送達方法および組成物

申请号 JP2018516030 申请日 2016-09-27 公开(公告)号 JP2018532403A 公开(公告)日 2018-11-08
申请人 アジェノビア コーポレーション; 发明人 クエイク, スティーブン アール.;
摘要 本発明は、標的遺伝物質を分解する酵素の送達によって被験体から標的遺伝物質を除去する方法および組成物を提供する。方法は、組織の浸透性を増強し、組織の細胞に核酸を進入させる種々の種類のエネルギーと共に被験体の皮膚などの組織に核酸の組成物を送達することを含み、ここで核酸は、標的遺伝物質を切る酵素の遺伝子を含む。核酸は、cas9遺伝子およびショートガイドRNA(sgRNA)の少なくとも1つの遺伝子を含むプラスミドであってよく、標的遺伝物質はウイルスゲノムであってよい、すなわちsgRNAがウイルスゲノムの一部に相補的である。
权利要求

被験体由来の標的遺伝物質を破壊するための方法であって、該方法は、組織の浸透性を増大させるように該組織にエネルギーを加え、それにより核酸を該組織の細胞に進入させることによって、該組織に該核酸を含む組成物を送達するステップを含み、ここで、該核酸がプログラム可能なヌクレアーゼをコードしている、方法。前記プログラム可能なヌクレアーゼがCas9である、請求項1に記載の方法。前記エネルギーが電気穿孔法により加えられる、請求項1に記載の方法。前記加えられるエネルギーが超音波である、請求項1に記載の方法。前記核酸がcas9遺伝子およびショートガイドRNA(sgRNA)の少なくとも1つの遺伝子を含むプラスミドである、請求項2に記載の方法。前記標的遺伝物質がウイルス性である、請求項5に記載の方法。前記sgRNAがウイルスゲノムの一部に相補的であり、ヒトゲノムにマッチを有さない、請求項6に記載の方法。前記ウイルスゲノムがB型肝炎ウイルスゲノムであり、前記プラスミドが該B型肝炎ウイルスゲノム中の位置を標的化する1つまたは複数のsgRNAの遺伝子を含有する、請求項7に記載の方法。前記1つまたは複数のsgRNAが、PreS1、DR1、DR2、ポリメラーゼの逆転写酵素(RT)ドメイン、HbxおよびコアORFから選択される前記B型肝炎ウイルスゲノム中の位置を標的とする、請求項8に記載の方法。前記1つまたは複数のsgRNAが、sgHBV−CoreおよびsgHBV−PreS1からなる群から選択される1つを含む、請求項9に記載の方法。前記標的遺伝物質がウイルスのゲノムであり、前記核酸がcas9遺伝子および該ウイルスの該ゲノムを標的化する少なくとも1つのsgRNAを含むプラスミドである、請求項1に記載の方法。前記プラスミドがウイルス複製開始点をさらに含む、請求項11に記載の方法。前記ウイルスがB型肝炎ウイルスであり、前記少なくとも1つのsgRNAが、sgHBV−RT、sgHBV−Hbx、sgHBV−Coreおよびsg−HBV−PerS1からなる群から選択される、請求項11に記載の方法。前記核酸が、5’capを含むmRNAを含む、請求項1に記載の方法。前記酵素が転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)である、請求項1に記載の方法。組織の浸透性を増大させるように該組織にエネルギーを加え、それにより該組織の細胞にプログラム可能なヌクレアーゼを進入させることによって、該組織に該プログラム可能なヌクレアーゼを含む組成物を送達するステップを含む、被験体を処置するための方法。前記プログラム可能なヌクレアーゼが、リボ核タンパク質(RNP)としてガイドRNAと複合体化されたRNA誘導型ヌクレアーゼである、請求項16に記載の方法。前記プログラム可能なヌクレアーゼがCas9である、請求項17に記載の方法。前記エネルギーを加えることが前記組織の電気穿孔を含む、請求項17に記載の方法。前記加えられるエネルギーが超音波エネルギーを含む、請求項16に記載の方法。組織にエネルギーを加えるように作動可能なデバイス;および ウイルスの遺伝物質中の標的を切断するようにプログラムされたプログラム可能なヌクレアーゼをコードする核酸 を含む、抗ウイルス治療を送達するためのキット。前記デバイスが、電気穿孔発生器および少なくとも1つの電極を含む電気穿孔デバイスである、請求項21に記載のキット。前記プログラム可能なヌクレアーゼがRNA誘導型ヌクレアーゼである、請求項22に記載のキット。請求項23に記載のキットであって、内腔を有する細長部材をさらに含み、ここで、該内腔が被験体内の処置部位への前記核酸の送達のために構成されている、キット。前記少なくとも1つの電極が前記核酸でコーティングされている、請求項23に記載のキット。前記プログラム可能なヌクレアーゼをコードしている前記核酸が、該プログラム可能なヌクレアーゼをコードしているmRNAであり、ナノ粒子に被包されている、請求項23に記載のキット。前記ナノ粒子が脂質を含む、請求項26に記載のキット。前記RNA誘導型ヌクレアーゼがCas9である、請求項27に記載のキット。前記デバイスが超音波振動子を含む、請求項21に記載のキット。前記核酸が、前記プログラム可能なヌクレアーゼをコードしているmRNAである、請求項29に記載のキット。請求項30に記載のキットであって、内腔を有する細長部材をさらに含み、ここで、該内腔が被験体内の処置部位への前記核酸の送達のために構成されている、キット。前記核酸が前記細長部材内のマイクロバブル中で提供される、請求項31に記載のキット。前記プログラム可能なヌクレアーゼがCas9であり、前記マイクロバブルが1つまたは複数のガイドRNAをさらに含む、請求項32に記載のキット。前記細長部材が針である、請求項33に記載のキット。前記超音波振動子が低強度、非キャビテーション超音波を提供するように作動する、請求項34に記載のキット。組織にエネルギーを加えるように作動可能なデバイス;および ウイルスの遺伝物質中の標的を切断するようにプログラムされたプログラム可能なヌクレアーゼ を含む、抗ウイルス治療を送達するためのキット。前記デバイスが、電気穿孔発生器および少なくとも1つの電極を含む電気穿孔デバイスである、請求項36に記載のキット。前記プログラム可能なヌクレアーゼが、活性リボ核タンパク質(RNP)としてガイドRNAと複合体化されたRNA誘導型ヌクレアーゼであり、該ガイドRNAがウイルス遺伝物質内の標的に相補的であり、ヒトゲノム内のいかなる標的にも相補的でない、請求項37に記載のキット。請求項38に記載のキットであって、内腔を有する細長部材をさらに含み、ここで、該内腔が被験体内の処置部位への前記RNPの送達のために構成されている、キット。前記RNPがナノ粒子に被包されている、請求項39に記載のキット。前記ナノ粒子が脂質を含む、請求項40に記載のキット。前記RNA誘導型ヌクレアーゼがCas9である、請求項41に記載のキット。前記デバイスが超音波振動子を含む、請求項36に記載のキット。前記プログラム可能なヌクレアーゼが、活性リボ核タンパク質(RNP)としてガイドRNAと複合体化されたRNA誘導型ヌクレアーゼであり、ここで、該ガイドRNAがウイルス遺伝物質内の標的に相補的であり、ヒトゲノム内のいかなる標的にも相補的でない、請求項43に記載のキット。請求項44に記載のキットであって、内腔を有する細長部材をさらに含み、ここで、該内腔が被験体内の処置部位への前記核酸の送達のために構成されている、キット。前記RNPが前記細長部材内のマイクロバブル中で提供される、請求項45に記載のキット。前記プログラム可能なヌクレアーゼがCas9である、請求項45に記載のキット。前記細長部材が針である、請求項47に記載のキット。前記超音波振動子が低強度、非キャビテーション超音波を提供するように作動する、請求項48に記載のキット。

说明书全文

関連出願 本願は、参照によって組み込まれる、2015年9月29日に出願された米国仮特許出願第62/234,340号の利益を主張する。

技術分野 本発明は、治療送達の方法に一般に関する。

肝炎、HIVおよびヘルペスファミリーのウイルス(ヘルペスウイルス科)などのウイルス感染は、社会的困難から死亡に至るまで感染した個体に影響を与える場合がある。これらのウイルスは、ウイルス潜伏期と称される長期間、被験体において休止状態のままでいる潜在性感染を確立することができる。潜伏期は、初感染後、ウイルス増殖が止まっているウイルスの生活環における期間である。しかしウイルスゲノムは、完全には根絶されていない。その結果ウイルスは再活性化し得、急性感染を生じ、いかなる新規感染も伴わずに後代を多量に産生し、前述のウイルスの処置を困難にしている。

ウイルス処置のある有望な方法は、ウイルスゲノム物質を標的とし、感染細胞から除去するための遺伝子編集システムの使用を含む。遺伝子編集システムは、規則的な間隔でクラスター化された短鎖反復回文配列(CRISPR)関連エンドヌクレアーゼおよびウイルス特異的標的配列に相補的なガイドRNAの使用を含む。これらの遺伝子編集システムは、皮下注射、吸入もしくは経粘膜送達または経口送達などの方法を介して現在投与されている。これらの他の方法は、しばしば有痛性で侵襲性であり、標的細胞への回り道の経路を提供する場合があり、胃腸管症状または他の副作用および、標的細胞に到達できる前の治療用組成物の改変および分解をもたらす場合がある。標的組織に、次いで標的細胞に十分な量の治療用遺伝子編集システムを導入すること自体が困難なままである。

本発明は、標的化ゲノム改変のための方法およびシステムを提供する。本発明は、宿主自体の遺伝物質または宿主細胞の生存能に影響を与えることなく、ウイルスゲノムなどの標的遺伝物質を特異的に分解できるプログラム可能なヌクレアーゼなどの組成物を産生し、宿主細胞に送達する課題に対処する。本発明の方法は、標的細胞または組織へのエネルギーの共投与により組織へのおよび個々の細胞膜を通る組成物の輸送を増強するための技術を含む。

経皮送達または経粘膜送達は、他の送達方法を超える多数の利点を提供する。具体的には経皮投与または経粘膜投与は、より直接的で、比較的無痛性の身体の細胞への進入を提供でき、一般に他の投与方法よりも副作用を生じることが少ない。そのような送達は、在宅適用を可能にすることおよび化合物の徐放など他の利益も提供できる。

