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申请号 JP2009551300 申请日 2008-02-28 公开(公告)号 JP2010520068A 公开(公告)日 2010-06-10
申请人 エレメント シックス (プロダクション)(プロプライエタリィ) リミテッド; 发明人 ハーデン、ピーター、マイケル; プレトリウス、コーネリアス、ヨハネス;
摘要 本発明は、基材を加工する方法を提供する。 この方法は、作業面16を有する多結晶ダイヤモンド層12と、金属を含有しており且つ界面に沿って多結晶ダイヤモンド層12の作業面16に接合されている軟質層20とを有する工具部品を含む工具を使用して、断続加工、衝撃加工、又はそれらの組合せの処理で基材を加工するステップを含む。 界面に隣接する多結晶ダイヤモンド層12の領域22が、軟質層20からの一部の金属を含有している。
权利要求
  • 基材を加工する方法において、該方法が、作業面を有する多結晶ダイヤモンド層と、金属を含有しており且つ界面に沿って前記多結晶ダイヤモンド層の前記作業面に接合されている軟質層とを有する工具部品を有する工具を使用して、断続加工、衝撃加工、又はそれらの組合せの処理により前記基材を加工する段階を含み、
    前記界面に隣接する前記多結晶ダイヤモンド層の領域が、前記軟質層からの一部の金属を含有している、基材を加工する方法。
  • 前記軟質層の前記金属が遷移金属である、請求項1に記載された基材を加工する方法。
  • 前記軟質層の前記金属が、金属、金属炭化物、窒化物、ホウ化物、ケイ化物、炭窒化物、又はそれらのうちの2つ以上の組合せとして存在する、請求項1又は請求項2に記載された基材を加工する方法。
  • 前記軟質層が、
    主に炭化物形態の金属と、
    少量の金属形態の金属であって前記多結晶ダイヤモンドからの金属とからなる、請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載された基材を加工する方法。
  • 前記金属が、モリブデン、ハフニウム、クロム、ニオブ、タンタル、チタン、及びタングステンから選択される、請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載された基材を加工する方法。
  • 前記軟質層が最大100ミクロンの厚さを有する、請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載された基材を加工する方法。
  • 前記軟質層が前記作業面の一部分のみを被覆している、請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載された基材を加工する方法。
  • 前記軟質層が前記作業面の全体を被覆している、請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載された基材を加工する方法。
  • 前記作業面が、前記多結晶ダイヤモンド層の上面であり、側面と交差して交差部分が工具部品の切削端を形成している、請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載された基材を加工する方法。
  • 前記軟質層が、前記切削端から前記作業面の少なくとも一部分にわたって延在している、請求項9に記載された基材を加工する方法。
  • 前記軟質層が少なくとも50ミクロンの厚さを有する、請求項1から請求項10までのいずれか一項に記載された基材を加工する方法。
  • 前記軟質層の厚さが200ミクロン〜300ミクロンである、請求項1から請求項11までのいずれか一項に記載された基材を加工する方法。
  • 前記多結晶ダイヤモンド層が基材に接合されている、請求項1から請求項12までのいずれか一項に記載された基材を加工する方法。
  • 前記基材が超硬合金基材である、請求項13に記載された基材を加工する方法。
  • 前記加工が、のこ引き、孔ぐり、切削、粉砕、旋削又は掘削である、請求項1から請求項14までのいずれか一項に記載された基材を加工する方法。
  • 添付図面を参照しながら本明細書で説明した方法と実質的に同じである、請求項1に記載された基材を加工する方法。
  • 実施例のいずれか1つを参照しながら本明細書で説明した方法と実質的に同じである、請求項1に記載された基材を加工する方法。
  • 说明书全文

    本発明は、基材を加工する方法に係るものである。

    多結晶ダイヤモンド(PCD)としても知られるダイヤモンド成形体、及びPCBNとしても知られている立方晶窒化ホウ素成形体を使用した著しく硬い砥石切削要素又は工具部品が、掘削、粉砕、切削、及び、他のそのような研磨用途で広く使用されている。 この要素又は工具部品は、通常、一般には超硬合金の支持体である支持体に接合されたPCD又はPCBNの層を有する。 PCD層又はPCBN層は、鋭敏な切削端若しくは切削点又は切削面若しくは研磨面を有することができる。

