Stable water-in-oil emulsion

申请号 JP52673595 申请日 1995-04-18 公开(公告)号 JP3751634B2 公开(公告)日 2006-03-01
申请人 バスフ アクチェンゲゼルシャフト; 发明人 ルッポ エデンス; パリドン ペートルス アンドレアス ファン; ディルク メイイェール;
摘要
权利要求
  • 水、油、酵素、水分活性低下剤のポリオール及び乳化剤を含む油中水エマルジョンであって、 酵素が、プロテアーゼ、カルボヒドラーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、オキシドレダクターゼ及びフィターゼから成る群から選ばれ、酵素及び水分活性低下剤のポリオールが、エマルジョンの水相に存在し且つ水分活性低下剤のポリオールが、30〜70%(w/w)の濃度で水相に存在する事を特徴とするエマルジョン。
  • ポリオールが、グリセロール、ソルビトール、スクロース、ポリプロピレングリコール、ラクトース、トレハロース、マルトデキストリン及びグルコースから成る群から選ばれる、請求項1に記載のエマルジョン。
  • 乳化剤が、油中水エマルジョンを生じる乳化剤の群から選ばれる、請求項1又は2に記載のエマルジョン。
  • 乳化剤が、高濃度のポリオールの存在下で活性である、請求項1〜3の何れか一項に記載のエマルジョン。
  • 乳化剤が、モノグリセリド及びポリグリセロールポリリシノレエートの群から選ばれる、 請求項1〜4の何れか一項に記載のエマルジョン。
  • 請求項1〜 の何れか一項に記載のエマルジョンを含む事を特徴とする、人間又は動物の食料。
  • 請求項1〜 の何れか一項に記載のエマルジョンを含む事を特徴とする、化粧品。
  • 請求項1〜 の何れか一項に記載のエマルジョンを使用して粒子を噴霧する事を特徴とする食品又は飼料粒子の処理方法。
  • 说明书全文