経皮送達は、薬物投与のため有望な手段である一方で、それ自体の一連の課題も有する。皮膚組織の1つの機能は、身体と外環境との間にバリアを提供することである。したがって皮膚は、皮膚を通じて身体に治療用化合物を通すことを困難にし得る質層などのバリア層を含有する。本発明は、組織の浸透性を増大させ、組織による治療用化合物の取り込みを調節するために皮膚、肝臓または他の組織にエネルギーが投与されるいくつかのエネルギー媒介送達方法に関する。これらの送達方法は、次の、超音波媒介送達(高周波および低周波の両方またはキャビテーション性もしくは非キャビテーション性)、イオン泳動経皮送達、電気穿孔法、化学物質媒介送達、角質層の熱アブレーション、磁気泳動、フォトメカニカル波、ならびにマイクロダーマブレーション、遺伝子銃およびマイクロニードルなどの機械的方法の1つまたは複数を含む場合がある。特に興味深いのは、経細胞送達方法が細胞膜を通る通路を含み、トランスフェクションのために使用され得ることから細胞間送達方法とは対照的な経細胞送達方法である。ある特定の実施形態では、遺伝物質は、本明細書に記載の経皮的方法によりそれ自体が身体に導入される操作されたタンパク質によって細胞膜を越えて輸送され得る。

上記または他の送達方法を使用して、プログラム可能なヌクレアーゼまたは該ヌクレアーゼをコードするベクターなどの組成物は細胞に送達される。ベクターがプログラム可能なヌクレアーゼをコードしているプラスミドなどの核酸である場合、ヌクレアーゼの発現は標的遺伝物質を分解するまたは他の方法で標的遺伝物質に干渉できるようにする。

ある特定の態様では、本発明は、抗ウイルス治療を送達するためのキットを提供する。キットは、組織にエネルギーを加えるように作動できるデバイス;およびウイルスの遺伝物質中の標的を切断するためにプログラムされたプログラム可能なヌクレアーゼをコードする核酸を含む。

ある特定の実施形態では、デバイスは、電気穿孔発生器および少なくとも1つの電極を含む電気穿孔デバイスである。プログラム可能なヌクレアーゼは、RNA誘導型ヌクレアーゼである。キットは、内腔(inner lumen)を有する細長部材を含んでよく、ここで前記内腔は、被験体内の処置部位への核酸の送達のために構成されている。少なくとも1つの電極は、核酸でコーティングされていてよい。任意選択で、プログラム可能なヌクレアーゼをコードする核酸は、プログラム可能なヌクレアーゼをコードするmRNAであり、ナノ粒子(例えば脂質の)に被包されている。RNA誘導型ヌクレアーゼは、Cas0であってよい。

一部の実施形態では、デバイスは超音波振動子(ultrasonic transducer)を含み;核酸は、プログラム可能なヌクレアーゼをコードするmRNAであり;キットは内腔を有する細長部材(例えば、針)を含み、ここで前記内腔は被験体内の処置部位への核酸の送達のために構成されている、またはその組合せである。好ましくは、核酸は、細長部材内のマイクロバブル中で提供される。任意選択でプログラム可能なヌクレアーゼはCasであり、マイクロバブルは、1つまたは複数のガイドRNAをさらに含む。超音波振動子は、低強度、非キャビテーション超音波を提供するように作動する。

本発明の態様は、抗ウイルス治療を送達するためのキットを提供する。キットは、組織にエネルギーを加えるように作動できるデバイス;およびウイルスの遺伝物質中の標的を切断するためにプログラムされたプログラム可能なヌクレアーゼを含む。

ある特定の実施形態では、デバイスは、電気穿孔発生器および少なくとも1つの電極を含む電気穿孔デバイスである。プログラム可能なヌクレアーゼは、活性リボ核タンパク質(RNP)としてガイドRNAと複合体化されたRNA誘導型ヌクレアーゼ(例えば、Cas9)であり、ここでガイドRNAはウイルス遺伝物質内の標的に相補的であり、ヒトゲノム内のいかなる標的にも相補的ではない。キットは内腔を有する細長部材を含んでよく、ここで前記内腔は、被験体内の処置部位へのRNPの送達のために構成されている。好ましくは、RNPはナノ粒子中に被包されている。

一部の実施形態では、キットは、超音波振動子を含む。プログラム可能なヌクレアーゼは、活性リボ核タンパク質(RNP)としてガイドRNAと複合体化されたRNA誘導型ヌクレアーゼであり、ここでガイドRNAはウイルス遺伝物質内の標的に相補的であり、ヒトゲノム内のいかなる標的にも相補的ではない。キットは内腔を有する細長部材を含んでよく、ここで前記内腔は、被験体内の処置部位への核酸の送達のために構成されている。任意選択でRNPは、細長部材内のマイクロバブル中で提供される。好ましくは、超音波振動子は、低強度、非キャビテーション超音波を提供するように作動する。

任意の好適なプログラム可能なヌクレアーゼは、本発明の任意のキットまたは方法を使用して送達されてよく、活性形態で(例えば、タンパク質もしくはリボ核タンパク質(RNP)として)、メッセンジャーRNAにコードされて、または遺伝子として、例えばプラスミドもしくはウイルスベクターなどの核酸ベクター上にコードされて、送達されてよい。プログラム可能なヌクレアーゼは、例えばRNA誘導型ヌクレアーゼ(例えば、Cas9もしくは修飾Cas9またはCpf1もしくは修飾Cpf1などのCRISPR関連ヌクレアーゼ)であってよい。プログラム可能なヌクレアーゼは、TALENもしくは修飾TALENまたはジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)であってよい。ある特定の実施形態では、プログラム可能なヌクレアーゼは、DNA誘導型ヌクレアーゼ(DNA-guided nuclease)(例えば、Pyrococcus furiosusアルゴノート(PfAgo)またはNatronobacterium gregoryiアルゴノート(NgAgo)であってよい。プログラム可能なヌクレアーゼ(nuclase)は、例えば参照により組み込まれるKleinstiverら、2016年、High-fidelity CRISPR-Cas9 nucleases with no detectable genome-wide off-target effects、Nature 529巻:490〜495頁に記載の高フィデリティーCas9(hi−fi Cas9)であってよい。プログラム可能なヌクレアーゼが、例えばRNA誘導型ヌクレアーゼであり、核酸ベクターを介して送達される場合、核酸はヌクレアーゼを標的遺伝物質に標的化するガイドRNAを含有してよい。標的遺伝物質がウイルスのゲノムを含む場合、そのゲノムの一部に相補的なガイドRNAは、ヌクレアーゼによるそのゲノムの分解をガイドでき、それによりいかなるさらなる複製も予防する、または細胞からいかなる未処理ウイルスゲノムも完全に除去することができる。これらの手段によって潜伏ウイルス感染は、根絶のために標的化され得る。潜伏ウイルスのゲノムに特異的な活性を有するヌクレアーゼの遺伝子送達のための方法が提供されることから、本発明の方法は、潜伏ウイルス感染に対処するために使用できる。それにより本発明の方法および組成物は、HBV、エプスタイン・バーウイルスまたは他のウイルスなどのウイルスの有害な結果からの軽減を提供できる。

ある特定の態様では、本発明は、被験体から標的遺伝物質を除去するための方法を提供する。方法は、組織に組成物を送達すること、および組織の浸透性を増大させ、組成物が組織またはさらに組織の細胞に進入することを促進するために組織にエネルギーを加えることを含む。組成物は、プログラム可能なヌクレアーゼまたは該ヌクレアーゼをコードする核酸を含む。例えば組成物は、活性Cas9 RNPまたはCas9をコードするプラスミドまたはmRNAを含んでよい。

加えられるエネルギーは、高密度焦点式超音波であってよい。加えられるエネルギーは、代替的に低周波超音波であってよい。ある特定の実施形態では、エネルギーは、電気穿孔により加えられてよい。エネルギーは、イオン泳動により加えられてよい。一部の実施形態では、加えられるエネルギーは、熱であってよい。エネルギーは電波により加えられてよい。エネルギーは、マイクロニードルもしくはマイクロダーマブレーションにより、または細胞に照射する(bombard)ために遺伝子銃を使用することによって、機械的に加えられてよい。ある特定の実施形態では、エネルギーは、磁場により加えられてよい。エネルギーは、フォトメカニカル波により加えられてよい。種々の実施形態では、溶液は、経皮的に送達されてよい。

核酸は、cas9遺伝子およびショートガイドRNA(sgRNA)の少なくとも1つの遺伝子を含むプラスミドであってよく、標的遺伝物質は、ウイルスゲノムであってよい、すなわちsgRNAがウイルスゲノムの一部に相補的である。一部の実施形態では、ウイルスゲノムは、B型肝炎ウイルスゲノムであり、プラスミドはPreS1、DR1、DR2、ポリメラーゼの逆転写酵素(RT)ドメイン、Hbx、コアORFまたはこれらの組合せなどのB型肝炎ウイルスゲノム中の位置を標的化する1つまたは複数のsgRNAの遺伝子を含有する。

ある特定の実施形態では、標的遺伝物質は、ウイルスのゲノムであり、核酸はcas9遺伝子およびウイルスのゲノムを標的化する少なくとも1つのsgRNAを含むプラスミドである。プラスミドは、ウイルス複製開始点をさらに含む(すなわち、潜伏ウイルスの予測される複製がそのウイルスを標的化するプラスミド遺伝子そのものの複製をもたらすように)。例示的実施形態では、ウイルスは、B型肝炎ウイルスであり、sgRNAはsgHBV−RT、sgHBV−Hbx、sgHBV−Coreおよびsg−HBV−PerS1の1つまたは複数を含む。

核酸は、ある特定の実施形態では、5’capを含むmRNAを含んでよい。種々の実施形態では、酵素は、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)であってよい。

