溶鋼への硫黄添加原料及び硫黄添加鋼の製造方法

申请号 JP2016219986 申请日 2016-11-10 公开(公告)号 JP2017106104A 公开(公告)日 2017-06-15
申请人 新日鐵住金株式会社; 发明人 長谷川 一; 工藤 進; 松島 光宏;
摘要 【課題】溶鋼に硫黄添加原料を添加した際、溶鋼中の硫黄の歩留りを安定化し、かつ、連続鋳造時、不純物に起因するノズル閉塞の発生を防止する。 【解決手段】粒径5.0〜37.5mmの硫化鉄鉱85質量%以上含むことを特徴とする溶鋼への硫黄添加原料を用い、S:0.012〜0.100質量%を含むAl脱酸硫黄添加鋼を溶製する。 【選択図】図1
权利要求

粒径5.0〜37.5mmの硫化鉄鉱85質量%以上含むことを特徴とする溶鋼への硫黄添加原料。前記粒径が9.5〜31.5mmであることを特徴とする請求項1に記載の溶鋼への硫黄添加原料。請求項1又は2に記載の硫黄添加原料を用い、S:0.012〜0.100質量%を含むAl脱酸硫黄添加鋼を溶製することを特徴とする硫黄添加鋼の製造方法。前記Al脱酸硫黄添加鋼が、Al:0.015〜0.100質量%を含むことを特徴とする請求項3に記載の硫黄添加鋼の製造方法。前記Al脱酸硫黄添加鋼が、質量%で、C:0.07〜1.20%、Si:1.00%以下、Mn:2.50%以下、P:0.10%以下、N:0.02%以下を含有し、残部が鉄及び不可避的不純物からなることを特徴とする請求項3又は4に記載の硫黄添加鋼の製造方法。前記Al脱酸硫黄添加鋼が、さらに、質量%で、Cu:2.00%以下、及び/又は、Ni:2.00%以下を含有することを特徴とする請求項5に記載の硫黄添加鋼の製造方法。前記Al脱酸硫黄添加鋼が、さらに、質量%で、Cr:2.00%以下、及び/又は、Mo:2.00%以下を含有することを特徴とする請求項5又は6に記載の硫黄添加鋼の製造方法。前記Al脱酸硫黄添加鋼が、さらに、質量%で、Nb:0.25%以下、及び/又は、V:0.25%以下を含有することを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の硫黄添加鋼の製造方法。前記Al脱酸硫黄添加鋼が、さらに、質量%で、Ti:0.30%以下、及び/又は、B:0.005%以下を含有することを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項に記載の硫黄添加鋼の製造方法。前記硫黄添加原料を、RH脱ガス処理工程にて、硫黄以外の成分の組成を調整した後に添加することを特徴とする請求項3〜9のいずれか1項に記載の硫黄添加鋼の製造方法。

说明书全文

本発明は、溶鋼の成分調整を行うために溶鋼へ添加する硫黄添加原料と、該硫黄添加原料を用いて硫黄添加鋼を製造する製造方法に関するものである。

硫黄(S)は、鋼材の切削加工性を高める元素であるので、特に複雑な形状に機械加工される機械構造用鋼の溶鋼に、製鋼工程で所要量添加する場合が多い。このとき、硫黄添加原料として、高純度に精製した純硫黄、工業的に製造した硫化鉄、又は、各種選鉱法によって得た黄鉄鉱、白鉄鉱、磁硫鉄鉱などが用いられる。

これらの硫黄添加原料は、工業プロセスを経て製造されるので、原料価格がどうしても高くならざるを得ない。これに対し、最近では、より安価な原料として、鉱山から採取される硫化鉄鉱を、そのまま使用している。

ところで、転炉や真空処理容器で精錬した溶鋼は、多量の酸素を含んでおり、この多量の酸素を、酸素との親和が強い脱酸元素のAlを0.015〜0.100質量%程度添加して脱酸するのが、一般的な手法である。

しかし、Al脱酸によりAl2O3系介在物が生成し、これが凝集合して、粗大なアルミナクラスターが生成する。このアルミナクラスターは、溶鋼を、タンディシュからモールドへ注入するために使用するタンディッシュノズル及び浸漬ノズルの内壁に付着し、ノズル閉塞を発生させる。