    技術分野
    本発明は、安定した油中エマルションに関する。 該エマルションは、飼料、食品又は化粧品の組成へ不安定化合物を添加する際に使用する。
    発明の背景
    飼料、食品又は化粧品用の種々の添加剤には、着色剤、ビタミン、ワクチン又は酵素のような不安定なものが考えられる。
    添加剤は、組成中に存在する他の化合物と、化学的又は酵素的に不相溶性であることがある。 一方、添加剤は熱に不安定で、それ故、高温で行う処理工程の間に不活性になる傾向がある。 例えば、飼料や食品はしばしば押し出し工程により製造される。 この押し出し工程は、必要な形状の飼料又は食品粒子を得るのに必要である。 さらに、基本的な飼料や食品にあらゆる種類の添加剤を含める傾向が高まっている。 飼料又は食品組成物は、しばしば、以前は別々に加えられていた添加剤と共に完全なものに調整される。
    不安定な化合物の減成を克服する解決法が幾つか提案されている。 一つの解決法としては、例えば押し出し工程の後のように、高温の工程の後に、所望の化合物を添加することである。 別の報告では、不安定な化合物の配合物、及び/又は飼料又は食品粒子にそのような化合物を加える方法について公表されている。
    ドイツ特許第2602260号では、液状又は溶融した食用脂肪中での酵素懸濁液の使用について述べられている。 該混合物の冷却後、該物質を粒子化する必要がある。 大雑把に破壊した後、さらに該粒子を、例えば微粉砕して処理する。 この工程には不利な点があり、それは、粉末を微粉砕して小さい粒度とするには、非常に時間がかかり、望ましくない塵を生じるということである。
    国際特許出願第93/14645号では、押し出し工程の後に、熱に不安定な化合物を含む油性懸濁液を加えることにより、その問題を解決している。 懸濁液は、低圧下でペレットに加えられる。
    国際特許出願第92/06599号では、ワクチンを保護する油中水エマルションの使用について述べている。 エマルションの一部として(タンパク質)安定化剤(即ち、水分活性低下剤)を使用することに関する記載はない。 そのようなエマルション中では酵素等の不安定化合物の配合物は、酵素活性が急速に減少する。 この減少は、熱い気候の中では、一ヵ月当たり50%となることがあり、これは市販の製品には許容できないものである。 この特許出願は、レシチンベースの乳化剤の好適な適用についても述べている。
    国際特許出願第93/16175号では、安定化剤として、尿素及び/又はポリオールを含む、安定した水性酵素溶液について述べている。 尿素及びポリオールは、水性の環境で酵素を安定させる薬剤として知られている。
    化粧品の分野でも、油分含有最終製品に、不安定な化合物を含ませる傾向が増大している。 特に、皮膚の保護、洗浄及び若返りを狙った化合物は、明らかに重要である。 この点で有益な効果を有することが求められる不安定な化合物には、プロテアーゼ等の酵素が含まれる。
    長い貯蔵期間にわたって化粧品配合物中での酵素活性を保証するために、ワックス、工場油又は鉱油等の本質的に無水の疎水性化合物が、酵素配合剤として使用される。 この方法は、化粧品配合物中で酵素に高い貯蔵安定性を付与するが、重大な不利な点として、相対的に多量の水に(最初に無水の酵素を溶かすときに用いる)該配合物を曝すことによってのみ、酵素を活性化し得るということがある。 固有の問題としては、酵素活性化が相対的に遅く、初期酵素活性の多くが無駄となるということである。 この方法は、幾つかの化粧品に応用する場合、あまり有用ではない。
    日本国特許公開第03004791号に述べられているような別の方法では、化粧品で使用するタンパク質分解酵素は、多糖を酵素水性溶液に加えることで安定する。 この方法は、酵素の再活性化に必要とされる水の使用を最小にするが、化粧品配合物の多くが必要とする親油性の相を無視している。
    発明の概要
    本発明は、安定した油中水エマルションを開示する。 特に、本発明は、次の成分を含むことを特徴とする油中水エマルションを開示する。 即ち、水、油、重要な不安定化合物、安定化剤及び乳化剤を含むものである。
    本発明の油中水エマルションは、水相中に溶けた重要な不安定化合物を含み、安定化剤を添加して安定化している。 該安定剤としては、水分活性低下剤が好ましい。 該安定化剤としては、ポリオールがさらに好ましい。
    該ポリオールは、高濃度で該油中水エマルションの水相に加えらる。 このとき、高濃度とは即ち、少なくとも10%であり、10〜70%であるのが好ましく、30〜70%(w/w)であるのがさらに好ましい。
    好ましい組成物は、ポリオールと共に、水相中に重要な不安定化合物を含む油中水エマルションであり、このとき、このエマルションは乳化剤を用いて安定化されており、この乳化剤は高濃度のポリオール中で活性がある。 使用される乳化剤は、希釈されたモノグリセイリド又はポリグリセロールポリリシノレエートが好ましい。