ある特定の態様では、本発明は、被験体由来の標的遺伝物質を破壊するための方法を提供する。方法は、組織の浸透性を増大させ、核酸が組織の細胞に進入することを可能にするために組織にエネルギーを加えることによって、組織にリボ核タンパク質を含む組成物を送達することを含み、ここでリボ核タンパク質は、標的遺伝物質および少なくとも1つのショートガイドRNA(sgRNA)を切る酵素を含む。酵素は、Cas9またはTALENであってよい。エネルギーは、電気穿孔法により加えられてよい、または超音波であってよい。加えられるエネルギーは、低周波超音波または高密度焦点式超音波であってよい。エネルギーは、イオン泳動により加えられてよい。一部の実施形態では、加えられるエネルギーは、熱であってよい。エネルギーは、電波により加えられてよい。エネルギーは、マイクロニードルもしくはマイクロダーマブレーションにより、または細胞に照射するために遺伝子銃を使用することによって機械的に加えられてよい。ある特定の実施形態では、エネルギーは、磁場により加えられてよい。エネルギーは、フォトメカニカル波により加えられてよい。種々の実施形態では、溶液は、経皮的に送達されてよい。

標的遺伝物質は、ウイルスであってよい、すなわちsgRNAがウイルスゲノムの一部に相補的である。一部の実施形態では、ウイルスゲノムは、B型肝炎ウイルスゲノムであり、1つまたは複数のsgRNAは、PreS1、DR1、DR2、ポリメラーゼの逆転写酵素(RT)ドメイン、Hbx、コアORFまたはこれらの組合せなどのB型肝炎ウイルスゲノム中の位置を標的とする。

図1は、被験体から標的遺伝物質を除去するための方法を示す図である。

図2は、CRISPRガイドRNAによって標的化されるHBVゲノム中の重要部分を示す図である。

図3は、HBVに対するin vitro CRISPRアッセイから得られたゲルを示す図である。

図4は、ある特定の実施形態によるプラスミドを示す図である。

図5は、ある特定の実施形態により被験体から標的遺伝物質を除去するための超音波振動子(ultrasound transducer)を含むシステムを示す図である。

図6は、ある特定の実施形態により被験体から標的遺伝物質を除去するための電気穿孔デバイスを含むシステムを示す図である。

図7は、ある特定の実施形態により被験体から標的遺伝物質を除去するための遺伝子銃を含むシステムを示す図である。

図8は、ある特定の実施形態により被験体から標的遺伝物質を除去するためのイオン泳動デバイスを含むシステムを示す図である。

図9は、ある特定の実施形態により被験体から標的遺伝物質を除去するためのマイクロニードルパッチを含むシステムを示す図である。

図10は、ある特定の実施形態により被験体から標的遺伝物質を除去するためのマイクロダーマブレーダーを含むシステムを示す図である。

図11は、ある特定の実施形態により被験体から標的遺伝物質を除去するための熱アブレーションデバイスを含むシステムを示す図である。

図12は、ある特定の実施形態により被験体から標的遺伝物質を除去するための磁気薬物送達システムを含むシステムを示す図である。

図13は、ある特定の実施形態により被験体から標的遺伝物質を除去するための、レーザーを含むシステムを示す図である。

図14は、HPV−16+細胞に対するCas9/HPV16特異的sgRNAリボ核(ribonucleic)タンパク質(RNP)の効果を評価するための工程を示す図である。

図15は、HPV−16のE6遺伝子およびE7遺伝子に沿う種々のsgRNAの標的位置を示す図である。

図16は、HPV−16 E6遺伝子およびE7遺伝子に沿う標的を有する種々のsgRNAを含むRNPの電気穿孔による導入後のHPV−16+細胞数を例示するグラフである。

図17は、HPV−16のE6遺伝子およびE7遺伝子上の標的位置および定量的PCR(qPCR)プライマー位置を例示する図である。

図18は、種々のHPV16特異的RNPでの処理の1および2日後のE6遺伝子およびE7遺伝子に焦点を合わせたqPCR結果を示すグラフである。

図19は、種々のHPV16特異的RNPでの処理の1および6日後の生細胞数を示すグラフである。

図20は、HPV−16+細胞に対するHPV16特異的sgRNAおよびCas9タンパク質をコードするmRNAの効果を評価するための工程を示す図である。

図21は、種々のCas9 mRNAおよびsgRNAの組合せを用いたヌクレオフェクション後1、3および6日後の正規化された細胞数を示すグラフである。

図22は、種々のsgRNAおよびさまざまなCas9 mRNAで処理した細胞についての6日後の細胞数を示すグラフである。

図23は、HPV−18+細胞に対するCas9/HPV18特異的sgRNAリボ核タンパク質(RNP)の効果を評価するための工程を示す図である。

図24は、HPV−18のE6遺伝子に沿う種々のsgRNAの標的位置を示す図である。

図25は、HPV−18 E6遺伝子を標的化する種々のsgRNAを含むRNPの電気穿孔法による導入後の細胞数を例示するグラフである。

図26は、RNPフォーマットまたはmRNA/sgRNAフォーマットにおけるsgHPV18E6−2/Cas9での電気穿孔の5日後のHPV−18+がん細胞についての生細胞数比較を示すグラフである。

図27は、Cas9 mRNAまたはタンパク質のμg用量でのmRNAおよびRNP処理細胞での生細胞数の比較を示すグラフである。

図28は、HBVエピソームDNA細胞モデルを例示する図である。

図29は、種々のsgRNAのHBVゲノム上の標的位置を示す図である。

図30は、sgRT RNA、sgHBx RNA、sgCore RNAおよびsgPreS1 RNAを形質導入された細胞中のHBV DNAの切断を示すゲル電気泳動分離の結果を示す図である。

図31は、未処理細胞ならびにHBV特異的sgRNAおよびCas9で処理した細胞においてqPCRによって決定されたHBV DNA量を示すグラフである。

図1は、被験体から標的遺伝物質を除去するための方法を図示する。方法は、組成物を組織の細胞に進入させるための組織へのエネルギーおよび組成物の共投与を含む。組成物は、プログラム可能なヌクレアーゼまたは該ヌクレアーゼをコードする核酸、例えばプラスミドまたはmRNAを含む。プログラム可能なヌクレアーゼは、遺伝物質を標的化および切断するためにプログラムされた酵素である。

任意の好適なプログラム可能なヌクレアーゼが使用されてよい。プログラム可能なヌクレアーゼは、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)および、細菌性の規則的な間隔でクラスター化された短鎖反復回文配列(CRISPR)−Cas(CRISPR−関連)ヌクレアーゼまたはCpf1などのRNA誘導型ヌクレアーゼを含む。プログラム可能なヌクレアーゼは、DNA誘導型ヌクレアーゼ(例えばPyrococcus furiosusアルゴノート(PfAgo)またはNatronobacterium gregoryiアルゴノート(NgAgo)も含む。プログラム可能なヌクレアーゼ(nuclase)は、例えば、参照により組み込まれるKleinstiverら、2016年、High-fidelity CRISPR-Cas9 nucleases with no detectable genome-wide off-target effects、Nature 529巻:490〜495頁に記載の高フィデリティーCas9(hi−fi Cas9)であってよい。

ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)および規則的な間隔でクラスター化された短鎖反復回文配列(CRISPR)は、遺伝子治療(Cell Stem Cell.2013年、13巻(6号):653〜8頁)に大いなる見込みを提供した。ウイルスDNAを標的化することによって、近年の研究はCRISPRでのヒト細胞中の潜伏ウイルス感染症の処置を実証した。両方とも参照により組み込まれるWangおよびQuake、2014年、RNA-guided endonuclease provides a therapeutic strategy to cure latent herpesviridae infection、PNAS 111巻(36号):13157〜13162頁およびHuら、2014年、RNA-directed gene editing specifically eradicates latent and prevents new HIV-1 infection、PNAS 111巻(31号):11461〜6頁を参照されたい。本発明の方法および材料は、HBVなどの潜伏ウイルスゲノムなどの具体的な遺伝物質に標的化エンドヌクレアーゼを適用するために使用できる。本発明は、標的細胞(例えば、肝細胞)への核酸(DNAプラスミドなど)の効率的で安全な送達をさらに提供する。

例示的実施形態では、本発明は、本明細書に記載の1つまたは複数の遺伝子送達方法とウイルス感染を処置するための標的化エンドヌクレアーゼとの組合せを提供する。

図2は、HBVゲノムを図示する。一部の実施形態では、本発明は、図2に示す、HBVゲノムなどのゲノム内の重要な特性に対する1つまたはいくつかのガイドRNAを使用する。図2を参照して、HBVはPreS1で宿主細胞に結合することによってその感染サイクルを開始する。PreS1に対するガイドRNAは、コード配列の5’末端に位置する。エンドヌクレアーゼ消化は、挿入/欠失を導入し、PreS1翻訳のフレームシフトを生じる。HBVは、同一の反復配列DR1およびDR2を両末端にならびにRNAキャプシド形成シグナルイプシロンを5’末端に有する長いRNAの形態を経由してそのゲノムを複製する。ポリメラーゼ遺伝子の逆転写酵素ドメイン(RT)は、RNAをDNAに転換する。Hbxタンパク質は、ウイルス複製および宿主細胞機能の重要な制御因子である。RTに対するRNAによってガイドされる消化は、挿入/欠失を導入し、RT翻訳のフレームシフトを生じる。ガイドRNA sgHbxおよびsgCoreは、HbxおよびHBVコアタンパク質のコーディングにフレームシフトだけでなく、DR2−DR1−イプシロンを含有する全領域の欠失ももたらす。組合せでの4つのsgRNAは、HBVゲノムの小片への全体の破壊をもたらす可能性がある。

図2は、CRISPRガイドRNAによって標的化されたHBVゲノム中の重要な部分を示している。

図3は、HBVに対するin vitro CRISPRアッセイから得られたゲルを示している。レーン1、3、6:RT、Hbx−CoreおよびPreS1に隣接するHBVゲノムのPCRアンプリコン。レーン2、4、5および7:sgHBV−RT、sgHBV−Hbx、sgHBV−Core、sgHBV−PreS1で処理したPCRアンプリコン。

本発明は、前述のガイドRNAを提供する。実証するために、in vitroアッセイはcas9タンパク質および標的領域に隣接するDNAアンプリコンを用いて実施された。図2に示すとおりDNA電気泳動は、標的部位での強度の消化を示している。

