ASX特異的なタンパク質リガーゼ

申请号 JP2016563922 申请日 2015-03-24 公开(公告)号 JP2017515468A 公开(公告)日 2017-06-15
申请人 ナンヤン テクノロジカル ユニヴァーシティー; ナンヤン テクノロジカル ユニヴァーシティー; 发明人 トリュック ジャン グエン、キーン; トリュック ジャン グエン、キーン; ピー. タム、ジェームズ; ピー. タム、ジェームズ;
摘要 本発明は、Asx特異的なリガーゼ活性とシクラーゼ活性とを有する酵素およびこれをコードする核酸、ならびに前記酵素の製造の方法に関する。これらの酵素の方法および使用がさらに包含される。
权利要求

タンパク質リガーゼ活性、好適にはシクラーゼ活性を有する単離ポリペプチドであって、 (i)配列番号1で示されるアミノ酸配列; (ii)アミノ酸配列であって、その全体の長さにわたり、配列番号1で示される前記アミノ酸配列と、少なくとも60%、好適には少なくとも70%、より好適には少なくとも80%、最も好適には少なくとも90%の配列同一性を共有するアミノ酸配列; (iii)アミノ酸配列であって、その全体の長さにわたり、配列番号1で示される前記アミノ酸配列と、少なくとも80%、好適には少なくとも90%、より好適には少なくとも95%の配列相同性を共有するアミノ酸配列;または (iv)(i)〜(iii)のうちの任意の1つの断片 を含むかまたはそれからなる、単離ポリペプチド。配列番号2で示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる、請求項1に記載の単離ポリペプチド。(i)配列番号1の位置19に対応する位置のアミノ酸残基Nと; (ii)配列番号1の位置124に対応する位置のアミノ酸残基Hと; (iii)配列番号1の位置166に対応する位置のアミノ酸残基Cとのうちの1つ以上 を含む、請求項1または2に記載の単離ポリペプチド。80%以上、好適には90%以上の効率で所定のペプチドを環化することができる、請求項1〜3の何れか一項に記載の単離ポリペプチド。(i)500μM以下、好適には250μM以下のKmで;もしくは、 (ii)少なくとも0.05s−1、好適には少なくとも0,5s−1、より好適には少なくとも1.0s−1、最も好適には少なくとも1.5s−1のkcatで、または、 それらの両方で、所定のペプチドを環化することができる、請求項1〜4の何れか一項に記載の単離ポリペプチド。グリコシル化されている、請求項1〜5の何れか一項に記載の単離ポリペプチド。請求項1〜6の何れか一項に記載のポリペプチドをコードする、核酸分子。ベクター中に含まれる、請求項7に記載の核酸分子。前記ベクターが、前記核酸分子の発現を制御するための調節エレメントをさらに含む、請求項8に記載の核酸分子。請求項7〜9の何れか一項に記載の核酸分子を含む宿主細胞。請求項1〜6の何れか一項に記載のポリペプチドを作製するための方法であって、前記ポリペプチドの発現を可能にする条件下で請求項9に記載の宿主細胞を培養すること、および前記宿主細胞または培養培地から前記ポリペプチドを単離することを含む、方法。ペプチドを環化するためのシクラーゼ活性を有するポリペプチドの使用であって、シクラーゼ活性を有する前記ポリペプチドが、請求項1〜6の何れか一項に記載の単離ポリペプチドであるか、または (i)配列番号3〜109で示されるアミノ酸配列のうちの任意の1つ; (ii)アミノ酸配列であって、その全体の長さにわたり、(i)の前記アミノ酸配列のうちの任意の1つと、少なくとも60%、好適には少なくとも70%、より好適には少なくとも80%、最も好適には少なくとも90%の配列同一性を共有するアミノ酸配列; (iii)アミノ酸配列であって、その全体の長さにわたり、(i)の前記アミノ酸配列のうちの任意の1つと、少なくとも80%、好適には少なくとも90%、より好適には少なくとも95%の配列相同性を共有するアミノ酸配列;もしくは (iv)(i)〜(iii)のうちの任意の1つの断片 を含むかまたはそれからなる、使用。環化される前記ペプチドが、 (i)好適にはC末端アミノ酸配列であるアミノ酸配列(X)oN/D(X)pであって、Xは任意のアミノ酸であり、かつoおよびpは、互いに独立に2以上の整数であるアミノ酸配列(X)oN/D(X)p、好適にはアミノ酸配列(X)oNHV;または (ii)C末端アミノ酸配列(X)oN*/D*であって、Xは任意のアミノ酸であり、oは2以上の整数であり、かつC末端N/D残基は、式−C(O)−N(R’)2のアミド基によりC末端カルボキシ基、Dの場合は好適にはα−カルボキシ基が置換されるようにアミド化され、R’は任意の残基である、アミノ酸配列(X)oN*/D* を含む、請求項12に記載の使用。環化される前記ペプチドが、N末端アミノ酸配列X1X2(X)qであって、Xは任意のアミノ酸であり;X1は、Proを除く任意のアミノ酸であり;X2は、任意のアミノ酸であるが、好適には疎性アミノ酸、より好適にはVal、IleまたはLeuであり;かつqは、0または1以上の整数であるアミノ酸配列X1X2(X)qを含む、請求項12または13に記載の使用。環化される前記ペプチドが、環状シスチンノットポリペプチド、環状ペプチド毒素、環状抗菌ペプチド、環状ヒスタチン、またはヒトもしくは動物の環状ペプチドホルモンの線状前駆体型である、請求項12〜14の何れか一項に記載の使用。環化される前記ペプチドは10個以上のアミノ酸長である、請求項12〜15の何れか一項に記載の使用。環化される前記ペプチドが、 (i)配列番号110〜116および128〜132のうちの任意の1つで示されるアミノ酸;または (ii)アミノ酸配列(X)nC(X)nC(X)nC(X)nC(X)nC(X)nC(X)nNHV(X)nであって、各nは、1〜6から独立に選択される整数であり、かつXは、任意のアミノ酸であるアミノ酸配列(X)nC(X)nC(X)nC(X)nC(X)nC(X)nC(X)nNHV(X)n を含むかまたはそれからなる、請求項12〜16の何れか一項に記載の使用。少なくとも2つのペプチドを連結させるためのタンパク質リガーゼ活性を有するポリペプチドの使用であって、タンパク質リガーゼ活性を有する前記ポリペプチドが、請求項1〜6の何れか一項に記載の単離ポリペプチドであるか、または (i)配列番号3〜109で示されるアミノ酸配列のうちの任意の1つ; (ii)アミノ酸配列であって、その全体の長さにわたり、(i)の前記アミノ酸配列のうちの任意の1つと、少なくとも60%、好適には少なくとも70%、より好適には少なくとも80%、最も好適には少なくとも90%の配列同一性を共有するアミノ酸配列; (iii)アミノ酸配列であって、その全体の長さにわたり、(i)の前記アミノ酸配 列のうちの任意の1つと、少なくとも80%、好適には少なくとも90%、より好適には少なくとも95%の配列相同性を共有するアミノ酸配列;もしくは (iv)(i)〜(iii)のうちの任意の1つの断片 を含むかまたはそれからなる、使用。連結される前記ペプチドのうちの少なくとも1つが、検出可能マーカ、好適には蛍光マーカまたはビオチンを含む、請求項18に記載の使用。連結される前記ペプチドのうちの少なくとも1つが、 (i)好適にはC末端アミノ酸配列であるアミノ酸配列(X)oN/D(X)pであって、Xは任意のアミノ酸であり、かつoおよびpは、互いに独立に2以上の整数であるアミノ酸配列(X)oN/D(X)p、好適にはアミノ酸配列(X)oNHV;または (ii)C末端アミノ酸配列(X)oN*/D*であって、Xは任意のアミノ酸であり、oは2以上の整数であり、かつC末端N/D残基は、式−C(O)−N(R’)2のアミド基によりC末端カルボキシ基、Dの場合は好適にはα−カルボキシ基が置換されるようにアミド化され、R’は任意の残基である、アミノ酸配列(X)oN*/D* を含む、請求項18または19に記載の使用。連結される前記ペプチドのうちの少なくとも1つが、N末端アミノ酸配列X1X2(X)qであって、Xは任意のアミノ酸であり;X1は、Proを除く任意のアミノ酸であり;X2は、任意のアミノ酸であるが、好適には疎水性アミノ酸、より好適にはVal、IleまたはLeuであり;かつqは、0または1以上の整数であるアミノ酸配列X1X2(X)qを含む、請求項18〜20の何れか一項に記載の使用。連結される前記ペプチドのうちの少なくとも1つが、25個以上、好適には50個以上のアミノ酸長である、請求項18〜21の何れか一項に記載の使用。ペプチドを環化するための方法であって、前記ペプチドの環化を可能にする条件下で、請求項1〜6の何れか一項に記載の単離ポリペプチド、または (i)配列番号3〜109で示されるアミノ酸配列のうちの任意の1つ; (ii)アミノ酸配列であって、その全体の長さにわたり、(i)の前記アミノ酸配列のうちの任意の1つと、少なくとも60%、好適には少なくとも70%、より好適には少なくとも80%、最も好適には少なくとも90%の配列同一性を共有するアミノ酸配列; (iii)アミノ酸配列であって、その全体の長さにわたり、(i)の前記アミノ酸配列のうちの任意の1つと、少なくとも80%、好適には少なくとも90%、より好適には少なくとも95%の配列相同性を共有するアミノ酸配列;もしくは (iv)(i)〜(iii)のうちの任意の1つの断片 を含むかまたはそれからなるポリペプチドとともに、前記ペプチドを温置することを含む、方法。少なくとも2つのペプチドを連結させるための方法であって、前記ペプチドの連結を可能にする条件下で、請求項1〜6の何れか一項に記載の単離ポリペプチド、または (i)配列番号3〜109で示されるアミノ酸配列のうちの任意の1つ; (ii)アミノ酸配列であって、その全体の長さにわたり、(i)の前記アミノ酸配列のうちの任意の1つと、少なくとも60%、好適には少なくとも70%、より好適には少なくとも80%、最も好適には少なくとも90%の配列同一性を共有するアミノ酸配列; (iii)アミノ酸配列であって、その全体の長さにわたり、(i)の前記アミノ酸配列のうちの任意の1つと、少なくとも80%、好適には少なくとも90%、より好適には少なくとも95%の配列相同性を共有するアミノ酸配列;もしくは (iv)(i)〜(iii)のうちの任意の1つの断片 を含むかまたはそれからなるポリペプチドとともに、前記少なくとも2つのペプチドを温置することを含む、方法。環化される前記ペプチドまたは連結される少なくとも1つのペプチドが、 (i)好適にはC末端アミノ酸配列であるアミノ酸配列(X)oN/D(X)pであって、Xは任意のアミノ酸であり、かつoおよびpは、互いに独立に2以上の整数であるアミノ酸配列(X)oN/D(X)p、好適にはアミノ酸配列(X)oNHV;または (ii)C末端アミノ酸配列(X)oN*/D*であって、Xは任意のアミノ酸であり、oは2以上の整数であり、かつC末端N/D残基は、式−C(O)−N(R’)2のアミド基によりC末端カルボキシ基、Dの場合は好適にはα−カルボキシ基が置換されるようにアミド化され、R’は任意の残基である、アミノ酸配列(X)oN*/D* を含む、請求項23または24に記載の方法。環化される前記ペプチドまたは連結される前記少なくとも1つのペプチドが、アミノ酸配列N/D(X)P、好適にはNHVに対してN末端で融合されている関心のあるペプチドからなる人工融合ペプチドである、請求項25に記載の方法。環化される前記ペプチドまたは連結される少なくとも1つのペプチドが、N末端アミノ酸配列X1X2(X)qであって、Xは任意のアミノ酸であり;X1は、Proを除く任意のアミノ酸であり;X2は、任意のアミノ酸であるが、好適には疎水性アミノ酸、より好適にはVal、IleまたはLeuであり;かつqは、0または1以上の整数であるアミノ酸配列X1X2(X)qを含む、請求項23〜26の何れか一項に記載の方法。請求項7〜9の何れか一項に記載の核酸を含む、トランスジェニック植物。環化される1つ以上のペプチドまたは連結される1つ以上のペプチド、好適には環状シスチンノットポリペプチド、環状ペプチド毒素、環状抗菌ペプチド、環状ヒスタチン、またはヒトもしくは動物の環状ペプチドホルモンの線状前駆体型をコードする少なくとも1つの核酸分子をさらに含む、請求項28に記載のトランスジェニック植物。固体支持材料であって、前記固体支持材料上に固定化される請求項1〜6の何れか一項に記載の単離ポリペプチドを含む、固体支持材料。ポリマー樹脂を好適には粒状形態で含む、請求項30に記載の固体支持材料。前記単離ポリペプチドが、共有結合または非共有結合相互作用によって前記固体支持材料上に固定化される、請求項30または31に記載の固体支持材料。前記単離ポリペプチドが、前記固体支持材料の表面にカップリングされている炭水化物結合部分、好適にはコンカナバリンAに非共有結合される、請求項32に記載の固体支持材料。クロマトグラフィーカラムのための粒状樹脂材料である、請求項30〜33の何れか一項に記載の固体支持材料。少なくとも1つの基質ペプチドのカラム上での環化もしくは連結、またはそれらの両方のための、請求項34に記載の固体支持材料の使用。少なくとも1つの基質ペプチドの環化または連結のための方法であって、前記少なくとも1つの基質ペプチドの環化もしくは連結、またはそれらの両方を可能にする条件下で、 前記少なくとも1つの基質ペプチドを含む溶液を請求項30〜34の何れか一項に記載の固体支持材料と接触させることを含む、方法。

说明书全文

本発明は、酵素技術の技術分野にあり、具体的には、Asx特異的なリガーゼ活性とシクラーゼ活性とを有する新規酵素およびこれらをコードする核酸、ならびに前記酵素の製造の方法に関する。これらの酵素の方法および使用がさらに包含される。

