喫煙の悪影響を減らす新規手段

申请号 JP2016532668 申请日 2014-08-05 公开(公告)号 JP2016528234A 公开(公告)日 2016-09-15
申请人 フォールマン、ジェラルド; 发明人 フォールマン、ジェラルド; マルタイン フォールマン、フリソ; マルタイン フォールマン、フリソ;
摘要 本発明は、エラスターゼ阻害剤の使用、好ましくは 肺 気腫、COPD若しくは肺癌の治療または予防のためのファシンの使用に関する。エラスターゼ阻害剤は、吸入を介して好ましく投与され、好ましくはタバコの煙吸入を介して投与される。本発明は、エラスターゼ阻害剤を含む喫煙物品も含む。【選択図】図1
权利要求

気腫、COPDおよび肺癌の群から選択される、肺疾患の予防に使用されるファシン。吸入を介して、特に、煙、より具体的にはタバコの煙の吸入を介して、肺疾患、特に肺気腫の治療または予防に使用されるファシン。肺気腫の治療または予防に使用される、e−タバコを含むシガレット、パイプタバコ、シガーまたはジョイントのような喫煙物品。前記物品が、ファシン、グアメリン、ピグアメリン、ヒルスタシン、ブデラスタシン並びに第6番目システイン残基の後にロイシン残基を含む、グアメリン、ピグアメリン、ヒルスタシンおよびブデラスタシンの変異体の群から好ましく選択されるエラスターゼ阻害剤を含む、請求項3に記載の喫煙物品。前記エラスターゼ阻害剤は、配合としてまたはタバコ若しくは大麻により発現されるタンパク質として、前記タバコまたは大麻に含まれる、請求項4に記載の喫煙物品。前記シガレットは、フィルタシガレットまたはe−タバコであり、前記エラスターゼ阻害剤はフィルタに存在する、請求項4に記載の喫煙物品。前記喫煙物品は、シガレットまたはジョイントであり、前記エラスターゼ阻害剤はシガレット紙に存在する、請求項4に記載の喫煙物品。前記エラスターゼ阻害剤は、組換え技術によって製造されたファシンである、請求項4から6のいずれかに1項に記載の喫喫物品。エラスターゼ阻害剤、好ましくはファシンを含む、トランスジェニックタバコまたは大麻。請求項9に記載のトランスジェニックタバコまたは大麻を含むシガレット。請求項3から8のいずれか1項に記載の喫煙物品を喫煙することを含む、肺気腫、COPD若しくは肺癌を予防若しくは低減する、または肺の状態を改善する方法。ファシン、グアメリン、ピグアメリン、ヒルスタシン、ブデラスタシン並びに第6番目システイン残基の後にロイシン残基を含む、グアメリン、ピグアメリン、ヒルスタシンおよびブデラスタシンの変異体の群から好ましく選択され、より好ましくはファシンである、エラスターゼ阻害剤を吸入することを含む、肺気腫、COPD若しくは肺癌を予防若しくは低減する、または肺の状態を改善する方法。エラスターゼ阻害剤を投与することにより、好ましくは吸入により前記阻害剤を投与することにより、喫煙者の肺機能を改善する方法。前記吸入は煙の吸入であって、前記煙は前記阻害剤を含む、請求項13に記載の方法。前記吸入はe−タバコを介した吸入である、または前記煙はe−タバコにより生成される、請求項13または14に記載の方法。前記エラスターゼ阻害剤は、ファシン、グアメリン、ピグアメリン、ヒルスタシン、ブデラスタシン並びに第6番目システイン残基の後にロイシン残基を含む、グアメリン、ピグアメリン、ヒルスタシンおよびブデラスタシンの変異体の群から選択される、請求項13から15のいずれか1項に記載の方法。第6番目システイン残基の後に、ロイシン、アルギニン、イソロイシン、リシン、またはバリン残基を含む、グアメリンの変異体。第6番目システイン残基の後に、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、リシン、またはバリン残基を含む、ピグアメアリンの変異体。第6番目システイン残基の後に、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、リシン、またはバリン残基を含む、ヒルスタシンの変異体。第6番目システイン残基の後に、ロイシン、アルギニン、イソロイシン、メチオニン、またはバリン残基を含む、ブデラスタシンの変異体。第6番目システイン残基の後に、アルギニン、イソロイシン、メチオニン、リシン、またはバリン残基を含むファシンの変異体であって、好ましくは前記変異体はアルギニン残基を含む、ファシンの変異体。治療に使用される、好ましくは膵炎、炎症、浮腫、光老化若しくは血栓症の治療または予防のための、請求項21に記載のファシンの変異体。

说明书全文

本発明は、健康および医薬の分野に関し、より詳しくはCOPD、気腫および癌のような肺疾患の治療の予防および治療の分野に関し、あるいは喫煙による問題を解決する分野、より詳細には煙吸入の悪影響を低減するためのシガレット、タバコ、および他の喫煙材料に関する。

喫煙は、あなたの健康に悪い。1970年代以来、喫煙者および非喫煙者傍人に対する喫煙、特にシガレットの喫煙だけではなく他の喫煙形態の悪影響についてより多くの証拠が集められてきた。タバコの煙は、気管、気管支、細気管支および肺胞システムのような肺構造体におけるエラスチン含有量の低下において重要な役割を果たしているということが、多くの臨床実験によって広く知られ、且つ確立されている。具体的には、肺気腫は、肺胞壁の局所的な欠陥または破壊である。

肺胞壁内の毛細血管は、最も重要な解剖学的特徴である。それらは、絡み合うネットワークを形成し、弾性且つレチクリン線維によって強化された繊細な線維性間質によって支持されている。マクロファージは、肺胞腔内で発生し、侵入細菌に対する一次の防御機構を形成する。「エラスターゼ:アンチエラスターゼ」仮説によると、タバコの煙は、それらの過剰な天然阻害により、炎症を引き起こし、その後肺へのタンパク質分解酵素の放出を引き起こす。正常な修復が存在しない下でのタンパク質分解は、組織破壊および空域の拡大につながる。このエラスターゼ:アンチエラスターゼ仮説は、ほぼ40年間のCOPD研究を支配してきた。1963年、ローレルとエリクソン(非特許文献1)は、好中球エラスターゼ(NE)の主たる阻害剤である、α−1アンチトリプシン(α1 AT)を生産しないまたは不十分な量を生産する患者は、早期の肺気腫を発症するという観察を報告した。その後まもなく、グロスら(非特許文献2)は、ウサギの肺にパパイン、エラスターゼを注入し、肺気腫を生じさせた。その後、研究者らは、ヒト好中球エラスターゼを含む他のエラスチンの酵素を実験動物の気道へ注入して肺気腫を誘発させ得た(非特許文献3、非特許文献4、非特許文献5)。一緒に、これらの観察は、肺気腫における組織破壊の最も責任を担うプロテイナーゼとしてNEを確固として確立した。タバコの喫煙との関係が、シャピロらによって確固として確立された(非特許文献6)。

