インビトロウイルスゲノム工学のための組成物及びその方法

申请号 JP2017532046 申请日 2015-12-15 公开(公告)号 JP2017537643A 公开(公告)日 2017-12-21
申请人 シンセティック ジェノミクス インコーポレーテッド; シンセティック ジェノミクス インコーポレーテッド; 发明人 カイル シー. キャディ; カイル シー. キャディ; イー. マグダ バーブ; イー. マグダ バーブ; クリステン ジー. ディペトリロ; クリステン ジー. ディペトリロ;
摘要 本開示は、核酸のインビトロ工学の方法に関する。本開示は、更に、ウイルスゲノムのインビトロ工学、及びウイルスゲノムのインビトロゲノム工学によるウイルス特性の改善に関する。具体的には、本開示は、RNA誘導型Cas9を使用したインビトロウイルスゲノム消化、消化されたウイルスゲノムへのDNAまたはRNA断片の挿入による組換えゲノムのアセンブリ、及び組換えゲノムでの宿主細胞の形質転換に関する。本方法はまた、核酸のエラー修正のためのインビトロ工学に関する。【選択図】図1
权利要求

宿主細胞中に導入されると、操作されていないウイルス核酸の宿主細胞への導入によって産生されるウイルス粒子と比較して2つ以上の改善されたウイルス特性を有する非天然ウイルス粒子を産生することができる、操作されたウイルス核酸を含む、操作されたウイルス。産生された前記ウイルス粒子が、少なくとも3つの改善されたウイルス特性を有する、請求項1に記載の操作されたウイルス。改善されたウイルス特性のそれぞれが、宿主域、ウイルス溶菌サイクル、吸着、付着、注入、複製及びアセンブリ、溶菌、放出数、免疫回避、免疫刺激、免疫不活性化、バイオフィルムの分散、細菌のファージ耐性、細菌の抗生物質感受性化、ビルレンス因子の調節、ならびに標的化された宿主ゲノム消化または編集からなる群から選択される、請求項1に記載の操作されたウイルス。前記操作されたウイルス核酸が、操作されたウイルスゲノムである、請求項1に記載の操作されたウイルス。前記操作されたウイルスゲノムが、操作されたバクテリオファージゲノムである、請求項4に記載の操作されたウイルス。前記改善されたウイルス特性のうちの少なくとも1つが宿主域である、請求項5に記載の操作されたウイルス。改善されたウイルス特性のそれぞれが、前記操作されたウイルス核酸中における少なくとも1つの改変の結果である、請求項1に記載の操作されたウイルス。少なくとも1つの改善されたウイルス特性が、前記操作されたウイルス核酸中における少なくとも2つの改変の結果である、請求項7に記載の操作されたウイルス。前記操作されたウイルス核酸中における前記少なくとも1つの改変が、1回の工学的ステップの結果である、請求項7に記載の操作されたウイルス。前記操作されたウイルス核酸中における前記少なくとも1つの改変が、反復的な工学的ステップの結果である、請求項7に記載の操作されたウイルス。前記改変の少なくとも1つが、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号5、配列番号48または配列番号49に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列中にある、請求項7に記載の操作されたウイルス。前記操作されたウイルスゲノムが、LUZ19ゲノムに対して少なくとも85%の同一性を有するウイルスゲノムの全てまたは一部を含む、請求項4に記載の操作されたウイルス。異種gp18遺伝子の全てまたは一部を更に含む、請求項12に記載の操作されたウイルス。前記異種gp18遺伝子が、配列番号38に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列をコードする、請求項13に記載の操作されたウイルス。操作されたgp34遺伝子の全てまたは一部を更に含む、請求項12に記載の操作されたウイルス。前記操作されたgp34遺伝子が、配列番号5のアミノ酸位置55に対応する位置に変異を含むアミノ酸をコードする、請求項15に記載の操作されたウイルス。配列番号34、配列番号35、配列番号36及び配列番号48からなる群から選択される配列に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列をコードする1つ以上の核酸配列中における改変を更に含む、請求項12に記載の操作されたウイルス。前記操作されたウイルスゲノムが、配列番号34に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列、配列番号35に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列、配列番号36に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列及び配列番号48に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列のそれぞれをコードする核酸配列中における改変を含む、請求項17に記載の操作されたウイルス。前記改変が、配列番号34のアミノ酸位置17に対応する位置でのCからYへの置換、配列番号48のアミノ酸位置36に対応する位置でのDからYへの置換、配列番号35のアミノ酸位置82に対応する位置でのDからGへの置換、配列番号35のアミノ酸位置83に対応する位置でのIからSへの置換及び配列番号36のアミノ酸位置253に対応する位置でのNからDへの置換を含む、請求項18に記載の操作されたウイルス。配列番号49に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列中における改変を更に含む、請求項12に記載の操作されたウイルス。前記改変が、配列番号49に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列への異種核酸分子の挿入、または配列番号49に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列中に含まれる核酸配列の異種核酸分子による置換である、請求項20に記載の操作されたウイルス。前記異種核酸分子が、配列番号37、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46及び配列番号47からなる群から選択される配列に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列をコードする異種核酸配列を含む、請求項21に記載の操作されたウイルス。前記操作されたウイルス核酸が、配列番号21に含まれる核酸配列またはその一部を含むプロモーターに作動可能に連結された異種核酸配列を含む、請求項1に記載の操作されたウイルス。前記操作されたウイルス核酸が、配列番号22に含まれる核酸配列またはその一部を含むターミネーターに作動可能に連結された異種核酸配列を含む、請求項1に記載の操作されたウイルス。(a)第1のウイルスゲノムを準備することと、 (b)前記第1のウイルスゲノムの少なくとも1つの断片を少なくとも1つの修復核酸分子と結合して、前記第1のウイルスゲノムと比較して少なくとも1つの改変を含む第2のウイルスゲノムを作製することによって、操作されたウイルスゲノムを作製することとを含み、 前記第2のウイルスゲノムは、宿主細胞中に導入されると、2つ以上の改善されたウイルス特性を有するウイルス粒子を産生することができる、 所望のウイルス特性を2つ以上有する、目的の操作されたウイルスを作製するための方法。(c)ステップ(a)〜(b)を1回以上の反復で繰り返すこと を更に含む、請求項25に記載の方法。改善されたウイルス特性のそれぞれが、宿主域、ウイルス溶菌サイクル、吸着、付着、注入、複製及びアセンブリ、溶菌、放出数、免疫回避、免疫刺激、免疫不活性化、バイオフィルムの分散、細菌のファージ耐性、細菌の抗生物質感受性化、ビルレンス因子の調節、ならびに標的化された宿主ゲノム消化または編集からなる群から選択される、請求項25に記載の方法。ステップ(b)の操作されたウイルスゲノムを作製することが、 (1)エンドヌクレアーゼを使用した前記第1のウイルスゲノムの領域のインビトロ消化と、 (2)前記消化された第1のウイルスゲノムの少なくとも1つの断片を少なくとも1つの修復核酸分子とアセンブルすることと を含む、請求項25に記載の方法。前記第1のウイルスゲノムがウイルス粒子から単離される、請求項28に記載の方法。前記第1のウイルスゲノムまたは前記少なくとも1つの修復核酸分子が、デノボ合成される、請求項28に記載の方法。前記デノボ合成が、化学的に合成された核酸分子、PCR増幅された核酸配列、単離された核酸分子の消化断片またはこれらの任意の組み合わせを結合することを含む、請求項30に記載の方法。前記第1のウイルスゲノムまたは前記少なくとも1つの修復核酸分子が、インビトロ消化の前に増幅される、請求項30に記載の方法。前記第1のウイルスゲノムが、少なくとも3kb、少なくとも10kb、少なくとも18kb、少なくとも25kbまたは少なくとも30kbである、請求項26に記載の方法。前記アセンブリがインビトロまたはインビボで実施される、請求項28に記載の方法。前記アセンブリが、 (a)3’エキソヌクレアーゼ活性を欠く単離された5’→3’エキソヌクレアーゼと、 (b)3’エキソヌクレアーゼ活性を有する単離された非鎖置換型DNAポリメラーゼ、または前記DNAポリメラーゼ及び3’エキソヌクレアーゼ活性を欠く第2のDNAポリメラーゼの混合物と、 (c)単離されたリガーゼと、 (d)dNTPの混合物と を含む混合物を使用して、 前記操作されたウイルスゲノムを含む組換え核酸を形成するための、前記消化されたウイルス核酸への前記断片の挿入に効果的である条件下で、インビトロで実施される、請求項34に記載の方法。前記エンドヌクレアーゼがRNA誘導型ヌクレアーゼである、請求項28に記載の方法。少なくとも1つのガイドRNAを更に含む、請求項36に記載の方法。前記RNA誘導型ヌクレアーゼが、Cas9またはCas9由来酵素であり、前記少なくとも1つのガイドRNAが、(1)キメラgRNA、または(2)crRNA及びtracrRNAを含む、請求項37に記載の方法。前記エンドヌクレアーゼが、アセンブリの前に、熱不活性化されるか、または除去される、請求項28に記載の方法。前記インビトロ消化がスペルミジンを更に含む、請求項28に記載の方法。前記操作されたウイルスゲノムにより宿主細胞を形質転換することを更に含む、請求項28に記載の方法。前記操作されたウイルスゲノムをウイルス粒子内にパッケージングするためのインビトロパッケージングキットを使用することを更に含む、請求項28に記載の方法。請求項26〜46のいずれか一項に記載の方法によって作製された、操作されたウイルス。請求項1〜25のいずれか一項に記載の操作されたウイルスである、請求項47に記載の操作されたウイルス。(a)精製された組換えRNA誘導型ヌクレアーゼと、 (b)3’エキソヌクレアーゼ活性を欠く単離された5’→3’エキソヌクレアーゼと、 (c)3’エキソヌクレアーゼ活性を有する単離された非鎖置換型DNAポリメラーゼ、または前記DNAポリメラーゼ及び3’エキソヌクレアーゼ活性を欠く第2のDNAポリメラーゼの混合物と、 (d)単離されたリガーゼと を含む、ウイルス核酸分子を操作するためのキット。(1)クラウディング剤、 (2)dNTPの混合物、及び (3)好適な緩衝液 のうちの1つ以上を更に含む、請求項45に記載のキット。個別化されたガイドRNAを更に含む、請求項45に記載のキット。アセンブリ反応において挿入されるDNA断片として機能するための、個別化された合成核酸分子を更に含む、請求項45に記載のキット。形質転換のためのコンピテント宿主細胞を更に含む、請求項45に記載のキット。単離されたウイルスゲノム核酸を更に含む、請求項45に記載のキット。(a)核酸を準備することと、 (b)RNA誘導型ヌクレアーゼを使用した前記核酸の領域のインビトロ消化と、 (c)前記消化された核酸へのDNA断片の挿入による組換え核酸のアセンブリと を含み、前記アセンブリは、 (i)3’エキソヌクレアーゼ活性を欠く単離された5’→3’エキソヌクレアーゼと、 (ii)3’エキソヌクレアーゼ活性を有する単離された非鎖置換型DNAポリメラーゼ、または前記DNAポリメラーゼ及び3’エキソヌクレアーゼ活性を欠く第2のDNAポリメラーゼの混合物と、 (iii)単離されたリガーゼと、 (iv)dNTPの混合物と を含む成分の混合物を含む単一容器中で、組換え核酸を形成するための、前記消化された核酸への前記断片の挿入に効果的である条件下で、インビトロで実施される、核酸配列を操作する方法。前記RNA誘導型ヌクレアーゼが、Cas9またはCas9由来酵素である、請求項51に記載の方法。前記RNA誘導型ヌクレアーゼが、アセンブリの前に、熱不活性化されるか、または除去される、請求項51に記載の方法。(d)前記組換え核酸による宿主細胞の形質転換を更に含む、請求項51に記載の方法。前記核酸が、宿主細胞から単離されたプラスミドである、請求項51に記載の方法。前記プラスミドが少なくとも6kbである、請求項55に記載の方法。前記プラスミドが少なくとも10kbである、請求項55に記載の方法。前記プラスミドが少なくとも15kbである、請求項55に記載の方法。前記プラスミドが少なくとも20kbである、請求項55に記載の方法。

说明书全文

関連出願の相互参照 本出願は、USC§119(e)に基づき、2014年12月16日に出願された米国仮特許出願第62/092,707号、2015年1月12日に出願された米国仮特許出願第62/102,362号及び2015年10月16日に出願された米国仮特許出願第62/242,811号の優先権を主張するものであり、各出願の全内容を参考として本明細書に援用する。

配列表 本出願は、米国特許法施行規則1.52(e)(iii)(5)に従って、2015年12月15日に作成されたキロバイトファイルサイズ(139kb)の配列表テキストファイル「SGI1840_3WO_Sequence_Listing_ST25.txt」として本出願とともに提出された核酸配列に関する参照を含み、当該ファイルの全体を参考として本明細書に援用する。

開示の分野 本開示は、全般的に、ゲノムの迅速な操作、より具体的には、ウイルスゲノムをインビトロで操作することに関する。

背景情報 ウイルスは、多くの化学的用途、特に、予防法、治療法及び診療法の開発に使用されている。これらの目的のために、ウイルスは、遺伝子操作を受けることが多い。インビボ工学は、扱いやすい宿主生物を必要とし、多くの場合、改変されたウイルス及びウイルスベクターを作製するのに数週間から数ヶ月かかることがある(Levin and Bull,Nat Rev Microbio1.2004 Feb;2(2):166−73(非特許文献1)、参考として本明細書に援用する)。更に、細胞中で多数のウイルスゲノムを操作することに本質的に付随する毒性への懸念がある。大きなウイルスゲノムに対するインビトロ遺伝子工学の方法を開発する努は、固有の制限酵素標的配列の利用可能性と、ゲノム消化及びそれに続く組換えアセンブリにて得られる効率の低さにより、これまでのところ制限されている。更に、ウイルスゲノム末端の不正確な予想により、遺伝子工学の多くの努力が妨げられている。例えば、一般に入手可能なPB1様ウイルスゲノムは、末端配列がゲノムの中央部に誤って配置されており、これは、現在のシーケンシング及びインシリコゲノムアセンブリ方法を使用する際によく生じるエラーである(Ceyssens et al.,Environ Mibrobiol.2009 Nov;11(11):2874−83(非特許文献2))。

ウイルスゲノム、特に、遺伝子的に扱いにくい宿主に感染するウイルスの迅速な遺伝子工学が依然として求められている。本開示は、インビトロでのCas9による消化及びアセンブリを活用して、全ウイルスゲノムを部位特異的に操作する。本方法は、ウイルスゲノムを遺伝子的に改変できる正確さ、単純さ及び速さを劇的に向上させる。更に、この技術は、これまでに定着した、往々にして毒性であるビルレントウイルスゲノムを天然及び異種宿主細胞内で操作することの難しさを克服する。また、開示されるインビトロ工学的方法の利用により、正しいウイルスゲノム末端の特定も可能となり、本開示による後続の操作が容易になる。

インビトロでのエラー修正は、クローニングまたはアセンブリ技術後に所望の配列を生成するために、極めて貴重な技術である。標準的なエラー修正方法はPCRに基づくものであるが、1)PCRは、付加的な望ましくない変異を核酸に導入する可能性があること、また、2)PCRは、この文脈において、エラーが一層生じやすくなる以前に、約5kbのサイズ制限があることの2つの本質的な問題がある(Quick Change部位特異的変異導入キットマニュアル、New England Biolabs,USA)。したがって、標準的なPCRに基づくエラー修正方法は、PCRにより生成される付加的な変異または完全な鋳型の増幅の失敗のいずれかの結果として、5kbよりも大きいプラスミドに対して、確実に実施することができない。

Levin and Bull,Nat Rev Microbio1.2004 Feb;2(2):166−73

Ceyssens et al.,Environ Mibrobiol.2009 Nov;11(11):2874−83

本開示の種々の態様の1つは、RNA誘導型ヌクレアーゼを使用した核酸配列のインビトロ工学のための組成物及びその方法である。一態様において、本開示は、ウイルス核酸配列のインビトロ遺伝子工学による特定のウイルス特性の改善及び改善されたウイルス組成物または粒子に関する。別の態様において、本開示は、RNA誘導型エンドヌクレアーゼ、例えば、Cas9を使用したウイルス核酸配列のインビトロ消化、続いて、消化されたウイルス核酸へのDNAまたはRNA断片(複数可)の挿入による組換え核酸配列のアセンブリに関する。

いくつかの実施形態において、本開示は、宿主細胞中に導入されると、操作されていないウイルス核酸の宿主細胞への導入によって産生されるウイルス粒子と比較して2つ以上の改善されたウイルス特性を有する非天然ウイルス粒子を産生することができる、操作されたウイルス核酸を含む、操作されたウイルスを提供する。

いくつかの態様において、産生されるウイルス粒子は、少なくとも3つの改善されたウイルス特性を有する。

いくつかの態様において、改善されたウイルス特性のそれぞれは、宿主域、ウイルス溶菌サイクル、吸着、付着、注入、複製及びアセンブリ、溶菌、放出数、免疫回避、免疫刺激、免疫不活性化、バイオフィルムの分散、細菌のファージ耐性、細菌の抗生物質感受性化、ビルレンス因子の調節、ならびに標的化された宿主ゲノム消化または編集からなる群から選択される。

いくつかの態様において、操作されたウイルス核酸は、操作されたウイルスゲノムである。

いくつかの態様において、操作されたウイルスゲノムは、操作されたバクテリオファージゲノムである。いくつかの態様において、改善されたウイルス特性のうちの少なくとも1つは、宿主域である。

いくつかの態様において、改善されたウイルス特性のそれぞれは、操作されたウイルス核酸中における少なくとも1つの改変の結果である。

いくつかの態様において、少なくとも1つの改善されたウイルス特性は、操作されたウイルス核酸中における少なくとも2つの改変の結果である。

いくつかの態様において、操作されたウイルス核酸中における少なくとも1つの改変は、1回の工学的ステップの結果である。

いくつかの態様において、操作されたウイルス核酸中における少なくとも1つの改変は、反復的な工学的ステップの結果である。

いくつかの態様において、改変の少なくとも1つは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号50または配列番号25に対して少なくとも85%の同一性を有する核酸配列中にある。

いくつかの態様において、改変の少なくとも1つは、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号5、配列番号48または配列番号49に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列中にある。

いくつかの態様において、操作されたウイルスゲノムは、LUZ19ゲノムに対して少なくとも85%の同一性を有するウイルスゲノムの全てまたは一部を含む。いくつかの態様において、操作されたウイルスゲノムは、異種gp18遺伝子の全てまたは一部を更に含む。いくつかの態様において、異種gp18遺伝子は、配列番号26に対して少なくとも85%の同一性を有する。いくつかの態様において、異種gp18遺伝子は、配列番号38に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列をコードする。

いくつかの態様において、操作されたウイルスゲノムは、LUZ19ゲノムに対して少なくとも85%の同一性を有するウイルスゲノムの全てまたは一部を含む。いくつかの態様において、操作されたウイルスゲノムは、操作されたgp34遺伝子の全てまたは一部を更に含む。いくつかの態様において、操作されたgp34遺伝子は、配列番号5のアミノ酸位置55に対応する位置に変異を含むアミノ酸配列をコードする。

いくつかの態様において、操作されたウイルスゲノムは、LUZ19ゲノムに対して少なくとも85%の同一性を有するウイルスゲノムの全てまたは一部を含む。いくつかの態様において、操作されたウイルスゲノムは、配列番号1、配列番号2、配列番号3及び配列番号50からなる群から選択される配列に対して少なくとも85%の同一性を有する1つ以上の配列中における改変を更に含む。いくつかの態様において、操作されたウイルスゲノムは、配列番号1に対して少なくとも85%の同一性を有する配列、配列番号2に対して少なくとも85%の同一性を有する配列、配列番号3に対して少なくとも85%の同一性を有する配列及び配列番号50に対して少なくとも85%の同一性を有する配列中のそれぞれにおける改変を更に含む。いくつかの態様において、改変は、配列番号1の核酸位置50に対応する位置でのGからAへの置換、配列番号50の核酸位置160に対応する位置でのGからTへの置換、配列番号2の核酸位置245に対応する位置でのAからGへの置換、配列番号2の核酸位置247〜248に対応する位置でのATからTCへの置換、及び配列番号3の核酸位置757に対応する位置でのAからGへの置換を含む。

いくつかの態様において、操作されたウイルスゲノムは、LUZ19ゲノムに対して少なくとも85%の同一性を有するウイルスゲノムの全てまたは一部を含む。いくつかの態様において、操作されたウイルスゲノムは、配列番号34、配列番号35、配列番号36及び配列番号48からなる群から選択される配列に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列をコードする1つ以上の核酸配列中における改変を更に含む。いくつかの態様において、操作されたウイルスゲノムは、配列番号34に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列、配列番号35に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列、配列番号36に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列及び配列番号48に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列のそれぞれをコードする核酸配列中における改変を含む。いくつかの態様において、改変は、配列番号34のアミノ酸位置17に対応する位置でのCからYへの置換、配列番号48のアミノ酸位置36に対応する位置でのDからYへの置換、配列番号35のアミノ酸位置82に対応する位置でのDからGへの置換、配列番号35のアミノ酸位置83に対応する位置でのIからSへの置換及び配列番号36のアミノ酸位置253に対応する位置でのNからDへの置換を含む。

いくつかの態様において、操作されたウイルスゲノムは、LUZ19ゲノムに対して少なくとも85%の同一性を有するウイルスゲノムの全てまたは一部を含む。いくつかの態様において、操作されたウイルスゲノムは、配列番号25に対して少なくとも85%の同一性を有する配列中における改変を更に含む。いくつかの態様において、改変は、配列番号25に対して少なくとも85%の同一性を有する配列への異種核酸分子の挿入、または配列番号25に対して少なくとも85%の同一性を有する配列中に含まれる配列の異種核酸分子による置換である。いくつかの態様において、異種核酸分子は、配列番号6、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19及び配列番号20からなる群から選択される配列に対して少なくとも85%の同一性を有する異種核酸配列を含む。

いくつかの態様において、操作されたウイルスゲノムは、LUZ19ゲノムに対して少なくとも85%の同一性を有するウイルスゲノムの全てまたは一部を含む。いくつかの態様において、操作されたウイルスゲノムは、配列番号49に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列中における改変を更に含む。いくつかの態様において、改変は、配列番号49に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列への異種核酸分子の挿入、または配列番号49に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列中に含まれる核酸配列の異種核酸分子による置換である。いくつかの態様において、異種核酸分子は、配列番号37、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46及び配列番号47からなる群から選択される配列に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列をコードする異種核酸配列を含む。

いくつかの態様において、操作されたウイルス核酸は、配列番号21に含まれる核酸配列またはその一部を含むプロモーターに作動可能に連結された異種核酸配列を含む。

いくつかの態様において、操作されたウイルス核酸は、配列番号22の核酸配列またはその一部を含むターミネーターに作動可能に連結された異種核酸配列を含む。

いくつかの実施形態において、本開示は、2つ以上の所望のウイルス特性を有する、目的の操作されたウイルスを作製するための方法を提供し、この方法は、(a)第1のウイルスゲノムを準備することと、(b)第1のウイルスゲノムの少なくとも1つの断片を少なくとも1つの修復核酸分子と結合して、第1のウイルスゲノムと比較して少なくとも1つの改変を含む第2のウイルスゲノムを作製することによって、操作されたウイルスゲノムを作製することを含み、第2のウイルスゲノムは、宿主細胞中に導入されると、2つ以上の改善されたウイルス特性を有するウイルス粒子を産生することができる。

いくつかの態様において、方法は、(c)ステップ(a)〜(b)を1回以上の反復で繰り返すことを更に含む。

いくつかの態様において、改善されたウイルス特性のそれぞれは、宿主域、ウイルス溶菌サイクル、吸着、付着、注入、複製及びアセンブリ、溶菌、放出数、免疫回避、免疫刺激、免疫不活性化、バイオフィルムの分散、細菌のファージ耐性、細菌の抗生物質感受性化、ビルレンス因子の調節、ならびに標的化された宿主ゲノム消化または編集からなる群から選択される。

いくつかの態様において、改善された1つの特性または改善された複数の特性及び改善された1つのウイルス特性または改善された複数のウイルス特性は、区別なく使用される。

いくつかの態様において、ステップ(b)における操作されたウイルスゲノムを作製することは、(1)エンドヌクレアーゼを使用した第1のウイルスゲノムの領域のインビトロ消化と、(2)消化された第1のウイルスゲノムの少なくとも1つの断片を少なくとも1つの修復核酸分子とアセンブルすることとを含む。

いくつかの態様において、第1のウイルスゲノムは、ウイルス粒子から単離される。

いくつかの態様において、第1のウイルスゲノムまたは少なくとも1つの修復核酸分子は、デノボ合成される。

いくつかの態様において、デノボ合成は、化学的に合成された核酸分子、PCR増幅核酸配列、単離された核酸分子の消化断片またはこれらの任意の組み合わせを結合することを含む。

いくつかの態様において、第1のウイルスゲノムまたは少なくとも1つの修復核酸分子は、インビトロ消化の前に増幅される。

いくつかの態様において、第1のウイルスゲノムは、少なくとも3kb、少なくとも10kb、少なくとも18kb,少なくとも25kbまたは少なくとも30kbである。

いくつかの態様において、アセンブリは、インビトロまたはインビボで実施される。

いくつかの態様において、アセンブリは、(a)3’エキソヌクレアーゼ活性を欠く単離された5’→3’エキソヌクレアーゼと、(b)3’エキソヌクレアーゼ活性を有する単離された非鎖置換型DNAポリメラーゼ、または当該DNAポリメラーゼ及び3’エキソヌクレアーゼ活性を欠く第2のDNAポリメラーゼの混合物と、(c)単離されたリガーゼと、(d)dNTPの混合物とを含む混合物を使用して、操作されたウイルスゲノムを含む組換え核酸を形成するための、消化されたウイルス核酸への断片の挿入に効果的である条件下で、インビトロで実施される。

いくつかの態様において、エンドヌクレアーゼは、RNA誘導型ヌクレアーゼである。

いくつかの態様において、方法は、少なくとも1つのガイドRNAを更に含む。

いくつかの態様において、RNA誘導型ヌクレアーゼは、Cas9またはCas9由来酵素であり、少なくとも1つのガイドRNAは、(1)キメラgRNA、または(2)crRNA及びtracrRNAを含む。

いくつかの態様において、エンドヌクレアーゼは、アセンブリの前に、熱不活性化されるか、または除去される。

いくつかの態様において、インビトロ消化は、スペルミジンを更に含む。

いくつかの態様において、方法は、操作されたウイルスゲノムにより宿主細胞を形質転換することを更に含む。

いくつかの態様において、方法は、操作されたウイルスゲノムをウイルス粒子内にパッケージングするためのインビトロパッケージングキットを使用することを更に含む。

いくつかの実施形態において、本開示は、本明細書で開示される方法のいずれかによって作製される操作されたウイルスを提供する。いくつかの態様において、操作されたウイルスは、本明細書で開示される操作されたウイルスのいずれかである。

いくつかの実施形態において、本開示は、操作されたウイルス核酸分子のためのキットを提供し、このキットは、(a)精製された組換えRNA誘導型ヌクレアーゼと、(b)3’エキソヌクレアーゼ活性を欠く単離された5’→3’エキソヌクレアーゼと、(c)3’エキソヌクレアーゼ活性を有する単離された非鎖置換型DNAポリメラーゼ、または当該DNAポリメラーゼ及び3’エキソヌクレアーゼ活性を欠く第2のDNAポリメラーゼの混合物と、(d)単離した耐熱性リガーゼとを含む。

いくつかの態様において、キットは、(1)クラウディング剤、(2)dNTPの混合物、及び(3)好適な緩衝液のうちの1つ以上を更に含む。

いくつかの態様において、キットは、個別化されたガイドRNAを更に含む。

いくつかの態様において、キットは、アセンブリ反応において挿入されるDNA断片として機能するための、個別化された合成核酸分子を更に含む。

いくつかの態様において、キットは、形質転換のためのコンピテント宿主細胞を更に含む。

いくつかの態様において、キットは、単離されたウイルスゲノム核酸を更に含む。

いくつかの実施形態において、本開示は、単離されたウイルス核酸と、組換えRNA誘導型ヌクレアーゼと、少なくとも1つのガイドRNAと、単離された核酸の消化部位に挿入される核酸断片とを含む、インビトロ操作されたウイルス核酸システムを提供する。

いくつかの態様において、システムは、組換えRNA誘導型ヌクレアーゼと少なくとも1つの標的指向RNAとが、単離されたウイルス核酸を消化できる複合体を形成するものである。

いくつかの態様において、システムは、スペルミジンを更に含む。

いくつかの態様において、システムは、3’エキソヌクレアーゼ活性を欠く単離された5’→3’エキソヌクレアーゼと、3’エキソヌクレアーゼ活性を有する単離された非鎖置換型DNAポリメラーゼ、または当該DNAポリメラーゼ及び3’エキソヌクレアーゼ活性を欠く第2のDNAポリメラーゼの混合物と、単離されたリガーゼと、dNTPの混合物とを更に含み、該システムは、組換えウイルス核酸を形成するための、RNA誘導型ヌクレアーゼの消化部位での単離されたウイルス核酸への核酸断片の挿入に効果的である条件下にある。

いくつかの態様において、本明細書に記載のシステムは、組換えウイルス核酸が、操作されていないウイルス核酸から生じるウイルス粒子と比較して少なくとも2つの改善されたウイルス特性を有する非天然ウイルス粒子を産生することができるようなものである。いくつかの例において、改善された1つのウイルス特性または複数の特性は、宿主域、ウイルス溶菌サイクル、吸着、付着、注入、複製及びアセンブリ、溶菌、放出数、免疫回避、免疫刺激、免疫不活性化、バイオフィルムの分散、細菌のファージ耐性、細菌の抗生物質感受性化、ビルレンス因子の調節、ならびに標的化された宿主ゲノム消化または編集からなる群から選択される。

いくつかの態様において、本明細書に記載のシステムにおいて、RNA誘導型ヌクレアーゼは、Cas9またはCas9由来酵素である。いくつかの態様において、RNA誘導型ヌクレアーゼは、アセンブリの前に不活性化されるか、または除去される。

いくつかの実施形態において、本開示は、核酸配列を操作する方法を提供し、この方法は、(a)核酸を準備することと、(b)RNA誘導型ヌクレアーゼを使用した核酸の領域のインビトロ消化と、(c)消化された核酸へのDNA断片の挿入による組換え核酸のアセンブリとを含み、アセンブリは、(i)3’エキソヌクレアーゼ活性を欠く単離された5’→3’エキソヌクレアーゼと、(ii)3’エキソヌクレアーゼ活性を有する単離された非鎖置換型DNAポリメラーゼ、または当該DNAポリメラーゼ及び3’エキソヌクレアーゼ活性を欠く第2のDNAポリメラーゼの混合物と、(iii)単離されたリガーゼと、(iv)dNTPの混合物とを含む成分の混合物を含む単一容器中で、組換え核酸を形成するための、消化された核酸への断片の挿入に効果的である条件下で、インビトロで実施される。

いくつかの態様において、RNA誘導型ヌクレアーゼは、Cas9またはCas9由来酵素である。いくつかの例において、RNA誘導型ヌクレアーゼは、アセンブリ前に、熱にさらすことにより不活性化されるか、または除去される。

