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摺動部材およびすべり軸受

申请号 JP2017518369 申请日 2015-12-01 公开(公告)号 JP6234637B2 公开(公告)日 2017-11-22
申请人 大豊工業株式会社; 发明人 和田 仁志;
摘要
权利要求

基層上に、相手材の摺動面を有する被覆層が形成された摺動部材であって、 前記被覆層は、前記基層よりも軟らかい軟質材料で形成され、 前記摺動面においては、平均粒径が0.1μm以上かつ1μm以下の前記軟質材料の結晶粒が塊状に集合することにより、平均径が3μm以上かつ30μm以下の集合体が形成される、 摺動部材。前記軟質材料は、Bi、Sn、Pb、InまたはSbである、 請求項1に記載の摺動部材。基層上に、相手材の摺動面を有する被覆層が形成されたすべり軸受であって、 前記被覆層は、前記基層よりも軟らかい軟質材料で形成され、 前記摺動面においては、平均粒径が0.1μm以上かつ1μm以下の前記軟質材料の結晶粒が塊状に集合することにより、平均径が3μm以上かつ30μm以下の集合体が形成される、 すべり軸受。

说明书全文

本発明は、摺動面にて相手軸が摺動する摺動部材およびすべり軸受に関する。

Biのオーバーレイを形成した摺動部材が知られている(特許文献1、参照。)。特許文献1において、Biの析出粒子密度が50〜300個/100μm2となるようにオーバーレイを形成することにより、なじみ性と耐摩耗性とを向上させている。

特開2003−156045号公報

しかしながら、特許文献1において、Biの析出粒子密度が50〜300個/100μm2とするとオーバーレイの耐疲労性(強度)を向上させることができるものの、オーバーレイの変形が困難となりなじみ性が低下するという問題があった。 本発明は、前記課題にかんがみてなされたもので、なじみ性と耐疲労性とを両立できる技術を提供することを目的とする。

前記の目的を達成するため、本発明の摺動部材およびすべり軸受において、基層上に、相手材の摺動面を有する被覆層が形成された摺動部材であって、被覆層は、基層よりも軟らかい軟質材料で形成され、摺動面においては、平均粒径が0.1μm以上かつ1μm以下の軟質材料の結晶粒が塊状に集合することにより、平均径が3μm以上かつ30μm以下の集合体が形成される。

前記の構成において、軟質材料の結晶粒の平均粒径を0.1μm以上かつ1μm以下とすることによって、Hall-Petchの関係により摺動面における被覆層の被膜強度を向上させることができ、耐疲労性を向上させることができる。さらに、軟質材料の結晶粒が塊状に集合した集合体を形成することにより、集合体の変形によって、なじみ性を向上させることができる。すなわち、微細な結晶粒によって耐疲労性を向上させることができると同時に、集合体の変形によってなじみ性も向上させることができる。

ここで、結晶粒の平均粒径を1μm以下とすることにより、耐疲労性が不足することを防止できる。また、集合体の平均径を3μm以上とすることにより、集合体の変形量が不足することを防止できる。一方、集合体の平均径を30μm以下とすることにより、粗大な集合体によって油膜が適正に形成されず、耐焼付性が悪化することを防止できる。結晶粒の平均粒径と集合体の平均径の積が3以上となるように被覆層を形成することにより、良好な耐疲労性となじみ性とを実現できる。

また、軟質材料は、Bi,Sn,Pb,InまたはSbであってもよい。Bi,Sn,Pb,In,Sbは、いずれも硬度(例えばモース硬度)が小さく、軟質材料として好適である。また、以上説明した本発明の効果は、本発明の特徴を備えたすべり軸受においても発揮される。

本発明の実施形態にかかる摺動部材の斜視図である。

図2Aは摺動面の写真、図2Bは集合体の写真である。

圧縮試験の説明図である。

図4AはBiの電気めっきのパルス電流を示すグラフ、図4BはBiの結晶粒の平均粒径のグラフ、図4CはBiの結晶粒の集合体の平均径のグラフである。

図5Aは変形量のグラフ、図5Bは降伏応のグラフである。

ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。 (1)第1実施形態: (1−1)摺動部材の構成: (1−2)計測方法: (1−3)摺動部材の製造方法: (2)実験結果: (3)他の実施形態:

