Cermet and coated cermet

申请号 JP2010051607 申请日 2010-03-09 公开(公告)号 JP2010234519A 公开(公告)日 2010-10-21
申请人 National Institute Of Advanced Industrial Science & Technology; Tungaloy Corp; 株式会社タンガロイ; 独立行政法人産業技術総合研究所; 发明人 TAMURA KEITARO; TAKEZAWA DAISUKE; HARA HIROKI; KITAMURA KOZO; TANIGUCHI YASURO; HAYASHI KOJI; MATSUMOTO AKIHIRO; CHO SUNG-PYO;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a cermet which is superior in defect resistance to the conventional cermet.
SOLUTION: The cermet has excellent defect resistance and abrasion resistance. The cermet comprises a hard phase and bonding phase. The hard phase contains W and nitrogen and comprises at least one compound selected from metal carbides, metal nitrides and metal carbonitrides, the compounds being composed mainly of Ti. The bonding phase is composed mainly of an iron group metal. The cermet is characterized in that the content of W in the whole cermet is 5 to 40 wt.% an interface phase of a composite carbonitride having a higher W content than that of the hard phase is present between the hard phases, and the interface phase and the hard phase have an atom ratio (Wb/Wh) of not less than 1.7 wherein Wb represents the content of W contained in the interface phase, by atom.%; and Wh represents the content of W in the hard phase, by atom.%.
COPYRIGHT: (C)2011,JPO&INPIT
权利要求
  • Wと窒素を含有し、Tiを主成分とする金属の炭化物、窒化物及び炭窒化物から選択される少なくとも1種からなる硬質相と、鉄族金属を主成分とする結合相とから構成されるサーメットであって、サーメット全体に含まれるW量が5〜40重量%であり、硬質相と硬質相との間に硬質相のW量よりもW量が多い複合炭窒化物からなる界面相が存在し、界面相に含まれる金属元素全体に対するW量をWb(原子%)と表し、硬質相に含まれる金属元素全体に対するW量をWh(原子%)と表したとき、Whに対するWbの原子比(Wb/Wh)が1.7以上であることを特徴とするサーメット。
  • 硬質相の芯部に含まれる金属元素全体に対するW量をWc(原子%)と表し、硬質相の周辺部に含まれる金属元素全体に対するW量をWr(原子%)と表したとき、Wrに対するWcの原子比(Wc/Wr)は0.5以上、1.4以下である請求項1に記載のサーメット。
  • サーメット全体に含まれるW量が10〜26重量%である請求項1または2に記載のサーメット。
  • 界面相が、硬質相と硬質相との間に形成される平均厚さ10〜500nmの層状の複合炭窒化物である請求項1〜3の何れかに記載のサーメット。
  • 界面相が、TiとWを含む、結晶構造がNaCl構造の炭窒化物である請求項1〜4の何れかに記載のサーメット。
  • 結合相が、鉄族金属に周期表4,5,6族元素を40重量%未満固溶させたものである請求項1〜5の何れかに記載のサーメット。
  • 結合相が、Co及びNiの1種または2種を主成分とし、周期表4,5,6族元素を2重量%以上、30重量%未満固溶させたものからなる請求項1〜6の何れかに記載のサーメット。
  • 結合相が、Coを主成分とし、周期表4,5,6族元素を2重量%以上、30重量%未満固溶させたものからなる請求項1〜7の何れかに記載のサーメット。
  • 請求項1〜8の何れかに記載のサーメットの表面に硬質膜を被覆した被覆サーメット。
  • 硬質膜が、周期表4,5,6族元素、Al,Siの酸化物、炭化物、窒化物およびそれらの相互固溶体、および炭素からなる群より選択された少なくとも1種をPVD法またはCVD法により形成したものである請求項9記載の被覆サーメット。
  • 硬質膜が、TiN,TiC,TiCN,TiAlN,TiSiN,AlCrN,Al 23 ,ダイヤモンドおよびダイヤモンドライクカーボンからなる群より選択された少なくとも1種をPVD法またはCVD法により形成したものである請求項9記載の被覆サーメット。
  • 说明书全文

