Methods for ligand discovery

申请号 JP2003547631 申请日 2002-04-24 公开(公告)号 JP4391237B2 公开(公告)日 2009-12-24
申请人 サネシス ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド; 发明人 ダニエル エー. アーランソン,; ジェームス ウェルス,; アンドリュー エー. ブライステッド,;
摘要
权利要求
  • 以下:
    a)共有結合を形成し得るアンカー基を有するか、または目的の部位にて、もしくは目的の部位の近傍にて金属を配位結合する能力を有するアンカー基を有する、標的を提供する工程;
    b)該標的を、伸長因子と接触させ、それにより、標的−伸長因子複合体を形成させる工程であって、ここで、該伸長因子が、第一の官能基および第二の官能基を含み、該第一の官能基は、共有結合を形成するかまたは金属を配位結合するかのいずれかであり、そして該第二の官能基が共有結合を形成する能力を有する、工程;
    c)該標的−伸長因子複合体を候補リガンドと接触させる工程であって、該候補リガンドが、該第二の官能基と共有結合を形成する能力を有する基を含む、工程;
    d)該標的−伸長因子複合体と該候補リガンドとの間に共有結合を形成させる工程;および e)該標的−伸長因子−リガンド結合体中に存在する該候補リガンドを同定する工程、
    を包含し、
    該伸長因子は、以下の式:
    の伸長因子であり、ここで、R'は、Hまたは−SR であり、R は、非置換C 〜C 10脂肪族、置換C 〜C 10脂肪族、非置換アリール、または置換アリールであり;Xは、脱離基であり;そして式中の四角は、結合決定基を表 し、
    該第一の官能基は、
    であり、
    該第二の官能基は、−SR'である
    方法。
  • 前記アンカー基が、反応性求電子基、反応性求核基、および金属配位部位からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
  • 以下:
    a)目的の部位にて、もしくは目的の部位の近傍にて反応性求核基を有する標的を提供する工程;
    b)該標的を、伸長因子と接触させ、それにより、標的−伸長因子複合体を形成させる工程であって、ここで、該伸長因子が、第一の官能基および第二の官能基を含み、該第一の官能基は、該標的における該求核基と反応して共有結合を形成し、そして該第二の官能基がジスルフィド結合を形成する能力を有する、工程;
    c)該標的−伸長因子複合体を候補リガンドと接触させる工程であって、該候補リガンドが、ジスルフィド結合を形成する能力を有する、工程;
    d)該標的−伸長因子複合体と該候補リガンドとの間にジスルフィド結合を形成し、それにより、標的−伸長因子−リガンド結合体を形成させる工程;ならびに e)該標的−伸長因子−リガンド結合体中に存在する該候補リガンドを同定する工程、
    を包含し、
    該伸長因子が、以下:
    の伸長因子であり、ここで、R'は、Hまたは−SR であり、R は、非置換C 〜C 10脂肪族、置換C 〜C 10脂肪族、非置換アリール、または置換アリールであり;Xは、脱離基であり;そして式中の四角は、結合決定基を表 し、
    該第一の官能基は、
    であり、
    該第二の官能基は、−SR'である
    方法。
  • 前記標的上の前記反応性求核基がチオールまたはマスクされたチオールである、請求項3に記載の方法。
  • 請求項1または3に記載の方法であって、前記標的−伸長因子−リガンド結合体中に存在する候補リガンドが、質量分析法により同定される、方法。
  • 請求項1または3に記載の方法であって、前記標的−伸長因子−リガンド結合体中に存在する候補リガンドが、標識プローブを使用することにより同定される、方法。
  • 請求項1または3に記載の方法であって、前記標的−伸長因子−リガンド結合体中に存在する候補リガンドが、クロマトグラフィーにより同定される、方法。
  • 請求項1または3に記載の方法であって、前記標的−伸長因子−リガンド結合体中に存在する候補リガンドが、表面プラズモン共鳴を使用することにより同定される、方法。
  • 说明书全文

    (背景)
    薬物発見プロセスは、通常、引き続く医化学最適化のための適度な親和性リード(lead)を同定するための、化合物ライブラリーの大規模な機能的スクリーニングで開始する。 しかし、目的の標的の全てがこのようなスクリーニングに耐えられるわけではない。 いくつかの場合において、ハイスループットスクリーニングに耐えられるアッセイが、利用可能ではない。 他の場合において、標的は、複数の結合様式を有し得、その結果、このようなスクリーニングの結果が曖昧であり、そして解釈が困難である。 なお他の場合において、ハイスループットアッセイのためのアッセイ条件は、人為結果を受けやすいようなものである。 その結果、必ずしも機能的スクリーニングに依存しない、リガンドの発見のための代替の方法が必要とされる。

    (発明の要旨)
    本発明は、結合技術を使用する、リガンド発見のための方法に関する。

    1つの局面において、本発明は、以下:

    からなる群より選択される、標的−化合物結合体に関する。 ここで、

    は、標的であり、RおよびR'は、各々独立して、非置換C

    〜C

    20脂肪族、置換C

    〜C

    20脂肪族、非置換アリール、または置換アリールであり;


    mは、0、1、または2であり;そして nは、1または2である。

    特定の実施形態において、この標的は、ポリペプチドまたタンパク質であり、これは例えば、酵素、レセプター、転写因子、レセプターに対するリガンド、増殖因子、サイトカイン、免疫グロブリン、核タンパク質、シグナル伝達成分、およびアロステリック酵素調節因子からなる群より選択され得る。 −S−S−結合と標的化合物との間の共有結合は、可逆的であっても非可逆的であってもよい。

    別の局面において、本発明は、各メンバーが以下:

    からなる群より選択される式を有する、化合物のライブラリーに関し、ここで、RおよびR'は、各々独立して、非置換C

    〜C

    20脂肪族、置換C

    〜C

    20脂肪族、非置換アリール、または置換アリールであり;mは、0、1、または2であり;そしてnは、1または2である。

    このライブラリーは、好ましくは、少なくとも約5のメンバー、より好ましくは、少なくとも約100のメンバーを有し、そしてこのライブラリーの個々のメンバーの原子質量は、好ましくは、少なくとも約5原子質量単位、より好ましくは、少なくとも約10原子質量単位異なる。

    さらなる局面において、本発明は、以下を包含する方法に関する:
    a)標的タンパク質に結合する、式R SSR の第一の化合物を同定する工程;
    b)標的タンパク質に結合する、式R SSR の第二の化合物を同定する工程;および c)R およびR を含む結合体化合物を形成する工程であって、ここで、R およびR は、各々独立して、C 〜C 20の非置換脂肪族、C 〜C 20の置換脂肪族、非置換アリール、および置換アリールであり;そしてR は、非置換C 〜C 10脂肪族、置換C 〜C 10脂肪族、非置換アリールである。 この方法の特定の実施形態において、標的に結合する第二の化合物の同定は、第一の化合物の存在下で行われる。

    別の実施形態において、R SSR およびR SSR は、各々独立して、以下:

    からなる群より選択され、ここで、RおよびR'は、各々独立して、非置換C

    〜C

    20脂肪族、置換C

    〜C

    20脂肪族、非置換アリール、または置換アリールであり;


    mは、0、1、または2であり;そして nは、1または2である。

    なおさらなる局面において、本発明は、以下を包含する方法に関する:
    a)目的の部位またはその近くで共有結合を形成し得るか、または金属に配位し得る、アンカー基を有する標的を提供する工程;
    b)この標的を伸長因子と接触させて、これによって、標的−伸長因子複合体を形成する工程であって、ここで、この伸長因子は、共有結合を形成するかまたは金属に配位するかのいずれかである、第一の官能基、および共有結合を形成し得る第二の官能基を含む、工程;
    c)この標的−伸長因子複合体を、第二の官能基と共有結合を形成し得る基を含む候補リガンドと接触させる工程;
    d)標的伸長因子複合体と候補リガンドとの間で、共有結合を形成させる工程;ならびに e)標的−伸長因子−リガンド結合体中に存在する、候補リガンドを同定する工程。

    この方法の特定の実施形態において、アンカー基は、反応性求電子基、反応性求核基、および金属配位部位からなる群より選択される。

    本発明はまた、以下を包含する方法に関する:
    a)反応性の求核基を、目的の部位またはその近くに有する標的を提供する工程;
    b)この標的を伸長因子と接触させて、これによって、標的−伸長因子複合体を形成する工程であって、ここで、この伸長因子は、標的における求核基と反応して共有結合を形成する、第一の官能基、およびジスルフィド結合を形成し得る、第二の官能基を含む、工程;
    c)この標的−伸長因子複合体を、ジスルフィド結合を形成し得るリガンド候補物と接触させる工程;
    d)標的−伸長因子複合体とリガンド候補物との間でジスルフィド結合を形成する工程であって、これによって、標的−伸長因子−リガンド結合体を形成する、工程;ならびに e)この標的−伸長因子−リガンド結合体中に存在する、リガンド候補物を同定する工程。

    標的における反応性求核基は、例えば、チオールまたはマスクされたチオールであり得、そして伸長因子は、以下の式を有し得る:

    ここで、Rは、非置換C

    〜C

    20脂肪族、置換C

    〜C

    20脂肪族、非置換アリール、および置換アリールであり;R'は、H、−SR

    (ここでR

    は、非置換C

    〜C

    10脂肪族、置換C

    〜C

    10脂肪族、非置換アリール、および置換アリールである)であり;Xは、脱離基であり、そして各式におけるボックスは、結合決定基を表す。

    特定の実施形態において、伸長因子は、以下の式のものである:

    ここで、R'は、H、−SR

    (ここでR

    は、非置換C

    〜C

    10脂肪族、置換C

    〜C

    10脂肪族、非置換アリール、および置換アリールである)であり、そしてボックスは、結合決定基を表す。

    異なる局面において、本発明は、タンパク質−伸長因子複合体に関し、ここで、このタンパク質は、伸長因子と共有結合を形成し、この伸長因子は、共有結合を形成し得る第一の官能基、および第二の共有結合を形成し得る第二の官能基を含む。

    別の局面において、本発明は、タンパク質−伸長因子複合体に関し、ここで、このタンパク質は、伸長因子とともに金属に配位し、この伸長因子は、金属に配位し得る第一の官能基、および共有結合を形成し得る第二の官能基を含む。

    これらの複合体は、第二の官能基と、ジスルフィド結合を形成し得る化合物との間に、ジスルフィド結合をさらに含み得る。

    (好ましい実施形態の説明)
    本発明は、目的の標的における選択された部位に結合し得るリガンドを同定するための、迅速かつ効率的な方法を提供する。 本明細書中の方法によって同定されるリガンド自体が、例えば、新規治療薬剤、酵素インヒビター、標識化合物、診断剤、タンパク質精製のための親和性薬剤などの開発のための、リード化合物としての用途を見出す。

    他に定義されない限り、本明細書中で使用される技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって通常理解されるものと同じ意味を有する。 Singletonら、Dictionary of Microbiology and Molecular Biology 第2版、J. Wiley & Sons(New York,NY 1994)、およびMarch,Advanced Organic Chemistry Reactions,Mechanisms and Structure 第4版、John Wiley & Sons(New York,NY 1992)のような参考文献は、当業者に、本願において使用される用語の多くの一般的指針を提供する。

    本発明の1つの局面において、化合物が提供される。 明白にかまたは暗示的に他のように示されない限り、これらの化合物は、個々のエナンチオマー、ジアステレオマー、幾何異性体、またはこれらの混合物の形態であり得る。 これらの化合物が二重結合を含む場合、これらの二重結合は、他のように示されない限り、ZまたはEのいずれか、あるいはその混合物であり得る。

    (定義)
    本明細書中で使用される用語の定義としては、以下が挙げられる:
    用語「脂肪族」または「非置換脂肪族」とは、直鎖、分枝鎖、環状、または多環式の炭化素をいい、そしてアルキル部分、アルケニル部分、アルキニル部分、シクロアルキル部分、シクロアルケニル部分、およびシクロアルキニル部分が挙げられる。

    用語「アルキル」または「非置換アルキル」とは、飽和炭化水素をいう。

    用語「アルケニル」または「非置換アルケニル」とは、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する炭化水素をいう。

    用語「アルキニル」、または「非置換アルキニル」とは、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する炭化水素をいう。

    用語「アリール」または「非置換アリール」とは、少なくとも1つの芳香族環を有する、単環式または多環式の不飽和部分をいう。 この用語は、1つ以上のヘテロ原子をその少なくとも1つの芳香族環内に含む、ヘテロアリールを包含する。 アリールの代表的な例としては、以下が挙げられる:フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、インデニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、チオフェニル、フラニル、キノリニル、イソキノリニルなど。

    用語「置換(された)」とは、部分を修飾するように使用される場合、少なくとも1つの水素原子が他の基で置換されている、その部分の置換されたバージョンをいい、この別の基としては、以下:脂肪族;アリール、アルキルアリール、F、Cl、I、Br、−OH;−NO ;−CN;−CF ;−CH CF ;−CH Cl;−CH OH;−CH CH OH;−CH NH ;−CH SO CH ;−OR ;−C(O)R ;−COOR ;−C(O)N(R ;−OC(O)R ;−OCOOR ;−OC(O)N(R ;−N(R ;−S(O) ;および−NR C(O)R が挙げられるが、これらに限定されず、ここで、各場合のR は、独立して、水素、置換脂肪族、非置換脂肪族、置換アリール、または非置換アリールである。 さらに、部分における隣接する基の置換は、一緒になって、環式基を形成し得る。

    用語「アンタゴニスト」は、その最も広い意味で使用され、そして標的(例えばTBM)によって示される生物学的活性を、部分的にかまたは完全に、遮断するか、阻害するか、または中和する、任意のリガンドを包含する。 類似の様式で、用語「アゴニスト」は、その最も広い意味で使用され、そして標的(例えば、TBM)によって示される生物学的活性を、例えば、このようなTBMの機能もしくは発現、またはこのようなTBMを介するシグナル伝達の効率を特異的に変化させ、これにより、すでに存在する生物学的活性を変化させる(増加もしくは阻害する)か、または新たな生物学的活性を誘発することによって模倣する、任意のリガンドを包含する。

    用語「伸長因子」とは、約30〜約1,500ダルトンの分子量を有し、そして標的上の基と反応し得る第一の官能基、およびリガンド候補物またはリガンド候補物のライブラリーのメンバーと反応してジスルフィド結合を形成し得る第二の官能基を有する、分子をいう。

    用語「リガンド」とは、標的に対する測定可能な結合親和性を有する実体をいう。 一般に、リガンドとは、約100mM以下、好ましくは約10mM以下、そしてより好ましくは約1mM以下のK またはK で標的に結合する場合に、測定可能な親和性を有するといわれる。 好ましい実施形態において、リガンドはペプチドではなく、そして低分子である。 リガンドは、大きさが約2000ダルトン未満である場合、通常は大きさが約1500ダルトン未満である場合に、低分子である。 より好ましい実施形態において、低分子リガンドは、大きさが約1000ダルトン未満、通常は大きさが約750ダルトン未満、そしてより通常には大きさが約500ダルトン未満である。

    伸長因子に関して、用語「結合決定基」とは、伸長因子の、標的(例えば、標的ポリペプチド)への結合に関与する部分に関する。

    用語「リガンド候補物」とは、標的上の相補的な基または適合性の反応性基と共有結合を形成し得る反応性基を有するか、またはこの反応性基を有するように修飾された化合物をいう。 リガンド候補物または標的のいずれかにおける反応性基は、例えば、保護基でマスクされ得る。