多くの研究で示されているように、肺癌の発生は疑いなく喫煙に関連している。肺癌の単一形式はなく、それは、気管支癌、肺胞細胞癌、気管支腺腫、および間葉腫瘍からなり得る。特に、気管支癌は、(シガレット)の喫煙に関係している。この癌に見られる解剖学的変化は、有毛細胞の喪失、基底細胞過形成、扁平上皮化生、および異型細胞構造のような上皮への変化である。エラスターゼ阻害が、タバコの煙中に存在し且つ発癌性であることが証明されている多環式芳香族炭化素のような化学化合物の発癌活性に影響を与えることは示されていないが、エラスターゼ阻害剤が、癌の免疫成分の影響のような発癌を伴う事象のカスケードに影響を与え得るということが仮定される。

エラスターゼ阻害剤は、肺気腫の治療に対して提案されているが(例えば、非特許文献7、非特許文献8)、今日まで肺気腫の分野におけるこれらの化合物の商業的利用は達成されていない。

また、エラスターゼ、トリプシン、キモトリプシン、カテプシンGなどの特定のプロテアーゼに対する特異性を有する新規プロテイナーゼ阻害剤が必要とされている。

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本発明者は、ファシン(fahsin)が、肺気腫、COPDおよび肺癌の群から選択された肺疾患の予防に使用され得ることを今般見出した。肺疾患、特に肺気腫の治療または予防におけるそのような使用は、吸入、特に、煙、より具体的には、タバコ(例えば、シガレット(紙巻きタバコ))の煙の吸入を介して好ましく影響され得る。

本発明はまた、肺気腫の治療または予防において使用されるe−タバコ(e−cigarette)(電子タバコ)を含むシガレット、パイプタバコ、シガー(葉巻)またはジョイントのような喫煙物品も含む。好ましくは、前記喫煙物品は、ファシン、グアメリン(guamerin)、ピグアメリン(piguamerin)、ヒルスタシン(hirustasin)、ブデラスタシン(bdellastasin)および第6番目システイン残基の後にロイシン残基を含む、グアメリン、ピグアメリン、ヒルスタシンおよびブデラスタシンの変異体の群から好ましく選択されるエラスターゼ阻害剤を有する。さらに好ましくは、配合またはタバコまたは大麻によって発現するタンパク質のいずれかとして、前記エラスターゼ阻害剤は、前記タバコまたは大麻に含まれる。代替的に、シガレットは、フィルタシガレットまたはe−タバコであり、エラスターゼ阻害剤はフィルタに存在する。さらに代替的に、喫煙物品はシガレットまたはジョイントであり、エラスターゼ阻害剤はシガレット紙に存在する。

さらなる実施形態において、エラスターゼ阻害剤は、組換え技術により製造されたファシンである。

エラスターゼ阻害剤、好ましくはファシンを含むトランスジェニックタバコまたは大麻も本発明に含まれる。したがって、本発明は、そのようなトランスジェニックタバコまたは大麻を含むシガレットを含む。

本発明のさらなる部分は、本発明による喫煙物品を喫煙することを含む、肺気腫、COPD、まはた肺癌を予防または減少させる方法である。

本発明の実施形態はまた、エラスターゼ阻害剤、好ましくはファシン、より好ましくは組換えファシンを吸入することを含む、肺気腫、COPD、または肺癌を予防または減少させる方法である。

本発明はまた、エラスターゼ阻害剤の投与により、好ましくは吸入により前記阻害剤を投与することにより喫煙者の肺機能を改善する方法を含む。好ましくはそのような方法において、前記吸入は煙の吸入であり、前記煙は前記阻害剤を含む。

さらなる実施形態において、本発明は、ファシン、グアメリン、ピグアメリン、ヒルスタシンおよびブデラスタシンの新しい変異体を提供する。

5つの異なるアンチスタシン型セリンプロテアーゼ阻害剤の一次アミノ酸配列のアラインメントを示す。タンパク質において同じように間隔を置いて配置されたシステイン残基は太字で示されている。阻害剤の特異性を反映する、反応性部位(PI)のアミノ酸残基は、下線が引かれている。

グアメリンの異なる変異体によるヒト好中球エラスターゼの阻害を示す。X軸には、P1の位置での変異体の残基が示され(metは野生型である)、ブランコ(blanco)は基質のみであり、最大(max)は、基質+エラスターゼである。バーは、培養開始後の時間を表す。y軸は測定されたA405−A540の差を与える。

異なる濃度におけるファシンの変異体によるカテプシンG阻害の阻害を示す。図2と同様に変異体およびY軸を示す。

グアメリンの変異体による様々なプロテイナーゼの阻害を示す。A:カテプシンG

グアメリンの変異体による様々なプロテイナーゼの阻害を示す。B:キモトリプシン

グアメリンの変異体による様々なプロテイナーゼの阻害を示す。C:エラスターゼ

グアメリンの変異体による様々なプロテイナーゼの阻害を示す。D:トリプシン

グアメリンの変異体による様々なプロテイナーゼの阻害を示す。E:プラスミン

グアメリンの変異体による様々なプロテイナーゼの阻害を示す。F:トロンビン

最近見つかったエラスターゼ阻害剤の1つは、ファシンであり、Nile leech Limnatis nilotica (De Bruin, E. et al., FEMS Yeast Res. 5:1069−1077, 2005;国際公開第96/13585号公報)に由来する。この公報において、ファシンは、ヒト好中球エラスターゼ(hNE)に特異的であり、プラスミン、トロンビン、tPA、手付かずの凝固因子VIIa、Xa、XIaおよびXIIaのような他の重要な血液由来のセリンプロテアーゼをそのままに残すプロテアーゼであることが実証されている。これは、本発明の理想的な候補になる。

