剥離材及びその施工方法

申请号 JP2014252097 申请日 2014-12-12 公开(公告)号 JP2016113655A 公开(公告)日 2016-06-23
申请人 黒崎播磨株式会社; 发明人 佐々木 俊久; 内山 博喜; 松井 泰次郎;
摘要 【課題】溶銑鍋又は溶鋼鍋の内張り用耐火物の表面に塗布される剥離材の剥離性の低下を防止すること。 【解決手段】鉄鋼製造プロセスから得られるキッシュ黒鉛と、バインダー( 水 溶性高分子)とを含む剥離材に水を添加して、溶銑鍋又は溶鋼鍋の内張り用耐火物の表面に塗布する。 【選択図】なし
权利要求

溶銑鍋又は溶鋼鍋の内張り用耐火物の表面に塗布される剥離材であって、鉄鋼製造プロセスから得られるキッシュ黒鉛と、バインダーとを含む剥離材。前記バインダーは溶性高分子である請求項1に記載の剥離材。前記キッシュ黒鉛を80質量%以上99.5質量%以下、前記バインダーを0.5質量%以上20質量%以下含む請求項1又は2に記載の剥離材。前記キッシュ黒鉛は、その100質量%中に、カーボン成分を60質量%以上80質量%以下、鉄成分を15質量%以上35質量%以下、スラグ成分を3質量%以上15質量%以下含む請求項1から3のいずれかに記載の剥離材。請求項1から4のいずれかに記載の剥離材に水を添加して、溶銑鍋又は溶鋼鍋の内張り用耐火物の表面に塗布する剥離材の施工方法。

说明书全文

本発明は、溶銑鍋又は溶鋼鍋の内張り用耐火物の表面に塗布される剥離材、及びその施工方法に関する。

従前より、溶銑鍋又は溶鋼鍋においては、鉄皮の内張りに耐火物(内張り用耐火物)が施工されている。溶銑鍋又は溶鋼鍋の操業は、溶融金属(本明細書では、溶銑にスラグを含む溶融金属、あるいは溶鋼にスラグを含む溶融金属を総称して溶融金属という。)を受湯した後、溶融金属を排出し、その後、再び溶融金属を受湯するという繰り返しの操業が行われる。このとき、溶融金属が耐火物の組織に浸透すると、溶融金属が耐火物の表面に付着して排出されず、操業に支障をきたす。このため、溶融金属を排出した後、耐火物表面に残った溶融金属を突き落としたり、酸素ランス等を用いて耐火物表面に付着した溶融金属を洗浄して取り除く必要があった。しかし、溶融金属を取り除く際、耐火物も溶融金属と一緒に取り除かれてしまうという問題があった。

このため、溶融金属が耐火物の表面に付着しない特性(剥離性)を有する剥離材が要求されてきた。具体的に、剥離材としては、カーボンを主原料とする配合が知られている(例えば、特許文献1参照)。カーボンは、メタルやスラグに濡れにくく、メタルやスラグが耐火物へ浸透するのを抑制する浸透抑制機能を有する。

特開昭59−13557号公報

しかしながら、カーボンは非常に酸化しやすい原料であり、剥離材中のカーボンが酸化してしまうと、カーボンによる浸透抑制機能が損なわれ、溶融金属が耐火物の表面に付着し浸透してしまい、剥離性が低下する問題があった。

そこで、本発明が解決しようとする課題は、溶銑鍋又は溶鋼鍋の内張り用耐火物の表面に塗布される剥離材の剥離性の低下を防止することである。

本発明者らは、剥離材に、鉄鋼製造プロセスから得られるキッシュ黒鉛と、バインダーとを含むことで、剥離性の低下を防止できる知見を得た。

すなわち、本発明の剥離材は、溶銑鍋又は溶鋼鍋の内張り用耐火物の表面に塗布される剥離材であって、鉄鋼製造プロセスから得られるキッシュ黒鉛と、バインダーとを含むことを特徴とするものである。

