細書の別の場所に開示される新規方法に従って該抗原が細胞に存在するかどうかを検出するのに使用し得るような、フローサイトメトリーがそうでなければ使用されるであろう細胞上の目的の分子を検出することを挙げることができることを認識するであろう。 本発明は、目的の抗原に対し将来開発されるべき抗体を使用することを包含する。 これらは本明細書に開示される方法に従って開発かつ使用されるからである。

    当業者は、本明細書に提供される教示に基づき、液体(血液若しくは唾液中の可溶性物質など)の起源を同定するのに重要な多くの抗原が炭水化物(AおよびB抗原のような)であるために、例えば本明細書に開示される方法の法廷の応用に関しての目的のいかなる分子の検出も現在の方法を上回る重要な利点を提供することを認識するであろう。 DNAはタンパク質の翻訳後修飾の産物である炭水化物をコードしないため、DNAの非常に小さい斑点での遺伝子検査を使用することは炭水化物をコードするDNAを増幅し得ない。 炭水化物の検出に関する従来技術の方法はタンパク質若しくは脂質上の糖部分を集成する原因である酵素(例えばグリコシルトランスフェラーゼ)のDNAを検出することに制限される。 慣習的な検出アッセイでの問題は、特定の糖の最終的な発現が、サンプルが由来した人の素性を同定するために酵素の全部の遺伝子が検出される必要があるとみられるような鎖を集成するように正確な順序中で作用する多数の酵素の遺伝的性質の結果であることである。 例えば、ある個体が血液型Aであるためには、その前駆体糖を集成するための酵素(フコシルトランスフェラーゼ)がそうであるように該前駆体糖上にN−アセチルガラクトサミンを付加する酵素が必要とされる。 他の炭水化物(Pのような)はそれらの構造および集成においてなおより複雑である。 サンプルが異なる個体からの1斑点中に分泌物の混合物を含んでなる場合、DNA検査は全部の酵素を拾い上げるとみられ、そして該検査は1人が全部の酵素を有しかつ特定の1種の糖抗原を作成し得たかどうか、若しくは該サンプルがそれぞれ多様な糖成分のみを産生し得た多様な人からのDNAを含んだかどうかを識別することが可能でないとみられる。 慣習的な核酸に基づく検査と異なり、本発明は、グリカンのような複雑な構造を認識することが可能である抗体の不可欠の特異性および非常に少量の核酸を検出する能力を組合せるという利点を提供し;従って、1抗体の特異性と組合せたファージにより含有される核酸の検出は、法廷の用途で必要とされる並はずれた感受性かつ特異性をもつ新規アッセイを提供する。

    当業者は、本明細書に提供される開示に基づき、「表現型分類」という用語が当該技術分野で細胞若しくは生物体により示される特徴を検出することに対して一般に使用される一方、「試薬の遺伝子型分類による表現型分類」に関して本明細書で使用されるところの該用語は、抗原がある細胞に関連するにしろしないにしろ、核酸配列を検出することによる目的のいずれかの抗原の同定に関することを理解するであろう。 従って、例えば、本発明の方法に従ってファージに表示される抗薬物抗体を使用する車の扉上の乾燥した斑点中の薬物の同定は、該用語が本明細書で使用されるところの「表現型分類」であろう。 従って、ファージにより発現される抗体がコグネイトの抗原と結合しかつ該抗原がファージDNA中に存在する核酸配列についてアッセイすることにより検出される本発明の方法は、本明細書で使用されるところの「表現型分類」である。

    事実、当業者は、本明細書に提供される教示を備えれば、本発明がファージに表示された抗体(その抗体はその後、該ファージDNAによりコードされる核酸配列を検出することにより検出される)を使用する「抗原」の検出に制限されないことをはっきりと理解するであろう。 代わりに、本発明はファージにより発現される非抗体タンパク質(そのタンパク質は細胞上、サンプル中若しくは双方に存在するコグネイトのリガンドと特異的に結合する)を使用することを包含する。 多くのこうした結合対が当該技術分野で公知であり、そして多数の他のアッセイのなかでも酵母2および3ハイブリッド結合アッセイを包含する多様なアッセイを使用して同定されている。 従って、結合対が当該技術分野で既知である場合、2分子のうち一方をファージにより発現させ得(ファージにより発現される結合対タンパク質は本明細書で「受容体」と称される)、そして結合対の他方のメンバー(「リガンド」若しくは「標的」と称される)の存在を、受容体タンパク質を発現するファージにより含有される核酸配列を検出することにより検出し得る。 ファージにより発現されるそのコグネイトの受容体/結合パートナーにより検出されるはずであるリガンドは、限定されるものでないがホルモン、若しくは該部分がファージにより表示される受容体と結合し得るホルモンの一部分を挙げることができる。 さらに、本発明の方法は、とりわけ、アッセイされている細胞と結合するホルモン若しくはその部分を表示するファージの量を評価することにより細胞上のホルモン受容体の発現を測定するのに使用し得る。 受容体/リガンド(それぞれホルモン受容体/ファージにより発現されるホルモン)相互作用により細胞と特異的に結合するファージは、本明細書の別の場所により完全に開示されるとおり、該ファージにより含有される核酸中に存在する核酸配列を検出することにより検出し得る。

    当業者は、本明細書に提供される開示に基づき、本発明が細胞と会合しない目的の分子の検出を包含することを理解するであろう。 すなわち、本発明は、目的の分子を固定し得るような固体支持体にサンプルを塗布し得るいずれかのサンプル中の目的の分子の存在についてアッセイすることを包含する。 その場合、その分子(本明細書で「リガンド」若しくは「標的」分子と称される)と特異的に結合することが既知の受容体を発現するファージを、固定したサンプルと接触させ得、そして、本明細書の別の場所により完全に記述されるとおりファージにより含有される核酸配列の存在についてアッセイすることによりいかなるファージの結合も検出し得る。 こうして、本明細書に開示される「試薬の遺伝子型分類による表現型分類」方法を使用していかなるサンプル中に存在する目的の分子(リガンド)も検出するのに本発明を使用し得る。

    当業者はまた、本明細書に提供される開示に基づき、癌細胞を検出することが既知であるがしかし癌細胞上のどの成分と結合するかが既知でないペプチドをファージが容易に発現し得ることも認識するであろう。 すなわち、全部が本明細書の別の場所により完全に開示されるとおり、ファージにより含有される核酸配列を検出することにより結合されたファージを検出することにより該タンパク質と結合するリガンド/結合パートナーの素性が知られない場合であっても、癌細胞を結合することが既知のタンパク質を使用して癌細胞を検出し得る。

    加えて、ファージを使用して試薬赤血球への血清抗体の結合を検出する場合、ファージは、RBCと結合される免疫グロブリンを検出するために抗IgGの代わりにブドウ球菌プロテインA若しくはその一部分を発現し得る。 従って、当業者は、本明細書に提供される開示に基づき、細胞上、組織若しくは水性サンプルなど中に存在するコグネイトの結合パートナーを検出するために多数の分子をファージにより発現させ得、そして本発明は本明細書の別の場所に例示されるとおり抗体を発現するファージ若しくは細胞上の抗原の検出にいかなる方法でも制限されないことを認識するであろう。 すなわち、結合対が一旦知られれば、当業者は、本明細書に提供される開示を備えれば、本発明の方法を使用して、すなわちファージ上に結合対の1メンバーを発現させること、および該ファージをサンプルと接触させること、その後ファージ核酸によりコードされる核酸配列を検出することによりサンプルと特異的に結合したいかなるファージも検出することにより、結合対の一方を検出することが容易に可能であろう。 これは、核酸を検出することにより、目的の分子、若しくは分子が核酸でない場合は多重化を使用して目的の多様な分子の迅速かつ感受性の高い検出を可能にする。

    バクテリオファージにより表示される抗体すなわち受容体が目的の抗原すなわちリガンドと特異的に結合することが許容される特定の条件は、該反応に関与する特定の抗原−抗体および/若しくは受容体−リガンド複合体に依存することができる。 当業者は、本明細書に提供される開示に基づき、これらの抗原に特異的な抗体を発現するファージを使用する無傷の赤血球上のRh(D)およびB抗原の検出について本明細書で例示されるように、検出されている各抗原/結合対および検出するために使用されている抗体/受容体についてこうした条件を容易に決定し得ることを理解するであろう。 結合条件を決定するためのこれらの技術は当該技術分野で慣例に実施されており、そして従って本明細書にさらに記述されない。

    抗体(すなわち受容体)を発現するバクテリオファージが、細胞上に存在する目的の分子上の抗原をもつ部分(リガンド)とファージにより発現される抗体(受容体)との間の相互作用を介してサンプル中の細胞若しくはリガンドと一旦特異的に結合されれば、バクテリオファージ粒子中に含有される核酸を検出することにより結合したファージの存在が検出される。 本明細書に例示されるM13ファージについて、核酸は一本鎖DNA分子であるが、しかし本発明はいずれかの特定の核酸に制限されず;むしろ、いかなる核酸も、そのいくつかは本明細書で開示される当該技術分野で公知の技術(例えばSambrookら、1989、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、ニューヨーク;およびAusubelら、1997、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons、ニューヨークに記述されるところの)、ならびに今後開発されるべき技術を使用して検出し得、そしてこうした多様な技術は全部本発明に包含される。

    本発明は核酸の検出において補助するための核酸の増幅もまた包含する。 しかしながら本発明は核酸の増幅を必要とする方法に制限されない。 代わりに、当業者は、本明細書に提供される開示に基づき、核酸の増幅を必要としない検出方法が本発明に包含されることを認識するであろう。 こうした検出方法は、限定されるものでないがファージ(ミド)配列に相補的な蛍光(若しくは酵素)標識オリゴヌクレオチドが増幅されない核酸を検出し得る、チップに直接移動された核酸の検出を挙げることができる。 従って、図1は目的の核酸配列を検出するのに使用し得る多様な技術を具体的に説明する一方、本発明は配列の検出前の増幅を必要とする手順に制限されない。 従って、PCR、IDAT若しくは他の増幅反応が本発明を実施するのに好ましいがしかし必要とされない。

