マイクロアレイ用結合エンコード法

申请号 JP2015523052 申请日 2013-07-19 公开(公告)号 JP6297032B2 公开(公告)日 2018-03-20
申请人 ナショナル ユニヴァーシティー オブ シンガポール; 发明人 トラウ,ディーター;
摘要
权利要求

マイクロアレイをエンコードする方法において、 a)基板上に少なくとも1つの粒子バッチを堆積させて、マイクロアレイを形成することであって、各粒子バッチは、少なくとも2つの粒子サブバッチを含み、2つ以上の粒子バッチを堆積させる場合、各粒子バッチは別々に堆積され、前記マイクロアレイ上の各バッチの前記粒子の位置を同定するために、堆積後に前記マイクロアレイ上の各粒子バッチの画像を撮影し、 (i)粒子バッチを1つしか堆積させない場合、各サブバッチの粒子数は、その粒子サブバッチに特有で、結果として前記1つのバッチについて特有の粒子数比率が得られ、又は (ii)少なくとも2つの粒子バッチを堆積させる場合、バッチ毎の前記粒子数比率は同じ、若しくは互いに異なり、 前記マイクロアレイを形成する前記基板上に堆積されている各粒子サブバッチは、特異的な標的分析物に結合することができ、バッチの各サブバッチは、それぞれのバッチの他のサブバッチすべてと比較して、異なる標的分析物に結合すること、及び、 b)この方法に従って製造される各マイクロアレイに関してa)の下で得られる前記(1つ以上の)バッチの粒子の前記位置に関する情報、及び前記(1つ以上の)バッチについての前記粒子数比率の情報を記録することであって、 バッチ内の前記粒子の前記位置及び前記粒子数比率により、分析すべき試験用試料中にどの標的分析物が存在するかを前記マイクロアレイで決定することが可能となり、又はバッチを1つしか堆積させない場合、前記バッチの前記粒子数比率により、分析すべき試験用試料中にどの標的分析物が存在するかを前記マイクロアレイで決定することが可能となることを含む方法。請求項1に記載の方法により得られるマイクロアレイをデコードする方法であって、 a.請求項1に記載のマイクロアレイを用いてスクリーニング試験を行った独立体から得られる画像を分析することを含み、前記画像を分析することは、 (i)前記マイクロアレイ上に堆積される粒子への前記標的分析物の結合から得られる検出可能な信号の位置及び、数又は強度を決定すること、及び、 (ii)前記マイクロアレイの前記粒子に結合している前記標的分析物を同定するために、請求項1に記載のステップ(b)において記録される前記情報と、(i)の下で得られる前記情報を比較することによって、(i)の下で得られる前記情報をデコードすることを含む方法。試料中の1種以上の標的分析物の存在を検出するためのマイクロアレイであって、 前記試料中に存在する前記1種以上の標的分析物と結合するために1つ以上の結合部位をその上に有する粒子のアレイを含み、前記粒子アレイは、少なくとも2つの粒子サブセットを含み、各サブセットは、そのサブセットに特有である1種以上の標的分析物に対する少なくとも1つの結合部位を有し、各サブセットの粒子数は既知であり、各サブセットの前記既知の粒子数が、前記試料中の2種以上の標的分析物の存在を検出する粒子サブセットの比率値を生成するために使用されるマイクロアレイ。比率値が100/1〜1/1である、請求項3に記載のマイクロアレイ。比率値が11/1〜1/1である、請求項4に記載のマイクロアレイ。比率値が素数である、請求項3〜5のいずれか1項に記載のマイクロアレイ。各サブセットの既知の粒子数が、そのサブセットに特有である、請求項3〜6のいずれか1項に記載のマイクロアレイ。各粒子が、標的分析物が前記粒子の前記結合部位の少なくとも1つに結合すると、検出可能な信号の変化を放出する、請求項3〜7のいずれか1項に記載のマイクロアレイ。粒子の前記検出可能な信号の前記変化が、光信号である、請求項8に記載のマイクロアレイ。1つのサブセットの粒子の前記結合部位が、1つの標的分析物にのみ結合する、請求項3〜9のいずれか1項に記載のマイクロアレイ。粒子が、マイクロビーズ及び生物学的独立体からなる群から選択される、請求項3〜10のいずれか1項に記載のマイクロアレイ。マイクロビーズが、ミクロスフェア、マイクロカプセル、マイクロロッド、マイクロキューブ及びマイクロチューブからなる群から選択される形状を有する、請求項11に記載のマイクロアレイ。マイクロビーズが、プラスチック、セラミックス、ガラス、金属、金属酸化物、二酸化ケイ素、ポリスチレン、メチルスチレン、アクリルポリマー、セファロース、セルロース、ナイロン、架橋ミセル、テフロン(登録商標)、常磁性材料、トリアゾル、カーボングラファイト、二酸化チタン、ラテックス、架橋デキストラン、及びペプチド、核酸及び有機質部分合成において使用する組成物、又はその混合物からなる群から選択される材料で形成される、請求項11又は12に記載のマイクロアレイ。生物学的独立体が、細胞、バクテリア又はウイルス粒子からなる群から選択される、請求項11に記載のマイクロアレイ。粒子の大きさが0.1〜500μm、又は0.1〜200μm、又は0.1μm〜100μm、又は1〜100μm、又は1〜10μmである、請求項3〜14のいずれか1項に記載のマイクロアレイ。各粒子が、1種以上の標的分析物と結合することができる1種以上の活性剤を含む、請求項3〜15のいずれか1項に記載のマイクロアレイ。各粒子上の1種以上の活性剤の結合部位の数が既知で、前記数が、2種以上の標的分析物の存在を示す結合部位の比率値を生成するために使用される、請求項16に記載のマイクロアレイ。粒子が、少なくとも2種の標的分析物を検出することができる活性剤を少なくとも2種含み、各粒子上の前記活性剤の結合部位の数が既知であって、前記数が、前記試料中の2種以上の標的分析物の存在を示す結合部位の比率値を生成するために使用される、請求項16に記載のマイクロアレイ。活性剤が、化学薬剤又は生物活性剤である、請求項16〜18のいずれか1項に記載のマイクロアレイ。活性剤が、ペプチド、タンパク質、核酸、代謝産物、炭化物、酵素、抗体、ホルモン、レクチン、薬物、農薬、アレルゲン、抗原、レセプタ、脂肪酸、オリゴペプチド、有機小分子、配位錯体、アプタマー、細胞、細胞片、ウイルス粒子、多糖類、ポリヌクレオチド、脂質及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項19に記載のマイクロアレイ。粒子が識別子でタグ付けされる、請求項3〜20のいずれか1項に記載のマイクロアレイ。識別子が、蛍光タグ、バーコード、化学的識別子、量子ドット、微細構造、核酸識別子、エングレービング(engraving)及びRFタグからなる群から選択される、請求項21に記載のマイクロアレイ。試料中の1種以上の標的分析物の存在を決定するためのシステムであって、 試料中に存在する前記1種以上の標的分析物と結合するための1つ以上の結合部位をその上に有する粒子のアレイを有するマイクロアレイであって、前記粒子アレイは、粒子サブセットを少なくとも2つ含み、各サブセットは、そのサブセットに特有である1種以上の標的分析物に対する少なくとも1つの結合部位を有し、各サブセットの粒子数は既知であって、各サブセットの前記既知の粒子数が、前記試料中の2種以上の標的分析物の存在を示す粒子サブセットの比率値を生成するために使用されるマイクロアレイと、 前記粒子によって放出される検出可能な信号の変化を検出するように使用にあたって構成される検出器と、 前記粒子サブセットに特有である1種以上の標的分析物の有無を決定するために、検出可能な信号の検出された変化に基づき、前記検出可能な信号の前記変化を放出する粒子の数を数えるように使用にあたって構成されるプロセッサとを備えるシステム。マイクロアレイを撮像するように使用にあたって構成される撮像装置と、 前記撮像装置から得られる画像に基づき、各粒子の位置を記録するように使用にあたって構成されるメモリとをさらに備え、 前記プロセッサが、前記粒子サブセットに特有である1種以上の標的分析物の有無を特定するために、前記メモリに問い合わせを行い、及び各粒子の前記記録位置を、前記検出器から受け取るデータと比較するように使用にあたって構成される、請求項23に記載のシステム。標的分析物が粒子の前記結合部位の少なくとも1つに結合すると、各粒子が検出可能な信号の変化を放出する、請求項23又は24に記載のシステム。粒子の前記検出可能な信号の前記変化が、光信号である、請求項23〜25のいずれか1項に記載のシステム。検出器が光検出器である、請求項23〜26のいずれか1項に記載のシステム。比率値が100/1〜1/1である、請求項23〜27のいずれか1項に記載のシステム。比率値が11/1〜1/1である、請求項28に記載のシステム。比率値が素数である、請求項23〜29のいずれか1項に記載のシステム。各サブセットの既知の粒子数が、そのサブセットに特有である、請求項23〜30のいずれか1項に記載のシステム。1つのサブセットの粒子の前記結合部位が、1つの標的分析物にのみ結合する、請求項23〜31のいずれか1項に記載のシステム。各粒子が、1種以上の標的分析物と結合することができる1種以上の活性剤を含む、請求項23〜32のいずれか1項に記載のシステム。各粒子上の1種以上の活性剤の結合部位の数が既知であって、前記数が、2種又はそれ以上の標的分析物の存在を示す結合部位の比率値を生成するために使用される、請求項33に記載のシステム。粒子が、少なくとも2種の標的分析物を検出することができる活性剤を少なくとも2種含み、各粒子上の前記活性剤の結合部位の数が既知であって、前記数が、前記試料中の2種以上の標的分析物の存在を示す結合部位の比率値を生成するために使用される、請求項33に記載のシステム。マイクロアレイを製造する方法であって、 i)試料中に存在する1種以上の標的分析物と結合するための結合部位を1つ以上その上に有する粒子の少なくとも2つのサブセットを設けるステップと、 ii)粒子の少なくとも2つのサブセットの混合物を準備するステップであって、各サブセットの粒子数が既知であり、各サブセットの前記既知の粒子数が、試料中の2種以上の標的分析物の存在を示す粒子サブセットの比率値を生成するために使用されるステップと、 iii)基板上に粒子サブセットの前記混合物を堆積させて、マイクロアレイを形成するステップとを含む方法。粒子がその上に堆積している前記基板を撮像するステップをさらに含む、請求項36に記載の方法。請求項36及び37におけるステップを順次繰り返すことをさらに含む、請求項36又は37に記載の方法。比率値又は粒子数比率が100/1〜1/1である、請求項1及び36〜38のいずれか1項に記載の方法。比率値又は粒子数比率が11/1〜1/1である、請求項39に記載の方法。比率値又は粒子数比率が素数である、請求項1及び36〜40のいずれか1項に記載の方法。各サブセットの既知の粒子数が、そのサブセットに特有である、請求項1及び36〜41のいずれか1項に記載の方法。1つのサブセットの粒子の前記結合部位が、1つの標的分析物にのみ結合する、請求項36〜42のいずれか1項に記載の方法。各粒子が、1種以上の標的分析物と結合することができる1種以上の活性剤を含む、請求項1及び36〜43のいずれか1項に記載の方法。各粒子上の1種以上の活性剤の結合部位の数が既知であって、前記数を使用して結合部位の比率値又は粒子数比率を生成し、2種以上の標的分析物の存在を示す、請求項44に記載の方法。粒子が、少なくとも2種の標的分析物を検出することができる活性剤を少なくとも2種含み、各粒子上の活性剤結合部位の数が既知であって、前記数を使用して比率値又は粒子数比率を生成し、試料中の2種以上の標的分析物の存在を示す、請求項44に記載の方法。基板が、高分子材料、有機材料、無機材料、金属、セラミックス、プラスチック、ゴム、ガラス、繊維材料、グラファイト又はシリコン、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、変性シリコン、ガラス、変性又は機能性ガラス、無機ガラス、プラスチック、アクリル、ポリスチレン、スチレンの共重合体、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリウレタン、テフロン(登録商標)、多糖類、ナイロン、ニトロセルロース、樹脂、シリカ、シリカ系材料及び炭素からなる群から選択される、請求項1及び36〜46のいずれか1項に記載の方法。試料中の1種以上の標的分析物の存在を決定するための方法であって、 前記試料中に存在する前記1種以上の標的分析物と結合するための1種以上の結合部位をその上に有する粒子のアレイに前記試料を接触させるステップであって、標的分析物が前記粒子の前記結合部位の少なくとも1つに結合すると、前記粒子は検出可能な信号の変化を放出し、前記粒子アレイは少なくとも2つの粒子サブセットを含み、各サブセットは、そのサブセットに特有である1種以上の標的分析物に対する少なくとも1種の結合部位を有し、各サブセットの粒子数は既知であるステップと、 前記粒子によって放出される前記検出可能な信号の前記変化を検出するステップと、 前記検出可能な信号の前記検出された変化に基づき、検出可能な信号の変化を放出する粒子の数を数えて、前記粒子サブセットに特有である1種以上の標的分析物の有無を決定するステップとを含む方法。粒子によって放出される前記検出可能な信号の前記変化の大きさを検出するステップと、 検出可能な信号の前記変化に基づき、標的分析物に結合した結合部位の数を決定して、前記粒子サブセットに特有である1種以上の標的分析物の有無を決定するステップとをさらに含む、請求項48に記載の方法。マイクロアレイを撮像するステップと、 得られた前記画像に基づき各粒子の位置を記録するステップと、 前記検出可能な信号の前記検出された変化を、各粒子の前記記録位置と比較して、前記粒子サブセットに特有である1種以上の標的分析物の有無を特定するステップとをさらに含む、請求項48又は49に記載の方法。粒子を試薬に接触させて、粒子サブセットが、その特定の試薬に接触させた場合にのみ検出可能な信号の変化を放出することに基づき、前記粒子サブセットに特有である1種以上の標的分析物の有無を特定するステップをさらに含む、請求項48〜50のいずれか1項に記載の方法。試薬が、蛍光標識された結合分子、又は抗体、又はレセプタ、又はアプタマーである、請求項51に記載の方法。検出可能な信号が光信号である、請求項48〜52のいずれか1項に記載の方法。標的分析物が無機又は有機分子である、請求項48〜53のいずれか1項に記載の方法。標的分析物が、環境汚染物質、化学物質、生体分子、全細胞、バクテリア、ウイルス及び胞子からなる群から選択される、請求項54に記載の方法。環境汚染物質が、農薬、殺虫剤及び毒素からなる群から選択される、請求項55に記載の方法。化学物質が、溶媒、ポリマー及び有機材料からなる群から選択される、請求項55に記載の方法。生体分子が、ホルモン、サイトカイン、タンパク質、核酸、脂質、アレルゲン、炭水化物、酵素、抗体、抗原、細胞膜抗原、及びレセプタ又はそのリガンドからなる群から選択される、請求項55に記載の方法。全細胞が、真核細胞、原核細胞、哺乳類細胞、腫瘍細胞、血液細胞、上皮細胞、神経細胞及び筋細胞からなる群から選択される、請求項55に記載の方法。ウイルスが、レトロウイルス、ヘルペスウイルス、アデノウイルス及びレンチウイルスからなる群から選択される、請求項55に記載の方法。標的分析物に識別子が添加される、請求項48〜60のいずれか1項に記載の方法。識別子が、蛍光タグ、バーコード、化学的識別子、量子ドット、微細構造、核酸識別子、エングレービング(engraving)及びRFタグからなる群から選択される、請求項61に記載の方法。識別子が、前記標的分析物に直接接合される、又はリンカー分子を用いて前記標的分析物に間接的に接合される、請求項48〜62のいずれか1項に記載の方法。

