How to choose a method for manufacturing and protein from the bottom of the protein library

申请号 JP2003532674 申请日 2002-09-27 公开(公告)号 JP2005503826A 公开(公告)日 2005-02-10
申请人 ドイチェス クレブスフォルシュンクスツェントルム スチフトゥング デス エッフェントリヒェン レヒツ; 发明人 キュールヴァイン,トルステン; ブライトリンク,フランク; ポウストカ,アンネマリー; モルデンハウアー,ゲルハルト; ザンドラ リュットガウ,;
摘要 本発明は、高度に多様なタンパク質ライブラリー、特に 抗体 ライブラリーの作製方法、および該ライブラリーからタンパク質、特に抗体を選択する方法に関する。
权利要求
  • (a) 最初に、特異的組換えシグナルを、細胞の少なくとも1つの染色体遺伝子座に導入する工程;
    (b) 改変として、該遺伝子座において該特異的組換えシグナルを示すように改変された少なくとも1つの細胞を増殖させる工程;
    (c) 各々が特異的組換えシグナルと隣接する少なくとも2つの異なるDNA配列を、増殖させた細胞にトランスフェクトする工程;ならびに(d) 該特異的組換えシグナルおよびそれに特異的なリコンビナーゼによって、該増殖させた細胞の該遺伝子座内に該少なくとも2つの異なるDNA配列を組み込む工程、
    を特徴とし、少なくとも2つの細胞が形成され、それぞれが、遺伝子座に組み込まれた異なるDNA配列によりそれぞれコードされる異なるタンパク質を発現し、発現されたタンパク質が、それらを発現する特定の細胞の表面に結合している、タンパク質産生真核生物細胞のライブラリーの作製方法。
  • 工程(a)において、組換えシグナルの導入が、特定の遺伝子座でトランスフェクトDNAの相同組換えにより起こり、トランスフェクトDNAの組換えシグナルは細胞の特定の遺伝子座に相同な領域に隣接し、工程(b)において、相同組換えにより改変され、改変として遺伝子座に特異的組換えシグナルを有する細胞の少なくとも1つを増殖させる、請求項1記載の方法。
  • (a) 最初に、特異的組換えシグナルを、細胞の少なくとも1つの染色体遺伝子座に導入する工程;
    (b) 改変として、該遺伝子座において該特異的組換えシグナルを示すように改変された少なくとも1つの細胞を増殖させる工程;
    (c) 各々が異なるvH遺伝子、vλまたはvκ遺伝子を含有し、特異的組換えシグナルと隣接する複数の異なるDNA配列を、増殖させた細胞にトランスフェクトする工程;ならびに(d) 該特異的組換えシグナルおよびそれに特異的なリコンビナーゼによって、該増殖させた細胞の該遺伝子座内に該複数の異なるDNA配列を組み込む工程、
    を特徴とし、複数の細胞が形成され、それぞれが、遺伝子座に組み込まれた異なるDNA配列によりそれぞれコードされる異なる抗体を発現し、発現された抗体が、それらを発現する特定の細胞の表面に結合している、抗体産生真核生物細胞のライブラリーの作製のための請求項1または2記載の方法。
  • 組換えシグナルがloxP、FRTまたはattシグナルである、請求項1〜3いずれか記載の方法。
  • 真核生物細胞が哺乳動物細胞またはハイブリドーマ細胞である、請求項1〜4いずれか記載の方法。
  • 哺乳動物細胞が新生物リンパ球もしくはその前駆体、白血病細胞または悪性リンパ腫細胞である、請求項5記載の方法。
  • vH遺伝子、vλ遺伝子および/またはvκ遺伝子がヒト遺伝子である、請求項3〜6いずれか記載の方法。
  • 異なるDNA配列が異なるT−αレセプター遺伝子またはT−βレセプター遺伝子を含有する、T細胞レセプター産生細胞のライブラリーの作製のための、請求項1、2および4〜7いずれか記載の方法。
  • 異なるDNA配列がスプライスシグナルにより異なるゲノムエキソンをコードする、エキソン発現細胞のライブラリーの作製のための、請求項1〜8いずれか記載の方法。
  • 遺伝子座が抗体遺伝子座であり、活性なvH遺伝子、vλ遺伝子またはvκ遺伝子を含有する、請求項3〜7いずれか記載の方法。
  • 遺伝子座がT細胞レセプター遺伝子座であり、活性なT−α、T−β、T−γまたはT−δレセプター遺伝子を含有する、請求項8記載の方法。
  • 抗体が、これを発現する細胞の表面に共有結合しているモノクローナルヒト抗体である、請求項3〜7、10および11いずれか記載の方法。
  • 特定の細胞により発現されたモノクローナルヒト抗体が、これを発現する細胞の表面に、IgG、IgM、IgA、IgDまたはIgEの定常ドメインを優先的にスプライシングすることにより共有結合している、請求項12記載の方法。
  • 増殖させた個々の細胞あたり10 2より多い異なる細胞が得られ、各々が異なるタンパク質を発現する、請求項1〜13いずれか記載の方法。
  • 特異的組換えシグナルに隣接する、細胞の特定の遺伝子座に相同なトランスフェクトDNA領域が、少なくとも400塩基対を含む、請求項3〜14いずれか記載の方法。
  • イントロンが、IgG、IgM、IgA、IgDまたはIgE遺伝子のM1エキソンの前で5'末端方向に50塩基対より多く短縮されている、請求項11〜15いずれか記載の方法。
  • 細胞表面に提示される細胞を複数の異なるDNA配列でトランスフェクトした後、特定の細胞で発現され、その表面に結合したタンパク質を、可能な限り最大のタンパク質多様性を伴う細胞集団を形成するように複数の異なる細胞から集積する、請求項1〜16いずれか記載の方法。
  • 各々がリコンビナーゼの認識部位に隣接する遺伝子座内の異なるDNA配列を用いるトランスフェクション工程において、対応するリコンビナーゼをコードする発現可能なDNA配列を有するDNA配列もまたトランスフェクトおよび/または活性化される、請求項1〜17いずれか記載の方法。
  • 請求項1〜18いずれか記載の方法により得ることができるタンパク質産生真核生物細胞のライブラリー。
  • 抗体産生真核生物細胞のライブラリーである、請求項19記載のライブラリー。
  • 請求項20記載のライブラリーを抗原とともにインキュベートし、次いで、表面上に抗原が結合した細胞を単離することを特徴とする、所望の特異性を有するモノクローナル抗体の単離方法。
  • これに関連して高親和性抗体を単離することをさらなる特徴とする、請求項21記載の方法。
  • 高親和性抗体の単離の前に、種々の抗体遺伝子内の変異の導入が行われる、請求項22記載の方法。
  • 細胞を、RAD54、polX muおよび/またはRecQ4をコードするDNA配列を発現する発現ベクターでトランスフェクトする、請求項23記載の方法。
  • 細胞を、遺伝子RAD51B、XRCC2またはXRCC3に相補的なアンチセンスRNAまたはsiRNAを発現する発現ベクターでトランスフェクトする、請求項23または24記載の方法。
  • 細胞を、それぞれが特異的組換えシグナルに隣接し、誤りがちなPCRにより得られた複数のDNA配列でトランスフェクトする、請求項23〜25いずれか記載の方法。
  • (a) ヒト定常IgG、IgM、IgA、IgDまたはIgEドメインの1つ以上をコードするDNA配列をハイブリドーマ細胞株にトランスフェクトする工程;
    (b) ヒト定常IgG、IgM、IgA、IgDまたはIgEドメインのDNA配列を、ハイブリドーマ細胞の、抗体の重鎖をコードする、活性遺伝子座の定常ドメインに隣接する染色体遺伝子領域に相同なDNA配列と隣接させる工程;
    (c) 相同組換えによって、ヒト化定常部分を有するIgG−、IgM−、IgA−、IgD−またはIgE−重鎖を発現する1種の細胞またはいくつかの細胞のみを増殖させる工程;
    (d) ヒト定常κまたはλドメインをコードするDNA配列をハイブリドーマ細胞株にトランスフェクトする工程、ここで、このDNA配列は、ハイブリドーマ細胞の活性なκまたはλ遺伝子座のκまたはλ定常ドメインに隣接する染色体遺伝子領域に相同なDNA配列に隣接する;
    (e) 続いて、相同組換えによって、ヒト化定常部分を有するκまたはλ鎖を発現する1種の細胞またはいくつかの細胞のみを増殖させる工程、
    を特徴とし、抗体重鎖の膜結合スプライシングバリアントの共有結合によって、発現された抗体が、ヒト化抗体定常ドメイン提示細胞を証明および選択するように、それらを発現する特定の細胞の表面上に結合している、ハイブリドーマ細胞のヒト化方法。
  • 最初に抗体軽鎖の定常ドメインを、次いで、抗体重鎖の定常ドメインをヒト化する、請求項27記載の方法。
  • 抗体重鎖の定常ドメインのみ、または抗体軽鎖の定常ドメインのみをヒト化する、請求項27記載の方法。
  • イントロンが、IgG、IgM、IgA、IgDまたはIgE遺伝子のM1エキソンの前で5'末端方向に50塩基対より多く短縮されている、請求項27〜29いずれか記載の方法。
  • さらなるタンパク質コードDNA配列がヒト化定常ドメインに融合されている、請求項27〜30いずれか記載の方法。
  • さらなるタンパク質コードDNA配列が、リンカー配列および単鎖抗体をコードしており、抗体軽鎖の定常ドメインにC末端で融合している、請求項31記載の方法。
  • トランスフェクトDNAの相同領域が、ハイブリドーマ細胞の特定の抗体遺伝子座に少なくとも400塩基対より多い範囲にわたる、請求項27〜32いずれか記載の方法。
  • 相同組換えの場合において、相同組換え事象を選択するために使用される細胞内に耐性マーカーが導入されない、請求項27〜33いずれか記載の方法。
  • 請求項1〜34いずれか記載のDNA配列を1つ以上含有してなるベクター。
  • 請求項35記載のベクターを含有してなる宿主細胞。
  • 说明书全文

    【0001】
    本発明は、大きな多様性を有するタンパク質ライブラリーの製造方法およびそこからタンパク質、特に、所望の特異性を有するヒトモノクローナル抗体を選択する方法に関する。
    【0002】
    特に治療剤として、高い収率で、かつ良好なヒト適合性を有する所望の特異性を有する抗体を得るために多数の試みが既になされており、個々の方法が下記で手短に説明される。
    【0003】
    ハイブリドーマ抗体。 70年代、KoehlerおよびMilsteinは、抗体を得る方法、すなわち、ハイブリドーマ法(KoehlerおよびMilstein, 1975, Continuous cultures of fused cells secreting antibody of predefined specificity. Nature, 256, 495-497)を開発した。 これは、最初に、実験動物(通常、マウスまたはラット)の免疫を必要とする。 次いで、脾臓またはリンパ節が取り出され、そこにある多数のBリンパ球(抗体産生細胞の最初の段階)が収集される。 「その」個々の遺伝子再配列のために、全てのBリンパ球は単一の結合特異性のみを有する抗体を産生する。 これらのBリンパ球の子孫、すなわち、Bリンパ球クローンは、この結合特異性の抗体のみを産生する。
    【0004】
    免疫化された動物の脾臓から得られた細胞のいくつかは、所望の特異性を有する抗体を産生する。 それらをインビトロで製造することを可能にするために、Bリンパ球は、細胞培養において操作されなければならない。 これは、それらとミエローマ細胞、血漿細胞腫瘍の子孫とを融合することにより達成される。 得られたハイブリドーマ細胞は、両方の融合パートナーの特性を示す:一方で、それらは、癌細胞の不死性を有し、他方でそれらは、Bリンパ球パートナーの特定の抗体を生じる。 個々のハイブリドーマ細胞の子孫(すなわち、そのクローン)は、この規定された特異性を有する抗体を生じる。 従って、それらはまた、モノクローナル抗体と言われる。 ハイブリドーマの産生方法は、図解により図1に示される。 ポリクローナル抗体と比べたモノクローナル抗体の利点は、それらが原則的に無限の量で不死細胞を生じうるからである。
    【0005】
    欠点:前者のハイブリドーマ法においては、マウスは免疫化され、次いでマウスBリンパ球はミエローマ細胞株と融合される。 その後、このようにして形成されたハイブリドーマ細胞は、個々の細胞クローンとして別々に増殖し、個々のクローンの上清は所望の特異性を有する抗体について検索される。 次いで、同定された個々のクローンは、第2の選択の実行において直ちにサブクローン化されなければならない。 なぜなら、それらはこの期間の間、遺伝学的に不安定であるからである。 この方法は非常に時間がかかり、その結果、最終的な解析において、最大数千のハイブリドーマクローンが所望の特異性について試験されうる。 この技術により、ハイブリドーマライブラリーを樹立し、スクリーニングすることはやや制限される。 結果として、この方法を自動化することは非常に困難である。 この従来の方法は、ヒト抗体の産生を許容しない。
    【0006】
    ヒトハイブリドーマ抗体を産生するマウス株。 特別なケースは、トランスジェニックマウスから得られうるヒトハイブリドーマ抗体であり、ここで自身の免疫グロブリン遺伝子座は、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の一部により置換された(Jakobovits, 1995, Production of fully human antibodies by transgenic mice. Curr Opin Biotechnol 6, 561-566; LonbergおよびHuszar, 1995, Human antibodies from transgenic mice. Int Rev Immunol. 13, 65-93; Kucherlapatiら、 米国特許第6,114,598号: Generation of xenogeneic antibodies)。 ヒト抗体遺伝子は再配列され、クラススイッチを通過し、体細胞が過剰変異される。 従って、これらのトランスジェニックマウスは、(ヒトハイブリドーマ細胞とは対照的に)安定なマウスハイブリドーマを生じるマウス細胞においてヒト抗体を産生する。
    【0007】
    欠点:ヒト抗体は、この技術により産生されうるが、上記で考察したハイブリドーマ技術と同様に時間がかかり、高価であり、複雑である。 産生されたトランスジェニックマウス株の実際の特性に関して現在までほとんどわかっていない。 これは、ヒト化抗体と他のマウスシグナルとの間の相互関係は障害を起こすのか? どのような特性がマウスの免疫応答を有するのか? 抗体遺伝子機能がマウスゲノムにどれほどあるのか? 等の疑問を含む。 この理由のために、これらの「ヒト化マウス」は、そこにある予想を満たしうるかがまだ明らかではない。
    【0008】
    ヒト化ハイブリドーマ抗体。 治療目的でありうる複数のマウスハイブリドーマ抗体は既に利用可能である。 しかし、その治療用途で問題になるのはマウス起源であることである。 なぜなら、外来種由来のタンパク質は、ヒト免疫系により異質であると認識されるからである。 これはマウス抗体にもあてはまる。 いわゆる、「HAMA」免疫応答(ヒト抗マウス抗体)が起こる。 数日内にヒト免疫系系により形成されるこれらの抗体は、通常、治療に使用されるマウス抗体を中和し、それを無効にする。 また、繰り返し治療は、非常に制限された程度でのみ可能である(Courtenyl-Luckら、1986, Development of Primary and Secondary Immune Responses to Mouse Monoclonal Antibodies Used in the Diagnosis and Therapy of Malignant Neoplasms. Cancer Res. 46, 6489-6493; Lamersら、1995, Inhibition of bispecific monoclonal antibody (bsAb) targeted cytolsis by human anti mouse antibodies in ovarian carcinoma patients treated with bsAb targeted activated T lymphocytes. Int J Cancer 60, 450-457)。
    【0009】
    HAMA抗体の大多数は、定常抗体部分に指向し、それゆえ抗体キメラの産生が望ましい。 後者は、可変マウス抗体ドメイン、続いてヒト由来の定常抗体ドメインを含む。 この目的のために、ヒト抗体遺伝子は、最初にクローニングベクターに挿入される(Wrightら、1992, Genetically engineered Antibodies: Progress and Prospects. Critical Rev Immunol. 12, 125 168)。 個々の抗体ドメインは、ペプチド鎖により相互接続するコンパクトな折りたたみユニットを形成する。 抗体機能の障害の可能性は、全抗体ドメインが交換された場合、最小である。 PCRの発明により、いかなる問題もなく、キメラcDNAを作製することが可能である。 なぜなら、塩基まで下がるクローニングは、この方法により実質的に単純化されるからである。 得られたキメラ抗体はなおも、抗原に対して特異的に結合する。 さらに、HAMA応答は顕著に減少する。
    【0010】
    しかし、別の事実がHAMA応答よりも重要である: 定常ドメインは、現在、ヒトに由来するので、これらのキメラ抗体はまた、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)または補体活性化等のヒト免疫系のいくつかのヘルパー機能を活性化するために顕著に良好である。 別の理由により、これらのヒト化抗体のいくつかは既に臨床で使用されている(McLaughlinら、1998, Clinical Status and optimal use of Rituximab for B-cell lymphomas. Oncology 12, 1763-1777)。
    【0011】
    欠点:既に存在するハイブリドーマ抗体のヒト化はまた、非常に困難であり、時間がかかる。 このようにして産生されたハイブリドーマの安定性はしばしば問題を生じる:細胞が変異するか、またはそれらはいくらかの抗体のみを培地に分泌する。
    【0012】
    相同組換えによるヒト化。 米国特許第5,202,238号は、モノクローナルマウス抗体がヒト化されうる方法を記載している。 この方法は、いわゆる「相同性組換え」に焦点を当てている。 ここで、適切なゲノムマウス配列に隣接するヒト配列が適切な位置で活性な抗体部位に組換えられる。 この方法の主要な利点は、抗体部位の良好な抗体産生に関して最適化されたシグナルがほとんど維持されることである(Yarnold and Fell, 1994, Chimerization of antitumor antibodies via homologous recombination conversion vectors. Cancer Research 54, 506-512; Fellら、1989, Homologous recombination in hybridoma cells: heavy chain chimeric antibody produced by gene targeting. PNAS 86, 8507-8511)。
    【0013】
    欠点:ハイブリドーマの産生と同様に、この方法は、単一のヒト化ハイブリドーマを単離するために多くの作業を必要とする。 数千のクローンがそのために培養され、別々に解析されなければならない。 別の欠点は、使用される選択マーカーから生じる:これは、多数の復帰変異体(そこに組換えられたヒト抗体座が逆反応において再び切り出される)および/または発現レベルの機能障害を明らかに生じる(Bakerら、1994, J.Immunological Methods 168, 25-32)。 さらに、挿入された耐性遺伝子は、それらがIgGのCH3エキソンとM1エキソンとの間のイントロンに挿入されると抗体の表面提示を妨げる。
    【0014】
    組換え抗体。 この数年に、抗体断片の産生のための遺伝子操作法に基づく可能性が、組換え抗体の構築によって開かれた(Breitling and Duebel, 1997, "Rekombinante Antikoerper" [recombinant antibodies], Spektrum-Verlag ISBN 3-8274-0029-5)。 ここで、抗体はもはや実験動物(またはヒト器官)では産生されず、細菌または細胞培養物においてインビトロで産生され、焦点は抗体の抗原結合部分に当てられている。 通常、抗体分子の残りは、より大きな収量の利点により調製される。 勿論、これらの断片は、もはや天然の抗体の全ての機能を有し得ない。 しかし、それらは、酵素または他の抗体と比較的単純な方法で融合されうる。 従って、これらの組換え抗体は、完全に新しい特性を有する。 用語「組換え抗体」は、遺伝子操作によりインビトロで産生された抗体断片について樹立されており、そうでなければその抗原特異性により排他的に定義される。
    【0015】
    欠点:組換え抗体は、定常抗体部分、従って多くの治療アプローチに必須なエフェクター機能を欠失する。 このため、新規に発見された「抗体頭部」は多くの適用のために真核生物発現ベクターに「移植」され、すなわち、上記の大きな労働を要する方法が使用される。 生じる実験作業に沿って、乏しい発現が生じる。 なぜなら、細菌系は、真核生物系で好まれるコドンとは異なるコドンを好むからである。 別の欠点は、通常使用される「単鎖」抗体(svFv)の特性から生じる:それらは、通常、やや不安定であり、容易に凝集する。 さらに、多くの可変ドメインが大腸菌プロテアーゼにより明らかに攻撃される。 従って、公開されたscFv抗体ライブラリーの複雑さ(10 11まで)はまた、注意を払わなければならない。 上記の問題に加えて、これらのライブラリーはさらにまた、明らかに多数のクローニングアーチファクトを含む。 これは、次に、選択されたクローンが、最後の4回の選択実行後に、ほとんど排他的にアーチファクトを表すことを意味する。 別の欠点は、所望の抗体を得るために通常1回より多くの選択実行が必要である事実である。 このために、ファージ当たり約0.1 scFvの抗体しかファージ表面に提示されない。 提示される抗体に依存して、この値が広範に変化する可能性が高い。 別の欠点は、個々のクローンの同定(すなわち、選択されたクローンが実際に抗体を産生するのか?)が、やや時間がかかり、費用がかかる様式でチェックされなければならないことである。
    【0016】
    ハイブリドーマ細胞の表面上の抗体の提示。 この技術は、上記のハイブリドーマ技術に基づく。 しかし、それとは対照的に、後者は、細胞表面に大量の抗体結合タンパク質(例えば、タンパク質G)を固着する安定なミエローマ細胞株を使用(および産生)する(Breitlingら、1999, Selektion von monoklonalen Antikoerpern [selection of monoclonal antibodies]. DE 199 00 635 A1. 出願番号PCT E00/00079のPCT出願)。 これは、モノクローナルハイブリドーマのクローニングおよびサブクローニングから生じる作業の大部分を回避するのに役立つ。 その代わりに、所望の抗体特異性は、FACS選別機において、またはマグネットビーズを用いてハイブリドーマのプールから単離され得る。 なぜなら、産生された抗体は結合の結果として細胞表面上の上記抗体結合タンパク質に固着されるからである。
    【0017】
    欠点:この技術は、個々の抗体特異性を選択するために必要とされる時間のかかる作業の一部を省くだけである。 マウスはなおも、免疫されなければならず、マウスBリンパ球は、次いで、ミエローマ細胞株と融合されなければならない。 これは、比較的乏しい効率で行われる:わずか100〜500個の種々のハイブリドーマが、通常、融合およびマウス当たりに生じる。 このようにして形成されたハイブリドーマ細胞はまた、存在する抗体の数に関して所望されない高い可変性を有し、これは、FACS選別機における選択を強く損なう。 さらに、種々の抗体特異性間のクロストークが、表面上の非共有結合抗体固着のために生じる。 結果として、種々のハイブリドーマ細胞は、表面上に「その」特異的抗体だけでなく、他のハイブリドーマ細胞により培地に放出された他の抗体特異性をも提示する。 この方法はまた、時間がかかるので、最終的な解析では、最大、数万の種々のハイブリドーマのみが作製されうる(次いで、所望の特異性について試験されうる)。 従って、この技術によりハイブリドーマライブラリーの樹立およびスクリーニングが制限される。 これはまた、この方法の自動化にもあてはまる。 さらに、この技術はまた、ヒト抗体の産生が可能ではない。
    【0018】
    特異的組換えによるカセット交換。 その間に、真核生物細胞内でのDNA部位特異的組換えを可能にする多数の方法が存在する(例えば、Sauer, 米国特許4,959,317号:Site-specific recombination of DNA in eukaryotic cells: Leboulchら、米国特許5,928,914号:"Methods and compositions for transforming cells; Fengら、1999, Site-specific chromosomal integration in mammalian cells: highly efficient CRE recombinase-mediated cassette exchange.J.Mol.Biol. 292, 779-785)。これらの方法は全て、特異的なDNA配列を認識し、それらを他のDNA配列で組換えるリコンビナーゼ(例えば、Flp、Cre、Int等)を使用する。これらの方法の特徴は、これらの方法によりインビトロおよびインビボで達成されうる特異的組換え事象のしばしばやや高い効率である。これらの方法は、例えば、クローニング補助(インビトロでのDNAカセットの交換)として、また生存する細菌、生存する真核細胞において、さらにトランスジェニックマウスにおいて組換えのためにインビボで適用される。
    【0019】
    欠点:表面発現および続くモノクローナル抗体の選択と組み合わせた真核細胞の抗体遺伝子のカセット交換は記載されていない。