    本発明は、切削工具などに用いられる耐欠損性および耐摩耗性が良好なサーメットおよび被覆サーメットに関する。

    サーメットは耐摩耗性に優れるため切削工具として用いられる。 サーメット製切削工具を用いて被削材を切削加工すると平滑な仕上げ面が得られることが知られている。 サーメットの従来技術としては、サーメット表面部の硬度を高めて耐摩耗性を向上させたサーメットがある(例えば、特許文献1参照。)。 また、合金内部および表面付近で組織を制御して性能を向上させたサーメットがある(例えば、特許文献2参照。)。

    特許2628200号

    特許3152105号

    近年、切削加工において高能率化が求められている。 切削工具の交換回数を減らすことにより高能率加工が可能となるため、これまでより長寿命の切削工具が求められてきた。 従来のサーメットは欠損しやすいため寿命が向上しにくいという問題があった。 本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、従来のサーメットよりも耐欠損性に優れたサーメットを提供することを目的とする。

    本発明者らは、サーメットの研究を行ってきたところ、Wを含有し、Tiを主成分とする炭窒化物からなる硬質相と硬質相との間に硬質相よりもW量が多い界面相を形成させると、サーメットの耐欠損性および耐摩耗性が向上するという知見を得て本発明を完成するに至った。

    すなわち、本発明のサーメットは、Wと窒素を含有し、Tiを主成分とする金属の炭化物、窒化物及び炭窒化物から選択される少なくとも1種からなる硬質相と、鉄族金属を主成分とする結合相とから構成されるサーメットであって、サーメット全体に含まれるW量が5〜40重量%であり、硬質相と硬質相との間に硬質相のW量よりもW量が多い複合炭窒化物からなる界面相が存在し、界面相に含まれる金属元素全体に対するW量をWb(原子%)と表し、硬質相に含まれる金属元素全体に対するW量をWh(原子%)と表したとき、Whに対するWbの原子比(Wb/Wh)が1.7以上であることを特徴とするものである。

    本発明のサーメットは、サーメット内に発生したクラックの進展を抑止して、耐欠損性を向上させた。 本発明の被覆サーメットは、さらに耐摩耗性に優れる。

    本発明のサーメットは、Wと窒素を含有し、Tiを主成分とする金属の炭化物、窒化物及び炭窒化物から選択される少なくとも1種からなる硬質相と、鉄族金属を主成分とする結合相とから構成される。 このようなサーメットを製造するためには、原料粉末としてW及び窒素を含み、アルゴンと窒素の混合ガス中で焼結することにより達成される。

    本発明の硬質相は、Wと窒素を含有し、Tiを主成分とする金属の炭化物、窒化物及び炭窒化物から選択される少なくとも1種からなる。 本発明の硬質相に含まれる金属元素は、WとTiを必須とし、WとTi以外の周期表4(Ti,Zr,Hf等),5(V,Nb,Ta等),6(Cr,Mo,W等)族元素から選択される少なくとも1種を含有していてもよい。 本発明において、Tiを主成分とするとは、硬質相に含まれる周期表4,5,6族元素の中でTiが原子比率で最も多く、具体的には、硬質相に含まれる周期表4,5,6族元素の合計に対して硬質相に含まれるTiは50原子%以上であることを意味する。 なお、本発明の硬質相はWを含むので、Tiは50〜95原子%になる。 硬質相に含まれるTiの量を上記範囲にするためには、原料粉末中における周期表4,5,6族元素の合計に対するTiの割合を50原子%以上にすることにより達成される。

    本発明の硬質相の形態を詳しく述べると、硬質相は(1)TiとTi以外の周期表4,5,6族元素とを含む複合炭窒化物固溶体、(2)炭窒化チタンの芯部と、TiとTi以外の周期表4,5,6族元素とを含む複合炭窒化物固溶体の周辺部とからなる有芯構造の炭窒化物、(3)TiとTi以外の周期表4,5,6族元素とを含む複合炭窒化物固溶体の芯部と、TiとTi以外の周期表4,5,6族元素とを含む複合炭窒化物固溶体の周辺部とからなる有芯構造の炭窒化物、の少なくとも1種からなり、(4)炭窒化チタンを含んでも好ましい。