特に、硫化鉄鉱を、そのまま、硫黄添加原料として使用した場合、硫黄添加原料中の不純物(酸化物や炭酸塩など)が酸素源となり、アルミナクラスターがより多く生成し、ノズル閉塞が頻繁に発生する。

このような、添加原料や添加合金からの酸素源混入の問題に対し、特許文献1には、真空脱ガス装置により溶鋼の脱炭、脱酸、及び、溶鋼への合金元素の添加を行う溶鋼の二次精錬方法において、合金元素の添加を脱炭処理中に行い、その後、脱酸処理を行うことが提案されている。

しかし、硫黄の場合、溶鋼と取鍋スラグとの反応により脱硫が進行するので、早い段階で、溶鋼に硫黄添加原料を添加すると、硫黄の歩留りが安定せず、硫黄の組成を安定的に確保することが困難である。

特開2000−087128号公報

本発明は、従来技術の現状に鑑み、溶鋼に硫黄添加原料を添加した際、溶鋼中の硫黄の歩留りを安定化し、かつ、連続鋳造時、不純物に起因するノズル閉塞の発生を防止することを課題とし、該課題を解決する、安価で、かつ、不純物量の少ない硫黄添加原料と、該硫黄添加原料を用いて硫黄添加鋼を製造する製造方法を提供することを目的とする。

本発明者らは、上記課題を解決する手法について鋭意検討した、その結果、破砕して整粒した硫化鉄鉱を硫黄添加原料として用いれば、溶鋼中の硫黄の歩留りを安定化し、かつ、連続鋳造時、ノズル閉塞の発生を防止できることを見いだした。

本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、その要旨は以下のとおりである。

(1)粒径5.0〜37.5mmの硫化鉄鉱85質量%以上含むことを特徴とする溶鋼への硫黄添加原料。

(2)前記粒径が9.5〜31.5mmであることを特徴とする前記(1)に記載の溶鋼への硫黄添加原料。

(3)前記(1)又は(2)に記載の硫黄添加原料を用い、S:0.012〜0.100質量%を含むAl脱酸硫黄添加鋼を溶製することを特徴とする硫黄添加鋼の製造方法。

(4)前記Al脱酸硫黄添加鋼が、Al:0.015〜0.100質量%を含むことを特徴とする前記(3)に記載の硫黄添加鋼の製造方法。

(5)前記Al脱酸硫黄添加鋼が、質量%で、C:0.07〜1.20%、Si:1.00%以下、Mn:2.50%以下、P:0.10%以下、N:0.02%以下を含有し、残部が鉄及び不可避的不純物からなることを特徴とする前記(3)又は(4)に記載の硫黄添加鋼の製造方法。

(6)前記Al脱酸硫黄添加鋼が、さらに、質量%で、Cu:2.00%以下、及び/又は、Ni:2.00%以下を含有することを特徴とする前記(5)に記載の硫黄添加鋼の製造方法。

(7)前記Al脱酸硫黄添加鋼が、さらに、質量%で、Cr:2.00%以下、及び/又は、Mo:2.00%以下を含有することを特徴とする前記(5)又は(6)に記載の硫黄添加鋼の製造方法。

(8)前記Al脱酸硫黄添加鋼が、さらに、質量%で、Nb:0.25%以下、及び/又は、V:0.25%以下を含有することを特徴とする前記(5)〜(7)のいずれかに記載の硫黄添加鋼の製造方法。

(9)前記Al脱酸硫黄添加鋼が、さらに、質量%で、Ti:0.30%以下、及び/又は、B:0.005%以下を含有することを特徴とする前記(5)〜(8)のいずれかに記載の硫黄添加鋼の製造方法。

(10)前記硫黄添加原料を、RH脱ガス処理工程にて、硫黄以外の成分の組成を調整した後に添加することを特徴とする前記(3)〜(9)のいずれかに記載の硫黄添加鋼の製造方法。

本発明によれば、溶鋼中の硫黄の歩留りを安定化し、かつ、連続鋳造時、ノズル閉塞の発生を防止できる、安価で、かつ、不純物量の少ない硫黄添加原料を提供することができる。