    用語「ポリヌクレオチド」とは、単数形または複数形で使用される場合、一般に、未修飾のRNAまたはDNAあるいは修飾されたRNAまたはDNAであり得る、任意のポリリボヌクレオチドまたはポリデオキシリボヌクレオチドをいう。 従って、例として、本明細書中で定義されるようなポリヌクレオチドとしては、限定されないが、一本鎖DNAおよび二本鎖DNA、一本鎖領域および二本鎖領域を含むDNA、一本鎖RNAおよび二本鎖RNA、ならびに一本鎖領域および二本鎖領域を含むRNA、DNAおよびRNAを含むハイブリッド分子(これは、一本鎖であっても、より代表的には二本鎖であっても、一本鎖領域および二本鎖領域を含んでもよい)が挙げられる。 さらに、用語「ポリヌクレオチド」とは、本明細書中において使用される場合、RNAまたはDNA、あるいはRNAとDNAとの両方を含む、三重鎖領域をいう。 このような領域における鎖は、同じ分子由来であっても、異なる分子由来であってもよい。 これらの領域は、その分子の1つ以上の全てを含み得るが、より代表的には、その分子のいくらかの領域のみを含む。 三重らせん領域の分子の1つは、しばしば、オリゴヌクレオチドである。 用語「ポリヌクレオチド」とは具体的には、1つ以上の修飾塩基を含むDNAおよびRNAを含む。 従って、安定性または他の理由により修飾された骨格を有するDNAまたはRNAは、この用語が本明細書中で意図されるような「ポリヌクレオチド」である。 さらに、通常でない塩基(例えば、イノシン)、あるいは修飾塩基(例えば、トリチル化塩基)を含むDNAまたはRNAは、本明細書中で定義されるような用語「ポリヌクレオチド」の範囲に含まれる。 一般に、用語「ポリヌクレオチド」は、化学的、酵素的、および/または代謝的に修飾された形態の、全ての未修飾ポリヌクレオチド、ならびに種々のウイルスおよび細胞(単純な細胞および複雑な細胞を含む)に特徴的なDNAおよびRNAの化学的形態を包含する。

    語句「保護(された)チオール」とは、本明細書中において使用される場合、基または分子と反応して、チオールの反応性を低くし、そして脱保護されて遊離チオールを再生し得る共有結合を形成した、チオールをいう。

    語句「可逆的共有結合」とは、本明細書中において使用される場合、好ましくは標的を変性しない条件下で破壊され得る、共有結合をいう。 例としては、限定されないが、ジスルフィド、シッフ塩基、チオエステル、配位錯体、ボロネートエステルなどが挙げられる。

    語句「反応性基」とは、適合性の反応性基もしくは相補的な反応性基を提供される場合に共有結合が形成され得る部位を提供する、化学基または部分である。 代表的な例は、他の−SHまたは−SS−と反応してジスルフィドを形成し得る−SH;活性化−COOHと反応してアミドを形成し得る−NH ;アルデヒドまたはケトンと反応してシッフ塩基を形成し得る−NH などである。

    語句「反応性求核基」とは、本明細書中において使用される場合、標的を変性も損傷もしない条件下で、別の分子上の適合性の官能基と共有結合を形成し得る求核基をいう。 最も適切な求核基は、チオール、アルコール、およびアミンである。 同様に、語句「反応性求電子基」とは、本明細書中において使用される場合、好ましくは、標的を変性も他に損傷もしない条件下で、別の分子上の適合性の官能基と共有結合を形成し得る求電子基をいう。 最も適切な求電子基は、イミン、カルボニル、エポキシド、アジリジン(aziridie)、スルホネート、ジスルフィド、活性化エステル、活性化カルボニル、およびヘミアセタールである。

    語句「目的の部位」とは、リガンドが結合し得る標的上の任意の部位をいう。 例えば、標的が酵素である場合、目的の部位としては、この酵素の結合基質、インヒビター、アクチベーター、補因子、またはアロステリックモジュレーターと接触するか、または約10オングストローム以内(より好ましくは、約5オングストローム以内)の位置にある、アミノ酸が挙げられ得る。 酵素がプロテアーゼである場合、目的の部位としては、P6からP6'の基質結合チャネル、触媒機能に関与する残基(例えば、触媒性三つ組およびオキシアニオンホール)、ならびに任意の補因子(例えば、Znのような金属)結合部位が挙げられる。 酵素がプロテインキナーゼである場合、目的の部位としては、ATP結合部位に加えて、基質結合チャネルが挙げられる。 酵素がデヒドロゲナーゼである場合、目的の部位としては、基質結合領域およびNAD/NADHによって占められる部位が挙げられる。 酵素がPDE4のような加水分解酵素(hydralase)である場合、目的の部位としては、cAMPと接触する残基、および触媒性二価陽イオンの結合に関与する残基が挙げられる。

    用語「標的」、「標的分子」および「TM」は、交換可能に、最も広い意味で使用され、そしてリガンドの結合がその標的の機能に対する影響を有する、化学実体または生物学的実体をいう。 標的は、分子、分子の一部、または分子の凝集物であり得る。 リガンドの結合は、可逆的であっても不可逆的であってもよい。 標的分子の特定の例としては、ポリペプチドまたはタンパク質(例えば、酵素(システインプロテアーゼ、セリンプロテアーゼ、およびアスパルチルプロテアーゼのようなプロテアーゼが挙げられる))、レセプター、転写因子、レセプターに対するリガンド、増殖因子、サイトカイン、免疫グロブリン、核タンパク質、シグナル伝達成分(例えば、キナーゼ、ホスファターゼ)、アロステリック酵素調節因子など、ポリヌクレオチド、ペプチド、炭水化物、糖タンパク質、糖脂質、および他の高分子(例えば、核酸−タンパク質複合体、クロマチンまたはリボソーム、脂質二重層含有構造体(例えば、膜)、または膜由来の構造物(例えば、小胞))が挙げられる。 この定義は、具体的に、以下に定義されるように、標的生物学的分子(「TBM」)を包含する。

    「標的生物学的分子」または「TBM」とは、本明細書中において使用される場合、単一の生物学的分子、または互いと生物学的に関連する複合体(これに対して、低分子のアゴニストまたはアンタゴニストが、TBMの機能に対する影響を有する)を形成し得る複数の生物学的分子をいう。 好ましい実施形態において、TBMは、タンパク質またはその一部、あるいは2つ以上のアミノ酸を含み、そして相補的な反応性基を有する化合物と共有結合を形成し得る反応性基を有するかまたはこの反応性基を有するように改変され得るものである。 TBMの代表的な例としては、以下が挙げられる:酵素、レセプター、転写因子、レセプターに対するリガンド、増殖因子、免疫グロブリン、核タンパク質、シグナル伝達成分、糖タンパク質、糖脂質、および他の高分子(例えば、核酸−タンパク質複合体、クロマチンまたはリボソーム)、脂質二重層含有構造体(例えば、膜)、あるいは膜由来の構造体(例えば、小胞)。 標的は、種々の様式で得られ得、この様式としては、天然の供給源からの単離および精製、化学合成、組換え産生、ならびにこれらおよび類似の方法の任意の組み合わせが挙げられる。

    好ましいタンパク質標的としては、以下が挙げられる:細胞表面タンパク質および可溶性レセプタータンパク質(例えば、リンパ球細胞表面レセプター;酵素;プロテアーゼ(例えば、アルパルチルプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、メタロプロテアーゼ、およびセリンプロテアーゼ);ステロイドレセプター;核タンパク質;アロステリック酵素;凝固因子;キナーゼ(セリン/スレオニンキナーゼおよびチロシンキナーゼ);ホスファターゼ(セリン/スレオニンホスファターゼ、チロシンホスファターゼ、および二重特異性ホスファターゼ、特に、PTP−1B、TC−PTPおよびLAR);チミジル酸シンターゼ;細菌酵素、真菌酵素およびウイルス酵素(特に、HIV、インフルエンザ、ライノウイルスおよびRSVと関連した酵素);シグナル伝達分子;転写因子;DNAおよび/またはRNAの合成または分解に関連するタンパク質または酵素;免疫グロブリン;ホルモン;および種々のサイトカインに対するレセプター。レセプターの例示的な例としては、例えば以下が挙げられる:エリトロポイエチン(EPO)、顆粒球コロニー刺激(G−CSF)レセプター、顆粒球マクロファージコロニー刺激(GM−CSF)レセプター、トロンボポイエチン(TPO)、インターロイキン(例えば、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−10、IL−11、IL−12)、成長ホルモン、プロラクチン、ヒト胎盤性ラクトゲン(LPL)、CNTF、オンコスタチン、RANTES、MIPb、IL−8、インスリン、インスリン様増殖因子1(IGF−1)、上皮増殖因子(EGF)、ヒレグリン−aおよびヒレグリン−b、血管内皮増殖因子(VEGF)、胎盤成長因子(PLGF)、組織成長因子(TGF−αおよびTGF−β)および神経成長因子(NGF)。他の標的としては、種々のニューロトロフィンおよびこれらのリガンド、他のホルモンおよびレセプター(例えば、骨形態形成因子、卵胞刺激ホルモン(FSH)、および黄体化ホルモン(LH)、CD40リガンド、アポトーシス因子−1およびアポトーシス因子−2(AP−1およびAP−2)、p53、bax/bcl2、mdm2、カスパーゼ(1、3、8および9)、カテプシン、IL−1/IL−1レセプター、BACE、HIVインテグラーゼ、PDE IV、C型肝炎ヘリカーゼ、C型肝炎プロテアーゼ、ライノウイルスプロテアーゼ、トリプターゼ、cPLA(細胞質ゾルホスホリパーゼA2)、CDK4、c−junキナーゼ、アダプター(例えば、Grb2、GSK−3,AKT、MEKK−1、PAK−1、raf、TRAF's1−6、Tie2、ErbB 1および2)、FGF、PDGF、PARP、CD2、C5aレセプター、CD4、CD26、CD3、TGF−α、NF−kB、IKKβ、STAT 6、ニューロキニン−1、CD45、Cdc25A、SHIP−2、ヒトp53、bax/bcl2、IgE/IgER、ZAP−70、lck、syk、ITK/BTK、TACE、カテプシンS、KおよびF、CD11a、LFA/ICAM、VLA−4、CD28/B7、CTLA4、TNFαおよびTNFβ、(ならびにp55 TNFレセプターおよびp75 TNFレセプター)、CD40L、p38マップキナーゼ、IL−2、IL−4、Il−13、IL−15、Rac 2、PKCθ、IL−8,TAK−1、jnk、IKK2およびIL−18)が挙げられる。

    (結合方法)
    本発明は、リガンド発見のための新規の方法を提供し、この方法は、「結合」と呼ばれるプロセスによる。 潜在的なリガンドは、標的に共有結合されるかまたは「結合」され、続いて同定される。 前に示したように、本発明の1つの局面において、本方法は、以下の工程を包含する:
    a)目的の部位またはその近くに化学的反応性基を含む標的を、化学的反応性基と共有結合を形成し得る化合物と接触させる工程;
    b)標的と化合物との間に共有結合を形成し、それによって標的化合物結合体を形成する工程;およびc)標的化合物結合体を同定する工程。

    1つの実施形態において、複数の化合物が使用され、その結果、本方法は、以下の工程を包含する:
    a)目的の部位またはその近くに化学的反応性基を含む標的を得る工程;
    b)化学的反応性基に共有結合し得る複数の化合物と標的を合わせ、ここで少なくとも1つの化合物が、標的と共有結合を形成する工程;およびc)標的−化合物結合体において共有結合を形成した化合物を同定する工程。

    好ましい実施形態において、標的は、タンパク質であり、化学的反応性基は、その中のシステイン残基上のチオールである。 目的の部位が、天然に存在するシステイン残基を含まない場合、標的は、目的の部位またはその近くにシステイン残基を含むように改変され得る。 システインは、目的の部位から10Å以内に位置する場合、好ましくは、目的の部位から5Å以内に位置する場合、目的の部位の近くにあるといわれる。 改変のために好ましい残基は、溶媒接近可能である残基である。 溶媒接近性は、標準的数値法(Lee,B.& Richards,F.M.J.Mol.Biol 55:379−400(1971);Shrake,A.& Rupley,J.A.J.Mol.Biol.79:351−371(1973))または分析法(Connolly,M.L.Science 221:709−713(1983);Richmond,T.J.J.Mol.Biol.178:63−89(1984))を使用して構造モデルから計算され得る。 例えば、潜在的なシステイン改変体は、LeeおよびRichardsの方法(Lee,B.& Richards,F.M.J.Mol.Biol 55:379−400(1971))によって計算される場合に、炭素β(CB)、または硫黄γ(SG)の合わせた表面積が、21Å より大きい場合、溶媒接近可能であると考えられる。 この値は、Creamerらによって記載されるような(Creamer,T.P.ら、Biochemistry 34:16245−16250(1995))システイン側鎖に接近可能な理論的表面積の約33%を示す。

    また、システインに変異されるべき残基、または他のチオール含むアミノ酸残基は、骨格原子との水素結合に関与しないか、または、せいぜい、ただ1つの水素結合によって骨格と相互作用することが好ましい。 側鎖が、他の側鎖と複数の(>1)水素結合に関与する野生型残基はまた、より好ましくない。 全ての標準的な回転異性体(−60°、60°、または180°のχ1の度)が、任意の他の残基のN原子、CA原子、C原子、O原子、またはCB原子との不利な立体的な接触を導入し得る改変体もまた、より好ましくない。 不利な接触は、関与する原子のファンデルワールス半径の合計の80%未満である原子間距離として規定される。 目的の部位が凹状の領域である特定の実施形態において、このような部位の縁(例えば、隆起領域または隣接する凸状領域)で見出される残基が、システイン残基に突然変異するためにより好ましい。 凸状および凹状は、表面ベクトルに基づいて計算され得る(Duncan,B.S.& Olson,A.J.Biopolymers 33:219−229(1993))か、または分子表面に沿って配置される水プローブの接近可能性を決定することによって計算され得る(Nicholls,A.ら、Proteins 11:281−296(1991);Brady,G.P.,Jr.& Stouten,P.F.J.Comput.Aided Mol.Des.14:383−401(2000))。 L−アミノ酸に対して名目上禁制である骨格配座(Ramachandran,G.N.ら、J.Mol.Biol.7:95−99(1963);Ramachandran,G.N.&Sasisekharahn,V.Adv.Prot.Chem.23:283−437(1968))を保有する残基は、システインに対する改変のためのより好ましくない標的である。 禁制の配座は、通常、正の値のφ角を特徴とする。

    他の好ましい改変体は、システインへと改変されそして、−Cys−SSR を含むように結合される場合、R の原子を目的の部位に指向する配座を保有する改変体である。 2つの一般的な手順は、これらの好ましい改変体を同定するために使用され得る。 第1の手順において、検索は、Protein Databank(Berman,H.M.ら、Nucleic Acids Research 28:235−242(2000))における単一の構造(Hobohm,U.ら、Protein Science 1:409−417(1992))から作られ得、位置jでジスルフィド結合されたシステインを含む構造フラグメントを同定し、ここで、フラグメントの残基j−1、j、およびj+1の骨格原子は、標的分子の残基i−1、i、およびi+1の骨格原子と、0.75Å 未満のRMSDで、重ね合わせされ得る。 (システインに変異された場合に)残基iのCβ原子よりも目的の部位の任意の原子に近い位置jにシステインとジスルフィド結合された配置するフラグメントが同定される場合、位置iは、好ましいと考えられる。 代替の手順では、位置iの残基は、計算上、システインに「変異」され、ジスルフィド結合を介してS−メチル基でキャップされる。

    目的の部位に1つ以上のシステインを付加することに加えて、目的の部位の外側に位置する1つ以上の天然に存在するシステインを欠失する(そして、これらを例えば、アラニンと置換する)ことが望ましくあり得る。 1つ以上の天然に存在するシステインが欠失されるか、または「スクラッブ」されたこれらの変異体は、本発明の別の局面を含む。 種々の組換え技術、化学技術、合成技術および/または他の技術は、標的を改変するために使用され、その結果、この標的は、結合のために利用可能な所望の数の遊離チオール基を保有する。 このような技術としては、例えば、標的ポリペプチドをコードする核酸配列の部位特異的変異誘発が挙げられ、その結果、この核酸配列は、異なる数のシステイン残基を有するポリペプチドをコードする。 ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅(例えば、1987年7月28日に発行された米国特許第4,683,195号;およびCurrent Protocols In Molecular Biology,第15章(Ausubelら編、1991)を使用する部位特異的変異誘発は、特に好ましい。他の部位特異的変異誘発技術もまた、当該分野において周知であり、そして例えば、以下の刊行物において記載される:Ausubelら、上述、第8章;Molecular Cloning:A Laboratory Manual.,第2版(Sambrookら、1989);Zollerら、Methods Enzymol.100:468−500(1983);Zoller & Smith,DNA 3:479−488(1984);Zollerら、Nucl.Acids Res.,10:6487(1987);Brakeら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:4642−4646(1984);Botsteinら、Science 229:1193(1985);Kunkelら、Methods Enzymol.154:367−82(1987),Adelmanら、DNA 2:183(1983);およびCarterら、Nucl.Acids Res.,13:4331(1986)。カセット変異誘発(Wellsら、Gene,34:315[1985])および制限選択変異誘発(Wellsら、Philos.Trans.R.Soc.London SerA,317:415[1986])もまた、使用され得る。

