Selection of oligonucleotide probes based on the ratio

申请号 JP2003517220 申请日 2002-07-29 公开(公告)号 JP2005500051A 公开(公告)日 2005-01-06
申请人 アメルシャム・バイオサイエンシーズ・アクチボラグAmersham Biosciences Aktiebolag; 发明人 アビジット・マズムデル; デイビッド・ドリス; リチャード・ディ・シッピー;
摘要 本明細書では標的核酸配列に対するプローブを選択する方法、このようなプローブを含むオリゴヌクレオチドアレイを作製する方法、およびこのようなアレイを用いる方法を開示する。 また、本明細書では本発明の方法により選択されたプローブを含むオリゴヌクレオチドアレイも記載する。
权利要求
  • 標的核酸配列のプローブを選択する方法であって、
    a)3以上の候補プローブを標的核酸配列を含む第一の組成物とハイブリダイズさせ;
    b)各候補プローブに対する第一のハイブリダイゼーションシグナルを測定し;
    c)3以上の候補プローブを標的核酸配列を含む第二の組成物とハイブリダイズさせ;
    d)各候補プローブに対する第二のハイブリダイゼーションシグナルを測定し;
    e)各候補プローブに対して第二のハイブリダイゼーションシグナルに対する第一のハイブリダイゼーションシグナルのハイブリダイゼーションシグナル比を計算し;
    f)3以上の候補プローブに対する平均ハイブリダイゼーションシグナル比を計算し;
    g)候補プローブのハイブリダイゼーションシグナル比と平均ハイブリダイゼーションシグナル比を比較することにより候補プローブを選択するステップを含んでなる方法。
  • 標的核酸がcDNAを含む、請求項1に記載の方法。
  • cDNAが哺乳類細胞に由来する、請求項2に記載の方法。
  • 哺乳類細胞がラット細胞である、請求項3に記載の方法。
  • 哺乳類細胞がヒト細胞である、請求項3に記載の方法。
  • 標的核酸がゲノムDNAを含む、請求項1に記載の方法。
  • ゲノムDNAが哺乳類細胞に由来する、請求項6に記載の方法。
  • 哺乳類細胞がラット細胞である、請求項7に記載の方法。
  • 哺乳類細胞がヒト細胞である、請求項7に記載の方法。
  • 標的核酸がRNAを含む、請求項1に記載の方法。
  • RNAが哺乳類細胞に由来する、請求項10に記載の方法。
  • 哺乳類細胞がラット細胞である、請求項11に記載の方法。
  • 哺乳類細胞がヒト細胞である、請求項11に記載の方法。
  • 標的核酸が原核生物に由来する、請求項1に記載の方法。
  • 標的核酸がウイルスに由来する、請求項1に記載の方法。
  • 3以上の候補プローブが標的配列に相補的な核酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
  • 3以上の候補プローブが発現配列または発現配列の相補物に相補的な核酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
  • 発現配列が哺乳類発現配列を含む、請求項17に記載の方法。
  • 哺乳類発現配列がラット発現配列である、請求項18に記載の方法。
  • 哺乳類発現配列がヒト発現配列である、請求項18に記載の方法。
  • 3以上の候補プローブがゲノム核酸配列に相補的な核酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
  • 3以上の候補プローブがウイルス核酸配列またはウイルス核酸配列の相補物に相補的な核酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
  • 3以上の候補プローブが標的配列の少なくとも15の連続するヌクレオチドに相補的な核酸配列を含む候補プローブを含む、請求項1に記載の方法。
  • 3以上の候補プローブの各々が標的配列の少なくとも15の連続するヌクレオチドに相補的な核酸配列を含む、請求項23に記載の方法。
  • 3以上の候補プローブが標的配列の少なくとも30の連続するヌクレオチドに相補的な核酸配列を含む候補プローブを含む、請求項1に記載の方法。
  • 3以上の候補プローブの各々が標的配列の少なくとも30の連続するヌクレオチドに相補的な核酸配列を含む、請求項25に記載の方法。
  • 3以上の候補プローブが標的配列の100未満の連続するヌクレオチドに相補的な核酸配列を含む候補プローブを含む、請求項23に記載の方法。
  • 3以上の候補プローブが標的配列の100未満の連続するヌクレオチドに相補的な核酸配列を含む候補プローブを含む、請求項25に記載の方法。
  • 核酸アレイが3以上の候補プローブを含む、請求項1に記載の方法。
  • 第一の組成物および第二の組成物がある濃度の標的配列を含み、第一の組成物内での濃度と第二の組成物内での濃度とが異なる、請求項1に記載の方法。
  • 第一の組成物が、第二の組成物が由来するものとは異なる組織種に由来する、請求項30に記載の方法。
  • 第一の組成物および第二の組成物がある増殖条件において増殖する細胞種に由来し、第一の組成物が由来する増殖条件と第二の組成物が由来する増殖条件が異なる、請求項30に記載の方法。
  • 第一の組成物および第二の組成物が1以上の細胞に由来する、異なる濃度の原組成物を含む、請求項30に記載の方法。
  • ハイブリダイゼーションがストリンジェント条件を含む、請求項1に記載の方法。
  • 標的核酸が検出可能な部分を含む、請求項1に記載の方法。
  • 標的核酸が結合対の第一のパートナーを含む、請求項1に記載の方法。
  • 結合対の第二のパートナーが標識を含む、請求項36に記載の方法。
  • 第一のパートナーがビオチンを含む、請求項36に記載の方法。
  • 第二のパートナーがビオチンを含む、請求項37に記載の方法。
  • 第一のハイブリダイゼーションシグナルの測定が、第一の組成物とハイブリダイズした候補プローブに対する1を超えるハイブリダイゼーションシグナルの平均を求めることを含む、請求項1に記載の方法。
  • 第二のハイブリダイゼーションシグナルの測定が、第二の組成物とハイブリダイズした候補プローブに対する1を超えるハイブリダイゼーションシグナルの平均を求めることを含む、請求項1に記載の方法。
  • c1)3以上の候補プローブを標的核酸配列を含む第三の組成物とハイブリダイズさせ;
    d1)各候補プローブに対する第三のハイブリダイゼーションシグナルを測定し;
    e1)各候補プローブに対して第三のハイブリダイゼーションシグナルと第一のハイブリダイゼーションシグナルの第二のハイブリダイゼーションシグナル比を計算し;
    f1)3以上の候補プローブに対する第二の平均ハイブリダイゼーションシグナル比を計算し;
    g1)候補プローブの第二のハイブリダイゼーションシグナル比と第二の平均ハイブリダイゼーションシグナル比を比較することにより候補プローブを選択するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  • 選択が、候補プローブのハイブリダイゼーションシグナル比および第二のハイブリダイゼーションシグナル比と平均ハイブリダイゼーションシグナル比および第二の平均ハイブリダイゼーションシグナル比を比較することにより候補プローブを選択することを含む、請求項42に記載の方法。
  • e2)各候補プローブに対して第三のハイブリダイゼーションシグナルに対する第二のハイブリダイゼーションシグナルの第三のハイブリダイゼーションシグナル比を計算し、
    f2)3以上の候補プローブに対する第三の平均ハイブリダイゼーションシグナル比を計算するステップをさらに含む、請求項42に記載の方法。
  • 選択が、候補プローブのハイブリダイゼーションシグナル比、第二のハイブリダイゼーションシグナル比および第三のハイブリダイゼーションシグナル比と平均ハイブリダイゼーションシグナル比、第二の平均ハイブリダイゼーションシグナル比および第三の平均ハイブリダイゼーションシグナル比を比較することにより候補プローブを選択することを含む、請求項44に記載の方法。
  • 選択が、平均ハイブリダイゼーションシグナル比に最も近いハイブリダイゼーションシグナル比を有する候補プローブを選択することを含む、請求項1に記載の方法。
  • 選択が、第二の平均ハイブリダイゼーションシグナル比に最も近い第二のハイブリダイゼーションシグナル比を有する候補プローブを選択することを含む、請求項42に記載の方法。
  • 選択が、平均ハイブリダイゼーションシグナル比および第二の平均ハイブリダイゼーションシグナル比に最も近いハイブリダイゼーションシグナル比および第二のハイブリダイゼーションシグナル比を有する候補プローブを選択することを含む、請求項43に記載の方法。
  • 選択が、平均ハイブリダイゼーションシグナル比、第二の平均ハイブリダイゼーションシグナル比および第三の平均ハイブリダイゼーションシグナル比に最も近いハイブリダイゼーションシグナル比、第二のハイブリダイゼーションシグナル比および第三のハイブリダイゼーションシグナル比を有する候補プローブを選択することを含む、請求項45に記載の方法。
  • 第一の組成物が第一の濃度の標的核酸配列を含み、第二の組成物が第二の濃度の標的核酸配列を含み、その方法がステップf)の代わりに、第二の濃度の標的核酸に対する第一の濃度の標的核酸の濃度比を計算するステップ、およびステップg)の代わりに、候補プローブのハイブリダイゼーションシグナル比と濃度比を比較することにより候補プローブを選択するステップを含む、請求項1に記載の方法。
  • 選択が、その濃度比に最も近いハイブリダイゼーションシグナル比を有する候補プローブを選択することを含む、請求項66に記載の方法。
  • a)ある核酸配列を含む3以上の候補プローブを標的核酸配列を含む第一の組成物とハイブリダイズさせ;
    b)各候補プローブに対する第一のハイブリダイゼーションシグナルを測定し;
    c)3以上の候補プローブを標的核酸配列を含む第二の組成物とハイブリダイズさせ;
    d)各候補プローブに対する第二のハイブリダイゼーションシグナルを測定し;
    e)各候補プローブに対して第二のハイブリダイゼーションシグナルに対する第一のハイブリダイゼーションシグナルのハイブリダイゼーションシグナル比を計算し;
    f)3以上の候補プローブに対する平均ハイブリダイゼーションシグナル比を計算し;
    g)候補プローブのハイブリダイゼーションシグナル比と平均ハイブリダイゼーションシグナル比を比較することにより候補プローブを選択して第一のプローブを得;
    h)第一のプローブの核酸配列を含むプローブを含むオリゴヌクレオチドアレイを構築するステップを含む、オリゴヌクレオチドアレイの作製方法。
  • 第二の標的配列および第二の候補プローブを用いてステップa)〜g)を繰り返して第二のプローブを得、第一のプローブおよび第二のプローブを含む核酸アレイを構築する、請求項52に記載の方法。
  • 選択が、平均ハイブリダイゼーションシグナル比に最も近いハイブリダイゼーションシグナル比を有する候補プローブを選択することを含む、請求項52に記載の方法。
  • 10の異なるヒト遺伝子に対する少なくとも10のプローブ(なお、このプローブは請求項1に記載の方法を用いて選択されたものである)を含む、オリゴヌクレオチドアレイ。
  • 100の異なるヒト遺伝子に対する少なくとも100のプローブ(なお、このプローブは請求項1に記載の方法を用いて選択されたものである)を含む、請求項55に記載のオリゴヌクレオチドアレイ。
  • 1000の異なるヒト遺伝子に対する少なくとも1000のプローブ(なお、このプローブは請求項1に記載の方法を用いて選択されたものである)を含む、請求項56に記載のオリゴヌクレオチドアレイ。
  • 5000の異なるヒト遺伝子に対する少なくとも5000のプローブ(なお、このプローブは請求項1に記載の方法を用いて選択されたものである)を含む、請求項57に記載のオリゴヌクレオチドアレイ。
  • 10000の異なるヒト遺伝子に対する少なくとも10000のプローブ(なお、このプローブは請求項1に記載の方法を用いて選択されたものである)を含む、請求項58に記載のオリゴヌクレオチドアレイ。
  • アレイの全プローブが異なる遺伝子を表す、請求項55に記載のオリゴヌクレオチドアレイ。
  • アレイの全プローブが異なる遺伝子を表す、請求項58に記載のオリゴヌクレオチドアレイ。
  • あるソース内のある遺伝子の発現を解析する方法であって、
    a)そのソースに由来する核酸組成物を、その遺伝子を表すプローブを含む請求項47のオリゴヌクレオチドアレイとハイブリダイズさせ;
    b)組成物内の核酸とその遺伝子を表すプローブとのハイブリダイゼーションを判定し、組成物内の核酸とその遺伝子を表すプローブとのハイブリダイゼーションがそのソース内でのその遺伝子の発現を示すことを含む、方法。
  • 少なくとも10の遺伝子の発現が解析される、請求項62に記載の方法。
  • 少なくとも100の遺伝子の発現が解析される、請求項63に記載の方法。
  • 少なくとも1000の遺伝子の発現が解析される、請求項64に記載の方法。
  • 少なくとも5000の遺伝子の発現が解析される、請求項65に記載の方法。
  • 少なくとも10000の遺伝子の発現が解析される、請求項66に記載の方法。
  • 说明书全文