    当業者は、本明細書に提供される教示を一旦備えれば、本明細書に例示されるとおり、慣習的なポリメラーゼ連鎖反応アッセイを使用して核酸を増幅し得ることを理解するであろう。 すなわち、バクテリオファージにより含有される核酸の既知配列に基づき一組のプライマー配列を発生させ得る。 本明細書に別の場所で論考されるとおり、該プライマーは、抗体のCDR3部分をコードする核酸の部分に含まれる独特の配列若しくは該核酸中に存在するいずれかの他の配列のいずれかの、核酸のいずれかの部分に特異的であり得る。 従って、一方のプライマーは(抗体の特異性に関係なく)ファージDNA中に含有される包括的な配列に相補的であり得、かつ、他方のプライマーは、例えば限定されるものでないが抗体のH鎖のCDR3超可変領域を挙げることができるそのファージに特異的な配列(すなわち所定の抗体に独特である配列)に相補的であり得る。

    増幅された核酸の検出は、該バクテリオファージによりコードされる特定の抗体により認識される抗原の存在を示す。 PCRプライマーおよびPCRにより増幅される配列とハイブリダイズするプローブの製造は当該技術分野で公知であり、そしてこれらの方法はとりわけSambrookら(1989、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、ニューヨーク)およびAusubelら(1997、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons、ニューヨーク)に記述される。

    加えて、当業者は、本明細書に提供される開示に基づき、バクテリオファージにより発現される抗体をコードする核酸中に配列を挿入し得、この挿入される配列はその後当該技術分野で既知の多様なアッセイを使用して検出し得ることを認識するであろう。 例えば、本明細書の別の場所で論考されるとおり、「分子ビーコン」または本明細書で使用されるところの「ビーコン」若しくは「ビーコン配列」は、5'端の蛍光標識および3'端の普遍的クエンチャーをもつステムおよびループの構造のオリゴヌクレオチドである(例えば、TyagiとKramer、1996、Nature Biotech.14:303−308;Broude、2002、Trends in Biotechnology 20:249−256を参照されたい)。 ステムが閉鎖される(相補核酸の非存在下で)場合、フルオロフォアおよびクエンチャーが密接な近位にあり、そして蛍光エネルギーがクエンチャーにより吸収されかつ蛍光が消光されかつ検出可能でない。 相補核酸の存在下では、ビーコンのループがハイブリダイズし、そして消光が起こらないようにフルオロフォアおよびクエンチャーが分離する。 その後、光量子がフルオロフォアから発射され、そのフルオロフォアに特異的な波長でクエンチ解除され(unquenched)そして蛍光がその後検出可能となる。 それぞれそれらの5'端に異なるフルオロフォアをもつ多数のビーコンを1本のチューブ中で組合せることにより、複数のDNA(Tyagiら、1998、Nature Biotech.16:49−53)若しくはRNA(de Baarら、2001、J.Clin.Microbiol.39:1895−1902)標的を、反応容器から発射される色のスペクトルを測定することにより同時に検出し得る。

    2種若しくはそれ以上の異なる色の分子ビーコンをPCRおよび/若しくは転写反応(例えばIDAT)に組込んで抗体特異的なDNAの存在を検出し得る。 本明細書の別の場所に記述されるとおり、目的の抗原に特異的な抗体をコードする各バクテリオファージの核酸を、独特のビーコン配列を挿入するように改変し得、そして、各ビーコンがその相補配列と結合される場合に独特の周波数で蛍光を発することができるように各分子ビーコンプローブを独特のクエンチャー/フルオロフォア対に複合させ得る。 こうして、各ビーコンを使用して、どのフルオロフォアがサンプル中に存在するかを評価することにより検査されている細胞上にどの抗原が存在するかを示す結果を「多重」反応が生じ得るような抗原と結合する抗体を検出し得る。 こうした「ビーコン」配列の設計および製造、ならびにそれに相補的な配列を含んでなる核酸配列は当該技術分野で公知である。

    本明細書に提供される開示を備えれば、当業者は、本発明が単一の多重反応において検出し得る目的の分子の数において制限されないことを理解するであろう。 すなわち、単一反応において検出かつ相互に識別され得る独特の反応の設計は当該技術分野で公知である。 さらに、当業者は、本明細書に提供される開示に基づき、限定されるものでないがマイクロチップアレイ、スロットブロット、ビーコンプローブの使用、および多数のサンプルの処理を可能にしかつ多重アッセイの能力を提供する他のハイスループットアッセイを挙げることができる多様な技術を、当該技術分野で既知のところの、若しくは将来開発されるべき技術を使用して(その使用は本明細書に提供される開示に基づき容易に企図し得る)、本明細書に例示されるところの本発明の方法で使用し得ることを認識するであろう。 すなわち、現在のチップ技術は、単一チップ上のアッセイし得る抗原の数が既知の赤血球抗原の数を超えていることを既に提供する。 さらに、多様なPCR反応の循環パラメータが適合性である場合に、多数のプライマー対を含んでなる単一チューブを使用してPCR反応を多重化し得る。 従って、本発明の方法に関する方法を多重化することはチップ上のスポットの数に関してのみ制限されると思われるとみられる。 細胞へのファージの結合、単一チューブ中でPCRを実施するのに使用し得るプライマーの数などは、本発明の方法を使用するためにアッセイし得る数の分子を制限しないからである。

    当業者は、本明細書に提供される開示に基づき、本発明が、当該技術分野で既知のいずれかの方法、ならびに将来開発されるべき方法を使用する目的の核酸(すなわち抗体のそのコグネイトの抗原との特異的結合により細胞に結合される目的の抗原をもつ部分に対する抗体を発現するバクテリオファージにより含有される核酸)の増幅を包含することを理解するであろう。 PCR増幅は本明細書で以前に論考し、そしてIDAT(転写に基づく方法を使用する核酸の増幅である)がそうであるように本明細書の別の場所で例示される。 しかしながら、これらは単に例示的増幅方法であり、そして本発明はこれら若しくは目的のファージにより含有される核酸のいかなる他の増幅方法にもいかなる方法でも制限されない。

    本発明はまた、一旦核酸が増幅されればそれを検出することも包含する。 当業者は、本明細書に提供される教示を一旦備えれば、当該技術分野で既知の若しくは将来開発されるべき核酸のいかなる検出方法も本発明の方法において核酸を検出するのに使用し得ることを認識するであろう。 こうした検出方法は、限定されるものでないが、蛍光プローブを使用するリアルタイムPCR、サイズ分離技術(例えばアガロースゲル電気泳動)を使用する予測されたサイズのアンプリコンを検出すること、サザンおよびノーザンブロッティング技術、オリゴヌクレオチドマイクロアレイへのハイブリダイゼーション、ならびに本明細書の別の場所でより完全に論考される「分子ビーコン」プローブの使用を挙げることができる。 さらに、本明細書の別の場所でより完全に開示されるとおり、目的の核酸配列の検出を自動化、加速若しくは別の方法で改良する技術が企図されている。 こうした技術は、限定されるものでないが、迅速な結果を提供する(例えばDNA(若しくはRNA)の適用から読み出しまでの時間が約10分未満である)「オリゴヌクレオチドマイクロアレイへの電場加速型ハイブリダイゼーション」(Suら、2002、Electrophoresis 23:1551−1557)を挙げることができる。 従って、検出段階の効率を向上させるための技術が、当業者により理解されるであろうとおり本明細書に包含される。
    B. 複数の抗原の検出 本発明は細胞上の最低2種の異なる抗原をもつ部分の存在の検出方法を包含する。 該方法は、それぞれが1種の抗原を特異的に結合する1種の抗体をコードかつ発現する最低2種の異なるバクテリオファージを接触させることを含んでなり、該2種の抗体は同一抗原を結合しない。 細胞と非特異的に結合するいかなるファージも(例えば細胞を洗浄することにより)除去し、そしていかなる結合したバクテリオファージの存在もファージ中に存在する核酸を検出することにより検出する。 すなわち、本明細書の別の場所でより完全に記述されるとおり、ファージ粒子中に存在する核酸の配列若しくはその一部分が露出され、そして、核酸の存在(すなわちその既知の核酸配列の存在)を当該技術分野で公知の方法を使用して検出する。 各バクテリオファージは、同一サンプル中に存在する他のバクテリオファージ中に存在する核酸配列と識別可能である核酸配列を含んでなるため、多様な抗原の存在を単一のサンプル混合物中で検出し得る。 こうした「多重」アッセイは抗体に基づく検出方法を使用して可能でない。 細胞と結合した抗体の存在を検出するのに使用される試薬は各抗体を容易に識別し得ないからである。 さらに、慣習的血液型分類は細胞と結合した抗体の存在を検出する試薬を使用しない。 多くの血液型分類試薬(典型的には十価のIgM)は細胞を直接凝集させるからである。 それらのアッセイにおいては反応を多重化し得ず、どの試薬が凝集反応を引き起こしたかを決定することは可能でないとみられる。 しかしながら、複数の独特の核酸配列を検出することに基づく方法は、本明細書に示されるとおり、ファージにより発現される抗体分子を介してそれらの抗原に結合(boundo to)/それらと連結(linked with)したファージ粒子内に存在する核酸配列を検出することにより多様な抗原についてアッセイすることを可能にする。