    1を超えるアミノ酸置換を有するアミノ酸配列改変体は、いくつかの方法の1つにおいて生成され得る。 アミノ酸が、ポリペプチド鎖において一緒に密接に位置される場合、これらは、所望のアミノ酸置換の全てをコードする1つのオリゴヌクレオチドを使用して、同時に変異され得る。 しかし、アミノ酸が、互いからいくらか距離を開けて配置される(例えば、10を超えるアミノ酸によって分離される)場合、所望の変化の全てをコードする単一のオリゴヌクレオチドを生成することはより困難である。 代わりに、2つの代替的な方法の一方が使用され得る。 第1の方法において、別々のオリゴヌクレオチドが、置換される各アミノ酸について生成される。 次いで、これらオリゴヌクレオチドが、一本鎖のテンプレートDNAに同時にアニールされ、テンプレートから合成された第2のDNA鎖が、所望のアミノ酸置換の全てをコードする。 代替的方法は、所望の変異体を生成するために2回以上の変異誘発を包含する。

    一旦標的−化合物結合体が形成されると、この結合体は、多くの方法を使用して検出され得る。 1つの実施形態において、質量分析が使用される。 この標的−化合物結合体は、質量分析で直接検出され得るかまたは、この標的化合物結合体は、検出前に断片化され得る。 あるいは、この化合物は、質量分析器内で遊離され得、引き続いて同定され得る。 以下により詳細に記載されるように、このような容易かつしっかりとした様式での、標的−化合物結合体中の化合物を同定するための質量分析の使用は、本発明の驚くべきかつ予測されなかった発見の1つである。 標的−化合物結合体および標的−化合物結合体を含む質量分析器(MS)のどちらも、本発明の局面を包含する。

    MSは、質量対電荷の比(m/z)に基づいて分子を検出し、従って、その分子のサイズに基づいて分子を分解し得る(Yates,Trends Genet.16:5−8[2000]に総説される)。 質量分析器は、最初に分子をガス相イオンに転換し、次いで個々のイオンをm/z比に基づいて分離し、最後に検出する。 質量分析計は、質量分析器の不可欠な部分であり、物理特性(例えば、電場もしくは磁場、または飛行時間[TOF])を使用して、次いでイオン分析器に衝突する(strike)特定のm/z値のイオンを分離する。 質量分析器は、迅速にデータを作成し得、従って、高スループットの分析のための大きい可能性を有する。 質量分析器は、単独でかまたは標的に共有結合されている化合物を検出もしくは同定するための他の手段と組み合わせて使用され得る。 質量分析技術のさらなる記載としては、FitzgeraldおよびSiuzdak,Chemistry&Biology 3:707−715[1996];Chuら,J. Am. Chem. Soc. 118:7827−7835[1996];Siudzak,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:11290−11297[1994];Burlingameら,Anal. Chem. 68:599R−651R[1996];Wuら,Chemistry&Biology 4:653−657[1997];およびLooら,Am. Reports Med. Chem. 31:319−325[1996]が挙げられる。

    標的−化合物結合体は、他の手段を使用して同定され得る。 例えば、反応混合物の成分を分離して共有結合分子を同定する能を増強するために、液体クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィーなどのような種々のクロマトグラフィー技術を使用し得る。 このようなクロマトグラフィー技術は、質量分析器と組み合わせて使用され得るかまたは質量分析器から分離され得る。 また上記の技術のいずれかを使用してその同定を容易にするために、遊離された化合物に、(蛍光性に、放射活性に、またはその他で)標識されたプローブをカップリングさせ得る。 なお別の実施形態において、新しい結合の形成が、標識プローブを遊離し、次いで、この標識プローブはモニターされ得る。 ELISAまたは酵素アッセイのような単純な機能的アッセイもまた、そのアッセイが測定するのに不可欠な領域で結合が生じる場合に、結合を検出するのに使用され得る。 標的分子に結合された有機化合物を同定するための使用を見出し得る他の技術としては、例えば、核磁気共鳴(NMR)、表面プラズマ共鳴(例えば、BIACORE)、キャピラリー電気泳動、X線結晶学など(これらの全ては、当業者に周知である)が挙げられ得る。

    本発明の別の局面において、この標的は、タンパク質であり、そして共有結合もしくは結合は、ジスルフィド結合である。 この方法は、以下:
    a)ジスルフィド結合を形成し得る標的タンパク質とリガンド候補(これもまたジスルフィド結合を形成し得る)とを接触させる工程;
    b)標的タンパク質とリガンド候補との間にジスルフィド結合を形成し、それによって標的タンパク質−リガンド結合体を形成する工程;および c)標的タンパク質−リガンド結合体中に存在するリガンドを同定する工程、
    を包含する。

    必要に応じて、この標的タンパク質は、還元剤の存在下でリガンド候補と接触される。 適切な還元剤の例示的な例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:システイン、システアミン、ジチオトレイトール、ジチオエリスリトール、グルタチオン、2−メルカプトエタノール、3−メルカプトプロピオン酸、トリス−(2−カルボキシエチル−ホスフィン)(「TCEP」)のようなホスフィン、または水素化ホウ素ナトリウム。 1つの実施形態において、還元剤は、2−メルカプトエタノールである。 別の実施形態において、還元剤は、システアミンである。 別の実施形態において、還元剤は、グルタチオンである、別の実施形態において、還元剤は、システインである。

    1つの実施形態において、標的タンパク質は、天然に存在するタンパク質配列の一部であるシステイン由来の、天然に存在する−SH基を保有する。 別の実施形態において、標的タンパク質は、操作された−SH基を保有し、ここでは、変異原性を使用して、天然に存在するアミノ酸をシステインに変異させた。 非ネイティブなシステインを有するこれらの標的タンパク質は、本発明の別の局面を包含する。

    別の実施形態では、標的タンパク質は、ジスルフィドの形態にあるマスクされた−SHを所有している。 別の実施形態では、標的タンパク質は、チオールがジスルフィドとしてマスクされているシステインを所有している。 別の実施形態において、標的タンパク質は、チオールが別のシステインとジスルフィド結合を形成しているシステインを所有している。 別の実施形態では、標的タンパク質は、チオールがグルタチオンとジスルフィド結合を形成しているシステインを所有している。 別の実施形態では、標的タンパク質は、チオールが、式−SSR のジスルフィドを形成しているシステインを所有し、ここで、R は、非置換C −C 10脂肪族化合物、置換C −C 10脂肪族化合物、非置換アリールまたは置換アリールである。 別の実施形態では、標的タンパク質は、チオールが、式−SSR のジスルフィドとしてマスクされているシステインを所有し、ここで、R は、C −C アルキル、そしてR は、NH 、OH、またはCOOHである。 別の実施形態では、標的タンパク質は、チオールが、式−SSCH CH OHのジスルフィドとしてマスクされているシステインを所有している。 なお別の実施形態では、標的タンパク質は、チオールが、式−SSCH CH NH のジスルフィドとしてマスクされているシステインを所有している。

    別の実施形態では、リガンド候補は、−SH基を所有している。 別の実施形態では、リガンド候補は、マスクされたチオールを所有している。 マスクされたチオール基を備えるリガンド候補は、本発明の別の局面を含む。 別の実施形態では、リガンド候補は、式−SSR のジスルフィドの形態にあるマスクされたチオールを所有し、ここで、R は、非置換C −C 10脂肪族化合物、置換C −C 10脂肪族化合物、非置換アリールまたは置換アリールである。 別の実施形態では、リガンド候補は、式−SSR のジスルフィドとしてマスクされているチオールを所有し、ここで、R は、C −C アルキル(好ましくは、−CH −、−CH CH −、または−CH CH CH −)であり、そしてR は、NH 、OH、またはCOOHである。 別の実施形態では、リガンド候補は、式−SSCH CH OHのジスルフィドとしてマスクされているチオールを所有している。 なお別の実施形態では、リガンド候補は、式−SSCH CH NH のジスルフィドとしてマスクされたチオールを所有している。 リガンド候補の例示の例は以下を含む:

    ここで、RおよびR'は、各々独立して、非置換C

    −C

    20脂肪族化合物、置換C

    −C

    20脂肪族化合物、非置換アリール、または置換アリールであり;mは0、1、または2であり;そしてnは1または2である。

    複数のリガンド候補は、リガンド候補のライブラリーを含む。 1つの実施形態では、ライブラリーは、少なくとも5のリガンド候補を含む。 別の実施形態では、ライブラリーは、少なくとも20のリガンド候補を含む。 別の実施形態では、ライブラリーは、少なくとも100のリガンド候補を含む。 別の実施形態では、ライブラリーは、少なくとも500のリガンド候補を含む。 別の実施形態では、ライブラリーは、少なくとも1000のリガンド候補を含む。 別の実施形態では、ライブラリーの各メンバーは、異なる分子量を有する。 別の実施形態では、ライブラリーの各メンバーは、少なくとも5原子量単位だけ、ライブラリーの別のメンバーから異なる質量を有している。 別の実施形態では、ライブラリーの各メンバーは、少なくとも10原子量単位だけ、ライブラリーの別のメンバーから異なる質量を有している。

    標的がタンパク質であり、そして共有結合がジスルフィドである結合(tethering)法は、図1に概略的に示される。 図1Aは、チオール含有タンパク質が、複数のリガンド候補(例えば、>5、>20、>100、>500、>1000など)と反応する結合法の1つの実施形態を示す。 この実施形態では、リガンド候補は、式−SSR のジスルフィドの形態にあるマスクされたチオールを所有し、ここで、R は、先に規定された通りである。 特定の実施形態では、R は、可能なリガンド候補の可溶性を増大するように選択される。 図示されるように、標的に対し固有の結合親和性を所有するリガンド候補が同定され、そしてジスルフィド部分を含まない対応するリガンドが、同定された結合決定基(丸によって示される)を含んで作製される。

    図1Bは、結合の背後にある理論を概略的に示す。 チオール含有タンパク質は、少なくとも1つのジスルフィド含有リガンド候補と平衡であり、そして平衡は、改変タンパク質と非改変タンパク質との間で確立されている。 1つの実施形態では、チオール含有タンパク質とリガンド候補とは還元剤の存在下で接触される。 別の実施形態では、このチオール含有タンパク質とリガンド候補は、準化学量論量の還元剤の存在下で接触される。 リガンド候補が標的タンパク質に対する固有の結合親和性を有さない場合、この平衡は、非改変タンパク質に向かってシフトする。 対照的に、リガンド候補が、タンパク質に対する固有の親和性を有する場合、平衡は、改変タンパク質に向かってシフトする。 両方の状況を、図1Bに示す。 第1に、リガンド候補のR 部分は、タンパク質に対する結合親和性をほとんど有さないか、有さない。 従って、タンパク質−リガンド結合体の形成は、与えられたタンパク質、リガンド候補、および還元剤の濃度でジスルフィド結合を形成する確率の関数である。 第2に、リガンド候補のR 部分は、タンパク質に対する固有の結合親和性を所有している。 結果として、一旦、タンパク質とリガンド候補との間でジスルフィド結合が形成されると、このタンパク質−リガンド結合体は安定化される。 従って、この平衡は、タンパク質−リガント結合体の形成に向かってシフトする。

    結合をさらに図示するために、この方法は、チミジレートシンターゼ(「TS」)(生存する実質的に全ての生物に対して必須の酵素)に適用されている。 TSは、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(「DHFR」)およびセリンヒドロキシメチラーゼと共に、生化学機能ユニット、シミジレートシンターゼサイクル(これは、RNAベースのdUMPからDNAベースのチミジン5'−モノホスフェート(「dTMP」)の合成のための唯一の新規の経路を提供する)を形成する。 TSおよびDHRFの両方は、抗癌薬物開発のための標的である。 TS遺伝子はまた、多くのウイルス中で見出されるので、抗寄生虫、抗真菌および抗ウイルス剤の開発の標的でもある。

    TSは、いくつかの理由から理論的な確証標的である。 第1に、種々のTS酵素の多数の高分解能結晶構造は、構造情報が化合物設計に取り込まれ得るように決定されている。 第2に、簡単な比色アッセイは、潜在的なリガンドがTSに結合するか否かを測定するために存在する。 このアッセイは、dUMPの存在下で、5,10−CH −H ホレート対H ホレートの転換の割合に依存する。 結合についての第2のアッセイはまた、分光光度的であり、そしてピリドキサール−5'−ホスフェート(「PLP」)との競合に依存し、独特のスペクトルサインを有するTSと複合体を形成する。

    図示の目的のために選択されたTSは、E. coli TSである。 全てのTS酵素と同様に、E. coli TSは、結合するために使用され得る活性部位(Cys146)中の天然に存在するシステイン残基を含む。 E. coli TSは、4つの他のシステインを含むが、これらは、他のTS酵素の間で保存されておらず、そして隠されており、従って、アクセス可能でない。 しかし、これらのシステインの1つ以上がジスルフィドに関して反応性であった場合、次いで、これらの酵素の変異体バージョンが使用され得、この変異体バージョンでは、これらのシステインが、別のアミノ酸(例えば、アラニン)へと変異される。

    第1の実験において、野生型TSおよびC146S変異体(ここで、146位でのシステインが、セリンに変異されている)を、シスタミン(H NCH CH SSCH CH NH )と接触させた。 野生型TS酵素は、1当量のシスタミンときれいに反応したが、変異体TSは反応せず、このことは、シスタミンが、Cys−146と反応し、そしてCys−146について選択的であったことを示す。

    野生型TSを、リガンド候補の異なるプールを用いていくつかの結合実験に供した。 図2は、2つの代表的な結合実験を図示し、ここで、リガンド候補は以下の式

    である。

    これは、式RSSR のリガンド候補の属の特定の実施形態であり、ここで、RはR C(=O)NHCH CH −に対応し、そしてR は−CH CH NH に対応する。 これはまた、式RSSR のリガンド候補の属の特定の実施形態であり、ここで、RはR C(=O)NHCH CH −に対応し、そしてR は一緒になって−CH CH NH に対応する。 R は、非置換C 〜C 10アルキル、置換C 〜C 10アルキル、非置換アリールまたは置換アリールであり、そしてライブラリーメンバーのこのプールの間における可変部分である。

    図2Aは、TSに対する結合親和性をわずかに有するかまたは有さない10の異なるリガンド候補のプールとTSとの反応の逆重畳積分マススペクトルである。 いかなる結合相互作用も存在しない場合、TSと個々のリガンド候補との間のジスルフィド交換反応における平衡は、未改変の酵素に向かう。 これは、以下の式によって概略的に図示される。

    予測されるように、非改変酵素に対応するピークは、スペクトルにおける2つの最も顕著なピークのうちの一方である。 他方の顕著なピークは、Cys146のチオールがシステアミンで改変されたTSである。 この種は、いずれの個々のライブラリーメンバーについても有意な程度まで形成されないが、そのピークは、ライブラリープールの各メンバーについての平衡反応の累積効果に起因する。 その反応が、チオール含有還元剤(例えば、2−メルカプトエタノール)の存在下で行われる場合、活性部位のシステインはまた、その還元剤で改変され得る。 システアミンおよび2−メルカプトエタノールは、類似の分子量を有するので、それらそれぞれのジスルフィド結合したTS酵素は、この実験において使用される条件下では区別不能である。 その右側にある小さなピークは、別の(discreet)ライブラリーメンバーに対応する。 注目すべきことに、これらピークのいずれも、顕著でない。 図2Aは、リガンド候補のいずれも、標的に対する固有の結合親和性を有さないスペクトルに特徴的である。

    図2Bは、10の異なるリガンド候補物のプールとのTSの反応の逆重畳した質量スペクトルである。 ここでそのリガンド候補物のうちの1つは、酵素に対する固有の結合親和性を有する。 認められ得るように、最も顕著なピークは、Cys146のチオールが、N−トシル−D−プロリン化合物で改変されているTSに対応するピークである。 このピークは、非改変酵素およびTS(Cys146のチオールが、システアミンで改変されている)に対応するピークを含む他の全てのピークを小さく見せる。 図2Bは、結合が所望の部位に対する固有の強い結合親和性を有する部分を捕捉した、質量スペクトルの例である。

    結合が還元剤の存在下で起こる場合、このプロセスは、より熱力学的に駆動され、平衡制御される。 図3は、この現象の例示であり、漸増濃度の還元剤(2−メルカプトエタノール)の存在下で、選択された化合物N−トシル−D−プロリン化合物を含む同じライブラリープールとTSが反応される、3つの実験を示す。