    【0001】
    関連事件情報本願は、全開示内容が出典明示により本明細書の一部とする2001年3月22日出願の米国仮出願60/278,074の優先権を主張するものである。
    【0002】
    背景技術オリゴヌクレオチドアレイは基質の特定の領域に対して公知の核酸配列のプローブを含み、この各領域は異なる核酸配列のプローブを含む。 標的核酸分子(例えば、細胞由来のmRNAまたはcDNA)を含む組成物は、誤対合なく相補するプローブと標的核酸分子のハイブリダイゼーションに好適な条件下でアレイのプローブとのハイブリダイゼーションを可能とする。 ハイブリダイズしなかった標的核酸は洗浄され、ハイブリダイゼーションが検出される。
    【0003】
    標的分子は通常、蛍光団などの検出可能な分子で標識される。 標的核酸の存在(従ってハイブリダイゼーション)は検出可能な分子の検出により判定することができる。 アレイの各領域におけるプローブの核酸配列は既知であるので、ある領域内でハイブリダイゼーションが検出されれば、その組成物がそのプローブと相補性を有する標的核酸を含んでいたことが示される。 またある状況では、検出のレベルが標的核酸の濃度と相関する。
    【0004】
    遺伝子発現プロファイリングは標的発見、遺伝子機能の解明、薬物標的の同定および毒性プロファイリングのための有な手段である。 オリゴヌクレオチドアレイはこれら各問題を高い特異性で迅速に問い合わせることを可能とし、クローンの追跡や操作の必要性、および先行的なPCR調製や精製の必要がなくなる。 オリゴヌクレオチドアレイを用いた遺伝子発現プロファイリングを正確に行うために、その遺伝子と相補的な1以上のプローブがアレイに供される。
    【0005】
    これらのプローブは一般にその遺伝子の全核酸配列を含み得ないような長さであることから、遺伝子の一部にのみ相補的なプローブを選択しなければならない。 選択されたプローブは遺伝子の発現レベルを正確に示し得ることが好ましい。 オリゴヌクレオチド配列の違いやハイブリダイゼーション速度および熱力学から派生する問題により、標的核酸の濃度が等しくとも全てのプローブが同じハイブリダイゼーションシグナルを示すとは限らない。 特異性と精度を高めるためにアレイ内には1つの遺伝子に対して複数のプローブが含まれていることが多い。
    【0006】
    しかし、重要なことに、合成後共有結合スキームを用いた場合、コストを低く維持して遺伝子密度を高くし、1つのアレイで分析できる遺伝子を多くするためには、遺伝子当たりに割り当てるプローブの数を限定することに帰着する。 ほとんどの企業がこのプローブ数の限定というところに帰着しているが、その機構は迅速型と呼ばれる方法によるものであり、プローブのスーパーセットを作製し、意図する標的とハイブリダイズさせ、最も高いハイブリダイゼーションシグナルを示したものを選択する。 Lockhart et al.は米国特許第6,040,138号でこのような方法を記載している。 その特許では、標的配列に対して多数の候補プローブを試験して、どのプローブが最も強いシグナルを示したかを調べる。 標的の不在下であっても高いバックグラウンドシグナルを示すプローブを説明する試みとして、Lockhart et al.はこのプローブシグナルと、標的配列との1つの誤対合を含むように構築した第二のプローブから得られたシグナルとを比較する。 この誤対合プローブで得られたシグナルをあるパーセンテージで超えるシグナルを有するプローブだけを用いる。 Lockhart et al.は、アレイにおいてある標的配列に対する複数のプローブを用いて、ある濃度範囲にわたる遺伝子の発現レベルを正確に決定することを記載している。
    【0007】
    アレイは各遺伝子に対してプローブを1つだけ含み、なお正確な示差的遺伝子発現プロフィールを示し得るというのが理想的である。 ある濃度の意図した標的で最高のハイブリダイゼーションシグナルを示すプローブ(迅速型によって選択)が常に正確な遺伝子発現プロフィールを示すとは限らず、サンプルが異なれば意図した標的の量が異なったり、あるいは構造が異なったりするので、各遺伝子に対してプローブを1つだけ含み、なお、遺伝子の発現レベルに変動を示し得るアレイが必要である。
    【0008】
    発明の簡単な要約ある好ましい実施形態では、本発明は、各遺伝子に対してプローブを1つだけ含み、なお、各遺伝子の相対的発現レベルを正確に示し得るオリゴヌクレオチドアレイを含む。 最高のシグナルを示すプローブを選択する迅速型の方法ではなく、本発明はむしろ本明細書で比率に基づく形式と呼ばれる新規なプローブ選択法を含む。
    【0009】
    比率に基づく形式では、そのプローブが高いまたは低いハイブリダイゼーションシグナルを示すかどうかは決定できない。 そうではなく、候補プローブを種々の濃度の標的配列と接触させることから得られたハイブリダイゼーションシグナルの比を計算する。 ハイブリダイゼーションシグナル比は、ある標的配列に対するさらに2以上の候補プローブについても計算する。 ある実施形態では、次に、全てのハイブリダイゼーションシグナル比の平均値を求め、あるプローブのハイブリダイゼーションシグナル比とハイブリダイゼーションシグナル比の平均値を比較することによりプローブを選択する。 ハイブリダイゼーションシグナル比の平均値に最も近いハイブリダイゼーションシグナル比を有するプローブを選択するのが好ましい。 他の実施形態では、濃度比を計算し、あるプローブのハイブリダイゼーションシグナル比とその濃度比を比較することによりプローブを選択する。 その濃度比に最も近いハイブリダイゼーションシグナル比を有するプローブを選択するのが好ましい。
    【0010】
    定義「核酸」または「核酸分子」とは、一本鎖または二本鎖型いずれかのデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドポリマーをさす。 このような核酸は、特に断りのない限り、天然に存在するヌクレオチドと同じ様式で働き得る天然ヌクレオチドの公知の類似体(例えば、タンパク質核酸)を含む。
    【0011】
    「オリゴヌクレオチド」とは、2〜500塩基長の範囲の一本鎖核酸をさす。
    【0012】
    「プローブ」とは、1種以上の化学結合、通常は相補的塩基対合であるワトソン・クリックの塩基対合によって相補的配列の標的核酸と結合し得るオリゴヌクレオチドをさす。 本明細書においてオリゴヌクレオチドプローブは天然塩基(すなわち、A、G、CまたはT)または修飾塩基(7-デアザグアノシン、イノシンなど)を含み得る。 さらに、オリゴヌクレオチドプローブの塩基は、ハイブリダイゼーションの妨げとならない限り、ホスホジエステル結合以外の結合によって連結されていてもよい。 従って、オリゴヌクレオチドプローブは、その構成塩基がホスホジエステル結合以外のペプチド結合によって連結されているペプチド核酸であってもよい。
    【0013】
    「標的核酸配列」とは、オリゴヌクレオチドプローブが特異的にハイブリダイズするように設計されている核酸(生体サンプルに由来する場合が多い)をさす。 標的核酸は標的に向けられた候補プローブの核酸配列に相補的な配列を有する。 標的核酸とは、プローブが向けられているより大きな核酸の特定の部分配列(例えば、選択的にスプライシングされるエキソン)、またはその発現レベルの検出が望まれる配列全体(例えば、遺伝子またはmRNA)をさし得る。 用途の違いは本明細書から明らかとなる。
    【0014】
    「候補プローブ」とは、特定の標的核酸配列と相補的なオリゴヌクレオチドプローブのいずれもをさす。 候補プローブは標的配列が異なれば異なる。
    【0015】
    本明細書において「ハイブリダイズする」とは、ストリンジェントな条件下で候補プローブを核酸を含む組成物とともにインキュベートするプロセスをさす。 「ストリンジェントな条件」とは、プローブがその標的部分配列とハイブリダイズするが、その他の配列とは弱くしか、または全くハイブリダイズしないような条件をさす。 「ハイブリダイズ」とは、2つの核酸が互いに相補的塩基対合を形成することを意味する。 ストリンジェントな条件は配列依存性であり、長さ依存性であって、環境が異なれば異なり得る。 長い配列ほどより高い温度で特異的にハイブリダイズする。 一般にストリンジェントな条件は所定のイオン強度およびpH下では、特定の配列の融点(Tm)よりも約5℃低いように選択する。 Tmは、平衡状態で、標的配列と相補的なプローブの50%が標的配列とハイブリダイズする温度(所定のイオン強度、pH、および核酸濃度下)である(一般にプローブ配列は過剰に存在するので、Tmにおいては、平衡状態で50%の標的が占有される)。 一般にストリンジェントな条件は、pH7.0〜8.3で塩濃度が少なくとも約0.01〜1.0MのNaイオン濃度(またはその他の塩)であり、短いプローブでは温度が少なくとも約30℃(例えば、10〜50ヌクレオチド)である。 また、ストリンジェントな条件はホルムアミドなどの不安定化剤を添加することで達成してもよい。
    【0016】
    本明細書において「発現配列」とは、mRNAまたはリボゾームRNAなど、細胞内で転写される核酸配列をさす。
    【0017】
    本明細書において「結合対」とは、高い親和性で物理的に相互作用し得る2つの分子をさす。 結合対の例としては、限定されるものではないが、抗体-抗原、アビジン(ストレプトアビジン)-ビオチン、および受容体-リガンドが挙げられる。 明確にするために言うと、結合対はプローブと標的核酸配列をさすものではない。
    【0018】
    発明の詳細な記載本発明は標的配列(例えば遺伝子)に対するプローブ、特に高密度オリゴヌクレオチドアレイで用いるためのプローブを選択する方法を提供する。 本方法は広範囲の濃度にわたって組成物内の標的配列の量を正確に測定することができるプローブを提供し、1つの遺伝子につき複数のプローブを使用することが避けられる。 従ってこのようなプローブは1つのプローブだけを用いて、細胞または細胞群内のある遺伝子の発現を正確に解析する方法に有用である。 本発明はまた1つの遺伝子につきプローブ1つだけを用いて、細胞または細胞群内の多くの遺伝子の発現を同時に正確に解析するのに有用なかかるプローブを含むオリゴヌクレオチドアレイも提供する。
    【0019】
    本発明は標的核酸配列に対するプローブを選択する方法を提供する。 ある実施形態では、3以上の候補プローブを、標的核酸を含む第一の組成物とハイブリダイズさせる。 次に、各候補プローブに大して第一のハイブリダイゼーションシグナルを測定する(このハイブリダイゼーションシグナルの測定を各候補プローブに対して数回繰り返してもよく、この方法の後のステップにおいて、全ての測定値の平均を用いてもよい)。 次に、これらの候補プローブを、標的核酸を含む第二の組成物とハイブリダイズさせ、第二のハイブリダイゼーションシグナルを測定する。 次に、各候補プローブに対してハイブリダイゼーションシグナル比を計算する。 この比は、候補プローブに対しての第二のハイブリダイゼーションシグナルに対する第一のハイブリダイゼーションシグナルの比である。 次に、全ての候補プローブから、これらのハイブリダイゼーションシグナル比の平均をとる。 次に、どの候補プローブが標的配列に対する適当なプローブであるか選択するため、各候補プローブからのハイブリダイゼーションシグナル比と平均ハイブリダイゼーションシグナル比とを比較する。 ある好ましい実施形態では、平均ハイブリダイゼーションシグナル比に最も近いハイブリダイゼーションシグナル比を有する候補プローブを選択する。