いくつかの態様において、方法は、(d)組換え核酸による宿主細胞の形質転換を更に含む。

いくつかの態様において、本開示は、核酸を操作する方法を提供し、当該核酸は、宿主細胞から単離されたプラスミドである。いくつかの態様において、プラスミドは、少なくとも5kbである。いくつかの態様において、プラスミドは、少なくとも6kbである。いくつかの態様において、プラスミドは、少なくとも10kbである。いくつかの態様において、プラスミドは、少なくとも15kbである。いくつかの態様において、プラスミドは、少なくとも20kbである。

図1A〜1Fはウイルスゲノムを直接操作するためのインビトロプロセスの概略図を示す。A)当業者に知られている方法を利用して、精製されたウイルス粒子からゲノムを抽出する。灰色の線は、例示的なdsDNAウイルスゲノムを示す。ゲノム末端の薄い灰色の線は、多くのウイルスゲノムに共通して認められる定方向末端反復配列を表す。B)次いで、キメラgRNA、crRNA及びtracrRNA、またはcrRNA単独などの精製された標的指向RNAに連結されたCas9などのRNA誘導型ヌクレアーゼを使用して、1つ以上の位置でウイルスゲノムを部位特異的に消化する。図は、所定のRNAによって指定される、定められたウイルスゲノム位置を標的とするRNA誘導型ヌクレアーゼを示す。C)RNA誘導型ヌクレアーゼを、当該技術分野において知られている方法、例えば、限定するものではないが、熱への曝露を使用して不活性化し、及び/または古典的なフェノールクロロホルム抽出を使用して除去する。D)当該技術分野において知られている方法、例えば、限定するものではないが、インビトロ合成、増幅(PCR)、またはプラスミド、ウイルスもしくは細菌ゲノムDNA(gDNA)からの酵素による分離を使用してDNAまたはRNAインサートを得る。図は、RNA誘導型ヌクレアーゼ消化部位(複数可)(灰色の末端領域)を両端に有するウイルス配列に対応する相同領域を有する、新しく作製されたインサート(濃い灰色の線)を示す。E)当該技術分野において知られている方法、例えば、限定するものではないが、ギブソンアセンブリ、SLIC及び/またはゴールデンゲートアセンブリを使用して、消化されたウイルスゲノムと精製されたインサートとをインビトロでアセンブルする。図は、所望の位置に新しい挿入配列(濃い灰色の線)を有する、アセンブルされた組換えゲノムを表す。F)当該技術分野において知られている方法、例えば、限定するものではないが、エレクトロポレーションまたは化学的形質転換を使用して、組換えウイルスゲノムによる宿主細胞の形質転換を直接行う。図像は、感染性ウイルスゲノムによる感受性宿主細胞の形質転換後の機能性ウイルス粒子の回収を示す。

図2A〜2Fはウイルスゲノムのインビトロ工学を示す。A)ウイルス粒子からの約43kbのdsDNA LUZ19ウイルスゲノムの直接精製。B)RNA依存型ヌクレアーゼCas9とインビトロ転写されたgRNAとを使用した、gp7遺伝子断片を除去するための2つの別々の位置における精製ウイルスゲノムの部位特異的消化。C)PCRを使用してウイルスΦKF77由来のgp7遺伝子を増幅した。D)インビトロでのギブソンアセンブリを使用して、消化したLUZ19ゲノムにPCR増幅したΦKF77 gp7遺伝子断片をシームレスに配列特異的に組み込んだ。E)インビトロでアセンブルした感染性ゲノムで宿主細胞を直接形質転換し、プラーク形成によって明白に示される機能性ウイルス粒子を回収した。F)内側及び外側プライマーを使用して、ウイルスが正しいゲノム位置に新規DNA断片を含有していることをPCR検証した。試験したウイルスクローンの全てが、新しいインサートΦKF77 gp7断片についてPCR陽性であった(右側の7レーン)。

図3A〜3Bはインビトロウイルスゲノム工学後に改善されたウイルス特性を有するウイルスの作製を示す。A)天然LUZ19ウイルス、及び天然LUZ19 gp18配列の代わりにLKD16ウイルスgp18遺伝子を有する操作された誘導体の各ゲノムを示す図。黒色の矢印は天然LUZ19オープンリーディングフレームを示すのに対し、灰色の矢印は新しく組み込まれたLKD16 gp18遺伝子を示す。B)左:LUZ19及びLKD16ウイルスに感染した共通の宿主細菌及び独立の宿主細菌を示すベン図。282の緑膿菌(P.aeruginosa)臨床単離物の種々のコレクションを試験した。右:LKD16 gp18遺伝子を有する操作されたLUZ19ウイルスが、先にはLKD16にしか感染しなかった6株のうち3株を含む、拡大した宿主域を有することを示すベン図。

図4A〜4Cは遺伝因子の特定及び選択に使用したプロセス、ならびに宿主域拡大に必要な点変異、ならびにウイルス属の完全な宿主域に感染できる幅広い宿主域ウイルスの操作を示す概略図である。A)宿主域の特異性に関与する変異を特定するために使用したプロセスの概略図。B)幅広い宿主域のLUZ19(WHR LUZ19)ウイルスを作製するために必要なゲノム改変を示す概略図。アスタリスク(

*)は、宿主域に関連するそれぞれの点変異の位置を特定する。gp13 C17Y、gp18 D36Y、gp38 D82G及びI83Sならびにgp40 N253Dの表示は、LUZ19の宿主域拡大に関連した遺伝子産物及びアミノ酸点変異を表す。PA7245、PA7255、PA7410、PA7427、PA7503及びPA7686は、LKD16及びWHR LUZ19にのみ感受性のP.aeruginosa臨床単離物であり、PA7649は、ΦKMV及びWHR LUZ19にのみ感受性のP.aeruginosa臨床単離物である。所定の変異を付加した後に感染した臨床単離物は、その所定の変異の上に記載している。C)左:LUZ19、LKD16及びΦKMVウイルスに感染した共通の宿主細菌及び独立の宿主細菌を示すベン図。右:上記の点変異を有する操作されたWHR LUZ19ウイルスが、ΦKMV属のウイルスに感受性である67株全てに感染できることを示すベン図。

図5A〜5EはLUZ19 Gp34タンパク質の変異が溶菌活性を改善することを示す。A)LUZ19 Gp34タンパク質は、ウイルス尾部管状複合体の1つである(はめ込み図参照)。B)野生型LUZ19 Gp34またはGp34デルタロイシン55(L55Δ)変異(ファージ

*)のいずれかを発現する2つの関連ファージのための軟寒天プラークアッセイ。2日間にわたって画像を撮った。Gp34 L55Δ変異を発現するファージが溶解領域を増加したことを示している。C)クリスタルバイオレットの取り込みを尺度としてバイオフィルム生物量を外挿したクリスタルバイオレットバイオフィルムアッセイ。Gp34 L55Δを発現するLUZ19

*ファージは、野生型LUZ19と比較して、前もって8時間形成されたP.aeruginosaバイオフィルムを良好に破壊することができた。バイオフィルムを完全に除去するために、ゲンタマイシンを最少阻害濃度(MIC)の10倍で使用した。D)gp34変異の位置を野生型LUZ19ゲノムと比較して示す図。E)LUZ19とGp34 L55Δを発現するLUZ19との間の吸着及び放出数の差を示す表。

図6A〜6Fは2つの個別の特性改善を有するウイルスの反復的な工学を示す概略図である。A)野生型LUZ19 gp18遺伝子をLKD16ホモログに置き換えたLUZ19

LKD16gp18ウイルスgDNAの概略図。黒色は野生型LUZ19ゲノム配列、灰色はLKD16由来gp18。B)宿主域の統合を示す、精製された親ウイルス(LKD16及びLUZ19)及び操作されたウイルスLUZ19

LKD16gp18に対する実験室及びMDR臨床単離物の感受性。C)Gp34の位置55にコードされたロイシンを欠失させ、LUZ19 gp18をウイルスLKD16由来gp18に置換した、LUZ19

*

LKD16gp18ウイルスgDNAの概略図。黒色は野生型LUZ19ゲノム配列、灰色はLKD16由来gp18、灰色の星印はgp34

ΔLeu55を表す。D)LUZ19

LKD16gp18及びLUZ19

*

LKD16gp18ウイルスにおける宿主域の統合を示す、精製された親ウイルス(LKD16、LUZ19及びウイルスLKD16由来gp18を有するLUZ19

LKD16gp18)及び操作されたウイルス(GP34の位置55にコードされたロイシンの欠失を有するLUZ19

*及びLUZ19

*

LKD16gp18)に対する実験室及びMDR臨床単離物の感受性。E)ケラチノサイト単層に付着した細菌に対する野生型及び操作されたファージの溶菌活性の評価。細胞に付着しているPA01K及びPA7245細菌の数は、ケラチノサイト単層とともにインキュベートした全細菌のうちのパーセンテージとして報告した。データは、LUZ19

*及びLUZ19

*

LKD16gp18ウイルスの溶菌活性が改善したことを示している。F)親ウイルスと比較した、操作されたファージによるPAO1K及びPA7245の8時間初期バイオフィルム破壊の改善。バイオフィルムを完全に除去するために、ゲンタマイシンを最少阻害濃度の10倍で使用した。示したデータは、3連で実施した3回の個別の実験の代表値である。バーは平均±SEMを示す。

*P<0.01、

**P<0.001、

***P<0.0001。

図7A〜7Fは、2つの個別の特性改善を有するウイルスの反復的な工学の2つ目の例を示す概略図である。A)遺伝子コードされた種々のペイロードを改善されたgp49座位から発現するように操作したLUZ19の概略図。gp49遺伝子を主要カプシド(gp32)プロモーター及びターミネーター(P

gp32及びT

gp32)を両端に配した目的の遺伝子(GOI)を含有するカセットに置き換えた。使用したバイオフィルム分散GOI:EPSデポリメラーゼ(Pp15gp44−シュードモナス・プチダ(Pseudomonas pudita)φ15に由来する尾部スパイクgp44;NTUgp34−クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)ファージNTUH−K2044−K1−1(NTU)に由来する尾部スパイクgp34;LKA1gp49−P.aeruginosaファージLKA1に由来する尾部スパイクgp49)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)(PSMa)及び黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(PSMa3及びPSMb2)に由来するフェノール可溶性モルホリン界面活性剤、ならびにアグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス(Aggregatibacter actinomycetemcomitans)に由来するDspBサーファクチン。B)100ファージで3時間処理した24時間のP.aeruginosa PAO1Kバイオフィルムに対する操作されたLUZ19ファージの活性を示す、バイオフィルム分散アッセイ。ゲンタマイシンは、最少阻害濃度(MIC)の10倍で使用した。C)改変gp49座位からGOIを発現するように更に操作した、先に操作されたWHR LUZ19ファージの概略図。D)100ファージで3時間処理した24時間のP.aeruginosa PAO1Kバイオフィルムに対する活性を有する、酵素及びサーファクチンを発現するように更に改変した操作されたWHR LUZ19を示す、バイオフィルム分散アッセイ。操作されたペイロード:EPSデポリメラーゼPp15gp44及びSePSMa。ゲンタマイシンは、MICの10倍で使用した。E)バイオフィルム分散部分を発現するように更に操作した際の宿主域の統合及び保持を示す、精製された親(LKD16及びLUZ19)及びLUZ19誘導体に対する実験室及び臨床単離物の感受性。F)バイオフィルム分散ペイロードPp15gp44及びSePSMa付加後のWHR LUZ19宿主域の維持を示すベン図。

図8A〜8Cは、阻害濃度以下の抗生物質と組み合わせて、宿主細胞によるウイルス耐性の獲得を阻害できるウイルスの作製を示す概略図である。A)MS2またはPRR1ファージのいずれかに由来するリシンを発現するように操作された野生型LUZ19の概略図。B)及びC)ssRNAバクテリオファージ由来リシンを発現するLUZ19による、阻害濃度以下のカルベニシリン(Cb−1/5×MIC)に対するP.aeruginosa PAO1Kの感受性化を示すタイムキルアッセイ。これらのデータは、非天然リシンを発現する操作されたバクテリオファージを阻害以下の抗生物質濃度と組み合わせると、細菌が単一のウイルスに対する耐性を急速に獲得するのを防ぐことができることを実証している。

図9A〜9Dは、宿主細胞によるウイルス耐性の獲得を阻害できる2つ目のウイルスの作製を示す概略図である。A)改変gp49座位からバクテリオシンタンパク質PyoS5を発現するように操作された野生型LUZ19の概略図。B)XDRPA PA7416株の成長は、初めは野生型LUZ19によって阻害されたが、細菌は、急速にウイルスを回避し、細菌の再成長に至ることを示す、タイムキルアッセイ。約1×10

7cfuを各ウェルに加えた。指定のウイルスまたはビヒクルを高MOI=10pfu/cfu及び低MOI=0.01pfu/cfuで時間0hに加えた。C)野生型ウイルスと比較して、PyoS5コードLUZ19がXDRPA PA7416株の成長及び再成長を阻害できることを示す、タイムキルアッセイ。約1×10

7cfuを各ウェルに加えた。指定のウイルスまたはビヒクルを高MOI=10pfu/cfu及び低MOI=0.01pfu/cfuで時間0hに加えた。D)24時間後の野生型LUZ19またはLUZ19+pyoS5のいずれかの存在下におけるPA7416成長の比較。グラフは、低MOI実験のデータを示す。

2つ以上の特徴が改善した遺伝子的改変バクテリオファージを作製するために、標的化されたウイルスゲノム編集とバクテリオファージ表現型スクリーニングを統合したシステムの概略図である。このシステムは、所望の表現型形質を有する変異体または天然ウイルスをスクリーニング及び配列決定し、これらの形質を単回または複数回の工学的ステップで1つ以上のウイルス土台に組み込む反復的なラウンドに基づく。このプロセスは、特定のバクテリオファージ表現型形質の基となる遺伝因子を迅速に特定し、多数の個別の変異またはアレルを単一のバクテリオファージゲノムに組み込み、2つ以上の改善された特徴を併せ持つ操作されたウイルスを作製する、直接的かつ合理的な方法を提供する。

図11A〜11Gは、大腸菌(E.coli)ファージM13ゲノムのインビトロ工学を示す。A)E.coliテンペレートファージM13mp18及びM13

paprikaの概略図。B)RNA誘導型エンドヌクレアーゼCas9とともに個別の反応でgRNA1及び2を使用してインビトロ消化した環状M13ゲノムDNAのゲル電気泳動。ゲルの下にある図は、未消化の天然環状及び線状M13ゲノムと、2重消化されたM13ゲノムとをそれぞれ示している。これらのデータは、両方のgRNAがM13 dsDNAを正しい位置で正確かつ完全に消化することを実証している。C)gRNA及びRNA誘導型エンドヌクレアーゼCas9の両方を同じ反応で使用してインビトロ消化した環状M13ゲノムDNAのゲル電気泳動(2重消化)。ゲルの下にある図は、未消化の天然環状及び線状M13ゲノムと、2重消化されたM13ゲノムとをそれぞれ示している。D)パプリカ蛍光レポーターを含有するPCR作製したインサートを示すゲル電気泳動。E)機能性ウイルス粒子を回収するための、インビトロ消化してアセンブルした操作されたM13

paprikagDNAによるE.coli細胞の形質転換。M13は宿主細胞を溶解しないテンペレートファージバクテリオファージであるため、ウイルスプラークは薄く、ベール状であり、その結果プラーク形成が少ない。未消化のM13 gDNAをポジティブ対照として使用した。Cas9で消化し、インサートのない状態(インサートなし)でアセンブルしたM13 gDNAは、消化の完全性及び低レベルのバックグラウンドの両方を示している。F)M13

paprika工学のプラークPCR検証。フォワード及びリバースプライマーは、インサート相同領域の外側に設計した。操作されていないM13 gDNAは、0.9kbの産物をもたらし、PCR反応のネガティブ対照として使用した。G)プラーク形成中の親及び操作されたM13

paprikaの蛍光(下)及び明視野(上)の画像。

図12A〜12Eは、2つ目のE.coliファージゲノムのインビトロ工学を示す。A)E.coliファージλΔcIIの概略図。線状ファージゲノムは、48.5kbの大きさである。B)RNA誘導型エンドヌクレアーゼとともに個別の反応でgRNA1及び2を使用してインビトロ消化したλゲノムDNAのゲル電気泳動。ゲルの下にある図は、線状未消化物及び想定される消化生成物を示す。これらのデータは、両方のgRNAがλ dsDNAを正しい位置で正確かつ完全に消化することを実証している。C)gRNA及びRNA誘導型エンドヌクレアーゼの両方を同じ反応で使用してインビトロ2重消化したλゲノムDNAのゲル電気泳動。ゲルの下にある図は、線状未消化物及び想定される2重消化生成物を示す。D)野生型及び組換えファージゲノムをインビトロでパッケージングするためのファージλパッケージング緩衝液の使用を示す概略図。Cas9で2重消化し、アセンブルしたファージλゲノムを、製造業者のプロトコルに従ってインビトロでパッケージングし、E.coliで平板培養して、新しく操作されたλ ΔcIIファージを回収した。E)λ ΔcII遺伝子のPCR検証。フォワードプライマーは、操作領域の外側に位置した。欠失ポジティブクローンは、300bpの推定サイズを有する。

図13A〜13Dは、ヒトサイトメガロウイルスウイルス(HCMV)の配列のインビトロ工学を示す。A)235kbの完全長HCMVウイルスゲノムの概略図。上部のタバコ形状のゲノムは完全長ゲノムを表し、黒色の部分は操作領域を表す。小さな白色の部分は、本明細書に記載のインビトロ工学的方法を使用して付加される235bpの挿入部を表す。B)2つのgRNA及びRNA誘導型エンドヌクレアーゼCas9を使用してインビトロで2重消化した、17.8kbのHCMVゲノム領域を有するプラスミドのゲル電気泳動。ゲルの下にある図は、環状未消化物及び2重消化線状生成物を示す。これらのデータは、両方のgRNAがHCMV dsDNA配列を正しい位置で正確かつ完全に消化することを実証している。C)新しいRL13挿入配列を含有するPCR作製したインサートを示すゲル電気泳動。D)改変したHCMV配列のPCR検証。フォワードプライマーは、操作領域の外側に位置した。挿入ポジティブクローンは、500bpの推定サイズを有する。

図14A〜14Fは、ファージ末端の迅速な特定を示す。A)精製されたウイルス粒子からのゲノムDNAの単離。B)gDNAの次世代シーケンシング(MiSeqまたはPacBio)、及び元の配列を再構築するための高品質DNAリードのより長いアセンブリへの自動マージ。薄い灰色、DTR−定方向末端反復配列。自動アセンブリソフトウェアは、末端反復ゲノムのDTRをウイルス配列の内側領域に誤って配置する。ゲノム物理的末端を予測配列の標的化されたCas9消化によって確認する。C)ダブルカバレッジシーケンシング領域の特定と、密接に関連する末端反復ゲノムにマッチするBLASTの検索とに基づいた物理的ゲノム末端のインシリコ予測。物理的末端を予測物理的末端のCas9エンドヌクレアーゼ切断によって確認する。D)Cas9不活性化の後、ゲノム物理的末端に該当するDNA断片を精製し、配列決定する。E)物理的末端配列決定に基づいた正確なゲノムアセンブリ。F)インシリコゲノム再配置によって予測された特定位置でのCas9標的化消化を使用したLBL3及び14−1ファージ(末端反復ゲノム)のゲノム物理的末端マッピングの例。薄い灰色の矢印は、精製し、配列決定したDNA断片を指す。

図15A〜15Cは、キメラsgRNAの設計及び合成戦略の概略図を示す。A)目的の遺伝子(GOI)の両端に位置するNGG PAMモチーフ(濃い灰色の下線が付いた配列)及びsgRNA標的部位(薄い灰色の配列)の位置を示す図。黒色の配列は、残りのウイルスゲノム配列を表す。B)sgRNAのインビトロ転写用鋳型として使用したオリゴヌクレオチドの消化。T7プロモーターを構成する配列、sgRNA標的指向配列及び保存キメラsgRNA領域をそれぞれ下線付きの濃い灰色、薄い灰色及び黒字で表す。C)インビトロ転写されたキメラsgRNAの図。薄い灰色及び黒色の配列は、各機能性sgRNAを構成する標的指向及び保存キメラ領域をそれぞれ示す。Nは全て、各sgRNAの標的特異性を変更するために使用される可変配列を示す。

本開示は、インビトロ工学のための組成物及びその方法を提供し、更にウイルス特性の改善に関する。本開示は、核酸のインビトロ工学のための方法を更に提供する。

本組成物及び方法について記載する前に、本開示は、記載される特定の組成物、方法及び実験条件に限定されるものではなく、かかる組成物、方法及び条件は多様であり得ることを理解されたい。また、本開示の範囲は、添付する特許請求の範囲によってのみ限定されることから、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的にし、限定を意図するものではないことを理解されたい。

別途の定義がない限り、本明細書で使用される全ての科学技術用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されている意味と同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと同様または同等の任意の方法及び材料を本開示の実施または試験に使用することができるが、好ましい方法及び材料を以下に記載する。以下に記載する定義は、本開示を理解するためのものであるが、いかなる場合も、当業者が有する用語の理解に取って代わるものとみなされるべきでない。

本明細書及び添付する特許請求の範囲において使用される場合、単数形「ある」、「1つの」及び「その」は、文脈により別途明示される場合を除き、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「その方法」への言及は、本開示などを読むことによって当業者に明らかになるであろう、本明細書に記載される形態の1つ以上の方法及び/またはステップを含む。

本明細書で使用される場合、任意の数値を指すときの「約」または「およそ」という用語は、指定値のプラスまたはマイナス10%の値を意味することが意図される。例えば、「約50℃」(または「およそ50℃」)は、45℃以上〜55℃以下の温度範囲を包含する。同様に、「約100mM」(または「およそ100mM」)は、90mM以上〜110mM以下の濃度範囲を包含する。あるいは、「約」または「およそ」は、指定値の5%以内、ある場合には指定値の2.5%以内を意味し得、または「約」は、最も近い有効数字に丸められることを意味し得る。本出願中に記載される全ての範囲は、その範囲の上限及び下限の値を含む。

本明細書で使用される「細胞」、「細胞培養物」、「細胞株」、「組換え宿主細胞」、「レシピエント細胞」及び「宿主細胞」という用語は、初代対象細胞及びその任意の子孫を含み、継代数は問わない。全ての子孫が親細胞と正確に同一であるわけではないが(意図的なもしくは故意ではない変異または環境の違いによる)、このように変更された子孫は、当該子孫が元の形質転換細胞と同じ機能性を保持する限り、これらの用語に含まれることを理解されたい。

本明細書で使用される「アセンブリ」または「アセンブル」という用語は、DNAまたはRNA分子の連結を指す。

本明細書で使用される「修復核酸分子」という用語は、連続した核酸配列分子または閉じたプラスミドDNAを生成するために、1つ以上のDNA断片または消化もしくは切断されたDNAプラスミドもしくはDNA核酸分子とアセンブル可能である核酸分子を指す。

「デノボ合成」、「デノボアセンブリ」、「化学合成」及び「DNA合成」という用語は、既存の前駆体鋳型を必要とせずに核酸配列を作製する方法を指す。

「インビトロ」で実施される本発明の各方法において、タンパク質構成成分の全ては、単離され、及び/または実質的に精製される。インビトロでのアセンブリ反応は、生細胞中において、または細胞粗抽出物を使用して実施されるものではなく、この反応は細胞を含まない環境で実施される。

「機能性RNA分子」とは、1つ以上のタンパク質または核酸分子と相互に作用して、当該機能性RNAを産生する遺伝子以外の遺伝子または遺伝子産物の発現または活性に影響を与える構造的、触媒的または調節的機能を果たすか、あるいはそれらの機能に関与することができるRNA分子である。機能性RNAは、例えば、転移RNA(tRNA)、リボソームRNA(rRNA)、アンチセンスRNA(asRNA)、マイクロRNA(miRNA)、小ヘアピンRNA(shRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、CRISPRシステムのガイドRNA(gRNA)、クリスパーRNA(crRNA)もしくはトランス活性化型RNA(tracrRNA)、核小体低分子RNA(snoRNA)、piwi相互作用性RNA(piRNA)またはリボザイムであり得る。

「遺伝子」という用語は、ポリペプチドまたは発現されるRNAをコードする核酸分子(典型的にはDNAであるが、場合によりRNA)の任意のセグメントを指すために広く使用される。したがって、遺伝子は、発現されるRNAをコードする配列を含む(ポリペプチドコード配列を含み得、または例えば、リボソームRNA、tRNA、アンチセンスRNA、マイクロRNA、小ヘアピンRNA、gRNA、crRNA、tracrRNA、リボザイムなどの機能性RNAを含み得る)。遺伝子は、その発現に必要とされるか、または影響を与える調節配列のみならず、天然状態において、タンパク質またはRNAをコードする配列に関係する配列、例えば、イントロン配列、5’または3’非翻訳配列などを更に含み得る。いくつかの例において、遺伝子は、イントロンを含んでも含まなくてもよい、DNAまたはRNA分子のうちのタンパク質をコードしている部分のみを指す場合もある。遺伝子は、好ましくは50ヌクレオチド長超、より好ましくは100ヌクレオチド長超であり、例えば、100ヌクレオチド〜100,000ヌクレオチド長または約200ヌクレオチド〜約50,000ヌクレオチド長または約200ヌクレオチド〜約20,000ヌクレオチド長などの50ヌクレオチド〜500,000ヌクレオチド長であり得る。遺伝子は、目的の供給源からクローニングすること、または既知もしくは予測される配列情報から合成することを含め、種々の供給源から得ることができる。

「核酸」または「核酸分子」という用語は、DNAまたはRNA(例えば、mRNA)のセグメントを指し、また修飾骨格(例えば、ペプチド核酸、ロックド核酸)または修飾もしくは非天然ヌクレオ塩基を有する核酸も含む。核酸分子は、二本鎖または一本鎖であり得、遺伝子またはその一部を含む一本鎖核酸は、コード(センス)鎖または非コード(アンチセンス)鎖であり得る。

本明細書で使用される「コード配列」または「コード領域」という用語は、適切な発現制御配列の制御下に置かれ、かつ適切な細胞機構または酵素が存在するとき、転写されて、機能性RNA、またはポリペプチドに翻訳され得るRNA転写物を産生することができる核酸配列の領域を指す。「非コード配列」または「非コード領域」という用語は、転写及びアミノ酸に翻訳されない核酸配列の領域(例えば、イントロン、非翻訳領域など)、または転写されないか、もしくは成熟機能性RNA配列の少なくとも一部を形成しない核酸配列の領域を指す。

本明細書で使用される場合、「タンパク質」または「ポリペプチド」という用語は、単一の「ポリペプチド」及び複数の「ポリペプチド」を包含することが意図され、アミド結合(ペプチド結合としても知られる)により線状に連結した単量体(アミノ酸)から構成される分子を指す。「ポリペプチド」という用語は、2つ以上のアミノ酸の任意の単一または複数の鎖を指し、産生物の特定の長さを示すものではない。したがって、2つ以上のアミノ酸の単一または複数の鎖を指すために使用されるペプチド、ジペプチド、トリペプチド、オリゴペプチド、「タンパク質」、「アミノ酸鎖」または任意の他の用語は、「ポリペプチド」の定義内に含まれ、「ポリペプチド」という用語は、これらの用語のいずれかの代わりに、または区別なく、使用することができる。

核酸分子は、示された供給源「から得る」ことができ、これには、示された供給源からの核酸セグメントの単離(全部または一部)が含まれる。核酸分子はまた、例えば、示されたポリヌクレオチド供給源からの、または示されたポリヌクレオチド供給源に関連する配列に基づく、直接クローニング、PCR増幅または人工合成によって、示された供給源から得ることもできる。特定の供給源または種から得られた遺伝子または核酸分子は、供給源の核酸分子に対して配列改変を有する遺伝子または核酸分子も含む。例えば、供給源(例えば、特定の参照遺伝子)から得られた遺伝子または核酸分子は、供給源の遺伝子または核酸分子に対して、意図しないまたは故意に導入された1つ以上の変異を含み得る。置換、欠失または挿入を含む1つ以上の変異が故意に導入される場合、この配列変更は、細胞もしくは核酸のランダム変異もしくは標的化された変異によって、増幅もしくは他の分子生物学的技術によって、または化学合成、またはこれらの任意の組み合わせによって、導入することができる。機能性RNAまたはポリペプチドをコードする参照遺伝子または核酸分子から得られる遺伝子または核酸分子は、その参照もしくは供給源の機能性RNAもしくはポリペプチドまたはその機能性断片に対して、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する機能性RNAまたはポリペプチドをコードし得る。例えば、機能性RNAまたはポリペプチドをコードする参照遺伝子または核酸分子から得られる遺伝子または核酸分子は、その参照もしくは供給源の機能性RNAもしくはポリペプチドまたはその機能性断片に対して、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する機能性RNAまたはポリペプチドをコードし得る。

本明細書で使用される場合、「単離された」核酸またはタンパク質は、その天然環境またはその核酸もしくはタンパク質が本来存在する状況から取り出されたものである。例えば、単離されたタンパク質または核酸分子は、その自然環境または天然環境中において関連している細胞または生物から取り出されたものである。単離された核酸またはタンパク質は、場合により、部分的または実質的に精製され得るが、特定レベルの精製が単離に必要というわけではない。したがって、例えば、単離された核酸分子は、その核酸分子が本来組み込まれている染色体、ゲノムまたはエピソームから切り出された核酸配列であり得る。

「精製された」核酸分子もしくはヌクレオチド配列またはタンパク質もしくはポリペプチド配列は、細胞物質及び細胞構成成分を実質的に含まない。精製された核酸分子またはタンパク質は、例えば、緩衝液または溶媒以外の化学物質を含み得ない。「実質的に含まない」とは、新規核酸分子以外の他の成分が検出不可能であることを意味するものではない。

「天然(naturally−occurring)」及び「野生型」という用語は、自然中に認められる形態を指す。例えば、天然または野生型の核酸分子、ヌクレオチド配列またはタンパク質は、天然源中に存在し、天然源から単離することができ、人工的操作によって意図的に改変されていないものである。

本明細書で使用される場合、「発現」は、少なくともRNA産生レベルでの遺伝子の発現を含み、「発現産物」は、発現された遺伝子から生じた産生物、例えば、ポリペプチドまたは機能性RNA(例えば、リボソームRNA、tRNA、アンチセンスRNA、マイクロRNA、shRNA、リボザイムなど)を含む。「発現の増加」という用語は、mRNA産生の増加及び/またはポリペプチド発現の増加を促進する遺伝子発現の変化を含む。「産生の増加」は、タンパク質の存在量または遺伝子発現から生じる活性タンパク質の存在量、タンパク質代謝回転率、タンパク質活性化状態などに関するとき、ポリペプチドの天然での産生または酵素活性と比較した、ポリペプチド発現量、ポリペプチドの酵素活性レベルまたはその両方の組み合わせにおける増加を含む。

「外因性核酸分子」または「外因性遺伝子」とは、細胞またはウイルス中に導入された(「形質転換を生じさせた」)核酸分子または遺伝子を指す。形質転換された生物は、組換え細胞または組換えウイルスとも呼ばれることがあり、更なる外因性遺伝子(複数可)が導入されてもよい。核酸分子で形質転換された細胞またはウイルスの子孫も同様に、外因性核酸分子を受け継いでいるのであれば、「形質転換」または「組換え」と呼ばれる。外因性遺伝子は、形質転換される生物に対して、別の種に由来するもの(ゆえに「異種」)であっても、同じ種に由来するもの(ゆえに「同種」)であってもよい。「内因性」核酸分子、遺伝子またはタンパク質は、生物中に生じるか、または生物によって自然に産生される天然核酸分子、遺伝子またはタンパク質である。

