A method of treatment of lung disease using antisense oligonucleotide

申请号 JP50165897 申请日 1996-06-06 公开(公告)号 JPH11507218A 公开(公告)日 1999-06-29
申请人 イースト キャロライナ ユニバーシティー; 发明人 ジョナサン ダブリュー. ナイス; ダブリュー.ジェイムズ メッズガー;
摘要 (57)【要約】 治療を必要とする患者において気道疾患を治療する方法について開示する。 該方法は、気道疾患を治療するのに有効な量の、本質的にアデノシンを含まないアンチセンスオリゴヌクレオチドを、局所的に投与することを含む。 また、薬学的処方についても開示する。
权利要求
  • 【特許請求の範囲】 1. 治療が必要な患者における気道疾患を治療する方法であって、該疾患を治療するために有効な量の本質的にアデノシンを含まないアンチセンスオリゴヌクレオチドを該患者の気道上皮に局所的に投与することを含む方法。 2. 気道疾患が肺疾患であり、かつ気道上皮が肺の気道上皮である、請求項1 記載の方法。 3. アンチセンスオリゴヌクレオチドが、該ヌクレオチド中の少なくとも1つのホスホジエステル結合が、メチルホスホネート結合、ホスホトリエステル結合、ホスホロチオエート結合、ホスホロジチオエート結合およびホスホラミデート結合からなる群より選択される結合により置換されているヌクレオチドを含む、 請求項1記載の方法。 4. 気道疾患が、嚢胞性線維症、喘息、慢性閉塞性肺疾患、気管支炎、および炎症反応により特徴付けられる他の気道疾患からなる群より選択される、請求項1記載の方法。 5. アンチセンスオリゴヌクレオチドが、下記タンパク質からなる群より選択されるタンパク質をコードするmRNAに対してターゲティングされる、請求項1記載の方法: ヒトA2aアデノシン受容体、ヒトA2bアデノシン受容体、ヒトIgE受容体β、ヒトFc-ε受容体CD23抗原、ヒトヒスチジンデカルボキシラーゼ、 ヒトベータトリプターゼ、ヒトトリプターゼ-I、ヒトプロスタグランジンDシンターゼ、ヒトシクロオキシゲナーゼ-2、ヒト好酸球カチオン性タンパク質、 ヒト好酸球由来ニューロトキシン、ヒト好酸球ペルオキシダーゼ、ヒト細胞接着分子-I(ICAM-I)、ヒト血管細胞接着分子-I(VCAM-I)、ヒト血管内皮白血球接着分子-I(ELAM-I)、ヒトPセレクチン、ヒト血管内皮単球活性化因子( human endothelial monocyte activating factor)、ヒトIL-3、ヒトIL-4、ヒトIL-5、ヒトIL-6、ヒトIL-8、ヒト単球由来好中球走化性因子(human monocyte -derived neutrophil chemotactic factor)、ヒト好中球エラスターゼ、ヒト好中球酸化性因子(human neutrophil oxidase factor)、ヒトカテプシンG、ヒトデフェンシン1、ヒトデフェンシン3、ヒトマクロファージ炎症性タンパク質-1-α(huma n macrophage inflammatory protein-1-α)、ヒトムスカリン性アセチルコリン受容体HM1,ヒトムスカリン性アセチルコリン受容体HM3、ヒトフィブロネクチン、ヒト顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、ヒト腫瘍壊死因子α、ヒトロイコトリエンC4シンターゼ、ヒト主要塩基性タンパク質(hu man major basic protein)、およびヒトエンドセリン1。 6. アンチセンスオリゴヌクレオチドが、該アンチセンスオリゴヌクレオチドを含む呼吸に適した粒子のエアゾールを投与することにより患者の肺に運搬される、請求項1記載の方法。 7. 粒子が、固形粒子および液体粒子からなる群より選択される粒子である、 請求項6記載の方法。 8. エアゾールが、0.5〜10ミクロンの範囲の粒子サイズを有する粒子を含む、請求項6記載の方法。 9. 粒子が、アンチセンスオリゴヌクレオチドを含むリポソームである、請求項8記載の方法。 10. アンチセンスオリゴヌクレオチドが、該アンチセンスオリゴヌクレオチドの患者の細胞内での濃度が約0.1〜10μMに達するような十分な量で投与される、請求項6記載の方法。 11. 気道疾患を治療するために有効な量の本質的にアデノシンを含まないアンチセンスオリゴヌクレオチドと薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物。 12. 気道疾患が肺疾患であり、かつ気道上皮が肺の気道上皮である、請求項11記載の薬学的組成物。 13. アンチセンスオリゴヌクレオチドが、該ヌクレオチド中の少なくとも1 つのホスホジエステル結合が、メチルホスホネート結合、ホスホトリエステル結合、ホスホロチオエート結合、ホスホロジチオエート結合およびホスホラミデート結合からなる群より選択される結合により置換されているヌクレオチドを含む、請求項1記載の薬学的組成物。 14. 気道疾患が、嚢胞性線維症である、請求項11記載の薬学的組成物。 15. アンチセンスオリゴヌクレオチドが、下記タンパク質からなる群より選択されるタンパク質をコードするmRNAに対してターゲティングされる、請求項1 1記載の薬学的組成物: ヒトA2aアデノシン受容体、ヒトA2bアデノシン受容体、ヒトIgE受容体β、ヒトFc-ε受容体CD23抗原、ヒトヒスチジンデカルボキシラーゼ、 ヒトベータトリプターゼ、ヒトトリプターゼ-I、ヒトプロスタグランジンDシンターゼ、ヒトシクロオキシゲナーゼ-2、ヒト好酸球カチオン性タンパク質、 ヒト好酸球由来ニューロトキシン、ヒト好酸球ペルオキシダーゼ、ヒト細胞接着分子-I(ICAM-I)、ヒト血管細胞接着分子-I(VCAM-I)、ヒト血管内皮白血球接着分子-I(ELAM-I)、ヒトPセレクチン、ヒト血管内皮単球活性化因子( human endothelial monocyte activating factor)、ヒトIL-3、ヒトIL-4、ヒトIL-5、ヒトIL-6、ヒトIL-8、ヒト単球由来好中球走化性因子(human monocyte-d erived neutrophil chemotactic factor)、ヒト好中球エラスターゼ、ヒト好中球酸化性因子(human neutrophil oxidase factor)、ヒトカテプシンG、ヒトデフェンシン1、ヒトデフェンシン3、ヒトマクロファージ炎症性タンパク質- 1-α(humanmacrophage inflammatory protein-1-α)、ヒトムスカリン性アセチルコリン受容体HM1、ヒトムスカリン性アセチルコリン受容体HM3、ヒトフィブロネクチン、ヒト顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF) 、ヒト腫瘍壊死因子α、ヒトロイコトリエンC4シンターゼ、ヒト主要塩基性タンパク質(human major basic protein)、およびヒトエンドセリン1。 16. アンチセンスオリゴヌクレオチドが、該アンチセンスオリゴヌクレオチドを含む呼吸に適した粒子のエアゾールを投与することにより患者の肺に運搬される、請求項11記載の薬学的組成物。 17. 粒子が、固形粒子および液体粒子からなる群より選択される粒子である、請求項16記載の薬学的組成物。 18. エアゾールが、0.5〜10ミクロンの範囲の粒子サイズを有する粒子を含む、請求項16記載の薬学的組成物。 19. 粒子が、アンチセンスオリゴヌクレオチドを含むリポソームである、請求項16記載の薬学的組成物。 20. アンチセンスオリゴヌクレオチドが、該アンチセンスオリゴヌクレオチドの患者の細胞内での濃度が約0.1〜10μMに達するような十分な量で投与される、請求項11記載の薬学的組成物。 21. アンチセンスオリゴヌクレオチドが、細胞内へ取込ませることができる分子と抱合している、請求項11記載の薬学的組成物。