細胞でCRISPR活性を達成するために、cas9およびガイドRNAをコードする発現プラスミドは目的の細胞(例えば、HBV DNAを保有する細胞)に送達される。in vitroアッセイで実証するために抗HBV効果は、細胞増殖、成長および形態をモニタリングすることならびにDNA完全性および細胞中のHBV DNAロードを分析することによって評価することができる。

Cas9およびsgRNAを送達するために本発明は、標的組織の浸透性を増大させ、治療用化合物の取り込みを調節するための種々の方法の使用を提供する。これらの送達方法は、次の、超音波媒介送達(高周波および低周波の両方またはキャビテーション性もしくは非キャビテーション性)、イオン泳動経皮送達、電気穿孔法、化学物質媒介送達、角質層の熱アブレーション、磁気泳動、フォトメカニカル波ならびにマイクロダーマブレーションおよびマイクロニードルなどの機械的方法の1つまたは複数を含む場合がある。内容がすべての目的のためにその全体が本明細書に組み込まれるPrausnitzおよびLanger、Transdermal drug delivery、Nature Biotechnology 26巻、1261〜1268頁(2008年)を参照されたい。上記の方法の大部分は、角質層を越える経皮送達ならびに細胞膜流動性を誘導し、本発明の核酸組成物が細胞内に通過できるようにすることによる細胞内送達介する送達における適用を含む。

種々の実施形態では、エネルギーは、超音波により細胞または組織に送達されてよい。内容がすべての目的のためにその全体が本明細書に組み込まれるSmith、Perspectives on transdermal ultrasound mediated drug delivery、Int J Nanomedicine. 2007年12月;2巻(4号):585〜594頁を参照されたい。これらの方法は、ソノフォレーシスまたはフォノフォレーシスと称されることもある。超音波媒介経皮薬物送達は、超音波振動数の範囲で使用されてよく、一般に高周波(例えば、およそ1〜3MHz)または低周波(例えば、およそ20kHz)に分類される。超音波媒介経皮薬物送達は、キャビテーション性および非キャビテーション性の方法に分類されることもある。低周波超音波は、一般に角質層のキャビテーション誘導二重層障害を通じた経皮薬物輸送を増強することにさらに有効である。同文献。低周波超音波により角質層で生成されたキャビテーションバブルの浸透性効果は、数時間持続する場合がある。Prausnitz、2008年。

超音波は、任意の組織で、被包された超音波マイクロバブルの形態で細胞膜を越える化合物の通過を促進するために使用できる。それぞれの内容がすべての目的のためにその全体が本明細書に組み込まれるNozakiら、Enhancement of ultrasound-mediated gene transfection by membrane modification、The Journal of Gene Medicine、5巻、12号、1046〜1055頁、2003年12月、Liuら、Encapsulated ultrasound microbubbles: Therapeutic application in drug/gene delivery、Journal of Controlled Release、114巻、1号、2006年8月10日、89〜99頁を参照されたい。マイクロバブルとの組合せでの低強度超音波は、安全な遺伝子送達方法として近年大きな注目を集めている。超音波は、組織透過効果を示す。それは、非侵襲性で部位特異的である。超音波媒介マイクロバブルは、さまざまな組織への薬物および核酸の非侵襲的送達のための革新的な方法として提案された。超音波トリガー薬物送達では組織透過効果は、超音波造影剤、ガス充填マイクロバブルを使用して強められてよい。核酸の送達のためのマイクロバブルの使用は、標的領域を通る微小血管通過の際の、焦点を合わせた超音波ビームによるDNAロードマイクロバブルの破壊が、非標的化領域を温存する一方で、マイクロバブルシェルの破壊により局所的形質導入を生じるという仮定に基づいている。その内容が参照により組み込まれるTsutsuiら、2004年、The use of microbubbles to target drug delivery、Cardiovasc Ultrasound 2巻:23頁を参照されたい。

小さな、親油性化合物は、非キャビテーション超音波で送達できるが、他の、大きな化合物では成功は限定的である。熱は一部の化合物の経皮送達を増強することが示されており、超音波媒介送達の一態様は超音波による組織での熱の生成である。

超音波は、単一のエレメントまたはBlatek,Inc.(State College、Pennsylvania)から入手可能なものなどの他の公知のタイプの振動子を使用して加えられてよい。したがって一部の実施形態では、本発明は、図5に示すとおり超音波振動子301、Cas9などの標的遺伝物質を切る酵素の遺伝子103をコードしているベクター、および潜伏ウイルスを標的とし、ヒトゲノム中にマッチを有さないgRNAを含む、ウイルス感染を処置するためのシステムを提供する。

図5は、抗ウイルス治療を送達するためのキット500を示す。キット500は、超音波振動子301を含み、組織にエネルギーを加えるように作動可能であり;ウイルスの遺伝物質中の標的を切断するためにプログラムされたプログラム可能なヌクレアーゼをコードする遺伝子103を含む核酸501;またはウイルスの遺伝物質中の標的を切断するためにプログラムされたプログラム可能なヌクレアーゼのいずれかを含むデバイスを有する。ある特定の実施形態では、核酸501は、プログラム可能なヌクレアーゼをコードするmRNAである。

任意選択でキット500は、ヒトゲノムに相補的ではないウイルスゲノム中の標的に好ましくはハイブリダイズするさらに1つのガイドRNA105を含んでよい。キットは、内腔を有する細長部材502を含んでよく、ここで前記内腔は被験体内の処置部位への核酸の送達のために構成されている。核酸は、細長部材内のマイクロバブル中で提供されてよい。

ある特定の実施形態では、プログラム可能なヌクレアーゼはCas9であり、マイクロバブルは、1つまたは複数のガイドRNAをさらに含む。細長部材は、針であってよい。好ましくは、超音波振動子301は、低強度、非キャビテーション超音波を提供するように作動する。

代替的実施形態では、プログラム可能なヌクレアーゼは、活性リボ核タンパク質(RNP)505としてガイドRNAと複合体化されたRNA誘導型ヌクレアーゼであり、ここでガイドRNAはウイルス遺伝物質内の標的に相補的であり、ヒトゲノム内のいかなる標的にも相補的ではない。キットは内腔を有する細長部材502を含んでよく、ここで前記内腔は、被験体内の処置部位へのRNP505の送達のために構成されている。任意選択でRNP505は、例えば脂質を含む場合があるナノ粒子中に被包されている。好ましくは、RNA誘導型ヌクレアーゼはCas9である。

ある特定の実施形態では、経皮送達は、皮膚組織の電気穿孔により増強され得る。内容がすべての目的のためにその全体が本明細書に組み込まれるPrausnitzら、Electroporation of mammalian skin: A mechanism to enhance transdermal drug delivery、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90巻、10504〜10508頁、1993年11月を参照されたい。

図6は、抗ウイルス治療を送達するためのキット600を示す。キット600は、組織にエネルギーを加えるように作動可能な電気穿孔デバイス401;および(i)ウイルスの遺伝物質中の標的を切断するようにプログラムされたプログラム可能なヌクレアーゼをコードする核酸;または(ii)ウイルスの遺伝物質中の標的を切断するようにプログラムされたプログラム可能なヌクレアーゼのいずれかを含む。

好ましくは、電気穿孔発生器403および少なくとも1つの電極405を含む電気穿孔デバイス401。プログラム可能なヌクレアーゼは、RNA誘導型ヌクレアーゼであってよい。

キット600は、内腔を有する細長部材606(例えば、針)を含んでよく、ここで前記内腔は被験体内の処置部位への核酸の送達のために構成されている。任意選択で少なくとも1つの電極405は、核酸でコーティングされている。プログラム可能なヌクレアーゼをコードする核酸は、プログラム可能なヌクレアーゼをコードする遺伝子103を含むmRNA601であってよい。mRNAは、脂質ナノ粒子などのナノ粒子に被包されていてよい。好ましくは、RNA誘導型ヌクレアーゼは、Cas9である。

ある特定の実施形態では、プログラム可能なヌクレアーゼは、活性リボ核タンパク質(RNP)505としてガイドRNA105と複合体化されたRNA誘導型ヌクレアーゼであり、ここでガイドRNAは、ウイルス遺伝物質内の標的に相補的であり、ヒトゲノム内のいかなる標的にも相補的でない。

電気穿孔法は、細胞膜を可逆的に破壊するための電気の高電圧短パルスの使用を含む。電気穿孔法は、キャビテーション超音波と同様に、皮膚の脂質二重層構造物を破壊し、浸透性を増大させ、それにより薬物送達を増強する。電気穿孔法により作製されたエレクトロポアは、処置後数時間持続でき、経皮輸送は、小分子薬、ペプチド、ワクチンおよびDNAについて数桁増大され得る。疼痛および角質層下の神経由来の筋肉刺激などの電気穿孔法の副作用は、電場を角質層内に限定するために密接な間隔の微小電極を使用することにより最小化できる。Prausnitz、2008年。

細胞膜の電気穿孔は、細胞膜流動性を増大させ、個々の細胞への化合物の通過を可能にするために使用されてよい。それぞれの内容がすべての目的のためにその全体が本明細書に組み込まれるHoら、Electroporation of Cell Membranes: A Review、Critical Reviews in Biotechnology、16巻、4号、1996年、Zhangら、Development of an Efficient Electroporation Method for Iturin A-Producing Bacillus subtilis ZK、Int. J. Mol. Sci.2015年、16巻、7334〜7351頁を参照されたい。細胞膜の電気穿孔は、経皮適用に関して上に記載と同じ原理を使用する。同文献。細胞生存能が本発明の方法に必須であることから、高電圧短パルスの適用には注意が必要である。

電気穿孔法は、例えばHarvard Apparatus,Inc.(Holliston、Massachusetts)から入手可能なGemini X2 systemなどの電気穿孔発生器403および電極405を含む電気穿孔デバイス401を使用して実施されてよい。それにより一部の実施形態では、本発明は、図6に示すとおり、電気穿孔発生器403および電極405を含む電気穿孔デバイス401、Cas9などの標的遺伝物質を切る酵素の遺伝子103をコードしているベクター、ならびに潜伏ウイルスを標的とし、ヒトゲノム中にマッチを有さないgRNAを含む、ウイルス感染を処置するためのシステムを提供する。