更に、本明細書で遺伝子またはタンパク質との関連にて使用される「外因性」という用語は、宿主生物種に由来しない遺伝子またはタンパク質を指す。

本明細書で使用される「導入遺伝子」という用語は、外因性遺伝子、すなわち、人間の介入によって、微生物または前駆細胞中に導入された遺伝子を指す。

本明細書で使用される遺伝子またはタンパク質の「オルソログ」という用語は、別の種との機能的同等性を指す。

本明細書において遺伝子または種の名称の後の括弧内に概して記載される遺伝子及びタンパク質のアクセッション番号は、米国国立衛生研究所が管理する国立生物工学情報センター(NCBI)のウェブサイト(ncbi.nlm.nih.gov)で一般に入手できる、配列登録に対する固有の識別子である。「GenInfo Identifier」(GI)配列識別番号は、ヌクレオチドまたはアミノ酸配列に固有のものである。いかなるものであれ配列に変更がある場合には、新しいGI番号が付与される。特定のGenBank登録に表示される、配列の各種GI番号、更新番号及び更新日を追跡するには、配列更新履歴ツールを利用することができる。アクセッション番号及びGI番号に基づいて核酸もしくは遺伝子配列またはタンパク質配列を検索し、取得することは、当該技術分野、例えば、細胞生物学、生化学、分子生物学及び分子遺伝子学においてよく知られている。

本明細書で使用される場合、核酸またはポリペプチド配列に対する「同一性パーセント」または「相同性」という用語は、最大同一性パーセントを得るように配列をアラインメントし、必要に応じて、最大相同性パーセントを達成するようにギャップを導入した後の、既知のポリペプチドと同一である候補配列中のヌクレオチドまたはアミノ酸残基のパーセンテージとして定義される。N端末またはC端末の挿入または欠失は相同性に影響を及ぼすものと解釈されるものではなく、約30未満、約20未満または約10未満のアミノ酸残基のポリペプチド配列の内部の欠失及び/または挿入は相同性に影響を及ぼすものと解釈されるものではない。ヌクレオチドまたはアミノ酸配列レベルでの相同性または同一性は、配列類似性検索向けに作られた、blastp、blastn、blastx、tblastn及びtblastxの各プログラムが採用されているアルゴリズムを使用するBLAST(Basic Local Alignment Search Tool)解析によって決定することができる(Altschul(1997),Nucleic Acids Res.25,3389−3402,and Karlin(1990),Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87,2264−2268)。BLASTプログラムによって使用されるアプローチは、まず、クエリー配列とデータベース配列との間の類似セグメントをギャップありまたはなしで検討し、次いで、特定された全てのマッチの統計的有意性を評価し、最後に、事前に選択した有意性の閾値を満足するマッチのみをまとめることである。配列データベースの類似性検索における基本的事項の考察については、Altschul(1994),Nature Genetics 6,119−129を参照されたい。ヒストグラム、記述、アラインメント、期待値(すなわち、データベース配列に対するマッチを報告するための統計的有意性の閾値)、カットオフ、行列及びフィルター(低複雑度)の検索パラメーターは、デフォルト設定であり得る。blastp、blastx、tblastn及びtblastxによって使用されるデフォルトのスコア行列は、BLOSUM62行列(Henikoff(1992),Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89,10915−10919)であり、85を超える長さのクエリー配列(ヌクレオチド塩基またはアミノ酸)に推奨される。

ヌクレオチド配列を比較するために設計されたblastnの場合、スコア行列は、M(すなわち、一対のマッチ残基に対するリワードスコア)のN(すなわち、ミスマッチ残基に対するペナルティスコア)に対する比によって設定され、M及びNのデフォルト値は、それぞれ+5及び−4であり得る。4つのblastnパラメーターは、次のように調整することができる。Q=10(ギャップ生成ペナルティー)、R=10(ギャップ伸長ペナルティー)、wink=1(クエリーに沿ってwink番目の位置ごとにワードヒットを生成する)及びgapw=16(ギャップ付きアラインメントが生成されるウインドウ幅を設定する)。アミノ酸配列を比較する場合の同等のBlastpパラメーター設定は、Q=9、R=2、wink=1及びgapw=32であり得る。GCGパッケージバージョン10.0で使用可能な配列間のBestfit比較は、DNAパラメーター GAP=50(ギャップ生成ペナルティー)及びLEN=3(ギャップ伸長ペナルティー)を使用でき、タンパク質比較での同等設定は、GAP=8及びLEN=2であり得る。

したがって、本開示のポリペプチドまたは核酸配列に関するとき、完全長のポリペプチドもしくは核酸配列、または全タンパク質のうちの少なくとも100、少なくとも125、少なくとも150以上のアミノ酸残基の連続配列を含むその断片;かかる配列のバリアント(例えば、挿入及び置換を含有する本開示の配列(複数可)のN末端及び/もしくはC末端及び/またはその配列中に少なくとも1つのアミノ酸残基が挿入されている)に対して、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも70%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、または少なくとも85%、例えば、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の配列同一性または約100%の配列同一性が含まれる。企図されるバリアントは、追加的にまたは代替的に、例えば、相同組換えまたは部位特異的もしくはPCR変異導入による所定の変異を含有するもの、ならびに対応する他の種のポリペプチドまたは核酸(限定するものではないが、本明細書に記載されるものを含む)、挿入及び置換を含有するポリペプチドまたは核酸のファミリーのアレルまたは他の天然バリアント、及び/または誘導体であって、そのポリペプチドが、置換、化学的、酵素的または他の適切な手段によって、挿入及び置換を含有する天然アミノ酸以外の部分(例えば、酵素などの検出可能な部分)で共有結合的に修飾されている誘導体を含み得る。

「天然(native)」という用語は、宿主、生物またはウイルス中において自然に生じる核酸配列またはアミノ酸配列を指すために本明細書で使用される。「非天然」という用語は、宿主、生物またはウイルス中において自然に生じない核酸配列またはアミノ酸配列を指すために本明細書で使用される。細胞またはウイルスから取り出され、実験操作に供せられ、宿主細胞またはウイルス中に導入または再導入された核酸配列またはアミノ酸配列は、「非天然」とみなされる。宿主細胞またはウイルス中に導入された合成遺伝子または部分的合成遺伝子は、「非天然」である。非天然遺伝子は、ウイルスに対して内因性である遺伝子を含み、この遺伝子は、宿主ゲノムに組み換えられた1つ以上の異種調節配列に作動可能に連結されている。

「組換え」または「操作された」核酸分子は、人工的操作によって変更された核酸分子である。非限定的な例として、組換え核酸分子は、1)例えば、化学的または酵素的技術を使用して(例えば、化学的核酸合成の使用によって、または核酸分子の複製、重合、消化(エキソヌクレアーゼ性またはエンドヌクレアーゼ性)、連結、逆転写、転写、塩基修飾(例えば、メチル化を含む)、組込みもしくは組換え(相同及び部位特異的組換えを含む)のための酵素の使用によって)、インビトロで部分的または完全に合成されたまたは修飾された任意の核酸分子;2)天然では結合されていない、結合されたヌクレオチド配列を含む任意の核酸;3)分子クローニング技術を使用して、天然の核酸分子配列に対して1つ以上のヌクレオチドを欠くように操作された任意の核酸分子;及び/または4)分子クローニング技術を使用して、天然の核酸配列に対して1つ以上の配列変更または再編成を有するように操作された任意の核酸分子を含む。非限定的な例として、cDNAは、インビトロポリメラーゼ反応(複数可)によって作製された任意の核酸分子、またはリンカーが結合された任意の核酸分子、またはクローニングベクターもしくは発現ベクターなどのベクターに組み込まれた任意の核酸分子のような組換えDNA分子である。

本明細書で使用される「組換えタンパク質」という用語は、遺伝子工学によって産生されたタンパク質を指す。

生物またはウイルスに適用されるときの組換え、操作された、または遺伝子操作されたという用語は、生物またはウイルスへの異種または外因性(例えば、非天然)組換え核酸配列の導入によって操作された生物またはウイルスを指し、限定するものではないが、遺伝子ノックアウト、標的化された変異及び遺伝子置換、プロモーター置換、欠失または挿入、または生物もしくはウイルスへの核酸分子、例えば、導入遺伝子、合成遺伝子、プロモーターまたは他の配列の移入を含む。組換えまたは遺伝子操作された生物またはウイルスはまた、遺伝子「ノックダウン」のための構築物が導入された生物またはウイルスであり得る。このような構築物には、1つ以上のガイドRNA、RNAi、マイクロRNA、shRNA、siRNA、アンチセンス及びリボザイム構築物が挙げられるが、これらに限定されない。また、ゲノムがCasヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼまたはジンクフィンガーヌクレアーゼの働きによって変更された生物またはウイルスも含まれる。外因性または組換え核酸分子は、組換え/遺伝子操作されたウイルスもしくは生物のゲノム中に組み込まれ得るか、または他の場合には組換え/遺伝子操作されたウイルスもしくは生物のゲノム中に組み込まれない。本明細書で使用される場合、「組換えウイルス」または「組換え宿主細胞」は、本開示の組換えウイルスの子孫または誘導体を含む。変異または環境的影響のいずれかに起因して、ある種の改変が後の世代に生じ得るので、このような子孫または誘導体は、事実上、親細胞と同一ではないが、本明細書で使用される用語の範囲内になおも含まれる。

本明細書で使用される「工学的ステップ」という用語は、本明細書で開示されるまたは当該技術分野において知られている任意の工学的方法の実施を指す。例えば、「工学的ステップ」は、目的の工学的方法の単一ラウンド、例えば、本明細書で開示されるインビトロ工学的方法の単一ラウンド、1回のPCRによる変異導入または2つのDNA片を結合する1回のライゲーション反応などであり得る。同様に、「反復的な工学的ステップ」とは、2回以上連続して工学的方法を実施することを指す。

「異種」という用語は、ポリヌクレオチド、遺伝子、核酸、ポリペプチドまたは酵素に関して使用されるとき、宿主種に由来しないポリヌクレオチド、遺伝子、核酸、ポリペプチドまたは酵素を指す。例えば、本明細書で使用される「異種遺伝子」または「異種核酸配列」とは、それらが導入される宿主生物またはウイルスの種とは異なる種に由来する遺伝子または核酸配列を指す。遺伝子配列の発現を操作するために使用される遺伝子調節配列もしくは補助的核酸配列(例えば、5’非翻訳領域、3’非翻訳領域、ポリA付加配列、イントロン配列、スプライス部位、リボソーム結合部位、配列内リボソーム進入配列、ゲノム相同領域、組換え部位など)またはタンパク質ドメインもしくはタンパク質局在化配列をコードする核酸配列に関するときの「異種」とは、当該調節もしくは補助的配列またはタンパク質ドメインもしくは局在化配列をコードする配列が、当該調節もしくは補助的核酸配列またはタンパク質ドメインもしくは局在化配列をコードする核酸配列がゲノム、染色体またはエピソーム中で近接している遺伝子とは異なる供給源に由来することを意味する。したがって、その天然状態(例えば、遺伝子操作されていない生物またはウイルスのゲノム中)では作動可能に連結していない遺伝子に作動可能に連結されたプロモーターは、そのプロモーターが、連結される遺伝子と同じ種(または場合によっては同じ生物またはウイルス)に由来し得る場合であっても、本明細書において、「異種プロモーター」と呼ばれる。同様に、操作されたタンパク質のタンパク質局在化配列またはタンパク質ドメインに関するときの「異種」とは、当該局在化配列またはタンパク質ドメインが、遺伝子工学によって導入されるものとは異なるタンパク質に由来することを意味する。

「調節配列」、「調節エレメント」または「調節エレメント配列」とは、コード配列の上流(5’)、コード配列中、またはコード配列の下流(3’)に位置するヌクレオチド配列を指す。コード配列の転写及び/またはコード配列の転写から生じたRNA分子の翻訳は、典型的に、調節配列の有無の影響を受ける。これらの調節エレメント配列は、プロモーター、シスエレメント、エンハンサー、ターミネーターまたはイントロンを含み得る。調節エレメントは、特定のポリヌクレオチド配列に由来する非翻訳領域(UTR)から単離または特定することができる。本明細書に記載の調節エレメントのいずれかがキメラまたはハイブリッド調節発現エレメント中に存在し得る。本明細書に記載の調節エレメントのいずれかが本発明の組換え構築物中に存在し得る。

「プロモーター」、「プロモーター領域」または「プロモーター配列」という用語は、RNAポリメラーゼに結合して、5’末端から3’末端(「下流」)方向への遺伝子の転写を開始することができる核酸配列を指す。RNAポリメラーゼのプロモーターへの結合が遺伝子の転写の主原因であるとき、その遺伝子は、プロモーター「の制御下」にあり、またはプロモーター「によって制御」される。プロモーターまたはプロモーター領域は、典型的に、転写の適切な開始に必要なRNAポリメラーゼ及び他の因子の認識部位を提供する。プロモーターは、遺伝子のゲノムコピーの5’非翻訳領域(5’UTR)から単離することができる。あるいは、プロモーターは、合成的に作製されてもよいし、既知のDNAエレメントを変更することによって設計されてもよい。あるプロモーターの配列と別のプロモーターの配列とを組み合わせたキメラプロモーターも考えられる。プロモーターは、例えば、代謝、環境または発育条件に基づいた発現パターンによって定義することができる。プロモーターは、作動可能に連結された転写可能なポリヌクレオチド分子、例えば、コード配列の発現を調節するための調節エレメントとして使用することができる。プロモーターは、RNAポリメラーゼ及び好ましくは他の転写因子によって認識される配列に加えて、シスエレメントまたはエンハンサードメインなどの作動可能に連結された遺伝子の転写に影響を与える調節配列エレメントを含み得る。「ウイルスプロモーター」は、ウイルスゲノム内に位置する1つ以上の遺伝子の転写を開始する天然または非天然プロモーターである。

本明細書で使用される「構成性」プロモーターという用語は、ほとんどの環境及び発育条件下で活性であるプロモーターを指す。構成性プロモーターは、光及び培地組成などの外部環境にかかわらず活性である。いくつかの例において、構成性プロモーターは、栄養素の存在下及び非存在下で活性である。例えば、構成性プロモーターは、窒素枯渇条件下でも、窒素が制限されない条件(窒素充足条件)下でも活性である(プロモーターに作動可能に連結された遺伝子の転写を媒介する)プロモーターであってもよい。対照的に、「誘導性」プロモーターは、栄養素または制御因子の有無、光の存在などの特定の環境条件に応答して活性となるプロモーターである。

「作動可能に連結された」という用語は、本明細書で使用される場合、制御配列がポリヌクレオチド配列のコード配列に対して適切な位置に置かれ、これにより、当該制御配列がポリペプチド及び/または機能性RNA)のコード配列の発現を誘導または制御するような構成を指す。したがって、プロモーターは、そのプロモーターが核酸配列の転写を媒介するのであれば、核酸配列と作動可能に連結されている。宿主細胞中に導入されると、発現カセットは、適切な条件下で、コードされたRNAまたはポリペプチドの転写及び/または翻訳をもたらすことができる。翻訳されないまたは翻訳され得ないアンチセンスまたはセンス構築物は、この定義から除外されない。導入遺伝子の発現と内因性遺伝子の抑制(例えば、アンチセンスまたはRNAiによる)の両方の場合、当業者であれば、挿入されるポリヌクレオチド配列は、同一である必要はなく、由来する遺伝子の配列に対して実質的に同一であるだけでよいことを認識するであろう。本明細書で説明されるように、これらの実質的に同一のバリアントは、特定の核酸配列を参照することにより、具体的に対象として包含される。

本明細書で使用される「選択マーカー」または「選択マーカー遺伝子」という用語は、本発明の核酸構築物を用いてトランスフェクトまたは形質転換された細胞の選択を容易にするために細胞で発現される、細胞に表現型を付与する任意の遺伝子を含む。本用語はまた、当該表現型をもたらす遺伝子産物を指すために使用され得る。選択マーカーの非限定的な例には、1)アミカシン(aphA6)、アンピシリン(ampR)、ブラストサイジン(bls、bsr、bsd)、ブレオマイシンまたはフレオマイシン(ZEOCIN(商標))(ble)、クロラムフェニコール(cat)、エメチン(RBS14pまたはcry1−1)、エリスロマイシン(ermE)、G418(GENETICIN(商標))(neo)、ゲンタマイシン(aac3またはaacC4)、ハイグロマイシンB(aphIV、hph、hpt)、カナマイシン(nptII)、メトトレキサート(DHFRmtxR)、ペニシリン及び他のβ−ラクタム(β−ラクタマーゼ)、ストレプトマイシンまたはスペクチノマイシン(aadA、spec/strep)、及びテトラサイクリン(tetA、tetM、tetQ)などの抗生物質に対する耐性を付与する遺伝子;2)アミノトリアゾール、アミトロール、アンドリミド、アリールオキシフェノキシプロピオン酸、アトラジン、ビピリジリウム、ブロモキシニル、シクロヘキサンジオンオキシム ダラポン、ジカンバ、ジクロホップ(diclfop)、ジクロロフェニルジメチル尿素(DCMU)、ジフノン、ジケトニトリル、ジウロン、フルリドン、グルホシネート、グリホサート、ハロゲン化ヒドロベンゾニトリル、ハロキシホップ、4−ヒドロキシピリジン、イミダゾリノン、イソキサフルトール、イソオキサゾール、イソオキサゾリジノン、ミロアミドB、p−ニトロジフェニルエーテル、ノルフルラゾン、オキサジアゾール、m−フェノキシベンズアミド、N−フェニルイミド、ピノキサジン、プロトポルフィリノーゲンオキシダーゼ阻害剤、ピリダジノン、ピラゾリネート、スルホニル尿素、1,2,4−トリアゾールピリミジン、トリケトンまたは尿素などの除草剤に対する耐性を付与する遺伝子;アセチルCoAカルボキシラーゼ(ACCase);アセトヒドロキシ酸シンターゼ(ahas);アセト乳酸シンターゼ(als、csr1−1、csr1−2、imr1、imr2)、アミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ(apt)、アントラニル酸シンターゼ、ブロモキシニルニトリラーゼ(bxn)、シトクロムP450−NADH−シトクロムP450酸化還元酵素、ダラポン 脱ハロゲン化酵素(dehal)、ジヒドロプテロイン酸シンターゼ(sul)、5−エノールピルビルシキミ酸−3−リン酸シンターゼ(EPSPS)クラスI、EPSPS クラスII(aroA)、クラスI/II以外のEPSPS、グルタチオン還元酵素、グリホサートアセチルトランスフェラーゼ(gat)、グリホサート酸化還元酵素(gox)、ヒドロキシフェニルピルビン酸デヒドロゲナーゼ、ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ(hppd)、イソプレニルピロリン酸イソメラーゼ、リコピンシクラーゼ、ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ(pat、bar)、フィトエン不飽和化酵素(crtI)、プレニルトランスフェラーゼ、プロトポルフィリンオキシダーゼ、psbA光化学系IIポリペプチド(psbA)及びSMMエステラーゼ(SulE)スーパーオキシドジスムターゼ(sod);3)栄養要求性菌株にまたは他の代謝作用を付与するために使用され得る遺伝子、例えば、arg7、his3、hisD、hisG、lysA、manA、metE、nit1、trpB、ura3、xylAなど、ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子、マンノース−6−リン酸イソメラーゼ遺伝子、硝酸還元酵素遺伝子またはオルニチン脱炭酸酵素遺伝子;チミジンキナーゼなどの陰性選択因子;または2−デオキシグルコース耐性遺伝子などの毒素耐性因子が挙げられる。

「レポーター遺伝子」は、検出可能であるか、または検出可能な生成物を産生する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子である。レポーター遺伝子は、cat、lacZ、uidA、xylE、アルカリホスファターゼ遺伝子、α−アミラーゼ遺伝子、α−ガラクトシダーゼ遺伝子、β−グルクロニダーゼ遺伝子、β−ラクタマーゼ遺伝子、西洋ワサビペルオキシダーゼ遺伝子、ルシフェリン/ルシフェラーゼ遺伝子、R座遺伝子、チロシナーゼ遺伝子、または蛍光タンパク質、例えば、限定するものではないが、青色、シアン色、緑色、赤色、パプリカ色もしくは黄色蛍光タンパク質、光変換型、光切り替え型もしくは光学的ハイライター蛍光タンパク質、もしくはこれらのバリアントのいずれか、例えば、限定するものではないが、コドン最適化、迅速なフォールディング、単量体、安定性の増大及び蛍光の向上したバリアントをコードする遺伝子などの検出可能なシグナルを生じる可視マーカーまたは酵素をコードし得る。

本明細書で使用される「RNA誘導型ヌクレアーゼ」または「RNA誘導型エンドヌクレアーゼ」という用語は、1つ以上のガイドRNAによって切断標的部位に誘導される核酸切断酵素を指す。RNA誘導型ヌクレアーゼの非限定的な例には、Cas9、Cpf1、C2c1、C2c2及びC2c3が挙げられる。

本明細書で使用される「ターミネーター」または「ターミネーター配列」または「転写ターミネーター」という用語は、RNAポリメラーゼに転写を終了させる遺伝子配列の調節部分を指す。

本明細書で使用される「宿主細胞への導入」及び「形質転換」という用語は、1つ以上の物理的、化学的または生物学的方法を使用することによる、宿主細胞または生物への1つ以上の外因性核酸配列またはポリヌクレオチドの導入を指す。形質転換の物理的及び化学的方法(すなわち、「トランスフェクション」)には、非限定的な例として、エレクトロポレーション、パーティクルガン、化学的誘導コンピテンス及びリポソーム送達が挙げられる。形質転換の生物学的方法(すなわち、「形質導入」)には、ウイルスまたは微生物(例えば、アグロバクテリウム)を使用したDNAの移行を含む。

本明細書で使用される場合、ゲノムを「設計する」ことは、目的とする最終ゲノムの所望の核酸配列を決定することを指す。設計は、基本的な知識、文献源、実験データまたはこれらの任意の組み合わせから知ることができる。

本明細書で使用される場合、核酸分子、タンパク質、ウイルス粒子またはこれらの組み合わせに関するときの「組換え」または「操作された」とは、人工的操作によって作製された非天然核酸分子、タンパク質、ウイルス粒子またはこれらの組み合わせを意味する。非限定的な例として、組換えまたは操作された核酸分子は、1)例えば、化学的または酵素的技術を使用して(例えば、化学的核酸合成の使用によって、または核酸分子の複製、重合、消化(エキソヌクレアーゼ性またはエンドヌクレアーゼ性)、連結、逆転写、転写、塩基修飾(例えば、メチル化を含む)、組込みもしくは組換え(相同及び部位特異的組換えを含む)のための酵素の使用によって)、インビトロで部分的または完全に合成されたまたは修飾された任意の核酸分子;2)天然では結合されていない、結合されたヌクレオチド配列を含む任意の核酸分子;3)分子クローニング技術を使用して、天然の核酸分子配列に対して1つ以上のヌクレオチドを欠くように操作された任意の核酸分子;及び/または4)分子クローニング技術を使用して、天然の核酸配列に対して1つ以上の配列変更または再編成を有するように操作された任意の核酸分子を含む。非限定的な例として、cDNAは、インビトロポリメラーゼ反応(複数可)によって作製された任意の核酸分子、またはリンカーが結合された任意の核酸分子、またはクローニングベクターもしくは発現ベクターなどのベクターに組み込まれた任意の核酸分子のような組換えDNA分子である。組換えまたは操作されたRNAまたはタンパク質は、組換えまたは操作された核酸分子からそれぞれ転写または翻訳されたものである。組換えまたは操作されたウイルス粒子またはウイルスは、操作されたウイルス配列またはウイルスゲノムから作製されたものである。

「ウイルスゲノム」という用語は、遺伝子及び非コード配列を含む、ウイルス粒子中の1つ以上のDNAまたはRNA分子中に含まれる完全な遺伝子相補体を指す。「操作されたウイルスゲノム」という用語は、人工的操作の結果であり、かつ適合性のある宿主細胞中に導入されると非天然ウイルス粒子を産生することができる、非天然ウイルスゲノムを指す。

「ウイルス核酸」という用語は、ウイルスゲノムに由来する配列を含む核酸を指す。「ウイルス核酸」は、全ウイルスゲノムまたはウイルスゲノムの一部を含み得る。ウイルス核酸は、ウイルスタンパク質を含むアミノ酸配列をコードし得る。場合によっては、所定のウイルスのオープンリーディングフレームによってコードされた完全な成熟タンパク質またはポリペプチド配列は、定義または特徴付けされなくてもよい。変異(変更、欠失または置換など)または異種配列の挿入に適した部位を含み得るウイルス核酸配列によってコードされた本明細書で提供されるアミノ酸配列は、ウイルスポリペプチドまたはウイルスタンパク質の全部または一部を含み得るコード化アミノ酸配列として本明細書で開示され得る。

「ウイルス粒子」及び「ビリオン」という用語は、ウイルスが感染細胞の内部以外に存在する間、または細胞に感染する過程中にみられる独立した形態を指す。これらのウイルス粒子(ビリオン)は、カプシドと呼ばれるタンパク質コートに囲まれた、DNAまたはRNAゲノムのいずれかから構成される。いくつかのビリオンはまた、カプシドタンパク質コートの内側または外側のいずれかに更なる脂質エンベロープを有する。「ウイルス粒子」、「ビリオン」及び「ウイルス」という用語は、区別なく使用することができる。

本明細書で使用される「ウイルス特性」という用語は、ウイルスの複製もしくは生活環のいずれかの側面またはウイルスの複製もしくは生活環から生じる側面を指す。本明細書で使用される場合、「ウイルス特性」とは、多くの場合、所望の結果を達成するために人間の介入によって変更または操作することができる特性を指す。ウイルス特性の非限定的な例には、宿主域、ウイルス溶菌サイクル、吸着、付着、注入、複製及びアセンブリ、溶菌、放出数、免疫回避、免疫刺激、免疫不活性化、バイオフィルムの分散、細菌のファージ耐性、細菌の抗生物質感受性化、ビルレンス因子の調節、ならびに標的化された宿主ゲノム消化または編集が挙げられる。いくつかの態様において、改善された1つの特性または改善された複数の特性及び改善された1つのウイルス特性または改善された複数のウイルス特性は、区別なく使用される。

「バクテリオファージ」及び「ファージ」という用語は、区別なく使用することができ、細菌に感染するウイルスを指す。

CRISPRシステム CRISPR(クラスター化された規則的な間隔のある短い回文の繰り返し配列)は、塩基配列の短い反復を含有するDNA座位である。各反復の後には、可動性遺伝因子への過去の曝露に由来する「スペーサーDNA」の短いセグメントが続く。CRISPRは、配列決定された細菌ゲノムの約40%及び配列決定された古細菌の90%にみられる。CRISPRは、多くの場合、CRISPR機能に関係するタンパク質をコードするCRISPR関連(cas)遺伝子を伴う。CRISPR−Casシステムは、原核生物の免疫システムであり、プラスミド及びファージなどの外来遺伝因子に対する耐性を付与し、獲得免疫の形成をもたらす。CRISPRスペーサーは、短いcrRNAをコードし、この配列により、標的配列にCasエンドヌクレアーゼを特異的に誘導し、真核生物におけるRNAiと類似の方法でこれらの外因性遺伝因子を切断する。

遺伝子編集及び遺伝子調節には多くの種でII型CRISPR−Casシステムが使用されている。これらのシステムは、1つのCasエンドヌクレアーゼ(Cas9)と標的指向crRNAを要するだけなので、特に有用である。天然の系では、エンドヌクレアーゼCas9は、活性化のために、個別に転写される2つのRNAを必要とするが、これらの2つのRNAを共有結合させて1つのキメラgRNAを形成することもできる。Cas9タンパク質及び適切なgRNAが細胞中に送達されると、生物のゲノムは、任意の所望の位置で切断され得る。CRISPR−Casシステムは、ウイルス、プラスミド及び他の可動性遺伝因子に対する保護をもたらすRNA誘導型防御システムを構成する。この防御経路は、3つのステップを有する。まず、侵入した核酸のコピーがCRISPRアレイ中に組み込まれる。次に、CRISPRアレイが長いCRISPR転写物に転写され、その後プロセッシングされて成熟crRNAになる。次いで、crRNAは、エフェクター複合体に組み入れられ、crRNAは、侵入した核酸へこの複合体を誘導し、Casタンパク質がこの核酸を分解する。上述のように、天然のII型CRISPR−Casシステムは、Cas9の活性化を可能にするために、トランス活性化型crRNA(tracrRNA)とpre−crRNAの両方を要する。tracrRNAは、pre−crRNAと相補的であるため、塩基対となり、RNA二本鎖を形成する。これがRNA特異的リボヌクレアーゼであるRNase IIIにより切断され、crRNA/tracrRNAハイブリッドを形成する。このハイブリッドは、Cas9エンドヌクレアーゼのガイドとして機能し、Cas9エンドヌクレアーゼは、侵入した核酸を切断して侵入DNAの二本鎖を分解し、宿主細胞を保護する。Cas9による切断は、標的核酸中のプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)の存在に厳密に依存する。ガイドRNAによって定められた特定部位で切断するようにCas9をプログラムできることにより、Cas9は、ゲノム工学及び遺伝子調節のための多機能プラットフォームとして採用されるに至っている。ゲノム工学の当該方法は、2014年3月6日に公開された米国特許出願公開第2014/0068797号、2014年6月19日に公開された同第2014/0170753号、ならびに2014年9月18日に、ともに公開された同第2014/0273037号及び同第2014/0273226号に記載されており、これらの全てを参考として援用する。

ゲノム工学に使用することができるプログラム可能な他のCRISPR−Casシステムも記載されており、Cpf1、C2c1、C2c2及びC2c3システムが含まれる。Cpf1システムは、V型CRISPRシステムであり、1つの標的指向ガイドRNAによる粘着末端DNA切断を媒介する(Zetsche et al.,Cell(2015)163,1−13)(参考として援用する)。C2c1及びC2c3はともにV型CRISPRシステムであり、C2c2は、VI型CRISPRシステムであることが提案されている(Shmakov et al.,Molecular Cell(2015)60,1−13)(参考として援用する)。

DNAアセンブリ 遺伝子工学の際のDNAのアセンブリについては、当該技術分野において知られている様々な方法がある。Gibson,D.G.,et al.,“Complete chemical synthesis,assembly,and cloning of a Mycoplasma genitalium genome”Science(2008)319:1215−1220(参考として援用する)及びPCT国際公開第2009/103027号(参考として援用する)に記載されているように、M.genitaliumゲノムの各部分をアセンブルするために、サーマルサイクラーによる2ステップ法が使用された。別のアプローチについては、Li,M.Z.,et al.,Nature Meth.(2007)4:251−256(参考として援用する)により記載されている。PCT国際公開第2006/021944号(参考として援用する)には、T7 5’エキソヌクレアーゼ及び一本鎖DNA結合タンパク質を利用する1ステップアセンブリ法が開示されている。ハイスループットスクリーニングに使用される化合物のアセンブリのためのコンビナトリアル手法は、今では定着している。加えて、コード配列をランダムに断片化し、再度アニーリングを行う遺伝子シャッフリング手法も長年にわたり実施されている。例えば、キメラ遺伝子断片のライブラリーを作製するためのプロトコルは、Meyer,M.,et al,“Combinatorial Recombination of Gene Fragments to Construct a Library of Chimeras”Current Protocols in Protein Science(2006)26.2.1−26.2.17;McKee,A.E.,et al.,JBEI abstractに記載されている。種々の構成成分を完全なまたは最小のゲノムにアセンブルするための手法は、確立されている。例えば、2007年11月15日に公開された米国特許出願公開第2000/0264688号(参考として援用する)は、ゲノムの各部分を含むカセットを作製及びアセンブルすることによって、合成ゲノムを構築するための方法について記載している。核酸をアセンブルする順次的な階層的方法については、2007年1月4日に公開された米国特許出願公開第2007/004041号(参考として援用する)に記載されている。