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】 アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いる疾患の治療方法本発明は、国立癌研究所(National Cancer Institute)からの助成(番号RO1 CA47217-06)の下、政府の支援をうけてなされた。 政府は、本発明に対して特定の権利を有する。 発明の分野本出願は、肺疾患の治療としての、本質的にアデノシンを含まないアンチセンスオリゴヌクレオチドを投与する方法に関する。 発明の背景アンチセンスオリゴヌクレオチドについては、ヒトの疾患において潜在的に有用な薬理学的試薬として、かなりの理論的な考察がなされてきた(R.Wagner,N ature,372,333-335(1994))。 しかしながら、ヒトの疾患の現実のモデルに対するこれらの分子の実際的な適用は、判然としない。 これらの分子の薬理学的適用において考察すべき一つの重要な点は、投与経路についてである。 インビボでアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いた実験のほとんどは、脳の限られた領域への直接的な適用(C.Wahlestedt,Trends in Pharmacological Sciences,15 , 42-46(1994);J.Laiら,Neuroreport,5,1049-1052(1994);K.Standifer ら,Neuron,12,805-810(1994);およびA.Akabayashiら,Brain Research,21 , 55-61(1994))、または脊髄液中への直接的な適用に包含される(L.Tsengら,European J.Pharmacol.,258,R1-3(1994);R.Raffaら,European J.Pharm acol.,258,R5-7(1994);およびF.Gillardonら,European J.Neurosci.,6, 880-884(1994))。 このような適用は、それらの侵襲的な性質のために、限られた臨床上の有用性しか有していない。 アンチセンスオリゴヌクレオチドの全身投与であっても、それらの疾患部位組織の標的化の困難性をはじめとした、薬理学的適用方法に関する重大な問題が提起される。 対照的に、肺は、非侵襲的且つ組織特異的にアプローチできるため、 アンチセンスオリゴヌクレオチドを適用するのに非常に可能性の高い標的である。 さらに、生体における他の標的臓器または組織に比べ、肺は、アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド(ODN)の優れた標的の代表である。 これは、恐らく、肺が、他の実験系においてODNの細胞内取込みを増進させることが良く知られている陽イオン性脂質を主として構成される界面活性剤により裏打ちされているからである。 しかしながら、アンチセンス試薬を肺へ運搬する技術に関しては、いまだ相対的に未開発のままであり、アンチセンス試薬の肺への適用に関する潜在的問題についても、いまだ未研究のままである。 中間代謝に貢献し、また生理学的活性の制御に関与するプリンであるアデノシンは、神経調節因子として認識されている。 このヌクレオチドは、多くの局所調節メカニズム、特に中枢神経系(CNS)のシナプスおよび末梢の神経効果器接合部において関与する。 中枢神経系アデノシンは、種々の神経伝達物質(ノルアドレナリン、セロトニン、GABA、アセチルコリン、ドパミン、グルタミン酸塩など)の放出を阻害し、神経伝達を阻害し、神経興奮を抑制し、脊椎無痛を誘導し、また抗不安特性を有するものとして知られている(E.S.Ben-Soreketら,Archives of Internal Medicine,153,2701-2702(1993))。 心臓においては、アデノシンは、房室(AV)伝導を減速させ、ペースメーカー活性を抑制し、抗不整脈効果を有し、自律性制御を調節し、またプロスタグランジンの合成および放出を惹起することが知られている(M.K.Churchら,J.Allergy & Clinical Immology,92,190-194(1993))。 アデノシンはまた、強い血管拡張作用を有し、血管の緊張(トーン)を調節する(S.T.Holgateら,Annals of the New Yo rk Academy of Sciences,629,227-236(1991))。 アデノシンは、最近、上室性頻脈の治療における抗不整脈剤として注目すべき成功を納めている(C.G.DeGroffおよびM.J.Silka,Journal of Pediatrics ,125,822-823(1994);およびI.Drakeら,Human and Exp.Toxicol.,13,263 -265(1994))。 しかしながら、アデノシンによる治療における多くの副作用が文献に報告されている(A.Aggarwalら,Anesthesiology,79,1132-1135(1993); K.K.Burkhart,American J.Emergency Med.,11,249-250(1993);S.K.Sri nivasanおよびP.J.Iversen,J.Clin.Lab.Analysis,9,129-137(1995);C .A.Steinら,Pharmacology & Therapeutics,52,365-384(1991);B.B.Fred holmら,Pharmacological Reviews,46,143-156(1994);およびH.Saitoら,Bl ood,66,1233-1240(1985))。 特に、喘息患者は、アデノシンおよびアデノシンモノフォスフェートに対して顕著な感受性を示す(J.H.Butterfieldら,L eukemia Res.,12,345-355(1988);CLONETICS:Normal Human Cell Systems Ma nual(1995);およびR.W.Wagner,Nature,372,333-335(1994))。 上室性頻脈の治療のためにアデノシンを投与された喘息患者では、深刻な致命的な気管支痙攣の誘導が起こる(S.Tabor,Current Protocols in Molecular Biology,Vol. 1,Section 3.10.2(John Wiley & Sons,1987);およびJ.H.Weiss,同前,Sec tion 6.2.2)。 同様に、喘息に罹患していないウサギは無反応であるのに対し、ヒトにおける喘息のモデルである塵ダニアレルギーウサギを用いて作成した喘息罹患ウサギもまた、エアゾール化されたアデノシンに対して反応して顕著な気管支収縮を起こすことが示されている(S.Aliら,Agents Actions,37,165-176(1992))。 このモデル系を用いた最近の研究において、喘息における、アデノシン媒介性の気管支収縮および気管支過敏性は、まずアデノシン受容体の刺激を通じて媒介されることが示唆されている(S.Aliら,J.Pharmacol.Exp.Ther.,268,1328-13 34(1994);およびS.Aliら,Am.J.Physiol.,266,L271-277(1994))。 従って、アデノシンは、喘息性の肺においては、禁忌を示すものである(合衆国においては、成人人口の10%および小児人口の15%が喘息性である)。 アンチセンスODNは、アデニン、グアニン、シトシンおよびチミジンの4つの全てから構成されることから、それらの分解生成物からは、そのような過敏性気道において、遊離のデオキシアデノシンモノフォスフェートが生成される。 デオキシアデノシンモノフォスフェートは、アデノシンモノフォスフェートとは、糖部分の3'炭素原子上の酸素原子が欠落しているという点でのみ異なる。 