    本発明の界面相は、前記(1)〜(3)の少なくとも1種からなる硬質相と硬質相の間に形成される平均厚さ10〜500nmの層状の複合炭窒化物である。 本発明の界面相は、TiとWを含む結晶構造がNaCl構造の炭窒化物である。 本発明の界面相は隣接する硬質相よりもW量が多いことを特徴とする。 具体的には、界面相に含まれる金属元素全体に対するW量をWb(原子%)と表し、硬質相に含まれる金属元素全体に対するW量をWh(原子%)と表したとき、Whに対するWbの原子比(Wb/Wh)は1.7以上となる。 Wb/Whが1.7以上であると、サーメット内に発生したクラックの進展を抑止する効果が得られ、Wb/Whが1.7未満の場合は、そのような効果が得られない。 Wb/Whは、好ましくは1.9以上であり、さらに好ましくは2.1以上である。 Wb/Whの上限値は特に限定されないが、好ましくは3.0以下であり、さらに好ましくは2.8以下である。

    本発明の界面相を形成させるためには、サーメットの原料粉末にWおよび窒素を含ませて、アルゴンと窒素の混合ガス雰囲気中で焼結し、冷却すると、冷却される過程において、結合相中の溶質元素の溶解度が冷却と共に減少し、硬質相表面部よりもWの量が多い硬質相がその表面に析出するが、硬質相と硬質相の間や粒界三重点にWが安定に析出し、硬質相のW量よりもW量が多い複合炭窒化物からなる界面相が得られる。 なお、界面相は焼結中および冷却中に形成されると考えられる。 本発明の界面相を形成させる条件の一つにWの添加が挙げられる。 サーメット全体に含まれるW量が5重量%未満の場合、十分なクラック抑止効果のある界面相が得られない。 また、サーメット全体に含まれるW量が40重量%を超えて多い場合、硬質相の耐摩耗性が低下する。 そのため、サーメット全体に含まれるW量を5〜40重量%とした。 その中でもサーメット全体に含まれるW量が8〜32重量%であるとさらに好ましく、10〜26重量%であることが特に好ましい。 サーメットに含まれるWの量を上記範囲にするためには、原料粉末中における全成分の合計に対するWの割合を上記範囲にすることにより達成される。

    本発明の硬質相が(3)TiとTi以外の周期表4,5,6族元素とを含む複合炭窒化物固溶体の芯部と、TiとTi以外の周期表4,5,6族元素とを含む複合炭窒化物固溶体の周辺部とからなる有芯構造の炭窒化物からなると、本発明の界面相が形成されやすい。 本発明における有芯構造の硬質相とは、芯部の組成と周辺部の組成は異なり、芯部は直径約0.05〜10μmの粒状であり、芯部の周囲の一部または全部を厚さ約0.05〜10μmの周辺部が取り囲むような組織構造を持っている。 なお、本発明の界面相は、有芯構造の硬質相の外側に形成される。 有芯構造の硬質相の中でも、硬質相の芯部に含まれる金属元素全体に対するW量をWc(原子%)と表し、硬質相の周辺部に含まれる金属元素全体に対するW量をWr(原子%)と表したとき、Wrに対するWcの原子比(Wc/Wr)は1.4以下であると本発明の界面相が形成されやすく、1.3以下であることが好ましい。 Wc/Wrの下限値は特に限定されないが、好ましくは0.5以上であり、さらに好ましくは0.7以上である。

    本発明の鉄族金属を主成分とする結合相とは、鉄族金属に周期表4,5,6族元素を40重量%未満固溶させたものである。 本発明において鉄族金属とはCo、Ni、Feを示す。 その中でも、結合相がCo、Niの1種または2種を主成分とすると、機械的強度が向上するのでさらに好ましく、その中でも結合相がCoを主成分とするとサーメットと硬質膜との密着性が向上となるのでさらに好ましい。 なお、本発明のサーメットはWを含むため結合相の鉄族金属にWが固溶するが、硬質相成分の結合相への固溶または結合相の特性向上のため、結合相の鉄族金属に周期表4,5,6族元素を40重量%未満、好ましくは30重量%未満固溶させてもよい。 結合相に固溶させる周期表4,5,6族元素の量の下限値は特に限定されないが、好ましくは2重量%以上であり、さらに好ましくは5重量%以上である。

    本発明のサーメットの表面に、PVD法やCVD法により周期表4,5,6族元素、Al,Siの酸化物、炭化物、窒化物およびそれらの相互固溶体、硬質炭素膜などの硬質膜を被覆した被覆サーメットは耐摩耗性に優れる。 硬質膜の具体例としては、TiN,TiC,TiCN,TiAlN,TiSiN,AlCrN,Al 23 ,ダイヤモンド,ダイヤモンドライクカーボン(DLC)などを挙げることができる。

