生物的防除

申请号 JP2014560338 申请日 2013-03-05 公开(公告)号 JP6363023B2 公开(公告)日 2018-07-25
申请人 オキシテック リミテッド; 发明人 アルフェイ ルーク;
摘要
权利要求

節足動物雄性生殖系列におけるエフェクター遺伝子の条件的発現に適した遺伝子発現系であって、該系は、 − エフェクター遺伝子およびそこに作動可能に連結したそのプロモーターを含む第1の発現単位と、 − 転写因子のコード配列およびそこに作動可能に連結した上流調節エレメントを含む第2の発現単位であって、該転写因子が、第1の発現単位におけるプロモーターに作用して、該エフェクター遺伝子の発現を駆動することができ、該上流調節エレメントが、 − 転写因子のプロモーター、ここで、該プロモーターはtopi、alyもしくはベータ−2チューブリン(B2T)またはこれらのホモログ由来である、および − 転写因子コード配列の開始部位に隣接する5’UTR、ここで、該5’UTRはtopi、aly、ベータ−2チューブリン(B2T)もしくはhsp83またはこれらのホモログ由来である、 を包含する、第2の発現単位と を含み、 該上流調節エレメントが、転写因子タンパク質が続いて、減数分裂前に節足動物雄性生殖系列においてエフェクター遺伝子の転写を駆動するように、該転写因子の十分な発現を駆動し、 ここで、該節足動物雄性生殖系列から産生される精子は卵に進入または接触して他の精子を排除することができ、および該エフェクター遺伝子は、卵に受精して生存可能な接合子を産生する精子の能に、減数分裂後に、有害効果を有するエフェクタータンパク質をコードする。転写因子が、転写活性化因子である、請求項1に記載の遺伝子発現系。エフェクターが、エンドヌクレアーゼである、請求項1または2に記載の遺伝子発現系。第1の発現単位のプロモーターが、ミニマルプロモーターである、請求項1〜3のいずれかに記載の遺伝子発現系。第2の発現単位の上流調節エレメントにおける5’UTRが、標的節足動物に見出されたhsp83由来である、請求項1〜4のいずれかに記載の遺伝子発現系。該系がGal4−UAS系を含み、および転写因子がGAL4またはGAL4−VP16である、請求項1〜5のいずれかに記載の遺伝子発現系。該系が、テトラサイクリンまたはドキシサイクリンを包含するそのアナログの1つの提供または不在により誘導が起こる誘導性の系である、請求項1〜5のいずれかに記載の遺伝子発現系。第2の発現単位における転写因子が、tTA、tTAV、tTAV2またはtTAV3である、請求項7に記載の遺伝子発現系。第2の発現単位の転写因子が、tTAまたはバリアントであり、第1の発現単位が、tetオペレーター(tetO)を包含する、請求項1〜5、7および8のいずれかに記載の遺伝子発現系。節足動物が、昆虫である、請求項1〜9のいずれかに記載の遺伝子発現系。エフェクターが、ジンクフィンガーヌクレアーゼであり、父性致死性効果を付与するまたは授ける、請求項1〜10のいずれかに記載の遺伝子発現系。請求項1〜11のいずれかに記載の発現系で雄節足動物の生殖腺を形質転換することを含む、生殖腺または精子においてエフェクタータンパク質を発現させる方法。雄節足動物の生殖腺において請求項1〜11のいずれかに記載の発現系のエフェクタータンパク質を発現させることを含む、個体数調節の方法。請求項1〜11のいずれかに記載の発現系の使用を含む、抵抗性管理の方法、ここで、該方法は、前記遺伝子発現系の致死効果に対する節足動物の抵抗性を管理する。系からの発現が誘導または抑制解除された個体が、適した光の波長下で可視可能になるような、請求項1〜11のいずれかに記載の発現系におけるエフェクタータンパク質としてまたはこれに加えてレポーターを包含することを含む、前記発現系に由来する遺伝子発現の品質を管理する方法。雌節足動物の交配状態を決定する方法、ここで、該方法は、 請求項1〜11のいずれかに記載の発現系を含むトランスジェニック雄集団が、該雌節足動物と交配することを許すこと、ここで、前記系が、前記トランスジェニック雄集団の精子において検出可能なマーカーを含み;および、 該雌における前記マーカーの存在に関して分析すること、該マーカーの存在が、雌が、前記系を保有するトランスジェニック雄と交配したことを示す、 を含む。前記節足動物が、農業的有害生物または病原媒介物である、請求項1〜11のいずれかに記載の遺伝子発現系。前記節足動物が、チチュウカイミバエ(セラティティス・カピタタ(Ceratitis capitata))、メクスフライ(アナストレファ・ルーデンス(Anastrepha ludens))、東洋ミバエ(ミカンコミバエ(Bactrocera dorsalis))、オリーブミバエ(バクトロセラ・オレアエ(Bactrocera oleae))、ウリミバエ(バクトロセラ・ククルビタエ(Bactrocera cucurbitae))、ナタールミバエ(セラチチス・ローザ(Ceratitis rosa))、サクラミバエ(ラゴレティス・セラシ(Rhagoletis cerasi))、クインスランドミバエ(バクトロセラ・チロニ(Bactrocera tyroni))、モモミバエ(バクトロセラ・ゾナータ(Bactrocera zonata))、カリブミバエ(アナストレファ・サスペンサ(Anastrepha suspensa))および西インドミバエ(アナストレファ・オブリカ(Anastrepha obliqua))からなる群より選択されるミバエ科ミバエ(Tephritid fruit fly)である、請求項1〜11および17のいずれかに記載の遺伝子発現系。前記節足動物が、ステゴミア属(Stegomyia)、ヤブカ属、ハマダラカ属またはイエカ属の属由来の蚊である、請求項1〜11および17のいずれかに記載の遺伝子発現系。前記節足動物が、ラセンウジバエ(screwworm)またはヒツジキンバエ(Australian sheep blowfly、ルシリア・クプリナ(Lucilia cuprina))である、請求項1〜11および17のいずれかに記載の遺伝子発現系。前記節足動物が、コドリンガ(シディア・ポモネラ(Cydia pomonella))、カイコ(ボンビックス・モリ(Bombyx mori))、ワタアカミムシガの幼虫(pink bollworm、ペクチノフォラ・ゴシピエラ(Pectinophora gossypiella))、ダイアモンドバックモス(コナガ(Plutella xylostella))、マイマイガ(リマントリア・ジスパー(Lymantria dispar))、ネーブルオレンジワーム(アミエロイス・トランシテラ(Amyelois transitella))、ピーチツイッグボーラ(アナルシア・リネアテラ(Anarsia lineatella))、ニカメイガ(トリポリザ・インセルツラス(Tryporyza incertulas))、およびヤガ科(noctuid)の蛾からなる群より選択される鱗翅類である、請求項1〜11および17のいずれかに記載の遺伝子発現系。前記節足動物が、マメコガネ(ポピラ・ジャポニカ(Popilla japonica))、シロヘリクチブトゾウムシ(グラフォグナツス属(Graphognatus spp.))、ワタミゾウムシ(アントノモウス・グランジス(Anthonomous grandis))、コーンルートワーム(ディアブロティカ(Diabrotica spp.)およびコロラドハムシ(レプチノタルサ・デセムリネアタ(Leptinotarsa decemlineata))からなる群から選択される鞘翅目である、請求項1〜11および17のいずれかに記載の遺伝子発現系。第3の発現単位を更に含む、請求項1〜11および17〜22のいずれかに記載の遺伝子発現系、 ここで、該第3の発現単位は、前記節足動物において発現される異種性コード配列、該異種性コード配列に作動可能に連結したプロモーター、およびスプライシング制御配列を含み、 該スプライシング制御配列は、スプライセオソームと協力して、異種性コード配列のRNA転写物の選択的スプライシングを媒介する。前記異種性コード配列が、致死性、有害性または不妊性効果を有するタンパク質をコードする配列、および/または、選択可能なマーカーをコードする配列を含む、請求項23に記載の遺伝子発現系。前記選択的スプライシングの媒介が、性特異的媒介である、請求項23または24に記載の遺伝子発現系。

说明书全文

本発明は、節足動物、特に昆虫において不妊性だが競合性の精子を提供することのできる発現系ならびに前記節足動物の生物的防除(個体数調節(population control))、品質管理(quality control)および性選択の方法におけるその使用に関する。

本来、世界のある地域に固有のものであった経済的に重大な害虫が、今日では、国際貿易や人々の移動によって広く分布している。係る有害生物は、大集団に発達し、世界中で果実および野菜に損害的を与えつつ蔓延している。有望な防除法は、餌入りスプレー(baited spray)、直接的な殺虫剤散布、生物学的防除、総合的有害生物管理(IPM)アプローチおよび不妊虫放飼法技術(SIT)(Malacridaら、2007)等の多岐にわたる。しかし、現在の防除法は、化学的殺虫剤の使用に圧倒的に依存する。直接的および餌入りスプレーは両者共に、ミツバチの衰退による授粉の低下を引き起こす可能性および動物またはヒトの中毒の可能性がある。他方では、SITは、環境に優しく、種特異的な有害生物防除法である。これは、大量飼育と、不妊化と、野生雌と交配する多数の不妊雄の放出に依存し、次世代の野生集団の減少を引き起こす(Dyckら、2005;Knipling、1955)。十分な不妊雄が十分な時間放出されると、標的集団は崩壊する。

SITは、標的有害生物種を不妊化するための放射線照射に依存するが、この操作は、放出された昆虫にマイナスの影響を与え得る(Alphey、2002;Alphey、2007;Alpheyら、2007)。放射線は、配偶子のみならず昆虫の全細胞に影響するため、放出された昆虫に対するある程度の損傷は不可避であり、その性能(例えば、長寿命または交配競合性)に潜在的にマイナス効果を有する。放射線不妊化は、発生ステージ後期に行われる必要があり、放出の選択肢を限定する。また、放射線照射機器は、比較的大型でかつ(入手および操作に)コストがかかり、一部のプログラムに望ましくない可能性のあるある程度の集中化を課す傾向がある。最後に、これまでSITプログラムの大黒柱であった同位体に基づく照射器は、これらの機器における相当量の放射性同位体の存在に関する安全上の懸念のため、支持を失いつつある。

特に蚊に対して、放射線に代わるものが過去に試みられてきた。その例として、化学的不妊化および細胞質不和合(CI、ボルバキア属(Wolbachia)により誘導)による不妊化が挙げられるが、これらはそれぞれ独自の不利益を有する。不妊化剤は、毒性または変異原性化合物である傾向があり、作業従事者および環境への安全性に対する懸念を招く。ボルバキア属に基づく系は、野生における均等なボルバキア属感染雌の完全な欠如に依存し、そのような状況は有り得ない上に、このような雌が放出されないことを必要とする。このように厳密な性分離は、達成が困難なものとなり得る。現在のSITプログラムに関連する上述および他の問題は、組換えDNA方法の使用により克服することができる(Morrisonら、2010;Franz&Robinson、2011)。

優性致死遺伝子保有昆虫放飼法(Release of Insects carrying Dominant Lethals)(RIDL:(Alphey、2002;Alphey、2007;Alphey and Andeasen、2002;Alpheyら、2010;Alpheyら、2007;Alphey and Thomas、1999;Thomasら、2000)と呼ばれる、放射線不妊化に対するトランスジェニック代替法が示唆された。この系において、昆虫は、優性抑性可能致死遺伝子または遺伝系を保有するよう遺伝子操作される。この昆虫は、野生に放出される。野生昆虫とRIDL遺伝子またはコンストラクトのコピーを受け継ぐRIDL昆虫との間の交配の後代は、死亡する傾向を有する。RIDL系は、これを受け継ぐあらゆる後代または一方の性のみを死滅させるよう設計することができる。この系は、発生の特定のステージにおいて影響を受けた昆虫を死滅させるよう設計することもできる。これは、ある種、例えば、ある蚊において顕著な利点を有することができる(Phucら、2007)。RIDL系は、多くの有害生物種において構築された(例えば、Fuら、2007;Gongら、2005;Phucら、2007)。RIDL系に関するさらなる情報は、国際公開第01/39599号パンフレットに見出すことができる。

本出願人らの雌致死RIDL技術(雌特異的RIDL、fsRIDL)は、性の分離において高度に(場合によっては100%のことさえある)有効であり、研究室、温室およびセミフィールド(semi-field)実験における試験で成功を修めている。放射線ありまたはなしでRIDLを用いて、有効な結果を生じることができた。

この戦略が、ミバエ(fruit fly);セラティティス・カピタタ(Ceratitis capitata)、バクトロセラ・オレアエ(Bactrocera oleae)およびアナストレファ・ルーデンス(Anastrepha ludens)、鱗翅目(Lepidoptera);ペクチノフォラ・ゴシピエラ(Pectinophora gossypiella)およびコナガ(Plutella xylostella)および蚊;ネッタイシマカ(Aedes aegypti)およびヒトスジシマカ(Aedes albopictus)等の多くの有害昆虫におけるSIT実行に相当な利点をもたらし、それ自身で用いることができるという事実にもかかわらず、放射線照射は、依然として、特定の市場において不妊化の方法であり続けることができる。その理由として、現在までに説明されてきた雌特異的RIDL系統において、F1雄が完全に生存可能であり、幼虫ステージにおいて(即ち、卵が孵化した後に)雌が排除されることが挙げられる。さらに、遺伝的不妊化(またはこれを付与する形質)をもたらすことにより、規制経路および世間の支持は、顕著に緩和される。雄における遺伝的不妊化は、本出願人らの現在の「雌致死」(fs−RIDL)系統を有利に補強する。

よって、本技術分野において、SIT方法における放射線の効果と類似であるが、放射線照射個体の適応度の低下を伴わない、雄における遺伝的不妊化の手段をもたらすことのできる発現系の必要がある。

Crisantiら(Catterucciaら、2009;Windbichlerら、2007;Windbichlerら、2008)は、エンドヌクレアーゼ(lppO−1、l−Ppolとしても公知)が、構成的構造遺伝子ベータ−2チューブリン由来のプロモーターに連結されている発現系を開発した。本明細書に記述する通り、この系には多くの問題が存在し、その中でもとりわけ、実験の大部分がその目標の達成に成功しなかったことが挙げられる。しかし、遺伝的不妊化効果のタイミングにおいてある程度の制御を発揮できることも、特に有用である。この制御は、Crisantiの系から失われている。

例えば、研究室において発現系を保有する個体を繁殖させてよいが、放出時または放出直前/直後等の必要なときに系を活性化または誘引させてもよい。言い換えれば、系の効果を抑制することおよび/または特定の時点でこれを誘導してもよい。

要するに、この種の発現系にとって、発現系の効果における制御を発揮するための手段を包含することが望ましい。係る制御は、多くの場合、「条件付け(conditionality)」と称され、これは、この制御を包含する系が条件的系であるようなものである。条件的発現系は、例えば、昆虫において知られているが、遺伝的不妊化のこの文脈においては知られていない。いずれの場合においても、このような条件的系は、雄性生殖系列発現には適さない。実際に、二部分(bipartite)tet系等の既存の条件的系を活用する(harness)ために、より大きい雄性生殖系列発現系においてこれを単純に包含することはできない。雄性生殖系列においてこれを行っても、エフェクター(前記生殖系列における遺伝的不妊化を達成するよう設計)の発現制御に役立たない。その根拠は複雑であるが、減数分裂によって引き起こされる独特の条件が軸となる。

国際公開第01/39599号パンフレット

英国特許出願公開第2404382(A)号明細書

英国特許出願公開第2355459(A)号明細書

特開2008067678号公報

国際公開第2009/016627(A)号パンフレット

国際公開第2008/134068(A)号パンフレット

国際公開第2001/059088号パンフレット

国際公開第2007/091099号パンフレット

Malacridaら、2007

Dyckら、2005

Knipling、1955

Alphey、2002

Alphey、2007

Alpheyら、2007

Morrisonら、2010

Franz&Robinson、2011

Alphey and Andeasen、2002

Alpheyら、2010

Alphey and Thomas、1999

Thomasら、2000

Phucら、2007

Fuら、2007

Gongら、2005

Catterucciaら、2009

Windbichlerら、2007

Windbichlerら、2008

WC Blackら(Trends in Parasitology、362〜370、27巻、2011)

C Barreauら(Development、1897〜1902、135巻、2008)

G Fuら(Proc Natl Acad Sci USA、4550〜4554、107巻、2010)

T Antら(BMC Biology、51、10巻、2012)

M.Ghoshら、Mol.Cell Biol.2004、24(23)10193

Perzgasgaら(2004)

Horn、C.、Wimmer、A.E.、2003

Schetelig、M.F.、Handler、M.A.、2012

Windbichlerら、2011

Dhillonら、2005

Rendonら、2004

Catterucciaら、2005

Franz、2005

Klassen and Curtis、2005

Zhao and Garbers、2002

Fuller、1993

Barreauら、2008

Chintapalliら、2007

http://www.flyatlas.org/

www.fly−ted.org

http://flybase.bio.indiana.edu/

Nielsenら、2001

Jattaniら、2009

Raja and Renkawitz−Pohl、2005

Santelら、1997

Wilsonら、2006

Maynard−Smithら、2007

Casares、2002

Osterwalderら、2001

Brandら、1994

Brand and Perrimon、1993

Fussenegger、2001

Fusseneggerら、2000

Gossen and Bujard、1992

Gossen and Bujard、2002

Victorinova and Wimmer、2007

Cenicら、2011

Theodoraki&Mintzas、2006

Chengら、2009

Hillerら、2004

Beallら、2007

Jiangら、2007

Jiang and White−Cooper、2003

White−Cooperら、2000

Gonczyら、1997

Kawaseら、2004

Bauer DuMontら、2007

Perezgasgaら、2004

Aramaら、2003

Cagan、2003

Robinson、2005

Hockemeyerら、2011

Mahfouzら、2011

Millerら、2011

Kimら、1996

Urnovら、2005

Millerら、2007

Beumerら、2006

Bibikovaら、2002

Gong and Golic、2003

Rong and Golic、2000

Rong and Golic、2001

Rongら、2002

Burt and Trivers、2006

Burt、2003

Alpheyら、2002

Deredecら、2008

Wilsonら、1990

Smith、Walterら、2007

Scolari、Scheteligら、2008

Zimowska、Nirmalaら、2009

Varshavsky、2005

Mazumder、Seshadriら、2003

Dafaalaら、2006

White−Cooper、2009

上述の事情にもかかわらず、本出願人らは、驚くべきことに、雄性生殖系列における発現に適した系を開発した。生殖系列におけるこの系の発現が、生存可能な接合子(zygote)を形成することのできない精子を産生するという意味において、この系は、遺伝的不妊化をもたらすことができる。本出願人らは、tet等の条件的系の使用を活用することができるが、発現系全体の顕著なオーバーホールが必要とされることを見出した。本出願人らが発見した系が、SIT方法における放射線の効果を巧みに再現することは、非常に有利である。実際に、この系は、衰弱する放射線の使用に頼ることなく、雄性不妊昆虫の産生を可能にする。

したがって、本出願人らは、他の調節領域を介して条件的系に活用される適したエフェクターを含む節足動物発現系が、本明細書において「精子致死性」と称されることがある条件的遺伝的不妊性を誘導する能を有するように作製できることを示した。しかし、好ましい意図とは、精子それ自体を死滅させることや、さらにはその産生を防止することではなく、その代わりに、その遺伝情報を伝えることができない精子を産生することであると認められる。しかし、精子は、その他の点では野生型精子と競合するまたは接合子を生存不能にする(即ち、生存可能な接合子の形成を防止する)ことができる。

これは、卵に受精して生存可能な接合子または胚(繁殖力のある成虫へと発生することができる)を生じることができないが、それでも他の精子を排除するような仕方で卵に進入または接触することができるという意味において欠損した精子を産生させることにより働く、条件的で好ましくは抑制可能な雄性不妊をもたらすことにより、上述の問題を解決する。

さらに別の技術的な背景情報は、英国特許出願公開第2404382(A)号明細書、英国特許出願公開第2355459(A)号明細書、特開2008067678号公報、国際公開第2009/016627(A)号パンフレット、国際公開第2008/134068(A)号パンフレット、WC Blackら(Trends in Parasitology、362〜370、27巻、2011)、C Barreauら(Development、1897〜1902、135巻、2008)、G Fuら(Proc Natl Acad Sci USA、4550〜4554、107巻、2010)およびT Antら(BMC Biology、51、10巻、2012)に見出すことができる。

よって、第1の側面において、本発明は、節足動物雄性生殖系列におけるエフェクター遺伝子の条件的発現に適した節足動物雄性生殖系列遺伝子発現系であって、該系は、 − エフェクター遺伝子およびそこに作動可能に連結したそのプロモーターを含む第1の発現単位と、 − 転写因子のコード配列およびそこに作動可能に連結した上流調節エレメントを含む第2の発現単位であって、転写因子が、第1の発現単位におけるプロモーターに作用して、エフェクター遺伝子の発現を駆動することができ、上流調節エレメントが、 − 転写因子のプロモーターおよび − 転写因子コード配列の翻訳開始部位に隣接する5’UTR を包含する第2の発現単位と を含み、 上流調節エレメントが、転写因子タンパク質が続いて減数分裂前にエフェクター遺伝子の転写を駆動するように、転写因子の十分な発現を駆動する系を提供する。

転写因子は、好ましくは、tTA、GAL4またはこれらのバリアント等の転写活性化因子である。エフェクターは、好ましくは、エンドヌクレアーゼ、最も好ましくは、3−Znフィンガーヌクレアーゼである。第1の発現単位のプロモーターは、好ましくは、ミニマルプロモーターである。第2の発現単位における上流調節エレメントのプロモーターは、最も好ましくは、topi、alyもしくはベータ−2チューブリン(B2T)またはこれらのホモログに由来する。ホモログは、好ましくは、系を発現させようとする標的節足動物に存在するものである。このプロモーターは、雄性生殖系列プロモーターである、即ち、これは、雄性生殖系列における転写に作用されるまたは活性化する。第2の発現単位の上流調節エレメントにおける5’UTRは、好ましくは、hsp83由来、好ましくは、チチュウカイミバエ(Medfly)由来の、またはhsp83のホモログ由来の、特に、標的節足動物(即ち、系を発現させようとする節足動物)に存在するhsp83のホモログ由来のものである。あるいは、5’UTRは、前記5’UTRが、野生型に含有されている転写遅延シグナルの効果を除去または改良するよう修正されているのであれば、特にB2Tプロモーターと組み合わせて用いられる場合、B2Tまたはそのホモログ由来のものであり得る。

第1または第2の発現単位は、エンハンサーを含むこともできる。第1および第2の発現単位プロモーターのいずれか一方または両方、特にミニマルプロモーターは、エンハンサーをさらに包含すると考慮することができる。

発現単位は、別々にまたは同一コンストラクト内で共に提供されることができる。別々に提供される場合、発現系は、別々のコンストラクトを含むことができる。コンストラクト(単数または複数)は、好ましくは、プラスミドである。プラスミドは、トランスポゾンを含むことができる。同様にトランスポゾンは、転移性エレメントを含むことができる。トランスポゾンの例として、piggyBacトランスポゾンを挙げることができる。

エフェクター遺伝子の発現の条件的性質は、使用者によって制御され得るようなものであるか、あるいは外部因子によって他の仕方で影響される。係る因子は、温度(例えば、Gal4−UAS系が用いられる場合)等の環境因子であり得るが、最も好ましくは、テトラサイクリンまたはそのアナログ等の化学物質である。温度は研究室において制御することができ、日または季節の経過における温度変化の活用を想定することができる。しかし、一部の実施形態において、より緻密な程度の制御の達成が望まれる場合には、これは好ましくない。係る事例において、誘導性、最も好ましくは抑制可能であるという意味において、系が条件的であることが特に好ましい。

誘導性の系は公知のものであり、例えば、転写因子がGAL4であり、第1の発現が(エフェクター遺伝子コード配列の外に)、GAL4が結合するUAS領域(CGG−N11−CCG(式中、Nはいかなる塩基であってもよい))または好ましくはそのオリゴマーを含む、GAL4−UASセットアップを用いることができる。第2の発現単位における上流調節エレメントが、適したプロモーターおよび5’UTRを含む場合、Gal4転写因子の転写は、例えば、Gal4転写因子のプロモーターに作用する(直接的にまたは間接的に、即ち、転写誘導を引き起こす)ペプチドまたはホルモンを与えることにより誘導することができる。

別の好ましい一例において、系は、誘導性の系であり得、誘導は、テトラサイクリン、またはドキシサイクリン等のそのアナログの1種等の化学物質を与えることによって起こる。係る状況において、例えば、rtTA(「リバースtTA」)は、テトラサイクリン、ドキシサイクリン等のアナログの存在下においてのみDNAに結合するため、転写因子としてのrtTA使用を利用することができる。rtTAは、とりわけ、国際公開第2001/059088号パンフレットに記載されている。この場合、テトラサイクリン、またはドキシサイクリン等のアナログを与えることにより(即ち、食餌において)、本系におけるrtTA転写因子を第1の発現単位に作用させ、したがって、本エフェクター遺伝子の発現を誘導することができる。

しかし、系は抑制可能であることが好ましい。好ましい例として、第2の発現単位における転写因子が、tTAまたはそのバリアント(tTAV、tTAV2、tTAV3等)であることが挙げられる。これらは、テトラサイクリン(Tc)または適切なアナログが存在しなければ、DNAに結合する。テトラサイクリンは、tTAのDNA結合を遮断するため、tTAと第1の発現単位におけるエンハンサーとの間に相互作用は存在せず、したがって、エフェクター遺伝子の転写は起こらない。よって、周知の通り(例えば、本明細書に参照されている本出願人らのRIDL刊行物を参照)、テトラサイクリンは、エフェクター遺伝子の発現の抑制解除(即ち、抑制の除去または解放)が望まれるようなときまで食餌中に与えることができる。野外放出後または研究室における食餌の切り換え後等、テトラサイクリン(またはドキシサイクリン等のアナログ)の非存在下において、エフェクター遺伝子が発現される。