更に、2010年2月11日及び2012年3月1日にそれぞれ公開された米国特許出願公開第2010/0035768号及び同第2012/0053087号には、DNAのアセンブリのための単一容器法が記載されている(両出願を参考として援用する)。この方法は、ギブソンアセンブリ法と呼ばれており、断片の長さまたは末端適合性に関係なく、多数のDNA断片のアセンブリを首尾良く行うことができる。ギブソンアセンブリ反応は、3つの酵素作用:5’エキソヌクレアーゼが長い突出部を生成すること、ポリメラーゼが、アニーリングされた一本鎖領域のギャップを埋めること、及びDNAリガーゼが、アニーリングされ埋められたギャップのニックを閉じることを使用して、等温条件下で単一のチューブ中で実施される。本方法は、広く採用されており、世界中の合成生物学プロジェクトにおいて主要な中心的手法である。本方法を適用して、600個の重複する60-merから16.3kbのマウスミトコンドリアゲノムがアセンブルされた。酵母菌中でのインビボアセンブリと組み合わせて、ギブソンアセンブリを使用し、1.1Mbpのマイコプラズマ・ミコイデス(Mycoplasma mycoides)ゲノムが合成された。合成されたゲノムは、M.カプリコルム(capricolum)レシピエント細胞に移され、新たな自己複製M.mycoides細胞が作製された。5’エキソヌクレアーゼ作用が5’末端配列をチュウバックし、アニーリングのための相補配列を露出させる。次いで、ポリメラーゼ活性が、アニーリングされた領域のギャップを埋める。その後、DNAリガーゼがニックを閉じ、DNA断片を共有結合させる。隣接する断片の重複配列は、ゴールデンゲートアセンブリで使用されるものよりも非常に長いことから、正確なアセンブリの割合がより高くなる。

ウイルス ウイルスは、一般の顕微鏡では見えないほど微小で、代謝的に不活性な感染因子であり、生きている宿主細胞の内部でのみ複製する。ウイルスは、動物、植物真菌、藻、細菌及び古細菌を含む全ての種類の生命体に感染し得る。感染細胞の内部以外にある間、または細胞に感染する過程中、ウイルスは、独立した粒子の形態で存在する。これらのウイルス粒子(ビリオン)は、カプシドと呼ばれるタンパク質コートに囲まれた、DNAまたはRNAゲノムのいずれかから構成される。いくつかのビリオンはまた、カプシドタンパク質コートの内側または外側のいずれかに更なる脂質エンベロープを有する。

2つのウイルス複製サイクルがあるが、その用語は、原核生物と真核生物のウイルス分野で異なる。潜在性または溶原性ウイルスは、ウイルス遺伝物質を宿主細胞のゲノムに組み入れるか、またはエピソームレプリコンを形成する。宿主細胞が複製すると、ウイルス遺伝物質も複製され、ウイルス産生の開始まで宿主ゲノムと別々に存在し続ける。ウイルス産生の開始及び細胞死が溶菌サイクルまたはビルレントサイクルの指標である。溶菌サイクル中、ウイルスゲノムは、宿主ゲノムとは別に複製され、多くのウイルスを生成するために、細胞の複製及び翻訳機構を乗っ取る。十分なウイルスが蓄積され次第、特殊なウイルスタンパク質が宿主細胞の壁及び/または膜を溶解する。宿主細胞は、高い内部浸透圧によって破裂する。このプロセスは溶菌と呼ばれる。これにより、子孫ウイルスが環境中に放出され、そこで他の細胞に感染し、このプロセスを繰り返す。ビルレントウイルスは、潜伏状態または溶原状態に入らないものであり、その代わりに、宿主細胞の機構を乗っ取ることによってのみ複製する(テンペレートウイルスとは対照的に、潜伏状態に入らない)。

ウイルス変異研究 ウイルス変異研究とは、本明細書で使用される場合、急速な進化、適応及び/またはランダムもしくは特異的変異導入の研究を指し、これらの用語は区別なく使用され得る。進化及び/または適応研究は、特定の特徴または特定の条件下におけるウイルスの選択を含む。これらの方法は、ウイルス複製に固有の天然に高い変異率により多くのウイルス多様性をもたらすため、ウイルスに特に有用である。例えば、菌株は、高温の条件下で進化し、これらの条件下での生存及び増殖を促進する分子変化を観察することができる。非限定的な例として、ウイルスまたはバクテリオファージ実験の進化または適応を使用することで、宿主域、ウイルス溶菌サイクル、吸着、付着、注入、複製及びアセンブリ、溶菌、放出数、免疫回避、免疫刺激、免疫不活性化、バイオフィルムの分散、細菌のファージ耐性、細菌の抗生物質感受性化、ビルレンス因子の調節、または標的化された宿主ゲノム消化もしくは編集に関して変化を有するバリアントを選択することができる。ウイルスの進化または適応実験の非限定的な例には、同時感染、共進化または同時形質転換の実験が挙げられる。同時感染とは、2つ以上のウイルスが同じ宿主に同時に感染することを指し、これにより、多くの場合、2つ以上のウイルス間で遺伝子の交換がなされる。共進化とは、2つ以上のウイルスまたはバクテリオファージ間での組換えが許容性または非許容性の宿主内で生じる研究を指し、これにより、異なるウイルス特性、例えば、より広い宿主域を有する新しいウイルスまたはバクテリオファージのアセンブリが生じる。同時形質転換とは、2つの裸のゲノムにより、許容性または非許容性の菌株中で一緒に形質転換を起こす場合を指す。これらの進化または適応実験のいずれも、許容性(感受性)または非許容性(耐性)宿主で実施することができる。この種の実験は、多くの場合、1つ以上の他の選択されたウイルスの非存在下または存在下で、選択された宿主中でウイルスを複数回継代することを含む。ウイルスは、多数のバリアントをもたらす変異を獲得する。継代を通して、ある特定のバリアントが継代及び選択条件に基づいて濃縮される。

変異導入は、任意の方法、例えば、挿入変異導入、化学的変異導入、ガンマ線もしくは紫外線での照射、またはPCRによる変異導入によってなされ得る。ゲノム配列の変異またはバリアントを作製する方法は、よく知られている。例えば、ガンマ線照射、紫外線照射及び可能性のある多数の化学的変異誘発物質(例えば、5−ブロモデオキシウリジン、メタンスルホン酸エチル(EMS)、メタンスルホン酸メチル(MMS)、硫酸ジエチル(DES)、ニトロソグアニジン(NTG)、ICR化合物など)のいずれかによる処理または染色体切断を引き起こすエンジイン抗生物質などの化合物(例えば、ブレオマイシン、アドリアマイシン、ネオカルジノスタチン)による処理は、藻、真菌及びツボカビ門の変異導入のために使用されている方法である(例えば、米国特許第8,232,090号;米国特許出願公開第20120088831号;米国特許出願公開第20100285557号;米国特許出願公開第20120258498号参照)。多数の化学的変異誘発物質が当該技術分野において知られており、限定するものではないが、インターカレート剤、アルキル化剤、脱アミノ化剤、塩基類似体を含む。インターカレート剤には、非限定的な例として、アクリジン誘導体またはフェナントリジン誘導体、例えば、臭化エチジウム(2,7−ジアミノ−10−エチル−6−フェニルフェナントリジウムブロミドまたは3,8−ジアミノ−5−エチル−6−フェニルフェナントリジニウムブロミドとしても知られる)などが挙げられる。アルキル化剤の非限定的な例には、ニトロソグアニジン誘導体(例えば、N−メチル−N’−ニトロ−ニトロソグアニジン)、メタンスルホン酸エチル(EMS)、エタンスルホン酸エチル、硫酸ジエチル(DES)、メタンスルホン酸メチル(MMS)、亜硝酸またはHNO2及びナイトロジェンマスタードまたはICR化合物が挙げられる。変異誘発物質として使用され得る塩基類似体の非限定的な例には、化合物の5−ブロモ−ウラシル(デオキシヌクレオシドの5−ブロモデオキシウリジンとしても知られる)、5−ブロモデオキシウリジン及び2−アミノプリンが挙げられる。PCRによる変異導入方法は、当該技術分野においてよく知られており、反応条件、及び/またはPCR増幅全体のエラー率を上げるDNAポリメラーゼを含むことが多い。

変異導入は、追加的にまたは代替的に、後続して生じる目的のウイルスゲノムへの組換えのために、外因性核酸分子をウイルスゲノムまたは宿主細胞へ直接導入することを含み得る。例えば、宿主細胞中に導入される外因性核酸分子は、ランダムなまたは標的化された組込みによってウイルス遺伝子座に組み込むことができ、外来DNAが挿入する遺伝子またはゲノム中に挿入される外来DNAに近接する遺伝子の発現に影響を与える(例えば、米国特許第7,019,122号;米国特許第8,216,844号)。典型的に、導入される核酸分子は、外因性核酸分子構築物を組み込んだ形質転換体を選択するための選択マーカー遺伝子を含む。いくつかの実施形態における外因性核酸分子は、転移因子またはその構成要素、例えば、トランスポザーゼによって認識され得る逆向き反復配列及び/またはトランスポザーゼをコードする遺伝子などを含み得、あるいは、外因性核酸分子は、組込みウイルスなどのウイルスに少なくとも部分的に基づき得る。

ランダム挿入変異導入の場合、構築物は、好ましくは、組み込まれた構築物を有する形質転換体の選択に使用することができる選択マーカーを含み、この選択マーカーは、必要に応じて、組み込まれた選択マーカー遺伝子によって中断された遺伝子の単離及び特定のための分離マーカー及び分子タグとしても機能し得る。選択マーカーは、抗生物質耐性遺伝子に限定されず、ウイルスに対して成長上の利点をもたらし得る任意の遺伝子(確立された機能及び仮定的な機能の両方の遺伝子)も含む。あるいは、特定の遺伝子座を標的にしてもよい。遺伝子破壊のための構築物は、例えば、目的の遺伝子座に由来する配列、例えば、調節因子をコードする遺伝子の少なくとも一部、及び任意に当該遺伝子周辺の追加のゲノム配列が両端に配置された選択マーカー遺伝子を含み得る。このようなフランキング配列は、例えば、少なくとも50ヌクレオチド、少なくとも100ヌクレオチド、少なくとも500ヌクレオチドまたは少なくとも1キロベースのゲノム配列を含み得る。

ウイルスバリアントのコレクションは、上記方法、当該技術分野において知られている他の方法またはこれらの任意の組み合わせのいずれかによって作製することができる。次いで、バリアントのコレクションは、所望の表現型についてスクリーニングすることができる。所望の表現型(複数可)を有する単離ウイルスは、更にもう1度、変異研究に供されてもよい。所望の特性または表現型を示す単離ウイルスは、追加的にまたは代替的に、所望の特性または表現型に関与する遺伝子変異を特定するために、配列決定を行ってもよい。これらの特定された遺伝子損傷は、新たな基準バックグラウンドで変異を再現し、所望の特性または表現型について試験を行うことによって確認することができる。

ウイルスペイロード 溶菌酵素 「溶菌酵素」は、好適な条件下で、適切な時間の間に、1つ以上の細菌を殺傷する任意の細菌細胞壁溶菌酵素を含む。溶菌酵素の例には、限定するものではないが、種々の細胞壁アミダーゼが挙げられる。溶菌酵素は、バクテリオファージ溶菌酵素(バクテリオファージから抽出または単離された溶菌酵素を指す)または類似のタンパク質構造を有し、溶菌酵素機能を保持する合成溶菌酵素であってよい。

溶菌酵素は、細菌細胞のペプチドグリカンに存在する結合を特に切断することができ、細菌細胞壁を破壊する。また現在では、細菌細胞壁のペプチドグリカンは、大部分の細菌で高度に保存されており、わずかな結合切断のみで細菌細胞壁を破壊することができると想定されている。これらの結合を切断する溶菌酵素の例は、ムラミダーゼ、グルコサミニダーゼ、エンドペプチダーゼまたはN−アセチル−ムラモイル−L−アラニンアミダーゼである。Fischettiら(1974)は、C1連鎖球菌ファージリシン酵素がアミダーゼであることを報告した。Garciaら(1987、1990)は、Cp−1ファージのS.ニューモニエ(pneumoniae)に由来するCplリシンがリゾチームであることを報告した。Caldentey及びBamford(1992)は、シュードモナス(Pseudomonas)ファージΦ6の溶菌酵素がエンドペプチダーゼであり、メソ−ジアミノピメリン酸及びD−アラニンによって形成されたペプチド架橋を分裂させることを報告した。E.coliファージT1及びT6溶菌酵素は、リステリア(Listeria)ファージ由来の溶菌酵素(ply)(Loessner et al.,1996)と同様にアミダーゼである。細菌細胞壁を切断することができる、当該技術分野において知られている他の溶菌酵素も存在する。

バクテリオファージによって遺伝的にコードされている溶菌酵素は、例えば、宿主細菌に対して、少なくとも一部の細胞壁の分解または細胞壁の合成阻害活性を有することによって、宿主細菌を殺傷できるポリペプチドを含む。ポリペプチドは、天然溶菌酵素及びそのバリアントを包含する配列を有し得る。ポリペプチドは、バクテリオファージ(「ファージ」)などの種々の供給源から単離してもよいし、組換えまたは合成方法によって作製してもよい。ポリペプチドは、例えば、カルボキシル端末側にコリン結合部分を含み得、細胞壁のペプチドグリカンを切断することができるアミノ端末側の酵素活性(ペプチドグリカン中のアミド結合に作用するアミダーゼ活性など)を特徴とし得る。多数の酵素活性物質、例えば、PlyGBSリシンなどの2つの酵素ドメインを含む溶菌酵素について記載されている。更に、触媒ドメインのみを含み、細胞壁結合ドメインを含まない他の溶菌酵素についても記載されている。

クオラム抑制ポリペプチド オートインデューサーは、クオラムセンシングに関与する細菌によって産生及び使用される小さな化学的シグナル伝達分子である。クオラムセンシングにより、細菌は、オートインデューサーの存在を介して互いを感知し、多種多様な集団レベルでの行動を調節することができる。このような行動には、共生、病原性、運動性、抗生物質産生及びバイオフィルム形成が含まれる。オートインデューサーは、種に応じて多数の異なる化学的形態を取るが、それらが有する作用は多くの場合類似しており、これにより、遺伝子操作されたバクテリオファージは、類似のオートインデューサーを利用する多種多様な細菌に影響を与えることができる。一般に、グラム陰性細菌は、オートインデューサーとしてAHLを使用し、グラム陽性細菌は、プロセシングされたオリゴペプチドをコミュニケーションのために使用するが、オートインデューサー2(AI−2)は、グラム陰性細菌及びグラム陽性細菌に共通である。

異なる種のグラム陰性細菌によって産生されるAHLは、アシル側鎖(4〜20個の炭素原子を含有することが多い)の長さ及び組成が異なる。AHLは、受動輸送と能動輸送の両方の機構によって、細胞の内外に拡散することができる。AHLを感知するためのレセプターは、LuxRなどの多数の転写調節因子を含み、これらの因子は、細菌の集団行動を制御する多様な遺伝子発現を活性化することができるDNA結合転写因子として機能する。

オートインデューサーは、クオラム抑制ポリペプチドによって阻害することができる。クオラム抑制ポリペプチドは、オートインデューサーを低活性化または不活性化するように、オートインデューサーを改変または分解することができる。ある種のクオラム抑制ポリペプチドは、オートインデューサーを不活性化する(例えば、改変または分解による)酵素であり、例えば、各種細菌に由来するAHLを不活性化する広範な基質特異性を有する、AHLのアシル部分からラクトン環を切断する本明細書に記載のAiiAラクトナーゼタンパク質などである(Wang et al.(2004)J.Biol.Chem.279(14):136.45−51)。

本明細書で開示されるインビトロ工学的方法は、例えば、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)に由来するクオラム抑制ポリペプチドをコードするように操作された合成バクテリオファージを作製するために採用することができる。クオラム抑制ポリペプチドは、遊離タンパク質として発現され、例えば、ファージの感染及び宿主細菌の溶解の際に、ファージ及び/または細菌の周囲領域に放出され得る。同様に可能なものとして、クオラム抑制ポリペプチドはまた、当該技術分野において知られている方法を使用して、細菌宿主細胞から発現させ、能動的に分泌させることもできる。同じく、クオラム抑制ポリペプチドは、バクテリオファージタンパク質、例えば、カプシド、尾部または頭部タンパク質に翻訳的に融合させてもよい。

尾繊維 本開示は、いくつかの実施形態において、組換えバクテリオファージを操作することによって、バクテリオファージ宿主域を調整することを企図する。いくつかの実施形態において、ウイルス宿主域を調整することは、異種、天然、非天然の尾繊維及びこれらの任意の組み合わせを有するようにウイルスを操作することを伴う。バクテリオファージの宿主細胞特異性は、ウイルス粒子の尾繊維(複数可)の影響を受け得る。宿主バクテリオファージの尾繊維または尾繊維の一部を変更する(例えば、交換する及び/または変異させる)と、宿主域が変わり得る(例えば、拡大し得る)。

尾繊維タンパク質は、典型的に、抗原性決定基及び宿主域決定基を含有する。異種尾繊維は、1種類のバクテリオファージのゲノムから単離されたまたは当該ゲノムに基づいて合成された1セットのゲノム断片によってコードされ得る。この尾繊維の遺伝子断片セットは、複数のバクテリオファージのゲノムから単離されたまたは当該ゲノムに基づいて作製されたゲノム断片のサブセットを含有し得る。例えば、尾繊維の保存領域は、シャーシバクテリオファージのゲノムから単離されたゲノム断片によってコードされ得るのに対し、宿主域決定基領域は、異なる種類のバクテリオファージのゲノムから単離されたゲノム断片によってコードされ得る。

抗菌性ペプチド 本開示は、非限定的な例として、宿主細胞によって任意に分泌される抗菌性ペプチドを発現するように操作されたバクテリオファージを企図する。例えば、操作されたバクテリオファージは、抗菌物質、例えば、限定するものではないが、宿主細菌のバクテリオファージに対する耐性の発生及び/または伝播を阻害し、2種以上の異なる細菌種を含む細菌感染などの細菌感染におけるより迅速でより効果的な細菌の殺傷を可能にする天然ペプチドを含む、抗菌性ペプチド(AMP)または抗菌性ポリペプチドを発現することができる。

バクテリオファージは、その増幅及び捕食者−宿主機構によって、例えば、宿主細菌中で増殖し、次いで、溶解が生じて、増殖したバクテリオファージを放出して細菌を殺傷し、続いて、同じ機構によって周囲の細菌に感染し、細菌を殺傷することによって、細菌感染を排除する魅力的な抗菌物質を提供する。細菌感染の排除におけるバクテリオファージの実用は、(i)同一種内及び異種間の両方の細菌宿主域が極めて狭く、また(ii)細菌宿主集団によるバクテリオファージに対する耐性が極めて迅速に発生するなどの大きな制限によって妨げられる。そのため、多くの化学分野で一般的に思われているように、現実の状況において理論的結果を達成するのは困難である。したがって、バクテリオファージは、理論的上、抗菌物質として有用であると考えられるが、実際には、抗菌特性が抑制されており、細菌感染を排除するための使用は、宿主のバクテリオファージに対する耐性の迅速な発生により実現するのが極めて困難である。その結果として、バクテリオファージは、宿主細菌の長期的排除に効果がなかった。

したがって、本開示は、抗菌物質操作された(antimicrobial-agent engineered)バクテリオファージを企図し、このバクテリオファージは、宿主細胞によって任意に分泌される抗菌性ペプチド(AMP)を発現するように、改変または操作される。抗菌物質操作された異なるバクテリオファージの少なくとも1つまたは任意の組み合わせを、単独でまたは任意の組み合わせで使用して、細菌感染を排除または殺傷することができる。いくつかの実施形態において、抗菌物質操作されたバクテリオファージは、抗菌物質操作された他のバクテリオファージ、精製された抗菌性ペプチド(複数可)または小分子抗生物質などの追加の物質とともに使用することができる。抗菌性ペプチド操作されたバクテリオファージ(またはAMP操作されたバクテリオファージ)は、当業者に知られている任意の抗菌物質をコードし得る。

本発明の態様のいくつかの実施形態において、抗菌物質操作されたバクテリオファージは、核酸である抗菌物質、例えば、当業者に周知の一般的に知られた細菌遺伝子を「遺伝子サイレンシング」することによって機能する抗菌物質を発現及び分泌することができる。核酸系抗菌物質には、例えば、RNA干渉誘導(RNAi)分子、例えば、限定するものではないが、siRNA、dsRNA、stRNA、shRNA、miRNA及びこれらの改変体が挙げられるが、これらに限定されない。RNA干渉分子遺伝子は、細菌の生存能力(すなわち、生存)のために発現される、生存に重要な遺伝子の発現をサイレンシングする。核酸系抗菌物質は、アンチセンスオリゴ核酸または核酸類似体、例えば、限定するものではないが、DNA、RNA、ペプチド核酸(PNA)、擬似相補的PNA(pc−PNA)またはロックド核酸(LNA)などであり得る。あるいは、核酸系抗菌物質は、DNAまたはRNA、及び核酸類似体、例えば、PNA、pcPNA及びLNAであり得る。核酸は、一本鎖または二本鎖であり得、目的タンパク質をコードする核酸、オリゴヌクレオチド、PNAなどを含む群から選択することができる。このような核酸阻害物質には、例えば、転写抑制因子であるタンパク質をコードする核酸配列、またはアンチセンス分子、またはリボザイム、または小分子阻害核酸配列、例えばRNAi、shRNAi、siRNA、マイクロRNAi(miRNA)、アンチセンスオリゴヌクレオチドなどが挙げられるがこれらに限定されない。

抗菌性ペプチドは、追加的にまたは代替的に、抗菌酵素であり得る。例示的な抗菌活性物質には、溶菌酵素、アシラーゼ、アミノペプチダーゼ、アミラーゼ、カルボヒドラーゼ、カルボキシペプチダーゼ、カタラーゼ、セルラーゼ、キチナーゼ、クチナーゼ、シクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、エステラーゼ、α−ガラクトシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、α−グルコシダーゼ、β−グルコシダーゼ、ハロペルオキシダーゼ、インベルターゼ、ラッカーゼ、リパーゼ、マンノシダーゼ、オキシダーゼ、ペクチン分解酵素、ペプチドグルタミナーゼ、ペルオキシダーゼ、フィターゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、タンパク質分解酵素、リボヌクレアーゼ、トランスグルタミナーゼ、キシラナーゼ、RNase、DNase、リソスタフィンまたは孔形成ペプチドを挙げることができるが、これらに限定されない。

抗菌性ペプチドまたは抗菌性ポリペプチドは、負電荷を帯びた細菌膜に結合し、性チャネルを形成することにより膜を破壊し、脂質二重層自体を折り返すようにするか、または膜を覆ってミセルを形成することによって、細菌膜を直接破壊することができる。これらの直接的な殺菌効果に加えて、抗菌性ペプチド及びポリペプチドは、TLRシグナル伝達及び更なる免疫応答を活性化すること、白血球化学走性物質として機能すること、食細胞の攻撃による殺菌性オプソニン作用を増加させること、細菌の成長に必要な必須栄養素を除去すること、ならびに細菌プロテアーゼを阻害すること、またはこれらの任意の組み合わせが可能であり得る。

バイオサーファクタント 細菌バイオフィルム形成は、局所感染をもたらし得るだけでなく、菌血症(血液中の細菌の存在)及び細菌性敗血症(血流を通した細菌またはその産生物の広がりによって引き起こされる多臓器不全)などの治療が困難で、時には致命的である全身感染をもたらし得る。バイオフィルムマトリックスを構成する細胞外物質は、抗体及び食細胞などの通常の免疫防御機構ならびに抗菌酵素及び抗生物質を含む抗菌物質からバイオフィルムに内在する細菌を保護し隔離するバリアとして機能することができる。バイオフィルムはまた、バイオフィルムに内在する細菌の成長及び増殖を促進する。

本開示は、表面上に堆積したバイオフィルムを除去するか、またはゆるめることを促進するために使用される追加の物質を発現する操作されたウイルスを作製する方法及びその組成物を提供する。例えば、組成物は、バイオサーファクタントを含み得る。例示的なバイオサーファクタントには、糖脂質、リポペプチド、デプシペプチド、リン脂質、置換脂肪酸、リポ多糖体、サーラクチン(surlactin)、サーファクチン、ビスコシン(visconsin)及びラムノリピドが挙げられるが、これらに限定されない。

ウイルス工学 ウイルス粒子を遺伝子操作する方法は、広く適用できる標的指向可能なインビトロ工学的方法がないために、労力を要し、長い時間がかかる。現在のインビボ法は、改変されたウイルス及びウイルスベクターを作製するのに数週間から数ヶ月かかることがある(Levin and Bull,Nat Rev Microbiol.,2004 Feb;2(2):166−73、参考として本明細書に援用する)。更に、細胞中でウイルスゲノムを操作することに本質的に付随する毒性がある。本開示以前には、ウイルスの正確なインビトロ遺伝子工学に関する広く適用できる方法を開発する努力は、ほとんど失敗に終わっている。ウイルスゲノムを完全にインビトロで迅速に操作するための広く適用できるプロセスが本明細書にて記載される。

本明細書で開示されるインビトロ遺伝子工学システム及び方法は、ウイルス遺伝子工学の既存方法にまさるいくつかの利点がある。1)毒性遺伝子/産物を完全にインビトロで簡単に操作できる。2)迅速である。すなわち、インビボ方法で数週間または数ヶ月かかるのと比較して、1日で実施できる。3)ウイルスゲノムの大部分にわたってゲノム改変を保持できる。4)宿主組換え経路を必要としない。5)以前の方法よりも直接的であり、エラーが起こりにくい。6)プロトコルを変更することなく、多数のウイルスに適用可能である。

本開示は、全ゲノムを部位特異的に操作するためのRNA誘導型ヌクレアーゼによる消化及びインビトロアセンブリの方法を提供する。本開示は、ウイルスゲノムを遺伝子的に改変できる正確さ、単純さ及び速さを大幅に向上させる。更に、この技術は、これまでに定着した、往々にして毒性であるビルレントウイルスゲノムを宿主細胞内で操作することの難しさを克服する。この完全なインビトロアプローチはまた、工学に関して遺伝子的に扱いやすい宿主株の要件、古細菌、原核生物及び真核生物の多数の興味深い重要なウイルスの操作を妨げる要件を取り除く。このアプローチは、操作されるウイルスゲノムの増幅を行わないので、メチル化などの大部分のウイルスゲノム修飾の保持を可能にする。ゲノム修飾は、ウイルスの適合性に重大な影響を与え得ることが十分にわかっているため、これらのゲノム修飾の保持は、他の工学技術にまさる明らかな利点を提供する。更に、この技法は、Cas9などのRNA誘導型ヌクレアーゼ及び真核生物ゲノム編集のためのgRNAの使用を中心に構成されていないインビボRNA誘導型ヌクレアーゼゲノム工学に関連する他の方法とは異なり、むしろ既知のウイルス工学の問題を完全にインビトロで克服することに関する。

いくつかの態様において、本明細書で提供される新規方法は、ウイルス核酸またはウイルスゲノムの改変を含み得、例えば、本明細書で開示されるRNA誘導型ヌクレアーゼ及びアセンブリを使用し、操作されたウイルス核酸または操作されたウイルスゲノムを、当該操作されたウイルス核酸または操作されたウイルスゲノムを含む操作されたウイルス粒子または操作されたウイルスを産生する宿主に直接導入する。例えば、いくつかの態様において、方法は、操作されたウイルス核酸または操作されたウイルスゲノムの増幅(例えばベクターでの複製による)を目的とした、操作されたウイルス核酸または操作されたウイルスゲノムのクローニング宿主への導入を行うことなく、ウイルス核酸またはウイルスゲノムを操作することを含む。例えば、いくつかの方法において、操作されたウイルス核酸または操作されたウイルスゲノムは、操作されたウイルス核酸または操作されたウイルスゲノムを、操作されたウイルス粒子または操作されたウイルスを産生する宿主細胞へ導入する前に、酵母菌、E.coliまたは他の既知のクローニング宿主、限定するものではないが、バチルス属(Bacillus)種もしくはビブリオ属(Vibrio)種などへ導入しない。

本明細書に記載の新規方法は、ウイルスゲノム中の2、3、4、5またはそれ以上の部位の標的化された操作を可能にする。方法は、完全にインビトロで実施することができ、複数部位に変更を加えたウイルスゲノムの作製を可能にするものであり、従来の工学的方法の使用では達成されない偉業である。操作されていないウイルス核酸または操作されていないウイルスゲノムに対して2、3、4、5またはそれ以上の改変を有する操作されたウイルス核酸及び/または操作されたウイルスゲノムを含む、操作されたウイルスが本明細書で提供される。2つ以上の改変は、挿入、欠失、置換またはこれらの任意の組み合わせであり得る。2つ以上の改変は、本明細書で開示される任意のものなどの1、2またはそれ以上の改善されたウイルス特性をもたらすことができる。操作されたウイルスは、本明細書で開示されるインビトロ工学的方法によって、完全に作製することができる。本明細書で開示されるインビトロ工学的方法は、古典的またはランダム変異導入とは対照的に標的化された改変をもたらす。古典的またはランダム変異導入によって生成される改変とは異なり、標的化された改変は、任意の表現型アッセイの前に、PCR及び/または配列決定などの標準的な分子遺伝学的実験方法を使用して簡便にスクリーニングすることができる。

また、改善されたウイルス特性を有する合成ウイルスを作製するためのシステムが本明細書で開示される(例えば、図10参照)。システムは、所望の特性を付与する役割を持つ核酸配列を特定し、次いで、改善されたウイルス特性を有するウイルス粒子を作製するために、選択されたウイルスゲノム中にこれらの配列変更を組み込むことを含む。所望のウイルス特性を付与することができる核酸配列は、基本的な科学知識、文献検索、経験的試験、変異研究またはこれらの任意の組み合わせによって特定することができる。変異研究は、進化研究、適応研究、変異導入研究及び/または当該技術分野において知られている他の実験的アプローチを含み得る。変異導入研究は、紫外線(UV)、化学的及び/または挿入変異導入を含み得る。挿入変異導入は、トランスポゾン及び/または選択マーカー挿入変異導入を含み得る。目的の核酸配列の特定に使用される変異実験は、インビトロ工学の出発点となるウイルスまたはウイルスのウイルスゲノムを使用して実施することができる。追加的にまたは代替的に、選択されたウイルスに追加の特性を付与する目的で最初に選択されたウイルスまたはウイルスゲノムに組み込む組換え核酸配列を特定するために、選択されたウイルスまたはウイルスゲノムではなく、関連する異種のウイルスまたはウイルスゲノムを変異研究に使用することができる。