また、本発明の剥離材の施工方法は、本発明の剥離材にを添加して、溶銑鍋又は溶鋼鍋の内張り用耐火物の表面に塗布することを特徴とするものである。

本発明の剥離材は、鉄鋼製造プロセスから得られるキッシュ黒鉛(以下、単に「キッシュ黒鉛」という。)と、バインダーとを含む。このキッシュ黒鉛は、製鉄所において鉄鋼製造プロセスから副産物的に発生するものであって、溶融した鉄から過飽和の炭素として析出されるものであるから、必然的に鉄成分とスラグ成分を含む。このため本発明の剥離剤では、キッシュ黒鉛中に含まれる鉄成分とスラグ成分により低融点物質が生成され、この低融点物質が膜となり、カーボンの酸化抑制機能を担う。これにより、カーボンの酸化が抑制されるので、メタルやスラグに対するカーボンの浸透抑制機能(耐濡れ性)がいかんなく発揮され、剥離性の低下を防止することができる。

また、本発明においては、キッシュ黒鉛を使用することで、上記の効果以外にも以下の効果を奏する。

キッシュ黒鉛には鉄成分が含まれるので、塗布対象である耐火物の成分(例えば、Al2O3成分、CaO成分、SiO2成分)と鉄成分とが低融点物質を形成することにより、1000℃以上の高温時における剥離材の接着性が向上する。このため、操業時の高温下においても、剥離材は耐火物に十分に接着することができるので、剥離材が剥がれるのを防ぐことができる。

また、キッシュ黒鉛には鉄成分が含まれるで、キッシュ黒鉛に含まれる鉄成分が溶融金属に溶け出すことで、鉄を回収できる効果もある。

さらには、キッシュ黒鉛は、従来使用されてきた人造黒鉛等よりも低コストであるから、剥離材のコストを低減できる。しかも、キッシュ黒鉛は、従来は廃棄処分されることが多かったことから、このキッシュ黒鉛を使用することで、資源の有効利用が実現でき、かつ、キッシュ黒鉛の処理費用の削減にもつながる。

本発明の剥離材は、キッシュ黒鉛及びバインダーを含み、これらに水を添加し混合して施工(溶銑鍋又は溶鋼鍋の内張り用耐火物の表面に塗布)される。

キッシュ黒鉛は上述のとおり、製鉄所において鉄鋼製造プロセスから副産物的に発生するものであって、溶融した鉄から過飽和の炭素として析出されるものである。したがって、キッシュ黒鉛中には、カーボン成分のほか、鉄成分及びスラグ成分が含まれている。鉄成分とは、金属鉄及び酸化鉄を総称するものである。スラグ成分とは、一般的に石灰(CaO)及びシリカ(SiO2)を主成分とし、そのほかにアルミナ(Al2O3)、マグネシア(MgO)を含むものである。なお、キッシュ黒鉛には、上記成分以外にもNa、K等の微量成分も含まれうる。また、一般的にスラグ成分には酸化鉄も含まれるが、本発明においては、スラグ成分に酸化鉄は含まないものとする。

ここで、剥離材中におけるキッシュ黒鉛の含有量は、剥離材の剥離性の低下防止及び剥離材の耐火物との接着性確保の点から、80質量%以上99.5質量以下が好ましい。

また、キッシュ黒鉛100質量%に占めるカーボン成分の量は、60質量%以上80質量%以下、キッシュ黒鉛100質量%に占める鉄成分の量は、15質量%以上35質量%以下、キッシュ黒鉛100質量%に占めるスラグ成分の量は、3質量%以上15質量%以下が好ましい。各成分が上記範囲内であると、剥離性に優れた効果が得られる。

バインダーは、施工時、剥離材に接着機能を付与するために用いる。バインダーとしては、アルミナセメント、リン酸、珪酸、フェノール樹脂等を用いることが可能であるが、水溶性を有し、かつ、水に溶解した際に粘性を発現又は糊化するものであって、1000℃以下で消失する水溶性高分子が好ましい。水溶性高分子としては、サンザンカム、カラヤガム、グァーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、キサンタンガム、アラビアガム、寒天、ゼラチン、小麦粉でんぷん、馬鈴薯でんぷん、甘藷でんぷん、米でんぷん、タロイモでんぷん、ヤマイモでんぷん、タピオカでんぷん、マンナン、コーンスターチ、デキストリン、ふのり、アルギン酸ソーダ、CMC(カルボキシルメチルセルロース)、及びMC(メチルセルロース)から選択される1種又は2種以上を使用できる。