発明の概要本発明の第一の側面は、治療を必要とする患者における気道疾患を治療する方法である。 本方法は、気道疾患を治療することができる有効量で、本質的にアデノシンを含まないアンチセンスオリゴヌクレオチドを患者の肺に投与することを含む。 本発明の第二の側面は、気道疾患を治療することができる有効量であって、本質的にアデノシンを含まないアンチセンスオリゴヌクレオチドと薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物である。 本発明の第三の側面は、治療が必要な患者における気道疾患を治療するための医薬品の製造のための前記のような本質的にアデノシンを含まないアンチセンスオリゴヌクレオチドの使用である。 図面の簡単な説明図1〜図4は、気道疾患の治療または阻止において、アンチセンスオリゴヌクレオチドが有効な薬剤として使用可能であることを証明するものである。 図1は、A 1アデノシン受容体アンチセンスオリゴヌクレオチド並びにミスマッチ対照アンチセンスオリゴヌクレオチドの、ウサギモデルの気管支気道の動的コンプライアンスに対する効果を示す。 2つの星印は、p<0.01(スチューデントT検定)での有意差を表す。 図2は、A 1アデノシン受容体アンチセンスオリゴヌクレオチドで処理した気道組織に存在するA 1およびA 2アデノシン受容体の数で示すことによるA 1アデノシン受容体アンチセンスオリゴヌクレオチドの特異性を示す。 図3は、エアゾール化デオキシアデノシンモノフォスフェートが、アレルギーウサギの喘息発症経路における強い気管支収縮剤であることを解説するためのグラフによる表示である。 さらに、本図は、デオキシアデノシンモノフォスフェートの効果が、アデノシンモノフォスフェートを用いた時に観察される効果と同等であることを示している。 図4は、アデノシンを含有するエアゾール化ホスホロチオエートオリゴデオキシヌクレオチドを用いた時に起こり、アデノシンを含まないオリゴデオキシヌクレオチドを用いた時には起こらない気管支収縮の効果の解説するためのグラフによる表示である。 発明の詳細な説明本願においては、ヌクレオチド配列は、5'から3'方向で左から右への一本鎖によってのみ記載される。 本願においては、ヌクレオチドおよびアミノ酸は、 IUPAC-IUB生化学慣用名委員会推薦の方法により、もしくは(アミノ酸については)37 CFR §1.822に従って、または確立された使用方法により表される(Pate nt In User Manual,99-102(Nov.1990)(米国特許商標庁の特許副長官、ワシントン,DC,20231);およびHudsonらの米国特許第4,871,670号公報のカラム3の2 0-43行目)。 (本出願人は、当該特許並びに本願において引用した他の特許文献を参照文献として取り込むよう特に意図するものである。) 本発明の方法は、アンチセンスの分解により遊離されるアデノシンを阻害するように該アンチセンス化合物に含まれるアデノシンを排除または減少させておくという意図を持った上で、あらゆる原因で起こる気道疾患を治療するために使用され得る。 該遊離により、気道が過敏性である患者において、生命を脅かす程の深刻な気管支収縮が引き起こされかねない。 本発明の方法により治療することができる気道疾患としては、嚢胞性線維症、喘息、慢性閉塞性肺疾患、気管支炎、 および炎症反応により特徴付けられる他の気道疾患が挙げられる。 A 1およびA 3受容体に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドは、細胞におけるA 1またはA 3の抑制的制御に有効であることが示される。 アデノシン媒介性気管支収縮の伝統的な治療方法と比べた場合の本治療の1つの新規な側面は、肺への直接投与という点である。 加えて、単に薬剤と相互作用するというというよりはむしろ、受容体タンパク質自体が量的に減じ、また毒性も低減するという点である。 肺の状態の治療のために、該アンチセンス薬剤が標的とすることできる他のタンパク質としては、ヒトA2aアデノシン受容体、ヒトA2bアデノシン受容体、 ヒトIgE受容体β、ヒトFc-ε受容体CD23抗原、ヒトヒスチジンデカルボキシラーゼ、ヒトベータトリプターゼ、ヒトトリプターゼ-I、ヒトプロスタグランジンDシンターゼ、ヒトシクロオキシゲナーゼ-2、ヒト好酸球カチオン性タンパク質、ヒト好酸球由来ニューロトキシン、ヒト好酸球ペルオキシダーゼ、 ヒト細胞接着分子-I(ICAM-I)、ヒト血管細胞接着分子-I(VCAM-I)、ヒト血管内皮白血球接着分子-I(ELAM-I)、ヒトPセレクチン、ヒト血管内皮単球活性化因子(human endothelial monocyte activating factor)、ヒトIL-3、ヒトIL-4、ヒトIL-5、ヒトIL-6、ヒトIL-8、ヒト単球由来好中球走化性因子(huma n monocyte-derived neutrophil chemotactic factor)、ヒト好中球エラスターゼ、ヒト好中球酸化性因子(human neutrophil oxidase factor)、ヒトカテプシンG、ヒトデフェンシン1、ヒトデフェンシン3、ヒトマクロファージ炎症性タンパク質-1-α(human macrophage inflammatory protein-1-α)、ヒトムスカリン性アセチルコリン受容体HM1、ヒトムスカリン性アセチルコリン受容体HM3 、ヒトフィブロネクチン、ヒト顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CS F)、ヒト腫瘍壊死因子α、ヒトロイコトリエンC4シンターゼ、ヒト主要塩基性タンパク質(human major basic protein)、およびヒトエンドセリン1を挙げることができるがこの限りではない。 これらの後者の標的並びに一般的標的遺伝子においては、アンチセンスオリゴヌクレオチドの分解物からアデノシンが遊離するのを阻止するように、該アンチセンスオリゴヌクレオチドに含まれるアデノシンを除去または減少させておくのが特に必要である。 本明細書で用いられる肺疾患の「治療」なる用語は、そのような治療を受けた患者に肺疾患の症状が現れる可能性を減じる処置を指す。 「抑制的制御」なる用語は、標的とした細胞内のタンパク質の産生、分泌または機能性(アベイラビリティー)の減少(ひいては、濃度の減少)の誘導を指す。 本発明は、第一にヒト患者の治療に関するが、罹患した犬や猫のような他の哺乳動物の治療といった獣医学の目的のためにも利用可能である。 標的とされるタンパク質は、哺乳動物由来であることが好ましく、さらに好ましくは治療を受ける生体と同一の種に由来するものである。 一般的に、「アンチセンス」とは、標的メッセンジャーRNA(mRNA)の機能を阻害することにより遺伝子の発現を阻害する一本鎖DNAに似せた小さな合成オリゴヌクレオチドの使用を指す(Milligan,JFら,J.Med.Chem.,36(14),192 3-1937(1993))。 本発明においては、A 1またはA 3アデノシン受容体の遺伝子の発現の阻害が望ましい。 遺伝子の発現は、ワトソン−クリックの塩基対形成の規則に従って、標的である特異的メッセンジャーRNA(mRNA)のコーディング(センス)配列への素結合によるハイブリダイゼーションを通じて阻害される。 アンチセンスによる阻害のメカニズムは、外来的に投与されたオリゴヌクレオチドが標的遺伝子のmRNAおよびタンパク質のレベルを減少させるか、または細胞の増殖特性もしくは形態の変化を引き起こすことである。 (同上;または、Helene,C. およびToulme,J.,Biochem.Biophys.Acta,1049,99-125(1990);およびCohe n,J.S.,Ed.,アンチセンス 遺伝子発現阻害剤としてのオリゴデオキシヌクレオチド, CRC Press:Boca Raton,FL(1987))。 