所望の特性は、宿主域、ウイルス溶菌サイクル、吸着、付着、注入、複製及びアセンブリ、溶菌、放出数、免疫回避、免疫刺激、免疫不活性化、バイオフィルムの分散、細菌のファージ耐性、細菌の抗生物質感受性化、ビルレンス因子の調節、ならびに標的化された宿主ゲノム消化もしくは編集、当業者であれば容易に認識するであろう他の所望の特性、またはこれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上を含み得る。所望の特性を付与することが特定された核酸配列は、1つ以上の改善されたウイルス特性の所望のセットが確認されるまで、1ラウンド以上の反復的な工学及び試験によって単一のウイルスゲノム中に1つ以上の変化を組み込む、本明細書で開示されるインビトロ工学的方法を使用して、選択されたウイルスゲノム中に組み込むことができる。最終的な目的のウイルスゲノムは、天然由来核酸分子と合成核酸分子の組み合わせてであってもよいし、本明細書に記載の方法及び/または当該技術分野において知られている方法を使用して、完全にデノボ合成されてもよい。改善されたウイルス特性を有するウイルスまたはウイルス粒子を作製することは、目的の操作されたウイルスゲノムを適合性のある細胞に導入することを含み得、ゲノムは、その細胞中で活性化されることにより、ウイルス粒子またはウイルスを生成する。選択されたウイルスゲノムに組み込むための所望の特性を付与することが特定された核酸分子を調製するために、消化、PCR増幅、合成、当該技術分野においてよく知られている他の方法またはこれらの任意の組み合わせによって、目的の配列を、当該配列が特定されたウイルスゲノムから単離または増幅することができる。合成核酸配列は、化学合成されてもよいし、化学合成された重複するオリゴヌクレオチドからアセンブルしてもよい。追加的にまたは代替的に、所望の表現型を付与するために、選択されたウイルスゲノムに組み込まれる核酸分子は、天然由来核酸配列と合成核酸配列の組み合わせであり得る。選択されたウイルスゲノムに組み込まれる核酸分子の設計に応じて、結果として得られる操作されたウイルスゲノムは、所望のウイルス特性を付与するために、核酸配列の付加、欠失、代替配列との置換またはこれらの任意の組み合わせを有し得る。配列を変更する目的で、配列の除去、欠失、置換またはこれらの任意の組み合わせを行うような核酸分子の設計方法は、当業者によく知られている。本明細書に記載のシステム及び方法によって作製された、操作されたウイルスゲノムを使用して、改善されたウイルス特性を有するウイルスまたはウイルス粒子を作製することができる。改善されたウイルス特性を有するウイルスまたはウイルス粒子を作製することは、操作されたウイルスゲノムを適合性のある細胞に導入することを含み得、ゲノムは、その細胞中で活性化されることにより、ウイルス粒子またはウイルスを生成する。操作されたゲノムを細胞に導入することは、エレクトロポレーション、形質転換、接合、細胞と予めパッケージしたウイルスゲノムとの接触などによって、または当該技術分野においてよく知られている他の方法によって実施することができる。

本開示は、更に、RNA誘導型エンドヌクレアーゼを使用して核酸をインビトロで操作するための方法の発見に関する。本開示は、ウイルス核酸のインビトロ遺伝子工学によるウイルス特性の改善に更に関する。具体的には、本開示は、RNA誘導型エンドヌクレアーゼ、例えばCas9などのエンドヌクレアーゼを使用したウイルス配列のインビトロ消化、続いて、消化されたウイルスゲノムへのDNAまたはRNA断片(複数可)の挿入による組換え核酸のアセンブリに関する。

いくつかの態様において、本開示は、ウイルス核酸の単離と、RNA誘導型ヌクレアーゼを使用したウイルス核酸の領域のインビトロ消化と、消化されたウイルス核酸へのDNAまたはRNA断片の挿入による組換え核酸のアセンブリとを含む、ウイルス核酸を操作するインビトロ法を提供する。いくつかの例において、インビトロ消化は、RNA誘導型酵素消化である。いくつかの例において、酵素消化は、RNA誘導型ヌクレアーゼによって実施される。いくつかの例において、RNA誘導型ヌクレアーゼは、Cas9、Cas9由来酵素、Cas9関連酵素または任意の精製されたプログラム可能なRNA誘導型ヌクレアーゼである。いくつかの例において、消化は、標的指向RNAを更に含む。いくつかの例において、消化は、スペルミジンを更に含む。いくつかの例において、標的指向RNAは、gRNA、crRNA及び/またはtracrRNAである。いくつかの例において、消化後、RNA誘導型ヌクレアーゼは、熱への曝露などの標準的方法によって不活性化され、及び/または例えばフェノールクロロホルム抽出などの標準的方法によって除去される。いくつかの例において、活性化の熱は、例えば、少なくとも摂氏80度などの熱にタンパク質含有溶液をさらすことによって達成される。

任意のプログラム可能なRNA誘導型ヌクレアーゼを本明細書の方法及び組成物に使用することができ、例えば、Cas1、Cas1B、Cas2、Cas3、Cas4、Cas5、Cas6、Cas7、Cas8、Cas9(Csn1及びCsx12としても知られる)、Cas10、Csy1、Csy2、Csy3、Cse1、Cse2、Csc1、Csc2、Csa5、Csn2、Csm2、Csm3、Csm4、Csm5、Csm6、Cmr1、Cmr3、Cmr4、Cmr5、Cmr6、Csb1、Csb2、Csb3、Csx17、Csx14、Csx10、Csx16、CsaX、Csx3、Csx1、Csx15、Csf1、Csf2、Csf3、Csf4、Cpf1、C2c1、C2c2、C2c3またはこれらのホモログまたはこれらの改変体である。任意のプログラム可能なCRISPRシステムを本明細書の方法及び組成物にて使用することができ、I型、II型、III型、IV型、V型、VI型またはこれらの任意の組み合わせを含む。RNAi誘導型ヌクレアーゼは、非限定的な例として、化膿連鎖球菌(Staphylococcus pyogenes)、S.サーモフィルス(S.thermophilus)、S.pneumonia、S.aureusまたは髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)のCas9タンパク質などのCas9タンパク質であり得る。また、米国特許出願公開第2014/0068797号(その全体を参考として本明細書に援用する)において配列番号:1〜256及び795〜1346として提供されているcas9タンパク質、ならびに2つ以上のCas9タンパク質に由来するドメインを合わせ持ち得るキメラCas9タンパク質、ならびに特定されているCas9タンパク質のバリアント及び変異体も考えられる。Cas9に加えて、当業者であれば、あらゆる既知の機能的等価物も十分な代替例であることを容易に認識するであろう。

ウイルス粒子は、古細菌、原核生物または真核生物に特異的なウイルスであってよい。例えば、ウイルスは、Pseudomonas aeruginosa、E.coliまたはヒト(Homo sapiens)に感染することができるものであり得る。いくつかの例において、ウイルスは、アシネトバクター(Acinetobacter)、クロストリジウム(Clostridium)、エンテロバクター(Enterobacter)、エンテロコッカス(Enterococcus)、エシェリキア(Escherichia)、クレブシエラ(Klebsiella)、ミコバクテリウム(Mycobacterium)、ナイセリア(Neisseria)、Pseudomonas、サルモネラ(Salmonella)、スタフィロコッカス(Staphylococcus)またはストレプトコッカス(Streptococcus)の属内のものなどの病原菌種に感染するものであり得る。いくつかの例において、ウイルスは、アシディアヌス(Acidianus)、アエロピルム(Aeropyrum)、ハロアーキュラ(Haloarcula)、ハロフェラックス(Haloferax)、ハロラブラム(Halorulbum)、メタノバクテリウム(Methanobacterium)、ピロバキュラム(Pyrobaculum)、ピロコッカス(Pyrococcus)、スチギオロブス(Stygiolobus)、スルホロブス(Sulfolobus)またはサーモプロテウス(Thermoproteus)属内のものなどの古細菌種に感染することができる。いくつかの例において、ウイルスは、ヒト、哺乳類、動物、植物、藻または真菌などの真核生物宿主に感染することができる。ウイルス核酸は、DNAまたはRNAであってよい。いくつかの例において、ウイルス核酸は、全ウイルスゲノム、ウイルスゲノムの一部、または単一もしくは多数のウイルス遺伝子から構成される。いくつかの例において、ウイルスゲノムの一部は、工学の前に、プラスミドにサブクローニングされる。

ウイルス核酸は、1つ以上のヌクレオチド、単一の遺伝子、多数の遺伝子もしくは任意の大きさのゲノム領域を除去するために、または新しい配列の挿入のためにDNAを開裂するために、標的指向RNA(複数可)と結合されたCas9などのRNA誘導型ヌクレアーゼによって1回または2回(またはそれ以上)インビトロで消化され得る。Cas9に加えて、任意のプログラム可能なRNA誘導型ヌクレアーゼまたは他の標的指向可能なDNA切断機構であれば十分であり、機能的に等価であることを当業者は理解するであろう。多数の消化を同時に実施することができるが、順次的なRNA誘導型Cas9消化により効率が上がることがわかった。更に、スペルミジンを反応混合物に添加してDNAからのCas9分離を高めることができ、これにより、Cas9の酵素活性の利用可能性がより高まる。Cas9切断によって除去されたウイルス配列は、Cas9が平滑切断酵素であり、断片が挿入部位に対して相同性を含まないので、ゲノムに戻って再結合することはない。更に、Cas9の熱失活は、消化からアセンブリ反応に直接移ることを可能とし、プロトコルが単純化する。

本明細書で使用される場合、「標的指向RNA」または「ガイドRNA」という用語は、CRISPR RNA(crRNA)、トランス活性化型crRNA(tracrRNA)、crRNA及びtracrRNAの両方を組み込んだ操作されたキメラガイドRNA(gRNA)または選択されたCRISPRシステムに適合する単一のgRNAを指す。CRISPR RNA(crRNA)は、CRISPR座位から転写され、エフェクター複合体に組み込まれ、侵入した核酸配列へ複合体を誘導して、RNA誘導型ヌクレアーゼによる核酸消化をもたらす。TracrRNAは、pre−crRNAと相補的であるため、塩基対となり、Cas9による切断に必要なRNA二本鎖を形成する。ハイブリッドgRNAは、標的指向crRNAをtracrRNAと連結させたキメラRNAであり、これにより、Cas9による消化に単一のRNAの使用が可能になる。Cas9による消化は、両方ともインビトロ転写されたcrRNA−tracrRNAの混合物またはキメラgRNAを用いて実施することができる。

DNAまたはRNAインサートは、当該技術分野において知られている任意の手段によって、特に、インビトロ合成、化学合成、デノボ合成、デノボアセンブリ、増幅(PCR)、プラスミド、ウイルスもしくは細菌からの酵素による分離、またはこれらの任意の組み合わせによって、得ることができる。一態様において、DNAまたはRNAインサートは、オリゴのアセンブリまたはプライマーを用いたPCRによって、組込み部位に対して重複配列を含有するように作製される。DNAまたはRNAインサートは、天然由来核酸と合成核酸の組み合わせであるか、完全に天然由来または合成由来であり得る。

DNAまたはRNAインサートと消化されたウイルス核酸とのアセンブリは、当該技術分野において知られている任意の方法、例えばインビトロクローニング反応または前述した方法のいずれかを使用して実施することができる。一態様において、消化されたウイルスゲノムへのDNAまたはRNAインサートのアセンブリは、ギブソンアセンブリ法を使用して実施される。一態様において、消化されたウイルスゲノムへのDNAまたはRNAインサートのアセンブリは、宿主細胞の組換え機構を使用してインビボで実施される。DNAまたはRNAインサートのアセンブリは、核酸配列の付加、欠失、置換またはこれらの任意の組み合わせをもたらし得る。消化されたウイルス核酸へのアセンブリによって、目的の核酸の付加、欠失、置換またはこれらの任意の組み合わせを生じさせるようなDNAまたはRNA配列の設計プロセスは、当該技術分野においてよく知られている。

いくつかの態様において、本開示は、ウイルス核酸の単離と、RNA誘導型ヌクレアーゼを使用したウイルス核酸の領域のインビトロ消化と、消化されたウイルス核酸へのDNAまたはRNA断片の挿入による組換え核酸のアセンブリとを含む、ウイルス配列を操作するインビトロ法を提供する。いくつかの例において、アセンブリは、(a)3’エキソヌクレアーゼ活性を欠く単離された非耐熱性5’→3’エキソヌクレアーゼと、(b)クラウディング剤と、(c)3’エキソヌクレアーゼ活性を有する単離された耐熱性の非鎖置換型DNAポリメラーゼ、または当該DNAポリメラーゼ及び3’エキソヌクレアーゼ活性を欠く第2のDNAポリメラーゼの混合物と、(d)単離した耐熱性リガーゼと、(e)dNTPの混合物と、(f)好適な緩衝液とを含む成分の混合物を含む単一容器中で、組換え核酸を形成するための、消化されたウイルス核酸への断片の挿入に効果的である条件下で、インビトロで実施される。いくつかの態様において、エキソヌクレアーゼはT5エキソヌクレアーゼであり、接触は等温条件下であり、及び/またはクラウディング剤はPEGであり、及び/または非鎖置換型DNAポリメラーゼはPhusion(商標)DNAポリメラーゼもしくはVENT(登録商標)DNAポリメラーゼであり、及び/またはリガーゼはTaqリガーゼである。いくつかの例において、インビトロアセンブリは、1ステップまたは等温ギブソンアセンブリによって実施される。いくつかの例において、インビトロアセンブリは、2ステップギブソンアセンブリによって実施される。いくつかの例において、消化された核酸及びDNAまたはRNA断片は、リガーゼ酵素を使用した平滑ライゲーションによってインビトロでアセンブルすることができる。

いくつかの態様において、本開示は、アセンブリステップを含む、ウイルス配列を操作するインビトロ法を提供する。いくつかの例において、アセンブリは、宿主細胞の組換え機構を使用して、適合性のある宿主細胞においてインビボで実施される。本明細書に開示の精製された酵素を活用することによって、組換え核酸を完全にインビトロでアセンブルすることができるが、感受性の宿主株内の天然または操作された組換え経路を活用することによって、このプロセスを達成することもできる。いくつかの場合において、適合性のある宿主細胞は、酵母(S.cerevisiae)、E.coli、P.aeruginosa、枯草菌(B.subtilis)、V.ナトリージェンス(natrigens)または当該技術分野において利用可能な他の生物であり得る。組換えウイルスゲノムをインビボでアセンブルするには、一部の宿主細胞では、末端相同領域を有する挿入用修復断片とともに、精製されインビトロ消化されたウイルスゲノムで形質転換するだけで十分である。挿入用修復断片は、当該技術分野において知られている標準的技術によって合成または増幅してもよいし、選択された宿主細胞内で安定的に複製されるプラスミド中にあってもよい。この方法は、宿主細胞が相同及び非相同の両方のDNA修復経路を持つこと、十分な量のインサート及び消化されたゲノムを宿主細胞に一緒に送達するという課題、ならびにほとんどの宿主の相同組換え経路が低効率であることから、インビトロアセンブリよりも低効率になる可能性がある。宿主による組換えのない消化されたゲノム単独では機能性ウイルス粒子及び後続のプラークを形成しないので、形質転換及び平板培養後に得られたプラークを所定のインサートについてPCRによってスクリーニングし、操作された所望のウイルス核酸の正しいアセンブリを確認することができる。

いくつかの態様において、本開示は、RNA誘導型ヌクレアーゼを含む、ウイルス配列を操作するインビトロ法を提供する。いくつかの例において、RNA誘導型ヌクレアーゼは、II型Cas9である。いくつかの例において、RNA誘導型ヌクレアーゼは、Cas9またはCas9由来酵素である。いくつかの例において、RNA誘導型ヌクレアーゼは、単離された組換えCas9またはCas9由来酵素である。いくつかの例において、標的指向RNAは少なくとも1つある。いくつかの例において、標的指向RNAは2つある。いくつかの例において、標的指向RNAは、キメラガイドRNA(gRNA)または1セットのcrRNA及びtracrRNAである。いくつかの例において、インビトロ消化反応は、2つのgRNAを使用する。いくつかの例において、インビトロ消化反応は、例えば、2つの配列を同時に標的とするために、2セットのcrRNA及びtracrRNAを使用する。

いくつかの態様において、本開示は、インビトロ消化ステップを含む、ウイルス配列を操作するインビトロ法を提供する。いくつかの例において、消化後、RNA誘導型ヌクレアーゼは、少なくとも摂氏80度などの熱への曝露などの標準的方法によって不活性化される。いくつかの例において、消化後、RNA誘導型ヌクレアーゼは、フェノールクロロホルム抽出によって除去される。いくつかの例において、消化後、RNA誘導型ヌクレアーゼは、当該技術分野において知られている他の抽出方法によって除去される。

いくつかの態様において、本開示は、操作されたウイルス核酸をもたらす、ウイルス配列を操作するインビトロ法を提供する。いくつかの例において、次いで、操作されたウイルス核酸で宿主細胞を形質転換する。いくつかの例において、宿主細胞は、E.coli、P.aeruginosa、S.cerevisiae、V.ナトリージェンス(natriegens)、B.subtilisまたは当該技術分野においてよく知られている他の生物である。いくつかの例において、形質転換は、ヒートショック、エレクトロポレーション、微粒子銃、パーティクルガン、接合、形質導入、リポフェクションまたは当該技術分野においてよく知られている他の確立された方法によって実施される。いくつかの例において、操作されたウイルス核酸で宿主細胞を形質転換し、次いで、複製後、操作されたウイルス核酸を再度単離する。いくつかの例において、単離された操作されたウイルス核酸は、本明細書で反復的なインビトロ工学と呼ばれるプロセスである、インビトロ工学の別ラウンドのための出発ウイルス核酸として使用される。いくつかの例において、反復的なインビトロ工学は、1ラウンドである。他の例において、反復的なインビトロ工学は、少なくとも1ラウンドである。他の例において、反復的なインビトロ工学は、2ラウンド以上である。

いくつかの態様において、本開示は、操作されたウイルス核酸をもたらす、ウイルス配列を操作するインビトロ法を提供する。いくつかの例において、操作されたウイルス核酸は、商業的に入手可能であり得るインビトロパッケージングキットを使用して、ウイルス粒子内にパッケージングされる。いくつかの例において、インビトロパッケージングキットは、Maxplax lambda packaging extractである。

いくつかの態様において、本開示は、操作された組換えウイルス核酸をもたらす、ウイルス配列を操作するインビトロ法を提供する。いくつかの例において、操作されたウイルス核酸は、参照及び/または操作されていないウイルスと比較して、ウイルスの特性を改善または変更する。いくつかの例において、改善されたまたは変更されるウイルス特性は、宿主域、ウイルス溶菌サイクル、吸着、付着、注入、複製及びアセンブリ、溶菌、放出数、免疫回避、免疫刺激、免疫不活性化、バイオフィルムの分散、細菌のファージ耐性、細菌の抗生物質感受性化、ビルレンス因子の調節、標的化された宿主ゲノム消化もしくは編集、またはこれらの任意の組み合わせなどの特性である。いくつかの例において、特性の改善は、特性の増大、減少または変更であり得る。例えば、改善されたウイルス特性は、宿主域の拡大もしくは縮小、ウイルス溶菌サイクルの変更、宿主細胞に対する吸着の増加もしくは減少、宿主細胞に対する付着の増加もしくは減少、注入の増加もしくは減少、複製及びアセンブリの増加もしくは減少または変更、溶解の増加もしくは減少、放出数の増加もしくは減少、免疫回避の増加もしくは減少または変更、免疫刺激の増加もしくは減少または変更、免疫不活性化の増加もしくは減少または変更、バイオフィルムの分散の増加もしくは減少または変更、細菌のファージ耐性の増加もしくは減少または変更、細菌の抗生物質感受性化の増加もしくは減少または変更、ビルレンス因子の調節の増加もしくは減少または変更、標的化された宿主ゲノム消化または編集の増加もしくは減少または変更、またはこれらの任意の組み合わせであり得る。

いくつかの態様において、本開示は、ウイルス特性の改善、例えば宿主域の増大などをもたらす、ウイルス核酸を操作するための方法を提供する。宿主域とは、ウイルスが感染し得る細胞種、株または宿主種の数である。宿主域の増大は、参照及び/または操作されていないウイルスと比較した、ウイルスが感染し得る別個の細胞種、株または種の絶対数の拡大である。いくつかの例において、宿主域の増大は、ウイルスが感染することができる細菌種内の細菌株またはバリアントの数の増加である。宿主域における増大は、少なくとも1つまたは2つ以上の株、細胞種または種の増加であり得る。宿主域は、例えば、当該技術分野においてよく知られている標準的なプラークアッセイによって、評価することができる。

いくつかの態様において、本開示は、ウイルス特性、例えば、ウイルス溶菌サイクルなどの改善をもたらす、ウイルス核酸を操作するための方法を提供する。ウイルス溶菌サイクルは、ウイルスの複製の2つのサイクルのうちの1つであり、もう1つは、溶原サイクルである。溶菌サイクルは、感染細胞及び感染細胞膜の破壊をもたらす。溶菌サイクルは、6つのステップを含み、その各々を個別に操作することができる。ウイルス溶菌サイクルの6つのステップは、吸着、付着、注入、複製及びアセンブリ、溶解、ならびに放出数である。

いくつかの態様において、本開示は、ウイルス特性、例えば、吸着などの改善をもたらす、ウイルス核酸を操作するための方法を提供する。吸着とは、ウイルスが宿主細胞に接触する行為である。ウイルスの吸着は、所定の宿主細胞に対するウイルスの親和性として特徴付けられ、Hyman及びAbedonによって概略されているアッセイ(Methods in Molecular Biology,2009)などの標準的な吸着アッセイによって評価することができる。追加的にまたは代替的に、ウイルスの吸着は、受容体リガンド相互作用を分析するために生化学で広く使用されている他の標準的な親和性アッセイによって測定することができる。

いくつかの態様において、本開示は、ウイルス特性、例えば、付着などの改善をもたらす、ウイルス核酸を操作するための方法を提供する。ウイルス付着とは、ウイルスが宿主細胞に強く吸着するときである。ウイルス付着は、ウイルスと宿主細胞の受容体との間の不可逆的相互作用である。

いくつかの態様において、本開示は、ウイルス特性、例えば、注入などの改善をもたらす、ウイルス核酸を操作するための方法を提供する。注入は、ウイルスゲノムの注入を指し、ウイルスがその遺伝物質を宿主細胞中に挿入するときである。ウイルスゲノムの注入は、一例として、カリウムイオン流出の測定によって、測定することができる(Cady et al.,J.Bacteriol 2012 Nov;194(21):5728−38;Leavitt et al.,PLoS ONE,2013 8(8):e70936、両文献の全体を参考として本明細書に援用する)。

いくつかの態様において、本開示は、ウイルス特性、例えば、複製及びアセンブリなどの改善をもたらす、ウイルス核酸を操作するための方法を提供する。ウイルスの複製及びアセンブリとは、宿主細胞が新規ウイルスを構築することを指す。ウイルスゲノムの注入後、宿主細胞機構を乗っ取り、ウイルス遺伝子が転写され、ウイルスタンパク質が翻訳され、複製されたウイルスゲノムを含むウイルス粒子がアセンブルされる。ウイルスの複製及びアセンブリは、最終的に、宿主細胞の溶解をもたらすことから、標準的なプラークアッセイまたは二重寒天プラークアッセイによってウイルス成長速度を観察することで、複製及びアセンブリを評価することができる。ウイルスの複製率は、追加的にまたは代替的に、標準的なプラークアッセイの1ステップ曲線での放出数を測定することによって、または当該技術分野においてよく知られている他の標準的なウイルス適合性アッセイによって、決定することができる。

いくつかの態様において、本開示は、ウイルス特性、例えば、溶解などの改善をもたらす、ウイルス核酸を操作するための方法を提供する。溶解とは、宿主細胞の溶解を指す。新しいウイルス粒子の複製及びアセンブリの後、酵素が産生され、この酵素により宿主細胞壁及び/または細胞膜が内部から分解され、流体の流入が可能となり、最終的に宿主細胞の溶解をもたらす。ウイルスのビルレント複製を増加または阻害する能力は、所定のウイルスが溶解によって宿主細胞を殺傷するのにかかる時間を増加または減少させることができる。ウイルスビルレンスは、感染と宿主細胞の溶解との間の時間を分析し、標準的なプラークアッセイまたは二重寒天プラークアッセイによってウイルス成長速度を観察することで、評価することができる。追加的にまたは代替的に、参照及び/または操作されていないウイルスと比較した操作されたウイルスの細菌溶解の増加は、アッセイ後のコロニー形成単位(CFU)、プラークアッセイ後のプラーク形成単位(PFU)数もしくは直径によって、バイオフィルムアッセイまたは当該技術分野においてよく知られている他の標準的なアッセイから決定することができる。

いくつかの態様において、本開示は、ウイルス特性、例えば、放出数などの改善をもたらす、ウイルス核酸を操作するための方法を提供する。放出数とは、感染細胞によって産生されたウイルスの数を指す。放出数は、Ellis及びDelbruck(J Gen Physiol.1939 Jan 20;22(3):365−384、参考として本明細書に援用する)ならびにDelbruck(Delbruck,J.Gen.Physiol,1940,23;643、参考として本明細書に援用する)によって概略されているものなどの標準的な放出数アッセイによって評価することができる。

いくつかの態様において、本開示は、ウイルス特性、例えば、免疫回避などの改善をもたらす、ウイルス核酸を操作するための方法を提供する。免疫回避とは、自然免疫または適応免疫システムによるクリアランスを逃れるウイルスの能力である。免疫回避は、中和抗体の産生レベルまたは速度を調べることによって評価することができる。追加的にまたは代替的に、免疫回避は、所定のウイルスの動物内における半減期または滞留時間を分析することによって測定することができる。

いくつかの態様において、本開示は、ウイルス特性、例えば、免疫刺激などの改善をもたらす、ウイルス核酸を操作するための方法を提供する。免疫刺激とは、野生型または操作されていないウイルスに通常は関連しない免疫応答を誘発するウイルスの能力である。これは、標準的ELISAキット、フローサイトメトリー、組織学または当業者に知られている他の一般的な免疫学的アッセイを使用して、ウイルスの存在下で産生される免疫因子を分析することによって評価することができる。

いくつかの態様において、本開示は、ウイルス特性、例えば、免疫不活性化などの改善をもたらす、ウイルス核酸を操作するための方法を提供する。免疫不活性化とは、野生型または操作されていないウイルスに通常関連する免疫応答を減少させるウイルスの能力である。これは、標準的ELISAキット、フローサイトメトリー、組織学または当業者に知られている他の一般的な免疫学的アッセイを使用して、ウイルスの存在下で産生される免疫因子を分析することによって評価することができる。

いくつかの態様において、本開示は、ウイルス特性、例えば、バイオフィルム分散などの改善をもたらす、ウイルス核酸を操作するための方法を提供する。バイオフィルム分散とは、バイオフィルムの分解、弱体化または浸透性の増加をもたらす能力である。バイオフィルム分散をもたらすことができる作用には、エキソポリサッカライド(EPS)の分解、クオラムセンシング分子の調節、及びバイオフィルムまたは細菌感染部位内の細胞外DNAまたはRNAの分解が挙げられるが、これらに限定されない。「エキソポリサッカライドの分解」とは、微生物によってその環境中に分泌され、バイオフィルムの構造的完全性をもたらす高分子量化合物を分解または分離できるタンパク質または酵素を産生するウイルスの能力である。EPS分解活性物質には、界面活性剤、グリコシダーゼ及びプロテアーゼを挙げることができるが、これらに限定されない。これらの活性は、当業者に知られている標準的な生化学的アッセイを使用して測定することができる。クオラムセンシング分子の調節もまた、バイオフィルム分散をもたらすことができる。クオラムセンシング分子は、多数のヒト病原菌において高度に保存されたビルレンスの調節因子であることが知られている。クオラムセンシング分子を分解することができる酵素活性を有するタンパク質が特定されており、それらの活性は、種々の微生物レポーターアッセイ、生化学的レポーターアッセイによって、またはTLCを用いた切断産物の分析によって測定されている(Rajesh and Rai,Microbiological Research,July−August 2014,Volume 169,Issues 7−8,Pages 561−569、参考として本明細書に援用する)。バイオフィルムまたは細菌感染部位内の細胞外DNAまたはRNAの分解もまた、バイオフィルム分散をもたらすことができる。ウイルスにコードされたDNaseまたはRNase活性は、当業者に知られている市販のキット、非限定的な例として、Jena BioscienceまたはThermofisherから入手可能なものなどによって測定することができる。バイオフィルムの防止、浸透、破壊または分散についても、処理後に存在するバイオフィルムを定量化し、対照状態と比較することによって、評価することができる。バイオフィルム測定は、当該技術分野においてよく知られており、非限定的な例として、クリスタルバイオレットなどの色素でバイオフィルムを染色し、分光光度計における吸光度を定量化することが挙げられる。

いくつかの例において、本開示は、ウイルス特性、例えば、細菌のファージ耐性などの改善をもたらす、ウイルス核酸を操作する方法を提供する。ファージまたはバクテリオファージは、区別なく使用することができる用語であり、細菌に感染するウイルスを指す。細菌のファージ耐性とは、特定のウイルスでの処理または曝露を受けた集団からのバクテリオファージ耐性菌の出現を指す。これは、細菌中のランダム変異によって、または集団中の特定の細菌がウイルスによって感染不可能であったために生じる。これらの耐性菌が拡大すると、新しい集団は、最初に曝露されたウイルスまたはバクテリオファージに耐性を示す。細菌の耐性を評価する非限定的な例は、耐性菌の数が集団の再成長速度に直接影響を与えるので、ウイルス処理後の細菌成長率を追跡することである。バクテリオファージは、少なくとも3つの方法によって、細菌がウイルス耐性を獲得するのを防ぐように操作することができる。1)既知のウイルス耐性系を阻害すること、2)第2の毒素をコードすること、及び/または3)溶解能力の増大によってビルレンスを上げること。バクテリオファージは、一例として、既知または合成の阻害タンパク質の発現によって、既知のウイルス耐性系を回避または阻害することができる。これらの阻害タンパク質の活性は、古典的な二重層プラーク力価測定法及び/または平板培養効率分析によって観察することができる。ウイルス耐性系には、CRISPR−Cas系及び制限修飾系を挙げることができるが、これらに限定されない。ウイルス耐性の予防はまた、殺菌性ペイロードなどの第2の毒素の発現によって達成することができる。これらの第2の毒素の活性は、所定のウイルスの天然の溶解活性とは関係がなく、成長/殺傷曲線分析によって測定することができる。追加的にまたは代替的に、遺伝子的にコードされた毒素タンパク質は、精製して、タンパク質毒素の特性決定に一般的に使用され当業者によく知られている確立された生化学的及び/または表現型アッセイを使用して、特性決定することができる。

いくつかの例において、本開示は、ウイルス特性、例えば、細菌の抗生物質感受性化などの改善をもたらす、ウイルス核酸を操作する方法を提供する。「細菌の抗生物質感受性化」とは、抗菌物質に対する感染細胞または近隣細胞の感受性を高めるための遺伝子的にコードされたペイロードを発現するウイルスの能力を指す。ペイロードは、ウイルスまたはバクテリオファージに遺伝子的にコードすることができ、次いで、宿主細胞内で発現される。発現されたペイロードは、必要に応じて、宿主細胞によって分泌され得、宿主細胞の溶解時に放出され得る。抗生物質感受性化作用は、相乗効果試験、例えば、よく知られた微量液体希釈チェッカーボードアッセイによって観察することができる。

いくつかの例において、本開示は、ウイルス特性、例えば、ビルレンス因子の調節などの改善をもたらす、ウイルス核酸を操作する方法を提供する。「ビルレンス因子の調節」とは、既知のビルレンス因子の発現または活性を調節することができるタンパク質または化合物をウイルスが遺伝子的にコードしていることを指す。ビルレンス因子調節物質の非限定的な例は、転写因子、抗体及び免疫タンパク質である。ビルレンス因子及びビルレンス因子調節物質の発現または活性は、例えば、動物モデル、生化学的試験またはレポーターアッセイにおいて観察することができる。