    図3Aは、2−メルカプトエタノールなしで反応が行われる場合の逆重畳した質量スペクトルである。 最も顕著なピークは、システアミンで改変されたTSに対応する。 しかし、N−トシル−D−プロリンに対応するピークは、それにもかかわらず、他のリガンド候補物に対して適度に選択される。 図3Bは、その反応が、0.2mM 2−メルカプトエタノールの存在下にある場合の逆重畳した質量スペクトルである。 対照的に、図3Aのスペクトルに対して、N−トシル−D−プロリンに対応するピークは、最も顕著なピークであり、従って、他のリガンド候補物に対して強く選択される。 最後に、図3Cは、その反応が、20mM 2−メルカプトエタノールの存在下にある場合の逆重畳した質量スペクトルである。 驚くべきことではないが、このような強い還元条件下の最も顕著なピークは、非改変酵素である。 にもかかわらず、N−トシル−D−プロリンに対応するピークは、ライブラリープール中の他のリガンド候補物のピークに対してなお選択される。

    図3は、標的に対して固有の親和性を有する特定のリガンド候補物による標的タンパク質中のシステイン改変の程度が、一部、還元剤濃度の関数であるという事実を強調している。 一般に、標的タンパク質に対するリガンド候補物の結合親和性が高くなるほど、使用され得る還元剤の濃度は高くなり、さらにより強く選択される。 結果として、結合スクリーニングにおいて使用される還元剤の濃度は、結合親和性の代理として、およびリガンド候補物が強く選択されなければならない結合親和性の下限を設定するために使用され得る。

    ある局面において、この方法は、以下の工程を包含する:
    a)ジスルフィド結合を形成し得る標的タンパク質と、やはりジスルフィド結合を形成し得るリガンド候補物とを接触させる工程;
    b)この標的タンパク質とリガンド候補物との間でジスルフィド結合を形成して、それにより、標的タンパク質−リガンド結合体を形成する工程;
    c)この標的タンパク質−リガンド結合体と、還元剤とを接触させる工程;および d)この標的タンパク質−リガンド結合体の量を所望の量に減少させるために還元剤の濃度を決定する工程。

    次いで、標的タンパク質−リガンド結合体の量を低下させるために必要な還元剤の濃度が、標的タンパク質のリガンド候補物に対する結合親和性についての代理として使用される。

    あるいは、この方法は、結合実験を較正するために使用され得る。 このような較正の例示は、以下の通りである。 第1の結合実験を、複数のリガンド候補物に対して行い、ここで、より強く選択されたリガンド候補物を同定する。 あるいは、特定の親和性を有する既知の基質を、例えば、ジスルフィドの付加によって改変する。 次いで、この同定されたリガンド候補物(または較正化合物)を使用して、特定の最小結合親和性を有するリガンド候補物のみを選択するために必要な実験条件を較正する。 1つの実施形態において、この較正は、還元剤の濃度であり、較正化合物は、一連の結合試験において使用され、ここで還元剤の一定の濃度範囲が使用される。 例は、以下の通りであり、この方法は、以下の工程を包含する:
    a)ジスルフィド結合を形成し得る標的タンパク質と、やはりジスルフィド結合を形成し得る較正化合物とを接触させる工程;
    b)この標的タンパク質と較正化合物との間でジスルフィド結合を形成して、それにより、標的タンパク質−較正化合物結合体を形成する工程;
    c)この標的タンパク質−較正化合物結合体と、還元剤とを接触させる工程;および d)この標的タンパク質−リガンド結合体の量を所望の量に減少させるために必要な還元剤の濃度を決定する工程。

    一般に、より低濃度の還元剤は、より高い割合の標的が、較正化合物で改変されるという結果を生じ、逆もまた同様である。 1つの実施形態において、その所望の量は50%である。 言い換えると、標的タンパク質の約50%が、非改変形態であり、残りの約50%が標的タンパク質−較正化合物結合体として存在する。 従って、所望の量(この場合は、約50%)と関連する還元剤の濃度は、リガンド候補物が、選択される結合親和性のいくらか低いレベルを有することが必要な、引き続く結合実験において使用される。 結合親和性の所望のより低いレベルに依存して使用され得る他の所望の量の例示としては、約20%、25%、30%、40%、60%、75%などが挙げられる。

    以前に述べたように、結合法は、単一のリガンド候補物または複数のリガンド候補物とともに使用され得る。 好ましい実施形態において、この結合法は、複数のリガンド候補物(例えば、5、20、100、500、1000、および>1000ですら)をスクリーニングして、スループットおよび効率を最大にするために使用される。 図4は、ライブラリープール中のリガンド候補物の数を変化させた実験結果を示す。 この実験は、N−トシル−D−プロリンが、そのプールが100のリガンド候補物を含む場合ですら強く選択されることを示すが、より大きな数のリガンド候補物(例えば、約>500、>750、>1000)を含むライブラリーが、現在慣用的に使用される。

    構造−活性関係(「SAR」)は、SARが、伝統的なアッセイを用いて展開されたのと、まさしく同じ方法にて結合実験からの情報を使用して展開され得る。 例えば、以下の模式図の左側にあるR を有するリガンド候補物は、E. coli TSに対して強く選択されたが、右側にあるR を有するリガンド候補物は、選択されなかった。

    約1200の化合物のスクリーニングからのデータに基づいて、フェニル−スルホンアミドコアおよびプロリン環が、必須であることが決定された。 例えば、TSが、フェニル環(このフェニル環は、置換されていなくても、メチル、t−ブチル、およびハロゲンを含む一定の群の範囲で置換されてもよい)の周りの可撓性にかなり適応するようであるが、その存在は、選択に必要である。 フェニルアラニン、フェニルグリシンまたはピロールで置換された化合物が選択されなかったので、同様に、プロリン環は、必須であるようである。

    上記に加えて、さらなる実験を、結合から選択された化合物が、標的に対する結合親和性を有する化合物に対応することを確証するために行った。 1つの例示において、結合実験を、既知の基質の存在下で行う。 選択されたリガンド候補物が、標的に対して固有の結合親和性を有する場合、基質による置換に抵抗性である。 対照的に、固有の結合親和性またはシステアミンを欠くリガンド候補物は、基質によって容易に置換される。 別の例示は、結合なしのアナログに対する伝統的酵素アッセイである。 例えば、リガンドフラグメントのR 部分が以下:

    の親和性を、ミカエリス−メンテン(Michaelis−Mention)動力学を使用して決定した。 遊離酸1のK

    は、1.1±0.25mMであった。 注意すべきは、遊離酸が、天然基質dUMPと競合したことである。 従って、N−トシル−D−プロリン1は、TSの弱いが、競合的インヒビターである。

    別の実施形態において、活性部位中に天然に存在するシステイン残基を、セリンに変異させ(C146S)、別のシステインを導入した(L143CまたはH147C)。 C146S/L143C変異体を使用した結合は、野生型酵素と類似の結果を生じた。 注意すべきは、N−トシル−D−プロリンアナログが、強く選択されたことである。 対照的に、C146S/H147Cは、N−トシル−D−プロリンアナログを選択しなかったが、いくつかの他の分子を選択した。 これらの結果は、反応性のシステインを取り囲む局所的な結合環境における差異およびジスルフィドリンカーの幾何的制約を反映すると考えられる。

    X線結晶学を使用して、ネイティブ酵素およびいくつかの複合体の三次元構造を解明して、結合から得られた情報が、標的に対する豊富な結合と相関され得ることを確認した。 表1は、結晶学的データおよび細分(refinement)パラメーターを詳細に示す。 1つの複合体は、TSに結合したN−トシル−D−プロリンの遊離酸の複合体である(表1の4番目の記載)。 別の複合体は、活性部位のシステイン(Cys−146)に結合したN−トシル−D−プロリン誘導体の複合体である(表1の2番目の記載)。 なお別の複合体は、C146S/L143C変異体に結合したN−トシル−D−プロリン誘導体の複合体である(表1の3番目の記載)。

    これは、出発モデルが完全に改良された(refined)構造であったので、「真の」遊離R因子ではない。 しかし、反射の遊離R因子のセットを、上記細分の各々について一定に維持した。


    *12

    3結晶は、1非対称単位につき1つのモノマーを含む。 P6

    形態は、生物学的に関連したホモダイマーを含む。


    括弧中の値は、最高の分解能ビン(resolution bin)である。


    sym (l)=Σ

    hki |l

    hki (l

    hki )|/Σ

    hki

    hki (ここでl

    hkiは、反射

    hkiの強度である)


    §

    cryst =Σ

    hki ||F

    obs |−|F

    calc ||/|F

    obs |(ここでF

    obsおよびF

    calcは、それぞれ、細分に使用されるデータについての観察および計算された構造因子である)


    tree =は、Σ

    hki ||F

    obs |−|F

    calc ||/|F

    obs |(ここでF

    obsおよびF

    calcは、それぞれ、細分から省略されたデータの10%についての観察および計算された構造因子である)


    重大なことには、N−トシル−D−プロリン部分の位置は、3つの場合全てにおいて非常に類似している(タンパク質中の全てのCα炭素について0.11〜0.56Åと比較して、0.55〜1.88ÅのRMSD)。 N−トシル−D−プロリン置換基が、きっちりと重複している一方で、アルキル−ジスルフィド結合が異なるシステイン残基に由来するこの部分に集中するという事実は、N−トシル−D−プロリン部分(結合ではなく)が、結合決定因子であるという概念を支持する。

    見られ得るように、結合は、標的中の目的の部位に結合するリガンドを同定し得る強力な方法である。 結合は、単独または他の医薬品化学法と組み合わせて使用され、薬物候補を同定および最適化し得る。

    本発明の1局面において、結合は、結合決定因子(例えば、R )を同定するために使用され、次いで、伝統的な医薬品化学が、その同定された結合決定因子またはそのバリエーションを含むより高い親和性化合物を作製するために使用される。 1つの実施形態において、結合は、結合決定因子を同定すること、および化合物がより高い親和性で標的に結合するか否かを評価することの両方のために使用され得る。 例えば、結合は、機能的アッセイが利用可能でないか、または人工物の影響を受けやすいかのいずれかである伝統的な結合実験の代わりである。 このアプローチは、図5に模式的に例示される。 見られ得るように、結合は、結合決定因子R を同定するために使用される。 一旦このような結合因子が同定されると、伝統的医薬品化学アプローチが使用されて、改変ライブラリー中のR の改変体が合成される。 リガンド候補物の改変ライブラリーは、R の改変体(例えば、そのアイソスター(isostere)およびホモログ)を含む。 改変ライブラリーはまた、R またはその改変体、ならびに隣接する結合領域を利用し得る他の結合決定因子を含む「拡大された」化合物を含み得る。 図5は、改変ライブラリーからの選択された化合物を例示し、ここで本来の結合決定因子R は、R D'に改変され、選択された化合物は、第2の結合決定因子R を含む。 実施例6は、低μM化合物である化合物1の最適化から同定されたTSの低μM親和性化合物(2および3)の最適化の試みに関するこの方法をさらに例示する。

    本発明の別の局面において、実質的にともに結合された2つの結合決定因子を同定するための方法が提供される。 一般に、この方法は、以下の工程を包含する:
    a)標的タンパク質に結合する第1の化合物を同定する工程;
    b)この標的タンパク質に結合する第2の化合物を同定する工程;ならびに c)第1の化合物および第2の化合物を、リンカーエレメントを介して結合して、標的タンパク質に結合する結合体分子を形成する工程。 好ましい実施形態において、この結合体分子は、第1の化合物または第2の化合物いずれか単独よりも高い結合親和性で標的タンパク質に結合する。

    1つの実施形態において、第1の化合物は、式R SSR の化合物であり、第2の化合物は、式R SSR の化合物(ここでRおよびR は、先に記載された通りであり、R およびR は、それぞれ独立して、C 〜C 20非置換脂肪族、C 〜C 20置換脂肪族、非置換アリール、または置換アリールである)であり、第1および第2の化合物は、ジスルフィド結合を介して標的タンパク質に結合する。 図6は、この方法の模式的例示であり、ここで2つの別個の結合実験を使用して、結合決定因子R およびR を同定する。 これらの結合決定因子は、その後、一緒に結合されて、標的タンパク質に結合する結合体分子を形成する。

    別の実施形態において、結合決定因子R およびR を同定するためのこの結合実験は、同時に起こる。 このようにして、この2つの同定された結合決定因子は、重複しない部位において標的タンパク質に結合することが確認される。 従って、この方法は、以下の工程を包含する:
    a)標的タンパク質に結合する第1の化合物を同定する工程;
    b)この標的タンパク質に結合した第1の化合物の存在下で、この標的タンパク質に結合する第2の化合物を同定する工程;ならびに c)この第1の化合物および第2の化合物を、リンカーエレメントを介して結合して、この標的タンパク質に結合する結合体分子を形成する工程。 図7は、この方法の模式的例示である。 第1の結合実験において、その結合決定因子R が同定される。 一旦R が同定されると、第2の反応性システインが導入されるかまたはマスクが外されるかのいずれかであり、結合決定因子R を同定するための結合実験は、結合決定因子R の存在下で起こる。 これら2つの結合決定因子R およびR は、その後結合されて、その標的タンパク質に結合する結合体分子を形成する。

    別の実施形態において、第1の化合物は、結合を使用して同定され、第2の化合物は、非結合方法を通じて同定される。 1つの実施形態において、この非結合方法は、合理的薬物設計および伝統的な医薬品化学を包含する。 TSに結合したN−トシル−D−プロリンの結晶構造により、そのトシル基が、メチレンテトラヒドロ葉酸(TS酵素の天然の補因子)のベンズアミド部分とほぼ同じ位置および配向にあることが明らかになった。 結論として、メチレンテトラヒドロ葉酸のグルタミン酸部分は、化合物1にグラフト化された。 表2は、選択された数のこれらの化合物を示す。

    L−エナンチオマー(化合物4)を超えるプロリンのD−エナンチオマー(化合物5)についての顕著な選択性が存在し、グルタミン酸残基のα−カルボキシレートは、重要である。 なぜなら、αカルボキシレートを除去すること(化合物12)またはこれを一級アミドに変化させること(化合物10)は、結合親和性の有意な損失と相関するからである。

    本発明の別の局面において、結合方法に対するバリエーションが、化合物を作製し、最適化することにおいて使用するために提供される。 一般に、この方法は、以下の工程を包含する:
    a)共有結合を形成し得る固定基(anchoring group)を有する標的を提供するか、または目的の部位もしくはその部位の近くにある金属を配位結合する工程;
    b)この標的と、エクステンダーとを接触させ、それにより標的−エクステンダー錯体を形成する工程であって、ここでこのエクステンダーは、共有結合を形成するかまたは金属を配位結合させるかのいずれかである第1の官能基、および共有結合を形成し得る第2の官能基を含む、工程;
    c)この標的−エクステンダー錯体と、第2の官能基と共有結合を形成し得る基を含む候補配位子とを接触させる工程;
    d)この標的−エクステンダー錯体とこの候補配位子との間で共有結合を形成しする工程;ならびに e)この標的−エクステンダー−配位子結合体中に存在する候補配位子を同定する工程。

    1つの実施形態において、この標的中の固定基は、反応性求核基または求電子基であり、エクステンダーの第1の官能基と不可逆的な共有結合を形成する。 別の実施形態において、標的中の固定基は、反応性求核基または求電子基基であり、エクステンダーの第1の官能基と不可逆的な共有結合を形成する。 別の実施形態において、標的中の固定基は、金属配位部位であり、固定基は、第1の官能基と一緒になって、金属配位部位を形成する。 このような部位に結合し得る適切な金属の例としては、Cd、Hg、As、Zn、Fe、Cu、Ni、CoおよびCaが挙げられる。 別の実施形態において、第2の官能基は、反応性求核基または反応性求電子基である。

    好ましい実施形態において、そのエクステンダーは、上記の第1および第2の官能基を含み、そして標的に対する固有の結合親和性を有する結合決定因子を含む。 結合決定因子が、既に、第1および第2の官能基を含まない場合、これらを含むように改変され得る。 1つの方法において、結合は、結合決定因子R を同定するために使用され、次いで、このR は、第1および第2の官能基を含むように改変される。 別の方法において、この結合決定因子は、標的の既知の基質またはそのフラグメントから得られる。