    本発明のサーメットは、Wと窒素を含有し、Tiを主成分とする周期表4,5,6族元素の炭化物、窒化物、炭窒化物から選択される少なくとも1種の粉末と、鉄族金属の粉末との混合物を、
    (A)非酸化雰囲気中で1200〜1400℃の第1加熱温度まで昇温させる工程と、
    (B)1200〜1400℃の第1加熱温度から1480〜1580℃の第2加熱温度まで圧1Torr以上の窒素およびアルゴンの混合ガス雰囲気中で昇温させる工程と、
    (C)1480〜1600℃の第2加熱温度にて圧力1Torr以上の窒素およびアルゴンの混合ガス雰囲気中で、窒素分圧が0.25Torr以上となるように制御して所定の時間保持して焼結させる工程と、
    (D)(C)の工程を終えた混合物を常温に冷却する工程と、
    を含むサーメットの製造方法により得ることができる。

    具体的には、Wと窒素を含有し、Tiを主成分とする周期表4,5,6族元素の炭化物、窒化物、炭窒化物から選択される少なくとも1種の粉末と、鉄族金属の粉末とを用意する。 これらを所定の組成になるように秤量し、溶媒とともに湿式ボールミルにて混合し、混合後に溶媒を蒸発させて混合物を乾燥させる。 得られた混合物にパラフィン等の成形用のワックスを添加して所定の形状に成形する。 なお、成形する方法としては、プレス成形、押出成形、射出成形などを挙げることができる。 成形した混合物を焼結炉に入れて、真空中で350〜450℃まで昇温してワックスを除去させた後、真空中または窒素雰囲気中で1200〜1400℃の第1加熱温度まで昇温させる。 このとき、混合物を真空、窒素雰囲気、不活性ガス雰囲気、素雰囲気などの非酸化雰囲気中で昇温させることにより混合物の酸化を防いでいる。 非酸化雰囲気にて1200〜1400℃の液相出現温度以上に加熱すると、CoやNiなどの鉄族金属にWやMoなどが溶け込んだ液相が生じる。 さらに昇温させると他の金属元素も溶け込み液相量が増大する。 混合物を1200〜1400℃の第1加熱温度から1480〜1600℃の第2加熱温度まで圧力1Torr以上の窒素とアルゴンの混合ガス雰囲気中で窒素分圧が0.25Torr以上となるような雰囲気中で昇温させ、同様の雰囲気中で第2加熱温度にて所定の時間保持して焼結する。 この過程において、微小な粒子は液相に溶解し、粗大な粒子上に析出し、エネルギー的に安定な組織の形成が進行する。 微小な粒子が溶解して、粗大な粒子を形成する際に、液相に溶解したWは窒化物を形成しにくいため、一度溶解したWは炭窒化物の粒子上に析出しにくい。 このため、第2加熱温度での緻密化および組織安定化の進行に伴い、液相中のW量は増加する。 このとき、圧力1Torr以上の窒素とアルゴンの混合ガス雰囲気中で昇温して焼結を行うことにより、微小な粒子が溶解して粗大な粒子上に析出する過程において脱窒を抑えてサーメット組織の変質を防ぐとともに液相中のW量を高める。 なお、窒素とアルゴンの混合ガス雰囲気の圧力は1Torr以上が好ましいが、100Torrを超えるとサーメットの表層組織を制御しにくいため、窒素とアルゴンの混合ガス雰囲気の圧力は1〜100Torrが好ましい。 また、そのうちの窒素分圧は全圧に対して25〜75%が好ましい。 25%未満では脱窒を防ぐことができず、75%を超えて多くなるとサーメット表面の組織制御が難しい。 第2加熱温度から常温に冷却する過程において液相中の溶質の溶解度が冷却とともに減少する。 液相に溶解したWは炭窒化物の硬質相上に析出しにくく、炭窒化物の硬質相と炭窒化物の硬質相との間や粒界三重点に析出しやすい。 そのため、硬質相と硬質相との間や粒界三重点にWを多く含んだ界面相が形成される。 なお、第2加熱温度から常温に冷却する過程における雰囲気は、酸化を防止するために非酸化雰囲気が好ましく、その中でも真空、不活性ガス雰囲気、窒素とアルゴンの混合ガス雰囲気が好ましい。 以上のような工程により、硬質相と硬質相との間にWが多い界面相が形成された本発明のサーメットを得ることができる。

