隠顕印刷物及び隠顕印刷物の印刷方法 |
|||||||
申请号 | JP2016154408 | 申请日 | 2016-08-05 | 公开(公告)号 | JP2017087712A | 公开(公告)日 | 2017-05-25 |
申请人 | 江原国立大学産学協力団; Kangwon National Univ Univ-Industry Coop Found; デハン ペーパー カンパニー リミテッド; Daehan Paper Co Ltd; デハン ペーパー カンパニー リミテッド; テギョン ポリマー カンパニー リミテッド; Taekyung Polymer Co Ltd; テギョン ポリマー カンパニー リミテッド; セントレ テクニーク ドゥ ランデュストリー デ パピエ、 カルトン エ セルローズ; Centre Technique De L'industrie Des Papiers Cartons Et Celluloses; セントレ テクニーク ドゥ ランデュストリー デ パピエ、 カルトン エ セルローズ; | 发明人 | LEE MYOUNG KU; RYU JEONG YONG; KIM CHANG GEUN; LEE KWANG SEOB; LEE JAE HOON; CHO HAN JE; KWON HYEOK JUN; | ||||
摘要 | 【課題】容易に隠顕内容を確認することができ、可逆的に隠顕内容が消えることから、繰り返しの使用が可能である、隠顕印刷物と隠顕印刷物の印刷方法を提供する。【解決手段】疎 水 性基材に形成される親水性基材部を有する隠顕印刷物を提供する。【選択図】図1 | ||||||
权利要求 | 疎水性基材に形成される親水性基材部を有する隠顕印刷物。 前記疎水性基材は、塩化脂肪酸ガスグラフティングを行って疎水化処理したことを特徴とする請求項1に記載の隠顕印刷物。 前記塩化脂肪酸は、ミリストレイン酸(myristoleic acid)、パルミトレイン酸(palmitoleic acid)、パルミトイルクロライド(palmitoyl chloride)、サピエン酸(sapienic acid)、オレイン酸(oleic acid)、エライジン酸(eladic acid)、バクセン酸(vaccenic acid)、リノール酸(linoleic acid)、リノエライジン酸(linoelaidic acid)、α−リノレン酸(α-linolenic acid)、アラキドン酸(arachidonic acid)、エイコサペンタン酸(eicosapentanoic acid)、エルカ酸(erucic acid)、ドコサヘキサエン酸(docosahex� ��enoic acid)、カプリル酸(caprylic acid)、カプリン酸(capric acid)、ラウリン酸(lauric acid)、ミリスチン酸(myristic acid)、パルミチン酸(palmitic acid)、ステアリン酸(stearic acid)、ステアロイルクロライド(stearoyl chloride)、アラキジン酸(arachidic acid)、ベヘン酸(behenic acid)、リグノセリン酸(lignoceric acid)、またはセロチン酸(cerotic acid)から選択された、一つまたは二つ以上の混合物であることを特徴とする請求項2に記載の隠顕印刷物。 前記親水性基材部は前記疎水性基材にエステル加水分解酵素組成物を部分的に印刷して形成することを特徴とする請求項1に記載の隠顕印刷物。 前記エステル加水分解酵素組成物は、エステラーゼ(esterase)、リパーゼ(lipase)、キュティナアゼ(cutinase)、アゾルエステラーゼ(azolesterase)、タンナーゼ(tannase)、クロロフィラーゼ(chlorophyllase)、ホスホリパーゼ(phospholipase)、ホスファターゼ(phosphatase)、またはスルファターゼ(sulfatase)から選択された一つまたは二つ以上の酵素を含む混合物であることを特徴とする請求項4に記載の隠顕印刷物。 前記親水性基材部は、追加的に判読確認部を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の隠顕印刷物。 