    【0020】
    従って、本発明の基礎となる技術問題は、所望の特異性を有する、タンパク質ライブラリー、好ましくは抗体ライブラリーを樹立するための方法、および/またはタンパク質、好ましくは抗体を選択するための方法の提供であり、これは上記の前者の方法の欠点を含まない。 この方法はまた、例えば、異なるT細胞レセプターのライブラリーの樹立を含むはずである。 特に、この方法は、組換え抗体技術およびハイブリドーマ抗体技術の利点を併用する:
    可能であれば、選択工程の間の高いシグナル強度と関連して(例えば、各細胞が同種の多数の抗体を提示するので)、非常に多数の種々の抗体(より一般的には:タンパク質)からの特異的反応性の単純な選択;
    例えば、抗体軽鎖と単鎖抗体との融合(二重特異性抗体)または別のタンパク質部分との融合(Michael W. Fanger. Springer Verlag, 1995, ISBN 3-540-58885-XによるBispecific antibodiesをまた参照)等の発現される遺伝子の比較的に単純な修飾;
    特に培養培地に放出されたバリアントによる、診断または治療目的用の良質な選択された大量の抗体(タンパク質)の産生、および結果として、選択された細胞株またはサブライブラリーの単純な確認および特徴づけ。
    【0021】
    この技術課題は、特許請求の範囲に特徴づけられた態様を提供することにより解決される。 特定のタンパク質(例えば、モノクローナル抗体)を産生する細胞の選択は、本発明により加速されうる。 所定の特異性について検索されうる細胞の数は、本発明の方法により数オーダーで生じうる。 タンパク質(抗体)は、ここで単一の選択実行において選択される。 これは、細胞表面に提示された多数のタンパク質(抗体)により、さらに特定の細胞により提示される比較的均一な数のタンパク質(抗体)により可能になる。 種々の抗体特異性に関する検索は、本発明による方法により産生される抗体ライブラリーにより容易に実行されうる。 さらに、これは、モノクローナル抗体の適用の巨大な範囲をより良好に使用するためにモノクローナルで発現された抗体に関する検索の自動化を可能にする。 次いで、これは、疾患の治療においてヒトまたはヒト化抗体の明らかに大きい潜在力のより良好な使用を可能にする。 モノクローナルハイブリドーマ抗体の上記の単純化された選択は、組換え抗体と比較して優れた質も有する、多量のモノクローナル抗体を産生する細胞クローンを生じる。 さらに、細胞の選択は、挿入される耐性マーカーなしで実行され得、それらが改変された遺伝子産物の発現および多くの場合、生じる細胞株の安定性を同時に明らかに損なうのでこれは有利である。 例えば、CH3エキソン(適切な場合、CH4エキソン)とM1エキソンとの間の耐性マーカーの組み込みは、抗原特異的抗体の表面発現のために特に単純な選択を妨げるように、膜結合スプライシングバリアントが、それらを提示する細胞の表面に抗体を固着させないように妨げる(図2)。 さらに、本発明の1つの態様は、マウスハイブリドーマの単純なヒト化を可能にし、従って、例えば、等価な抗原特異性および異なるFc部分を有する広範なモノクローナル抗体の樹立をも可能にする。 この局面のために、ヒト治療剤の比較的単純な製造のためにモノクローナルマウス抗体の分野の膨大な予備研究を使用することができる。
    【0022】
    本発明による方法は、大きく、細胞間で比較して、高度に均一な数の抗体が真核生物細胞の表面に共有結合的に結合し、従って細胞間で比較可能なシグナルが予想されうるという事実に基づく。 従って、特異的な抗体は、比較的容易な方法で複数の細胞から提示細胞と共に選択されうる。 この選択は、モノクローナル抗体を得るために役立つ。 抗体提示細胞の群は真核生物細胞の再構築により得られる。 抗体提示細胞の群は、真核生物細胞の再構築により得られる。 これは、いくつかのホモログ(図3、4、7および8)および次々と起こる特定の(図5、6、および9)組換え事象によって特に行われる。 特に、マウスハイブリドーマ細胞(図3)がこの目的に使用される。 あるいは、例えば、ヒトミエローマ細胞株はまた、連続的な(sequential)ホモログ組換えの基礎として使用されうる(図4)。 これは、マウス細胞により産生される抗体のグリコシル化により、ヒト細胞との比較においてわずかな差異が回避されるというさらなる利点を有する。 しかし、他の安定な細胞株、特に、T細胞リンパ腫などの所定の遺伝子産物を大量に産生する細胞株を使用することも可能である。 広範な抗体種は、本発明の方法により得られる(図5、6、9)。 本発明の別の要素は、以前に生じた多様性から個々の細胞の選択を可能にする。 これは、抗体の表面提示により可能になる(図2、9、10)。 しかし、以前に使用される技術とは対照的に、これは、(a)好ましくは、細胞表面上の抗体の共有結合により、および(b)真核生物細胞、好ましくは哺乳動物細胞により行われ、以前に使用された技術の上記したいくつかの欠点が回避される。
    【0023】
    特別な態様では、本発明の方法は、特に、増大した親和性により抗原に結合しうる抗体を選択するために、提示される抗体(および遺伝子)の体細胞過剰変異に従う。 この目的のために、例えば、抗体遺伝子座の関係において、特に、アンチセンスRNAまたはsiRNAを発現するベクターと組み合わされて、RAD54、RecQ4およびDNAポリメラーゼpolX muの発現ベクターがXRCC2、XRCC3またはRAD51VBに対して使用されうる(図11)(Martinesら、(2002), Cell 110, 563、以下参照;Elbashirら、(2001), Nature 411, 494-498)。 あるいは、例えば:
    複数の非指向性変異が、誤りがちな(error-prone)PCR、特に、すでに予め選択された可変性抗体遺伝子に導入される:
    複数のこれらの変異可変性抗体遺伝子が、特異的組換えシグナル(図5、6)により抗体部位に組換えられる;および表面上のより高い親和性の抗体を提示する細胞が、例えば、FACSにおいて続いて選択される(図10)。
    【0024】
    ここで、非指向性変異は、例えば、Stemmer(1994, Nature 370, 389-391)により開発された方法に合わされうる。 しかし、以前に選択された抗体産生細胞において、抗体鎖の可変ドメインを、特異的組換えシグナルにより多数の他の可変ドメインに単純に交換し(図5、6、9)、次いでより親和性が高い(affine)バリアントを選択することもできる。 従って、本発明の方法は、インビトロでの体細胞過剰変異、続いてより親和性が高い抗体の選択を可能にするいくつかの可能性を示す(図10、11)。
    【0025】
    要約すると、本発明の方法は以下の利点を有する:例えば、モノクローナル抗体の供給源として、高度に複雑なライブラリーの作製(図6、9)、および特に高度に親和性が高いヒトモノクローナル抗体の単純な選択(図10、11)が可能である。 同時に、かかる選択の成功の機会が増大しうる。 シグナル強度は、大きく、やや均一な数の存在する抗体により特異的なモノクローナル抗体に関する検索において顕著に増大しうる。 本発明の方法により高収量で得られ得るヒト高親和性モノクローナル抗体は、例えば、腫瘍診断剤および腫瘍治療剤として使用されうる。 さらに、他のタンパク質または個々のタンパク質ドメイン、特にエキソンは、これらの提示されたタンパク質断片の結合パートナーに関して特に単純な検索が可能であるように、抗体の代わりに「その」特定の細胞の表面上に提示されうる。
    【0026】
    略号Ag8 骨髄腫細胞株X63AG8.653
    抗体ライブラリー 複数(>100)の抗体産生細胞および/またはその対応する抗体遺伝子およびタンパク質抗体データベース 抗体ライブラリー参照bla β−ラクタマーゼ、遺伝子Bp,bp 塩基対抗原 抗体に特異的に結合するリガンド;また、本発明の意味の範囲において、特異的に結合するリガンド抗体 抗原に特異的に結合するタンパク質;また、本発明の意味の範囲において、より一般的には、リガンド特異的に結合するタンパク質cH 抗体重鎖の定常ドメイン、遺伝子CH1 第一免疫グロブリン定常ドメイン(IgG,IgA,IgE,IgD,IgM)のエキソンCH2 第二免疫グロブリン定常ドメイン(IgG,IgA,IgE,IgD,IgM)のエキソンCH3 第三免疫グロブリン定常ドメイン(IgG,IgA,IgE,IgD;IgM)のエキソンCH4 第四免疫グロブリン定常ドメイン(IgE,IgM)のエキソンcL 抗体軽鎖の定常ドメイン、遺伝子D vHドメインのDセグメントDMSO ジメチルスルホキシド下流 DNA配列の3'末端を基準に3'方向e エンハンサーFab 軽鎖、vHおよびCH1ドメインからなる抗体部分、遺伝子FACS 蛍光標示式細胞分取FRT Flp認識標的FRT0 GAAGTTCCTATTCTCTAGAAAGTATAGGAACTTC
    FRT3 GAAGTTCCTATTCTTCAAATAGTATAGGAACTTC
    G418 Neo参照H ヒンジ,ヒンジエキソンHis−タグ NiChelateあたりの親和性精製に適した5または6ヒスチジンの配列;そのDNA配列J H vHドメインの結合セグメント,その遺伝子セグメントJ lambda vλドメインの結合セグメント;その遺伝子セグメントJ kappa vκドメインの結合セグメント,その遺伝子セグメントL リーダー,シグナルペプチド,そのエキソン;抗体遺伝子のリーダーエキソは、リーダーペプチドのN−末端部分のみをコードするloxP Creリコンビナーゼにより認識されるDNA配列lox66部位 TACCGTTCGTATAATGTATGCTATACGAAGTTAT
    lox71部位 ATAACTTCGTATAATGTATGCTATACGAACGGTA
    loxP部位 ATAACTTCGTATAATGTATGCTATACGAAGTTAT
    loxP511部位 ATAACTTCGTATAATGTATACTATACGAAGTTAT
    loxG部位 ATAACTTCGTATAGCATACATTATACGAAGTTGC
    M 免疫グロブリン(IgA1,IgA2)の膜ドメイン,そのエキソンM1 免疫グロブリン(IgG,IgE,IgD,IgM)の第一膜ドメイン,そのエキソンM2 免疫グロブリン(IgG,IgE,IgD,IgM)の第二膜ドメイン,そのエキソンmIgG1 膜結合IgG1;そのmRNA
    myc−タグ モノクローナル抗体1−9E10により認識されるペプチド配列;そのDNA配列骨髄腫 ハイブリドーマの作製のための融合パートナー;プラスマ細胞腫系細胞株Neo ネオホスホリルトランスフェラーゼII遺伝子は、ネオマイシンまたはG418に対する耐性を伝達する,その遺伝子P プロモーターpBS185 Life Technologies(Gibco−BRL)社のCre発現ベクター #10347−011
    PEG ポリエチレングリコールpGH−1 loxP部位に隣接するneo遺伝子およびHSV−tk遺伝子;GuおよびRajewsky,1993,Cell 73,1155−1164
    PGK ホスホグリセリンキナーゼPGKneo neo PGKプロモーターの制御下の(G418)耐性遺伝子pMC−Cre Cre発現ベクター;GuおよびRajewsky,1993,Cell 73,1155−1164;Transgenic Animal Web: HYPERLINK "http://www.med.umich.edu/tamc/mta.html" www. med. umich. edu/tamc/mta. htmlも参照pIC−Cre Cre発現ベクター;GuおよびRajewsky,1993,Cell 73,1155−1164
    pOG44 Invitrogen社のFlp発現ベクター,製造番号V6005−20またはキットFlp−In(登録商標)pcDNA5/FRT CoreのFlp発現ベクター製造番号K6010−02
    polX mu EMBLデータベースアクセッション番号AJ251804(マウス),AJ131891(ホモサピエンス);完全mRNA
    pOPE101−215 EMBLデータベースアクセッション番号ASY14585;scFv(215)抗体の合成遺伝子;Kontermannら,1995,Biol. Chem. Hoppe−Seyler 376,473−481も参照pREP4 Invitrogen V004−50;哺乳動物細胞でエピソームとして複製するプラスミド,ハイグロマイシンにより選択可能pSH47 EMBLデータベースアクセッション番号AF298782;酵母のCre発現ベクターpSVlacZT Cre活性の検出のためのCre組換え基質ベクター;TorresおよびKuehn Laboratory Protocols for Conditional Gene Targeting,1997,Oxford University Press,ISBN 0−19−963677−X
    プロテインG 抗体定常ドメインの検出のための抗体結合タンパク質RAD54 EMBLデータベースアクセッション番号BC001965;完全mRNA
    RAD51B EMBLデータベースアクセッション番号U84138;完全mRNA
    RecQ4 EMBLデータベースアクセッション番号AB006532;完全mRNA
    scFv,scFvn 単鎖Fv抗体sIgG1 分泌されたIgG1;そのmRNA
    Stop 停止コドン上流 DNA配列の5'末端を基準に5'方向vH,vH1,vHn 抗体重鎖の可変ドメインvL,vL1,vLn 抗体軽鎖の可変ドメインvλ 抗体λ軽鎖の可変ドメインvκ 抗体κ軽鎖の可変ドメインXRCC2 EMBLデータベースアクセッション番号AF035587;完全mRNA
    XRCC3 EMBLデータベースアクセッション番号AF035586;完全mRNA
    【0027】
    本発明の第一の局面は、したがって、タンパク質ライブラリー、特にヒト抗体ライブラリー(図5、6、9)の作製方法であり、該方法は、
    最初に、特異的組換えシグナルを、B細胞株の1または2つの活性な遺伝子座、特に、発現されたvHおよびvL遺伝子に導入する(すなわちDNA配列のアクセプターを作製する;図3、4、6)工程;
    得られた細胞株を増殖させる工程;
    比較的少数の遺伝子セグメント特異的プライマーにより、特に、vH、vκおよびvλ特異的プライマーにより、およびJH、J kappaおよびJ lamdaセグメント特異的カウンタープライマー(図14)により、複数の異なる遺伝子断片を複製する工程;
    複数の複製した遺伝子断片を、それぞれ特異的組換えシグナルと隣接させる(すなわち、ドナーDNA配列を作製する;図5、6)工程;
    該複数の複製した遺伝子断片を、特異的リコンビナーゼの影響下、該活性な遺伝子座内で複数の特異的組換え事象(図5、6)が起こる該細胞株にトランスフェクトする工程;ならびに該特異的組換えシグナルおよびそれに特異的組み換え事象によって、各々が、最初の細胞(図9)に対して改変された、特定の細胞表面の表面上に異なるタンパク質、特に抗体を有する多くの異なる細胞を形成する工程を特徴とする。
    【0028】
    本発明の別の局面は、特に、より親和性(図10、11)二重特異性(図17A)または二価(図17B)抗体を得るため、既存の遺伝子、特に抗体遺伝子または抗体遺伝子の群を、その染色体遺伝子座において(in the context of)有利および容易に改変し得うる方法に関する。 この方法は、
    該遺伝子、特に抗体遺伝子が、特に非指向的に変異または改変されているか、一群の類似遺伝子または遺伝子断片と置換されている;
    該変異遺伝子は、コードされた細胞の表面上に提示されるタンパク質をコードする;ならびにこの表面提示を、変異を含有する改変細胞の選択に利用することを特徴とする。
    【0029】
    最後に、本発明は、
    既存のマウスハイブリドーマ細胞を、有利および容易に改変、特にヒト化し得うる方法に関する(図3、7)。 この方法は、
    該ハイブリドーマ細胞は、撹乱性の耐性マーカーを使用することなく、活性な抗体遺伝子座内での相同組換えにより改変される;
    該相同組換えは、改変遺伝子産物、特にヒト化抗体をもたらす;
    該改変遺伝子産物、特に、ヒト化抗体は、相同組換えにより改変されたハイブリドーマ細胞の表面上に提示される、ならびにこの表面提示を改変細胞の選択に利用することを特徴とする。
    【0030】
    したがって、第一の態様において、本発明は、
    (a) 最初に、特異的組換えシグナルを、細胞の少なくとも1または2つの染色体遺伝子座に導入する工程;
    (b) 改変として、該遺伝子座において該特異的組換えシグナルを示すように改変された少なくとも1つの細胞を増殖させる工程;
    (c) 各々が特異的組換えシグナルと隣接する複数の異なるDNA配列を、増殖させた細胞にトランスフェクトする工程;ならびに(d) 該特異的組換えシグナルおよびそれに特異的なリコンビナーゼによって、該増殖させた細胞の該遺伝子座内に該複数の異なるDNA配列を組み込む工程、
    を特徴とし、複数の細胞が形成され、それぞれが、遺伝子座に組み込まれた異なるDNA配列によりそれぞれコードされる異なるタンパク質を発現し、発現されたタンパク質が、それらを発現する特定の細胞の表面に結合している、タンパク質産生真核生物細胞のライブラリーの作製方法に関する。
    【0031】
    好ましい態様において、本発明の方法は、工程(a)において、組換えシグナルの導入が、特定の遺伝子座でトランスフェクトDNAの相同組換えにより行われ、トランスフェクトDNAの組換えシグナルは細胞の特定の遺伝子座に相同な領域に隣接し、工程(b)において、相同組換えにより改変され、改変として遺伝子座に特異的組換えシグナルを有する細胞の少なくとも1つを増殖させることを特徴とする。
    【0032】
    上記方法の別の好ましい態様は、
    a) 最初に、特異的組換えシグナルを、細胞の1または2つの染色体遺伝子座に導入する工程;
    (b) 改変として、該遺伝子座において該特異的組換えシグナルを示す、改変された少なくとも1つの細胞を増殖させる工程;
    (c) 各々が異なるvH遺伝子、vλまたはvκ遺伝子を含有し、特異的組換えシグナルと隣接する複数の異なるDNA配列を、増殖させた細胞にトランスフェクトする工程;ならびに(d) 該特異的組換えシグナルおよびそれに特異的なリコンビナーゼによって、該増殖させた細胞の遺伝子座内に該複数の異なるDNA配列を組み込む工程、
    を特徴とし、複数の細胞が形成され、それぞれが、遺伝子座に組み込まれた異なるDNA配列によりそれぞれコードされる異なる抗体を発現し、発現された抗体が、それらを発現する特定の細胞の表面に結合している、抗体産生真核生物細胞のライブラリーの作製方法に関する。
    【0033】
    この方法および以下に記載する具体的な態様を行なうため、当業者は、一般的に知られた方法にしたがって、および以下の実施例に記載の方法にしたがって進め得る。
    【0034】
    相同組換えによるリコンビナーゼの認識部位の導入本発明の重要な要素は、改変されたDNA配列、特にリコンビナーゼの認識部位の細胞株のゲノムへの相同組換えによる導入である(図3、4、8)。 ここで、DNA配列が規定の遺伝子座において置換される。 これは、規定の遺伝子座に相同な通常>700bp長の領域から新たに導入されるDNA配列を隣接させ、これらをこの形態(通常、線状化DNAとして;Hastyら,1992,Mol.Cell.Biol.12,2464−2474参照)で細胞内にトランスフェクトすることにより達成される。 数少ないいくつかの場合において、(10 7細胞のうち約1)、次いで、所望の相同組換えが起こる。 これらの稀な事象または相同組換え細胞を次いで、例えば、耐性マーカーにより、またはFACS分取器(下記参照)またはELISA試験により単離しなければならない。 これに必要とされる方法(とりわけ、クローニング法、PCR、シークエンシング、ハイブリドーマ細胞の細胞培養、相同組換え、G418、FACSによる選択)は、当業者に知られており、複数の実験マニュアル(とりわけ、SambrookおよびRussell:Molecular Cloning,a laboratory manual,第3版,2001,ISBN 0−87969−577−3)に記載されている。 これらまたは同様の方法と、細胞株のゲノムに改変されたDNA配列の相同組み換えの重要要素との組み合わせは、現在、とりわけ、トランスジェニックマウスの作製のため、またはこれに必要とされる改変ES細胞株により使用されている(ThomasおよびCapecchi,1987,Cell 51,503−512;Thompsonら, 1989, Cell 56, 313−321; Johnsonら, 1989, Science 245, 1234−1236; Doetschmanら, 1987, Nature 330, 576−578; “Transgene Tiere” [transgenic animals] by J. Schenkel, 1995, Spektrum−Verlag ISBN 3860252690; Vasquezら,2001,Manipulating the mammalian genome by homologous recombination.PNAS 98,8403−8410;TorresおよびKuehn,Laboratory Protocols for Conditional Gene Targeting,1997,Oxford University Press,ISBN 0−19−963677−X)。 リコンビナーゼの特異的認識部位は、ここではとりわけ、組織特異的に誘導されたリコンビナーゼにより規定の組織の規定の遺伝子の個々のエキソンを欠失させるために使用される。 これらの技術は、本発明に適当な他の細胞株、特にハイブリドーマ細胞株にも適用される。 相同組換えはまた、すでにハイブリドーマ細胞株内で行なわれている(Zouら,1994,Current Biology 4,1099−1103;Shulmanら,1990,Mol.and Cell. Biology 10,4466−4472;Sunら,1994,J.of Immunology,152,695−704;Bakerら,1994,J.Immunological Methods 168,25−32;Woodら,1991,PNAS 88,8006−8010;Fellら,1989,PNAS 86, 8507−8511)。
    【0035】
    特異的組換え当業者はまた、適当な認識部位および関連するリコンビナーゼ(とりわけ、Stricklettら,1999,The Cre/loxP系and gene targeting in the kidney.Am J Physiol.276,F651−F657.概説;Stricklettら,1998,Site−specific recombination using an epitope tagged bacteriophage P1 Cre recombinase.Gene.215,415−23;Van Duyne,2001,A structural view of cre−loxp site−specific recombination.Annu Rev Biophys Biomol Struct.30,87−104.概説;TheodosiouおよびXu,1998,Use of FLP/FRT系to study Drosophila development.Methods.4,355−65.概説;Sadowski,1995,The Flp recombinase of the 2−microns plasmid of Saccharomyces cerevisiae.Prog Nucleic Acid Res Mol Biol.51,53−91.概説)を知っている。 好適な系の例は、
    Cre−lox系(リコンビナーゼCre,特異的認識部位loxP;とりわけClontech社のCreator(登録商標)キット;米国特許第4,959,317号;Griffithsら,1994,EMBO Journal 13,3245−3260参照);
    Flp系(リコンビナーゼFlp,特異的認識部位FRT;O'Gormanら,1991,Science 251,1351−1355;Invitrogen社のFlp−In(登録商標)pcDNA5/FRT完全キット#K60101−01)、ならびにGateway系(λインテグラーゼIntおよび組込み宿主因子IHF,特異的認識部位attB x attPおよびattL x attR、とりわけGibcoBRL/Invitrogen社のGateway(登録商標))である。
    【0036】
    細胞内でのいくつかの系の使用は、特異的組換えシグナルが1つより多い遺伝子座に導入されるならば、すなわち、DNA配列について異なるアクセプターが生成するならば、好ましいはずである。 一例は、それぞれリコンビナーゼの特異的認識部位に隣接する、ハイブリドーマ細胞株のvHおよびvκ遺伝子座である(図5)。 これらがすべて同じリコンビナーゼに認識されるとすれば、異なる遺伝子座間または交換ベクターでの干渉が起こり得る。 これは、組換えられない(または軽微な程度のみ組換えられる)4つの異なる認識部位、例えば、loxP部位loxP、loxP511、loxG、lox66およびlox71などが利用可能である場合には当てはまらない。 そのとき、2つの遺伝子座について、1種のリコンビナーゼが使用できる。
    【0037】
