マルエージング鋼の製造方法およびマルエージング鋼の消耗電極の製造方法 |
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申请号 | JP2015562968 | 申请日 | 2015-07-15 | 公开(公告)号 | JPWO2016010072A1 | 公开(公告)日 | 2017-04-27 |
申请人 | 日立金属株式会社; | 发明人 | 享彦 上村; 享彦 上村; 雄一 羽田野; 雄一 羽田野; 健太 今関; 健太 今関; 勝彦 大石; 勝彦 大石; | ||||
摘要 | 本発明は、一次 真空 溶解において、溶鋼にMgを添加して、溶鋼中にMgOを形成させるMg 酸化 物形成工程と、該Mg酸化物形成工程の後に、溶鋼を 凝固 させてMgOが残留する消耗電極を得る消耗電極製造工程と、この消耗電極を用いて真空アーク再溶解を行う真空アーク再溶解工程とを含むマルエージング鋼の製造方法において、一次真空溶解のリーク速度を3Pa/分以上とするマルエージング鋼の製造方法を提供する。 | ||||||
权利要求 | 一次真空溶解において、溶鋼にMgを添加して、溶鋼中にMgOを形成させるMg酸化物形成工程と、 該Mg酸化物形成工程の後に、溶鋼を凝固させてMgOが残留する消耗電極を得る消耗電極製造工程と、 前記消耗電極を用いて真空アーク再溶解を行う真空アーク再溶解工程と、 を含むマルエージング鋼の製造方法において、 前記Mg酸化物形成工程において、Mg酸化物形成工程に用いる真空溶解炉のリーク速度を3Pa/分以上、かつ20Pa/分以下とするマルエージング鋼の製造方法。 前記真空アーク再溶解工程で得られる鋼塊の直径がφ450mm以上である請求項1に記載のマルエージング鋼の製造方法。 前記真空アーク再溶解工程後のマルエージング鋼の組成が、質量%で、C:0.1%以下、Al:0.01〜1.7%、Ti:0.2〜3.0%、Ni:8〜22%、Co:5〜20%、Mo:2〜9%、Mg:0.0030%以下を含有し、残部はFe及び不純物である請求項1または2に記載のマルエージング鋼の製造方法。 真空溶解によるマルエージング鋼の消耗電極の製造方法において、 溶鋼にMgを添加して、溶鋼中にMgOを形成させるMg酸化物形成工程と、 該Mg酸化物形成工程の後に、溶鋼を凝固させてMgOが残留する消耗電極を得る消耗電極製造工程とを含み、 前記Mg酸化物形成工程において、Mg酸化物形成工程に用いる真空溶解炉のリーク速度を3Pa/分以上、かつ20Pa/分以下とするマルエージング鋼の消耗電極の製造方法。 |
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说明书全文 | 本発明は、マルエージング鋼の製造方法およびマルエージング鋼の消耗電極の製造方法に関するものである。 マルエージング鋼は、2000MPa前後の非常に高い引張強さをもつため、高強度が要求される部材、例えば、ロケット用部品、遠心分離機部品、航空機部品、自動車エンジンの無段変速機用部品、金型、等種々の用途に使用されている。 しかし、マルエージング鋼は、非常に高い引張強度が得られる一方で、TiNやTiCN等といった窒化物や炭窒化物、あるいはAl 2 O 3やAl 2 O 3 −MgOといった酸化物の非金属介在物(以下、介在物)が鋼中に存在し、残留する粗大な介在物を起点として疲労破壊を生じることになる。 上述した特許文献1や特許文献2で示すTiNやTiCN介在物の微細化方法は、一次真空溶解で適量のMgを積極的に添加し、消耗電極中にMgOを形成しておき、MgOを核とするTiNやTiCN等の窒化物系介在物を形成した消耗電極を作製し、その後のVARにて窒化物系介在物の熱分解の促進により、TiNやTiCN等の窒化物系介在物の微細化をはかるものである。 しかしながら、前述のMgを添加する方法においても、MgOの核を持たない窒化物系介在物がある程度の割合で存在する場合があり、そのMgOの核を持たない窒化物系介在物は再溶解後のサイズが、MgOの核を有するものと比較して大きく成長することが分かった。 そのため、できる限り一次真空溶解で窒化物系介在物内にMgOの核を存在させる方法があれば安定して窒化物系介在物を微細化することができる。 