ペプチドおよびタンパク質のヘッドトゥーテールの大環状化は、構造を束縛してタンパク質分解に対する代謝安定性を促進するためのストラテジーとして使用されている。さらに、束縛された大環状立体構造は、薬理学的活性および経口バイオアベイラビリティを改善することもできる。殆どのペプチドおよびタンパク質は直鎖として産生されるにもかかわらず、6〜78個の残基の範囲の環状ペプチドが様々な生物において天然に存在する。これらの環状ペプチドは、サイトカイン、ヒスタチン、ユビキチンC末端ヒドロラーゼ、コノトキシンおよびブラジキニングラフト化シクロチドの環化における最近の成功により示されるように、通常、熱変性およびタンパク質分解に対して高い耐性を示し、タンパク質工学における新しいトレンドをもたらしてきた。さらに、環状ペプチドは、バリノマイシン、グラミシジンSおよびシクロスポリンを含む治療剤として使用されてきた。

現在まで、典型的には、化学的方法がペプチドの環化のために使用されている。可能性のある1つのストラテジーは、ネイティブ化学連結である。この方法は、N末端システインおよびC末端チオエステルを必要とし、この要件によって非システイン含有ペプチドに対するその適用が制限される。さらに、化学的方法は、特に大型のペプチドおよびタンパク質に対して必ずしも実現可能ではない。

天然シクラーゼを使用する酵素的方法が理想的ではあるものの、現在知られているペプチドシクラーゼはごく僅かしかなく、これらは様々な理由のために十分に開発されていない。しかし、生来の機能がシクラーゼではないソルターゼAおよびインテインなどの他の酵素が、様々なペプチドおよびタンパク質の環化のためにうまく適用されてきた。それにもかかわらず、これらの酵素には欠点がある。例えば、ソルターゼAは、細菌細胞壁に表面タンパク質を固定するトランスペプチダーゼである。その環化反応は通常、一晩の温置および0.1〜1モル濃度当量の酵素を必要とする。さらに、ソルターゼAは、ペンタペプチド認識配列LPXTGを有し、修飾されたタンパク質上に不必要なタグを残す。インテインは、シクロチド、ヒマワリトリプシン阻害剤およびq−デフェンシンの発現のために使用されてきた自己触媒的なスプライシング要素である。しかし、インテイン介在性の環化は、インテインドメインとの標的タンパク質の遺伝子融合を必要とし、タンパク質折り畳みまたは溶解度に影響を及ぼし得ることは不可避である。

したがって、当技術分野において、既存の技術の欠点を克服し、理想的には単純で迅速で万能である、ペプチドおよびタンパク質を環化するための改善された手段が依然として必要とされている。

本発明は、上記の要件に合う新規のAsx特異的なタンパク質リガーゼを提供することによって、この要求を満たす。本発明者らは、驚くべきことに、薬用植物であるクリトリア・テルナテア(Clitoria ternatea)から単離されたこの酵素が、植物環状ペプチドの大きいファミリーであるシクロチドの合成においてプロセシング酵素と して使用される天然シクラーゼであることを見出した。この酵素は、542,000M−1s−1という高い触媒活性を有する、圧倒的な最速の既知のリガーゼであることが分かった。これは、C末端のトリペプチドモチーフ、Asx−His−Valを認識し、ソーティング配列His−Valを切断するとともにAsxをN末端残基に連結することによりペプチド骨格環化に介在して、環状形態を形成させる。この酵素は、シクロチド前駆体および14〜58個の残基のサイズ範囲のシステインに富む様々なペプチドだけでなく、非システイン含有ペプチドおよび緑色蛍光タンパク質(GFP)も効率的に環化することが示され得る。これにより、所定のペプチドまたはタンパク質の環化が所望される様々な用途において、この酵素は非常に多目的および有用となる。

したがって、第一の態様において、本発明は、配列番号1で示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる単離ポリペプチドに関する。配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドは、本明細書で「ブテラーゼ(butelase)1」とも呼ばれる。

別の態様において、本発明は、本明細書に記載のポリペプチドをコードする核酸分子ならびにこのような核酸を含有するベクター、特にコピーベクターまたは発現ベクターにも関する。

さらなる態様において、本発明は、本明細書で企図されるような核酸または本明細書で企図されるようなベクターを含有する宿主細胞、好適には非ヒト宿主細胞も対象とする。 本発明のまたさらなる態様は、本明細書に記載されるようなポリペプチドを製造するための方法であって、本明細書で企図される宿主細胞を培養すること、およびポリペプチドを培養培地からまたは宿主細胞から単離することを含む、方法である。

またさらなる態様において、本発明は、タンパク質連結のための、特に1つ以上のペプチドを環化するための、本明細書に記載のポリペプチドの使用に関する。 本発明の別の態様は、少なくとも2つのペプチドを連結するか、または1つのペプチドを環化するための (i)配列番号3〜109で示されるアミノ酸配列のうちの任意の1つ; (ii)アミノ酸配列であって、その全体の長さにわたり、(i)のアミノ酸配列のうちの任意の1つと、少なくとも60%、好適には少なくとも70%、より好適には少なくとも80%、最も好適には少なくとも90%の配列同一性を共有するアミノ酸配列; (iii)アミノ酸配列であって、その全体の長さにわたり、(i)のアミノ酸配列のうちの任意の1つと、少なくとも80%、好適には少なくとも90%、より好適には少なくとも95%の配列相同性を共有するアミノ酸配列;または (iv)(i)〜(iii)のうちの任意の1つの断片 を含むかまたはそれからなる、ポリペプチドの使用を対象とする。

さらに別の態様において、本発明は、ペプチドを環化するための方法であって、このペプチドの環化を可能にする条件下で、本発明の使用と関連して、このペプチドを上記のポリペプチドとともに温置することを含む、方法に関する。

またさらなる態様において、本発明は、少なくとも2つのペプチドを連結するための方法であって、このペプチドの連結を可能にする条件下で、本発明の使用と関連して、このペプチドを上記のポリペプチドとともに温置することを含む、方法に関する。

別の態様において、本発明は、本発明の単離ポリペプチドが固定化される固体支持材料およびその使用と、このような基質を使用する方法とに関する。 別の態様において、本発明は、本明細書に記載されるようなタンパク質リガーゼ活性お よび/またはシクラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする核酸分子を含むトランスジェニック植物も包含する。本ポリペプチドは、好適にはその植物において天然には存在しない。したがって、本発明は、本発明による異種ポリペプチドを発現するトランスジェニック植物も特色とする。

kB1−NHVの酸化的折り畳みを示す。50%アセトニトリル、100mM重炭酸アンモニウム、3mM還元グルタチオンを含有するpH8.0の緩衝液中で本ペプチドが30μM濃度で18時間にわたり折り畳まれた。折り畳まれたペプチドはRP−HPLCにおいて最後に溶出された。

ペプチドシクラーゼ活性のMS特性評価を示す。(a)ブテラーゼ1が介在するkB1−NHV環化の概略図である。ブテラーゼ1の認識部位の残基(P1、P1’およびP2’)が表示される。(b、c)それぞれ、C.テルナテア(C.ternatea)の粗製抽出物が介在するkB1−NHV環化、および精製ブテラーゼ1が介在するkB1−NHV環化のMSプロファイルである。括弧のペプチドは、C.テルナテア中の天然シクロチドである、クリオチド(cliotide)である。生成物である環状kB1は矢印で示される。(d)タチナタマメレグマインが対照として使用された。MSプロファイルから、タチナタマメレグマインが、kB1−NHV中のアスパラギニル結合を加分解して、線状(linear)のkB1を与えることが示される。K

+またはK

2

+で表示されるピークは、それぞれ1個または2個のカリウムイオンの結合に対応するイオン付加物である。

酵素環化kB1およびネイティブペプチドの同時溶出を示す。(a)酵素環化kB1のHPLCプロファイルである。(b)O.アフィニス(O.affinis)から抽出されるネイティブkB1のHPLCプロファイルである。(c)酵素環化およびネイティブkB1の同時溶出プロファイルである。

ブテラーゼ1によるkB1−NHVの変換から得られた酵素環化kB1における環状骨格のMSの証拠を示す。(a)S−カルバミドメチル化後の環化kB1のMSプロファイルである。環化kB1のm/z値は2891であり、S−アルキル化後には3239となった。3182の小さいピークは、5個のシステインのみが修飾された不完全アルキル化のために観察される。(b)トリプシン消化後のS−アルキル化kB1のMSプロファイルである。18Daの質量増加が観察されたが、これは、水分子および環状骨格の付加を示す。(c)3257Daのトリプシン消化断片のMS/MSプロファイルである。ペプチド配列はMS/MSスペクトルの上部に示される。y−イオンは、対応するピークの上部に表示する。

酵素環化kB1(濃灰色)およびネイティブkB1(薄灰色)の1D NMRスペクトル比較を示す。pH4.3の95%H

2O/5%D

2O中でペプチドが溶解された。298Kでスペクトルが記録された。

ブテラーゼ1の単離、特性評価および相同性モデリングを示す。(a)精製ブテラーゼ1のSDS−PAGE分析である。銀染色によってタンパク質が可視化された。左レーンは、精製ブテラーゼ1であり、右レーンは、示される分子量(kDa)のタンパク質ラダーである。(b)レグマイン特異的プローブLP−1によるブテラーゼ1の表示である。タンパク質はSDS−PAGEによって分解され、Cy5フィルタを備えたタイフーン(Typhoon)スキャナ(GEヘルスケア(GE Health Care))によって可視化された。(c)EST配列から推定されるブテラーゼ1前駆体の翻訳配列である。配列は、黒で示される小胞体シグナル、橙色のN末端プロドメイン、青色のAEPドメイン、マゼンタの活性ペプチド領域および灰色のLSAMドメインでカラーコード化される。精製活性酵素の最初および最後の残基(V42およびN383)が表示される。触媒性三連構造(catalytic triad)(Asn59、His165およびCys207)の保存的残基は斜字体である。ゲル中トリプシン消化から得られるペプチド配列は下線を付される。(d)ヒトレグマインの構造に基づく酵素原ブテラーゼ1のモデリング構造である。左パネルは、青色で示されるAEPドメイン、マゼンダの活性ペプチド領域および灰色のLSAMドメインがあるモデル化酵素原ブテラーゼ1を示す。右上部のパネルは、モデル化ブテラーゼ1および鋳型ヒトレグマイン(PDB ID:4FGU;黄色)の構造アライメントを示す。黒色の点線のボックス内で触媒性三連構造残基(Asn59、His165およびCys207)が赤い棒状に強調され、右下パネルに拡大図が示される。

ゲル中トリプシン消化によるブテラーゼ1のタンパク質同定を示す。MS/MSによって5個の主要なトリプシン消化断片の配列決定が行われ、MSプロファイルの上部に示される。

レグマン(leguman)特異的プローブLP−1の化学構造を示す。

ペプチドシクラーゼとしてのブテラーゼ1の動態特性評価を示す。(a)45分間にわたる環化反応のRP−HPLCトレースである。基質kB1−NHVおよび生成物kB1が表示される。0.125μMブテラーゼ1および50μM kB1−NHVの存在下で37℃でこのアッセイが行われた。220nmの波長で吸光度が監視された。(b〜d)kB1−NHV、SFTI−NHVおよびSA−kB1−NHVに対するブテラーゼ1動態のミカエリス−メンテンプロットである。生成物のHPLC−ピークの面積を濃度に変換することによって、環化速度が計算された。kB1−NHVおよびSFTI−NHVの動態測定のために、0.125μMブテラーゼ1および様々な濃度の基質の存在下で37℃で12分間にわたりこのアッセイが行われた。SA−kB1−NHVの場合、環化速度が非常に速いため、0.125μMの代わりに5nMの酵素濃度が使用され、温置時間が6分間に短縮された。

kB1のシクロ二量体形成を示す。(a)RP−HPLCプロファイルは、kB1のシクロ二量体形成を示す。この反応は、0.125μMブテラーゼ1および500μM kB1−NHVの存在下で、37℃で4時間にわたって行った。ピーク1は、ネイティブ環状kB1と同じ2891のm/z値を有するkB1の異性体である。ピーク2は2893のm/z値を有し、これは、kB1の1個のジスルフィド結合の減少を示す。基質kB1−NHVと生成物であるkB1および(kB1)

2とは、ピーク頂端に表示する。(b)MSプロファイルは、kB1のシクロ二量体形成を示す。K

+で表示されるピークはカリウム付加物である。

ブテラーゼ1による処理後のkB1−NHV短縮類似体のMSプロファイルを示す。0.125μMブテラーゼ1および50μMの各基質の存在下で、37℃で30時間にわたりアッセイが行われた。(a)ブテラーゼ1で処理されたkB1−NHのMSプロファイルである。(b)ブテラーゼ1で処理されたkB1−N

*のMSプロファイルである。kB1生成物と短縮類似体であるkB1−NHおよびkB1−N

*とはピーク頂端に表示された。m/z値が2969.4であるピークは、1個のシステイン残基がβ−MEによりS−アルキル化されている修飾環状kB1に相当する。K

+およびK

2

+で表示されたピークは、それぞれ1個または2個のカリウムイオンの結合に対応するイオン付加物である。

ブテラーゼ1による処理後のkB1−NHV類似体のMSプロファイルを示す。(a〜d)P1位置の保存的AsnをkB1−NHV基質においてGlu、Gln、AlaまたはAsp残基により置換した。アッセイは、0.125μMブテラーゼ1および50μMの各基質の存在下で、37℃で4時間にわたって行われた。kB1−NHV類似体の質量はピーク頂端に表示される。kB1−DHVの場合、m/z値が2892である環化生成物が観察された。K