    loxP部位(FRT部位は非常に類似している)は、8bp長のスペーサーで分断された2つの13bp長の逆方向反復単位からなる。 このスペーサーは、loxP部位に隣接した組換えDNAの方向性を与える、すなわち、実験者は、(ゲノムの)loxPまたはFRT部位により、正確な染色体遺伝子座および同時に組換えDNAの方向を予め決定し得る。 相同組換えにおいてより高い組換え頻度は、通常、遺伝子カセットの置換により達成される。 ここでは、置換されるDNA配列は、ゲノムおよび交換ベクターの両方において、配列の差によって、対応するパートナーとは組み換えられるが、互いには組み換えられない、わずかに異なる2つのloxPまたはFRT部位に隣接する(図5)。 この技術は、Flp系については米国特許第5,928,914号、Cre−lox系についてはFengらによる刊行物(J.Mol.Biol.1999,292,779−785)、ならびにSeiblerおよびBode(Biochemistry 1997,36,1740−1747;Biochemistry 1994,33,12746−12751)による刊行物に記載されている。 カセット置換はまた、等しい同一性を有する2つの逆方向認識部位(例えば、loxP遺伝子Pxol)間の遺伝子で起こる。 この場合、特異的組換えの産物は、3つの形態を有し得る:1. lox P部位間の遺伝子は逆方向であり得る。 また、loxP部位間の遺伝子は、認識部位間の、2. 正しい方向において、および3. 誤った方向において、組込まれた別の組換え体と置換され得る。 認識部位間の置換の前に、負選択性マーカーが認識部位間に存在しない場合、トランスフェクションを生き延びたすべての細胞の約1%において特異的組換えが起こる(Fengら,1999,J.Mol.Biol.292,779−785)。
    【0038】
    リコンビナーゼが真核生物細胞において一過的に発現され得る方法および発現ベクターも公知である(Taniguchiら,1998,Efficient production of Cre−mediated site−directed recombinants through the utilization of the puromycin resistance gene,pac:a transient gene−integration marker for ES cells.Nucleic Acids Res 26,679−680;Arakiら,1997,Efficiency of recombination by Cre transient expression in embryonic stem cells:comparison of various promoters.J Biochem(Tokyo).122,977−82;Ludwigら,1996,FLP−mediated site−specific recombination in microinjected murine zygotes.Transgenic Res.5,385−395;Invitrogen社のFlp発現ベクターpOG44,#V6005−20)が、トランスジェニック動物において(Nelsonら,1998,Expression of an AQP2 Cre recombinase transgene in kidney and male reproductive system of transgenic mice.Am J Physiol.275,C216−226)細胞株に安定的にエピソームとして(SeiblerおよびBode,1997,Biochemistry 36,1740−1747)または組織特異的に(“Transgene Tiere”[transgenic animals]by J.Schenkel,1995,Spektrum−Verlag ISBN 3860252690)組込まれる。 リコンビナーゼは、そのままでも精製タンパク質として利用可能であり(例えば、Clontech社のCreator(登録商標)キット)、したがって、細胞内部にこの形態で任意にトランスフェクトし得る。
    【0039】
    DNA配列および適切な遺伝子座ヒトの好適な遺伝子、遺伝子断片(特にvH、vλ、vκおよび関連Jセグメント)および遺伝子座( HYPERLINK "http://genome.ucsc.edu/goldenPath/hgTracks.html" http://genome.ucsc.edu/goldenPath/hgTracks.html ; HYPERLINK "http://www.gdb.org" www.gdb.org ; HYPERLINK "http://www.gdb.org/hugo" www.gdb.org/hugo ; HYPERLINK "http://www.ncbi.nlm.nih.gov" www.ncbi.nlm.nih.gov ; HYPERLINK "http://www.ncbi.nlm.nih.gov/LocusLik" www.ncbi.nlm.nih.gov/LocusLink )またはマウスのもの( HYPERLINK "http://www.informatics.jax.org" www.informatics.jax.org )、特に活性な抗体遺伝子座および抗体遺伝子の多様性(Immunoglobulin Facts Book,Lefranc and Lefranc, 2001,Academic Press,ISBN 0−12−441351−X; HYPERLINK "http://imgt.cines.fr" http://imgt.cines.fr ;Kabat database: HYPERLINK "http://immuno.bme.new.edu" http://immuno.bme.nwe.edu )ならびにT細胞レセプターの遺伝子座(T−Cell receptor Facts Book,Lefranc and Lefranc,2001,Academic Press,ISBN 0−12−441352−8; HYPERLINK "http://imgt.cines.fr" http://imgt.cines.fr )もまた公知である。 ゲノム組換え抗体遺伝子を発現する活性な抗体遺伝子座、特に、マウスハイブリドーマ細胞株HEA125は、本発明の意味において特に好ましい。
    【0040】
    しかしながら、最初は未知の遺伝子座を、例えば、可能な限り最高発現率の抗生物質耐性を有する細胞を選択することにより使用することも可能である(図6)。 Vaninら(1997,Development of high−titer retroviral producer cell lines by using Cre−mediated recombination.J Virol 71, 7820−7826)は、これに適した方法を記載しており、これは、図6に示した第一工程と非常に類似している(カセット置換の代わりに組込み)。 ここでは、高発現率について選択された耐性遺伝子を特異的組換えシグナルと隣接させる。 同様の系がInvitrogen社から市販されている(Flp−In(登録商標)pcDNA5/FRT完全キット#K6010−01;米国特許第4,654,182号および第5,677,177号)。 これにより、予め選択した耐性遺伝子の、例えば、一群に異なる抗体遺伝子との比較的簡単な置換が可能になる。 この前に、中間工程として、特に、予め選択した遺伝子座に定常部分とともに組み換えることにより、可変部、すなわち置換可能な遺伝子部分に隣接するさらなる他の組換えシグナルを導入することが好ましい。 この場合、
    1. 特異的組換えシグナルの第一活性遺伝子座への組込みは、耐性遺伝子(または対応する耐性細胞株)の発現により選択される、
    2. 特異的組換えシグナルによって、定常タンパク質部分、特に、ヒトIgG1遺伝子(任意にCH1を有する)の示差的にスプライシングされたCH2、CH3、M1およびM2ドメインが組み換えられる。
    3. 可変部タンパク質部分、特に、2つのさらなる特異的組換えシグナルにさらに隣接する抗体のvH遺伝子またはscFv遺伝子を同時に組み換える、
    4. 所望の組み換え事象を発現された抗体の表面提示によって選択する、
    5. 次いで、適宜、抗体軽鎖の遺伝子について同様の工程を行なう、ならびに6. 異なる抗体の多様性を、特異的組換えによって該遺伝子座に組み換える。
    【0041】
    複雑なDNA配列の生成本発明の別の本質的な要素は、多数の種々のDNA配列、特にできる限り多くの種々の抗体遺伝子の生成である。 リコンビナーゼ(recombinase)に対する上記認識部位に隣接するこれらのDNA配列は、リコンビナーゼの作用下で、DNA配列に対する所望のアクセプターを有する前記遺伝子座に比較的良好な効率で組換えられる多くの種々のDNA配列に対するドナーとして利用される。 これに必要な技術、特にPCR技術(とりわけ、SambrookおよびRussell:Molecular Cloning, a laboratory manual,第3版, 2001, ISBN 0-87969-577-3;特にPCR技術についての第8章)およびDNA配列(上記参照)は当業者に公知であり、多くの刊行物、組換え抗体のライブラリーの生成についての上記全て(とりわけ、「Rekombinante Antikoerper」[組換え抗体], 第2.2章、BreitlingおよびDuebel, 1997, Spektrum-Verlag, ISBN 3-8274-0029-5)に記載される。 特に、書籍Immunogloblin Facts Book (LefrancおよびLefranc, 2001, Academic Press, ISBN 0-12-441351-X)は、約200の可変(および定常)ヒト抗体配列ならびにその中で与えられたデータベースに対するアクセッション番号の優れた供給源である。 多数のゲノム組換えされたヒト抗体の増加は、本発明の趣旨の中で、例えば、J H 、JκおよびJλセグメント特異的対プライマーを(各場合6未満)有する幾つかのみ(各場合50未満)のvH、vκおよびvλ特異的PCRプライマーの組み合わせによりなされ得(図14)、当該プライマーは、好ましくは、進化により(evolutionarily)ほとんど保存されていないゲノム領域にハイブリダイズする。 同様のことがマウス抗体遺伝子に同様に適用する。 特にヒト血液から得られた多数のBリンパ球のゲノムDNAは、この程度まで必要な1000未満のPCR反応の鋳型として利用される。 これらのBリンパ球のゲノムDNAは、その大多数は上記手順により非常に容易に複製され得る非常に多くの種々にゲノム組換えされた抗体遺伝子(vH、vκ、vλ)を含む。 多数のゲノム組換えされたT細胞レセプターはまた、比較的少数のPCR反応により好適なDNA配列の群にほとんど同様に移され得る。
    【0042】
    リコンビナーゼに対する上記認識部位を有するこれらの多数の種々のDNA配列を隣接させるため、これらはいずれも、すでにこれらの認識部位含む所定のクローニングベクターにクローニングされ得るか、またはPCRプライマーを使用して下流の第二のPCRをこれらの認識部位に沿って実施する。 次いで、種々のPCR産物の群は、好ましくはプラスミド(例えば、Biolabs製pUC19、Stratagene製pBluescript、Invitrogen製pCR-TOPO、pCR-XL-TOPO、pCR-Vector、pZErO-1、pCR-Blunt、pSinRep5)にクローニングされる。 ここで、淘汰圧下での複製起点は、安定なエピソーム複製を任意に生じ得る(例えば、Invitrogen製のハイグロマイシン選択可能エピソーム複製ベクターpCEP4、pREP7、pREP10、pEBVHisまたはpREP4)。 結果として、上記遺伝子座での特異的組換えが生じ得る期間は、非常に容易に延長され得る。 この目的のため、対応するリコンビナーゼまたは対応する発現ベクターの存在が、もちろんそのうえ必要である。 特に好ましい態様において、前記リコンビナーゼに対する発現カセットは、上記クローニングベクターに取り込まれる。
    【0043】
    種々のプラスミドの群はまた、適切な場合、予め細菌中で増加するのを防止するように、非常に高い複雑性(>10 12 )でインビトロで生成され得る(利用される1μg DNAあたり約10 9の独立した細菌クローンの複雑性は、エレクトロポレーションによる普通の問題として現在達成され得る;例えば、Clontech #C2023-1 330、E. coli株KC8>10 9 cfu/μg pUCを参照)。 この目的のため、上記認識部位により隣接される記載された種々のPCR産物は、好ましくは、リガーゼにより初めに環状化され(DNA配列に対するドナー)、同じ認識部位を含むクローニングベクター(DNA配列に対するアクセプター)と混合される。 生成リコンビナーゼタンパク質の作用下で、種々の組換えDNA配列を有するクローニングベクターの非常に複雑な混合物は、ここでインビトロで形成される。 この方法はまた、当業者にとって公知であり、すでに市販されている(中でもClontech製Creator TM Kit;GibcoBRL/Invitrogen製Gateway TMを参照)。
    【0044】
    さらに、当業者によく知られたさらなる方法がある。 複数の種々のDNA配列は、その方法で生成され得る(例えば、インビトロDNAシャッフリング、Stemmer, 1994, Nature 370, 389-391または複数の抗体cDNAまたは非指向性剪断ゲノムDNAの増加)。 ここでは、特に、DNA配列、特に、種々のCDR-DNA配列の結合合成による非常に多数の種々の抗体遺伝子の生成が、記載されるべきである(Breitlingら, 1990, 「synthetic human antibody libraries」, 独国特許第P 40 02 897号;Morphosys company, HuCal抗体ライブラリーもまた参照)。
    【0045】
    細胞株本発明の方法に好ましいマウスハイブリドーマ細胞株HEA125は、マウスκ鎖と共にマウスIgG1抗体を生成する。 このモノクローナル抗体は、ヒト腫瘍関連抗原Ep-CAMを高い親和性および特異性で認識する(Moldenhauerら, 1987, Br J Cancer 56, 714-722;Momburgら, 1987, Cancer Research 47, 2883-2891)。 それら由来の亜集団は、表面上に比較的多数の膜結合抗体がある。 他の細胞株、特に他のハイブリドーマ細胞またはリンパ系細胞株、例えば、ヒト株:
    λ鎖およびIgEを生成するU266(Ikeyamaら, 1986, Purification and characterization of IgE produced by human myeloma cell line, U266. Mol Immunol 23, 159-167);
    IM-9(LesniakおよびRoth, 1976, Regulation of receptor concentration by homologous hormone. Effect of human growth hormone on its receptor in IM-9 lymphocytes. J Biol Chem 251, 3720-3729);および
    Jurkat T細胞株(GillisおよびWatson, 1980, Biochemical and biological characterization of lymphocyte regulatory molecules. V. Identification of an interleukin 2-producing human leukemia T cell line. J Exp Med 152, 1709-1719);またはトリB細胞株DT40(BuersteddeおよびTakeda, 1991, Cell 67, 179-188)
    はまた、本発明の方法に好適である。 ここで、ヒト細胞株は、結果としてマウス細胞のやや種々のグリコシル化が防止されるさらなる利点を有する(Borrebaeck, 1999, Nat Biotechnol 17, 621)。 JurkatなどのT細胞株は、T細胞レセプターライブラリーが達成される場合、または活性T細胞レセプター遺伝子座が使用される場合、好まれるべきである。 しかしながら、トリ細胞株DT40は、トランスフェクトDNAの比較的非常に高い効率の相同組換えを有する。
    【0046】
    トランスフェクション真核生物細胞はまた、当業者に公知の標準的な方法(SambrookおよびRussell: Molecular Cloning, a laboratory manual, 第3版, 2001, ISBN 0-87969-577-3; 第16章)、例えば、エレクトロポレーション(AGS company / Hybaid or BioRad, Handbuch der Elektroporatoren [manual of electroporators] BTX or BioRad GenePulser)、例えば、LipfectAMINE TM 2000 Reagent (Invitrogen #1668-027)、DMRIE-C Reagent (Invitrogen #10459-014)、LipofectAMINE TM Reagent (Invitrogen #18324-012)、FuGENE 6 Transfection Reagent (Roche #1815091)、DOTAP Liposomal Transfection Reagent (Roche #1811177)、またはDOSPER Liposomal Transfection Reagent (Roche #1811169)を用いたトランスフェクションによりトランスフェクトされる。 ここで、首尾よくエレクトロポレーションされたハイブリドーマの割合は、通常、使用された細胞の20〜30%である。 トランスフェクトDNA配列の相同組換えを意図するトランスフェクションのため、前記DNA配列は、好ましくは線形である。 トランスフェクトDNA配列の特異的組換えが所望される場合、好ましくは、環状DNA配列が使用され、ハイブリドーマ細胞中でエピソーム複製するベクターが、これには特に好適である(上記参照)。 真核生物細胞の中でのカセット交換により成功した特異的組換えの量は、首尾よくエレクトロポレーションされた細胞の約1%であり(Fengら, 1999, Site-specific chromosomal integration in mammalian cells: highly efficient CRE recombinase-mediated cassette exchange. J Mol Biol. 292, 779-785)、その結果、約10 7の種々の特異的組換え事象が3×10 9細胞の使用により得られる。
    【0047】
    表面発現/富化方法本発明の別の本質的な要素は、所望の組換え事象が起こっている細胞の単離または富化(可能な場合、各処理工程の後)である(図7、8、9)。 本発明は、修飾タンパク質を生成する生存細胞の表面上の修飾タンパク質を試験することによりこれを可能にする。 これはまた、当業者に公知の従来の方法、例えば、磁性ビーズの使用(Dynal company, Oslo, Norway; Technical Handbook: Cell Separation and Protein Purification from Dynal; Current Protocols in Immunology, John Wiley & Sons, New York, ISBN 9-471-52276-7およびcompany MiltenyiBiotec MACS ? System ( HYPERLINK "http://www.miltenyibiotec.com" www.miltenyibiotec.com ))またはFACSソーター(Shapiro, HM Practical Flow Cytometry, 第3版 1995, Wiley-Liss., New York, ISBN 0-471-30376-3; Darzynkiewicsら, Flow Cytometry, 第2版 1994, Academic Press, ISBN 0-12-564142-7; Current Protocols in Immunology, John Wiley & Sons, New York, ISBN 0-471-52276-7)またはELISAおよび反復サブクローニングによりなされる。 非常に稀な(10 7細胞のうち約1)相同組換え事象は、例えば、ターボソーターを形成するように装備されたFACSVantage SEまたはFACSDiva(Becton-Dickinson)またはMoFlow(Cytomation)を使用して同定され得、特異的組換えシグナルが規定の遺伝子座に誘導される場合、組換え耐性遺伝子のための予備選択がさらに起こる(例えば、Sigma製Geneticin (G418); ChauhanおよびGottesman, 1992, Construction of a new universal vector for insertional mutagenesis by homologous recombination. Gene 120, 281)。 しかしながら、この種の予備選択は、本発明に必須ではなく、特に、この目的のため染色体に統合される耐性遺伝子が相同組み換えにより修飾されたタンパク質の表面発現を妨げる場合、回避される。 かかる妨げられた表面発現の例は、YarnoldおよびFellにより記載された相同組み換えによるハイブリドーマ細胞のヒト化である。 ここで、耐性遺伝子はCH3とM1との間の示差スプライシングに必須のイントロンに統合する。
    【0048】
    より頻繁な(カセット交換において10 2 〜10 3細胞のうちの約1)特異的組換え事象はまた、下の実施例において記載されるように、FACSソーターまたは磁性ビーズ(図9)を用いて細胞表面上の修飾タンパク質を試験することによる標準的な方法により富化され得る。
    【0049】
    このため、修飾タンパク質は、FACSを用いてソートする前に好ましくは、多くの会社(例えば、Jackson ImmunoResearch, West Grove, PA, USA,またはDianova, GermanyまたはSouthern Biotechnology Associates, Birmingham, AL, USAまたはBIOZOL, Germany)から購入され得る蛍光標識モノクローナルまたはポリクローナル抗体(またはGタンパク質など)により染色される。 ここで、明確なシグナルが、特に二重染色(交換DNA配列によりコードされるタンパク質(またはその欠失)を試験する2つの異なる蛍光)により得られる。 これに必要な方法は、当業者に公知であり、複数の詳細な刊行物(例えば、ScheffoldおよびKern, 2000, Recent developments in flow cytometry. J Clin Immunol. 20, 400-7. Review; Thiel A., Scheffold A., Radbruch, 1998, Immunomagnetic cell sortin-pushing the limits. Immunotechnology. 2, 89-96. Review;および上記血球計算マニュアル)に記載される。 例えば、マウス由来のκ鎖のヒトのものとの交換(相同または特異的組換え)は、FITC標識ヤギ抗ヒトκ抗体を使用して染色することにより証明され、ソートされ得、同時に、PE標識ヤギ抗マウスκ抗体による対比染色が起こる。 しかしながら、相同組み換えによりハイブリドーマの表面上に提示されるIgG抗体のvHドメインがG418耐性遺伝子と交換される場合、シグナルの欠失もまた試験され得る。 G418を用いた予備選択に続き、FITC標識ヤギ抗IgG抗体での染色は、FACSにより、相同組換え事象の別の富化を生じる:この場合、緑色蛍光を有する細胞は相同組み換えによるそのG418耐性を獲得しておらず、従って、FACSにおいて除去される。 エピトープ特異的モノクローナル抗体(例えば、Mycl-9E10エピトープ特異的抗体(Evanら, 1985, Mol. Cell. Biol. 5, 3610-3616))の使用はまた、有用である。 後者は、例えば、修飾vHドメインを同定するために利用される。 例えば、EGFPに対する遺伝子が組換えられ発現される場合(増強緑色蛍光タンパク質;Clontech)、交換DNA配列はまた、さらなる染色なしに、FACSにおいて直接同定され得る。
    【0050】
    特に抗体の表面提示は、好ましくは重抗体鎖に対するmRNA(または対応するキメラmRNA)の示差スプライシングにより本発明において達成される(図2;JanewayおよびTravers, Immunologie [immunology], 第3-24章, 第4版 1999, Spektrum-Verlag, ISBN 443062757)。 これは、膜に共有結合されたバリアントに加えて、培養培地へ分泌された形態の主要量がまた細胞クローンまたは細胞ライブラリーの迅速かつ容易な特徴付けに利用可能であるという利点を提供する。 膜結合抗体部分および従って予想シグナル強度は、IgGまたはIgAのCH3ドメインとM1ドメインとの間(またはIgMのCH4ドメインとM1ドメインとの間)のイントロンを特に300bp〜1000bpだけ短くすることで増加し得る(PetersonおよびPerry, 1986, PNAS 83, 8883-8887; TsurushitaおよびKorn, 1987, Molec. Cell. Biol. 7, 2602-2605); Galliら, 1987, Genes Dev 1, 471-481; SeipeltおよびPeterson, 1995, Molecular Immunology 32, 277-285; 図3, III.)。 あるいは、例えば、αT細胞レセプター(EMBL寄託番号X02883、エキソン3の配列)またはMHC分子の他の膜アンカーは、この目的のために使用され得、その結果、より多くのタンパク質でさえ表面に提示され得る。 膜結合Gタンパク質による細胞表面への抗体の非共有結合もまた可能であり(Breitlingら, 1999, PCT DE00/00079)、これは、クロストーク(cross-talk)の欠点を含む:ここで、抗体の全てがそれらを提示する細胞によりコードされる必要はない。
    【0051】