隠顕印刷物の印刷方法であって、 (a)塩化脂肪酸を利用したガスグラフティングを行って疎水性基材を形成する段階と、 (b)前記疎水性基材にエステル加水分解酵素組成物を部分的に印刷して親水性基材部を形成する段階と、 (c)前記親水性基材部が形成された前記疎水性基材を洗浄し乾燥する段階と、 (d)前記親水性基材部に判読確認部を印刷する段階と、 を有する、 前記疎水性基材に形成される前記親水性基材部を有する隠顕印刷物の印刷方法。 前記塩化脂肪酸は、ミリストレイン酸(myristoleic acid)、パルミトレイン酸(palmitoleic acid)、サピエン酸(sapienic acid)、オレイン酸(oleic acid)、エライジン酸(eladic acid)、バクセン酸(vaccenic acid)、リノール酸(linoleic acid)、リノエライジン酸(linoelaidic acid)、α−リノレン酸(α-linolenic acid)、アラキドン酸(arachidonic acid)、エイコサペンタン酸(eicosapentanoic acid)、エルカ酸(erucic acid)、ドコサヘキサエン酸(docosahexaenoic acid)、カプリル酸(caprylic acid) 、カプリン酸(capric acid)、ラウリン酸(lauric acid)、ミリスチン酸(myristic acid)、パルミチン酸(palmitic acid)、ステアリン酸(stearic acid)、アラキジン酸(arachidic acid)、ベヘン酸(behenic acid)、リグノセリン酸(lignoceric acid)、トヌンセロチン酸(cerotic acid)から選択された一つまたは二つ以上の混合物であることを特徴とする請求項7に記載の印刷方法。 前記エステル加水分解酵素組成物は、エステラーゼ(esterase)、リパーゼ(lipase)、キュティナアゼ(cutinase)、アゾルエステラーゼ(azolesterase)、タンナーゼ(tannase)、クロロフィラーゼ(chlorophyllase)、ホスホリパーゼ(phospholipase)、ホスファターゼ(phosphatase)、またはスルファターゼ(sulfatase)から選択された一つまたは二つ以上の酵素を含む混合物であることを特徴とする請求項7又は8に記載の印刷方法。 |
||||||
说明书全文 | 本発明は、隠顕印刷物及び隠顕印刷物の印刷方法に関するものである。 近年、産業が発達し競争が激しくなるによって、もっと便利で信頼することができる文書機密の維持方法に対する需要が増えている。 特に、隠顕インクを利用した隠顕印刷に対して、有価証券や商品巻の偽造防止側面から新しい需要が発生している。 隠顕インクを利用した隠顕印刷物は、印刷物が他人によって読まれたのかを容易に確認することができるので、秘密維持状況の点検が容易と言う長所がある。 隠顕は、隠れたり見えたりする現象を意味する。 隠顕印刷物は、隠顕インクを利用して製造した印刷物であって、印刷物を加熱するとか、適当な化学薬品で処理することにより、隠顕インクで書かかれた文字等を読むことができる印刷物を意味する。 前記隠顕インクは、血液、唾液、汗、小便、などの体液、または酸と塩基の特性を持った多様な食品及び化合物、例えば、酢、フルーツジュース、ふくらし粉、塩、砂糖、米、アスピリン、アラビアゴム、ホウ酸、澱粉、アンモニア、硫酸マグネシウム(epsom salts)、硝酸銀、せっけん、にかわ、または接着剤を原料として製造することができる。 代表的な隠顕インクの材料は、酢酸鉛(lead acetate、Pb(CH 3 COO) 2 )がある。 前記酢酸鉛は、一酸化鉛(lead monoxide、PbO)または四酸化三鉛(trilead tetraoxide、Pb 3 O 4 )を、酢酸に溶解して得た無色の結晶である。 前記酢酸鉛は、ミョウバン水に溶解させれば、隠顕インクになる。 