生殖系列細胞を切除するNANOSノックアウト

申请号 JP2017502254 申请日 2015-07-14 公开(公告)号 JP2017521079A 公开(公告)日 2017-08-03
申请人 ワシントン ステイト ユニバーシティ; ワシントン ステイト ユニバーシティ; ユニバーシティ オブ メリーランド; ユニバーシティ オブ メリーランド; ザ・ユニバーシティ・コート・オブ・ザ・ユニバーシティ・オブ・エディンバラThe University Court of the University of Edinburgh; ザ・ユニバーシティ・コート・オブ・ザ・ユニバーシティ・オブ・エディンバラThe University Court of the University of Edinburgh; 发明人 マイケル オートリー,ジョン; マイケル オートリー,ジョン; ブルース アレキサンダー ホワイトロー,クリストファー; ブルース アレキサンダー ホワイトロー,クリストファー; ジェフリー リッリコ,サイモン; ジェフリー リッリコ,サイモン; プラカッシュ テレグ,ブハヌ; プラカッシュ テレグ,ブハヌ;
摘要 本発明は、NANOS遺伝子の調節を介して精原幹細胞移植のためのレシピエント動物を作製するための 家畜 動物及び方法を提供する。一実施形態において、得られる雄が機能性生殖細胞を欠くが機能性体細胞を保持し、雌が繁殖能 力 を有するようにNANOS遺伝子活性を不活化若しくは調節する挿入または欠失(indel)を有する動物を作製するために遺伝子編集を行う。これらの雄は、ドナー精原幹細胞を移植され、繁殖のために使用することができる。【選択図】図1
权利要求

NANOSタンパク質をコードする少なくとも1つの編集された染色体配列を含む、遺伝子編集された家畜動物。編集された染色体配列が不活化され、改変され、及び/又は組み込まれた若しくは欠失した配列を含む、請求項1記載の遺伝子編集された家畜動物。機能的NANOSタンパク質活性がほとんど又は全く生じず、上記動物が生じる生殖細胞は減少するか又はないが、体細胞機能は保持するように編集された染色体配列が不活化されている、請求項1記載の遺伝子編集された家畜動物。編集された染色体配列が外因性の導入配列を含まない、請求項1記載の遺伝子編集された家畜動物。上記NANOSタンパク質がNANOS1、NANOS2、又はNANOS3からなる群より選択される、請求項1記載の遺伝子編集された家畜動物。NANOSタンパク質がNANOS2である、請求項1記載の遺伝子編集された家畜動物。NANOSタンパク質の条件的発現のための条件付きノックアウトシステムを更に含む、請求項1記載の遺伝子編集された家畜動物。編集された染色体配列が組み込まれたレポーター配列を含む、請求項1記載の遺伝子編集された家畜動物。動物が少なくとも1個の編集された染色体配列についてヘテロ接合性又はホモ接合性である、請求項1記載の遺伝子編集された家畜動物。動物が、肉、乳牛、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ラバ、ロバ、バッファロー、ラクダ、ニワトリ、七面鳥、アヒル、ガン、ホロホロチョウ、及びひな鳥(squab)から選択される、請求項1記載の遺伝子編集された動物。動物がブタ又はウシである、請求項1記載の遺伝子編集された動物。動物がブタである、請求項11記載の遺伝子編集された動物。動物が、配列番号27、28、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、45、46、47、48、49、50、51、52、56、57、58、59、60、61、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、201、202、203、又は204を含む編集されたNANOS2遺伝子を含む、請求項12記載の遺伝子編集された動物。動物がウシである、請求項11記載の遺伝子改変動物。動物が、配列番号118、119、120、121、122、124、125、126、127、128、130、131、132、133、134、136、137、138、139、140、142、143、144、145、146、148、149、150、151、又は152の編集されたNANOS2遺伝子を含む、請求項14記載の遺伝子編集された動物。レシピエント生殖系列が切除された代理雄を作製するために移植された精原細胞を更に含む、請求項1記載の遺伝子編集された動物。請求項16記載のレシピエント生殖系列が切除された代理雄。請求項17記載のレシピエント代理雄由来の精子。NANOSタンパク質をコードする少なくとも1つの編集された染色体配列を含む、遺伝子編集された家畜動物細胞。編集された染色体配列が不活化され、改変され、又は組み込まれた配列を含む、請求項19記載の遺伝子編集された家畜動物細胞。NANOSタンパク質機能が調節されるように編集された染色体配列が不活化されている、請求項19記載の遺伝子編集された家畜動物細胞。NANOSタンパク質がNANOS1、NANOS2、又はNANOS3の1以上である、請求項21記載の遺伝子編集された家畜動物細胞。NANOSタンパク質がNANOS2である、請求項22記載の遺伝子編集された家畜動物細胞。細胞が少なくとも1種の編集された染色体配列についてヘテロ接合性又はホモ接合性である、請求項19記載の遺伝子編集された家畜動物細胞。細胞が、以下の1以上の動物:ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ラバ、ロバ、バッファロー、ラクダ、ニワトリ、七面鳥、アヒル、ガチョウ、ホロホロチョウ、又はひな鳥起源のものである、請求項19記載の遺伝子編集された家畜動物細胞。細胞がブタ起源のものである、請求項25記載の遺伝子編集された家畜動物細胞。胚が、配列番号27、28、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、45、46、47、48、49、50、51、52、56、57、58、59、60、61、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、201、202、203、又は204の編集されたNANOS2遺伝子を含む、請求項26記載の遺伝子編集された家畜動物細胞。細胞がウシ起源のものである、請求項25記載の遺伝子編集された家畜動物細胞。動物が、配列番号118、119、120、121、122、124、125、126、127、128、130、131、132、133、134、136、137、138、139、140、142、143、144、145、146、148、149、150、151、又は152を含む編集されたNANOS2遺伝子を含む、請求項28記載の遺伝子編集された家畜動物細胞。不活化された染色体配列が外因性の導入配列を含まない、請求項19記載の遺伝子編集された家畜動物細胞。NANOSタンパク質の条件付き発現のための条件付きノックアウトシステムを更に含む、請求項19記載の遺伝子編集された家畜動物細胞。編集された染色体配列が組み込まれたレポーター配列を含む、請求項19記載の遺伝子編集された家畜動物細胞。請求項17の生殖系列が切除された代理雄レシピエントから精子を回収し、そして該精子を雌動物に導入して該雌動物を妊娠させることを含む、家畜動物の繁殖方法。請求項33記載の方法によって作製された家畜動物。導入が人工授精によるものである、請求項33記載の方法。機能的精原細胞を有さない家畜動物の作製方法であって、NANOSタンパク質機能が低下又は排除されるようにNANOS遺伝子発現を改変することを含む、上記方法。動物が顕著な量の精原細胞を産生しない、請求項36記載の方法。改変が、TALEN、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、及び/又はリコンビナーゼ融合タンパク質を使用する遺伝子編集によるものである、請求項36記載の方法。NANOS遺伝子が遺伝子の不活化を生じさせる挿入又は欠失を含むように編集される、請求項36記載の方法。遺伝子編集改変ステップが、NANOSガイドRNA、及びNANOS標的の切断又は組込みをもたらすことができるポリペプチドの使用を含む、請求項36記載の方法。NANOSがNANOS2である、請求項36記載の方法。遺伝子編集改変方法がRNAでガイドされるCRISPR/Cas9である、請求項36記載の方法。自然的又は人工的繁殖を介して子孫にドナーの遺伝子型を遺伝させるためのドナー由来の精子作製のための代理親として機能するレシピエント雄の作製方法であって、 所望の雄ドナーからのドナーSSCを回収し、その後、 精子形成性コロニーが生じるようにドナーSSCをNANOS2-/-レシピエント雄に移植する ことを含む、上記方法。NANOS2-/-レシピエント雄が、配列番号27、28、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、45、46、47、48、49、50、51、52、56、57、58、59、60、61、118、119、120、121、122、124、125、126、127、128、130、131、132、133、134、136、137、138、139、140、142、143、144、145、146、148、149、150、151、152、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、201、202、203、又は204の遺伝子編集されたNANOS配列を含む、請求項43記載の方法。雌の家畜動物を請求項43記載のレシピエントNANOS2-/-の雄からの精子で受精させることを含む、家畜動物の作製方法。

说明书全文

関連出願への相互参照 本出願は、参照によりその全体を本明細書に組み入れる2014年7月14日に出願された米国特許仮出願第62/023,996号に基づく優先権を主張する。

発明の分野 本発明は、遺伝子編集された非ヒト家畜動物に関する。本発明の方法は、雄は生殖系列細胞を欠き、一方雌は繁殖能を有するように、動物における改変されたNANOS遺伝子を提供するものである。得られた雄の動物は精原幹細胞移植及び繁殖プログラムにおける使用のために利用可能である。

家畜における遺伝的進歩(genetic gain)は、選択的繁殖の結果としての世代から世代への集団内の生産性能の改善として記載することができる。この原理を利用することは、環境への影響を小さくしながら増殖効率、動物の健康、及び消費者にとっての製品の品質を上げるために食用動物の生産のために重要な側面である。家畜生産において、遺伝的進歩の大部分は望ましい雄親の選択的繁殖を介して行われる。従って、個々の雄親の精子の利用性を上げることで、世界的規模で食用動物生産に多大な影響を与えることができる。人工授精(AI)方法論は市場の家畜生産に利用され、生産性能を世界的に改善した。その進歩に関わらず、家畜繁殖業界でのAIのための精鋭の雄ブタ及び雄ウシの広範な使用は、個体から回収できる精子の絶対数の制限のために妨げられている。雄ブタでは、週に1-2回精液を回収し、1回の精液で約20回のAI量が得られる。各雌ブタに、所定の発情期のサイクル中に2-3回受精させる。従って、望ましい雄ブタの精子で各週に授精させることができる雌ブタは20頭未満である。従って、望ましい雄ブタからの配偶子の量及び利用性を高め、生殖系列を維持するための新たなアプローチが大いに必要とされている。

精子形成によって毎日数百万個の精子が生産され、そのような膨大な数のための基盤は、精原幹細胞(SSC)を含む未分化の精原集団の作用によってもたらされる。SSCに特有の性質の一つは、これらがレシピエント動物の精巣でコロニーを形成し、移植後に精子形成を再生する能力である。SSC移植の方法論はげっ歯類モデルで開発され、このアプローチのブタへの適用により、個々の雄の生殖系列及び遺伝的な利点の拡大及び保存のための効果的な繁殖ツールが提供されるであろう。SSC移植方法論の適用のための重要な点は以下の通りである:1)内在する生殖系列を欠くが、インタクトな支持細胞集団(すなわちセルトリ細胞及びライディッヒ細胞)を保持するレシピエント動物の作製;2)比較的まれなドナーSSCをin vitroで拡大して数匹のレシピエントの雄への移植を成功させるための最適な数を生成させること;及び3)レシピエントの精巣中へのSSCの注入。

ドナーSSCのコロニー形成の効率は、レシピエントの精巣の環境に影響される。内在する生殖細胞の排除は、レシピエントの精巣の精細管内への移植のためのドナーSSCの接近可能性のために非常に重要である。更に、精子形成は、生殖細胞と、セルトリ細胞及びライディッヒ細胞を含む精巣支持細胞集団との密接な相互作用によって調節される。従って、移植時の体細胞の健康状態は、ドナーSSCのコロニー形成の成功に影響する。げっ歯類では、化学毒性のある薬物、特にアルキル化剤ブスルファンでの成体の雄の処置及び精巣への局所的照射は、SSC移植のためのレシピエントを効果的に準備するためにそれぞれ使用されてきた。いずれの処置も内在する生殖細胞の枯渇をもたらしてドナーSSCを移植可能にするが、体細胞性の支持細胞の機能に悪影響を及ぼすことがしばしばであり、一部の内在性生殖細胞が常に残り、ドナーと内在する精子形成の混合の再生につながる。マウスでは、SSC移植の最大の成功は、精子形成の最も初期の段階で生殖細胞の生存に必要な遺伝子が不活化されたために無菌であるレシピエントの使用と関連する。精原集団が持続する精子形成の部分的切除はレシピエントの調製には有効ではない。このような場合、残存している精原細胞を排除し、それによってドナーSSCの移植のための隙間を作るためにやはり化学毒性を有する薬剤を使用しなければならない。始原生殖細胞(PGC)、原生殖細胞、又はSSCの生存が損なわれた雄が理想的なレシピエントを提供する。

ブタ及び他の大型家畜動物では、レシピエントの雄を準備するために化学毒性を有する薬剤で処置することは、生殖細胞を完全に排除するために高用量の薬剤を必要とするため、実現可能ではない。これらの処置はしばしば意図しない骨髄幹細胞及び他の組織特異的幹細胞に対する毒性の結果をもたらす。更に、生物学的に危険な廃棄物として糞及び尿を回収する必要があるであろう。精巣への局所的照射は化学毒性薬剤処置の制限を克服する可能な代替法であるが、照射量を厳密に制御する必要があり、この手法はライディッヒ細胞等の支持細胞にダメージを与え、それによってドナー由来の精子形成にマイナスの影響を与える。理想的なレシピエントは、体細胞性の支持細胞集団は機能的にインタクトなままで遺伝的欠損のために内在性の生殖系列を欠く雄である。

理解されるように、当分野において、雄が生殖細胞を有さずに機能的体細胞を保持し、従ってSSC移植に適格であり、理想的には雌が生殖能力を有する動物に対する需要が存在する。

本発明は、NANOS発現が調節されたレシピエント動物を作製することによる、精原幹細胞移植のための動物及び方法を提供する。動物はNANOS遺伝子活性が不活化されるか、あるいは調節され、機能的生殖細胞を欠くが機能的体細胞は保持する雄、及び繁殖能力を有する雌が得られる。これらの動物は、ノックアウト技術又は遺伝子編集等の多くのプロトコルのいずれかを使用して作製することができる。

従って、本発明の一実施形態は、生殖系列細胞機能のために選択的なNANOS遺伝子の不活化を有するゲノムを含む、遺伝子編集又は改変された家畜動物である。

本発明の別の実施形態は、規則的な間隔をもってクラスター化された短鎖反復回文配列(Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats, CRISPR)/Casシステム、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(Transcription Activator-Like Effector Nucleases, TALEN)、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(Zinc Finger Nucleases, ZFN)、又はリコンビナーゼ融合タンパク質等の遺伝子編集方法を使用して、細胞の染色体標的部位に特異的に結合し、二本鎖DNAの切断を引き起こすか、又は他の方法でそのNANOS遺伝子を不活化する薬剤を家畜動物の細胞又は家畜の胚に導入することを含む、家畜動物の作製方法である。

本発明の別の実施形態は、望ましい精原幹細胞遺伝子成分を有する家畜繁殖のための雄の精子ドナーの作製方法であって、この方法は、望ましい雄ドナーからドナーSSCを回収し、SSCをin vitroで増殖させ、その後ドナーSSCをNANOS2 -/-雄に移植することを含み、精子形成コロニーを作製し、長期間ドナー生殖細胞を有するようにする。

本発明の別の実施形態は、レシピエントNANOS2 -/-雄由来のドナー精子を用いた雌の家畜の自然の交配及び/又は人工授精を含む家畜動物の作製を含む。

本明細書に更に記載されるのは、NANOS遺伝子座内の特定の核酸配列の切断及び/又は組込みを実行することができるポリペプチドと組み合わせた1以上の特定のNANOS遺伝子座の使用である。NANOS遺伝子座の切断及び/又は組込みを実行できるポリペプチドと合わせてNANOS遺伝子座を使用する例としては、ジンクフィンガータンパク質、メガヌクレアーゼ、TALドメイン、TALEN、RNA-ガイドCRISPR/Casリコンビナーゼ、ロイシンジッパー、及び当業者に公知の他のものからなる群より選択されるポリペプチドが挙げられる。特定の例としては、部位特異的DNA結合ドメインポリペプチド及び切断ドメインポリペプチド(例えばヌクレアーゼ)を含むキメラ(「融合」)タンパク質、例えばジンクフィンガーポリペプチド及びFokIヌクレアーゼポリペプチドを含むZFNタンパク質が挙げられる。特定の態様において、本明細書に記載されるのは、NANOS遺伝子に特異的に結合するDNA結合ドメインを含むポリペプチドである。一部の実施形態において、そのようなポリペプチドはヌクレアーゼ(切断)ドメイン又はハーフドメイン(例えばZFN、リコンビナーゼ、トランスポザーゼ、又はホーミングエンドヌクレアーゼ、例えば改変DNA結合ドメインを有するホーミングエンドヌクレアーゼ、TALドメイン、TALEN、RNA-ガイドCRISPR/Cas)、及び/又はリガーゼドメインを含むこともでき、例えばポリペプチドは標的化二本鎖切断を誘導し、及び/又は切断部位での目的の核酸の組換えを容易にすることができる。特定の実施形態において、NANOS遺伝子座を標的とするDNA結合ドメインは、DNAを切断する機能的ドメインであり得る。上記のポリペプチドは一部の実施形態において外因性の核酸を1以上のNANOS遺伝子座において宿主生物(例えば動物種)のゲノム中に導入するために使用することができる。特定の実施形態において、DNA結合ドメインは、NANOS遺伝子内の任意の配列に結合するように操作された(非天然の)1以上のジンクフィンガー(例えば2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個又はそれ以上のジンクフィンガー)を有するジンクフィンガータンパク質を含む。本明細書に記載するジンクフィンガータンパク質の任意のものが、標的遺伝子のコード配列内、又は隣接する配列(例えばプロモーター若しくは他の発現エレメント)内の標的部位に結合することができる。特定の実施形態において、ジンクフィンガータンパク質はNANOS遺伝子内の標的部位、例えばエクソン1内のおよそ20塩基に結合する。

更なる実施形態は、以下の本発明の詳細な説明から明らかとなるであろう。

ゲノム編集試薬の設計において有益に使用することができるブタNANOS2遺伝子内の潜在的一塩基多型(赤のドットで示す)を特定するためのブタゲノムの複数配列アライメントの複合図を示す。

NHEJ事象を特定するためのアガロースゲル上での消化したPCR産物の結果を示す。TALEN対A、B又はCをコードするプラスミドでトランスフェクトしたPK15細胞からゲノムDNAを調製し、次いでPCRプライマーoSL9及びoSL10を用いて増幅した。酵素CelIを用いた消化によってミスマッチを特定した。

ガイドRNA結合配列の配列(配列番号15)を示す。

ガイドRNA結合配列の配列(配列番号16)を示す。

ガイド、ヒトU6プロモーター、sgRNA結合配列及びターミネーター配列を有する構築物を示す。U6プロモーター配列(配列番号18)、標的配列(配列番号19)、gRNA骨格(配列番号20)、ターミネーター配列(配列番号21)。

PK15細胞からのDNAにブタCRISPR/Cas9を作用させたアガロースゲル上の消化されたPCR産物を示す。sgRNA配列、CAG駆動Cas9及びCMV-駆動eGFPをそれぞれコードする3つのプラスミドをPK15細胞中に同時にトランスフェクトした。得られたゲノムDNAにプライマーoSL9及びoSL10を用いてPCRを行った。消化されたPCR産物を2%TAEアガロースゲル上で分離した。双方のガイド配列で標的部位での切断及びNHEJ形成が生じた(CelI消化産物の存在、赤の矢印で示す)が、驚くべきことに、コーディング配列とは逆方向のsgRNA配列が、そのセンス鎖の対応物よりも実質的により効率的であった。

pSpCas9(BB)-2A-GFP (PX458)プラスミドのマップを示す。

pX458部分配列(配列番号22)の配列;hU6配列(配列番号23)、gRNA配列(配列番号24)、末端配列(配列番号25)の注釈を示す。

構築物全体の配列を示す(配列番号43)。

図5C−1の続き。

図5C−2の続き。

図6A及び6Bはトランスフェクション後のゲノムDNAからのPCR産物のゲルであり、T7エンドヌクレアーゼ消化産物(赤の矢印)の存在で示すように標的部位でのNHEJ形成を誘導することができたsgRNAの効率の実質的な相違を示す。

異なる組合せのCRISPRを使用して生成した欠失を示す。写真は、6種のプラスミドの組み合わせでプライマーoSL86(配列番号64)及びoSL87(配列番号74)でindelが増幅した場合のゲノムDNAのゲルである。

野生型と比較したウシのindelの配列を示す。pSL32 & pSL38: WT (配列番号117)、クローン1 (配列番号118); クローン2 (配列番号119); クローン3 (配列番号120); クローン4 (配列番号121); クローン5 (配列番号122)。pSL32 & pSL39 : WT (配列番号123)、クローン1 (配列番号124); クローン2 (配列番号125); クローン3 (配列番号126); クローン4 (配列番号127); クローン5 (配列番号128)。pSL32 & pSL42 WT (配列番号129)、クローン1 (配列番号130); クローン2 (配列番号131); クローン3 (配列番号132); クローン4 (配列番号133); クローン5 (配列番号134)。pSL33 & pSL38 WT (配列番号135)、クローン1 (配列番号136); クローン2 (配列番号137); クローン3 (配列番号138); クローン4 (配列番号139); クローン5 (配列番号140)。pSL33 & pSL39 WT (配列番号141)、クローン1 (配列番号142); クローン2 (配列番号143); クローン3 (配列番号144); クローン4 (配列番号145); クローン5 (配列番号146)。pSL33 & pSL42 WT (配列番号147)、クローン1 (配列番号148); クローン2 (配列番号149); クローン3 (配列番号150); クローン4 (配列番号151); クローン5 (配列番号152)。

ブタ胚におけるNANOS2遺伝子座のCRISPR介在性遺伝子ターゲッティングを示す。A)哺乳動物での発現のためのCMVプロモーター、及びCas9:GFP発現ベクター:HAタグのin vitro転写のためのT7、及びNLS:発現したCas9ヌクレアーゼタンパク質の核局在化のための核局在化シグナルの模式図。T7プロモーターがガイドRNA及びCas9結合配列を有するキメラ一本鎖ガイドRNA(sgRNA)発現カセットを駆動する。B)意図されるゲノム配列のCas9、sgRNA介在性ターゲッティングの模式図。C)パネルAのカセット由来のRNA(Cas9:GFP及びガイド)を注入していない(右)又は注入した(左)ブタの2日目の1細胞胚のCas9:GFPからの発現を確認できる蛍光顕微鏡写真。発達中の胚の明視野像を差し込み図に示す。D)注入した胚の配列解析によって、しばしば両アレルで様々な程度のindelが示される。野生型配列を最上部に示し、ハイライトした配列は標的ガイド配列(黄色)及び逆方向のPAMモチーフ(AGG、緑)を示す。NANOS2 (配列番号29); N1-1 (配列番号30); N1-2 (配列番号31); N3-2 (配列番号32); N3-3 (配列番号33); N5-2 (配列番号34); N5-3 (配列番号35); N6-1 (配列番号36); N7-2 (配列番号37); N7-3 (配列番号38); N10-2 (配列番号39); N11-2 (配列番号40); N12-2 (配列番号41) N12-3 (配列番号42)。