说明书全文

関連出願の相互参照 本願は、2012年7月20日に出願された英国特許出願第1212902.9号の優先権の利益を主張し、その内容は、参照により全体が本明細書中に援用される。 技術分野 本発明は一般に、マイクロアレイをエンコード及びデコードするためのプロセスに関する。本発明はまた、マイクロアレイにも関する。

マイクロアレイは、研究の場及び臨床の場における診断的適用にとって重要な道具である。マイクロアレイの作製における主要プロセスが、制御されたやり方で固体担体上へタンパク質やDNAなどの生体分子をパターニングすることである。従来のマイクロアレイでは、スポッティング技術を用いて、固体担体表面上へ直接、タンパク質やDNAなどの生体分子が導入される。しかしながら、スポッティング技術は精度が悪く、また再現性が低い結果、多くの誤りがあるマイクロアレイが製造されてしまう。

一方、ビーズマイクロアレイは、同じく生体分子に接合するマイクロビーズを有する。ビーズマイクロアレイには、一貫性、柔軟性、より速い反応速度など、従来のスポッティングによるマイクロアレイに勝る重要な利点がある。ビーズ上で接合すべき生体分子に適合するようにビーズの表面化学を調整することができるため、ビーズマイクロアレイにより、より優れた柔軟性が提供される。潜在的には、薬物-、代謝産物-、脂質-又は炭化物-マイクロアレイなど、任意の種類のマイクロアレイを、ビーズを使用することによって製造することができる。さらに、ビーズの寸法を同一にすることができるため、ビーズマイクロアレイにより一貫した結果が確実に得られる。

しかしながら、ビーズマイクロアレイに関する主な問題の1つが、ビーズの同一性、及びビーズが有する分子の種類を決定するための、個々のビーズのエンコード及びデコードである。

現在、ビーズアレイは通常、「液状アレイ」又は「平面アレイ」の形でもたらされる。液状アレイでは、ビーズは懸濁したままで読み出され、米国カルフォルニア州サンディエゴ、Illumina Inc.のVeraCode(商標)検定や、米国テキサス州オースティン、Luminex CorporationのxMAP(商標)参照など、フローサイトメトリーに基づく分析中に物理的痕跡、たとえば、カラータグによりデコードされる。

平面アレイでは、ビーズが基板材料上に堆積され、通常物理的痕跡、たとえば、カラータグ、オリゴヌクレオチド配列、ビーズ形状及び寸法、或いは他の手段によって同定される。このアレイは、通常顕微鏡又はマイクロアレイスキャナーで写真を撮影することによって分析される。

異なる機能分子をその表面上に有するビーズの異なる集団の間を区別するために、マイクロビーズ毎に物理タグが必要であることに、両方の手法が悩まされている。異なるタグ、又は所望の大きさの1000個から10000個の異なるタグを有するタグのライブラリの作成は、複雑で、今日まで部分的に解決されているにすぎない。現在、最大数約500個のタグを有するライブラリが市販されている。加えて、タグを使用すると、マイクロアレイを製造する複雑さ及びコストが増大する。タグはまた、分析物の結合を、及びその後のビーズの読み出しを妨げることもある。

したがって、上述の1つ以上の不利な点を克服する、又は少なくとも改善する、タグを必要としないマイクロアレイ用のエンコード及びデコード法を提供する必要がある。

また、上述の1つ以上の不利な点を克服する、又は少なくとも改善するマイクロアレイを提供する必要もある。

第1の態様によれば、マイクロアレイをエンコードする方法が提供される。この方法は、a)マイクロアレイの基板上に少なくとも1つの粒子バッチを堆積させることであって、各粒子バッチは、少なくとも2つの粒子サブバッチを含み、2つ以上の粒子バッチを堆積させる場合、各粒子バッチは別々に堆積され、マイクロアレイ上の各バッチの粒子の位置を同定するために、堆積後にマイクロアレイ上の各粒子バッチの画像を撮影し、(i)粒子バッチを1つしか堆積させない場合、各サブバッチの粒子数は、その粒子サブバッチに特有で、結果として1つのバッチについて特有の粒子数比率が得られ、又は(ii)少なくとも2つの粒子バッチを堆積させる場合、バッチ毎の粒子数比率は同じ、若しくは互いに異なり、マイクロアレイ上に堆積されている各粒子サブバッチは、特異的な標的分析物に結合することができ、バッチの各サブバッチは、それぞれのバッチの他のサブバッチすべてと比較して、異なる標的分析物に結合すること、b)この方法に従って製造される各マイクロアレイに関して、a)の下で得られる(1つ以上の)バッチの粒子の位置に関する情報、及び(1つ以上の)バッチについての粒子数比率の情報を記録することであって、バッチ内の粒子の位置及び粒子数比率により、分析すべき試験用試料中にどの標的分析物が存在するかをマイクロアレイで決定することが可能となり、又はバッチを1つしか堆積させない場合、バッチの粒子数比率により、分析すべき試験用試料中にどの標的分析物が存在するかをマイクロアレイで決定することが可能となることを含む。

第2の態様によれば、本発明では、上述した方法により得られるマイクロアレイをデコードする方法が提供される。この方法は、a.請求項1に記載のマイクロアレイを用いてスクリーニング試験を行った独立体から得られる画像を分析することを含み、画像を分析することは、(i)マイクロアレイ上に堆積される粒子への標的分析物の結合から得られる検出可能な信号の位置及び、数又は強度を決定すること、(ii)マイクロアレイの粒子に結合している標的分析物を同定するために、請求項1に記載のステップ(b)において記録される情報と、(i)の下で得られる情報を比較することによって、(i)の下で得られる情報をデコードすることを含む。

第3の態様によれば、本発明は、試料中の1種以上の標的分析物の存在を検出するためのマイクロアレイを提供する。このマイクロアレイは、 試料中の前記1種以上の標的分析物と結合するための1つ以上の結合部位をその上に有する粒子のアレイを含み、粒子アレイは、少なくとも2つの粒子サブセットを含み、各サブセットは、そのサブセットに特有である1種以上の標的分析物に対する少なくとも1つの結合部位を有し、各サブセットの粒子数は既知であって、各サブセットの既知の粒子数が、試料中の2種以上の標的分析物の存在を検出する粒子サブセットの比率値を生成するために使用される。

一実施形態においては、本明細書中に記載されているマイクロアレイが提供され、比率値が100/1〜1/1である。

別の実施形態においては、本明細書中に定義されているマイクロアレイが提供され、比率値が11/1〜1/1である。

一実施形態においては、本明細書中に定義されているマイクロアレイが提供され、比率値が素数である。

別の実施形態においては、本明細書中に定義されているマイクロアレイが提供され、各サブセットの既知の粒子数は、そのサブセットに特有である。

一実施形態においては、本明細書中に定義されているマイクロアレイが提供され、各粒子は、標的分析物が粒子の結合部位の少なくとも1つに結合すると、検出可能な信号の変化を放出する。

一実施形態においては、本明細書中に定義されているマイクロアレイが提供され、粒子の検出可能な信号の変化は、光信号である。

一実施形態においては、本明細書中に定義されているマイクロアレイが提供され、1つのサブセットの粒子の結合部位は、1つの標的分析物にのみ結合する。

一実施形態においては、本明細書中に定義されているマイクロアレイが提供され、粒子は、マイクロビーズ及び生物学的独立体からなる群から選択される。

一実施形態においては、本明細書中に定義されているマイクロアレイが提供され、マイクロビーズは、ミクロスフェア、マイクロカプセル、マイクロロッド、マイクロキューブ及びマイクロチューブからなる群から選択される形状を有する。

一実施形態においては、本明細書中に定義されているマイクロアレイが提供され、マイクロビーズは、プラスチック、セラミックス、ガラス、金属、金属酸化物、二酸化ケイ素、ポリスチレン、メチルスチレン、アクリルポリマー、セファロース、セルロース、ナイロン、架橋ミセル、テフロン(登録商標)、常磁性材料、トリアゾル、カーボングラファイト、二酸化チタン、ラテックス、架橋デキストラン、並びにペプチド、核酸及び有機質部分合成において使用する組成物、又は金属充填ポリマー粒子など、これらの混合物からなる群から選択される材料で形成される。

一実施形態においては、本明細書中に定義されているマイクロアレイが提供され、生物学的独立体は、細胞、バクテリア又はウイルス粒子からなる群から選択される。

一実施形態においては、本明細書中に定義されているマイクロアレイが提供され、粒子の大きさは0.1〜500μm、又は0.1〜200μm、又は0.1μm〜100μm、又は1〜100μm、又は1〜10μmである。

一実施形態においては、本明細書中に定義されているマイクロアレイが提供され、各粒子が、1種以上の標的分析物と結合することができる1種以上の活性剤を含む。

一実施形態においては、本明細書中に定義されているマイクロアレイが提供され、各粒子上の1種以上の活性剤の結合部位の数は既知であって、この数が、2種以上の標的分析物の存在を示す結合部位の比率値を生成するために使用される。

さらなる一実施形態においては、本明細書中に定義されているマイクロアレイが提供され、粒子は、少なくとも2種の標的分析物を検出することができる活性剤を少なくとも2種含み、各粒子上の結合部位の数は既知であって、この数が、試料中の2種以上の標的分析物の存在を示す結合部位の比率値を生成するために使用される。

別の実施形態においては、本明細書中に定義されているマイクロアレイが提供され、活性剤は、化学薬剤又は生物活性剤である。

さらに別の実施形態においては、本明細書中に定義されているマイクロアレイが提供され、活性剤は、ペプチド、タンパク質、核酸、代謝産物、炭水化物、酵素、抗体、ホルモン、レクチン、薬物、農薬、アレルゲン、抗原、レセプタ、脂肪酸、オリゴペプチド、有機小分子、配位錯体、アプタマー、細胞、細胞片、ウイルス粒子、多糖類、ポリヌクレオチド、脂質及びこれらの混合物からなる群から選択される。

一実施形態においては、本明細書中に定義されているマイクロアレイが提供され、粒子は識別子でタグ付けされる。

別の実施形態においては、本明細書中に定義されているマイクロアレイが提供され、識別子は、蛍光タグ、バーコード、化学的識別子、量子ドット、微細構造、核酸識別子、エングレービング(engraving)及びRFタグからなる群から選択される。

第4の態様によれば、試料中の1種以上の標的分析物の存在を検出するためのシステムを提供する。このシステムは、 試料中に存在する前記1種以上の標的分析物と結合するための1つ以上の結合部位をその上に有する粒子のアレイを有するマイクロアレイであって、粒子アレイは少なくとも2つの粒子サブセットを含み、各サブセットは、そのサブセットに特有である1種以上の標的分析物に対して、共通の結合部位を少なくとも1つ有し、各サブセットの粒子数は既知であり、各サブセットの既知の粒子数が、試料中の2種以上の標的分析物の存在を示す粒子サブセットの比率値を生成するために使用されるマイクロアレイと、 粒子によって放出される検出可能な信号の変化を検出するように使用にあたって構成される検出器と、 前記粒子サブセットに特有である1種以上の標的分析物の有無を決定するために、検出可能な信号の検出された変化に基づき、検出可能な信号の変化を放出する粒子の数を数えるように使用にあたって構成されるプロセッサとを備える。