隠顕印刷物に書かれる隠顕内容を読む方法としては、隠顕印刷物を赤外線または紫外線のような特殊な光源または前記光源を特別な角度で照らして見る光学的方法と、微細な黒鉛等の粉末を隠顕印刷物の上に覆ってから払い落とす機械的方法と、または隠顕印刷物を、熱気、火炎、または化学薬品の蒸気にさらすとか、化学薬品溶液に浸漬させる物理化学的方法等がある。 従来の隠顕インクを利用した隠顕印刷物は、印刷した内容が現われた後にその状態が維持される、非可逆的隠顕現象を有するものである。 しかしながら、非可逆的隠顕現象を持つために、従来の隠顕インクを利用した隠顕印刷物は、隠顕内容が判読された後には廃棄しなければならないという問題点があった。 そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、容易に隠顕内容を確認することができ、可逆的に隠顕内容が消えることから、繰り返しの使用が可能である、新規かつ改良された隠顕印刷物と隠顕印刷物の印刷方法を提供することにある。 上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、疎水性基材に形成される親水性基材部を有する隠顕印刷物が提供される。 本発明の一実施形態によれば、前記隠顕印刷物は、隠顕インクを使わない。 本発明の実施形態に係る隠顕印刷物は、水を吸収した基材と、そうではない基材との間に発生する明るさの差を利用するために、隠顕インクが必要ではない。 さらに、本実施形態によれば、前記隠顕印刷物は、水に濡らすことのみにより容易に隠顕内容を確認することができ、水が除去されれば隠顕内容が消えることから、繰り返し使用が可能である。 本発明の一実施形態においては、前記疎水性基材は、水酸基(−OH)を持つ基材に塩化脂肪酸ガスグラフティング(gas grafting)を行って疎水化処理したものであってもよい。 好ましくは、前記水酸基(−OH)を持つ基材は、セルロースやポリビニールアルコール(polyvinyl alcohol、PVA)であり、好ましくは、紙や板紙である。 前記基材は、水に濡らすことができる基材であれば、いずれも使用可能だが、印刷品質及び用途を考慮すれば、水吸収率の良好な紙や板紙が望ましい。 前記塩化脂肪酸のグラフティングは、従来のガスグラフティング方法(例えば、韓国特許出願第10−2015−0077380号、第10−2015−0077379号公報を参照)を利用して行なうことができる。 本発明の一実施形態においては、前記親水性基材部は、前記疎水性基材にエステル加水分解酵素組成物を部分的に印刷して形成してもよい。 前記酵素組成物の印刷方法は、前記酵素組成物を前記疎水化基材に望む形象に印刷することができ、一定の厚さに均等に塗布して前記エステル加水分解酵素の反応が均等に発生することができる方法であれば、特に制限することなしに使われることができる。 本発明の一実施形態においては、前記親水性基材部は、追加的に判読確認部を有していてもよい。 前記判読確認部は、前記隠顕印刷物の隠顕内容が判読されたのか否かを非可逆的に表示する。 従って、本実施形態によれば、当該判読確認部により、隠顕内容が判読されたか否かを容易に確認することができる。 また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、疎水性基材に形成される親水性基材部を有する隠顕印刷物の印刷方法を提供する。 前記印刷方法は、以下の段階を有する。 段階(a):塩化脂肪酸を利用したガスグラフティングを行って疎水性基材を形成する段階と、段階(b):前記疎水性基材にエステル加水分解酵素組成物を部分的に0.3〜0.7g/m 2程度印刷し、常温で20〜40分間反応させて親水性基材部を形成する段階と、段階(c):前記親水性基材部が形成された疎水性基材を洗滌し、乾燥する段階と、段階(d):前記親水性基材部に判読確認部を印刷する段階。 以上説明したように本発明によれば、容易に隠顕内容を確認することができ、可逆的に隠顕内容が消えることから、隠顕印刷物の繰り返しの使用が可能である。 以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。 なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。 