2つのsgRNAを注入したブタ胚の配列解析を示す。図に示すように、2つのsgRNAの注入によって、NANOS2遺伝子座の大きなセグメントの欠失、及びNANOS2アレル中の外来配列の挿入(赤)が生じた。NANOS (配列番号26); NN6-1 (配列番号27); NN7-1 及び NN7-2 (配列番号28)。

胚盤胞由来の更なるindel配列を示す。NANOS (配列番号44); N3-1-3 (配列番号45); N3-2-3 (配列番号46); N3-6-2 (配列番号47); N3-7-3 (配列番号48); N3-8-3 (配列番号49); N3-10-2 (配列番号50); N3-12-2 (配列番号51); N3-12-3 (配列番号52)

逆鎖上を標的とするように設計された単鎖ガイドRNA対(ニッカーゼペア)を示す。両方のsgRNAを図中のボックス内に示し、逆鎖を黄色のハイライトで示す。両方のsgRNAのPAMモチーフを緑のハイライトで示す。標的部位の周囲で改変は同定されなかった。sgRNA1 (配列番号53); sgRNA2 (配列番号54); NANOS (配列番号55); N2-3 (配列番号56); N3-1 (配列番号57); N4-2 (配列番号58); N5-2 (配列番号59); N6-3 (配列番号60); N7-1 (配列番号61)。

設計されたガイド及び増幅プライマーが示されたウシNANOS2配列を示す。全ヌクレオチド配列(配列番号62); NANOS2 CDS (配列番号63); oSL86 (配列番号64); pSL36又は37 (配列番号65); pSL34又は35 (配列番号66); pSL32又は33 (配列番号67); pSL38又は39 (配列番号68); pSL39又は40 (配列番号69); pSL41又は42 (配列番号70); pSL43又は44 (配列番号71); pSL45又は46 (配列番号72); pSL47又は48 (配列番号73); oSL87 (配列番号74)。

1つ又は2つのアレルがノックアウトされたNANOS2仔ブタを作製するCRISPR/Casシステムのアプローチを示す。20個のヌクレオチドガイド配列に下線を付し、PAMモチーフを黄色のハイライトで示す(注:ガイドは逆方向である)。CRISPR標的配列はNANOS2 ORF内に下線で示す。CRISPRガイドRNA配列 (配列番号160); NANOS2 ORF (配列番号1及び2); CRISPR標的配列 (配列番号161)。

図14A及び14Bは、CRISPR/Cas仲介NANOSの1又は2アレルノックアウト仔ブタの遺伝子型を示す。NANOS WT (配列番号163); NANOSブタ1-1 (配列番号164); NANOSブタ1-2 (配列番号165); NANOSブタ1-3 (配列番号166); NANOSブタ2-1 (配列番号167); NANOSブタ2-4 (配列番号168); NANOSブタ3-1 (配列番号169); NANOSブタ4-1 (配列番号170); NANOSブタ4-2 (配列番号171); NANOSブタ10-1 (配列番号172); NANOSブタ10-2 (配列番号173); NANOSブタ11-1 (配列番号174); NANOSブタ11-4 (配列番号175); NANOSブタ12-1 (配列番号176); NANOSブタ12-2 (配列番号177); NANOS仔ブタ#1 アレル-1 (配列番号178); NANOS仔ブタ#1 アレル-2 (配列番号179); NANOS仔ブタ#2 アレル-1 (配列番号180); NANOS仔ブタ#2 アレル-2 (配列番号181); NANOS仔ブタ#3 アレル-1 (配列番号182); NANOS仔ブタ#3 アレル-2 (配列番号183); NANOS仔ブタ#4 アレル-1 (配列番号184); NANOS仔ブタ#4 アレル-2 (配列番号185); NANOS仔ブタ#5 アレル-1 (配列番号186); NANOS仔ブタ#5 アレル-2 (配列番号187); NANOS仔ブタ#6 アレル-1 (配列番号188); NANOS仔ブタ#6 アレル-2 (配列番号189); NANOS仔ブタ#7 アレル-1 (配列番号190); NANOS仔ブタ#7 アレル-2 (配列番号191); NANOS仔ブタ#8 アレル-1 (配列番号192); NANOS仔ブタ#8 アレル-2 (配列番号193); NANOS仔ブタ#9 アレル-1 (配列番号194); NANOS仔ブタ#9 アレル-2 (配列番号195); NANOS仔ブタ#10 アレル-1 (配列番号196); NANOS仔ブタ#10 アレル-2 (配列番号197); NANOS仔ブタ#11 アレル-1 (配列番号198); NANOS仔ブタ#11 アレル-2 (配列番号199)。

の続き。

SCNTによって作製されたNANOS2ヌルの雄及び雌の仔ブタの遺伝子型を示す。図中、NANOS2を標的とする20ヌクレオチドのガイド配列を緑色のハイライト及び下線で示し、その後に3ヌクレオチドのPAMモチーフ(青色のハイライト)を示す(配列番号162)。雄のノックアウトでは、双方のアレルがNANOS2 ORF内に7ヌクレオチドの欠失を有し、NANOS2遺伝子の破壊を引き起こしている。雌では、一方のアレルが1ヌクレオチドの欠失といくつかのヌクレオチド配列の変化を有しており、二番目のアレルは11ヌクレオチドの欠失を有している。合わせると、これらのアレルによって雌の動物はNANOS2についてヌルとなっている。

3月齢のNanos2ホモ接合性ノックアウトブタの精巣生検の切片の代表的画像を示す。生検切片の画像は、光学顕微鏡を用いて作製し、インタクトな精細管(seminiferous cord)及び体細胞性支持細胞の存在を示す。更に、図16は、精細管(cord)内の複数層の生殖細胞の不在を示す。

以下、添付の実施例を参照して本発明をより完全に記載する。本発明は、多くの異なる形態に具体化することができ、本出願に記載した実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が適用される法的要件を満たすように提供されるものである。

本明細書中の記載及び図面に提示される教示の利益を有する本発明の多くの改変及び他の実施形態は、本発明が属する分野の技術者には認識されるであろう。結果として、本発明が開示された特定の実施形態に限定されるべきものではなく、改変及び他の実施形態が添付された請求項の範囲内に含められることが意図されることが理解されるべきである。本明細書において特定の用語を使用しているが、これらは一般的かつ記述的な意味でのみ使用されており、限定目的のためではない。

単位、接頭辞及び記号は、SIで許容された形態で示す場合がある。そうでないことを示さない限り、核酸は左から右に5'から3'方向で記載され;アミノ酸配列は左から右にアミノからカルボキシ方向で記載される。本明細書内に記載される数値範囲はその範囲を規定する数値を含み、かつ規定された範囲内の各整数を含む。アミノ酸は、その通常知られている三文字表記、又はIUPAC-IUB 生化学部会命名法委員会(Biochemical Nomenclature Commission)によって推奨される一文字表記によって本明細書に記載され得る。同様に、ヌクレオチドは、その通常受け入れられている一文字コードによって記載され得る。他に提供されていない限り、本明細書において使用されるソフトウェア、電気、電子工学的用語は、電気及び電子工学用語の新IEEE標準辞典(The New IEEE Standard Dictionary of Electrical and Electronics Terms)(第5版, 1993)に定義された通りである。以下に定義する用語は、明細書全体を参照することによってより十分に定義される。

「増幅した」とは、少なくとも1種の核酸配列を鋳型として使用する核酸配列の複数のコピー又は核酸配列に相補的な複数のコピーの構築を意味する。増幅システムとしては、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)システム、リガーゼ連鎖反応(LCR)システム、核酸配列ベース増幅(NASBA, Cangene, Mississauga, Ontario)、Q-ベータレプリカーゼシステム、転写ベース増幅システム(TAS)、及び鎖置換増幅(SDA)が挙げられる。例えばDiagnostic Molecular Microbiology: Principles and Applications, D. H. Persing 等編、American Society for Microbiology, Washington, D. C. (1993)を参照されたい。増幅産物はアンプリコンと呼ばれる。

用語「保存的に改変された変異型」は、アミノ酸配列及び核酸配列の双方に適用される。特定の核酸配列に関して「保存的に改変された変異型」は、同一のアミノ酸配列又はアミノ酸配列の保存的に改変された変異型をコードする核酸をいう。遺伝子コードの縮重のために、多数の機能的に同一な核酸が所定のタンパク質をコードする。例えば、コドンGCA、GCC、GCG及びGCUは、全てアミノ酸アラニンをコードする。従って、アラニンがコドンによって特定される全ての位置において、そのコドンは、コードされるポリペプチドを変えることなく、記載される対応するコドンのいずれかに代えることができる。このような核酸の変異は「サイレント変異」であり、保存的に改変された変異の1つの種を表す。ポリペプチドをコードする本明細書中の全ての核酸配列はまた、遺伝子コードを参照することにより、その核酸の全ての可能なサイレント変異を記載する。

当業者は、核酸中の各コドン(通常はメチオニンの唯一のコドンであるAUG;および通常はトリプトファンの唯一のコドンであるUGGを除く)が機能的に同一の分子をもたらすように改変できることを認識するであろう。従って、本発明のポリペプチドをコードする核酸のそれぞれのサイレント変異はそれぞれ記載されたポリペプチド配列中に潜在し、かつ本発明の範囲内にある。

アミノ酸配列に関しては、当業者は、コードされた配列中の1アミノ酸又はアミノ酸のわずかな割合を変化させ、付加し、又は欠失させる核酸、ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質配列への個々の置換、欠失又は付加が、その変化が化学的に類似のアミノ酸によるアミノ酸の置換をもたらす「保存的に改変された変異型」であることを認識するであろう。従って、1〜15からなる整数の群から選択されるアミノ酸残基の任意の数をそのように変化させることができる。従って、例えば1、2、3、4、5、7、又は10個の変更を行うことができる。

保存的に改変された変異型は、典型的にはそれらが由来する未改変のポリペプチド配列と類似の生物学的活性をもたらす。例えば、基質特異性、酵素活性、又はリガンド/受容体結合は、その本来の基質に対して一般的に天然のタンパク質の少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は90%である。機能的に類似のアミノ酸を提供する保存的置換の表は当分野において周知である。

以下の6つの群は、それぞれ互いに保存的置換となるアミノ酸を含む:[1] アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T);[2] アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);[3] アスパラギン(N)、グルタミン(Q);[4] アルギニン(R)、リジン(K);[5] イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);及び[6] フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)。Creighton (1984) Proteins W. H. Freeman and Companyも参照されたい。

特定の核酸に関して「コードする」又は「コードされた」とは、特定のタンパク質に翻訳するための情報を含むことを意味する。タンパク質をコードする核酸は、その核酸の翻訳される領域内に介在配列(例えばイントロン)を含んでいても良く、またそのような介在非翻訳配列を欠くものであっても良い(例えばcDNAのようなもの)。タンパク質がコードされる情報は、コドンの使用によって特定される。典型的には、アミノ酸配列は「普遍的」遺伝子コードを使用して核酸によってコードされる。核酸を合成的に調製又は変更する場合、核酸を発現させることが意図される宿主の既知のコドン選択を利用することができる。

特定のポリヌクレオチド又はそのコードされたタンパク質に関連して本明細書において使用する「全長配列」は、特定のタンパク質の天然(非合成)の、内在性の、生物学的に活性な形態の全アミノ酸配列を有することを意味する。ある配列が全長であるか否かを決定する方法は当分野において周知であり、ノーザン又はウェスタンブロット、プライマー伸長、S1保護、及びリボヌクレアーゼ保護等の例示的な技術を含む。既知の全長相同(オーソロガス及び/又はパラロガス)配列との比較を使用して、本発明の全長配列を同定することもできる。更に、典型的にmRNAの5'及び3'非翻訳領域に存在するコンセンサス配列は、ポリヌクレオチドを全長として特定する上で役立つ。例えば、コンセンサス配列 [下線を引いたコドンはN-末端メチオニンを示す] は、ポリヌクレオチドが完全な5'末端を有するか否かを決定する上で役立つ。3'末端のコンセンサス配列、例えばポリアデニル化配列は、ポリヌクレオチドが完全な3'末端を有するか否かを決定する上で役立つ。

本明細書において使用する場合、核酸に関連する「異種の(heterologous)」は、外来の種に由来する核酸であるか、又は、同じ種由来の場合、意図的なヒトの介入によって組成及び/又はゲノム上の遺伝子座でその天然の形態から実質的に改変された核酸である。例えば、異種の構造遺伝子に機能的に連結されたプロモーターは、その構造遺伝子が由来する種とは異なる種由来のものであるか、又は、同じ種由来の場合、一方若しくは双方がその本来の形態から実質的に改変されている。異種タンパク質は、外来の種に由来するものであっても良く、又は、同じ種由来の場合、意図的なヒトの介入によってその本来の形態から実質的に改変されていても良い。

「宿主細胞」は、ベクターを含み、そのベクターの複製及び/又は発現を支持する細胞を意味する。宿主細胞は、大腸菌等の原核細胞であっても、酵母、昆虫、両生類、又は哺乳類細胞等の真核細胞であっても良い。

用語「ハイブリダイゼーション複合体」は、互いに選択的にハイブリダイズする2本の一本鎖核酸配列によって形成される二本鎖核酸構造に対する言及を含む。

細胞内への核酸の挿入の文脈における用語「導入された」は「トランスフェクション」又は「形質転換(transformation)」又は「遺伝子導入(transduction)」と等価であり、真核細胞若しくは原核細胞中への核酸の組込みに対する言及を含み、ここで核酸は細胞のゲノム(例えば染色体、プラスミド、プラスチド若しくはミトコンドリアDNA)中に組み込まれ、自律的なレプリコンに変換されるか、又は一過的に発現され得る(例えばトランスフェクトされたmRNA)。

用語「単離された」は、 (1)その天然の環境で見出されるようなそれに通常伴うか若しくはそれと相互作用する成分を実質的又は本質的に含まず、単離された物質が任意にその天然の環境中の物質で見出されなかった物質を含むか、あるいは (2)その物質がその天然の環境にある場合は意図的なヒトの介入によって合成によって組成物に変更され、及び/若しくはその物質にとって天然でない細胞(例えばゲノム若しくは細胞内小器官)内の位置に置かれた 核酸又はタンパク質などの物質をいう。合成物質をもたらすための変更は、その天然の状態内の物質、又はその天然の状態から取り出された物質に対して実施することができる。例えば、天然の核酸は、それが由来する細胞内で行われるヒトの介入によって変更された場合、又は変更されたDNAから転写された場合に、単離された核酸となる。例えばCompounds and Methods for Site Directed Mutagenesis in Eukaryotic Cells, Kmiec, 米国特許第5,565,350号;In Vivo Homologous Sequence Targeting in Eukaryotic Cells; Zarling 等、PCT/US93/03868を参照されたい。同様に、天然の核酸(例えばプロモーター)は、天然ではない手段によってその核酸にとって天然ではないゲノム上の遺伝子座に導入された場合に、単離されたものとなる。本明細書において定義される「単離された」核酸は、「異種の(heterologous)」核酸ともいう。

本明細書において使用する場合、特定のマーカーに関する「〜によって規定され、これを含む染色体領域内に位置する」は、記載されたマーカーによって範囲を定められ、これを含む染色体の連続した長さに対する言及を含む。

本明細書において使用する場合、「マーカー」は、染色体上の固有の位置を特定するために機能する染色体上の遺伝子座に対する言及を含む。「多型マーカー」は、異なる形態のマーカーが相同な対に存在する場合に、その対の染色体それぞれの伝達の追跡を可能とするように複数の形態(アレル)で出現するマーカーに対する言及を含む。遺伝子型は、1種又は複数のマーカーの使用によって規定され得る。

本明細書において使用する場合、「変異」は、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列、例えば遺伝子又はコーディングDNA配列(CDS)の野生型配列と比較した変更に対する言及を含む。この用語には、限定するものではないが、置換、挿入、フレームシフト、欠失、逆位、転座、重複、スプライスドナー部位変異、点突然変異等が含まれる。

本明細書において使用する場合、「核酸」は、一本鎖又は二本鎖の形態のデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドポリマーに対する言及を含み、他に限定されない限り、保存的に改変された変異型、及び天然のヌクレオチドと類似の方法で一本鎖核酸にハイブリダイズするという天然のヌクレオチドの必須の性質を有する公知の類似体(例えばペプチド核酸)を包含する。

「核酸ライブラリー」は、特定の生物のゲノムの転写される全画分を含み、実質的に提示する単離されたDNA又はRNA分子の集合体を意味する。例示的な核酸ライブラリー、例えばゲノムライブラリー及びcDNAライブラリーの構築は、例えば以下のような標準的な分子生物学の参考文献に教示されている:Berger 及び Kimmel, Guide to Molecular Cloning Techniques, Methods in Enzymology, Vol. 152, Academic Press, Inc., San Diego, CA (Berger); Sambrook 等、Molecular Cloning-A Laboratory Manual, 2nded., Vol. 1-3 (1989); 及び Current Protocols in Molecular Biology, F. M. Ausubel 等編、Current Protocols (Greene Publishing Associates, Inc. 及び John Wiley & Sons, Inc.の合弁企業)(1994)。

本明細書において使用する場合、「機能的に連結(した)」は、プロモーターと第2の配列との機能的連結に対する言及を含み、ここでプロモーター配列は、第2の配列に対応するDNA配列の転写を開始し、仲介する。一般的に、機能的に連結したとは、連結した核酸配列が隣接しており、必要な場合には2つのタンパク質コーディング領域を隣接して同じ読み取り枠でつなぐことを意味する。

本明細書において使用する場合、「ポリヌクレオチド」は、デオキシリボポリヌクレオチド、リボポリヌクレオチド、又は保存的に改変された変異体に対する言及を含む。この用語はまた、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で天然のヌクレオチドと実質的に同じヌクレオチド配列にハイブリダイズし、及び/又は天然のヌクレオチドと同じアミノ酸への翻訳を可能とする、天然のリボヌクレオチドの必須の性質を有するその類似体をもいう。ポリヌクレオチドは全長であっても、又は天然若しくは異種の構造遺伝子又は調節遺伝子の部分配列であっても良い。他に示さない限り、この用語は、特定の配列並びにその相補配列に対する言及を含む。従って、安定性又は他の理由のために改変された骨格を有するDNA又はRNAは、この用語が本明細書中で意図される通り、「ポリヌクレオチド」である。更に、イノシン等の異常な塩基、又はトリチル化(tritylated)塩基等の修飾塩基を含むDNA又はRNA(単に2つの例を挙げた)は、この用語が本明細書中で使用される通り、ポリヌクレオチドである。DNA及びRNAに対して当業者に公知の多くの有用な目的を果たす非常に多様な改変が行われてきたことは理解されるであろう。

ポリヌクレオチドとの用語は、本明細書において使用する場合、ポリヌクレオチドの化学的、酵素的又は代謝的に改変された形態、並びにウイルス及び細胞、特に単純細胞及び複雑型細胞に特徴的なDNA及びRNAの化学的形態を包含する。

用語「ポリペプチド」、「ペプチド」及び「タンパク質」は、アミノ酸残基のポリマーをいうために本明細書において互換的に使用される。これらの用語はまた、保存的に改変された変異型、及び1以上のアミノ酸残基が対応する天然のアミノ酸の人工的な化学的類似体であるアミノ酸ポリマー、並びに天然のアミノ酸ポリマーに適用され得る。天然のアミノ酸のそのような類似体に必須の性質は、タンパク質に組み込まれた場合に、そのタンパク質が、同じタンパク質であるが完全に天然のアミノ酸からなるタンパク質に対して誘起された抗体に特異的に反応することである。用語「ポリペプチド」、「ペプチド」及び「タンパク質」はまた、限定するものではないが、グリコシル化、脂質の付加、硫酸化、グルタミン酸残基のγ-カルボキシル化、ヒドロキシル化及びADP-リボシル化を含む改変を包含する。周知のように、また上記のように、ポリペプチドは必ずしも完全に線状ではないことは理解されるであろう。例えば、ポリペプチドはユビキチン化の結果として分岐していても良く、また、一般的に翻訳後イベント(天然のプロセシングイベント、及び天然には生じないヒトの操作によって行われるイベントを含む)の結果として分岐を有するか有さない環状のものであっても良い。環状、分岐、及び分岐した環状ポリペプチドは、天然の非翻訳プロセスによって、また同様に完全な合成方法によっても合成することができる。更に、本発明は、本発明のタンパク質のメチオニン含有及びメチオニン非含有アミノ末端変異型の双方の使用を想定する。

本明細書において使用する場合、「プロモーター」は、転写開始点より上流にあり、転写を開始するためのRNAポリメラーゼ及び他のタンパク質の認識及び結合に関わるDNAの領域に対する言及を含む。発生制御下にあるプロモーターの例としては、特定の組織、例えば精巣、卵巣、又は胎盤における転写を優先的に開始するプロモーターが挙げられる。このようなプロモーターは「組織優先的(tissue preferred)」と呼ばれる。特定の組織においてのみ転写を開始するプロモーターは「組織特異的」と呼ばれる。「細胞型」特異的プロモーターは、主として1以上の器官中の特定の細胞型、例えば精巣又は卵巣中の生殖細胞中の発現を駆動する。「誘導性」又は「抑制性(repressible)」プロモーターは、環境制御下にあるプロモーターである。誘導性プロモーターによる転写に影響し得る環境条件の例としては、ストレス及び温度が挙げられる。組織特異的、組織優先的、細胞型特異的及び誘導性プロモーターは、「非構成的(non-constitutive)」プロモーターのクラスを構成する。「構成的」プロモーターは、ほとんどの環境条件下において活性なプロモーターである。

本明細書において使用する場合、「組換え」は、異種核酸の導入によって改変された細胞若しくはベクター、又はそのように改変された細胞由来である細胞に対する言及を含む。従って、例えば、組換え細胞は、そうでなければその細胞の天然の(非組換え)形態内の同一の形態には見られない遺伝子を発現するか、又は、意図的なヒトによる介入の結果として異常な発現をするか、低下した発現をするか、若しくは全く発現されない天然の遺伝子を発現する。本明細書において使用する用語「組換え」は、意図的なヒトによる介入なしに生じるもののような天然の事象による細胞又はベクターの変化(例えば自発的な突然変異、自然界での形質転換/形質導入/転位)を包含しない。