    表面提示は、特に、発現タンパク質により互いに異なる多くの(>10 2 )細胞が特定のタンパク質活性についてスクリーニングされ得る場合、非常に有用である。 本発明は、ファージ(Breitlingら, 1991, Gene 104, 147-153)または細菌(Fuchsら, 1991, Bio/Technology 9, 1369-1372)上に提示することにより達成される組換え抗体の技術とほとんど同様にこれを達成する。 従って、その中に記載されるように、かなり複雑なタンパク質ライブラリーをスクリーニングすることは可能である。 本発明は、多数の提示、常に類似のタンパク質、特に抗体により比較的非常に高いシグナル強度を達成するというさらなる利点を有する。 今日のFACSソーターは1時間あたり約10 8細胞のソート速度に達し(例えば、FACSVantage SE、上記参照)、さらにより複雑なタンパク質ライブラリーは、磁性ビーズによりさらに事前に富化可能である。 本発明に必要なFACSソーティング技術は、これによりエピトープ特異的T細胞を同定することを可能にしたKernら(1998, Nature Medicine 4, 975-978)およびMaeckerら(2001, J Immunol Methods 255, 27-40)に記載される。
    【0052】
    ハイブリドーマ抗体ライブラリー本発明の方法の好ましい態様において、種々のDNA配列の群を用いる各トランスフェクション工程および続く特異的組換え(図5、6)は、最高の見込みある抗体多様性を有する表面結合抗体を産生する細胞の富化前である(図9)。 これは、上記のようになされ得る、すなわち、ハイブリドーマ細胞の群は上記のように2つの異なる染色試薬で染色され、次いで可能な限り多くの細胞がFACSソーターでソートされる。 この関係において、開始細胞によくある染色パターンを示す細胞が除去される。 これは、例えば、開始細胞のvHドメインにおけるmycエピトープの検出によりなされる。 あるいは、例えば、特異的組換え前に、開始細胞は表面の抗体を提示しないがG418耐性が単一特異的細胞株の遺伝子座に組み込まれることが利用され得る。 しかしながら、特にヒトIgG鎖またはκもしくはλ鎖を提示する細胞が富化される。 これらは、増殖性特異的組換えを行っている細胞である。
    【0053】
    この手順の結果は、複雑な(>10 6の異なるハイブリドーマ特異性)ハイブリドーマライブラリーであり(図5、6、9)、その個々のメンバーは表面に大量のヒト抗体を提示する(1細胞あたり約10 4 〜10 6抗体分子)。 1細胞あたりの提示抗体の数は、比較的狭い範囲である。 なぜならば、全ての細胞は、同じ親ハイブリドーマ由来であるからである。 従って、本発明の主題はまた、本発明の方法で得られ得る抗体ライブラリーである。 好ましくは少なくとも100の異なる細胞の群、より好ましくは少なくとも1000の細胞の群を含む。
    【0054】
    ハイブリドーマ抗体ライブラリーの産生のための上記手順はまた、図3、5および9に記載される:
    vL遺伝子プラスミドのできる限り複雑な上記群は、単一特異的細胞のできる限り多くの細胞(約3×10 9細胞)にエレクトロポレーションされる。 同時に、Flp発現ベクターは、例えば、細胞にエレクトロポレーションされ;
    ここで、首尾よくエレクトロポレーションされたハイブリドーマの割合は生存細胞の通常30〜40%である。 従って、300のうち約1の頻度で種々のvLドメインを表面上に提示するハイブリドーマ細胞の群が形成され、その結果、約10 7の種々のハイブリドーマ、すなわち種々の抗体の複雑性のハイブリドーマライブラリー(合計量3×10 9細胞)が形成され;
    ハイブリドーマ細胞のこの群は任意に拡張され、次いで上記のように2つの異なる染色試薬で染色され;
    その後、できる限り多くの(may)細胞がFACSソーターまたは磁性ビーズでソートされる。 単一特異的細胞株の細胞および非増殖的組換え細胞が除去され、κまたはλ鎖を提示する細胞が富化され;
    できる限り複雑なvH遺伝子プラスミドの上記群が、ハイブリドーマ細胞の上記群のうち最大可能数の細胞にエレクトロポレーションされる。 Cre発現ベクターが同時に細胞にエレクトロポレーションされ;
    結果として、300のうち約1の頻度で種々のvHドメインを表面上に提示するハイブリドーマ細胞の群が形成され;
    ハイブリドーマ細胞の群が再び上記のように2つの異なる染色試薬で染色され;ならびにその後、できる限り多くの細胞がFACSソーターまたは磁性ビーズでソートされる。 vH遺伝子座に単一特異的な細胞株の細胞および非増殖的組換え細胞が除去され、ヒトIgG鎖を提示する細胞が富化される(図9)。
    【0055】
    本発明の方法の特別な態様は、真核生物細胞が哺乳動物細胞、好ましくは腫瘍性リンパ球またはその前駆体、白血病細胞または悪性リンパ腫細胞またはハイブリドーマ細胞であることを特徴とする。
    【0056】
    抗体ライブラリーの生成のための本発明の方法の別の好ましい態様において、vH遺伝子、vλ遺伝子および/またはvκ遺伝子はヒト遺伝子である。 遺伝子座が抗体座であり、活性vH遺伝子、vλ遺伝子またはvκ遺伝子を含む方法が、特に好ましい。
    【0057】
    本発明の方法はまた、T細胞レセプター産生細胞、種々のT-αレセプター遺伝子またはT-βレセプター遺伝子を含む種々のDNA配列のライブラリーを生成する方法、ならびにエキソン発現細胞、スプライスシグナルをコードする種々のゲノムエキソンを含む種々のDNA配列ライブラリーを生成する方法を含む。 ここで、遺伝子座がT細胞レセプター座であり、かつ活性T-αレセプター遺伝子または活性T-βレセプター遺伝子を含む態様が、特に好ましい。
    【0058】
    抗体ライブラリーの生成のための本発明の方法の別の好ましい態様において、抗体は、それを発現する細胞の表面上に共有結合されたモノクローナルヒト抗体である。 ここで、特定の細胞により発現されるモノクローナル抗体がそれを発現する細胞の表面上にIgG、IgM、IgA、IgDまたはIgEの定常ドメインの示差スプライシングにより共有結合される態様が、特に好ましい。
    【0059】
    本発明の方法において、10 2より多くの種々の細胞(それぞれ異なるタンパク質を発現する)は、好ましくは拡張された個々の細胞あたり得られる。
    【0060】
    抗体を産生する真核生物細胞のライブラリーの生成のための本発明の方法の別の好ましい態様において、トランスフェクトDNAの相同領域は、少なくとも400塩基対にわたる特異的組換えシグナルに隣接する細胞の特定の遺伝子座に伸長する。
    【0061】
    抗体を産生する真核生物細胞のライブラリーの生成のための本発明の方法のさらにより好ましい態様において、イントロンはIgG、IgM、IgA、IgDまたはIgEのM1エキソンの前の5'末端方向に50より多くの塩基対だけ短くなる。
    【0062】
    本発明の方法の別の好ましい態様において、タンパク質を発現する細胞の細胞表面に結合したタンパク質を提示する細胞は、複数の種々のDNA配列でのトランスフェクトの後に富化され、可能な限り最大のタンパク質多様性を有する細胞集団を形成するように複数の種々の細胞を生じる。
    【0063】
    リコンビナーゼDNAに対する認識部位でそれぞれ隣接する遺伝子座における複数の種々のDNA配列を用いるトランスフェクション工程において、対応するリコンビナーゼをコードする発現可能DNA配列を有する配列がトランスフェクトされ、および/または活性化される本発明の方法の態様は、特に好ましい。
    【0064】
    本発明はまた、本発明の方法により得られ得るタンパク質産生、好ましくは抗体産生、真核生物細胞のライブラリーに関する。
    【0065】
    抗体の選択本発明はまた、所望の特異性を有するモノクローナル抗体を単離する方法(図9参照)に関し、この方法は、本発明の方法により生成された抗体ライブラリーを対応する抗原とインキュベートし、続いて抗原がその表面に結合される細胞株を単離または富化することを特徴とする。
    【0066】
    当業者には、抗体ライブラリーと抗原の接触に関する方法および所望の抗体の選択に関する方法は公知である(LiddellおよびWeeks, 1996, 「Monoclonal Antibodies: Principles and Practice.」 Spektrum-Verlag ISBN 3827400481; Goding, JW, 1996, 「Production and Application of Monoclonal Antibodies in Cell Biology, Biochemistry and Immunology. 第3版. Academic Press Limited発行, 24-28 Oval Road, London NW1 7DX; ISBN 0-12-287023-9」。これらの方法はまた、ファージライブラリーから(中でも、de Kruifら, 1995, PNAS 92, 3938-3942)および細菌ライブラリーから(Fuchsら, 1996, J. of Immunotechnology. 2, 97-102)の表面提示組換え抗体の選択について詳細に記載されている。本発明において、これらの方法は特に、磁性ビーズまたはFACSソーターによる真核生物細胞集団のスクリーニングに適用される。これらの方法はまた、当業者には公知である:これらは、FACS(蛍光活性化細胞ソーター)のための生存細胞の染色と同一であり、複数の特定の研究室マニュアルに詳細に記載される(上記参照)。
    【0067】
    好ましくは、本発明の方法により生成された抗体ライブラリーの細胞は、ビオチン化と共に、その後ストレプトアビジン-FITC-標識抗原(または直接、FITC-標識抗原)で染色され、最も強い染色結果が選択される。 所望の場合、抗体ライブラリーはまた、任意に示差的に標識された抗原の混合物で染色され得、最も強い染色結果再び選択される。 その後、個々の細胞は細胞培養で拡張され、それぞれ、所望の、特にヒト、モノクローナル抗体を産生する。 非常に多数の提示抗体が非常に明確なシグナルを生じるので、単一の選択作業のみが抗原特異的選択に通常必要である。 特に、調査される活性の特徴付けのために、ハイブリドーマ抗体ライブラリーの、それから得られるサブライブラリーの、または個々のクローンの、スプライスバリアントのために培養上清に分泌された抗体を使用する可能性がある。 本発明の抗体ライブラリーにおいて、ヒト抗原に対する抗体特異性はまたvHおよびvLドメインの新規な組み合わせのために提示されなければならない。
    【0068】
    より親和性のある抗体の選択特に好ましい態様において、本発明の方法はさらに、高い親和性のある抗体を生成することを特徴とする。 ここで、当業者は以下の方法により行い得る。
    【0069】
    例えば、より親和性のあるモノクローナル抗体はFACSにより選択され得る。 この目的のため、抗体ライブラリーまたはそれ由来の種々の抗原特異的ハイブリドーマ細胞の群は、上記のようにPE標識抗原で染色される。 これらの細胞はFITC標識Gタンパク質を使用して対比染色される(counterstained)。 その後、最も優れた比率のPE染色:FITC染色を有する染色結果がFACSソーターで選択される。 個々の細胞は細胞培養で拡張され、それぞれ、選択に使用された抗原に対して非常に高い親和性を有するモノクローナル抗体を産生する。 これは、高い親和性を有するモノクローナル抗体を発見するための非常に単純な方法である。 ここで、提示抗体の数の容易に行い得る正規化は、発見された抗体特異性の「オンライン」親和性比較を可能にする。 なぜならば、抗体結合抗原対抗体非結合抗原の比がその抗原に対する抗体親和性の直接の基準であるからである(図10)。
    【0070】
    好ましい態様において、上記方法は、可変抗体遺伝子の中への変異の導入が高い親和性を有する抗体の単離に先んずることを特徴とする。 これは、例えば、体細胞過剰変異(hypermutation)または抗体遺伝子の遺伝子変換を実施することによりなされ得、これは、上記のように、細胞表面上に提示された修飾、特により親和性のある、抗体の選択の前である(図11)。
    【0071】
    例えば、「鎖シャッフリング」および続いて高い親和性を有するモノクローナル抗体の選択がなされ得る。 ここで、例えば、FITC標識抗原は、上記のように、確立された抗体ライブラリーからそれら由来の抗原特異的ハイブリドーマ細胞の群を初めに選択するために使用される。 選択されたハイブリドーマ細胞のこの群は、細胞培養で拡張される。 その後、上記のように(遺伝子変換)、可変ドメインの一つが特異的組換え事象で種々のDNA配列の群、特に他の可変ドメインと交換される。 ハイブリドーマ細胞の生じた群は細胞培養で拡張される。 その後、比較的(図10)高い親和性を有するモノクローナルヒト抗体が、上記のように、FACSソーターによりそれらから選択される。 これは、高い親和性を有するモノクローナル抗体が単離され得るハイブリドーマの群を生成するための非常に単純な方法である。
    【0072】
    あるいは、複数の非指向性変異は、誤りがちのPCR(Stemmer, 1994, Nature 370, 389-391)により鋳型DNA、特に予備選択された可変ドメインに挿入され得る。 その後、最大可能数のこれらの変異可変抗体遺伝子は、上記のように特定の組換えシグナルにより抗体座に組換えられ、次いで、相対的に高い親和性を有する抗体を表面上に提示する細胞が、例えば、FACSで選択される。 ここで、非指向性変異もまたStemmerにより開発された方法(遺伝子変換/体細胞過剰変異)に従って併用され得る。
    【0073】
    非指向性変異を生じる本発明の別の方法は、XRCC2、XRCC3またはRAD51Bに対するアンチセンスRNAと組み合わせた、リンパ系細胞において遺伝子RAD54、RecQ4および/または遺伝子DNA PolX muを発現する真核生物発現ベクターによる(Kitaoら, 1998, Cloning of two new human helicase genes of the RecQ family: biological significance of multiple species in higher eukaryotes. Genomics 54, 443-452; Aoufouchiら, 2000, Two novel human and mouse DNA polymerases of the polX family, Nucleic Acids Res 28, 3684-3693; Saleら, 2001 Ablation of XRCC2/3 transforms immunoglobulin v gene conversion into somatic hypermutation, 2001, Nature 412, 921-96; Invitrogen製の発現ベクター、例えば、pCEP4、pREP7、pREP10、pEBVHisまたはpREP4)。 遺伝子産物RAD54、RecQ4およびDNA PolX muは、体細胞過剰変異の活性抗体遺伝子への導入を担う突然変異誘発遺伝子複合体の一部であり、一方、XRCC2、XRCC3またはRAD51Bの発現の抑制は明らかに、一本鎖切断を増加することにより体細胞過剰変異を開始する。 ここで、生物の記憶細胞を形成する工程において特に、活性vH、vκまたはvλプロモーターの下流の約1.5kb DNA配列が、そこで利用可能なDNA配列に関係なく非直接様式で突然変異される。 体細胞過剰変異を生じるため、例えば、以下の工程が採られ得る:本発明の抗体ライブラリーから、それら由来の抗原特異的ハイブリドーマ細胞の群が、FITC標識抗原を用いて上記のように選択される。 選択されたハイブリドーマ細胞のこの群は細胞培養で拡張され、次いで、上記発現ベクターの混合物がこれらの細胞にエレクトロポレーションされる。 得られたハイブリドーマ細胞の群は細胞培養で拡張される。 その後、高い親和性を有するモノクローナルヒト抗体が、上記のように、FACSソーターによりそれらから選択される。
    【0074】
    細胞が複数のDNA配列でトランスフェクトされ、それぞれが特異的組換えシグナルにより隣接し、複数のDNA配列が誤りがちのPCRにより得られている上記方法の態様が特に好ましい。
    【0075】
    すでに存在しているハイブリドーマのヒト化本発明はまた、すでに存在しているマウスハイブリドーマを相同組み換えによりヒト化する方法に関する(図3、7)。 ここで、任意の選択可能な(chosable)マウスIgG1ハイブリドーマ細胞は、例えば、所定の、常に等しいDNAベクターによりヒトIgG1ハイブリドーマ細胞に(図3、7)または他のDNAベクターを用いてヒトIgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgEまたはIgMに変換され得る。 他のDNAベクターは再びマウスIgMハイブリドーマなどの再構築を可能にする。 この特定の容易かつ有利な方法は、干渉耐性マーカーの使用なしで済む(Bakerら, 1994, J. Immunological Methods 168, 25-32をまた参照)。 なぜならば、修飾遺伝子産物の表面提示から生じた修飾が修飾細胞の選択に使用されるからである(図7)。 この方法は、同時に1時間あたり約10 8細胞をソートし得る高速FACSソーター(例えば、FACSVantage SE, Becton-Dickinson)を提供することにより現在可能であり、その結果、非常に稀な相同組換えがまた見出され得る。 他の点では、当業者に公知の標準的な技術が本目的のために使用され得る。
    【0076】
    従って、本発明はまた、ハイブリドーマ細胞をヒト化する方法に関し、この方法は、以下を特徴とする(a)1つ以上のヒト定常IgG、IgM、IgA、IgDまたはIgEドメインをコードするDNA配列をハイブリドーマ細胞株にトランスフェクトする工程;
    (b)前記ハイブリドーマ細胞の、抗体の重鎖をコードする、活性遺伝子座の定常ドメインに隣接する染色体遺伝子領域に相同なDNA配列にヒト定常IgG、IgM、IgA、IgDまたはIgEドメインのDNA配列を隣接させる工程;
    (c)相同組換えのためヒト化定常部分を有するIgG-、IgM-、IgA-、IgD-またはIgE-重鎖を発現する1つまたは数個のみの細胞を拡張する工程、
    (d)ヒト定常κまたはλドメインをコードするDNA配列をハイブリドーマ細胞株にトランスフェクトし、このDNA配列がハイブリドーマ細胞の活性κまたはλ遺伝子座の定常κまたはλドメインに隣接する染色体遺伝子領域に相同なDNA配列に隣接する工程;
    (e)続いて、相同組換えのためヒト化定常部分を有するκまたはλ鎖を発現する1つまたは数個の細胞を拡張する工程、
    重抗体鎖の膜結合スプライシングバリアントの共有結合のため、発現された抗体がそれらを発現する細胞の表面に結合され、ヒト化定常抗体ドメインを提示する細胞の検出および選択を可能にする。
    【0077】
    本方法の好ましい態様において、まず軽抗体鎖の定常ドメイン、次いで重抗体鎖の定常ドメインがヒト化され、重抗体鎖の定常ドメインのみまたは軽抗体鎖の定常ドメインのみがヒト化される手順が好ましい。
    【0078】
    上記方法の別の好ましい態様において、イントロンは活性IgG、IgM、IgA、IgDまたはIgE遺伝子のM1エキソンの前の5'末端方向に50塩基対より多く短縮される。
    【0079】
    上記方法の別の好ましい態様において、さらなるタンパク質コードDNA配列は、ヒト化定常ドメインに融合され、好ましくは、さらなるタンパク質コードDNA配列は、C末端様式で軽抗体鎖の定常ドメインに融合されるリンカー配列および一本鎖抗体をコードする。
    【0080】
    上記方法の別の好ましい態様において、トランスフェクトDNA配列の相同領域は、ハイブリドーマ細胞の特定の抗体遺伝子座まで少なくとも400塩基対以上伸長する。
    【0081】
    上記方法の別の好ましい態様において、相同組換えは、相同組換え事象を選択するために使用されるいずれの耐性マーカーも細胞に導入しない。
    【0082】
    本発明はまた、1つ以上の上記DNA配列を含むベクターおよびこのベクターを含む宿主細胞に関する。 好ましいベクターおよび宿主細胞に関する参照は上記説明によりなされる(「複雑なDNA配列の生成」および「細胞株」の章を参照)。
    【0083】
    本発明は、以下の実施例により説明される。
    【実施例】
    【0084】
    実施例1:ハイブリドーマ抗体のヒト化ハイブリドーマ細胞株HEA125をヒト化対象のモノクローナル抗体の一例として利用した。 このマウスハイブリドーマ細胞株は、マウスκ鎖と共にマウスIgG1抗体を産生する。 このモノクローナル抗体は、ヒト腫瘍関連抗原Ep-CAMを比較的高い親和性および特異性で認識する(Moldenhauerら, 1987, Br J Cancer 56, 714-722)。
    【0085】
    a. 培養条件細胞株HEA125を培養して拡張した。 10%FCS、1mMピルビン酸塩および2mMグルタミンを添加したRPMI 1640(Gibco BRL #31870-025)を培養培地として使用した。 他の培養条件(Falcon製プラスチック容器25cm 3 ;37℃高温キャビネット;5〜7.5%CO 2ガス処理、1mlあたり最大10 6細胞、など)は当業者に公知である。
    【0086】
    b. HEA125の亜集団の選択拡張細胞を初めに2回氷冷Dulbecco PBS(DPBS)で洗浄し、400μLあたり約10 7細胞をFITC標識ヤギ抗マウスIgG抗体(Dianova)で染色した。 ヨウ化プロピジウム(propidium iodide)(1μg/ml)を対比染色として使用して死亡細胞を同定した。 氷冷DPBSでの別の洗浄工程を行い、次いで、FACSソーター(FACSVantage SE, Becton-Dickinson)により最も強い緑色蛍光を有する5%の細胞集団をソートした。 比較的多くの膜結合抗体を有するHEA125の亜集団を見出し、上記培養条件下で拡張した。
    【0087】
    c. キメラマウス-ヒトDNA配列いくつかの個々の遺伝子セグメントをクローニングベクターpBSIISK+(Stratagene)中でキメラマウス-ヒトDNA配列へ結合した。 ここで、個々の遺伝子セグメントはPCR(Roche Diagnostics; Expand Long Template PCR System; PCR条件についても参照)により生成した。 マウスハイブリドーマ細胞株HEA125のゲノムDNAをゲノムマウス遺伝子配列に対する鋳型として利用し、ヒト血球のゲノムDNAをゲノムヒト遺伝子配列に対する鋳型として利用した。 ゲノムDNAの単離および必要なクローニング技術は種々の研究室マニュアルに記載される(例えば、SambrookおよびRussell: Molecular Cloning, a laboratory manual, 第3版, 2001, ISBN 0-87969-577-3を参照)。 図12は得られたキメラDNA配列を示し、その配列を調査した。 pBSIISK+におけるクローニングのために利用したプライマーを図12に記載する。 図12Aは、HEA125の定常κ鎖をヒト化するために使用したpBS MhKappaMベクターのキメラDNA配列を示す。 図12Bは、HEA125の定常IgG1 CH1、CH2およびCH3ドメインをヒト化するために使用したpBS MhKappaMベクターのキメラDNA配列を示す。
    【0088】
    d. HEA125に対する最適なエレクトロポレーション条件
    DNAを用いるHEA125のトランスフェクションの最適なエレクトロポレーション条件を以下のように試験した:
    細胞をRPMI培地+10%FCS+1mMピルビン酸塩+2mMグルタミン中で培養し;
    次いで氷冷DPBSで2回洗浄し;
    0.5mM Mg 2+ +0.1mM Ca 2+を含む400μlのDPBS緩衝液あたり約10 7細胞を採り;
    10μgスーパーコイルプラスミドDNA pEGFP N3 MCS(Clontech)あたり400μl細胞に添加し;
    4mmの幅を有するエレクトロポレーションキュベットで混合し;
    キュベットを細胞と共に氷上で10分間インキュベートし;
    次いで、BTXエレクトロポレーター(AGS)を用いて500V〜450Vでそれぞれ2ms持続時間の1電流パルスし;
    10 7細胞それぞれを10ml RPMI+10%FCS+20%馴化培地で50cm 3ボトルで培養し;
    2日後、2%FCSを含む氷冷DPBSで2回洗浄し;
    EGFPによる緑色蛍光をFACSで測定した。
    【0089】
    結果として、FACSで調べたトランスフェクトハイブリドーマ細胞のうち30〜40%は比較的著しい緑色蛍光を有していた(対照:不適切な(irrelevant)ベクターDNAを用いたエレクトロポレーション)。
    【0090】
    e. HEA125のC-κドメインのヒト化実施例1cおよび図12Aに記載のキメラマウスκ定常ドメインヒト化ベクターpBS MhKappaMを、制限酵素BglIを用いて線状にし、各場合、10μgの線状プラスミドDNAを、実施例1b記載の拡張HEA125細胞亜集団と混合した。 これらの細胞を、実施例1d記載の最適化エレクトロポレーション条件下でトランスフェクトした。 培養(実施例1a記載)2〜4日後、細胞を氷冷DPBSで2回洗浄し、4mlあたり約10 8細胞をFITC標識ヤギ抗マウスκ抗体でおよび同時にPE結合体化ヤギ抗ヒトκ抗体(Southern Biotechnology Associates)で染色した。 ヨウ化プロピジウムを対比染色として使用して死亡細胞を同定した。 氷冷DPBSを用いて別の洗浄工程を行い、続いて細胞をFACSソーターによりソートし、約10 8細胞を2時間でソートした。
    【0091】
    結果として、著しいフィコエリトリン(PE)特異的赤色蛍光を有する10 8個のHEA125細胞あたり2〜5個の個々の細胞をソートした。 個々の細胞を実施例1a記載の培養条件下で2〜3週間拡張した。 次いで、得られたクローンを、FITC標識ヤギ抗マウスκ抗体および同時にPE結合体化ヤギ抗ヒトκ抗体を用いて上記のように染色し、FACSで分析した。 著しい赤色蛍光シグナルを有する2つのクローンをさらに増殖させた。 これらのクローンのゲノム定常κドメインをPCRにより増殖させ、プライマーHK3およびHK4(プライマーは図12Aを参照のこと)を配列決定した。 結果として、ゲノムにコードされた定常ヒトκドメインを有するクローンHEA125-hκをさらに増殖させた。 このクローンのゲノムマウスκDNAからゲノムヒトκDNAへの遷移の配列を図12Aに示す。