よって、一部の実施形態において、系が誘導性であることが好ましいが、特に好ましい他の実施形態において、系は抑制可能である。

2種の発現単位は、好ましくは、二部分(条件的)発現系の2つの部分の一方である。好ましい例として、GAL4:UASおよび様々なtet系が挙げられる。第1の事例において、第2の発現単位の転写因子は、好ましくは、Gal4であり、一方、第1の発現単位は、好ましくは、GAL−4が結合するためのUAS配列を含む。GAL4−VP16等のGAL4の適したバリアントも想定される。

一般に、発現単位のいずれか一方または両方は、エンハンサーを含むことができる。しかし、第1の発現単位がエンハンサーを含むことが特に好ましい。第2の発現単位の転写因子が、tTAまたはバリアントである(即ち、本発現系が、条件付けをもたらすためにtet系を利用する場合)ことが好ましい。上述の場合、第1の発現単位は、好ましくは、tetオペレーター(tetO)を包含する。tetO−ミニプロモーター(tRE)エレメントが、特に好ましい。これは、第2の発現単位の上流調節エレメントのプロモーターおよびエンハンサーエレメントを共に提供する。426bp TREプロモーターは、ミニサイトメガロウイルス(ミニCMV)プロモーターに融合した7個のtetO 18塩基を含有する(例えば、M.Ghoshら、Mol.Cell Biol.2004、24(23)10193を参照)。

別々のコンストラクトにおいて第1および第2の発現単位が提供される二部分系が好ましいが、同一コンストラクトまたはプラスミドにおいて第1の発現単位および第2の発現単位を提供することもできる。そのようなものとして、本系は、好ましくは、プラスミドであるまたは2種のプラスミドからなる。最も好ましくは、2つの発現単位は、ゲノム中の同一遺伝子座(same locus)に挿入されるように、単一のプラスミドまたはベクターとして形質転換される。

節足動物は、好ましくは、さらに後述する通り昆虫である。系が、精子においてエフェクター遺伝子を発現することができるように、雄性生殖系列は、精子を包含することが理解される。

エフェクターは、少なくとも一部の環境下で、父性効果致死性を付与するまたは授ける、即ち、「父性効果致死」遺伝系であるまたはその一部である。係る系において、子孫(ここでは、精子が卵に進入するステージ(昆虫においては膜融合と同時ではないと思われる)からを指すと解釈する)の死亡は、接合子(または潜在的な接合子)ではなく父親の遺伝子型に依存する。そこで、例えば、優性父性効果致死系において、(ホモ接合性)野生型雌と交配するヘテロ接合性雄由来の野生型子孫の少なくとも一部は、影響を受ける。追加的な接合子効果は、当然ながら可能であり、本発明の範囲内において予期される。係るエフェクターの数種の潜在的な作用形態は、可能であり想定される。例えば、一部の実施形態において、エフェクターは、ヌクレアーゼであるまたはこれを含む。そのようなものとして、不妊性は、本出願人らが「父性効果致死」と命名したものにより達成される。本明細書において、エフェクターは、精子において(機能的ヌクレアーゼタンパク質をもたらすために)発現される。これにより、受精した胚の生存確率が低下するように、精子におけるDNAに影響を与えることができる。実際に、これは、父性効果致死性を達成することのできる機構の好ましい例である。エフェクタータンパク質が卵に入り、そこでDNA切断が起こることも可能である。しかし、少なくとも一部のエフェクター転写物が、精子から卵に入り、卵において翻訳され得ることも想定される。どちらの事例においても、ヌクレアーゼエフェクターは、これにより、精子と同様に卵にその効果を導入することができる。

この系は、エフェクターの発現に適しているが、これは、好ましくは、「係る発現が可能」または「雄性生殖系列においてエフェクターを発現するよう適応される」と称してよいことを理解される。

エフェクター遺伝子についてはさらに後述するが、これは、好ましくは、マーカー、例えば、GFP、YFPその他等の蛍光タンパク質等の、レポーターである。しかし、より好ましくは、エフェクター遺伝子は、ヌクレアーゼであり、その適した例を下に提示する。最も好ましくは、これは、ヌクレアーゼおよびレポーターの両方、例えば、ヌクレアーゼ−蛍光タンパク質融合体(その好ましい例として、周知の緑色蛍光タンパク質または黄色蛍光タンパク質が挙げられる)である。

本明細書において、例えば、レポーターまたはヌクレアーゼ「である」遺伝子について言及されている場合、該遺伝子が、係る規定の機能を有するタンパク質をコードするDNAまたはRNAを含むことが認められる。

第1の発現単位は、エフェクター遺伝子を含む。これは、エフェクター遺伝子に作動可能に連結したそのプロモーターも含む。プロモーターは、したがって、エフェクター遺伝子の転写の駆動に適している。上述の通り、第1の発現単位は、エンハンサーまたは少なくとも第2の発現単位の転写因子の(即ち、これに認識される)結合領域もしくは配列を含むこともできる。

第2の発現単位は、転写因子のコード配列を含む。これは、上流調節エレメントも含む。そこで、上流調節エレメントは、転写因子の転写を駆動することができるよう、転写因子のコード配列に作動可能に連結される。

転写因子は、第1の発現単位におけるプロモーターに作用して、エフェクター遺伝子の発現を駆動することができるが、これは当然ながら、エンハンサーを経由するものであってもよい、即ち、転写因子は、プロモーターに直接的に作用しないが、その代わりにエンハンサーを経由してもよい。5’キャップ、5’UTR、3’UTRおよびポリAテイルの調節エレメント等の他の調節エレメントが当然ながら想定される。

転写因子の転写を駆動するため、第2の発現単位の上流調節エレメントは、プロモーターおよび5’UTRを含む。これらは両者共に、エフェクターの十分な発現をもたらすために慎重な選択を必要とする。そのようなものとして、第2の発現単位のプロモーター(即ち、上流調節エレメントにおける)は、好ましくは、ベータ−2チューブリン(B2T)由来のものである。あるいは、より好ましくは、プロモーターは、topiまたはaly由来のものである。第2の発現単位における5’UTR(即ち、上流調節エレメントにおける)は、好ましくは、hsp83由来、例えば、チチュウカイミバエ由来のものであるが、B2T由来のものであってもよい。5’UTRおよびプロモーターの両方が、B2Tに由来する場合、一方または他方は、翻訳遅延シグナルが除去または改良されるように修正される必要がある。これらの遺伝子に関する言及は、当然ながらそのホモログを包含する。

5’UTRは、本明細書において、翻訳開始部位(即ち、最小では、翻訳のATG開始部位(sit))に5’隣接する(即ち、上流の)配列として定義される。これは、真核生物において約150塩基の長さの中央値を有し、好ましくは、最大でプロモーターまで、例えば、ATG開始部位の上流50〜500塩基前後まで及ぶ。

第2の発現単位におけるフレームワークの大部分は、B2T由来のものとなり得るが、B2T ORFが転写因子ORFに置き換えられているとはいえ、第2の発現単位のプロモーターおよびその5’UTRの両方が、B2T由来のものとなることはできないことが認められる。これらの少なくとも一方は、減数分裂前にエフェクター転写物の十分な蓄積が行われるように変化させる必要がある。B2Tプロモーターが用いられるのであれば、B2T 5’UTRは、上述の修正/改良された形態でなければならない、あるいはhsp83由来のものとなり得る。

あるいは、B2T 5’UTRが用いられる場合、プロモーターは、別の早期作用(early-acting)プロモーターでなければならない。第2の発現エレメントの5’UTRおよびプロモーターの選択が、共に作用して、減数分裂前にエフェクター転写物の十分な蓄積が行われることを可能にしなければならないことが要求される。

代替プロモーターの好ましい例は、topiおよびalyプロモーターである。これらは、広範な5’UTRと共に用いることができる。これらの配列の例を下に提示する。

特定の名称の遺伝子「由来の」プロモーター、エンハンサー、5’UTRまたはさらにはORF等の特定の遺伝的エレメントに関する言及がなされる場合、該エレメントが、参照遺伝子から取り出されることを実際に意味するのではなく、参照遺伝子がエレメントの起源であることを単純に意味することが認められる。これを説明する別の仕方は、「に由来する」。遺伝子の起源の種が、標的の種と同じであることが好ましい。言い換えれば、チチュウカイミバエにおいて本エフェクターを発現することを望む場合、エレメントが、言及された遺伝子のチチュウカイミバエホモログに由来することが好ましい。しかし、それが無理であれば、ショウジョウバエ(Drosophila)バージョンが好ましい。

実際には、降順の優先度は、 − (最も好ましい)標的の種(エフェクターの発現が想定される)由来、 − 標的の属(即ち、同じ属内の別の種)由来、および最後に、 − (最も好ましくない)標的の科由来 であることが好ましい。

理由として、好ましいプロモーターの作用が、少なくとも、種を越えて非常によく保存されている訳ではないことが挙げられる。例えば、ショウジョウバエプロモーターは、チチュウカイミバエにおいて働くことができない可能性があり、そのため、同じ遺伝子のチチュウカイミバエホモログ由来のプロモーターが好ましい。しかし、コード配列はよく保存されているため、所定の節足動物におけるベータ−2−チューブリン遺伝子(例えば)を同定することは比較的単純であり、したがって、ルーチンの方法により、チチュウカイミバエバージョンの適したプロモーター断片を同定することができる。

適したプロモーターは、通常、mRNAの転写開始の上流1〜2kb内で同定される。本発明においてこの範囲が好ましいが、一部の雄性生殖系列プロモーターは短い場合もあり、100〜200bpの一続きの配列(stretch)も好ましく、mRNAの転写開始の上流1〜2kbウィンドウ内であっても、あるいはmRNAの転写開始の上流100〜200bpの一続きの配列であってもよい。

配列保存の観点における同様の考慮が、一次配列保存が低い5’UTRに関して適用される。よって、5’UTRは、標的節足動物と同じ種由来であることが好ましく、例えば上の例に従うと、標的がチチュウカイミバエである場合、5’UTRは、同じ遺伝子のチチュウカイミバエホモログ由来の5’UTRであることが好ましい(上に記す通り、より高度に保存されたORFを参照することにより同定可能である)。5’UTRを同定および定義する仕方の一つは、これが、個々のORF、例えばベータ−2チューブリンをコードする配列の5’末端に付随している(RNAとして)ことである。

5’UTRおよびプロモーターの両方の事例において、転写因子の発現がないため本発現において用いられる配列が不十分である場合、これは容易に同定可能となり、転写因子ORFを蛍光タンパク質に連結した融合タンパク質を用意することにより、通常の仕方でアッセイまたは試験することができる。

好ましくは、第2の発現単位の上流調節エレメントにおけるプロモーターは、ベータ−2−チューブリンプロモーターである。これは、最も好ましくは、本明細書に記載されているhsp83 5’UTRと組み合わせて(第2の発現単位の上流調節エレメントにおいて)用いられる。

上流調節エレメントにおけるプロモーターが、topiプロモーターであることも好ましい。topiのホモログの同定を補助するために、本出願人らは、これによりtopi ORF(後述を参照)を提供する。さらなるガイダンスは、例えば、参照することにより本明細書に組み込まれる、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)、ウスグロショウジョウバエ(Drosophila pseudoobscura)およびガンビエハマダラカ(Anopheles gambiae)(後者が特に好ましい)由来のtopiオルソログについて記載するPerzgasgaら(2004)において提示されている。

あるいは、上流調節エレメントにおけるプロモーターが、alyプロモーターであることが好ましい。Alyは、topiよりも最近の遺伝子重複を表すため、これは、topi程広範囲の種において雄性生殖系列特異的遺伝子として存在する訳ではない。にもかかわらず、これが存在する場合、保存されたORFを参照することによりtopiと同じ仕方で容易に同定することができる。aly ORFを下に提示する。

第2の発現単位の転写因子は、好ましくは、tTAまたはそのバリアントであり、第1の発現単位は、tetオペレーター(tetO)を含む。tTA、tTAV、tTAV2およびtTAV3のアミノ酸配列を下に示す。

したがって、第2の発現単位の転写因子が、例えば、上に示すtTAまたはそのバリアントのアミノ酸配列のいずれかをコードするポリヌクレオチドを含むことが好ましい。上述の通り、転写因子が、GAL4またはそのバリアントであり、第1の発現単位が、GAL4のUAS部位を含むことも好ましい。

tTAおよびGal4の両方に関して、これは、好ましくは、バリアントを包含する前記配列番号の1種と、少なくとも70%、少なくとも90%もしくは少なくとも95%のアミノ酸配列「同一性」またはさらに厳密性の低い「類似性」を少なくとも50残基を超えて有する(またはコードする)いずれかの配列を包含する。

転写因子認識配列(DNA、例えば、転写因子が結合する配列)の配置が、ORF内ではない第1の発現単位内に置かれなければならないことが理解される。例えば、tetOおよびUASの両方を伴うと、挿入は、例えば、ATG開始部位の上流数千塩基以内である。これらは通常、プロモーターの数百塩基以内に置かれるが、2〜3kbまで作用することができる。

いずれの場合においても、プロモーターが、ミニマルプロモーターであることが好ましい。単純にするために、エンハンサーと共に、{エンハンサー+ミニマルプロモーター}を単にプロモーターと呼ぶことができる。そこで、エンハンサー(転写活性化因子結合部位、例えば、tetOまたはUAS)は、定義によりプロモーターの一部である。

次に、本発明の特定の実施形態を、次の図面を参照しつつ説明する。

卵孵化率アッセイの設計を表す略図である。

テトラサイクリン・オンおよびオフにおける、OX4282−OX4104雄性不妊のパーセンテージを示す図である。

テトラサイクリン・オンおよびオフにおける、OX4282−OX4458雄性不妊のパーセンテージを示す図である。

テトラサイクリン・オンおよびオフにおける、OX4353雄性不妊のパーセンテージを示す図である。

テトラサイクリン・オンおよびオフにおける、OX4353雌性不妊のパーセンテージを示す図である。

OX4718−σ1系列における抑制可能雄特異的不妊を示す図である。

テトラサイクリン・オンおよびオフにおける、OX4705オリーブバエ(olive fly)雄性不妊のパーセンテージを示す図である。

テトラサイクリン・オンおよびオフにおける、OX4705雌性不妊のパーセンテージを示す図である。

OX4466系統孵化率アッセイを示す図である。

OX4467−E1系統孵化率アッセイを示す図である。

topi−tTAVおよびtetO−Dm−プロタミン−Foklアレルの両方を保有するネッタイシマカ系列の孵化率アッセイを示す図である。

β2−チューブリン−tTAVおよびtetO−Ae−プロタミン−Foklアレルの両方を保有するネッタイシマカ系列の孵化率アッセイを示す図である。

2種の主要RIDL雌致死系列(OX3864AおよびOX3647Q)と交雑したOX4353系統を示す図である。

OX3866のプラスミドマップの図である。

OX3867のプラスミドマップの図である。

OX3671のプラスミドマップの図である。

OX4112のプラスミドマップの図である。

OX4103のプラスミドマップの図である。

OX4104のプラスミドマップの図である。

OX3831のプラスミドマップの図である。

OX4458のプラスミドマップの図である。

OX4391のプラスミドマップの図である。

OX4286のプラスミドマップの図である。

OX3978のプラスミドマップの図である。

OX4275のプラスミドマップの図である。

OX4254のプラスミドマップの図である。

OX4371のプラスミドマップの図である。

用語「コード配列」およびORFは、本明細書において互換的に用いることができる。

上に説明する通り、好ましい一実施形態において、精子は死なない(用語「精子致死[性]」は、これを暗示し得るため)。代わりに、精子中のあるものが接合子を殺傷する。本出願人らがヌクレアーゼを用いる場合、これは恐らく、精子DNAに対する遺伝的損傷であるが、精子により運搬されるRNAまたはタンパク質が、受精後にその効果を有する可能性もある(実際に、Burt/Crisantiは、ガンビエハマダラカ(An. gambiae)におけるそのX−シュレッダー(shredder)由来の雄胚のみならず雌の死亡を説明するために、これを示唆した。Windbichlerら、2008、上記参照、を参照)。

先行技術は、B2T遺伝子(プロモーターおよびORF)を用いて、ORFを、対象とする遺伝子と置き換えるべきであることを教示する。しかし、本出願人らは、この技術が、本明細書に記載されている種類の条件的系に役立たないことを見出した。系が条件的に作製される場合、本出願人らは、このセットアップに有意な変化をなさねばならないことを見出した。問題の一つは、細胞が減数分裂に進行すると転写が停止されることである。翻訳は、減数分裂後の細胞(複数可)において依然として行われ得るが、さらなる転写を行うことはできない(数種の例外的な遺伝子の減数分裂後における転写が、近年Barreauら(2008)によって記載されているが、一般的な観点においては上述が妥当である)。よって、エフェクタータンパク質等の対象とするタンパク質を(前記対象とする遺伝子から)発現させることを望むのであれば、減数分裂前にエフェクター遺伝子の十分な発現(対応するエフェクターRNAをもたらすための)がなくてはならない。「エフェクターRNA」とは、RNA、例えば、エフェクタータンパク質として機能するアミノ酸配列をコードするmRNA(翻訳および必要に応じて翻訳後修飾されるときに、融合タンパク質であれば切断、および/またはフォールドされる)を意味する。

本発明の文脈において、転写物またはタンパク質の「十分な」提供は、前記転写物またはタンパク質の量およびタイミングの両方に関する。よって、エフェクター遺伝子に適用される場合、これは、本系が、少なくともエフェクタータンパク質の転写物が、減数分裂前(タイミング)に生じること、また、これにより、十分な前記転写物が提供されて、所望のタンパク質機能を達成することを確実にすることを意味する。これは、転写物の必要に応じたプロセシング、一次構造を有するアミノ酸配列への転写物の翻訳およびその必要に応じた修飾、ならびに二次、三次およびさらには四次構造(例えば、二量体の場合)の提供等、タンパク質発現におけるあらゆる中間的な事象を包含することが認められる。

しかし、条件的系が用いられる場合、先行技術の系は、有効となるような十分な機能的エフェクタータンパク質をもたらすことができない。これは、主に、係る条件的系が、エフェクタータンパク質の転写および翻訳のみならず、エフェクタータンパク質(その調節単位)における転写因子として作用する制御因子タンパク質の転写および翻訳も必要とすることが原因であると考えられる。全て減数分裂前に行われる、転写、翻訳およびタンパク質機能の全サイクル、続いてさらなる転写、という追加的な要求のための時間が単純にない。言い換えれば、条件的系が転写因子を用いる場合(本明細書の場合)、該転写因子は、自身が転写および翻訳されて、機能的転写因子タンパク質をもたらす必要がある。次に、減数分裂前に各細胞においてエフェクター転写物の十分な蓄積が存在して、減数分裂後に各細胞においてエフェクター転写物の翻訳ができるよう間に合うように、該転写因子タンパク質は続いて、エフェクター遺伝子(エフェクタータンパク質をコードする)の調節エレメントに作用するしなければならない。

本出願人らは、先行技術の系におけるORFを、転写因子をコードするORFと単純に置き換えることだけでは十分ではないことを見出した。その代わりに、系が、減数分裂前に十分なエフェクター転写物を産生する(続いて、減数分裂後に機能的(翻訳された)タンパク質を有する)ことができるように、本技術分野のB2Tプロモーター領域は、全体的に修正または置き換えられる必要がある。よって、本出願人らの新たな条件的系において、新たな上流調節エレメント(プロモーターおよび/または5’UTR等)が、転写因子ORFの発現の駆動に必要とされる。新たな上流調節エレメントは、精子形成において十分に早く作用して、十分な転写因子機能的タンパク質を生成して、続いて、エフェクターの発現を制御する調節エレメントに作用し、これにより、減数分裂が起こって転写が停止する前に十分なエフェクター転写物を生成しなければならない。条件的系の文脈においてこれを達成できることは、本発明の特別な利点である。

エフェクタータンパク質(即ち、エフェクター遺伝子によりコードされる機能的タンパク質)は、最も好ましくは、卵に受精して生存可能な接合子を産生する精子の能力において、減数分裂後に有害効果を有する。

系は、好ましくは、精子においてこれが引き起こす不妊性が優性であるという意味において、優性である。これは、父性効果致死性の概念が当てはまり、さらに後述を参照されたい。ヌクレアーゼ等の好ましいエフェクターに起因する遺伝的不妊性は、好ましくは、ヘテロ接合性雄由来の全精子が影響を受けることができるように、雄において優性である。本出願人らはホモ接合性雄を放出することを予想するため、これは必須ではないが、好ましいことが認められる。従来のRIDLの場合と同様に、これは、接合子における優性とは対照的である。これらの先行技術の系において、接合子を殺傷するのに1コピー(精子により受け継がれる)で十分であるが、当然ながら、野生型アレルを保有する精子(ヘテロ接合性雄由来)によって受精した卵は、影響を受けない。

節足動物は、好ましくは、昆虫であり、昆虫および非昆虫節足動物の両方の適した例を本明細書に提示する。しかし、節足動物が、蚊、特に、マラリアもしくはデング熱を伝達することのできる種の蚊またはミバエ等の農業的有害生物であることが特に好ましい。

本系が発現される節足動物は、雄の節足動物であり、発現は、その雄性生殖系列細胞、特に、生殖腺、即ち、精子形成が行われる精巣において起こる。それに加えてまたはそれに代えて、発現は、精子それ自体において起こることができる。好ましくは、発現は、前記細胞の大部分、即ち、前記細胞の少なくとも50%において起こるが、この値はさらに高く、例えば、前記細胞の少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%または最も好ましくは99〜100%となり得る。

したがって、発現系は、節足動物の雄性生殖系列における遺伝子の発現に適応させるまたはこれに適したものとなることができる。本明細書における「遺伝子」とは、主に、タンパク質を意味する。言い換えれば、この発現系の機能は、節足動物の雄性生殖系列(生殖系列細胞)においてタンパク質を発現することである。この発現のタイミングは重要であり、さらに他の箇所で記述されているが、これは、精子を卵に受精させて、生存可能な接合子を得ることができなくなるのに十分なものとなる必要がある。理想的には、発現系それ自体は、節足動物の雄性生殖系列における発現を可能にする(即ち、形質転換により)プラスミド、トランスポゾンまたは他の転位性遺伝的エレメントであるまたはその内に含まれる。したがって、発現系は、好ましくは、ポリヌクレオチド発現系、好ましくは、DNA、RNAまたはこれら2種の混合物である。

系からの発現は、好ましくは、条件的である。これは誘導性であってもよいが、リプレッサーの非存在下においてのみ発現が起こるように、条件付けが抑制可能であることが特に好ましい。誘導性の系において、発現はインデューサーの存在下においてのみ起こる。本発現系における包含に特に好ましい抑制可能系は、tet(テトラサイクリン)系またはGAL4/UAS系であり、両者共に、本明細書においてさらに記載されている。

プロモーターが、節足動物の雄性生殖系列細胞において発現することができる、即ち、そこで転写を開始することができることが認められる。プロモーターが、本系の調節エレメントおよびコード配列に作動可能に連結されていることも認められる。

系が、単一のコード配列または2種以上のコード配列を含むことも可能である。1種または複数のコード配列は、融合体として繋ぐことができる、あるいは別々に提供することができる。さらに別のコード配列の適した例は、蛍光タンパク質(例えば、GFP、EFP、YFP等)等のマーカーまたはレポーターであるが、さらに別のエフェクターも、より大きい特異性をもたらすために好ましい。

特に記載されている第2の発現単位の上流調節エレメントは別として、本系は、必要に応じて、さらに別の調節エレメントを適宜包含することもできる。これは、節足動物の雄性生殖系列細胞における発現を推進する、即ち、これを可能にする。さらに、後述する通り、さらに別の調節エレメントは、RNAの減数分裂前プロセシングおよび翻訳を推進する。よって、さらに別の調節エレメントは、プロモーターの一部ではないが、好ましくは、第1の発現単位における5’UTR、および/または第1および第2の発現単位の両方における3’UTRを包含する。よって、このようなさらに別の調節エレメントは、第2の発現単位の特定の5’UTRによる場合と同様に、非翻訳配列として考慮することができる。これらは全て、好ましくは、5’UTRまたは3’UTRの少なくとも実質的部分を包含するが、最も好ましくは、完全5’UTRまたは完全3’UTRを包含する。最も好ましくは、5’UTRおよび3’UTRの少なくとも実質的部分が提供される(好ましくは、両者共に完全である)。よって、調節エレメントは、例えばDNAから最近転写されたRNA配列の翻訳を可能にする、5’UTR内に関連または存在する様々な調節配列を包含する、5’UTRの全てまたは一部を包含することができる。

本明細書に記載されているプロモーターは全て、好ましくは、転写因子およびRNAポリメラーゼ結合部位等の特色を包含するべきである。これらは、UTRエレメントではなくプロモーターエレメント(典型的には)である(重複が存在し得るが)。5’UTRは一般に、いくつかの翻訳開始シグナルと、恐らくは、RNA安定性、局在性、翻訳制御およびイントロン配列も有する(必ずしもそうである必要はないが)。

5’キャップおよび/またはポリAテイルを包含し得る他のさらに別の調節エレメントに関しても同様である。言い換えれば、理想的には、これらエレメントの全てが、少なくとも実質的部分、即ち、その必要な調節機能をもたらすのに十分な部分に存在する。基本的要件が精子の下流の機能性であるため、当業者であれば、これら調節エレメントの全てまたは一部の存在または非存在下で、コード配列の十分な発現がもたらされたか否か評価することができる。当業者は、精子が競合することができる(これは有利である)か評価する(asses)ことができる。当業者は、精子が生存可能な接合子を産生する(これは有利ではない)か容易に同定することもできる。精子が競合しない場合、および/または生存可能な接合子を産生する場合、エフェクターの発現レベルは、修正を必要とする。本発明において、精子(形質転換されたまたはGMである(遺伝子改変された、即ち、導入遺伝子/本発現系を保有する)ことを意味する)は、好ましくは、野生型精子と競合することができるが、生存可能な接合子を産生しない。よって、このうち一方が達成されない場合、特に、生存可能な接合子が産生される場合、系は修正を必要とする。

