ハンチントン病を処置するための方法および組成物

申请号 JP2016528904 申请日 2014-11-11 公开(公告)号 JP2016537341A 公开(公告)日 2016-12-01
申请人 サンガモ バイオサイエンシーズ, インコーポレイテッド; サンガモ バイオサイエンシーズ, インコーポレイテッド; 发明人 エイチ. スティーブ ザン,; エイチ. スティーブ ザン,;
摘要 ハンチントン病を治療するための方法および組成物が本明細書に開示される。特に、ハンチントン疾患を治療するためにHD Htt対立遺伝子を修飾する(例えばその発現を調節する)ための方法および組成物が本明細書に提供される。ハンチントン病の動物モデルを生成するための方法および組成物もまた提供される。故に、一態様において、HD対立遺伝子(例えばHtt)の発現を調節する、遺伝子操作された(天然に存在しない)DNA結合ドメイン(例えば、ジンクフィンガータンパク質、TALエフェクター(TALE)タンパク質またはCRISPR/dCas−TF)が提供される。
权利要求

対象の中型有棘ニューロン(MSN)において、PDE10a、DARPP−32、DRD1および/またはDRD2のレベルを対照と比較して少なくとも30%増加させる方法であって、該方法は、ハンチントン病に関連する遺伝子の遺伝子抑制因子を該対象に投与する工程を含む、方法。前記PDE10a、DARPP−32、DRD1および/またはDRD2のレベルが、前記対照と比較して、少なくとも40%、もしくは少なくとも50%、またはそれ超増加する、請求項1に記載の方法。前記遺伝子抑制因子が、ハンチンチンタンパク質をコードする核酸(例えば、遺伝的DNAまたはmRNA)を阻害する、小分子、核酸またはタンパク質である、請求項1または2に記載の方法。前記遺伝子抑制因子が、ハンチンチンタンパク質をコードする核酸に特異的に結合する、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。前記遺伝子抑制因子が、遺伝子操作されたDNA結合ドメインを含む、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。前記DNA結合ドメインが、遺伝子操作されたジンクフィンガータンパク質、CRISPR/Cas系またはTALエフェクタードメインを含む、請求項5に記載の方法。前記DNA結合ドメインが、機能的ドメインに融合されている、請求項5または6に記載の方法。前記機能的ドメインが、転写抑制ドメインまたはヌクレアーゼである、請求項7に記載の方法。前記遺伝子抑制因子が、対象の中枢神経系(CNS)に投与される、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。前記遺伝子抑制因子が線条体に投与される、請求項9に記載の方法。前記遺伝子抑制因子が、ウイルスベクターまたは非ウイルスベクターを用いて投与される、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。前記非ウイルスベクターがアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターである、請求項11に記載の方法。対象においてハンチントン病を治療する方法であって、該方法は、請求項1〜12のいずれかに記載の方法に従って、中型有棘ニューロン(MSN)においてPDE10a、DARPP−32、DRD1および/またはDRD2のレベルを増加させることを含む、方法。

说明书全文

関連出願への相互参照 本出願は、2013年11月11日に出願された米国仮出願第61/902,704号の利益を主張し、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。

本開示は、遺伝子発現およびゲノム編集の分野のものである。

ハンチントン舞踏病としても知られる、ハンチントン病(HD)は、進行性の運動、認知、および精神的混乱障害である。この疾患の平均発症年齢は、35〜44歳であるが、症例の約10%においては、21歳より前に発症し、この疾患の診断後の平均寿命は、15〜18年である。有病率は、西ヨーロッパ家系で100,000人中約3〜7人である。

ハンチントン病は、1990年代初期に最初に特徴付けられたトリヌクレオチド反復伸長障害の一例である(Di Prospero and Fischbeck(2005)Nature Reviews Genetics 6:756−765を参照されたい)。これらの障害は、3つのヌクレオチドの組の不安定な反復の局所的伸長を伴い、その伸長した反復が存在する遺伝子の機能喪失、毒性機能獲得、またはそれらの両方をもたらし得る。トリヌクレオチド反復は、非コードおよびコード遺伝子領域を含む、遺伝子のいずれの部分にも位置し得る。コード領域内に位置する反復は、典型的に、反復したグルタミンコードトリプレット(CAG)またはアラニンコードトリプレット(CGA)のいずれかを伴う。非コード配列内の伸長した反復領域は、遺伝子の異常な発現につながり得る一方で、コード領域内の伸長した反復(コドン反復障害としても知られる)は、ミスフォールディングおよびタンパク質凝集を引き起こすことがある。異常なタンパク質に関連する病態生理学の正確な原因は、知られていないことが多い。典型的に、トリヌクレオチド伸長の対象となる野生型遺伝子において、これらの領域は、正常な集団において可変数の反復配列を含有するが、罹患した集団においては、反復の回数は、反復の回数の倍加から対数桁の増加まで増加し得る。HDにおいて、反復は、巨大細胞質タンパク質ハンチンチン(Htt)のN末端コード領域内に挿入される。正常なHtt対立遺伝子は、15〜20回CAG反復を含有する一方で、35回以上の反復を含有する対立遺伝子は、HDを引き起こす可能性がある対立遺伝子と見なされ、疾患を発症する危険性を付与し得る。36〜39回反復を含有する対立遺伝子は、不完全に浸透性であると見なされ、それらの対立遺伝子を内部に持つそれらの個人は、疾患を発症することもしないこともある(または後年に症状を発症することがある)一方で、40回以上の反復を含有する対立遺伝子は、完全に浸透性であると見なされる。実際、これほど多くの反復を有するHD対立遺伝子を持つ無症候性の人物は、何ら報告されてこなかった。若年発症型HD(21歳未満)を有する個人はしばしば、60回以上のCAG反復を有することが見出されている。CAG反復の増加に加えて、HDが反復配列内で+1および+2フレームシフトを伴い得、その結果、その領域が、ポリ−グルタミンではなくポリ−セリンポリペプチド(+1フレームシフトの場合にはAGC反復によってコードされる)トラックをコードすることになることもまた示されてきた(Davies and Rubinsztein(2006)Journal of Medical Genetics 43:893−896)。

HDにおいて、変異Htt対立遺伝子は、通常、優性形質として一方の親から遺伝する。HD患者から生まれた子供は、他方の親がその障害に罹患していなかった場合、疾患を発症する50%の可能性を有する。場合によっては、親は、中間のHD対立遺伝子を有し、無症候性であり得るが、反復伸長に起因して、その子供は疾患を呈する。加えて、HD対立遺伝子はまた、精子形成中の反復領域の不安定な性質に起因して重症度の増加または発症年齢の低下が数世代にわたって観察される、表現促進として知られる現象も表示し得る。

さらに、Httにおけるトリヌクレオチド伸長は、線条体における中型有棘細胞のγアミノ酪酸(GABA)投射ニューロンのニューロン喪失につながり、このニューロン喪失は、新皮質においても生じる。エンケファリンを含有し、かつ(いわゆる「間接」路において)淡蒼球外節に投射する中型有棘ニューロン(MSN)は、サブスタンスPを含有し、かつ(「直接」路において)淡蒼球内節に投射するニューロンより関係性が高いが、両方のタイプのMSNが影響される。HDにおけるMSNは、他の異常な変化(httの異常な凝集および包含、生体エネルギー不足、ニューロトフィン(neurotophin)不全、軸索輸送の障害および興奮毒性(exictotoxicity))を伴う、転写の調節不全を示す。トランスクリプトームの効果についてのメカニズムは、可溶性DNA結合転写因子の活性の変化、クロマチン生化学および組織化の異常、ならびに凝集駆動核転写因子の隔離に関連し得る(Runne et al (2008) J Neurosci 28(39):9723−9731を参照のこと)。

ハンチントン病を有する人々において侵される他の脳領域には、黒質、皮層3、5、および6、海馬のCA1領域、頭頂葉における回、小脳のプルキンエ細胞、視床下部の外側隆起核、ならびに視床の正中中心核−束傍核複合体(centromedialparafascicular)(Walker(2007)Lancet 369:218−228)が含まれる。

正常なHttタンパク質の役割は、十分に理解されていないが、それはニューロン形成、アポトーシス細胞死、および小胞輸送に関与し得る。加えて、野生型Httが、線条体ニューロンの生存促進因子である、脳由来神経栄養因子(BDNF)の産生を刺激するという証拠が存在する。HDの進行がHDのマウスモデルにおいてBDNF発現の減少と相関すること(Zuccato et al(2005)Pharmacological Research 52(2):133−139)、およびアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター媒介性遺伝子送達を介したBDNFまたはグリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)のいずれかの送達がHDのマウスモデルにおいて線条体(striatal)ニューロンを保護し得ることが示されてきた(Kells et al,(2004)Molecular Therapy 9(5):682−688)。

HDに対する治療選択肢は、現在のところ非常に限定されている。化合物ゲルダナマイシンによるシャペロニンの過剰発現または熱ショック応答の誘導等の、伸長したポリ−グルタミントラクトを通じて生じるタンパク質凝集に関連する毒性を予防するように設計された、いくつかの可能性のある手法は、インビトロモデルにおいてこれらの毒性の低減を示してきた。他の治療は、疾患の臨床徴候におけるアポトーシスの役割を標的とする。例えば、一方の親がHD対立遺伝子を含有し、他方の親がカスパーゼ1の優性阻害の対立遺伝子を有した場合のマウスの対合の子孫における動物モデルで、カスパーゼ活性の遮断を介した疾患症状の緩徐化が示されてきた。さらに、カスパーゼによる変異HD Httの切断は、疾患の病原性において役割を果たし得る。カスパーゼ−6耐性変異Httを担持するトランスジェニックマウスは、カスパーゼ非耐性変異Htt対立遺伝子を担持するマウスと比較して、正常なニューロン機能を維持することが見出され、線条体神経変性を発症しなかった(Graham et al(2006)Cell 125:1179−1191を参照されたい)。アポトーシス経路のメンバーを標的とする分子もまた、総体症状に対する緩徐化効果を有することが示されてきた。例えば、両方ともカスパーゼ活性を阻害する、化合物zVAD−fmkおよびミノサイクリンは、マウスにおいて疾患徴候を緩徐化することが示されてきた。薬物レマセミドもまた、この化合物がNDMA受容体への変異Httの結合を阻止して、神経細胞への毒性作用の行使を阻止すると考えられたため、ヒトの小規模なHD治験において使用されてきた。しかしながら、これらの治験において、ニューロン機能の統計的に有意な改善は、何ら観察されなかった。加えて、ハンチントン研究グループは、補酵素Qを使用して無作為二重盲検試験を行った。補酵素Q10で治療された患者の間でより緩徐な疾患進行の傾向が観察されたものの、総計の機能的能の低下速度における有意な変化は何ら存在しなかった。(Di Prospero and Fischbeck(同書))。米国特許公開第2011/0082093号および20130253040は、Httに標的を定められたヌクレアーゼを開示する。

ゲノムDNAの標的化切断のための様々な方法および組成物が記載されている。そのような標的化切断事象は、例えば、標的化変異誘発の誘導、細胞性DNA配列の標的化欠失の誘導、および所定の染色体遺伝子座における標的化組換えの促進のために用いることができる。例えば、米国特許第8,623,618号;同第8,034,598号;同第8,586,526号;同第6,534,261号;同第6,599,692号;同第6,503,717号;同第6,689,558号;同第7,067,317号;同第7,262,054号;同第7,888,121号;同第7,972,854号;同第7,914,796号;同第7,951,925号;同第8,110,379号;同第8,409,861号;米国特許出願公開第20030232410号;同第20050208489号;同第20050026157号;同第20060063231号;同第20080159996号;同第201000218264号;同第20120017290号;同第20110265198号;同第20130137104号;同第20130122591号;同第20130177983号および同第20130177960号ならびに米国出願第14/278,903号を参照されたく、それらの開示は、その全体が全ての目的のために参考として援用される。これらの方法は、標的DNA配列における二本鎖切断(DSB)またはニックを誘導するための操作された切断系の使用をしばしば包含し、その結果、非相同末端結合(NHEJ)のようなエラーを生じるプロセスによる切断の修復、または修復鋳型を使用した修復(相同性配向型修復またはHDR)が、遺伝子のノックアウトまたは所望の配列の挿入(標的組み込み)をもたらし得る。この技術はまた、ドナーオリゴヌクレオチドの使用を通じたゲノム配列の部位特異的変化(ゲノム領域の特異的欠失の導入、または特異的点変異もしくは局所的変化(遺伝子校正としても知られる)の導入を含む)を導入するのにも用いることができる。切断は、遺伝子操作されたジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)といった特異的ヌクレアーゼの使用を通じて、または特異的切断をガイドするための遺伝子操作されたcrRNA/tracrRNA(「単一ガイドRNA」)を伴うCRISPR/Cas系を用いて生じ得る。さらに、Argonaute系に基づいた標的化ヌクレアーゼ(例えば、「TtAgo」として知られる、T. thermophilus由来のもの、Swarts et al (2014) Nature 507(7491): 258−261を参照されたい)が開発されており、これらも、ゲノム編集および遺伝子治療における使用のための潜在能力を有し得る。

遺伝子操作された融合タンパク質もまた、標的化遺伝子の発現を調節するために開発されている。かかるタンパク質は、例えば、所望の遺伝子の発現を促進または抑制するために用いることができる(例えば、米国特許第6,534,261号;同第6,607,882号;同第6,824,978号;同第6,933,113号;同第7,013,219号;同第7,220,719号;同第8,268,618号;同第7,985,778号;同第8,586,526号;米国特許出願公開20120294838号を参照されたく、それらの開示は、全ての目的のためにその全体が参考として援用される)。 したがって、これらの有望な技術をハンチントン病の治療および予防のために活かすことができる組成物および方法の必要性が依然として存在する。

Di Prospero and Fischbeck(2005)Nature Reviews Genetics 6:756−765

概要 ハンチントン病を治療するための方法および組成物が本明細書に開示される。特に、ハンチントン疾患を治療するためにHD Htt対立遺伝子を修飾する(例えばその発現を調節する)ための方法および組成物が本明細書に提供される。ハンチントン病の動物モデルを生成するための方法および組成物もまた提供される。

故に、一態様において、HD対立遺伝子(例えばHtt)の発現を調節する、遺伝子操作された(天然に存在しない)DNA結合ドメイン(例えば、ジンクフィンガータンパク質、TALエフェクター(TALE)タンパク質またはCRISPR/dCas−TF)が提供される。遺伝子操作されたジンクフィンガータンパク質またはTALEは、DNA結合ドメイン(例えば、認識ヘリックスまたはRVD)があらかじめ選択された標的部位に結合するように改変された(例えば、選択および/または合理的設計によって)、非天然型ジンクフィンガーまたはTALEタンパク質である。本明細書に記載されるジンクフィンガータンパク質のいずれも、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれよりも多いジンクフィンガーを含んでもよく、各ジンクフィンガーが、選択された配列(複数可)(例えば遺伝子(複数可))における標的副部位に結合する認識ヘリックスを有する。同様に、本明細書に記載されるTALEタンパク質のいずれも、任意の数のTALE RVDを含んでもよい。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのRVDは、非特異的DNA結合を有する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの認識ヘリックス(またはRVD)は、非天然型である。ある特定の実施形態において、ジンクフィンガータンパク質は、表1Aおよび1Bに示される認識ヘリックスを有する。他の実施形態において、ジンクフィンガータンパク質は、表2Aおよび2Bに示される標的配列に結合する。いくつかの実施形態において、ジンクフィンガータンパク質は、表2Cにおける認識ヘリックスを含む。ある特定の実施形態において、ジンクフィンガータンパク質は、例えば、対象への投与のために、医薬組成物へと製剤化される。

HD対立遺伝子(例えば、Htt)の発現を調節する遺伝子操作された(天然に存在しない)CRISPR/Cas系もまた提供される。Cas9ヌクレアーゼドメインは、DNA切断活性を喪失するように特異的に遺伝子操作することができ(「dCas」)、そして、遺伝子発現を調節することができる機能的ドメイン(Perez−Pimera (2013) Nat Method 10(10):973−976を参照されたい)に融合されて、dCas−TFを作製することができる。dCas−TFにHtt特異的ガイドRNAが供給されると、当該系は、Htt遺伝子発現を調節する。

一態様において、HttのCAG反復領域の完全にまたは部分的に外側の配列に結合する、抑制因子(ZFP−TF、CRISPR/dCas−TFまたはTALE−TF)が提供される。別の態様において、HttのCAG反復領域内の配列に結合する、ZFP、CasまたはTALE抑制因子(ZFP−TF、CRISPR/dCas−TFまたはTALE−TF)が提供される。いくつかの実施形態において、これらのZFP−TF、CRISPR/dCasまたはTALE−TFは、野生型の反復トラクトの長さと比べて、伸長したトリヌクレオチドトラクトに優先的に結合し、それによって伸長した対立遺伝子の優先的な抑制を達成する。いくつかの実施形態において、これらのZFP−TF、CRISPR/dCas−TFまたはTALE−TFは、DNAに結合したときに多量体化を可能にする、タンパク質相互作用ドメイン(または「二量体化ドメイン」)を含む。いくつかの実施形態において、これらのZFP−TF、CRISPR/dCas−TFまたはTALE TFは、多数のZFP、dCasまたはTALEタンパク質によって、伸長した対立遺伝子が野生型対立遺伝子よりもより効率的に結合されるように、反復配列への協同的なDNA結合を達成して、変異対立遺伝子の優先的な抑制を可能にする。これらの協同的に結合するZFP−TF、CRISPR/dCas−TFまたはTALE TFは、DNAに結合したときに多量体化を可能にするタンパク質相互作用ドメインをさらに含有することもしないこともある。いくつかの実施形態において、ZFP TF、CRISPR/dCas−TFまたはTALE TFは、所与のサイズの多量体の安定な複合体を形成し、故に、ある特定の最小サイズを上回るCAGトラクトと優先的に相互作用することが可能であり、その最小サイズは、野生型CAGトラクトの長さを超える。

ある特定の実施形態において、本明細書に記載される(例えば、2本の手を持つ(two−handed)、多量体化等)ZFP、CRISPR/dCas−TFまたはTALEタンパク質は、変異Htt対立遺伝子の発現を優先的に修飾する。いくつかの実施形態において、ZFP、CRISPR/dCas−TFまたはTALEは、伸長したトラクトがポリ−グルタミンをコードする変異Htt対立遺伝子に特異的に結合する一方で、他の実施形態において、ZFP、CRISPR/dCas−TFまたはTALEは、伸長トラクトがポリ−セリンをコードする変異Htt対立遺伝子に特異的に結合する。故に、いくつかの実施形態において、ZFP−TF、CRISPR/dCas−TFまたはTALE−TFは、Htt対立遺伝子の野生型および変異型の両方を調節する。ある特定の実施形態において、ZFP、CRISPR/dCas−TFまたはTALEは、野生型Htt対立遺伝子のみを調節する。他の実施形態において、ZFP、CRISPR/dCas−TFまたはTALEは、Httの変異型のみを調節する。

他の実施形態において、伸長したHD Htt対立遺伝子に関連する既知のSNPに優先的に結合する、抑制型ZFP−TF、CRISPR/dCas−TFまたはTALE−TFが提供される。このようにして、ZFP−TF、CRISPR/dCas−TFまたはTALE−TFは、SNPを含有する変異Htt対立遺伝子に特異的であることにより、変異Htt対立遺伝子の特異的抑制を可能にする。別の態様において、野生型対立遺伝子に関連するSNPと相互作用することによって野生型Htt対立遺伝子を特異的に活性化する、ZFP−TF、CRISPR/dCas−TFまたはTALE−TFが提供される。このようにして、野生型Htt対立遺伝子のみが活性化される。

ある特定の実施形態において、本明細書に記載されるジンクフィンガータンパク質(ZFP)、dCasまたはTALEタンパク質は、融合タンパク質の一部として制御ドメイン(または機能的ドメイン)と作動的に連結させることができる。機能的ドメインは、例えば、転写活性化ドメイン、転写抑制ドメイン、および/またはヌクレアーゼ(切断)ドメインであり得る。ZFP、dCasまたはTALEとの融合のために活性化ドメインまたは抑制ドメインのいずれかを選択することによって、かかる融合タンパク質を使用して、遺伝子発現の活性化または抑制のいずれかを行うことができる。いくつかの実施形態において、変異Htt発現を下方制御するために使用することができる転写抑制ドメインに融合された、本明細書に記載される変異Httに標的を定められたZFP、dCasまたはTALEを含む、融合タンパク質が提供される。いくつかの実施形態において、野生型Htt対立遺伝子を上方制御することができる転写活性化ドメインに融合された、野生型Htt対立遺伝子に標的を定められたZFP、dCasまたはTALEを含む、融合タンパク質が提供される。ある特定の実施形態において、制御ドメインの活性は、細胞の転写機構との相互作用が外因性リガンドの不在下では起こらないように、外因性小分子またはリガンドによって制御される。かかる外部リガンドは、転写機構とのZFP−TF、CRISPR/dCas−TFまたはTALE−TFの相互作用の程度を調節する。制御ドメイン(複数可)は、1つ以上のZFP、dCasまたはTALEの間、1つ以上のZFP、dCasまたはTALEの外部、およびそれらの任意の組み合わせを含む、ZFP、dCasまたはTALEのうちの1つ以上の任意の部分(複数可)に作動的に連結されてもよい。本明細書に記載される融合タンパク質のいずれも、医薬組成物へと製剤化されてもよい。

いくつかの実施形態において、本明細書に記載される遺伝子操作されたDNA結合ドメインは、融合タンパク質の一部としてヌクレアーゼ(切断)ドメインと作動的に連結させることができる。いくつかの実施形態において、ヌクレアーゼは、Ttagoヌクレアーゼを含む。他の実施形態において、CRISPR/Cas系等のヌクレアーゼ系を、特異的な単一ガイドRNAと共に利用して、ヌクレアーゼの標的をDNAにおける標的箇所に定めてもよい。ある特定の実施形態において、かかるヌクレアーゼおよびヌクレアーゼ融合物は、誘導多能性幹細胞(iPSC)、ヒト胚性幹細胞(hESC)、間葉系幹細胞(MSC)、またはニューロン幹細胞等の幹細胞内の変異Htt対立遺伝子を標的とするために利用されてもよく、このヌクレアーゼ融合物の活性は、野生型の数のCAG反復を含有するHtt対立遺伝子をもたらすであろう。ある特定の実施形態において、修飾された幹細胞を含む医薬組成物が提供される。

なおも別の態様において、本明細書に記載されるDNA結合タンパク質のいずれかをコードするポリヌクレオチドが提供される。別の態様において、CRIPSR/Casヌクレアーゼおよび単一ガイドRNAをコードするポリヌクレオチドが提供される。かかるポリヌクレオチドは、ハンチントン病を治療することが望ましい対象に投与することができる。

依然としてさらなる態様において、本発明は、ハンチントン病の研究のための特異的モデル系を生成するための方法および組成物を提供する。ある特定の実施形態において、特定の長さ(例えば、50、80、109、および180回CAG反復)のトリヌクレオチド伸長トラクトが、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、TALE−ヌクレアーゼ(TALEN)、TtagoまたはCRISPR/Casヌクレアーゼ主導型標的組み込みを使用して野生型Htt対立遺伝子に挿入される、細胞株および動物系統を生成するために、胚性幹細胞を使用して変異Htt対立遺伝子を生成するモデルが、本明細書に提供される。ある特定の実施形態において、モデル系は、インビトロ細胞株を含む一方で、他の実施形態において、モデル系は、トランスジェニック動物を含む。本明細書に記載される動物モデルのいずれかにおいて、動物は、例えば、齧歯類(例えば、ラット、マウス)、霊長類(例えば、非ヒト霊長類)またはラビットであってもよい。したがって、本発明はまた、HDに関連する内因性遺伝子が、例えば、細胞におけるその遺伝子の野生型配列と比較して改変された細胞または細胞株を含む。細胞または細胞株は、改変についてヘテロ接合型またはホモ接合型であり得る。改変は、挿入、欠失および/またはそれらの組み合わせを含み得る。特定の実施形態において、遺伝子(例えば、Htt)は、ヌクレアーゼ(例えば、ZFN、TALEN、CRISPR/Cas系、Ttago系など)によって改変される。特定の実施形態において、改変は、ヌクレアーゼ(複数可)結合部位および/または切断部位(複数可)におけるものであるか、その近傍におけるものであり、例えば、切断の部位(複数可)の上流または下流1〜300(またはその間の任意の値)塩基対以内、より好ましくは結合および/または切断部位(複数可)のいずれかの側1〜100(またはその間の任意の値)塩基対以内、なおもより好ましくは、結合および/または切断部位(複数可)のいずれかの側1〜50(またはその間の任意の値)塩基対以内である。

他の態様において、本発明は、標的細胞へのドナー核酸の送達を含む。ドナーは、ヌクレアーゼ(複数可)をコードする核酸の前に、後に、または共に送達され得る。ドナー核酸は、細胞のゲノム(例えば、内因性遺伝子座)に組み込まれる外因性配列(導入遺伝子)を含み得る。いくつかの実施形態において、ドナーは、標的化切断部位と相同性の領域と隣接する全長遺伝子またはその断片を含み得る。いくつかの実施形態において、ドナーは、相同な領域を欠き、そして、相同性とは独立したメカニズム(すなわち、NHEJ)を通じて標的遺伝子座に組み込まれる。ドナーは、ヌクレアーゼ誘導性二本鎖切断の相同性配向型修復のための基質として用いられる場合に、内因性染色体遺伝子座において生成されるドナー特定欠失、または、それに替えて(もしくはそれに加えて)作製される内因性遺伝子座の新規な対立遺伝子形態(例えば、転写因子結合部位を切除する点変異)をもたらす任意の核酸配列(例えば、核酸)を含み得る。いくつかの態様において、ドナー核酸は、オリゴヌクレオチドであり、組み込みは、遺伝子校正事象または標的化欠失をもたらす。

いくつかの実施形態において、DNA結合タンパク質をコードするポリヌクレオチドはmRNAである。いくつかの態様において、mRNAは、化学的に修飾され得る(例えば、Kormann et al, (2011) Nature Biotechnology 29(2):154−157を参照されたい)。他の態様において、mRNAは、ARCAキャップを含み得る(米国特許第7,074,596号および同第8,153,773号を参照されたい)。さらなる実施形態において、mRNAは、非修飾ヌクレオチドと修飾ヌクレオチドとの混合物を含み得る(米国特許出願公開第2012−0195936号を参照されたい)。

なおも別の態様において、本明細書に記載されるポリヌクレオチドのいずれかを含む遺伝子送達ベクターが提供される。ある特定の実施形態において、ベクターは、アデノウイルスベクター(例えば、Ad5/F35ベクター)、組み込み能を有するもしくは組み込み欠損型レンチウイルスベクターを含むレンチウイルスベクター(LV)、またはアデノウイルス随伴ウイルスベクター(AAV)である。ある特定の実施形態において、AAVベクターは、AAV6ベクターである。故に、少なくとも1つのヌクレアーゼ(ZFNまたはTALEN)をコードする配列および/または標的遺伝子への標的組み込みのためのドナー配列を含む、アデノウイルス(Ad)ベクター、LV、またはアデノウイルス随伴ウイルスベクター(AAV)もまた本明細書に提供される。ある特定の実施形態において、Adベクターは、キメラAdベクター、例えば、Ad5/F35ベクターである。ある特定の実施形態において、レンチウイルスベクターは、インテグラーゼ欠損型レンチウイルスベクター(IDLV)または組み込み能を有するレンチウイルスベクターである。ある特定の実施形態において、ベクターは、VSV−Gエンベロープで、または他のエンベロープでシュードタイピングされる。

いくつかの実施形態において、標的対立遺伝子(例えば、変異Htt)が発現マーカーでタグされた、ハンチントン病に対するモデル系が提供される。ある特定の実施形態において、変異対立遺伝子(例えば変異Htt)がタグされる。いくつかの実施形態において、野生型対立遺伝子(例えば野生型Htt)がタグされ、さらなる実施形態において、野生型対立遺伝子および変異対立遺伝子の両方が別個の発現マーカーでタグされる。ある特定の実施形態において、モデル系は、インビトロ細胞株を含む一方で、他の実施形態において、モデル系は、トランスジェニック動物を含む。

さらに、核酸および/またはタンパク質(例えば、ZFP、CasもしくはTALEまたはZFP、CasもしくはTALEを含む融合タンパク質)を含む医薬組成物もまた提供される。例えば、ある特定の組成物は、制御配列に作動可能に連結された本明細書に記載されるZFP、CasまたはTALEのうちの1つをコードする配列を含む核酸を、薬学的に許容される担体または希釈剤と組み合わせて含み、この制御配列は、細胞内でのその核酸の発現を可能にする。ある特定の実施形態において、コードされるZFP、CRISPR/CasまたはTALEは、HD Htt対立遺伝子に特異的である。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、HD Htt対立遺伝子を調節するZFP、CRISPR/CasまたはTALE、および神経栄養因子を調節するZFP、CRISPR/CasまたはTALEを含む。タンパク質ベースの組成物は、本明細書に開示されるさらなるZFP、CRISPR/CasまたはTALEのうちの1つ、および薬学的に許容される担体または希釈剤を含む。

なおも別の態様において、本明細書に記載されるタンパク質、ポリヌクレオチド、および/または組成物のいずれかを含む、単離された細胞もまた提供される。

別の態様において、本明細書に記載される方法および組成物を使用してハンチントン病を治療するため、および/または予防するための方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態において、本方法は、ポリヌクレオチドおよび/またはタンパク質がウイルスベクター、非ウイルスベクター(例えばプラスミド)、および/またはそれらの組み合わせを使用して送達され得る、組成物を伴う。いくつかの実施形態において、本方法は、ZFPもしくはTALEを含む、または本発明のZFN、TALEN、TtagoもしくはCRISPR/Casヌクレアーゼ系により改変された、幹細胞集団を含む、組成物を伴う。

いくつかの実施形態において、本発明の方法および組成物は、中型有棘ニューロンにおける特定の遺伝子の発現を正常化および/または調節するのに用いられる。例えば、いくつかの実施形態において、方法は、ハンチントン病を有する対象の治療または予防のための、HDに関連する1つまたはそれ超のバイオマーカーの発現を変更する遺伝子抑制因子の使用を包含し、そして/または組成物は、ハンチントン病を有する対象の治療または予防のための、HDに関連する1つまたはそれ超のバイオマーカーの発現を変更する遺伝子抑制因子であり、バイオマーカーとしては、限定されるものではないが、DARPP−32A、PDE10a、Drd1および/またはDrd2が挙げられる。いくつかの実施形態において、遺伝子抑制因子は、ハンチンチンタンパク質の発現を阻害する、小分子、核酸またはタンパク質である。いくつかの実施形態において、遺伝子抑制因子は、そのゲノムDNA中の、または転写物形態(例えば、mRNA)の、ハンチンチン遺伝子に特異的に結合する。いくつかの実施形態において、遺伝子抑制因子は、外因性であり、そして/または天然に存在しない化学修飾および/または配列改変を含む。特定の実施形態では、遺伝子抑制因子は、ゲノム中の他の遺伝子への結合と比較してハンチンチン遺伝子のコード部分および/または非コード部分に特異的に結合する、ZFP、TALEまたはCasのDNA結合ドメインである。特定の他の実施形態において、遺伝子抑制因子は、転写物形態(例えば、mRNA)のハンチンチン(huntingin)遺伝子のコードおよび/または非コード部分に相補的な配列に、100%、または少なくとも90%、または少なくとも80%、または少なくとも70%、または少なくとも60%同一な配列を含むアンチセンス核酸である。ハンチンチン遺伝子の、遺伝子抑制因子が特異的に結合する部分は、少なくとも8、少なくとも10、少なくとも12、少なくとも15、少なくとも18、少なくとも20、少なくとも22、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、および/または少なくとも40ヌクレオチドまたはそれより長い長さであり得る。