本明細書において用いられる「アンチセンスオリゴヌクレオチド」とは、(1 )後述するハイブリダイゼーション条件に従って、標的タンパク質をコードするmRNAのいずれかのコーディング配列にハイブリダイズし、且つ(2)ハイブリダーゼーションの結果、該標的タンパク質の遺伝子発現の減少を引き起こす合成ヌクレオチドの短い配列として定義される。 A 1またはA3アデノシン受容体のmRNA配列は、A 1またはA 3アデノシン受容体のいずれかを発現する造伝子の塩基配列に由来する。 A 1またはA 3アデノシン受容体のいずれかを発現する遺伝子のDNA塩基配列に由来するヒトのA 1アデノシン受容体のゲノミック配列は、スタイレス(Stiles)らの米国特許第5,320,963号公報に開示され公知である。 A 3アデノシン受容体については、ラット(F.Zhouら,Pro c.Nat'l Acad.Sci.USA,89: 7432(1992))およびヒト(MA.Jacobsonら,英国特許出願第9304582.1号明細書(1993))で、そのクローニング、配列解析および発現が開示されている。 従って、A 1またはA 3アデノシン受容体の産生を抑制的に制御するアンチセンスオリゴヌクレオチドは、標準的な技術に従って製造することができる。 本発明の1つの側面は、mRNA分子の翻訳を阻止するように、気道疾患関連タンパク質をコードするmRNA分子のいずれかの配列に特異的に結合することができる配列を有するアンチセンスオリゴヌクレオチドである。 オリゴヌクレオチドの化学的アナログ(例えば、生体内でより安定にするために、ホスホジエステル結合を、例えば、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートもしくはホスホラミデートに修飾したオリゴヌクレオチド)も本発明の1つの側面である。 オリゴヌクレオチド中に天然に見られるホスホジエステル結合は、内在的に存在する細胞内ヌクレアーゼによる分解に対して感受性であるが、多くのアナログ結合は、ヌクレアーゼによる分解に対して高い耐性を有する(前記のMilliganら、並びにCohen,JS の文献参照)。 分解からの保護は、オリゴヌクレオチドの3'末端のホスホジエステル結合をヌクレアーゼ耐性結合で置換するという「3'末端キャップ」戦略により達成される(Tidd,DMおよびWarenius,HM,Br.J.Cancer,60,343 -3 50(1989);およびShaw,JP.ら,Nucleic Acids Res.,19,747-750(1991))。 ホスホラミデート結合、ホスホロチオネー結合およびメチルホスホネート結合は、全て十分にそのように機能する。 ホスホジエステルのバックボーンの修飾を広げることによってさらに安定となり、またオリゴヌクレオチドの細胞内への親和性を高め、細胞内への浸透性を増加させることができる(Milliganら,同上)。 全てのホスホジエステルのバックボーンを新規な結合で置換するために、多くの異なる化学的戦略が実施されてきた(同上)。 該バックボーンアナログには、ホスホロチオエート結合、ホスホロジチオネエート結合、メチルホスホネート結合、ホスホラミデート結合、ボラノフォスフェート結合、ホスホトリエステル結合、フォルムアセタール結合、3'-チオフォルムアセタール結合、5'-チオフォルムアセタール結合、5'-チオエーテル結合、カーボネート結合、5'-N-カルバメート結合、サルフェート結合、スルフォネート結合、サルファメート結合、スルフォンアミド結合、スルフォン結合、サルファイト結合、スルフォキシド結合、スルフィド結合、ヒドロキシルアミン結合、メチレン(メチルイミノ)(MMI)結合、またはメチレンオキシ(メチルイミノ)(MOMI)結合が含まれる。 自動オリゴヌクレオチド合成による調製の観点からは、ホスホロチオエート結合およびメチルホスホネート結合で修飾されたオリゴヌクレオチドが特に好ましい。 適切ならば、該アンチセンスオリゴヌクレオチドは、薬学的に許容される塩の形態で投与することができる。 アンチセンスオリゴヌクレオチドは、それが結合すべき特定の標的並びにそれの運搬の形態に依存して、どのような適切な長さであってもよい(例えば、約1 0〜60ヌクレオチドの長さ)。 好ましくは、該アンチセンスオリゴヌクレオチドは、イントロンとエクソンの間の接合部位を含むmRNA領域に向けられる。 該アンチセンスオリゴヌクレオチドがイントロン/エクソン接合部位に向けられる場合には、該接合部位の全体を含むものであっても良いし、また前駆mRNAから成熟mRNAへのプロセシングされる間に起こる介在エクソンのスプライシングアウトを阻害することができる該接合部位に十分に近傍の部位であっても良い(例えば、 該アンチセンスオリゴヌクレオチドの3'末端または5'末端は、イントロン/ エクソン接合部位の、例えば約10個、5個、3個または2個のヌクレオチドを伴う)。 本発明を実施する場合には、投与されるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、 それが投与される動物種の起源に関連していてもよい。 ヒトを治療する場合には、必要に応じてヒトのアンチセンスを用いることができる。 細胞膜を通過し、さらにその翻訳を阻止するように細胞内のA 1またはA 3アデノシン受容体をコードするmRNAに特異的に結合することによって、A 1またはA 3アデノシン受容体の発現を低減するために有効な上述のようなアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む薬学的組成物も、本発明の他の側面の1つである。 これらの組成物は、適当な薬学的に許容される担体(例えば、発熱性物質を含有しない無菌の生理食塩水)の中に存在する形態で提供される。 該アンチセンスオリゴヌクレオチドは、細胞膜を通過することができる疎水性の担体とともに製剤化することができる(例えば、薬学的に許容される水性担体中に担持されたリポソームを用いた該リポソーム中)。 該オリゴヌクレオチドは、例えばリボザイムのようなmR NAを不活性化する物質と共役させてもよい。 このようなオリゴヌクレオチドは、 A 1またはA 3アデノシン受容体の活性化を阻害するために、本明細書中に記載されるいずれかの理由により治療を必要とする患者に投与することができる。 さらに、該薬学的装剤は、細胞により内在化されることが知られている分子に接合させたアンチセンスオリゴヌクレオチドを含むキメラ分子を含んでいてもよい。 これらのオリゴヌクレオチド抱合体は、オリゴヌクレオチドの細胞内への取込み経路を生み出すために利用でき、それにより該オリゴヌクレオチドの細胞内での濃度を増加させることができる。 このような方法で用いられる巨大分子の例としては、トランスフェリン、アシアログリコプロテイン(ポリリジンを介してオリゴヌクレオチドと結合する)およびストレプトアビジンを挙げることができる。 前記薬学的製剤においては、該アンチセンス化合物は、リポソームや微結晶のような脂質粒子または小胞中に含有させることができる。 該粒子は、該アンチセンスオリゴヌクレオチドを含有させることができる限り、単層あるいは複数層などのいかなる適当な構造であってもよい。 そのような粒子および小胞としては、 N-[1-(2,3-ジオールオイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルーアンモニウムメチルサルフェートまたは「DOTAP」のような正に荷電した脂質が特に好ましい。 このような脂質粒子の調製方法は良く知られている(Janoffらの米国特許第4, 880,635号公報;Kuronoらの米国特許第4,906,477号公報;Wallachらの米国特許第4,911,928号公報;Wallachらの来国特許第4,917,951号公報;Allenらの来国特許第4,920,016号公報;およびWheatleyらの米国特許第4,921,757号公報)。 該活性組成物の患者への投与は、該アンチセンスヌクレオチド組成物を患者の肺へ到達させるあらゆる手段によって行うことができる。 