一実施形態においては、本明細書中に定義されているシステムが提供され、このシステムはさらに、 マイクロアレイを撮像するように使用にあたって構成される撮像装置と、 撮像装置から得られる画像に基づき、各粒子の位置を記録するように使用にあたって構成されるメモリとを備え、 プロセッサは、粒子サブセットに特有である1種以上の標的分析物の有無を特定するために、メモリに問い合わせを行い、及び各粒子の記録位置を、検出器から受け取るデータと比較するように使用にあたって構成される。

さらなる一実施形態においては、本明細書中に定義されているシステムが提供され、標的分析物が粒子の結合部位の少なくとも1つに結合すると、各粒子が検出可能な信号の変化を放出する。

別の実施形態においては、本明細書中に定義されているシステムが提供され、粒子の検出可能な信号の変化は、光信号である。

別の実施形態においては、本明細書中に定義されているシステムが提供され、検出器は光検出器である。

一実施形態においては、本明細書中に定義されているシステムが提供され、比率値が100/1〜1/1である。

別の実施形態においては、本明細書中に定義されているシステムが提供され、比率値が11/1〜1/1である。

別の実施形態においては、本明細書中に定義されているシステムが提供され、比率値が素数である。

さらに別の実施形態においては、本明細書中に定義されているシステムが提供され、各サブセットの既知の粒子数は、そのサブセットに特有である。

別の実施形態においては、本明細書中に定義されているシステムが提供され、1つのサブセットの粒子の結合部位は、1つの標的分析物にのみ結合する。

別の実施形態においては、本明細書中に定義されているシステムが提供され、各粒子が、1種以上の標的分析物と結合することができる1種以上の活性剤を含む。

さらなる一実施形態においては、本明細書中に定義されているシステムが提供され、各粒子上の1種以上の活性剤の結合部位の数は既知であって、この数が、2種又はそれ以上の標的分析物の存在を示す結合部位の比率値を生成するために使用される。

さらなる一実施形態においては、本明細書中に定義されているシステムが提供され、粒子は、少なくとも2種の標的分析物を検出することができる活性剤を少なくとも2種含み、各粒子上の活性剤の結合部位の数は既知であって、この数が、試料中の2種以上の標的分析物の存在を示す結合部位の比率値を生成するために使用される。

第1〜第3の態様についての上記さらなる特徴は、第4の態様について同様に適用可能であり、ここに再度述べる。

第5の態様においては、マイクロアレイを製造する方法が提供され、この方法は、 i)試料中に存在する1種以上の標的分析物と結合するための結合部位を1つ以上その上に有する粒子の少なくとも2つのサブセットを設けるステップと、 ii)粒子の少なくとも2つのサブセットの混合物を準備するステップであって、各サブセットの粒子数が既知であり、各サブセットの既知の粒子数が、試料中の2種以上の標的分析物の存在を示す粒子サブセットの比率値を生成するために使用されるステップと、 iii)基板上に粒子サブセットの混合物を堆積させて、マイクロアレイを形成するステップとを含む。

一実施形態においては、本明細書中に記載されている方法が提供され、この方法は、粒子がその上に堆積している基板を撮像するステップをさらに含む。

別の実施形態においては、本明細書中に定義されている方法が提供され、この方法は、上記で定義されているステップを順次繰り返すことをさらに含む。

別の実施形態においては、本明細書中に定義されている方法が提供され、比率値が100/1〜1/1である。

別の実施形態においては、本明細書中に定義されている方法が提供され、比率値が11/1〜1/1である。

さらに別の実施形態においては、本明細書中に定義されている方法が提供され、比率値が素数である。

別の実施形態においては、本明細書中に定義されている方法が提供され、各サブセットの既知の粒子数は、そのサブセットに特有である。

さらに別の実施形態においては、本明細書中に定義されている方法が提供され、各サブセットの既知の粒子数は、そのサブセットに特有である。

別の実施形態においては、本明細書中に定義されている方法が提供され、1つのサブセットの粒子の結合部位は、1つの標的分析物にのみ結合する。

別の実施形態においては、本明細書中に定義されている方法が提供され、各粒子が、1種以上の標的分析物と結合することができる1種以上の活性剤を含む。

さらなる一実施形態においては、本明細書中に定義されている方法が提供され、各粒子上の1種以上の活性剤の結合部位の数は既知であって、この数を使用して結合部位の比率値を生成し、2種以上の標的分析物の存在を示す。

さらに別の実施形態においては、本明細書中に定義されている方法が提供され、粒子は、少なくとも2種の標的分析物を検出することができる活性剤を少なくとも2種含み、各粒子上の結合部位の数は既知であって、この数を使用して結合部位の比率値を生成し、試料中の2種以上の標的分析物の存在を示す。

一実施形態においては、本明細書中に定義されている方法が提供され、基板は、高分子材料、有機材料、無機材料、金属、セラミックス、プラスチック、ゴム、ガラス、繊維材料、グラファイト又はシリコン、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、変性シリコン、ガラス、変性又は機能性ガラス、無機ガラス、プラスチック、アクリル、ポリスチレン、スチレンの共重合体、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリウレタン、テフロン(登録商標)、多糖類、ナイロン、ニトロセルロース、樹脂、シリカ、シリカ系材料及び炭素からなる群から選択される。

第1〜第4の態様についての上記さらなる特徴は、第5の態様について同様に適用可能であり、ここに再度述べる。

第6の態様においては、試料中の1種以上の標的分析物の存在を決定するための方法が提供され、この方法は、 試料中に存在する前記1種以上の標的分析物と結合するための1つ以上の結合部位をその上に有する粒子のアレイに試料を接触させるステップであって、標的分析物が粒子の結合部位の少なくとも1つに結合すると、粒子は検出可能な信号の変化を放出し、粒子アレイは少なくとも2つの粒子サブセットを含み、各サブセットは、そのサブセットに特有である1種以上の標的分析物に対する少なくとも1つの結合部位を有し、各サブセットの粒子数は既知であるステップと、 粒子によって放出される検出可能な信号の変化を検出するステップと、 検出可能な信号の検出された変化に基づき、検出可能な信号の変化を放出する粒子の数を数えて、前記粒子サブセットに特有である1種以上の標的分析物の有無を決定するステップとを含む。

さらなる一実施形態においては、本明細書中に定義されている方法が提供され、この方法はさらに、 粒子によって放出される検出可能な信号の変化の大きさを検出するステップと、 検出可能な信号の変化に基づき、標的分析物に結合した結合部位の数を決定して、粒子サブセットに特有である1種以上の標的分析物の有無を決定するステップとを含む。

一実施形態においては、本明細書中に定義されている方法が提供され、この方法はさらに、 マイクロアレイを撮像するステップと、 得られた画像に基づき各粒子の位置を記録するステップと、 検出可能な信号の検出された変化を、各粒子の記録位置と比較して、粒子サブセットに特有である1種以上の標的分析物の有無を特定するステップとを含む。

一実施形態においては、本明細書中に定義されている方法が提供され、この方法はさらに、 粒子を試薬に接触させて、粒子サブセットは、その特定の試薬に接触させた場合にのみ検出可能な信号の変化を放出することに基づき、粒子サブセットに特有である1種以上の標的分析物の有無を特定するステップを含む。

別の実施形態においては、本明細書中に定義されている方法が提供され、試薬は、蛍光標識された結合分子、又は抗体、又はレセプタ、又はアプタマーである。

一実施形態においては、本明細書中に定義されている方法が提供され、検出可能な信号は光信号である。

一実施形態においては、本明細書中に定義されている方法が提供され、標的分析物は無機又は有機分子である。

別の実施形態においては、本明細書中に定義されている方法が提供され、標的分析物は、環境汚染物質、化学物質、生体分子、全細胞、バクテリア、ウイルス及び胞子からなる群から選択される。

一実施形態においては、本明細書中に定義されている方法が提供され、環境汚染物質は、農薬、殺虫剤及び毒素からなる群から選択される。

一実施形態においては、本明細書中に定義されている方法が提供され、化学物質は、溶媒、ポリマー及び有機材料からなる群から選択される。

一実施形態においては、本明細書中に定義されている方法が提供され、生体分子は、ホルモン、サイトカイン、タンパク質、核酸、脂質、アレルゲン、炭水化物、酵素、抗体、抗原、細胞膜抗原、及びレセプタ又はそのリガンドからなる群から選択される。

一実施形態においては、本明細書中に定義されている方法が提供され、全細胞は、真核細胞、原核細胞、哺乳類細胞、腫瘍細胞、血液細胞、上皮細胞、神経細胞及び筋細胞からなる群から選択される。

一実施形態においては、本明細書中に定義されている方法が提供され、ウイルスは、レトロウイルス、ヘルペスウイルス、アデノウイルス及びレンチウイルスからなる群から選択される。

一実施形態においては、本明細書中に定義されている方法が提供され、標的分析物に識別子が添加される。

別の実施形態においては、本明細書中に定義されている方法が提供され、識別子は、蛍光タグ、バーコード、化学的識別子、量子ドット、微細構造、核酸識別子、エングレービング及びRFタグからなる群から選択される。

さらに別の実施形態においては、本明細書中に定義されている方法が提供され、識別子は、直接標的分析物に接合される、又はリンカー分子を用いて標的分析物に間接的に接合される。

第1〜第5の態様についての上記さらなる特徴は、第6の態様について同様に適用可能であり、ここに再度述べる。また、第6の態様についての上記さらなる特徴は、第1〜3の態様について同様に適用可能であり、ここに再度述べる。 定義 本明細書中で使用する以下の単語及び用語は、示された意味を有するものとする。

本明細書中で使用する用語「結合エンコード(combinatory encoding)」又は「結合エンコード(combination encoding)」とは、開示のマイクロアレイエンコード及びデコードプロセスを指す。

本明細書中で使用する用語「マイクロアレイ」又は「アレイ」とは、固体担体上の粒子の配列を指し、各粒子が、特定の標的分析物と結合することができる選択された活性剤を有する。他の例においては、活性剤が、2種以上の標的分析物と結合することができる。

用語「粒子」とは、ナノ又はマイクロ粒子を指す。一例において、粒子が、0.1ミクロンから約1000ミクロンまで、又は1ミクロンから500ミクロンまでのミクロン径の範囲の粒子径を有する。一実施形態において、粒子の形状が実質的に球形である場合、粒子径は、ミクロン径の範囲の粒子の直径を指す。粒子が球状である場合には、その「粒子」は、ナノビーズやマイクロビーズなど、「ビーズ」と呼ばれる。粒子が球状ではない別の実施形態においては、粒子径とは、球形粒子に対する粒子の相当径を指すことも、又は非球形粒子の寸法(長さ、幅、高さ若しくは厚さ)を指すこともある。

本明細書中で使用する用語「サブバッチ」又は「サブセット」とは、同種の粒子であって、その表面に同じ生物学的分子又は「活性剤」を有する粒子を指す。サブバッチ又はサブセットのビーズは互いに同一であって、その表面上の活性剤を介して同じ標的分析物に結合する。

本明細書中で使用する用語「バッチ」とは、2つ以上のバッチから形成される複数の粒子を指す。サブバッチのビーズ数比率又は比率値は等しくても、且つ/又は異なっていてもよい。

本明細書中で使用する用語「スーパーバッチ(super-batch)」とは、2つ以上のバッチから形成される複数の粒子を指す。バッチのビーズ数比率又は比率値は等しくても、且つ/又は異なっていてもよい。

本明細書中で使用する用語「集団」とは、マイクロアレイ上に堆積している粒子の集まり全体を指す。

本明細書中で使用する用語「複数の粒子」とは、1よりも大きい任意の数の粒子、典型的には多数の粒子を指す。

用語「既知」とは、固定又は所定の数を指す。たとえば、サブセット中の粒子数は固定又は所定の数でよく、各粒子上の結合部位の数は固定又は所定の数でよい。

本明細書中で使用する用語「エンコード(encoding)」とは、マイクロビーズによって運搬される「活性剤」を、又はマイクロビーズによって検出される分析物を決定するための、サブバッチ、バッチ又はスーパーバッチにおけるマイクロビーズの同定を指す。

用語「ロッキング係合(lockingly engaged)」又はその文法的変異は、表面上へのビーズの安定した堆積を指し、該ビーズは、さらなるビーズの堆積時及びバイオアッセイの実行時に基板上でその空間位置を保持することになる。

用語「活性剤」とは、化学的に活性のある任意の化学薬剤若しくは生物学的に活性のある生物剤であって、標的分析物と結合若しくは反応することができる化学薬剤若しくは生物剤、又は標的分析物と結合している中間体を指す。活性剤は、化学的活性を示すことがあり、また有機材料(たとえば、脂肪族炭化水素化合物、芳香族含有化合物及び塩素化化合物)や無機材料(たとえば、金属及び硝酸塩)などの環境汚染物質、化学兵器(たとえば、サリン、ソマン、タブン、シクロサリンなどの神経ガス、アルシンやシアン化水素などの血液剤、催涙ガスや唐辛子スプレーなどの催涙剤)、除草剤、農薬、代謝産物、薬物、脂質、炭水化物又は化学触媒を含むことがある。活性剤は、生物学的活性を示すことがあり、また本明細書中で「生物活性剤」と称されることがある。

例示的生物活性剤として、粒子に付着又は結合することができるタンパク質、抗体、オリゴペプチド、有機小分子、配位錯体、アプタマー、細胞、細胞片、ウイルス粒子、抗原、多糖類、脂質及びポリヌクレオチドが挙げられる。したがって、用語「生物学的活性粒子」とは、生物学的活性を有する活性剤を有する、又はそれ自体が生物学的に活性である本明細書中で定義されている粒子を指す。