本明細書に記載されるいくつかの実施形態において、例えば、対象の治療のため、または遺伝子抑制因子の試験のための、遺伝子抑制因子の使用は、非治療対照と比較して、DARPP−32A、PDE10a、Drd1および/またはDrd2のうちの1つまたはそれ超の発現の増加をもたらし得る。非治療対照は、遺伝子抑制因子を受けない、例えば、非治療対象または非治療対照細胞(例えば、MSN)である。いくつかの態様において、DARPP−22の発現は、非治療対照(例えば、非治療対象または非治療MSN細胞)と比較してMSNにおいて増加する(例えば、10%もしくはそれ超増加する、20%もしくはそれ超増加する、30%もしくはそれ超増加する、40%もしくはそれ超増加する、50%もしくはそれ超増加する、60%もしくはそれ超増加する、70%もしくはそれ超増加する、80%もしくはそれ超増加する、90%もしくはそれ超増加する、100%もしくはそれ超増加する、125%もしくはそれ超増加する、150%もしくはそれ超増加する、175%もしくはそれ超増加する、および/または200%もしくはそれ超増加する、あるいはそれらの間の任意の値増加する)。他の態様において、PDE10aのレベルは、非治療対照(例えば、非治療対象または非治療MSN細胞)と比較してMSNにおいて増加する(例えば、10%もしくはそれ超増加する、20%もしくはそれ超増加する、30%もしくはそれ超増加する、40%もしくはそれ超増加する、50%もしくはそれ超増加する、60%もしくはそれ超増加する、70%もしくはそれ超増加する、80%もしくはそれ超増加する、90%もしくはそれ超増加する、100%もしくはそれ超増加する、125%もしくはそれ超増加する、150%もしくはそれ超増加する、175%もしくはそれ超増加する、および/または200%もしくはそれ超増加する、あるいはそれらの間の任意の値増加する)。なおさらなる態様において、ドパミン受容体であるDrd1および/またはDrd2のレベルは、非治療対照(例えば、非治療対象または非治療MSN細胞)と比較してMSNにおいて増加する(例えば、10%もしくはそれ超増加する、20%もしくはそれ超増加する、30%もしくはそれ超増加する、40%もしくはそれ超増加する、50%もしくはそれ超増加する、60%もしくはそれ超増加する、70%もしくはそれ超増加する、80%もしくはそれ超増加する、90%もしくはそれ超増加する、100%もしくはそれ超増加する、125%もしくはそれ超増加する、150%もしくはそれ超増加する、175%もしくはそれ超増加する、および/または200%もしくはそれ超増加する、あるいはそれらの間の任意の値増加する)。いくつかの態様において、DARPP−32A、PDE10a、Drd1およびDrd2の任意の組み合わせのレベルが増加し、例えば、2つまたはそれ超が増加し、ここで、その2つはDARP32AおよびPDE10a、またはDARP32AおよびDrd1または任意のそのような組み合わせであり得る。他の態様において、DARPP−32A、PDE10a、Drd1およびDrd2のうちの任意の3つのレベルが増加し、一方他の態様において、DARPP−32A、PDE10a、Drd1およびDrd2のレベルは全て非治療対照(例えば、非治療対象または非治療MSN細胞)と比較して増加する。

いくつかの実施形態において、本発明の方法および組成物は、HDを有する対象(例えば、動物モデル)におけるクラスピング(clasping)行動を正常化するために用いられる。例えば、いくつかの態様において、遺伝子抑制因子の使用(例えば、対象の治療のため、または遺伝子抑制因子の試験のため)は、非治療対照と比較して、治療された対象または動物モデルにおけるクラスピングの減少をもたらし得る。いくつかの態様において、モデルは、HD R6/2マウスモデルである。いくつかの態様において、クラスピング行動は、10%もしくはそれ超減少させられるか、20%もしくはそれ超減少させられるか、30%もしくはそれ超減少させられるか、40%もしくはそれ超減少させられるか、50%もしくはそれ超減少させられるか、60%もしくはそれ超減少させられるか、70%もしくはそれ超減少させられるか、80%もしくはそれ超減少させられるか、90%もしくはそれ超減少させられるか、または100%もしくはそれ超減少させられるか、あるいはそれらの間の任意の値だけ減少させられる。いくつかの態様では、クラスピングの減少は、動物の生後7週間以内、8週間以内、9週間以内、10週間以内、11週間以内、もしくは12週間以内の、かつ/または遺伝子抑制因子による治療の2週間以内、3週間以内、4週間以内、5週間以内、6週間以内、もしくは7週間以内の動物の試験の30秒以内に観察され得る。

これらのおよび他の態様は、本開示を全体として考慮すると、当業者に容易に明らかとなろう。

図1A〜1Eは、野生型および変異(ハンチントン病、HD)ハンチンチン(Htt)対立遺伝子ならびにそれらの対立遺伝子に結合する種々のZFP−TFを描写する略図である。図1Aは、CAG反復の外側で結合し、したがって野生型対立遺伝子および変異(HD)対立遺伝子に均等に結合することが予測される、ZFP設計を示す。「KRAB」は、KOX1遺伝子からのKRAB抑制ドメインを指し、「ZFP」は、ジンクフィンガーDNA結合タンパク質を指す。「標準ZFP TF」は、ジンクフィンガーDNA結合ドメインがKRAB抑制ドメインに連結されている、ZFP転写因子融合タンパク質である。図1Bは、CAG領域内で結合するように設計されたZFP−TFを示す。図1Cは、ジンクフィンガードメインの2つのクラスタが強固なタンパク質配列によって分離されるZFP転写因子である、「2本の手を持つZFP TF」を描写する。機能的(抑制)ドメインは、この図において1つのZFPの外側に描写されるが、機能的ドメインは、ZFPの間にあっても、タンパク質のいずれかの末端上でZFPの外側にあってもよいことが明らかであろう。図1Dは、多量体化ドメイン(斑点ボックスとして描写される)を通じて多量体化することが可能であるZFP TFである、「多量体化ZFP TF」を描写する。図1Eは、2つのジンクフィンガーDNA結合ドメインが柔軟なリンカーによって連結され、またKRABドメインにも融合された、ZFP−ZFP−KRAB構成を描写する。全ての融合タンパク質において、機能的ドメインがDNA結合ドメインのいずれの末端上にもあり得、DNA結合ドメインが広範な数のジンクフィンガーを含んでもよいことは、当業者に明らかとなろう。また、機能的ドメイン(例えば、活性化、抑制、切断ドメイン)も黒の菱形を有するボックスとして図1に描写される。図に提示される例となるモデルがTALE TFにも同様に適用され得ることは、当業者に明らかとなろう。

図1A〜1Eは、野生型および変異(ハンチントン病、HD)ハンチンチン(Htt)対立遺伝子ならびにそれらの対立遺伝子に結合する種々のZFP−TFを描写する略図である。図1Aは、CAG反復の外側で結合し、したがって野生型対立遺伝子および変異(HD)対立遺伝子に均等に結合することが予測される、ZFP設計を示す。「KRAB」は、KOX1遺伝子からのKRAB抑制ドメインを指し、「ZFP」は、ジンクフィンガーDNA結合タンパク質を指す。「標準ZFP TF」は、ジンクフィンガーDNA結合ドメインがKRAB抑制ドメインに連結されている、ZFP転写因子融合タンパク質である。図1Bは、CAG領域内で結合するように設計されたZFP−TFを示す。図1Cは、ジンクフィンガードメインの2つのクラスタが強固なタンパク質配列によって分離されるZFP転写因子である、「2本の手を持つZFP TF」を描写する。機能的(抑制)ドメインは、この図において1つのZFPの外側に描写されるが、機能的ドメインは、ZFPの間にあっても、タンパク質のいずれかの末端上でZFPの外側にあってもよいことが明らかであろう。図1Dは、多量体化ドメイン(斑点ボックスとして描写される)を通じて多量体化することが可能であるZFP TFである、「多量体化ZFP TF」を描写する。図1Eは、2つのジンクフィンガーDNA結合ドメインが柔軟なリンカーによって連結され、またKRABドメインにも融合された、ZFP−ZFP−KRAB構成を描写する。全ての融合タンパク質において、機能的ドメインがDNA結合ドメインのいずれの末端上にもあり得、DNA結合ドメインが広範な数のジンクフィンガーを含んでもよいことは、当業者に明らかとなろう。また、機能的ドメイン(例えば、活性化、抑制、切断ドメイン)も黒の菱形を有するボックスとして図1に描写される。図に提示される例となるモデルがTALE TFにも同様に適用され得ることは、当業者に明らかとなろう。

図1A〜1Eは、野生型および変異(ハンチントン病、HD)ハンチンチン(Htt)対立遺伝子ならびにそれらの対立遺伝子に結合する種々のZFP−TFを描写する略図である。図1Aは、CAG反復の外側で結合し、したがって野生型対立遺伝子および変異(HD)対立遺伝子に均等に結合することが予測される、ZFP設計を示す。「KRAB」は、KOX1遺伝子からのKRAB抑制ドメインを指し、「ZFP」は、ジンクフィンガーDNA結合タンパク質を指す。「標準ZFP TF」は、ジンクフィンガーDNA結合ドメインがKRAB抑制ドメインに連結されている、ZFP転写因子融合タンパク質である。図1Bは、CAG領域内で結合するように設計されたZFP−TFを示す。図1Cは、ジンクフィンガードメインの2つのクラスタが強固なタンパク質配列によって分離されるZFP転写因子である、「2本の手を持つZFP TF」を描写する。機能的(抑制)ドメインは、この図において1つのZFPの外側に描写されるが、機能的ドメインは、ZFPの間にあっても、タンパク質のいずれかの末端上でZFPの外側にあってもよいことが明らかであろう。図1Dは、多量体化ドメイン(斑点ボックスとして描写される)を通じて多量体化することが可能であるZFP TFである、「多量体化ZFP TF」を描写する。図1Eは、2つのジンクフィンガーDNA結合ドメインが柔軟なリンカーによって連結され、またKRABドメインにも融合された、ZFP−ZFP−KRAB構成を描写する。全ての融合タンパク質において、機能的ドメインがDNA結合ドメインのいずれの末端上にもあり得、DNA結合ドメインが広範な数のジンクフィンガーを含んでもよいことは、当業者に明らかとなろう。また、機能的ドメイン(例えば、活性化、抑制、切断ドメイン)も黒の菱形を有するボックスとして図1に描写される。図に提示される例となるモデルがTALE TFにも同様に適用され得ることは、当業者に明らかとなろう。

図2A〜2Eは、CAG反復配列に結合しないZFP TFを使用した、図1Aに記載されるZFPによるHttの両方の対立遺伝子の抑制を描写する。表1Aおよび1Bに示されるZFP識別番号は、バーの下に示される。図2Aは、ヒト遺伝子における5つの遺伝子座を標的とするZFPを使用した、HEK293細胞内のヒトHtt対立遺伝子の抑制を描写する。ヒトHtt遺伝子の図表が示され、ZFP結合部位の箇所が示される。各ZFP群について、各バーは、独立したトランスフェクションを表す。図2Bは、GFP対照または18856 ZFP TF抑制因子(KOX1のKRAB抑制ドメインを含む)でトランスフェクトされた、HEK293細胞内のHttタンパク質レベルを示すウェスタンブロットを描写し、ここでNFκB p65レベル(「p65」)を使用して、均等なタンパク質ローディングを確認した。ウェスタンブロットは、ZFP−TFによるHtt発現の抑制を確認する。図2Cは、Neuro2A細胞内のマウスHtt特異的ZFPについての、図2Aと同様のデータの組を描写する。図2Aにあるように、マウスHtt遺伝子の図表が示され、ZFP結合部位の箇所が示される。図2Dおよび2Eは、異なる用量のZFP−TF mRNAをトランスフェクションに使用した、不死化線条体細胞内のマウスHtt遺伝子発現(RNA)の抑制を実証する。図2Bを除く全ての場合において、Htt mRNAレベルをリアルタイムRT−PCRによって測定し、アクチンmRNAのレベルに対して正規化した。

図2A〜2Eは、CAG反復配列に結合しないZFP TFを使用した、図1Aに記載されるZFPによるHttの両方の対立遺伝子の抑制を描写する。表1Aおよび1Bに示されるZFP識別番号は、バーの下に示される。図2Aは、ヒト遺伝子における5つの遺伝子座を標的とするZFPを使用した、HEK293細胞内のヒトHtt対立遺伝子の抑制を描写する。ヒトHtt遺伝子の図表が示され、ZFP結合部位の箇所が示される。各ZFP群について、各バーは、独立したトランスフェクションを表す。図2Bは、GFP対照または18856 ZFP TF抑制因子(KOX1のKRAB抑制ドメインを含む)でトランスフェクトされた、HEK293細胞内のHttタンパク質レベルを示すウェスタンブロットを描写し、ここでNFκB p65レベル(「p65」)を使用して、均等なタンパク質ローディングを確認した。ウェスタンブロットは、ZFP−TFによるHtt発現の抑制を確認する。図2Cは、Neuro2A細胞内のマウスHtt特異的ZFPについての、図2Aと同様のデータの組を描写する。図2Aにあるように、マウスHtt遺伝子の図表が示され、ZFP結合部位の箇所が示される。図2Dおよび2Eは、異なる用量のZFP−TF mRNAをトランスフェクションに使用した、不死化線条体細胞内のマウスHtt遺伝子発現(RNA)の抑制を実証する。図2Bを除く全ての場合において、Htt mRNAレベルをリアルタイムRT−PCRによって測定し、アクチンmRNAのレベルに対して正規化した。

図2A〜2Eは、CAG反復配列に結合しないZFP TFを使用した、図1Aに記載されるZFPによるHttの両方の対立遺伝子の抑制を描写する。表1Aおよび1Bに示されるZFP識別番号は、バーの下に示される。図2Aは、ヒト遺伝子における5つの遺伝子座を標的とするZFPを使用した、HEK293細胞内のヒトHtt対立遺伝子の抑制を描写する。ヒトHtt遺伝子の図表が示され、ZFP結合部位の箇所が示される。各ZFP群について、各バーは、独立したトランスフェクションを表す。図2Bは、GFP対照または18856 ZFP TF抑制因子(KOX1のKRAB抑制ドメインを含む)でトランスフェクトされた、HEK293細胞内のHttタンパク質レベルを示すウェスタンブロットを描写し、ここでNFκB p65レベル(「p65」)を使用して、均等なタンパク質ローディングを確認した。ウェスタンブロットは、ZFP−TFによるHtt発現の抑制を確認する。図2Cは、Neuro2A細胞内のマウスHtt特異的ZFPについての、図2Aと同様のデータの組を描写する。図2Aにあるように、マウスHtt遺伝子の図表が示され、ZFP結合部位の箇所が示される。図2Dおよび2Eは、異なる用量のZFP−TF mRNAをトランスフェクションに使用した、不死化線条体細胞内のマウスHtt遺伝子発現(RNA)の抑制を実証する。図2Bを除く全ての場合において、Htt mRNAレベルをリアルタイムRT−PCRによって測定し、アクチンmRNAのレベルに対して正規化した。

図2A〜2Eは、CAG反復配列に結合しないZFP TFを使用した、図1Aに記載されるZFPによるHttの両方の対立遺伝子の抑制を描写する。表1Aおよび1Bに示されるZFP識別番号は、バーの下に示される。図2Aは、ヒト遺伝子における5つの遺伝子座を標的とするZFPを使用した、HEK293細胞内のヒトHtt対立遺伝子の抑制を描写する。ヒトHtt遺伝子の図表が示され、ZFP結合部位の箇所が示される。各ZFP群について、各バーは、独立したトランスフェクションを表す。図2Bは、GFP対照または18856 ZFP TF抑制因子(KOX1のKRAB抑制ドメインを含む)でトランスフェクトされた、HEK293細胞内のHttタンパク質レベルを示すウェスタンブロットを描写し、ここでNFκB p65レベル(「p65」)を使用して、均等なタンパク質ローディングを確認した。ウェスタンブロットは、ZFP−TFによるHtt発現の抑制を確認する。図2Cは、Neuro2A細胞内のマウスHtt特異的ZFPについての、図2Aと同様のデータの組を描写する。図2Aにあるように、マウスHtt遺伝子の図表が示され、ZFP結合部位の箇所が示される。図2Dおよび2Eは、異なる用量のZFP−TF mRNAをトランスフェクションに使用した、不死化線条体細胞内のマウスHtt遺伝子発現(RNA)の抑制を実証する。図2Bを除く全ての場合において、Htt mRNAレベルをリアルタイムRT−PCRによって測定し、アクチンmRNAのレベルに対して正規化した。

図2A〜2Eは、CAG反復配列に結合しないZFP TFを使用した、図1Aに記載されるZFPによるHttの両方の対立遺伝子の抑制を描写する。表1Aおよび1Bに示されるZFP識別番号は、バーの下に示される。図2Aは、ヒト遺伝子における5つの遺伝子座を標的とするZFPを使用した、HEK293細胞内のヒトHtt対立遺伝子の抑制を描写する。ヒトHtt遺伝子の図表が示され、ZFP結合部位の箇所が示される。各ZFP群について、各バーは、独立したトランスフェクションを表す。図2Bは、GFP対照または18856 ZFP TF抑制因子(KOX1のKRAB抑制ドメインを含む)でトランスフェクトされた、HEK293細胞内のHttタンパク質レベルを示すウェスタンブロットを描写し、ここでNFκB p65レベル(「p65」)を使用して、均等なタンパク質ローディングを確認した。ウェスタンブロットは、ZFP−TFによるHtt発現の抑制を確認する。図2Cは、Neuro2A細胞内のマウスHtt特異的ZFPについての、図2Aと同様のデータの組を描写する。図2Aにあるように、マウスHtt遺伝子の図表が示され、ZFP結合部位の箇所が示される。図2Dおよび2Eは、異なる用量のZFP−TF mRNAをトランスフェクションに使用した、不死化線条体細胞内のマウスHtt遺伝子発現(RNA)の抑制を実証する。図2Bを除く全ての場合において、Htt mRNAレベルをリアルタイムRT−PCRによって測定し、アクチンmRNAのレベルに対して正規化した。

図3A〜3Gは、図1Bに例示される、CAG反復領域内で結合するZFPを使用することによる変異Httの選択的抑制を描写する。このモデルは、変異対立遺伝子におけるより長いCAG反復領域が、CAG標的化ZFP抑制因子分子の増加した結合を可能にすることを例示する。図3Aは、HEK293細胞内のCAG標的化ZFPによる内因性Htt遺伝子(正常なCAG反復長を有する)に対する異なる抑制因子活性を描写する。図3Bは、10〜47回CAG反復の範囲の様々な長さのCAG反復を含有するHttプロモーター/エクソン1断片によって調節される、ルシフェラーゼレポーターの抑制を示す。CAG10(2つの示される条件の各々に対する最も左側のバー)は、10回CAG反復による結果を示し、CAG17(2つの示される条件の各々に対する左から2番目のバー)は、17回CAG反復による結果を示し、CAG23(2つの示される条件の各々に対する右から2番目のバー)は、23回CAG反復による結果を示し、CAG47(2つの示される条件の各々に対する最も右側のバー)は、47回CAG反復による結果を示す。グラフの上の略図は、この系において使用されたHttプロモーター、エクソン1、CAG反復、およびレポータールシフェラーゼ遺伝子の配列を描写する。データは、CAGの数を増加させることが、CAG標的化ZFPによるHttプロモーターからの減少した発現につながることを実証する。さらに、図3Cは、試験された全ての用量で、比較的弱いCAG標的化ZFPが、正常な長さのCAG反復ならびに強力なCAG抑制因子を含有するルシフェラーゼレポーターを抑制しないが、それが、強力なCAG標的化ZFPと同様の、伸長したCAG反復を含有するルシフェラーゼレポーターの抑制を主導することを実証する。「pRL−Htt−CAG23−イントロン1」(各対の左側のバー)は、野生型対立遺伝子からの発現に対応する一方で、「pRL−HttCAG47−イントロン1」(各対の右側のバー)は、伸長した変異Htt対立遺伝子(47回CAG反復を含有する)からの発現と相関する。図3Dは、HdH(Q111/Q7)ノックインマウスに由来する不死化マウス線条体細胞内のCAG標的化ZFPによる変異Htt(111 CAG)の抑制を描写するグラフである。野生型発現は、各対の左側のバーに、ノックイン発現は、各対の右側のバーに示される。KRAB抑制ドメインに融合された、明記されるZFPを含むZFP−TFを、トランスフェクションにおいて3つの異なる濃度のZFP mRNAを使用して試験した。図3Eは、HD患者由来の線維芽細胞株(CAG15/70)におけるCAG標的化ZFPによる変異Htt抑制を描写する。この線維芽細胞株において、野生型Htt対立遺伝子は、15回CAG反復(「099T(CAG15)」、各々示される条件の中央のバー)を含み、伸長した変異Htt対立遺伝子は、70回CAG反復(「099C(CAG70)」、各々示される条件の右側のバー)を含む。図3Fは、4つの異なるHD患者由来の線維芽細胞株における変異Htt発現の選択的抑制を示す。各群の上の数字は、野生型Htt対立遺伝子上のCAG反復の回数(例えば、15または18回)、および変異対立遺伝子上のCAG反復の回数(例えば、70、67、45、および44回)を示し、ここで2つの異なる用量のZFP mRNAが試験された。各対の左側のバーは、野生型Htt発現を示し、各々の右側のバーは、変異Httの発現を示す。図3Gは、ZFP−TF 30640、32528、および30657の存在下でウェスタンブロット分析によってアッセイした、HD由来患者線維芽細胞内のHtt発現を描写する。より緩徐に移動するタンパク質バンドは、伸長した変異Htt対立遺伝子によってもたらされたものである。32528は、Httの転写開始部位(TSS)に結合し、故に、両方の対立遺伝子からの発現を阻害する一方で、30640および30657は、CAG反復(CAG)に結合する。

図3A〜3Gは、図1Bに例示される、CAG反復領域内で結合するZFPを使用することによる変異Httの選択的抑制を描写する。このモデルは、変異対立遺伝子におけるより長いCAG反復領域が、CAG標的化ZFP抑制因子分子の増加した結合を可能にすることを例示する。図3Aは、HEK293細胞内のCAG標的化ZFPによる内因性Htt遺伝子(正常なCAG反復長を有する)に対する異なる抑制因子活性を描写する。図3Bは、10〜47回CAG反復の範囲の様々な長さのCAG反復を含有するHttプロモーター/エクソン1断片によって調節される、ルシフェラーゼレポーターの抑制を示す。CAG10(2つの示される条件の各々に対する最も左側のバー)は、10回CAG反復による結果を示し、CAG17(2つの示される条件の各々に対する左から2番目のバー)は、17回CAG反復による結果を示し、CAG23(2つの示される条件の各々に対する右から2番目のバー)は、23回CAG反復による結果を示し、CAG47(2つの示される条件の各々に対する最も右側のバー)は、47回CAG反復による結果を示す。グラフの上の略図は、この系において使用されたHttプロモーター、エクソン1、CAG反復、およびレポータールシフェラーゼ遺伝子の配列を描写する。データは、CAGの数を増加させることが、CAG標的化ZFPによるHttプロモーターからの減少した発現につながることを実証する。さらに、図3Cは、試験された全ての用量で、比較的弱いCAG標的化ZFPが、正常な長さのCAG反復ならびに強力なCAG抑制因子を含有するルシフェラーゼレポーターを抑制しないが、それが、強力なCAG標的化ZFPと同様の、伸長したCAG反復を含有するルシフェラーゼレポーターの抑制を主導することを実証する。「pRL−Htt−CAG23−イントロン1」(各対の左側のバー)は、野生型対立遺伝子からの発現に対応する一方で、「pRL−HttCAG47−イントロン1」(各対の右側のバー)は、伸長した変異Htt対立遺伝子(47回CAG反復を含有する)からの発現と相関する。図3Dは、HdH(Q111/Q7)ノックインマウスに由来する不死化マウス線条体細胞内のCAG標的化ZFPによる変異Htt(111 CAG)の抑制を描写するグラフである。野生型発現は、各対の左側のバーに、ノックイン発現は、各対の右側のバーに示される。KRAB抑制ドメインに融合された、明記されるZFPを含むZFP−TFを、トランスフェクションにおいて3つの異なる濃度のZFP mRNAを使用して試験した。図3Eは、HD患者由来の線維芽細胞株(CAG15/70)におけるCAG標的化ZFPによる変異Htt抑制を描写する。この線維芽細胞株において、野生型Htt対立遺伝子は、15回CAG反復(「099T(CAG15)」、各々示される条件の中央のバー)を含み、伸長した変異Htt対立遺伝子は、70回CAG反復(「099C(CAG70)」、各々示される条件の右側のバー)を含む。図3Fは、4つの異なるHD患者由来の線維芽細胞株における変異Htt発現の選択的抑制を示す。各群の上の数字は、野生型Htt対立遺伝子上のCAG反復の回数(例えば、15または18回)、および変異対立遺伝子上のCAG反復の回数(例えば、70、67、45、および44回)を示し、ここで2つの異なる用量のZFP mRNAが試験された。各対の左側のバーは、野生型Htt発現を示し、各々の右側のバーは、変異Httの発現を示す。図3Gは、ZFP−TF 30640、32528、および30657の存在下でウェスタンブロット分析によってアッセイした、HD由来患者線維芽細胞内のHtt発現を描写する。より緩徐に移動するタンパク質バンドは、伸長した変異Htt対立遺伝子によってもたらされたものである。32528は、Httの転写開始部位(TSS)に結合し、故に、両方の対立遺伝子からの発現を阻害する一方で、30640および30657は、CAG反復(CAG)に結合する。

図3A〜3Gは、図1Bに例示される、CAG反復領域内で結合するZFPを使用することによる変異Httの選択的抑制を描写する。このモデルは、変異対立遺伝子におけるより長いCAG反復領域が、CAG標的化ZFP抑制因子分子の増加した結合を可能にすることを例示する。図3Aは、HEK293細胞内のCAG標的化ZFPによる内因性Htt遺伝子(正常なCAG反復長を有する)に対する異なる抑制因子活性を描写する。図3Bは、10〜47回CAG反復の範囲の様々な長さのCAG反復を含有するHttプロモーター/エクソン1断片によって調節される、ルシフェラーゼレポーターの抑制を示す。CAG10(2つの示される条件の各々に対する最も左側のバー)は、10回CAG反復による結果を示し、CAG17(2つの示される条件の各々に対する左から2番目のバー)は、17回CAG反復による結果を示し、CAG23(2つの示される条件の各々に対する右から2番目のバー)は、23回CAG反復による結果を示し、CAG47(2つの示される条件の各々に対する最も右側のバー)は、47回CAG反復による結果を示す。グラフの上の略図は、この系において使用されたHttプロモーター、エクソン1、CAG反復、およびレポータールシフェラーゼ遺伝子の配列を描写する。データは、CAGの数を増加させることが、CAG標的化ZFPによるHttプロモーターからの減少した発現につながることを実証する。さらに、図3Cは、試験された全ての用量で、比較的弱いCAG標的化ZFPが、正常な長さのCAG反復ならびに強力なCAG抑制因子を含有するルシフェラーゼレポーターを抑制しないが、それが、強力なCAG標的化ZFPと同様の、伸長したCAG反復を含有するルシフェラーゼレポーターの抑制を主導することを実証する。「pRL−Htt−CAG23−イントロン1」(各対の左側のバー)は、野生型対立遺伝子からの発現に対応する一方で、「pRL−HttCAG47−イントロン1」(各対の右側のバー)は、伸長した変異Htt対立遺伝子(47回CAG反復を含有する)からの発現と相関する。図3Dは、HdH(Q111/Q7)ノックインマウスに由来する不死化マウス線条体細胞内のCAG標的化ZFPによる変異Htt(111 CAG)の抑制を描写するグラフである。野生型発現は、各対の左側のバーに、ノックイン発現は、各対の右側のバーに示される。KRAB抑制ドメインに融合された、明記されるZFPを含むZFP−TFを、トランスフェクションにおいて3つの異なる濃度のZFP mRNAを使用して試験した。図3Eは、HD患者由来の線維芽細胞株(CAG15/70)におけるCAG標的化ZFPによる変異Htt抑制を描写する。この線維芽細胞株において、野生型Htt対立遺伝子は、15回CAG反復(「099T(CAG15)」、各々示される条件の中央のバー)を含み、伸長した変異Htt対立遺伝子は、70回CAG反復(「099C(CAG70)」、各々示される条件の右側のバー)を含む。図3Fは、4つの異なるHD患者由来の線維芽細胞株における変異Htt発現の選択的抑制を示す。各群の上の数字は、野生型Htt対立遺伝子上のCAG反復の回数(例えば、15または18回)、および変異対立遺伝子上のCAG反復の回数(例えば、70、67、45、および44回)を示し、ここで2つの異なる用量のZFP mRNAが試験された。各対の左側のバーは、野生型Htt発現を示し、各々の右側のバーは、変異Httの発現を示す。図3Gは、ZFP−TF 30640、32528、および30657の存在下でウェスタンブロット分析によってアッセイした、HD由来患者線維芽細胞内のHtt発現を描写する。より緩徐に移動するタンパク質バンドは、伸長した変異Htt対立遺伝子によってもたらされたものである。32528は、Httの転写開始部位(TSS)に結合し、故に、両方の対立遺伝子からの発現を阻害する一方で、30640および30657は、CAG反復(CAG)に結合する。

図3A〜3Gは、図1Bに例示される、CAG反復領域内で結合するZFPを使用することによる変異Httの選択的抑制を描写する。このモデルは、変異対立遺伝子におけるより長いCAG反復領域が、CAG標的化ZFP抑制因子分子の増加した結合を可能にすることを例示する。図3Aは、HEK293細胞内のCAG標的化ZFPによる内因性Htt遺伝子(正常なCAG反復長を有する)に対する異なる抑制因子活性を描写する。図3Bは、10〜47回CAG反復の範囲の様々な長さのCAG反復を含有するHttプロモーター/エクソン1断片によって調節される、ルシフェラーゼレポーターの抑制を示す。CAG10(2つの示される条件の各々に対する最も左側のバー)は、10回CAG反復による結果を示し、CAG17(2つの示される条件の各々に対する左から2番目のバー)は、17回CAG反復による結果を示し、CAG23(2つの示される条件の各々に対する右から2番目のバー)は、23回CAG反復による結果を示し、CAG47(2つの示される条件の各々に対する最も右側のバー)は、47回CAG反復による結果を示す。グラフの上の略図は、この系において使用されたHttプロモーター、エクソン1、CAG反復、およびレポータールシフェラーゼ遺伝子の配列を描写する。データは、CAGの数を増加させることが、CAG標的化ZFPによるHttプロモーターからの減少した発現につながることを実証する。さらに、図3Cは、試験された全ての用量で、比較的弱いCAG標的化ZFPが、正常な長さのCAG反復ならびに強力なCAG抑制因子を含有するルシフェラーゼレポーターを抑制しないが、それが、強力なCAG標的化ZFPと同様の、伸長したCAG反復を含有するルシフェラーゼレポーターの抑制を主導することを実証する。「pRL−Htt−CAG23−イントロン1」(各対の左側のバー)は、野生型対立遺伝子からの発現に対応する一方で、「pRL−HttCAG47−イントロン1」(各対の右側のバー)は、伸長した変異Htt対立遺伝子(47回CAG反復を含有する)からの発現と相関する。図3Dは、HdH(Q111/Q7)ノックインマウスに由来する不死化マウス線条体細胞内のCAG標的化ZFPによる変異Htt(111 CAG)の抑制を描写するグラフである。野生型発現は、各対の左側のバーに、ノックイン発現は、各対の右側のバーに示される。KRAB抑制ドメインに融合された、明記されるZFPを含むZFP−TFを、トランスフェクションにおいて3つの異なる濃度のZFP mRNAを使用して試験した。図3Eは、HD患者由来の線維芽細胞株(CAG15/70)におけるCAG標的化ZFPによる変異Htt抑制を描写する。この線維芽細胞株において、野生型Htt対立遺伝子は、15回CAG反復(「099T(CAG15)」、各々示される条件の中央のバー)を含み、伸長した変異Htt対立遺伝子は、70回CAG反復(「099C(CAG70)」、各々示される条件の右側のバー)を含む。図3Fは、4つの異なるHD患者由来の線維芽細胞株における変異Htt発現の選択的抑制を示す。各群の上の数字は、野生型Htt対立遺伝子上のCAG反復の回数(例えば、15または18回)、および変異対立遺伝子上のCAG反復の回数(例えば、70、67、45、および44回)を示し、ここで2つの異なる用量のZFP mRNAが試験された。各対の左側のバーは、野生型Htt発現を示し、各々の右側のバーは、変異Httの発現を示す。図3Gは、ZFP−TF 30640、32528、および30657の存在下でウェスタンブロット分析によってアッセイした、HD由来患者線維芽細胞内のHtt発現を描写する。より緩徐に移動するタンパク質バンドは、伸長した変異Htt対立遺伝子によってもたらされたものである。32528は、Httの転写開始部位(TSS)に結合し、故に、両方の対立遺伝子からの発現を阻害する一方で、30640および30657は、CAG反復(CAG)に結合する。