しかし、念頭に置かなければならないことは、エフェクターORF/コード配列のRNAをプロセシングして前記エフェクター転写物とする過程が減数分裂前に起こり、後に翻訳された機能的タンパク質が、卵に受精して生存可能な接合子を産生する精子の能力において所望の効果を有するような、十分なレベルで蓄積することである。これに関しては、他の箇所でさらに詳細に記述する。

エフェクターが、例えば好ましいヌクレアーゼをコードする場合、これは有害効果である。これは、いずれかの時点で起こる(明らかに、エフェクター転写物がプロセシングおよび翻訳等されて、機能的タンパク質となった後ではあるが)。基礎的要件は、転写が停止される時点である減数分裂の前に、エフェクターの十分な転写物が存在しなければならないことである。しかし、エフェクタータンパク質が、有糸分裂後に(post-mitoically)(但し、確実に減数分裂後に)機能的となり得ることが想定される。T 好ましくは、調節エレメントは全て、互いに同種性(homologous)である、即ち、同じ遺伝子に由来する。発現レベルを微調整するために、例えば、3’UTRが、選ばれた5’UTRと異なる遺伝子に由来し得るように、調節エレメントが互いに異種性であることが特に好ましい。5’キャップおよびポリAテイルが、プロモーターと同種性である、即ち、プロモーターと同じ遺伝子由来であることが好ましい。

エフェクター遺伝子は、雄節足動物の生殖系列細胞において通常は発現されない遺伝子であるため、調節エレメントが、遺伝子と異種性(即ち、コード配列と異種性)であることも認められる。これらの全てにおいて、異種性とは、同じ生物の異なる遺伝子から;異なる生物の保存された遺伝子から;またはさらには異なる生物の異なる(無関係の)遺伝子から得ることができるような、プロモーター、5’UTR(または他の調節エレメント)またはコード配列等の遺伝的エレメントの起源を指すことが認められる。言い換えれば、前記エレメントは、節足動物の雄性生殖系列において、即ち、その生殖腺または精子において必要な発現レベルをもたらすのに十分であるという条件で、単一生物内の種々の異なる遺伝子または異なる生物由来の種々の異なる遺伝子から得ることができる(修飾が想定されるが、それに由来するという意味において)。特に、コード配列は、必ずしも節足動物から全く得られなくてもよいが、例えば、特に減数分裂前翻訳に関して、コード配列からのタンパク質発現の適切な程度およびタイミングを補助するのであれば、調節エレメントは、好ましくは、細菌またはウイルスに由来してもよい。

コード配列は、エフェクタータンパク質をコードする。上述の通り、コード配列は、好ましくは、プロモーターおよび/または調節エレメント等の発現系における他のエレメントに対し異種性である。発現系におけるコード配列は、ポリヌクレオチドであるが、続いて機能的タンパク質へと翻訳されるのに十分な適したメッセンジャーRNA(mRNA)へと転写されることができる。RNAの選択的スプライシングが想定され、スプライセオソームと協力してイントロン(スプライシング制御)配列によって調節される。選択的スプライシングを提供または制御することの利点は、タンパク質発現に追加的なレベルの調節を加えることである。これに関するさらなるガイダンスは、本出願人らの先の刊行物、国際公開第2007/091099号パンフレットに提示されている。

エフェクタータンパク質の発現のタイミングおよび位置は、本発明にとって重大な意味を持ち、さらに下に記述する。しかし、エフェクターの機能は、好ましくは、卵に受精して生存可能な接合子を産生する精子の能力に有害効果を有するものであることが認められる。

本明細書に記載されている通り、雌が、適切に受精がなされたように感じることが重要であり、さもなければ、この雌は、さらなる交配を求めることになる、あるいは実際に、本精子が競合する必要がある他の野生型精子が既に存在する可能性がある。しかし、精子は、その「泳ぐ」能力等のその一般的機能が有意に損なわれている場合、競合することができない。

好ましいエフェクターは、卵に受精して生存可能な接合子を産生する精子の能力に有害効果を有する。好ましくは、これは、DNA損傷を誘導するまたはこれを直接的に引き起こす。その特定の好ましい例は、ヌクレアーゼ、特に、エンドヌクレアーゼである。そのさらに別の例を下に提示する。

プロモーターは、その周囲の調節エレメントと共に、駆動する、即ち、エフェクターコード配列をRNAへと転写することができるまたはこれを開始するよう適応される。そのタイミングは重要であり、これについては他の箇所でスポットを当てる。エフェクターの翻訳は、減数分裂の前または後に起こり得る。

エフェクタータンパク質は、特に減数分裂の後に(減数分裂後に)有害効果を有する。精子は、本発現系を保有する雄性生殖系列細胞から精子形成によって生成される。したがって、前記精子は、好ましくは、少なくとも1コピーのエフェクタータンパク質、好ましくは、有意に2コピー以上を保有するまたはこれを含む。この有害効果は、卵に受精する精子の能力を低下させる。よって、本系は、Horn and Schetelig(Horn、C.、Wimmer、A.E.、2003、Schetelig、M.F.、Handler、M.A.、2012)に開示されている胚特異的系における致死性の誘導よりも十分に前に作用する。精子が、卵に到達しようと急ぐ際に正常(即ち、野生型または非形質転換)精子と競合することができるよう、エフェクターが、精子に十分な運動性を保持させることが強く好ましい。重ねて、精子がDNA(エフェクターをコードする遺伝子)のコピーを保有することが必須ではないことは注目に値する。実際に、これが好ましく、接合子的に活性を有するRIDL系との重要な差であり、その理由として、本系は、 − 卵孵化がないことを確実にすることができ; − 遺伝的雌雄鑑別(sexing)と組み合わせて用いることができ; − 条件付けを提供することができ;ならびに − 純粋繁殖、接合子致死性および抵抗性となり得る。

一般に、受精は、雌の生殖管内で行われる。雄は交配において精子を移し、雌はこれを貯蔵する。雌生殖器系を下降する成熟卵は、この精子に曝露され、受精する。一部の種(チチュウカイミバエ、ネッタイシマカ)に関して、雌は典型的には1回のみ交配し、自身の卵の全てに貯蔵された精子を用いる。他の一部の昆虫、例えば、一部の蛾は、幾分より頻繁に交配する。

しかし、例えば、精子によってもたらされる一倍体遺伝情報が損傷されているため、エフェクターが、生存可能な接合子の形成を不可能にする十分なDNA損傷を引き起こすことが特に好ましい。例えば、精子のDNAが、二本鎖切断を有することが好ましい。この好ましい実施形態は、エンドヌクレアーゼの使用に起因し、その例は、本明細書に提示されている。よって、本発明は、ひとたび形成された接合子においてさらにタンパク質を発現するのではなく、先ず第一に生存可能な接合子の形成を防止する。これは、機能的接合子が形成され、続いてエフェクターが発現されて接合子を殺傷するRIDL技法等の先行技術と比べた重要な区別である。本発明において、生存可能な接合子が形成されることはない。

よって、接合子が、単細胞ステージより先に進行できないことが好ましい。初期昆虫胚は、例えば、細胞分裂せずに核を分裂させ、続いて細胞化する(cellularise)ため、1細胞から1000細胞超へと一段階で移行する。しかし、胚が、単に幼虫として孵化できないことも好ましい(これは、本分野において望ましい特色である)。したがって、最小限の要件は、好ましくは、個体が、生存可能な成虫へと発生できないことである。

よって、先行技術による問題の解法として、本発明が、精子形成過程において減数分裂が起こる前に、異種性エフェクタータンパク質、好ましくは、エンドヌクレアーゼの転写物の減数分裂前蓄積の繊細な平衡を保つ作用を提供することが分かり、その結果、減数分裂後に、その結果得られた精子が、翻訳されたエフェクター配列のコピーを保有し、該コピーが、その後に精子において効果を生じることができる。この効果は、受精前に生じ、よって、精子が不妊性の活性精子となるような、精子不妊性を有効に与える。これが、本明細書に記載されている「精子致死」効果である。

減数分裂におけるDNA完全性のための強力なチェックポイントは存在しないように思われる。したがって、DNAへの減数分裂前損傷は一般に許容される。実際には、損傷は恐らく、放射線によってなされるものである。放射線は、可変性の精子頭部サイズをもたらすが、頭部サイズは、DNA含量に比例する。したがって、このような可変性DNA含量は、減数分裂前細胞における放射線に起因するDNA損傷による、減数分裂におけるDNAの不均等な分離に由来し得る。しかし、有糸分裂においては強力なチェックポイントが存在する(通常)ため、生殖系列幹細胞(GSC)または精原細胞におけるDNA損傷は、機能的(卵に受精する能力の意味において)精子の発生を防止するようである。

本発明のさらに別の態様において、生殖腺または精子においてエフェクタータンパク質を発現する方法が提供される。好ましくは、方法は、生殖腺を本発現系で形質転換するステップを含む。本態様は、また、形質転換方法に関する。

雄節足動物の生殖腺において本発現系により前記タンパク質を発現させるステップを含む、個体数調節方法も提供される。好ましい節足動物は、本明細書に記載されている。

本発明はまた、抵抗性管理方法を提供する。胚活性系を包含する、いずれかの接合子的に活性を有するRIDL系の原則として、接合子のゲノム中のあるもの(例えば、母親から受け継いだ遺伝材料)が、意図される致死効果を防止または低下させ得る可能性がある。RIDLに関して、これは、受け継いだ抵抗性因子となり得る。例証するため、抵抗性因子は、致死エフェクターの発現のレベルを低下させる、または致死エフェクターの標的の該エフェクターに対する感受性を低下させるものとなり得る。しかし、本発明に関して、エンドヌクレアーゼが用いられる場合、これがいかなる仕方で起こるか想定することは困難である。既に損傷がなされており、一例としてヌクレアーゼを用いた場合、精子のDNAは既に損傷されており、卵においてこれがどのように補正されるか想定することは困難であり、よって、損傷は永続的なものとなる。

抵抗性管理に関して、雌特異的RIDLを用いたところ、野外で抵抗性が確認されるという状況を想定することができる。本出願人らは、本発明に係る系を加え、性分離のためにfsRIDLを維持し、不妊性のために本発明を維持することができる。あるいは、本出願人らは、本系へと単純に切り換えることができるが、性分離は、いくつかの種においてSITのために明確な利益を有する。

この抵抗性管理は、完全に包括的という訳ではない − 依然として行動の抵抗性の可能性がある(雌が、繁殖力のある雄と不妊雄との間を識別することができる場合、繁殖力のある雄と優先的に交配する雌に対する強力な選択が存在し、これにより、本発明による影響を受けた精子への曝露を回避する)。係る行動の抵抗性は、放射線(radation)に基づくSITプログラムにおいて観察されたが、ごく稀にしか見られない(本出願人らは、都合の良い一例しか知らないと考える)。この議論は、上に概要を述べる根拠により、接合子(RIDL)致死に対する精子における放射線損傷の優位性に関する、放射線不妊化の支持者が用いた議論と密接に類似している。

本方法において、条件的系、好ましくは、本明細書に記載されているtet系が、さらなる程度の制御をもたらすために用いられることが好ましい。これは、例えば、研究室条件下における、即ち、テトラサイクリン等のリプレッサーの存在下における繁殖を可能にする。放出すると、あるいはテトラサイクリンを除去すると、系の抑制が除去され、これによりエフェクタータンパク質が発現される。

雄性不妊は、例えば卵孵化を防止するため、農業と、疾病管理、例えば、蚊(例えば、マラリアおよびデング熱の伝達の原因となる蚊)等の病原媒介者の制御の両方におけるこの文脈において有用である。よって、本発明はまた、集団における系の発現または野外への雄(系を保有する)の放出を含む、生物学的封じ込め(biocontainment)の方法を提供する。抑制可能系(これが好ましい)により、系統は、リプレッサーに依存性となり、野生において定着することができない。

本発明は、また、例えば、蛍光タンパク質、好ましくは、緑色蛍光タンパク質(GFP)または本技術分野において公知の他の色つきの蛍光タンパク質のいずれか等のレポーターを包含することによる、品質管理方法を提供する。これは、形質転換マーカーとして作用するエフェクタータンパク質それ自体となり得る。形質転換マーカーとして用いられる蛍光(flourescent)タンパク質の他の例として、DsRed、DsRed2およびAmCyanが挙げられる。

本明細書に記載されているマーカーを包含する(includuing)、別々の形質転換マーカーを用いてもよい。これらの形質転換マーカーの転写は、第1または第2の発現単位と別々のプロモーターの制御下でなされてよい。係るプロモーターの例として、筋肉アクチンプロモーター、3xP3、hrlEおよびhr5IE1が挙げられる。

しかし、より好ましくは、蛍光タンパク質を本系におけるエフェクタータンパク質に連結して、このレポータータンパク質およびその発現により、集団への導入遺伝子または他のエフェクターの包含の程度の評価を可能にすることができる。これは、次の利点のうち少なくとも一部を有する。 (1)係るマーカーのいずれかと同様に、導入遺伝子の存在を同定し、これにより遺伝を追跡することができる。マーカーが、対象とする形質、例えば、致死系に密接に連結する程、いずれか一方を不活性化する突然変異が起こる可能性は低くなる。しかし実際には、これら(マーカーおよび導入遺伝子)が、同じ挿入DNAセグメントに存在する場合、これはいかなる場合においても非常に可能性が低い。 (2)融合の意味において連結される場合、マーカーは、エフェクタータンパク質の発現を示す。これにより、実際の発現を観察することができる。例えば、ヌクレアーゼのtet抑制可能発現の好ましい事例において、ヌクレアーゼと蛍光レポーターとの融合体は、放出しようとする昆虫がヌクレアーゼを発現していたことの点検を可能にする。蛍光マーカーの存在は、次の事柄を教えてくれる。(i)雄が、少なくとも1コピーの導入遺伝子を有すること、(ii)発現系が、リプレッサーの非存在下においてエフェクターの発現を行っているという意味において正確に機能していること、(iii)昆虫が、ヌクレアーゼ−FP融合体を発現している(したがって、例えば、リプレッサーの存在下において不注意に飼育されていなかった)こと、[(iv)雄特異的発現を仮定すると、雄であること]、(v)推論によって、これらが実際に不妊性であること。品質管理(QC)期間において、これは、連結された(遺伝的に連結された、例えば、遺伝子に隣接する)蛍光マーカーの使用により得られる情報である、雄が導入遺伝子のコピーを保持することを単に知るよりも、「これらが不妊性である」ことに関するさらなる確実性を与える。 (3)より高倍率の(higher-powered)顕微鏡により、いつ発現が顕れるかおよび細胞内のどこにタンパク質が局在化するかを観察することができる。これは、役立つ開発ツールであり、例えば、進行中のQCにおける一貫性をモニターして、系が、昨日/昨年行ったことを本日行っているか確立するためのものでもあり、これはまた、精子間の発現一貫性の文脈においても同様である。 (4)さらなる利点は、後述する通り、蛍光精子に関する。

ヌクレアーゼにはDNAを切断するための明らかな機能的接続が存在するため、ヌクレアーゼが核に存在しなければ、所望のDNA切断効果を有する可能性が低い。そのようなものとして、したがって、核局在化シグナルが提供されて、ヌクレアーゼが核に局在化することを確実にすることも好ましい。

さらに別の一態様において、個体の標的群において本発現系の発現を誘導するステップまたは抑制解除するステップと、係る個体が、サイズ、数、発生ステージまたは局在化等の予想される判断基準を満たすか決定するステップとを含む品質管理方法が、これにより提供される。例えば、系が、エフェクターとしてまたは例えば融合タンパク質の一部として蛍光タンパク質等のレポーターを発現する手段を包含する場合、系からの発現が誘導または抑制解除された個体は、適した波長の光下で可視となる。

本系は、少なくとも1個のスペーサーを包含することが好ましい。係るスペーサーは、系の本エレメントのいずれかの間に有利に配置することができる。例えば、スペーサーは、プロモーターと調節エレメントとの間および/または調節エレメントとコード配列との間に設置して、これにより、これらのエレメント間に「バッファー(buffer)」を提供して、その適切な機能性を確実にすることができる。そのようなものとして、スペーサーは、これらのエレメントを分離すること以外の遺伝子発現において機能を持たないが、これが有用であると考慮される場合、必要に応じて多くの制限部位を包含することができる。理想的には、これは、いかなる転写結合因子部位等も包含するべきではないが、その理由として、これはエフェクターの発現に干渉し得るからである。

エフェクターが、融合配列またはタンパク質の形態となり得ることも好ましく、これは例えば、エフェクターの転写および翻訳がマーカーの転写および翻訳も引き起こすように、ヌクレアーゼがマーカーと融合されるようなものである。これは、蛍光タンパク質の存在が、ヌクレアーゼが発現されたことを示して、ヌクレアーゼへの精子の曝露を示すという利点を有する。蛍光タンパク質は、特定の蛍光タンパク質に適した励起フィルターを用いた蛍光(flourescence)顕微鏡下で観察することができる。これらの例は、本出願人らの系統、LA4466またはLA4467(LA4466=PB−hr5IE1−DsRed−Aeprot−tGFP−EcoRIおよびLA4467=PB−hr5IE1−DsRed−Aeprot−tGFP−FoklCD)である。初期の系統は、本発明者、Luke Alpheyにちなんで「LA」と命名されたが、それ以降は、本出願人、Oxitecにちなんで接頭文字(prefix)「OX」が採用されたことに留意されたい。そのようなものとして、接頭文字LAおよびOXは、個々の系統に対し互換的に用いることができる。LA4466/OX4466およびLA4467/OX4467は両者共に、蛍光発現との融合が成功したヌクレアーゼ機能の例である。

本系および方法を用いて、蛍光精子を産生できることも想定される。例えば、上述等のレポーターは、プロモーターに連結することができる、あるいは実際に、エフェクターがtTAまたはそのバリアントのいずれかである場合、tetOプロモーターエンハンサー系等の別々のプロモーター下にある。蛍光精子は、特に、解剖または性選択の方法において、精子または生殖腺の視覚的分離に有利になる。特に、これは、いずれの雄個体と雌が交配したか決定する能力を推察し、この能力は、野外放出プログラムの文脈において有用である。係る方法は、野生雌を用意(例えば、捕捉)するステップと、これを解剖するステップと、貯蔵された精子を探して、係る精子が本系を保有するか、即ち、蛍光であるか調べるステップとを包含することができる。この方法は、雌が次の事項に相当するか非常に迅速に教えてくれる。 (i)未交配である(交配していない)、 (ii)野生型雄と交配した(非蛍光精子を示すため)、 (iii)本系を保有するトランスジェニック雄と交配した(蛍光精子を示すはずである)または (iv)両方の種類の雄と交配した(蛍光および非蛍光精子の存在によって示される)。

「雌がどの個体と交配する?」かは、SIT型プログラムの評価および管理における主要な疑問であるため、これは有用な利点である。これを提唱する数報の論文、例えば、既に引用したMalacridaら、2007の論文が存在するが、本出願人らが本明細書に提供する文脈のものではない。

この概念の例は、特にネッタイシマカにおいて精子頭部を蛍光によりマークするよう設計されたコンストラクト(OX3878)である。このコンストラクトは、ネッタイシマカtGFPタグ付きプロタミンおよびその調節配列を利用して、精子特異的様式で蛍光融合タンパク質を発現させた。OX3878雄蚊から解剖された精巣全体および単離された精子の両方において、強い緑色蛍光が検出された。この結果は、蛍光タンパク質の発現を本系によって駆動して、蛍光精子を産生することができること、さらに、蛍光を有用に検出することができることを示す。

よって、さらに別の一態様において、本発明は、トランスジェニック雄(即ち、放出された)集団における本発明に係る系の使用を含む、雌節足動物の交配状態を決定する方法であって、前記系が、蛍光レポータータンパク質等のマーカーを含み;精子が存在する場合、雌における前記マーカーの存在に関してアッセイし;マーカーの存在が、雌が系を保有するトランスジェニック雄と交配したことを示す方法を提供する。マーカーを保有しない精子の存在は、雌が、野生型(トランスジェニックではない)個体と交配したことを示す。精子が存在しない場合、雌がまだ交配していないまたは最近交配したことを示す。一部の実施形態において、方法は、本系を保有するトランスジェニック雄を放出して、雌(即ち、野生型雌)と交配させるステップを包含する。

本発明において、系の発現を引き起こすまたは生じさせる必要があることが認められる。言い換えれば、エフェクター(および別々の場合、レポーター等の必要に応じたマーカー(marked))の発現を誘導するために必要とされる条件が順守される。例えば、抑制可能tet系の場合、これは、トランスジェニック雄の食餌からのテトラサイクリンの除去を意味する。

本発明の全般的な目標は、雄性不妊を提供することである。しかし、本出願人らがまた示したことは、依然として野生型精子と競合することのできる不妊性精子の提供が可能であることである。野生型精子が、形質転換精子を容易に打ち負かすことができ、雌が、両方の種類の雄と交配する可能性がある場合、次世代の集団にはほんの僅かな低下しか見られないと思われることから、これは、より優れた程度の個体数調節をもたらすため有利である。雌が、典型的に1回しか交配しない場合であっても、係る状況において、増加した再交配に対する強い選択が存在し得る。

ユビキチン融合タンパク質もまた、本系において有利に包含され得る。これは、融合体、即ち、単一ポリペプチドとしての両方のタンパク質の発現をもたらすが、2種の別々のタンパク質へと(同時翻訳時)切断するという利点を有する。タンパク質の一方が、融合を許容しない場合(tTAは、例えば、N末端融合により機能しない傾向がある)、これが有用である。コンパクトな形態の同時発現が残っているが、これと融合したままでないため、融合タンパク質の細胞下位置(sub-cellular location)を決定するためにタグ(例えば、蛍光タンパク質、FP)を用いる能力を失う。

本プロモーターが、「初期作用」生殖系列プロモーターであり、よって、減数分裂前に必要なレベルの転写をもたらすことを反復する価値がある。プロモーターは、さらに下に定義されているが、重ねて、プロモーターが、好ましくは、有糸分裂後にtopiプロモーターよりも決して早く作用するべきではなく、特に、幹細胞において作用するべきではない(少なくとも、エフェクターが係る細胞型を損傷しない場合、即ち、エフェクターがヌクレアーゼではない場合)ことに留意する価値がある。

プロモーターは、生殖系列効果を有するべきであり、系の発現が条件的であることが好ましい。理想的には、精子形成は、エフェクターの発現のいずれかのマイナス効果が観察される前に実質的に完了されるべきである。卵進入後まで精子機能に識別可能な効果がないことが好ましい。DNA損傷は、恐らく、「マイナス効果」として理解され得るが、精子において転写がないため、精子中のDNAは、単に「積み荷(cargo)」と考えることができる。エフェクターに起因するいかなるDNA損傷も、生存可能な後代の産生の防止に十分なものとならなければならない。

よって、本発明は、好ましくは、条件的生殖系列特異性(発現の観点から)を提供する。

好ましい例において、第2の発現単位の「フレームワーク」は、特に、Dmまたは標的節足動物由来のB2T野生型遺伝子に基づく。コード配列は、転写因子のコード配列と置き換えられ、プロモーターおよび/または5’UTR配列も変化される。実際に、異種性エンハンサーであっても挿入することができる、あるいは異種性3’UTRが用いられる。明らかに、これら変化の全てがなされた場合、本来の配列が殆ど残っておらず、これが、第2の発現単位を構築する仕方の一つであることが認められる。

調節エレメント、特に、第2の発現単位における上流調節エレメントのプロモーターおよび/または5’UTRに関して、本転写因子の翻訳効果の遅延がないことが重要である。これを達成する仕方の一つは、減数分裂前に十分な、好ましくは、強いレベルで転写および翻訳することが知られた遺伝子由来の調節エレメントを用いることである。適した例は、シャペロン遺伝子、好ましくは、HSPファミリーの遺伝子、特に、hsp83を包含する。別の好ましい一実施形態において、3’UTRは、SV40等のウイルスに由来し得る。

特に好ましい一実施形態において、本系の第2の発現単位は、修正B2T 5’UTRまたはhsp83の5’UTRと組み合わせたベータ2チューブリン(B2T)由来のプロモーターを含む。必要に応じて、SV40由来の3’UTRを用いることもできる。プロモーターおよび5’UTRのいずれか一方または両方は、topi由来のものとなることができ、topiは、ショウジョウバエ遺伝子matotopetliを指す。しかし、本発明は、他の種由来の機能的ホモログおよびパラログを包含する。これらは上述の通り保存されたORFを参照することにより同定することができる。topi由来の5’UTRの場合、プロモーターは、topi由来のものとなり得るが、本明細書に開示されているその他のプロモーター、例えば、B2T由来のものとなり得ることが想定される。重ねて、topi由来のプロモーターが用いられる、および/またはtopi由来の5’UTRが用いられる場合、3’UTRも、好ましくは、5’キャップおよびポリAテイル等の残りの調節エレメントと同様にtopi由来のものである。この根拠は、topiが、有糸分裂後であって減数分裂前に適した転写および翻訳を駆動することができるような、精子形成における「初期」発現パターンを有することである。

B2Tの場合、プロモーターは有用であるが、本出願人らは、B2T由来の5’UTRに関与する遅延シグナルが、初期翻訳を妨害すると思われることを見出した。B2Tの5’UTRを、例えば、hsp83等のシャペロン由来の5’UTRに置き換えることができることが、この根拠である。よって、場合によっては、プロモーターおよび調節エレメントは、互いに同種性である、あるいは少なくとも好ましくは、異なる種由来の保存されたホモログ由来のものであるが、場合によっては、本発明のために得られる発現パターンを微調整するために、互いに異種性のプロモーターおよび調節エレメントを用いる必要があり得ることが分かる。実施例から分かる通り、本出願人らは、各シナリオの例を提供する。

別の一態様において、本発明は、本系でまたは本方法により形質転換された、その好ましい例を本明細書に提示する節足動物も提供する。言い換えれば、本発明は、好ましくは、本明細書にさらに定義されている形質転換体または遺伝子改変節足動物も提供する。前記節足動物が、雄、好ましくは、エフェクターの発現が精子形成中に起こるような、その生殖腺が本系を保有する雄であることが認められる。