    さらに、重要な該化合物は、酵素、ビタミン、着色剤又はワクチンであるのが好ましい。
    食品、飼料、化粧品又は油性組成物に加える前に、本発明のエマルションを使用して、不安定化合物を保護する。
    本発明の油中水エマルションは、かなり長期間安定している。 このエマルションは、人間又は動物の食品組成物の製造に使用できる。 例えば、本発明の油中水エマルションは、飼料又は食品粒子上に噴霧する。 油又は脂肪で該エマルションを希釈した後、飼料又は食品粒子上に噴霧するのが好ましい。 さらに、本発明のエマルションは、化粧品配合物の製造に使用できる。
    発明の詳細な説明
    本発明は、安定化剤と共に重要な不安定な化合物を水相に含む油中水エマルションを開示しており、ここで、該エマルションは適当な乳化剤で安定化されている。
    該油中水エマルションは、次の成分を含んでいる。 即ち、水、油、重要な不安定化合物、安定化剤及び乳化剤を含んでいる。 該不安定化合物は、水相中に存在する。 該安定化剤は水相中に加えられ、所望の化合物を安定させる。
    該不安定化合物は、他の化合物と化学的に又は酵素的に不相溶性であってもよい。 不相溶性化合物は、エマルション又はエマルションを加える組成物のいずれかの中に存在してもよい。 さらに、該不安定化合物は、熱に不安定ないずれかの化合物であってもよい。
    本発明は、水相中に二種以上の不安定化合物を含む、安定した油中水エマルションを開示する。 本発明はまた、水相中に一種の不安定化合物、及びその不安定化合物と不相溶の化合物を含む油中水エマルションも開示する。 本発明により、相互に不相溶性水溶性化合物を含むエマルションを製造することも可能となる。 これら不相溶な化合物の物理的な分離は、エマルションの油相中で、別々の水の液滴に組み込むことにより行うのが有益である。
    該不安定化合物は、例えば、生体活動に起因するものとして使用され得る、生きた生物を含むのが好ましい。 該不安定化合物としては、酵素、ビタミン、着色剤又はワクチンがさらに好ましい。 適当な酵素には、プロテアーゼ、フィターゼ、カルボヒドラーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ及びオキシドレダクターゼを含む。 適当なビタミンは、水溶性のビタミンであって、例えばビタミンCを含む。
    本発明のエマルションは、特に、例えば酵素の一つがタンパク質分解酵素である酵素混合物のような、相互に不相溶性の化合物を形成するのに役立つ。
    さらに、本発明のエマルションにより、不安定化合物の正確な投与が可能となる。 まず第一に、不安定化合物の安定化が保証されているので、さらに、液体のエマルション、特に油で希釈したエマルションの投与量は、粉末の投与量よりも正確である。 例えば、飼料を処理する工程の間に、熱、圧、湿度、酸化還元反応及び摩擦のような因子は、ビタミンの安定性に劇的な影響を有することが知られている。 特に、ビタミンE、K及びC(アスコルビン酸)は、不安定であることが知られている(例えば、Feed International、MBCoelho、1991年12月、39〜45頁、を参照)。 アスコルビン酸は水溶性であり、鉄等の一般に飼料に加えられる根跡無機物に、非常に鋭敏であることが知られている。 本発明の油中水エマルションの水相中にアスコルビン酸を含むことは、魅力的な選択であり、ビタミンのコストがかかる過剰投与を最小にする。
    本発明の油中水エマルションは、高濃度で所望の化合物を含む水相を含んでいる。 該所望の化合物は、活性化合物の乾燥重量で0.01〜30%(w/w)の量を水相中に加える。
    該不安定化合物は、水相中に安定化剤を加えて安定させる。 水分活性低下剤を、安定化剤として使用するのが好ましい。 該水分活性低下剤には、塩が好ましく、ポリオールがさらに好ましい。 特に有用なポリオールは、グリセロール、ソルビトール、スクロース、ポリプロピレングリコール、トレハロース、マルトデキストリン、ラクトース及びグルコースである。
    さらに、該水分活性低下剤は、エマルションの水相中で微生物増殖を防ぐ働きをする。 必要ならば、水相の微生物安定性は、さらにソルベート又はベンゾエート等の一般的に許容される(食品用)抗菌剤を加えて強化することができる。
    水相に加える水分活性低下剤の量は、所望の安定化又は所望の抗菌効果を得るのに必要な量である。 ポリオールを、水相に少なくとも10%で、好ましくは10〜70%で、特に好ましくは30〜70%(w/w)加えるのが適当である。
    安定したエマルションを得るために、乳化剤を使用する。 乳化剤は界面活性物質であり、この界面活性物質はある液相を別の液相中に分散させる。 乳化剤は、親水基及び親油基の両方を有し、これらの基の比率は、HLB値として知られている。