    【0020】
    もう1つの実施形態では、上記の方法は、候補プローブを標的核酸を含む第三の組成物と接触させ、各候補プローブに対する第三のハイブリダイゼーションシグナルを測定し、各候補プローブに対して第二のハイブリダイゼーションシグナル比(第三のハイブリダイゼーションシグナルに対する第一のハイブリダイゼーションシグナル)または第三のハイブリダイゼーションシグナル比(第三のハイブリダイゼーションシグナルに対する第二のハイブリダイゼーションシグナル)を計算し、その3以上の候補プローブに対する第二の平均ハイブリダイゼーションシグナル比(またはその3以上の候補プローブに対する第三の平均ハイブリダイゼーションシグナル比)を計算し、候補プローブの第二のハイブリダイゼーションシグナル比と第二の平均ハイブリダイゼーションシグナル比を比較することにより(または候補プローブの第三のハイブリダイゼーションシグナル比と第三の平均ハイブリダイゼーションシグナル比を比較することにより)適当なプローブを選択することをさらに含む。 ある好ましい実施形態では、第二の平均ハイブリダイゼーションシグナル比に最も近い第二のハイブリダイゼーションシグナル比を有する候補プローブ(または第三の平均ハイブリダイゼーションシグナル比と最も近い第三のハイブリダイゼーションシグナル比を有する候補プローブ)を選択する。
    【0021】
    より好ましい実施形態では、候補プローブのハイブリダイゼーションシグナル比および第二のハイブリダイゼーションシグナル比と、平均ハイブリダイゼーションシグナル比および第二の平均ハイブリダイゼーションシグナル比を比較することにより適当な候補プローブを選択する。 いっそう好ましい実施形態では、平均ハイブリダイゼーションシグナル比および第二の平均ハイブリダイゼーションシグナル比に最も近いハイブリダイゼーションシグナル比および第二のハイブリダイゼーションシグナル比を有する候補プローブを選択する。 なおいっそう好ましい実施形態では、平均ハイブリダイゼーションシグナル比、第二の平均ハイブリダイゼーションシグナル比および第三の平均ハイブリダイゼーションシグナル比にそれぞれ最も近いハイブリダイゼーションシグナル比、第二のハイブリダイゼーションシグナル比および第三のハイブリダイゼーションシグナル比を有する候補プローブを選択する。
    【0022】
    このプロセスを第4の組成物、第5の組成物、第6の組成物などを用いて繰り返して、さらなるハイブリダイゼーションシグナル比および平均シグナル比を得てもよい。
    【0023】
    もう1つの実施形態では、第一の組成物および第二の組成物内の標的核酸の相対濃度が既知である。 これにより濃度比(第二の組成物の標的核酸の相対濃度に対する第一の組成物の標的核酸の相対濃度)の計算が可能となる。 適当なプローブを選択するには、次にこの濃度比を、候補プローブを第一の組成物とハイブリダイズさせて第一のハイブリダイゼーションシグナルを測定し、候補プローブを第二の組成物とハイブリダイズさせて第二のハイブリダイゼーションシグナルを測定し、第二のハイブリダイゼーションシグナルに対する第一のハイブリダイゼーションシグナルの比を計算することにより計算した候補プローブのハイブリダイゼーションシグナル比と比較する。 ある好ましい実施形態では、その濃度比に最も近いハイブリダイゼーションシグナル比を有するプローブを選択する。
    【0024】
    標的核酸は実質的にいずれの核酸配列であってもよく、RNAでもDNAでも、二本鎖でも一本鎖でもよい。 標的核酸はプロモーターやエンハンサーなどのゲノムの非発現領域であってもよい。 あるいは、標的核酸は遺伝子やリボゾームRNAなどの発現配列であってもよい。 標的核酸は、原核生物、真核生物、古細菌およびウイルスをはじめ、実質的にいずれの起源のものでもよい。 好ましい実施形態では、真核生物は哺乳類、より好ましくはラット、いっそう好ましくはヒトである。 標的核酸があるソースに「由来する」という場合、その標的核酸が特定のソースから単離されていることを意味する。 従って、ヒト細胞由来のRNAとは、ヒト細胞から単離されたRNAである。 もちろん、例えばRNAからcDNAへの変換など、さらなる処理ステップを含んでもよい。 従って、ヒト細胞由来の標的核酸は、ヒト細胞からポリA + RNAを単離することから得られたcDNAであってもよい。
    【0025】
    標的核酸は通常はその配列に対するプローブの望ましい長さ、例えば30ntよりも長く、ある任意の標的核酸に対して多数の候補プローブが存在する。 試験する候補プローブの数の幅を狭くするためには、まず、定量的PCRまたは定量的ヌクレアーゼ保護アッセイによってプローブをバリデートすればよい。 ヒトゲノムデータベースまたは発現配列のデータベースなどの核酸データベースの検索において候補プローブの配列を用いて他の配列と重複するプローブをスクリーニングしてもよい。 さらに、特にmRNAから誘導されたcDNAの検出が望まれる方法では、候補プローブはcDNAの5'末端よりも3'末端に相補的であることが好ましい。 これはcDNA産生法では、それが由来するmRNAと比べて5'末端が切断されたcDNAを生じることが多いためである。
    【0026】
    標的配列の長さによって制限されること以外、実質的にいずれかの数の候補プローブを本発明の方法で用いてもよい。 好ましくは少なくとも3つの候補プローブを用いる。 より好ましくは、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10、またはそれを超えるプローブを用いる。 好ましい実施形態では、これらの候補プローブは配列が異なり、誤対合なく標的配列に相補的である。
    【0027】
    これらの候補プローブは約5〜約500ヌクレオチド、より好ましくは約10、約15、約20、または約25〜約30、約35、約40、約50、または約100ヌクレオチド長の範囲であってよい。 これらの候補プローブがオリゴヌクレオチドアレイ内にあってよい。
    【0028】
    標的核酸を含む組成物はいくつかのソースから作製してもよい。 例えば、組成物は特定の組織または細胞種に由来するものであってよい。 あるいは、組成物は特殊な増殖条件下での細胞増殖に由来するものであってもよい。 また、組成物は標的配列を含む原液を希釈することにより作製してもよい。 好ましい実施形態では、本発明の方法で用いる第一、第二またはそれ以上の組成物は異なる濃度の標的配列を含む。 例えば、第一の組成物はある組織種からのmRNAに由来し、第二の組成物は異なる組織種からのmRNAに由来するか;あるいは第一の組成物はある培養条件下で増殖した細胞からのmRNAに由来し、第二の組成物は第二の培養条件で増殖した細胞からのmRNAに由来する。 当業者ならば、本発明の方法で用いるための標的核酸を含む種々の組成物を作製することができる多くの方法があることが分かるであろう。
    【0029】
    標的核酸を含むこれらの組成物は候補プローブとハイブリダイズさせる。 ハイブリダイゼーションは、候補プローブと1以上の誤対合を含む配列が洗い流されるようなストリンジェント条件下にあることが好ましい。 以下に論じるように、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件をつくるには当技術分野で公知の多くの方法がある。 また、シグナル/ノイズ比を高めるために標的核酸を含む組成物を修飾し得る方法も公知である。
    【0030】
    ハイブリダイゼーションとその後の洗浄の後、候補プローブとハイブリダイズした標的核酸からハイブリダイゼーションシグナルが生じる必要がある。 一般にはこれは検出可能なマーカーまたは標識で標的核酸を標識することにより達成される。 ハイブリダイゼーションの前に標的核酸を標識してもよいし、ハイブリダイゼーションを行った後に標的核酸を標識してもよい。 例えば標的核酸をビオチニル化し、ハイブリダイゼーション後、標識、例えばフルオレセインと結合させたアビジンまたはストレプトアビジンと接触させればよい。 標的核酸を標識し得る方法、使用できる種々の標識、および標識を検出する方法は当技術分野で周知のものであり、以下で論じる。
    【0031】
    オリゴヌクレオチドアレイ本発明の方法によって選択されたプローブをオリゴヌクレオチドアレイに組み込んでもよい。 好ましい実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドアレイは標的配列(例えば、遺伝子または選択的スプライシング産物)につきプローブを1つだけ含み、アレイのプローブの少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%または100%が異なる標的配列に標的化されている。 また、本発明のアレイは本発明の方法によって選択された少なくとも10、少なくとも100、少なくとも1000、少なくとも5000、少なくとも10000、または少なくとも50000のプローブを含み得る。 いくつかの実施形態では、このアレイは単一の種に対するプローブを含む。 これらの種は、古細菌種、原核生物種、真核生物種、またはウイルス種をはじめ、いずれの種であってもよい。 好ましい真核生物種としてはラットまたはヒトなどの哺乳類が挙げられる。
    【0032】
    最小数の合成ステップでオリゴヌクレオチド、ペプチドおよびその他ポリマー配列の高密度アレイを形成する方法も知られている。 好ましい実施形態では、アレイのオリゴヌクレオチドをヒドロゲルに結合させる。 ヒドロゲルアレイを作製する方法は当技術分野で周知である。 ヒドロゲルアレイにオリゴヌクレオチドプローブを結合させる好ましい方法は2+2光環化付加反応(全開示内容が出典明示により本明細書の一部とされるWO 01/01143に開示)である。 あるより好ましい実施形態では、オリゴヌクレオチドは薄膜のNHS-エステルに結合させる(Yan et al., Bioconjug Chem 1994 Mar-Apr;5(2):151-7)。
    【0033】
    あるいは、オリゴヌクレオチドアレイは、限定されるものではないが、光により指定される化学結合および物理的に指定される結合をはじめとする種々の方法により、固相支持体上で合成することができる。 例えば光により指定される合成法を用いてペプチド、オリゴヌクレオチドおよびその他の分子の莫大なアレイを形成する方法を開示しているPirrung et al., 米国特許第5,143,854号(PCT出願WO 90/15070も参照)およびFodor et al., PCT出願WO 92/10092およびWO 93/09668を参照。 また、Fodor et al., Science, 251, 767-77 (1991)も参照。 ポリマーアレイを合成するためのこれらの手法は現在VLSIPS(商標)(very large scale immobilized polymer synthesis)法と呼ばれている。 VLSIPS(商標)のアプローチを用いると、あるヘテロなポリマーアレイが、いくつかの反応部位で同時に結合させることにより、異なるヘテロアレイへと変換される。 米国特許出願第07/796,243号および同第07/980,523号参照。