用語「化学的活性粒子」とは、化学的活性を有する活性剤を有する、上で定義されている粒子を指す。用語「活性剤」とは、励起時の光の放出、電磁放射又はマイクロ波の吸収時熱の放出などのプロセスを含めた所定のやり方で物理的刺激に対して応答するなど、物理的活性を示す剤を指すこともある。

用語「標的分析物」とは、活性剤と結合することができる、検出されるべき物質を指す。標的分析物が、校正目的で検出されるべき物質であってもよい。例示的な標的分析物として、核酸、ポリヌクレオチド、薬物、ホルモン、タンパク質、酵素、抗体、炭水化物、レセプタ、バクテリア、細胞、ウイルス粒子、胞子、脂質、アレルゲン及び抗原が挙げられるが、これらに限定されない。標的分析物は、信号を発生させるために、直接又は間接的にタグで標識されていてもよい。典型的ではあるが限定されないタグには、蛍光タグ、染料、量子ドット、粒子、酵素、電気化学的活性化合物又は他の信号発生独立体がある。

用語「特異的結合物質」とは、ある物質に対して特異親和性を有する物質を指すことがある。たとえば、試料中の標的分析物が、活性剤と特異的結合反応を起こすことができる場合がある。特異的物質の特異的結合物質との組合せの例として、対応する抗体分子を有する抗原、その相補的配列を有する核酸配列、レセプタ分子を有するエフェクタ分子、阻害剤、活性剤又は基質を有する酵素、レクチンを有する糖鎖含有化合物、その結合パートナーを有するアプタマー、抗体分子に特異的な別の抗体分子を有する前者の抗体分子、対応する抗体分子を有するレセプタ分子等が挙げられる。特異的結合物質の他の例として、その特異的結合活性が依然として損なわれないままである程度にまで化学的に修飾された化合物、及び他の成分と結合している化合物の錯体が挙げられる。このような種類の特異的結合物質の特異的物質との組合せの例として、アビジンを有する化学的にビオチン修飾された抗体分子又はポリヌクレオチド、ビオチンを有するアビジン結合抗体分子等が挙げられる。

用語「結合部位」とは、標的分析物と結合することができる特異的結合物質又は活性剤の領域又はドメインを指す。

用語「一試薬」又は「複数の試薬」とは、1つの標的分析物を特異的に検出する一物質又は物質の混合物を指す。典型的には、試薬が蛍光標識結合分子、抗体、レセプタ又はアプタマーである。複数の試薬を混合して一試薬を作り出すことにより、2種以上の標的分析物を検出することができる。

本明細書中で使用する用語「タンパク質」は、2種以上の共有結合したアミノ酸と定義することができ、タンパク質、ポリペプチド、オリゴペプチド及びペプチドが含まれる。

本明細書中で使用する用語「アミノ酸」及び「ペプチド」とは、それぞれ天然に存在する及び合成のアミノ酸とアミノ酸鎖を指す。

用語「実質的に」は、「完全に」を排除しない。たとえば、Yを「実質的に含まない」組成物は、Yを全く含まなくてもよい。必要に応じ、単語「実質的に」は、本発明の定義から省くことができる。

特段の定めのない限り、用語「含んでいる(comprising)」及び「含む(comprise)」並びにその文法的変異は、列挙されている要素を含むだけでなく、追加の列挙されていない要素の包含も可能となるように、「開放(open)」又は「包括的(inclusive)」言語を表すよう意図されている。

剤形の成分の濃度に関連して本明細書中で使用する用語「約」は、典型的には記載されている値の+/-5%を、より典型的には記載されている値の+/-4%を、より典型的には記載されている値の+/-3%を、より典型的には記載されている値の+/-2%を、さらにより典型的には記載されている値の+/-1%を、さらにより典型的には記載されている値の+/-0.5%を示す。

本開示を通して、特定の実施形態をある範囲形式で開示することがある。この範囲形式の記載は単に便宜上、また簡潔にするためにすぎず、本開示の範囲の柔軟性のない限定と解釈すべきでないことを理解されたい。したがって、範囲の記載は、可能な限りのすべての部分的な範囲(sub-range)並びにその範囲内の個々の数値を具体的に開示していると見なされるべきである。たとえば、1から6などの範囲の記載は、1から3、1から4、1から5、2から4、2から6、3から6などの部分的な範囲、並びにその範囲内の個々の数値、たとえば、1、2、3、4、5及び6を具体的に開示していると見なされるべきである。これは、範囲の幅にかかわらず適用される。

特定の実施形態について本明細書中で広く一般的に説明することもある。包括的な開示の範囲内にあるより下位の種及び下位概念(subgeneric)分類のそれぞれは、開示の一部も形成する。これには、属から対象を除外するただし書き又は否定的限定を伴う諸実施形態についての包括的な記載が、削除された材料が本明細書中に具体的に記載されているかどうかにかかわらず含まれる。

本発明の一実施形態によるシステムの構成要素を示す概略図である。

試料中の1種以上の標的分析物の存在を決定するための、本発明の一実施形態による方法に関わるステップを示すフローチャートである。

本発明の一実施形態によるコンピュータシステムの構成要素を示す概略図である。

図4A〜4Fは本発明の例示的なマイクロアレイの画像であって、上側のパネルは光学顕微鏡画像であり、下側のパネルは蛍光顕微鏡画像である。

図4−1の続きである。

図4−2の続きである。

本発明のエンコード及びデコード法を説明する画像を提供する図である。

本発明のエンコード及びデコード法を説明する画像を提供する図である。

図7Aは、ビーズへの分析物の結合から生じるビーズ信号強度を有するマイクロアレイを示す図、図7Bは、粒子数対信号強度をプロットしたヒストグラムである。

本発明の例示的で非限定的な諸実施形態についてここで説明する。

一例を挙げて、マイクロアレイをエンコードする方法について説明する。この方法は、第1のステップにおいて、マイクロアレイ上に少なくとも1つのバッチの粒子を堆積させることを含むことができ、各バッチの粒子は、少なくとも2つのサブバッチの粒子を含む。2つ以上のバッチの粒子を堆積させる場合は、各バッチの粒子を別々に堆積させ、マイクロアレイ上各バッチの粒子の位置を特定するために、堆積後にマイクロアレイ上の各バッチの粒子を撮像する。1つのバッチの粒子のみを堆積させる場合は、各サブバッチの粒子の数は、その1つのバッチについての特有の粒子数比率が結果として得られるそのサブバッチの粒子に特有である。別の例では、少なくとも2つのバッチの粒子を堆積させる場合、バッチ毎の粒子数比率は同じ、又は互いに異なる。マイクロアレイ上に堆積させる各サブバッチの粒子は、特異的な標的分析物と結合することができ、バッチの各サブバッチが、それぞれのバッチの他のすべてのサブバッチと比較して、又は堆積しているすべてのバッチの他のすべてのサブバッチと比較して、異なる標的分析物と結合する。さらに、この方法に従って製造される各マイクロアレイに関して、前に得られる(1つ以上の)バッチの粒子の位置についての情報及び(1つ以上の)バッチについての粒子数比率の情報を記録することを、この方法は含むことができる。バッチの内の粒子の位置及び粒子数比率により、マイクロアレイを用いて分析すべき試験用試料中にどの標的分析物が存在するかを決定することが可能に、又はバッチを1つのみ堆積させる場合には、バッチの粒子数比率により、マイクロアレイを用いて分析すべき試験用試料中にどの標的分析物が存在するかを決定することが可能となる。

別の例では、本発明により、上述の方法により得られるマイクロアレイをデコードする方法が提供される。この方法は、第1のステップにおいて、本明細書中にあるようにマイクロアレイを用いてスクリーニング試験を行った独立体から得られる画像を分析することを含む。画像の分析は、マイクロアレイ上に堆積している粒子への標的分析物の結合から得られる検出可能な信号の位置及び、数又は強度とを決定することを含むことができる。この分析はさらに、マイクロアレイの粒子と結合している標的分析物を同定するために、上で得られた情報をマイクロアレイからの記録されている情報と比較することによって、上で得られた情報をデコードすることを含むことができる。

本明細書中に開示する別の例を挙げると、物理タグ又は標識に依存しないビーズマイクロアレイをデコードし、それにより単一の各マイクロビーズの同一性を決定するための方法であって、ビーズマイクロアレイは、ビーズバッチを1回堆積させることによって形成され、ビーズバッチは、少なくとも3つのサブビーズバッチから前もって混合され、サブビーズバッチを互いに区別するために、サブビーズバッチは異なるビーズ数比率を有し、また異なる分析物を検出するために、各サブビーズバッチはその表面に異なる結合リガンドを有し、そのそれぞれの分析物の存在下でサブビーズバッチによって光信号が生じ、光信号を発生させるサブビーズバッチの同一性は、光信号を発生させないビーズと比較した、光信号を発生させるビーズのビーズ数比率によってデコードされる。本明細書中に開示するように、物理的識別子を有するセルフエンコードした(self-encoded)ビーズによるビーズ同定を教示するのみの最先端技術と比較すると、単一ビーズの同一性は、複数のビーズ由来の信号を分析することによってのみデコードすることができる。デコード情報は複数のビーズに存在するが、単一の各ビーズには存在しない。

有利には、別の例では、試料中の1種以上の標的分析物の存在を検出するためのマイクロアレイが提供され、このマイクロアレイは、 試料中に存在する前記標的分析物と結合するための1つ以上の結合部位をその上に有する粒子の配列を含み、標的分析物が粒子の結合部位と結合すると、粒子は検出可能な信号の変化を放出し、粒子配列は少なくとも2つの粒子サブセットを含み、各サブセットは、そのサブセットに特有である1種以上の標的分析物に共通の結合部位を有し、各サブセットの粒子数は既知である。

各バッチの粒子が複数のサブバッチ(又はサブセット)の粒子を含むことができるように、複数の粒子は1つ以上のバッチに存在してもよい。

検出可能な信号は光信号でよい。

有利には、(i)その特定のバッチを構成する各サブバッチ中に存在する粒子に基づく異なる粒子数比率を有するバッチ分の粒子の堆積と、(ii)サブバッチ又はバッチ分の粒子中に存在する既知及び所定の(1種以上の)標的分析物と反応する一試薬又は試薬混合物の使用との組合せによって、本開示の方法はマイクロアレイのエンコード及びデコードを可能とすることができる。

2つ以上のバッチを堆積させる場合、各バッチの堆積後、マイクロアレイにおけるそのバッチの粒子の位置を捉えるために、マイクロアレイの画像を撮影することができる。累積バッチの画像ではなく、各バッチの正確な画像が撮影されるように、最新のマイクロアレイの画像により先のマイクロアレイの画像が「差し引かれる」はずである。各バッチを構成する粒子の位置を知ることによって、標的分析物と反応した正確なバッチを決定することができる。

バッチを構成する各サブバッチにおける粒子数に基づく粒子比率をあらかじめ決めることができる。粒子比率を知ることによって、標的分析物と反応した正確なサブバッチを決定することができる。たとえば、マイクロアレイのバッチの粒子比率(粒子数比率とも称される)は5/3/1である。このバッチの3つのサブバッチのそれぞれが、比率5/3/1に従って異なる量の粒子又はビーズを含み、5はサブバッチ1を表し、3はサブバッチ2を表し、1はサブバッチ3を表す。たとえば、それぞれ500個のビーズ、300個のビーズ及び100個のビーズである。ここで、3つの異なるサブバッチの活性剤に結合することができる標的分析物を含むと推測されるこのマイクロアレイに、試料を接触させる。測定した信号は400に相当する。これは、比率が5/3/1であるバッチのサブバッチ2及び3と特異的に結合する標的分析物を試料が含んでいたことを意味することになる。

したがって、使用する試薬は、(1種以上)の活性剤に結合している標的分析物に対して特異的であるので、上記から決まる正確なバッチ及びサブバッチを知ることによって、標的分析物を同定することができ、(1個以上の)粒子と結合している物理タグ又は識別子を使用することなくマイクロアレイをデコードすることができる。

限定されないが、典型的には、粒子に結合している活性剤は抗体(捕捉抗体)でよく、標的分析物は対応する抗原であり、試薬は蛍光標識抗体(検出抗体)であり、これによりサンドイッチ免疫検定が形成される。粒子集団及びその対応する標的分析物は、蛍光信号を記録し、開示の結合エンコード法を使用することによって同定される。ビーズバッチは、すべてのビーズバッチに対して同じ発蛍光団を有する結合エンコード試薬によって同定されるため、単一波長を用いてビーズバッチすべてからの蛍光信号を測定することができる。

バッチを1つ使用する場合には、マイクロアレイを撮像する必要はなく、例示的に上述したように、バッチを構成する様々なサブバッチの粒子比率を用いてマイクロアレイをデコードすることができる。

より有利には、粒子に付着させた物理タグ又は識別子を使用することなく、また光学的試験の場合には単一波長を使用するだけで、本開示の方法はマイクロアレイのエンコード及びデコードを可能とすることができる。「物理タグ又は識別子を使用することなく」とは、マイクロアレイから得られる情報のデコード中、測定した光信号のみでは、どの標的分析物が試験用試料中に存在したかを決定するには十分ではないことを意味する。ビーズ比率の知見のみで(マイクロアレイ上単一バッチの場合)、又はビーズ比率と異なるバッチの各ビーズの位置の知見とにより(マイクロアレイ上に2つ以上のバッチが含まれる場合)、どの標的分析物が試験用試料に含まれていたかを特定することが可能となる。

したがって、本開示の方法は、各バッチにおける個々の粒子のタグ付け(tagging)や複数の波長の読み出しの使用など、先行技術に関連する問題を回避することができる。