    一般に、脂肪溶解性の疎水性乳化剤では、HLB値は0〜9の範囲であり、水溶性物質の場合は、HLB値は11〜20の間である。 油中水エマルションを安定化させるのに適当な乳化剤又は乳化剤混合物は、より低い範囲のHLB値を有する必要がある。
    驚くべきことに、スパン80(Span TM 80)(HLB=4.3)、ツイーン80(Tween TM 80)(HLB=15)及びそれらの混合物等の周知の乳化剤は、相対的に多量のポリオールの存在下では、安定した油中水エマルションを生じない。 エマルベスト2000(Emulbesto TM 2000)、エマルフルードE(Emulfluid TM E)のようなレシチンベースの乳化剤も同様に、速い段階の分離を生ずる。
    最初に、本発明は、相対的に高濃度のポリオール存在下で活性を有する乳化剤について述べている。 ポリオール50%の存在下で働く乳化剤を見出した。
    有用な乳化剤としては、モノグリセリド(ハイモノ1163(Hymono TM 1163)及びハイモノ7804(Hymono TM 7804)等)及び、ポリグリセロールポリリシノレエート(Admul TM WOL 1403)がある。 相対的に多量のポリオールの存在下で、この選択した乳化剤の効果により、油相中に存在する個々の水の液滴の凝集性が低下する。 このように、本発明のエマルションは、エマルション中の個々の水の液滴間の、非油性溶解化合物の移行を適切に防いでいる。
    ポリグリセロールポリリシノレエート(Admul TM WOL 1403)は、特に、フィターゼとの組み合わせが有益であることがわかった。
    ポリグリセロールポリリシノレエートは、室温で液体であり、油と混合する前又は混合中に加熱する必要はない。 該エマルションの粘度は、ポリグリセロールポリリシノレエートを使用する場合は低いままであり、液滴の凝集は殆ど生じない。 さらに、ポリグリセロールポリリシノレエートの使用により、エマルション中の水相を高濃度にすることができる。
    本発明のエマルションで使用する油は、通常、食品、飼料又は化粧品の製造で使用する油である。 それらは、魚油、大豆油、菜種油、オリーブ油、コーンフラワー油、パーム油、アボガド油及び種々の鉱油を含む。
    さらに、本発明は、前記油中水エマルションの製造方法を開示する。
    該エマルションは、多量のエネルギーを投入して製造される。 例えば、激しく攪拌したり、又は高い剪断力の適用によって行われる。 このようにして、安定なエマルションが得られ、該エマルションをこの状態で安定して貯蔵することができる。
    本発明は、長い貯蔵期間中、安定しているエマルションを開示する。 該エマルションは、1ヵ月間安定であり、6ヶ月間安定しているのがさらに好ましく、1年以上安定しているのが最も好ましい。
    本発明の油中水エマルションは、食品、飼料又は化粧品の添加剤として使用できる。
    本発明のエマルションの使用により、食品、飼料及び化粧品の製造業者は、別の方法では不安定化合物が不活性となる工程で、不安定化合物を利用できる。 さらに、本発明のエマルションの使用により、飼料、食品又は化粧品組成物から生じた油不溶性化合物のエマルションの水相への移行を、適切に防いでいる。 このようにして、エマルションの水相中に存在する重要な該不安定化合物は、エマルションに加えられる組成物中に存在する化学的又は酵素的に不相溶性な物から適切に保護されている。
    本発明のエマルションは、人間又は動物の食品又は飼料粒子の製造に使用し、特に、魚又は家禽の飼料用の粒子の製造に使用する。 該エマルションは、食品又は飼料粒子上に噴霧して添加するのが好ましい。 その添加はまた、減圧下で行うこともでき、国際特許出願第93/14645号に述べられている。
    該エマルションは、食品又は飼料粒子へ適用することに使用してもよい。 該エマルションは、食品又は飼料粒子に加える前に、油又は脂肪で希釈するのが好ましい。 この工程の有利な点は、濃縮した不安定化合物を油相と均質に混合することが容易にできること、即ち、低いエネルギーの投入で可能であることである。 このようにして、油中の活性化合物の分布でさえも保証される。 希釈した所望の化合物を含む油を、次に食品又は飼料粒子上に噴霧することができる。 この工程には、粒子上に噴霧して最終混合物を製造する最低限の投資が必要である。
    別の適用では、本発明のエマルションは、大豆油又は菜種油のデガミング(degumming)を改善する。 この場合に、エマルションはホスホリパーゼA2を含んでいる。 デガミングとは、指定した油からレシチンを回収することである。 デガミングにホスホリパーゼを使用することは、欧州特許第0 513 709号に広く述べられている。 この酵素は、水和してないリン脂質の水溶解度を改善し、油からのその除去を改善する。 本発明の油中水エマルションは、指定した油へホスホリパーゼの添加を促進する。
    以下に、本発明を説明する役割のみとする、幾つか実施例を提供する。 如何なる場合も、本発明の範囲を制限する意図はない。
    実施例1