    別の実施形態において、標的中の固定基は、反応性求核基であり、エクステンダーは、求核基と共有結合を形成し得る第1の官能基およびジスルフィド結合を形成し得る第2の官能基を含む。 この方法は、以下の工程を包含する:
    a)目的の部位にまたはその近くに反応性求核基を有する標的を提供する工程;および b)この標的と、エクステンダーとを接触させる工程であって、それによって、標的−エクステンダー錯体を形成する工程であって、ここでこのエクステンダーは、標的中の求核基と反応して共有結合を形成する第1の官能基およびジスルフィド結合を形成し得る第2の官能基を含む、工程;
    c)この標的−エクステンダー錯体を、ジスルフィド結合を形成し得る配位子候補物と接触させる工程;
    d)この標的−エクステンダー錯体とこの配位子候補物との間でジスルフィド結合を形成し、それによって、標的−エクステンダー−配位子結合体を形成する工程;ならびに e)この標的−エクステンダー−配位子結合体中に存在する配位子候補物を同定する工程。 必要に応じて、この標的を、還元剤の存在下で配位子候補物と接触させる。

    適切な還元剤の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:システイン、システアミン、ジチオスレイトール、ジチオエリスリトール、グルタチオン、2−メルカプトエタノール、3−メルカプトプロピオン酸、ホスフィン(例えば、トリス−(2−カルボキシエチル−ホスフィン)(「TCEP」)、または水素化ホウ素ナトリウム。1つの実施形態において、この還元剤は、2−メルカプトエタノールである。別の実施形態において、この還元剤は、システアミンである。別の実施形態において、この還元剤は、グルタチオンである。別の実施形態において、この還元剤は、システインである。

    1つの実施形態において、この標的は、反応性求核基としての−OHを含み、そのエクステンダーは、その標的上の反応性求核基と共有結合を形成し得る第1の官能基およびジスルフィド結合を形成し得る第2の官能基を含む。 別の実施形態において、この標的上の反応性求核基は、天然に存在するタンパク質配列の一部であるセリン、スレオニン、またはチロシンに由来する−OHである。 別の実施形態において、この標的上の反応性求核基は、操作された−OH基である。 ここで、天然に存在するアミノ酸を、セリン、スレオニン、またはチロシンに変異させるために変異誘発を使用する。 別の実施形態において、エクステンダーの第1の官能基は、ボロン酸であり、その第2の官能基は、−SHまたはマスクされた−SHである。 マスクされた−SHの例は、式−SSR (ここでR は、上記の通りである)のジスルフィドである。

    別の実施形態において、この標的は、反応性求核基としての−SHを含み、エクステンダーは、この標的上の反応性求核基と共有結合を形成し得る第1の官能基およびジスルフィド結合を形成し得る第2の官能基を含む。 1つの実施形態において、この標的上の反応性求核基は、天然に存在するタンパク質配列の一部であるシステインに由来する、天然に存在する−SHである。 別の実施形態において、この標的上の反応性求核基は、操作された−SH基である。 ここで、天然に存在するアミノ酸をシステインに変異させるために、変異誘発を使用した。

    別の実施形態において、この標的タンパク質は、反応性求核基として、ジスルフィドの形態でマスクされた−SHを有する。 別の実施形態において、この標的タンパク質は、システインを含み、ここでそのチオールは、ジスルフィドとしてマスクされている。 別の実施形態において、この標的タンパク質は、システインを含み、ここで、そのチオールは、別のシステインとのジスルフィド結合としてマスクされる。 別の実施形態において、この標的タンパク質は、システインを含み、ここでそのチオールは、グルタチオンとのジスルフィド結合としてマスクされている。 別の実施形態において、この標的タンパク質は、システインを含み、ここでそのチオールは、式−SSR (ここでR は、上記の通りである)のジスルフィドとしてマスクされている。

    1つの実施形態において、エクステンダーの第1および第2の官能基は、各々独立して、−SHまたはマスクされた−SHである。 マスクされたチオールの例は、式−SSR (ここでR は、上記の通りである)のジスルフィドである。 この実施形態において、標的とエクステンダーとの間で形成される共有結合は、ジスルフィド結合であり、従って、可逆性の共有結合である。 この方法の1つのバリエーションにおいて、この標的を、エクステンダーと接触させ、その後に、標的−エクステンダー複合体を、1つ以上の配位子候補物と接触させる。 別のバリエーションにおいて、この標的を、エクステンダーおよび1つ以上の配位子候補物を含むプールと接触させる。

    別の実施形態において、第1の官能基は、標的を変性させない条件下で、標的の反応性求核基と不可逆性の共有結合を形成し得る基であり、第2の官能基は、−SHまたはマスクされた−SHである。 第1の実施形態において、第1の官能基は、SN2様付加を受け得る基である。 このようなエクステンダーの例としては、(i)例えば、以下のようなα−ハロ酸:

    (ii)例えば、以下のようなフルオロホスホネート:

    (iii)例えば、以下のようなエポキシド:

    (iv)例えば、以下のようなアジリジン:

    (v)例えば、以下のようなチイラン:

    (vi)例えば、以下のようなハロメチルケトン/アミド:

    ここでRは、非置換C

    〜C

    20脂肪族、置換C

    〜C

    20脂肪族、非置換アリール、および置換アリールであり;R

    'は、H、−SR

    であり、ここでR

    は、上記に規定されたとおりであり;そしてXは、脱離基である。 例としては、ハロゲン、N

    、OR、−P(=O)Ar2、−NO(C=O)R、−(C=O)R、−SRおよびビニルスルホンが挙げられる。 以下に例示されるこれらおよび他の構造において、ボックスは、低分子エクステンダー(SME)内の結合決定因子を示し、すなわち、標的に対する結合親和性を有するSMEの一部を示す。

    別の実施形態において、第1の官能基は、SNアリール様付加を受け得る基である。 適切な基の例としては、7−ハロ−2,1,3−ベンゾキサジアゾール(benzoxadiazaole)、および例えば、以下のようなオルト/パラニトロ置換ハロベンゼン:

    (ここでR

    'およびXは、上記で規定されるとおりである)が挙げられる。

    別の実施形態において、第1の官能基は、Michael型の付加を受け得る基である。 適切な基の例としては、電子除去系(electron withdrawing system)(例えば、カルボニル、イミン、キニン、CN、NO 、および−S(=O)−)に隣接した二重結合または三重結合を含む任意の部分が挙げられる。 このようなエクステンダーの例としては、以下が挙げられる:

    ここでR

    'は、上記で規定されたとおりである。

    エクステンダーは、しばしば、特定の標的または標的のファミリーに合わせて作られる。 キナーゼ特異的エクステンダーの例としては、以下が挙げられる:

    ここでR

    、R

    、R

    、R

    、R

    、およびR

    は、各々独立して、水素、C

    〜C

    アルキル、C

    〜C

    アルキルアミン、およびアリール(ただし、エクステンダー上の少なくとも1つのR基は、Michaelアクセプターであり、別のR基は、−(CH

    −SR';−C(=O)−(CH

    −SR';−O−(CH

    −SR';−(CH

    −SR'から選択される);およびチオール保護基からなる群より選択され、ここでR'は、上記で記載されたとおりである。 適切なMichaelアクセプターの例としては、以下が挙げられる:

    プロテアーゼ特異的エクステンダーの例としては、以下が挙げられる:

    これらのエクステンダー中の第1の官能基は、金属配位部位であり、第2の官能基は、−SSCH

    CH

    NH

    の形態でマスクされたチオールであるが、−SSR

    の形態であり得、ここでR

    は、上記で記載されたとおりである。 これらのエクステンダーは、亜鉛の存在下でのみセリンプロテアーゼに結合する(Katzら,Nature 391:608−12(1998);KatzおよびLuong,J.Mol.Biol.292:669−84(1999);Jancら,Biochemistry 39:4792−800(2000)を参照のこと)。 第2の官能基を欠くこの化合物のバージョンは、以下に示されるように、活性部位のヒスチジンおよびセリンを通じて、セリンプロテアーゼの活性部位に結合する。

    図8は、エクステンダーを使用する結合方法の1つの実施形態を示す。 示されるように、反応性求核基−SHを含む標的は、この反応性求核基と共有結合を形成し得る第1の官能基Xおよびジスルフィド結合を形成し得る第2の官能基−SR

    1' (ここでR

    1'は、上記で規定されるR

    と同じである)を含むエクステンダーと接触される。 結合−エクステンダー錯体が形成され、次いで、これは、複数の配位子候補物と接触される。 このエクステンダーは、1つの結合決定因子(丸)を提供し、配位子候補物は、第2の結合決定因子(四角)を提供し、得られた結合決定因子は、一緒に結合して、結合体化合物を形成する。

    標的上の反応性基とリガンドとの間、標的と伸長因子との間、標的−伸長因子複合体とリガンドとの間、または2つのリガンド間に、可逆的または非可逆的な共有結合を形成するための合成方法は、当該分野において周知であり、そして基本的な教科書(例えば、March,Advanced Organic Chemistry,John Wiley & Sons,New York,第4版,1992)に記載されている。 アルデヒドとケトンとアミンとの間の還元的アミノ化は、例えば、Marchら(前出),898−900頁に;アミンを調製するための代替の方法は、1276頁に;ヒドラゾンおよびヒドラゾン誘導体(例えば、セミカルバゾン)を得るための、アルデヒドとケトンとヒドラジン誘導体との間の反応は、904−906頁に;アミド結合の形成は、1275頁に;尿素の形成は、1299頁に;チオカルバメートの形成は、892頁に;カルバメートの形成は、1280頁に;スルホンアミドの形成は、1296頁に;チオエーテルの形成は、1297頁に;ジスルフィドの形成は、1284頁に;エーテルの形成は、1285頁に;エステルの形成は、1281頁に;エポキシドの付加は、368頁に;アジリジンの付加は、368頁に;アセタールおよびケタールの形成は、1269頁に;カーボネートの形成は、392頁に;デナミン(denamine)の形成は、1264頁に;アルケンの複分解は、1146−1148頁に(Grubbsら,Acc.Chem.Res.28:446−453[1995]もまた参照のこと);アルカンおよびアセチレンとの、アリールハライドおよびスルホネートの、遷移金属で触媒されるカップリング(例えば、Heck反応)は、717−178頁に;アリールハライドおよびスルホネートの、有機金属試薬(例えば、有機ホウ素試薬)との反応は、662頁に(Miyauraら,Chem.Rev.95:2457[1995]もまた参照のこと);有機スズ試薬および有機亜鉛試薬、オキサゾリジンの形成(Edeら,Tetrahedron Letts.28:7119−7122[1997]);チアゾリジンの形成(Patekら,Tetrahedron Letts.36:2227−2230[1995[);イミドエステルを介するアミンのカップリングによる、アミジン基を介して結合したアミン(Daviesら,Canadian J.Biochem.c50:416−422[1972])などが記載されている。

    伸長因子を使用する結合方法をさらに説明するために、この方法を、抗アポトーシス標的カスパーゼ−3(システインアスパルチルプロテアーゼファミリーのメンバー)に適用した。 現在、カスパーゼファミリーの約1ダースのメンバーが公知であり、これらの多くが、アポトーシスカスケードの阻害または伝播に関与する。 カスパーゼは、過剰または異常なレベルのプログラムされた細胞死を含む、種々の治療適応症(例えば、発作、外傷性脳傷害、脊椎損傷、アルツハイマー病、ハンティングトン病、パーキンソン病、心臓血管病、肝不全、および敗血症)に対する潜在的な薬物標的である。 さらに、カスパーゼ−3は、天然に存在するシステイン残基を、活性部位において含み、そして機能的にと結晶学的にとの両方で、十分に特徴付けられている。

    カスパーゼ−3活性部位において使用するために適切な伸長因子を、小さいアスパルチルベースのアリールアシルオキシメチルケトンが、活性部位のシステインと不可逆的に反応することが公知であるという事実を使用して設計した。 実施例7〜10および14は、5つの代表的な伸長因子の合成を記載する。 これらの伸長因子はまた、他のカスパーゼ標的(例えば、カスパーゼ−1およびカスパーゼ−7)との結合実験において使用され得る。 より詳細に記載される2つの伸長因子は、化合物13および14である。

    見られ得るように、化合物13および14は、アスパラギン酸部分を、結合決定基として含む。 特に、このアスパラギン酸部分のカルボニルはまた、活性部位のシステインのチオールと共有結合を形成する、第一の官能基(アリールアシルオキシメチルケトン部分)の一部でもある。 伸長因子13および14はまた、第二の官能基(チオエステルの形態でマスクされた−SHであって、これは、適切な時点で脱マスクされ得る)を含む。 例えば、このチオエステルは、ヒドロキシルアミンで標的−伸長因子複合体を処理することによって、遊離チオールに転換され得る。

    両方の伸長因子は、活性部位のシステインにおいて、カスパーゼ−3を選択的に修飾することを示し、そしてヒドロキシルアミンで処理すると、以下の標的−伸長因子複合体を生成した:

    実施例11は、カスパーゼ−3を伸長因子13で修飾して、標的−伸長因子複合体13'を生成することに関する手順を、より詳細に記載する。

    標的−伸長因子複合体13'および14'を、それぞれ、約10,000のリガンド候補物のライブラリーに対する結合方法において使用した。 標的−伸長因子複合体13'を使用する、選択されたリガンド候補物の代表的な例は、以下である:

    標的−伸長因子複合体14'を使用する、選択されたリガンド候補物の代表的な例は、以下である:

    特に、リガンド候補物15は、標的−伸長因子複合体14'によって選択されず、そしてリガンド候補物16は、標的−伸長因子複合体13'によって選択されなかった。 選択された化合物の間での構造−活性関係もまた、明らかであった。 例えば、リガンド候補物17:

    (これは、ヒドロキシル基を欠くことを除いてリガンド候補物15と同一である)は、標的−伸長因子複合体13'または14'のいずれによっても、選択されなかった。

    伸長因子および選択されたリガンド候補物が、どのように標的に結合するかを評価するために、標的−伸長因子リガンド複合体の2つの構造を決定した。 一般的な結晶学的手順を、実施例12にさらに記載する。 第一の構造は、標的−伸長因子複合体13'がリガンド候補物15と接触された場合に形成される結合体であった。 第二の構造は、標的−伸長因子複合体14'がリガンド候補物16と接触された場合に形成される結合体であった。 表3は、これらの構造についての選択された結晶学的データをまとめる。

    特に、両方の伸長因子のアスパラギン酸部分は、公知のテトラペプチド基質におけるアスパルチル残基と、重なり得た。 リガンド候補物15の結合決定基に関して、サリチル酸スルホンアミドは、4つの水素結合を含むタンパク質と、多数の接点を作製する。 このサリチル酸部分は、カスパーゼ−3のアスパラギン酸を優先的に認識する酵素のP4ポケットを占有する。 リガンド候補物16の結合決定基に関して、このスルホンは、サリチル酸と同じ接点のいくつかを作製する。

    伸長因子およびリガンド候補物からの結合決定基がカスパーゼ−3の活性部位との生成的な接点を作製することを考慮して、ジスルフィドがより安定な結合で置き換えられた化合物を設計した。 さらに、結合決定基のSARをプローブするための誘導体を作製した。 伸長因子13およびリガンド候補物15を含む結合体に関して、標的−伸長因子リガンド結合体は、以下を含む:

    この結合体から、以下の部分を含む、強力なカスパーゼ−3インヒビターのクラスが作製された。

    最適化とSARとの両方のために、結合体に基づいて作製された化合物の4つの代表的な例を、表4に記載する。

    見られ得るように、2つの硫黄原子を2つのメチレン単位で置き換え、そしてアリールアシルオキシメチルケトン(第一の官能基)を単純なアルデヒドで置き換えた、保存的アプローチを行い、化合物18(2.8μMのK

    を有する、カスパーゼ−3の強力なインヒビター)を得た。 ヒドロキシル基を除去して化合物19を得ることにより、親和性が5分の1に減少し、このことは、結合スクリーンにおいて観察されたSARを確認した。 ヒドロキシル基と酸部分との両方を除去して、化合物20を得ることにより、結合親和性の全体を消滅させた。 モデル化研究は、メチレンリンカーを剛性のアミノベンジル部分で置き換えることによって、アスパルチル基とサリチル酸との間の距離が効果的に架橋され、一方でリンカーのエントロピーコストが低下されることが示唆される。 実際に、見られ得るように、化合物21は、化合物18より10倍より大きいK

    を有する。

    同様に、新規なクラスのカスパーゼ−3インヒビターは、伸長因子14およびリガンド候補物16を含む、標的−伸長因子リガンド結合体から生じた。

    1つの実施形態において、この化合物は、以下の部分を含む:

    別の実施形態において、この化合物は、以下の構造の化合物である:

    ここで、Xは、CH

    、S、SO、SO

    、であり、そしてR

    は、非置換アリールまたは置換アリールである。 別の実施形態において、R

    は、非置換ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールである。 このクラスの化合物の代表的な例は、0.33μMのK

    を有する化合物22である。

    実施例13および15〜21は、伸長因子13および14を使用する結合の使用に基づいて合成された、カスパーゼ−3インヒビターのより抜きのもののさらなる詳細を記載する。

    本発明のサリチル酸スルホンアミド含有化合物は、さらに価値がある。 適切なP4結合フラグメントとしてのサリチル酸スルホンアミドの同定は、従来の医科学を使用しては見受けられない。 化合物21を例として使用して、化合物21のサリチル酸スルホンアミドのないバージョンは、約28μMのK で、カスパーゼ−3を阻害する。 このフラグメントにサリチル酸スルホンアミドを付加することにより、結合が約200倍改善され、そして約0.16μMのK を有する化合物21を生じる。 対照的に、カスパーゼ−3のP1−P3部位に結合する、公知のトリペプチド(例えば、化合物I)を出発点として使用する場合、結合親和性は低下する。

    見られ得るように、化合物Iは、0.051μMのK

    を有し、そしてサリチル酸スルホンアミド部分をこの化合物に付加することによって、結合親和性の約300倍の低下を示す化合物IIを生じる。 この劇的な低下に起因して、トリペプチドとのP4の結合を調査することは、適切なP4結合フラグメントとしてサリチル酸スルホンアミドの同定を生じなかった。 しかし、P4への結合に利用可能なこのフラグメントを有する化合物は、強力なインヒビターである。 その結果、この例は、従来の方法を使用しては見出されないかもしれない重要なフラグメントを同定するための、結合の力を強調する。 カスパーゼ−3の場合において見られるように、これらのフラグメントは、一緒に結合されて、目的の標的の強力なアンタゴニストまたはアゴニストを形成し得る。

    本発明は、以下の非限定的な実施再によって、さらに説明される。

    (実施例1)
    未改変すなわち「野生型」のE. coli TS酵素のいくつかの変異体を作製し、(TS遺伝子が排除された)E. coli株χ2913において過剰発現させ、そして精製した。 このχ2913株は、チミジン補充を必要とする。 なぜなら、(欠失した)TS遺伝子は、生存のために必須であるからである。 第一の変異体は、活性部位のシステインがセリンで置き換えられたものである(C146Sと略記される)。 第二の変異体および第三の変異体は、C146S変異に加えて、活性部位に導入された非ネイティブなシステインを含む。 第二の変異体は、残基143において、ロイシンの代わりにシステインを含み、そしてC146S/L143Cと示される。 第三の変異体は、残基147において、ヒスチジンの代わりにシステインを含み、そしてC146S/H147Cと示される。 他の変異体としては、D169C、W83C、およびI79Cが挙げられ、これらでは、活性部位のシステイン(C146)を維持した。

    (実施例2)
    ジスルフィド含有ライブラリーメンバーを、市販のカルボン酸およびモノ−N−(tert−ブトキシカルボニル)−保護シスタミン(モノ−BOC−シスタミン)から、Parlowおよび共同研究者(Mol.Diversity 1:266−269(1995))の方法を適用することによって作製した。 簡単には、260μmolの各カルボン酸を、ポリスチレン樹脂上の130μmo1当量の4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゾフェノン上に、N,N−ジメチルホルムアミド(「DMF」)中の1,3−ジイソプロピルカルボジイミド(「DIC」)を使用して固定した。 室温で4時間後、この樹脂をDMF(2×)、ジクロロメタン(DCM、3×)、およびテトラヒドロフラン(「THF」、1×)でリンスして、未結合の酸およびDICを除去した。 THF中66μmolのモノ−BOC保護シスタミンでのアミド形成を介して、この酸を樹脂から切断した。 周囲温度で12時間の反応後、溶媒をエバポレートし、そしてBOC基を、DCM中80%のトリフルオロ酢酸(「TFA」)を使用して、各ジスルフィドの結合していない半分から除去した。 この生成物を、HPLC−MSによって特徴付け、そして実質的に純粋な生成物を、さらなる精製なしで使用した。 合計530の化合物を、この方法論を使用して作製した。

    ライブラリーをまた、モノ−BOC−保護シスタミンおよび種々のスルホニルクロリド、イソシアネート、およびイソチオシアネートから構築した。 スルホニルクロリドの場合、10μmolの各スルホニルクロリドを、THF(2%のジイソプロピルエチルアミンを含む)中10.5μmolのモノ−BOC保護シスタミンと、15ミリグラムのポリ(4−ビニルピリジン)の存在下でカップリングさせた。 48時間後、このポリ(4−ビニルピリジン)を、濾過によって除去し、そしてその溶媒をエバポレートした。 BOC基を、DCM中50%のTFAを使用して除去した。 イソ(チオ)シアネートの場合、10μmolの各イソシアネートまたはイソチオシアネートを、THF中10.5μmolのモノ−BOC−保護シスタミンとカップリングさせた。 周囲温度で12時間の反応の後、溶媒をエバポレートし、そしてBOC基を、DCM中50%のTFAを使用して除去した。 合計212の化合物を、この方法論を使用して作製した。

    最後に、オキシムベースのライブラリーを、10μmolの特定のアルデヒドまたはケトンを、1:1のメタノール:クロロホルム(2%の酢酸が添加された)中10.5μmolのHO(CH SS(CH ONH と、周囲温度で12時間反応させることによって構築し、オキシム生成物を得た。 合計448の化合物を、この方法論を使用して作製した。

    個々のライブラリーメンバーを、アセトニトリルまたはジメチルスルホキシドのいずれかに溶解して、50mMまたは100mMの最終濃度にした。 次いで、これらの各々のアリコートを8〜15の別個の化合物の群にプールし、このプールの各メンバーは、独特の分子量を有する。

    (実施例3)
    N−トシル−プロリン誘導体を、以下のように合成した。 プロリンメチルエステル塩酸塩を、4−(クロロスルホニル)安息香酸および炭酸ナトリウムと、水中で反応させた。 この生成物を、トリフルオロ酢酸ペンタフルオロフェニルおよびピリジンと、N,N−ジメチルホルムアミド中で反応させることによって、ペンタフルオロフェニルエステルに転換し、そしてフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。 次いで、この活性化エステルを、グルタメート(または試験される任意の他のアミノ酸)のメチルエステルで、トリエチルアミンおよびジクロロメタンの存在下で反応させ、この生成物を、フラッシュクロマトグラフィーによって精製し、そしてこのメチルエステルを水中で水酸化リチウムで加水分解した。 その最終生成物を逆相HPLCで精製し、そして凍結乾燥した。

    あるいは、上記手順を、プロリンt−ブチルエステルで開始して行った。 安息香酸へのアミノエステルのカップリング後、このt−ブチルエステルを、DCM中50%のTFAを用いて、スカベンジャーとしてトリエチルシランを用いて除去した。 次いで、この遊離酸を、上記のようにペンタフルオロフェニルエステルに転換し、そして適切なアミンと反応させた。 このメチルエステルを、水中で水酸化リチウムで加水分解し、そしてその最終生成物を、逆相HPLCで精製し、そして凍結乾燥した。

    (実施例4)
    ジスルフィドライブラリースクリーニングを、以下のように行った。 代表的な実験において、8〜15のジスルフィド含有化合物のライブラリーを含む1μlのDMSO溶液を、49μlのタンパク質含有緩衝液に添加した。 これらの化合物を、各々が独特の分子量を有するように選択した。 理想的には、これらの分子量は、解析が明瞭であるように、少なくとも10原子量単位(amu)異なる。 8〜15のジスルフィド含有化合物のプールを、代表的に、解析の容易さのために使用したが、より大きいプールを使用し得る。 タンパク質は、約15μMの濃度で存在し、ジスルフィドライブラリーメンバーの各々は、約0.2mMで存在し、従って、全てのジスルフィドライブラリーメンバーの合計濃度は、約2mMである。 スクリーニングを、25mMのリン酸カリウム(pH7.5)および1mMの2−メルカプトエタノールを含有する緩衝液中で行なったが、他の緩衝液および還元剤を使用し得る。 これらの反応を、周囲温度で少なくとも30分間平衡させた。 これらの条件は、タンパク質が質量分析系中でイオン化されることの容易さ(以下を参照のこと)、特定のシステインの反応性などに依存して、かなり変動し得る。 TSの場合、上記条件で満足であることが見出された。 酸素または外来の金属イオンを排除するために、特別の努力を払わなかった;これらの反応の時間スケールにおいて、ジスルフィド交換を容易にするために十分な遊離チオールが存在する。

    平衡後、この反応物を、HP1100 HPLCに注入し、そして質量分析計(Finnigan MAT LCQ)に取り付けたC18カラムでクロマトグラフィーで分離した。 タンパク質から生じる複数に荷電したイオンを、利用可能なソフトウェア(Xcalibur)を用いて解析し、このタンパク質の質量が現れた。 次いで、このタンパク質にジスルフィド結合を介して結合した任意のライブラリーメンバーの同定を、未修飾タンパク質の既知の質量から、観察された質量を減算することによって、容易に決定した。 このプロセスは、ライブラリーメンバーの付着が、そのタンパク質自体のイオン化特性を劇的に変化させないことを仮定する。 これは、多くの場合において、タンパク質がいずれの所定のライブラリーメンバーよりも少なくとも20倍大きいという事実に起因して、控えめな仮定である。 この仮定を、1つのタンパク質によって選択された低分子が他のタンパク質によって選択されないことを実証することによって、確認した。

    (実施例5)
    結晶を、非共有結合複合体については1mMの化合物を結晶化緩衝液に含めたことを例外として、Perryら,Proteins 8:315−333(1990)に以前に記載されたようにして、成長させた。 データ収集の前に、結晶を、70%の飽和(NH SO 、20%のグリセロール、50mMのK HPO (pH7.0)を含む溶液に移した。 非共有結合N−トシル−D−プロリン複合体については、10mMの化合物を、浸漬溶液に添加した;他の複合体については、1mMの化合物を含めた。 回折データを、Rigaku RU−3R発生器およびR−axis−IV検出器を使用して−170℃で収集し、そしてd*TREKを使用して処理した。 これらの結晶は、以前に記載された構造(I2 13形態についてPDBコード1TJS、およびP6 3形態について2TSC)と同形であったので、精製を、REFMAC(CCP4)を使用する剛体精製によって開始した。 このタンパク質モデルを、INSIGHT−II(MSI,San Diego)において構築した化合物モデルを使用して調整し、そしてPROTIN(CCP4)辞書を、MAKEDIC(CCP4)を使用して作製した。 位置因子および個々の等方性温度因子での精製を、示される解像範囲における全ての反射を使用して、REFMAC(CCP4)を用いて実施した。 溶媒分子を、ARPP(CCP4)を使用して自動的に配置し、そして介在する特徴がFo−Fc差マップに残らなくなるまで、精製を続けた。 PDB登録番号は、ネイティブのC146結合N−トシル−D−プロリン、L143C結合N−トシル−D−プロリン、N−トシル−D−プロリン遊離酸浸漬、グルタメート−N−トシル−D−プロリン浸漬、およびグルタメート−N−トシル−D−プロリンβ−アラニン結晶についてそれぞれ、1F4B、1F4C、1F4D、1F4E、1F4F、である。

    (実施例6)
    選択されたN−トシル−D−プロリン化合物を、結合を使用して、一連のリガンド候補物として最適化および試験した。 TSに結合したN−トシル−D−プロリンの結晶構造に基づいて、フェニル環から離れたメチル基は、誘導体化点として使用するための有望な位置にあった。 スキーム1は、88の異なるアルデヒド(ここで、R は、非置換アリールまたは置換アリールから選択される)および6つの異なるリンカーを使用して、誘導体を合成するために使用された一般的方法を説明する。

    選択されたリガンド候補物の、結合されていないバージョンの、阻害定数を決定した。 最良の化合物のうちの2つは、以下であった:

    化合物2のK

    は、約55μMと決定され、そして化合物3のK

    は、約40μMと決定された。

    (実施例7)
    この実施例は、化合物13の合成のための1つの実施形態を記載する。 一般的な反応スキームは、スキーム2に概説される。

    (2−(2−アセチルスルファニル−アセチルアミノ)−コハク酸4−tert−ブチルエステル24)


    アセチルスルファニル−酢酸ペンタフルオロフェニルエステル(1.6g、5.3mmol)およびH−Asp(OtBu)−OH(1g、5.3mmol)を、20mlの乾燥ジクロロメタン(DCM)中で混合した。 次いで、1.6mlのトリエチルアミン(11.5mmol)を添加し、そしてこの反応を、周囲温度で3.5時間進行させた。 次いで、有機層を、3×15mlの1M炭酸ナトリウムで抽出し、合わせた水性画分を、100mlの1M硫酸水素ナトリウムで酸性化し、そして3×30mlの酢酸エチルで抽出した。 次いで、合わせた有機画分を、30mlの1M硫酸水素ナトリウム、30mlの5M NaClでリンスし、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして減圧下でエバポレートして、1.97gの24をほぼ無色のシロップとして得、これを、さらに精製せずに使用した。 MW=305(実測値306、M+l)。

    (3−(2−アセチルスルファニル−アセチルアミノ)−5−クロロ−4−オキソ−ペンタン酸tert−ブチルエステル25)
    遊離酸24を、10mlの乾燥テトラヒドロフラン(THF)に溶解し、0℃に冷却し、そして0.58mlのN−メチル−モルホリン(5.3mmol)および0.69mlのイソブチルクロロホルメートで処理した。 濃厚な白色沈澱が即座に形成し、そして30分後、この反応物を、ガラスフリットに通して濾過し、そしてさらに10mlのTHFを含む新たなフラスコに移した。 その一方で、1−メチル−3−ニトロ−1−ニトロソグアニジン(2.3g、15.6mmol)を、7.4mlの40%水性KOHおよび25mlのジエチルエーテルと45分間0℃で反応させることによって、ジアゾメタンを調製した。 次いで、黄色のエーテル層を、混合無水物を含有する反応物中にデカンテーションし、そして165分間かけて周囲温度にゆっくりと温めながら、この反応を進行させた。 この反応物を、8℃に冷却し、そして1.5mlのジオキサン中4N HCl(合計6mmol)を滴下した。 これにより、かなりの気泡が生じ、そして黄色の溶液は無色になった。 周囲温度に次第に温めながら、この反応を2時間進行させ、次いで、1mlの氷酢酸でクエンチした。 その溶媒を減圧下で除去し、そしてその残渣を、75mlの酢酸エチルに再溶解し、2×50mlの飽和重炭酸ナトリウム、50mlの5M NaClでリンスし、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして乾燥するまでエバポレートし、その後、90:10のクロロホルム:酢酸エチルを使用するフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、0.747gの25を淡黄色油状物(2.2mmol、23から42%)として得た。 計算値MW=337.7、実測値338(M+1)。

    (2,6−ジクロロ−安息香酸3−(2−アセチルスルファニル−アセチルアミノ)−4−tert−ブトキシカルボニル−2−オキソ−ブチルエステル26)
    クロロメチルケトン25(0.25g、0.74mmol)を、5mlの乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し、これに、0.17gの2,6−ジクロロ安息香酸(0.89mmol)および0.107gのKF(1.84mmol)を添加した。 この反応を、周囲温度で19時間進行させ、この時点で、これを75mlの酢酸エチルで希釈し、2×50mlの飽和重炭酸ナトリウム、50mlの1M硫酸水素ナトリウム、50mlの5M NaClでリンスし、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして減圧下で乾燥して、黄色シロップを得、これは、HPLC−MSによって、約75%の生成物26および25%の未反応25であることがわかった。 これを、さらに精製せずに使用した。 計算値MW=492.37、実測値493(M+l)。

    (2,6−ジクロロ−安息香酸3−(2−アセチルスルファニル−アセチルアミノ)−4−カルボキシ−2−オキソ−ブチルエステル13)
    生成物26を、10mlの乾燥DCMに溶解し、0℃に冷却し、そして9mlのトリフルオロ酢酸(TFA)で処理した。 次いで、この反応物を氷浴から取り除き、そして1時間かけて、周囲温度に温めた。 溶媒を減圧下で除去し、そしてその残渣を、DCMへの再溶解およびエバポレーションを2回行って、残留TFAを除去した。 粗製生成物13を、逆相高圧液体クロマトグラフィーによって精製して、101.9mg(0.234mmol、25から32%)の白色吸湿性粉末を得た。 計算値MW=436.37、実測値437(M+1)。 これを、ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解して、50mMのストック溶液を得た。