また本開示の方法により、信号発生用発蛍光団及び染料を用いたタグ付けのための発蛍光団と染料との間の干渉も回避される。タグ付けのための染料が必要ないため、FRET検定などの複雑な光学的検定を、本発明のビーズに容易に組み込むことができる。

ビーズバッチを同定するために、信号強度の比を以前は使用していた。しかしながら、信号強度比に関する先行技術はすべて、ビーズに組み込まれた光学標識又はタグからの強度に基づいている。たとえば、WO2011/127042では、「ビーズ数対標識強度としてプロットされる、少なくとも2つのタグ付けビーズのデータセット」と定義される「マルチモーダル分布パターン」によるビーズの同定が教示されており、ここでタグ付けビーズとは、「標識に付着している任意のビーズ、すなわち、・・・特有着色ビーズ」を指す。WO2011/1270及びUS2003/0073086において採用されるマイクロビーズはセルフエンコードされるが、ビーズのデコードは、既に単一のビーズに組み込まれている情報、典型的には色コードにより可能である。比較すると、本発明の信号比強度は、事前に組み込まれている標識又はタグには由来しない。本発明は、ビーズに付着している物理標識に依存せず、ビーズはセルフエンコードされていない。代わりに、デコード情報が、単一の各ビーズではなく、複数のビーズに含まれている。複数のビーズ、典型的には数百から数千のビーズを観察し、複数のビーズの信号強度比を決定するだけで、ビーズサブバッチをデコードすることができる。

上述のように、各バッチの堆積後にマイクロアレイを撮像して、各堆積ステップ後に添加した粒子すべての空間位置を決定することができる。ある特定のバッチ「M」に対する粒子すべての位置が画像分析によって決まるが、先の画像「M-1」が最新の画像「M」から差し引かれる。このようにして、バッチ「M」の粒子すべての位置を伴うデータ表が生成される。バッチ「M」は、サブバッチ「m」〜「m+x」の混合で形成され、「x+1」が「M」のサブバッチの総数である。バッチ「M」を形成するサブバッチは、異なる粒子数比率を有する。サブバッチ粒子の同一性は、バイオアッセイを行った後、粒子信号の分析によって決定され、バッチ「m」〜「m+x」すべての既知の粒子比率によってエンコードされる。ここでxは典型的には1と10との間、すなわち、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10であるが、これに限定されない。これにより、どの標的分析物が粒子と結合しているかを決定するために物理タグ又は識別子使用する必要もなく、単一の堆積バッチにおいて複数の最大「x+1」種の標的分析物を決定することができる。2つ以上のバッチを逐次堆積させ、各堆積後に撮像することができる。たとえば、単一の粒子堆積ステップから5種の異なる標的分析物の分析を可能とするために、典型的なバッチを5つのサブバッチで構成することができる。

エンコードすることができる単一の堆積バッチから粒子サブバッチの数を増大させるために、順次試薬をインキュベーションすることによって、上述のような粒子のデコードを組み合わせることができる。まず、サブバッチ「m1,1」〜「m1,1+x1」の混合でバッチ「M1」を形成する。ここで、「x1+1」は「M1」のサブバッチの総数である。その後、サブバッチ「m2,1」〜「m2,1+x2」の混合で第2のバッチ「M2」を形成する。ここで「x2+1」は「M2」のサブバッチの総数である。さらに、バッチ「M2」〜「Mn」を形成して、総数「n+1」のバッチを作り出すことができる。ここで「n」は典型的には1〜10、すなわち、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10であるが、これらに限定されない。「M」から「Mn」のバッチすべてにおいて、たとえば、サブバッチ「m1」〜「m1,1+x」を、サブバッチ毎に異なる粒子比率を使用することによって形成する。たとえば、4つのサブバッチについて10/5/2/1の比率を使用することができる。

この比率に基づくと、最後のサブバッチと比較して第1のサブバッチの10倍の粒子を、また最後のサブバッチと比較して第2のサブバッチの5倍の粒子を、また最後のサブバッチと比較して第3のサブバッチの2倍の粒子を含むバッチが形成されることがわかる。その後、バッチ「M」〜「Mn」を混ぜ合わせて、スーパーバッチ「S1」を形成する。スーパーバッチのビーズすべての空間的位置を決定するために、スーパーバッチを堆積させ、撮像する。各バッチ「M1」〜「Mn」に対応する試薬「R1」〜「Rn」一式を形成する。ここでたとえば、試薬「R1」は、1つのバッチのサブバッチすべてを検出するために必要な試薬すべてを含む。

ビーズのデコードは、順次試薬を適用することによって行われる。まず、スーパーバッチ「S1」の単一の堆積から形成されるマイクロアレイを試料に接触させて、分析物を、粒子上のそのそれぞれの活性剤に結合させる。その後、試薬「R1」を適用し、ビーズ「m1,1」〜「m1,1+x1」について、そのそれぞれの分析物が試料中に存在していた場合に信号が発生するにすぎない。マイクロアレイの任意の所与の領域に堆積している粒子の総数が既知であって、またサブバッチの粒子数比率が既知であることから、信号を発生させる粒子をデコードすることができる。

このようにして、異なる粒子数比率でそれぞれ5つのサブバッチの粒子をエンコードする3種の試薬「R1〜R3」を順次インキュベーションすることによって、合計たとえば、15種の分析物をエンコードし、検出することができる。1回の粒子堆積と、1回の撮像ステップのみが行われることに留意しなければならない。

最も好ましくは、より堅調なバッチ同定には、11/7/5/3/1などの素数からなる粒子比率を使用する。

好ましくは、各サブセットの既知の粒子数は、そのサブセットに特有である。

スーパーバッチ「S1」〜「Sn」が作り出される2つ以上のスーパーバッチからマイクロアレイを形成することもできる。スーパーバッチそれぞれの粒子すべての位置を決定するために、各堆積ステップ後に、スーパーバッチ「S1」〜「Sn」を逐次堆積させ、撮像する。

試料のインキュベーション後、試薬「R1」〜「Rn」で順次インキュベーションすることによって、粒子をデコードする。「R1」は、各スーパーバッチにおける第1のバッチ「M1」の粒子すべてをエンコードするための試薬をすべて含み、「R2」は、各スーパーバッチにおける第2のバッチ「M2」の粒子すべてをエンコードするための試薬をすべて含む等々である。この方法によってエンコードすることができるビーズの総数「T」は、T=バッチ数xサブバッチ数xスーパーバッチ数である。

異なる数のサブバッチ、バッチ及びスーパーバッチ、並ぶに異なる粒子比率を有する他のマイクロアレイを形成することもでき、上記具体例に限定されないことにも留意されたい。

エンコードしようとする可能な標的分析物の数は、2つ以上の異なるバッチにおいて同じサブバッチを使用することによって、さらに増加させることができ、バッチ内の粒子すべての空間位置を決定するために、それらバッチを逐次堆積させる。この進化した結合エンコード法は、非限定的な例を用いて最高の形で開示することができる。たとえば、6つのバッチ「M1」〜「M6」を準備する。各バッチは、複数のサブバッチ「SB1」〜「SBx」で構成される。ここで以下のようにしてバッチを形成する。バッチ内のサブバッチの異なる組合せを作成する。たとえば、バッチM1内にのみサブバッチSB1が存在し、バッチM1及びM2内にはサブバッチSB2が存在し、バッチM1、M2及びM3内にはサブバッチSB3が存在し、バッチM4内にはサブバッチSB4が存在し、バッチM2及びM3内にはサブバッチSB5が存在し、バッチM2、M3及びM4内にはサブバッチSB6が存在し、バッチM4及びM5内にはサブバッチSB7が存在し、すべてのバッチ内にサブバッチSB8が存在する等々である。したがって、バッチM1はSB1、SB2、SB3及びSB8を含み、バッチM2はSB2、SB3、SB5、SB6及びSB8を含み、バッチM3はSB3、SB5、SB6及びSB8を含み、バッチM4はSB4、SB6、SB7及びSB8を含み、バッチM5はSB7及びSB8を含み、バッチM6はSB8のみを含む。バッチ内のサブバッチのすべての組合せに達した場合に、最大エンコード数に達する。サブバッチの組合せはすべで既知であって、バッチの粒子すべての位置が既知である。試料及び試薬インキュベーションを1回使用することによって、すべての粒子をデコードすることができる。たとえば、バッチM1、M2及びM3においてのみ信号が発生した場合には、サブバッチSB3の粒子に対する対応する分析物が存在する。

この方法は、サブバッチを互いにさらに区別するために、異なる粒子数比率を用いることでさらに組み合わせることができる。この強な結合エンコード法により、それぞれ異なる分析物を検出する非常に数多くの異なるサブバッチをエンコードすることができ、より少ない粒子堆積ステップで多重化能力の高いマイクロアレイを製造することができる。

本発明の好ましい一実施形態が、素数ビーズ比率と組み合わせてランダウ関数を使用することであって、その目的は、必要となる粒子堆積ステップの回数を削減するために、所与の数のビーズバッチについてビーズサブバッチの数を最大にすることである。所与の数のビーズサブバッチ「n」について、ビーズバッチの部分群(subgroup)において2回以上ビーズサブバッチが現れないように、バッチを分割する。ビーズバッチの部分群において1回だけ生じるサブバッチ毎のビーズバッチの考え得る最善の分割は、ランダウ関数g(n)によって表される。この関数は、対称群Snの要素の最大次数となるよう自然数毎に定義される。同等に、g(n)は、任意の分割nの最大の最小公倍数(LCM)、又は最大回数で、その開始数列に戻る前に、それ自体にn個の要素の順列を再帰的に適用することができる。

たとえば、5=2+3で、LCM(2,3)=6である。5の他の分割ではより大きいLCMはもたらされず、よってg(5)=6となる。群S5における次数6の要素を、サイクル表記法で(1 2)(3 4 5)と記載することができる。

各比率が固有となるように、また割合の和も組合せ可能なすべての組合せに固有となるように、比率の「s」個の組合せを求めることができる。その後、比率c*sを用いてビーズサブバッチを堆積させることによって、同じ数のビーズバッチを用いてビーズサブバッチをエンコードすることができる。たとえば、n=13では、第1のビーズサブバッチをビーズバッチ1及び7にエンコードした場合。43番目のビーズサブバッチもビーズバッチ1及び7へとエンコードされるであろうことが予期される(下記表1参照)。このようにして、特定の比率を有するビーズプールにバッチ1のビーズをエンコードする一方で、異なる比率にある同じ2つのプールへとバッチ43のビーズをエンコードした場合でもやはり、これら比率に基づいてデコードを実現することができる。有利には、割合の和が別の割合値と決して等しくならないように素数の比率を使用する。たとえば、1:2:3:5において2+3は合計5となるため、このような組合せを回避すべきであり、代わりに次の通り1:3:5:7:11などの比率に従うことができる。

固有にエンコードすることができるビーズサブバッチの数は、一対のビーズバッチのみではなくそれ以上のビーズバッチにおける各ビーズサブバッチを堆積させることによって、さらに増加させることができる。たとえば、n=20、3つのビーズバッチにおける各ビーズサブバッチの堆積では、1つの可能な値がc=LCM(5,7,8)=280となり得る。一般に、n個のビーズバッチについて、各ビーズサブバッチがk個のビーズバッチにおいて堆積される場合、固有エンコードの数は、m1+m2+m3+....+mk=nとなるよう、c=LCM(m1.m2.m3....mk)である。

本開示の方法は物理タグ又は物理的識別子を使用せず、結合エンコード/デコードに依存するだけであることに留意されたい。バッチ内のサブバッチの順列により、開示の方法のマイクロアレイ用のデコードキー(decoding key)がもたらされ、このデコードキーのホルダだけが分析情報を活用することができる。

上記結合法を、以下の実施例1〜6においてさらに説明する。異なる結合法を組み合わせて、より高度なエンコードを実現することができることに留意されたい。これらの実施例において与えられている数字は、例示の目的のためにすぎず、方法の限定を表すわけではない。

粒子はビーズ、又は細胞、バクテリア、ウイルス粒子などの生物学的独立体でよい。粒子がマイクロビーズである諸実施形態においては、マイクロビーズは、不規則な形のマイクロビーズであっても、又は規則的な形のマイクロビーズであってもよい。マイクロビーズは、ミクロスフェア、マイクロカプセル、マイクロロッド、マイクロキューブ及びマイクロチューブからなる群から選択される形状を有することもできる。一実施形態において、マイクロビーズはミクロスフェアである。

マイクロビーズは、プラスチック、セラミックス、ガラス、金属、金属酸化物、二酸化ケイ素、ポリスチレン、メチルスチレン、アクリルポリマー、セファロース、セルロース、ナイロン、架橋ミセル、テフロン(登録商標)、常磁性材料、トリアゾル、カーボングラファイト、二酸化チタン、ラテックス、又はセファロース、セルロース、ナイロン、架橋ミセル、テフロン(登録商標)などの架橋デキストラン、又はペプチド、核酸及び有機質部分合成において使用する類似の組成物、又はその混合物を有する、たとえば、金属充填ポリマー粒子から選択される材料で形成することができる。

マイクロアレイの表面への粒子の結合のさせ方の方法は、当技術分野では公知である。本発明において、粒子は、たとえば、リンカーを介してマイクロアレイの表面に付着可能であると見なされる。ウェルを備えるグリット(grit)を設けることによって、マイクロアレイの基板上の粒子の位置を特定することも可能である。各ウェルは、正確に粒子を1個保持することができる。この方法は、たとえば、マイクロアレイの表面への付着のためのリンカーを粒子が含む方法と組み合わせて使用することができる。