(1)第1実施形態: (1−1)摺動部材の構成: 図1は、本発明の一実施形態にかかる摺動部材1の斜視図である。摺動部材1は、裏金10とライニング11とオーバーレイ12とを含む。摺動部材1は、中空状の円筒を直径方向に2等分した半割形状の金属部材であり、断面が半円弧状となっている。2個の摺動部材1を円筒状になるように組み合わせることにより、すべり軸受Aが形成される。すべり軸受Aは内部に形成される中空部分にて円柱状の相手軸2(エンジンのクランクシャフト)を軸受けする。相手軸2の外径はすべり軸受Aの内径よりもわずかに小さく形成されている。相手軸2の外周面と、すべり軸受Aの内周面との間に形成される隙間に潤滑油(エンジンオイル)が供給される。その際に、すべり軸受Aの内周面上を相手軸2の外周面が摺動する。

摺動部材1は、曲率中心から遠い順に、裏金10とライニング11とオーバーレイ12とが順に積層された構造を有する。従って、裏金10が摺動部材1の最外層を構成し、オーバーレイ12が摺動部材1の最内層を構成する。裏金10とライニング11とオーバーレイ12とは、それぞれ円周方向において一定の厚みを有している。裏金10の厚みは1.3mmであり、ライニング11の厚みは0.2mmであり、オーバーレイ12の厚みは20μmである。オーバーレイ12の曲率中心側の表面の半径(摺動部材1の内径)40mmである。以下、内側とは摺動部材1の曲率中心側を意味し、外側とは摺動部材1の曲率中心と反対側を意味することとする。オーバーレイ12の内側の表面は、相手軸2の摺動面を構成する。

裏金10は、Cを0.15wt%含有し、Mnを0.06wt%含有し、残部がFeからなる鋼で形成されている。なお、裏金10は、ライニング11とオーバーレイ12とを介して相手軸2からの荷重を支持できる材料で形成されればよく、必ずしも鋼で形成されなくてもよい。

ライニング11は、裏金10の内側に積層された層であり、本発明の基層を構成する。ライニング11は、Snを10wt%含有し、Biを8wt%含有し、残部がCuと不可避不純物とからなる。ライニング11の不可避不純物はMg,Ti,B,Pb,Cr等であり、精錬もしくはスクラップにおいて混入する不純物である。不可避不純物の含有量は、全体で1.0wt%以下である。

オーバーレイ12は、ライニング11の内側の表面上に積層された層であり、本発明の被覆層を構成する。オーバーレイ12は、Biと不可避不純物とからなる。不可避不純物の含有量は1.0wt%以下である。

図2Aは、オーバーレイ12の内側の表面の写真である。図2Aに示すように、オーバーレイ12の内側の表面、すなわち相手軸2の摺動面には、塊状の集合体12aが多数形成されている。本実施形態において、摺動面に平行な方向における集合体12aの直径の平均値である平均径は、14μmであった。

図2Bは、集合体12aの写真である。図2Bに示すように、集合体12aは多数のBiの結晶粒が塊状に集合することにより形成された多結晶体である。本実施形態において、集合体12aの表面におけるBiの結晶粒の平均粒径は0.7μmであった。

圧縮試験におけるオーバーレイ12の変形量は2.4μmと良好であった。オーバーレイ12の変形量とは、圧縮試験によって摺動部材1を圧縮した際におけるオーバーレイ12の厚みの減少量を意味する。

以上説明した摺動部材1において、Biの結晶粒の平均粒径を0.7μmとすることによって、Hall-Petchの関係により摺動面における被覆層の被膜強度を向上させることができ、耐疲労性を向上させることができる。さらに、Biの結晶粒が塊状に集合した集合体12aを形成することにより、集合体12aの変形によって、なじみ性を向上させることができる。すなわち、微細な結晶粒によって耐疲労性を向上させることができると同時に、集合体12aの変形によってなじみ性も向上させることができる。

(1−2)計測方法: 上述した実施形態において示した各数値を以下の手法によって計測した。摺動部材1の各層を構成する元素の質量は、ICP発光分光分析装置(島津社製ICPS−8100)によって計測した。

各層の厚みは、以下の手順で計測した。まず、摺動部材1の直径方向の断面をクロスセクションポリッシャ(日本電子製 IB−09010CP)で研磨した。そして、摺動部材1の断面を電子顕微鏡(日本電子製 JSM−6610A)によって7000倍の倍率で撮影することにより、観察画像(反射電子像)の画像データを得た。そして、観察画像を画像解析装置(ニレコ社製 ルーゼックス AP)によって解析することにより膜厚を計測した。

オーバーレイ12におけるBiの結晶粒の平均粒径を以下の手順によって計測した。まず、オーバーレイ12の内側の表面のうち面積が425μm2となる任意の観察視野範囲(縦17μm×横25μmの矩形範囲)を電子顕微鏡(日本電子製 JSM−6610A)によって5000倍の倍率で撮影(垂直視)することにより、観察画像(反射電子像)の画像データを得た。そして、観察画像において切片法を行うことにより、Biの結晶粒の粒径を計測した。この切片法では、観察画像上に形成した線分が通過する結晶粒の数で、当該線分の長さを除算することにより当該線分上における結晶粒の粒径を計測した。さらに、複数の線分のそれぞれについて計測した結晶粒の粒径の算術平均値(合計値/線分数)を平均粒径として計測した。