    【0092】
    あるいは、96ウェルプレート中の細胞を1×10 4細胞までのプールにソートし、2×10 5細胞まで増殖させ、ヒト化AK発現細胞を含む陽性プールについてELISAでスクリーニングした。 POX結合ヤギ抗ヒトκAKを証拠として利用した。 陽性プールをサブクローニングし、方法を個々のクローンHEA125-hκが同定されるまで繰り返した。
    【0093】
    f. 定常IgG1 CH1、CH2およびCH3ドメインのヒト化実施例1cおよび図12B記載のキメラマウスIgG1ヒト化ベクターpBS MhIgG1Mを、制限酵素SspIを用いて線状にし、10μgの線状プラスミドDNAをそれぞれ、実施例1e記載の部分的ヒト化サブクローンHEA125-hκの細胞と混合した。 細胞の細胞培養、FACSおよび染色は実施例1eに記載と同じであり、違いは、PE結合体化ヤギ抗ヒトκ抗体の代わりにPE結合体化ヤギ抗ヒトIgG抗体を使用したことである。 結果として、初めに、著しく増加しているフィコエリトリン(PE)特異的赤色蛍光を有する10 8個のHEA125-hκ細胞あたり1〜3個の個々の細胞をソートした。 PCRプライマーHK3およびHK4(図12Bを参照のこと)による相同組換え領域の対照配列決定後、定常ヒトκドメインに加えて定常IgG1 CH1、CH2およびCH3をゲノムにコードする細胞株HEA125-hIgG1hκをさらに増殖させた。 このクローンのゲノムマウスIgG1-DNAからゲノムヒトIgG1-DNAへの遷移の配列を図12Bに示す。
    【0094】
    従って、原則として所望のように選択され得るIgG1-産生マウスハイブリドーマ細胞のヒトIgG1に関する定常ドメインがヒト化されている。 IgG2a、IgG2b、IgG3、IgA、IgEまたはIgMを産生するマウスハイブリドーマを、他のキメラDNA配列で完全に類似するようにヒト化し得る。 使用されるヒト化ベクターに依存して、個々の抗体クラスはまた、例えばマウスIgMをヒトIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2またはIgEに変換するように変換または修飾され得る。 同じことが、定常マウスκドメインの定常ヒトλドメインへの変換にあてはまる。
    【0095】
    実施例2:増強した抗体表面発現を得る工程実施例1f記載のキメラマウスIgG1ヒト化ベクターpBS MhIgG1Mに代えて、CH3およびM1ドメインとの間のイントロンで約350bpの図12Bに記載の欠失を有し、あとは実施例1fおよび図12B記載のベクターpBS MhIgG1Mと同一であるベクターpBS MhIgG1Mδ350を使用した。 手順は実施例1f記載と同じである。 ここでもまた、約10 8細胞のうち1〜2個は、重鎖の抗体遺伝子座の領域において相同組換えを有することが見出された。
    【0096】
    本実施例の結果、実施例1f記載の細胞株HEA125-hIgG1hκと比較して、CH3ドメインとM1ドメインとの間の短くなったイントロンのため著しく多くの膜結合ヒト化抗体を有する細胞株HEA125-mhIgG1hκを増殖させた(図7、ハイブリドーマ細胞2Hをまた参照)。
    【0097】
    実施例3:HEA125のvH遺伝子座への特異的組換えシグナルの導入a. キメラDNA配列いくつかの個々の遺伝子セグメントをクローニングベクターpBSIISK+中でキメラDNA配列へ結合した。 ここで、個々の遺伝子セグメントはPCR(Roche Diagnostics; Expand Long Template PCR System; PCR条件についても参照)により生成した。 これについて使用したPCRプライマーを図13に示す。 マウスハイブリドーマ細胞株HEA125のゲノムDNAをゲノムマウス遺伝子配列に対する鋳型として利用したベクターploxPfrtPGKneofrtloxPを耐性遺伝子PGKneoに対する鋳型として利用した(Erich Greiner, dkfz, Department: Molecular Cell Biology I)。 図13Bは、その配列を次いで調査して得られたベクターpBS MvHG418Mを示す。
    【0098】
    b. G418予備選択実施例2で得られたHEA125-hIgG1hκ細胞株を、図13B記載の線状pBS MvHG418Mベクターでトランスフェクトし、実施例1b記載のエレクトロポレーション条件を利用した。 エレクトロポレーション2日後、DNAトランスフェクト細胞を初めに、G418を用いる予備選択に供した(14日間1mlあたりチャージ(charge)200〜800μgのG418に依存;休止細胞培養条件に関しては実施例1同様)。 次いで、拡張G418耐性細胞を実施例1b記載のようにFITC標識ヤギ抗ヒトIgG抗体で染色し、FACSでソートした。 ここで、抗体特異的染色を有さない(すなわち、可能な限り最小の緑色蛍光)約2000個の個々の細胞を、上記のようにソートした。 これらの個々の細胞を、実施例1a記載の培養条件下で2〜3週間拡張した。
    【0099】
    c. vH遺伝子座にloxP部位を有するクローンの選択ゲノムDNAを、実施例3bで得たクローンから単離し、PCR(Roche Diagnostics; Expand Long Template PCR System; PCR条件についても参照)に対する鋳型として利用した。 これについて使用したPCRプライマーvHG418-3およびvHG418-4を図13Bに記載した。 特定のPCRバンドを、そのサイズに従って0.8%TAEアガロースゲルで分離し、予測結果と比較した。 2000個の研究したクローンのうち8個が約1.85kbの予測サイズのPCRバンドを有していた。 ゲノムDNA(または記載のPCRバンド)の対照配列決定後、ゲノムにコードされた特異的組換えシグナル(loxPおよびloxP511)を有するクローンHEA125-mhIgG1hκ-loxPG418を、活性vH遺伝子座の領域においてさらに増殖させた。
    【0100】
    d. 特異的組換え実施例3b記載の約2000個のクローンの細胞をプールし、あるいは実施例3c記載の拡張クローンHEA125-mhIgG1hκ-loxPG418を使用した。 図15Bに示すpBS loxPvHmycベクターをこれらの細胞にエレクトロポレーションした。 このベクターは、ゲノム的に組換えられたHEA125のvH遺伝子をコードし、loxPおよびloxP511部位に隣接する。 HEA125のvH遺伝子に加えて、mycタグをvHドメインのCDR3領域に挿入する。 同時に、Cre発現ベクターpMC-Creを細胞にエレクトロポレーションした(これについての条件は実施例1dを参照)。
    【0101】
    培養(実施例1a記載)2〜4日後、細胞を氷冷DPBSで2回洗浄し、1mlあたり約10 8細胞をFITC結合体化ヤギ抗ヒトIgG抗体(Dianova)で染色した。 あるいは、染色をFITC標識1-9E10抗myc抗体を用いて実施した。 ヨウ化プロピジウムを対比染色として使用して、死亡細胞を同定した。 氷冷DPBSでの別の洗浄工程に続いて、強いFITC蛍光を有する個々の細胞をFACSソーターによりソートした。
    【0102】
    あるいは、2×10 4*細胞/ウェルを培養2〜4日後に96ウェルプレートにソートし、細胞により培地に放出された抗体の再発生(reoccurrence)を、さらに培養5日後に、POX結合GAM Ig61Fc AKでELISAにより検出した。 陽性シグナルを示す培地を、個々の細胞クローンの下流にサブクローニングした。
    【0103】
    以下の結果が得られた:
    実施例3c記載の最初のクローンHEA125-mhIgG1hκ-loxPG418は、比較的強いFITC蛍光を有する細胞を約1%もたらした;
    実施例3b記載の細胞プールは、ソートした細胞10 8個あたり比較的強いFITC蛍光を有する細胞を約15個もたらした。
    【0104】
    ソートした合計20個の個々の細胞を実施例1a記載の培養条件下で2〜3週間拡張した。 その後、個々のクローンをG418耐性について実施例3b記載のように試験した。 結果として、試験した20個のクローンのうち17個がG418に感受性であった。 PCRプライマーvHG418-3およびvHG418-4(図13B参照)によるvH遺伝子座のPCRおよび配列決定に続いて、G418感受性細胞株HEA125-mhloxPmycをさらに拡張した。 このクローンの細胞を氷冷DPBSで2回洗浄し、1mlあたり約10 8細胞をFITC標識抗myc抗体(Myc1-9E10エピトープ; Evanら, 1985, Mol. Cell. Biol. 5, 3610-3616)で染色した。 ヨウ化プロピジウムを対比染色として使用して、死亡細胞を同定した。 細胞株HEA125-mhloxPmycの強い緑色蛍光がFACSで示された。
    【0105】
    得られたG418感受性細胞株HEA125-mhloxPmycは、ヒト化定常ドメインと明確な特異性を有するモノクローナルハイブリドーマIgG1抗体(例えば、vHドメインのCDR3においてさらなるc-myt-タグを有するHEA125のvHドメイン)を産生する。 さらに、vH遺伝子座の中のvHエキソンは2つの異なるloxP部位で隣接する。 産生された抗体の大部分(だいたい10 4 〜10 6抗体分子)は、ハイブリドーマ細胞の表面上の膜アンカーで共有結合する。
    【0106】
    実施例4:HEA125のvκ遺伝子座への特異的組換えシグナルの導入a. キメラDNA配列実施例3に記載のように、いくつかの個々の遺伝子断片をクローニングベクターpBS中でキメラDNA配列へ結合した。 図13Aは得られたベクターpBS MκG418Mを示し、その配列を引き続き調査した。
    【0107】
    b. G418予備選択実施例3dで得られたHEA125-mhloxPmyc細胞株を、実施例4a記載の線形pBS MκG418Mベクターで実施例3b記載のようにエレクトロポレーションし、G418選択を記載のように引き続き実施し、細胞を発現されたκ鎖を用いずにFACSでソートした。 しかしながら、実施例3bとは対照的に、FITC標識ヤギ抗ヒトκ抗体を染色のために使用した。 κ特異的染色を有さない(すなわち、可能な限り最小の緑色蛍光)約2000個の個々の細胞を実施例3b記載のように、ソートした。 これらの個々の細胞を実施例1a記載の培養条件下で2〜3週間拡張した。
    【0108】
    c. vκ遺伝子座におけるFRT部位の導入実施例4bに記載されたクローンから、記載されたようにゲノムDNAを単離し、PCRを行い、予期したサイズのPCRバンドを確認した。 このために使用したPCRプライマーKG418-3およびKG418-4は、図13Aに記載されている。 調査したクローン2,000個のうち14個が約1.9kbの予期したサイズのPCRバンドを有した。 ゲノムDNA(または記載されたPCRバンド)の制御配列決定後、ゲノムコード特異的組換えシグナル(FRT0およびFRT3)を有するクローンHEA125-mhloxPmycFRTG418を、活性vκ遺伝子座の領域でさらに増殖させた。 得られた細胞株HEA125-mhloxPmycFRTG418は、ヒト化定常ドメインを有する、規定された特異性(実施例では、vHドメインのCDR3において付加的なc-myc-tagを有するHEA125のvHドメイン)のモノクローナルハイブリドーマIgG1抗体を産生する。 さらに、vH遺伝子座内のvHエキソンは、2つの異なるloxP部位に隣接する。 vκドメインの変わりに、2つ異なるFRT部位に隣接するG418耐性遺伝子が見出される。
    【0109】
    d. 特異的組換え実施例4bに記載された約2,000個のクローンの細胞をプールし、代替的に、実施例4cに記載された拡大培養されたクローンHEA125-mhloxPmycFRTG418を使用した。 図15Aに示されるベクターpBS FRTvκを、これらの細胞にエレクトロポレートした。 このベクターは、FRT0およびFRT3部位に隣接するHEA125のゲノム組換えvκ遺伝子(リーダーエキソンなし)をコードする。 同時に、Flp発現ベクターpOG44を、細胞にエレクトロポレートした(この条件は実施例1dを参照)。 培養物中で2〜4日後(実施例1aに記載)、細胞を2回氷冷DPBSで洗浄し、1ml当たり約10 8個の細胞をPE-コンジュゲートヤギ抗ヒトκ抗体(Dianova)で染色した。 ヨウ化プロピジウム(Propidium iodide)を対比染色として使用して、死滅細胞を同定した。 氷冷DPBSを用いる別の洗浄工程後、強いPE蛍光を有する個々の細胞をFACSソーターにより分取した。
    【0110】
    以下の結果を得た:
    実施例4cに記載された初期クローンHEA125-mhloxPmycFRTG418により、比較的強いPE蛍光を有する約1%の細胞を得た;
    実施例4bに記載された細胞のプールにより、10 8個の分取された細胞当たり比較的強いPE蛍光を有する約20個の細胞を得た。
    【0111】
    約20個の分取された個々の細胞全部を、実施例1aに記載された培養条件下で2〜3週間拡大培養した。 その後、個々のクローンを実施例4bに記載されたようにG418耐性について試験した。 結果として、試験したクローンの20個のうち18個がG418に対して感受性であり、その中でサブクローンの全てがHEA125-mhloxPmycFRTG418クローンに由来した。 PCRプライマーKG418-3およびKG418-4によるPCRおよびvκ遺伝子座の配列決定後(図13A参照)、G418-感受性細胞株HEA125-mhRekをさらに拡大培養した。
    【0112】
    得られた細胞株HEA125-mhRekは、ヒト化定常ドメインを有する規定された特異性のモノクローナルハイブリドーマIgG1抗体を産生する。 実施例では、HEA125のvHドメインは、FACSにおいてモノクローナル抗体1-9E10により証明されうる、vHドメインのCDR3において付加的なc-myc-tagをコードする。 さらに、活性vHエキソンは、vH遺伝子座内の2個の異なるloxP部位に隣接する。 活性vκエキソンは、vκ遺伝子座内の2個の異なるFRT部位に隣接する。 作製した抗体の主要部分をハイブリドーマ細胞の表面上の膜アンカーに共有結合させる。
    【0113】
    実施例5: vλ遺伝子ライブラリーの調製
    a. ヒトvλ遺伝子のコンピュータ解析ヒトvλ遺伝子座のゲノム配列は公知である(ヒト免疫グロブリンλ遺伝子座の1メガ塩基配列解析''; Genome Res. 7:250-261(1997);アクセッション番号: D87000; D87007; D87009); D87010; D87014; D87015; D87016; D87017; D87018; D87021; D87022; D87023; D87024; X51755; X51754; 33個の機能的vλ遺伝子を記載するImmunoglobulin Facts Book, Lefranc and Lefrancもまた参照のこと)。 24個の公知のヒトvλ遺伝子のコンピュータ解析では、調査した遺伝子のリーダーエキソンの開始コドンの約300bp上流(5'方向)の領域内でCDR3の末端の特定のゲノム組換えシグナルまでにBstBI、BssHII、ClaI、DraI、HpaI、MluI、NotI、NruI、SacII、SalI、SnaBI、XhoI、EagIおよびSwaI制限部位は存在しなかった。 さらに、Jセグメントの領域を各場合それぞれ4個の活性Jλ遺伝子セグメントの5'末端からJセグメントの3'末端の約200bp下流(3'方向)までを研究した(D87018およびD87023を参照)。 結果として、特に制限部位BssHII、MluI、NotI、SalI、XhoIおよびEagIは、ヒトvλ遺伝子の多様性をクローニングするのに適切である。
    【0114】
    b. vλ遺伝子特異的PCRプライマー各々リーダーエキソンと特定のvλエキソンとの間のイントロンにハイブリダイズするvλ遺伝子特異的PCRプライマーを作製した(図14A)。 HEA125の活性vκ遺伝子座の匹敵する領域は、リーダーエキソンおよびvκエキソンの間のイントロンにおけるほぼSwaI切断部位である。 プライマーはそれぞれ特定のvλエキソンの5'末端の約130〜170bp上流に位置する領域にハイブリダイズする。 プライマーのハイブリダイゼーション温度をそれぞれ約65℃と計算した。 式:
    ハイブリダイゼーション温度=(2℃×AT bpの数+4℃×GC bpの数)−5℃
    を、ハイブリダイゼーション温度を計算するために使用する。
    【0115】
    c. Jλ遺伝子セグメント特異的PCRプライマー
    4個の活性ヒトJλ遺伝子セグメントの全てを、各場合において隣接する定常cλエキソンからイントロンにより分割する。 Jλセグメントの3'末端の約89bp(HEA125のBsaI切断部位の領域内)下流に、全部で4個のJλ遺伝子セグメント特異的PCRプライマーを、各々計算したハイブリダイゼーション温度約65℃で作製した(図14A)。
    【0116】
    d. PCRによるヒトvλ遺伝子の増幅ヒトBリンパ球のゲノムDNAを鋳型DNAとして使用した。 ゲノムDNAの単離は、種々の実験室マニュアルに記載されている(例えば、SambrookおよびRussell: Molecular Cloning, a laboratory manual、第3版、6章、2001, ISBN 0-87969-577-3を参照)。 PCRプライマーを実施例5bおよび5cに記載する。 ゲノム組換えヒトvλ遺伝子の多様性を、4個の異なるJλ遺伝子セグメントプライマーを24個の異なるvλ遺伝子特異的プライマーとあわせることにより得、すなわち96個の異なるPCR反応を行なった。 このためのPCR条件は、Expand Long Template PCR System(Roche Diagnostics)に記載されている。
    【0117】
    その後、約560 bp長を有するPCRバンドを、サイズに従って別々に選択し、精製した(Qiagen Gel Purification Kit)。 これら全96 PCRバンドの各々は記載された条件下で別のPCRに対する鋳型として使用され、ここで実施例5bに記載されたプライマーの代わりに、その配列が以下の塩基により5'末端で伸長されるPCRプライマーが使用された:
    5' attata ACGCGT ...(実施例5bに記載されたvλ遺伝子特異的PCRプライマーの配列が続く(したがって、クローニングに必要なMluI制限部位が、PCR産物に挿入される);
    5' ttcGAAGTTCCTATTCTCTAGAAAGTATAGGAACTTC...(実施例5bに記載されたvλ遺伝子特異的PCRプライマーの配列が続く(したがって、代替的なクローニングストラテジーに必要なFRT0部位が、PCR産物に挿入される);
    5' attata GCGGCCGC ...(実施例5cに記載されたJλ遺伝子セグメント特異的PCRプライマーの配列が続く(したがって、クローニングに必要なNotI制限部位が、PCR産物に挿入される);および
    5' ttcGAAGTTCCTATACTATTTGAAGAATAGGAACTTC...(実施例5cに記載されたJλ遺伝子セグメント特異的PCRプライマーの配列が続く(したがって、代替的なクローニングストラテジーに必要なFRT3部位が、PCR産物に挿入される)。
    【0118】
    記載されたように、PCRバンドをサイズにより選択し、かつ精製した結果、96個のPCRバンドが利用可能であった。 それらは各々FRT0およびFRT3配列に隣接した。 さらに96個のPCRバンドが得られ、それらは各々MluIおよびNotI制限部位に隣接した。
    【0119】
    e. ヒトvλ遺伝子のクローニングクローニングベクターpBS FRTvKappaにおいて、2個の異なるFRT部位は、HEA125中のvκエキソン活性に隣接する(図15A)。 FRT特異的リコンビナーゼFlpの存在下で、これは記載されたFRT部位に隣接するDNA配列のインビトロでの交換を可能にする。 第1に、AatII-切断DNA配列
    attata GACGTCACGCGT AAT GTCGAC TAT GCGGCCGCGACGTC aatata
    をまた、AatIIを用いて切断したFRTvkappaクローニングベクターにクローン化した。 得られた組換えDNAの大腸菌におけるトランスフェクション後、個々のクローンを単離し、その配列を確認した。 ここで、そのFRT部位が図15Aに示されるvκエキソンの代わりに上記または図15Cに記載された制限部位MluI、SalIおよびNotIに隣接するpBS FRTcloneクローニングベクター(図15C)を得た。
    【0120】
    単離したベクターDNA(Qiagen Plasmid Purification Kit)を制限酵素MluIおよびNotIを用いて消化し、実施例5dに記載された対応して消化した96個の異なるPCRバンドをライゲートさせ、得られたライゲーション産物を大腸菌にトランスフェクトし、次いで高度複合混合物(highly complex mixture)(>10 6の種々の形質転換体)をベクターDNAから単離した(pBS FRTclone-vλ)(Qiagen Plasmid Purification Kit)。
    代替的には、実施例5dに記載され、T4-DNAリガーゼにより円形化した、FRT部位に隣接する96個の異なるPCRバンドをFlpリコンビナーゼおよびベクターpBS FRTcloneと共にインキュベートし、得られた組換え産物を制限酵素SalIを用いて切断し、上記のように大腸菌にトランスフェクトし、続いてベクターDNAの高度複合混合物を単離した(pBS FRTclone-vλ)。
    【0121】
    f. HEA125におけるヒトvλ遺伝子の特異的組換え実施例5eに記載されたヒトvλベクターDNAの高度複合混合物(pBS FRTclone-vλ)を、拡大培養されたクローンHEA125-mhloxPmycFRTG418の細胞にFlp発現ベクターpOG44と共にエレクトロポレートし(実施例4cを参照)、3日後細胞をFITC-標識ヤギ抗ヒトκ抗体を用いて染色し、記載されたように細胞をFACSソーターにより単離した。 結果として、FACSにおいてマークしたグリーン蛍光を有する約0.7%の分取した細胞(または約10 6細胞)を得、あわせた。 このvλ細胞ライブラリーを細胞培養物において拡大培養した。
    【0122】
    この手順の結果は、その個々のメンバーが各場合定常ヒトκドメインに融合した多量のそれぞれ異なるヒトvλ鎖を表面上に提示する複合体(>10 6の種々のハイブリドーマ特異性)ハイブリドーマライブラリーである(図9)。
    記載されたpBS FRTclone-vλのような高度複合混合物が得られうる好ましい態様は、示されない。 ここで、pBSIISK+クローニングベクターの代わりに、真核細胞においてエピソームで複製するベクターが使用される(例えば、Invitrogenに由来するpCEP4、pREP7、pREP10、pEBVHisまたはpREP4に基づく)。 Flpリコンビナーゼは、安定にかつ染色体に組み込まれている制御可能な発現カセットによりコードされる。 この種のシステムは、とりわけInvitrogen社(GeneSwitch TM System K1060-01; T-Rex TM System K1020-01)により提供される。
    【0123】
    実施例6: vκ遺伝子ライブラリーの作製
    a. ヒトvκ遺伝子のコンピュータ解析ヒトvκ遺伝子座のゲノム配列は公知である(Immunoglobulin Facts Book, Lefranc and Lefranc, 2001, Academic Press, ISBN 0-12-441351-X)。 34個の公知の機能的ヒトvκ遺伝子のコンピュータ解析では、調査した遺伝子のリーダーエキソンの約200〜300 bp上流の領域内でCDR3の末端の特定のゲノム組換えシグナルまでにBglI、BssHII、BstBI、ClaI、EagI、HindIII、MluI、NotI、NruI、PvuI、SacII、SfiT、SnaBI、SpeIおよびStuI制限部位は存在しなかった。 さらに、Jセグメントの領域を、活性J1κ遺伝子セグメントの5'末端から活性J5κ遺伝子セグメントの3'末端の約200 bp下流まで調査した(アクセッション番号J00242を参照)。 結果として、特に制限部位BssHII、EagI、HindIII、MluI、NotI、SfiIおよびSpeIは、ヒトvκ遺伝子の多様性をクローニングするのに適切である。 制限酵素SalIは、遺伝子IGKV1D-43の外側を一度切断するのみである。
    【0124】
    b. vκ遺伝子特異的PCRプライマー各々リーダーエキソンおよび特定のvκエキソンの間のイントロンにハイブリダイズするvκ遺伝子特異的PCRプライマーを作製した(図14B)。 HEA125の活性vκ遺伝子座の匹敵する領域は、リーダーエキソンおよびvκエキソンの間のイントロンにおけるSwaI切断部位にほぼ位置する。 プライマーは、各々特定のvκエキソンの始まりの約130〜170 bp上流の領域にハイブリダイズする。 プライマーのハイブリダイゼーション温度を各々約65℃と計算した。
    【0125】
    c. Jκ遺伝子セグメント特異的PCRプライマー全5個の活性ヒトJκ遺伝子セグメントは、Jλ 遺伝子セグメントを除いて集合するので、集合したJκセグメントからイントロンにより分割される同じ定常cκエキソンが常に使用される。 種々のJκセグメントの3'末端の約89 bp(HEA125の匹敵する領域はBsaI切断部位である)下流に、各々約65℃の計算したハイブリダイゼーション温度を用いて全5個のJκ遺伝子セグメント特異的PCRプライマーを作製した(図14B)。
    【0126】
    d. PCRによるヒトvκ遺伝子の増幅