+およびK

2

+で表示されたピークは、それぞれ1個または2個のカリウムイオンの結合に対応するイオン付加物である。

タチナタマメレグマインおよびブテラーゼ1によるZ−AAN−AMC処理のHPLCプロファイルを示す。(a)対照としてのZ−AAN−AMCのHPLCトレースである。(b)タチナタマメレグマインにより触媒された加水分解生成物7−アミノ−4−メチルクマリンを示すHPLCトレースである。このアッセイは、0.13pkat(8μU)タチナタマメレグマインおよび50μM Z−AAN−AMCの存在下で、37℃で30時間にわたって行われた。(c)Z−AAN−AMCにおけるブテラーゼ1の効果を示すHPLCトレースである。このアッセイは、0.125μMブテラーゼ1および50μM Z−AAN−AMCの存在下で、37℃で30時間にわたって行われた。30時間にわたる温置後、顕著な加水分解生成物(矢印で示す)は観察されなかった。254nmの波長で吸光度が監視された。

GIGGIR(配列番号123)とのSA−pyroGlu−kB1−NHV連結のHPLCプロファイルを示す。(a)対照としてのSA−pyroGlu−kB1−NHVのHPLCトレースである。(b)ブテラーゼ1の非存在下での加水分解生成物SA−pyroGlu−kB1−Nを示すHPLCトレースである。(c)5倍過剰のGIGGIR(250μM)の存在下での連結反応を示すHPLCトレースである。(d)20倍過剰のGIGGIR(1mM)の存在下での連結反応を示すHPLCトレースである。連結反応は、0.125μMブテラーゼ1および50μM SA−pyroGlu−kB1−NHVと様々な濃度のGIGGIR(0〜1mM)との存在下で、37℃で20分間にわたって行われた。

ブテラーゼ介在性ペプチド連結のアクセプタ特異性を示す。(a)ブテラーゼ1により促進されるKALVINHV(配列番号122)およびXIGGIR(配列番号123)の分子間連結である。この反応は、100nMブテラーゼ1、100μM KALVINHVおよび1mM XIGGIRの存在下で行われ、10分間または2時間にわたり温置された。HPLCピークの面積を濃度に変換することによって、連結収率が計算された。(b)ブテラーゼ1により促進されたKALVINHVおよびLXGGIRの分子間連結である。この反応は、100nMブテラーゼ1、100μM KALVINHVおよび1mM LXGGIRの存在下で行われ、10分間または2時間にわたり温置された。HPLCピークの面積を濃度に変換することによって、連結収率が計算された。

ヒトニューロメジンUと、サリューシンaと、アペリンおよびガラニンと、ラットニューロメジンUとのブテラーゼ介在性の環化を示す。この環化反応は、50μMペプチドおよび0.1μMブテラーゼ1(0.002モル濃度当量)を含有する50μLの反応混合物中で37℃で行われ、MSにより監視された。

C末端のAsn−His−Valモチーフで終止し、N末端のGly−Ileで開始する、修飾GFPのブテラーゼ介在性の環化を示す。この環化反応は、25μM GFPおよび0.1μMブテラーゼ1(0.004モル濃度当量)の存在下で行われた。この環化反応は、高分解能ESI−MSにより監視された。

短いペプチドGIGK(ビオチン)R(配列番号134)とのGFPのブテラーゼ介在性連結を示す。この連結反応は、0.125μMブテラーゼ1、50μM GFPおよび1mMのペプチド基質の存在下で37℃で30分間にわたって行われ、MSによって監視された。

20分間の温置の場合における、蛍光標識ペプチドGIR−AMC(AMC=7−アミノ−4−メチルクマリン)と(a)ABL−Monoとの間、および蛍光標識ペプチドGIR−AMCと(b)ERK−Darpとの間の連結のマススペクトロメトリープロファイルを示す。7232および7354.8は、ABL−Monoおよび一度プロトン化されたその連結生成物のピークである。10251.4および6031.3は、1回および2回プロトン化されたERK−Darp連結生成物のピークである。

陰性対照としてのERK−Darp基質のESI−MSプロファイルを示す。

1mM FITC−GKNHVおよび50nMブテラーゼ1とともに42℃で10分間にわたり温置した50μM ERK−DarpのESI−MSプロファイルを示す。

陰性対照としてのGFP−NHV基質のESI−MSプロファイルを示す。

1mM FITC−GKNHVおよび50nMブテラーゼ1とともに42℃で10分間にわたり温置した50μM GFP−NHVのESI−MSプロファイルを示す。

ユビキチン(配列番号148)とペプチドYKN−チオグリコール酸−Vとの間の連結のHPLCおよびMSプロファイルを示す。

ブテラーゼ1介在性の二量体化の分析を示す。G2K二量体コアペプチドの構造である。

ブテラーゼ1介在性の二量体化の分析を示す。2つの異なる可能性のある単連結G2Kペプチドの構造である。

ブテラーゼ1介在性の二量体化の分析を示す。2つの異なる可能性のある単連結G2Kペプチドの構造である。

ブテラーゼ1介在性の二量体化の分析を示す。完全に連結された二量体ペプチドの構造である。

ブテラーゼ1介在性の二量体化の分析を示す。二量体化反応のマススペクトロメトリー分析は、単連結二量体および完全連結二量体の両方の存在を示す。

ブテラーゼ介在性ペプチド環化のアクセプタ特異性を示す。この反応は、50nMブテラーゼ1、50μMペプチドの存在下で行われ、42℃で60分間にわたり温置された。HPLCピークの面積を濃度に変換することによって、環化収率が計算された。ブテラーゼ1により促進されたXLYRRGRYLRRNHV(配列番号157)の分子内環化である。

ブテラーゼ介在性ペプチド環化のアクセプタ特異性を示す。この反応は、50nMブテラーゼ1、50μMペプチドの存在下で行われ、42℃で60分間にわたり温置された。HPLCピークの面積を濃度に変換することによって、環化収率が計算された。ブテラーゼ1により促進されたXRLYRGRYLRRNHV(配列番号158)の分子内連結である。

ブテラーゼ介在性ペプチド環化のアクセプタ特異性を示す。この反応は、50nMブテラーゼ1、50μMペプチドの存在下で行われ、42℃で60分間にわたり温置された。HPLCピークの面積を濃度に変換することによって、環化収率が計算された。ブテラーゼ1により促進されたGXLYRGRYLRRNHV(配列番号159)の分子内連結である。

プロスイフト(ProSwift)ConA−1S親和性カラム上に固定化されたブテラーゼ1によるペプチド基質コノトキシンの環状化アッセイを示す。

プロスイフト(ProSwift)ConA−1S親和性カラム上に固定化されたブテラーゼ1によるペプチド基質SFTIの環状化アッセイを示す。

プロスイフト(ProSwift)ConA−1S親和性カラム上に固定化されたブテラーゼ1によるペプチド基質カラタB1の環状化アッセイを示す。

本発明は、本発明者らの、非常に高い触媒活性によりペプチドを連結/環化可能なクリトリア・テルナテア(Clitoria ternatea)から単離されたペプチドリガーゼ/シクラーゼ酵素の同定に基づく。これは、C末端のトリペプチドモチーフ、Asx−His−Valを認識し、ソーティング配列His−Valを切断するとともにAsxをN末端残基に連結することによりペプチド骨格環化に介在して、環状形態を形成させる。意義深いことに、本酵素は、シクロチド前駆体と14〜58個の残基の大きさの範囲の様々なシステインに富むペプチドとを効率的に環化できるだけでなく、非システイン含有のペプチドおよびタンパク質、例えば緑色蛍光タンパク質(GFP)なども効率的に環化できる。これにより、所定のペプチドまたはタンパク質の環化が所望される様々な用途において、本酵素は非常に多目的および有用になる。

本発明は、第一の態様において、単離形態のこの酵素を包含し、より具体的には、配列番号1で示されるアミノ酸配列を含むか、基本的にそれからなるか、またはそれからなる、単離ポリペプチドを対象とする。配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるポリペプ チドは、本明細書で「ブテラーゼ1」とも呼ばれる。「単離」は、本明細書で使用される場合、少なくとも部分的に他の細胞構成要素から分離されている形態のポリペプチドに関し、これは、天然であってもよく、または付随していてもよい。本ポリペプチドは、組み換えポリペプチド、すなわち天然にはそのポリペプチドを産生しない遺伝子操作生物中で産生されるポリペプチドであり得る。

本発明によるポリペプチドは、タンパク質連結活性を呈し、すなわち2個のアミノ酸残基の間のペプチド結合を形成可能であり、これらの2個のアミノ酸残基は、同じまたは異なるペプチドまたはタンパク質上、好適には同じペプチドまたはタンパク質上に位置し、前記連結活性によって前記ペプチドまたはタンパク質が環化されるようになる。したがって、様々な実施形態において、本発明のポリペプチドはシクラーゼ活性を有する。様々な実施形態において、このタンパク質連結またはシクラーゼ活性にはエンドペプチダーゼ活性も含まれ、すなわち本ポリペプチドは、2個のアミノ酸残基の間でペプチド結合を形成し、同時に既存のペプチド結合を切断する。これは、環化が、所定のペプチドの末端の間で起こる必要はなく、内部アミノ酸残基の間でも起こり得、環化のために使用されるアミノ酸に対するアミノ酸C末端またはN末端が切断されることを意味する。好ましい実施形態において、本ポリペプチドは、内部アミノ酸にN末端を連結させ、残留するC末端アミノ酸を切断することによって、環化ペプチドを形成する。

本明細書で開示されるようなポリペプチドは、連結が起こるアミノ酸C末端、すなわち連結されるペプチドのC末端が、アスパラギン(AsnまたはN)またはアスパラギン酸(AspまたはD)の何れか、好適にはアスパラギンであるという点において、「Asx特異的」である。様々な実施形態において、本発明によるポリペプチドはまた、アミド化されている、すなわちC末端カルボキシ基がアミド基に置換されている、C末端Asx(NまたはD)残基を有するペプチドに対する連結活性も有する。このアミド基は、一連の連結反応で切断される。したがって、このようなアミド化ペプチド基質は、依然として連結/環化されながら、天然のトリペプチドモチーフNHVを含まない。

「ポリペプチド」は、本明細書で使用される場合、ペプチド結合により接続されるアミノ酸から作製されるポリマーに関する。本ポリペプチドは、本明細書で定義される場合、50個以上のアミノ酸、好適には100個以上のアミノ酸を含み得る。「ペプチド」は、本明細書で使用される場合、ペプチド結合により接続されるアミノ酸から作製されるポリマーに関する。本ペプチドは、本明細書で定義される場合、2個以上のアミノ酸、好適には5個以上のアミノ酸、より好適には10個以上のアミノ酸、例えば10〜50個のアミノ酸を含み得る。

様々な実施形態において、本ポリペプチドは、アミノ酸配列であって、その全体の長さにわたり、配列番号1で示されるアミノ酸配列に対して、少なくとも60%、65%、70%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、90.5%、91%、91.5%、92%、92.5%、93%、93.5%、94%、94.5%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.25%もしくは99.5%同一であるかまたは相同であるアミノ酸配列を含むか、またはこれらからなる。いくつかの実施形態において、これは、アミノ酸配列であって、その全体の長さにわたり、配列番号1で示されるアミノ酸配列と、少なくとも60%、好適には少なくとも70%、より好適には少なくとも80%、最も好適には少なくとも90%の配列同一性を共有するアミノ酸配列を有するか、またはその全体の長さにわたり、配列番号1で示されるアミノ酸配列と、少なくとも80%、好適には少なくとも90%、より好適には少なくとも95%の配列相同性を共有するアミノ酸配列を有する。

様々な実施形態において、本ポリペプチドは、成熟酵素の前駆体であり得る。このような実施形態において、これは、配列番号2で示されるアミノ酸配列を含み得るかまたはそれからなり得る。アミノ酸配列であって、その全体の長さにわたり、配列番号2で示されるアミノ酸配列に対して、少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、90.5%、91%、91.5%、92%、92.5%、93%、93.5%、94%、94.5%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.25%もしくは99.5%同一であるかまたは相同であるアミノ酸配列を有するポリペプチドも包含される。

核酸配列またはアミノ酸配列の同一性は一般に配列比較により決定される。この配列比較は、既存の技術で確立され、一般的に使用されるBLASTアルゴリズムに基づき(例えば、アルチュール(Altschul)ら著(1990年)、「ベーシック・ローカル・アライメント検索ツール(Basic local alignment search tool)」、ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー(J.Mol.Biol.)第215巻、p.403〜410およびアルチュールら著(1997年):「ギャップ付きのBLASTおよびPSI−BLAST:タンパク質データベース検索プログラムの新世代(Gapped BLAST and PSI−BLAST:a new generation of protein database search programs)」;ヌクレイック・アシッズ・リサーチ(Nucleic Acids Res.)、第25巻、p.3389〜3402を参照)、それぞれ核酸配列およびアミノ酸配列中のヌクレオチドまたはアミノ酸の互いに関連がある類似の連続により原理的に達成される。関連する位置のテーブル状の関連は、「アライメント」と呼ばれる。配列比較(アライメント)、特に多重配列比較は一般的に、当業者にとって利用可能であり、公知であるコンピュータプログラムを用いて作成される。

この類の比較によって、比較されている配列の互いに対する類似性に関して述べることも可能になる。これは通常、パーセンテージ同一性、すなわち、アライメントにおいて同じ位置でのまたは互いに対応する位置での同一であるヌクレオチドまたはアミノ酸残基の割合として示される。より広く解釈される「相同性」という用語は、アミノ酸配列に関連して、保存的アミノ酸交換、すなわち類似の化学活性を有するアミノ酸の考慮も、これらが通常、タンパク質内で類似の化学活性を発揮するので、包含する。したがって、比較配列の類似性は、「パーセンテージ相同性」または「パーセンテージ類似性」としても示され得る。同一性および/または相同性の指摘は、ポリペプチドまたは遺伝子全体にわたり、または個別の領域のみにわたり行われ得る。したがって、様々な核酸配列またはアミノ酸配列の相同および同一領域は、配列中の一致により定義される。このような領域は、同一の機能を呈することが多い。これらは小さいものであり得、数ヌクレオチドまたは数アミノ酸のみを包含し得る。この類の小さい領域は、タンパク質の全体的活性に必須である機能を発揮することが多い。したがって、これは、個々の領域のみ、および任意選択による小さい領域のみに対する配列の一致を指すために有用であり得る。しかし、別段の断りがない限り、本明細書中での同一性および相同性の指摘は、それぞれ示された核酸配列またはアミノ酸配列の全長を指す。