本明細書において使用する場合、「組換え発現カセット」は、宿主細胞中での特定の核酸の転写を可能とする一連の特定の核酸エレメントを有する、組換え又は合成によって作製された核酸構築物である。組換え発現カセットは、プラスミド、染色体、ミトコンドリアDNA、プラスチドDNA、ウイルス、又は核酸断片中に組み込まれ得る。典型的には、発現ベクターの組換え発現カセット部分は、他の配列の中でも、転写されるべき核酸及びプロモーターを含む。

用語「残基」又は「アミノ酸残基」又は「アミノ酸」は本明細書において互換的に使用され、タンパク質、ポリペプチド、又はペプチド(集合的に「タンパク質」)中に組み込まれるアミノ酸をいう。アミノ酸は天然のアミノ酸であって良く、他に限定のない限り、天然のアミノ酸と同様に機能し得る天然アミノ酸の非天然類似体を包含することができる。

用語「選択的にハイブリダイズする」は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下におけるある核酸配列の別の核酸配列又は他の生物製剤(biologics)へのハイブリダイゼーションに対する言及を含む。ハイブリダイゼーションに基づく検出システムを利用する場合、参照核酸配列と相補的な核酸ブローブが選択され、次いで、適切な条件を選択することによって、プローブと参照配列とが互いに選択的にハイブリダイズ、又は結合して二本鎖分子を形成する。

用語「ストリンジェントな条件」又は「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、プローブがその標的配列に、他の配列に対してよりも検出可能により大きな程度(例えばバックグラウンドよりも少なくとも2倍)でハイブリダイズする条件に対する言及を含む。ストリンジェントな条件は配列依存性であり、異なる状況では異なるであろう。ハイブリダイゼーション及び/又は洗浄条件のストリンジェンシーを調節することによって、プローブに対して100%相補である標的配列を特定することができる(同種(homologous)プロービング)。

あるいはまた、ストリンジェンシー条件は、より低い程度の類似性が検出されるように、配列中のいくつかのミスマッチを許容するように調節することができる(異種(heterologous)プロービング)。一般的に、プローブは約1000ヌクレオチド未満の長さであり、場合によって500ヌクレオチド未満の長さである。

典型的には、ストリンジェントな条件は、塩濃度が約1.5M未満のNaイオン、典型的には約0.01〜1.0MのNaイオン濃度(又は他の塩類)であり、pH7.0〜8.3であり、温度が短いプローブ(例えば10〜50ヌクレオチド)の場合には少なくとも約30℃、長いプローブ(例えば50ヌクレオチドより長いもの)の場合には少なくとも約60℃であるような条件であろう。ストリンジェントな条件は、ホルムアミド等の不安定化剤(destabilizing agent)の添加によって達成することもできる。特異性は、典型的にはハイブリダイゼーション後の洗浄の機能であり、その重要な因子は最終洗浄溶液のイオン強度及び温度である。DNA/DNAハイブリッドの場合、融点(Tm)はMeinkoth及びWahlの式(Anal. Biochem., 138: 267-284 (1984)): Tm [℃] = 81.5 + 16.6 (log M) + 0.41(% GC)-0.61 (% form)-500/L[式中Mは一価カチオンのモル濃度であり、% GCはDNA中のグアノシン及びシトシンヌクレオチドのパーセンテージであり、% formはハイブリダイゼーション溶液中のホルムアミドのパーセンテージであり、そしてLは塩基対中のハイブリッドの長さである]から概算することができる。Tmは相補的標的配列の50%が完全にマッチするプローブに(規定のイオン強度及びpH下で)ハイブリダイズする温度である。Tmは1%のミスマッチごとに約1℃低下する。従って、Tm、ハイブリダイゼーション及び/又は洗浄条件を、所望の同一性を有する配列にハイブリダイズさせるために調節することができる。例えば、>90%の同一性を有する配列が望まれている場合には、Tmを10℃下げることができる。一般的に、ストリンジェント条件は、規定のイオン強度及びpHにおける特定の配列及びその相補配列のためのTmよりも約5℃低くなるように選択される。しかしながら、非常にストリンジェントな条件では、Tmよりも1〜4℃低い温度でのハイブリダイゼーション及び/又は洗浄を利用することができる。中程度にストリンジェントな条件では、Tmよりも6〜10℃低い温度でのハイブリダイゼーション及び/又は洗浄を利用することができる。低いストリンジェンシー条件では、Tmよりも11〜20℃低い温度でのハイブリダイゼーション及び/又は洗浄を利用することができる。上記の式、ハイブリダイゼーション及び洗浄用組成物、及び所望のTmを用いて、当業者はハイブリダイゼーション及び/又は洗浄溶液のストリンジェンシーの変動が本質的に説明されることを理解するであろう。核酸のハイブリダイゼーションに対する広範な手引きは、Tijssen, Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology--Hybridization with Nucleic Acid Probes, Part I, Chapter 2 "Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid probe assays", Elsevier, New York (1993); 及びCurrent Protocols in Molecular Biology, Chapter 2, Ausubel等編、Greene Publishing and Wiley-Interscience, New York (1995)に見られる。

本明細書において使用する場合、「トランスジェニック動物、細胞又は組織」は、そのゲノム中に異種のポリヌクレオチドを含む動物への言及を含む。一般的に、異種のポリヌクレオチドは、そのポリヌクレオチドが代々受け継がれるようにゲノム中に安定に組み込まれる。異種ポリヌクレオチドは、単独で、又は組換え発現カセットの一部として、ゲノム内に組み込まれ得る。「トランスジェニック」は、本明細書において、その遺伝子型が異種核酸の存在によって改変された任意の細胞、細胞株、組織、又は器官、例えば最初にそのように改変された遺伝子組換え体並びに最初の遺伝子組換え体から生殖的交配又は無性繁殖によって作製されるものを含むように使用される。本明細書において使用される用語「トランスジェニック」は、伝統的な繁殖方法による、又は天然の事象、例えばランダムな交配、非組換え的なウイルス感染、非組換え的な細菌の形質転換、非組換え的な転位、又は自発的な突然変異によるゲノム(染色体又は染色体外)の変化を含まない。

本明細書において使用する場合、「ベクター」は、宿主細胞のトランスフェクションにおいて使用され、その中にポリヌクレオチドが挿入できる核酸に対する言及を含む。ベクターはしばしばレプリコンである。発現ベクターはその中に挿入された核酸の転写を可能とする。

以下の用語は本発明のポリヌクレオチド/ポリペプチドと、参照ポリヌクレオチド/ポリペプチドとの配列関係を記載するために使用される:(a)「参照配列」、(b)「比較ウィンドウ」、(c)「配列同一性」、及び(d)「配列同一性パーセント」。

(a) 本明細書において使用する場合、「参照配列」は、本発明のポリヌクレオチド/ポリペプチドと配列比較するための基準として使用される規定の配列である。参照配列は、特定の配列のサブセット又は全体であって良く、例えば全長cDNA若しくは遺伝子配列のセグメント、又は完全なcDNA若しくは遺伝子配列であり得る。

(b) 本明細書において使用する場合、「比較ウィンドウ」は、ポリヌクレオチド/ポリペプチド配列の連続する特定のセグメントに対する言及を含み、ここでポリヌクレオチド/ポリペプチド配列を参照配列と比較することができ、比較ウィンドウ内のポリヌクレオチド/ポリペプチド配列の部分は、2つの配列の最適なアライメントのために、参照配列(付加又は欠失を含まない)と比較して、付加又は欠失(すなわちギャップ)を含んでいても良い。一般的に、比較ウィンドウは少なくとも20個の連続するヌクレオチド/アミノ酸残基の長さであり、任意に30、40、50、100、又はそれ以上の長さであり得る。当業者は、ポリヌクレオチド/ポリペプチド配列中にギャップを含めることによる参照配列に対する高い類似性を避けるために、典型的にはギャップペナルティーを導入し、これをマッチした数から差し引くことを理解する。

比較のための配列のアライメント方法は当分野において周知である。比較のための配列の最適なアライメントは、Smith 及び Watermanの局所的ホモロジーアルゴリズム(Adv. Appl. Math. 2: 482(1981))によって; Needleman 及び Wunschのホモロジーアライメントアルゴリズム(J. Mol. Biol. 48: 443 (1970)によって; Pearson 及び Lipmanの類似性サーチ方法(Proc. Natl. Acad. Sci. 85: 2444 (1988))によって; そして、限定するものではないが以下を含む、これらのアルゴリズムのコンピューターによる実行:CLUSTAL in the PC/Gene program by Intelligenetics, Mountain View, California; GAP、BESTFIT、BLAST、FASTA、及び TFASTA、及び GCG Wisconsin Genetics Software Package, Version 10 中の関連するプログラム (Accelrys Inc.より入手可能, 9685 Scranton Road, San Diego, California, USA)によって、実施することができる。CLUSTALプログラムは、Higgins 及び Sharp(Gene 73: 237-244 (1988)); Higgins 及びSharp(CABIOS 5: 151-153 (1989)); Corpet等(Nucleic Acids Research 16: 10881-90 (1988)); Huang等(Computer Applications in the Biosciences 8 : 155-65 (1992))、及びPearson等(Methods in Molecular Biology 24: 307-331 (1994))に詳しく記載されている。

データベース類似性サーチのために使用することができるBLASTファミリーのプログラムとしては、以下のものが挙げられる:ヌクレオチドデータベース配列に対するヌクレオチドクエリ配列のためのBLASTN;タンパク質データベース配列に対するヌクレオチドクエリ配列のためのBLASTX;タンパク質データベース配列に対するタンパク質クエリ配列のためのBLASTP;ヌクレオチドデータベース配列に対するタンパク質クエリ配列のためのTBLASTX;及びヌクレオチドデータベース配列に対するヌクレオチドクエリ配列のためのTBLASTX。Current Protocols in Molecular Biology, Chapter 19, Ausubel等編、Greene Publishing and Wiley-Interscience, New York (1995); Altschul等、J. Mol. Biol., 215: 403-410 (1990); 及び Altschul等、Nucleic Acids Res. 25: 3389-3402 (1997)を参照されたい。BLAST解析を実行するためのソフトウェアは、例えば米国国立生物工学情報センター(National Center for Biotechnology Information、ncbi.nlm.nih.gov/)から公的に入手することができる。このアルゴリズムは数多くの文献に十分に記載されている。例えば、Altschul SF 等、Gapped BLAST and PSI-BLAST: a new generation of protein database search programs, 25 NUCLEIC ACIDS RES. 3389 (1997); National Center for Biotechnology Information ,THE NCBI HANDBOOK [INTERNET], Chapter 16: The BLAST Sequence Analysis Tool (McEntyre J, Ostell J, eds., 2002)(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK21097/pdf/ch16.pdfで入手可能)を参照されたい。アミノ酸配列のためのBLASTPプログラムも十分に記載されている(Henikoff & Henikoff (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915を参照されたい)。

配列同一性パーセントを算出することに加えて、BLASTアルゴリズムはまた、2つの配列間の類似性の統計解析も実行する(例えばKarlin & Altschul, Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 90: 5873-5877 (1993)を参照されたい)。多くの低複雑性(low-complexity)フィルタープログラムを利用して、そのような低複雑性のアライメントを低らすことができる。例えばSEG (Wooten 及び Federhen, Comput. Chem., 17: 149-163 (1993)) 及び XNU (Claverie and States, Comput. Chem., 17: 191-201 (1993))の低複雑性フィルターを単独又は組み合わせて利用することができる。

そうでないことを記載しない限り、本明細書において提供するヌクレオチド及びタンパク質の同一性/類似性の値は、デフォルト値の元にGAP(GCG Version 10)を使用して計算される。GAP(Global Alignment Program)はまた、本発明のポリヌクレオチド又はポリペプチドを参照配列と比較するために使用することができる。GAPは、Needleman 及びWunschのアルゴリズム(J. Mol. Biol. 48: 443-453,1970)を使用して、マッチする数を最大にし、ギャップの数を最小にする2つの完全な配列のアライメントを見出す。GAPは最良のアライメントのファミリーの1つのメンバーを提示する。このファミリーには多くのメンバーが存在し得るが、他のメンバーはより良い品質を有するものではない。GAPはアライメントのための4つの計量値(merit):品質(Quality)、比率(Ratio)、同一性(Identity)及び類似性(Similarity)を示す。品質は、配列をアライメントするために最大化される計量値(metric)である。比率はより短いセグメントにおける塩基数で品質を割ったものである。同一性パーセントは実際にマッチするシンボルのパーセントである。類似性パーセントは類似であるシンボルのパーセントである。ギャップの反対側にあるシンボルは無視する。一対のシンボルのためにスコア付けしたマトリクス値が類似性の閾値である0.50以上である場合に類似性をスコア付けする。Wisconsin Genetics Software PackageのVersion 10で使用するスコア付けマトリクスはBLOSUM62である(Henikoff & Henikoff (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 10915を参照されたい)。

配列のマルチプルアライメントは、デフォルトパラメーター(GAPPENALTY=10, GAP LENGTH PENALTY=10)と共にCLUSTALアライメント法(Higgins 及び Sharp (1989) CABIOS. 5: 151-153)を用いて実施することができる。CLUSTAL法を使用したペアワイズアライメントのためのデフォルトパラメーターとしてはKTUPLE 1、GAP PENALTY=3、WINDOW=5及びDIAGONALS SAVED=5が挙げられる。

(c) 本明細書において使用する場合、2つの核酸又はポリペプチド配列の文脈における「配列同一性」又は「同一性」は、特定の比較ウィンドウにわたって一致が最大となるようにアライメントした場合に2つの配列中で同じである残基に関する言及を含む。タンパク質に関して配列同一性パーセンテージが使用される場合、同一でない残基位置はしばしば保存的アミノ酸置換によって異なっており、この場合アミノ酸残基が類似の化学的性質(例えば電荷若しくは疎性)を有する他のアミノ酸残基と置換されており、従って分子の機能的特性を変化させないものであることが認識される。配列が保存的置換によって異なっている場合、配列同一性パーセントはその置換の保存的性質で補正して上向きに調整され得る。そのような保存的置換によって異なる配列は「配列類似性」又は「類似性」を有すると言われる。この調整を行うための手段は当業者に周知である。典型的には、これは保存的置換を完全なミスマッチではなく部分的ミスマッチとスコア付けし、それによって配列同一性パーセントを上げることを含む。従って、例えば同一のアミノ酸にスコア1を付け、非保存的置換にスコア0を付ける場合、保存的置換には0〜1の間のスコアを付ける。保存的置換のスコアリングは、例えばプログラムPC/GENE (Intelligenetics, Mountain View, California, USA)で実行されるようなMeyers 及び Miller, Computer Applic. Biol. Sci., 4: 11-17 (1988)のアルゴリズムに従って計算することができる。

(d) 本明細書において使用する場合、「配列同一性のパーセンテージ」は、比較ウィンドウにわたって最適に並べられた2つの配列を比較することによって決定される値を意味し、ここで比較ウィンドウ内のポリヌクレオチド配列の一部は、2つの配列の最適なアライメントのために、(付加又は欠失を含まない)参照配列と比較して付加又は欠失(すなわちギャップ)を含んでいても良い。パーセンテージは、双方の配列中で同一の核酸塩基又はアミノ酸残基が生じている位置の数を決定してマッチした位置の数を出し、マッチした位置の数を比較ウィンドウ中の位置の総数で割り、その結果に100をかけて配列同一性のパーセンテージを出すことで計算される。

本明細書において使用する場合、「遺伝子編集」、「遺伝子編集された」、「遺伝子的に編集された」及び「遺伝子編集エフェクター」は「分子ハサミ(molecular scissors)」とも呼ばれる天然若しくは人工的に操作されたヌクレアーゼの使用をいう。ヌクレアーゼはゲノム中の所望の位置で特異的な二本鎖切断(DSB)を生じさせ、これが場合によって細胞の内在性メカニズムを利用して生じた切断を相同組換え(HR)及び/又は非相同末端結合(NHEJ)の天然のプロセスによって修復される。遺伝子編集エフェクターとしては、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、規則的な間隔をもってクラスター化された短鎖反復回文配列(Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats)/CAS9(CRISPR/Cas9)システム、及びホーミングエンドヌクレアーゼとして再操作(re-engineered)されたメガヌクレアーゼが挙げられる。これらの用語はまた、例えば変化が比較的小さく、及び/又は外来種からのDNAを導入しない場合を含む、トランスジェニック方法及び技術の使用を含む。用語「遺伝子操作」及び「遺伝子的に操作された」には、遺伝子編集技術、並びに/又はこれに加えて、1種又は複数の遺伝子のヌクレオチド配列を変更若しくは改変する、又は1種又は複数の遺伝子の発現を改変若しくは変更する他の技術及び方法が含まれる。

本明細書において使用する場合、「ホーミングDNA技術」又は「ホーミング技術」は、特定の分子が特定のDNA配列を標的とすることができるようにする任意のメカニズムを包含し、例えばジンクフィンガー(ZF)タンパク質、転写活性化因子様エフェクター(TALE)メガヌクレアーゼ、及びCRISPR/Casシステムが挙げられる。

用語「家畜動物」としては、畜産において伝統的に飼育されている動物、例えば肉、乳牛、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ラバ、ロバ、バッファロー、及びラクダが挙げられる。この用語はまた、肉又は卵のために商業的に飼育されている鳥類(すなわちニワトリ、七面鳥、アヒル、ガチョウ、ホロホロチョウ、及びひな鳥)を含む。ラット、マウス、又は他のげっ歯類は含まない。

本明細書において使用する場合、「胚盤胞」は、(それから胚が正常に生じる)内部細胞塊と、典型的にトロホブラスト細胞の単層によって囲まれた液体で満たされた腔を含む胚の初期の発達段階を意味する。"Developmental Biology", 第6版, Scott F. Gilbert編, Sinauer Associates, Inc., Publishers, Sunderland, Mass. (2000)。

本明細書において使用する場合、「条件付きノックアウト」又は「条件付き変異」は、特定の条件が満たされた場合にノックアウト又は変異が達成されることを意味する。これらの条件としては、限定するものではないが、特定の誘導剤、リコンビナーゼ、抗生物質、及び特定の温度又は塩レベルの存在が挙げられる。

用語「初期段階の胚」は、受精卵と胚盤胞の間の胚形成期の任意の胚を意味する。典型的には、8細胞期から桑実胚期の胚を初期段階の胚という。

「胚性生殖細胞」又は「EG細胞」は、身体の全ての細胞型に分化する能力を有し、EG細胞とES細胞との区別が場合によって無視される程度まで胚性幹細胞のように遺伝的改変を受け得る始原生殖細胞由来の細胞を意味する。"Developmental Biology", 第6版, Scott F. Gilbert編, Sinauer Associates, Inc., Publishers, Sunderland, Mass. (2000)。

「胚性幹細胞」又は「ES細胞」は、初期段階の胚の内細胞塊由来の培養細胞を意味し、これは遺伝的改変を受けることが可能であり、その全能性を保持し、宿主の胚に注入された場合に得られるキメラ動物の全ての器官に寄与することができる。"Developmental Biology", 第6版, Scott F. Gilbert編, Sinauer Associates, Inc., Publishers, Sunderland, Mass. (2000)。

本明細書において使用する場合、「受精」は、胚の最も初期の発達段階である、受精卵の形成に到る、生殖中の雄性及び雌性配偶子の結合を意味する。「外来(foreign)細胞」は、遺伝子的に編集され得るか、又は遺伝子的に編集された細胞由来であり得、ドナー胚盤胞/胚に注入されるか若しくはこれと共に凝集させた場合にキメラ胚の生殖系列に向けて貢献し得る任意の細胞を意味する。これには、限定するものではないが、胚性幹(ES)細胞、奇形腫幹細胞、始原生殖細胞、及び胚性生殖(EG)細胞が含まれる。

語句「遺伝子的に編集された」は、任意の遺伝子又はその調節メカニズムのノックアウト、ノックイン、条件付き、誘導性、一時的若しくは点突然変異等の所望の遺伝的改変を有するか、外来若しくは改変された遺伝子又は調節配列を有するトランスジェニックであるか、あるいは、限定するものではないが核酸、タンパク質又は任意の他の天然若しくは合成分子又は小器官の組換え、染色体欠失、付加、転座、再構成若しくは付加、欠失若しくは改変、又は細胞質若しくは核の導入を含む任意の方法でゲノム改変を行い、遺伝性変化を有するに到った動物又は胚又は細胞を意味する。

「生殖細胞の発達」は、初期段階の発生中の胚における特定の細胞が始原生殖細胞に分化するプロセスを意味する。

「生殖細胞の移動」は、胚外中胚葉に由来する始原生殖細胞が尿膜(臍帯の前駆体)を通って胚に戻り、隣接する卵黄嚢、後腸、及び背側腸間膜を通って移動を続けて最終的に生殖隆起(発達中の生殖腺)に達するプロセスを意味する。"Developmental Biology", 第6版、Scott F. Gilbert編, Sinauer Associates, Inc., Publishers, Sunderland, Mass. (2000)。

「生殖系列の細胞」は、成熟配偶子を含む、成熟配偶子に向けての分化の任意の段階にある任意の細胞を意味する。

本明細書において使用する場合、用語「ノックイン」は、内在性遺伝子を導入遺伝子と、又は一部の構造的改変を有する同じ内在性遺伝子と置き換えるが、内在性遺伝子の転写調節は保持することを意味する。

「ノックアウト」は、遺伝子の構造又は調節メカニズムの破壊を意味する。ノックアウトはターゲッティングベクター、置換ベクター若しくはヒットエンドラン(hit-and-run)ベクターの相同組換え、又は遺伝子トラップベクターのランダムな挿入を通して生じさせ、遺伝子機能の完全な、部分的若しくは条件付きの喪失をもたらすことができる。「卵形成」は雌の始原生殖細胞由来の成熟した卵の生成プロセスを意味する。

「始原生殖細胞」は、原生殖細胞中間体を介して精子形成系列を、又は卵原細胞中間体を介して雌生殖系列を生じさせる胚の発達で初期に生じる細胞を意味する。

「精子形成」は、雄の精原幹細胞から成熟した精子が生成するプロセスを意味する。

「野生型」は、遺伝子編集されておらず、天然の株から生じた通常近交系(inbred)又は非近交系(outbred)の株である、動物及び胚盤胞、胚又はこれらに由来する細胞を意味する。「結合タンパク質」は別の分子に結合することができるタンパク質である。結合タンパク質は、例えばDNA分子(DNA結合タンパク質)、RNA分子(RNA結合タンパク質)及び/又はタンパク質分子(タンパク質結合タンパク質)に結合することができる。タンパク質結合タンパク質の場合、このタンパク質はそれ自体に結合(してホモ二量体、ホモ三量体等を形成)することができ、そして/又は異なるタンパク質の1種以上の分子に結合することができる。結合タンパク質は2以上のタイプの結合活性を有し得る。例えば、ジンクフィンガータンパク質は、DNA結合活性、RNA結合活性、及びタンパク質結合活性を有する。