いくつかの例において、本開示は、ウイルス特性、例えば、標的化された宿主ゲノム消化または編集などの改善をもたらす、ウイルス核酸を操作する方法を提供する。「標的化された宿主ゲノム消化または編集」とは、所定の遺伝子座における標的化されたゲノム消化が可能な配列特異的ヌクレアーゼを遺伝子的にコードし、任意に、例えば、修復DNA分子の挿入によって編集することができる、ウイルスの能力を指す。標的化された消化作用は、配列決定、生細胞計測、新規配列の組込み確認及び/または当業者に知られている他の標準的な技術によって観察することができる。

いくつかの態様において、本開示は、インビトロ消化ステップを含む、ウイルス配列を操作するインビトロ法を提供する。いくつかの例において、消化されたウイルス核酸は、インビトロまたはインビボアセンブリ反応に使用するのではなく、単離され、配列決定される。いくつかの例において、ウイルス核酸断片から得た配列決定の結果を使用して、ウイルスゲノム末端を特定する。いくつかの例において、修正されたウイルスゲノム配列を使用して、更なるインビトロ工学アプローチ及びステップを計画及び設計する。

いくつかの態様において、本開示は、ウイルス核酸の単離を含む、ウイルス配列を操作するインビトロ法を提供する。いくつかの例において、ウイルス核酸は、完全なウイルスゲノムである。いくつかの例において、完全なウイルスゲノムは、ウイルス粒子から単離される。いくつかの例において、ウイルス核酸は、ウイルスゲノムのサブセクションである。いくつかの例において、ウイルス核酸は、プラスミド中に含まれるウイルスゲノムのサブセクションである。いくつかの例において、ウイルスゲノムサブセクションを含むプラスミドは、宿主細胞から単離される。いくつかの例において、ウイルスゲノムサブセクションは、インビトロ工学の前に、プラスミドにクローニングされ、宿主細胞を形質転換し、単離される。いくつかの例において、ウイルス核酸はデノボ合成される。デノボ合成は、当該技術分野において知られている標準的方法を使用して、オリゴを合成し、それらをインビトロまたはインビボでアセンブルすることを含み得る。いくつかの例において、ウイルス核酸は、消化の前に、例えば、PCR増幅などで増幅される。

いくつかの態様において、本開示は、(a)3’エキソヌクレアーゼ活性を欠く単離された非耐熱性5’→3’エキソヌクレアーゼと、(b)クラウディング剤と、(c)3’エキソヌクレアーゼ活性を有する単離された耐熱性の非鎖置換型DNAポリメラーゼ、または当該DNAポリメラーゼ及び3’エキソヌクレアーゼ活性を欠く第2のDNAポリメラーゼの混合物と、(d)単離した耐熱性リガーゼと、(e)dNTPの混合物と、(f)好適な緩衝液と、(g)精製された組換えRNA誘導型ヌクレアーゼとを含む、ウイルス配列を操作するためのキットを提供する。いくつかの例において、RNA誘導型ヌクレアーゼは、Cas9またはCas9由来酵素である。いくつかの例において、キットは、個別化された標的指向RNAを更に含む。いくつかの例において、標的指向RNAは、キメラgRNA、またはcrRNA及びtracrRNAである。いくつかの例において、キットは、アセンブリ反応において挿入されるDNA断片として機能するための、個別化された合成核酸分子を更に含む。いくつかの例において、キットは、コンピテント宿主細胞を更に含む。いくつかの例において、キットは、単離されたウイルス核酸を更に含む。

いくつかの態様において、本開示は、単離されたウイルス核酸、組換えRNA誘導型ヌクレアーゼ、少なくとも1つの標的指向RNA、及び単離されたウイルス核酸に消化部位でアセンブルされるDNAまたはRNA断片を含む、ウイルス核酸のインビトロ工学のためのシステムを提供する。いくつかの例において、単離されたウイルス核酸は、ウイルス粒子から単離された完全なゲノムである。いくつかの例において、単離されたウイルス核酸は、プラスミドにサブクローニングされ、宿主細胞から単離されたウイルスゲノムサブセクションである。いくつかの例において、RNA誘導型ヌクレアーゼは、Cas9またはCas9由来酵素である。いくつかの例において、標的指向RNAは、crRNA及びtracrRNAである。いくつかの例において、標的指向RNAは、キメラガイドRNA(gRNA)である。いくつかの例において、標的指向RNAまたはgRNAは2つある。いくつかの例において、crRNA及びtracrRNAは2セットある。

いくつかの態様において、本開示は、単離されたウイルス核酸と、組換えRNA誘導型ヌクレアーゼと、少なくとも1つの標的指向RNAと、単離された核酸の消化部位に挿入される核酸断片とを含む、インビトロ工学的ウイルス核酸システムを含む。いくつかの例において、システムは、組換えRNA誘導型ヌクレアーゼと少なくとも1つの標的指向RNAとが、単離されたウイルス核酸を消化できる複合体を形成するものである。いくつかの例において、システムは、スペルミジンを更に含む。いくつかの例において、システムは、3’エキソヌクレアーゼ活性を欠く単離された非耐熱性5’→3’エキソヌクレアーゼと、クラウディング剤と、3’エキソヌクレアーゼ活性を有する単離された耐熱性の非鎖置換型DNAポリメラーゼ、または当該DNAポリメラーゼ及び3’エキソヌクレアーゼ活性を欠く第2のDNAポリメラーゼの混合物と、単離した耐熱性リガーゼと、dNTPの混合物と、好適な緩衝液とを更に含み、該システムは、組換えウイルス核酸を形成するための、RNA誘導型ヌクレアーゼの消化部位での単離されたウイルス核酸への核酸断片の挿入に効果的である条件下にある。

いくつかの態様において、本明細書に記載のシステムは、組換えウイルス核酸が、参照及び/または操作されていないウイルス核酸と比較して少なくとも1つの改善されたウイルス特性を有する非天然ウイルス粒子を産生することができるようなものである。いくつかの例において、改善されたウイルス特性は、宿主域、ウイルス溶菌サイクル、吸着、付着、注入、複製及びアセンブリ、溶菌、放出数、免疫回避、免疫刺激、免疫不活性化、バイオフィルムの分散、細菌のファージ耐性、細菌の抗生物質感受性化、ビルレンス因子の調節、ならびに標的化された宿主ゲノム消化または編集からなる群から選択される。

いくつかの態様において、本明細書に記載のシステムにおいて、RNA誘導型ヌクレアーゼは、Cas9またはCas9由来酵素である。いくつかの例において、RNA誘導型ヌクレアーゼは、消化後、不活性化されるか、または除去される。

本明細書で開示される方法は、多数の他のウイルスゲノム及びウイルスベクター構築物に使用でき、RNAゲノムまたは後にウイルスRNAにインビトロ転写されるDNA鋳型を直接編集することによるRNAゲノムの修正に使用でき、原核生物ウイルス及び真核生物ウイルスの両方を操作し、直接修正するために使用でき、ファージディスプレイ、ファージ治療、ウイルス診断またはワクチン開発/作製のために使用されるウイルスゲノムの直接修正に使用することができる。

いくつかの態様において、本開示は、本明細書に記載の方法のいずれかによって作製された組換えウイルス核酸を提供する。いくつかの例において、組換えウイルス核酸は、操作されていないウイルス核酸と比較して少なくとも1つの改善されたウイルス特性を有する非天然ウイルス粒子を産生することができる。いくつかの例において、改善されたウイルス特性は、宿主域、ウイルス溶菌サイクル、吸着、付着、注入、複製及びアセンブリ、溶菌、放出数、免疫回避、免疫刺激、免疫不活性化、バイオフィルムの分散、細菌のファージ耐性、細菌の抗生物質感受性化、ビルレンス因子の調節、ならびに標的化された宿主ゲノム消化または編集からなる群から選択される。

いくつかの態様において、本開示は、操作されていないウイルス核酸と比較して少なくとも1つの改善されたウイルス特性を有する非天然ウイルス粒子を産生することができる組換え核酸を含む、操作されたウイルス組成物を提供する。いくつかの例において、改善されたウイルス特性は、宿主域、ウイルス溶菌サイクル、吸着、付着、注入、複製及びアセンブリ、溶菌、放出数、免疫回避、免疫刺激、免疫不活性化、バイオフィルムの分散、細菌のファージ耐性、細菌の抗生物質感受性化、ビルレンス因子の調節、ならびに標的化された宿主ゲノム消化または編集からなる群から選択される。いくつかの例において、本開示にかかる操作されたウイルス核酸は、本明細書に記載される方法のステップのいずれかによって作製される。

方法は、ヌクレオチド、遺伝子または全ゲノム領域を変更するために使用され得る。例えば、以下の実施例で記載されるように、この方法は、LKD16 gp18遺伝子をLUZ19に置き換えて、ウイルス宿主域の改善をもたらすことが示されている。更に、この方法を使用して、ウイルス管複合体に単一の変異を挿入し、ウイルスの複製を改善することができる。方法はまた、抗菌性ペプチド、ピオシン、EPSデポリメラーゼ、CRISPR/Cas阻害タンパク質、バクテリオファージ由来の尾繊維、レポーター遺伝子(すなわち、Lux、GFP)、クオラム抑制遺伝子、ヌクレアーゼ、TALENヌクレアーゼ、I型、II型、III型、IV型、V型及びVI型CRISPRシステムタンパク質(すなわち、Cas9)、CRISPR RNA、転写因子及びヒト免疫調節因子の操作をバクテリオファージにもたらし、バクテリオファージ治療または関連用途におけるバクテリオファージの活性を改善するために使用することができる。これらの要素は、天然プロモーター、異種プロモーター、誘導性プロモーターまたはこれらの任意の組み合わせなどの天然または異種の調節エレメントに作動可能に連結することができる。

いくつかの実施形態において、本開示は、宿主細胞中に導入されると、操作されていないウイルス核酸と比較して2つ以上の改善されたウイルス特性を有する非天然ウイルス粒子を産生することができる、操作されたウイルス核酸を含む、操作されたウイルスを提供する。いくつかの態様において、産生されるウイルス粒子は、少なくとも3つの改善されたウイルス特性を有する。いくつかの態様において、改善されたウイルス特性のそれぞれは、宿主域、ウイルス溶菌サイクル、吸着、付着、注入、複製及びアセンブリ、溶菌、放出数、免疫回避、免疫刺激、免疫不活性化、バイオフィルムの分散、細菌のファージ耐性、細菌の抗生物質感受性化、ビルレンス因子の調節、ならびに標的化された宿主ゲノム消化または編集からなる群から選択される。

いくつかの実施形態において、本開示は、操作されたウイルス核酸を含む、操作されたウイルスを提供する。いくつかの態様において、操作されたウイルス核酸は、操作されたウイルスゲノムである。いくつかの態様において、操作されたウイルスゲノムは、操作されたバクテリオファージゲノムである。操作されたバクテリオファージのいくつかの態様において、改善されたウイルス特性のうちの少なくとも1つは、宿主域である。

いくつかの実施形態において、本開示は、操作されたウイルス核酸を含む、2つ以上の改善されたウイルス特性を有する操作されたウイルスを提供する。いくつかの態様において、改善されたウイルス特性のそれぞれは、操作されたウイルス核酸中における少なくとも1つの改変の結果である。いくつかの態様において、少なくとも1つの改善されたウイルス特性は、操作されたウイルス核酸中における少なくとも2つの改変の結果である。いくつかの態様において、操作されたウイルス核酸に含まれる改変は、1回の工学的ステップの結果である。いくつかの態様において、操作されたウイルス核酸に含まれる改変は、反復的な工学的ステップの結果である。

いくつかの実施形態において、本開示は、操作されたウイルス核酸を含む、2つ以上の改善されたウイルス特性を有する操作されたウイルスを提供する。

いくつかの態様において、改変のうちの少なくとも1つは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号50または配列番号25に含まれる配列に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%の同一性または完全な同一性を有する核酸配列中にある。

いくつかの態様において、改変のうちの少なくとも1つは、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号5、配列番号48または配列番号49に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%の同一性または完全な同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列中にある。

いくつかの態様において、操作されたウイルスゲノムは、LUZ19ゲノムに対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%の同一性または完全な同一性を有するウイルスゲノムの全てまたは一部を含む。いくつかの態様において、操作されたウイルスゲノムは、異種gp18遺伝子の全てまたは一部を更に含む。いくつかの態様において、異種gp18遺伝子は、配列番号26に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%の同一性または完全な同一性を有する。いくつかの態様において、異種gp18遺伝子は、配列番号38に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%の同一性または完全な同一性を有するアミノ酸配列をコードする。

いくつかの態様において、操作されたウイルスゲノムは、LUZ19ゲノムに対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%の同一性または完全な同一性を有するウイルスゲノムの全てまたは一部を含む。いくつかの態様において、操作されたウイルスゲノムは、操作されたgp34遺伝子の全てまたは一部を更に含む。いくつかの態様において、操作されたgp34遺伝子は、配列番号5のアミノ酸位置55に対応する位置に変異を含むアミノ酸配列をコードする。いくつかの態様において、異種gp34遺伝子は、配列番号4に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%の同一性または完全な同一性を有する。

いくつかの態様において、操作されたウイルスゲノムは、LUZ19ゲノムに対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%の同一性または完全な同一性を有するウイルスゲノムの全てまたは一部を含む。いくつかの態様において、操作されたウイルスゲノムは、配列番号1、配列番号2、配列番号3及び配列番号50からなる群から選択される配列に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%の同一性または完全な同一性を有する1つ以上の配列中における改変を更に含む。

いくつかの態様において、操作されたウイルスゲノムは、配列番号1に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%の同一性または完全な同一性を有する配列、配列番号2に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%の同一性または完全な同一性を有する配列、配列番号3に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%の同一性または完全な同一性を有する配列、及び配列番号50に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%の同一性または完全な同一性を有する配列のそれぞれにおける改変を更に含む。いくつかの態様において、改変は、配列番号1の核酸位置50に対応する位置でのGからAへの置換、配列番号50の核酸位置160に対応する位置でのGからTへの置換、配列番号2の核酸位置245に対応する位置でのAからGへの置換、配列番号2の核酸位置247〜248に対応する位置でのATからTCへの置換、及び配列番号3の核酸位置757に対応する位置でのAからGへの置換を含む。

いくつかの態様において、操作されたウイルスゲノムは、LUZ19ゲノムに対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%の同一性または完全な同一性を有するウイルスゲノムの全てまたは一部を含む。いくつかの態様において、操作されたウイルスゲノムは、配列番号34、配列番号35、配列番号36及び配列番号48からなる群から選択される配列に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%の同一性または完全な同一性を有するアミノ酸配列をコードする1つ以上の核酸配列中における改変を更に含む。

いくつかの態様において、操作されたウイルスゲノムは、配列番号34に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%の同一性または完全な同一性を有するアミノ酸配列、配列番号35に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%の同一性または完全な同一性を有するアミノ酸配列、配列番号36に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%の同一性または完全な同一性を有するアミノ酸配列、及び配列番号48に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%の同一性または完全な同一性を有するアミノ酸配列のそれぞれをコードする核酸配列中における改変を含む。いくつかの態様において、改変は、配列番号34のアミノ酸位置17に対応する位置でのCからYへの置換、配列番号48のアミノ酸位置36に対応する位置でのDからYへの置換、配列番号35のアミノ酸位置82に対応する位置でのDからGへの置換、配列番号35のアミノ酸位置83に対応する位置でのIからSへの置換及び配列番号36のアミノ酸位置253に対応する位置でのNからDへの置換を含む。

いくつかの態様において、操作されたウイルスゲノムは、LUZ19ゲノムに対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%の同一性または完全な同一性を有するウイルスゲノムの全てまたは一部を含む。いくつかの態様において、操作されたウイルスゲノムは、配列番号25に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%の同一性または完全な同一性を有する配列中における改変を更に含む。いくつかの態様において、改変は、配列番号25に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%の同一性もしくは完全な同一性を有する配列への異種核酸分子の挿入、または配列番号25に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%の同一性もしくは完全な同一性を有する配列中に含まれる配列の異種核酸分子での置換である。いくつかの態様において、異種核酸分子は、配列番号6、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19及び配列番号20からなる群から選択される配列に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%の同一性または完全な同一性を有する異種核酸配列を含む。

いくつかの態様において、操作されたウイルスゲノムは、LUZ19ゲノムに対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%の同一性または完全な同一性を有するウイルスゲノムの全てまたは一部を含む。いくつかの態様において、操作されたウイルスゲノムは、配列番号49に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%の同一性または完全な同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列中における改変を更に含む。いくつかの態様において、改変は、配列番号49に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%の同一性もしくは完全な同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列への異種核酸分子の挿入、または配列番号49に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%の同一性もしくは完全な同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列中に含まれる核酸配列の異種核酸分子での置換である。いくつかの態様において、異種核酸分子は、配列番号37、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46及び配列番号47からなる群から選択される配列に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%の同一性または完全な同一性を有するアミノ酸配列をコードする異種核酸配列を含む。

いくつかの態様において、操作されたウイルス核酸は、配列番号21に含まれる核酸配列またはその一部を含むプロモーターに作動可能に連結された異種核酸配列を含む。

いくつかの態様において、操作されたウイルス核酸は、配列番号22に含まれる核酸配列またはその一部を含むターミネーターに作動可能に連結された異種核酸配列を含む。

いくつかの実施形態において、本開示は、2つ以上の所望のウイルス特性を有する、目的の操作されたウイルスを作製するための方法を提供し、この方法は、(a)第1のウイルスゲノムを準備することと、(b)第1のウイルスゲノムの少なくとも1つの断片を、得られる第2のウイルスゲノムが第1のウイルスゲノムと比較して少なくとも1つの改変を含むように、少なくとも1つの修復核酸分子と結合することによって、第2のウイルスゲノムを操作することを含み、第2のウイルスゲノムは、宿主細胞中に導入されると、2つ以上の改善されたウイルス特性を有するウイルス粒子を産生することができる。いくつかの態様において、本明細書で開示される方法は、(c)ステップ(a)〜(b)を1回以上の反復で繰り返すことを更に含む。いくつかの態様において、改善されたウイルス特性のそれぞれは、宿主域、ウイルス溶菌サイクル、吸着、付着、注入、複製及びアセンブリ、溶菌、放出数、免疫回避、免疫刺激、免疫不活性化、バイオフィルムの分散、細菌のファージ耐性、細菌の抗生物質感受性化、ビルレンス因子の調節、ならびに標的化された宿主ゲノム消化または編集からなる群から選択される。

いくつかの実施形態において、本開示は、本明細書に記載される所望のウイルス特性を2つ以上有する、目的の操作されたウイルスを作製するための方法を提供する。いくつかの態様において、ステップ(b)の第2のウイルスゲノムを操作することは、(1)エンドヌクレアーゼを使用した第1のウイルスゲノムの領域のインビトロ消化と、(2)消化された第1のウイルスゲノムの少なくとも1つの断片を少なくとも1つの修復核酸分子とアセンブルすることとを更に含む。いくつかの態様において、第1のウイルスゲノムは、ウイルス粒子から単離される。いくつかの態様において、第1のウイルスゲノムまたは少なくとも1つの修復核酸分子は、デノボ合成される。いくつかの態様において、デノボ合成は、化学的に合成された核酸分子、PCR増幅核酸配列、単離された核酸分子の消化断片またはこれらの任意の組み合わせを結合することを含む。いくつかの態様において、第1のウイルスゲノムまたは少なくとも1つの修復核酸分子は、インビトロ消化の前に増幅される。

いくつかの実施形態において、本開示は、本明細書に記載される所望のウイルス特性を2つ以上有する操作された目的のウイルスを作製するための方法を提供する。いくつかの態様において、第1のウイルスゲノムは、少なくとも18kbである。いくつかの態様において、第1のウイルスゲノムは、少なくとも2kb〜少なくとも4Mbである。いくつかの態様において、第1のウイルスゲノムは、少なくとも18kb〜少なくとも4Mbである。いくつかの態様において、第1のウイルスゲノムは、少なくとも5kb、少なくとも10kb、少なくとも15kb、少なくとも18kb、少なくとも20kb、少なくとも25kb、少なくとも30kb、少なくとも35kb、少なくとも40kb、少なくとも45kb、少なくとも50kb、少なくとも55kb、少なくとも60kb、少なくとも65kb、少なくとも70kb、少なくとも75kb、少なくとも80kb、少なくとも85kb、少なくとも90kb、少なくとも100kb、少なくとも125kb、少なくとも150kb、少なくとも175kb、少なくとも200kb、少なくとも250kb、少なくとも300kb、少なくとも400kb、少なくとも500kb、少なくとも600kb、少なくとも700kb、少なくとも800kb、少なくとも900kb、少なくとも1Mb、少なくとも1.5Mb、少なくとも2Mb、少なくとも2.5Mb、少なくとも3Mbまたは少なくとも3.5Mbである。

いくつかの実施形態において、本開示は、本明細書に記載される所望のウイルス特性を2つ以上有する、目的の操作されたウイルスを作製するための方法を提供する。いくつかの態様において、アセンブリは、インビトロまたはインビボで実施される。いくつかの態様において、アセンブリは、(a)3’エキソヌクレアーゼ活性を欠く単離された非耐熱性5’→3’エキソヌクレアーゼと、(b)クラウディング剤と、(c)3’エキソヌクレアーゼ活性を有する単離された耐熱性の非鎖置換型DNAポリメラーゼ、または当該DNAポリメラーゼ及び3’エキソヌクレアーゼ活性を欠く第2のDNAポリメラーゼの混合物と、(d)単離した耐熱性リガーゼと、(e)dNTPの混合物と、(f)好適な緩衝液とを含む混合物を用いて、操作されたウイルスゲノムを含む組換え核酸を形成するための、消化されたウイルス核酸への断片の挿入に効果的である条件下で、インビトロで実施される。

いくつかの実施形態において、本開示は、本明細書に記載される所望のウイルス特性を2つ以上有する、目的の操作されたウイルスを作製するための方法を提供する。いくつかの態様において、アセンブリは、インビトロまたはインビボで実施される。いくつかの態様において、アセンブリは、宿主細胞においてインビボで実施される。

いくつかの実施形態において、本開示は、本明細書に記載される所望のウイルス特性を2つ以上有する、目的の操作されたウイルスを作製するための方法を提供する。いくつかの態様において、エンドヌクレアーゼは、RNA誘導型ヌクレアーゼである。いくつかの態様において、方法は、1つまたは2つのガイドRNAを更に含む。いくつかの態様において、RNA誘導型ヌクレアーゼは、Cas9またはCas9由来酵素である。いくつかの態様において、ガイドRNAは、(1)キメラgRNA、または(2)crRNA及びtracrRNAを含む。

いくつかの実施形態において、本開示は、本明細書に記載される所望のウイルス特性を2つ以上有する、目的の操作されたウイルスを作製するための方法を提供する。いくつかの態様において、エンドヌクレアーゼは、熱不活性されるか、または除去される。いくつかの態様において、インビトロ消化は、スペルミジンを更に含む。

いくつかの実施形態において、本開示は、本明細書に記載される所望のウイルス特性を2つ以上有する、目的の操作されたウイルスを作製するための方法を提供する。いくつかの態様において、方法は、操作されたウイルスゲノムにより宿主細胞を形質転換することを更に含む。いくつかの態様において、方法は、操作されたウイルスゲノムをウイルス粒子内にパッケージングするためのインビトロパッケージングキットを使用することを更に含む。

いくつかの実施形態において、本開示は、本明細書で開示される方法のいずれかによって作製される操作されたウイルスを提供する。

いくつかの実施形態において、本開示は、本明細書で開示される工学的方法のいずれかによって作製された、本明細書で開示される操作されたウイルスのいずれかの組成物を提供する。

いくつかの実施形態において、本開示は、精製された組換えRNA誘導型ヌクレアーゼと、3’エキソヌクレアーゼ活性を欠く単離された非耐熱性5’→3’エキソヌクレアーゼと、クラウディング剤と、3’エキソヌクレアーゼ活性を有する単離された耐熱性の非鎖置換型DNAポリメラーゼ、または当該DNAポリメラーゼ及び3’エキソヌクレアーゼ活性を欠く第2のDNAポリメラーゼの混合物と、単離された耐熱性リガーゼと、dNTPの混合物と、好適な緩衝液とを含む、ウイルス核酸分子を操作するためのキットを提供する。いくつかの態様において、キットは、個別化されたガイドRNAを更に含む。いくつかの態様において、キットは、アセンブリ反応において挿入されるDNA断片として機能するための、個別化された合成核酸分子を更に含む。いくつかの態様において、キットは、形質転換のためのコンピテント宿主細胞を更に含む。いくつかの態様において、キットは、単離されたウイルスゲノム核酸を更に含む。

いくつかの態様において、本開示は、単離されたウイルス核酸と、組換えRNA誘導型ヌクレアーゼと、少なくとも1つの標的指向RNAと、単離された核酸の消化部位に挿入される核酸断片とを含む、インビトロ工学的ウイルス核酸システムを含む。いくつかの例において、システムは、組換えRNA誘導型ヌクレアーゼと少なくとも1つの標的指向RNAとが、単離されたウイルス核酸を消化できる複合体を形成するものである。いくつかの例において、システムは、スペルミジンを更に含む。いくつかの例において、システムは、3’エキソヌクレアーゼ活性を欠く単離された非耐熱性5’→3’エキソヌクレアーゼと、クラウディング剤と、3’エキソヌクレアーゼ活性を有する単離された耐熱性の非鎖置換型DNAポリメラーゼ、または当該DNAポリメラーゼ及び3’エキソヌクレアーゼ活性を欠く第2のDNAポリメラーゼの混合物と、単離した耐熱性リガーゼと、dNTPの混合物と、好適な緩衝液とを更に含み、該システムは、組換えウイルス核酸を形成するための、RNA誘導型ヌクレアーゼの消化部位での単離されたウイルス核酸への核酸断片の挿入に効果的である条件下にある。

いくつかの態様において、本明細書に記載のシステムは、組換えウイルス核酸が、操作されていないウイルス核酸と比較して少なくとも1つの改善されたウイルス特性を有する非天然ウイルス粒子を産生することができるようなものである。いくつかの例において、改善されたウイルス特性は、宿主域、ウイルス溶菌サイクル、吸着、付着、注入、複製及びアセンブリ、溶菌、放出数、免疫回避、免疫刺激、免疫不活性化、バイオフィルムの分散、細菌のファージ耐性、細菌の抗生物質感受性化、ビルレンス因子の調節、ならびに標的化された宿主ゲノム消化または編集からなる群から選択される。

いくつかの態様において、本明細書に記載のシステムにおいて、RNA誘導型ヌクレアーゼは、Cas9またはCas9由来酵素である。いくつかの例において、RNA誘導型ヌクレアーゼは、消化後、不活性化されるか、または除去される。

いくつかの態様において、本明細書に記載の方法は、単離された核酸中の配列を修正するためのエラー修正法として使用される。標準的なエラー修正方法はPCRに基づくものであるが、1)PCRは、付加的な望ましくない変異を核酸に導入する可能性があること、また、2)PCRは、この文脈において、約5kbのサイズ制限があることの2つの本質的な問題がある。したがって、標準的なPCRに基づくエラー修正方法は、PCRにより生成される変異または増幅の失敗のいずれかの結果として、5kbよりも大きいプラスミドに対して、確実に実施することができない。本明細書に記載の核酸配列のインビトロ工学的方法は、PCR増幅の必要性を避けるものであり、サイズ制限がなくなり、PCRにより生成される変異の可能性を排除する。

いくつかの態様において、本開示は、核酸の単離と、RNA誘導型ヌクレアーゼを使用した核酸の領域のインビトロ消化と、消化された核酸へのDNAまたはRNA断片の挿入による組換え核酸のアセンブリとを含む、核酸配列を操作するインビトロ法を提供する。一態様において、インビトロ消化は、RNA誘導型酵素消化である。別の態様において、酵素消化は、Cas9またはCas9由来酵素を使用して実施される。追加の態様において、消化は、標的指向RNAを更に含む。別の態様において、消化は、スペルミジンを更に含む。特定の態様において、標的指向RNAは、gRNA、crRNA及び/またはtracrRNAである。更なる態様において、消化後、RNA誘導型ヌクレアーゼは、例えば、少なくとも摂氏80度などの熱への曝露などの標準的方法によって不活性化される。追加的にまたは代替的に、RNA誘導型ヌクレアーゼは、例えば、フェノールクロロホルム抽出などの標準的方法によって除去される。

いくつかの態様において、本開示は、核酸の単離と、RNA誘導型ヌクレアーゼを使用した核酸の領域のインビトロ消化と、消化された核酸へのDNAまたはRNA断片の挿入による組換え核酸のアセンブリとを含む、核酸配列を操作するインビトロ法を提供する。いくつかの例において、アセンブリは、(a)3’エキソヌクレアーゼ活性を欠く単離された非耐熱性5’→3’エキソヌクレアーゼと、(b)クラウディング剤と、(c)3’エキソヌクレアーゼ活性を有する単離された耐熱性の非鎖置換型DNAポリメラーゼ、または当該DNAポリメラーゼ及び3’エキソヌクレアーゼ活性を欠く第2のDNAポリメラーゼの混合物と、(d)単離した耐熱性リガーゼと、(e)dNTPの混合物と、(f)好適な緩衝液とを含む成分の混合物を含む単一容器中で、組換え核酸を形成するための、消化されたウイルス核酸への断片の挿入に効果的である条件下で、インビトロで実施される。いくつかの態様において、エキソヌクレアーゼはT5エキソヌクレアーゼであり、接触は等温条件下であり、及び/またはクラウディング剤はPEGであり、及び/または非鎖置換型DNAポリメラーゼはPhusion(商標)DNAポリメラーゼもしくはVENT(登録商標)DNAポリメラーゼであり、及び/またはリガーゼはTaqリガーゼである。いくつかの例において、インビトロアセンブリは、1ステップまたは等温ギブソンアセンブリによって実施される。いくつかの例において、インビトロアセンブリは、2ステップギブソンアセンブリによって実施される。

いくつかの態様において、本開示は、RNA誘導型ヌクレアーゼを含む、核酸配列を操作するインビトロ法を提供する。いくつかの例において、RNA誘導型ヌクレアーゼは、II型Cas9である。いくつかの例において、RNA誘導型ヌクレアーゼは、Cas9またはCas9由来酵素である。いくつかの例において、RNA誘導型ヌクレアーゼは、単離された組換えCas9またはCas9由来酵素である。いくつかの例において、標的指向RNAは少なくとも1つある。いくつかの例において、標的指向RNAは2つある。いくつかの例において、標的指向RNAは、キメラガイドRNA(gRNA)または1セットのcrRNA及びtracrRNAである。いくつかの例において、インビトロ消化反応は、2つのgRNAを使用する。いくつかの例において、インビトロ消化反応は、2セットのcrRNA及びtracrRNAを使用する。

いくつかの態様において、本開示は、インビトロ消化ステップを含む、核酸配列を操作するインビトロ法を提供する。いくつかの例において、消化後、RNA誘導型ヌクレアーゼは、例えば、少なくとも摂氏80度などの熱への曝露などの標準的方法によって不活性化される。いくつかの例において、消化後、RNA誘導型ヌクレアーゼは、フェノールクロロホルム抽出によって除去される。いくつかの例において、消化後、RNA誘導型ヌクレアーゼは、当該技術分野において知られている他の抽出方法によって除去される。