本願に開示されるアンチセンス化合物は、どのような適切な手段を用いても患者の肺に投与することができるが、呼吸に適した粒子からなるエアゾールを生成させることにより投与するのが好ましい。 該呼吸に適した粒子とは、該アンチセンス化合物を含み、患者はそのような粒子を吸入する。 また、該呼吸に適した粒子は、液体または固形のいずれであってもよい。 また、必要に応じて、該粒子中に、他の治療学的成分を含有させてもよい。 本発明を実施するためのアンチセンスを含む粒子には、呼吸に適したサイズ、 即ち、吸入によって口および喉頭を通過して気管および肺の肺胞に入り込むように十分に小さなサイズの粒子が包含されるべきである。 一般的には、約0.5〜約1 0ミクロンのサイズの粒子が呼吸に適している。 エアゾール中に呼吸に適さないサイズの粒子が含有されている場合には、喉に沈着し、飲み込まれてしまう傾向があるため、エアゾール中に含まれる呼吸に適さない粒子の量を最小限にすることが好ましい。 鼻からの投与の場合には、鼻腔での貯留を確実なものとするために、粒子のサイズを10〜500μmにするのが好ましい。 エアゾールを調製するための活性化合物の液体薬学的組成物は、該アンチセンス化合物を、発熱性物質を含まない無菌の水のような適切な媒体と組み合わせることによって調製することができる。 また、必要に応じて、他の治療学的化合物を含有させてもよい。 微粉化したアンチセンス化合物を含む呼吸に適した乾燥粒子を含む固形微粒子組成物は、乾燥させたアンチセンス化合物を、乳鉢および乳棒を用いて粉砕した後、該微粉化した組成物を400目ふるいにかけて大きな球塊を砕くかもしくは分離することによって調製できる。 アンチセンス化合物を含む固形微粒子組成物は、所望により、エアゾール化を容易にすることができる分散剤を含んでいてもよい。 好ましい分散剤としては、ラクトースが挙げられ、該アンチセンス化合物とどのような適当な割合でも混ぜ合わせることができる(例えば、重量比で1対1)。 また、必要に応じて、他の治療学的化合物を含有させてもよい。 該アンチセンス化合物の投与用量は、治療すべき疾患、患者の状態、製剤の特有の形態、投与経路、および患者への投与のタイミングなどに依存する。 一般的には、該オリゴヌクレオチドの細胞内での濃度は、0.05〜50μMが好ましく、 さらに好ましくはは0.2〜5μMである。 ヒトのような患者への投与の場合には、典型的には、0.01、0.1もしくは1mg/Kg〜50、100もしくは150mg/Kg、またはそれ以上で実施され得る。 投与される活性化合物の特有製剤の溶解性に依存して、一日の投薬量を、1回または複数回の投薬単位に分けることができる。 該アンチセンス化合物の投与は、治療学的(即ち、救命治療として)または予防学的に実施することができる。 該アンチセンス化合物を含む液体粒子のエアゾールは、噴霧器(ネブライザー)のような適当な手段を用いて生成させることができる(米国特許第4,501,729 号公報)。 ネブライザーは、細いヴェンツーリ口を通過させることにより圧縮ガス(典型的には空気もしくは酸素)を加速させる方法、または超音波振動による方法のいずれかにより、活性成分の溶液または懸濁液を治療用エアゾール霧に変態させる市販の器具である。 ネブライザーでの使用に適した製剤は、溶液担体中に溶解した該活性成分を含み、該活性成分は、該製剤に対して好ましくは20% W/wで、最大40% w/wである。 該担体は、典型的には水もしくは希釈した液性アルコール溶液であり、例えば、塩化ナトリウムを加えることにより体液と等張にしたものが好ましい。 他の添加物としては、該製剤が無菌でない場合には防腐剤が挙げられ、またメチルヒドロキシベンゾエート、抗酸化剤、矯味剤、揮発油、緩衝剤および界面活性剤を挙げることができる。 該活性化合物を含む固形粒子のエアゾールは、いずれの固形微粒子薬学的エアゾール生成器によっても同様に調製することができる。患者へ投与するための固形微粒子薬学的エアゾール生成器は、上述したように呼吸に適した粒子を製造すし、また、予め決定された大きさの薬学的用量をヒトへの投与に適した率で含有する量のエアゾールを生成する。固形微粒子エアゾール生成器の一つの例示的種類としては、注入器(insufflator)が挙げられる。注入による投与に適した製剤としては、注入器により運搬されるか、または鼻からの吸引法において鼻腔に取り込まれるような極めて微小に粉砕された粉末が挙げられる。注入器の場合には、該粉末(例えば、本明細書中に記載される治療を実施するために有効である測定された薬学的用量)は、目的の位置で穴が開くか、もしくは開くような、特にはゼラチン製もしくはプラスチック製のカプセルもしくはカートリッジ中に含有させることができる。該粉末は、吸入により該器具中を通った空気により運搬されるか、手動操作のポンプにより運搬される。注入器で使用される粉末は、活性成分単体から構成されてもよいし、または、ラクトースや所望の界面活性剤などの適当な粉末希釈剤と該活性成分との混合粉末から構成されてもよい。該活性成分は、典型的には、製剤に対して0.1〜100 w/wである。エアゾール生成器の第二の例示的種類としては、用量調整吸引器(metered dose inhaler)である。用量調整吸引器は、加圧エアゾールディスペンサーであり、典型的には、活性成分が液状噴射剤中に溶解している懸濁製剤または溶液製剤を含んでいる。これらの器具を使用する間、調整した量(典型的には10〜150μl)を供給するように調整した弁を通じて該製剤が放出され、活性成分を含む微少な粒子スプレーが産生される。適切な噴射剤としては、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタンおよびそれらの混合物のような特定のクロロフルオロカーボン化合物が挙げられる。該製剤は、所望に応じ、 さらに1以上の共溶媒を含むことができる。例えば、エタノール、オレイン酸もしくはソルビタントリオレエートなどの界面活性剤、抗酸化剤、および適当な矯味剤が挙げられる。前記エアゾールは、固形または液体のいずれの形態であってもよく、これらのエアゾールは、エアゾール生成器を用いて、10〜150リットル/分、好ましくは3 0〜150リットル/分、特に好ましくは約60リットル/分の率で生成させることができる。大量の医薬品を含むエアゾールをさらに急速に投与することもできる。下記実施例を以て本発明を例示するが、本発明はそれらに限定されるものではない。該実施例においては、μMはマイクロモルを、mLはミリリットルを、μ mはマイクロメーターを、mmはミリメートルを、cmはセンチメーターを、℃ は摂氏を、μgはマイクログラムを、mgはミリグラムを、gはグラムを、kg はキログラムを、Mはモルを、またhは時間を意味する。 実施例1 アンチセンスオリゴヌクレオチドの設計および合成 A 1およびA 3アデノシン受容体に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドの設計には、標的となるA 1受容体のmRNAおよびA 3受容体のmRNAの複雑な二次構造を解明する必要があるであろう。この構造を生成させた後、該mRNAに機能的活性および安定性を与える理解されているmRNAの標的領域に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドが設計される。該領域は、開始コドンと重複しているのが最適であろう。他の標的部位については、既に利用可能である。アンチセンス効果の特異性を実証するために、本アンチセンス実験においては、標的mRNAに完全には相補的ではないが、w/wベースで同一のヌクレオチド組成を有する他のオリゴヌクレオチドも対照(コントロール)として含まれる。アデノシンA 1受容体のmRNAの二次構造を分析し、上述したように、ホスホロチオエートアンチセンスオリゴヌクレオチドの設計に用いた。合成したアンチセンスオリゴヌクレオチドは、HAdA1ASと命名した。このオリゴヌクレオチドは、下記配列を有している。