    PCDは、ダイヤモンド同士の直接結合を相当量含む多量のダイヤモンド粒子を含む。 PCDは、コバルト、ニッケル、鉄、又はこのような金属を1つ若しくは複数含む合金などのダイヤモンド触媒/溶媒を含む第二相を通常有する。 同様に、PCBNは、通常はcBNの触媒である或いはそのような触媒を含む結合相を一般に有する。 好適な結合相の例としては、アルミニウム、アルカリ金属、コバルト、ニッケル及びタングステンなどがある。

    PCD切削要素は、一定範囲の金属及び合金、さらには木質複合材の加工に広く使用されている。 自動車産業、航空宇宙産業及び木工産業では、PCDが有する高準の生産性、精度及び堅牢性からの恩恵を得るためにPCDが特に使用される。 アルミ合金、バイメタル、銅合金、カーボン/グラファイト強化プラスチック及び金属基複合材が、通常、金属加工産業でPCDを用いて加工される材料である。 張合わせフローリング板、セメント板、ボール紙、パーティクル・ボード、ベニヤ板が、これに含まれる木製品の例である。 PCDは、オイル掘削産業におけるドリル本体用のインサートとしても使用される。

    加工中の切削工具の破損は、普通、以下の過程のうちの1つ又はそれらの組合せによって引き起こされる。
    突然の破損(突発破損)
    累積的な磨耗(進行性破損)
    塑性変形(突発破損)
    形状変化につながる塑性変形は、通常、高温でもその強度を維持するPCDのような超硬切削工具材料では特に特筆すべき要因ではない。 進行性磨耗に起因する工具の破損は、工具の磨耗が進展することが特徴である。 典型的な磨耗形態には、側面磨耗、クレータ磨耗、DOC(depth of cut(切削寸法))方向の逃げ面磨耗、及び、終端部の逃げ面磨耗が含まれる。 側面磨耗部分の幅(VB max)は好適な工具磨耗の測定値であり、所定の値のVB maxが良好な工具寿命評価基準とみなされる(国際規格(ISO)3685、1993、Tool life testing with single point turning tools(単刃旋削工具を用いた工具寿命試験))。 特定の用途において磨耗の特徴(磨耗跡)を発生させる磨耗形態は、一般に、切削工具のミクロ構造、加工条件及び切削端の幾何形状によって決まる。 磨耗形態には、アブレシブ磨耗、微小破壊(チッピング、スポーリング及びクラッキング)による磨耗、付着磨耗(構成刃先の形成)、又は、トライボケミカル磨耗(拡散磨耗(diffusion wear)及び新たな化合物の形成)を含むことができる。 通常、最適な工具材料、幾何形状及び加工パラメータを見つけるには相当な時間と手間を要する。

    PCDの良好な磨耗特性はダイヤモンドの高い硬度によるものであるが、これは破損又は耐衝撃性に対しては悪影響を及ぼしている。 このようにPCDの耐衝撃性が低いことから、特定の用途での使用において工具がならし運転段階すなわち初期段階の間に微小破損磨耗形態によって突然の破損又は磨耗が起きる場合がある。 突然の破損を防止するために、通常、強度を増大させるために面取り部及びホーン(研磨部)が切削端に形成される。

    炭化物と比較してPCDの耐衝撃性が低いことから、その使用は仕上げ用途のみに制限される。 粗加工及び頻繁に中断されるような用途(供給速度が高く切削寸法が大きい)においては、切削端への負荷が大きい場合、PCDは容易に破損して工具が早期に故障してしまう可能性がある。 他方、炭化物はPCDよりも早く磨耗するが、耐衝撃性は高い。 仕上げ処理の場合とは異なり、粗加工処理では寸法公差はそれほど重要ではない(VB max>0.6)。 これは、工具の磨耗が主要な要因ではなく、耐衝撃性が主要な要因であることを意味している。 また、MDF(中密度繊維板)の低SiAl合金及びボール板のような過酷さの少ない用途では、磨耗速度は一般に低いことから、性能に対するコストの比率が低い炭化物が好適である。