種々の実施形態では、本発明の核酸組成物は、例えば遺伝子銃を使用するバイオリスティック形質転換またはパーティクルボンバードメントにより宿主細胞に導入されてよい。そのそれぞれの内容がすべての目的のためにその全体が本明細書に組み込まれるGaoら、Nonviral Gene Delivery: What We Know and What Is Next、AAPS J. 2007年3月;9巻(1号):E92−E104頁、Yangら、In vivo and in vitro gene transfer to mammalian somatic cells by particle bombardment、Proc Natl Acad Sci USA、1990年;87巻:9568〜9572頁を参照されたい。遺伝子銃を通じたパーティクルボンバードメントは、例えば皮膚、粘膜または限定された領域内の外科的に露出した組織の細胞に本発明の組成物を導入するために使用されてよい。パーティクルボンバードメント方法では、核酸は金粒子の表面に沈着し、次にこれは、例えば加圧ガスによって細胞または組織中へと加速されて、その結果、金粒子の推進(momentum)により核酸が細胞中に運ばれる。同文献。

パーティクルボンバードメントは、例えばBio−Rad Laboratories,Inc.(Hercules、California)から入手可能なHelios Gene Gun Systemなどの遺伝子銃を使用して実施されてよい。それにより一部の実施形態では、本発明は、図7に示すとおり、遺伝子銃501、Cas9などの標的遺伝物質を切る酵素の遺伝子103をコードしているベクター、および潜伏ウイルスを標的とし、ヒトゲノム中にマッチを有さないgRNAを含む、ウイルス感染を処置するためのシステムを提供する。

種々の実施形態では、経皮送達は、イオン泳動により増強される場合がある。内容がすべての目的のためにその全体が本明細書に組み込まれるRawatら、Transdermal Delivery by Iontophoresis、Indian J Pharm Sci. 2008年1月〜2月;70巻(1号):5〜10頁を参照されたい。イオン泳動は、角質層を越える輸送のための電気的駆動力を提供するための皮膚への低電圧電流の継続的適用を含む。Prausnitz、2008年。電荷を有する治療用化合物は、角質層を越える電位を生じさせることおよび上述の電流を適用することによって角質層に運ぶことができる。イオン泳動送達の1つの利点は、電流レベルを変更することによって薬物送達の速度を調節する能力である。顕著な電荷を有さない化合物は、角質層中の固定アニオン(例えば、ケラチン)の代わりに移動性カチオン(例えば、Na+)の移動によって生成されたの電気浸透流によって角質層を越えて移動し得る。同文献。

イオン泳動は、例えばMoor Instruments(Devon、United Kingdom)から入手可能なMIC2 Iontophoresis Controllerおよび付属物などのイオン泳動コントローラー603、リード605および導電性パッド607を含むイオン泳動デバイス601を使用して実施されてよい。したがって一部の実施形態では、本発明は、図8に示すとおり、イオン泳動コントローラー603、リード605および導電性パッド607を含むイオン泳動デバイス601、Cas9などの標的遺伝物質を切る酵素の遺伝子103をコードしているベクター、ならびに潜伏ウイルスを標的とし、ヒトゲノム中にマッチを有さないgRNAを含む、ウイルス感染を処置するためのシステムを提供する。

ある特定の実施形態では、マイクロダーマブレーションまたはマイクロニードルなどの組織への化合物の送達を増強する機械的手段が使用されてよい。マイクロニードルは、非常に短い針で突き通すことによって角質層を選択的に透過性にする。Pausternitz、2008年を参照されたい。マイクロニードルは、種々の小分子、タンパク質およびナノ粒子の皮膚浸透性を増大させることが示されており、皮膚への化合物の放出を調節するための徐放パッチにおいて使用できる。同文献。マイクロニードルが皮膚組織内の神経のレベルまで突き通さないことから、経皮薬物投与を増強する比較的痛みの少ない手段を示す。化合物は、マイクロニードルおよび中空内にコーティングされても被包されてもよく、マイクロニードルも使用されてよい。同文献。マイクロニードルは、皮膚へのミクロン規模の経路を作ることによって経皮薬物投与を増強し、マイクロニードルそれ自体が化合物でコーティングされているまたはそれを被包している場合に皮膚に化合物を運ぶこともできる。同文献。

3M(Saint Paul、Minnesota)から入手可能な固体マイクロニードルパッチなどのマイクロニードルパッチ701は、本発明の組成物を送達するために使用できる。ある特定の実施形態では、3M(Saint Paul、Minnesota)から入手可能なHollow Microstructured Transdermal Systemなどの中空マイクロニードル送達システムは、本発明の組成物を送達するために使用できる。それにより一部の実施形態では、本発明は、図9に示すとおり、マイクロニードルパッチ701、Cas9などの標的遺伝物質を切る酵素の遺伝子103をコードしているベクター、および潜伏ウイルスを標的とし、ヒトゲノム中にマッチを有さないgRNAを含む、ウイルス感染を処置するためのシステムを提供する。

本発明により意図される経皮投与の別の機械的方法は、マイクロダーマブレーションである。マイクロダーマブレーションは、研磨材の使用により角質層を取り除くことからなる。皮膚浸透に対するバリアを物理的に除去することによって、化合物の経皮送達は増強される。Prausnitz、2008年を参照されたい。

マイクロダーマブレーションは、Mattioli Engineering Corporation(McLean、Virginia)から入手可能なUltrapeel Crystalなどのマイクロダーマブレーダー801を使用して実施されてよい。それにより一部の実施形態では、本発明は、図10に示すとおりマイクロダーマブレーダー801、Cas9などの標的遺伝物質を切る酵素の遺伝子103をコードしているベクター、および潜伏ウイルスを標的とし、ヒトゲノム中にマッチを有さないgRNAを含む、ウイルス感染を処置するためのシステムを提供する。

ある特定の実施形態では、組織への核酸の送達を増強するために熱エネルギーが組織に加えられる。Parusnitz 2008年を参照されたい。そのような1つの方法、熱アブレーションでは、角質層にミクロン規模の穿孔を生成するために皮膚表面が選択的に加熱される。同文献。熱は、組織表面をマイクロ秒間またはミリ秒間、数百度に加熱するために短い、高強度バーストで加えられてよい。同文献。これらの短いバーストは、組織を生存可能に保つ深部組織への熱の伝播を防ぎ、患者の痛みを予防する。同文献。熱は、角質層中の水を蒸発させるために使用され、膨張した水は層にミクロン規模の穴を生じさせる。同文献。種々の実施形態では、熱は、レーザーもしくは他の光学的手段、電波(RF)、超音波によりまたは電流を使用して生成されてよい。

熱エネルギーは、それぞれの内容がすべての目的のためにその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2009/0318846号またはLeeら、Microsecond Thermal Ablation of Skin for Transdermal Drug Delivery、J Control Release. 2011年8月25日;154巻(1号):58〜68頁に記載のデバイスなどの例えば熱アブレーションデバイスを使用して組織に加えられてよい。それにより一部の実施形態では、本発明は、図11に示すとおり、熱アブレーションデバイス901、Cas9などの標的遺伝物質を切る酵素の遺伝子103をコードしているベクター、および潜伏ウイルスを標的とし、ヒトゲノム中にマッチを有さないgRNAを含む、ウイルス感染を処置するためのシステムを提供する。

本発明の方法において有用なエネルギー増強薬物送達の他の方法は、磁気泳動およびフォトメカニカル波の使用を含む。磁気泳動、または経皮薬物送達を増強するための磁場の使用は、角質層の浸透性を変更すると考えられていないが、代わりにイオン泳動(iontopohoresis)における電流の使用と同様に、組織に磁気運動により化合物を運ぶように作用する。それぞれの内容がすべての目的のためにその全体が本明細書に組み込まれるMurthyら、Magnetophoresis for enhancing transdermal drug delivery:Mechanistic studies and patch design、Journal of Controlled Release、148巻、2号、2010年12月1日、197〜203頁;米国特許出願公開第2002/0147424号を参照されたい。磁気ナノ粒子は、細胞膜を越えて本発明の核酸を送達するために使用されてもよい。核酸キャリアは、超音波および磁場の両方に応答できる、すなわち、磁気的および音響的に活性なリポスフェア(MAAL)である。基本的前提は、治療剤が磁気ミクロ粒子または磁気ナノ粒子に付着している、またはその中に被包されていることである。これらの粒子は、機能を有することができるポリマーもしくは金属コーティングされた磁気コアを有してよい、またはポア内に沈殿された磁気ナノ粒子を含有する多孔性ポリマーからなる場合がある。ポリマーまたは金属コーティングに機能を持たせることによって、例えば本発明の治療用核酸を宿主細胞内の標的ウイルスゲノムに付着させることができる。粒子/治療剤複合体は、本明細書で述べる任意の経皮的方法によりまたは血流への注射もしくは他の公知の方法により身体に導入されてよい。次に磁場が一般に高磁場、高勾配、希土類磁石から導入され、標的部位に焦点が合わされ、粒子が磁場に入ると粒子への力は、それらを捕捉し、標的で溢出させる。内容がすべての目的のためにその全体が本明細書に組み込まれるGuoら、Recent Advances in Non-viral Vectors for Gene Delivery、Acc Chem Res. 2012年7月17日;45巻(7号):971〜979頁を参照されたい。

磁気泳動は、米国特許出願公開第2002/0147424号に記載されているものなどの磁気薬物送達システムを使用して実行されてよい。それにより一部の実施形態では、本発明は、図12に示すとおり、磁気薬物送達システム1001、Cas9などの標的遺伝物質を切る酵素の遺伝子103をコードしているベクター、および潜伏ウイルスを標的とし、ヒトゲノム中にマッチを有さないgRNAを含む、ウイルス感染を処置するためのシステムを提供する。