様々な実施形態において、本明細書に記載のポリペプチドは、配列番号1の位置19に対応する位置のアミノ酸残基N;および/または配列番号1の位置124に対応する位置のアミノ酸残基H;および/または配列番号1の位置166に対応する位置のアミノ酸残基Cを含む。これらのアミノ酸残基は推定的に、このポリペプチドの触媒活性に関与することが分かっている。したがって、好ましい実施形態において、本ポリペプチドは、所定のまたは対応する位置での前述の残基のうちの少なくとも2個、より好適には3個全てを含む。

本発明の単離ポリペプチドは、好適には酵素活性、特にタンパク質リガーゼ活性、好適にはシクラーゼ活性を有する。様々な実施形態において、これは、それらが80%以上、好適には90%以上の効率で所定のペプチドを連結することができることを意味する。このタンパク質連結反応、好適には環化反応は、好適には比較的速く、すなわちこのポリペプチドは、500μM以下、好適には250μM以下のKm;および/または少なくとも0.05s−1、好適には少なくとも0.5s−1、より好適には少なくとも1.0s−1、最も好適には少なくとも1.5s−1のkcatで所定のペプチドを環化することができる。好ましいポリペプチドは、両要件、すなわちKmおよびkcat要件を満たす。このようなミカエリス−メンテン速度式を決定するための方法は当技術分野で周知であり、当業者により日常的に適用され得る。本発明のポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列を有する酵素のタンパク質リガーゼ活性の少なくとも50%、より好適には少なくとも70%、最も好適には少なくとも90%を有することが好ましい。

本明細書に記載の実施形態によるポリペプチドは、アミノ酸改変、特にアミノ酸の置換、挿入または欠失を含み得る。このようなポリペプチドは、例えば、標的遺伝子組み換えによって、すなわち突然変異誘発方法によってさらに開発され、具体的な目的に対して、または特定の特性に関して(例えば、それらの触媒活性、安定性などに関して)最適化される。さらに、本明細書で企図される核酸は、組み換え処方物に導入され、それによって完全に新規のタンパク質リガーゼ、シクラーゼまたは他のポリペプチドを作製するために使用することができる。

様々な実施形態において、リガーゼ/シクラーゼ活性を有するポリペプチドは、翻訳後に修飾、例えばグリコシル化され得る。このような修飾は、組み換え手段によって、すなわち産生時に宿主細胞において直接的に行われ得るか、または、例えばインビトロで、ポリペプチドの合成後に化学的もしくは酵素的に達成され得る。

目標は、例えば基質特異性を変化させる、および/または触媒活性を向上させるために、標的突然変異、例えば置換、挿入または欠失などを既知の分子に導入することであり得る。この目的のために、特に、分子の表面電荷および/または等電点ならびにそれによる基質とのそれらの相互作用が改変され得る。あるいは、またはさらに、ポリペプチドの安定性は、1つ以上の対応する突然変異により促進されることができ、それによりその触媒性能が向上する。個々の突然変異、例えば個々の置換の有利な特性は互いに補い得る。

様々な実施形態において、ポリペプチドは、最初の(initial)分子としての上記のようなポリペプチドから1つまたは複数の保存的アミノ酸置換によって得ることが可能であることを特徴とし得る。「保存的アミノ酸置換」という用語は、あるアミノ酸残基の別のアミノ酸残基との交換(置換)を意味し、このような交換は、交換されたアミノ酸の位置での極性または電荷の変化につながらない、例えば非極性アミノ酸残基の別の非極性アミノ酸残基への交換である。本発明に関連する保存的アミノ酸置換は、例えばG=A=S、I=V=L=M、D=E、N=Q、K=R、Y=F、S=T、G=A=I=V=L=M=Y=F=W=P=S=Tを包含する。

あるいは、またはさらに、ポリペプチドは、断片化によって、または欠失、挿入もしくは置換の突然変異誘発によって、最初の分子として本明細書で企図されるポリペプチドから得ることが可能であることを特徴とし得、少なくとも150個、160個、170個、180個、190個、200個、210個、220個、230個、240個、250個、260個、270個、280個、290個、300個、310個、320個、325個、330個、331個、332個、333個、334個、335個、336個、337個、338個、339個、340個、341個または342個の連続的に接続されるアミノ酸 の長さにわたり、最初の分子に一致するアミノ酸配列を包含する。このような実施形態において、最初の分子中に含有されるアミノ酸N19、H124およびC166が依然として存在することが好ましい。

したがって、様々な実施形態において、本発明は、酵素活性を保持する、本明細書に記載のポリペプチドの断片にも関する。これらが、最初の分子、好適には配列番号1のアミノ酸配列を有するポリペプチドのタンパク質リガーゼ活性および/またはシクラーゼ活性の、少なくとも50%、より好適には少なくとも70、最も好適には少なくとも90%を有することが好ましい。この断片は、好適には少なくとも150アミノ酸長、より好適には少なくとも200アミノ酸長または250アミノ酸長、最も好適には少なくとも300アミノ酸長である。これらの断片が配列番号1の位置19、124および166に対応する位置のアミノ酸N、HおよびCを含むことがさらに好ましい。したがって、好ましい断片は、配列番号1で示されるアミノ酸配列のアミノ酸19〜166、より好適には10〜200、最も好適には1〜277を含む。

本明細書に記載のポリペプチドをコードする核酸分子、ならびにこのような核酸を含有するベクター、特にコピーベクターまたは発現ベクターも本発明の一部をなす。 これらはDNA分子またはRNA分子であり得る。これらは、個々の鎖として、この個々の鎖に相補的な個々の鎖として、または2本鎖として存在し得る。特にDNA分子の場合、3つの可能性のある読み枠の全部における両相補鎖の配列が各場合に考慮されるべきである。異なるコドン、すなわち塩基のトリプレットが同じアミノ酸をコードし得る結果、特定のアミノ酸配列が複数の異なる核酸によってコードされ得るという事実も考慮すべきである。遺伝コードのこの縮重の結果として、上記のポリペプチドのうちの1つをコードし得る全ての核酸配列が本発明のこの対象に含まれる。遺伝コードの縮重にもかかわらず、定められたアミノ酸は個々のコドンに関連付けられるべきであるため、当業者は、明確にこれらの核酸配列を決定することが可能である。したがって、当業者は、アミノ酸配列から開始して、そのアミノ酸配列をコードする核酸を容易に確認することができる。さらに、本発明による核酸に関連して、1つ以上のコドンが同義のコドンにより置換され得る。この態様は、特に本明細書で企図される酵素の異種発現を指す。例えば、全ての生物、例えば産生株の宿主細胞は、特異的なコドン使用を有する。「コドン使用」は、それぞれの生物によるアミノ酸への遺伝コードの翻訳として理解される。タンパク質生合成におけるボトルネックは、核酸上に位置するコドンが、その生物において、比較的少数の負荷されるtRNA分子に向かう場合に起こり得る。さらに、同じアミノ酸をコードし、その結果、その生物において、あるコドンが、同じアミノ酸をコードする同義のコドンよりも低い効率で翻訳されるようになる。当該同義のコドンに対するより多くのtRNA分子が存在するため、後者は、その生物においてより効率的に翻訳され得る。

例えば、分子生物学またはタンパク質化学の標準的方法と組み合わせた、化学合成またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)など、今日一般的に知られる方法により、当業者は、既知のDNA配列および/またはアミノ酸配列に基づいて、対応する核酸を完全な遺伝子にまで製造することができる。このような方法は、例えばサンブルック,J.(Sambrook,J.)、フリッチュ,E.F.(Fritsch,E.F.)およびマニアティス,T.(Maniatis,T)著、2001年、モレキュラー・クローニング:ア・ラボラトリー・マニュアル(Molecular cloning:a laboratory manual)、第3版、コールド・スプリング・ラボラトリー・プレス(Cold Spring Laboratory Press)から知られている。

「ベクター」は、本明細書の目的のために、特徴となる核酸領域として本明細書で企図される核酸を含有する、核酸から作られる構成要素として理解される。これらは、1つの種または細胞株において、複数の世代または細胞分裂にわたり、この核酸を安定な遺伝子 要素として確立させることができる。特に細菌において使用される場合、ベクターは特別なプラスミド、すなわち環状遺伝子要素である。本明細書中での文脈において、本明細書で企図されるような核酸はベクターにクローニングされる。ベクターに含まれるものは、例えば、細菌プラスミド、ウイルスもしくはバクテリオファージに由来するベクターか、または多岐にわたり異なる派生の要素を有する主に合成のベクターまたはプラスミドである。各場合に存在するさらなる遺伝子要素を用いて、ベクターは、適切な宿主細胞における安定なユニットとして、複数世代にわたってベクター自体を確立することが可能である。これらは、個別のユニットとして染色体外に存在し得るか、または染色体もしくは染色体DNAに組み込まれ得る。

発現ベクターは、それらベクターを含有する宿主細胞において、好ましくは微生物、特に好適には細菌において、複製することが可能であり、含まれる核酸をそこで発現することが可能な核酸配列を包含する。したがって、様々な実施形態において、本明細書に記載のベクターはまた、本発明のポリペプチドをコードする核酸の発現を制御する調節エレメントも含有する。発現は、特に転写を調節する1つまたは複数のプロモータにより影響を受ける。発現は、原則的に、発現される核酸の前に元来位置する天然のプロモータによって起こり得るが、発現ベクター上に供えられる宿主細胞のプロモータによっても、または別の生物もしくは別の宿主細胞の修飾されたもしくは完全に異なるプロモータによっても起こり得る。この場合、本明細書で企図されるような核酸の発現のための少なくとも1つのプロモータが利用可能になり、その発現のために使用される。発現ベクターは、例えば培養条件の変化によって、またはそれらを含有する宿主細胞が特定の細胞密度に到達した際に、または特定の物質、特に遺伝子発現のアクティベータの添加によって、さらに調節され得る。このような物質の一例は、ガラクトース誘導体イソプロピル−ベータ−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)であり、これは、細菌ラクトースオペロン(lacオペロン)のアクティベータとして使用される。発現ベクターと対照的に、含有される核酸はクローニングベクターでは発現されない。

さらなる態様において、本発明は、本明細書で企図されるような核酸または本明細書で企図されるようなベクターを含有する宿主細胞、好適には非ヒト宿主細胞も対象とする。本明細書で企図されるような核酸またはこの核酸を含有するベクターは、好適には微生物に形質転換され、この微生物は実施形態による宿主細胞に相当する。細胞の形質転換のための方法は、既存の技術分野において確立されており、当業者にとって十分に公知である。全ての細胞は、原則的に宿主細胞として適切であり、すなわち原核細胞または真核細胞である。遺伝的に有利であるように、例えば、核酸またはベクターを用いる形質転換とその安定した確立とに関して、操作され得る宿主細胞が好ましく、例えば単細胞真菌または細菌である。さらに、好ましい宿主細胞は、微生物学的およびバイオテクノロジー条件において容易に操作されることで知られている。これは、例えば、容易な培養可能性と、高増殖速度と、発酵培地に関して要求が低いことと、外来タンパク質に対する良好な産生および分泌率とを指す。本ポリペプチドは、それらの製造後、それらを産生する細胞により、例えば糖分子の添加、ホルミル化、アミン化などによってさらに修飾され得る。この類の翻訳後修飾は、本ポリペプチドに機能的に影響し得る。

さらなる実施形態は、例えばベクター上で利用可能にされるがこれら細胞中にも推測的に存在し得る遺伝子調節エレメントに基づいて活性が調節され得る、宿主細胞によって表される。これらは、例えば、アクティベータとして作用する化学物質のコントロールされた添加によって、培養条件を改変することによって、または特定の細胞密度に到達する際に、発現するように刺激され得る。これにより、本明細書で企図されるタンパク質の経済的産生が可能になる。既に記載のように、このような化合物の一例はIPTGである。

好ましい宿主細胞は原核細胞または細菌細胞である。細菌は、短い世代時間と培養条件 に関して要求が少ないこととによって知られている。結果として、経済的な培養方法または製造方法が確立され得る。さらに、当業者は、発酵技術における細菌に関して豊富な経験を有する。グラム陰性またはグラム陽性細菌は、栄養源、生成物形成速度、時間的要件など、個々の場合に実験的に確認されるべき多岐にわたる理由のために、特定の産生例に対して適切であり得る。

本明細書で企図される宿主細胞は、培養条件のためのそれらの要求に対して改変されることができるか、他のもしくはさらなる選択マーカを含み得るか、または他のもしくはさらなるタンパク質を発現させることもできる。これらは、特に、複数のタンパク質または酵素をトランスジェニックに発現する宿主細胞であり得る。

しかし、宿主細胞はまた、細胞核を保持することを特徴とする真核細胞であってもよい。したがって、さらなる実施形態は、細胞核を保持することを特徴とする宿主細胞によって表され得る。原核細胞と対照的に、真核細胞は、形成されるタンパク質を翻訳後修飾することが可能である。その例は、放線菌などの真菌、またはサッカロミセス(Saccharomyces)もしくはクリベロミセス(Kluyveromyces)などの酵母である。これは、例えば、タンパク質が、それらの合成に関して、このような系により可能となる特定の修飾を受けることが意図される場合、特に有利であり得る。真核系が特にタンパク質合成と合わせて行う修飾の1つに、例えば、膜アンカーまたはオリゴ糖などの低分子量化合物の結合が挙げられる。

本明細書で企図される宿主細胞は、通常のように、例えば不連続的または連続的な系において培養および発酵される。前者の場合において、適切な栄養培地に宿主細胞を接種し、実験的に確認されるべき期間の後、その培地から生成物が回収される。連続発酵は、比較的長い期間にわたり細胞が一部は死滅するが一部は再生する流動均衡の達成が知られており、形成されるタンパク質が同時に培地から取り出され得る。