また、オーバーレイ12におけるBiの集合体12aの平均径を以下の手順によって計測した。まず、オーバーレイ12の内側の表面のうち面積が0.0425mm2となる任意の観察視野範囲(縦0.17mm×横0.25mmの矩形範囲)を電子顕微鏡によって500倍の倍率で撮影(垂直視)することにより、観察画像の画像データを得た。そして、観察画像を画像解析装置に入力し、観察画像に存在する集合体12aの像のエッジ(明度や彩度や色相が所定値以上異なる境界)を抽出した。さらに、画像解析装置によって、エッジによって閉じられた領域をBiの集合体12aの像として観察画像から抽出した。

そして、画像解析装置によって、観察視野範囲に存在するすべてのBiの集合体12aの像について投影面積円相当径(計測パラメータ:HEYWOOD)を計測した。投影面積円相当径とは、Biの集合体12aの投影面積と等しい面積を有する円の直径であり、Biの集合体12aの像の面積と等しい面積を有する円の直径を光学倍率に基づいて現実の長さに換算した直径である。さらに、すべての集合体12aの投影面積円相当径の算術平均値(合計値/集合体数)をBiの集合体12aの平均径として計測した。なお、投影面積円相当径が1.0μm未満の場合、投影面積円相当径の信頼度や物質の特定の信頼度が低くなるため、Biの集合体12aの平均円相当径等を算出する際に考慮しないこととした。

オーバーレイ12の変形量は以下の手順によって計測した。図3は、圧縮試験の説明図である。同図に示すように、実質的に剛体とみなせるハウジングH上に載置された半割形状の摺動部材1に静荷重を作用させることによって圧縮試験を行った。ハウジングHには、摺動部材1の外径に対応する径の半円柱状の凹部が形成されており、当該凹部に沿うように摺動部材1を載置した。摺動部材1の内径に対応する径を有する円柱状の相手軸Gが用意され、当該相手軸Gを摺動部材1の内側の表面上に載置した。さらに、プラスティック板Tを介してオートグラフ(島津製作所製 AG−IS)によって50kNの静荷重を相手軸Gに作用させつつ、オートグラフによって、摺動部材1の厚みの減少量を摺動部材1の変形量として計測した。

(1−3)摺動部材の製造方法: まず、裏金10と同じ厚みを有する低炭素鋼の平面板を用意した。 次に、低炭素鋼で形成された平面板上に、ライニング11を構成する材料の粉末を散布した。具体的に、上述したライニング11における各成分の質量比となるように、Cuの粉末とBiの粉末とSnの粉末とを混合して低炭素鋼の平面板上に散布した。ライニング11における各成分の質量比が満足できればよく、Cu−Bi,Cu−Sn等の合金粉末を低炭素鋼の平面板上に散布してもよい。粉末の粒径は、試験用ふるい(JIS Z8801)によって150μm以下に調整した。

次に、低炭素鋼の平面板と、当該平面板上に散布した粉末とを焼結した。焼結温度を700〜1000℃に制御し、不活性雰囲気中で焼結した。焼結後、冷却した。 冷却が完了すると、低炭素鋼の平面板上にCu合金層が形成される。このCu合金層には、冷却中に析出した軟質のBi粒子が含まれることとなる。 次に、中空状の円筒を直径方向に2等分した形状となるように、Cu合金層が形成された低炭素鋼をプレス加工した。このとき、低炭素鋼の外径が摺動部材1の外径と一致するようにプレス加工した。

次に、裏金10上に形成されたCu合金層の表面を切削加工した。このとき、裏金10上に形成されたCu合金層の厚みがライニング11と同一となるように、切削量を制御した。これにより、切削加工後のCu合金層によってライニング11が形成できる。切削加工は、例えば焼結ダイヤモンドで形成された切削工具材をセットした旋盤によって行った。

次に、ライニング11の表面上に軟質材料としてのBiを電気めっきによって12μmの厚みだけ積層することにより、オーバーレイ12を形成した。Biの電気めっきの手順は以下のとおりとした。まず、電解液中にてライニング11の表面に電流を流すことにより、ライニング11の表面を脱脂した。次に、ライニング11の表面を洗した。さらに、ライニング11の表面を酸洗することにより、不要な酸化物を除去した。その後、ライニング11の表面を、再度、水洗した。以上の前処理が完了すると、めっき浴に浸漬させたライニング11に電流を供給することによりBiの電気めっきを行った。