    当業者は、本明細書に提供される開示に基づき、それぞれサンプル中に存在するいずれかの他のファージに表示される抗体により認識される抗原とも異なる抗原を認識する異なる抗体を表示する多様なバクテリオファージを、同一の反応混合物中で同時にアッセイされる細胞と接触させ得ることを認識するであろう。 しかしながら、該バクテリオファージは、目的の抗原の全部が細胞上でアッセイされるようにバクテリオファージの全部を細胞と結合させるまで各バクテリオファージを細胞と接触させ、いかなる未結合のバクテリオファージも除去し、そして次のバクテリオファージを細胞と接触させ得、未結合のファージを除去し、と続くような連続的様式で細胞と接触させ得る。 全部の結合させたファージをその後処理してそれ内に存在する核酸を放出させ得、そしてサンプル中に存在する多様な核酸配列を本明細書の別の場所でより完全に論考されるとおり検出し得る。 独特の1種の抗体を発現する各バクテリオファージは該アッセイで使用される全部の他のバクテリオファージの核酸の配列と異なる既知配列を含んでなる核酸を含有するため、各バクテリオファージの結合は全部の他者と別個に決定し得る。 従って、アッセイされる各抗原の存在は、その抗原と結合した抗体を表示するバクテリオファージと関連する独特の核酸配列を検出することにより決定し得る。 サンプル中の多様な核酸配列を検出することは、その同一サンプル中の他の関係のない配列の検出を妨害しないからである。

    当業者は、本明細書に提供される開示に基づき、敏速さが望ましい場合は多様な抗原を単一の反応混合物中でアッセイし得ることを認識するであろう。 さらに、アッセイのより大きな感度が望ましい場合、例えば小サンプルの法廷の検出が必要な場合、若しくはアッセイに必要とされるファージの特定の組合せが同一の増幅スキーム若しくは条件と何らかのかたちで不適合性である場合には、多様な反応を連続して実施し得る。 従って、1本のチューブ中に全部の関連するプライマーを添加しかつ全部のフラグメントを一度に増幅することによりPCRを実施することが好ましい一方、本発明はまた、同一サンプルを使用して各抗原/リガンドを連続的様式で同定する方法も包含する。 プライマーおよび増幅するファージ(ミド)DNAの伸長の設計においては、従って、抗体若しくはペプチド配列中の差異を活用することよりはむしろファージDNA中の増幅されるべき特定の配列(標識)を設計することが好ましい。 多重化および循環条件に関してそれらを適合性とし得るからである。 ファージにより表示される抗Bおよび抗Rh(D)を使用するRBC上でのBおよびRh(D)抗原の検出について本明細書に例示されるとおり、プライマーは単一反応で使用されるように設計し得、そしてファージを一緒にRBCに添加しかつPCRを単一のチューブ中で実施して1100bpおよび1600bp双方のアンプリコンを製造した。 これが好ましい方法である一方、本発明はこの特定のスキームに制限されない。

    従って、多数の異なるファージに表示される抗体(例えば多様な血液型抗原に特異的な抗体)をRBCのサンプルと同時に接触させ得る。 未結合のファージを除去し、そして細胞と結合したファージの核酸をアッセイして、どのファージが細胞と結合したか決定する。 各バクテリオファージは独特の配列「標識」を含有するため、核酸法を使用してどのファージ、そして従ってどの抗原が該細胞上に存在するかを決定し得る。 この「多重」方法は、各抗原を個別にアッセイすることを必要とし、それにより付加的な試薬を必要とし、アッセイの技術的困難および長さを増大させかつ付加的な段階および操作を必要とすることにおいて誤りのより多い機会を導入する従来技術の方法を上回る非常に大きな改良である。

    従って、多数の異なるファージに表示される血液型抗体を赤血球の同一サンプルに同時に接触させ得、そして抗体ヌクレオチド配列中の差異を活用して、異なるファージ上に表示される抗Bおよび抗Rh(D)抗体を使用して本明細書に示されるようにどのものが結合しかつどのものがしなかったかを決定し得る。 こうした「多重化」は、どの抗体(1種若しくは複数)が凝集反応を引き起こしたかを知り得なかったところの凝集方法により可能でない。

    こうした方法論が可能であるということ、すなわち複数の抗RBC抗体の同時結合が抗体DNAの増幅および検出により検出され得るということは、ファージに表示される抗血液型Bおよび抗Rh(D)ヒトモノクローナル抗体を含んでなるモデル系を使用した本明細書に開示されるデータにより示される。 しかしながら、当業者は、本明細書に提供される開示に基づき、こうした「多重化」戦略がいずれかの特定の抗体に制限されず、しかし、ファージの核酸を相互と識別し得る限りは異なる特異性を有する抗体をコードする他のファージ若しくはなお同一特異性を有する抗体をコードするファージの核酸と検出可能に識別し得るDNA配列を各ファージが含んでなる多数の抗体を表示するファージを使用する複数の赤血球抗原を検出するのに使用し得ることを容易に認識するであろう。 事実、これらの方法は赤血球若しくはそれらの抗原に制限されず、しかし、細胞上若しくはサンプル中の複数の抗原の存在を検出することが望ましいいかなる系にも容易に適用し得る。

    当業者は、本明細書の別の場所でより完全に論考されるとおり、それぞれ目的の異なる抗原と反応性の数種の抗体を表示するファージを、単一の反応中でおよび/若しくは同一サンプル内で抗原が検出される「多重」反応で使用し得る場合に、各プライマー対(すなわちフォワードおよびリバースプライマー、ならびに所望の場合はそれから産生されるアンプリコンのプローブ)により増幅される領域がそれぞれ相互と識別可能であるようなプライマーが選択されることを認識するであろう。
    C. 血清中の抗体の検出 本発明は血清中の自己抗体若しくは同種抗体の存在の検出方法、より具体的にはヒト血清中に存在する抗赤血球抗体の検出方法(間接的抗グロブリン検査)を包含する。 該方法は、最低1種の赤血球抗原を発現するヒト赤血球を、アッセイされるべき血清サンプルと接触させることを含んでなる。 細胞を洗浄して非特異的に結合した抗体を除去し、そして細胞をその後、その表面上に抗グロブリン試験を表示するバクテリオファージと接触させる。 細胞と結合されるヒト抗体(IgG、IgMなど)が存在する場合、該バクテリオファージは該ファージにより表示される抗グロブリン試験を介して結合することができる。 その後、(細胞上のヒト抗体との結合を介して)細胞と特異的に結合するファージの存在を、バクテリオファージ中に存在する既知の核酸配列の検出に基づいて本明細書に開示されるとおり検出し得る。 こうして、細胞の一団の抗原組成が既知である場合に、細胞のこの参照一団を使用してその表面上の抗グロブリンを表示するバクテリオファージの核酸を単純かつ迅速に検出することによりいかなるサンプル中のこれらの抗原に対する抗体の存在についてもアッセイし得、その結果、「遺伝子型分類による表現型分類」を使用して効率および感受性を増大させ得ならびに以前は抗体に基づく検出方法を使用して実施されたアッセイを自動化し得る。
    D. 赤血球上の抗体若しくは補体フラグメントの検出 本発明は、赤血球の表面に結合される自己抗体、同種抗体若しくは補体フラグメントの存在の検出方法、より具体的には、自己免疫性溶血性貧血の診断方法若しくは輸血された赤血球の同種免疫破壊の測定方法(直接抗グロブリン検査)を包含する。 該方法は、赤血球のサンプルを洗浄して非特異的に結合した抗体を除去すること、およびその後その表面上に抗グロブリン試薬を表示するバクテリオファージと該細胞を接触させることを含んでなる。 細胞と結合したヒト抗体若しくは補体が存在する場合、バクテリオファージは該ファージにより表示される抗グロブリン試薬を介して結合することができる。 その後、(細胞上のヒト抗体若しくは補体との結合を介して)細胞と特異的に結合したファージの存在を、バクテリオファージ中に存在する既知の核酸配列の検出に基づいて本明細書に開示されるとおり検出し得る。 こうして、「遺伝子型分類による表現型分類」を使用して効率および感受性を増大させ得、ならびに以前は抗体に基づく検出方法を使用して実施されたアッセイを自動化し得る。
    E. ドナー/レシピエント適合性検査の実施 本発明は患者血清中の抗体と輸血に意図された血液一単位から抜き出した赤血球のアリコートとの間の適合性すなわち非反応性の確認方法(交差適合試験)を包含する。 該方法は、特徴付けされたドナー赤血球のサンプルを試験されるべき患者血清サンプルと接触させることを含んでなる。 細胞を洗浄して非特異的に結合した抗体を除去し、そしてその後、その表面上に抗グロブリン試薬を表示するバクテリオファージと該細胞を接触させる。 不適合の交差適合を伴う場合でそうであろうように細胞と結合するヒト抗体が存在する場合は、バクテリオファージが該ファージにより表示される抗グロブリン試薬を介して結合することができる。 その後、(細胞上のヒト抗体との結合を介して)細胞と特異的に結合したファージの存在を、バクテリオファージ中に存在する既知の核酸配列の検出に基づいて本明細書に開示されるとおり検出し得る。 こうして、「遺伝子型分類による表現型分類」を使用して、効率および感受性を増大させ得、ならびに以前は抗体に基づく検出方法を使用して実施されたアッセイを自動化し得る。
    II. キット 本発明は、目的の抗原に対する既知の特異性をもつ抗体を表示するバクテリオファージ、該ファージ中に存在する既知の核酸配列を増幅するためのプライマー対、バクテリオファージ中に含有される核酸中に存在する既知配列を検出するための分子ビーコン、IDAT反応での使用のための試薬(例えばT7 RNAポリメラーゼ、DNAポリメラーゼI、dNTPなど)のような化合物、ならびに/若しくは本発明の組成物、アプリケーター、および本発明の方法を実施するための化合物の使用を記述する説明資料、ならびに先行する成分のいずれかの組合せを含んでなる多様なキットを包含する。 例示的キットを下述するとは言え、他の有用なキットの内容が本開示に照らして当業者に明らかであろう。 これらのキットのそれぞれが本発明内に包含される。