硫化鉄鉱の粒径(mm)と、硫化鉄鋼の酸素)濃度(%)の関係を示す図である。

本発明の溶鋼への硫黄添加原料(以下「本発明添加原料」ということがある。)は、粒径5.0〜37.5mmの硫化鉄鉱85質量%以上含むことを特徴とする。

本発明の硫黄添加鋼の製造方法(以下「本発明製造方法」ということがある。)は、本発明添加原料を用い、Al:0.015〜0.100質量%、及び、S:0.012〜0.100質量%を含むAl脱酸硫黄添加鋼を溶製することを特徴とする。

また、本発明製造方法において、本発明添加原料を、RH脱ガス処理工程にて、硫黄以外の成分を調整した後に添加することを特徴とする。

以下、発想から本発明に至るまでの経過と、本発明添加原料及び本発明製造方法について説明する。

本発明者らは、硫黄添加原料として安価な硫化鉄鉱を使用すべく、硫化鉄鉱石の組成及び特性ついて詳細に調査した。

まず、硫化鉄鉱の組成を化学分析やX線回折法で調査した。その結果、硫化鉄鉱の主成分は黄鉄鉱であるが、それ以外に、ドロマイト、石英等の炭酸塩や酸化物が含まれていることが解った。これらの不純物(ドロマイト、石英等の炭酸塩や酸化物、以下、単に「不純物」ということがある。)は、酸素濃度に換算すると、3〜20質量%程度含まれていることが解った。

次に、これらの不純物の存在形態を調査した。硫化鉄鉱を切断し、その断面を、光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡(SEM)などを用いて観察した結果、不純物は、(a)数ミリメートル以下の微細な粒子の集合体として存在すること、及び、(b)硫化鉄鉱中に均一に存在せず、偏在していることが解った。さらに、粒子サイズの異なる硫化鉄鉱を同様に観察した結果、(c)不純物の分布状態に差があることが解った。

本発明者らは、この結果に基づいて、「不純物の粒子サイズにより、不純物量が異なる可能性がある」と発想し、この発想の下で、硫化鉄鉱を篩分け、粒子サイズ毎の不純物量(酸素濃度に換算)を、化学分析やX線回折法などで測定した。

図1に、硫化鉄鉱の粒径(mm)と、硫化鉄鋼の酸素濃度(%)の関係を示す。図1より、粒径5.0〜37.5mmの範囲で不純物量が少なく(酸素濃度換算で10%以下)、また、粒径9.5〜31.5mmの範囲で不純物量がより少ない(酸素濃度換算で9%以下)ことが解る。

このような現象が発生する理由は、以下のように考えられる。

鉱山から産出する硫化鉄鉱には、炭酸塩、酸化物等の不純物が不可避的に含まれているが、そのサイズは、数ミリメートル以下と小さい。そして、硫化鉄鉱の主成分である黄鉄鉱と、これら不純物の硬さは大きく異なっている。通常、硫化鉄鉱は、取り扱い易いように、クラッシャーなどで破砕して使用するが、破砕は、硬さの異なる黄鉄鉱−不純物の界面を起点にして起きると考えられる。

さらに、破砕の際、微細な不純物は細かく分散し、比較的粗大(5.0〜37.5mm)な硫化鉄鉱には不純物が残存し難く、一方、5.0mm未満の細粉の硫化鉄鉱には不純物が比較的多く残存すると考えられる。なお、粗大(37.5mm超)な硫化鉄鉱には、不純物がそのまま残留していると考えられる。

以上の調査結果に基づいて、粒径5.0〜37.5mmの硫化鉄鉱、好ましくは、粒径9.5〜31.5mmの硫化鉄鉱を、溶鋼に添加する硫黄添加原料として用いることとした。

通常、硫化鉄鉱を破砕して、粒径5.0〜37.5mmの硫化鉄鉱を篩分けして用いるが、破砕しなくても、粒径が5.0〜37.5mmの硫化鉄鉱は、そのまま使用する。

溶鋼に添加する硫黄添加原料は、粒径5.0〜37.5mmの硫化鉄鉱、好ましくは、粒径9.5〜31.5mmの硫化鉄鉱を、質量%で、85%質量以上含有するものとする。

硫黄添加原料中の硫化鉄鉱が85質量%未満であると、溶鋼中の硫黄の量を所要の範囲に適確に調整することが難しくなるので、硫黄添加原料中の硫化鉄鉱は85質量%以上とする。好ましくは90質量%以上である。