オーバーレイ12におけるBiの電気めっきの条件を以下のとおりとした。Bi濃度:10g/L、有機スルホン酸:25〜100g/L、添加剤(ポリエチレングリコール):0.5〜50g/Lを含むめっき浴の浴組成とした。めっき浴の浴温度は、50℃に調整した。さらに、ライニング11に供給する電流はデューティー比が50%の矩形パルス電流とし、その平均電流密度を1A/dm2とした。

図4AはBiの電気めっきのパルス電流を示すグラフである。図4Aの横軸は時刻を示し、縦軸はパルス電流(電流密度の大きさ)を示す。図4Aに示すように、電流が流れる期間t1の長さ(パルス幅)と、電流が流れない期間t2の長さと、の比が1:1(デューティー比=50%)となっている。本実施形態では、パルス幅を変化させることにより、Biの結晶粒の平均粒径と、Biの結晶粒の集合体12aの平均径とを調整した。

図4BはBiの結晶粒の平均粒径のグラフである。図4Bの横軸はパルス幅を示し、縦軸はBiの結晶粒の平均粒径を示す。同図に示すように、デューティー比と平均電流密度を一定に保ったまま、パルス幅を変化させることにより、Biの結晶粒の平均粒径を調整することができる。具体的に、パルス幅を大きくすることにより、Biの結晶粒の平均粒径を大きくするように調整できる。

図4CはBiの結晶粒の集合体の平均径のグラフである。図4Cの横軸はパルス幅を示し、縦軸はBiの結晶粒の集合体の平均径を示す。同図に示すように、デューティー比と平均電流密度を一定に保ったまま、パルス幅を変化させることにより、Biの結晶粒の集合体の平均径を調整することができる。具体的に、パルス幅を大きくすることにより、Biの結晶粒の平均粒径を小さくするように調整できる。本実施形態では、パルス幅を0.1ミリ秒とすることにより、Biの結晶粒の平均粒径を0.7μmに調整し、結晶粒の集合体の平均径を14μmに調整した。

オーバーレイ12を積層した後に、水洗と乾燥を行って摺動部材1を完成させた。さらに2個の摺動部材1を円筒状に組み合わせることにより、すべり軸受Aを形成した。

(2)実験結果:

表1は、オーバーレイ12におけるBi結晶の平均粒径とおよびBiの集合体12aの平均径ごとに変形量を計測した結果を示す。試料1はBiの集合体12aが存在しないほぼ平坦な摺動面を有する比較例である。上述した製造方法と同様の方法で、Bi結晶の平均粒径とおよびBiの集合体12aの平均径が異なる試料1〜5を製造した。ただし、オーバーレイ12の電気めっきにおける電流密度やパルス幅を調整することにより、Bi結晶の平均粒径を調整した。

図5Aは、Biの集合体12aの平均径ごとに変形量を示すグラフである。同図に示すように、Biの集合体12aの平均径が10μm以下の領域で集合体12aの平均径を大きくすることにより、急激に変形量を大きくすることができることが分かった。また、Biの集合体12aの平均径が10μm以上の領域では、大きな変形量を安定して得られることが分かった。そのため、すべり軸受Aとして必要ななじみ性を得るために、Biの集合体12aの平均径を10μm以上とすることがより望ましいことが分かった。

図5Bは、結晶の平均粒径と降伏応力との関係を示すグラフである(引用:T. G. Nieh, Lawrence Livermore National Lab)。同図に示すように、10〜20nm程度の結晶粒径にて降伏応力が最大となるとともに、当該結晶粒径よりも結晶粒径が大きくなる領域においては、Hall-Petchの関係に則って平均粒径が大きくなるほど降伏応力が減少していく。Bi結晶の平均粒径を0.5μm程度とすることにより、降伏応力が適度に大きく、集合体12aの硬度として適度な硬度が得られることが分かった。

(3)他の実施形態: 前記実施形態においては、エンジンのクランクシャフトを軸受けするすべり軸受Aを構成する摺動部材1を例示したが、本発明の摺動部材1によって他の用途のすべり軸受Aを形成してもよい。例えば、本発明の摺動部材1によってトランスミッション用のギヤブシュやピストンピンブシュ・ボスブシュ等を形成してもよい。また、ライニング11のマトリクスはCu合金に限られず、相手軸2の硬さに応じてマトリクスの材料が選択されればよい。また、軟質材料はライニング11よりも軟らかい材料であればよく、例えばPb,Sn,In,Sbのいずれかであってもよい。

1…摺動部材、2…相手軸、10…裏金、11…ライニング、12…オーバーレイ、12a…集合体。

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