粒子が細胞である諸実施形態においては、細胞は生細胞であっても、又は死細胞であってもよい。細胞粒子は、単細胞を含有する細胞懸濁液として、又は細胞群として適用し、上述の任意の方法によって堆積させて、細胞マイクロアレイを製造することができる。

大きい表面積が望まれる場合、粒子は少なくとも部分的に多孔質であってよい。多孔質粒子では、物理的、化学的、生化学的、酵素学的又は免疫学的検定を実施するための反応を、粒子の表面上及び粒子の内部の両方で起こすことができる。内部への拡散から不要な分子又は妨害分子を排除するように、多孔質粒子は、その空隙率及び透過率によって拡散特性を制御することができる。多孔質粒子が、拡散し、それにより内部へ活性剤を取り込む又は固定化することから、酵素、抗体、DNA、細胞、試薬などの活性剤を取り込むように、拡散特性を有することもある。したがって、粒子は少なくとも部分的に多孔質であってもよく、粒子の内部への所望の分析物の通過を可能とするための多孔質カプセルを有する。

粒子の粒径は、約0.1ミクロンから約500ミクロンまで、又は約1ミクロンから約10ミクロンまでの範囲でよい。各粒子が、少なくとも1種の標的分析物との特異的結合か可能である粒子構造に付着している、又は粒子構造内に取り込まれている少なくとも1種の活性剤を含むことができる。一実施形態においては、粒子は単一の種類の活性剤を含む。別の実施形態においては、粒子は少なくとも2種の活性剤を含むことができ、各剤は、互い独立に化学薬剤又は生物活性剤でよい。少なくとも2種の活性剤には、既知の結合部位数比率を提供することができる。

粒子に付着させることができる活性剤は、有機化合物又は無機化合物でよい。有機活性剤として、ペプチド、タンパク質、核酸、代謝産物、炭水化物、酵素、抗体、ホルモン、レクチン、薬物、農薬、アレルゲン、抗原、レセプタ、脂肪酸又はこれらの混合物を含むことができるが、これらに限定されない。

タンパク質は、天然に存在するタンパク質であっても、合成的に合成したタンパク質であってよい。タンパク質は、細胞抽出物から、又はタンパク性細胞抽出物の無作為若しくは直接的消化から得ることができる。

核酸は、天然に存在する核酸であっても、合成的に合成した核酸であってよい。核酸は一本鎖であっても、又は二本鎖であってもよく、二本鎖又は一本鎖配列の両方の一部を含んでいてもよい。核酸は、DNA、ゲノムDNAとcDNAとの両方、RNA又はハイブリッドでよい。

活性剤は、粒子上への付着の前に、従来の化学的、物理的及び生化学的手法により変性させることができる。

活性剤は、粒子上に直接合成することも、又は作製し、その後合成後に付着させることもできる。一実施形態においては、リンカーを採用して、粒子に活性剤を付着させ、より優れた付着を提供し、柔軟性増大により標的分子との相互作用を改善し、望ましくない又は非特異的な結合を減少させる。粒子上への活性剤の付着は、静電相互作用、イオン結合、共有結合、水素結合及び双極子相互作用からなる群から選択される化学的相互作用に依存することがある。粒子への活性剤の付着の前に、化学反応性基で粒子を官能基化して、結合を容易にすることができる。

粒子は、基板支持体上に設置することができる。基板材料は、合成若しくは天然に存在する高分子材料、有機材料、無機材料、金属、セラミックス、プラスチック、ゴム、ガラス、繊維性材料、グラファイト又はシリコンから選択することができる。例示的な物質が、シリコン、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、変性シリコン、ガラス及び変性若しくは官能性ガラス、無機ガラス、プラスチック、アクリル、ポリスチレン及びスチレンの共重合体、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリウレタン、テフロン(登録商標)、多糖類、ナイロン、ニトロセルロース、樹脂、シリカ、シリカをベースとする材料、炭素並びに金属からなる群から選択される。一実施形態において、基板は蛍光を自己発光することはない。

標的分析物は、有機又は無機分子でよい。標的分析物は、環境汚染物質(農薬、殺虫剤、毒素等を含む)、化学薬品(溶媒、ポリマー、有機材料等を含む)、治療用分子(治療薬剤及び乱用薬物、抗生物質等を含む)、生体分子(ホルモン、サイトカイン、タンパク質、核酸、脂質、炭水化物、酵素、抗体、抗原、細胞膜抗原、及びレセプタ(神経、ホルモン、栄養素及び細胞表面レセプタ)若しくはそのリガンド等を含む)、全細胞(哺乳類腫瘍細胞を含めた、(病原性細菌などの)原核細胞及び真核細胞を含む)、ウイルス(レトロウイルス、ヘルペスウイルス、アデノウイルス、レンチウイルス等を含む)並びに胞子からなる群から選択することができる。標的分析物は、核酸及びタンパク質(免疫グロブリン、酵素、ホルモン及びサイトカインを含む)であってもよい。生物活性剤に対する標的分析物の特異的結合は、静電相互作用、イオン結合、共有結合、水素結合及び双極子相互作用からなる群から選択される化学的相互作用に依存することがある。

試薬は、1種の標的分析物を特異的に検出する物質でよい。試薬は物質の混合物でもよく、混合物中の各物質が1種の特異的な標的分析物を検出する。試薬は、蛍光標識結合分子、抗体、レセプタ又はアプタマーでよい。

標的分析物を含有する可能性がある試料を分析するためにマイクロアレイを使用している場合には、蛍光タグ、バーコード、化学的識別子、量子ドット、微細構造、核酸識別子、エングレービング及びRFタグを含むがこれらに限定されない識別子で粒子をタグ付けすることができる。標的分析物に識別子を添加することもできる。

有利には、識別子を使用して、粒子の、また後に粒子上の活性剤の位置の同定を強化することができる。

標的分析物を含有する可能性がある試料を分析するためにマイクロアレイを使用する場合には、校正物質に対して1種以上の標的分析物を交換することができる。校正物質は、その対応する活性剤に結合し、既知の光信号強度を提供する試薬である。有利には、この信号強度を正規化に使用して、試料中の分析物の定量的濃度を決定することができる。

活性剤が標的分析物と結合すると、識別子は変化を示すことがある。この変化は、撮像装置又は比色分析装置の下で光学的に見ることができる。一実施形態においては、標的分析物を含有する試料が粒子の活性剤と結合した後に、識別子を適用することができる。

識別子は、粒子上の対応する活性剤と同様に結合する標的分析物上に接合させることができる。識別子は、直接標的分析物に接合させることも、又はリンカー分子若しくは検出抗体若しくは二次抗体を用いて標的分析物に間接的に接合することもできる。

識別子が蛍光タグである一実施形態において、蛍光タグはレポータ染料の混合物でもよい。レポータ染料混合物の組成の変化は、出力される光学信号強度を変化させ、あり得る広い範囲の特有の光学的痕跡を提供することができる。

光学的痕跡は、光検出器などの検出器で検出することができる。光検出器は、コンピュータメモリに信号を送信することができ、コンピュータメモリはその後、画像ファイルを生成するためのコンピュータプロセッサによってアクセスされる。その後、光学的痕跡を示す粒子の位置及び種類など、画像ファイルに関連するデータを、各粒子バッチ堆積後に得られるデータ、すなわち、エンコード/デコードデータ表と比較して、粒子の同一性、又はバッチを同定する。光学的痕跡を示すそれら粒子は、標的分析物と結合した粒子である。その粒子の分集団(subpopulation)用活性剤は、エンコード/デコードデータ表から既知であるから、試料中の標的分析物を同定することが可能である。

本開示の方法は、多重化能力の高い粒子アレイの製造を可能とすることができる。有利には、物理的識別子又は物理タグを有していない粒子を用いる1回の粒子堆積ステップで、多重マイクロアレイを製造することができる。

本開示のプロセスに従って作製した粒子アレイは、分析の目的で使用することができる。したがって、粒子アレイに試料を接触させる。

試料が、粒子上の活性剤と結合する標的分析物を含有する場合、この結合の結果として信号が発生するはずである。たとえば、活性剤は抗体でよく、標的分析物は抗体活性剤と結合する抗原でよい。抗原は、抗体-抗原結合で蛍光信号が発生するように、蛍光タグでタグ付けすることができる。検体は、発蛍光団との化学反応によって、又は第2の蛍光標識検出抗体を用いることによって、直接標識することができる。

異なる分析物向けの検定が、異なる確度、精度、ロバスト性を有することがある。この事実は、抗体の品質、結合係数、結合反応速度及び不純物が異なるなど、抗体又は他の結合分子の本質的相違から生じる。実際には、ロバスト性及び/又は精度がより低い検定は、最大粒子数で選択されるはずであり、また最もロバスト性の高い検定は、最小粒子数で選択されるはずである。

本開示の方法は、生物学的、化学的又は物理的パラメータの分析及び定量化用の粒子マイクロアレイデバイスを作製するために、代替方法を提供することができる。

さらに、試料中の1種以上の標的分析物の存在を同定するためのマイクロアレイシステムが提供され、このマイクロアレイシステムは、基板を備えるマイクロアレイであって、基板は、基板とロッキング係合している複数の化学的又は生物学的活性粒子を有するマイクロアレイと、各粒子の位置を記録するメモリであって、各粒子の前記位置は、基板の撮像によって決定されているメモリと、試料と接触すると、粒子の変化を検出する検出器と、各粒子の位置に基づき試料中の1種以上の標的分析物の存在を同定するために、メモリに問い合わせを行い、また検出器から受け取るデータを比較する、プログラム命令に応答するプロセッサとを備える。

コンピュータのメモリ内のエンコード/デコードデータ表には粒子の位置の画像を記録することができる。したがって、粒子の位置並びにバッチ及び適用する試薬の粒子数比率を決定することによってマイクロアレイをデコードするために、コンピュータプログラムの命令の下で作動するプロセッサにより、画像には容易にアクセスすることができる。

本発明の別の実施形態においては、粒子数比率の概念を、同じ粒子バッチ上の異なる分析物の結合部位に適用する。

たとえば、3種の標的分析物A1、A2及びA3では、2つの粒子バッチB1及びB2を調製するが、粒子上に存在する結合部位の数は既知である。その後、この数を使用して、既知の結合部位数比率を生成する。たとえば、B1粒子バッチは、結合部位数比率11/3でそれぞれ標的分析物A1及びA2対する結合部位を有することができ、一方B2粒子バッチは、結合部位数比率11/3でそれぞれ標的分析物A2及びA3対する結合部位を有することができる。

上記の例では、粒子バッチB1/B2についての検出信号強度比3/11が、試料中に標的分析物A2のみが存在することを示しているはずである。逆に、粒子バッチB1においてのみ信号が検出される場合、これは、試料中に分析物A1のみが存在していることを示している一方、粒子バッチB2においてのみの検出信号は、試料中に分析物A3のみが存在していることを示しているはずである。上記方法により、ビーズバッチの数を削減する追加の方法が提供される。有利には、両方の数比率法を組み合わせて、多次元エンコード法を提供することができる。 コンピュータネットワーク 本発明の一実施形態の方法及びシステムは、図3に概略的に示すコンピュータシステム800を用いて実施することができる。コンピュータシステム800内で実行され、例示的実施形態の方法を実施するようコンピュータシステム800に指示するコンピュータプログラムなどのソフトウエアとして、本実施形態の少なくとも一部を実施することができる。

コンピュータシステム800は、コンピュータモジュール802と、キーボード804やマウス806などの入力モジュールと、ディスプレイ808やプリンタ810など複数の出力デバイスとを備えることができる。

たとえば、インターネット、又はローカルエリアネットワーク(LAN)や広域ネットワーク(WAN)など他のネットワークシステムへのアクセスが可能となるように、コンピュータモジュール802は、適切なトランシーバデバイス814を介してコンピュータネットワーク812に接続することができる。

この例におけるコンピュータモジュール802は、プロセッサ818と、ランダムアクセスメモリ(RAM)820と、読み取り専用メモリ(ROM)822とを備えることができる。コンピュータモジュール802は、複数の入力/出力(I/O)インターフェース、たとえば、ディスプレイ808へのI/Oインターフェース824、キーボード804へのI/Oインターフェース826も備えることができる。

コンピュータモジュール802の構成要素は通常、相互接続バス828を介して、当業者にとっては公知のやり方で通信することができる。

アプリケーションプログラムは通常、コンピュータシステム800のユーザに供給し、CD-ROMやフラッシュメモリキャリアなどのデータ記憶媒体上でエンコードし、データ記憶デバイス830の対応するデータ記憶媒体ドライブを利用して読み取ることができる。アプリケーションプログラムは、プロセッサ818によって読み取り、その実行を制御することができる。RAM820を用いてプログラムデータの中間記憶を実現することができる。 図面の詳細な説明 図1は、本発明の一実施形態によるシステムの構成要素を示す概略図であり、本発明の一実施形態によるマイクロアレイ100と、マイクロアレイの粒子によって放出される検出可能な信号の変化を検出するための検出器102と、検出可能な信号の変化を放出する粒子の数を数えるためのプロセッサ104とを備える。