図3A〜3Gは、図1Bに例示される、CAG反復領域内で結合するZFPを使用することによる変異Httの選択的抑制を描写する。このモデルは、変異対立遺伝子におけるより長いCAG反復領域が、CAG標的化ZFP抑制因子分子の増加した結合を可能にすることを例示する。図3Aは、HEK293細胞内のCAG標的化ZFPによる内因性Htt遺伝子(正常なCAG反復長を有する)に対する異なる抑制因子活性を描写する。図3Bは、10〜47回CAG反復の範囲の様々な長さのCAG反復を含有するHttプロモーター/エクソン1断片によって調節される、ルシフェラーゼレポーターの抑制を示す。CAG10(2つの示される条件の各々に対する最も左側のバー)は、10回CAG反復による結果を示し、CAG17(2つの示される条件の各々に対する左から2番目のバー)は、17回CAG反復による結果を示し、CAG23(2つの示される条件の各々に対する右から2番目のバー)は、23回CAG反復による結果を示し、CAG47(2つの示される条件の各々に対する最も右側のバー)は、47回CAG反復による結果を示す。グラフの上の略図は、この系において使用されたHttプロモーター、エクソン1、CAG反復、およびレポータールシフェラーゼ遺伝子の配列を描写する。データは、CAGの数を増加させることが、CAG標的化ZFPによるHttプロモーターからの減少した発現につながることを実証する。さらに、図3Cは、試験された全ての用量で、比較的弱いCAG標的化ZFPが、正常な長さのCAG反復ならびに強力なCAG抑制因子を含有するルシフェラーゼレポーターを抑制しないが、それが、強力なCAG標的化ZFPと同様の、伸長したCAG反復を含有するルシフェラーゼレポーターの抑制を主導することを実証する。「pRL−Htt−CAG23−イントロン1」(各対の左側のバー)は、野生型対立遺伝子からの発現に対応する一方で、「pRL−HttCAG47−イントロン1」(各対の右側のバー)は、伸長した変異Htt対立遺伝子(47回CAG反復を含有する)からの発現と相関する。図3Dは、HdH(Q111/Q7)ノックインマウスに由来する不死化マウス線条体細胞内のCAG標的化ZFPによる変異Htt(111 CAG)の抑制を描写するグラフである。野生型発現は、各対の左側のバーに、ノックイン発現は、各対の右側のバーに示される。KRAB抑制ドメインに融合された、明記されるZFPを含むZFP−TFを、トランスフェクションにおいて3つの異なる濃度のZFP mRNAを使用して試験した。図3Eは、HD患者由来の線維芽細胞株(CAG15/70)におけるCAG標的化ZFPによる変異Htt抑制を描写する。この線維芽細胞株において、野生型Htt対立遺伝子は、15回CAG反復(「099T(CAG15)」、各々示される条件の中央のバー)を含み、伸長した変異Htt対立遺伝子は、70回CAG反復(「099C(CAG70)」、各々示される条件の右側のバー)を含む。図3Fは、4つの異なるHD患者由来の線維芽細胞株における変異Htt発現の選択的抑制を示す。各群の上の数字は、野生型Htt対立遺伝子上のCAG反復の回数(例えば、15または18回)、および変異対立遺伝子上のCAG反復の回数(例えば、70、67、45、および44回)を示し、ここで2つの異なる用量のZFP mRNAが試験された。各対の左側のバーは、野生型Htt発現を示し、各々の右側のバーは、変異Httの発現を示す。図3Gは、ZFP−TF 30640、32528、および30657の存在下でウェスタンブロット分析によってアッセイした、HD由来患者線維芽細胞内のHtt発現を描写する。より緩徐に移動するタンパク質バンドは、伸長した変異Htt対立遺伝子によってもたらされたものである。32528は、Httの転写開始部位(TSS)に結合し、故に、両方の対立遺伝子からの発現を阻害する一方で、30640および30657は、CAG反復(CAG)に結合する。

図3A〜3Gは、図1Bに例示される、CAG反復領域内で結合するZFPを使用することによる変異Httの選択的抑制を描写する。このモデルは、変異対立遺伝子におけるより長いCAG反復領域が、CAG標的化ZFP抑制因子分子の増加した結合を可能にすることを例示する。図3Aは、HEK293細胞内のCAG標的化ZFPによる内因性Htt遺伝子(正常なCAG反復長を有する)に対する異なる抑制因子活性を描写する。図3Bは、10〜47回CAG反復の範囲の様々な長さのCAG反復を含有するHttプロモーター/エクソン1断片によって調節される、ルシフェラーゼレポーターの抑制を示す。CAG10(2つの示される条件の各々に対する最も左側のバー)は、10回CAG反復による結果を示し、CAG17(2つの示される条件の各々に対する左から2番目のバー)は、17回CAG反復による結果を示し、CAG23(2つの示される条件の各々に対する右から2番目のバー)は、23回CAG反復による結果を示し、CAG47(2つの示される条件の各々に対する最も右側のバー)は、47回CAG反復による結果を示す。グラフの上の略図は、この系において使用されたHttプロモーター、エクソン1、CAG反復、およびレポータールシフェラーゼ遺伝子の配列を描写する。データは、CAGの数を増加させることが、CAG標的化ZFPによるHttプロモーターからの減少した発現につながることを実証する。さらに、図3Cは、試験された全ての用量で、比較的弱いCAG標的化ZFPが、正常な長さのCAG反復ならびに強力なCAG抑制因子を含有するルシフェラーゼレポーターを抑制しないが、それが、強力なCAG標的化ZFPと同様の、伸長したCAG反復を含有するルシフェラーゼレポーターの抑制を主導することを実証する。「pRL−Htt−CAG23−イントロン1」(各対の左側のバー)は、野生型対立遺伝子からの発現に対応する一方で、「pRL−HttCAG47−イントロン1」(各対の右側のバー)は、伸長した変異Htt対立遺伝子(47回CAG反復を含有する)からの発現と相関する。図3Dは、HdH(Q111/Q7)ノックインマウスに由来する不死化マウス線条体細胞内のCAG標的化ZFPによる変異Htt(111 CAG)の抑制を描写するグラフである。野生型発現は、各対の左側のバーに、ノックイン発現は、各対の右側のバーに示される。KRAB抑制ドメインに融合された、明記されるZFPを含むZFP−TFを、トランスフェクションにおいて3つの異なる濃度のZFP mRNAを使用して試験した。図3Eは、HD患者由来の線維芽細胞株(CAG15/70)におけるCAG標的化ZFPによる変異Htt抑制を描写する。この線維芽細胞株において、野生型Htt対立遺伝子は、15回CAG反復(「099T(CAG15)」、各々示される条件の中央のバー)を含み、伸長した変異Htt対立遺伝子は、70回CAG反復(「099C(CAG70)」、各々示される条件の右側のバー)を含む。図3Fは、4つの異なるHD患者由来の線維芽細胞株における変異Htt発現の選択的抑制を示す。各群の上の数字は、野生型Htt対立遺伝子上のCAG反復の回数(例えば、15または18回)、および変異対立遺伝子上のCAG反復の回数(例えば、70、67、45、および44回)を示し、ここで2つの異なる用量のZFP mRNAが試験された。各対の左側のバーは、野生型Htt発現を示し、各々の右側のバーは、変異Httの発現を示す。図3Gは、ZFP−TF 30640、32528、および30657の存在下でウェスタンブロット分析によってアッセイした、HD由来患者線維芽細胞内のHtt発現を描写する。より緩徐に移動するタンパク質バンドは、伸長した変異Htt対立遺伝子によってもたらされたものである。32528は、Httの転写開始部位(TSS)に結合し、故に、両方の対立遺伝子からの発現を阻害する一方で、30640および30657は、CAG反復(CAG)に結合する。

図3A〜3Gは、図1Bに例示される、CAG反復領域内で結合するZFPを使用することによる変異Httの選択的抑制を描写する。このモデルは、変異対立遺伝子におけるより長いCAG反復領域が、CAG標的化ZFP抑制因子分子の増加した結合を可能にすることを例示する。図3Aは、HEK293細胞内のCAG標的化ZFPによる内因性Htt遺伝子(正常なCAG反復長を有する)に対する異なる抑制因子活性を描写する。図3Bは、10〜47回CAG反復の範囲の様々な長さのCAG反復を含有するHttプロモーター/エクソン1断片によって調節される、ルシフェラーゼレポーターの抑制を示す。CAG10(2つの示される条件の各々に対する最も左側のバー)は、10回CAG反復による結果を示し、CAG17(2つの示される条件の各々に対する左から2番目のバー)は、17回CAG反復による結果を示し、CAG23(2つの示される条件の各々に対する右から2番目のバー)は、23回CAG反復による結果を示し、CAG47(2つの示される条件の各々に対する最も右側のバー)は、47回CAG反復による結果を示す。グラフの上の略図は、この系において使用されたHttプロモーター、エクソン1、CAG反復、およびレポータールシフェラーゼ遺伝子の配列を描写する。データは、CAGの数を増加させることが、CAG標的化ZFPによるHttプロモーターからの減少した発現につながることを実証する。さらに、図3Cは、試験された全ての用量で、比較的弱いCAG標的化ZFPが、正常な長さのCAG反復ならびに強力なCAG抑制因子を含有するルシフェラーゼレポーターを抑制しないが、それが、強力なCAG標的化ZFPと同様の、伸長したCAG反復を含有するルシフェラーゼレポーターの抑制を主導することを実証する。「pRL−Htt−CAG23−イントロン1」(各対の左側のバー)は、野生型対立遺伝子からの発現に対応する一方で、「pRL−HttCAG47−イントロン1」(各対の右側のバー)は、伸長した変異Htt対立遺伝子(47回CAG反復を含有する)からの発現と相関する。図3Dは、HdH(Q111/Q7)ノックインマウスに由来する不死化マウス線条体細胞内のCAG標的化ZFPによる変異Htt(111 CAG)の抑制を描写するグラフである。野生型発現は、各対の左側のバーに、ノックイン発現は、各対の右側のバーに示される。KRAB抑制ドメインに融合された、明記されるZFPを含むZFP−TFを、トランスフェクションにおいて3つの異なる濃度のZFP mRNAを使用して試験した。図3Eは、HD患者由来の線維芽細胞株(CAG15/70)におけるCAG標的化ZFPによる変異Htt抑制を描写する。この線維芽細胞株において、野生型Htt対立遺伝子は、15回CAG反復(「099T(CAG15)」、各々示される条件の中央のバー)を含み、伸長した変異Htt対立遺伝子は、70回CAG反復(「099C(CAG70)」、各々示される条件の右側のバー)を含む。図3Fは、4つの異なるHD患者由来の線維芽細胞株における変異Htt発現の選択的抑制を示す。各群の上の数字は、野生型Htt対立遺伝子上のCAG反復の回数(例えば、15または18回)、および変異対立遺伝子上のCAG反復の回数(例えば、70、67、45、および44回)を示し、ここで2つの異なる用量のZFP mRNAが試験された。各対の左側のバーは、野生型Htt発現を示し、各々の右側のバーは、変異Httの発現を示す。図3Gは、ZFP−TF 30640、32528、および30657の存在下でウェスタンブロット分析によってアッセイした、HD由来患者線維芽細胞内のHtt発現を描写する。より緩徐に移動するタンパク質バンドは、伸長した変異Htt対立遺伝子によってもたらされたものである。32528は、Httの転写開始部位(TSS)に結合し、故に、両方の対立遺伝子からの発現を阻害する一方で、30640および30657は、CAG反復(CAG)に結合する。

図4Aおよび4Bは、CAG反復に標的を定められたZFPのパネルによるHD患者由来の線維芽細胞株における変異Httの抑制を描写する。0.1ng〜3μgの様々なRNA濃度を使用した。図4Aおよび4Bにおいて、各々示される条件の左側のバーは、総計のHtt発現を示し、中央のバーは、線維芽細胞内のHttの発現を示し、このHtt対立遺伝子は、18回CAG反復(「099T(CAG18)」)を含み、伸長した変異Htt対立遺伝子は、45回CAG反復099T(CAG45)を含む。

HD患者由来の線維芽細胞内のHttおよび他のCAG含有遺伝子の発現に対するCAG標的化ZFP抑制因子の効果を示す。各々示される条件の下の左側のバーは、30640による結果を示し、各々示される条件の下の中央のバーは、30675による結果を示し、右側のバーは、偽トランスフェクションを示す。

図6Aおよび6Bは、3つのCAG標的化ZFPのゲノム全域にわたる特異性を検査する実験を描写する。図6Aは、30640、30645、または33074を使用してHD線維芽細胞(CAG18(中央のバー)/CAG45、右側のバー)の6つの生物学的反復実験試料(6つの別個のトランスフェクション)に対して行われた、Htt抑制のqPCR分析を描写する。qPCRによる4つの最も類似した反復実験試料を次いで、マイクロアレイ分析のために選択し、そのデータが図6Bに提示される。

CAG17/69ニューロン幹細胞(NSC)中のHtt抑制を描写する。細胞を示される用量のZFP mRNAでトランスフェクトした。示される用量の各々の下の左側のバーは、CAG17細胞内での結果を示し、中央のバーは、野生型細胞内での結果を示し、右側のバーは、CAG69細胞内での結果を示す。

ZFP TFで処理されたHD胚性幹細胞(ESC)(CAG 17/48)から分化したニューロンにおけるHtt発現を描写する。細胞を示される用量のZFP mRNAでトランスフェクトした。

ZFP TF 30640での処置に次ぐ、R6/2マウスにおける変異Htt導入遺伝子発現の抑制を描写する。

図10A〜10Dは、図1Dに例示される、伸長したCAG反復を特異的に標的とする多量体化ドメインを有するZFPを描写する。図10Aは、次の4つの構成要素を有する単一のZFPを示す:(i)KOX抑制因子ドメイン(「抑制因子」とラベルされた楕円形);(ii)(CAG)

Nに結合する2〜6つのフィンガーのアレイ(2つが示される、「Z」とマークされた小さい楕円形)またはこの配列の並べ替え;および(iii)アンチパラレル構成で相互作用する2つの二量体化ドメイン(「d1」および「d2」とラベルされた長方形)。これらのドメインは、ZFPがCAGトラクトの主溝内で重合体化することを可能にする。図10Bは、3つのZFPの多量体による結合事象の概略を示す。任意の数の多量体を使用することができ、機能的ドメインは、個々のZFPのうちの1つ以上の上のいずれの場所に位置付けられてもよく、これらの図表は、TALE−TFにも同様に適用可能であることが明らかとなろう。図10Cは、二量体化ジンクフィンガー(DZ)の間の相互作用を介して多量体化するように設計される、4つのZFP単量体足場のタンパク質配列を示す。足場は、DZ1(配列番号180)、DZ2(配列番号181)、DZ3(配列番号182)、およびDZ4(配列番号183)と名付けられる。二量体化ジンクフィンガードメインは、下線を引かれる一方で、抑制ドメインおよび核局在化配列は、(それぞれ)太字の下線および斜体文字によって示される。図10Dは、コイルドコイル(CC)の間の相互作用を介して多量体化するように設計される、7つのZFP単量体足場のタンパク質配列を示す。足場は、CC1(配列番号184)、CC2(配列番号185)、CC3(配列番号186)、CC4(配列番号187)、CC5(配列番号188)、CC6(配列番号189)、およびCC7(配列番号190)と名付けられる。コイルドコイル配列は、下線を引かれる一方で、抑制ドメインおよび核局在化配列は、(それぞれ)太字の下線および斜体文字によって示される。設計間で異なるであろう各足場のZFP領域の箇所は、「[ZFP]」によって示される。設計間で異なるであろう各足場の(DNA結合)ZFP領域の箇所は、「[ZFP]」によって示される。

図10A〜10Dは、図1Dに例示される、伸長したCAG反復を特異的に標的とする多量体化ドメインを有するZFPを描写する。図10Aは、次の4つの構成要素を有する単一のZFPを示す:(i)KOX抑制因子ドメイン(「抑制因子」とラベルされた楕円形);(ii)(CAG)

Nに結合する2〜6つのフィンガーのアレイ(2つが示される、「Z」とマークされた小さい楕円形)またはこの配列の並べ替え;および(iii)アンチパラレル構成で相互作用する2つの二量体化ドメイン(「d1」および「d2」とラベルされた長方形)。これらのドメインは、ZFPがCAGトラクトの主溝内で重合体化することを可能にする。図10Bは、3つのZFPの多量体による結合事象の概略を示す。任意の数の多量体を使用することができ、機能的ドメインは、個々のZFPのうちの1つ以上の上のいずれの場所に位置付けられてもよく、これらの図表は、TALE−TFにも同様に適用可能であることが明らかとなろう。図10Cは、二量体化ジンクフィンガー(DZ)の間の相互作用を介して多量体化するように設計される、4つのZFP単量体足場のタンパク質配列を示す。足場は、DZ1(配列番号180)、DZ2(配列番号181)、DZ3(配列番号182)、およびDZ4(配列番号183)と名付けられる。二量体化ジンクフィンガードメインは、下線を引かれる一方で、抑制ドメインおよび核局在化配列は、(それぞれ)太字の下線および斜体文字によって示される。図10Dは、コイルドコイル(CC)の間の相互作用を介して多量体化するように設計される、7つのZFP単量体足場のタンパク質配列を示す。足場は、CC1(配列番号184)、CC2(配列番号185)、CC3(配列番号186)、CC4(配列番号187)、CC5(配列番号188)、CC6(配列番号189)、およびCC7(配列番号190)と名付けられる。コイルドコイル配列は、下線を引かれる一方で、抑制ドメインおよび核局在化配列は、(それぞれ)太字の下線および斜体文字によって示される。設計間で異なるであろう各足場のZFP領域の箇所は、「[ZFP]」によって示される。設計間で異なるであろう各足場の(DNA結合)ZFP領域の箇所は、「[ZFP]」によって示される。

図10A〜10Dは、図1Dに例示される、伸長したCAG反復を特異的に標的とする多量体化ドメインを有するZFPを描写する。図10Aは、次の4つの構成要素を有する単一のZFPを示す:(i)KOX抑制因子ドメイン(「抑制因子」とラベルされた楕円形);(ii)(CAG)

Nに結合する2〜6つのフィンガーのアレイ(2つが示される、「Z」とマークされた小さい楕円形)またはこの配列の並べ替え;および(iii)アンチパラレル構成で相互作用する2つの二量体化ドメイン(「d1」および「d2」とラベルされた長方形)。これらのドメインは、ZFPがCAGトラクトの主溝内で重合体化することを可能にする。図10Bは、3つのZFPの多量体による結合事象の概略を示す。任意の数の多量体を使用することができ、機能的ドメインは、個々のZFPのうちの1つ以上の上のいずれの場所に位置付けられてもよく、これらの図表は、TALE−TFにも同様に適用可能であることが明らかとなろう。図10Cは、二量体化ジンクフィンガー(DZ)の間の相互作用を介して多量体化するように設計される、4つのZFP単量体足場のタンパク質配列を示す。足場は、DZ1(配列番号180)、DZ2(配列番号181)、DZ3(配列番号182)、およびDZ4(配列番号183)と名付けられる。二量体化ジンクフィンガードメインは、下線を引かれる一方で、抑制ドメインおよび核局在化配列は、(それぞれ)太字の下線および斜体文字によって示される。図10Dは、コイルドコイル(CC)の間の相互作用を介して多量体化するように設計される、7つのZFP単量体足場のタンパク質配列を示す。足場は、CC1(配列番号184)、CC2(配列番号185)、CC3(配列番号186)、CC4(配列番号187)、CC5(配列番号188)、CC6(配列番号189)、およびCC7(配列番号190)と名付けられる。コイルドコイル配列は、下線を引かれる一方で、抑制ドメインおよび核局在化配列は、(それぞれ)太字の下線および斜体文字によって示される。設計間で異なるであろう各足場のZFP領域の箇所は、「[ZFP]」によって示される。設計間で異なるであろう各足場の(DNA結合)ZFP領域の箇所は、「[ZFP]」によって示される。

図10A〜10Dは、図1Dに例示される、伸長したCAG反復を特異的に標的とする多量体化ドメインを有するZFPを描写する。図10Aは、次の4つの構成要素を有する単一のZFPを示す:(i)KOX抑制因子ドメイン(「抑制因子」とラベルされた楕円形);(ii)(CAG)

Nに結合する2〜6つのフィンガーのアレイ(2つが示される、「Z」とマークされた小さい楕円形)またはこの配列の並べ替え;および(iii)アンチパラレル構成で相互作用する2つの二量体化ドメイン(「d1」および「d2」とラベルされた長方形)。これらのドメインは、ZFPがCAGトラクトの主溝内で重合体化することを可能にする。図10Bは、3つのZFPの多量体による結合事象の概略を示す。任意の数の多量体を使用することができ、機能的ドメインは、個々のZFPのうちの1つ以上の上のいずれの場所に位置付けられてもよく、これらの図表は、TALE−TFにも同様に適用可能であることが明らかとなろう。図10Cは、二量体化ジンクフィンガー(DZ)の間の相互作用を介して多量体化するように設計される、4つのZFP単量体足場のタンパク質配列を示す。足場は、DZ1(配列番号180)、DZ2(配列番号181)、DZ3(配列番号182)、およびDZ4(配列番号183)と名付けられる。二量体化ジンクフィンガードメインは、下線を引かれる一方で、抑制ドメインおよび核局在化配列は、(それぞれ)太字の下線および斜体文字によって示される。図10Dは、コイルドコイル(CC)の間の相互作用を介して多量体化するように設計される、7つのZFP単量体足場のタンパク質配列を示す。足場は、CC1(配列番号184)、CC2(配列番号185)、CC3(配列番号186)、CC4(配列番号187)、CC5(配列番号188)、CC6(配列番号189)、およびCC7(配列番号190)と名付けられる。コイルドコイル配列は、下線を引かれる一方で、抑制ドメインおよび核局在化配列は、(それぞれ)太字の下線および斜体文字によって示される。設計間で異なるであろう各足場のZFP領域の箇所は、「[ZFP]」によって示される。設計間で異なるであろう各足場の(DNA結合)ZFP領域の箇所は、「[ZFP]」によって示される。

図11Aおよび11Bは、二量体化ドメインを有するZFP−TFの活性を描写する。図11Aにおいて、「コイルドコイル」(CC)ドメインを有するZFP−TFを、ルシフェラーゼレポーターにより試験した。pRL−Htt CAG17(各対の左側のバー)は、17回CAGを有するヒトHttプロモーター/エクソン1断片によって調節される、ウミシイタケルシフェラーゼレポーターを表し、pGL3−Htt−CAG47(各対の右側のバー)は、47回CAG反復を有するヒトHttプロモーター/エクソン1断片によって調節される、ホタルルシフェラーゼレポーターを表す。種々の二量体化ドメインの説明については、実施例10における本文を参照されたい。図11Bにおいて、二量体化ジンクフィンガー「DZ」ドメインを有するZFPを同じルシフェラーゼレポーターにより試験したところ、いくつかのZFP−TF二量体化ドメインによる増加した抑制が実証される。各二重組における左側のバーは、17回CAG反復Htt対立遺伝子からの発現を示す一方で、右側のバーは、47回CAG反復Htt対立遺伝子からの発現を示す。

図11Aおよび11Bは、二量体化ドメインを有するZFP−TFの活性を描写する。図11Aにおいて、「コイルドコイル」(CC)ドメインを有するZFP−TFを、ルシフェラーゼレポーターにより試験した。pRL−Htt CAG17(各対の左側のバー)は、17回CAGを有するヒトHttプロモーター/エクソン1断片によって調節される、ウミシイタケルシフェラーゼレポーターを表し、pGL3−Htt−CAG47(各対の右側のバー)は、47回CAG反復を有するヒトHttプロモーター/エクソン1断片によって調節される、ホタルルシフェラーゼレポーターを表す。種々の二量体化ドメインの説明については、実施例10における本文を参照されたい。図11Bにおいて、二量体化ジンクフィンガー「DZ」ドメインを有するZFPを同じルシフェラーゼレポーターにより試験したところ、いくつかのZFP−TF二量体化ドメインによる増加した抑制が実証される。各二重組における左側のバーは、17回CAG反復Htt対立遺伝子からの発現を示す一方で、右側のバーは、47回CAG反復Htt対立遺伝子からの発現を示す。

図12Aおよび12Bは、ZFP−ZFP−KOXタンパク質によるHttの抑制を描写する。図12Aは、野生型(左側のバー)、CAG18(中央のバー)、およびCAG45(右側のバー)(図12A)HD線維芽細胞内の、単一の33088および33084 ZFP−TFによるHttの抑制、ならびに33088〜33088および33088〜33084 ZFP−ZFP−KOXタンパク質による抑制を描写する。図12Bは、野生型(左側のバー)、CAG 20(中央のバー)、およびCAG41(左側のバー)HD線維芽細胞内の、33088〜33088および33088〜33084 ZFP−ZFP−KOXによるHtt抑制を描写する。

図13A〜13Eは、マウスHttの活性化を描写する。図13Aは、p65活性化ドメインに融合されたZFPを使用した、Neuro2A細胞内のRNAレベルでのマウスHtt遺伝子のZFP−TF主導型の上方制御を実証する。二重バーは、二重トランスフェクションを示す。図13Bは、ZFPによって主導される増加したHttタンパク質産生を実証する、ウェスタンブロットを描写する。図13Cは、野生型マウスHtt対立遺伝子、およびマウス配列(エクソン1のほとんどおよびイントロン1の一部、野生型対立遺伝子の略図の上の線)が、CAG伸長を有する対応するヒト配列で置換された(ノックイン対立遺伝子の略図上の線)、「ノックイン」Htt対立遺伝子を描写する。図13Dは、ノックイン対立遺伝子が、ZFP(AおよびBに示される)がマウス配列に特異的に結合するように設計されることを可能にするのに十分な配列の発散を有するように、対応するヒト配列(配列番号192)で置換されたマウス配列(配列番号191)間のアライメントを描写する。図13Eは、HdhQ111/Q7ノックインマウスに由来する不死化線条体細胞内の野生型マウスHtt対立遺伝子の特異的活性化を描写する。左側のバーは、野生型細胞内での結果を示し、右側のバーは、ノックイン変異対立遺伝子細胞内での結果を示す。

図13A〜13Eは、マウスHttの活性化を描写する。図13Aは、p65活性化ドメインに融合されたZFPを使用した、Neuro2A細胞内のRNAレベルでのマウスHtt遺伝子のZFP−TF主導型の上方制御を実証する。二重バーは、二重トランスフェクションを示す。図13Bは、ZFPによって主導される増加したHttタンパク質産生を実証する、ウェスタンブロットを描写する。図13Cは、野生型マウスHtt対立遺伝子、およびマウス配列(エクソン1のほとんどおよびイントロン1の一部、野生型対立遺伝子の略図の上の線)が、CAG伸長を有する対応するヒト配列で置換された(ノックイン対立遺伝子の略図上の線)、「ノックイン」Htt対立遺伝子を描写する。図13Dは、ノックイン対立遺伝子が、ZFP(AおよびBに示される)がマウス配列に特異的に結合するように設計されることを可能にするのに十分な配列の発散を有するように、対応するヒト配列(配列番号192)で置換されたマウス配列(配列番号191)間のアライメントを描写する。図13Eは、HdhQ111/Q7ノックインマウスに由来する不死化線条体細胞内の野生型マウスHtt対立遺伝子の特異的活性化を描写する。左側のバーは、野生型細胞内での結果を示し、右側のバーは、ノックイン変異対立遺伝子細胞内での結果を示す。

図13A〜13Eは、マウスHttの活性化を描写する。図13Aは、p65活性化ドメインに融合されたZFPを使用した、Neuro2A細胞内のRNAレベルでのマウスHtt遺伝子のZFP−TF主導型の上方制御を実証する。二重バーは、二重トランスフェクションを示す。図13Bは、ZFPによって主導される増加したHttタンパク質産生を実証する、ウェスタンブロットを描写する。図13Cは、野生型マウスHtt対立遺伝子、およびマウス配列(エクソン1のほとんどおよびイントロン1の一部、野生型対立遺伝子の略図の上の線)が、CAG伸長を有する対応するヒト配列で置換された(ノックイン対立遺伝子の略図上の線)、「ノックイン」Htt対立遺伝子を描写する。図13Dは、ノックイン対立遺伝子が、ZFP(AおよびBに示される)がマウス配列に特異的に結合するように設計されることを可能にするのに十分な配列の発散を有するように、対応するヒト配列(配列番号192)で置換されたマウス配列(配列番号191)間のアライメントを描写する。図13Eは、HdhQ111/Q7ノックインマウスに由来する不死化線条体細胞内の野生型マウスHtt対立遺伝子の特異的活性化を描写する。左側のバーは、野生型細胞内での結果を示し、右側のバーは、ノックイン変異対立遺伝子細胞内での結果を示す。

図13A〜13Eは、マウスHttの活性化を描写する。図13Aは、p65活性化ドメインに融合されたZFPを使用した、Neuro2A細胞内のRNAレベルでのマウスHtt遺伝子のZFP−TF主導型の上方制御を実証する。二重バーは、二重トランスフェクションを示す。図13Bは、ZFPによって主導される増加したHttタンパク質産生を実証する、ウェスタンブロットを描写する。図13Cは、野生型マウスHtt対立遺伝子、およびマウス配列(エクソン1のほとんどおよびイントロン1の一部、野生型対立遺伝子の略図の上の線)が、CAG伸長を有する対応するヒト配列で置換された(ノックイン対立遺伝子の略図上の線)、「ノックイン」Htt対立遺伝子を描写する。図13Dは、ノックイン対立遺伝子が、ZFP(AおよびBに示される)がマウス配列に特異的に結合するように設計されることを可能にするのに十分な配列の発散を有するように、対応するヒト配列(配列番号192)で置換されたマウス配列(配列番号191)間のアライメントを描写する。図13Eは、HdhQ111/Q7ノックインマウスに由来する不死化線条体細胞内の野生型マウスHtt対立遺伝子の特異的活性化を描写する。左側のバーは、野生型細胞内での結果を示し、右側のバーは、ノックイン変異対立遺伝子細胞内での結果を示す。

図14Aおよび14Bは、Htt特異的ZFN対でのK562細胞の処置に次ぐ、Cel−Iミスマッチアッセイ(Surveyor(商標)、Transgenomics)の結果を描写する。活性ZFNについてのNHEJ活性(インデル)パーセントは、対応するレーンの底部に示される。「GFP」は、GFPコードプラスミドでトランスフェクトされた細胞を示す。図14Aは、先のHttエクソンを切断するZFNからの結果を描写する一方で、図14Bは、停止コドン近くを切断するZFNからの結果を描写する。不活性ZFN対もまた観察した(インデル百分率で注釈を付けられていないレーン)。

図15は、いくつかの候補TALE−TFタンパク質についてのHtt抑制結果のグラフを描写する。TALE−TFをHD患者由来の線維芽細胞内(CAG 20/41)で試験した。結果は、TALE TFのうちのいくつかが全体的なHtt発現を抑制することにおいて活性であった一方で、他のものが変異Httに優先的な抑制を示したことを実証する。