「ジンクフィンガーDNA結合タンパク質」(又は結合ドメイン)は、亜鉛イオンの配位によって構造が安定化されている結合ドメイン内のアミノ酸配列の領域である1以上のジンクフィンガーを介して配列特異的にDNAに結合するタンパク質、又はより大きなタンパク質のドメインである。ジンクフィンガーDNA結合タンパク質との用語は、しばしばジンクフィンガータンパク質又はZFPと省略される。

「TALE DNA結合ドメイン」又は「TALE」は、1以上のTALE反復ドメイン/単位を含むポリペプチドである。反復ドメインはTALEのその関連標的DNA配列への結合に関与する。単独の「反復単位」(「反復」ともいう)は典型的には33-35アミノ酸の長さであり、天然のTALEタンパク質中の他のTALE反復配列と少なくともいくらかの配列相同性を示す。

ジンクフィンガー及びTALE結合ドメインは、予め決められたヌクレオチド配列に結合するように、例えば天然のジンクフィンガー又はTALEタンパク質の認識ヘリックス領域の操作(1個以上のアミノ酸の変化)を介して「遺伝子操作する」ことができる。従って、遺伝子操作されたDNA結合タンパク質(ジンクフィンガー又はTALE)は、非天然のタンパク質である。DNA結合タンパク質の遺伝子操作のための方法の非限定的な例は設計及び選択である。設計されたDNA結合タンパク質は天然に存在しないタンパク質であり、その設計/組成物は主として合理的な基準から得られる。設計のための合理的基準には、置換ルールと、既存のZFP及び/又はTALEの設計及び結合データの情報を保存したデータベース中の情報を処理するためのコンピューター化されたアルゴリズムの適用が挙げられる。例えば、米国特許第6,140,081号; 第6,453,242号; 及び第6,534,261号; またWO 98/53058号; WO 98/53059号; WO 98/53060号; WO 02/016536号及び WO 03/016496号及び米国特許出願公開第20110301073号を参照されたい。

「選択された」ジンクフィンガータンパク質又はTALEは、その作製が、主としてファージディスプレイ、インタラクショントラップ又はハイブリッド選択等の実験的プロセスから得られる天然には見られないタンパク質である。例えば米国特許第5,789,538号; 米国特許第5,925,523号; 米国特許第6,007,988号; 米国特許第6,013,453号; 米国特許第6,200,759号; WO 95/19431号; WO 96/06166号; WO 98/53057号; WO 98/54311号; WO 00/27878号; WO 01/60970号; WO 01/88197号; WO 02/099084号及び米国特許出願公開第20110301073号を参照されたい。

「切断(cleavage)」は、DNA分子の共有結合骨格の破壊(breakage)をいう。切断は、限定するものではないが、ホスホジエステル結合の酵素的又は化学的加水分解を含む、様々な方法によって開始され得る。一本鎖切断及び二本鎖切断の双方が可能であり、二本鎖切断は、2つの別個の一本鎖切断事象の結果として生じ得る。DNA切断は、平滑末端又は付着末端のいずれかを生じ得る。特定の実施形態において、標的化二本鎖DNA切断のために、融合ポリペプチドが使用される。

「切断ハーフドメイン」は、(同一又は異なる)第2のポリペプチドと共同して切断活性(好ましくは二本鎖切断活性)を有する複合体を形成するポリペプチド配列である。用語「第1及び第2の切断ハーフドメイン」、「+及び−の切断ハーフドメイン」及び「右及び左の切断ハーフドメイン」は互換的に使用され、二量体化する切断ハーフドメインの対をいう。

「遺伝子操作された切断ハーフドメイン」は、別の切断ハーフドメイン(例えば別の遺伝子操作された切断ハーフドメイン)と偏性ヘテロ二量体を形成するように改変された切断ハーフドメインである。また、参照によりその全体を本明細書に組み入れる米国特許出願公開第2005/0064474号、第2007/0218528号、第2008/0131962号及び第2011/0201055号も参照されたい。

二本鎖DNA切断を生成するための手段:本明細書において使用する場合、用語「二本鎖DNA切断を生成するための手段」は、米国特許法第112条第6段落中の議会で承認された特定の規定を行使することを意図する。具体的には、「二本鎖DNA切断を生成するための手段」は、二本鎖DNA分子の双方の鎖を切断することができる分子構造をいう。そのような構造としては、多くの公知のヌクレアーゼタンパク質内に含まれるポリペプチドドメインが挙げられ、例えば触媒ドメインであるFokIヌクレアーゼドメインは、タンパク質Mme1、Colicin-E7 (CEA7_ECOLX)、Colicin-E9、APFL、EndA、Endo I (END1_EC0LI)、ヒトEndo G (NUCG_HUMAN)、ウシEndo G (NUCG_BOVIN)、R.HinP11、1-Bas-1、1-Bmo-1、1-Hmu1、1-Tev-1、1-Tev11、1-Tev111、1-Two1、R.Msp1、R.Mva1、NucA、NucM、Vvn、Vvn_CLS、ブドウ球菌ヌクレアーゼ (NUC_STAAU) 、ブドウ球菌ヌクレアーゼ (NUC_STAHY)、ミクロコッカスヌクレアーゼ (NUC_SHIFL)、エンドヌクレアーゼ yncB、エンドデオキシリボヌクレアーゼI (ENRN_BPT7)、Metnase、Nb.BsrDI、BsrDI A、Nt.BspD61 (R.BspD61 大サブユニット)、ss.BspD61 (R.BspD61 小サブユニット)、R.PIe1、Mly1、Alw1、Mva12691、Bsr1、Bsm1、Nb.BtsCI、Nt.BtsCI、R1.Bts1、R2.Bts1、BbvCI サブユニット1、BbvCI サブユニット 2、BpulOI αサブユニット、BpulOI βサブユニット、Bmr1、Bfi1、1-Cre1、hExo1 (EX01JHUMAN) 、酵母Exo1 (EX01_YEAST)、大腸菌Exo1、ヒトTREX2、マウスTREX1、ヒトTREX1、ウシTREX1、ラットTREX1、ヒトDNA2、酵母DNA2 (DNA2 YEAST)からなる群より選択される。

二本鎖DNA切断を修復するための手段:本明細書において使用する場合、用語「二本鎖DNA切断を修復するための手段」は、米国特許法第112条第6段落中の議会で承認された特定の規定を行使することも意図する。具体的には、「二本鎖DNA切断を修復するための手段」は、例えば単一の二本鎖DNA分子を切断することで生成した末端をつなげることで、又は単一の二本鎖DNA分子を切断することで生成した一方の末端を外因性の二本鎖DNA分子の末端とつなげることで、二本鎖DNA分子の末端の結合を促進/触媒することができる分子構造をいう。そのような構造としては、多くの公知のリガーゼタンパク質、例えばCreリコンビナーゼ内に含まれるポリペプチドドメインが挙げられる。一部の例では、同じ分子構造が、二本鎖DNA切断を生成させるための手段、及び二本鎖DNA切断を修復するための手段の双方として機能することができ、この場合、同じ構造が二本鎖DNA分子の切断及び修復の双方を促進する(例えばHinリコンビナーゼ)。

ゲノム中の部位特異的二本鎖切断の誘導は、相同組換え修復(HDR)又は非相同末端結合(NHEJ)修復によって二本鎖切断を解消する宿主細胞のDNA修復経路を誘導する。ドナー分子上に1以上のZFN切断部位を有することが可能である(ドナー分子全体を線状化するための単独のZFN切断部位、より小さいドナーDNA断片を放出させる2個の同じZFN部位、又はドナーからの断片及び宿主ゲノムDNAからの対応する断片を放出させる2個の異なるZFN部位(DNA置換))。

従って、ドナーポリヌクレオチドは、DNA又はRNA、一本鎖及び/又は二本鎖であって良く、線状又は環状形態で細胞中に導入することができる。例えば米国特許出願公開第2010/0047805号及び第2011/0207221号を参照されたい。特定の実施形態において、本発明はまた、線状外来(ドナー)核酸、これらの核酸を含む組成物及びこれらの線状ドナー分子の作製および使用方法を含み得る。特定の実施形態において、線状ドナー分子は導入される細胞中に安定に維持される。別の実施形態において、線状ドナー分子は、例えばドナー分子の末端の1以上の塩基対間に1以上のホスホロチオエートホスホジエステル結合を置くことによって、エキソヌクレアーゼによる切断に抵抗性を有するように改変される。線状外来核酸は一本鎖特異的DNAも含み得る。

NANOS遺伝子編集 NANOSは、無脊椎動物及び脊椎動物の双方の生殖細胞内で特異的に発現しているRNA-結合タンパク質の進化的に保存されたファミリーである。NANOS及びそのオルソログの切除は、ショウジョウバエ、シー・エレガンス、ゼブラフィッシュ、アフリカツメガエル及びマウスで生殖細胞の消失をもたらす。ヒトでは、生殖細胞の消失及び不妊がNANOS遺伝子内の変異と関連している。

脊椎動物では3種のNANOS遺伝子が同定されており、そのうちNANOS2及びNANOS3がPGCで発現している。マウスでは、初期のPGCでNanos3タンパク質が最初に検出でき、生殖隆起までの移動中持続し、次いで雄では15.5日胚までに、雌の胚ではE13.5前に停止する。対照的に、Nanos2の発現は雄の生殖腺に限定されている。Nanos2 mRNAは、生殖細胞が生殖腺体細胞と相互作用し始めた後のE13.0あたりの雄胎児性腺をコロニー形成した生殖細胞で初めて検出できる。発現は胚形成の後期に一時的に低下するが、Nanos2 mRNAは新生児の発達中に原生殖細胞で再度検出できる。

マウスにおけるNanos3の切除により、E8.0辺りのアポトーシス性細胞死のために、双方の性の生殖細胞の完全な消失に到る。重要なことに、マウスにおけるNanos2の不活化により、E15.5あたりのみで雄胚の生殖細胞の消失がもたらされる。従って、雄のマウスでは出生時に生殖系列が完全になくなっているが、精巣の体性支持細胞集団は機能的にインタクトである。また、Nanos2ヌルの雄及び雌は生存可能であり、正常な成熟状態まで成長する。更に、Nanos2ヌルの雌は正常な生殖能力を有している。本出願人は、NANOS2がブタ胚においてPGCによって特異的に発現していることを実証した。

NANOSファミリーの遺伝子は公知であり、これらをコードする配列はGenbank又は他のそのような供給源から利用可能である。イノシシ(Sus Scrofa)NANOS1核酸及びタンパク質配列はXM_001928298として開示されており、本明細書において配列番号5及び6として記載される。NANOS2はXM_003127232.1として、また本明細書では配列番号1及び2として記載され、NANOS3はXM_005661246として、また配列番号3及び4として記載される。ウシNANOS遺伝子はNM_001291904、また配列番号9及び10 (NANOS2); XM_005225796、また配列番号11及び12(NANOS1); XM_001787922、また配列番号13及び14 (NANOS1 alt)として利用可能である。

本開示は、NANOSタンパク質又は生殖細胞の機能若しくは発達と関連する他のタンパク質をコードする少なくとも1種の編集された染色体配列を有する遺伝子的に編集された動物又は動物細胞を提供する。編集された染色体配列は(1)不活化されているか、(2)改変されているか、又は(3)組み込まれた配列を含むものであり得る。不活化された染色体配列は、精原細胞の発達と関連するNANOSタンパク質機能が損なわれ、低下し、又は排除されるように変更される。従って、不活化された染色体配列を含む遺伝子的に編集された動物は、「ノックアウト」又は「条件付きノックアウト」と呼ぶことができる。同様に、組み込まれた配列を含む遺伝子的に編集された動物は「ノックイン」又は「条件付きノックイン」と呼ぶことができる。更に、改変された染色体配列を含む遺伝子編集動物は、変更されたタンパク質産物が産生されるように標的化点突然変異又は他の改変を含み得る。簡単に説明すると、このプロセスは、胚又は細胞中に標的化ジンクフィンガーヌクレアーゼをコードする少なくとも1種のRNA分子、及び任意に少なくとも1種のアクセサリーポリヌクレオチドを導入することを含む。この方法は更に、胚又は細胞をインキュベートしてジンクフィンガーヌクレアーゼの発現を可能とすることを含み、ジンクフィンガーヌクレアーゼによって標的化染色体配列中に導入された二本鎖切断が誤りがちな(error-prone)非相同末端結合DNA修復プロセス又は相同組換え(homology-directed)DNA修復プロセスによって修復される。生殖系列の発達と関連するタンパク質をコードする染色体配列の標的化ジンクフィンガーヌクレアーゼ技術を用いた編集方法は迅速、正確、及び非常に効率的である。

本発明の一部の実施形態において、部位特異的編集のための標的部位として、少なくとも1つのNANOS遺伝子座(例えばNANOS2遺伝子座)が使用される。これには、外来核酸(例えば目的のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸)の挿入、又は遺伝子座からの核酸の欠失が含まれ得る。特定の実施形態において、挿入及び/又は欠失によって遺伝子座が改変される。例えば、外来核酸の組込み及び/又はゲノム核酸の一部の欠失によって、破壊された(すなわち不活化された)NANOS遺伝子を生じるように遺伝子座を改変し得る。

一部の実施形態において、編集されたNANOS遺伝子座は、配列番号27、28、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、45、46、47、48、49、50、51、52、56、57、58、59、60、61、118、119、120、121、122、124、125、126、127、128、130、131、132、133、134、136、137、138、139、140、142、143、144、145、146、148、149、150、151、152、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、201、202、203、又は204の群から選択されるヌクレオチド配列を含み得る。一部の実施形態において、編集されたNANOS遺伝子座は、配列番号27、28、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、45、46、47、48、49、50、51、52、56、57、58、59、60、61、118、119、120、121、122、124、125、126、127、128、130、131、132、133、134、136、137、138、139、140、142、143、144、145、146、148、149、150、151、152、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、201、202、203、又は204からなる群より選択されるヌクレオチド配列と実質的に同一のヌクレオチド配列を含み得る。例えば、一部の実施形態において、NANOS遺伝子座は、配列番号27、28、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、45、46、47、48、49、50、51、52、56、57、58、59、60、61、118、119、120、121、122、124、125、126、127、128、130、131、132、133、134、136、137、138、139、140、142、143、144、145、146、148、149、150、151、152、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、201、202、203、又は204からなる群より選択されるヌクレオチド配列に対して少なくとも約85%同一であるヌクレオチド配列を含むNANOSホモログ(例えばオルソログ又はパラログ)である。NANOSホモログは、例えば、限定するものではないが、配列番号27、28、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、45、46、47、48、49、50、51、52、56、57、58、59、60、61、118、119、120、121、122、124、125、126、127、128、130、131、132、133、134、136、137、138、139、140、142、143、144、145、146、148、149、150、151、152、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、201、202、203、又は204からなる群より選択されるヌクレオチド配列の約20個の連続ヌクレオチドに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、及び/又は少なくとも約99.9%同一であるヌクレオチド配列を含み得る。

NANOS遺伝子座における核酸の標的化組込み NANOS遺伝子座における外来核酸の部位特異的組込みは、当業者に公知の任意の技術によって達成し得る。一部の実施形態において、NANOS遺伝子座における外来核酸の組込みは、細胞(例えば単離された細胞又は組織若しくは生物中の細胞)を外来核酸を含む核酸分子と接触させることを含む。例として、そのような核酸分子は、その核酸分子と少なくとも1つのNANOS遺伝子座との間の相同組換えを促進する外来核酸を挟むヌクレオチド配列を含み得る。特定の例において、相同組換えを促進する外来核酸を挟むヌクレオチド配列は、NANOS遺伝子座の内在ヌクレオチドに対して相補的であり得る。特定の例において、相同組換えを促進する外来核酸を挟むヌクレオチド配列は、予め組み込まれた外来ヌクレオチドに対して相補的であり得る。一部の実施形態において、1つのNANOS遺伝子座に複数の外来核酸を、例えば遺伝子スタッキングで組み込むことができる。

NANOS遺伝子座における核酸の組込みは、一部の実施形態では宿主細胞の内在性細胞機構、例えば限定するものではないが、内在DNA及び内在リコンビナーゼ酵素によって促進する(例えば触媒する)ことができる。一部の実施形態において、NANOS遺伝子座における核酸の組込みは、宿主細胞に提供される1以上の因子(例えばポリペプチド)によって促進し得る。例えば、ヌクレアーゼ、リコンビナーゼ、及び/又はリガーゼポリペプチドが、ポリペプチドを宿主細胞と接触させることによって、又はポリペプチドを宿主細胞内で発現させることによって、(独立して、又はキメラポリペプチドの一部として)提供され得る。従って、一部の例では、ヌクレアーゼ、リコンビナーゼ、及び/又はリガーゼポリペプチドの少なくとも1つをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を、NANOS遺伝子座に部位特異的に組み込むべき核酸と同時に又は連続して宿主細胞に導入することができ、ここで、ヌクレアーゼ、リコンビナーゼ、及び/又はリガーゼポリペプチドの少なくとも1つは宿主細胞中でヌクレオチド配列から発現される。

DNA結合ポリペプチド 一部の実施形態において、部位特異的組込み(integration)は、例えば宿主生物のゲノム中の特定のヌクレオチド配列を認識して結合することができる因子を利用することによって達成し得る。例えば、多くのタンパク質が、部位特異的にDNAを認識して結合することができるポリペプチドドメインを含む。DNA結合ポリペプチドによって認識されるDNA配列は「標的」配列と呼ぶことができる。部位特異的にDNAを認識して結合することができるポリペプチドドメインは、そのドメインが本来単離されたタンパク質以外のポリペプチド中で発現した場合であっても、一般的に正しくフォールディングし、独立して機能して部位特異的にDNAに結合する。同様に、DNA結合ポリペプチドによる認識及び結合の標的配列は、大きなDNA構造体(例えば染色体)中に存在している場合、特に標的配列が位置する部位が可溶性細胞性タンパク質に接近できることが知られているもの(例えば遺伝子)である場合であっても、一般的にそのようなポリペプチドによって認識及び結合されることができる。

天然に存在するタンパク質から同定されるDNA結合ポリペプチドは、典型的に個別のヌクレオチド配列又はモチーフ(例えばコンセンサス認識配列)に結合するが、異なるヌクレオチド配列又はモチーフを認識させるために多くのこうしたDNA結合ポリペプチドを改変するための方法が存在し、当分野において知られている。DNA結合ポリペプチドとしては、限定するものではないが、例えばジンクフィンガーDNA結合ドメイン;ロイシンジッパー;UPA DNA-結合ドメイン;GAL4;TAL;LexA;Tetレプレッサー:LacR;およびステロイドホルモン受容体が挙げられる。

一部の例では、DNA結合ポリペプチドはジンクフィンガーである。個々のジンクフィンガーモチーフは、任意の広範囲のDNA部位を標的とし、特異的に結合するように設計することができる。標準的なCys2His2(並びに非標準のCys3His)ジンクフィンガーポリペプチドは、標的DNA二重らせんの主溝内にα-へリックスを挿入することによってDNAと結合する。ジンクフィンガーによるDNAの認識はモジュール式であり、それぞれのフィンガーが主として標的中の3個の連続した塩基対に接触し、ポリペプチド中のいくつかの重要な残基が認識を仲介する。ターゲッティングエンドヌクレアーゼ中に複数のジンクフィンガーDNA結合ドメインを含めることによって、ターゲッティングエンドヌクレアーゼのDNA結合特異性は更に増大することができる(従ってそれによって付与される任意の遺伝子調節効果の特異性も増大し得る)。例えばUrnov 等 (2005) Nature 435:646-51を参照されたい。従って、1個以上のジンクフィンガーDNA結合ポリペプチドを、宿主細胞中に導入されるターゲッティングエンドヌクレアーゼが宿主細胞のゲノム内の特有のDNA配列と相互作用するように、遺伝子操作して利用することができる。

好ましくは、ジンクフィンガータンパク質は、選択された標的部位に結合するように操作されているという点で天然のものではない。例えば、Beerli等(2002) Nature Biotechnol. 20:135-141; Pabo等(2001) Ann. Rev. Biochem. 70:313-340; Isalan等(2001) Nature Biotechnol. 19:656-660; Segal等(2001) Curr. Opin. Biotechnol. 12:632-637; Choo等(2000) Curr. Opin. Struct. Biol. 10:411-416; 米国特許第6,453,242号; 第6,534,261号; 第6,599,692号; 第6,503,717号; 第6,689,558号; 第7,030,215号; 第6,794,136号; 第7,067,317号; 第7,262,054号; 第7,070,934号; 第7,361,635号; 第7,253,273号; 及び米国特許出願公開第2005/0064474号; 第2007/0218528号; 第2005/0267061号を参照されたい。これらの全ては参照により本明細書にその全体を組み入れる。

遺伝子操作されたジンクフィンガー結合ドメインは、天然に存在するジンクフィンガータンパク質と比較して新規な結合特異性を有し得る。遺伝子操作方法としては、限定するものではないが、理論的設計及び様々な型の選択が挙げられる。理論的設計としては、例えばトリプレット(又はクァドルプレット)ヌクレオチド配列及び個々のジンクフィンガーアミノ酸配列を含むデータベースの使用が挙げられ、各トリプレット又はクァドルプレットヌクレオチド配列は、特定のトリプレット又はクァドルプレット配列に結合するジンクフィンガーの1以上のアミノ酸配列と結合する。例えば本出願人による米国特許第6,453,242号及び第6,534,261号を参照されたい。これらの全体を参照により本明細書に組み入れる。

ファージディスプレイ及びツーハイブリッドシステムを含む例示的な選択方法は、米国特許第5,789,538号; 第5,925,523号; 第6,007,988号; 第6,013,453号; 第6,410,248号; 第6,140,466号; 第6,200,759号; 及び第6,242,568号; 並びにWO 98/37186号; WO 98/53057号; WO 00/27878号; WO 01/88197号及び GB 2,338,237号に開示されている。更に、ジンクフィンガー結合ドメインに対する結合特異性の増大は、例えば同じ出願人によるWO 02/077227号に記載されている。

更に、これら及び他の文献に開示されているように、ジンクフィンガードメイン及び/又はマルチフィンガーのジンクフィンガータンパク質を、任意の好適なリンカー配列、例えば5個以上のアミノ酸の長さのリンカー等を用いて一緒に連結することができる。6個以上のアミノ酸の長さの例示的なリンカー配列については米国特許第6,479,626号; 第6,903,185号; 及び第7,153,949号も参照されたい。本明細書に記載するタンパク質には、タンパク質の個々のジンクフィンガー間の好適なリンカーの任意の組み合わせを含むことができる。