いくつかの態様において、本開示は、操作された核酸をもたらす、核酸配列を操作するインビトロ法を提供する。いくつかの例において、次いで、操作された核酸で宿主細胞を形質転換させる。いくつかの例において、宿主細胞は、E.coli、P.aeruginosa、S.cerevisiae、V.natriegens、B.subtilisまたは当該技術分野においてよく知られている他の微生物である。いくつかの例において、形質転換は、ヒートショック、エレクトロポレーション、微粒子銃、パーティクルガン、接合、形質導入、リポフェクションまたは当該技術分野においてよく知られている他の確立された方法によって実施される。

いくつかの態様において、本開示は、単離された核酸を含む、核酸配列を操作するインビトロ法を提供する。いくつかの例において、核酸は、宿主細胞から単離された完全なゲノムである。いくつかの例において、宿主細胞は、E.coli、S.cerevisiae、B.subtilis、V.natriegens、P.aeruginosaまたは他のよく知られている微生物である。いくつかの例において、核酸は、プラスミドである。いくつかの例において、プラスミドは、宿主細胞から単離される。いくつかの例において、目的の核酸は、本明細書に記載の方法によるインビトロ操作の前に、プラスミドにクローニングされ、宿主細胞を形質転換し、単離される。

いくつかの態様において、本開示は、核酸の単離を含む、核酸配列を操作するインビトロ法を提供する。いくつかの例において、単離された核酸は、ゲノムまたはプラスミドである。いくつかの例において、単離されたゲノムまたはプラスミドは、少なくとも6kb、少なくとも7kb、少なくとも8kb、少なくとも9kb、少なくとも10kb、少なくとも12kb、少なくとも15kb、少なくとも20kb、少なくとも25kbまたは少なくとも28kbである。いくつかの例において、単離されたゲノムまたはプラスミドは、6kb〜1MBである。いくつかの例において、単離されたゲノムまたはプラスミドは、6kb〜10kb、8kb〜15kb、12kb〜20kb、15kb〜22kb、20kb〜25kb、22kb〜28kb、25kb〜30kb、25kb〜50kbまたは40kb〜100kbである。

上に開示した実施形態のいずれかについて追加的にまたは代替的に、本開示は、次の実施形態を含む。

実施形態1は、宿主細胞中に導入されると、操作されていないウイルス核酸の宿主細胞への導入によって産生されるウイルス粒子と比較して2つ以上または任意に3つ以上の改善されたウイルス特性を有する非天然ウイルス粒子を産生することができる、操作されたウイルス核酸を含む、操作されたウイルスである。

実施形態2は、改善されたウイルス特性のそれぞれが、宿主域、ウイルス溶菌サイクル、吸着、付着、注入、複製及びアセンブリ、溶菌、放出数、免疫回避、免疫刺激、免疫不活性化、バイオフィルムの分散、細菌のファージ耐性、細菌の抗生物質感受性化、ビルレンス因子の調節、ならびに標的化された宿主ゲノム消化または編集からなる群から選択される、実施形態1の操作されたウイルスである。

実施形態3は、ウイルス核酸が、次のウイルス核酸:ウイルスゲノム、ウイルスゲノム断片、バクテリオファージゲノム、バクテリオファージゲノム断片、溶菌バクテリオファージゲノム、溶菌バクテリオファージゲノム断片またはこれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上である、実施形態1または2の操作されたウイルスである。

実施形態4は、操作されたウイルス核酸がバクテリオファージゲノムであり、任意に、改善されたウイルス特性のうちの少なくとも1つが宿主域である、実施形態1〜3のいずれかの操作されたウイルスである。

実施形態5は、以下のうちの少なくとも1つを満たす、実施形態1〜4のいずれかの操作されたウイルスである。1)改善されたウイルス特性のそれぞれが、操作されたウイルス核酸中における少なくとも1つの改変の結果である。2)少なくとも1つの改善されたウイルス特性が、操作されたウイルス核酸中における少なくとも2つの改変の結果である。3)操作されたウイルス核酸に含まれる改変が、1回の工学的ステップの結果である。4)操作されたウイルス核酸に含まれる改変が、反復的な工学的ステップの結果である。5)以上の任意の組み合わせ。

実施形態6は、改変のうちの少なくとも1つが、 1)配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号50もしくは配列番号25に含まれる配列に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%の同一性もしくは完全な同一性を有する核酸配列、または 2)配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号5、配列番号48もしくは配列番号49に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%の同一性もしくは完全な同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列、または 3)以上の任意の組み合わせ内にある、実施形態1〜5のいずれかの操作されたウイルスである。

実施形態7は、操作されたウイルス核酸が、LUZ19ゲノムに対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%の同一性または完全な同一性を有するウイルスゲノムの全てまたは一部を含む操作されたウイルスゲノムを含む、実施形態1〜6のいずれかの操作されたウイルスである。

実施形態8は、操作されたウイルスゲノムが、以下のうちの少なくとも1つを更に含む、実施形態1〜7のいずれかの操作されたウイルスである。 1)異種gp18遺伝子の全てまたは一部(任意に、当該異種gp18遺伝子は、配列番号26に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%の同一性または完全な同一性を有する)、 2)異種gp18遺伝子の全てまたは一部(任意に、当該異種gp18遺伝子は、配列番号38に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%の同一性または完全な同一性を有するアミノ酸配列をコードする)、 3)操作されたgp34遺伝子の全てまたは一部(任意に、当該異種gp34遺伝子は、配列番号5のアミノ酸位置55に対応する位置に変異を含むアミノ酸配列をコードするか、または任意に、異種gp34遺伝子は、配列番号4に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%の同一性もしくは完全な同一性を有する)、 4)配列番号1、配列番号2、配列番号3及び配列番号50からなる群から選択される配列に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%の同一性または完全な同一性を有する1つ以上の配列中における改変、ならびに 任意に、配列番号1に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%の同一性または完全な同一性を有する配列、配列番号2に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%の同一性または完全な同一性を有する配列、配列番号3に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%の同一性または完全な同一性を有する配列、及び配列番号50に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%の同一性または完全な同一性を有する配列のそれぞれにおける改変 (任意に、当該改変は、配列番号1の核酸位置50に対応する位置でのGからAへの置換、配列番号50の核酸位置160に対応する位置でのGからTへの置換、配列番号2の核酸位置245に対応する位置でのAからGへの置換、配列番号2の核酸位置247〜248に対応する位置でのATからTCへの置換、及び配列番号3の核酸位置757に対応する位置でのAからGへの置換を含む)、 5)配列番号34、配列番号35、配列番号36及び配列番号48からなる群から選択される配列に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%の同一性または完全な同一性を有するアミノ酸配列をコードする1つ以上の核酸配列中における改変、ならびに 任意に、配列番号34に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%の同一性または完全な同一性を有するアミノ酸配列、配列番号35に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%の同一性または完全な同一性を有するアミノ酸配列、配列番号36に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%の同一性または完全な同一性を有するアミノ酸配列、及び配列番号48に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%の同一性または完全な同一性を有するアミノ酸配列のそれぞれをコードする核酸配列中における改変 (任意に、当該改変は、配列番号34のアミノ酸位置17に対応する位置でのCからYへの置換、配列番号48のアミノ酸位置36に対応する位置でのDからYへの置換、配列番号35のアミノ酸位置82に対応する位置でのDからGへの置換、配列番号35のアミノ酸位置83に対応する位置でのIからSへの置換及び配列番号36のアミノ酸位置253に対応する位置でのNからDへの置換を含む)、 6)配列番号25に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%の同一性または完全な同一性を有する配列中における改変 (任意に、当該改変は、配列番号25に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%の同一性もしくは完全な同一性を有する配列への異種核酸分子の挿入、または配列番号25に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%の同一性もしくは完全な同一性を有する配列中に含まれる配列の異種核酸分子での置換であり、 かつ任意に、当該異種核酸分子は、配列番号6、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19及び配列番号20からなる群から選択される配列に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%の同一性または完全な同一性を有する異種核酸配列を含む)、 7)配列番号49に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%の同一性または完全な同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列中における改変 (任意に、当該改変は、配列番号49に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%の同一性もしくは完全な同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列への異種核酸分子の挿入、または配列番号49に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%の同一性もしくは完全な同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列中に含まれる核酸配列の異種核酸分子での置換であり、 かつ任意に、当該異種核酸分子は、配列番号37、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46及び配列番号47からなる群から選択される配列に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%の同一性または完全な同一性を有するアミノ酸配列をコードする異種核酸配列を含む)、 8)以上の任意の組み合わせ。

実施形態9は、操作されたウイルス核酸が、1)配列番号21に含まれる核酸配列もしくはその一部を含むプロモーター、2)配列番号22に含まれる核酸配列もしくはその一部を含むターミネーター、または3)これらの任意の組み合わせに作動可能に連結された異種核酸配列を含む、実施形態1〜8のいずれかの操作されたウイルスである。

実施形態10は、所望のウイルス特性を2つ以上有する、目的の操作されたウイルスを作製するための方法であり、この方法は、(a)第1のウイルスゲノムを準備することと、(b)第1のウイルスゲノムの少なくとも1つの断片を少なくとも1つの修復核酸分子と結合して、第1のウイルスゲノムと比較して少なくとも1つの改変を含む第2のウイルスゲノムを作製することによって、操作されたウイルスゲノムを作製することであって、当該第2のウイルスゲノムは、宿主細胞中に導入されると、2つ以上の改善されたウイルス特性を有するウイルス粒子を産生することができることと、任意に、(c)ステップ(a)〜(b)を1回以上の反復で繰り返すこととを含む。

実施形態11は、改善されたウイルス特性のそれぞれが、宿主域、ウイルス溶菌サイクル、吸着、付着、注入、複製及びアセンブリ、溶菌、放出数、免疫回避、免疫刺激、免疫不活性化、バイオフィルムの分散、細菌のファージ耐性、細菌の抗生物質感受性化、ビルレンス因子の調節、ならびに標的化された宿主ゲノム消化または編集からなる群から選択される、実施形態10の方法である。

実施形態12は、ステップ(b)の操作されたウイルスゲノムを作製することが、(1)エンドヌクレアーゼを使用した第1のウイルスゲノムの領域のインビトロ消化と、(2)消化された第1のウイルスゲノムの少なくとも1つの断片を少なくとも1つの修復核酸分子とアセンブルすることとを含む、実施形態10または11のいずれかの方法である。

実施形態13は、次の要素のうちの少なくとも1つを満たす、実施形態10〜12のいずれかの方法である。1)第1のウイルスゲノムがウイルス粒子から単離される。2)第1のウイルス及び/または少なくとも1つの修復核酸分子がデノボ合成され、任意に、デノボ合成は、化学的に合成された核酸分子、PCR増幅核酸配列、単離された核酸分子の消化断片またはこれらの任意の組み合わせを結合することを含む。3)第1のウイルスゲノム及び/または少なくとも1つの修復核酸分子がインビトロ消化の前に増幅される。あるいは、4)これらの任意の組み合わせ。

実施形態14は、第1のウイルスゲノムが、次のうちの少なくとも1つ: 1)少なくとも3kb、少なくとも10kb、少なくとも18kb、少なくとも25kbもしくは少なくとも30kb; 2)少なくとも18kb; 3)少なくとも2kb〜少なくとも4Mb; 4)少なくとも18kb〜少なくとも4Mb;または 5)少なくとも5kb、少なくとも10kb、少なくとも15kb、少なくとも18kb、少なくとも20kb、少なくとも25kb、少なくとも30kb、少なくとも35kb、少なくとも40kb、少なくとも45kb、少なくとも50kb、少なくとも55kb、少なくとも60kb、少なくとも65kb、少なくとも70kb、少なくとも75kb、少なくとも80kb、少なくとも85kb、少なくとも90kb、少なくとも100kb、少なくとも125kb、少なくとも150kb、少なくとも175kb、少なくとも200kb、少なくとも250kb、少なくとも300kb、少なくとも400kb、少なくとも500kb、少なくとも600kb、少なくとも700kb、少なくとも800kb、少なくとも900kb、少なくとも1Mb、少なくとも1.5Mb、少なくとも2Mb、少なくとも2.5Mb、少なくとも3Mbもしくは少なくとも3.5Mbである、実施形態10〜13のいずれかの方法である。

実施形態15は、アセンブリがインビトロで実施され、任意に、当該アセンブリは、(a)任意に非耐熱性である、3’エキソヌクレアーゼ活性を欠く単離された5’→3’エキソヌクレアーゼと、(b)任意に、クラウディング剤と、(c)任意に耐熱性である、3’エキソヌクレアーゼ活性を有する単離された非鎖置換型DNAポリメラーゼ、または当該DNAポリメラーゼ及び3’エキソヌクレアーゼ活性を欠く第2のDNAポリメラーゼの混合物と、(d)任意に耐熱性である、単離されたリガーゼと、(e)dNTPの混合物と、(f)任意に、好適な緩衝液とを含む混合物を用いて、操作されたウイルスゲノムを含む組換え核酸を形成するための、消化されたウイルス核酸への断片の挿入に効果的である条件下で、インビトロで実施される、実施形態10〜14のいずれかの方法である。

実施形態16は、アセンブリがインビボで実施され、任意に、当該インビボアセンブリは、宿主細胞で実施される、実施形態10〜14のいずれかの方法である。

実施形態17は、次の要素のうちの少なくとも1つを満たす、実施形態10〜16のいずれかの方法である。1)エンドヌクレアーゼがRNA誘導型ヌクレアーゼである。2)方法が少なくとも1つのガイドRNAを更に含む。3)RNA誘導型ヌクレアーゼが、Cas9またはCas9由来酵素であり、少なくとも1つのガイドRNAが、(a)キメラgRNA、または(b)crRNA及びtracrRNAを含む。4)エンドヌクレアーゼが、アセンブリの前に、熱不活性化されるか、または除去される。5)インビトロ消化がスペルミジンを更に含む。6)方法が、操作されたウイルスゲノムにより宿主細胞を形質転換することを更に含む。7)方法が、操作されたウイルスゲノムをウイルス粒子内にパッケージングするためのインビトロパッケージングキットを使用することを更に含む。あるいは、8)以上の任意の組み合わせ。

実施形態18は、実施形態10〜17のいずれかの方法によって作製された操作されたウイルスであり、任意に、当該操作されたウイルスは、実施形態1〜9のいずれかによる操作されたウイルスである。

実施形態19は、(a)精製された組換えRNA誘導型ヌクレアーゼと、(b)任意に非耐熱性である、3’エキソヌクレアーゼ活性を欠く単離された5’→3’エキソヌクレアーゼと、(c)任意に耐熱性である、3’エキソヌクレアーゼ活性を有する単離された非鎖置換型DNAポリメラーゼ、または当該DNAポリメラーゼ及び3’エキソヌクレアーゼ活性を欠く第2のDNAポリメラーゼの混合物と、(d)任意に耐熱性である、単離されたリガーゼとを含み、任意に、1)クラウディング剤、2)dNTPの混合物、3)好適な緩衝液、4)個別化されたガイドRNA、5)アセンブリ反応において挿入されるDNA断片として機能するための、個別化された合成核酸分子、6)形質転換のためのコンピテント宿主細胞、7)単離されたウイルスゲノム核酸、または8)以上の任意の組み合わせのいずれかを更に含む、任意に、ウイルス核酸分子である核酸分子を操作するためのキットである。

実施形態20は、(a)核酸を準備することと、(b)RNA誘導型ヌクレアーゼを使用した核酸の領域のインビトロ消化と、(c)消化された核酸へのDNA断片の挿入による組換え核酸のアセンブリとを含み、アセンブリは、(i)任意に非耐熱性である、3’エキソヌクレアーゼ活性を欠く単離された5’→3’エキソヌクレアーゼと、(ii)任意に耐熱性である、3’エキソヌクレアーゼ活性を有する単離された非鎖置換型DNAポリメラーゼ、または当該DNAポリメラーゼ及び3’エキソヌクレアーゼ活性を欠く第2のDNAポリメラーゼの混合物と、(iii)任意に耐熱性である、単離されたリガーゼと、(iv)dNTPの混合物とを含む成分の混合物を含む単一容器中で、組換え核酸を形成するための、消化された核酸への断片の挿入に効果的である条件下で、インビトロで実施され、任意に、当該インビトロアセンブリ混合物は、(v)クラウディング剤、または(vi)好適な緩衝液を更に含む、核酸配列を操作する方法である。

実施形態21は、次の要素のうちの少なくとも1つを満たす、実施形態20の方法である。1)RNA誘導型ヌクレアーゼが、Cas9またはCas9由来酵素である。2)RNA誘導型ヌクレアーゼが、アセンブリの前に、熱不活性化されるか、または除去される。3)方法が、組換え核酸による宿主細胞の形質転換を更に含む。4)核酸が、宿主細胞から単離されたプラスミドであり、任意に、当該プラスミドは、少なくとも6kb、少なくとも10kb、少なくとも15kbまたは少なくとも20kbである。あるいは、5)以上の任意の組み合わせ。

全ての態様における開示について、以下の実施例で更に例示する。しかし、以下の実施例は、本開示の範囲を限定するものではなく、本開示の範囲は、添付する特許請求の範囲によって定義される。本明細書で示される一般的方法に関する説明は、例示のみを目的に行うものである。他の代替的な方法及び実施形態については、本開示の検討により、当業者に明らかとなり、これらは、本出願の趣旨及び範囲内に含まれるものとする。

実施例I インビトロウイルスゲノム工学 43kbのdsDNA LUZ19ウイルスゲノム(アクセッション番号NC_010326.1)を、例えば、Norgen BiotekファージDNA単離キットまたは当業者に知られている任意の他の方法を使用して、ウイルス粒子から単離した(図2A)。RNA誘導型ヌクレアーゼCas9とインビトロ転写されたgRNAとを使用して、2つの別々の位置で部位特異的消化を実施した。未消化の43kbのゲノムDNAは、最も大きいDNAラダーバンド(10kb)よりもずっと少なくしか移動しない。線状ゲノムの消化により、約39kb、約4.3kb及び約200bpの3つのサイズの断片が得られる。標的指向gRNAを過剰に使用し、200bp断片を遮断する(図2B)。LUZ19消化部位の直上流及び下流領域と100bpの相同性がある5’末端を有するプライマーを使用して、ΦKF77由来gp7の断片をPCR増幅した(図2C)。ギブソンアセンブリ法を使用して、消化したLUZ19ゲノムにPCR増幅したΦKF77 gp7断片(配列番号8)をシームレスに組み込み、天然gp7領域(配列番号23)を置き換えた(図2D)。Cas9切断はインビトロでのギブソンアセンブリに必要な相同性を欠く平滑末端の二本鎖分解をもたらすので、バックグラウンドはほとんど観察されない。インビトロ編集したゲノムで宿主細胞を直接形質転換し、機能性ウイルス粒子を得た(図2E)。回収したウイルスへのΦKF77遺伝子断片の組み込みは、操作領域の内側及び外側のプライマーを用いたPCRを使用して検証した。未編集のLUZ19 gDNAをネガティブ対照として使用したところ、全ての実験ウイルスは新しいΦKF77遺伝子断片を含有した(最後の7レーン)。

これらのデータは、P.aeruginosa溶菌ファージゲノムを編集するためのインビトロウイルス工学の実施例を示すものである。LUZ19などのファージの操作は、E.coliなどの異種細菌宿主における毒性作用、ビルレントウイルスに適した選択マーカーがないこと、及びLUZ19ゲノム内に固有の標準的な制限酵素部位がないことから、標準的方法では行うことができない。したがって、これらのデータは、本明細書に記載のインビトロ工学的方法により、さもなければ遺伝子的に扱いにくいウイルスゲノムの直接的かつ迅速な操作が可能になる方法を実証するものである。

P.aeruginosaの形質転換については、化学的にコンピテントにしたP.aeruginosa細胞を、Irani及びRowe(Irani,V.R.&Rowe,J.J.BioTechniques 1997,22,54−56)に記載されているように調製した。基本的には、P.aeruginosa細胞の種培養液3mlを400mlの新しいLB中に希釈した。別途の記載がない限り、37℃、振盪(220rpm)下、OD600=0.6まで、培養物を増殖させた。細胞を氷上で10分間冷却し、500mlの遠心分離ボトル中に移し、冷却遠心機(4℃)中、5,000g、20分間でペレット化した。細菌ペレットを100mlの氷冷した150mM MgCl2で洗浄した後、2つの50mlコニカルチューブに分配し、冷却遠心機(4℃)中5,000gでペレット化した。細胞を30mlの150mM MgCl2で更に1回洗浄した後、遠心分離し、15mlの冷却した150mM MgCl2中に再懸濁した。細胞懸濁液を氷上で1時間インキュベートした後、4℃で遠心分離し、4mlの冷却した150mM MgCl2中に再懸濁した。200μlのアリコートを別個の1.5mlのマイクロ遠心チューブ中に入れ、氷上で最大2日間維持した。精製したDNAを各アリコートの細胞に加え、短くボルテックス処理し、氷上で更に1時間インキュベートした。細胞に50℃で3分間ヒートショックを与え、そのまま氷上に戻して5分間静置した後、平板培養した。各形質転換物を4mlの50℃のLBトップアガーに加え、予め温めておいたLBプレート上に播いた。プレートを逆さにし、37℃ONでインキュベートしてプラーク形成させた。

実施例II 宿主域が拡大した操作されたウイルス 大規模臨床ライブラリー(282個のP.aeruginosa単離物)を、ファージLUZ19及びLKD16に対する感受性について、二重寒天プラークアッセイを使用してスクリーニングした。66株が2つのウイルスのうちの少なくとも1つに感染することができ、18株及び6株はそれぞれLUZ19及びLKD16に一意的に感染した。したがって、宿主域の拡大に関与するLKD16遺伝因子を試験するための土台としてLUZ19を選択した。2つのウイルスの間の比較ゲノム解析は、LKD16の遺伝子産物18(gp18)がLUZ19 gp18ホモログとは異なる配列を有することを示したことから、gp18が宿主域決定に関与し得ることが示された。LUZ19ウイルス粒子からウイルスゲノムを上記のとおりに単離した。RNA依存型ヌクレアーゼとインビトロ転写されたgRNAとを使用して部位特異的消化を実施し、LUZ19 gp18遺伝子を切り出した。組込みのためのLUZ19相同末端部を有するLKD16由来gp18をPCR増幅した。ギブソンアセンブリ法を使用して、消化したLUZ19ゲノムにPCR増幅したLKD16 gp18(配列番号7)をシームレスに組み込み、天然gp18配列(配列番号50)を置き換えた。インビトロ操作したゲノムで宿主細胞を直接形質転換し、機能性ウイルス粒子を得た。LKD16 gp18遺伝子を有する操作されたLUZ19ウイルスは、LUZ19ファージに通常感染する全ての株に加え、先にはLKD16にしか感染しなかった3株にも感染することができ、宿主域の拡大を示した(図3B及び6B)。これは、gp18がLKD16の宿主域差に関与する遺伝因子であり、この遺伝子を有する操作されたLUZ19ウイルスがより多くの宿主株でより良好に複製できることを示している。

これらのデータは、本明細書で開示されるインビトロ工学的方法を、さもなければ遺伝子的に扱いにくいウイルスゲノムに実施することで、宿主域の拡大という改善されたウイルス特性をもたらすことを実証するものである。宿主域の拡大したバクテリオファージを合理的に操作することができることは、細菌を殺傷するためのウイルスを開発する際に大きな価値となる特性である。

実施例III ウイルス属の宿主域を有する操作されたウイルス LUZ19及び/またはLUZ19誘導体を進化または同時感染実験のための出発物質として使用して、ΦKMVウイルス属の宿主域を1つの代表的なウイルスに集約するための標的を特定した。同時形質転換または同時感染実験は、許容性(PAO1K)または非許容性(耐性)の宿主(PA7410またはPA7649)のいずれかで実施した(図4A)。同時感染及び同時形質転換はいずれも、それぞれLKD16またはΦKMVの存在下で実施した。宿主域は、指定の細菌株での二重寒天プラークアッセイを使用して試験した。目的株における宿主域の拡大についてスクリーニングした後、進化したファージを、許容性株と選択的株(LUZ19にのみ感染する株−PA7632)によって交互に3〜5回継代した。進化したファージをPAO1K中で増幅し、gDNAを精製し、配列決定した。LUZ19と、先にはLKD16またはΦKMVにのみ感受性であった株にも感染できる進化したLUZ19との間の比較ゲノム解析を使用して、宿主域の拡大に関与する点変異を特定した(図4B)。

大規模臨床ライブラリー(282個のP.aeruginosa単離物)を、ウイルスのΦKMV属に対する感受性について、二重寒天プラークアッセイを使用してスクリーニングした。3つのファージ(LUZ19、LKD16及びΦKMV)は宿主域差を呈し、67の株に感染できたが、LUZ19が臨床単離物の大部分に感染した(図4C)。6つの臨床単離物(PA7245、PA7255、PA7427、PA7503、PA7686及びPA7410)はLKD16にのみ感受性であり、1つの臨床単離物はΦKMV(PA7649)にのみ感受性であった。したがって、進化/同時感染/同時形質転換実験のための土台としてLUZ19を選択し、ΦKMV属に感受性である全ての臨床単離物に感染することができるバリアントを得た。比較ゲノム解析では、LKD16またはΦKMVにのみ感受性である株を感染させるには、LUZ19にいくつかの点変異が必要であることが明らかになった。(i)gp13 C17Y(配列番号1の位置50)がPA7427の感染に必要である。(ii)gp18 D36Y(配列番号50の位置106)がPA7245、PA7503及びPA7686の感染に必要である。gp38 D82G及びI83S(それぞれ配列番号2の245及び247〜248)がPA7410及びPA7649の感染を可能にする。(iv)gp40 N253D(配列番号3の位置757)がPA7255の感染を可能にする(図4B)。本明細書に記載のインビトロ工学的方法を使用して、LUZ19土台への上記の変異について反復操作することにより、ΦKMV属ファージに感受性である全ての臨床単離物に感染することができる幅広いLUZ19宿主域(WHR LUZ19)が得られた(図4C)。

これらのデータは、宿主域の差に関与する遺伝子変異を最初に特定し、その後、進化実験、スクリーニング、配列決定、比較ゲノム解析及びこれらの任意の組み合わせによって、ウイルス属の宿主域を1つのウイルスゲノムに集約させる、本明細書で開示されるインビトロ工学的方法の使用例を提供するものである。

実施例IV 改善されたウイルスの複製は初期バイオフィルム破壊を改善する。 別の例において、ウイルス進化及び比較ゲノム解析では、尾部管状タンパク質B(Gp34)中にL55Δ変異を有するLUZ19進化ファージは、放出数の増加に起因して、より大きな比率で複製することが示された(図5B)。Gp34 L55Δ変異が改善されたウイルス特性を有することを検証するために、LUZ19ウイルスゲノムをウイルス粒子から単離した。RNA依存型ヌクレアーゼとインビトロ転写されたgRNAとを使用して部位特異的消化を実施し、gp34遺伝子(配列番号4)を除去した。アミノ酸位置55にロイシンコドンの欠失を有するgp34 L55Δ遺伝子(Gp34 L55Δ、配列番号4の位置163〜165)をLUZ19進化ファージからPCR増幅した。ギブソンアセンブリ法を使用して、消化したLUZ19ゲノムにPCR増幅したgp34 L55Δ遺伝子をシームレスに組み込んだ。インビトロ変換したゲノムで宿主細胞を直接形質転換し、機能性ウイルス粒子を得た。Gp34 L55Δを有する操作されたLUZ19ウイルスは、細菌を拡散させ、溶解することができた。gp34 L55Δ変異(ファージ*)を有するLUZ19ファージが野生型LUZ19よりも大きい除去領域を有することを明らかにするために、二重寒天プラークアッセイを使用した。2日間にわたって画像を撮り、除去領域を測定した(図5B)。溶解幅の拡大領域は、Gp34 L55Δ変異を有するウイルスが良好に細菌を拡散させ、溶解することができたことを示すものである。クリスタルバイオレットバイオフィルムアッセイは、クリスタルバイオレットの取り込みを尺度としてバイオフィルムの蓄積を測定する(図5C)。gp34 L55Δ変異を有するウイルスで処理したサンプルは、野生型gp34遺伝子を有するウイルスと比較して、バイオフィルムが大幅に減少した。図は、gp34変異(アスタリスク)の位置を野生型LUZ19ゲノムと比較して示す(図5D)。当該技術分野において知られている標準的アッセイを使用して、野生型及びgp34 L55Δ変異体の両方のウイルスの吸着、潜伏期間及び放出数を測定した。これらのデータにより、gp34 L55Δ変異を有するウイルスの放出数が大幅に増加したことが示された(図5E)。

これらのデータは、細菌溶解、放出数、複製及び初期バイオフィルム破壊の増加という改善されたウイルス特性を有するウイルスを作製するための、本明細書で開示されるインビトロ工学的方法の使用例を提供するものである。

実施例V 初期バイオフィルム破壊及び宿主域拡大を有する反復操作ウイルス 実施例IIで作製した宿主域の拡大したLUZ19LKD16gp18組換えウイルスゲノムをウイルス粒子から単離した。RNA依存型ヌクレアーゼとインビトロ転写されたgRNAとを使用して部位特異的消化を実施し、gp34(配列番号4)を除去した。次いで、実施例IVで特性評価された溶菌活性が増加するgp34 ΔLeu55変異(配列番号4の位置163〜165)をPCR増幅し、消化したLUZ19LKD16gp18ウイルスゲノムにギブソンアセンブリを使用してアセンブルした。反復的にインビトロ操作されたゲノムで宿主細胞を直接形質転換し、機能性ウイルス粒子、すなわち、LKD16 gp18遺伝子とgp34 ΔLeu55変異との両方を有する操作されたLUZ19ウイルス(LUZ19*LKD16gp18)を得た。

二重寒天プラーク、バイオフィルム及びインビトロヒトケラチノサイト付着アッセイを使用して、LUZ19*LKD16gp18ウイルスの改善されたウイルス特性について分析した。図6Dは、LUZ19*LKD16gp18が改善された宿主域を有することを示す。前もって形成されたMDR P.aeruginosaバイオフィルムを破壊する能力について、LUZ19*LKD16gp18と天然LUZ19とを比較した。具体的には、LUZ19*LKD16gp18及び野生型LUZ19をP.aeruginosaバイオフィルムとともにインキュベートし、クリスタルバイオレットを使用して破壊を測定した。図6Eは、LUZ19*LKD16gp18において、野生型LUZ19と比較して、前もって形成されたMDR P.aeruginosaバイオフィルムを破壊する能力が向上したことを示す。ヒトケラチノサイトに付着した細菌に対するファージ処理の有効性について、LUZ19*LKD16gp18ウイルスを分析した。具体的には、P.aeruginosaをHaCaT細胞の単層に付着させた。次いで、LUZ19*LKD16gp18または野生型LUZ19とともに細胞をインキュベートした。結果は、LUZ19*LKD16gp18ファージがヒトケラチノサイトに付着した多剤耐性(MDR)P.aeruginosa細胞をより良好に殺傷できることを示した(図6F参照)。

これらのデータは、宿主域の拡大及び放出数の増加などの複数の個別の改善されたウイルス特性を有するバクテリオファージを反復的に操作するシステムにおいて、本明細書に記載のインビトロ工学的方法がどのように使用されるかの例を提供するものである。重要なことに、これらの工学的ステップは、標準的方法の使用では直接的に実施できないか、全く実施することができない。更に、これらのデータは、本明細書で開示されるインビトロ工学的方法が、合成生物学用途のための重要な特性である操作の反復的なラウンドについて、順次に使用されたことを実証するものである。