プロモーターおよび調節エレメントが、相乗作用して一体的に作用して所望の発現パターンをもたらすことは、本発明の利点である。

上述の通り、プロモーターは、好ましくは、精巣特異的遺伝子または少なくとも精子形成における「初期」発現をもたらすのに十分なもの由来である。代替物として、構造的プロモーター、例えば、チューブリンファミリー、特に、ベータチューブリン、最も好ましくは、ベータ2チューブリンプロモーターおよびそのホモログ等のより構成的なプロモーターが挙げられる。これを用いる場合、ベータ2チューブリンの上流調節エレメントの少なくとも一部の事例に観察される翻訳遅延シグナルを持たない上流調節エレメントを用いる必要がある。B2Tプロモーターを用いることの利点は、B2T遺伝子コード配列が、高度に保存されており、これおよび適したプロモーター断片が、当業者によって所定の節足動物種から容易に同定および単離することができることである。

B2Tプロモーター配列の一例を下に示す。

改良されたB2Tプロモーター配列の一例を下に示す。

B2T由来の5’UTRの一例を下に示す。本発明において他の種由来のB2Tプロモーターが用いられる場合、当業者であれば、上述の配列番号からその保存された性質に基づき5’UTRを容易に同定することができる。次に、当業者は、これを別の5’UTRと置き換えることができる。調製された例として、シャペロン、特に、hspファミリー、特に、hsp83由来の5’UTRを含む。適した例として、hsp83由来の5’UTRを下に示す。

本発明の実施形態において成功して用いられた3’UTRの適した一例は、SV40由来の3’UTRである。この3’UTRを下に示す。

topiコード配列は、大部分は、ネッタイシマカ等の蚊と、チチュウカイミバエ(セラティティス・カピタタ(C.capitata))との間で保存されている。B2Tに関しては、配列類似性(分子および配列に基づく方法を包含する多くの方法)により、topiのコード領域(またはその一部)をクローンし、続いて転写開始の5’側へと進み、5’側の相当な部分のDNAを目的のプロモーターとすることができる。どの程度の長さであるかは、毎回直ちに明らかになるとは限らない。伝統的には、次の転写領域に到達するまで5’へと進んでその全てを得るが、実際には、雄性生殖系列プロモーターは、非常に短い(数百塩基)傾向があるため、転写開始の5’側1kbで十分なはずであるが、慎重を期すのであれば2〜5kb取っても良い。本明細書における試行錯誤の試験も明らかである。FPまでのhookプロモーターは、トランスジェニックを作製する。発現パターンを参照されたい。

topiは、初期発現を有し、精子形成に繋がりがあるため有用である。これは、相対的に「コンパクト」な系、即ち、相対的に少数のポリヌクレオチドからなるため有利でもある。重ねて、これは、精巣特異的であり、実際に、B2Tよりも初期に発現される。B2Tプロモーターと比較した発現は、恐らく少々より弱いが、これは、発現のレベルが改良される必要がある場合、いくつかの点で有利なものとなり得る。Topiは、転写因子の例であるため、精巣において発現する、好ましくは精巣特異的な(即ち、精巣のみで発現される)他の転写因子由来のプロモーターおよび/または調節エレメントが、これにより好ましい。

本出願人らは、Topiプロモーターによってヌクレアーゼ発現が駆動された交雑種において、B2−チューブリンと比較して、特に、ネッタイシマカにおいて、より強い全体的な不妊化効果が観察されたことを見出した。にもかかわらず、両方の事例において有意な雄性不妊が観察され、topiおよびB2−チューブリンの変更形態の両方を、蚊、特にネッタイシマカにおける「父性致死性効果」に適したプロモーターにする。

その産物(例えば、コードされるタンパク質)が、減数分裂時またはその後にのみ必要とされる遺伝子は、先に転写されているとしても、減数分裂直前またはその後にのみ翻訳される可能性がある。対照的に、係る遺伝子の発現の駆動に必要とされる転写因子は、減数分裂前の転写休止前に、そのタンパク質産物を十分に蓄積して標的遺伝子の適切な発現を駆動するのに十分な程初期に発現(転写および翻訳)されなければならない。したがって、雄性生殖系列においてtTA等の転写活性化因子を発現することが望まれる場合、雄性生殖系列転写因子の調節エレメントは、最小の修飾により適したものとなり得る。

適したエンドヌクレアーゼは、下により詳細に記載されている。しかし、好ましい実施形態は、例えば、LA4104に見られる通り、ジンクフィンガーエンドヌクレアーゼを包含する。他の代替物は、Crisantiら(Catterucciaら、2009;Windbichlerら、2011;Windbichlerら、2007;Windbichlerら、2008)に用いられている通り、l−Ppolとも称されるlppO1を包含する。これは、ランダム配列において相当に稀な、非常に長い認識配列を有すること等の一定の利点を有する。しかし、例えば、これは、正準認識配列とある程度の相違を有する配列を許容する(即ち、依然として切断する)と言う点において、一部の制限酵素に対して高い特異性を持たない。Windbichlerら、2007は、ガンビエハマダラカ組織培養細胞における成長停止を示し、この結果は、発現が毒性であることの理にかなう証拠(論文の著者らが結論付ける通り)であるが、毒性は直接的には示されていない。

Windbichlerら、2008により異なる結果が得られ、それによると、l−Ppol(rDNAにおけるその標的部位は、ガンビエハマダラカ種においてX染色体上のみに存在すると思われるため、論文の著者らは、これが、ガンビエハマダラカにおけるX染色体のみを切断すると考えていた)の発現は、その予想(父方由来のX染色体への損傷により生存可能な娘は存在しないが、生存可能な息子は存在する)よりも完全な不妊雄を生じた。彼らの提唱した説明は、いくつかの支持データが提供されているが、l−Ppolそれ自身が精子において受精卵に伝達され、それが母方由来のX染色体も切断するというものであった(著者らは、これをタンパク質として仮定したと思われるが、潜在的には等しくmRNAの可能性もある)。これは、タンパク質(またはmRNA)安定性に関する永続のさらなる問題である。

代替的な好ましいエンドヌクレアーゼは、Fok−1プロタミン融合エンドヌクレアーゼである。さらに好ましい代替物は、EcoRIプロタミン融合エンドヌクレアーゼを包含する。プロタミンは、DNA結合タンパク質であり、一般に、非常に低い配列特異性を有する。これは、IIS型切断ドメインであるFok−1と組み合わされる。この切断ドメインは、その標的を切断するために二量体化する必要がある。部位は、非線形濃度効果を生じるために共に十分に近くにある必要があるため、これは有用である。単量体として作用するエフェクターは、その濃度に比例してその効果(ここでは、DNA切断)を有すると予想される。多くの適用のため、非線形用量反応曲線が好まれ、効果は、ゼロ付近から一定のポイントまで及ぶが、その後に該ポイントを超えて完全有効性まで相対的に急速に増加し、この限界がバイナリー「閾値」効果となる。プロタミン−Fokl等のヌクレアーゼは、ある程度この非線形性を有することが予測される。プロタミンは、DNAに結合するが、配列特異性を殆どまたは全く持たない。したがって、低濃度(例えば、核当たりの分子数)において、プロタミン−Foklタンパク質は、クロマチンの周りにランダムに点在し、稀に、十分に密な近接/配向性で存在して二量体化し、染色体を切断する傾向がある。

しかし、濃度が増加するにつれ、係る近接の確率は非常に増加し、濃度と切断との間に非線形関係性をもたらす。低く、但し、ゼロではないレベルの標的なし(基底)(off-target(basal))発現を有しても、系は相対的に不活性であるが、より高い発現においては(抑制可能発現系の場合は抑制解除された、意図された発現ドメインにおいて)依然として所望の効果を有するため、これは、プロモーターの選択(および特異的導入遺伝子挿入)を推進する。DNAに結合する前にエフェクターが二量体化(またはより大型の複合体、例えば、四量体を形成)しなければならない場合、同様の効果を達成することができる。さらなる線形効果が望まれる場合、これは、二量体化する必要のない、あるいは単一ポリペプチド中に必要なサブユニットが用意されている(例えば、1コピーではなく2コピーのFoklドメイン)ヌクレアーゼドメインを用いることにより、本発明の方法の範囲内で容易に達成することができる。利用できるタンパク質分子は、より多数またはより少数の部位に対するDNA結合ドメインの特異性および親和性により「着目」されることから、系の追加的な操作は、より高いまたはより低い配列特異性のヌクレアーゼを用いることにより達成することができ、該部位におけるより高いまたは低い程度の濃度をもたらす。

プロタミン遺伝子(またはタンパク質コード配列)が、標的種と同じ種から得られることが好ましい。プロタミン遺伝子が、キイロショウジョウバエ(D. melanogaster)に由来することが好ましい。プロタミン遺伝子が、ネッタイシマカに由来することも好ましい。

構成的に発現されるコンストラクトOX4466およびOX4467に関する例を設計して、それぞれエフェクタータンパク質Aeプロタミン(Aeprotamin)−EcoR1およびAeプロタミン−Fok1の機能性を調査した。これらの例は、これらエフェクタータンパク質の両方が、精子致死系において、即ち、初期作用プロモーター(第2の発現単位)の制御下で用いた場合、確実に働くはずであることを示す。実際には、本出願人らは、また、Aeプロタミン−Fok1バイナリーコンストラクトのためにこれを示し続けた。両方のエフェクタータンパク質の機能性を立証して、本出願人らは、Aeプロタミン−Fok1バイナリーコンストラクト(例「OX4282−OX4627 Topi−tTAV駆動による、tetO−Ae−プロタミン−Fokl−CDの発現」を参照)を開発および注入し、これにより、以前の(構成的に発現される)系の陽性の成績が確認された。したがって、EcoR1系が、精子致死設定においても働くと予想することは完全に理にかなう。したがって、エフェクター遺伝子は、好ましくは、Aeプロタミン−EcoR1またはAeプロタミン−Fok1である。これらは、最も好ましくは、蚊、特にヤブカ属(Aedes)、特にネッタイシマカにおいて用いるためのものである。

他のII型エンドヌクレアーゼは、例えば、Eco32I、BfiIおよびMboIIを包含する。これらのエンドヌクレアーゼは、ホモ二量体である。一般に、二量体エンドヌクレアーゼが有利である。これらは、二量体化したときのみにDNAを切断するため、二量体型である。これらが適宜二量体化すると、二本鎖DNA切断をもたらす。

他のエンドヌクレアーゼは、HEG(HEG’s)(ホーミングエンドヌクレアーゼ)を包含し得る。このようなHEGは、単量体であっても二量体であってもよいが、一般に、低い特異性を有する(その(非常に長い)認識配列に対し完全なマッチを必要としないが、確実に、ランダム配列を単に切断する訳ではないという意味において)。他の代替物は、細菌由来の制限エンドヌクレアーゼを包含する。これらもまた、低い特異性を有する。

したがって、当業者は、必要とされる特異性のレベルを選ぶことができる。低い特異性のエンドヌクレアーゼが、所定の認識配列に対し、高い特異性のエンドヌクレアーゼよりも多い機会でDNAを切断または損傷することが認められる。HEGは、ゲノム当たり1回未満の頻度で偶然に発生し得る非常に長い認識配列を有する。そのため、該配列に対するその不完全な特異性にもかかわらず、これは、全く切断することができない(例えば、Windbichlerら、2011におけるI−SceIは、遺伝子操作された部位のみを切断し、ゲノムの残り部分を切断しない − 少なくとも、実験において明らかな困難を生じるような十分な高頻度では切断しない)。

よって、エフェクターとしてのエンドヌクレアーゼの適切な選択により、さらなるレベルの微調整が可能である。ヌクレアーゼエフェクター融合タンパク質は、これまでに試験した3種の異なる双翅目(diptera)種、即ち、セラティティス・カピタタ(C. capita)、バクトロセラ・オレアエ(B. oleae)およびネッタイシマカにおいて完全に機能的であることが判明した。これらの種は、同じ属の他の種であるため、特に(praticularly)好ましい。

節足動物(本系が発現される宿主生物)が、昆虫、好ましくは、ミバエ科(tephritid)であることが特に好ましい。特に、昆虫が、双翅目(order diptera)、特に高等双翅目の目由来であること、特に、ミバエ科ミバエ、好ましくはチチュウカイミバエ(セラティティス・カピタタ)、好ましくはメクスフライ(Mexfly)(アナストレファ・ルーデンス)、好ましくは東洋ミバエ(Oriental fruit fly)(ミカンコミバエ(Bactrocera dorsalis))、オリーブミバエ(Olive fruit fly)(バクトロセラ・オレアエ)、ウリミバエ(Melon fly)(バクトロセラ・ククルビタエ(Bactrocera cucurbitae))、ナタールミバエ(Natal fruit fly)(セラチチス・ローザ(Ceratitis rosa))、サクラミバエ(Cherry fruit fly)(ラゴレティス・セラシ(Rhagoletis cerasi))、クインスランドミバエ(Queensland fruit fly)(バクトロセラ・チロニ(Bactrocera tyroni))、モモミバエ(Peach fruit fly)(バクトロセラ・ゾナータ(Bactrocera zonata))、カリブミバエ(Caribbean fruit fly)(アナストレファ・サスペンサ(Anastrepha suspensa))または西インドミバエ(West Indian fruit fly)(アナストレファ・オブリカ(Anastrepha obliqua))であることが好ましい。宿主生物が、蚊、好ましくは、ステゴミア属(Stegomyia)、ヤブカ属、ハマダラカ属またはイエカ属の属由来のものであることも特に好ましい。特に好ましいものとして、ネッタイシマカとしても公知のステゴミア・アエギュプタエ(Stegomyia aegyptae)、ステゴミア・アルボピクタ(Stegomyia albopicta)(ヒトスジシマカとしても公知)、ステフェンスハマダラカ(Anopheles stephensi)、アノフェレス・アルビマナス(Anopheles albimanus)およびガンビエハマダラカが挙げられる。

双翅目内で、別の好ましい群は、クロバエ科(Calliphoridae)、特に、新世界ラセンウジバエ(New World screwworm)(コクリオミア・ホミニボラクス(Cochliomyia hominivorax))、旧世界ラセンウジバエ(Old World screwworm)(クリソミア・ベジアナ(Chrysomya bezziana))およびヒツジキンバエ(Australian sheep blowfly)(ルシリア・クプリナ(Lucilia cuprina))である。鱗翅類および鞘翅目も好ましく、特に、コドリンガ(codling moth)(シディア・ポモネラ(Cydia pomonella))およびカイコ(ボンビックス・モリ(Bombyx mori))、ワタアカミムシガの幼虫(pink bollworm)(ペクチノフォラ・ゴシピエラ)、ダイアモンドバックモス(diamondback moth)(コナガ)、マイマイガ(リマントリア・ジスパー(Lymantria dispar))、ネーブルオレンジワーム(Navel Orange Worm)(アミエロイス・トランシテラ(Amyelois transitella))、ピーチツイッグボーラ(Peach Twig Borer)(アナルシア・リネアテラ(Anarsia lineatella))およびニカメイガ(rice stem borer)(トリポリザ・インセルツラス(Tryporyza incertulas))、また、ヤガ科(noctuid)の蛾、特に、タバコガ亜科(Heliothinae)等の蛾が好ましい。鞘翅目の中では、マメコガネ(ポピラ・ジャポニカ(Popilla japonica))、シロヘリクチブトゾウムシ(White-fringed beetle)(グラフォグナツス属(Graphognatus)spp.)、ワタミゾウムシ(アントノモウス・グランジス(Anthonomous grandis))、コーンルートワーム(corn root worm)(ディアブロティカ(Diabrotica)spp)およびコロラドハムシ(レプチノタルサ・デセムリネアタ(Leptinotarsa decemlineata))が特に好ましい。

しかし、本出願人らが実施例において示した通り、本系および方法は、高等および下等双翅目を包含する双翅目にわたって実行することができる。したがって、高等双翅目が好ましい。下等双翅目も好ましい。

一部の実施形態において、昆虫が、ショウジョウバエ科(Drosphilid)ではないことが好ましい。よって、一部の実施形態において、ショウジョウバエ科(Drosophilid)、特に、キイロショウジョウバエにおける発現が排除される。

エフェクタータンパク質の発現が、生物において表現型的な結果、即ち、不妊性をもたらすことが好ましい。機能的タンパク質が、可視マーカー(蛍光を包含する)と関連づけられることが特に好ましい。

特定のヌクレオチドまたはタンパク質配列について言及がなされる場合、これが、それと実質的に均等な生物活性を有するそのいかなる変異体またはバリアントに関する言及を包含することが理解される。好ましくは、変異体またはバリアントは、参照配列と少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、好ましくは少なくとも99%、好ましくは少なくとも99.9%、最も好ましくは少なくとも99.99%の配列同一性を有する。

本出願人らは、次の事柄を予期する。 a)ヘテロ接合性雄の全ての精子が影響を受けるように、本不妊性が、優性である(系は、一部の種類の精子に対して選択的となり得るため、必ずしも全て欠損性(defective)である必要はない、あるいは影響を受けるはずの精子に対し100%未満が有効となり得る)。 b)機構が、このような精子を介した優性致死遺伝子の接合子による遺伝に依存性ではない。

a)およびb)の両方が、RIDLから識別されるため、したがって、本系は、RIDL系ではない。

放射線の潜在的な利点の1つは、野生標的集団におけるいかなる遺伝性または遺伝的変化が、放射線の不妊化効果を克服することができるかを理解することが困難であることである。よって、放射線に基づくSITのこの側面に対し、野生集団において生じる抵抗性を想像することは困難である(にもかかわらず、行動の抵抗性等の他の種類の抵抗性、例えば、同類交配(Dhillonら、2005)は生じ得る)。対照的に、RIDL遺伝子の殺傷または無能力化作用に対する抵抗性を付与する遺伝子またはアレルは、事によると生じ得る。同様に、CIの正確な生化学的基盤は知られていないが、ボルバキア属の適した系統に感染した胚は、CI誘導性雄性不妊を逆戻しすることができ、したがって、CI誘導性不妊性に対する生化学的/遺伝的抵抗性が考え得ると思われる。

本発明は、上述の困難を克服する。遺伝性抵抗性の可能性が激しく制限されるように、不妊化機構は、接合子の遺伝子発現前に作用するよう設計される。例えば、精子形成において発現されるヌクレアーゼの使用を考慮する。制限的条件下で(妊孕性に関して、ヌクレアーゼの発現には許容的)、これは、放射線照射と殆ど同じ仕方で、例えば、二本鎖切断を誘導して、DNAを損傷する傾向がある。したがって、野生標的集団が、係る不妊性または父性効果致死性に対する抵抗性をどのようにして発達することができるか想像することは等しく困難である。これは、人工大量飼育集団は、抵抗性を発達することができる可能性があるが、許容的(妊孕性に関して)条件下で精子(または他の細胞または組織)にほとんど損傷が生じないような、適した条件的発現系の使用は、係るアレルの選択圧を最小化する。この放射線の点に関して同様であるが、本発明の方法は、いくつかの利点を有する。不妊化効果は、生殖腺または配偶子に制限されるため、昆虫の性能を低下させる可能性は低い。適した抑制可能発現系の選択により、不妊性は、リプレッサーの除去により単純に達成することができる。このバージョンにおいて、系は、野生に放出された(意図的にまたは不注意で)昆虫が不妊性である、あるいはその後代の一部または全てが不妊性であると言う点において、生物学的封じ込めも提供する。

本出願人らは、雌致死(または飛べない(flightless))RIDL技術と本「精子致死」発明とを組み合わせて、SITプログラムにおける実行に適した昆虫製品を開発することを意図する。本出願人らは、例において、本「精子致死」系が、RIDL技術と組み合わせて実行可能であることを示す。当然ながら、性分離が望ましくない種や、それが望ましいが他の手段(例えば、ネッタイシマカに適した、身体的サイズに基づく性分離)により達成することのできる他の種も存在する。よって、好ましくは、本発現系は、現存する雌致死(または飛べない)技術と組み合わせて、SIT型プログラムにおける実行に適したさらに別の節足動物、特に昆虫、製品を開発することもできる。雄のみの放出は、例えば、成虫雌が、不妊性であっても実際にまたは潜在的に有害である(例えば、蚊、かみつきによる、あるいはチチュウカイミバエ、熟していない果実への産卵による)数種の生物種のSITに望ましい、また、同時放出された不妊性雌が、野生雌の探求から不妊雄の「気を散らす」と思われる(Rendonら、2004)チチュウカイミバエにも望ましいと考慮される。

適した性分離系は、天然の雌雄二形性(例えば、ネッタイシマカではサイズ、ツェツェバエでは蛹化時間);誘導された雌雄二形性(例えば、Catterucciaら、2005)に基づく分離を包含する。あるいは、一方の性は、致死遺伝子雌雄鑑別系の使用により排除することができる。係る系は、古典的遺伝学(例えば、Franz、2005;Klassen and Curtis、2005)によって、また、RIDLの実施形態(Fuら、2007;Thomasら、2000)を包含する、組換えDNA方法によって構築された。両方の条件的発現系は、2種の表現型それぞれの制御が協調的に制御されるように、同じ条件を用いることができる。よって、例えば、各系が、テトラサイクリン(またはクロルテトラサイクリン等のその適したアナログ)によって抑制される場合、適した濃度のテトラサイクリンの存在下における飼育は、系統が適切な数まで成長することを可能にする。放出前の最後の世代において、テトラサイクリンなしの飼育は、雌特異的致死系および提唱されている精子致死系の両方の抑制解除をもたらす。したがって、雌は死亡し、残りの雄は不妊性となる。

両方のエフェクターが両方の系により発現されるような、2つのtet抑制可能系間のある程度のクロストークを予期することができる。雌における精子致死エフェクターの発現は、このような雌が死亡することが意図されるため、いかなる望ましくない結果を有する可能性も低い。他の仕方のクロストーク、即ち、精子形成における雌致死エフェクターの発現は、雌致死エフェクターおよび精子形成におけるその効果の性質に応じて、さらに問題がある場合がある。係るクロストークは、望ましくないと考慮される場合、雌致死エフェクターの発現を雌に制限して、例えば、機能的エフェクターの産生を調節するための性別特異的選択的スプライシングの使用により(Fuら、2007)容易に回避することができる。

組み合わせ技術は、2つの仕方で達成することができる。

− 提唱されている発明は、トランスポゾン媒介性形質転換により昆虫のゲノムに別々に挿入することができる。作製された系統の徹底解析は、所望の特色を有する候補系統をもたらす。これを戻し交雑して、雌致死(好ましくは、fs−RIDL)系統をもたらし、2種の挿入の二重ホモ接合体を作製することができる。

特に好ましい一実施形態において、2つの系は、単一DNAコンストラクトにおいて、条件的雌特異的致死コンストラクトと組み合わせることができる。したがって、このコンストラクトは、遺伝的雌雄鑑別および雄性不妊の両方を提供する。

精子形成は、生殖成功のための機能的精子(functional spermatozoa)の形成をもたらす、細胞分化の高度に特殊化された過程である。原則として、成熟精子のサイズおよび形状は、異なる種間で大幅に変動するが、精子形成の過程は、あらゆる有性増殖する生物において十分に保存されている。多くの詳細は、哺乳類およびショウジョウバエの間で比較可能であり、ハエを非常に優れた妊孕性欠損の研究のためのモデル系とする。ショウジョウバエ生殖細胞は、哺乳類の生殖細胞と同様に、胚発生初期に取り分けられ、後腸の原基を通って胚の内部へと遊走し、そこで、胚性生殖腺の体細胞部分に加わる(Zhao and Garbers、2002)。三齢幼虫の終わりおよび囲蛹殻形成(pupariation)の開始時に、最初の生殖細胞が減数分裂に進んだ。精子形成は、成虫の生涯にわたる連続的過程であり、よって、成虫精巣は、幹細胞から成熟精子までの全ステージを含有する。

一般に、精子形成における雄(昆虫)生殖系列細胞に関して、転写は、減数分裂直前に停止する(Fuller、1993)。後に転写される数種類の遺伝子が存在し得る(Barreauら、2008)が、これらは例外的である。一般に、その産物が減数分裂時またはその後に必要とされる遺伝子は、それでも減数分裂前に転写される。mRNAは保存され、後に、即ち必要なときに、例えば減数分裂後に翻訳される。次に、mRNAは、典型的には翻訳後に分解される。多くの遺伝子がこのパターンに従い、例として、β2−チューブリンおよびプロタミン、また、減数分裂調節因子twineが挙げられる。これらの中で、twineタンパク質は、減数分裂開始に必要とされ、β2−チューブリンは、減数分裂の紡錘体および減数分裂後には鞭毛に必要とされ、プロタミンは、厳密に減数分裂後に必要とされる。よって、適したタイミング制御を利用できる。

原則として、精子形成に必要とされる精巣における体細胞(例えば、嚢胞(cyst)細胞)に影響を与える(例えば、殺傷する)こと、あるいは雄におけるホルモン産生等に影響を与えること、あるいは(僅かにより有望)精液における因子を発現または抑止することにより、精子産生を破壊することが可能となるべきである。しかし、係る方法は、ほぼ確実に、せいぜいで、精子を持たないまたは明らかに異常な精子を有する雄を産生する。この理由から、本出願人らは、雄性生殖系列発現への着目を試みた。

生殖系列プロモーター配列 したがって、雄性生殖系列において対象とする遺伝子(「エフェクター」)を発現する単一遺伝子発現コンストラクトを容易に作製することができる。精子形成において発現する多くの遺伝子がショウジョウバエにおいて同定され、その多くは、生殖系列または雄性生殖系列に特異的である。係る発現データは、文献から直接的に容易に得ることができる。ショウジョウバエゲノムにおける遺伝子の多くに関する発現解析を行った大規模プロジェクト((Chintapalliら、2007)およびhttp://www.flyatlas.org/)も存在する(例えば、FlyAtlas(Chintapalliら、2007)およびhttp://www.flyatlas.org/、ショウジョウバエ精巣発現データベース(www.fly−ted.org)ならびにFlyBaseにおいて照合されたデータ、例えば、http://flybase.bio.indiana.edu/)。したがって、発現コンストラクトは、次の通りに作製することができる。