    (実施例8)
    a. 本実施例は、特定の伸長因子(化合物32(これをカスパーゼ3についての結合実験において用いた))についての1つの実施形態を記載する。 一般的なスキームをスキーム3に記載する。

    a)125mLの脱イオン(「DI」)水中のK

    CO

    (15.63g、113mmol)の脱気した溶液に3−メルカプトプロピオン酸(4g、37.69mmol)を窒素下で添加した。 次いで、この溶液を0℃まで冷却し、そして無水酢酸(3.56ml、37.69mmol)を滴下した。 この反応物を、15分間撹拌し、2×50mLのEt

    Oで洗浄し、そして1MのHCLを用いてpH2まで酸性化した。 次いで、3×25mLの酢酸エチル(「EtOAc」)を用いて水層を抽出した。 合わせた有機層を、ブラインで洗浄し、無水Na

    SO

    を通して乾燥し、ろ過し、そして溶媒を減圧下で除去して、化合物27(5.19g、35mmol)、93%、ES(+)MS m/e=148(M+H)を得、これを、さらなる精製をせずに用いた。

    b)化合物27(2.36g、15.94mmol)を、50mLの無水テトラヒドロフラン(「THF」)中に溶解し、そしてピリジン(1.35mL、16.74mmol)、引き続きペンタフルオロフェニルトリフルオロアセテート(2.71mL、15.78mmol)を添加した。 この溶液を、周囲温度で2時間、撹拌した。 THFを減圧下で除去し、そして残渣を75mLのEtOAc中に再溶解し、2×25mLの1M HCl、25mLの飽和NaHCO 、25mLのブラインで洗浄し、無水Na SO を通して乾燥し、ろ過し、そして溶媒を減圧下で除去して化合物28(3.77g、12mmol、75%)、ES(+)MS m/e=314(M+H)を得、これをさらなる精製をせずに用いた。

    c)化合物28(3.77g、11.99mmol)を、H N−Asp(OtBu)−CO H(2.27g、11.99mmol)と混合し、そして40mLの乾燥DCM中に懸濁した。 次いで、トリエチルアミン(2.9ml、20.8mmol)を添加し、そしてこの溶液を16時間撹拌し、その時点で、それに、100mLのEtOAcを注ぎ、2×50mlの1M NaHSO および50mLのブラインでリンスし、そして無水Na SO を通して乾燥し、ろ過し、そして溶媒を減圧下で除去して生成物を得、この生成物を、94:5:1のCHCl :メタノール:酢酸を用いるフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、化合物29を得た(2.62g、8.2mmol、68%収率、ES(+)MS m/e=264((M−tBu)+H))。

    d)化合物29(2.62g、8.2mmol)を、25mLの無水THF中に溶解し、そして0℃まで冷却した。 この溶液に、N−メチルモルホリン(1.88mL、17.06mmol)と引き続くイソブチルクルロホルメート(2.15mL、16.56mmol)を添加した。 得られた懸濁液を、さらに2時間撹拌し、そしてこの混合物をろ過した。 この溶液を、0℃で、エーテル様ジアゾメタン溶液へと注いだ。 濃黄色の溶液を、一晩で室温まで温めた。 この濃い橙色の溶液を通して窒素を30分間バブリングした。 この溶液の半分を0℃まで冷却し、そして4MのHCl(3.8mL、15mmol)を滴下し、そしてこの溶液を0℃で1時間撹拌した。 溶媒を減圧下で除去し、そして残渣を50mLのEtOAc中に再溶解した。 有機層を2×25mLの飽和NaHCO 、25mLのブラインで洗浄し、無水Na SO を通して乾燥し、そして濃縮し、そして95:5のCHCl :EtOAcを用いるフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して化合物30を得た(0.198g、0.562mmol、14%)、ES(+)MS m/e=296((M−tBu)+H))。

    e)化合物30(50mg、0.143mmol)を1mlの無水ジメチルホルムアミド(「DMF」)中に溶解し、そして2,6−ジクロロ安息香酸(33mg、0.172mmol)およびKF(21mg、0.358mmol)の混合物を添加した。 この溶液を、周囲温度で16時間撹拌し、次いで、20mLのEtOAcを注ぎ、2×10mLの飽和NaHCO 、10mLのブラインを用いてリンスし、無水Na SO を通して乾燥し、ろ過し、そして溶媒を減圧下で除去して化合物31を得た(48mg、0.0948mmol、67%)、ES(+)MS m/e=451((M−tBu)+H))。

    f)化合物31を、5mLのジクロロメタン(「DCM」)中に溶解し、0℃まで冷却し、5mLのトリフルオロ酢酸(「TFA」)を添加し、そしてこの溶液を30分間撹拌した。 溶媒を減圧下で除去し、そして粗残渣を、逆相調製HPLCにより精製して化合物32を得た(0.006g、0.013mmol、14%)ES(+)MS:m/e=450.29(M+1)。

    (実施例9)
    本実施例は、化合物14の合成についての1つの実施形態を記載する。 一般的な反応スキームを、スキーム4に概説する。

    a)Z−ASP(OtBu)−OHを用いて、実施例8の化合物30と同様に、化合物33を得た。 ES(+)MS m/e=344((M−tBu)+H)。

    b)化合物34を、化合物30の代わりに化合物33を用いて開始することを除き、実施例8eの手順に従い調製した(88%)。 ES(+)MS m/e=454((M−tBu)+H))。

    c)化合物34(0.5g、0.9mmol)を、10mLのMeOH中に溶解し、そして0℃まで冷却した。 次いで、NaBH (0.074g、1.96mmol)を一部添加し、そして反応物を1.5時間撹拌した。 この反応物に25mLの1M HClを注ぎ、そして3×10mLのDCMを用いて抽出し、無水Na SO を通して乾燥し、ろ過し、そして溶媒を減圧下で除去して化合物35を得た(0.297g、0.058mmol、60%)、ES(+)MS m/e=456((M−tBu)+H))。

    d)化合物35(0.297g、0.579mmol)を5mLのMeOH中に溶解し、次いで、この溶液を窒素と共に噴霧し、湿潤Pd/C(10%重量/重量、Aldrich、0.123g)を添加し、そしてこの溶液を水素で充填したバルーンの下で30分間撹拌した。 次いで、反応物を、セライトを通してろ過し、そして溶媒を減圧下で除去して化合物36を得た(0.188g、0.497mmol、86%)、ES(+)MS m/e=292((M−tBu)+H))。

    e)40mLのCCl 中のメタ−トルエンスルホニルクロリド(6.8g、35.67mmol)、N−ブロモスクシンイミド(6.35g、35.67mmol)、およびベンゾイルペルオキシド(0.670g、3.07mmol)の溶液を、2時間、還流した。 室温まで冷却した後、この混合物をろ過し、溶媒を減圧下で除去しそして生成物を9.5:0.5のヘキサン:EtOAcを用いるフラッシュクロマトフラフィーにより精製して化合物37を得た(3.43g、12.7mmol、36%)、ES(+)MS m/e=213((M−)+H))。

    f)化合物36(0.188g、0.497mmol)を、2mLのDCM中に溶解し、そしてジイソプロピルエチルエミン(0.173mL、0.994mmol)を添加し、次いで、この溶液を20mLのDCM中に溶解された化合物37(0.670g、2.49mmol)に滴下した。 室温での20分間の撹拌の後に、DCMを減圧下で除去し、そして残渣を20mLのEtOAc中に再溶解し、2×10mLの1M NaHSO 、10mLの飽和NaHCO 、10mLのブラインでリンスし、無水Na SO を通して乾燥し、ろ過し、そして溶媒を減圧下で除去して生成物を得、この生成物を4:1のヘキサン:EtOAcを用いるフラッシュクロマトグラフィーにより精製して化合物38を得た(0.068g、0.111mmol、22%)、ES(+)MS m/e=555((M−tBu)+H))。

    g)化合物38(0.068g、0.111g)を、1mLのDMF中に溶解し、そしてチオ酢酸カリウム(0.013g、0.111mmol)を添加した。 この反応物を周囲温度で1時間撹拌し、次いで、10mLのDCMを注ぎ、2×5mLの1M NaHSO 、5mLの飽和NaHCO および5mLのブラインで洗浄し、無水Na SO を通して乾燥し、ろ過し、そして溶媒を減圧下で除去して化合物39を得た(0.044g、0.073mmol、66%)、ES(+)MS m/e=550((M−tBu)+H))。

    h)化合物39(0.044g、0.073mmol)を、2mLのDCM中に溶解し、そしてDess−Martin periodinane(0.046g、0.108mmol)を添加した。 この反応物を、室温で30分間撹拌し、そして反応物をろ過した。 5mLのDCMを添加し、そして溶液を0℃まで冷却し、そして7mLのTFAを添加した。 この反応物を、30分間撹拌し、そして溶媒を、減圧下で除去した。 粗残渣を、逆相調製HPLCにより精製して化合物14を得た(0.005g、0.008mmol、11%)ES(+)MS:m/e=548.41(M+1)。

    (実施例10)
    本実施例は、カスパーゼ3との結合において使用される伸長因子40の合成についての1つの実施形態を記載し、ここで、チオールが、この酵素のプライム部位に指向される。 一般的な反応スキームを、スキーム5に概説する。

    Cbz−Asp(OtBu)−OH(7.778g、24.1mmol)を65mlのTHF中に溶解し、氷水浴中で冷却し、そしてN−メチル−モルホリン(2.6ml、23.6mmol)およびイソブチルクロロホルメート(3.1ml、23.9mmol)を添加した。 この反応物を、氷上で20分間撹拌し、その間に、N,O−ジメチルヒドロキシアミンヒドロクロリド(3.51g、36mmol)および炭酸カリウム(7g、51mmol)を24mlのTHFおよび1mlの水の中に懸濁し、周囲温度で20分間激しく撹拌し、次いで、ろ紙を通して直接上記のカーボネート溶液へとろ過し、20mlのTHFを添加した。 40分後、この反応物に200mlのEtOAcを注ぎ、3×75mlの1N HCl、75mlの飽和炭酸水素ナトリウム、および75mlのブラインでリンスし、硫酸ナトリウムを通して乾燥し、ろ過し、エバポレートして無色のシロップを得、このシロップを、さらなる精製をせずに用いた(9g、24.1mmol、100%、ES(+)MS m/z=389(M+Na))。

    アミド(8.8g、24mmol)を乾燥THF(100ml)に溶解し、窒素下で氷−ブラインバス中で−5℃まで冷却し、そしてTHF(12ml、12mmol)中の1M水酸化アルミニウムリチウムを10分の間に添加した。 この反応物を、氷上で40分間攪拌し、次いで75ml飽和硫酸水素ナトリウムおよび250mlジエチルエーテルを添加し、そして氷上で15分間攪拌した。 エーテル層を除去し、そして硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、そしてエバポレートして、アルデヒドを得、これをさらなる精製をせずに使用した(8.3g、24mmol、100%、ES(+)MS m/z=348(M+Na+H O))。

    アルデヒド(8.3g、24mmol)を、乾燥THF(100ml)に溶解し、ドライアイス/アセトンバス中で冷却し、そしてTHF(30ml、30mmol)中の1M臭化ビニルマグネシウムを添加した。 1時間後、別の20mlのグリニャールを添加し、続いて2時間後に別の20mlのグリニャールを添加した。 4時間後、反応物を、周囲温度まで温め、そして90分間続けた。 90分の時点で、氷−水バス中で冷却し、100mlの飽和硫酸水素ナトリウムを添加し、水層を排出し、そして有機層を75ml 1N HCl、75ml飽和炭酸水素ナトリウム、および75mlブラインでリンスし、そして硫酸ナトリウムで乾燥し、エバポレートして乾燥し、そしてフラッシュクロマトグラフィー(最初、80:20 ヘキサン:EtOAc、次いで70:30 ヘキサン:EtOAcを用いる)を使用したシリカゲル上で精製して、生成物アルコール(2.5g、7.45mmol、31%、ES(+)MS m/z=358(M+Na))を産生した。

    アルコール(2.5g、7.45mmol)を、乾燥DCM(40ml)に溶解し、氷−水バス中で冷却し、そしてメタクロロペルオキシ(perxoy)安息香酸(mCPBA、10g、44.6mmol)および別の40ml乾燥DCMで処理した。 反応を、19時間続け、19時間の時点で75ml飽和炭酸水素ナトリウムを別の100ml DCMとともに添加した。 水層を排出し、有機層を75ml飽和炭酸水素ナトリウム、2×100ml 20%飽和炭酸水素ナトリウム、75mlブラインでリンスし、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、エバポレートして乾燥し、そしてフラッシュクロマトグラフィー(最初、70:30 ヘキサン:EtOAc、次いで50:50 ヘキサン:EtOAcを使用する)を使用して精製し、生成物エポキシド(0.828g、2.36mmol、32%、ES(+)MS m/z=352(M+H))を得た。

    エポキシド(0.132g、0.376mmol)を、乾燥メタノール(2ml)に溶解し、それにチオ尿素(52.3mg、0.687mmol)および3ml追加メタノールを添加する。 次いで反応物を散布し、そして2日間窒素下に保つ。 次に反応物に50ml EtOAcを注ぎ、2×25ml 1M亜硫酸水素ナトリウム、2×25ml炭酸水素ナトリウム、25mlブラインでリンスし、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、エバポレートして乾燥し、そしてフラッシュクロマトグラフィー(最初、80:20 ヘキサン:EtOAc、次いで70:30 ヘキサン:EtOAcを使用する)により精製し、生成物チイラン(35mg、0.095mmol、25%、ES(+)MS m/z=390(M+Na))を得た。

    チイラン(35mg、0.095mmol)を、乾燥DCM(0.5ml)に溶解し、そしてDess−Martinペルヨージナン(43.3mg、0.102mmol)を添加し、続いて別の0.5ml乾燥DCMを添加する。 30分後、反応物を7ml DCMで希釈し、0.45μフィルターを通してろ過し、そしてフラッシュクロマトグラフィー(80:20 ヘキサン:EtOAcを用いる)により精製し、生成物(17mg、0.047mmol、49%、ES(+)MS m/z=388(M+Na))を産生した。

    チイラン(17mg、0.047mmol)を、乾燥DCM(5ml)に溶解し、氷−水バス中で冷却し、そして5mlトリフルオロ酢酸を用いて処理した。 反応を、氷上で40分間続け、40分間の時点でエバポレートして乾燥し、そして逆相HPLCを使用して精製し、白色固体として化合物40(1.8mg、0.0058mmol、13%、ES(+)MS m/z=332(M+Na))を産生した。 この物質は、DMSO中で安定しないが、−20℃に維持したメタノール中の溶液としては、1ヶ月間安定である。 カスパーゼの活性部位チオールに対するこの伸長因子の共役反応は、2〜5分間のみ、pH6でおよび酵素に関して低い化学量論(1〜3等量)で行われることが一般的に好ましい。

    (実施例11)
    本実施例は、伸長因子13を用いるカスパーゼ3の改変を説明する。 カスパーゼ3を、クローン化し、過剰発現し、そして標準技術を用いて精製する。 2mlの0.2mg/ml溶液に10μlの50mM化合物13を添加し、そして反応を周囲温度で3.5時間続けた。 3.5時間の時点での質量分析は、カスパーゼ3大サブユニットの完全な改変を示した(MW 16861、計算値16860)。 チオエステルを、PBS緩衝液中で緩衝化された0.2mlの0.5Mヒドロキシルアミンを添加することにより脱保護し、そして反応を18時間続けた。 18時間の時点で、大サブユニットは、質量16819(計算値16818)を有した。 タンパク質を、Ultrafree 5 MWCOユニット中で濃縮し、そして緩衝液をNap−5カラムを用いて0.1MTES pH7.5に交換した。

    (実施例12)
    カスパーゼ3の結晶を、20℃で懸滴拡散蒸着法(hanging drop vapor diffusion method)を用いて成長させた。 等量のタンパク質溶液(10mM Tris pH8.5中の5〜10mg/mlの以前に改変したタンパク質)を100mMクエン酸ナトリウム、pH5.9、4%グリセロール、10〜20%PEG6000および10mMDTTを含む貯蔵溶液と混合する。 小さな斜方形板は、通常1〜2週間後に現れる。 斜方形板は、2か月後、約200×200×20μmの最大サイズに達する。 データを集める前に、結晶を25%グリセロールを含む貯蔵溶液に短時間浸し、次いで液体窒素中で瞬間凍結する。