レーザーは、経皮薬物送達に関連するおよび上に考察された経皮薬物送達の利益を提供するように角質層を直接取り除くために使用されてよい。追加的に、限定されたアブレーションによりレーザーによって生成されるフォトメカニカル波は、組織浸透性を増大させ、角質層を一時的にだけ改変することによって薬物送達を増強することが示されている。内容がすべての目的のためにその全体が本明細書に組み込まれるLeeら、Photomechanical Transdermal Delivery: The Effect of Laser Confinement、Lasers in Surgery and Medicine 28巻:344±347頁(2001年)を参照されたい。Leeにおいて記載のとおりレーザーは、溶液リザーバーの上方の標的に、次に組織にフォトメカニカル波を伝播するために組織表面の上方に向けられてよい。同文献。レーザーは、例えばNewport Corporation(Irvine、California)から入手可能である。それにより一部の実施形態では、本発明は、図13に示すとおり、レーザー1001、標的1103およびCas9などの標的遺伝物質を切る酵素の遺伝子103をコードしているベクターを含む溶液、および潜伏ウイルスを標的とし、ヒトゲノム中にマッチを有さないgRNAを含む、ウイルス感染を処置するためのシステムを提供する。

種々の実施形態では、化学浸透増強剤は、単独でまたは経皮薬物送達を増強する上記の方法の1つもしくは複数との組合せで使用されてよい。内容がすべての目的のためにその全体が本明細書に組み込まれるMitragotri、Synergistic Effect of Enhancers for Transdermal Drug Delivery、Pharm. Res. 17巻、1354〜1359頁を参照されたい。化学物質浸透増強剤は、例えば、プロピレングリコール、オレイン酸、DMSO、エタノール、リノール酸、アゾン、リモネン、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、イソプロピルミリステート、グリセロールトリオレートおよびリン酸緩衝食塩水を含んでよい。

本発明の組成物は、皮下、経皮、水力学的遺伝子送達によって、局所または任意の他の好適な方法を含む任意の好適な方法によって送達されてよい。一部の実施形態では、組成物101は、キャリアに提供され、ヒト皮膚への局所適用のために好適である。組成物は、宿主中の組織への送達によってインサイテュで細胞に導入されてよい。宿主細胞に組成物を導入することは、組成物を宿主におけるウイルス感染の局部リザーバーに、非全身性に例えば局所的に送達することを含んでよい。

本発明の組成物は、医薬の局所送達、皮膚送達、皮内送達または経皮送達のために皮膚表面に適用できる任意の許容可能な製剤などの、許容可能な局所キャリア中で皮膚の患部に送達されてよい。許容可能な局所キャリアと本明細書に記載の組成物との組合せは、本発明の局所製剤と称される。本発明の局所製剤は、当技術分野において周知の方法、例えばREMINGTON: THE SCIENCE AND PRACTCE OF PHARMACY 1577〜1591頁、1672〜1673頁、866〜885頁(Alfonso R. Gennaro編)、Ghosh, T. K.ら、TRANSDERMAL AND TOPICAL DRUG DELIVERY SYSTEMS(1997年)などの標準的参考文献によって提供される方法により組成物を局所キャリアと混合することによって調製される。

本明細書に記載の化合物の局所送達のために有用な局所キャリアは、局所的投与医薬品のための当技術分野において公知の任意のキャリア、例えばこれだけに限らないが、多価アルコールまたは水などの許容可能な溶媒;クリームまたはローションなどの乳濁液(水中油または油中水乳濁液のいずれか);マイクロエマルション;ゲル;軟膏;リポソーム;粉末;および標準的眼科用調製物などの水溶液または懸濁液であってよい。

ある特定の実施形態では、本明細書に記載の組成物を送達するために使用される局所キャリアは、乳濁液、ゲルまたは軟膏である。クリームおよびローションなどの乳剤は、本発明による使用のための好適な局所製剤である。乳剤は、一方の相が液滴として他方に直径0.1μmから100μmの範囲で分散する、少なくとも2つの非混和性相を含む分散系である。乳化剤は、典型的には安定性を改善するために含まれる。

別の実施形態では、局所キャリアは、ゲル、例えば2相ゲルまたは単相ゲルである。ゲルは、液体によって相互に浸透した小さな無機粒子または大きな有機分子の懸濁物からなる半固体の系である。ゲル塊が小さな分離した無機粒子のネットワークを含む場合、それは2相ゲルとして分類される。単相ゲルは、分散した高分子と液体との間に明らかな境界は存在しないような、液体全体に均一に分散された有機高分子からなる。本発明における使用のために好適なゲルは、REMINGTON: THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY 1517〜1518頁(Alfonso R. Gennaro編、19版、1995年)に開示されている。本発明における使用のための他の好適なゲルは、米国特許第6,387,383号(2002年5月14日発行);第6,517,847号(2003年2月11日発行);および第6,468,989号(2002年10月22日発行)に開示されている。使用され得るポリマー増粘剤(ゲル化剤)は、化粧品および製薬産業においてしばしば使用される親水性および水−アルコール性ゲル化剤などの当業者に公知のものを含む。好ましくはゲル化剤は、組成物の重量で約0.2%から約4%の間で含む。剤は、一般名カルボマーを与えられた架橋結合アクリル酸ポリマーであってよい。これらのポリマーは、水に溶解し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたは他のアミン塩基などの苛性材料での中和で透明またはわずかに濁ったゲルを形成する。

別の好ましい実施形態では、局所キャリアは、軟膏である。軟膏は、あったとしても極めて少ない水を含有する油性の半固体である。好ましくは、軟膏は、ワックス、ワセリン、またはゲル化ミネラルオイルなどの炭化水素ベースである。

別の実施形態では、本発明の局所製剤において使用される局所キャリアは、水溶液または懸濁液、好ましくは水溶液である。周知の眼科用溶液および懸濁液は、本発明における使用のために好適な局所キャリアである。本発明の水性局所製剤のpHは、好ましくは約6から約8の範囲内である。pHを安定化させるため、好ましくは有効量のバッファが含まれる。一実施形態では、緩衝剤は、水性局所製剤中に、製剤の約0.05から約1重量パーセントの量で存在する。浸透圧調整剤は、本発明の水性局所製剤に含まれていてもよい。好適な浸透圧調整剤の例は、これだけに限らないが、塩化ナトリウム、塩化カリウム、マンニトール、デキストロース、グリセリンおよびプロピレングリコールを含む。浸透圧剤の量は、製剤の望ましい特性に応じて広く変化し得る。一実施形態では、浸透圧調整剤は、製剤の約0.5から約0.9重量パーセントの量で水性局所製剤中に存在する。好ましくは本発明の水性局所製剤は、0.015から0.025Pa.s(約15cpsから約25cps)の範囲の粘度を有する。本発明の水性溶液の粘度は、粘度調整剤、例えばこれだけに限らないが、ポリビニルアルコール、ポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポロクサマー、カルボキシメチルセルロースまたはヒドロキシエチルセルロースを加えることによって調整され得る。

本発明の局所製剤は、保護剤、吸着剤、粘滑剤、軟化剤、保存剤、抗酸化剤、保湿剤、緩衝剤、可溶化剤、皮膚浸透剤および界面活性剤などの許容される賦形剤を含んでよい。好適な保護剤および吸着剤は、これだけに限らないが、散布剤、ステアリン酸亜鉛(zinc sterate)、コロジオン、ジメチコン、シリコーン、炭酸亜鉛、アロエベラゲルおよび他のアロエ産物、ビタミンE油、アラトイン、グリセリン、ワセリンならびに酸化亜鉛を含む。好適な粘滑剤は、これだけに限らないが、ベンゾイン、ヒロドキシプロピルセルロース、ヒロドキシプロピルメチルセルロースおよびポリビニルアルコールを含む。好適な軟化剤は、これだけに限らないが、動物性および植物性脂肪および油、ミリスチルアルコール、アラムおよび酢酸アルミニウムを含む。好適な保存剤は、これだけに限らないが、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、セトリミド、塩化デカリニウムおよび塩化セチルピリジニウムなどの四級アンモニウム化合物;硝酸フェニル水銀、酢酸フェニル水銀、およびチメロサールなどの水銀剤;アルコール剤、例えば、クロロブタノール、フェニルエチルアルコールおよびベンジルアルコール;抗菌性エステル、例えばパラキドロキシ安息香酸のエステル;ならびにクロルヘキシジン、クロロクレゾール、安息香酸およびポリミキシンなどの他の抗生物剤を含む。二酸化塩素(ClO2)、好ましくは、安定化二酸化塩素は、本発明の局所製剤での使用のための好ましい保存剤である。好適な抗酸化剤は、これだけに限らないが、アルコルビン酸およびそのエステル、亜硫酸水素ナトリウム、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、トコフェロールならびにEDTAおよびクエン酸などのキレート剤を含む。好適な保湿剤は、これだけに限らないが、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール、尿素およびプロピレングリコールを含む。本発明における使用のために好適な緩衝剤は、これだけに限らないが、酢酸バッファ、クエン酸バッファ、リン酸バッファ、乳酸バッファおよびホウ酸バッファを含む。好適な可溶化剤は、これだけに限らないが、四級塩化アンモニウム、シクロデキストリン、安息香酸ベンジル、レシチンおよびポリソルベートを含む。好適な皮膚浸透剤は、これだけに限らないが、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、オクチルフェニルポリエチレングリコール、オレイン酸、ポリエチレングリコール400、プロピレングリコール、N−デシルメチルスルホシキド、脂肪酸エステル(例えば、イソプロピルミリステート、メチルラウレート、グリセロールモノオレートおよびプロピレングリコールモノオレート);ならびにN−メチルピロリドンを含む。

一部の実施形態では、本発明は、Cas9などの標的遺伝物質を切る酵素の遺伝子103をコードしているベクター、および潜伏ウイルスを標的とし、ヒトゲノム中にマッチを有さないgRNA、局所キャリアおよび図5〜13に示すデバイスなどの、皮膚または他の組織への局所キャリアの送達を補助するために構成されたデバイスを含むシステムを提供する。

ある特定の実施形態では、本発明の化合物は、とりわけリポソーム、アルブミンベース粒子、PEG化タンパク質、生分解性ポリマー薬物コンポジット、ポリマー性ミセル、デンドリマーなどの全身治療のためのナノシステムにコンジュゲートされる。参照により組み込まれるDavisら、2008年、Nanotherapeutic particles: an emerging treatment modality for cancer、Nat Rev Drug Discov. 7巻(9号):771〜782頁を参照されたい。リポソームなどの長期循環高分子キャリアは、増強された浸透性を活用でき、腫瘍血管からの優先的な血管外溢出について効果を保持する。ある特定の実施形態では、本発明の複合体は、細胞への送達のためにリポソームまたはポリマーソームにコンジュゲートまたは被包される。例えば、リポソームアントラサイクリンは、高効率の被包を達成し、リポソームダウノルビシンおよびペグ化リポソームドキソルビシンなどの循環が長く延長されたバージョンを含む。Krishnaら、Carboxymethylcellulose-sodium based transdermal drug delivery system for propranolol、J Pharm Pharmacol. 1996年4月;48巻(4号):367〜70頁を参照されたい。これらの細胞送達システムは、本明細書に記載の方法により身体に経皮的に導入され得る。