    一局面において、本発明は細胞上の抗原をもつ部分の存在を検出するためのキットを包含する。 該キットは、本発明に開示される方法に従って使用される。 簡潔には、細胞上に抗原をもつ部分が存在する場合にそれと特異的に結合する抗体を表示するバクテリオファージを接触させるのに該キットを使用しうる。 これは、本明細書の別の場所でより完全に開示されるとおり、細胞とのバクテリオファージの結合、およびファージ中に存在することが既知の核酸配列の後の検出が、ファージが細胞と結合してそれにより該ファージにより表示される抗体がそのコグネイトの抗原と結合したことを示し、従って順に抗原が細胞上に存在してそれにより本発明のこの新規「遺伝子型分類による表現型分類」方法により抗原を検出したことを示すことを示すからである。

    該キットはさらに、バクテリオファージ、PCRプライマー、分子ビーコンなどをサンプルに投与するのに有用なアプリケーターを含んでなる。 キットに包含される特定のアプリケーターは、例えば本明細書に開示されるところの「遺伝子型分類による表現型分類」を使用して抗原を検出するのに使用される方法に依存することができ、また、こうしたアプリケーターは当該技術分野で公知でありかつとりわけピペット、シリンジ、滴瓶などを包含してよい。 さらに、該キットはキットの使用のための説明資料を含んでなる。 これらの説明は本明細書に提供される開示を単純に例示する。

    一局面において、キットは、限定されるものでないがRBC抗原A、B、Rh(D)、Rh(C)、Rh(c)、Rh(E)、Rh(e)、K、Fy 、Fy 、M、N、S、s、Jk 、Jk を挙げることができる赤血球抗原を特異的に結合する抗体を発現するバクテリオファージをさらに含んでなる。

    さらに、別の局面において、キットは、プローブの核酸配列が例えば本明細書に例示されるところの配列番号3の配列および配列番号4の配列のような配列と相補的である分子ビーコンプローブをさらに含んでなる。 これらの配列は、それらとハイブリダイズする配列がファージ(ミド)核酸の存在を検出し得るような、バクテリオファージにより含有される核酸内に含有される。 より具体的には、キットは、限定されるものでないが配列番号7、配列番号8、配列番号9および配列番号10の配列を挙げることができる配列を有する分子ビーコンプローブを含んでなる。

    なお別の局面において、キットは、ファージ中に存在する核酸配列を増幅し得るPCRプライマーを含んでなる。 こうしたPCRプライマーは、限定されるものでないが配列番号1の配列および配列番号2の配列を含んでなるプライマーを挙げることができる。

    該キットは製薬学的に許容できる担体を包含する。 該組成物は本明細書の別の場所に示されるところの適切な量で提供される。

    サンプル中の補体ならびに自己および同種抗体を検出するためのもののような付加的なキット、ならびに既知のリガンド/受容体結合対が既知である目的のいずれかのリガンドを検出するためのキットもまた、本明細書に提供される開示に基づき当業者により容易に認識されるであろうとおり包含される。

    本発明は今や以下の実施例に関して記述される。 これらの実施例は具体的説明のみの目的上提供され、そして、本発明はこれらの実施例に制限されるといかなる方法でも解釈されるべきでなく、しかしむしろ、本明細書に提供される教示の結果として明らかになるいかなるおよび全部の変形を包含すると解釈されるべきである。

    血液収集施設、血液銀行および輸血業務検査室で使用される現在の技術は並はずれて労働集約的であり、人為的誤りの傾向があり、そして他の臨床検査室での検査よりも検査あたり一桁より高価である。 熟練した医療技術者の増大する不足、ヒト血漿由来の表現型分類試薬の先細りの供給、および1950年代に基礎を置く凝集反応の方法論の完全な自動化における固有の困難と組合された、迅速、正確かつ費用効率のよい様式で毎年数億の輸血前検査を実施する能力は大きな挑戦である。

    本発明は、迅速、ハイスループットの自動化可能なアッセイ系で機能する新たな一分類の更新可能な安価の高品質の血液銀行検査試薬を開発するための新規分子技術およびそれに関する試薬の開発に関する。

    本明細書に開示される新規技術の中心的な一特徴は、バクテリオファージ粒子の表面上に表示された赤血球抗原特異的モノクローナル抗体である。 ファージ粒子内の独特のDNA配列の天然に存在する存在を活用して、検出試薬の遺伝子型をアッセイすることにより赤血球の表現型が決定されるアッセイ系、すなわち赤血球上に存在する抗原と特異的に結合する抗体をもつファージが開発された。

    こうした戦略は並はずれた感度および特異性を提供し、微少量の検査材料および試薬を必要とし、自動化に容易に適合可能であり、そして多重化戦略にかけやすくそれにより単一反応容器中での赤血球サンプルの同時の抗原プロファイリングを実施する能力を提供し、この全部が従来技術の方法を上回る実質的な改良を提供する。

    臨床上重要な赤血球抗原に特異的なファージに表示される抗体試薬の一団を、抗体ファージディスプレイライブラリー技術を使用して開発する。 これらの試薬およびそれらの製造のための方法論の例は以前に記述されており(例えば米国特許第5,876,925号および同第6,255,455号明細書(その双方はそっくりそのまま引用することにより本明細書に組み込まれる)を参照されたい)、そして本明細書で使用される試薬により例示される。 これらのファージディスプレイ抗体試薬は慣習的血液銀行試薬より優れていることが示され、そして全部の現在利用可能な凝集反応に基づく血液型分類法で使用し得る。 さらに、抗赤血球抗体のこの新たな生成に基づく新規血液型分類基盤が開示され、その新規基盤はこれらの新規試薬の組合せられた表現型分類/遺伝子型分類の特性を完全に利用する。

    従って、本明細書に開示されるデータは、血液型分類の分野でのいくつかの長年の技術的障害を本発明が克服することを示す。 本明細書に開示されるデータは、迅速、ハイスループットの自動化可能なアッセイ系で機能する新たな一分類の更新可能な安価の高品質の血液銀行検査試薬およびそれに関する方法論の開発を示す。

    本明細書に開示される新規技術の特徴は、当該技術分野で公知の多数の技術および将来開発されるところのこうした技術を使用して単離される繊維状ファージ粒子の表面上に表示されたRBC抗原特異的モノクローナル抗体である。 該ファージ粒子は、ファージ上に表示される抗体の表現型(抗原結合部分)をその遺伝子型(その特定の抗原結合部分のアミノ酸配列をコードする粒子内のDNAの独特の配列)と物理的に連結する。 加えて、該ファージ粒子は、ファージ上に表示される抗体により結合される抗原の同定を検出することがビーコンの存在を検出することにより容易に決定され得るような分子の抗原結合部分をコードしないがしかしそれと関連する(すなわちビーコン配列)DNAの別の部分を検出し得るために、その表面上に表示される抗体の表現型およびファージ粒子中に存在するDNAを連結し得る。

    従って、検出試薬すなわち抗体を表示するファージおよびこうした抗体をコードするDNA分子、若しくはファージにより含有されるDNA内の別の独特のDNA配列(すなわちビーコン配列)の遺伝子型をアッセイすることによりアッセイされているRBCの表現型が決定される新規アッセイ系を開発することにより、粒子内の独特のDNA配列の天然に存在する存在を本明細書で活用する。 本新規「試薬の遺伝子型分類による表現型分類」アプローチの開発の裏の理論的根拠は、核酸検出スキームを使用する方法論が、最高の感受性および特異性を提供し、微少量の検査材料および試薬を必要とし、そして自動化に容易に適合可能であるという認識である。

    さらに、核酸に基づくアッセイは、血液型分類の場合に単一反応容器中での所定のRBCサンプルの抗原プロファイルを同時に決定するという可能性を提供するとみられる多重化戦略にかけやすい。 本研究の応用において提案される技術を使用して型分類反応を多重化する能力は、慣習的な「1チューブ/1結果(one tube/one result)」の凝集反応の方法論に歴史的に限られてきた血液収集施設および輸血業務双方にとっての大きな利点を表すとみられる。 従って、本明細書に記述される新規アッセイは、RBC上に存在する複数の抗原をもつ部分の検出が容易にかつ迅速に検出されることを可能にする。
    ファージディスプレイ技術 繊維状バクテリオファージ粒子の表面上に表示されるRBC抗原特異的モノクローナル抗体が、提案される技術の中核にある(Siegel、2001、Transfusion Med.Rev.15:35−52に総説される)。 Bリンパ球からのモノクローナル抗体の高価かつ時間のかかる慣習的な細胞的生成方法と対照的に、抗体ファージディスプレイは、免疫グロブリン遺伝子が由来する細胞ではなく、その遺伝子を不死化することによりはたらく。 細胞形質転換の代わりに分子的方法を使用することにより、B細胞の集団からファージ粒子の「ライブラリー」を製造し、それぞれの粒子は外側に特定の抗体特異性を表示しかつ内側に該抗体の独特のDNA配列を含有する。

    特定の細胞表面抗原に特異的なファージ粒子のこうしたライブラリーからの選択方法は以前に記述され(例えばSiegelら、1997、J.Immunol.Meth.206:73−85;Siegelへの米国特許第5,876,925号明細書)、そして数百もの独特なヒト抗Rh(D)モノクローナルのファージに表示される抗体が今日までに製造された(例えば、Siegelら、1997、J.Immunol.Meth.206:73−85;ChangとSiegel、1998、Blood 91:3066−3078;Siegelへの米国特許第6,255,455号明細書)。 こうして製造したモノクローナル抗体は、慣習的な間接的抗グロブリン(すなわちクームス)反応を使用してRBCを凝集させ得る可溶性抗体分子(ファージに結合されていない)として発現させ得る(SiegelとSilberstein、1994、Blood 83:2334−2344を参照されたい)とは言え、組換えモノクローナル抗体を表示する実際のファージ粒子は、クームス試薬の代わりに抗M13ファージ抗体を用いることにより凝集反応で使用し得ることが確立された(Siegelら、1997、J.Immunol.Meth.206:73−85;Siegelへの米国特許第5,985,543号明細書)。 抗体を表示する無傷のファージを使用する凝集反応アッセイにおける本方法の一利点は増大された感受性である。 比較的大きな粒子径(およそ0.5ミクロン)により提供される抗M13によるより大きな程度の架橋により、凝集反応が誘導されるのにおよそ10個の抗Rh(D)を発現するファージ粒子(約150〜1000の慣習的IgGに比較して)が必要とされるからである。