    vλについて実施例5dに記載されたように、ゲノム組換えヒトvκ遺伝子の多様性は、5個の異なるJκ遺伝子セグメントプライマーを34個の異なる機能的vκ遺伝子特異的プライマーとあわせることにより得られ、すなわち170個の異なるPCR反応を行った。 これらの全170個のPCRバンドは各々さらなるPCR反応に対する鋳型として使用され、ここで実施例5dに記載されたように、使用したプライマーは制限部位によりまたはFRT0もしくはFRT3によりその5'末端で伸長された。 記載されたようにそのサイズによりPCRバンドを選択して精製した結果、170個のPCRバンドが利用可能であった(約600 bp; 各々FRT0およびFRT3配列に隣接した)。 各々MluIおよびNotI制限部位に隣接する別の170個のPCRバンドを得た(約550 bp)。
    【0127】
    e. ヒトvκ遺伝子のクローニング実施例5e(図15C)に記載されたpBS FRTcloneの単離されたベクターDNAを制限酵素MluIおよびNotIにより消化し、実施例6dに記載され、MluIおよびNotI部位に隣接する対応して消化した170個の異なるPCRバンドをライゲートし、得られたライゲーション産物を大腸菌にトランスフェクトし、次いで実施例5eに記載されたようにベクターDNAの高度複合混合物(>10 6の種々の形質転換体)(pBS FRTclone-vκ)を単離した。
    代替的には、その全てが円形化し、FRT部位に隣接し、実施例6dに記載された170個の異なるPCRバンドをベクターpBS FRTvkappaを有するFlpリコンビナーゼと共にインキュベートし、得られた組換え産物をSalI制限酵素を用いて切断し、実施例5eに記載されたように大腸菌にトランスフェクトし、次いでベクターDNAの高度複合混合物(pBS FRTclone-vκ)を単離した。
    【0128】
    f. HEA125におけるヒトvκ遺伝子の特異的組換え実施例5fでvλについて記載されたように、実施例6eに記載されたヒトvκベクターDNAの高度複合混合物(pBS FRTclone-vκ)を、拡大培養した細胞株HEA125-mhloxPmycFRTG418の細胞にFlp発現ベクターpOG44と共にエレクトロポレートし、FITC-標識ヤギ抗ヒトκ抗体を使用して染色し、細胞を記載されたようにFACSソーターにより単離した。 結果として、FACSにおいてマークしたグリーン蛍光を有する約0.8%の分取した細胞(または約10 6細胞)を得、あわせた。 このvκ細胞ライブラリーを細胞培養物において拡大培養した。
    【0129】
    この手順の結果は、その個々のメンバーが表面上に定常ヒトκドメインに各々融合した大量のそれぞれ異なるヒトvκ鎖を提示する複合体(>10 6の種々のハイブリドーマ特異性)ハイブリドーマライブラリーである(図9)。
    【0130】
    実施例7: 抗体ライブラリーの作製
    a. ヒトvH遺伝子のコンピュータ解析ヒトvH遺伝子座のゲノム配列は公知である(EMBLデータベースアクセッション番号X97051; S64822; AB019437; AB019438; AB019439; AB019440; AB019441; Immunoglobulin Facts Book, Lefranc and Lefranc, 2001, Academic Press, ISBN 0-12-441351-Xもまた参照)。 アクセッション番号X97051; S64822; AB019437; AB019438; AB019439; AB01944およびAB019441で挙げられる44個の機能的ヒトvH遺伝子のコンピュータ解析では、調査した遺伝子のリーダーエキソンの5'末端の300 bp上流の領域内でそれぞれvH遺伝子隣接ゲノム組換えシグナルまでにBssHII、ClaI、MluI、NheI、NotI、NruI、PvuI、SalI、SfiI、SwaIおよびXhoI制限部位は存在しなかった。 さらに、J Hセグメントの領域を、活性J1 H遺伝子セグメントの5'末端から活性J6 H遺伝子セグメントの3'末端の約200 bp下流まで調査した(アクセッション番号 X97051; S64822参照)。 結果として、特に制限部位BssHII、MluI、NheI、NotI、SalI、SfiIおよびXhoIは、ヒトvH遺伝子の多様性をクローニングするのに適切である。 制限部位BssHII、MluI、NotIおよびSalI(遺伝子IGKV1D-43を除く)は、調査したvλおよびvκ遺伝子領域のどちらにも生じない。
    【0131】
    b. vH遺伝子特異的PCRプライマー各々特定のvHリーダーエキソンの5'末端の約182 bp上流で特定のvH遺伝子にハイブリダイズするvH遺伝子特異的PCRプライマーを作製した(図14C)。 プライマーのハイブリダイゼーション温度を各々の場合約65℃であると計算した。
    【0132】
    c. J H遺伝子セグメント特異的PCRプライマー全6個の活性ヒトJ H遺伝子セグメントをJκ遺伝子セグメントのように集合させ(clustered)、それにより常に同じ定常CHエキソンが使用される(可能な伝導クラススイッチの機能としてではない)。 CH1エキソンは、ここで集合J H遺伝子セグメントからイントロンにより分割される。 各場合において、特定のJ H遺伝子セグメントの3'末端の約83 bp(HEA125の匹敵する領域は、BSu36I切断部位である)下流に、各場合約65℃の計算したハイブリダイゼーション温度で全6個のJ H遺伝子セグメント特異的PCRプライマーを作製した(図14C)。
    【0133】
    d. PCRによるヒトvH遺伝子の増幅λに対して実施例5bに記載されたように、6個の異なるJ H遺伝子セグメントプライマーを44個の異なるvH遺伝子特異的プライマーとあわせることにより、ゲノム組換えヒトvH遺伝子の多様性を得、すなわち6×44−264の異なるPCR反応を行った。 ここで、6個のJ H遺伝子セグメント特異的PCRプライマーのうち5個が追加の比較的高分子のPCRバンドを示し、それを各場合約790 Bp長を有するバンドからTAEアガロースゲルにおいて分離した。 これは、例えば、J2 H PCRプライマーはゲノム組換えvHJ2 H融合物およびvHJ1 H融合物の両方を増幅するという事実のためである。
    【0134】
    実施例5dに記載されたように、約790 bpのサイズを有するこの全264個のPCRバンドの各々は記載された条件を有する別のPCRのための鋳型として使用され、この場合実施例7bに記載されたプライマーはその配列が以下の塩基により5'末端で伸長されたPCRプライマーと交換された:
    5' attata ACGCGT ...(実施例7bに記載されたvH遺伝子特異的PCRプライマーの配列が続く(したがって、クローニングに必要なMluI制限部位が、PCR産物に挿入される);
    5' ttc ATAACTTCGTATA ATGTATGC TATACGAAGTTAT ...(実施例7bに記載されたvH遺伝子特異的PCRプライマーの配列が続く(したがって、代替的なクローニングストラテジーに必要なloxP部位が、PCR産物に挿入される);
    5' attata GCGGCCGC ...(実施例7cに記載されたJ H遺伝子セグメント特異的PCRプライマーの配列が続く(したがって、クローニングに必要なNotI制限部位が、PCR産物に挿入される);ならびに
    5' cct ATAACTTCGTATA ATGTATAC TATACGAAGTTAT ...(実施例7cに記載されたJH遺伝子セグメント特異的PCRプライマーの配列が続く(したがって、代替的なクローニングストテジーに必要なloxP511部位は、PCR産物に挿入される)。
    記載されたように、PCRバンドをサイズに関して選択および精製した結果、約860 bpのサイズを有する264個のPCRバンドが利用可能であった。 各々loxPおよびloxP511配列に隣接した。 さらに264個のPCRバンドが得られ、各々MluIおよびNotI制限部位に隣接した。
    【0135】
    e. ヒトvH遺伝子のクローニング図15Dに記載された単離されたベクターDNA pBS loxPclone(Qiagen Plasmid Purification Kit)を制限酵素MluIおよびNotIを使用して消化し、実施例7dに記載された同様に消化した264個の異なるPCRバンドをライゲートし、得られたライゲーション産物を大腸菌にトランスフェクトし、次いで高度複合混合物(>10 6の種々の形質転換体)をベクターDNAから実施例5eに記載されたように単離した(pBS loxPclone-vH)。
    代替的には、loxP部位に隣接し、実施例7dに記載された264個の異なるPCRバンドを、ベクターpBS loxPcloneとCre リコンビナーゼと共にインキュベートし、得られた組換え産物をSalI制限酵素を使用して切断し、上記のように大腸菌にトランスフェクトし、その後ベクターDNAの高度複合混合物(pBS loxPclone-vH)を単離した。
    【0136】
    f. HEA125におけるヒトvH遺伝子の特異的組換え
    vλについて実施例5fに記載されたように、実施例7eに記載された、ヒトvHベクターDNAの高度複合混合物(pBS loxPclone-vH)を、細胞にCre発現ベクターpMC-Creと共にエレクトロポレートした。 実施例5fおよび6fに記載されたvλまたはvκ細胞ライブラリーを、この目的のために使用した。 PE-コンジュゲートヤギ抗ヒトIgG抗体および同時にFITC-標識モノクローナル抗myc1-9E10抗体を用いて細胞を染色した。 記載されたように、細胞をFACSソーターにより単離した。 結果として、FACSにおいて強いレッド蛍光および同時に少なくとも可能なグリーン蛍光を示す約0.8%の分取された細胞(または約10 7細胞)を得、あわせた。 この抗体細胞ライブラリーを細胞培養物において拡大培養し、そのアリコートを液体窒素中で凍結した。
    【0137】
    この手順の結果は、個々のメンバーが表面上に定常ヒトドメインに各々融合した多量のそれぞれ異なるヒトIgG1抗体を提示する複合体(>10 7の種々のハイブリドーマ特異性)抗体ライブラリー(図9)である。 同時に、ハイブリドーマ細胞は、産生した抗体の大部分を周囲の培地に分泌する。 ここで、個々のプロセシングステップは、公知の従来技術により大部分それら自身を認める。
    実施例において、この抗体ライブラリーのvλドメインを定常κドメインに融合する。 さらに好ましい態様において(示さず)、相同組換え後定常ヒトλドメインをコードするベクターが、図12Aに示されるpBS MhKappaMベクターの代わりに使用される限り、実施例1eをこの目的のために修飾した。
    【0138】
    実施例8: FACS/磁気ビーズによるモノクローナル抗体の選択実施例7fに記載された抗体ライブラリーを、実施例1aに記載されたように培養した。 拡大培養された細胞を氷冷DPBSを用いて2回洗浄し、400μl当たり約10 7個の細胞を、FITC-コンジュゲートBSAを用いて染色した。 ヨウ化プロピジウム(1μg/ml)を対比染色として使用し、死滅細胞を同定した。 氷冷DPBSを使用する別の洗浄工程の後、FACSソーターにより細胞を分取した。 結果として、10 7ハイブリドーマ細胞当たり比較的強いグリーン蛍光を有する約15個の細胞を見出した。 実施例1aに記載されたように分取した個々の細胞を拡大培養し(フィーダー細胞と共に一定環境下)、含まれた分泌された抗体を含む上清を、抗原特異性についてウエスタンブブロットにおいて調査した。 結果として、2個のクローンの上清はBSAと反応し(分子量約68kD)、5個のさらなるクローンはFITC-BSA特異的染色を有した(分子量約72kD)。
    【0139】
    同時に、実施例7fに記載された抗体ライブラリーの約10 8細胞を、氷冷DPBSを用いて2回洗浄し、次いで5ml DPBS 緩衝液中で BSAを使用してまたはオボアルブミン-被覆磁気ビーズを使用して5分間インキュベートした。 非結合細胞を磁石により洗い出し、他の磁気ビーズ結合細胞を実施例1aに記載されたように培養した。 結果として、BSA磁気ビーズで富化された細胞の上清は、ウエスタンブロットにおいてオボアルブミンとではなくBSA(分子量約68 kD)と反応した一方で、オボアルブミン磁気ビーズで富化された細胞の上清はBSAでの染色を示さなかった。
    【0140】
    実施例9: より親和性が高い(affine)モノクローナル抗体のFACSによる選択実施例8に記載された5個のFITC-BAS特異的クローンにより分泌された抗FITC抗体の各々をプロテインGセファロースにより精製し、その一部を西洋ワサビペルオキシダーゼとコンジュゲートした(抗FITC-POX抗体)。 種々の精製した抗体の濃度を、各々PBS中で1mg/mlに調整した。
    【0141】
    ELISAプレートを、FITC-BSA(各々100μlのPBS中0.1μg)で被覆し、ブロックし(200μlのPBS中1%の粉ミルク)、5個の異なるペルオキシダーゼコンジュゲート抗体(各々100μlのPBS-Tween20中1:2000に希釈)を増加量の非ペルオキシダーゼコンジュゲート抗体と競合させた。 非ペルオキシダーゼコンジュゲート抗体を、各々10分間被覆FITC抗原と共にプレインキュベートした。 中間の洗浄工程後、残基に結合したペルオキシダーゼを基質OPD/H 2 O 2を用いて検出した。
    【0142】
    これらの競合実験において、クローン抗FITC2により産生された抗FITC2抗体は、比較的最も親和性が高い抗体であることが証明された。 各々の場合に1:2000に希釈したペルオキシダーゼ-コンジュゲート抗FITC1、2、3、4または5抗体が与えられる場合、ELISAシグナルの半最大阻害は以下に従う:
    1:1000に希釈した抗FITC2抗体と抗FITC1-POX抗体;
    1:500に希釈した抗FITC2抗体と抗FITC2-POX抗体;
    1:2000に希釈した抗FITC2抗体と抗FITC3-POX抗体;
    1:2000に希釈した抗FITC2抗体と抗FITC4-POX抗体;
    1:5000に希釈した抗FITC2抗体と抗FITC5-POX抗体。
    【0143】
    次いで、抗FITC2クローンの10 6細胞を抗FITC5クローンの約10 7細胞と混合し、氷冷DPBSで2回洗浄し、FITC-BSA(10μg/ml)および同時にPE-コンジュゲートプロテインG(10μg/ml)で染色した。 ヨウ化プロピジウムを記載されたように使用して、死滅細胞を証明した。 DPBSを使用する別の洗浄工程の後、細胞をFACSで解析した(図10)。 ここで、約10%の生存細胞は、約0.8(+/- 0.2)のレッド蛍光に対するグリーン蛍光の比を有し、一方約90%の生存細胞は、約0.08(+/- 0.03)のレッド蛍光に対するグリーン蛍光の比を有した。
    【0144】
    上記したように、これらの細胞集団の約10 6細胞を、各々の場合別々に分取し、ゲノムDNAをそれらから単離し、プライマーvHG418-3および-4を用いるPCRに対する鋳型として使用した(図13B)。 同じことをクローン抗FITC2および抗FITC5の細胞を用いて行った。 PCRバンドをサイズに従って1%TAEアガロースゲルにおいて分離し、分取した細胞集団の区別できるくらいわずかに大きいPCRバンドは、約0.8のレッド蛍光に対するグリーン蛍光の比でクローン抗FITC5に対応し(約1.95kb)、一方、分取した細胞集団の対応するわずかに小さいPCRバンドは約0.08のレッド蛍光に対するグリーン蛍光の比で抗FITC5クローンに対応した。
    【0145】
    この実施例は、高度に親和性が高いモノクローナル抗体を発見するための非常に簡単な方法を示す。 ここで、存在する抗体の数の容易に実施できる正規化は、発見された抗体特異性の「オンライン」アフィニティー比較を可能にする(図10)。
    【0146】
    実施例10: 「鎖シャッフリング」および高度に親和性が高いモノクローナル抗体の選択
    vH遺伝子の実施例7eに記載された多様性を、実施例7fに記載されたようにCre発現ベクターにより実施例9に記載された拡大培養細胞株に組換えた。 得られた抗FITC抗体ライブラリーを実施例9に記載されたようにFITC-BSAおよび同時にPE-コンジュゲートプロテインGを用いて染色した。
    【0147】
    結果として、生存細胞の約70%は、約0.08(+/- 0.03)のレッド蛍光に対するグリーン蛍光の比を有し、一方生存細胞の約0.02%は、0.2〜0.7(+/- 0.1)のレッド蛍光に対するグリーン蛍光の比を有した。
    【0148】
    この実施例は、比較的高度に親和性が高いモノクローナル抗体が単離されうるハイブリドーマの一群を作製するための非常に単純な方法を示す。
    【0149】
    実施例11: 高度に親和性が高い抗体を得るための体細胞過剰変異(hypermutation)の導入遺伝子RAD54、RecQ4、polX mu、RAD51B、XRCC2およびXRCC3のcDNA配列は公知である。 最初に、遺伝子RAD54、RecQ4および/またはpolX muのcDNA配列をRSVプロモーターの制御下で真核生物発現ベクターpREP4(Invitrogen)に各々クローン化し、正しい配列を確認した。 ここで、発現ベクターpREP4-RAD54、pREP4-RecQ4およびpREP4-polXmuならびにアンチセンスRNA発現ベクターpREP4-RAD51B、pREP4-XRCC2およびpREP4-XRCC3を得た。
    【0150】
    ベクターpREP4-XRCC2、pREP4-RAD54、pREP4-RecQ4およびpREP4-polXmuの環状DNAを1:1:1:1の比で混合し、実施例9に記載された拡大培養抗FITC5細胞株に実施例1dに記載された最適化エレクトロポレーション条件下でエレクトロポレートした。 その後、実施例1aに記載されたように、細胞を2〜3日間培養した。 任意に、エピソームで複製するpREP4ベクターを取り込んだ細胞を、次いでハイグロマイシンを使用して選択しうる。 その後、実施例9に記載されたようにFITC-BSAおよび同時にPE-コンジュゲートプロテインGで細胞を染色した。 結果として、生存細胞の約90%が、約0.08(+/- 0.03)のレッド蛍光に対するグリーン蛍光の比を有し、一方生存細胞の約0.002%が、0.2〜0.7(+/- 0.2)のレッド蛍光に対するグリーン蛍光の比を有した。
    【0151】
    この実施例は、比較的高度に親和性が高いモノクローナル抗体が単離されうるハイブリドーマの一群を作製するための別の非常に容易な方法を示す。
    【0152】
    実施例12: 二重特異性抗体の作製
    a. キメラDNA配列数個の個々の遺伝子断片を、クローニングベクターpBSIISK+においてキメラDNA配列に組み合わせた。 個々の遺伝子断片を、ここでPCRにより作製した(Roche Diagnostics; Expand Long Template PCR System;PCR条件についても参照)。 ネズミハイブリドーマ細胞株HEA125のcDNAは、遺伝子配列に対する鋳型として使用され、scFv抗体215に対する発現ベクターは、遺伝子配列に対する鋳型として使用された(Kontermannら、1995, ショウジョウバエRNAポリメラーゼIIの最大サブユニットに対するモノクローナル抗体により認識されるエピトープの特徴づけ。Biol. Chem. Hoppe-Seyler 376 , 473-481)。 cκ(HEA)およびscFv(215)抗体の間のリンカー配列の領域を、合成突出PCRオリゴヌクレオチドにより作製した。 結果として、ベクターpBS FRT KappaHEAscFv215を得た。 図17Aは、続いて配列が確認された得られたキメラDNA配列を示す。
    【0153】
    b. vκ遺伝子座における特異的組換え記載されたベクターpBS FRT KappaHEAscFV215を、細胞株HEA125-mhloxPmycFRTG418にエレクトロポレートした。 同時に、Flp発現ベクターpOG44を細胞にエレクトロポレートした(これについての条件は、実施例1dを参照)。 培養物において2〜4日後(これについての条件は実施例1aを参照)、氷冷DPBSで細胞を二回洗浄し、1ml当たり約10 8細胞をPEコンジュゲートヤギ抗マウスκ抗体(Southern Biotechnology Associates)を使用して染色した。 ヨウ化プロピジウムを対比染色として使用し、死滅細胞を同定した。 氷冷DPBSを使用する別の洗浄工程後、強いPE蛍光を有する個々の細胞を、FACSソーターにより分取した。 ここで、実施例12aに記載された初期クローンHEA125-mhloxPmycFRTG418により、比較的強いPE蛍光を有する約0.1%の細胞を得た。 その後、5個の分取した個々の細胞を、実施例1aに記載された培養条件下で2〜3週間拡大培養した。 次いで得られたクローンを、記載されたように再びPE-標識ヤギ抗マウスκ抗体で染色し、FACSで解析した。 マークされたレッド蛍光シグナルを有する2つのクローンを、さらに増殖させた。 これらのクローンのゲノムDNAをPCRおよびプライマーKG418-3およびKG418-4(プライマーは、図13Aを参照、また図17Aを参照)により増幅し、配列決定した。
    【0154】
    結果として得られた細胞株HEA125-mhloxPmycFRTscFv215は、ヒト化定常IgG1ドメインを有する規定された特異性(実施例では、vHドメインのCDR3において付加的なc-my-tagを有するHEA125のvHドメイン)の二重特異性モノクローナルハイブリドーマIgG1抗体を産生する。 さらに、vHエキソンは、vH遺伝子座内の2個の異なるloxP部位に隣接する。 FRT部位に隣接する活性ネズミvκ遺伝子座の領域において、HEA125のvκドメインがコードされ、それはネズミcκドメイン、リンカー配列およびscFv215抗体に融合される。
    【0155】
    実施例13: 二機能性抗体の作製実施例12に記載されたように、細胞株HEA125-mhloxPmycFRTG418をキメラDNAと共にエレクトロポレートし、PE-コンジュゲートヤギ抗マウスκ抗体を使用して染色し、比較的強いPE蛍光を有する個々の細胞を分取し、個々のクローンを拡大培養し、ゲノム配列を確認した。 実施例12と対照的に、ここでベクターpBS FRT KappaHEAblaを、記載されたベクターpBS FRT KappaHEAscFv215の代わりに使用した(図17B)。 記載された初期クローンHEA125-mhloxPmycFRTG418により、比較的強いPE蛍光を有する約0.1%の細胞を得た。
    【0156】
    得られた細胞株HEA125-mhloxPmycFRTblaは、ヒト化定常IgG1ドメインを有する規定された特異性(実施例では、vHドメインのCDR3において付加的なc-myc-tagを有するHEA125のvHドメイン)のモノクローナルハイブリドーマIgG1抗体を産生する。 さらに、vHエキソンはvH遺伝子座内の2個の異なるloxP部位に隣接する。 FRT部位に隣接する活性ネズミvκ遺伝子座の領域において、HEA125のvκドメインがコードされ、それはネズミcκドメイン、リンカー配列およびβラクタマーゼに対する遺伝子に融合される。
    【0157】
    実施例14: 特異的組換えによる抗体特異性の修飾実施例12に記載されたように、細胞株HEA125-mhloxPmycFRTG418をキメラDNAと共にエレクトロポレートし、PE-コンジュゲートヤギ抗ヒトκ抗体を使用して染色し、比較的強いPE蛍光を有する個々の細胞を分取し、個々のクローンを拡大培養し、ゲノム配列を確認した。 実施例12と対照的に、ここでベクターpBS FRT Kappa215を、記載されたpBS FRT KappaHEAscFv215の代わりに使用した(図18A)。 記載された初期クローンHEA125-mhloxPmycFRTG418 により、比較的強いPE蛍光を有する約0.1%の細胞を得た。
    【0158】
    得られた細胞株HEA125-mhloxPmycFRT215は、ヒト化定常ドメインを有する規定された特異性(実施例では、vHドメインのCDR3において付加的なc-myc-tagを有するHEA125のvHドメイン)のモノクローナルハイブリドーマIgG1抗体を産生する。 さらに、vHエキソンは、vH遺伝子座内の2個の異なるloxP部位に隣接する。 FRT部位に隣接する活性ネズミvκ遺伝子座の領域において、抗体215のvκドメインがコードされる。 類似の手順により、異なるvHドメインが得られる。
    【0159】
    実施例15: 特異的組換えによるFab抗体の産生
    a. キメラDNA配列数個の個々の遺伝子断片を、クローニングベクターpBSIISK+においてキメラDNA配列に組み合わせた。 個々の遺伝子断片を、ここでPCRにより作製した(Roche Diagnostics; Expand Long Template PCR System; PCR条件についてもまた参照)。 ネズミハイブリドーマ細胞株HEA125のcDNAは、遺伝子配列に対する鋳型として使用した。 結果として、ベクターpBS loxP-FdHEAを得た。 このベクターは、ネズミIgG1-CH1ドメインと融合されたHEA 125のvHドメインをコードする。 図18Bは、続いて配列が確認された得られたキメラDNA配列を示す。
    【0160】
    b. vH遺伝子座における特異的組換え実施例15aに記載されたベクターpBS loxP-FdHEAを、実施例1dに記載されたようにCre発現ベクターpMC-Creと共に実施例4dに記載されたHEA125-mhRek細胞株にエレクトロポレートし、続いて約2,000個のクローンを、使用された約10 7個の細胞の限定希釈により別々に増殖した。 ELISAプレートを、記載された2,000個のクローンの特定の細胞培養上清の各々100μlで被覆し、ブロックし(200μlのPBS中1%の粉ミルクを使用)、次いでペルオキシダーゼコンジュゲート1-9E10抗myc抗体またはペルオキシダーゼ結合ヤギ抗マウスIgG抗体(Dianova)(100μlのPBSにおいて各々1:2000希釈)を使用して染色した。 中間の洗浄工程後、残基に結合したペルオキシダーゼをOPD基質を用いて証明した。 結果として、調査したクローンのうち3個は、ペルオキシダーゼ結合ヤギ抗マウスIgG抗体での染色において増加したシグナルを示した一方、同時にペルオキシダーゼコンジュゲート1-9E10-抗myc抗体での染色において検出可能なシグナルがないことが証明され得た。 クローンのゲノム配列を確認し、結果としてクローンHEA125 Fabを増殖した。