    【0034】
    要するに、自動ホスホルアミダイト化学とチップマスキング技術を用い、ガラス面上のオリゴヌクレオチドアレイの光指定コンビナトリアル合成を行う。 ある特定の実施では、ガラス面を、光に不安定な保護基によって遮断した例えば酸基またはアミン基などの官能基を含む生理食塩水試薬で誘導体化する。 フォトリトグラフマスクを介した光分解を選択的に用いて官能基を露出させ、次にこれは入ってきた5'光保護されたヌクレオシドホスホルアミダイトと容易に反応する。 このホスホルアミダイトは照射された(すなわち、光に不安定な遮断基の除去によって露出した)部位としか反応しない。 従って、ホスホルアミダイトは上記のステップから選択的に露出された領域にしか付加されない。 これらのステップを固相支持体上で目的の配列アレイが合成されるまで繰り返す。 アレイ上の異なる位置に異なるオリゴヌクレオチド類似体がコンビナトリアル合成されるというのは、合成の際の照射パターンおよび結合試薬の付加順序によって決まる。
    【0035】
    VLSIPS(商標)法でポリアミド主鎖を有するオリゴヌクレオチドを用いる場合、これらのモノマーはリン酸結合を介して互いに結合していないので、ホスホルアミダイト化学を用いて合成ステップを行うことは一般に適当でない。 ペプチド合成法がこの代わりとなる。 例えば、米国特許第5,143,854号参照。
    【0036】
    ポリアミド主鎖と天然ヌクレオシドで見られる塩基を含むペプチド(タンパク質)核酸は例えばBiosearch, Inc. (Bedford, Mass.)から市販されている。 ペプチド核酸は高い特異性で核酸と結合することができ、この開示の目的では「オリゴヌクレオチド」とみなされる。
    【0037】
    上記に加え、単一の基板上のオリゴヌクレオチドアレイを作製するために使用できるさらなる方法が当技術分野で公知である(例えば、PCT出願WO 93/09668参照)。 このような方法は、試薬を、(1)所定の領域に定められたチャネル内に流すか、または(2)所定の領域に「スポット」するかのいずれかにより基板に送達するアプリケーションを含む。 しかしながら、スポットと流入の組合せだけでなく他のアプローチも利用できる。 いずれの場合でも、モノマー溶液を種々の反応部位に送達した際、基板の特定の活性化領域を他の領域から物理的に分離する。
    【0038】
    本発明の化合物およびライブラリーに適用される典型的な「フローチャネル」法は一般に以下のように説明できる。 基板表面上に適当な試薬を流し込むか、適当な試薬を置いたフローチャネルを形成することで基板または固相支持体の選択された領域で多様なポリマー配列を合成する。 例えば、モノマー「A」が第一の選択領域群の基板に結合したと仮定する。 要すれば、選択領域の全てまたは一部の基板表面の全てまたは一部を、例えばそのチャネルの全てまたはいくつかに適当な試薬を流し込むか、または適当な試薬で基板全体を洗浄することにより結合のための活性化を行う。 基板の表面にチャネルブロックを置いた後、チャネルの全てまたはいくつかにモノマーAを含む試薬を流し込むか、または配置する。 これらのチャネルは第一の選択領域との液体接触を果たし、それにより第一の選択領域で基板上にモノマーAが直接または間接的に(スペーサーを介して)結合する。
    【0039】
    その後、第二の選択領域にモノマーBを結合させるが、このうちのいくらかは第一の選択領域に含まれてもよい。 この第二の選択領域は、基板表面上のチャネルブロックの平行移動、回転、または置き換えにより;または選択バルブの開閉により;または化学物質またはフォトレジストの層の付着により第二のフローチャネルと液体接触する。 要すれば、少なくとも第二の領域を活性化するためのステップを行う。 その後、この第二のフローチャネルにモノマーBを流し込むか、または配置して第二の選択場所にモノマーBを結合させる。 この特定の例では、結果としてこの処理段階で基板に結合した配列は例えばA、BおよびABとなる。 このプロセスを繰り返して、基板上の既知の場所に所望の長さの膨大な配列アレイを形成させる。
    【0040】
    基板を活性化した後、モノマーAをいくつかのチャネルに流し込み、モノマーBを別のチャネルに流し込み、モノマーCをまた別のチャネルに流し込むなどすることができる。 このような方法では、チャネルブロックを移動させる必要がある前に、あるいは基板を洗浄および/または再活性化する必要がある前に反応試薬の多くまたは全てをモノマーと反応させる。 利用可能な反応領域の多くまたは全てを同時に用いることで、洗浄および活性化ステップの回数を最小にすることができる。
    【0041】
    当業者ならば、チャネルを形成する選択的方法、あるいはまた基板表面の一部を保護する方法が存在することが分かるであろう。 例えば、いくつかの実施形態によれば、親水性または疎水性コーティング(溶媒の性質による)などの保護コーティングを保護する基板の部分に用いる(他の領域を反応溶液で湿らせる補助となる物質と組み合わせてもよい)。 このような方法ではさらに、流入溶液が指定の流路の外側を通ることを避けられる。
    【0042】
    本発明の化合物およびライブラリーを調製する「スポット」法はフローチャネル法とほぼ同じようにして実施することができる。 例えば、モノマーAは適宜活性化された第一の反応領域群に送達し、それらと結合させることができる。 その後、モノマーBを第二の活性化領域群に送達し、それらと反応させることができる。 上記のフローチャネルの実施例とは異なり、反応物は選択された領域に比較的少量を直接付着させる(流し込むのではない)ことによって送達する。 もちろん何段階かで基板の全表面をスプレーしてもよいし、あるいは溶液をコーティングしてもよい。 いくつかの実施形態では、ディスペンサーを領域から領域へと移動させ、停止する度にモノマーを必要なだけ分注する。 一般的なディスペンサーとしては基板にモノマー溶液を送達するマイクロピペット、および基板に対してマイクロピペットの位置を制御するロボットシステムが挙げられる。 その他の実施形態では、このようなディスペンサーは種々の試薬を反応領域へ同時に送達することができる一連のチューブ、マニホールド、ピペットアレイなどを含んでいる。
    【0043】
    ハイブリダイゼーション核酸ハイブリダイゼーションは単に、プローブとその相補的標的が相補的塩基対合により安定なハイブリッド二重らせんを形成し得る条件下で変性プローブおよび標的核酸を提供することを含む。 次にハイブリッド二重らせんを形成しない核酸を洗い流し、一般には結合させた検出可能な標識を検出することで検出するハイブリダイズ核酸を残す。 温度を引き上げるか、または核酸を含むバッファーの塩濃度を引き下げることで核酸を変性させることが一般に知られている。 低ストリンジェンシー条件下(例えば低温および/または高塩)では、アニーリングした配列が完全に相補的でなくともハイブリッド二重らせん(例えば、DNA:DNA、RNA:RNA、またはRNA:DNA)を形成する。 従って、ハイブリダイゼーションの特異性は低ストリンジェンシー条件下では低くなる。 逆に、高ストリンジェンシー(例えば、高温または低塩)では、ハイブリダイゼーションの成功には誤対合を減らす必要がある。
    【0044】
    当業者ならばハイブリダイゼーション条件がどんな程度のストリンジェンシーを与えるようにも選択することができることが分かるであろう。 ある好ましい実施形態では、ハイブリダイゼーションを確実にするため、低ストリンジェンシー(この場合、6X SSPE-T中、37℃(0.005% Triton X-100))でハイブリダイゼーションを行った後、誤対合したハイブリッド二重らせんを除去するため、高ストリンジェンシー(例えば、1X SSPE-T中、37℃)下で洗浄を行う。 目的のレベルのハイブリダイゼーション特異性が得られるまでストリンジェンシーを高めつつ(例えば、0.25X SSPE-Tといった低さまで落とし、37℃〜50℃)、連続洗浄を行ってもよい。 また、ストリンジェンシーはホルムアミドなどの薬剤を添加することでも高めることができる。 ハイブリダイゼーション特異性は、試験プローブに対するハイブリダイゼーションと、存在し得る種々の対照(例えば、発現レベル対照、ノーマライゼーション対照、誤対合対照など)に対するハイブリダイゼーションとを比較することにより評価できる。
    【0045】
    一般に、ハイブリダイゼーション特異性(ストリンジェンシー)とシグナル強度との間にはあるトレードオフが存在する。 よって、ある好ましい実施形態では、一貫した結果が得られ、かつ、バックグラウンド強度の約10%より大きなシグナル強度が得られる最も高いストリンジェンシーで洗浄を行う。 よって、ある好ましい実施形態では、ハイブリダイゼーションアレイを連続的に高くなるストリンジェント溶液で洗浄し、各洗浄の間に読みとってもよい。 このようにして得られたデータセットを解析することで、それを超えてもハイブリダイゼーションパターンが認めうるほどには変わらず、対象となる特定のオリゴヌクレオチドプローブに対する十分なシグナルが得られる洗浄ストリンジェンシーが明らかになる。
    【0046】
    いくつかの実施形態では、バックグラウンドシグナルは、ハイブリダイゼーションの際に界面活性剤(例えば、CTAB)またはブロッキング試薬(例えば、精子DNA、cot-1 DNAなど)を用いて非特異的結合を少なくすることにより小さくなる。 ある好ましい実施形態では、約0.5mg/ml DNA(例えば、ニシン精子DNA)の存在下でハイブリダイゼーションを行う。 ハイブリダイゼーションにおけるブロッキング剤の使用は当業者には周知である(例えば、P. Tijssen,上記のChapter 8参照)。
    【0047】
    RNAまたはDNA間で形成された二重らせんの安定性は一般に、液相ではRNA:RNA>RNA:DNA>DNA:DNAの順である。 長いプローブは標的との二重らせんの安定性が高いが、短いプローブより誤対合の識別が劣る(誤対合の識別とは、完全対合プローブと単一塩基誤対合プローブとの間で測定されたハイブリダイゼーションシグナル比をさす)。 短いプローブ(例えば、8量)は誤対合を極めてよく識別するが、二重らせん全体の安定性は低い。
    【0048】