図16は、クラスピング行動を示す2つの写真を描写する(Mangiarini et al (1996) Cell 87:493−605)。試験は、試験マウスをその尻尾でつまみあげることを含み、動物は表面から約12インチ上にぶら下げられるまで、このマウスは、観察者によって、滑らかな動きで優しく後ろへそして上に引っ張られる。次いで、動物は、30秒間スコア付けされる。HDマウスは、右側の写真に示されるように、「クラスピング」行動をとるが、その一方で、正常対照マウスは、左側に示されるより開放的な行動を示す。

図17は、HDのマウスモデル(R6/2)におけるクラスピング行動の図表による表示である。マウスは、30秒間ぶら下げられ、そして、その時間の期間にわたってクラスピング行動の型および長さについてスコア付けされる。観察され得るように、ZFP処置マウスは、12週間の期間にわたって、全ての時点でクラスピング行動の減少を示した。

図18は、ZFPによって処置されたR6/2マウスの脳に由来する中型有棘ニューロンについての4つのバイオマーカーの発現の変化における、図表による表示である。分析された4つのバイオマーカーである、DARPP−32、PDE10a、DRD1およびDRD2は全て、GFP発現ベクターによって処置されていたR6/2マウスの脳からのシグナルと比較して発現の増加を示した。

ハンチントン病(HD)を治療するための組成物および方法が本明細書に開示される。特に、ハンチントン病を治療するまたは予防することにおいて使用するために、ジンクフィンガータンパク質(ZFP TF)またはTALE(TALE−TF)を含むHtt調節転写因子およびかかるタンパク質を利用する方法が提供される。例えば、変異Htt対立遺伝子の発現を抑制する、または野生型Htt対立遺伝子の発現を活性化する、ZFP−TFまたはTALE−TFが提供される。加えて、HDに関連する遺伝子のゲノム構造を修飾するジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、TALEヌクレアーゼ(TALEN)、Ttago系またはCRISPR/Casヌクレアーゼ系が提供される。例えば、Httの変異型の部分を特異的に改変することが可能であるZFN、TALEN、またはCRISPR/Casヌクレアーゼ系が提供される。これらには、遺伝子操作されたジンクフィンガータンパク質または遺伝子操作されたTALEタンパク質、すなわち、既定の核酸標的配列に結合する非天然型タンパク質を使用した、組成物および方法が含まれる。

故に、本明細書に記載される方法および組成物は、ハンチントン病の治療および予防のための方法を提供し、これらの方法および組成物は、標的遺伝子を調節することが可能であるジンクフィンガー転写因子またはTALE転写因子、ならびにHttを修飾するまたは編集することが可能な遺伝子操作されたジンクフィンガーおよびTALEヌクレアーゼ、TtagoおよびCRISPR/Casヌクレアーゼ系を含むことができる。

概要 本明細書に開示される方法の実践ならびに組成物の調製および使用は、別途指定されない限り、分子生物学、生化学、クロマチン構造および分析、計算化学、細胞培養、組換えDNA、ならびに当該分野の技術の範囲内である関連分野における従来の技術を用いる。これらの技術は、文献に完全に説明されている。例えば、Sambrook et al.MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL,Second edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989および第3版2001、Ausubel et al.,CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY,John Wiley&Sons,New York,1987および定期改訂版、METHODS IN ENZYMOLOGYシリーズ、Academic Press,San Diego、Wolffe,CHROMATIN STRUCTURE AND FUNCTION,Third edition,Academic Press,San Diego,1998、METHODS IN ENZYMOLOGY,Vol.304,“Chromatin”(P.M.Wassarman and A.P.Wolffe,eds.),Academic Press,San Diego,1999、ならびにMETHODS IN MOLECULAR BIOLOGY,Vol.119,“Chromatin Protocols”(P.B.Becker,ed.)Humana Press,Totowa,1999を参照されたい。

定義 「核酸」、「ポリヌクレオチド」、および「オリゴヌクレオチド」という用語は、交換可能に使用され、線状または環状立体配座であり、かつ1本鎖または2本鎖形態のいずれかである、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド重合体を指す。本開示の目的のために、これらの用語は、重合体の長さに関して限定的であると解釈されるべきではない。この用語は、天然ヌクレオチドの既知の類似体、ならびに塩基部分、糖部分および/またはリン酸部分において修飾されるヌクレオチド(例えば、ホスホロチオエート骨格)を包含することができる。一般に、特定のヌクレオチドの類似体は、同じ塩基対形成特異性を有し、すなわち、Aの類似体は、Tと塩基対形成する。

「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」という用語は、アミノ酸残基の重合体を指すために交換可能に使用される。この用語はまた、1つ以上のアミノ酸が、対応する天然に存在するアミノ酸の化学的類似体または修飾誘導体である、アミノ酸重合体にも適用される。

「結合」は、高分子間(例えば、タンパク質と核酸との間)の配列特異的で非共有結合的な相互作用を指す。相互作用が全体として配列特異的である限り、結合相互作用の全ての構成要素が配列特異的である必要はない(例えば、DNA骨格内のリン酸残基との接触)。かかる相互作用は、一般に、10−6M−1以下の解離定数(Kd)によって特徴付けられる。「親和性」は、結合の強度を指し、すなわち、結合親和性の増加は、Kdの低下と相関している。

「結合タンパク質」は、別の分子に非共有結合的に結合することができるタンパク質である。結合タンパク質は、例えば、DNA分子(DNA結合タンパク質)、RNA分子(RNA結合タンパク質)、および/またはタンパク質分子(タンパク質結合タンパク質)に結合することができる。タンパク質結合タンパク質の場合、それは、それ自体に結合する(そしてホモ二量体、ホモ三量体等を形成する)ことができ、かつ/または、それは、異なるタンパク質(単数または複数)の1つ以上の分子に結合することができる。結合タンパク質は、1つより多くの種類の結合活性を有することができる。例えば、ジンクフィンガータンパク質は、DNA結合活性、RNA結合活性、およびタンパク質結合活性を有する。

「ジンクフィンガーDNA結合タンパク質」(または結合ドメイン)は、亜鉛イオンの配位によってその構造が安定化される結合ドメイン内のアミノ酸配列の領域である1つ以上のジンクフィンガーを通じて配列特異的な様態でDNAに結合する、タンパク質またはより大きなタンパク質内のドメインである。ジンクフィンガーDNA結合タンパク質という用語は、しばしば、ジンクフィンガータンパク質またはZFPと省略される。

「TALE DNA結合ドメイン」または「TALE」は、1つ以上のTALE反復ドメイン/単位を含むポリペプチドである。反復ドメインは、TALEの、その同族の標的DNA配列への結合に関与する。単一の「反復単位」(「反復」とも称される)は、典型的には33〜35アミノ酸長であり、天然型TALEタンパク質内の他のTALE反復配列との少なくともある程度の配列相同性を示す。例えば、米国特許第8,586,526号を参照されたい。

ジンクフィンガー結合ドメインまたはTALE DNA結合ドメインは、例えば、天然型ジンクフィンガータンパク質の認識へリックス領域の遺伝子操作(1つ以上のアミノ酸の改変)を介して、またはTALEタンパク質のRVDの遺伝子操作によって、所定のヌクレオチド配列に結合するように「遺伝子操作」することができる。したがって、遺伝子操作されたジンクフィンガータンパク質またはTALEは、非天然型であるタンパク質である。ジンクフィンガータンパク質またはTALEを遺伝子操作するための方法の非限定的な例は、設計および選択である。設計されたジンクフィンガータンパク質またはTALEは、その設計/組成が、主として合理的基準によってもたらされる、天然には生じないタンパク質である。設計のための合理的基準は、置換規則の適用、ならびに既存のZFP設計および結合データの情報を格納するデータベース内で情報を処理するためのコンピュータアルゴリズムの適用を含む。例えば、米国特許第8,586,526号、同第6,140,081号、同第6,453,242号、および同第6,534,261号を参照されたく、また、国際公開第WO98/53058号、同第WO98/53059号、同第WO98/53060号、同第WO02/016536号、および同第WO03/016496号も参照されたい。

「選択された」ジンクフィンガータンパク質またはTALEは、その産生が、主としてファージディスプレイ、相互作用トラップ、またはハイブリッド選択等の実験プロセスからもたらされる、天然には見出されないタンパク質である。例えば、米国特許第8,586,526号、第5,789,538号、同第5,925,523号、同第6,007,988号、同第6,013,453号、同第6,200,759号、国際公開第WO95/19431号、同第WO96/06166号、同第WO98/53057号、同第WO98/54311号、同第WO00/27878号、同第WO01/60970号、同第WO01/88197号、同第WO02/099084号を参照されたい。

「TtAgo」は、遺伝子サイレンシングに関係していると考えられている原核性Argonauteタンパク質である。TtAgoは細菌であるThermus thermophilusに由来する。例えば、Swarts et al, ibid, G. Sheng et al., (2013) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 111, 652を参照されたい。「TtAgo系」は、例えば、ガイドDNAを含め、TtAgo酵素による切断のために必要とされる全ての構成要素である。

「組換え」は、2つのポリヌクレオチド間における遺伝子情報の交換のプロセスを指す。本開示の目的のために、「相同組換え(HR)」は、例えば、相同性指向性の修復機構を介して細胞内の2本鎖切断の修復中に起こる、かかる交換の特殊な形態を指す。このプロセスは、ヌクレオチド配列相同性を必要とし、「標的」分子(すなわち、2本鎖切断を経験した分子)の鋳型修復のために「ドナー」分子を使用し、ドナーから標的への遺伝子情報の伝達をもたらすため、「非交差遺伝子変換」または「ショートトラクト遺伝子変換」として様々に知られている。いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、かかる伝達は、切断された標的とドナーとの間に形成するヘテロ二重鎖DNAのミスマッチ修正、および/または、標的の一部になる遺伝子情報を再合成するためにドナーが使用される「合成依存鎖アニーリング」、および/または関連プロセスに関与し得る。かかる特殊なHRは、しばしば、ドナーポリヌクレオチドの配列の一部または全てが標的ポリヌクレオチドに組み込まれるように、標的分子の配列の改変をもたらす。

本開示の方法において、本明細書に記載される1つ以上の標的化ヌクレアーゼは、既定の部位において標的配列(例えば、細胞クロマチン)に2本鎖切断を作製し、その切断領域内のヌクレオチド配列と相同性を有する「ドナー」ポリヌクレオチドを細胞に導入することができる。2本鎖切断の存在は、ドナー配列の組み込みを容易にすることが示されている。ドナー配列は、物理的に組み込まれてもよいか、または代替として、ドナーポリヌクレオチドは、相同組換えを介した切断の修復のための鋳型として使用され、その結果、ドナー内のヌクレオチド配列の全てまたは一部の細胞クロマチンへの導入をもたらす。故に、細胞クロマチン内の第1の配列は、改変することができ、特定の実施形態において、ドナーポリヌクレオチド内に存在する配列へと変換することができる。故に、「置換する」または「置換」という用語の使用は、あるヌクレオチド配列の、別のヌクレオチド配列による置換(すなわち、情報の意味における配列の置換)を表すと理解することができ、あるポリヌクレオチドの、別のポリヌクレオチドによる物理的または化学的置換は必ずしも必要ではない。

本明細書に記載される方法のいずれにおいても、細胞内のさらなる標的部位のさらなる2本鎖切断のために、ジンクフィンガーまたはTALEタンパク質のさらなる対が使用され得る。

細胞クロマチン内の目的領域内の配列の標的組換えおよび/または置換および/または改変のための方法のある特定の実施形態において、染色体配列は、外因性「ドナー」ヌクレオチド配列を用いた相同組換えによって改変される。切断領域に対して相同な配列が存在する場合、かかる相同組換えは、細胞クロマチン内の2本鎖切断の存在によって刺激される。

本明細書に記載される方法のいずれにおいても、第1のヌクレオチド配列(「ドナー配列」)は、目的領域のゲノム配列と相同ではあるが同一ではない配列を含有することができ、それによって、目的領域内に非同一配列を挿入するための相同組換えを刺激する。故に、ある特定の実施形態において、目的領域内の配列と相同であるドナー配列の一部は、置換されるゲノム配列に約80〜99%(またはその間の任意の整数)の配列同一性を示す。他の実施形態において、例えば、100を超える連続的な塩基対のドナー配列とゲノム配列との間で1つのヌクレオチドのみが異なる場合、ドナー配列とゲノム配列との間の相同性は99%よりも高い。ある特定の場合、新たな配列が目的領域に導入されるように、ドナー配列の非相同部分は、目的領域には存在しない配列を含有することがでる。これらの事例において、非相同配列には、一般に、50〜1,000塩基対(もしくはその間の任意の整数値)の配列、または目的領域内の配列と相同もしく同一である1,000を超える任意の数の塩基対が隣接する。他の実施形態において、ドナー配列は、第1の配列と非相同であり、非相同組換え機構によってゲノム内に挿入される。

本明細書に記載される方法のいずれも、目的遺伝子(複数可)の発現を妨害するドナー配列の標的組み込みによる、細胞内の1つ以上の標的配列の部分的または完全な不活性化に使用することができる。部分的または完全に不活性化された遺伝子を含む細胞株もまた提供される。

さらに、本明細書に記載される標的組み込みの方法を使用して、1つ以上の外因性配列を組み込むこともできる。外因性核酸配列は、例えば、1つ以上の遺伝子もしくはcDNA分子、または任意の種類のコードもしくは非コード配列、ならびに1つ以上の調節要素(例えば、プロモーター)を含むことができる。加えて、外因性核酸配列は、1つ以上のRNA分子(例えば、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)、阻害性RNA(RNAi)、マイクロRNA(miRNA)等)を産生し得る。

「切断」は、DNA分子の共有結合骨格の破壊を指す。切断は、リン酸ジエステル結合の酵素加分解または化学的加水分解を含むが、これらに限定されない、多様な方法によって開始することができる。1本鎖切断および2本鎖切断の両方が可能であり、2本鎖切断は、2つの別個の1本鎖切断事象の結果として生じる可能性がある。DNA切断は、平滑末端または付着端のいずれかの産生をもたらし得る。ある特定の実施形態において、融合ポリペプチドが、標的とする2本鎖DNA切断に使用される。

「切断ハーフドメイン」は、第2のポリペプチド(同一または異なる)と組み合わさって、切断活性(好ましくは、2本鎖切断活性)を有する複合体を形成するポリペプチド配列である。「第1および第2の切断ハーフドメイン」、「+および−切断ハーフドメイン」、ならびに「右および左切断ハーフドメイン」という用語は、二量体化する切断ハーフドメインの対を指すように交換可能に使用される。

「遺伝子操作された切断ハーフドメイン」は、別の切断ハーフドメイン(例えば、別の遺伝子操作された切断ハーフドメイン)と共に偏性ヘテロ二量体を形成するように修飾された切断ハーフドメインである。また、米国特許公開第2005/0064474号、同第20070218528号、同第2008/0131962号、および同第2011/0201055号も参照されたく、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。

「配列」という用語は、任意の長さのヌクレオチド配列を指し、DNAまたはRNAであり得、線状、環状、または分岐状であり得、1本鎖または2本鎖のいずれでもあり得る。「ドナー配列」という用語は、ゲノムに挿入されるヌクレオチド配列を指す。ドナー配列は、任意の長さ、例えば、2〜10,000ヌクレオチド長(またはその間もしくはそれ以上の任意の整数値)、好ましくは、約100〜1,000ヌクレオチド長(またはその間の任意の整数)、より好ましくは、約200〜500ヌクレオチド長であり得る。

「クロマチン」は、細胞ゲノムを含む核タンパク質構造である。細胞クロマチンは、核酸、主としてDNA、ならびにヒストンおよび非ヒストン染色体タンパク質を含むタンパク質を含む。真核細胞クロマチンの大半は、ヌクレオソームの形態で存在し、ヌクレオソームコアは、ヒストンH2A、H2B、H3、およびH4のうちのそれぞれ2つを含む八量体と会合した約150塩基対のDNAを含み、(生物に依存して可変長の)リンカーDNAは、ヌクレオソームコアの間に延在する。ヒストンH1の分子は、一般に、リンカーDNAと会合している。本開示の目的のために、「クロマチン」という用語は、原核および真核の両方の、全ての種類の細胞核タンパク質を包含することが意図される。細胞クロマチンは、染色体クロマチンおよびエピソームクロマチンの両方を含む。

「染色体」は、細胞のゲノムの全てまたは一部分を含むクロマチン複合体である。細胞のゲノムは、しばしば、その細胞のゲノムを含む全ての染色体の集合であるその核型によって特徴付けられる。細胞のゲノムは、1つ以上の染色体を含むことができる。

「エピソーム」は、複製する核酸、核タンパク質複合体、または細胞の染色体核型の一部ではない核酸を含む他の構造である。エピソームの例としては、プラスミドおよびある特定のウイルスゲノムが挙げられる。

「標的部位」または「標的配列」は、結合のための十分な条件が存在する場合に結合分子が結合する核酸の一部分を定義する核酸配列である。

「外因性」分子は、通常は細胞内に存在しないが、1つ以上の遺伝学的方法、生化学的方法、または他の方法によって細胞内に導入することができる分子である。「通常は細胞内に存在する」は、細胞の特定の発達段階および環境条件に対して決定される。したがって、例えば、筋肉の胚発生の間だけ存在する分子は、成体筋細胞に対する外因性分子である。同様に、熱ショックによって誘導される分子は、非熱ショック細胞に対する外因性分子である。外因性分子は、例えば、機能不全型内因性分子の機能型、または正常機能型内因性分子の機能不全型を含むことができる。

外因性分子は、とりわけ、小分子(コンビナトリアル化学プロセスによって生成されるもの等)、または高分子(タンパク質、核酸、炭水化物、脂質、糖タンパク質、リポタンパク質、多糖、上記分子の任意の修飾誘導体)、または上記分子のうちの1つ以上を含む任意の複合体等であってもよい。核酸は、DNAおよびRNAを含み、1本鎖または2本鎖であり得、線状、分岐状、または環状であり得、任意の長さであり得る。核酸は、二重鎖を形成することができるもの、ならびに三重鎖形成核酸を含む。例えば、米国特許第5,176,996号および同第5,422,251号を参照されたい。タンパク質には、DNA結合タンパク質、転写因子、クロマチン再構成因子、メチル化DNA結合タンパク質、ポリメラーゼ、メチラーゼ、デメチラーゼ、アセチラーゼ、デアセチラーゼ、キナーゼ、ホスファターゼ、インテグラーゼ、リコンビナーゼ、リガーゼ、トポイソメラーゼ、ジャイレース、およびヘリカーゼが含まれるが、これらに限定されない。

外因性分子は、内因性分子と同じ種類の分子、例えば、外因性タンパク質または核酸であり得る。例えば、外因性核酸は、感染ウイルスゲノム、細胞内に導入されたプラスミドもしくはエピソーム、または通常は細胞内に存在しない染色体を含むことができる。細胞内に外因性分子を導入するための方法は、当業者に既知であり、脂質介在性導入(すなわち、中性脂質および陽イオン性脂質を含むリポソーム)、エレクトロポレーション、直接注入、細胞融合、粒子衝突、リン酸カルシウム共沈、DEAE−デキストラン介在性導入、およびウイルスベクター媒介性導入を含むが、これらに限定されない。外因性分子はまた、内因性分子と同じ種類の分子であり得るが、細胞が由来するものとは異なる種に由来し得る。例えば、ヒト核酸配列が、もともとマウスまたはハムスターに由来する細胞株に導入されてよい。

対照的に、「内因性」分子は、特定の環境条件下で特定の発達段階にある特定の細胞内に通常存在する分子である。例えば、内因性核酸は、染色体、ミトコンドリア、クロロプラスト、もしくは他の細胞小器官のゲノム、または天然型エピソーム核酸を含むことができる。さらなる内因性分子には、タンパク質、例えば、転写因子および酵素が含まれ得る。

用語「遺伝子抑制因子」は、1つまたはそれ超の遺伝子の発現を、任意の程度に減少させる任意の分子をいう。抑制され得る遺伝子の非限定的な例としては、HDに関連するバイオマーカー(例えば、DARPP−32A、PDE10a、Drd1および/またはDrd2)が挙げられる。かかる遺伝子抑制は、対象におけるハンチントン病の治療および/または予防をもたらし得る。遺伝子抑制因子は任意の分子であり得、遺伝子(例えば、ハンチンチン遺伝子)の発現を阻害する小分子、核酸および/またはタンパク質(例えば、ジンクフィンガータンパク質、CRISPR/CasまたはTALEドメインといった天然に存在しないDNA結合ドメインを含むタンパク質)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。遺伝子抑制因子タンパク質は、融合分子を含み得、例えば、DNA結合ドメインおよび転写調節ドメインを含む融合タンパク質転写因子(例えば、ZFP−TF、CRISPR/dCas−TF、またはTALE−TF)あるいはDNA結合ドメインおよびヌクレアーゼドメインを含むヌクレアーゼ(例えば、ZFN、TALEN、CRISPR/Casおよび/またはTtagoヌクレアーゼ系)であり得る。いくつかの実施形態において、遺伝子抑制因子は、そのゲノムDNAにおける、または転写物形態(例えば、mRNA)の、ハンチンチン遺伝子に特異的に結合する。

「融合」分子は、好ましくは共有結合的に、2つ以上のサブユニット分子が連結した分子である。サブユニット分子は、同じ化学型の分子であり得るか、または異なる化学型の分子であり得る。第1の型の融合分子の例としては、融合タンパク質(例えば、ZFPまたはTALE DNA結合ドメインと1つ以上の活性化ドメインとの間の融合物)および融合核酸(例えば、上記の融合タンパク質をコードする核酸)が挙げられるが、これらに限定されない。第2の型の融合分子の例としては、三重鎖形成核酸とポリペプチドとの間の融合物、および副溝結合剤と核酸との間の融合物が挙げられるが、これらに限定されない。

細胞内の融合タンパク質の発現は、融合タンパク質の細胞への送達からもたらされ得るか、または融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドが細胞に送達され、そのポリヌクレオチドが転写され、その転写物が翻訳されて、融合タンパク質を生成することによってもたらされ得る。トランススプライシング、ポリペプチド切断、およびポリペプチド連結もまた、細胞内のタンパク質の発現に関与する可能性がある。ポリヌクレオチドおよびポリペプチドの細胞への送達方法は、本開示の他の箇所に提示される。

「多量体化ドメイン」(「二量体化ドメイン」または「タンパク質相互作用ドメイン」とも称される)は、ZFP TFまたはTALE TFのアミノ末端領域、カルボキシ末端領域、またはアミノおよびカルボキシ末端領域で組み込まれるドメインである。これらのドメインは、複数のZFP TFまたはTALE TF単位の多量体化を可能にし、その結果、トリヌクレオチド反復ドメインのより大きなトラクトが、野生型の数の長さを有するより短いトラクトと比べて、多量体化ZFP TFまたはTALE TFによって優先的に結合されるようになる。多量体化ドメインの例としては、ロイシンジッパーが挙げられる。多量体化ドメインはまた、小分子によって制御されてもよく、その多量体化ドメインは、小分子または外部リガンドの存在下でのみ別の多量体化ドメインとの相互作用を可能にするために適正な立体配座をとる。このようにして、外因性リガンドを使用して、これらのドメインの活性を制御することができる。

本開示の目的のために、「遺伝子」は、遺伝子産物(下記を参照されたい)をコードするDNA領域、および遺伝子産物の産生を制御する全てのDNA領域(かかる制御配列がコード配列および/または転写される配列に隣接しているか否かに関わらず)を含む。したがって、遺伝子には、プロモーター配列、ターミネーター、翻訳制御配列(リボソーム結合部位および内部リボソーム進入部位等)、エンハンサー、サイレンサー、インスレーター、境界要素、複製起点、マトリックス付着部位、および遺伝子座調節領域が含まれるが、必ずしもこれらに限定されない。

「遺伝子発現」は、遺伝子内に含まれる情報の遺伝子産物への変換を指す。遺伝子産物は、遺伝子の直接転写産物(例えば、mRNA、tRNA、rRNA、アンチセンスRNA、リボザイム、構造RNA、もしくは任意の他の種類のRNA)、またはmRNAの翻訳によって産生されるタンパク質であり得る。遺伝子産物にはまた、キャッピング、ポリアデニル化、メチル化、および編集等のプロセスによって修飾されたRNA、ならびに、例えば、メチル化、アセチル化、リン酸化、ユビキチン化、ADPリボシル化、ミリスチン化、およびグリコシル化によって修飾されたタンパク質も含まれる。

遺伝子発現の「調節」は、遺伝子の活性における変化を指す。発現の調節には、遺伝子の活性化および遺伝子の抑制が含まれ得るが、これらに限定されない。ゲノム編集(例えば、切断、改変、不活性化、ランダム変異)を使用して発現を調節することができる。遺伝子の不活性化は、本明細書に記載されるZFPもTALEタンパク質も含まない細胞と比較した、遺伝子発現におけるいずれの低減も指す。故に、遺伝子の不活性化は、部分的または完全であり得る。

「目的領域」は、細胞クロマチンの任意の領域であり、例えば、外因性分子に結合することが望ましい、遺伝子、または遺伝子内のもしくは遺伝子に隣接する非コード配列等である。結合は、標的DNA切断および/または標的組換えの目的のためであり得る。目的領域は、例えば、染色体、エピソーム、細胞小器官のゲノム(例えば、ミトコンドリア、クロロプラスト)、または感染ウイルスゲノム内に存在し得る。目的領域は、遺伝子のコード領域内、転写される非コード領域(例えば、リーダー配列、トレーラー配列、もしくはイントロン等)内、またはコード領域の上流もしくは下流のいずれかの非転写領域内にあり得る。目的領域は、単一のヌクレオチド対ほど小さいか、または最大2,000ヌクレオチド対長であるか、またはヌクレオチド対の任意の整数値であり得る。

「真核」細胞には、真菌細胞(酵母等)、植物細胞、動物細胞、哺乳類細胞、およびヒト細胞(例えば、T細胞)が含まれるが、これらに限定されない。

「作動的な連結」および「作動的に連結された」(または「作動可能に連結された」)という用語は、両方の構成要素が正常に機能し、構成要素のうちの少なくとも1つが、他の構成要素のうちの少なくとも1つに対して発揮される機能を媒介できる可能性を許容するように構成要素が配置された、2つ以上の構成要素(配列要素等)の並置を指して交換可能に使用される。例示説明として、転写制御配列が、1つ以上の転写制御因子の有無に応じてコード配列の転写レベルを調節する場合、プロモーター等の転写制御配列がコード配列に作動的に連結される。転写制御配列は、一般に、コード配列と共にシスに作動的に連結されるが、それに直接隣接する必要はない。例えば、エンハンサーは、たとえそれらが近接していない場合でも、コード配列に作動的に連結された転写制御配列である。

融合ポリペプチドに関して、「作動的に連結された」という用語は、構成要素の各々が、そのように連結されていない場合に実行したであろう機能と同じ機能を、他の構成要素との連結において実行するという事実を指すことができる。例えば、ZFPまたはTALE DNA結合ドメインが活性化ドメインに融合された融合ポリペプチドに関して、融合ポリペプチドにおいて、ZFPまたはTALE DNA結合ドメイン部分が、その標的部位および/またはその結合部位に結合することができる一方で、活性化ドメインが遺伝子発現を上方制御することが可能である場合、ZFPまたはTALE DNA結合ドメインと活性化ドメインとは作動的に連結している。遺伝子発現を制御することが可能なドメインに融合されたZFPは、集合的に「ZFP−TF」または「ジンクフィンガー転写因子」と称される一方で、遺伝子発現を制御することが可能なドメインに融合されたTALEは、集合的に「TALE−TF」または「TALE転写因子」と称される。ZFP DNA結合ドメインが切断ドメインに融合された融合ポリペプチド(「ZFN」または「ジンクフィンガーヌクレアーゼ」)の場合、融合ポリペプチドにおいて、ZFP DNA結合ドメイン部分が、その標的部位および/またはその結合部位に結合可能である一方で、切断ドメインが、標的部位の近傍でDNAを切断可能である場合、ZFP DNA結合ドメインと切断ドメインとは作動的に連結している。TALE DNA結合ドメインが切断ドメインに融合された融合ポリペプチド(「TALEN」または「TALEヌクレアーゼ」)の場合、融合ポリペプチドにおいて、TALE DNA結合ドメイン部分が、その標的部位および/またはその結合部位に結合可能である一方で、切断ドメインが、標的部位の近傍でDNAを切断可能である場合、TALE DNA結合ドメインと切断ドメインとは作動的に連結している。

タンパク質、ポリペプチド、または核酸の「機能的断片」は、その配列が、完全長のタンパク質、ポリペプチド、または核酸と同一ではないが、完全長のタンパク質、ポリペプチド、または核酸と同じ機能を保持するタンパク質、ポリペプチド、または核酸である。機能的断片は、対応する天然の分子よりも多いか、少ないか、もしくは同じ数の残基を有することができ、かつ/または、1つ以上のアミノ酸もしくはヌクレオチド置換を含有することができる。核酸の機能(例えば、コード機能、別の核酸にハイブリダイズする能力)を決定するための方法は、当該技術分野において周知である。同様に、タンパク質の機能を決定するための方法も周知である。例えば、ポリペプチドのDNA結合機能は、例えば、フィルター結合アッセイ、電気泳動移動度シフトアッセイ、または免疫沈降アッセイによって決定することができる。DNA切断は、ゲル電気泳動によって評価することができる。上記のAusubelらを参照されたい。タンパク質が別のタンパク質と相互作用する能力は、例えば、免疫共沈降、ツーハイブリッドアッセイ、または相補性(遺伝子的相補性もしくは生化学的相補性の両方)によって決定することができる。例えば、Fields et al.(1989)Nature 340:245−246、米国特許第5,585,245号、およびPCT国際公開第WO98/44350号を参照されたい。

「ベクター」は、遺伝子配列を標的細胞に導入することが可能である。典型的には、「ベクター構築物」、「発現ベクター」、および「遺伝子導入ベクター」は、目的遺伝子の発現を誘導することが可能であり、かつ、遺伝子配列を標的細胞に導入することができる、任意の核酸構築物を意味する。故に、この用語は、クローニング、および発現ビヒクル、ならびに組み込みベクターを包含する。

「レポーター遺伝子」または「レポーター配列」は、必ずしも必要でないが好ましくは通例のアッセイにおいて、容易に測定される、タンパク質産物を産生する任意の配列を指す。好適なレポーター遺伝子には、抗体の耐性(例えばアンピシリン耐性、ネオマイシン耐性、G418耐性、ピューロマイシン耐性)を媒介するタンパク質をコードする配列、着色したタンパク質または蛍光タンパク質または発光タンパク質(例えば、緑色蛍光タンパク質、高感度緑色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、ルシフェラーゼ)をコードする配列、ならびに向上した細胞成長および/または遺伝子増幅を媒介するタンパク質(例えば、ジヒドロ葉酸レダクターゼ)が含まれるが、これらに限定されない。エピトープタグには、例えば、FLAG、His、myc、Tap、HA、または任意の検出可能なアミノ酸配列の1つ以上のコピーが含まれる。「発現タグ」には、目的遺伝子の発現を監視するために所望の遺伝子配列に作動可能に連結され得るレポーターをコードする配列が含まれる。

ハンチントン病のバイオマーカー 中型有棘ニューロンは、HDに高度に感受性である。エンケファリンを含有し、かつ(いわゆる「間接」路において)淡蒼球外節に投射するMSNは、サブスタンスPを含有し、かつ(「直接」路において)淡蒼球内節に投射するニューロンよりもより関係性が高いが、両方のタイプのMSNが影響される。HDにおけるMSNは、httの異常な凝集および包含、生体エネルギー不足、ニューロトフィン(neurotophin)不全、転写の調節不全、軸索輸送の障害および興奮毒性(exictotoxicity)を示す。

例えば、DARPP−32(ドパミン−および−cAMP−調節リンタンパク質、Mr 32kDa)は、線条体におけるドパミンおよびプロテインキナーゼAの主要な標的であり、DARP−32がThr34でリン酸化された場合にはタンパク質ホスファターゼ1(PP−1)の阻害因子として作用し得、Thr75でリン酸化された場合には、PKAの阻害因子として作用し得るという点で、リン酸化の状態および位置に依存する二重機能タンパク質として働く(Svenningsson et al, (2004) Annu Rev Pharmacol Toxicol 44:269−96)。DARPP−32は、MSNの97%において、いくつかの皮層において、そして小脳プルキンエ細胞において発現される。しかしながら、HDのマウスモデルにおいて、そのmRNA発現は、MSNにおいて下方制御され、その程度は、皮質におけるものよりも大きい(Ehrlich (2012) Neurotherapeutics 9(2): 270−284を参照されたい)。