    大腸菌(E.coli)内でのそれら自身の複製を指図して、数ドルの試薬費用に対しほぼ50万単位の血液の慣習的赤血球型分類で使用のため十分な試薬を生じさせる、こうしたファージに表示される抗体の能力が、商業的応用のためより重要である(Siegelら、1997、J.Immunol.Meth.206:73−85を参照されたい)。

    凝集反応アッセイにおいてファージに表示される組換え抗体での慣習的な血液銀行の型分類試薬の置換は、上に述べられた理由、すなわちB細胞形質転換に対する必要性を伴わずにヒト抗体をクローン化する能力、より大きなアッセイ感度、細菌培養物中での安価な製造および他者から、元来かつそれ自体で従来技術のクームスに基づく凝集反応の方法論を上回る非常に大きな改良である(Siegel、2001、Transfusion Med.Rev.15:35−52)。 しかしながら、本明細書に開示されるデータは、抗体を発現するファージ粒子内に含有される独特のDNA配列の天然に存在する存在を活用して単一反応容器中でのハイスループット自動化および複数の抗原の型分類(多重化)を助長することにより、ファージに基づく技術に対するさらなる劇的な改良を示す。 本発明の方法は図1に具体的に説明される多様な段階を含み得、そして本明細書の別の場所により完全に開示される。

    抗体ファージディスプレイおよび当該技術分野で利用可能な他の技術を使用して、臨床上重要なRBC抗原に特異的な一組の新規モノクローナル試薬をクローン化し得、製造し得、そして、本明細書に提供される教示ならびに当該技術分野で既知および将来開発されるべき方法に従ってそれらの性能の特徴を検証し得る。 例えば、以前の研究は、RBC抗原B、抗Rh(D)、MおよびNに対する特異性をもつこうした試薬の製造および単離を示した(例えばChangとSiegel、2001、Transfusion.41:6−12;Siegelら、1997、J.Immunol.Meth.206:73−85;ChangとSiegel、1998、Blood 91:3066−3078;Czerwinskiら、1995、Transfusion.35:137−144;Czerwinskiら、1999、Transfusion.39:364−371を参照されたい)。 こうした方法はとりわけ抗A、抗Rh(C、c、E、e)、ならびにKell、Duffy、KiddおよびSs血液型における抗体を発生させるのに応用し得る。 これらの試薬は慣習的な人的および自動化凝集反応アッセイで、ならびに本明細書に開示される新規方法で使用し得る。

    指標の一組の抗血液型Bおよび抗Rh(D)ファージを製造し、そして独特のDNA配列標識(すなわちビーコン配列)、オリゴヌクレオチドプライマーおよびハイブリダイゼーション部位、ならびにポリメラーゼプロモーターを、各抗体をコードするDNA中に挿入する。 多数の核酸増幅/検出スキームの性能の特徴を評価して、血液型Bおよび抗Rh(D)ファージ試薬を使用して本明細書に例示されるところの各試薬のRBC結合を同定かつ定量する。

    本明細書に開示されるデータは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)およびアガロースゲル電気泳動を使用して2種の異なる抗RBC抗体特異性を同時に検出し得かつそれらの結合を識別し得ることを示す。 これらのデータは、これらの方法を使用するスクリーニングを迅速に実施し得かつ商業的応用のため拡大かつ自動化し得ることを示す。
    ポリメラーゼ連鎖反応を使用するファージDNAの増幅:
    一局面において、RBC特異的なファージに表示される抗体、例えば抗Rh(D)を発現するファージ粒子の結合を、例えば結合されたファージ粒子を加熱してファージコートを変性させる場合に露出される抗Rh(D)の核酸配列に特異的なオリゴヌクレオチドプライマーの添加により検出した。 一方のプライマーは(抗体特異性に関係なく)ファージDNA中に含有される包括的配列に相補的であり得、そして他方のプライマーは例えば限定されるものでないが抗体のH鎖のCDR3超可変領域を挙げることができるそのファージに特異的な配列(すなわち所定の抗体に独特である配列)に相補的であり得る。 結果として生じる増幅された抗体DNAの測定は、検査されている細胞の表面上のその抗体のコグネイトの抗原の存在を示し得る。 いずれかの特定の論理により束縛されることを願わずに、多数の異なるファージに表示される血液型抗体を赤血球の同一のサンプルに同時に接触させ得、そして、抗体ヌクレオチド配列中の差異を活用して、異なるファージ上に表示される抗Bおよび抗Rh(D)抗体を使用して本明細書で示されるとおり、どのものが結合しかつどのものがしなかったかを決定し得る。 こうした「多重化」は、どの抗体(1種若しくは複数)が凝集反応を引き起こしたかを判別し得なかったところの凝集反応法により可能でない。

    こうした方法論が可能であること、すなわち、複数の抗RBC抗体の同時の結合を抗体DNAの増幅および検出により検出し得ることは、ファージに表示される抗血液型Bおよび抗Rh(D)ヒトモノクローナル抗体を含んでなるモデル系を使用した本明細書に開示されるデータにより示される。 しかしながら、当業者は、本明細書に提供される開示に基づき、こうした「多重化」戦略は、いずれかの特定の抗体に制限されないが、しかし、ファージの核酸が相互を識別し得る限りは異なる特異性を有する抗体をコードする他のファージ若しくはなお同一特異性を有する抗体をコードするファージの核酸を検出可能に識別し得るDNA配列を各ファージが含んでなる、多数の抗体を表示するファージを使用して複数の赤血球抗原を検出するのに使用し得ることを容易に認識するであろう。 PCRおよびアガロースゲル電気泳動を使用して例えばアンプリコンの大きさに基づいて各型のファージ粒子内の独特のコーディング配列を増幅かつその後検出する、本明細書に開示されるデータは、RBCのサンプルが並はずれた感受性を伴いBおよびRh(D)について同時に表現型分類されたことを示す。 すなわち、該単一アッセイは、20アトグラムの慣習的IgGの同等物を検出しかつ慣習的凝集反応より1万倍より少ないRBC(135ピコL若しくは約1500個の全RBC)を必要とした。

    実務においては、しかしながら、迅速、拡大可能なかつ自動化可能なDNAの読み出しをアガロースゲル電気泳動の代わりに使用し得る。 多くの方法が当該技術分野で公知であり、そしていくつかのこうした方法を本明細書の別の場所でより完全に論考する。 にもかかわらず、当業者は、本発明の教示を一旦備えれば、多数の核酸検出方法を本発明の方法で使用し得、そして本発明は本明細書で例示かつ論考される方法にいかなる方法でも制限されないことを理解するであろう。
    転写媒介性の増幅を使用するファージDNAの増幅 ファージDNA増幅段階(図1中の段階B)にPCRを使用することに加え、その増幅の代わりにファージ抗体DNAの転写の検出に基づく方法を本発明の方法で使用し得る。 より具体的には、本方法による免疫検出を使用して、T7 RNAポリメラーゼプロモーター部位を含有するオリゴヌクレオチドがZhangら(2001、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 98:5497−5502)に記述されるとおりグルタールアルデヒドで化学的に結合されている抗体の結合を検出した。 ファージ粒子中のその物理的会合に基づき抗体にin vivoで結合されているDNAの転写のためのこの技術をPCRおよび他の増幅技術の一代替として使用し得る。 この技術はIDATと命名されており、これはT7 RNAにより増幅される免疫検出(immuno−detection amplified by T7 RNA)を表す(Zhangら、2001、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 98:5497−5502)。 ファージミドDNA中で自由裁量の配列標識から上流にT7 RNAポリメラーゼプロモーター部位を置くことにより、T7 RNAポリメラーゼおよびNTPの添加がそれらのプロモーターへのT7酵素の連続的かつ漸進的な結合により迅速に(1秒あたり100塩基)標識転写物を産生する。

    RNA産物へのT7 RNAポリメラーゼ結合が起こらないため、増幅はPCRでのように指数的でなく直線的である。 RBCの表現型分類について、こうした直線的増幅は、複数の抗原についての量的情報(すなわち細胞あたりの相対的抗原コピー数)を細胞の単一サンプルから同時に決定し得るためにPCRを上回る(および慣習的凝集反応方法を確実に上回る)利点を提供する。 こうした定量が血液銀行で有用であり得ることの一例はとりわけMollisonら(1997、Blood Transfusion in Clinical Medicine、第10版、Blackwell Scientific Publications、英国オックスフォード中)に総説されるところの「弱いRh(D)」表現型の検出である。