    標的とプローブの間で形成された二重らせんの熱安定性(Tm)を例えば既知のオリゴヌクレオチドを用いて変更すると、二重らせんの安定性と誤対合の識別の至適化が可能となる。 1つにはアデニン-チミン(AT)二重らせんが一塩基対につき2つの水素結合を有するが、グアニン-シトシン(GC)二重らせんは一塩基対につき3つの水素結合を有しているため、AT二重らせんはGC二重らせんよりも低いTmを有するということから、Tmを変更する1つの有用な態様が浮かび上がる。 塩基の分布が不均一なヘテロオリゴヌクレオチドアレイでは、各オリゴヌクレオチドプローブのハイブリダイゼーションを同時に至適化することはできない。 よって、いくつかの実施形態では、GC二重らせんを選択的に不安定化させ、かつ/またはAT二重らせんの安定性を高めることが望ましい。 これは例えばGC二重らせんを形成するアレイのプローブのグアニン残基をヒポキサンチンで置換すること、またはAT二重らせんを形成するプローブのアデニン残基を2,6-ジアミノプリンで置換すること、またはNaClの代わりにテトラメチル塩化アンモニウム塩(TMACl)を用いることによって達成できる。
    【0049】
    オリゴヌクレオチドプローブを用いることで付与された二重らせんの安定性の変化は、例えば標的オリゴヌクレオチドとハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドアレイの蛍光シグナル強度を経時的に追跡することによって確認することができる。 このデータにより、例えば室温における特異的ハイブリダイゼーション条件を至適化することができる(将来的な簡易診断適用のため)。
    【0050】
    二重らせんの安定性の変化を確認するもう1つの方法として、ハイブリダイゼーションの際に生じるシグナル強度を経時的に追跡することによるものがある。 DNA標的とDNAチップを用いるこれまでの研究では、シグナル強度が経時的に上昇すること、および安定性の高い二重らせんほど、安定性の低い二重らせんより高いシグナル強度をより速く生じることが示されている。 一定の時間の後に全ての結合部位が占有されてしまうと、シグナルは平衡状態または「飽和」に達する。 これらのデータから、ハイブリダイゼーションの至適化および特定の温度での最適条件の決定が可能となる。
    【0051】
    ハイブリダイゼーションを至適化する方法は当業者には周知である(例えば、Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology, Vol. 24: Hybridization With Nucleic Acid Probes, P. Tijssen, ed. Elsevier, NY, (1993)参照)。
    【0052】
    シグナルの検出オリゴヌクレオチドアレイのプローブとハイブリダイズした標識標的(サンプル)核酸を検出する方法は当業者に公知である。 よって、例えば、比色標識を用いる場合、標識を単に可視化することで十分である。 放射性標識プローブを用いる場合、放射線を検出することで十分である(例えば、写真フィルムまたは固相デテクター)。
    【0053】
    しかし、ある好ましい実施形態では、標的核酸を蛍光標識で標識し、プローブアレイ上のその標識の位置決定は顕微鏡で行う。 特定の蛍光標識の励起波長の光源でハイブリダイズしたアレイを励起させ、その発光波長で生じた蛍光を検出する。 ある特に好ましい実施形態では、この励起光源は蛍光標識の励起に適当なレーザーである。
    【0054】
    共焦顕微鏡は、コンピューター制御のステージを用いて全アレイを自動スキャンするように自動化してもよい。 同様に、アレイ上の各オリゴヌクレオチドプローブとのハイブリダイゼーションによって生じた蛍光シグナルを自動で記録するように、顕微鏡に自動データ取得システムと接続した光変換装置(例えば、光電子増倍管、固相アレイ、ccdカメラなど)を備え付けてもよい。 このような自動システムは米国特許第5,143,854号およびPCT出願WO 92/10092に詳細に記載されている。
    【0055】
    シグナルの評価当業者ならば、ハイブリダイゼーション結果を評価する方法が用いる特定のプローブ核酸ならびに採用する対照の性質によって異なることが分かるであろう。 最も単純な実施形態では、各プローブに対する蛍光強度の単純な定量値を求める。 これは単に高密度アレイ上の各位置(異なるプローブに相当する)におけるプローブシグナル強度を測定することにより行う(例えば、標識が蛍光標識である場合、アレイ上の各位置で一定の励起照射によって生じた蛍光の量(強度)を検出する)。 「試験」サンプル由来の核酸とハイブリダイズしたアレイの絶対強度を「対照」サンプルによって生じた強度と比較することで各々のプローブとハイブリダイズする核酸の相対的発現が測定できる。
    【0056】
    しかしながら、当業者ならば、ハイブリダイゼーションシグナルの強度はハイブリダイゼーション効率、サンプル核酸上の標識の量、およびサンプル中の特定の核酸の量によって異なることが分かるであろう。 一般に、核酸が極めて低レベルでしか存在しない場合(例えば、<1pM)、非常に弱いシグナルを示す、いくつかの低レベル濃度においては、シグナルはバックグラウンドから実質的に識別できなくなる。 ハイブリダイゼーションデータを評価する上で、強度の閾値は、シグナルがバックグラウンドから実質的に識別できなくなるとみなされるものよりも低くなるように選択すればよい。
    【0057】
    低レベルでしか発現しない核酸を検出したい場合には、低い閾値を選択する。 逆に、高い発現レベルだけを評価する場合には、より高い閾値レベルを選択する。 いくつかの実施形態では、好適な閾値は平均バックグラウンドシグナルのものよりも約10%高い。 さらに、適当な対照を準備すれば、ハイブリダイゼーション条件、細胞の健康度、非特異的結合などの変動を制御したより詳細な解析が可能となる。 よって、例えば、ある好ましい実施形態では、ハイブリダイゼーションアレイをノーマライゼーション対照とともに提供する。 これらのノーマライゼーション対照は、既知濃度でサンプルに添加された対照配列と相補的なプローブである。 ハイブリダイゼーション条件が全体として不十分であれば、ノーマライゼーション対照はハイブリダイゼーションが低いことを反映した低いシグナルを示す。 逆に、ハイブリダイゼーション条件が良好であれば、このノーマライゼーション対照はハイブリダイゼーションの向上を反映した高いシグナルを示す。 従って、アレイ中の他のプローブに由来するシグナルをこのノーマライゼーション対照に対してノーマライゼーションすると、ハイブリダイゼーション条件の変動に対する対照が得られる。 一般に、ノーマライゼーションは、アレイ中の他のプローブ由来のシグナルの測定値をノーマライゼーション対照により生じたシグナルの平均値または中央値で割ることで行う。 ノーマライゼーション対照はまた、サンプル調製や増幅による変動の補正を含んでもよい。 このようなノーマライゼーションは、シグナル測定値をサンプル調製/増幅対照プローブ(例えば、Bio Bプローブ)由来のシグナル平均値で割ることで行う。 得られた値に常数を掛け、結果を評価する。
    【0058】
    本発明の好ましい高密度アレイは約100を超える、好ましくは約1000を超える、より好ましくは約5,000を超える、最も好ましくは約10,000を超える、あるいはまた約50,000といった数を超える異なるオリゴヌクレオチドプローブを含む。 これらのオリゴヌクレオチドプローブは約5〜約100ヌクレオチド長、より好ましくは約10、または約15、または約20、または約25〜約30、または約35、または約40、または約50ヌクレオチド長の範囲である。
    【0059】
    アレイ中の異なる各オリゴヌクレオチドプローブ配列の位置と配列は既知である。 さらに、多数の異なるプローブは比較的小面積を占め、一般的にはcm 2あたり約60を超える、より一般的には約100を超える、最も一般的には約600を超える、多くの場合には約1000を超える、より多くの場合には約5,000を超える、最も多くの場合には約10,000を超える、好ましくは約40,000を超える、より好ましくは約100,000を超える、最も好ましくは約400,000を超える異なるオリゴヌクレオチドプローブといったプローブ密度を有する高密度アレイを提供する。 アレイの表面積が小さいと(多くの場合には約10cm 2未満、好ましくは約5cm 2未満、より好ましくは約2cm 2未満、最も好ましくは約1.6cm 2未満)、極めて均一なハイブリダイゼーション条件が可能となる(温度調節、塩含量など)。
    【0060】
    本発明のオリゴヌクレオチドアレイには対照を含めてもよい。 例えば、含め得る対照としては、特定の遺伝子のバリエーション、または突然変異に対するプローブ、ハイブリダイゼーション条件全般の対照、サンプル調製条件の対照、核酸が由来する細胞の代謝活性の対照、および非特異的結合または交差ハイブリダイゼーションの誤対合対照が挙げられる。 対照は、細菌核酸配列またはビオチニル化した一般的な核酸配列に対応するプローブを含み得る。
    【0061】
    遺伝子発現モニタリング法本発明のオリゴヌクレオチドアレイは遺伝子発現モニタリング法に特に有用である。 本発明の方法によって選択されたプローブは、1つの遺伝子につきプローブ1つだけを用いて広範な遺伝子発現の正確な評価を可能とするので、多数の遺伝子の発現を同時に判定することができる。 同時にモニタリングできる遺伝子の数に対して制限となるのは、1つのアレイに配置して正確に読みとることができるプローブの数だけである。 よって、本発明のアレイを用い、少なくとも10、少なくとも100、少なくとも1,000、少なくとも5,000、少なくとも10,000、少なくとも15,000、少なくとも20,000、少なくとも25,000、少なくとも30,000、少なくとも40,000、または少なくとも50,000の遺伝子を同時にモニタリングし得る。
    【0062】
    オリゴヌクレオチドアレイを用いて遺伝子発現をモニタリングする方法は当技術分野で周知である。 全開示内容が出典明示により本明細書の一部とされる米国特許第6, 040,138号においてLockhart et al.は多数の遺伝子の発現を解析するためのオリゴヌクレオチドアレイの使用およびこのようなアレイの構築を記載している。 当業者ならば、本発明の方法によって選択されたプローブがLockhart et al.が記載しているプローブ、または他のいずれかのオリゴヌクレオチドアレイで容易に置き換えられ、本明細書に記載のような遺伝子発現解析で使用できることが分かるであろう。
    【0063】
    一般に本発明の遺伝子発現をモニタリングする方法は、(1)1以上の標的遺伝子のRNA転写物、またはそのRNA転写物に由来する核酸を含む標的核酸のプールを準備し、(2)その核酸サンプルをプローブの高密度アレイ(対照プローブを含む)とハイブリダイズさせ、(3)ハイブリダイズした核酸を検出し、相対的発現(転写)レベルを計算することを含む。
    【0064】