標的部位の選択、融合タンパク質(及びこれをコードするポリヌクレオチド)の設計及び構築のためのZFP及び方法は当業者に公知であり、米国特許第6,140,0815号; 第789,538号; 第6,453,242号; 第6,534,261号; 第5,925,523号; 第6,007,988号; 第6,013,453号; 第6,200,759号; WO 95/19431号; WO 96/06166号; WO 98/53057号; WO 98/54311号; WO 00/27878号; WO 01/60970号; WO 01/88197号; WO 02/099084号; WO 98/53058号; WO 98/53059号; WO 98/53060号; WO 02/016536号及びWO 03/016496号に詳細に記載されている。

更に、これら及び他の参考文献に開示されているように、ジンクフィンガードメイン及び/又はマルチフィンガーのジンクフィンガータンパク質を、例えば5以上のアミノ酸長のリンカーを含む任意の好適なリンカー配列を用いて一緒に連結することができる。また、6以上のアミノ酸長の例示的リンカー配列について、米国特許第6,479,626号; 第6,903,185号; 及び第7,153,949号を参照されたい。本明細書に記載するタンパク質は、タンパク質の個々のジンクフィンガー間の好適なリンカーの任意の組み合わせを含み得る。

一部の例では、DNA結合ポリペプチドは、GAL4由来のDNA結合ドメインである。GAL4は、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)中のモジュラートランス活性化因子であるが、他の多くの生物においてもトランス活性化因子として作用する。例えばSadowski 等 (1988) Nature 335:563-4を参照されたい。この調節系において、S.セレビシエのガラクトース代謝経路の酵素をコードする遺伝子の発現は、利用可能な炭素源によって厳密に制御されている。Johnston (1987) Microbiol. Rev. 51:458-76。これらの代謝酵素の転写調節は正の調節タンパク質GAL4と、GAL4が特異的に結合する17bpの対称DNA配列(UAS)との相互作用によって仲介されている。

天然のGAL4は881アミノ酸残基からなり、99kDaの分子量を有する。GAL4は機能的自律性ドメインを含み、その活性が合わさってin vivoでのGAL4の活性を構成する。Ma及びPtashne (1987) Cell 48:847-53); Brent及びPtashne (1985) Cell 43(3 Pt 2):729-36。GAL4のN-末端の65アミノ酸はGAL4 DNA結合ドメインを含む。Keegan 等 (1986) Science 231:699-704; Johnston (1987) Nature 328:353-5。配列特異的な結合のためにはDNA結合ドメイン中に存在する6個のCys残基と連携する2価カチオンの存在が必要である。連携したカチオンを含むドメインは、DNAへリックスの主溝との直接の接触を介して17bp UASの各末端の保存されたCCGトリプレットと相互作用して認識する。Marmorstein 等 (1992) Nature 356:408-14。タンパク質のDNA結合機能によってプロモーター近傍にC-末端の転写活性化ドメインが配置され、活性化ドメインが転写を指令できるようになる。

特定の実施形態において利用可能な更なるDNA結合ポリペプチドとしては、例えば、限定するものではないが、以下のものが挙げられる:AVRBS3誘導性遺伝子由来の結合配列;AVRBS3誘導性遺伝子由来のコンセンサス結合配列もしくはそれから遺伝子操作された合成結合配列(例えばUPA DNA結合ドメイン);TAL;LexA(例えば上記Brent & Ptashne (1985)を参照されたい);LacR(例えばLabow 等(1990) Mol. Cell. Biol. 10:3343-56; Baim 等 (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88(12):5072-6を参照されたい);ステロイドホルモン受容体(Ellliston 等 (1990) J. Biol. Chem. 265:11517-121);Tetレプレッサー(米国特許第6,271,341号)及びテトラサイクリン(Tc)の存在下でtetオペレーター配列に結合するが不在下では結合しない変異型Tetレプレッサー;NF-κBのDNA結合ドメイン;及びGAL4、ホルモン受容体、及びVP16の融合体を利用するWang 等(1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91(17):8180-4に記載された調節システムの成分。

特定の実施形態において、本明細書に記載する方法及び組成物において使用する1以上のヌクレアーゼのDNA結合ドメインは、天然の、又は遺伝子操作された(非天然の)TALエフェクターDNA結合ドメインを含む。例えば参照によりその全体を本明細書に組み入れる米国特許出願公開第20110301073号を参照されたい。

他の実施形態において、ヌクレアーゼはCRISPR/Casシステムを含む。システムのRNA成分をコードするCRISPR(規則的な間隔をもってクラスター化された短鎖反復回文配列、clustered regularly interspaced short palindromic repeats)遺伝子座、及びタンパク質をコードするCas(CRISPR-結合)遺伝子座(Jansen 等、2002. Mol. Microbiol. 43: 1565-1575; Makarova 等、2002. Nucleic Acids Res. 30: 482-496; Makarova 等、2006. Biol. Direct 1: 7; Haft 等、2005. PLoS Comput. Biol. 1: e60)が、CRISPR/Casヌクレアーゼシステムの遺伝子配列を構成する。微生物宿主中のCRISPR遺伝子座は、Cas遺伝子と、CRISPR-介在性の核酸切断の特異性をプログラミングすることができる非コードRNAエレメントの組み合わせを含む。

II型CRISPRは、最も良く性状解析されたシステムの一つであり、4つの一連のステップで標的化DNA二本鎖切断を実行する。最初に、2つの非コーディングRNA、pre-crRNAアレイ及びtracrRNAをCRISPR遺伝子座から転写する。二番目に、tracrRNAがpre-crRNAの反復領域にハイブリダイズし、個々のスペーサー配列を含む成熟crRNAへのpre-crRNAのプロセシングを仲介する。三番目に、成熟crRNA:tracrRNA複合体が、標的認識のための更なる要件である、crRNA上のスペーサーと、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)に隣接する標的DNA上のプロトスペーサーとのワトソン-クリック塩基対形成を介して、Cas9を標的DNAに向ける。最後に、Cas9が標的DNAの切断を仲介してプロトスペーサー内の二本鎖切断を生じさせる。CRISPR/Casシステムの活性は3つの段階から構成される:(i)「適応」と呼ばれるプロセスにおける、更なる攻撃を防止するためのCRISPRアレイへの外来の(alien)DNA配列の挿入;(ii)関連するタンパク質の発現並びにアレイの発現及びプロセシング;続いて(iii)外来核酸を用いるRNA(媒介性)干渉。従って、細菌細胞において、数種のCasタンパク質がCRISPR/Casシステムの天然の機能に関与し、外来DNAの挿入等の機能において役割を果たしている。

特定の実施形態において、Casタンパク質は天然のCasタンパク質の「機能的誘導体」であり得る。天然の配列のポリペプチドの「機能的誘導体」は、天然の配列のポリペプチドと共通する質的な生物学的性質を有する化合物である。「機能的誘導体」としては、限定するものではないが、対応する天然の配列のポリペプチドと共通する生物学的活性を有することを条件として、天然の配列の断片及び天然の配列のポリペプチドの誘導体及びその断片が含まれる。本明細書において想定される生物学的活性は、DNA基質を断片に加水分解する機能的誘導体の能力である。用語「誘導体」は、ポリペプチドのアミノ酸配列変異型、共有結合修飾、及びその融合物を包含する。Casポリペプチドの好適な誘導体又はその断片には、限定するものではないが、Casタンパク質の変異体、融合体、共有結合修飾又はその断片が挙げられる。Casタンパク質又はその断片を含むCasタンパク質、並びにCasタンパク質又はその断片の誘導体は、細胞から取得できるか若しくは化学的に合成する、又はこれら2つの方法の組み合わせによって得ることができる。細胞は、Casタンパク質を天然に産生する細胞であっても、又はCasタンパク質を天然に産生し、かつ内在性Casタンパク質をより高い発現レベルで産生するか、若しくは内在性Casと同じか異なるCasをコードする外部から導入された核酸からのCasタンパク質を産生するように遺伝子操作された細胞であっても良い。一部の場合では、細胞はCasタンパク質を天然には産生せず、Casタンパク質を産生するように遺伝子操作されている。

特定の実施形態において、DNA結合ポリペプチドは、宿主生物のゲノム核酸内に含まれる標的ヌクレオチド配列を特異的に認識して結合する。標的ヌクレオチド配列の任意の数の個別の例を一部の例の宿主ゲノムに見出すことができる。標的ヌクレオチド配列は生物のゲノム内でまれなものであり得る(例えばゲノム中に標的配列の約10未満、約9未満、約8未満、約7未満、約6未満、約5未満、約4未満、約3未満、約2未満、又は約1個のコピーが存在し得る)。例えば、標的ヌクレオチド配列は、生物のゲノム内の特有の部位に位置し得る。標的ヌクレオチド配列は、例えば、限定するものではないが、互いにゲノム内にランダムに分散し;ゲノム中の異なる連鎖群内に位置し;同じ連鎖群内に位置し;異なる染色体上に位置し;同じ染色体上に位置し;生物の同様の条件下(例えば同じか又は実質的に機能的に同一な調節因子の制御下)で発現するゲノム内の部位に位置し;及びゲノム内で互いに近接して位置し得る(例えば標的配列はゲノム遺伝子座でコンカテマーとして組み込まれた核酸内に含まれ得る)。

ターゲッティングエンドヌクレアーゼ 特定の実施形態において、標的ヌクレオチド配列を特異的に認識して結合するDNA結合ポリペプチドはキメラポリペプチドに含まれていてよく、キメラポリペプチドに標的配列への特異的結合能を付与する。例として、そのようなキメラポリペプチドは、例えば、限定するものではないが、ヌクレアーゼ、リコンビナーゼ、及び/又はリガーゼポリペプチドを、これらのポリペプチドが上記されたように含み得る。DNA結合ポリペプチド及びヌクレアーゼ、リコンビナーゼ、及び/又はリガーゼポリペプチドを含むキメラポリペプチドはまた、他の機能的ポリペプチドモチーフ及び/又はドメイン、例えば限定するものではないが、キメラタンパク質中の機能的ポリペプチド間に位置するスペーサー配列;リーダーペプチド;融合タンパク質を細胞小器官(例えば核)に標的化させるペプチド;細胞内酵素によって切断されるポリペプチド;ペプチドタグ(例えばMyc、His等);及びキメラポリペプチドの機能を妨害しない他のアミノ酸配列、を含むことができる。

キメラポリペプチド中の機能的ポリペプチド(例えばDNA結合ポリペプチド及びヌクレアーゼポリペプチド)は機能的に連結したものであり得る。一部の実施形態において、キメラポリペプチドの機能的ポリペプチドは、キメラタンパク質をコードするキメラ遺伝子を作製するように、互いにインフレームでライゲートされた少なくとも機能的ポリペプチドをコードする1本のポリヌクレオチドからの発現によって機能的に連結され得る。別の実施形態において、キメラポリペプチドの機能的ポリペプチドは、他の手段、例えば独立して発現するポリペプチドの架橋によって機能的に連結され得る。

一部の実施形態において、DNA結合ポリペプチド、又は標的ヌクレオチド配列を特異的に認識して結合するガイドRNAは、天然の単離されたタンパク質(又はその変異体)内に含まれていても良く、この場合、天然の単離されたタンパク質又はその変異体はヌクレアーゼポリペプチドも含む(リコンビナーゼ及び/又はリガーゼポリペプチドも含み得る)。そのような単離されたタンパク質の例としては、TALEN、リコンビナーゼ(例えばCre、Hin、Tre、及びFLPリコンビナーゼ)、RNA-ガイドCRISPR/Cas9、及びメガヌクレアーゼが挙げられる。

本明細書において使用する場合、用語「ターゲッティングエンドヌクレアーゼ」は、DNA結合ポリペプチド若しくはガイドRNA及びヌクレアーゼポリペプチドを含む、天然又は遺伝子操作された単離されたタンパク質及びその変異体、並びにDNA結合ポリペプチド若しくはガイドRNA及びヌクレアーゼを含むキメラポリペプチドをいう。(例えば標的配列がその遺伝子座の天然の配列内に含まれるため、又は標的配列が例えば組換えによってその遺伝子座に導入されたために)NANOS遺伝子座内に含まれる標的ヌクレオチド配列を特異的に認識して結合するDNA結合ポリペプチド若しくはガイドRNAを含む任意のターゲッティングエンドヌクレアーゼを、特定の実施形態において利用することができる。

本発明の特定の実施形態において有用であり得るキメラポリペプチドの一部の例としては、限定するものではないが、以下のポリペプチドの組み合わせが含まれる:ジンクフィンガーDNA結合ポリペプチド;FokIヌクレアーゼポリペプチド;TALEドメイン;ロイシンジッパー;転写因子DNA結合モチーフ;及び、例えば限定するものではないがTALEN、リコンビナーゼ(例えばCre、Hin、RecA、Tre、及びFLPリコンビナーゼ)、RNAガイドCRISPR/Cas9、メガヌクレアーゼから単離されたDNA認識及び/又は切断ドメイン;及び当業者に公知の他のもの。特定の例としては、部位特異的DNA結合ポリペプチド及びヌクレアーゼポリペプチドを含むキメラタンパク質が挙げられる。キメラポリペプチドは、当業者に公知の方法によって操作して、キメラポリペプチド内に含まれるDNA結合ポリペプチドの認識配列を変更し、キメラポリペプチドが対象の特定のヌクレオチド配列を標的化できるようにすることができる。

特定の実施形態において、キメラポリペプチドはDNA結合ドメイン(例えばジンクフィンカー、TAL-エフェクタードメイン等)及びヌクレアーゼ(切断)ドメインを含む。切断ドメインはDNA結合ドメインと異種のものであっても良く、例えばジンクフィンガーDNA結合ドメイン及びヌクレアーゼ由来の切断ドメイン、又はTALEN DNA結合ドメイン及び切断ドメイン、又はメガヌクレアーゼDNA結合ドメイン及び異なるヌクレアーゼ由来の切断ドメインであり得る。異種の切断ドメインは任意のエンドヌクレアーゼ又はエキソヌクレアーゼから得ることができる。切断ドメインが由来し得るエンドヌクレアーゼの例としては、限定するものではないが、制限エンドヌクレアーゼ及びホーミングエンドヌクレアーゼが挙げられる。例えば2002-2003 Catalogue, New England Biolabs, Beverly, Mass.; 及び Belfort 等(1997) Nucleic Acids Res. 25:3379-3388を参照されたい。DNAを切断する更なる酵素が公知である(例えば51ヌクレアーゼ;マング・ビーン・ヌクレアーゼ;膵DNase I;ミクロコッカスヌクレアーゼ;酵母HOエンドヌクレアーゼ、Linn 等(eds.) Nucleases, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1993も参照されたい)。これらの酵素の1種以上(又はその機能的断片)を切断ドメイン及び切断ハーフドメインの供給源として使用することができる。

同様に、切断ハーフドメインは、切断活性のために二量体化を必要とする上記のような任意のヌクレアーゼ又はその一部由来のものであり得る。一般に、融合タンパク質が切断ハーフドメインを含む場合、2つの融合タンパク質が切断のために必要である。あるいはまた、2つの切断ハーフドメインを含む単一のタンパク質を使用することができる。2つの切断ハーフドメインは同じエンドヌクレアーゼ(又はその機能性断片)由来のものであって良く、あるいは各切断ハーフドメインは異なるエンドヌクレアーゼ(又はその機能性断片)由来のものであっても良い。更に、2つの融合タンパク質の標的部位は、その2つの融合タンパク質のそれぞれの標的部位への結合によって、切断ハーフドメインが例えば二量体化によって機能的切断ドメインを形成することを可能とするような互いの空間的定位に切断ハーフドメインを置くように、互いに配置されることが好ましい。従って、特定の実施形態において、標的部位の近傍端(near edge)は5〜8ヌクレオチド又は15〜18ヌクレオチド分離している。しかしながら、任意の整数のヌクレオチド又はヌクレオチド対を2つの標的部位の間に介在させることができる(例えば2〜50ヌクレオチド対またはそれ以上)。一般的に、切断部位は標的部位の間に存在する。

制限エンドヌクレアーゼ(制限酵素)は多くの生物種に存在し、DNAに(認識部位で)配列特異的結合をし、例えば1以上の外来性の配列(ドナー/導入遺伝子)が結合(標的)部位若しくはその近傍に組み込まれるように、結合部位若しくはその近傍でDNAを切断することができる。特定の制限酵素(例えばIIS型)は、認識部位から離れた部位でDNAを切断し、分離可能な結合ドメイン及び切断ドメインを有する。例えばIIS型酵素FokIは一方の鎖の認識部位から9ヌクレオチド離れた部位、他方の鎖の認識部位から13ヌクレオチド離れた部位でのDNAの二本鎖切断を触媒する。例えば米国特許第5,356,802号; 第5,436,150号及び第5,487,994号; 並びにLi 等 (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:4275-4279; Li 等 (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:2764-2768; Kim 等 (1994a) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:883-887; Kim 等 (1994b) J. Biol. Chem. 269:31,978-31,982を参照されたい。従って、一実施形態において、融合タンパク質は、少なくとも1種のIIS型制限酵素由来の切断ドメイン(又は切断ハーフドメイン)、及び遺伝子操作されていてもされていなくても良い1以上のジンクフィンガー結合ドメインを含む。

切断ドメインが結合ドメインから分離できる例示的なIIS型制限酵素はFokIである。この特定の酵素は二量体として活性を有する。Bitinaite 等 (1998) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95: 10,570-10,575。従って、本開示の目的のために、開示された融合タンパク質において使用するFokI酵素の一部は切断ハーフドメインと考えられる。従って、ジンクフィンガーFokI融合体を使用する標的化二本鎖切断及び/又は細胞内配列の標的化置換のために、それぞれがFokI切断ハーフドメインを含む2つの融合タンパク質を使用して、触媒活性のある切断ドメインを再構成することができる。あるいはまた、DNA結合ドメイン及び2つのFokI切断ハーフドメインを含む1本のポリペプチド分子を使用することもできる。

切断ドメイン又は切断ハーフドメインは、切断活性を保持する、又は多量体化(例えば二量体化)して機能的切断ドメインを形成する能力を保持するタンパク質の任意の部分であり得る。

例示的なIIS型制限酵素は、その全体を本明細書に組み入れる米国特許出願公開第20070134796号に記載されている。更なる制限酵素も分離可能な結合ドメイン及び切断ドメインを含み、これらは本開示において考慮される。例えばRoberts 等 (2003) Nucleic Acids Res. 31:418-420を参照されたい。

特定の実施形態において、切断ドメインは、例えば米国特許出願公開第20050064474号; 第20060188987号及び第20080131962号(これら全ての開示の全体を参照により本明細書に組み入れる)に記載されたように、ホモ二量体化を最小限化又は抑制する1以上の遺伝子操作された切断ハーフドメイン(二量体化ドメイン変異体ともいう)を含む。

あるいはまた、ヌクレアーゼは、いわゆる「スプリット酵素」技術(例えば米国特許出願公開第2009/0068164号を参照されたい)を使用して、in vivoで核酸標的部位で組み立てることができる。このようなスプリット酵素の成分は、別個の発現構築物で発現しても良く、又は個々の成分が、例えば自己切断2Aペプチド若しくはIRES配列によって分離されて1つのオープンリーディングフレーム内で連結していても良い。成分は個々のジンクフィンガー結合ドメインであっても、又はメガヌクレアーゼ核酸結合ドメインのドメインであっても良い。

ジンクフィンガーヌクレアーゼ 特定の実施形態において、キメラポリペプチドは、特注設計のジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)であり、これは外来の核酸又はドナーDNAが組み込まれ得る標的化部位特異的二本鎖DNA切断をもたらすために設計し得る(参照により本明細書に組み入れる本出願人の米国特許出願公開第2010/0257638号を参照されたい)。ZFNは制限エンドヌクレアーゼ(例えばFokI)由来の非特異的切断ドメイン及びジンクフィンガーDNA結合ドメインポリペプチドを含むキメラポリペプチドである。例えばHuang 等 (1996) J. Protein Chem. 15:481-9; Kim 等 (1997a) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94:3616-20; Kim 等 (1996) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:1156-60; Kim 等 (1994) Proc Natl. Acad. Sci. USA 91:883-7; Kim 等 (1997b) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94:12875-9; Kim 等 (1997c) Gene 203:43-9; Kim 等 (1998) Biol. Chem. 379:489-95; Nahon 及び Raveh (1998) Nucleic Acids Res. 26:1233-9; Smith 等 (1999) Nucleic Acids Res. 27:674-81を参照されたい。一部の実施形態において、ZFNは標準的ではないジンクフィンガーDNA結合ドメインを含む(参照により本明細書に組み入れる本出願人の米国特許出願公開第2008/0182332号を参照されたい)。FokI制限エンドヌクレアーゼは、DNAを切断して二本鎖切断を導入するためにヌクレアーゼドメインを介して二量体化しなければならない。従って、そのようなエンドヌクレアーゼ由来のヌクレアーゼドメインを含むZFNも標的DNAを切断するためにヌクレアーゼドメインの二量体化を必要とする。Mani 等 (2005) Biochem. Biophys. Res. Commun. 334:1191-7; Smith 等 (2000) Nucleic Acids Res. 28:3361-9。ZFNの二量体化は2つの隣接する逆方向のDNA結合部位によって促進され得る。同上。

特定の例において、宿主の少なくとも1つのNANOS遺伝子座中に外来の核酸を部位特異的に組み込むための方法は、宿主の細胞中にZFNを導入することを含み、このZFNが宿主の少なくとも1つのNANOS遺伝子座内に含まれる標的ヌクレオチド配列を認識して結合する。特定の例では、標的ヌクレオチド配列は、宿主のゲノム内で少なくとも1つのNANOS遺伝子座以外の他の位置には含まれない。例えば、ZFNのDNA結合ポリペプチドは、(例えばNANOS遺伝子座の配列解析によって)少なくとも1つのNANOS遺伝子座内で特定された標的ヌクレオチド配列を認識して結合するように遺伝子操作され得る。宿主の細胞中にZFNを導入することを含む、宿主の少なくとも1つのNANOS遺伝子座内への外来核酸の部位特異的組込みのための方法はまた、外来核酸を細胞中に導入することも含んでいて良く、ここで少なくとも1つのNANOS遺伝子座を含む宿主の核酸中への外来核酸の組換えは、ZFNの標的核酸の部位特異的認識及び結合(及びその後のNANOS遺伝子座を含む核酸の切断)によって促進される。

NANOS遺伝子座での組込みのための任意的外来核酸 本発明の実施形態は、少なくとも1つのNANOS遺伝子座内への部位特異的組込みのための外来核酸、例えば限定するものではないがORF;ターゲッティングエンドヌクレアーゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸;及び上記のいずれか若しくは双方の少なくとも1つを含むベクター、からなる群より選択される1種以上の核酸を含み得る。従って、一部の実施形態における使用のための特定の核酸としては、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、構造ヌクレオチド配列、及び/又はDNA結合ポリペプチドの認識及び結合部位が挙げられる。