本明細書で言及される特許文献及び参考文献は、それぞれの文献が参照によって個別的で明確に特定されることと等しい程度に、本明細書に参照として挿入される。 本発明は、疎水性基材に形成される親水性基材部を有する隠顕印刷物とその印刷方法に関するものである。 以下に説明する、本発明の実施形態は、基材に疎水性基材部と、親水性基材部とが、区分されて形成され、水を濡らせば隠顕内容が現われ、乾燥させて水を除去することにより前記隠顕内容が消える、隠顕印刷物を提供する。 さらに、以下に説明する本発明の実施形態は、前記隠顕内容が判読されたか否かを確認することができる判読確認部を有する、隠顕印刷物を提供する。 (隠顕印刷物) 本発明の具体的な一実施形態によれば、隠顕印刷物は、水の存在による可逆的隠顕現象を見せる。 前記用語「可逆的(reversible)」は、隠顕特性が特定の環境によって繰り返し現われることができることを意味する。 本実施形態の隠顕印刷物は、水分を含んだ(水に濡らされた)特定の環境で隠顕内容が現われ、水分が除去されれば隠顕内容が消える。 一方、従来の隠顕印刷物においては、隠顕インクを使う。 この隠顕インクは、金属塩、酸、または塩基を使うため、これを製造するための試薬及び設備を要する。 しかし、本実施形態の隠顕印刷物は、隠顕インクを使わないので、隠顕インクの製造に対する費用が発生しないという長所がある。 また、従来技術の隠顕印刷物に使う隠顕インクは、非可逆的隠顕現象を見せるために、隠顕内容が判読された後には廃棄しなければならなかった。 しかし、本実施形態の隠顕印刷物は、水の存在の有無によって可逆的に隠顕現象を見せるので、繰り返し使うことができるという長所がある。 (隠顕印刷物の基材) 本発明の一実施形態によれば、本実施形態の疎水性基材は、水酸基(−OH)を持つ基材に塩化脂肪酸ガスグラフティングを行って疎水化処理したものである。 すなわち、前記疎水性基材は、塩化脂肪酸ガスグラフティングによる疎水化処理面である。 前記水酸基(−OH)を持つ基材は、セルロース、またはポリビニールアルコール(polyvinyl alcohol、PVA)であることができ、好ましくは、紙または板紙であることかできる。 前記水酸基(−OH)を持つ基材は、親水性であるため、水を吸収することができ、塩化脂肪酸ガスグラフティングを利用することにより疎水化することができる。 本発明の一実施形態によれば、隠顕印刷物は、前記塩化脂肪酸ガスグラフティングによって形成された水を吸収しない疎水性基材と、前記疎水性基材に形成された水を吸収する親水性基材部とを、有する。 したがって、前記隠顕印刷物を水に濡らせば、水を吸収した親水性基材部は暗く見え、水を吸収しない疎水性基材は明るく見えるようになる。 そこで、前記疎水性基材を、字、絵、または記号で形象化すれば、親水性基材部に水が吸収された時、疎水性基材の内容が明るく現われる。 また、前記親水性基材部の水吸収による、暗い、明るいの差は、水が乾燥されて消失することにより、一緒に消えるようになる。 従って、前記隠顕印刷物の隠顕現象は可逆的である。 上述のように、水の吸水性の差に起因して、字、絵、または記号が現われるためには、基本的に、基材は良好な水の吸水性を持つことが好ましく、前記塩化脂肪酸ガスグラフティングによる疎水化処理が容易であることが好ましい。 (隠顕印刷物の疎水性基材) 本明細書での用語「塩化脂肪酸ガスグラフティング」は、下記の反応式1のように、ガス状態の塩化脂肪酸(fatty acid chloride)を親水性基材の水酸基(−OH)と反応させて、基材に脂肪酸エステルを形成し、副産物として塩化水素(HCl)を生成する反応である。 これに対する詳細な説明は、US6,342,268号公報に開示されている。 前記塩化脂肪酸ガスグラフティングによって基材に脂肪酸エステルが形成されれば、基材は疎水性を持つようになる。 