    さらに、本発明のサーメットの表面に、PVD法やCVD法により前記した硬質膜を被覆することにより本発明の被覆サーメットを得ることができる。

    複合炭窒化物固溶体の原料粉末として、平均粒径1.5μmのTiC粉、平均粒径1.5μmのTi(C 0.3 ,N 0.7 )粉、平均粒径2.0μmのWC粉、平均粒径2.3μmのNbC粉、平均粒径1.8μmのMo 2 C粉を用意した。 最終組成が(Ti 0.8 Nb 0.10.1 )(C 0.50.5 )、(Ti 0.85 Nb 0.10.05 )(C 0.50.5 )、(Ti 0.8 Nb 0.1 Mo 0.1 )(C 0.50.5 )となるように原料粉末を配合し、配合した原料粉末をボールミルで混合し、得られた混合粉末を圧力:1気圧の窒素雰囲気中にて2200℃で2時間の熱処理を行った。 冷却後、得られた複炭窒化物の塊状物を粉砕して、平均粒径1.5μmの(Ti 0.8 Nb 0.10.1 )(C 0.50.5 )粉、平均粒径2.5μmの(Ti 0.85 Nb 0.10.05 )(C 0.50.5 )粉、平均粒径2.6μmの(Ti 0.8 Nb 0.1 Mo 0.1 )(C 0.50.5 )粉を得た。

    サーメットの原料粉末として、平均粒径1.5μmのTi(C 0.50.5 )粉、平均粒径1.9μmのZrC粉、平均粒径1.8μmのTaC粉、平均粒径2.3μmのNbC粉、平均粒径2.0μmのWC粉、平均粒径1.8μmのMo 2 C粉、平均粒径1.4μmのCo粉、平均粒径1.6μmのNi粉を用意した。 それらと平均粒径1.5μmの(Ti 0.8 Nb 0.10.1 )(C 0.50.5 )粉、平均粒径2.5μmの(Ti 0.85 Nb 0.10.05 )(C 0.50.5 )粉、平均粒径2.6μmの(Ti 0.8 Nb 0.1 Mo 0.1 )(C 0.50.5 )粉を用いて、表1に示す配合組成に秤量した。 なお、配合組成からサーメットの原料粉末全体に含まれるW量(重量%)を求め、その値を表1に併記した。

    秤量した混合粉末を湿式ボールミルにて混合・粉砕した後、溶媒を蒸発させて、混合物を乾燥した。 乾燥させた混合物にパラフィンを添加して、プレス成形した。 ここで、発明品1〜5については、プレス成形した混合物を焼結炉に入れて、真空中で450℃まで徐々に昇温してパラフィンを蒸発させた後、真空中で1220℃の第1加熱温度まで昇温させた。 さらに、混合物を1220℃の第1加熱温度から1550℃の第2加熱温度までを窒素分圧が0.5Torrである圧力1Torrのアルゴンと窒素の混合ガス雰囲気中で昇温させ、窒素分圧が0.5Torrである圧力1Torrのアルゴンと窒素の混合ガス雰囲気中で1550℃の第2加熱温度にて50分間保持して焼結した。 焼結後、アルゴンと窒素の混合ガス雰囲気中で常温まで冷却して発明品1〜5のサーメットを得た。 一方、比較品1〜4については、プレス成形した混合物を焼結炉に入れて、真空中で450℃まで徐々に昇温してパラフィンを蒸発させた後、真空中で1280℃まで昇温させた。 さらに、混合物を1280℃から1550℃まで真空中で昇温させ、真空中で1550℃にて50分間保持して焼結した。 焼結後、アルゴン雰囲気にして1550℃の焼結温度から常温まで冷却して比較品1〜4のサーメットを得た。

    得られた試料について、走査型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡付属のEDS、透過型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡付属のEDSによって合金を構成する組織の構成および組成を調べた。 それらの結果は表2に示した。 なお、いずれの試料においても、結合相に含まれるNiとCoの合計は、結合相に含まれる金属元素全体に対して50重量%以上であった。 また、結合相に含まれるW,TiおよびMoの合計は、結合相に含まれる金属元素全体に対して40重量%未満であり、Niおよび/またはCoに固溶していた。