実施例VI バイオフィルム分散ペイロード及び完全なウイルス属を対象とする拡大された宿主域を有する反復操作ウイルス 本明細書で開示されるインビトロ工学的方法を使用して、gp49(配列番号25)をエキソポリサッカライド(EPS)デポリメラーゼまたはフェノール可溶性モルホリン(PSM)のいずれかに置き換えてLUZ19にクローニングし、成熟バイオフィルムを分散させる能力を決定した(図7)。細胞外マトリックスデポリメラーゼまたは界面活性剤ポリペプチドを発現するLUZ19及びWHR LUZ19を操作するために、RNA依存型ヌクレアーゼ(この場合Cas9)及びインビトロ転写されたgRNAを使用した消化によりLUZ19またはWHRLUZ19のgp49(配列番号25)を除去した後、ギブソンアセンブリを使用して、主要カプシドプロモーターPgp32(配列番号21)及びターミネーターTgp32(配列番号22)を両端に配した目的の遺伝子(GOI)に置き換えた(図7A及び7C)。野生型LUZ19の場合、GOIは、EPSデポリメラーゼ(Pp15gp44−Pseudomonas puditaΦ15に由来する尾部スパイクgp44(配列番号14);NTUgp34−Klebsiella pneumoniaeファージNTUに由来する尾部スパイクgp34(配列番号13);LKA1gp49−P.aeruginosaファージLKA1に由来する尾部スパイクgp49(配列番号12))、Staphylococcus epidermidis(PSMa、配列番号18)及びStaphylococcus aureus(PSMa3(配列番号16)及びPSMb2(配列番号17))に由来するフェノール可溶性モルホリン界面活性剤、ならびにAggregatibacter actinomycetemcomitans(配列番号15)に由来するDspBサーファクチン(図7B)であった。WHR LUZ19の場合、GOIは、EPSデポリメラーゼPp15gp44(配列番号14)及びサーファクチンSePSMa(配列番号18)であった(図7D)。操作したファージを適切な宿主細胞で増幅し、単離し、配列決定により検証した。

操作されたファージの成熟バイオフィルム分散能力について、MBECデバイスで24時間成長させたバイオフィルムに対し1ウェル当たり100ファージを3時間使用して試験した。簡潔に述べれば、P.aeruginosaの一晩培養物を、硫酸マグネシウム(1mM)、グルコース(0.2%)及びカザミノ酸(0.5%)を添加したM63最小培地に希釈(1:100)し、次いで、滅菌マイクロタイタープレート(150μl/ウェル)に加えた。ペグ付き蓋をマイクロタイタープレートに差し込んだ。37℃で24時間インキュベーションした後、1ウェル当たり100ファージを含有する完全MG63 160μlを入れたマイクロタイタープレートにペグ付き蓋を移した。37℃で3時間インキュベーションした後、ペグ付き蓋を水中で3回洗浄し、乾燥させ、200μlの0.5%クリスタルバイオレットで染色した。その後、プレートを水ですすぎ、結合していないクリスタルバイオレットを除去し、乾燥させた。当該色素は200μlの30%酢酸中に溶解し、吸光度はOD=550nmで測定した。

DspBは、E.coliバイオフィルムに対して界面活性であり、P.aeruginosaに対する活性がないので、ネガティブ対照として機能した。2つのペイロード(Pp15gp44及びSePSMa)は、著しい抗バイオフィルム活性を示した(図7B)。とりわけ、PSMは、グラム陽性細菌に対して抗バイオフィルム活性であることが知られているサーファクチンであるが、P.aeruginosaバイオフィルムを分散させることはこれまでに示されていない。これらのペイロードをWHR LUZ19中に操作して、幅広い宿主域を有するファージを更に操作してバイオフィルム分散活性を呈することが可能かどうか判定した。これらの結果は、Pp15gp44またはSePSMaをコードするWHR LUZ19が、そのバイオフィルム分散活性(図7D)と、Φ−KMV属のウイルスに感受性である臨床単離物に全て感染する能力とを保持することを示している(図7E、7F)。

これらのデータは、限定するものではないが、バイオフィルムの分散及び宿主域の特性などの複数の個別の改善されたウイルス特性を有するバクテリオファージを反復的に操作するシステムにおいて、本明細書に記載のインビトロ工学的方法がどのように使用できるかの例を提供するものである。

実施例VII 抗生物質感受性化ペイロードを発現する操作されたウイルス 本明細書で開示されるインビトロ工学的方法を使用して、ssRNAウイルスPRR1及びMS2に由来するリシンを発現するようにLUZ19を操作した。PRR1(配列番号20)またはMS2(配列番号19)ssRNAファージのいずれかに由来するリシンを主要カプシドプロモーターPgp32(配列番号21)及びターミネーターTgp32(配列番号22)を両端に配したLUZ19 gp49座位(配列番号25)に操作し、ファージに対する細菌耐性の発生を阻害する能力を判定した(図8A)。これらのリシンは、細胞壁合成に重要な酵素に結合及び不活性化することによって細胞壁の新しい形成を阻害し、他の抗菌物質、特に細胞壁を標的とするカルベニシリンなどの抗生物質に対する細菌の感受性を高めると一般的に言われる。

本明細書で開示されるインビトロ工学的方法を使用して上記のとおりに構築物を作製した。操作したファージを適切な宿主細胞で増幅し、単離し、配列決定により検証した。カルベニシリン(1/5×MIC)存在下でのファージ処理に対する細菌耐性の発現を阻害する操作されたファージの能力について、標準的なタイムキルアッセイで試験した(図8B、8C)。これらの結果は、阻害濃度以下(1/5×MIC)のカルベニシリンと組み合わせたssRNAファージ由来のリシンを発現する操作されたLUZ19が、ファージ処理後の細菌の再成長を妨げることを示している。

これらのデータは、改善されたウイルス特性、特にこの場合、細菌におけるファージ耐性発生の防止を有するウイルスを作製するための、本明細書で開示されるインビトロ工学的方法の採用例を提供するものである。

実施例VIII 種特異的抗菌性タンパク質ペイロードを発現する操作されたウイルス 本明細書で開示されるインビトロ工学的方法を使用して、P.aeruginosa由来抗菌性タンパク質PyoS5を発現するようにLUZ19を操作した。バクテリオシンPyoS5は、P.aeruginosaの1つの株によって産生される種特異的抗菌性タンパク質であり、競合するP.aeruginosa株の成長を妨げる。P.aeruginosa株のPA01 gDNAを鋳型に使用してpyoS5(配列番号6)をPCR増幅した後、主要カプシドプロモーターPgp32(配列番号21)及びターミネーターTgp32(配列番号22)を両端に配したLUZ19 gp49座位(配列番号25)にクローニングした(図9A)。PyoS5は、広く分布しているピオケリン受容体FptAに結合した後、構造変化を起こし、P.aeruginosa膜中に孔を形成する。

本明細書で開示されるインビトロ工学的方法を使用して上記のとおりにLUZ19+pyoS5を作製した。操作したファージを感受性宿主PA01で増幅し、単離し、配列決定により検証した。実験室株PA01はPyoS5に耐性であることがわかっているため、分析には細菌株PA7416を選択したが、インシリコ解析では、MDR P.aeruginosa株のPA7416は、ファージLUZ19と、PyoS5受容体FptAをコードしたファージLUZ19の両方に感受性であることが示された。

ファージ処理に対するPA7416細菌耐性の発現を阻害する操作されたファージの能力について、標準的なタイムキルアッセイで試験した。これらの結果では、野生型LUZ19は、初めはPA7416の成長を阻害するものの、細菌が急速に耐性となり、8〜12時間後には再成長が生じることを示している(図9B)。一方、操作されたLUZ19+pyoS5は、ファージ処理後24時間を超えて、PA7416細菌の再成長を阻害する(図9C、9D)。

これらのデータは、改善されたウイルス特性、特にこの場合、細菌におけるファージ耐性発生の防止を有するウイルスを作製するための、本明細書で開示されるインビトロ工学的方法の採用例を提供するものである。

実施例IX 抗菌性産物を作製するためにバクテリオファージを反復的に操作するためのシステム 本明細書で開示されるインビトロ工学的方法を使用すれば、宿主株の広範な遺伝子操作を行うことなく、バクテリオファージゲノムを迅速に操作することができる。当業者によく知られているウイルス変異研究及び選択技術と、完全ゲノム配列決定、比較ゲノム解析及び本開示のインビトロ工学的方法とを組み合わせると、改善された新しい抗菌物質の開発のための改善された新しいシステムが創出される。このシステムは、1つのウイルス土台の1、2または2以上の別個の特性を反復的に改善して、ウイルス系抗菌物質を作製することに基づく。別個のウイルス特性を改善するLUZ19ゲノムの順次的な精製及び編集が開示されているが(図6、7及び10)、この技術は、他の多数のP.aeruginosaバクテリオファージまたは任意の他の細菌株もしくは細菌種に感染する他のバクテリオファージに拡大することができる。更に、この技術を使用して同じ細菌種に感染する多数の個々のバクテリオファージの特性を改善し、細菌感染、汚染を防止もしくは処理する優れたバクテリオファージカクテルを作製する、またはミクロビオームを変えることができる。

これらのデータは、目的の改善されたウイルス特性を組み込むために、ゲノム配列決定、比較ゲノム解析及びウイルス変異/選択研究と組み合わせたインビトロ工学をどのように順次的に実施して、段階的改善または操作による変化を達成できるかを実証するものである(図10)。

実施例X 方法 MEGAshortscript T7キット(Thermo Fisher)などの市販のインビトロ転写キットを使用して、ガイドRNA(gRNA)を合成し、精製した。ガイドRNAは、当該技術分野にてよく知られている方法を使用して設計した(図15)。

インビトロ転写されたgRNAを作業用ストック溶液500ng/μLに希釈する。

Cas9などの精製されたRNA誘導型ヌクレアーゼを使用せずに反応物をアセンブルする。Hisタグ付きCas9(配列番号27)をコードする遺伝子配列を含むプラスミドの発現と、よく知られているニッケルアフィニティー精製法による精製とにより、精製されたCas9(配列番号31)を得た。任意に、反復的な消化のためにゲノムの最も内側の部分を初めに切断するgRNAを使用する。 完全な反応混合物: *完全な反応混合物は、一度に多数の部位を切断する(同時消化)ための単一ステップで使用することができるが、ウイルスgDNAの切断効率が低くなる場合がある。同時消化反応物を氷上でアセンブルした後、Cas9の添加及び37℃で30分間インキュベーションを行う。改変した2ステップ(またはそれ以上)反応も実施可能であり、この場合、より完全な消化が可能である(以下で概略する)。 **10×Cas9緩衝液は、200mM HEPES(pH7.4)、1.5M KCl、5mM DTT及び1mM EDTA(pH8)を含有する。 ステップ1の反応物をアセンブルし、RTで5分間インキュベートする。 ステップ1 反応混合物:

氷上で10分間インキュベートする。

37℃で2分間インキュベートする。

Cas9酵素を4μl加える(0.45mg/ml)。37℃で30分間インキュベートする。

ステップ2の反応:第2のgRNA及び追加のCas9酵素の添加。 ステップ2 反応混合物:

ステップ2の反応物を37℃で30分間インキュベートする。2つを超える位置でゲノムを消化するために、更なるステップを加えることができる。

80℃で10分間インキュベートすることによって、Cas9酵素を不活性化する。フェノールクロロホルム抽出(ギブソンアセンブリにおける断片アセンブリの効率を向上させる)、または当該技術分野においてよく知られている他の不活性化、失活化もしくは精製方法を使用した任意選択の精製。

5μLのサンプルをアガロースゲルに流し、適切な切断について検証する。

ギブソンアセンブリを使用するインビトロアセンブリについては、NEBギブソンアセンブリプロトコルに従って、適切な濃度の消化物及びインビトロ作製したインサートDNAを使用した。

インビトロアセンブリ後、任意に、宿主細胞を形質転換し、操作されたゲノムを増幅し、ゲノムを分離するか、または操作されたウイルスを回収する。

実施例XI E.coliファージM13の操作 本明細書で開示されるインビトロ工学的方法を使用して、大腸菌(Escherichia coli)に感染するウイルスを操作し、蛍光レポーターパプリカ(配列番号5)を発現するようにした。図11Aは、パプリカ蛍光タンパク質遺伝子をE.coli M13ファージゲノムに組み込むためのインビトロ工学的アプローチの概略図を示している。この工学的プロセスは、改善されたウイルス特性を構成するものとして、蛍光レポーターを発現する溶原性ファージを生じるように設計した。これは、類似のウイルスが診断剤として使用されているからである。ウイルス粒子からM13ウイルスゲノム(アクセッション番号X02513)を単離した。この実験設計は2つのgRNAの使用を伴うため、個別のインビトロCas9消化反応において、個々のgRNAの機能をまず確認した(図11B)。各gRNAが機能的であることが判明したら、RNA依存型ヌクレアーゼ及び両方のインビトロ転写されたgRNAを使用して部位特異的消化を実施した(図11C)。蛍光レポーター遺伝子であるパプリカ(配列番号29)は、RNA依存型ヌクレアーゼ消化、例えば、Cas9を使用してM13ゲノムから分離したLacZa遺伝子の両端に位置する配列に相同な5’及び3’配列を付加したプライマーを使用して、PCR増幅した(図11D)。ギブソンアセンブリ法を使用して、消化したM13ゲノムにPCR増幅したパプリカ遺伝子をシームレスに組み込み、LacZa遺伝子(配列番号28)に置き換えた。操作したゲノムでE.coli宿主細胞を直接形質転換し、パプリカ遺伝子をコードする機能性ウイルス粒子を得た。E.coliにおけるプラーク形成の能力によって、操作したファージを評価した(図11E)。プラークからウイルスDNAを単離し、PCR増幅して、挿入したパプリカ遺伝子の存在を確認した(図11F)。組換えパプリカタンパク質の存在及び機能を蛍光イメージングによって確認した(図11G)。

これらのデータは、レポーター遺伝子をE.coliファージゲノムに操作する、本明細書に記載のインビトロ工学的方法の成功した使用を実証するものである。本開示の方法を、別の細菌属に感染するものを含む、別のウイルス属に拡大できることが示されている。

実施例XII E.coliファージλの操作 本明細書で開示されるインビトロ工学的方法を使用して、Escherichia coliに感染する第2のウイルスを編集した。図12Aは、単離されたλファージゲノム(アクセッション番号NC_001416.1)からcll遺伝子(配列番号30)を欠失させるためのインビトロ工学的アプローチの概略図を示している。この工学的プロセスは、改善されたウイルス特性を構成するものとして、構成的に溶菌性ウイルスを生じるように設計した。ウイルス粒子からλウイルスゲノムを単離した。この実験設計は2つのgRNAの使用を伴うため、個別のインビトロCas9消化反応において、個々のgRNAの機能をまず確認した(図12B)。各gRNAが機能的であることが判明したら、RNA依存型ヌクレアーゼ及び両方のインビトロ転写されたgRNAを使用して部位特異的消化を実施した(図12C)。単離したλウイルスゲノム中のCas9に標的化された切断部位の両端に位置する配列に相同な5’及び3’配列を含む二本鎖DNA修復鋳型(配列番号9)を作製するために、合成した2つの一本鎖DNA分子をインビトロでアニーリングした。ギブソンアセンブリ法を使用して、消化したλゲノムにPCR増幅した修復鋳型をシームレスに組み込んだ。次いで、EpiCentreのMaxplaxラムダパッケージング抽出キットを製造業者の方法に従って使用して、操作したゲノムをインビトロでパッケージングした(図12D)。インビトロパッケージング後、製造業者推奨のE.coli宿主細胞を使用した二重寒天プラークアッセイから、操作したλゲノムを回収した。E.coliにおけるプラーク形成能力に基づいて、操作したファージが機能的であるかを判定した。形成されたプラークからウイルスDNAを単離し、PCR増幅して、cll遺伝子がないことを確認した(図12E)。

これらのデータは、E.coliファージゲノムから望ましくない遺伝子を除去する、本明細書に記載のインビトロ工学的方法の成功した使用を実証するものである。これらのデータはまた、操作されたウイルスゲノムのインビトロパッケージングの例を提供するものであり、これにより、ウイルス回収効率が向上し、宿主細胞への直接形質転換の代替法がもたらされる。更に、これらのデータは、アニーリングしたインビトロ合成オリゴヌクレオチドを工学用インサートとして利用する例を提供するものである。また、これらのデータは、改善されたウイルス特性、すなわち、構成的に溶菌性の表現型を生じるようにファージゲノムを操作する、本アプローチの別の利用例を提供するものである。最後に、これらのデータは、E.coliに感染する第2のウイルス属を、記載のインビトロ工学的方法を使用して操作できることを示すものである。

実施例XIII ヒトCMVのエラー修正 本明細書で開示されるインビトロ工学的方法を使用して、ヒトウイルスの一部を編集した。図13Aは、エラー修正に利用されるインビトロ工学的アプローチの概略図を示す。約230kbのHCMVウイルスゲノムのうちの18kbのサブセクションをE.coli複製プラスミド中に入れた。HCMVゲノム(配列番号10)のこのサブセクションは、ウイルスゲノムの開始点を含み、RL13変異アレル(配列番号33)を有する。HCMV断片とE.coliプラスミドを合わせると、ほぼ28kbの大きさであった。これは現在のほとんどのエラー修正技術の仕様を上回る大きさである。エラー修正のために、E.coliから28kbのプラスミドを単離し、RNA依存型ヌクレアーゼ及びインビトロ転写された2つのgRNAを使用して部位特異的消化を実施した(図13B)。Cas9による消化により、変異部位の直上流及び下流のRL13遺伝子領域を切断した。RL13遺伝子(配列番号32)の修正済み領域を合成し、それぞれのRNA特異的Cas9消化部位に隣接する領域に相同な追加の5’及び3’フランキング配列を含めてPCR増幅した(図13C)。ギブソンアセンブリ法を使用して、消化したプラスミドに合成した修復鋳型をシームレスに組み込んだ。次いで、プラスミド中に含まれる修正したRL13を含有するHCMV断片(配列番号11)によりE.coli細胞を形質転換し、抗生物質含有培地で回収した。E.coliコロニーをPCRによってスクリーニングし、修正したRL13遺伝子の存在を確認した。修正したRL13遺伝子は、エラー含有RL13遺伝子と比較して付加配列を含有しているため、エラー含有RL13遺伝子との区別が可能であった(図13D)。次いで、下流用途での後の使用のために、標準的技術を使用して、エラー修正したゲノム断片をE.coli中で増幅した。

これらのデータは、ヒト特異的ウイルスゲノムの遺伝子を操作する、本明細書に記載のインビトロ工学的方法の成功した使用を実証するものであり、更に、インビトロアセンブリ反応に修復鋳型として合成DNAを使用する方法も提供する。これらのデータはまた、標準的なエラー修正技術には大きすぎるDNAまたはプラスミドのエラー修正のための本インビトロ工学的方法の使用を実証するものである。標準的なエラー修正技術は、約5kbのサイズ制限があり、PCRに基づくため、本質的に、望ましくないエラーをより多く生じる可能性がある。本明細書に記載のインビトロ工学的方法は、プラスミドまたはウイルスゲノムの全部または更に大きい部分のPCR増幅に依存しないため、5kbの大きさを超える配列のエラー修正用途に適用できる。

実施例XIV 末端が重複しているウイルス末端の迅速な特定 本明細書で開示されるインビトロ消化法はまた、末端重複ウイルスゲノムの正確な末端を特定するのにも採用できる。図14は、LBL3及び14−1ファージゲノムの末端を決定するために使用したインビトロ消化アプローチの概略図を示している。LBL3及び14−1(アクセッション番号NC_011703.1)ファージゲノムDNAをウイルス粒子から精製した(図14A)。MiSeqまたはPacBioプラットフォームを使用して次世代シーケンシングを実施し、続いて、元の配列を再構築するために高品質DNAリードをより長いアセンブリに自動マージした(図14B)。通常、自動アセンブリソフトウェアは、ウイルスまたはバクテリオファージゲノムを環状コンティグに誤ってアセンブルし、末端反復ゲノムのDTRをウイルス配列の内側領域に配置する。ダブルカバレッジシーケンシング領域の特定と、密接に関連する末端反復ゲノムにマッチするBLASTの検索結果とに基づいて、物理的ゲノム末端のインシリコ予測を実施する(図14C)。これらの予測末端をCas9エンドヌクレアーゼ切断によって確認した。Cas9不活性化の後、ゲノム物理的末端に該当するDNA断片を精製し、配列決定した(図14D)。これらのシーケンシング結果は、真の物理的末端配列に基づく正確なゲノムアセンブリをもたらした(図14E)。

ファージゲノムシーケンシングに付随する最大の技術的課題の1つは、その反復性に起因するゲノム物理的末端の正確なマッピングである。これらのセグメントは、循環置換ゲノムにおける4〜14bp(例えば、ほとんどのMycobacterium及び、アクネ菌(Propionibacterium acnes)ファージ)から、末端反復ゲノムにおける数百塩基対(例えば、P.aeruginosaのΦKMV様、PB1様及びN4様ファージ属)、更には数千塩基対(例えば、E.coli T5及びDTR)までに及び得る。反復末端(またはDTR−定方向末端反復配列)のマッピングは、現在、綿密な配列解析(ダブルカバレッジDNA断片を特定するため)、プライマーウォーキング(サンガー配列決定)、主要DNAニックの特定及び制限エンドヌクレアーゼ分析の組み合わせによって実施されている。しかしながら、これらの各アプローチは、(i)NGSデータ内でダブルシーケンシングカバレッジ境界の定義が不十分であること、(ii)DTRコンカテマーによるプライマーウォーキングの読み取りは不確定な結果をもたらすこと、(iii)ファージ末端近傍に制限部位が存在する可能性が低いことまたはメチル化などのDNA修飾によって制限部位が妨害されることに起因して、使用が制限されることが多く、または決定的でない。特定位置におけるファージDNAの標的化されたCas9切断を使用すると、信頼性のないまたは煩わしい解析または手順の必要性がなくなり、ファージゲノムの物理的末端の特定が大幅に簡略化される。このアプローチは、既に配列決定されたファージゲノムの末端の正確なマッピング(LBL3及び14−1DTRのマッピングによって例示されるとおり)のみならず、新しく特定されたウイルスのDTRの迅速な特定の可能性も有する。

本明細書で開示されるインビトロ工学的方法中の標的化されたCas9消化を使用した末端反復ファージゲノムの物理的末端のマッピングは、シーケンシングカバレッジにおける微妙な変化に依存せず、コンカテマー形成に関係なく実施できるので、現在のアプローチにまさる独自の利点を示すものである。加えて、Cas9活性は、多数の制限酵素に比べて、DNA改変の影響を受けにくい。

これらのデータは、真のファージゲノム配列配置の特定を可能にする、RNA誘導型インビトロCas9切断の成功した使用を示すものである。次いで、この情報を使用して、これらのファージを操作するための下流のインビトロ工学的アプローチを設計することができる。これは、真のゲノム境界を欠くために以前では不可能であった偉業である。

実施例XV インビボアセンブリを用いる工学的方法 本開示は、RNA誘導型ヌクレアーゼを使用して、精製されたウイルス核酸を部位特異的に消化し、消化されたウイルス核酸へのDNAまたはRNA断片の挿入によって、操作された核酸をアセンブルするインビトロ法を提供する。本明細書に開示の精製された酵素を活用することによって、組換え核酸を完全にインビトロでアセンブルすることができるが、感受性の宿主株内の天然または操作された組換え経路を活用することによって、このプロセスを達成することもできる。組換えウイルスゲノムをインビボでアセンブルするには、一部の宿主細胞では、末端相同領域を有する挿入用修復断片とともに、精製されインビトロ消化されたウイルスゲノムで形質転換するだけで十分である。挿入用修復断片は、当該技術分野において知られている標準的技術によって合成または増幅してもよいし、選択された宿主細胞内で安定的に複製されるプラスミド中にあってもよい。この方法は、宿主細胞が相同及び非相同の両方のDNA修復経路を持つこと、十分な量のインサート及び消化されたゲノムを宿主細胞に一緒に送達するという課題、ならびにほとんどの宿主の相同組換え経路が低効率であることから、インビトロアセンブリよりも低効率になる可能性がある。宿主による組換えのない消化されたゲノム単独では機能性ウイルス粒子及び後続のプラークを形成しないので、形質転換及び平板培養後に得られたプラークを所定のインサートについてPCRによってスクリーニングし、操作された所望のウイルス核酸の正しいアセンブリを確認することができる。

実施例XVI 本明細書に開示の操作されたウイルス 表1は、本明細書で開示されるインビトロ工学的方法によって作製された、操作されたウイルスについてまとめたものである。表2は、本明細書で開示される操作されたウイルスについて、対応する実施例及び図と合わせてまとめたものである。表3は、本明細書で開示される野生型ウイルスと、その完全ゲノム配列のアクセッション番号の一覧である。表4は、本明細書で開示される野生型核酸配列の一部と、その対応するアミノ酸配列の一覧である。

(表1)本明細書に開示の操作されたウイルス PM−点変異、Replace−置換、Delete−欠失、Insert−挿入

(表2)本明細書に開示の操作されたウイルス POC−概念実証

(表3)本明細書に開示の野生型ウイルス

(表4)本明細書に開示の野生型配列

当業者であれば、前述の説明から、本開示の本質的な特徴を容易に見定めることができ、本開示の変更及び改変をその趣旨及び範囲から逸脱することなく行い、種々の用途及び条件に適合させ、本開示を最大限に活用することができる。前述の具体的な実施形態は、単なる例示として解釈されるべきであり、いかなる場合であれ本開示の範囲を限定するものではない。上記及び図面にて引用される全ての出願、特許及び公開物(参照マニュアルを含む)の全開示は、参考としてその全体を本明細書に援用する。

配列表 配列番号1 DNA 属/種−Phikmv様ウイルス属(Phikmvlikevirus) LUZ19 記述表題−野生型LUZ19 gp13 配列番号2 DNA 属/種− Phikmvlikevirus LUZ19 記述表題−野生型 LUZ19 gp38 配列番号3 DNA 属/種−Phikmvlikevirus LUZ19 記述表題−野生型LUZ19 gp40 配列番号4 DNA 属/種−Phikmvlikevirus LUZ19 記述表題−野生型LUZ19 gp34 配列番号5 タンパク質 属/種−Phikmvlikevirus LUZ19 記述表題−野生型LUZ19 Gp34タンパク質 配列番号6 DNA 属/種−Pseudomonas aeruginosa 記述表題− PyoS5配列 配列番号7 DNA 属/種−Phikmvlikevirus LKD16 記述表題−LKD16 gp18付加配列 配列番号8 DNA 属/種−Phikmvlikevirus phi-KF77 記述表題−ΦKF77 gp7付加配列 配列番号9 DNA 属/種−ラムダ様ラムダ 記述表題−E. coliファージλ cII 配列番号10 DNA 属/種−サイトメガロウイルスHCMV 記述表題−HCMV断片編集前 配列番号 11 DNA 属/種−サイトメガロウイルスHCMV 記述表題−HCMV断片編集後 配列番号 12 DNA 属/種−Phikmvlikevirus LKA1 記述表題−LKA1 gp49配列 配列番号 13 DNA 属/種−Phikmvlikevirus NTUH−K2044−K1−1 記述表題−NTUH−K2044−K1−1 gp34 配列番号 14 DNA 属/種−T7様Pp15 記述表題−Pp15 gp44付加配列 配列番号 15 DNA 属/種−Aggregatibacter actinomycetemcomitans 記述表題−dspB付加配列 配列番号 16 DNA 属/種−Staphylococcus aureus 記述表題−SaPSMa3付加配列 配列番号 17 DNA 属/種−Staphylococcus aureus 記述表題−SaPAMb2付加配列 配列番号 18 DNA 属/種−Staphylococcus epidermidis 記述表題−SePSMa付加配列 配列番号 19 DNA 属/種−レビウイルスMS2 記述表題−MS2 L付加配列 配列番号20 DNA 属/種−レビウイルスPRR1 記述表題−PRR1 L付加配列 配列番号21 DNA 属/種−Phikmvlikevirus LUZ19 記述表題−LUZ19 gp32プロモーター(P32) 配列番号22 DNA 属/種−Phikmvlikevirus LUZ19 記述表題−LUZ19 gp32ターミネーター(T32) 配列番号23 DNA 属/種−Phikmvlikevirus LUZ19 記述表題−野生型LUZ19 gp7領域 配列番号24 DNA 属/種−Phikmvlikevirus LUZ19 記述表題−野生型LUZ19 gp18領域 配列番号25 DNA 属/種−Phikmvlikevirus LUZ19 記述表題−野生型LUZ19 gp49及びgp48−gp49遺伝子間領域 配列番号26 DNA 属/種−Phikmvlikevirus LKD16 記述表題−野生型LKD16 gp18遺伝子 配列番号27 DNA 合成(人工/未知) 記述表題−NLS−FLAG−CAS9−Hisをコードする遺伝子 配列番号28 DNA 属/種−イノウイルスM13MP18 記述表題−野生型M13MP18置換配列 配列番号29 DNA 未知/人工−DNA2.0から市販 記述表題−パプリカ配列 配列番号30 DNA 属/種−ラムダ様ラムダ 記述表題−野生型E. coliファージλ cII配列 配列番号31 タンパク質 合成(人工/未知) 記述表題−配列番号27から翻訳されたNLS−FLAG−CAS9−His 配列番号32 DNA 属/種−サイトメガロウイルスHCMV 記述表題−HCMV RL13断片編集後 配列番号33 DNA 属/種−サイトメガロウイルスHCMV 記述表題−HCMV RL13断片編集前 配列番号34 タンパク質 属/種−Phikmvlikevirus LUZ19 記述表題−野生型LUZ19 Gp13タンパク質配列 配列番号35 タンパク質 属/種−Phikmvlikevirus LUZ19 記述表題−野生型LUZ19 Gp38タンパク質配列 配列番号36 タンパク質 属/種−Phikmvlikevirus LUZ19 記述表題−野生型LUZ19 Gp40タンパク質配列 配列番号37 タンパク質 属/種−Pseudomonas aeruginosa 記述表題−PyoS5タンパク質配列 配列番号38 タンパク質 属/種−Phikmvlikevirus LKD16 記述表題−LKD16 Gp18タンパク質配列 配列番号39 タンパク質 属/種−Phikmvlikevirus LKA1 記述表題−LKA1 Gp49タンパク質配列 配列番号40 タンパク質 属/種−Phikmvlikevirus NTUH−K2044−K1−1 記述表題−NTUH−K2044−K1−1 Gp34タンパク質配列 配列番号41 タンパク質 属/種−T7様Pp15 記述表題−Pp15 Gp44タンパク質配列 配列番号42 タンパク質 属/種−Aggregatibacter actinomycetemcomitans 記述表題−DspBタンパク質配列 配列番号43 タンパク質 属/種−Staphylococcus aureus 記述表題−SaPSMa3タンパク質配列 配列番号44 タンパク質 属/種−Staphylococcus aureus 記述表題−SaPAMb2タンパク質配列 配列番号45 タンパク質 属/種−Staphylococcus epidermidis 記述表題−SePSMaタンパク質配列 配列番号46 タンパク質 属/種−レビウイルスMS2 記述表題−MS2 Lタンパク質配列 配列番号47 タンパク質 属/種−レビウイルスPRR1 記述表題−PRR1 Lタンパク質配列 配列番号48 タンパク質属/種−Phikmvlikevirus LUZ19 記述表題−LUZ19 Gp18タンパク質配列 配列番号49 タンパク質 属/種−Phikmvlikevirus LUZ19 記述表題−LUZ19 Gp49タンパク質配列 配列番号50 DNA 属/種−Phikmvlikevirus LUZ19 記述表題−LUZ19 gp18遺伝子配列 配列番号51 DNA 属/種−Phikmvlikevirus LUZ19 記述表題−LUZ19 Gp49タンパク質配列

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