本発明の一実施形態によれば、前記塩化脂肪酸は、ミリストレイン酸(myristoleic acid)、パルミトレイン酸(palmitoleic acid)、パルミトイルクロライド(palmitoyl chloride)、サピエン酸(sapienic acid)、オレイン酸(oleic acid)、エライジン酸(eladic acid)、バクセン酸(vaccenic acid)、リノール酸(linoleic acid)、リノエライジン酸(linoelaidic acid)、α−リノレン酸(α−linolenic acid)、アラキドン酸(arachidonic acid)、エイコサペンタン酸(eicosapentanoic acid)、エルカ酸(erucic acid)、ドコサヘ� �サエン酸(docosahexaenoic acid)、カプリル酸(caprylic acid)、カプリン酸(capric acid)、ラウリン酸(lauric acid)、ミリスチン酸(myristic acid)、パルミチン酸(palmitic acid)、ステアリン酸(stearic acid)、ステアロイルクロライド(stearoyl chloride)、アラキジン酸(arachidic acid)、ベヘン酸(behenic acid)、リグノセリン酸(lignoceric acid)、または、セロチン酸(cerotic acid)から選択された一つ、または二つ以上の混合物であることができるが、これに限定されない。 好ましくは、前記塩化脂肪酸は、パルミトイルクロライド(C16)と、ステアロイルクロライド(C18)との混合物である。 前記塩化脂肪酸の分子量が小さければ、気化が容易であり、ガスグラフト反応が容易いが、脂肪エステルの結合による疎水化程度が充分でない。 一方、これと反対に前記塩化脂肪酸の分子量が大きければ、疎水化の程度は良好であるが、気化が容易ではなく、ガスグラフト反応が鈍い。 このような状況を克服するために、小さな分子量を持った塩化脂肪酸と、大きい分子量を持った塩化脂肪酸、例えば、パルミトイルクロライド(C16)と、ステアロイルクロライド(C18)とを混合して使えば、二つの塩化脂肪酸の長所を得ることができ、效率が向上する、多段階疎水化反応を行なうことができる。 当該多段階疎水化反応は、反応の初期において、塩化脂肪酸が塗布された紙の温度が充分に上昇することができない時には、気化が容易いパルミトイルクロライド(C16)が水酸基と応じて疎水化し、前記紙の温度が充分に上昇した時には、ステアロイルクロライド(C18)が反応に参加して疎水化を行なうことを意味する。 本発明の具体的な一実施形態によれば、塩化脂肪酸ガスグラフティングは、アニロックス(anilox)ローラーが適用された塩化脂肪酸ガスグラフティング設備を通じて行なうことができる。 前記アニロックスローラーが適用された塩化脂肪酸グラフティング設備は、グラビア(gravure)印刷方式を活用したものであり、大量の印刷に適合した方法である。 前記塩化脂肪酸ガスグラフティング設備の運転は、アニロックスローラーの温度を40〜80℃、塗布量を0.3〜0.7g/m 2 、乾燥ローラーの温度を170〜210℃、及び空気ナイフフラッシング用高温空気の温度を280〜320℃に設定し、運転速度を30〜70m/minに設定して、坪量50〜90gの濾過紙に対して行なうことができる。 好ましくは、前記塩化脂肪酸ガスグラフティング設備の運転はアニロックスローラーの温度を60℃、塗布量を0.5g/m 2 、乾燥ローラーの温度を190℃、及び空気ナイフフラッシング用高温空気の温度を300℃に設定して運転速度を50m/minで設定して坪量70gの濾過紙に対して行なう。 (隠顕印刷物の親水性基材部) 本発明の他の実施形態によれば、前記エステル加水分解酵素組成物は、エステラーゼ(esterase)、リパーゼ(lipase)、クチナーゼ(cutinase)、アゾルエステラーゼ(azolesterase)、タンナーゼ(tannase)、クロロフィラーゼ(chlorophyllase)、ホスホリパーゼ(phospholipase)、ホスファターゼ(phosphatase)、またはスルファターゼ(sulfatase)から選択された一つまたは二つ以上の酵素を含む組成物である。 前記エステル加水分解酵素組成物は、塩化脂肪酸によって疎水性基材の表面に存在する脂肪酸エステルのエステル結合を切って、基材の疎水性を減少させ、親水性を進める役目をする。 例えば、前記エステル加水分解酵素組成物の一例であるリパーゼは、下記の反応式のように前記脂肪酸エステルのエステル結合を取り除く。 