    種々の乳化剤及び種々の酵素を使用する油中水エマルションの物理的安定性
    1a. 酵素溶液の組成
    種々の油中水エマルションの安定性は、食品用中性プロテアーゼ及び飼料用フィターゼを用いて示した。
    プロテアーゼ標準溶液は、水80g中にプロテアーゼB500(ギスト−ブロケーズ(Gist-brocades)社、オランダ)20gを溶したものである。 完全に溶かした後、ソルビトール又はグリセロールの何れかを加えて、溶かし、指定濃度にした。
    フィターゼ標準溶液には、40%のソルビトールを含む加工していない発酵濃縮物(ナツフォス(Natuphos ▲R▼ )UF濃縮物、無菌のアスペルギルス(Aspergillus)培養濾液を限外濾過して得られる)又は標準化発酵製品ナツフォス5000(ギスト−ブロケーズ、オランダ)の何れかを含む。 種々の実験に使用されるフィターゼ溶液には、最終濃度35〜50%でグリセロール又はソルビトールを含む。
    1b. スパン80(Span TM 80)/ツイーン80(Tween TM 80)混合物と共に生成されるエマルション
    魚油(ノルウェイのスクレッティング(Skertting)社より入手したカラフトシシャモ(capelin)油)5gに、スパン80又はツイーン80の何れかの乳化剤(何れもブロケース社、オランダ)0.5gを加えた。 さらに、エマルション配合物を生成し、これには、前記調整のスパン80及びツイーン80の溶液を種々の割合で含んでいる。 完全に混合した後、前記安定化酵素溶液の一つを0.18g加え、続いて、大きく攪拌した。
    種々のスパン80及び/又はツイーン80乳化剤の一つと組み合わせた、プロテアーゼ又はフィターゼの何れかを含むエマルションは、全て、室温で数時間内に油層と水層に分離した。
    1c. レシチンベースの乳化剤で調整したエマルション
    エマルベスト2000(Emulbesto TM 2000)、エマルフルードE(Emulfluid TM E)及びVP627は、全てレシチンベースの乳化剤であり、ドイツのルーカスマイヤー(Lucas Meyer)社より入手した。 (1b)で示した方法に従って、前記レシチンベースの乳化剤をそれぞれ0.5g使用して、エマルションを調整した。 数時間内に、これらの乳化剤で調整したエマルションは、全て、油層と水層に分離した。
    1d. モリグリセリド乳化剤を用いて調整したエマルション
    ハイモノ1163(Hymono TM 1163)及びハイモノ7804(Hymono TM 7804)は、オランダのクエスト(Quest)社より入手した。
    静かに攪拌しながら、温度70℃(Hymono TM 1163)又は50℃(Hymono TM 7804)で、ハイモノ(モノグリセリド;E471)24gを魚油700g中に溶かす。 続いて、該溶液を少なくとも50℃まで冷却する。 高速ホモジェネーター(high speed homogenator)(ウルトラトラックス(Ultra Turrax))を使用して、酵素溶液200gを乳化剤を含む油相中に分散させ、該エマルションを室温に冷却する。 数日後、その水相に非常に僅かな沈降のみが見られた。 この沈降は、パルミチン酸を加えることにより、できるだけ少なくすることができた。
    1e. ポリグリセロールポリリシノレエートを用いて調整したエマルション
    アドムルWOL 1403(Admul TM WOL 1403)(ポリグリセロールポリリシノレエート)を、オランダのクエスト社より入手した。 不安定化合物との組み合わせでは、この乳化剤は様々な利点があり、これはアドムルWOL 1403は、室温で液体であって、油相中で容易に溶け得るということである。 これにより、油を加熱する必要がなくなり、そのために取扱いがさらに簡単になり、室温で不安定化合物を油/乳化剤の混合物へ加えることができ、それによって熱によるストレス(thermal stress)を最小にできる。
    アドムルWOL 1403を用いてエマルションを調整するために、アドムルWOL 1403、3gと魚油87.5gと混合し、続いて、ナツフォス5000(登録商標)(50%ソルビトールで安定させたもの)25gを加えた。 エマルションの粘度は低いままであり、水相の液滴の大きさは約2μであり、液滴の結合は生じなかった。 これは、この系におけるアドムルWOL 1403の乳化特性が優れていることを示している。 この低粘度により、最終的なエマルション中で酵素を含む水相の濃度をさらに高くすることができる。
    アドムルの量を3gから9gに増やすことにより、魚油87.5g中に液体ナツフォス5000を75g入れた混合物を乳化できることがわかった。 このエマルションは、少なくとも6ヶ月間は物理的に安定である。 フィターゼ酵素を伴う場合、アドムルエマルションは、凝集作用の点でハイモノエマルションより優れており、ハイモノエマルションよりも物理的に安定している(表1参照)。