本明細書で企図される宿主細胞は、好適には、本明細書に記載のポリペプチドを製造するために使用される。 したがって、本発明のさらなる態様は、本明細書に記載されるようなポリペプチドを製造するための方法であって、本明細書で企図される宿主細胞を培養すること、およびそのポリペプチドを培養培地または宿主細胞から単離することを含む、方法である。培養条件および培地は、当技術分野で公知の一般的知識および技術を用いることによって使用される宿主生物に基づき、当業者により選択され得る。

またさらなる態様において、本発明は、タンパク質連結、特に1つ以上のペプチドの環化を行うための、上記のポリペプチドの使用に関する。 (i)配列番号3〜109で示されるアミノ酸配列のうちの任意の1つ; (ii)アミノ酸配列であって、その全体の長さにわたり、(i)のアミノ酸配列のうちの任意の1つと、少なくとも60%、好適には少なくとも70%、より好適には少なくとも80%、最も好適には少なくとも90%の配列同一性を共有するアミノ酸配列; (iii)アミノ酸配列であって、その全体の長さにわたり、(i)のアミノ酸配列のうちの任意の1つと、少なくとも80%、好適には少なくとも90%、より好適には少なくとも95%の配列相同性を共有するアミノ酸配列;または (iv)少なくとも2つのペプチドもしくはタンパク質を連結するか、または1つのペプチドもしくはタンパク質を環化するための、リガーゼ/シクラーゼ活性を有する、(i)〜(iii)のうちの任意の1つの断片 を含むか、基本的にそれからなるか、またはそれからなるポリペプチドの使用も包含される。

このような使用の様々な実施形態において、配列番号3〜109で示されるアミノ酸配列に基づく(i)〜(iv)によるポリペプチドは、上記のものなど、配列番号1に基づくポリペプチドである。これは、特に、配列番号1の位置19、124および166に対応する位置における保存的アミノ酸残基N、HおよびC、ならびに/またはそれらの活性および機能性に関する。

本明細書に記載の酵素の使用がペプチド基質を参照することにより後述される一方で、これらは、対応するポリペプチドまたはタンパク質に対して同様に使用され得ることが理解される。したがって、本発明はまた、ポリペプチドまたはタンパク質が基質として使用される実施形態にも及ぶ。これらのポリペプチドまたはタンパク質は、ペプチド基質に関連して下記のような構造モチーフを含み得る。機能性を保持するヒトペプチドホルモンの断片などのペプチド断片、あるいは、例えばチオデプシペプチドを含む、(骨格)修飾ペプチドなどのペプチド誘導体が利用される実施形態も包含される。したがって、本発明はまた、本明細書で開示されるペプチド基質の断片および誘導体にも及ぶ。

様々な実施形態において、連結または環化されるペプチドは、リガーゼ/シクラーゼにより認識、結合および連結される認識連結配列を含有する限り、一般的には少なくとも10アミノ酸長の任意のペプチドであり得る。連結または環化されるペプチドのこのアミノ酸配列は、アミノ酸残基NまたはD、好適にはNを含み得る。様々な実施形態において、環化されるペプチドは、アミノ酸配列(X)oN/D(X)pを含み、Xは任意のアミノ酸であり、oは1以上、好適には2以上の整数であり、かつpは1以上、好適には2以上の整数である。好ましい実施形態において、(X)pは、H(X)rまたはHV(X)rであり、rは0または1以上の整数である。より好ましい実施形態において、本ペプチドは、アミノ酸配列(X)oNHまたは(X)oNHVを含む。このアミノ酸配列は、好適には、連結/環化中にNに対する全アミノ酸C末端が切断されるため、連結または環化されるペプチドのC末端に、またはその付近に位置する。したがって、全ての前述の実施形態において、pまたはrは、好適には20以下の整数、好適には5以下の整数である。特に好ましいのは、pが2であり(X)pが好適にはHXもしくはHVであるか、またはrが0である、実施形態である。

代替的な実施形態において、連結または環化されるペプチドはアミノ酸配列(X)oN*/D*を含み得、このアミノ酸配列において、Xは任意のアミノ酸であり、oは2以上の整数であり、かつC末端カルボキシ基(NまたはD残基の)は式−C(O)−N(R’)2の基により置換され、R’は例えばアルキルなどの任意の残基である。このような実施形態において、NまたはD残基の末端−C(O)OH基、好適にはDの場合のアルファ−カルボキシ基は、基−C(O)−N(R’)2を形成させるために修飾される。これらのC末端がアミド化されているDまたはN残基は、本明細書ではそれぞれD*およびN*により示される。本明細書で開示される酵素は、アミド基を切断し、このNまたはD残基を関心のある別のペプチドのN末端またはNもしくはD残基を含む同じペプチドのN末端に連結し得ることが分かった。

連結されるペプチドのN末端部分は、好適には、アミノ酸配列X1X2(X)qを含み、このアミノ酸配列において、Xは任意のアミノ酸であってよく;X1は、Proを除く任意のアミノ酸であってよく;X2は、任意のアミノ酸であってよいが、好適には疎水性アミノ酸、例えばVal、IleもしくはLeu、またはCysであり;かつqは、0または1以上の整数である。好ましいのは、X1の位置において、次の順序である:G=H>M=W=F=R=A=I=K=L=N=S=Q=C>T=V=Y>D=E。「=」は、それぞれのアミノ酸が同様に好ましいことを示し、一方で「>」は、この印の前に挙げられるアミノ酸が、この印の後に挙げられるものよりも好ましいことを示す。X2位置において好ましいのは、次の順序である:L>V>I>C>T>W>A=F>Y>M>Q>S 。X2位置において、P、D、E、G、K、R、NおよびHはあまり好ましくない。X1位置において特に好ましいのはGおよびHであり、X2位置においては、L、V、IおよびCであり、例えばジペプチド配列GL、GV、GI、GC、HL、HV、HIおよびHCである。

したがって、好ましい実施形態において、連結または環化されるペプチドは、NからC末端方向で、アミノ酸配列X1X2(X)q(X)oN/D(X)pを含み、このアミノ酸配列において、X、X1、X2、o、pおよびqは上記のように定められ、oは、好適には少なくとも7である。様々な実施形態において、(1)qは0であり、oは、少なくとも7の整数であり;および/または(2)X1はGもしくはHであり;および/または(3)X2はL、V、IもしくはCであり;および/または(4)pは2以上であるが22以下であり、好適には2〜7であり、より好適にはH(X)rもしくはHV(X)rであり、最も好適にはHXもしくはHVである。様々な実施形態において、(1)qは0であり、oは少なくとも7の整数であり;(2)X1はGまたはHであり;(3)X2はL、V、IまたはCであり;(4)pは2以上であるが、22以下であり、好適には2〜7であり、より好適にはH(X)rまたはHV(X)r、最も好適にはHXまたはHVである。

様々な実施形態において、環化されるペプチドは、環状シスチンノットポリペプチド、特にシクロチドの線状の前駆体型である。シクロチドは、非常に安定な植物タンパク質のトポロジー的にユニークなファミリーである。これらは、6個の保存的システイン残基に関連するシスチンノットモチーフによりさらに制限される、ヘッドトゥーテールの環化ペプチド骨格で並べられる約30個のアミノ酸を含む。このシスチンノットは、2個のジスルフィド結合と、第三のジスルフィド結合が通されてインターロッキングおよび交差ブレース構造を形成する構造において内部の環を形成するそれらの接続骨格セグメントとから組み立てられる。このシスチンノットコアモチーフ上に重ねられるのは、表面が露出した短いループを呈する、明確に定義されたベータシートおよび一連のターンである。

シクロチドは、それらの骨格ループ内で様々なペプチド配列を表し、広範囲の生物学的活性を有する。したがって、これらは、薬学的用途のための大きな関心である。これらが由来する一部の植物は、カラタ−カラタ(kalata−kalata)を含め、民間薬において使用される。カラタ−カラタは、原型の(prototypic)シクロチドであるカラタB1(kB1)を含有し、アフリカで分娩を加速するために使用される、植物オルデンランディア・アフィニス(Oldenlandia affinis)由来の茶である。その高い安定性は、これらが、ペプチドに基づく薬物設計用途における可能性のある鋳型として注目されていることを意味する。特に、シクロチドのフレームワークへと生理活性ペプチド配列をグラフト化することによって、ペプチドに基づく治療剤を安定化し、それによって薬物としてのペプチドの使用における大きい制限の1つを克服するための新しいアプローチの見込みがもたらされる。

したがって、様々な実施形態において、環化されるペプチドは、10個以上のアミノ酸長、好適には50個以下のアミノ酸であり、いくつかの実施形態において、約25〜35個のアミノ酸長である。この環化されるペプチドは、配列番号110で示されるオルデナンディア・アフィニス由来のシクロチドであるカラタB1の前駆体のアミノ酸を含み得るか、またはそれからなり得る。

様々な実施形態において、環化されるペプチドは、アミノ酸配列(X)nC(X)nC(X)nC(X)nC(X)nC(X)nC(X)nNHV(X)nを含むか、またはそれからなり、このアミノ酸配列において、各nは、1〜6から独立に選択される整数であり、かつXは任意のアミノ酸であり得る。このようなペプチドは、上記のように、6個の システイン残基間でシスチン結合を形成する環状シスチンノットポリペプチドの前駆体であり、この前駆体は、C末端のHV(X)n配列を切断し、次いでC末端のN残基をN末端残基と連結することにより、本明細書に記載の酵素によって環化されることができる。

環化されるペプチドは、様々な実施形態において、米国特許出願公開第2012/0244575号明細書で開示される線状前駆体を含み得る。この文献は、この目的のために、その全体において参照により本明細書に組み込まれる。

様々なさらなる実施形態において、環化されるペプチドとしては、コノトキシン、タナチン(昆虫抗菌ペプチド)およびヒスタチン(ヒト唾液抗菌ペプチド)などのペプチド毒素および抗菌ペプチドの線状前駆体が挙げられるが、それらに限定されない。環化され得る他のペプチドは、ニューロメジン、サリューシンアルファ、アペリンおよびガラニンを含むがそれらに限定されない、環状ヒトペプチドホルモンまたは環状動物ペプチドホルモンの前駆体である。例示的なペプチドは、配列番号111〜116および128〜132で示されるアミノ酸配列のうちの任意の1つを含むかまたはそれからなる。

本明細書で開示される酵素および方法を用いて連結または環化され得るさらなるペプチドとしては、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、アドレノメデュリン、インターメジン、プロアドレノメデュリン、アドロピン、アゲレニン、AGRP、アラリン(Alarin)、インスリン様増殖因子結合タンパク質5、アミリン、アミロイドb−タンパク質、両親媒性ペプチド抗生物質、LAH4、アンジオテンシンI、アンジオテンシンII、A型(心房性)ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、アパミン、アぺリン、ビバリルジン、ボンベシン、リジル−ブラジキニン、B型(脳性)ナトリウム利尿ペプチド、C−ペプチド(インスリン前駆体)、カルシトニン、コカイン・アンフェタミン調節転写産物(CART)、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、コレシストキニン(CCK)−33、サイトカイン誘導性好中球走化性因子−1/増殖関連癌遺伝子(CINC)、コリベリン、副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)、コルチスタチン、C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)、デコルシン(Decorsin)、ヒト好中球ペプチド−1(HNP−1)、HNP−2、HNP−3、HNP−4、ヒトデフェンシンHD5、HD6、ヒトベータデフェンシン−1(hbd1)、hbd2、hbd3、hbd4、デルタ睡眠誘発ペプチド(DSIP)、ダームシジン−1L、ダイノルフィンA、エラフィン、エンドキニンC、エンドキニンD、b−リポトロピン、g−エンドルフィン、エンドセリン−1,エンドセリン−2、エンドセリン−3、ビッグ−エンドセリン−1、ビッグ−エンドセリン−2、ビッグ−エンドセリン−3、エンフビリチド(Enfuviritide)、エキセンディン−4、MBP、ミエリンオリゴデンドロサイトタンパク質(MOG)、Glu−フィブリノペプチドB、ガラニン、ガラニン様ペプチド、ビッグガストリン(ヒト)、胃抑制ポリペプチド(GIP)、ガストリン放出ペプチド、グレリン、グルカゴン、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)、GLP−2、成長ホルモン放出因子(GRF、GHRF)、グアニリン、ウログアニリン、ウログアニリン異性体A、ウログアニリン異性体B、ヘプシジン、肝臓発現抗菌ペプチド(LEAP−2)、ヒューマニン、ジョイニングペプチド(rJP)、キスペプチン−10、キスペプチン−54、リラグルチド、LL−37(ヒトカテリシジン)、黄体化ホルモン放出ホルモン(LHRH)、マガイニン1、マストパラン、a−接合因子、肥満細胞脱顆粒(MCD)ペプチド、メラニン凝集ホルモン(MCH)、a−メラニン細胞刺激ホルモン(アルファ−MSH)、ミッドカイン、モチリン、神経内分泌調節ペプチド1(NERP1)、NERP2、ニューロキニンA、ニューロキニンB、ニューロメジンB、ニューロメジンC、ニューロメジンS、ニューロメジンU8、ニューロノスタチン−13、ニューロペプチドB−29、ニューロペプチドS(NPS)、ニューロペプチドW−30、ニューロペプチドY(NPY)、ニューロテンシン、ノシセプチン、ノシスタチン、オベスタチン、オレキシン−A、オステオカルシン、オキシトシン、カテスタチン、クロモグラニンA、副甲状腺ホルモン(PTH )、ペプチドYY、脳下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド38(PACAP−38)、血小板因子−4、プレクタシン、プレイオトロフィン、プロラクチン放出ペプチド、ピログルタミン化RFアミドペプチド(QRFP)、RFアミド関連ペプチド−1、セクレチン、血清胸腺因子(FTS)、ナトリウムカリウムATPアーゼ阻害剤−1(SPAI−1)、ソマトスタチン、ソマトスタチン−28、ストレスコピン、ウロコルチン、サブスタンスP、エキスタチン、エンテロトキシンSTp、ガンギシトキシン(Guangxitoxin)−1E、ウロテンシンII、血管作動性腸管ペプチド(VIP)およびバソプレシンならびにそれらの断片および誘導体が挙げられるが、それらに限定されない。前述のペプチドは、ヒト由来、またはラット、マウス、ブタなどの動物由来のものであり得る。それらの全ては当業者にとって周知であり、それらのアミノ酸配列は容易に入手可能である。