さらに、ファシンはペプチド化合物であるが、組換え技術を用いて製造することが容易であり、それは非常に安定であることが証明された。アミノ酸配列(GenBank DQ097891.1)および前記アミノ酸配列(GenBank AAY85799.1)をコードするヌクレオチド配列は、図1に提供されている。De Bruin et al.,(supra)に示されているように、ファシンは、特定の距離に10個のシステイン残基を備えるコンセンサス配列C(X4)CS(X4)C(X4)CXC(X4)CL(X3)C(X6)DXNGC(X3)CXC(ここで、Xは任意のアミノ酸、C、L、N、GおよびCは、アミノ酸の命名法における通常の意味を有する)を有することによって、他のアンチスタシン型プロテイナーゼ阻害剤に類似する。

NEの特異性は、第6番目のシステイン残基の背後のロイシン残基に起因する。なお、上記コンセンサス配列を有するペプチドが本発明において使用され得、NE阻害作用を有することが提示されている。ファシンの次に、他のアンチスタシン型セリンプロテアーゼ(NE)阻害剤も本発明において使用され得る。例としては、グアメリン、ピグアメリン、ヒルスタシンおよびブデラスタシンである。これらの化合物のアミノ酸配列は、 グアメリン(Hirudo nipponia):vdenaedthg lcgektcspa qvclnnecac taircmifcp ngfkvdengc eypctca、 ピグアメリン(Hirudo nipponia):tdcggktcse aqvckdgkcv cvigqcrkyc pngfkkdeng ctfpctca、 ヒルスタシン(Hirudo medicinalis):tqgntcgget csaaqvclkg kcvcnevhcr irckyglkkd engceypcsc akasq ブデラスタシン(Hirudo medicinalis):fdvnshttpc gpvtcsgaqm cevdkcvcsd lhckvkcehg fkkddngcey acicadapq、である。

特に好ましいファシンの代替物は、変異したグアメリンであり、6番目のシステイン残基の後のメチオニン残基がロイシン残基:vdenaedthg lcgektcspa qvclnnecac tairclifcp ngfkvdengc eypctcaに変更されている。また、このような変異したグアメリンは化学的および生物学的酸化の両方に影響を受けず、さらにこの変異したタンパク質はまた野生型ファシン分子のようなNEの強い阻害剤でもあるようであるということが示されている(結果は示されていない)。上記で述べた他の分子はアルギニン残基(ピグアメリンおよびヒルスタシン)またはリシン残基(ブデラスタシン)である、この特定の残基(図1参照)のロイシン残基への変更は、NEへの改善した反応性を有し、且つ野生型タンパク質よりより安定した変異タンパク質を提供すると信じられている。

このように、6番目のシステイン残基の後にロイシン残基を有する変異タンパク質はまた、本発明の一部を形成する。

本発明において適用可能な変異体を研究しながら作製された他の変異体は、P1部位(つまり、第6番目のシステイン残基に続く残基)が変更された多くのファシン変異体を含む。いくつかの変異体は、P1=Arg、P1=Ile、P1=MetおよびP1=Valを用いて作製された。これらの変異体は、部位特異的突然変異誘発を介して作製した。ファシン−Ile(つまり、6番目のシステイン残基に続く残基はIleである)は、非常に特異的なエラスターゼ阻害剤であり、キモトリプシン、カテプシンGおよびプロテイナーゼ3を阻害しない。これは、この変異体が、特定のエラスターゼが特異的に肺気腫および乾癬のような要因を引き起こす病気のために非常に適していることを意味する。また、この変異体は、関節炎、歯肉炎、歯周炎、および、酵素ヒト好中球エラスターゼ(HNE)によって引き起こされる組織破壊に関連している他の炎症状態のために非常によく適し得るであろう。従って、本発明は、特に好中球エラスターゼに関連する炎症性疾患、具体的には肺気腫、歯周炎、関節炎などの治療のための治療化合物としてこのファシン−Ile変異体の使用をカバーする。これは、肺気腫および歯周炎の治療について、投与は好ましくは経口的であることが提示された。肺気腫の治療のための投与は、任意の吸入の形態で与えられ得るが、本明細書に記載されるようにe−タバコを介することが有利である。歯周炎にもe−タバコ送達が使用され得るが、化合物は、練り歯磨き、チューインガムまたは口腔中に化合物の放出する他の投与形態で提供されて得る。

その効果はファシン−Ile変異体および野生型ファシンよりも特定的ではないが、ファシン−Valおよびファシン−Met変異体もファシン−Ileについて上記示されたような同じ方法においてエラスターゼ阻害剤として用いられ得る。

第2の非常に有用なファシン変異体は、ファシン−Argである。この化合物は野生型ファシンとは1つのアミノ酸が異なるのみであるが、この化合物は特異的にはエラスターゼを阻害しない、しかし驚くべきことに、それはトリプシンの優れた阻害剤である(且つ、それは凝固因子Xa、XIaおよびXIIaをも阻害する)。これらの効果により、ファシン−Argは、凝固および線維素溶解の阻害に適するとみなされる。また、ファシン−Argは、膵炎の治療に使用され得る。ファシン−Argはまた他のファシン変異体よりも強なカテプシンG阻害剤でもある。これは、それが、カテプシンG阻害剤としても使用され得、炎症、特に、浮腫につながる炎症の治療または予防、光老化を治療または予防するのに有用であり得るであろうことを意味する。また、それは、ファシン−Argの抗血栓効果を高める。

上記議論したLeu変異体に次いで、グアメリンについては、他の変異体も、P1位置におけるIle、Arg、LysまたはVal(図1を参照)で作製された。野生型(P1位置でのMetを備える)はいつくかの影響を示すが、上述したようにLeu変異体はヒト好中球エラスターゼの阻害において最も有効であった。他の3つの変異体はあまり効果的でなかった。しかしながら、Arg変異体は、キモトリプシンの最良の阻害剤であるようであり、Leu変異体は2番目である。これら2つは、カテプシンGの最良の阻害剤であった。しかしながら、Lys変異体は、トリプシンおよびプラスミンの特異的阻害剤であることが証明され、他の変異体についてはグアメリン−Argのみがいくつかの影響を示す。トロンビンは、どの変異体によっても殆ど阻害されなかった。