    これに加えて、PCDでは硬度が高いことにより処理コストが増大する可能性があり、炭化物と比較していっそう魅的ではなくなる。 高温高圧(HPHT)合成によって生成される超硬切削工具材料(多結晶ダイヤモンド(PCD)、多結晶立方晶窒化ホウ素成形体(PCBN)、単結晶ダイヤモンドなど)は、切削工具用のインサートとして使用される前にいくつかの処理ステップを行う必要がある。 これらの処理ステップは、一般に、以下のものを含む。
    1)通常はタンタル又はニオブ又はモリブデンのカップである金属カップを、合成されたディスクの超硬研磨面及び側面から除去する。
    2)好ましい特性を得るために超硬研磨テーブルの外側部分を大量に除去する。
    3)上面を中仕上げする。
    4)上面を研磨する(仕上げる)。 通常、研磨されたPCD層は、90°、3μmの触針で測定してRa=0.01μmの粗さを有する。 PCBNは通常研磨されない。
    5)ディスクを複数のセグメントに切断する。 ディスク及び切断されたセグメントは両方とも市場へと供給される。 研磨材料が非常に硬い性質を有することから、これらのすべての処理ステップのなかで研磨がおそらく最も困難である。 通常、性能を向上させるための用途では、研磨層の表面を高品質に仕上げる必要がある。

    現在入手可能であるPCD切削工具の別の欠点は、それらが鉄鋼材料を加工するように設計されていないことである。 例えば鋳鉄を加工する場合、切削端のところの切削力及びそれによる切削温度が非鉄加工の場合と比較してかなり大きい。 PCDは約700℃で黒鉛化し始めることから、鉄鋼材料を加工する場合、その使用は低速の切削に限定され、特定の用途では超硬(炭化物)工具と比較して非経済的となる。

    米国特許第5833021号明細書は、カッターの使用寿命を延ばすために多結晶ダイヤモンド表面に付着される耐熱性コーティングを有する多結晶ダイヤモンド・カッターを開示している。 この耐熱性層は0.1ミクロン〜30ミクロンの厚さを有しており、例えば、メッキ、又は、化学的は物理的蒸着といったような合成後の処理により付着される。

    米国特許第6799951号明細書は、多結晶ダイヤモンド層を有する、ツイスト・ドリル用のドリル・インサートを開示しており、その表面には別の金属層を介してモリブデンの層が付着される。 この別の金属層は、ニオブ、タンタル、ジルコニウム、タングステン、及び、これらに類似の別の金属又はこれらの金属を含む合金であってよい。 このドリル・インサートが任意の他の用途に使用され得ることは示唆されていない。

    米国特許第6439327号明細書は、カッターの側表面が多結晶ダイヤモンドの側面に高圧接合された金属層を備えている、ロータリ・ドリル用の多結晶ダイヤモンド・カッターを開示している。 好適な金属の例はモリブデンである。

    カラサワ、ミサワ(H Karasawa、S.Misawa)、「地熱井の掘削用の新たなPDCビットの開発―1:実験室試験(Development of New PDC Bits for Drilling of Geothermal Wells−Part 1):Laboratory Testing」」、エネルギー資源技術誌(Journal of Energy Resources Technology)、1992年12月、第114巻、第323頁の記事が、炭化チタン層が付着されたダイヤモンド層を有するPDCカッターを説明している。 この層の厚さは0.2mm〜0.3mmである。 このコーティングは、ダイヤモンド層のチッピングを防止するといわれている。

    米国特許第3745623号明細書は、製造過程においてその一部が炭化物に変化させられるチタン又はジルコニウム保護シース内でのPCDの製造過程を開示している。 このチタン又はジルコニウム・シースの薄層は、チップ・ブレーカ面を覆っているPCD上に置かれることができる。

    米国特許第5833021号明細書

    米国特許第6799951号明細書

    米国特許第6439327号明細書

    米国特許第3745623号明細書

    カラサワ、ミサワ(H Karasawa、S.Misawa)、「地熱井の掘削用の新たなPDCビットの開発―1:実験室試験(Development of New PDC Bits for Drilling of Geothermal Wells−Part 1):Laboratory Testing」」、エネルギー資源技術誌(Journal of Energy Resources Technology)、1992年12月、第114巻、第323頁