部位特異的組込みのための任意的外来核酸分子 上記の通り、外来配列(「ドナー配列」又は「ドナー」又は「導入遺伝子」ともいう)の挿入は、例えばポリペプチドの発現、変異遺伝子の修正、又は野生型遺伝子の発現の増大のために行われる。ドナー配列が、典型的にはそれが入れられたゲノムの配列と同一ではないことは容易に理解されるであろう。ドナー配列は、相同性を有する2つの領域で挟まれた非相同配列を含み、目的の位置での効率的なHDRを可能とし得る。更に、ドナー配列は、細胞のクロマチン内に目的の領域に対して相同ではない(not homologous)配列を含むベクター分子を含み得る。ドナー分子は、細胞のクロマチンに対して相同性を有する(of homology)いくつかの不連続領域を含み得る。例えば、目的の領域に通常は存在しない配列の標的化挿入のために、該配列をドナー核酸分子内に存在させ、目的の領域の配列に対して相同性を有する領域によって挟むことができる。

ドナーポリヌクレオチドは、DNA若しくはRNA、一本鎖若しくは二本鎖であって良く、線状又は環状形態で細胞中に導入することができる。例えば米国特許出願公開第20100047805号、第20110281361号、第20110207221号及び米国特許出願第13/889,162号を参照されたい。線状形態で導入する場合、ドナー配列の末端は当業者に公知の方法によって(例えばエキソヌクレアーゼによる分解から)保護することができる。例えば、線状分子の3'末端に1個以上のジデオキシヌクレオチド残基を付加し、及び/又は一方若しくは双方の末端に自己相補的オリゴヌクレオチドをライゲートさせる。例えばChang 等 (1987) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:4959-4963; Nehls 等 (1996) Science 272:886-889を参照されたい。外来のポリヌクレオチドを分解から保護するための更なる方法としては、限定するものではないが、末端アミノ基(1個又は複数)の付加、及び、例えばホスホロチオエート、ホスホロアミデート、及びO-メチルリボース若しくはデオキシリボース残基等の改変されたヌクレオチド間結合の使用が挙げられる。

ポリヌクレオチドは、例えば複製起点、プロモーター及び抗生物質耐性をコードする遺伝子等の更なる配列を有するベクター分子の一部として細胞内に導入することができる。更に、ドナーポリヌクレオチドは、裸の核酸として、リポソーム若しくはポロキサマー等の薬剤と複合体化させた核酸として導入することができ、又はウイルス(例えばアデノウイルス、AAV、ヘルペスウイルス、レトロウイルス、レンチウイルス及びインテグラーゼ欠損型レンチウイルス(IDLV))によって送達することができる。

ドナーは一般的に、その組込み部位における内在性プロモーター、すなわちドナーが組み込まれた内在性遺伝子(例えばNANOS)の発現を駆動するプロモーターによってその発現が駆動されるように組み込まれる。しかしながら、ドナーがプロモーター及び/又はエンハンサー、例えば構成的プロモーター又は誘導性若しくは組織特異的プロモーターを含み得ることは理解されるであろう。

更に、発現のためには必要ではないが、外来配列はまた、転写又は翻訳調節配列、例えばプロモーター、エンハンサー、インシュレーター、内部リボソーム侵入部位、2Aペプチドコード配列及び/又はポリアデニル化シグナルを含んでいても良い。

NANOS遺伝子座を改変するように少なくとも1つのNANOS遺伝子座に部位特異的に組み込まれ得る外来核酸としては、一実施形態では、例えば、限定するものではないが、目的のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸;農学的遺伝子を含む核酸;RNAi分子をコードするヌクレオチド配列を含む核酸;又はNANOS遺伝子を破壊する核酸が挙げられる。

一部の実施形態において、外来核酸は、NANOS遺伝子座を改変するようにNANOS遺伝子座に組み込まれ、この核酸は、そのヌクレオチド配列がNANOS遺伝子座から宿主中で発現されるように、目的のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。一部の例では、目的のポリペプチド(例えば外来タンパク質)を、目的のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列から商業的な量で発現させる。このような例では、目的のポリペプチドを、宿主の細胞、組織、又はバイオマスから抽出することができる。

ターゲッティングエンドヌクレアーゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子 一部の実施形態において、ターゲッティングエンドヌクレアーゼをコードするヌクレオチド配列は、ターゲッティングエンドヌクレアーゼ内に含まれるポリペプチドをコードする天然のヌクレオチド配列の操作(例えばライゲーション)によって遺伝子操作することができる。例えば、DNA結合ポリペプチドを含むタンパク質をコードする遺伝子のヌクレオチド配列を、そのDNA結合ポリペプチドに対応する遺伝子のヌクレオチド配列を同定するために調べることができ、またそのDNA結合ポリペプチドを含むターゲッティングエンドヌクレアーゼをコードするヌクレオチド配列のエレメントとして使用することができる。あるいはまた、ターゲッティングエンドヌクレアーゼのアミノ酸配列を使用して、例えば遺伝子コードの縮重に従ってターゲッティングエンドヌクレアーゼをコードするヌクレオチド配列を推定することができる。

ターゲッティングエンドヌクレアーゼをコードするヌクレオチド配列を含む例示的核酸分子において、ヌクレアーゼポリペプチドをコードする第1のポリヌクレオチド配列の最後のコドン、及びDNA結合ポリペプチドをコードする第2のポリヌクレオチド配列の最初のコドンは、例えばイントロン又は「終止」をコードすることなく、任意の数のヌクレオチドのトリプレットによって分離することができる。同様に、DNA結合ポリペプチドをコードする第1のポリヌクレオチド配列をコードするヌクレオチド配列の最後のコドン、及びヌクレアーゼポリペプチドをコードする第2のポリヌクレオチド配列の最初のコドンは、任意の数のヌクレオチドトリプレットによって分離することができる。これら及び更なる実施形態において、ヌクレアーゼポリペプチドをコードする第1のポリヌクレオチド配列の最後のコドン(すなわち核酸配列中で最も3'側)、及びDNA結合ポリペプチドをコードする第2のポリペプチド配列は、それに直接隣接するか、又は合成ヌクレオチドリンカー(例えば融合を達成するために使用されてきたヌクレオチドリンカー)によってコードされるもののような短いペプチド配列によってそれらと分離している更なるポリヌクレオチドコーディング配列の最初のコドンと相を合わせて(in phase-register)融合していても良い。そのような更なるポリヌクレオチド配列の例としては、例えば限定するものではないが、タグ、ターゲッティングペプチド、及び酵素的切断部位が挙げられる。同様に、第1及び第2のポリヌクレオチド配列の(核酸配列の)最も5'側の最初のコドンを、それに直接隣接するか、又は短いペプチド配列によってそれらと分離している更なるポリヌクレオチドコーディング配列の最後のコドンと相を合わせて融合していても良い。

ターゲッティングエンドヌクレアーゼ中の機能的ポリペプチド(例えばDNA結合ポリペプチド及びヌクレアーゼポリペプチド)をコードするポリヌクレオチド配列を分離する配列は、例えば、コードされるアミノ酸配列がターゲッティングエンドヌクレアーゼの翻訳を顕著に変化させないような任意の配列からなることとし得る。公知のヌクレアーゼポリペプチド及び公知のDNA結合ポリペプチドの自律性のために、介在配列の例はこれらの構造の個々の機能を妨害しないものである。

他のノックアウト方法 当分野において知られる様々な他の技術を使用して、遺伝子を不活化してノックアウト動物を作製し、及び/又は核酸構築物を動物に導入してファウンダー動物を作製して動物の系列を作製することができ、ここでノックアウト又は核酸構築物はゲノム中に組み込まれる。そのような技術としては、限定するものではないが、前核マイクロインジェクション(米国特許第4,873,191号)、生殖細胞系列へのレトロウイルス介在性遺伝子導入(Van der Putten 等 (1985) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82, 6148-1652)、胚性幹細胞中への遺伝子ターゲッティング(Thompson 等 (1989) Cell 56, 313-321)、胚のエレクトロポレーション(Lo (1983) Mol. Cell. Biol. 3, 1803-1814)、精子介在性の遺伝子導入(Lavitrano 等 (2002) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 99, 14230-14235; Lavitrano 等 (2006) Reprod. Fert. Develop. 18, 19-23)、及び体細胞、例えば卵丘細胞若しくは乳腺細胞、又は成体、胎児若しくは胚性幹細胞のin vitro形質転換とそれに続く核移植(Wilmut 等 (1997) Nature 385, 810-813; 及び Wakayama 等 (1998) Nature 394, 369-374)が挙げられる。前核マイクロインジェクション、精子介在性遺伝子導入、及び体細胞核導入は特に有用な技術である。ゲノムが改変された動物は、生殖系列の細胞を含めてその細胞の全てが遺伝子改変を有する動物である。その遺伝子改変がモザイクである動物を作製する方法を使用した場合は、動物を交配してゲノムが改変された子孫を選択することができる。例えば、クローニングを使用して、胚盤胞の状態でその細胞を改変する場合はモザイク動物を作製することができ、また、単細胞を改変する場合はゲノム改変が生じ得る。性的に成熟しないように改変する動物は、使用する特定のアプローチに応じ、その改変についてホモ接合性又はヘテロ接合性であり得る。ノックアウト改変によって特定の遺伝子を不活化する場合には通常はホモ接合性が必要とされるであろう。RNA干渉又はドミナントネガティブ戦略によって特定の遺伝子を不活化する場合にはヘテロ接合性が適切であることがしばしばである。

典型的には、胚/受精卵へのマイクロインジェクションにおいて、核酸構築物又はmRNAを受精卵中に導入する;1細胞又は2細胞の受精卵を精子頭部及び卵由来の原形質内に見える遺伝物質を含む前核として使用する。前核段階の受精卵はin vitro又はin vivoで入手する(すなわちドナー動物の卵管から外科的に回収する)ことができる。in vitroでは受精卵は以下のようにして作製することができる。例えば、ブタの卵巣を食肉処理場で回収し、輸送中22〜28℃で維持することができる。卵巣を洗浄して卵胞吸引のために単離し、4〜8mmの範囲の卵胞を、18ゲージの針を使用し、真空下で50mLのコニカル遠心管内に吸引することができる。卵胞液及び吸引した卵母細胞を市販のTL-HEPES(Minitube, Verona, Wis.)を用い、プレフィルターを通して洗浄することができる。ぎっしり詰まった卵丘塊によって囲まれた卵母細胞を選択し、0.1 mg/mLシステイン、10 ng/mL上皮成長因子、10% ブタ卵胞液、50.mu.M 2-メルカプトエタノール、0.5 mg/ml cAMP、それぞれ10 IU/mLの妊馬血清ゴナドトロピン(PMSG)及びヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)を添加したTCM-199 卵母細胞成熟用培地(OOCYTE MATURATION MEDIUM、Minitube, Verona, Wis.)中に入れ、約22時間、38.7℃及び5% CO2の湿潤空気中に置いた。次に、cAMP、PMSG又はhCGを含まない新鮮なTCM-199成熟用培地に卵母細胞を移し、更に22時間インキュベートすることができる。成熟した卵母細胞を、0.1%ヒアルロニダーゼ中で1分間ボルテックスすることによって卵丘細胞から剥がすことができる。

ブタでは、ミニチューブ5-ウェル受精用皿中の500μl Minitube PORCPRO IVF MEDIUM SYSTEM (Minitube, Verona, Wis.)中で成熟卵母細胞を受精させることができる。in vitro受精(IVF)のための調製では、新たに回収した、又は冷凍した雄ブタの精液を洗浄し、4×105個の精子となるようにPORCPRO IVF Medium中に再懸濁することができる。精子濃度はコンピューターを使った精液分析(SPERMVISION, Minitube, Verona, Wis.)によって分析することができる。最後のin vitro授精は、雄ブタに応じておよそ40個の運動精子/卵母細胞の最終濃度で10.mu.l体積中で実施することができる。全ての受精卵母細胞を38.7℃、5.0% CO2雰囲気中で6時間インキュベートする。授精6時間後、推定される受精卵をNCSU-23で2回洗浄し、0.5 mLの同じ培地に移すことができる。このシステムによって、10〜30%の多精子受精率でほとんどの雄ブタについて常に20〜30%の胚盤胞を作製することができる。

線状化した核酸構築物又はmRNAを、前核の1つ又は細胞質中に注入することができる。次いで、注入後の卵をレシピエントの雌に(例えばレシピエント雌の卵管内に)移植して、トランスジェニック動物を作製するようにレシピエント雌内で成長させることができる。特に、in vitroで受精した胚を15,000×gで5分間遠心分離して脂質を沈殿させ、前核の可視化を可能とすることができる。エッペンドルフFEMTOJETインジェクターを使用して胚を注入し、胚盤胞形成まで培養することができる。胚での切断及び胚盤胞形成の割合及び品質を記録することができる。

非同期レシピエントの子宮内に胚を外科的に移植することができる。典型的には、100〜200個(例えば150〜200個)の胚を、5.5インチのTOMCAT(登録商標)カテーテルを使用して卵管の膨大部(ampulla)-狭部(isthmus)接合部内に入れることができる。手術の後、妊娠のリアルタイム超音波検査を実施することができる。

体細胞核移植において、上記の核酸構築物を含む胚割球、胎児線維芽細胞、成体線維芽細胞、又は顆粒膜細胞等のトランスジェニック細胞(例えばトランスジェニックブタ細胞又はウシ細胞)を除核した卵母細胞中に導入して複合細胞を確立することができる。卵母細胞は、極体近傍の透明体を部分切開し、次いで切開領域で細胞質を押し出すことによって除核することができる。典型的には、斜めになった鋭い先端を有するインジェクションピペットを使用して、第2減数分裂(meiosis 2)で停止させた除核卵母細胞中にトランスジェニック細胞を注入する。一部の慣例では、第2減数分裂で停止させた卵母細胞を卵と呼ぶ。ブタ又はウシの胚を(例えば卵母細胞を融合して活性化させることによって)作製した後、活性化の約20〜24時間後にレシピエント雌の卵管に胚を移植する。例えばCibelli 等 (1998) Science 280, 1256-1258 及び米国特許第6,548,741号を参照されたい。ブタでは、胚の移植からおよそ20〜21日後にレシピエントの雌を妊娠の有無について検査することができる。

標準的な繁殖技術を使用して、最初のヘテロ接合性のファウンダー動物からの外来核酸についてホモ接合性である動物を作製することができる。しかしながらホモ接合性は必要ではない場合がある。本明細書に記載するトランスジェニックブタは目的の他のブタと交配させることができる。

一部の実施形態において、目的の核酸及び選択マーカーを別個のトランスポゾン上に準備し、胚又は細胞に異なる量で提供することができ、ここで選択マーカーを含むトランスポゾンの量は目的の核酸を含むトランスポゾンよりかなり過剰である(5〜10倍過剰)。目的の核酸を発現するトランスジェニック細胞又は動物は、選択マーカーの存在及び発現に基づいて単離することができる。トランスポゾンはゲノム中に正確に、連鎖せずに(unlinked)(独立した転位事象)組み込まれるため、目的の核酸及び選択マーカーは遺伝子的に連結しておらず、標準的な繁殖を通した遺伝的分離によって容易に分離することができる。従って、公衆安全の点から懸念される、後の世代が選択マーカーを保持するという制約なしにトランスジェニック動物を作製することができる。

トランスジェニック動物が作製されれば、標準的な技術を使用して外来核酸の発現を評価することができる。最初のスクリーニングは、サザンブロット解析によって実施し、構築物の組込みが生じたか否かを決定することができる。サザン解析の説明に関しては、Sambrook 等、1989, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, second edition, Cold Spring Harbor Press, Plainview; N.Y.の9.37-9.52節を参照されたい。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術も最初のスクリーニングで使用することができる。PCRは、標的核酸を増幅させる方法又は技術をいう。一般的に、目的の領域の末端又はそれを超える領域からの配列情報を利用して、増幅すべき鋳型の逆鎖と配列が同一又は類似のオリゴヌクレオチドプライマーを設計する。PCRを使用して、全ゲノムDNA又は全細胞RNAからの配列を含む、DNA並びにRNAからの特定の配列を増幅することができる。プライマーは、典型的には14〜40ヌクレオチドの長さであるが、10ヌクレオチドから数百ヌクレオチドの長さまでの範囲であり得る。PCRは、例えばPCR Primer: A Laboratory Manual, Dieffenbach 及び Dveksler編, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1995に記載されている。核酸はまた、リガーゼ連鎖反応、鎖置換増幅、自家持続配列複製、又は核酸配列ベース増幅によって増幅することもできる。例えば、Lewis (1992) Genetic Engineering News 12,1; Guatelli 等 (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:1874; 及び Weiss (1991) Science 254:1292を参照されたい。胚盤胞の段階では、PCR、サザンハイブリダイゼーション及びスプリンクレット(splinkerette)PCRによる分析のために胚を個々にプロセシングすることができる(例えばDupuy 等、 Proc Natl Acad Sci USA (2002) 99:4495を参照されたい)。

トランスジェニックブタの組織におけるポリペプチドをコードする核酸配列の発現は、例えば動物から得られた組織サンプルのノーザンブロット分析、in situハイブリダイゼーション分析、ウェスタン分析、酵素結合イムノソルベントアッセイ等のイムノアッセイ、及び逆転写酵素PCR(RT-PCR)を含む技術を使用して評価することができる。

干渉性RNA 様々な干渉性RNA(RNAi)システムが知られている。二本鎖RNA(dsRNA)は相同(homologous)遺伝子転写産物の配列特異的分解を誘導する。RNA誘導型サイレンシング複合体(RISC)はdsRNAを小さな21〜23ヌクレオチドの低分子干渉RNA(siRNA)に代謝する。RISCは二本鎖RNAse(dsRNase、例えばダイサー)及びssRNase(例えばArgonaut 2又はAgo2)を含む。RISCはアンチセンス鎖を切断可能な標的を見出すためのガイドとして利用する。siRNA及びマイクロRNA(miRNA)の双方が知られている。遺伝子編集された動物において遺伝子を不活化する方法は、標的遺伝子及び/又は核酸の発現が低減するように標的遺伝子及び/又は核酸に対してRNA干渉を誘導することを含む。

例えば、外来核酸配列は、ポリペプチドをコードする核酸に対してRNA干渉を誘導することができる。例えば標的DNAに対して相同性を有する二本鎖の低分子干渉RNA(siRNA)又は小ヘアピンRNA(shRNA)を使用してそのDNAの発現を低減させることができる。siRNAのための構築物は、例えばFire 等 (1998) Nature 391:806; Romano 及び Masino (1992) Mol. Microbiol. 6:3343; Cogoni 等 (1996) EMBO J. 15:3153; Cogoni 及び Masino (1999) Nature 399:166; Misquitta 及び Paterson (1999) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96:1451; 及び Kennerdell 及びCarthew (1998) Cell 95:1017に記載されたようにして製造することができる。shRNAのための構築物は、McIntyre 及び Fanning (2006) BMC Biotechnology 6:1に記載されたようにして製造することができる。一般的に、shRNAは相補領域を含む単鎖RNA分子として転写され、これがアニールして短いヘアピンを形成することができる。

特定の遺伝子に対して作用する単独の個々の機能的siRNA又はmiRNAを見出す確率は高い。例えば、siRNAの特定の配列の予測可能性は約50%であるが、それらのうちの少なくとも1個が有効であるという高い確実性を持って多数の干渉性RNAを作製することができる。

実施形態は、性的成熟のために選択される神経内分泌遺伝子に対するRNAiを発現するin vitroの細胞、in vivoの細胞、及び家畜動物等の遺伝子編集された動物を含む。ある実施形態は、Gpr54、Kiss1、及びGnRH1からなる群の遺伝子に対するRNAiである。RNAiは、例えばsiRNA、shRNA、dsRNA、RISC及びmiRNAからなる群より選択され得る。

誘導性システム 性的成熟遺伝子の発現を調節するために誘導性システムを使用し得る。遺伝子の発現の時空制御を可能とする様々な誘導性システムが知られている。いくつかは、トランスジェニック動物においてin vivoで機能的であることが証明されている。

誘導性システムの一例は、テトラサイクリン(tet)-オンプロモーターシステムであり、これは核酸の転写を調節するために使用することができる。このシステムでは、変異したTetレプレッサー(TetR)を単純ヘルペスウイルスVP16トランス活性化タンパク質の活性化ドメインに融合して、tet又はドキシサイクリン(dox)によって制御されるテトラサイクリン制御型の転写活性化因子(tTA)を作製する。抗生物質の不在下では転写は最小であるが、tet又はdoxの存在下で転写が誘導される。別の誘導性システムとしては、エクジソン又はラパマイシンシステムが挙げられる。エクジソンは昆虫の脱皮ホルモンであり、その産生はエクジソン受容体とウルトラスピラクル(ultraspiracle)遺伝子(USP)の産物とのヘテロ二量体によって制御されている。エクジソン、又はムリステロンA等のエクジソン類似体で処理することによって、発現が誘導される。誘導性システムを開始させるために動物に投与される薬剤は誘導剤と呼ばれる。

テトラサイクリン誘導性システム及びCre/loxPリコンビナーゼシステム(構成的又は誘導性)は、より一般的に使用される誘導性システムに含まれる。テトラサイクリン誘導性システムは、テトラサイクリンに制御されるトランス活性化因子(tTA)/リバースtTA(rtTA)を含む。in vivoにおけるこれらのシステムの使用方法は、2系統の遺伝子的に編集された動物の作製を含む。一方の動物系は選択されたプロモーターの制御下で活性化因子(tTA、rtTA、又はCreリコンビナーゼ)を発現する。トランスジェニック動物のもう一つのセットはアクセプターを発現し、目的の遺伝子(又は改変されるべき遺伝子)の発現がtTA/rtTAトランス活性化因子のための標的配列の制御下にある(又はloxP配列に挟まれている)。2つの系統のマウスを交配することで遺伝子発現の調節がもたらされる。

テトラサイクリン依存性調節システム(tetシステム)は2つの成分、すなわちテトラサイクリン制御型トランス活性化因子(tTA又はrtTA)、及びテトラサイクリン依存的に下流のcDNAの発現を制御するtTA/rtTA依存性プロモーターに依存する。テトラサイクリン又はその誘導体(例えばドキシサイクリン)の不在下では、tTAはtetO配列に結合して、tTA依存性プロモーターの転写活性化を可能とする。しかしながら、ドキシサイクリンの存在下では、tTAはその標的と相互作用することができず、転写は生じない。このtTAを用いるtetシステムは、テトラサイクリン又はドキシサイクリンが転写のダウンレギュレーションを可能とするためにtet-OFFと呼ばれる。テトラサイクリン又はその誘導体の投与によって、in vivoにおいて導入遺伝子発現の一時的な制御が可能となる。rtTAはドキシサイクリンの不在下では機能的ではないtTAの変異型であるが、トランス活性化のためのリガンドの存在を必要とする。従って、このtetシステムはtet-ONと呼ばれる。tetシステムは、例えばレポーター遺伝子、がん遺伝子、又はシグナル伝達カスケードに関与するタンパク質等をコードする数種の導入遺伝子の誘導性発現のためにin vivoで使用されている。