Cas9およびsgRNAを送達するために本発明は、水力学的遺伝子送達の使用も提供することができる。この技術は、内皮細胞および実質細胞の浸透性を増強するために毛細血管中の水力学圧を調節する(Hydrodynamic Gene Delivery: Its Principles and Applications、Molecular Therapy(2007年)15巻 12号、2063〜2069頁)。ヒトでの水力学的遺伝子送達の最初の臨床検査は、the 9th Annual Meeting of the American Society of Gene Therapy (Clinical Study with Hydrodynamic Gene Delivery into Hepatocytes in Humans)で報告された。水力学的遺伝子送達は、AAV送達において見られる潜在的宿主免疫応答(肝臓に標的化されたアデノ随伴ベクターに対する抗体媒介中和への長期感受性)を回避する。

水力学的遺伝子送達は、肝臓移植にも適用できる(肝臓移植における水力学的プラスミドDNA遺伝子治療モデル)。肝臓重量の40〜70%の注射容量が遺伝子送達に有効であることが見出されている。水力学的遺伝子送達と標的化エンドヌクレアーゼとの組合せは、潜在的に肝臓移植物からHBVを排除でき、さらに適格な器官を提供できる。

標的化エンドヌクレアーゼ(例えば、Cas9+sgRNA)の送達は、ラミブジンおよびテルビブジンなどの従来の抗ウイルス薬と併用されてよい。このようにウイルスロードはエンドヌクレアーゼ処置前に大きく低減でき、処置効率を改善することができる。

水力学的遺伝子送達に関して組成物は、血管に近位の細胞でポアを生成するために十分な圧力で送達される。水力学的またはエネルギー増強経皮遺伝子送達は、好ましくはエンドヌクレアーゼ酵素をコードするプラスミドなどの核酸を送達するために使用される。好ましい実施形態では、酵素はCas9である。

Cas9(CRISPR関連タンパク質9)は、RNA誘導型DNAエンドヌクレアーゼ酵素である。Cas9は、Streptococcus pyrogenes免疫系の一部として見出された。そこでは、Cas9は外来DNAを記憶し、その後、次いでCas9が切る場所の、ガイドRNAの20塩基対スペーサー領域に相補的な領域を探すために外来DNAを巻き戻すことによって外来DNAを切る。Cas9は、DNAに部位特異的二重鎖切断を生じさせるために使用でき、非相同性末端結合および相同組換えを通じた遺伝子不活性化または異種遺伝子の導入をもたらすことができる。遺伝子編集のための他の例示的ツールは、ジンクフィンガーヌクレアーゼおよびTALENタンパク質を含む。

Cas9は、ガイドRNAに相補的なほとんどすべての配列を切断できる。天然のCas9は、会合してガイド−CRISPR RNA(crRNA)を作製する2つの異なるRNAからなるガイドRNAおよびトランス活性化RNA(tracrRNA)を使用する。追加的にまたは代替的にCas9標的化は、キメラ単一ガイドRNAの操作により単純化され得る。

研究は、Cas9が2本の標的DNA鎖の切断にそれぞれ関与しているRNase HおよびHNHエンドヌクレアーゼ相同性ドメインを含有していることを示唆している。RNase Hに類似している配列は、RuvCフォールド(RNase Hファミリーのメンバーの1つ)を有し、HNH領域はT4 Endo VII(HNHエンドヌクレアーゼファミリーのメンバーの1つ)としてフォールドする。Cas9についての以前の研究は、HNHドメインが標的DNAの相補性配列切断に関与し、RuvCが非相補性配列について関与していることを実証した。本発明の方法および材料は、cas9遺伝子およびショートガイドRNA(sgRNA)の少なくとも1つの遺伝子を含むプラスミドを使用する。ssRNAは、ウイルスゲノムの一部に相補的である。

図4は、ある特定の実施形態によるプラスミドを図示している。

ウイルスゲノムがB型肝炎ウイルスゲノムである場合、プラスミドは、PreS1、DR1、DR2、ポリメラーゼの逆転写酵素(RT)ドメイン、HbxおよびコアORFなどのB型肝炎ウイルスゲノム中の位置を標的化する1つまたは複数のsgRNAの遺伝子を含有してよい。好ましい実施形態では、1つまたは複数のsgRNAは、sgHBV−CoreおよびsgHBV−PreS1からなる群から選択される1つを含む。

水力学的遺伝子送達について組成物は、例えば被験体の標的位置の血管にバルーンカテーテルを進め、バルーンを膨らませ、バルーンカテーテルの管腔を介して組成物を送達することによって、血管内送達カテーテールを介して送達されてよい

参照による組み込み 特許、特許出願、特許公開、学術雑誌、書籍、論文、ウェブコンテンツなどの他の文書の参照および引用は、本開示全体を通じて行われている。すべてのそのような文書は、すべての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。

均等物 本発明およびその多くのさらなる実施形態、付加的に本明細書に示し、記載するものへの種々の改変は、本明細書に引用する科学的および特許の文献を参照することを含んで本文書全体の内容から当業者に明らかになる。本明細書の主題は、重要な情報、例示および指針を含有しており、本発明の種々の実施形態およびその均等物での本発明の実施に適合できる。

(実施例1) 一実施形態では、本発明の方法は、B型肝炎ウイルス(HBV)を標的とする上記の遺伝子送達方法を使用する。ヒト人口の40%超がHBVに感染しており、1年間に2億4000万人の慢性HBVキャリアおよびおよそ620,000人のHBV関連死を生じている。HepadnaviridaeファミリーのプロトタイプメンバーであるヒトB型肝炎ウイルス(HBV)は、表面抗原(HBsAg)を含有する外側のリポタンパク質コーティング(エンベロープとも称される)によって囲まれた27nmヌクレオカプシドコア(HBcAg)からなる、42nmの一部2本鎖のDNAウイルスである。ウイルスは、3から3.3kbのほどけた環状の一部二重鎖のDNAを含有するエンベロープ付きビリオンおよび、ビリオンDNA鋳型中のギャップを修復でき、逆転写酵素活性を有するビリオン結合DNA依存性ポリメラーゼを含む。HBVは、ポリメラーゼ(P)、コア(C)、表面(S)およびXタンパクをコードする4個の重複するORFを含むおよそ3200bpの環状、一部二重鎖のDNAウイルスである。感染では、ウイルスヌクレオカプシドは、細胞に侵入し、ウイルスゲノムが送達される核に達する。核では、第2鎖のDNA合成が完了され、両鎖中のギャップは、3.5、2.4、2.1および0.7kb長である4つのウイルスRNAの転写のための鋳型として働く共有結合性閉環状DNA分子をもたらすように修復される。これらの転写物は、ポリアデニル化され、それらがウイルスヌクレオカプシドおよびプレコア抗原(C、pre−C)、ポリメラーゼ(P)、エンベロープL(大)、M(中)、S(小))、および転写トランス活性化タンパク質(X)に翻訳される細胞質に輸送される。エンベロープタンパク質は、それ自体を内在性膜タンパク質として小胞体(ER)の脂質膜に挿入する。ゲノム全体にわたり、プレゲノムRNA(pgRNA)と呼ばれる3.5kb分子種は、HBVポリメラーゼおよびタンパク質キナーゼと共にコア粒子にパッケージングされ、マイナス鎖DNAの逆転写のための鋳型として働く。RNAからDNAへの転換は、粒子内で生じる。

HBVゲノム上の塩基対の番号付けは制限酵素EcoR1の切断部位または、EcoR1部位が存在しない場合は相同部位に基づいている。しかし、コアタンパク質の開始コドンまたはRNAプレゲノムの最初の塩基に基づく他の番号付け方法も使用される。HBVゲノム中のすべての塩基対は、少なくとも1つのHBVタンパク質をコードすることに関与している。しかしゲノムは、転写のレベルを制御し、ポリアデニル化の部位を決定し、さらにヌクレオカプシドにキャプシド形成するための特異的転写物に印を付ける遺伝エレメントも含有している。4個のORFは、さまざまなインフレームの開始コドンの使用により7個の異なるHBVタンパク質の転写および翻訳をもたらす。例えば、小さなB型肝炎表面タンパク質は、リボソームがadwゲノムの155位のATGで翻訳を始める場合に生成される。中程度のB型肝炎表面タンパク質は、リボソームが3211位の上流ATGで始める場合に生成され、タンパク質の5’末端に55アミノ酸の付加を生じる。

ORF Pは、ゲノムの大部分を占め、B型肝炎ポリメラーゼタンパク質をコードしている。ORF Sは、3個の表面タンパク質をコードしている。ORF Cは、肝炎eタンパク質およびコアタンパク質の両方をコードしている。ORF Xは、B型肝炎Xタンパク質をコードしている。HBVゲノムは、ウイルス複製を生じさせるために必要な多数の重要なプロモーターおよびシグナル領域を含有している。4個のORF転写は、4個のプロモーターエレメント(preS1、preS2、コアおよびX)ならびに2個のエンハンサーエレメント(Enh IおよびEnh II)によって調節されている。すべてのHBV転写物は、ゲノム中の1916〜1921にわたる領域に位置する共通のアデニル化シグナルを共有している。得られる転写物は長さ3.5ヌクレオチドから0.9ヌクレオチドの範囲である。コア/プレゲノムプロモーターの配置のために、ポリアデニル化部位は差次的に利用される。ポリアデニル化部位は、カノニカル真核生物ポリアデニル化シグナル配列(AATAAA)ではなくヘキサヌクレオチド配列(TATAAA)である。TATAAAは、非効率的に働くことが公知であり(9)、HBVによる差次的使用に好適である。