    実施例2


    中性プロテアーゼ油中水エマルションにおける酵素活性


    溶液A:


    静かに攪拌しながら、噴霧乾燥させたプロテアーゼB500製剤5gを脱塩水(demi water)20gに溶かす。 該プロテアーゼ溶液をグリセロールで希釈し、最終的にグリセロール濃度を50%とする。


    溶液B:


    静かに攪拌しながら、ハイモノ1163、6gを、室温70℃で魚油175gに溶かす。 続いて、該溶液を50℃に冷却する。


    高速ホモジェネーターを用いて、溶液Aを溶液B中に分散する。 該エマルションを室温に冷却する。


    プロテアーゼ油中水エマルションのプロテアーゼ活性は、約17,000U/gエマルションである。 溶液A及び該油中水エマルションの両方からのプロテアーゼの回収率は約90%であった。 これは、乳化がタンパク質分解活性に、有害な影響をほとんど及ぼさないことを示している。 25℃又は35℃の何れかに維持した該エマルションの貯蔵安定性を表2に示す。


    実施例3


    安定したフィターゼ油中水エマルションの酵素活性


    溶液A:


    静かに攪拌しながら、ソルビトール100gをナツフォスUF濃縮物100gに溶かす。


    溶液B:


    静かに攪拌しながら、ハイモノ1163、24gを温度70℃で魚油700gに溶かす。 続いて、この溶液を50℃に冷却する。


    高速ホモジェネーターを用いて、溶液Aを溶液B中に分散する。 該エマルションは室温に冷却する。


    溶液A及び該フィターゼ油中水エマルションの両方からのフィターゼ活性の回収率は約99%であった。 これは、この酵素のフィチン酸分解活性には、エマルション化は有害な影響を及ぼさないこと示している。 フィターゼ活性は、欧州特許第0 420 358号に記載されているように測定した。


    25℃又は35℃の何れかに維持した該エマルションの貯蔵安定度を表3に示す。


    実施例4


    ポリグリセロールポリリシノレエートを使用する安定したフィターゼ及びプロテアーゼ油中水エマルションの製造


    4a.

    フィターゼ/油エマルション


    アドムルW1403を3.0g又は9.0gのどちらかを、魚油87.5g中に溶かし、30秒間、全速で2回、ウルトラトラックスを使用して、ソルビトールを50%含むナツフォス5000、75.0gを用いてエマルションを調整した。 ナツフォス5000は、40%のソルビトールで安定させて、別にソルビトールを加えて50%にする。 その結果、計算上の活性は5000 U/gの代わりに4100 U/gとなる。


    エマルションの凝離:


    該エマルションを-20℃までゆっくりと冷凍し、20時間、この温度に維持する。 次に、室温にして、ソルバール(Sorvall)遠心器(SM 24ローター)で、20,000rpmで、30分間遠心する。 この処理の間、温度は20〜25℃である。


    ここで、乳化剤3.0gを含むエマルションは、3層、即ち、透明な油層、薄い中間相及び透明な水層に分離する。 この水層中では、フィターゼ活性は3750 U/gであり、これは、フィターゼ活性の少なくとも90%が回復されたことを示している。


    乳化剤9.0gを含むエマルションは、遠心分離による分離はできなかった。 室温に維持して、このエマルションは少なくとも6ヶ月間、物理的に安定していた。 この観察結果は、実施例1で述べた優れたフィターゼエマルションの安定性に従っている。


    4b.