    対照として、下記配列を有するHAdA1MMと命名した不適正(ミスマッチ)ホスホロチオエートアンチセンスヌクレオチドを合成した。 いずれのオリゴヌクレオチドも同一の塩基組成並びに一般的な配列構造を有していた。 GenBank(リリース85.0)およびEMBL(リリース40.0)を用いたホモロジー検索により、該アンチセンスオリゴヌクレオチドが、ヒトおよびウサギのアデノシンA

    1受容体の遺伝子に特異的であり、また該不適正対照がいずれの既知遺伝子配列ともハイブリダイゼーションさせるための候補ではないことが判明した。 アデノシンA

    3受容体のmRNAの二次構造を同様にして分析し、上述したように、 2つのホスホロチオエートアンチセンスオリゴヌクレオチドの設計に用いた。 合成した第1のアンチセンスオリゴヌクレオチド(HAdA3AS1)は下記配列を有していた。 対照として、下記配列を有する不適正(ミスマッチ)ホスホロチオエートアンチセンスオリゴヌクレオチド(HAdA3MM1)を合成した。 第2のホスホロチオエートアンチセンスオリゴヌクレオチド(HAdA3AS2)を設計し、合成した。 該オリゴヌクレオチドは下記配列を有していた。 その対照であるオリゴヌクレオチド(HAdA3MM2)は下記配列を有していた。 ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチド合成機(Appl ied Biosystems製,モデル396)を用いて合成し、NENSORBクロマトグラフィー(DuPont製,MD)を用いて精製した。

    実施例2

    A 1

    アデノシン受容体アンチセンスオリゴ

    ヌクレオチドの生体外(インビトロ)試験前記のヒトのA

    1受容体に対するアンチセンスオリゴヌクレオチド(配列番号1 )の効果を、肺の腺癌細胞HTB-54を用いたインビトロモデルにより試験した。 HT B-54肺腺癌細胞がA

    1アデノシン受容体を発現していることを、標準的なノーザンブロッティング並びに本発明者らが設計し合成した受容体プローブを用いて実証した。 インキュベーションの12時間後に新鮮な培地およびオリゴヌクレオチドに交換することにより、HTB-54ヒト肺腺癌細胞(106/100mm組織培養皿)を、5.0 μMのHAdA1ASまたはHAdA1MMに24時間曝した。 該オリゴヌクレオチドに24時間曝した後、細胞を回収し、標準的手法に従ってmRNAを抽出した。 該アンチセンスが標的としているmRNAの領域に対応する21merのプローブ(従って、ホスホロチオエート化されてはいないが、該アンチセンスと同一の配列を有する)を合成し、HAdA1AS処理、HAdA1MMまたは末処理のHTB-54細胞から調製したRNAのノーザンブロットにおけるプローブとして用いた。 該ブロッティングにより、HAdA1A Sが、ヒトアデノシン受容体のmRNAを50%以上有効に減少させることが示された。 HAdA 1MMは、減少させなかった。 この結果は、HAdA1ASが抗喘息薬としての良い候補であることを示すものであった。 なぜならば、HAdA1ASが、喘息において関与するアデノシンA