なお、硫化鉄鉱の粒径は、硫化鉄鉱を、JIS Z 8815(ISO2591−1)に規定の方法で篩分けして測定する。JIS Z 8801−1(ISO3310−1)に規定の公称目開き37.5mmの試験用ふるい網を通過し、かつ、公称目開き5.0mmの試験用ふるい網の上に残留した硫化鉄鉱を粒径5.0〜37.5mmの硫化鉄鉱とする。

本発明者らは、本発明添加原料の効果を確認するため、溶鋼に硫化鉄鉱を添加し、溶鋼中の酸素濃度の変動を調査した。硫化鉄鉱の添加後に酸素濃度の上昇がみられたが、その変化量は、粒径5.0〜37.5mmの範囲で少ないこと、さらに、粒径9.5〜31.5mmの範囲でより少ないことを確認することができた。

次に、本発明製造方法について説明する。

転炉や電気炉などで一次精錬した溶鋼の成分組成を調整する。必要であれば、RH式脱ガス精錬装置、取鍋加熱式精錬装置、簡易式溶鋼処理設備等で、二次精錬を行う。一次精錬後、又は、二次精錬途中で、Alによる脱酸を行う。一次精錬後に脱酸を行う場合は、取鍋出鋼時に、Al源を添加すればよい。二次精錬途中に脱酸を行う場合、Al源を添加する位置の取鍋スラグを除いておくと、Alの歩留が安定する。

なお、Alは、なるべく早い段階で溶鋼に添加し、その後、溶鋼を撹拌し、Al2O3介在物を浮上分離するのが好ましい。

本発明製造方法においては、Al脱酸後、溶鋼の成分組成の調整を終了した二次精錬末期に、溶鋼に本発明添加原料(硫化鉄鉱85%以上)を添加するのが好ましい。なお、二次精錬前や二次精錬前半に本発明添加原料を添加した場合、取鍋スラグと反応して脱硫が進行し、硫黄濃度を所要の範囲に制御できない恐れがある。

このように、二次精錬末期に、本発明添加原料を溶鋼に添加すると、硫化鉄鉱の不純物中の酸素から生成するAl2O3介在物の浮上分離が進行し難く、連続鋳造時、ノズル閉塞の発生が抑制される。さらに、溶鋼中の硫黄の歩留りも安定する。

このように調製した溶鋼を、常法に従って連続鋳造して鋳片とする。連続鋳造時、溶鋼に酸素源が混入しないようにする。溶鋼に酸素源が混入すると、Al2O3介在物が生成するので、Al2O3介在物の生成を防止するためである。

なお、連続鋳造時の使用する連続鋳造ノズルは、安価なアルミナグラファイト材質のものでよいが、CaOを含有する難付着性のものを使用することも可能である。

本発明製造方法は、S:0.012〜0.100質量%を含むAl脱酸硫黄添加鋼の溶製に好適である。Al脱酸硫黄添加鋼は、脱酸後、Al:0.015〜0.100質量%を含むものが好ましい。

以下、本発明製造方法で溶製するAl脱酸硫黄添加鋼(以下「本発明添加鋼」ということがある。)の成分組成の限定理由について説明する。以下、%は質量%を意味する。

S:0.012〜0.100% Sは、鋼の切削加工性の確保に必要な元素であり、また、連続鋳造時のノズル閉塞の発生に影響を及ぼす元素である。Sが0.012%未満であると、硫黄添加原料の添加量が少なくて済み、ノズル閉塞は発生しないが、所要の切削加工性を確保できないので、Sは0.012%以上とする。好ましくは0.015%以上である。

一方、Sが0.100%を超えると、取鍋スラグ中のCaと溶鋼中の硫黄が反応してCaSが生成し、連続鋳造時、ノズル閉塞が発生するので、Sは0.100%以下とする。好ましくは0.075%以下である。

Al:0.015〜0.100% Alは、溶鋼中のOと反応してAl2O3を生成し、溶鋼を脱酸する元素である。Alが0.015%未満であると、脱酸効果が十分に発現しないので、Alは0.015%以上とする。好ましくは0.025%以上である。一方、Alが0.100%を超えると、Al2O3介在物が大量に生成し、連続鋳造時、ノズル閉塞が頻発するので、Alは0.100%以下とする。好ましくは0.070%以下である。