さらに、COPDおよび肺気腫などの肺疾患の分野におけるエラスターゼ阻害剤の予め想定される適用は、肺気腫がすでに確立された後の適用が注目されている。シガレット中のエラスターゼ阻害剤の適用は、肺気腫の発症を予防するため、または肺気腫のさらなる進行を阻害することを意味することは明らかであろう。このように、本発明はまた、肺気腫の予防またはファシンによる肺気腫の進行の予防を提供する。

このような適用は、喫煙、特にシガレットの喫煙の有害な影響を予防または低減するために特に有用である。さらに、非喫煙者による取込に関して、喫煙者の肺のエラスターゼ阻害剤の取込は増加され得、このことは、このような治療を、喫煙の有害な影響に対処するのに非常に適したものとするのに役立つということが実証されている(Kozumi, F. et al., 1999, Clin. Pharmacol. Ther, 66:501−508)。

本発明によるNE阻害剤は、COPD、気腫および肺癌のような疾患を予防または治療するための吸入器に使用され得る。さらに、NE阻害剤の投与は、他の手段により肺が凝固される、または長時間機能が損なわれる状態で改善または緩和をもたらすために使用され得る。そのような状態は、細菌、若しくは、肺炎球菌属、ブドウ球菌属、インフルエンザ菌、緑膿菌、モラクセラ・カタラーリス、マイコプラズマ属、クラミジア・ニューモニエ、レジオネラ・ニューモフィラ、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、アデノウイルス、クラミジア属、アスペルギルス属などの他の微生物によって引き起こされる喘息、肺炎、または、風邪、石綿、または、大気汚染による肺組織の破壊または損傷を含む。理想的には、ファシンなどの、NE阻害剤の吸入は、特に吸入器または電子タバコ(electronic cigarette)(e−タバコ)を介した吸入を介して吸入することにより送達され得る。

喫煙者のために、本発明によるNE阻害剤、特にファシン、特に組換えファシンは、任意の考えられる方法で喫煙物品に含められ得る。まず第一に、組換え的にタバコ、またはシガレットに含まれる他の植物材料(大麻)中にペプチドを発現させることが可能である。このような組換え生産のために、ピキア・パストリス中で組換え発現を得るための実施例に用いられるのと同様の発現構築物が用いられ得、もちろんその後、植物における発現に適合され得る。

組換え核酸が植物細胞に転写され得る複数の方法、例えば、アグロバクテリウム媒介形質転換がある。しかしながら、ある者が以下の発明の実施を望む場合、アグロバクテリウム感染によるものの他に、効果的にレシピエント植物細胞へDNAを送達する他の手段がある。植物細胞にDNAを送達する適切な方法は、例えば、プロトプラストのPEG媒介形質転換などによるDNAの直接送達により、乾燥/阻害媒介DNA取り込み(Potrykus et al., Mol. Gen. Genet., 199:183−188, 1985)により、エレクトロポレーション(米国特許第5,384,253号明細書)により、炭化ケイ素繊維との撹拌により(Kaeppler et al., 1990; 米国特許第5,302,523号明細書および米国特許第5,464,765号明細書)、およびDNA被覆粒子の加速により(米国特許第5,550,318号明細書、米国特許第5,538,877号明細書、および米国特許第5,538,880号明細書)のように、細胞にDNAが導入され得る実質的に任意の方法を含むと信じられている。これらのような技術の適用を介して、実質的に任意の植物種から細胞が安定に形質転換され得、且つこれらの細胞はトランスジェニック植物に発展した。

アグロバクテリウム媒介転移が用いられた場合、A281株若しくはその派生株または本技術分野で利用可能な他の病原性株により例示されるような、A.ツメファシエンスのような実質的に病原性アグロバクテリウム宿主細胞を使用することが好ましい。これらのアグロバクテリウム株は、virB、virCおよびvirG遺伝子を含むTiプラスミドpTiBo542の病原性領域に由来するDNA領域を運ぶ。A.ツメファシエンスの毒性(vir)遺伝子生成物は、T−DNAの過程およびその植物細胞への転移を調整する。vir遺伝子発現は、virAおよびvirGにより制御され、それにより誘発信号の認知時におけるvirAがリン酸化によりvirGを活性化させる。virGは、virB、C、D、Eの発現を次々に誘発する。タンパク質のこれらの遺伝子コードは、DNAの転移に関与する。pTiBo542の強められた毒性は、このTiプラスミド上の高毒性系統virG遺伝子によって引き起こされると考えられている(Chen et al. Mol. Gen. Genet 230: 302−309, 1991)。

植物または植物細胞への核酸の転移後に、どの植物または植物細胞に前記核酸が供給されたのかが決定されなければならない。これは、例えば、選択可能なマーカーまたはレポーター遺伝子を使用することによって達成される。最も広くプラントで使用される選択マーカーまたは選択遺伝子のうち、形質転換は選択剤カナマイシンに対する耐性を付与する細菌のネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子(nptI、nptIIおよびnptIII遺伝子)であり、それは欧州特許第131623号明細書で提案され、ハイグロマイシン耐性を付与する細菌aphlV遺伝子は、欧州特許第186425号明細書で提案されている。欧州特許第275957号明細書は、除草剤フォスフィノトリシンに対する耐性を付与するStreptomyces viridochromogenesからのアセチルトランスフェラーゼ遺伝子の使用を開示している。除草剤グリホサートに対する相対的耐性を付与する植物遺伝子は、欧州特許第218571号明細書に提案されている。耐性は、N−ホスホメチルグリシンに対して比較的耐性である5−エノールシキメート−3−ホスフェートシンターゼ(EPSPS)をコードする遺伝子の発現に基づいている。例えば、リシン、スレオニン、またはリシン誘導体アミノエチルシステイン(AEC)および5−メチルトリプトファンのようなトリプトファン類似体などの特定のアミノ酸は、高濃度で適用した場合、細胞増殖を阻害するそれらの能力により選択剤として使用され得る。この選択システム下で、選択可能なマーカー遺伝子の発現は、選択の下トランスジェニックの増殖を許容するトランスジェニック細胞によるアミノ酸の過剰生産をもたらす。レポーター遺伝子の適切な例としては、β−グルクロニダーゼ(GUS)、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼおよび緑色蛍光タンパク質(GFP)である。あるいは、形質転換体は、ファシンをコードする核酸または前記ヌクレオチド配列を発現させるファシンタンパク質の存在をアッセイすることによって検出され得る。