前記疎水性基材が親水性基材部に変換される効率(変換率)は、酵素組成物の酵素活性、基質の量、酵素組成物と基質(塩化脂肪酸)との接触頻度及び反応温度によって決定される。 前記疎水性基材が前記親水性基材部への高い変換率を現わすためには、印刷を通じて塗布される前記酵素組成物の量が、前記疎水性基材に存在する脂肪酸エステルに対して適切な酵素活性を持つようにすべきである。 また、前記塗布した酵素組成物が基材の中に充分に染みこんで、基材に形成された脂肪酸エステルのエステル結合を切るべきである。 したがって、前記酵素組成物の塗布量は、前記塩化脂肪酸ガスグラフティングを通じて塗布された前記塩化脂肪酸の量によって定めることができる。 本発明の具体的な実施形態によれば、前記酵素組成物の塗布量は、表面を充分に濡らすことができる、前記塗布された塩化脂肪酸の1倍以上が望ましい。 前記酵素組成物によるエステル結合の切断は、時間と温度によって左右され、液状の酵素が乾かない限り、反応時間が長いほど、さらには、温度が55℃を上限として高いほど、反応が促進される。 塩化脂肪酸のガスグラフティングによって疎水化された表面に、液状の前記酵素組成物を塗布すれば、前記酵素組成物の浸透が難しく、塗布された面に限定された範囲でエステル結合の切断が発生する。 しかし、反応時間が経過して、徐々に疎水性基材が親水性を持つようになれば、前記酵素組成物が基材の内部に浸透し、塗布した面積よりももっと広い範囲でエステル結合の切断が発生する。 よって、前記酵素組成物を余りにたくさん塗布すれば、前記酵素組成物による親水化反応が広範囲に発生し、隠顕印刷の分解能(resolution)が低下される問題が生ずることがある。 また、前記酵素組成物の乾燥速度が余りに早い高温下では、酵素がエステル結合を切断する前に活性を失うことがある。 本発明の具体的な一実施形態によれば、前記酵素組成物は、前記疎水性基材に0.3〜0.7g/m 2程度印刷して塗布する。 好ましくは、前記酵素組成物は、前記疎水性基材に0.5g/m 2程度塗布する。 本発明の他の実施形態によれば、前記酵素組成物は、常温で20〜40分間反応させる。 好ましくは、前記酵素組成物は、常温で30分間反応させる。 前記疎水性基材にエステル加水分解酵素組成物を印刷する方法は、紙に、字、文様、パターン、などを印刷するのに利用される多様な印刷方法に使われることができる。 本実施形態にて使うことができる前記印刷方法は、例えば、インクジェット印刷、活版、線画凸版、写真版、複製版のような凸版印刷方法、描き版、転写版、卵白版、平凹板、多層版、プレセンシタイズド版(PS版)のような平板印刷方法、彫刻凹版、グラビア凹版のような凹版印刷方法、またはこれらを変形した印刷方法を挙げることができるが、これに限定されない。 好ましくは、本実施形態で使う前記印刷方法は、インクジェット印刷方法である。 (隠顕印刷物の判読確認部) (隠顕印刷方法) 先に、塩化脂肪酸ガスグラフティングの適用が可能な基材を選択して適当な大きさに切る。 前記基材は、水酸基(−OH)を持つ親水性基材であることができる。 好ましくは、セルロースを含む紙またはポリビニールアルコールであることができるが、水酸基を持つ水吸水性が良い親水性基材なら、制限なしに使うことができる。 本発明の具体的な一実施形態によれば、前記基材は、坪量60〜80gの濾過紙であることができる。 好ましくは、前記基材は、坪量70gの濾過紙であることができる。 本発明の一実施形態によれば、上述のように準備した基材の表面に塩化脂肪酸を利用したガスグラフティングを行って疎水性基材を形成する。 前記疎水性基材の形成は、前記「隠顕印刷物の疎水性基材部」で説明したので、重複を避けるためにここでは説明しない。 本発明の他の実施形態においては、前記疎水性基材にエステル加水分解酵素組成物を部分的に印刷して親水性基材部を形成する。 前記酵素組成物の印刷量は、表面を充分に濡らすことができる程度の前記塗布された塩化脂肪酸の1倍以上が望ましい。 前記酵素組成物は、インクジェットプリンターを利用して疎水性基材に印刷し塗布することができる。 前記塗布された酵素組成物の量は、酵素組成物の酵素活性、基質の量、酵素組成物と基質(塩化脂肪酸)との接触頻度、及び反応温度によって定めることができる。 