Cre/loxシステムは、2つの離れたCre認識配列(すなわちloxP部位)間で交差することによって部位特異的組換えを触媒するCreリコンビナーゼを使用する。2つのloxP配列間に導入されたDNA配列(foxed DNAと呼ばれる)が、Cre介在性の組換えによって切り取られる。(組織若しくは細胞特異的プロモーターによる)空間的制御、又は(誘導性システムによる)時間的制御を用いたトランスジェニック動物でのCre発現の制御によって、2つのloxP部位間のDNA切除の制御がもたらされる。一つの応用例は、条件的な遺伝子の不活化(条件付きノックアウト)のためのものである。別のアプローチは、タンパク質の過剰発現のためのものであり、この場合foxed終止コドンをプロモーター配列と目的のDNAとの間に挿入する。遺伝子編集された動物はCreが発現するまで導入遺伝子を発現せず、foxed終止コドンが切除される。このシステムが組織特異的腫瘍形成及びBリンパ球における制御された抗原受容体の発現に応用された。誘導性Creリコンビナーゼも開発された。誘導性Creリコンビナーゼは外来性リガンドの投与によってのみ活性化される。誘導性Creリコンビナーゼは、本来のCreリコンビナーゼと、特定のリガンド結合ドメインとを含む融合タンパク質である。Creリコンビナーゼの機能的活性は、融合タンパク質中のこの特定のドメインに結合することができる外来リガンドに依存する。

実施形態は、誘導性システムの制御下にある性的成熟のために選択される神経内分泌遺伝子を含む、in vitro細胞、in vivo細胞、及び遺伝子編集された動物、例えば家畜動物を含む。動物の遺伝子改変はゲノム全体であってもモザイク状であっても良い。ある実施形態は、誘導性システムの制御下にあるGpr54、Kiss1、及びGnRH1からなる群内の遺伝子である。誘導性システムは、例えばTet-On、Tet-Off、Cre-lox、及びHif1αからなる群より選択され得る。

ベクター及び核酸 ノックアウト目的のため、遺伝子の不活化のため、遺伝子の発現を得るため、又は他の目的のために、細胞中に様々な核酸を導入することができる。本明細書において使用する場合、用語「核酸」はDNA、RNA、及び核酸類似体を含み、また二本鎖又は一本鎖(すなわちセンス鎖若しくはアンチセンス鎖の一本鎖)である核酸を含む。核酸類似体は、例えば核酸の安定性、ハイブリダイゼーション、又は溶解性を改善するために塩基部分、糖部分、又はリン酸骨格が改変されていても良い。塩基部分における改変としては、デオキシチミジンをデオキシウリジンに、デオキシシチジンを5-メチル-2'-デオキシシチジン及び5-ブロモ-2'-デオキシシチジンに改変する場合が挙げられる。糖部分の改変としては、リボース糖の2'ヒドロキシルを改変して2'-O-メチル又は2'-O-アリル糖を形成する場合が挙げられる。デオキシリボースリン酸骨格はモルホリノ核酸を生成するように改変することができ、この場合、各塩基部分は6員のモルホリノ環、又はペプチド核酸に連結し、デオキシリン酸骨格が擬ペプチド骨格によって置き換えられ、4つの塩基は保持される。Summerton及びWeller (1997) Antisense Nucleic Acid Drug Dev. 7(3):187; 及びHyrup 等 (1996) Bioorgan. Med. Chem. 4:5を参照されたい。更に、デオキシリン酸骨格は、例えばホスホロチオエート又はホスホロジチオエート骨格、ホスホロアミダイト、又はアルキルホスホトリエステル骨格で置き換えることができる。

標的核酸配列は、プロモーター等の調節領域に機能的に連結することができる。調節領域はブタの調節領域であって良く、あるいは他の種のものであっても良い。本明細書において使用する場合、「機能的に連結された」は、標的核酸の転写を可能とするか又は促進するような方法で核酸配列に対して調節領域を位置づけることをいう。

任意のタイプのプロモーターを標的核酸配列に機能的に連結することができる。プロモーターの例としては、限定するものではないが、組織特異的プロモーター、構成的プロモーター、誘導性プロモーター、及び特定の刺激に対して応答性又は非応答性のプロモーターが挙げられる。好適な組織特異的プロモーターはβ細胞における核酸転写産物の優先的発現をもたらすことができ、例えばヒトインスリンプロモーターを含む。他の組織特異的プロモーターは、例えば肝細胞又は心組織における優先的発現をもたらすことができ、それぞれアルブミン又はα-ミオシン重鎖プロモーターを含み得る。他の実施形態において、有意な組織特異性又は時間的特異性を有さない核酸分子の発現を促進するプロモーター(すなわち構成的プロモーター)を使用することができる。例えば、ニワトリβ-アクチン遺伝子プロモーター等のβ-アクチンプロモーター、ユビキチンプロモーター、ミニCAGプロモーター、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)プロモーター、又は3-ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)プロモーター、並びにウイルスプロモーター、例えば単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSV-TK)プロモーター、SV40プロモーター、又はサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターを使用することができる。一部の実施形態では、ニワトリβ-アクチン遺伝子プロモーター及びCMVエンハンサーの融合体をプロモーターとして使用する。例えばXu 等 (2001) Hum. Gene Ther. 12:563; 及び Kiwaki 等 (1996) Hum. Gene Ther. 7:821を参照されたい。

核酸構築物において有用であり得る更なる調節領域としては、限定するものではないが、ポリアデニル化配列、翻訳調節配列(例えば内部リボソーム侵入セグメント、IRES)、エンハンサー、誘導性エレメント、又はイントロンが挙げられる。このような調節領域は必須ではない場合もあるが、転写、mRNAの安定性、翻訳効率等に影響することによって発現を増大させ得る。細胞内での核酸の最適な発現を得るために、必要に応じて核酸構築物中にこのような調節領域を含めることができる。しかしながら、こうした更なるエレメントなしに十分な発現を得ることができる場合もある。

シグナルペプチド又は選択マーカーをコードする核酸構築物を使用しても良い。シグナルペプチドは、コードされたポリペプチドを特定の細胞上の位置(例えば細胞表面)に向けるように使用することができる。選択マーカーの非限定的な例としては、ピューロマイシン、ガンシクロビル、アデノシンデアミナーゼ(ADA)、アミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ(neo、G418、APH)、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)、ハイグロマイシン-B-ホスホトランスフェラーゼ、チミジンキナーゼ(TK)、及びキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(XGPRT)が挙げられる。このようなマーカーは、培養中の安定な形質転換体を選択するために有用である。他の選択マーカーとしては、蛍光を発するポリペプチド、例えば緑色蛍光タンパク質又は黄色蛍光タンパク質が挙げられる。

一部の実施形態において、選択マーカーをコードする配列は、例えばCre又はFlpリコンビナーゼのための認識配列によって挟まれていても良い。例えば、選択マーカーは、構築物から選択マーカーが切り出され得るように、loxP認識部位(Creリコンビナーゼによって認識される34bpの認識部位)又はFRT認識部位によって挟まれ得る。Cre/lox技術の概説としてはOrban 等、Proc. Natl. Acad. Sci. (1992) 89:6861、及びBrand 及び Dymecki, Dev. Cell (2004) 6:7を参照されたい。導入遺伝子の条件付き発現を有するトランスジェニック動物を得るために、選択マーカー遺伝子によって中断され、Cre-又はFlp-活性化が可能な導入遺伝子を含むトランスポゾンを使用することもできる。例えば、マーカー/導入遺伝子の発現を駆動するプロモーターはユビキタスであっても組織特異的であっても良く、これによってF0動物(例えばブタ)におけるマーカーのユビキタス又は組織特異的な発現がもたらされるであろう。導入遺伝子の組織特異的活性化は、例えばマーカーで中断された導入遺伝子をユビキタスに発現するブタを、Cre若しくはFlpを組織特異的に発現するブタと交配することによって、又はマーカーで中断された導入遺伝子を組織特異的に発現するブタを、Cre若しくはFlpリコンビナーゼをユビキタスに発現するブタと交配することによって、達成することができる。導入遺伝子の発現制御又はマーカー切除の制御によって導入遺伝子の発現が可能となる。

一部の実施形態において、外来核酸はポリペプチドをコードする。ポリペプチドをコードする核酸配列は、コードされたポリペプチドの後の操作を容易にするために(例えば局在化若しくは検出を容易にするために)設計された「タグ」をコードするタグ配列を含むことができる。タグ配列は、コードされたタグがポリペプチドのカルボキシル末端又はアミノ末端のいずれかに位置するように、ポリペプチドをコードする核酸配列中に挿入することができる。コードされるタグの非限定的な例としては、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)及びFLAG(商標)タグ(Kodak, New Haven, Conn.)が挙げられる。

核酸構築物は、SssI CpGメチラーゼ(New England Biolabs, Ipswich, Mass.)を使用してメチル化することができる。一般的に、核酸構築物は、緩衝液中37℃でS-アデノシルメチオニン及びSssI CpG-メチラーゼと共にインキュベートすることができる。構築物を1単位のHinP1Iエンドヌクレアーゼと共に37℃で1時間インキュベートし、アガロースゲル電気泳動によってアッセイすることによって、過剰メチル化を確認することができる。

核酸構築物は、例えば卵母細胞若しくは卵等の生殖細胞、前駆細胞、成体若しくは胚性幹細胞、始原生殖細胞、PK-15細胞等の腎臓細胞、島細胞、β細胞、肝細胞、又は皮膚線維芽細胞等の線維芽細胞を含む任意の型の胚、胎児、又は成体動物細胞中に、様々な技術を使用して導入することができる。そうした技術の非限定的な例としては、核酸を細胞に送達することができる、トランスポゾンシステム、細胞に感染できる組換えウイルス、又はリポソーム若しくは他の非ウイルス法、例えばエレクトロポレーション、マイクロインジェクション、又はリン酸カルシウム沈殿の使用が挙げられる。

トランスポゾンシステムでは、核酸構築物の転写ユニット、すなわち外来核酸配列に機能的に連結した調節領域を、トランスポゾンの逆向き反復配列で挟む(flanked)。例えばSleeping Beauty (米国特許第6,613,752号及び米国特許出願公開第2005/0003542号を参照されたい); Frog Prince (Miskey 等 (2003) Nucleic Acids Res. 31:6873); Tol2 (Kawakami (2007) Genome Biology 8(Suppl.1):S7; Minos (Pavlopoulos 等 (2007) Genome Biology 8(Suppl.1):S2); Hsmar1 (Miskey 等 (2007)) Mol Cell Biol. 27:4589); 及び Passport等のいくつかのトランスポゾンシステムが、マウス、ヒト、及びブタ細胞等の細胞中に核酸を導入するために開発されている。Sleeping Beautyトランスポゾンが特に有用である。トランスポザーゼは、外来の核酸と同じ核酸構築物上でコードされるタンパク質として送達することができ、別個の核酸構築物上に導入することができ、あるいはmRNA(例えばin vitroで転写され、キャッピングされるmRNA)として提供することができる。

外来核酸の発現を維持し、宿主遺伝子の望まない転写を阻害するために、核酸構築物中にインシュレーターエレメントを含めることもできる。例えば米国特許出願公開第2004/0203158号を参照されたい。典型的には、インシュレーターエレメントは転写ユニットのそれぞれの側に隣接し、トランスポゾンの逆向き反復配列に固有のものである。インシュレーターエレメントの非限定的な例としては、マトリクス接着領域-(MAR)型インシュレーターエレメント及び境界型インシュレーターエレメントが挙げられる。例えば米国特許第6,395,549号、第5,731,178号、第6,100,448号、及び第5,610,053号、及び米国特許出願公開第2004/0203158号を参照されたい。

核酸はベクター中に組み込むことができる。ベクターは、キャリアから標的DNA中に移動するように設計された任意の特定のDNAセグメントを含む広い用語である。ベクターは、発現ベクター又はベクター系と呼ぶことがあり、これは、ゲノム、又はエピソーム、プラスミド、若しくはウイルス/ファージDNAセグメントさえも含む他の標的化DNA配列中へのDNAの挿入をもたらすために必要な成分のセットである。動物における遺伝子送達のために使用されるウイルスベクター(例えばレトロウイルス、アデノ随伴ウイルス及び組込み(integrating)ファージウイルス)及び非ウイルスベクター(例えばトランスポゾン)等のベクター系は2つの基本的成分を有する:1)DNA(又はcDNAに逆転写されるRNA)からなるベクター、及び2)ベクター及びDNA標的配列の双方を認識し、ベクターを標的DNA配列中に挿入するトランスポザーゼ、リコンビナーゼ、又は他のインテグラーゼ酵素。ベクターは、最も多くの場合には1以上の発現調節配列を含む1以上の発現カセットを含み、発現調節配列は、別のDNA配列若しくはmRNAの転写及び/又は翻訳をそれぞれ調節及び制御するDNA配列である。

多くの異なる型のベクターが知られている。例えば、プラスミド及びウイルスベクター、例えばレトロウイルスベクターが知られている。哺乳動物の発現プラスミドは、典型的には複製起点、好適なプロモーター及び任意にエンハンサー、必要なリボソーム結合部位、ポリアデニル化部位、スプライスドナー及びアクセプター部位、転写終結配列、及び5'隣接非転写配列を有する。ベクターの例としては、プラスミド(別のタイプのベクターのキャリアでもあり得る)、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、レンチウイルス(例えば改変HIV-1、SIV若しくはFIV)、レトロウイルス(例えばASV、ALV若しくはMoMLV)、及びトランスポゾン(例えばSleeping Beauty、P-エレメント、Tol-2、Frog Prince、piggyBac)が挙げられる。

本明細書において使用する場合、核酸との用語はRNA及びDNAの双方をいい、例えばcDNA、ゲノムDNA、合成(例えば化学合成)DNA、並びに天然の及び化学修飾された核酸、例えば合成塩基又は代替骨格のものを含む。核酸分子は二本鎖であっても一本鎖(すなわちセンス若しくはアンチセンス一本鎖)であっても良い。用語「トランスジェニック」は本明細書において広い意味で使用され、遺伝子編集された生物、又は遺伝子操作技術を使用してその遺伝物質が改変された遺伝子操作された生物をいう。従って、ノックアウト動物は、外来の遺伝子若しくは核酸がその動物又はその子孫で発現しているか否かに関わらず、トランスジェニックである。

ファウンダー動物、動物系、形質、及び繁殖 ファウンダー動物は、クローニング及び本明細書に記載した他の方法によって作製することができる。ファウンダーは、受精卵又は初代細胞がホモ接合性改変を受ける場合のように、遺伝子改変についてホモ接合性であり得る。同様に、ファウンダーはまた、ヘテロ接合性であるように作製し得る。NANOsノックアウトの場合、ファウンダーは好ましくはヘテロ接合性である。ファウンダーはゲノムが改変されていても良く、これは細胞の全てでゲノムが改変を受けていることを意味する。ファウンダーは、ベクターが典型的には胚盤胞の段階にある胚の複数の細胞の一つに導入される場合に生じ得るように、改変についてモザイク状であり得る。モザイク動物の子孫は、ゲノムが改変された子孫を特定するために試験することができる。性的に、又は補助的な生殖技術によって生殖させることができ、改変を常に発現するヘテロ接合性又はホモ接合性の子孫を有する動物のプールを作製した場合に、動物の系が確立される。

家畜において、多くのアレルが、生産性の形質、タイプの形質、作業性の形質、及び他の機能的な形質等の様々な形質に関連することが知られている。当業者であれば、これらの形質をモニタリングし、数値化することに習熟している。例えばVisscher 等、Livestock Production Science, 40 (1994) 123-137, 米国特許第7,709,206号、米国特許出願第2001/0016315号、米国特許出願第2011/0023140号、及び米国特許出願第2005/0153317号。動物の系は、生産性の形質、タイプの形質、作業性の形質、生殖能の形質、母性の形質、及び疾患抵抗性の形質からなる群の形質から選択される形質を含み得る。更なる形質としては、組換え遺伝子産物の発現が挙げられる。

所望の形質を有する動物は、その性的成熟を抑制するように改変することができる。動物は成熟するまで無菌であるため、動物の普及(dissemination)を調節する手段として性的成熟を制御することが可能である。従って、レシピエントが交配してその形質の価値を自身に割り当てるリスクを減らして、1以上の形質を有するように繁殖又は改変された動物をレシピエントに提供することができる。本発明の実施形態には、不活化した性的成熟遺伝子を含む改変によって動物のゲノムを遺伝子改変することが含まれ、ここで野生型動物の性的成熟遺伝子は性的成熟のために選択される因子を発現する。実施形態には、動物に性的成熟を誘導する遺伝子の発現の喪失によって引き起こされる欠陥を修復する化合物を投与することによって動物を処置することが含まれる。

性的成熟を誘導するために化合物の投与を必要とする動物の繁殖は、処置施設で有利に達成し得る。処置施設では、該当する動物を効率的に作製するために十分管理された家畜(stock)に対して標準化されたプロトコルを実施することができる。動物の子孫は飼育のために複数の場所に分布させることができる。従って農場及び農場主(牧場及び牧場主を含む用語)は、特定の範囲の月齢及び/又は体重及び/又は形質を有する所望の数の子孫を注文し、それらを所望の時間及び/又は場所に配達させることができる。受領者、例えば農場主は次いで動物を育て、それらを所望の時に市場に出すことができる。

実施形態は、性的成熟のために選択された不活化神経内分泌遺伝子を有する遺伝子編集家畜動物を(例えば1以上の場所に、複数の農場に)送ることを含む。実施形態は、約1日〜約180日の日齢の動物の供給を含む。動物は1以上の形質(例えば所望の形質又は高価値の形質又は新規な形質又は組換え形質を発現するもの)を有し得る。実施形態は更に、上記動物の提供及び/又は上記動物の繁殖を含む。

本明細書において引用した刊行物、特許、及び特許出願を含む全ての文献は、本開示の明白な詳細と矛盾のない程度に参照により本明細書に組み入れるものとし、また各文献について参照により組み入れると個々にかつ具体的に示した場合、及び各文献の全体が本明細書中に記載された場合と同じ程度に組み入れるものとする。本明細書中で議論した文献は、本出願の出願日以前のその開示についてのみ提供される。本明細書中のいかなる記載も、先行発明であるとの理由でそのような開示に権利を与えることを本発明者等が認めたものと解釈されるべきではない。以下の実施例は、特定の性質及び/又は実施形態を説明するために提供される。実施例は、本開示を記載された特定の性質又は実施形態に限定するものと解釈されるべきではない。

実施例1 ブタNANOS2 TALEN試薬の設計、構築及び試験 ブタNANOS2は6番染色体上に位置し、138個のアミノ酸のタンパク質をコードする1つのエクソンを構成する。独立したブタ配列にわたるマルチプル配列アライメントを実施して潜在的な一塩基多型を特定し(図1に赤のドットで示す)、可能な場合にはTALEN結合部位の選択の際にこれらを避けた。www.zifit.partners.orgから無料で入手できるツールを利用して、遺伝子の5'末端近くにブタNANOS2 TALENが結合する可能性のある部位を特定した。3つのTALEN対をGolden Gate TALENアセンブリプロトコル(Cermak 等、NAR 2011 39(12):e82)を使用して構築した。右側のTALENアセンブリをデスティネーションベクターpCAG-T7-TALEN(Sangamo)-FokI-KKR-デスティネーション中に、左側をpCAG-T7-TALEN(Sangamo)-FokI-ELD-デスティネーション中にクローニングした。酵素BspeI及びStuI/AatIIを使用して診断的制限消化を実施し、DNA配列決定によって陽性クローンを確認した。

ブタNANOS2 TALEN

ブタ腎臓PK15細胞を、37℃で5%CO2の湿潤化インキュベーターにおいて、10%ウシ胎児血清、100U/mlペニシリン及び100μg/mlストレプトマイシンを添加した高グルコースDMEM(Life Technologies、#31966)中で培養した。TALEN対A、B又はCの半分をそれぞれコードするエンドトキシン不含有マキシプレップ(maxiprep)プラスミドDNA 1μgを、CMV-駆動eGFPをコードするプラスミド 1μgと共に、1400mVの2回のパルス(それぞれ20ms)にセットしたネオンエレクトロポレーターを使用して、6×105個のPK15細胞中に同時にトランスフェクトした。トランスフェクトした細胞を、抗生物質を含まない完全培地中に回収した。トランスフェクションの24時間後、細胞を37℃から30℃のインキュベーターに移し、そこで48時間維持した。GFP陽性細胞を蛍光活性化セルソーティングによって単離し、培養して増殖させ、Qiagen Dneasy Blood and Tissue kitを使用してゲノムDNAを調製した。PCRプライマーoSL9及びoSL10と共にAccuprime High Fidelityポリメラーゼを使用してゲノムDNA上でPCRを実施した。

製造業者(Transgenomic)が推奨するように、PCR産物について細胞の解析を実施した。消化したPCR産物を2%TAEアガロースゲル上で展開した(図2)。驚くべきことに、その標的部位においてTALEN対がNHEJ事象を誘導することができる効率に実質的な差があった。TALEN対A(緑の矢印、図2)で低い活性が認められ、TALEN対Bでは活性が検出できず、TALEN対Cで活性が最良であった(赤の矢印、図2)。

ブタNANOS2 CRISPR試薬の設計、構築及び試験 ブタNANOS2遺伝子のコーディング配列内のプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)の存在に基づいて(上記コーディング配列内のセンス又はアンチセンス方向のいずれかでの2個の連続するグアニン残基の存在によって決定して)、小さなガイドRNA標的の候補部位を最初に特定した。こうして特定された部位で(図1に赤のドットで示したような)潜在的SNPにまたがるものは更なる分析から排除した。残りの部位のそれぞれについて、BLASTアルゴリズム(ncbi.nlm.nih.gov)を使用して潜在的オフターゲット結合について分析して、配列マッチについてブタゲノムを分析した。ブタゲノム内のNANOS2遺伝子に対して高い特異性を有すると思われる1個のsgRNA-結合部位が選択された。この20塩基対の配列は、偶然にもそれぞれの方向にPAM配列を有していた。 NANOS2結合部位

下線を付した配列がセンス及びアンチセンス方向でのブタNANOS2ガイド配列(配列番号86及び87)のための結合部位である。センス鎖上でPAMは標的部位に対して3'の配列aggで示される。アンチセンス鎖上でPAMは標的部位に対して3'の配列tggで示される。