本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものである。 本発明によれば、TiNやTiCN等の窒化物系介在物の大きさをより確実に、かつ安定的に微細なものとすることができ、かつ酸化物の影響を抑制することができる。 そのため、本発明の製造方法で得られたマルエージング鋼は特に疲労強度に優れるものとなるため、疲労強度が求められる重要部品に好適となる。 以下の非限定的な具体例の説明および添付の図面を参照することにより、本発明の他の利点、特徴及び詳細が明らかになるであろう。 先ず、本発明のマルエージング鋼を得るには、VARに用いる消耗電極中に特定量のMgを添加することが必要である。 消耗電極製造時にMgを積極的に添加すると、溶解中に存在する酸素は、親和力の高いMgと結びついてMgOを生成し、このMgOを核として持つTi系介在物が消耗電極中に形成される。 このMgOの凝集性は弱く、微細に分散するため、MgOを核に持つ窒化物系介在物も微細に分散することになる。 上述のことから、一次真空溶解時にはMgOを確実に形成できるように、Mg酸化物形成に用いる真空溶解炉のリーク速度を3〜20Pa/分以上としてMgOを形成可能な酸素量とする。 本発明において、真空溶解炉内のリーク速度を3Pa/分以上とするのは、MgO形成に必要な酸素量を確保するためである。 一般的に鉄鋼の真空溶解炉の到達圧力は0.1Pa〜100Paの範囲であり、リーク速度が数Pa/分であると、わずかな排気停止時間においても顕著な真空度悪化となるため、真空設備としてのリーク速度は≦1Pa/分が好ましい。 従って、リーク速度が3Pa/分という値は真空溶解炉としてはかなり大きい値であるが、真空溶解炉内のリーク速度を3Pa/分未満ではMgOの形成が不十分となり、MgOの核を持たない窒化物系介在物量が増えてしまい、結果として粗大な窒化物系介在物が再溶解後に残留することになる。 一方、過剰なリークが有る場合、過剰な酸化物が消耗電極中に形成され、VAR工程以降も酸化物残存の問題を生じる。 あるいは、過剰な酸素によってVIM中に添加したMgが過剰に消費され、消耗電極中の酸化物形態がMgOからAl 2 O 3あるいはAl 2 O 3 −MgOへと変化し、TiNの核酸化物の種類が変わる場合がある。 あるいは、過剰な窒素によって窒化物系介在物の量が増大し、MgOの核を持たない窒化物系介在物量が増えてしまい、結果として粗大な窒化物系介在物が再溶解後に残留することになる。 そのため、リーク速度の上限は20Pa/分とする。 なお、リーク速度の低下は、一般的にはバルブやフランジ、パッキンの清掃や交換といったメンテナンスによってなされる。 リーク速度を増加させる場合は、空いているフランジ等に適当なリーク孔を設けることによって可能である。 本発明では前述のMg酸化物形成工程でMgOを生成させた溶鋼を鋳造して消耗電極とする消耗電極製造工程を行って、更に前記消耗電極を用いてVARを行う。 ここでVAR鋼塊サイズにおける、浮上分離効果によって除去可能な介在物(酸化物)の最小サイズ(これ以上のサイズのものが除去可能となる)の直径を表1に示す。 この除去可能な介在物(酸化物)の最小サイズは、VAR溶鋼プール深さと各鋼塊径における介在物浮上分離時間を用いて、ストークスの式より求めたものである。 VAR溶鋼プール深さは、凝固解析を用いて、実溶解において安定したVAR溶解のできる溶解速度・条件として、VARが定常状態となった際の値を使用した。 介在物浮上分離時間は、上記条件におけるVAR溶鋼プール深さを鋼塊の成長速度で割って求めたものである。 表1に示されるように、鋼塊径が小さいと除去可能な介在物(酸化物)のサイズが大きくなる。 また、実際にはVAR溶解以降における熱間加工、冷間加工工程による酸化物の破砕効果も、鋼塊径が大きい方が有利となる。 鋼塊径は、窒化物・炭窒化物のサイズが許容できる範囲で大きいことが望ましく、本発明におけるφ450mm以上の鋼塊径では確実に酸化物サイズが15μm以下となることがわかる。 そのため、酸化物系介在物の除去は、鋼塊径が大きい方が有利である。 