前記塗布される酵素組成物の量は、前記疎水性基材の内部まで充分に染みこんで脂肪酸エステルに存在するエステル結合をすべて切断する程度の量を使うのが望ましい。 本発明の具体的な一実施形態によれば、前記疎水性基材にエステル加水分解酵素組成物を、0.3〜0.7g/m 2程度印刷し、常温で20〜40分間反応させて親水性基材部を形成する。 好ましくは、前記疎水性基材にエステル加水分解酵素を、0.5g/m 2程度印刷し、常温で30分間反応させて親水性基材部を形成する。 本発明の他の実施形態によれば、前記エステル加水分解酵素組成物は、エステラーゼ(esterase)、リパーゼ(lipase)、キュティナアゼ(cutinase)、アゾルエステラーゼ(azolesterase)、タンナーゼ(tannase)、クロロフィラーゼ(chlorophyllase)、ホスホリパーゼ(phospholipase)、ホスファターゼ(phosphatase)、またはスルファターゼ(sulfatase)から選択された一つまたは二つ以上の酵素を含む組成物である。 本発明のもう一つの実施形態によれば、前記酵素組成物を利用して形成した親水性基材部の親水性変換率は、コブサイズ(Cobb size)度の評価を利用して間接的に評価することができる。 本発明のもう一つの実施形態によれば、前記親水性基材部が形成された疎水性基材を洗浄し乾燥する。 前記洗浄と乾燥の過程を通じて、塗布された前記酵素組成物の反応を停止させるので、隠顕内容の解像度を維持することができる。 前記洗浄は、前記親水性基材に存在する前記酵素組成物が除去され、活性が消失する程度に遂行すれば良い。 前記乾燥過程は、下記の判読確認部が印刷できるように乾燥すれば良い。 本発明の一実施形態によれば、前記親水性基材部に判読確認部を印刷する。 前記判読確認部は、前記酵素組成物を印刷する方法と同様に行なうことができる。 前記判読確認部は、隠顕現象を現わすことができる。 この場合の隠顕現象は、非可逆的隠顕現象が望ましい。 例えば、前記判読確認部は、親水性インクで印刷し隠顕印刷物を水に濡らして隠顕内容を確認する時、染み現象から判読可否を表示することができる。 以上のように、本発明の実施形態によれば、隠顕印刷物は、水に濡らすことのみにより隠顕内容を確認することができるため、隠顕インク、隠顕内容の確認のための材料、試薬、または設備が必要ではないという長所がある。 また、本実施形態に係る隠顕印刷物は、水が除去されれば隠現内容が消えるために、繰り返し使うことができ、さらには、判読確認部を通じて隠顕印刷物が判読されたか否かを容易に確認することができるという長所がある。 さらに、本実施形態に係る隠顕印刷方法は、ガスグラフティング設備を利用して疎水性基材を形成し、従来からある印刷方法でエステル加水分解酵素組成物及び判読確認部を形成することができるので、大量の隠顕印刷物を経済的、效率的に製造することができる長所がある。 実施例 1. 実施例1:リパーゼを利用した隠顕印刷 韓國の京畿道の東豆川所在の離型紙生産業社(T社)に設置された塩化脂肪酸ガスグラフティング設備を活用して疎水化処理を遂行した。 坪量70gの濾過紙に塩化脂肪酸コーティングを実施し、アニロックス(anilox)ローラー塗布量を、0.5g/m 2に調整した。 塩化脂肪酸は、パルミトイルクロライド(palmitoyl chloride)(C16)とステアロイルクルロライド(stearoyl chloride)(C18)とが混合した製品を使った。 アニロックス(グラビア、gravure)ローラーの温度は60℃に固定し、乾燥ローラーの温度は190℃に調整し、エアナイフプルロシング(air knife flushing)用の高温空気(hot air)の温度を300℃にした。 前記処理条件の下に設備の運転速度を50m/minに固定し、疎水化処理を実施した後、処理された濾過紙を対象として酵素印刷を実施した。 エステル結合の切断のために酵素は、好ましくはエステラーゼを使って、より好ましくはリパーゼまたはキュティナアゼから選択された単独または混合したものを使うことが、酵素処理の費用及び収率改善の側面から経済性が高い。 