様々な他の実施形態において、50個のアミノ酸長を超えるポリペプチドまたはタンパク質が環化基質として使用される。このような反応において、このポリペプチド/タンパク質は、そのC末端をそのN末端に連結することによって環化され得る。

様々な実施形態において、本発明の酵素によって2つ以上のペプチドが連結される。これは、2つ以上のペプチドからなる大環状分子の形成を含んでよく、大環状二量体が好ましい。連結されるペプチドは、それらのうちの少なくとも1つが、リガーゼ/シクラーゼによって認識、結合、および連結される認識連結配列を含有する限り、任意のペプチドであり得る。適切なペプチドは、環化ストラテジーと関連して上に記載している。同じまたは異なり得る別のペプチドへの連結のために、複数の同じペプチドを使用することもできる。連結されるペプチドの1つは、例えば酵素活性または別の生物学的機能を有するポリペプチドであり得る。連結されるペプチドは、マーカペプチド、または蛍光マーカもしくはビオチンなどの検出可能マーカを含むペプチドを含むこともできる。このような実施形態によれば、生理活性を有するポリペプチドは検出可能マーカに融合され得る。様々な実施形態において、連結されるペプチドのうちの少なくとも1つは、25個以上のアミノ酸の長さ、好適には50個以上のアミノ酸の長さ(したがって、本発明の意味において「ポリペプチド」であり得る)を有する。

連結されるペプチドは、配列番号117〜127で示されるアミノ酸配列の何れかを含み得るか、またはそれからなり得る。(大環状)二量体を形成させるために連結される好ましいペプチドとしては、配列番号117〜121のうちの任意の1つにおいて示されるアミノ酸配列を有するペプチドが挙げられる。線状融合ペプチドを形成させるために(一方のC末端ペプチドと)連結される好ましいN末端ペプチドとしては、配列番号112、115および117のうちの任意の1つにおいて示されるアミノ酸配列を有するペプチドが挙げられる。線状融合ペプチドを形成させるために(一方のN末端ペプチドと)連結される好ましいC末端ペプチドとしては、配列番号113、114および116のうちの任意の1つにおいて示されるアミノ酸配列を有するペプチドが挙げられる。

連結または環化されるペプチドは、Asx含有タグが、連結または融合される関心のあるペプチドのC末端に融合されている、融合ペプチドまたはポリペプチドでもあり得る。Asx含有タグは、好適には、アミノ酸配列N/D(X)pを有し、Xは任意のアミノ酸であり、かつoおよびpは両方とも、互いに独立に、1以上、好適には2以上の整数である。好ましい実施形態において、タグは、(C末端)アミノ酸配列NHまたはNHVを含むか、またはこれらからなる。あるいは、アミド化NまたはD(上記で定められるようなN*またはD*)は、連結もしくは融合されるペプチドまたはポリペプチドのC末端に融合され得る。この融合ペプチドまたはポリペプチドが連結される他のペプチドは、上記で定められるとおりであり得る。あるいは、融合ペプチドまたはポリペプチドは、そのC末端とN末端との間の結合を形成させることによって環化され得る。ある実施形態において 、融合ペプチドまたはポリペプチドは、アミノ酸配列NHV(配列番号133)のC末端タグに融合される緑色蛍光タンパク質であってよく、連結されるペプチドは、アミノ酸配列GIGK(ビオチン化)R(配列番号134)のビオチン化ペプチドであってよい。一般に、ペプチド、例えばシグナル伝達または検出可能部分を有するペプチドなどに連結され得るか、または本明細書に記載の方法および使用を用いて環化され得るポリペプチドおよびタンパク質としては、抗体、抗体断片、抗体様分子、抗体模倣物、ペプチドアプタマ、ホルモン、様々な治療用タンパク質などが挙げられるが、それらに限定されない。

様々な実施形態において、リガーゼ活性は、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)などのフルオレセイン、または7−アミノ−4−メチルクマリンなどのクマリンを含む、蛍光基など、検出可能な部分を有するペプチドを、上記のものなどのポリペプチドまたはタンパク質に融合するために使用される。様々な実施形態において、タンパク質は、例えば配列番号146で示されるアミノ酸配列を有する、ヒト抗ABL scFvなどの抗体断片であってよく、または、例えば配列番号147で示されるアミノ酸配列を有するダルピン(darpin)(設計されたアンキリン反復タンパク質)、例えばヒトERKに特異的なダルピンなどの抗体模倣物であってよい。

さらに別の態様において、本発明は、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質を環化するための方法であって、このペプチドの環化を可能にする条件下で、このペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質を、本発明の使用と関連して上に記載されるリガーゼ/シクラーゼ活性を有するポリペプチドとともに温置することを含む方法に関する。

またさらなる態様において、本発明は、少なくとも2つのペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質を連結するための方法であって、このペプチドの連結を可能にする条件下で、このペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質を本発明の使用と関連して上に記載されるポリペプチドとともに温置することを含む方法に関する。

様々な実施形態において、これらの方法に従い環化または連結されるペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質は、上記の使用に従い環化または連結されるペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質として同様に定められる。

本明細書に記載の方法および使用において、酵素および基質は、1:100以上、好適には1:400以上、より好適には少なくとも1:1000のモル比で使用され得る。 本反応は、一般的に、最適酵素活性を可能とする温度、通常は周囲(20℃)〜40℃において、適切な緩衝液系中で行われる。

上記の方法および使用において、リガーゼ/シクラーゼ活性を有するポリペプチドは、適切な支持材料上に固定化され得る。適切な支持材料としては、クロマトグラフィーカラムなどで使用される様々な樹脂が挙げられる。支持体はビーズの形態を有し得るか、またはマイクロタイタープレートなど、より大きい構造の面であり得る。固定化によって、基質との非常に容易で単純な接触、ならびに合成後の酵素および基質の容易な分離が可能となる。酵素機能を有するポリペプチドが固体カラム材料上に固定化される場合、連結/環化は連続工程であることができ、および/または基質/生成物溶液をそのカラム上で循環させることができる。

したがって、本発明は、ある態様において、固体支持材料であって、当該固体支持材料上に固定化された本発明による単離ポリペプチドを含む、固体支持材料にも及ぶ。固体支持材料は、上記のものなどのポリマー樹脂を好適には粒状形態で含み得る。単離ポリペプチドは、共有結合または非共有結合相互作用によって固体支持材料上に固定化され得る。

例示的な実施形態において、リガーゼ/シクラーゼ活性を有するポリペプチドは、グリコシル化され、カナバリア・エンシホルミス(Canavalia ensiformis)(タチナタマメ)から単離されるレクチン(炭水化物結合タンパク質)であるコンカナバリンA(ConA)によって固定化され得る。コンカナバリンAは、糖タンパク質および糖脂質を含む、α−D−マンノースおよびα−D−グルコース含有生体分子に特異的に結合する。このConAタンパク質は、糖タンパク質および糖脂質を固定化するために、アフィニティカラム上で固定化形態において使用される。したがって、様々な実施形態において、リガーゼ/シクラーゼ活性を有する単離ポリペプチドは、グリコシル化され、固体支持材料の表面にカップリングされている炭水化物結合部分、好適にはコンカナバリンAに非共有結合される。

上記の固体支持材料は、少なくとも1つの基質ペプチドのカラム上での環化および/または連結のために、または少なくとも1つの基質ペプチドの環化または連結のための方法において使用されることができ、この方法は、少なくとも1つの基質ペプチドの環化および/または連結を可能にする条件下で、少なくとも1つの基質ペプチドを含む溶液を上記の固体支持材料と接触させることを含む。基質ペプチドは上記のものであり、上記ポリペプチドの基質も含む。

本発明はまた、本明細書に記載されるようなタンパク質リガーゼ活性および/またはシクラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする核酸分子を含むトランスジェニック植物も包含する。本ポリペプチドは、好適には、前記植物中に天然に存在しない。したがって、本発明は、本発明による異種ポリペプチドを発現するトランスジェニック植物も特色とする。

様々な実施形態において、このようなトランスジェニック植物は、1つ以上の環化されるペプチドまたは1つ以上の連結されるペプチドをコードする少なくとも1つの核酸分子をさらに含み得る。これらは、本発明の使用および方法と関連して上記で定められるとおりのペプチドであり得る。ある実施形態において、環化されるペプチドは、環状シスチンノットポリペプチドの線状前駆体型、例えば上記で定められるものなどである。環化されるペプチドまたはポリペプチドのこれらの前駆体は、前記植物中に天然で存在し得るが、好適には人工的にも導入され、すなわちそれらをコードする核酸は異種である。

したがって、このようなトランスジェニック植物は、酵素およびその基質の同時発現のために、関心のある環化ペプチドを直接産生し得る。 ポリペプチドおよび核酸に関連する本明細書で開示される全ての実施形態は、同様に、本明細書に記載の使用および方法に対して適用可能であり、逆もまた同様である。

本発明は、次の非限定例によりさらに例示される。 (実施例) 材料。Z−AAN−AMC(N−カルボベンジルオキシ−Ala−Ala−Asn−7−アミド−4−メチルクマリン)およびペプチド基質は、GLバイオケム(GL Biochem)(上海)により合成された。各ペプチド基質の酸化的折り畳みは、50%アセトニトリル、100mM重炭酸アンモニウム、3mM還元グルタチオンを含有するpH8.0の緩衝液中で、30mMのペプチド濃度で18時間にわたって行った。タチナタマメレグマインはタカラバイオ(Takara Bio)(日本)から購入した。ネイティブkB1ペプチドは、O.アフィニス(O.affinis)の地上部から単離し、RP−HPLCを使用することによって精製した。レグマイン特異的なLP−1プローブは、マシュー・ボギョ(Matthew Bogyo)(スタンフォード大学)により提供された。

登録コード。ブテラーゼ1に対するヌクレオチド配列が登録番号KF918345下でジェンバンク(GenBank)データベースに寄託された。 実施例1:アスパラギニルエンドペプチダーゼ活性およびペプチドシクラーゼ活性のインビトロスクリーニング 緩衝液A中において100mMの濃度で、レグマインに対する選択的な蛍光発生基質である、蛍光発生基質Z−Ala−Ala−Asn−AMC(Z−AAN−AMC)を使用することによって、アスパラギニルエンドペプチダーゼ(AEP)活性が決定された(ケムハビ,A.A.(Kembhavi,A.A.)、バトル,D.J.(Buttle,D.J.)、ナイト,C.G.(Knight,C.G.)およびバレット,A.J.(Barrett,A.J.)著、「豆果種子の2つのシステインエンドペプチダーゼ:精製および特異的蛍光アッセイの使用による特性評価(The two cysteine endopeptidases of legume seeds:purification and characterization by use of specific fluorometric assays.)」、アーカイブズ・オブ・バイオケミストリ・アンド・バイオフィジックス(Arch.Biochem.Biophys)、第303巻、p.208〜213(1993年);ソジュカ,D.(Sojka,D.)ら著、「IrAE−硬ダニ、イクソデス・リシヌス(Ixodes ricinus)の消化器官のアスパラギニルエンドペプチダーゼ(レグマイン)(IrAE−An Asparaginyl endopeptidase(legumain)in the gut of the hard tick Ixodes ricinus.)」、インターナショナル・ジャーナル・フォー・パラサイトロジー(Int.J.Parasitol.)、第37巻、p.713〜724(2007年)。380nmの励起波長および460nmの発光波長で放射蛍光が測定された。

第一の実験において、上記の条件下でC.テルナテア(C.ternatea)の粗製抽出物がZ−AAN−AMCとともに温置された。460nmでの蛍光強度の大きい上昇が観察されたが、これは推定上のレグマインの存在を示す。

次いでシクラーゼ活性がアッセイされた。概して、緩衝液A、0.125mMブテラーゼ1および様々なペプチド濃度(0.5〜400mM)を含有する50mL反応混合物中で、インビトロ環化アッセイが行われた。280nmでのUV吸光度によって、酵素濃度が推定された。各反応は3重で(in triplicate)37℃にて行われ、5mLの1M HCl溶液を添加することによって反応停止された。ネクセラ(Nexera)UHPLCシステム(島津製作所)上で逆相C18分析カラム(150×2.1mm、バイダック(Vydac))を使用することによって、本ペプチドを分離した。残留線状前駆体または環化生成物のHPLC−ピークの面積を濃度に変換することによって、環化速度が計算された。MALDI−TOF MSおよびMS/MS(ABI4800 MALDI TOF/TOF)によって各HPLCピークの同一性を分析した。