    本発明は、基材を加工する方法であって、作業面を有する多結晶ダイヤモンドの層と、金属を含有しており且つ界面に沿って多結晶ダイヤモンド層の作業面に接合されている軟質層とを有する工具部品を含む工具を使用して、断続加工、衝撃加工、又はそれらの組合せの処理により基材を加工するステップを含み、界面に隣接する多結晶ダイヤモンドの層の領域が、軟質層からの一部の金属を含有している、基材を加工する方法を提供する。

    軟質層は、工具部品用の多結晶ダイヤモンドよりも軟質の層を形成する。 この軟質層は、多結晶ダイヤモンドの作業面に強固に接合される。 なぜなら、金属の一部が、軟質層との界面に隣接する多結晶ダイヤモンドの領域内に拡散して多結晶ダイヤモンドの領域内に存在しているからである。 第二相として多結晶ダイヤモンド内に存在する一部の金属は軟質層に拡散している。 したがって、軟質層と多結晶ダイヤモンドとの間の接合は本質的には拡散接合である。 このような接合は例えば多結晶ダイヤモンドの製造中に形成できる。 すなわち、軟質層は、多結晶ダイヤモンドの製造中にその場で生成されて多結晶ダイヤモンドに接合される。 このように強固な接合は、過酷な条件下では炭化物層の層間剥離が起こりやすい米国特許第5883021号明細書に記載されている手法などの、合成後に被覆又は被着を行うような手法を使用して実現することはできない。

    ダイヤモンド材料に軟質の最上層を設けることにより、断続加工及び/又は衝撃加工を適用するような基材加工手法では、工具部品の性能が向上することが分った。 このような加工の典型的な用途は、複合材料(木材を含む)、アルミ合金、鋳鉄、チタン合金、耐熱性超合金(HRSA)及び焼入れ鋼の粉砕、のこ引き、及び孔ぐりである。 衝撃加工は別の用途として石油又はガスの掘削にも使用される。 このような用途では、ドリル・ビットは(性質の異なる)種々のタイプの岩層を通過しながら掘削しなければならないことから、切削端に衝撃がかかる。 また、ビットの旋回によっても切削端に衝撃がかかる。 さらに、特定の旋削用途においても、断続加工又は衝撃加工が必要となる場合がある。 このような用途の1つは、PCBNを用いた焼入れ鋼の旋削である。 この用途では、工具のすくい面上にクレータが形成され、その結果、くさび度が減少することにより切削端の強度が低下する。 過去において、製造業では、切削端に面取り部及びホーンを設けることによって、またそうすることによりインサートのくさび角度を増大させることによって、このような強度の低下を補償することを試みてきた。 断続又は衝撃に対する耐性が必要とされる場合がある別の2つの旋削用途は、切削端上にノッチが形成されやすいチタン及び耐熱性超合金の旋削である。 過去において、製造業では、ノーズ半径を増大させることによって又はインサートのアプローチ角度を変更することによってこのようなノッチの形成を補償してきた。

    軟質層の金属は種々の金属のうちの任意の1つであってよいが、遷移金属が好ましい。 好適な遷移金属の例は、モリブデン、ハフニウム、クロム、ニオブ、タンタル、チタン及びタングステンである。 また、遷移金属のニッケル及び銅並びに白金も、本発明を実施するのに特に好ましい金属であると考えられる。

    軟質層の金属は、金属、金属炭化物、窒化物、ホウ化物、ケイ化物又は炭窒化物、或いはそれらのうちの2つ以上の組合せとして存在できる。 軟質層の金属は、好しくは、金属又は金属炭化物、或いはそれらの組合せとして存在する。 より好しくは、軟質層は、主に炭化物形態の金属からなり、少量の金属を含む。 少量の金属は、金属として存在し、多結晶ダイヤモンドからの金属すなわち多結晶ダイヤモンド内に第二相として存在するコバルトなどの金属から構成される。

    軟質層は、作業面の一部分のみ又は作業面全体にわたって延在できる。

    多結晶ダイヤモンド層の作業面は、この層の上面であることが好しく、層の別の表面と交差してその交差部分のところで刃部又は切削端を形成している。 軟質層は、切削端又は切削点から作業面の少なくとも一部分にわたって延在していることが好しい。

    軟質層の厚さは、実行されている加工処理の性質及び基材の性質に応じて変化する。 一般に、軟質層の厚さは最大100ミクロンである。 軟質層の厚さは好しくは少なくとも50ミクロンである。 岩層の掘削の場合、好適な厚さは200ミクロン〜300ミクロンである。