    核酸サンプルの準備当業者ならば、遺伝子の転写レベル(およびそれによる発現レベル)を測定するために、その遺伝子のmRNA転写物、またはそのmRNA転写物に由来する核酸を含む核酸サンプルを準備することが望ましいことが分かるであろう。 本明細書において、mRNA転写物由来の核酸とは、その合成のためにmRNA転写物またはその部分配列が結局のところ鋳型として働いた核酸をさす。 よって、あるmRNAから逆転写されたcDNA、そのcDNAから転写されたRNA、そのcDNAから増幅されたDNA、その増幅DNAから転写されたRNAなどは全てそのmRNAに由来するものであり、このような誘導産物が検出されると、サンプル中にもとの転写物が存在すること、および/またはその量が示される。 よって、好適なサンプルとしては、限定されるものではないが、その遺伝子のmRNA転写物、そのmRNAから逆転写されたcDNA、そのcDNAから転写されたcRNA、その遺伝子から増幅されたDNA、増幅されたDNAから転写されたRNAなどが挙げられる。
    【0065】
    ある特に好ましい実施形態では、サンプル中の1以上の遺伝子の転写レベル(およびそれによる発現レベル)を定量したい場合、遺伝子のmRNA転写物の濃度、またはそのmRNA転写物由来の核酸の濃度はその遺伝子の転写レベル(および従って発現レベル)に比例する。 同様に、ハイブリダイゼーションシグナル強度はハイブリダイズした核酸の量に比例することが望ましい。 この比例は比較的厳格(例えば、転写速度が二倍になるとサンプル核酸プール中のmRNA転写物が二倍となり、ハイブリダイゼーションシグナルが二倍となる)であることが好ましいが、当業者ならば、この比例がもっと緩やかであっても、また非線形であってもよいことが分かるであろう。 よって、例えば、大抵の目的では、標的mRNAの濃度が5倍違うとハイブリダイゼーション強度が3〜6倍違うアッセイで十分である。 もっと正確な定量が必要な場合には、本明細書に記載のようなサンプル調製やハイブリダイゼーションに持ち込まれる変動を補正するため、適当な対照を実施すればよい。 さらに、一連の希釈率の「標準」標的mRNAsを用い、当業者に周知の方法に従って較正曲線を作製することもできる。 もちろん、転写物の有無のような単純な検出が望まれる場合には、精密な対照または較正の必要はない。
    【0066】
    最も簡単な実施形態では、このような核酸サンプルは生体サンプルから単離されたmRNAである。 本明細書において「生体サンプル」とは、生物または生物の成分(例えば細胞)由来のサンプルをさす。 このサンプルはいずれの生体組織または体液であってもよい。 このサンプルは多くの場合、患者由来のサンプルである「臨床サンプル」である。 このようなサンプルとしては、限定されるものではないが、唾液、血液、血球(例えば、白血球)、組織または穿刺生検サンプル、尿、腹水、および胸膜液、またはそれ由来の細胞が挙げられる。 また生体サンプルには組織学的目的で採取した凍結切片などの組織切片を含み得る。
    【0067】
    核酸(ゲノムDNAまたはmRNAのいずれか)は当業者に周知の多くの方法のいずれかに従ってサンプルから単離すればよい。 当業者ならば、遺伝子のコピー数の変化を検出する場合にはゲノムDNAを単離するのが好ましいことが分かるであろう。 逆に、遺伝子の発現レベルを検出する場合にはRNA(mRNA)を単離するのが好ましい。
    【0068】
    全mRNAを単離する方法は当業者に周知である。 例えば、核酸の単離および精製方法は、Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology: Hybridization With Nucleic Acid Probes, Part I. Theory and Nucleic Acid Preparation, Chapter 3, P. Tijssen, ed. Elsevier, NY (1993)に詳細に記載されている。
    【0069】
    ある実施形態では、例えば酸グアニジウム-フェノール-クロロホルム抽出法を用いて所定のサンプルから全核酸を単離し、オリゴdTカラムクロマトグラフィーまたは(dT)n磁気ビーズ(例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual (2nd ed.), Vols. 1-3, Cold Spring Harbor Laboratory, (1989)またはCurrent Protocols in Molecular Biology, F. Ausubel et al., ed. Greene Publishing and Wiley-Interscience, New York (1987)参照)を用いてポリA + mRNAを単離する。
    【0070】
    多くの場合、ハイブリダイゼーション前に核酸サンプルを増幅することが望ましい。 当業者ならば、どんな増幅法を用いる場合でも、定量結果を望む場合には、増幅された核酸の相対頻度を維持または制御する方法を用いるように留意しなければならないことが分かるであろう。
    【0071】
    「定量的」増幅方法は当業者に周知である。 例えば、定量的PCRは、同じプライマーを用いて既知量の対照配列を同時に増幅させることを含む。 これはPCR反応の較正に用い得る内部標準となる。 そして、オリゴヌクレオチドアレイが、増幅された核酸の定量のためのその内部標準に特異的なプローブを含めばよい。
    【0072】
    1つの内部標準として合成AW106 cRNAがある。 このAW106 cRNAは当業者に公知の標準的な技術に従ってサンプルから単離されたRNAと合わせる。 次に、このRNAを逆転写酵素を用いて逆転写させてコピーDNAを得る。 次に、このcDNA配列を標識プライマーを用いて増幅させる(例えば、PCRによる)。 増幅産物を一般には電気泳動を用いて分離し、放射活性の量(増幅産物の量に比例する)を測定する。 次に、サンプル中のmRNAの量を、既知のAW106 RNA標品によって生じたシグナルと比較することで計算する。 定量的PCRの詳細なプロトコールは、PCR Protocols, A Guide to Methods and Applications, Innis et al., Academic Press, Inc. NY, (1990)に示されている。
    【0073】
    他の好適な増幅方法としては、限定されるものではないが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(Innis, et al., PCR Protocols. A guide to Methods and Application. Academic Press, Inc. San Diego, (1990))、リガーゼ連鎖反応(LCR)(Wu and Wallace, Genomics, 4: 560 (1989), Landegren, et al., Science, 241: 1077 (1988)およびBarringer, et al., Gene, 89: 117 (1990)、転写増幅(Kwoh, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 86: 1173 (1989)参照)、および自立配列複製(Guatelli, et al., Proc. Nat. Acad. Sci. USA, 87: 1874 (1990))が挙げられる。
    【0074】
    もう1つの実施形態では、サンプルmRNAを、逆転写酵素、およびオリゴdTと、ファージT7プロモーターコード配列とからなるプライマーを用いて逆転写させて一本鎖DNA鋳型を得る。 DNAポリメラーゼを用いて第二のDNA鎖を重合する。 二本鎖cDNAを合成した後、T7 RNAポリメラーゼを加え、このcDNA鋳型からRNAを転写する。 各一本鎖cDNA鋳型から連続的に転写を行うと増幅したRNAが得られる。 in vitro重合法は当業者に周知であり(例えば、Sambrook,上記参照)、この特定の方法はVan Gelder, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87: 1663-1667 (1990)が詳細に記載しており、彼らはこの方法に従うin vitro増幅で種々のRNA転写物の相対頻度が保たれることを実証している。 また、Eberwine et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89: 3010-3014は、in vitro転写による2回の増幅を用いてもとの出発材料の10 6倍を超える増幅を達成するプロトコールを示しているが、これにより生体サンプルが限定されている場合であっても発現のモニタリングが可能となる。
    【0075】
    当業者ならば、上記の直接的転写方法からアンチセンス(aRNA)プールが得られることが分かるであろう。 アンチセンスRNAを標的核酸として用いる場合、アレイに提供するオリゴヌクレオチドプローブはアンチセンス核酸の部分配列に相補的となるように選択する。 逆に、この標的核酸プールがそのセンス核酸のプールである場合には、オリゴヌクレオチドプローブはそのセンス核酸の部分配列に相補的となるように選択する。 最後に、核酸プールが二本鎖である場合には、標的核酸はセンス鎖とアンチセンス鎖の双方を含むので、プローブはいずれのセンスであってよい。
    【0076】
    上記のプロトコールにはセンスまたはアンチセンス核酸のいずれかのプールを作製する方法が含まれる。 実際に、あるアプローチを用い、所望によりセンスまたはアンチセンス核酸のいずれかを作製することができる。 例えば、このcDNAをT3プロモーターとT7プロモーターによってフランキングされるようにベクター(例えば、StratageneのpBluscript II KS(+)ファージミド)に指定クローニングすることができる。 T3ポリメラーゼによるin vitro転写により、あるセンス(センスは挿入部の配向による)のRNAが得られ、一方、T7ポリメラーゼによるin vitro転写により反対のセンスを有するRNAが得られる。 その他の好適なクローニング系としては、Cre-loxPプラスミドのサブクローニングのために設計されたλファージベクターが挙げられる(例えば、Palazzolo et al., Gene, 88: 25-36 (1990)参照)。
    【0077】
    核酸の標識ある好ましい実施形態では、ハイブリダイズした核酸を、サンプル核酸に結合させた1以上の標識を検出することにより検出する。 これらの標識は当業者に公知の多くの手段のいずれによって組み込んでもよい。 例えば、サンプル核酸の調製中の増幅ステップで同時に標識を組み込んでもよい。 よって、例えば、標識プライマーまたは標識ヌクレオチドを用いたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により標識増幅産物が得られる。 ある好ましい実施形態では、標識ヌクレオチド(例えば、フルオレセイン標識UTPおよび/またはCTP)を用いて記載のように転写増幅を行うと転写された核酸に標識が組み込まれる。
    【0078】