    試料の中央部分を切断して、透過型電子顕微鏡観察用試料を作製し、サーメット組織上の所定の位置を透過型電子顕微鏡付属のEDSにより分析した。 発明品1〜5では、硬質相と硬質相との間に界面相が形成されていた。 比較品1〜4は界面相が形成されていなかった。 硬質相と硬質相との間に存在する界面相に含まれる金属元素全体に対するW量:Wb(原子%)を測定した。 硬質相に含まれる金属元素全体に対するW量:Wh(原子%)を調べるため、硬質相と界面相の界面から200nm内部側のW量を測定し、その値をWh(原子%)とした。 それらの値からWhに対するWbの原子比:Wb/Whを求めた。 また硬質相における芯部に含まれる金属元素全体に対するW量:Wc(原子%)を測定した。 硬質相における周辺部に含まれる金属元素全体に対するW量:Wr(原子%)を測定した。 それらの値からWrに対するWcの原子比:Wc/Wrを求めた。 これらの結果は表3に示した。 なお、有芯構造をとらないTi(C,N)粒子からなる硬質相に隣接して界面相が存在するが、Ti(C,N)粒子からなる硬質相に含まれるW量:Wh(原子%)がゼロであるため、Wb/Whが無限大になる。 そのため、表3には、Wを含む有芯構造の硬質相またはWを含む複合炭窒化物固溶体の硬質相に含まれるW量:Wh(原子%)と、それらに隣接する界面相に含まれるW量:Wb(原子%)とから求められるWb/Wh(原子比)を記載した。 また、表3においてWc/Wr=0(原子比)とは、Wを含まない芯部(例えば、Ti(C,N)やTiCなどの芯部)を持つ有芯構造の硬質相であることを示している。

    得られた試料に研削とホーニングを施して、所定の形状のインサートを作製し、それらを用いて切削条件1,2の切削試験を行った。

    [切削試験1]
    耐欠損性評価試験試料形状:ISO規格TNGN160408
    被削材:S48C(形状:円柱に4本の溝を入れた略円柱状)
    切削速度:160m/min
    切り込み:2.0mm
    送り量:0.2mm/rev
    雰囲気:湿式切削試験回数:3回 寿命の判定基準:欠損するまでの衝撃回数を寿命とする。 なお、衝撃回数が30000回になるまでに欠損しない場合は、その時点で試験を終了する。

    表4に示されるように発明品は、比較品よりも耐欠損性に優れ、長寿命であることが分かる。

    [切削試験2]
    耐摩耗性評価試験試料形状:ISO規格SPGN120408
    被削材:SCM440(形状:ブロック状)
    カッター:有効径が160mmのカッターに試験の目的で1個のインサートを取り付けたもの。
    切削速度:150m/min
    切り込み:2.0mm
    送り量:0.22mm/tooth(F=64mm/min)
    雰囲気:乾式切削 寿命の判定基準:欠損したとき、または、最大逃げ面摩耗量V Bmaxが0.3mm以上になったときを寿命とする。

    表5に示されるように、発明品は比較品よりも加工長が長く、長寿命であることが分かる。 比較品4のようにWCが多いと、熱伝導率が高く、サーマルクラックが生じない。 しかしながら、比較品4は被削材と反応しやすく耐摩耗性に劣るため短寿命となった。

    発明品2のサーメットに研削とホーニングを施して、ISO規格TNGN160408形状の切削インサートを作製し、その表面に表6に示す硬質膜を被覆し、発明品6、7を作製した。

    得られた発明品6、7およびISO規格TNGN160408形状の発明品2を用いて切削試験3を行った。

    [切削試験3(耐摩耗試験)]
    耐摩耗性評価試験被削材:S53C(形状:円柱状)
    切削速度:140m/min
    切り込み:2.0mm
    送り量:0.25mm/rev
    雰囲気:乾式切削 寿命の判定基準:欠損したとき、または、最大逃げ面摩耗量V Bmaxが0.3mm以上になったときを寿命とする。

    発明品2のサーメットに硬質膜を被覆した発明品6、7の被覆サーメットは耐摩耗性に優れるので、発明品2のサーメットよりも加工時間を延ばすことが出来た。

    本発明によれば、耐欠損性および耐摩耗性が良好なサーメットおよび被覆サーメットが提供される。

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