なお、剥離材中におけるバインダーの含有量は、剥離材の耐火物との接着性確保及び経済性の点から、0.5質量%以上20質量%以下が好ましい。

また、剥離材に水を混ぜることで、剥離材が有機糊料のようになり、著しく粘性が増加し、耐火物との接着性を向上させることができる。水の添加量は、剥離材の耐火物との接着性確保及び施工作業(内張り耐火物表面への塗布作業)の作業性の点から、キッシュ黒鉛及びバインダーの合量に対して外掛けで50質量%以上120質量%以下とするのが好ましい。

上記の水溶性高分子及び水を使用しなくても、剥離材に、バインダーとして、綿実油、菜種油、ゴマ油などの植物性油、ラードなどの動物性油、石油系コールタール、石炭系コールタール、グリセリンなどの多価アルコールを使用すると、粘性が発現し、これにキッシュ黒鉛を混ぜて塗布しても剥離性は得られる。しかし、上記の油や多価アルコールは、環境悪化、臭気発生、引火、高コストといったデメリットがある。したがって、バインダーとしては水溶性高分子を使用し、水を添加して施工(内張り用耐火物表面への塗布作業)することが好ましい。

また、本発明の剥離材においては、防腐剤、殺菌剤、分散剤、界面活性剤、有機繊維及び無機繊維から選択される1種又は2種以上をキッシュ黒鉛及びバインダーの合量に対して外掛けで0.01質量%以上0.1質量%以下添加してもよい。なお、耐火物への剥離材の塗布時において、接着性をより向上させるには、施工対象の表面が100℃以下、好ましくは50℃以下であることが好ましい。

表1の各例の剥離材について、剥離性を評価した。

剥離性は次の要領で評価した。 まず、外形200×200×150mmの中心にφ100mm×100mmの孔が設けられている坩堝型金枠にアルミナ70質量%を含む不定形耐火物を鋳込み、養生、乾燥した。このようにして得られた坩堝の内面側(φ100mm×100mmの孔が形成されている内面)に、表1に示す配合の剥離材を刷毛で塗布した後、予め高周波加熱装置で1500℃に加熱しておいた溶鋼及びスラグを孔に注いだ。そして、溶鋼及びスラグを冷却した後、坩堝を逆さまにひっくり返して、坩堝中の溶鋼及びスラグを取り出し、坩堝中の耐火物への付着量を評価することで、耐火物に対する溶鋼及びスラグの剥離性の確認を行った。耐火物への溶鋼及びスラグの付着量が少ないほど、耐火物への付着を防ぐことができるので、剥離性が高く良好ということである。

具体的な剥離性の評価は、注いだ溶鋼及びスラグの1質量%未満が耐火物へ付着していた場合を◎(優)、注いだ溶鋼及びスラグの1質量%以上10質量%未満が耐火物へ付着していた場合を○(良)、注いだ溶鋼及びスラグの10質量%以上が耐火物へ付着していた場合を×(不可)として評価した。

実施例1〜15は、剥離性が○(良)以上となり、良好な結果を示した。特に、キッシュ黒鉛100質量%中に含まれるカーボン成分、鉄成分及びスラグ成分が上述の好ましい範囲内である実施例1〜9、14、15については、剥離性が◎(優)となった。

比較例1は、カーボン源として鱗状黒鉛を用いた例であり、剥離性が×(不可)となった。

比較例2は、酸化防止剤としてB4Cを添加した例である。この例では、酸化防止剤を添加することで、カーボンの酸化抑制効果が得られ、剥離性が得られることを期待したが、十分な酸化抑止効果は得られず剥離性は×(不可)となった。

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