    本発明の工具部分内の多結晶ダイヤモンド層の作業面に接合される軟質層は工具部品の製造中においてその場で製造できる。 このような方法では、多結晶ダイヤモンド層を製造するための部材は金属カップ又は金属カプセル内に配置され、多結晶ダイヤモンドを生成するのに必要な高温高圧条件下にさらされる。 この金属カップ又は金属カプセルの一部は、製造中に多結晶ダイヤモンドの外側表面に接着されて接合される。 別法として、軟質層を形成することを目的とした金属の層が、金属カプセル又は金属カップ内の接合されていないダイヤモンド粒子に接触するように配置されてもよい。 金属カプセル、金属カップ又は金属層からの金属の一部は製造段階において多結晶ダイヤモンド内に拡散する。 同様に、例えばコバルトといったような、多結晶ダイヤモンドからの金属の一部が軟質層内に拡散する。

    ダイヤモンド層の作業面は滑らかであるか又は研磨されていてよく、或いは、粗いすなわち不規則であってもよい。 粗いすなわち不規則な作業面は、作業面をサンドブラスト又は同様の処理にかけることによるものであってよい。

    軟質層の露出している上面は研磨されていてよい。 軟質層の研磨は、ダイヤモンド層表面の研磨よりも相当に容易であることは明白である。

    多結晶ダイヤモンドの層は基材又は支持体に接合されることが好ましい。 基材は好適には超硬合金基材である。 この基材の炭化物は、好適には、炭化タングステン、炭化タンタル、炭化チタン又は炭化ニオブである。 超微細な炭化物を用いて、当技術分野で既知の手法によって超硬合金を生成することが好ましい。

    本発明の方法で使用するための工具部品の一実施例の一部分を示した部分側面図。

    本発明の方法で使用するための工具部品を作るためのカプセル封入された予備形成体の一部分に区切った概略図。

    種々の領域を示した、多結晶ダイヤモンドの層に接合された軟質の最上層の顕微鏡写真。

    本発明は、このように改良された工具部品を用いた断続加工及び/又は衝撃加工処理で基材を加工するための改良された方法を提供する。 多結晶ダイヤモンド層の作業面に接合された軟質層によるその他の利点は以下の通りである。

    硬質の研磨層に接合された軟質層により、磨耗の初期段階において切削端に自己角取り(セルフ・ラウンディング(self rounding))効果又は自己研磨(セルフ・ホーニング(self−honing))効果が生まれる。 これにより、切削端の強度が増大され、初期の磨耗段階が短縮される。 ラウンディング(角取り)の程度は、軟質層の硬度を増大させるか又は低下させるかのどちらかによって調整できる。 また、多結晶ダイヤモンド層の端部にある孔又は窪みが軟質層の材料により埋められ、それにより磨耗開始部位が減少する。 初期のラウンディング処理後、軟質の最上層は研磨されてチップ・ブレーカの形状になることができる。

    研磨された軟質の最上層により、従来技術の多結晶ダイヤモンド製品と比較して作業面のキズが減少する。 また、軟質層はすばやく変形することから、切削の初期段階でより丈夫でより丸みのついた端部が形成される。 また、金属層は一般に多結晶ダイヤモンドと比較して破砕強度が高い。 弱めに研磨する方法により、多結晶ダイヤモンド表面内の応力が低下する。 こられすべての要因により、特に基材の断続加工及び/又は衝撃加工において、スポーリング、チッピング及びクラッキングの頻度及び程度が低下する。

    次に、添付図面の図1を参照しながら本発明を説明する。 図1は、本発明による、断続加工及び/衝撃加工を用いて基材を加工する方法において使用できる工具部品の切削端部分を示している。

    図1を参照すると、本発明の方法で使用される工具部品は、界面14に沿って層状多結晶ダイヤモンド12が接合されている超硬合金基材10を有している。 多結晶ダイヤモンド層12は、工具部品の作業面である上側表面16を有する。 上側表面16は、工具部品の切削端を規定する線に沿って側面18と交差している。