    【0161】
    得られた細胞株HEA125 Fabは、ヒト化定常κドメインを有する規定された特異性のモノクローナルFab抗体断片(実施例では、HEA125のvHおよびvκドメイン)を分泌する。 さらに、vH-CH1エキソンは、vH遺伝子座内の2個の異なるloxP部位に隣接する。 vκエキソンは、2個の異なるFRT部位に隣接する。
    【0162】
    実施例16: T細胞レセプターライブラリーヒトαおよびβまたはγおよびδT細胞レセプターの遺伝子座は公知である(T-Cell Receptor Facts Book, Lefranc and Lefranc, 2001, Academic Press, ISBN 0-12-441352-8を参照)。 細胞株HEA125-mhRek(実施例4)に基づいて、実施例1eに記載された手順に非常に類似のように、定常κドメインをT細胞レセプターの定常ドメインと最初に交換した。 ここで、αT細胞レセプターの定常ドメインのN末端の121個のアミノ酸のコードDNA配列(および膜ドメインに対するリンカー)のみ、続いてストップコドンを使用した。 すなわち膜アンカーなしおよび/またはC末端の20個のアミノ酸なしであった。 その後、実施例1fに類似のように、IgG1の定常CH1ドメインをβ(betal)T細胞レセプターの定常ドメインのN末端の150個のアミノ酸と交換した(IgG1のヒンジエキソンに融合した)。 このキメラエキソンのスプライスドナーは、IgG1のヒンジ領域に由来した。 クローニングおよび次いで続くTαおよびTβT細胞レセプターの可変ドメインの多様性の特異的組換えを、実施例6および7に類似のように、遺伝子セグメント特異的プライマーを用いてまたはCreおよびFlpにより実施する。 T細胞レセプターライブラリーが形成され、特定のβ鎖がIgG1のヒンジ、CH2およびCH3ドメインに融合される。 これらの融合タンパク質のかなりの部分は、IgG1部分の膜結合スプライスバリアントのため細胞表面上に存在する。
    【0163】
    特異的なバインダーは実施例8または9に類似のように選択される。 代替的には、T細胞レセプターライブラリーの細胞は、PE標識プロテインGで染色される一方、リンパ腫細胞株ジャーカットの細胞は、FITC標識抗CD5抗体を使用して染色される。 このように染色された細胞10 7個の各々をDPBSで2回洗浄し、互いに混合し、1mlのRPMI培地中で30分間氷上でインキュベートした。 その後、グリーン−レッド二重蛍光を有するダブレットをFACSソーターで分取する。 より親和性が高い(またはあまりアフィンでない)バインダーを実施例10および11に類似のように選択する。
    【0164】
    実施例17: T細胞レセプター遺伝子座活性ヒトαおよびβT細胞レセプターの遺伝子座は公知である(T-Cell Receptor Facts Book, Lefranc and Lefranc, 2001, Academic Press, ISBN 0-12-441352-8)。 ヒトT細胞株ジャーカットに基づいて、TαおよびTβ細胞レセプターの活性可変ドメインは、実施例3および4に類似のように、FRTまたはloxP部位に最初隣接した。 その後、クローニングおよび次いでTαおよびTβ細胞レセプターの可変ドメインの多様性の特異的組換えを、実施例6および7に類似して行った。 遺伝子セグメント特異的プライマーまたは特異的リコンビナーゼCreおよびFlpを、この目的のために使用した。 ここで、膜結合T細胞レセプターを有するT細胞レセプターライブラリーが形成される。 T細胞レセプターの両方の鎖は、その天然膜アンカーのために細胞膜に固定される。 特異的なバインダーは、実施例8または9に類似のように選択される。 より親和性が高い(またはあまり親和性が高くない)バインダーは、実施例10および11に類似のように選択される。
    【0165】
    実施例18: 適切な遺伝子座への特異的組換え
    a. 活性遺伝子座における特異的組換えシグナルを有する細胞株線形ベクターpBS MvHG418MdeltaPGKをジャーカット細胞株(図13B)にエレクトロポレートし、G418耐性細胞を実施例3bに記載されたように選択した。 このようにして、細胞クローンジャーカットG418を、限界希釈により得た。
    【0166】
    b. キメラDNA
    実施例1dに記載されたように、図16に記載されたベクターpBS loxP-IgG1を、Flp発現ベクターpOG44と共に細胞株ジャーカットG418にエレクトロポレートし、次いで約500個のクローンを、使用した約10 7個の細胞の限界希釈により別々に増殖させた。 これらの500個のクローンのうち4個のクローンがG418-感受性であった。 FRT-特異的PCRプライマーによるゲノムDNAの配列決定により、ジャーカットloxP-IgG1細胞株を得た。
    【0167】
    c. 特異的組換え次いで、ベクターpBS loxPvH(図15B)を、実施例18bに記載された拡大培養ジャーカットloxP-IgG1細胞株の細胞にCre発現ベクターpMC-Creと共にエレクトロポレートし、3日後FITC-標識ヤギ抗ヒトIgG1抗体を使用して細胞を染色し、記載されたようにFACSソーターにより細胞を単離した。 結果として、約10 6個の細胞のうち425個を分取し、FACSにおいてマークしたグリーン蛍光を示すその10個のクローンを別々に増殖させた。 PCR-増幅ゲノムDNAの配列決定後、この手順の結果は、ジャーカットloxPvHEAIgG1細胞株であった。 この細胞株はHEA125のvHドメインをコードする一方、定常ヒトCH1、CH2およびCH3ドメインに融合した。 この重抗体鎖の一部は、細胞株ジャーカットloxPvHEAIgG1細胞の表面に存在する。
    【0168】
    この手順のバリエージョンは、図6で図解により示される。 ここで、ヒンジ、CH2、CH3、M1およびM2ドメインに融合したloxP-隣接scFv抗体遺伝子を、予め選択した細胞株ジャーカットG418に遺伝子カセットとして組換える。 この組換え事象は、組換えscFv抗体の表面発現のため直接選択されうる。 同じことを任意に種々のscFv抗体遺伝子カセットの多様性の特異的組換え後に適用する。
    【0169】
    代替的には、既に存在している細胞株が出発材料として使用され得、実施例18aに記載された手順に類似のように得られる。 実施例は、Invitrogenにより販売される細胞株Flp-In TM -293(R750-07)、Flp-In TM -CV-1(R752-07)およびFlp-In TM -CHO(R758-07)である。
    【0170】
    別の好ましい実験手順において、所望の組換え事象の簡単な選択は、リコンビナーゼカセットへの耐性遺伝子の組込み(実施例18aを参照、G418選択)およびFlpまたはCreによる耐性遺伝子の除去(実施例18bを参照)の両方を可能にする。 この例は、ヘルペクス(herpex)シンプレックス(simplex)チミジンキナーゼの遺伝子へのネオホスホリル(neophosphoryl)トランスフェラーゼII遺伝子の融合である。 組込みキメラ遺伝子(Syntex #115561)を失った細胞の選択のためにガンシクロビルを使用する。 それは、チミジンキナーゼ(TK)の存在下で細胞毒に転換される(Masourら、1988, Nature 336 , 348-352)。 その前に、選択により内因性TKがガンシクロビルともはや機能しない細胞株を非常に容易に作製することが可能である。
    【0171】
    実施例19: 「エキソントラップ」および表面提示
    a. 「エキソントラップ」細胞株実施例1dに記載されたように、ベクターpBS loxP-IgGdeltaCH1(図16)を、Flp発現ベクターpOG44と共に実施例18aに記載された拡大培養ジャーカットG418細胞株の細胞にエレクトロポレートし、次いで500個のクローンを、使用した約10 7個の細胞の限界希釈により別々に増殖した。 これらの500個のクローンのうち5個のクローンは、 G418-感受性であった。 FRT-特異的PCRプライマーによるゲノムDNAの配列決定により、ジャーカットloxP-IgG1deltaCH1細胞株を得た。 この細胞株は、IgG1抗体の定常ヒンジ、CH2、CH3、M1およびM2ドメインを内因性ジャーカットプロモーターの制御下でコードする。 可変ドメインの領域において、loxP交換カセットが見出される。 ヒンジエキソンの5'末端のスプライスアクセプターが、オープンリーディングフレームと共に図16に示される。
    【0172】
    b. ゲノムDNA
    標準法にしたがって、ヒトリンパ球をフィコール勾配でいくらか精製し、ゲノムDNAをそれらから得た(例えば、SambrookおよびRussell: Molecular Cloning, 実験室マニュアル, 第3版, 2001, ISBN 0-87969-577-3を参照)。 このDNAをAatII、NotI、MluIまたはSalIを使用して除去し、各々のサイズにしたがって0.8%TAEアガロースゲルにおいて選択した(1〜5kb)。 サイズ選択DNAを次いで図15Dに記載されたpBS loxPcloneベクターにクローン化し、次いで高度複合混合物(>10 6の種々の形質転換体)をベクターDNAから単離した(Qiagen Plasmid Purification Kit)。
    【0173】
    c. 特異的組換え実施例19bに記載されたベクターDNAの高度複合混合物を、Cre発現ベクターpMC-Creと共に拡大培養クローンジャーカットloxP-IgG1deltaCH1の細胞にエレクトロポレートし、3日後FITC-標識ヤギ抗ヒトIgG抗体を使用して細胞を染色し、記載されたようにFACSソーターにより細胞を単離した。 結果として、FACSにおいてマークしたグリーン蛍光を有する約10 8個の細胞のうち125個を分取し、あわせた。 このエキソントラップライブラリーを細胞培養物において拡大培養した。
    【0174】
    この手順の結果は、個々のメンバー各々が、定常CH2およびCH3ドメインに各々融合した種々のヒトエキソン-コードドメインを細胞の表面上に提示するエキソン-トラップライブラリーである。
    【0175】
    実施例20: 2個の複合混合物における差異の探索/腫瘍関連抗原の探索フィコール勾配でいくらか精製した約10 8個の正常非標識ヒトTリンパ球を、5mlのDPBS緩衝液中実施例7に記載された抗体ライブラリーの約10 7個の細胞と混合し、氷上で10分間プレインキュベートした。 実施例7に記載された抗体ライブラリーの細胞を、予めPE-標識プロテインGを使用して上記のように染色した。 次いで、リンパ腫細胞株ジャーカットの約10 6個の細胞を、FITC-標識抗CD5抗体を用いて染色し、添加した。 ジャーカット細胞を、追加として400ラドで事前に直接照射した。 氷上でさらに20分後、グリーン-レッド二重蛍光を有するダブレットをFACSソーターで分取した。 結果として、5個の個々の細胞を分取し、拡大培養した。 これらの5個の細胞株の1個の細胞培養上清により、血液から得られたリンパ球の染色と比較してジャーカット細胞に関して特異的なシグナルをFACSにおいて与えた。 培地に分泌される抗体をFITC-標識ヤギ抗ヒトIgG抗体(Dianova)により検出した。
    【0176】
    上記実施例に記載された手順は、当業者により多くの方法で変更または組み合わされうる。 例えば:
    定常ネズミκドメインはまた、定常ヒトλドメインと交換されうる(実施例1e);
    各場合においてスプライスドナーまたはスプライスアクセプター部位をシフトした全9個の異なるエキソントラップベクターの1つにより、適切なリーディングフレームにおいて遺伝子産物を得、リーダーエキソンは所有するかまたは所有しない(後者の場合、3個の異なるエキソントラップベクターのみが必要である;実施例19);
    原則として、全ての活性遺伝子座は、細胞株に基づいて種々の細胞の多様性またはしたがって特異的組換えによる関連する遺伝子産物を作製するのに適切である(実施例3、4、17、18、19);
    等しい特異的組換えシグナルさえ、可変配列に隣接しうる(実施例3、4、12、13、14、15、16、17、18、19);
    または等しい逆方向組換えシグナルが可変配列に隣接しうる:
    または組換えシグナルに隣接する数個(多数)の連続可変配列が組換えられる(図6);
    リコンビナーゼタンパク質それ自体は、リコンビナーゼ発現ベクターの代わりに使用されうる;
    前記リコンビナーゼタンパク質はTetリプレッサードメインに融合され、したがってTetオペレーター部位を用いてDNA配列の組換え効率を増加しうる;
    必要な特異的リコンビナーゼを作製する細胞株が、特に誘導的に作製されうる(実施例3d、4d)、例えば、Cre活性がpSVlacZTベクターにより非常に容易に実証できる;
    抗体遺伝子(実施例5、6、7、18)の多様性もまた、1つまたはほんのいくつかの所定の抗体遺伝子フレームワーク内の多くの異なるCDRの化学合成により実施されうる;
    またはPCRを使用するcDNAまたはsvFv抗体ライブラリー(実施例18)の増幅による;
    組換え可変抗体遺伝子の多様性は、ガンシクロビルを使用するネガティブ選択によりあらかじめ選択されうる(実施例18);
    他の選択可能な遺伝子セグメントが、G418耐性またはmycエピトープ(実施例3、4、18)(例えば、EGFP)の代わりに挿入されうる;
    ポジティブ(例えば、G418)およびネガティブ(例えば、ガンシクロビル)選択可能組換えカセットの両方の適用が可能である(実施例18);
    ライブラリー(実施例7、16、17、18、19)が、大規模な平行スクリーニングを可能にするアレイの任意の型とあわされうる;
    二重特異性、二機能性または一般的修飾抗体の多様な形態が、非常に容易に作製されうる(実施例12、13、14、15、18);
    抗体の培養培地に分泌された抗体スプライスバリアント(一般に:対応する融合タンパク質;実施例12、13、16、18、19)は、選択された細胞株(実施例9)もしくはまたサブライブラリー(実施例8)の迅速かつ単純な特徴づけに使用され得、または確立されたライブラリーの特徴付けとしても役立つ;
    分泌されたスプライスバリアント、特にヒト抗体は、一定の環境下で薬理学的活性物質として直接使用されうる;
    T細胞ライブラリー(実施例16、17)は、T細胞特異的エピトープを探索するためにMHC-結合抗原の細胞ライブラリーとあわされうる。
    【図面の簡単な説明】
    【0177】
    【図1】ハイブリドーマ細胞の産生を示す図。 Bリンパ芽球は、ポリエチレングリコール(PEG)およびDMSOの混合物を添加することにより、通常、ミエローマ細胞株(例えば、Ag8.653)と融合される。 その後、個々の細胞クローンは、限界希釈により増殖され、その細胞培養物の上清は、約14日後に検索される特異的抗体反応性に関して解析される。 得られたハイブリドーマ細胞は、両方の親細胞の特性を獲得する:ミエローマ細胞は、腫瘍細胞株の不死、および抗体の効率的な産生のためのいくつかのコントロールシグナルに寄与し、一方、Bリンパ芽球は、ゲノム的に組換えられた抗体断片の特異的な抗体反応性に寄与する。 最初に、得られるハイブリドーマ細胞は遺伝的に不安定であり、遺伝学的により安定なバリアントは少なくとも1つのさらなる選択実行において樹立されなければならない。
    【図2】A. ゲノムに組換えられたIgG1抗体遺伝子のゲノム配列。 このパートは、プロモーター(P)、エンハンサー(e)、リーダーエキソン(L)、ゲノムに組換えられたJセグメント(J)を有するvLドメイン(vL)および軽鎖(cL)の定常ドメインのエキソンを含む軽鎖のゲノム構造を示す。 これはまた、プロモーター(P)、エンハンサー(e)、リーダーエキソン(L)、ゲノムに組換えられたDおよびJセグメント(DJ)を有するvHドメイン(vH)ならびに重鎖の定常CH1、ヒンジ(H)、CH2およびCH3ドメインのエキソンを含む重鎖のゲノム構造を示す。 膜アンカーをコードする2つのエキソン(M1およびM2)はIgG1遺伝子の3'末端に位置する。 B. このパートは、IgG1抗体のスプライスされたmRNAを示す。 IgG1の分泌性バリアント(sIgG1)および/または膜結合バリアント(mIgG1)をコードする軽鎖のスプライスされたmRNAおよび重鎖の2つの差次的にスプライスされたmRNA。 C. IgG1抗体タンパク質。 このパートは、vLおよびCLドメインを含む抗体軽鎖を示す。 リーダーペプチドは分けられている。 抗体重鎖は、vH、CH1、H、CH2、CH3ドメイン(分泌形態;sIgG1)およびvH、CH1、H、CH2、CH3、M1およびM2ドメイン(膜結合形態;mIgG1)を有する2つのバリアントとして存在する。
    【図3】相同組換え。 規定された遺伝子座のDNA配列は、相同組換えにより改変されうる。 この技術は、現在、とりわけ改変されたES細胞株および/またはトランスジェニックマウスの作製のための焦点である。 実験者は、最初に、さらなるDNA配列によりいずれかの側に隣接された規定された第1のDNA配列をチャージする。 これらのさらなるDNA配列は、通常、染色体にその等価物:従って規定されうる遺伝子座を有する>700 Bp長の相同領域を含むべきである。 組換え事象は、キメラDNAと染色体DNAとの間のさらなるDNA配列間に位置する染色体領域を交換するために、これらのさらなるDNA配列(交差する線で示される)内で起こらねばならない。 適切なキメラ、特に線状化された、DNA(上記に示される染色体DNA)のトランスフェクション後、この非常にまれな事象は、約10 7の内1つの細胞で起こる。 この図は、本発明の意味内のこの目的に適したマウスハイブリドーマ細胞株HEA125の遺伝子座を示す(さらに図2参照)。 相同組換えのために、表面上に存在する抗体が改変される場合、対応する細胞はFACSにより単離されうる。 前記さらなるDNA配列の選択に応じて、実験者は、およそ上記第1のDNA配列の導入に加えて、幾分の大きさの領域が相同組換え後に欠失されるか否かを決定する。 この図は以下を示す:I. 定常マウスκドメインのエキソンの、定常ヒトκドメインをコードするエキソンでの交換、II. 定常マウスIgG1ドメインのCH1、CH2およびCH3エキソンの、定常ヒトIgG1ドメインの対応するエキソンでの交換(ヒンジエキソンは示さず)、III. (II.)のように、コードされるIgG1のCH3ドメインとM1ドメインとの間のさらに欠失されたイントロンのDNA配列、IV. 活性な可変L1ドメインのエキソンの、FACS、例えば、同時に導入されるFlpリコンビナーゼにより認識される2つの特異的組換えシグナル(FRT0およびFRT3)で選択可能な、vL2ドメインをコードするエキソンでの交換、V. 活性な可変H1ドメインのエキソンの、FACs、例えば、同時に導入されるCreリコンビナーゼにより認識される2つの特異的組換えシグナル(loxP1およびloxP2)で選択可能なvH2ドメインをコードするエキソンでの交換。 図に示される組換え事象I、III、IVおよびVが次々と行われ、対応する細胞株が単離される場合、その表面上に比較的多数の規定されたモノクローナル抗体を提示するハイブリドーマ細胞株が生じる。 このモノクローナル抗体の可変ドメインは、導入される特異的な組換えシグナルのために他の抗体または抗体の群の対応するドメインでいくらか容易に交換されうる。
    【図4】相同組換えによるヒト細胞株の組換え。 図3に示される相同組換え事象に対比して、図4は、種々の相同組換え事象によるヒト細胞株(例えば、IM-9またはU266)の改変を示す。 この図は以下を示す:III. (b.)例えば、定常ヒトIgAドメインのCH1、CH2およびCH3エキソンの、定常ヒトIgG1ドメインの対応するエキソンでの交換、コードされるIgG1/IgAのCH3ドメインとM1ドメインとの間がさらに欠失されているイントロンのDNA配列、IV. 活性な可変L1ドメインのエキソンの、FACS、例えば、Flpリコンビナーゼ(図3に示すような)により認識される同時に導入された2つの特異的組換えシグナル(FRT0およびFRT3)で選択可能なvL2ドメインをコードするエキソンでの交換、およびV. 活性な可変vH1ドメインのエキソンの、FACS、例えば、Creリコンビナーゼ(図3に示すような)により認識される同時に挿入された2つの特異的組換えシグナル(loxP1およびloxP2)で選択可能なvH2ドメインをコードするエキソンでの交換。
    【図5】特異的組換え。 染色体DNA配列または規定された遺伝子座は、特異的組換えにより比較的高い効率で改変されうる。 ここで、DNAは、特異的組換えシグナルでCreまたはFlp等のリコンビナーゼの影響下で組換わり、これらのシグナルに隣接するDNA配列をも交換する。 この種類のカセット交換では、交換対象のDNAは、各場合で、互いに反応しない2つの異なる組換えシグナルに隣接する。 この図は、CreまたはFlpによるDNA配列のカセット交換を示す。 適切なキメラ、特に環状の、DNA(上記に示される染色体DNA)のトランスフェクション後、環状DNAは、2つの特異的な組換えシグナル(交差する線で示される)の一方への組換えにより最初に染色体に組み込まれる。 その後、環状DNAはさらに、リコンビナーゼ作用のために切除される(示さず)。 これは、組み込みと同じ組換えシグナル、または2つの別の組換えシグナルでのいずれかでランダムに行われる。 結果として、本来のおよび交換されたDNA配列の平衡は調整される。 改変抗体が次いで表面に提示される場合(図2も参照)、対応する細胞は、FACSにより単離されうる。 図は以下を示す:VI. 規定されたvκドメインのエキソンの、異なるvκドメインをそれぞれコードする異なるエキソンの群に由来するエキソンでの交換、VII. 規定されたvλドメインのエキソンの、異なるλドメインをそれぞれコードする異なるエキソンの群に由来するエキソンでの交換、VIII. 規定されたvHドメインのエキソンの、異なるvHドメインをそれぞれコードする異なるエキソンの群に由来するエキソンでの交換。 図に示される特異的組換え事象VIおよびVIIIまたはVIIおよびVIIIが次々と起こり、対応する細胞の群が富化される場合、ハイブリドーマ抗体ライブラリーが樹立され、その個々の代表(細胞)は、それぞれその表面上に比較的多数の規定されたモノクローナル抗体を提示する。 そこから単離されたハイブリドーマ細胞は、良好な収量および質のモノクローナル、特にヒト、抗体を産生する。
    【図6】活性な遺伝子座への特異的な組換えシグナルの導入。 この図は以下を示す:I. 2つの異なるFRT部位に隣接する耐性遺伝子(例えば、G418耐性)をコードするベクターDNAでの細胞株のトランスフェクション、および染色体に活性遺伝子座に組み込まれたFRT部位とともに耐性遺伝子を保有する細胞株の選択(例えば、G418による);II. ヒンジ(示さず)、CH2、CH3、M1および任意に、第1のscFv抗体の第1の遺伝子に融合されたIgG抗体のM2エキソンをコードするDNA配列用いたFlpによる特異的組換えによる耐性遺伝子のカセット交換(さらに図2参照)。 第1のscFv抗体の遺伝子は2つの異なるloxP部位に隣接する。 この組換え事象は、細胞表面上のsvFv抗体融合タンパク質の表面提示により、例えばFACSにおいて選択される;III. 第1のscFv抗体の第1の遺伝子の、Creによる、さらなるscFv抗体のさらなる遺伝子の群に由来する別の遺伝子での交換;IV. 図に示される組換え事象I、IIおよびIIIが次々に実行され、細胞の対応する群が富化される場合、scFv抗体ライブラリーが生じ、その個々の代表(細胞)は、各々の場合で、その表面上に比較的多数の規定されたモノクローナルscFv抗体を提示する。 そこから単離された細胞は、モノクローナル、特にヒト、scFv-CH2-CH3抗体を良好な収量および質で産生する。 適切である場合、第1のscFv抗体遺伝子を有し、図6、II. に示される環状DNA配列は、各々、loxP部位およびloxP511部位により隣接されるscFV抗体遺伝子をさらに含みうる(例えば、loxP scFv1 loxP511 loxP scFv2 loxP511 ... loxP scFvN loxP511)。 従って、組換えDNA配列は、この細胞内のCre活性により多くの異なる抗体提示細胞を生じる。 上記複数は、複数のvHエキソンおよびvLエキソンの組み合わせにより強化されうる。
    【図7】相同組換えによるマウスハイブリドーマ細胞株(2)のヒト化。 種々の改変されたハイブリドーマ細胞(2Kh、2h、2H)の表現型が図3、パート(I.)および(II.)または(III.)に記載される相同組換え事象を行った後に示される。 非常にまれな相同組換え事象が約10 7の内の1細胞で起こる。 次いで、改変された細胞は、例えば、FACSにおいて選択されなければならない。 図の中心は、例のための相同組換えハイブリドーマ(2H)を示し、ここで図3、パート(I.)に記載される相同組換え事象が最初に、次いでパート(III.)の相同組換え事象が起こった。 この図は以下を示す:I. 定常マウスκドメインのエキソンの、定常ヒトκドメインをコードするエキソンでの交換は、定常ヒトκドメインの表面提示を生じ、一方、提示される抗体の抗原特異性は定常(2kh)を残す、II. 定常マウスIgG1ドメインのCH1、CH2およびCH3エキソンの、定常ヒトIgG1ドメインの対応するエキソンでの交換は、定常ヒトIgG1ドメインの表面提示を生じ、一方、提示される個体の抗原特異性は同じもの(2h)を残す、ならびにIII. (II.)のように、ハイブリドーマ細胞(2H)の表面上に顕著により多くの抗体を提示するように、コードされるIgG1(図2参照)のCD3ドメインとM1ドメインとの間のさらに欠失されたイントロンのDNA配列。 図に示される相同組換え事象IおよびIIまたはIおよびIIIが次々と起こり、対応する細胞株が単離される場合、本来の抗原特異性(2H)を有するヒト化モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株が形成される。