図2は、試料中の1種以上の標的分析物の存在を決定するための、本発明の一実施形態による方法に関わるステップを示すフローチャートであり、このフローチャートは、 試料中に存在する前記標的分析物と結合するための1つ以上の結合部位をその上に有する粒子のアレイに、試料を接触させることであって、標的分析物が、粒子の結合部位の少なくとも1つに結合すると、粒子は検出可能な信号の変化を放出し、粒子アレイは、少なくとも2つの粒子サブセットを含み、各サブセットは、そのサブセットに特有である1種以上の標的分析物に対する少なくとも1つの結合部位を有し、各サブセットの粒子の数は既知であること(ステップ200)、 粒子によって放出される検出可能な信号の変化を検出すること(ステップ202)、 検出可能な信号の検出された変化に基づき、検出可能な信号の変化を放出する粒子の数を数えて、前記粒子サブセットに特有である1種以上の標的分析物の有無を決定すること(ステップ204)とを含む。

図3は、本発明の一実施形態によるコンピュータシステムの構成要素を示す概略図である。

この非限定的な例において、コンピュータシステム800は、コンピュータモジュール802と、キーボード804やマウス806などの入力モジュールと、ディスプレイ808やプリンタ810などの複数の出力デバイスとを備える。

たとえば、インターネット、又はローカルエリアネットワーク(LAN)や広域ネットワーク(WAN)など他のネットワークシステムへのアクセスが可能となるように、コンピュータモジュール802は、適切なトランシーバデバイス814を介してコンピュータネットワーク812に接続されている。

コンピュータモジュール802は、プロセッサ818と、ランダムアクセスメモリ(RAM)820と、読み取り専用メモリ(ROM)822とを備える。コンピュータモジュール802は、複数の入力/出力(I/O)インターフェース、たとえば、ディスプレイ808へのI/Oインターフェース824、キーボード804へのI/Oインターフェース826も備える。

コンピュータモジュール802の構成要素は、相互接続バス828を介して、当業者にとっては公知のやり方で通信する。

アプリケーションプログラムは、コンピュータシステム800のユーザに供給され、CD-ROMやフラッシュメモリキャリアなどのデータ記憶媒体でエンコードされ、データ記憶デバイス830の対応するデータ記憶媒体ドライブを利用して読み取られる。アプリケーションプログラムは、プロセッサ818によって読み取られ、その実行が制御される。RAM820を用いてプログラムデータの中間記憶が実現される。

図4A〜図4Fは、試料中の1種以上の標的分析物の存在を検出するために使用した場合の、本発明の例示的なマイクロアレイの画像である。上側のパネルは光学顕微鏡画像であり、下側のパネルは蛍光(FITC)顕微鏡画像である。

図4Aは、標的分析物Aのみを含有する試料でインキュベーションを行ったマイクロアレイの画像である。

図4Bは、標的分析物Bのみを含有する試料でインキュベーションを行ったマイクロアレイの画像である。

図4Cは、標的分析物Cのみを含有する試料でインキュベーションを行ったマイクロアレイの画像である。

図4Dは、標的分析物A及びBを含有する試料でインキュベーションを行ったマイクロアレイの画像である。

図4Eは、標的分析物A及びCを含有する試料でインキュベーションを行ったマイクロアレイの画像である。

図4Fは、標的分析物B及びCを含有する試料でインキュベーションを行ったマイクロアレイの画像である。

図5は、下記デコード法と同様に、本発明のエンコード法の例を示す。この例では、サブバッチを3つ含むバッチを1つのみ使用する。しかしながら、4つ以上のサブバッチ(1〜n)を使用することも可能である。サブバッチを混ぜ合わせた後、マイクロアレイとなるべき材料の表面に堆積させ、結合させた。サブバッチの粒子は、特異的な粒子数比率がもたらされるよう異なる量で混ぜ合わせる。たとえば、サブバッチ1は1000個の粒子を含み、サブバッチ2は400個の粒子を含み、サブバッチ3は100個の粒子を含み、結果として10/4/1のビーズ比率が得られる。堆積後、それぞれのサブバッチと特異的に結合することができる1種以上の標的分析物を含むと推測されている試験用試料と、マイクロアレイを接触させる。粒子への標的分析物の結合が可能となるよう十分な時間試験用試料とマイクロアレイを接触させ、試験用試料でインキュベーションを行った後、どの粒子がその標的分析物への結合により信号を発生させるかを決定するために、画像を撮影する。

1000個の信号を測定する場合には、サブバッチ1に結合している標的分析物が試験用試料中に含まれていたと結論付けることができる。100個の信号を測定する場合には、第3のサブバッチに結合している標的分析物のみが試験用試料中に含まれていた。すべての粒子が信号を発生させる場合には、試験用試料中に3種の標的分析物すべてが存在していたことは明らかである。

バッチを1つしか使用しないこの例では、どの標的分析物が試験用試料中に含まれていたかを後にデコードするために撮像ステップは必要ないことがわかる。この例では、サブバッチ1、2又は3に対して特異的である標的分析物が試験用試料中に存在したかどうかを決定するには、粒子数比率のみで十分である。

図6も、本発明のエンコード及びデコード法を示す。図5に示す例と比較すると、図1に示す例では、1つのバッチだけでなく、いくつかのバッチを使用する。結合する特異的な標的分析物に信号を割り当てるためには、粒子数比率の知識だけでなく、各バッチの粒子の位置の知識も必要である。したがって、各バッチの堆積後、マイクロアレイの表面でバッチ1つの各粒子の空間位置を決定するために画像を撮影する。

図7Aは、ビーズ上の物理タグ又は標識を採用することなく、所定及び既知のビーズ数比率1:2:4:8を有する4つのサブバッチで形成されるバッチによって形成したマイクロアレイを示す。分析物のインキュベーションの後、そのそれぞれの分析物と結合したビーズから信号を発生させるために、任意の手段を採用することができる。ビーズによって生じる信号強度は、信号強度に応じて異なる長さを有する矢印として示される。図7Aに示すように、4つのサブビーズバッチが存在し、そのうち1つは信号を発生させないが、3つは、矢印で示される異なる強度の信号を発生させる。試料中に異なる分析物濃度が存在したため、又は異なるサブバッチが異なる感度を有し、同じ分析物濃度が存在した、若しくはその混合であったため、強度の差が生じる。図7Bは、図7Aのマイクロアレイのヒストグラムを示し、粒子数(count)又は粒子数(number)対信号強度がプロットされている。このようなプロットを使用する、又は粒子数及び信号強度を分析することによって、すべてのサブバッチのすべてのビーズをマイクロアレイ上で同定することができる。図7Bは、ゼロ(0)又はゼロに近い信号強度を有する(他の複数と比較して)相対粒子数が8である複数のビーズを示し、このサブバッチ及びその相関分析物の同定が可能となって、信号強度がゼロであるので分析物は存在しなかったと結論付けられる。このヒストグラムにおいて3つの(3)サブバッチ集団が明らかであり、増大する信号強度を有し、相対粒子数がそれぞれ1:4:2である。これら3つの集団において信号が観測されるため、分析物は試料中に存在した。校正を行うことによって、たとえば、分析物の基準値をいくつか測定し、信号強度を分析物濃度と関連付けることによって、分析物の定量化は可能である。本開示の図7からわかるように、相対信号強度を分析し、分析物濃度を知らずにそれぞれのビーズ数を決定することによって、デコードを行うことができる。このようにして、分析物の有無(有る又は無し)の定性分析を行うことができる。定量的分析物濃度を決定するために、校正を行うことができる。定量的分析物濃度を測定するための方法は、当技術分野において公知である。

具体的な実施例を参照することによりさらに本発明の非限定的な例及び比較例をさらに詳しく説明するが、これら実施例は、決して本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。

[実施例1] 結合法1(堆積1回及び試薬インキュベーション1回 この実施例では、ビーズ堆積1回と試薬インキュベーション1回とにより5種の異なるビーズ(又は標的分析物)をエンコードするための、異なるビーズ比率の5種のサブバッチの使用について示す。

第1のステップにおいては、以下表2に示すように、異なるビーズ比率のサブバッチを混合することによって、バッチ「M」を形成した。

次に、1回の堆積ステップにおいて基板上にバッチMを堆積させて、マイクロアレイを形成した。その後、試料を用いてマイクロアレイのインキュベーションを行った。次に、試薬「R」を用いてマイクロアレイのインキュベーションを行った。その後、マイクロアレイを撮像し、ビーズ信号を分析した。5種の分析物の各々が特異的ビーズ数比率と関連しているため、試料中に存在する分析物の同一性は、総ビーズ信号強度から決定することができる。たとえば、3000個のビーズに相当する総ビーズ信号が得られた場合、これは、ビーズ数比率1及び2に関連している分析物が試料中に存在する(3000=1000+2000であるため)ことを示している。したがって、上記方法を用いて、5種の異なる標的分析物すべてをデコードすることができる。

[実施例1-1] 概念実験の実証 抗PSA抗体(ビーズバッチA)、抗hCG抗体(ビーズバッチB)及びオリゴヌクレオチドプローブ(ビーズバッチC)でそれぞれ被覆した3種類のマイクロビーズを混ぜ合わせた。標的分析物A、B及びCを検出するための3種の異なるバッチのビーズを、A、B及びCそれぞれについてビーズ数2575ビーズ/マイクロリットル、1900ビーズ/マイクロリットル及び2300ビーズ/マイクロリットルで調製する。その後、これらのバッチを、Aについては希釈なし、Bについては3.7倍に希釈、Cについては22.3倍に希釈して等体積用いて混合し、結果としてA:B:Cについて相対ビーズ比率2575:515:103又は100:20:4を得る。

その後、ゲルパッドに基づくマイクロアレイ基板上に、ビーズを無作為に堆積させる。(1)PSAのみ(すなわち、標的分析物Aのみ)、(2)hCGのみ(すなわち、標的分析物Bのみ)、(3)標的オリゴヌクレオチドのみ(すなわち、標的分析物Cのみ)、(4)PSA及びhCGの両方(すなわち、標的分析物A及びB)、(5)PSA及び標的オリゴヌクレオチドの両方(すなわち、標的分析物A及びC)、(6) hCG及び標的オリゴヌクレオチドの両方(すなわち、標的分析物B及びC)を含有した試料溶液を塗布し、1時間インキュベーションを行った後、PBSで洗浄する。アレイ上に蛍光標識(FITC)検出抗体を塗布し、1時間インキュベーションを行った後、PBS緩衝液と接合している非結合抗体の洗浄を行った。蛍光顕微鏡を用いてアレイを撮像した。その後、マイクロビーズ及び蛍光マイクロビーズすべての数を数え、検出されたビーズ(分析物と結合しているビーズ)に対するビーズ総数の比率を検出する。

結果を図4A〜図4Fに示し、定量的データを以下の表に示す。

これらの結果は、標的分析物毎に検出されるビーズの理論的期待数と、検出されるビーズの実数との間の密接な相関関係を示しており、これにより本方法の実行可能性が立証される。

したがって、この実施例では、粒子の堆積1回と、試薬の使用1回と、各標的分析物に関連している異なるビーズ比率よって、物理タグなしの粒子を含むマイクロアレイを成功裏にデコードすることができることが明確に示される。

[実施例2] 結合法2(堆積複数回及び試薬インキュベーション1回) この実施例では、ビーズ堆積複数回と試薬インキュベーション1回とを用いて15種の異なるビーズ(又は標的分析物)をエンコードするための、異なるビーズ数比率のサブバッチを各々が含む3種のバッチの使用について示す。

第1のステップにおいては、以下表4に示すように、異なるビーズ数比率のサブバッチを混合することによって、バッチM1、M2及びM3を形成した。

次に、基板上にバッチM1、M2及びM3を逐次堆積させた。各バッチを堆積させた後、基板を撮像した。マイクロアレイを完全に作製した後、試料を用いてマイクロアレイのインキュベーションを行った。次に、試薬「R」を用いてマイクロアレイのインキュベーションを行った。その後マイクロアレイを撮像し、ビーズ信号を分析した。

先にマイクロアレイ作製プロセス中に得られた3枚の画像の比較によって、各バッチの空間的位置を決定した。したがって、各バッチの同一性を決定することができた。その後、各標的分析物に関連している特異的ビーズ数比率を使用することによって、各バッチ内の各標的分析物(サブバッチ)の同一性をデコードした。

上記方法を用いて、15種の異なる標的分析物をすべてデコードすることができた。

この実施例では、各堆積後に撮影される画像を伴う粒子の堆積複数回と、試薬の使用1回と、各標的分析物に関連している異なるビーズ比率によって、物理タグなしの粒子を含むマイクロアレイを成功裏にデコードすることができることが実証される。

[実施例3] 結合法3(スーパーバッチの堆積1回及び試薬インキュベーション複数回) この実施例では、堆積ステップ1回と試薬インキュベーション複数回とを用いて15種の異なるビーズ(又は標的分析物)をエンコードするための、異なるビーズ数比率の5種のサブバッチをその各々が含む3種のバッチを含むスーパーバッチの使用について示す。

第1のステップにおいては、バッチM1、M2及びM3を混合することによって、スーパーバッチを形成した。各バッチは、以下の表5に示すように、異なるビーズ比率のサブバッチを含んでいた。

次に、1回の堆積ステップにおいて基板上にスーパーバッチを堆積させて、マイクロアレイを作製した。完成させたマイクロアレイをその後撮像した。したがって、各バッチを堆積させた後、別途撮像することがない。次に、試料を用いてマイクロアレイのインキュベーションを行った。

この後、バッチM1内のサブバッチをすべて検出するために必要な試薬すべてを含有する試薬「R1」を用いて、マイクロアレイのインキュベーションを行った。その後、ビーズ信号を分析し、各標的分析物に関連している特異的ビーズ数比率に基づきバッチM1内の標的分析物を同定した。

その後、バッチM2内のサブバッチをすべて検出するために必要な試薬すべてを含有する試薬「R2」を用いて、マイクロアレイのインキュベーションを行った。その後、バッチM2内の異なる分析物を同定するために、前回のようにビーズ信号を分析した。