上述のMgOを形成するためには、消耗電極中にMgを2ppm以上含有させるのが良い。 これは、Mgが2ppm未満ではMg添加による介在物の低減と微細化の効果が顕著に現れないためである。 望ましくは5ppm以上含有させるのが良い。 本発明のマルエージング鋼の製造方法は、前述のようにTiNやTiCN等の窒化物系介在物の微細化に効果を発揮するものである。 そのため、本発明が対象とするマルエージング鋼は、Tiを積極添加するマルエージング鋼に対して特に有効である。 好ましい具体的な組成は以下の通りである。 なお、含有量は質量%として記す。 Moは、時効処理により、微細な金属間化合物を形成し、マトリックスに析出することによって強化に寄与する元素である。 しかし、その含有量が2%未満の場合その効果が少なく、また9%を越えて含有すると延性、靱性を劣化させる粗大析出物を形成しやすくなるため、Moの含有量を2〜9%にするとよい。 以上、説明するマルエージング鋼は、例えば、約0.2mm以下の薄帯として、自動車の動力伝達用ベルトに好適である。 このようにマルエージング鋼の厚さが最終的に0.5mm以下となるような用途においては、例えば15μmを超えるような大きさの酸化物は高サイクル疲労破壊の起点となる危険性が高く、素材中の酸化物は概ね15μm以下とするのが好ましいからである。 一次真空溶解により消耗電極を製造し、その消耗電極を用いてVARを行い、マルエージング鋼の2トン鋼塊を製造した。 No. 1〜No. 3が本発明の実施例であり、一次真空溶解時にNi−Mg合金を用いてMgを添加した後、鋳造前に溶解炉および鋳型を内部に保有したチャンバー内をArガスを導入して鋳造を行ったものである。 なお、真空溶解は、炉内のリーク速度をNo. 1において5.0Pa/分、No. 2において5.7Pa/分、No. 3において7.0Pa/分に設定して行った。 比較例No. 11、No. 12はいずれもリーク速度0.3Pa/分となるものである。 VAR後の鋼塊を1250℃×20時間のソーキングを行なった後、これら材料に熱間圧延、820℃×1時間の溶体化処理、冷間圧延、820℃×1時間の溶体化処理と480℃×5時間の時効処理を行ない、厚み0.5mmのマルエージング鋼帯を製造した。 表3に示されるように、本発明の製造方法を適用して得られた薄板における窒化物系介在物の最大サイズは8μm以下の微細なものなっていることが分かる。 また、10μmを超える比較例のマルエージング鋼と比べても明らかに本発明で規定する製造方法を適用したものは微細となっていることが分かる。 また、No. 1〜No. 3の酸化物系介在物の大きさをSEMで調査した結果、最大の大きさが5.3μmであり、鋼塊径を大きくした効果が表れた結果となった。 また、上述の窒化物・炭窒化物の抽出方法をVAR前の電極から採取した試料に対して行い、抽出後のフィルターに対して、電子線マイクロアナライザ(EPMA)で分析を行い、フィルター上に残った窒化物・炭窒化物の内部のMg核の有無を調査した。 調査は、EPMAのエックス線分析装置を用いて、加速電圧を15kVとして窒化物・炭窒化物の分析を行った。 MgO核の有無はMgピークが検出されるかどうかで評価した。 窒化物・炭窒化物にMgピークが検出されたもの、あるいは窒化物・炭窒化物の表面に酸化物が剥落した穴が見えたものの個数の合計を、視野中の全窒化物・炭窒化物個数で割った値をMgO核保有率と見做した。 その結果を表4に示す。 本発明で規定する電極の製造方法を適用したものは、明らかにMgO核保有率が高くなっていることが判る。 表4の結果から、本発明で規定する製造方法を適用したものは、明らかにMgO核保有率が高く、45%以上のMgO核を保有していることがわかる。 また、その大きさも7μm以下の微細なものとなっている。 また、表3に示すVAR前の電極における窒化物系介在物最大サイズについて、比較例ではVAR後に窒化物系介在物最大サイズが大幅に大きくなっていることに対して、本発明ではサイズが殆ど変化していないことが判る。 以上の結果から、本発明で規定する製造方法を適用することにより、TiNやTiCN等の窒化物系介在物の大きさをより確実に微細化でき、かつ粗大な酸化物を抑制することは明らかである。 |