    軟質層20は作業面16に接合されている。 この軟質層20は切削端18まで延在している。 軟質層20は上述したタイプの層であり、金属を含有している。 軟質層20からのこの金属の一部が、多結晶ダイヤモンド層内の点線で示された領域22に存在している。 多結晶ダイヤモンド層12からの一部の金属が軟質層20内に存在している。 したがって、軟質層20と多結晶ダイヤモンド層12とは拡散接合されている。

    以下の実施例によって本発明をさらに説明する。

    「実施例1」
    相当な量のダイヤモンド粒子を、結合相としてコバルトを含む超硬合金基材の表面に配置した。 接合されていないこの塊体をモリブデン・カプセル内に配置して、このカプセルを従来型の高圧・高温装置の反応領域に配置した。 カプセルの内容物を、約1400℃の温度及び約5GPaの圧力にさらした。 この条件を、超硬合金基材に接合される表面と反対側の露出される表面とを有する多結晶ダイヤモンドの層を形成するのに十分な時間だけ維持した。 多結晶ダイヤモンドの層はコバルトを含む第二相を有する。

    カプセルを反応領域から除去した。 モリブデン/モリブデン炭化物の層を多結晶ダイヤモンドの外側表面に接合させた。 多結晶ダイヤモンドの層の一方の主面に接合された、多結晶ダイヤモンドよりも軟質の材料の薄層を残して、モリブデン/モリブデン炭化物のこの層の外側領域を研削によって除去した。

    軟質層の厚さは100ミクロンであった。 EDSを使用した分析により、この軟質層が、大部分のモリブデン炭化物及び少量のモリブデン金属、並びに、超硬合金基材からのコバルトから構成されていることが示された。 同じEDS分析を用いて、軟質層との界面に隣接する多結晶ダイヤモンドの領域がモリブデンを含有していることが示された。 軟質層と多結晶ダイヤモンド層との接合は強固であった。 炭化物支持多結晶ダイヤモンドから複数の切削工具部品を作製した。 これらの切削工具インサートは添付図面に示した構造を有する。 試験により、これらの切削工具部品が木材加工及び金属加工の用途に有効であることが示された。 軟質層の層間剥離は起こらなかった。

    「実施例2」
    相当な量のダイヤモンド粒子を、結合相としてコバルトを含む超硬合金基材の表面に配置した。 ダイヤモンド粒子の直径は約6ミクロンの平均サイズを有しており(マルバーンマスターサイザー(Malvern Mastersizer)を利用して測定した)、粒子の大部分は約2ミクロンよりも大きく約22ミクロン未満であった。 この接合されていない塊体を平均厚さが約250ミクロンであるニオブ・カプセル内に配置した。 カプセル自体は、平均厚さが約150ミクロンであるチタン・カプセル内に配置されている。 この二重にカプセル封入された反応塊を従来型の高圧・高温装置の反応領域に配置した。 カプセルの内容物を、約1400℃の温度及び約5GPaの圧力にさらした。 このような条件を、超硬合金基材に接合される表面と反対側の露出される表面とを有する多結晶ダイヤモンドの層を形成するのに十分な時間だけ維持した。 石油産業及びガス産業における削岩用のPCDカッターを焼結するのに採用される場合、この圧力及び温度のサイクルは通常1回である。 多結晶ダイヤモンドの層はコバルトを含む第二相を有していた。 この実施例で使用されるダイヤモンド及び炭化物基材は、構成及び寸法の両方に関しては、石油研削ビット及びガス研削ビット用に適したPCDインサートの製造に通常使用される基材であった。 カプセル封入された予備形成体(すなわち、高温及び高圧にされる前)の概略図を図2に示している。

    カプセルを反応領域から除去した。 ニオブ/炭化ニオブ及びコバルトを含む第1の層が多結晶ダイヤモンドの外側表面に接合されていた。 この層は約55ミクロンの厚さを有しており、それ自体で少なくとも2つの層部分を有していた。 PCD層に接近している部分はPCD層から離れている部分より炭素を比較的豊富に含んでいた。 約189ミクロンの厚さを有しており主としてニオブ金属を含む第2の層が第1の層に接合されていた。 約77ミクロンの厚さを有しており主としてチタンを含む第3の層が第2の層に接合されていた。 実質的にニオブである第2の層と実質的にチタンである第3の層との間に、チタン金属及びニオブ金属の両方を含む比較的薄い層が観察された。 観察された層構造を図3に示す。 ここでは、PCD層はラベル「C/Co」(すなわち、ダイヤモンド及びコバルト)で示されている。