本発明添加鋼は、基本的には、S:0.012〜0.100%含有し、さらに、Al:0.015〜0.100%を含有していればよく、他の元素の組成は特に限定されないが、硫黄添加による切削加工性の向上効果をより有効に発現させたい場合は、C:0.07〜1.20%、Si:1.00%以下、Mn:2.50%以下、P:0.10%以下、N:0.02%以下に制御することが好ましい。以下、説明する。

C:0.07〜1.20%、 Cは、鋼の強度や溶接部の焼入れ性の確保に必要な元素である。Cが0.07%未満であると、機械構造用鋼に必要な強度を確保することが難しくなるので、Cは0.07%以上が好ましい。より好ましくは0.10%以上である。一方、Cが1.20%を超えると、靭性が低下するので、Cは1.20%以下が好ましい。より好ましくは1.00%以下である。

Si:1.00%以下 Siは、固溶強化で、鋼の強度の向上に寄与する元素である。Siが1.00%を超えると、靱性が低下するので、Siは1.00%以下が好ましい。より好ましくは0.70%以下である。下限は特に限定しないが、Siの添加効果を十分に得るには、0.01%以上が好ましい。より好ましくは0.10%以上である。

Mn:2.50%以下 Mnは、鋼の焼入れ性を高め、強度の向上に寄与する元素である。Mnが2.50%を超えると、鋼の溶接性が低下するので、Mnは2.50%以下が好ましい。より好ましくは2.00%以下である。下限は特に限定しないが、Mnの添加効果を十分に得るには、0.30%以上が好ましい。より好ましくは0.50%以上である。

P:0.10%以下 Pは、偏析して、靭性を阻害する元素である。Pが0.10%を超えると、靭性が著しく低下するので、Pは0.10%以下が好ましい。より好ましくは0.05%以下である。下限は特に限定しないが、Pを0.001%未満に低減すると、製造コストが大幅に上昇するので、実用鋼上、0.001%が実質的な下限である。製造コストの点で、0.010%以上がより好ましい。

N:0.02%以下 Nは、固溶強化で、鋼の強度の向上に寄与する元素である。Nが0.02%を超えると、固溶N量が増大して、強度が上昇し、靱性が低下するので、Nは0.02%以下が好ましい。より好ましくは0.015%以下である。下限は特に限定しないが、Nを0.001%未満に低減すると、製造コストが大幅に上昇するので、実用鋼上、0.001%が実質的な下限である。製造コストの点で、0.002%以上がより好ましい。

本発明添加鋼は、さらに、特性向上のため、(a)Cu:2.00%以下、及び/又は、Ni:2.00%以下、(b)Cr:2.00%以下、及び/又は、Mo:2.00%以下、(c)Nb:0.25%以下、及び/又は、V:0.25%以下、及び、(d)Ti:0.30%以下、及び/又は、B:0.005%以下の元素群の1つ又は2つ以上を含有してもよい。

(a)群元素 Cu:2.00%以下 Ni:2.00%以下 CuとNiは、いずれも、鋼の強度の向上に寄与する元素である。Cuが2.00%を超えると、強度が上昇しすぎて、靱性が低下するので、Cuは2.00%以下が好ましい。より好ましくは1.60%以下である。下限は特に限定しないが、Cuの添加効果を十分に得るには、0.10%以上が好ましい。より好ましくは0.20%以上である。

Niが2.00%を超えると、Cuと同様に、強度が上昇しすぎて、靱性が低下するので、Niは2.00%以下が好ましい。より好ましくは1.60%以下である。下限は特に限定しないが、Niの添加効果を十分に得るには、0.10%以上が好ましい。より好ましくは0.30%以上である。

(b)群元素 Cr:2.00%以下 Mo:2.00%以下 CrとMoは、いずれも、鋼の強度の向上に寄与する元素である。Crが2.00%を超えると、強度が上昇しすぎて、靱性が低下するので、Cr量は、2.00%以下が好ましい。より好ましくは1.60%以下である。下限は特に限定しないが、Crの添加効果を十分に得るには、0.15%以上が好ましい。より好ましくは0.25%以上である。

Moが2.00%を超えると、Crと同様に、強度が上昇しすぎて、靱性が低下するので、Moは2.00%以下が好ましい。より好ましくは1.60%以下である。下限は特に限定しないが、Moの添加効果を十分に得るには、0.02%以上が好ましい。より好ましくは0.10%以上である。