    PCRを上回る限定されるものでないがIDATを挙げることができる転写に基づく検出方法の付加的な一利点は、抗体ファージDNAが粒子から一旦放出された場合の温度循環の排除である。 温度循環反応の排除は機器設計を単純化しかつアッセイの費用を低減する。 にもかかわらず、PCRおよび転写法は、それぞれ、どちらの方法若しくはいずれか他の方法がいずれかの特定のアッセイおよびそれに望ましい条件に使用し得るかを当業者が容易に決定し得るような当該技術分野で公知である利点および欠点を有する。 これは、PCR、転写、および核酸を検出するための多くの他の方法を本発明の方法で成功裏に使用し得、そして当業者は技術に認識された因子に基づきどの方法を使用するかを認識するであろうからである。
    分子ビーコンを使用するファージDNAの検出:
    分子ビーコンは5'端に蛍光標識および3'端に普遍的クエンチャーをもつステム・ループ構造のオリゴヌクレオチドである(例えばTyagiとKramer、1996、Nature Biotech.14:303−308;Brounde、2002、Trends in Biotechnology 20:249−256を参照されたい)。 ステムが閉鎖される(相補核酸の非存在下で)場合、フルオロフォアおよびクエンチャーが密接な近位にあり、そして蛍光エネルギーがクエンチャーにより吸収されかつ蛍光が消光されかつ検出可能でない。 相補核酸の存在下では、ビーコンのループがハイブリダイズし、そして消光が起こらないようにフルオロフォアおよびクエンチャーが分離する。 その後光量子がフルオロフォアから発射され、そのフルオロフォアに特異的な波長でクエンチ解除されそして蛍光がその後検出可能となる。 それぞれそれらの5'端に異なるフルオロフォアをもつ多数のビーコンを1本のチューブ中で組合せることにより、複数のDNA(Tyagiら、1998、Nature Biotech.16:49−53)若しくはRNA(de Baarら、2001、J.Clin.Microbiol.39:1895−1902)標的を、反応容器から発射される色のスペクトルを測定することにより同時に検出し得る。

    抗体特異的DNAの存在を検出するために2種の異なる色の分子ビーコンをPCRおよび転写反応に組込む。 本明細書の別の場所に記述されるとおり、増幅(若しくは転写)し得る短いDNA配列を含有するように抗Rh(D)および抗BファージDNAを改変し、そしてその後、本明細書の別の場所に記述されるとおり分子ビーコンを使用して検出する。 こうした「ビーコン」配列、およびそれに「相補的な」配列を含んでなる核酸配列の設計および製造は当該技術分野で公知である。 事実、目的の配列に相補的な分子ビーコンプローブ配列を包含するこうした配列の設計で支援するためのソフトウェアプログラムが商業的に入手可能である。

    さらに、こうしたビーコンおよび図4に例示されるもののようなそれと結合する配列は以下の配列を含んでなる。 すなわち、「B140」挿入物の配列は5'−TGCTATGTCACTTCCCCTTGGTTCTCTCATCTGGCCTGGTGCAATAGGCCCTGCATGCACTGGATGCACTCTATCCCATTCTGCAGCTTCCTCATTGATGGTCTCTTTTAACATTTGCATGGCTGCTTGATGTCCCCCCACT−3'(配列番号3)であり、また、「D140」挿入物の配列は5'−TGCTATGTCACTTCCCCTTGGTTCTCTCATCTGGCCTGGTGCAATAGGCCCTGCATGCACTGGATGCACTCTGTTTTACCTCATTATCCTTCTGCCAGCGCTAGCTTTTAACATTTGCATGGCTGCTTGATGTCCCCCCACT−3'(配列番号4)である。 フォワードPCRプライマー(「PCR−F」)は:5'−TGCTATGTCACTTCCCCTTGGTTCTCT−3'(配列番号5)であり、かつ、リバースPCRプライマー(「PCR−R」)配列は:5−AGTGGGGGGACATCAAGCAGCCATGCAAAT−3'(配列番号6)である。 BビーコンおよびDビーコン配列は後に続くとおりであり、端の蛍光誘導体および幹構造を小文字で示す。 「Bビーコン」配列は後に続くとおりである:6−FAM−gcgagcATCCCATTCTGCAGCTTCCTCATTGATGGTCTCgctcgc−DABCYL(配列番号7。「Dビーコン」は:TAMRA−cgagcGTTTTACCTCATTATCCTTCTGCCAGCGCTAGCgctcgc−DABCYL(配列番号8)である。ビーコン配列中の大文字は、ビーコンがアニーリングするB140およびD140中のそれぞれの配列を表す。従って、大文字はDNAアレイ検出に使用されるオリゴヌクレオチドの配列である。すなわち、「B−オリゴ」は:5'−ATCCCATTCTGCAGCTTCCTCATTGATGGTCTC−3'(配列番号9)であり、また、「D−オリゴ」は:5'−GTTTTACCTCATTATCCTTCTGCCAGCGCTAGC−3'(配列番号10)である。

    本発明はこれらの例示的配列に制限されず;むしろ、本発明は、本明細書に提供される開示を一旦備えた当業者により容易に設計され得るような付加的な配列を包含する。 すなわち、ビーコン配列の設計および使用は当該技術分野で公知でありかつ本明細書でさらに論考されず、また、本明細書に開示される配列は単に本発明を実施するのに使用し得る配列の一例である。 例えば、限定されるものでないが6−カルボキシフルオレセイン(6−FAM)、6−カルボキシテトラメチルローダミン(TAMRA)およびDABCYL(分子ビーコン中のいかなるフルオロフォアに対しても普遍的なクエンチャーとしてはたらく非蛍光発色団:4−(4−ジメチルアミノフェニルアゾ)安息香酸)を包含する本明細書で例示されるものを挙げることができる多くの蛍光剤−クエンチャー対が当該技術分野で既知である。 こうした分子は当該技術分野で公知でありかつ例えば米国特許第6,395,517号および同第6,615,063号明細書に記述され、そして本明細書でさらに論考されない。
    オリゴヌクレオチドマイクロアレイを使用するファージDNAの検出:
    分子ビーコンに加え、相補的オリゴヌクレオチドプローブのアレイへの蛍光RBCファージ抗体アンプリコン(PCRから)若しくは転写物(IDATを使用して製造される)のハイブリダイゼーションを使用して、サンプル中の結合した抗体の量(あれば)を間接的に定量し得る。 さらに、こうしたマイクロアレイへの慣習的ハイブリダイゼーション方法の使用は拡散に制限され(diffusion limited)かつ十分な蛍光シグナルを得るのに数時間を必要としうるとは言え、この過程は、Suら(2002、Electrophoresis 23:1551−1557)に記述されるところの安価なインジウムスズ酸化物被覆したスライドガラスの表面を横切る電場の適用により2〜3桁だけ加速し得る。 「オリゴヌクレオチドマイクロアレイへの電場加速型ハイブリダイゼーション」として当該技術分野で既知のこの過程は迅速な結果を提供し、例えばDNA(若しくはRNA)の適用から読み出しまでの時間が約10分未満である。 従って、電場加速型ハイブリダイゼーションを使用して、細胞(例えば赤血球、血小板など)上に存在する目的の抗原の迅速な検出をさらに高め得る。

    本発明は血液型分類に制限されないが、しかし、限定されるものでないが血小板抗原検査を挙げることができる輸血医学の多くの他の領域で広範な潜在的用途を有し、また、移植免疫学(HLA抗原型分類)およびとりわけ反応の多重化が微少量の検査サンプルから最大量の情報を提供し得る法廷医学において広範な応用を有する。 加えて、ファージ粒子上で発現される抗グロブリン試薬(例えば抗IgG、抗IgM、抗C3補体成分)の構築は、予め形成された抗RBC抗体についての血清スクリーニングすなわち逆血液型分類を実施するため、若しくは抗グロブリン試薬に関連するDNAを検出する方法論を使用して直接/間接的クームス試験を実施するために使用し得る。 抗グロブリンファージ試薬は、当該技術分野で公知の技術を使用して、免疫マウスファージディスプレイライブラリーから、若しくは既存のハイブリドーマ免疫グロブリンmRNAのクローニングにより単離し得る。
    ファージDNA分析を使用する抗血液型Bおよび抗Rh(D)型分類 本明細書に開示されるデータは、本発明の新規方法を使用するRBC上の抗血液型Bおよび抗Rh(D)抗原の検出を示す。 すなわち、双方とも免疫した個体から構築したファージディスプレイライブラリーのパニングから以前に単離された(ChangとSiegel、2001、Transfusion.41:6−12;Siegelら、1997、J.Immunol.Meth.206:73−85)2種のファージに表示されるヒトモノクローナル抗体すなわち抗血液型Bおよび抗Rh(D)を使用して、これら2種の抗原の多重化検出を示した。

    この研究の目的上、一方の抗体(FB5.7と命名された抗B)をファージに表示されるFabフラグメントとして、そして他方(E1M2と命名された抗Rh(D))を一本鎖Fv(scFv)フラグメントとして発現させた(図2)。 これらの抗体は以前にChangとSiegel、2001、Transfusion. 41:6−12;Siegelら、1997、J. Immunol. Meth. 206:73−85;ChangとSiegel、1998、Blood 91:3066−3078;ならびに全部Siegelへの米国特許第5,876,925号、同第5,985,543号および同第6,255,455号明細書に記述された。 これらのデータは、多様な抗体の形態(例えばFab、scFvなど)を本発明の方法にて容易に使用し得ることを示す。

    対応するファージミドDNAの抗体コーディング領域のPCR増幅は異なる長さ(すなわち1600bpおよび1000bp)の産物を生じることが予測され、そしてその後、アガロースゲル電気泳動を使用して、予測されたアンプリコンの多様な大きさに基づく慣習的な抗体に基づく検出方法の代わりに抗Bおよび/若しくは抗Rh(D))抗体の存在を遺伝子的に決定した。

    RBCを用いるファージに表示された試薬の結合アッセイを実施する前に、抗B若しくは抗Rh(D)ファージ調製物の連続希釈物を用いる一連のPCR反応を実施して新規遺伝子検出法を検証しかつその感度を決定した。 ファージミドの抗体コーディング領域のPCRは、抗BをコードするFab DNAについて1600bpおよび抗Rh(D)をコードするscFv DNAについて1000bpの予測された産物の大きさを生じた。 注目すべきことに、全PCR反応産物の10%のみを可視化した場合の検出の感度は約100ファージ抗体粒子であった。 この値は、以前の血液型分類方法により達せられない驚くべきレベルの感度、すなわちわずか1.7×10 −22モルすなわちおよそ2×10 −17 gのIgG(約20アトグラム)の同等物を表す。