線条体特異的環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼであるPDE10Aは、線条体において、酵素的加水分解を介して、環状ヌクレオチドシグナリングを制限するように作用する。PDE10Aは、間接および直接の両方のMSNにおいて高いレベルで発現される二重基質PDEであり(Kleiman et al, 2011 J of Pharma and Exp Thera 336(1):64−78を参照されたい)、そしてHDにおいて下方制御される。

線条体におけるドパミンシグナリングは、部分的にはドパミン受容体によって調節され、そして、間接MSNは、D1およびD2のドパミン受容体(それぞれDrd1およびDrd2)を発現する。直接路のD1発現細胞は黒質網様部に投射し、一方で、間接路のD2受容体発現MSNは、淡蒼球内節に投射し、そして、基底核機能の古典的モデルは、運動の制御におけるドパミンの異なる作用を選択する線条体の能力が、D1およびD2の受容体のMSNの2つの群への分離によるものであることを示唆する(Gerfen et al (1990) Science 250:1429−1432を参照)。したがって、Drd1およびDrd2の両方の遺伝子発現は、MSNの必須の機能であり、発現の不均衡または欠損は、HDにおいて観察される運動機能崩壊につながり得る。

ヒトHD尾状核において観察されるものをまとめていると思われるHDにおけるMSN機能の他のバイオマーカーとしては、PENK(プロエンケファリン)、RGS4(Gタンパク質シグナリング調節因子4)、転写因子NGFi−A、カルシウム/カルモジュリン依存性3’,5’−サイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼ1B PDE1B、およびCNR1(カンナビノイドCB1受容体)の減少が挙げられる(Runne et al, 同書)。加えて、変異htt遺伝子の発現は、直接的にも分析され得る。

マウスモデルにおけるクラスピング行動は、当該疾患の指標である。比較的攻撃的なR6/2マウスモデルにおいて、伸長したCAG反復を含有するヒトHttプロモーターおよびエクソン1断片が、異所的に発現される(Mangiarini et al. 同書)。これらのマウスは、HD様の行動変化と、HDの証左である線条体中型有棘ニューロン(MSN)の喪失とを示す。死亡の際の齢は、(より早くまたはより遅く生じ得るが)一般的に10〜13週であり、このマウスは、進行性の神経学的表現型を示す。最初の症状の1つは、尾を把持された際の四肢の運動障害である。これは、マウスがつまみあげられた後直ちにその足を一緒に縮こめ、そしてその姿勢を開放できなくなるまで、脚を一緒に縮こめるのと開放するのとを交互に行うことに進行する。したがって、クラスピング行動は、HD表現型行動の程度の尺度としてスコア付けすることができる。

HDにおける表現型の改善は、処置された動物と非処置の動物とを比較することによって測定され得る。モデルは、クラスピング行動の測定、および屠殺の後のバイオマーカーの変化の測定によって、評価され得る。例えば、Rodriguez−Lebron et al (2005, Mol Ther 12(4):618−633では、クラスピング行動と、DARPP−32およびPENK発現における変化との分析を用いて、httに対するshRNAの有効性を測定した。

DNA結合ドメイン Httを含むが、これらに限定されない、トリヌクレオチド反復を含む任意の遺伝子において標的配列に特異的に結合するDNA結合ドメインを含む組成物が、本明細書に記載される。任意のDNA結合ドメインを、本明細書に開示される組成物および方法において使用することができる。

ある特定の実施形態において、DNA結合ドメインは、ジンクフィンガータンパク質を含む。好ましくは、ジンクフィンガータンパク質は、選択の標的部位に結合するように遺伝子操作されているという点で非天然型である。例えば、Beerli et al.(2002)Nature Biotechnol.20:135−141、Pabo et al.(2001)Ann.Rev.Biochem.70:313−340、Isalan et al.(2001)Nature Biotechnol.19:656−660、Segal et al.(2001)Curr.Opin.Biotechnol.12:632−637、Choo et al.(2000)Curr.Opin.Struct.Biol.10:411−416、米国特許第6,453,242号、同第6,534,261号、同第6,599,692号、同第6,503,717号、同第6,689,558号、同第7,030,215号、同第6,794,136号、同第7,067,317号、同第7,262,054号、同第7,070,934号、同第7,361,635号、同第7,253,273号、および米国特許公開第2005/0064474号、同第2007/0218528号、同第2005/0267061号を参照されたく、全て参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。

遺伝子操作されたジンクフィンガー結合ドメインは、天然型ジンクフィンガータンパク質と比較して新規の結合特異性を有することができる。遺伝子操作方法は、合理的設計および種々の種類の選択を含むが、これらに限定されない。合理的設計は、例えば、トリプレット(またはカドラプレット)のヌクレオチド配列および個々のジンクフィンガーアミノ酸配列を含むデータベースを使用することを含み、各トリプレットまたはカドラプレットのヌクレオチド配列は、特定のトリプレットまたはカドラプレットの配列に結合するジンクフィンガーの1つ以上のアミノ酸配列と関連している。例えば、譲受人共通の米国特許第6,453,242号および同第6,534,261号を参照されたく、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。

ファージディスプレイおよびツーハイブリッド系を含む、例となる選択方法は、米国特許第5,789,538号、同第5,925,523号、同第6,007,988号、同第6,013,453号、同第6,410,248号、同第6,140,466号、同第6,200,759号、および同第6,242,568号、ならびに国際公開第WO98/37186号、同第WO98/53057号、同第WO00/27878号、同第WO01/88197号、そして英国特許第GB2,338,237号に開示される。加えて、ジンクフィンガー結合ドメインに対する結合特異性の強化は、例えば、譲受人共通の国際公開第WO02/077227号に記載されている。

加えて、これらおよび他の参考文献に開示されるように、ジンクフィンガードメインおよび/またはマルチフィンガー型ジンクフィンガータンパク質は、例えば、5アミノ酸長以上のリンカーを含む、任意の好適なリンカー配列を使用して一緒に連結されてもよい。また、6アミノ酸長以上の例となるリンカー配列については、米国特許第6,479,626号、同第6,903,185号、および同第7,153,949号も参照されたい。本明細書に記載されるタンパク質は、タンパク質の個々のジンクフィンガー間の好適なリンカーの任意の組み合わせを含んでもよい。加えて、ジンクフィンガー結合ドメインに対する結合特異性の強化は、例えば、譲受人共通の国際公開第WO02/077227号に記載されている。

標的部位の選択、ZFP、ならびに融合タンパク質(およびそれをコードするポリヌクレオチド)の設計および構築のための方法は、当業者に知られており、米国特許第6,140,081号、同第5,789,538号、同第6,453,242号、同第6,534,261号、同第5,925,523号、同第6,007,988号、同第6,013,453号、同第6,200,759号、国際公開第WO95/19431号、同第WO96/06166号、同第WO98/53057号、同第WO98/54311号、同第WO00/27878号、同第WO01/60970号、同第WO01/88197号、同第WO02/099084号、同第WO98/53058号、同第WO98/53059号、同第WO98/53060号、同第WO02/016536号、および同第WO03/016496号に詳述される。

加えて、これらおよび他の参考文献に開示されるように、ジンクフィンガードメインおよび/またはマルチフィンガー型ジンクフィンガータンパク質は、例えば、5アミノ酸長以上のリンカーを含む、任意の好適なリンカー配列を使用して一緒に連結されてもよい。また、6アミノ酸長以上の例となるリンカー配列については、米国特許第6,479,626号、同第6,903,185号、および同第7,153,949号も参照されたい。本明細書に記載されるタンパク質は、タンパク質の個々のジンクフィンガー間の好適なリンカーの任意の組み合わせを含んでもよい。

ある特定の実施形態において、DNA結合ドメインは、Htt遺伝子における(配列特異的様態で)標的部位に結合し、Httの発現を調節する、遺伝子操作されたジンクフィンガータンパク質である。ZFPは、変異Htt対立遺伝子または野生型Htt配列のいずれかに選択的に結合することができる。Htt標的部位は、典型的に、少なくとも1つのジンクフィンガーを含むが、複数のジンクフィンガー(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれよりも多いフィンガー)を含む可能性がある。通常、ZFPは、少なくとも3つのフィンガーを含む。ZFPのある特定のものは、4、5、または6個のフィンガーを含む一方で、いくつかのZFPは、8、9、10、11、または12個のフィンガーを含む。3つのフィンガーを含むZFPは、典型的に、9または10ヌクレオチドを含む標的部位を認識し、4つのフィンガーを含むZFPは、典型的に、12〜14ヌクレオチドを含む標的部位を認識する一方で、6つのフィンガーを含むZFPは、18〜21ヌクレオチドを含む標的部位を認識し得る。ZFPはまた、1つ以上の制御ドメインを含む融合タンパク質であり得、そのドメインは、転写活性化または抑制ドメインであり得る。いくつかの実施形態において、融合タンパク質は、一緒に連結された2つのZFP DNA結合ドメインを含む。これらのジンクフィンガータンパク質はゆえに、8、9、10、11、12個、またはそれよりも多いフィンガーを含むことができる。いくつかの実施形態において、2つのDNA結合ドメインは、1つのDNA結合ドメインが4つ、5つ、または6つのジンクフィンガーを含み、第2のDNA結合ドメインがさらなる4つ、5つ、または5つのジンクフィンガーを含むように、伸長可能な柔軟なリンカーを介して連結される。いくつかの実施形態において、リンカーは、フィンガーアレイが、8、9、10、11、もしくは12個、またはそれよりも多いフィンガーを含む1つのDNA結合ドメインを含むような、標準的なフィンガー間リンカーである。他の実施形態において、リンカーは、柔軟なリンカー等の不定型のリンカーである。DNA結合ドメインは、少なくとも1つの制御ドメインに融合され、「ZFP−ZFP−TF」構造と考えることができる。これらの実施形態の具体的な例は、柔軟なリンカーで連結され、KOX抑制因子に融合された2つのDNA結合ドメインを含む「ZFP−ZFP−KOX」、および2つのZFP−KOX融合タンパク質がリンカーを介して一緒に融合された「ZFP−KOX−ZFP−KOX」と称され得る。

代替的に、DNA結合ドメインは、ヌクレアーゼに由来してもよい。例えば、I−SceI、I−CeuI、PI−PspI、PI−Sce、I−SceIV、I−CsmI、I−PanI、I−SceII、I−PpoI、I−SceIII、I−CreI、I−TevI、I−TevII、およびI−TevIII等のホーミングエンドヌクレアーゼおよびメガヌクレアーゼの認識配列が知られている。また、米国特許第5,420,032号、米国特許第6,833,252号、Belfort et al.(1997)Nucleic Acids Res.25:3379−3388、Dujon et al.(1989)Gene 82:115−118、Perler et al.(1994)Nucleic Acids Res.22,1125−1127、Jasin(1996)Trends Genet.12:224−228、Gimble et al.(1996)J.Mol.Biol.263:163−180、Argast et al.(1998)J.Mol.Biol.280:345−353、およびNew England Biolabs catalogueを参照されたい。加えて、ホーミングエンドヌクレアーゼおよびメガヌクレアーゼのDNA結合特異性は、非天然の標的部位に結合するように遺伝子操作することができる。例えば、Chevalier et al.(2002)Molec.Cell 10:895−905、Epinat et al.(2003)Nucleic Acids Res.31:2952−2962、Ashworth et al.(2006)Nature 441:656−659、Paques et al.(2007)Current Gene Therapy 7:49−66、米国特許公開第20070117128号を参照されたい。

「2本の手を持つ」ジンクフィンガータンパク質は、2つのジンクフィンガードメインが2つの不連続の標的部位に結合するように、ジンクフィンガーDNA結合ドメインの2つのクラスタが介在するアミノ酸によって分離される、タンパク質である。2本の手を持つ種類のジンクフィンガー結合タンパク質の例は、4つのジンクフィンガーのクラスタが、タンパク質のアミノ末端に位置し、3つのフィンガーのクラスタが、カルボキシル末端に位置する、SIP1である(Remacle et al,(1999)EMBO Journal 18(18):5073−5084を参照されたい)。これらのタンパク質におけるジンクフィンガーの各クラスタは、固有の標的配列に結合可能であり、2つの標的配列の間の間隔は、多くのヌクレオチドを含むことができる。2本の手を持つZFPは、例えば、ZFPの一方または両方に融合された、機能的ドメインを含んでもよい。故に、機能的ドメインは、ZFPの一方もしくは両方の外部に結合されてもよく(図1Cを参照されたい)、またはそれらのZFPの間に位置付けられ(両方のZFPに結合され)てもよい(図4を参照されたい)ことが明らかとなろう。

Htt標的化ZFPの具体的な例は、表1Aおよび1Bに開示される。この表における最初の列は、ZFPの内部参照名(番号)であり、表2Aおよび2Bの第1列における同じ名称に対応する。「F」は、フィンガーを指し、「F」の後の番号は、どのジンクフィンガーであるかを指す(例えば、「F1」は、フィンガー1を指す)。

これらのタンパク質の標的部位についての配列および箇所は、表2Aおよび2Bに開示される。表2Aおよび2Bは、示されるジンクフィンガータンパク質についての標的配列を示す。ZFP認識ヘリックスが接触している標的部位におけるヌクレオチドは、大文字で示され、接触していないヌクレオチドは、小文字で示される。

ある特定の実施形態において、DNA結合ドメインは、天然型または遺伝子操作された(非天然型)TALエフェクター(TALE)DNA結合ドメインを含む。例えば、米国特許第8,586,526号を参照されたく、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。キサントモナス属の植物病原性細菌は、重要な作物に多くの病害を引き起こすことが知られている。キサントモナスの病原性は、植物細胞内に25を超える異なるエフェクタータンパク質を注入する保存された3型分泌(T3S)系に依存する。これらの注入されるタンパク質の中には、植物の転写活性化因子を模倣し、植物のトランスクリプトームを操作する転写活性化因子様エフェクター(TALE)がある(Kay et al(2007)Science 318:648−651を参照されたい)。これらのタンパク質は、DNA結合ドメインおよび転写活性化ドメインを含有する。最もよく特徴付けされたTALEの1つは、キサントモナス・カンペストリス病原型ベシカトリアに由来するAvrBs3である(Bonas et al(1989)Mol Gen Genet 218:127−136および国際公開第WO2010079430号を参照されたい)。TALEは、縦列反復の集中ドメインを含有し、各反復が、これらのタンパク質のDNA結合特異性の要である約34個のアミノ酸を含有する。加えて、これらは、核局在化配列および酸性転写活性化ドメインを含有する(概説についてはSchornack S,et al(2006)J Plant Physiol 163(3):256−272を参照されたい)。加えて、植物病原性細菌である青枯病菌において、brg11およびhpx17と表記される2つの遺伝子が、青枯病菌の次亜種1系統GMI1000および次亜種4系統RS1000において、キサントモナスのAvrBs3ファミリーと相同であることが見出されている(Heuer et al(2007)Appl and Envir Micro 73(13):4379−4384を参照されたい)。これらの遺伝子は、ヌクレオチド配列において互いに98.9%同一であるが、hpx17の反復ドメインにおいて1,575塩基対の欠失分だけ異なる。しかしながら、両方の遺伝子産物が、キサントモナスのAvrBs3ファミリータンパク質と40%未満の配列同一性を有する。

これらのTALEの特異性は、縦列反復に見出される配列に依存する。反復した配列は、およそ102塩基対を含み、反復は、典型的に互いに91〜100%相同である(Bonas et al,(同書))。反復の多型性は、通常、12および13位に位置し、12および13位の超可変二残基(diresidues)の正体と、TALEの標的配列における連続したヌクレオチドの正体との間に1対1の対応関係が存在するようである(Moscou and Bogdanove,(2009)Science 326:1501およびBoch et al(2009)Science 326:1509−1512を参照されたい)。実験的に、12および13位のHD配列がシトシン(C)への結合をもたらし、NGがTに、NIがA、C、GまたはTに結合し、NNがAまたはGに結合し、IGがTに結合するように、これらのTALEのDNA認識のためのコードが決定されている。これらのDNA結合反復を、新たな反復の組み合わせおよび数を用いてタンパク質へと組み立てて、新たな配列と相互作用し、植物細胞内の非内因性レポーター遺伝子の発現を活性化することが可能である人工転写因子を作製した(Boch et al,(同書))。遺伝子操作されたTALタンパク質を、FokI切断ハーフドメインに連結して、酵母レポーターアッセイ(プラスミドベースの標的)において活性を示すTALエフェクタードメインヌクレアーゼ融合(TALEN)を得た。Christian et al((2010)Genetics epub 10.1534/genetics.110.120717)。また、米国特許第8,586,526号も参照されたく、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。

ZFPまたはTALEタンパク質と共に使用されるように設計された二量体化ドメインの具体的な例が、表3に列挙される。2種類のドメイン、コイルドコイル(CC)、および二量体化ジンクフィンガー(DZ)のアミノ酸配列が列挙される。

融合タンパク質 本明細書に記載されるDNA結合タンパク質(例えば、ZFPまたはTALE)および異種制御(機能的)ドメイン(またはその機能的断片)を含む、融合タンパク質もまた提供される。一般的なドメインには、例えば、転写因子ドメイン(活性化因子、抑制因子、共活性化因子、共抑制因子)、サイレンサー、癌遺伝子(例えば、myc、jun、fos、myb、max、mad、rel、ets、bcl、myb、mosファミリーメンバー等);DNA修復酵素およびそれらの関連因子と修飾因子;DNA再配列酵素およびそれらの関連因子と修飾因子;クロマチン関連タンパク質およびそれらの修飾因子(例えば、キナーゼ、アセチラーゼ、およびデアセチラーゼ);ならびにDNA修飾酵素(例えば、メチルトランスフェラーゼ、トポイソメラーゼ、ヘリカーゼ、リガーゼ、キナーゼ、ホスファターゼ、ポリメラーゼ、エンドヌクレアーゼ)およびそれらの関連因子と修飾因子が含まれる。DNA結合ドメインおよびヌクレアーゼ切断ドメインの融合に関する詳細については、米国特許第7,888,121号および同第8,409,861号、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。

活性化を達成するのに好適なドメインには、HSV VP16活性化ドメイン(例えば、Hagmann et al.,J.Virol.71,5952−5962(1997))、核内ホルモン受容体(例えば、Torchia et al.,Curr.Opin.Cell.Biol.10:373−383(1998)を参照されたい);核内因子カッパBのp65サブユニット(Bitko&Barik,J.Virol.72:5610−5618(1998)およびDoyle&Hunt,Neuroreport 8:2937−2942(1997))、Liu et al.,Cancer Gene Ther.5:3−28(1998))、またはVP64等の人工キメラ機能的ドメイン(Beerli et al.,(1998)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:14623−33)、およびデグロン(Molinari et al.,(1999)EMBO J.18、6439−6447)が含まれる。さらなる例となる活性化ドメインには、Oct 1、Oct−2A、Sp1、AP−2、およびCTF1(Seipel et al.,EMBO J.11,4961−4968(1992)ならびにp300、CBP、PCAF、SRC1 PvALF、AtHD2A、およびERF−2が含まれる。例えば、Robyr et al.(2000)Mol.Endocrinol.14:329−347、Collingwood et al.(1999)J.Mol.Endocrinol.23:255−275、Leo et al.(2000)Gene 245:1−11、Manteuffel−Cymborowska(1999)Acta Biochim.Pol.46:77−89、McKenna et al.(1999)J.Steroid Biochem.Mol.Biol.69:3−12、Malik et al.(2000)Trends Biochem.Sci.25:277−283、およびLemon et al.(1999)Curr.Opin.Genet.Dev.9:499−504を参照されたい。さらなる例となる活性化ドメインには、OsGAI、HALF−1、C1、AP1、ARF−5、−6、−7、および−8、CPRF1、CPRF4、MYC−RP/GP、ならびにTRAB1が含まれるが、これらに限定されない。例えば、Ogawa et al.(2000)Gene 245:21−29;Okanami et al.(1996)Genes Cells 1:87−99、Goff et al.(1991)Genes Dev.5:298−309、Cho et al.(1999)Plant Mol.Biol.40:419−429、Ulmason et al.(1999)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96:5844−5849、Sprenger−Haussels et al.(2000)Plant J.22:1−8、Gong et al.(1999)Plant Mol.Biol.41:33−44、およびHobo et al.(1999)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96:15,348−15,353を参照されたい。

DNA結合ドメインと機能的ドメインとの間の融合タンパク質(またはそれをコードする核酸)の形成において、活性化ドメインまたは活性化ドメインと相互作用する分子のいずれかが、機能的ドメインとして好適であることは当業者に明白であろう。標的遺伝子に対して活性化複合体および/または活性化活性(例えば、ヒストンアセチル化等)を動員することが可能である、本質的に任意の分子が、融合タンパク質の活性化ドメインとして有用である。融合分子における機能的ドメインとして使用するのに好適なインスレータードメイン、局在化ドメイン、およびISWI含有ドメイン、および/またはメチル結合ドメインタンパク質等のクロマチン再構成タンパク質は、例えば、米国特許第6,919,204号および同第7,053,264号に記載される。

例となる抑制ドメインには、KRAB A/B、KOX、TGF−β誘導性初期遺伝子(TIEG)、v−erbA、SID、MBD2、MBD3、DNMTファミリーのメンバー(例えば、DNMT1、DNMT3A、DNMT3B)、Rb、およびMeCP2が含まれるが、これらに限定されない。例えば、Bird et al.(1999)Cell 99:451−454、Tyler et al.(1999)Cell 99:443−446、Knoepfler et al.(1999)Cell 99:447−450、およびRobertson et al.(2000)Nature Genet.25:338−342が含まれるが、これらに限定されない。さらなる例となる抑制ドメインには、ROM2およびAtHD2Aが含まれるが、これらに限定されない。例えば、Chem et al.(1996)Plant Cell 8:305−321、およびWu et al.(2000)Plant J.22:19−27を参照されたい。

融合分子は、当業者に周知であるクローニングおよび生化学的共役方法によって構築される。融合分子は、DNA結合ドメインおよび機能的ドメイン(例えば、転写活性化または抑制ドメイン)を含む。融合分子はまた任意に、核局在化シグナル(例えば、SV40中型T抗原からのもの等)およびエピトープタグ(例えば、FLAGおよびヘマグルチニン等)を含む。融合タンパク質(およびそれらをコードする核酸)は、融合物の構成要素の中でも翻訳リーディングフレームが保存されるように設計される。

一方の機能的ドメイン(またはその機能的断片)のポリペプチド構成要素と、他方の非タンパク質DNA結合ドメイン(例えば、抗生物質、インターカレーター、副溝結合剤、核酸)との間の融合物は、当業者に既知の生化学的共役方法によって構築される。例えば、Pierce Chemical Company(Rockford,IL)Catalogueを参照されたい。副溝結合剤とポリペプチドとの間の融合物を作製するための方法および組成物が記載されている。Mapp et al.(2000)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97:3930−3935。

ある特定の実施形態において、DNA結合ドメインによって結合される標的部位は、細胞クロマチンのアクセス可能領域に存在する。アクセス可能領域は、例えば、譲受人共通の国際公開第WO01/83732号に記載されるように決定することができる。標的部位が細胞クロマチンのアクセス可能領域に存在しない場合、1つ以上のアクセス可能領域は、譲受人共通の国際公開第WO01/83793号に記載されるように生成することができる。さらなる実施形態において、融合分子のDNA結合ドメインは、その標的部位がアクセス可能領域にあるか否かに関わらず、細胞クロマチンに結合することが可能である。例えば、かかるDNA結合ドメインは、リンカーDNAおよび/またはヌクレオソームDNAに結合することが可能である。この種類の「パイオニア」DNA結合ドメインの例は、ある特定のステロイド受容体および肝細胞核内因子3(HNF3)に見出される。Cordingley et al.(1987)Cell 48:261−270、Pina et al.(1990)Cell 60:719−731、およびCirillo et al.(1998)EMBO J.17:244−254。

当業者に既知であるが、融合分子は、薬学的に許容される担体と共に製剤化されてもよい。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,17th ed.,1985、および譲受人共通の国際公開第WO00/42219号を参照されたい。

融合分子の機能的構成要素/ドメインは、一旦、融合分子がそのDNA結合ドメインを介して標的配列に結合すると遺伝子の転写に影響を及ぼすことが可能な、多様な異なる構成要素のうちのいずれからも選択することができる。よって、機能的構成要素には、活性化因子、抑制因子、共活性化因子、共抑制因子、およびサイレンサー等の種々の転写因子ドメインが含まれ得るが、これらに限定されない。

さらなる例となる機能的ドメインは、例えば、譲受人共通の米国特許第6,534,261号および同6,933,113号に開示される。

外因性小分子またはリガンドによって制御される機能的ドメインもまた、選択されてもよい。例えば、機能的ドメインが外部RheoChem(商標)リガンドの存在下でのみその活性な立体配座をとる、RheoSwitch(登録商標)技術が用いられてもよい(例えば、米国公開特許第20090136465号を参照されたい)。故に、ZFPまたはTALEは、制御可能な機能的ドメインに作動可能に連結されてもよく、そのZFP−TFまたはTALE−TFの結果として生じる活性は、外部リガンドによって調節される。

ヌクレアーゼ ZFN、TALEN、ホーミングエンドヌクレアーゼ、CRISPR/Casおよび/またはTtagoRNAガイド系といった、in vivoでの遺伝子改変(ヌクレアーゼによる標的の切断に続いてなされる挿入および/または欠失を含む)に有用なヌクレアーゼもまた、本明細書に記載される。ある特定の実施形態において、融合タンパク質は、DNA結合結合ドメインおよび切断(ヌクレアーゼ)ドメインを含む。したがって、遺伝子修飾は、ヌクレアーゼ、例えば、遺伝子操作されたヌクレアーゼを使用して、達成され得る。遺伝子操作されたヌクレアーゼ技術は、天然型DNA結合タンパク質の遺伝子操作に基づく。例えば、調整されたDNA結合特異性を有するホーミングエンドヌクレアーゼの遺伝子操作が、記載されている。( Chames et al.(2005)Nucleic Acids Res 33(20):e178、Arnould et al.(2006)J.Mol.Biol.355:443−458)を参照されたい。加えて、ZFPの遺伝子操作もまた記載されている。例えば、米国特許第8,586,526号、同第6,534,261号、同第6,607,882号、同第6,824,978号、同第6,979,539号、同第6,933,113号、同第7,163,824号、および同第7,013,219号を参照されたい。

加えて、ZFPおよびTALEをヌクレアーゼドメインに融合してZFNおよびTALENが作製されており、これは、それらの遺伝子操作された(ZFPまたはTALE)DNA結合ドメインを通じてそれらの意図される核酸標的を認識し、ヌクレアーゼ活性を介してZFPまたはTALE DNA結合部位付近でDNAの切断を引き起こすことが可能である、機能的実体である。例えば、Kim et al.(1996)Proc Natl Acad Sci USA 93(3):1156−1160を参照されたい。ヌクレアーゼ(例えば、ZFN、TALEN、CRISPR/Casおよび/またはTtago系)は、様々な生物におけるゲノム改変のために用いられている。米国特許第7,888,121号;同第7,972,854号;同第7,914,796号;同第7,951,925号;同第8,110,379号;同第8,409,861号;同第8,586,526号;米国特許出願公開第20030232410号;同第20050208489号;同第20050026157号;同第20060063231号;同第20080159996号;同第201000218264号;同第20120017290号;同第20110265198号;同第20130137104号;同第20130122591号;同第20130177983号および同第20130177960号ならびに米国出願第14/278,903号。

故に、本明細書に記載される方法および組成物は、広く適用可能であり、任意の目的ヌクレアーゼを伴ってもよい。ヌクレアーゼの非限定的な例としては、CRISPR/Casおよび/またはTtago系、メガヌクレアーゼ、TALEN、およびジンクフィンガーヌクレアーゼが挙げられる。ヌクレアーゼは、異種のDNA結合および切断ドメイン(例えば、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、TALEN、異種の切断ドメインを有するメガヌクレアーゼDNA結合ドメイン)を含んでもよく、または代替的に、天然型ヌクレアーゼのDNA結合ドメインが、選択された標的部位に結合するように改変されてもよい(例えば、同族の結合部位とは異なる部位に結合するように遺伝子操作されたメガヌクレアーゼ)。

ある特定の実施形態において、ヌクレアーゼは、メガヌクレアーゼ(ホーミングエンドヌクレアーゼ)である。天然型メガヌクレアーゼは、15〜40塩基対の切断部位を認識し、一般的に、LAGLIDADGファミリー、GIY−YIGファミリー、His−Cystボックスファミリー、およびHNHファミリーの4つのファミリーに分類される。例となるホーミングエンドヌクレアーゼには、I−SceI、I−CeuI、PI−PspI、PI−Sce、I−SceIV、I−CsmI、I−PanI、I−SceII、I−PpoI、I−SceIII、I−CreI、I−TevI、I−TevII、およびI−TevIIIが含まれる。それらの認識配列は既知である。また、米国特許第5,420,032号、米国特許第6,833,252号、Belfort et al.(1997)Nucleic Acids Res.25:3379−3388、Dujon et al.(1989)Gene 82:115−118、Perler et al.(1994)Nucleic Acids Res.22,1125−1127、Jasin(1996)Trends Genet.12:224−228、Gimble et al.(1996)J.Mol.Biol.263:163−180、Argast et al.(1998)J.Mol.Biol.280:345−353、およびNew England Biolabs catalogueも参照されたい。

天然型メガヌクレアーゼ由来、主にLAGLIDADGファミリー由来の、DNA結合ドメインを使用して、植物、酵母、ショウジョウバエ、哺乳類細胞、およびマウスにおいて部位特異的ゲノム修飾が促進されてきたが、このアプローチは、メガヌクレアーゼ認識配列を保存する同種の遺伝子(Monet et al.(1999),Biochem.Biophysics.Res.Common.255:88−93)または認識配列が導入された事前に遺伝子操作されたゲノムいずれかの修飾に限定されてきた(Route et al.(1994),Mol.Cell.Biol.14:8096−106、Chilton et al.(2003)Plant Physiology 133:956−65、Puchta et al.(1996)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:5055−60、Rong et al.(2002),Genes Dev.16:1568−81、Gouble et al.(2006),J.Gene Med.8(5):616−622)。したがって、医学的にまたは生物工学的に関連性のある部位において新規の結合特異性を示すようにメガヌクレアーゼを遺伝子操作するための試みがなされてきた(Porteus et al.(2005),Nat.Biotechnol.23:967−73、Sussman et al.(2004),J.Mol.Biol.342:31−41、Epinat et al.(2003),Nucleic Acids Res.31:2952−62、Chevalier et al.(2002)Molec.Cell 10:895−905、Epinat et al.(2003)Nucleic Acids Res.31:2952−2962、Ashworth et al.(2006)Nature 441:656−659、Paques et al.(2007)Current Gene Therapy 7:49−66、米国特許公開第20070117128号、同第20060206949号、同第20060153826号、同第20060078552号、および同第20040002092号)。加えて、メガヌクレアーゼからの天然型または遺伝子操作されたDNA結合ドメインはまた、異種ヌクレアーゼ(例えばFokI)からの切断ドメインに作動可能にも連結されている。

他の実施形態において、ヌクレアーゼは、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)である。ZFNは、選択遺伝子および切断ドメインまたは切断ハーフドメインにおいて標的部位に結合するように遺伝子操作された、ジンクフィンガータンパク質を含む。