本実施例1では、TLL(Thermomyces Lanuginosus)由来のリパーゼ(lipase)である、レジナアゼA2X(商品名:Resinase A2X(登録商標)、Novozymes、Denmark)を使った。 インクジェットプリンターを活用して酵素原液(酵素組成物)を、塩化脂肪酸のグラフト反応で疎水化させた濾過紙の上に、0.5g/m 2程度塗布し、30分間常温で反応させた。 前記疎水化処理された濾過紙の吸収率と疎水化濾過紙を再び酵素処理した場合の吸収率とを比較するために、30秒経過後のコブサイズ(Cobb size)度の測定結果を下記の表1に示す。 下記の表1は、塩化脂肪酸の疎水化処理の前後の濾過紙と、酵素加水分解処理された疎水化濾過紙とのコブサイズ度の比較の結果を示す。 なお、コブサイズ度は、「TAPPI TEST T 441 om-98 Water absorptiveness of sized (non-bibulous) paper, paperboard,and corrugated fiberboard (Cobb test)」に準拠して測定する。 2. 実施例2:キュティナアゼを利用した隠顕印刷 韓國の京畿道の東豆川所在の離型紙生産業社(T社)に設置された塩化脂肪酸ガスグラフティング設備を活用して疎水化処理を実施した。 坪量70gの濾過紙に塩化脂肪酸コーティングを実施し、アニロックスローラー塗布量を0.5g/m 2に調整した。 塩化脂肪酸は、パルミトイルクロライド(palmitoyl chloride)(C16)と、ステアロイルクルロライド(stearoyl chloride)(C18)とが混合した製品を使った。 アニロックス(グラビア、gravure)ローラーの温度は60℃に固定し、乾燥ローラーの温度は190℃に調整し、エアナイフプルロシング(air 3. 実施例の比較 前記の表1によれば、実施例1と2のすべてにおいて、疎水化処理によってコブサイズ度が急激に減少することを確認することができる。 このような結果は、塩化脂肪酸のガスグラフト反応を通じて、濾過紙が水を吸収しないように疎水化されたことを意味する。 本実施例から、塩化脂肪酸のガスグラフティングを遂行した濾過紙に対して、リパーゼと、キュティナアゼとを活用した加水分解処理を実施した後のコブサイズ度の値を見れば、実施例1の濾過紙の親水性が、実施例2の場合と比較して、良好だということを確認することができた。 p−ニトロフェニルミリスチン酸(p−nitro phenyl myristate)の分解率から測定した、リパーゼとキュティナゼとの活性は、それぞれ、35,056(units/mL)と、14,974(units/mL)であり、リパーゼを使った実施例1の場合が、キュティナアゼを使った実施例2の場合より、2倍以上高いためであると推察される。 なお、p−ニトロフェニルミリスチン酸の分解率に基づくリパーゼとキュティナゼとの活性の測定は、Gupta R、Rathi P、GuptaN、Bradoo Sらによる「Lipase assays for conventional and molecular screening: an overview」(Biotechnol.Appl.Biochem.37、2003、p63)に準拠して行った。 4. 可逆的隠顕印刷 前記のように、塩化脂肪酸のガスグラフト反応を通じて疎水化された濾過紙を、エステラーゼを使って再び親水化することによって隠顕印刷を具現し、図1のように処理された紙を水に濡らした時、水に濡れない部分、あるいは水に濡れる部分で絵や文字を現わすことができることを確認した。 同時に、水が乾燥した後には、前記の絵や文字が再び消えたように見えなくなることを確認したため、可逆的な隠顕印刷が可能だということを分かった。 もし、前記の方式で隠顕印刷された紙に、親水性染料を使って部分的に印刷、染色タ場合、隠顕印刷物を読んだのか否かを容易に把握することも可能である。 以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。 本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。 |