(1)適した精巣発現遺伝子、例えば、β−チューブリンの雄性生殖系列特異的アイソフォームをコードするβ2−チューブリン(Nielsenら、2001)を同定し(最近の報告(Jattaniら、2009)は、β2−チューブリンの発現および機能は、ショウジョウバエにおける雄性生殖系列に厳密に限定されないが、にもかかわらず、ガンビエハマダラカβ2−チューブリン由来のプロモーター断片を用いて、雄性生殖系列および係る雄の精子によって受精された胚以外に明らかな効果を生じることなく、ガンビエハマダラカゲノムにおける配列を切断することが知られた、強力なヌクレアーゼを発現させたことを示す)、 (2)遺伝子の野生型コピーを単離し、 (3)遺伝子のコード領域をエフェクター遺伝子に置き換え、 (4)この遺伝子を保有するトランスジェニック昆虫を作製する。

蛍光タンパク質レポーターの雄性生殖系列特異的発現は、この方法により、例えば、プロタミン、don juanおよびsneaky等の精子形成に関与する種々の遺伝子を用いてショウジョウバエにおいて達成された(Raja and Renkawitz−Pohl、2005;Santelら、1997;Wilsonら、2006)。β2−チューブリンは、よく保存された遺伝子であるため、この方法の延長として、ステップ2において、対象とする種(またはステフェンスハマダラカにおける使用のためのガンビエハマダラカ等の同類の種(Catterucciaら、2005))からの適切な遺伝子の単離は、任意で選択された節足動物種における使用を可能にする。このアプローチは、実際に、チチュウカイミバエ(Mediterranean fruit fly)(Malacridaら、2007)、ネッタイシマカ(Maynard−Smithら、2007)およびガンビエハマダラカ(Catterucciaら、2005)を包含する数種の生物種における蛍光タンパク質レポーターの雄性生殖系列特異的発現に用いられて成功し、これらの全ては、標的種のβ2−チューブリン由来のプロモーター断片を用いたが、例外として、Catterucciaらは、ガンビエハマダラカβ2−チューブリン由来のプロモーター断片を用いて、ステフェンスハマダラカにおける蛍光タンパク質の精子形成特異的発現を駆動した。

「精子致死性」は、許容的条件下における世代交代を確実にするための条件的発現系と併せて用いられる。この条件は、温度となることができ、例えば、温度感受性タンパク質エフェクターにより働く。しかし、温度に基づく条件的系は、例えば「リーキー(leaky)」となる傾向がある。外部から加えられる分子(例えば、RU486/ミフェプリストン(Osterwalderら、2001))の存在/非存在に基づく系である、TSL雌雄鑑別チチュウカイミバエ系統(Casares、2002)は、代替物となり得る。しかし、これは、二部分発現系には適さない(Brandら、1994;Brand and Perrimon、1993;Fussenegger、2001;Fusseneggerら、2000;Gossen and Bujard、1992;Gossen and Bujard、2002;Victorinova and Wimmer、2007)。

他方では、Tet−オフ(Tet-off)またはTet−オン(Tet-on)系は、選択スキームである(Gossen and Bujard、1992;Gossen and Bujard、2002)。この系は、適した遺伝子(エフェクター)の発現を条件的に駆動する転写因子の発現に依存する。tet系において、合成転写因子tTA(またはrtTAを包含するそのバリアント)の結合は、テトラサイクリンおよび/またはクロルテトラサイクリンもしくはドキシサイクリン等の関係する化合物の濃度に影響される。tet−オフ発現系において、tetOへのtTAの結合は、テトラサイクリンにより阻害され、したがって、エフェクターの発現は、テトラサイクリンにより阻害され、よって、「Tet−オフ」である。ストレプトグラミンにより調節される同様の発現系も知られている(Fusseneggerら、2000)。しかし、例えばβ2−チューブリンの制御下におけるtTAの発現は、テトラサイクリンの非存在下であっても、エフェクターの有意な発現をもたらさない。このようになる理由として、tTAの発現が、実質的に減数分裂後(より正確には、実質的に、減数分裂前の転写のシャットダウン後)であり、したがって、テトラサイクリンの非存在下であってもエフェクターの発現を駆動するには遅すぎることが挙げられる。

鍵となるのは、節足動物、特に昆虫における精子形成における遺伝子発現のタイミングを理解することである。基本的に、減数分裂の開始後に遺伝子発現はない。したがって、tet−オフ(またはtet−オン)等の二部分発現系を用いるために、配列特異的転写因子(tTA)の転写は、減数分裂に十分に先だって、tTA mRNAの蓄積、tTAタンパク質の翻訳およびエフェクターのtTA依存性転写の全てが減数分裂前に行われることを可能にする必要がある。精子形成において発現される大部分の遺伝子は、精母細胞において(即ち、減数分裂前に)転写されるが、後に、タンパク質産物が実際に必要とされるときに翻訳される。精子分化または機能に関与する大部分のタンパク質(したがって、大部分の精子タンパク質)に関して、これは、減数分裂後の翻訳を意味する。したがって、本出願人らの目的に適した発現とは、tTAの初期転写および初期翻訳を意味する。これは広く認識されておらず、また、達成も容易ではない。よって、ここに問題があることを認定した(identity)のは、本出願人らが初めてである。

適した3’UTRは、精巣発現遺伝子に由来する配列よりむしろ、異種性配列を用いて構築することができ、また、例えば、精巣発現遺伝子のコード領域の全体または一部は保持され得る。蛍光タンパク質レポーターの雄性生殖系列特異的発現は、この方法により、ショウジョウバエにおいて、例えばプロタミン、don juanおよびsneaky等の精子形成に関与する種々の遺伝子を用いて達成された(Raja and Renkawitz−Pohl、2005;Santelら、1997;Wilsonら、2006)。同様に、5’UTRを異種性配列に置換して、減数分裂後の翻訳を回避することができる。5ダッシュ非翻訳領域(5’UTR)は、例えば調節エレメントを経由して遺伝子発現を制御するための配列を含有することができる。5’UTR内の翻訳開始を促進もしくは阻害する配列またはイントロンは、遺伝子発現およびmRNA搬出の調節に関連付けられてきた(Cenicら、2011)。これは、転写開始部位に始まり、コード領域の開始コドン(通常、AUG)の1ヌクレオチド(nt)前で終わる。

tTAVおよびエフェクター遺伝子それぞれの適切な発現を得るために、言い換えれば、「精子致死性」を得るために、本出願人らは、β2−チューブリン遺伝子の5’UTRおよび一部の事例においては3’UTRを、それぞれhsp83(Theodoraki&Mintzas、2006)およびSV40(サル空胞ウイルス40またはサルウイルス40)(Chengら、2009)由来の対応する配列(複数可)と置換した(第2の発現単位の上流調節エレメントにおいて)。本明細書における記述および本実施例を参照されたい。

言い換えれば、好ましい5’UTRは、hsp83由来である。これは、好ましくは、具体例で用いていることからチチュウカイミバエ由来であるが、他の種由来のホモログも好ましい。好ましい3’UTRは、SV40由来のものであるが、hsp83(5’UTRに関する上述と同じ種)由来のものであってもよい。本出願人らは、5’UTRの選択が、しかし3’UTRのそれよりも重要なものとなることを見出した。

本明細書においてはtTAとして例証されるトランス活性化因子のより初期の発現も、次の方法のいずれかによって達成することができる。一例は、精子形成においてより初期に作用するプロモーターを同定することによる。これは、このプロモーターの制御下で発現される転写因子、例えば、tTAが、tTA応答性エフェクターコンストラクトの発現を駆動することができるように作用するプロモーターを意味する。本出願人らは、これが、生殖系列幹細胞において実質的に活性を有するプロモーターとならないことを好むが、その理由として、係る遺伝子(例えば、vasa)は、未成熟ステージにおいて発現されるためである;これは、発生の非常に初期に発現されるようエフェクターの発現をもたらす(誘導または抑制解除条件において)傾向があり、生殖系列に損傷または損失をもたらし、したがって、配偶子を産生しないまたはより少ない配偶子を産生する可能性がある。発生のより後期で発現系が誘導(または抑制解除)される場合、精子形成の時間経過、即ち、幹細胞分裂と成熟精子産生との間の時間(ショウジョウバエでは数日)は、誘導(または抑制解除)に対し遅い反応(例えば、不妊性)をもたらす。この効果は、精子を貯蔵する雄の能力によって変化する。

したがって、本出願人らは、精原細胞または一次精母細胞において発現される遺伝子由来のプロモーターエレメントを用いることを好む。上に記述されている通り、一次精母細胞において発現される多くの遺伝子は、より後期の機能に関与し、減数分裂後に翻訳され、したがって、本出願人らは、減数分裂前機能を有する遺伝子(および遺伝子由来のプロモーター)を好む。特に好ましいクラスの遺伝子は、精子形成遺伝子、例えば、より後期に作用する(later-acting)遺伝子の発現に関与する転写因子または転写複合体の構成成分をコードする遺伝子である。係る遺伝子を好む主たる根拠は、このような遺伝子が、殆ど当然ながら、精子形成の十分に初期に発現されて(タンパク質レベルで)、他の遺伝子(当然ながら、係る複合体の負の調節エレメントも好ましく、翻訳されたタンパク質の特異的機能よりむしろ、発現のタイミングが重要である)の減数分裂前発現の駆動を可能にすることである。

係る遺伝子の数種類のクラスが公知である。しかし、後述する通り、全てが適しているとは限らず、あるクラスは、他のクラスよりも好ましい。クラスは、減数分裂停止遺伝子(meiotic arrest genes)のcanクラスを包含する。このクラスは、can、mia、sa、nhtおよびryeを含む。これらは、広く発現されるTATA結合タンパク質関連因子(TAF)の精巣特異的パラログをコードする(Hillerら、2004)。別のクラスは、減数分裂停止遺伝子のalyクラスである。これらは、dREAMまたはMyb−MuvBとして公知の広く発現される転写調節複合体とパラロガスの配列特異的DNA結合タンパク質および関連因子の複合体の構成成分をコードする、aly、comr、achi/vis、topiおよびtombを包含する(Beallら、2007;Jiangら、2007;Jiang and White−Cooper、2003;White−Cooperら、2000)。このような遺伝子の大部分は、保存された「体細胞」遺伝子の重複によって生じたものと思われる、例えば、体細胞(soma)および生殖系列の両方において機能していた祖先TAFsまたはMyb−MuvB構成成分のバージョンが、続いて、生殖系列または雄性生殖系列に特異的な発現および役割へと特殊化した。このような重複のいくつかは、進化において比較的最近に起こったと思われ、これは、生殖系列特異的パラログが、可変性の、場合によっては相当に狭い系統発生学的/分類学的範囲に存在することを意味する。本出願人らは、ショウジョウバエから対象とする種まで保存されている遺伝子(複数可)のプロモーター(複数可)を用いることを好み、特に、広い系統発生学的/分類学的範囲にわたって保存されている遺伝子のプロモーターを好む。この保存は、ホモログの同定をより容易にすると共に、特異的遺伝子をより一般に有用なものとする。

係る(保存された初期作用)遺伝子は、2種の仕方の一方において同定することができる。

1.発現の適したパターンおよびレベルを有することが公知の、例えばショウジョウバエ由来の遺伝子との相同性による仕方。

これは、配列データベースにおける相同性検索により達成される。しかし、一部の精子形成遺伝子は、急速に進化し、特異的ホモログは、広い系統発生学的範囲にわたって容易に同定可能ではない。例えば、bag−of−marbles(bam)は、初期発現の上述の基準を満たす。bamは、精原細胞(卵形成においても)および初期機能において発現される。これは、精原細胞の有糸分裂数の調節に関与する(Gonczyら、1997;Kawaseら、2004)。さらに、bamプロモーターの断片は、ショウジョウバエの精子形成における(卵形成においても)二部分発現系(GAL4/UAS)における使用に成功した(Jiangら、2007)。しかし、bamは、ショウジョウバエ科においてのみ認識可能である。その遺伝子産物がbamの遺伝子産物と相互作用すると考えられる、同様の発現パターンを有する別の遺伝子は、benign gonial cell neoplasm(bgcn)である。残念ながら、この遺伝子も、昆虫にわたって十分に保存されていない。両方の遺伝子は、正の選択および急速な進化の徴候を示す(Bauer DuMontら、2007)。

canクラスおよびalyクラス減数分裂停止遺伝子の数種のメンバーに伴う困難も生じる。その多くは、恐らく体細胞および生殖系列細胞の両方において用いられた祖先遺伝子の重複に由来したものと思われる。生殖系列バージョンは、急速に進化する傾向があり、体細胞パラログは、生殖系列パラログよりも容易に同定される。さらに、ショウジョウバエにおけるこのような体細胞/生殖系列遺伝子対を生じる一連の重複は、昆虫の他の目からの双翅目の分岐よりも後に起こる(post-date)と思われ、このような遺伝子の大部分の生殖系列特異的パラログは、双翅目の外には存在せず、そのうちいくつかは、高等双翅目のみに存在する。

しかし、例外も存在する。例外は、他の目由来の昆虫(例えば、セイヨウミツバチ(Apis mellifera)、コクヌストモドキ(Tribolium castaneum)、ボンビックス・モリ − ゲノムの相当な割合が配列決定されている昆虫のリストは、急速に増加しつつあり、当業者によって容易にアクセスされる)との配列比較によって容易に同定される。係る遺伝子の一例は、matotopetli(topi)であり、これは、ツーハイブリッドスクリーニングにおいて別のalyクラスタンパク質(Comr)と結合することが同定された推定配列特異的DNA結合タンパク質をコードし、したがって、恐らく精巣特異的Myb−MuvB複合体の構成成分であるalyクラス遺伝子である。ショウジョウバエおよびガンビエハマダラカにおいてTopiホモログを同定した(Perezgasgaら、2004)。公開配列データベースの配列類似性検索により、本出願人らは、鞘翅目(コクヌストモドキ、NW_001092862.1)、ハチ目(Hymenoptera)(セイヨウミツバチ、NW_001253507.1)を包含する、昆虫の数種類の他の目におけるホモログも同定した。したがって、Topiは、適した発現パターン((i)FlyAtlasおよびその他における定量的rtPCRデータ、(ii)RNA in situハイブリダイゼーションによって、一次精母細胞、特に、初期一次精母細胞にあることが示された発生的発現パターン(Perezgasgaら、2004)、(iii)雄性生殖系列特異的転写複合体の一部として予測される機能(Beallら、2007;Perezgasgaら、2004)、(iv)変異体の表現型解析による実際の機能が、多くの他の精子形成遺伝子の発現に影響を与えること(Perezgasgaら、2004)に基づく)を有するよく保存された遺伝子の例である。

初期作用プロモーターを有する遺伝子は、次の仕方によって同定することもできる。

2.標的種由来の選択された遺伝子(複数可)のホモログ同定。

対象とする種からの系統発生学的距離がより大きいまたはより小さい種由来の関連する配列のアライメントは、標的種における対象とする遺伝子において保存されている可能性のある領域を同定する。好ましくは、対象とする遺伝子を濃縮するため、また、イントロンに関する問題を回避するために、雄から、最も好ましくは、解剖された精巣から抽出したRNA由来のcDNAが用いられる。対象とする遺伝子の転写領域のクローニングされた断片から、適したプロモーター断片を得ることができる。

適したプロモーター断片の候補は、転写開始の5’側のゲノムDNAの少なくとも50ヌクレオチド塩基と、好ましくは、転写開始それ自体と、転写領域の少なくとも1ヌクレオチドを含む。これは、レポーターのプロモーター断片およびオープンリーディングフレームを含む。これは、プロモーター断片と同じ遺伝子または別の領域いずれか由来の5’および3’UTR配列も含有することができる。遺伝子が精子形成において活性を有すると正確に同定された場合、同じ遺伝子由来のものは、精子形成において機能する可能性があるが、しかし、これは、例えば減数分裂前に機能しなければならないtTA等のタンパク質の発現に望ましくないと思われる、翻訳遅延のためのシグナルも含有し得る。したがって、プロモーター断片と同じ遺伝子由来の調節配列は、その機能が減数分裂前であることが知られたまたはそのように考えられる(例えば、相同性により)遺伝子(例えば、topi)に好ましいが、その機能が減数分裂中または減数分裂後であることが知られたまたはそのように考えられる遺伝子には異種性調節配列が好ましい。

本出願人らの研究の目的のため、本出願人らは、セラティティス・カピタタおよびネッタイシマカ(A. aegypti)からtopiプロモーター配列を単離して、様々なエフェクタータンパク質により試験した。本実施例を参照されたい。

後期精子表現型を生じるタンパク質エフェクター ここで言う「後期」は、精子機能が必要とされるポイントの後、例えば、雌への移行または卵への侵入を意味する。雌に移行され、雌における再交配に対する不応性を誘導し、雌が再交配する場合には精子競合において上手くいく精子を産生することが目標である。精子競合は、雌が2匹以上の雄と交配する場合に生じる、または生じ得る。このような環境において、いずれの雄が、いかなる比率の雌の胚の雄親となる(sire)となるかという疑問が生じる。精子を移行しなかった雄は、本事例において悪い結果になるようである。精子を持たない、または雌に移行することができないもしくは雌に移行した後に他の精子と競合することができない精子を持つ雄の使用に対する進化的応答の見込みまたは可能性から、生物学的防除目的のために、精子を産生し、このような精子が雌に移行することができ、雌に移行した後に他の精子と競合することができる不妊雄を遺伝子操作することが望ましい。

父性効果致死 「不妊性」を達成するための本出願人らの有利な方法であるところの、本出願人らのアプローチは、精子が卵に進入するが、生存可能な接合子(繁殖力のある成虫に発生することができる)が形成されない父性効果致死を構築するものである。好ましくは、この効果は、単一コピーの父性効果致死を有する雄により生じるが、複数コピーの使用も想定される。条件的父性効果致死がホモ接合性である雄の環境中への放出が特に好ましいが、その理由は、係る系統が、飼育において実質的に安定的であることである。本発明の父性効果致死(Pals)は、少なくとも1コピーのPalを保有する雄により産生される精子の全てまたは大部分に特徴的に影響を与える。特に、接合子は、親の遺伝子型に基づき、有害に影響され得る、例えば、殺傷、不妊化またはその発生(例えば、性的表現型(複数可))が変化され得る。これは、接合子における効果が胚の遺伝子型に基づくRIDLとは対照的である。よって、野生型雌と、RIDLコンストラクトが単一遺伝子座おいてヘテロ接合性である雄との間の交配の後代は、典型的には、ほぼ50%(〜50%)の正常後代およびほぼ50%(〜50%)のRIDLコンストラクトを内在しこれに影響され得る後代を生じる。対照的に、Palがヘテロ接合性である雄の後代は全て影響され得る。

数種類のタンパク質に基づくエフェクターが想定される。タンパク質またはRNAエフェクターは、精子により伝達されて、卵または発生中の接合子に影響を与えることができる。これらは、精子の表面上に存在しても(例えば、ショウジョウバエ性ペプチド、SPとして)、産生されて精子内に保存されてもよい。精子および精子形成の他のステージにおける細胞は、ある種類のタンパク質、例えば、アポトーシス促進性タンパク質に対して著しく抵抗性であるが、その理由として、恐らくアポトーシス経路が、精子形成における他の目的に選出されているためである(Aramaら、2003;Cagan、2003)。

精子を単に卵に進入する(続いて、そこで効果を生じる)ための媒体として用いるのではなく、エフェクターが、精子に直接的な生化学的効果を有することが好ましい。これは、潜在的な抵抗性の検討によるものである。SIT型プログラムにおいて、放出された雄は、人工飼育施設において産生されており、雄およびその遺伝子型は、ある程度まで制御下にある、あるいは少なくとも変種は、同じ種の野生集団よりも容易に潜在的に同定および排除され得る。卵(または発生中の接合子)において作用する生化学的効果は、該卵における変化により潜在的に変更または緩和され得る。これが遺伝性である場合、この生化学的効果を生じる毒素に対する潜在的遺伝性抵抗性の基盤が少なくとも存在する。対照的に、母方または接合子の遺伝子型が、卵に進入する前の(あるいは雌に進入する前の)精子に既になされた少なくともある種類の損傷をどのように代償できるか理解することは困難である。係る損傷の一例は、精子に含有される遺伝情報への損傷であり、他の例として、恐らく、代償する母方/接合子ゲノムの能力に関する確実性は低いが、例えば精子膜崩壊または精子核脱凝縮、または中心体機能等の初期過程の必須構成成分の損失または損傷が挙げられる。

父性効果致死の好ましい1クラスは、ヌクレアーゼである。精子は、接合子にいくつかの事項において寄与するが、主要な1事項は遺伝情報である。この遺伝情報が、接合子の一部または(好ましくは)実質的に全てが生存不能となる程度まで損傷される場合、これは、父性効果致死性による適した形態の不妊性の基盤を形成する。例えば、従来の不妊虫放飼法技術において用いられる放射線不妊化は、条件的(この場合、放射線照射による誘導性)父性効果致死性の一例である。不妊化剤、例えば、チオテパによる不妊化は、別の例である。これらのアプローチはそれぞれ、精子におけるDNAを損傷し、これにより、保有する遺伝情報を多くの接合子が死亡するポイントまで分解することにより働く(Robinson、2005)。例えば、チオテパおよびビサジル(bisazir)等の不妊化剤は、毒性残渣を残す可能性があり、一般に、広範な使用に許容できないものと考慮される。

精子におけるまたは精子形成における適したヌクレアーゼの適した発現は、雄の体細胞の遺伝情報を同様に損傷することなく、配偶子の遺伝情報を損傷するまたは配偶子を生じる効果を有する。これは、不妊化過程に関連する雄の無能力化の程度を低下させる。対照的に、放射線または不妊化剤の使用は、典型的に、不妊化剤に全細胞をほぼ等しく曝露する。

適したヌクレアーゼは、DNAを切断する、好ましくは、二本鎖切断を生成するヌクレアーゼである。例えば、細胞DNA修復機構により、遺伝情報の保存または解釈に影響を与える、あるいはDNAの間接的切断または修飾をもたらすDNA修飾酵素も、本明細書においてヌクレアーゼとして分類される。例えば、DNAを「切断する」の言及が、したがって、DNAを「修飾する」を適宜包含することを理解される。

適した発現は、制限的条件(妊孕性に対する。明らかに、これは、ヌクレアーゼの発現の許容的条件である)下において、少なくとも1コピーのヌクレアーゼ含有父性効果致死系を有する雄(「PAL雄」)由来の精子の少なくとも30%、好ましくは50%超、最も好ましくは90%超が、卵に受精して、例えば、野生における典型的飼育条件下または野生に近い研究室条件下で生存して繁殖力のある成虫を生じることのできる生存可能な接合子を形成することができないような条件的発現である。逆に、許容的条件(妊孕性に関して)下において、均等なPAL雄は、制限的条件下よりも有意に多い生存可能な接合子を生じるべきである。好ましくは、接合子の少なくとも50%が生存するべきである。

好ましくは、雄におけるヌクレアーゼの発現は、生殖系列に実質的に制限される。これは、発現が、雄性生殖系列に実質的に制限されることを意味するが、必須ではない。一部の適用のために、雌の排除が望ましい(例えば、SITにおける遺伝的雌雄鑑別(Alphey、2007;Franz、2005))。いずれかの仕方で雌が排除される環境下において、雌におけるヌクレアーゼの発現は、望ましくない訳ではな。実際に、これは、雌の排除またはその排除の補助に用いられる場合、望ましくなり得る。これは、潜在的「二重用途(dual use)」(PALおよび雌の一部または全てを殺傷するための(接合子)優性致死の両方としてのヌクレアーゼの使用)の一例となり得る。多くのヌクレアーゼが公知である。関連するクラスは、制限エンドヌクレアーゼおよびジンクフィンガーヌクレアーゼおよび転写活性化因子様エフェクター(TALE)ヌクレアーゼ(Hockemeyerら、2011;Mahfouzら、2011;Millerら、2011)およびホーミングエンドヌクレアーゼを包含する。異なるクラスおよびクラス内の異なるメンバーは、これが切断する部位またはその付近における配列特異性の異なるレベルを示す。原則として、非常に高い程度の配列特異性を有する酵素は、ゲノム当たり相対的に少数の、恐らく単一の部位において切断を行う。これは、標的部位の突然変異または変種による抵抗性の可能性を生じるため、好ましくない。相対的に長い認識配列に対する相対的に高い程度の特異性にもかかわらず、ゲノムにおいて複数部位が存在できるように特異的配列が何回も反復される場合、これはより許容される。しかし、本出願人らは、ヌクレアーゼが、ゲノム当たり複数標的部位を有することを好む。これは、名目上の(nominal)標的配列に対し不完全な特異性の、ゲノムにおいて複数コピーで存在するにもかかわらず相対的に長い配列、または相対的に短い認識配列、または標的配列内の有意な程度の重複性(redundancy)を認識すること、あるいは実際に、配列特異性が殆どないまたは全くないヌクレアーゼを意味する。l−Ppolは、ゲノム当たり複数コピーで存在する長い認識配列(但し、rDNAの高度に保存されたセクションに存在する)を有するこのタイプのものである。l−Ppolは、他の箇所でさらに記述されている。