上に詳述されるように、ジンクフィンガー結合ドメインは、選択配列に結合するように遺伝子操作することができる。例えば、Beerli et al.(2002)Nature Biotechnol.20:135−141、Pabo et al.(2001)Ann.Rev.Biochem.70:313−340、Isalan et al.(2001)Nature Biotechnol.19:656−660、Segal et al.(2001)Curr.Opin.Biotechnol.12:632−637、Choo et al.(2000)Curr.Opin.Struct.Biol.10:411−416を参照されたい。遺伝子操作されたジンクフィンガー結合ドメインは、天然型ジンクフィンガータンパク質と比較して新規の結合特異性を有することができる。遺伝子操作方法は、合理的設計および種々の種類の選択を含むが、これらに限定されない。合理的設計は、例えば、トリプレット(またはカドラプレット)のヌクレオチド配列および個々のジンクフィンガーアミノ酸配列を含むデータベースを使用することを含み、各トリプレットまたはカドラプレットのヌクレオチド配列は、特定のトリプレットまたはカドラプレットの配列に結合するジンクフィンガーの1つ以上のアミノ酸配列と関連している。例えば、譲受人共通の米国特許第6,453,242号および同第6,534,261号を参照されたく、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。

ファージディスプレイおよびツーハイブリッド系を含む、例となる選択方法は、米国特許第5,789,538号、同第5,925,523号、同第6,007,988号、同第6,013,453号、同第6,410,248号、同第6,140,466号、同第6,200,759号、および同第6,242,568号、ならびに国際公開第WO98/37186号、同第WO98/53057号、同第WO00/27878号、同第WO01/88197号、および同第GB2,338,237号に開示される。加えて、ジンクフィンガー結合ドメインに対する結合特異性の強化は、例えば、譲受人共通の国際公開第WO02/077227号に記載されている。

加えて、これらおよび他の参考文献に開示されるように、ジンクフィンガードメインおよび/またはマルチフィンガー型ジンクフィンガータンパク質は、例えば、5アミノ酸長以上のリンカー(例えば、TGEKP(配列番号135)、TGGQRP(配列番号136)、TGQKP(配列番号137)、および/またはTGSQKP(配列番号138))を含む、任意の好適なリンカー配列を使用して一緒に連結されてもよい。6アミノ酸長以上の例示的なリンカー配列については、例えば、米国特許第6,479,626号、同第6,903,185号、および同第7,153,949号も参照されたい。本明細書に記載されるタンパク質は、タンパク質の個々のジンクフィンガー間の好適なリンカーの任意の組み合わせを含んでもよい。また、米国仮特許公開第20110287512号も参照されたい。

CRISPR(クラスタ化された、規則的に間隔が空いた、短い回文型の反復(ClusteredRegularlyInterspacedShortPalindromicRepeats))/Cas(CRISPR関連(CRISPRAssociated))ヌクレアーゼ系は、ゲノム遺伝子操作に使用され得る細菌系に基づいて最近遺伝子操作されたヌクレアーゼ系である。それは、多くの細菌および古細菌の適応的免疫応答の一部に基づく。ウイルスまたはプラスミドが細菌に侵入するとき、侵入体のDNAのセグメントは、「免疫」応答によってCRISPR RNA(crRNA)に変換される。このcrRNAは次いで、部分的に相補的な領域を通じて、tracrRNAと呼ばれる別の種類のRNAと会合して、Cas9ヌクレアーゼを、「プロトスペーサー」と呼ばれる標的DNAにおけるcrRNAと相同な領域に導く。Cas9は、DNAを切断して、crRNA転写物内に含有される20ヌクレオチドガイド配列によって指定される部位でDSBの平滑末端を生成する。Cas9は、部位特異的DNA認識および切断のために、crRNAおよびtracrRNAの両方を必要とする。この系は、今では、crRNAおよびtracrRNAが1つの分子に組合され得るように遺伝子操作されており(「単一ガイドRNA」)、単一ガイドRNAのcrRNAに匹敵する部分は、Cas9ヌクレアーゼが任意の所望の配列を標的とするように導くように遺伝子操作され得る(Jinek et al(2012)Science 337,p.816−821、Jinek et al,(2013),eLife 2:e00471、およびDavid Segal,(2013)eLife 2:e00563)。故に、CRISPR/Cas系は、ゲノム内の所望の標的においてDSBを作製するように遺伝子操作することができ、DSBの修復は、修復阻害因子を使用して誤りがちな(error prone)修復の増加を引き起こすことによって影響を受け得る。

上述のように、ヌクレアーゼの切断(ヌクレア−ゼ)ドメインは、DNA結合ドメインに対して異種であってもよく、例えば、ジンクフィンガーDNA結合ドメインおよびヌクレアーゼの切断ドメイン、またはメガヌクレアーゼDNA結合ドメインおよび異なるヌクレアーゼの切断ドメインである。異種の切断ドメインは、任意のエンドヌクレアーゼまたはエキソヌクレアーゼから得ることができる。切断ドメインが由来し得る例となるエンドヌクレアーゼには、制限エンドヌクレアーゼおよびホーミングエンドヌクレアーゼが含まれるが、これらに限定されない。例えば、2002−2003 Catalogue,New England Biolabs,Beverly,MA、およびBelfort et al.(1997)Nucleic Acids Res.25:3379−3388を参照されたい。DNAを切断するさらなる酵素が知られている(例えば、S1ヌクレアーゼ、マングビーンヌクレアーゼ、膵臓DNase I、小球菌ヌクレアーゼ、酵母HOエンドヌクレアーゼ、酵母HOエンドヌクレアーゼ;またLinn et al.(eds.)Nucleases,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1993も参照されたい)。これらの酵素(またはそれらの機能的断片)のうちの1つ以上を、切断ドメインおよび切断ハーフドメインの源として使用することができる。

同様に、上述のように、切断活性のために二量体化を必要とする切断ハーフドメインは、任意のヌクレアーゼまたはその一部に由来し得る。一般に、融合タンパク質が切断ハーフドメインを含む場合、切断のために2つの融合タンパク質が必要である。代替的に、2つの切断ハーフドメインを含む単一のタンパク質を使用することができる。2つ切断ハーフドメインは、同じエンドヌクレアーゼ(またはその機能的断片)に由来し得るか、または各切断ハーフドメインは、異なるエンドヌクレアーゼ(またはその機能的断片)に由来し得る。加えて、2つの融合タンパク質のそれぞれの標的部位への結合が、例えば、二量体化によって、切断ハーフドメインが機能的切断ドメインを形成することを可能にする互いの空間的定位に切断ハーフドメインを配置するように、2つの融合タンパク質のための標的部位は互いに対して好ましく配置される。故に、ある特定の実施形態において、標的部位の近端は、5〜8ヌクレオチドまたは15〜18ヌクレオチド分だけ離れている。しかしながら、任意の整数のヌクレオチドまたはヌクレオチド対が、2つの標的部位の間に介在し得る(例えば、2〜50ヌクレオチド対またはそれよりも多い対)。一般に、切断部位は、標的部位の間に位置する。

制限エンドヌクレアーゼ(制限酵素)は、多くの種に存在し、(認識部位で)DNAに配列特異的に結合すること、および結合部位またはその付近でDNAを切断することが可能である。ある特定の制限酵素(例えば、IIS型)は、認識部位から除去された部位でDNAを切断し、分離可能な結合ドメインおよび切断ドメインを有する。例えば、IIS型酵素FokIは、一方の鎖上ではその認識部位から9ヌクレオチドで、また他方の鎖上ではその認識部位から13ヌクレオチドで、DNAの2本鎖切断を触媒する。例えば、米国特許第5,356,802号、同第5,436,150号、および同第5,487,994号、ならびにLi et al.(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA89:4275−4279、Li et al.(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA90:2764−2768、Kim et al.(1994a)Proc.Natl.Acad.Sci.USA91:883−887、Kim et al.(1994b)J.Biol.Chem.269:31,978−31,982を参照されたい。故に、一実施形態において、融合タンパク質は、少なくとも1つのIIS型制限酵素由来の切断ドメイン(または切断ハーフドメイン)、および遺伝子操作されていることもされていないこともある1つ以上のジンクフィンガー結合ドメインを含む。

切断ドメインが結合ドメインから分離可能である、例となるIIS型制限酵素は、FokIである。この特定の酵素は、二量体として活性である。Bitinaite et al.(1998)Proc.Natl.Acad.Sci.USA95:10,570−10,575。したがって、本開示の目的のために、開示される融合タンパク質において使用されるFokI酵素の一部分は、切断ハーフドメインとみなされる。故に、ジンクフィンガー−またはTALE−FokI融合物を使用した細胞配列の標的化2本鎖切断および/または標的化置換のために、各々がFokI切断ハーフドメインを含む2つの融合タンパク質を使用して、触媒的に活性な切断ドメインを再構築することができる。代替的に、ジンクフィンガー結合ドメインおよび2つのFokI切断ハーフドメインを含有する、単一のポリペプチド分子を使用することもできる。ジンクフィンガー−またはTALE−FokI融合物を使用した標的化切断および標的化配列改変に対するパラメータは、本開示の他の箇所に提供される。

切断ドメインまたは切断ハーフドメインは、切断活性を保持するか、または多量体化(例えば、二量体化)して機能的切断ドメインを形成する能力を保持する、タンパク質の任意の部分であり得る。

例となるIIS型制限酵素は、国際公開第WO07/014275号に記載され、その全体が本明細書に組み込まれる。さらなる制限酵素も、分離可能な結合ドメインおよび切断ドメインを含有し、これらは本開示によって企図される。例えば、Roberts et al.(2003)Nucleic Acids Res.31:418−420を参照されたい。

ある特定の実施形態において、切断ドメインは、例えば、米国特許第8,772,453号、同第8,623,618号、同第8,409,861、同第8,034,598号; 同第7,914,796;および同第7,888,121号(これらの全ての開示は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)に記載されるように、ホモ二量体化を最小限に抑えるかまたは防止する1つ以上の遺伝子操作された切断ハーフドメイン(二量体化ドメイン変異体とも称される)を含む。FokIの446、447、479、483、484、486、487、490、491、496、498、499、500、531、534、537、および538位のアミノ酸残基は、全て、FokI切断ハーフドメインの二量体化に影響を及ぼすための標的である。偏性のヘテロ二量体を形成するFokIの例となる遺伝子操作された切断ハーフドメインには、第1の切断ハーフドメインがFokIの490および538位のアミノ酸残基に変異を含み、第2の切断ハーフドメインが486および499位のアミノ酸残基に変異を含む対が含まれる。

故に、一実施形態において、490における変異はGlu(E)をLys(K)に置換し、538における変異はIso(I)をLys(K)に置換し、486における変異はGln(Q)をGlu(E)に置換し、499位における変異はIso(I)をLys(K)に置換する。具体的には、本明細書に記載される遺伝子操作された切断ハーフドメインは、1つの切断ハーフドメインにおいて490位(E→K)および538位(I→K)を変異させ、「E490K:I538K」と表記される遺伝子操作された切断ハーフドメインをもたらすことによって、また、別の切断ハーフドメインにおいて486位(Q→E)および499位(I→L)を変異させ、「Q486E:I499L」と表記される遺伝子操作された切断ハーフドメインをもたらすことによって、調製された。本明細書に記載される遺伝子操作された切断ハーフドメインは、異常な切断を最小限に抑えたまたは消滅させた偏性のヘテロ二量体変異体である。例えば、米国特許第7,914,796号および同第8,034,598号を参照されたく、その開示は、参照によりその全体が全目的で組み込まれる。ある特定の実施形態において、遺伝子操作された切断ハーフドメインは、486、499、および496位(野生型FokIに対して付番)に、変異、例えば、486位の野生型Gln(Q)残基をGlu(E)残基に、499位の野生型Iso(I)残基をLeu(L)残基に、および496位の野生型Asn(N)残基をAsp(D)またはGlu(E)残基(それぞれ、「ELD」および「ELE」ドメインとも称される)に置換する変異を含む。他の実施形態において、遺伝子操作された切断ハーフドメインは、490、538、および537位(野生型FokIに対して付番)に、変異、例えば、490位の野生型Glu(E)残基をLys(K)残基に、538位の野生型Iso(I)残基をLys(K)残基に、および537位の野生型His(H)残基をLys(K)残基またはArg(R)残基(それぞれ、「KKK」および「KKR」ドメインとも称される)に置換する変異を含む。他の実施形態において、遺伝子操作された切断ハーフドメインは、490および537位(野生型FokIに対して付番)に、変異、例えば、490位の野生型Glu(E)残基をLys(K)残基に、および537位の野生型His(H)残基をLys(K)残基またはArg(R)残基(それぞれ、「KIK」および「KIR」ドメインとも称される)に置換する変異を含む。米国特許第8,772,453号。

本明細書に記載される遺伝子操作された切断ハーフドメインは、任意の好適な方法を使用して、例えば、米国特許第8,772,453号、同第8,623,618号、同第8,409,861号、同第8,034,598号、同第7,914,796号、および同第7,888,121号に記載されるように野生型切断ハーフドメイン(FokI)の部位特異的な変異誘発によって、調製することができる。

代替的に、ヌクレアーゼは、いわゆる「スプリット酵素」技術を使用して、核酸標的部位においてインビボで組み立てられてもよい(例えば、米国特許公開第20090068164号を参照されたい)。かかるスプリット酵素の構成要素は、別個の発現構築物上で発現されてもよく、または、1つのオープンリーディングフレーム内に連結させることができ、個々の構成要素は、例えば、自己切断2AペプチドまたはIRES配列によって分離される。構成要素は、個々のジンクフィンガー結合ドメイン、またはメガヌクレアーゼ核酸結合ドメインのドメインであってもよい。

いくつかの実施形態において、DNA結合ドメインは、植物病原菌キサントモナス(Boch et al,(2009)Science 326:1509−1512およびMoscou and Bogdanove,(2009)Science326:1501を参照されたい)およびラルストニア(Heuer et al(2007)Applied and Environmental Microbiology 73(13):4379−4384を参照されたい)に由来するものと同様のTALエフェクター由来の遺伝子操作されたドメインである。また、PCT公開第WO2010/079430号も参照されたい。

ヌクレアーゼ(例えば、ZFNまたはTALEN)は、例えば、第8,563,314号に記載される酵母ベースの染色体系において、使用前に活性についてスクリーニングすることができる。ヌクレアーゼ発現構築物は、当該技術分野で既知の方法を使用して容易に設計することができる。ヌクレアーゼの発現は、構成的プロモーターまたは誘導的プロモーター、例えば、ラフィノースおよび/またはガラクトースの存在下で活性化(抑制解除)され、グルコースの存在下で抑制されるガラクトキナーゼプロモーターの調節下にあってもよい。

送達 本明細書に記載されるタンパク質(例えば、ZFP、TALE、CRISPR/Cas、Ttago)、それらをコードするポリヌクレオチド、ならびにタンパク質および/またはポリヌクレオチドを含む組成物は、例えば、ZFP−TF、TALE−TFタンパク質の注射による手段、またはZFNもしくはTALENコードmRNAの使用による手段を含む、任意の好適な手段によって標的細胞に送達されてもよい。好適な細胞には、真核および原核細胞および/または細胞株が含まれるが、これらに限定されない。かかる細胞またはかかる細胞から生成される細胞株の非限定的な例としては、COS、CHO(例えば、CHO−S、CHO−K1、CHO−DG44、CHO−DUXB11、CHO−DUKX、CHOK1SV)、VERO、MDCK、WI38、V79、B14AF28−G3、BHK、HaK、NS0、SP2/0−Ag14、HeLa、HEK293(例えば、HEK293−F、HEK293−H、HEK293−T)、およびperC6細胞、ならびにヨトウガ(Sf)等の昆虫細胞、またはサッカロミセス属、ピチア属、およびシゾサッカロミセス属等の真菌細胞が挙げられる。ある特定の実施形態において、細胞株は、CHO−K1、MDCK、またはHEK293細胞株である。好適な細胞にはまた、例として、胚性幹細胞、人工多能性幹細胞、造血幹細胞、ニューロン幹細胞、および間葉系幹細胞等の、幹細胞が含まれる。

本明細書に記載されるジンクフィンガータンパク質を含むタンパク質を送達する方法は、例えば、米国特許第6,453,242号、同第6,503,717号、同第6,534,261号、同第6,599,692号、同第6,607,882号、同第6,689,558号、同第6,824,978号、同第6,933,113号、同第6,979,539号、同第7,013,219号、および同第7,163,824号に記載され、それらの全ての開示は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。

本明細書に記載されるジンクフィンガー、TALEまたはCRISPR/Casタンパク質はまた、ジンクフィンガー、TALE、またはCRISPR/Casタンパク質(複数可)のうちの1つ以上をコードする配列を含有するベクターを使用して送達されてもよい。プラスミドベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、ポックスウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、およびアデノ随伴ウイルスベクター等を含むが、これらに限定されない、任意のベクター系が使用されてもよい。また、米国特許第6,534,261号、同第6,607,882号、同第6,824,978号、同第6,933,113号、同第6,979,539号、同第7,013,219号、および同第7,163,824号も参照されたく、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。さらに、これらのベクターのいずれも、1つ以上のジンクフィンガーまたはTALEタンパク質コード配列を含み得ることが明らかとなろう。故に、1つ以上のZFP、TALE、またはCRISPR/Casタンパク質が細胞に導入されるとき、ZFP、TALE、またはCRISPR/Casタンパク質をコードする配列は、同じベクター上または異なるベクター上に担持されてもよい。複数のベクターが使用されるとき、各ベクターは、1つまたは複数のZFP、TALE、またはCRISPR/Cas系をコードする配列を含んでもよい。

従来のウイルスおよび非ウイルスベースの遺伝子導入方法を使用して、遺伝子操作されたZFP、TALE、またはCRISPR/Cas系をコードする核酸を細胞(例えば、哺乳類細胞)および標的組織に導入することができる。かかる方法をまた使用して、ZFP、TALE、またはCRISPR/Cas系をコードする核酸を細胞にインビトロで投与することもできる。ある特定の実施形態において、ZFP、TALE、またはCRISPR/Cas系をコードする核酸は、インビボまたはエクスビボ遺伝子治療用途のために投与される。非ウイルスベクター送達系は、DNAプラスミド、裸の核酸、およびリポソームまたはポロキサマー等の送達ビヒクルと複合体化された核酸を含む。ウイルスベクター送達系は、細胞への送達後にエピソームのゲノムまたは組み込まれたゲノムのいずれかを有するDNAおよびRNAウイルスを含む。遺伝子治療手順の概説については、Anderson,Science 256:808−813(1992)、Nabel&Felgner,TIBTECH 11:211−217(1993)、Mitani&Caskey,TIBTECH 11:162−166(1993)、Dillon,TIBTECH 11:167−175(1993)、Miller,Nature 357:455−460(1992)、Van Brunt,Biotechnology 6(10):1149−1154(1988)、Vigne,Restorative Neurology and Neuroscience 8:35−36(1995)、Kremer&Perricaudet,British Medical Bulletin 51(1):31−44(1995)、Haddada et al.,in Current Topics in Microbiology and Immunology Doerfler and Boehm(eds.)(1995)、およびYu et al.,Gene Therapy 1:13−26(1994)を参照されたい。

核酸の非ウイルス性送達の方法には、エレクトロポレーション、リポフェクション、マイクロインジェクション、バイオリスティック、ビロソーム、リポソーム、免疫リポソーム、ポリカチオン、または脂質:核酸複合体、裸のDNA、裸のRNA、人工ビリオン、および薬剤によって強化されたDNAの取り込みを含む。例えば、Sonitron 2000システム(Rich−Mar)を使用したソノポレーションも、核酸の送達のために使用することができる。好ましい実施形態において、1つ以上の核酸は、mRNAとして送達される。また、キャップ付加されたmRNAの使用により翻訳効率および/またはmRNA安定性を増加させることも好ましい。特に、ARCA(抗逆方向キャップ類似体(anti−reverse cap analog))キャップまたはその変異体が好ましい。米国特許第US7074596号および同第US8153773号を参照されたく、参照により本明細書に組み込まれる。

さらなる例となる核酸送達系には、Amaxa Biosystems(Cologne,Germany),Maxcyte,Inc.(Rockville,Maryland)、BTX Molecular Delivery Systems(Holliston,MA)、およびCopernicus Therapeutics Incによって提供されるものが含まれる(例えば、米国公開特許第6008336号を参照されたい)。リポフェクションは、例えば、米国特許第5,049,386号、同第4,946,787号、および同第4,897,355号)に記載されており、リポフェクション試薬は、市販されている(例えば、Transfectam(商標)およびLipofectin(商標)およびLipofectamine(商標)RNAiMAX)。ポリヌクレオチドの効率的な受容体認識リポフェクションに好適である、陽イオン性脂質および中性脂質は、Felgner、国際公開第WO91/17424号、同第WO91/16024号のものを含む。送達は、細胞(エクスビボ投与)または標的組織(インビボ投与)へのものであり得る。

免疫脂質複合体等の標的化リポソームを含む脂質:核酸複合体の調製は、当業者に周知である(例えば、Crystal,Science 270:404−410(1995)、Blaese et al.,Cancer Gene Ther.2:291−297(1995)、Behr et al.,Bioconjugate Chem.5:382−389(1994)、Remy et al.,Bioconjugate Chem.5:647−654(1994)、Gao et al.,Gene Therapy 2:710−722(1995)、Ahmad et al.,Cancer Res.52:4817−4820(1992)、米国特許第4,186,183号、同第4,217,344号、同第4,235,871号、同第4,261,975号、同第4,485,054号、同第4,501,728号、同第4,774,085号、同第4,837,028号、および同第4,946,787号を参照されたい)。

さらなる送達方法は、送達対象の核酸をEnGeneIC送達ビヒクル(EDV)にパッケージングする使用法を含む。これらのEDVは、二重特異性抗体を用いて標的組織に特異的に送達され、その抗体の一方のアームは、標的組織に対する特異性を有し、他方のアームは、EDVに対する特異性を有する。抗体は、EDVを標的細胞表面に運び、次いで、エンドサイトーシスによりEDVが細胞内に取り込まれる。一旦、細胞内に取り込まれると、その内容物が放出される(MacDiarmid et al(2009)Nature Biotechnology 27(7):643を参照されたい)。

遺伝子操作されたZFP、TALE、またはCRISPR/Cas系をコードする核酸を送達するためのRNAまたはDNAウイルスベースの系の使用は、ウイルスの標的を体内の特定の細胞に定め、ウイルスのペイロードを核に輸送するための高度に進化したプロセスを活用する。ウイルスベクターは、患者に直接投与することができるか(インビボ)、またはそれらは、インビトロで細胞を治療するために使用することができ、修飾細胞が患者に投与される(エクスビボ)。ZFP、TALE、またはCRISPR/Cas系を送達するための従来のウイルスベースの系には、遺伝子導入のためのレトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ワクシニアウイルス、および単純ヘルペスウイルスベクターが含まれるが、これらに限定されない。宿主ゲノムへの組み込みは、レトロウイルス、レンチウイルス、およびアデノ随伴ウイルスによる遺伝子導入方法を用いて可能であり、挿入された導入遺伝子の長期発現をもたらすことが多い。さらに、多くの異なる細胞型および標的組織において、高い導入効率が観察されている。

レトロウイルスの指向性は、外来性エンベロープタンパク質を組み込むことによって改変することができ、標的細胞の可能性のある標的集団を拡張する。レンチウイルスベクターは、非分裂細胞を形質導入するかまたは感染させることが可能であり、かつ典型的には高いウイルス力価を生じるレトロウイルスベクターである。レトロウイルス遺伝子導入系の選択は、標的組織に依存する。レトロウイルスベクターは、最大6〜10kbの外来性配列のパッケージング能力を有する、シス作用性の長い末端反復からなる。ベクターの複製およびパッケージングには、最小限のシス作用性LTRが十分であり、次いでそれらを使用して、治療用遺伝子を標的細胞に組み込んで恒久的な導入遺伝子の発現を提供する。広く使用されているレトロウイルスベクターには、マウス白血病ウイルス(MuLV)、テナガザル白血病ウイルス(GaLV)、サル免疫不全ウイルス(SIV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、およびそれらの組み合わせに基づくものが含まれる(例えば、Buchscher et al.,J.Virol.66:2731−2739(1992)、Johann et al.,J.Virol.66:1635−1640(1992)、Sommerfelt et al.、Virol.176:58−59(1990)、Wilson et al.,J.Virol.63:2374−2378(1989)、Miller et al.,J.Virol.65:2220−2224(1991)、PCT/米国公開第94/05700号を参照されたい)。

一過性の発現が好ましい用途では、アデノウイルスベースの系を使用することができる。アデノウイルスベースのベクターは、多くの細胞型において非常に高い形質導入効率が可能であり、細胞分裂を必要としない。かかるベクターを用いて、高力価かつ高レベルの発現が得られている。このベクターは、比較的単純な系において大量に産生することができる。アデノ随伴ウイルス(「AAV」)ベクターもまた、例えば、核酸およびペプチドのインビトロ産生において、ならびにインビボおよびエクスビボの遺伝子治療手順のために、標的核酸を用いて細胞に形質導入するために使用される(例えば、West et al.,Virology 160:38−47(1987)、米国特許第4,797,368号、国際公開第WO93/24641号、Kotin,Human Gene Therapy 5:793−801(1994)、Muzyczka,J.Clin.Invest.94:1351(1994)を参照されたい)。組換えAAVベクターの構築は、米国特許第5,173,414号、Tratschin et al.,Mol.Cell.Biol.5:3251−3260(1985)、Tratschin,et al.,Mol.Cell.Biol.4:2072−2081(1984)、Hermonat&Muzyczka,PNAS 81:6466−6470(1984)、およびSamulski et al.,J.Virol.63:03822−3828(1989)を含む、いくつかの刊行物に記載される。

現在のところ、少なくとも6つのウイルスベクターのアプローチが、臨床治験における遺伝子導入に利用可能であり、それらは、ヘルパー細胞株に挿入される遺伝子による欠陥ベクターの補完を伴うアプローチを利用して、形質導入剤を生成する。

pLASNおよびMFG−Sは、臨床治験に使用されてきたレトロウイルスベクターの例である(Dunbar et al.,Blood 85:3048−305(1995)、Kohn et al.,Nat.Med.1:1017−102(1995)、Malech et al.,PNAS 94:22 12133−12138(1997))。PA317/pLASNは、遺伝子治療治験で使用された最初の治療用ベクターであった。(Blaese et al.,Science 270:475−480(1995))。MFG−Sをパッケージしたベクターについて50%以上の形質導入効率が観察されている。(Ellem et al.,Immunol Immunother.44(1):10−20(1997)、Dranoff et al.,Hum.Gene Ther.1:111−2(1997)。

組換えアデノ随伴ウイルスベクター(rAAV)は、欠損型および非病原性のパルボウイルスアデノ随伴2型ウイルスに基づく、有望な代替の遺伝子送達系である。全てのベクターは、導入遺伝子発現カセットに隣接するAAVの145塩基対の逆方向末端反復のみを保持するプラスミドに由来する。形質導入された細胞のゲノムへの組み込みに起因する効率的な遺伝子導入および安定した導入遺伝子送達が、このベクター系の主要な特長である。(Wagner et al.,Lancet 351:9117 1702−3(1998)、Kearns et al.,Gene Ther.9:748−55(1996))。AAV1、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV8 AAV8.2、AAV9、およびAAVrh10を含む他のAAV血清型、ならびにAAV2/8、AAV2/5、およびAAV2/6等のシュードタイピングされたAAVもまた、本発明において使用することができる。

複製欠損型組換えアデノウイルスベクター(Ad)は、高力価で産生することができ、いくつかの異なる細胞型に容易に感染する。ほとんどのアデノウイルスベクターは、導入遺伝子がAd E1a、E1b、および/またはE3遺伝子を置換するように遺伝子操作され、その後、複製欠損型ベクターは、欠失した遺伝子機能をトランスで供給するヒト293細胞内で伝播させられる。Adベクターは、例えば、肝臓、腎臓、および筋肉中に見出されるもの等の非分裂の分化細胞を含む、複数の種類の組織にインビボで形質導入することができる。従来のAdベクターは、高い輸送能力を有する。臨床治験におけるAdベクターの使用の例は、筋肉内注射を用いた抗腫瘍免疫のためのポリヌクレオチド治療を伴った(Sterman et al.,Hum.Gene Ther.7:1083−9(1998))。臨床治験における遺伝子導入のためのアデノウイルスベクターの使用のさらなる例としては、Rosenecker et al.,Infection 24:1 5−10(1996)、Sterman et al.,Hum.Gene Ther.9:7 1083−1089(1998)、Welsh et al.,Hum.Gene Ther.2:205−18(1995)、Alvarez et al.,Hum.Gene Ther.5:597−613(1997)、Topf et al.,Gene Ther.5:507−513(1998)、Sterman et al.,Hum.Gene Ther.7:1083−1089(1998)が挙げられる。

パッケージング細胞を使用して、宿主細胞を感染させることが可能であるウイルス粒子が形成される。かかる細胞には、アデノウイルスをパッケージングする293細胞、およびレトロウイルスをパッケージングするψ2細胞またはPA317細胞が含まれる。遺伝子治療に使用されるウイルスベクターは、通常、核酸ベクターをウイルス粒子中にパッケージングする産生細胞株によって生成される。ベクターは、典型的には、パッケージングおよびその後の宿主への組込みに必要な最小限のウイルス配列を含有し(該当する場合)、他のウイルス配列が、発現対象のタンパク質をコードする発現カセットによって置換される。欠落したウイルス機能は、パッケージング細胞株によってトランスで供給される。例えば、遺伝子治療に使用されるAAVベクターは、典型的には、宿主ゲノムへのパッケージングおよび組込みに必要とされる、AAVゲノムからの逆方向末端反復(ITR)配列のみを有する。ウイルスDNAが細胞株にパッケージングされ、それは他のAAV遺伝子、つまりrepおよびcapをコードするが、ITR配列が欠如しているヘルパープラスミドを含有する。細胞株はまた、ヘルパーとしてのアデノウイルスにも感染させられる。ヘルパーウイルスは、AAVベクターの複製およびヘルパープラスミドからのAAV遺伝子の発現を促進する。このヘルパープラスミドは、ITR配列の欠如に起因して、相当な量ではパッケージングされない。アデノウイルスによる汚染は、例えば、AAVよりもアデノウイルスのほうがより敏感である熱処理によって、低減することができる。

多くの遺伝子治療の用途において、遺伝子治療ベクターが、特定の組織型に対する高度の特異性をもって送達されることが望ましい。したがって、ウイルスベクターは、ウイルスの外表面上のウイルスコートタンパク質との融合タンパク質としてリガンドを発現させることによって、所与の細胞型に対する特異性を有するように修飾することができる。リガンドは、目的の細胞型上に存在することが知られている受容体に対する親和性を有するように選定される。例えば、Han et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:9747−9751(1995)は、モロニーマウス白血病ウイルスを、gp70に融合されたヒトヘレグリンを発現するように修飾することができ、その組換えウイルスが、ヒト上皮成長因子受容体を発現するある特定のヒト乳癌細胞に感染することを報告した。この原理は、標的細胞が受容体を発現し、ウイルスが細胞表面受容体に対するリガンドを含む融合タンパク質を発現する、他のウイルス標的細胞対にまで拡張することができる。例えば、繊維状ファージは、実質的にいかなる選定された細胞受容体に対しても特異的結合親和性を有する抗体断片(例えば、FABまたはFv)を提示するように、遺伝子操作することができる。上記の説明は、主としてウイルスベクターに適用されるが、同じ原理を非ウイルスベクターに適用することができる。かかるベクターは、特異的な標的細胞による取り込みを選好する特異的な取り込み配列を含有するように遺伝子操作することができる。

遺伝子治療ベクターは、下に記載されるように、典型的には、全身投与(例えば、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、もしくは頭蓋内注入)または局所適用による個々の患者への投与によって、インビボで送達することができる。代替的に、ベクターは、個々の患者から外植された細胞(例えば、リンパ球、骨髄穿刺液、組織生検)または万能ドナー造血幹細胞等の細胞にエクスビボで送達することができ、続いて、通常はベクターを組み込んだ細胞の選択後に、細胞が患者に再移植される。