    1受容体の細胞内mRNAを減少させるからである。

    実施例3

    A 1

    アデノシン受容体アンチセンスオリゴ

    ヌクレオチドのインビボにおける効果アデノシンA

    1遺伝子については、ヒトおよびウサギのDNA配列がたまたまホモロジーを有し、また開始コドンが重複していたことから、ヒトのアデノシンA

    1受容体に対して使用するために当初設計された前記ホスホロチオエートアンチセンスオリゴヌクレオチドを、ウサギモデルで使用することができた。 パスツレラに感染していないニュージーランド白色ウサギの新生児に、生後2 4時間以内に、10%カオリンと混合したハウスダスト(家塵)ダニ(house du st mite、D.farinae)の抽出物(312抗原単位/mL、Berkeley Biological s製、バークレー、カリフォルニア)を腹腔に投与して免疫した。 該免疫は、最初の1カ月は1週間毎に、また続く2カ月間は2週間毎に行った。 3〜4月齢の感作させたウサギ(8匹)を麻酔し、ケタミンヒドロクロライド(44mg/kg)およびマレイン酸アセプロマジン(0.4mg/kg)を筋肉内注射して弛緩させた。 該ウサギを、小さく型どられ、パッドを敷き詰めた動物用ボードの上に楽な姿勢で仰向けに横たえ、4.0mmの気管内挿管用チューブ(Mallinkrodt,Inc製、グルンスフォールズ、ニューヨーク)を挿管した。 ラテックスバルーンを配備した外径2.4mmのポリエチレンカテーテルを食道に挿入し、本実験の間中、口から等距離(約16cm)で維持させた。 該気管内挿管用チューブを、加熱したフライシュ呼吸気流計(サイズ:00、DOM Medcal製、リッチモンド、バージニア)に連結し、気流を、ゴウルドキャリアー増幅器(Gould carrier amplifier、モデル:11-4113、Gould Electronic製、クリーブランド、オハイオ)で作動させたバリジン差動圧変換器(Validyne differential pressure transducer、モデル:DP-45161927、Validyne Engineering Corp.製、ノースリッジ、カリフォルニア)を用いて測定した。 食道のバルーンを、該差動圧力変換器の片側に連結し、また、肺を通過する気流の圧力を記録できるように該気管内挿管用チューブの流出口を該圧力変換器の反対側に連結した。 気流を積分し、継続的に肺に流入する量を求め、自動呼吸分析計(モデル:6、Buxco製、シャロン、CT)を用いて、総肺抵抗(RT)および動的コンプライアンス(Cdyn)を、等容および気流ゼロの時点で各々算出した。 該動物を無作為抽出し、1日目に、エアゾール化したアデノシンに対するPC 50での前処置の値を求めた。 アンチセンス(HAdA1AS)または不適正対照(HAd A1MM)オリゴヌクレオチドを、5000μg(5mg)/1.0mlの濃度で、無菌生理食塩水に溶解した。 引き続いて、該動物に、エアゾール化した該アンチセンスまたは不適正オリゴヌクレオチドを、該気管内チューブを通じて、1日2回で2日間投与した(約5000μg/1.0ml)。 食塩水、アデノシン、アンチセンスまたは不適正オリゴヌクレオチドのいずれかのエアゾールを、超音波ネブライザー(DeVilbiliss製、Somerset、PA)で生成させた。 該エアゾールの80%が、直径5μmより小さい小滴であった。 本実験の第1の構成では、無作為に選択した4匹のアレルギーウサギに、アンチセンスオリゴヌクレオチドを投与し、また4匹に不適正対照オリゴヌクレオチドを投与した。 3日目の朝、PC50値(気管気道の動的コンプライアンスを基線値(ベースライン値)から50%低減させるために必要なエアゾール化アデノシン(mg/ml))の濃度)を求め、該オリゴヌクレオチドに曝す前に求めたPC 50値と比較した。 1週間の間隔を空けた後、先に不適正対照オリゴヌクレオチドを投与した動物にはアンチセンスオリゴヌクレオチドを投与し、また先にアンチセンスオリゴヌクレオチドで処置された動物には不適正対照オリゴヌクレオチドを投与して、該動物をクロスオーバーさせた。 処置方法および測定方法は、本実験の第1の構成で行った方法と同一の方法を用いた。 アンチセンスオリゴヌクレオチドで処置した8匹の動物の内の6匹においては、アデノシン媒介性気管支収縮が、最大でアデノシンの溶解度の限界である20mg/mlまで見られなかったことは注目すべき点である。 算出のために、これらの動物のPC50値を20mg/mlに設定した。 従って、得られた値は、アンチセンスの効果の最低値を表すものである。 実際の効果は、さらに高いものであった。 本実験の結果を、図1および表1に例示する。 結果は、平均値(N=8)±SEMで示す。 有意差は、分散の繰返し測定分析(AN0VA)およびチュキー(Tukey)のt検定で求めた。 **他の全ての群とP<0. 01で有意に異なる。 本実験の両構成ともに、アンチセンスオリゴヌクレオチドを与えられた動物では、肺の動的コンプライアンスを50%減少するのに必要なエアゾール化アデノシンの用量において、大きく増加したオーダーを示した。 PC50の下では、不適正対照オリゴヌクレオチドは全く効果を観察されなかった。 アンチセンスまたは対照オリゴヌクレオチドを吸入させたいずれの動物においても毒性は観察されなかった。 これらの結果は、肺が、肺疾患のアンチセンスに基づく治療に対して、その標的として例外的に可能性を有するものであることを明白に示すものである。 これらの結果は、さらに、ヒトの喘息に極めて類似したモデル系においては、アデノシンA

    1受容体の抑制的制御により、喘息性気道におけるアデノシン誘導性気管支収縮を顕著に消失させることができることを示している。 ヒトの喘息のモデルであるアレルギー罹患ウサギにおける気管支の過敏症は、アンチセンスによる介入のための優れた標的である。 なぜならば、この反応に係わる組織は、エアゾール化オリゴヌクレオチドが接触するポイントの近くに存在し、また、該モデルがヒトの重要な疾患を擬態化しているものであるからである。 実施例4