    【図8】特異的な組換えシグナルの、相同組換えによるハイブリドーマ細胞株(2H)の抗体特異性の同時改変を用いる特異的組換えシグナルの導入。 改変されたハイブリドーマ細胞(3aH、3H)の表現型が、図3、パート(IV.)および(V.)に記載される相同組換え事象が起こった後に示される。 次いで、改変細胞は、例えば、FACSにおいて選択される。 最初の細胞株(2H)は図7に記載されている。 図の中心は、例のための相同組換えハイブリドーマ細胞(3H)を示し、ここで、最初に図3、項目(IV.)に記載される相同組換え事象、次いで項目(V.)の組換え事象が起こった。 この図は以下を示す:IV. 活性な可変vL1ドメインのエキソンの、FACSにおいて選択されうるvL2ドメインをコードするエキソンでの交換は、例えば、提示される抗体(3aH)の抗原特異性を改変し、一方、2 FRT部位が同時に導入されるように、改変vLドメインの表面提示を生じる、およびV. 活性な可変vH1ドメインのエキソンの、FACSにおいて選択されうるvH2ドメインをコードするエキソンでの引き続く交換は、例えば、提示される抗体(3H)の抗原特異性を改変し、一方、2 loxP部位が同時に導入されるように改変vHドメインの表面提示を生じる。 示される(図3にも)相同組換え事象IVおよびVが次々と起こり、対応する細胞が単離される場合、その表面上に改変ヒト化モノクローナル抗体を提示する改変ハイブリドーマ細胞株が生じる。 この抗体の抗原特異性は、可変性組換えドメインに依存する。
    【図9】特異的組換えによるハイブリドーマ抗体ライブラリー(2H、3H、4H、5H、6H)の産生。 最初に図3、パート(I.)、(III.)、(IV.)および(V.)、続いて図5、パート(VI.およびVIII.)または(VII.およびVIII.)に記載の相同組換え事象を行った後の、改変されたハイブリドーマ細胞(2H、3H、4H、5H、6H)の表現型を示す。 図9に示すハイブリドーマ細胞株(3H)を、各場合において、一群の異なるDNA配列でトランスフェクトし、次いで、FACSにおいて特異的組換え事象について一群の異なる表現型を選択した。 図は、 IV. エキソンを、一群のエキソンを有する活性なvL3可変ドメインと置換すると、一群の種々に改変されたvLドメインの表面提示がもたらされること、および V. 続いて、エキソンを、一群のエキソンを有する活性なH3可変ドメインと置換すると、提示された抗体(2H、3H、4H、5H、6H)の抗原特異性を改変するように、一群の種々に改変されたvHドメインの表面提示がもたらされることを示す。 一群の細胞または一群の異なるDNA配列を用いて、図に示される特異的組換え事象IVおよびVがこの順に行ない、対応する群の異なる細胞を富化すると、ハイブリドーマ抗体ライブラリーは、その個々の代表がそれぞれ異なるヒト化モノクローナル抗体をその表面上に提示する結果となる。 最初の細胞(3H)および不正確または産生不能に再結合(recombine)された細胞(0H)はこの方法において枯渇した。
    【図10】提示された抗体の「オンライン」アフィニティ比較。 抗体のその抗原に対するアフィニティは、溶液中の遊離抗体および遊離抗原に対する抗体結合抗原(通常、リガンドに対するレセプター)の割合の目安である。 FACSによる選択と同様、これによって、蛍光標識抗原(赤三)により、異なる表面提示抗体または異なる提示タンパク質(または対応するハイブリドーマ細胞)の直接アフィニティ比較が可能になる。 細胞あたりの提示された各抗体の数を正規化するため、例えばFITC標識タンパク質G(緑丸)を用いてそれらを対比染色することができる。 図示した実施例において、ハイブリドーマ細胞Bにより提示された抗体は、細胞Aにより提示された抗体と比べ、より顕著にアフィンな様式で抗原に結合する。 この場合、アフィニティの測定値は、FACSにおいて分取された細胞の緑蛍光に対する赤蛍光の商である。
    【図11】体細胞過剰変異。 まず、活性なvL2可変ドメインのエキソンを、図9(図5および6も参照)に記載のような特異的組換えにより、種々に変異されたvL2ドメインをコードする一群のエキソンと置換する。 その結果、産生不能な変異(2d)、低下したアフィニティを有する抗体(2cおよび2e)および稀に増大したアフィニティを有する抗体(2b)が形成される。 図10に記載したように、それらは、FACSにおいて分取され得る。 あるいはまた、ハイブリドーマ細胞株内でのRAD54、RecQ4および同時にpolX muの発現(2)は、活性な抗体軽鎖および重鎖の特定のプロモーターの約1.5kb下流内に非指向性変異の導入をもたらす。 好ましくは、アンチセンスRNAまたはsiRNAが、XRCC2、XRCC3またはRAD51Bに対して同時に発現される。 体細胞過剰変異の導入のためのこの代替ルートの正確性は、活性抗体遺伝子座においてである。
    【図12】ハイブリドーマ細胞株HEA125のヒト化のためのキメラマウス−ヒトDNA。 A. DNAベクターpBS MhKappaMによるκ定常ドメインのヒト化。 ベクターpBS MhKappaMを、ハイブリドーマ細胞株HEA125のκ定常ドメインのヒト化のためのキメラDNA配列とともに示す。 クローニングベクターは、Stratagene社のpBSIISK+とした。 制限部位に下線を付す。 シークエンシングプライマーを青で示す。 下線を付したシアンのプライマーHK1およびHK2は、定常κ鎖をコードするヒトエキソンの増幅に役立てた。 鋳型DNAはここではヒトゲノムDNAとした。 ヒトκ定常ドメインエキソンのコード配列を緑とし、小文字で記載している。 赤色のPCRプライマーMK1およびMK2またはMK3およびMK4は、小文字で記載しており、マウスゲノムHEA125の隣接相同領域の増幅に役立てた。 鋳型DNAはここではHEA125のゲノムDNAとした。 ヒト配列およびマウス配列の境界は、それぞれ制限部位NotIおよびBstB1で印を付ける。 HEA125細胞におけるエレクトロポレーションの前に、ベクターDNAを制限酵素BglIで線状化した。 下線を付したシアンのプライマーHK3およびHK4は、ハイブリドーマ細胞HEA125の相同組換えにより改変されたサブクローンのシークエンシングおよび確認に(ヒト化抗体の表面提示と組み合わせて)役立てた。 B. DNAベクターpS MhIgG1Mによる定常IgG1−CH1、CH2およびCH3ドメインのヒト化。 ベクターpS MhIgG1Mを、ハイブリドーマ細胞株HEA125の定常IgG1−CH1、CH2およびCH3のヒト化のためのキメラDNA配列とともに示す。 クローニングベクターは、Stratagene社のpBSIISK+とした。 制限部位に下線を付す。 下線を付したシアンのPCRプライマーHG1およびHG2は、定常IgG1ドメインをコードするヒトエキソンの増幅に役立てた。 鋳型DNAはここではヒトゲノムDNAとした。 赤色のPCRプライマーMG1およびMG2またはMG3およびMG4は、小文字で記載しており、マウスHEA125ゲノムの隣接相同領域の増幅に役立てた。 鋳型DNAはここではHEA125のゲノムDNAとした。 ヒト配列およびマウス配列の境界は、2つのHindIII制限部位で印を付ける。 ヒトコード配列およびマウスM1およびマウスM2エキソンを緑の小文字で記載している。 HEA125細胞におけるエレクトロポレーションの前に、ベクターDNAを制限酵素SspIで線状化した。 下線を付したシアンのプライマーHG3およびHG4は、ハイブリドーマ細胞HEA125の相同組換えにより改変されたサブクローンのシークエンシングおよび確認に(ヒト化抗体の表面提示と組み合わせて)役立てた。 5つの異なるプライマーに下線を付し、青いイタリック体で示す(プライマーδ1〜δ5)。 これらにより、約350bp〜約900bpの間の長さを有し、次のHindIII部位と特定のプライマーとの間に位置するDNA配列を欠如させることが可能である。 この目的のため、プライマーMG4およびプライマー1〜δ5を用いてPCRを行う。 それらは、図示しない、さらなるHindIII突出端を有する。 その結果、5PCRバンドが、HindIII(部分消化)およびEagIにより切断されたベクターpBS MhIgG1Mにライゲートされ得る。 CH3およびM1ドメイン間に得られたイントロンの欠失は、増強された表面発現をもたらした。 pBS MhIgG1Mdelta350ベクターは、pBS MhIgG1Mベクターと同一であり、プライマーMG3(MG3プライマー配列を含む)とδ1(δ1プライマー配列を除く)の間の配列を欠くのみである。
    【図13】ハイブリドーマ細胞株HEA125のvHおよびvκ遺伝子座内への特異的組換えシグナルの導入のためのキメラマウスG418耐性DNA。 A. DNAベクターpBS MKappaG418Mによるハイブリドーマ細胞株HEA125のvκ遺伝子座内へのFRT部位の挿入。 ベクターpBS MKappaG418Mを、ハイブリドーマ細胞株HEA125の活性なvκ遺伝子座内へのFRT部位の導入のためのキメラDNA配列とともに示す。 クローニングベクターは、Stratagene社のpBSIISK+とした。 制限部位に下線を付す。 耐性遺伝子PGKneoは、PCRプライマーNeo1およびNeo2(下線を付し、赤い小文字で記載)を用いて増幅し、続いて、AatIIによりクローン化した。 ここで、ベクターploxPfrtPGKneofrtloxPを、PGKneo耐性遺伝子の鋳型の供給源に役立てた(Erich Greiner博士、dkfz,Department: Molecular Cell Biology I)。 ネオホスホリルトランスフェラーゼII遺伝子およびマウスvκリーダーエキソンのコード配列を緑の小文字で記載する。 ネオホスホリルトランスフェラーゼII遺伝子は、ホスホグリセリンキナーゼ(PGK;シアンの小文字で記載)のプロモーターにより制御される。 赤の小文字のPCRプライマーMV1およびMV2またはMV3およびMV4は、マウスHEA125ゲノムのvκドメインに隣接する相同領域の増幅に役立てた。 鋳型DNAはここではHEA125のゲノムDNAとした。 該プライマーは、後続のPCRにおいて、それぞれ隣接するFRT部位および半分AatII部位の配列にさらに連結した。 マウスおよびPGKneo配列の境界は、青いイタリック体で示したFRT0および/またはFRT3部位で印を付ける。 HEA125細胞におけるエレクトロポレーションの前に、ベクターDNAを線状化した。 下線を付したシアンのプライマーKG418−3およびKG418−4(および図示した領域外のプライマー)は、HEA125ハイブリドーマ細胞の相同組換えにより改変されたサブクローンのシークエンシングおよび確認に役立てた。 B. pBS MvHG418Mベクターによるハイブリドーマ細胞株HEA125のvH遺伝子座内へのloxP部位の挿入。 ベクターpBS MvHG418Mを、ハイブリドーマHEA125細胞株の活性なvH遺伝子座内へのloxP部位の挿入のためのキメラDNA配列とともに示す。 クローニングベクターは、Stratagene社のpBSIISK+とした。 制限部位に下線を付す。 耐性遺伝子PGKneoを、AatIIを用いてクローン化し、DNAの供給源は(A)に示したものと同じとした。 ネオホスホリルトランスフェラーゼII遺伝子のコード配列を緑の小文字で記載する。 ベクターpBS MvHG418MdeltaPGKは、シアンのイタリック体で示したPGKプロモーター配列を欠き、残りについては、このベクターは、MvHG418Mと同一である。 このベクターを作製するため、ネオホスホリルトランスフェラーゼII遺伝子を、PCRプライマーNeo2およびNeo3(下線を付し、赤い小文字で記載)を用いて増幅した。 ここで、該プライマーは、各場合において、5'末端の突出端AatII部位にさらに連結した。 鋳型はここではploxPfrtPGKneofrtloxPベクターとした。 PCRプライマーMvH1およびMvH2またはMvH3およびMvH4は、赤い小文字で記載しており、マウスHEA125ゲノムのvHドメインに隣接する相同領域の増幅に役立てた。 鋳型DNAはここではHEA125のゲノムDNAとした。 該プライマーは、下流PCRにおいて、それぞれ隣接するloxP部位および半分AatII部位の配列にさらに連結した。 マウスゲノムおよびPGKneo配列の境界は、青いイタリック体で示したloxPおよび/またはloxP511部位で印を付ける。 HEA125細胞におけるエレクトロポレーションの前に、ベクターrDNAを線状化した。 下線を付したシアンのPCRプライマーvHG418−3およびvHG418−4(および図示した領域外のプライマー)は、相同組換えにより改変されたHEA125ハイブリドーマ細胞サブクローンのシークエンシングおよび確認に役立てた。
    【図14】複数のゲノム組換えヒト抗体遺伝子の増幅のためのプライマー。 対応する可変部遺伝子のゲノムDNAを増幅し得るプライマー。 関連Jセグメントプライマーをカウンター鎖(counterstrand)として役立てた。 ヒト遺伝子配列を、書籍Immunoglobulin Facts Book(LefrancおよびLefranc,2001,Academic Press,ISBN 0−12−441351−X)により同定した。 これに記載された可変部抗体遺伝子のDNA配列を、公的に入手可能なデータベースGenbankからアクセッション番号により輸入し、次いで、vH遺伝子特異的プライマーを設計した。 それらは、各場合において、リーダーエキソンのATG開始コドンの5'末端から約182bp離れてハイブリダイズする。 vκ特異的プライマーおよびvλ特異的プライマーを用いて同様の工程を行った。 それらは、リーダーエキソンとvLエキソンとの間のイントロン内でハイブリダイズする。 これらのプライマーの5'末端は、各場合において、vLエキソンの5'末端から約130bp離れてハイブリダイズする。 J Hセグメント特異的カウンター鎖プライマーの5'末端は、3'方向において、J Hセグメントの3'末端から約83bp離れてハイブリダイズする。 JκおよびJλセグメント特異的カウンター鎖プライマーの5'末端は、3'方向において、J Lセグメントの3'末端から約89bp離れてハイブリダイズする。 以下のPCRは、記載のPCRプライマーおよびヒト末梢血リンパ球由来ゲノムDNAを鋳型として用い、65℃(+/−5℃)で行った: 4Jλセグメント×24vλ遺伝子=96vλ特異的 PCR; 5Jκセグメント×35vκ遺伝子=170vκ特異的PCR;および 6J Hセグメント×44vH遺伝子=264vH特異的PCR、A. ヒトvλプライマーおよびJλプライマーB. ヒトvκプライマーおよびJκプライマーC. ヒトvHプライマーおよびJ Hプライマー。
    【図15】特異的組換えによるハイブリドーマ細胞株HEA125のvHおよびvκ遺伝子座における可変部エキソンの挿入のためのベクター。 A. ハイブリドーマ細胞株HEA125のvκ遺伝子座に、HEA125の元のvκドメインをFlpにより再度組み込み得るベクターpBS FRTvKappaを示す。 制限部位に下線を付す。 vκエキソンのコード配列を緑の小文字で記載している。 赤い小文字で記載したPCRプライマーvKHEA1およびvKHEA2は、HEA125の活性なvκ遺伝子のゲノムDNAの増幅に役立てた。 鋳型DNAはここではHEA125のゲノムDNAとした。 該プライマーは、下流PCRにおいて、それぞれ隣接するFRT部位およびBssHII部位の配列にさらに連結した。 PCR断片を、BssHIIによりpBSIISK+にクローン化した。 ゲノムvκ配列の境界は、青いイタリック体で示したFRT0および/またはFRT3部位で印を付ける。 図13Aにおいて下線を付したシアンのプライマーKG418−3およびKG418−4は、HEA125ハイブリドーマ細胞の相同組換えにより改変されたサブクローンのシークエンシングおよび確認に役立てた。 活性なHEA125−vκ遺伝子座の配列は、図15A(活性なゲノム組換えvκエキソン)および13A(5'および3'隣接配列)から得られ、HEA125ゲノムに存在しない2つのさらなるFRT部位を図に示す)。 B. ハイブリドーマ細胞株HEA125のvH遺伝子座に、HEA125の元のvHドメイン(+myc−タグ)をCreにより再度組み込み得るベクターpBS loxPvHmycを示す。 制限部位に下線を付す。 リーダーエキソンおよびvHエキソンのコード配列を緑の小文字で記載している。 赤い小文字で記載したPCRプライマーvHEA1およびvHEA2は、HEA125の活性なvH遺伝子のゲノムDNAの増幅に役立てた。 鋳型DNAはここではHEA125由来ゲノムDNAとした。 該プライマーは、後続のPCRにおいて、それぞれ隣接するloxP部位およびBssHII部位の配列にさらに連結した。 PCR断片を、BssHIIによりpBSIISK+にクローン化した。 ゲノムvH配列の境界は、青いイタリック体で示したloxPおよび/またはloxP511部位で印を付ける。 HEA125に天然に存在する配列に加えて、下線を付したマゼンタのmyc−タグをCDR3領域に挿入した。 この目的のため、図示したDNA配列を、隣接制限部位BsmB1およびBglIIにより合成およびクローン化した。 このmyc−タグは別として、pBS loxPvHベクターは、pBS loxPvHmycベクターと同一である。 図13Bにおいて下線を付したシアンのプライマーvHG418−3およびvHG418−4は、HEA125ハイブリドーマ細胞の相同組換えにより改変されたサブクローンのシークエンシングおよび確認に役立てた。 活性なHEA125−vH遺伝子座の配列は、図15B(活性なゲノム組換えvHエキソン)および13B(5'および3'隣接配列)から得られ、HEA125ゲノムに存在しない2つのさらなるloxP部位を図に示す。 また、図15Bは、vHドメインのCDR3における、元のHEA125ゲノムにも存在しないmyc−タグを示す。 C. クローニングベクターpBS FRTcloneを示す。 D. クローニングベクターpBS loxPcloneを示す。
    【図16】予め選択した遺伝子座への特異的組換えシグナルの挿入のためのベクター。 IgG1の膜ドメインM1およびM2を含む定常ドメインをFlpにより、例えば、予め選択したFRTカセットに再度組み込み得るベクターpBS loxP−IgG1を示す。 また、このベクターをloxPカセットに連結し、これに、例えば、可変部ドメインをCreにより組み込み得る。 クローニングベクターは、最初は、AatIIを用いて切断したpBS FRTvKappaベクターとした(図15A)。 合成オリゴヌクレオチド配列をこれに付加し、これは、さらなるBamH1部位を有するloxPおよびloxP511をコードした。 得られたベクターを、BamH1を用いて切断した。 下線を付したシアンのプライマーhIgG1−1およびhIgG1−2は、キメラゲノムIgG1遺伝子の増幅に役立てた。 これらのプライマーを、それぞれ下流PCR反応において、BamH1部位に連結した。 鋳型DNAはここでは図12Bに記載したpBS MhIgG1Mとした(あるいはまたpBS MhIgG1Mdelta350)。 同じくBamH1−消化したこのPCRバンドのライゲーション後、ベクターpBS loxP−IgG1、あるいはベクターpBS loxP−IgG1delta350を形成した。 制限部位に下線を付す。 マウス配列およびヒト配列の境界は、HindIII制限部位で印を付ける。 ヒトコード配列およびマウスM1およびマウスM2エキソンを緑の小文字で記載している。 ヒンジエキソの5'末端のスプライスアクセプターに下線を付し、赤で示す。 pBS loxP−IgG1ベクターに基づいて、ベクターpBS loxP−IgG1deltaCH1を得た。 両ベクターは同一であり、ベクターpBS loxP−IgG1deltaCH1のみが、PfM1とBamH1の間のDNA配列を欠く。 この目的のため、pBS loxP−IgG1ベクターを、BsmB1を用いて切断し、PCRプライマーdeltaCHl−1およびhIgG1−2により得た断片をクローン化した。 ここで、pBS loxP−IgG1ベクターを鋳型として役立てた。
    【図17】ハイブリドーマ細胞により提示された二重特異的抗体および二価抗体。 (A) 二重特異的抗体。 キメラ遺伝子を、Flpにより、ハイブリドーマ細胞株HEA125−mhloxPmycFrTG418の活性なvκ遺伝子座に再度組み込み得るpBS FRT KappaHEAscFv215ベクターを示す(実施例12)。 κプロモーター(内因性リーダーエキソンを有する)、および隣接するイントロン内に位置するκエンハンサー(内因性cκエキソンの前)の制御下で、このキメラ遺伝子は、 HEA125のvκドメイン(緑小文字); HEA125のcκマウスドメインに融合(青大文字); リンカー配列に融合(マゼンタおよびイタリック体); scFv抗体のvHドメイン215に融合(cyan、小文字); GlySerリンカーに融合(イタリック体、マゼンタ); scFv抗体215のvκドメインに融合(緑小文字);ならびに 最後に、myc−タグおよびHis−タグに融合(それぞれイタリック体およびマゼンタ)をコードする。 制限部位に下線を付す。 括弧で示したPvuII/MscI制限部位はクローニングから生じた残余配列を含む。 赤い小文字で記載したPCRプライマーvHEAcDNA1およびvHEAcDNA2は、HEA125の活性なκ遺伝子のcDNAの増幅に役立てた。 鋳型DNAはここではHEA125のcDNAとした。 プライマーvHEAcDNA2は、下流PCRにおいて、図示した隣接する、PvuIIを含むまでのリンカーの配列にさらに連結した。 このPCR断片を、MscI切断クローニングベクターpBS FRTvKappaにライゲートした(図15A)。 その後、得られたベクターpBS FRT KappaHEAPvuIIを、PvuIIを用いて切断した。 赤い小文字で記載したPCRプライマーsvFv1およびscFv2は、scFV抗体のコードDNAの増幅に役立てた。 鋳型DNAはここではpOPE101−215プラスミドとした。 このPCR断片でクローン化し、ベクターpBS FRT KappaHEAscFv215を得た。 B. 二価抗体。 キメラ遺伝子を、Flpにより、ハイブリドーマ細胞株HEA125−mhloxPmycFRTG418の活性なvκ遺伝子座に再度組み込み得るpBS FRT KappaHEAblaベクターを示す(実施例13)。 κプロモーター(内因性リーダーエキソンを有する)、および隣接するイントロン内に位置するκエンハンサー(内因性cκエキソンの前)の制御下で、このキメラ遺伝子は、 HEA125のvκドメイン(緑小文字); HEA125のcκマウスドメインに融合(青大文字); リンカー配列に融合(マゼンタおよびイタリック体);ならびに βラクタマーゼのコード配列に融合(緑小文字)をコードする。 制限部位に下線を付す。 括弧で示したPvuIIおよび/またはPvuII/MscI制限部位はクローニングから生じた残余配列を含む。 開始点は、図17Aに記載したPvuII−切断ベクターpBS FRT KappaHEAPvuIIとした。 赤い小文字で記載したPCRプライマーbla1およびbla2は、βラクタマーゼのコードDNAの増幅に役立てた。 鋳型DNAはここではpBSIISK+プラスミドとした。 このPCR断片でクローン化し、pBS FRT KappaHEAblaベクターを形成した。
    【図18】ハイブリドーマ細胞により提示された改変抗体のさらなる例。 A. 特異的組換えによる改変抗体の特異性。 改変vκエキソンを、Flpにより、ハイブリドーマ細胞株HEA125−mhloxPmycFRTG418の活性なvκ遺伝子座に再度組み込み得るpBS FRT vKappa215ベクターを示す(実施例14)。 κプロモーター(内因性リーダーエキソンを有する)、および隣接するイントロン内に位置するκエンハンサー(内因性cκエキソンの前)の制御下で、このキメラ遺伝子は、215抗体のvκドメイン(Kontermannら,1995,Characterization of the epitope recognised by a monoclonal antibody directed against the largest subunit of Drosophila RNA polymerase II.Biol.Chem.Hoppe−Seyler 376,473−481;緑小文字)をコードする。 このvκドメインを、HEA125により内因的にコードされたcκドメインでのスプライシングにより結合させる。 制限部位に下線を付す。 赤い小文字で記載したPCRプライマーK215−1およびK215−1は、vκ(215)ドメインの増幅に役立てた。 PCRプライマーK215−1は、ここでは、EcoRV部位を挿入するのに役立つサイレント点変異に連結した。 鋳型DNAはここではプラスミドpOPE101−215とした(図17A参照)。 このPCR断片をEarIおよびAvaII−切断ベクターpBS FRTvKappa(図15A参照)。 ベクターpBS FRT vkappa215をこのようにして形成した。 B. 特異的組換えによるFab抗体。 改変vHエキソンを、Creにより、ハイブリドーマ細胞株HEA125−mhRekの活性なvH遺伝子座に再度組み込み得るベクターpBS loxP−FdHEAを示す(実施例15)。 このエキソは、隣接するイントロン内に位置するvHプロモーターおよびIgG1エンハンサー(内因性CH1エキソンの前)(緑小文字)の制御下で、HEA125抗体のvHドメインをコードする。 このvHドメインを、隣接IgG1−CH1ドメイン(緑小文字)でのスプライシングにより結合させる。 制限部位に下線を付す。 赤い小文字で記載したPCRプライマーFd1およびFd2は、IgG1−CH1ドメインの増幅に役立てた。 PCRプライマーFd2は、ここでは、停止コドンおよびSalI部位に連結した。 鋳型DNAはHEA125のゲノムDNAとした。 このPCR断片をSalI切断ベクターpBS loxPvH(図15B参照)。 その結果、pBS loxP−FdHEAベクターが形成された。

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