最後に、バッチM3内のサブバッチをすべて検出するために必要な試薬すべてを含有する試薬「R3」を用いて、マイクロアレイのインキュベーションを行った。その後、バッチM3内の異なる標的分析物を同定するために、前回のようにビーズ信号を分析した。

上記方法を用いて、15種の異なる標的分析物をすべてデコードすることができた。

この実施例では、粒子の堆積1回と、順次適用される複数の試薬の使用と、各標的分析物に関連している異なるビーズ比率によって、物理タグなしの粒子を含むマイクロアレイを成功裏にデコードすることができることが実証される。

[実施例4] 結合法4(堆積複数回及び試薬インキュベーション複数回) この実施例では、ビーズ堆積複数回と試薬インキュベーション複数回とを用いて15種の異なるビーズ(又は分析物)をエンコードするための、同じビーズ数比率を有するサブバッチを各々が含む3種のバッチの使用について示す。

第1のステップにおいては、以下表6に示すように、同じビーズ数比率を有するサブバッチを混合することによって、バッチM1、M2及びM3を形成した。

次に、基板上にバッチM1、M2及びM3を逐次堆積させた。各バッチを堆積させた後、基板を撮像した。マイクロアレイを完全に作製した後、試料を用いてマイクロアレイのインキュベーションを行った。

次に、バッチM1、M2及びM3のサブバッチAを検出するために必要な試薬すべてを含む試薬「R-a」を用いて、マイクロアレイのインキュベーションを行った。その後、ビーズ信号を分析し、各バッチの既知の空間的位置に基づき、異なる分析物(サブバッチ)の同定を決定した。

その後、バッチM1、M2及びM3のサブバッチBを検出するために必要な試薬すべてを含む試薬「R-b」を用いて、マイクロアレイのインキュベーションを行った。その後、ビーズ信号を分析し、各バッチの既知の空間的位置に基づき、異なる分析物(サブバッチ)の同定を決定した。

その各々が、それぞれバッチM1、M2及びM3のサブバッチC、D及びEに対して特異的である試薬「R-c」、「R-d」及び「R-e」を用いて、上記プロセスをさらに3回繰り返した。

このようにして、15種の異なる分析物をすべでデコードすることができた。

この実施例では、粒子の堆積1回と、順次適用される複数の試薬の使用と、各標的分析物に関連している異なるビーズ比率によって、物理タグなしの粒子を含むマイクロアレイを成功裏にデコードすることができることが実証される。

[実施例5] 複数パネルマイクロアレイ この実施例では、3枚の異なる分析物パネル、たとえば、がんパネル、サイトカインパネル及び感染症パネルを含むマイクロアレイをエンコード及びデコードするための、本開示の方法の使用について示す。各パネルが7種の異なる分析物を検出することが可能である。たとえば、サイトカインパネルは、INFgamma、TNFalpha、GMCSF、IL1alpha、IL1beta、IL2及びIL4を検出することができる。

実施例4で説明した結合法4を用いて、同じビーズ数比率を有する3つのサブバッチ(各パネルから1つ)を各々が含む7つのバッチを、基板上に逐次堆積させた。各バッチを堆積させた後、基板の画像を撮影した。

以下の表7は、使用する各バッチのビーズ数比率を示す。7つのバッチ(M1〜M7)すべてにおけるサブバッチA(ボールドで示す)が、サイトカインパネルに対して特異的である。各サブバッチに関連している特定の分析物も示す。

マルチパネルマイクロアレイを使用すると、まず、興味のある試料を用いて、マイクロアレイのインキュベーションを行う。次に、エンドユーザにより、ユーザが関心のあるパネルが選択される。各パネルが、異なる試薬セットに対して特異的である。たとえば、試薬セット「R-a」は、サイトカインパネルを分析するために必要な試薬を含む。したがって、ユーザが、サイトカインパネルの7種サイトカイン分析物について試料を分析することを望む場合、試薬セット「R-a」を用いてマイクロアレイのインキュベーションを行い、その後ビーズ信号を分析する。その後、各サブバッチの既知の空間的位置に基づき、7種サイトカイン分析物それぞれの同定を決定することができる。

続いてユーザが、がんパネルについて試料を分析することを望む場合、ユーザは、がんパネルに対して特異的である試薬セットを用いてマイクロアレイのインキュベーションを行い、各サブバッチの空間的位置に基づき7種のがん分析物をデコードすることができる。したがって、上述の方法を使用することによって、7回の逐次堆積ステップだけで、21種の異なる分析物を分析することができる複数パネルマイクロアレイを製造することができる。加えて、このような複数パネルマイクロアレイにより、適当な試薬セットを用いて単純にマイクロアレイのインキュベーションを行うことによって、エンドユーザは、どのパネルをユーザが分析することを望むのか、選択の準軟性が可能となる。

基板上に備えることができるパネルの数に実際制限はない。したがって、本開示の方法を使用して、数千の分析物を有する数百のパネルをエンコードする汎用チップを、少数の製造ステップを用いるだけで製造することができる。

[実施例6] マイクロアレイを製造するために必要となる堆積ステップの回数を削減するためのプール方法 下記では、本発明のマイクロアレイを製造するために必要な堆積ステップの回数を削減するためにプール手法を用いた、本発明の結合エンコード法の非限定的な例を示す。

以下に示す表8では、各々が異なる標的分析物に対して特異的である104個のサブバッチ(すなわち、この例においては104種の標的分析物がある)が、たった13個のバッチを使用することでエンコードされている。

数字が相対ビーズ比率を示す表6に従って、104個のサブバッチを混合して13個のバッチとする。たとえば、サブバッチ番号1は、バッチNo.1及びNo.6中に、相対ビーズ比率1で存在する。サブバッチ41は、ビーズ比率2でバッチNo.1中に、また比率1でバッチNo.6中に存在する等々である。異なる相対ビーズ比率を有する異なるバッチ内でサブバッチの組合せを使用することによって、104個のサブバッチすべてが13個のバッチにおいてエンコードされる。基板上に各バッチを逐次堆積させた後、画像を撮影する。この方法を用いて作成したマイクロアレイをその後、以下のようにして使用する。

まず、試料を用いてマイクロアレイのインキュベーションを行う。この後、標的分析物すべての検出を可能とする単一試薬を用いて、マイクロアレイのインキュベーションを行う。その後、光信号を放出するビーズの画像を取り込むことができる。

次に、先の結合法において説明したように、堆積プロセス中に撮影した画像を比較することによって、ビーズが由来するバッチを決定することができる。

その後ユーザは、ありとあらゆるビーズバッチが厳密に2つの異なるプールに存在するという本実施例における原則に基づき、特異的サブバッチと、したがって存在する標的分析物とを同定することができる。であるから、サブバッチNo.1(すなわち、標的分析物番号1)が試料中に存在する場合、バッチNo.1及びNo.6の両方について光信号が得られることになる。また、たとえば、バッチ1で信号が得られるだけで、バッチNo.6では信号が得られない場合には、ビーズバッチNo.1は試料中に存在することができないということになる。

このプール方法がどのように機能するのかをさらに説明するために、たとえば、バッチNo.1及びNo.6について光信号が得られるだけであると仮定する。この場合、下記3つのシナリオのいずれか1つが当てはまる可能性がある。

(a)光信号は、サブバッチNo.1及びNo.41の両方に由来する。

(b)光信号は、サブバッチNo.1にのみ由来する。

(c)光信号は、サブバッチNo.41にのみ由来する。

どのシナリオが正しいのかを決定するために、異なるビーズ比率を使用する。バッチNo.1においては、サブバッチNo.1のビーズ数比率が1である一方、サブバッチNo.44のビーズ数比率が2である。したがって、たとえば、総ビーズ信号3が得られる場合、それはシナリオ(a)が正しいことを示しているはずである。逆に、総ビーズ信号2が得られる場合、これはシナリオ(c)が正しいことを示しているはずである。

したがって、存在する標的分析物に応じて、特有の組合せの信号が得られることになり、存在する標的分析物の同定は、上述のように一義的に決定することができる。

この例は例示にすぎず、非限定的な例である-より少数又ははるかに多数のサブバッチ(したがって、より少数又ははるかに多数の標的分析物)をデコードするために、他の任意の組合せのバッチ及び比率が可能である。プール手法を用いる本発明は、逐次ビーズ堆積に依存するビーズマイクロアレイの製造時間の削減という問題を解決する。104個のビーズバッチを逐次堆積させる代わりに、ビーズ同一性情報を含む13個のプールしたビーズバッチのみを堆積させる。これにより、製造時間及びコストが劇的に削減される。 プール用レイアウトテーブルを作成するためのガイドライン 下記の非限定的な例により、本発明の結合エンコード法に向けたプール戦略の設計の仕方に関するルール及びガイドラインが提供される。下記では、「B」がバッチ数(列)を意味し、「SB」がサブバッチ数(行)を意味し、「F」が、異なるプールにおけるビーズ比率についての1(one)に規格化される因子を意味する。「SB」及び「B」を整数とした用語(SB:B)は、プールテーブルにおける指定位置を指す。たとえば、(5:2)は、サブバッチNo.5及びバッチNo.2を指す。

プールテーブルの非限定的な例を表8に示す。このようなテーブルを生成するためのガイドラインは以下の通りである。

1.プールテーブルにおける任意の所与の位置に、ビーズサブバッチが存在していても、存在していなくてもよい。

2.ビーズサブバッチが存在する場合には、サブバッチは、プールテーブルにおける他のサブバッチと比較して、因子「F」(たとえば、体積当たりのビーズ)によって検出された任意の所与のビーズ比率を有することができる。ビーズ比率は、任意の数でよく、整数であっても整数でなくてもよい。

3.「n」は、バッチ内にビーズサブバッチが存在する頻度を示す。たとえば、バッチ5つごとにn=5であるビーズサブバッチが存在する一方、n=1であるビーズサブバッチとは、バッチ毎にビーズサブバッチが存在することを意味する。

4.最終的に2つのサブバッチを互いに区別することができるように、両方のバッチからの因子「F」は、あらゆる位置「B」で等しくあってはならない。たとえば、表6におけるサブバッチ7及びサブバッチ38について、(7:B)又は(38:B)のいずれかに対して少なくとも1つの値「F」が存在していなければならず、同じバッチ数に対する「F」は異なる。すなわち、少なくとも1つのバッチが存在しなければならず、「F」はビーズサブバッチ7とビーズサブサブバッチ3とで異なる。

5.エンコード/デコードのロバスト性を向上させるために、より多くの異なる「F」値を使用することができる。「F」が異なる位置の数に理論的限界はない。したがって、所与の数のサブバッチ及びバッチについて、すべての位置(SB:B)における「F」が任意の値をとることができるため、無数の異なる組合せが存在する可能性がある。よって、所与の結合エンコード問題に対する無数の解に関連している潜在的には無数の組合せが存在する。とは言っても、好ましいプール戦略においては、バッチはすべて類似の総ビーズ数を有するはずであって、所要のビーズ数が最小限に抑えられるようにプールテーブルにおける位置(SB:B)間の因子「F」の差が小さく抑えられるが、異なる比率を区別するには十分に大きいはずである。

上記ルールを適用することによって、数少ないバッチを用いて数多くのサブバッチをエンコードすることができ、それにより所要の堆積ステップの回数が削減される。所与の数のサブバッチに対してより少ないバッチを使用することによって、より多くの異なるビーズ比率がエンコードに必要となる。逆に、より多くのバッチを使用する場合には、より少ないビーズ比率しか必要とならない。

好ましいプール戦略では、限られた数のビーズ比率、たとえば、限定されないが、異なるサブバッチ間で因子「F」が少なくとも2(2)である1:2:4:8の比率を、それら異なるサブバッチ間を明確に区別するために採用する。この非限定的な実施例におけるビーズ比率の最大差は8(8)であり、これにより異なるサブバッチにおけるビーズ数の極端な差が回避される。

あるバッチが、特定のサブバッチのビーズを含まない可能性もあり、結果として0:1:2:4:8の比率が得られる。ビーズの不使用により所要のビーズ数を削減することができるが、欠点は、エンコードすることができる潜在的な組合せ数が削減されることである。たとえば、バッチを2つだけ使用した場合、32(2^5)の異なる組合せが存在する可能性があるが、両方のバッチにおいてビーズがゼロの組合せは分析情報を提供しないため、有用な組合せが合計31しかない。

この実施例では、分析物を1種しか含有していない試料の簡単明瞭なデコードが可能である。2種以上の分析物を有する試料では、両方のバッチにおけるビーズ総数が、ビーズ比率を決定することができる程度に異なっていなければならない。2種以上の分析物を有する試料では、異なるバッチにおいてビーズ総数のより大きな差がもたらされるように、また類似のビーズ数又は互いに近いビーズ数をもたらす組合せが少なくなるように、より数多くのバッチが好適である。

用途 有利には、本開示の方法により、ビーズ上に物理的識別子又は物理タグを必要としないビーズマイクロアレイを作製するための改良された方法が提供される。より有利には、多重化能力を有するこのようなビーズマイクロアレイを、1回のビーズ堆積ステップで作製することができ、製造の時間及びコストが大幅に削減される。

本開示の方法を最先端のマイクロアレイ法と組み合わせて、このような既知の方法の性能を大幅に向上させることもできる。

上記開示を理解した後、当業者にとって、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく本発明の他の様々な変更形態及び適応形態が明らかとなるであろうことが、またこのような変更形態及び適応形態は添付の特許請求の範囲内に入ると意図されることが明らかであろう。

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