特定されたガイドRNA結合配列のフォワード及びリバースバージョンを設計し、sgRNA結合配列の発現を駆動するヒトU6プロモーター、ガイドRNA骨格(Cas9結合ドメインとも呼ばれる)及びターミネーター配列(ポリT)を有するgBlock(IDT)として注文した(図3A及び3B)。gBlock DNAをプラスミド中にクローニングし、エンドトキシン不含有プラスミドDNAを調製した(Qiagen)(図3C)。sgRNA配列、CAG-駆動Cas9及びCMV-駆動eGFPをそれぞれコードする3種のプラスミドを、1400mVの2回のパルス(それぞれ20ms)にセットしたネオンエレクトロポレーターを使用して、6×105個のPK15細胞中に同時にトランスフェクトした。トランスフェクトした細胞を、抗生物質を含まない完全培地中に回収した。トランスフェクションの3日後、GFP陽性細胞を蛍光活性化セルソーティングによって単離し、培養によって増殖させ、Qiagen DNeasy Blood and Tissue kitを使用してゲノムDNAを調製した。PCRプライマーoSL9及びoSL10と共にAccuprime High Fidelityポリメラーゼを使用してこのゲノムDNA上でPCRを実施した。製造業者(Transgenomic)が推奨するようにPCR産物について細胞の分析を実施した。消化したPCR産物を2% TAEアガロースゲル上で分離した(図4)。双方のガイド配列で、標的部位における切断とNHEJ形成がもたらされたが(細胞消化産物の存在で示される、赤の矢印、図4)、驚くべきことに、コーディング配列に対して逆方向のsgRNA配列がそのセンス鎖の対応配列よりも実質的により効率的であることが発見された。

実施例2 ウシNANOS2 CRISPR試薬の設計、構築及び試験 ウシNANOS2遺伝子のコーディング配列又はそのコーディング配列に直接隣接する配列のいずれかにおけるPAM配列の存在に基づき、sgRNAのための標的候補部位を最初に特定した。それぞれの候補部位を、BLASTアルゴリズム(ncbi.nlm.nih.gov)を使用して潜在的オフターゲット結合について分析し、配列マッチについてウシゲノムを分析した。ウシゲノム内でNANOS2遺伝子に対して高い特異性を有すると思われる9つの潜在的sgRNA結合部位(コーディング配列の5'側3個、コーディング配列内3個、及び終止コドンの3'側3個)が選択された。

特定された各sgRNA結合部位について、2つのガイド配列を設計した:20-merの結合配列、及び19-、18-又は17-merの結合配列。表1及び図12を参照されたい。

ガイドRNA配列を、一旦アニールするとプラスミドpx458のBbsI部位中にクローニングすることができるオリゴヌクレオチド対として構築した(図5A、5B及び5C)。これにより、ヒトU6-駆動型sgRNA配列、続いて2A-切断性GFPを有するCAG-駆動Cas9を含む単一のプラスミドがもたらされた。プラスミドのリストを表2に示す。図12を参照されたい。

プラスミドミニプレップDNA(Qiagen)1μgを、1800mVの1回のパルス(20ms)にセットしたネオンエレクトロポレーターを使用して6×105個のウシ胎児線維芽細胞(BEF)中にトランスフェクトした。トランスフェクションの2日後、Qiagen DNeasy Blood and Tissue kitを使用してゲノムDNAを調製した。PCRプライマーoSL86及びoSL87と共にAccuprime High Fidelityポリメラーゼを使用してこのゲノムDNA上でPCRを実施した。

製造業者(NEB)に推奨されるように、精製PCR産物でT7エンドヌクレアーゼ分析を実施した。消化したPCR産物を1.4%TAEアガロースゲル上で分離した(図6A及び6B)。驚くべきことに、その標的部位でsgRNAがNHEJ形成を誘導することができる効率に実質的な差が見出された(T7エンドヌクレアーゼ消化産物の存在で示される、赤の矢印、図6A及び6B)。

NHEJについてのT7エンドヌクレアーゼアッセイで決定して最も高い活性を有するガイド配列を、細胞内の双方の標的部位での切断によって介在配列の欠失を生じさせ得るような対として組み合わせた。それぞれ1μgのプラスミドpSL32 + pSL38、pSL32 + pSL39、pSL32 + pSL42、pSL33 + pSL38、pSL33 + pSL39 又は pSL33 + pSL42を6×105個のBEF細胞中にトランスフェクトした。トランスフェクション、培養及びBEF細胞からのDNA調製は上記した通りとした。PCRプライマーoSL86及びoSL87と共にAccuprime High Fidelityポリメラーゼを使用してゲノムDNA上でPCRを実施し、産物を1.4%TAEアガロースゲル上で分離した(図7)。6つのプラスミドの組み合わせの全てにおいて、トランスフェクトされた細胞集団は、全長PCR産物に加えて、用いたsgRNA配列の組み合わせに特有のサイズの切断されたNANOS2遺伝子断片も有していることが実証された(赤の矢印、図7)。

これらの切断断片をゲルから切り出し、ゲルスライスをSpin-X Centrifuge Tube Filter(Costar #8163)で遠心分離することによってアガロースからDNAを分離した。精製した産物をTOPO TA Cloning Kit For Sequencing(Invitrogen #45-0030)を使用してpCR 4-TOPOベクター中にクローニングし、XL-1 Blue Competent Cells(Agilent Technologies #200249)中にトランスフォームした。形質転換した細菌を100μg/mlのアンピシリンを含有するLB寒天プレート上にまき、37℃で一晩培養した。各プレートから5つのコロニーを選択し、50μg/mlのアンピシリンを含有するLB培地中で一晩増殖させた。PureYield Plasmid Miniprep System(Promega #A1223)を用いてプラスミドを単離し、プライマーoSL86を使用する配列決定のために送った(Edinburgh Genomics)。配列アライメントから、それぞれのケースで標的とされた配列内の欠失が生じたことが実証される(図8)。欠失された断片の末端を正確に末端結合したものがそれぞれのトランスフェクションから少なくとも1つのクローンで検出され、一方、他のクローンはより不正確な事象を示し、末端結合プロセスの間に配列の更なる改変が生じたことが示される。pSL33 + pSL38の組み合わせから配列決定されたクローンは全て同一の正確な末端結合事象を示していた。

このアプローチから、NHEJの誘導及び結果として生じるフレームシフト変異に代わる戦略として、コードされるタンパク質の発現の喪失若しくは低減又は結果として翻訳されるタンパク質の機能の変化をもたらす標的遺伝子の特定の欠失を引き起こすことが可能であり、おそらくは望ましいことが示される。

実施例3 遺伝子切除のためのCRISPR/Casシステム 図4に示す細胞培養での成功を検証した後、ガイド配列をT7プロモーターと共に組み立て、IDT技術からG-ブロックとして合成した。T7で駆動される構築物とのアセンブリは、RNAのin vitro転写及び製造のために必要である。簡単に説明すれば、sgRNAをT7 in vitro転写キット(Ambion)を用いて転写した。同様に、AddgeneからCas9プラスミドを入手し(Plasmid #42234;名称:pMJ920)、T7 Megascript in vitro転写キットを用いてCas9 mRNAを転写した(図9A)。

Cas9 mRNA(100ng/μl)及びNANOS2を標的とするsgRNA(50ng/μl)の双方を、連続流セッティングにおいてエッペンドルフフェムトジェットインジェクターを使用してブタの受精卵1細胞中に注入した。注入された胚を更に6日間かけて胚盤胞段階まで進行させ(図9C)、DNAを回収し、標的部位辺りをPCR増幅した。(NHEJ修復の結果としての)標的遺伝子の欠失の存在をPCRアンプリコンの配列決定によって評価した。図9Dに示すように、NANOS2遺伝子座のターゲッティングの成功が実証された。NANOS2中のCRISPR標的部位を囲む配列を遺伝子特異的プライマーを使用して増幅し、PCR2.1ベクター(Invitrogen)中にクローニングし、DH5α細胞(NEB)を形質転換して、カナマイシン耐性に基づいて形質転換体を選択した。コロニーを一晩培養し、ミニプレップを調製し、サンガー配列決定法によってプラスミドの配列を決定した。図9において、「N」はNANOS2アレルを示し、最初の数字は胚盤胞の番号であり、2番目のハイフンでつないだ数字は増幅されたNANOS2を含む細菌クローンを示す。図面では、クローン由来の代表的な配列を、予想されるCRISPR切断部位の周りの欠失を「-」として示す。8種の異なる胚盤胞から得られた配列から、NANOS2の読み取り枠の欠失及び破壊が成功し、ノックアウトアレルが生じたことが示され、これを図9Dに示す。

NANOS2に対する第2のsgRNA配列も選択した。 この標的、及び以前の標的 を、1細胞の胚に一緒に同時注入し、胚盤胞まで培養して胚盤胞のDNA解析を行った結果、NANOS2アレルの欠失及びノックアウトが実証された。図10を参照されたい。

遺伝子ターゲッティングのためのニッカーゼペアの使用 Cas9ヌクレアーゼはDNAに二本鎖切断を導入する。これに対して、Cas9ニッカーゼはDNAの二本鎖の一方のみを切断する(又は傷つける)。逆鎖上で近接した標的に対して設計された場合、対になった(paired)ニッカーゼが二本鎖切断を導入することができ、その結果高い精度で欠失を生成させることができる。ヌクレアーゼに対して対になったニッカーゼを使用する利点は、Cas9ニッカーゼがオフターゲット結合を示した場合であっても二本鎖の一方のみが傷つけられ、これはオフターゲッティング部位での望まない改変を引き起こすことなく効果的に修復することができることである。しかしながら、近接した組合せで使用する場合には、ニッカーゼが標的化DNA切断を導入する。ニッカーゼの対をブタNANOS2遺伝子を標的とするように設計した。しかしながら、このニッカーゼは変異を導入するのには有効ではなかった(図11)。逆鎖上の標的に対して単鎖ガイドRNAの対を設計した。双方のsgRNAを図11の囲んだ区域内に示し、逆鎖を黄色のハイライトで示す。双方のsgRNAのPAMモチーフを緑のハイライトで示す。標的部位近辺での改変は特定されなかった。

NANOS2-欠損ブタモデルの作製 潜在的CRISPR sgRNA及びCas9:GFP mRNAを、in vitroで受精させたブタの胚に注入した(図9C)。簡単に説明すると、雌ブタからの成熟卵母細胞をART Inc.(Madison, WI)から購入し、その市販の成熟用培地#1中で一晩かけて研究室に運んだ。成熟用培地#1(ARTより供給)中に入れた24時間後、50〜75個の卵丘卵母細胞複合体(COC)を、0.14%PVA、10ng/ml上皮増殖因子、0.57 mMシステイン、0.15 IU/mlブタFSH、及び0.5 IU/ml羊LHを含有する組織培養培地199(TCM199)500μl中に入れ、38.5℃、空気中5%CO2、湿度100%で更に20時間培養した。COCを0.01%PVAを含有するHEPES緩衝培地中に0.1%ヒアルロニダーゼを含む中で4分間ボルテックス撹拌して、成熟後の卵丘細胞を除去した。30〜35個の成熟して剥離した卵母細胞の群を改変Tris緩衝培地(mTBM)100μl中に入れ、新鮮な供与された(extended)雄ブタの精液を用いて確立されたプロトコルに従って受精させた。簡単に説明すると、供与された精液1〜2mlを1 mg/mlのBSAを含有するダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(DPBS)と混合して最終体積10mlとし、1000×g、25℃で4分間遠心分離し;精子をDPBS中で合計3回洗浄した。最後の洗浄の後、精子をmTBM培地に再懸濁し、5×105個の精子/mlの最終濃度で卵母細胞に添加し、38.5℃及び5%CO2で5時間一緒にインキュベートした。授精から5時間後に、推定される受精卵にCas9 mRNA及びNANOS2を標的とするsgRNAを注入し、インタクトな胚を、正中線切開によって生殖器官を露出させた同期化した雌のレシピエント動物の卵管内に外科的に移植した。術後に動物を回復させ、BARC-USDA施設で飼育した。

代替法は、CRISPR介在型のNANOS2標的化及び編集した動物の作製のためにin vivoで受精した1細胞胚を使用するものである。胚ドナー動物は発情期を同期化し、最初にRegumate(Alterenogest)を14〜16日間与え、続いて17日目にPG600(5ml)、20日目に1000IUのhCGを皮下注射することで過剰排卵させた。動物は、スタンディング発情時に1回(20日目)、そして21日目に8時間空けて更に2回で3回授精させた。動物は22日目に安楽死処分し、卵管のフラッシングによって胚を回収した。胚にCRISPR mRNAを注入し、上記と同じ日に同期化したレシピエント(すなわち代理母)動物に外科的に移植した。

実施例4 動物のスクリーニング及び繁殖 動物のスクリーニング 編集した胚の移植後の家畜動物の遺伝子型は以下のように決定される。組織サンプル(例えば毛包、耳の切片(notch)、テールクリップ、血液)を採取し、DNAを抽出する。適切なプライマーを使用してNANOS2遺伝子を増幅し、配列決定する。動物を、非編集、ヘテロ接合性編集又はホモ接合性編集として特徴づける。

ホモ接合性NANOS2編集雌の生殖能力 ホモ接合性NANOS2編集雌を、思春期(puberty)、及び生殖能のある卵母細胞を排卵する能力についてモニタリングする。in vitroで受精させた後、胚盤胞を作る能力について卵母細胞を試験する。ホモ接合性NANOS2編集雌の例で、片側卵巣摘出(hemiovariectomy)を行い、正常な卵形成について卵巣を試験する。雌はまた、受精させ、妊娠の確立をモニタリングする。最後に、生存する健康な子孫の作製によってホモ接合性NANOS2編集雌の生殖能力を確立する。本発明者等は、ホモ接合性NANOS2編集雌が正常な生殖能力を有することを予測する。

ヘテロ接合性及びホモ接合性NANOS2編集雄の精巣の構造及び機能 ヘテロ接合性及びホモ接合性NANOS2編集雄において精巣の成長及び寸法をモニタリングする。ヘテロ接合性の雄は正常な精巣の成長及び寸法を有することが予測される一方、ホモ接合性の雄は生殖細胞の喪失のために精巣の成長が遅く、思春期における精巣が小さいことが予測される。ヘテロ接合性及びホモ接合性NANOS2編集雄の例で、片側除睾術(hemicastration)を行い、精巣を細胞学的に調べる。ヘテロ接合性の雄はセルトリ細胞及び生殖細胞が存在する精細管を有する正常な精巣構造を示すことが予測されるが、ホモ接合性の雄はセルトリ細胞のみの形態を有し、生殖細胞を完全になくしていることが予測される。適切な精液回収(例えば人工膣、手袋をはめた手、電気射精(electroejaculation))の後に精液の体積及び組成を調べる。ヘテロ接合性の雄は正常な精液体積及び精子数を有することが予測されるが、ホモ接合性の雄は精子細胞の完全な喪失を示すことが予測される。

ホモ接合性NANOS2編集雄の精巣へのSSCの移植 適切なドナー、例えばデュロック種(Duroc)のブタからSSCを回収し、増殖させ、そして様々な月齢(age)のホモ接合性NANOS2編集レシピエント雄、例えばラージホワイト種(Large White)とランドレース種(Landrace)の交配ブタの精巣網内にSSCを注入する。思春期、又はSSC移植から少なくとも3カ月後に精液を回収し、精子細胞の存在について調べる。精子細胞が存在する場合は、精子細胞の濃度、形態及び運動性を調べる。また、例えば上記ブタの例ではMC1R遺伝子中のデュロック特異的SNPの存在を示して、存在する精子細胞がドナーSSC由来であり、レシピエント由来ではないことも調べる。レシピエントの精巣のSSCコロニー化の効率と相関すべき最大の精子細胞産生のためのレシピエントブタの最適なレシピエントの月齢を決定する。

SSCレシピエントとしてのホモ接合性NANOS2編集雄の作製のための繁殖 ホモ接合性NANOS2編集雄は、ホモ接合性NANOS2編集雌をヘテロ接合性編集雄と交配することによって得ることができる。交配によって、同数のホモ接合性およびヘテロ接合性編集された雄及び雌が得られる。ホモ接合性編集雄をSSCレシピエントとして使用し、ホモ接合性雌及びヘテロ接合性雄を、SSCレシピエントとしてのホモ接合性NANOS2編集雄を更に得るための置換繁殖用動物として使用し、ヘテロ接合性雌は処分する。

実施例5 胚注入を介したNANOS2編集動物の作製 ブタNANOS2のエクソン-1を標的とするキメラsgRNA候補を、MITのDr. Feng Zhangによって開発された無料で利用できるソフトウェア(crispr.mit.edu)に基づいて設計した。胚注入研究において使用されるガイドRNAは である。NANOS2 ORF(配列番号1及び2)内のCRISPRガイドRNA配列(配列番号160)及びCRISPR標的配列(配列番号161)を図13に示す。

Cas9: GFP mRNAと共にCRISPR sgRNA候補をT7 mMessage Machine kit(Ambion)を用いてin vitro転写し、Megaclear Kit(Ambion)によって精製し(clean)、in vivoで受精させたブタの1細胞胚に注入した。8-9月齢の12匹の動物のコホートの発情期を同期化させ、実験に使用した。同期化した動物8匹を胚ドナーとして飼育し、残りの4匹は同期化させたが代理親としては飼育しなかった。5mlのプロゲステロン類似体、Regumate(又はMatrix)を14日間与えることによって発情期を同期化した。最後のRegumateの補給から24時間(h)後、動物にPMSG(1200IU、Sigma)の一用量を皮下投与し、72時間後にHCG(1000IU、Chorulon、Merck)の皮下投与によって排卵を誘発する。スタンディングヒートにあるドナー動物(n=8)を雄ブタ(boar)の精液(PIC Geneticsより供給)で人工授精させた。ドナー動物からのin vivoの胚を、AIから24時間後に卵管から無菌のPVA TL-Hepes培地を逆向きにフラッシングすることによって外科的に回収した。次いでin vivo由来の胚にCas9:GFP mRNA及びNANOS2を標的とするsgRNAを注入し、PZM3培地中で一晩培養した。マイクロインジェクションの1日後、各代理母動物の卵管内に30個の胚を外科的に移植した。

胚移植のために、ドナー及び代理母(サロゲート)のブタをケタミン/キシラジン(6.6mg/kg及び1-2mg/kg IM)の混合剤で麻酔し、手術台の上に仰向けにした。麻酔深度が適切であるかどうかは心拍数、体温、十分に周期的な呼吸、縮瞳、及び眼瞼反射の低下若しくは喪失をモニタリングすることによって評価した。麻酔した未経産ブタの生殖管を、腹部正中線切開によって暴露した。卵管及び子宮の先端のみを暴露した。ドナーにおいて、子宮卵管境界を通して胚を逆向きにフラッシングし、卵管口から胚を回収した。代理母への胚の移植のためには胚を含むトムキャットカテーテルを漏斗を通して配置し、卵管内に胚を入れた。吸収性縫合糸(USP #3 body wall, #3 fat, #1 sub-q)を使用して切開を3層にわたって閉じた後、動物を回復させた。発情期に戻らないこと(21日間)、及び胚移植から28日後の超音波検査で妊娠を確認した。本発明者等の最初の胚移植試験の結果、4匹の代理母動物中3匹で妊娠が確立され、18匹の編集された仔ブタが産まれた(図14)。18匹の仔ブタは全てNANOS2の一方のアレル又は両アレルに改変を示し、本発明者等のアプローチの非常に高い効率が強調された。

実施例6 体細胞核移植(SCNT)を介したNANOS2編集動物の作製 D35の妊娠Durocブタの胎児からブタ胎児線維芽細胞(PFF)を確立した。雄及び雌のPFF株候補にCMVプロモーター駆動Cas9:GFPプラスミド(Addgene)及びNANOS2を標的とするhU6プロモーター駆動単鎖ガイドRNAからなるPCR断片(配列番号162)をヌクレオフェクトした。ヌクレオフェクションの1日後、ヌクレオフェクトした細胞を、96ウェルプレートの各ウェルに個々にソーティングした。細胞に照射した線維芽細胞条件付き増殖培地を加え、コロニーを形成させた。1週間の培養後、ウェル内にコロニーが出現し始める。細胞をクローン増殖させ、DNAを抽出して、DNA配列決定を用いて変異をスクリーニングする。細胞はNANOS2についてホモ接合性のヌル(null)であり、体細胞核移植によってクローニングしてNANOS2ヌルの雄及び雌の仔ブタを作出した。これらの初期のSCNTの試みから、1匹の雄及び3匹の雌の仔ブタが生存して作出された。図15を参照されたい。

実施例7 NANOS-2編集動物の精巣表現型 両アレルNanos2のホモ接合性ノックアウト仔ブタ2匹の精巣を3月齢で生検し、形態学的に検討した。光学顕微鏡を用いた生検からの切片の観察(図16)に基づけば、精細管(seminiferous cord)はインタクトであり、体性支持細胞が存在する。ホモ接合性ノックアウト動物では一部の生殖細胞がまだ存在するものの、この月齢の野生型動物で典型的に観察されるものと比較すると、その数は非常に減少しているようである。実際に、ホモ接合性動物中の精細管の一部は生殖細胞を欠いているようである。また、ホモ接合性動物の残存生殖細胞の核は、アポトーシスを示す核濃縮をしているようである。3月齢では、野生型のブタの精細管は、典型的には活性な精子形成を示す発達中の生殖細胞の複数の層を含む。Nanos2ノックアウト動物の管はいずれも生殖細胞の複数の層を含まず、内在性の生殖細胞系列の欠如を強く示唆する。あわせると、これらの観察から、Nanos2の機能喪失の表現型は、初期の発達段階の雄の生殖細胞系列の喪失からセルトリ細胞のみの表現型に到るまでを含み、動物で保存されていることが示唆される。マウスでの研究から、この表現型を有する雄は精原細胞移植後のドナー生殖系列の再生のための優秀な宿主であることが実証された。

実施例8 Nanos2ホモ接合性ノックアウトレシピエントを用いた移植 4カ月齢の2匹のホモ接合性ノックアウト仔ブタに、21日齢のDurocドナー雄仔ブタの精巣から単離された精原細胞の移植を行った。簡潔に説明すると、ドナー細胞を1ml体積の注入媒体に1.4×106細胞/mlで懸濁し、600-900μlを超音波ガイド下の精巣網への注入を介して精細管に注入した。各動物の一方の精巣にドナー細胞を移植し、反対側の精巣は非注入の対象として残した。

実施例9 NANOS遺伝子

本明細書において引用された全ての参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。本明細書において開示された実施例は、例示のために提供されるものであり、本発明の範囲を制限することを意図するものではない。

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