プロペプチドとしてC末端にHis−Val配列を有するシクロチドkB1の線状および酸化的折り畳み形態である、31残基のペプチド基質kB1−NHV(配列番号110)を使用して、C.テルナテアの粗製抽出物のシクラーゼ活性がアッセイされた(テーブル1および図1)。C.テルナテアにより産生されるネイティブシクロチドと区別するために、本発明者らのアッセイでは、オルデナンディア・アフィニスで見出されるがC.テルナテアでは見出されない原型のシクロチドである、カラタB1(kB1)が基質として選択された。C.テルナテアのシクロチド前駆体ではHis−Valモチーフが保存されており、C末端のジペプチドが、シクロチドの生合成のために十分であることが示されている(グエン,G.K.(Nguyen,G.K.)、リム,W.H.(Lim,W.H.)、グエン,P.Q.(Nguyen,P.Q.)およびタム,J.P.(Tam,J.P.)著、「カサリア・カルタセア(Chassalia chartacea)から の高度に短縮した前駆体がある新規シクロチドおよびアンシクロチドおよび生理活性におけるメチオニン酸化の効果(Novel Cyclotides and Uncyclotides with Highly Shortened Precursors from Chassalia chartacea and Effects of Methionine Oxidation on Bioactivities.)」、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリ(J.Biol.Chem.)、第287巻、p.17598〜17607(2012年)。コンラン,B.F.(Conlan,B.F.)ら著、「環状ペプチドカラタB1の生合成に関連するプロセシングおよび環化事象への洞察(Insights into Processing and Cyclization Events Associated with Biosynthesis of the Cyclic Peptide Kalata B1.)」、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリ、第287巻、p.28037〜28046(2012年))。C.テルナテアの抽出物によるkB1−NHVの処理によって、ネイティブ環状kB1の質量計算値に一致する新しいペプチドが得られた(図2a、b)。このペプチド生成物は、(1)RP−HPLCにおけるネイティブ環状kB1との同時溶出(図3)と、(2)環状骨格を示唆する18Daの質量増加が結果として起こるトリプシン消化、および連結部位としてkB1配列およびAsn−Glyを確認するMS/MS分析(図4)と、(3)環化ペプチドおよびネイティブ環状kB1に対して同一の化学シフトを示した1D NMR(図5)とによって、環状kB1としてさらに確認された。カラタB1の1D NMRスペクトルに対して、95%H2O/5%D2O中において0.1mM濃度、pH4.3で、ネイティブkB1ペプチドおよびブテラーゼ環化kB1ペプチドが調製された。クライオプローブを備える600MHz NMR分光計(ブルカー(Bruker))上で両ペプチドの1D1Hスペクトルが記録された。これらの結果は、C.テルナテアの粗製抽出物においてペプチド大環状化が可能な推定上のリガーゼの存在を示す。

実施例2:ブテラーゼ1の単離、精製、同定および特性評価。

Z−AAN−AMCを手掛かりとするペプチドリガーゼ単離の試みは成功しなかった。粗製抽出物のHPLC分離後に強い蛍光強度を与える画分は、kB1−NHVを環化することができなかった。代わりに、His−Valが加水分解されている、kB1の線状形態に対応するペプチドが観察された。次いで、基質としてkB1−NHVを用いて、全て のHPLC分離画分が直接スクリーニングされ、蛍光がない画分においてシクラーゼ活性が見出された(図2c)。この結果は、シクラーゼ活性がAEP活性とは別のものであることを示す。対照として、市販のタチナタマメレグマインは、kB1−NHVを環化することができず、生成したのはkB1の線状形態のみであった(図2d)。

SDS−PAGE上で38kDaの単一のタンパク質バンドを得るために、いくつかのクロマトグラフィー段階において推定上のリガーゼが精製された(図6a)。単離および精製のために、500mLの抽出緩衝液(20mMリン酸ナトリウム、1mM EDTA、1mM PMSF、5mM b−メルカプトエタノール(b−ME)、pH6.0)とともにC.テルナテアの300gの鞘がホモジェナイズ処理された。タンパク質分解を最小限に抑えるために、4℃で抽出が行われた。植物残屑を除去するため、ホモジェネートが遠心分離およびろ過された。20%飽和に到達するまで硫酸アンモニウムが上清に添加された。沈殿したタンパク質が捨てられ、85%飽和に到達するまで硫酸アンモニウムが連続的に上清に添加された。遠心分離後、上清が捨てられ、沈殿したタンパク質が300mLの抽出緩衝液中で再溶解された。10kDaカットオフ透析チューブを用いて、溶解試料が6Lの抽出緩衝液に対して一晩透析された。透析した試料が遠心分離およびろ過されて、C.テルナテアの粗製抽出物が得られた。Q−セファロース・ファスト・フロー(Q−Sepharose Fast Flow)陰イオン交換樹脂(GEヘルスケア(GE Healthcare))の100mLスラリーを含有するフラッシュカラムに対して、この粗製抽出物が適用された。このカラムは800mLの緩衝液A(20mMリン酸緩衝液、1mM EDTA、5mM b−ME、pH6.0)で洗浄され、400mLの緩衝液B(20mMリン酸ナトリウム、1mM EDTA、5mM b−ME、200mM KCI、pH6.0)で溶出された。10kDaカットオフ遠心式フィルタユニット(アミコン・ウルトラ(Amicon Ultra)、ミリポア(Millipore))を用いて3mLの最終体積まで溶出物が濃縮された。バイオスーツ(BioSuite)HPLCカラム(300×21.5mm、ウォーターズ(Waters))を用いたサイズ排除クロマトグラフィーに、濃縮した試料が供された。ペプチドシクラーゼ活性がある画分が抜き取られ、分析用ポリワックス(PolyWAX)HPLCカラム(200×4.6mm、ポリLC(PolyLC))を用いて陰イオン交換クロマトグラフィーによってさらに精製された。SDS−PAGEおよび銀染色によって酵素純度が分析された。300gの植物材料からおよそ0.4mgのブテラーゼ1が得られる。

変性条件下でSDS−PAGEによって、精製ブテラーゼ1が分析された。ゲルが銀染色され、タンパク質バンドが切り出され、既に記載されたようなゲル中でのトリプシン消化に供された(ガラーダギ,F.(Gharahdaghi,F.)、ワインバーグ,C.R.(Weinberg,C.R.)、メーガ,D.A.(Meagher,D.A.)、イマイ,B.S.(Imai,B.S.)およびミッシュ,S.M.(Mische,S.M.)著、「銀染色ポリアクリルアミドゲルからのタンパク質のマススペクトロメトリー同定:感度を向上させるために銀イオンを除去するための方法(Mass spectrometric identification of proteins from silver−stained polyacrylamide gel:A method for the removal of silver ions to enhance sensitivity.)」、エレクトロフォレシス(Electrophoresis)、第20巻、p.601〜605(1999年))。ゲル中のトリプシン消化によって、5つの主要なペプチド断片が得られ、次いでこれをMALDI−TOF MS/MSによって配列決定した(図7)。これらの断片は、北京ゲノム研究所(Beijing Genomics Institute)により提供されるC.テルナテアのトランスクリプトームデータに対してBLAST検索され、ブテラーゼ1と呼ばれる新規タンパク質の単一配列と一致することが分かった(図6c)。この酵素は、4℃で30日間にわたり安定なままであり、活性喪失は最低限である。これは水中で比較的可溶 であり、10mg/mLの濃度が達成される。

C.テルナテアのトランスクリプトームにおけるEST配列に基づき、ブテラーゼ1は482残基からなり、53kDaの質量を有することが予想され、一方で精製活性酵素はおよそ38kDaであり、ブテラーゼ1がタンパク質分解性プロセシングによって翻訳後修飾されることが示唆される(図6c)。PNGアーゼFまたはグリコペプチダーゼAとともにブテラーゼ1を温置することによって分子量の変化は起こらず、ブテラーゼ1がN−グリコシル化されていないことが示される(データは示さない)。NCBI非重複タンパク質データベースに対するBLASTp検索から、ブテラーゼ1が、レグマインファミリーのいくつかのメンバーと高い配列相同性を共有することが示された。ブテラーゼ1は、グリシン・マックス(Glycine max)由来のレグマイン様タンパク質(NCBI参照配列:XP_003525979)およびビグナ・ムンゴ(Vigna mungo)由来のVmPE−1(ジェンバンク:BAA76744.1)と、それぞれ71%および70%の配列同一性で最大の相同性を有する。この結果は、ブテラーゼ1がレグマインファミリーの新規メンバーであることを強く示唆する。レグマインに特異的なaza−Asnエポキシドプローブである蛍光プローブLP−1によるその表示化によって、ブテラーゼ1の酵素学的分類がさらに裏付けられた(図6bおよび図8)(リー,J.(Lee,J.)およびボギョ,M.(Bogyo,M.)著、「レグマインのインビボイメージングのための近赤外フルオロフォア(NIRF)標識活性に基づくプローブの開発(Development of Near−Infrared Fluorophore(NIRF)−Labeled Activity−Based Probes for in Vivo Imaging of Legumain.)」、エー・シー・エス・ケミカル・バイオロジー(ACS Chem.Biol.)、第5巻、p.233〜243(2010年))。

レグマインは、自己タンパク質分解活性化を受けてNおよびC末端プロドメインを放出する不活性なチモーゲンとして産生される。エドマン配列決定によって、VEGTRがブテラーゼ1のN末端配列として明らかになった。C末端プロセシング部位は、Asn383とSer384との間に生じると予想されたが、これは、38kDaという見かけの分子量と、ビシア・サチバ(Vicia sativa)由来のプロテイナーゼBおよびタチナタマメレグマインなどの他のレグマインにおける自己切断部位とに基づいている(図6c)(ベッカー,C.(Becker,C.)ら著、「プロテイナーゼ−B、発芽ベッチ(ビシア・サチバL)種子からのアスパラギン特異的エンドペプチダーゼの、精製、Cdnaクローニングおよび特性評価(Purification,Cdna Cloning and Characterization of Proteinase−B,an Asparagine−Specific Endopeptidase from Germinating Vetch(Vicia−Sativa L)Seeds.)」、ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・バイオケミストリ(Eur.J.Biochem.)、第228巻、p.456〜462(1995年);アベ,Y.(Abe,Y.)ら著、「タチナタマメ種子のアスパラギニルエンドペプチダーゼ−タンパク質配列分析における、精製、特性評価および高い有用性(Asparaginyl Endopeptidase of Jack Bean Seeds−Purification,Characterization,and High Utility in Protein−Sequence Analysis)」、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリ、第268巻、p.3525〜3529(1993年))。

結晶構造が既知であるレグマインファミリーの唯一のメンバーであるヒトレグマインのチモーゲンに基づき、モデラー(MODELLER)(https://salilab.org/modeller/)を使用して、ブテラーゼ1の相同性モデルが構築された(サリ,A.(Sali,A.)およびブルンデル,T.L.(Blundell,T. L.)著、「空間的拘束の充足による比較タンパク質モデリング(Comparative protein modelling by satisfaction of spatial restraints.)」、ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー、第234巻、p.779〜815(1993);ダル,E.(Dall,E)およびブランドステター,H.(Brandstetter,H.)著、「レグマインにおける機構的および構造的研究は、そのチモーゲン性、別個の活性化経路および調節を説明する(Mechanistic and structural studies on legumain explain its zymogenicity,distinct activation pathways,and regulation.)」、米国科学アカデミー紀要(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.)、第110巻、p.10940〜10945(2013年))。ブテラーゼ1のチモーゲン(V42〜I468)は、ヒトレグマインと37.8%の配列同一性を共有する。ブテラーゼ1の構築モデルは、骨格Cαに対してRMSDが0.352Åであるヒトレグマインの鋳型構造とよく一致する(図6d)。

先行研究によって、3つの構造部分:AEP活性ドメインと、活性ペプチド領域と、レグマイン安定化および活性調整(LSAM:legumain and activity modulation)ドメインとへ、ヒトレグマインのチモーゲンが規定された。後者の2つのドメインは、ヒトレグマインにおいて酵素活性化中に自己切断される。同様に、ブテラーゼ1のモデル化構造も3つの部分に分けることができる:推定上のAEP活性ドメイン(マリンブルー、V42−T318)、活性ペプチド領域(マゼンダ、D319−N383)およびLSAMドメイン(灰色、S385−I468、ブテラーゼ1の最終活性形態では排除される)。全体的に、ブテラーゼ1のAEP活性ドメインは49.8%の配列同一性(V42〜T318)を保持し、ヒトレグマインのものと、触媒性三連構造(Asn59、His165およびCys207)の良好な構造アライメントを呈する(図6d)。

異なる植物ファミリー由来の2つの非ネイティブ線状ペプチド基質である31残基kB1−NHVおよび16残基SFTI−NHV(配列番号135)を用いて、HPLCおよびMS分析によってペプチドシクラーゼとしてのブテラーゼ1の動態が決定された。長さおよび配列が異なる非ネイティブ基質であるにもかかわらず、ブテラーゼ1は、優れた収率でこれらのペプチドを効率的に環化した(テーブル1)。

環化反応のRP−HPLCトレースから、1:400の酵素対ペプチド比で、ブテラーゼ1がkB1−NHVの約40%を6分以内に環状kB1に変換し、45分以内に>95%変換に到達したことが明らかになった(図9a)。グラフパッド・プリズム(GraphPad Prism)を使用してミカエリス−メンテンプロットから計算されたkB1−NHVに対するブテラーゼ1の見かけの動態パラメータは、kcatについては2.28±0.05s−1、Kmについては213±10mMであり、触媒効率(kcat/Km)については10,700M−1s−1であった(図9b)。さらに、kB1の58残基のシクロ二量体(<10%)が高基質濃度(>400mM)で観察され、このことから、ブテラーゼ1は、長いペプチドの分子間連結および分子間環化を行うことが可能であることが示唆される(図10)。

SFT1−NHVに対して、ブテラーゼ1はまた、0.6±0.02s−1のkcat、51±4mMのKmおよび11,700M−1s−1の触媒効率で>95%変換収率を示した(図9c)。これらのデータから、ブテラーゼ1が多岐にわたるペプチド基質を環化し得たことが示唆される。

SFTIおよびkB1の両方がジスルフィド結合により安定化される環状ペプチドとし て天然に存在するため、次いで、ブテラーゼ1による環化反応に対してジスルフィド結合による立体構造的な支援が必要か否かが判断された。ヨードアセトアミドによる還元kB1−NHVのS−アルキル化によって、SA−kB1−NHVが得られた。0.125mMブテラーゼ1による50mM S−アルキル化ペプチド(SA−kB1−NHV)の処理の結果、12分以内にその環状形態への>95%の変換が起こった(テーブル1)。動態分析から、kB1−NHVと比較して、SA−kB1−NHVの触媒効率の50倍の向上が示された(図9d)。この結果は、ブテラーゼ1によるペプチド環化のためにジスルフィド結合を必要としないことを示す。