    プロテアーゼ/油エマルション


    魚油87.5g、アドムルWOL1403、3.0g(魚油中に溶解)及びプロテアーゼ500、75.0gの混合物を、50%ソルビトール溶液中で、上述のフィターゼ/油エマルションと同様にして均質化した。 全く驚くべきことに、アドムルWOL乳化剤と、このタンパク質分解酵素との組み合わせはエマルションを生じ、このエマルションでは、ハイモノ乳化剤と組み合わせたプロテアーゼB500の安定性と比較して、安定性が減少する(実施例2参照)。 ハイモノ乳化剤が、プロテアーゼB500エマルションの製造に好ましいことは明らかである。


    実施例5


    プロテアーゼ含有エマルション中のフィターゼの安定性


    不相溶の化合物におけるエマルションの保護効果を見るために、フィターゼ及び酸性プロテアーゼの両方を含む油中水エマルションを作った。 この実施例は、水相中にフィターゼ又は酸性プロテアーゼの何れかを含むエマルション混合物は、1つの水相中に2種の酵素を含むエマルションよりも安定していることを示している。


    材料


    ナツフォスUF濃縮物(70%ソルビトール溶液を希釈することにより50%のソルビトールで安定させたもの、フランスのラケッツフレアス(Roquette Freres)社より入手)


    フロマーゼ150TL(Fromase

    ▲R▼ 150TL)(ムコールミハイ

    (Mucor miehei)からの液体の酸性プロテアーゼ、ギスト−ブロケーズ社より入手)


    アドムルWOL1403(オランダのクエスト社より入手)


    魚油(カラフトシシャモ(capelin)油、ノルウェーのスクレッティング社より入手)


    5a.

    ナツフォス/油エマルション


    実施例4に述べた実験記録に続けて、アドムルWOL 6gを魚油87.5gに溶かし、次いで該油とナツフォスUF濃縮物75gとを勢いよく混ぜることにより、安定したエマルションを得た。 該エマルションを20℃に保った。 最初のサンプルを直ちに-20℃に冷凍した。


    5b.

    フロマーゼ/油エマルション


    フロマーゼ150TL、2mlを、ソルビトールを50%含む水98mlへ加えた。 魚油87.5g、アドムルWOL 6g及び該フロマーゼ溶液75gを混合して、標準のエマルションを調整した。 該エマルションを20℃に保った。


    5c.

    混合エマルション


    エマルション(5a)及び(5b)を調整した後直ちに、ナツフォス/油エマルション100mlをフロマーゼ/油エマルション100mlに加えて、混合エマルションを調整した。 手による操作で完全に混ぜた後、該混合物を20℃で貯蔵した。 最初のサンプルを直ちに-20℃で冷凍した。


    5d.

    ナツフォス−フロマーゼ/油エマルション


    ソルビトールとナツフォスUF濃縮物75gに、フロマーゼTL 750μlを加えて、次いで混合した。 アドムルWOL 6gを含む魚油87.5gを加え、次に勢いよく混合し、所望のエマルションが生じた。 該エマルションを20℃で貯蔵した。 最初のサンプルを、直ちに-20℃に冷凍した。


    5e.

    各エマルション中のフィターゼ安定性


    20℃に維持して、貯蔵の5及び10日後に、各エマルションからサンプルを採り、直ちに-20℃に冷凍した。 -20℃で少なくとも一晩経過後、各サンプルを溶かし、実施例4で述べたように遠心分離した。 フィターゼ活性は、水層から採ったサンプルより測定した。 ナツフォス/油エマルション(5a)より得た各サンプルにおいて活性を100%と仮定して、その後のフィターゼ活性を、貯蔵の5、10日後にそれぞれ測定した。


    混合エマルション(5c)では:それぞれ初期フィターゼ活性の94%、96%であった。


    ナツフォス−フロマーゼ油エマルション(5d)では、:それぞれ初期フィターゼ活性の80%、78%であった。


    ソルビトールの存在によりフロマーゼのタンパク質分解活性が相対的に低下することを考慮すると、該データは、配合された不安定な物質の安定性をエマルションが増加させることを示している。 プロテアーゼと別々に乳化した場合には、フィターゼはタンパク質分解作用から保護されている。