    多結晶ダイヤモンドの層の一方の主面に接合された、多結晶ダイヤモンドよりも軟質の材料層を残して、チタンの層の外側領域が研削によって除去された。 このようにして被覆された4つのPCDカッター・インサートを作り、それぞれの外側領域軟質コーティングを異なる厚さだけ研削して除去し、以下の厚さのニオブを有する構成要素を得た。 0ミクロン(すなわち、研削により、PCD層の外側のほとんどのダイヤモンドがちょうど露出するような場所まで軟質層を除去した)、10ミクロン、50ミクロン、及び、150ミクロン。 いずれのインサートも作業部分の端部のところの角はそがれず、軟質層の層間剥離も起こらなかった。 これらのインサートを、特定の種類の削岩においてインサートの見込まれる相対性能を表す性能指数を決定するのに適している砂岩粉砕試験の手段によって比較試験した。 この試験には砂岩工作物の粉砕が含まれており、性能指数は、インサートが破損して有意な粉砕動作が得られなくなる場所までの粉砕される合計の滑り距離として定義される。 使用した砂岩はいわゆるナブームスプロイト砂岩(Naboomspruit sandstone)であり、粉砕条件は以下の通りとした。
    1140rpmのスピンドル速度 2.5mmに設定された切削寸法 50%の中断(すなわち、粉砕動作に入ったり粉砕動作から出たりを繰り返して、時間の50%は粉砕動作を行うのに費やして時間の50%は粉砕動作を行わないようにする形で、カッターが工作物の半円領域を粉砕する。)
    「破損までの距離」による性能指数は、軟質層の厚さの関数として単調増加し、150ミクロンの厚さの軟質層の場合における性能指数は軟質層全体が除去されたインサートのほぼ2倍であることが分かった。 4つのインサートのそれぞれの場合における破損までの距離を、50mm単位に数字を丸めて表1に示す。

    上述したインサートと本質的に同じである別の4つのインサート(すなわち、軟質質の層の厚さがそれぞれ0ミクロン、10ミクロン、50ミクロン及び150ミクロンである)を同様の手法で作り、各インサートの作業部分の両端部を用いて2つの異なる磨耗試験を行った(すなわち、それぞれの試験の現象がもう一方の試験の現象に干渉しないように、各インサートを使用して2つの試験を行った)。 第1の磨耗試験では、非常に粗く硬質で不均質なタイプの岩であるパール花崗岩(グラニット)をいわゆる縦タレット旋盤(「縦穴あけ機試験」とも呼ばれる)で加工し、第2の磨耗試験ではパール・グラニットを旋盤加工した。 これらの試験における磨耗性能指数は、所与の体積の加工物材料を除去することによりPCD層内に生じる磨耗跡の深さである。 最大で約0.5×10 −3まで漸増する特定の加工物材料の体積を除去した後に磨耗跡の深さを測定した。 エラーバー内においては、軟質層の厚さが異なるこれらのインサート間で磨耗性能指数の系統的差異は観測されなかった。 硬度が異なる複数の種類の岩の砕片の礫岩を含んでいる花崗岩の構成及び構造が不均質であることから、花崗岩を継続方式で加工することが花崗岩を断続的に切削することに類似していることは言及すべきことである。 PCDカッターの作用は、非常に短い周期の断続/衝撃方式での加工の場合の作用と同等である。

    この実施例は、軟質層を備えるPCBでは、頻繁に中断される(したがって、衝撃性がある)粉砕処理においてPCDカッターの寿命が向上し、非常に粗い材料の継続的な加工においても寿命の明白な低下は見られなかったことを示している。

    「実施例3」
    別の組のPCDカッター・インサートを作って実施例2と同様に試験を行った。 ここでは、ダイヤモンド粒子の平均サイズが約12ミクロンであり、ほとんどの粒子のサイズが約2ミクロンよりも大きく約25ミクロン未満である点が異なる。 砂岩粉砕試験の結果を表2に示す(破損までの距離は50mm単位に数字を丸めた)。

    薄い軟質層を使用することの利点がこれらの結果により示されている。

    やはり、磨耗性能の系統的差異は観測されなかった。

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