C末端プロペプチドのP1’およびP2’位置の要求を調べるために、kB1−NHVの4種類の類似体が合成された(テーブル1)。kB1−NHVより長いプロペプチドを伴う類似体は、環化速度の僅かな低下を示し、触媒効率はkB1−NHVI(配列番号136)およびkB1−NHVIA(配列番号137)について、それぞれ4032および2971M−1s−1であった(テーブル1およびテーブル2)。対照的に、ブテラーゼ1は、ValまたはHis−Valを欠く2種類の短縮類似体(配列番号138;配列番号139)を環化することにおいて有意に効率が低く、4時間後に<10%環状kB1収率であり、30時間後に反応は不完全であった(図11)。この結果、ブテラーゼ1による効率的な環化反応のためにC末端HVジペプチドが必要であることが示される。

P1位置でのブテラーゼ1の基質特異性を決定するために、保存的Asn残基をAlaまたは密接な関連がある残基、例えばAsp、GluおよびGlnなどで個々に置換することによって、kB1−NHVの類似体基質が調製された(テーブル1;配列番号140、141、142、143)。ブテラーゼ1とともに4時間にわたり温置した後に、kB1−AHV、kB1−QHVまたはkB1−EHVの環化は観察されなかった(図12)。ブテラーゼ1は、kB1−DHVを環化することができたが、kB1−NHVよりも約100倍遅く、4時間後において環化生成物は10%未満であった。同様に、本発明者らは、SFT1−NHVおよびSFT1−DHV(配列番号144)におけるブテラーゼ1の活性を比較した。ブテラーゼ1は、両ペプチド基質を環化したが、SFTI−DHVよりもSFTI−NHVで効率が有意に高かった。これらの結果は、C末端NHVトリペプチドタグがブテラーゼ1による環化に必要且つ十分であることを示している。

普遍性の証拠を提供するために、コノトキシン(MrlA;配列番号111)と、タナチン類似体(昆虫抗菌ペプチド;配列番号112)と、ヒスタチン−1a、ヒスタチン−1b、ヒスタチン−3aおよびヒスタチン−3b(ヒト唾液抗菌タンパク質;配列番号113〜116)とに由来する基質を用いて、ブテラーゼ1が非植物由来タンパク質を環化することができるか否かが調べられた(テーブル3)。ブテラーゼ1は試験した全ペプチドを効率的に環化した。

ブテラーゼ1に対するアッセイにおいてZ−AAN−AMCがなぜ有用でなかったかを決定するために、0.125mM精製酵素が50mM Z−AAN−AMCとともに温置された。30時間にわたり温置した後に、蛍光強度の明らかな上昇は観察されず、このことから、ブテラーゼ1がZ−AAN−AMCを加水分解しなかったことが示される。RP−HPLC分析から、形成された加水分解生成物は<3%であったことが示された(図13)。陽性対照として、タチナタマメレグマインは、同じ実験条件下でZ−AAN−AMCを完全に加水分解した。この結果は、ブテラーゼ1がプロテアーゼというよりむしろリガーゼとして機能するよう進化してきたことを示唆する。

kB1のシクロ二量体化は、ブテラーゼ1が、分子間ペプチド連結に介在可能であることを示唆する。C.テルナテアから単離される>24個のネイティブシクロチドの高い配列多様性はまた、ブテラーゼ1が無差別な酵素であり、広い基質特異性があるという興味深い示唆も提供することを指摘することは有意義である。アクセプタ求核剤のN末端特異性を定めるために、モデルペプチドとしてKALVINHV(配列番号122)を使用し、XIGGIR(X=20種類の天然アミノ酸(G、A、V、L、I、F、Y、W、H、R、K、S、T、D、E、N、Q、P、C、M)のうちの任意の1つ;配列番号123)を用いてその連結効率が評価された。0.1mMブテラーゼ1、50mM KALVINHVおよび1mM XIGGIRの存在下で反応が行われた。ブテラーゼ1は、広い特異性で分子間ペプチド連結に効率的に介在し、P1’’位置において、ProとAspおよびGluなどの酸性アミノ酸とを除く殆どの天然アミノ酸を受容する(図15a)。連結収率は、殆どのペプチドに対して温置10分以内に60〜80%に到達し、観察されたアスパラギニル結合の加水分解は<5%であった。

P2’’位置での特異性を定めるために、第二のペプチドライブラリが合成された:LXGGIR(配列番号124)(X=20種類の天然アミノ酸のうちの任意の1つ)。ブテラーゼ1は、P1’’位置と比較した場合、P2’’でより厳格な要求を示し、疎水性アミノ酸、特にIle、LeuおよびValに対して高い優先度を示す(図15b)。この結果もまた、コノトキシンおよびヒスタチン−3に対するブテラーゼ1の高触媒効率を説明する。

さらにペプチドYRNHV(配列番号125)+GLPVR(配列番号126)およびTRNHV(配列番号127)+GLPVR(配列番号126)に対しても連結活性が試 験された。連結収率は温置10分以内に60に到達した。

ブテラーゼ1の普遍性を明らかにするために、26〜40残基の範囲のサイズの5種類の非システイン含有ペプチドホルモンが選択された。4種類の配列がヒトペプチド(ニューロメジンU(配列番号128)、サリューシンa(配列番号129)、アぺリン(配列番号131)およびガラニン(配列番号132))由来であり、1種類がラット(ニューロメジンU;配列番号130)由来であった(テーブル4)。ヒトのガラニンおよびニューロメジンUは、固有のAsn残基を含有し、したがって、最終環化生成物中にさらなるソーティング配列を何ら残すことなく、「痕跡のない」連結が可能となる。他のペプチドの場合、リンカー配列として、C末端でさらなるAsn−His−Val配列が付加され、GlyまたはGly−IleがN末端に付加された。50μMペプチドおよび0.1μMブテラーゼ1(0.002モル濃度当量)を含有する50μL反応混合物中において37℃で環化反応が行われた。HPLCおよびマススペクトロメトリーを使用して反応が監視された。意義深いことに、ブテラーゼ1は、試験した全ペプチドに対して5分以内に>95%環化収率を達成した(図16)。これらのペプチドが無作為に選択され、配列相同性を共有しないという事実から、ブテラーゼ1の無差別さおよび最小基質要件が示唆される。

次に、これらのペプチド基質の環化の動態が調べられた。グラフパッド・プリズムを使用して、ミカエリス−メンテンプロットからブテラーゼ1の見かけの動態パラメータが計算された(テーブル5)。触媒効率は、1×105〜1.3×106M−1s−1の範囲であり、システインに富むペプチドにおける本発明者らの先行研究と一致する。この結果は、ジスルフィド、および同様にして多重ジスルフィドにより維持される折り畳まれた構造が、ブテラーゼ1による環化に必要とされないことを確認する。

さらに、C末端NHVタグ付きの緑色蛍光タンパク質(配列番号133)と短いペプチドGIGK(ビオチン)R(配列番号134)との試行連結が行われ、タンパク質標識に対するブテラーゼ1の用途が明らかにされた。この反応に対して、50μMのNHVタグ 付きGFP、0.125μMブテラーゼ1および1mM GIGK(ビオチン)Rが37℃で30分間にわたり温置された。結果は図17に示される。

ブテラーゼ1がタンパク質を環化し得ることを明らかにするために、C末端のAsn−His−Valモチーフで終止し、N末端のGly−Ileで開始する修飾GFPが構築された(配列番号145)。25μM GFPおよび0.1μMブテラーゼ1(0.004モル濃度当量)の存在下で環化反応が行われた。この環化反応は、SDS pageおよび高分解能ESI−MSにより監視されるように、>90%収率で15分以内に完了した(図18)。比較のために、GFPのソルターゼ介在性環化は、24時間の温置およびソルターゼAの1モル濃度当量を必要とした。したがって、ブテラーゼ1の触媒速度は、モデルタンパク質としてGFPを使用するソルターゼAより、ほぼ10,000速かった。この結果は、ブテラーゼ1が、有望な可能性がある強なリガーゼであり、ペプチドおよびタンパク質の環化のための代替法を提供し得ることを示す。

ブテラーゼ1のタンパク質へのビオチンおよびフルオロフォアなどの官能基導入能を調べるために、C末端およびN末端連結が行われ、様々な技術によって結果が分析された。C末端連結の場合、試験した基質はABL−Mono(ABLタンパク質に対する合成ヒトscFv断片;配列番号146)とERK−Darp(ERKに特異的な合成ヒト抗体模倣物(ダルピン);配列番号147)とである(テーブル6)。N末端連結の場合、試験した基質はユビキチンタンパク質(配列番号148)と、ペプチド1(YKNHV、配列番号149)またはそのチオグリコール酸変異体(チオデプシペプチド)(YKN−チオグリコール酸−V)とであった。

ブテラーゼ1のC末端連結能を調べるために、14469.2Da MWを有するABL−Monoおよび20270.2Da MWを有するERK−Darpがブテラーゼ1の存在下で蛍光含有ペプチドGIR−AMC(AMC=7−アミノ−4−メチルクマリン)とともに温置された。MSによって反応が監視された(図19)。14718.4Daおよび20511.1Daで検出されるピークは、GIR−AMCの付加およびHis、Valおよび水分子の除去を伴った、ABL−MonoおよびERK−Darpの連結生成物である。ERK−Darpは、20分温置後にほぼ90%変換収率に到達する。

ERK−Darp、GFP−NHV、およびFITC標識ペプチドであるFITC−GKNHVとのそれらの連結生成物(配列番号150)のMWが大きいために、MSによる分析は十分に正確ではなかった。マクロ分子をイオン化することを得意とするESI−MS(ホ(Ho)ら著、ザ・クリニカル・バイオケミスト・レビューズ(Clin Biochem.Rev.)、2003年、第24巻、第1号、p.3〜12)を使用して、大きい連結生成物が調べられた。この連結反応の場合、50μM ERK−Darpおよび50μM GFP−NHVが1mM FITC−GKNHVおよび50nMブテラーゼ1とともに42℃で10分間にわたり温置された。ESI−MS用の生成物試料を最初にUPLCにより単離して、塩濃度を低下させた。ESI prot 1.0プログラムによってESI−MSの結果が分析された。ESI−MSにより得られたERK−DarpのMWは、20205±1.5Daであり、理論MW値との差は僅か239Daであった。推定上の連結生成物のMWは20453±1.6Daであり、これにより、タンパク質連結の成功が証明される。GFP−NHVおよび推定上の連結生成物のMWは、それぞれ29720.0±0.7Daおよび29969.3±0.7Daである(図20)。

N末端連結の場合、反応条件は、100μMユビキチン、0,1μMブテラーゼ1、500μMペプチド1、42℃で温置であった。反応収率は、150分後に82%であった。HPLCおよびMSにより反応が監視された(図21)。

ペプチドデンドリマーは、結合親和性の向上のために活性が向上したことが示された。デンドリマー性ペプチドを作製するためのリガーゼとしてブテラーゼ1を使用する可能性を試験するために、モデルペプチドYRNHV(配列番号125)の二量体ペプチドG2K(K残基により連結されている2個のGIG配列)への連結が行われた(図22)。50μM G2K、20nMブテラーゼ1および250μM YRNHVペプチドが37℃で1時間にわたり温置された。マススペクトロメトリーを使用して、温置の終了時に反応が監視された(図22)。この結果は、ブテラーゼ1がペプチドの二量体化のためのリガーゼとして作用可能であるという概念実証を提供する。

ペプチドGV−10、SV−10、HV−10、EV−10およびRV−10(配列番号117〜121)を用いて、二量体化能も試験された。結果はテーブル7に示される。

実施例3:N末端環化特異性 ブテラーゼ1のシクラーゼ活性に対するブテラーゼ1のN末端特異性をさらに調べるために、3個のペプチドライブラリが合成され、環化について試験された。

ペプチドライブラリ1:XLYRRGRYLRRNHV(配列番号157) ペプチドライブラリ2:XRLYRGRYLRRNHV(配列番号158) ペプチドライブラリ3:GXLYRGRYLRRNHV(配列番号159) 前述のペプチドライブラリにおいて、Xは、上記で定められるとおり、20種類の天然アミノ酸のうちの任意の1つを指定する。C末端残基HVが切断され、C末端NがそれぞれのペプチドのN末端アミノ酸に共有結合されていることを除き、環化されたペプチドは、上記で与えられるものと同じ配列を有する。この反応は、50nMブテラーゼ1、50μMペプチドの存在下で、42℃で60分間にわたって行われた。この環化活性試験の結果は、図23a)〜c)において3つのペプチドライブラリの環化収率として示される。

この実験から、P2’’残基(N末端からC末端まで計算した場合の位置2の残基)がLeu/Val/Ile/Cysのうちの任意の1つである場合、P1’’残基(すなわち位置1のN末端残基)は重要ではないと結論付けることができ、これは、XIGGIRとKALVINHVとの分子間連結から本発明者らが得た結果(実施例2)と同様である。さらに、P1’’残基がGlyである場合、P2’’は任意の残基であってよく、依然として効率的な環化を可能にする。

実施例4:カラム上ペプチド環化のためのコンカナバリンA樹脂上でのブテラーゼ1の可逆的固定化 コンカナバリンA(ConA)は、カナバリア・エンシホルミス(タチナタマメ)から単離されるレクチン(炭水化物結合タンパク質)である。コンカナバリンAは、糖タンパク質および糖脂質を含む、α−D−マンノースおよびα−D−グルコース含有生体分子に特異的に結合する。ブテラーゼ1が組み換え発現され、グリコシル化形態で約37kDaのタンパク質として単離された(データは示さない)。これが、その炭水化物部分によってプロスウィフト(ProSwift)(登録商標)ConA−1Sアフィニティカラム(サーモ・サイエンティフィック(Thermo Scientific))上に固定化された。固定化ブテラーゼ1は、完全に機能的であり、SFTI−1、kB1(カラタB1)およびコノトキシンのカラム上環化を触媒することができた。この反応は、50μg固定化ブテラーゼ1および50μMのペプチド基質の存在下で行われた。(a)コノトキシンGV−17(配列番号111)、(b)SFTI−NHV(配列番号135)、(c)kB1(配列番号110)の環化を説明するUPLCプロファイルが、図24に示される。

QQ群二维码
意见反馈