    実施例6


    化学的不相溶性物を含む飼料中のビタミンCの安定性


    1つのエマルションに2種の不相溶性の酵素を使用する、実施例5で見られる安定化する効果とは別に、同様の効果が、飼料粒子にビタミンC(アスコルビン酸)を曝す際に見られた。


    アスコルビン酸及び銅若しくは鉄のような微量無機物の不相溶性については、十分に証明されている(例えば、食品添加剤のCRCハンドブック、2版、85頁以降参照)。 しかしながら、栄養学者たちは、ブロイラー仕上げ飼料(broiler finisher feed)等の一定の飼料の利用について、鉄及びアスコルビン酸の両方を組み合わせることについて警告するかもしれない。 この実施例は、ブロイラー仕上げ飼料のペレットと混合した後は、エマルション中に含まれるアスコルビン酸は、乳化していないアスコルビン酸溶液に比べて非常に安定していることを示している。


    材料


    大豆油(オランダのOPGファーマより精製)


    アドムルWOL 1403


    グリセロール86%


    クエン酸(一水和物pa)


    アスコルビン酸(pa)


    ブロイラー仕上げ飼料(オランダのアルカーバート(Arkervaart)社より入手)


    6a.

    アスコルビン酸及びクエン酸の水溶液


    水相は、脱塩水45gにクエン酸1g及びアスコルビン酸4gを溶かして調整した。 得られた水性混合物のpHは約2.4であった。 完全に溶かした後、グリセロール50gを加えて、混合物を完全に混合した。


    6b.

    アスコルビン酸/油エマルション


    実施例4に述べた実験記録に続いて、アドムルW 1403、3gを大豆油87.5gに溶かし、6aで述べた水相75gを加えて、安定したエマルションを得ることができた。


    6c.

    脂肪におけるアスコルビン酸/油エマルションの希釈


    該エマルションは、油又は液化脂肪で希釈した後に使用される。 希釈したエマルションは、ペレット状又は押し出された飼料上に噴霧する。 脂肪とエマルションを混合するために、該エマルション(6b)100mlを、大豆油100mlに加えて、その液体を手の操作で完全に混合した。


    6d.

    ブロイラー仕上げ飼料とアスコルビン酸/脂肪エマルション及びアスコルビン酸溶液との混合


    アスコルビン酸脂肪エマルション又はアスコルビン酸水溶液の何れかより開始して、同量のアスコルビン酸(最終濃度200ppm)を地域の供給者から入手したブロイラー仕上げ飼料のペレットに適用した。 そのために、該油エマルション200mlを、コンクリートミキサーで回転させている飼料ペレット10kg上に噴霧した。 同様に、水性アスコルビン酸混合物(6a)50mlを、コンクリートミキサーで回転させている飼料ペレット10kg上に噴霧した。 次に、別に大豆油100mlの量を、同じペレット上に噴霧した。 噴霧して次にサンプリングした直後に、該サンプルから、アスコルビン酸+デヒドロアスコルビン酸を分析した。


    6e.

    ブロイラー仕上げ飼料中のアスコルビン酸の分析


    アスコルビン酸+デヒドロアスコルビン酸は、次の中で述べられているデヒドロアスコルビン/アスコルビン酸試験を用いて分析した。 即ち、「単一の試薬を使用する生化学的分析法及び食品分析法(Methods of Biochemical Analysis and Food Analysis using Single Reagents)」(ベーリンガーマンハイム(Boehringer Mannheim),1989)。


    ペレット10gを10分間、アセトン10mlで抽出し(脂肪質が溶ける)、Na-EDTA1g/lを含む脱塩水90mlを加えた。 ウルトラトラックスで1分間、該ペレットと水相を混合した後、そのサンプルを遠心分離した。 No.409677のキット(ベーリンガーマンハイム)を用いて、上清中のアスコルビン酸及びデヒドロアスコルビン酸の量を測定した。


    アスコルビン酸水溶液を噴霧したペレットから、アスコルビン酸の20%が回収できた。 対照的に、希釈したアスコルビン酸/油エマルションを噴霧したペレットからは、アスコルビン酸の90%が回収できた。 これは、エマルションにより飼料配合物中のアスコルビン酸の安定性に保護効果が与えられたことを示している。

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