    2つの結合した化合物の回折データを、100KでRigaku(Tokyo)RU−3R発生装置、R−軸−IV検出装置を使用して集め、そしてD Trekを用いて処理した。 Protein Data Bank エントリー1CP3の座標を使用するプログラムAmoRe(Navaza,J.、Acta Crystallogr.Sect.A、A50:157〜163(1994))において実行されるように、分子置換により、構造を解析する。 化合物モデルを、Pymol(DeLano,W.L.、World Wide Web URL:http://www.pymol.org)において構築し、そのモデルをプログラムO(Jones,T.A.ら、Acta Cryst.、A47:110〜119(1991))を用いて調整し、そしてプログラムRefmac(CCP4)を用いて精密化する。

    (実施例13)
    本実施例は、化合物50の合成についての一つの実施形態を説明する。 一般的な反応スキームは、スキーム6に概説される。

    a)500ml DI水中で、3−(クロロスルホニル)安息香酸(10.38g、47.04mmol)を、H−ASP(OtBu)−OMe(10.25g、42.76mmol)および炭酸ナトリウム(14.05g、133mmol)と混合し、そして反応物を室温で16時間攪拌した。 溶液をろ過し、次いで1M NaHSO

    を用いてpH2まで酸性にした。 水溶液を3×300mL EtOAcで抽出する。 次いで、合わせた有機層を250mLブラインで洗浄し、無水Na

    SO

    で乾燥し、ろ過し、そして減圧下で溶媒を除去して、化合物41(7.07g、18.25mmol、39%)、ES(+)MS m/e=331((M−tBu)+H))を産生し、これを、さらなる精製を使用せずに、使用した。

    b)化合物41(7.07g、18.25mmol)を、窒素雰囲気下で90ml乾燥THFに懸濁し、そして0℃まで冷却する。 イソブチルクロロギ酸(2.49ml、19.16mmol)をシリンジにより添加し、続いてN−メチルモルフォリン(2.21mL、20mmol)を添加する。 反応物を0℃で30分間攪拌し、次いで、182mL THFおよび63mL mL MeOH中のホウ化水素ナトリウム(2.4g、63.88mmol)の−78℃の溶液に注入いだ。 反応物を−78℃で2時間攪拌し、次いで、減圧下でTHFの大部分を除去する。 残渣に200mL EtOAcを注ぎ、2×75mL 1M NaHSO 、75ml飽和NaHCO 、および75mlブラインでリンスし、無水Na SO 上で乾燥し、ろ過し、そして減圧下で溶媒を除去して、白色固体として、化合物42(6.80g、18.21mmol、100%)、ES(+)MS m/e=317((M−tBu)+H))を産生し、これをさらなる精製を使用せずに、使用した。

    c)化合物42(6.80g、18.21mmol)を窒素雰囲気下で100ml乾燥DCMに溶解し、そして溶液を0℃まで冷却する。 トリエチルアミン(5.34mL、38.33mmol)を添加し、次にメタンスホニルクロリド(1.55mL、20.08mmol)を滴下する。 反応物を0℃で1時間攪拌し、次いで2×35mL 1M NaHSO 、40mLブラインでリンスし、無水Na SO で乾燥し、ろ過し、そして減圧下で溶媒を除去した。 残渣をフラッシュクロマトグラフィー(3:2 ヘキサン:EtOAcを使用する)により精製し、化合物43(6.69g、14.82mmol、83%、ES(+)MS m/e=395((M−tBu)+H))を産生した。

    d)化合物Aを、以下に示されるように化合物42(93%)の代わりにFmoc−β−アラニノール(5.14g、17.29mmol)から出発することを除いて、実施例13cの方法により調製した。

    ES(+)MS m/e=375(M+1)これを、さらなる精製をすることなく使用した。

    e)化合物Bを、以下に示されるように化合物38(91%)の代わりに化合物Aから出発することを除いて、実施例9gの方法により調製した。

    ES(+)MS m/e=355(M+1)これを、さらなる精製をすることなく使用した。

    f)化合物B(5.12g、14.4mmol)を、10mL DCM中に溶解し、そして50mL MeOHを、加えた。 窒素を、15分間、溶液を通じてバブリングし、次いでヒドロキシルアミン(水中に50%、4.42mL、72mmol)を加え、続いてTCEP(4.13g、14.4mmol)を加え、そしてこの反応物を、4時間、窒素雰囲気下で撹拌した。 次いで、溶媒を、減圧下で除去し、そして残渣を、100mL EtOAc中で溶解し、50mL 飽和NaHCO で洗浄し、そして50mL ブラインで洗浄し、無水Na SO で乾燥し、そしてろ過した。 溶媒を、減圧下で除去し、そして残渣を、4:1へキサン:EtOAcを使用するフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、化合物44(3.32g、10.6mmol、74%)を得た。 ES(+)MS m/e=313(M+1)。

    g)化合物43(2.29g、5.07mmol)を、25mL DMF中で溶解し、ヨウ化カリウム(1.68g、10.15mmol)を加え、そしてこの混合液を、15分間、室温で撹拌した。 化合物44(1.59g、5.07mmol)を加え、続いて重炭酸ナトリウム(0.426g、5.07mmol)を加えた。 この反応液を、窒素でパージし、そして20時間、周囲温度で撹拌した。 次いで、この反応液に、100mL EtOAcを流入し、2×50mL 1M NaHSO 、50mL 飽和NaHCO 、および50mL ブラインですすぎ、無水Na SO で乾燥し、ろ過し、そして溶媒を減圧下で除去して、生成物を得、この生成物をCHCl :MeOH中の2M NH 95:5を使用するフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、化合物45(1.38g、2.06mmol、41%収率)を得た。 ES(+)MS m/e=612((M−tBu)+H)。

    h)化合物45(1.38g、2.06mmol)を、10mL DCM中に溶解した。 次いで、10mL ジエチルアミンを、加えた。 この反応液を、16時間、周囲温度で撹拌し、溶媒を、減圧下で除去し、そして残渣を、CHCl :MeOH中の2M NH 95:5を使用するフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、化合物46(0.723g、1.62mmol、79%収率)を得た。 ES(+)MS m/e=390((M−tBu)+H)
    i)化合物47を、化合物27(97%)の代わりに5−(メタンスルホニル)チオフェン−2−カルボン酸を用いて出発することを除いて、実施例8bの手順により調製した。 ES(+)MS m/e=372(M+H)。

    j)化合物46(0.320g、0.717mmol)を、5mL DCM中に溶解し、化合物47(0.401g、1.08mmol)を加え、次いでDIEA(0.249mL、1.43mmol)を加えた。 残渣を、16時間、周囲温度で撹拌し、そして溶媒を減圧下で除去した。 この反応液を、20mL EtOAc中で再溶解し、2×5mL 1M NaHSO 、5mL ブラインで洗浄し、無水Na SO で乾燥し、ろ過し、そして溶媒を減圧下で除去して生成物を得、この生成物をDCM:EtOAc 4:1を使用するフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、化合物48(0.126g、0.198mmol、28%収率)を得た。 ES(+)MS m/e=578((M−tBu)+H)。

    k)化合物48(0.062g、0.098mmol)を、0.5mL無水THF中で溶解した。 この溶液に、1mLエチルエーテル中のリチウムボロヒドリド(0.003g、0.121mmol)を加えた。 この反応液を、45分間、室温で撹拌し、次いで10mL EtOAcを流入し、5mL飽和NaHCO 、および5mL ブラインですすぎ、無水Na SO で乾燥し、ろ過し、そして溶媒を、減圧下で除去して、化合物49(0.058g、0.096mmol、98%)を得た。 ES(+)MS m/e=550((M−tBu)+H)。

    l)化合物49(0.058g、0.098mmol)を、1mL DMSO中に溶解し、そしてIBXを加えた(0.082g、0.294mmol)。 この反応液を、5時間、周囲温度で撹拌し、次いで10mL EtOAcを注ぎ、5mL飽和NaHCO 、および5mL ブラインで洗浄し、無水Na SO で乾燥し、ろ過し、そして溶媒を減圧下で除去して黄色固体を得、次いでこの黄色固体を5mL DCM中に溶解し、そして0℃に冷却した。 5mLのTFAを加え、そしてこの反応液を30分間撹拌した。 減圧下で溶媒を除去した後、粗生成物の残渣を、逆相予備HPLCによって精製し、化合物50(0.009g、0.016mmol、17%)を得た。 ES(+)MS m/e=548.68(M+H)。

    (実施例14)
    本実施例は、以下に示される化合物51の合成のための一実施形態を示す。

    化合物51を、メタ−トルエンスルホニルクロライドをパラ−トルエンスルホニルクロライドで置換することを除いて、実施例9a〜hの手順により調製した。 ES(+)MS:m/e=548.41(M+1)。

    (実施例15)
    本実施例は、化合物54の合成のための一実施形態を示す。 一般的な反応スキームを、図7中で概説する。

    a)化合物48(0.063g、0.099mmol)を、5mL MeOH中に溶解し、そして過酸化水素(0.026mL、0.297mmol、水中に30%)を加えた。 この反応液を、16時間、50℃まで熱し、そして溶媒を、減圧下で除去し、化合物52(0.063g、0.097mmol、98%)を得た。 ES(+)MS m/e=594((M−tBu)+H)。

    b)化合物53を、化合物48を化合物52で置換することを除いて、実施例13kの手順により調製した。 ES(+)MS m/e=566((M−tBu)+H)。

    c)化合物54を、化合物39(0.005g、0.009mmol、11%)を化合物53で置換することを除いて、実施例9hの手順により調製した。 ES(+)MS m/e=564.68(M+1)。

    (実施例16)
    本実施例は、化合物56の合成のための一実施形態を示す。 一般的な反応スキームを、図8中で概説する。

    a)化合物48(0.150g、0.236mmol)を、5mL MeOH中に溶解し、酢酸(5mL)を加え、続いて過酸化水素(0.77mL、10mmol、水中に35%)を加えた。 この反応液を、16時間、80℃まで加熱し、そして溶媒を、減圧下で除去し、化合物55(0.157g、0.236mmol、100%)を得た。 ES(+)MS m/e=610((M−tBu)+H)。

    b)化合物56を、化合物55(0.005g、0.0086mmol、36%)を用いて出発することを除いて、実施例13k、続いて実施例9hの手順により調製した。 ES(+)MS m/e=580(M+1)。

    (実施例17)
    本実施例は、以下に示される化合物57の合成のための一実施形態を記載する。

    化合物57を、5−(メタンスルホニル)チオフェン−2−カルボン酸を4−(メチルスルホニル)安息香酸で置換することを除いて、実施例13a〜lの手順により調製した。 ES(+)MS:m/e=543(M+1)。

    (実施例18)
    本実施例は、以下に示される化合物58の合成のための一実施形態を記載する。

    化合物58を、5−(メタンスルホニル)チオフェン−2−カルボン酸を4−(メチルスルホニル)安息香酸で置換することを除いて、実施例13a〜jの手順により調製し、続いて実施例15a〜cの手順により調製した。 ES(+)MS:m/e=559(M+1)。

    (実施例19)
    本実施例は、以下に示される化合物59の合成のための一実施形態を記載する。

    化合物59を、5−(メタンスルホニル)チオフェン−2−カルボン酸を45−クロロ−6−ヒドロキシニコチン酸で置換することを除いて、実施例13a〜jの手順により調製し、続いて実施例16a〜bの手順により調製した。 ES(+)MS:m/e=548(M+1)。

    (実施例20)
    本実施例は、以下に示される化合物60の合成のための一実施形態を記載する。

    化合物60を、5−(メタンスルホニル)チオフェン−2−カルボン酸をベンゾチアゾール−6−カルボン酸で置換することを除いて、実施例13a〜lの手順により調製した。 ES(+)MS:m/e=522(M+1)。

    (実施例21)
    本実施例は、以下に示される化合物61の合成のための一実施形態を記載する。

    化合物61を、5−(メタンスルホニル)チオフェン−2−カルボン酸をベンゾチアゾール−6−カルボン酸で置換することを除いて、実施例13a〜jの手順により調製し、続いて実施例15a〜cの手順により調製した。 ES(+)MS:m/e=538(M+1)。

    本明細書を通じて引用された全ての参考文献は、本明細書中に参考として明白に援用される。 本発明が、その特定の実施形態に対する参照を用いて記載されたが、様々な変化がなされ得、そして等価物が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、置換され得ることは、当業者によって理解されるべきである。 さらに、多くの改変が、特定の状況、物質、物質の組成物、工程などに適合するためにされ得る。 全てのこのような改変は、ここに添付の特許請求の範囲内である。

    図1Aは、結合方法の1つの実施形態の模式図である。 チオール含有タンパク質が、複数のリガンド候補物と反応される。 この標的に対する固有の結合親和性を有するリガンド候補物が同定され、そしてリガンドは、ジスルフィド部分を含まない、同定された結合決定基(円によって表される)を含むようにされる。 図1Bは、結合の背後にある理論の模式図である。 チオール含有タンパク質が、少なくとも1つのジスルフィド含有リガンド候補物と平衡状態にある場合(最も好ましくは、還元剤の存在下で)、修飾タンパク質と未修飾タンパク質との間の平衡が確立される。 リガンド候補物が、標的タンパク質に対する固有の結合親和性を有さない場合、この平衡は、未修飾タンパク質の方にシフトする。 対照的に、リガンド候補物がタンパク質に対する固有の親和性を有さない場合、この平衡は、修飾タンパク質の方にシフトする。

    図2Aおよび図2Bは、結合実験の代表例である。 図2Aは、チミジル酸シンターゼ(「TS」)の、TSに対する結合親和性をほとんどまたは全く有さない10の異なるリガンド候補物のプールとの反応の、解析されたマススペクトルである。 図2Bは、リガンド候補物のうちの1つが、この酵素に対する固有の結合親和性を有する場合の、TSの、10の異なるリガンド候補物のプールとの反応の、解析されたマススペクトルである。

    図3A、3B、および3Cは、代表的な結合実験に対する、還元剤の濃度の影響を示す。 図3Aは、2−メルカプトエタノールなしで反応が実施された場合の、解析されたマススペクトルである。 図3Bは、0.2mMの2−メルカプトエタノールの存在下で同じ反応が実施された場合の、解析されたマススペクトルである。 図3Cは、20mMの2−メルカプトエタノールの存在下で同じ反応が実施された場合の、解析されたマススペクトルである。

    図4A、4B、および4Cは、代表的な結合実験における、ライブラリー中のリガンド候補物の数の影響を示す。 図4Aは、20のリガンド候補物を含むライブラリープールを用いた結合実験である。 図4Bは、50のリガンド候補物を含むライブラリープールを用いた結合実験である。 図4Cは、100のリガンド候補物を含むライブラリープールを用いた結合実験である。

    図5は、初めに選択された結合決定基R

    を使用して、R

    を含む化合物およびその改変体のライブラリーを作製した場合の、模式図である。 この図は、改変されたライブラリーが、第一の結合決定基の改変体R

    D' 、および第二の結合決定基R

    を含む化合物を含んだ場合の、結合実験を示す。 示されるように、これら2つの結合決定基は、引き続いて一緒に結合されて、ジスルフィドを欠く結合体分子を形成する。

    図6は、2つの結合決定基(R

    およびR

    であり、これらは、引き続いて一緒に結合して、結合体分子を形成する)を同定するために使用される、2つの結合実験の模式である。

    図7は、第二の結合決定基R

    が、R

    の結合の存在下で同定される場合の、2つの結合実験の模式である。 一旦同定されると、これら2つの結合決定基は、結合して、結合体分子を形成する。

    図8は、第一の官能基および第二の官能基を含む伸長因子(extender)を使用する場合の、結合方法の1つの実施形態の模式図である。 示されるように、チオールを含む標的が、第一の官能基X(これは、反応性チオールと共有結合を形成し得る)および第二の官能基−SR

    1' (これは、ジスルフィド結合を形成し得る)を含む伸長因子と接触される。 結合−伸長因子複合体が形成され、これは次いで、複数のリガンド候補物と接触される。 この伸長因子は、1つの結合決定基(円)を提供し、そしてこのリガンド候補物は、第二の結合決定基(正方形)を提供し、そして得られる結合決定基は、一緒に結合して、結合体化合物を形成する。

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