アグロバクテリウム形質転換に代わるものとして、KoscianskaおよびWypijewski(2001, Acta Biochim. Polon. 48−3:657−661)は、レポーター緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現するプラスミドの発現によって例示されるように、無傷のBY−2タバコ培養細胞のためのエレクトロポレーションアプローチを提示した。エレクトロポレーション手順は、30μgのプラスミドの存在下で、5mMのCaCl2、10mMのNaCl、8.7%のグリセロール、0.4Mのスクロース、および10mMのパイプ緩衝液(pipes buffer)を含む、pH6.8の緩衝系において、15〜20分間の細胞の原形質分離を誘発することからなる。次いで、細胞を真空に供した後、80μs続く2kV/cmでのパルスを印加することによってエレクトロポレーションに供される前に、それらを氷上でインキュベートした。電気パルス後、氷上で10分間、室温で10分間、細胞をインキュベートした後、3段階で0.4Mから0.05Mまでスクロース濃度を低減させるために、スクロースが無いBY培地を加えることによって細胞を脱原形質分離した。次いで、脱原形質分離された細胞をBY培地に移し、数日後にGFP発現をモニターした。細胞の生存率は、エレクトロポレーション後70%であり、数日後に減少したが、トランスフェクション効率は50%と決定された。したがって、この手順においてDNAを導入するための処置は、細胞の生存率および再生能力に対する負の影響を有する。

よりエレガントな方法は、緑豆および大豆根の無傷の根にGFPタンパク質およびGFP発現ベクターの両方を送達するためのポリアルギニン系ペプチドを使用したChen, C.−P. et al.(2007, FEBS Lett. 581:1891−1897)により提案されている。この実施例において、担体としてノナ−Argペプチドが製造され、37℃で30分間、全体積50μlのPBSにおいて10μgのプラスミドとともに10μgがプレインキュベートされた。その後、緑豆および大豆の根は、DNA−ペプチド溶液中に30分間浸漬され、その後洗浄された。GFPの発現をモニターし、発現が全根のあらゆるところで処置後24時間および48時間の間に起こることが示された。

本発明によるエラスターゼ阻害剤をコードする核酸を発現するためのさらなる代替方法が使用され得る。

ファシンがタバコや大麻において組換え的に製造されている場合、このタバコまたは大麻は、他のタバコと配合することによって、またはそれ自体を使用することによってのいずれかで、シガレットに含まれるように使用され得る。また、エラスターゼ阻害剤の溶液中にタバコを浸漬した後、タバコを乾燥することによってタバコまたは他の喫煙材料にそれは添加され得る。

本発明によるファシン、または他のエラスターゼ阻害剤は、また、シガレットに巻くために使用されるシガレット紙に含まれ得る。この目的のために、シガレット紙は、ファシン、例えばトランスジェニック米を発現することができる組換え植物からのパルプから製造され得、またはファシンは、シガレット紙を用意する工程の間にパルプに添加され得る。あるいは、ファシンは、製造後およびシガレットに巻く前にシガレット紙上にコーティングされ得る。

さらに、エラスターゼ阻害剤は、前記材料の調製の間に喫煙材料に添加され得る。このために、これは、タンパク質粉末として、または担体材料中へのカプセル化のいずれかとして、タバコと配合され得る。また、これは、フィルタシガレット中のフィルタ材料に添加され得る。実験の項では、シガレットのフィルタへのアクリルビーズを含有するrファシンの挿入が、被験者の肺機能の有意な改善を生じたことが示されている。また、エラスターゼ阻害剤は、阻害剤の溶液に前記材料を浸漬させ、シガレットフィルタの製造前に乾燥させることでフィルタ材料に含まれ得る。

最後に、前記阻害剤が放出される材料またはパイプを通じて煙が吸入される場合、エラスターゼ阻害剤は、(シガレット)煙と同時に吸入され得る。これは、追加のフィルタ材料であり得るが、使用者により、例えば、喫煙を開始する前にシガレットパイプに適用させて、ゆっくりとエラスターゼ阻害剤を放出させる担体材料であり得る。

もちろん、エラスターゼ阻害剤が含まれる喫煙物品は、シガレット、シガー、シガリロ、パイプ、ジョイント、水パイプまたは他の喫煙材料などの任意の喫煙物品であり得る。タバコは最もよく使用されるため、肺疾患の原因で最も関連するものと考えられてきたので、好ましくは、喫煙物品はシガレットである。

喫煙材料に使用されるエラスターゼ阻害剤は、好ましくはファシンであり、より好ましくは組換えファシンである。ファシンは、高い熱安定性を有し、熱い煙によって分解しないという大きな利点がある。1つの試験でファシンは、融解曲線の出現なしに123℃まで熱せられた。この高温処理後、タンパク質は失活しなかった。エラスターゼ阻害剤は、喫煙材料1kgにつき0.001から100mgの濃度で前記喫煙物品において存在し得るが、好ましくは、喫煙材料1kgにつき0.001から50mgの濃度である。我々の実験から、最小発育阻止濃度(MIC)は、15分あたり4μg/100万PMNであるようだ。しかしながら、MICは、疾患の重大さに大きく依存するので、異なる量のエラスターゼ阻害剤を有する喫煙材料を使用することが可能である。このように、喫煙材料のいくつかのグレード(軽−中−強)が提供され得、そのすべてがタバコの煙の影響を治療または予防に十分な適量のエラスターゼ阻害剤を有する。