診断、研究のため、または遺伝子治療のための(例えば、宿主生物へのトランスフェクトされた細胞の再注入を介した)エクスビボ細胞トランスフェクションは、当業者に周知である。好ましい実施形態において、細胞は、対象生物から単離され、ZFP、TALE、またはCRISPR/Cas系核酸でトランスフェクトされ(遺伝子.cDNAまたはmRNA)、対象生物(例えば、患者)に再注入される。好ましい実施形態において、1つ以上の核酸は、mRNAとして送達される。また、キャップ付加されたmRNAの使用により翻訳効率および/またはmRNA安定性を増加させることも好ましい。特に、ARCA(抗逆方向キャップ類似体(anti−reverse cap analog))キャップまたはその変異体が好ましい。米国特許第7,074,596号および同第8,153,773号を参照されたく、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。エクスビボトランスフェクションに好適な種々の細胞型は、当業者に周知である(例えば、Freshney et al.,Culture of Animal Cells,A Manual of Basic Technique(3rd ed.1994))、ならびに患者からの細胞の単離および培養方法の考察についてはその中で引用される参考文献を参照されたい)。

一実施形態において、細胞トランスフェクションおよび遺伝子治療のために幹細胞がエクスビボ手順で使用される。幹細胞を使用することの利点は、それらがインビトロで他の細胞型に分化し得るか、または哺乳動物(細胞のドナー等)に導入され得、それらがその骨髄中で生着することである。GM−CSF、IFN−γ、およびTNF−α等のサイトカインを使用して、CD34+細胞を臨床的に重要な免疫細胞型へとインビトロで分化させるための方法が知られている(Inaba et al.,J.Exp.Med.176:1693−1702(1992)を参照されたい)。

幹細胞は、形質導入および分化のために、既知の方法を使用して単離される。例えば、幹細胞は、骨髄細胞を、CD4+およびCD8+(T細胞)、CD45+(汎B細胞)、GR−1(顆粒球)、およびIad(分化抗原提示細胞)等の、所望されない細胞に結合する抗体でパンニングすることによって、骨髄細胞から単離される(Inaba et al.,J.Exp.Med.176:1693−1702(1992)を参照されたい)。

修飾された幹細胞もまた、いくつかの実施形態において使用され得る。例えば、アポトーシスへの耐性を与えられたニューロン幹細胞が治療用組成物として使用されてもよく、その幹細胞はまた、本発明のZFP TFも含有する。アポトーシスへの耐性は、幹細胞内でBAXまたはBAK特異的TALENまたはZFNを使用してBAXおよび/またはBAKをノックアウトすることによって(米国特許公開第20100003756号を参照されたい)、または例えばカスパーゼ−6特異的ZFNを再び使用してカスパーゼにおいて妨害されるものによって、生じ得る。これらの細胞は、変異または野生型Httを制御することが知られているZFP TFまたはTALE TFでトランスフェクトすることができる。

治療用ZFP核酸を含有するベクター(例えば、レトロウイルス、アデノウイルス、リポソーム等)はまた、インビボでの細胞の形質導入のために生物に直接投与することもできる。代替的に、裸のDNAを投与することができる。投与は、注射、注入、局所適用、およびエレクトロポレーションを含むが、これらに限定されない、血液または組織細胞との最終的な接触に分子を導入するために通常使用される経路のうちのいずれかによる。かかる核酸を投与する好適な方法は、利用可能かつ当業者に周知であり、特定の組成物を投与するために1つを超える経路が使用されてもよいが、特定の経路が、別の経路より即時的かつより効果的な反応を提供できる場合が多い。

造血幹細胞へのDNAの導入のための方法は、例えば、米国特許第5,928,638号に開示される。造血幹細胞、例えば、CD34+細胞への導入遺伝子の導入に有用なベクターには、アデノウイルス35型が含まれる。

免疫細胞(例えば、T細胞)への導入遺伝子の導入に好適なベクターには、非組み込み型レンチウイルスベクターが含まれる。例えば、Ory et al.(1996)Proc.Natl.Acad.Sci.USA93:11382−11388、Dull et al.(1998)J.Virol.72:8463−8471、Zuffery et al.(1998)J.Virol.72:9873−9880、Follenzi et al.(2000)Nature Genetics25:217−222を参照されたい。

薬学的に許容される担体は、部分的に、投与されている特定の組成物によって、ならびに組成物を投与するために使用される特定の方法によって、決定される。したがって、下に記載されるように、多種多様な好適な医薬組成物の製剤が利用可能である(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,17th ed.,1989を参照されたい)。

上述のように、開示される方法および組成物は、原核細胞、真菌細胞、古細菌細胞、植物細胞、昆虫細胞、動物細胞、脊椎動物細胞、哺乳類細胞、およびヒト細胞を含むが、これらに限定されない、任意の種類の細胞内で使用することができる。タンパク質発現に好適な細胞株は、当業者に知られており、COS、CHO(例えば、CHO−S、CHO−K1、CHO−DG44、CHO−DUXB11)、VERO、MDCK、WI38、V79、B14AF28−G3、BHK、HaK、NS0、SP2/0−Ag14、HeLa、HEK293(例えば、HEK293−F、HEK293−H、HEK293−T)、perC6、ヨトウガ(Sf)等の昆虫細胞、ならびにサッカロミセス属、ピチア属、およびシゾサッカロミセス属等の真菌細胞を含むが、これらに限定されない。これらの細胞株の子孫、変異体、および誘導体もまた使用することができる。

適用 開示される組成物および方法は、治療適用および研究適用を含むが、これらに限定されない、Htt対立遺伝子を調節することが望ましい任意の適用のために使用することができる。

Htt抑制ZFP TFまたはTALE TFを治療剤として使用することができる疾患および病態には、ハンチントン病が含まれるが、これらに限定されない。さらに、Httの変異対立遺伝子に特異的なZFNまたはTALENを含む方法および組成物を、ハンチントン病の治療のための治療薬として使用することができる。

HD Htt対立遺伝子を抑制するZFP−TFまたはTALE TFはまた、GDNFおよびBDNFを含むが、これらに限定されない神経栄養(neutrotrophic)因子を活性化するZFP−TFまたはTALE−TFと併用されてもよい。これらのZFPまたはTALE(またはこれらのZFPまたはTALEをコードするポリヌクレオチド)は、同時に(例えば、同じ医薬組成物中で)投与されてもよく、または任意の順序で順次に投与されてもよい。

ハンチントン病を治療するための方法および組成物はまた、幹細胞内のHtt対立遺伝子の変異体コピーがHtt特異的ZFNまたはTALENを使用して野生型Htt対立遺伝子に対して修飾された、幹細胞組成物を含む。

本発明の方法および組成物はまた、これらの障害の研究を可能にする、インビトロおよびインビボモデル、例えば、トリヌクレオチド反復障害の動物モデルの設計および実現にも有用である。好適なインビトロモデルの非限定的な例としては、線維芽細胞を含む、任意の生物由来の細胞または細胞株が挙げられる。動物モデルとして使用するのに好適な動物の非限定的な例としては、無脊椎動物(C.エレガンス、ショウジョウバエ)、齧歯類(例えば、ラットまたはマウス)、霊長類(例えば、非ヒト霊長類)が挙げられる。

本明細書に記載される組成物(例えば、タンパク質および/またはポリヌクレオチド)は、単独で、または他の適切な構成要素(例えば、リポソーム、ナノ粒子または当該分野で公知の他の構成要素)と組み合わせて、吸入によって投与されるエアゾール製剤(すなわち、それらは「噴霧され」(neblize)得る)にされ得る。エアゾール製剤は、加圧された許容される噴射剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素等)中に配置され得る。非経口投与(例えば、静脈内、筋肉内、皮内、および皮下経路による)に適切な製剤としては、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤および製剤を意図されるレシピエントの血液と等張にするための溶質を含有し得る水性および非水性の等張滅菌注射溶液と、懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定剤、および保存剤を含み得る水性および非水性の滅菌懸濁液とが挙げられる。組成物は、例えば、静脈内注入により、経口で、局所的に、腹腔内に、膀胱内に、または骨髄腔内に投与され得る。化合物の製剤は、アンプルおよびバイアルといった単位用量または複数用量の密封容器中で提供され得る。注射溶液および注射懸濁液は、以前に記載された種類の滅菌粉末、顆粒、および錠剤から調製され得る。

患者に投与される用量は、患者において経時的に有益な治療的応答をもたらすのに十分であるべきである。用量は、用いられる特定のHtt結合分子の有効性およびKd、標的細胞、ならびに患者の状態、ならびに治療される患者の体重もしくは体表面積によって決定される。用量のサイズはまた、特定の患者において特定の化合物またはベクターの投与に付随する何らかの有害副作用の存在、性質および程度によっても決定される。

実施例1:Htt標的化ジンクフィンガータンパク質転写因子(ZFP−TF)およびZFNの設計および構築 Httを標的とするジンクフィンガータンパク質を、本質的に米国特許第6,534,261号に記載されるように遺伝子操作した。表1Aおよび1Bは、例となるHtt標的化ZFPのDNA結合ドメインの認識ヘリックスを示す一方で、表2Aおよび2Bは、これらのZFPの標的配列を示す。

1つの連続したジンクフィンガーのアレイを有するZFPを、CAG反復領域の完全に内側の部位を標的とするように設計した(図1B)。かかるZFPは、より高い親和性および/またはより高い正味占有率で、より長い変異トラクトに結合し得、変異対立遺伝子の選択的抑制を達成する。CAG領域の部分的にまたは全体的に外側にある部位を標的とし、したがって野生型および変異対立遺伝子に均等に結合し、両方の対立遺伝子からの発現を同様の効率で制御する、ZFNもまた設計した(図1A)。CAG領域を認識するようにジンクフィンガータンパク質を設計するとき、1フィンガーおよび2フィンガーモジュールの組を「ミックス・アンド・マッチ」の組み合わせで用いることができる。それらのモジュールが下の表2Cに示される。

多量体化ZFP TFもまた上述のように構築するが、ベクターがまた、ZFP TFをコードする配列に作動可能に連結される、トリヌクレオチド反復のトラクトに沿って発現されたタンパク質の多量体化を可能にする、1つ以上のタンパク質相互作用ドメイン(二量体化またはタンパク質相互作用ドメインとも呼ばれる)をコードする配列も含有することを除く。図1Dおよび図10を参照されたい。表3は、CAG反復領域に標的を定められたZFPと共に使用される、二量体化ドメイン設計を示す。図10Cは、二量体化ジンクフィンガー(DZ)DZ1〜DZ4の間の相互作用を介して多量体化するように設計される、4つのZFP単量体足場のタンパク質配列を示す。設計は、Mol.Syst.Biol.(2006)2:2006.2011に記載される作業に基づく。図10Dは、コイルドコイル(CC)CC1〜CC7の間の相互作用を介して多量体化するように設計される、7つのZFP単量体足場のタンパク質配列を示す。CC番号1の設計は、(J.Am.Chem.Soc.(2001),123:3151−3152)に記載される作業に基づく一方で、CC番号2、CC番号3、およびCC番号4は、(J.Am.Chem.Soc.(2000),122:5658−5659)に基づく。CCおよびDZドメインは、ZFPがCAGトラクトの主溝内で重合体化することを可能にする(図10Bに描写される)。適切な結合特性を有するフィンガーアレイおよび二量体化ドメインを選定することによって、疾患対立遺伝子の伸長したCAGトラクトに対してのみ効率的な結合が生じるであろう。

ZFP−TFを、核局在化配列、Htt対立遺伝子に標的を定められた遺伝子操作されたジンクフィンガーDNA結合ドメイン(表1Aおよび1B)、およびヒトKOX1タンパク質からのKRAB抑制ドメインを含む融合タンパク質として構築した。図1A、1B、および1Dを参照されたい。設計されたDNA結合ドメインは、3〜6つのフィンガーモジュールを含有し、9〜18塩基対の配列を認識する(表2Aおよび2B)。ZFP認識ヘリックスが接触している標的部位におけるヌクレオチドは、大文字で示され、接触していないヌクレオチドは、小文字で示される。2つのZFP DNA結合ドメインが柔軟なリンカーで融合され、KRAB抑制ドメインに融合された、ZFP−ZFP−TF分子もまた構築した(図1E)。DNA結合ドメインを表2Aおよび2Bから選定した。

実施例2:ヒトおよびマウス細胞内のHttの両方の対立遺伝子の抑制 Httの両方の対立遺伝子を抑制するために(対立遺伝子非特異的)、ZFPを、Httプロモーターおよびエクソン1領域に結合するように設計し、この標的部位は、完全にCAG反復内にはなかった。図1Aを参照されたい。Htt抑制ZFP TFの活性を試験するために、ZFP TFをヒト細胞内にトランスフェクトし、Httの発現を、リアルタイムRT−PCRを使用して監視した。

ヒトHEK293細胞(Graham et al(1977)J Gen Virol 36:59−74)を、10%FBSを補充したDMEM中で培養し、1e5細胞を、製造業者の指示に従ってAmaxa Nucleofector(登録商標)により、示されるZFP−KOX融合物をコードする1μgのプラスミドDNAでトランスフェクトした。

トランスフェクトされた細胞を2日間インキュベートし、内因性ヒトハンチンチン(Htt)および正規化対照β−アクチン(ACTB)のレベルを、リアルタイムPCRによって、それぞれHs00918176_m1および4352935Eプライマーおよびプローブ(Applied Biosystems)を使用して、標準プロトコルに従って分析した。Httレベルを、偽トランスフェクトされた試料(1として設定)のレベルに対して正規化したHtt/ACTB比として表した。

図2Aに示されるように、Htt標的化ZFPは、Htt発現を抑制した。ウェスタンブロット分析を、標準プロトコルを使用して行って、Httタンパク質レベルの低減を確認した(図2B)。p65タンパク質をローディング対照として使用した。

マウスHtt特異的ZFP TF抑制因子を、Neuro2A細胞(Klebe&Ruddle(1969)J.Cell Biol.43:69A)内に、製造業者のプロトコルに従ってLipofectamine(登録商標)2000キット(Invitrogen)を使用して一過性でトランスフェクトした。mHttおよびACTB mRNAレベルを、トランスフェクション後48時間時点で、それぞれABI Taqman(登録商標)プライマー/プローブセットMm01213820 m1および4352933Eを使用して測定した。ZFPでトランスフェクトされた試料についてのmHtt/ACTB比を、GFP対照(1として設定)のそれらに対して正規化した。

図2Cに示されるように、ZFPは、マウスHtt発現を抑制した。加えて、マウスHtt特異的ZFP−TF抑制因子は、Httノックインマウスに由来する、不死化線条体細胞内のマウスHtt、STHdh(Q111/Q7)を抑制することができる(Trettel et al.(2000)Hum.Mol.Genet 9:2799−2809)。図2Dおよび2Eを参照されたい。示されるZFPについてのmRNAを、mMessage mMachineキット(Ambion)を使用して生成し、0.1、0.5、または2μgのこれらのmRNAを、上述のようにAmaxaヌクレオフェクターを使用してトランスフェクトした。細胞を、上述のmHttおよびACTB発現分析のためにトランスフェクションの48時間後に採取した。Neuro2A細胞内の抑制と比較して線条体細胞内のより有意な抑制が観察されたが、それは線条体(striatal)細胞内のmRNAトランスフェクションを介して達成される強化されたトランスフェクション効率の結果であり得る。

実施例3:ヒトおよびマウス細胞内の変異Httの選択的抑制 変異Htt対立遺伝子の選択的抑制を達成するために、ZFPをCAG反復内で結合するように設計した。図1Bは、1種類のかかるZFPを示し、このうちジンクフィンガーの連続したアレイが抑制ドメイン(例えば、KOX1からのKRABドメイン)に連結され、これらのZFPは、転写抑制に必要とされる閾値占有率が伸長したCAG反復上でのみ確立され得るように、適切な親和性をもって設計することができる。図1C、1D、および1Eは、伸長したCAG反復への特異的結合を可能にし得るZFP設計の3つの他の例を示す。

図1Bに例示されるように設計されたZFPをHEK293細胞に導入し、Htt発現を評価した。ZFPコード構築物をHEK293細胞内に、FugeneHDを使用して、標準プロトコルを使用してトランスフェクトした。トランスフェクションの72時間後、総RNAを単離し、内部対照β−アクチン(ACTB)と比べた内因性ヒトハンチンチン(Htt)のレベルを、リアルタイムPCRによって、それぞれHs00918176_m1および4352935Eプライマーおよびプローブ(Applied Biosystems)を使用して分析した。ZFPでトランスフェクトされた試料についてのHtt/ACTB比を、GFP対照(1として設定)のそれらに対して正規化した。

図3Aに示されるように、上鎖または下鎖のいずれかで、HEK293細胞内のCAG反復に結合するように設計されたZFP抑制因子(KRAB抑制ドメインと融合)(図1B)は、Htt発現を有効に抑制した。図3Aは、発現を二重トランスフェクションで測定し(図における別々のバー)、複数のリアルタイムPCRアッセイを完了した(エラーバー)、転写の抑制因子を描写する。個々のZFPによる異なるレベルの抑制は、それらがCAG反復領域への異なる親和性を有することを示唆する。HEK293細胞内のHtt対立遺伝子は16回および17回CAGを有するので、この結果はまた、30640等の「より弱い」ZFPが、野生型(伸長していない)CAG反復長を有するHtt対立遺伝子を効果的に抑制しないことも示唆する。

30640等のZFPが、伸長したCAG反復を有するHtt対立遺伝子の転写を抑制し得るかどうかを試験するために、異なるCAG反復長を含有するHttプロモーター/エクソン1断片によって調節されるルシフェラーゼレポーターを構築した。最初に、ヒトHttプロモーター/エクソン1断片を、HEK293ゲノムDNAから、次の順方向プライマー: 5’GAAGATCTCACTTGGGGTCCTCAGGTCGTGCCGAC(配列番号139) および次の逆方向プライマー: 5’GTATCCAAGCTTCAGCTTTTCCAGGGTCGCCTAGGCGGTCT.(配列番号140)を使用して増幅した。

順方向プライマーは、BglII部位を導入し、逆方向プライマーは、Httの最初のATGをTAGに変更し、AvrII部位を作製し、また、HindIII部位も含む。PCR産物をBglIIおよびHindIIIで消化し、pRL−TKベクター(Promega)に連結反応させ、それを同じ酵素で消化して、構築物pRL−Httを生成した。次いで、ヒトHttエクソン1断片(最初のATGを除いたコード配列)を、HEK293ゲノムDNAまたは伸長したCAG反復を有するHD患者由来のゲノムDNAから、次の順方向プライマー: 5’GCCTAGGCGACCCTGGAAAAGCTGATGAAGGCC(配列番号141) および次の逆方向プライマー:5’ 5’GTATCCAAGCTTGAGCTGCAGCGGGCCCAAACTCACG(配列番号142)を使用して増幅した。

順方向プライマーは、AvrII部位を導入し、逆方向プライマーは、HindIII部位を導入する。PCR産物をAvrIIおよびHindIIIで消化し、pRL−Httベクターに連結反応させ、それを同じ酵素で消化した。10、17、23、または47回CAG反復を有するクローン(pRL−Htt−CAG(x))を、配列決定によって特定した。

pRL−Htt−CAG(x)レポーター(300ng)およびpGL3−プロモーターレポーター(100ng、正規化対照として使用、Progema)を、HEK293細胞内に、100ngのZFP 30640発現ベクターを用いてまたは用いずにトランスフェクトした。ホタル(pGLレポーター)およびウミシイタケ(pRLレポーター)ルシフェラーゼ活性をトランスフェクションの24時間後に測定した。ウミシイタケルシフェラーゼレベルを、同じトランスフェクトした試料からのホタルルシフェラーゼのレベルに対して正規化し、「レポーターのみ」の試料のウミシイタケ/ホタル比に対してさらに正規化した。

図3Bに示されるように、ZFP−TF 30640によるルシフェラーゼレポーターの抑制は、CAG反復の長さと共に増加することから、30640のDNA結合親和性と同様のDNA結合親和性を有するZFPが、伸長したCAG反復を介したHttプロモーター活性を抑制し得、またの抑制のレベルがCAG反復長に依存することが示唆される。

図3Cは、図3Bにおけるものと同様の実験を示すが、「強力な」ZFP−TF 30657もまた試験し、30640および30657の両方を示される複数の用量で試験したことを除く。各用量レベルで、30640は、pRL−Htt−CAG23レポーターよりもpRL−Htt−CAG47レポーターのより大きい抑制を提供した(CAG反復長依存性の抑制)一方で、30657は、両方のレポーターを同様のレベルで抑制した。pRL−Htt−CAG23レポーターに対して、30640は、各用量レベルで30657よりも低い抑制を提供したことから、正常なCAG反復長を有する内因性Htt対立遺伝子(HEK293細胞、図3A)に対するそれらの活性における差異が要約されるが、pRL−Htt−CAG47レポーターに対しては、30640および30657は、各用量レベルで同様の抑制を提供したことから、30640等の「より弱い」ZFPが、伸長したCAG反復を通じたHttプロモーターを効率的に抑制し得ることが示唆され、これは、伸長したCAG標的のみが、抑制に必要とされる閾値占有率がかかるZFPによって確立されることを可能にし得るためである可能性が最も高い。

図3Dは、ZFP−TF 30640および30657(KOX1のKRAB抑制ドメインに融合)が、Hdh(Q111/Q7)ノックインマウスに由来する不死化線条体細胞内のノックインHtt対立遺伝子(CAG111)を抑制し得ることを示し、ルシフェラーゼレポーターのCAG反復長依存性の抑制を主導する、30640等のZFPがまた、伸長したCAG反復を有する内因性Htt対立遺伝子からの発現も抑制し得ることを実証する。示されるZFPについてのmRNAを、mMessage mMachineキット(Ambion)を使用して生成し、Hdh(Q111/Q7)細胞内に、示される用量で、Amaxaヌクレオフェクターを使用してトランスフェクトした。野生型マウスHtt対立遺伝子からの発現を検出するために、リアルタイムRT−PCRにおいて、順方向プライマーCAGGTCCGGCAGAGGAACC(配列番号193)および逆方向プライマーTTCACACGGTCTTTCTTGGTGG(配列番号194)を使用し、ノックインHtt対立遺伝子からの発現を検出するために、順方向プライマーGCCCGGCTGTGGCTGA(配列番号195)および逆方向プライマーTTCACACGGTCTTTCTTGGTGG(配列番号196)を使用した。

図3Eは、それぞれ正常なHtt対立遺伝子および変異Htt対立遺伝子上に15回および70回CAGを有するHD患者由来の線維芽細胞株(GM21756、Coriell)において、ZFP−TF 30640および30657を試験した結果を示す。SNPベースの対立遺伝子特異的リアルタイムPCRアッセイを最初に確立して、野生型または変異Htt対立遺伝子からの特異的検出を可能にする。SNP(rs363099 T/C)の位相調整(phasing)をCarroll et al.(Mol Ther.(2011)19:2178−85)によって決定した。「T」は、正常な対立遺伝子上にあり、「C」は、変異対立遺伝子にある。変異対立遺伝子(099C)からのHtt発現を検出するために、線維芽細胞からのcDNAを、リアルタイムPCR(SsoFast EvaGreen Supermix,Bio−Rad)によって、順方向プライマー099C.F(5’AGTTTGGAGGGTTTCTC、配列番号143)および逆方向プライマー099.R5(5’TCGACTAAAGCAGGATTTCAGG、配列番号144)を使用して増幅し、アニーリング/伸長温度は55.6℃であった。野生型対立遺伝子(099T)からのHtt発現を検出するために、線維芽細胞cDNAのリアルタイムPCRを、順方向プライマー099T.F(5’AGTTTGGAGGGTTTCTT、配列番号145)、逆方向プライマー099.R5、および3’リン酸化ブロッカーオリゴ099T.BL(5’AGGGTTTCTCCGCTCAGC−3’ホス、配列番号146)を使用して行い、アニーリング/伸長温度は58.3℃であった。総ヒトハンチンチン(hHtt、野生型対立遺伝子および変異対立遺伝子の両方)レベルおよび正規化対照β−アクチン(ACTB)レベルを、リアルタイムPCRによって、それぞれプライマー/プローブHs00918176_m1および4352935E(Applied Biosystems)を使用して分析した。図3Eに示される実験について、示されるZFPについてのmRNAを、mMessage mMachineキット(Ambion)を使用して生成し、1μgのmRNAを、上記のようにAmaxaヌクレオフェクターを使用してトランスフェクトした。細胞をトランスフェクションの48時間後に採取し、正常(CAG15、099T)Htt対立遺伝子、変異(CAG70、099C)Htt対立遺伝子、および総Htt(hHtt)からのmRNAレベルを上述のように定量し、ACTBのレベルに対して正規化し、各試料についてのHtt/ACTB比を偽トランスフェクトされた試料のそれに対してさらに正規化した。「強力な」CAG標的化ZFP 30657は、予想通り、両方の対立遺伝子を抑制した(HEK293細胞内のその活性に基づく、図3A)。レポーターのCAG反復長依存性の抑制を示した、ZFP 30640は、野生型対立遺伝子の10%未満の抑制を提供した一方で、変異対立遺伝子を90%超抑制した。各試料中の総Httのレベルは、同じ試料中の野生型Httのレベルおよび変異Httレベルと一致していた。

ZFP−30640もまた、正常な線維芽細胞株ならびにHtt遺伝子において異なるCAG反復長を含有する他のHD線維芽細胞株において試験した(図3Fを参照されたい)。各対立遺伝子からのHtt発現を上述のように検出した。正常な線維芽細胞株(CAG18/18)においてHtt抑制は何ら観察されなかった。対照的に、対立遺伝子の優れた識別が、CAG 15/67およびCAG15/70株において、高用量および低用量両方のトランスフェクトされた30640 mRNAで観察され、同様の結果が、変異対立遺伝子上で中間のCAG反復長を有する2つのHD線維芽細胞株(CAG 18/44およびCAG 18/45)についても得られた(伸長した対立遺伝子は、高用量および低用量両方の30640で約80%抑制されるが、なおもCAG18対立遺伝子は、影響を受けないままであった)。まとめると、これらのデータは、30640等の対立遺伝子特異的抑制因子が、CAG18/44およびCAG18/45等のより優勢な疾患遺伝子型の関連において、強力なCAG対立遺伝子長の選択性を維持し得ることを示す。

ウェスタンブロット分析を使用して、30640等のZFPが、2つの患者由来線維芽細胞株内の変異Httタンパク質レベルを選択的に下方制御することを示し、qPCRアッセイによって示される対立遺伝子特異的制御を確認した(図3Gを参照されたい)。ZFPを、300ng用量でmRNAトランスフェクション(Amaxaヌクレオフェクション(nucleofection))によって、1.5e5細胞の4つの反復実験試料に送達し、プールしてから、12ウェルプレートにプレートした。48時間時点で、細胞を洗浄し、タンパク質抽出物調製のために採取した。およそ2.5μgの抽出物を5%トリス−酢酸塩ゲル上にローディングし、MAB2166(Millipore)によって検出した。さらに、同じ試料を4〜15%トリス−HCl ゲル(Bio−Rad)上にローディングし、ローディング対照として抗B−アクチン(1:20,000、Sigma)による検出のために標準方法を使用して転写した。Htt mRNAを測定するqPCR研究に基づいて、30640は、CAG反復を標的とする対立遺伝子特異的抑制因子であり、32528は、転写開始部位(TSS)を標的とする2対立遺伝子の抑制因子であり、30657は、使用された用量で両方のHtt対立遺伝子を抑制するCAG標的化抑制因子である。ウェスタンブロットは、30640が両方のHD患者由来の細胞株において変異Htt(上部のバンド)のレベルを特異的に低減した一方で、32528および30657が両方の対立遺伝子を同様に抑制したことを示した。

実施例4:Httの対立遺伝子特異的抑制を主導するさらなるCAG標的化ZFP設計。 図4Aは、CAG18/45 HD線維芽細胞株において、ZFP−TF 30640、30643、30645、および33074(全てがCAG反復に標的を定められ、KRAB抑制ドメインを使用する)を試験した結果を示す。異なる量のZFP mRNAを、Amaxaヌクレオフェクターを使用して、示されるようにトランスフェクトし、変異Htt(右側のバー)、野生型Htt(中央のバー)、および総Htt(両方の対立遺伝子、左側のバー)の発現を、トランスフェクション後24時間時点で上述のように測定した。ZFP 30640、30645、および33074は、3μg〜10ngのZFP mRNA用量範囲全体にわたって対立遺伝子特異的抑制を主導する一方で、30643は、30ng以上である用量で両方の対立遺伝子を有意に抑制するように思われ、10ng用量で対立遺伝子選択性を示し始める。

図4Bは、CAG15/70 HD線維芽細胞株において、ZFP 30643、30648、30657、および30658(全てがCAG反復に標的を定められ、KRAB抑制ドメインを使用する)を試験した結果を示す。異なる量のZFP mRNAを、Amaxaヌクレオフェクターを使用して、示されるようにトランスフェクトし、変異Htt(右側のバー)、野生型Htt(中央のバー)、および総Htt(両方の対立遺伝子、左側のバー)の発現を、トランスフェクション後24時間時点で上述のように測定した。前の図で試験されたZFP(30640、30645、および33074)と比較して、これらのZFPは、より低い用量で変異Htt特異的抑制を主導する。これらの結果は、インビボで(例えば、HD患者の脳内で)達成され得るZFP発現レベルに依存して、変異Httの対立遺伝子特異的抑制が適切なZFP設計を使用して達成され得ることを示唆する。

実施例5:代替的なCAG含有遺伝子の抑制 実施例3(図3E)において単離されたRNAを使用して、他のCAG反復含有遺伝子の抑制を分析し、その結果が図5に描写される。次の遺伝子の発現レベルを、リアルタイムPCRを使用して検査し、アクチンのそれらに対して正規化した:アタキシン2(「ATXN2」)、ダイナミン(「DNM1」)、Fボックスオンリータンパク質11(「FBXO11」)、硝酸塩レダクターゼ(「NAP」)、複製起点認識複合体サブユニット4(「ORC4」)、ホスホキナーゼ(「PHK」)、OCT3/4タンパク質(「POU3」)、THAPドメイン含有アポトーシス関連タンパク質2(「THAPII」)、TATA結合タンパク質(「TBP」)、およびスタニオカルシン1(「STC1」)。加えて、転写開始部位(TSS)に対するCAG反復配列の箇所を書き留め、それは図3Fにおいて「TSS@」として示され、ここで「+」は、TSSの下流であるCAG反復の塩基の位置を示し、「−」は、TSSの上流であるCAG反復の塩基の位置を示す。また、CAG反復の数(「番号CAG」)が各遺伝子につき示される。

データは、30640による伸長した変異Htt対立遺伝子の抑制が、高度に特異的であり、CAG反復がそれらのそれぞれの転写開始部位に比較的近接しているCAG反復含有遺伝子のサブセットのみが、30640等のZFPの抑制標的であり得ることを実証する。

実施例6:Httの対立遺伝子特異的ZFP抑制因子のゲノム全域にわたる特異性 HD線維芽細胞(CAG18/45)をトランスフェクトして、CAG標的化ZFPのゲノム全域にわたる特異性をマイクロアレイ分析によって研究した(図6)。ZFPを、示される用量でmRNAトランスフェクション(Amaxaヌクレオフェクション)によって送達、すなわち、ZFP 30640、30645、および33074を、それぞれ75ng、15ng、および15ng用量で六重にトランスフェクトした。GFP−Kox mRNA(150ng)を対照としてトランスフェクトし、それを担体として使用して、全ての試料中のトランスフェクトされたmRNAの総量を150ngにした。CAG18(099T、中央のバー)およびCAG45(099C、右側のバー)対立遺伝子からの発現を、対立遺伝子特異的qPCR試薬によって、トランスフェクション後24時間時点で上述のように測定した(試料(1〜6)の各々は、生物学的反復実験試料(別個のトランスフェクション)である)。HttレベルをGAPDHのそれらに対して正規化した。Httの変異対立遺伝子特異的抑制が3つ全てのZFPについて観察された。4つの最も類似した反復実験試料を次いで、マイクロアレイ分析(Affymetrix HGU133プラス2.0)のために次のように選定した:GFP反復実験試料1、3、4、および6;30640反復実験試料2、3、5、および6;30645反復実験試料2、3、5、および6;ならびに33074反復実験試料1、3、4、および5をマイクロアレイ分析に使用した。Robust Multi−array Average(RMA)を使用して、各プローブセットからの原シグナルを正規化し、T検定を使用してZFPでトランスフェクトされた試料をGFPでトランスフェクトされた試料と比較し、「変更」呼び出しを、対照試料と比べて2倍超の差異および0.05未満のT検定P値を有する遺伝子(プローブセット)に対して行った。その基準に基づいて、30640は、スタニオカルシン1(STC1)および伸長したシナプトタグミン様タンパク質1(ESYT1)の2つの遺伝子のみを抑制し、30645および33074は、それぞれSTC1およびインターロイキン17受容体A(ILR17RA)である各々1つの遺伝子しか抑制しなかった。アレイ上のHttプローブセットが野生型Htt mRNAおよび変異Htt mRNAの両方を検出するので、Httは抑制された(2倍超の抑制)遺伝子として検出されなかった。この実験は、変異Htt特異的ZFPが、Httの効率的な対立遺伝子特異的抑制を主導するレベルで発現されるとき、ゲノム全域にわたる非常に高い特異性をもって作動し得ることを実証する。