    挿入物のPCR増幅のため、フォワードプライマー(「5'−LC」)は後に続くとおりすなわち5'−AAGACAGCTATCGCGATTG−3'(配列番号1)であり;そしてリバースプライマー(「GBACK」)は後に続くとおりすなわち5'−GCCCCCTTATTAGCGTTTGCCATC−3'(配列番号2)であった。

    抗Bおよび抗Rh(D)ファージに表示される抗体を使用するこの遺伝子アッセイがRBCを正しく表現型分類するのに使用し得たかどうかを決定するため、ある実験を実施し、それは、試薬RBCの既知の表現型すなわちファージ抗体を使用して実施した慣習的凝集反応に基づく試験結果と、新規遺伝子検査方法の結果の間の完全な一致を示した(図3)。 従って、本明細書に開示されるデータは、新規「試薬の遺伝子型分類による表現型分類」の有効性ならびに表現型の決定を多重化する能力を示す。

    さらに、本明細書に開示されるPCRプロトコルを使用して、図3に描かれるアガロースゲルのレーンに示される結果が全反応生成物の10%のみに相当し、また、各PCR反応に添加されたRBCの数がわずか約1500個すなわち135ピコLのRBCの同等物であったことを考えれば、該アッセイは顕著に感受性である。 対照的に、慣習的方法は凝集反応アッセイあたりおよそ10,000倍より多いRBCを利用する。
    ファージに表示される抗RBC型分類試薬の開発 ファージに表示される抗RBCモノクローナル抗体をクローン化、製造およびその性能特徴を検証するために利用される方法は、多数の刊行物(例えば、Siegel、2002、Methods in Molecular Biology:Antibody Phage Display:Methods and Protocols、vol.178、pp.219−226、AitkemとO'Brien編、Humana Press、ニュージャージー州トトワ中;Sigel、2000、Phage Display of Proteins and Peptides:A Laboratory Manual、vol.23、pp.23.21−23.32、Cold Spring Harbor Press、ニューヨーク州コールドスプリングハーバー中;SigelとChang、1997、Antibody Engineering:New Technologies,Applications,& Commuercialization,IBC、マサチューセッツ州ボストン中)ならびにいくつかの発行された米国特許(上記を参照されたい)の焦点であった。 B、Rh(D)、MおよびN以外のRBC抗原特異性が単離された試料(残余の末梢血、脾組織、骨髄など)は、残余の診断的患者物質を使用して既に達成された。
    迅速かつ拡大可能なファージ抗体検出の方法論 PCRにより増幅若しくはT7 RNAポリメラーゼにより転写し得そしてその後独特の分子ビーコンの対応する対若しくはマイクロアレイ化オリゴヌクレオチドにより検出し得る独特な標識をファージ抗体がそれぞれ含有するように抗RBC血液型、例えば抗Bおよび抗Rh(D)抗体のファージミドDNAを改変する。 該標識は、抗体発現を破壊せずかつファージコート上に表示されないようにファージミドDNA中に抗B若しくは抗Rh(D)コーディング領域の外側に挿入する(例えば図4を参照されたい)。 迅速な多重化されたRBCの表現型分類の効率を最大化するために性能特徴を評価するための改変された一組の抗RBCファージに表示される抗体を使用して、選択された数の核酸増幅/検出スキームを実施する。

    ファージミドDNAの改変のためB140およびD140をシークエンシングした。 PCR−FおよびPCR−Rを、HIV gag cDNAのレベルを測定するためのキネティックPCR(分子ビーコン)アッセイでのB−ビーコン/オリゴと一緒に実施した(O'Dohertyら、2000、J.Virol.74:10074−10080)。 B140およびD140は標準的クローニング技術を使用して抗B若しくは抗Rh(D)ファージミドに連結する。 それらの改変したDNAから抗体を発現するファージ粒子が産生され、そしてそれらの結合特性を以前に記述されたとおり(ChangとSiegel、1998、Blood 91:3066−3078;Siegel、2002、Methods in Molecular Biology:Antibody Phage Display:Methods and Protocols、vol.178、pp.219−226、AitkemとO'Brien編、Humana Press、ニュージャージー州トトワ中;Sigel、2000、Phage Display of Proteins and Peptides:A Laboratory Manual、vol.23、pp.23.21−23.32、Cold Spring Harbor Press、ニューヨーク州コールドスプリングハーバー中;SigelとChang、1997、Antibody Engineering:New Technologies,Applications,& Commuercialization,IBC、マサチューセッツ州ボストン中)検証する。

    PCR実験によるファージDNAの増幅を、ABI 7700分光蛍光分析サーマルサイクラーの使用、B−ビーコン若しくはD−ビーコンの一方若しくは双方の添加、または検出方法に依存するPCRフルオレセイン標識混合物(フルオレセインdUTPを添加したdNTP)の使用を除き本明細書の別の場所に以前に記述されたとおりRBC/ファージとインキュベートしたサンプルで実施する。 転写によるファージDNAの増幅のため、以下のRNA増幅手順を使用して、PCRを使用して実施されるものに類似の一連の実験を実施する。 すなわち、ファージ粒子を94℃に2分間加熱してファージコートを変性させかつ一本鎖ファージミドDNAを放出させる。 T7 RNAポリメラーゼは鋳型として二本鎖DNAを必要とするため、DNAポリメラーゼI、dNTPおよびD140/B140をクローン化するために使用されるNot Iを含有するリバースプライマーを使用して、RNA合成の間に第二鎖のDNAを合成する。 RNA増幅を開始するため、下述されるところの検出方法に依存して一方若しくは双方の分子ビーコン若しくはフルオレセイン−12−UTPの存在下でT7 RNAポリメラーゼを含有する増幅緩衝液(Zhangら、2001、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 98:5497−5502)を添加する。

    分子ビーコンを使用する増幅したファージDNAの検出のため、PCRアンプリコン形成およびRNA転写の間に、B−ビーコン(FAM標識)およびD−ビーコン(TAMRA標識)のステム・ループ構造が単独でおよび組合せでの双方で存在する。 陽性がバックグラウンドより最低2対数上の蛍光である陽性までの最短時間(最少PCRサイクル/RNA転写の最短時間)を決定する。 最初に、ファージの連続希釈、ならびに次いで抗原陰性および陽性のRBCを使用する結合実験を使用して感受性アッセイを実施する。 抗Bおよび抗Rh(D)との反応を多重化する能力を評価し、そして、各ビーコンの相対濃度、入力したファージ抗体の量、RBCの数、RBC/ファージインキュベーションの時間、および洗浄の回数を包含する多数の変数を滴定することを検査する。 加えて、RBCあたりの抗原コピー数の関数としての蛍光シグナルに対する影響を評価し(例えばRh(D)表現型R 、R 、R r、D 、部分的Rh(D)などを比較する)(Mollisonら、1997、Blood Transfusion in Clinical Medicine、第10版、Blackwell Scientific Publications、英国オックスフォード)、そして指数的(PCR)および直線的(転写)増幅を用いた抗原密度の定量を比較する。

    電場で増強されるオリゴヌクレオチドマイクロアレイ上の増幅されたファージDNAの検出のために、B−ビーコンおよびD−ビーコンのハイブリダイズするヌクレオチドに対応するオリゴヌクレオチドを合成し、そしてインジウムスズ酸化物被覆したスライドガラスにアレイヤーを使用して塗布する。 スライドガラスを加工し、蛍光標識したPCRアンプリコン若しくはRNA転写物とともにインキュベートし、そして記述されるとおり(Suら、2002、Electrophoresis 23:1551−1557)洗浄しかつScanArray 5000マイクロアレイスキャナーを使用して分析する。

    上述された分子ビーコン実験で採用したアプローチに類似に、最短時間での抗Bおよび抗Rh(D)に会合したファージDNAの検出は、類似のパラメータを変動させることにより至適化される。 各抗原を伴うおよび伴わないRBCが包含されるため、一方若しくは双方のファージ抗体を含む(またはいずれも含まない)試験サンプル、および複数のスポットをもつマイクロアレイ、S/N比の正確な評価を可能にすることができる多数の内的陽性および陰性対照が存在する。 以前の経験に基づき、サンプルをアプライした時点からハイブリダイゼーションおよび読み出しまで10分未満が必要とされることが推定される。

    慣例の分子クローニング方法が使用され、トラブルシューティングはわかりやすい。 さらに、B140/D140の導入から生じる抗体発現もしくは表示に対するいずれかの悪影響が存在することはありそうにない。 他のヌクレオチド配列がいかなる不利な影響も伴わずにpComb3XのNot I部位に成功裏にクローン化された。 さらに、必要若しくは所望の場合は、B140/D140(若しくは代替の一組の標識)をクローン化し得る他の便宜的な唯一の制限部位が存在する。 該アッセイの重要な特徴は使用される増幅/検出戦略の相対的な陽性までの時間であり、そしてそれはRBC表現型分類の多重化に力を貸す。 本明細書に開示されるPCR研究は感受性および特異性を示した。 転写手順は、直線的とは言え等熱増幅反応の単純さを提供し、そして、サンプルあたり10 〜10 鋳型DNAの入力を伴い、感受性は制限因子であることはありそうでないことができる。 事実、グルタールアルデヒドと結合させたオリゴヌクレオチド/モノクローナル抗体を用いる転写方法を利用する以前の研究は、細胞ライセート中のわずか数コピーの抗原を検出する報告された能力を伴い、ELISAアッセイおよび増強化学発光ウエスタンブロットアッセイよりもそれぞれ10 ないし10 11倍より大きい感受性を示した(Zhangら、2001、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 98:5497−5502)。