    A 1

    アデノシン受容体アンチセンスオリゴヌクレオチドの特異性実施例3のクロスオーバー実験の結論に基づき、全てのウサギの気道の筋肉におけるアデノシンA

    1受容体の数を定量的に分析した。 アンチセンスオリゴヌクレオチドの特異性を見るための対照として、何らの影響も受けていないアデノシンA

    2受容体についても定量した。 各々のウサギから取得した気道の平滑筋組織を細かく切断し、若干の修飾を加えた既報告に記載されている方法に従って膜画分を調製した(J.KleinsteinおよびH.Glossmann,Naunyn-Schmiedeberg's Arch.Pharmacol.,305,191-200(1 978))。 粗製形質膜調製物は、アッセイに用いるまでは、−70℃で保存した。 タンパク質含量を、ブラッドフォード(Bradford)の方法により測定した(M.B radford,Anal.Biochem.,72,240-254(1976))。 凍結形質膜を、室温で融解し、0.2U/mlのアデノシンデアミナーゼとともに37℃で30分間インキュベートして内在性アデノシンを除去した。 [

    3 H]DPCPX(A

    1受容体特異的)または[

    3 H]CGS-21680(A

    2受容体特異的)の結合を既報告に記載の方法に従って測定した(S.Aliら,J.Pharmacol.Exp.Ther.,268,1328-1334(1994);およびS .Aliら,Am.J.Physiol.,266,L271-277(1994))。 図2および表2に例示されるように、A

    1特異的拮抗剤であるDPCPXを用いたアッセイにおいては、前記のクロスオーバー実験でアデノシンA

    1アンチセンスオリゴヌクレオチドで処置された動物では、対照に比べ、A

    1受容体の数が75% 近く減少していた。 A

    2受容体特異的アゴニストである2-[p-(2-カルボキシエチル)-フェネチルアミノ]-5'-(N-エチルカルボキサミド)アデノシン(CGS-21680)を用いたアッセイにおいては、アデノシンA

    2受容体の数は全く変化しなかった。 結果は、平均値(N=8)±SEMで示す。 有意差は、分散の繰返し測定分析(ANOVA)およびチュキー(Tukey)のt検定で求めた。 **他の全ての群とP<0. 01で有意に異なる。 上記は、気道疾患の治療におけるアンチセンスオリゴヌクレオチドの有効性を実証するものである。 上述のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、アデノシン媒介性気管支収縮の原因となる受容体系システムを排除するものであることから、 それらからアデノシンを除去する必要性はあまりない。 しかしながら、それらのようなオリゴヌクレオチドであっても、該オリゴヌクレオチドからアデノシンを除去するのが好ましい。 そのような、アデノシンを含まないオリゴヌクレオチドの例は、下記に述べる実施例5で提供される。 実施例5 本発明の方法は、肺における種々の状態を治療する目的のために、上述と本質的に同一の方法に従って、標的とされるタンパク質に対応する下記のようなアンチセンスオリゴヌクレオチドでターゲティングすることによっても実施することができる。 下記は、炎症に関与するタンパク質のmRNAニターゲティングするための一連のアンチセンスオリゴヌクレオチドである。 それらオリゴヌクレオチドの分解において起こるアデノシンの遊離を阻止するために、該オリゴヌクレオチドの成分からアデノシンが除去されている。 下記においては、標的とされる炎症関連タンパク質の名称の後にに記載される第一の配列は、開始コドンにターゲティングされるアンチセンス配列である。 該配列においては、天然に存在するアデノシンが、下記の1つにより置換されている: (1)アデノシンではない万能(ユニバーサル)な塩基;(2)アデノシンA

    1および/またはアデノシンA

    3受容体に結合する能力を欠いているアデノシンアナログ;または(3)「スペーサー(spacer)」。 該配列中においては、これら3つのいずれもが、IUPAC-IUB慣用名委員会によって「Aではない」と認識される文字である「B」で表される(PatentIn User Manual,99頁(1990年11月))。 開始コドンにターゲティングされるアンチセンス配列に引き続いて列挙されるものは、該標的タンパク質のmRNAの他の部分に向けられる追加のアンチセンスオリゴヌクレオチド配列である。 これらの追加の配列は、該配列中にアデノシンを含まない「アデノシン非含有アンチセンス配列」である。 下記配列の少なくとも10個、さらに好ましくは少なくとも12個のヌクレオチドの長さの断片もまた、本発明の側面の一つであり、本発明を実施するために有用である。 多数の行にわたって示した試験のための下記断片においては、それらの初めが「5'−」を示し、それらの終りが「−3'」を示す。 実施例6 ここで図3については、図中に示された濃度で、実施例3に述べたような吸入により、2匹の喘息罹患ウサギにアデノシンを投与し、一方で、もう2匹のウサギにはdAMPを投与した。 この結果(図3においてコンプライアンスの変化として示される)は、アデノシンを含むアンチセンスオリゴヌクレオチドの分解物であるdAMPは、喘息罹患ウサギの過敏性気道における気管支収縮の誘導について、アデノシンと同等の強さを有することを示している。 実施例7 図4に示されるとおり、50%のアデノシン並びに50%のグアニンおよびシトシンが無作為に配置されて構成される21merのエアゾール化ホスホロチオエートアンチセンスODNが、喘息罹患ウサギの過敏性気道に対して強い気管支収縮を生じさせることが分かった。 本試験で用いた対照分子であって、50%のグアニン並びに50%のチミジンおよびシトシンから構成される21merのアンチセンスODN(アデノシン非含有ODN)は、それらと同一の動物に対して、気管支収縮および他の効果を何ら生じさせなかった。 本試験では、気管支収縮の効果を、気管支のコンプライアンスの変化を百分率で表わすことにより測定した。 各々のグループは2匹のアレルギー罹患ウサギから構成され、また、ネブライザーによる1日2回の5mgのエアゾール化ODN の投与における2回目の投与以後の間のデータを示している。 これらの結果は、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、分解速度を落とすように修飾されたものであっても、喘息性気道に投与された場合には、強い気管支収縮を誘導するアデノシン代謝物を生ずることを示している。 上述の実施例は本発明の例示であるが、それらに限定されるものと解釈すべきではない。 本発明は、以下の請求の範囲、並びに本明細書に包含される該請求の範囲の等価物により定義されるものである。

    ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD ,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AT,AU ,AZ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN, CZ,CZ,DE,DE,DK,DK,EE,EE,E S,FI,FI,GB,GE,HU,IL,IS,JP ,KE,KG,KP,KR,KZ,LK,LR,LS, LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,M X,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE ,SG,SI,SK,SK,TJ,TM,TR,TT, UA,UG,US,UZ,VN

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