各ジンクフィンガーが短いヌクレオチド配列、例えば、3ヌクレオチドとの配列特異的結合をもたらす、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)が記載されている。したがって、より高い親和性およびより大きい配列特異性は、単一タンパク質において複数の係るジンクフィンガーを組み合わせることにより提供することができる。これを、ヌクレアーゼ、例えば、制限エンドヌクレアーゼFoklのヌクレアーゼドメインと組み合わせると、任意の配列特異性を有する人工配列特異的ヌクレアーゼを構築することができる(Kimら、1996)。係る合成ジンクフィンガーヌクレアーゼは、例えば遺伝子療法目的で開発された(Urnovら、2005)。相当な努力によりその特異性を改善して、例えばゲノムにおける単一部位の切断を低下させた(Millerら、2007)。ショウジョウバエにおける一例において、トランスジェニックハエにおいて発現されると、標的遺伝子座、例えば、yellowならびに後にまた、rosyおよびbw遺伝子座を特異的に損傷するジンクフィンガーヌクレアーゼが産生された(Beumerら、2006;Bibikovaら、2002)。用いたZFNの一部の高レベル発現が毒性であるという、望まれない副作用が観察された。この毒性が、毒性ZFNのDNA結合活性よりむしろヌクレアーゼに依存することがさらに示された(Beumerら、2006)。遺伝子標的化には望ましくないが、このようなより広範な特異性は、数個または多くの部位に損傷を生じるという本出願人らの目的に魅力的である。

ホーミングエンドヌクレアーゼ(HEG)は、相対的に長く(15〜40bp、多くの場合、但し、名目上の標的配列に対するいくつかのミスマッチを許容する)、したがって、いずれか所定の昆虫ゲノムにおいて、仮にあるとしても稀にしか発生しないヌクレオチド配列を認識する傾向があるため、その使用は一般に好ましくない。許容される認識/切断部位の最小数は、二倍体ゲノム当たり1個である。一倍体ゲノム当たり1個が好ましく、一倍体ゲノム当たり複数部位の認識/切断が特に好ましい。不適切となる可能性のあるHEGの一例は、I−Scelである。酵母(サッカロミセス・セレビシア(Saccharomyces cerevisiae))ミトコンドリアから本来単離されたI−Scelは、系の一部としてショウジョウバエにおいて用いられ、標的化相同組換えを可能にしたまたは促進した(Gong and Golic、2003;Rong and Golic、2000;2001;Rongら、2002)。該相同組換え系に対するI−Scelの魅力的な特色の1つは、正確に、I−Scelが、キイロショウジョウバエゲノムにおけるいかなる内在性配列も容易に切断せず、したがって、導入遺伝子に挿入された遺伝子操作された部位において特異的に切断を行う傾向があることであった。その他の昆虫ゲノムは、I−Scelによって認識される1個または複数の部位を偶然に有し得るが、この酵素は、一般に、本発明における使用に好ましくない。ゲノム当たり複数部位を切断するホーミングエンドヌクレアーゼの一例は、Ppolである。これは、ある程度特異的な長い認識部位を有するが、これは、rDNA遺伝子において高度に保存された配列に対応する。このrDNA遺伝子の複数コピーは、全真核生物ゲノムに存在するため、複数標的部位を利用することができる。「抵抗性」、即ち、Ppol媒介性切断に対し抵抗性となる、遺伝子変換等の潜在的機構が存在し、このような遺伝子の突然変異は、rDNA配列中に拡散することができるが、この配列の十分なコピーが存在し、係る部位の全てまたはほぼ全てが抵抗性となった抵抗性ゲノムのリスクは幾分低いと思われる。I−ScelおよびPpolは両者共に、蚊(ガンビエハマダラカ)組織培養細胞において機能することが示された(Windbichlerら、2007)。Ppolの発現が、細胞に有害であり、細胞増殖停止をもたらす一方、I−Scelが比較的無害であることが予想できた。ホーミングエンドヌクレアーゼは、これが、同定された真菌の集団を通して拡散し得る利己的DNAエレメントの1クラスである。

ホーミングエンドヌクレアーゼは、動物において知られていないが、その独特の特性(相同性非HEG保持染色体を切断し、細胞のDNA修復機構によりそこにコピーされる(Burt and Trivers、2006))を用いて、「遺伝子駆動」系を構築することができることが提唱された(Burt、2003)。原理証明は、I−Scelおよび人工標的部位を用いて達成された(Windbichlerら、2011)。遺伝子駆動系は、標的、例えば野生集団中に遺伝子を拡散するための系であり、拡散される遺伝子は、標的において単純な選択的利点を付与しない(例えば、Alpheyら、2002)。

その天然拡散機構に似た、切断DNAへのHEGのコピー化に関与する遺伝子駆動系としてのHEGの「従来の」使用に加えて、X染色体を特異的に切断するY染色体に位置付けられたHEGにより、その生存可能な配偶子がY保持のみである雄が生じ得ることも提唱された(Deredecら、2008)。

HEGは、典型的に、15〜40bpの標的部位を認識する。ZFNは、ジンクフィンガー当たりおよそ3bpを認識する。典型的な配置において、ZFNは、DNAを切断するために二量体化する必要がある。これは、18bpの有効認識配列を意味する。特異的18nt配列は、典型的には、418ヌクレオチド(およそ7×1010ヌクレオチドまたは7000Mb)につき1回発生する。比較のため、昆虫ゲノムは、典型的には数百Mbpであり、ヒトゲノムは約3000Mbpであるため、係る配列は、典型的には、ゲノム当たり0〜1回発生する。当然ながら、これは簡易計算であり、GC含量、反復DNA等の効果を無視するが、係る長い認識配列の特異性が、遺伝子療法および遺伝子標的化等の特異性を必要とする目的に望ましいという概略的なポイントは依然として押さえている、しかし、より短い認識配列を有する分子が一般に、ゲノムを2回以上切断する目的に好ましい。

酵素の係るクラスの1つは、制限エンドヌクレアーゼである。これらは典型的には、4〜10bpの認識部位を有し、典型的には、多くの回数で真核生物ゲノムを切断する(410は、およそ1×106である)。一部の制限エンドヌクレアーゼは、基質DNAのメチル化状態に対し感受性である。メチル化に対し非感受性の酵素または標的ゲノムのwhy特徴において修飾されたDNAを切断する酵素が好ましい。例えば、キイロショウジョウバエゲノムDNAは、実質的に非メチル化であり、したがって、アデノメチル化(adenomethylate)DNAのみを切断するDpnI等の酵素は、好ましくない。対照的に、同じ配列(GATC)を切断するために、DpnII、MboIまたはSau3AI等の代替的酵素が好ましくなる。メチル化感受性ではなく、そのヌクレアーゼドメインがin vitroと同様に種々の細胞型において機能することが知られているFoklが特に好ましい。

ヌクレアーゼは、いかなる実質的配列特異性を有する必要もない。ヌクレアーゼの別の好ましいクラスは、例えば、Fokl由来のヌクレアーゼドメインが、配列特異性が殆どないまたは全くない(但し、他のDNAを上回るある種類のDNA、例えば、GCリッチまたはATリッチ領域または配列の一般的優先度が許容される)DNA結合ドメインと組み合わされたクラスである。このクラスのエフェクターの特に好ましい例は、プロタミン−ヌクレアーゼおよびヒストン−ヌクレアーゼ融合体である。プロタミン−ヌクレアーゼ融合体の利点のいくつかは、上に記載されている。2種類のヌクレアーゼドメインが想定される。第1に、DNAを切断するために、それ自身(ホモ二量体)または少なくとも1個の異なるタンパク質(ヘテロ二量体)のいずれかに、少なくとも1個の他のタンパク質を結合することを必要とする(「二量体化」;より大きい複合体、例えば、三量体、四量体等を形成する必要が、この用語に包含されていることが理解される)ヌクレアーゼドメイン。第2に、このように二量体化する必要がないヌクレアーゼドメイン。

これら2種類間の重要な差は、その濃度/機能関係性である。二量体化する必要のない酵素は、その濃度に比例して広く機能する。したがって、非常に低い濃度は、いくつかのDNA損傷または修飾を生じる。より高い濃度は、より多くのDNA損傷または修飾を生じる。条件的発現系が、相対的に低い量のエフェクターを産生する場合、これが有利である。精子形成の時間経過は、エフェクターが作用するのに少なくとも数時間を与える可能性がある(恐らく幾分より長い)。対照的に、二量体化する必要がある酵素は、典型的には、非線形用量反応関数を有する。特に、ゲノムにおける多くの部位において結合することができる酵素に関して、低濃度において、2個の酵素分子が、切断が可能となるような仕方で出会う可能性は低い。より高濃度において、比例的をはるかに超えて出会う可能性が高い(典型的には、ホモ二量体の濃度の2乗、ホモ三量体の3乗等として増加する)。これは、例えば、条件的発現系が、若干リーキーであり、意図された細胞以外の少なくとも一部の細胞において(例えば、雄性生殖系列における以外において、あるいは別の例として、意図された発現が精原細胞または精子形成のより後期のステージのみである場合は、雄性生殖系列細胞において)低いがゼロではないレベルのエフェクターを産生する場合、有利となり得る。そこで、この低い「基底」発現は、相対的に無害となる、または標的細胞(複数可)におけるその活性に対して、非標的細胞におけるその活性における線形差を越えるものを少なくとも示すべきである。

別の関連する種類のリーキー活性は、条件的発現系の条件付けに関する。推定上の「オフ」条件が、実際にはゼロ発現をもたらす可能性は低く、したがって、「オン」および「オフ」状態間の表現型の差を誇張する系等の追加的な系が望ましい。このような議論および潜在的な利益が、他のクラスのエフェクターに適用されることに留意されたい。ヌクレアーゼエフェクター内において、これらは、ジンクフィンガーヌクレアーゼやプロタミン−ヌクレアーゼ等に適用される。特に、Foklヌクレアーゼドメインは、DNAを切断するために二量体化する必要がある。通常、これは、ホモ二量体化によるものである。しかし、これを変更するバリアントが知られている。2種のヌクレアーゼドメインは、二量体化が必要とされないように(即ち、分子間ではなく分子内二量体化が十分な)、適したリンカーにより接続されて同じタンパク質に包含され得る。また、ヘテロ二量体化が必要とされるFoklの変異体が知られている(Millerら、2007)。2種の二量体化ドメインのそれぞれが、ヌクレアーゼ活性を有することは必要とされないことに留意されたい。これは、より大きい特異性を達成する別の方法を可能にする。ヘテロ二量体化する必要のある2種(以上)のタンパク質は、別々の制御(例えば、転写制御、また、例えば翻訳または分解制御)下で発現され得る。両方のドメインを発現する細胞のみが、有意な活性を有する。したがって、一方のタンパク質のリーキー発現を起こしていない細胞における他方のタンパク質のリーキー発現は、有害効果が殆どないまたは全くない。

[実施例1] 生殖細胞系列特異的プロモーター 単離されたプロモーター領域の適合性を試験するため、蛍光タンパク質を、レポーターとして、特に、テトラサイクリン反応性転写活性化因子(tTA)と蛍光タンパク質との間の融合体として用いることができる。これは、タンパク質発現の直接的な可視化と共に、精子形成において機能的な条件的二部分(bipartite)発現系の一部としての特定の使用目的に適したプロモーター断片候補によって導かれた発現のタイミングおよびレベルの適合性のさらなる試験を可能にする。係る挿入からのレポーターの発現は、適したプロモーター断片候補の活性を例証する。数種の係る挿入系列の評価は、プロモーター断片の適合性の可能性に関する決定を可能にする。挿入された遺伝子の発現が、これが挿入されたクロマチン構成(context)に影響されることとして周知の現象である「位置効果」のため、数種の挿入系列を試験するべきである(Wilsonら、1990)。

雄性生殖系列における条件的発現系の一部として機能する適したプロモーター断片候補の実際の能力は、上述の通り(但し、適した発現系またはその関連する構成成分、例えば、tTAまたは関連配列をコードする構成成分を包含して)試験することができる。上述のレポーター試験におけるtTA−蛍光タンパク質(tTA−FP)融合体の使用は、両方の試験に同じ挿入系列または挿入系列セットを用いることを可能にする。発現系からの発現に許容的な条件下で適した系列、例えば、tRE−X(Xはエフェクターまたはレポーターとなり得る)と交雑することにより、精子形成において発現系(プロモーター−tTA、tRE−X)が機能的であるか、また、例えば、解剖した精巣の蛍光顕微鏡検査により、Xおよび/またはtTA−FPが発現される時期と量を決定することができる。発現に抑制的な条件下における同様の実験により、発現系が条件的であるかに関して決定することができる。

発現試験により、適したプロモーター断片候補が、実際には適していないことが示される場合、同じ遺伝子から異なるプロモーター断片を取り出すことができる。係る改訂断片は、本来の断片がいくつかの重要な調節エレメントを省略している可能性があるため、典型的にはより長くなるが、プロモーター断片の元となる遺伝子は十分に初期に転写されると思われる(例えば、RNA in situデータに基づき)のに、発現が特異的であるが発生において遅すぎる、例えば減数分裂後である場合、一部のエレメント、特に、UTRエレメントを排除して、翻訳遅延のシグナルを除去することが望ましくなり得る。より長いおよびより短い断片を試験して、遺伝子発現レベルならびに時間的および組織特異性に必要なまたはこれに影響を与えるプロモーターの領域を同定することも望ましくなり得る。このアプローチは、プロモーターの解析に広く用いられており、本来の候補プロモーター断片のバリアントを用いて上述の手順を反復することにより単純に達成することができる。

RNA in situハイブリダイゼーション実験は、チチュウカイミバエβ2−チューブリン転写が、チチュウカイミバエ精子形成において初期から後期ステージに行われることを実証した。チチュウカイミバエβ2−チューブリンの転写は、Dmβ2−チューブリンと同様のステージにおいて開始すると仮定され、これは、減数分裂前であり、発達中の精巣において有意な減数分裂が存在する前の後期三齢幼虫ステージから合成される。精子致死性に対する本出願人らの研究期間において、蚊、ステフェンスハマダラカ(Catteruccia、Bentonら、2005)およびネッタイシマカ(Ae. aegypti)(Smith、Walterら、2007)と、チチュウカイミバエ(Scolari、Scheteligら、2008)に対し、その後に、カリブミバエ、アナストレファ・サスペンサ(Zimowska、Nirmalaら、2009)に対し、この遺伝子プロモーターを用いた精子マーキング系を開発した。これに従い、本出願人らは、次のプライマーを用いてチチュウカイミバエゲノムからβ2−チューブリンプロモーターを増幅した。

フォワード:CTCCCGTGCGATATCCTAGGCCCCATGTTACAAGGCTG(配列番号53) リバース:AGCCATTTTGGTTAATTGAAATCCCTAAAATAAATGTAATTCATTTTTCG(配列番号54)

コンストラクトOX3671(図16)は、DsRed2配列に融合したチチュウカイミバエβ2−チューブリンプロモーター(チチュウカイミバエゲノムDNAから1556bpプロモーター断片を増幅した)を含有する。Ccβ2−チューブリン3’−UTR配列の大部分を省略し、様々な種において発現することが公知の一般に用いられる3’−UTR − SV40に置き換えた。この導入遺伝子の発現は、適切な励起フィルター下で赤色の蛍光を発する精子をもたらすはずである。DsRed2発現は、得られた全3系列のトランスジェニック雄の腹部において明らかに目に見え、より強い蛍光を有する2個の区域があり、一見すると精巣に見えた(データ図示せず)。

精子においてDsRed2マーカーが発現するかさらに評価するため、性的に成熟した形質転換雄の精巣を解剖した。結果は、成熟精子が、野生型雄由来の精子と比較して強いDsRed2発現を提示することを実証する。B2−チューブリン発現パターンによるアライメント(alignment)において、初期精母細胞は、蛍光を提示せず、蛍光は、精子形成の精細胞(spermatid)ステージにおいて明らかに目に見え始める。

本出願人らが、二部分「tet−オフ系」を用いて同様のパターンの蛍光発現を得られるか試験するため、2種の蛍光レポーターコンストラクト;OX3866(図14)(tetO−ミニプロモーター−DsRed2−mls)およびOX3867(図15)(DsRed2と融合したtetO−ミニプロモーター−プロタミン)を構築した。tetO−ミニプロモーターエレメントは、tREとして知られており、好ましい。OX3866(図14)において、DsRed2レポーターは、あらゆる発現された蛍光タンパク質を発現後に膜に結合または会合させる(associated)ことが予測される膜局在化シグナル(mls)に融合され、一方、OX3867(図15)において、DsRed2は、ショウジョウバエプロタミンに融合されている。体細胞においてtTAVの発現を駆動するプロモーターにより両方のレポーター遺伝子を試験し、機能的であることを見出した。

β2−チューブリンプロモーターが、本出願人らの目的には遅すぎるとはいえ、精子においてDsRed2の発現を駆動するという知見に従い、コンストラクトOX3831(図20)を設計し、OX3671(図16)から改変して、tTAV−蛍光融合遺伝子を駆動するチチュウカイミバエβ2−チューブリンプロモーターを有するようにした。このコンストラクトにおいて、ショウジョウバエaly 5’UTR領域がβ2−チューブリンプロモーターのそれに置き換わり、これによりtTAVタンパク質が、精子形成においてより初期に発現すると推測した。TurboGFP配列がtTAVと融合されたため、OX3831(図20)トランスジェニック雄の精子は、適切な励起フィルター下で緑色蛍光を提示するはずである。これを試験するため、7種のトランスジェニック系列由来の成虫雄を解剖し、蛍光顕微鏡下で観察した。蛍光発現は、解剖していない雄の精巣において容易に目に見えなかったが、OX3831(図20)成虫雄の解剖した精巣において、蛍光発現は、精細胞束(bundle)において目に見えた。いくつかの系列が、他の系列よりも強い蛍光を発現したが、OX3831(図20)系統における全精細胞は、蛍光精巣特異的精子マーカー発現を呈した。

OX3831ヘテロ接合性ハエを、OX3866およびOX3867ヘテロ接合性ハエ(それぞれ図14および15)(tetO−DsRed2系統)と交雑させた。異なる交雑において異なる時間、非テトラサイクリン食で飼育された(即ち、tetO−DsRed2発現に対し許容的条件)20匹を超える成虫雄後代を解剖し、高倍率蛍光顕微鏡下で観察した。複数の精細胞束において目に見える強いDsRed2発現は、1匹の雄しか示さなかった。他の雄において、いかなる精細胞束においてもDsRed2発現は検出されなかった。強いDsRed2発現を示すただ1匹の雄の可能な根拠は、Ccβ2−チューブリンプロモーターによって駆動されるtTAV蛍光の遅い転写および翻訳である。この遅い発現は、減数分裂前にtTAVがtetO配列に結合し、十分なDsRed2転写物をさらに誘導するのに十分な時間がなかったことを意味し得る。本出願人らの結果によると、ほんの偶然により、一部の雄における精母細胞の一部は、減数分裂前に蓄積された十分なDsRed2転写物を有し、精細胞束においてDsRed2蛍光を検出することができる。tTAV特異的プライマーを用いた、OX3831(図20)雄の単離された精巣および死骸における逆転写PCR解析は、5’UTR−aly Ccβ2−チューブリンプロモーターの精巣特異性を実証した。

このステージにおいて、tTAVのより初期の発現もまた、雄性生殖系列におけるレポーター遺伝子の適切な発現を可能にするために必要であることは明らかであった。この理由により、本出願人らは、Hsp83遺伝子の5’UTRを含有するコンストラクトOX4282を開発し、試験した。Hsp83は、地中海ミバエ、セラティティス・カピタタの生殖系列および体細胞の両方において強く発現され、いかなる翻訳の遅延シグナルを含有するとも考慮されない。コンストラクトOX4282において、レポーター遺伝子;TurboGFPは、tTAV配列に融合させず、tetO配列に隣接して置いた。さらに、より即時型様式でHsp83 5’UTRを評価する試みにおいて、tetO−レポーターおよびプロモーター−tTAV構成成分を単一プラスミドにおいて組み合わせた。tTAVは、形質転換個体の雄性生殖系列において発現されるはずであり、テトラサイクリンの非存在下において、tetOに結合することにより、隣接TurboGFPマーカー遺伝子の発現を誘導するはずである。言い換えれば、このコンストラクトを保有する系統の雄精巣は、テトラサイクリンなしで飼育されると、TurboGFP発現を示すはずであり、発現は、テトラサイクリンにより抑圧されるはずである。テトラサイクリンの非存在下において飼育された成虫雄の精巣解剖は、試験した6系列のうち3系列において強い緑色(turboGFP)蛍光の存在を明らかにした。

他の系列においてTurboGFP発現が観察されなかったという事実は、恐らく、導入遺伝子挿入の位置的効果によるものである。テトラサイクリンなしでTurboGFP蛍光を提示する系列において、発現は、テトラサイクリンにより完全に抑圧された(データ図示せず)。

「tet−オフ」二部分条件的系を用いてレポーター遺伝子、この場合はDsRed2の適切な発現を駆動するプロモーターの能力をさらに試験するために、各ケージにおいてOX4282雄をOX3867(tetO−プロタミン−DsRed2)(図15)雌と交雑させた。

TurboGFP発現は、精子形成の異なるステージで(伸長精細胞および精母細胞の両方において)検出することができるが、赤色蛍光は、伸長精細胞においてのみ検出されて初期精母細胞では検出されなかった(図3)。TurboGFP発現は、精子頭部(核が位置する)および精細胞の尾部の両方において検出された。

上述の結果は、観察された緑色蛍光の量によって推定されるtTAV発現と比較して、レポーター遺伝子(本実験においてはDsRed2)の発現において僅かな遅延が存在することを示す。精子形成のより後期ステージ(伸長精細胞)において赤色蛍光が明らかであることを考慮すると、レポーターは、減数分裂前に転写されるが、減数分裂後に翻訳される可能性がある。

Dmtopiは、Comrと物理的に相互作用する精巣特異的Znフィンガータンパク質をコードする精巣特異的遺伝子である(Perezgasga、Jiangら、2004)。Dmtopiは、AlyまたはComrの核局在化に必要とされないが、クロマチンにおけるこれらの蓄積に必要とされる。ショウジョウバエにおいて、発現のためにalyまたはcomrに依存する全遺伝子は、achi/visおよび/またはtopiにも依存するが、その転写がachi/visおよびtopiに依存してもalyまたはcomrには依存しない数種の遺伝子が存在する(Perezgasga、Jiangら、2004)。恐らくより顕著には、alyクラス遺伝子の多くは、遺伝子重複から生じたと思われる。重複後に、対の一方は体細胞の役割を担い、もう一方は生殖系列の役割を担った。これは、広範囲の昆虫においてこれらの遺伝子を雄性生殖系列プロモーターの供給源として使用することに関する2種の制限を有する。

第1に、2種の遺伝子は、相当に類似している可能性があり、生殖系列特異的バージョンの同定を比較的困難なものとする。第2に、また、さらにより顕著には、これらの重複の多くは、相当に最近のものと思われる。したがって、大部分の昆虫は、生殖系列および体細胞機能の両方を行う単一遺伝子であって、したがって別々の生殖系列遺伝子およびプロモーターではない祖先バージョンを有し得る。topiは、明確な体細胞代替物を持たず、また、alyクラス重複の大部分よりも古代のものであると思われることから、この点において珍しい。したがって、他のalyクラス遺伝子よりもさらに広範な昆虫において潜在的生殖系列特異的プロモーターをもたらす可能性がある。これに関する警告の1つは、topiの配列保存は明らかであるが、他の昆虫におけるtopiの機能的保存、特に、発現パターンが概して不明なことである。しかし、この留保事項は、他の雄性生殖系列遺伝子にも適用される。このような様々な理由から、雄性生殖系列プロモーターの供給源としてのさらなる調査のためにtopiを選んだ。

チチュウカイミバエにおいてtopiに基づくコンストラクトを開発する前に、蚊、ネッタイシマカにおけるtopiの発現パターンの保存を先ず試験した。ゲノム配列の有用性は、topiホモログおよび推定プロモーター断片を迅速に単離できることを意味した。RISH(RNA In Situハイブリダイゼーション)結果は、ネッタイシマカtopi(Aetopi)遺伝子転写が、一次精母細胞ステージから始まることを示し、これはショウジョウバエ精巣におけるDmtopiに似た発現プロファイルであった(Perezgasga、Jiangら、2004)。1233bp配列(1168bpのAetopiプロモーターおよび65bpのAetopi 5’UTRを包含する)により駆動されるtTA発現を有するネッタイシマカトランスジェニック系統(OX4286、図23)を開発した。3つの独立的OX4286(図23)系列をtetO−レポーター系統(OX3978、tetOAehsp70ミニプロモーター−Amcyan、図24)と交雑させた後、非TET食において飼育している全3種の交雑種の精巣および精子形成細胞において明らかなAmcyan発現が観察された(データ図示せず)。発現は、テトラサイクリン抑圧可能であった。

ネッタイシマカtopiプロモーターが、tTAVの精巣特異的発現と、結果的にレポーター遺伝子の発現を誘導することを示された後、セラティティス・カピタタtopiの発現パターンを解析した。チチュウカイミバエにおけるこの遺伝子のヌクレオチド配列を用いてプライマーを設計して、Cctopiが、チチュウカイミバエにおける精巣特異的遺伝子であることを検証した。10匹の野生型雄から解剖した10対の精巣を用いて、RNAを抽出した(解剖の詳細に関して、セクション2.6.4.3を参照されたい)。残りの死骸からRNAを抽出して、非精巣対照を用意した。プライマー、「TopitestF1」および「TopitestR」を用いた逆転写解析をこれらのPCRに用いた。結果は、Cctopi発現が精巣特異的であることを確認した。RISHも、Cctopiがチチュウカイミバエ精巣において転写されることを実証した(データ図示せず)。したがって、この遺伝子プロモーターを、トランスジェニック系統において精巣特異的発現を発生させるための新たなコンストラクトにおける使用のために選んだ。

TopitestF1プライマー:GTAACTCCCGTTCCTGAGACAACA(配列番号55) TopitestRプライマー:CGATATGGAGTGGGTGAAACCTCA(配列番号56)

コンストラクトOX4275(図25)は、DsRed2(SV40 3’UTR)を駆動するCctopi由来の推定プロモーター断片(1178bp)を含む。このコンストラクト有する得られた全系統の成虫雄から解剖した精巣は、DsRed2発現のいかなる徴候も明らかにしなかった(データ図示せず)。Cctopiプロモーターをさらに試験するため、tTAV発現を駆動する同じプロモーター配列を有するコンストラクトを開発した(OX4254、図26)。OX4254ヘテロ接合性ハエを、異性のOX3867(tetO−DsRed2)(図15)ヘテロ接合性ハエ(tetO−DsRed2系統)と交雑させ、このような交雑の成虫雄後代を解剖し、赤色蛍光を評価した。これらの雄精巣におけるいかなる精細胞束においてもDsRed2発現は検出されなかった。