ゲノムによってコードされる、C、X、PおよびSと称される4個の公知の遺伝子がある。コアタンパク質は、遺伝子C(HBcAg)によってコードされ、その開始コドンはプレコアタンパク質が産生される上流インフレームAUG開始コドンに先行されている。HBeAgは、プレコアタンパク質のタンパク質分解プロセシングによって産生される。DNAポリメラーゼは、遺伝子Pによってコードされている。遺伝子Sは、表面抗原(HBsAg)をコードする遺伝子である。HBsAg遺伝子は、1個の長いオープンリーディングフレームであるが、遺伝子を3個のセクション、pre−S1、pre−S2およびSに分割する3個のインフレーム開始(ATG)コドンを含有する。複数の開始コドンのために、大、中および小(pre−S1+pre−S2+S、pre−S2+S、またはS)と称される3個の異なるサイズのポリペプチドが産生される。遺伝子Xによってコードされるタンパク質の機能は、十分に理解されていないが、肝臓がんの発症に関連している。それは細胞成長を促進する遺伝子を刺激し、成長制御分子を不活性化する。

HBVは、RNA中間体の逆転写によってそのゲノムを複製する。RNA鋳型は、最初に1本鎖DNA分子種(マイナス鎖DNA)に転換され、それは次にプラス鎖DNA合成のための鋳型として使用される。HBVでのDNA合成は、プラス鎖DNA合成のためのプライマーとしてオリゴリボヌクレオチドを使用し、合成は1本鎖DNA上の内部の位置で主に開始する。プライマーはRNase H切断を介して生成され、RNA鋳型の5’末端からの配列非依存性の大きさ(measurement)である。この18nt RNAプライマーは、マイナス鎖DNAの3’末端にアニールし、このプライマーの3’末端は12nt直列反復配列である、DR1内に位置している。大部分のプラス鎖DNA合成は、プライマー転座(primer translocation)の結果としてマイナス鎖DNAの他方の末端近くに位置する12nt直列反復配列、DR2から開始する。プラス鎖プライミングの部位は、重要である。インサイテュでのプライミングは、二重鎖直鎖状(DL)DNAゲノムを生じる一方で、DR2からのプライミングは、環状化と称される、第2の鋳型切り替えの完了に続くほどけた環状(RC)DNAゲノムの合成をもたらす場合がある。なぜヘパドナウイルスがプラス鎖DNA合成をプライミングするためにこのさらなる複雑性を有するのかは明らかでないままだが、プライマー転座の機構は、将来性がある治療標的である。ヘパドナウイルス(ヒト病原体、B型肝炎ウイルスを含む)慢性キャリア状態の維持のためにウイルス複製が必要であることから、複製を理解し、治療標的を明らかにすることは、キャリアにおいて疾患を抑えるために不可欠である。

PreS1に対するガイドRNAは、コード配列の5’末端に位置する。エンドヌクレアーゼ消化は、挿入/欠失を導入し、PreS1翻訳のフレームシフトを生じる。HBVは、同一の反復配列DR1およびDR2を両末端にならびにRNAキャプシド形成シグナルイプシロンを5’末端に有する長いRNAの形態を経由してそのゲノムを複製する。ポリメラーゼ遺伝子の逆転写酵素ドメイン(RT)は、RNAをDNAに転換する。Hbxタンパク質は、ウイルス複製および宿主細胞機能の重要な制御因子である。RTに対するRNAによってガイドされる消化は、挿入/欠失を導入し、RT翻訳のフレームシフトを生じる。ガイドRNA sgHbxおよびsgCoreは、HbxおよびHBVコアタンパク質のコーディングにフレームシフトだけでなく、DR2−DR1−イプシロンを含有する全領域の欠失ももたらす。組合せでの4つのsgRNAは、HBVゲノムの小片への全体の破壊をもたらすことができる。

図2は、CRISPRガイドRNAによって標的化されるHBVゲノムの重要な部分を示している。

図3は、HBVに対するin vitro CRISPRアッセイから得られたゲルを示している。レーン1、3、6:RT、Hbx−コアおよびPreS1に隣接するHBVゲノムのPCRアンプリコン。レーン2、4、5および7:sgHBV−RT、sgHBV−Hbx、sgHBV−Core、sgHBV−PreS1で処理したPCRアンプリコン。

したがって、本発明の物質は、HBVウイルスゲノムを断片化する(fragment and HBV virus genome)ことが示される。

(実施例2) 電気穿孔法は、リボ核タンパク質(RNP)を細胞に導入するために使用できる。HPV16+がん細胞をHPV16特異的CRISPR−Cas9リボ核タンパク質(RNP)で処理し、HPV16+がん細胞を死滅させることを見出した。図14に例示のとおり、Cas9タンパク質およびsgRNAを含むRNPをSiHa HPV−16+細胞に電気穿孔法により導入した。次いで細胞を培養し、生細胞数を、蛍光活性化細胞選別(FACS)を使用して取得した。

図15は、HPV−16のE6遺伝子およびE7遺伝子に沿う種々のsgRNAの標的位置を示す。図16は、図15に例示のHPV−16 E6遺伝子およびE7遺伝子に沿う標的を有する種々のsgRNAを含むRNPの電気穿孔による導入後の細胞数を例示する。細胞数は、sgHPV18対照に対して正規化し、Cas9含有RNP投与量のμgでプロットした。sgHPV16 E6−1、sgHPV16 E7−2およびsgHPV16 E7−3を含むRNPでの電気穿孔は、図16に示すとおり対照と比較してすべて細胞数の低減を生じた。

図17は、HPV−16のE6遺伝子およびE7遺伝子上の標的位置および定量的PCR(qPCR)プライマー位置を例示している。図18は、種々のHPV16特異的RNPでの処理の1および2日後のE6遺伝子およびE7遺伝子に焦点を合わせたqPCR結果をsgHPV18 RNP対照に対して正規化して示す。sgHPV16 E6−1、sgHPV16 E7−2およびsgHPV16 E7−3ガイドRNAを含むRNPは、E6またはE7遺伝子でHPV16 DNAの切断をすべて示した。処理の1および6日後の生細胞数をsgHPV18対照に対して正規化して図19に示す。やはり、3個のHPV16 E6およびE7標的化RNPは、HPV16+がん細胞の電気穿孔後にHPV16細胞数を低減させる能力を示している。

(実施例3) 電気穿孔法は、エンドヌクレアーゼをガイドRNAと共にコードするmRNAを導入するために使用できる。HPV16+がん細胞をHPV16特異的sgRNAおよびCas9 mRNAで電気穿孔法によって処理し、HPV16+がん細胞を死滅させることを見出した。図20に例示のとおり、Cas9タンパク質およびsgRNAをコードするmRNAをSiHa HPV−16+細胞に電気穿孔法により導入した。次いで細胞を培養し、生細胞数を、蛍光活性化細胞選別(FACS)を使用して取得した。

図21は、種々のCas9 mRNAおよびsgRNAの組合せを用いたヌクレオフェクション後1、3および6日後の正規化細胞数をすべてsgHPV18対照に対して正規化して示している。図22は、6μgの種々のsgRNAおよびさまざまなCas9 mRNAで処理した細胞についての6日後の細胞数をsgHPV18対照に対して正規化して示している。図21および図22の両方がHPV16特異的sgRNAおよびCas9 mRnaでヌクレオフェクトした細胞において細胞数の低減を示している。

(実施例4) HPV18+がん細胞をHPV18特異的CRISPR−Cas9リボ核タンパク質(RNP)で処理し、HPV18+がん細胞を死滅させることを見出した。図23に例示のとおり、Cas9タンパク質およびsgRNAを含むRNPをSiHa HPV−18+細胞に電気穿孔法により導入した。次いで細胞を培養し、生細胞数を、蛍光活性化細胞選別(FACS)を使用して取得した。

図24は、HPV−18のE6遺伝子に沿う種々のsgRNAの標的位置を示す。図25は、図24に例示のHPV−18 E6遺伝子を標的化する種々のsgRNAを含むRNPの電気穿孔法による導入後の細胞数を例示する。細胞数は、sgEBV対照に対して正規化されている。HPV18特異的RNPを含むRNPでの電気穿孔は、図25に示すとおり対照と比較してすべて細胞数の低減を生じた。図26は、RNPフォーマットでのまたはmRNA/sgRNAフォーマットでのsgHPV18E6−2/Cas9を用いた電気穿孔法の5日後のHPV−18+がん細胞についての生細胞数を比較して示している。両方の方法は、明らかに細胞数の低減をもたらした。

図27は、μg用量のCas9 mRNAまたはタンパク質によるmRNAおよびRNP処理細胞での生細胞数の比較を示している。mRNA処理は、低い投与量でRNP処理よりも大きく低減させ、投与量を増加させると、それらの処理法は同様の結果を生じた。

(実施例5) 本発明の実施形態は、HBVなどの種々のウイルスのDNAを標的化する誘導型エンドヌクレアーゼをコードする核酸を導入するために使用できる。Cas9は種々のHBV特異的ガイドRNAと協調して、ウイルスゲノム中のある特定の部位(cite)での標的化切断により細胞中のウイルスDNAロードを低減することが示されている。図28は、HBVエピソームDNA細胞モデルを例示する。示すとおりCas9+GFP+HED293細胞にHBVゲノムプラスミドをトランスフェクトした。次いでHBV特異的sgRNAを、レンチウイルスベクターを使用する形質導入により導入した。次いで細胞を回収し、HBV DNA切断をT7E1アッセイによって測定し、HBV DNAをqPCRによって測定した。

図29は、モデルで使用される種々のsgRNAのHBVゲノム上での標的位置を、HBV DNA切断を評価するために使用されるプライマーセット標的の位置と共に示している。図30は、sgRT RNA、sgHBx RNA、sgCore RNAおよびsgPreS1 RNAを形質導入された細胞中のHBV DNAの切断を示すゲル電気泳動の結果を示している。図31は、未処理細胞およびHBV特異的sgRNAおよびCas9で処理した細胞においてqPCRによって決定されたHBV DNA量を示している。4個の検査したsgRNAそれぞれは、未処理細胞と比較してHBV DNA量の低減を示した。図30および31に例示する結果は、処理の2日後の未選別細胞由来のものである。

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