    さらに、本明細書に開示される方法は、限定されるものでないが、赤血球凝集素技術を使用する装置にとって最新技術とみなされるOlympus PK7200自動化分析機を挙げることができる機器を上回る非常に大きな改良を提示する。 これは、1時間あたり数百試料という報告されたスループットを伴い、本明細書に開示される方法が、陽性までの時間(RBC/ファージインキュベーション時間を包含する)が30分範囲内であり、反応が96ウェル形式で起こり、そして複数抗原の決定(多重化)が単一ウェル中で起こり得るために実行可能かつ究極的に優れたを表す。
    血清中の自己および同種抗体の検出 本アッセイは、慣習的抗グロブリン試薬についての抗グロブリンを発現するファージ粒子の置換、および該バクテリオファージ中に存在する既知の核酸配列の検出に基づき本明細書に開示されるところの結合されたファージ試薬の検出を伴い、標準的な間接的抗グロブリン検査(例えばMollison、1997、Blood Transfusion in Clinical Medicine、第10版、Blackwell Scientific Publications、英国オックスフォード中を参照されたい)に類似の様式で実施する。 簡潔には、既知の抗原組成の試薬赤血球の一団のメンバーをそれぞれ患者血清のアリコートともにインキュベートする。 細胞を洗浄して非特異的に結合した抗体を除去し、そしてその後、抗グロブリン試薬を表示するバクテリオファージと該細胞を接触させる。 抗グロブリン試薬は、所望の場合は全部のヒト免疫グロブリンアイソタイプに特異的、またはIgM若しくはIgGのような1クラスのみに特異的であり得る。 免疫血液学の分野で公知のアルゴリズムを使用して、一団の赤血球との血清の反応性のパターンに基づき、患者血清中に存在する抗赤血球抗体の特異性(1種若しくは複数)を決定する。
    赤血球上の抗体若しくは補体フラグメントの検出 本アッセイは、慣習的抗グロブリン試薬についての抗グロブリンを発現するファージ粒子の置換、および該バクテリオファージ中に存在する既知の核酸配列の検出に基づき本明細書に開示されるところの結合されたファージ試薬の検出を伴い、標準的な直接抗グロブリン検査(例えばMollison、1997、Blood Transfusion in Clinical Medicine、第10版、Blackwell Scientific Publications、英国オックスフォードを参照されたい)に類似の様式で実施する。 簡潔には、赤血球のサンプルを洗浄して非特異的に結合した抗体を除去し、そしてその後、その表面上に抗グロブリン試薬を表示するバクテリオファージと接触させる。 抗グロブリン試薬調製物はIgG、補体C3d若しくは双方に特異的な分子(例えば抗IgG抗体、抗C3d抗体、双方、など)を含み得る。 細胞と結合されるヒト抗体若しくは補体が存在する場合、バクテリオファージは該ファージにより表示される抗グロブリン試薬を介して結合する。 その後、(細胞上のヒト抗体若しくは補体との結合を介して)細胞と特異的に結合するファージの存在を、該バクテリオファージ中に存在する既知の核酸配列の検出に基づき本明細書に開示されるとおり検出する。
    ドナー/レシピエント適合性検査の実施 本アッセイは、慣習的抗グロブリン試薬についての抗グロブリンを発現するファージ粒子の置換、および該バクテリオファージ中に存在する既知の核酸配列の検出に基づき本明細書に開示されるところの結合されたファージ試薬の検出を伴い、標準的なクームス交差適合試験(例えばMollison、1997、Blood Transfusion in Clinical Medicine、第10版、Blackwell Scientific Publications、英国オックスフォード中を参照されたい)に類似の様式で実施する。 簡潔には、該方法はドナー赤血球のサンプルを患者血清サンプルと接触させることを含んでなる。 細胞を洗浄して非特異的に結合した抗体を除去し、そしてその後、その表面上に抗グロブリン試薬(例えば抗IgM若しくは抗IgG)を表示するバクテリオファージと細胞を接触させる。 不適合性の交差適合で真実であろうように、細胞と結合したヒト抗体が存在する場合は、該バクテリオファージは該ファージにより表示される抗グロブリン試薬を介して結合する。 (細胞上のヒト抗体との結合を介して)細胞と特異的に結合されるファージの存在は、バクテリオファージ中に存在する既知の核酸配列の検出に基づき本明細書に開示されるとおり検出される。

    本明細書に引用されるそれぞれのおよびすべての特許、特許出願および刊行物の開示はこれによりそっくりそのまま引用することにより本明細書に組み込まれる。

    本発明は特定の態様に関して開示された一方、本発明の他の態様および変形が本発明の真の技術思想および範囲から離れることなく当業者により考案されうることが明らかである。 付属として付けられる請求の範囲は、全部のこうした態様および同等な変形物を包含すると解釈されることを意図している。

    本発明を具体的に説明する目的上、本発明のある態様を図面に描く。 しかしながら、本発明は図面に描かれる態様の正確な配置および実装に制限されない。

    (A)ファージに表示される抗RBC抗体、(B)ファージDNAの増幅および(C)ファージDNAの検出の使用を具体的に説明する技術計画の図解の概略である。

    抗B(上)および抗Rh(D)(下)ファージに表示されるヒトモノクローナルRBC抗体の図解の略図である。

    多重ファージ抗体アッセイにおける血液型BおよびRh(D)抗体のRBCの表現型分類を描く像である。 4種の可能なRBC表現型(血液型B抗原に対し陽性若しくは陰性およびRh(D)抗原に対し陽性若しくは陰性)を、ファージに表示される抗B単独、抗Rh(D)単独、抗Bおよび抗Rh(D)一緒若しくは緩衝液とともにインキュベートした。 未結合のファージ試薬を洗い落とした後に、RBCを抗M13ファージ抗体に再懸濁し、細胞懸濁液のアリコートを取り出し、水で200倍希釈し、そして2マイクロリットルの希釈したファージ/溶解RBCをPCRにかけた。 抗M13に再懸濁したRBCサンプルの均衡をマイクロタイタープレートのウェル中に置き、そして本明細書の別の場所に記述されるとおり(例えばSiegelら、1997、J.Immunol.Meth.206:73−85)凝集反応についてアッセイした。 凝集反応(上図、大型の架橋した細胞ペレットを含むウェル)は適切な抗体/細胞表現型の組合せでのみ期待されたとおり起こることに注目されたい。 最も注目すべきは、適切な抗体配列のみが検出され(血液型B抗原を発現したRBCと1600−bpの産物;Rh(D)抗原を発現したRBCと1000−bpの産物)、また、検出可能なバックグラウンドは存在しなかった(すなわち、A若しくはB型抗原を発現しないO型RBCを伴う抗B DNA産物なし;およびRh(D)陰性細胞を使用して抗Rh(D)DNA産物は検出されなかった)。 挿入物のPCR増幅のため、フォワードプライマー(「5'LC」)は後に続くとおりであり:5'−AAGACAGCTATCGCGATTG−3'(配列番号1);また、リバースプライマー(「GBACK」)は後に続くとおりであった:5'−GCCCCCTTATTAGCGTTTGCCATC−3'(配列番号2)。

    図4Aおよび4Bを含んでなり、抗Bを発現するファージ粒子(図4A)および抗Rh(D)を発現するファージ粒子(図4B)の多様なファージミド構築物を具体的に説明する図を描く。 該図は、20bpのT7 RNAポリメラーゼプロモーター部位の下流の抗Bファージミド(「B140」)若しくは抗Rh(D)ファージミド(「D140」)中への大きさが約140塩基対(より具体的には142bp)の挿入物のクローニングを具体的に説明する。 該142bpの挿入物は、B若しくはRh(D)特異的分子ビーコンまたはマイクロアレイ化オリゴ(それぞれ「Bビーコン/オリゴ」および「D−ビーコン/オリゴ」)がハイブリダイズする内部の33bpの領域を除き同一である。 B140およびD140は、同一組のオリゴヌクレオチドプライマー(「PCR−F」および「PCR−R」)を用いるPCRにより増幅し得るか、若しくはT7 RNAポリメラーゼを使用して転写し得る。 「B140」挿入物の配列は5'−TGCTATGTCACTTCCCCTTGGTTCTCTCATCTGGCCTGGTGCAATAGGCCCTGCATGCACTGGATGCACTCTATCCCATTCTGCAGCTTCCTCATTGATGGTCTCTTTTAACATTTGCATGGCTGCTTGATGTCCCCCCACT−3'(配列番号3)であり、また、「D140」挿入物の配列は5'−TGCTATGTCACTTCCCCTTGGTTCTCTCATCTGGCCTGGTGCAATAGGCCCTGCATGCACTGGATGCACTCTGTTTTACCTCATTATCCTTCTGCCAGCGCTAGCTTTTAACATTTGCATGGCTGCTTGATGTCCCCCCACT−3'(配列番号4)である。 フォワードPCRプライマー(「PCR−F」)は:5'−TGCTATGTCACTTCCCCTTGGTTCTCT−3'(配列番号5)であり、かつ、リバースPCRプライマー(「PCR−R」)配列は:5−AGTGGGGGGACATCAAGCAGCCATGCAAAT−3'(配列番号6)である。 BビーコンおよびDビーコン配列は後に続くとおりであり、蛍光誘導体および幹構造を小文字で示す。 「Bビーコン」配列は後に続くとおりである:6−FAM−gcgagcATCCCATTCTGCAGCTTCCTCATTGATGGTCTCgctcgc−DABCYL(配列番号7)。 「Dビーコン」は:TAMRA−cgagcGTTTTACCTCATTATCCTTCTGCCAGCGCTAGCgctcgc−DABCYL(配列番号8)である。 ビーコン配列中の大文字は、ビーコンがアニーリングするB140およびD140中のそれぞれの配列を表す。 従って、大文字はDNAアレイ検出に使用されるオリゴヌクレオチドの配列である。 すなわち、B−オリゴは:5'−ATCCCATTCTGCAGCTTCCTCATTGATGGTCTC−3'(配列番号9)であり、また、「D−オリゴ」は:5'−GTTTTACCTCATTATCCTTCTGCCAGCGCTAGC−3'(配列番号10)である。

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