エラスターゼ阻害剤はまた、例えば、通常、気管支、細気管支または肺胞への医薬化合物の投与のために使用される標準的な吸入器または気化器の使用により、煙を吸入することなく、肺に適用され得る。この程度では、エラスターゼ阻害剤、好ましくはファシンまたはグアメリン−Leuは、乾燥粉末中または溶液中のような任意の許容可能な医薬製剤の形態で前記吸入器に存在し得る。エラスターゼ阻害剤を含む溶液または懸濁液がエアロゾルを形成し得る溶液である気化器を含む吸入器が特に好ましい。全身治療効果を生む効率的なエアロゾル送達のための重要なパラメータは、エアロゾル雲の粒径分布である。製剤が懸濁液の形態である場合、雲の粒子サイズは、懸濁薬剤の粒子サイズによって支配される。製剤が溶液の形態である場合、懸濁した薬剤粒子の容積寄与は無く、主に溶液中の薬剤濃度によって規定される、非常に微細な液滴の雲が生成される。キャピラリーに誘導されるように薬剤がエアゾール吸入器を介して肺に送達されたとき、粒子は、肺に送達されるほど、且つ吸入時に血流中に吸収されるほど小さく、例えば、約0.5μmおよび2.5μmの間で有利に構成されたサイズである。粒子が0.5μm未満だと、それらが再び吐き出されるので治療上有用ではない。当業者が、吸入器または気化装置において使用される本発明のエラスターゼ阻害剤を備える有効な医薬製剤を生産できるであろうことが提示される。

これらの多かれ少なかれ薬用吸入器および気化器に次いで、本発明のエラスターゼ阻害剤は、空気を加湿または空気に香りをもたらすために使用される気化器に含まれ得る。このような場合、エラスターゼ阻害剤の濃度を低くし得る。住宅での空気の連続リフレッシュは、その後空気中で少量のエラスターゼ阻害剤の一定の存在を可能にし、従って住宅の居住者への一定の吸入投与量を可能にする。もちろん、そのような使用は、住宅に限定されず、それはまた、車、店、オフィス、公共の建物などに適用され得る。

吸入器の1つの特定の形態は、電子タバコやe−タバコである。e−タバコまたは個人用気化器(PV)は、煙に似たエアロゾルを生成することにより、タバコの喫煙をシミュレートする電荷動力供給気化器である。これは、e−液体として知られている液体溶液を気化する噴霧器として知られている発熱体を概して使用している。E−液体は、通常、プロピレングリコール、植物性グリセリン、ニコチン、および香味料の混合物を含むが、ニコチンなしの風味付の蒸気を放出しるものもある。エラスターゼ阻害剤は、E−液体に溶解し、吸入のために生成されたエアロゾルに含まれ得るので、本発明にとって、e−タバコは非常に有利に使用される。溶液は、多くの場合、ボトルか、予め充填された使い捨てカートリッジか、自分のE−液体を作るための消費者用キットとして販売されている。コンポーネントは、個別にも利用可能であり、消費者は、その味、ニコチンの強さ、または様々な提供品の濃度を選択したり、変更したり、増強させたりすることができる。

個人用気化器において、噴霧器システムは、e−液体保持部として機能する液体浸漬ポリ発泡体により囲まれた噴霧器からなる、いわゆる「カートマイザー(cartomizer)」の形態で表され得る。カートマイザーは、それら自体で、またはより多くのe−液体容量を可能にするタンクと一緒に使用され得る。タンク内で使用される場合、カートマイザーは、プラスチック、ガラスまたは金属の管に挿入され、穴またはスロットが、液体がコイルに到達できるようにカートマイザーの両側にパンチされなければならない。クレアロマイザー(clearomizer)または「クレアロス(clearos)」は、カートタンク(cartotank)とは異なり、噴霧器が挿入された透明なタンクを使用していない。しかし、カートタンクとは異なり、ポリ発泡材料はそれらの中に見られない。コイルをあふれさせることなく、芯の良好な湿潤を確保するためにクレアロマイザーの内部に採用される異なるウィッキングシステムが沢山ある。いくつかのものは芯およびコイルアセンブリ(例えば、ボトムコイルクレアロマイザー)にe−液体を運ぶ重力に依存するが、他のものは毛細管現象に依存し、ある程度はクレアロマイザー(トップコイルプレアロマイザー)を扱う間にユーザーがe−液体を撹拌する。再構築可能な噴霧器またはRBAは、既製の噴霧器「ヘッド」により芯およびコイルを置き換える代わりにユーザーが芯およびコイル自体を組み立てまたは「構築」し得る噴霧器である。それらはまた、ユーザーが任意の所望の電気抵抗で噴霧器を構築することを可能にする。噴霧器を「再構築」するために必要な材料は、予め組み立てられた入れ替え可能なクレアロマイザーとなる芯およびコイルアセンブリよりも通常はるかに安価である。これらの再構築可能な噴霧器は、2つの主要なカテゴリに分けられ、再構築可能なタンク噴霧器(RTA)と再構築可能な滴下噴霧器(RDA)である。

再構築可能なタンク噴霧器またはRTAは、それらが、液体を保持または液体をコイルにもたらすためのタンクまたは容器を使用する点でクレアロマイザーに似ている。それらは通常、それらのRDAの片われよりもはるかに多くのe−液体を保持する。

一方、再構築可能な滴下噴霧器またはRDAは、収容部を欠き、RTAに比べて非常に少ない液体を保持するが、通常はかなり小さい。それらは、通常、1以上のコイルを収容し得る噴霧器「ビルディングデッキ」およびマウスピースが装着され得るコイルをカバーする「トップキャップ」のみからなる。ユーザーが、裸の芯とコイルアセンブリ上に液体を滴下することにより、手動で噴霧器を湿潤状態に維持させる必要がある。

実施例1 組換えファシンの生成および特性評価 ファシンの生産及び精製は、De Bruin, E. et al., FEMS Yeast Res. 5:1069−1077, 2005に記載のように実施された。まとめると、合成ファシン遺伝子は、ホストピキアパストリスのために最適化されたコドンを使用して、4つの長いオリゴヌクレオチドのオーバーラップエクステンションPCRにより構築された。

FA−1: 5’−GGGGTATCTCTCGAGAAAAGAGACGACAACTGTGGTGGTAAGGTTTGTTCTAAGGGTCAA−3’

FA−2: 5’−AATCAAACATCTAATTGAGTACACTCACAGTGACCGGTCGTGACACAATTGACCCTTAGAACAAAC−3’

FA−3: 5’−CCAATTAGATGTTTGATTTTCTGTCCAAACGGTTTCGCTGTTGACGAGAACGGTTGTGAG−3’

FA−4: 5’−GCTGGCGGCCGCTCATTGGTGCTTACAAGAACATGGCAACTCACAACCGTTCTCGTC−3’

pGEMTイージークローニングキット(Promega,Madison,WI,米国)およびその後のDNA配列を用いたPCR生成物のクローニング後、適切な遺伝子をXhoIおよびNotI制限エンドヌクレアーゼ(Invitrogen,Carlsbad,CA,米国)を用いて、ピキアベクターpPIC9にクローニングした。