    あるいは、標識はもとの核酸サンプル(例えば、mRNA、ポリA mRNA、cDNAなど)に、または増幅が完了した後の増幅産物に直接添加してもよい。 核酸に標識を結合させる方法は当業者に周知であり、例えばニックトランスレーション、または核酸にキナーゼ処理を施した後、サンプル核酸と標識(例えば、蛍光団)を連結する核酸リンカーを結合させる(ライゲーション)ことによる(例えば標識RNAによる)末端標識法が挙げられる。 あるいは、核酸をビオチニル化した後、アビジンまたはストレプトアビジンを結合させた標識と接触させてもよい。
    【0079】
    本発明での使用に好適な検出可能な標識としては、分光光度的、光化学的、生化学的、免疫化学的、電気的、光学的または化学的手段によって検出できるいずれの組成物も含む。 本発明において有用な標識としては、標識ストレプトアビジンコンジュゲートで染色するビオチン、磁気ビーズ(例えば、Dynabeads(商標))、蛍光色素(例えば、フルオレセイン、テキサスレッド、ローダミン、蛍光緑色タンパク質など)、放射性標識(例えば、 3 H、 125 I、 35 S、 14 C、または32 P)、酵素(例えば、ホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼ、およびELISAで一般に用いられるその他のもの)、金コロイドまたはカラーガラスまたはプラスチック(例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックスなど)ビーズなどの比色標識が挙げられる。 このような標識の使用を教示する特許としては、米国特許第3,817,837号、同第3,850,752号、同第3,939,350号、同第3,996,345号、同第4,277,437号、同第4,275,149号、および同第4,366,241号が挙げられる。
    【0080】
    このような標識を検出する手段は当業者に周知である。 よって、例えば、放射性標識は写真フィルムまたはシンチレーションカウンターを用いて検出すればよいし、蛍光マーカーは光検出器を用いて発光を検出することで検出すればよい。 酵素標識は一般に、酵素を基質とともに準備し、基質に対する酵素の作用によって生じた反応生成物を検出することで検出し、比色標識は発色ラベルを単に可視化することで検出する。
    【0081】
    標識はハイブリダイゼーションの前または後に標識(サンプル)核酸に加えてもよい。 「直接標識」とは、ハイブリダイゼーション前に標的(サンプル)核酸に直接結合させる、または組み込まれる検出可能な標識である。 これに対し、「間接標識」とは、ハイブリダイゼーション後にハイブリッド二重らせんと結合させる。 多くの場合、間接標識はハイブリダイゼーション前に標的核酸に結合させてある結合部分と結合させる。 よって、例えば、標的核酸はハイブリダイゼーション前にビオチニル化してもよい。 ハイブリダイゼーション後、アビジン結合蛍光団はハイブリッド二重らせんを有するビオチンと結合し、検出の容易な標識となる。 核酸を標識し、標識されたハイブリダイズ核酸を検出する方法の詳細な総説としては、Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology, Vol. 24: Hybridization With Nucleic Acid Probes, P. Tijssen, ed. Elsevier, NY, (1993)を参照。
    【0082】
    蛍光標識が好ましく、in vitro転写反応の際に容易に添加できる。 ある実施形態では、フルオレセイン標識UTPおよびCTPを、上記のin vitro転写反応で生成したRNAに組み込む。 もう1つの実施形態では、核酸をビオチニル化する。 このようなビオチニル化核酸は標識ストレプトアビジンを用いて検出すればよい。
    【0083】
    シグナル/ノイズ比を高めるためのサンプルの改良核酸サンプルは、サンプルの複雑性を低減し、それによりバックグラウンドシグナルを引き下げ、測定感度を向上させるために、オリゴヌクレオチドアレイとハイブリダイズさせる前に修飾してもよい。 ある実施形態では、複雑性の低減はバックグラウンドmRNAの選択的分解によって行う。 これはサンプルmRNA(例えば、ポリA + RNA)を、アレイ中のプローブが特異的にハイブリダイズする領域と特異的にハイブリダイズするDNAオリゴヌクレオチドプールとハイブリダイズさせることにより達成される。 ある好ましい実施形態では、このオリゴヌクレオチドプールは高密度アレイで見られるものと同じプローブオリゴヌクレオチドからなる。
    【0084】
    このオリゴヌクレオチドプールはこのサンプルmRNAとハイブリダイズして多くの二本鎖(ハイブリッド二重らせん)核酸を形成する。 次に、ハイブリダイズしたサンプルを、一本鎖RNAを特異的に消化するヌクレアーゼであるRNアーゼAで処理する。 次に、このRNアーゼAを、プロテアーゼおよび/または市販のRNアーゼ阻害剤を用いて阻害した後、二本鎖核酸を消化された一本鎖RNAから分離する。 この分離は、限定されるものではないが、電気泳動および勾配遠心分離をはじめとする当業者に周知の多くの方法で達成できる。 しかしながらある好ましい実施形態では、DNAオリゴヌクレオチドプールはビーズと結合させ、それにより核酸アフィニティーカラムを作製する。 RNアーゼAで消化した後、ハイブリダイズしたDNAは、ハイブリッド二重らせんを変性させ(例えば、熱をかけるか、または塩を高めることによる)、それまでにハイブリダイズしたmRNAを溶離バッファー中で洗い流すことにより簡単に除去される。
    【0085】
    次に、高密度アレイ中のプローブとハイブリダイズする未消化のmRNA断片を、RNAリガーゼを用いてRNAリンカーと結合させた蛍光団で末端標識してもよい。 この手法により、アレイ中のプローブに対応しない核酸が除去され、従ってバックグラウンドシグナルに寄与しない標識サンプルRNAプールが得られる。
    【0086】
    サンプルの複雑性を低減する別法では、mRNAを、高密度アレイのプローブが指定する領域といずれかの末端で接する領域とハイブリダイズするデオキシオリゴヌクレオチドとハイブリダイズさせることを含む。 RNアーゼH処理は二本鎖(ハイブリッド二重らせん)を選択的に消化して、そのデオキシオリゴヌクレオチドプローブが前方で接していて、高密度アレイプローブの標的に相当する短い領域(例えば、20量)に相当する一本鎖mRNAと、高密度アレイのプローブの標的間の領域に相当するより長いmRNA配列のプールが残る。 次に、この短いRNA断片を長い断片から分離し(例えば、電気泳動による)、要すれば上記のように標識し、こうして高密度プローブアレイとのハイブリダイゼーションの準備ができる。
    【0087】
    第三のアプローチでは、サンプルの複雑性の低減は、特定の(予め選択した)mRNAメッセージの選択的除去を含む。 特に、高密度アレイ中のプローブによっては特異的にプロービングされない発現の高いmRNAメッセージを除去するのが好ましい。 このアプローチは、ポリA + mRNAを、3'(ポリA)末端付近の予め選択したメッセージに特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブとハイブリダイズさせることを含む。 このプローブは高い特異性と低い交差反応性を示すように選択すればよい。 ハイブリダイズしたメッセージ/プローブ複合体をRNアーゼHで処理して二本鎖領域を消化すると、ポリA +テールが残りのメッセージから効果的に除去される。 次に、このサンプルを、ポリA + RNAを特異的に保持または増幅する方法(例えば、オリゴdTカラムまたは(dT)n磁気ビーズ)で処理する。 このような方法では、選択されたメッセージは、ポリA +テールともはや会合していないことから保持または増幅されない。 これらの発現の高いメッセージはサンプルから効果的に除去され、バックグラウンドmRNAが引き下げられたサンプルが得られる。
    【0088】
    本発明のオリゴヌクレオチドアレイを用いて多数の遺伝子の発現を同時にモニタリングしてもよい。 ある実施形態では、本発明は、少なくとも約10、少なくとも約100、少なくとも約1000、少なくとも約5000、少なくとも約10,000、または少なくとも約50,000の遺伝子の同時モニタリングを提供する。
    【0089】
    方法は疾病の検出、2つのサンプル間の示差的遺伝子発現の同定、遺伝子発現をアップレギュレートまたはダウンレギュレートする化合物のスクリーニングなどに使用できる。 例えば、遺伝子発現に対する薬物の作用を測定する場合には、その薬物を生物、組織サンプルまたは細胞に投与する。 その生物由来の組織サンプル、細胞または生体サンプルから、また、非処理生物の組織サンプルまたは細胞から核酸を単離し、目的遺伝子に対する1以上のプローブを含む本発明のオリゴヌクレオチドアレイとハイブリダイズさせ、その遺伝子の発現レベルを測定する。
    【0090】
    同様に、疾病マーカー(例えば、p53、HIV、またはHER2)の発現レベルを検出する場合には(例えば、患者の病態の診断のため)、サンプル中の疾病マーカーの発現レベルを健常な生物からの疾病マーカーと比較すれば、健常なサンプルと比べた場合の試験サンプルのマーカーの発現レベルにおける何らかの偏向が明らかとなる。 このような偏向と病態との相関がその症状の診断アッセイとなる。
    【0091】
    実施例以下、実施例を示して本発明の実施形態を説明する。 当業者ならば、以下の実施例で開示される技術が、本発明者らが本発明の実施上、十分機能することを見出した技術に該当し、よって、その実施のために好ましい様式となるとみなせることが分かるはずである。 しかし、当業者ならば本開示に鑑みて、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、開示されている特定の実施形態において多くの変更を行うことができ、なお同様または類似の結果を得ることができることが分かるであろう。
    【0092】
    実施例1
    この実施例では、標的核酸の投入量を変化させる実験により、各プローブのハイブリダイゼーションシグナル比を得た。 この各プローブのハイブリダイゼーションシグナル比を濃度比と比較した。 この濃度比と最も近い比率を有するプローブをDNAマイクロアレイ中の遺伝子に相当するものとして選択した。
    【0093】
    標識標的を2.5または1.0μg/60μlで、DNAマイクロアレイに結合させたDNAオリゴヌクレオチドプローブとハイブリダイズさせた。 標的プローブのハイブリダイゼーションを検出し、蛍光検出技術を用いてスキャンした。 各標的濃度につき各ハイブリダイゼーションを3回行い、これらの結果を平均した。 次に、各プローブに対する平均ハイブリダイゼーションシグナルを用いて比を計算した。 この比を同じプローブの異なる標的濃度に対する標的濃度の比と比較した。 次に、アレイ上のこれらプローブの平均ハイブリダイゼーションシグナル比を濃度比(2.5:1)と比較した。 この濃度比に最も近い平均ハイブリダイゼーションシグナルを有するプローブをその遺伝子に相当するものとして選択した。 表1参照。
    【表1】