(c)群元素 Nb:0.25%以下 V:0.25%以下 NbとVは、いずれも、炭窒化物を形成し、炭窒化物のピン止め効果により、強度や靭性の向上に寄与する元素である。Nbが0.25%を超えると、炭窒化物が粗大化し、靱性が低下するので、Nbは0.25%以下が好ましい。より好ましくは0.20%以下である。下限は特に限定しないが、Nbの添加効果を十分に得るには、0.01%以上が好ましい。より好ましくは0.02%以上である。

Vが0.25%を超えると、Nbと同様に、炭窒化物が粗大化し、HAZ靱性が低下するので、Vは0.25%以下が好ましい。より好ましくは0.20%以下である。下限は特に限定しないが、Vの添加効果を十分に得るには、0.01%以上が好ましい。より好ましくは0.10%以上である。

(d)群元素 Ti:0.30%以下 B:0.005%以下 Tiは、Nと結合して窒化物を形成して結晶粒を微細化し、靭性の向上に寄与する元素である。Tiが0.30%を超えると、切削加工性が低下するので、Tiは0.30%以下が好ましい。より好ましくは0.25%以下である。下限は特に限定しないが、Tiの添加効果を十分に得るには、0.01%以上が好ましい。より好ましくは0.02%以上である。

Bは、粒界フェライトの生成を抑制して、靱性の向上に寄与する元素である。Bが0.005%を超えると、BNがオーステナイト粒界に析出し、靱性が低下するので、Bは0。005%以下が好ましい。より好ましくは0.003%以下である。下限は特に限定しないが、Bの添加効果を十分に得るには、0.0005%以上が好ましい。より好ましくは0.0010%以上である。

次に、本発明の実施例について説明するが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。

(実施例) 容量300トンの転炉で一次精錬した溶鋼を取鍋に出鋼する際、金属Alを添加してAl脱酸を実施した。

表1に、発明例及び比較例の溶鋼の成分組成を示す。

Al脱酸後、取鍋加熱式精錬装置で温度調整を行い、次いで、RH式脱ガス精錬装置を用いて脱ガス処理、成分調整を実施するとともに、溶鋼を撹拌して介在物を除去した。脱ガス処理、成分調整の後、粒径の異なる硫化鉄鉱を含有する硫黄添加原料を、溶鋼に添加した。硫黄添加原料の添加後、均一混合時間以上の撹拌を行って介在を除去した。

このように溶製した硫黄添加鋼を連続鋳造した。連続鋳造は、断面サイズ220mm×220mmのブルーム6ストランドの連鋳機で実施した。

連続鋳造時のタンディッシュ内の溶鋼の過熱度(溶鋼の温度から、この成分組成の鋼の液相線温度を減じた値)は10〜60℃であった。溶鋼のスループット(単位時間当りの鋳造溶鋼量)は0.3〜0.6t/分であった。

表2に、粒径5.0〜37.5mmの硫化鉄鉱の質量%、粒径5.0mm未満の硫化鉄鉱の質量%、粒径37.5mmを超える硫化鉄鉱の質量%、ノズル閉塞指数、及び、ノズル閉塞成績を、それぞれ示す。

ノズル閉塞指数は、連続鋳造ノズルの開度を指数化したものであり、以下のように定義した指数である。連続鋳造ノズルの実際の開度と、溶鋼のスループットと溶鋼ヘッドから算出される本来開度との比を指数化したものであり、大きいほど、ノズル閉塞が頻発することを意味し、目標は1以下である。

ノズル閉塞成績は、ノズル閉塞指数を三段階で評価した結果であり、ノズル閉塞指数1以下を◎、1を超え3以下を△、3超を×とした。

発明例1〜50では、いずれも、硫黄添加原料中、粒径5.0〜37.5mmの硫化鉄鉱の割合が85質量%以上であり、ノズル閉塞指数が1以下で、ノズル閉塞が発生することなく、連続鋳造を行うことができた。

比較例51〜65では、硫黄添加原料中、粒径5.0〜37.5mmの硫化鉄鉱の割合が85質量%未満であり、連続鋳造時、ノズル閉塞が頻発した。

前述したように、本発明によれば、溶鋼中の硫黄の歩留りを安定化し、かつ、連続鋳造時、ノズル閉塞の発生を防止できる、安価で、かつ、不純物量の少ない硫黄添加原料を提供することができる。よって、本発明は、鉄鋼産業において利用可能性が高いものである。

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