P.パストリスGS115(his4, see Cregg, J. et al., Mol. Cell. Biol. 5:3376−3385, 1985)は、エレクトロポレーションにより形質転換された。形質転換の前に、プラスミドpPIC9ファシンが、SalI(Invitrogen)で線状化された。30℃で選択プレート上で3日間増殖させた後、いくつかのコロニーが、ベクタープライマー

(Invitrogen)を用いてPCR確認のために選択された。

P.パストリス形質転換体を製造するrファシンの選択後、発酵が、0.2%(v/v)のPTM1トレース塩(Invitrogen)を補充した最小の基礎塩培地中の5リットルBioFlo3000発酵槽(New Brunswick Scientific,Edison,NJ,米国)で実施された。メタノール流加発酵(Potter, K. et al., Protein Expr. Purif. 19:393−402, 2000)が実施され、rファシンが、pH8.0の20mMトリス緩衝液に対して一晩透析を用いて発酵ブロスから精製された。rファシンは、SPセファロースFFカラム上での陰イオン交換クロマトグラフィーを用いて分離され、Aktaエクスプローラー(GE Healthcare)でクエン酸緩衝液(20mM、pH4.0)中の1MのNaClを用いて溶出された。発色アッセイを用いて、NEにクロマトグラフィー画分を含むrファシン活性が測定され、活性画分がプールされ、続いてNaClを除去するために、20mMのTris−HCl、pH8.0に対して透析された。Qセファロースファーストフロー、またはQセファロース高性能での最後の陰イオン交換クロマトグラフィー工程において、HPLC(C8逆相)により決定される、実質的な純粋(>90%)が得られた。

rファシンのいくつかの特性が測定された。 胃腸通過中に遭遇する条件を模倣するため、0.32%(w/v)ペプシンおよび10mMのHClの溶液でのrファシンのインキュべションは、rファシンが完全に不活性化されることが示された。 10mMのHCl(pH2.0)だけでのrファシンのインキュベーションは、活性に影響を与えなかった。従って、不活性化はペプシンにより引き起こされ、これは10倍小さい用量でもrファシンの完全不活性化し得た。 rファシンは、非常に熱安定である。1時間123℃加熱後、rファシンは、NE阻害活性を失わなかった。この特性は、(シガレット)の煙による送達に非常に適している。 pH安定性。pH2.0、4.0、6.0、8.0または10.0、60℃で48時間インキュベーション後、特定の活性が失われていないようである。 DDTの等モル濃度でのファシンのインキュベーションは、rファシンの特異的活性を低下させた。 rファシンは、NEの天然ヒト拮抗薬、α1−アンチトリプシン(AAT)と同様に、rファシン−NE複合体の形成によりNEを阻害する。しかしながら、AAT−NE複合体とは対照的に、rファシン−NE複合体は、任意のプロ炎症活性を示さず、おそらくすぐに体内から除去されない。 rファシンは、AATとは対照的に、化学的および生物学的酸化に対して耐性する。これは、COPDを併発するもののように、慢性炎症の間に多くの活性化された好中球が存在するので、反応性酸素種(ROS)の形成を引き起こすという重要な利点である。さらに、rファシンは、煙中の酸素や活性化合物による化学的酸化の影響を受けない。 rファシンは、f−MLP(N−ホルミル−メチオニル−ロイシル−フェニルアラニン)での好中球の刺激により放出されるヒトのNEを中和することが可能である。rファシンは、例えば患者の歯肉流体のような、ex vivoでエラスターゼ活性を中和することも可能である。また、rファシンは、この歯肉流体内で72時間まで安定しているようである。

実施例2 精製されたファシンを用いたin vitro細胞毒性試験 L−929マウス線維芽細胞(BioWhittaker、#3C0840)が、液体窒素中で凍結ストック培養物として保存された。実験のために、それらは、熱不活性化ウシ血清(10%v/v)、非必須アミノ酸(1%v/v)、L−グルタミン(2mM)およびゲンタマイシン(50μg/ml)を補充されたダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中で増殖された。細胞は、37℃での加湿インキュベーター中で日常的に培養された。

近コンフルエントL−929細胞培養物が、トリプシン処理により回収され、培養培地に再懸濁された。細胞の数は、ビルケルチュルク計数チャンバーを用いて計数された。

組換え的に生産されたタンパク質の4つの試験試料(いずれも2つの異なる方法の精製された2形態のrファシン)は、フリーズドライされ、500μl培地に溶解して使用する前に、約1.59〜3.64mg/mlの濃度が得られ、滅菌され且つシリアル希釈された。

細胞毒性の決定は、MTTアッセイ(Mosmann, T., J. Immunol. Meth. 65:55−63, 1983)を用いて行われた。このアッセイは、MTTをそれに対応するMTTホルマザン生成物まで減少させるそれらの代謝能力を評価することによって、細胞の生存率を決定する。まとめると、細胞は、0.5mgのMTT/mlを含む100μlの培地で1時間インキュベートされた。インキュベーション後に、MTT培地が慎重に除去され、MTTホルマザン生成物を1mlのDMSOを用いて少なくとも1時間抽出された。吸光度を、バイオラッドマルチウェルプレートリーダーを用いて、540nmの波長および655nmの参照波長で測定した。rファシン無しの陰性対照培地が用いられ、一方で陽性対照として、0.1%SDSの溶液が適用された。

4つの試験試料および対照の結果は、いずれの組換えファシン試料も細胞傷害性効果を誘発しなかったことを示した(表1に示されたファシンの唯一の最高濃度)。また、L−929細胞の形態的変化は認められなかった。

実施例3 肺機能に対するファシンの喫煙の影響 ファシンが含まれているシガレットを喫煙している間、14名、44から71歳の8名の男性と44から69歳の6名の女性とが追従された。この試験について、ファシン含有シガレットは、水に組換えファシンを溶解すること、およびアクリルビーズ中でこの溶液をパッケージ化することにより調製された。アクリルビーズは、ミニメスおよびピンセットを用いて、通常のシガレットのフィルタ材料に手動で挿入された。これは、約0.04μg/シガレットのシガレット当たりのファシンの量をもたらした(MICの10倍、1200シガレット/kg喫煙材料)。