    【0094】


    実施例2


    この実施例は実施例1に記載のものとは別の実施形態を示す。 所定の一遺伝子に対して一組のプローブを用いた。 これらのプローブを肝臓由来の組成物、次いで脳由来の組成物、次いで心臓由来の組成物とハイブリダイズさせた。 各組成物とハイブリダイズした各プローブに対するハイブリダイゼーションシグナルを得た。 異なる2つのハイブリダイゼーション比を計算した(肝臓:心臓、肝臓:脳)。 結果は表2に示す。 全てのプローブの平均値に最も近いハイブリダイゼーション比プロフィールを有するプローブをその遺伝子に相当するものとして選択し、これは太字で示されている。


    【表2】


    【表3】


    【0095】


    実施例3


    この実施例は実施例2に記載のものと同様の実施形態を示す。 ただし、この実施形態では、3つのハイブリダイゼーション比を求め、これらを用いて目的の遺伝子に相当する最適なプローブを選択する。 5個一組のプローブを用いる。 これらのプローブを3種類の異なる組織に由来する組成物とハイブリダイズさせる。 一例として、この組成物は脳由来のもの、胎盤由来のもの、および心臓由来のものである。 各組成物とハイブリダイズした各プローブに対するハイブリダイゼーションシグナルが得られる。 次に、3つの異なるハイブリダイゼーション比を計算する(脳:胎盤、脳:心臓、および心臓:胎盤)。 全てのプローブの平均値に最も近いハイブリダイゼーション比プロフィールを有するプローブをその遺伝子に相当するものとして選択する。


    【0096】


    下表(表3)はこのような手順の予測結果を示している。


    【表4】


    【0097】


    この場合、プローブ5が、その比のプロフィール(8:3:4)が全てのプローブの比のプロフィールの平均値(8:2:5)に最も近いことから、その遺伝子に相当するものとして選択される。

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