OX4275(図25)およびOX4254(図26)における推定Cctopiプロモーターの短さは、明らかな機能の欠如をもたらす可能性があったため、次の改変に基づき新たなコンストラクトOX4371(図27)を作製した。このコンストラクトは、484bpの可能なコード配列およびコード領域の保持部分における55bpイントロンを包含する以前のコンストラクトよりも530bp超大きい、推定Cctopiコード領域由来の1708bp配列を含有する。tTAVは、一般に、そのN末端において別のタンパク質と融合した後に機能しないため、Cctopiコード領域とtTAVとの間に228bpユビキチン遺伝子配列(ショウジョウバエユビキチンに基づくが、種々の昆虫における発現に最適化され、Geneart Ltdにより合成された配列)を用いて、ユビキチンプロテアーゼによる切断により、翻訳後に2種の遺伝子産物を分離した(Varshavsky、2005)。このコンストラクトは、tTAVを駆動する新たに設計されたCctopiプロモーターと、tetO−Dmhsp70ミニプロモーター−TurboGFPレポーターの両方を含有する。したがって、tTAVの発現は、その幼虫食においてテトラサイクリンなしで飼育した雄の精巣における蛍光により検出されるはずである。試験した2系列のうち1系列における、テトラサイクリンなしで飼育したOX4371(図27)雄成虫から解剖した精巣において、精子形成細胞における弱いTurboGFP発現を検出した。TurboGFP発現は、テトラサイクリンありで飼育したいかなる雄の解剖精巣においても検出されず、抑圧可能発現を示した。

OX4371(図27)による研究と同時発生的に、OX4391(図22)系統を作成して解析した。

OX4391(図22)は、一側面においてOX4371(図27)と異なる。OX4371(図27)におけるtTAVのSV40 3’UTRは、OX4391(図22)においてCctopi内在性3’UTRに置き換えられた。先に言及した通り、3’−UTRは、特定のmRNAの運命、例えば、転写物安定性または翻訳のレベルに影響を与え得る(Mazumder、Seshadriら、2003)。3’UTRがmRNAプロセシングにおいて重要な役割を果たすことが示されたことを考慮し、本出願人らは、Cctopi由来の内在性3’UTRが、本出願人らのtTAV導入遺伝子に所望の遺伝子発現パターンを付与し得ると仮定した。逆転写PCRを用いて、Cctopi3’−UTRを増幅した。6種のOX4391(図22)系統由来のテトラサイクリンなしで飼育した2〜3日齢雄成虫から得た精巣を解剖した。3系統が、雄性生殖系列細胞において強いTurboGFP発現を示した。他の3系統においては弱い蛍光が検出された。

新たに設計されたtopiプロモーター配列をさらに試験するため、本出願人らは、OX4391(図22)雄(非テトラサイクリン食における飼育)と野生型雌による交雑をセットアップし、解剖した貯精嚢における蛍光の存在を評価した。蛍光顕微鏡下における貯精嚢に貯蔵された精子の試験は、TurboGFPを実際に検出できることを実証した。

上述の結果は、本出願人らの単離したtopiプロモーター配列(上述の通り)が、雄性生殖系列において発現され、精巣においてtetOレポーター遺伝子の発現を適切に駆動することを示す。tetO−ヌクレアーゼ導入遺伝子を含むハエとの交雑は、後に記述する。

[実施例2] エフェクタータンパク質 本研究の目標は、雌に移行され、生存する胚(通常であれば雌が産生する)を少ししか生じないまたは実際に全く生じない精子を産生することである。同じ精子は、雌において再交配に対する適切な不応性を誘導するべきであるが、雌が再交配する場合は精子競合を適切に行う。これに対する本出願人らのアプローチは、精子が卵に進入できるが生存可能な接合子(繁殖力のある成虫へと発生することができる)を形成しない、父性効果致死を構築することである。複数コピーの使用も想定されるが、理想的には、この効果は、単一コピーの父性効果致死を有する雄により生じる。エフェクターが卵に進入(して、そこで効果を発揮)するための媒体として精子を単に用いるのではなく、精子において直接的な生化学的効果を有することも好ましい。これは、潜在的抵抗性の検討によるものである。ヌクレアーゼは、本発明の目的に好ましい選択肢である。理論的には、精子によって運ばれる遺伝情報が、接合子の一部または(好ましくは)実質的に全てが生存不能となる程度まで損傷された場合、これは、父性効果致死性による不妊性の適した形態の基盤を形成する。精子特異的損傷を誘導する試みにおいて、異なるクラスのヌクレアーゼを探索した。「tet−オフ」二部分条件的系の一部として、全ヌクレアーゼを試験した。これは、tetO配列に連結される。このアプローチは、新たな形質転換体系統を作出する負担のない、異なる生殖系列特異的プロモーター配列と組み合わせた様々なエフェクタータンパク質の評価を可能にする。さらに、これは、将来的な応用の観点からより現実的な状況をもたらす。

各ジンクフィンガーが短いヌクレオチド配列、例えば3ヌクレオチドへの配列特異的結合をもたらす、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)について記載されている。単一タンパク質において複数の係るジンクフィンガーを組み合わせることにより、より高い親和性およびより大きい配列特異性をもたらすことができる。これが、ヌクレアーゼ、例えば、制限エンドヌクレアーゼFoklのヌクレアーゼドメインと組み合わされると、任意の配列特異性を有する人工配列特異的ヌクレアーゼを構築することができる。本出願人らは、これらの系列を様々な雄性生殖系列特異的プロモーターと交雑させることにより、ZFNが、伸長精細胞においてDNA切断を生じることができるという仮定を試験した。2(OX4103)(図18)および3(OX4104、図19)ジンクフィンガーヌクレアーゼコンストラクトを設計し、試験した。体細胞組織において発現するプロモーター−tTAV系列と交雑することによる以前の評価は、3−Znフィンガーヌクレアーゼが、より優れた「致死」効果を提示することを示し、したがって、これらの系列のうち最も強いものを本研究の目的に用いた。したがって、このヌクレアーゼが好ましい。

ホーミングエンドヌクレアーゼは、典型的には、イントロンによりコードされる制限酵素の一種である。これは、これを合成する細胞の細胞DNAに作用し、いずれか所定の昆虫ゲノムにおける相対的に長い(15〜40bp、但し、多くの場合、名目上の標的配列に対するいくつかのミスマッチを許容する)ヌクレオチド配列(したがって、仮にあるとしても稀にしか発生しない)を認識する傾向がある。許容される認識/切断部位の最小数は、二倍体ゲノム当たり1個である。一倍体ゲノム当たり1個が好ましく、一倍体ゲノム当たり複数部位の認識/切断が特に好ましい。ゲノム当たり複数部位を切断するホーミングエンドヌクレアーゼの一例は、IPpolである。これは、幾分特異的な長い認識部位を有するが、それは、rDNA遺伝子における高度に保存された配列に対応する。このrDNA遺伝子の複数コピーは、あらゆる真核生物ゲノムに存在するため、複数標的部位が利用できる。tetO−IPPO1(OX4112、図17)コンストラクトを設計し、試験した。

制限エンドヌクレアーゼは、真核生物ゲノムを多くの回数で典型的に切断する、4〜10bpの認識部位を有する。係るヌクレアーゼは、実質的な配列特異性を持たない。メチル化感受性ではなく、そのヌクレアーゼドメインが種々の細胞型およびin vitroにおいて機能することが知られているFoklは、本出願人らの目標に特に好ましい。配列特異性が殆どないまたは全くないDNA結合ドメインと組み合わせたFoklヌクレアーゼドメインは、特に興味深い。このクラスのエフェクターの好ましい例は、プロタミン−ヌクレアーゼ融合体である。プロタミン−ヌクレアーゼ融合体の利点は、DNAを切断するために、それ自体(ホモ二量体)または少なくとも1種の異なるタンパク質(ヘテロ二量体)のいずれかと二量体形成(または重合)する必要があることである。二量体形成する必要がある酵素は、典型的には、非線形用量反応関数を有する。特に、ゲノム中の多くの部位において結合することができる酵素に関して、低濃度において2個の酵素分子が、切断を可能にするような仕方で出会う可能性は低い。これは、条件的発現系がリーキーである(プロモーターまたは条件的系それ自体により、意図した細胞以外の少なくとも一部の細胞(例えば、雄性生殖系列以外の細胞)において低いがゼロではないレベルのエフェクターを産生する)場合に有利となり得る。tetO−プロタミン−Foklコンストラクト(OX4458、図21)を設計し、試験した。

先に言及されている二部分系における雄性不妊の評価は、「卵孵化率アッセイまたは実験」と称される。設計の略図は、図1において例証されている。プロモーター系列は、好ましくは、他の箇所では発現が殆どないまたは全くない状態で、雄性生殖系列においてtTAVの発現を駆動するが、一方、エフェクター系列は、tetO配列に連結され、その発現は、時間的および空間的の両方でtTAVに相関する。プロモーターおよびエフェクター系列における形質転換マーカーは、結果の正確な評価のために異なる蛍光遺伝子を利用する、即ち、適切な励起フィルター下で、プロモーター系列は緑色の蛍光を発するが、一方、エフェクター系列は赤色の蛍光を発する。エフェクター(E)およびプロモーター(P)系列は、テトラサイクリンなしで、即ち、許容的(発現に)条件で交雑される。このような交雑から得られる卵を収集し、許容的条件(テトラサイクリンなし)または抑圧的条件(テトラサイクリンあり)のいずれかに分け、それに従って飼育した。系列特異的蛍光マーカーの発現に関して蛹をスクリーニングし、両方のマーカーを有する二重ヘテロ接合子を収集する。これらを羽化(ecclosion)後の等しい雄対雌比に関して点検し、tetありまたはなしで再度、雄を野生型雌と交雑させる。二重ヘテロ接合子雌と野生型雄との交雑を用いて、いずれかの観察された効果が性別特異的であるか試験する。野生型対照は、卵孵化率の参照ポイントとして包含される。交雑から得られた卵を収集し、計数する。3日後に計数を反復し、未孵化卵の数を評価する。

図1.卵孵化率アッセイの設計 多くのこのような交雑の結果を下に示す。ここに提示するあらゆる交雑は、上に記載されている基本設計に従った。

OX4282(PB−HrlE−AmCyan−SV40−TurboGFP−teto14−ccチューブリン−hsp83−tTAV−SV40)×OX4104(PB−YAFN−hsp83−tetO21−Hr5−IE1−Red)(図19)

図2.テトラサイクリン・オンおよびオフにおけるOX4282−OX4104雄性不妊 セラティティス・カピタタ遺伝子由来のβ2−チューブリンプロモーターにより駆動されるテトラサイクリン抑圧可能トランス活性化因子(tTAV)を保有するOX4282トランスポゾンの、3種の独立的な常染色体挿入系列(I、L、G)を、tetO−3Zn−フィンガーエフェクターを保有する系列OX4014と交雑させた。これら交雑の後代を、テトラサイクリンあり(100μg/ml;tet+)またはなし(tet−)の食餌において飼育および繁殖させた。ドライバーおよびエフェクターアレルの両方を保有する雄を野生型雌と交雑させ、これらの交雑から得られた卵の孵化率を計算した(孵化した産卵のパーセンテージ)。それぞれ100〜150個の卵の2種の異なる卵収集物を各交雑に用いた。テトラサイクリンの存在または非存在下で野生型雌と交雑させた野生型雄を対照として用いた。高度に有意な雄性不妊が観察された交雑(カイ二乗検定、*はP<0.01を表し、**はP<0.001を表す)に星印を付ける。

3種のOX4282系列を、以前に2種の一般的(generic)プロモーター(Hsp83およびOP)と交雑された際に有望な結果を示した3Zn−フィンガー系列(OX4104、図19)と交雑させた。両方のプラスミドを含有するハエに対する有害効果は記録されず、体細胞組織におけるエフェクターの基底発現が、有害効果を示すのに十分なほど高くないことを示した。系列Lからはほんの14%の、系列Iからは27%の卵孵化が観察された。系列Gからの卵孵化において有意な低下は見られなかった。両方の系列LおよびIは、2(以上の)コピーを含有する系列Gとは対照的に、単一コピーの導入遺伝子を含有する。結果は、5’Hsp83 UTR−Ccチューブリン−SV40 3’UTRプロモーターが、雄性生殖系列におけるtTAVの適切な発現を駆動して、これらの雄から得られた後代から孵化する幼虫の低下により示される通り、精子不妊性を誘導することを明らかに示す。その上、雌妊孕性の低下は観察されず、プロモーターが、雄性生殖系列特異的様式で作用することを示した(データ図示せず)。しかし、1種のOX4282系列の後代に有意な低下がないという事実は、表現型に影響を与える位置的効果を指す。

OX4282(PB−HrlE−AmCyan−SV40−TurboGFP−teto14−ccチューブリン−hsp83−tTAV−SV40)×OX4112(PB−IPPO−1−hsp83−tetO21−Hr5−IE1−Red)

同じOX4282系列を、体細胞において活性を有する2種のプロモーター(Hsp83およびOpie2)と交雑された際に致死性を実証したl−Ppo1系列と交雑した。このエフェクターを用いると、野生型およびテトラサイクリン対照と比較して、最大50%の不妊性が観察された(データ図示せず)。結果は、本アッセイにおいて観察された不妊性が、tTAVによるヌクレアーゼ発現の活性化およびその後の精子DNA切断の結果であることを実証する。不妊性レベルは、十分でない浸透率を示す。同じ系列が、一般的(generic)プロモーター系列と交雑された場合に強い致死効果を提示したという事実は、このタンパク質の分子が、望ましい効果を引き起こすのに十分なほどには雄性生殖系列において産生されなかったことを示唆し得る。恐らく、タンパク質は、強い効果が生じるために一定の閾値を超える必要があり、これは、性能に影響を与える導入遺伝子の位置的効果の可能性も増加させる。この結果は、本アッセイにおいて観察された両方の導入遺伝子を含有する蛹数の低下と共に、l−Ppo1を不適切なものとし、したがって、精子致死性の発生に好ましくない候補とする。

OX4282(PB−HrlE−AmCyan−SV40−TurboGFP−teto14−ccチューブリン−hsp83−tTAV−SV40)×OX4458(PB−AttP−Hr5−IE1−DsRed2−SV40−teto21−Dmプロタミン−ヌクレアーゼ)

図3.テトラサイクリン・オンおよびオフにおけるOX4282−OX4458雄性不妊 − トランスジェニックチチュウカイミバエにおける抑制可能雄特異的不妊性 tetO−プロタミン−Foklエフェクターを保有するOX4458(図21)トランスポゾンの、4種の独立的な常染色体挿入系列(B1、D1、D2、F2)を、セラティティス・カピタタβ2−チューブリン遺伝子由来のプロモーターにより駆動されるテトラサイクリン抑圧可能トランス活性化因子(tTAV)を保有するOX4282Lドライバー系列と交雑させた。これらの交雑の後代を、テトラサイクリンあり(100μg/ml;tet+)またはなし(tet−)の食餌において飼育および繁殖させた。ドライバーおよびエフェクターアレルの両方を保有する雄を野生型雌と交雑させ、これらの交雑から得られた卵の孵化率を計算した(孵化した産卵のパーセンテージ)。それぞれ200〜500個の卵の4種の異なる卵収集物を、各交雑に用いた。テトラサイクリンの存在または非存在下で野生型雌と交雑した野生型およびOX4282L雄を対照として用いた。高度に有意な雄性不妊が観察された交雑(カイ二乗検定、P<0.0001)に星印を付ける。

OX4458(図21)コンストラクトは、形質転換マーカーとしてhr5−IE1−DsRed2を有するシングルエンド(single ended)piggyBac由来ベクターにおいて、tetOオペレーターの転写制御におけるショウジョウバエプロタミンに融合した単一Fokl切断ドメインを含有する。OX4458(図21)コンストラクトは、ひとりでにいかなる効果も発揮するべきではない。両方のアレルを保持する二重ヘテロ接合子後代において、及び、許容的条件で(tTAVリプレッサー、テトラサイクリンなしで)、OX4458(図21)系列が適したtTAV発現系列と交雑された際、エフェクター融合タンパク質の発現が生じる。

単一の常染色体導入遺伝子挿入を有する4系列を、以前の実験(上述を参照)においてより高いプロモーター活性を提示したtTAV発現系列、OX4282Lと交雑させた。全4種の二重ヘテロ接合子組み合わせにおいて、トランスジェニック雄と交配した雌由来の卵の孵化率における重篤な低下が観察された。野生型雄と交雑した両方の導入遺伝子を保有するトランスジェニック雌を用いて、観察された効果の性別特異性が確認された(データ図示せず)。

上に示す結果によると、「変更された」チューブリンプロモーターおよびショウジョウバエプロタミン−Fok1エフェクターの組み合わせは、試験した以外の仕方における雄の一般適応度における有害効果が最小の(または全くない)雄性生殖系列特異的致死効果を生じると思われる。その上、雌は、導入遺伝子の発現により有意に影響を受けるとは思われず、用いた配列の雄性生殖系列特異性を支持する。次のステップは、単一プラスミドにおいてプロモーターおよびエフェクター配列の両方を含有するコンストラクトを設計することである(OX4353)。係るコンストラクトは、トランスポゾンが父性効果致死系の開発に用いられる、より現実的な状況をもたらす。

OX4353(PB−HrlE−AmCyan−SV40−teto14−Dmプロタミン−ヌクレアーゼ−ccチューブリン−hsp83−tTAVnew−SV40)

形質転換マーカーの遺伝パターンに基づき、2個の挿入を有すると考えられる系列Fは別として、4系列が、単一挿入事象であると考慮された。先に記載されている通り、テトラサイクリンの存在および非存在下において野生型と交雑することにより、全系列を試験した。同一系列由来の雌も野生型雄と交雑させ、同様の仕方でその妊孕性を評価した。

図4.テトラサイクリン・オンおよびオフにおける、OX4353雄性不妊のパーセンテージ tetO−プロタミン−Foklエフェクターおよびセラティティス・カピタタ由来のβ2−チューブリンプロモーターにより駆動されるテトラサイクリン抑圧可能トランス活性化因子(tTAV)を保有するOX4353トランスポゾンの、5種の独立的な常染色体挿入系列をチチュウカイミバエにおいて作出した(A、B、C、D、F)。これらの系列の後代を、テトラサイクリンあり(100μg/ml;tet+)またはなし(tet−)の食餌において飼育および繁殖させた。雄を野生型雌と交雑させ、これらの交雑から得られた卵の孵化率を計算した(孵化した産卵のパーセンテージ)。100〜150個の卵の2種の卵収集物を、各交雑に用いた。テトラサイクリンの存在または非存在下で野生型雌と交雑させた野生型雄を対照として用いた。高度に有意な雄性不妊が観察された交雑(カイ二乗検定、**はP<0.001を表し、***はP<0.0001を表す)に星印を付ける。

図5.テトラサイクリン・オンおよびオフにおける、OX4353雌性不妊のパーセンテージ tetO−プロタミン−Foklエフェクターおよびセラティティス・カピタタ由来のβ2−チューブリンプロモーターにより駆動されるテトラサイクリン抑圧可能トランス活性化因子(tTAV)を保有するOX4353トランスポゾンの、5種の独立的な常染色体挿入系列をチチュウカイミバエにおいて作出した(A、B、C、D、F)。これらの系列の後代を、テトラサイクリンあり(100μg/ml;tet+)またはなし(tet−)の食餌において飼育および繁殖させた。雌を野生型雄と交雑させ、これらの交雑から得られた卵の孵化率を計算した(孵化した産卵のパーセンテージ)。各交雑から得られた100〜150個の卵の2種の卵収集物を用いた。テトラサイクリンの存在または非存在下で野生型雌と交雑させた野生型雄を対照として用いた。有意な雌性不妊は観察されなかった(カイ二乗検定、P>0.05)。

結果は、ヘテロ接合性OX4353雄が、食餌中のテトラサイクリンの非存在下(許容的条件)において最大100%不妊性であったことを示す。しかし、いくつかの系列の雄は、テトラサイクリンの存在下において低妊孕性(sub-fertile)であり、大部分の系列由来の雌は、テトラサイクリンの非存在下において妊孕性の僅かな低下を示した。上述の結果から、本出願人らは、導入遺伝子の発現が、試験した全5系列において作動していると結論付けることができる。精子致死性の誘導の観点から、しかし、該導入遺伝子を含有する昆虫の一般的適応度における最小効果を有する完全(またはそれに非常に近い)精子致死性の達成の微調整は、位置効果(即ち、昆虫のゲノムにおける挿入された配列の位置および近接する調節エレメント)により大いに影響を受けると思われる。

本明細書に記載されている研究は、1030bpのチチュウカイミバエβ2−チューブリンプロモーター断片が、テトラサイクリンの制御下、精子形成におけるtTAV発現の駆動およびエフェクター遺伝子発現のさらなる駆動に十分であることを示す。OX4353系統は、機能的なテトラサイクリン抑圧可能精子致死系統であることを立証した。その上、Dmプロタミンが、チチュウカイミバエにおいて発現されると、その主たる特性の少なくとも1種、即ち、精子DNAへの結合を保持すると結論付けることもできる。プロタミン配列は十分に保存されておらず、よって、陽性成績は、これらの実験以前には不確定であった。これらの結果は、チチュウカイミバエ個体数調節を視野に入れて、二部分「tet−オフ」系に関して、このプロモーター/エフェクター組み合わせのさらなる用途の見込みを示す。

OX4718(PB4 Hrie1−AmC−MexMActPro−DsR−tetO21−Prota−mCh−Fokl−CcBTubPro−tTAV2−Hrie1−ZsG)

OX4718は、チチュウカイミバエにおけるプロモーターおよびエフェクター構成成分の両方を保有する単一コンストラクトの一例である。このプラスミドを前胞胚葉(pre-blastoderm)セラティティス・カピタタ胚に注射した。完全トランスポゾンの挿入を示す、赤色および緑色蛍光タンパク質の両方を発現する蛹(異なる色つきのpb端を含有する4端pbコンストラクト(Dafaalaら、2006))は、2種のG0交雑体:V(1蛹)およびσ(47蛹)におけるG1後代中に見出された。OX4718−V系列由来の単一の蛹は、成虫期まで生存しなかった。OX4718−σ系列由来の蛹は、2種の明らかに別個の表現型:より強い(30蛹)およびより弱い(17蛹)を呈し、それぞれσ1およびσ2と命名した。大部分は単一の雄または雌としてこれらを増やし、野生型と交雑させ、このステージにおいて、2種の独立的挿入事象と考慮される。OX4718−σ1(b)およびOX4718−σ2(b)系列は、G2ステージで中断した。G2蛹の表現型解析は、これらの系列のそれぞれにおいて複数の挿入を示した。G3ステージにおける系列のさらなる解析は、σ1(a)およびσ1(c)系列の両方が、単一の常染色体挿入であることを確認した。OX4718−σ2(a)は、異なる世代の雄において導入遺伝子の非存在または存在が交互に現れることから示唆される通り、X染色体上に単一挿入を保有し、本試験の目的のためにさらなる解析は行わなかった。

OX4718−σ1(a)およびOX4718−σ1(c)系列を、テトラサイクリンあり(100μg/ml;tet+)またはなし(tet−)の食餌において飼育および繁殖させ、野生型と交雑させた。野生型対野生型およびテトラサイクリンの存在または非存在下で野生型雄と交雑するOX4718雌を対照として用いた。ケージのセットアップ後4日目に、このような交雑由来の新鮮な(24時間を超えていない)卵を収集した。交雑/ケージ当たり3種の収集を行った。卵の総数を、4日後に孵化できなかった卵の数と比較した。孵化率を、孵化した産卵の平均パーセンテージとして計算した。これらのデータは、テトラサイクリンの非存在下におけるOX4718−σ1雄の有意な不妊性を示した。結果を図6に示す。テトラサイクリンの存在下または非存在下で飼育したOX4718−σ1(a)およびX4718−σ1(c)系列を、野生型雌と交雑させ、これらの交雑から得られた卵の孵化率を計算した(孵化した産卵のパーセンテージ)。野生型対野生型および野生型雄と交雑したOX4718雌を対照として用いた。高度に有意な雄性不妊が観察された交雑(カイ二乗検定、P<0.0001)に星印を付ける。

上述の結果は、野外使用に適した形式におけるセラティティス・カピタタにおける条件的雄特異的不妊性の発生の成功を実証する。即ち、個々のプロモーターおよびエフェクター分子を単一コンストラクトにおいて組み立てた。

図7および図8.オリーブバエにおける、テトラサイクリン・オンおよびオフにおけるOX4705雄および雌性不妊のパーセンテージ

OX4705(PBMexMActPro−DsR−tetO21−Prota−mCh−Fokl−CcBTubPro−tTAV2)

これは、この場合はオリーブバエにおいて、プロモーターおよびエフェクター構成成分の両方を含有する単一コンストラクトの別の一例を提供する。

チチュウカイミバエ(セラティティス・カピタタ)において得られた励ましになる結果に基づき、近縁のミバエ科(tephritid);一般にオリーブバエと称されるバクトロセラ・オレアエのために同様のプラスミドを開発した。プラスミドOX4705は、雄性生殖系列におけるtTAVの発現を駆動するB2チューブリンの変更型と、その後に、tetOおよびDroプロタミン−Fokl融合エフェクターの変更型を取り込む。プラスミドは、形質転換マーカーとしてDsRed2蛍光タンパク質の発現を駆動する新規メクスフライ(アナストレファ・ルーデンス)筋肉アクチンプロモーターも取り込む。