実験対象の喫煙習慣を1日約10から約25本のシガレットまで変化させた。実験の開始時と実験開始後4、6および12週目において、参加者の肺機能は、FEV1試験(Donahue, J.F., COPD 2:111−124, 2005)を用いて試験された。このFEV1は、喘息モニター(Asma−1,Vitalograph,Buckingham,英国)を用いて測定された。すべての対象は、実験の開始前に何年間も喫煙しており、彼らの肺機能は同じ年齢および性別の人の正常とみなされるものよりもすでに衰えているようであった。表2から分かるように、FEV1値は、ファシン含有シガレットを喫煙している時間に渡って概して改善し、16%の平均増加が見られた。

シガレットの煙により熱せられた後にファシンがまだ活性していることも示す。

実施例4 ファシン変異体 P1位置(例えば、第6番目のシステイン残基後のLeu残基)に異なるアミノ酸を備えるファシンは変異体、組換えファシン(実施例1、P.パストリスGS115)を製造するために使用された株で部位特異的変異誘発を介して製造された。それらは、他の(セリン)プロテイナーゼの活性を試験するためのいくつかのタンパク質アッセイで試験された。例として、カテプシンGに対するこれらの変異体の効果は、図3に示される。

実施例5 グアメリン変異体 酵母菌株を発現するグアメリンおよびグアメリン変異体は、ファシンと同じ方法で製造された。グアメリンLys変異体が、エラスターゼ(図2および図4C)を強く阻害することが示された。図4において、6つの異なるプロテイナーゼに対するグアメリンおよびその変異体の阻害効果の要約が示されている。

これらのアッセイについて、PBS/0.2%Tween20中の25μlの変異体試料または同じ溶媒中のその希釈物は、37°Cで60分間、25μlのプロテイナーゼでプレインキュベートされた。次いで、適切な基質が加えられ(50μl)、混合物を、37℃で、1時間(エラスターゼ、トリプシン)、2時間(カテプシンG、キモトリプシン、トロンビン)または4時間(プラスミン)反応させた。

インキュベーションの後、吸光度を405および540オングストロームで測定し、これらの値の差は、図4AからFにプロットされた。

(付記) (付記1) 肺気腫、COPDおよび肺癌の群から選択される、肺疾患の予防に使用されるファシン。 (付記2) 吸入を介して、特に、煙、より具体的にはタバコの煙の吸入を介して、肺疾患、特に肺気腫の治療または予防に使用されるファシン。 (付記3) 肺気腫の治療または予防に使用される、e−タバコを含むシガレット、パイプタバコ、シガーまたはジョイントのような喫煙物品。 (付記4) 前記物品が、ファシン、グアメリン、ピグアメリン、ヒルスタシン、ブデラスタシン並びに第6番目システイン残基の後にロイシン残基を含む、グアメリン、ピグアメリン、ヒルスタシンおよびブデラスタシンの変異体の群から好ましく選択されるエラスターゼ阻害剤を含む、付記3に記載の喫煙物品。 (付記5) 前記エラスターゼ阻害剤は、配合としてまたはタバコ若しくは大麻により発現されるタンパク質として、前記タバコまたは大麻に含まれる、付記4に記載の喫煙物品。 (付記6) 前記シガレットは、フィルタシガレットまたはe−タバコであり、前記エラスターゼ阻害剤はフィルタに存在する、付記4に記載の喫煙物品。 (付記7) 前記喫煙物品は、シガレットまたはジョイントであり、前記エラスターゼ阻害剤はシガレット紙に存在する、付記4に記載の喫煙物品。 (付記8) 前記エラスターゼ阻害剤は、組換え技術によって製造されたファシンである、付記4から6のいずれかに1つに記載の喫喫物品。 (付記9) エラスターゼ阻害剤、好ましくはファシンを含む、トランスジェニックタバコまたは大麻。 (付記10) 付記9に記載のトランスジェニックタバコまたは大麻を含むシガレット。 (付記11) 付記3から8のいずれか1つに記載の喫煙物品を喫煙することを含む、肺気腫、COPD若しくは肺癌を予防若しくは低減する、または肺の状態を改善する方法。 (付記12) ファシン、グアメリン、ピグアメリン、ヒルスタシン、ブデラスタシン並びに第6番目システイン残基の後にロイシン残基を含む、グアメリン、ピグアメリン、ヒルスタシンおよびブデラスタシンの変異体の群から好ましく選択され、より好ましくはファシンである、エラスターゼ阻害剤を吸入することを含む、肺気腫、COPD若しくは肺癌を予防若しくは低減する、または肺の状態を改善する方法。 (付記13) エラスターゼ阻害剤を投与することにより、好ましくは吸入により前記阻害剤を投与することにより、喫煙者の肺機能を改善する方法。 (付記14) 前記吸入は煙の吸入であって、前記煙は前記阻害剤を含む、付記13に記載の方法。 (付記15) 前記吸入はe−タバコを介した吸入である、または前記煙はe−タバコにより生成される、付記13または14に記載の方法。 (付記16) 前記エラスターゼ阻害剤は、ファシン、グアメリン、ピグアメリン、ヒルスタシン、ブデラスタシン並びに第6番目システイン残基の後にロイシン残基を含む、グアメリン、ピグアメリン、ヒルスタシンおよびブデラスタシンの変異体の群から選択される、付記13から15のいずれか1つに記載の方法。 (付記17) 第6番目システイン残基の後に、ロイシン、アルギニン、イソロイシン、リシン、またはバリン残基を含む、グアメリンの変異体。 (付記18) 第6番目システイン残基の後に、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、リシン、またはバリン残基を含む、ピグアメアリンの変異体。 (付記19) 第6番目システイン残基の後に、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、リシン、またはバリン残基を含む、ヒルスタシンの変異体。 (付記20) 第6番目システイン残基の後に、ロイシン、アルギニン、イソロイシン、メチオニン、またはバリン残基を含む、ブデラスタシンの変異体。 (付記21) 第6番目システイン残基の後に、アルギニン、イソロイシン、メチオニン、リシン、またはバリン残基を含むファシンの変異体であって、好ましくは前記変異体はアルギニン残基を含む、ファシンの変異体。 (付記22) 治療に使用される、好ましくは膵炎、炎症、浮腫、光老化若しくは血栓症の治療または予防のための、付記21に記載のファシンの変異体。

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