実施例7:HD神経幹細胞(NSC)における対立遺伝子特異的抑制 HD iPSC/ESCをアキュターゼにより継代し、マトリゲルコーティングプレート上で、E8培地(Life Technologies)中で培養した。神経幹細胞を、StemPro Neural Induction Medium(Life Technologies)を使用して誘導した。簡潔に述べると、iPSC/ESCを、ゲルトレックス(geltrex)コーティングされた6ウェル皿中に200,000細胞/ウェルで播種し、10〜20%コンフルエントとなったときに培地をStemPro Neural Induction Mediumに変更した。培地を2日毎に変更し、7日目にNSCを採取し、増殖させた。StemPro NSC SFM medium(Life Technologies)を使用して、NSCを培養した。HD NSC(CAG17/69、Coriell GM23225 iPSCに由来)を、1.5または0.5μgのZFP mRNAで、ヌクレオフェクションを使用してトランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後、細胞を採取し、発現をRT−PCRによって定量した。Htt発現の対立遺伝子特異的検出を、SNP(rs1143646)ベースの遺伝子型決定アッセイ4351376番(Applied Biosystems)を使用して行った。試験されたZFP用量で、30640は、変異Httの対立遺伝子特異的抑制を提供し、30643は、野生型Httの約50%の抑制および変異Httの約90%の抑制を提供し、30648は、両方の対立遺伝子を抑制した(図7)。これらのZFPの挙動は、HD線維芽細胞内のそれと一致していた(図4)。各試料についての総Httレベル(中央のバー)は、変異Httのレベルおよび野生型Httレベルと一致していた。

実施例8:分化したHDニューロンにおけるHtt抑制 HD NSCをアキュターゼにより、ゲルトレックスコーティングされたプレート上で継代した。培地を、(bFGFおよびEGF)を含まないStemPro NSC SFM mediumを含有する神経分化培地に変更することによって、ニューロン分化を誘導した。培地を最大21日間にわたって3〜4日毎に変更した。ニューロンを、神経分化培地中の培養によってNSC(CAG17/48、HD ESCに由来)から誘導した。神経誘導後15日目に、細胞を1.0または0.5μgのZFP mRNAで、ヌクレオフェクションを使用してトランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後、細胞を採取し、遺伝子発現をRT−PCRによって定量した。この患者の株は、野生型および変異HttのqPCRベースの対立遺伝子特異的検出を可能にするSNPを含有しないので、総Httレベルしか測定することができない。我々は、30640および33074がHD線維芽細胞およびNSCにおいてCAG18対立遺伝子もCAG17対立遺伝子も抑制しないことを示したので、30640処理および33074処理試料中で観察された総Httのレベルは、変異対立遺伝子(CAG48)の対立遺伝子特異的抑制と一致している。試験されたZFP用量での30643および30648によるより強力な抑制もまた、HD線維芽細胞内のこれらのZFPの挙動と一致している(図8)。

実施例9:CAG標的化抑制因子は、R6/2マウスにおける変異Htt導入遺伝子を抑制する R6/2マウス(約120回CAG反復を有する変異ヒトHttエクソン1の導入遺伝子を担持する、Mangiarini et al,(1996)Cell 15:197を参照されたい)に、CMVプロモーターによって主導されるZFP 30640−KOXまたはGFPのいずれかをコードする組替えAAV2/6の3e10ベクターゲノムの定位的な両側線条体注射を与えた。マウスに5週齢時点で注射し、分子分析のために8週齢時点で屠殺した。左および右線条体を各半球から切り離し、急速冷凍した。変異Htt導入遺伝子の抑制を評価するために、総RNAをTRIzol Plus(Life Technologies)により各線条体から抽出し、続いてHigh Capacity RT(Life Technologies)を使用してcDNA合成を行った。その後、R6/2導入遺伝子発現をqPCRによって測定し、3つの参照遺伝子(Atp5b、Eif4a2、UbC)の幾何平均に対して、Bennらによって以前に記載されたように正規化した((2008)Molecular Neurodegeneration:3,17)。我々は、4つのZFP処理線条体において、4つのGFP処理対照線条体と比べて変異Htt導入遺伝子の統計的に有意な抑制(P<0.001)を観察した(図9)。平均R6/2抑制は、GFP処理対照の64.9%であった。線条体の完全な網羅が単回の定位的な注射を使用しては達成されなかったこと、およびAAV2/6がニューロン細胞に優先的に形質導入することから、観察された抑制(約35%)の倍率は、AAVベクターにより形質導入された細胞内の実際の抑制を過小評価する可能性が高い。

実施例10:二量体化/多量体化ドメインを有するZFPを使用した変異Httの選択的抑制 ジンクフィンガー転写因子を、短いCAG反復と長いGAG反復との間をよりよく識別するように遺伝子操作するために、我々は、個々のジンクフィンガー転写因子のDNA結合親和性を減少させると同時に、CAG反復内の隣接した副部位に結合した融合タンパク質の異なるコピー間の相互作用強度を増加させることにした。個々のジンクフィンガー転写因子のDNA結合親和性を減少させるために、我々は、より少数のジンクフィンガーを有するかつ/または最適に満たない親和性でDNAに結合することが予想されるアミノ酸配列を有する、ジンクフィンガードメインを生成した。CAG反復内の隣接した副部位に結合した融合タンパク質の異なるコピー間の相互作用強度を増加させるために、我々は、種々の二量体化ドメインを我々のジンクフィンガー転写因子に融合した。二量体化ドメインは、「パラレル」な様式で相互作用し、それらを含有する融合タンパク質の「頭−頭(head−to−head)」または「尾−尾(tail−to−tail)」二量体を産出することができる。1つの可能性のある二量体化戦略は、「頭−尾(head−to−tail)」配向で結合する、同一のZFP−転写因子融合物のアレイを必要とし、故に、この戦略は、「アンチパラレル」な様式で相互作用する二量体化ドメインを必要とする。例えば、McClain et al.(2001)J.Am.Chem.Soc.123:3151−3152)および二量体化ジンクフィンガーペプチド(Giesecke et al.(2006),Molecular Systems Biology 2:2006.2011)を参照されたい。

二量体化構築物CC1およびCC2は、アンチパラレルなコイルドコイルの対に基づいた(McClain et al,(同書)、Ghosh et al.(2000)J Am Chem Soc 122:5658−5659)。二量体化構築物CC3およびCC4は、それぞれ4つの残基または7つの残基のいずれかが欠如している、CC2の切頭バージョンであった。二量体化構築物DZ1、DZ2、DZ3、およびDZ4は、二量体化ジンクフィンガードメインの対に基づいた(Giesecke et al,(同書))。各場合において、その対の一方のメンバーをジンクフィンガーDNA結合ドメインのN末端に融合し、その対の他方のメンバーをジンクフィンガーDNA結合ドメインのC末端に融合した。グリシンおよびセリン残基が豊富な短いリンカーを使用して、二量体化ドメインをジンクフィンガー結合ドメインに融合した。本発明のさらなる実施形態は、代替的な長さおよび/またはアミノ酸組成を有するリンカーを利用する。1つ以上の残基が除去された、または1つ以上のグリシンもしくはセリン残基が他のアミノ酸残基に変更された、リンカーは、これらのリンカーの柔軟性を低減することになり、長いCAG反復と短いCAG反復との間の改善された識別をもたらし得る。

変異Htt対立遺伝子の選択的抑制を達成するために、ZFPを図1Dならびに図10Aおよび4Bに例示されるように設計した。図10Cおよび10Dは、多量体化ドメインの配列を示す。図11Aおよび11Bは、CCおよびDZドメインを含むZFP−TFがそれぞれそれらの標的を抑制する能力を測定するように設計された、実験の結果を描写する。これらの実験のために、示されるZFP構築物(50ng)を、pRL−Htt−CAG17(200ng)、pGL3−Htt−CAG47(200ng)、およびpVax−SEAP(分泌型アルカリホスファターゼ、10ng、正規化対照として使用)で、HEK293細胞内に共トランスフェクトした。ルシフェラーゼ活性および分泌型アルカリホスファターゼ活性をトランスフェクションの24時間後に測定した。各試料についてのウミシイタケルシフェラーゼ(CAG17)/SEAPおよびホタルルシフェラーゼ(CAG47)/SEAP比を、レポーターのみの試料のそれらに対して正規化した。pGL3−Htt−CAG47レポーターをpRL−Htt−CAG47レポーターと同じように構築したが(実施例3を参照されたい)、pGL−プロモーター構築物(Promega)をpRL−TK構築物の代わりに使用したことを除く。

図11Aに示されるように、3つのZFPは、1つ以上のCCドメイン含有構築物として試験したとき、同じZFPを有するがCCドメインのない構築物と比較して、一方または両方のレポーターの抑制を強化した。図11Bは、DZ1およびDZ3ドメインが両方のレポーター上で32220の抑制を強化したことを示す。

これらの結果は、CCおよびDZドメインが一般に多量体化したZFPの親和性を増加させることができ、またDNA結合ドメインおよび二量体化ドメインの設計が最適なCAG反復長の識別をもたらし得ることを示唆する。

実施例11:ZFP−ZFP−Kox設計による変異Httの選択的抑制 ZFP−ZFP−KOX設計のものであるZFP TFをHD線維芽細胞内で試験した。これらの実験において、2つのZFP DNA結合ドメインを柔軟なリンカー(LRQKDAARGSAAMAERPFQ、配列番号179)で一緒に連結し、KOX抑制ドメインに融合した。リンカーを保存されたヒスチジンとシステインとの間に配置した。タンパク質を、示される用量のZFP mRNAを使用して上述のように試験した。CAG18/45(図12A)およびCAG20/41(図12B)HD線維芽細胞株におけるこれらの結果は、活性のより低いZFP DNA結合ドメインをこの様式で連結することが、対立遺伝子特異的抑制を主導する複合的なZFPをもたらし得ることを実証した。

実施例12:マウス細胞内のHttの活性化 本明細書に記載されるZFPをまた、Htt発現を活性化するそれらの能力について評価した。マウスHttの+200〜+467bp領域(転写開始部位に対して)に標的を定められたZFPを、NFκB p65サブユニットの転写活性化ドメインに融合した。この標的化する領域を選定したのは、この断片が、HDの種々のノックインマウスモデルにおけるヒトHttからの対応する配列(エクソン1配列の大部分およびいくつかのイントロン1配列)によって置換されたためであり(Menalled et al.(2003)J.Comp.Neurol 4651:11−26、Wheeler et al.(2000)Hum Mol Genet 8:115−122)、したがってこの領域に標的を定められたZFPは、それらの動物において野生型対立遺伝子を選択的に活性化することができるが、ノックイン対立遺伝子は活性化しない。

ZFPをNeuro2A細胞(これらの細胞内で両方のHtt対立遺伝子は野生型である)内にトランスフェクトし、マウスHttおよびACTB mRNAレベルを、実施例2(二重トランスフェクションおよび複数のアッセイ)に記載されるように測定した。

図13に示されるように、偽トランスフェクションと比較したHtt mRNAレベルの増加を、両方のZFP−TFを使用して検出した。図13Aを参照されたい。増加したHttタンパク質レベルをウェスタンブロットによって確認した。図13Bを参照されたい。

ノックインHtt対立遺伝子の生成が図13Cに例示され、配列アライメント(図13D)は、置換されたマウス配列と対応するヒト配列との間の発散を示す。図13Eは、かかるZFP活性化因子を、HdhQ111/Q7ノックインマウスに由来する不死化線条体細胞内にトランスフェクトしたときに、野生型Httのみが選択的に活性化されたことを示す。

実施例13:インビボでのHtt発現の制御 インビボでのHtt特異的ZFP TFの有効性を試験するために、ZFPをコードするAAV2ベクターを産生する。これらのAAV2ベースの構築物を次いで、マウスの脳に送達する。ヒトHtt特異的ZFP TFについては、AAVベクターを、R6.2マウスまたはBAC HDマウス(C57Bl/6またはFVB/N株)に送達して、ヒト導入遺伝子の抑制、ならびにHD様表現型の変化を評価する。マウスHtt特異的ZFP(活性化因子または抑制因子)については、AAVベクターを、野生型マウス(C57Bl/6またはFVB/N)またはヒトHttノックインマウス(HdhQ111/Q7、HdhQ140/Q7、またはHdhQ175/Q7)に送達して、内因性マウスHtt発現の活性化または抑制を評価する。CAG伸長対立遺伝子を優先的に標的とするZFPについては、AAVベクターを、R6.2マウスまたはヒトHttノックインマウス(HdhQ111/Q7、HdhQ140/Q7、またはHdhQ175/Q7)に送達して、野生型対立遺伝子対伸長したHtt対立遺伝子の選択的抑制を検査する。屠殺に次いで、脳組織をTaqmanリアルタイムRT−PCRによってHtt発現について分析し、Htt遺伝子がZFP−TFによって調節されることを実証する。

トランスジェニックマウス系統R6/2は、よく特徴付けられたHDの動物モデルであり、この動物モデルでは、伸長したCAG反復を含有するヒトHttプロモーターおよびエクソン1断片が異所的に発現される(Mangiarini et al. (1996) Cell 87, 493−506)。このマウスは、HD様表現型の行動的変化、ならびにHDの証左である線条体中型有棘ニューロン(MSN)の喪失を示す。MSNの変性と一致して、MSNマーカーであるDARPP−32 (Bibb et al. 2000, Proc. Natl. Acad. Sci. 97(12):6809−6814)、ホスホジエステラーゼ10a(PDE10a) (Hebb et al. 2004 Neuroscience, 123(4):967−81)、ドパミン受容体D1(DRD1)およびドパミン受容体D2(DRD2) (Cha et al. 1998 Proc. Natl. Acad. Sci. 95(11): 6480−6485)の発現の減少が、R6/2マウスにおいて報告されている。

遺伝子抑制因子であるZFP−33074(これは、HD患者に由来する線維芽細胞およびニューロンにおける変異Htt対立遺伝子を特異的に抑制する)のin vivo有効性を試験するため、AAV6−33074(すなわち、遺伝子抑制因子を含むAAV6)を、定位的注射を用いて5週齢のR6/2マウスの両側の線条体へ送達した。各線条体は、2か所でAAV注射を受け、前側および後側の注入の座標は、それぞれA/P +1.4、M/L +/−1.7、D/V −3.5およびA/P +0.2、M/L +/−2.3、D/V −3.2であった。前側部位は5μlのAAVベクターを受け、そして、後側部位は、4μlのベクターを受けた。AAV6−33074ベクターの力価は、1×1013ベクターゲノム/mlであった。対照動物は、同一の用量のAAV6−GFP(すなわち、緑色蛍光タンパク質を含むAAV6)を、線条体の同一の位置に受けた。

AAV6−33074またはAAV6−GFPを注射されたR6/2マウスを、これらの動物によって示される、よく確立された運動欠陥であるクラスピング行動について、週毎に試験した(Mangiarini et al. 1996 Cell 87, 493−506)。簡単に述べると、各マウスを、そのホームケージから取り出し、そして、該ケージのふたの上に置いた。次いで、該動物を、その動物が表面から約12インチ上にぶら下げられるまで、観察者が後方向かつ上方向に滑らかな動きで優しく引っ張った。次いで、動物を、30秒間スコア付けする。前肢のクラスピングのみが観察された場合には、動物にスコア1を与えた。後肢のクラスピングのみが観察された場合には、動物にスコア2を与えた。前肢および後肢の両方のクラスピングが観察されたが、同時にではなかった場合には、動物にスコア3を与えた。中心部へきつく引き付けられた後肢および前肢の同時のクラスピングによって定義される、完全なクラスピングには、スコア4を与えた(図16を参照)。30秒間のぶら下げの後、動物をそのホームケージに戻す。各処置群、ならびに齢一致野生型同腹子について、週毎の各観察において完全なクラスピング(スコア4)を示した動物の割合を決定した。AAV6−GFP処置動物と比較して、AAV6−33074処置R6/2マウスは、(動物を発現分析のために屠殺したとき)7〜12週の齢の間で、クラスピングの頻度の減少を示した;減少は、9および12週の齢で統計的に有意であった(カイ2乗分析、p<0.05)(図17)。この結果は、変異Httの遺伝子抑制因子であるZFP−33074が、R6/2マウスにおける、よく特徴付けされた運動欠陥であるクラスピング行動を改善したことを実証している。

R6/2マウスの線条体における変異HttおよびMSNマーカーDARPP−32の発現レベルを、免疫組織化学によって測定した。AAV−33074注射の7週間後に、R6/2マウスをペントバルビタールによって深く麻酔し、そして、上行大動脈を通じて、等張食塩水によって、その後pH7.4の0.1M リン酸バッファー中の氷冷4%パラホルムアルデヒド(250ml)によって潅流した。脳を取り出し、そして、同一の溶液中で一晩後固定し、次いで、25%スクロースに移し、その後凍結ステージマイクロトーム上で40μmの切片に切った。切片をPBSで洗浄し、そして、0.3% Triton X−100 20%Normal GoatSerum/PBS(ブロッキング溶液)中、室温で4時間ブロックした。ウサギ抗DARPP−32抗体(Cell Signaling)およびマウス抗変異Htt抗体(Millipore)を、該ブロッキング溶液中、4℃で24時間インキュベートした。その後、切片をPBSで洗浄し、Alexa555ロバ抗ウサギ(Life technologies)およびAlexa488ヤギ抗マウス(Life technologies)を伴う0.3% Triton X−100/PBS中で2時間インキュベートした。最後に、切片をPBSで洗浄し、DAPI(Invitrogen)で10分間インキュベートし、そして、蛍光顕微鏡法分析のために、カバーガラスにマウントした。変異Htt染色の減少が、AAV−33074を注射した線条体の領域において観察された;重要なことに、DARRP−32染色の増加が同一の領域で観察され、変異Httの遺伝子抑制因子であるZFP−33074の下方制御がMSN変性を減少させたことを示唆した。

変異HttおよびMSNマーカーの発現レベルはまた、リアルタイムPCR(Taqman)アッセイを用いても測定した。AAVベクターの注入(AAV−ZFPまたはAAV−GFP)の7週間後に、R6/2マウスの線条体を単離し、前側、中側および後側の切片に切り分け、そして個々に急速凍結した。TRIzolPlus RNA Purification Kit (Life Technologies)を用いてトータルRNAをそれぞれの線条体切片から単離し、そして、High Capacity cDNA Reverse Transcription Kit (Life Technologies)を用いて、20ulの反応において500ngのRNAを用いてcDNAを生成した。次いで、該cDNAの1/100をリアルタイムPCR反応において用いて、目的の遺伝子(野生型マウスHtt、変異Htt導入遺伝子、DARPP−32、PDE10a、DRD1およびDRD2)のレベルと、標準化遺伝子(Atp5b、Eif4a2、UbC)のレベルとを決定した;標準化遺伝子は、Benn et al (2008) Molecular Neurodegeneration 3:17に基いて選択した。マウスDARPP−32、PDE10a、ドパミン受容体D1、ドパミン受容体D2、Atp5b、Eif4a2およびUbCのプライマー/プローブセットは、IDTから購入した;マウスHttのプライマー/プローブは、Life Technologiesから購入し、そして、変異Htt導入遺伝子のプライマー/プローブは、Benn et al,同書に記載される通りであった。プライマー/プローブセットの配列は、表3に列挙されている。リアルタイムPCRアッセイを、SsoFast Probes Supermix (Bio−Rad)を用いて、CFX−384リアルタイムPCR機器(Bio−Rad)上の384ウェルプレートフォーマットにおいて製造者の指示に従って行った。発現分析は、CFXマネージャーソフトウェア(v3.0)を用いて行った。簡潔には、目的の各遺伝子および標準化遺伝子の発現レベルを、3連の反応においてアッセイし、125倍の濃度範囲にわたる標準曲線(5倍希釈系列)を用いて定量した。目的の各遺伝子の発現レベルは、同一の試料に由来する3つの標準化遺伝子の平均のレベルに対して標準化した(目的の遺伝子/標準化遺伝子比率);次いで、各試料についてのこの比率を、全てのAAV−GFP処置試料の平均の比率を基準として調整し(1とした)、そしてプロットした。統計的有意性を、両側スチューデントT検定を用いて評価した。DARPP−32について、発現は、GFP対照を受けたマウスにおける発現の178%であり、他方、PDE10a、Drd1およびDrd2は、それぞれGFP対照における発現の184%、189%、および162%であった。AAV−ZFP−33074処置線条体は、AAV−GFP処置線条体に対して、変異Httの約60%の抑制を示した(P<0.001)が、一方で、野生型マウスHttの発現は変化しなかった。ZFP処置線条体はまた、調査された全ての中型有棘ニューロン(MSN)マーカー(DARPP−32、PDE10A、DRD1およびDRD2)の統計的に有意な増加を示し、変異Httの遺伝子抑制因子であるZFP−33074が、R6/2マウスにおける線条体MSN変性を減少させたことを示唆した(図17)。

実施例14:神経栄養因子およびHD Htt対立遺伝子特異的ZFP TFの共トランスフェクション 上で特定されたHtt特異的ZFP TFを、脳神経栄養因子に特異的なZFP TFと共トランスフェクトする。使用された脳神経栄養因子に特異的なZFP TFは、GDNFまたはBDNFのいずれかに特異的である。

実施例15:Htt標的化ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)の設計および構築 ヒトHttおよびマウスHttを標的とするZFNを、CAG反復に隣接する配列、すなわち最初のコードATG、停止コドンの近くの配列、ならびに先のエクソンにおける配列を標的とするように設計した。ZFNを設計し、プラスミドまたはアデノウイルスベクターに、本質的にUrnov et al.(2005)Nature 435(7042):646−651、Perez et al(2008)Nature Biotechnology 26(7):808−816、および米国特許公開第2008/0131962号に記載されるように組み込んだ。

実施例16:Htt特異的ZFNの切断活性 切断活性を試験するために、上述のヒトHtt特異的ZFNの対をコードするプラスミドをK562細胞内にトランスフェクトした。K562細胞をAmerican Type Culture Collectionから入手し、推奨されるように、10%の適格な仔ウシ胎児血清(FCS,Cyclone)を補充したF−12培地(Invitrogen)中で成長させた。細胞を、TrypLE Select(商標)プロテアーゼ(Invitrogen)を使用してプラスチックウェアから分離した。トランスフェクションのために、100万個のK562細胞を、2μgのジンクフィンガーヌクレアーゼプラスミドおよび100μLのAmaxa溶液Tと混合した。細胞を、Amaxa Nucleofector II(商標)中で、プログラムU−23を使用してトランスフェクトし、1.4mLの温かいF−12培地+10%FCS中に回収した。

ゲノムDNAを採取し、意図される切断部位を包含するHttの遺伝子座の一部分をPCR増幅した。InVitrogenからのAccuprime HiFiポリメラーゼを使用したPCRを次のように行った:最初の94℃で3分間の変性の後、30サイクルのPCRを、94℃で30秒間の変性ステップ、続いて58℃で30秒間のアニーリングステップ、続いて68℃で30秒間の伸長ステップにより行なう。30サイクルの完了後、反応物を68℃で7分間、次いで10℃で無期限にインキュベートした。

K562 Htt特異的ZFN処理細胞からのゲノムDNAを、Surveyor(商標)ヌクレアーゼ(Transgenomic)によって、例えば、米国特許公開第20080015164号、同第20080131962号、および同第20080159996号に記載されるように検査した。

マウスHtt特異的ZFNの対をコードするプラスミドを、Neuro−2a細胞内で同様の様式で試験した。

図14AおよびBは、ZFNが、以前に記載されたようにアッセイされると、観察されたインデルの量の分だけ、8〜40%の間の遺伝子修飾効率でHtt遺伝子を標的とすることが可能であったことを示す。

実施例17:様々な長さのトリヌクレオチド反復の標的化組み込み 上述のCAG反復に隣接する配列に対して最も大きい切断活性を有するHtt特異的ZFNを、標的化組み込み戦略に使用して、様々な長さのCAG反復をHttの野生型コピーに導入する。50、80、109、および180回反復CAG単位を含有するドナーを構築する。これらのドナーを次いで、上述のHtt特異的ZFNをコードするプラスミドと共にK562細胞内にトランスフェクトする。ドナー組み込みの検証を、ゲノムDNA単離、PCR増幅(上述のように)、続いて目的領域の配列決定によって達成する。

ドナー対立遺伝子のHtt対立遺伝子への標的化組み込みをもたらす、K562細胞内で特定されたZFNを使用して、可変長ドナー核酸をヒト胚性幹細胞(hESC)に挿入する。ドナー組み込みの成功を、上述のようにゲノムDNA単離、PCR、および配列決定によって検証する。

実施例18:野生型および/または変異Httの崩壊/ノックアウト 先のエクソンを切断するZFNは、非相同末端結合(NHEJ)の結果として小さい挿入または欠失(インデル)をもたらし得、これはHttの一方または両方の対立遺伝子が妨害された細胞モデルを生成し得る。

示されるZFN対を上述のように調製し、切断活性について、Cel 1ミスマッチを使用して、実施例8について記載されるように試験した。これらのZFN対は、ヒトHttの先のエクソンを標的とする故に、それを使用して、野生型Htt対立遺伝子または変異Htt対立遺伝子のいずれかをノックアウトしてもよい。

図14Aに示されるように、ZFP対29627/29628、29631/29632(エクソン12)、および29637/29638(エクソン18)は、Htt遺伝子を切断した故に、それを利用してノックアウト細胞株を生成することができる。

実施例19:野生型およびHD Htt対立遺伝子の発現タグ付け 最初のまたは最後のコードエクソンに対して最も大きい切断活性を有するZFNを使用して、野生型および変異Htt対立遺伝子を異なるレポータータンパク質でタグ付けする。各レポーター(AおよびB)に対するドナーDNAを、先頭のZFN対(複数可)の切断部位に基づいて設計して、レポーター遺伝子の標的化組み込みがHttへのフレーム内融合をもたらすことを可能にする。最も高い組み込み頻度を提供するドナーDNA構築物を選択するために、ドナーDNAを、先頭のZFN対(複数可)と、K562細胞内に共トランスフェクトする。

ZFN対を上述のように調製し、切断活性について、Cel 1ミスマッチを使用して、実施例8について記載されるように試験した。使用されたZFN対は、Httコード配列の3’末端を標的とする故に、それを使用して、野生型Htt対立遺伝子または変異Htt対立遺伝子のいずれかを標的としてもよい。図14Bに示されるように、ZFP対25917/25916、25920/25921、および25923/25922は、Htt遺伝子を切断することが可能であった故に、それを利用してレポータータグを導入することができる。

レポーターAのために選択されたドナーDNA構築物ならびに対応するZFNを、変異Htt遺伝子を担持する対象に由来する細胞(例えば、線維芽細胞、誘導多能性細胞)に送達し、クローンを誘導し、レポーターAの標的組み込みのためにスクリーニングする。ヘテロ接合型事象が所望され、標的化対立遺伝子をPCRによって特定する。単一のレポータータグ付きHtt対立遺伝子および他方の対立遺伝子上の非修飾ZFN標的配列を含有するクローンを選択し、レポーターBのためのドナー構築物および対応するZFNをトランスフェクトして、第2の対立遺伝子をレポーターBでタグ付けする。

結果として生じるマウス胚性幹細胞クローンは、各対立遺伝子からの発現の追跡を可能にする2つの異なるマーカーでタグされた野生型Htt対立遺伝子および変異対立遺伝子を含有し、これらの細胞を使用して、トリヌクレオチド反復障害のマウスモデルを、標準プロトコルを使用して生成する。

実施例20:Httに対する活性TALE−TFタンパク質の構築 TALE DNA結合ドメインをKox1タンパク質(TALE TF)からのKRAB抑制ドメインに連結し、それを使用して、HD患者(CAG 20/41)由来の線維芽細胞内のHtt遺伝子の抑制を試験する。TALEタンパク質の構築を以前に記載されたように行い(米国特許第8,586,526号および米国特許出願第20130196373号を参照されたく、それらの両方は、参照により本明細書に組み込まれる)、3つの異なるC末端構造:+63、+231、および+278を用いて米国特許第8,586,526号に記載されるように構築した。TALE TF発現プラスミドを構築するために、以前に記載されたTALEN発現プラスミド(米国特許第8,586,526号を参照されたい)を使用したが、TALEN内に使用されたFokIドメインをKRAB抑制ドメインで置換したことを除く。TALEタンパク質およびKRABドメインのC末端の連結が下に示され、ここでKRABドメイン配列は下線によって示される。太字および斜体文字は、三重フラッグタグを示し、太字文字は、核局在化配列を示し、「[反復]」は、TALE反復単位アレイ(全反復とC末端半反復)の箇所を示し、波線を引かれた部分は、KRABドメインの配列を示す:

塩基認識を、正準のRVD塩基の対応関係(「TALEコード」:NIはAに、HDはCに、NNはGに(半反復におけるNK)、NGはTに対応)を使用して達成した。TALE TFのうちのいくつかにおいて、タンパク質は、DNAのセンス(5’−3’)鎖に結合するように設計される一方で、他のものにおいて、TALE TFは、アンチセンス(3’−5’)鎖に結合するように設計される。TALE TFのこのセットを、Htt遺伝子のCAG反復を標的とするように設計した。TALE DNA結合タンパク質はしばしば、標的の5’末端で「T」ヌクレオチド塩基と優先的に相互作用し、したがって、標的がCAG反復領域であることから、アンチセンスDNA鎖に結合し、故に標的の5’末端(3nd)に塩基「T」を有するCTG反復配列に結合するタンパク質が、よりよい結合親和性および特異性を有し、故に抑制因子活性を有することが予測され得る。

試験されたTALE TFについての標的および数値識別子が下の表4に示される。数値識別子は、「SBS番号」とラベルされ、センス(Sense)またはアンチセンス(Antisense)鎖に対する特異性は、(「S/A」)と示され、標的、反復単位またはRVDの数、およびC末端の種類も同様に示される。

表におけるTALE TFを次いで、HD患者(CAG 20/41)由来の線維芽細胞内でHtt抑制について試験し、その結果が図15に示される。この実験において、細胞を1000ng、100ng、または10ngのいずれかのTALE−TFコードmRNAでトランスフェクトした。アッセイされた各TALE TFについての結果が、3つのトランスフェクトされたmRNA量を表す、3つからなる群で示される。各群において、3つの試料もまた存在し、左側のバーは、総Htt発現を示し、中央のバーは、CAG20 Htt対立遺伝子からの発現を示し、右側のバーは、CAG41 Htt対立遺伝子からの発現を示す。データは、両方のHtt対立遺伝子を抑制可能であったいくつかのTALE TFが存在する一方で(例えば、102454を参照されたい)、他のTALE TFが伸長したCAG反復を有する変異Httを選択的に阻害可能であった(例えば、102451および102472を参照されたい)ことを実証する。

本明細書において言及された全ての特許、特許出願、および刊行物は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。

理解の明確さを目的として、例示説明および実施例を用いてある程度詳細に開示を提供してきたが、当業者には、本開示の趣旨または範囲から逸脱することなく、種々の変更および修正が実施され得ることは明白であろう。したがって、前述の説明および実施例は、限定的であると解釈されるべきではない。

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