オリーブバエ前胞胚葉胚におけるプラスミドOX4705のマイクロインジェクションは、10種の独立的挿入事象を生じた。全系統は、適切な励起フィルターを備える顕微鏡下で強い蛍光表現型(蛍光マーカー発現)を提示し、メンデルの遺伝の法則に従い単一挿入であった。9種の挿入は常染色体にあったが、1種はX染色体上にあった。幼虫中間体(medium)から、テトラサイクリンの存在および非存在下において雄および雌性不妊に関して全系統を試験した。野生型交雑は、追加的な対照を提供した。結果を図7および図8に示す。

図7は、テトラサイクリン・オンおよびオフにおけるOX4705オリーブバエ雄性不妊のパーセンテージを示す。tetO−プロタミン−Foklエフェクターおよびセラティティス・カピタタ由来のβ2−チューブリンプロモーターの変更型により駆動されるテトラサイクリン抑圧可能トランス活性化因子(tTAV)を保有するOX4605トランスポゾンの、9種の独立的な常染色体挿入系列をオリーブバエにおいて作製した(A、A1、A2、A3、B、B1、F、F1、P)。これらの系列の後代を、テトラサイクリンあり(100μg/ml;tet+)またはなし(tet−)の食餌において飼育および繁殖した。雄を野生型雌と交雑させ、これらの交雑から得られた卵の孵化率を計算した(孵化した産卵のパーセンテージ)。100〜150個の卵の3種の卵収集物を各交雑に用いて、統計学的有意性をもたらした。テトラサイクリンの存在または非存在下で野生型雌と交雑させた野生型雄を対照として用いた。

図8は、テトラサイクリン・オンおよびオフにおけるOX4705オリーブバエ雌性不妊のパーセンテージを示す。tetO−プロタミン−Foklエフェクターおよびセラティティス・カピタタ由来のβ2−チューブリンプロモーターにより駆動されるテトラサイクリン抑圧可能トランス活性化因子(tTAV)を保有するOX4705トランスポゾンの、9種の独立的な常染色体挿入をオリーブバエにおいて作製した(A、A1、A2、A3、B、B1、F、F1、P)。これらの系列の後代を、テトラサイクリンあり(100μg/ml;tet+)またはなし(tet−)の食餌において飼育および繁殖させた。雌を野生型雄と交雑させ、これらの交雑から得られた卵の孵化率を計算した(孵化した産卵のパーセンテージ)。各交雑由来の100〜150個の卵の2種の卵収集物を用いた。テトラサイクリンの存在または非存在下で野生型雌と交雑させた野生型雄を対照として用いた。有意な雌性不妊は観察されなかった。

データは、野生型対照と比較して、幼虫食からテトラサイクリンを抜くと雄妊孕性を低下しないが、幼虫食にテトラサイクリンを存在させて雄を飼育した場合、驚異的なOX4705オリーブバエ雄性不妊を強く示す(図7)。雌妊孕性(図8)および雄の一般的適応度は影響を受けず、「父性致死カセット」の雄性生殖系列特異的発現を示唆した。

図9.テトラサイクリン・オンおよびオフにおけるOX4466雄および雌性不妊のパーセンテージ セラティティス・カピタタおよびバクトロセラ・オレアエにおける父方から伝達された致死効果の成功に続き、焦点は、経済的に重要な別の双翅目;ネッタイシマカに移った。後述する例は、セラティティス・カピタタと同様のプロモーターおよびエフェクター配列を利用して、この種における有意な雄性不妊の証拠を提供する。最大の結果を達成するために、この生物のゲノム配列を利用して、一部のコンストラクトにおいて僅かな変更を生じさせた。

OX4466(PB−hr5IE1−DsRed−Aeprot−tGFP−EcoRI)

これは、別のエフェクター;Aepro−EcoRIの例も提供する。前胞胚葉ネッタイシマカ胚にOX4466を注射した。このコンストラクトの構成成分は、tet−オフ系により誘導性ではなく寧ろ構成的に発現される。4種の独立的挿入事象を生じた。各系統由来の雄および雌を、異性の野生型蚊と戻し交雑した。野生型昆虫を対照として用いた。湿った濾紙の上で24時間、雌に産卵させた。後代の生存を評価した。結果を図9に示す。図表は、各検定交雑から孵化した収集した胚のパーセンテージを示す。内部の表は、実際に記録された数を提示する。実験は、OX4466雄が父親となる場合の孵化した卵の数の有意な低下を実証する。恐らく位置的効果のために、胚生存率の低下は、系列Dにおいて明確さが低かった。結果は、胚致死性の予想される性別特異性を確認する。トランスジェニック雌由来の胚は、野生型対照交雑と等しく生存可能であった。

ヌクレアーゼの発現が、精子において蛍光タンパク質の発現と共存することができるように、コンストラクトOX4466のヤブカ属−プロタミン−ヌクレアーゼエフェクターDNA配列(EcoRI)を蛍光遺伝子(turboGFP)に融合させた。多くのOX4466雄における解剖した精巣から単離した精子の蛍光顕微鏡試験は、核/精子頭部と強いGFP共局在化を示した。これは、蛍光発現に融合したヌクレアーゼ機能の一例である。

図10.テトラサイクリン・オンおよびオフにおけるOX4467雄および雌性不妊のパーセンテージ

OX4467(PB−hr5IE1−DsRed−Aeprot−tGFP−FoklCD)

ヌクレアーゼエフェクターがEcoRIではなくFok1であるという差を除き、OX4467はプラスミドOX4466と同一である。

前胞胚葉ネッタイシマカ胚へのこのプラスミドの注射は、3種の独立的挿入事象をもたらした。これらの事象のうち2種は、トランスジェニックG0雄を通してG1世代において失われ、父性致死効果の非常に強い発現を示した。残りの系統を以前の通り解析した。結果を図10に示す。図表は、各検定交雑から孵化した収集された胚のパーセンテージを示す。内部の表は、実際に記録された数を提示する。実験は、OX4467雄が父親である場合に孵化した卵の数の有意な低下を実証する。結果は、胚致死性の予想される性別特異性を確認する。トランスジェニック雌由来の胚は、野生型対照交雑と等しく生存可能である。

OX4466プラスミドの場合、ヌクレアーゼの発現が、精子において蛍光タンパク質の発現と共存することができるように、ヤブカ属−プロタミン−ヌクレアーゼエフェクターDNA配列(Fok1)を蛍光遺伝子(turboGFP)に融合させた。多くのOX4467−E1雄における解剖した精巣から単離した精子の蛍光顕微鏡検査は、核/精子頭部と強いGFPとの共局在化を示した。これは、蛍光発現と融合したヌクレアーゼ機能の別の一例である。

OX4286(PB−AeTopi−tTAV−K10−3xP3−DsR) OX4286(図23)は、ネッタイシマカ由来のtopiプロモーターおよびtopi 5’UTRにより駆動されるtTAVを含有する、piggyBacトランスポゾンに基づくコンストラクトである。OX4286(図23)は、形質転換マーカーとして3xP3駆動DsRedを用いる。3xP3は、進化的に保存されたPax−6転写因子に応答性の、人工の眼特異的プロモーターであり、胚、幼虫および蛹ステージにおいて活性を有する。Topiプロモーターの活性を試験するため、レポーター系列OX3979−Aeを用いた。OX3979−Aeは、tetOオペレーター制御下のAmCyanコード配列を含有し、ファージC31系を用いてゲノムのドッキング部位に組み込まれる。これは、形質転換マーカーとしてhr5IE1駆動DsRedを発現する。OX4628BおよびOX3979系列を共に交雑することにより作出された、Topi−tTAVおよびtetO−AmCyanの両方を保有する二重ヘテロ接合子は、後期幼虫ステージから得たネッタイシマカ精巣におけるAmCyanの明らかな発現を示した。

OX4635(PB−HrlE−AmCyan−SV40−Aeベータ2チューブリン−hsp83−tTAV−SV40) ネッタイシマカ蚊における条件的雄性不妊系における使用のためのB2チューブリンプロモーターの適合性を試験するため、piggyBacに基づくコンストラクトであるOX4635を構築した。Smithらは、自身の2007年の論文の中で、ネッタイシマカB2−チューブリンプロモーターのクローニングおよび特徴づけについて記載し、内在性プロモーターと同様のステージおよび組織特異的様式で、蚊精巣におけるDsRed発現を駆動するのに十分なものとしてその959bp断片を定義した。これは、レポーター遺伝子の直接的発現の成功を表し、設計の観点から、本出願人らの以前に試験した構成的雄性不妊系と同様のものであった。本出願人らの条件的発現系における使用にプロモーターを適応させるため、本出願人らは、これが提唱されている二部分発現系に非常に望ましくないものとなり得るB2−チューブリンに特有の翻訳遅延を媒介する可能性が高いと推察して、B2−チューブリンの転写配列を可能な限り除去することを決定した。5’UTRを、Smithら(2007)により用いられる配列に存在するORFの最初の36bpと共に除去し、地中海ミバエ由来のhsp83ミニマルプロモーターに置き換えた。この変更されたプロモーターを用いて、コンストラクトOX4635においてtTAV発現を駆動した。OX4635は、形質転換マーカーとしてhr5IE1駆動AmCyanを含有する。

ネッタイシマカ(Aedes aegytpi)における条件的雄性不妊 図11.tetO−Ae−プロタミン−Fokl−CDのOX4282−OX4627 Topi−tTAV駆動発現(OX4286−B×OX4458)

OX4627(PB−AeProt−Fokl−sv40−ポリA−hrlE1−DsRed) 条件的不妊系;ヌクレアーゼエフェクタータンパク質の第2の部分のため、OX4458(図21)と同様の様式で(セラティティス・カピタタ(C. capita)に用いられて成功した)、コンストラクトOX4627を構築した。主な差は、利用されているプロタミン配列が、最適な結果のためキイロショウジョウバエではなくネッタイシマカに由来することである。

系統OX4282Bを、4種の異なるOX4627系統と交雑させた。二重ヘテロ接合性雄を野生型雌と交雑させ、得られた胚の孵化率をスコア化した。野生型、OX4627単独および雌対照を包含させた。テトラサイクリンなしの食餌において飼育した、両方のアレルを保有する雄の全4種の試料において、胚孵化率の有意な(最大100%)低下が観察された。結果を図11に示す。OX4286BおよびOX4627系列の間の交雑の後代を、テトラサイクリンあり(tet+)またはなし(tet−)の食餌において飼育した。ドライバーおよびエフェクターアレルの両方を保有する雄を野生型雌と交雑させ、これらの交雑から得られた卵の孵化率を計算した(孵化した産卵のパーセンテージ)。野生型雌と野生型雄との交雑を対照として用いた。高度に有意な雄性不妊が観察された交雑(カイ二乗検定)に星印を付ける。

図12.tetO−Ae−プロタミン−Fokl−CDのOX4635−OX4627 β2−tub−tTAV駆動発現(OX4635×OX4627) 2種のOX4635系統を、4種の異なるOX4627系統と交雑させた。二重ヘテロ接合性雄を、野生型雌と交雑させ、得られた胚の孵化率をスコア化した。野生型交雑を対照として用いた。テトラサイクリンなしの食餌において飼育した、両方のアレルを保有するいくつかのヘテロ接合性雄(アレル毎に)において、胚孵化率の有意な低下が観察された。全試料が同じ率の精子不妊性を実証した訳ではないという事実は、様々な導入遺伝子挿入の位置的効果によるものと考えられる。結果を図12に示す。OX4635およびOX4627系列の間の交雑の後代を、テトラサイクリンあり(tet+)またはなし(tet−)の食餌において飼育した。ドライバーおよびエフェクターアレルの両方を保有する雄を、野生型雌と交雑させ、これらの交雑から得られた卵の孵化率を計算した(孵化した産卵のパーセンテージ)。野生型雌と野生型雄との交雑を対照として用いた。高度に有意な雄性不妊が観察された交雑(カイ二乗検定)に星印を付ける。

ネッタイシマカにおいて、B2−チューブリンと比較して、Topiプロモーターによりヌクレアーゼ発現が駆動される交雑において、より強い全体的な不妊化効果が観察された。にもかかわらず、どちらの事例においても有意な雄性不妊が観察され、topiおよびB2−チューブリンの変更型を両者共に、蚊の種、ネッタイシマカにおける「父性致死性効果」に適したプロモーターとする。しかし、Topiプロモーターにより発揮されるより強い効果は、Topi−tTAVアレルの2個以上の挿入に関係した。表現型分離データによると、OX4286B系列において数個のTopi−tTAV挿入が存在し、そのうちのいくつかは、雄性決定遺伝子座に連鎖している。ネッタイシマカは、雌雄二形性の染色体を欠き、その代わりに、性別は、雄性決定遺伝子座(M)の存在または非存在により決定される。

ヌクレアーゼエフェクター融合タンパク質;プロタミン−Fok1は、これまでに試験した3種の異なる双翅目種、即ち、セラティティス・カピタタ(C. capita)、バクトロセラ・オレアエおよびネッタイシマカにおいて完全に機能的である。

共に交雑された雄性不妊および雌致死系統 精子致死技術が、雌致死RIDL技術と相互作用し得るか、また、両方の導入遺伝子を含有する最終産物の一般的性能に可能性のある効果を試験するために、OX4353のチチュウカイミバエ雌(選択された2種の系列BおよびF)をチチュウカイミバエ雌致死系列(OX3864AおよびOX3647Q)の雄と交雑させる実験をセットアップした。RIDL技術の使用は、先ず、国際公開第01/39599号パンフレットに記載されている。その蛍光表現型および不妊性に従って両方の挿入を含有する個体を選択し、雌致死性アッセイを行った。テトラサイクリンの非存在下において、これらの交雑の後代は、雄のみで不妊性となるはずである。テトラサイクリン(100ng/μl)の存在および非存在下で雄妊孕性および雌致死性を評価した。結果は、交雑のいずれにおいてもテトラサイクリンの非存在下において雌後代が産生されなかったが、一方、テトラサイクリンを含有する食物において幼虫を成長させた場合、正常な50:50の雄対雌比が得られたことを確認した。両方の挿入を含有する雄を野生型雌と戻し交雑して、以前の交雑と同様に雄性不妊を評価した。結果を図13に提示する。データは、試験したOX4353系統の雄性不妊が、雌致死の正のフィードバックの存在により影響を受けないままであったことを示す、あるいは実際に、これは確率的変種に起因し得るが、僅かにさらに低下された。そこで重要なことに、これらの交雑は、雌および精子致死プラスミドの存在が、どちらの挿入の性能にいかなる有害効果もなく、単一生物において共存し得ることを強く示唆する。 精子致死系統における、Ccβ2−チューブリンプロモーターにおける5’および3’UTRの役割

文献(Catterucciaら、2005;Smithら、2007;Scolariら、2008;Nirmalaら、2009)の他の箇所に記載されているCcβ2−チューブリンプロモーターは、OX3671(図16)系統における全精子においてDsRed2発現を駆動せず、これは恐らく、Ccβ2−チューブリン遺伝子の遅い転写または翻訳に関係すると思われる。遅い発現は、トランスジェニック系統におけるレポーター遺伝子または致死遺伝子いずれかの機能の活性化に、不十分な、tetO反復へのtTAVタンパク質結合をもたらし得る。改変した5’UTRを有するコンストラクト、OX3831、OX4282およびOX4353は、精子におけるより高レベルの蛍光または致死性を示し、精子形成における遺伝子発現における5’UTRの重要性を例証する。

キイロショウジョウバエにおいて、発達中の生殖系列細胞において、大部分の遺伝子は、減数分裂前に発現されて産物が貯蔵され、ごく僅かな遺伝子が、減数分裂後に転写される(White−Cooper、2009)。転写および翻訳のタイミングならびにRNAおよびタンパク質産物の安定性は、精子致死トランスジェニックチチュウカイミバエ系統の開発に重要である。この重要性は、エフェクターの種類毎に変動し得る。実際に、Windbichlerらは、その問題の一部が、ヌクレアーゼが安定的過ぎて、胚の中で持続されることと推測する(Windbichlerら、2008)。他方では、蛍光タンパク質による精子標識のために、蛍光タンパク質が、成熟精子において生存することが明らかに必須である。未改変のCcβ2−チューブリンは、この遺伝子由来のプロモーターを用いて、精母細胞においてレポーター遺伝子発現を駆動することにより確認される通り、雄性生殖系列において発現される。しかし、その正常な立体配置における、即ち、同じ遺伝子に由来する5’UTR配列と組み合わせたこのCcβ2−チューブリンプロモーターは、tTAVの翻訳を非常に遅く、減数分裂直前に駆動し得る。この場合、tTAVタンパク質がtetO配列に結合し(tetO−レポーター系統と交雑された場合)、隣接レポーター遺伝子の十分な発現をさらに誘導するために十分な時間がない。未改変のCcβ2−チューブリンプロモーターにより、20個の精巣のうち1個のみが、いくつかの精細胞束においてレポーター(DsRed2)発現を示した。他方では、5’UTR置き換えは、系統OX3831(図20)およびOX4282における解剖した雄精巣の初期精母細胞および精細胞においてより大きい蛍光発現をもたらした。3’UTRは、翻訳効率およびmRNA安定性を調節する配列を含有し、したがって、広範囲の種において機能することが知られた配列により、チューブリン遺伝子の3’UTRを置き換える。恐らく、チューブリン遺伝子の遅い翻訳の原因となる調節エレメントを排除することができる。

OX4371(PB−HrlE−AmCyan−SV40−TurboGFP−teto14−Topi−ubi−tTAV2−SV40) OX4112(PB−IPPO−1−hsp83−tetO21−Hr5−IE1−Red)

遺伝パターンにより、OX4371(図27)系列は、単一コピーの導入遺伝子を有すると思われる。エフェクターIPpolを含有する系列OX4112(図17)と交雑されると、両方のプラスミドを含有する個体数の僅かな低下が見られた(同じ交雑の野生型蛹と比較して)。しかし、雄妊孕性の40%低下を提示した系列Eを例外として、大部分の系列において孵化した卵の数の有意な低下は見られなかった。

OX4371(PB−HrlE−AmCyan−SV40−TurboGFP−teto14−Topi−ubi−tTAV2−SV40) OX4104(PB−YAFN−hsp83−tetO21−Hr5−IE1−Red)(図19)

OX4371(図27)系列を3−Znフィンガー系列と交雑させると、両方のプラスミドを含有するハエは、完全に生存可能で健康であった。系列Fの雄妊孕性の低下は見られなかったが、系列BおよびEにおいてそれぞれ45%および40%の低下が見られた。

OX4391(PB−HrlE−AmCyan−SV40−TurboGFP−teto14−Topi−ubi−tTA V2−Topi3’UTR) OX4104(PB−YAFN−hsp83−tetO21−Hr5−IE1−Red)(図19)

系列OX4391G、CおよびDは、単一挿入を有すると推定したが、系列BおよびHは、それぞれ2コピーの導入遺伝子を有すると思われる。OX4391(図22)系列をtetO−3zn−フィンガー系列(OX4104、図19)と交雑させると、両方のプラスミドを含有する個体の生存率にいかなる有害効果があるとも思われなかった。これは、体細胞組織において導入遺伝子の非常に低い(あるとしても)基底発現しか存在しないことを示す。解析した全5系列のうち、Bは、生存可能な後代を産生する精子の能力の70%低下を有したが、系列Hは、40%のみ繁殖力があった。残りの系列において、Tありおよびなしにおける卵生存率に有意差はなかった。結果は、この特定の組み合わせにおける2コピーの存在が、試験した雄の妊孕性を有意に減少させることを強く示す。

OX4391(PB−HrlE−AmCyan−SV40−TurboGFP−teto14−Topi−ubi−tTAV2−Topi3’UTR) OX4112(PB−IPPO−1−hsp83−tetO21−Hr5−IE1−Red)

同じOX4391(図22)系列をIPPO1系列に交雑させると、Tの非存在下における両方のプラスミドを含有する後代の数は、2種のプラスミドのうちいずれか一方を含有するまたはどちらも含有しない後代と比較して低下した。同様の実験において記載されている通りに卵生存率を評価した。系列B、C、FおよびGにおいて、野生型対照と比較して、孵化した幼虫数の有意な低下は見られなかった。系列Hにおいて50%胚生存率低下が見られた。

AetopiおよびCctopiプロモーターの両方が、レポーター遺伝子およびtTAVの精巣特異的発現を導く能力を示し、この発現はその後、レポーター遺伝子または致死遺伝子の精巣特異的発現を誘導した。特に、1168bpのAetopiプロモーターおよび65bpのAetopi 5’UTRを包含する1233bp配列は、ネッタイシマカにおけるtTAV−DsRed融合タンパク質の精巣特異的発現を駆動することが示され(データ図示せず)、tTAV発現は、精巣特異的AmCyanレポーター遺伝子発現をさらに誘導することができる。1178bp推定Cctopiプロモーターは、チチュウカイミバエにおいて精巣特異的活性の証拠を示さなかった。より大きい(1708bp)Cctopi断片配列は、精巣特異的tTAV発現の駆動に十分であることが判明した。

応用遺伝子操作的展望から、用いたCctopi推定プロモーター断片を、以前に特徴づけられたβ−2−チューブリンプロモーターよりも初期の発現を有する、チチュウカイミバエにおける新たな雄性生殖系列特異的プロモーターとして確認した。 参考文献

配列 次の記載は、以下に提示する配列番号1〜56に関する。 配列番号1〜5:完全ベータ−2チューブリン配列 − 異なる昆虫 配列番号1 >gi|167822003|gb|EU386342.1|セラティティス・カピタタベータ−2チューブリンmRNA、完全cds 配列番号2 >gi|158742|gb|M20420.1|DROTUBB2Aキイロショウジョウバエベータ−2チューブリンmRNA、完全cds 配列番号3 >gi|111035017|gb|DQ833526.1|ネッタイシマカベータ−2チューブリン(B2t)遺伝子、完全cds 配列番号4 >gi|219815271|gb|EU938673.1|ミカンコミバエベータ−2チューブリン遺伝子、完全cds 配列番号5 >gi|219815267|gb|EU938671.1|アナストレファ・サスペンサベータ−2チューブリン遺伝子、完全cds 配列番号6〜10:ベータ−2チューブリン5’UTR配列 − 異なる昆虫 配列番号6 >gi|167822003|gb|EU386342.1|セラティティス・カピタタベータ−2チューブリン5’UTR 配列番号7 >gi|158742|gb|M20420.1|DROTUBB2Aキイロショウジョウバエベータ−2チューブリン5’UTR 配列番号8 >gi|219815271|gb|EU938673.1|ミカンコミバエベータ−2チューブリン5’UTR 配列番号9 >gi|111035017|gb|DQ833526.1|ネッタイシマカベータ−2チューブリン(B2t)5’UTR 配列番号10 >gi|219815267|gb|EU938671.1|アナストレファ・サスペンサベータ−2チューブリン5’UTR 配列番号11〜15:ベータ−2チューブリン3’UTR配列 − 異なる昆虫 配列番号11 >gi|167822003|gb|EU386342.1|セラティティス・カピタタベータ−2チューブリン3’UTR 配列番号12 >gi|158742|gb|M20420.1|DROTUBB2Aキイロショウジョウバエベータ−2チューブリンmRNA 3’UTR 配列番号13 >gi|111035017|gb|DQ833526.1|ネッタイシマカベータ−2チューブリン(B2t)遺伝子3’UTR 配列番号14 >gi|219815271|gb|EU938673.1|ミカンコミバエベータ−2チューブリン遺伝子3’UTR 配列番号15 >gi|219815267|gb|EU938671.1|アナストレファ・サスペンサベータ−2チューブリン遺伝子3’UTR tTAVおよびバリアント 配列番号16:tTAVのオープンリーディングフレーム 配列番号17:tTAVのタンパク質配列 配列番号18:tTAV2のオープンリーディングフレーム 配列番号19:tTAV2のタンパク質配列 配列番号20:tTAV3のオープンリーディングフレーム 配列番号21:tTAV3のタンパク質配列 配列番号22 − キイロショウジョウバエ由来の5’UTRベータ−2チューブリン 配列番号23〜24 − Dm b2−チューブリンのmRNA配列(アライメントに5’UTRが包含されている)(配列番号23)と整列した(aligned)、キイロショウジョウバエのb2チューブリンプロモーター配列(配列番号24) 配列番号25 − Hsp83チチュウカイミバエのORF 配列番号26 − ジーンバンク(genebank)から得た5’UTR 配列番号27 − 4353由来のHsp83 5’UTR 配列番号28 − Hsp83チチュウカイミバエのアミノ酸配列 配列番号29 − OX3831由来のDm Aly 5’UTR 配列番号30 − Dm Alyプロモーター 配列番号31 − TETR 配列番号32 − VP16 組み合わせたTETRおよびVP16配列が、tTAV配列を作製する。 配列番号33 − DmTopi cDNA 配列番号34 − fly baseに存在するDmプロモーター配列 配列番号35 − #OX4254 Cc topiプロモーター 配列番号36 − #OX4275 Cc topiプロモーター 配列番号37 − #OX4371 Cc topiプロモーター 配列番号38〜40 − LA4254(配列番号38)対LA4275(配列番号39)対LA4371(配列番号40)のアライメント 配列番号41 − 4286由来のヤブカ属topiプロモーター 配列番号42 − 4286由来のAe topi 5’UTR 配列番号43 − TopiキイロショウジョウバエORF(コード領域) 配列番号44 − キイロショウジョウバエ由来のAly ORF(コード領域) 配列番号45 − LA 3671 B2チューブリンプロモーターおよび5’UTR 配列番号46 − LA 4353 B2チューブリンプロモーター 配列番号47 − LA 4353 hsp83 5’UTR 配列番号48 − B2チューブリン5’UTR 配列番号49 − Aeプロタミン 配列番号50 − SG4 配列番号51 − Fok1切断ドメイン 配列番号52 − Aeプロタミン−SG4−Fok1 配列番号53 − チチュウカイミバエB2チューブリンプロモーターフォワードプライマー 配列番号54 − チチュウカイミバエB2チューブリンプロモーターリバースプライマー 配列番号55 − TopitestF1プライマー 配列番号56 − Topitest Rプライマー 配列番号23〜24

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